法務委員会 第15号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/03/19
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
○横山委員 委員長並びに大臣に議事運営に関して申し上げたいのでありますが、私ども、いま理事会におきまして本委員会の運営について十分議論をかわしたところであります。大臣も御存じのように、委員長はもちろん同僚諸君も十分御存じだと思いますけれども、本委員会はまじめに各種法案に取り組んでまいりまして、その法案の成立状況といいますか、本委員会の打ち上げ状況もきわめて良好であります。しかも審議はきわめて真摯に行なわれてきたことは各位御存じのとおりであります。しかるに、私どもが理事会において協議いたしましたのは、委員会の審議を十分に行ない得られるように法務省並びに委員長の御協力を願わざるを得ない事態がございまして、強く理事会で主張いたしたところであります。委員長はこの点を了とされまして、その所信を理事会において披瀝をされたところでありますから、これは今後の委員長の善処を強く要求をするにとどめますが、大臣におかれては、特に私が指摘をいたしたいと思いますのは、過ぐる長谷川委員の日韓交渉の法的地位に関する質問についてであります。すでに御存じのように、長谷川委員はきわめて慎重に、きわめて政府側の立場をもある程度考慮しながら、まことに真摯なる質問をいたしたわけでありますが、これに対して委員長並びに大臣のお立場というものは、まことに何と申しましょうか、一切そういうことはないんだ、そういう交渉が行なわれたことはないんだ、まだ何にもないんだということで終始をされたのであります。それについてずいぶんトラブルがございましたが、しかし、質問が終わりましたそのあくる日、各新聞、各ラジオ、各テレビは、一斉に法的地位における詳細を掲げて報道をしておるわけであります。全貌とは言いませんけれども、かなり詳細にわたって報道しておるわけであります。また大臣は大臣で、参議院法務委員会あるいは他の委員会におきまして、最も主管である衆議院の法務委員会における大臣の質疑応答の内容とは違った詳細な、あるいは違った立場において報道せられておるということは、本委員会を軽視されるもはなはだしいと私どもは痛嘆をしたわけであります。もとより新聞やラジオ、テレビ等の報道機関がどういう経路で入手をするかについては議論がございましょう。ございましょうけれども、一新聞のみならいざ知らず、あらゆる報道機関が連日連夜にわたって報道しておることについて、本委員会が何らそれを知らぬということは、これは大臣も、国家のいろいろな条件下にあるということは、交渉下にあるということは承知の上でありましょうけれども、いささかお考え直しを願わなければならぬということについて、理事会でとくとわれわれの意見を披瀝をいたしましたところ、各委員も同意をいたしました。委員長もまたこれに対して同意をされたところであります。したがいまして、これから始まります長谷川委員並びに同僚委員の本件に関する質問について、とくと大臣お考えの上御答弁されることを要望いたします。
○高橋(等)国務大臣 一言ただいまの御発言で申し上げたいと思います。新聞等で報道をせられておりますることの出所につきましては、私は十分確かめておりません。法務省からばそうしたものは出ておらないように聞いております。ただ、いろいろな詳しい——実は新聞には申し上げませんが、政府が向こうへ示した非常に詳しい内容のようなものが出ておりますので、こんなものが出てはたいへんなのだが、どうなのだというて聞いてみますと、それは非常に不正確なものだ、昔のものを練り直して出ておるというようなものも最近あったわけでございます。 それはとにかくといたしまして、ただいま御発言の、衆議院における私の答弁が非常にぶっきらぼうで、参議院において非常に詳しい発言をしておるというお話でございますが、発言の趣旨は実は一貫をいたしておるのでございます。ただ、現在交渉いたしておりまする最中でございますので、その日々の状況によりまして、申し上げられることと、そうでないことが動いておることは、御了承願っておきたいと思うのです。 なお、交渉のてんまつにつきましては、これも申し上げかねますることは、衆議院も参議院も同じでございますが、ただいまの横山委員の御発言の御要望の趣旨というものは、十分私も考えさしていただきまして、さようにはからいたいと思います。どうぞ御了承願いたいと思います。
○加藤委員長 長谷川正三君。
○長谷川(正)委員 ただいま横山委員からも御発言がございましたが、私は十六日の本委員会の質問におきまして、冒頭に法律の専門家でないという点をお断わりして、しかし、いま非常に重大なこの日韓会談につきましては、国民が非常な関心を持っておりますから、国民の素朴な感情に立ち、またきわめて平明な常識的な立場に立っても、どうしても明らかにしていただけるところはしていただかなければならぬ、こういう観点に立って御質問を申し上げ、横山委員からもいまおっしゃいましたが、私としても再三の委員長の御注意等もありまして、本委員会の運営としては、若干行き過ぎた委員長の質問に対する干渉と思われる節もあったのでございますけれども、ちょうど過去一年、文教委員会において加藤委員長とはずっとおつき合いをいただきまして、お人柄をよく存じ上げておりますので、委員長のことばの表現にとらわれずに、その善意を私はすなおに受けて、極力その御趣旨に沿うように協力申し上げ、また外交交渉のことでありますから、秘密外交でないにしても、微妙な点があるということは当然常識としても理解できるところでありますから、そういう点について根掘り葉掘り無理な追及をしたつもりは毛頭ないのであります。 ただ、十何年に及ぶ交渉の間に、経過についても幾たびか中間の発表といいますか、報道といいますか、そういうものが出てきておって、どういうところに大体問題が伏在しており、双方の意見の大筋はどういう点にあり、未解決の点はどういう点にある、その未解決の点について微妙なところを突っ込もうとした場合に初めて、その点は交渉中なのでお待ちを願いたい、答弁はひとつこの程度にしていただきたいということならば、了解できますからということで、御質問申し上げてまいったわけであります。 いまも御指摘がありましたが、私の質問した中で、いまここに速記録がございませんので的確に指示できませんから、後ほどこれを調べれば明らかになると思いますが、そのような問題についてはまだ全然討論の素材に上っておらないからというような御答弁もたしか二ヵ所ほどあったように思うのであります。ところが、翌日の新聞には、私が指摘したような点につきましても、双方の意見はこうこうで、こういう点が微妙な今後に残された問題であるというようなことが詳細に報道されておるのであります。これは私が謙虚に、法律の専門家でないというふうなことを申し上げ、そして御質問を申し上げたことに対して、軽く扱ってもいいというようなつもりでああいう御答弁をなさったのか。さらに、参議院における稲葉委員の質問等に対するお答えを見ますと、かなり詳細な御答弁が出ておるわけであります。 したがいまして、私個人はともかくといたしまして、いやしくも国民の代表として国政の審議をする最高の責任のある国会の構成員の一人として、このようなことは許せない。こういう気持ちで、私は、私自身きわめて未熟なことも承知しておりますし、委員長の御注意の真意というものもすなおにお受けしただけに、これらの事象を見まして、ほんとうに納得しがたい憤りを覚えたことを率直に申し上げざるを得ないのであります。ただいま大臣からは、他意がないというような意味の御発言があったと思いますが、この点につきましては、再度そのように、われわれが謙虚な態度で質問したことを軽く扱うというような御意思が若干でもあるとすれば、私は絶対に納得できない、許しがたい気持ちでありますので、それに対するお考えを伺いたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 先ほども申し上げましたように、衆議院においてお答えいたしたことと参議院においてお答えいたしたことは、違うことは申し上げてない、私はそういうように考えております。これはことばの使い方その他で若干御指摘のようなことがあったかもしれません。これは一ぺんよく私自身も考えてみなければいかぬ問題ですから、両方の速記を読みまして、御趣旨の点についてそういうことがあれば、私としては自分で注意せなければならぬと考えておるようなわけで、答弁はほんとうにまじめに申し上げておりますので、どうぞ御了承願います。
○長谷川(正)委員 ただいまの問題については、さらに速記録等を見て十分ひとつお考えを願うということでありますから、末席ではこれ以上に申し上げることをやめます。 それでは、先般の御答弁は非常に不十分であったということは理事会におきましても皆さんがこれは認めておるところであります。したがいまして、本日は私はまた逐条的に御質問する煩を避けまして、またその必要もなかろうと思いますので、私が御質問を申し上げ、また現在いろいろ報道されておる主要な問題というのはもう明らかでございます。永住権の問題、強制退去の問題、あるいはまた処遇の問題、処遇には社会保障的なものもございますし、いろいろな社会活動、経済活動の問題もございますし、あるいはまた教育の問題等がございます。さらにまた財産の搬出に関する問題、それから在日朝鮮人全般の国籍の問題、こういったようなことが主要な問題点でございますから、これも非常に微妙なところまで何でもかんでも明らかにせよということはあえて申しませんけれども、少なくとも現在まで双方が主張し合い、あるいは残されている部分はどういうところなんである、それに対して日本政府の方針はどうなんであるか、これをひとつ最大限に、私どもは国民を代表してここでこの問題について討議をいたしておるわけでありますから、発表し得る最高ぎりぎりのところまではここで最も明らかになるという立場に立って、詳細にひとつ御報告をいただきたい、このように申し上げます。
○高橋(等)国務大臣 ひっくるめてのお話でございますので、言い漏らしがありますれば、またお聞きを願いたいと思います。 法的地位の問題は、御承知のように、いま御指摘になったような問題が中心でございます。永住権を受ける韓国人の範囲というものにつきましては、これはまずいつまでに日本へ来た者であるかという点が一つの問題点、これはこの前の答弁で申し上げてあるとおりでございます。それからあとは、要するに終戦時ということでありますが、終戦時までに参りました人の子供その他につきまして、どこまでをこれを認めるかということが範囲の問題になるわけでございます。韓国側からいけば、できるだけこれは長く、適用範囲を広げたいという考えでございます。こちらとしましては、そんなに長くても困るんじゃないかということで、いままだ意見が一致しておらない。こういうことに御了承願いたいと思います。 それから強制送還の問題でございますが、これはいろいろと話を進めており、大体におきましては両方の歩み寄りができつつあるのでございますが、まだ最終的の合意というところまではいっておりません。若干問題がある。社会保障の問題あるいは教育の問題につきましては、最近話し合いを進めておるところでございます。まだ合意に達してはおらない。また経済活動につきましても、この前御答弁を局長から申し上げたとおりでございます。財産の持ち帰りにつきましても論議はまだ行なわれておらないのでございます。日本には日本側の考え方がございます。向こうには向こう側の考え方もあるでしょうが、論議は行なわれておらない。この前お答え申し上げたとおりでございます。 この前、この問題じゃなかったかと思うのですが、この交渉は十何年続いている交渉でございます。その長い話の間にはいろいろな話が出たと思いますが、最近いよいよ煮詰める段階におきましてこうした話が出ておらない、こういうことを申し上げておるのであります。いまの財産権の問題は……
○長谷川(正)委員 いまの御答弁は、私が先般の御答弁に対して非常に不満であるということで御質問をした、その再度の質問に対する答弁としては、私は全くこれでは誠意が認められない。いま伺っていてこういう気持ちで一ばいです。この程度のことはこの前言っているのです。これは答弁になっていますか。双方の主張がどういう主張で、どこのところが問題点で、どこから先がいま……。抽象的に、これは煮詰まっていて、まだ最後までいっていない、これは歩み寄りつつある。こういうことを聞いて、ああそうですかといって私が下がると思うのでしょうか、そうでくの坊じゃありませんよ。それなら一つ聞きましょうか。いま申し上げた項目について、韓国側の主張はこうこうこういう主張をしている、われわれのほうはこういう態度で、こういうところまでは譲ってもいい気持ちがあるけれども、向こうは納得しないので、あといまこういう点が問題になっているのだ、ここから先はちょっと今後の交渉に差しさわりがあるから発表はひとつ控えさせていただきたい、こういうふうなことであればわかりますよ。いまのは答弁になっていません。
○高橋(等)国務大臣 参議院におきましてもお答え申し上げましたのは、いま申し上げましたような範囲でお答えを申し上げておるのであります。交渉中でございますので、これ以上向こうの主張はどう、日本の主張はどう、どこまでを譲る気持ちがあるというような、いま御指摘のようなことはひとつ申し上げることを御容赦願いたいと思います。
○長谷川(正)委員 まあ、譲る気持があるというようなことまでは、場合によってはいまのように外交上そういう手のうちまで見せるということはできないという意味であるはいあるかもしれませんが、しかし、この前の質問でも、八木入管局長の御答弁の中には、経過的にはある程度具体的なお話もあったわけであります。それをもうちょっとはっきり大臣の口から私は聞きたかった。同じ永住権についても、いまのように向こうは原則的に長く、こちらはある程度で区切りたい、その区切りたいというのはどういう話が出ているのか、大体いつごろのめどということがすでに新聞等でも報道されていますね。そういうことについてはどういうふうにお考えになっているのか。韓国側は永久にと主張しているのか、そういう点は秘密外交じゃないのですから、もうちょっとここで御答弁なさってもいいでしょう。再度御質問申し上げます。
○高橋(等)国務大臣 せっかくのお尋ねでございますが、この問題についていま以上のお話は、交渉中でございますのでごかんべんを願いたいと思うのです。こちらの要求、向こうの要求というものが、いまかみ合っておる最中でございますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
○長谷川(正)委員 まるで木で鼻をくくったような御答弁で何とも納得できないのですが、この前の十六日の話も、大臣が退席されたあと入管局長に具体的に質問していった場合は、ある程度経過的なお話はあったわけです。あれも間違いだったのですか。これじゃ私は質問を続けられないのです。こういう態度では質問が一歩も先に進みませんから、この事態をどう打開するか、理事会を開いて再度協議していただきたい。
○加藤委員長 速記中止。 〔速記中止〕
○加藤委員長 速記を始めて。
○長谷川(正)委員 大臣が、ただ交渉中だからということで、ごく抽象的なことしか御答弁がなかったので、私は不満として再度御質問申し上げるわけですが、もちろん大臣が十数年にわたる交渉の経過、その中のこまかい主張点のいったりきたり、そういうことについて一人で答えるというようなことを私は要求しているのではありませんので、差しつかえない範囲でひとつ専門的なことについては大臣なり、担当局長なり、特にこの前私はこの交渉にどなたが参加しているのかということも尋ねてあって、民事局長あるいは入管局長がこれに参画しておるという御答弁もいただいておりますから、そういうほうから御答弁を願ってもいいと思いますが、そういう角度で再度具体的に御質問申し上げていきたいと思います。 まず永住権の問題につきまして、何と申しますか、開始の時期ですね。その時期の問題がどうなっているかということをこの前もお聞きしたわけですけれども、これについてどういう交渉の経過であったか、差しつかえない範囲で相互の主張点、あるいはまとまっているものなら、大体合意に達しているならこういう点で達している、こういう点でまだ達していない——具体的に伺いますと、報道によりますと、日本では一九四五年九月二日を始点時期とする、こういうふうに主張しておる。韓国側では一九四五年の八月九日とするという主張がある。こういうふうな報道をしておるのでありますが、この点はどういうふうになっているか、まずそれを伺います。
○高橋(等)国務大臣 先ほど私、その日にちにつきまして九月二十日と速記に載っておると思いますが、これは九月二日の間違いでございますので、訂正を願っておきます。
○長谷川(正)委員 九月二日で合意に達したわけですか。
○高橋(等)国務大臣 この問題は、この前の委員会でも私から御答弁申し上げたと思いますが、両方に日にちのいまお話しになったような対立があるのでございます。それをひっくるめまして、いまやっている最中でございます。これはこの前お答えしたとおりでございます。
○長谷川(正)委員 韓国側が八月九日を主張しているというふうにいわれておりますが、この点いかがでしょうか。また、その理由はどういう理由ですか。
○八木政府委員 八月九日というのは韓国側のあれでございますが、ポツダム宣言受諾の日でございます。ところが、韓国側は、実は初めのうちちょっとこの話が出ましたけれども、すぐこれをたな上げしまして、いまだに一度もその後議論しておりません。というのは、これは法的地位の協定に関する限り、あまりこの点の議論は意味がないのでございます。と申しますのは、戦前から引き続いて現在までおる朝鮮人というのが対象になりますと、終戦のときを早ければいいかおそければいいかといえば、おそいほど韓国側にとっては得なわけでございます。おそいほど、切る時期がおそいと申しますか、いまから考えれば近いほど、よけいな人がそこに入ってくる理屈でございます。ところが、別のほうの交渉、たとえば船の問題とか、そういうことになりますと、早いほど向こうは得なわけでございます。そこで韓国側の中でも、韓国代表部の中でも、この点についてはどうも意思が統一していないらしくて、必ずしも八月九日ポツダム宣言受諾の日というのを非常に強調しているわけでもございませんし、日本が降伏を宣言をした八月十五日をいっているわけでもございませんで、さればといって、九月二日というのは、正式にわれわれ日本側としての終戦の日なものですから、その日をとることは、どうも自分のほうのメンツといいますか、ちょっとぐあいが悪いというようなことを言って、これものみませんので、したがって合意ができておりません。ただ、われわれのほうとしましては、日本の法令では、終戦の日は全部一九四五年の九月二日となっておりますので、数字で日をあらわす以上は、われわれとしては九月二日と書いてもらわなければ困るというラインでおりますが、具体的にはこの点に関する議論は最近全然行なっておりません。
○長谷川(正)委員 いまのようにお答えをいただければたいへんいいわけです。よくわかりました。 次に、子孫に関して、これも原則的なお話はありまして、永久にという主張と、こちらは五年ですか、以内に生まれたところまで、この協定ができてから手続期間五年なら五年の間に生まれた子供まで、こういうような主張というふうにこの前承ったと思うのですが、韓国側のほうは、永久にじゃなくて二十年というような主張をしているということもありますが、これらに対して、現在最も正確なところはどうなっているか。
○八木政府委員 ただいまの御質問の点は、実はこの前の第六次会談のときも終始論ぜられた点でございますが、第六次会談の終わりごろ、ちょうど昨年の三月ごろでございますが、そのころには、一応の合意——というと韓国側は承知しないかもしれませんが、大体話し合いがつきかかったのでございます。そのときは、未来永劫、子々孫々というふうなことは、向こうは言わなかったわけでございます。今度も、その点必ずしも子々孫々とか永久にとかいうことを言っておるわけではございませんで、ただ親と子供の間で永住の資格が違うのは困るとか、それから、日本としては自分たちを口実を設けては追い出そうとするのじゃないかとか、そういう在留朝鮮人の不安の気持ちがあるということを非常に強調をしまして、われわれになるべく寛大な規定を書くようにということを要求し続けておるわけでございます。それから、先ほど後段にございましたいわゆる五年、これも別に五年ということがはっきりきまったわけでもございませんけれども、やはり数十万という朝鮮人が日本に在留しておりますので、これが正規に韓国の国籍に基づいて永住の申請を完了するまでには、かなり時間がかかるだろうということから、若干申請の期間を置くということについては、両方で了解をしております。そして、その期間中に生まれた子供というのは、これは普通ならば条約の発効のときまでということで切るわけでございますけれども、現に手続をまだしていない、これからしょうとしているときに子供が生れる、それが発効の日よりあとだったら永住の資格がないというのも、あまりに話が酷だというので、申請の期間中に生まれた子供までは親と同じにしようという、この点も大体了解はできております。ただ、われわれとしては、現在とっておる立場は、これはこの前もたしか申し上げたと思いますが、かつて日本国民であって、戦争中、戦後を通じていろいろ日本人と苦労をともにしたがっての日本人であるというところから、現在現に日本に住んでおるといいますか、生きておる朝鮮人、したがってその生れる赤ん坊まで含めまして、現在生きておる人間に対しては、われわれできるだけのことをしたい。しかし、それの子供ということになりますと、これは将来生まれる子供、したがって、韓国のほうから見ますと、日本の治下にあった時代とは違って、完全な一個の独立国としての韓国の人間として生まれた子供でございますから、これは一人前になったときに自分の判断で自分の地位について決定するべきものであって、それについて親がとやかく言うことはおかしいじゃないか。だから、その将来生まれる子供は、一人前になるまでは親と一緒に置くのは、これは人道上の見地からいってあたりまえのことであるから、その扱いについては親と同じに扱う。しかし、成年に達したあとのことについては、一人前の子供なのに、それについていまから規定なんかすることは意味がないというのが、一応のわれわれの立場でございます。ただ、そういうわけで、その点では非常に意見が違っておりますので、このところしばらく、議論をしても平行線をたどるばかりでございますので、最近はこの問題は全然議論をやめております。
○長谷川(正)委員 そうしますと、一応考え方として、五年なら五年がきまったわけではないけれども、こちらの態度として五年というふうな期間を設定して、いままでいた朝鮮の方で子供が生まれた場合は、その子供にも永住権を与えるというのですか。いまのお話だと、成年まではよろしい、成年に達した以降は、永住権を認めるか認めないかは、その子供の判断によるというのですか、日本側の判断によるというのですか、そこのところがちょっとはっきりしないのです。
○八木政府委員 申請期間中に生まれた子供というのはその親と同じでございますから、戦前から引き続いている韓国人と同じでございます。議論になりました成年に達するまで云々というのは、その手続期間が過ぎた後に生まれた子供でございます。
○長谷川(正)委員 この問題については平行線をたどって解決点がないので、最近は議論をしていないというお話ですが、そうなりますと、この問題をきめずに永住権についての一つの協定に達するということはちょっとあり得ないと思うのですが、どういうようにお考えになっておりますか。
○八木政府委員 御承知のとおり交渉でございますので、どこかで両方の合意する点を見つけなければならないわけでございます。どういう方法でその点が妥協できるかということは、先方もわれわれもいろいろ考えております。非常にむずかしい問題で、簡単に結論が出るかどうか、非常に問題でございますが、われわれとしても研究は重ねております。しかし、この問題は、いろいろ技術的な考慮もたくさんございましょうし、純然たる法律問題でない面もございましょうし、われわれの考えにも限度がございますので、この問題については、大臣ともよく御相談しまして、上のほうできめていただきたいと思います。
○長谷川(正)委員 いまの問題に対して最後にもう一点だけ伺っておきますが、五年というようなことをこちらの態度として主張したことがあるのかないのか。それから、伝えられるところによりますと、韓国側は、一応二十年というものをまず押えて、そして二十年たったところで、さらにその先のことを討議したいというような主張をしているというふうにも聞いているのですが、その点はどうですか。そういう状況なのかどうか、差しつかえなかったらお答え願いたいと思います。
○八木政府委員 これは交渉の具体的な内容になりますので、非常に申しわけございませんが、差し控えさせていただきます。
○長谷川(正)委員 それから、離散家族の問題については人道的な立場に立って処理したいという御答弁がこの前ありましたからよろしいのですが、強制退去の問題ですね。これはやはり非常に問題になっているところだと思います。いわゆる一般外国人の十五項目に及ぶ問題をごく数点にしぼってきているけれども、その点でまだ合意には達していない、こういう御答弁がこの前あったのですが、その点もう少し詳しく——たとえば日本側では、暴力犯とか、あるいは凶悪犯とか、麻薬犯とか、そういうものが新聞等にも報道されておりますけれども、その主張のあらまし、いままでの経過としてでもよろしいのですが、決していまの最終段階の微妙なことについてここで差しつかえのあるようなことを御発表願わなくてもいいのですが、経過の中でどういう主張が出てきているのか。前回の御答弁では、たしか具体的なこまかいことまで伺わなかったと思いますので、この点を御質問いたします。
○八木政府委員 これも前からたびたびいろいろ論議されましたりなんかしまして、項目についてはほとんど世上周知というような形になっておるようでございます。端的に申しますと、非常に凶悪な犯罪を犯した者とか、それから韓国人というのは日本にとってみれば外国人でございますから、外国人がほかの国に住んで、その国に非常に迷惑をかけるような結果をいたした場合、そういうような場合に退去させるということでございます。ただ、重いというのは具体的に何年かという問題になりますと、これはまだお互いの間にはっきり確約ができたというわけでもございませんので、いまの段階ではちょっと申し上げかねます。
○長谷川(正)委員 実はこの点、新聞にはかなりはっきり出ておりまして、麻薬犯の場合は三年以上の刑に処せられた者であるとか、凶悪犯の場合は七年をこえる禁錮刑以上の刑に処せられた者、それから外交上の利害にかかわる罪を犯した者とか、外国の元首または使節に対し罪を犯し、それが国交に不利益を与え禁錮以上の刑に処せられた者、こういったような具体的なことがすでに報道されておりますので、こういう点についてもお伺いしたいのですが、議事進行に御協力を申し上げて、この中で、内容が抽象的で解釈によって非常に伸縮が行なわれる、つまり十五項目を小さくしぼったけれども、実際は幾らでも広げられるというようなことで、不安を与えるような条項があるかないかということを心配をする向きがありますけれども、こういう点はきわめて具体的に明確に規定をしていくという方針であるかどうか、その点をひとつ伺いたいと思います。
○八木政府委員 ただいま後段にお話しになりましたような、明確にすること、これは韓国側にとっても非常な利害関係がございまして、向こうもそれを終始言っております。結局そういう形で解決されるものと思います。
○長谷川(正)委員 こまかい点は、この前だいぶお答えもありましたので省略をいたしまして、実はまだ伺いたい点がありますけれども、一番最後にお伺いしました、最終的に韓国籍を名のる著と、北のほうの朝鮮民主主義人民共和国のほうを支持するといいますか、将来そっちの国籍を名のりたいという方も相当数あるように伺っておりますけれども、一応この日韓会談がまとまった場合には、対象は韓国籍を名のる在日朝鮮人の方ということになろうかと思いますが、その場合に、そうでないもう一方の在日朝鮮人の方々に対しては、これらの項目についてどういう取り扱いになっていくのか、どういうふうにこれについてお考えになっているのか。参議院の大臣の御答弁でも、その辺に対してむずかしい問題があるような、しかし原則的にはそう違わない取り扱いをするようにしたいのだというような御答弁があったように報道されておるのですが、その点をひとつなるべく詳しく明確に、大臣からでも局長からでもけっこうですから御答弁いただきたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 この点については、この前も御答弁を申し上げました。それと同じ内容のことを参議院においてもお答えをしております。新聞によりましては、自分の主観をまじえた記事で大きく取り扱っております。私としましても非常に迷惑で、さっそく速記を取り寄せておるようなわけなんでございます。 これは、この前も申し上げましたように、日本におります朝鮮人は、終戦前から日本へ参っておりまして、日本人として生計の基礎を築いていた。これが自己の意思によらないで日本国籍を離れたわけでございます。そういう特殊の立場というものを十分に考慮をしなければならないと考えております。ただ、いま日韓交渉で韓国籍を取得した人の法的地位につきまして協定をすべく交渉をいたしております。そういうわけで、韓国との間の法的地位の協定ができましたあとにおきまして、諸般の事情を考慮し、ただいま申し上げましたような点を考えながらものをきめていきたい。要するに、こういう韓国籍を取らない朝鮮人に対する問題をきめていきたい、こういうことで考えておるようなわけで、いまここでどういうようにするか、同じにするのかどうかということをお聞きくださいましても、それはもう少し考えさせていただかにやならないが、根本的精神は、いま申し上げましたような事情というものは十分考えていきたいと考えております。
○長谷川(正)委員 それでは最後にひとつお聞きしますが、これはドイツにしましても、ベトナムにしましても、この朝鮮にしましても、今日の国際情勢の中で国が分割されておる。たいへん悲劇である。同情をすることができると思うのですが、まあ一番身近なお隣の朝鮮について、やはりこれは非常に深刻な事態であることを十分われわれは隣国の友人として考えてあげなければいけないと思うのですが、ただいまのお話で、最初に大臣のおっしゃった前提というものはたいへんわれわれも同感であり、そういうかつて日本人であった事情、そして戦争が終わって現在の事態になった事情、そして国がやはり二つになっている事情、そしてそれについて、おそらく祖国というものが一つになるということを南側も北側も一般国民としては考えておられると思いますけれども、その中で非常にむずかしい問題があると思いますが、特に最後に私が御質問いたしますのは、一応韓国とだけ、もしかりに協定ができたとすると、そのことによって、そのあとで韓国籍を名のらぬ人の処遇についてさらにどうするかということを考えたいという御答弁でありますが、その最初の前提に立って考えれば、当然そこに差別があってはならないと思いますし、また協定が成立したことによって韓国籍を名のらないと非常に不利が与えられるというようなことで、国籍を意に反して強制させられる、こういうような事態があってはならないと思うわけですが、その点について十分御配慮をなさることと思いますけれども、それについての大臣としてのお考えを最後に伺いたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 日本に居住をいたします以上は、日本の利益ということも考えてやはり協力してもらいたい、こういうことが大きな前提になることと考えのでございます。まあ、そういうようないろいろなこともございますので、いまここで同じようにするということを申し上げかねるのでございますけれども、特に韓国籍を取らすために云々するというような考え方は、政府は持っておりません。そういうことをはっきり申し上げておきます。
○長谷川(正)委員 以上で私の質問を終わります。
○加藤委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 私が質問したいことは、去る三月八日、東京地方裁判所の刑事二十二部で、神崎敬直截判官係で開かれた公判で、いわゆる国鉄入浴事件について無罪の判決がありました。これは一昨年、三十八年七月二日に起こった事件で、翌々日当法務委員会では、高橋英吉委員長以下私ども数名の委員が参りまして調査したことがあります。このことについて最初に伺いたい。あと横山委員が関連質問をされますから、きょうは簡単に伺いたいと思います。 人権擁護局長は時間がありませんから先に伺いますが、当時法務委員会で問題にしたのは、鉄道公安官が田町電車区の数名の国鉄従業員を入浴の現場から逮捕して——鉄道公安官の派出所があります。これが四百メートル以上離れたところにあります。御承知でもありましょうが、品川の旅客用のプラットホームは六本あります。その第三プラットホームを裸で、手錠をかけて連行した事件は人権擁護上問題であるということを調査の結果明らかにいたしました。当委員会にも報告を提出しております。今度の事件について、その点は直接刑事事件として問題になっておりませんが、当時人権擁護局長にも伺ったことがあります。この点について、人権擁護局としてはあらためてお調べになるお考えがございますか。その後の報告をまだ受けておりません。
○鈴木(信)政府委員 御指摘の点でございますが、まず人権擁護局といたしまして問題にいたし、調べましたのは、昭和三十八年の七月二日午後四時ごろ、国鉄職員の小泉泰男という人が公務執行妨害等の現行犯といたしまして、鉄道公安職員一の瀬善一郎らに逮捕されました。右小泉はそのとき上半身裸体で、ショートパンツを着用し、素足であったのに、この鉄道公安職員らが、他の国鉄職員による逮捕者の奪還を懸念するあまり、逮捕現場から約五百メートル離れた品川駅第三ホームの品川公安派出所まで同人を裸のままで連行し、もってプラットホームにいた彼ち合い客等多数の公衆の目に触れるに至ったというものであります。 調査の結果、右鉄道公安職員らがことさらに小泉を裸体姿で連行して同人をはずかしめようとする意図のなかったことはもちろんでありますが、右のような連行の方法は特段の事情のない限り厳に避けるべきである。特に奪還の懸念のなくなった場所におきまして、自己の着衣の一部をさいて小泉の上半身をおおってやる等の配慮が当然必要である。本件連行は被逮捕者の人権尊重について欠けるところがあったといわざるを得ない、こういう結論に達したのであります。そこで担当の東京法務局は、右鉄道公安職員らの監督者でありますところの東京鉄道公安支部長に対しまして、今後このようなことのないように部下職員を厳重に指導監督すべき旨説示をしたのであります。 ところで、今回の判決の問題になりました点でありますが、実はその点私どものほうといたしましては、ただいま申しましたようなのを新聞情報に基づいて一見したのであり、判決で問題にされた分は直接問題にいたしておりません。御指摘のように入浴中の職員の写真撮影をしたことがはたしてプライバシーの侵害になるかどうか、これは相当微妙な問題であり、刑事事件としてすでに争われており、現に御指摘のように第一審の判決があった状態でありまして、これは担当の刑事局において、さらに直接担当の検察庁においてもおそらく十分検討中のことだろうと思われますので、人権擁護機関といたしましては、問題がここまで進展いたしまして裁判手続に乗った以上、これは一応はそのほうの判断を待つのが相当であると考えておりますので、現在までは人権問題として特に取り上げるということはいたしていない状況でございます。
○志賀(義)委員 ただいまの最後のところは、人権擁護の問題として取り上げることはできない、こうおっしゃるのですか。最後のところだけがはっきりしませんが……。
○鈴木(信)政府委員 広い意味では人権の問題になると思います。しかし、人権擁護局が人権擁護に関する事案すべてを担当し、調査し、解決するというのではないのでありまして、人権侵犯事件のうち重要なものは同時に刑事犯罪になることは申し上げまるでもないことでございます。本件まさにその一例かと存じますので、刑事手続に乗った以上、公正な裁判所の判断に待つのが一応原則として妥当である、このように考えますので、現在特に人権事件としてその点を調査する必要はなかろう、かように考えておる次第でございます。
○志賀(義)委員 ただいまの御説明によって人権擁護上の問題があったということはお認めになりましたね。それで問題は、公務執行妨害、傷害事件として起訴されておったものであります。これは裁判に関することでありますから、あとで刑事局長にも伺いますが、少なくともそういう不当なことをしたのについて、当時被告として扱われた者が、鉄道公安官の越権行為に対して、これをあらためて刑事事件にすることについて——あなたのほうでこれ以上は問題にしない。明らかに人権侵害のきらいがあったということは認められた。被告として扱われた者が四、五百メートルの間を裸で衆人環視の中を手錠をかけられて連行されたという事件について、あなたのほうで問題にされなければ、被告にされた人間から、今度の裁判の範囲外のいまの連行の問題について、あらためてこれを刑事事件として取り上げることができるかどうか。その点についてはどうお考えでございますか。本人にその意思があればできるかどうか。
○鈴木(信)政府委員 最初にお答えいたしましたように、現場から数百メートル離れたところまで、品川駅のホーム、しかも公衆の面前におきましてその逮捕者を裸体姿のままで連行したという点につきましては、人権擁護上欠くるところがあるという結論を私どもは出したのであります。ところで、これが刑事事件になりますかどうかという御指摘でございますが、刑事犯罪が成立するためには、これまた申すまでもなく刑法その他に犯罪として規定されましたその構成要件を満たすことが必要なんでありまして、その範囲、それから人権尊重の点で欠ける点があるというその範囲、この範囲には若干のギャップ、食い違いがあろうかと存じます。人権侵害という範囲のほうが刑事犯罪になるという場合よりも大体においてその幅が広いというふうに考えられるかと存じます。したがいまして、人権侵害すべて刑事犯罪というわけにはいかない場合があることは当然であります。御本人が刑事上の手続をおとりになる、すなわち刑事訴訟法に基づきまして被害者として告訴をされるということは当然の権利でございます。その点から刑事手続が開始される。その結果どうなるかは刑事手続に従事する機関によってきめられるわけでありますけれども、被害者として告訴をされるということは当然できる、かように考えます。
○志賀(義)委員 裸で道中なるものかという文句もありますが、これは強制的に役人のほうがしたことですから……。しかし、あなたはお急ぎになるから退席されてよろしい。あと課長に伺いますからこれで放免します。 刑事局長に伺いたいのでありますが、今度第一審で無罪になりました田町電車区の入浴事件は、最初鉄道公安官がこれを阻止し、また私服の公安官が写真を写すようなことがあったわけです。初めは任意捜査としてやられたのか、強制捜査としてやられたのか。その点はいかがでした。
○津田政府委員 最初は任意捜査であったというふうに承知しております。
○志賀(義)委員 裸体になっている者の写真その他の証拠をとる場合は、刑事訴訟法第二百十八条に規定がございますね。私から読み上げましょう。「(令状による差押・捜索・検証)1検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。この場合において身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」こうなっておりますが、さらに第二項には「身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。」こういうふうになっております。この場合は裸の写真でありますが、令状は出ていたのでございますか。任意捜査ですから出ていなかったのでしょう。
○津田政府委員 もちろんこの関係の令状はありませんと思います。
○志賀(義)委員 そうすると、この刑事訴訟法第二百十八条第二項によって、裸の被疑者ですから令状がなければ写真撮影はできないのじゃございませんか。いかがですか。
○津田政府委員 ただいまお読み上げになりました二百十八条に関する限りはもちろんそういうことになるわけですが、本件の場合は二百十八条と関係のない捜査として行なわれたものである。しかも身体を測定したり、その写真を撮影するというこの二百十八条第二項の意味においてなされたものでないのではないかというふうに考えております。
○志賀(義)委員 それじゃ何によってなされたのですか。その点をお伺いします。
○津田政府委員 身体と申しますか、人に対する撮影の問題は、その場その場の具体的な状況によって許される場合と許されない場合とあるわけなのです。この場合の具体的な状況に照らして許されるかどうかということが本件の問題だと思います。したがいまして、先般の判決は、この場合は相当でないという結論を出したものというふうに一応考えておりますが、それに対してはもちろん異論もあり得るわけでございます。さように考えておるわけであります。
○志賀(義)委員 これは今度はプライバシーの問題が関係して取り上げられたことで各方面から注目されております。今後にもこれは重大な関係があるものと思うのでありますが、最高裁判所では、ただいま最高検のほうに判決の原本が行っているので複写ができない、返ってきたら複写して当法務委員会に提出する、これは昨日法務委員長とも打ち合わせました。そういうことでありますから判決原本によることはできませんけれども、新聞に報道されたところによりますと、裸の組合員の集まりを撮影したのはプライバシーの侵害で違法である、これをはばんでも公務執行妨害にならない、こういうふうになっておりますが、刑事局長はどういうふうにお考えでしょうか。
○津田政府委員 ただいま私のほうとしては判決文をまだ得ておりませんので、内容自体はよくわがりません。したがいまして、どういう法律上の見解に基づいて判断をしておるものかということは詳細承知いたしませんので、私としても意見を申し上げられないと思います。
○志賀(義)委員 先ほど私が第二百十八条の一項、二項を引いて申し上げましたことと関連がないように言われましたけれども、やはり裸の問題はプライバシーの問題でございますから、これにそのまま両方の事実が一致することはないにしても、相互に密接な関係のある問題でございますから、今度の判決でも特に一つの重要な柱としてこれが取り上げられたのでございます。 そこで、まだ判決の原文を得て検討してないからということでございますが、その検討の上でまた御答弁願うことにして、もう一つ伺いたいことは、国鉄の田町電車区では、車体の下に入ったり油をいじったりするため、からだがよごれるというので、午後四時からいつも入浴する規定になっておったのであります。これは規則にも取り入れられてやっていた。ところが、その後それが規則から取り除かれたものの、やはり慣行として継続していたのであります。今度の判決では、当局側がそれを午後四時半に一方的にしたというのは、鉄道公安官の報告の「検挙までの経緯」という中に「田町電車区員入浴時間は局の指示にかかわらず乱れがちであり、従来十六時頃よりの入浴が行なわれていたが、区長は十六時三十分以降入浴するよう命令し、二日当日は特に浴場表口および裏口に「区長の許可なく勤務時間内の入浴を禁ずる」旨の掲示をなすとともに、十六時を期して区長以下助役が現場において入浴のため押しかけて来る職員に対し、説得と入場を拒否を行った。」こういうふうになっております。今度の判決では、これは慣行といえどもやはり労働条件に関する問題であるから、一方的に当局の指示あるいは命令によって破棄するのはよろしくない、双方話し合いによってあらためてきめるべきものである、こういうふうに言っておりますが、この点については刑事局長としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○津田政府委員 ただいまのお話の点は、この判決の直接の問題ではないわけでありますが、その基礎となる事項である、関係事項であることは間違いないと私は思います。しかしながら、ただいまのお話のような事情にあったかどうかという点については私は存じませんので、意見を申し上げることができないわけであります。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○志賀(義)委員 あなたは判決にないと言われますが、判決理由の第一にそれがあげてあるのです。まだ判決の原文を御存じないという、原本がいま最高検に行っているということですから、これは後日検討することにして、新聞の報道の判決理由の第一は「田町電車区の職務は、車体の下部にはいるなど、よごれることの多い仕事であり、入浴は不可欠の労働条件の一つである。午後四時の入浴時間は去る二十五年から実施され、三十年四月には就業内規でもきまり、三十七年五月内規から削除されたが、その後も慣行として実施されていた。この慣行は明らかに労働条件に関するもので、国鉄当局が一方的に変更すべきではなく、話し合いで行なうべきものである。」判決理由の第一にこれがあげてあります。いかがですか。
○津田政府委員 ただいま申し上げましたのは判決に関係ないと申し上げたのではなくて、本件事実とは直接の関係がないが、その基礎たる事実になっておることは間違いないというふうに申し上げたので、全然関係ないと申し上げたわけではありません。しかしながら、その内容自体については、先ほど申し上げたように私は承知いたしておりませんので、ただいま意見を述べることはできないというわけでございます。
○志賀(義)委員 そうではないでしょう。これは国鉄田町電車区構内職員浴場前における公務執行妨害、傷害事件について、鉄道公安の東京支部からの報告でありますが、それの第七に「検挙までの経緯」ということで、事の起こりとして、先ほど読み上げたとおりのことが引いてあります、「田町電車区員入浴時間は局の指示にかかわらず」云云ということ、「説得と入場を拒否を行なった。」これが問題になっている。ですからあなたの言われるように、これはあなたが判決を御存じないから判決に関係ありませんと言われたのなら、それをすなおに取り消されたらいいので、それは前提条件にはなるけれどもこの事件の問題にはならないと言われるが、これは明らかに公務執行妨害の一つです、写真機の問題とともにあげてあるのです。だから、判決を見てないからその点は間違っておった、確かにそれが一つの理由になっております、こういうようにおっしゃってもいいのじゃございませんか。
○津田政府委員 それは判決に書いてあることと、本件の起訴事実、それに対する直接の判断とを、私は分けて申し上げたつもりなんです。本件の直接の事項は公務執行妨害、傷害に関することでございます。ただその前提条件になっていることは、私も先ほど申し上げたとおりでございます。その前提条件を判決が取り上げて説示することは、もちろんそれは判決としてやればやれることですから、その前提条件として取り上げられておるということは私もそうだろうと思います。したがいまして、その前提条件については、その内容自体を私は承知いたしておらない、こういうふうに申し上げたわけであります。
○志賀(義)委員 そうではないのです。説得を拒否して中に入った、そういう公務の執行を妨害した、そう「検挙までの経緯」の第一点にあげてあるのであります。その次に今度は「阻止に当っていた区長、助役ほか当局者数名をもみくちゃにし、戸扉、鎖錠をこわす等の暴挙に出て、うち十数名が浴場内に侵入した。」明らかにこれは公務執行妨害でやられているのです。私ども行きまして、とびらがこわされた、それから錠がこわされたというので、その現場は一緒にまいりました田中織之進法務委員が特に調べましたが、鎖錠はこわされていないのです。全然これはうそなんです。高橋榮吉委員長以下法務委員会が調査した結果、前のとおりでありますと区長は言っている。では、この鎖錠をこわしたというのはうそじゃないか、こういうこともそのときに問題になったのであります。説得と入場の拒否をやった、これを押し切って入ったということが、「検挙までの経緯」で公務執行妨害の第一にあげられているのですよ。言ったことにあまり拘泥せずに、そこはそのとおりですと認められたらいかがですか。判決理由の第一にあげたのも、これが公務執行妨害の第一にあげられているから、判決理由でそれは問題にならないということを示して、労働条件の問題だから当局は一方的にやってはいけないということの判断を下してやっているのですから、そこはあっさり訂正されたらいかがですか。
○津田政府委員 ただいま申し上げたこと、特にその事実そのものを取り立ててあげつらうわけではございませんが、公訴事実そのものは、鉄道公安職員が証拠保全のための状況を撮影しようとしたところを、暴行を加えて公務執行を妨害した、こういう構成事実です。その前提の入浴時間がどうであるかという問題は、もちろん前提の問題です。したがいまして、その前提の問題について判決が触れたのであろうということは、私どもは新聞でも承知いたしておるのですが、その前提の問題については私は内容を承知いたしておらないので、意見を申し上げられないというふうに申し上げているわけでございまして、何もこれが判決で問題にしていないということを申し上げたわけではありません。しかしながら直接の、公訴事実そのものの前提であり、公訴事実そのものではないということは、当然私どもは考えるべきことで、公訴事実の範囲内において裁判はなされるべきで、その前提条件がどうであるかということについては、もちろん情状その他の関係、あるいは公訴事実を認定する上に必要な範囲において説示されることは当然でありましょうけれども、その前提条件について私はよく承知いたしておりませんというふうに申し上げたのであります。
○志賀(義)委員 その前提条件に、入浴の時間が十六時か、十六時三十分かでもめる、こういうことはあったでしょう。それは前提条件です。しかし、当日説得、入場拒否に当たったということがあげてあるのです。そのことが公務執行妨害の第一要件になっている。今度はカメラの問題もありますが、そこのところはお認めになったらいかがですか、こういうわけです。
○津田政府委員 その点は、私の承知しているところに誤りないとすれば、前提条件ではなくて、公訴事実そのものはただいま申し上げました公安職員の写真撮影に際して暴行を加えて傷害をさせた、こういうことでございます。そこまでに至る過程においては、いろいろな事実があったことはこれはもちろんそうであると思います。
○志賀(義)委員 いま申し上げました検挙に至るまでの経緯というのはこの文書の第七項にありますが、六項の第一に「田町電車区において勤務時間規制のため六月二十四日より区長が組合側と折衝してきたが平行線をたどり実施の段階に至らず、区長は二十八日を期して実施に踏み切った。七月一日就業時間中の十六時から入浴せんとした区員を区長が制止したところ、区員は区長に暴行し腕に長さ四糎の傷害(全治一週間)を与えた。」ということになっております。私どもが参りましたのは七月四日で二日あとです。全治一週間の傷を負ったのは腕のどこかといって、腕をまくらせて見たところが、あとかたもないのですね。そこでさすがに気がひけたのか、これは暴行傷害事件には向こうもあげておりません。しかし、私が申し上げるのは前提条件とあなたは言われるけれども、これは労働時間のもんちゃく自体は前提条件だけれども、今度の特に犯罪といわれるものは、カメラを奪い取ろうとしたこと、それからもう一つは公安官に傷害を与えたこと、こういうことが公訴事実にあらわれているのです。しかし、私が言うのはもんちゃくのことでなくて、そのこと自体全体として見た場合に、これを拒否したということは判決理由にも出ている。それをあなたは判決に関係のないことだと言われる。そこを訂正してくださいと言うのです。これは前提条件にはなっているけれども、判決自体に関係のないことだと言われる。最初に言われたそれは取り消されたらいかがですかと言うのです。
○津田政府委員 判決自体に関係がないと私は申し上げたわけではありません。本件公訴事実の判断すべき事項とは関係がない、むしろ前提条件だ、こう申し上げたのです。判決に書いてあれば関係があることは当然のことですから、判決自体に関係ないというふうに申し上げたつもりはありません。もしそういうふうにお聞き取り願ったとすれば、私の言い違いか、お聞き取り違いかどちらかになると思います。
○志賀(義)委員 それはあなたも冷静に速記録を見てください。あと横山君の時間がありますからもう一つ申し上げますけれども、暴行を受けたということについての裁判所の判断は、「被告たちが暴行、傷害を積極的に行なったという証拠はない。また、公安員は三週間のけがをしたというが、公安員の医師に対する供述は著しく誇張したものと認められ、実際の負傷の程度は非常に軽微だっと認めるのが妥当である。」こういうようにいっております。検察当局はこの点についてどういうふうに判断されたのでしょう。
○津田政府委員 その点につきましては、被害者たる公安職員は治療三週間を要する胸部挫傷等の傷害を受けたということで、診断書によって起訴したというふうに承知いたしております。
○志賀(義)委員 最後に伺いますが、カメラを強奪しようとしたということがありますが、先ほどの七の「検挙までの経緯」の中に「また被疑者佐久間は、同公安員のカメラを奪取せんとして右手でカメラを叩いた。」というのです。カメラをたたくことが奪取することになりますか。これは撮影を拒否する行為ですよね。すべてこういうことで公務執行妨害、傷害事件について、非常に誇張したことでこれが起訴され、事件になり、およそ一年半以上もこういう事件が長引いておる。これは被告にされた者はとんでもない迷惑であります。こういう点について、検察庁が鉄道公安官の一方的な報告に基づいてやられるということは、非常に不当な行為であると思うのでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えでございましょう。
○津田政府委員 公訴事実によりますると、証拠保全のため撮影をしようとしたところ、被告人らは外十名くらいと共謀の上、私服がカメラを持っている、取っちまえなどと怒号しながら、同人が持っているカメラの皮ケースを引っぱった、こういうことになっております。それが公訴事実でございますので、さような事実の証拠がありとして起訴したものというふうに私は承知いたしております。
○志賀(義)委員 私どもが調べたのは、カメラを取っちまえと言ったということを言われますが、公安官の東京支部の方に、調べてみたら、そんなことを言った者は一人もない、写真をとらせるなと言ったのです、こう言うのです。そういうことであります。 それで、ただいままだあなたのほうでは判決原本をよく御存じないようでありますが、最高検にあるそうでありますから、検討されていいことだと思いますが、これを局長のほうでもよく御研究になって、この次あらためてこの問題について質問することにいたします。私はきょうはこれで打ち切っておきますが、あらためて質問する、こういうことを委員長にも御了承いただいて、終わります。
○大竹委員長代理 承知いたしました。 横山利秋君。
○横山委員 大臣お疲れのようですから、いままた桑名課長からちょっと聞いていらっしゃったようですから、ごく十分かそこらで終わりたいと思います。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 私がこの法務省所管の精神病院であります更生保護会の関係の愛慈会を取り上げまして、すでに一年有余になるわけであります。御存じのように、わが国唯一の刑余者の精神病院でありますから、法務省としては常に監督行き届いておるはずでありますが、不幸なことに、その精神病院の管理者が、お互い同族でありながら、まさに気違い以上のような争いをしておるわけです。しかもそこへ国会議員が理事長でありますから、世の指弾を受けております。いまここには、患者も従業員も減ってしまいました。減ったのは、争いの一方の当事者が近くに気違い病院をつくりまして、引き抜きをしたからであります。それに対して法務省は英断をふるわれて、その院長を首切りなさいました。これは英断だと思います。ところが、英断が底が抜けておりまして、その奥さんが事務員なんでありますから、引き続きさいふをきちんと握っておったのであります。こういう底の抜けたようなことを法務省はおやりになっておって、次いで、自分のほうには手に負えないというので、厚生省に仕事をおまかせになりました。厚生省がまた手を引いて、今度は古谷という、こういう問題の協会の会長が手がけていらっしゃるわけであります。それでも一向解決はいたさない。いま従業員はたしか五十五人だと記憶しておるわけでありますが、八十人が五十五人になり、二百三十名内外おりました患者は百六十三名に少なくなり失した。従業員は平均年齢で三十五、六才でありますが、それが平均給料、驚くなかれ一万六千七十円であります。三十五、六才で一万六千七十円、どうして一体これで食えるだろうかと痛感をするわけであります。私は、一刻も早く円満に解決して再出発をされるように、そして両当事者を下がらして、公平な第三者が、わが国唯一のこの精神病院、しかも法務省の指導監督下にあるものを一刻も早くと言うておるわけでありますが、何としたことか、法務省の不手ぎわ続き、あちらに頼んだり、こちらに頼んだり、不手ぎわ続きで、いまもって解決をしません。私が質問するたびに、まあこの国会中には、今月中には、来週中にはと、何回聞いたかわからないのであります。前の臨時国会で、法務政務次官は、口をきわめて、まかしてもらいたい、この国会には必ずやる、必ず解決して御心配をかけないようにするとおっしゃったのでありますが、じんぜん日をむなしゅうして、いまや一年になります。かくのごとき状態は、私は醜態だとすら痛感をするわけであります。 そこで、最近聞くところによりますと、一部には、法務省は認可を取り消しにしたらどうかという声があるやに聞いております。もしそれが本気に言われておるとするならば、まことにこれは法務省の大黒星だと思います。一年間、法務省が厚生省に頼み、それから今度は協会に頼み、それもだめだから今度はもう取り消しをするということがまじめに考えられるとするならば、一体、指導監督の責任いずれにありやと私は痛感をいたします。 私は、時間の関係上、言うことだけ全部言ってしまって、大臣の御意見を伺いますが、前の累次の委員会でも言いましたように、ようつぶれぬでやっておるなあ、なぜつぶれぬかといいますと、働いておる職員の諸君が、とにかくその意義に徹して、引き抜きはなるべくやめてくれ、自分たちはこれを守ろうというわけで、あそこの愛慈会はまさに働いておる人が宝で、ほかには何の魅力もないと考えるのであります。だって、いい機械があるわけではなし、いいお医者がいるわけではありません。精神病院というのは、私が言うては恐縮でありますけれども、そんなにいい薬や機械が要らぬのであります。要するにそこに働いておる人が宝だから、この人たちの気持ちをくんで措置をしてやりなさいと言いましたら、保護局長は、全く同感ですと本委員会で答えられました。また、昨年の八月並びに九月、二回にわたって理事者側と職員組合側の間に協約が取りかわされまして、そして再建の方途について話し合いが行なわれ、妥結に至っておるわけであります。この協約も、何らと言っていいほど実行がされていないのであります。ベースアップも、いま申しましたように、三十五、六才で一万六千七十円、見るもむざんな話であります。 私はこの際ひとつ、先ほども廊下で法務政務次官にお願いしたのでありますけれども、大臣が人にまかせないで——私は本来、役所が前面に出るというのは好ましくないとは思いますけれども、事ここに至れば、やはりだれにまかしても、法務省の責任を転嫁することももうできないから、ひとつ大臣が法務省の黒星にもなりそうなこの問題について、直接采配を振られて、一刻も早く協約の実行並びに新理事会の公正な成立、そして一万六千円で働いておる人たちの今日までの苦労に報いてやるというふうに、責任を持って履行してもらいたい。やってやってもらいたい。これは私、いろいろ申し上げたいが、もう何回も申し上げておることでありますから、直接大臣のお答えをいただきたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 愛慈会の件につきましては、当委員会でも私、御質問を受けまして、いろいろと御意見も承り、お答えもいたしたわけであります。法務省としましても、私も非常な関心を実は持って、たびたび部下を督励いたしております。が、どうもその内容が、非常に紛争に紛争を重ねまして、先ほど御指摘のように、病院の責任者あるいは主幹の両名をそこから出す、解任命令を出すというような事態まで起こった。そこで口頭ではありますが、法務省としまして事態の収拾改善につきましていろいろと指示をいたしております。今月の二十一日に、いまこの病院の経営の責任の代行をいたしております古谷さんから、実はその正式な回答がくることになっております。それを見ました上で、私としましては、必要があれば書類による改善命令を出したい、こういう考え方を持って進めております。この施設自体は非常に魅力のある、また法務省としまして毛精神障害者に対する対策としては非常に意味のある施設であると考えて、これを認可し育ててまいるということをいたしておったのでありますが、最近ではわずか二名の精神病者の委託保護をいたしておる状況でございます。常時委託保護の人は六、七名程度というような状況が多いようでございます。何とかしてこれを育てていきたいという気持ちには変わりはないのでありますが、このように施設が常に紛糾に紛糾を重ねてまいりますことは、これは委託をしておる側におきましても、御指摘のように、考えなければならない重大な問題でございます。欠陥があるのです。そこでいま申し上げましたように、二十一日の回答を見ました上、必要があれば書面による改善命令を出すということを考えております。常に改善、立て直しについて努力を続けてまいっておりますが、いまそういう措置までやらねばならないんじゃないかという考えをいたしておるようなわけでございます。
○横山委員 少なくとも本件については、大臣よりも私のほうが詳細に承知をしておるわけでありますから、あえて苦言を呈しますけれども、大臣は二十一日まで待ってうまくいかなかったら改善命令を出すという、第三者的といいますか、超然たる監督者的な立場でお話しになりますけれども、事態はそうではないのであります。私が昨年春お話をしまして以来、法務省はまん中に割って入って、だいぶどろにまみれて仕事をしているわけであります。そして厚生省に頼み、古谷会長に頼み、その中で自分も一緒にやっておるわけであります。自分も一緒にやっておる人間が、いきなり超然として、うしろに退いて、書面を出して、いけなければ——大臣はそういうことをおっしゃらないですけれども、取り消しだ、そういうことは無責任だと私は思うのです。私は、改善命令を出す以前に、法務省がほんとうに責任を持って自分で処置しなさい、こういうことをすすめているのです。 それから大臣にお伺いしたいのですが、それはおっしゃいませんでしたが、まさかいまごろになって、もうおまえら言うことを聞かぬので取り消しだということは、法務省としてはおとりにならないでしょうね。その点を伺います。
○高橋(等)国務大臣 法務省としまして、この中に入っていろいろとやってまいりましたが、要するに、理事者関係あるいはその会の運営者の関係等がどうも思うように動きません。そういうことで実は最終的の腹をきめておるわけなのでございます。改善命令を聞かない場合にどうするか、あるいはこれを取り消すかどうかということにつきましても、あわせて考究をいたしております。いまここで取り消すとかなんとかいうのでなしに、むしろ立て直しの方向へ努力をしたいというつもりでおります。どうしてもいけない場合、こうした施設をいつまでも置いておくべきではないという考えでおるのであります。
○横山委員 重ねて申しますが、法規上はそれは許されます。許されますけれども、もしそういうようなことをおやりになるといたしましたならば、法務省からも責任者を出してもらわなければならぬ、私はそう痛感いたします。法務省が今日までとられた態度、その欠陥というものはとくと私は承知しておるのですから、もしも取り消しをなさるということであるならば、私は断固として法務省から指導監督上の責任者を出してもらいたい。私はあえてそれを申し上げておきます。しかし、大臣もそれは好ましいことではないとおっしゃいますので、お願いしておきたいのでありますけれども、短期間の間にひとつこの問題の解決をはかっていただきたい。きょうは時間がございませんから具体的には申しませんが、先ほど桑名課長のところへ協約の履行その他について私の承知しておる限りの意見を申し上げておきました。あとでお聞きくださって、法務省として責任を持って前向きの解決を一刻も早くされることを、特に大臣直接おやりになることを要望して質問を終わります。
○加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。 次会は来たる二十三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時四十七分散会