法務委員会 第23号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/04/23
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。坂本泰良君。
○坂本委員 刑事局長は……。
○加藤委員長 刑事局長は地方刑事局長会議で少しおくれますので、刑事課長が来ることになっているのですが……。
○坂本委員 私は山陽特殊鋼株式会社の問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、実は山陽鋼の事件は、この会社に働いておる方々並びに下請関係等に非常な問題がございまして、会社更生法の申し立てをいたしておるわけであります。しかしながら、現在の会社更生法の規定の不備な点もたくさんございまして、ただ借金をし、倒産しかけた会社の経営者のみを保護するようなふうにも考えられます。したがって、下請会社とか働いておる職員、それから労働者の方々についての問題、特に社内預金の問題等につきましては、この会社更生法の適用を受けて更生会社になりましても、その保護が非常に十分でない。こういうふうに考えられまして、わが社会党におきましては会社更生法の改正案を準備いたしまして、先日提出して、昨日の本会議で提案理由の説明がありました。本日から本委員会に付託されておるわけであります。 そういうふうな関係にございますから、この会社更生法の適用を受けました山陽鋼のその後の状態はどういうふうに進行しておりますか、その点をお伺いしたいのです。
○新谷政府委員 山陽特殊鋼につき委して会社更生法が適用になっておりますが、現在までの経過はどうかという御質問でございますけれども、法務省のほうは、御承知のようにこの法律の運用そのものには実は関与いたしておりません。裁判所がやっておりますのと、主務官庁であります通産省のほうと裁判所のほうで連絡をとりながら現在やっておるようでございまして、法務省に対しましては、まだ何らの報告と申しますか、通知もございませんので、私のほうから詳細について申し上げる資料はございません。
○坂本委員 先ほど申しましたように、民主社会党のほうでもずっと以前からこの会社更生法の改正案が出されております。社会党では先日申しましたような改正案を出したわけであります。それは、繰り返すようでありますが、山陽鋼の問題につきまして会社更生法の適用申し立てがありまして、会社更生法の適用は裁判所の決定によって進んでおるわけであります。その前後を通じまして社内預金の問題とか、それから労働者の賃金の問題とか、そういう問題について非常に保護の欠ける点があるものですから、そういう点を中心にして改正案を出したわけであります。これはもちろんきのう本会議で提案理由の説明をしまして、本日から当委員会に回ったわけでありますが、当委員会でこの審議を進めたい、こういうふうに思いますから、提案者はいずれも社会党であり民主社会党でありけますれども、法務省としましても、この点については十分御検討を願いたいと思うわけですが、いかがでございますか。
○新谷政府委員 社会党及び民主社会党のほうから会社更生法の改正法律案が提案になっておりますことは承知いたしております。先ほど申しましたように、特に山陽特殊鋼に対します会社更生法の適用の問題をめぐりましていろいろ問題があるようでございまして、現在の会社更生法に不十分な面があるといたしますならば、これにつきましては政府としても十分に検討しなければならないと思うのでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、山陽特殊鋼につきまして更生法を適用する段階において、どのような点が実際に問題になるかというようなことにつきまして、現在通産省のほうでこまかい調査をやっているようでございます。さしあたりのところは、裁判所の協力を得まして、できるだけ妥当な処置をとりたいというのが通産省当局の希望のようでございます。正式に通産省から裁判所に対しましてそういろ趣旨の要望書も出されまして、裁判所もそれを受けまして、現地の裁判所にその趣旨の通知が出されたように承知いたしております。そのような段階におきまして会社更生法の運用がどういうふうに行なわれていくかということにつきまして、私どもも法案の立案担当者といたしまして十分な関心をもってながめておるわけでございますけれども、ただいまのところ、通産省側からもまだ具体的にこういう点をこう改めてもらいたいというふうな提案もございませんし、裁判所のほうとも、あるいは通産省のほうとも、私どものほうで十分連絡をとりながら今後の措置を考えていきたい。また、法律の改正を要する面があれば、これも慎重に検討いたしましてやりたい、このように考えている次第でございます。
○坂本委員 本日通産省からおいでになっておりませんから、民事的の関係についていろいろ調査を進めることは困難でありますから次会に譲りまして、なお法案の審議等もございますが、法案より別個に、これは国政調査の案件として進めたいと思いますから、民事関係のほうは留保いたしまして、刑事関係のほうについてお聞きしたいと思います。 この山陽鋼の倒産の問題については非常に世間で重大視され、騒がれまして、検察庁並びに警察庁においても十分関心があり、調査もされておることと思うのでありますが、とかく倒産した会社は特別背任とか詐欺横領とかの問題がついておる。特にこのごろ中小企業の倒産が非常に多いし、また相当大きい会社といわれますところのこの山陽鋼の問題並びに昨日来から問題になっておりまする吹原産業等の問題についても、倒産をするということになれば、会社の経営者は、その会社は破産になり、あるいは会社更生法の適用を受けても、自己の個人の生活あるいは今後の再起等も考えまして、会社にあるべき財産を経営者の個人の所有にするとか、あるいは他に巧妙に隠匿をする、こういうことが行なわれることをわれわれは耳にしておるわけでありますが、この山陽鋼の問題について、警察のほうはそういうことに関心を持たれて、告訴とかそういうのがなくても、これだけ多数の会社の関係者に被害を及ぼすような問題については、刑事事件があるというようなことは、これは風評その他でも捜査の端緒になりますから、警察のほうでは捜査をされたかどうか、その前の調査をされたかどうか、その点を承りたいと思います。
○江口政府委員 ただいまの御質問でございますが、当然そういう場合には刑事事件になるような部分がありはしないかということで調査をすることは常識でございます。山陽特殊鋼の倒産の場合におきましても、目下調査中でございます。
○坂本委員 そこで刑事局長のほうにお伺いしたいのですが、先般の新聞によりますと、神戸地検が捜査に乗り出して、荻野前社長に特別背任がある、さらに粉飾決算や一億円の借り出しがある、こういうことが新聞に出ておるわけでありますが、神戸地検においてはどのような調査をなされ、どのような告訴、告発等があったかどうか。またそれがなくても、新聞では捜査に乗り出す、こういうことに出ておりますが、その捜査はいつごろ着手されて、現在どういう段階になっておるか、その点を承りたい。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、昨日までのところ、この関係事件の告訴、告発は出ておりません。検察庁といたしましては、この問題が非常に影響の大きい問題であることは十分認識いたしておりまして、現在内偵調査をいたしておる段階でございます。内偵調査の程度、結果等につきましては、ただいま申し上げることを差し控えさせていただきたいのでございますが、しかしながら、この問題に関しましては、何を申しましてもまず会社更生手続の円滑な進行ができませんと、関連企業の方あるいは会社の職員、従業員等に非常な不安、あるいは場合によっては損害をかけるというようなこともあるわけでございますので、検察庁におきましては、会社更生手続の推移を見ながら慎重に検討いたしておるわけでございまして、まだ捜査には着手いたしておりません。しかしながら、至大な関心を持ってこの事件の推移を見、また内偵をいたしておることは当然でございます。
○坂本委員 そこでお伺いしたいのは、裁判所の決定によって会社更生法の適用を受けておるわけですが、そうしますと、いわゆる管財人が選任されるわけであります。その点等は、実は通産省が見えておりませんからまだはっきりわかりませんが、当然しかし会社更生法の適用をする、いわゆる更生会社の決定は受けておると思います。そうすると管財人が選任されるわけでありますが、その管財人から告訴または告発が出ておるかどうか、その点をお伺いいたします。
○津田政府委員 昨日までのところ、管財人から告訴、告発は出ておりません。
○坂本委員 新聞によりますと、荻野前社長は一億一千万円の個人借りをしておる、こういうことが出ておるわけでありますが、こういう事実があるといたしますと、これは当然刑事訴訟法に基づく捜査をしなきゃならぬ。この新聞に出ております捜査に乗り出すというのは、私はその捜査じゃないかと思うわけですが、その点はいかがですか。
○津田政府委員 新聞紙上等におきましては、ただいま御質問のようなことが掲載されておることは承知いたしておりますし、あるいは管財人においてさような事実があったということを確認しているかもしれぬと思いますけれども、検察庁といたしましては、先ほど来申し上げましたとおり、まだ内偵調査を続けておる段階でございまして、刑事訴訟法上の捜査はまだいたしておりません。
○坂本委員 この新聞記事は四月の十四日の記事であるわけです。もし刑事事件があるとするならば、やはり迅速果敢に家宅捜索並びに容疑者の検挙等をいたしまして、そうして進まなければならぬと思うのでありますが、まだ調査中ということでありますが、どういうような調査をして、そうして一週間以上もまだそういう強制捜査にも乗り出さない、そういうことでは多数の下請会社とか従業員その他についての要望も証拠隠滅等となりましてできないんじゃないか、証拠隠滅をさせないためにはもう少し迅速にやらなければならぬ、こういうふうに考えますが、その点の御所見を承りたい。
○津田政府委員 先ほども申し上げましたように、関連企業並びに職員、従業員の方たちにいろいろ不安あるいは迷惑を及ぼすおそれがあるというような点を考慮いたしますと、何よりもまず会社更生手続の円滑な進行ということが必要でございます。当然捜査をいたしますということになりますと、会社の重要帳簿について検討するとか、あるいは場合によってはそれを差し押えるということになるわけでございますが、この際さようなことを直ちに行ないますことの影響というようなことも考えられるというふうに思うのであります。したがいまして、それらの点を考慮して、この事件につきまして捜査を開始するといたしますれば、その時期というものは非常に慎重を要すると思われるのでありまして、検察庁におきましても、いろいろな諸般の事情を考慮いたしまして現在十分調査をしておる、こういうことでございます。ただ、御承知のとおり、更生手続によりまして、一切は管財人の手に移されておりますので、今後の問題といたしまして、その証拠隠滅等の問題は、少なくとも管財人関係の所管する限りにおいては起こり得ないことではないかというふうな点も考慮されておると思われるのであります。
○坂本委員 会社更生法の適用を受けまして、管財人が選任せられると申しましても、この管財人は検察庁のように権力を持たないのです。更生法に基づくところの若干の権限はございますけれども、その権限は非常に薄弱である。さらにまた、刑事問題の容疑があれば、それとは別個にこれは調査し、捜査に乗り出すべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。
○津田政府委員 ただいまお話しのような点につきましては、もちろん別個の観点から、管財人の業務の進行とは全く無関係に調査を続けておるわけでございます。しかしながら、調査からあるいは捜査に踏み切るかどうかという時期その他の点につきましては、非常に慎重に検討を要する問題があるわけであります。特に具体的に捜査に踏み切る端緒をつかみますれば、もちろん当然捜査に踏み切ることはそのとおりでありますが、ただいまの段階においては、十分内偵、調査をいたしておる、こういう状況でございます。
○坂本委員 四月十四日の新聞によりますと、神戸地検の卜部次席検事の談話として、「現在会社が更生一本にしぼって努力しているときだけにウシの角を折るようなことはできない。といって問題は大きく放置しておくわけにはいかない。損害賠償の民事訴訟や告訴、告発なども考えられるが、検察当局としては独自の捜査をすすめてゆく」こういうふうに十四日に談話を発表しておられる。そうしますと、一週間もたった今日において、すでにこの捜査を進めなければ、これはやはり悪質な、ことに倒産をして、そうして自己の将来のためにか、自己の保身のために会社の財産をいろいろと隠匿その他をするというような者に対しては、これは民事問題としては会社更生法に基づく管財人の処置によるでしょうけれども、こういう特別背任、詐欺、横領等の嫌疑がある、容疑がある問題については、すでにもう乗り出して、そうしてやるのがしかるべきではないか、こういうふうに一般は考えておるわけでありまして、検察庁はこういう談話を発表しながらどうしておるだろうかと、こういう疑問も国民の中には出ておると思います。こういう点について刑事局長は、現地でのその調査の状況等を聞かれ、また督励等をされたことがあるかどうか、その点を承っておきたい。
○津田政府委員 ただいま御質問にございましたところの、新聞紙上に掲載されておりまする神戸地検卜部次席検事の談話というものは私も承知いたしております。この談話が掲載されたことを知りましたので、直ちに神戸地検のほうに連絡をいたしましていろいろ事情を聞いておりますが、その内容につきましては申し上げることを差し控えたい面もあるわけであります。しかしながら、要するに、先ほど来申し上げましたとおり、捜査に踏み切る端緒をしっかり握るための調査は当然必要でありますので、その面に努力を預けておるというのが現在の状況でございます。
○加藤委員長 坂本先生、だいぶたくさん案件が本日あるので、御準備になって来られた先生方も多いですから、十二時までに全部を終える予定ですから、どうぞそのつもりでお願いいたします。
○坂本委員 何も委員長がそう言ったから切り上げるわけではないのですが、もう切り上げたいと思っておったのです。 そこで、本日は更生会社としての進行状態等を通産省から聞けないのはまことに残念でございますが、しかし、それはそれとして、こういうような倒産会社は、最初は悪らつでなくても、いよいよ倒産すると、会社経営者、社長その他の者は非常にこうかつになり、財産隠匿等の点もありまするから、少なくともこれは早急にやるべきだと思うわけです。ぜひひとつそういう点について現地のほうとも連絡をとられて、ひとつ早急に捜査をやってもらいたい。そのことを要望しまして、本日はこれで打ち切って、次回まで留保いたします。
○加藤委員長 畑和君。
○畑委員 私は、本日二つの問題について質問をいたしたい。 一つは、例の週刊紙「マスコミ」の編集、発行をやっておりました倉地武雄、この人が御承知のように殺された。この事件の捜査の問題についてまず最初に質問し、それからその後に、が然非常な問題になりました吹原産業の問題について当局にいろいろ質問してみたいのです。 まず最初に倉地武雄殺人事件でございますが、御承知のように、この倉地さんの突然の死ということは非常にショッキングにわれわれには響いたのです。倉地武雄氏が政界の浄化というようなことでいろいろ論陣を張りました例の九頭竜ダムの問題、これについては当国会の衆議院の決算委員会でも証人あるいは参考人として出席をした。そして九頭竜ダム問題についての政治献金云々、また不正な、不法入札というような問題について「マスコミ」誌において書いた問題についていろいろ証言をいたしました。そのあとで殺された。さらにまた、いろいろ週刊誌等の報ずるところによりますと、この殺された日か翌日かに、今度問題になっております吹原産業のことについて書くことについて編集会議をやることになっておった。さらにまた、創価学会の問題に対してキャンペーンを張るということで東京でその批判の演説会をやったあと、さらにまたほかの日本の大都市でやる予定になっておったやさきである。九頭竜ダムの問題、創価学会の問題、それから吹原産業の問題こういう問題の渦中にあった人が突然殺されたということで、それでは、そういうようないずれかの問題によってじゃまにされて、結局消されたのではないか、こういうような疑いをだれしも知っておる人は持ったわけです。 ところが、その後捜査の結果、何と三男の健治がこれを殺したものというふうに捜査当局では断定をいたしまして、いまそれを迫っております。ところで、その足取りが高崎まで行き、それからさらにその後熱海まで来たという点がわかった。いよいよこれは逮捕が近いというふうにわれわれは思っておった。ところが、その後杳としてその姿をつかめないというふうにわれわれは承知いたしておるのであります。その後そういったわけで姿がつかめないということから、いろいろなうわさが飛んでおります。あるいはこの健治なる者も消されたのではないか。人から使われて、おだてられておやじを殺し、しかもそれの証拠隠滅のために消されたのではないかというようなうわさまでが飛んでおり、またそれを裏書きするようなことが週刊誌等に書いてあるのであります。ともかくこれの逮捕ということが現在一番喫緊の問題だと思うのでありまして、したがって、そういう点からも早く逮捕をするということにおそらく全力を注いでおるとは思いますけれども、さらにまたその点に力を注いでもらいたいと思う。そしてこういったうわさがほんとうかどうかというようなことについて早く世間の疑惑というものにこたえてもらいたいと思う。ついては、その捜査の状況がどうであるかということについて警察当局のほうに質問をいたしたい。
○江口政府委員 倉地武雄氏の殺害事件については、ただいまお述べになりましたとおりの状況でございまして、私たちも、いろいろな疑惑を一掃するためにも一日も早く倉地健治なる者を逮捕したいということに全力をあげているわけでございますが、遺憾ながら今日まで逮捕を見ていないということは残念でございます。 捜査の体制といたしましては、警視庁刑事部長を捜査本部の長として警視庁も全力をあげておりますが、同時に、ほかの土地に飛んでいるという考えのもとに全国的に手配をやっております。しかし、新聞等にも出ておりますとおり、群馬県あるいは熱海にあらわれたのは、捜査当局としてはどうも倉地自身らしいという確信に近いものを持っておりますが、その後伊東のミカン山というようなことになりますと、一つの情報というような程度でございまして、そういうところに限らず、全国的に力をいたして心ず近いうちに逮捕したいと考えております。その上で、私たちにはいろいろの考えがありますけれども、世間のいろいろなうわさがほんとうであるかあるいは単なる憶測であったかということはわかるものと確信いたしております。
○畑委員 いまの警察庁長官の話からいたしますならば、高崎から熱海に来たというような足取り、これについてはどうも倉地健治本人に間違いなさそうだ、こういうことでありますけれども、世間ではむしろいろいろ推理小説みたいに、かえ玉ではなかろうか、こういったような話がございますが、その辺はどうでございますか。
○江口政府委員 新聞等にあらわれております事実から、倉地健治の犯行に間違いないということはおよそ疑いないと思いますが、それ以外に、逮捕した場合のきめ手といたしまして、なお捜査当局には多少の証拠になるようなものを持っております。そういうことから考えまして、倉地自身の犯行であり、かつ、その後倉地健治は目下逃走中であるという判定をしておるわけであります。
○加藤委員長 関連質問として山田長司君に質問を許します。
○山田(長)委員 ただいまの倉地健治という三男ですが、捜査当局は、これが犯人ではないかという、そのことについてちょっと参考までに伺っておきたいと思いますが、死因は千枚通しで心臓と、それから肺を刺したということが新聞等で報道されておりますが、死因はそれだけであったのでしょうか。
○江口政府委員 現場の模様なり、どういう状態であったかは、捜査一課長が参っておりますので説明させたいと存じます。
○高松説明員 被害者は胸から腹にかけて約八カ所の刺創があります。そのほかに首の扼痕があります。凶器は千枚通しであるということは断定はできませんが、わりあいに細いものであるというふうに考えております。
○山田(長)委員 私も死体を見たわけではないわけでありますが、聞くところによりますと、氷を削るかんなにくぎがさしてあるもので舌を刺しておるという形跡があるということでありますが、その点はどうですか。
○高松説明員 舌を抜かれているとか刺しておるといううわさが週刊誌かなんかに出ておりましたけれども、そういう事実はありません。
○山田(長)委員 実はあの日の数時間前に私の部屋に参りました。私の部屋には本人が書いた文書が十数枚、現在本人が置いたままにしてあります。何で私、本人が置いたままにしてあるかといいますと、あまりの突然の死で——その日の朝、私は十時ごろだれからともなしに電話をもらったときに、ほんとうに彼が言っていたことはそうだったのかということが実は裏書きされたからであります。その裏書きされた内容はどういうことかといいますと、決算委員会で証人喚問をされたときに、私はあの決算委員会の席に出ました。それで廊下で立ち話もいたしましたし、食堂でも、それから二、三日後にも会いました。私の部屋を二度ほどたずねてきましたが、そのつど彼が言うのには、私はいまつけられている。三月二十七日の日比谷公会堂のあの演説会の前日も私のところに参りました。そのとき、私の部屋に書いたものを置いていったときにこういうことを言っていました。表から出ると、どうも変装しているのでわからぬけれども、実は二、三人つけている。そこで帰るときに、私は地下三階からこっちに出るから見ていてくれというので、私は部屋から見ておりました。そうしたら、そのときちゃんと地下から裏口に出て帰りました。私は、これらのことを総合して、三男なるものがはたしてやったのかどうなのかということにいま疑義を持っておる一人なんですが、九頭竜の問題以後、それからいま同僚の質問がございましたが、吹原産業の問題等を、彼が編集会議をやって新聞に載せようとしていた事実もあるわけであります。政界の間でかなり問題になっていた人だけに、この人たちの身辺については、当局は何もかまわずに置いたものでしょうか。それともだれか本人の身辺には護衛の者を置いたのでありますか。
○江口政府委員 倉地武雄氏が、この数年来政界の一部を攻撃したり、あるいはいろんな問題を取り上げたり、あるいは特定の宗教に対する挑戦をしたりというようなことで、いろいろ人に恨みを買う状態であったことはおっしゃるとおりでございます。本人もそういうことから、自分の身辺について心配があるということで、警視庁の係にも申し出をして、倉地氏と打ち合わして、麹町マンション等も重点警らの地点にして、ほか以上の警戒はやっておりましたが、ただ四六時中倉地氏の身辺に護衛がついておるという状態ではございませんでした。
○畑委員 いまの使われた凶器でございますが、その凶器は発見されないということですね。
○高松説明員 その点、ちょっと申し上げにくいのですが……。
○畑委員 申し上げにくいのですか。
○高松説明員 いや、ちょっと申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
○畑委員 それでは現場には血痕のついた、それに使われた凶器らしいものは残されておらなかったということでしょうか。
○江口政府委員 そういうことを含めて、先ほど申し上げた点で御了解願いたいと思います。なかったとか、あったとかということは申し上げられない状態であります。
○畑委員 使われた凶器が一つであるかどうかということは推定つきませんか。
○高松説明員 一つだと思われます。
○畑委員 それに関連してお尋ねしたい。これは法務省の刑事局長にお尋ねします。 御承知のように、倉地さんが殺される前に九頭竜ダム事件で決算委員会に呼ばれた。それで秘密会までも開いて慎重に決算委員会では調査をしたわけであります。その際に法務省当局は刑事局長か課長か、どなたかが決算委員会にちょうど呼ばれておって、ずっと終始一貫して聞いておられた、こういうふうにも決算委員の方に聞いているのですが、その点はいかがですか。
○津田政府委員 法務省側から出席の御要求がありましたので、主として刑事課長が出席をいたしておったと思います。
○畑委員 その際、その刑事課長と思いますが、その前に展開されたいろいろな質疑応答等を聞いておられた上で、ある委員の質問に答えて刑事課長は、どうもこれはおかしい、奇妙なおかしな事件だというような意味のことを、疑惑に包まれている事件だ、問題のある事件だ、こういったことに近い意味の発言をされたというのですが、それは聞いておりませんか。
○津田政府委員 その当時、発言内容について報告を受けておりますし、後に速記録を見て承知いたしておりますが、刑事課長が検察庁に在職しておりました当時の経験についての個人意見を申したというふうに私は考えております。
○畑委員 そこで伺うのですが、この九頭竜ダムの問題については、あれほど決算委員会等においても取り上げられ、倉地自身も生前相当はっきりした証言をいたしておるのです。それがいま殺されてしまったわけであります。それだけにまたいろいろ疑惑も生んでいる。そこで検察当局のほうといたしまして、この九頭竜ダム事件について調査あるいは捜査、そういったことをやったことがあるかどうか。また今後やるつもりがあるかどうかを承りたい。
○津田政府委員 国会の衆議院の決算委員会におきましてあれだけの御調査があったことでもありますし、御調査の内容につきましては、検察庁におきましても、速記録その他によりまして、十分関心を持って検討いたしておることは事実でございますが、それ以上の点、たとえば捜査をしたかどうかというような点は、捜査はまだいたしておりません。
○畑委員 相当委員会において突っ込んだ証言等もなされており、それが速記録にもあり、刑事課長も聞いておるということでございました。いま肝心な重要な証人である倉地君が殺されたということは、証拠の上で非常に残念ですけれども、しかしそうだからといって、非常に多くの疑惑を持っているこの九頭竜ダム事件については、相当捜査も困難かもしれませんけれども、疑惑に包まれているだけに徹底的にその点を調査をし、さらに捜査まで踏み切るような意気込みでやってもらいたい、かように思うのでありますが、その点どうお考えになりますか。
○津田政府委員 これは当該事件に限らず、あらゆる事件について申せることですが、検察庁におきまして捜査の端緒を得れば捜査に着手することは当然でございます。しかしながら、現段階におきましては、先ほど申し上げましたような状態で決算委員会の御調査の結果等を関心を持って検討いたしておるという段階でございます。
○畑委員 それでは倉地殺人事件に関する質疑は、以上で終了いたしました。 次に問題になっておりまする吹原産業事件、この点についていささか質問をいたしたいと思うのです。この吹原産業事件は、もう相当前から政財界におきまして黒いうわさとして怪文書まで飛んでおった事件であります。総裁改選の選挙資金と関連があるとかないとか、こういったようなうわさが相当飛んでおったのでありまするけれども、それがはしなくも一昨日の当衆議院の大蔵委員会において、資料要求という形で火がつきました。たまたま各新聞社等ジャーナリズムにおきましても、すでに相当な調査をされておったらしく見えまして、が然これが新聞にも取り上げられておることは御承知のとおり。さらに昨日は内閣委員会において大出委員から相当の資料をもとにしての質問が展開された。それに対して大蔵大臣あるいは法務省の刑事局長、銀行局長等から答弁がございました。きのうまでの段階におきましては、一番最初大蔵委員会においては、刑事課長は調査をいたしておる、こういう話であったようです。ところがきのうの大蔵委員会、それから法務委員会における志賀委員に対する答弁では、さらに調査と同時に捜査をいたしております、こういうふうに発展をいたしました。いろいろ言うことがちょっと違うので、きのうも志賀委員から質疑がなされたのでありまするが、そんなこと理屈を言っていてもしようがない。発展して、さらにきょうの各新聞によりますると、肝心な吹原に対しまして、逮捕状が用意されて、五カ所にわたっての証拠収集のための家宅捜索がなされたというような報道がされました。が然事件は展開をしてきた。たまたまそういう時期であったのかもしれないけれども、国会で取り上げられたことが拍車をかけたというようなことも私は言えるかと思うのです。ともかく逮捕状まで踏み切ったということにつきましては、捜査当局に対してわれわれも敬意を表するのです。できるだけ早くこの点を捜査してもらいたい。この事件につきましては、御承知のように非常に金額が多い、べらぼうに多い。われわれにとても手が届きそうもないような、何十億というような金がやり取りされておるということ、それからさらにそれが大銀行がいずれも何らかの形で幾つか関係をいたしておるというようなこと、さらにまた一番問題なのは、それにまつわって政界におられる方々の名前があちらこちらちらほらしております。非常に政財界にわたっての注目を引いておる事件として発展をしてまいったのでございます。 そこでお尋ねいたしたいのですが、これは検察当局で特捜でやっておられるようであります。逮捕状が用意されておる。もう新聞にまで出ておりまするから、いろいろ捜査の秘密とかなんとかということで言いづらい点はあろうと存じまするけれども、ぜひ正直に答弁していただきたいのですが、今度の吹原に対する逮捕状の内容はどういうものか、あらましのことについて刑事局長から答弁していただきたい。
○津田政府委員 お尋ねの件につきましては、株式会社三菱銀行から告訴がありました。目下東京地方検察庁におきまして鋭意捜査中であります。昨二十二日裁判官の令状を得まして被疑者吹原弘宣の自宅等五カ所の捜索、差し押えを行ないまするとともに、同人に対する詐欺容疑に基づき、同人の所在を捜査しておるところであります。 容疑事実の内容は、吹原は昭和三十九年十月十四日ごろ、株式会社三菱銀行長原支店次長らに対しまして、真実預金する意思がないのにあるようによそおって、三十億円の資金を日銀小切手で預金するから通知預金証書十億円及び二十億円の二通を持ってきてもらいたいと虚偽の事実を申し向けまして、さらに同月十九日ごろ、その旨誤信して右証書二通を作成持参いたしました支店次長らに対しまして、あとで日銀小切手と引きかえるから一応個人の小切手で証書を引き渡してもらいたいと虚偽の事実を申し向けてその旨誤信させ、同人から吹原弘宣振り出しにかかる支払い地北海道拓殖銀行築地支店の小切手二通を引きかえに右の通知預金証書二通の交付を受けてこれを騙取したという事実であります。
○畑委員 そういたしますると、いまのところは吹原がそういったいま刑事局長の言われたような方法て、三菱銀行に対して虚構の事実を申し向けて、それによって三菱銀行の担当の者がその詐欺にひっかかった、そして、十億円と二十億円の二通の通知預金証書を手渡して騙取されたということでございますね。 そこでお尋ねいたします。これは銀行局長のほうにお尋ねいたします。一体通知預金証書というのはどういうものなんですか。その点ちょっとお聞きしておきます。
○高橋(俊)政府委員 原則といたしまして、これは七日間は据え置きでございます。その後は通知があれば二日前の通知で支払いをする、そういう契約のものが通知預金でございます。金利は普通預金よりも日歩一厘高く、八厘であります。
○畑委員 ただいま刑事局長からお話のような形で騙取されたというのですが、金額がきわめて大きい。十億またさらに二十億、合計三十億という通知預金証書、七日間は下げられないけれども、その後になると二日間の予告を置けばいつでも下げられる、こういうような証書、ところでこういう証書が、幾らたくみにうまく持ちかけられたといっても、そう簡単に騙取されるべきものではないと私は思う。あまりにも金額が多過ぎる。それを一銀行の支店長ぐらいが、幾らじょうずに吹原がやったといえ、相当詐欺漢だそうですからうまいでしょう。うまいでしょうけれども、これだけの金額をまんまと詐取せられるということは、ちょっと解せない。考えられない。支店長あたりだけのあれじゃないと思う。必ず私は上のほうに稟議もするし——金を貸すわけではないから、稟議をするかしないかわからぬけれども、幾ら通知預金証書といっても、現金を持ってくれば出すでしょうけれども、それをあとから持ってくるからというようなことで、三十億もの通知預金証書を——一つの有価証券ですね。それをまんまと渡してしまう。こういうことは考えられない。その間にだれかが加工していやせぬか、またその銀行内部にもそれに加工し手伝った人がありやせぬか、というような感じがしてならないのでありますが、その辺は銀行局のほうで——何かきのうの大出君に対する答弁だと、いろいろ報告を求めた。また銀行のほうでも、新聞によると、中間報告を大蔵省と日銀にした、こう言っておりますけれども、その辺の事情、もう少し詳しくなりませんか。
○高橋(俊)政府委員 だれもがそう思うわけでございまして、私どもも、二十億と十億円、合わせまして三十億という巨額のものを、通知預金証書を、はっきりした現金または現金と全く同一性格の、たとえば銀行自体が自己あて小切手というものを出しますが、そういうものであれば、これは現金と同じでございますから、直ちに預金証書を渡してもいいのでございますが、そうではなくて、通常の小切手、しかもその小切手につきましては、これを渡す場合に——私どもこれはすべて銀行から聞いた話でございまして、まだ真相を把握するというところまでいってないと思いまするが、銀行の言い分をとれば、午後にはそうしたはっきりした現金とひとしいものを渡す、この小切手は言ってみればまあ預かり証みたいなものですが、とりあえずそういったもので預金証書を渡してもらいたいというのに対して、それにまんまと乗せられてしまった。そういう点がまことに解せない。私どもにとってもわからない点でございますが、三菱銀行としては、それはあくまで支店長がやったことである。預金の受け入れにつきましては、これは何ら本店の指示を受ける必要はございません。通常預金業務は支店長限りで行なえるわけでございますが、ただあまりにも大きな金額に対しまして、そういった事情を十分に確かめないで、午後に持ってくるということを信じて渡したという点は、私どもといたしましても何とも了解しかねる。しかし、銀行としては、あくまでそれはほんとうの間違いであって、吹原という人物がそのような大金を動かして…… 〔発言する者あり〕
○加藤委員長 どうぞ政府委員の答弁中、御静粛に願います。お互いに答弁の内容がわかるように御静粛に願います。
○高橋(俊)政府委員 吹原という人がかねてからかなり巨額の資金を取り扱っておる、そういうことをいろいろな方法で擬装しておったことは、どうもあったようでございます。ですから、支店長が頭からいきなりそういう大きなものを信ずるわけではございませんで、いかにも自分がそういう十億、二十億くらいの金は簡単に動かしているのだという、常々からそういう擬装といいますか——擬装であるのかほんとうであるのか私どもわかりませんが、そういうことで、通常私どもの感覚ではおかしいと思うけれども、そうい人物と接している間に、何となくほんとうである、その金が必ず入ってくるものだという錯覚におちいった、これが銀行側の説明でございます。
○畑委員 それで、こういううわさを聞くのですが、その際、ある程度信用するのは無理ないと思われるような、何か政界の大立て者の名前の念書か何かを差し入れたというような話も聞くのですが、そういう事実は聞いておりませんか。
○高橋(俊)政府委員 その点につきましては、私どものほうには全然報告がございませんこれは銀行にいろいろな点からいま事情を聴取しておるのでございますけれども、そういった事実はございません。ただ、それが午後に入らなかったということから、銀行としては支店長が非常に心配をいたしまして、この預金証書が無効であるという一札を取っておる、そういう事実はございます。
○加藤委員長 関連質問として山田長司君に質問を許します。
○山田(長)委員 長原支店でこれらのことについての話をされたのではないという話を聞いております。それらのことについて、それが裏づけになるような、総理官邸でされておるという話を聞いておりますけれども、それらのことについては聞いておりませんか。
○高橋(俊)政府委員 銀行側の私どもに対する説明では、一切そういうことはない。こちらも、何か本店でそういう事情を知った上で預金証書を渡したのではないかということを突っ込んでおるのでございますが、何ぶん私ども、そういう地検の特捜部のようなところと違いますので、相手方がそういうことがありませんと言う以上は、どうもそれ以上追及することはできません。ですから、私どもとしては銀行の申し立てをそのとおりお伝えするだけであります。それが真実であるということを私が申しておるわけではございません。
○山田(長)委員 長原支店の支店長は、この話が進められるときには、まだ京都から来たばかりです。そう長い歳月長原支店におられたわけではないので、おそらく吹原という人をそう詳しく知っておるとは思いません。その点おそらくこの支店長は、それ以外の場所に伺いを立てなければこれだけの金額は出せる筋合いのものではないと思いますが、本店等に伺いを立てた形跡はありませんか。
○高橋(俊)政府委員 その支店長が着任後そう日数がたっていないということはそのとおりであります。しかし、大体銀行におきます支店長の交代は、事務引き継ぎと称しまして、これは実際必要なんでございますが、大体二週間くらいかかるのが通例でございます。したがいまして、そういう吹原なる人物を信用して錯誤におちいったというのは、前任の支店長がまだその支店におりまして事務引き継ぎをやっておりまして、それから詳しくいろいろ聞いて、吹原という人物が非常に大きな金を動かしたことがあるようだということで信用したということであります。
○山田(長)委員 説明がどうも私どもにはふに落ちないのですが、大体この吹原という者は、総理官邸の門衛のところは手をあげただけで通れる、フリーパスの状態になっておったということは事実です。この事実から想像して、前の支店長があとの支店長に引き継ぐ場合においても、これらのことが何らかの形で引き継がれてなければならぬ筋合いのものです。いまのあなたの答弁では、引き継ぎの内容は、大きな金を扱っておるということだけの引き継ぎだったのですか。それとも、支店長にはそれ以外のことは言われておりましたか。それらについてわかっておることがあれば教えていただきたい。
○高橋(俊)政府委員 私どもが三菱銀行を呼んで事情を聴取いたしましたのは、まだそう古いことではございません。この二、三日の間のことでございまして、非常にこまかいそのやりとりの問題につきましては、まだ何ら向こうも陳述をいたしません。こういう問題ははなはだデリケートな問題でありまして、告訴をしておいて、その点が——つまり吹原という人物をめぐってのいろいろな調査につきましては検察庁のほうにお願いしてあって、あまり必要以上の点について御報告を申し上げないほうがいいと言われているということであります。私どもに対しましては非常に形式的なと申しますか、非常に微妙な点につきましては何ら陳述がございませんので、私としてはいまのところこれ以上のお答えは申し上げられないと思います。
○加藤委員長 山田委員に申し上げますが、関連質問でございますので、一問だけにお願いいたします。
○山田(長)委員 関連質問なので一点だけということですから、もう一点だけにしておきますが、ただいまのことですと、三十億の金を、いかに通知預金証書にするにしましても、支店長の判断でおやりになったようにあなた方は言われておりますが、この金は本店のほうにもお伺いを立てなければならない筋合いのものと思われますけれども、これらについては本店の御意見等を聞かずにやったということを言われるのですか。
○高橋(俊)政府委員 三菱銀行の私どもに対する説明では、本店は何ら関知しなかったということでございます。
○畑委員 銀行局のほうについでに聞きたいのですが、大蔵省のほうで三菱銀行自身の監査ですか、これをいつでも随時やれるのですか、その点を聞きたい。
○高橋(俊)政府委員 必要と認めればいつでも検査をやります。
○畑委員 そこで、これだけ大きな問題になっておるのでありますから、もちろん日銀が大きな銀行を考査をするということはあります。ところが肝心の日銀の総裁は三菱銀行の前の頭取、こういうことになっているから、その辺はなかなかやりづらいことでサボるかもしれぬが、これだけ問題が大きくなった以上は、大蔵省のほうで直接三菱銀行なりその他あとでいろいろ私も問題にいたしますその他の銀行等を、大銀行の疑惑を少しでも早く払拭するためにも直接監査をして、そしてこの点を明らかにいたしてもらいたい。それは警察当局あるいは検察当局のほうでもやることはやるが、これはまた別の立場で預金者保護というような関係からもやらなければならぬと思っております。この点はどうお考えになりますか。
○高橋(俊)政府委員 銀行検査の場合には、その帳簿等について調べない限りわからないというふうな場合にその必要が認められますが、今回の通知預金証書は現金が入っておりません。つまりほんとうの預金ではないわけでございまして、銀行としては帳簿に載せておりません。これは明らかでございます。預金になっていないわけであります。ですから一回限りの事件でございますので、帳簿について検査をする意味はないわけであります。問題は、当時の支店長あるいは次長その他この証書について多少とも事情を知っている人たちがその支店にいるわけでありますから、それらの人間について事情を調べる必要があるのではないか、そういう意味では通常の検査というふうな手段は必要ございませんが、私どもは本店の上層部の方の御意見、説明だけではあきたらないところがございますから、そういった当該関係者からも事情を聞いてみる必要がある、そういうふうに存じます。
○畑委員 それはぎょうぎょうしいあれでなくともよいから、そういうことに関連してのことでもよろしいから、その点は厳重にひとつ調査をしてもらいたいと思います。 それから、この三菱銀行からの通知預金証書の詐取とは別に、吹原というのは、あちらこちらの会社なり個人なりからいわゆる手形のパクリをやっておる。これはきのう内閣委員会で大出委員から質問がなされました。そのパクリの金額は、間組が十億、リコーが三億、藤山愛一郎氏個人が五億、東洋精糖が三億、朝日土地が三億、合計二十四億の融通手形をパクって、そうして割り引いてその金を使っておる。この金は一体どこにいったかというような問題も相当糾明さるべき問題だと思うのであります。 それでそのほかにまだ融資関係がございますね。きのうも大出委員から質問され、銀行局長からも答弁がありましたが、相当の大銀行が相当多くの金を吹原産業関係に融資をいたしております。大和銀行が二十億、三和が六億、三菱が五億から十二億くらい、それから第一銀行が一億四千万、森脇将光が約四十億の手形の割引をしておる。それから森脇の一番番頭であります平本という人の名義で森脇さんが十億の融資をしておるというふうにわれわれは聞いておる。おのおの銀行は担保をある程度とっておると聞いておりまして、その中にはボーリング場の土地、あるいはキャノンビルの土地、そういうものを担保にとっておると聞いておるのでありますが、これはおもに大蔵委員会のほうで将来追及さるべき問題であろうと思います。われわれの法務委員会のほうでは適当でないと思いますから、この点についてはあまり触れないつもりでありますが、しかし、いずれにしろ、こういう吹原産業というような会社に、これだけの大銀行がこれだけの金を融資しており、しかもボーリング場というようなものに相当の金を借りた金でかけておる。これは四十何億とか聞いておるのですが、こういうような融資態度というものは私は非常に間違っておると思います。こういう点でも、銀行局のほう、大蔵省のほうでは相当責任があるのではないか。銀行がこういう何が何だかわからないようなものに、しかも詐欺前科何犯というような男に、こういう多額の金額を貸すということは預金者保護にならない。こういう点については大蔵省としてはどういうふうな考えを持っておるか、今後どうするつもりなのか、その点をちょっと承りたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 この融資はまだ全貌を把握しておりませんが、おもなるものとしては、大和銀行が吹原産業及び吹原冷蔵に両方合わせて二十億の融資を行なっておる。それから三和銀行が六億の融資を行なっております。三菱銀行は、いまおっしゃいましたのと違いまして、かつて二千万足らずの貸し出しがございましたが、現在はゼロであります。そのようなことで主としてリコーの融資が中心になりまして、ボーリング場を上に持つ冷蔵倉庫を建設したという事実がございます。これは、最初の計画は非常に大きな話でございまして、いずれも生鮮食料品の価格の騰落を防ぐために冷蔵倉庫が緊急に必要であるというふうな、都の政策にのっとったものであるということで、かなり膨大な、一カ所のみではなく、最初三カ所にそういった倉庫をつくるというふうな、そういう説明であったようであります。それの融資に応じたわけでございますが、途中から計画変更と称しまして、五反田辺にまず冷蔵倉庫をつくる、上の一部にボーリング場もつくるというふうな説明で、たとえば大和銀行の場合でございますと、貸し出し十五億円を行ないましたのは三十八年七月でございますが、その九月になって、そういった計画の変更があった。しかし、その後においてもさらに一、二カ所冷蔵倉庫をつくる、こういう名目で銀行から借りておった。これらにつきまして、結果的に申しますと、ボーリング場のほうにかなり多く面積をさいたようなものができ上がっておりまして、銀行の審査がその点ではなはだ不行き届きである。そういうふうな不急施設に都市銀行ともあろうものが堂々と金を貸したりするということは、私どもとしてはかねてから厳重に注意しておるところでございまして、他のいろいろな金融逼迫の情勢にあるときに、こういった不急施設に多額の金を貸すことは不謹慎であると思います。その点につきましては、今後、当該銀行といたしましてもできるだけ早く回収したいと言っております。この担保につきましては、貸し倒れの危険がない程度には不動産等の担保をとっておる模様でございまして、はたしてそれが換価して十分引き合うものかどうか、それはまだ確かめておりませんが、評価額は貸し出し額をかなり上回った担保をとっておりますので、貸し倒れにつきましては一応心配はないのではないか。しかし、この事業そのものについての回収については、まだだいぶ問題が残っておりまして、担保処分をせずに回収しようと思えば、かなり長期にわたってやらなければならないのじゃないか。いずれにしても、銀行としては懸命にこの回収に努力する模様であります。
○畑委員 いまの答弁によっても、大体非常に不当な貸し付けだ。冷蔵倉庫をつくるというようなことで貸したところが、途中でその冷蔵倉庫変じてボーリング場になるというようなことでは、まことに——これはしかも大銀行がひっかかっておる。私はひっかかっておるだけではなかろうと思う。ただそれだけで済まされる問題ではなくて、銀行の、貸し出しをするほうの関係者が相当こういった事情を承知しておるのではなかろうかとさえ私は思うのであります。単なるひっかかったというので済む問題ではなかろうと思う。ボーリング場なんかにそんなに金を出すべきものじゃなかろうと思うのですが、その点、銀行局のほうでも、銀行の貸し付けが間違っておった、また大蔵省当局も、それに対する監督が徹底してなかったということについて反省しておられまするから、その辺につきましては以上でとどめますが、ただ、先ほど来関連質問等にもありましたけれども、問題なのは、この吹原なる者が相当な詐欺漢であるというようなことで、上手には違いないけれども、しかしそれに関連して、相当政界の方々がこれに援助をしておる、あるいは援助をしておるというふうに吹原が利用をした。同時に利用されるだけのことがやはりあったのではないかと私は思う。そこに私は相当問題の核心が伏在しているのではなかろうかと思うのであります。たとえばボーリング場の開所式の際に政界の大物たちがそこへ出席して、祝辞等を述べておられるという、この点については銀行局のほうでは調査をしておりますか。どなたが出て、どなたが祝辞を述べたかということを、私のほうは調査して知っておるのですけれども、あなた方が知っておればひとつ述べてもらいたい。
○高橋(俊)政府委員 その種のことにつきましては、私は何も存じません。
○畑委員 ともかくこういったポーリング場の開所式に、黒金さんとか、あるいは江崎さんとか、綾部さんとか、藤山さんとか、こういう方々が出席して、藤山さんが祝辞を述べておるという事実がある。もっとも藤山さんは被害者の一人で、お気の毒ですが、とにかく吹原はこういうことが上手に違いない。こういう有名な人たちが吹原にうまく乗せられたと思うのですけれども、乗せられたには乗せられただけのことがやはりあるのじゃなかろうか。ただでこういうところに出席するはずはなかろう。そういう一つの雰囲気をつくって、それで大きく詐欺をしようというのが吹原の実体であったと思うのですが、その辺に非常に問題がある。先ほど関連質問で山田委員からも言われましたけれども、山田委員の話によりますれば、総理官邸が取引の場であったとかいうようなことまで言われた。あるいはちょっと手をあげればそれで天下ごめんだ、こういうような雰囲気、その雰囲気をうまくつくった、むしろつくらせた人がいるのじゃなかろうか、そういうことが私はこういった大きな詐欺事件にまで発展したことになるのだろうと思うのです。ひとつそういう点で、銀行局のほうでも、これを今後ともに融資関係について徹底的に糾明してもらいたい。同時にまた、警察関係のほうでも、そういう点に重点を置いて調査を徹底的にしていただきたいと私は思うのであります。 そこで承りたいのでありますが、吹原という人間の前科、逮捕歴、それをもう調査になっておられると思いますが、刑事局長に承りたい。
○津田政府委員 ただいま手元に経歴関係の資料を持っておりません。したがいまして、この席では申し上げかねます。
○畑委員 逮捕歴などは新聞にもちゃんと出ているのだ。しかし新聞は一応新聞でありまするから、その真偽を私は聞きたいと思って、権威ある当局のほうにお尋ねいたしたのですが、こんなことは何もそんな秘密の捜査でも何でもなかろうと思うのです。言わなければいいですよ。新聞に相当書いてありますから、言わなければいいですけれども、こんなことは隠すべき問題じゃなかろうと思う。あらゆる新聞に書いてありますから、もうしいて求めませんけれども、それでは新聞に書いてあることが真実というふうに了解してよろしゅうございますか。
○津田政府委員 その点につきましては、新聞に書いてあるということは私も承知しておりますが、それが真実かどうかについては、私もいま資料を持っておりませんから申し上げることはできません。 〔発言する者あり〕
○加藤委員長 委員の諸君に申し上げますが、時間も相当経過しておりますし、まだ質問がずいぶんありますから、とにかく不規則発言をおやめを願います。委員諸君の自粛をお願いします。
○畑委員 そうすると、前科歴、逮捕歴等については、いま資料を持ち合わしていない、こういうことですが、新聞に書いてある事実が大体そのとおりだ、こういうふうに言われたようなことでひとつ承知をして、先に進めたいと思います。 一体吹原産業というのが、しからばいかなる会社かということ、これについてはどうですか。検察当局のほうで調べておりますか。
○津田政府委員 吹原産業株式会社と申しまするか、本件の吹原弘宣が関係しておりますと申しますか、被疑者である会社につきましては、もちろん検察庁で調べてあると思いますが、いかなる目的で設立され、どういう活動をしておるかということについては、いま私は承知しておりません。
○畑委員 それじゃ銀行局長のほうに聞きましょう。どうも検察庁は口をかたくてしようがない。その点吹原産業について銀行局長も一応調べておるでしょう。株主がどういう人なのか、持ち株等、大蔵省関係で調査をしてあると思うのだが、それを聞きたい。
○高橋(俊)政府委員 吹原産業の株主関係等につきましては、まだ私どもとしては調査しておりません。ただ吹原産業は三十一年に設立されまして、当時資本金が二千万円、現在はそれが一億六千万になっております。それから吹原産業の系列会社といいますか、他に北海林産興業であるとか、先ほど申しました吹原冷蔵であるとか、そのほかに製紙会社、防腐材の会社とか、そういったものが幾つか、五つか六つだと思いますが、そういう別会社を設立して、それぞれ違った事業を営んでおる、こういうことは承知しております。
○畑委員 しかし、株主くらい調べてあると思うのだが、ちょっと言いづらいので答弁ができないのだ、かように思うのです。新聞の報ずるところによってあれしますると、黒金さんも大きな株主だ、かようにいっております。八万五千株ですかの株主だと聞いておる。それからさらに大平さんもやはり株主だ、こういうふうに聞いている。さらにまた黒金さんの当時の秘書官であった者が吹原産業の取締役になっておる、こういうふうに聞いておる。その点はどうですか、あなた方聞いていませんか。
○高橋(俊)政府委員 やはり新聞で承知している程度でございます。
○畑委員 新聞で承知しておる。新聞もうそは書かないでしょうから、そのとおりだと思うのです。したがって、この吹原産業というのは、吹原という人物はこういった株主の名前に連なっておる人たちと相当な関係があったと私は思うのです。それで相当大きな顔をしてここまでのし上がってきたのだろうと思うのですが、その点でまた非常な疑惑を持たれておるわけです。話によると、吹原産業で持っておって、キャノンカメラに貸しておるビルですね。銀行の担保になっておるビル、このビルの地階に喫茶店がある。相当大きな設備だそうでありまして、ここに「絵美」というその喫茶店のマッチがありますが、これは話によりますと、ある政治家に関係のある女の方が経営していらっしゃるということで、相当の金をかけて改装もしてあるのだそうですが、そうした改装費は一体だれが出したのか。またその賃料というか、使用料は一体幾らくらいで、だれが払っておるか、こういった点が実は疑惑の持たれる一つになっておるのでありますが、その点については承知はしていませんか。調べてありませんか。検察庁はどうですか。
○津田政府委員 ただいまのお話の点につきまして、検察庁で捜査いたしておるかどうか、私はいま承知いたしておりません。
○加藤委員長 畑先生に申し上げますが、お約束の時間を相当超過しておりますので、志賀先生にお譲り願ったらどうでしょう。——関連して一問だけ許します。山田長司君。
○山田(長)委員 どうも委員長はけちけちして発言を許されないので、いろいろお聞きしたいことがあるのですが、いずれまたこれはあらためて聞かなくちゃならないと思うのです。 実はいま畑委員の質問の中にありましたが、そもそもこの仕事は、会社設立の目的と反することが平気でやられているというところに問題が一つあると思うのです。それで五反田にできたボーリングの場所の問題については、こんな利益をあげておって、何億という借財をして、その返済ができる筋合いのものではない。一日平均八十万のボーリングの収益で、さらに地下の冷蔵庫の月の収益というものは二百万になっておるそうです。そういうことで、いま言う喫茶店の家賃があげられておるほかに、キャノンのやつだと思うのですが、大体吹原なる者が各方面に言っていることばは、政界筋のコネで一流銀行からも多額の融資を受けるようになってきたから、これで近く国有地の払い下げ等を大がかりにやって、一切のこれらの赤字になっておる分の決済をするのだということを言っておられたそうですが、たまたまこれらのことが手形の書きかえ等に影響して、いま、あるところに七枚ほどの黒金さんの手形が書きかえ、書きかえでいっております。私はいずれこの委員会に証人としてこの所持者に出てもらいたいと思っておるわけです。これはいずれ委員会等で取り計らいを願いたいと思いますが、この手形の書きかえ、書きかえをしているそもそもの時期が、いろいろ政界の大きな変化に関連があるのであります。 それで捜査当局がこの手形等を、これは捜査の秘密に属するということで言うか言わないかわからないけれども、持っているのか、見ているのか。一応このくらいのことはここで話しても別に捜査の秘密にならぬと思いますが、持っているのか、見たのか、いずれこのことを明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。
○津田政府委員 ただいま本委員会で御調査になっております事件は吹原弘宣という人に対する事件、この事件につきましては、先ほども申し上げましたように、三菱銀行の告訴によりまして捜査を開始しておるわけであります。その容疑事実は先ほど申し上げましたとおりの事実でありまして、その容疑事実にどういう関連事実があるか、容疑事実の捜査に必要な範囲の捜査は、検察庁においては十分いたすことになり、現にいたしておると思います。でありますが、その内容にそういうような事実を含んでおるかどうかというようなことにつきましては、ただいま私は承知いたしておりませんし、かりに内容がわかりましたといたしましても、申し上げられ得るかどうか、捜査の進行の過程において申し上げられ得るかどうかという点については、必ずしもはっきり申し上げることはできません。
○山田(長)委員 どうもさっきも関連で伺い、また関連で伺っているのですが、関連で伺っているのでとぎれとぎれで、お答えいただくのにもお答えしにくい部分があると思うのですが、もう一点だけ委員長から許されましたから伺っておきたいと思うのです。 大体今度の三菱銀行の長原支店の菅原順平という人は、支店長ではなくて支店の次長のようですが、大体支店の次長クラスでこれだけの巨額にのぼる金の預金証書というものが出せるということは、常識的に考えてみてどうしても判断できません。さっきからたびたび名前が出ているから、私も名前を言うのをはばかっていたのですけれども申し上げますが、黒金さんが官房長官時代に、総理官邸がこれらのことについてもいろいろ関連のある場所だと世間ではいわれておるのでありまして、しかも黒金さんと日銀総裁の宇佐美さんは御親戚になっているそうです。当時宇佐美さんは三菱銀行の頭取であった。こういうことがやはりいろいろ関連があったからこそ、三十億の預金証書というものが出せる段階にいっているのじゃないかといわれておるわけです。その点捜査当局においても抜かりないと思うのですけれども、やはりいろいろ世間で流布されております問題は、そういう線からこういう金が出ているというふうに想像されるのも無理からぬことだと思うのであります。こういう点についてどうしても理解ができないのは、銀行局長に伺いますけれども、一体幾ら大銀行であっても、たとえ七日間の据え置きだといっても、三十億という額にのぼる証書というものが発行はできるものかどうか、この点を銀行局長にもう一ぺん伺いたいと思うのです。いずれ関連でなくて伺いますけれども、これは一応関連の範囲で御答弁を願っておきます。
○高橋(俊)政府委員 三菱銀行側の説明では、前任の支店長が栄転して新しい支店長が来た。その転任のお祝いとして大きな預金をしてやろう、こういうのが話の筋だそうです。ですから、預金の額が大き過ぎるという点、これはわかるのでございますが、しかし、必ずしも預金の受け入れにつきましては一々本店に相談することはないと思います。問題は、金とは思われない小切手、それを短時間にもせよ吹原自身が書いた三十億円という小切手と引きかえに預金証書をなぜ先に渡したか。これは非常に問題で、銀行人としては考えられない程度の問題でございます。それにつきましては、私どもも何回も突っ込んではおるのでございますが、とにかく吹原なる人物が相当の金を動かす人らしい、だからあまり怪しむことにならなかった、そういったことでございまして、銀行の常識としてとても想像のできないような手落ちがあった。このことは認めております。
○畑委員 もう一つだけ。いままでいろいろ質問をしてきた経過、それから関連質問の経過からいたしましてもわかるのでありますけれども、これは単なる通知預金証書の詐欺事件ではなかろう、少なくとも相当深い根を持っておるのではなかろうかというような感じがいたしてならない。吹原個人が希代の詐欺漢で人をだますのがうまいということを計算に入れても、ただこんな程度ではそうひっかかるはずはなかろう、それにはやはりいまいろいろ名前の出てきた政界に関係のある人たちが、吹原が詐欺をやれるようなそうしたムードづくりに貢献しておるということは争えないだろう。刑事問題に関係があるかどうかということは別問題にいたしましても、詐欺をするのに都合のいいような雰囲気をかもし出してやっているということが私は大きな問題だと思う。それが政界に疑惑のかかっておることもあるのでありまして、この辺はひとつ検察当局もわれわれの意のあるところをよく承知していただいて、単なる吹原個人にかぶせてしまうといったような態度ではなくて、国民が広く疑惑を持っておる政界とのつながり——刑事問題として関係がなければないでよろしゅうございます。しかし、こういった点で刑事問題に関係がないとしても、少なくとも道義的に相当指弾さるべき立場にある。こういったことがやはりわからなければならぬと思う。必ず私はそういうことだけではなかろうと思うのでありますが、そういう観点から今後捜当局でも厳重に捜査をしていただきたい。同時に、大蔵省におきましても、将来のこともありますし、預金者保護というようなこともありますので、今後とも厳重に調査をし監督を強めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○加藤委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 昨日、津田刑事局長にはいろいろな点について調査を願っておりましたが、その中に、警察との連絡の上、こういうことがございました。きょうは江口長官が御出席でございますから伺いますが、倉地武雄殺人犯は大体むすこの倉地健治というようにしぼってお調べなんでしょうか。あの殺人があった報道が国会に達しましたが、方々に非常なシヨョックを与えて、これはだれがやったんだろうということが各党で非常に問題になっておりました。警察では、それから一両日たって突然むすこのことを出されて、どうも下山事件の初め他殺の線が急に警察の発表が自殺になったようなのと同じ印象を受けるのでありますが、共犯者、教唆者あるいは別の真犯人もあり得るということもお考えになって捜査をやっておられるのかどうか、その点を伺っておきます。
○江口政府委員 先ほども申し上げましたように、現段階におきましては、警察は倉地武雄氏の三男倉地健治の犯行であるという判断で捜査をやっておりますが、もちろんそれに到達いたしまする前におきましては、いろいろなことを考えて、どういう方面の加害者であろうかということはいろいろの方面から検討をいたしましたが、現段階におきましては、そういう線が消えて、本人の子供の犯行にほぼ間違いないということで、それを追っておる状況でございます。
○志賀(義)委員 一昨日の衆議院大蔵委員会では、検察庁は目下内偵中ということでございます。昨日午前、当法務委員会で私で質問したときには、内偵だけでなく、捜査もいたしておる。それに引き続いた内閣委員会でもそうでありました。ところが、逮捕状が出たときには、この吹原はもう逃げている。どうも結果から見ると、時間を与えて逃がしたような結果にもなったじゃないかというような点がありまして、検察庁の活動がなぜおくれたのか、非常に遺憾に思うのでありますが、おくれた事情はどういうことでございますか。
○津田政府委員 本件の告訴がありましたのは今月の六日でございます。しかしながら、一片の告訴状のみによりまして直ちにどういう強制捜査をするかということは、これは踏み切れないことがしばしばあることは御承知のとおりであります。したがいまして、告訴がありました以後、検察庁におきましては十分内偵を進めた結果、逮捕状の交付を受けるに足る、あるいは捜索令状の交付を受けるに足る資料を得まして令状の請求をいたした。その間に全然何も手をこまねいているわけではありません。その間におきまして相当の捜査をいたしております。したがいまして、昨日強制捜査に踏み切ったということになるわけであります。
○志賀(義)委員 高橋銀行局長に伺います。 三菱銀行長原支店で、吹原に対して通知預金証書を発行したのは昨年の十月半ば、本店で知ったのは三月半ばとなっております。これは森脇将光がこの支払いを請求したことから問題が出たのでありますが、この森脇という人の支払い請求に対して、三菱銀行はどういう回答をしたのか。その点は去る四月十九日に銀行局に対して報告が出ているはずでありますが、どういうことが三菱銀行からそのとき銀行局長のほうにありましたか。
○高橋(俊)政府委員 三菱銀行のあげた理由は、この通知預金証書はもともと元金が払い込まれておらない、つまり担保のないものに発行された通知預金証書でございますから、支払う要因がないということで断わっておる、こういうことであります。
○志賀(義)委員 もう一つ伺いたいのですが、そのとき報告では、三菱銀行本店、その当局者は、三月半ばに報告を受けるまで全く知らなかったと言ったかどうか。これはきわめて重要な点ですから、これからの質問について。
○高橋(俊)政府委員 通知預金証書が発行されましたのは昨年の十月十九日でございます。三菱銀行がいままで私どもに説明しておる限りにおきましては、ことしの三月十五日に報告を受けるまで、本店首脳は何らこのことに気がつかなかった、こういうことになっております。
○志賀(義)委員 報告に、預金をしないのでこの通知預金証書は無効であるという念書を入れさしたということが出ておりました。この念書を入れさしたのはいつですか。どういう報告がありましたか。
○加藤委員長 ちょっと調査中ですから御答弁をしばらくお待ち願います。
○高橋(俊)政府委員 念書を取った日にちはただいま明確になっておりませんが、これは確かめればわかることでございますが、その返還を直ちに請求したわけでございまして、発行いたしました数日後にはその本人から取っているものと思います。
○志賀(義)委員 数日後に十億円及び二十億円の通知預金証書が無効であるという念書を取った。これは支店長としてはきわめて重大な責任問題でありましょう。それを三月十五日に至るまで本店に報告をしないということは、銀行局長として信用できますか、これはどうです。
○高橋(俊)政府委員 私どもといたしましても、どうも合点がいかない感じはいたします。さりとてこの問題につきましては、何らか特別の方法を講じない限り真相を明らかにすることができません。銀行側としては、あくまで三月十五日までは本店では知らなかった、支店長限りでその返還を求めるのに懸命な努力をしておった、こういう申し立てでございます。
○志賀(義)委員 銀行局というものが法律でどういう権限を持たされているかは、局長御自身でよく御存じでありましょう。念書が数日中に出たという報告を受けられて、本店では三月十五日まで半年近くも知らなかった、この点をあなたは報告を受けただけと言われるが、お尋ねになりましたかどうか。これは銀行局長としての責任でもあろうと思いますが、そういうことをお尋ねになりましたか。
○高橋(俊)政府委員 ちょっと一部訂正いたします。三月十五日ではなくて三月十七日ということであります。 いまお尋ねの点でございますが、五カ月間も本店が関知しないというのはあまりに不自然でないかということで、私どもも相当その点は追及いたしました。追及いたしましたけれども、ほんとうに知らなかったというように申し立てております。
○志賀(義)委員 これは本店がそれを知ったときに、念書が出ただけで済むものではありません。本店としてはこの通知預金証書に対してどういう処分をとったか、念書だけで済むことじゃありません。それに対応して、念書を支店長のほうから出して、それに対してどういう処分をとったか。その処分は何月何日であったか。それをお聞きになりましたか。銀行局長として当然のつとめであろうと思います。
○高橋(俊)政府委員 念書と申しますのは、吹原が長原支店長に対して差し出したものでございます。この通知預金証書は無効であると本人が書いて差し出した。その念書を含めまして本店は関知しなかった。三月十七日になって初めて通知預金証書が詐取され、念書もこの場合入っているということを知った、これが銀行側の申し立てであります。なお、支店長の処置につきましては、本年の四月一日付で本部にこれを一応転勤命令を出しております。これは退職等の措置に出ないでなぜ本部勤務にしたのかという点を聞きましたところ、三十億円のうちの一口十億円の分は四月十二日、ごく最近でございますが、戻っておる。残っている二十億円のほうの証書がまだ回収されない。この支店長をいま解雇するというふうなことをしないで、本部に置いて吹原との交渉、その二十億円の証書を回収することにいま懸命にやっておるので、その関係でこれをまだ退職させない。いずれ事態がはっきりしたあとにおいては相当な処分を考える、こういうことでございます。
○志賀(義)委員 かりに三月十七日まで知らなかったとして、三月十七日に吹原本人が出した念書を見て、三菱銀行の重役会ではどういう処分をいたしましたか。
○高橋(俊)政府委員 それまで支店限りで吹原氏と交渉して返還の努力をやっておりましたけれども、本店が知った以上は、本店が直接吹原に対して返還をするように強い交渉を続けてきた、そういうことでございます。
○志賀(義)委員 私の言うのは、吹原が三菱銀行長原支店に対して通知預金証書を返さないでしょう。ですから、その証書は吹原からあるいは他の金融業者へ渡っている、現に渡っている。そうしますと、その書類がずいぶん悪用されて、法務委員会でも他の委員会でも問題になっているように、手形をパクる結果になっているのであります。銀行としては、自分のところに返ってこないその通知預金証書に対して処分ということを銀行内部の書類ではっきりしておかなければいけないことです。どういう処分をしたか、これが一番銀行局としても監督のポイントでありますが、その点をお尋ねになったかどうか、何と三菱銀行で答弁したか、それを伺っておるのです。
○高橋(俊)政府委員 処分と言われますけれども、銀行側の解釈では、もともとこれは無効のものである。ですからただの紙である。通知預金証書というものではありますけれども、これは権利を付帯しておらぬ。そういう解釈でございますから、無効であるという解釈をとっております。
○志賀(義)委員 ポイントについて、これは無効であると言われるから、無効であるからには銀行内でもちゃんと一定の処分をしなければならぬのです。念書だけで済むわけじゃないのです。じゃ、もう少し突っ込んで聞きます。三菱銀行は書損処分をしているのじゃありませんか。書き損じ処分をしているのでしょう。そうじゃないのですか。その点についてあなたはお聞きになりましたか。
○高橋(俊)政府委員 この証書については書損扱いをしたというふうには聞いておりません。したがいまして、ただ現物は第三者の手に渡っているかもしれません。それに対して、法律上無効であるということでこれを主張しておるということであります。
○志賀(義)委員 そうすると、行外へ出回っていて銀行に返ってこない通知預金証書があるのについて、念書を入れただけで、これは無効であるということを言っているだけで銀行の内部業務としても済みますか。これは書損処分をするか——まさか偽造文書とはいえませんが、銀行自体が発行したものですから、何か処分をしなければこれは済まない。普通こういう場合に書損処分をすることがあります。そういう点は銀行局長として当然詮議しておかれるべきでしょう。あなたのお話を伺うと、向こうが言ってきたことを聞いただけだ、こういうことになりますが、それで銀行局の監督の役目が済みますか。その点、もしまだお調べにならなければ書損処分にしたのかどうかお調べ願いたい。 さらに伺いますが、銀行局に三菱銀行から報告があったのは何日でございますか。
○高橋(俊)政府委員 正式の報告はございません。私どもが銀行の責任者を呼びまして……。
○志賀(義)委員 それは何日ですか。
○高橋(俊)政府委員 銀行課長、ここにおりますが、銀行課長が向こうの業務部長を呼びましたのが十六日でございます。
○志賀(義)委員 三月ですか四月ですか。
○高橋(俊)政府委員 今月の十六日でございます。その後もまた別途に別の人物について聞きただしてはおります。しかし、いずれも中間的なものでございまして、ほんとうの意味での報告とは申しがたいものでございますので、いずれまた、もう少し私どもその中身を吟味したあとで書面によって報告を求めることにいたしております。
○志賀(義)委員 それでは伺いますが、四月十六日に報告があったときに、その前に三菱銀行の常務会が開かれて、こういうことになったのだ、こういうことは報告がありましたか。いま伺うと、向こうの業務部長ですか何かに聞いた。これほど重大な問題ならば、銀行局長として、三菱銀行の田実頭取なり責任者なり副頭取なりになぜお聞きにならないのですか、お聞きになりましたか。
○高橋(俊)政府委員 私どもも吹原産業事件なるものを知ったのはそう古いことではないのです。国会でこの問題が出るよりも少し前の段階で、風評、新聞記者諸君との話から、何かあるということで、それでは全然知らないでおくわけにもいかないだろうということで、十六日のうちにまず銀行課長が業務部長を呼び出したのです。ですから、三菱銀行のほうから積極的に報告といいますか、こちらに来たのではないのです。こちらのほうで呼んだわけであります。呼んで聞いたところ、その段階ではもうほとんど答弁になられない。何か三菱銀行の都合ではないけれども、いま申し上げることは控えたいというふうなことでありまして、その日の段階では何かあるという点だけがわかって、どうしてそうなったのかということが全くわかりませんでした。それで一昨日この問題が国会で取り上げられました。その日の夕刻には中村副頭取を招致いたしまして、私も一時加わりましたが、財務調査官、銀行課長が事情を聞いております。その段階ではだいぶ様子はわかってきたのでございますが、いままで私がお答え申し上げた範囲を出ておりません。
○志賀(義)委員 あなたはまだ十分お聞きになっていないようであります。銀行局長として重大な責任をお持ちでございます。それならば、あなた方のほうへ報告がある前に開かれた三菱銀行の常務会で藤野検査部長がどういう発言をしておるのか、その点をお調べ願いたい。お調べくださるかどうか。だれにこれは責任があるか、そこでは確かに問題になっているはずでありますが、決して長原支店長だけではございません。それをお聞きくださるかどうか、局長の責任において御答弁願います。
○高橋(俊)政府委員 私どもとしては、今後もできるだけこの問題のほんとうの姿を知りたいと思います。また、知る必要がございますので、いまお話のような点、実は私そういう点についてまだあまり承知しておりません。いろいろな角度から調査していきたいと思います。
○加藤委員長 志賀先生に申し上げますが……
○志賀(義)委員 この法務委員会へ報告してくださるかどうかちょっと……。
○加藤委員長 それはけっこうなんですけれども、御承知のような事情でありますので、そう長くなく……。
○志賀(義)委員 そう長くはやりません。私は、いま三菱銀行の常務会で藤野検査部長がどういう報告をしたのか、それを銀行局長からお調べ願いたい、その結果をここでお知らせくださるかどうか、委員長までその報告が出るかどうか、これを伺っているのであります。ひとつ答弁願います。
○加藤委員長 それはそういう事実があったかどうかですね、常務会で。そういうことを御存じないんだから……。
○志賀(義)委員 だから、御存じないから聞いてくださいと言っているのです、銀行局長の監督の責任上。そうしてその結果を法務委員長まで、賢明なあなたの手元まで出していただきたい、こういうことを言っているのです。
○加藤委員長 そう賢明でもないのだけれども、ちょっとお待ちください。——志賀先生に申しますが、ぼくは政府じゃないのだから、報告できるかどうか、ぼくに聞いたってしようがないだろう。高橋銀行局長。
○志賀(義)委員 ちょっと……。いまの委員長の発言は重大だ。あなたが政府の役人だとはだれも思ってやしないのだ。衆議院法務委員会……。
○加藤委員長 速記停止。 〔速記中止〕
○加藤委員長 速記を始めて。
○高橋(俊)政府委員 銀行側のそういう内部での会議における発言等につきまして、私どもが十分にこれが確かであるというふうな事実まで把握し得るかどうか、必ずしも私は自信を持ってできると申し上げることはできません。でありまして、やはり私どもはあくまで三菱銀行それ自体についていろいろな角度で調べるということでありまして、捜査当局というふうなものの権限もございませんから、その点は御了解いただきたいと思います。ですから調べた上で、これが事実であるとしてお答えできるものもありましょうし、はっきりつかめなければお答えできないと思います。
○志賀(義)委員 ここは法務委員会です。捜査当局に対する質問と、大蔵省銀行局長に対する質問とは、われわれが十分わきまえているつもりでございます。先ほど来お伺いして、畑委員の質問に対しても、山田委員の質問に対しても、あなたのお答えが、われわれも銀行局長の監督上の権限からもどうもわからないから、そういう点まで、こういうこともございますから、あなた御存じないというから、こういうこともあるようですから、それをお調べくださいと言っているのです。あなたが銀行局長であるということは重々承知しております。その監督上の権限でやっていただきたいと思います。いいですか、市中銀行で貸し出しあるいはこういう場合に、およそどの金額の範囲までは支店長の権限として慣例として認められているのか。十億、二十億というものが長原支店長一存でできるものではなかろうということは、繰り返し社会党の委員からも質問がありました。こんなことは念書が数日中に出て、支店長としては大問題です。それを三月半ばまで本店で全く関知しなかったと言われる点、はあ、そうですかね、これで銀行局長の責任が済みますか。そういう点で私どもは先ほど来の質問に対して非常に疑いを持っているわけでありますが、なお伺いたい点は、通知預金証書を出すについて他のある銀行から小切手が出ている。その銀行の保証で出ている。それはどこの銀行で、金額は幾らでございますが、吹原がいったものは。
○高橋(俊)政府委員 それと直接のつながりがあるかどうか、私はその事実は全くわかりませんが、いわゆる銀行の自己あて小切手が吹原の手にやはり——これはたいへんデリケートなところでございまして、詐取されたとはどうも言いがたい、ある程度銀行の側が知っておったのではないか、銀行の支店長が知っておったと思われる節があるのです。大和銀行京橋支店におきまして、支店長がかねがね吹原とのいろいろな操作について密接な関係にあったわけでございましょう、その支店長は、そういったやり方については情を知っておったと認められます。その支店長はしかし、まさかその何日も返ってこないとは予想しないで、非常になれ合いになっていたものですから、銀行の自己あて小切手三十億円を十月三日に吹原にとられております。吹原が戻してこない。非常にあわてまして、結局は、偶然に一致するのですが、十月十九日に取り戻しております。そういう事件が昨年十月にあったことは事実でございます。
○志賀(義)委員 小切手は銀行が取り戻したのですね。それで新聞にも報道されていることがかなり正確になってまいりました。 その手形に名義人あるいは裏書き人、これについては御承知でございますか。
○高橋(俊)政府委員 銀行の自己あて小切手と申しますのは、もう裏書きも何もないわけでございます。それはそのものが直ちに普通ならば現金とみなされる程度のものでございますから、名義人というものは銀行自体であります。
○志賀(義)委員 その大和銀行が貸し出すについて、政界のどなたかからの口ききがあったかどうか、その点はいかがでしょう。
○高橋(俊)政府委員 そのような事実はこの場合にはもうあり得なかったと私は思います。そのいろいろな前後の事情から推しまして、明らかに従来なれ合い的に、支店長、並びに次長でもそうでございますが、吹原といろいろな資金的な操作を行なってきておる。それがだんだんその金額が多くなって、もうなれっこになった。そのあげくの果てに三十億円を一枚持っていかれた。これはいつもですと、ほんとうに即時に両落ちになりまして、必ず銀行には何もなかったことになる性質のものなんです。そういう操作をやっていたわけでございますから、その分だと思ってやったところが、その場合にだけがついに戻ってこなかった。そういういきさつでございますから、これは明らかに支店長、次長等と吹原とのなれ合いの結果が高じてついそういうことになったとしか思われません。
○志賀(義)委員 いまあなたは重大な発言をされました。大和銀行京橋支店長と吹原とのなれ合いということばで言われましたが、これは京橋支店長の死活に関する問題であります。これはたいへんなことです。あなたが確かになれ合いということを言われたことは、ここの記録にも残ります。 そうしますと、なれ合いであったとあなたが言われるが、吹原は京橋支店に小切手を振り出すときの預金通帳か何かあったのかなかったのか、その点はいかがです。あなたがなれ合いと言われるからには、そこも非常に疑わしくなってきますが、その点はいかがですか。
○高橋(俊)政府委員 ことばが適当ではなかったかもしれませんが、いろいろな資金的な操作をそれまでに行なっておりますが、支店長はその事情を知っておったわけでございます。そこで、いつものような調子だと思ってやったところが、そのときに限っては、その銀行の自己あて小切手が吹原の手に渡ったまま返ってこない。これは実はその銀行に関する限りは、取り戻しておりますから、いまとなってみれば、その件に関して実害は最後には何もなかったわけでございます。したがって、これは簿外の扱いになる。取り戻したあとで書損の扱いにしておりまして、そういったものが現実に事跡には何も残っていないということでございます。
○加藤委員長 志賀君、約束の時間ははるかに超過しておりますので、これ一問にお願いします。
○志賀(義)委員 あなた、頭隠してしり隠さずだ。さっきあなたは、私のほろからわざわざ書損処分ではないですかと三菱銀行の場合に聞いたときに、あなたはそこはしきりに逃げられた。大和銀行の場合には書損にしたと言われる。ですから、あなたは三菱銀行の場合に何かの因縁と申すか、いわれと申すか、それがあってタブーのように触れられないような気がしてしようがないのです、私、この委員席から伺っておりますと。それでは困りますから、確かにここに口ききがあったのかどうか。大蔵大臣は昨日、自分の友人たちは被害者であって加害者でないと信じているというふうに言われております。法務政務次官に伺いますが、このように大蔵大臣は言われましたが、それは信用してよろしいものかどうか。いかがでしょうか。
○大坪政府委員 ただいま御論議になっております事件の内容については私はまだ十分存じませんし、法務省として私どもがお答えできることは、先ほど来津田刑事局長がお答え申し上げた程度でございます。しかし、ただいまお尋ねの、昨日の内閣委員会における大蔵大臣の御発言は、私はそのまま信じてよろしいと考えております。
○加藤委員長 志賀さん、理事会の申し合わせでもうやめますから……。
○志賀(義)委員 刑事局長に伺いますが、吹原産業の株主名簿でございますね、最近の名簿、それからその前の名簿でも国会議員の名前がありますかどうか、その点をこの次に御報告願いたいと思います。 なお、先ほどキャノンビルの地下の店のことが出ました。これは吹原本人からばく大な金が出てその店の設備をしたそうでありますが、これは山陽特殊鋼の荻野社長のことから考えても、婦人に出た金でいろいろと問題が起こっております。この点についても、どういう人なのか、どこからその設備の金が出たのか、いまどうなっているのか、これは津田刑事局長並びに江口警察庁長官のほうでもお調べになれば、この事件の輪郭がなおさらはっきりしてくるのではなかろうかと思います。 とにかく銀行局長のお話を伺っても、その他の責任者の当法務委員会に特に関係のある政府委員のお話を伺っても、どうにも一つとして納得のいくことでございません。第一、支店長というものが、大和銀行にしても三菱銀行にしても、十億円という金を自由に扱わせるものは、規模の大きい市中銀行でもありません。必ず本店との連絡でやることです。根本の問題は、いまの銀行の競争の両建て、これが今度の場合は吹原という詐欺師に片建てにされてしまったということになっております。こういうところに根本の原因があるのでありますが、問題は、この事件を摘発するだけでなく、こういう不健全な金融のあり方そのもの、そこから派生してくるいろいろな刑事事件でありますから、そういう点も十分お考えの上、捜査当局もまた大蔵省のほうでも、責任を持ってこの事件を明らかにして、当法務委員会でもこれからなお質問があると思います。その点をお願いしまして、委員長、私の質問を終わります。
○加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。 次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後一時十六分散会