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48回国会衆議院1965/07/09

大蔵委員会 第44号

発言数
161
登壇者
13
会派数
2
開催日
1965/07/09

会議録

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  今般新たに就任されました藤井政務次官、竹中政務次官、中尾理財局長及び佐竹銀行局長よりそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。藤井政務次官。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 私、このたび全く思いがけなく大蔵政務次官に就任をいたしまして、その責任の重大性を痛感いたしております。  私は長年大蔵委員として皆さん方の御交誼を賜わり、御指導、御鞭撻を受けたわけでございまして、仲間の一人としての自覚の上に大いに私は連絡を密にして、政務次官としての職責を全うしていきたい、このように考えますので、どうか皆さん方、日ごろの御交誼、御鞭撻を一そうお与えいただきますようお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 竹中政務次官。

竹中恒夫自由民主党大蔵政務次官

○竹中説明員 一言ごあいさつさしていただきます。  私も今回全くはからずも大命を拝しまして、時局の重大なこのときに当面いたしまして、お見かけどおり浅学非才、特に財政経済問題は私は門外漢でございまして、何かと今後委員の先生方の御指導、御友誼を賜わらなければ大任は果たせない、かように存じております。今後いろいろと御迷惑等もおかけ申し上げることも多々あろうかと思いますが、ふなれな点を御了承いただきまして、何とぞ職責を果たせますように御声援をお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 次に、中尾理財局長。

中尾博之大蔵事務官(理財局長)

○中尾説明員 先般来主計局におりましていろいろとお世話になっておりました中尾でございます。このたび理財局長を拝命いたすことになりました。  御承知のとおり、まことに至らぬ者でございますが、幸いに御叱正と御理解によりまして何とか大過なく事を果たしていきたい、こう考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 次に、佐竹銀行局長。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 佐竹でございます。  六月十八日付で銀行局長を命ぜられました。理財局在任中はたいへん一方ならぬお世話になりましてまことにありがとうございました。今後銀行局関係はいろいろ問題も多いようでございます。また特別にお世話にならなければなりません。まことに不行き届きな点も多々あろうかと思いますが、ひとつよろしく御指導をお願いいたします。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 国の会計、税制、金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 きょうは大臣がおりませんし、銀行局長あるいは理財局長もかわったばかり、政務次官もかわったばかりで、経済全般の問題についてお尋ねをしたい予定でおったわけでありますが、総括的な観点からの答弁はなかなかむずかしい段階だと思いますので、きょうはできるだけ個別に突っ込んだ事務当局の具体的な態度と申しますか、方策と申しますか、そういうものをひとつ承りたいと思うわけであります。  最初に経済見通しの問題でありますが、現在国民が一番不安に思っておるのは、一体いまの景気がいつごろ好転をするのか、一体このままいつごろまで続いていくのか、こういう点はどこへ行っても尋ねられる問題であるし、おそらく大蔵当局も一番この予測に時間をかけ、手間をかけている問題ではないかと思います。すでに事務当局も御存じだと思いますが、五月二十六日から六月二十五日までの一カ月間、六月分の倒産件数が新聞に発表されております。これを見ると、依然として昨年十月から始まった倒産の趨勢というものが衰えていない。一カ月間に負債一千万円以上でつぶれている企業というものは五百二十六件もあると報道されておる。その負債総額も四百七十五億という非常に大きな数字を示しておるわけでありますが、こういう倒産の件数、金額を見た場合に、最近は大企業よりも中小企業に非常に倒産がひどく波及をしている、そういう趨勢のようにわれわれは受け取っておるわけでありますが、そういう点の事務当局の認識のしかたはどんな認識をしておるのか、ひとつ倒産問題から承りたいと思います。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 ただいま武藤委員の倒産問題から最近の経済見通しをどう見るかという御質問でございますが、現在非常にむずかしい状況でございます。この経済見通しの問題につきましては、私ごときが申し上げるまでもなく、経済雑誌あるいは新聞に詳しく取り上げられておりますので、しかもまた武藤委員御研究でございますので、私から特に申し上げることもないかと思います。  確かに倒産件数は五月には四百五十件に減少いたしましたが、六月には五百二十六件にふえた、こういうふうに月例報告に出ております。このあたり今後どういうふうになってまいりますか、現在が景気の底入れである、底固めの時期である、あるいは秋から上がる、十月ごろから上がる、いろいろな見方がございます。昨年の十一月以来経済の伸びが鈍化いたしまして、その端的な指標は生産指数でありますが、現在のところ三十九年度の平均的な伸び率程度にとどまっておる状況でございます。今後この趨勢がどういうふうになってまいりますか、あるいは輸出の動向あるいは設備の動向、さらにまた、先般経済政策会議で財政、一般会計、さらに財政投融資の繰り上げ、それから輸出の振興、さらにまた金融面における諸施策、これらによりましてどんなふうにいきますか、私どもといたしまして、おそらく政府におきましてできるだけ早く現在の不振状態から脱するように努力し、そんな方向で進む、こういうふうなことを申し上げるしかいまのところないのではないかと思うのであります。いつからどうなるか、なかなか確言はできないところでありますが、できるだけ早くいまの状況を脱したい、こんなふうで、政府各方面におきまして努力中であるということは申し上げられるのではないかと思う次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そこで、新聞あるいは財界の予想などもそれぞれまちまちで、個々の企業家としては、どの観測が、どの見通しが最も的確に事実の推移を握っているか、非常に業者としては不安、また国民としても非常に心配をしておるところであります。そこで、大蔵省としては企画庁はこう言っておる、業者はこう言っておるということじゃだめなんですよ。一体この趨勢が年度内にほんとうに底入れして上昇に向かうのか、それとも産業界が見るように、これは来年に持ち越しだ、年内にはどうも上昇状況には転換できそうもない、こういう財界からの意見なども新聞に報道されている。そこで、大蔵省としてはいろいろな過去の統計資料の上から、われわれはこの統計と、この統計をある程度信憑性を認めて判断をすると、経済はこうなるのだ、そういう独自の見通しというものが私はあってしかるべきだと思うのでございますが、そういうものは大蔵省にないのですか。これをひとつ答えてください。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 非常にむずかしい御質問でございます。経済見通し、しかもまた将来どうなるかという問題、各方面いろいろな意見も出、また研究もございますが、大蔵当局の意見はどうか、こういう御質問でございます。私も当局の一人になるかどうか疑問でございますし、先ほど申し上げましたように、結論的には、ともかくもできる限り早く現在の状況から脱するように努力する、いつからということを申し上げると、かえって間違う場合があって、弊害も起こるような状況でございますので、いまのところは、はなはだ失礼でございますが、できる限り早いうちに脱するように、それもまたいかなる状態になるか、多分に政策のやり方、あるいはまた政府のみならず、民間の反応の仕方、これらによるところでございましょうから、できる限り早くこんなような状況から脱して上昇過程に転ずるということしか、いまのところは言えないのではないか、かように思う次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 財務調査官は私が当局に入るかどうかと言うが、財務調査官といったらたいへんな大役なんですよ。大蔵省の経済見通しなり、適切な対策を立てる基礎数字というものは、あなたのほうが進言しなかったらどこがやるのですか。それじゃ銀行局長に聞いたらいいのですか。まさか主税局長に景気のことを聞くわけにいかぬでしょう。やはりあなたが担当なんですから、そう逃げを打たないで、もっとき然たる、自信のある答弁をしなければいけませんね。  それでは、さらに具体的にちょっとお尋ねしますが、大蔵省が七月二日に新聞発表した一−三月期の法人企業統計がございますね。これはあなたは目を通しておりますね。この一−三月期の法人企業統計速報による過去の一−三月の実績から一応推測をして、純利益率が前年同期と比較して八%も落ち込んでいる。こういう状態が、次の、たとえば四月から七月、七月から十月なり、こういう期間にどう推移するだろうかという、一応のそういう推定、積算というのを大蔵省はやっているのでしょう。やらないのですか。ただこれは過去の数字を出しただけで、これに対応して大蔵省は今後の見通しをどうするかということは検討していないのですか。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 またむずかしい御質問でございまして、私が答えるのは適格であるかどうかわかりませんが、確かにいろいろな研究はしておるわけでございます。企業収益の動向も、確かに法人企業統計にございますような趨勢をたどっておることを存じておりますし、さらにまた三月決算がどうであるとか、九月決算がどうであるとか、このあたりにつきまして私どもも研究しております。ただいまお話のように、確かに企業純利益率、資本収益率、売り上げ利益率は落ちております。これはまた四月以降これがどういうふうに動いてまいるか、たとえば金利は最近の公定歩合の引き下げによりまして低下の方向に向かっております。これが企業収益率の動向にはプラスの要素となるわけでございます。さらにまた減価償却費も、最近の設備投資の鈍化によりましていまほどの負担もない。企業も生産調整その他も講じながら販売費の節減もやっております。こんなような状態がある片一方、なかなか売り上げも伸びないという要素もありまして、このあたりの各種の要素がどんなふうにからみ合いながら企業収益がどうなるか、生産がどうなるか、各種の推測を私どもいたしておりますが、これも外に出しましてかえって弊害のある面もございますので、現在のところいま確たる、たとえば九月決算はこうなるのだというふうなことは申し上げないほうがいいのではないかと思うのでございます。おそらく経済雑誌では九月決算が前期よりよくなるというような数字も出ておりますが、これはその時期が近づいてまいりますと、多分に食い違ったような過去の経緯もございますので、いま私がこういうふうになるというふうなことを申し上げると、かえって弊害が多いと思いますので、この際はひとつぜひ遠慮させていただきたい、かように思う次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 それでは、あまりしつっこく調査官に聞いてもお気の毒ですから、六月の倒産五百二十六件のうち中小企業といわれる規模の倒産者というのはどのくらいを占めておりますか。大体大蔵省の法人企業統計を見ても、わずか百七十六社、資本金十億以上の大企業だけを調査しておるわけですね。したがって、倒産の趨勢というものは山特が倒れたあと、その当時ならばわりあいと資本金の大きいところが参っておったのが、最近は非常に中小企業の下のほうに倒産というものが波及しておる、こういう動きにわれわれは着目しなければならぬと思って聞いておるのです。そこで、五百二十六社の中うち中小企業で倒れたのは一体何件ありますか。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 ただいま私が申し上げました中小企業の倒産件数は、企画庁が発表したものでございますが、その原資料は東京商工興信所の調べであることは武藤委員御存じのとおりでございます。その内容は負債金額一千万円以上の倒産件数を出したものでございます。中小企業がこのうちどれだけ入っておるかという点はつまびらかではありません。しかし、いま申し上げました負債金額一千万円以上の倒産件数であるということだけ申し上げられるかと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私は期待はずれで、大蔵省に少しがっかりしたのです。大蔵省というのは日本の国のほんとうの経済のかなめ、財布を握っておるところだから、税金を取るためだけの法人企業統計ではなくて、問題は日本の経済を、どういう施策を打ち込むことによってどう前向きに進めていくかという、そういう数字も的確に大蔵省というのは持っておると実は私は期待をして質問を始めたのです。ところが、いまあなたの答弁を聞いておると、五百二十六件の倒産のうち、どういう内容の業種がどういう状態で倒れておるかわからぬ。それがわからぬというようなことでは大蔵省はほんとはたよりにならぬですね。これでは質問をしても意味がないと思う。おそらくあなたがここで答弁できなければ、大蔵大臣に聞いたってわかりませんよ。あなたのほうから答弁の資料を出すのですからね。大蔵省、経済見通しについては不勉強ですね。そう思いませんか。私いま質問してみてがっかりしておるのです。実はこれ以上あなたにそういう問題を尋ねようという気力もなくなったのですけれども、一体いまの経済状態が横ばいにいくということは、中小企業がいまの状態で倒れていくという予想を立てても間違いないですか。それでは大体五百二十六件前後の倒産が出てくる、中小企業が非常に多い。銀行取引停止処分はおそらく一千件以上づつ毎月あるのではありませんか。こういう趨勢というものは年の暮れまで続くのか、どうですか。続かないという場合には、こういう政策とこういう政策、こういう対策を打つからこれは続かないのだ、いつごろになればこれがストップするようにできるのだという点、これは銀行局長のほうがいいですか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 銀行取引停止処分というお話がございましたので、私のほうからお答え申し上げたいと思います。  確かに先生御指摘のように、銀行取引停止処分を受けておりますものが昨今非常に多いわけであります。千件はまだこえておりませんが、五月の実績でも九百三十二件、その前、三月が九百三十三件で、従来の最高でございますが、そういう状態で実は推移しております。このうち、先生先ほどから御指摘の中小企業の倒産がいかなる状況かということを、この取引停止処分のほうから見ますと、大体資本金一千万円未満のものが九割、実は大部分は中小企業でございます。ただ、ここで今後の見通しでございますけれども、実は多少の明るさを感じさせられます点は、六月の実績が、先ほど先生御指摘の、東京商工興信所でございますか、その数字で見ますと、非常にふえた形になっておりますけれども、取引停止処分のほうからまいりますと、これはまだ最終的な確定件数じゃございませんで、速報でございますが、実は五月の実績に比べまして、約一割方下回っております。これは東京手形交換所、これが全国で約半分を占めております。その東京の実績でございまして、これは全国的に推計いたしますと、趨勢としてはあまり変わらぬのじゃないかという感じがいたしますが、それで見まして、六月に入って五月を約一割方下回る、こういう趨勢になる。これは確かに五月というものがやはり非常な底であったのではなかろうかという感もあるわけであります。そういう意味で、昨今の景気情勢は、先生も先ほどから御指摘のように、依然として沈滞の状態を続けておるわけでございますけれども、若干そこに明るさが出てきた。同時に、先ほど塩崎君からもお答え申し上げましたように、先月下旬の公定歩合の引き下げ、それに伴いまして、市中貸し出し金利の実質的な引き下げを実は推進いたしております。かたがた昨日も実は預金準備率の引き下げということが行なわれまして、なかんずくこの中小企業向けの金融の疎通、中小向け貸し出し金利の引き下げというものをさらに推進しやすい環境を逐次積み上げて、つくってまいっておるわけでございます。そういうような情勢から見ますと、これはなかなか先のことは予断を許しませんけれども、ただいまのようなデータで見ますと、ややここで明るさがだんだんにこれから出てくるんじゃないか、これはもっぱら今後の施策をさらに推進するということでその明るさというものをもっと増してまいる、実はかような考えでおるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そうすると、銀行局長の見解では、倒産もやや底をついた、五、六月というものはもう大体底をついた、これからはやや上昇傾向に経済は推移するだろう、こういう見方のようであります。それはわかりました。  そこで、最近の鉱工業生産の趨勢を見ると、四月、五月、この辺は非常に鉱工業生産が低下をした。これはいままでの過剰生産ぎみの状態のときには、好ましい傾向として一応歓迎をされるでありましょう。同時に、出荷も非常に低下の傾向にある。この点までは一応いいと思うのです。ところが、それとまるで逆に、鉱工業生産の低下、出荷の低下に逆比例して、在庫がふえている。この傾向は、私は経済を見る場合に、今回の事態の場合には非常に重要なポイントをなしていると思うのです。こういう非常に矛盾した要素が今日の経済界の特徴として見えておる。これに対して、どんぴしゃに、この状態を切り抜けるためには、これとこれとこの政策を実行すればこの在庫問題が片づく、そして鉱工業生産の状態と在庫の状態というものがノーマルな好ましい状態に復帰できる、そのためには一体どういう手を打ったらいいのか、何をまず手初めとしてなすべきなのか、その想定される政策を幾つかひとつ銀行局長あるいは財務調査官、あげてみてください。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 やはり財政面から、先般来先生十分御承知のように、財政支出の繰り上げということが行なわれております。あるいは財政投融資面からの、これもまた繰り上げということで、そういった需要面の増加対策というものが着々進められておるわけでございます。それと同時に、金融全般につきまして、かなり緩和傾向はとってまいりましたけれども、これを一そう緩和をする、つまり金融の圧力というものがかかっているために経済の動きが非常に苦しいということを極力排除しなければなりません。そういう意味で、金融の緩和傾向というものをさらに進める、同時に、企業の金利負担、これが先生御承知のように非常に重いわけであります。そういった企業金利負担の軽減、こういうことをさらに進めるという、いわば総合作戦のようなものでございまして、さらには輸出の振興、輸出による需要増ということによって経済にだんだんと活力がついてまいる、そういったようなものが彼此総合されまして、漸次効果をあらわしていくのじゃないか。確かに先生おっしゃるように、在庫が若干五月の統計でもふえておりますし、そういういろいろな動きがございます。一方においては機械の受注といったようなものが、四月に比べれば五月はふえてきているというような面もございますし、非常に現在の情勢は微妙で、各種データの中に明暗区々というような感で、ちょうどこのあたりが何となく境目のような感もございます。私もにわかに上昇に転ずるということを申しておるわけじゃございませんけれども、そこにやや明るさが見え始めたかなということを先ほど申し上げた次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 結局はいまの経済は有効需要をいかに拡大をするか、こういう面にかなりのポイントを置かなければならぬ事態だと思うのです。問題は、その有効需要の喚起をどういう方法でやるか。確かにそれは一般会計の繰り上げ支出あるいは財投支出、こういう国として直ちにやり得る施策についてはすでに総理大臣も指示をしたようであります。しかし、それの総額を見ても、どうも私は景気の浮揚力としての作用がそうあるとは感じられない。これがどの程度景気浮揚力に作用するのかという大蔵当局の見解ですね。総額で一体これが幾らになって——たとえば一般会計で十月までに一千五百億円程度の繰り上げ支出をやり、財投融資で四月から九月に約一千百億から一千二百億の繰り上げをやる。融資の場合には問題はあとに残る。それだけ繰り上げ融資をしてしまったあと、今度は原資がなくなって、中小企業が三公庫から借りようとしたらもう元金がない、どうも年度末になって大騒ぎをする、じゃ追加予算を組もうか、主税局長のほうは、いや、それは財源がありませんよと言って、なかなか金を出さない、こういうジレンマにおちいって、この繰り上げ財投融資の使い方なども私は年度末にしわ寄せがまたいって、ここでてんやわんやの様相を呈するのじゃないか。したがって、これにはほどほどの限度がある。そこで、今回のそういう大蔵省がとり得る一般会計の繰り上げ支出、財投支出の繰り上げ、これが一体総額で幾らになって、これが景気にどの程度どういう作用をするという判断でこういう措置がなされているのか、そこらの見解をひとつ聞かしてもらいたい。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 ただいま武藤委員御指摘のとおり、先般の経済政策会議におきまして、一般会計を三・四半期までに、本来ならば四・四半期に出るべき資金を千億ばかり繰り上げる。前年度に比べまして本年度は予算の規模が増加しておりますので、追加支出金額として増加いたしますのは千五百億円ばかりになる、こういう趣旨でございます。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 これは一般会計だけの規模でございますが、そのほかに政府関係機関の、たとえば三公社あるいは五現業その他につきましても、でき得る限り政府の趣旨にのっとりましてその支出の繰り上げをしてもらいたい。さらにまた、地方団体につきましても、自治省から各地方団体の長に対しまして、政府と同じような方針で地方団体の歳出の繰り上げをしてもらいたい、こんなふうな要請もしておるのでございます。前年度に比べまして一般会計の規模が一二%ばかり増加しておりますから、その分と合わせますと、前年度の出資金に比べまして相当な増加が予想される、こういうふうに私どもは見ております。財政投資は、先ほど武藤委員御指摘のとおりでございまして、千二百億円ばかりの繰り上げ資金の貸し付けの促進が行なわれる、こういう状況で進むのでございます。これがはたしてどの程度の効果、いわゆる乗数効果と申しますかを生むかという経済学的な御質問でございます。これをどういうふうに見積もるか、私どもも確たる計算をしたわけでございませんが、相当な効果はあるのではなかろうか。それからまた、造船の建造促進、これあたりも入れまして相当な効果がある。しかし、これは数学的に見積もることはなかなか容易でございませんので、いまこれをどういうふうにという確たる数字を申し上げることはひとつごかんべん願いたい、かような次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 それでは、できるだけ早い機会に景気回復をしようというために打つ手ですがね。これを九月ごろまでに集中的に資金をばんと需要の方向に投げ出させる、この総額は一体幾らくらい予想しておるのですか。地方自治体から三公社五現業から全部含めて、去年と比較して何千億くらいの金がばんと集中的に出るのか。というのは、私はあなた方がいま運営している資本主義経済が直ちにここでつぶれればいいなんと思って質問しているのではないのです。かつて堀昌雄議員が本会議で、まさに今日の証券界は資本主義の終えんを意味すると言ってきめつけたわけですが、いままさに資本主義の大混乱の事態になっておるわけですね。われわれは資本主義運営者がどういうお手並みを見せるかということを実はながめておったわけですが、もうながめておれる事態じゃないのです。国民にあまりにも被害が甚大で。ですから、われわれは真剣に資本主義の欠陥を、矛盾を、こういう状態のときに一体どう克服するかという対策を皆さんに引き出させると同時に、こちらからの案も一つ一つこれから述べていこうと考えておるわけです。ですから、国民が不安に思っておるいまの経済事態のときですから、私はその任でありませんという態度をとらずに、大蔵省としては、これによって全額としてこれだけ需要が喚起されるのだ、だから国民の皆さん、景気は上向きになりますよ、心配はありませんよといって、大上段に国民が安心できるような対策を出すことが、大蔵省の態度じゃありませんか。そうしなかったら、これはじり貧になりますよ。いま私が聞いておるのは、単に景気のほんの一局面だけですが、証券界の問題、収益性の問題あるいはインフレートされる物価の問題、こういうようなものを総合的に考えたら、この資本主義経済の現時点は容易ならぬ事態なんですよ。そういう認識を欠いて、ここでその場だけの答弁をしていこうということでは、大蔵省はあとで重大な責任をとらなければならぬ。だから私は、そう具体的なあれでなくても、大体、では繰り上げ支出が総額幾ら予想されるか、これは予想ですから、あとで数字が間違っているなんて責めませんよ。ですから、その予想をちょっとひとつ出してみてください。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 先ほど申し上げましたように、一般会計と財政投融資の金額は私ども容易に計算もできますので、計算して申し上げたのでございます。そのときにも、武藤委員のおっしゃるような、それでは政府関係機関の繰り上げ支出金額は幾らか、あるいは地方団体の繰り上げ支出金額は幾らか、こんなようなことの御質問もある方面から出まして、私ども計算したのでございます。しかし、それはまだ非常に不確定な数字でございましたので、外へは出さなかったのでございます。三十三年度のときに出した数字もございますが、今後、そういった武藤委員の御要望もございますので、私どもといたしましては、たとえば、一般会計以外の政府関係あるいは特別会計あるいは地方団体でどの程度の繰り上げ支出が行なわれるか、これからひとつ確たる数字を確かめる方向で、そしてまた武藤委員のおっしゃるように全体の経済を安心さすような方向で調べて、申し上げることができましたら申し上げたい、かように思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 財務調査官、これはまた時期を失したら何の意味もないので、各三公社五現業、地方自治体、これが政府の方針に従って支出され得るであろう予想を至急ひとつ数字にして、資料としてわれわれに出してもらいたい。それが景気浮揚力にどういう関係を持つか、経済学的に見るならばどういう効果があるか、そういうような点まで大蔵省として私はやるべきだと思うのです。その場限りの場当たりの政策を次から次へやったところで、こういう経済状態のときにはきき目がないのですよ。公定歩合を三回も引き下げてみたって、もう国民は踊らないのです。やはり国民の気持ち、心理、これを動かすようなことを大蔵省、政府がやらぬことには、国民の気持ちは立ち直りませんよ。私はそれを言っているのです。ですから、その資料は後刻ひとつ出してもらいたい。いいですね。  それから、あっちこっちの話になりますが、銀行局長、今度七月十六日から預金準備率を最高一%にする。したがって、従来のものから見れば〇・五%程度各銀行に還元される、このことが地方銀行に非常に多くの資金を落とすことになる、中小金融に事欠かなくなるだろう、そういうふうに新聞なども書いておりますが、一体最高限度一%にするとどの程度の金が現在日銀から地方銀行に戻されるのか、一%でとどめると、どの程度日本銀行は吸い上げていて、戻される資金はどの程度になるのか、そこをひとつ明らかにしていただきたい。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 昨日決定されました預金準備率の引き下げの内容でございますが、これは御承知のように、銀行で千億円以上の資金のものとそれ以下のものとございます。千億円以上につきまして、従来の定期性預金に対する率は据え置いて、いわゆるその他預金でございますね、要求払い預金、これが従来一・五%であったのを一%に落としました。千億円以下につきましては、これは定期性預金が従来〇・五でございましたが、それを〇・二五に落とす、それからその他の要求払いのもの、これは従来一・五でございましたが、それを〇・五に下げる、こういうことでございます。さらに相互銀行、信用金庫につきましては、従来の要求払いが、〇・七五でございましたものを〇・五に下げる、こういうことになったわけでございます。そこで、従来、改定前の現行方式で計算をいたしますと、日本銀行に拘束されるところの準備預金の額は約千四百億円ということでございます。それに対して、今後のこの改定率によりますと、日本銀行預金で開放される額は約四百億円という見込みでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 四百億円じゃいまの状態ではどうにもならぬですね。  そこでもう一つ、今度私のほうから提案を申し上げたいのでありますが、もう有効需要を喚起する以外に即効薬はない。有効需要の喚起策として、法律を改正しなくとも、すぐやり得る方法はまだ残されている。まだいろいろあると思いますね。そのまだいろいろある中で、特に私はすぐ手をつけられるのは物品税だと思うのです。物品税の場合は、とにかく免税点を政令でやっておるのですから、それはこういう景気調整策をとるときには思い切ってこの際大幅に物品税の減税を国民の前に鳴りもの入りでわっと出して需要というものが喚起されれば、なるほど政府はそこまで経済がたいへんなことになっているのだという認識だということを国民にひとつアピールする。これはやはり国民を心理的に動かす効果は非常に大きいと思うのですね。かつてアメリカがやりましたね。イギリスもやりましたよ。物品税の大幅減税をやって景気の調整をはかった。どうですか、日本の場合も、政令で、国会議員にないしょでこそこそと物品税の改正をやり得るのですから、こういうときには思い切ってひとつ主税局長大なたをふるってやってみたらいかがですか。こういう景気調整策について、ひとつ主税局長と新政務次官と両方に見解を尋ねておきたいと思います。主税局長から先に答弁してください。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 お話のように、現在の日本の経済状態をよくしていくためには、有効需要の喚起が必要であることはおっしゃるとおりだと思います。その有効需要の喚起策といたしまして、いろいろの手がございます。先ほど来からお話がございましたように、一般会計あるいは政府機関、特別会計、地方団体、財政投融資、こういったものの支出の繰り上げ、融資の促進がはかられておるわけでございますが、それ以外にできる手がさらにあるじゃないかというお話でございます。物品税に  つきまして、私どももいろいろ検討いたしておるのでございますが、現在税収全体の問題のほかに、物品税自体も税収があまり予算の見込みに対して上がっておりません。これにつきましていろいろ分析いたしてみますと、特に電気製品につきまして、御承知のとおり、相当すでに売られまして需要が一巡しました。そのために、今後買いかえる以外には新しい需要がなかなか起きないというのが実情のように見受けられるのでございます。したがって、物品税法を改正いたしまして、税率の相当大幅な引き下げを行なうならば、これは需要喚起策としての一つの意義はあると思いますが、免税点を若干上げるぐらいのことで需要喚起になるというふうにはなかなか考えられないのでございます。もちろん、私どもといたしましても、そういう策についていろいろ検討はいたしておるのでありますけれども、現段階におきまして、まだそこに踏み切って大いに需要喚起になるというまでの自信を得るに至らないのでございます。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 福田財政は、御案内のごとく、蓄積ある企業、蓄積ある家計、こういう意味からいいますと、減税ということが当然その路線につながると思うのです。その減税のしかたが直接税でいくか間接税でいくかという考え方ですが、いまのお話しの物品税、私は品物によっては考えなければならぬ点もあると思います。ただ、しかし、いまの景気対策としての物品税を検討するということは、いま主税局長の答弁のごとく、はたして適当であるかどうか、むしろ所得税を中心とした直接税の減税によって購買力をつける、こういったことのほうがいいのではないか。逆に、物品税の場合、私はこれは私見を申し上げて恐縮ですが、たばこあたり、むしろこれは税金といいますか、一種の実質的な税金になりますが、上げて、財政収入をはかる、取りやすいところからはある程度取っていく、こういうことも勘案しながらしなければ、財源の不如意な現状からすればやり繰りがつかない、このように思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 きょうは大臣のいない席ですから、大きな政策論争は無理だと思います。思うけれども、いまの答弁の視点が質問している気持ちと全然違うのですよ。私は、何ゆえに今日異例な日銀法二十五条の発動で、とにかく通貨価値を安定させるのだといいながら通貨価値が下がるような通貨の増発をせざるを得ないか。こういう資本主義の危機的な様相のときですから、財政的な思い切った線で国民の心理状態を転換させる手を打たぬことには、これは日本資本主義はじり貧になる、国家独占資本主義的な様相がますます強くなって、国家の規制力、国家の資金、国家の力というものによって資本主義を運営せざるを得なくなる、こう私は考えているから、この際思い切って国民の心理を一転させるような——重箱のすみをようじでつつくようなみみっちい考えでやったのではどうにもなりませんよ。こういう立場から、物品税を、心理的効果をねらって、ばんとここで大減税をやったらどうです。これは主税局長には無理でしょう。あなたは、歳入欠陥をつくれば、おまえは要求に押されて見積もり過ぎたといって、あなたの責任になるから、税収が減るようなことは、主税局長は快からず思うでしょう。しかし、日本の経済全体ということを考えた場合には、私はこの辺で物品税について思い切った措置をやらぬと、やり得る方策の一つを見失ったことになりはせぬか、こう思うのです。  それから政務次官、有効需要の喚起策を実行するために、米価が決定をみたようでありますが、私たちは非常に不満です。私たちは一石二万二千円、二万円以上の米価を要求して戦ってきたわけでありますから、一万七千円台ではちょっと不満でありますが、この際思い切って、どうですか、米価の繰り上げ支出——一石二千五百円から三千円を前渡し金として出すように政府では一応方針をきめたようでありますが、さらに、公務員のベアを従来十月実施だといって、臨時国会の終わりごろ、あるいはあとになってから支出をする、こういう措置を、ことしはひとつ早めて、公務員のベアをきめるのもひとつ臨時国会でやって、年内の景気を上昇させようという時点に合わせて支出をさせる、こういうような措置もこの際考慮すべきではないか、こう私は考えるのですが、次官の見解はいかがですか。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 米作の収入が農家にとっては一年分の柱になります。したがいまして、早く手渡しをするということの必要性について、いま武藤委員からお話しのお気持ちもわかりますけれども、かえってまた早く渡し過ぎて一年分の所得の主柱を早く食いつぶすことになるから、そこら辺はよほどいろいろ検討をしなければならぬというふうに思いますが、御趣旨はよくわかりますから、検討はいたします。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 まあこれは大臣が帰ってきてから検討するということですから、十分検討した結果を見て、またひとつ論争をしたいと思うのです。先食いをしちゃうとあとたいへんだということは、こればかりじゃないです。公務員のベアや米価の問題だけじゃなくて、三公庫に対しても先食いをさせるわけですから、年度末になったら追加を組まなければならぬ。追加を組むには財源がない、どうも法人税の収入も見込みどおりいかない、財源がないから、結局公債を発行するか、日本銀行券をじゃんじゃん乱発をするか、日本資本主義はそこまで追い詰められておるのですね。ですから、銀行局長どうですか、この資本主義経済を運営するには、インフレーションというのはもうつきものだ。景気が沈滞したとき、これをてこ入れし、資本主義をうまく運営していくためには、やはり購買力を喚起するにしても、浮揚力をつけるにしても、結局貨幣の増発をする以外に手がなくなってきている。だから、物価騰貴というのは資本主義経済である限り、やむを得ざる害悪としてこれを承認をして、政策を立案する以外にない、こう考えていまの事態をながめて間違いないですか、どうでしょう。それ以外に何か名案があったら——インフレ的なものに持っていかずに解決策があるということになれば、それをひとつ教えていただきたい。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 非常に大きな問題でございまして、いわば経済理論、理論経済学の問題にも属する非常にむずかしいところでございます。ただ、ただいま先生おっしゃいますように、資本主義経済というものはインフレーション以外に運営のしようがないのだというお考え方、これは必ずしもそう先生お考えになっていらっしゃるのではなかろうと思いますけれども、私どもは実はそう考えておりません。これは確かに資本主義経済の体制は、御承知のように自由主義体制でございますから、やはり時に景気の消長というものがあって、あるいは沈滞し、あるいは過熱するということが、これは現に過去の経験においてよくわかっておるわけであります。ただしかし、それに対してだんだん人間の知恵も進歩してまいりまして、できるだけそういう景気波動というもの、波の幅というものを小さくしていく、これが全然波がなくなるということは、いまの自由主義体制のもとでは私は無理だと思います。しかし、人知の進歩というのは、やはり波動の幅というものをだんだん小さくするということに逐次成功してきていることは御承知のとおりですし、そのための各種の財政金融政策、手段というものは、もう一九二九年当時に比べますと格段の進歩をいたしておることは、先生十分御承知のとおりでございます。そういう意味で、今後はやはりできるだけなだらかな成長をしていく、景気変動の波をできるだけ少なく持っていくというようなことで運営をしてまいりますならば、必ずしも将来に向かって物価というものは恒常的に上がるという性質のものじゃない。すなわち、生産性向上ということによって、そこのコストを吸収していく、長期的に見れば金利というものは逐次低下の傾向にある。これは二十年、三十年、五十年という長期に見まして、金利低下の傾向にあるということは言われておるとおりでございますし、その間にいろいろな産業構造の変化というものもございましょう。各種の問題が相からみ、因となり果となりまして、その間に安定した姿で経済を運営していく、これはできると私どもは信じております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 できると信じていることができなかったところに今日のような問題があるのですよ。とにかく十年間九%で経済は成長するのだというでたらめ、資本主義を無視した宣伝をして、景気波動というものを国民に隠して教えなかった。資本主義というのは必ず景気波動がある。沈滞があり、上昇があるのですよ。だから、一つ無暴な経営をやりますとたいへんなことになりますよと総理大臣が言っておれば、こういう事態は初めから起こらなかったのです。とにかく資本主義経済を隠して、計画経済みたいに九%ずっと十年間続くんだなんて大蔵省がまた総理大臣に言わしたのですよ。あなたの責任じゃありませんけれどもね。だから、そういうような今日の沈滞というのは、単なる経済循環の波だと見られないのですよ。資本主義のもっと構造的な欠陥、矛盾があっちこっちに露呈しちゃったのですね。普通の単なる需要供給のアンバランスから景気が低滞したなんというものではないのです。いまの日本の資本主義の姿は。そこらは佐竹さんと私の見解の違いでしょうけれども、ですから、そういう期待するケインズ理論の方向に日本資本主義を持っていく日本の責任者が、その責任を果たせなかったところに問題がある。だから、ここでこれを治療するためには、需要供給のバランスが自然にとれるように待っていればいいなんという自由経済の原則では、もうもたない環境が一ぱい出てきているわけです。そこで、それを手当てするには、公債を発行するか、あるいは日本銀行の金をどんどん証券界にも、産業界にもつぎ込む以外に手だてがない。大体そういう事態にきているような気がする。ということは、結局貨幣の価値が下がり、物の値が上がるという物価騰貴の方向に経済というものは進んでいく、それが一定の時点にいくと、交差する時点で均衡が保てる、これ以外に私はいまの日本の経済というものが進んでいく筋道を想定できない。これは見解の相違で、理論闘争になりますから、あとでどちらが正しかったかは、生きている経済が証明することだと思います。  そこでもう一つ、景気対策の問題として私たちが非常に危険に考えているのは、六月二十八日の日にアメリカの国防省特別補佐官ブリックという人が日本に来て、防衛庁のおえら方を集めて、その席でアメリカがアジア地域で使用する兵器、軍需物資を日本から相当量域外調達したい、こういうアメリカの方針を日本の防衛庁に伝えている。私は非常に心配しているのは、景気が沈滞をし、不況のときには産業家は、事業家は、何でもいいからとにかく確実な生産をし、確実に収入になる道をさがそうとあせっている。朝鮮事変のときがしかりであります。いまベトナム戦争の最中アメリカは大量の兵器と軍需物資をアジアに投入をしている。こういうアジア情勢のときに、特需を日本に持ちかけてくるというアメリカの態度に対して、日本の政府は一体受け入れるのか。き然として戦争経済による日本の不況てこ入れには反対をするのか、これもひとつ私は非常に重大な、高度な政治的判断を必要とするものだと思います。そういう方法によって不況にてこ入れをしようという考え方——やむを得ないからもうやろうという考え方なのか、それとも戦争経済に協力する死の商人の手先に反対をするのか、これはちょっと局長には無理だと思いますが、どうですか。藤井政務次官ではいかがでしょうか。そこをひとつ、新聞にも大きく報道されているのですから、そういう特需の申し入れに対して、日本政府としてどういう態度をとるべきか、もうきまっているのじゃないでしょうか。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 関連して。これは政務次官と銀行局長にお伺いをいたします。  いまの点について、武藤委員からの質問に対して、政府として。態度をお聞かせいただくと同時に、名古屋において軍靴並びに八十ミリの砲弾をつくっております。が、そのおもなる会社と、融資状況について銀行局長からお聞かせおきをいただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 両委員から御質問がありました件は、まことに大きな問題で、まだなりたての政務次官が答弁する限りではないと思いますけれども、御要望がありましたので、私の頭に浮かぶ意見を申し述べて答弁にかえたいと思うのでありますが、いわゆる死の商人の手先に、日本の景気といいますか、なるべきでない、こういった考え方は言わずもがなであると思うのであります。したがいまして、生きるために手段を選ばないということが肯定されていいはずはございません。ただ問題は、いろいろ日本の経済の将来を考えながら、しかもいま申しました節度を守っていく、ここに生きる苦しさといいますか、なかなか骨が折れると思うのでありまして、そこら辺はひとつ具体的な問題になってきて、これはいけないとか、これはいいとか、こういう判断をしたらいいわけで、一般論としては、私は、日本の経済が死の商人の手先になるべきではない、節度は守るべきである、こういうふうに考えざるを得ない、こういうことであります。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 ただいま有馬委員御指摘の名古屋地区におけるある企業に対する融資状況というお話でございましたが、実は私その点の資料を手元にいま持っておりません。後刻また取り調べました上でお答えを申し上げたいと思います。名前等も実は後ほど伺わしていただきまして、調べたいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 その際三十八年、三十九年の状況と四十年になりましてからの状況を一覧表にして、それから主力銀行がどこで、それから国の関係はどこでというような形で、額を明細にしるしていただきたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 いまの政務次官の答弁は、いまの段階で私は信頼をし、まことに正当な意見だと思います。ただしかし、これはいまのまま推移すると私は非常に重大なことに日本政府は当面すると思いますから、そのときには死の商人と手を組むようなことは絶対させぬ、政務次官の官職にかけても、あなたは政府部内で民主的、平和的な産業育成ということに中心点を置いて日本経済をやるべきであるといって、突っぱねてもらうという覚悟をひとつ要望しておきます。  次に、証券局長にお尋ねいたしますが、どうも六月の株式投信を見ても、公社債投信を見ても、元本減少額が増大をして、山一証券の再建策を立てたころから見てどうも証券界はよくならない、こういう状態でありますが、いままでこの半年間ばかりの間に打ってきた証券界に対する資金手当て的な面から見た金額、たとえば保有組合、共同証券、これをも含めて、それから個々の山一対策や大井対策を含めて、総額で一体幾ら金がもうすでに融資されておりますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 お答え申し上げますが、投資信託の状況を一つ例におとりになりまして、不況の進行状況の御批判がございました。昨年度初めて元本ベースで八十八億の減少ということに相なったわけでございます。それ以降ことしに入りまして大体百二十億ベースくらいの元本減少でございましたが、山一事件を契機にいたしまして、あれが五月の二十一日でございますか、五月の最後の一句と、それから六月に入りまして非常に解約がふえてまいっておりまして、六月一ぱいで四百十七億という残存元本の形でございます。むろんこういう状況になりました起因としての諸事情は、経済界一般の収益性の低下ということに起因する面が一部ございます。それはすなわち、ひいては株価の需給というもののほかに、株式に対する実質価値に関する問題でございます。あわせて需給関係から、いまお示しのように、投資信託のことをおっしゃいましたが、実は投資信託が市場内部の需給関係につきまして一番大きな圧迫要因になってきておる、こういうわけでございまして、これに対しまして打ちました手が、昨年一ぱいで共同証券を中心にいたしまして千九百億でございます。これは一般市場からの買い上げでございます。それからことしの一月に入りまして共同証券の機関投資家としての買い出動のほかに、証券業者の組織いたします借り入れシンジケートという形で、完全なたな上げをするという意味におきまして、合計千七百億の買い上げを実施いたしました。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 これは一、二、三月の間にやったわけでございます。うち千二百億が投資信託の持っておりました株の買い上げでございます。ほかの五百億は大きな証券業者がランニング・ストックとして持っておりました商品有価証券の買い上げであります。これが内部の需給関係の改善とか不安の除去のために緊急になされました大きな措置の全貌でありますが、さらにこれに続きまして、先般来新聞にも報道されておりますとおり、五月、六月の投資信託の解約状況から判断いたしますに、投資信託の売り要因、市場圧迫要因がやはり最大のガンになっておるというわけでございまして、投資信託の持っております株式が市場に出ることを防ぐ一種の肩がわりするための措置といたしまして、三つの方法を最近とることに決定いたしております。一つは、投資信託の持っております公社債をどこかで買い取ります。これは大体六百億の限度であろうということであります。それから共同証券及び保有組合に資金量をそれぞれつけまして、合計相当な——との年内のみならず、長期といいますか、中期と申しますか、やや幅のある期間を見通しまして、投資信託の売り圧迫要因を排除するための資金ルートの確立をやったわけであります。これについてはまだ現実には肩がわりは行なわれておりませんが、昨今のような投資信託の事情でもありますので、近々再び投資信託の持っております株の肩がわりという形で相当規模のものが行なわれるという状況でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そうすると、すでに決定をした額まで入れると、山一証券も大井証券も含めると総額幾らになりますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 山一証券、大井証券の緊急融資のことでございますが、これは御存じのとおり、本質的な問題は、金融債を一般大衆から預かりまして、借り入れまして、それを担保に証券業者金融をつけておった、この返還要求が一度にまいりまして、そのためににわかに預かっております運用預かり証券の返還が困難である。証券業者といたしまして、現実にその金が営業資金として動いておるわけでありますので、漸次資産も負債も圧縮するという方向で合理化は進めておりますけれども、そうした短期間に大量のものの引き出しが行なわれるということに対処するために緊急の融資が行なわれたわけでありますが、これの残額は山一証券に対しまして、六月二十九日現在で二百三十四億でございます。それから大井証券に対しまして、七月七日現在で十億、これはいずれも証券業者のコール資金の返還という形でコール市場に入っておるという形になっております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私十二時にお客さんがくるので、まだたくさん質問があるのでありますが、要点だけやむを得ずちょっとお尋ねしておきますが、どうも山一証券にしても大井証券にしても、融資銀行が重役を派遣をしておって、かなり融資銀行としてめんどうを見なければならぬ筋合いの関係があると思うのです。どうもそれが無責任に、最後は日銀にみんなしわ寄せをしてしまう。私はどうも今回の状況というのは、大銀行がまことに無責任で、しかも悪く解釈すれば、こういう不況のときに証券界を大銀行の人脈で支配してしまう、つまり乗っ取りみたいな形が出てきているような気がするのです。こういう点、大銀行のとっている態度というのは少し私らが見ても横暴のような気がするし、どうも銀行の態度というのも納得いかぬ点があるのですが、証券局は一体そういう点指導上どう考えておるのですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 銀行それから証券業のような信用を重んじます機関と、一般の、たとえば物品を生産いたしております一般の企業の間に幾分の相違があるかとは思いますけれども、企業体自身とその経営者の責任というものは、私個人的に一応分けて考えねばならないという面が一つあると思います。と申しますのは、企業体というのは、一種の社会的、経済的存在でございまして、大きな生産施設も持ち、営業施設も持ち、あるいは労働者も雇用し、あるいは取引先を持ち、あるいは証券業者等におきましては、山一の場合などのように数百万にのぼる大衆を持っておるという関係もございまして、一挙に経営の不始末というものを経営体自体の消滅という形でその責任を問うということには私非常に大きな問題があろうかと思います。これとは別に、やはり経営者自体の責任追及ということは当然行なわれていいものであろう、われわれはそう考えております。今回の山一証券に関します緊急融資も、別に旧経営者のために融資するというわけではないわけでありまして、いま申し上げました数百万にのぼる大衆の保護と信用秩序の維持ということがそのポイントになっておるということは十分御承知おき願えることだろうと思います。いずれにおきましても、たとえ銀行出身者であろうと、本来の企業出身者であろうと、企業家の責任というものは今日以上に私追及されてしかるべきであろうと思います。会社更生法の従来の例を見てみましても、やはり旧経営者がそのまま残っておるという例もなきにしもあらずという状態でございまして、昨今は旧経営者に対する責任の追及というのは非常に大きくなっておる、これは私は当然の傾向であろうと思います。  それから、その後証券界へ銀行出身者が入ってきたということにつきましての非難もあるかと思いますが、これは今般ここで御審議いただきました、証券業の本質的なあり方の改革をいたします一つの方途として、証券業者の免許制をとったわけでございますが、やはり企業経営者の責任、特に自己資本の充実と健全経営という点につきまして、従来の株屋的な色彩が完全に払拭されておらない企業が多かったという面から見ますと、やはり大事な柱を打ち立てる意味におきまして、そうした金融機関出身者がささえになって混血するということでもって、証券界に新しい血液の補給が行なわれるという前向きの方向でこれを理解していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 とにかくダウ平均千三十円なんという、千二百円ダウ平均を守ろうという政府の昨年の方針も、これはもうまことに見込み違い。政府の打つ手は次から次へと打って、先ほど披瀝されたような膨大な金額を融資したにもかかわらず、どうも政府が考えておるような水準に来ない。これからあと、証券局長、打つ手といったら何があるのですか。このダウ平均を引き上げるために証券局としてこういうことをやったらいいんじゃないかというような名案というのはあるのですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 先ほど申し上げましたとおり、証券業界あるいは取引界内部の問題があるほかに、証券市場、特に相場というものは一般の企業活動の成果をそのまま反映しておる面もございます。あとう面につきましては、これは証券界とは直接関係ない、証券界の内部で手を打ちましてもいかんともしがたい面でございますが、一般的な景気対策につきましては先ほど御論議があったとおりであります。われわれはそれが効果を一日も早く発揮することを期待しておるわけでございますが、そうかと申しまして、証券界内部に問題なしとしないかといいますと、まだたくさんございます。これにつきましては、またあとでいろいろ御質問も受けるかと思いますが、取引市場全体に対する不安、不信のほかに、個々の企業としての証券業者に対する不信と申しますか、不安と申しますか、これが高まってきたことは非常に大きな問題でございまして、この意味におきます証券業者行政あるいは証券業者の信用回復のために何の手を打つべきかということにつきまして、非常に大きな問題が残っておるということは十分承知いたしております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 証券問題でじっくり質問しようと思って、実は資料を整えたのでありますが、時間がありませんので、あとで午後堀さんがじっくり専門家の立場から証券問題をやるようでありますから、次に一、二問つまんで税金問題でありますが、つい最近史上最大の大脱税、森脇氏の脱税問題が摘発されたようでありますが、こんなにもばく大な、六十二億円も未払い税金が発見されるというようなこと、われわれが吹原事件で追及をした結果、関連してこういうものが発見をされるという、国税庁はまことに後手です。こういう点について、いまの徴税体系に何か欠陥があるのではないか。あるいは欠陥というほどでなくても、徴税体系をやはり改善をしなければならぬ点がたくさんあるのではないだろうか。特に私はものを生産する会社でない、いわゆる金貸しだという、私に言わせれば不労収入、こういう人のふんどしで相撲をとるような金貸し業が六十二億円も未払い税金を発見されるようなことになると、これは日本の徴税全体に与える影響は非常に大きい問題だと思う。次長は一体今度の事件について概括的にどんなお感じを持っていますか。それからお尋ねします。

喜田村健三国税庁次長

○喜田村説明員 今回の森脇に関する脱税事件について、国税庁で検察庁が捜査する以前に把握できなかったということにつきましては、まことに遺憾に考えております。貸し金業という業種あるいは森脇という人物といったような特殊心情もありまして、技術的な困難はございましたが、ともかくこれだけの巨額で悪質な脱税について国税庁で十分これを把握できなかったということは、税務行政の体制上あるいは運営上いろいろの問題があると考えておりまして、この事件を契機といたしまして、この点反省、検討を加えまして、至急体制を整えて、国民の納税意識に悪影響を来たさない、こういうふうに万全の努力をいたす覚悟でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 喜田村さん、これを契機にと言われるが、税務署が一回も更正決定を出していないという、これはちょっと例がないですね。私たちの小さい地域の業者だって、更正決定は三年に一回ぐらいはたいがいの業者が受けている。ところが、こんな大口脱税が一度の更正決定も受けていないというのは、私はかなり徴税体系の中で検討しなければならぬ問題があると思うのです。ひとつ、次長はこれを契機にした名案を考えてみてもらって、われわれ大蔵委員にもそういうあなたの試案を出してもらいたい。予算のことなんか考えずに、一体どういうことをやったらほんとうに税務署が的確な、適正な、正しい徴税ができるのか、そういう点の案をひとつ今後出してもらいたい。  それから、私はこの森脇事件をずっと読んでみて感ずることは、やはり銀行がけしからぬと思うのですよ。この前一回田中大蔵大臣に、私はここで皆さんにはすぐ受け入れられない提案でありましたけれども、一案を述べたことがあるのです。それは、今日脱税をしているのはみな匿名預金あるいは無記名預金で雪だるま式にそれが大きくなっている。そうすると、出す時期がないのですね。これを設備資金にも使えない、運転資金にも引っぱり出せない。資本に組み入れれば、こんな金がどこにあったかというので、名前を借りた人がとっちめられる。それで結局、こういう各地に隠した預金というのは全国ばく大な額だと思うのです。これをうまく出させる方法というのを国税庁はひとつ考えていいんじゃないか。一定の時期を考えて、一定の時期以内に自主的に、自分はこういう隠し預金をして脱税してしまっていまさら使いようがない。金を持っていてもどうにもならないのです。銀行の担保にもできないのです。担保にすると、税務署の調査で、担保があるから借りられた。この担保はどうしたか、こうやられるから、金でありながら金の効果を生まない貨幣というものが生まれているわけですから、これはいまの税法とは別に何か特別法をつくって、一年以内なら一年以内にそういう隠し資産というものを吐き出させる方法、吐き出した場合には何か現行法よりも少しうまい汁を吸えるようなことを考えなければ、銀行はまたそれを出さない。期限内に出さない場合には、銀行局としてびしびし銀行を監督するぞ。これをひとつ国税庁と銀行局がタイアップしてやれば名案が考えられるはずだと思うのです。森脇の場合なんか、驚くなかれ千百四十口の預金の口座を持っていた。これでは税務署の職員がいまの程度の人数では全国の銀行預金を調べるわけにはいかないのだし、銀行が隠そうと思えば、これはなかなか発見できないわけです。ですから、これはひとつ銀行と国税庁とでタイアップした案を考えてもらう。そして一年なら一年以内に——私がこの前言ったのは、重加算税をみずから申告した者は半分安くしてやろうとか、そのかわり日本で脱税した者は一人もいなくなるのだぞという国民運動を起こして、この辺できれいさっぱりにする方法というものはないものか。これをやらないと、いまの脱税している連中というのはこの隠し金を出さないですよ。私はそんなことを考えるのですが、国税庁はどうですか。

喜田村健三国税庁次長

○喜田村説明員 現在銀行に匿名ないし架空名義で隠匿されているという留保所得に対して税金をかけないというわけにはまいりません。これはもちろんかける。そうしなければ、いままでまじめに申告した者と権衡がとれなくなるということでございます。それでは自主的に申告した場合には何か取り扱いはないかということでございますが、現行の重加算税の取り扱いは、税務署の調査を予知しないで申告したという場合には重加算税をかけないという制度になっております。そうした点で、重加算税をかけられたときの負担と比べれば、自主的に出してきた場合に若干安くなる、こういうことは考えられると思います。そのほか銀行の協力態勢の問題につきましては、国税庁といたしましても何か方策をとりまして、銀行側の協力ということ々得て、こうした脱漏所得が匿名といったような形で銀行に逃げ込むということのないような態勢を考えていきたい、こう考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 銀行局長、貯蓄増設の見地から、あまりびしびし隠し財源を出されては困る、こういう銀行の要望、圧力、そういうものがいま相当あると私は思っているわけです。匿名預金というものは廃止できない。そこで、やはりこれは国税庁に協力する立場上、銀行局長として、こういう事件が起こったときには当然何か私は各銀行に通達を出すべきだと思うのですが、そういう措置をおとりになりましたか。それとも今後そういうことをやる意思がありますか。やるのはまずいですか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 全銀行に対する通達はいま出しておりませんけれども、森脇脱税事件に関連する銀行預金の実態を把握する必要があると考えまして、関係銀行をいま調査中でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 調査中だけれども、その調査の結果——これはたくさんあるのです。ぼくらが知っているだけでも何件かある。そういう実態であるのですから、銀行局としても、私はこの際、やはり厳重に——確かに貯蓄増強を片方鳴りもの入りでやらなければならない時代、これはたいへんな時代です。しかし、やはり一方国家財政もまたたいへんな時代なんです。しかも法をくぐった悪い行為なんですから、これに対しては銀行局としてもこの際やはり厳重な警告を出すべきだ、文書にして流すべきだと思いますが、見解はどうですか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 御趣旨は十分ごもっともと存じますが、ただ、先生十分御存じのように、何ふんにもやはり預金の秘密性保持という問題もございます。したがって、従来とも実は国税庁との間では、銀行との協力態勢というものを極力整備するために非常に緊密に連絡をとりながらやっております。そこは当然やはり査察もしくは調査というものが入った具体的事案について、その当該疑いを受けている人の預金について、銀行はそれを伏せるというわけにはまいりません。極力それは出して調査に協力するということは実は従来ともやっております。ただ、ただいまのような状況でございますので、これについては、先ほど国税庁次長も申し上げましたように、今後また一段と、どういうふうに持っていったらよいか、よく相談をたいしたいと考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 最後に主税局長、税制調査会の委員の改選でこれから委員を選ぶようでありますが、会長と松隈さん——東畑さんと松隈さんはすでに受諾をしてくれたような報道でありますが、他の三十名の委員についてはどういう基準で選ぶのか。われわれは、前々から税調の構成というものに対して、本委員会を通じて、階層別とかいろいろ検討して出すべきだ、こういう強い意見をここで述べてきたわけですが、今回の税調の委員の選任にあたっての選考基準は一体どういうものであるのか、それをひとつ。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 お話のとおり、税制調査会の委員の任期はこの七月末日で切れることになりますので、八月に新委員の任命が行なわれる予定でございます。その選考の基準といたしましては、従来からとっておりますように、できるだけ広く国民の各層の意見が税制調査会に反映いたしますように、各方面の意見を代表する方を入れまして委員になっていただきたい、このような基準でおるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 各層の意見を代表する人というのは、従来のようなやはり階層別というか、別、そういう選考のしかたで、また財界の発言力が依然強くなるような、そういう人選に片寄らないように強く要望しておきたいのでありますが、主税局長、もう一度、いままでの選考基準と今度は違う、いや、違うことはない、前と同じようにやるというのか、どうですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 その点につきましては、従来と変わらないことはないのでありますが、そう大きく変わるつもりはございません。やはり税制につきましての学識経験者、学者の方あるいは消費者の代表の方、あるいは労働界の代表の方、こういった方々、もちろんやはり企業税制の問題もございますので、そういう点についてお聞きするために、産業界の方、金融界の方も委員になっていただくつもりでございます。しかし、いずれにいたしましても、その数のバランスにつきましては、できるだけ国民各層の意見が全部反映するようなバランスをはかりたい、このように考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 あと税収見積もりのことや、いろいろ主税局に尋ねようと思ってきたのでありますが、私。都合でこれ以上質問できませんが、ひとつ税制調査会の委員の選考にあたっては、何といっても納税人員は源泉納税者が多いということや、あるいは中小企業、零細企業こういうところの意見をかなり強く反映できるようなくふうを今回は特に配慮すべきである、このことをひとつ強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 きょうは大臣がおいでになるという当初の予定で、米価問題を中心にお聞きしようと思ったのですが、お見えにならないし、担当官も何かお疲れで来れないということですが、いま国民が一番注目をいたしておりますのは米価の問題でございます。したがいまして、きょう大蔵委員会が開かれてこれに一つも触れないというわけにまいらないと思いますので、一言だけひとつ政務次官でもお答えをいただいておきたいと思います。  一万六千三百七十五円にきまったようでございますけれども、これは農民の要求からは遠くかけ離れておることは申すまでもないと思います。こういう決定の結果、本年度食管赤字が六百四十五億円くらいふえて一千七百億円からになる、こういうことが昨今の新聞に報じられておりますが、本年度の食管赤字は大体幾らくらいになるか。したがって、これは当然に消費者米価の値上げ問題と関連してくると思いますが、担当官がお見えになっていないので具体的な数字がおわかりにならなければ、およそでけっこうでございます。大体どういうところか、お聞かせをいただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 国民生活にとって非常に関係の深い米価の決定を見まして、その直後の委員会で大臣並びに所管の主計局関係者が出席いたしておりませんことをまことに申しわけなく存じます。私、まだなりたてでございまして、まことに不十分な答弁で申しわけございませんが、いまお話のように、生産者米価が決定をいたしました。要望される生産者側の米価とは相当下回ったわけでございますが、それと申しますのも、やはり消費者米価を極力上げない方向で努力するという考え方が含まれておることは十分御推察いただけると思うのであります。ただ、現在の食管特別会計の赤字が今度の値上げによって一千七百億近いものになるということ、農業政策全体の歳出、こういったことを考えますと同時に、現在の財政状態、こういったものを総合的に考えると、消費者米価も適当なときにはまた考えなければならない。いまいつごろどういう幅で上げるか、こういったことは私も承知いたしておりませんが、まだ大蔵当局自体も数字的に詰めておらない、このように思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 重大な決定になりますから、なかなかいますぐ答弁は容易でないかと思いますけれども、先ほどから言いますように、国民は物価の問題その他と関連して番注視をいたしておる。いわゆる消費者米価をいつどのくらい上げるか。具体的でなくても、たとえば新聞ですでに大蔵当局は十月から上げたいといっておる。ところが、政府与党は年内一回は無理だから来年早々だ。ことしも正月早々上がったわけですから、また来年の正月だ、こういうことになりますけれども、ここいらはほかの経済政策全般とも非常に関連がありますから、そういうことは抜きにして、いまの米価問題については参議院選挙が終わった直後でありますし、みんな関心を払っておりますから、年内に上げるのか、来年に上げるのか、この程度はすでに新聞に出ておることでもありますし、新任早々とはいえベテランの大蔵委員であった藤井さんでありますから、そこいらのところは心得てお答えができると思いますから、年内か来年か、そこいらの大体のつもりでけっこうでございますけれども、ひとつこの委員会でお答えをいただきたいと思います。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 生産者米価の値上げ幅、最初の大蔵当局案は新聞に出て御案内のように五百二十五円、この案なれば当然年内には上げないということははっきりいたしております。その後いまお話がございましたような値上げ幅になったわけでございますが、極力年内は消費者米価は上げたくない、こういうことは私も聞いております。しかし、今後の推移を見てどうなるか、これははっきりした答弁が現時点に立ってはできない、このよにひとつ御了解を願いたいと思うのです。

只松祐治日本社会党

○只松委員 当初予算、予定よりも上回ったから上げることもあり得る、こういうふうに理解していい、こういうことでございますか。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 そういう場合もあり得ると私は思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 こういうことになってまいりますと、いまの年内に値上げ、上げないは別にいたしまして、また補正予算が必要になってくる、こういうことになってくると思います。  そこで、今度は若干税金の問題についてお聞きをいたしたいと思います。先ほど武藤委員の質問からもおわかりのように、まだ税調の委員が全部きまっておらない、こういう状況のようでございます。ところが、政府は参議院選挙中に一千億減税をする、こういう発表をしたわけでございますが、大臣はきょう来ておりませんけれども、こういう発表をするからには大蔵事務当局も無関係ではなかったと思う。これにどういう形でタッチをされましたか。そういう委員さえもきまっていないのに、しかもたびたび本委員会で税調の答申を重んずる、こういうことを繰り返しながら、委員もきまっておらない段階で選挙対策的なああいうことをするというのは、単に野党という立場だけでなくて、これは責任政治を行なっておるたてまえからいって、きわめてけしからぬことだと思います。しかも、内容に至ってもあとで御質問いたしましたけれども、でたらめしごく、こういうものを発表しておるわけです。大蔵事務当局は一つも関係しなかったか、どうですか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 お話のように、先般大蔵大臣が党の幹部の方と御相談の上、明年度におきまして国税、地方税を通じて平年度千億円以上の減税を行なうということを御発表になったわけでございます。ただ、その具体的内容につきましては、その節新聞にも若干出ておりましたように、明確にまだきまっておるわけではございませんけれども、所得税及び企業減税、それに住民税を加えまして、平年度千億円以上の減税を行ないたい、こういう御意向であったわけでございます。ただ明年度の減税ということになりますと、私ども事務当局の立場といたしましては、明年度どの程度自然増収が出るか、そしてまた、歳出との関連におきましてどの程度減税財源を確保することができるか、その点がなかなか見通すことができません。したがって、事務当局といたしましては、まだ明年度幾らの減税を行なうということは申し上げることはできません。今後税制調査会が、先ほどお話がございましたように、委員の任命がえが行なわれまして、鋭意検討していただきまして、その御答申を得ました上でやっていくことになると思っておるのでございます。ただ、国税、地方税を通じて平年度千億以上の減税ということは、従来からその程度の減税は行なわれてきておるのでございまして、ただ明年度は財源が乏しいところで、はたして幾らの減税をするかということが問題なだけでございますので、平年度千億くらいの減税をやるかやらぬかということは、これは一つの大きな政治的な決定であろうと思うのであります。私どもといたしましては、そのやる内容につきましては、今後大いに検討いたしていきたいと思っておりますけれども、その程度の額になるかどうかということになりますと、これはいままでの実績からおわかりのように、減税をやるとなればその程度の額になることは当然であろうと思っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いや、この発表に事務当局も関与されましたかどうか、具体的な点を一応検討されましたかどうかということを聞いておるのです。だから、していなければしていないでけっこうですし、しておれば、どういう形でしておるか。これは衆議院選挙ではございませんけれども、参議院選挙の当時、自民党が国民に公約しておりますが、ただ抽象的にしたのか、あるいは事務当局が参加してやったか、これは本委員会としては重要な問題でありますから、聞いておきたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 こういうものは、そう端的に、参加しておるか、しておらぬかと言われますと、なかなか微妙な問題でございまして、参加しておらないと言えば変なことになりますし、参加いたしておると言えば、具体的な内容がきまっておらないじゃないか、こういうことでございます。もちろん大臣とお話はいたしておりますが、そのお話の程度を事こまかに申し上げる必要はないかと思いますが、やはり平年度千億以上の減税を行なうということは、これは政治的な決定でございまして、そのことと、それから事務当局がどの程度それについて意見を申し上げたかということは、これは別だと私は思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 全くしんにゅうの名答弁で、相談があったか、なかったか。あったような、なかったようなお話ですけれども、真意を察すれば、あった、こういうふうに解してもいいと思いますが、そういうふうに解してよろしゅうございますか。まあ、一銭一厘の具体的な数字まではいかなかったにしても、大体こうこうこういうところで、こういう見積もりでこのくらいはできるでしょう、こういうことは行なった、こういうふうに解しておいてよろしゅうございますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 先ほどから申し上げておりますように、問題は来年度自然増収が幾ら出て、幾ら減税財源を確保するか、これが一番問題でございまして、その点がいままだはっきりいたさない段階でございますから、したがって、そういう意味では事務当局として減税案の内容ができ上がっているというものではないわけでございます。ただ、従来からの減税をごらんいただきますればおわかりになりますように、所得税一つをとりましても、基礎控除を一万円引き上げますと二百数十億の減税になります。配偶者控除を一万円引き上げましても百億をこえる、こういう状況でございます。自民党のほうでは、標準世帯におきまして年収六十万円までは非課税にするというような御方針であるようでありますので、それで計算いたしますと、基礎控除を上げるか、配偶者控除を上げるか、扶養控除を上げるか、あるいは給与所得控除をどの程度に上げるか、これによって金額は違いますけれども、いずれにしても、いまの平年度五十六万四千何がしの課税最低限を六十万円に持っていくことにいたしますと、それだけで平年度六百億をこえる減税をしなければならないということになるわけでございます。そのほかに住民税のほうで、御承知のとおり、いまの各種控除が三十五年の所得税のままに据え置かれまして今日にきておりますけれども、やはり住民税につきましても控除を引き上げることが望ましいことは御案内のとおりでございますので、やはり国税にある程度追っつこうといたしますと、その上げ方いかん、案の立て方いかんにもよりますけれども、やはり三百数十億の減税にはすぐなるわけでございます。その両者を合わせましても、すでに平年度千億を上回る金額になります。これに企業減税が加わるわけでございますので、まだその内容はきまっておりませんけれども、それらを合わせますと千億をこえる減税になることは確かであるわけでございます。ただ要は、はたして来年度自然増収をどの程度見込むことができ、また歳出との関連において減税財源をどの程度確保することができるか、その政治的な決定さえできれば、減税案の内容そのものは平年度一千億をこえる減税になることは確かである、このようなことであるのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま聞きますと、多少相談をされて、内容の検討もあったかのような印象も受けるのであります。野党が一つのスローガンを掲げて、減税をするとか——これも無責任であってはなりませんけれども、それならまだしも、与党が選挙の最中に、しかも終盤戦に国民に減税を約束する、しかも年収六十万円の所得までは云々といって、多少の具体策もにおわしたものを発表する。いま聞いてみると多少はあったと思いますけれども、それほど事務当局との相談もない、ましてや税調の答申も何もない、こういう段階に、いかに選挙のためとはいえ、選挙の終盤戦にあたって、こういう、いわば無責任な、いわゆる数字の裏づけがない、しかも具体的な実行のあれがないものを発表する、これは政党政治の堕落だと思う。きわめてけしからぬと思う。きょうは大臣が来ておりませんのでそういう意味の論争をなかなかいたしかねるかと思いますけれども、新任早々でありますが、政務次官もお見えでございます。与党代表でありますが、こういう点は私はきわめて遺憾だと思いますが、政務次官はいかにお考えになりますか。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 私は、いいことは腹がきまれば早く発表したほうが政治はいいと思います。減税ですから国民が待望していることである。たまたま選挙の時期——これは言わぬが花でありまして、各党それぞれ選挙対策は考える。同時に私は、野党の、特に社会党の只松さんでありますから申し上げたいのですが、いつでも政権を担当していただかなければならぬ野党でございますから、その減税案もやはり自民党の減税案と同じように責任のある、根拠のある発表でしてもらいたい。それを言うのは、先ほど只松さんの、野党ならば少々根拠がなくてもいい、そういうようなことはまことに不適当であると私は思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 ここで藤井さんと論争しようとは思いませんが、根拠がなくてもいいとは言いません。野党ならばまだしも、こういうことを言っておるわけです。しかも、選挙対策として若干のスローガンを掲げたり、政策を発表することは、これは当然のことです。ただ、税金というこういう具体的な問題、しかも年収六十万まで云々というような、こういう問題も、いま申しますように、大蔵事務当局もそれほど深くそろばんをはじいておらない、あるいは、まして私どもたびたび言っているように、税調が意見を出しておらない、答申もしておらない。こういうことなら税調は私は要らないと思うのです。極端に言えば、主税局も要らない、こういう形でひとつ与党でおやりなさい、こういうことになると思うのですよ。しかし、少なくとも与党で権力を握っている自民党が発表する場合には、そういうことはやはり考慮すべきで、まして税調というものを重んじて、いわゆる税の問題について本委員会でも審議をしてきておる。そういうことをお考えになるならば、単に与野党というようなことではなくて、もっと慎重であらねばならない、こういうことを私は言っておるわけです。藤井さんと論争しても始まらないから、私はそれ以上いたしません。大臣でもお見えになったときにしたいと思います。それから、発表のしかたにもいろいろございますが、そういうことのこまかいことになりますけれども、大体いままでは減税を発表する場合に、国税を中心にして発表をしてきた。ところが、今度の場合にはいかにも地方税と合算して一千億というような形で、そこいらにも国民を欺瞞すると申しますか、なかなか手の込んだ発表のしかたというものがなされておるわけでございます。ひとつそういう点もあまり国民を惑わさないように私は今後していただきたい、そういうことを要望して、また今後この問題はやっていきたい。  ただ、ここで減税の問題が出ましたから、この問題だけひとつ明らかにしておきたいと思うのです。自民党でもいいし、大蔵省事務当局でもけっこうですが、減税をする場合には、いわゆる国民のふところぐあいを考えて減税をしていくのか、国民生活を中心に考えてしていくのか、あるいは国のふところぐあい、国家予算あるいは税収の伸びその他を基盤として考えていくのであるか、どっちにウエートを置いてお考えになっておりますか。さっき言いました今度のことは別にいたしまして、原則的な問題ですけれども、なかなかこういう問題はこういうときでないと話がしにくいわけでございますが、ひとつこの点はお聞きしておきたいと思います。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 まず、先ほど本年度国税、地方税を通じて平年度一千億以上という、この減税の方針の発表が何だか奇異の感じを持たれるような御発言がございましたが、これは従来でも、たとえば三十八年度の減税のとき、池田総理大臣が国税、地方税を通じて平年度二千億以上の減税ということをおっしゃったことがあるのでありまして、減税と申し上げるときには、常に国税と地方税を通じて平年度幾らという言い方をしておるのでありまして、今年特にこの表現を変えたということでないと思います。それは昨年の四十年度の減税の際におきましては、地方税のほうが減税の内容があまりございませんでしたために国税の減税が先に出たのでありまして、それは住民税についても減税をしたいのでありますけれども、均衡化をやるということで、その二年目に当たっておりますために、四十年度には住民税に手をつけることができない、こういうことから国税を中心に申し上げた経緯がありますけれども、従来から減税というときには、国税、地方税を通じて平年度幾ら、こういう表現をいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。  それから、減税をするにあたってどういう見地から考えるか、これはもうお話し申し上げるまでもなく、国民の租税負担と国民生活の状況、これが基本になることは申し上げるまでもございません。しかしそのほかに、もちろん財政の収支を償う、収支のつじつまが合うかどうかということももちろん考えなければなりませんけれども、基本は、国民の生活の状況と、その場合における租税負担、こういうものがいかにあるべきかという見地からなさるべきものと考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 次に、いま問題になっている——さっき森脇の問題でも出しましたが、いわゆる粉飾決算がたいへん問題になっております。大蔵当局で、あるいは大蔵省と法制局その他とお話し合いをなされて、粉飾決算を法律的に何か取り締まるというか、できるだけできないようにしていこう、こういうことが話し合われている、こういうふうに仄聞いたしておりますが、そういうことはございますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 粉飾決算が非常に多いということが問題になっているのでございますが、ただこの粉飾決算と申します中にもいろいろ態様があるのでございまして、十分な償却をしなくて利益を出す、あるいは引き当て金、準備金を十分にとるべきことをしないで利益を出して配当に回す、あるいはこの程度をさらに越えまして、架空の売り上げを計上いたしまして、本来利益がないにもかかわらずあたかも利益があるかのごとく計上して配当を行なうといったようなものにまでいろいろこの粉飾の態様があるようでございます。この点につきましては、すでに只松委員も御承知のとおり、先般商法の改正が行なわれまして、計算規則が明確にされまして、たとえば減価償却でございますと、相当な償却を必ずしなければならない、そしてまた有価証券報告書におきましては、償却範囲額と償却実施額とを注記しなければならない、こういうことによりまして、償却が適正に行なわれているかどうかということが財務諸表を見ればすぐわかるようにするということによってその措置を講じていく、それからまた、引き当て金、準備金等につきましては、これはものによって、企業の状況によって引き当てをとらない、あるいは準備金を積み立てないという企業もあることもありますが、できるだけその際積み立てなければあとでは積み立てができないような方向でやっていくというような措置をとっております。  それから、この架空売り上げの点につきましては、これははなはだ遺憾なことでございますが、そういうことをしないようにする有効な手段が現在のところございません。したがって、あとで架空売り上げであるということがわかった場合に、それに対してどういう処理をするかということがなかなか困難でございます。したがって、われわれといたしましては、粉飾決算を行なわないように経済団体全体におかれまして適正な会社経理を続けていただくようにお願いするほかはない次第でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういうことを聞いているのではなくて、よく言われておりますように、片一方には配当をし、片一方には赤字だ——いわゆる国税庁には赤字で、税金を一銭も納めない。山陽特殊鋼は端的な例ですね。だから、こういうことに関して相互にその資料を見せ合ったらどうとか、あるいはまあ全体的なものについてはあれだけれども、特殊なものについては見せ合ってもいいとか、いままではそういうものは何か国家公務員といえども秘密の保持というようなことで、大蔵省の同じ管轄内でも見せ合ってはならない、こういうことがあったようでございますが、ぼくらは見せ合ったっていいと思うし、当然見せ合うべきだというふうに思いますけれども、いままではそういうことをやっていた。ところが、法制局が中に立つか何かで、そういうことができるんだ、こういう解釈がなされておる、こういうことを聞いておるのですが、そういうことをなされておるのかどうか、あるいは今後どういうことをされようとしておるのか、こういうことを聞いているのです。これは泉さんでなければ、国税庁のほうでもいいのですけれども……。

喜田村健三国税庁次長

○喜田村説明員 現在税務の申告書は、おっしゃるとおり、税務官吏以外に見せないという制度をとっております。これがいま会社決算と食い違う場合に、いまおっしゃったような矛盾した決算が二つ並ぶということになるということで、これを防止するために、税務の申告書を大蔵省部内で証券局のほうに通報したらどうだという御意見が、この間の大蔵委員会でございました。検討いたしましたのですが、やはり税務の秘密というのは、税法で非常に重い罰則によって守られておる。それがつまり強制権を裏づけとした調査によって知り得た秘密を他に漏らすということは、納税者の権利を害するということのためにそうした重い罰則がついて、秘密の保持の義務を課しておるわけでございます。したがいまして、その趣旨を尊重いたしまして、現在のところそうした法制上の措置を講じて、証券局に通報してもよいというふうには現在のところは考えておりません。法制局でもそうしたことについて特にそれがかまわないのだというような見解は出しておりません。ただ、そうした場合、どうやったらいいかという問題につきましては、公認会計士の監査、あるいは証券局における監査という場合に税の申告書を見るようにしたらどうだというような具体的な解決方法でもって対処していく、税の調査書類あるいは申告書類を積極的に外示するというような方法でなくて、会社に調査にいったときに、そうした公認会計士なりあるいは証券局の調査というもので申告書を見るというような方法で解決したらどうだ、こういうような方法を考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 税務署が調査したものは、いまあなたがおっしゃったようなこととしてそのまま認めるといたしましても、むしろ問題は、逆にいわゆる株の配当をしておる、しかし、税金は一銭も納めておらない。このほうがむしろ問題が多いわけですね。だから、それだけいわゆる国税庁関係の秘密を厳守するといたしましても、証券局の場合はそれほどじゃないと思うのですよ。だから、証券局でこんな配当をしておる、そうして国税庁のほうに一銭も納めておらない。特に大会社の場合は相当明らかにすることはできるわけなんですから、証券局のものを国税庁に通報する、教える、こういうことができると思うのですよ。だから、国税庁のほうから証券局なり、その関係官庁に通報するということも私はすべきだと思うけれども、まあそれはそれで、税制小か何かでまたやりたいと思いますけれども、証券局のほうには片一方では黒字として配当している、片一方、国税庁には赤字で一銭も納めておらない。これは私も今度の参議院選でお話ししたら、このくらい受けた話はないのですよ。中小企業の皆さん方もひとつどうです。同族会社がたくさんあるでしょうが、かあちゃんや、ねえちゃん方にひとつ高給を出して赤字にしておく、そうしておいて、あるいは若干配当をしたような形にして、税務署には赤字だ、こうやって申告してごらんなさい。そういう例をつくって私のところに持ってきてください。ひとつ私も大蔵委員会で大いにやってみたいから、こういう話をしたのですが、たいへん中小企業者は喜びまして、やんやの拍手だったわけですけれども、零細企業に問題を移して——そういう時間もございませんからほかの場でしますけれども、あるいは極端な例ですが、わが家は赤字だから勤労所得税ちょっと待ってくれといって納めないでやってごらんなさい。理論的には大会社も中小企業も、あるいは個人生計費も同じですよ。勤労者は一〇〇%取られ、中小企業者もシビアーに調べられる。大会社だけが調査能力が国税庁に不足だということで、結局そういうことが公然と行なわれておる。高額所得者、森脇のような例もたびたび私は話をしたが、高額所得者は調べる、こういうことを前の長官のときからお話になっておりますけれども、私は資料をいただいたということもなければ、一向にそういう話を聞いたこともない。したがって、平然と六十何億脱税するなんということが行なわれておるわけですね。  話はそれましたけれども、大会社の話に戻しまして、そういうことが平気で行なわれておるわけですから、これが依然とし平気で行なわれるということになれば、国民の納税意欲というものは非常に減殺されてくると思う。私はひとつ納めないでやってごらんなさい。どういうことが起こるか、ひとつ皆さん方とやってみようかとさえ思っているけれども、そう少しこの会社の経理状態というものをシビアーに監督し、納めるものを納めさせる。やはり監督官庁の皆さん方はこういうことをすべきであろう。それを何かあるとできませんとか、秘密ですとかなんとか逃げを打たれるが、そういうことで中小企業にも手心を加えていただければたいへんけっこうだと思います。そうして中小企業の場合は銀行の調査の際も他府県まで出ていって全部洗ってしまう、こういうことを平気でなさるわけですよ。今度検察庁で森脇を六人くらいで二カ月間くらい洗ったのでしょう。国税庁で十人くらいぶち込んで——私は速記録をここに持たないが、大会社にはたびたび何百人で何カ月もかかってと、前の木村さんは答弁しておりますけれども、そんなことならできておりますよ。だから粉飾決算にいたしましても、直接には証券局、全体としては大蔵省ですけれども、そこらのところは改善する余地があるのではないですか。特に証券局のほうから知らせても差しつかえないのでしょう。そこいらはどうですか。

喜田村健三国税庁次長

○喜田村説明員 現在の税務署の申告書類は公表決算書類がついてまいりまして、その公表決算書類を申告段階で修正いたしまして申告書ができているわけでございます。したがいまして、先ほどの決算では黒字である、また申告では赤字であるという場合には、決算書類を、たとえば先ほどの架空売り上げであるとか、あるいは過大経費であるとか、こういったものを申告の段階では修正して申告書が出されてきているわけであります。したがいまして、証券局に出されている決算書類というのは、税務署のほうではすでにわかっているわけでございます。ただそれを調べてみますと、いまのように架空の売り上げがあるとか、架空の在庫がある、そういったようなものが申告の段階では修正されているだけでございまして、特に証券局のほうからそうした書類をもらいましても、税務署としては、すでにわかっていることが通報されるということだけになります。ただ、それがいかにも脱税であるというような御疑問をお持ちのようでございますが、公表で黒を出しておる、しかし申告の段階では修正して赤字にしてきておるといった会社につきまして、その実態がいまのように架空在庫であるとか、架空売り上げであるといったような水増しのために公表がふくらんでおるという場合には、その赤字の申告のほうが正しいのです。間違っているのは公表決算が間違っているということになるわけでございまして、税務署といたしましては、そうした場合には申告の内容も決算の内容も、いずれも十分検討いたしまして、税務署の調査したところと違えば、すべてこれを更正決定するというとこによりまして、適正な課税というものが実現できるように努力しているところでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 だから、そのセクション、セクションだけで見ればそういうことで、あなたが国税庁から見ればそういうことだ。今度は逆に証券局のほうの問題に移しますと、赤字のものを黒字としてしておれば、これは背任罪か私文書偽造なりあるいは商法違反なり何なり、何か全部出てくるのでしょう。しかしながら、大蔵省全体として見れば、どこに責任が——国税庁はこっちが正しいのだ、証券局のほうは、いや、こうやっているのだから、そこまで調べる権限もないし、こうなっている。そこらのセクションだけで見れば、少しもミスはないように見えるけれども、一つの大きな会社なら会社というもの、特に大会社ですが、山陽特殊鋼をごらんになればわかるように、片一方は配当して、どんどん銀行もそれに融資して、これは銀行局とも関係してきますけれども、それだけつぎ込む、ところが、片一方の国税庁には一銭も、しかも一年間ならまだいいけれども、数年間納めておらない。こういうことになったら、日本の経済を指導していく大蔵省としては責任なしといたしますか。そういうことじゃないでしょう。だから、まあ一セクションだけではそういう答弁なりそういう解釈もいいかと思いますけれども、政治というものは、あなたたち事務的な立場はそれでいいけれども、特に政治を行なっている——これは大臣がおれば大臣が御答弁になることですが、次官から答弁されてもけっこうですけれども、経済全般を指導していくという立場に立てば、そういうワン・セクションで問題を考えて、それで事なかれ主義でいく、こういうわけにはまいらぬと思う。だから、結局株主も迷惑するし、下請企業も迷惑するし、銀行関係も迷惑する。山陽特殊鋼一つとってもそう、山一証券一つとってもそう、どれをとってもそういう事態というものは起こってくる。しかも今後たくさんそういう問題が起こってくる。倒産会社がたくさん出ている中では、そういう類似のケースはたくさんあります。こういうことで、私たちは事務的な問題を言っているのじゃなくて、政治の場からこういう問題をもう少し善処する方法はないのか、こういうことを言っているわけです。そうすると、大蔵省全体としては、何らかの形でお考えをいただく、こういうことになると思うのです。私は、そういう観点も含めて、何かの新聞に、法制局を中心にそういう法解釈が進められておるように散見したので、これはいいことだ、こういうふうに解釈していたんですが、いま聞くと、そういうことはないというのです。どうです。藤井次官、ひとつそういう方向で問題を検討していかないと、経済界というものはたいへんになってくるし、納税行政というものも私は必ずしも円滑にいかない、こう思うのですが、どうですか。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 只松委員のいまの御意見、私も十分検討すべき問題がたくさん含まれておると思います。いろいろ企業家の経営責任、モラル、こういった問題とも関連があるわけでございますが、制度的にあるいは政策的に手の打てる面は今後積極的に大蔵省としても手を打つ、こういうことにわれわれも努力したい、このように思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間がございませんので、次に証券対策の問題を一、二お伺いしたいと思います。  まあ山一や大井証券その他に日銀はどんどん金をお貸しでございますが、きびしく監督とかなんとか新聞にえらく出ております。こういういわば国家の金、国民の金を一証券会社に貸すということは、きわめて私はゆゆしい問題だと思います。それはいずれ日銀総裁が来て質問することになっておりますから、それはそれにいたします。大蔵省としてきびしく監督するというのは、具体的にどういうことをしておるのか、その点をお聞きしたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 まず第一は、そうした緊急融資を受けることが必要となった、そういう経営状態をいかに回復するか、再建計画が一体できるのか、できないのかという突き詰めにつきまして、相当厳格な監督と指導をやるということが第一番でございます。ましてや、そうした緊急融資を受ける以上、あとで十分そういうものを弁済し得る計画が立っておるということが前提でありますので、再建計画の樹立につきまして厳格な指導をするということでございます。  それから第二は、旧経営者に対する責任追及という問題が残っております。これはなかなかむずかしい問題でありますが、昨今の大きな会社の倒産等を通じまして、一般的な民意として、この経営者に対する責任の追及ということが非常に声大きく言われておりますし、私も先ほど申し上げましたとおり、企業とそれから旧経営者の責任というものは一応分けて考えなければならぬ面もあるのでございますので、旧経営者の私財提供その他につきまして、適時適切な手を打つ、一般民衆に納得される方途でこれを解決するということが必要であろうと考えております。  第三は、当面、緊急融資を受けます関係上、その後の財産に大きな変動を生じます事実につきましては、金を貸す債権者として、重要な財産の処分その他の移動につきまして監視したい、こう申しておりますのも、もっともなことであろう、以上、三点でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 あなたそういういまの抽象的なお話のようですけれども、私は、これだけの金を融資するからには、しかも公の金でございますから、もっと具体的に監督の方針と申しますか、あるいは融資の方針と申しますか、そういうものを樹立されるべきだと思います。特に無制限、無担保に金を山一あたりに貸す、こういうことが言われておるわけでございますが、そうなればなるほど、これはよほどこの融資の方法、ルールというものを明確にしていかなければならぬ、こういうふうに思うのです。ぜひそのことを一そう、いまみたいな抽象的なあれじゃなくて、むしろ本委員会に文書でそういうものを提出する、このくらいの方針をひとつ樹立していただきたい。できれば私は、こういう方針を文書化して、公にもしていただきたいし、本委員会にも出していただきたい。そうでないと、これもまた選挙の話になりますけれども、山一あたりにこんなに貸し付けて、中小企業に一体どうやって貸すんだ、日銀とか銀行からどうやって借りるのだ、こういう話もたいへんに受けたところなんですよ。それが受けたのは、国民がどれだけこういうものに怨嗟の目をもって見ておるか、こういうことになるわけでございますから、ひとつその点はあとで理事会でやっていただきたいし、私個人としても要望しておきたいと思います。  それから、山一にすでに二百三十四億円貸して、また、大井へ二十億貸すとかなんとかということですけれども、山一に幾ら貸したら、山一が具体的に再建のめどがつくのか。まあ、無制限、無担保というようなことは全くばかげた話なんですけれども、少なくとも一つの会社を再建するには幾らこういうふうにしたらいいんだということ、これは病気一つなおすにしたって、病原体を探って、原因を探って、こういうふうにする、こういうことだと思うのですけれども、山一についてひとつお伺いをする。  それから、すでに共同証券のときに私いろいろ論議をいたしました。田中さんは当時、二千億塩づけにすれば株価というものはもう十分なんだということを繰り返し繰り返し、これは速記録をごらんになるとわかるけれども、私も二回か三回聞いておりますが、お答えになりました。そういうことが違ったことは、私たちが指摘したとおりです。そのほか、保有組合や何かいろいろな形を通じて融資が行なわれておりますけれども、一体今後証券界に幾らの金を投下したら証券界というものは、いわば皆さん方がおっしゃっておる正常に戻る、こういう見通しがあるかどうか、これらをひとつお聞きしておきたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 第一番目は、個別企業でございます山一証券に対する緊急融資のめどでございますが、御存じのとおり、これは運用預かりの一般大衆からの緊急引き出しに対応いたします緊急措置でありますので、三月末に山一証券につきましては運用預かりで五百五十億あったということは申し上げたとおりであります。それで、最高限その範囲で済むと一応考えられます。おそらくここまで出ずに済むのではなかろうか。まあ最高限幾らかとおっしゃれば、運用預かりの三月末の残高を申し上げる以外に方法はないと思います。  それから第二の、市場の流通のアンバランスを回復するには一体あと幾ら資金があればいいのかという問題でございますが、先ほど申し上げました投資信託の売り圧迫要因というものだけから判断いたしますと、その要因からくる所要資金というものは一応計算は可能でございますが、しかし、さりとて投資信託の解約に応じます所要資金といたしましても、これは基本的には証券市場の一般の推移、その根っこにあります企業の景気回復のテンポというものと関係してくるわけでありまして、いまにわかにこれぐらいあれば大丈夫だというふうにここで断定的に申し上げるわけにはまいらないだろうと思います。そこで、投資信託だけについて試算いたしますなら、これもたくさん仮定を置く必要があるかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、六月のいわゆる設定と解約の差し引きマイナス四百数十億という状態が私いつまでも続くとは考えておりません。漸次平静化すると思います。  それで、市況の安定と証券業者に対する信用力の回復の点はいかんということでございますが、少なくとも四百億というものは、年内、十二月ごろまでは一体幾らの元本ベースで減少になるのか、これもある仮定を置いて推定する以外に方法はないと思いますが、漸次平静化すると仮定いたしまして、たとえば、この一、二、三、四の平均マイナスが百二十億だと私先ほど申し上げました。たとえば十二月ごろまでで漸次落ちついてまいりまして、月々四百億の元本ベースの減少が、たとえば十二月ごろで漸次減ってくれば、二百億というぐらいでとどまると一応前提を置きまして仮定しますときには、年内に資金ベースで千二百億ぐらいのショートになる計算がございます。それに組み入れ株式の歩合がありますので、もしほっておけば市中に放出しなければならない、結局市場に対する売り圧迫要因になるであろうと想定される株の合計はおそらく一千億前後、一応そういう仮定のもとにおいてはそういう試算が可能であるということを申し上げられると思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういう点、もう少しいろいろやりたいと存じておりますけれども、時間もきておりますので、きょうはこの程度にいたしますが、先ほどから申しました監督するというその監督の具体的な条件その他、これは国民の金ですから公にしてもらいたいということを要望したのですが、理事会その他で、出せないということならあれですが、御検討いただきたいと思います。日銀からの融資の条件その他について……。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 その点につきましては、理事会等でまた具体的に社会党のほうから出していただいて、検討することにいたします。  午後一時三十五分より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇————−    午後一時五十一分開議

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 だいぶ長い間証券問題が非常に不況を続けておりましたし、いろいろと論議をすることが必ずしも適切でないという場合もありましたので、今日までこの問題についてあまり論議をしてまいりませんでしたけれども、大体、全体の様子を見ておりますと、ようやく問題は非常に深刻な状態になってきて、今後の見通しについても必ずしも明確でないという状態になってまいりましたので、本日は少し時間をかけて資本市場の諸問題についての根本的な論議を少しさせていただくことによって、本日大臣は御出席ではございませんけれども、次官並びに事務当局において今後の御検討を進められるための一つの素材を提供するというような気持ちで、ひとつ問題を提起をしてまいりたいと思います。  そこで、まず最初にお伺いをしたいのは、広くは資本市場対策、狭くは証券対策としてこれまでとられておる措置、これをひとつ大まかに区分をして考えてみていただきたいと思うのであります。私は、一応、証券市場に対するてこ入れの問題、それから二番目は証券業者の合理化の問題、三番目は投資家保護に対する措置、こういうふうに三つに分けておりますけれども、これらについてこれまでとられたものの中の、大蔵省としてこういう措置をこれについて行なった、こういう措置はこの部分として考えたというような整理の区分は、私は三つに分けましたが、そちらでは幾つにお分けいただいてもけっこうでありますけれども、全体を含めて、ひとつその対策についてお答えをいただきたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 お答え申し上げます。  現在までとってきた資本市場ないし証券対策の概要を述べろということでございますので、お示しの区分に従ってお話ししたいと思います。  まず第一ですが、てこ入れ、これはおそらく流通市場対策と申していいかと思いますが、基本的な証券市況を動かす要因としての企業収益の状況が、ブームのまだ八分目と目されておりました三十五年の下期以降、一運用資本当たりの収益率がすでに低下傾向を示してきておるということは、もう諸般の分析によって十分御存じであろうと思います。それに合わせまして、従来からの額面、それから旧株主割り当て制度、それから金融機関と企業家との癒着関係等を通じまして、非常に市場としては受け入れがたいような増資が盛んに行なわれた、それから非常にブームの波に乗りましてそういう不都合な面が隠されて、人気がさらに人気を呼ぶという環境下におきまして、いまから見れば不都合な増資が盛んに行なわれたというような大きな事情がございまして、すでに三十八年の十二月以降非常に弱い市況になってまいったことは御存じのとおりでございます。これに対する対策といたしまして、おそらく戦前の例にならったものであろうと考えるのでありますが、一種の特殊な機関投資家をここで設定するという構想に基づきまして、三十九年の初めに共同証券という非会員の証券業者の設立を見たわけであります。これは当初、たしか一月から三、四月ごろまで一機関投資家として活躍いたしまして、百五十億ないし二百億程度の買い入れしかしてなかったかと思いますが、夏以降一般の個別企業の倒産等の不況感、あるいは法人の持ち合い株の売却等を通じまして、一そう市況の不況感というものが進んでまいった関係上、夏の対策といたしまして、ことしの二月以降増資をオールストップするという、およそ資本主義社会としましては異例の措置をとるとともに、夏の終わりごろから十二月ころにかけまして、特に年末におきましては、毎日共同証券は二十億、三十億という買いものを入れるというような形で、ついに年間を通じまして千九百億という買い入れをしたわけでございます。この根本的な性格は、最初に申し上げましたとおり、証券業者という形はとってはおりますけれども、利回り採算に乗って市場から自由に投資家としての判断で株を買い入れるという形で機関投資家としての動きをとってきたわけでございますが、その主要な資金の流れが御存じのとおり金融市場中心に集まっておりますので、これら金融機関を中心として、それらの出資とこれらの共同融資というものを中心にして、この買い付け資金を調達してまいったわけでございます。三十九年の終わりになりまして、市中金融機関の証券対策に対する応援の限度もほどほどにあるのじゃないか、つまり損益の原則の上に立ち、個別企業としての経営者の責任というものがある関係上、金融機関といたしましても応援に限界があるということでございまして、この際証券業者自身といたしましても、自分たちの責任でもって共同で借金をして、今度は完全に株をどこかに塩づけをするということが必要である、しかも相当思い切った手をそこで打つならば、当面の緊急事態は乗り切れるのではないかという観点と予想に基づきまして、昨年の暮れからいろいろ構想が起こってまいり、ことしの一月に証券業者を組合員といたします証券保有組合というものができたわけでありまして、これが投資信託から千二百億、それから証券業者から五百億という大量の株を一、二、三月の間に塩づけを目的といたしまして買い付けるということでもって、証券市場におきます需給の当面のアンバランスをこれによって解消するとともに、これでもって一応の安定が得られるのではないかという見込みでできたわけであります。これが昨年一ぱい及びことしの初めにかけてのてこ入れの実態であります。  それから第二の証券業者の合理化問題につきましては、これはすでに証券取引法ができましていままで二十年経過をしております。この間、大蔵省といたしましても、やはり銀行と並ぶ信用機関であるはずだ、したがって、一般大ぜいの投資大衆の信頼を博するという関係上、徹底的な経営の合理化を進める必要がある。これは単に証券業者の資産内容というものに着目するばかりではなしに、幾ぶんの業務の分野といいますか、業務のあり方につきましても始終指導をしてきたことは御存じのとおりであろうと思いますが、その間、業者の自覚といいますか、反省の不足する宙もございましたし、三十四、三十五、三十六年という非常にブームな時期を迎えまして、合理化に対する観念が非常に薄くなったという点もございますし、それから大蔵省の行政指導の徹底といいますか、思い切った措置をとる勇気に欠けておった等の事情がございまして、もはや従来の免許制のままで進むわけにはいかない、一般投資大衆の保護と健全な資本市場の育成のためには、やはり証券業者というものを、もう少し信用の置ける、社会的地位の高い、一般投資大衆から信頼される業者に仕上げる必要があるということにつきましては、各方面、特に本国会におきましてもいろいろお教えをいただくところもございまして、ことしの春の国会におきまして証券業者を免許制に切りかえる、つきましては、三年先を目標といたしまして業者の合理化、それ自身の課題は従来と少しも変わりのない問題ではありますが、三年先に明らかに免許という関門を通過する必要があるというめどを証券業者につける、証券業者自身の自覚と自己責任をここで一そう明確にするという形で、合理化を進める方向で第一歩を踏み出し得る時期にきたわけであります。  次の第三点の投資家保護の措置につきましては、これはいわば証券業者の合理化、健全化と経営基盤の強化、それから証券業者のお客さんに対する投資勧誘の態度のあり方ということと密接に関連してまいるわけでありまして、特に投資信託制度等を通じまして相当零細な層にまで証券投資が徹底普及してきておるという現状にかんがみまして、証券業者の経営の健全化、投資勧誘態度の健全化につきましては、従来とも鋭意指導もし、あるいは証券業界におきまして自治的な機関もつくらしてまいったわけでありますが、昨今に至りまして、市場の不振、不安というもののほかに証券業者自身に対する不信というものが起こってまいりまして、非常に残念なことに相なったわけでありますが、これを契機といたしまして、保護預かりの引き出しとか、あるいは運用預かりの引き出しという形で一般のお客の不信の様相があらわれると同時に、投資信託の一般的な不人気のほかに証券業者という個別企業に対する不信がそれに加わってまいりまして、投資信託の大量解約という事態に五月下旬以降追われてきたわけであります。最後の点につきましては、投資家保護という観点から申し上げましてまことに遺憾の事態を招来したわけでありまして、予防的措置につきまして十分われわれといたしましても反省すべき余地が多分にある問題を含んでおりますので、この際、根本的に再検討すべき問題も相当問題意識として持っておりますし、鋭意検討を進めておるところであります。ちょうど三十年前にアメリカが、一九二九年の恐慌後三三年の証券法、三四年の証券取引法を制定いたしまして、発行市場関係、それから流通市場関係、それから投資信託制度それ自体につきましても、こうした大きな変革期を契機とし大いに反省し、将来に向かっての基本的な方向づけを行ない得るような大改革をやってきたということにも範をとって、われわれといたしましても、ひとつ今後基本的な問題と取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまのお話のとおりの処置がいろいろととられておりますけれども、実はまだはっきりしない。そこで、まあ第一段のほうで、共同証券は千九百億を使ったわけですが、新たにこの間から資金手当てがされておりますね。生命保険からの株の委託を受けて新たな資金の対策が立てられておると思いますが、その資金の量が幾らなのか。  それから保有組合は、これまで千七百億使ってたな上げをしましたが、最近にさらに担保掛け目を動かし、新たな資金手当てをするような話で、たしか日本銀行もそれの決定をしたと思うのですが、新たな保有組合に対する資金供給ですね。  それから、どうももう一つよくわからないのですが、さらにその投信の公社債によって、日本証券金融から何か金が出るというような部分があるかにもちょっと聞いておるのですが、要するに、当面そういう形で流通市場対策として予防的な資金措置がとられておると思いますけれども、それをちょっともう一ぺんあわせてお答えをいただきたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 当面基礎的な手当てをいたしました対策についてお話し申し上げたいと思います。  まだ現実には発動いたしておりませんし、こまかい細目要項等につきましてまだきまっていない点もあることはあるのでありますが、いまおっしゃいましたとおり三本ございます。これは主として投資信託の市場に対する圧迫要因を除去しようというところに基本的なねらいがあるわけであります。  第一番目は共同証券の資金力を増強するという問題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、金融機関の協力は一応限界にきたと判断した措置をことし初めにとったという経緯からもおわかりになりますとおり、さらに共同証券の増資ということが非常に困難でありましたので、新たに保険業界、特に生保業界のおも立った会社から二百五十億前後の株式の借り入れを行ないます。これを中心にして幾らの資金力が可能かは、これは日本銀行が株式担保の掛け目あるいは共同証券の手形の掛け目を何%までぎりぎり引き上げてくれるか、あるいは借り入れました二百五十億というものの時価がどう動くかということによりまして、いろいろ計算の方法もあろうかと思いますが、われわれの試算いたしました、最も日本銀行に対してあつかましい形で、要求し得る形でぎりぎり資金調達が可能だと一応試算される数字は、大体千七百億ばかりになろうかと思います。  それから第二は、保有組合でございますが、これも新たに出資あるいは有価証券の寄託ということが困難な場合におきましても、株式担保金融の掛け目、手形の掛け目の操作等によりまして、もし日本銀行が許されるぎりぎりまで、たとえば九割なら九割というところまで甘くしてくれるということを前提条件といたしまして試算いたしてみますと、おおよそ、大体これにつきまして一千億というものの調達が可能になろうかと思います。さらに、投資信託が持っております公社債、これは公社債市場があれば一種の現金準備と考えていいものでもありますが、昨今のような情勢でありますと、やはり自由な、フリーコールにこれを向けておくということも一つの措置でありますので、投資信託が持っております公社債のうち、大体六百億を限度にしてこれを証券業者が投資信託から買い取る。買い取った証券業者に公社債担保金融をやろう、大体六百億限度であろうというようなラインが基本的にいまきまっておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、私少し問題を整理してお伺いをいたしますけれども、いまのお話の共同証券に対する日本銀行からの融資は、これは変形した株式担保金融のような感じがします。それから保有組合に対する現在までの千七百億、今後千億が、新たな株券なり公社債の提供なくして、掛け目の変更だけで行なわれるとすれば、これも一見無担保に近い。しかし、実質的には株式担保金融の変形というような形だと思うのですが、前者が約三千六百億、後者が二千七百億、そのあとにまたここに六百億、全体で幾らになりますか。二千七百と六百と三千六百ですから、約七千億近くの金が、今度の、いま使っている使わないは別として、流通市場対策として日本銀行が出してくるということになりますね、どうですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 まだ現に使っておる金ではありませんが私が申し上げましたとおり、いろいろの条件を置いて試算してみますれば、ぎりぎりそれだけの資金調達能力ができる基本的な措置がとれたという意味におきましては、いま計算されたとおりであろうかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いま日本銀行の貸し出し残高が、五月現在で一兆二千八百六十一億ということですから、私ども、これまで日本銀行の貸し出しというのはかなり問題としてきた額の半ばを越える額が、使う使わないは別ですが、いまのままでいけば、私、結局これをみな使うことになるだろう、こう見ておるのです。日本銀行の貸し出しという問題は、これは法規上のルールによって出ておるわけですが、このいまの六千九百億というのはあまり正常なルールではありませんね。これは正常だとお答えにならないと思うのですが、一部正常なものもあるかもしれません。公社債担保金融につきましては、一部正常な取り扱いをしておる面もあるかと思いますが、かなり正常なかっこうでないものがある。この上にまだ、さっきから問題になっておる特別融資が今回までのところ二百四十四億、これが一体幾らになるか。これもまだ見通しがつかない。さっきの局長の答弁では、五百五十億から二百三十四億を引きますから、山一に関してだけは三百十五、六億残っておる。大井だって十億で済むかどうか、これもわからない。この二つの会社だけで済むかどうか、これまたわからない。あともまた引き続き出てくるかわからない。ですから、このあとのほうといまの分とは、これまたパターンが違いますけれども、たいへんな実はいま現状で、証券金融というものが完全にうしろ向きに行なわれておるわけですね。これはだれが見ても前向きであると思わないですけれども、そこで私は、塩崎さんも見えましたから……。さっきもあなた、ちょっとそこで経済見通しについて議論をやりました。今後の証券対策というものの中には、長期的な経済見通しはいいですけれども、比較的短期的な経済見通しが相当重要な役割りを果たすわけですね。実は私は、昨年の十月ごろから、本年度の景気見通しということについては、ことしの三月決算は大体九月決算と同じくらいだ、そしてことしの九月決算も幾らもよくならないだろう、こういう見通しを昨年の十月ごろ立てておりました。そこで、共同証券が千二百円の攻防戦をやっておるときに、御承知のように私、十二月十八日ですか、共同証券関係者を呼んでここで申し上げたように、非常に流通市場がいびつな形になって、価格は公正な価格ではなくて管理価格になってきて、何とかしなければならぬという段階にきたときに、保有組合の話もそろそろ出ておったのですが、私は、そういう保有組合で肩がわりをする程度ではこの問題は解決しないだろう、より根本的な対策が必要だろうと実は当時考えておった。今日も私はまだその考えを捨てておりませんけれども、当時私は、言うなれば一種の証券公団といいますか、かなり公的な性格を持ったものを設置することによって総合的な政策をやらない限り、継ぎはぎな、うしろ向き金融を積み上げることではこの問題は解決しないだろう、こういう考を持っており、一部の方にはその構想を話したことがありますが、当時あまりそういうことを出すことが必ずしも——当時の市況その他にも関係がありましたから、公の席上では私はそれを問題にしなかったわけでありますけれども、しかし、その結果としては、やはり私の見通しどおり、共同証券の千九百億あるいは保有組合の千七百億、これまでのところだけでは、今日までの処理は一応できるでありましょうけれども、最近の投資信託の解約ベースの状況から見て、これは必ずしもそう簡単ではない。そこで、投資信託の解約の状態というものが落ちつくためには、一つは、証券業者に対する信頼が回復されなければならないという問題があります。しかし、一つは、やはり日本の経済の今後の見通しがやや明らかにならなければ、これもやはり私は解約というものが続く一つの大きな条件になると思う。  そこでひとつ塩崎さんに、そう長いことは言いません、いまが七月ですから、要するにあと残っておる——暦年ですね、要するに九月の決算は、あなた方大蔵省としては、今期三月決算に比べてどういうふうに判断をしておるのか。それは具体的な計数をもとにというわけにはいかないでしょうから、あなたの感触でけっこうです。これは私、どなたに聞いてもいいのだが、しかし少なくとも大蔵省であなたが専門的な立場ですから、ひとつ塩崎さんに九月決算における感触を最初に伺っておきたいと思います。

塩崎潤大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○塩崎説明員 私がお答えしていいかどうか、九月決算は主税局あるいは証券局のほうの資料、統計、これらに関係いたしますので必ずしも適当でございませんが、私どもの見ております九月決算は、おそらく三月決算に比べましてもそうよくならぬだろうということの一般の説と同じような気持ちを持っております。御承知のように、税収見積もりでは三月期よりも九月期のほうがいいというふうな見積もりで税収は立てておりましたが、先般の三月期の決算が前年の九月期に比べましてよくないような結果が出ております。それに基づきまして主税局も調査し、さらにまた、御存じのように、九月期を予想しております各種の経済雑誌では、増益増収のような見通しを立てておりますが、最近の経済事情から見まして、必ずしもそうはいかないであろうというのが大かたの見通しではないか。私どもは、しかしそうはいっても、先ほど申し上げましたように、できるだけ早くこういった状況から上昇過程に転ずるというような方向をとりたい、こんな気持ちでおりまして、私は好転の要素といたしまして、先ほども銀行局長からお話のありました市中金利の低下に伴う金利負担の減、これは御存じのように、三月決算の一番大きな減益の要素が利子負担とそれから償却費の増による資本負担の増加、資本の回転率の悪化、あるいはまた販売費の増加に伴いますところの収益の減、これが大きな要素であったわけでございますが、いま申し上げましたように、好転の要素といたしましては、利子負担の軽減があると同時に、償却費も、堀委員御存じのとおり、設備投資が鎮静化いたしましたので、償却費の負担がこれまでのような伸びではないので、圧迫要因としては少ない。さらにまた、御存じのように税法の定率法をほとんどの企業がとっておりますので、減価償却の負担は相当急激に低下している状況でございます。これが非常に明るい要素ではないか。さらにまた、各企業は交際費をはじめといたしまして販売費の節減も相当強力にやっておる。これがまた一つの需要の減になりまして、別の意味の企業収益の悪化の要素になる面もございますが、個々の企業にとっては一つの収益の増加の要素である。それからまた一方、輸出が非常に好況である、こういう要素が全体の生産をささえる大きな要素である、こんなようなことから収益の好調の要素が一つある。しかし、片一方に、何と申しましても在庫の圧迫、それからまた出荷の不振等に基づきますところの生産の停滞、これに基づきますところの間接費を中心といたします費用の増が片一方全部にふりかかってまいりますので非常にむずかしい。しかし、先ほど銀行局長が申し上げましたように、だんだんとそういった好転の要素が、これからの政策のいかんにも私はよると思いますが、そんなようなところで九月決算を見てまいります。したがいまして、いまのところよくなるというようなことも言えませんし、そんなに悪くなるということも言えない、なかなかデリケートな、確たる御返事ができませんではなはだ恐縮でございますが、そんなふうに見ております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 よくならない、悪くならない、横ばいということでしょうと思いますが、私も大体そんなにこれ以上悪くもならぬだろう、いろいろ皆さんやられますから悪くもならぬだろうと思いますが、私は実はあまりよくならないという判断です。そうして、そのよくならないという判断というのは、国内的な問題だけではなくて、要するに輸出その他の問題も、去年あれだけ貿易の伸びがあってなおかつこういう状況です。いまでもこれだけ貿易が伸びていて、なおかつこういう現状の状況です。これ以上貿易は伸ばせません。私は実はだいぶ前に本会議でも言いましたけれども、大体貿易は後半ややスローダウンするだろう、それは覚悟しなければならぬということになりますと、かなり大きな有効需要というものが減退をしてまいります。ですから、この点は、私は簡単に——有効需要は、さっき武藤君からいろいろな角度から何とか有効需要をつくりたいという形の発言がありました。私は有効需要というものはつくりたくてできるものではなくて、要するに土台を何らかのかっこうでつくったところから有効需要が出てくるわけだから、その有効需要を喚起することはそう短時間にはできない問題だ、実はこう考えておるわけです。計画造船が二百八十億か決定をしたようでありますけれども、この二百八十億の計画造船にしたところで、いきなりそれではそれだけをすぐ何カ月か繰り上げてやられるかというのに、これは造船業といえば非常にスケールの大きな企業でありますから、年内にそれだけいけるかどうかも、現在の全体のベースから見て多少疑問があるのではないかと思うし、財投は、少し私も調べてみましたら、上半期で大体千五百億くらいは——去年の例では実は原資に対して支出のほうが伸びていないために、停滞した部分が、要するに余剰部分といいますか、上半期における余剰部分がありましたけれども、ことしは偶然かなにか、すでに四月からかなり財投の支出が出ておりますから、繰り上げるといったところに、最大千五百億でしょうけれども、それが繰り上がったからといって、それではその金がすぐ上半期のうちに使えるかというのに、これも私は各公団その他がいきなり——住宅公団が建物を建てるといったって、土地の問題から解決しなければならぬのですから、計画のないところに金が使えるわけがありませんから、いろいろなことを計画なさるのに、少なくとも二・四半期ぐらいのタイムラグが生じてくるのではないか。ですから、そのタイムラグを計算に入れると、そういう有効需要の刺激策というものが多少緒についてくるのはまあやはり第三・四半期以後に実際の効果が出てくるのであって、それまでにそう急激な需要を期待するのは無理ではないか。ところが、第三・四半期以後は、輸出の問題等については、必ずしもこれまでどおりのことが期待できるかどうかわからないということになると、全体としての需要の状態というものは必ずしもそう急激には増加をしない、ですから、その意味では、企業の収益見通しが、やはり基本的には資本市場の問題になるわけですから、あまり楽観をした形でこの問題を考えるわけにはいかないのではないか、私はこう思います。それはものの見方で、先のことでありますから、どなたがどうお考えになってもむずかしいことでありますが、ただいまの資本市場対策のような問題を考えるときには、やはりきびし過ぎ目に予想をしておいたところで対策を立てて考えてちょうどいいのであって、甘い目に考えておいて裏目が出た場合には、これは非常に影響は大きい。ですから、少し余力があればたいへんけっこう、こういう形で私は今後の証券対策というものが考えられてこなければならないのではないか、こう思うわけです。最近の投資信託の実情は、まあ私が申し上げるまでもなく、六月の解約は四百七十八億、約五百億近くの解約が出てきたわけでありまして、おそらく七月に入ったからといってそんなに鎮静をしているのではないだろう、こう思います。まだきょうが九日ですから、七月に入っての資料はお手元にもないかもわかりませんけれども、そうしてくると、実はいま準備をされておりますこれらの資金は、どうしても投資信託の解約の問題についても結局あと三カ月で使うのか六カ月で使うのかは別としても、やはり結果としては使い切ることになるのではないのか。皆さん予防的に準備をしておるものが、結果としてはそういうことになるのではないか、こういうふうに私は感じますので、ここでやはり投資信託に対する抜本的な対策というものを考える必要が一つ出てきておるのではないか、こう思います。これは私もすでに抽象的には福田大蔵大臣にこの間公的な一本筋の通った抜本対策ということで申し上げておいたのですが、そこで、ちょっと投資信正の問題に関連をしてお伺いをしておかなければならないのは、いま株式投資信託がコールを持っておりますね。千五百三十二億ですか、大体ありますが、この千五百三十二億の投信のコールは、これの取り手は一体どうなっていますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 千五百三十二億の放出コールのうち、従来、ひもつきと申しまして、旧来の親会社でございました証券業者が引いておりますコールが漸次減ってまいりまして、残高二百十億でございます。あとは全く自由なコールでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は最近、大井証券の社長が六月二十一日に申しておりますけれども、四十億の借り入れ中、投信のコールから十億取っておる、こういうことが新聞に出ておったのです。ですから、四十億の借り入れ金の中で、あとのこまかいことはわかりませんけれども、投信のコールを十億取っておるということになると、これはかなりウエートが高いものですから、一体この千五百三十二億のコールは、ほんとうに証券会社のコールとつながっていないということなら、私この問題はわりに問題が少ないと思うのですが、依然として私はつながっておるのではないか。要するに、公定レートより一厘高で優先的に取っておるというものが相当まだあるんじゃないかという気がするのですけれども、その点どうでしょうか。だいじょうぶですか。ひとつ取り手を言ってください。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 昨年十一月五日現在、全証券業者で六百十一億をひもつきで投信から取っておりました。それが漸次減ってまいりまして、五月末で三百億、六月末で先ほど申しました二百十億でございます。  それから、いまお示しの個別証券業者の問題ですが、大井証券につきましては昨年十一年五日で三十七億でございましたが、いまわれわれが持っております資料によりますと、六月末で十七億ということになります。したがいまして、漸次従来のようにひもつきで親会社が取るということは極力圧縮するように指導してまいりまして、いま申し上げましたとおり、顕著な実積をあげておるということが言えると思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その点私も非常に心配しておりましたが、そうすると、いま証券会社全体として取っておるコールの残高はどのくらいになりますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 投信十四社系で、五月二十九日現在八百八十二億でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、証券会社が取っておるコールの総額は八百八十二億となると、いまの軍用頂かりをもとにして入っておる資金の中にはコール以外のものがあるわけですか。いま運用預かりはたしか二千七百億くらいあるんですね。そうしてそれの、おそらくかなりのものがコールのための担保に入っているんじゃないか。そうすると、この運用預かりはほかの形の担保にも入っておるのですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 主として大きな取引はコール取引の担保に使うというのが原則でもありますが、一般の銀行筋あるいはその他の金融機関から借ります場合でも、運用預かりの大宗を占めております金融債を使っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いま運用預かりが解約をされる場合に、運用預かりと称するものが無担保の借り入れ金ですね。それで、いま私ずっとこの証券金融を少し洗ってみますと、無担保の借り入れ金なるものは、この運用預かりと、それからいま日本銀行がやっておる特別融資、これが無担保だ。それは並手が入っているといえば入っていますが、そんなものは裏づけのないものですから無担保といえると思いますが、ほかにまだないですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 運用預かりは不特定多数の人から消費寄託という形で預かるというものでありますが、特定の、たとえば県信連とかああいう大口から個別契約でやる借り入れ有価証券という制度がございまして、それで借り入れているものがございます。それは主として金融債、社債が大宗を占めておるのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いま私どもが運用預かりに対する解約分としての特別融資と思っていたけれども、いまの借り入れ有価証券については、もしそれを解約をしてくれということがきたときは、これはどうなりますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 個別契約で借りるわけでありますので、期限の利益を、借りるほうが持っている場合と持っていない場合と、いろいろ契約内容によって違うかと思いますが、契約内容によって、場合によっては運用預かりと同じように要求払いで返さなければならないものがあるとすれば、その返却要求はイコール資金不足ということにもつながってまいると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、山一の場合は、この間の三十九年の九月の分で、短期借り入れが五百八十八億、長期借り入れが百五十六億ということで七百四十四億、こうなっておるのですが、これの担保に入っておるいまの借り入れ有価証券というのは、現在幾らなんですか。最近のところでけっこうです。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 山一証券につきまして、六月末で申し上げますと、運用預かりが三月末五百五十億と先ほど申し上げましたが、これが減ってまいりまして、現在三百七十億でございます。その他の借り入れが百七十億ございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 要するにこの証券金融の問題というのが一つの問題点としてありますし、もう一つはいまの証券業者に対する信頼感の問題というのが、私は今後の投信解約の問題点として残ってくる、こう思うのですけれども、まず最初のほうの証券業者に対する信頼感の問題というのは——最近金融債の売れ行きはたいへんいいわけですね。証券業者がいまどんどん売っていますけれども、月別で見れば、五月、六月ですか、いずれもそれまでのベースよりばかなり上回って金融債は売れておる。これは証券業者が売っておるわけですね。金融債は売れておるのに、今度は公社債投信のほうは、同じような形式のものであるにもかかわらず、すでに五月から百四十一億、六月百八十二億というふうに、非常に大きな解約が出ている。これは、私はやはり証券会社に対する不信のあらわれとして理解しておるのですが、その点はどうでしょうか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 結論的に申し上げますと、仰せのとおりであろうと思います。公社債投信はたいして伸びておりません。それまでは、たしか三十億ベースぐらいでずっと伸びてきておった記憶がございますが、山一証券事件を発端にいたしまして、普通の株式投信と同じように解約がふえたという原因をいろいろ考えてみますときに、やはり投資信託とそれから証券業者本業との関連について、誤解——誤解とばかり申し上げられない点もありますが、投資信託というものの財産が別個管理だということについてあまり十分御存じがないということが原因の一つと、したがって、やはりそれを一本にして考えるという投資家にとりましては、親会社に対する不信というものが、あわせて確定利付のそうした投資物件にまで及んできておる、こう解釈するより道がないと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いまやはり問題になるのは、日本の今後の資本市場の全体としてのあり方、それから少し先へ行けば、皆さんが証券取引法をこの間成立をさせた四十三年の四月における証券業者の姿、こういうものを一連に見通しながら、問題を少し考えてみなければならぬと思うのです。実はあなたは、この前山一証券の問題が当委員会で論議をされたときに、山一証券の今後の再建計画の基本になる株式の出来高は八千万株を大体予定しております。こういう答弁だったんですね。ところが事実は、最近の情勢というのは、四月、五月七千四百万株ベース、六月は五千四百万株ベースですか、がたっとまた下がってきておるわけですね。今後の情勢として、私はその八千万株ベースというのは、さっき私がちょっと申し上げたようにやや期待感が入っておるというような感じがいたします。そこで最近少し低落傾向にありますけれども、ニューヨークの取引所の状態を考えてみますと、ニューヨーク取引所は六四年は六三年に比べて売買高は年間十二億三千七百万株、一日平均売買高が四百九十九万株で史上最高だということであったようですけれども、その売買回転率は一四・五%で、六三年とあまり変わらなかった、こういうことになっておるわけですね。大体私が過去に知っておる範囲でも、ニューヨークの取引所の回転率というのは、大体一五%くらいのところをずっと動いておるわけです。昨年からことしにかけての一年間、あれだけ株価が上がっても、回転率は変わりはない。ところが、日本の株式の回転率は、もう過去において非常に異常な状態をずっと続けてきておるわけです。最近のところでいいますならば、三十五年が最高の年ですが、このときは九一・五九、その次が七六・六七、三十七年になって六三・六六、三十八年が六五・六三、三十九年は十一月までで三七・七、ちょっと資料の終わりのほうが切れていますけれども、最近の回転率、この前半期でもいいですけれども、いまの回転率は私は現状ではやはり大体三〇%内外じゃないかと思うのですが、東京証券、取引所では幾らくらいですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 四十年に入りまして、一月が六一%でございます。二月が三五%、三月が三二%、四月が三〇%、五月が二〇%、一−五の平均で三六%でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は何もニューヨークの取引所の回転率が必ずしも標準になるとは思いませんけれども、どうも私の感じでは、やはり日本の場合に現状の状態から見通すならば、大体年内六千万株ベースというふうに見て今後の資本市場対策を考えるのが適当ではないのか。これはいまの塩崎さんの話でもまあまあ上下あまり変わらない。最近の落ち込んでいる状態はここらが大体いいところじゃないかと思うので、それを六月五千四百万株というのは、山一によるショックもあったでしょうけれども、少し上乗せしたとしても六千万株程度で見るのが至当ではないか、こう思うのですが、八千万株と六千が株というのはだいぶ差があるわけですね。私がちょっと心配をしておるのは、山一の再建計画は第一次試案だということはあったかもしれないけれども、はたしてそれでいいのか。それからもう一つは、あのときにあなたは、大体山一のシェアが東商の場合に一四・五%だというふうにシェアを出しているわけです。最近のシェアはおそらくかなり下がっておるはずです。一体最近における、あの問題以後における山一のシェアはどのくらいなんですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 四月が一四・四%、二、三、四が大体一四%台でございました。これを中心にわれわれ想定いたしたのでありますが、五月に入りまして一〇・二%でございます。それから六月は、まだ試算でございますが、一〇%をおそらく割っておるのじゃないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうしますと、大体土台が、まあ六千万株か八千万株かは別として、やはりこういう再建計画というのは少しかた目にやっておかなければ、先にいってまた穴があいたでは再建ができないわけですから、ここを六千万株にウェートを下げて、そしていまのあれを一〇%とかりに見ても、私は今後もうちょっと下がるだろうと思いますけれども、一〇%とかりに見ても、この間の再建計画ではちょっと無理じゃないでしょうか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 今後の東証一日平均出来高をどう踏むかというのは非常にむずかしい問題でございますが、決してわれわれ楽観的にばかり見ておるわけじゃございません。基本的動向としては、ある特定会社の再建策を考えるにはむしろかたい目に見るという方向がいいのじゃなかろうか、私も全く同意見でございます。ちなみに、去年一ぱい不況、それからことしもずっと不況が続いておるのですが、ことし一月から五月までのずっと平均を見てみますと、やはり九千万株ということに相なっております。ただアメリカと比較するときにはいろいろ問題がございまして、売買のやり方といいますか、いわゆる日本特有のバイカイというものがございますので、単純に回転率だけ比較するのは少し問題があろうかと思います。  これはまた別の問題といたしまして、一体おまえたちは八千万株を基礎にして山一証券の第一次案というものを組んだんじゃないかというお話でございますが、当時としては最も好ましいというのですか、最善の策であると考えたことは、われわれ事実でございます。あのときに有馬委員にお答えしたかと思いますが、たしか手数料収入月十一億と踏んだと思います。四十年六月現在で、実は八億一千万に落ちております。その点についてすでにもう計画の一端がくずれておるじゃないか、こういうこともいえると思いますが、これに見合いまして、販売費、一般管理費の節減ですね、これは予定以上に進んでおります。大体再建策の基礎になります数字として九億、五千万を八億くらいに圧縮すると、たしか御返答申し上げたのでありますが、大体七億余りに販売費、一般管理費というものが、手数料が落ちる、むろんそういう比例比もございますが、合理化の努力が一そう進んでおる結果、七億四千万ばかりに計画以上に版元費、一般管理費の節減がまた進んでおるという面もございますし、一方金融収支等につきましても予定以上の改善も進んでおりまして、まだ六月には金利のたな上げというものが済んではおりませんが、経常収支を総計いたしますと、手数料収入の面におきまして十一億が大体八億台に落ちるという点があるにいたしましても、その他の面の改善が最初の第一次計画よりも相当進んでおるという関係もありまして、全体の経常収支ではまあ順調に合理化が進んでおるというふうにわれわれ見ておるところであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実はこの前のときは安川さんが答弁しておられるのですが、手数料収入十二億三百万円というふうな答弁になっておるのです。まあそれにしても三億なり四億なり収入減があるわけですから、これは非常に大きいし、いまあなたのお答えになった八千万株というのは、私はやはり機械的な計算ではないかと思うのです。ちょっと私東証の出来高を申し上げますと、毎年一月という月は、共同証券をつくるといっては株が上がって売買が非常にふえるのです。ことしも保有組合をつくるといって一月はふえたのです。一月の出来高は、三十九年の一月が一日平均一億四千八百六十五万ですが、一億四十八百万株、二月に入ったらとたんに六千八百万、その次は六千四百万、その次は八千六百万というぐあいに、去年も下がっておる。ことしも保有組合で非常にばたばたとこういうことをやって、一月が一億六千六百万株で、二月が九千三百万株、このときにはまだ余裕があったわけです。三月が七千五百万、四月が七千五百万となると、再建計画は五月ですから、これを平均して八千万株というのはちょっと証券局としては実情についての分析が不十分であったのじゃないか。一月の分というのは、いずれも保有組合の問題、共同証券の問題によるところの異常な状態、これだけで見ても、七千五百万株というならまだ多少前二月のやや正常な状態のところということでわかりますけれども、しかし、これは五月にきて五千四百二十九万株平均と、がさっと落ちてきたわけです。すなわち、これが今後ふえるかというのも、私のこれまでの見通しからするならば、ふえてもまあまあ七千万株台に戻ればいいほうであって、なかなかそこまでいかないだろう、いくだけの市場に対しての要素がいまはない。ですから、そうしてみると、いまの問題というのは、ちょっと安易な御答弁のようなんですが、当然すみやかに第二次再建計画に着手をしなければ、これはちょっと問題が生じるのじゃないのかという感じが私はいたします。  そこで、これまでの証券業者のこういう問題に関連をしてくるのは、やはり負債倍率が異常に高い業者というのが、私はこういう危険に依然としてさらされてくるのじゃないかと思うのです。負債倍率が二十倍というのでも、いまの業者の実態として見ると、私はかなり問題があると思う。ですから、いまの状態がさっきのような状態でことし一年じゅう続くとすると、これはいまの十九社の中で大井証券に次ぐものが出ざるを得ない条件になるおそれが私はあると思うのです。これは出なければたいへんけっこうです。しかし、どんどん情勢が上向くのならば出ないでしょうが、いまのままで横ばいになっていけば、さらに問題は深刻化をしてくる可能性がある。そういう前提で考えてみますと、この十九社の問題というのは、ただ単に個別にだけものを見ていていいのか。やはり十九社に対する合理化問題というものがかなり真剣に取り上げられなければならぬ段階にすでに入ってきたのではないか、こういうふうに思いますけれども、その点についての局長の御答弁をひとつ伺いたい。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 最初の業界経営合理化の計画の基礎になります売買高についてちょっと申し上げたいことがございますので、それを最初に申し上げますが、三十九年というのは、御存じのように、共同証券の買い出動等、結果的に見れば一種の管理相場的な色彩であったと思うのです。これが著しく売買を縮めたということが言えると思います。むろん共同証券の買い入れあるいは保有組合の肩がわりというその日には大量の株は動いておりますが、それが起因となりまして、市場の株価形成の自律機能が阻害されるということが出来高を非常に減らしてきた原因じゃなかろうかとわれわれは考えておるものでございます。むろん決して甘い計画をとっていいというわけではないのでありまして、厳格でありたいという気持ちはいまお示しのとおりでありますが、そうした管理相場下に——管理相場ということばが悪ければあとで訂正いたしますが、三十九年が千二百をクリティカルポイントとしてある種の行政が行なわれました状態を見ましても、九千五、六百万株あったと思いますが、営業の規模、人員、店舗その他どこまで合理化が進むか非常に問題ですが、一応三十五年当時ということまで考えるという一部の考え方もございますが、やはりそうした営業活動の要素が減ると、また売買高も減るという面もございます。一応三十五年くらいの規模というのですか、店舗、人員の規模が減ると考えましても、いまよりも増資その他その後ございましたから、上場株式数も少ないわけでございますが、三十五年にもたしか九千万株くらいはあったのじゃないか、こういう感じがいたしております。昨今二カ月の異常状態を中心に非常にきびしい態度で考えなければならぬということは事実でございますが、日本の資本市場の間もない回復といいますか、期待されます回復ということを頭に置き、ここ一、二年の再建計画というものを考えますときには、九千万株めどということもそう荒唐無稽のものではないのではないかという気がいたしております。  第二の問題の証券業者の合理化といいますか、証券業界の体制整備という問題におきまして、大証券の占める、特に十九社の合理化が非常に基本的な問題であるということはまことにお示しのとおりでありまして、おそらくそれ以下の業者の合理化も、気分的にもあるいは計画的にもそれに右へならえするという面があるということからつかまえましても、あるいは市場全体に占めております大証券業者十九社の地位等から考えましても、これがポイントになるということは全くおっしゃるとおりであろうと思いますが、いろいろ市場にうわさされております業者の中にも、もはや金利のたな上げを要しない、自分で独歩でいけるところまで合理化をした業者もございますし、その他につきましても、全部、金融機関の管理ということばは、これもあまり適当ではありませんが、金融機関ががっちり再建策に首を突っ込んでおるという状態でありますので、これ以上不安の発端になるようなことは起こさないようにわれわれもつとめてまいりたいと思いますが、ただ、個別企業がさらにこのままで存続し得るという形での合理化が進み得るかについては、これはまだ疑問の余地があろうと思います。たとえば、総負債が非常に大きいときに、幾らでも資産負債も圧縮して、規模を小さくしていいものかどうか非常に疑問もありますし、結局債務弁済能力がないところまで規模が縮まっていいというものでもないわけでありまして、こういうときにも、やはり合併といいますか、それらも考えていかねばならないという面もございます。原則としてどこまでも大債権者がバックになりまして、証券業者の自己責任の原町で鋭意合理化が進んでおるというところでございまして、幾らか直接いま首を入れてタッチしているという段階ではございませんが、いまおっしゃいましたような問題の重要性も考えまして、できるだけわれわれとしても、干渉にわたらない程度で合理化の方向へ、市場全体のために非常に関心を持ちまして誘導していきたいというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 証券局長、実はいま十九社の問題に触れておるのですが、要するに、投信十四社及び運用五社を含めての十九社は、二、三の例外を別としますと、いま松井局長が銀行管理というと言い過ぎかもしれないと言われましたが、実は私も銀行管理だと思っているのです。銀行管理でも情勢が変わればいいのですが、いまの状態がずっと横ばいでいきますとこれは企業の基盤というものは非常に困難になる。ところが、これは証券業者だけで合併をしようといったって、証券業者のそこの社長とかなんとかいうのは、それは社長でしょうけれども、うしろにちゃんといるわけでして、うしろのどかっといるやつがどういう話をするかによって実はこの問題はかなり変わってくるということなんですね。私は、いまの証券問題というのは、まさに証券局と銀行局が入り乱れたかっこうになってきた現実だというふうな感じがいたしております。私は、いまちょっと山一の問題について、この間お出しになった再建計画ではたして再建できるかどうか、やや疑問に思っておるのですが、ここでやはり今度日本銀行の総裁に来てもらいまして、例の二十五条の問題について論議をいたしますけれども、ちょっとあなたにお伺いをしておきたいのは、日本銀行法の二十条の規定というのは、一体何のために設けられておるのかということです。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 日本銀行法第二十条の規定は、日本銀行の業務の内容を規定したものでございます。通例これは各種金融機関法規等、堀先生先刻御承知のとおりでございますが、それぞれの機関について機関の業務内容を法律をもって定めております。日銀法二十条においてもまた同様のことでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 二十条全体はそうですね。  それじゃもう一つこまかく、二十条の二で「手形、国債其ノ他ノ有価証券、地金銀又ハ商品ヲ担保トスル貸付」ということになっておりますね。だから、正常な状態でこういう規定が設けられておるのはなぜか。担保がなければ貸さないということになっていますね。これは。だから、担保を要求しておるということは、これは日本銀行としての、要するに貸し付け金に対する安定性といいますか、それを確保する、担保するための条項でしょうね。どうですか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 御指摘のとおりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうなると、日本銀行が現在二百三十四億山一証券に、第二十五条「日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得」、これで金が出ているようですが、その信用制度の保持のためということは、これは私はやはり一種の緊急避難的措置だ、二十五条はこう理解をいたしますが、これはどうでしょうか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 これは先生まさに御指摘のように、たとえば預金の取りつけが起こりますとかいったような、つまり信用機構そのものにひびが入る、あるいは信用不安が生じまして、社会的な秩序の混乱を生ずるといったようなおそれのある場合の緊急規定、こういうふうに私ども了解をいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そういたしますと、日本銀行が山一に二十五条適用で貸し出したのは六月の何日でしたか、最初の日は。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 本件決定を見ましたのは、五月二十八日であったと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、今日まですでに約一カ月半近くたっているわけですね。最初の部分は緊急避難として出さざるを得ないでしょうね。ところが一カ月幾らもたってくれば、あとから出てくるものはやはり一種の緊急措置的なものがあるでしょうが、前にある部分については、私は日本銀行としてはその緊急的な措置としてはわかるけれども、やはり二十条の二によってここにきめられた担保を何らかの形で取る責任があるのではないのか。いま山証券をこまかく調査をして、完全に担保になるものはないのか、取れるものは取るべきではないかというのが、この二十条の二のたてまえであると思うのですが、その点はどうなんでしょうか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 二十五条を発動いたしまして特別融資をやっております場合におきましても、それは当然やはりあらん限りの担保は取る、現在も実は山一証券の本社のみならず、その傍系会社等も含めまして、一切の担保の提供を日本銀行としても命じておるわけでございます。のみならず、さらに債権管理のために資産の移動その他十分厳重な統制をいたすというようなことで、山一と日銀との間の話し合いでもってやっているわけでございますが、そういった意味で、債権保全のための措置は、先生御指摘のとおり従来ともやってまいっております。ただ、じゃなぜ二十五条を発動したかということになるわけでございますが、これは山一証券の振り出し手形のつまり担保力、これは十分担保力があれば問題はないわけでございますけれども、そこに先生十分御承知のようなことで、担保の適格性について完全でないということから、二十条の通常業務ではまいれませんものですから、そこで二十五条を発動してやっているわけであります。これはまさに御指摘のように緊急避難という意味でございまして、そういう状態がおのずから解消するということになれば当然その必要はなくなるわけでございますが、さて問題は、要するに運用預かり等に対する払い出し請求、これがまいります場合の資金繰り手当ての問題でございまして、十分な担保を持って資金繰りがつくということであれば、これはもう直ちに廃止されてしかるべきものでございますけれども、現状におきましてはまだそこまでまいっておりません。そのために、やはり運用預かりに対する不安というか、これはともかく現在だんだんに鎮静はしておりますけれども、しかしまだ十分な支払い能力、担保力というものが完備していない、ここで通常のものに直ちに切りかえるということはなおむずかしい状態でございますので、これはまだしばらく続けざるを得ない、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、日銀がそこまでやっておる場合に、そうすると、やはり再建計画については、日銀は非常に責任が出てくると思うのですね。この再建がもしできなければ、担保力がないのですからね、日銀の貸したものは緊急融資であれ何であれ日銀の貸し倒れになりますね。もしその再建がうまくいかなければ、どうしても再建計画を軌道に乗せるということになれば、私がさっきちょっと申したようなかなりきびしいいろいろな検討の上でないと、私は、日銀として問題が今度は出てくるのではないか、これは再建がされるという前提でおそらく日銀は緊急避難的な処置をしておるんではないか、こう思うのですが、その点は日銀としては——あなたは日銀じゃないですからなんですが、しかし日銀としてはやっぱりやるべきことでしょうね。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 おっしゃるとおりだと私も思います。そして、同時に日銀もこの再建を期待しておりますし、私どもとしましても、先ほど証券局長が申しておりますように、再建が行なわれることを期待をいたしております。ただ、先ほど来御議論もございますように、いろいろ再建計画を立てます場合の前提条件等について、いろいろ情勢に応じてものは動くということはございましょうけれども、しかし、基本においてはあくまで再建をいたす、またそれができるということを期待してやっておるのが現状でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 山一の問題だけではありませんけれども、山一に象徴的にあらわれている問題を土台として、いま少し金融サイトの問題について議論をしたいわけでありますけれども、そこで、次に証券金融の問題に少し入りたいと思うのです。  こういう問題を契機にして、いま非常に証券金融ということの重要性があるのだ、こう言われているわけですが、私はどうもその証券金融というものがよくわからない。そこで、私どもがここで証取法の改正をして、将来的にはブローカー、ディーラー、アンダーライターというようなものが、全部がすっぱり分かれるかどうかは別としても、もう職能分離的な方向に進むのだ、こういうことになると思うのです。そこで伺いたいのは、ブローカーをやる場合に、一体証券金融、金融資金といいますか、これは何のために要るでしょうかね。それをちょっとまず最初に伺っておきたいのです。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 いまのお答えをする前に、ちょっと前のことについてでございますが、山一証券があのときとしてはあれが最善の策だということでのんだと、こう申し上げましたが、しかし、その後市況の動きによりまして、手数料収入に幾分そごを来たしておるということでございますが、それ以上に販売一般管理費あるいは金融収支等について改善が行なわれているわけでありまして、計画自体としては非常に順調に進んでおるということを再度ここで申し上げておきたいと思っております。  それから、将来証券業者の職域といいますか、職能分化が行なわれたときに、おそらく純粋ブローカーを想定しておられると思いますが、純粋ブローカー金融というのは一体何であるかということでございます。やっぱり先進国でありますアメリカに範をとって見る以外に方法はないと思いますけれども、御存じのとおり、相当な資本金の制限がございますが、日本のように店舗に固定することはほとんどございません。したがって、運転資金の大部分は自己資本でまかなっておるといってもいいと思いますが、信用取引についてお客さんに供与する資金量が要るわけでございます。これは自分の取引銀行からブローカーズローンという形でそれぞれ証券業者の信用力に応じて自分の取引銀行から信用取引をした証券業者は、またお客さんの信用力を基盤にして貸し付け、信用買いの貸し付けの量なり金利をきめていくというのがアメリカの実情でございまして、そうした信用取引の買い玉へのための金融、このための金融機関からの借り入れというものが非常に大きな比重を占めておるというのが普通想定され得る純粋ブローカーとしての必要資金量じゃなかろうか、こう考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 アメリカの例じゃあちょっとまずいんですよね。いまは日本の証券金融ですからね。ですから、いまのブローカー業務ですが、いまだって何もごちゃまぜじゃなくて、ブローカー業務はブローカー業務、ディーラー業務はディーラー業務、アンダーライターはアンダーライターとして区分けはできるはずですからね。当面いまのブローカー業務として必要なそういう金というのは、一つは株式売買の立てかえ金じゃないですかね。もう一つは信用取引の立てかえでやっぱり出しておる金、厳密にいえばこの二つが現状のブローカーとして必要な資金でしょうね。ほかにまだありますか。あれば課長のほうからでも専門的な立場からお答えをいただきたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 いまおっしゃったとおりであろうと思いますが、立てかえ金もあります。売ってくれといって株を持ってきて、金を取りに来ない預かり金も一方において相当あるかと思います。大部分の金は信用取引に要する金であろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから、信用取引に要する金と、四日目の決済の場合、持ってきて、その場で金を渡している立てかえ金もあると思いますがね。信用取引の場合はある程度やむを得ないと思いますけれども、売買の立てかえ金というのは、これは過当サービスなんです。それはやる必要はない。四日目に受け渡しということになっているのですから、ちゃんと四日前に金を払えば、四日早く払うから金がそれだけ要るということだろうと思いますが、この際証券業者が過当競争をやめるというならば、そういう過当サービスをしないで、ルールに従った処置は少なくともやるべきだと思う。そうなってくると、信用取引の資金の問題だけが多少残る。これも日証金があるのだから、何も業者が全部立てかえなくても、できるだけそっちを利用させるようにすれば、あまり大した額にはならないと思うのです。ブローカー業務としての資金量は、アンダーライターの場合は多少資金が引き受け業務として寝ている部分のものがありましょう。ありましょうけれども、これも比較的限界のある問題じゃないかと私は思うのです。それからディーラーをやった場合には、これまでのような推奨販売をやり、ともかく卸売り業務的にやり、買い込んでいろいろやれば、それは金が幾らあっても足りないのです。しかし、少なくとも適正なディーラー業務をやるのならば、その資金もそんなに大きなものじゃないのじゃないかと私は思う。どうもこれまでのいろいろのやり方をやっているものが、いま言われている証券金融なるものは、あれをそのまま続けるために必要な証券金融というふうな感じがしてしかたがないのです。あるべき姿の証券金融というものは、これは銀行借り入れで、現在でも株式担保金融を日本でやっているわけですから、日本の場合でも資金量のうちの大体二・七%ぐらい株式担保金融をやられている。アメリカでも四・五%ぐらいと言われているわけで、大した差はないわけであります。私は、いま証券金融の問題について、なぜ証券金融、日本銀行における株式担保金融などということを言われているのか、非常な疑問に苦しんでいるわけですが、その点についてあなた方の考え方を聞きたい。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 証券金融問題というものは、非常に広範な問題を含んでおると私は思います。主張される方によりまして、何をポイントに置いて言っておられるのか、あながち統一した御意見のようには私は拝聴はいたしておりません。しかしながら、われわれがこの問題を取り上げます場合には、いわゆる狭義の、厳格な意味におきます金融市場とそれから資本市場とあわせて、広い意味における金融市場として、日本銀行のコントロール下にありまして、両方車の両輪として資本市場がその機能を果たすために資本市場として必要な金融は何だろうか、資金量が幾らぐらい要るのだろうかという広い場でとらえてみる必要があろうと思います。これについてはいろいろの分け方があるわけでございまして、いまおっしゃいましたのは、大部分の証券業者が言っている証券金融でございます。いわば証券業者の金融の問題であろうと思います。あるいはこのほかに有価証券に投資いたしましたお客さんに対する証券という、そういう有価証券の物的担保力を基礎にした一時的な金、これだけは持ち続けたいが、一時金が要るという、そういう金融もあろうかと思いますし、先ほど論じ始められましたとおり、昨今における緊急避難的な、しかも証券市場がないところから非常に異例な形で行なわれてきておるのでありますが、このあと始末といいますか、正常化といいますか、どういう形で一体各方面にうまく支障のないように、不都合が起こらないように、将来ガンが残らないようにどうすべきか、そういう緊急避難のあと始末の問題もありましょうし、終期的には証券界の再建金融という問題もありましょうし、もう少し長い目で見た場合には、いま私最初に申し上げましたノーマルな状態になったときに、一体証券市場には、あるいは証券業者にはどんな金融力が必要なのか、いろんな観点、いろんな対象がございまして、論者が一体どこに中心を置いて言っておられるのかということについて非常に不分明な点がありますので、いささかここで申し上げにくい点ではありますが、要は資本市場が資本市場として機能を果たすためには従来のような欠陥があったことは事実でありますので、スムーズに、しかも資本市場の機能を果たすためにどういう金融措置が必要かという観点に立ってわれわれいま鋭意知恵をしぼっている最中であります。  そこで、特定の問題に顧みまして、証券業者金融、しかもノーマルな状態に返った場合の証券金融の問題でありますが、おっしゃいましたとおり、純粋ブローカーあるいは純粋ディーラーあるいはアンダーライターそれぞれにつきまして、もし職務分野が明確になりますときには、そうたいして私も金融力を必要とするとは思いません。むしろ相当部分は自己資金でまかなうべき対象の用途も多いんじゃないかと思います。ただ一つ、私の全く私見でございますが、純粋ブロカーになったときに、たいして金は要らないにいたしましても、資金源なりあるいは証券金融というのは非常に短期の金でありまして、要るときはすぐ要る、要らなければすぐ返すという性質のこういう金がいわば非常に毎期資金市場の逼迫しております日本の現状におきまして、一体アメリカ的な自由なそういう取引が可能なのだろうかどうだろうかという点に基本的に問題があるわけでありまして、現に日本の証券金融会社等の設置されておるゆえんは、まさにそうした短期資金市場の窮屈さを補うためじゃないかと思います。この日本の経済成長のテンポその他を考えてみますときに、あるいは都市銀行が長期金融も短期金融もあわせてやっておるという金融構造的な面も考えますときに、ここ五年、十年の間にはたして自由な短期資金市場というものが期待し得るかどうか、私個人的に非常に疑問に思っておるところでございますので、いま特別に設けられております証券金融会社というものもございますけれども、資金量といい、金利といい、あるいは取引の自由化といい、これは貸すほうと借りるほうですから、両方ともお互いに信用し合って貸し借りするのが原則であろうと思いますが、一種の擬制された制度金融化しておるようなこういう金融組織でいいだろうかどうだろうかということにつきまして、やはり基本的に検討し直す問題点を含んでおるのではないかと私は個人的に考えておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 銀行局長にお伺いいたしますけれども、このごろよく言われておる株式担保金融というのは、市中銀行段階で日本でもやっておるわけです。日本銀行法第二十条の二でも証券は入っていますから、法律としては、この前佐竹さんも言っておりましたけれども、できないことではないと思いますが、私は日本銀行がそこまでやらなくても市中銀行段階で十分だという判断をしておるわけです。大体先進資本主義国でも、スエーデンか何かちょっとそういう形のものがあるようですが、そのほかにどこか中央銀行がそういう株式担保金融をとるというところはありますか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 各国中央銀行が株式を担保にとっているという話はあまり聞いたことがございません。ただいまお話しのように、現在わが国でも市中銀行は株式担保で証券会社その他に金融をいたしておることはまさにそのとおりでございますが、問題は、その市中銀行対中央銀行の関係で、つまり、中央銀行からの与信を受けていかなければならぬという問題にからめて考えますと、その場合には結局市中銀行としてはどういうものを担保に中央銀行に持ち込むかという問題でございます。現在、市中銀行の実情から申せば、中央銀行に持ち込む担保にこと欠くような状況ではございません。したがって、そういう意味においては、必ずしも中央銀行に直ちに株式をつながねばならぬということには相なるまい、かように実は考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私もどうも何か非常に安易に株式担保金融が考えられておるようなので、きょうはその議論を——市中銀行は独自の判断に基づいて、要するにコマシャルベースの中で担保をとってちっとも差しつかえないと思いますし、これは担保の問題以前に相手方の信用の問題にも関係があると思いますから、それは株式であれば掛け目はおそらく六割掛けぐらいしかとらないと思いますが、何しろ株式担保金融は日本で現在行なわれておるし、それは証券会社だけでなくて、おそらく個人でも信用のあるところなら、何も不動産でなくても、不動産をとるよりは株券のほうがいいわけですから、不動産担保でも金融機関が貸しておるわけですから、その点から見るならば、いまふさがれておるとは私は思わないので、この点はあまりにも安易にこれまでの運用預かりを、そういうものがあったのがなくなったとしたら何か考えてやらなければならないと、いろいろな形で議論が——証券局がそう言っておるというのではないのですが、あちこちでいろいろなかっこうで議論されておりますけれども、これまでのああいう不正常な金融状態はやはり除外して、今後のあるべき証券金融というのはどういうことなのかということから議論が進められないと、あまり価値のないことだと私は思いますので、いまの日本証券金融が制度金融であるなしは別として、この金融について必要な範囲は、いまの金融機関でもやってできることで、もしできなければ、それは同価金なら日証金ができるようにやればいいので、どうも盛んに証券中央銀行だとかなんだとか、いろいろなことが言われておりますけれども、あまり安易にそういうことを考える必要はないのではないか。ただ、ここで申し上げておきたいのは、いろいろな形で日本銀行はいま金を出しましたね。保有組合に出し、共同、証券に出し、いろいろなところに金を出しておる。だから、これは少し整理する必要が確かにひとつあるのではないか。  そこで、私は、また話がぐるぐる回ってたいへん恐縮でありますけれども、今後の一番大きな問題の一つは投資信託の今後の問題だと考えておるのですが、どうも私は、ユニット型投信というものは大体峠に来たような感じがいたします。いよいよ基準価格を割り、償還が起こるということで一年延期になりましたけれども、中身を調べてみると、今後ずっと出てくるのは、一年延期したからといって額面が回復する可能性は非常に少ないのではないかという感じがいたします。これのもとは、やはり日本経済のサイクルが三年くらいでサイクルかあるとすれば、五年でよかったと思うのです。坂が来てもどこかで上がるだろうというので、三年おきのサイクルでどこかにひっかかるから、五年なら何とか運営できるということだったと思いますが、もう日本のこの経済循環というものはそういう短期の循環ではなくて、これは国際的な条件の中に巻き込まれていますからかなり波動がゆるやかになってきて、一ぺん下がるとなかなか上がりにくい、今度上がり出すとそうすぐには下がらないというような波が非常にゆるやかになってくると、五年のユニットを今後相当継続するのはやや問題があろうかと思います。それからもう一つは、投資家一般に証券会社に対する不信感というものは依然としてかなり根強くあるわけですから、そこで、これは今後の問題として私の考えを申し上げるだけでありますけれども、投資信託は今後は日本でもやはり必要だろうと私は思います。大衆がそういう直接投資をすることはなかなか困難であろうから必要であろうけれども、ここでひとつ局面を転換をしたらどうかというのが私の一つの考え方です。これはもう前から言われておりますけれども、日本共同証券というものの今後の終結をどうするかということの中には、この前ここに中山素平さんも来て言いましたけれども、会社型投信というものへの転換というものも考えられる、そういうふうな話が実は出ておったわけですが、私はひとつここらで投資信託法の改正をして、新たな形における会社型投信というもので、期間が比較的長いもの、そうしてその運営が単に証券会社のみならず、信託なりそれから銀行なりというようなものも少し参加をした、だれが見ても一般的に不安が非常に少なくなった証券会社が入って当然なんでありますが、そういう形の会社型投信というものが二つなり三つなり新たに設立をされて、そうしてそこでいまのユニットの残っておるものを全部そこへ一回吸い上げて、受益者がそこで解約をされてそのまま持って帰られることは、それはそれでよろしい。しかし、新しい会社型投信のそういう投資信託をお買いになることは、いまの時価でパーで処理をしましょうというようなことで、私はそろそろユニット型投信というものについての今後の局面転換をはかるというのも一つの考えではないのか、というのは、ユニットを続けていて、そうして将来に対して非常に明るい見通しが確実にあるというのなら、私もまた別にこういうことを言わないのですが、いろいろな観点から考えてみると、私はどうもこういう新しい局面転換、これはしかし投資信託法の改正その他を伴わなければできないことでありますから、いまここで言ってすぐできることではありませんけれども、それは私は投資家一般が持っている証券会社に対する不信の問題は除去できるし、そうして今後の見通しについては五年というような期限に束縛をされないしするから、どちらかといえば、私はこういう時期にはユニットよりはオーブンのほうがもっと追加設定があってしかるべきだと思うけれども、オープンのほうはあまり追加設定ができない。依然としてユニットが続けられるということは、片一方のユニットの解約に対する一つの措置として、要するに何かいままでの解約を何とか防ぐといいますか、最小限度にそれをつなぐためにどうもユニットを継続しているというように、私はいま見ておってそういう感じがしてならないのです。たとえば、いま投資信託は千五百三十億ですか、コールを持っておりますけれども、結局そのコールは全体が平均して持っているわけではなくて、組み入れ比率は七五%くらいの株式でしょうけれども、これの以外にはおそらく九〇%がコールで一〇%くらいが株式である、いろんなものがあるだろうと思う。しかし、もし解約がどんどん出てきたら、市場の外に株を出さないようにしようとすれば、内部ではやはり一種のコロガシのようなものになって、そうしてそのコールで払っていくことになれば、いま新たに追加設定していこうというユニットは、まさに解約のために準備金を積み立てているという感じすら私はするわけでありまして、そういうことは、私は投資家の、本来の投資信託に入る人たちの本意ではないのではないか、こういう気持ちもいたしますので、そこらでひとつこれは割り切ったかっこうでの局面転換ということも一つの方法ではないか、こう思います。これは多分に政治的な問題ですから、局長よりは藤井次官のほうにお答えを願ったほうがいいかもしれませんが、ひとつ私は検討の余地がある、こう思いますけれども、その点について……。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 ただいま堀委員から非常に勉強された御意見を拝聴いたしまして、非常に参考になります。ただ私は、この従来の制度というものがそれなりの一つの沿革を持ち、機能を発揮してきておる、それと、また別のものをはっきり見届けないでいきなり打ち出すということになると、従来のものが悪いんだという、こういう印象がまた対外的に波紋を描く、非常に慎重にこれは研究しなければならぬ問題だ、御趣旨はよくわかりますので、内部でよく検討さしていただきたい、こう思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 もちろん慎重にやっていただかなければならない問題ですが、私が申し上げておるのは、いまのままでじりじり解約が来まして、まだ約一兆円ほど残存があるわけですね。これがいまのようなことでだんだんきて、あと二千億要る、三千億要る、こうやっていくことを考えれば、多少一挙に金が要るかもしれません。三千億か四千億要るかもしれませんが、一ぺんで処理をすれば、それで問題は解決して、いまの資本市場にこう重圧になっておる投資信託の問題は一応切りがつくのではないかということなんですね。じりじりやるか、勇断をふるって多少の問題が起きてもやるかという政治的判断の問題がありますから、これは事務当局の問題ではありませんが、ひとっこれは大蔵省としても十分に検討をしていただきたい。これは、一つはそういう業者の信用問題を非常にはっきりからっとさせる問題につながっている。  業者の信用問題に触れましたから、もう一つ申し上げておきたいのは、最近東京では田中証券というものが保護預かりを使い込みをいたしまして、これは週刊誌等でも盛んに取り上げられております。それで保護預かりを使われた人たちはたいへんな被害だと思います。そうかと思ったら、今度は奈良県ですか、どっかでもやはりそういう事態が起きているわけです。この保護預かりというのは、正式には兼業承認を得ているのは四社と、あと二社だけで、六社だけが本来の保護預かりについての兼業承認を得ているだけで、その他は保護預かりという名称だけれども、実質は保護預かりではないのではないかと思うのですが、そこのところはどうですか。兼業承認のあるものとないものとの保護預かり上の差異はどうなっておりますか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 保護預かりの問題につきまして、大蔵省が兼業承認等の方法で合法化したものかどうかということについて新聞紙上その他で論議もあり、いろいろな誤解が生じたことを、われわれの手続不備その他で遺憾に思っている点もございますが、その後われわれが機会あるごとに非常に明確にいたしておりますとおり、五つですか、六つの社について特に兼業承認として承認いたしましたのは、いまで申しますと、いわば貸し金庫、不特定多数——たとえその証券業者と取引がなくてもいいわけでございます。貸し金庫でございまして、場合によってはお客さん自身が錠を持っているというのが原形でございます。そうでないものもありますが、そういうものについて兼業承認を許しているわけでございまして、その他の証券業者につきましては、一応お客さんの買ってくれ、売ってくれという一種の信託的行為ですか、それを忠実に実行する義務のある、信用ある業者というものが前提になっているわけでありますので、当面の短期の売買取引に伴います。時的な有価証券の預かり、あるいは買い付けた証券を、そこへお客さんが取りにくるまで持っているとか、金銭につきましてもそうした短期的な預かりということもあり得ると考えますが、そういう意味におきます付随行為をわれわれは保護預かりと言っているのでございまして、証券業者の信用力を基礎にいたし、かつその取引の実態から申しますと、当然付随的な業務として、これは特別な兼業というまでもなしに、合法的にもし業者がやっているとすれば少しも問題のない付随的な業務であるとわれわれは考えているのでございます。こういう意味におきます保護預かりを特定の少数の業者しかやっておらない、あとはもぐりでやっているという印象を一部の投資家に与えまして混乱を生んだことにつきましては、われわれは非常に責任を感じているところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私はその中身のことはいいと思うのです。おっしゃるとおりであって、貸し金庫とかいうところで預かるというものと、ただ単に経過的に預かるというものとの二つだったと思うのですが、それはいいのですけれども、実はこういう意味の状態が長く続きますと、要するに、担保力のあるものはそれなりの資金の道がつくと思うのですけれども、担保力が不十分な業者は担保になるものがなければ、目の前にある保護預かりを担保に使って金を借りるという問題は起きかねない問題なんですね。しかし、正常な状態で資金にみな困らないときはいいのですけれども、かなり困ってくると、それは違法だということがわかっていても、目の前についあるものだから、それを使ったというのが、やはり田中証券なり南和証券ですかの問題だろうと思うのです。しかし、いま表に出ているのはこれで、東京で非常にわれわれ問題にしていますが、全国にまだ相当数証券業者がおるわけでしょう。はたしてそういう保護預かりの問題に手がついているかいないかというような点については、これは大蔵省といえどもなかなかそんなことをこまかく調査はできないのじゃないかと思うのです。もしこういうようなものが次々に出てきますと、これは証券業者全体に対する不信感を非常に大きくする危険なもとになるのではないか、こう思っております。  そこで、私は、この保護預かりについても、要するに大衆の信頼にこたえられるような措置が考えられていいのではないか。これもさっきのあれと似ておるわけですけれども、いま私がいろいろなことを考えておりますのは、いかにして証券業者に対する不信感を除去して、こわいものはない、不安に思うものがなければ、だれも証券業者を信用していいわけです。ところが、いまどうもそういういろいろな不安なものが、保護預かりといって、紙きれで預かっていますよというようなものがあっても、いつ使われてしまうのかわからぬ。運用預かりだって、何か不安だということで、どんどん出てくる。こういうことが土台になっておると思うので、方法はいいのですが、私はかりにこういうことを考えているのです。保護預かりに対する第三者的な管理機構というものをちょっと考えてみてもいいのではないか。たとえば、これはAという証券会社で、やはり保護預かりはないと不便でしょう、業者と顧客とのつながりをつくる上にも。ほんとうはそんなものを預けなければいいといえばそれまでですけれども、便宜上預けているという場合もありますが、相当な額に保護預かりがのぼっておるわけです。これは大蔵省でしょっちゅう監督できませんから、何らかそういう第三者的管理機構といいますか、それが引き受けて、保護預かりについて自主的に調査もし、同時に、もうそれがしょっちゅう見ているから心配はありませんという形の何らかの自主的な機関をつくる。これは証券業者が自分でやったのではだめですから、やはり第三者的要素のある管理機構をつくって、その保管はその証券会社の金庫に入れたっていいが、しかしそのものは金庫には入っておるけれども、それは常にいまの管理機構が監督できるような何らかの仕組みを考えるということによって、この保護預かりの問題を一ぺん全面的に再点検をして、そしてそこが管理をするということになると、この問題に対する不信感というものも非常に除かれるようになるのじゃないか。ですから、当然この問題の中で、いろいろな景気見通しの問題もありますし、収益性の問題もありまりすけれども、当面の非常に大きな問題というのは、証券業者に対する不信感というものをいろいろな形で除去をして、投資家も安心してやれるということを一つの土台にして考えるべきではないか、こういうふうに思いますけれども、これについてひとつ。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 お客と証券業者の間の信頼を基礎にいたしまして通常の取引が行なわれるというのが正常な状態であります。そういうときにおきましても、何らかの大きなワクはめといいますか、異常状態が起こらないような措置を講ずる必要があるのじゃないかという御提案に対しましては、われわれも大いに検討を加えなければならぬと考えております。ただここで、現在われわれ証券業者について、投資家の信用を回復するという意味もあり、かつ、証券業者の合理化という点に観点を置きまして、新しい態度でもって証券業者の検査を進めておりますが、一番は、何といいましても、こうした保護預かりが有価証券を善良な保管者として持っておるかどうかということに一番重点を置いてやっておるわけでありまして、一、二非常に不心得な者が出てまいりましたけれども、大部分の業者につきましては、こういうことが漸次なくなってきておるということは言い得ると思います。  そこで、第三者的な者に預けるというのも一つの考え方ではございますけれども、最初に申し上げましたとおり、お客さんのものを使い込むと、うことは、証券取引法以前の問題であるということが言い得ると思います。以前の問題であっても、そういうことが当然に行なわれない、そういうおそれが起こらないように何か大きなワクはめが必要ではないかという意味におきまして、第三者的な保管機関の考え方も起こってくるのではないかと思いますが、最初に申し上げましたとおり、そもそもお客さんと証券業者の間における信頼感というものが基礎になって取引が行なわれるというのが実情であり、現にアメリカにおきましても大部分の株はストリートネーム——どこかの証券業者の名前で取引が成立しているということでございまして、ある種の取引における信託ないし信託的行為というものが付随的に証券業者にあっていいのではないか。そういうことが保障されないような業者は免許制として認めるべきでないという基本的な考え方もわれわれはあるわけでございます。あわせて、現在のお客さんの証券業者に対する信用をどうして回復するか。あまり荒立たしいことをやることはどうかという微妙なことも考えまして、当面の措置も研究したいと思いますし、正常な状態に返りましたならば、免許制に対して、そもそもそういう信託的業務が行ない得るような証券業者のみにライセンスが与えられるという精神も生かしていきたいし、あるいは徹底的な改善方法として証券界全体の経理、冗費の節減、取引の安全という観点から、シコパン制度というものも現にヨーロッパでもありますし、アメリカでも行なわれておりますし、カナダでも試験期間に入ったということがいわれておるわけでありまして、どっかの中央金庫に全部入れてしまうという方法によってこれが抜本的に解決されるという道もあるのではないか。こういう考え方に立ちまして、当面の措置とあわせてひとつ抜本的な対策の一部としてもこういう問題を今後とも真剣に検討していきたいと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いま局長の触れられた振りかえ決済制度の問題は、いまの問題に非常に関係があります。だから、私はぜひもうちょっと——これはいまの問題でありませんけれども、次の段階としては大蔵省も検討を進めてもらいたい問題だと思いますが、これは実はいまの問題なんです。私は何もいま管理機構をつくらなければいかぬというのではなく、管理機構というものは、そこが全部預からなくともいい、要するに、不安がないということが明らかになるということがいま重要だと思うのです。そこで、いまの状態がずっと続くと、実は私も不安がある。そこで、証券局なり理財局がまずとりあえず保護預かりについての点検を全国的に、比較的短時間に行なって、そして保護預かりは心配ありませんと言えば、私は非常にいいと思うのです。投資家大衆は、田中証券なり、いまの南和証券とかにそういう問題が出ておるためにやはり不安感を皆が持っておる、その不安感をいかにして取り除くか。方法は私は別に何でもいいと思っているのですが、大蔵省でそれを全部やるというのもたいへんだろうから、何らかの第三者的なそういう管理機構、常時点検がされて、保護預かりされても心配ありませんという問題の処置が当然必要なのではないか。将来的にはいまの振りかえ決済制度のようなことになれば、私は非常に問題が簡単だと思うのですけれども、そこらについてちょっと申し上げておきたいのは、何かそういうことをするのが不安感を助長するという側面はありますよ。しかし、やらないでいて、次次と起きたときの不安感のほうがもっと私はマイナスになると思っております。だから、この証券問題について、今日まで私がものを言わなかったのは、何かものを言うことがマイナスになるからと思って、私も少し差し控えていたけれども、それは言わなければだんだんまずくなるので、どこかでやはり踏み切って、そういう不安もあるけれども、しかしそれは大蔵省が前向きに責任を持った行政をやるんですということになって、大衆の不安感を除去するような証券行政をひとつここらで一ぺんとってもらいたい。私はいろんな問題を言いました。保護預かりもあるし、投信もある。いろいろなことを言っているのは、いずれの場面でも局面転換をして、ひとつ行政の責任の所在を明らかにして、要するに投資家の不安を除去するということが、この際非常に大きな問題点として、もうそれがタイミングとしてはやらなければならないところにきておるという判断を私はしたので、実はきょう少しこまかい問題を含めて議論をしておるわけですから、これもひとつ皆さんのほうで御検討いただければ、いまの答弁でどうしましょう、こうしましょうと言わなくても、おわかりいただけることですから、そう申し上げておきます。  最後に、信用取引の問題にちょっと触れておきます。どうもこういう情勢になると、いつも仮需給を活発にし、そのことによって市場に潤滑油を投入する必要があるということが業界ではよく論議をされて、すでに何か信用取引制度の改善について、問題提起がされ、また、さらに今後も引き続き何か研究機関を設けられて研究はされるようでありますが、私は、どうもこの点は、最近の例では信用取引が過熱をして、一時株価が上がった、ところが、これはそういうものであるので長期に持続できないから、これがまたがたっとこう下がる、それをくろうとたちが何べんも繰り返すために、大衆がますます遠ざかってきた、こういうふうに実は判断をしておるので、この点については、まさに慎重な措置をとらないと、私は信用取引が何か呼び水になるというようなことにならないで、おそらく私は逆効果のほうを心配する。まあいまの信用取引の問題も、それはそれだけでいいとは言いませんけれども、それをさらに強化して、何か信用取引にウエートをかけようなんということはどうも適切じゃない、私はこういうふうに判断をしておるのですが、この点についての事務当局の見解をひとつ……。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 御承知のとおり、実物取引を中心にやっております取引でございますが、これにある程度の仮需給が混入するということが、自由な、あるいは適正な価格形成、あるいは価格の維持といいますか、価格の継続という観点から見て必要なことだ、これは十分われわれも承知いたしておるところでございます。かねがねこういう不況の時期になりますと、ある証券業者の一部におきまして、くろうと筋、あるいは証券業者自身の営業の活発化をはかるという意味におきまして、これは市場振興という名前で事おもしろくやりたいという本心はどこにあるか、なかなかつかみにくいところもありますが、もしそういう気持ちで主張される向きが多いとすれば、おっしゃるとおり、われわれよほど慎重にこういう動きに対しては対処していかなければならないと思います。ただ、正常な価格形成から、価格の推移といいますか、一日のうちにたいへんな価格変動がないということのために、どの程度に——結局金融でございますから、金融の量なり、金利なり、一体どの程度にそうした資金が必要なのか、あるいは取引手法としてももっとしやすいようにしたほうがいいのかどうかということは、一にあげて公正な価格形成のためにどの程度の信用取引が一体必要なのかという判断にかかってくると思います。そういう観点に立ちまして、今後の信用取引の制度の改善、先ほど問題になりました一つの証券担保金融のまた一環の問題でもあろうかと思いますが、そうした公正な市場価格を形成するためにはどうあるべきかということの基本姿勢をくずさないようにわれわれ検討していきたい、こう考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 公正な株価の形成ということは本来必要なことですから、その範囲であるということなら私もいいと思うのですが、どうも最近御承知のように、から売りについては表示をするというようなことがとられましたね。これは業務規程の中にあることをただやっただけのことですから、たいしたことじゃないのでしょうけれども、実はいろいろなことをやらなければならぬような事態がある。私どもはこういう段階になってきて、一部の業者の人たちがから売りでもうけるとかなんとかいうことになったのでは、これはちょっと資本市場の公正な株価の形成からやはり遠くなるわけでありますから、ある程度のことは別としても、そういうふうな投機的な要素がいまの資本市場を支配するウエートをふやしていくということは、正常な状態から遠ざかるわけですから、そういう意味で、いまの証券局長の答弁を了解いたしますが、慎重な検討といいますか、考え方でひとつ対処してもらわなければならぬと思います。  一番終わりに、増資再開問題がきまったのかどうか、そこのところを伺いたいと思います。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 お答え申し上げます。  日にちはよく覚えておりませんが、たしか二週間くらい前だったと思いますが、大蔵次官が座長となっております増資に関する懇談会におきまして、十月以降増資開再の原則的な方向の決定がございました。考え方の一つは、やはり自由な資本市場、資本主義社会にとって増資ストップという異例な措置をいつまでも続けるべきでないということが一つと、増資には、やはり市場に歓迎されるといいますか、当然新規の株式の発行によって新しい資金を獲得していい会社までが増資を押えられるということは非常に曲がったことですから、かえってそういう会社が増資をするということが、活発な市場活動といいますか、自由な市場価格形成の上において好ましいという二つの観点に立ちまして、原則として再開はいたしますが、従来のふしだらな——ふしだらということばは悪いのでありますが、不当な増資が行なわれないように、増資ルールというもの、これを官製ではなく、金融界、産業界、証券界相寄りまして、当面自主的にこういう基本方針、こういうルールに従って増資をしたいというルールをきめました。これにのっとるほかに、当面の証券市場の状況もよくにらみ合わせて、過当な増資が行なわれないように、よくそのときどきの資本市場の状況を見て、さらに量的にも質的にも圧縮するという形で、スローな形で再開をしたいという基本的な考え方で話がきまりまして、実際の運営はさらに各界から出しました幹事会と申しますか、そこでやることになりまして、すでに十月以降の増資再開の申し込みの受付をやっているという状況でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 月間大体百億がめどだというふうに新聞で伝えられておりますけれども、その点はどうですか。

松井直行大蔵事務官(証券局長)

○松井説明員 私もどこかであるときに百億とか百五十億とかいうことを聞いたこともございますが、そういうワクを最初から想定してやるという態度はとっておりません。場合によっては二百億になるかもわかりませんし、場合によっては五十億になるかもわかりません。そのときどきの証券市場の状況をよく見まして、市場に歓迎されるもののみを中心に静かに出発していきたいというのが、基本的な運営の考え方でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 当面する問題についていろいろな問題を申し上げましたから、少し何ですが、私はやはり土台としては企業収益が上がらないのに、いろいろ株価のてこ入れなどを共同証券や何かがまた出てきてやらないようにしてもらいたいと思うのです。いまの利回りから見ますと、いまの日本の株式利回りは決して高くない。利回りは高くないですね。まだもう少し利回りが上がっても、ほかの金利ベースに比べていいのではないか。これまでは非常に成長見込みでありましたから、その部分についてかなり織り込まれて、その利回りがああいう位置に落ちついておったと思うので、きょうはどうか知りませんが、最近は千五十円を割って、三十円台というようなところをうろうろしているようですが、また千円台攻防などというような、そういうこそくな手段はひとつとならないで、やはり資本市場というものは自律的な作用を期待するということのほうが、利回りがある程度にくれば機関投資家も買うでありましょうし、そういう自然の売買で価格形成ができる、証券取引法がいう公正な価格形成ということを土台としてもらいたい。できるだけそういうことで投資信託をたな上げをして、金ができたから、あるいは共同証券にワクの余裕があるから、それをもってひとつまた出動して、株価を維持しようというような人為的操作は、今後できるだけやめてもらって、信用不安ということになれば、それは話は別でありますけれども、もうこのごろは千円を割れたらどうなるかということは、私はないと思っております。去年千二百円攻防戦ということをやって、それに使った金がはたして生きておるかどうか、ということについては、私は大きな疑問があると思いますので、ひとつ管理相場などが起こるようなことは、ひとつ厳重に行政当局としては注意をして、みだりにそういうことの起きないような配慮をお願いしておきたいと思います。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 ただいまの御意見ごもっともでありまして、ただ自律的に信用の維持、こういった点を配慮しながら、いまのお話の線で十二分に対処していきたい、このように思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 終わります。      ————◇————−

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  金融に関する件について、来たる二十一日、宇佐美日本銀行総裁に参考人として委員会に出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は、来たる二十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三分散会

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