地方行政委員会 第28号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/04/09
会議録
○中馬委員長 これより会議を開きます。 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。門司亮君。
○門司委員 最初に聞いておきたいと思いますことは、法律の内容と実態についてですが、銃砲刀剣等を現在持つことが許されるのはどの範囲ですか、いわゆる許されておる範囲の階層は。
○大津政府委員 現在銃砲刀剣類の所持が許されておりますものは、第三条の所持の禁止の条項で、次の各号の一に該当する場合を除いては所持してはならないということで、所持を許されておりますのが第三条の各号に列記されております。 その第一は「法令に基き職務のため所持する場合」、これは警察官、皇宮護衛官、自衛官、海上保安官、監獄官吏、麻薬取締官あるいは税関職員、鉄道公安職員、入国警備官、こういう法律上によって職務のため所持を認められる場合、これが一つでございます。 その次には「国又は地方公共団体の職員が試験若しくは研究のため、又は公衆の観覧に供するため所持する場合」、これはここに書いてあるとおりでございまして、博物館等に観覧のために出す場合、あるいは試験、研究のために所持する場合。 それから第三は、第四条あるいは第六条の規定による許可を受けたものを持つ場合ということで、これは許可を受けた者はよろしい。 その次は、銃砲の保管の委託——第十条の二と申しますと、競技会用の拳銃を持ち込んでまいりました場合に、そういうものを警察署長あるいは体育協会等に保管を委託するというような場合に、その保管のためにこれを所持する場合、こういうものは許される。 それから、第十四条の規定によって文化財としての登録をいたしました銃砲刀剣類を所持する場合、これも許されるわけでございます。 それから第五は、武器等製造法によるところの武器製造事業者、あるいは猟銃等製造事業者、こういう者が業務のためにこれを所持する場合。 それから第六が、武器等製造法の猟銃等販売事業者が製造事業者、あるいは販売事業者、あるいは許可を受けて持っている者から譲り受け、あるいは輸入したものを業務のために所持する場合、こういう場合が許される。 それから、文化財保護委員会の承認を受けて刀剣類の製作をする者が製作したものをその目的に従って所持している場合、こういう場合もよろしい。 それから公安委員会に届け出まして捕鯨用標識銃等製造事業者等が製造したものを業務のために所持する場合。 それから捕鯨用標識銃等販売事業者が製造事業者や販売事業者、あるいは許可を受けて持っている者から譲り受けたりあるいは輸入したものを業務のために所持する場合。 それから公安委員会に届け出をしまして輸出のための刀剣の製作をする者が、その製作にかかわるものを業務のため所持する場合、こういうものが現在この法律によりまして所持を認められているということでございます。
○門司委員 大体いまの説明は、法律に書いてあるところです。私が疑問を持っているのは、刀剣を商売にしておるような商店がございます。これらのウインドーに飾られているものがたくさんある。あれは一体商店が所持をすることを許されて飾っておるのかどうかということです。これはどういうことになっておりますか。それもひとつ聞いておきたいと思うのです。
○大津政府委員 これは登録された刀剣でございますので、所持することが許されてございます。
○門司委員 新しい刀は製造することができないという議論が私はそこから生まれると思う。新しい刀でも、もっとこしらえてウインドーに飾って、あるいは売ろうとすれば、これは登録を受けることができるのですか、製造は自由なんですか。
○大津政府委員 第三条の七号で申しましたように、文化財保護委員会の承認を受けまして美術刀剣類の製作をする者というのがございまして、製作を承認を受けていたした者はそれを所持することができる、こういうことで、美術刀剣類を製作することは許されておるわけでございます。
○門司委員 そこに疑問があるのです。最近の暴力団の使ったものなどを見てみると、大体つばのない、写真だけを見れば白さやのようなものが多く出ているのですね。あれらの刀剣はおそらく登録されたものでも何でもないと思う。いまのところに問題がありはしませんかな。文化財をこれからこしらえるといったって、これはあるいは有名な刀匠の方がいるかもしれない。その人のものを文化財として保存しておきたいということになるかもしれない。しかし最近は、一般人はほとんど使用が禁じられている、あるいは所持することも制限を受けているという時代に、文化財を製作させるということについては——私は文化財自身についても実は疑問があるのですが、文化財というのは製作していいものか悪いものか。すでにできているものを文化財として指定するということはわかるけれども、これから文化財をこしらえさせるというその辺のことがよくわからないのです。ですから私は先ほど回りくどい質問をして、所持のできる階層はどれかということを聞いたのです。それだけでは、新しい刀剣ができて横に流れるということをこの法律で直ちに取り締まりできないと思うのですが、いま予測されておる数で、新しい刀剣をこしらえておるかじ屋さんというのはどのくらいあります。新しい刀剣類がどのくらい日本にできていますか。
○大津政府委員 文化財保護委員会の承認を受けております美術刀剣の製作者の数はいま手元にございませんが、年間三百本くらい製作が承認をされておるということでございます。
○門司委員 時間もございませんからこの議論はあまりしておられませんが、とにかく三百本だけは日本に新しい刀ができておるということです。そうして今度はそれの所持者です。三百人もそれを所持することを許されるような人ができておりますか。これをただ美術館やどこかに飾るというなら、そんなに毎年三百本ずつもこしらえる必要はないと思うのだが、この辺はどうですか。その辺に疑問があるのです。持たせないなら持たせないということで、こしらえるのにもきちっと制限をして——だから先ほどからその刀がどこに行っておるか、どの階層がこの刀を所持できるかと聞いたのでありますが、三百本も一年にできているということなら、十年たてば三千本になります。これが外に出ないとも限らない。同時に、そんな文化財が三千本も要るということは考えられない。その辺はあまり突き詰めて聞いても何だろうと思うが、私はその辺に疑問があると思う。 なお、そのことについて申し上げれば、この法律の内容に、火なわ銃のところに「古式」という文字を新しく入れている。これとの関連なんです。私は火なわ銃なら火なわ銃でよかったと思う。古い火なわ銃ということになると、新しい火なわ銃はいいのか。法の取り締まりの中に一方にはこういうふうに書いて——古美術ならいいですよ。古い美術品として、あるいは芸術品としての刀剣はなくするわけにはいきません。これは保存しておかなければならぬから当然でありますが、片方では新しくそういうように三百本もできておる。ところがこの法律を見てみると、「火なわ式銃砲」を「火なわ式銃砲等の古式銃砲」と書いて、特に「古式」を入れている。これとの関連はあまりいまの説明だけではぴったりこないと思う。ここで「古式」をこういうふうにうたい出さなければならない理由は、私には実際はわからない。大体火なわ銃は古いですよ。新しい火なわ銃というのはあまりありはしない。ここに「古式」という文字を入れなければならなかった理由はどこにありますか。
○大津政府委員 火なわ式銃砲のほかに現在美術品として相当価値のあるもの、骨とう品として価値のあるもので、管打ち式とか火打ち石式とかいうようなたぐいの古い銃砲があるわけでございまして、こういうものはやはり文化財として登録して活用していくということが必要でありますけれども、現在の法律のたてまえから申しますと、火なわ式銃砲と限定しておりますために登録することができない、したがって、これを個人が持っておりますと不法所持になるということでございまして、これはむしろ法律で登録を認めまして、これを個人としても持つことができるようにしていく、こういう趣旨に改正をいたしたのでございます。 また、こういう火なわ式銃砲の新しいようなものをつくれるかどうかというようなお話がございましたが、美術品あるいは骨とう品として価値のあるものを登録するわけでございまして、現在新しく火なわ式銃砲がつくられておるというようなことはないわけでございます。
○門司委員 どうもその辺の感覚というか何というか、私には一向わからぬのだ。この法律で取り締まる範囲というのは、大体凶器に利用される危険性を持つものを取り締まる法律だと思う。美術品云々というのとは全然別個のものだと思うのです。したがって、問題になりますのは、こういうものも凶器のうちだというようにお考えになっているかどうかということです。問題は、どうも類似したものがあるから、これは持っておいてもいい、これは届け出をしなければならない、めんどうだからこういうふうに入れておけば全部届け出をするだろう、こういうことですね。しかし、この法律の本質は凶器なんですね。美術品として、あるいは骨とう品としてながめておるものを取り締まる筋の法律では私はないと思う。したがって、いまのお話のようなものが凶器として一体用いられるかどうかということについていささか疑問を持っておる。それで、こういう範囲を広げるのもどうかと思いますし、それから前段に言われたように、そう言いながら片方では一年間に三百本近い新しい刀が公然と打たれておる。そうすると、より以上に広がっていく。これも美術品といえば美術品かもしれません。芸術品といえば芸術品かもしれません。それで生業している人は生業しているかもしれない。しかし問題になるのは、私はウインドーに飾られているものをときどき見るのでありますが、ほんとうに登録されたものであるかどうかということについては、私は実際は多少疑問があると思います。それから製作等について、こしらえてはならないということについて厳重に取り締まる法律が一体ありますか。美術関係から委託を受けてこしらえるものは別にして、それ以外に、かってにこういう刀剣類をこしらえてはならないという法律が何かありますか。
○大津政府委員 文化財保護委員会規則によりまして、先ほど申し上げましたような刀剣類の製作をする者は委員会の承認を受けなければならないということに相なっておるわけでありまして、その承認を受けて製作をいたしましたものは、この銃砲刀剣類の所持取り締まりの法律によりまして持つことが許される。したがって、それ以外に製作をいたしますものは不法所持として取り締まりを受ける。かような関係になるわけでございます。
○門司委員 そのことは当然なんですよ。私が聞いているのはそういうことでなくて、こしらえること、刀剣を製作することが、単にいまのお話のように文化財保護委員会で委託してこしらえるのか、あるいはこしらえたものを届け出ればいいのか。何ぼしかこしらえてはいけないという制限はないのでしょう。これはどうなっているのです。刀剣が横に流れるということ。きのうも猟銃のたまが横に流れるということで、細谷君からいろいろお話がありましたが、問題は、片方でどんどんこしらえて、それがどんどん流れている、そういう実情の中で、幾ら取り締まったからといって、たいして取り締まりの効果は私はあがらないと思う。むしろ取り締まるならば、もとのほうを窮屈にしておいたほうがよろしいのではないかという感じがするのです。その辺はどうなんですか。
○大津政府委員 刀をつくってはいけないということは、要するにこの承認を得る際に、そのつくろうとする刀剣の種別及び製作の員数、こういうものをはっきり承認を受けなければならないのでございまして、その本数以外にこれをつくっていくということが、即不法所持のことになってまいるということで、先生が御指摘の点につきましては、銃刀法の違反として取り締まることができるということでございます。 それから、こういう美術刀剣が、実際には登録証を伴わないで流通するとか、あるいはいろいろなことが現実にあるわけでございまして、御疑問のような点があると思うのでございますが、そういう点につきましては、今回の法改正におきまして登録刀剣は登録証とともにでなければこれを授受してはならないということで、その流通につきましても規制をきびしくしていく。要するに持てるものははっきり持てることを確認をすると同時に、そうなったものについてはその流通の規制をきびしくしていく、こういうようなことを考えているわけであります。
○門司委員 最後にもう一つだけ聞いておきますが、実際の法律の適用は、美術品であればどなたが持っても差しつかえない、こういうことになってきますね。そう解釈しておいてよろしゅうございますね。
○大津政府委員 美術品の登録を受ける人につきましては、別段人的な資格、条件についての制限がございませんので、御質問の趣旨のように解釈してよろしゅうございます。
○門司委員 そうすると、それを持っている人が使用するようなことは私はおそらくめったにないと思うのです。しかし、使用されておる凶器は、かりに登録されておってもおそらく他人が使用すると思います。その場合の登録を受けた人の責任はどこかで取り締まることができますか。
○大津政府委員 今回の法の改正におきまして、登録刀剣の授受につきまして第十七条の改正もいたしております。そういうことで、いままでは登録を受けた銃砲刀剣の譲り渡しあるいは貸し付け、それからその保管を委託するとか、こういうような場合には登録証とともにしなければならないという規定がありまして、これに違反した場合は罰則があるのでございます。今回さらにこれにつけ加えまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、譲り受けるほう、あるいは借り受けるほう、これも登録証とともに受け取らなければならない。また登録証だけを刀剣類と別個に、それだけを譲り渡したり譲り受けてはならないという規定を設けまして、これはいずれにも罰則をつけるというような改正をいたしておるのでございまして、御質問の趣旨に沿うような規定をこの銃刀法の中に織り込んであるわけでございます。
○門司委員 どうも十七条の改正だけでそれが満足にいくとは考えられないので私は聞いているのですが、もう少し保管の責任というものが厳重であれば、ある程度この持ち出し等の規制が考えられるのじゃないか。しかし、保管の責任というものがほとんどないのであって、何も持っていく先に登録証さえ持っていけばだれでもいいということになれば、これはちょっと問題がある。したがって、いま申し上げましたように、刀剣の製作、それから所持、それが横流れをするという関連においては、さらにもう少し詳しく実は聞くことがいいと思うのですが、時間もございませんので、それだけをほじくって聞いていくわけにまいらぬかと思います。 それから、このことについていままでの経験といいますか、あなた方の立場から見た不法所持者の凶器の使用の経路というようなものは、どういう形でそういうならずものがそういう刀を持つようになっておるのか。登録しなければならないように法律はできておるのだが、登録しなくたってたいした罰則がないものだから、結局、長い間日本に蓄積されているものが方々にあることはだれでもわかっておる。未登録のものがかなりあると思う。そういうものが流れておるのじゃないかと思うのです。そういうものについて、何かこれを取り締まるようなことが考えられませんか。単に登録しなければだめだ、だめだというだけでは、こういうものはなかなか出てこないと思うのですよ。だから、何か特別の方法は考えられませんか。これは持っているやつをみんな強制的に警察に持ってこいというわけにいかぬだろうと思います。そうして美術品に該当しないものは警察が没収するということもなかなか困難かと私は思うのだが、ある程度は、そういう強制ができないまでも、持っておることがよくないのだ、持っておれば届け出しなければならないのだということが、もう少し社会通念的に国民にわかるような何か処置はございませんか。
○大津政府委員 銃砲刀剣の犯罪に用いられましたものを見てまいりますと、これは三十八年の統計でございますが、登録にかかわる刀剣類は百六十でございます。それから登録許可も何もなかったというものが二千四百七十八、こういう数字がございまして、やはり登録にかかっておるもののほうが犯罪に使われた数字が少ない、圧倒的に登録をしていないものが多いということが出ておるわけでございます。 それから、こういうものがどうしてそういう犯罪に使われるように持ち出されるのであろうかということでございますが、いままでの暴力団の取り締まり等の経緯を見てまいりますと、やはり銃砲刀剣類を武装化のために入手する。その際に登録刀剣あるいは登録しないものもこれを収集する、そういうものが犯罪に使用されているという形態でございますが、いままで取り締まりをしてまいりまして出てまいりますことは、手入れをしました際に凶器が出てまいります。その際刀剣が出てまいりますと、これは登録がしてあるのだというようなことを言うのでございますが、登録証がついておらない。登録してあっても、登録証がないということ、しかし登録してあるんだということでありますれば、また登録証を再発行してもらえばいいということで、いままでこれに対して登録していないからということについての取り締まりが及ばないという点もございまして、いろいろございますが、そういう点は今回の改正によりまして、疑念がなくこれを取り締まることができるようになるというようなことでございます。 それから登録刀剣を、実際にはこれを借りてきたんだというようなことを言う者もあるわけでございますが、貸すほうにも、貸されるほうにも、先ほど申しましたように登録証とともにするというような義務を課することによりまして、こういう面につきましての取り締まりもきびしくしていくことができるということで、暴力団犯罪につきましてこういう凶器が使用されることについて、この銃刀法の規制をこのようにきびしくすることによって御趣旨に沿っていくことができるのじゃないか、かように考えております。
○門司委員 いまの答弁は私の聞いておるのとちょっと違うのです。数字その他はそれでよろしいと思うのですが、私の聞いておるのは、持っておる人がわからない、無登録のものが日本にはまだたくさんあるのですよ。それを登録させるような、隠して所持しておる者が公に出されるような方法はないかということです。そういうことを取り締まらぬ限りは、片方はさっきお話しのように、美術品として毎年三百振り以上の新しい刀ができておるということは事実です。これが三百か五百かということについては、私は必ずしも刀かじが三百だけしかこしらえておらぬとは限らないと思う。陰に隠れて何本か新しいものが出ておることはわかっておる。そういう不法所持のものを明るみに出させて、その根元を絶やさぬ限りは、取り締まった数字だけが幾らというふうに帳面にあがったからといって、何にもならぬのです。だから不法所持をしておるもの、登録をされていないもの、届け出をされていないもの等を何とかもう少しさがし出してやる方法はないかということです。単に持っておるものを全部取り上げるということは、憲法違反という問題も起こるだろうが、もう少し刀剣の不法所持はいけないんだということが国民にしみ渡って、そして暴力団の手に渡らせぬような方法はないかということです。
○大津政府委員 御質問の趣旨と違ったことをお答え申し上げてまことに申しわけないと思いますが、現在この法律の第二十三条によりまして、銃砲刀剣類を発見、拾得した者は、すみやかに警察署に届け出ろという規定がございます。この規定を活用いたしまして、発見、届け出の奨励をやっておりまして、毎年こういうものにつきまして届け出をしてくる者が相当あるわけでございます。元来、日本の国内には非常に刀剣が多かったわけでございまして、いままで倉庫の中にあって全然気がつかなかった、自分のおじいさんの代にあったとかなんとかいうものが出てきたということで、届け出てまいります刀剣が毎年三万本ないし四万本というように出てきておる状況でございまして、そういう刀剣を美術品につきましては登録をさせる、あるいは必要で、家宝として取っておかなければならぬというようなもので許可をしておるというものもございますが、そういうものを発見した場合におきまして正規にそういう処置をとっていく、そういうようなことで、できるだけ刀剣類につきましても正規のルートに乗るように届け出を励行してもらうということを、毎年の行事のように警察から一般に呼びかけるというようなこともいたしておるわけでございます。現在刀剣類の登録をされております状況は、三十八年末におきまして九十二万九千二百八十八本が登録されておるという状況でございます。
○門司委員 これはえらい数で、日本の世帯数に割ってみるとかなり大きな数ですね。かりに一億の人口で二千五百万くらいの世帯数しかないはずです。そこに九十何万という数字はかなり大きい数字だと思います。しかし、大体届け出られたもののほかに、こういうふうにたくさんの凶器が現実に出てきているんです。届け出さえすればそれでよろしいんだということでなくて、何かほかに方法はないかということ、——これから先時間もございませんから聞きませんが、この辺はもう少し横流れしないような、あるいは隠れてこしらえることのないような方法をとる必要がありはしないかということが考えられる。 もう一つは、さっき言いましたように、商売のじゃまをするわけじゃありませんが、ウインドーに飾られているものが単なる美術品として飾られているのならしかたがありませんが、商品として飾られているんじゃないかと思う。いまお話しのあった三百なら三百を文化財保護委員会で製作を認めているというのは、所持、使用することを認めて製作された刀ではないと思う。これは何らかの形で保存さるべきものであって、個人が所有すべきものではないと思う。ところが、それが平気で売り買いがされるということになると、それはほとんど同じ美術品としての刀剣だという形になれば、何も問題はないが、しかし凶器としての刀剣だということを考えると、これの分布ということは非常に考えなければならぬ。そのかね合いを一体どこに置くかということです。この辺に私は、この法律だけで取り締まれるものでもなければ、実態に必ずしも即したものではないと思う。いまのお話だけ信用いたしましても、私はこの三百くらいじゃないと思うんだが、もっとあると思うんだが、年々新しい刀ができているんです。その刀を上野の美術館に飾るのか、あるいは各都市の博物館にでも持っていって飾るのかというと、そうじゃないと思う。これはやはり個人の所持になると思う。個人の所持になってくれば、それが凶器に使われるということは、これを凶器と解釈することもある程度できないわけではない。したがって、この法律自身が、刀剣を凶器とみなして取り締まるのなら徹底的に取り締まるべきである。そして古美術として、あるいは文化財として保存すべきものなら保存すべきものとして、凶器である限りにおいては個人が所有すべきものではないという解釈をすることのほうが正しいんじゃないかと考えられる。絵だとか字だとか、あるいはそのほかの什器だとかいうようなものは、必ずしも凶器だとは解釈できませんから、どなたがお持ちになっていようとちっともかまわない。これは古美術として分布されておるからといって、悪いものではないと考える。しかし芸術品であるからということでこれが無制限にだれでも持つことができるということになると、凶器との関連性についてはかなり大きな疑問があろうかと考える。そういうことが、どんな取り締まりの法律をこしらえても流れるもとだと思う。しかしこれ以上質問はいたしません。 それから次に聞いておきたいことは、さっき雑談の中でお話しいたしましたが、この法律で国内に対する輸入についていろいろ書かれておりますが、私は輸入ということばよりも国内への持ち込みを禁ずるというようなことではっきりしておいたほうが始末がしいいんじゃないかと考える。輸入ということばにはいろいろな意味がありまして、字のとおりに解釈すればなるほど向こうから運んで持ってくる品物だから、これを持ち込みと同じような解釈ができるかもしれない。字のとおり解釈すればそのとおりかもしれない。しかし行為として考えてくるということになると、非常に問題を起こしはしないかということが現実に考えられる。概念からいって、輸入品というのは大体売買をするようなもの、商品というような形において輸入ということが多く考えられておる。したがって外国からくる場合においても、やはり所持品と輸入というのは、税関の取り締まりや、あるいは字句の解釈からいけば同じものだという解釈ができるかもしれない。しかし観念的には非常に違っておる。外国から持って帰ってくるものを全部輸入というんなら、着ているシャツから洋服からくつまで、外国から買ってくれば全部輸入であるということになってくる。輸入品であることに間違いはない。しかしこれを輸入品と見るかどうかということについては、私はいささか疑問がある。向こうで自分かってに所持することができるものを使っておった。そのものを持ってきた場合には、それは本人の所持品であって、それを輸入という字句で解釈していいかどうかということについては、字は運んでくるもの、入れてくるものなら、輸入と書いてあるんだから、何でもみんなそうだといえばそうだけれども、概念からいえばなかなか割り切れないものであると思いますので、輸入という文字を使うと商品のような気がする概念にとらわれがちになるのではないか。むしろここでは、国内において拳銃の持ち込みは一切禁止する形のほうがかえってよろしいんじゃないか。外国へ行った人がときどき隠して物を持ってきていることがあります。これがかなり国内にあると思います。これは輸入という形をとっておらない。所持品という形で持ってきておると思う。そういう概念の問題からすると、ここの字句は、国内には拳銃は一切持ち込みを禁止する。その中の特例をこれこれというふうにしたほうが、字句上の解釈からもいい。官僚としてのあなた方の考え方からいえば、持ち込みといったって輸入といったって同じことになろうかと思いますが、通念的に考えてくると、そういう大きい網をかけておいたほうがよろしいと考えられる。ことに外国人等は、外国においては拳銃を持つことができるのですから、本人の所持品であることには間違いないのですから、これらのものは平気で日本に持ち込まれるかもしれない。また外国に何年か滞在しておる場合、あるいは外国に籍がある諸君は、向こうでは持つことができるのであって、本人は輸入と考えておらない。自分の所持品と考えておる。こういう観念からいくと、輸入ということばをここで使うなら、国内に持ち込みを禁止するというふうに書いておいたほうがあるいは適切ではないかという感じがするのですが、その辺についてひとつ当局の考え方を、この際明らかにしておいていただきたい。
○大津政府委員 輸入ということばは、関税法にいいますところの、外国から本邦に到着した貨物を引き取るという考え方と同じでございまして、先生がおっしゃるところの、国内に持ち込むというようなことと同じような意味に考えられるわけでございます。そういうことで銃刀法におきまして輸入を禁止をしていくということは、結局外国から持ち込むことを禁止するというのと同じ考え方になるわけでございます。特に自分が着ていた洋服であるとか、あるいは持ってきたものであるとか、手回り品、こういうものにつきましては、関税法上の特別な措置といたしまして、こういうものには課税をしないというようなこと、輸入であるけれども、そういうものには税をかけないということが税法上定まっておるということでございますので、その点の矛盾はない。ことばの上でも銃刀法で用います輸入と、関税法上のことばと矛盾はしない。また先生がおっしゃるような常識にも合ったような内容になるのではないか、かように考えておるわけであります。
○門司委員 私は関税法との関係は少し疑問があるのです。関税法の意義というものは、そのものを持ち込むことによって利益を得るものに対する一つの国内の商品との関連性が関税の基本条件でありますから、品物を持ち込む持ち込まないということと関税法は、多少制定の意義が違う。実際国内産業をいかにして保護するかということから出てきたのが世界共通の関税でありますから、そこには商品であるかないかということが非常に大きな問題になると思う。関税法ということばが出てくると私には多少問題がある。身につけておるもの、手回り品を関税で見のがしておるということは、向こうさんは商品でないと考えておる。いわゆる国内産業をそれほど圧迫するものではないと考えておる。したがってこれには制限がある。商品とみなせば必ず税金はかけなければならないはずです。ところが商品とみなさない範囲なら、それは必ずしも関税をかけなくてもいい。こういうことで関税法との関連で持ち込みのすべてを輸入と解釈するということについては、私は概念的な違いがあろうと思いますが、それをここでは議論しようと考えません。 最後に、これだけ聞いておきたい。外人の、特に駐留軍の軍人、軍属が横流しをする国内における凶器というものが、かなりあったはずであります。こういうものはいまどの程度になっておるかということ、これはいままで数字上にはかなりあったはずだと思います。
○大津政府委員 押収拳銃の出所別の調査がずっとあるわけでございますが、駐留軍関係から出ましたものが、昭和三十五年においては七十一、それから三十六年が二十二、三十七年が十七、三十八年が十一、三十九年の一月から六月までが五、こういうふうな数字が出ておるわけでございますが、さらに三十九年の年間を通じて見ますと、十二という数字にまでこれがなっております。そういうことで、大体三十五年が一番多かったのでございますが、その後ずっと駐留軍関係から出ておりまする拳銃の数は減ってきておる。こういう状況が数字的に言えるわけでございます。
○門司委員 これだけでやめますが、いまの数字でありますが、ちょっと当局のほうへお話ししておきたいと思いますことは、いまの数字を見ておわかりのように、軍の移動の際にこれは行なわれる行為であります。兵隊は自分のものでありますから、そこに駐留している間持っております。売ってしまえば、新しいのを買わなければなりませんから、持っておる。しかし、軍の移動のときにこういう行為が行なわれます。たとえば三十五年の移動のときにも、こういう行為が行なわれました。これは取り締まりの関係からいえば、かなり気をつけておいてもらわなければならぬと思います。必ず移動するときには、こっちにおいて高く売って、そして向こうへ行けば、安く買えるのでありますから、点検その他をごまかしたりすれば、いつでもやれるのですから、したがって、その点気をつけてもらいたいと思います。 以上で終わります。
○中馬委員長 中馬ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○中馬委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中馬委員長 総員起立。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○中馬委員長 この際、亀岡高夫君、川村継義君及び門司亮君から、三流共同をもって本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。亀岡高夫君。
○亀岡委員 ただいま議題となりました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきまして、私は自由主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して、その趣旨を御説明したいと思います。 まず最切に、案文を朗読いたします。 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり銃砲刀剣類の取締りをさらに徹底強化するとともに左記事項について遺憾なきを期すべきである。 一、暴力団等についてとくに取締りを強化するとともに、その不法資金源を絶つなど暴力犯罪絶滅のための対策を継続徹底すること。 二、銃砲、火薬類による危害を防止し、公共の安全を確保するため、火薬類が正常な用途以外に流出し、あるいは消費されることのないよう、関係機関協力のもとに販売、その他の取扱いについてとくに規制を強化すること。 右決議する。 以上が案文でございます。 次に、提案の趣旨を御説明いたします。 最近、暴力団その他による銃砲刀剣類の不法所持及び使用による犯罪が著しく増加している実情にかんがみまして、政府は本法の改正により、その取り締まりを一そう強化するとともに、これと密接不可分の関係にある組織暴力の絶滅や火薬類の一般的取り締まりについても、特に規制を強化する必要があると存じます。 まず、附帯決議の第一について申し上げますと、組織暴力の追放は、善良な市民のたれしもが抱く切実な願いであります。 最近、組織暴力団の資金源を絶つため、暴力団の関係する興行を公共施設から全面的に締め出す運動が全国的に高まっており、これに呼応して芸能人みずからも、暴力団とのくされ縁を絶とうと立ち上がるなど、社会の各方面に暴力追放のきびしい姿勢が見られつつあります。しかし、組織暴力団はわが国の特殊な伝統と風習の上につちかわれてきたものであるだけに、彼らを一朝一夕に追放することは至難のわざと言わなければなりません。 警察当局が組織暴力を追放するため、今日まで異常な熱意を持ってこれに対処されたことは、多くの市民の深く感謝するところでありますが、せっかく潮に乗った暴力団に対する集中摘発が今後においてもゆるむことのないよう、警察をはじめ関係機関は、暴力犯罪絶滅のための対策をさらに徹底すべきであるというのであります。 第二に、去る二月の名古屋市の猟銃乱射事件と急行「霧島」、及び近鉄車内の爆薬積み込み事件は、銃砲や火薬類が異常者の手に渡った場合のおそろしさをわれわれに身にしみて痛感させましたが、ピストルは所持できないことになっておりましても、猟銃所持許可をとるときには精神医の診断書の必要がなく、さらに火薬類に至っては、狩猟免許さえあればほとんど無制限に入手できるという現状は、暴力犯罪追放の見地からもまことに憂えて余りあるものがございます。 火薬類につきましては、火薬類取締法によって一応は規制し得るたてまえになってはおりますけれども、実情は以上に述べたごとくでありますので、いまのような野放しの状態を改めて、銃砲、火薬類による危害を防止し、公共の安全を確保するため火薬類の販売その他の取り扱いについては正常な用途以外に流出し、あるいは消費されることのないよう、特にその規制を強化すべきであるというのであります。 以上が本決議案の趣旨であります。 何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。
○中馬委員長 本動議について採決いたします。 本動議のとおり決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は亀岡高夫君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、吉武国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉武国務大臣。
○吉武国務大臣 ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。 —————————————
○中馬委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十八分散会