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48回国会衆議院1965/02/19

法務委員会 第6号

発言数
38
登壇者
5
会派数
2
開催日
1965/02/19

会議録

加藤精三自由民主党

○加藤委員長 ただいまより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 本日は白鳥事件で有罪で実刑に服しております村上国治の母親、本人は八十二歳でありますが、病気になっておりますから、数日でもよろしいから刑務所から出していただいて、一目でも面会だけさしていただきたい、こういう問題が昨年来起こりまして、いろいろ検察庁並びに関係当局に対してお願いをしているわけでありますが、まだその許可がないわけであります。願わくは許可の御配慮をお願いしたい、そういうことを含めまして若干御質問を申し上げたいと思います。  白鳥事件というのは御存じのとおりでございますが、首謀者である村上国治は一昨年の十月、最高裁判所におきまして懲役二十年という長期の刑が確定をいたしまして、現在網走刑務所に服罪しておるものであります。あとでも申し上げますが、模範的な服役の態度でおります。  この村上国治には一人の母親せいさんがおられまして、この方は愛するむすこの帰りを待ちわびて、裁判中十三カ年間裁判所に通い続けて、当年八十二歳になる方であります。この方が一昨年から病気になりまして、ことに昨年の十二月の中旬から糖尿病、脳軟化症、高血圧、胃かいようのため病状は悪化をいたしまして、昨今は食事もできず、目が遠くなりまして人の見分けもできないという重態におちいっておるのであります。この母親は、むすこが十三年間裁判に服している間、傍聴その他に心配して通い続けていたものであります。この村上国治はこの十三年間、保釈としての願いもありましたが、できずに、十三年間ずっと勾留が続いたまま裁判に服して、そして二十年の刑が確定しましたから、そのまま網走刑務所に入ったので、拘置所における面会等は数年前はいたしましたけれども、いわゆる社会におけるところの親子の対面等は十三年間、その後服役したのを加えますと、十五年間会うことのできない身分にあったわけであります。  そこでこの村上を刑務所から、何でもお母さんは北海道の農協の病院に入院しているそうでありますが、そこまで執行を停止していただきまして、会うだけでもよろしいからぜひお願いしたいというので、いわゆる人道上の問題からしてたくさんの人が共鳴しておるわけであります。ことに文化人、学者の方々も、いまその名前の記録いたしましたのを私、手元に持ちませんから、だれだれとあげることはできませんけれども、学者、文化人の方々も同情されて、面会させることに非常に人道上の問題から同情しておられるわけであります。先ほど申し上げましたように、村上の裁判というのは全然否認した事件でありまして、否認のまま最高裁判所までまいりまして、第三審における刑が確定したわけであります。確定いたしました囚人でありますから、その自己の犯罪については断固として白である、無罪であるということを確信いたしますけれども、しかしながら、懲役二十年が確定した以上は、やはり法の前にはそれに従わなければならないという非常にけなげな考えを持っておりまして、網走刑務所に服罪いたしました以後は模範的な服役の態度でありまして、自己の信念は信念、法に基づいて処断を受ければ、その法のもとにおいては、自分はあくまでもそうではないと思っても、法には服しなければならぬ、こういう態度で実際服役しているような態度であります。こういうような関係にございますから、また文化人、学者等もともに人道上ぜひ会わしたい、こういうような関係にございますから、いわゆる巷間にいわれる逃亡その他の心配はないと思うのでありまして、検察庁におきましても、われわれも最高検までお願いに出たわけでありますが、まだその許可がないわけであります。早くいたしませんと、この病気が、いつ死ぬかもわからぬ、こういう状態でございますので、この点についてどういう御方針でございますか。ぜひひとつ人道上の問題からして許可していただきたいと思いますが、いまだに許可がないことについて何か理由等がございましたら、ひとつ御説明願いたいと思います。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ただいまお尋ねの村上受刑者につきましての拘置の状況は、ただいまお尋ねのとおりでございまして、本人の現在の状況、現在と申しますか、およそ本月現在におきましては残刑期は約十二年四カ月でございます。同人の母親の病気に関しまして刑の執行停止の申請がなされております。現在までの報告によりますると、第一回は一月十四日、本人から釧路地検網走支部検察官に対しまして、第二回は一月二十一日、本人の姉及び弟から検事総長並びに札幌高検検事長、第三回は本人から札幌高検検事長にそれぞれ刑の執行停止の申請がなされております。第一回の申請に対しましては、一月十六日網走支部長検察官から網走刑務所等を通じまして本人に刑の執行停止を認めない旨を通知いたしております。第二回、第三回の申請に対しましても、同様の刑の執行停止を認めない旨の通知をいたしております。この通知いたしました理由につきましては、すでに参議院におかれましても御質問がありましたので法務省といたしましては、法務大臣のもとにおいてその理由等を調査いたしました。その理由は、本人について逃走のおそれなしと判断することはできないということが理由でございます。  もちろん本人の近親者の病気等の場合に、絶対に刑の執行停止がなされないということはないわけでございまするけれども、刑の執行は、確定判決に基づきまして行政機関に命ぜられておるところの義務でございますので、逃走によりまして刑の執行ができなくなることは、刑の執行自体と相矛盾することでありますので、逃走のおそれある場合は、かりにその他の事情がございましても、やはり刑の執行とそれから本人のそういう事情ということの均衡上刑の執行停止を認められない。したがいまして、いままでの検察庁のいたしましたところの刑の執行停止を認めないという処分は相当であるという結論に達しております。  なお、検察官がいたしましたこの執行停止を認めない措置に対しましては、本月三日、村上本人から札幌高等裁判所に異議の申し立てをいたしておりますので、この裁判におきまして、いずれこのことは、どういう形かこれはわかりませんが、審判の対象になるというふうに考えております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 異議申し立てに対する審判は、これは裁判でございますか、何ですか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ただいまの異議の申し立てば刑事訴訟法の五百二条によるものというふうに一応考えられるわけでございます。本人の意思はわかりませんが、一応五百二条によるものというふうに私どもは解釈をいたしております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 ただいまのお話によると、逃亡のおそれがある。その逃亡と近親者の人道的な問題との均衡上の関係で、逃亡のおそれがあるというのが強い、したがって許可しない、こういうようなふうに承ったのですが、逃亡のおそれがあるという理由はどういう点でございますか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 逃亡のおそれがあると認められる理由につきましては、これはもちろん諸般の事情によることでありまするが、しかしながら、そのうちの顕著なものといたしましては、本人が過去におきまして三回逃亡を企て、また一回保釈中に所在を不明にいたしております。こういうようなことは一つの顕著な理由にはなっております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 顕著な理由といいますと、大体こういう点だということに了解してよろしゅうございますか、そのほかにまだあるのですか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 諸般の事情はもちろん参酌しておるわけでありますが、顕著な理由はいま申し上げた四つの点であります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 諸般の事情といえば、具体的の問題があるかないかわからない。そういうカバーするために権力者が諸般の事情ということを——権力者といっては語弊がありますけれども、いろいろ許可なんかしたくない場合には諸般の事情ということでおっかぶせるようなことをやる。これは私は理由がないと思うわけであります。そうしますと、結局過去三回逃亡を企てたとすれば、また保釈中の何ですか、それがあった、これが主ではないかと思いますが、そのとおりでございますか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 さようにお考えいただいてけっこうだと思います。

加藤精三自由民主党

○加藤委員長 ちょっと速記停止。   〔速記中止〕

加藤精三自由民主党

○加藤委員長 速記を始めて。

津田實刑事局長

○津田政府委員 それでは全部を申し上げますと、諸般の事由と申しますのは、検察官が考えているいろいろな徴憑と申しますか、そういうもの、これは一々御説明申し上げることはできませんので申し上げませんが、ここに顕著な理由として先ほどあげました四つの理由につきましては、もちろんそれが主たる理由であると思います、そういう意味のお尋ねだったと存じましたので、それが主たる理由とお考えいただいてけっこうでありますと、こう申し上げたわけです。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういたしますと、もう言えないいろいろの小さいものがあっても、その主たる理由というのが解決し、また当局のほうで御了解いただければ許していただける、こういうことになりましょうか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 これは本人についておりますところの事柄でございますので、本人が過去においてこういうことがあった、したがって逃亡のおそれがある、こういう判断でございます。これが解消するということは、また別個のいかなる理由が出てくるかそれはわかりませんが、もちろんそういうことが全然解消すれば、逃走のおそれという問題はもう解消する、理論的にはそういうふうにいわざるを得ないと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでお尋ねしたいのは、過去三回逃亡とか、保釈中の問題は、これは白鳥事件はいわゆる検察官のでっち上げの事件であるからというので強力に否定した事件でありまして、その十三年にわたる長い裁判中のことであります。しかしながら、ここに村上は懲役二十年の刑を受けまして、そうしていま網走刑務所では模範的な服役態度に変わっておる。そういう点を考えますと、いま言われましたところの裁判中における逃亡のおそれがあるということはもうすでに解消しておるのではないか、幾らか参考にはなりますけれども、解消しておるのではないか、こういうふうに考えられますが、御所見はいかがでございますか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 その点は、検察官並びに法務省の判断といたしましては、なお解消していない、こういう判断でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこで「白鳥事件犠牲者村上国治君を重病の母に一目逢わせる事を要請する運動に御協力下さい」、これには「白鳥事件の首謀者ということで一昨年十月最高裁判所において「懲役二十年」という判決を受けた村上国治君は、さいはて酷寒の網走刑務所において強制労働に服しています。」その前にちょっと、この運動に御協力くださいという発起人の方々は、浅草寺の権大僧正網野宥俊氏、作家の阿部知二氏、自由人権協会理事長海野晋吉氏、民芸の宇野重吉さん、その他同志社大学教授田畑忍博士、評論家の中島健蔵氏、元東大総長の南原繁博士等々ここにあげてございますが、こういう方々の発起になる運動協力の願いの文書であるわけであります。続けますと、「愛する息子、国治君の帰りを待ちわびて十三年、裁判所に通い続けた八二才になる母、せいさんは昨年から病気のため度々入院していましたが十二月中旬には糖尿病、脳軟化症、高血圧、胃潰瘍のため病状は日一日と悪化し、昨今は食事もできず、人の見分けもできないという、重態に陥っています。このときに当って、村上国治君を一目だけでも病母のもとに帰し、逢わせたいというねがいは、すべての人々に共通した人道上の問題であると思います。とくに白鳥事件の場合、その判決に疑問がもたれ、再審による裁判やり直しの準備が進められていること、今まで十三年間一度の保釈も許されていないということ、網走刑務所における村上国治君の模範的な服役態度などを考え併せるとき、このねがいは、また当然のことであるとも考えます。ここに各界を代表する多くの方々の御賛同を得て、関係当局に要請をおこないたいと考え、先生の御協力を賜りたくおねがいする次第です。何卒趣旨御諒承の上、ご署名下さり、御送付下さるようおねがい申上げます。昭和四〇年二月」これによって、これが方々に出されまして、いまたくさんの方々がこれに協力をしておられます。具体的に何名ということは私、いま存じておりませんが、相当多数の方々が協力しておられるわけであります。  そこで私お尋ねしたいことは、裁判中はたとえそういうようなことがありましても、現在服役をして——もちろん否認した事件で、本人は不服でございましたでしょう。しかし、実刑が確定した以上は、刑務所に入って服役をしなければならぬ。その服役は模範的にやっておる。そういう本人の態度と、それから外からこういう学者その他の知名人の方々のぜひひとつ一目会わせてくださいという人道上の守りがあれば、いかに村上といえども逃亡等は決してできるものじゃない。本人自身のその判決の前に服しておるところの態度からいたしましても、さらに周囲の方々の、日本では最も有名なこの多数の方々の人道的のお力添えによって、数日間執行を停止して出されても、これは絶対逃亡のおそれはない。私はここに皆さん方を代表してとは失礼だし、またおこがましいことでありますけれども、絶対逃亡等のおそれはないと、私もここに確約し、断言しても差しつかえない、こういうふうに考えるわけですが、これでもやはり逃亡のおそれがあり、そういうふうにお考えでございますか、御所見を承りたいと思います。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ただいまの御書面はもちろん前にも見たことがございます。したがいまして、このような方々がさような主張なり運動をなすっておられるということも承知いたしております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、検察官並びに法務省の判断といたしましては、外部でいろいろ主張なり援助なり協力なり、あるいは御意見なりございますことは十分参酌をいたしまして考えましても、先般きめました逃亡のおそれのあることを主たる理由とする刑の執行停止の措置を認められないという主張は変えられないという判断をしておるわけであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 それはいつごろの御判断でございますか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 二月六日でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでもう一つ、これはちょっと申しおくれましたが、執行停止を許さない理由に、村上が以前共産党のキャップであったというような点は、逃亡のおそれとか、あるいは執行停止を許さない、その理由にはなっておりますか、おりませんか、その点いかがでございましょう。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ちょっとお聞き漏らしましたが……。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私、その地位はよくわかりませんけれども、共産党員であり、その共産党の中の役員なんかもしていた、そういうような関係もあって執行停止を許さないという理由になっておるかどうか。また加えて、逃亡のおそれというのは、やはり以前共産党に入党し、共産党員であった、またその役員をしていたから逃亡のおそれがあるというふうに見ておられるかどうか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 本人が共産党の役員であったというようなことと、ただいまお尋ねの点については、何らその点は考えておりません。そういうことを根拠にいたしていることはございません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私はこれで質問を終わりますが、二月の六日といいますと、もう日数も相当たっているわけですが、この点について私るるここで申し上げましたような点を勘案されて、法務大臣におかれてなお御再考を願いたいと思いますが、大臣おられませんから、政務次官ぜひひとつ再審査と申しましょうか、御考慮を賜わりたい、こう思うのですが、その点はいかがでございましょうか。

大坪保雄自由民主党法務政務次官

○大坪政府委員 重ねて私に対するお尋ねでございますが、この件は、先ほど来刑事局長が御答弁申し上げましたようなことで、本人の人柄について判断をいたしまして仮出獄は認めない、こういうことに結論を出しました。その後、その決定をいたしましてから二十日ほどの日数がたちますけれども、本人の人柄に関してそういう結論を出したわけでございますから、この点は変えられないかと考えております。  ただ、ただいまのような名士の多くの方々の署名による嘆願書等もあることについて坂本委員からるるお話がありましたことは、私から大臣にはお伝え申し上げたいと存じます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 ぜひひとつ法務大臣にもお伝え願いまして——また細迫委員からも御質問があると思いますが、大臣におかれても、ぜひひとつ御再考を願って、逃亡等の点については、われわれも保証したい、こういうふうに思いますから、ぜひひとつ御再考をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

大坪保雄自由民主党法務政務次官

○大坪政府委員 重ねての坂本委員のお話はよく伝えることにいたします。ただ、先日参議院においても岩間委員から同様なお話がございました。そのことを私、法務大臣にも伝えましたような事情でもございます。その際法務大臣の気持ちとしても、いまそれを変更しなければならぬような情勢の変化があるとは認められない、こういうような意見でございました。この点だけをつけ加えてお答え申し上げたいと思います。

加藤精三自由民主党

○加藤委員長 細迫兼光君。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 刑事局長にお尋ねいたしますが、まずさっき坂本委員からいろいろ著名な責任ある人々が一目母親に会わせるために村上を執行停止にしてもらいたいという運動に参加していることをお伝えいたしましたが、なお北海道の村上の出身地の比布町の町長、旭川の市長なども身元引き受けをする、断じて逃亡なんかさせないという保証をしようと申し出ておられます。これらのこともあわせ御報告くださって、ぜひ御再考を願いたいと思うのです。  なお一つ、逃亡のおそれありということを解消する方法がなきにしもあらずと思いますので一言申し上げておきますが、昭和三十年に起こりました宮城県の気仙沼における絹子ちゃん殺しという事件の犯人として捕えられた千葉忠というのが、懲役十五年の確定刑で宮城刑務所に服役しておったのでありますが、これも同じく無罪を叫び続けておった人でありますけれども、昨年、すなわち三十九年十月、母の危篤のために母に面会を希望して、その希望が事実上かなえられた例があります。その方法も、必ずしも執行停止というのではないのでありまして、すなわちお役人のかたい考えからいうと、執行停止といえば刑の執行から解放するという手続でありましょうからそうしなくてはならぬ、こうかたく解釈をせられるかもしれませんけれども、事実上一目死に目に会わせてやりたいという人道上の目的を達する方法は、必ずしも完全なる執行停止、執行からの解放という手段でなくとも、この千葉忠に対しては、検察庁の車によりまして、午後六時から午後九時まで母に会わせて、人道上の法の涙を実現させておる例があるのであります。だから、看守もつける、あるいは逃亡を防止するための諸般の処置をとるというような方法によって、人道上の同情を示す方法もあると思うのであります。こういう逃亡のおそれを防除する方法も考慮勘案、実行しながら、この人道上の涙を実現してやるということも考えられないじゃないと思うのでありますが、もう一度大臣にもお伝えくださって、法務省のお考えを、積極にしろ消極にしろ結論を出すような方法をとっていただくことはできないかと思うのでありますが、御意見いかがでございましょうか。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ただいまのお尋ねの事実に該当することは、ほぼお尋ねのとおりの事実がございます。正確に私どもが調査して承知いたしておるところによりますと、ただいまのお尋ねのとおり、この問題の受刑者につきましては、刑の執行停止をした事実はございません。ただ、同人に関する事件捜査のために、宮城刑務所から気仙沼の警察署に移監いたしました際に、入院中でありました母親が危篤であったために、警察官が母親の入院先に同行をいたしまして面会をさせた、その時間はおよそ三十分くらいであります。そういう事実があるように、調査の結果承知いたしております。このことは、もちろん正式には何ら了知しないことで、あるいはその捜査のために身柄を移監した際の措置として、現地警察官のはからいによって行なわれたことであると思われるわけでございます。  したがいまして、このことは法規上示されたことでもなく、またさようなことを現在の法規のもとに公式にできるという性質のものではないと考えております。したがいまして、具体的の場合場合によって若干そういうことが行なわれた事例は他にもあるように承知いたしておりますけれども、これあるがゆえに、必ずさような措置をはからなければならないというふうに考えることは、法規を尊重するたてまえ上非常にむずかしい問題であるというふうに考えざるを得ないわけでございまして、具体的の場合場合によっては、あるいはそういうことが行なわれて、しかもあとで問題にならずに済むということはあり得ると思いますが、大体その程度の事柄として過去のこの事実を理解しておるわけでございますので、そういう事実があるということも十分法務省としても承知はいたしております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 それですから、必ずしも執行停止という処置によらない方法でもということをもう一応御相談願いたいと思うのでありますが、相談してみようかという心持ちがあるかどうかを承りたい。

津田實刑事局長

○津田政府委員 ただいま申し上げましたように、このこと自体は法規によらないことでございますので、これは一般の指揮あるいは指示としてさようなことをせよということは、法務省あるいは上級検察庁としてはできないことだと私は考えます。しかしながら、具体的の場合場合に応じてかようなことが過去において行なわれたことがあり、それが問題にならなくて、またあるいは一部関係者からは喜ばれたという事実は存在することは十分認めますけれども、これを指示して行なわせるというようなことに該当する事項とはどうも考えられないと思っておる次第であります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 だから法には涙ありということもあるし、人民のための法でもございますから、そういうようなうまく法の運用と申しますか、行政措置の運用によって非常に喜ばれる、そういうことをさせたこともございますから、この村上についても逃亡等のおそれはないと思いますから、何かそういうふうな、大臣が命令するのではなくて、行政的法の措置によって、運用によって、何とかひとつ三十分でもけっこうでございましょう。それから網走から病院までは北海道の汽車に乗れば五時間もかかるそうですが、あるいは大臣の御配慮によって一これは私のいまの考えですが、ジープ等の利用によって、一日かかれば行けるという問題でありますし、母親が面会に行ったらどうだという話もあったわけですが、母親が面会に行ければこの問題は起こりません。絶対動かせぬものですから、そういうような行政措置の御配慮で連れていって、一目だけ会わせてやってもらわぬと、これは法の峻厳というよりも、法の前にはみんな従わなければならぬという——村上もまたいよいよ最高裁で確定したから、網走の刑務所では模範的なことをやっているし、ここに一目死に目に会わせてもらったのだろうということは、一億日本国民がひとしく喜ぶことでもあろうし、ますます法の前には従わなければならぬ、こういう観念も呼び起こすのじゃないか。こういうふうにも考えますから、ぜひひとつそういう点から、私は主として執行の停止ということを申し上げましたけれども、細迫委員の申しましたのは、行政運用の面もございますから、双方ぜひ御勘案を大臣にお願いしたい、こう思うわけです。その点をひとつ政務次官、局長からぜひ大臣に御進言と申しますか、御協議、お伝え願いたいと思うのですが、いかがでございますか。

大坪保雄自由民主党法務政務次官

○大坪政府委員 承りました。

加藤精三自由民主党

○加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は来たる二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十二分散会

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