内閣委員会 第21号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/03/25
会議録
○河本委員長 これより会議を開きます。 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 この際、おはかりいたします。本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○河本委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 文部省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○河本委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。 質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。永山忠則君。
○永山委員 大体農業政策の基本問題でございますが、食糧の自給度を高めるという方針でいくのか、外国に安い農産物があれば、これを輸入してやるという方向でいくのかどうか、その基本方針をお尋ねしたいのであります。
○舘林(三)政府委員 お答えいたします。 日本の食糧の自給度を高める方向でいくか、あるいは現状のままにほったらかしておくか、いろいろ政策的な問題はあるだろうと思います。極端に申しますと、日本は商工業国家として、第一次産品と申しますか、食糧品はすべて東南アジアから入れるべしという極端な意見もあるわけでございます。しかし、少なくとも農林省といたしましては、あくまで食糧の自給度を高めなくちゃいけない、フルに自給させるという方向に進みたいというのが、政策の基本でございまして、このような点から考えますると、現在六十数億の輸入のうちで、驚くなかれ、農産物の輸入は十五億ドルをこえているわけでございまして、自給度から考えますると、ここに資料を持ってまいりませんでしたが、一昨年はたぶん八三%でございましたが、三十九年の食糧自給度は八一%に低落しているわけでございます。しかし、中期経済計画におきましては、あくまでこの八一%の線を維持するという方針で進んでいるわけでございまして、さような観点から考えまして、食糧の自給のために生産基盤の増大をはかるとか、土地改良を行なうとか、その他各般の施策、すなわち農業政策そのものは、日本の自給度の向上にあるといっても私は過言ではないだろうと思います。とにかく農林省といたしましては、いろいろ世上の意見はありましょうとも、あくまでも自給度を高めるという方向で進みたい。これが農林省の最高方針であることを御了承いただきたいと思います。
○永山委員 政務次官の答弁には満足をいたしておるのでございますが、方針と現実とは逆行いたしてはいないかどうかということを非常に憂慮をいたすものでございます。農業基本法ができましてから今日まで、自給度は漸減しておると思うておるのでございますが、その状態は、突然お呼びしたので計数的には困難かもしれませんが、どういうように自給度の関係が上昇しているか、現状維持か、あるいは低減しておるかという点をひとつお示しを願いたいのであります。
○舘林(三)政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおりに、自給度の向上ということに農林省の政策をあげてやっておりますけれども、人口の増加その他の観点から申しまして、やはり自給度は漸次減少しておりまして、先ほど申し上げましたように、三十七年は自給度が八三か四だったと思いますが、三十九年度は八一%に落ちておるわけであります。しかし、八一%を最低限といたしまして、中期経済計画におきましては、あくまでこの線を維持するということでいきたい。なお自給度は八一%でございますけれども、その中の一番主食でありまする米そのものの自給度は、九六%くらいだと思っております。非常に自給度は高いわけであります。それでも、あと四%につきましては、二十ないし、三十万トンの米を加州とか台湾とか中国とか韓国とか、あるいはスペインというようなところから買っておることも、永山さん御承知のとおりと思います。
○永山委員 自給度を高めていくということが農林省の政策の中核だ、基本目的であるということを承って、非常に共鳴するのですが、中期経済計画において、少なくとも三十九年の八一%の自給度を落とさないように努力をするというようなことでは、自給度を高めるということでなくて、落とさないことに力を入れるというきわめて消極的なことになるのですが、方針と事実とは違っておるのではないかという点を心配するのでございますが、この点どうですか。
○舘林(三)政府委員 八一%を目標といたしましてこれを維持するということを申し上げましたが、もちろん政策的な意図といたしましては、八一%以上により高めるということがまた必要であると思います。国策的な見地から申しましても、やはり非常の場合に備えるというためからいっても、一分でも白純度を高めるということは、政策的に当然出てくると思う。しかし、現実に日本の情勢から申しますと、商工業はますます発展する、農地はどんどんつぶれていく、新しく開墾、干拓をやるという地域は必ずしもそれに追っつかないという関係から申しまして、土地そのものが必ずしも自給度を高めるという方向に沿わない点は、やはりあり得るだろうと思います。したがいまして、私たちといたしましては、やはり自給度を高めたいが、少なくとも現在の自給度を落とさないところに政策の一株を置きたい、かような考え方で進んでおるわけであります。
○永山委員 自給度を高めるという目標だけであって、実際現在の自給度を落とさないということに努力するということでは、われわれは満足できないのでございますが、農地が商工業部門に動員されて、耕地関係の面積が縮小されるというような点を考慮して、現状を維持するということはやむを得ないだろうという御意見でございますが、しかし、われわれは、広範な面積の八割に及ばんとするところの山林を持っておるのでございまして、それにはまだ斧鉞を入れてないところさえもあり、また林道も奥地は開発されていない状態でございますから、国土の全面開発を積極的に進めるという姿勢でいくならば、私は現状を維持するというような消極的な面でなくして、もっと自給度を高めていくという積極方面に進む余地は多分にあると考えるのでございますが、要するに、日本の国土資源、ことに山林資源等の開発、これを食糧自給度の線に、あるいは農産物の自給度の線に強く開発していくという積極的姿勢に対して、現状を維持するということとの関係はどうなるのですか。現状を維持するということは、未開発資源の開発をしても現状維持しかできないというのであるか、それを積極的にやれば自純度は上昇線にいくことができる、こうお考えになるのかどうか。その点を少し聞きたいのであります。
○舘林(三)政府委員 非常に大事な問題でございますから、お答えいたしたいと思っておりますが、なるほど農林省といたしましては、八一%の線に満足しているわけではありませんで、やはり先ほども繰り返し申し上げましたように、一分でも自給度を高める、これが国の政策のあり方としては当然でございます。したがいまして、その方向といたしましては、先ほども私が申し上げましたように、海においては干拓を行なうとか、あるいはまた、山林においては開墾、開拓を行なうというようなことは、農林省としては一番重要な施策になってきておるわけでございまして、たとえば草地の造成にいたしましても、このたびは国営の草地を一千町歩以上つくるというようなことをいたしましたし、あるいはまた、農地開発機械公団によって、草地の造成を行なうとかあるいは未開墾地の開発をどんどん行なうというようなことで、開拓パイロット的な政策をどんどん推し進めているわけでございます。さような政策そのものは、あくまでも自給度を向上させたいという趣旨であることは申すまでもなく、永山先生の意見のとおりであります。ただ、それだけ推し進めましても、農地の壊滅が非常に多いわけでございまして、結果においては八一%にとどまらざるを得ないことになるということを御了承願いたい、かような意味でございますから、どうぞその点は御了承いただきたいと思います。
○永山委員 現状の予算的措置あるいは予算規模から言えば、なるほど政務次官の言われるような八一%の自給度を堅持するということさえも実際は困難でしょうけれども、積極的に予算措置をいたして進めば、あるいは開墾、干拓、あるいは林野の利用、活用というようなものをもっと高度に、現在のような常識的な予算措置でなしに、もっと飛躍的なものをもっていけば、可能性があるのかないのか、これを私は聞いている。現状はそうだが、飛躍的な——できるできないは別ですよ。飛躍的な予算措置をもっていけば、もっと食糧自給度を高めることができるというお考えがあるかどうかということであります。
○舘林(三)政府委員 いろいろ食糧と申しましても、米麦をはじめとして、トウモロコシとかマイロとか、日本にできないものもいろいろあるだろうと思います。しかし、米麦につきましては、私は、永山先生のような方針をとりますると、ほとんど一〇〇%に近い自給度を確立することができると思います。ぜひ農林省としてはその線で進むべきものだという方針は、持っておるわけであります。
○永山委員 私は、特に大臣に言ってもらいたいことは、惰性的な旧来の予算的な感覚から言えば、現状維持も実際は困難でしょうけれども、飛躍的に食糧の自給度を高めていく、そうして食糧に関する限りはドルを出さずに済ますという方向にいくことが、いわゆる日本経済の安定だと思う。重工業部門の原料もドルで買う、食糧もドルで買うということをやっていけば、国際収支の安定は見られぬのです。だからして、食糧の自給度は、自分の国で生産されるものだけは生産するんだ、補助金を多くやる、あるいは長期の低利の金を出す、予算措置を強化して、生産のできるだけのものは生産をする。農民にやる金は惜しくない。外国にやるドルのほうが日本の経済を悪くするのであります。ことに少し生活力の弱い、収入の少ないところの農村側にうんと政府の助成的措置をするということが、ひずみの是正になる、安定成長経済になる。だからして、旧来の重工業方面に進んでいる政策を、私は必ずしも悪いとは言わぬ。重工業と重農とは車の両輪のごときものだ。この意味において、飛躍的に予算的措置をして、将来自給度を高めるということに一段の構想を持って進んでもらって、極端に言うならば、 レジャーブームから農村ブームへ置きかえるという経済政策の大転換を大臣に強く要望するのですが、政務次官のこれに対する意見をお聞きいたしたい。
○舘林(三)政府委員 全くお話しのとおりでありまして、日本の工業が昭和三十年からすばらしい発展を遂げたその一つの力というものは、やはり昭和三十年以来の豊作であったと思うのです。八千万石以上の米がとれたということによって、米の輸入を少なくしてよかった。そのために他の原料資材を購入することができた。私は、さような意味で、食糧が増産されるということは、増産するほど国力の発展になるということを考えているわけであります。さような意味で、どうせ出すなら、外国に対して出すよりも、国内の農民に対して金を出すということにつきましては、全く同感でありまして、大臣にこの点十分お伝えいたしたいと思います。
○永山委員 私は、さらに時間をいただきますれば、食糧の自給度を高めるということに対する農林省の政策の足らざる点について十分御質問をいたしたいのでございますが、この場合、時間の関係もありますから、園芸局長が見えておりますので、方向転換をいたして、政務次官と両方に質問をいたしたいと思います。 それでは、いまの食糧の自給度に関連をいたしますが、農産物の自由化、貿易の自由化というものに対してのお考えでございます。いわゆる農産物の自給度を高めようということになれば、農産物の自由化に対しても、これを必要に応じてチェックしなければならぬ状態ではないか。自由化をやめろというのではありません。体質の改善ができて、農産物の自由化に対処できるように体質改善をしてから自由化をやるべきなんだ。体質改善をやらずにおいて自由化をやるから、食糧の自給度がだんだんと低下していくのであります。したがいまして、農産物の自由化に対する基本的方針をお聞きいたしたいのでございます。
○舘林(三)政府委員 農作物につきましては、他の鉱工業品と迷いまして、国際競争力が日本としては非常に弱いわけでございます。さような立場から、日本といたしましては、自由化につきましては最小限度にとどめたいということで今日まで来ているわけでございます。主食の米麦はもちろんのこと、乳製品等の国際競争力の弱いものにつきましては、今後におきましても、あくまでも非自由化の線で進みたいと思っております。これはアメリカは別といたしまして、欧州諸国におきましても、先進国におきましても、やはり農業そのものにつきましては、保護政策をとり、あるいは関税を高めるとか輸入制限をするとかいうようなことで、各種各般の保護政策をとっているわけでございまして、日本もさような国と相応じまして、あくまで日本の農業生産物につきましては保護政策を貫きたい、かような考えであります。今後におきましても、この方針で行くことは当然でございます。
○永山委員 政務次官の御答弁は、わが党と一体でございまして、賛意を表するものでございます。しかし、往々にしてわが党の意見とは相反して、政府の独善的立場において農産物の自由化が、農民の体質の改善を待たずしてやられておる状況でございます。ことにレモンあるいはバナナ、こういうような関係が、体質改善を待たずして唐突として自由化に踏み切られた。レモンのごときは、もう国内生産はストップするという状態に追い込まれており、それに対する何らの対策もやらないというがごときは、私は、農林省は、農産物の生産を保護助成して、そうして自由化に対処する体質改善をやって、そうして食糧の自給度を高めるという基本方針には全く反したることが行なわれておるというように考えておるのでありますが、この問題等に関しては続行させていただくことにして、外務大臣が見えたようですから……。
○舘林(三)政府委員 レモン、バナナの自由化につきましては、いろいろ問題を投じたのでございますけれども、やはりバナナ等の例を見まするように、バナナの自由化の前提といたしまして、いろいろ輸入組合等の結成とかその他適切な措置を講ずべきだったと思います。それを講じなかったために、今日バナナの輸入については混乱しているわけでございます。したがいまして、今後としては、原則として農林物資につきましては非自由化の方針をとりますけれども、かりに国際的な理由によりまして、さような自由化の方針をとらなくてはいけないときには、国内の受け入れ態勢、またその他国内の競争物資に対する保護態勢というものを十分とって、これがだいじ上うぶだというときでなければやるべきじゃないということは、痛感している点の一つでございます。
○林田政府委員 レモンの自由化は、昨年いたしまして、先生仰せのとおりなのでございますが、実は本年一月から三月が国産のレモンが出回る時期に当たっているわけでございます。それで、昨年の十二月ごろからレモンの輸入が減ってまいりました。その前は二千トン以上毎月入っておりましたのですが、大体七百トン、千トン以内というような状況でございます。したがいまして、国内におきましても、大体国産レモンがその間におきましてはけておるような状況でございまして、実は今年度は大体うまくいっておるというような様子なのでございます。 今後におきましても、十分国産レモン、それから入ってくるレモンとの間の調整をとりまして、国産レモンの消費に遺憾のないようにいたしていきたい、かように存じております。 ————◇—————
○河本委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律及び血外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。大川俊君。
○大出委員 日韓問題についてのごく基本的な問題について御質問を申し上げたいわけでありますが、多少の関連がありますから、冒頭にひとつ原潜寄港の問題について御答弁をいただきたいのであります。 八日に佐世保の市長が上京をしてこられて、外務省に行かれていろいろ関係の方々と折衝しておるようでありますが、私の調べましたところでは、第三回目の寄港がこれまた佐世保だということではどうも困るということで、いろいろ外務省と打ち合わせをしたところが、外務省のある担当の方々から、第三回目については二十四時間前の事前の通知というようなことが考えられないんだということを言われて、それから多少のやりとりが行なわれているようであります。まずもってこの第三回目以降については、前回私外務大臣に何回か賛同をして確認をされているところでありますけれども、無通告で入ってくるのだということになると、これは穏やかならぬことだと考えますので、一体外務省のどういう方々がそういうふうに話をされたのか、そこらのところを含めてひとつはっきり御答弁を賜わりたい。
○椎名国務大臣 佐世保市長が最近見えたということを知りませんし、したがって、その際にだれと話し合いをしたのか知りませんが、二十四時間前の通告は第三回目はあり得ないなんというようなことも、実際においては聞いておりませんが、これは絶対にさようなことはあり得正せん。
○大出委員 来たことも知らないし、そういうことを言ったことも知らないというのだけれども、佐世保市長がみずから記名会見をして新聞記者に話をしているわけであります。その内容によりますと、第三回目以後の原潜寄港問題について外務省と打ち合わせをしたのだが、外務省の中には今後無通告で入港してもいいという考えを持っていた人もおった、そこで市長としては市長の見解を述べた、こう言っているわけであります。これは辻市長の記者会見による内容で、新聞に発表もされておりますから、これを全く知らないと言われると、私のほうもいささか心外なわけでありますが、そこのところをもう一ぺんひとつ打ち合わせて御答弁いただきたい。
○安川政府委員 私が佐世保市長に最後にお目にかかったのは、たしか第二回の寄港が終わった直後に、市長がほかの用事でおいでになりましたときでありますけれども、そのときは、第三回目の寄港がどこであるとか、いつであるとか、あるいは事前通告がどうであるとかいうことは一切承りませんので、ただ第二回の寄港のときの佐世保の現状について御説明を受けただけであります。ただいま御指摘の記者会見は、私存じませんけれども、いずれにいたしましても、私は第二回の寄港のときにお目にかかった以外にお目にかかったことはございませんし、まして三回目は事前通告はないというようなことを、私以外の者も申すはずはないと思います。何かの間違いであるか、事実そういうことをおっしゃったとすれば、市長の誤解ではないかと思います。
○大出委員 私は、ここに発表された新聞を持って聞いているので、でたらめを言っているわけではない。これは二月九日の新聞でありますが、ちゃんと辻市長の記者会見の内容が、市長みずから発表されておるわけです。ですから、私以外の人が言うはずがないと言うけれども、あなたが知らないでいて、事実新聞に出ているものを御存じなくて、これは東京新聞ですが、それでどうも言うはずがないと言っても、市長みずからが記者発表の中にそういうことを言っているので、それでは佐世保の市民その他の市民にたいへんな不安、動揺を与えるから非常に困るんだ、こう市長は言っておられるわけです。したがって、私はその点を世の中に出たから聞いているので、そういう不見識なことを言っては困る。これはあとで大臣に承りたいのだが、こういうことが新聞に載りますと、東京にいるわれわれはまだしものこと、現地の佐世保なんかにいる人たちは——ただ賛成という方々もおるでしょう。だけれども、反対だという人もたくさんおるのだから、第三回目以後は無通告で入ってくるということになるとえらいことになるんで、その点を調査されて、言うた人がいなければ、幾ら佐世保の市長がどういう方であっても、まさかそんなことを記者会見で言うはずがないのだから、その点は厳に大臣以下皆さんが、そういうことはないのだ、これは私が大臣と直接会見をしたときにも申し上げたことだし、自後二回にわたってこの委員会で私は大臣から確認をいただいておることなんだから、その点についてははっきりしていただきたい、こう思うわけです。
○椎名国務大臣 これは非常に問題だと思います。しかし、無通告で入るということは、今後絶対にあり得ません。この場ではっきりと申し上げておきます。それで佐世保市長と新聞記者との間の話し合いがどうかということであったか、さっそく御本人に照会して、その事情を調べたいと思います。
○大出委員 その点は了解をいたします。 あわせてもう一点承りたいのですが、この佐世保に入るか、横須賀に入るかという問題をめぐりまして、市長のほうから外務省にいろいろものを言われたようでありますが、それに対して横須賀、佐世保のどちらかということは、外務省としては第七艦隊等の作戦計画等の関係で言えない、こういうふうに言われているのだが、その最後に、しかし、地理的にいって三回目も佐世保になる可能性が強いということを言われておるそうでありますが、そこのところを再度明らかにしていただきたいと思います。
○安川政府委員 そういう話をいたしておりません。私のほうとしましては、今後どこに入るかということは、全然情報もありませんし、何の通告もありません。
○大出委員 前二回の例からいきまして、何かどうも入ってくる前、半月なり二十日なり前くらいに、いつごろどうも入りそうだなどということをスクープ記事として新聞に載って、その後多少の紆余曲折があるようだけれども、その後ともかく入ってくるというのが、旧来の例なんです。またまたこういう記事が載るようになると、第三回寄港ということが出てきそうな気がするわけです。そういう意味では、これもまた世間を惑わすことになるし、ある程度の大安ということも出てまいりますから、そういう点で私は承りたいと考えたわけなんです。ひとつあらためて、明日になるか明後日になるかわかりませんが、外務、防衛等を含めての委員会が続けて行なわれることになっておりますから、あらためた場所でこの点をもう一ぺん質問をいたしますから、どうかその辺は御調査の上ではっきりした回答をそのときに賜りたい、この点だけを申し上げておきます。 それから原潜問題が一つ出ましたので、もう一点日韓問題とからめて申し上げておきますが、十八日の日に、大臣が韓国に行かれた翌日になりますか、アメリカの下院の軍事委員会でマクナマラ国防長官が報告を行なっておりますが、この中で、ここに相当詳しい内容が載っておりますけれども、日本に原潜が寄港したことについて相当高い評価がされている。こういう点等を考えますと、これはたまたま一方日韓問題に大臣が行かれているその翌日ですから、私どもが判断すると、どうも全く無関係だというふうには考えられない。そこで石橋委員の質問に対する大臣答弁等との関係で承りたいのだけれども、このアメリカ側のこういう言い方からすると、どうも単なる兵員の休養、水その他の補給というふうには考えられない節が最近ますます濃厚になっているので、その辺について、もう一ぺん私は確認の意味で、あなた方は今日まできてもなおかつそれに限られているのだということを再度お答えになるつもりかどうか、ここのところをまずもって承っておきたい。
○椎名国務大臣 私どもは、あくまで補給の意味の寄港である、こう考えております。
○大出委員 そこでソウル放送の十三日の放送によりますと、これは十五日に日本には伝えられておりますけれども、大臣が韓国に行かれたこの時期と相前後して、アメリカの三人の高官がソウルで合流をして、言うならば日米韓国合同会議のような形のものが行われるのだということが、ソウル放送ということで発表されて伝えられておりますが、大臣はソウルに当時行かれておったわけでありますけれども、アメリカのこの種の高官諸君に会っておられるのかどうか、まずもって承っておきたい。
○椎名国務大臣 全然そういう事実は知りません、どういう人がソウルに来たか。
○大出委員 三人の行った方は、調べてみますと、一人は国務省からメンデルホール極東地域局長、それからもう一人は特別顧問のヨサナン・ムーア極東問題担当の国務次官補、もう一人はジェフリー・キッチン極東政治軍事担当副次官補、この方々が合流をされておって、十三日の午後のソウル放送でそのことが伝えられておる事実があるわけです。あなたが知らないと言われたって、あなたが行かれる前にソウル放送で放送しているんだから、行っていないなんということはないので、全く知らないと言われると、どうも知らないと言われること自体がおかしく聞こえるのだけれども……。
○安川政府委員 たしかその三人の名前が新聞に出まして、ソウルに行くという記事を私は知っております。しかし、その後、たしかアメリカ側で修正したはずでございます。そのうちの一人か二人か、何かの用事で行ったということをアメリカは発表したと思いますが、いずれにしても、外務大臣が御承知にならなければならないような重大な使命を持ったものでないことだけは確かであります。
○大出委員 そういうふうなお答えをなさるだろうというふうには思っていました。ところが、朝鮮日報等の報道内容をずっと調べてみましたけれども、今回の日韓問題のイニシアルをとることと相前後いたしまして、アメリカ側から韓国側に対しましても、また日本に対しましても、日韓会談の促進方を相当強力に砧をしている事実があるわけですけれども、それらについて御承知かどうか。
○椎名国務大臣 いや、全くその事実は、においもほんとうにかいでおりません。
○大出委員 朝鮮日報の二月四日の内容によりますと、韓日交渉、米の調停表面化ということで、エマーソン駐日公使が駐日代表部を訪問をして、懸案の大綱をともかく今回は妥結をするようにということで、外相会談に先立って日本側にも慫慂してあるからということでの内容が新聞報道されているのでありますが、この事実についても御存じないとおっしゃいますか。
○椎名国務大臣 その事実も存じませんし、大体私が就任して以来、たびたびアメリカの大公使とも会っておりますが、日韓会談について特別の勧告を受けたというようなことも、一回もございません。
○大出委員 どうも日韓問題をめぐるいろんな新聞報道が、各方面から、日本だけに限らず、先ほど申しましたソウル放送だとか、韓国の一流紙である朝鮮日報であるとか、この種のものにいろんなものが載っているのでありますが、いままで多少の質問がほかの委員会等で出ておりますが、そのほとんど全部を否定をされる。全く否定をされる。においもないし、聞いたこともないということが、特に強調される。ところが、どうもにおいもないというようなことばを外務大臣あまり言っていないのでありますが、今回は、この種の竹岡が出ると、そういうことはにおいもない、聞いたこともない、こういうふうにお答えになるのだが、そうなると、外国の新聞記者が走り歩いていろんな事実を調査して新聞紙に発表していることが、全部そういう事実がなくて、全部うそであって、においもなかったということになってしまうのでありますけれども、私はこれだけのことを——それほど新聞関係の方々が無能ではないと思っているわけであります。そうなりますと、あなた方が知らない、においもないというそのこと自体が、どうも私納得ができないおかしな答弁に聞こえるわけであります。 そこで、基本条約のこれはイニシアルをとっただけだというふうに言われますけれども、しかし、これが名前のとおり基本条約である限りは、将来に向かって一括結ばれるときに基本になることについては間違いがない、こういう理解が成り立つわけであります。そこで質問をいたしますが、第四条にいうところの(a)項の「両国は、相互の関係において、国連憲章の原則を指針とするものとする。」ということが一つ。(b)項にいう「両国は、共通の福祉及び共同の利益を増進するにあたって、」ここでもまた「国連憲章の原則に適合して協力するものとする。」こうなっておりますが、この「指針とする」というのは、どういう意味なのか。もう一つ、「国連憲章の、原則に適合して協力する」というのは、具体的に言うとどういうことなのか。何ら説明をされていないので、ここのところの説明をいただきたい。
○佐藤説明員 第四条の(a)項の国際連合憲章の原則と申しますのは、国際連合憲章の二条に、原則がずっと書いてあるわけであります。
○大出委員 ついでに何と書いてあるか、簡単に言ってください。
○佐藤説明員 非常に長いものでございますが、趣旨といたしましては、一つは国際紛争を平和的手段によって解決するということでございます。それから侵略国に対して援助を与えない。それから内政干渉をやらないということ、ここらが一番大きな原則であると思います。 それから、あとの御質問でございますが、この(b)項のほうは、むしろ、共通の福祉、共同の利益、たとえば韓国の国民の福祉、日本の国民の福祉、そういうふうな、いわゆる経済協力が非常に表面に出てまいると思いますが、そういうものの協力に対する国連憲章の原則を守りたい、こういう趣旨で二つに書き分けたわけでございます。
○大出委員 どうもこの基本条約というのは、後宮さんと延さんの仮調印の段階ではありますが、日本国民に対する義務を結果的には——この段階は法的には根拠がないが、道義的責任はあるわけですから、しかもこれが将来に向かって基本となる限りにおいては、国民相互に理解をしなければならぬ性格のものなんですけれども、いまの御答弁、全くたどたどしくて、明快を欠くのです。 そこで、再度質問しますが、韓国の国民、日本の国民、その両方の経済協力というのだが、国連憲章のどこに韓国、日本の経済協力を慫慂するという意味のことをあげておりますか。
○佐藤説明員 これは国連憲章全体を通ずる精神だと思いますが、具体的に書いておりますのは、前文及び第一条の目的のところに出ております。
○大出委員 そこでさらに質問をしますけれども、いま御答弁をいただいた前後の項目は、非常に重要な項目だというふうに考えますが、二条の原則に基づいて国際紛争を平和的な千段で解決をするのだということが一つ、それから侵略に援助を与えないというのが一つ、第三番目は内政不干渉ということが一つ、こういう御答弁なんですが、それが四条の(a)項だということになる、こう確認してよろしゅうございますな、大臣、どうですか。確認できませんか。いま答えられたことをそのとおり私は言っておる。
○佐藤説明員 先ほどお答えいたしましたのは、この二条のおもな点を御説明したわけでございますが、二条全体の原則ということになると思います。
○大出委員 ですから、私は簡単でいいから二条の中心を言ってくれと言ったら、いま言われたように、三項あげられたわけですね、間違いなく。議事録に残っておりますから……。だから、そのことを担当の方では心もとないから、大臣に再度確認を求めておきたい、これだけのことですよ。それでよろしゅうございますな、大臣。
○椎名国務大臣 条約の解釈の問題でございますが、ただいま佐藤説明員から述べられたのでよかろうと思います。
○大出委員 これは、きょうは大臣のお時間の都合もあるというので、私はあとで、あしたからおやりになる外務委員会あるいは防衛とからむ委員会等のところでの質問も私もとってありますから、あらためて質問をするつもりでおりますが、私がきわめて重要だと考えておりますのは、この中にいうところの国際紛争を日本と韓国と両方で平和的手段によって解決をしよう、そのことを取りきめたということになる。それから侵略に援助を与えないということについても、日本と韓国の今回締結をされようとしている日韓条約、この基本になる基本条約という面で確認をし合っている、こういう筋書きになるわけであります。ここのところを明らかにしておきたかったわけでありますが、いまの御答弁で私が聞いた意味における満足を得られておりますから、この点は後ほど別なところで質問をいたします。 ところで、もう一点関連がありますからひとつ聞いておきたいのでありますけれども、吉田・アチソン交換公文というものがあるのを、外務省の方々ですから御存じだろうと思うのでありますが、この吉田・アチソン交換公文というものは、安保改定のときに再確認をされているのでありますが、この交換公文によりますと、国連軍の行動等について、国連加盟国である日本はあらゆる援助を行なうということが交換公文の趣旨だろう、こういうふうに思っておるのでありますが、これは今日でも生きておりますな。
○安川政府委員 生きております。
○大出委員 ところで、もう一つ承りたいのでありますけれども、この基本条約第三条でありますが、三条によりますと、「国連総会決議 一九五(III)に示されているような朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」こうなっているわけであります。この点については、管轄権の問題等とからみ、あるいは領土権等の問題あるいは領域の問題とからんで、当時の政府の新聞発表によりますと、全土には及ばないのだということを暗に示唆したのだということが報道されておりますが、この点の確認はいただけますか。
○椎名国務大臣 御指摘のとおりであります。
○大出委員 ところで重ねて承っておきたいのでありますが、ということになりますと、領土権というものは、領域というものとからんで、管轄権と領域の問題と明確に分けて、そこのところは一致するのかしないのか、そこのところを承っておきたい。
○椎名国務大臣 この条約には、韓国の領土を明確にする必要はないのであります。ただ条約の及ぶ範囲を示せばそれでよろしいということになっておりますので、その点だけを明確にしたわけであります。
○大出委員 いまの答弁を言いかえますと、韓国の領土、領域については明確にしない、ただ管轄権の及ぶ範囲という点を明確にした、こういうことになるのですか、そういう理解でよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 的確に申しますれば、条約の通用範囲であります。
○大出委員 条約の適用範囲と管轄権とはどう違いますか。
○椎名国務大臣 この場合には一致すると思います。
○大出委員 一致するということになりますと、停戦協定が成立をした以降のラインをさすのか、それとも三十八度線というラインをさすのですか。
○椎名国務大臣 三十八度線または停戦ラインその以南、こう考えております。
○大出委員 そうすると、最終的に明らかにしておきますが、管轄権をいうたものである、領域、領土、領土権というものについては明らかにしなかった。そこで管轄権なるものは、つまり条約の及ぶ範囲である、それは三十八度線または停戦ライン、こういう確認でよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 さようでございます。
○大出委員 そこで、この第三条にうたった国際連合総会決議の一九五の(III)というのは、これは一九四八年のはずでありますけれども、これはその後いろいろなところに使われて確認、確認を重ねて確認をされてきているわけであります。今日もいろいろなものと関連をして生きている。そこで質問を申し上げたいわけでありますが、いまの第三条にうたわれてあります国連総会の決議、その以降に一九五〇年の十月七日の決議、これは中国人民軍が参戦をする、こういうかっこうを呼び起こしたはずでありますけれども、この四八年十二月十二日の決議が繰り返されて確認をされて、全朝鮮にわたってあらゆる措置をとるということばで、国連軍は三十八度線を越えて武力攻撃をする、こういうことに当時きまったわけであります。したがって、その趣旨は、ここに言われている第三条の韓国の領土権、領域というものとからんで、国連のこの決議は、このことを再確認をしたということは、意味がないものではない。つまりその後韓国は長年主張しているように、領土権というものは朝鮮全域にわたる、これを相関連をして、この内容を読んでみますと、きめられている。さらにこのことは、もう一つ例を申し上げますけれども、一九六三年ですから、二年前でありますが、十二月十三日の第十八回の国連総会決議、この中でも再確認をされて、つまり米軍でありますけれども、国連軍の名のもとに駐在をする。そして逆に韓国との間の大田協定であるとか韓米経済技術協定などというものが結ばれて、それが、今日経済的な一つの支柱をなしておる、こういうふうに、いみじくも三条で取り上げられた決議というのも、今日に生きて及んでいるということになっているわけであります。そうなると、ここで二つ質問が出てまいるわけでありますが、領土権、領域というものを明らかにしなかったということは、韓国は朝鮮全土に領土権というものはあるんだという主張をしているということで、日本側としてはこれを明らかにしなかったということになるのかどうか、そこのところを承っておきたい。
○佐藤説明員 領土権を主張している、主張していないというようなことは、この三条からは出てこないわけでございます。この三条で引いております決議自体は、大韓民国政府というものの性質を書いておるわけでございますから、その中で、現在大韓民国政府が全土の領域を主張している、主張していないということは、全然ここの条約では入っていないということになるわけでございます。
○大出委員 さっぱりどうもはっきりしないのですが、すなおにあなたのおっしゃることをとれば、第三条は領土権を主張していないということを含んでいない、こういうわけです。三条に領土権を主張していないということは含まれていないということになると、韓国は領土権を主張しているこういうことになるのでありますが、そういうことでいいのですか。
○佐藤説明員 主張しているということも、いないということも、全然この三条自体からは出てこないわけでございます。三条自体は、あのときに国連決議で、これはむしろ大韓民国政府の性格を書いた決議でございますが、それを引っぱって、こういう性格の朝鮮にある唯一の合法的な政府である、こういうことをいっただけでございまして、その政府が全土に領土権を主張している、主張していないという問題は、この点では触れていないわけでございます。
○大出委員 ですから、私はいまわざわざ二つばかり例をあげたのでありますが、一九五〇年の十月七日の決議、それから、一九六三年の第十八回国連総会決議、これらの関係からいきますと、どうも韓国の当時からの主張である領土権は朝鮮全域に及ぶんだという主張を広めている、こういうふうに受け取れる。そうなってくると、ここでわざわざ三条で、われわれがいままで知っておりますけれども、それほどまさかこういう基本条約の中に出てくるなどとは思っていなかった一九四八年の国際連合決議の一九五というものが出てきている。これはそのつど引用をされて、幾つもその後に決議をされているのでありますけれども、いま申し上げたように五〇年決議、六三年決議、停戦協定のときも出てきている。こうなると、それ以降のと関連しないで、今日になれば、単独で生きているのではないか。そうなるとこれをわざわざ載せたということは、その後のものを載せては問題があるから、一番最初のものを載せた。その後のものとからんでものを考えなければならぬ条文なので、からんでものを考えると、明らかにこの条文は朝鮮全土に韓国の領域、領土というものはあるのだという、韓国側が旧来から考えている考え方に符合をする。だから、私は、管轄権ということについては、確かに制約を与える意味のことを当時の新聞等からいけば日本の外務省はものを言っているのだと思うけれども、しかし、この条文が基本条約ということで生きている限りは、結果的に韓国の領土権、領域は朝鮮全域に及んでいるのだということを日本側は認めたという結果になる、こう考えていると思う。そこのところを聞いているわけです。ここのところはどう考えますか。
○佐藤説明員 どうも同じ御答弁を申し上げて相済みませんが、その五〇年の決議も存じておりますが、この点は、国連加盟国に対して、全朝鮮にわたって安定した状態を確保するためにすべての抵当な措置をとる、そういうふうなことを勧告しているわけでございまして、この大韓民国政府自体がどういう政府であるかということを書きました決議と申しましては、この前の決議しかないのでございます。したがって、この前の決議を引いたわけでございます。したがって、ここに書いてありますことは、前の決議に書いてあります性質の大韓民国政府ということをこちらで確認をしたという意味しかないと思います。
○大出委員 これは私は将来に向かって大問題になりはせぬかという心配があって、だからはっきりしておきたい、こういう気持ちなんですが、この国連決議の一九五〇年十月決議、六三年決議、まん中に停戦協定などもありますが、これらを一貫してながめてみますと、韓国が旧来から、李承晩以来主張している領域は、朝鮮全域に及ぶんだという考え方、国連の四八年、一九五決議がそれ以降発展をしてきている姿というのは、朝鮮の唯一合法な政府である。したがって、 国連側としては、朝鮮全土が統一されることを望んでいる。こういう姿が出てきて、そこで五〇年決議では、国連軍という形で三十八度線を越えていく、こういうかっこうが出てきているわけですから、こうなると、これは私は率直に言っていただきたいと思うのだけれども、相手方は、領域、領土というものが管轄権と符合する形で停戦ラインあるいは三十八度線以南、こういうふうな解釈では応じない。そこで向こうの主張というものは、日本政府側としては否定し得ないから、一応ここに国連決議の四八年決議を持ち出して逃げておいたということだろうと思うのですが、逃げておいたということは何を意味するかというと、将来領土権の問題とからむと、韓国側の主張というのは、朝鮮全域に及んでいた、こういう結果が出てくる。そういうことになっていた、こうなると、これは私は日本と韓国で条約を結ぶのですから、たいへんなことになりはせぬかということを考えている。韓国側はそうだったから、やむを得ず日本側としては、その辺は当たらずさわらず、こういうことで逃げたのだというならいうで、はっきりしておいていただかぬと困る。この点どうですか。
○椎名国務大臣 これはあくまでわれわれは現実の姿をはっきりさしておるものと考えます。すなわち、朝鮮半島で朝鮮人民の大多数が現に居住しておる部分、そこを支配する政府というようなことまではっきりと書いてあるのであります。そして、国連の監視と申しますか、見ているところで自由な選挙が行なわれ、そしてこの政府ができ上がった。こういったような唯一の合法政権であるということが書いてあります。すなわち、三十八度あるいは停戦ライン以前を現実に支配しておるということではっきりと書かれておるわけです。そういう範囲が条約の及ぶ範囲である、こういうことで、北方に現実に韓国の支配しない領域があるということを十分に念頭に赴いて、この条約を結んだわけであります。
○大出委員 いまの答弁はそれなりにわかりますが、もう一ぺんくどいようですが、私は確認をしておきたいのでありますけれども、この日韓問題が、いずれの形をとるにせよ、一つの到達線に達するとすれば、そこから先将来に向かって、北のほうにある朝鮮民主主義人民共和国との関係が出てきて、これは池田さんの内閣時代からいろいろ問題になっておったところでありますが、しかも片づけなければならぬ問題が、この間にもある、そうなると、現実的にそのことを経済的な面からも広めざるを得ない。そうなってくると、その際日本の立場というものをやはり明らかにしておかなければならない。それはいつすべきかということになれば、日韓問題についての基本条約などというこの場面でしなければするときがない、さらに新たな紛争の種をつくる、こういう結果になりかねない。そこで日本側としては、この基本条約のイニシアルをとるにあたって、つまり脱臭にある停戦ラインなり三十八度線以南、領土、領域、管轄権というものはそういうふうに考えているんだということを少なくとも明らかにしておいてもらわないと、何となく一九五が出てきた関係で、どうもそうではない、旧来からの韓国の主張を日本が広めていたんだというふうなかっこうに将来受け取られるということになると、問題が残る。私は、このところを心配をするから申し上げておるのです、したがって、四八年の国連の一九五決議というものは、先ほどの話がいろいろあったけれども、日本側としては、領土、領域、管轄権、条約の及ぶ範囲を含めて三十八度以南、停戦ライン以南、こういうふうに考えている、こうでなければならぬと思うのでございますけれども、そこのところはどうですか。
○椎名国務大臣 これはもう国連決議の一九五(III)を引用したことによりまして、非常に明確になっておると考えております。
○大出委員 そういう答弁をされると、ちょっとわからないのです。その一九五(III)を引用したことによってその点は非常に明確になっておるというのですが、どう明確になっておるのですか。
○椎名国務大臣 韓国政府と基本条約を締結して、どの範囲にこれが有効に適用されるかということは、おのずから明確になっておる、こういうことであります。
○大出委員 そうすると、もう一ぺん聞きますが、領土、領域という問題は含まれていない、こういうことですか、いまの答弁は。
○椎名国務大臣 条約の適用範囲を明確にしておけば十分だ、こういうたてまえでございます。
○大出委員 それならば先ほどの答弁で、管轄権と条約の適用範囲は一致するのでありますから、しかもそれは三十八度線、停戦ライン以南でありますから、その点が明確になったのであって、領土、領域については触れなかった、こういうことでいいのですか。
○椎名国務大臣 現実の管轄権が適用範囲と一致する、ここまでは言えると思います。特にこの条約において領土というものに触れる必要はない、それでその問題が抜けておるわけであります。
○大出委員 それではいまの点は確認をいただいた範囲であとに残しまして、あらためて質問をいたしたいと思います。 ところで、これは防衛庁の皆さんがおられないから答弁をいただけないということであればまことにやむを得ないので、あらためて合同委員会等でやりますけれども、一九六三年に防衛庁の例の第三次防衛計画の方向づけがきめられたわけでありますが、このときに来日したギルパトリック氏、当時の国防次官でありますけれども、これが帰られたあとで記者発表をいろいろやられたのであります。これは当時から相当有名になった問題でもあり、かつ方々で引例をされておる問題でありますけれども、大きく分けて四点くらいにわたって記者発表をいたしております。第三次防衛力整備計画の基礎は固まった。固まったことをとらえて将来に向かって日本と韓国あるいはフィリピン、オーストラリアの防衛、こういうふうなものと相からんで、日本の第三次防衛力整備計画がアメリカが考えておるように成功をし、進展をしていくとすれば、将来共同防衛——安保条約第五条をさすわけでありましょうが、そういう中等においても、日本が肩がわりをして、その任に当たること、こういうふうに発表をしているのでありますが、いまでも六月までに第三次防衛力整備計画の案を防衛庁はつくるということで、航空機の機種その他をめぐって業界はたいへんな騒ぎをいま繰り返しているところでありますけれども、そういうものと相からんで、日本と韓国とアメリカという三つの関係において、今回の基本条約が、本条約ということでこれが基本になって締結をされることになるとすれば、先ほど言われるように、国際紛争を平和的な手段で云々というところから、侵略に援助を与えないとか、こういうふうな問題等ともからんで、まさに共同防衛という形のものが、日本とアメリカのほかに韓国を加えた形で形をつくられて進展をしていく、こういう筋書きになりそうなことになるのでありますけれども、一番最初の御答弁とあわせて、この辺のところを外務大臣はどうお考えになりますか。
○安川政府委員 ギルパトリック次官のそのときの記者会見は、私は、正確には現在記憶しておりませんけれども、御承知のように、日本の国自体の防衛につきまして、安保条約によって日米が協力して日本を防衛するわけでございますけれども、ギルパトリック次官の言われました趣旨は、あくまで日本自体を防衛するために、日本がいまより大きな責任を負ってほしいという趣旨であると考えます。したがいまして、いま御質問の趣旨が、もし日本が防衛力を増強することによって韓国自体の防衛にも寄与するという御趣旨ならば、ギルパトリック氏の言った趣旨はそうではありませんで、あくまでも日本が自国の防衛にいまより一そう大きな責任を負ってほしいという趣旨であろうと思います。
○大出委員 このギルパトリックの二項などによりますと、これは当時の世界週報等にもいろいろなものが伝わっておりますが、アメリカは太平洋の北部地区に日本がもっと多くの防衛負担を引き受けることを期待しており、これには琉球諸島をも含め、フィリピン、オーストラリアの防衛力も補うことが考えられている。以下これに関連するものがだいぶありますけれども、そういう趣旨の発表をしているわけであります。そうなりますと、いまあなたが言われるように、その一部を負担することができるであろうということが四項なんですから、そうなりますと、単に日本の防衛ということではなくて、韓国との関係がここで明確になり、さらにはフィリピンとの関係が出てくる。オーストラリアの一部、これも出てくる、こういうことに相関連をする、こういう筋書きだと考える。そうなると、今日三矢問題等で取り上げられておりますように、どうも韓国の防衛まで含めてカバーをする、こういうふうなかっこうになってまいりますと——もちろん米軍との関係における指揮権等の問題まで含めて、そんなものが出てくる今日の段階なんですから、そうなると、どうも韓国の日本に対する国民感情がよくなったとか、あるいは朴政権が妥結に非常に熱心であるからとか、そういう意味における親善、こういうことで締結をするんだ、こういうふうに大臣は答弁をされておるけれども、まことにみごとに立体的に、第三次防衛計画が締結をされる六三年のころから一貫して今日ここに進んできて、しかも基本条約が仮調印されて、さっき申し上げたような国連決議は四十八決議が出てきて、しかも第四条でさらに加えて国連憲章についての引例が行なわれて、その内容では侵略に対する援助云々とかいうことを与えるとか与えないとか、あるいは国際紛争とかいうことになってくると、幾ら皆さんがそう言われても、からんでしまう結果になってしまう。したがって、先ほどギルパトリックの引例をされましたが私が、ここに全文を書いてあるものを持っている限りでは、そうなっていない。もう一ぺん明らかにしていただきたい。大臣どうですか。
○安川政府委員 ただいまギルパトリックの記者会見の引用がございましたが、実はその記事は、先ほど私が申し上げたとおりで間違いないと思います。ごく最近、これはマクナマラ国防長官がアメリカの議会で証言をしておりますが、その証言の中におきましても、日本の防衛に触れております。その際に、マクナマラ長官がはっきりと日本自体の防御——ホームランドということばを使っておったと思いますが、日本自体の防衛のために日本が防衛力を増強することを希望するということをはっきり言っておりますので、それがアメリカ政府の公式的な考え方であると考えて間違いないと思います。
○大出委員 四条の解釈確認が先ほど明らかになりましたから、いまの問題は、時間の関係もありますので、別の機会に少し証拠を明らかにしながら、あらためて御意見をいただきたいと思います。 そこで一、二点だけ最後に質問をしておきたいと思います。 対日請求権の問題で八項目、これは前から問題になっておりますけれども、二年たっても明らかにされていないのでありますが、ここまできても、なお明らかにする意思がないのかどうか、これを明らかにしてもらいたい。
○椎名国務大臣 この段階では、まだ資料提供という事態になっておらぬということを申し上げておきたいと思います。
○大出委員 それからもう一つ請求権問題、いまの問題にからんで大平・金メモの問題でありますけれども、これについて、昨年の十二月に通産省等がプラント輸出の問題をセメントその他について決定をしていたり、最近、特にその問題でいろいろな業界の騒ぎが行なわれたり、使節団を送るという問題になったりいたしておりますけれども、貿易の問題についても、外務大臣は話し合ってこられた、こういうこになっておりますから、そこで承りたいのでありますけれども、二つ申し上げますから、お答えいただきますが、三月に使節団を派遣することになっておりますね。これはいま一体どうなっておるのかという問題と、この中で韓国の労働力を云々ということが調査の主眼目になっているということが、日本の新聞に明らかなんですが、これは一体どういう意味なのか。 それからプラントの問題について、セメントなんかについては、韓国自体が操業短縮を行なったり、飽和状態に達している状態であります。日本の側の状態からすると、 セメント業界というのは、これまたたいへんな不況でにっちもさっちもいかない、こういう状態が出てきている。こういうときに、この種の問題をなぜ通産省は決定をしているのか、このあたりについてひとつ明らかにしておいていただきたい。
○椎名国務大臣 外務省の資金によって使節団を送るということは、まだきまっておらない問題です。それは何かの間違いじゃありませんか。
○大出委員 もう二つ質問をしたのですが、その答弁がないのですが、時間の関係でずばっと申し上げますけれども、化繊関係の財界の方々が集って打ち合わせをされて、使節団を送ることになっておりますね。これだけ明らかに新聞に載っておれば間違いないことですが、そこでこの中心に、韓国の労働力を活用しようということから、したがって調査種目の第一にこれはあげられているわけであります。それを私は質問をしてるわけです。いろいろな関係がありますので……。 それから日韓経済協力ということで、鉄鋼だとか化繊だとか、プラント輸出の話があります。いち早く昨年末にはセメント等のプラント輸出をきめておる。ところが、昨年きめたプラント輸出の対象になるのは、いずれも業界不況でにっちもさっちもいかない、そういうものをいち早く昨年の暮れに計画を決定しているということは、何を意味するかという点が疑わしいので、そこを聞いているわけだ。
○椎名国務大臣 合繊協会の連中が、使節団というのではなく、調査団を民間で編成して、韓国の状況を視察しようということは、これは私もちょっと耳にしております。それは、合成繊維の関係は、御承知のとおり、原料をつくるのが、非常にいわゆる重化学工業の部類に属するものでございます。それから以後の紡績あるいは織りというほうが、少し日本としては手不足になっておる。そこで韓国の紡績工業がほとんど休んだりやったり、半休の状況にあるので、そういう方面に多少手を加えるならば、これを相当活用することができるのじゃないか。そうすると、まあ両方、向こうもいいし、こっちも助かる、こういうようなことで、それを視察に行こうと、こういう考え方のようでございます。特に労働力どうのということじゃない。設備も労力も余っておる、そこへすぼっとはまるか、はまらぬか、こういうことで行くようであります。 それからセメントのことは、これは民間同士の話で、申請があったのでこれを許可したというだけでございます。別に他意はございません。
○大出委員 時間がありませんので、次回に譲ります。
○河本委員長 伊能繁次郎君。
○伊能委員 私は前回、前々回にわたって、わが党並びに社会党から今回の外務省設置法の一部改正法律案について改正点で特に論点となりました中南米・移住局の問題について、さらに外務大臣並びに関係政府当局の明確な御説明をいただきたい。この点は両党から相当突っ込んだ質問もいたしましたが、なお十分な理解に達していないという点がありますので、この際、わが党としてもこの点に関する外務大臣並びに関係政府所管の明確な御説明をいただいて、本法案審議の促進をはかりたい、かような趣旨でございますので、そのつもりで御答弁をいただきたいと思います。 と申しますことは、すでに外務省からは十分な説明を伺い、中南米・移住局につきましては、中南米課がきわめて少人数であるという点が一つ指摘されたことと、中南米課から一躍、部、局と階段を経ずしていきなり中画米局ということになるには、あまりに規模が小さくはないかという点についても、質問によって明らかにせられました。また、中近東アフリカ局につきましては、中南米・移住局と違って、一応欧亜局において中近東アフリカ部というものがあって、二十数名の部の職員がおる。しかも最近のアフリカ並びに中近東における新興国家の独立によってきわめて重要性が増したという点も、私どもよく理解ができる点でありまするが、それらと比較して中南米・移住局については、中南米課一つであって、しかもその課内の人員はきわめて少数である。事態は、中南米関係外交の重要性ということについては私もよく理解するところでありまするが、この地域関係と機能関係とを合併することに対する考え方が、どうもわれわれに十二分の理解がいかないということで、本案審議の進行にもやや阻害をしておる原因の一端にもなっております。これは率直に申し上げますので、ひとつ外務大臣からこの点に関する基本的な考え方について、この際重ねて十分われわれに理解のできる御説明がいただければ非常にありがたい。
○椎名国務大臣 アメリカ局長から……。
○安川政府委員 それではこの機会に、いままで御説明申し上げておりますけれども、中南米・移住局というものの新設を考えました外務省としましての基本的な考え方を、御説明申し上げたいと思います。 御承知のように、中南米と北米は、非常に政治的にも経済的にも密接な関係がございます。しかし、これを日本の側からながめました場合に、対北米外交というものと対中南米外交というものを並べて考えました場合に、それが相互に非常に密接に関連しておるということでございますならば、これを同じ一つの局で統一的、総合的にやっていく必要が出てくると思いますが、日本の側から見ました場合には、対北米外交と対中南米外交というものは、必ずしも相互に関連、深い関係がございません。北米は、経済関係から申しましても、むしろ先進国相手の経済外交であり、中南米のほうは、先進国と申しますよりも、むしろ対後進国外交に近い関係にあるというようなことで、むしろ日本の側から見ますと、対北米外交と対中南米外交とは異質のものでございまして、これを一つの局で統一的にしなければならぬという必然的な理由がないわけでございます。他方移住局の姿を考えてみますと、これも御説明するまでもなく、現在の日本の移住の対象というものは、ほとんど九〇%以上中南米が対象でございます。そのほかに、若干の北米に対する関係もあり、あるいは今後の問題としてカナダに対する技術移住者という問題も起こるかと思いますが、実態は、何と申しましても中南米が大部分でございます。そこで他方中南米外交全体として考えてみますと、現段階では、何といいましても移住外交というものが一番の重点を占めておるわけでございます。したがいまして、外務省といたしましては、中南米関係の外交は北米と一緒にしてアメリカ局でやるよりも、むしろ移住局の対移住外交というものと一貫して、北米の仕事と離してやったほうが、仕事もより能率的にできるし、実態に合った姿になる、こう考えました結果、移住関係の仕事と、それから従来アメリカ局で所管しておりました一般の中南米事務とを統合いたしまして、中南米・移住局というものにしようというふうに考えたわけでございます。実態はそういうことでございまして、組織というものは、あくまで仕事の実態に即して仕事を能率的にやり得る体制にするたてまえに立つべきものであると考えまして、こういう中南米・移住局という考えになったわけでございます。ただ、名前はさっき申しましたように、中南米・移住局と申しますと、確かに普通の局の名前と比べますと、何かしら熟さない点がありまして、ちょっと奇異の感を与えるかと思いますが、実は名曲につきましてもいろいろ検討いたしまして、その仕事の実態に合った名前にしたいと思っていろいろ検討したのでございますけれども、結局ほかに名案がないものでございますから、いま提案申し上げておるような中南米・移住局という名前が、いま考えられる名前では一番仕事の実態をあらわした名前ではないかというふうに考えた次第でございます。
○伊能委員 先般来御説明をいただいたと大差のない御説明でございましたが、そうしますと、私どもが一点それですなおな形で疑点を抱きますことは、中南米外交とアメリカ外交とは必ずしも関連がない、こういう御答弁でありましたが、そうすれば、中南米については別途な角度でいろいろな外交を、やるべきだということになりますると、私が当初に御質問の際に申し上げた欧亜局における中近東アフリカ部というように、中近東アフリカ部と欧亜局との関係も、いま安川政府委員が言われたような立場におそらくあるだろう。そうすれば、まず外務省としてきわめて自然な形でお考えになれば、アメリカ局中南米部と、こういう形で外交の整備、増強をはかられる、こういう点が一番自然ではなかろうか、かような疑問を抱くわけであります。 そこでもう一点、移住局の点につきましても、いまのお活は、先般来社会党並びにわが党が質問をいたした際の御答弁でありまして、移民の重点は中南米である。さらに北米の特殊移民、並びにカナダの技術移民、あるいはヨーロッパもしくは今後東南アにおける移住の重要性等にかんがみてというお話までも前回答弁のうちに触れられたわけでありますが、そういう点からいきますと、中南米だけが移住の重点であるというお話もありまするが、将来の問題については、さらに東南アジアなりその他の方向への移民の重点方向ということを考えますときに、この際中南米・移住局とくっつけることにそれほどの重点があるかどうかという点が、依然として疑問が残るわけでございますが、この点について、中南米部ということに昇格をさせずに、いきなりわずか一課で中南米局とすること、並びに移住局との関係をもう一ぺん御説明をいただきたい。
○安川政府委員 確かに中南米課という一つの課がそのまま局になるということになりますと、飛躍とお考えになるかと思いますが、それから順序として、いきなり局にせずに、まず第一段階としてその局の中に中南米部というものをつくっていくべきじゃないかというお考えでございますけれども、いま移住という仕事を全然はずして考えまして、移住局がないという前提で考えますと、中南米課というものを一気に局に持っていくというのは確かに飛躍でございまして、とりあえず部にする、おいおい局に昇格させるということになるかと思いますが、現実は移住局というものがございまして、先ほど申し上げましたように、機能的に申しましても、ほとんど九〇%以上が対中南米の移住の仕事をしておりますので、それを前提として考えますと、対中南米移住外交、一般の対中南米外交、一緒にやったほうがよろしいという観点に立ちますと、むしろ移住局に現在アメリカ局にあります中南米課二課を吸収するというふうにお考えになったほうが、すなおにお考えいただけるのじゃないか、こういうように考えます。
○山内委員 ちょっと関連して一言だけ伺っておきます。前に海外移住事業団を創立する当時、かなり大幅な仕事の委譲をやって、そして移住局というものはもう縮小していくというたてまえを当時の大半外務大臣はとっておられたわけです。現在人員から見ても、何名おるかしれませんが、たしか二百名以上の規模をもって事業団は仕事をやっておるはずです。そういう意味からしましても、当初この事業団を設ける趣旨説明どおり仕事が運んでいるとすれば、移住局というものはもう廃止してもいいのではないか、縮小してどこかの部につけていいのではないか、そういうふうに思うのですが、その点についてはどうなっておりますか。
○安川政府委員 移住事業団ができまして約二年になります。その当時御説明いたしましたとおり、移住に関する実務的な部分は、相当程度移住事業団に委譲いたしまして、むしろ外務省といたしましては、現在移住実務ということから仕事の重点を移住外交と申しますか、対外的な外交面に重点を置いてやっております。もちろん、移住事業団に対する監督ということは残りますけれども、その仕事以外に、一般的な移住自身のためのいわば移住行政でなくて、移住外交というところに重点を置くべきものと考えまして、その面の仕事は依然としてしているわけでございます。しかし、実務の分は相当程度委譲いたしましたので、実際に移住事業団発足前の移住局の機構そのものは、相当程度縮小しております。課の数も最初三つございましたが、現在すでに二課に減らしております。人員も相当程度縮小しております。
○山内委員 いま、これは時間があればお尋ねしたいと思っておったのですが、できませんけれども、現在移住局にある旅券課は、もう事業団で仕事をやり、そのほかの分野から考えて、大臣官房に置くことが正しくもあり、そのことが能率があがると考えておりますが、その点はいかがでありますか。
○安川政府委員 そういうお考えも成り立ち得るかと思うのでありますが、それは外務省内部で検討いたしましたけれども、やはり旅券の仕事と申しますのは、いわゆる官房事務と性質を異にいたしまして、一般に官房と申しますと、人事、会計あるいは文書、電信といういわゆる官房事務と、省全体の総合調整といいますか、そういう仕事をするのが官房本来の姿ではないか。旅券の仕事と申しますと、やはりこれは一つの実務でございますので、官房に置くのは不適当だ。どこに置くかとすれば、やはり移住局に置くのが現在外務省の機構では一番いいのではないかという考えでございます。
○伊能委員 いまの安川政府委員の説明では、なお私ども十二分に理解をしかねる点があるのでありますが、さらにこの点について行政管理庁にお伺いいたしたいのでありますが、行政管理庁が来年度の人員、政府の機構を予算案作成に際していろいろと検討せられた結果としては、先般お伺いしたのですが、いま外務省の御説明に対して行政管理庁としてはどういう考え方でこれを了承せられたかという点を、重ねてお伺いいたします。
○井原政府委員 前回行政管理庁長官が当委員会におきまして御報告いたしましたように、四十年度は最もシビアーな態度で臨んだわけでございます。各省全部について、法律事項に相当する部局の設置、これはまあ原則としてはオールアウトという方針で当初臨んだわけでございますが、関係各省いろいろと説明なり事情を重ねて査定の段階で承知いたし、外務省につきましても、ただいま外務省の当局からお話がありましたような中南米・移住局についても、ただいま発言がありましたとおりの事情をわれわれるる伺ったわけであります。現存の段階として、私ども大方針といたしましては、昭和四十一年度に全省庁の中央機構の再編をひとつ考えていただこうとかまえておりますけれども、当面差しおきがたい重要な改正であるということで、この外務省の当局の説明を了承して中南米・移住局の設置を承認したわけであります。
○伊能委員 具体的な説明は何もありませんが、ただ、私が重ねてお尋ねをしようとした点に触れてお答えがあったわけであります。政府の行政改革本部並びに行政管理庁の態度としては、来たるべき四十一年度には政府機構の全般的な機構改正、整備統合を行なう。これらはかねて行政管理庁長官からわれわれも伺っております。その際には、この問題等についても全般的に検討されるのかどうか。また、さらに本件については、臨時行政調査会においては、外務省の機構改革の問題については、経済外交の問題を除いては触れておりません。したがって、このままの状態であると——臨時行政調査会の答申の対象としては、これらの問題はないわけです。ために、いま井原行政管理局長から答弁のありました問題、政府全体の問題としてもう一度この問題に触れられるのかどうか、そういうことになると、答申には何もないから、おそらくこのままでいってしまうのではないかという点がわれわれ予想されるわけですが、この点についての行政管理庁の態度について、重ねてお伺いしたい。
○井原政府委員 私としては、本件を含めて検討をする考えでございます。それと臨調の意見の漏れた点に触れないのかということでありますが、むろん臨調で指摘しましたのを第一として検討することは当然でありますが、臨調は何もかも悉皆調査ができたわけでございませんので、それ以外に調査なり検討が広がることは、当然あり得ると思います。
○河本委員長 外務大臣が急いでおりますから、楢崎君、質問がありましたら……。
○楢崎委員 それじゃ外務大臣忙しいようですから、私は再質問しません。三点について簡単にお答え願えればけっこうです。 第一点は、漁業交渉が妥結すれば李ラインは解消するというが、その解消の確認の方法はどう取り扱われるのか。漁業協定案でやるのか、あるいは付属文書でやるのか、合意議事録でそういうことが確認されるのか、これが第一点です。 第二点は、拿捕漁船の損害賠償の件ですが、これは請求権問題の解決の中で一緒に解決をはかられるのか、あるいは漁業交渉自体として解決されるのか、それが第二点。 第三点は、請求権問題の解決の中のハ項に漁業協力を入れられるというが、それは例のハ項の民間ベースの一億ドル以上という、その一億という中に入るのか、あるいは一億プラスアルファのアルファの分なのか。以上について。
○椎名国務大臣 李ラインはわれわれは認めていない、向こうは李ラインを前提として、わが方の漁船に対して、これは不当な侵入であるということでこれを拿捕し、抑留した、こういうことでございます。でありますから、初めから認めない李ラインを撤廃するために特別の意思表示をする必要はないのでありまして、結局季ラインを想定して不当な拿捕あるいは実力行使をやらないという保障があれば、それでけっこうです。その点につきましては、漁業交渉の全体の姿がまとまりますと、いわゆる向こうの海上における権利区域は専管水域、そして専管水域以外は、これは日本の船もどこの船も自由航行ができる。ただ日韓両国の主たる漁場であるという関係上……(楢崎委員「時間がないから簡単でいいです」と呼ぶ)でありますから、李ラインの解消ということを特にうたう必要はないのでありまして、もうはっきりどこから見てもそんなものは姿を消してしまうということになる、そういうことでございます。 それから、拿捕漁船の賠償は、これは漁業交渉とは切り離して、ほかにも関連する問題でありますから、請求権の問題に関連して一括解決いたしたいと思います。 それからハ項の一億以上というのは、一億以上青天井なので、これは普通の民間資金でやるべきことでございまして、元来は請求権問題と関係のない問題であります。ただついでだからこれに言及しておるというだけの話で、これと漁業資金は同じ性質のものである、かように御了承願います。
○楢崎委員 それではお答えは要りませんが、第一点は、農林大臣は記録にとどめるということを答弁いたしております。その点と非常に矛盾するように私は感じました。 それから損害賠償の件は、請求権問題の中で、やられるというお答えですね。 それから第三点の経済協力は、一億ドルプラスアルファのアルファの分というふうに私は受け取りました。 そうすると、ハ項は結局二億ドル以上ということになるわけですか。 以後の質問は、大臣時間がないそうですから、明日でもまた行ないたいと思います。
○伊能委員 最後に、法制局から関係の方が見えておられるようですから私は伺いますが、この種の機構改正で、従来中南米移住局というような、中点のあるような形の機構の実態が、政府の中にあったかどうか。また、これらのものを認めるについての法制局の法制的見解はどうであったかという点を伺いたい。
○荒井政府委員 ただいまの伊能先生のお尋ねでございますが、まずその前に、この外務省設置法の一部を改正する法律案の第九条の二におきまして中南米・移住局というものを書いおりますけれども、そこの読み方は、当委員会の議事録等で見ますと中南米ポツ移住局というふうにずっと読まれておりますが、これはそうではございませんで、チュウナンベイ・イジュウキョクというふうに読むものでございます。といいますのは、たとえば在外公館等に関する法律におきまして、コスタ・リカに公使館を驚くというような場合には、コスタポツリカというふうには読みませんし、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合正国という場合にも、グレートポツブリテン及び……というふうには読まないけでございます。およそ法文の中におきましては、句読点と中点がございまして、句点は息を途中で文章の中で切るという場合に打つ。それもいまポツというふうに俗称しておりますけれども、文章を読みますときには、別にポツと言って声を出して読むものでもございませんし、またマルというものも、文章が終わりましたときに、終わったところにピリオドという意味をあらわす場合にマルを打ちますけれども、文章を読むときにはマルと読まない。それと同様に、中南米ポツ移住局というふうには読みませんで、チュウナンベイイジュウキョクというふうに読まれるものでございます。それを一点まず申し上げておきます。 それから、このような局の事務分掌をきめることがいいかどうかという問題は、行政管理庁及び外務省が一次的に所管いたしておりまして、一つの局が地域局としての機能と機能川というものの機能を二つあわせ持つことについては、そういう実際的な便宜の観点に立ってこのような事務配分を決定されたというふうに伺いまして、これに法律的に対処したわけでございますけれども、その場合に、このような中点がない場合、中南米移住局ということを続けて読みまして、中南米に対する移住に関する事務を所掌する局であるというふうに誤読されるではないかという声が相当強いということでございますので、そうではなくて、これは地域局としての中南米局と機能局としての移住局という二つの機能をあわせ持ったものであるということを明らかにするほうが、このような政策決定がある以上におきましては、法律の表現としてはベターであろうという意味で、こうしたわけでございます。 それから、例があるかという点につきましては、たとえばアジア・アフリカ言語分化研究所というような場合、アジア。ボッアフリカ言語文化研究所というふうになっておりましたし、中近東アフリカ部というような場合、それをどのように表現するかというようなことがございます。あるいは法務省令、大蔵省令というような共同省令という形態があるときに、続けて書かないで、中点を打つか、あるいは句点を打つというようなことであらわすという例もございます。それからあるいはカツオマグロ漁業というような場合に、続けて井かないで、カツオ・マグロ漁業というふうに書いたほうが、カツオというものとマグロというものを端的にそれぞれ合わせてやっている漁業なんだという意味があらわれるのでございまして、本件もそういう二つの機能をもったものであるということをより明確にするという意味でやったわけでございまして、読まれる場合にはチュウナンベイイジュウキョクと読むものでございます。
○伊能委員 この問題は、きょうの御説明ではなお十二分でない感じがいたしますが、労働大臣も見えておるから、これ以上質問をいたしません。 ————◇—————
○河本委員長 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
○受田委員 労働大臣と久しぶりにお目にかかるわけですけれども、あなたは労働行政のベテランと称せられて、自民党の中では貴重な御存在である。したがって、いわゆる自由民主党の与党へのお気がねなしに、幅広い野党の見解も十分取り入れた労働行政をやっておられる人だと思いまするが、御見解をまずお伺いしたい。
○石田国務大臣 むろん政党内閣でございますから、自由民主党を背景として行政をやっておるのであります。と同時に、労働行政は国民全般のものでもございますので、労働行政の要求される使命に十分に合致し得るよう、真心をもって対処いたしております。
○受田委員 まず、法案審査に先立ちまして、法案に直接関連のないことでありまするが、労働行政の基本に関する問題をちょっと伺っておきたいのですが、労働省の福祉増進をはかるための労働省でございますけれども、労働大衆の中にも、いろいろな思想傾向、あるいはその要求に対する方法等において特殊な形態を持っているものも、幾つかあるわけです。それらのあらゆる労働階級に対して、行政面からできるだけ人間的な愛情を持って、公平に組合の交渉、あるいは組合の連絡調整等を進めるという立場をおとりになっておられるかどうか。
○石田国務大臣 労働者諸君の生活の安定と向上をはかるという大目的は、政治的な意図や思想の相違や、そういうものを乗り越えた共通の目標でなければならないと思っておるのであります。したがって、その共通の目標に到達いたしますためには、その前にあるもの、それはむろん参考にもいたしますし、考慮も払いますけれども、それを乗り越えて、与えられた使命達成のために努力いたしておるつもりございます。
○受田委員 経営者間には、最近経営の形態等において労使協調方式をおとりになっておるところが、相当出ました。労働省の経営参加という方式、これも現に一部に採用されている一つの方式でございまするが、この方式についての御見解をただしてみたいと思います。
○石田国務大臣 いわゆる自由主義国家の中でとられておりまする労使関係、これは幾つかの形があると思います。それぞれ画然とは分けられませんけれども、あるいは労使対等型とでも申しますか、あるいはまた労使協調整、あるいはまた階級闘争型とでも申しましょうか、あるいはまた家族制度型とでも申しましょうか、そういういろいろな形がございますが、いわゆる労使協調型といわれるものの代表的なものは、現存西ドイツ等で見られているものだと私は考えております。しかし、その西ドイツ等で見られているものは、無条件で労働協調というものが与えられるのではなくして、その背景には、たとえば共同決定法に見られるような従業員の経営参加というようなものが基本になって、労使協調型というものが生まれておる。したがって、ほんとうの労使協調ということを成り立たせるためには、その背骨となるようなものが必要だ。その背骨の大きな土台が、やはり従業員の経営参加というものであると考えております。
○受田委員 あなたはくしくもいま西独の方式を御引用になりましたが、私も西独のゲルゼンキルヘン周辺に働いておる日本の炭鉱労働者を、現に地下へもぐって激励したこともございます。あなたも行かれた。あの石炭産業の非常な不況に、労使一体となって生産増強につとめる。また、政府自身も、石炭防衛改革で、非常に配慮しながらその斜陽産業の苦境を救うという、政府と経営者、労働者が一体となって西独の石炭危機を救ったという実例の中にぶつかっていったわけです。あなたも直接なまに体険しておられる。私は、この政府の行政面、政策面の根本的なお手伝いと、労使協調方式による生産増強、これによって祖国の経済危機を救うというこの方式は、私は非常にいい方式だと思っているのです。その基本的な考え方において、私のいま提唱していることに、西独をあえて他山の石として学ぶという意味でなくて、共鳴しておられるかどうか。
○石田国務大臣 私も、日本と同じような石炭危機の中にあって、西独の石炭経営の労使のあり方、私は、三度参りましたが、見てまいりましたところは、お感じになったと同様のことを非常に痛感いたしました。特にああいう条件下において、常に、若年労働者が参加をし、しかもその若年労働者の要請に留意をし、その若年労働者が参加し得られるような条件の整備に、経営者も政府も一緒になってやっている形に非常に共鳴いたしました。これは日本にその形をぜひひとつ持ってきて、日本の石油産業もそういう形で立ち直るようにしなければならないという考え方を私たちは痛感し、今日でも持っております。ただ、わが国においては、なかなか思い切った処置というものがとられない。やはり諸般の情勢をからみ合わせた、妥協点というものが、いつでも採用されます。したがって、不十分な要素がいつでも残っておる点は遺憾とは思いますが、方向としては、いまおっしゃったような方向を望ましいものと考えております。
○受田委員 本論に入ります。 法案に直接関係する事項、労働者の災害防止施薬を強力に遂行するための今度の法改正のポイントである労災防止対策部の新設問題、このことに関係をしてひとつ伺いたいのでございますが、この労災防止という問題は、単に一般の会社、工場等の労働者のみに限らず、農業従事者にも同様のことが考えられると思うのです。農村で最近機械化が非常に進んできた。したがって、当然これに伴う災害が派生して、労働者災害補償保険法の改正の問題にも触れてくるわけでございますが、農村の労働従事者に対する災害防止策及び労災補償保険法の改正に、農村従従事者をどのように考えようとしておられるか、御答弁願います。
○石田国務大臣 最近、農村に機械がたくさん導入されるようになりまして、その結果、農業労働の形態が非常に変わると同時に、機械になれないというせいもあり、また機械を使うことによってのある程度やむを得ない影響としまして、農業労働における災害が出てまいりましたことは、御指摘のとおりでございます。これをどうして防止するか。これはやはり農林行政の中で、機械の使用、管理、そういうものについての適切な指導をしていただくことが必要であろうかと思います。これは直接私の行政責任の問題ではございませんけれども、それは必要だと思います。 第二の問題、やむを得ず、また不幸にして災害にあった場合、農業者に対する災害補償の方法は現在までございませんので、今度ただいま国会に提出いたしております労働者災害補償保険法の改正案の中で、農業者も任意に加入できるような方途を講じておる次第でございます。
○受田委員 その任意加入という問題に、一つ問題があると思う。農村の労働状況というものは、会社、工場等の形態と違った要素が入っておるわけです。たとえば季節的に非常に繁忙をきわめる、あるいは労働時間が非常に、長時間にわたっておる、こういうような関係は、どういう配慮をされようとしているか。 もう一つ、賃金の基準というものも、農村の労働に従事する人々には、会社、工場等の時間割りの賃金と違った形態が入ってきておるのですが、それらをあわせて御答弁願いたい。
○石田国務大臣 農業労働の実態が、他の製造業あるいは一般事業所等の雇用関係にあるところは非常に違っております。違っておるから、そこでたいへんなむずかしい問題があることは、御承知のとおりであります。これをある程度結論を得てから法律を改正するということになると、非常に時間がかかりますし、問題があとにあとにと残されていきます。そこで、まず道を開いて、そういう具体的な問題は政令をもってきめていきたい、こう考えておる次第でございます。
○受田委員 私自身としては、これを労災補償保険のほうに入れないで、別途農村の労働災害の補償の保険法をつくる道もあると思っておったのです。けれども、いま任意加入の方式で、その具体的な内容については政令委任をしたいという御所論のようでございますが、一般労災補償保険のほうに農村の労働従事者を入れるということには、技術的にむずかしい点がひそんでいる。その間の調節に十分自信を持っておいでになりますかどうか。もう一つは、任意加入の方式をいまとっておられるけれども、やがて強制加入に移行しようとしておられるのかどうか。それもあわせて……。
○石田国務大臣 御説のとおり、正直に申しますと、ほんとうは農業者は別にやっていただきたいのであります。私どものほうで一般的に扱っているいわゆる雇用労働者とは、御指摘のとおり、あまりにも業態が違います。したがって、これは農林行政の中でやっていただきたいのであります。しかし、そういうことを待っておりますと、その間ではずれていく人が非常に多いのであります。世間に農業労働の中で災害が出ておることは事実であります。それを私のほうの所管の対象でないから知らぬということは、これはどうもいけないと思いまして、私どもの行政の中で受け入られる道を講じたのであります。したがって、技術的に非常にむずかしい問題があることは十分承知いたしておりますが、これは何とか乗り切って実効ある措置をとってまいりたい。 それから、将来強制加入の道を考えるか。強制加入までいかなければならないということになりますならば、これは農林省でやっていただくべき性質のものだと思っておるのでありまして、実績を見ました上で、このままいくか、農林省でやってもらうかということは決定したいと思っております。
○受田委員 大臣、それは非常にいい方法だと思うのです。当面、農業従事者の機械化促進に伴う災害防止という意味から、これを労災の補償保険のほうへ入れておく。そうして十分実情を検討して、その実情に即するような方途を次々に、かつ、早急にとっていこうという御所存と伺いますが、その方式をもってひとつ特殊事情にある農村の労働従事者に最もマッチした方策を引き続き真剣に御研究を願っておきたい。 さらに、本改正案の中に関連する問題でございますが、職業安定事務所の廃止規定が出ておる。これは広域職業紹介に関する業務体制の整備に伴う当然の措置という御理由のようでございます。職業紹介、職業安定に関する問題として私が非常に懸念をしているのは、身体障害者、まことにお気の毒な、外的、内的条件から身体の不自由をかもしている方々に対する雇用安定という問題、このことについて、身体傷害者雇用促進法なるものが、昭和三十五年以来できておる。この法律は一歩前進した法律ではございますが、しかし、これは最終的な措置を規定した法律じゃない。西欧の民主主義先進諸国家のとっているように、優先雇用の条件を付する法律に切りかえる御用意はないか。ひとつ承りたい。
○石田国務大臣 私はいまから十数年前にアメリカに参りました際に、郵便局でめくらの人が働いておるのに出会ったのであります。そのとき、いかなる理由に基づいて、どういう制度で、そういうことが行なわれているかということを調べました。それがいまお話しの身体障害者に対する優先雇用法で、ある職種については一定の率を設けて雇用させておる。これをひとつわが国においてもできるだけすみやかに行ないたいものだと考えまして、昭和三十三年に私が最初に労働省に参りましたとき立法いたしましたのが、いま申しました雇用促進法でございますが、一足飛びに一定比率を設けるということは、その当時の事情としては非常に困難でございまして、御指摘のように中途はんぱなものであります。しかし、これはできるだけすみやかな時期に一定比率を設けた優先雇用制度を設けるべきものだ、その方向へ向かって努力いたしたいと考えておる次第でございます。また、それに至ります過程といたしまして、労働省では、身体不自由者を高率使用しておる事業体に対しましては、表彰の措置を講じておることはもちろんでございますが、融資その他のあっせんについても現実的に努力をいたしまして、不自由者を優先雇用している経営者の利益をもはかって、あわせて行政的に実績をあげるように、経過的な措置をとっております。しかし、最終目的は、やはりできるだけ早くいまのお話のようなところに持っていくべきものだと考えております。
○受田委員 労働大臣、あなたのような労働行政にたけているだけでなく、党内における政治感覚においてはまさに当代一級の人物が労働大臣をしておられる間に、こういう人道的な問題の処理をしていただきたいのです。雇用促進法ができてもう五年になっているわけです。国力も十分充実しておりますし、前総理以来、わが国は大国並みの発言がしばしば国会の議場で論ぜられておる。そういうときに依然として優先雇用の身体障害者処遇策が講ぜられないのだということは、これは文明国家、大国扱いにおいてははなはだ残念な事態だと思います。大臣、あなたのいまの御構想は、やや私には不満があります。それはいつ下をつけようとしておるのかということに対しての見通しが立っていない。早急に、直ちに着手するくらいの決意を持っておるのかどうか。
○石田国務大臣 、雇用番機会というのがございまして、それから私どものほうの諸般の機構等で、これを早急に実現すべく検討をすでに命じてございます。むずかしい問題があるようには見えますが、しかし、現在のわが国の雇用の情勢その他から見ると、いまから七、八年曲に促進法を出したときと、御指摘のように事情は非常に違っておりまして、可能な条件が整っておると思いますので、できるだけすみやかにやりたいと思っております。
○受田委員 あなたの手でこれを処理していただきたい。次の労働大臣にバトンタッチする前にやっておいていただきたいと思うのです。要望をしておきます。 同時に、労働省は、雇用促進法制定以来、長期計画に基づく身体障害者の就職あっせんの労をとっておられる。昨年伺ったときにある程度その目標に近い御答弁があったわけですが、現時点においてはどの程度やっておるか、数字をもってお答え願いたい。
○有馬政府委員 民間と官公庁に分けまして雇用率の設定がなされておりますが、官公庁の場合にはおおむね下五%、それから民間の場合は一・一%というのが、雇用率の目標でございます。民間につきましては、昨年の十月現在の時点でこの一・一%の雇用率はおおむね達成できたというふうに判断をいたしておりますが、官公庁の場合は、この三月末で報告資料を集計いたしますので、はっきりした数字がまだ現在時点ではつかめておりませんけれども、昨年の十月現在で一・四%という状態になっておりますので、一・五%の目標率に近い雇用率が出ておるんではないか、かように推定をいたしております。
○受田委員 いま、現時点の数字を示していただいたのですが、官公庁、これはもう政府の責任ですからね。行政機関を預かっている政府が、目標に達成し得ないような措置をされることそのことが、私はおかしいと思うのです。身体障害者で十分間に合う職種があるのですから、その職種に希望を持って就職させてあげるような措置を——民間にやれやれ言うておいて、官公庁のほうであと回しになるような、こういうぶざまな状態を、大臣いかに判断されておるのか、御答弁願いたい。
○石田国務大臣 むろん、まず隗より始めよでありまして、政府機関からやらなければならぬことは言うまでもありません。いまの局長の報告も、政府機関は達成していないということではなくて、集計が終わっていない。まあ、直接監督権と申しますか、権限があって労働省がやるわけではございませんので、なかなか思うにまかせない点もございますが、これは政府関係機関が先に目標に達して、それから民間が達するというのがあたりまえだ、そういう点については、私も遺憾だと思います。なお、鋭意努力をいたしまして、そういう御非難を受けないようにやりたいと思っております。
○受田委員 これは大臣、残念なことですよ。民間にやれやれといって先に目標を達成させて、政府が手おくれするような、こういうぶざまな状態は、政府がいかに愛情の政治に乏しいかを物語るものだと思うのです。あなた御自身が閣議で叱咤激励して、各閣僚に大いに責任を持ってやらせるようにすれば、これはもうとっくに解決をしている問題ですよ。私は、官庁事務を扱っておる職員の中に身体降任者がおられるときは、そっと敬意を表して通るような気持ちを持っている、御苦労さんと。その不自由なからだをおかして自分に適職を与えていただいたその喜びを感じながら、一生懸命に国家の公務に従っているこの崇高な奉仕精神を、できるだけ多数の身体障害者に与えるような愛情の政治を実践してもらいたい。隗より始めよというような上すべりな御議論でなくして、大臣、あなた御自身ひとつ閣僚を涙をもって説得してもらって、目標をはるかに越える実績をあげるように、即時実行に移す御決意をこの席上で伺いたいのです。
○石田国務大臣 機会あるたびごとにそういう種類の発言もいたしておるつもりであります。また、政府関係機関に対して、具体的に行政的な要請もいたしております。しかし、それぞれ一番やさしくできそうに見えて一番むずかしい理屈をこねるのが、政府機関でございます。むずかしいことではございますが、それを克服いたしまして、御意見のとおりにいたしたいと思っております。
○受田委員 職安局長でけっこうです。あなたのほうで御調査された民間の身体障害者雇用状況、その中で、大企業と中小企業に分けた分類を御答弁願いたい。
○有馬政府委員 いわゆる中小企業という三百人の線で分けた資料はございませんが、この身体障害者の雇用促進法のたてまえからいいまして、一%が雇用率の最低の単位になっておりますので、大体百人規模以上の企業というとらえ方を一応いたしております。民間の場合が、いまちょっと数字を手元に持っておりませんが、約六万五千人ほど就業しておるというふうに判断をいたしております。それから、官公庁の場合が三万七千人くらいじゃなかったかと思います。そういう状態になっております。
○受田委員 いまの民間の六万五千というその中身、その比率について、大企業と中小企業の分類というのは、私はやはり重要な参考資料になると思うのです。三百人以上というところも、一%という大体平均した、たとえば一万人従業員のおる大企業であれば百人は身体障害者、こういうふうな形になっておるのか。大企業のほうは比率が低くて中小企業のほうの比率が高いという現象になっておるのか。現時点の傾向を伺いたいのです。それはおわかりだと思います。
○有馬政府委員 大企業と中小企業と厳格に分けて、いまの雇用率の達成の傾向は、私いま資料を持っておりませんのではっきりお答えできかねますけれども、どっちかといえば、やはり小さい規模の企業のほうが、身体障害者の雇用については理解もあり、事業主の熱意もあるということが、一般的に言えると思います。ただ、数字の上でそれがどう違ってあらわれておるかというはっきりしたデータを持っておりませんが、現在われわれの手元にあります百人規模で切っております資料に基づきまして、三百人の線で引きました雇用率の仕訳をやりまして、後刻その点は数字的に先生の手元にお届けをいたしたいと思います。
○受田委員 大臣、やっぱり局長は、大企業が冷たくて中小企業はあたたかいという答えを出しておられます。これは問題が小さくありません。大企業の諸君にも、身体障害者に門戸を開放するという大きな雅量を持っていただくように、経営者の会合等でも大臣みずからがこれに対して要請をされる。もう雇用促進法は、優先雇用法をつくるまでもなく、優先雇用法と同じ実績を持っているのだという方向で労働行政をお進めになる必要があると思うのですね。大臣、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 私毎度身体障害者を優先雇用している方を表彰しますときに、いま局長が言うたとおり、被表彰者は小規模事業者が多いのであります。それで、大企業経営者等の会合に出ましても、私は心がけてそういうことを要請いたしております。もう一つは、規模別もありますが、もう一つには業種、業態にもよります。もう一つ最大のことは、その経営者自体に理解と熱意があるということにかかっておるのでありまして、現に明後日ある事業所へ私が参ることとなっておりますが、それは四十一人の総従業員に対して二十八人、これは精神薄弱者を採用しておる事業場がございます。そういうように非常に熱意がある。しかし、熱意のあるところはかなり小さい。大きいところにまでそれを押し広めていきますのには、やはり法律的な裏づけが必要じゃなかろうか、そういう意味で、この法律的な前進を急いでやらなければならぬと考えておる次第であります。
○受田委員 これは経営者の心がまえということもさることでありますけれども、政府みずからが、願わくばこの目標をはるかに越える身体障害者雇用政策をおとりになって、官公庁職員に身体障害者が人生の希望を持つ、窓口を見つけるようにしてやる、こういうことが、私は非常に大事なことだと思います。労働行政から見ると、小さい問題のように見えても、実はこの問題は、人間尊重を掲げられておる佐藤内閣の石田労相としては非常に大きな問題であるという意味で、ひとつ特段の御努力を願いたい。 さらに、これに関連して、中高年齢槽の雇用促進、この実態をここで明らかに伺っておきたいと思います。
○石田国務大臣 具体策については安定局長から申し上げますが、これも現在の若年労働、技能労働の不足は著しいものがございますが、求職者の年齢が高くなるに従って非常にむずかしくなります。現に五十歳以上の求職者は、現在でも求人のなお七倍——漸次毎年幾らかずつ改善はされておりますが、七倍強になっております。これはある意味においては、わが国の労働需給事情というものが、西欧に見られるような不足の状態ではなくして、過剰の中の不足という非常に変態的な状態にあるわけであります。この改善は、労働行政の大きな目標であると存じております。昭和三十五年に私が労働省に参りましたときに、政府関係機関を集めまして、若年労働でなくてもいい職種については、中庸年労働者を使用するようにということを強く要望いたしました。しかしながら、たいへん残念でしたが、これは聞き流しにされてまいりました。昨年は職種をきめまして、その職種については、ひとつ中高年齢者を採用するようにということを強く要望いたしました。その結果、すでに昨年度の年度採用は終わったのでありますので、新年度の採用からは、政府関係機関はその方針に基づいて行なうという確約をとっております。それと同時に、民間にもこれを及ぼしますために、日経連に対して協力を要請いたしました。すでに日経連では、各業種を指定して、各経営者とも協議を進めておるところでございます。ただ、これは非常に残念なことでございますが、私ははっきりつかんでいないのでありますが、ただいま道路公団の労使関係で争議がございます。私どものほうで指定しておる職種、それから世間一般だれが考えてもおかしいと思う職種は、あの道路公団の入り口の自動車の代金を取る仕事であります。これを若年労働にさせるということは、これはあれこそ定年退職者で十分間に合う仕事であります。それからあれに熟練をしてみたところで、若い者は将来何もならない。そういう意味では、あれは代表的な、世間に兄立つところでもありますので、ぜひひとつ高年者にかえろということを要望し、それも承知しておりますが、今度の労使紛争の中において、それをするなという要求が組合から出ておるということを聞いておりまして、これはさっそく調査をしたいと思っておるのであります。こういう点も、やはり労使双方の協力と理解を得て前進をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
○受田委員 公団の従業員の労働問題も、大臣の御所管になりますね。
○石田国務大臣 労働問題一般がそうであります。
○受田委員 それでは、定年の問題も、また一般の公務員まで含めて大臣の御所管になりますね。——そうしますと、定年制というものについては、大臣は一体どのような御判断を持っておられるのか。いま定年というおことばが出たのでありますが、その水準をどこに大臣は置いておられるか。
○石田国務大臣 労働問題あるいは労働行政という面から見ますと、私が所管でございますが、公務員はそれを直接管理、監督するのは別の所管でございますから、そこを明らかにしておきたいと思います。定年制ということは、私は、一方企業の上から見た労働の質と能力という面からの判断と、それからその働いておる人々の将来にわたっての老後の生活の安定ということと、両方の関連から考えらるべき問題だと思うのであります。いままで慣習的に大体五十五歳というような定年制をしいておるところが非常に多いのでございますが、これは人生五十年、平均寿命五十年の時代の五十五歳でございます。ところが、戦後非常に改善されまして、平均寿命が七十歳近くになりまして、したがって五十五歳の時点における能力も、むろん昔と違ってきたのであります。したがって、企業の側から見た能力判断という上から見ても、五十五歳定年ということは、これは検討を要する時期にきておると思うのであります。もう一つは、勤労者の老後の生活の安定保障という見地から見ますと、社会保障制度、つまり養老保障制度の出発時期と合わせていかなければならぬと思います。つまりもし社会保障制度、養老年金、国民年金その他のものが出発する時期が六十歳であるならば、定年もやはり六十歳につながらなければならない。先進諸国においてはそれがつながっておるのでありますが、わが国ではそれがつながっていないところに問題があると思うのであります。この両点から検討し、行政指導を行なうべきものと考えております。
○受田委員 私も、大臣とその点は同感なんです。国民年金を支給する最初の年齢のところまでは、国家社会のために働くという筋合いだと思うのです。一応西欧諸国の例を見ましても、六十歳までというのは働く年齢になっておる。その意味では、定年五十五は若過ぎる。六十歳という目標これは一つの事例をあげたにすぎませんが、大臣としても定年制をしくとすれば、一体どの年齢を基準にされておるか。少なくとも労働行政の柱となるあなたが、この見解を待ち得ないとは言えません。どうですか。
○石田国務大臣 これはその人の働いておりまする職種にも、非常に影響すると思います。だから、一がいにどうこう年齢を言うべきではないと思いますが、先ほどから申し上げましたとおり、五十五歳という年齢は、平均寿命が五十歳であったときの年齢、その体力からきた年齢であると思いますから、現在のように国民の体力、体位が非常に向上し、平均寿命が非常に延びておるときに、その年齢は低きに失すると私も考えております。もう一つ、社会保証制度の出発の時期と合わせるという意味から言えば、いまたいがい社会保障の出発は六十歳でありますから、それと合わせるという意味で、六十歳という年齢が一つの基準になろうかと思います。それから西欧各国においてはどうか。西欧各国においては、大体六十五歳程度のところをとっておる国が多いようであります。そういう意味から言いますと、もう少し高くてもいいのじゃないかという議論も当然出てくるだろうと存じます。まあ職種によって非常に違いますので、幾らが適当だと私が総括的に申すのは、これはどうも自信もありませんが、ただいままで申しましたような考え方で対処いたしていきたいと思っております。
○受田委員 いま地方公務員の定年制なども議論されておる。これは閣議で最終的に決定を見る筋合いのものですけれども、定年制というものを一般公務員並びに一般労働者という立場で、それぞれ政府は真剣に取っ組んでいるのか、あるいは研究段階で、結論がいますぐ出そうな問題ではないのか、いずれかをお答えを願いたいと思います。
○石田国務大臣 地方公務員の定年制というのは、いま申しましたような立場から検討されているというよりは、むしろ地方行政上の行政能力あるいは地方財政上の問題というようなところから検討されているように承っております。 ただ、私どもは別の立場からこの問題を取り扱わなければならぬ立場にございますので、そういう点から、われわれとしては別の立場における検討を、それが大きな課題となった場合には、しなければならぬと思っておるのでありますが、いま閣議等において議題になっておるという事実はございません。
○受田委員 中高年齢層の雇用について、五十五歳で定年になった人を、さらに高年齢層といり立場で雇用する方策ですね。
○石田国務大臣 これは定年になった人をどうこうするとか何とかいうことじゃなくして、一般的な労働力の需給状態が、若年労働者にばかり集中して、年齢が高くなるに従って需給状態が違ってくる。そうして若年労働の不足という状態だけが大きく取り上げられておって、中高年齢層に労働力がたくさんあるという状態がなおざりにされておる。これが労働経済全体から見ても、また労働者保護という立場から見ても、問題がございますので、そういう観点から処理をしていくということであります。中高年齢層の雇用の促進をはかっていくその方法として、定年の延長ということも、むろんその中に入ってくると存じております。
○受田委員 この高年齢層の雇用の極点は、どこへ置いておられるのですか。
○石田国務大臣 一般的に労働可能年齢は、六十歳というのが、日本で統計上も処刑上もそういうところで取り扱われておりますが、しかし、業態に応じてもっと高い年齢層の人たちでも、能力があれば、われわれの対象になり得ると考えております。
○受田委員 これに伴う問題として、失業対策があります。今度は、定員増の中身を伺いますと、失業保険業務などに従事する職員もふやすことになっています。この失業保険制度というものには、なかなか味があるのでございますが、しかし、これを支給するときには、次の雇用を終始前提として、なるべく真に失業者を救済するという方針をとっておられるようです。ところが、その取り扱い方に、失業期間中にはなはだ不愉快な印象を受ける失業者があるわけです。失業保険を渡すのに、実に厳重な扱い方を受ける。この扱い方に対しての大臣からの指示というようなものは、一体どうされておるのですか。非常に不愉快な感じをわれわれに訴えてくる失業者がたくさんあるのですが、扱い方についての御所見を伺いたい。
○石田国務大臣 いま、失業保険という制度の中で、大きくいうと問題が三つございます。一つは、いわゆる季節労働者の受納が近年非常にふえておるという問題であります。それから第二番目は、結婚退職者の受給請求がふえておるという問題、これをどうするか。それから第三番目は、五人未満の事業所に対する強制適用、これは早くしなければならぬということであります。 そこで、一般的に申しまして、労働力の需給状態が供給過剰におちいっているときには、失業保険会計というのは悪くなります。これは常識であります。現に、近年わが国において失業保険制度が実施されましてからの間、昭和二十八年に二度十億円ほど赤字が出ました。それ以外は大体赤字はなく、昨年に至りまして、急速に悪化をいたしました。私が昨年七月就任をいたしましたときの情勢では、放置すれば五十億円ぐらいの赤字が出そうな状態にございました。そこで、いままではずっと供給過剰の状態が続いてまいりましたから、失業保険というのは機械的に支払われてまいりましたけれども、失業者諸君の生活の安定をはかるという一番いい方法は、適職を早くさがすということであります。それからもう一つは、保険というものは、偶発的な事故に備えるものでありまして、あらかじめ、予定された事故に備えるべき性質のものではありません。したがって、毎年毎年繰り返されるものは、これは失業保険の対象となるべき性質のものではないのでございます。しかし、そういう季節労働の諸君が、現在それによって生活をささえておるということは事実でございます。急速な変化は与えられません。そこで、一面においては、建設事業その他において通年雇用を行なわしめる方向に向かって行政指導をする。これは現に建設省に対しましても、各都道府県、その他の発注者に対しましても、特に北陸、東北、北海道等の積雪地は、冬は工事ができないという常識になっています。しかし、カナダとかスウェーデンその他の国においては、冬でもちゃんと工事をやっておるのでありますから、通年作業ができ、通年雇用が行なわれるように、技術的に、あるいは発注する側において考慮を払うように強く要望し、すでに具体的検討を開始いたしております。そういうことと並行しつつ、できるだけ早く適職をさがしてあげることに重点を置くように、職業安定局長の通達を行なっておることは事実であります。 それから結婚退職者の問題でございますが、これは元来労働の意志と能力のある者で職業がない者に保険金を払うのでありますから、現に結婚をしたからといって退職をしなければならぬという性質のものではないのでありますからそういう意味においては、厳格に申しますと、保険の対象にはならない。ただ、その場合に、失業保険は強制適用でございますから、大体女の人は結婚して退職する人が多いという状態にかかわらず、強制適用をさしておるのでありますから、その場合においてかけ捨てにならぬような方法がないものか、こういう検討もいまいたしております。ただ、短期の保険というものは、かけ捨てになることが相当あるのが当然であって、それを含んで保険料率等がきめてあるんだという議論もございますので、その間の調整はむずかしいのでございますが、そういうことをいたしておることは事実でございます。 それから五人未満の事業所の強制適用も、できるだけ早くやりたいと思っておりますが、これは非常に多くの事務量を要して、赤字を覚悟しなければなりません。前二段の処理と並行しなければならぬ問題であります。これは考慮中であります。 一般的に申しまして、失業者の諸君の生活の安定は、適職をさがすことが本旨であるから、適職をできるだけさがしてあげて、機械的に保険を払うことをもってよしとすることのないような通達をいたしております。しかし、それはそれぞれその人の事情を十分勘案して行なうべきであって、無理じいのようなことのないように、また御指摘の不愉快な事態のないようには十分留意しておりますが、もし具体的な事例がございましたら、でき得る限りそういうことのないようにいたしてまいりたいと思っております。
○受田委員 いま御答弁の中で、被保険者の対象を広げる案も出てきました。取り扱いについては十分御留意願いたいことを要望しておきますが、これは被保険者五人以上の事業主と、さらに任意包括被保険者という制度もあるわけであります。いまは五人未満についてお話しになりましたが、こういう制度そのものに対する改正の構想というものは、具体的に用意されているんですか。
○石田国務大臣 その検討は、五人未満の事業所を強制適用にしたいという方向で検討いたしております。 それから前二段の改善の方法を研究さしておりますが、具体的にいい結論がまだ出ておりません。しかし、行政指導をもって改善の努力をでき得る限りいたしまして、法改正はなるべく避けたい。特に、生活の根底に激変を与えることは避けたい、こう考えておる次第でございます。
○受田委員 労働行政は、やはり最終的には人間尊重だということになると思うのです。したがって、行政の各部門に個人の人格が十分尊重されるように、そしてその天分が自由に伸ばされるように、終始総合配慮が必要だと思います。働く人に希望ある日々を与えるために、労働者への一つの憲章というようなものもここに生まれてくる必要があるのじゃないか。別に道義的、道徳項目で縛るという意味じゃなくして、働く人の希望ある目標というものを、そういう労働憲章のような形のもので、児童には児童憲章があるように、労働者には労働の憲章がある、こうした何かの人間的なあたたかみを持った目標を与えていく必要がないか、これをもう一つ、最後の質問といたします。
○石田国務大臣 これは、特にこれから大きな課題となると思っております。というのは、これから教育がだんだん普及いたしてまいります。そして上級学校へ入る人が多くなってまいります。しかしながら、社会が要求する労働の量、質というものとの間でギャップが生じてまいります。いままでの一般的な労働というものに対する社会的な評価のしかた、認識のしかたでは処理されなくなる時期が近づきつつあるのであります。物をつくり、そしてそれを社会の用に供するという仕事が、何ものよりもとうといんだという社会評価をし、その仕事に対する誇りを持たせていく、その誇りにふさわしい保障を与えていくということが、労働行政の一つの大きな基幹だ、それが必要な時期に現在全く到達しておるのだ、こう考えておる次第であります。
○受田委員 それに関連してもう一つですが、学ぶ意欲を持って産学一体の実践をしている勤労者が、たくさんあるわけです。定時制高校へ学び、通信教育を受ける。そうした場合に、たとえば通信教育の場合に、スクーリングに何日か、十日か二十日か一カ月かという期間を便宜をはかってもらいたいと事業主に申し出た場合に、事業主は多くはこれに好意を持っていない。後期高等普通教育などは、できるならば働きながら獲得したいという意欲を持たせるのが、やっぱりこれは国の政治の担当者の責任だと思います。したがって、大学あるいは高校に働きながら学ばんとするものの意欲を育てるように、経営者に対しても、事業主に対しても、十分協力を求めて、スクーリングに行くことには進んで協力させよう、定時制高校などへは進んで行かせよう、こういうふうな奨励をして、そしてそういうふうに優秀な実績をあげた事業主は、別のほうから産学一体の功労者として表彰するというような、こういう道を開くことで、日本の勤労者の資質の向上と知的水準の高揚という成果があげられると思うのです。つまり高い知性と技術を持った高度の勤労者養成という施策は、やはり労働大臣として十分閣内において主張して御協力してほしいと思いますが、私のいま提案している問題についての御答弁を願います。
○石田国務大臣 これは法律的にどうこうということは別問題といたしまして、御指摘のような事案については、そういう効果があがるように努力をいたしておるつもりでもありますし、これからもしていきたいと思うのであります。いま働きながら勉強している人が、スクーリングに行ったり、時間に間に合うように早く退社したりするということを、必ずしも全部の経営者がいやがっているとは思いませんけれども、いやがっている事態があるとしますと、これは二つあると思うのであります。一つは、それによって労働時間が短くなり、あるいはそれが他の同僚の労働時間等に対する影響があるということも、一つであります。もう一つは、そういう水準が上がってくるとその労働から離れたがるということが、非常に労務管理上の問題になる。これは先ほどから申し上げましたように、物をつくるということは実は非常にとうといのだという誇りを持たせることが、並行していく必要があるのだ。工場で働いているほうが何か社会的に低くて、事務所にいるほうが高いのだというような考え方や社会的評価をくつがえしていくことが必要だ。これをあわせて並行して努力してまいりたいと思っております。
○受田委員 質問を終わります。
○河本委員長 次会は、明二十六日、金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十六分散会