農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/03/11
会議録
○坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。
○芳賀委員 甘味問題についてお尋ねします。 第一の点は、二月二十四日の予算分科会においても農林大臣に対して質問した点でありますが、その当時は農林省においてもまだ作業不十分で、具体的な説明ができないという事情でありましたが、相当日数が立っておりますので、現在の段階において、国内における甘味対策等についてはどのような案がまとまったか、御説明を願いたいとわけであります。
○舘林(三)政府委員 最近に見られます糖価の著しい変動と低迷は、世界の砂糖市場の変動と低迷に基因するところが非常に多いのでございます。これは開放経済体制下におきましては避けられないことでございますが、このような糖価の異常な変動は、てん菜糖やサトウキビをはじめといたしまして、国内の甘味資源対策を円滑に進めていく上におきましては、非常に大きな影響がございますので、国内糖価の異常な変動を避けまして、これを安定させることが望ましいと考えてまいっておるのであります。しかし、これが対策については、非常に影響するところが大きいので、現在農林省といたしましては、学識経験者の意見を聞く必要があると考えまして、二月上旬以来懇談会を開いて、今日まで鋭意検討を続けてまいっておるのでございますが、二月の下旬に大体意見の一致を見ましたので、現在その立法化につきまして鋭意検討中でございまして、なるべくすみやかに結論を得たい、かように考えております。
○芳賀委員 それでは、立法措置の問題については、政府としての方針がおよそまとまって、新しい甘味資源対策についての要綱等はもう整ったわけですか。
○斎藤(誠)政府委員 お答えいたします。 ただいま政務次官から申し上げましたように、懇談会の糖価対策についての意見の取りまとめが大体できておりますので、この案に基づきまして、目下食糧庁としては、これを骨子とした法律案の制定に鋭意努力をいたしておるところでございます。まだ食糧庁の段階として、法案の形を整え、関係省と折衝いたしておる段階でございます。
○芳賀委員 政務次官にお尋ねしますが、今度の通常国会は五月十九日をもって終了するわけです。例年ですと、政府の都合によって会期延長というものが行なわれた例もありますが、今年の場合には参議院の改選期が予定されておるわけですから、政府の都合で会期を延長するということは至難だと思うわけです。そうしますと、一方的に政府・与党の都合で土俵を広げて都合のいい国会審議をやるということは、絶対できないわけですから、そうなると、五月十九日から逆算して、たとえば政府案を衆議院にいつごろ提出した場合において、これが成立が可能かどうかという計算はできると思う。われわれの長年の経験からいいますと、少なくとも今月の二十日ごろまでに政府案が提出されないと、それ以降に出す場合には、成立を期待しないで、ただ形式的に責任をのがれるような意味で一応出すということにしかすぎないわけですが、そういう点についてはどう考えていますか。まじめに成立を期するような法案を出すのか、おざなりに成立しないことを期待しておそくなって出すのか、その点を明らかにしていただきたい。
○舘林(三)政府委員 芳賀委員もすでに御承知のように、農林省といたしましては、十五の法律案を準備しておるわけでございまして、やっとただいままでに衆議院の段階におきましては二つの法律案を上げていただいたわけでございます。まだ農地管理事業団とか酪振法の改正とかいろいろな重要な問題がございますが、それと相応じまして、甘味資源の対策、糖価対策というものは非常に重要な問題でございますので、なるべくすみやかにひとつ提案をいたしたいと思っております。ただ、これは芳賀委員も御専門で御存じのとおりに、影響するところが、先ほど申し上げましたように、非常に大きい問題でございますし、また政府部内におきましても、今日の段階におきましてはまだ意見が合致していない点もあるわけでございます。しかし、なるべくすみやかに出しまして御審議いただきたい。それにつきましては、もうすでに提案理由を説明した法律案も相当ございますので、なるべくそれのほうを早く上げていただきまして、十分糖価対策につきましても御審議の時間を与えていただきますように、よろしく御協力をお願いいたしたい次第でございます。
○芳賀委員 そこで、三月二十日ころまでに必ず提案する運びになるかどうか。それ以降の場合にはもうおそらく成立は不可能になるわけですから、それを目途にすみやかに作業を進めて提案できるかどうか。三月二十日といったって、あと十日ないですから、どうですか。新聞等にはしばしば政府の構想とか案の大綱等は出ておるわけでありまして、それを政府が一番関係の深い農林委員会に何ら内容の片りんも示すことができないというのは、まことに不可解です。ですから、最終的なものはできないとしても、現段階で検討しておる案の内容というものは、どういう点を骨子にして、どういう成果をねらって立法化を進めておるかというような点については説明できると思うのです。きょうは大臣の出席を求めていないわけですから、特に事務当局の責任者として、食糧庁長官からできる限りの内容の説明をすべき時期だと思うのです。
○斎藤(誠)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、懇談会でまとめた意見がございます。この意見自身につきましては、すでに新聞にも発表いたしておるところでございまので、もし御要求がございますならば、この案につきましてはいつでもお出しいたしたいと考えております。 現在考えておりますのは、この懇談会の意見を骨子といたしまして考えておるわけでございまして、憾談会の骨子といたします点を二、三申し上げますと、第一は、やはり国内糖の今後の育成を考え、さらに国外の糖価の変動との関係をどのように調整していくかということが一つの点になっておるわけでございます。そういう観点から、将来実現すべき国内産糖のコスト価格を一つの目安に置きまして、これに国際価格の変動を織り込んだ上下限の価格帯を設ける、この価格帯におさまるような価格の実現が望ましい、こういう観点で、基準価格と下限価格との間におきまする価格変動につきましては、売買を通ずる価格調整を行なって、そしてこの調整によって得た資金につきまして、これを国内産糖のほうに充てるというのが一つの考え方になっております。また、上限のほうの価格につきましては、ある程度下限によって、価格の下限から下がらないような措置を講ずると同時に、上限についても価格の抑制をはかるようなことが必要であるという考え方で、これはいま申し上げた価格調整の資金の一部を、上限価格を越えるような場合におきましては、それを価格抑制のために一部使うという考え方と、さらに必要がある場合におきましては、上限価格を越えるような市価が実現した場合においては、関税面におきまして弾力的に措置する、こういう輸入糖についての考え方をとっておるわけでございます。国内糖につきましては、御承知のように、現在の市価とコスト価格が非常に高い状況になっておるわけであります。したがいまして、国内糖の価格支持の措置といたしまして、現在甘味法で一応政府が買い上げるという措置をとっておりますが、このような状態のもとにおきましては、政府が買い上げれば買い上げるほど、それが荷もたれになる。逆にいえば、持っておっても、自由化後の状態におきましては、輸入糖がこれに置きかわってくる。したがって、これを市場に放出するならば、その面からまた価格を圧迫する、こういうふうなことで、甘味法の運用上におきましてもいろいろな問題があるわけであります。そこで国内糖につきましても、輸入糖と同じように、コスト価格で、申し込みに応じて瞬間タッチ式に買い入れ、売り渡し、その差額を価格差補給的な意味で調整するというような措置をとるというのが一つの内容になっておるわけでございます。これらの点を骨子といたしました成案化をいたしたい、こういうことで現在作業を進めておるわけでございます。
○芳賀委員 そこで、一番問題になる点は、国内における糖価の基準的な価格、標準的な価格というものをおおよそどの程度に押えて、それを中心にして運営するかということになると思うわけですが、いま政府のお考えになっておる国内における標準的な安定すべき糖価というものは、一体どのくらいに考えておられるのですか。
○斎藤(誠)政府委員 この具体的な運用について、基準価格をどのように考えるか、あるいは価格調整をするための上限価格、下限価格をどのように考えるか、これらは今後の運用の一つの要点になるというふうには考えておりますが、現段階におきましては、その仕組み自身の制度化に、そういう考え方を基調とした制度化にいま鋭意努力いたしておるわけでございまして、具体的にいまどのような数字を用意しておるかということを申し上げる段階にまだ至っておりません。ただ従来から、たとえば甘味資源の十ヵ年計画を三十四年につくりました際、あるいは消費税と関税を振りかえる際に、国内の糖価基準をどのように考えるかということで、御承知のように、百二十一円五十銭というふうな当時の価格を想定したこともございます。われわれとしては、そういうふうな数字も参考といたしまして、いろいろな面から検討してまいりたいと考えておりますが、具体的に考えます場合に、国内の価格も考えなければいけないし、さらに御承知のように、国際の糖価の変動のある中におきましても、一つの長期的な趨勢もありますので、やはり自由開放経済のもとにおいて、国際価格の動向というものも当然織り込まなければいけないだろうというような考え方をとっておりますが、いま具体的にどうだということまで申し上げるにはまだ多少時間を要するというふうに考えますので、御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 しかし、実際問題としては、安定すべき糖価というものを一応めどをつけてかからないと、ただ形態だけ整っても、それでは当てはめる中身をどうするかということになると、非常に問題があると思う。たとえば昨年度の原料で生産されたてん菜糖の場合には、政府の買い入れ価格が百十円ですから、これは一つのよりどころになると思うのです。それからもう一つは、今後政府として国内甘味の自給度を向上させる、いまの甘味資源特別措置法にあるように、自給度の向上というものを大きな柱にして、その達成につとめるということであれば、おのずから国内におけるてん菜あるいは甘庶糖の原料資源の開発拡大ということは、当然前提条件になるわけでありますから、そういう原料の価格というものが生産農家の所得の向上につながるという、そういう最低限の原料の価格支持、それを積み上げた国産糖の支持すべき価格というものは、おのずから算出できるわけですから、それに消費者の家計の安定等も勘案して、将来的に安定できる国内糖価というものは、常識的に考えれば、政府が考えても、われわれが国会の立場から考えても、そう大きな差はないのですね。少なくとも百三十円台ということはおおよそ推定されるわけですから、それ以上百三十円というわけにもいかぬでしょうし、百十円台ということもいかぬと思うのです。だから、正確に百二十何円ということは尋ねるべくもないが、おおよその目標価格というものはどの程度だということは、ここで明らかにしても差しつかえないんじゃないですか。
○斎藤(誠)政府委員 お話しのように、この制度を運用する場合においては、これが一つの要点になることは御指摘のとおりだと思います。それだけに、またこの論議をめぐりましていろいろの御意見のあるところでありまして、これが非常に低い価格でありますれば、実行上あまり意味をなさないということにもなりますし、さればといって、非常に高い価格でありますならば、現状の糖価水準から見まして、現在の糖価を人為的に非常に引き上げるというふうなことにもなる可能性もあるわけであります。糖価自身は、御承知のように国際自由市場に依存している国といたしましては、日本が最大の輸入国でありまして、しかもその自由市場の価格というものは、非常に投機性の強い市場になっておるわけであります。ほかの国、大輸入国は自由市場に依存しながらも、なお自分の特恵市場というものを持っておるわけでありますが、日本は特恵市場というものを持っていない、いわばフリーハンドで自由市場に依存しているというふうな状況でありますので、これがやはり糖価についての非常な変動の要因というものを国内にかかえ込んでいるというのが、糖価の不文定要因の最大の理由ではないかというふうにも思われるわけであります。そういう観点から考えますと、むしろ国内における将来実現すべき価格というものも一面考えると同時に、国内糖価の現状におけるような著しい低落、さらにまた三十八年当時におきますような著しい高騰、これらの抑制ということが、やはり必要なことではないかというふうにも考えられるわけでありますが、いまの御指摘の点自身が、実はこの法案についてのいろいろ論議のある点でありますので、現段階では、事務当局としては慎重な検討を要するものであるということで対処いたしておりますので、もう少し時間を与えていただきたい、こう思うわけでございます。
○芳賀委員 政務次官にお尋ねしますが、池田内閣時代にとった砂糖の輸入自由化というものが失敗であった、あやまちであったということの反省は、政府としてなされておるかどうか、いかがですか。
○舘林(三)政府委員 貿易の自由化と申しますか、開放体制への即応というかっこうで、日本の産業界の体制を整えなければいけないことは、申すまでもないわけでございます。砂糖の自由化が行なわれまして、御存じのとおりに、国内のいろいろの砂糖関係の大きな問題がさらにたくさん激化したわけでございます。さような点から申しまして、少なくとも自由化が成功か失敗か、よかったか悪かったかというよりも、やはり自由化に対しての準備というものが必ずしも十分ではなかったと私は考えております。
○芳賀委員 ですから、政策的に見れば、これは失敗か成功かということは甘えるわけですね。失敗だということになれば、その政策の手直し、是正をするということは当然ですから、いま政府が講じておる対策というものは、失敗に対する是正の対策であるというふうにわれわれは率直に理解しておるわけです。それが失敗でないということになると、何のために路線を変更しなければならぬかということにもなるわけです。結局自由化というものと、国内における甘味資源の自給度の向上というものは、全く密着しない形で、不用意に政策が進められたわけですから、こういう当然の結果が生じたわけだと思うわけです。だから、これを速急に手直ししないと、国内における甘味対策というものは、いつまでたっても前進できないと思うのです。そういう反省と判断の上に立って、これからは砂糖政策というものをどう進めるという明確な姿勢がなければいけないと思うのです。 最近の事情を聞きますと、名古屋精糖が中心になって一部の糖業者が政府与党に働きかけて、われわれとすれば不十分な政府の案の内容のように考えておるわけですが、それをさえも阻止するという動きが非常に強いということを聞いておるわけです。そこに農林省あるいは食糧庁としての苦労もあるらしいのですが、その間の事情はどうですか。
○舘林(三)政府委員 先ほど齋藤食糧庁長官が申し上げましたように、自由化後に国際糖価が非常な勢いで低落した、これはあの自由化の当時は必ずしも予測していなかった現象だと私は思うのです。その当時は相当国際糖価も高かったということを前提として、いろいろの政策を講じてまいったのでございますけれども、御承知のとおり、自由化後に非常な勢いで低落した。しこうして、その低落が今後におきましても相当期間続きそうだということも、これまた疑いない事実でございまして、さような国際的な状況、また国内産糖の保護という両方をかね合わせまして、今後の糖価対策を立てたい、かように思っておるわけであります。
○芳賀委員 われわれの承知した範囲では、最近、佐藤総理が非常にこの問題に対して態度を変更して、農林省が作業を進めておる案に対しても、これは慎重を要するというような現状維持的な態度を示しておるということが伝えられておるわけであります。総理の性格からいって、一貫性がないということは国会で認めておる点ですが、総理大臣が、当然講ずべき農林省の具体的な案の作成等に対して、特にこれを抑制するように、慎重を要すると言ってブレーキをかけるようなことになれば、これはいかに農林当局が努力しても日の目を見ることはできないということになると思うわけです。そういうことは絶対にないですか。
○舘林(三)政府委員 先ほど私並びに長官から御説明いたしましたとおりに、今日これから打ち立てようといたしております糖価対策につきましては、一流の専門家の方々の懇談会を開いてやっておるわけでございまして、その懇談会の結論をまって立案に着手しておる状態でございまして、いまお話しのように、総理から特別の御指示が農林大臣を通じてあるとか、さようなことは全然ございません。
○芳賀委員 最近の傾向として、たとえば酪農関係の新しい乳価対策にしても、いま論議しておる甘味問題等についても、新しい方向が出る前に必ず業者が動き出すわけですね。蠢動しておるうちはいいが、業者が相当強力に行動を開始すると、それが直ちにいまの自民党政府の政治の姿勢に影響を与えておるという点は否定できないと思うのです。乳業メーカーとか砂糖メーカーというものが国民の総意を代表したものと考えて、いまの政府は受けとめて、政府の意思を安易に変更するようなことになるのじゃないですか。その点はどうなんですか。一体、そういう利潤追求の業者というものは、国民の利害を代表するものであるかどうか、そういう点はどう考えていますか。
○舘林(三)政府委員 乳価の不足払いの問題につきまして、いまお話がありましたが、私もしばしば酪農審議会には出ておりますが、お話しのとおりに、メーカーのほうからいろいろ反対があることは事実でございます。しかし、酪農審議会にいたしましても、いろいろ利益を代表されている各界各層の入をもって構成されておりますから、自分の立場から反対せられるということは、私は避けられないことだと思うのです。しかし、政府といたしましては、不足払いの問題にいたしましても、糖価安定の問題にいたしましても、ほんとうに政府の独自の立場からやっているわけでございまして、ことに不足払いのごときは、農林大臣がもうすでに一年前からぜひ実現したいという強い希望を持ってやっておる問題でございまして、業者の意見等につきましては一応参考にはいたしますけれども、最後の決定といたしましては、農林大臣が責任を持ってやるつもりでございますから、どうぞ御安心願いたいと思います。
○芳賀委員 次に、少し具体的な点についてお尋ねしますが、先般の予算分科会におきまして、甘味資源特別措置法の規定に基づく一味資源審議会が、昨年第一回の会合を開いただけで、あと開催されていないわけですが、この点について、大臣は、必ず三月中に第二回の審議会を開会いたしますということを言明しておるわけであります。ところが、いまだに会議開催の連絡がないわけですが、担当の食糧庁長としては、三月の何日ごろに第二回審議会を開く予定であるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○林田政府委員 私からお答え申し上げます。 甘味資源審議会が先生仰せのようにおくれておりまして恐縮なのでございますが、第二回の審議会を三月終わりごろには開きたいというような予定にしておるわけでございます。
○芳賀委員 それは間違いないですか。
○林田政府委員 その予定で目下やっております。
○芳賀委員 次に、長官にお尋ねしますが、甘味資源特別措置法の規定に基づいて、昭和四十年度に耕作するてん菜の最低生産者価格については、四月十日までに政府が決定して告示しなければならぬということになっておるわけですが、この作業についてはどういう状態ですか。
○斎藤(誠)政府委員 お答えいたします。 いまお話がありましたように、甘味法に基づきまして、最低生産者価格をきめるわけでございますが、それにつきましては、法律によりまして、パリティ指数に基づいて算出された額を基準として、物価その他の経済事情を参酌してきめるということになっておるわけでございますが、大体四月十日までにきめるということになりますと、二月のパリティ指数をとりたいと考えておりますが、パリティ指数の判明いたしますのが三月下旬になる予定でございます。それから三十九年産の生産費が、やはり三月下旬に統計調査部で一応まとまることになろうかと思っておりますので、いまこの資料の収集を待ちまして、四月十日までには価格を決定いたしたい、かように考えております。
○芳賀委員 てん菜の原料取引価格について、先般北海道においては、生産者団体と関係会社の間において確認が行なわれた事項があるわけです。それはすでに食糧庁長官も承知されておると思いますが、現在の諸般の事情に基づいて、会社側としては、特に本年度のてん菜の生産の増大を期待するために、早期に生産者に対して生産面に対する協力をしてもらいたいということを眼目として、会社の力において昨年同様一トン七千二百円の取引価格に応ずるということを、一月の下旬に外部に発表したわけです。一方生産者の側においては、てん菜の価格決定の場合においても、やはりこれは農産物である限り、生産者の生産費はもちろんであるが、所得を補償するという価格形成をしてもらわなければ困るということで、昨年もそうでありますが、生産者側としては、四十年度の原料価格については、少なくとも八千円台の価格を決定してもらいたいというような意向は、当初から述べておるわけでございますが、そこで、生産者と会社側の立場から会議を開きまして、そうして相互に、生産者は会社側の、会社側は生産者側の主張を確認するという取りきめが行なわれたわけです。これによりますと、政府に関係のある点としては、会社側は、本年度は去年と同様に、トン当たり七千二百円の価格で取引をしたいということになっておるわけです。昨年の場合には、甘味資源特別措置法審議の途中でありまして、われわれとしても、早期に三十九年度の原料価格をきめる必要があるではないかということではないかということで、斎藤長官のほうからいろいろ配慮をされて、現地の北海道庁に対して、すみやかに当事者間において取引価格を話し合いをしてきめるべきである、こういうような行政的な指導を行なった経過があるわけでございますが、本年度は政府のほうでも非常に慎重を期して、そういうものには関係がない。関知しないというような態度をことさら示しておられるようでありますが、この原料取引価格の七千二百円、こういう点が正式な契約ではありませんが、確認されたということについては、長官として関知されておるかどうか、いかがですか。
○斎藤(誠)政府委員 ただいまお話がありましたように、北海道のてん菜対策協議会と糖業者間の交渉で、取引価格は昨年と同額の六千八百円で、増産奨励金は四百円というふうにきまったということの報告を受けて、承知いたしております。
○芳賀委員 この価格というものは、最低の取引価格として実行に移されると思うわけでございますが、こういう今年の原料取引価格のおおよその決定というものを前提にした場合に、改府として四十日までに最低生産者価格を決定して告示することになるわけであります。 そこで、現在の法律に示されておりますいわゆる二本立て価格というものが、過去一年間の運営の経過を経て、どういうものであるかということに対しては、相当判断されておるわけですね。われわれとしては、あのような二本立て価格というやり方は、これは成果がない、とるべきでないということを国会審議の中でも指摘したわけでありますが、政府としては、何か効果があるようなことを信じて、無理やりにあの案を通されたのでありますが、一年間たった今日においては、相当再検討されておると思うわけです。その点について何か考えついた点があれば、示してもらいたい。
○斎藤(誠)政府委員 芳賀先生から、昨年の甘味法の審議の際におきましても、一本価格にすべきか、あるいは二本価格にすべきかということにつきまして、貴重な御意見を承っております。これは、私は率直に申しまして、両論が成り立つところだというふうに思います。ほかの国の例を見ましても、一本価格をつくっておるところもありますし、二本価格をつくっておるところもあります。また、一本価格をつくっておる場合におきましても、特別の場合においては二本価格に——二本価格といいますか、追加支払いをするようなことを命じておるような取り扱いの制度もございます。これは一がいに短所長所を申し上げるわけにもまいらないものがあろうかと思いますが、ことしの北海道における実際の生産状況を見ますと、いままで報告を受けたところでは、昨年度よりも相当上回る生産量の期待ができる。作付面積の増加が期待できるようでございます。そこで、本年もそういう意味におきまして、昨年度と同様の価格が早期にきまったという背景には、そういうふうなことがあったとすれば、これはやはり効果があったんじゃないかというふうにも考えられるわけでございます。ただ、政府の買い入れ価格につきましては、最低生産者価格を基準としてきめるというたてまえをとっておりますけれども、これは各社別にきめるわけではなく、いわば標準的な一本価格できめるということになっておるわけであります。そういう意味から、ある会社によりましては、非常に支払い能力があるところもあり、ある会社によっては非常に支払い能力のない、逆に言えば、最低生産者価格をもとにした買い入れ価格については、採算割れがするというようなところも出てきているということも承知いたしております。この間の調整ということにつきましては、いまの甘味法のたてまえでありますと、やはり一本価格で買い入れざるを得ないということになりますと、勢いそういう問題が当然生ぜざるを得ない。両方のよしあしの面もごごいますので、一がいにどちらがどうだということも私は言いかねる。考え方としては、一本価格でやるという考え方も私は十分成り立ち得ると思いますけれども、いま申し上げましたように、ことしの生産の伸び等の状況を考えてみましたりすると、そういう措置ももう一つ認められるといいますか、合理性もあるんじゃないか、こういうふうにも考えております。
○芳賀委員 私の指摘した点は、政府のいわゆる法律にうたってある最低年産者価格というものは、これは政府が糖業者から生産された砂糖を買い入れる場合の買い入れ価格の基礎となるべきものであって、生産者に対して原料価格としての最低保証をするものではないという点をいま指摘しておるわけです。政府としては、糖業者から買い入れる場合の価格というものをできるだけ低く押えたいという、その点はわれわれとしてもわかるわけですが、その場合に、原料に全然根拠を置かない形の買い入れ価格というものをきめるわけにはいかぬですからして、便宜的に政府のその年度において買い入れすることのできる、なるたけ出血を避ける意味の価格というものを想定して、それから工場の生産経費等を控除した残りが原料の最低価格ということになるわけですが、したがって、昨年おきめになった一トン六千四百五十円という価格は、これはどう判断しても、生産者にして再生産を確保させる価格でないということは、もう一年間の経緯を見て明らかになったわけであります。それで、本年の場合にも、昨年に比べて条件は悪いけれども、反別等の面についても若干の伸びを示すというその理由は、最低価格が昨年の六千四百五十円を下回るようなことはないという、そういう信頼感の上から生産が伸びるのでなくて、昨年の実際の取引価格である一トン七千二百円、これを下回るようなことはないという、そういう判断と期待の上に立って、ことしは北海等においてもビートの作付面積がある程度伸びる、こういう傾向を示しておるわけです。ですから、この最低生産者価格というものは、現在になれば生産者にとってはこれは全然無縁のものであるということは、当然食糧庁長官としてもお考えになっておると思うわけです。そうだという肯定はできないでしょうが、実際こういう制度の運営に当たっておる者の立場から見れば、政府が法律にうたっておる最低生産者価格というものが何であるかということは、すでに生産者から見ても、糖業者から見ても、政府自身としても、これは明らかな点だと思いますが、その点はどうでしょうか。
○斎藤(誠)政府委員 これは甘味法の制定におきまする際の考え方を申し上げることになって恐縮でございますが、やはりいまの甘味法のたてまえは、最低生産者価格は、生産者にとって再生産を確保するための最低の支持価格である、しかし、企業の支払い能力、あるいは企業の判断、あるいは増産意欲に対する積極的な協力というようなことで、会社がそれ以上に出すという道を開いておくことが望ましいのじゃないかという考え方でございますので、制度論といたしましては、いま最低生産者価格が無縁であるから、取引価格一本でいくということにはならない。制度としては、やはり最低の支持価格というものは残し、さらにその上におきましては、会社の支払い能力、いま申し上げたような事情から、さらに追加した取引価格というものが形成されても、一向差しつかえない、こう思っております。
○芳賀委員 それでは当事者間で取引価格をきめて取引された実際の原料の価格ですね、これはコスト計算をする場合においては、具体的な基礎になる価格であるというふうに考えられるわけですね。 そこで、最低生産者価格が四月十日までにどれだけの価格に発表されるかわかりませんが、しかし、昨年のように六千四百五十円で再生産が可能であると政府がたとえ形式的に言っても、これは生産者は全然信用もしないし、相手にもしないわけですね。現実の問題としては、本年のような砂糖事情が非常に不利な場合においても、生産者が再生産に対して意欲を示せる最低の原料価格というものは、昨年を下回らない価格であるということについては、これは異論はないと思うのです。問題は、この具体的な取引価格というものを、政府の買い入れ糖価の計算とかあるいは最低生産者価格の決定の場合に要素として取り入れるかどうかということだと思うわけです。昨年も若干の勘案はされたと思いますが、この点は非常に今後重要だと思うわけです。新しい糖価安定制度をつくる場合においても、現在ある甘味資源特別措置法との関係をどうするかということは、これは非常に重要な点だと思います。したがって、最低価格の決定の事前にあえてこの問題を私から提起したわけでございますが、価格算定について、昨年の事情あるいは今年の当事者間における原料価格の確認事項等というものは、当然算定についての勘案要素になるというふうに考えますし、また新制度ともこれはつながりを持つものであるというふうにも考えておるわけでありますが、その点は長官としてどういうふうに判断しておるわけですか。
○斎藤(誠)政府委員 新制度になりましても、いまの考え方につきましては、私はそう変わる必要はないのではないかというふうに考えております。生産者につきましては、もうすでに甘味取引価格ができれば、それによって本年度の価格は事実上は保証されることになるわけであります。問題は、会社がそれを買い入れた原料に基づいて精製糖をつくった場合に、いかような価格で買い上げられるかということでありまして、これは製糖企業と政府との関係の問題に集約されるわけでございます。先ほども申し上げましたように、一応最低生産者価格できめましても、標準的なコストでやらざるを得ない、一本価格できめざるを得ないということによりますと、その間に、やはり会社間によって相当支払い能力の差が出てくるのもやむを得ないし、また事実そうなっておるわけでございます。したがって、契約されたものにつきまして、会社に支払い能力がなくなるというようなことでありますならば、企業対策といたしまして、昨年と同様に、たとえば支払いに必要な融資の措置を講ずるとか、昨年もやったわけでございますが、そういうようなことについてはもちろんやらざるを得ないと思っておりますけれども、また算定の際に現実の価格を参考にするということも考えられますが、しかし、たてまえは、それを基準にしてとるという必要はないのではないか、こう思っております。
○芳賀委員 次に、てん菜の関係とあわせて、国内の甘庶糖の問題、それからブドウ糖の問題、特にきょう沖縄産糖の問題の質問が予定されておったわけですが、質問者が病気のために出席できないのですが、沖縄糖の今後の買い入れ措置の問題等についても、やはりこれは国内の甘味対策全体の中の一環として、当然取り上げる筋合いのものだと思うのです。特に国の甘味長期対策の中にも、沖縄産糖というものは計画の中に包括されておるのでしょう。そういう実態になっておりますので、この際、問題ごとに、ブドウ糖、甘蔗糖、沖縄糖というような問題についても、現行法の運用、さらに新制度との関連についても、どういうふうな措置をするかという点について、できるだけ具体的に述べてもらいたいと思います。
○斎藤(誠)政府委員 現在国内のビート、甘蔗糖につきましては、味資源特別措置法によって価格の支持をいたし、そのために政府の買い入れをいたすということにいたしております。また沖縄産糖につきましても、国内糖価が著しく低落したような場合におきましては、沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法というのがございます。 そこで、本年度の計画といたしましては、てん菜糖につきましては、生産量の約六割を買うということにいたしまして、三十九年度におきましては十万トンの買い入れ予定でございます。そのうち、すでに五万九千トンを買い付けいたしまして、今後年度内に四万一千トンを買う予定にいたしております。四十年度以降におきましては、三十九年産のてん菜糖につきまして一万七千トンの買い上げを予定いたしております。甘蔗糖につきましては、五万四千トン買い入れる予定でございまして、三十九年度におきましては四万二千トン、そのうち、一万二千トンはすでに買い付け済みで、残り三万トンを年度内に買い付ける予定にいたしております。四十年度以降におきましては一万二千トンを買い入れる予定にいたしております。それから沖縄産糖につきましては、実は予算編成当時におきましては、糖価がまだ百十円をこえておりました状況でありますので、沖縄産糖のコスト価格から見ますと、必ずしも買い上げする必要もなかろうということで、三十九年度予算においては計上いたしておらなかったわけでありますが、その後、御承知のように、糖価が非常に下がってまいりましたので、四十年度以降におきましては、糖価対策との見合いで買う必要が生ずる場合もあろう、こういうことで、実は四十年度予算におきましては、沖縄産糖の買い入れ数量を約十万三千トンと予定いたしまして、これを予備費計上にいたしておったわけでございます。ところが、三十九年度内におきましても、相当のコスト割れが生ずるということで、糖価が低落いたしたために、沖縄産糖につきましても、政府買い上げの要望が琉球政府から出されてまいったわけでございます。そこで、この十万三千トンの中で、年度内に、通常沖縄産糖が国内で出回る量を五万七千トンと見込みまして、その五万七千トンのうち、予算が特別に沖縄産糖として計上されているものがございませんので、国内糖の買い入れ予算中、残額約七千トン分がありますので、これは沖縄産糖を年度内において買い入れるという措置をとったわけであります。残る五万トンにつきましては、予算がございませんので、これは輸入商社に保管をさせまして、そして金融措置で仮払いをさせる。そして四月以降になりまして、先ほど申し上げました予備費から買い上げの措置をとる。結局沖縄産糖についても、買い上げと全然同じ措置を五万七千トンについては年度内にとる、こういう措置をとったわけでございます。以上が甘味法、沖縄産糖の買い入れについての数字的ないままでの経緯でございます。新しい糖価対策が出ましても、方法としてはやはり、政府か買うことはやめることになりますが、政府にかわりまして、かりに事業団が設置されるということになりますれば、事業団のいわば瞬間タッチ的な方法によって、価格差を補給するというようなことにかわることになろうかと思いますが、それらもどうしますか、いま検討いたしておるところでございます。ブドウ糖につきましては、でん粉をブドウ糖業右において支持価格で買いましたものを、約一万五千トン年度内に買い上げるということにいたしておりまして、残り約五万トンがございますが、これは四十年度において買い上げをする、こういう予算を計上いたしております。
○芳賀委員 大体わかりましたが、そこで、買い入れの分についての三十九年度——四十年にわたるわけですが、てん菜糖あるいは国内の甘蔗糖については、三十九年度内に生産総量の、割合からいえば六〇%を買い入れを行なうのですね。それで、てん菜糖については、昨年の年末に生産量の一割程度を会社自身が処分するということで行なっておるわけですからして、具体的には七〇%程度が政府に買い入れを依存するということになれば、四十年度に持ち越されるということになると思うのですが、この分について、いま数字をあけられたわけですが、生産量に対する割合からいえば、どういう割合になるのですか。年度内に六〇%を買い入れして、四十年度に残りの三〇%を買うとか買わぬとか、そういう問題になると思うのです。
○斎藤(誠)政府委員 てん菜糖につきましては、当初予定いたしておりました生産量よりほんのわすかの増産で、生産量がふえております。しかし、甘庶糖あるいは沖縄産糖につきましては、当初見込んでおりました粗糖の生産量が相当上回っておる。これにはサトウキビ自身が一般的にことしは作がよかったという面もありますほかに、粗糖以外に実は黒糖に回るべきものというものが従来ともあるわけでありますが、これがやはり糖価低迷というような関係で粗糖に回るというようなことで、生産量がふえたという面もございまして、率につきましては、いま掛で申し上げられませんが、いままで受けましたいろいろの情報によりますと、確定的なものではございませんが、甘庶糖につきましては、当初六万トンという生産見込み量が八万トンぐらいになるのではないか。それから沖縄産糖につきましては、二十一万トンくらいのものが二十四万トンくらいになるのではないか、こういわれております。
○芳賀委員 いずれにしても、いまの制度からいうと、生産された砂糖について、政府が示した買い入れ価格よりも市況が相当低落して、回復の見込みはないという場合には、これは政府が買い入れを行なって価格の安定をはかるということになっておるわけですから、何割しか買い入れしないというわけにはいかぬわけですね。これは昨年の十二月四日の予算委員会でも、農林大臣も、政府の計画としては全面的な買い入れでないことに進みたいが、四十年度に入ってなお事情が好転しないで、買い入れが必要であるという分については、糖業者の手持ち分について残量は買い入れしなければならぬというような発言もされておるわけです。そうなると、四十年度に入って事情が好転しないということになれば、製造業者の手持ち数量というものについては、政府として買い入れしなければならぬということになると思いますが、その点はいかがですか。
○斎藤(誠)政府委員 四十年以降におきまして、今後糖価がどのようになりますか。いま生産量の増加のほかに、実は糖価が見込み当時の百十円から割るような事態になったことについての、むしろいろいろの要望が出ておるわけでありまして、いわばその分だけが自販分にかかってくるということになるわけであります。今後糖価がどのようになりますか、糖価対策が実現されますかどうかというようなことにも関連してくるわけでありますが、それらの事情も見きわめて検討し、研究したいと思っております。
○芳賀委員 次にブドウ糖の関係ですが、これは厚料であるでん粉、あるいはその原料であるイモの問題にも関連するわけですが、先般の分科会でも質問をしたわけですけれども、コーンスターチの規制の問題について、先般長官が説明された程度では、まだ具体的にこの道でいくということになっていないわけです。方法として二色くらいあるが、それについても若干の検討の余地があるようなことを言われたわけですが、現段階においてコーンスターチの規制措置というものについて、大体最終的な方針が固まったかどうか、いかがですか。
○斎藤(誠)政府委員 お答えいたします。 先般御質問に対してお答えいたしましたとおり、食糧庁といたしましては、生産規制のためには、行政操短を進めていくということがまず望ましいのじゃないか、こういう考え方で現在も準備を進めておるわけでございます。ただ、それでは不十分ではないかという御意見もいろいろございますが、それはそれとして、行政操短の方向で進めておる、こういう状況でございます。
○芳賀委員 その場合、どの程度の生産数量を認めて、それ以上を規制するかということになるわけですが、効果的な生産数量の規制すべき限界というものはどの程度なんですか。
○斎藤(誠)政府委員 具体的にいまどのくらいということを申し上げられませんが、御承知のように、三十八年は十四万トシ、三十九年は二十七万トン、四十年度はさらにそれを上回るではなかろうかというふうなことが生産の見込みとしていわれておるわけであります。このような数字で進んでは、でん粉等に影響する分が非常にあるではないかというふうに考えておりますが、いまそれでは十四万トンからどのくらいのワクにするのかということについて、数字まで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。やはりコーンスターチにはコーンスターチの固有用途があるわけでありますし、また固有用途自身についても伸びが年々あるわけであります。それを上回ってブドウ糖分野あるいは甘味資源分野にいろいろ入ってくるということになりますと、そこでいろいろの価格の影響、シェアの食い合いというようなことになってくるわけでありますので、固有用途の考え方は、そういうコーンスターチの固有用途の需要というものを押えまして、さらにでん粉全体の需給状況も見ましてきめるべきではないか、こう思っております。いま具体的にそれじゃ幾ら、こういうことはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○芳賀委員 しかし、どのくらいで規制するかということがきまらなければ前進できないのじゃないですか。コーンスターチ独特の別途ということを強調されますが、そういうことを強調することが規制を困難にするわけです。たとえば十四万トン生産されなかった以前、あるいは四万トンの時代とか八万トンの時代もあったわけですから、その場合にも、国内においてコーンスターチの生産量が少ないというので、いろいろな関連した企業の生産部面で重大な支障があるということにはなっていなかった。たまたま原料が自由化されて、政府のほうでもコーンスターチの設備の拡大を放任しておいた関係で、こういう状態になったわけですから、以前十万トン以下であったような時代にそれではどういう不都合があったかということになると、それほど重大な支障はなかったわけです。ただ、いまになって、二十七万トンとか三十万トンの規模になって、それを縮小するということが政府として非常にやりづらい、困難であるという事情はわかるが、しかし、一方において国産のイモ類の保護とか国産でん粉の保護とかいうことを優先するということになれば、思い切っていままでの政府の放任の態度を是正して、相当強力に国内の保護対策に乗り出してもらわぬと、取り返しがつかぬことになると思うわけです。ですから、少なくとも三十八年の十四万トンなら十四万トンに押えるというくらいの強い態度がなければ、この問題も解決することがないのじゃないかと思いますが、そういう思い切ってやるというような心がまえはあるのですか。
○斎藤(誠)政府委員 いまいろいろと業界と話を進めておるわけでございますので、ここでどのくらいということについては差し控えさせていただきたいと思いますが、ごく抽象的にお答えいたしますならば、十四万トンではきついのじゃないか、二十七万トンでは甘いのじゃないか、こう思っております。
○芳賀委員 あなた、それは幅があり過ぎるじゃないですか。十四万トンと二十七万トンの間なんということでは話にならぬですよ。いままで放任しておいたところに政府の責任もあるのですからね。十四万トンくらいのところで押えればいいのに、押えないで、いまになって、きつ過ぎるとかゆる過ぎるとかいうのはおかしいと思うのですよ。だから、思い切ってやるのであれば、政府の責任もあるわけだから、十四万トンなら十四万トンで押える、それが勧告操短の形で押えることができなければ、原料の輸入を規制するとか、幾らでも実行できる方法はあるのですよ。これはわからなければ、こっちで具体的に示してもいいわけですが、勧告操短については公取委員会としても了解されておるということを先日長官が言われたわけですから、それが具体的方法としていいとすれは、速急におやりになったほうがいいと思う。政府に甘味でん粉十万トン以上を買い上げしてもらわなけばならぬということになれば、それはコーンスターチの影響による国内でん粉の過剰傾向ということになるわけですから、国内における過剰と認められる分、あるいはでん粉の価格を暴落させる原因となっておる数量はわかるわけですから、その数量分だけコーンスターチの生産量から差し引くということになれば、国内における需給の安定ということも可能になると思うわけです。それには、やはり現在の生産量をコーンスターチの分野においては十万トン以上引き下げるということにならなけば、これは一方において原料の自由化を認めて、一方においてはでん粉の継続的な大量買い上げをしなければならぬというような矛盾が生じてくると思うわけです。 〔坂田(英)委員長代理退席、本名委員長代理 着席〕 この点は、政務次官においても、昨年から研究されておる点ですからして、勧告で規制するとすれば、やはり実効のあがるように、国内でん粉を買い上げしなくても、いいまでの数量をコーンスターチの生産面で規制しなければいけないと思いますが、舘林さんの御意見はどうですか。
○斎藤(誠)政府委員 お話の点は、でん粉とコーンスターチの世界だけのお考えのようでありますが、しかし、でん粉の価格水準自身については、コーンスターチとの競争もありましょうけれども、やはりコーンスターチも含めて糖価の問題というものも影響しておるわけで、幾らでも買い上げれば、それに応じて価格は引き上がるという関係にも必ずしもないと思います。需給はとんとんであっても、価格水準はやはり糖価のために下押えになる、こういうことも現にあるわけでありますから、いまお話しになりましたように、全体の需給からイモでん粉の供給を見て、差し引きしてコーンスターチを出す、こういう簡単なことでも行き得ないと思います。もう少し検討さしていただきます。
○芳賀委員 それはできることをやらぬだけじゃないですか。何のためにいままで野放しにコーンスターチの原料の輸入を自由化にして、設備なんかも農林省が知らぬ間にどんどんできているのでしょう。コーンスターチの設備が行なわれていないと思ったのが、今度は操業が開始されてびっくりしたなんという例があるわけなんですからね。だから、私のほうで幅の狭い考えを持っておるのじゃなくて、あなたのほうで非常に狭い視野の上に立って行政を進めておるから、大きな間違いが繰り返して生ずるわけなんです。ただでん粉の分野だけを考えても、何もコーンスターチなんか全然なくても、これは国産でん粉で間に合うのですよ。そういうぜいたくなことをいって、コーンスターチでなければ間に合わぬとかいうのは、これはぜいたく過ぎるのですよ。少なくとも一国の農業の生産とかあるいは生産されたものを十分保護して活用するという基本的な態度が政府にあれば、そういうかってなことを業界に言わせなくても済むわけです。いままでの態度がいけないから、簡単に言えば、業界になめられておるわけですね。甘く見られておるわけなんですよ。何か業界の言うことが正しくて、政府のやろうとすることが正しくない、業界に同調して、業界の指示に従わなければ近代的な行政の姿でないというような考え方が、農林省の中には最近ぼつぼつ出てきたわけですね。そういうことを言ったり行為することが何か近代的な農林官僚らしいというような、自信喪失した態度というものは、早急に改めてもらいたいと思うのですよ。この点についても、勧告操短ができるとすれば、公取も了解しておるとすれば、やはりこれは思い切った手を打って——何も国産でん紛を大量に買い入れてくれとはだれも言っていないのですよ。コーンスターチの分野がどんどん拡大されて、結局国産でん紛に置きかわるような状態になったわけであるから、日本の政府が、日本の農産物やそれを原料にした生産に対して、当然の責任で保護するというのであれば、コーンスターチの生産を規制するとか、原料輸入を規制するとかいう形で、国内で生産されたものの自給度の向上と、それが完全に消化できるようにしてもらいたいというのが、国民の側からの当然の主張ですから、それにこたえるのが政府じゃないですか。そうじゃないですか。この点は一体どう考えておりますか。
○斎藤(誠)政府委員 コーンスターチ自身が製品として、イモでん紛の製品と比べてどうかということにつきましては、これはいろいろ御議論のあることと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、たとえばコーンスターチの出発当時におきましては、繊維用の粒の小さいスターチが必要であるということで伸びてきたり、あるいは製紙の関係で別途がだんだん伸びてきたとかいったように、つまり、新しい分野におきましてコーンスターチの伸びたことも事実であるわけでありますから、それで、だんだん国内でん粉自身につきましても改良されて、十分それに対応できるというものがあれば、もちろんそれにこしたことはないわけであります。問題は、むしろそういうことにあるのではなくて、コーンスターチのほうが、従来の国内でん紛の固有の用途といいますか、甘味資源分野まで、価格が安いからどんどん入ってくるというようなことによって、国内のイモ作農家にも影響を与えるし、また秩序あるでん粉の業界としても、いたずらに混乱を招くだけであるということが、やはり問題ではないかというふうに考えておりますので、基本の考え方につきましては、いま芳賀先生のお話しになったような考え方をわれわも持っておるわけでありますが、しかし、現に存在する企業につきまして、また固有の用途があるものにつきまして、単純に需給推算上、国内のでん粉がこれだけあるからこれだけの生産でいい、こういうわけにも現実問題としてはいかない点は、十分御了察願えると思います。
○芳賀委員 とにかくいまの農林省は、大蔵省の農林局ぐらいにするという考えであれば、何を皆さんがやってもかまわぬが、農林省という大きな看板をかけている以上は、もう少し自分の国の農業あるいはそれに関連した産業の発展とか育成ということも、念頭に置いてやってもらいたいと思うのです。 それで、コーンスターチ規制のもう一つの方法として、関税に対する措置という点もあるわけですが、現在はいま説明のとおり、勧告操短を重点にやっていきたいということですから、両方の道を選ぶわけにもいかぬと思いますが、この関税による対策という点は、現在どう考えておられるのですか。
○斎藤(誠)政府委員 コーンスターチ自身の関税なり輸入については、関税は二五%、あるいは輸入についてはほとんど外割をしていないということで、スターチ自身は輸入が制約されておるわけであります。問題は輸入されたコーンでありますが、二十六年以来コーンが自由化されて今日に至っておるわけでありますが、主としてコーンスターチに使われるべきコーンは、南アフリカ等から来るいわゆる白色のホワイトコーンによっておるわけであります。そういうことで、これの関税をいま引き上げるというようなことにつきましては、南北問題もありまして、なかなかむずかしいというふうに対外的に考えられるわけであります。またコーン自身につきましても、ガットの譲許品目になっておりますので、関税率の改定ということにつきましては、対外的ないろいろ困難な問題が多いのではないかということで、いまこれの引き上げについてどうこうするということは、私どもは考えておりません。
○芳賀委員 そこで、これは畜産局にもお尋ねしたいわけですが、最近の飼料事情から見て、特に養鶏関係の飼料が非常に不足しておるわけですね。養鶏の飼料は、ほとんどがいま問題にしておる輸入トウモロコシに依存しておるわけですから、その点は別の機会にまた明らかにしてもらいたいと思いますが、むしろ、飼料対策の立場から見れば、ふすま等が食管輸入になっておるわけですから、重要な濃厚飼料であるトウモロコシ等についても、この際政府が買い入れする。いわゆる食管のえさ勘定で、トウモロコシまたはマイロ等についても、重要な飼料として指定して、食管でこれを買い入れるというくらいのことをしないと、畜産の問題、飼料対策の大幅な解決はできないと思うのです。もしそういうことを政府がやろうという気持ちになればできることですから、そうなれば、たとえば輸入するトウモロコシは、えさ用であろうとコーンスターチ用であろうと、トウモロコシには変わりはないわけですから、輸入トウモロコシは全面的に食管会計で買い入れして、買い入れしたものについて政府が計画を定めて、えさ用あるいは必要な分についてはコーンスターチの原料として、これを払い下げするというようなことにすれば、一挙にえさの問題もでん粉の問題も解決できると思うわけです。これは政策上の問題ですから、きょうは参事官しか畜産局からは来ておりませんが、これは当然、もうこちらから指摘しなくても政府として検討をすべき問題であったと思うわけです。この点について、畜産局あるいは食糧庁としてどう考えておりますか。
○吉岡説明員 トウモロコシにつきましては、御承知のように、現在えさ用としては、三十九年度におきまして三百万トンくらいの数量が輸入される見通しでございます。これは現在自動承認制でございまして、関税も無税で入っております。そして、これを食糧管理特別会計で買って、売り渡しをしたらどうか、こういう点につきましては、自動承認制で無税で相当円滑に入っておる現在までの事情にかんがみまして、いまのところ、そういう必要はないのではないか、そういうように考えておる次第でございます。ただ、港湾スト、そういうような影響等もございまして、輸入につきまして、数量的にある期間を限って円滑さを欠く、そういうようなこともあろうかと思います。そういうために、農林省といたしましても、四十年度からは、約半月分十五万トンのトウモロコシを調整保管数量として食糧管理特別会計で買いまして、そういう港湾スト等不時の事態に備えてまいりたい、そういうように考えておるわけでございます。
○芳賀委員 トウモロコシの輸入は、政府ができないということはないでしょう。憲法に定められておれば簡単にはいかぬが、なにもAA制だからだめですというのはおかしいじゃないですか。政府がそういうふうに行政的にやっただけでしょう。そうして自由化で無税でトウモロコシを三百万トンも入れさして、まっすぐ畜産農家の手に渡るのではなくて、まずその中間においてえさ業者にそれが渡されて、また飼料の輸入商社とか、そこで優先的に利潤を吸い上げて、それから高いえさが農家の手に渡るわけですから、何のために無税にして自由化にして飼料を入れるかということになるのです。通産省でえさを扱っておるのであれば、それはえさ業者の利益のためにやっていこうということも理由になるが、農林省の畜産局や食糧庁がえさを扱って、特別の扱いでこれは関税はかけない。それは農民の利益のためにほんとうはしてやらなければならぬでしょう。それを今度は自由化だから輸入商社が自由に入れてこれる。それがえさ業者の手に渡って配合飼料の原料となって、そこで独占的な利潤が吸い上げられる。それでえさは高くなる。そして生産された卵は安くなるし、豚内も下がる、こういうことになっておるわけです。それをあなたが簡単に、AA制だからどうしようもございませんというような程度では、これは参事官の答弁としてはおかしいじゃないですか。あなたとしては、これは重大な問題だから答えかねる、いずれに近い機会に畜産局長とか農林大臣から答弁しますから、これなら話はわかるが、どうですか。
○吉岡説明員 先ほどの答弁に続きまして、若干補足いたしまして御答弁いたします。 先ほど、無税で自動承認制で入っておる、したがって、食糧管理特別会計でいまのところ買うということは考えておりません、こう申し上げました趣旨は、食糧管理特別会計で、現在えさ勘定で四十年度におきましては百七十万トンくらいの飼料を輸入することを一応予定しておりますが、それに入れられない、そういうことを申し上げたわけではないわけでございまして、自動承認制で無税で入っておりますトウモロコシを食糧管理特別会計で買い入れて、そして売り渡す、こういう操作をするということは、むしろ、需給なり価格の安定の上から必要がないのではないか、そういうように考えておる、そういう趣旨のことでございます。御承知のように、現在の食糧管理特別会計による飼料需給操作は、民間の自由なる貿易に依存しておりますものは、なるべく自由な貿易によって需給なり価格の安定をはかる、そういう制度でございまして、それにつれまして、相当の調整的、保管的な制度をこれによりましてやる、そういうような方向で考えておるわけでございます。そういう意味において、港湾スト等の若干の季節的な調整につきましては、来年度もトウモロコシを約十五万トンということを一応考えておりますが、そういうものについては調整保管ということを考えておるわけでございます。そういうものを除いては、現在の状況におきましては、トウモロコシにつきましては相当円滑に入っておりまして、ただいま御質問にありましたような独占利潤とか、特別の価格のつり上げ、そういうような状況はございません。ただ、最近におきまする価格の傾向は、アメリカにおきますトウモロコシの供給が、昨年の秋の干ばつによる収穫の減少と作付面積の減少を加えました収穫の減少によりまして、約一千四百万トンほどの供給の減がありまして、価格の変動がございましたが、そういうものを除きまして、現在までのところ、需給なり価格は相当安定的に推移をしておる状況でございます。したがいまして、そういうときにおきまして、特に食糧管理特別会計におきましてこれを全部保管する必要はないのではないか、そういうように考えておるということを申し上げたわけでございます。
○芳賀委員 いや、あなたの説明と現象は逆じゃないですか。えさの価格がだんだん高騰しておるわけでしょう。それから国内における需要に円滑にこたえることができない需給関係じゃないですか。あなたはえさ企業が相当の利潤をあげて安定していいというなら、これは話がわかるのですよ。私の聞いておるのは、わが国の畜産全体から見て、その飼料は、ほとんど七〇%以上も外国に依存しておるという状態であって、いまではアメリカにおいても余剰農産物を日本に売り渡すということでなくて、その正常な取引から見ても、えさ関係等については、むしろ向こうが売り手市場でしょう。そういう関係になっておるから、やはりこの買い付けをする場合にも、以前よりも相当高値で買い付けをしなければ手に入らないということになっておるわけです。そういう毎年毎年値上がりする飼料を使って、生産された鶏卵とか牛乳とか畜肉というものは、一体どういう価格で国内で消費されておるかというと、これはえさは上がって、卵は下がるということになっておるわけだから、その間で利益をあげておるのは結局えさ屋ですね。えさ企業は利潤をあげて安定しておるが、生産農家は非常に不安定であるということになって、あなたのところの畜産局もいろいろ頭を悩ましておるのじゃないですか。鶏卵の価格安定をどうするかとか、えさの恒久対策をどうするかとか、牛乳の価格をどうするかとか、そういうことを言っておるのに、女房役の参事官がのんびりして、これは安定していますというのは、これはおかしいじゃないですか。ここは漫談をやるようなところじゃないですよ。政府としても、真剣に責任を持った行政の内容というものを明らかにして、国会の質疑に答えるというのがあなた方の役目じゃないですか。あなたの答弁とか発言というものはおかしいですよ。そう思わぬですか。これは政務次官からちょっと御説明していただきたい。
○舘林(三)政府委員 養鶏とか養豚の濃厚飼料の主たる成分でございまするトウモロコシの輸入につきましては、先ほど長官から申し上げましたとおり、四百万トンをこしているわけでございまして、国内の生産量はただの十万トン前後でございまして、ほとんど濃厚飼料の主体をなすトウモロコシが、外国に依存しておるということは事実でございます。だからといって、四百万トンのものを直ちに国家がすべて国家貿易の形でこれを買い上げて配分するというわけにも、私は今日の日本の制度からいっていかないだろうと思うのです。さような意味で、飼料の需給安定法ができたわけでございまますが、本年は特に昨年よりも五万トン増しまして、十五万トンのトウモロコシの調整保管をやるということで、一応の施策を打ち立てたわけでございます。しかし、それは十五万トンでございますけれども、やはり飼料の需給安定をはかるというだけの役割りを私は果たしていっているのじゃないかと思うのです。直ちにこれが飼料の価格の上昇を押えるという役割りはやらなかったにいたしましても、たとえば今度のアメリカのガルフのストライキというようなものを考えました場合に、さような異常な場合の需給の安定をはかるという役割りは、私はかなりやってくれているだろうと思うのです。しかし、それにいたしましても、お話のとおり、日本の飼料価格を押えるというだけの役割りは、なかなかむずかしいかと私は思っているわけでございます。さような意味から考えまして、吉岡参事官がいま芳賀委員に十分な御説明をしなかったのは、私はもっともだと思いますが、実際日本の濃厚飼料の問題は、全く日本の畜産の泣きどころでございまして、文字どおりほんとうにむずかしい、処置のない問題だという感じをいたしております。もちろん、今後におきましても、大・裸麦の増産というような方法をとりまして、濃厚飼料の需給の安定をはかるというようなことも考えなくちゃいけないと思っております。 とにかく今日におきましては、率直に申しまして、非常にむずかしい問題で、だからといって、いま芳賀委員のおっしゃいますように、四百万トンを直ちに国家貿易で買い占めるというようなこともできないわけでございまして、これは飼料需給安定法の根本的な再検討ということ以外にはいい案が出てこない。むしろ、芳賀委員のような御専門の方にいい案をお示しいただきたいという感じがするわけでございます。
○芳賀委員 きょうは畜産関係の質問をしているわけではありませんが、結局先ほどのコーンスターチの原料であるトウモロコシの関係についても、これはたとえば関税措置である程度効果のあがるような規制をするとしても、それはコーンスターチの原料用トウモロコシの関税の引き上げということになるわけです。ところが一方、同じトウモロコシがえさ用ということになれば、これは無税で入ってくるわけですからして、コーンスターチ原料のトウモロコシだけの関税を引き上げても、それは一時の効果はあるけれども、現状においても無税のえさ用のトウモロコシがコーンスターチの原料用に横流しをされているという事実は、これは農林省としても認めているわけですね。公認しておるわけではないけれども、そういう事実があるということは承知しておられるわけですから、そういうことであれば、ふすまさえも食糧管理特別会計で買い入れしておるわけですから、この際、抜本的な対策としては、国がえさ用のトウモロコシ一切を食管でこれを取り扱うということにして、計画に基づいて、飼料用あるいは必要なコーンスターチの原料用にこれを払い下げるという措置をとれば、飼料問題あるいはでん粉問題等についても、一挙に解決できる有力な方法であろうというふうに指摘したわけですが、きょうは問題提起という形で申し上げたわけであって、直ちにどうこうしなさいというわけではないのですから、この点についても、政府として十分各角度から検討を加えて、後日適当な機会に方針を明らにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○舘林(三)政府委員 コーンスターチの問題につきましては、いろいろ横流し等の事実があるのではないかというお話をしばしば承っておりますけれども、これは税関で詳しく常時工場等におきまして検査をしておりまして、私たちといたしましては、横流しという事実はあまりないのではないかと思っております。 なお、政府が農林省といたしまして、あるいは食糧庁といたしまして、トウモロコシを大規模に買い上げろというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、今度は新しく十五万トンのトウモロコシを調整保管の意味で買ったことは、もう御承知のとおりでございます。問題は、これをどうしてふやすかということが私たちの努力目標だと存じておりますが、ただ、四百万トンすべてを買い上げるというような段階では私はないと思うのです。とにかく、貴重な御意見でございますから、十分これから参釣いたしまして、御期待に沿いたいと思っております。
○本名委員長代理 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ————◇————— 午後二時四十六分開議
○本名委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について、質疑を続行いたします。東海林稔君。
○東海林委員 私は、養蚕の問題について、数点政務次官並びに蚕糸局長にお尋ねしたいと思います。 昨年から政府は、養蚕についても積極的に増産対策を講ずるということを打ち出したわけでございます。戦後の養蚕に対する政府の方針は、御承知のように、時によって積極政策、時によって消極政策あるいはひより見主義、こんなふうに非常に一定してないわけでございまして、養蚕は全国的な点から見ますと、若干偏在しているような点ございますが、しかし、主要養蚕県としては、非常にこういうような政府のふらついた政策のために、いままで迷惑をこうむっておった面があると思うのであります。したがって、昨年政府が新たに増産政策を打ち出した際に、私は、予算委員会の一般質問並びに本委員会において、農林大臣、通産大臣、さらに当時の蚕糸局長等に対しまして、養蚕政策を打ち出す以上、ほんとうに養蚕農民が安心して今後増産に励むということができるように、まず第一には、価格の安定を期するということと、さらにもう一つの重要な問題として、輸出機構の整備をはかるべきだ、そういう観点から、いろいろと質問をいたしたわけでございます。 そこで、それに続いたような形で、少し問題を取り上げてお伺いしたいと思うわけでありますが、まず初めに、次官にお伺いいたします。 私は少し気になるのでありますが、「昭和四十年度において講じようとする農業施策」の中の二十七ページの「養蚕の振興」という点を見ますと、養蚕についてのいろいろな改善、特に省力飼育というような点についてはいろいろ書いてあるのですが昨年あれほどお互いに議論した価格政策なり輸出振興ということについて、一言も触れていないのです。この点が非常に気になるのです。それからもう一つ、昭和四十年度農林予算を見ましても、農林省でつくったこの説明書の二十五ページでありますが、繭糸価格の安定この予算額、もちろん、この特別会計の歳入歳出予算額だけで積極的だとか消極的だとか即断することはできないかと思いますけれども、それにしましても、特別会計の予算も減っておる。こういう形なんです。したがって、この二点から見まして、まず心配することは、ほんとうに昭和四十年度においても、前二年に引き続き積極的に養蚕対策を進める次意があるのかないのか。特に昨年以来重点的な問題になっておる価格政策等について、本気に取り組む熱意が一体あるのかないのか。この点が非常に心配なのでございますが、この際、次官からその点を明らかにしていただきたいと思います。
○舘林(三)政府委員 お答えいたします。先般国会へ提出いたしました「昭和四十年度において講じようとする農業施策」の中での説明が非常に不十分じゃないかというお話でございますか養蚕の振興につきましては、東海林委員お手元にこの白書、「講じようとする農業施策」をお持ちだと思いますが、二十七ぺ−ジには、養蚕の振興につきましての、当面これから講じようとする具体的な対策をいろいろ書いてあるのでございます。たとえば構造改善事業とか、あるいは養蚕につきましての協業経営とか、その他のいろいろな施策を講ずる、あるいは養蚕の省力化をはかるとか、あるいはまた病虫害の防除対策を講ずるとか、健全な蚕品種の確保をはかるとかいうようなことを詳細に述べておりますとともに、四十四ページにまた新しく一項を設けまして、「繭糸の価格の安定と流通の合理化」という二つに分けて、政策を書いてあるわけでございまして、この点はぜひ御了承願いたいと思います。 なお、当面の問題といたしまして、一番大事なのは繭糸価格の安定でございますが、繭糸価格の安定につきましては、今日まで上限と下限を設けまして、広い幅の安定帯機構というかっこうでやってまいりました。しかし、これから御質問あるだろうと思いますが、かような繭糸価格安定法による価格の安定ということは、いろいろの経験から十分じゃありませんでしたので、いま審議会を設けて検討中でございますが、中間安定機構というかっこうで、これから先繭糸価格の安定をはかりたい、かような気持ちでございまして、繭糸価格の中間安定機構につきまして、もし御質問がありましたら、詳細に局長からお答え申し上げたいと思います。
○東海林委員 四十四ページにちょっとそういう点書いてあるが、輸出等の問題とも関連して、あるいは養蚕として一本にやってもらったら非常によかったと思うのですが、私がお尋ねしたいのは、前年に引き続いて養蚕の積極的な増産指導という方針には変わりないのかどうか、その点をはっきりしてもらいたいと思います。これは次官からはっきりしてもらいたいと思います、基本方針なんですから。
○舘林(三)政府委員 お答えいたします。 もちろん、養蚕の増産につきましては、政府といたしまして、これからも積極的に進めることは申すまでもないことでございます。今日、養蚕業は一種の斜陽産業というようなかっこうでいわれておりますけれども、農林省といたしましては、最も大事な農産物でございますから、今後におきましても十分な増産の処置を講じたい。また予算等におきましても、さようなことで努力いたしたいと思っております。
○東海林委員 次に、蚕糸局長にお尋ねしたいのですが、価格政策について昨年いろいろとこまかい議論をした中で、昨年の「昭和三十九年度において講じようとする農業施策」の中に、価格政策については、 二つの点があがっておったわけです。一つは、繭糸価格安定法の活用をはかるということ、一つは、取引所について指導を強化するということ、もう一つは、繭の価格について指導する、こういうふうな点がありましたね。糸については二つの点があげられておったわけです。その当時の蚕糸局長と私がいろいろ質疑をかわしている中で、局長はさらにもう一つつけ加えたわけです。それは従来とかく軽く見られておったけれども、やはり価格が暴騰したり下がったりするという一つの大きな原因は、蚕糸業自体の中にも問題があるということです。その点、いろいろと話しているうちに、要するに、養蚕家が繭を売る、その売り方にも非常に問題があるのだ、今後はそういう点を特に重点的に業者ともよく話し合って改善していくのだ、こういう趣旨の話が当時あったわけなんです。 そこで、私がここでお尋ねしたいのは、あとに同僚の質問者もありますから、時間を急ぐので、簡単にお答えを願いたいのでありますが、昨年の春繭以来現在まで、価格安定対策として一体どんなふうにやってきたのかということを、価格の暴騰との関連をつけながら、ひとつ御説明をいただきたい、こう思うわけです。
○大口政府委員 お答えをいたします。 生糸の価格は、昨年一年間はキロ当たり四千百円台のこともございましたが、主として四千二百円、三百円台を低迷をいたしておりましたが、昨年の十二月の下旬から本年の一月、二月にかけまして、にわかに取引所の取引が過熱状態になりまして、一時は繭糸価格安定法の最高価格でありまする五千五百円の直前にまで暴騰いたしたのでありますが、その後いろいろな施策を講じましたことも手伝いまして、現在では五千百円くらいの数字になっております。昨年一年間の、いま御質問のありました期間の糸価の大きな動きは、大体以上のとおりでございます。 そこで、昨年の初頭以来糸価が低迷をいたしておりました時代に、蚕糸局といたしまして、いろいろ繭糸価格の安定と申しまするか、糸価の不安を除くという趣旨でとりました施策を順を追ってごくかいつまんで申し上げたいと思います。 一昨年の生糸の価格の暴騰、暴落のあと、昨年の初めころの糸価は、先行きがきわめて不安であるということから、例年繭糸価格安定法に基づく最高最低価格を決定する時期は、法律に基づきまして三月の末ということになっておりましたのを、当時の糸価の不安を取り除くということもねらいまして、昨年特に早めまして、三月の初めに最高最低価格を決定し、それ以前に適用されておりました価格を、最高最低それぞれ俵当たり三万円ずつ引き上げて決定したということがまず第一でございます。 それと相前後いたしまして、やはり製糸業における生糸の供給をある程度調節する必要があるのじゃないかというような業界の意見なり蚕糸局の考え方も加わりまして、中小企業団体の組織に関する法律に基づきまする製糸業者の工業組合の中で、調整規程というものをつくりまして、一定の数量を割り当てまして、その数量の糸を特別に保管会社を通じて特別会計に操り込む。御承知のように、条文は繭糸価格安定法の九条の二でございますが、この条文に基づきまして、総計七千七百十俵の生糸を最終的に特別会計に繰り込むという措置を講じましたことが第二点でございます。 それから、そのような措置をとりましても、依然として糸価の先行きの不安が続いておりましたので、この九条の二に基づいて、保管会社を通じて政府が買い入れまする契約の期限が三月末で一応切れましたのを、さらに一年間契約期間を延ばしますると同時に、その当時九条の二によって政府が買い入れまする生糸の数量の限度が一万俵あまりであったのを、さらに追加をいたしまして、五月上旬にこのワクを一方俵追加をいたしまして、総計二万一千五百俵の数量の生糸を九条の二によって政府が買い入れ得るような措置を講じたのでございます。それから、これは必ずしも生糸の価格ということではございませんが、繭の価格と生糸の価格双方の問題ではありますが、昨年の春繭の取引に際しまして、養蚕と製糸の間でいわゆる繭価の事前保証という形での話し合いがまとまりして、繭の価格で一キロ当たり五百三十七円、これを糸の価格に換算をいたしますと、キロ当たり四千二百七丁二円、この価格以下では製糸は養蚕から繭を買わないという事前協定が締結をされまして、その仮、その協定が初秋蚕、晩秋蚕にも及びました結末、昨年一年間は年間を通じまして、養蚕農家から製糸業者が買い入れまする繭の価格につきましては、いま申しました価格が最低保障ということで働きました結果、昨年一年間の繭の実際に買い上げられました価格は、いまの事前保証水準よりも高いところで行なわれたのでありますが、これも一つには生糸の価格の安定の線をねらった一つの措置ということが言えると思うのでございます。それから、さらにこのような糸価低迷の環境のもとに、製糸と養蚕、ともども相協力をして、将来の糸価のてこ入れをはかる必要があるということから、昨年の秋に養蚕と製糸の間で、先ほど政務次官がお答えになりましたいわゆる中間安定構想というものについての話し合いがまとまりまして、この案の具体化について、蚕糸局に案の提出かあったのでありますが、蚕糸局はこの案に基づきまして、昨年の十二月に蚕糸業振興審議会を開催いたしまして、この案の詳細なる御検討をお願いをいたしたのでありますが、この審議会におきましては、さらに小委員会を設定いたしまして、この小委員会において、本年の一月以降すでに四回にわたりまして、この中間安定構想についての審議が続けられ、近く審議会としての結論が得られるように私どもは承知をいたしております。 それから、本年の一月以降、生糸取引所の過当技機も手伝いまして、糸価がきわめて急速に暴騰いたしたのでありますが、この暴騰いたしまするきざしが見えました本年の一月八日以降、数次にわたりまして生糸取引所の過当投機を規制する措置を講じてまいりまして、今日に至っておるのでございます。 なお、生糸取引所の規制措置のこまかい内容につきましては、もし後刻お尋ねがありますれば、詳細に御説明いたすつもりでございますが、いまのところは、一応昨年一年間の経過を概略御説明申し上げた次第でございます。
○東海林委員 昨年の二月の本委員会での論議の際には、一昨年の世界絹業協会の理事会等の意見でも、大体一俵当たり二十七万から三十万程度に安定すれば、年率五%程度の需要は伸びるだろう、こういうようなことであって、多少養蚕家には不満であっても、一応当面は三十万円、キロ五千円というようなことを目標として安定さしていきたいのだ、こういう農林当局の見解があると同時に、これは六月の繭の出る時期までにはぜひそういうところまで持っていきたいのだ、こういうようなことで努力するという趣旨の答弁があったわけなんです。ところが、いまお答えを聞きますと、昨年は四千百円から四千三百円くらい、大ざっぱにいって、四千二百円くらいの前後だ、こういうようなお答えなんですが、そういう点は、だいぶ昨年の二月の本委員会における農林省の答弁と違った結果が出ておるわけなんです。そこらのところは一体どこにその理由があるのかというような点、一番大事なことだけひとつお話し願いたいと思います。
○大口政府委員 一昨年の糸価の暴騰、暴落のあとを受けまして、生糸の輸出がおそらく相当影響を受けるだろうということはわかっておったのでありますが、当時の前蚕糸局長が国会において御答弁になりましたときの見通しといたしましては、おそらく、いかに糸価の暴騰、暴落の影響があとに残っても、昨年の前半くらいには再び平常のベースに戻って、輸出が戻り、需給も再び均衡のとれたかっこうに戻るであろうというような判断が、あるいは裏にあったかと私は想像いたすのでありますが、現実の輸出の推移を見ますと、昨年の一月以降大体月に二千俵台、非常に多い月で十月、十一月に約三千俵、四千俵台の輸出を見たことがありますが、大部分が月に二千俵、したがいまして、一昨年当時の水準でありますと、生糸で大体六、七千俵というのが月平均でございましたので、それから見ますと、半分以下の数量に減ってしまったのであります。したがいまして、生糸全体の輸出実績が、一昨年の約六万俵以上の輸出に対して、三十九年度においてはわずか三万七千俵に輸出が落ち込んでしまったのであります。これらのことが非常に需給を圧迫いたしまして、糸価がどうしても回復をしないということから、先ほど御説明をいたしましたような九条の二の条項を使って、政府の生糸のたな上げであるとか、いろんな措置を講じてまいったわけでありますが、残念ながら、当時考えておりましたような水準にまでいまだ回復をしておらないというのが現状でございます。
○東海林委員 そうすると、一口で言えば、一昨年のああいう非常に気違いじみた暴騰というようなことで、非常に国際市場における信用がなくなって、それがまだ回復しておらなかった、こんなふうな意味に理解されるのですが、それでは昨年の推移、少なくとも昨年からことしの正月にかけてのああいう状況、こういうようなことについて、世界の生糸市場としては、日本に対してどういう見方をしておるであろう、幾らか信用回復のような徴候が期待できるようなところまできているのかどうか。それでなしに、やはり依然として非常に不信のままにきているのか。その点がはっきりしないと、増産せいと言うても、非常に問題だと思うので、そういう意味で、その点をはっきりしてもらいたい。
○大口政府委員 実は従来から、生糸の価格が安定をすることが輸出の振興の一番大きな問題であるということであったのでありますが、昨年の糸価の状況は、ただいま申し上げましたように、安定ということばで呼ぶにはあるいは適当でないかもしれないのでありますが、ほとんど値動きがなかったのにもかかわらず、輸出は海外の需要がそれほど旺盛に戻ってこない。ところが、昨年の暮れから糸価が上がり始めますと、これはどうもいつもそういう状況のようでありますが、上がり始めると、あわてて買い出すということで、もっと上がることは非常に困るという苦情が非常に殺到してまいる。したがって、むしろ、糸価が平静であったときにはあまり苦情がなかったのでありますが、昨年の暮れ以降本年の初めにかけて、海外の需要者が、綿業協会のニューヨーク、リヨンの事務所等を通じまして、日本の政府はもっと糸価の暴騰抑制策をやってもらいたいというような趣旨の苦情が、非常に参っておることは事実でございます。したがいまして、どうやら信用が回復できるかなと思っておりました時期に、また苦手糸価の高騰というようなことで、再び買い気が衰えたということになっているのではなかろうかと思っております。 そこで、輸出に対する恒久策といたしましては、日本の政府の講じております糸価安定策の下値の保証につきましては、海外でも大体相当有力な制度であるというふうな認識を持っているようでありますが、上値押えにつきましては、政府が糸を持っているときはいざ知らず、持っていないときには全く無力であるという認識を持っているようでありまして、先般の糸価の暴騰が、幸いにして最高価格の手前で押えられたというのも、現在政府が約八千俵の生糸を持っておったから、抑制に成功したのではないかというふうに私ども考えておりますが、しか、海外の需要者が買い得る糸価というのは、最高価格が五千五百円ではいささか高過ぎるという認識を持っておるようでありますので、やはり輸出体制といたしまして、国内の糸価がかりに何らかの原因で非常に暴騰したときも、輸出については一定の線以上の価格では売らないというような制度がもしできれば、この点の不安を除去するのに役に立つであろうという構想を実は持っておるのでありますが、先ほど申しました、十二月に開かれました蚕糸業振興審議会におきまして、中間安定の構想についての審議を終わりましたあと、引き続きまして輸出体制の問題を御審議いただくことになっておりますので、その結論を得ました上で対処してまいりたいと思っております。
○東海林委員 そこで、昨年は四千二百円前後で暮れまであまり大きい動きがなかった、こういうことなんですが、農林省で調べておられる生産費調査との関係で、そういう程度で、養蚕農家が引き合うと見ておられるのか、その関連をどういうふうに見ておられるのか。昨年は、大体五千円程度であれば、養蚕農家としては、不満足ながらもまあまあ何とかなるじゃないだろうかというふうにわれわれは考え、蚕糸局も大体そういう趣旨の御答弁であったのですが、四千二百円前後では、一体昨年の生産費調査の関係でどうだったろうかということが一点と、それからいまの御答弁の中で、これは局長わかっておられることなんだろうと思うけれども、ちょっと気になったのは、昨年は四千二百円前後で安定というか、やや低迷しておったので、外国から文句がなかったというのですけれども、従来われわれが聞いておるところでは、やはり生産農家が生産費を償うような額で繭が売れるのでなければ、生産意欲が盛り上がらず、したがって、増産が期徒できない。結局においては、世界の需要に対して生糸が不足して、また非常な高騰を来たすのではないかというふうな意味での世界市場における心配もあって、生産費とやや見合うような程度においての安定ということが期待されておった、こういうふうに承知しておるわけなんですが、その点をひとつもう一度念のためにはっきりしてもらいたい。
○大口政府委員 ただいまの私のお答えの中で、昨年の糸価があまり動かなかったので、文句が出なかったということを申し上げましたのは、いま東海林先生の御指摘の点を実は若干舌足らずで申し上げたわけでありまして、糸価が動き過ぎるのではないかという趣旨の文句は確かに来なかった。しかしながら、これ以上絶対に糸価が動かないという点についての信頼感というのは、おそらく全く持っておらなかった、そういうことでございますので、つけ加えて申し上げたいと思います。 それから、ただいまのお尋ねの、生産費と昨年の実際に取引をされました繭価との大体の比較を、数字に基づいて申し上げてみたいと思いますが、昨年の繭糸価格安定審議会の際に提出をいたしました蚕糸局で取りまとめました繭の生産費は、キロ当たり六百三十一円という生産費でございまして、その生産費に対しまして一定の支持率、一〇〇%ではございませんが、それに基づいて最低価格四千円というのが決定をされた経緯があるわけでございますが、昨年の春蚕、初秋蚕、晩秋蚕別に実際に実現をされた繭価の全国平均価格を申し上げますと、春繭につきましては六百二十一円、初秋蚕につきましては五百四十二円、晩秋蚕につきまして五百五十七円、したがいまして、これらを年間を平均いたしました加重平均価格が五百十一円というふうに、私どものほうの計算ではなっております。したがいまして、先ほど申し上げました六百三十一円という生産費を基礎にいたしまして百分比を出しますと、春繭につきましては九八%、初秋蚕につきましては八六%、それから晩秋蚕につきましては八八%、年間通計をいたしまして九二%という数字になっておりますが、この春繭につきましては、当時の基準となりました糸価がまだまだわりに高かったのでございますので、先ほどの製糸と養蚕の間の事前保証の成果が実際には働かなかったのでございますが、その後糸価が下がってまいりましたので、晩秋蚕につきましては、事前保証ということがものをいいまして、実際には四千二百七十二円以下の価格では繭の取引が行なわれなかった結果、平均して繭価の五百五十九円というのが実現をせられたのでありますが、この率からいたしますと、確かに御指摘のように、生産費を償ってあまりあるような価格であるとはとうてい申せない価格でございまして、ただいま私どもの手元で検討いたしております中間安定構想というものも、できるだけこの生産費に見合うような水準で、繭価並びに糸価の安定をできるだけはかってまいることによって、繭の増産に資するような方途を講じようというのがねらいでございます。したがいまして、昨年の一年間の実現経過は、生産費に比べまして、年間を通じて九二%の率になっておるのでございます。もっとも、この繭の生産費というのは、御案内のとおり、ごくわずかな規模の農家を除いておりますが、ほとんど全農家の平均の生産費で計算しておることを念のためにつけ加えさしていただきたいと思います。
○東海林委員 その点はいろいろ問題はあるのですけれども、次の同僚に譲りまして、輸出機構の問題ですが、私は、昨年、日本の生糸の非常に強力な競争相手である中共の生糸は国家管理でやっておる、それに対して日本の生糸の輸出が各商社ばらばらということでは、常にやはりうまくいまかいんじゃないかという点からして、何とか輸出機構の一本化というような点について考える必要があるんじゃないかということを強く主張したわけなんですが、その趣旨については、大体大臣も局長も、具体的にどうということは別としまして、考え方についてはやや同感というふうなお答えになったように私は記憶しておるわけですが、この間の予算分科会で、高田分科員なり栗原分科員がいろいろと質問された中で、輸出機構の問題について局長の答弁を見ますと、私がちょっと目についたのでは、輸出についてはさらに強力に価格を安定する必要があろうということで、蚕糸局では輸出体制についての試案というものを業界に示しておりますという点が一つあるのですが、これはいまの中間安定構想のことなんでしょうか、それと関連してもう少し別なものなのかどうかという点です。また別の答弁のところを見ますと、輸出をほんとうに伸ばすというのは、やはり系列取引と申しますか、向こうの需要者とこちらの製糸家との直結ということが、輸出振興の一番大きな問題だと思いますというような答弁もされているのです。こういうことになってくると、昨年私が主張した輸出の一本化という点とは、考え方が非常に違うような気がしますので、そういう点、局長としてどういうふうに考えておられるのか、この際明らかにしてもらいたい、こう思います。
○大口政府委員 この前の予算分科会の答弁の際に私が申しました試案と申しますのは、中間安定構想とは一応別個のものでございまして、昨年十月に、輸出を振興するためには、このような案を検討して、それに基づいて具体的な制度をつくり上げる必要があるのではないかという趣旨で、私どもが一応試案をつくりまして、これを製糸業者の有志と輸出貿易商社の有志に検討を依頼したのでございますが、その後、なかなか検討がはかばかしくまいりませんので、この試案を含めまして蚕糸業振興審議会で御検討願っておるわけであります。中間安定とは一応別個のものであります。 この案の内容につきましてもしお尋ねがありますれば、後ほど詳しく申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘になりました系列取引のことにつきましての私の申しました真意を申し上げますと、確かに価格の不安定ということが最近における輸出の阻害要因であることは、これは疑いをいれないことでありますのと、それから中共、韓国の生糸が非常に海外に輸出をされておるということが、競争上日本の生糸の輸出が伸び悩んでいる一つの原因である、これも明らかなことでありますが、そのほかに、いままでの日本の生糸の輸出なり、製糸業者の輸出に対するものの考え方の中で、もっともっと改善をする必要があるのではないかということから、私はその系列取引のことを申し上げたのでありますが、これはやや私見にわたって申しわけないわけでございますが、従来の日本の製糸家の糸の出し方というのは、品質は横浜、神戸の生糸の検査に受かればそれでおしまい、それから価格は横浜、神戸の取引所において輸出の検査をされた価格、したがって、自分の工場でできた糸が海外のどこの需要者にどういう用途で使われておって、しかもその使った経験から見て、どういうことに改善をしなければならぬかということの関心は、一部の製糸を除いては非常に薄いのではないか。その意味では、やはり海外の需要家と国内の製糸家との間にもっと血のつながりのあるような取引関係が成立することが必要ではないかという趣旨で、系列取引を申し上げたのでありまして、輸出の機構をかりに一本化をしましても、また複数建てでありましても、いま私が申し上げましたような意味での系列というのは、今後ますます尊重していかなければならないと思いますので、そういう趣旨でございますから、御了承をいただきたい。
○東海林委員 私、質問は以上で終わりたいのですが、ただいまお話がありました試案ですか、これに関連した資料を実はほしいと思うのですが、これをこの際ひとつ要求したいと思います。これで質問を終わります。資料はようございますね。
○大口政府委員 資料は印刷の上、お届けいたします。
○本名委員長代理 久保田円次君。
○久保田(円)委員 私は、繭糸価格安定対策と、さらに繭の増対策につきまして、おもに蚕糸局長に質問いたしたいと思います。 きょうは、私どもの同僚議員である群馬県の東海林委員からも御質問がございましたので、なるべく重複しないようにいたしたいと思います。なおまた、このあと栗原委員から質問がありますし、時間の関係もありますので、局長から要領よくひとつ御答弁願いたい。 順序といたしまして、日本の開放経済という条件が非常に整い、なおまた秩序が非常に強化されてきておる。そういう中に立って、日本の農業が非常な試練に立たされてくる。特に国際競争力の中で、生糸が非常に競争力に強いということは、議論の余地がございません。そこで、輸出農産物の中で、生糸の占める順位は何番目になっておりますか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
○大口政府委員 それぞれの品目ごとにくくりました数量では、生糸が一番多うございます。ただ、生糸が一番と申し上げましたのは、たとえば水産のかん詰めにつきまして、マグロのかん詰めとか種類別のそれぞれの品ごとに計上をいたしますと、生糸が一番になりますが、水産かん詰めというようなかっこうでくくりますと、水産かん詰めのほうが生糸よりも金額が多くなりますので、そういう意味で一番でございませんが、個々の品目では生糸が一番多うございます。
○久保田(円)委員 そこで、国内の生産量に対しまして、これが需要に対しまして、国外と国内は大体どのくらいの比率になっておるか。
○大口政府委員 生糸の生産量は、ごく大ざっぱに申しまして年間三十万俵。昨年までは、そのうち二十万俵が国内需要で、残る十万俵が生糸もしくは絹織物の形で海外に輸出されておって、大体二対一ということでございましたが、昨年から非常に輸出のウェートが減りましたので、いま二対一よりも輸出のウェートが少し減っております。その分だけ国内消費がふえておると御了解いただいてよかろうと思います。
○久保田(円)委員 世界経済の進展の中で、一昨年の秋に、ISA、いわゆる国際絹業協会の各理事国が集まりまして、消費の伸びの拡大は大体五%見ておる。ところが、その五%伸び率を見ておる中で、私どもが最も注意しなければならないのは、それに見合うところのいわゆる生産国は、増産をしてもらいたい、さらにその中で、生産費を割ってまでもということは望んでおらないということが付言されておるわけです。一体、こういう問題をとらえたときに、いまの生糸の生産費を割らないところの価格というものは、一体どの辺をさすのか。局長の一つの考え方ですね、この辺ならば大体農家はやっていけるのじゃないか、これをひとつ聞かしていただきたい。
○大口政府委員 昨年の安定審議会の際に、私どもの手元で計算をいたしました生糸の生産費、これはほとんど全部の農家の生産費を縦に足しまして、平均した価格でございますが、一キロの価格であらわしますと、大体四千七百八十円くらいという計算を当時はいたしておったのであります。本年の審議会の基礎になります生産費を目下集計中でございますので、正確な数字を現在ここで申し上げられないのでございますが、私どもの見方といたしましては、労賃の上昇部分を相当程度労働生産性の向上で吸収しているのではないかというふうに考えておりまするので、生産費としては大体四千七、八百円くらいのところを私どものほうでは考えております。
○久保田(円)委員 三十七年度の農林省の統計調査部の調査、これは農林省で出しているわけですから、間違いないと思いますが、主要農産物において、家族労働報酬、一日八時間労働で換算したわけです。ところが、養蚕農家の労働報酬は一体どのくらいであるかというと、いま局長が言ったのは、キロ四千七百八十円くらいならばまあ大体いいのじゃないかというような御答弁でありました。ところが、三十七年度におきましては、大体四千八百円という基準を一つとったわけでありますけれども、その中で、一貫目の繭で、養蚕農家の労働報酬は、一日五百八十二円になっておるわけです。米がどのくらいであるかというと、米はそのときに千三百九十三円、大麦が四百七円になっておる。リンゴが千四百七十八円、ミカンが三千二百六十八円、お茶が千三十六円という統計が出ておるわけです。先ほど局長が四千七百八十円ということを言いましたが、三十七年度におきましては、一キロ四千八百円、大体同じような基準におきまして、そういう統計が出ておるわけですね。いま農家のほうでは、一日出かせぎに出ると、八百円から千円ぐらいの報酬がある。実際こういう面を見ると、養蚕農家が逐次離れつつあるということは現実の姿です。一体、こういうふうな点に対しまして、局長として、はたして四千七百八十円ぐらいというものがいいのかどうか、ここらの点は重要な問題でありますので、ひとつお聞かせ願いたい。
○大口政府委員 先生十分御承知のとおり、養蚕は、農業生産の中で、非常に労働集約的な作目であるわけでございまして、ただいま御指摘になりましたように、最近におきましても、一日あたりの家族労働報酬の計算をいたしますると、米はもとよりのこと、果樹等に比べますと、著しく労働報酬が低いという現実にあることは事実でございますが、これらの労働生産性の向上をはかりますために、私どもといたしましては、ここ数年来、いわゆる省力技術の奨励普及ということに力を尽くしてまいっておるわけでございまして、労働一時間当たりの繭の生産量というものが、毎年着実に年率六%ぐらいの率で伸びてまいってきておるのであります。ところが、同じ農林省の統計で、反当たりの粗収益ということで見ますと、養蚕は非常に高いわけでありまして、数字を申し上げて恐縮でございますが、水稲が反当たりの粗収益は三万七千円ぐらいでありますのに対して、養蚕は五万三千円というふうに、非常に高いわけであります。したがいまして、この労働集約的な作業というものを、できるだけ省力技術の普及によりまして、労働生産性を高めていくことによりまして、この家族労働報酬一日当たりの分をもっともっと高めるだけの余地が養蚕には非常にあるのではないかということが、従来蚕糸局といたしまして、省力技術の普及ということをやってまいった一つの根本でございます。もっとも、省力技術の普及というのは、近年他の産業の成長によりまして、農業労働力が他の産業に大量に流出をしたということの結果、やむを得ずそういう事態になったという一面もあるわけでありますが、ただいま申し上げましたように、他の作目に比べて、労働報酬が非常に低いということをできるだけ改善をしよう、そのことによって、養蚕というものが、農業経営の中の重要な作目として取り入れられていくような形をつくるというのが、一つのねらいであることは疑いがないわけでありまして、ただいま私が申し上げました四千七、八百円という価格は、やはり他の国でできる生糸との競争等を考えますと、無制限にこれを高くするということもなかなか困難な事情にもございますので、やはり省力技術の普及による労働生産性の向上とか、あるいは桑園の機械化、集団化による土地生産性の向上とかいうようなもろもろの生産対策を強力に進めることによりまして、このコストの引き下げというような施策を講ずることによって、養蚕というものが農業生産の中での重要な作目になるようにわれわれは努力を続けておるのでございます。
○久保田(円)委員 昨年全国蚕糸業の大会におきまして、糸価は最低一俵十六貫、六十キロ、三十万円、これを大きく主張したわけでございます。これに対しましての理由はこまかく述べておりましたけれども、私は、大体そこらが至当な価格ではないかというぐあいに考えます。この点に対しましての局長の考え方と、さらに昨年設定をしましたところの、繭糸価格安定法の中における最高と最低帯の幅、これが九万円ということになったわけですね。最低が二十四万円、最高が三十三万円。ところが、この九万円の幅というものが多いほど不安定だと私は当然考えるわけです。三十三年度におきましての最高と最低の幅は四万円しかなかった。だんだんこう幅を広くとってきた。何かこれに対しましては理由があるのかどうか、その幅を広くとってきたという理由をひとつ聞かしていただきたい。
○大口政府委員 御指摘の三十三年度における最高最低の価格の幅は、確かに四万円であったのでありますが、当時の需給事情等もございまして、最低価格がどうしても維持できないという事態を背景といたしまして、最低価格を引き下げました結果、三十四年だと思いますが、その幅がたしか七万円の幅になったのでございますが、それ以来、大体七万円ないし九万円の幅で今日まで推移いたしておるのでございます。この幅がなぜ広くなったかということは、そのつどいろいろな事情があって、こういうことになっておるのでございますが、ごく一般論を申し上げますと、現在の繭糸価格安定制度は、異常なる糸価の変動を防止するというために、政府による市場への介入、買い入れ、売り渡しを行なうという制度でございますので、あまり極端に狭い価格幅で最高最低価格を設定いたしますと、政府が常に——常にと申しますと、ことばが過ぎるかもしれませんが、非常にひんぱんに市場の流通に介入をする事態が起きるということ等もありまして、ある程度の幅を設ける制度として、過去において運用されてまいったのではなかろうかというふうに考えております。確かに、現在の九万円の幅は、その間をフルに変動したのでは広過ぎるということを私どもも認めております。また、この幅が広いことの結果、ただいま私どものほうの手元で検討をいたしておりまする中間安定構想というような制度の必要性も叫ばれてまいったのではなかろうかというふうに考えておりますので、いずれ成案を得ましたならば、中間安定制度に基づきまする繭価のできるだけ幅の狭いところでの安定をはかりつつ、さらに非常事態に対処いたしまするための繭糸価格安定制度の存続というふうな二つの制度をそれぞれ運用してまいることによって、糸の価格並びに繭の価格の安定をはかってまいりたい、かように考えております。
○久保田(円)委員 化繊の需要が相当伸びているということは、問題は価格が安定しているということです。価格の安定ということは、必ずしも高いとか安いとかいう問題ばかりでもないですね。生糸も安定させるということは——とにかくぐうっと上がった、また非常に暴落をした、ここに最大の原因があるわけですが、化繊においては、建て値をつくって機械的によくできているわけです。そこで、第二次メーカーは安心して、どこででも必要な量だけが買えるというところが、とにかく生糸とは大きく違っておる特色の繊維です。そこに非常に需要が伸びるわけであります。遺憾ながら、生糸は、その点に対しては非常に不安定である。私はそういうふうに解釈しております。ですから、三十万円というものの基準において、これがやはり動かずして、三十万円でいつでも二次メーカーがどこででも買えるということになれば、消費は国内においても非常に拡大されると思うのです。輸出の問題につきましては、後刻またあらためてお伺いしたいと思いますけれども、内地に関しましては、そういうふうな私の考えでございます。それだからといって、極端に高いということは、私どもも望まないわけであります。 そこで、局長が先ほど、中間安定構想という一つの新制度をつくろうというようなお話がございましたが、これを簡単に要領よく私にもわかるように御説明してもらいたい。簡単でよろしゅうございます。
○大口政府委員 まず、制度の骨子としましては、各蚕期の掃き立て前に、養蚕と製糸の間で基準繭糸価格というものを設定する。糸と繭の両方でございますが、製糸は、年間を通じまして、この基準繭糸価格以下では繭を買わないということを約束する。この数字は現在まだ審議会で検討中でございますから、はっきりした数字で申し上げるわけにはまいりませんが、最低価格が現在四千円でありましたときの例で申し上げますと、大体四千四、五百円くらいのところで最低の保障をする。それから製糸は、そのように繭の価格を保障するわけでありますから、それに見合う糸の価格が下落をすることに対しましては、事業団−現在の蚕繭事業団と、それから輸出生糸保管会社とを統合した事業団をつくるというのが構想の中に含まれておりますが、その事業団が、いま申し上げました基準糸価の九五%にまで糸価が下がった場合には、糸を事業団が買い入れる。事業団が糸を買い入れます場合には、その後の糸価の回復によって再び買い戻しをすることができる期間を六ヵ月ばかり置きまして、六ヵ月経過をいたしましたあとは、事業団がさらに値の回復を待つか、あるいは政府の特別会計に持ち込むかの、どちらかの方法をとることによって、市場流通量から一定数量の糸をたな上げすることによって、糸価の回復をはかる、ごく簡単にあらすじを申し上げますと、そういうことでございます。従来の繭糸価格安定制度が、糸の買い入れ、売り渡しによって糸の価格の安定をはかっておりますことに対しまして、今度の中間安定は、同じく糸の買い入れという制度ではございますが、その基礎となります繭の価格につきましては、製糸が各蚕期の掃き立て前に、養蚕に対して一定の水準の基準繭価というものを保証をして、必ずその上の価格で繭を買うということを義務づけられている点が、今度の制度の一つの新しい点であろうかと思います。
○久保田(円)委員 安定法の中で、いろいろの機関があるわけです。いままでできているわけですね。日本蚕繭事業団、日本輸出生糸保管株式社、全国養蚕信用基金協会、日本絹業協会、こういうふうなものは一体どういうふうに考えているのか。あるいはこういうふうなものは全部一本にして、そうしていまの事業団というものを一つにするのかどうか、これらのかね合わせばどんなぐあいなのか。
○大口政府委員 現在検討いたしておりまする段階では、日本蚕繭事業団と日本輸出生糸保管株式会社とは統合するということで検討が進められておりますが、養蚕信用基金を同じく統合するかどうかにつきましては、まだ若干検討の余地が残されております。綿業協会と申しますのは、これは輸出を増進させまするための政府の補助金を毎年受けております財団法人でございまして、これは糸価の安定ということの機能を持った機関ではございませんので、現在の中間安定構想の際の統合すべき団体の中には、私どものほうでは含めて考えてはおりません。
○久保田(円)委員 ちょうど一昨年あの暴騰したときがキロ七千八百五十四円、一俵でもって四十七万一千円ということになったわけですが、これに対しまして安定法十条でもって、禁止価格をこえるところの契約の禁止条項があったわけです。しかし、あの当時、政府としても徒手傍観の形でおったことは事実です。下がってきたならば、中間買い上げの九条の二ですか、これでもって買い上げしたわけでございますけれども、先ほど局長の言った八千俵ばかりの生糸は、そのときに買い上げたのだろうと思います。しかしながら、これがいまの価格におきまして、たまたま局長の適切なる処置によって、五千五百円以上にいかずして、五千円というところに返ってきたわけでございます。九条の二というものを適用して上がるのはとめたけれども、これから下がってはおそらくいくまいと思いますけれども、下がってきたというときに、四千円以下に下がったときに、そのときは処置するというような考え方でなくて、われわれとしては少なくも五千円台を維持したい、そういうようなところで、いまの九条の二の中間買い上げによってこれを買い上げることが非常に至当な考え方じゃないかと思います。そういうふうな観点から、五千円を割ったならば、四千円まで下がらないうちで、一体幾らぐらいで今度は買い上げるか、ここらをひとつ聞かしてもらいたい。
○大口政府委員 現在政府が手持ちいたしております生糸の数量は七千九百六十俵でございまして、これがありましたために、先般の最高価格突破の事態を防ぎ得たと考えております。今後下がる見通しにつきましては、現在の需給事情のもとにおきましては、必ずしもそうひどい暴落が直ちにくるとは考えておりませんが、一応私どもの将来とり得る措置という意味で申し上げますと、現在の手持ち生糸を買いましたときの九条の二による買い上げ価格というのは、当時最低糸価が三千五百円でありましたときに、キロ四千円という価格が設定をされておったのであります。 〔本名委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕 その後、最低価格が四千円に現在訂正されてきておりますので、やはり九条の二に基づいての中間買い入れ価格というものは、四千円よりもさらに上の価格を設定して、将来の中間買い入れに備えておくべきではなかろうかというふうに私ども考えております。御案内のように、九条の二の価格というのは、外国における生糸の相場でありますとか、あるいは競争繊維の相場等、その他の経済事情を勘案してきめることになっておりますので、私どもとしましては、四千円になって政府が買い入れをするまで放置することは考えておりませんので、四千円よりも高いところで、九条の二に基づく買い入れ価格というものをいずれ設定をして、それに備えたいというふうに考えておりますが、ただいま先生が御指摘になりました、五千円を割ったら直ちに中間買い入れに踏み切るというような高いところに、九条の二の価格を設定することは、あるいは非常にむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。いずれにいたしましても、これは詳細な計算その他をいたしました上で、少なくとも現在の最低価格よりも高いところで中間買い入れ価格を設定すべきであろうというふうに現在は考えております。
○久保田(円)委員 生糸はいままで政府が買い上げて、私の記憶するところでは、おそらく損はしておらなかったと思うのです。今度の買い上げにつきましては、五千五百円というところで放出しよう、いまその段階のわけでございますね。そうしますと、大体われわれが計算をいたしましても、どうも相当の利益があがっておる。生糸はいずれにしても買っておけば損はない、私はそういう考えです。そこで、放出をしてもうかってくる。今度実際問題に入りますけれども、そのもうかったものは一体どういうふうに使うのですか、これをひとつ聞かしていただきたい。
○大口政府委員 確かに御指摘のように、糸価安定特別会計の買い入れ価格と売り渡し価格の関係からいたしますと、保管に要する経費を考慮に入れましても、政府が買い入れ、売り渡しを行ないますつど、特別会計としては収益があがっております。そこで、その収益はいずれ特別会計の基金に繰り入れられるわけでございまして、その結果、現在の買い入れ資金ができ上がっておるわけでありますが、実は昭和三十三年の糸価の暴落の際に、特別会計で資金が不足を来たしましたときに、一般会計から資金の応援を仰ぎましたことがございます。いずれ特別会計で収益がたまれば、このときに応援を受けた金額は戻すようにというような、実は特別立法が行なわれておるわけでありますが、現在のところでは、まだそのような事態になっておりません。しかし、糸の買い入れ、売り渡しによって得ました収益は特別会計の中に保有をいたしております。
○久保田(円)委員 現行法の中で、いまの生糸の買い入れの問題でありますけれども、これは予算の点もありましょうが、私どもがちょっと考えてみますと、総生産の大体二割くらいを常に政府のほうで持っておる必要があるのじゃないか、これを基本に置いてそういう考え方で操作していく、これならば大体において生糸の価格安定がはかれると私は思います。こういうふうな点に対しましてはどうですか。
○大口政府委員 現在の糸価安定特別会計の資金並びに法律によって認められております買い入れ限度全部合わせまして、一体何俵の生糸が買えるかということでございますが、現在の価格で計算をいたしますと、六万俵をちょっとこす数量が買えるだけの原資と買い入れ限度を持っております。したがって、現在の生糸生産量が大体三十万俵前後でございますので、その点から申しますと、おおむね二割くらいの生糸は買い得るだけの資金を特別会計としては持っておるわけでございます。
○久保田(円)委員 国内におきましての価格問題は、これは輸出にすぐ響いてくるわけでありますけれども、この輸出に対しましての価格政策、それといま一つは、生産国が中共と韓国でありますので、いたずらに輸出に対しましての過当競争をする必要もないと思います。そこで、これは非常に政治的な問題に入るわけでありますけれども、中共、それから韓国というような面から見たときの民間ベースですか、そこらにおいても、話し合いの場というものを何か手を打つ必要が私はあるように考えます。この調整に対しましては、一体どんなぐあいに考えておりますか。
○大口政府委員 目下日本の生糸の最大の脅威と考えておりますのは、韓国ももちろんでございますが、中国の生糸でございまして、ただいま民間の団体でありまする中央、蚕糸協会におきましては、何らかの機会に使節団を中共に派遣をいたしまして、生糸の輸出問題で意見を交換したいというふうに計画をいたしておりますので、まだいつの時期にそれが実現するかはわかりませんが、そのようなことで検討が進められておるように私は承知いたしております。 それから日本絹業協会に対しまして、農林省予算並びに通産省予算で年々需要増進のための補助を予算に基づいていたしておりますが、本年度、現在国会において御審議をいただいておりまする四十年度予算の中で、絹業協会において中国における生糸事情を調査するための旅費等を計上いたしましたのも、このような配慮に基づいての一つの考え方でございますが、ただ、御案内のような国情でございますので、具体的にどのような内容のものをどのような範囲で話し合いをするかという問題につきましては、私どもたいへん日ごろから苦慮をいたしておるのでございます。
○久保田(円)委員 これはとにかく基本的な問題でありますから、十分ひとつ考えていただきたい。 それから、結局国内需要と輸出という面から見たときに、国内の価格というものが大きくなれば、輸出が減退することは明らかであります。そこで、輸出政策につきましては、これは価格差補給金というようなものを設けたらどうかと私ども考えましたが、これはなかなかガットの関係等もあって容易ではないだろう。そのほかの運営の処置によって、二重価格制度、こういうふうなものを一つの柱として、そうしてやはり国内需要と輸出に対しましては、何かそういう観点から考えていかないと、この問題はなかなか解決できないと思います。こういうふうな点で何か考えていることがありましたら、お知らせ願いたいと思います。
○大口政府委員 先ほどこの委員会からの御要求に基づきまして、蚕糸局が昨年の十二月に業界に示しました輸出体制に対する試案というものを後刻お届けをいたしまするが、いまここで、この試案について、いまのお尋ねに直接関連のある問題について申し上げますと、この試案のねらいといたしまするところは、国内の糸価がかりに相当な勢いで暴騰をしても、輸出価格は一定の水準以上にはしないという数量を、各製糸業者の責任輸出数量として割り当てるというような構想を中心として考えております。したがいまして、常時二重価格を適用するということではございませんが、国内の価格が何らかの事情で非常に暴騰したときに、輸出価格がそれにつれて一緒に上がっていかないような仕組みを考えたらどうかということか、私どもの試案の骨子でございます。今後蚕糸業振興審議会におきましては、この問題を含めて、ここ一、二週間の間にいろいろ御検討いただくことになっておりますので、その意味では、価格暴騰時においては結果的に二重価格制になるような構想を、私どもとしては考えておるわけでございます。
○久保田(円)委員 この繭糸価格安定法、これを見ますと、こういうことが書いてあるのです。第一条に、「この法律は、生糸の輸出の増進及び蚕糸業の経営の安定を図るために、繭及び生糸の価格の異常な変動を防止することを目的とする。」こうあるのですね。蚕糸業の経営の安定ということが中心になるわけでありますけれども、いままで一体この蚕糸業の安定がはかれたかどうか。これははかれなかった。一つはかれない点があるのですね。それはいままでつくったこの繭糸価格安正法は、その精神というものがもう古いのですね。これは最初つくったのが二十幾年ですか、それから改正はされましたけれども、要するに、養蚕農家と製糸業者、この二つの構成が中心であって、第二次メーカーの俗にいう機屋さん、そのほか消費者、こういうふうなものがたな上げされておったというところに、大きな点があったろうと私は思うのです、価格の点の設定なんかのときに。流通機構というものがだんだん変わってきて、そういうふうな中に立って少なくともこれからの安定をはかろうというのには、実際に使用するところの機屋さん、こういうふうなものもやはりその構成メンバーの中に、たとえば価格審議会というような構成メンバー一の中に——まあいま入れてあると思いますけれども、はたしてそれが専門屋であるかどうか、私は疑問なんです。そういうものを入れて、そして価格というものはこういうふうにきめなくちゃならない。そうすると、機屋さんが、実際問題としてたとえば三十万円でも、安定しておれば、生糸というものは、高級品であるから、価格が変動なければ安心して買える。これは私が思うのに、機屋の心理だろうと思います。安くても、たとえば二十四万円にしても、二十四万円が二十万円に下がったということになれば、不安定だから、二十四万円でも実際問題として買わないのです。そこに大きな基本的な問題があるように私は感じておりますけれども、局長はいままでこの繭糸価格安定法の目的に沿うように処置をやっておったかどうか、この点につきましてはどうです。
○大口政府委員 過去におきましての繭糸価格安定制度の運用が、この第一条の目的に文字どおり合致をしているかどうかということにつきましては、率直に申しまして、十分その目的を果たしたとは申せない面が多々あったと思います。まあわれわれいろいろ法律を改正をいたしましたり、また現在の中間安定構想の検討も、この法律の運用の不備を補う考慮に出ていろいろ検討いたしておるわけでありますが、過去の運用は、ただいま申し上げましたように、率直に申しまして、とうてい百点をつけていただくような運営ではなかったということは認めざるを得ないと思うのであります。 それからただいま御指摘の、需要者たる機屋の意見をどのように取り入れているかという趣旨のお尋ねでございますが、従来蚕糸業というのは、非常に輸出に重点を置いておりました関係上、輸出についての意見の反映ということについては、確かに心がけておったのでありますが、国内の需要者たる機屋さんの意見を適切に反映をするという点につきましては、あるいは不十分な点があったかと思うのであります。また、この点は、役所の所管のことを申し上げてはなはだ恐縮でございまするが、農林省蚕糸局といたしましては、糸をつくるまでの段階は所管をいたしておりまして、織物は、正確に申しますと、通産省の所管になっておるという点も、あるいはそのような運用の遠い原因ではなかったかと思うのでありますが、ただ、いろいろな政策をきめまする価格安定審議会にいたしましても、蚕糸業振興審議会にいたしましても、国内の需要者としての日本絹人繊織物工業会から委員がそれぞれ二人ずつ加わっていただいておりますので、さらにこの委員がはたして絹の専門家であるかという点につきましては、今後不十分な点があれば改善してまいりたいと思いますし、また、輸出に比べまして、内需のウェートが非常に高くなってきているのが現実の姿でございますので、ますます御注意いただきましたような配慮を今後加えてまいりたいと思っております。
○久保田(円)委員 この点を十分ひとつ考慮に入れてもらいたい。 それから、いまの二次メーカーというのは、国内の需要の様子をよく知っておりますから、その意見を取り上げる必要があると思います。 そこで、昨年の秋にオリンピックがございまして、いろいろ観光客も相当に乗り込んできたわけでありますけれども、海外宣伝ということが一番大切であろうというぐあいに考えます。いまの養蚕農家のことですが、あれは一貫目四円ぐらいの割合かで宣伝費として繭を出しておるわけですね。国のほうでも、宣伝費として一億幾らか何か持っておるように記憶しておりますけれども、こういうふうなものを総合いたしまして、どんなぐあいの宣伝をしているのか。何か具体的にこういう宣伝をしておるのだということだったらお教え願いたい。
○大口政府委員 まず、ただいま海外の需要増進のためにやっておりますことをかいつまんで申し上げますと、日本絹業協会に対しまして、農林省関係の予算並びに通産省関係の予算で補助金を出しておりますが、その金額は、現在御審議をいただいておりまする四十年度予算案におきましては、農林省関係では一億六千万円、それから通産省関係では約七千万円程度の補助金を支出をいたしまして、これに業界の負担金を加えまして、需要増進事業を行なっておるわけであります。 需要増進事業の主たる内容を申し上げますと、日本絹業協会は、アメリカのニューヨークとフランスのリヨンと二ヵ所に事務所を設けておりまして、この二つの事務所を中心として海外の市場の調査並びに需要の増進事業をやっておりますが、たとえばラジオ、テレビ等を通じまして絹の宣伝をいたしますとか、あるいは流行の関係の婦人服雑誌に絹の宣伝の広告を出しますとか、あるいは調査費といたしましては、いろいろな向こうの需要者並びに中間業者の動向を把握をして、本部で取りまとめるというような事業をやっておるわけであります。それ以外に、全くこれは業界負担でございますが、国際絹業協会の本部に対しまして、日本の生糸業界全体として毎年三十万ドルという宣伝費、約一億でございますが、支出をいたしまして、これは長年にわたって三十万ドルの経費を支出をして、海外の、主としてアメリカでございますが、絹の需要増進の経費に充てられておるのであります。 なお、オリンピックの機会に、特に生糸の需要増進という観点から実施をいたしました事業をごくかいつまんで御参考に供したいと思いますが、実は当時、全国の六十万養蚕農家から繭を五粒ずつ供出をして、何か記念になるものを各国の選手、役員に持って帰ってもらおうという、いわゆる五輪五粒運動というものを実施いたしまして、オリンピックマークを染め抜きました絹の壁掛けを約八千枚余り製作をいたしまして、東京オリンピックに参加をいたしました各国の全選手、全役員に一枚ずつ配ったのでありますが、これなどはやはり日本の絹というもののよさを世界中の人々に知ってもらうための運動として、長い目で見れば効果があったのではなかろうかというふうに考えております。
○久保田(円)委員 これから海外からの観光客というものは相当ふえるというぐあいに私も考えます。それで、聞くところによると、その観光客の特に御婦人は、羽田へ飛行機でおりるというと、ホープシルクと言う。とにかく絹は非常に魅力を持ってきておるわけですね。こういうふうなところは機を逸せず、とにかく宣伝の効果を私どもは上げてもらいたいと思う。たまたま私どもは群馬の山の中でありますけれども、この養蚕は、山間地帯におきましては養蚕をやる以外にない。ほかのものをやるものがなかなかないわけです。だんだん養蚕が山間地帯に入ってくる。いま総理が社会開発というようなものを掲げてとにかくやっておるわけですけれども、私は、そういうふうな面から見ましても、養蚕は、とにかく国のほうとしても力を入れてやらなくちゃならないというふうに考えているわけでございます。 そういうふうな中に立ちまして、これは今度は政務次官にお伺いいたしますけれども、たまたまいつですか、太田メモというものが新聞をにぎわせまして、いまだに蚕糸局の縮小に対しましては、私ども国会議員を通しましてそれぞれ請願、陳情が出ておるわけです。こういうふうな点について、政務次官として、いまの蚕糸局を縮小するなんていう考えは毛頭ないと思いますけれども、今後におきましてこういうふうにやっていくんだ、これは大臣のかわりでひとつ御答弁を願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○舘林(三)政府委員 先般の臨時行政調査会の答申で、蚕糸局の機構の縮小ということが掲げられたことは、御存じのとおりでございます。その理由とするところは、日本の蚕糸業の生産量がずっと減ってきたということが大きな理由のようでございます。もちろん、戦前最高のときは五十万俵以上の輸出もいたしておりましたが、今日の輸出は、先ほど局長からお答えいたしましたとおり、十万俵に激減いたしているわけでございます。しかし、輸出の量からいたしましても、やはり農林水産物の輸出のうちで二八%を占めておりまして、やはり他の農林水産物に比べまして、輸出量といたしては第一でございます。また、国内におきまして、普通の大衆的な消費はかりに減りましたにいたしましても、高級品の需要というものは非常にふえてきている。さような考えからいたしましても、また、群馬はもちろんでありますけれども、全国各地に養蚕業というものは今日行なわれているわけでございまして、さような点から考えまして、農業のうちに占める蚕糸業の力というものは、やはり依然として大きいと私は思うのです。さような立場から考えましても、ただ生産量が減ったからということで機構を縮小するということにつきましては、私必ずしも賛成しませんし、また、いま久保田委員がおっしゃいましたように、何と申しましても、外国から日本に来るときは、日本のシルクというのは第一の関心だし、また、世界におきましても、日本のシルクというものは、中国とか韓国の競争がありましても、品質の点からいっても一番優秀なものでありますし、今後におきまして開放体制下でますます生糸の輸出を伸ばさなければいけない。さような大事な時期に、日本が、日本のシルクということは国際的に知られているにもかかわりませず、一番その元締めであります蚕糸局を縮小するということは、国際的な立場からいっても、おかしいじゃないかと私は思うのです。さような国内的な理由から申しましても、国際的な理由から申しましても、蚕糸局の機構の縮小ということにつきましては、臨調の意見がどうであろうと、農林省といたしましては賛成しがたいということを申し上げておきたいと思います。
○谷垣委員長代理 栗原俊夫君。
○栗原委員 時間もだいぶおそくなりましたし、同僚議員から各般にわたって質疑が行なわれておりますので、きわめて簡単に、重複しないようにお尋ねをしたいと思います。 まず第一に、池田内閣から佐藤内閣にかわって、蚕糸業に対する姿勢についてお尋ねしたいのでありますが、なぜこういうことをお尋ねするかと申しますと、ここ十年ばかりの間に、蚕糸業に対する政府の態度がいろいろと変わってきております。特にきわめて消極的になったのは、三十三年の暴落当時、そしてその数年間でございますが、当時の政府の考え方は、化学繊維、合成繊維ができた今日、自然繊維である生糸というものの存在価値が減少して、順次追い込まれていく産業なんだ、こういう考え方、またある時期には、特に大沢次官が蚕糸局長当時に、もはや生糸関係は輸出産業の対象とはなり得ない段階になったというような、極端なものの見方までするような時代もあったわけでありますが、今日この時点において、日本の蚕糸業というものをどのようなかまえで認識されるか。先ほど繭糸価格安定法の中で読まれたように、単なる農民の安定ということに重点を置いて考えられるのか、そうではなくて、輸出産業という立場で、言うならば、国策産業というような考え方で蚕糸業に相対するのか、このあたりをまず冒頭に明らかにしていただきたい。これはひとつ政務次官からお答えを願いたい、このように考えます。
○舘林(三)政府委員 大沢元蚕糸局長がどう言ったかということをいま初めて承りましたが、農林省といたしましては、さような考えは持っておりません。先ほど久保田委員に申し上げましたとおりでございまして、もちろん、いろいろものの考え方はあるだろうと思います。たとえば第一次産品のごときは、すべて東南アジアから買い付けて、日本を鉱工業化するという、いろいろな極端な例もあると思いますけれども、しかし、少なくとも今日の蚕糸業の実態から申しましても、生産農民、養蚕農民というものは非常に多いのでございますし、また輸出量から申しましても、減ったとはいいながら、相当の地位を占めておることは、先ほど申し上げましたとおりでございます。今後国民生活が豊かになりますると、国内における消費量もふえましょうし、さようないずれの点から考えましても一、やはり農林省としては、あくまでもこれは重要な農業の一部門といたしまして、保護助長しなければいけないということを、私は強く信じているわけでございます。
○栗原委員 政府の蚕糸業に対する基本的な姿勢といいますか、かまえというものはわかりました。そういう方向でぜひしっかりやっていただきたいと思うわけでございます。 そこで、先ほど来、仕事としてやっていく以上、価格の問題がいろいろあるわけでありますが、繭糸価格安定法が制定されましてから、私たちは悪口を言ってまいりました。繭糸価格安定法とはいうけれども、どうもこの運用は一字忘れておる。繭の字を忘れておる。糸価安定法だ。繭のほうはどうもさっぱり安定してもらえぬ。ということは、制度的に、先ほど局長もお話ししましたとおり、生糸価格という形で、繭の値段のほうは間接的に安定させようという運営が行なわれてきて、今日初めて、法的制度ではないけれども、中間安定機構というような形で、繭の値段を直接的に安定する方途がいま考えられつつあるようでありますが、こういう流れの中で、値段の値段というものは、横浜取引所の実物価格等を中心にして、そして繭の生産費、それから生糸の加工費、こういうものを勘案した中で、繭の値段、掛け目というものが今日まできめられてきたのが実態であります。そうしますと、ものさしになる横浜の生糸の相場、これは一体何によってきめられるか、ここがなかなか問題です。私たちの見る目では、実際の実需、実供給によって生糸の価格形成が行なわれておるように見えない。こういう姿のままではたしていいのだろうか。こうなりますと、まことにどうも繭の生産に携わる者、さらには生糸の生産に携わる製糸業者はたいへんである、こういうことなのですが、繭の値段、そしてまた生糸の価格形成、こういうものが横浜市場のああした姿の中で形成されていっていいとお考えになっておるかどうか、これはなかなか重大な問題ですけれども、ひとつこの点についての所見を伺いたい、このように思います。
○大口政府委員 現在横浜並びに神戸に生糸取引所が開設をされておりますが、生糸の取引所におきまする清算取引の必要性と申しまするのは、もちろん、公正なる需給を反映した価格を形成をする場であるとか、あるいは非常に短い期間に原料たる繭を買い込んで、あと長い期間にわたって糸をつくる製糸家の保険つなぎ期間としてのその機能の必要性は認めらるべきだろうと思うのでありますが、ただ、ときとすれば、実供給、実需要と遊離した価格形成が行なわれるような、いわば過当投機による異常価格の形成という傾向があることも、これは否定し得ないと思うのであります。したがいまして、これに対処いたしまする方策といたしましては、生糸取引所が本来その必要であるべき機能を正常に果たすように、絶えず監督をして見守っていくことによりまして、一たん過当投機等によって異常な価格形成が行なわれるような徴候が見えます場合には、取引所に対する規制措置を講ずることによりまして、できるだけ正常の姿に引き戻すというようなかっこうで運用してまいるべきであろうかというふうに考えております。
○栗原委員 昨年の国会では、先ほど同僚東海林委員からもお話がありましたとおり、日本の輸出が伸び悩んでおるのは、価格が不安定だからだ、価格が安定すれば五%ぐらいは伸びるだろうと、世界の絹業大会でも大体方向が見出された、こういうような話であったわけでありますが、それではなぜ伸び悩んだのか。日本の生糸が悪いのか。もう日本の生糸は要らなくなったのか。価格が不安定だから、実業としての加工業者が安心して買い付けられないのか。一体日本の生糸の輸出伸び悩みの真因はどこにあるのか。政府当局はこれをどのように分析し、どのように把握しておられるか、この点を明らかにしていただきたい、このように思います。
○大口政府委員 戦前から戦後にかけての輸出の減少いたしました一番大きな要素は、やはり化合成繊維の発明なり消費の拡大ということが、あずかって一番大きなことであったと思いますが、最近における輸出の不振の原因というのは、私どもの見ておりますのは、おおむね三つぐらい原因があると思います。 まず第一は、一昨年の糸価の暴騰、暴落を契機といたしまして、海外の需要者が非常に苦い経験を持ったということから、日本の糸価の動きに対する不安感と申しますか、別のことばで申しますれば、あるいは不信感ということになるかとも思いますが、そのようなことがいまだに十分払拭されておらないということが、輸出不振の一つの原因ではなかろうかと思うのであります。 それから次に考えられますことは、やはり中国並びに韓国の生糸が最近非常な安値で輸出をされておる。しかも、その品質はまだまだ日本の生糸より劣るとは申しますものの、ある程度の価格差を持って、この糸を使用すれば、用途によっては十分間に合うというような生糸が輸出をされておるということが、従来の海外の市場状況と非常に違った点でございまして、この点が、やはり日本の生糸の一部がこれらの国の生糸によって置きかわるだろうということから、輸出の不振を来たしたということが、第二番目の原因であろうかと思うのであります。 それからさらにもっと深い原因といたしまして私ども考えておりますことは、先ほどの東海林委員の御質問にお答えをいたしますときに申し上げたことでございますが、やはり日本の生糸をつくるいわゆる製糸家というものが、海外の需要者がほんとうに何を欲しておるかということについてのつかみ方が、いままで必ずしも十分でなかったのではないか、すなわち、他の輸出商品と比べて、向こうの市場の状況なり、あるいは需要者の動向なり、あるいは希望なり、あるいは過去に輸出をした商品に対する批判なりというふうなものについて、もっと耳を傾けるような態度がほしかったのではないかと思うのでありますが、このような点も、先ほど系列取引ということばで申し上げましたが、やはり銘柄品と向こうの需要者との真の結びつきというものをもっともっと開拓をすることで解決しなければ、このような輸出不振を建て直すことは最終的にはむずかしいのではないかというふうにすら考えておりますので、輸出不振の第三の原因としましては、このような点にも根源があるのではなかろうかというふうに考えております。
○栗原委員 輸出不振の原因三つが明らかになってまいりました。そこで、まず第一でありますが、価格の不安定——久保田委員からも指摘されましたとおり、三十三年には上限、下限の値幅が一俵について四万円であったものが、いま九万円と幅が開いておる。海外需要家が安定を求めておるというときに、三十三年当時の値幅をさらに縮めていくというなら話はわかるけれども、安定を求めておるのに、その上限、下限の幅を倍以上に開けていく、このことはどうしてもわれわれには納得できません。しかも日本の生糸あるいは繭の相場の中心が、横浜あるいは神戸の生糸取引所、清算取引所で行なわれる。しかもその価格形成が必ずしも実需、実供給者によって決定されるのではない。こういうことになりますと、言うならば、横浜の生糸の清算取引所の価格形成が輸出を阻害する一つの大きな原因になっておる、こういうように考えますので、そこで、まず値幅はもっと縮めなければならない。かつて四万円という形で上限、下限をきめておった。少なくともその線までは戻さなければならない。値ごろをどこに置くかは二の次として、まずいわゆる安定性を与えるために、値幅を四万円程度に戻すべきであるということが一つと、いま一つは、清算取引でなければ正しい適正な生糸の価格形成はできないものなのか、こういうことであります。むしろ、市場なるがゆえに、いわゆる実需、実供給を離れた投機資本によって、全く思いもかけない高値あるいは安値等を導き出す、こういうことをさせないためには、端的に言えば、こうした市場はとめたほうがいいのではないか。率直にお聞きしますけれども、横浜の清算市場をとめたならば、生糸の、取引というものはできなくなるのかどうか、こういうことをお伺いしたい、このように思います。
○大口政府委員 過去におきまして、横浜並びに神戸の生糸取引所がたびたび過熱をいたしましたことによって、適正なる価格形成に支障を来たしたような事態が起きましたことは事実でございます。これはやはり適正なる監督なり規制措置によりまして、ほんとうの需給関係を反映した価格形成をする場になるように、絶えず指導していくべきものと思っておりますが、ただ、仮定の問題といたしまして、もしかりに生糸取引所というものを閉鎖をいたした場合における価格形成はどのようになるかということにつきましては、これはあるいは私の私見にわたるかもしれないのでありますが、閉鎖をしたときに、必ずしも需要と供給が完全に反映するような価格形成が行なわれて実際の生糸の取引が行なわれることではなくて、あるいは場合によってはさらに混乱を大きくするような事態も考えられるのではないかというふうに考えておりますので、取引所に対するわれわれの考え方といたしましては、存在の必要性は認めつつ、不健全な活動にならないように監督をしつつ、運営をしていくというのが、私どものほうの基本的なものの考え方で、そういうふうにやってまいっております。
○栗原委員 もちろん、両市場の清算取引所は、歴史もあり、これを閉鎖するということになれば容易ならざる問題である。もちろん補償もせぬならぬだろうし、いろいろな問題もあるだろう。しかし、やはりこれだけ日本の生糸相場の不安定が不信感を招いておるという現実にぶち当たれば、こうした不信感を払拭していく一つの手段方法として、やはりそういうことも研究してみる必要がある。実需家はやはり限月で買物をはわせ、実供給者は限月によって先物も売る、こういう制度も考えて考えられないこともないので、これはやはり研究してもらう一つの資料ではないか、このように実は思うわけであります。 そこで、いま一つ、かりにそういうことができない、あるいはまたできた場合にしても、やはりいろいろと問題は起こるということは、ただいま局長から指摘がありましたが、繭糸価格安定法の中にも、繭の上限、下限をきめて——実は私たちも下限を割った場合の取引についての罰則がないということで、下限を割って取引する場合にも罰則をつくれということを議員提案したこともあります。上限を上回った取引の場合にはこれは罰則があるはずです。したがって、この繭糸価格安定法のものの考え方をさらに発展すれば、横浜の清算取引市場においても、上限、下限がある安定帯を越えた取引については、やはりそのような取り締まりを行なうべきではないか、こういうことを当時も大いに議論をしたのですが、私たちも学が浅くて、それが法的にいいのか悪いのか、徹底的に主張しきれませんでしたが、こういうことについての考え方はいかがでございますか。
○大口政府委員 商品取引所を開設をいたしております商品の中で、生糸は繭糸価格安定法に基づく最高、最低価格の制度がある商品でございまするので、これらの価格安定制度のない商品の場合とは、生糸取引所に対する規制措置というものは、質的に違ってしかるべきであるということを基本的にまず考えております。先般の生糸の価格が騰貴をいたしました際に、蚕糸業界の首脳部並びに生糸取引所に対しまして、私どもいろいろな規制措置を講じてまいったのでありまするが、糸価がまだ最高価格を越えない段階における生糸取引所に対する規制措置と、最高価格を越えた場合に取引所に対して加えられるべき規制措置とは、質的に違ってしかるべきであるという見地に基づきまして、私どものほうでは、もしかりに横浜並びに神戸の生糸取引所における生糸取引価格が五千五百円の最高価格を越すような事態が生じた場合においては、従来単に証拠金の引き上げというような、いわゆる金額で取引を規制する方策をとっておりましたのに加えまして、実取引数量を制限するというような、質の違った規制措置を講ずるという見解を明らかにし、これらについては取引所当局もある程度の了承をして、協力をして最高価格の現出を防ぐ対策を講じておったのであります。幸いにして先般は五千五百円以上の価格を現出することなく終わったのでありますが、基本的には、安定帯価格の中における価格変動の場合と、それを突破した場合とは、取引所規制についても質的に違う措置を考えるべきだというふうに考えております。
○栗原委員 たまたま今日は過熱相場という形なので、まことに議論がしにくいのですが、三十三年のときにはどういうことかというと、最低価格一俵十九万円だったわけですね。ところが横浜では、十九万円を割って売りましょう買いましょうというのが、どんどん玉が取り組んでいくわけですね。たまたま繭糸価格安定法の中にも、下限を割って取引した場合の罰則がなかったのですよ。しかし、少なくとも国が百五十億の国帑をほうり込んで下限を守ろうと努力をしておるときに、横浜の生糸相場で、その国が百五十億も新たに金を投入して守ろうという線以下で売った買ったをやっておって、のほほんと見ている、そんなばかげたことがあるか、断固としてこれは罰則を設けて臨まなければだめだというのが、われわれの議論だったわけです。これは単に下へいった場合だけではなく、上へいった場合も、当然そう考えてしかるべきなんですが、やはりそのくらいの心意気をもって臨まぬというと、向こうは相場が動かなければ商売にならぬところですからね、それは上へ飛び抜けようと下へ飛び抜けようと、そんなことおかまいなしにやはり商売はやります。したがって、もしこのまま残して価格形成をさしていこうというのならば、そのくらいな心というものが、やはり具体的な制度となってあらわれてこなければならぬ、こう思うわけです。 それから、これはまた重ねて言うようでありますけれども、九万円の値幅が安定帯だということは、これは実際からいっておかしいです。それも、百万円も二百万円もする品物で九万円の値幅があるというなら、九万円もそれは一応のある安定帯といえるかもしれませんけれども、最高三十三万円という中で、九万円動いてもこれは異常ではないんだと言うほうが、よほど異常だと思うのですね、実際からいって。少なくも安定帯というものは、総価格の一割くらいで安定しなければ、これは安定になりませんよ。三十三万円、そして下値は二十四万円、その間の行き来は、これはきわめて通常なんだというようなことでは、これで海外の、糸を買って、そしてまじめに加工して商売をしようという実業が成り立つはずはないです。幾ら使いたくもこれは買えませんよ。私も先般の分科会でも申し上げましたけれども、海外ではもちろん同じ品物なら高いものよりも安いほうがいい。しかし、日本の糸がどの程度が高過ぎて買えないのだというようなことは、はっきりとまだ明示もしておりません。しかし、これからはやはり農林省の立場に立って、十分リサーチングをやって、その点を突きとめるべきでもありますし、また一方では、いま構造改善事業で養蚕も重要作目に選ばれておるわけでありますけれども、実際は主幹作目に養蚕を持っていったところあたりは、構造改善事業もかなり難航しております。それではせっかく主幹作日に養蚕を指定しても、つくった繭について安心がない、価格の安定がない、こういうことで、特に群馬におけるところの城南村なんというのは、これは第一回の指定地域だったのですが、返上しました。主幹作目が養蚕ということで、これではとても指導し切れぬし、また関係農民も安心してやっていけぬというので、指定区域を返上しました。こういうことでありますから、やはり一般の他産業といいますか、少なくとも同じ農業の中の中心をなす耕種の所得に見合ったような労賃というものを基盤にした繭の値段、さらにまた、これに適正工賃——女工哀史というような安い労賃ではなくて、いわゆる一般的にそれならばというような賃金体制の中の賃金、しかも適正利潤も加えた生糸価格、こういうものでやはり堂々と打って出られる体制をしくべきだ、このように思うのです。そして生糸に対する需要の問題、これからも化学繊維、合成繊維に対して心配ないのだということについて、いろいろ議論もありますが、私のいろいろと教えを請う人の説明では、生糸は必需繊維ではない、これは趣味の繊維であり、おしゃれの繊維なんだ、したがって、幾ら値を安くしたからといって、生糸でもって労働服をつくるというような状態にはならない、しかし、人間にしゃれけがある限りは、やはり生糸というもの、シルクというものに対する需要はなくならない、レーゾンデートルはあるんだ、もっと俗なことばで言えば、御婦人たちがおしろいや口紅を塗っている限りは、生糸の存在価値というものは心配ない、こういう教えを受けたのですけれども、べらぼうな多量の供給をするものでなくて、全供給繊維の中の一・二%というような稀少の繊維であり、しかもそれがおしゃれの繊維、趣味の繊維、こういうことでありますから、言うならば、安いからいいのではなくて、おしゃれ、ぜいたく、そういう立場に立つときには、ある意味においては、安いよりも高いほうがいいという論理さえこれは止まれてくるのです。おそらくダイヤモンドがガラスの値なら、これはダイヤモンド、ダイヤモンドとは言わないでしょう。高いからダイヤモンドをくっつけて喜んでいるのですよ。そういう一つのへ理屈にも似るようなことでありますけれども、そういう立場に立つときには、やはり堂々と、安くすれば売れるのだということではなくて、人間の趣味、ぜいたく、こういう人情をはっきりと突いて、そうして生産をする養蚕農民も引き合う繭値段、加工の製糸家も引き合う利潤、労働者も引き合う労賃、こういうものの集合体の中にひとつ生糸値段というものを堂々と主張していってもらいたい、こういうぐあいに思います。時間もございませんので急ぎますが、先ほど申しました輸出をはばんでおる一つの原因に、銘柄的なものがある、こういうお話がありました。これもやはり私がいろいろ教えてもらう人の説明の中から、確かにそうだと思うのです。かつて五十万俵、六十万俵出た当時、これは糸の品は十四中が中心で、細いものでした。使用目的はくつ下だったのですが、くつ下は織物ではなくて、編みものだというのですね。編みものでは、これはこういり形に編まれていくから、見かけの弾性ということで、糸それ自体には弾性は求めていなかった。ところが今日は、くつ下は新しい繊維、化学繊維、ナイロン等にとられて、今日の生糸需要はほとんど織物だ。縦横にぶち込む織物だ。織物ということになると、糸に腰を求める。弾性を求める。ところが、日本の製糸のやり方は、ぬるいお湯でゆっくり引く、いわゆる低温低速という形で引いておるので、生糸が持っておる本来の弾性というものを生糸に与えていない。十四中で織物に使うときはそれでよかったのですけれども、いざ織物ということになれば、腰の強い糸が必要だ。それには、高い温度で高速で引いて、いわゆる生糸に弾性を、テンションを与えなければだめなのだ。ところが、今日依然として日本の製糸家はそういうところへ一向力を加えない。言うならば、戦前銑鉄を買ってくれたから、戦争が終わった今日も、一生懸命銑鉄をつくって、これで売れないのはおかしいじゃないか、こう言っておるのが日本の製糸家だ。しかし、相手はそうではない。使用目的が違って、もう特殊鋼のハイスなりそういりものを求めておるときに、ズクをつくって、これで買わないのは向こうがむりなんだと言っておる日本の製糸業のあり方が間違いなんだ。銑鉄を求める者には銑鉄を、ハイスを求める人たちにはハイスをつくって売らなければだめなのに、いまの日本の製糸業界はそういう対応がなされておらぬ、こういう説明を聞きました。そういう説明を聞いてみると、なるほどなとやはり思われます。自分のうちでばあさんが中繭を座繰りで引いたもりは、これで織った着物はしわにはなりませんけれども、製糸で引いて打ち出したものでつくった絹織物は、すわればしわがつく。つまり、腰がない生糸、こういうものができておる。こういうようなところなども、やはり今後日本の輸出を中心とした国策産業として、蚕糸業をやっていく上においては、ぜひ研究をして、方向を定めて指導していただきたい、こういう気持ちであります。 そこで、これは要望なんですが、最後に、農村の具体的な問題に戻ってお尋ねしますけれども、いま各養蚕県においては、掃き立ての蚕種はどういうぐあいに製造され、どういうぐあいに養蚕家の手に売られていっておるか、農林当局は御承知なさっておるのでしょうか。
○大口政府委員 蚕種につきましては、まず蚕種の製造業者は蚕糸業法に基づく許可を受けなければ営むことができないということになっておりまして、現在許可業者が全国で六十七業者あると承知をいたしております。それから蚕種を製造いたしまする製造の場所、これはやはり同じく蚕糸業法によって認可を受ける必要があるわけでありますが、この認可を受けておりまする工場数が全国で百ヵ所というふうに承知をいたしております。したがいまして、蚕種製造業というものは、蚕糸業法に基づいた許可、認可を受けたもの以外はつくることができないということになっておるわけであります。 それから蚕種の品種でございますが、品種は、原々種につきましては、蚕期ごとに、蚕糸業法に基づきまして、一定の学識経験者等の御意見を聞いた上で、国が指定をいたしておりまして、この指定を受けました原々種以外のものは使えないということになっております。また、この原々種から交配をしてつくりまする交配形式につきましても、同様の手続を経ましてやっておるわけであります。したがいまして、現在農林省といたしましては、原々種の品種並びに交配形式を決定いたしまする際には、養蚕経営の安定の最も重要なるファクターでありまする蚕作の安定というものをはかりまする見地から、また省力技術の普及に伴ってできるだけ強建なる品種を選定するという見地から、原々種の品種指定並びに交配形式の指定が行なわれておるのであります。現実の取引の形は、蚕種製造業者と各県単位の養連との間に価格協定が行なわれまして、これに基づいて、直接各農協の組合員であります養蚕農家と蚕種製造業者の間に蚕種の取引が行なわれておると承知をいたしております。 現在国が指定をいたしておりまする原々種の数は、全部で八十五品種ございまして、またこの交配形式につきましては、春蚕並びに夏秋蚕合わせまして四十二の交配形式が決定をされておりまするが、現実には各地方ごとに若干の相違はございますが、おおむね五つないし七つくらいの品種が主として多く使われておるということから、現実には蚕種製造業者がそのような比較的ある地方によけい使われておる品種だけを限って製造して、養蚕農家に供給しておる形が現在とられておると承知しております。
○栗原委員 私がなぜこんなことを聞くかといいますと、もちろん、単協を中心にして予定した種の購入、こういう形になっておりますから、掃き立てる養蚕農民に蚕種を品種的には——それはある意味においてはバラエティーはあるかもしれませんけれども、製造元について選択権がほとんどない。いやそれは単協を通じてやればいいではないか、こうおっしゃるかもしれませんけれども、現実にはすでに製造家が地域地盤を割り振って——もちろん、計画生産をしなければならぬからでしょうけれども、全然選択の自由がない。こういうような事情になっておるのですけれども、そういう事情を御承知でしょうか。
○大口政府委員 現在の蚕種の生産数量と実際の掃き立て量との関連からいたしますると、蚕種の数量的に各養蚕農家に不便をかけておる点はなかろうと思っておりますが、ただいま御指摘のような品種につきましては、その地力で比較的多く使われておる品種を中心に蚕種業者が製造いたしておるというふうに聞いておりまするので、若干の不便をかけるということはあるにしても、大きな不便をかけることはないのであろうというふうに実は承知をいたしておったのでありますが、ただいま御指摘のような事態がもしございますれば、いろいろ実情を詳細に調査をいたしました上でそのようなことのないような措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○栗原委員 このようにいろいろと地盤協定をする。これは次にちょっと触れますけれども、蚕繭処理とからんで、やはり製糸家が繭を集める地盤を確保すると同様に、蚕種屋は掃き立て農民をいかにして確保するかということの方便として、やはり地盤協定的なことを漸次進めてきておる。そのことは、おそらく実掃き立てよりも、どのくらいよけいつくっておったか知りませんけれども、いずれ実際売れる種よりも一割五分なり二割なりよけい製造しておった事態もあるでしょう。そしてそのものを実際掃き立てたコストの中へ入れるということから考えれば、コストダウンの一つの方法としていいかもしれませんけれども、やはり養蚕農民にとってみれば、掃き立てる蚕種メーカーの選択権もないというようなことから、なかなか不平不満も多い、こういうようなことで、前々から特に私は、少なくとも蚕種は国がある程度規制を加えて、つくっておる人たちはつくってもらうのだけれども、やはり国が管理的なことをやったらどうなんだろうか。原々種はもちろんやっておるけれども、蚕種は相当規制をしておるが、いま一つ突っ込んだ方法によって、蚕糸業をこれからほんとうに振興していくということであるならば、そして省力飼育というものがどんどん進んでいくということになると、これはやはりまず蚕体のほうにウェートをかけるということになる。いままでの傾向は、これは詳しいことは私にはわからぬけれども、主として蚕種業者は蚕種業者オンリーでなくて、製糸業者がかなり蚕種を生産していますね。こういう形になると、やはり蚕体の危険というものが養蚕農民にかかって出てくる。やはり糸にウェートをかけた蚕種というものが強く推進される、こういうような中から、やはり蚕種については、国が管理することの中で、まず蚕体がじょうぶで違作のないような、危険のない、養蚕農民にリスクをかけないような前提の上で、そのワクの中でできるだけ資質のいいものを求めていくという方向をやはりとってもらうべきだ、こういうように考えてきたのですが、こういう考え方については御所見はいかがでございましょう。
○大口政府委員 現在原々種の品種の指定をいたしまする際並びに交配形式をきめます際に、蚕期ごとに審議会の御意見を拝聴しつつ決定をいたしておるわけでありますが、もちろん、この品種の指定並びに交配形式を指定いたしまする際に、個々のものを検討いたしまする場合のいろいろな要素、たとえば糸歩がどうであるとか——こまかい専門的な技術的なことは私もあまり詳しくはございませんが、いろいろな観点を検討する際に、最近では、特に先ほど申し上げました強健品種、中質の強健なものを最重点に選ぶという配慮を、特にここ一両年加えてきております。と申しますのは、蚕種業者の一部には、確かに御指摘のように、製糸業者が蚕種業者を兼ねておる者が非常にあるわけでありまして、できた繭を、できるだけ製糸経営を有利に導くためには、糸歩の高い品種が指定を受けるということが、彼らの一つの利害としては当然考えることだと思いますが、その資材審議会におきまして現在最も重要な要素として考えておりまするのに、中質の強健のものを選んでいくという観点で運用いたしておりますることは、やはり蚕作の安定ということが、養蚕経営にとって非常に重要であると同時に、今後ますます省力技術の普及をはかってまいります際には、この中質の強健なものを買わせるということが非常に大きなことになると思いますので、さような見地から現在制度を運用しております。したがいまして、国が現在管理をいたしております原々種のほかに、普通蚕種につきましては、かような見地を織り込んだ形で品種の指定という制度を行なっておるという点で、一応十分ではなかろうかというふうに考えてはおりますが、なおまだ十分でない、改善を要する点がございますれば、いろいろの御意見を参考にしつつ、今後運営をしてまいりたい、かように考えております。
○栗原委員 時間がだいぶなくなりました。蚕繭処理の問題についていろいろ聞き始めるというと、これはとても時間がかかってしょうがないのですが、三十三年のときに起こった教訓から、やはり当局の心がまえを聞いておきたいのです。 三十三年のときにどういう事態が起こったかと申しますと、百五十億円国が新たに資金を投入して一応繭を処理したわけなのだすが、その後に来た初秋の繭の問題で、一斉に製糸家が繭を買わないという事態が起こったわけです。ところが、繭をとった養蚕農家は、自分で乾燥場を持っているわけじゃありません。乾燥場はやはり大体製糸家が持っておる。そこで、製糸家へ持っていって乾燥してもらう。今度はしまっておくのに倉を持っておるわけがない。結局製糸家の倉へ保管をしてもらう。何のことはない、前渡金も一文も出さずに製糸家は自分で引くところの繭を自分の倉へ安全に保管した。こういう事実があるわけなのです。要するに、酪農でも、いま酪農民がしぼった乳を酪農資本家、乳業会社が買わなければならぬという制度は法制的にはないと同じように、繭は製糸家が買わなければならぬという制度はどこにもないわけです。売りと買いと自由契約の原則にのっとっておるわけなんです。したがって、私は、安いところばかり心配するけれども、農民の立場に立つから、特にそういうことを心配するのだが、こういう事態のときに、やはりそういう問題もよく考えておいてもらわなければならぬし、またがってそういう事態であるから、掛け掛協定がどのようにきまってもあとから高くなるだろうと思っても、そのときの掛け目協定で繭は渡さなければならぬ。今回は中間安定機構というようなものが発想されて、これができれば、とにかく最低はこれだけで買う、こういうことになれば、まあ最低がそれだけになるなら渡していいという判断ができるけれども、それでも、最低はそれだけになるんだが、ひとついま少し乾繭して持ってみよう、こういう選択権が農民にはいまだ全然ないのですよ。だから、いつでもできたとこ勝負で、そうして浜糸の成り行きで勝負をさせられておった。したがって、経過的に言えば、春繭はどんと浜糸が下がって安くなるというのが普通であり、初秋から晩秋でぐっと上げて、晩秋は量が少ないですから、高く買っても知れています。これだけ高いのならまた来年の春繭はというので、種一ぱい買わせる、できたときはどかんと下げて、安い繭をたっぷり製糸家が買込む、養蚕農民にあきられては困るから、また初秋からぼつぼつ上げて、晩秋ははね上げる、こういう経過でずっときておったわけなのです。しかし、こういうことは、やはり生産農民である養蚕農家に選択権が握れるような価格についてのあり方というものを考えてもらわなければいかぬと思うのです。 いろいろ申し上げたいことがありますが、他の機会にして、時間が参りましたので、本日は以上で質問を打ち切りたいと思います。ありがとうございました。
○谷垣委員長代理 次会は来たる十六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十八分散会