法務委員会 第31号
- 発言数
- 290 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1965/05/27
会議録
○小島委員長代理 これより会議を開きます。 本日は委員長が所用のため出席できませんので、その指名により私が委員長の職務を代行いたします。 経済関係罰則の整備に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。 本日は、本案について参考人より意見を聴取いたすことにいたします。 藤野参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。 この際、委員各位に申し上げます。参考人の御意見は、委員からの質疑によってお述べいただくことにいたしておりますから、さよう御了承願います。 これより参考人及び政府当局に対する質疑に入ります。横山利秋君。
○横山委員 藤野参考人には御多用中恐縮でした。 本委員会は、経済罰則に関する法律案について審議をいたしておるわけでありますが、それに関連しますもろもろの問題につきましておいでを願ったわけであります。 銀行の検査部長という仕事は、大体どういうことをなさるのでありますか。その権限はどういう権限を持っていらっしゃるのですか。まずそれを伺いたい。
○藤野参考人 お答えいたします。御質問の検査部の仕事でございますが、当行の職制上、私ども検査部の所管事項と申しますのは、営業店の実際の事務処理の検査でございます。それが検査部の仕事でございます。
○横山委員 事務処理の検査といいますと、その貸し付けに不正な貸し付けがないか、あるいは銀行の内部規程その他について間違ったことがないかということでございますね。間違ったことがあるならば、それについて明白な調査を行ない、そしてそれについて処理をする権限をお持ちでございますか。
○藤野参考人 お答えいたします。当行の職制上の検査部の職権と申しますか、これはいわゆる事務手続の検査でございまして、融資内容、そういうものについては一切調査していないのでございます。ほんとうに事務処理が正確に事務規程に規定されている手続をそのまま踏んでいるかどうか、その手続の検査でございます。
○横山委員 事務処理を検査する過程において、不正なこと、間違ったこと、その他のことがあった場合には、どうなさるわけですか。
○藤野参考人 それは担当各部に報告すると同時に、不正その他のことがございました場合は、当行では、いわゆるそういう懲罰その他の委員会がございますから、そこへかけて処罰することに相なります。
○横山委員 銀行において不正融資あるいは間違った事実、そういうことを念査する機構は、それではどうなっていますか。
○藤野参考人 それは、営業店の管理につきましては、関係各部がそれぞれ分掌しているわけでございます。私どもの分掌しているのは、ただいま申し上げましたとおり、記帳その他事務手続が間違いなく行なわれているかどうかということについての検査でありまして、事務手続その他について不正があった場合は、われわれがそれを処理するわけであります。融資その他については、関係各部が、担当部が処理をすることになります。
○横山委員 失礼な話でありますけれども、少し何か警戒じみた御答弁のようであります。私は、審査部とかあるいは貸付部というようなものが、幾ら貸してもらいたいということについて、直接担当するものとして、それを審査するものだ、こう理解しておる。私は法務委員たると同時に大蔵委員でありますから、銀行の内部事情は多少わかっておるわけであります。問題は、それを客観的に見て念査する、監査する内部牽制制度としてのあり方というものは、どこでやるか、こう聞いておるのです。ございませんか、そういうものは。
○藤野参考人 いまのところ、私のところではございません。
○横山委員 これはふしぎなことだと思うのであります。オーソドックスに審査をし、そしてこれはどのくらい貸し付けるのが適当であるということを考え、実行する審査部、客観的に見て、時々適切に銀行の内部はどうあるべきか、どういう間違いが存在するかということを、客観的に内部牽制制度としてやり得るのが当然の検査部だと思います。あなたは全く事務的に、また極端に言えば官僚的に、どういう字が間違っているか、どういう事務上のミスがあるかということだけに自分の職務を限定されておるとおっしゃるのですが、その過程において不正な貸し付け、間違った貸し付け、そういうものを発見をするということがあるならば、当然それは検査部の仕事ではないか、私はそう言っているのですが、間違いでございますか。
○藤野参考人 当行の職制上は、あくまで検査部の仕事は事務手続の検査に限られておるわけでございます。
○横山委員 そうすると、驚いたことに、三菱銀行は、全般的な金融なり業務のあり方について内部牽制制度がないというふうに理解してよろしいのですか。
○藤野参考人 これは先ほども申し上げましたとおり、各部でそれぞれそういう事項については、支店からそれぞれの担当部に連絡して指示を仰いでいる形になっております。
○横山委員 いかなるところといえども、役所といえども行政管理庁、会計検査院、あるいは監査役、そういうものがありまして、内部の牽制制度が確立しておるのですが、三菱銀行は、あなたのおっしゃるところによりますと、全くあなたは検査部長として検査部を率いて事務上のミスしかやらないのだ、そういうふうな三菱銀行の形態であるというふうに理解してよろしいのですね。
○藤野参考人 もちろん、私どもも検査してまいりまして、そういうものをはっきりつかみましたような場合には、担当部に連絡をいたしておりますけれども、職制上はあくまで事務検査でございます。
○横山委員 それでは事務検査というのはどういうことをするのか、職制上の事務検査の内容を、ひとつ三菱銀行の内部規程でどうなっておるのか、それを聞かしていただきたい。
○藤野参考人 事務規程と申しますが、私どもの検査の対象にいたしておりますのは、現金、それから貸し付けの手形、証券、いわゆる現物でございます。そういうものの精査でございます。それからあとは、実際に、それぞれの事務規程に規定されているとおりに記帳され、実際に行なわれているかどうか。あるいは担保物件の瑕疵がないかどうか、そういうふうなことは全部事務規定に規定されているわけでありますけれども、そういうことの検査というものがわれわれの仕事だと思っております。
○横山委員 大蔵省の牧野検査部長がお見えになりましたが、いまの話を聞いて私はいささか意外に思うのでありますが、大蔵省は銀行に対する内部牽制制度についてどういうことを、不正事実なりあるいは不正融資なりその他についてどういうふうに内部牽制制度をするべきが当然と考えるか、またどういうふうに指示しておるのか、一ぺん説明をしてもらいたい。
○牧野説明員 お答えいたします。金融機関は一般大衆の預金を、大切なものを頂かってそれを運用しておるわけでございますから、銀行によりまして若干の差、それぞれ個性があると思います。しかし内部牽制制度、これは一人の人のやったことをほかの人がチェックするということ、あるいは上役が下の者のやったことを丁寧に見るという形で内部の牽制制度をきちんと実施するように、それぞれ差異がありますけれども、どこの銀行もなっておると思います。それからまた銀行の検査部というのは、どこの銀行もだんだん最近かなり充実してきております。主として事務的なミスを検査するということでやっておるのが大部分だと思いますが、しかし、だんだんにいろいろ広範に債権の内容等についても検査する方向に、やがて少しずつ移行していくんじゃないかというふうに思っておりますが、いまのところは大体事務上のいろいろな誤りをただすということが銀行の検査部としてはおもになるかと思います。それから監査役がおりまして、これは決算のときに監査するということをやる。大体そんなところで銀行の内部索制というようなことが行なわれておると思います。
○横山委員 これほど最近金融機関のあり方について世間の糾弾の行なわれておるときに、銀行の検査部長が出てきて、私は事務上の誤りをただすだけでありまして、ほかに内部索制制度、融資の不当不正な事実について常に存在するかいなか念査する機構がないということは、私は驚くべき発言だと思う。牧野さんに聞きたいが、あなたの言うところの事務上のミスの中には、不正融資や不正な事実は含まれていない、それらは検査部長がやる職能ではない、こう大蔵省も理解しているわけですか。
○牧野説明員 不正融資というようなことは、これはどこからどこまでが不正か、問題によりましていろいろ議論が分かれると思いますが、そういうようなことは本来あってはならないことでございまして、そういうような場合は検査を待たずに内部で上役が押えるというのがほんとうだろうと思います。そういうふうに私ども指導してまいりたいと思っております。それからまた、確かに最近いろいろ批判を受けておるわけでございまして、私どものほうも先般かなりやかましい通達も出しました。それからまたいろいろおりに触れまして注意いたしまして、内部検査の精度を高めて頻度を多くする、それで内容を充実するようにということ、また、それからいろいろな事務の取り扱いにつきましても、いろいろ内部規程がそれぞれ銀行でできておりますわけですが、それを厳重に守りますように指導しております。今後も励行させるように、なお一そうきちんとした仕事をするようにということで指導してまいりたいと思っております。
○横山委員 あなたの言うことを三菱銀行はやっていないということじゃないの。あなたの言うところによれば、不正事実も不正融資も含んでおるようであるけれども、しかし藤野さんの話を聞くと、私はそういう権限はないと言う。権限というか、私の正当な権限は事務上のミスだ、一体事務上のミスということはどういうことだかよくわからないけれども、きわめて狭義にものを言いたがっているらしいのですけれども、そうだとすれば、内部牽制制度はあなたの言うように銀行では確立していないということだ。事務上のミスがもしも狭義のようなものであるならば、ここにいう経済関係罰則の整備に関する法律違反事件、法務省刑事局の調査によれば、五十二件の問題がある。この五十二件をずっと調べてみますと、いわゆる藤野さんの言うところの事務上のミスの問題ではないわけです。その範癖に入らないものばかりですよ。金を貸してそして幾らもらった、そういう贈収賄というものは事務上のミスではわからないわけです。そうでしょう。藤野さんがおれの権限は事務上のミスだというならば、こんなものはだれも発見をし得ない。銀行の内部牽制制度では、いまの状況ではこういうものは出てこない。少なくとも三菱銀行ではこういうものはだれも念査するものがない、こういうことじゃないですか。どうですか牧野さん、そういう考えでよろしいのですか。
○牧野説明員 お答え申し上げます。これは銀行の検査ということももちろん大切でございますが、それ以上に重役とかあるいは部長とか支店長とかいう者が、日常内部事務をはっきりと掌握するということが、ただいまお話のありましたような問題については……(横山委員「支店長がやっているのですよ」と呼ぶ)それは本店の部長なりあるいは重役なりが……(横山委員「本店の部長もこの中にあるのですよ」と呼ぶ)それは上のほうがきちんとする。それで毎日の仕事をちゃんとやるように、日常の事務を通じて監査するということが本来の筋だろうと思います。内部の検査部だけの力ではなかなかそこまでいかないというふろに思います。重役諸公がまずきちんと内部の体制を日常監査するということだろうと思います。
○横山委員 そんなことを言っておったのでは、この経済罰則の整備に関する法律の審議にあたって、前に金融機関——銀行や相互銀行を落としたことに間違いがある。いまの内部牽制制度が確立していないときに、こういうようなことは違法行為ではないということにしたことに実は間違いがあるということを私は痛感せざるを得ないのです。 藤野さんにお伺いしますが、あなたはいわゆる吹原事件について、検査部長として調査をなさったという話でありますが、いかがでありますか。
○藤野参考人 先ほどから横山先生におしかりを受けたわけでございますが、事件を知りましてすぐに、いわゆる内部の事務の手続につきまして、とりあえず取り急ぎ預金関係の事務の調査をいたしました。その結果、問題の通知預金証書二通が、預金が受け入れされておらないにもかかわらず、店に返っていないという事実を確かめました。それと同時に、そのほかのことについては異常はないということを確かめました。四月に入りまして全面検査をいたしました。それにつきましても、その二つ以外は異常はないという点がわかった次第であります。 この事件につきましては、私は十九日にこのことを知りましたと申しますか、担当常務から話がございまして、それで取り急ぎ吹原から無効の預金証書を取り戻すように命令を受けた次第であります。それでもっぱら吹原との証書の回収の交渉をいたしたわけでございます。吹原との交渉の経緯につきましては、そのつど口頭で報告をいたしておりますが、この事件に関する報告というものはしていないのであります。
○横山委員 あなたが担当常務からお聞きになりましたのは三月十九日でございますね。担当常務はどなたですか。
○藤野参考人 加藤です。
○横山委員 担当常務からそういう話を聞くまでは、あなたは何も御存じなかったわけですか。
○藤野参考人 全然知りませんでした。
○横山委員 担当常務から話を受けて、そして三月二十日ころから吹原の通知預金証書に関する調査を何日間くらいなさったのですか。
○藤野参考人 調査と申しますより、私は吹原と預金証書を回収するための交渉をしただけであります。調査は、先ほど申し上げましたように事務上の調査でございますから、証書が返っていないということがわかったわけです。これは、先ほどからおしかりを受けておりますけれども、事務上の調査で、事件については、私は吹原から無効の通知預金証書を回収する交渉をしろということを命令されましたので、吹原と交渉を始めました。
○横山委員 そこへいくとちょっと話が違うのですが、こういう通知預金証書がなぜ発行されたかということについて、あなたが全然報告も受けない、全然調査もしなかったということは考えられないのです。職務が何であるといなとを問わず、どうしてそういうものが出たかということは当然お聞きになったと思いますが、そうでしょう。
○藤野参考人 お答え申し上げます。もちろん吹原と交渉する前に、十七日にこの事件を本部はわかったのでございますが、ちょうど私がかぜで二日休んでおりましたので、十九日の夕方に知った次第でございます。それでさっそく常務あるいは前の稲野支店長から、だまし取られたまでのいろいろないきさつはもちろん聞いて交渉に当たったわけであります。
○横山委員 あなたにお伺いしますが、支店長がこれほどの問題を十月十九日から三月十七日まで本店に何も報告しなかったということが、先般も信用金庫初め各方面の金融機関にここへ来ていただきましたし、それから大蔵委員会におきましても、おたくの副頭取を含めて各銀行に来ていただきましたが、十月十九日から三月十七日まで支店長が本店に報告しなかったということについては信憑性がない、あり得ないことだと、異口同音におっしゃいますが、その点については実際はどうなんですか。
○藤野参考人 お答えいたします。これはまことに御質問ごもっともだと思います。私自身もまことに意外に思ったわけでございますが、事実はまことにそのとおりでございまして、稲野支店長を調査したところによりますと、十九日にだまし取られたわけでございますが、そのときはまだ預金が入る、あしたかあさって、二、三日うちに大口の預金が入るということを信用しておったようであります。それが入らぬことがわかりましてからその証書の回収に当たったのでございますが、その間どうも解せないとおっしゃいますのは、そのとおりでございまして、稲野支店長はそのときに自分の不始末であって、あくまで本店には内密にしたい、自分で解決できるというふうに感じておったようでございますけれども、必ず自分で何とか解決したいということから、本部にはしいて報告しなかったということを支店長が申しております。
○横山委員 二、三日ならともかく、十月十九日から三月十七日まで、五カ月間も支店長は一切本店に報告しなかったということは何人も首肯しがたい。あらゆる金融機関、あらゆる識者、常識家が信頼しがたい。おそらくそういうことはあるまい。あなたも数日間事情をお聞きになって、あなたは検査部長としてどういう報告をなさったわけですか。
○藤野参考人 私は稲野支店長から事情を聴取して吹原と交渉に当たりましただけで、その間の稲野の陳述書がございますが、それだけでございます。私は報告いたしておりません。
○横山委員 あなたは本委員会へ参考人としておいでになったけれども、本委員会は事のいきさつを明白にしたいと思うのです。そういう五カ月間も支店長が黙っておったということは、すべての人が信頼しがたい、ころ言っている。大体調査をなさって、その五カ月間支店長が自分一存で胸の中にたたんでおったということをほんとうにあなたは信頼なさいますか。いまあなたは、自分がずっとこの間のいきさつを調査をしたと言うておられるが、伝うるところによりますと、あなたは、このことについて宇佐美頭取並びに加藤常務は知っておったといろ報告をなさっておられるという信憑すべき情報がある。この点について稲野支店長が一存で、数日ならいざ知らず、五カ月間もこの三十億円に余る失態を自分の胸にたたんでおったということを、あなた自身としてもほんとうに信頼なさいますか。
○小島委員長代理 横山君に申し上げますが、理事会で申し上げたとおりに、質問の要旨を何とぞ本案のほうに……。
○横山委員 これは検査部長として重大なことです。本法案と関係があります。重大な問題です。そんなことを委員長がおっしゃるような筋合いの問題ではない。
○藤野参考人 お答えします。いま先生がおっしゃいました私の報告書というようなことでございますが、これは「政経特信」という一業界紙に私の報告書全文というものが出ておるのであります。私も拝見いたしたのでありますが、これは全く事実無根でございまして、私もはなはだ迷惑している次第でございます。いま申し上げましたように、どうおっしゃられましても、事実支店長が内密に何とか自分で処置したいというふうに努力した。しかも自分で一応証書を取られているという弱みもございまして、それで吹原にいわゆるほんろうされたというふうな形でじんぜんと日が過ぎたというのが事実でございます。
○横山委員 しかし、あなたはそうはおっしゃっても、いやしくも転勤したばかりの支店長が、何の裏づけもない——まだ吹原にずっとつき合っておったというのならともかく、転勤したばかりの支店長がその翌日に三十億円の通知預金証書を発行して、そして五カ月間も黙っておった、自分の胸にたたんでおったということが、あなたは信頼できますか。あなた自身はどうなんですか。あり得ることですか。
○藤野参考人 私自身も、こういうことはあり得ることとはいままで考えておりませんでした。しかし、事実でございます。
○横山委員 あなたは、それからその回収に努力をしたと言いますが、吹原にはお会いになりましたか。
○藤野参考人 二十二日からずっと吹原に会っております。交渉いたしました。
○横山委員 その交渉過程で、なぜその交渉がうまく進まなかったか。それは一体どういうわけですか。
○藤野参考人 何の交渉でございますか。私の交渉でございますか。
○横山委員 はい。
○藤野参考人 これは吹原の話がほとんどでたらめでございまして、私もそれは大体承知の上で交渉したわけでございますが、一応交渉過程を申し上げますと、私が二十二日に最初交渉したわけでございます。そのときは吹原は事実その証書をだまし取った、ことばにははっきり申しませんが、そういう事実を認めている態度でございます。それで銀行には迷惑をかけてはなはだ申しわけない、一日も早く証書を取り戻して銀行にお返しして円満解決したい、こういう話でございました。そこで私は、ではなぜ二十億の証書が森脇さんの手元に渡ったのか、それからもう一通の十億の証書はどこにあるのかということについて尋ねたわけであります。ところが、二十億の証書については、自分から直接森脇さんに渡した、しかもこれは借金の催促をされて窮したあげく渡した、こういうことでございました。それからもう一通の証書は一応森脇系の大阪商事にある。しかし、このほうは要返済金額が至ってわずかであるから、自分で立てかえてでも一日も早く返す、二、三日中に返す、あるいは一週間に返す、こういうふうなことで、それが次々に延びたわけでございます。それで二十二日に交渉し、二十四日に交渉し、それから三十日になってまた変わり、三十一日になってまた変わる、こういうふうな情勢であったわけでございます。いまから考えますと、全くうそ八百を述べていたと思います。それで私は早急に証書を回収するように命ぜられたわけでございます。いま申し上げたように、次々と遷延策を弄しましてなかなか交渉がはかどらない。したがって、私ではなかなか回収は困難であるということを役員に報告したわけであります。そして役員のほうもこれでは困るということで、大体回収はむずかしいということで告訴に踏み切ったのだと思います。告訴したあと、これを吹原が察知したかどうかは私はよくわかりませんが、七、八日ごろから吹原の態度が非常にまじめになりまして、向こうから真剣にこちらに連絡するようになりました。そして何とか早く回収するということで、十二日に私の手元に十億の証書を持ってまいりました。あと二十億の証書については、先方も資金をつくることはなかなか困難だから回収は困難だ、これは最初からそういう話でございました。
○横山委員 あなたが前面に出て吹原と交渉する前に、支店長は支店長として交渉をしておったと思うのです。あなたはその引き継ぎをなさって自分が前面に出られたと思うのですが、支店長が吹原と交渉しておった経緯については、どういう報告を受けましたか。
○藤野参考人 お答えいたします。私いま詳しくは覚えておりませんが、たとえばいま持っている人が病気をしたとか、担当者がどうだとかというようなことで、私自身の交渉したことについていま御説明しますとおわかりになると思いますけれども、一応の理屈のあるようなでたらめを申して一日一日延ばしておったということのようでございます。
○横山委員 あなたはその交渉の過程でいわゆる黒金念書を見ましたか。
○藤野参考人 吹原との交渉でございますか。
○横山委員 そうです。
○藤野参考人 全然知りません。
○小島委員長代理 横山君、先ほど申し上げましたように御注意願います。
○横山委員 いやいや。支店長はその過程においてそういう話をしましたか。
○藤野参考人 聞いておりません。
○横山委員 いまとなっては、この吹原事件について黒金念書が出ておるということについては天下周知の事実であるけれども、支店長の交渉過程でも、またあなたの交渉過程でも、黒金念書は一切知らない、聞いたこともない、こうおっしゃるわけですか。
○藤野参考人 そのとおりであります。聞いておりません。
○横山委員 まことに不思議なことを私は聞くものだと思うのです。どういう交渉をなさったのですか。あなたの言うところによれば、本人が病気だとか、あるいはちょっと都合が悪いとかいうことである。一方において大蔵委員会で三菱銀行の副頭取は、まことにありそうなことを申しました一そのありそうなことというのは、ただ仮病を使ったとか、都合が悪い、人がおらぬということでは、ありそうなことじゃないのです。一回や二回ならともかくとして、五カ月にわたって、しかもあなたの手に渡ってから——あなたもいやしくも三菱銀行の検査部長だ。子供じみたことで、ああそうですかということにはなるまいと思うのです。そういう過程でいまとなっては天下周知の事実の黒金念書だとか、そういうようなことについて一言半句たりとも聞かなかったとおっしゃるわけですか。どうなんですか。
○小島委員長代理 横山君に申し上げます。具体的事実についての質問はやめてください。
○横山委員 いやいや、これは重大な検査部長の職責に関することだ。
○小島委員長代理 検査部長の職責に関する内容についてお聞きになることは差しつかえないけれども、具体的の事実についてお聞きになることはやめてください。
○横山委員 いや内容です。御答弁を求めます。
○小島委員長代理 具体的内容については質問を御注意願います。
○横山委員 どういうわけで委員長がそういうことを言われるのか。この問題の一番中心であり、検査部長の職責として三菱銀行の上司から命ぜられて回収に当たる過程において、これは金融上のきわめて重要な案件ですよ。しかも任務を帯びて調査しておる過程においてあった事実を聞いているのですから、本件にきわめて重大な関係がある。委員長のおっしゃることがわかりません。答弁を求めます。
○小島委員長代理 具体的なことを答弁する必要はございません。検査部長の職責についてお聞きになることはけっこうでございますけれども、検査部長が具体的にどうしたこうしたということについてお聞きになることは行き過ぎだと思います。理事会の打ち合わせと違います。
○横山委員 委員長、そんなことは承知しておりません。 もう一ぺん申しますけれども、本件はこの経済罰則に至大の関係がある、銀行における融資がいかに行なわれておるかという重大な案件です。重大な案件で、検査部長の職責に関する問題だ。しかも検査部長はその職責にあると同時に、上司から命ぜられて金融上の不当不正な融資が行なわれておったかどうかを調査した担当の責任者である。それにその過程を聞いておるのに、なぜ答弁をしてはいけないのですか。委員長に具体的にその理由を伺う。
○小島委員長代理 具体的交渉の内容について伺うのは行き過ぎです。
○横山委員 どうしてですか。
○小島委員長代理 検査部長が個人でやったことについて一々詳しいことをお聞きになることは行き過ぎです。これは法案の審査と関係がございません。
○横山委員 法案の審査に関係がありますよ。本経済罰則の整備は、金融機関における不正不当の融資がどうしたらなくなるかということなんです。
○小島委員長代理 それはそのとおりであります。
○横山委員 この一番問題点は、吹原産業の金融上の問題は、これはどう考えても間違いであるということである。それを銀行で念査し、事務上の誤りがあるかどうかを調べるのは検査部長の職務である。
○小島委員長代理 それはそのとおりであります。
○横山委員 しかも彼はそれによって上司から調査を命ぜられた人間です。回収を命ぜられた人間です。ただ、どうしてその回収や調査がうまくいかなかったかということを聞いておる。
○小島委員長代理 いや、あなたのおっしゃることは、前半はそのとおりであります。あなたのおっしゃるとおりであります。しかし、具体的に検査部長がどういう交渉をしてどうしたかということまでお聞きになることは行き過ぎです。
○横山委員 いや、行き過ぎじゃありませんよ。この問題の解決がうまくいかなかったら、本法案の存在の意義がないですよ。なぜ本法案を出しておるか。そういうことができないなら、本法案は何の意味もないじゃないですか。本法案を出す意味というものは、金融機関における不正不当な融資をなくしたい、どうしたらなくすることができるかということじゃありませんか。その問題の中心にあるのが吹原産業の問題じゃないですか。国民がいま問題の中心にあるこのことについて聞きたがっておる。われわれようやくにして藤野検査部長の出頭をここに求めた。
○小島委員長代理 横山さんに申し上げます。あなたのおっしゃることは、前半はそのとおりであります。しかしながら、具体的に検査部長が交渉した結果、それがどういう交渉のしかたをしたかということについては、それは行き過ぎです。検査部長が失敗しようとしまいと、それはもう検査部長がかかった仕事なんですから、その具体的なことをお聞きになる必要はないと私は思います。
○横山委員 いや、ありますよ。なぜかというならば、それがうまくいかなかった。いかなかったのはどういうわけであったか。これがこのまま見過ごされて、こういうことがまた起こってはならぬと思うから、うまくいかなかったのはどういうわけであるかということを聞いておるのです。
○小島委員長代理 それは検査部長の手腕でしょうけれども、それ以上のことはお聞きになる必要はないと思います。
○横山委員 なぜ必要がないのです。
○小島委員長代理 検査部長が失敗したということは事実でしょうけれども、取り戻せなかったというのでしょうけれども、それはそれでいいのであって、交渉のしかたのことについて詳しいことをお聞きになることは、私は本法案の審議には関係ないと思います。
○横山委員 関係ありますよ。
○小島委員長代理 いや、ありません。
○横山委員 なぜ委員長は独断でそういうことをおっしゃるのですか。それは委員長、議員の質問権に対する重大な制約ですよ。あなたがそういうことを判断されるのは、何の権限をもってやられるのです。
○小島委員長代理 それは理事会で申しましたとおりです。
○横山委員 私が委員として質問すべきことをただしているのに、理事会できまったとおっしゃるが、理事会ではそんなことはさまっておりませんよ。あなたがかってにおっしゃただけで、私はあえてそれについては異議を申し立てておいた。答弁を求めます。
○小島委員長代理 参考人、御答弁なさいますか。
○横山委員 答弁はあくまで求めます。
○小島委員長代理 あなたの答え得る範囲で答えてください。
○藤野参考人 黒金念書につきましては、先ほど申し上げたように全然知りません。
○横山委員 くどく申し上げるといかがなものかと思いますが、あなたの良心に従って御発言なさっていらっしゃるとは思いますけれども、これがまだ世間の明るみに出ないときならそういう言い方もあるだろうと思うのです。けれども、黒金念書というものは、いま新聞の伝うるところによれば、これは黒金さんの印鑑盗用であるとかいう話がありますけれども、この問題の過程において重大な役割りを果たしたことは天下周知の事実です。したがって、森脇さんが黒金念書を引用し、吹原氏が黒金念書を引用したということも事実だ。それなら黒金念書がどこで何のために使われたかと言わざるを得ません。検察庁は黒金念書の真偽、印鑑盗用の事実、それらについて非常に追及をして念査をしておる。その黒金念書を三菱銀行が当時見たことも聞いたこともないということはあり得ることかあり得ないことか、考えてもわかるじゃありませんか。あなたをはじめ三菱銀行の頭取以下支店長、すべてに至るまで黒金念書というものは見たことも聞いたこともないとほんとうに言い張るつもりですか。どうなんですか。
○藤野参考人 事実見たことございません。
○横山委員 聞いたこともないかと聞いている。
○藤野参考人 ございません。
○横山委員 参考人としておいでになって、参考人の一つの限界がございますから、私はあえてこれ以上は言いませんけれども、必要があるならば証人として御出席を願わなければならぬことになると思います。 いまこれは検察庁で調査をしておるわけですね。調査の過程で、いずれこれは結果が出ると思うのです。そういう場合に、三菱銀行がすべて一切——あなたはいいです。あなたはかりに知らなかったということにしましょう。あなたの答弁によれば、三菱銀行のすべての人が黒金念書を見もしなかった、聞きもしなかった。いまここでそう言っていいでしょうかね。私は三菱銀行のために言うのですけれども、三菱銀行一切の者が黒金念書について見もしなかった、聞きもしなかったということをあなたはここできわめて明白におっしゃるのですが、あとになって検察庁の調査その他で明るみに出たときに、いやしくも三菱銀行を代表して検査部長で御出席のあなたが国会でうそを言った、こういうことになっては私は非常に問題になると思うのです。私の聞いているのは、あなたに聞いているし、同時にあなたの調査された——三菱銀行のすべての人が黒金念書を聞きもしなかった、見もしなかったと断定されてよろしゅうございますね。
○藤野参考人 黒金念書というのが新聞に出ましたのは、森脇さんがその証書を持ってきて、森脇さんの口から黒金念書というのが出たと思います。私どもの交渉している間は一切ございません。
○横山委員 私どもの段階ではという意味ですか。そうしますと、吹原も森脇も、三菱銀行との接触のいかなる場面でも黒金念書について見せもしなかった、また話もしなかった、こういうふうに理解してよろしいのですね。
○藤野参考人 支店長もそういうふうに申しておりますし、私も全然見たことも聞いたこともございません。
○横山委員 もう一度念のためにそれらの経緯について聞きますが、そうすると、あなたは吹原と何回もお会いになったと思いますけれども、吹原との交渉過程でこれがうまくいかない理由についてどういう感じを受けましたか。この回収についてうまくいかない理由は、いまとなってどういうふうに思われますか。
○藤野参考人 先ほどの黒金念書についてもう一度横山先生に申し上げますが、黒金念書ということばが出ましたのは、森脇さんが当方に二十日に通知預金証書の支払い請求に来られたわけです。その後黒金念書ということを森脇さんから聞いたわけです。それまでは一切知らなかった。また当方では一切吹原との関係については知らなかった。念書はあくまで森脇さんから出たものでございます。当方と吹原との関係では全然知らなかったということでございます。
○横山委員 少しわかりました。私の聞き方が悪かったかもしれませんが、吹原との交渉においては黒金念書は全然見もしなかった、聞きもしなかった。けれども、森脇との交渉においては黒金念書の話も聞き、見もした、こうおっしゃるわけですね。
○藤野参考人 森脇さんがそういう話をそのときに出ざれたわけです。支払い請求に見えましたときは業務部長がやっておりますが、そのときにそういうようなことをちらっとことばに出されたそうであります。事実それをよく見たわけではございません。
○横山委員 業務部長が黒金念書の話を森脇氏から聞いて、あなた方としても本問題に黒金念書が存在するということは御存じになった。で、どういうふうにそれを考えましたか。
○藤野参考人 森脇さんとは、当行では一応支払いを拒絶しただけでして、その後一切交渉を持っておりません。
○横山委員 私の聞いておりますのは、森脇将光は黒金念書の話をし、また見せたんですね。見せて、それについてあなた方がどういうふうな感じを持たれたかということを聞いておるわけです。
○藤野参考人 まあ、たいへんなことになったという感じでございます。それで私が二十二日から吹原と交渉をしたわけでございますが、そのときの吹原の話では、先ほど申し上げましたように、自分の借金に困って、実はこれは森脇の金主に見せるだけでいいのだ、わずかの間でいいのだからというふうなことで、窮したあげくそういうことをやった。実際は自分は森脇に証書をだまし取られたんだ、そういうことを言う。そういうことで、ははあ、これは森脇さんと吹原とのいろいろな関係で、なかなか回収は困難だなということを感じました。
○横山委員 森脇から黒金念書の話を聞かれて、さらにその後それを土台にして吹原と交渉をされた。その間に、森脇からこういうことを聞いたと言って、吹原にも念を押され、話をされたわけですね。
○藤野参考人 もちろん森脇さんからそういう呈示を受けたわけです。それで、どうして森脇さんの手にそういう証書が入ったのかを先ほど申し上げましたが、そのとおりいきさつを聞いたわけでございます。そうしたら、借金に窮して、窮余のあげくそういうことで借金のカタに取られた。しかし、これはいま申し上げましたように、金主にちょっと見せるだけですぐ返すからという約束で証書を渡したのだが、それがだまし取られたということでございます。
○横山委員 森脇さんから黒金念書の話を聞いて、そしてなるほどそういうことはたいへんなことだというふうにお気づきになって吹原に会われた。吹原に会って、森脇が黒金念書についてこう言っておるが、あなたはそれについてどうなんだとお聞きになったんでしょう。
○藤野参考人 私は黒金念書は見ておりませんし、吹原には全然話しておりません。吹原も黒金念書については全然私には話しておりません。交渉過程には全然ございません。
○横山委員 しかし、黒金念書というものを森脇将光から聞いて、これはたいへんなことだ、相当いろいろな問題があるということをお気づきになった。お気づきになれば、黒金さんと吹原との関係というのは、あなたも御調査が徹底しておるからわかるはずですね。したがって、吹原氏に会われたときに、あなたは一体あれはどういうことなのかということをお聞きにならないはずはないと思うのですが、その点はどうなんですか。
○藤野参考人 それは先ほど御説明いたしましたように、そのことは一切私は触れませんでした。知りません。いま交渉の過程をもう一ぺん申し上げますと、先ほど御説明しましたように、とにかく二十億の証書をいつ返すか、早急に返してほしい、これ以上銀行は待てない、その証書をいつ返すかどうかについてあなたの現在の事情を率直に話していただきたい、そのあなたのお話によって銀行の態度をきめたいというのが私の最初の申し入れでございます。それに対して吹原は、二十億については森脇に渡っておるが、これはやはりそれだけの金をつくらないと返してもらえない、そのためにはやはり一両日あるいは数日中というわけにいかない、これは私は自分の財産を整理してでも必ず取り戻してお返しする、しかしそれには時間がかかります。それからもう一通については、その当時の話では、平本氏を通じて某氏の借金のカタか何かに大阪商事に入っている。その某氏というのはだれかと言いましたが、名前は絶対言いませんということでございました。それで某氏の借金は大体五千万程度であるから、それはわずかな金だから、私自身自分でつくって立てかえてその証書を取り戻してお返しする、こういうことが焦点でした。それが二十四日になりまして、金はできたが、某氏に無条件で立てか、えるわけにいかない、したがって某氏の家屋敷を自分の担保に取って立てかえたい、その担保にとる手続をするために三、四日かかるから、今週末までにはいかない、月末までには絶対返す、こういうことでございました。それで月末まで待つことにしたわけでございますが、三十日になって、月末は無理で来月の初めになる。それはどういうことか、実は担保を入れようと思ったが、担保物件の権利書が紛失しているということがきょうわかった、それの保証書をつくらなければならぬ、保証書をつくるためにまた日数がかかるから来月の一、二日になるということで、また変わってきた。それで三十一日、翌日になりまして、またあれは一日では無理だ、六、七日かかる、それは区役所か市役所に交渉しておりますが、保証書というのはそう簡単にできないらしい、一週間ほどかかる、だからどうしても六、七日か八日ごろになる、こういうふうにじんぜん日を延ばされた。私はその内容については、同じことでありますから信用はしていませんけれども、ただ、あなたの出方によって私らの態度をきめるのだということで、それ以上じんぜんとは待てないということを申しておっただけであります。それで三十一日になって、そういうことで次々と一日延ばし二日延ばしに遷延策を弄するものですから、私どもとしては、だまされて、こういうことで遷延策をとられて、早急には回収は困難であるということを報告したわけであります。それで三日に告訴したわけであります。その告訴以後、それを察知したかどうか、先ほども申し上げましたように、六、七日ごろから非常に態度がまじめになったといいますか、真剣になったようなことになりまして、それで向こうからいろいろ連絡してきた。それで回収ができたからお返しするということで十五日に返してきた。こういうことで、それだけを交渉したので、黒金さんがどうとか政界がどうとかいう話は一切私はしておりません。もっぱら早く証書を返せ、証書を返せ、それだけを毎日のように電話で催促した、そういう交渉であります。
○横山委員 私がかりにあなたの立場に立ってみて、とにかく返してもらえばいいんだという言い方もあるだろう。しかし、このような奇怪な、このような重大な問題についての情報をいろいろの角度から集めて、そしてどうしたら一番早く回収できるかということを考えるのが、普通の人の考え方だと思う。あなたは、そろいうような黒金念書とかいろいろなことについては、もう知らぬ存ぜぬ、見ざる聞かざる話さざるということで、一切そういうようなことについては関知しなかったし、知ってもものを言わなかったということについては、どうも私は、普通の人であったならば、三十億円の通知預金証書が不幸にも不当にも発行されたことについての経緯については、調査をすればするほど、いろいろなことがあなたの耳に入ってくるのが当然だと思う。黒金念書を知らたかったというわけには参らぬ。森脇さんからの話を聞いたら、黒金念書を、吹原との会談で一体あれはどうなんだといって聞くのが、これまた人情の常ではあるまいか。森脇から聞いて、吹原にはどうして念査しなかったかということを私は疑問に感ずるのですが、その点はどうなんですか。
○藤野参考人 私は森脇さんに会っておりませんので、黒金念書の内容はそのときの業務部長も見ていないのであります。ただちらつかせたということだそうであります。それは私たちとしてあとで新聞で知ったわけであります。ですからそういうことについては、私自身も会っておりません。実際見たわけではありません、私自身が。吹原との交渉においては一切黒金念書の話はいたしておりません。事実でございます。
○横山委員 加藤常務があなたに話をして、これを調べろとおっしゃった。伝うるところによれば、転勤したての支店長が三十億円の通知預金証書を出すということは、あり得べからざることとしてすべてが一致している。だから、これは容易に想像できるのであるけれども、長原支店長の一存でなされたのではあるまい。転勤したてのほやほやが、何ぼ間違っても、何ぼ勇気のある人であろうと、そんなことは考えられない。したがって、これは宇佐美頭取なりあるいは加藤常務と御相談があったか、本店の何びとかが当座に相談にあずかったということは世間がそう思っている。あなたはそのことについてはどうお考えですか。
○藤野参考人 私が調査いたしましたところ千は、全然そういう事実はございません。
○横山委員 それであなたにお伺いしたいのですが、あなたのお話によれば、あくまでこれは長原支店長が一存でそういう不始末をしたということをおっしゃっておられる。本件については、いまなお検察陣で調査をしておるところでありますが、銀行内部としては、この責任の所在はどういうふうにお考えで、どういうふうに処理されたのですか。
○藤野参考人 されたかでなくて、されるかということでございますか。
○横山委員 されるか、またされそうか。
○藤野参考人 まだ処分の問題は何も出ておりません。
○横山委員 支店長はいまどこにおりますか。
○藤野参考人 支店長はいま本部詰めで謹慎しております。
○横山委員 本部詰めで謹慎ということは、責任の所在を一応まずそこで暫定的にしたというふうな意味でございますか。
○藤野参考人 もちろん支店長とその関係者も内部的には責任ございますから、関係者については捜査の決着次第と申しますか、成り行きを見まして、いずれそのうち処分があるのではないかと思いますが、これは私からは何とも申し上げられません。
○横山委員 もちろん、あなたのあれではありますまいが、世間が三菱銀行に対して非常な疑惑と不信の念を持っておることはあなたも御想像に余りあるだろうと思います。伝うるところによりますと、支店長は何か奥さまの話だと、どこにおるかわからぬとか、病院に入っておるらしいがそれも知らぬというまことにけったいな話があるわけでありますが、本部でお仕事をしていらっしゃるわけですか。
○藤野参考人 本部で目下謹慎中でございます。
○山田(長)委員 ただいまの問題につきまして、関連して御答弁願いたいと思います。 最初に吹原さんにお会いになったのはいつごろでありますか。
○藤野参考人 三月の二十二日でございます。
○山田(長)委員 検査部長として昨年の十二月の中旬に十億の預金証書を吹原から受け取ったときには、吹原さんにお会いになりませんでしたか。
○藤野参考人 私が受け取ったのではございません。
○山田(長)委員 どなたが受け取りになられましたか。
○藤野参考人 何かのお間違いでないかと思いますが、全然そういうことは記憶にございません。私が受け取ったのは四月の十二日でございます。
○山田(長)委員 十億の点は最初に取り返したのは十二月ではないのですか。
○藤野参考人 最初ではございません。最後でございます。四月の十二日に取り返したのでございます。
○山田(長)委員 まず最初からこれは関連のような形になりますが、この点ひとつお答え願いたいと思いますのは、事務上の手続とおっしゃられますが、あなたの事務上という範囲は、内容的には何と何と何に属しておるか、ごく簡単に事務上の内容を言っていただきたいと思うのです。
○藤野参考人 当行にいろいろ仕事をするについて事務規程がございます。その事務規程どおりに仕事が行なわれておるかどうかという内容でございます。
○山田(長)委員 ちょっと大蔵当局に伺いたいのですが、大蔵当局にも検査の制度がある、それから日銀にも一般銀行を検査をする制度がある、さらに今度は銀行の内部にも検査の制度があるという、この三段階になっておるものとわれわれは認識しておるわけですが、この三段階の検査というものは行なわれておるものですか。
○牧野説明員 行なわれております。少しずつ性質は違いますけれども、現実に行なわれております。
○山田(長)委員 三段階に検査が行なわれておるとすれば、大蔵当局で検査したのと、さらに日本銀行当局で検査したのと、さらに本店で検査したときは、この長原支店の検査の状態というものは一体どういうふうにされておったか。この点検査部長はその衝に当たってみられてどんな検査のしかたがされておったか。この点も事務上で検査の範囲に入っておると思いますが、どうですか。
○藤野参考人 御質問の趣旨がちょっとわかりかねるのでありますが、私どもの検査はいま申し上げましたように事務処理の検査でありますが、日本銀行あるいは大蔵省当局の検査が長原支店に対してどういうことだったかということでありますか。——長原支店の検査は行なわれておりません。日本銀行あるいは大蔵省当局の検査は本店を中心に置いて、各支店の資料を集めまして実施しておる次第であります。
○小島委員長代理 関連質問に限定してください。
○山田(長)委員 この点がどうも私には理解ができないのですが、それでは三菱銀行で二十億と十億の領金証書を発行して、それについて北拓の小切手が受け取られておるわけですが、この点について、この前後の事情は検査部長は検査されなかったのですか。
○藤野参考人 その間の事情は支店長から徴しました。それはいま新聞紙上に出ておりますが、あとで日銀小切手、現金あるいは預手と引きかえるということを信じて一応預かり証あるいは受け取り証のつもりで北拓銀行の築地支店の小切手を預かってまいったということであります。それがあとで入らなかった。したがって、それはあとで取り消しになった。しかし入らなかったわけでありますから、その築地支店の小切手を交換に回すはずだ。それを回すと申したところが、実際資金の集中ができてないから回してもらっては困るという申し出がありましたので、それではきょうの預金は取り消しだ、それは取りやめようということになって、当方の事務手続は全部一応は記帳その他やりましたのですが、中止になりましたので取り消したわけであります。ところが吹原は、その証書を何度も要求したところが、なかなか返してくれない、こういうふうなことであります。
○山田(長)委員 そういう場合に、われわれしろうとが考えますのに、銀行では本店に対して毎日日報をお出しになるそうですが、長原支店はこの日報に、一支店で三十億からの金の預金証書を発行されておりながら、本店に対する日報は全然報告しなかったのですか。
○藤野参考人 それは先ほども申し上げましたように、信じきって証書だけをだまし取られたわけでございますから、実際その支店の計数には入っておりません。したがって本店には全然わからなかった。計数に入っておりますればすぐにわかる。計数には一切入っていない、その日取り消したものですから。それで証書だけが返らなかった。こういう事実でございます。
○山田(長)委員 この点がわれわれにはまことに理解できないところですよ。それではこの三十億の預金証書を支店長はどこへお持ちになってお渡しになりましたか。銀行で渡したはずじゃないでしょう。どこへ持って行ったのですか。
○藤野参考人 それは吹原事務所でございます。
○小島委員長代理 山田君、関連質問に限定してください。
○山田(長)委員 吹原事務所へそういう証書を持って行ったという、こういう一支店にとっては重大なことだと思うのです。そうすると支店長はその内容を報告しなかったというのは、それは紙包みか何かで持ってきておって、きのう転勤してきたばかりの支店長ですから、その内容を知らずに吹原事務所に持って行ったのじゃないでしょうか。
○藤野参考人 そういうことはございません。この問題は山口前支店長の引き継ぎ中に起きた問題でございます。それで引き継ぎに最初あいさつに十四日に伺ったときに、吹原氏は長原支店では個人取引先としても相当大口の取引先でありまして、大事なお客さんだったわけでございます。そこで支店長が引き継ぎのまず第一にあいさつに伺ったわけでございます。そのときに大口の預金をしてくれるというようなお話がありましたが、そのときに前の支店長は、いわゆる大口の取引先である、それから清明学院でありますが、子供が、山口氏の子供も吹原さんの子供と一緒に学校に行っております。その学校にもよく数千万円の金をたてかえまして、新校舎の建築に協力しております。それから億単位の金が動いているということも聞いていたそうでありますので、それで前支店長は、吹原弘宣はやはり財的にも人間的にも相当信頼できるというふうに信じ切っていたのは事実でございます。そのとおりを新支店長に引き継いだ。それで一緒に引き継ぎに行って、そこでそのとおり信用していったということでございます。
○小島委員長代理 山田君、これで打ち切ってください。
○山田(長)委員 銀行というものは少なくとも調査部というものがあって、一応調査が進められて調べなければならないと思うのですよ。それが全然されずに全く信用されておって、持参までしてその証書を渡したという事態なんですから、何としてもしろうとのわれわれには理解のできないことです。しかし、あなた方が信用したというなら、これは勝手なことですから、何もここで申し上げることはできないと思うのです。ここで先ほどあなたは「政経特信」というものを事実無根だとおっしゃられました。横山委員からこれについて強く主張がなされなかったので私はこれについてさらにつけ加えてあなたに御質問申し上げるわけですが、一体「政経特信」が報道したのに、これについてあなたのほうはいかなる処置をとりましたか。
○藤野参考人 私自身それを聞きまして非常に憤慨したのでありますが、まあ、つまらぬ記事だということで無視しようというような気持ちになりまして無視したのであります。私は事実無根でございますから、そのつもりで無視したつもりであります。
○山田(長)委員 あなた無視したと言われても、こんな重大な世間に波紋を巻き起こしておる事件で、われわれが知りたいと思っておるときですから、これが事実無根であるのかないのか、あなたははっきりしなければならない事態のものだと思うのです。それがいままではっきりざれずにある。そこでこれが事実無根としての結論をいまだに出さずにほってあるわけですよ。ほってあるということにつきましては、われわれとしては事実無根とは考えられないのです。そこであなた方のほうで事実無根という根拠は、あなた検査部長として検査をしてきた報告をどういう形でされておるのかわかりませんけれども、一体、長原支店を検査されてきて、重役会議にはどういう形で検査の内容というものを報告されておりますか。
○藤野参考人 先ほど申し上げましたように、私どものいわゆる長原支店に対する検査は事務手続に対する検査でございます。ですから、先ほど横山先生に申しましたように、すぐに行って、預金関係の事務手続を検査したわけであります。それについてはいろいろ申しましたように二つの証書が返ってないということがはっきりした。それから四月になりまして全面検査をやりました。これはあくまでも事務上の検査でありまして、この事件とは関係なしに事務手続の検査の報告はしてございます。しかし、この事件に関する報告は、私自身が吹原に対する証書の返還を命ぜられたわけであります。そのことについては一々そのつど役員に報告してございます。
○小島委員長代理 これでやめてください。
○山田(長)委員 こういう中途はんぱな答えでは、もう少しやらせてもらいたいと思う。
○小島委員長代理 中途はんぱと言っても、本人がそう答えておるのですから……。
○山田(長)委員 それは委員長、さからうわけではないのですけれども、国民が、こんな重大な問題をそのまま簡単に解決づけてしまっては、これは許せませんよ。
○小島委員長代理 関連質問としては、その程度にしていただけませんか、志賀君も待っておるのですから。
○山田(長)委員 もう二問ばかり許してくだざい。 重役会議に報告したと言いますが、どういう重役に報告しましたか。その報告の内容を差しつかえない範囲で言ってください。
○藤野参考人 報告いたしましたのは、先ほどの吹原の件について報告したのでありまして、これは役員会議でございません。担当常務に報告してございます。
○山田(長)委員 この内容について、実はある会社の重役でもあるし、それからこの「特信」の関係者でもあるし、実は理事会にはからないでこの席に呼んであります。これは委員長にひとつお取り計らい願って、この会社の内部においてのいまの話の内容を一応私は委員長の許可を得て、ここでその方に質問を許していただきたいと思うのですが、委員長、お取り計らい願いたいと思います。
○小島委員長代理 その件は後ほど理事会を開いて相談いたします。
○山田(長)委員 理事会といっても、質問者が終わったのではだめだから、直後に許してくだざい。
○小島委員長代理 後ほど理事会で相談いたします。
○山田(長)委員 あなたの言っておることはまるで違うのですよ。ですから、私はきょうは内部の人で、あなたの答弁の食い違いの点を明確にしてもらう人を呼んでありますから、これは国会としては、やはりこの前後の事情を明確にしなければならない筋合いのものであると思うので、きょうは来てもらっております。そういう点でぜひ御多忙でしょうけれども、あなたの言われたことと、ざらにわれわれの聞きたいと思う点との相違点のお答えを願いたいと思いますが、この点ひとつお願いいたします。
○小島委員長代理 後ほど理事会で相談した上で呼ぶか呼ばぬかをきめます。志賀義雄君。
○志賀(義)委員 最初に委員長に申し上げておきますが、これは経済罰則の改正についての参考人でございます。銀行はいま対象からはずされておりますが、先日も、今後対象からはずされる法案で予定されているものについて、そのあとで放漫なことが起こらないように、こういう意味で呼んできたわけであります。天下の大銀行がこういうことをやっていたのでは困る。今後はずされるのについて、三菱銀行がこういうことをやっているからひとつまねをしてやれということになると困りますから、そういう意味でこの改正案について十分審議を尽くすためにお尋ねするのでありますから、委員長もあんまり気を回さないで、途中で水を入れないようにしていただきたいと思います。あらかじめこれだけ申し上げておきます。 先日の大蔵委員会、四月二十八日でございますが、当院の大蔵委員会で三菱銀行からは中村副頭取に出ていただきました。最初にお答えになったのと、いま山田委員にお答えになったのでややはっきりしたと思います。若干食い違いがあるのではないかと思われる点は、吹原が自己振り出しの小切手で、通知預金証書十億円一通と二十億円一通を取った。この小切手を当日交換に回すといったら、待ってくれと言われた。あなたの検査の結果、吹原から長原支店長が無効であるという念書を取りましたのはいつになりますか。
○藤野参考人 十九日でございます。
○志賀(義)委員 ところで検査なさった結果、大川忠志、玉田善利名義の通知預金証書、十月十九日には十億円が大川忠志、二十億円が玉田善利になっておりますね。翌日玉田善利、大川忠志名義で通知預金証書が五百万円ずつ二通出ておりませんか。検査の結果いかがですか。
○藤野参考人 二十日に通知預金五百万ずつ新しく現金でできております。
○志賀(義)委員 出ておりますね。これは一連の番号になっております。十億円が二千八百六十一号、二十億円が二千八百六十二号、玉田善利名義の五百万円が二千八百六十三号、大川忠志名義が二千八百六十四号、通し番号になっておりますが、これは白紙で渡したものですか。銀行で記入して渡したものですか。通し番号になった理由を伺いたい。
○藤野参考人 店の通知証書は初めから連続番号を打ってございますから、その順番に出てきますから番号が続いているわけです。
○志賀(義)委員 どうも検査部長、肝心の点を調査なさってないですね。そこが大切なところなんですから、今後は気をつけてください。 そこで、あとの二つが本人に渡っていないですね。十月二十日に出した分は支店長のところで渡してありませんね。その点検査なさいましたか。どうして本人に渡さないで支店長のところに保管してあるのか、ここは検査部長である以上当然調査なさったと思いますが、その結果いかがでしたか。
○藤野参考人 それは現金を取りに行きまして、そちらのほうで預かっておいてほしいということで、店のほうで預かってあるわけです。
○志賀(義)委員 検査の結果、吹原が頂かっておいてくれと言ったわけですね。その前の日、十九日に出したが、それが裏づけがないからこれは無効だという念書を取った、こういうふうに言われますね。前の日に十億、二十億でこういう関係があったのに、翌日は現金を持ってきたからといって通知預金証書を出されますか。信用を重んずる銀行として、前の日にそういうことがあったならば、当然そこは警戒してしかるべきこと。しかも十億円と二十億円の通知預金証書は返せといっても返さないでしょう。そういうことがあるのに、現金を持ってきたら翌日出されますか。銀行というものはそういうルーズなところですか。その検査の結果、その点についてどういう判断をして加藤常務に報告なさったか、その点を伺います。
○藤野参考人 現金を持ってきて、通知預金証書をつくってくれということで、これは受けなければいけませんので、一応受けたと思いますが、その点について私が直接調べて加藤常務に報告したということはございません。それはあとで聞いた話でございます。支店長の報告でございます。
○志賀(義)委員 十月十九日に十億円と二十億円、中村副頭取のことばによればたいへんな金額です。それでこういうことが起こってきた。翌日になると、現金を持ってきたから通知預金証書を出さなければならないということになりますか。前の日にそういう不始末があったならば、銀行としてはそういう預金を当然信用上拒絶するのがあたりまえじゃないですか。どうしてそういうことになったのです。
○藤野参考人 お答えにならないかもしれませんが、支店長としてはすぐ返してくれということで、吹原は返しますという話になっておったわけでございます。志賀先生のおっしゃることはごもっともなことでございますが、支店長は、現金を持ってきたので通知預金証書を発行したということでございます。
○志賀(義)委員 ということでございまして、あなたはそのときに調べられたのか。それとも十億円と二十億円の通知預金証書が吹原の手にあるので、早くそれを取り返したいと思うから、現金を持ってきたので、吹原がきげんよく返すために、いわば手だて上そういうことをしたのかということを検査部長に報告しましたか。それとも支店長の心情をいまここで察して、たぶんそういうことであったろうというふうにお考えなのか。あなたはその点を突き詰めて聞かれたかどうか。いまここで私に聞かれて、たぶんそのときの支店長の心理状態はそういうものであったろうというふうに推測なさるのか。加藤常務にいまの点をはっきり報告なさったかどうか。これを私は伺っておる。
○藤野参考人 そのときのことにつきましては、支店長の話を私が聞いただけでございまして、事実かどうか、実際のあれは調べておりません。さかのぼるわけでございますから。ですからそのときは支店長は、やはりあと入れる、すぐ持ってくるというふうな話をそのまま信用していたのではないかと思います。
○志賀(義)委員 三菱銀行は吹原弘宣を詐欺罪で告訴されましたね。刑法の規定によりますと、人をだまして財物をかたり取ったものが詐欺罪に当たるのでありますが、あなたが検査された結果、一体これはどういう価値のあるものですか。どれほどの価値のあるものをだまし取られたんでしょう。中村副頭取が大蔵委員会で言われたのは、顧問弁護士に聞いた結果、そもそも預金契約の裏づけがないからこれは全然無効である、無効であるということは、この通知預金証書は一文も価値のないものですね。一文も価値のないものを取られたといって、どうして三菱銀行は詐欺罪で訴えたのか。あなたの検査の結果、詐欺罪になり得るような根拠を発見されたか、その点を伺います。どういう価値があるものと判断して詐欺罪で告訴されたのか。検査の過程で、あなたの報告の過程で、それに該当するものがあったらお答え願います。
○藤野参考人 これは私も顧問弁護士の御意見と同じでございますが、その証書は全く入金がございませんので無効なはずでございます。しかし、証書そのものが出ているわけであります。ですから、吹原との関係においては全く無効でございますが、証書そのものが出ておりますから、吹原自体に対して証書を詐取されたことだけは事実でございます。それを返してほしいという告訴と思います。
○志賀(義)委員 私の伺うことは、その証書がいかなる財物であるかということです。いかなる価値を持った財物か。三菱銀行はいかなる価値を持ったものとし、いかなる価値の化体として詐欺罪で告訴されたのか。検査の過程でそれがはっきりなっているでしょう。一体幾らの価値を持っているものか。だから、これをだまし取られた。検査の過程でどういうものと判断なさいましたか。一体これは幾らの値打ちがあるのか。三菱銀行にとっては二十億円の価値の化体でないということは明らかでしょう。じゃ、三菱銀行は検査の過程で、これだけの価値のあるものだから、その証書を幾らに値踏みされましたか。
○藤野参考人 入金がないのでございますから、吹原に対しては無効でございます。価値はないと思います。しかし、いま先生にそうおっしゃられても、私検査いたしましたが、値踏みとおっしゃられましても、お答えできません。
○志賀(義)委員 商法には不特定債権ということばがありますが、不特定債権の証書としてやられたのでしょうか、どうでしょうか。
○藤野参考人 残念ながらそこまで勉強しておりません。
○志賀(義)委員 あなたに聞くのは無理ですが、三菱銀行の頭取及び加藤常務をお呼びしておられたんですが、あした株主総会がありますね。それで来られないというから、お気の毒だが、検査されたあなたを人身御供と言っては失礼だが、ここにお呼びしたのでありますが、お答えができないことは多々あると思いますから、これ以上深追いしませんが、吹原が、三菱銀行にとっては無効である通知預金証書を種に、方々でこれがあるから、これがあるからというふうに言って、いわゆるパクリをやっているでしょう。そうすれば、三菱銀行としては詐欺罪で告訴するのではなくして、この通知預金証書は無効であるということをはっきりと方々へ公示すること、これが銀行としての義務でしょう。それをなさっておりますか。あるいは検査の過程で、こういうふうにする必要があるということをあなたは加藤常務に報告されたか。これはいかがですか。
○藤野参考人 全然やっておりません。
○志賀(義)委員 一番いけない。三菱銀行は被害者を装うて、こういうふうなことを吹原弘宣に対してやって、社会に迷惑をかける。名前はあげませんが、高名な政治家でさえ手形をパクられて方々へ迷惑をかげているでしょう。三菱銀行は詐欺罪で告訴するのではなく、失効公告をはっきり出す義務があったんです。それを白々しく詐欺罪で告訴するとは何事ですか。そういう量見だから、あしたの株主総会でも、総会屋が来て、銀行側と反銀行側とやりとりすることは目に見えているじゃありませんか。警視庁は、総会屋がやってきたらすぐ知らしてくれ、総会屋を銀行は使ってはいけない、会社は使ってはいけないという通達もちゃんと出しているじゃありませんか。三菱銀行の責任重大だが、検査部長にこれ以上言うてもしかたがない。これで今度の事件の性格ははっきりした。それを吹原は天下の大詐欺師だ、昭和の天一坊だのと、彼にばかり罪をかぶせて、銀行としてすべき失効公告さえやっていない。三菱銀行当局の責任重大です。 これはあとで法務委員会でやりますから、検査部長はこれで放免します。
○小島委員長代理 大臣がお見えになりましたが、大臣は発熱の御様子でありますから、なるべく簡単に御質問願います。横山利秋君。
○横山委員 大臣にはおからだの悪いところを、会期末にきてきわめて重大でございますので、お伺いしたいと思います。 その前に刑事局長に現状についてお伺いしておきたいと思います。吹原、森脇、それから大和等、今日調査をいたしております者の拘置期間はどういうふうになっているか、そしてまたどういう疑いで調査をしているか、その現状を御報告願いたい。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの吹原産業関係のその後の捜査状況について御説明申し上げます。 東京地方検察庁におきましては、去る五月十四日吹原弘宣を詐欺罪で起訴いたし、引き続き右吹原、森脇、東郷隆次郎及び木村元の身柄を拘束の上、鋭意捜査中でありますが、去る五月十九日裁判官の令状を得まして、東邦地所株式会社代表取締役平本一方を恐喝未遂罪により、また株式会社森脇文庫社員松田節を出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反により逮捕いたしました。 右吹原に対する公訴事実の要旨は、被告人吹原は、自己が代表取締役をしている吹原産業株式会社の事業資金に窮した結果、自由民主党本部の資金約三十億円を預金してやるという口実のもとに、株式会社三菱銀行長原支店より通知預金証書を騙取しようと企て、昭和三十九年十月十六日及び同月十七日の二回にわたり、真実は右自由民主党の資金を預け入れる能力もないのに、これあるかのように装い、右長原支店長稲野佐一郎らに対し、右自由民主党の資金を預け入れる旨通知した上、さらに同月十九日右の長原支店次長菅原順平らに対し、本日午後には日銀小切手か預金小切手か、現金で三十億円預金するが、とりあえず北海道拓殖銀行築地支店あての自己振り出し小切手で通知預金証書を交付されたい旨申し向け、その旨誤信した右菅原から、右長原支店長稲野佐一郎作成にかかる玉田善利名義の額面二十億円、大川忠志名義の額面十億円の通知預金証書各一通の交付を受け、これを騙取したというものであります。 森脇将光については、五月十日、私文書偽造、同行使及び恐喝未遂容疑で逮捕しておるのでありますが、その容疑事実の要旨は、同人は吹原弘宣と共謀の上、昭和三十九年十月二十二、三日ごろ、行使の目的をもって黒金泰美名義を冒用して、ほしいままに「本日大和銀行京橋支店発行参拾億預手を三菱銀行に振込み通知預金弐拾億円也及通知預金拾億円也とすることに貴方の了承を得、これが通知預金証及届出印鑑を貴方に御引渡致しました。」旨記載した昭和三十九年十月十九日付けの念書と題する書面を作成した上、黒金と刻したあり合わせの印を押捺し、もって私文書一通の偽造を遂げた上、昭和四十年三月二十日ごろ、株式会社三菱銀行本店において、同行業務第一部長らに対して、かねて吹原を通じて入手していた同行長原支店長作成にかかる金額二十億円の通知預金証書が真実は預金の事実がないため無効であることを知りながら、同証書を呈示してその元利金の支払いを求め、同部長から証書が無効であると説明されるや、前記偽造にかかる念書を呈示、行使するとともに、入金がないのになぜ証書を発行したのか、支払いに応じないなら民事、刑事の両面で訴える、三菱のやり方を社会的に糾弾するなど申し向け、支払い要求に応じなければ右通知預金証書を発行した同行の失態を公表し、その責任を追及して同行の信用を著しく棄損しかねない態度を示し脅迫し、同行から右元利金相当額の金員を喝取しようとしたが、支払いを拒絶されたためその目的を遂げなかったというのであります。 株式会社大和銀行元京橋支店長東郷隆次郎及び同支店長代理木村元については、五月十日商法違反、特別背任罪により逮捕しておりますが、右両名に対する容疑事実の要旨は、東郷及び木村は株式会社大和銀行京橋支店の支店長あるいは支店長代理でありながら、その任務にそむき、吹原弘宣の依頼を受けてその利益をはかり、交換決済の見込みが確実とは思われない吹原産業株式会社振り出しの他店渡し小切手と交換に昭和三十九年十月五日、右吹原に対し京橋支店振り出しの額面三十億円の自己あて小切手を振り出す等、同行に対し多額の財産上の損害を与えたというものであります。 前記平本に対する容疑事実の要旨は、森脇将光と共謀の上、先ほど申し上げました預金証書の支払いを求めるに際して、預金証書元利金相当額を喝取しようとしたのでありますが、その支払いを拒絶されたためその目的を遂げなかったという事実であります。 また、松田に対する容疑事実は、松田は昭和三十八年ごろから昭和四十年四月下旬までの間、数十回にわたり東京都内において数名に対し業として合計千数百万円を貸し付けたが、右貸し金業開始後遅滞なく大蔵大臣に対し所定の届け出をしなかったという事実であります。 なお、吹原弘宣に対しましては別途告訴もあり、引き続き余罪について鋭意捜査中であります。 以上が概況でございます。
○横山委員 これに関連をして参考人として招致せられた方々はどういう人たちでありますか。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの点は捜査の進展の内容にかかわるものでございまして、現段階におきましては、私も関知していない面もございますが、何人がいつ取り調べを受けたかという点については申し上げることを差し控えたい、こう思うのであります。
○横山委員 新聞に出たところによりますと、大平正芳さん、前尾繁三郎さんが参考人としてお出になったということを報じておりますが、これは間違いございませんね。
○小島委員長代理 横山君、質問に注意してください。
○横山委員 これは新聞に載っていることです。
○津田政府委員 その点につきましては、捜査の進展中には何人をいかなる段階で取り調べたかということについては、捜査の将来に対する影響を考慮いたしまして、この際申し上げることを差し控えたいと思います。
○横山委員 私は単なる推測や情報でなくして… 〔発言する者あり〕
○小島委員長代理 お静かに願います。
○横山委員 新聞に出たことでありますから、よもや天下の新聞がこれほどの重大な問題を誤報することはないと思います。 そこで大臣にお伺いしたいのでありますが、五月十四日の新聞によりますと、法務大臣は——そのまま読みます。「閣議後の記者会見で吹原事件について、「政界とのつながりがないことがわかった」など、次のように述べた。一、森脇将光を逮捕したことによっていわゆる黒金念書は偽造されたものであることがはっきりし、また、この事件は政界とのつながりがないことがわかった。しかし、政治家としては徳義上の問題があるので、えりを正さなければならない。一、この事件の捜査は参院選挙前に片づくであろう。」こういうふうに記者会見でお話をなさった。その後いろいろの参考人の中にまじって、新聞の伝えるところによりますと、いま申しましたお二人の方が参考人として招致された。そしていま刑事局長のお話によりますと、自由民主党の三十億円の金を預けるからということが一番大きなてこになっておる模様であります。この自由民主党の三十億円のお金を預けるからということがどこまで根拠のあることであったかは、それは私にはわかりませんけれども、訴状の中にそれが盛られる間においては、相当話すほうとしては信憑性を持って話し、受けたほうとしても、またかなりの期待性を持って受けたからこそこういうふうになったと思うのであります。はしなくもここで高橋法務大臣がおっしゃたことは重大な誤謬があったのではあるまいか。誤謬がなかったとしたならば意図的なものがあったのではあるまいかともまた思われる。高橋法務大臣が病気になられて長らくこの委員会に出られなかったのでありますが、病気がまだおなおりになっていないのですけれども、一応国会へ登院ができる段階で初めてお話しになったことが、政界とつながりのないこと、そして参議院選挙前に片づくということ、この二つの発言はきわめて政治的な発言ではなかろうか、こういう推測がされたことはけだしやむを得ないことではあるまいかと思われるのであります。問題はそれにとどまらず、そのあとで自由民主党の預金三十億円が事件の中心になっておること。そして当時の幹事長並びに大平さんが参考人として呼ばれたということは、遺憾ながら高橋法務大臣の言とは違った事態がここに出てきておるのではあるまいか、こう考えまして、この際、どういうつもりでこれをおっしゃったのか。おっしゃったことは、いまの実情と考えるならば違っておるではあるまいか。しかも事件の捜査は参議院選挙前に片づくであろうと予言をなさることは検察陣に対する制肘ではあるまいか。考えようによっては一種の指揮権発動に類したことではあるまいか、こういう疑惑があなた一身に集まっておるわけであります。この機会にあなたの所見を明らかにしてもらいたい。
○高橋(等)国務大臣 その記事は、私が十四日ですか、閣議後の記者会見をいたしまして、公式に発表いたしましたあとだったか前だったかに雑談的に実は話が出て話した内容が記事になっておるのであります。しかし、それは記事の経過でございまして、私が申したことは申したのでございます。それでただ、そうした雑談的に話しました関係上、私の真意が十分に新聞に伝わってない面も一部にはあるのでございます。それは森脇が逮捕せられたことによって政界に関係がないということがはっきりしたというくだりは、私はそうした表現でなしに話をしたつもりでおるのでありますが、とにかく雑談的な話であったので、私の真意が十分伝わらなかったということを私はここで申し上げるわけでございます。そこで、どうしてそういう私が判断をしたかと申しますと、当時、吹原を起訴するに至りますまでのいろいろと吹原に対します検察当局の取り調べの経過等も私はおもな点は承っております。また、その経過にかんがみますとともに、その経過を通じまして、その起訴前に黒金念書というものの一部はこれは森脇によって偽造された、あるいはまた吹原と共謀で偽造されているという疑いが濃厚になりました。そのために検察といたしましては、裁判所へ逮捕の請求をなしておるのでございます。そういうような一連の関係から見まして、黒金念書は偽造であるという嫌疑が非常に濃厚になってまいっておるのでございます。そういうような点を判断をいたしまして、私は(発言する者あり)ちょっと静かにして……。
○小島委員長代理 静かに願います。
○高橋(等)国務大臣 私は、この刑事事件自体については政治界は関係がないという判断を私がいたしました。 〔「何のためだ」と呼び、その他発言する者あ り〕
○小島委員長代理 お静かに願います。坂本君、静かに願います。大臣は病気でそんなに大きな声を出せないので、聞こえませんからお静かに願います。
○高橋(等)国務大臣 その判断に基づきまして、私が私の判断を新聞の人に話したということでございます。もちろん私がそういうことを話しました意図が、検察陣の捜査に対して制肘を加えるというような考えは毛頭ない。それはその後の捜査をごらんになってもおわかりくださると思いますが、私は、厳正に、公正に捜査を検察陣がいたすことを期待もし、また信じておるのでございまして、私としましては、捜査に対してとやかくの制肘を加えるということは、現在も、今後も考えておらないことであることを御了承願いたい。 それから、この事件が参議院選までに片づくであろうと申しましたことは、一応吹原はあの段階で通知預金証書の詐取については起訴せられております。その他念書関係の私文書偽造行使等につきまして、やはり森脇とともに、いろいろと吹原の供述に基づいて調べておるわけでございますが、森脇の一応の逮捕の期限は来月の一日をもって切れるのでございます。その後またこの勾留を続けるといたしましても、常識的に見て参議院選までには片づくであろうという、いわゆる常識的判断を私は述べたのであります。これも検察陣に対しまして、とにかくそうした制肘を加えるという意思で申したのじゃございません。現在御承知のように検察陣は相当多数の検事を動員いたしまして、この事件の捜査解明に全力をあげておる最中でございます。
○横山委員 大臣は、遠慮なく私申しますが、御病気のところ申しわけないのですけれども、内閣改造の段階で、伝うるところによれば、全大臣がかわるのじゃあるまいか。大臣、決してあなたのことだけを言うのじゃありませんが、しかしたまたまあなたもその中の一人でありますと、よけいいま退陣まぎわの大臣が二つの重要なことを言った。一つは、この事件は政界に関係がないと言った。一つは、参議院選挙前に片づくであろうと言った。このことはどういうふうに世間が判断をするか。あなたはきわめて常識的な自分の判断だとおっしゃるけれども、しかし、あなたは学者でも評論家でも町の人間でもなくて、あなたの言うように膨大な検事陣が動員されて、いま国民の注視の的に——吹原問題はとうなるかという注視の的の中で、政界とは関係がない、参議院選挙前に片づくということを退陣まぎわの大臣がおっしゃることは、いささか当を得ないとこれはお考えになりませんか。あなたの意図がどうであろうと、どういう判断でその場でふらっと言おうと、よって及ぼす影響は当を得ないということにあなたは御反省なさいませんか。
○高橋(等)国務大臣 私は、法務大臣をやっておりまする間は、法務大臣としての責任をもってすべてを行動いたしておるつもりでございます。私が退陣するかしないか、これは未定のことでございまして、そんなことを前提に置いてものを考えてやっておりません。その点は御了承願いたいと思います。
○横山委員 わかりました。ごもっともな御意目です。しかし、それなればなおさらでありましょう。そういう御決心があるならばなおさら、なぜ予断を持って、あなたの一存の推測をもって、政界と関係がない、参議院選挙前に片づくであろうということを言う必要がどこにあるか。あなたが意図的でなくとも、及ぼす結果というものは当々得ないものであったということに御反省がないかと聞いておるのです。
○高橋(等)国務大臣 私は、この問題が、中央の政界に非常な疑惑を国民が持っております。そうした疑惑はできるだけ、もしそれが晴らせるものであれば晴らしていくということは、これは私は必要なことだと考えるので、そこで、そういう考え方もありまして、ただいま申したような、とにかく事件の捜査の経過と、そうして吹原起訴に至る検察の起訴の理由というものを骨子といたしまして、私は私の判断に基づいてあのときに話した。もちろんこれが記事になるとは私は予測して話したのではないことは……。
○横山委員 そうであるとするならば、またこれはよけいにいけない。記事にならないと思って話した。しかし記事になった。記事になったのは当を得ないと私は言っているのです。あなたが記事にするつもりで話したと、こういうならば、それもまた言い方がある。記事にならないと思って話した。それが記事になった。それじゃあなたの意図に合わないことだ。出た記事の内容がまた当を得ない。こう言っているのに、あなたはごうも御反省の色が見えないような気がするのですが、御反省の色が見えなければそれはそれでまたけっこうでありますけれども、私は、法務大臣として、一言御釈明になるべき問題ではなかろうかとおすすめしておるわけです。
○高橋(等)国務大臣 私は、いま申した記事になったと申しますことは、記事にならないことを考えてしゃべったという意味にすぐとられては迷惑でございます。とにかく話したことでございますから、これが記事になるかならぬか、これは新聞社の取材の問題であります。そういう意味で、雑談で話したことが記事になったということを申し上げたのであります。私は、あの事件におきましてああした発言を私の判断においていたしたことにつきましては、いまでもこれが正しいと考えております。
○横山委員 驚き入ったことだと思いますが、これはもう見解の相違で、きわめて私は遺憾の意を表示して、あなたのお考えの那辺にあるかを疑わざるを得ないのでございますが、水かけ論でありますからそれだけ申し上げておきます。 もう一ぺんだけ刑事局長に、先ほどずっとお読みになりました中で、この自由民主党の金を三十億円預金するからというくだりですね、そこはだれがどういう場所でだれに話したかという経緯だけをもう一回御説明を願いたい。
○津田政府委員 先ほど申し上げましたのは、自由民主党本部の資金三十億円を預金してやるという口実をつくりまして、それで真実自由民主党の資金を預けるのがないのに、これがあるもののように装った、こういうことであります。しかしながら、その具体的な日時、場所については——もちろんさような申し向けをした日時、場所については捜査を進めておると思いますが、その点につきましては私は存じておりません。起訴状自体に書いてあることとしては、その場所を書いてありませんので、その点は申し上げかねます。
○横山委員 だれがだれに話したのです。
○津田政府委員 これは長原支店長稲野佐一郎らに対して自由民主党の資金を預け入れる旨通告をしたということでありますから、同月十九日前のことでありますが、この起訴状の記載から見ますと、十月十六日及び十七日の二回にわたっておるということだと思います。
○横山委員 そうしますと、吹原が長原支店長に十月十六日ごろに、自由民主党の金三十億円を頂けるからということをてこにして話した、こういうわけでございますね。その点については検査部長は報告を得ておられますか。
○小島委員長代理 横山君、大臣に対する質問をお願いします。
○横山委員 それでは大臣に御質問がある方どうぞ。
○山田(長)委員 関連して。五月十四日の閣議後の記者会見は正式な記者会見ではなかったというふうな意味のことを言われましたが、新聞は全部正式会見という報道をしております。この点は、大臣の考え方は正式会見でなかったと言われるのですから、これはいずれ新聞社の人たちに聞かなければならないと思うのです。
○高橋(等)国務大臣 ちょっと待ってください。私の申したことをたいへん誤解されておるようでございます。正式な記者会見において話したことでございます。ただ、いわゆる公式発表の形で話したことでなしに、雑談的な話し方であったということを申し上げておるわけでございます。もちろんあの会見は閣議後の正式会見でございます。
○山田(長)委員 発表のしかたは、これはたいへん申しわけない話ですが、あなたは御病気で病まれたあとですから、発表のしかたについてはどういろ発表のしかたかわからぬけれども、いまの話を伺うと正式だと言われる。そうすると正式の発表で、いま捜査の途中にあります問題について、政界に関係はない、あるいは参議院選挙前に片づく、こういう断定的な御発言があったのではないかと思うのですけれども、一体これは普通世間一般で考えれば、病院に入院なすっていた大臣に、だれか取り調べの衝に当たっている者が、政界に関係はないという報告、あるいは参議院選挙前に片づくという報告をしてでもいなければ、私はそう簡単に発表できないものだと思うのですけれども、この点は一体、取り調への衝の者が報告でもしたのですか。それともこれは閣議できまったので大臣が個人的な発表でもしたものなんですか。この点はどうなんです。
○高橋(等)国務大臣 私は病気で長らく入院いたしておりまして、皆さま方にもたいへん御迷惑をかげて恐縮に存じておりますが、病院におりましても、重要なる役所の仕事につきましては毎日決裁をいたし、また指揮をいたしてまいりました。私はこうした捜査中の事件につきまして、就任以来検事総長から直接そうしたことを承ることは遠慮いたしております。と申しますのは、それによって大臣が捜査を圧迫するとかなんとかいうようなことが万々一考えられては、検察当局がそういう考えを持っては困るという深い配慮から一直接事件の経過等につきまして報告を受けることは私はいままで避けてまいりました。しかし、私の直接の補佐官であります事務次官あるいは刑事局長から、こうした事件の重要なる問題については、私は当然の責任としてそのいきさつを十分に聞いておるのでございます。でありますから、私が病院へ入って何にも知らないで出て、当てずっぽうしゃべったというように考えられては迷惑であります。先ほど申しました吹原捜査の経過並びに森脇の逮捕の理由というようなものから判断をいたしました発言である、私の判断であるとお考えを願いたい。 それから参議院選挙前に片づくであろうという時期の問題については、私の常識的判断から申したことでございます。
○山田(長)委員 大臣から答弁を伺えば伺うほど、これは本気になって捜査の衝に当たっておる検察の人たちの意欲を失ってしまう発言ではなかったかと思うのです。少なくとも新聞報道等によりますと、この一日、二日前の新聞では、政治家の人たちが参考人として都内某所に呼ばれて聞かれておるというふうな記事が出ております。これはうそかほんとうかわかりませんが、まさかうそを新聞は報道してないだろうと思うのですけれども、この点私は捜査当局の人たちの意欲を失ってしまう御発言ではなかったかと思うのです。これが雑談の形式であろうと何であろうと、公式発表であったとするならば、やはりさっきも横山委員が質問されたけれども、大臣としては慎むべき御発言ではなかったかという印象を持つのです。この点については個人的な見解であるから差しつかえないのだ、いまも大臣はそうお考えですか。
○高橋(等)国務大臣 検察陣があの発言によって制肘を受けるということは毛頭私は考えておりません。検察陣は厳正公平にその使命を遂行いたしております。私はそれを深く信じておる。あれによって影響を受けるような日本の検察陣ではない、私はこう深く信じております。 次の御質問に対しましては、ただいま繰り返し申し上げましたとおりでございます。
○小島委員長代理 吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 大臣は御病気のようでありますから、できるだけ簡単にお尋ねしますから、簡明率直にお答え願いたいと思います。 あなたの十四日の新聞記者への談話というものは、これはやはりいろいろな角度から見まして私は政界に大きな衝撃を与えておると思うのです。特にいま伺っておりますと、刑事局長には重要な点は事前にそのつどいろいろとお聞きになっておるらしい。刑事局長は、国会におきまして吹原問題についての問答においては、捜査中のゆえにということを理由に、事実並びに法務省の立場としての所見は一切述べないということになっております。したがいまして、私どもは検察庁が密行で十分に捜査を進めておるということに一応敬意を表して、われわれは国政調査権を持っておるけれども、その理由をもっともだというふうに一応考えておったわけであります。ところが一方新聞にでかでかと結論が出た。結論です。あるいはあなたがおっしゃるのは、いろいろと御弁解のようでありますけれども、参議院選挙前に片づくということは時期についての結論であります。政界に関係なしということは、いやしくも政界人と一般に思われておる人がその渦中にいない。少なくとも刑事被告人にはなる可能性がない。このようなワクがかかってしまうのであります。これは重大な影響がございます。それでありますので、刑事局長が国会において事実及び所見については一切口を緘して語らないということについては、あなたは御承知でなかったのでしょろか。この点はいかがですか。
○高橋(等)国務大臣 法務大臣なり刑事局長が、その任務の遂行のために必要なことを知ることは当然必要でございます。しかし、それを外へ対しまして、捜査中の事件を一々御報告申し上げることは、捜査密行の原則からいって私は避くべきである、こういうように考えております。
○吉田(賢)委員 やはりそれは語るに落ちております。検察庁法の十四条によりますと、後段には、個々の事件については法務大臣は検事総長に対してのみ指揮をなし得る、こういうことになっております。本件は吹原事件として天下注目の焦点になっておる具体的な事件であります。この具体的な事件についてのあなたの発言というものは、そう詳細に述べずとも、この新聞発表程度のことば、内容で重大な衝撃を与えたことはもう間違いありません。したがいまして、ていのいい間接的な指揮権発動みたような感じさえ国民は受け取るのであります。そういうものです。目色、顔色を察して主人の意向をうかがうということは、これは非常に卑近な話ですけれども、そういうことさえ世の中にはあるわけであります。ましてや最高の法務行政の首長が、片言隻語ではありません、明確にその内容、趣旨、限界等を明示いたしまして、そして一つの判断を日刊新聞に報道さしておる。こういうことは直接当人に向かって言うよりもその影響は大きいのであります。こういうことを大臣は御判断にならぬというに至っては何をか言わんやであります。われわれは、閣僚の一人として、法務行政の首長として閣議に連帯の責任を持つあなたといたしましては、とんでもない大きなミスである、発言であると言わざるを得ない。いまでも私はそう信じて疑わぬ、正当な正しい発言であったのだ、新聞記者がかってに書いたのである、国民の疑惑、国民の疑心に対し、かってに国民がやっておるのだというふうな御判断でありましょうか。そういうことであるなら、私はその点についてほんとうにあなたを論争の相手となし得ない。ここは国会です。全国民を代表して率直にわれわれ国民の意向、声をあなたに申し上げておるのであります。でありますから、これは済んだことです、十四日のできごとは済んだことですから、この際はひとつあなたのほんとうの良識による御判断を率直にお述べ願いたい。
○高橋(等)国務大臣 本件につきましては、これが検察陣を制肘するものでもなく、また検察陣がそれによって制肘を受けるような日本の検察陣ではない。私はこの点を信じ期待をいたしております。また、横山氏に対しましてお答えをいたしましたように、私の判断には間違いがないものと私はいまでも考えております。
○吉田(賢)委員 大臣に申し上げたいし、また伺いたいのでありますが、吹原問題に対する政治的な重大性は、一つは、一流大銀行が三十億円の通知預金証書を現金の裏づけなくして発行したという事実であります。いなかの名もないような銀行のできごとであるならばさほど重大性はありません。しかし、超一流の銀行の膨大ら金額の通知預金証書の架空の発行でございます。これが一点でございます。いま一点は、伝えられるがごとくであるならば、政界の権要の地位にあった巨頭の名前が何名か出ております。これは政界の伏魔殿があるのではないだろうか。との二つの点は全国民注視の的です。したがいまして、すべての週刊誌は大きく超大記事として取り扱いました。すべての日刊紙はこれを取り上げたのであります。このような事実は、やはり国民はきわめて重大な関心を持っておるというふうな判断をすることが政治ですよ。あなたが事務屋の末端の人ならこんなことを尋ねるのではないのです。やはりあなたは閣僚の一人として法務大臣です。行政の事務屋ではないのであります。でありますから、政治的なこのような性格を持った両面からこの問題の重要性があるわけでありますから、したがってあなたの片言隻語であろうとも、急所に触れた、いわばほんとうにそこが恥部なんですよ。そこに触れた結論を出され、しかも国会では刑事局長は口を緘して答えず、大臣はぬけぬけと一つの結論を発表する。あ然としておるのが実情なんです。この点が問題なんですから、重ねてあなたの所信をはっきりと伺っておきたい。
○高橋(等)国務大臣 ただいま申し上げましたとおりでございまして、私は、私の判断は間違っていないという考え方、また国民全体が政界にいろいろな疑惑を持っておる、この疑惑はとにかく早く解いたほうがいいのであるということも考えまして、いつかの機会にこうした委員会とかその他で機会が与えられますれば発言をいたしたい、こう考えたのであります。たまたまあのときに話が出まして、そうした話を雑談的ではあるがした、こういうことでございまして、あの話につきましては私自身は十分なる責任を感じております。
○吉田(賢)委員 もう一点。大臣、やはり重大な影響のあるような性質を持った、また日本の三権分立の見地から見ましてきわめて大きな性格を持つこの問題は国会で発言なさるべきです。国会以外の場で新聞記者に発言して、その趣旨、内容は事務当局と相反しておる、少なくとも方向は違っておる。こういうことでありますから、国会を軽視するということになるのであります。でありますので、この点についてはやはり行き過ぎであった、軽率であった——神さまでないのですから、一たんなさったことについて私どもはあくまでもあなたを責めようとはしないのであります。やはりかつては指揮権発動というので、造船疑獄のあの際も、ほんとうは内閣倒壊のもとをなしたかもしれぬというようなこともあるのですから、明治、大正の歴史を見ても幾多の過失もあるのですから、検察陣が神ざまの寄り合いでも断じてないのです。ですから、この際あなたの御発言というものは、国会で適当な時期に内容を整えて、そして責任あることを発言するべきなんです。それ存しないで新聞記者に話してしまうというのでは、あ然とするほかはないのであります。こういうのであなたに伺ったのです。ですから、この点について所見、所信が違っておるなら、もう何をか言わんやであります。国会を軽視なさることになりはしませんか。あなたの人格、お人柄から見て、そうでないと思いますけれども、そこはあやまちならあやまちでいいのですよ。あやまちならあやまちとしてあくまでもこれを収拾してもらいたい。断じてあやまちでないのだ、あたりまえのことをあたりまえに言ったのだというのでふんぞり返ってしまったのではどうにもならぬ。そういう内閣であるのかと言わざるを得ない、こうなるのです。国会軽視になることになりはしませんか。伺います。 終わります。
○高橋(等)国務大臣 きょうは非常にいい機会を与えられまして、国会の席で、私のこの問題に対するどうしてああいう発言になったかということ、また検察陣に対しまして厳正公平なる捜査というものを私が信じ、期待をしておる、その後も検察陣は続けておるというようなことについて発言の機会を与えられましたことを、たいへん私はありがたいと思っております。御了承願います。
○小島委員長代理 それでは約束によって大臣に退席していただきます。
○横山委員 先ほどお伺いしたがった点は、自由民主党の三十億円を預金をするからということが事件の一つの最初の核心であることがわかりましたが、吹原は、起訴状によれば、長原支店長に話をしかけているわけですね。そういうことについて、あなた方は何にも知らないとやはりおっしゃるわけですか。
○藤野参考人 支店に対しての話は、そういうことであったと記憶しております。
○横山委員 そういうことは承知しておる、どうもあなたの話はその辺からまたちょっと違ってくるわけですがね。先ほどからの話は、一貫して政治的には何ら関係ないということで終始せられておったが、その後森脇から黒金念書を承知した。いま刑事局長からの自由民主党三十億円の最初のてこの問題については、いま言われて、いや私も聞いておった、こういうことでは、あなたの参考人としてのおっしゃり方がまだ足らないのではないか。実はいろいろ政治的な、私が先ほどからいろいろお伺いしていることについて、これではお話しをなさってないことがだいぶあるのではあるまいかという感じがしてなりません。あとからわかってくれば訂正する、追加するということでは、先ほどからそこで一生懸命御答弁を願ったのでありますが、いささかあなたは真実を語ってない。政治的なつながりについては口を緘してなるべく言いたくないという気持ちはわからぬではない。けれども、こうしてあとからわかってきてそれで追加なさるということでは、あなたの言の信憑性が疑われると思うのです。 もう一度念のために聞きますが、だから私は先ほど言った、あとで起訴状やあるいは判決やいろんなことになって、あなたの話が違いますと困りますよと言ったんです。あらためて聞きますが、この吹原問題について、あなたの承知しておられる政治的な背景、あなたの調査なさった経緯について伺いたい。
○藤野参考人 何か私が隠しているようなお話でございますが、最初預金をするときに、大口の預金をしてやる、これは引き継ぎ中にそういう栄転のお祝いに大口の預金をしてやろうという話があったそうであります。これは十六、十七、十八、十九日にそういう話があったわけでありますが、そういうことで、そのときには自民党の資金を頂けてやろう、自民党の資金があるんだというふうな話をなさったそうでありますが、私が先ほど横山先生にお話ししましたように、私が吹原といろいろ交渉したことについての、その間の政治的な関係は私は全然関知してないということを申し上げたわけであります。黒金念書その他については一切承知しておりません。
○横山委員 私はそういうふうに質問してない。あなたを含めて、あなたの調査の範囲の中でどうなんだと聞いている。いまになって、あなたは、私は接触してないというのは、それは遁辞というものですね。 刑事局長にあと簡潔に二、三点伺いたいのですが、調査の過程で当然あり得べきこととしてお伺いするのですが、一体国民の疑惑は、それじゃ十億円は返ったが、あと二十億円は、だれが一体損したのか、だれが一体得したのかということであります。それは得をした者が、常識的にいえば犯人である。吹原が得をした分、それから吹原を通じて、いろんなところで得した分ということになると思うのですが、二十億円の行き先については、もちろん検察陣としても調査の対象としてやっていらっしゃるでしょうな。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、二十億円の行き先というのは、二十億円の通知預金証書という意味だろうというふうに承知いたしますが、二十億円の通知預金証書につきましては、先ほど申し上げましたように、これは一体それが何者の所有に属しているか、所有に属するかどうか、預金証書でありますから、所有という観念が言えるかどうか問題でありますけれども、少なくとも森脇がこれを呈示して支払いを求めたという事実はあるわけでありますから、森脇の占有に渡っておったことは事実でございます。しかしながら、その二十億円の通知預金証書が現にどこにあるかという問題、あるいはそれの裏づけの金があるのかないのかというような問題につきましては、捜査をいたしておると存じますが、現に私承知をいたしておりません。
○横山委員 私はこういうことなんですよ。二十億円の通知預金証書はからである。しかし、それを森脇がもらったのは、吹原に三十億円貸してあるカタにもらった。そうすると、森脇が吹原に三十億円内外の命を融資しておったわけですね。それがどこへ流れたかということについての御調査はついているでしょうなということを言っておる。
○津田政府委員 申すまでもなく、事件の捜査というものは、本件は三菱銀行の告訴から起こりまして捜査を開始したわけであります。その捜査の過程におきまして、森脇関係の私文書偽造あるいは恐喝未遂という事件の端緒が得られて、それの捜査に移っておる。したがいまして、どういう端緒が森脇あるいは吹原について、自余の余罪についての捜査の過程におきまして、あるいは森脇については現在まだ勾留中であります。本罪でございますが、その本罪の捜査の過程におきまして、いかなる犯罪の端緒が得られるかということについては、これは予測を許さないと思うのであります。したがいまして、いまのお話の点につきましては、それが犯罪に関係があるということになり、犯罪捜査の端緒になれば、当然捜査をされるものというふうに私は考えておりますが、現段階にどういう捜査を行なっておるかについては、私も十分承知をしておりません。また申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○横山委員 もう一つは、いまも参考人に伺ったのですが、自由民主党から三十億円の金が預金できるからということが相当問題の出発点になっている。その三十億円にしろ、幾らにしろ、自由民主党から借りられる状況であったかどうかということが、罪になるかならないか、詐欺であるかどうかの境目になりましょうね。それをあなた方としては、少しは借りられる状況にあったのかどうかということは捜査の対象になるのでしょうね。それはもちろんその意味だからお二人の方に参考人に来てもらった、こういうように理解するわけですが、それはよろしいか。
○津田政府委員 具体的の事件につきましては申し上げかねますが、捜査の常識といたしまして、その虚偽の事実を申し向けて騙取をしたという場合に、それが虚偽であるということはあくまでも立証を要することであります。したがいまして、その必要の範囲内においてどの程度のことの取り調べをするかということにつきましては、これはもう捜査にまかされておるわけでありまして、それはいずれの範囲に及ぶかということは、いまあらかじめ申し上げることはできないと思いますが、当然これは捜査されているものというふうに私は考えております。
○横山委員 もう一つ、これは町の庶民の疑惑なんですが、捜査の対象にしておられるかどうかということをお伺いしたいのです。名前はおわかりの人でありますが、一億円の家を売った。それで最初は買いかえたという話であった。ところが売ったのではなくて、それは貸したのだということがあとでわかった。一方では、こちらの家を一億円で買った。一億円の金がどこにあったかということと、それだけの金があれば税金の問題が当然の問題としてあるはずだというのが町の声です。この問題は派生的に起こっている問題でありますが、調査になっていますか、どうですか。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねは、はなはだ抽象的でございますので私はわかりません。また具体的の事件の捜査を現にいたしておるかどうかということも私は存じません。
○志賀(義)委員 ちょっと関連して。
○小島委員長代理 簡単に願います。
○志賀(義)委員 一問だけ。先ほど参考人に伺いましたところ、吹原に渡した通知預金証書は無効である。このことは刑事局長も再々お認めになった。無効なものが三菱銀行にとっていかなる財物になるのか。あなたは参議院で稲葉議員の鋭い質問に対して、二十億円の価値の化体ではないが、一種の債権証書だと言われました。三菱銀行のほうに伺ってもはっきりしない。一体無効な通知預金証書が三菱銀行にとってどれほどの価値を化体した財物なのか伺ってみてもはっきりわかりません。あなたは債権証書だと言われる。二十億円の価値の化体ではないが、とにかく財物を詐取したことになると言われる。一体あなた方は告訴状を受理されたときに、検察庁が受理ざれたときに——刑事局長としてああいう答弁をなさった。これは一体十円のものか二十円のものか、あるいは百円の紙切れか二百円の紙切れか、天下の三菱銀行ともあろうものが、たかだか二百円そこいらのもので財物をかたられたといわれるよりは、問題はそういうものを、現に吹原が方々から二十億円以上のものを、これがあるから手形を割ってやるといってパクっているでしょう。中には返したものがある。無効なものがそういう詐欺をする。そこでパクられた人が詐欺罪で訴えるなら話の筋は通る。三菱銀行が一体どういう詐欺を受けたのか。あなたは先ほどの参考人の話も聞いておられましょうが、その点ははっきりしていただきたいと思います。
○津田政府委員 私は、ただいまお尋ねの参議院法務委員会において申し上げましたのは、本件について申し上げたというより、一般論としてという前提で申し上げたのでありますが、要するに三十億円の通知預金証書がございましても、その裏づけになる預金契約、つまり消費寄託の契約がないわけであります。その証書自体はもちろん無効であるということは当然であろう。しかしながら、外見的には少なくとも三十億円の通知預金証書という債権証書の形態を備えております。したがいまして、それを用いましてどういうことが行なわれるかはわかりませんが、それを用いまして何らかの利益なり何かに供するとすれば、それは当然財物であって、単なる鼻紙ではないということが言えるわけです。現に判例におきましてもそういう考え方をとっておりますので、そういう意味の財物であるということでありますが、その証書自体の価値が幾らであるかということについては、価値は幾らであるかということは申し上げることはできないと思います。
○志賀(義)委員 いまの点おかしいですよ。それが通知預金証書のていさいを備えて世間に見せられる。それで詐欺が行なわれている。詐欺を受けた人が、現に手形をパクられた人が詐欺罪で訴えるならいいけれども、無効だと言っている三菱銀行がどうして詐欺罪で訴えるか。三菱銀行のやることは、こういうものは預金の裏づけがない、預金契約がない、消費寄託がない、だからこれは無効でありますから、これを吹原が持ち歩いても効力はありません。念のために皆さんに申し上げるということを失効公告を出す義務がある。それをやっていないのですよ。しかるにその三菱銀行の告訴状を受理して、吹原を、いま言ったような詐欺罪の明らかな点で告訴状が行ったときに受理するのはいいが、全然見当違いのことをやっておられるのではないか、これが重大だ。そこのところをはっきりしてくださいというのです。
○津田政府委員 詐欺事件につきまして告訴がありまして、捜査をすることは当然であります。捜査をいたしましたが、先ほど申し上げましたように起訴をいたしておる。その起訴は、三十億円の預金証書を騙取したということであります。預金証書自体を騙取したということであって、三十億円を騙取したということをもちろん言っておるわけではありません。証書自体が財物である以上、これは当然騙取の対象になり、詐欺罪の対象になるわけであります。そのとおりの起訴をいたしておるということであります。ただし、三菱銀行がいかなる動機でさようなものを告訴されたか、あるいはその告訴によっていかなる利益を得られようかということは、これは本件事件とは全く関係がないのであります。ただ、その動機としてはあり得るかもわかりませんが、動機として情状として承知することは別といたしまして、事件の構成要件そのものには何ら関係がありません。
○小島委員長代理 吉田賢一君。簡単に願います。
○吉田(賢)委員 藤野検査部長に伺いますが、一点は、だんだん伺っていますと、例の通知預金証書の問題ですね。これはやはりいろいろな角度から見て、私どもは十分に解明をしてもらわねばならぬと思うのであります。この証書の発行というものが、少なくとも最近の銀行業務への信頼感とか、あるいは経済秩序への影響とか、こういうものは相当深刻重大だったと思いますので、したがいまして検査部長のあなたに対しましてはひとつ率直に伺いますから、ぜひここではっきりと御答弁をいただきたいとお願いしておきます。 第一点は、通知預金証書を出しましたときには、それぞれ番号が入ってやっております。これは明らかであります。私もここに写真を持っておりますが、この写真によりますと、十億円が二人六一になり、それから二十億円が二八六二になっております。続いての番号六三、六四がそれぞれいずれも全部仮名で発行されておるわけであります。そういたしますと、この番号が日々の業務報告に支店から本店へ上がって、そこであなたのほうの検査部もしくは本店のどこかの機関に、欠番であったということがわからないということはどうも考えられません。そこで番号がこのようなふうにして打たれておるものが、本店のほうにはどういう機会にわかるのが通常であるか。欠番にしておいたならば半年でもわからないということになるような構成であるのか。そこをひとつはっきりとお述べ願いたい。
○藤野参考人 証書とか通帳とかが取り消しになったりあるいは書き損じをしたりいろいろございます。欠号になりました場合でございますが、これはその理由を書きまして、係員が一応の手続をする場合に、その係員が理由を書きまして、それから係長、それから支店長までの判をもらって処理することになっております。それで、これは一々その欠号につきまして本部へ報告するといろことはございません。これは私どもが一年に全面検査一回やっておるわけでありますが、全面検査をやるときにこれは全部調べております。ですから、一年に一ぺん全面検査をするときにその欠号の証書がわかるということで、これは支店長が管理してやっておるということになっております。
○吉田(賢)委員 しかし、欠番にならず、それからまた書き損じの措置がとられておらぬ、そういうのでこの四つの番号が半年もわからずにおるということは、これは報告文書等で、また検査の過程でそういうことはあり得るのでしょうか。われわれとしましては、かりにも番号というものは相当正確に本店並びに支店その他の機関において、非常に厳重な一つの関門、標識のようになって通過するのではないかと思うのでありますが、それほどいいかげんに半年もめくらでわからずにおるということはあり得るのでしょうか。
○藤野参考人 めくらで、でたらめをやっておるということでは毛頭ございませんが、先ほどのいわゆる吹原事件の二つの証書につきましては、やはり一応全部取り消し及び欠号ということに元帳には記入してございます。それでその証書が返ってこないということで支店長に話しましたところが、私が責任を持って回収するから待ってくれ、私が責任を持つからということでそのままに、まことに遺憾なことではございますが、事実そういうことでございます。
○吉田(賢)委員 入金取り消しということになったら、これは一万円とか十万円なら別ですが、三十億円の入金取り消しというようなものは異常な事実として本店で注目すべきことは当然だと思います。それを看過したのですか。
○藤野参考人 それは先ほども申し上げましたが、支店の貸し出しにつきましては支店の規模、性格とかによりまして裁量限度というものが設けてございますが、預金の受け入れにつきましては全然そういう限度がございません。支店長が独断で幾らでも、私の銀行では何十億でも入れることができることになっております。規定ではそうなっております。その場合本店に一々報告するということは義務づけられておりません。
○吉田(賢)委員 預金は支店長の権限でやって、貸し出しの場合には厳格に、こういう印象を受けるのであります。しかし、預金も三十億円の預金であります。三十億円の預金が事故ありということであるならば、これを重大視せずしてどうします。これを重大に考えなかった、看過したのだというのであるなら、これは感覚の違いです。これはやはり仕事に対する責任感の違いですから、幾ら論じたところがあなたとの議論は平行するだけなんです。しかし、やはりあなたのほうは何も超大な預金者だけが相手じゃないのであります。あなたのほうの預金というものは国民大衆の膨大な群をなす零細な預金もあるはずなんであります。でありますから三十億円の預金が事故があって入らなくなったということを看過しておる、そんなことをあまり重視しないというのでは、これは一体何を相手にあなたのほうは取引しておるんだということにならざるを得ません。ただそろいった方面だけを重視して、零細な預金者のことは全然考えない。言いかえるならば、切り捨てごめんでいくんだというような考え方でもあるのじゃないだろうか、こうもわれわれは感じるのです。だから国会は、さっきから言っておりますように国民大衆という立場でものを言っているのでありますから、その感じというものをあなたのほうは御理解にならなければなりません。本店の検査部長としてきわめて重要なあなたの職責ですから、間違いは小さいといえどもやはり大きく考えるくらいにならねばいくまい。しかるに三十億円の預金が入らなくなったということを看過しておったんじゃ、これはどうもおさまりません。なおそういうふうなお考えですか。
○藤野参考人 吉田さんのおっしゃられることはまことにごもっともでございまして、私どもは看過しておったということは毛頭ございません。結局その支店長が、先ほど申し上げましたように、そういうことで入金があると思ったがそれがない。結局詐取されたんだということがわかっても、自分の不始末だから、本部に言わないで自分で何とか処置しようということだったために本部がこれを知らなかった、知ることができなかったということで、決してないがしろにしておるという意味では毛頭ありません。預金者の保護については十分考慮するつもりでおります。
○吉田(賢)委員 そういうことを伺っているのではないのであります。やはり銀行の経済秩序というものは、これは何も支店長が支店長として独立して、野中の一本杉のようなものではなかろうはずなんです。検査部長という重大な職責の頂点に立っておられるあなたですから、その中心におられるあなたなんですから、全体を総合されまして構成された中に整然とした秩序がなければならぬ。銀行の支店長を責めておるのでも何をしているのでもないのです。支店長でなくして、検査部長としてのあなたの立場いかんというのです。検査部長としての重責です。でありますから、看過したのが今日から考えれば誤りであったというならわかりますが、これからでも三十億円であろうと五十億円であろうと、そんなものはへいちゃらだというようなお考えであるならば、銀行の経済秩序というものはなっておりません。とんでもありません。そんなことなら経済秩序に関する法律というものはもっと厳格化せねばいかぬ、こういうことになるわけなんです。逆行ですよ。いまの国民の感じと全く逆行なんですよ。やっぱりそういうお考えですか。
○藤野参考人 全然それは誤解と思いますが、私自身は決してそんなふうには考えておるわけではございません。ただ今度の問題については、そういうことでわれわれが知らなかったということを申し上げておるのでありまして、この事件につきまして世間をお騒がせしましたことはまことに申しわけなく、全く遺憾に存じておるわけでございます。したがいまして、今後はもっと内部の連絡あるいは監督を強化し、また検査部としましてはもっと機構を充実しまして、事故の防止あるいは早期の発見につとめまして、今後こういうことの絶無を期する覚悟でいるわけでございます。御了承願います。
○吉田(賢)委員 これは御承知と思いますけれども、いま西には山陽特殊鋼があって、五百何十億円の借金を背負って中小企業の下請を全部泣かしておるのです。また東には三十億円の架空の預金証書なるものが発行されて、いま政治的、経済的、社会的にも重大問題になっておるというときなんです。ですからひとつこの感覚を持ってぜひあなたの重責にかんがみてお答え願いたいのです。 そこで、あなたも相手は吹原や吹原やとおっしゃっておりますけれども、吹原という人間が、全くこれは妙な言い方ですけれども、吹いて流したような男です。だからその吹原が相手ではあっただろうけれども、第一架空名義になっておる。二証書とも架空名義である。そうして実際の真実の所持人は森脇である。森脇は十数億円以上の金は出しておったということは、銀行マンとしてはそんなものは常識でわかるはずなんです。その森脇に対して全然片言隻句の交渉もしなかったというのは何としても実は理解ができない。さっきだんだんと他の委員の御質問に対してその点はお答えになっておりまして、もっぱら吹原に対して吹原に対してとおっしゃっておりましたが、しかし、あなたもこれにつきましては善良な管理者の義務がなければいかぬ。したがいまして、所持人というものがはっきりしておるならば、そこをずばりと単刀直人に追及していくのは当然だ、なぜあなたのほうは無効の証書を返してくれないのかと。無効の証書と宣言したのはとたんなんです。十九日に発行して十九日に無効の証書としてしまっているという、それほど機敏に行動するならばなぜ森脇を追及しなかったのか。そうして森脇は国会でやがて呼ばれるだろうと国民が期待しておりましたが、今度は検察庁に引っぱられてしまって、国民から締め出すようになってしまった。その次には法務大臣は、政界に関係ありませんと吹いてしまう。こういうことになるのですから国民は解けませんよ。なぜ一体あなたのほうはもっと端的に森脇に行かなんだか。これは多少の判断の違いもありますけれども、やはりこれは森脇に行きにくい弱さがあったのじゃないのですか。そういうところに銀行としての万全の措置をとられたとはどうも考えられない。森脇になぜ行かなかったかという点につきましては、ひとつ簡単にもう一度答えておいてもらいたい。なぜ行かなかったか。
○小島委員長 吉田君、最初の御質問の趣旨からだんだんそれるようですから御注意願います。
○吉田(賢)委員 新聞で知ったと言うたから、このことを聞かなければいかぬ。
○藤野参考人 銀行がだまされて取られたのは吹原自身でありますので、吹原にその証書を返してもらいたいということを申しました。
○吉田(賢)委員 それはわかるんですよ。そういうことをおっしゃるのは三百代言ですよ。あなたのことを言って悪いけれども、銀行が金を貸すときには厳重に担保を要求して、人物を調査して、資産内容等に対する認識を深めて、その上で貸し出しをするのが当然であるし常識なんですね。それほど人間を見たり、ものごとをするのに慎重であるべき銀行が、持っている相手方を新聞で知ったというのはどうしても私どもは納得できません。そんなことをしらを切ってしまうということは三菱銀行のためにならないと思います。ほんとうに御忠告したい。しかし、あなたのほうとしては、この点は前言を繰り返すのみで進まないということであるならば、あなたのほうの良心の程度はそんなものだということの判断で私はその点を終わります。 そこで次は措置の問題です。措置の問題といたしまして、これはたとえば有価証券でないのだから、ともかく授権判決で無効宣言なんかを裁判所に求めることはできないということは、これもわかりますが、吹原といろ人間を対象にして告訴するというような手を打ったことは何としても国民は理解できません。なぜならば銀行は公器ですよ。銀行は公器だから、無効の証書を持っている人がありとするならば、その危険なものを所持することを防ぐということに最善の努力をしなければならぬ。その点にみんな集中しております。これはあたりまえなんです。なぜそれをしなかったかというところにこれまた第二のあなたの弱点があったのではないか。その弱点があっので、窮余の策で検察庁に持ち込んでしまったのではないか、こういうふうに思うのです。何でもないことです。新聞広告でぱっとやればいいのです。これは無効でありますからどなたもひとつ所持しないように、そして流通しないように、こういうふうにあなたのほうでは打つ手は何ぼでもあったのに、なぜそれをやらないのか。なぜ一体あなたは回避するのだろうか、気がつかないなんて、そんなばかなことはないですよ。顧問弁護士に意見を聞いたりして無効宣言をしたとおっしゃいますが、そんなことは常識ある銀行マンとしては、この程度の法律知識はみな持っておりますよ。ですから手段、方法についても十分心得ておられることは当然なことなんです。有価証券ならこういろ手がある、しからざるものはこういうふうにするのだというようなことは銀行業務のイロハですよ。それもやらないで検察庁へ持っていってしまう。そして相手はだれだ、吹原だ、一体こういうようなことはどういうわけなんだ。私は何といっても理解できない。この点については他の措置をとることをお考えにならなかったのでしょろか。
○藤野参考人 訴訟関係その他のことにつきましては、これは総務関係でやっておりましたので、私自身が実際に担当しておりませんからお答えできません。
○吉田(賢)委員 あなたはいろいろなことを御調査になって、つまり検査も、吹原に返還を命ずるようにということを言われたというような重要なお仕事をされることになっておる。しからばその検査の段階におきまして、吹原と交渉するような段階においては、あなたとしては検査部長の当然の職責として、吹原の人物調査、信用調査、そういうことについて銀行は過誤がなかったのだろうか、支店長の過失はなかったのだろうか、こういうような点についてはあなたは御調査にならなかったのですか。
○藤野参考人 支店では全然知りませんでした。私も交渉するまでは全然吹原というものはああいう人間であるということはわかりませんでした。
○吉田(賢)委員 しかし、あくまでも信用を主とする銀行が、相手の人物調査もすることなく、前科数犯、逮捕歴十回以上というような人を全然知りませんでした、吹原という人を知りませんでした、おそらく新聞で知りましたというのでしょうが、そんなことはいなかの山の中の銀行屋さんの言うことです。天下一流の第一の信用を持ったところの銀行の立場としては、断じて国会で言えることではありません。だから吹原という人物の調査をしなかったのはだめじゃないか、なぜこの点を調査しなかったのか、何であんな者にひっかかりがあったのかということを、検査部長という最高の責任者としてやることはあたりまえなんです。どうしてそれを追及しなかったのか。
○小島委員長代理 吉田さん、御意見ではなくて質問を簡単にしてください。
○吉田(賢)委員 意見を述べた上で質問に入らなければわからないですよ。
○小島委員長代理 簡単に願います。
○吉田(賢)委員 よろしゅうございます。でありますので、まことに失礼な言い分でありますが、私はあなたがもっと高度な常識を持っておる方としての御質問をいたしております。また、そうであることを信じております。それであるならば、こんなへ理屈を言わずに御答弁を願いたいと思います。むしろそうではなくて、あなたのほんとうの背景、あなたの気がかりになったことは、吹原につながっておる人物は歴々とした前内閣の巨頭であり、また吹原のやっておる会社の大株主であった、それとの関連が浅からぬものがあるというようなことで、その辺が気になっておったのじゃないですか。銀行といえどもやはり独立のものではないのですから、経済、政治あらゆる面で密接な関連がありますから、そんなことが気になったのじゃないですか。言いかえれば、政界の大ものがそこに出没したならば、それによって左右されるということは事実上の常識になっておるので、そんなことが災いして、つい言いたいことも言わずにこの吹原だけに詰め寄っていくということになったのじゃないですか。
○藤野参考人 私と吹原との交渉におきましては、そういうことは全然ございません。
○吉田(賢)委員 全然ございませんというようなぶっきらぼうなことでなくて、やはり私はこれは疑惑を前提として申し上げておるのです。これは国民の率直な疑惑なんですよ。三菱が三十億円も預金もないのに出したということは単純ではない、何か裏があるのだ、これは大ものの圧迫があったのじゃないか、あるいはことばがあったのではないか、何かそこにあるのだという国民の率直な素朴な疑惑なんです。それに対して丁重にお答えになるのが国会における発言ですよ。あなたたこれはぶっきらぼうにやるべき立場ではありません。全体にかぶさっております疑惑を明快に懇切丁寧にお解きになるべき立場です。これが検査部長の職責ですよ。ほかの方は核心に触れた調査はあるいはしないかもしれぬが、検査部長たるものは一切知っておらなければならない。一切を知る以上は、どこに重点があったのか、影響力はどこにあったのか、支店長はどうあるべきか、今後はどう機構を強化しなければならないかという結論があるはずですよ。それを伺っておるのです。そういうことはございませんというような、そんな木で鼻をくくったような答弁をわれわれは求めておるのではないのです。ほんとうに率直なものをあなたに伺おうとするのですから述べてください。 お述べにならないのなら、最後にもう一点聞いておきますが、一体この問題につきまして銀行として責任を感じませんかどうですか。支店長は謹慎中とおっしゃいますが、しかし、社会に与えた疑惑は重大であります。あるいは銀行の信用をいろいろな意味において落としております。ですから苦々しく思っておる善良な管理者もあっただろうと思います。少なくともあなたの行内におきましても、何の過失もなく一生懸命やっておったまじめなよい行員も無数にあるでしょう。こういう人までが、あなたはどこにおつとめですかと言われたときに、三菱銀行ですとは肩身が狭くて言うないような思いがしないかどうか。だから内外に与えた影響はきわめて重大であります。この意味におきまして銀行としての責任を感ずるというふうにならないのですか。検査部長はそんな仕事けやりませんというふうにお述べになるのか、検査部長というものはそこまで考えるべきであろうと思います。どの段階でどの時点でその首脳部の責任の範囲をきめるべきか、それは当然事故が起こったときに責任を負わなければならぬ。少なくとも三十億円の預金証書について告訴したのだからその時点でなければならぬ。しからばこれは頭取まで及ぶだろうか、いや頭取は日銀総裁になって雲上の人になっておるから、いまは関係がないのだというのであるか。私はそのようなことまで検査部としてしかるべき判断を加えてよかろうと思いますが、その責任の関係はいかがでありますか。内外及びその時点における範囲についてどうですか。これを述べてください。
○藤野参考人 これは私個人の意見として申し上げるわけでございますが、これだけ大きな事件を引き起こしまして、いま先生がおっしゃるとおり、内外にまことに甚大な影響を与えておるわけでございます。この点は、関係者はもちろんのことでございますが、銀行全体としてやはり世間に対して非常に申しわけない、遺憾に思っておると思うわけでございます。私個人としても、いままでの検査自体の機構が弱かったのじゃないか、もう少し事故防止について検討をし強化する必要もあろうというふうに反省しておるわけでございます。しかし、一つ一つ具体的に、どういう処分がどうか、どこまで責任でどうかというようなことにつきましては、私自身からはお答えできないのであります。
○吉田(賢)委員 終わります。
○小島委員長代理 参考人に対する質疑はこれをもって終了いたしましたが、また後ほど、休憩いたしまして理事会を開いたあとで、参考人に必要があればお願いすることにいたしまして、とりあえず、参考人にはお忙しいところありがとうございました。 この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十一分休憩 ————◇————— 午後一時四十三分開議
○小島委員長代理 会議を再開いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後一時四十四分散会