農林水産委員会 第22号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/04/01
会議録
○坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 昭和四十年度畜産物安定価格に関する畜産物価格審議会の答申及び告示価格について、説明を聴取いたします。桧垣畜産局長。
○桧垣政府委員 先日の当委員会におきまして、畜産物価格審議会に四十年度の畜産物についての安定価格を決定するにあたりまして留意すべき事項について諮問いたしまして、その際、審議の参考として原料乳、指定乳製品及び指定食肉についての新しい価格算定のための試算を提示いたしましたことを御報告申し上げたわけでございますが、三月二十三日から二十六日、七日と三日間にわたりまして、審議会の審議が行なわれました。その結果、三月二十七日に審議会の答申がまとまりまして、農林大臣に対する答申があったのでございます。 その内容は、お手元に御配付申し上げておりますとおり、「昭和四十年度の安定価格を決定するにあたり留意すべき事項についての諮問に対し、次のとおり答申する。」ということで、 一 原料乳の安定基準価格は、指定乳製品の需要増大の傾向に対応し、生乳の供給確保を図るため、再生産を確保することを旨として決めること。 二 指定乳製品の安定価格の決定については、安定上位価格を引上げないことを目途として安定帯の幅を縮小すること。 三 指定食肉たる豚技肉の安定価格の決定については、安定上位価格を引上げないことを目途として、安定帯の幅を縮小し安定基準価格の引上げを図ること。という答申があったのでございます。 なお、答申に対する附帯事項として、三点が附帯して答申をされたのでございまして、 一 牛乳価格および指定乳製品以外の乳製品価格についても消費生活の安定を図るよう配慮すること。 二 指定食肉たる豚技肉の産地買入れ場所別の格差については、最近の情勢の変化を勘案して合理的に算定するよう努めること。 三 生乳の成分による価格差、食肉の規格ならびに原料乳および肥育豚の標準生産費その他算定方式についての専門委員による検討を促進すること。 という三点の附帯事項を付せられたのでございます。あわせて、四点に関する建議が行なわれまして、これも配付の資料に書かれておるとおりでございますが、その内容は省略させていただきたいと存じます。 この答申を受けまして、政府といたしましては、審議会の答申を尊重して新しい価格の決定をいたしたいということで、種々検討を加えてまいったのでございますが、昨日政府内部における結論が出ましたので、法律に基づきまして、畜産物の価格についてそれぞれ告示をいたしたのでございます。 その告示の内容も、お手元に配付をいたしておりますが、第一は原料乳の安定基準価格でございますが、一キログラム当たり安定基準価格三十円四十銭ということでございますが、これは一・八七五キログラム、つまり、一升当たりに換算いたしますと、五十七円に相当するのでございます。 次に、指定乳製品の安定下位価格及び安定上位価格につきましては、バター一キログラム当たり安定下位価格は四百八十五円、安定上位価格は六百円、脱脂粉乳については、十二・五キログラム当たり安定下位価格三千四百円、安定上位価格四千三百五十円、全脂加糖練乳については、二四・五キログラム当り安定下位価格四千円、安定上位価格四千七百円、脱脂加糖練乳については、二十五・五キログラム当たり安定下位価格三千四百五十円、安定上位価格四千百円、というふうに告示をいたしました。 第三番目に、指定食肉の安定基準価格及び安定上位価格につきましては、市場別と整形の種類別に告示をいたしまして、本年からは、関東及び中京におきましても湯はぎ法による整形の基準価格及び上位価格を定めたことが昨年と異なった点であります。大宮、横浜、名古屋の三市場につきましては、大部分が皮はぎ法でありますが、皮はぎ法により整形したものは、基準価格三百十円、上位価格三百八十円ということに定めました。湯はぎ法により整形したものは、商品格差二十円を見込みまして基準価格二百九十円、上位価格三百五十円というふうに告示をいたしました。大阪市につきましては、関東及び中京の湯はぎ法による整形のものと等額を告示いたしました。広島と福岡につきましては、湯はぎ法による関東、中京、大阪との格差五円を差し引きまして、基準価格二百八十五円、上位価格三百四十五円、そのように告示をいたしたのでございます。 なお、注といたしまして、原料乳の安定基準価格の規格でございますが、「乳脂肪分三・二パーセントのものについての価格であって、乳脂肪分が三・二パーセントに適合しないものの価格は、この表の価格を基準として別に定める。」注の第二は、「原料乳の安定基準価格は、原料乳の生産者が原料乳を乳業者に販売する場合の工場渡し価格であり、指定乳製品の安定下位価格及び安定上位価格は、指定乳製品の生産者が指定乳製品を需要者に販売する場合の需要者の倉庫渡し価格である。」注の第三は、「豚肉の安定基準価格及び安定上位価格は、畜産物の価格安定等に関する法律施行規則第三条第一号の豚半丸技肉についての価格である。」こういうことを注としてうたいまして、告示をいたしたわけでございます。 以上、簡単でございますが、御報告いたします。
○坂田(英)委員長代理 質疑の申し出があります。これを許します。東海林稔君。
○東海林委員 いま畜産局長から昭和四十年度の畜産物安定価格の告示についての報告があったわけでありますが、私はいろいろな点でお聞きしたいところがありますので、できれば大臣にもひとつ御出席方をお願いしたいと思いますけれども、大臣がおいでになる前に、畜産局長にお尋ねしたいと思います。 まず、いま報告があったわけですが、一番先に、前年度と比べて、告示がどのように変わっておるか、その点をお伺いしたいと思います。
○桧垣政府委員 お手元にお配りいたしております「畜産物安定価格の告示額一覧」という一枚刷りの資料でございますが、それをごらん願いますと、三十九年度の告示との対比がしてございます。これをごらん願いますと、原料乳の基準価格につきましては、三十九年度の告示価格はキログラム当たり二十九円三十三銭、それを一・八七五キログラムに換算いたしますと五十五円ということでございますが、四十年度の新しい告示はキログラム当たり三十円四十銭、一・八七五キログラムに換算いたしますと五十七円、二円の基準価格の引き上げになっておるわけでございます。 次に、バターについては、上位、下位ともに三十九年度のまま据え置き、脱脂粉乳につきましては、上位価格、下位価格ともに据え置き、全脂練乳につきましては、上位価格四千七百円は本年度も据え置きましたが、下位価格については三千九百四十円を四千円に引き上げ、脱脂練乳につきましても、上位価格は四千百円を据え置きましたが、下位価格三千四百二十円を三千四百五十円に引き上げました。 指定食肉につきましては、上位価格と基準価格とに分けて対比してございますが、上位価格のうち、大宮、横浜、名古屋の三市場について、皮はぎ法によりますものは三百八十円の上位価格でございますが、その上位価格は据え置きでございます。湯はぎ法により整形したものにつきましては、大阪はこれも上位価格は据え置いておるのでございますが、新たに大宮、横浜、名古屋に上位価格が設けられた。つまり、関東及び名古屋の市場におきましては、湯はぎ法による整形のものも畜産振興事業団の買い上げ対象にするということで、新たに上位価格を設けた点が異なっております。基準価格については、大宮、横浜、名古屋の皮はぎ法のものは昨年が二百九十円でございましたが、新しい告示では三百十円ということに相なりました。湯はぎ法による大阪の基準価格は、昨年二百七十円でございましたものを本年は二百九十円ということに引き上げております。なお、大宮、横浜、名古屋につきましては、新しく湯はぎ法によるものも対象にいたしましたので、大阪と同額の二百九十円にいたしております。広島、福岡につきましては、湯はぎ法の基準価格二百六十五円というのが三十九年度の告示でございますが、本年の告示では二十円引き上げまして二百八十五円ということになっておるわけでございます。
○東海林委員 次にお伺いしたいのは、今度の新たなる価格を決定して告示されるにあたって、先般開催せられました、そうしてただいま報告がありました畜産物価格審議会の意見をどのように尊重されたか、こういう点についてお尋ねをいたしたいわけでございます。先般の畜産物価格審議会の席上、農林大臣は、審議会の答申は十分これを尊重するという趣旨の意思表明がございました。率直に申しまして、昨年の答申のように、たとえば原料乳について三本立ての答申があったという場合には、おそらく政府当局としても、その中の意見のどれを尊重すべきかという点に相当苦慮されたと思うのです。今年は幸いにして、審議会の意見というものが一本化されて、明瞭に審議会の総括された意見というものが答申されておるわけでありますから、これを尊重するとなりますと、当然その意見というものが十分この告示に反映されていなければならぬと思うのでありますが、私が見たところでは、必ずしもそういうふうにはなっておらぬように考えられるのであります。審議会の意見を尊重するという点、どういうふうに尊重されたか、そういう点をまずお伺いしたいと思います。
○桧垣政府委員 審議会の答申の御趣旨は、先ほど御説明を申し上げましたような答申であったわけでございまして、全般を通じまして、審議会が一面において需要者の立場も配慮せられ、同時に、畜産物の生産の安定的な発展ということを念頭に置かれまして、答申をされましたそのことについては、私どももできる限りの尊重をいたしまして、できる限りの配慮を加えたつもりでございます。 原料乳につきましては、先般も当委員会で御報告を申し上げましたとおり、政府の諮問に際しましての試算におきましては、キログラム当たり需給実勢方式ではじきましたものでは二十九円五十三銭、一升当たりに直しますと五十五円三十七銭、それから第二の試算、主要原料乳地域におきます推定生産費から繰り延べ可能経費を差し引きましたもので示してみますと、キログラム当たり二十九円五十六銭、一升当たり五十五円四十三銭という数字が、算式の結果としては出ておるのでございますが、御答申の内容で特に触れられておりますことは、指定乳製品の需要増大の傾向に対応し、生乳の供給価格の安定をはかるということでございまして、私どももこの算式の上でも、生乳の需要というものの増大ということは、中期経済計画において見通されました線に沿って需要増大を算定をいたし、供給の見通し量については、搾乳牛の月別の数を現実につかまえました時点から出発をいたしまして、それの平均泌乳量というものを各月に並べ、年間の供給量を出すというようなことから、供給不足の姿が出るということで、そのためには、生産に刺激を与えるための供給の促進の係数をかけるというようなことをいたしまして、その御説明を申し上げたのでございますが、この点につきましては、需要の増大の点について特別の御意見がなかったのでございます。供給見込み量がやや過大ではないかという御意見がございました。私どもとしては、われわれの積み上げの方式は、一定の前提のもとにおいては正しく作業をいたしておることと信じておったのでございますが、若干その後そういうお話から検討をいたしてみますと、平均泌乳量のとり方というのを、過去一年の平均泌乳量というのを用いておるという点に、最近の泌乳量の傾向から見て、若干問題があるのではないかということで、過去七年間の月別平均泌乳量のうち、最高と最低の著しい開きがありますものを除去いたしましたその残りの平均泌乳量という程度を考えることが、むしろこの際はあるいは正確を期し得るのではないかというふうに考えます。この点も配慮いたしますと、確かに供給量についてやや政府の見通しに甘い点があったのではないかという点も反省をいたしまして、その点については、平均泌乳量の見方について検討の余地があるということを知ったのでございます。 その他の点につきましては、再生産を確保することを旨として定めるという御趣旨に基づいて、いろいろ検討をいたしたのでございますが、私ども、政府の試算というのは、各種の具体的な資料に基づき、それぞれの計数的な理論に基づいて積み上げたものでございますので、これについてにわかに手を加えることははなはだ困難なのでございますが、再生産を確保することを旨としてということは、要するに、現制度のもとで再生産を確保する方向で価格の決定を考えるということになれば、これは制度全体の運用の中で許され得る範囲の価格限度まで農民のために有利な価格をきめるという趣旨に理解をいたしまして、結局最終的には、先ほど申し上げました試算の結果の五十五円三十七銭あるいは五十五円四十三銭というような数字にこだわることなく、それを基準とはいたしましたが、一升当たりにしますと五十七円という基準価格を告示することにいたしたのでございまして、現制度の中において政府として考えられます限りにおいて、答申の御趣旨を尊重いたしてまいったつもりでございます。 第二の、指定乳製品の安定価格の決定については、安定上位価格を引き上げないということを目途としてということでございまして、これは主として需要側の問題あるいは消費の安定的な促進という御趣旨が含まれておると思うのでございますが、そういう御趣旨を体しまして、指定乳製品の安定上位価格は全部据え置きということにいたしたのでございますが、バター、脱脂粉乳については、安定下位価格につきましても、試算の結果は若干昨年度の告示価格よりも上位の数字が出るのでございますけれども、これは現在畜産振興事業団にバター及び脱脂粉乳の過去における買い上げの滞貨をかかえておるような事情もございますし、また、この二つの乳製品は、四大メーカー、いわゆる大メーカーの生産にかかるものが大部分でございますので、これを引き上げることは緊急な必要性はなかろうという考え方で、据え置くことにいたしました。ただ、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳につきましては、上位は据え置きましたが、下位につきまして、算定の結果出てまいります数字を参酌いたしまして、先ほど申し上げましたような引き上げを行なったのでございますが、上位を押えました結果、答申にございますように、安定価格の幅は縮小されることに相なっておるのでございます。 それから指定食肉につきましての御答申は、これも安定上位価格を引き上げないことを目途としてということで、われわれ行政運営の上から申しますと、下位価格の引き上げを伴います場合には、安定上位価格の据え置きということは、いろいろ問題があるという感を深くしておったのでございますが、審議会におきます御答申が、消費物価の安定という観点、あるいは安定幅の縮小の中で生産の安定化というような御意図と察せられましたので、安定上位価格は従来どおり引き上げないことにいたしまして、安定基準価格につきましては、私どもの算定いたしました指数の上に立ちつつ、過去の市場における安定幅の絶対数の上で最も小さかった安定幅七十円というものを配慮をいたしまして、基準価格を三百十円に引き上げ、安定上位価格を三百八十円に据え置くというようなことで、答申の御趣旨を尊重しつつ、告示価格の決定を行なったつもりでございます。
○東海林委員 内容に入る前に、もう一つ伺いたいのですが、この審議会の答申をお読みになって、何かこの点が意味が不明瞭であるとか、あるいは理解できない、そういうような点があったかなかったか、その点をひとつ伺います。
○桧垣政府委員 御答申をいただきました際に、審議会長から加えての御説明もございましたので、私どもの理解力の範囲内では、御答申を願いました御趣旨はわかっておる気持ちでございます。
○東海林委員 そこで、お伺いしたいのは、まず、原料乳の安定価格の問題ですが、一応当初の試算と変わったところは、平均泌乳量の問題について、若干供給見込みが甘いというような点があったので、これを過去七ヵ年の各月別の泌乳量の特に高いもの、低いもの、そういう例外的なものを除いて検討し直した結果、まあ試算より若干上がった一升当たり五十七円、こうきめた、こういうような説明があったわけです。そこで、お伺いしたいのですが、この間の審議会の論議の中でも明らかなように、法律では、再生産を旨として、ほかの若干の事項を考えながらきめるというたえまえになっているのに、従来政府はそういう点を非常に軽視しておったというような点が指摘されたと思うのでございます。したがって、今回は特にその点を答申の中で明瞭に出したつもりでございますが、いまの平均泌乳量の問題はわかりましたが、その他の点については、そういう点が考慮されてなかったように私は思うのでございます。そこで、まずお伺いいたしますが、この一升当たり五十七円という数字を出す場合に、どういう算式を使われたか、この点をお尋ねいたします。
○桧垣政府委員 端的に申し上げまして、私どもの算式のうち、算式にはめた係数で改めて明らかに差しつかえないと思われるものは、ただいま申し上げました供給促進係数、つまり、供給量の見通しに若干甘い点があったという点を修正することは、どうもわれわれも虚心に考える必要があるということで、その点、供給促進係数は、一・〇三というのを使っておりましたものを一・〇四に引き上げるという点は、この算式の修正として用いたということではじいたのでございますが、正直に申し上げまして、算式から出ました数字というのは、やはり告示価格決定の基準的なものであることは、申すまでもないのでございますけれども、ここに現行の制度のもとで行政的な判断として許容し得る限度に、生産した農家のために下ざさえ価格として確保される水準というものは、必ずしも算出結果というものに完全に拘束をされるというものでもないというふうに考えまして、それらの算出の結果から出ましたものを勘案をいたし、また、最近の係数上把握し得ない生産関係の動向等も勘案をいたしまして、五十七円という告示の価格をとることに決定をいたしたのでございます。
○東海林委員 いまの答弁によりますと、この前の諮問の際に、当局の試算として出した算式一を基礎として、これに供給促進係数というものを若干修正して出した数字をもとにして、それに行政的な立場での見解を加えて出したというふうに、私には理解されるわけですが、この再生産を旨とするということは、こまかい数字は別としても、少なくともその基礎になる考え方は、やはり生産費というものが当然基礎にならなければ、再生産を旨とするということにはならないと思うのです。過去の市場価格の傾向というものを基礎にして計算するという考え方は、私は、この答申の趣旨と著しく離れたものじゃないか、このように考えるわけですが、そこはどうですか。これはほんとうは大臣に聞かなければならない問題なんですけれども、いまおらぬから、畜産局長に聞くのですが、大臣からあらためて聞かなければならぬ問題です。
○桧垣政府委員 「再生産を確保することを旨として」というのは、法律の条文の中にも明記をされておるところでございます。この「再生産を確保することを旨として」というのは、私が農林省の公定的な見解を申し上げるのではございませんが、私なりに解釈をいたしますと、それぞれ制度のたてまえあるいはその価格制度の対象となっております農産物の商品的な特性、そういうものによって、かなり幅広く理解をされる性質のものであろうと思うのでございます。でございますので、少なくとも原料乳についての下ざさえ価格としての安定基準価格を定めるということであれば、これは過去における価格の現象というものが、新しい生産条件あるいは需給条件のもとで正当に再現をされるということを保証することによって、少なくとも過去における生産の上昇というものを確保していくという趣旨から、この法律ではうたわれておるものというふうに理解をいたしておるのでございまして、そういう意味で、「再生産を確保することを旨として」ということの解釈あるいは理解というものには、いろいろあり得ると思われますが、私ども政府としては、従来からさような方針で安定基準価格を定めてまいったのでございまして、法律の精神に極力沿ってまいりたいというふうに思っておるのでございます。
○東海林委員 その点は非常に問題だと思うのです。先ほどもちょっと申しましたように、法律にいままでちゃんと書いてあるのだが、政府は必ずしも法律の趣旨を十分尊重した形においていままで安定価格をきめていないところに問題があるということで、審議会でも非常に議論があって、特に答申に、わかり切ったことだけれども、はっきりとこれを中心的に明示したわけです。さらに、いままでの市場価格というものは、結局においてその生産費を償う価格であるかのごとく解釈もできるような話がありましたけれども、もちろん、生産費を中心として計算する場合に、自家労賃をどういうふうに計算するかということについてはいろいろ問題があると思います。保証価格をきめる場合と安定基準価格をきめる場合の考え方が違わなければならぬということも私は理解しているわけです。しかし、再生産を旨とするという場合に、生産費を離れて、過去の市場価格の傾向から出したものが、そういうふうに解釈できるのだということは、何としても納得できない。特にこの前、私は審議会でも指摘しましたように、これまでの市場価格の形成というものが、ほんとうに生産者とメーカーとが同じような力関係に立って、それが客観的に見て、公正な立場においてこれが決定されるというような経過があれば、それはいま局長の言うような解釈も、非常に拡大して考えれば、成り立つのではないかと思いますけれども、御承知のように、現在の乳価の決定の形は、決してここで皆さんが常に言っている自由経済の立場に立っての自由な話し合いのもとにきまっているということでなしに、きわめて一方的な形においてきめられているということは、よく知っておられるはずです。そういう形においてきまっている価格というものを、これは生産費を償う、再生産に沿う価格だと考えるところに、私は根本的な誤りがあるのではないかと思うのですが、この点はもう少しはっきりしてもらわなければ困る。
○桧垣政府委員 過去におけるいわゆる実勢価格の形成というものが、売り手であります酪農民あるいは酪農民の団体と乳業者との間に取りきめられた価格であるということは、申すまでもないところでございますので、その取りきめ価格が公正といいますか、対等の立場においてきめられたものであるかというようなことについては、われわれとしても、改善すべき余地のある問題であるということは認めざるを得ないと存じます。しかしながら、過去において形成をされたという事実の上に立っての判断以外には、行政的には行ないようがないわけでありまして、今後価格の形成がより公正に、安定的に行なわれるようにすべきであるという行政の方向としては、お話の点は私も同感でございますが、その問題があるからということで、過去の事業以外のものを求めることは不可能でございますので、われわれが把握いたしますものとしましては、過去の事実に基づかざるを得ないというふうに思うのでございます。 なお、生産費の関係を無視して再生産の確保ということはあり得ないということも同感でございますが、そのような考え方に立っておりますために、過去の基準期間における実質価格の平均値というものに生産費の上昇の指数を乗じて生産条件を織り込むようなことを従来からやってまいったのは、やはり再生産の確保という点に私どもが法律の要請に基づいてやっておるということでございます。
○東海林委員 私はどうしても納得できないのです。この間の審議会でも、またここでも、この間報告がありましたように、試算の二として、一応、内容には非常に問題があるけれども、生産費というものを基礎にした試算を出しているわけです。なぜ第二の試算を中心として、答申の趣旨に沿ってそれを検討しなかったのか。委員会においても、第一を取り上げるべきでないという意見が圧倒的多数であったにもかかわらず、なお第一の試算方式を固執したということは、どうしても私は納得できないのです。その点もう少しはっきりしてもらいたい。いまほかたよるものがないと言うけれども、答申でも、再生産を中心として、はっきり第二というものを出しているじゃないか。それをもう少し検討し直すことによって、先ほど第一の試算を検討したと同じような趣旨において第二の試算を検討すれば、私どもが答申した趣旨に合う生産費を基礎とした計算というものができるはずです。できなければ、何であんな試算二というものを出しましたか。
○桧垣政府委員 私どもとしては、試算の一というのは、元来は、この制度全体が、乳製品という形で市場で形成されます価格というものに支配される原料乳価というものを考える場合には、方式としては制度に最も適合するものではないだろうかという考え方が従来からの考え方でございますが、試算第二を審議の参考に出しましたゆえんのものは、推定生産費というものをいずれにしてもはじかざるを得ないわけでございまして、その推定生産費というものから繰り延べ可能経費というものを差し引きましたものを下ささえ価格にするという考え方に立つと、どういう数字が出るかということで、ある意味では、第一算式の結果というものに対する検証の試算としても十分意義のあるものであろうというふうに思っておるのでございまして、算式第二が全くとるべき方式ではないならば出す気持ちもありませんでしたし、また、第二算式をとるべきであるというそれほどの判断を加えて出したものでもないのでございます。なお、御参考までに申し上げますと、推定生産費をあの試算で出しましたものから逆に五十七円という安定基準価格を設けるということにいたしますと、先般も御説明しました繰り延べ可能経費のうち、建物及び農具の償却費等は繰り延べをしないでも、算式として成り立つということは、結果として言えるのでございます。
○東海林委員 農林省の皆さんが算式一、二を出したその趣旨はどうあろうとも、審議会の論議を通じて圧倒的に多数の意見は、ともかく一の算式はとるべきでないという意見があり、したがって、答申でも、先ほど来しばしば申しておりますように、再生産を旨とするというような答申になっておるのですから、どうしても審議会の意見を尊重するということであれば、少なくとも算式の形としては第二の試算方式を一応とるべきだ。その内容をこまかにどうするという問題はまた議論があるところでありましょうけれども、算式それ自体としては、生産費を中心とした算式をとるべきであろうということは、もう審議会のはっきりした答申の意思表示だと思う。したがって、さっき、この審議会の答申について何か疑問の点があったか、全然なかった、こういうことでございますが、そういう意味で私は聞いたのです。それで、あくまでも自分たちの当初の考え方に固執して、そうしてこういうふうな計算をやるとすれば、審議会なんか、三日も開いてわれわれも一生懸命になってあんなことをやることが、何ら価値がない、こういうことになりはせぬかと思うのですが、そういう点、私はきわめて不満です。もう少しそういう点を、何かはっきりした理由があったら説明してください。それでなかったら、これは委員長、大臣に来てもらわなければ、とても畜産局長ではだめです。
○桧垣政府委員 「再生産を確保することを旨として」という、そのことに最も重点を置きましてものを考えるといたしますれば、お話のように、生産費というものを中心とする安定基準価格のとり方というのは、私は必ずしも理解できないわけではないのでございますが、この原料乳と申すのは、私が申し上げるまでもないことでございますが、乳製品の製造原価の中に占めるべきコスト部分でございまして、したがって、乳製品の安定下位価格を政府が支持するという機能を通じて、原料乳の価格の支持を行なうという仕組みになっておるのでございます。制度的にも、安定基準価格以下で乳製品のための原料乳を買おうとし、また買ったという場合には、少なくとも安定基準価格で取引すべきであるという勧告ができる、またそれを聞かなければ乳製品の買い上げをしないという仕組みになっておりますのは、そこに製品と原料との関係を明らかに制度的に打ち立てておるものと理解をするのでありまして、そういう意味では、原料乳の生産費そのものは、乳製品の市況実績というものとは必ずしも有機的に関連をして動くものではない。むしろ、極端に言えば無関係なものであるといってもよいのではないかと思うのであります。したがって、この制度のもとで、生産費を中心に基準価格を設けるということは、乳製品の価格の形成が、自由市場において自由な取引のもとで、需給事情も反映して形成されていくということから考えますと、制度としてそこに一つの矛盾があるということが言えると思うのでございますが、それにいたしましても、農家における原料乳の生産の確保という観点を離れて基準価格がきめられてはならないという点は、法律も明示いたしておりますし、また政府自身もそうあるべきだということでございますので、現行制度のもとにおいて、生産費説というものが確立をされますには、制度全体としての矛盾を感ぜざるを得ないのでありまして、私どもとしても、その点への踏み切りが困難なのでございます。
○東海林委員 そうすると、これはもう畜産物価格安定法の議論になってしまって困るのですけれども、ぼくはいまの局長の議論にも納得できないのです。確かに需給関係によって若干価格の上がり下がりをすることはわかります。しかし、長期的展望に立って見るならば、生産費を割った供給なんということはあり得ないのです。それはやはり短期的に若干の変動はあるが、長期的に見た場合には、やはり価格というものは、生産費というものが常にその中心にあるということはいなめないのです。したがって、この制度というものは、短期的に動くところの幅をなるべく安定させるという趣旨から出ているのですから、やはりその中心には生産費というものが考えられなければいかぬ。そこで、政府の当時の原案にそういう点がはっきりしておらなかったから、特に議員の修正の中でその点が明らかにされたといういきさつがあるわけだけれども、原案を提案された当時の考え方をまだ固執しているようなところに問題がある。その点は審議会でもしばしば指摘されたところなんです。それで、この答申の中にはそんなにむずかしいことは書いてないですよ。一つにおいては、需要がだんだん増加の傾向にあるから、それに対応するようなふうに供給を確保しなければいかぬ、そういう立場に立って、生産費を償うことを旨としてきめる、こういうことになっているのですから、あまりいろいろなことを考えてくれるのが適当だというふうな答申の趣旨にはなっていないと理解さるべきだと思うのです。どうも何か畜産物価格安定法の提案当時のような考え方にいまなお固執しているように思うので、これは非常に問題じゃないかと思うのですがね。どうもこの点は、いずれにしても私ども納得できません。額の多少というよりも、考え方の基本に問題があるように私は思って、納得できません。これは委員長、どうしても大臣に来てもらって明らかにしてもらわないと、問題が解決できないように思うわけです。この問題を何ぼやっておっても同じことになりそうですから、一応次に移りたいと思うのです。 次に、豚肉の点でございますが、ここに地域別の格差の問題について、これは合理化するようにという趣旨の意見が出されておったわけですが、その点は今回の告示の中でどのように考慮されたか、その点をひとつお尋ねいたします。
○桧垣政府委員 豚肉の買い入れ価格についての場所別の格差については、最近の情勢の変化を基礎にして合理的に算定すべきであるというお話なんですが、この事項は、私どもは、いわゆる中央卸売り市場の格差の問題ももちろん伴っておると思いますが、直接答申に付帯事項として示されております点は、市場以外の産地買い入れの問題でございまして、この問題については、昨年の審議会の際にも問題となった点でございまして、たとえば北海道でございますとか、あるいは南九州というようなところで、市場外の産地買い入れにいって、これは、畜産振興事業団が、豚枝肉の取引の実態に応じて、場所別の格差をつけることになっておるのでございますけれども、この問題について、その後輸送条件の変化あるいは市場流通の体系の変化等があるのであるから、現在の豚肉買い入れのような地域格差は適当でないというお話しでございまして、この点については、現実に買い入れをいたします際に、輸送の合理化等による格差の縮小という点は、合理的に算定をいたしまして改めるようにいたしますということを申しておるわけでございます。中央卸売り市場におきます格差は、東京周辺の大宮、横浜及び名古屋につきましては、これは同一価格水準でございまして、見かけ上、大阪が二十円の格差がついておりますが、これは品質による当然の格差でございまして、実質的には全く同水準のものでございます。ただ、広島と福岡について五円の格差が付してございますが、実は最近の取引実勢の幅はもっと大きいものでございまして、審議会の席上でも、食肉流通の学識経験者からは、実質的にはもっと広げないと流通がうまくいかないという意見があったのでございますけれども、行政の方向としては、全国できるだけ価格差の少ない価格形成がされることが好ましいということで、実勢よりははるかに小さい幅でございますが、現行の価格幅を据え置くということにいたしたのでございます。
○東海林委員 広島、福岡の五円の差はわかりましたが、実際の産地で買い上げる場合には、そうすると、合理化の方向ということは、これはやはり価格差を縮小する方向に考えておる、こういうふうに理解していいわけですか。
○桧垣政府委員 さように御理解願ってけっこうでございます。
○東海林委員 それではさっきの点、一番大事な点ですから、これはぜひひとつ大臣になるべく早い機会に来ていただいて、御答弁をいただきたいと思いますが、さらに芳賀委員から質問があるそうでありますので、一応私のきょうの質問はこれで終わります。
○坂田(英)委員長代理 芳賀貢君。
○芳賀委員 ただいま四十年度の畜安法に基づく原料乳あるいは指定乳製品、食肉等の政府告示に対して、同僚、審議会委員でもある東海林委員から問題点の質問があったわけでありますが、関連して二、三明らかにしてもらいたいと思うわけであります。 第一の点は、原料乳については、一・八七五キログラム、つまり一升当たり五十七円、これは昨年よりも一升について二円の引き上げということになるわけでございます。そこで、この告示に基づいて、四十年度の原料乳価格というものは、これを最低の取引価格として、実施される場合には維持されるわけでございますが、この五十七円というものが及ぼす効果、生産者に対して保護すべき効果というものはどの程度のものであるか、この点を局長から明らかにしていただきたい。
○桧垣政府委員 私から申し上げるのは、基準価格は、原料乳についての工場渡し取引価格の下ささえの価格ですが、昨年の小売り価格五十五円が、本年度の小売り価格として五十七円で、二円上がるということは、その限りにおきましては、原料乳取引に関する価格の最低支持線が高まるということだけは間違いないと思うのでございます。 あと、現実は取引との問題につきましては、この新しい価格がどう響くかということは、私どもも予測ができない。何となれば、現実の取引価格というものは、それぞれ地域により、あるいは時期によって、需給事情を反映して形成されるものでございますから、実地に私どもが測定をすることは困難でもありますし、また非常な誤解を起こすおそれもございますので、軽々に口にすべきではないと思われるのであります。ただ、最小限申せますことは、わが国の昨年度の生乳の取引価格について、最低の取引価格は、実積によって見ると、五十六円というものがあったわけでございますので、乳業者がこの制度に忠実である限りにおいて、五十六円の乳価はこのことによって抹殺をされるという効果だけは明らかであると思います。
○芳賀委員 そこで、いま言われた五十七円以下の地帯は、この告示によって、最低五十七円という線に当然四月から入ることになると思いますが、その適用される地域はごく微少だと思うのです。ですから、私の尋ねたのは、実際に及ぼす価格決定上の効果は、地域的に見た場合、どの程度の微少な部分に及ぶものであるか、その点をお尋ねしたわけであります。
○桧垣政府委員 いまお尋ねがございました、直接に基準価格によって現実の取引価格が支持されます地域は、非常に限られておるということは仰せのとおりでございまして、むしろ芳賀先生は、私から御説明するまでもなく、百も御承知と思うのでございますが、私どもが承知いたします限りでは、北海道、青森、岩手の一部、それから九州におきましては用途別取引をいたしておるところでありますので、用途別取引のうち、原料乳部分につきましては、この価格の影響があるということになります。これは九州一円ではございませんで、大分県、熊本県の一部と、宮崎県も全部ではないと思いますが、宮崎県にも及ぶと思います。
○芳賀委員 いま局長の説明ですが、従来原料乳地帯といわれた地域は北海道、青森、岩手、山形、長野、鳥取、徳島ですね。これらの都道府県地域内において用途別にこれを見れば、原料乳として使用される分がその半ばをこえておるというのが、畜産局のほうでは原料乳地域といっているわけですが、その地域の中でも、いまの局長の説明によっても、北海道と青森、岩手のごく一部ということですから、全国的に見た場合、今回の五十七円というものは、生産者の側から見た場合には、何ら期待に沿わぬだけでなくて、意味のないようなことになったわけなんです。ですから、この程度のことをやるのであれば、放置しておいたほうが、むしろ有利な取引条件が生まれてくるとわれわれは考えているわけです。そう思わぬですか。
○桧垣政府委員 かつて生乳の価格についての制度がなくて、もっぱら需給事情に基づく市場での価格形成というのにゆだねられた歴史を振り返りますと、これも申し上げるまでもないと思われるのでございますが、乳製品の暴落があって、それに何らのささえがない。したがって、それに支配をされて、乳価も大幅に引き下げられたという歴史があるのでございまして、確かに地域的にも原料乳が大部分を占めるような地域に限られてはおりますけれども、そのことによってささえられておる価格の安定性というものは、私は乳価全体の安定性に影響を及ぼしておると思うのでございまして、この制度で十分な制度ではないというところまでは共通の感覚を持っておるつもりでございますが、放置したほうがよいというふうには考えておりません。
○芳賀委員 今回の決定に対する生産者側の期待は、最悪の場合でも一升について六十円を下回らない価格というものが告示されれば、これはある程度将来についての前向きの決定ということになるが、それ以下であれば、これは無意味であるということは、一様に唱えておる点です。したがって、審議会等の論議も、具体的に言えば、やはり一本にまとめたということのその意味は、一本に答申をまとめることによって、最低六十円の価格というものはきまるだろうということで、委員の皆さん方が一本化の努力をされたと思うが、その結果が五十七円ということになれば、いま東海林委員が言われたとおり、審議会の意向をも全く無視した、いわゆる乳製品価格の逆算によってきまったということが明らかになったわけです。 次に、お尋ねしたいのは、昨年市乳が一合について二円、つまり、一升について二十円の引き上げが行なわれた場合において、当委員会においても、二十円値上げ分の配分についてしばしば論議したわけでありますが、結果的には、局長は、二十円のうちの半分の十円は生産者側にこれは配分するようにするということを言われたわけでありますが、結果を見ると、必ずしもそういうことにはなっていないわけです。これを主たる原料乳地帯に例をとってみると、北海道についてはこの市乳値上げの配分がわずか一升二円でありましたが、北海道を除いた府県においては、これは三円ないし六円の幅で市乳値上がり分の配分というものが行なわれたわけですね。その際、私は局長に対して、この市乳一升二十円の値上がりの配分というものは、これは季節的にまた取り除くということがあるのではないか、局長としてはどう考えるかということを尋ねたときに、局長としては、この配分額というものは、市乳の値上げが行なわれて、その価格が変更されない限り、これは通年的に、継続的にこの価格というものは加算されるものでありますということを明確にされたわけです。そうなると、北海道は二円、内地県は三円から六円という市乳値上がりによる配分額というものは、当然今後においてもこれは生きておると思うわけです。その場合、今回の告示価格というものは、原料乳であるから、こういうふうに安くしたほうがいいということで、五十七円におきめになったわけですから、市乳値上がりの配分というものは、これは別途に継続されるという性格のものですね。そうなれば、最低の場合にも、五十七円というものに一升二円あるいは三円−六円というものが当然加算されて、四月からの取引乳価ということになると思いますが、それはあらためて聞く必要もないわけですけれども、この際、念のため確認しておきたいと思うわけです。
○桧垣政府委員 昨年の市乳二円の値上げをいたしましたときに、そのうち、一円十銭の収入増がメーカーにあったわけでございますから、それを農民に還元をすることができる部分というものを還元をした。したがって、市乳の価格に変動なかりせば、その還元分は農民に留保されてしかるべきものであるということについては、見解として変わっておりません。変わっておりませんが、今回の原料乳価に関する安定基準価格が決定されて、それに市乳値上げに基づく農民還元分が加算さるべきだということは、若干意味が違うと思うのでございまして、現在といいますか、従来の価格水準というものがあります限りにおいて、その上乗せ分が理由なく削減をされるべき性質のものでないということを申し上げたのでございまして、新しい原料乳価の告示がなされました上に、それにさらに実取引の上での価格をどう形成するかということは、これは新しい需給事情のもとで考慮さるべきでありますが、最小限現在の乳価を下げるべき理由はないということだけは言えますけれども、さらに加算すべきだという議論は直ちには出てまいらないと思うのであります。これは私もあまり煮え切らない発言になりますが、あまりに立ち入って申しますと、かえって農民の取引のためにもよろしくないかと思いますので、答弁が煮え切らないままでお許し願いたいと思います。
○芳賀委員 これは重要な問題ですよ。今回の五十七円の決定というものは、去年の市乳分野における値上がりの配分というものは、何ら算定に考慮されておらないでしょう。先ほど東海林委員に対する答弁を聞いても、これは明らかに乳製品の原料となるなま乳について、一定の方針に基づいて計算をしたのだから、このように安くなったということを繰り返して言われておるわけですが、私の言っておるのは、昨年の一升について二十円の市乳値上げというものは、いかように配分されるかということを尋ねた場合に、局長は、畜産局の方針としては、これを用途別に市乳あるいは原料乳というふうな区分を行なった価格形成を考えておりません、あくまでも方針としては混合乳価方式でやることに変わりはありませんということを明確にしておるわけですよ。しかし、実情は、市乳が値上がりしたのだから、それを配分する場合の方法としては、やはり市乳供給地帯のなま乳に対してウエートを持たして、しかし混合乳価方式だから、原料乳地帯についてもできるだけ配分額を確保するように考慮したということを言われておるわけです。それに変わりないのでしょう。ですから、そういういわゆる約束の上に立って、市乳が現在の価格を持続していく限り、その分の配分というものは別途に、今回の原料乳の価格がいかようにきめられても、それが加算されるというのはあたりまえだと思うのです。そういうことを、自分で煮え切らぬ答弁などと言うのはおかしいじゃないですか。こういうめんどうな問題こそ明確にして、これはこうしなければいかぬということを言わぬと、肝心なところを逃げてしまって、自分で煮え切らぬようですがということを言うのはけしからぬですよ。それがあなたの正直なゆえんで、正直徳太郎といわれて、そこにあなたのいいところもあるが、これは重大な問題ですよ。もう一度答弁をしてください。
○桧垣政府委員 昨年市乳の値上げがありましたときに、市乳値上げ分の中から農民に還元できる分が当時の取引価格の上に加算されるべきである、その加算されるべき部分は、市乳の値上げによってもたらされた財源であるから、市乳の価格変動がないにかかわらず加算をどうこうすることは理にかなわないという点は、昨年の答弁で申し上げたとおり、現在も変わっておりません。それは昨年の取引価格の上に積み重なったものでございまして、ことしの安定基準価格というのは、政府が下ささえをしようとする価格でございますから、下ささえの価格をするものに何が付加されるかということは、需給事情に基づいて取引当事者の間で決定されるべき問題でございまして、固定的なあるものを加算するというものとは別途のもので、価格としての性格に違いがあるというふうに私は思うのでございます。
○芳賀委員 たとえば北海道に例をとると、去年は分配額が二円です。内地は一番低いところで三円加算されておるのですよ。市乳の配分が幾らということは、各府県ではっきり明らかになっておるわけです。ただ、北海道においては、局長の最終努力を待たないで、全国で一番先に二円ということで乳業者に妥協してしまったから、異例に安いのですよ。それ以外の県は、力の弱い地域においても三円ということになっておるわけです。これを局長は、市乳の価格が値下がり等を示さない場合は、この混合乳価方式によった配分というものには変わりはない、これは継続されるものであるということを、あなたはいまの答弁よりはっきり言っているのですよ。これは議事録を見ればわかります。それは将来にわたって継続されるべきものであるということは、この畜安法によって原料乳の価格がいかようにきめられても、別の市乳におけるメーカー側の大きな利益の中から牛乳生産者に配分すべきもので、これは恩恵によって配分を受けているのではないのですよ。いま言った一升十一円、市乳値上げによって乳業者は利潤を高めておるわけだから、これはほんとうは全部生産者に配分すべきものであるが、なかなかそこまでいかなかったわけです。それが生きていることには変わりないでしょう。その市乳のもうけを原料乳地帯はじめ全部に及ぼすということについては、何も事情の変化はないじゃないですか。そうでしょう。ただ、たまたま北海道の場合に例をとると、二円の分配額があった。ことしの原料乳価決定というものは、たまたま二円の値上げをしたということになると、昨年の安定基準価格よりもことしは二円値上がりしておる。一方においてはちょうど二円市乳の利益配分額があったということになると、あなたのようなあいまいな答弁でいくと、これは相殺されるおそれがあるのです。そういうことになるでしょう。そういうことは断じてさせないという行政的な態度をいま明らかにしておくべきなんです。そうすれば、最低五十七円であっても、去年の配分額の二円とか三円というものは生きておるのだから、そうなれば、実際の取引基本価格というものは、五十九円とか六十円ということにいくわけです。そうなれば、大体六十円という線が出るのですよ。どうですか。
○桧垣政府委員 仰せでございますが、市乳値上げに基づく農家還元分の価格部分というのは、市乳が下がらない場合には、それは手を染めるべきものでない。継続して農家に配分すべきものであることは、今日といえども私は見解を異にしておるものではございません。その上乗せをいたしましたのは、当時における取引価格の上に、お話のようにメーカーがみずからの犠牲によって払うものではないから、したがって、それが将来にわたって継続すべきだという点は、当然の論理であると思うのでございます。ただ、今回の安定基準価格というのは、その価格を下回って取引することは制度としてはさせないようにするという下ささえの価格であって、その下ささえの価格にある価格を加算すべきであるという論理は出てこない。これは別個のものであるというふうに私は考えておるのでありまして、したがって、この価格と別個にきまるべき実取引の価格水準というのは、これは現実の需給事情のもとで許される限りの乳価が支払われるべきであるということでございまして、この安定基準価格というものと、市乳二円値上げの場合の積み重ね分というものは、取引における実態と離れた問題でございますので、それの積み重ねということは、論理としては出てこないというふうに私は思うのでございます。
○芳賀委員 おかしいじゃないですか。これは別個でしょう。分配された金額というのは、別個のものであるということは間違いないでしょう。今回の決定と性格においても違う別個のものであるということは間違いないのでしょう。どうですか。
○桧垣政府委員 簡単に申し上げますと、この告示価格は、これ以下の取引を防止するという価格である、これはその意味しかないわけでございます。昨年度、たとえば北海道を例にとりまして、二円の上乗せが市乳の値上げによって行なわれたという場合には、二円の上乗せの下に従来の需給事情による取引価格というものがあった。でございますから、従来の取引価格の前提、バックグラウンドになっております需給事情が変わって、それが上昇する余地があるというならば、その上に二円の加算分は常についていくべきだという議論としては、私は、私の申し上げておることは、今日でも変わらず説明がつく、こういうふうに思っております。
○芳賀委員 そうじゃないのですよ。二円あるいは三円の市乳値上げによる配分というものは、これは原料乳の価格形成とは全く別個のものでしょう。それだけ不当は市乳を上げたために、そのことによって会社が一升十一円の利潤をそこで上げるということになったわけですよ。これを配分する場合、市乳の原料となった、その対象になるなま乳だけにこれを分配すべきか、あるいは全部の生産された生乳に対して配分すべきであるかということは、これはやはり議論になる点ですが、しかし、農林省の方針としては、用途別乳価というものでいままでやってきたのではない。混合乳価方式で今後とも農林省としては生乳の価格安定をはかりたいということは、これはもう明確な方針として出されておるわけです。したがって、原料乳地域においても、金額は市乳供給地帯から見ると低いが、一升について二円とか三円のその分の配分があったわけですからして、これはあくまでも別個のものなんですよ。市乳の需給関係というものは、これはやはり消費がだんだん伸びて、供給不足という状態になっておるわけですからして、結局原料乳に用いられた分についても、市乳の供給のほうへ回さなければ需給調整ができないというのが現在の見通しだと思うわけなんです。そうすると、供給量がふえて、しかも市乳の価格というものは下がらないということになれば、その一定の値上げによる利潤というものは、むしろ有利な条件でメーカー側にことしも確保されておるわけですから、そのメーカー側から見れば、市乳事業の部門において確保した利潤については、やはりこれは原料乳地帯についても、従来を下回らない別個の乳価として支払いを継続するということは当然のことなんですよ。当然のことであっても、畜産局の指導方針というものが不明確である場合は、森永乳業の社長である大野勇君のごときは白を黒とでも言うわけですよ。そういうことをいつもやられておるでしょう。そういう人がおりますから、やはり政府の方針というものを、四十年度の原料乳価格告示と同時に、昨年行なわれた市乳値上げの配分というものは、これは別個のものとして生きておるということを明確にしておいてもらわぬと、地域における取引を四月から開始する場合においては、また混乱が起きるということに当然なるわけです。何も私は無理なことを言っているのではないですよ。だから、五十七円という不当な最低基準価格というものがきめられた場合、これは生産者は不満であっても、乳業者は喜んでこれを取引価格の基礎にすることは間違いないわけです。その場合であっても、二円あるいは三円の将来継続される別個の市乳分野における不当の利潤というものを、この原料乳の取引の場合においても生かしていくことは当然のことと思うのですよ。それくらいのことが行政担当の畜産局長としての国会の場で明らかにできないということになると、われわれとしては、いささかあなたに対する期待あるいは評価を変えなければならぬということになると思うのですが、どうですか。
○桧垣政府委員 どうも私の説明にもまずいところがあると思うのですが、私の考え方を御理解願えないようで、残念でございます。要するに、市乳値上げ分からくる価格上乗せ分は、これは市乳の値段が下がらない限り継続すべきであるという点は、何度も申し上げますように、私は考え方として変わってない、また変わるべきものではないと思うのですが、それは需給の事情から形成されておりました当時の取引価格の上に加算された部分であることは明らかなわけです。でありますから、今後の問題としては、例を北海道にとりますならば、積み上げをいたしました二円を加算いたす前の需給事情に変動があるならば、その変動に対応した価格形成は、これはかりに下がる場合にもやむを得ないだろうが、しかし、下がるという事情は全くないと思います。したがって、その上昇すべき部分の上にさらに二円が加算さるべきだという点は、私も全く同感でございます。ここできめます安定基準価格というのは、そういうことはあり得ないことでありましょうが、論理的に申せば、二円の加算をしても、なお従来の取引事情というものが悪化をするために、その二円を加えたものでも、なお一升当たり五十七円を割るという場合には、それをささえて差し上げますよという制度上の価格なんで、このことと、二円の加算をしていくという問題とは違う。お話に出ましたように、乳業を取り巻く経済的諸条件というものは好転をしておることは事実でありますから、したがって、二円を加算いたしました前の根っこのところに変化がある。その変化を正確に公正に表現されて、現実の取引価格が形成さるべきである、またそういう考え方で、私どもも取引についての指導の心組みを持っていきたいということは申し上げられると思うのです。
○芳賀委員 政府の決定した価格は、これは法律に基づいて指定乳製品の原料に用いられるなま乳に対して価格をきめたわけですが、これは法律のたてまえからいえば、明らかに市乳というものを考慮に入れないで、原料乳だけということに限定されておるわけですね。したがって、答申の内容についても、市乳には全然触れておりませんが、しかし、乳製品の消費分野においても需要が非常に拡大しておるからして、その需要にこたえるような生産条件というものを価格決定の中で十分配慮すべきである、したがって、拡大再生産が行なわれるような刺激的な価格というものをこの際きめなさいというのが、答申には数字は出ておらぬが、そこに本意があるわけです。だから、畜産局が決定の作業をする場合にも、指定乳製品だけに限定して採算性等を考えた場合にも、これは五十七円の原料乳で、指定乳製品の上位あるいは下位価格というものは前年どおり据え置き、練乳の下位価格だけは若干の引き上げが行なわれるだろうが、一番消費の多いバターだとか脱脂粉乳というものは、前年同様で、乳業者が製造を行なって販売しても、二円程度引き上げて、十分採算はとれるということで、五十七円という価格が出たわけでしょう。結局逆算しても、二円どうしても上がるということで、五十七円になったのですから、そうじゃないですか。それは当然五十七円で取引されるわけです。そのほか、会社の一升当たり十一円の市乳の利益の中から、原料乳についても、二円あるいは三円というものは、別個のものとして当然加算されていくのがあたりまえじゃないですか。その点を私は言っているのですよ。大体あなたの気持ちもわかりますが、これは国会の議論ですから、気持ちだけが通じたということじゃだめなんですね。発言して後日の記録に残るようにしておいてもらわなければいけないわけなんです。気持ちは大体わかったが、その気持ちをことばの上ではっきりしておいてもらえば、大体私の質問の趣旨というものは、それで終わるわけです。
○桧垣政府委員 芳賀先生のお話は、論理の筋としては、私も十分理解できる御発言でございます。 ただ、ちょっと申し上げておきたい、あるいは申し上げることはよくないかもしれないのですが、審議会や当委員会でも御説明しましたように、五十七円という価格で乳製品の製造をした場合に、回収をされます原価部分というのは、これは繰り延べ可能経費、利潤、役員報酬、償却費、宣伝費等を除いた部分が回収されるものであるということだけを、内容の説明でございまするが、つけ加えておきたいと思います。
○芳賀委員 これはきょう限りの問題じゃないし、また東海林委員も、局長の答弁というのはまことに不満足である、信用相ならぬので、後刻農林大臣の出席を求めて——これは農林大臣が告示することになっておるわけだから、局長が告示するということにはなっていないわけです。農林大臣はおそらく審議会に、開会のあいさつぐらいしたかもしれぬが、日韓交渉なんかに没頭して、行っていないと思う。そして、その審議会の審議の状態とか、答申の真意がどこにあったかということは、局長もあまり説明していないのじゃないかと思うのです。そういう諸般の事情がわからぬで、局長が五十七円でいいと思いますと言うので、農林大臣はまた君の言うとおりにしようということで、五十七円ということにしたと思うのです。その間の事情というものは、本人である農林大臣が委員会に出席して明確にしてもらわぬと、東海林委員の言うように、われわれとしても十分了承できかねるわけです。 本日は私もこの程度にして、大臣出席の場合に、必要があればまた質問したいと思います。
○坂田(英)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕