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48回国会衆議院1965/06/07

大蔵委員会 第43号

発言数
61
登壇者
8
会派数
3
開催日
1965/06/07

会議録

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  税制、金融等当面の基本施策について、福田大蔵大臣より説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私、このたび、大蔵大臣を拝命いたしましたが、職責がきわめて重大であると考えますので、ともかく全力を尽くしてまいりたい、そういう所存でございます。何とぞ皆さまの御協力のほどをお願い申し上げます。  この機会に、わが国経済の現状並びに当面の財政金融諸施策につきまして、私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。  近年、わが国は、急速な経済発展をなし遂げ、国際経済社会におきまする地位も著しく向上してまいったのであります。しかしながら、このように発展を遂げたわが国経済にも、今後解決しなければならない諸問題が幾多存在しておると思うのであります。  すなわち、近年の高度成長の過程におきまして、いわゆるひずみ現象が生じたのでありますが、同時に、行き過ぎた投資によりまして設備の過剰傾向、企業体質の悪化などのもろもろの困難な問題があらわれてきているのであります。  このような推移を率直に反省し、今後は形と量だけが整った段階から、さらに、内容と質の裏づけを行なっていかなければならない時期に到来しているとかように思うのであります。  私は、もとより日本経済の基本的な体力自体につきましては、いささかの心配も要らないと信じております。したがって、今後とも着実な経済発展をはかりつつ、その質的強化を行ない、質、量ともに先進諸国に比肩し得るような日本経済を築き上げていくことをもって、経済政策運営の基本精神とすべきであると考えておるのであります。  わが国経済の動向を見てみますと、昨年秋以来、経済活動は鎮静化いたし、金融引き締め政策は本年四月に解除されたのでありまするが、ここ数年の設備投資の行き過ぎが積み重なっていることもありまして、企業の不況感は、なお解消されるに至っておらないのであります。  当面、景気の急上昇は期待できませんが、経済はすでに底入れの段階に入ったものと考えられるのであります。すなわち、企業の自主的な生産や設備の調整は着実に進み、在庫の圧力は次第に解消しつつあるように見受けられるのであります。さらに、需要面の大きな支柱でありまする輸出は昨年に引き続いてますます好調でありまして、輸出面からのわが国経済に対する好影響はきわめて大きいものがあるのであります。  政府といたしましては、まず第一に、現在進行中の企業の自主的な合理化努力に期待しその努力を鈍らせるような施策はこれを避けるとともに、基本的には経済全体の体質を強化するような政策を着実に進める方針、であります。もちろん、この際、無用の不安や摩擦が生じないよう、政府関係機関や民間金融機関につきましても、弾力的な融資が行なわれるようきめこまかい配慮を行ない、臨機適切な措置を講じていく所存であります。  なお、経済の現状に関しましてわれわれが注意しなければならないことは、設備過剰というデフレ傾向のもとにおいても、消費者物価の上昇などのインフレ圧力が同時に存在していることであります。  したがいまして、景気の動向について十分配意していくべきことはもとよりでありますが、安易な景気対策は、国民にとって最も関心の深い物価秩序に悪影響を及ぼすとともに、日本経済にとって最も大切な輸出意欲を阻害するおそれがあることもあわせて考慮しておかなければならないと存ずるのであります。  以上のような経済の動向にかんがみまして、今後、財政金融政策を運営するにあたりましては、国民各層の協力を求めて物価の安定につとめ、輸出を一そう振興して国際収支の均衡を確保するとともに、限られた資源を有効に活用し、各部門相互間の均衡を保ちながら、経済社会の調和ある発展をはかってまいりたい所存であます。  物価が安定いたしますれば、国民は住宅の建設など明るい希望を持って貯蓄にいそしむことができるのであります。同時に、貯蓄の増強は物価の安定に貢献し、輸出の振興にも役立つのであります。蓄積のある家庭、蓄積のある企業をつくり上げることこそ、日本経済を安定化するいしずえであると申して差しつかえないと思うのであります。  このようにして、わが国経済の長期にわたる安定成長の路線を固めつつ、その過程において、国民一人一人があすへの希望を持ち得るような高度福祉国家の建設につとめることこそ、政治の目標であり、同時に財政金融政策の目的であると申して差しつかえないと思うのであります。  次に、以上申し述べましたわが国経済の現状並びに経済運営の基本的態度にかんがみまして、当面の財政及び租税政策について一言いたします。  申すまでもないことでございますが、国民の皆さまからお預かりいたしました資金を一円といえどもゆるがせにしない決意であること、これは私の信条であることを、この際明らかにいたしておきます。  同時に、経済社会の調和ある発展をはかり高度福祉国家を建設するためには、国民生活の向上、社会資本の充実、低生産性部門の近代化、地域格差の是正など社会開発のための諸施策をさらに推進する必要があり、財政の果たすべき役割りは、今後ますます重要となるものと存ずるのであります。  他面、安定成長を前提とする以上、従来のような租税の大幅な自然増収は期待しがたいのでありまして、今後とも、予算、財政投融資計画を通じまして、経費、資金の重点化、効率化を一段と進めることにより、財政需要の効率的な充足をはかってまいりたい所存であります。  特に、本年度の予算執行につきましては、災害その他の補正要因が予想されるのに対しまして、経済の動向等から見まして、税収も多きを期待できないので、予算の弾力的執行をはかる必要があると考えるのであります。  今後の租税政策のあり方につきましては、わが国経済ないし財政の動向との関連におきまして、慎重に検討すべきものと考えております。  すなわち、国民生活の安定向上をはかり、また、経済の安定成長に資する見地から、減税計画をさらに進めてまいりたい所存でございますが、さきに述べましたように歳出需要充足の必要性は強く、他面、大幅な自然増収は期待できない実情のもとで、効果的な減税を行なうということは、一段とくふうを要するものと考えておるのであります。  最近、減税に関連して公債を発行すべしという意見が見受けられるのであります。しかしながら公債発行の問題は、単に減税財源というような観点からではなく、財政の状況を総合的に考慮しながら、現実的な視野から検討しなければならないと思うのであります。さらに公債の発行にあたりましては、公社債市場の整備が必要であり、また、財政の体質改善を進めることがその前提であると考えておるのであります。すなわち、現在の予算、税制のうちには、従来多方面に手を伸ばし過ぎた結果、硬直化している面もうかがわれますので、すでに機能を果たした施策につきましては、これを思い切って整理し、真に必要な施策を重点的に取り上げることができるように、この際財政の体質改善をはかることがきわめて肝要であると存ずるのであります。  次に、金融政策につきましては、当面金融情勢が落ちついておりますのでこの機会をとらえ、多年の懸案であるオーバーローンの是正、金利機能の活用、公社債市場の育成などの施策を着実に推進し、金融が安定成長の確保に十分役立ち得るような態勢や秩序を整えることにつとめたい所存でございます。  また、最近の金融機関の経営の現状にかんがみまして、その刷新のための指導を強力に行なってまいる所存であります。  長期資金を確保し、企業の資本構成を是正し体質を改善することは今日の急務であり、このため、貯蓄の増強と資本市場育成をはかることの重要性は一段と高まっておると存ずるのであります。しかしながら、最近の資本市場の状況を見ますと、遺憾ながらその機能を十分果たしているとはいいがたいのであります。申すまでもなく、資本市場の健全な発展のためには、証券業界自体がその使命と責任を深く自覚し、決意を新たにして、経営の合理化につとめることが何よりも大切であります。この際、証券業界の体質改善の思い切った努力が強く要請される次第と存ずるのであります。  政府といたしましても、今回証券取引法の一部を改正して証券業の登録制を免許制に切りかえ、その経営基盤と信用の強化をはかることといたしたのでありましたが、今後とも、資本市場の環境整備につきましては、各般の施策を積極的に推進する所存であります。  なお、当面の情勢にかんがみ、政府は、日本銀行とも協議の上、証券業界全体の信用保持と一般投資家保護のため、万全の準備を整えておりますほか、今後とも、必要な措置については着々と手を打ってまいりたいと存ずるのであります。  次に、国際経済政策の運営につきましては、みずからの国家的利益を追求すべきことはもとよりでありますが、同時に、わが国が自由世界の有力な一員であり、アジアの中の日本であるという認識に立つことが基本でなければならないと思うのであります。  日本経済の発展のために、世界経済の着実な拡大発展が欠くことのできない要件でありますが、このような見地から、わが国といたしましても、国力の許す範囲内で、低開発国に対する経済協力を一そう積極的かつ機動的に推進していく考えであります。  最近エカフェ当局を中心に、アジア開発銀行設立の構想が活発化しておるのでありますが、わが国もこの構想に積極的に参加し、アジア経済の開発と繁栄のため、一そうの熱意をもって対処してまいりたいと存じております。  また、国際流動性の強化や、ドル・ポンド等国際通貨の安定性確保の問題につきましても、関係各国との緊密な協力のもとに、積極的に討議に参加してまいりたい所存であります。  さらに現在、ガットにおける関税一括引き下げ交渉が本格的に進展しつつありますが、わが国といたしましては、国内産業に対する影響に十分配意しながら、これらの動きには今後ともできる限り協力してまいる所存でございます。  なお、国際収支につきましては、輸出は海外環境の好調もありまして、きわめて順調な伸びを示し、他方輸入は落ちついておりますが、今後とも輸出を一そう振興して、経常収支の均衡を確保することにつとめることが必要であり、この均衡を今後の財政金融政策の重要なめどとしていくべきであると信ずるのであります。  以上、わが国経済の現状と当面の財政金融政策について、若干の所見を申し述べました次第であります。  戦後二十年、わが国は世界各国が目をみはるような経済発展を実現してまいったのであります。現在、わが国経済は幾多の問題をかかえてはおりますが、われわれが今日まで築いてきました経済発展の成果の上に立ちまして、前途に自信と希望を持って真剣に努力するならば、必ずやこれらの問題は克服され、新しい発展の道が開けるであろうことを確信いたして疑わないのであります。  私も大蔵大臣といたしまして、最善を尽くしてまいる所存でありますが、皆さま方の御鞭撻を重ねてお願いする次第であります。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 引き続き質疑を行ないます。通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ただいま新任の大蔵大臣が所信表明を行なわれました。伺っておりますとたいへんけっこうな所信表明でございまして、おっしゃるとおりのことができるならば、私どもも日本の国民のためにたいへんしあわせである、このように考えるわけであります。ただ、しかしこれを伺っております中では、表現が非常に抽象的でございまして、いろいろな表現が、表現としては理解できますけれども、内容の具体的な問題については、いろいろと相互間に矛盾のある点も感じられるわけでございます。そこで本日は最初の委員会でもございますし、時間が不十分ではありますけれども、少し基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  お伺いをいたします問題点は、財政、金融及び現在の景気問題に対する大蔵大臣のお考えを承りたい、こう考えるわけでございます。  最初にお伺いをいたしますのは、いろいろといま議論がされておりますけれども、本年度の日本経済の見通しというのは、今後どのような経過をたどるというふうにお考えになっておるか。これまで政府のいろいろな発表によりますと、昭和四十年度は、前期は必ずしも十分でないが、後期はかなり上昇するという見込みになっております。それは企画庁が発表いたしましたところの経済見通し等においても大体そのようになっておりますけれども、本年度、四十年度の経済の今後の見通し、最近のいろいろと実績が明らかになったその実績を踏まえての見通しを、ひとつお伺いいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は、経済が今日非常に異常な状態にある。この異常な状態とは一体何だ、こういうことになりますと、設備過剰です。またそれに伴いまして潜在的な生産過剰、こういう状態が一面あると同時に、普通の景気循環におきましては、そういう際には必ず消費者物価を含めて物価が下がるという状態になるにかかわらず、今日の現実の問題といたしましては消費者物価が逆に上がり続けておる。そういうふうなきわめて特殊な様相を呈しておるというふうに判断しておるのです。このインフレ、デフレの交錯した異常な事態を克服して、そして物価を安定し、また同時に国際収支を安定基調に置く、これが私は経済再建の最終の目標でなければならない、またそのときこそが日本経済が真に安定したと、こう言えると思うのであります。  それで、まあ国際収支はいまのところ調子はいいのでありまするが、物価面が非常に心配である。これにひとつ取り組んでいかなければならない、これを克服してまいらなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、これには時間がかかる。これはことし直ちにこれを実現せいと言われてもそういうわけにはまいらない。私はこれは二年やそこらはかかるんじゃないか、こういうふうに思う。  そういう政策目標というものを持ちながら、それに向かって日本経済を運営いたしてまいる。私はことしはそのスタートの年というか、そういう年柄かと思うのであります。もちろんその間におきましていま当面しておる不況感あるいは株界の低迷感あるいは中小企業その他における倒産、破産というような問題、あるいは財政の窮迫、いろいろの問題がありますが、それらに対しましてはそれぞれ適切な対策をとらなければならぬというふうに存じておりまするが、ともかく明るい見通し——日本経済は成長力は強いと思います。その強い成長力を持ちました日本経済がいまちょっと暴飲暴食をしたようなかっこうになっているんだと思う。逐次あらゆる手を尽くしましてこれが治療に当たって、まあ二年後ぐらいな見当でほんとうに健全な、たくましい、世界を闊歩し得る日本経済をつくり上げる、こういうのであります。ことしの経済はどうだという端的なお尋ねでございますが、これからそういう安定へ向かってつま先上がりによくなっていくんだ、またそうするんだ、さように御理解を願います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの前段のほうはこれは本年の経済でなくて、福田さんが今後取り組もうとされる姿勢についていまの所信表明に重ねての御意見と承りますが、経済のほうはつま先上がりによくなるというお話であります。これ以上悪くなるかどうかという点については私もそうは思っておりません。まあだらだら横ばいかわずかに少しはよくなるという形を私も感じますけれども、しかしことしの経済見通しは政府が最初に考えたのよりはだいぶん違ってきておる、こういうふうに私は判断をいたします。その点はどうでしょう、福田さん。これまで政府が発表してきた経済見通しはかなり甘いのです。鉱工業生産一つをとってみましても甘いのです。そういうことではないと私は判断をするのですが、政府の最初の見通し——ですから裏返して言いますと、実質的なGNPの伸びが七・五%ということにはたしてなるのかどうか。私はそれを下回るのではないか、こういうふうな感じがするのですが、そこらを含めて、その点だけ簡単に伺っておきませんと……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ことしの景気はどうだという議論につきまして、秋ごろにはよくなるのだとかあるいは来年の春だとかいろいろな見方があります。ありますが、いまは景気の見地からいいますととにかく生産過剰、設備過剰、しかもその生産過剰、設備過剰の深さというものが相当深刻であります。がゆえに、私は景気についてそう明るい展望というものは持たないのでありますが、ともかくお話しのようにもう底である。底であるのでもうこれからは施策誤らざればだんだんと明るくなるだろう。いままで、明るい展望というお話がございましたが、皆さんそう明るい展望も持ってなかったのじゃないかと思います。表現のデリケートな差があったのかとも思いますが、さように存じております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いまの御答弁は私もそのとおりだと思いますが、まず財政の問題について、これは御専門のところでもありますからお伺いをしておきたいのですが、具体的に申し上げますと、昭和三十九年度の税収及び印紙収入の実際に入った額は、三月の終わりまででは九五%ぐらい当初予算に対して入った状態のようであります。間違っておりましたら御訂正いただいてけっこうです。そこで実はこの税収見通しを立てたときにはどういう情勢であったかと申しますと、鉱工業生産がまだ実績が出ておりませんでしたから、一四六・幾らというような実績見込みで立てたわけでありますが、実績が出た今日になってみますと、三十九年の当初に予想した見通しの伸び率の九%、この九%増という鉱工業生産の見通しが結果としては二・九%に実績対実績ではなったわけです。ですから見通しと比べますと四・九%鉱工業生産は伸びたのでありますが、伸びたにもかかわらず税収は当初予想しただけ入らなかったわけです。    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 九%で予想したのに実は一三・九%にふえたのです。四・九%もふえておりながら税収は予想より下回った、こういう現実があるわけです。ことしはどういうことになっているかというと一〇%の伸び率を実は予想して税収は組まれておるわけです。一〇%の伸び率を予想して組んでありますが、三十九年度の実績は一七二・一という実績見通しでスタートしましたけれども、しかし実際は実績が出てみますと一七〇・三にしかなっておりませんから、どだいもうすでに下へ落ち込んでおるということです。ですから当然ここはもう一〇%の鉱工業生産の伸びというものはほとんど見込めない、こう考えていいと思う。最近一月以来の鉱工業生産の停滞状態はいまあなたのおっしゃたような過剰生産、過剰設備から起こっておることは間違いがないわけでありますから、これが急激、に鉱工業生産が上がるという見通しは、その意味では非常に暗いのではないか。そういたしますと、四十年度の税収というものはかなりきびしい条件になるのではないのか、こういうふうに私は判断をいたします。すでに三十九年度の問題については税収の最終的な処置のところでは二百億円の欠損というかっこうで処理がされるようでありますが、その中には五百何十億という、本来ならば四十一年度に例年なら入っておるものを繰り上げて三十九年度に使うという措置すらとった。そういう処置をしながらなおかつ二百億の減収になるという見通しのようであります。こういう処置をとればこの次の四十一年度にいくべき部分というのはもう先取りしましたからあまりないわけです。そういうことになると私は四十年度の税収というものは、印紙収入を含めて非常に収入不足ということが顕著になるのではないか、こういう感じがいたしますけれども、大臣はそれに対してはどうお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 お話しのとおり、この経済界の企業の収益悪化ですね、その影響を受けまして三十九年度の決算は非常に苦しかったわけです。さらに四十年度も同じような勢いが続き、九月期の決算が一体どんな様子になろうか、非常に私も関心を持っておるわけでありますが、その九月期の決算というものがただいまお話しのような御心配がどんな深さになっているのか、あるいは軽微で済むのかということをきめる要因になっているんじゃないかと思うのであります。個人消費の伸びは堅実であります。個人所得の伸びもまた堅実である。したがいまして、所得税のほうはそう大きなあれはないんじゃないかと思いますが、問題は法人税が、そういう九月期決算の動向いかんでは、多少の変化を来たしてくるのじゃないかというふうに見ておるわけであります。そういうような形勢もありますので、財政収支の状況というものを私は非常に注目しながら見守っておりまするが、支出の面におきましてもこれは関心を払わなければならぬ。先ほど申し上げましたように、抽象論、原則論として、私の気持ちは、大事な国民の血税とも申すべきお金をお預かりした以上、これはほんとうに大事にしなければならぬという、その心がまえは、これはもとよりのことでありまするが、同時にただいまお話しのような、これからの収入状況というような面も考えまして、財政の運営にも配意をしてまいりたい、さような気持ちでおります。まあ、もう少し事態の推移を見ましてから、一体これをどう切り開いてまいるかという具体案、また御相談する機会があろうかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私が伺いましたのは、いま率直な御答弁で、私もしばらく時間をかけて具体的な問題についてはまた日を改めて伺いたいと思いますけれども、補正予算の必要というものは非常に明らかになっておりますし、この幅も、もし今後冷害その他がかなり強く出てくるような場合には相当予測せざる大きなものになる可能性もあり得るのではないか、こう考えるわけです。ですからいまの非常に収入の点で問題のある段階における補正予算の取り扱い等についてはあらためてお伺いいたしますが、最近における大蔵大臣としては、最も困難な時期にあなたは大臣就任をされたわけでありますし、御経験のある方でありますけれども、ひとつその点について、やはり補正予算は国民生活にとって非常に重要な問題ばかり、公務員のベースアップの問題もありますし、米価の問題もありますし、その他医療関係についての問題もありますし、国民生活にきわめて密接な問題であります。同時に、いまあなたがお触れになったように、個人消費をある程度堅実ならしめるためにも、公務員のベースアップ等は、これはやはり需要という側面から見ても必要な問題点であろうと私は考えるわけでありますので、その点等につきましては、非常に財政は困難であっても、処置はしなければいけない、こういうことになるのだろうと思います。こまかいことはあとに譲りますが、ともかくも補正予算についてはそういう国民生活を向上させるための積極的な意思をもって措置をされるかどうか、そういういま申し上げた公務員のベースアップあるいは米価の問題、あるいは災害の問題、あるいは医療保障の問題、これらについて、補正予算を組む必要は必ずあるわけですから、それに向かっての大蔵大臣の態度をひとつお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 大事なお金ですから、お預かりしたお金の使い方につきましては非常にきびしい態度で臨もうと思います。しかし必要な資金につきましては、これはけちけちは決していたしません。積極的な態度で臨みたい、かように御了承願います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで次に、景気対策として一般によくいわれておりますことは、財政支出の繰り上げをひとつやってもらえないであろうか、こういうふうな声が一方にあります。しかし、片方ではいまお話のありましたように、税収は非常に予想を下回りつつあるという段階で、大蔵省では財政支出については一割ぐらい減をめどにひとつ各省措置をしてもらいたいというような指示が出たやに聞いておりますけれども、この問題について、要するに財政支出の繰り上げによってそういう景気対策を行なう意思があるのかないのか。私は非常に困難な問題だろう、こう考えますが、その点なひとつお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 財政の状況につきましては、先ほど申し上げましたような次第でございまして、その運営にあたりましては財源とのにらみ合わせという角度も持ち合わしていなければならぬ。ところがお話のように景気が非常に低迷しているじゃないか。金融でいろいろ手を打ってみたが、ききめがないから、財政で需要を起こしたらどうだという意見もあるわけであります。私は財政支出を多少繰り上げてみる、それが景気にさほどの響きがあるというふうな感じは持ちません。むしろあるとすれば財政投融資のほうの運用ですね、こっちのほうに重点があるのじゃないか、そんな気持ちがいたします。ただ私こう見ておりますと、財政支出のテンポというものが非常におそいのです。ことに大事なのは公共事業費でありまするが、公共事業費のごときは四割、五割という割合で第四・四半期にウエートがかかっている。これじゃ寒いところの地帯なんか予算を勢い繰り越さなければならぬというようなことが出てくるのであろうと思います。第一・四半期はまことに貧弱でございます。そういうようなことを考えまして、景気対策ではありませんけれども、別の角度から財政支出、特に公共事業費の支出の平準化ということはやってみたい考えであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの寒冷地に対する財政支出の平準化ということは、これまでも当委員会でも議論になりまして、年度を暦年に変えたらどうかという問題等もあるわけでありますから、私も実は財政支出を少し繰り上げるということによって、それほど大きな需要が起こるとも思っておりませんので、その点についてはおおむね同感であります。  その次に、いろいろと問題になっております中で減税の問題がありますけれども、これはあなたのかねての御持論でありまして、大いに減税をやりたい、私どもも減税は大いにやっていただきたいと思います。ただ、どうもお話を聞いておりますと、税制調査会が実は長期政策として出しております日本の税というのはやはり何といっても所得税のほうにかかり過ぎておる。企業課税と所得税を並べるならば、所得税の減税こそもっと重視すべきであるというのが答申として出ておるわけであります。私ども全くそのとおりだと思います。で、企業の減税も、それはもちろん中小企業等を含めて必要な問題はあろうかと思いますけれども、いま当面必要なのは、私はやはり所得税の減税をすることによって国民の可処分所得をふやし、それが貯蓄に回ることによってノーマルな姿での投資が行なわれる、こういうのが私は物事の順序ではないか、こう考えるわけであります。そこでひとつ大臣に、やはり所得税を優先するのが本来の経済のあり方として当然ではないか。企業減税をやるなというわけではありませんけれども、重点は少なくとも所得税に置くのだということを、少し私は国民の前に明らかにしていただきたい。こう考えます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は経済の安定した姿というものは、物価が安定し、国際収支が均衡を保ち、そうして蓄積のある家庭、また蓄積のある企業、そういう状態を実現することにあると思うのであります。そういうことから考えますと、やはり減税という問題が大きな課題になってくるわけです。ただしかし、減税した、余裕ができた、それが追加購買力として四散してしまうのでは困ると思うのです。国民に余力ができる、それが蓄積されて国民の資産となり、それがまた貯蓄という形になって、そしてたとえば政府の需要に充当し得るような状態になるという形が好ましいというふうに思うのであります。私、考えますと、財政の規模というのが、ずいぶん大きくなってきておるように思うのです。戦前は軍事費が四割も占めておった、今日は八%しかありません。それにもかかわらず、財政の規模というと、戦前の三倍何分というくらいに大きくふくれ上がっております。これは佐藤総理のいう社会開発投資、これがふくれ上がってきたのであります。この傾向は私はどんどんどんどんと進んでいくのだろうと思います。社会開発投資の必要のウエート、これは高まっていくのだろうと思うのです。その高まりいく社会開発投資にどうやって財政は立ち向かうか。これまで二十年間とってきた方式に従えば、これは増税をしていくほかはないのであります。しかしそれじゃ私が理想といたしまする蓄積のある家庭、蓄積のある産業、企業、これはでき上がらない。私はそういうことを考えますと、税というよりは、国民が将来うちを建てようとかなんとか希望を託しながら貯蓄をする、その貯蓄、蓄積を国家の所要に活用するということをこそ真剣に考えるべきときにきているのではないか、そういうように思うわけであります。そういうことを考えますと、減税ということが大きな課題になってくるのでありまするが、個人の蓄積をふやすという意味における個人の減税、これももとより大事であります。しかしいま企業が非常に弱体である、この弱体な企業に蓄積を与えるという意味の企業減税、これもゆるがせにすることはできない。企業がしっかりするということは、つまりこれは企業をささえる個人がしっかりすることなんだ。基本的な考え方としては個人にあるのでありまするが、その過程において、企業もまたこれを安定させなきゃならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。目標は同じなんですよ。同じなんだが、その過程に一つクッションを置くか置かないかということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は企業減税について、ややアローアンスを残して伺ったのですが、いまの大臣のお話は、やはり企業減税優先の感じがいたします。ただ私はちょっと歯どめをかけておきたいと思いますのは、企業減税をもしやろうとするならば、私はもうちょっと企業は、そういう国民にこれまで払っておったものを当然減らしてもらうという国家的なメリットがあるならば、たとえば交際費等はさらに圧縮をして、不急不要の経費を圧縮するということが前提になって、なるほど企業も真剣に自分たちの経営について考えておるということが国民の前に明らかにならずして、安易なる企業減税をやってもらうことには絶対反対です。  そこで、ひとつ大臣にお伺いしておきたいのは、交際費の問題は本年度改正をされて、損金算入の部分が減りました。さらに私は、交際費というようなものは圧縮をすべきである、過当な広告等も当然制限をすることによって、もう少し企業の減税を行なうという確認なくしては行なうべきではない、こう考えますが、そういうきびしい、企業に対する自主的な態度、これについて大臣の御見解を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま私この地位につきますと、財界方面から景気を明るくせい、景気面に何らかの対策をとれ、これは激しい要望があります。私はそれに対して言うのです。政府でもそれはいろんなことを考え、景気の成り行きについては心配しております。しかし第一にやらなければならぬことは、財界の反省である。今日こういうふうなむずかしい事態になってきたのはどこに原因があるかというと、これは財界が過当競争、シェア競争、そういうことに狂奔し、そうして今日こういう事態ができ上がったのではないか、このことについて財界は深く反省し、ただ単に精神的に反省しただけではいけないのだ、これの反省を実をもって示す、これができなければ、政府が何をやったって効果はないし、また同時に私どももそういうことをやる気にはなれない、こういうことを申し上げておる次第でございまするが、ただいまお話のような気分は、私は十分私のやっていく諸政策に織り込んでいきたい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこでいま、財界から景気刺激についていろいろ要望が強くあるという御答弁がありましたから、ちょっとそれに関連しまして、いま盛んに言われていることの一つに、公定歩合の再引き下げ問題というものが非常にやかましく取り上げられております。しかし私は、現在の段階で再引き下げを行なうことは適当でない、かように判断しております。そのことは、いまあなたのおっしゃった貯蓄をふやすということのためには、再引き下げを行なえば当然これは預金金利も下げなければならないでしょう。預金金利を下げて、そうして貯蓄をふやせといっても、片方で、あなたは物価の問題については二、三年はかかるだろう、こういうお話でありますから、物価は上がる、預金金利は下がる、それで貯蓄がふえるなどとは、これは想像できません。そういう全体の問題から考えますならば、安易なる公定歩合の再引き下げ等は枝葉末節であって、それによって需要が起こるとも私は考えられませんし、国際収支の問題にも敏感にはね返る問題もあろうかと思いまするので、この点についての大臣の所見を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公定歩合の話は、ちょうど、あれはこの二日でございましたか、二日の朝の新聞で私そういう議論があることを見て、実は驚いたような次第でありますが、これはお話のとおり、与える利害というものが非常に重大であります。私は常に長期目標、物価を安定し、国際収支を均衡させ、国民を豊かにし、企業を蓄積あるものにするという目標、これに大きな阻害になるような手は打つ考えはありませんですが、まあ慎重にこの問題は対処していくというふうに御了解願います。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最後に、いま国民が非常に注視をしております証券問題についてひとつお伺いをしておきます。  実は、山一の再建問題等に端を発しまして、現在証券市場は御承知のような多少不安といいますか、見通し難ということから投資信託の大幅な解約がいま進行いたしております。私は当委員会で投資信託の問題については、すでに二年来この対策についての基本的な要求をしてまいりましたけれども、二年間遷延日を送って、ほとんど対策として見るべきものが行なわれてまいりませんでした。この問題は、私は今後の資本市場問題の最も重要な問題点だと考えております。七月からは、御承知のように額面割れの償還が引き続きずっと起こってくるわけであります。現在の株価の状況からしましたら、これは一年の償還延期をするといっても、これによって額面が回復できるものというものは、これは四千円の上のほうにあるものはともかくとして、すでに四千円台のところから三千円台にあるものは、これは一年おいたからといって基準価格が回復するとは思われません。そうなってきますと、やはり投資信託の解約等もさらにふえるということは、これは今後の資本市場の非常に重要な問題点だと思います。片やに共同証券とか保有組合とか、その場その場で実はいろいろな対策がとられてきましたけれども、これらの経緯をずっと見ておりますと、やはりそういう一局面的な措置に終わって、こういう流動的な問題に対処する一本太い筋が通ったような対策が、今日までとられてきていなかったという点で、私は政府の責任を追及したいという考えがあります。しかし、いま責任だけを追及してみたところで問題はいい方向には変わりませんから、私はここで一つ問題を提起しておきたいと思うのは、このたび証券取引法の改正が行なわれて、私が昨年の四月に田中大蔵大臣との間で論議をいたしまして、あるべき証券市場、資本市場の姿というものに到達する土台の部分の一応の見取り図はできたわけでありますけれども、そこへどうやって持っていくかということについては、この非常に困難な状況の中では非常にむずかしい問題がいろいろ残されている。私は、これらについては、そういういろいろな一つ一つの手を打つのではなくて、総合集約的な公的な措置を一本の形で処理をしていくという何らかの発想が必要なのではないか。ばらばらに、局面局面で処置をしたのでは、そういうあるべき資本市場の姿に到達させるための誘導助成等の問題についても、当面の、いま予想される投資信託のいろいろな問題について、あるいは銀行の利子のたな上げをするというような、いろいろな不公平な処置の問題等についても、各所にいろいろ問題をいま及ぼしつつあるわけです。そういう面については、何らかのそういう公的な措置が一括して、そうして計画的にとられるということにならなければ、この困難は回避できないのではないか。この前の本会議で私は総理に今日のあることを予想いたしまして、代表質問いたしましたけれども、明快なお答えがありませんでした。お答えがないままに、あれは二月だったと思いますけれども、四ヵ月ほど過ぎた今日に、私の予想した状況にいまなっている。これについての大臣のお答えをいただいて、私の質問を終わります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 証券界の状況は、一時非常に急迫した状態になりましたので、まあ非常な措置がとられたわけであります。しかし、ああいうことで証券界をつないでいくことは、これは私はできないし、適当でない。あの株価の問題と証券市場の問題と、両面の問題があると思うのです。株価の問題は、これは根本的には経済界の今後の問題、企業の採算がどうなっているかというようなことが基本的な問題であって、その方面の問題を解決しなければ、これは立ち直りのむずかしい問題でありますが、市場のあり方の問題、これは経営者のあり方の問題、また従業員のあり方の問題、また証券市場の仕組みの問題、また金融との問題、多々問題があるのでありますが、一括総合的に根本的な対策を立てたい、お話のとおりな気持ちでやっているつもりであります。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 平林剛君。

平林剛日本社会党

○平林委員 きょう新しい大臣としての福田さんから所信の表明が行なわれまして、私もそれをお聞きいたしました。お尋ねしたいことは山ほどあるわけでございまして、ただ限られた時間でどれだけ尽くせるかという問題がございます。そこで、私端的にお尋ねしますから、端的にお答えをいただきたいと思うのであります。  最初に、いま堀委員から指摘をされました景気の見通しについてまずお尋ねをいたします。先般総理大臣が新聞記者会見をなさいまして、これからの景気見通しについて語りました。これによると、現状は底をついて回復期にあるのだというお話であります。しかし、いま福田蔵相も、大体現状は、時間はかかる、二年くらいかかる、しかしつま先でだんだんよくなっていくということをお話しになりました。底をついた、これからは回復期に向かうという総理のお話と、時間が二年くらいかかるという点は少し違いましたけれども、大体もうこれで底をついたというような御説明と私は承ったのであります。しかし、財界におきましても、また堀委員の指摘についても、もっと深刻に考えるべきだという考えもございます。そこで一体景気はこれ以上悪くならないのかどうか。これ以上悪くならない、こういう御見解でこれからの景気対策その他に対処なさるおつもりでございましょうか、この点をまず最初に伺います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま景気の回復が二年くらいかかるというふうに御理解のようであったのですが、私の申し上げておりますのは、物価がおおむね安定するのには二年くらいかかる、景気は逐次つま先上がりによくなる、こういうふうに申し上げたわけなんです。  それでいまのお話は、今日この時点が底かどうかというようなことでございますが、私は、おおむねもう底をついておる、これからはそういう判断で施策を進めていきたい、かように考えております。

平林剛日本社会党

○平林委員 これ以上は悪くならない、おおむね底をついたと見て、これからは、徐々によくなるのだ、こういうお話でございます。そこで、それでは福田大蔵大臣といたしましては、どういうことを転機にして景気は回復に向かうかというふうにお考えになっておるのでしょうか。すなわち、どういう根拠であるいはどういう情勢判断で回復に向かうだろう、こういう御判断をなさっておるのでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 第一は、財界の自粛反省のムードだろうと思います。またこれがなければ、景気回復はできない。先ほども申し上げたとおりであります。いまそれがムードとなって出てきておる。つまりもう今日過当競争はしない、シェア競争は慎みたい、こういう気分が出てきておるのでありまして、これを現実のものにする。私はまた相当これが現実のものにでき得ると思うのであります。そういうことが一つ。  それからもう一つは、たいへんな過剰設備、過剰生産の潜在力を持っておる状態でございますが、需要面において個人消費、これが堅実に伸びておるのであります。それから輸出が御承知のとおりの状況できわめて活発である。さらに最終需要と申すべき民間の設備投資、これは非常に萎縮の状態でございます。これは金融界のあり方とも関連をいたしておるのでありまするが、私は、過剰施設、過剰投資、こういうものは極力避けていかなければならぬけれども、開放経済下におきまして最も必要なのは近代化投資、合理化投資、こういうことであると思います。こういう面が引っ込むということは、今後の日本の経済のために適当でないというふうに考えますので、金融界がいまのこの低迷基調の中で萎縮し過ぎないように、必要なものには出していくという態度になるように、話し合いもいたしたいと思います。さようないろいろな角度から見まして、これからの経済状態はまず徐々に回復期に向かうのだ、かように判断をいたしております。

平林剛日本社会党

○平林委員 ただいまお話を承りますと、きわめてオーソドックス的なお考えで、かねがね福田さんは安定成長ということをいわれておったのでございますから、そういう意味から考えますと、お話をお聞きした限りにおきましては、まずオーソドックス的なものの言い方、それを基礎にして経済を徐々に回復に乗せていくというお考のように私聞いたのでございます。しかし、最近経済界の一部からは非常に景気刺激策をとるようにという要望がございまして、景気刺激策についてもいろいろな具体的な要望がございます。先ほど指摘がございましたように、公定歩合の再々引き下げの問題もあれば、あるいは財政の繰り上げ支出の問題もございます。しかし一番われわれが心配をいたしておりますのは、公債を発行して、たとえば企業減税はこれを財源に充てるべきであるとかいう説がございますし、また参議院選挙を前にして、何らかの不況対策を打ち出せという政府与党でも当然そういう要望が強くなってくると思うのであります。そこでいまのお話を聞いております限りにおきましては、私はどこから福田大蔵大臣は公債発行についてあんなに勇気のある御発言をするのだろうか、先ほどの御方針を承っておりましても、安易な景気対策はとらない、あるいは安定成長を基礎にする、こういうことばが方々に漏れておるのにかかわらず、大蔵大臣に就任なさってから各方面で発表される中で、私は一番新大臣の特徴は、公債発行のことをはっきり言ったことだと思っているのです。いままでのことばあるいは方針、御説明から、公債発行なんという構想がどうして出るのだろうか、こういう奇妙な感じに打たれるのでございますけれども、この際公債発行でいろいろお述べになった点を総括して大臣のお考えを聞かしていただきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 先ほども申し上げましたところでございますが、国の財政の需要というものはだんだんとふえていく、つまり国民経済全体の中における財政のシェアというものがふえていくのだというふうに私は見通しておるのであります。そういうようなことから考えますと、一体その財源をどうするかという問題、現実の問題とすると、税金をよけいとるというほかはないのであります。しかし私は同じ金である——政府が税金、国民の所得を収奪をする——ことばは語弊があるかもしれませんが、そういう形の税をもってその所要に充てるかというと、私はそればかりを考える必要はない、国民が喜んで、また先ほども申し上げましたが、うちを建てようとかなんとかという希望に燃えて貯蓄をする、その金を使うということも考えていいのじゃないか、そういうふうに考えるわけであります。つまり私は、貯蓄ということを、金融政策運営上きわめて重大な問題であるというふうに考えておるのでありますが、今日貯蓄の状態はどうであろうか。いま統計なんかに出るところでは、日本の貯蓄性向は高いというようなことがいわれるのです。私はあの内容を分析してみなければならぬと思う。物価がこういうふうに上昇する、そういう際において将来の生活の設計をするための財源として貯蓄をするというような意味の貯蓄はきわめて少ないのであって、保護預かりでありますとか、あるいは保険的な意味合いのものでありますとか、そういう性格のものが多いのではあるまいか、そういうふうに思うわけでありますが、いま住宅のことが話に出たから申し上げますが、私は政府はほんとうに基本的な住宅政策を持たなければならぬと思います。そして勤労者のほんとうに共通の夢である住宅というものについて、その夢をかなえさせるだけの用意をしなければならぬと思う。そういう施策もまた貯蓄政策に必要なんでありますが、そういうもろもろの施策が一方に進み、また通貨が安定いたしますれば、貯蓄というものがどんどんと進行していくと思うのです。その金を私は政府の所要に使ってどこに支障があるか、こういうふうに考えるわけであります。ただしかし、公債発行を、福田さん、したらどうですかと気軽に言う人がありますが、私はそんなに気軽には考えておりません。私はそういうことを言うが、きわめて慎重な態度なんです。公債を発行することは、私は理論としてはこれを考えておる。おるが、それには幾つかの前提が要るのです。通貨の安定であり、また公社債市場の育成であり、いろいろな前提があるのです。その前提を整えて国民の税負担を貯蓄に置きかえるのであります。こういうふうに申し上げるのでありますが、私はこのコースが財政政策において採用され、また、これが実現をいたしませんと、蓄積ある家庭、蓄積ある企業、こういうことはできないと考えております。  非常に熱心ですが、しかし慎重である、こういうように御了承願います。

平林剛日本社会党

○平林委員 私は現在のような経済状況の中で、福田大蔵大臣が公債発行について、財界が気軽に注文するというけれども、大蔵大臣のほうがむしろ気軽に、安直にしゃべっているという感じがするのでございます。特に、佐藤総理大臣は、予算委員会では、昭和四十三年までは公債の発行はしないと国民に約束された。それに対して、あなたは、いや、これは中期経済計画の関係でしゃべっているんだろうというふうにこの公約をぼかされる。同時にまた財界から不況打開の緊急策として非常に強い要望があるのを受けこたえたかのごとき形で、公債発行について論ぜられるということは、私はそこに問題があるのではないか。もう釈迦に説法のようなものでございますけれども、私も戦前の公債発行の歴史を調べてみると、やはり昭和七年当時、高橋是清という大蔵大臣が、当時の日本経済の不況のどん底にあったときに公債発行に踏み切った。金融界はいろいろな意味で金がだぶついておるときですから、その公債発行には飛びついて消化し、二、三年は物価はそのためには上がることはなかったという歴史はございますけれども、しかしそれが契機となって後に戦争経済に入り、戦費調達のために野方図にころがり、ついに破局にいったという歴史があるわけです。  今日でもやはり同様に、日本の経済は、ある意味においては、戦後最大の一つの危機を迎えておるというときに、大蔵大臣が公債発行の問題について述べる。しかも前提を整えれば二、三年後にはやるかのごとき報道さえされている。こういうことは私はいかがなものであろうか。私はやはりきわめて熱心にあなたがその問題について研究をされ、そうしてその考えがあるからこういうことばが出てくるのではないか、あるいは、まさか選挙前であるから、そういうことを言われておるというふうには理解したくないのでございますけれども、しかし、そういうようなことは、だんだん表面化してくる、自然にそういうムードが出てくるということになったら、一体どこにころがるでしょうか。私はそのことを考えますと、いまあなたが公債の問題についてお話しになっておることは、やがて雪だるま的にそういうムードというか、そういう期待が高まって、やがてインフレ的な経済政策をやらざるを得ないという方向に落ち込んでいくのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は冒頭申し上げましたように、現在の経済状態は、デフレ的要素とインフレ的要素が両々ある。財界なんかはこれはデフレなんだ、不況一本だ、こういうふうな認識かと思いますが、私はそうじゃない、同時に、インフレ的要素も含んでおる、そういう基本認識を持っておるわけです。したがって、景気刺激政策をとれというような要請がずいぶん強い、各方面にあります。ありますが、それに対してはきわめて慎重な態度をとっておるわけです。これはデフレ状態に対し、またインフレ状態に対し、この両方を満足させる手というのはきわめてむずかしいわけなんでありますが、その辺のむずかしさというものにつきましては十分これを認識し、慎重な態度で臨んでおるわけであります。公債発行論と申しましても、あなたからもお話ありますが、やはりこれだけ社会開発需要というものが進んでまいりますと、これを全部税金にたよるということがやり切れない時代が必ずくると思うのです。しかしやり切れなくなったというので、追いつめられて公債を出す、これは私はやるべきじゃない。ちゃんと準備を整えておって、やるならば積極的に取り組むという姿勢が大事である、こういうふうに考えておるのであります。決して安易な考えを持っておりません。慎重の上にも慎重を期しながらこの問題には対処していく。しかし国民の負担は減らしていくこともまた同時に心がけなければならない、こういう気がまえでございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 関連。大臣のオーソドックスな考え方、これは本物であろうと思うのです。しかしいま平林さんから懸念をもって問いただしがあったのですが、公債問題につきまして、私も一言明確な御答弁を得たいと思っております。結局佐藤内閣が新しく再組織される前に、財界からの突き上げ、要望がえてかってに出されておると思うのです。そこで、選挙を前にしてのことですから御苦労もあると思うのですけれども、公債発行の問題はそれ以上国民全体の問題でありまして、大蔵大臣にきわめて慎重な態度を要望したいわけです。結局ここでお聞きしたいことは、赤字公債を発行してまでも減税をする必要があるのかないのかをお答えいただきたい。もっと具体的にいいますと、企業減税の財源としての公債発行説は、大蔵大臣としてはとらないということを御言明いただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私が申し上げておりますことは、いままでのことで大体御理解願ったと思うのですが、はっきり申し上げておきますが、赤字公債は絶対に出しません。それから減税をするというような、税と引っからめての公債の発行も考えておりません。やるならば積極的な意味においての公債である、かように御理解願いたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 よくわかりました。結局オーソドックスな社会開発とかそういう公共投資に向かって、将来政府保証債と並んで公債を発行し得ることは否定するわけにはいかぬ、そういう御答弁と私は了承いたしました。そういうことで、この間もあなたが朝日新聞の座談会ですか、そのときに非常に明快なことをおっしゃっております。物価を安定することが佐藤内閣の至上命令である。その結果貯蓄が増強され、企業、家計の貯蓄がふえた段階で、その資金を公債や政府保証債の形で公共投資などの財源に使うことが望ましい、こうおっしゃっておるわけです。そうすると、見通しとして、——佐藤さんはおとといの記者会見では、食言的に四十三年以前でも公債を発行するかもしれぬということをおっしゃっておりますが、あなたの感覚と申しましょうか見通しは、やはり佐藤さん、そういうふうに訂正をする必要はないので、公社債の市場育成とかそれも相当時間もかかると思うのです。そういうことで、やはりあなたの言うオーソドックスの、この積極的な意味でのフィスカルポリシーですか、そういう意味においての公債発行を考えるにしても、まだその時期ではない。四十三年以降になってそういう段階がくるであろうというふうにおそらく想定されておるのじゃないかと思うのですけれども、佐藤さんの四十三年以前でもということに対しまして、大蔵大臣はどういうようにお考えでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私も昭和四十三年だとか二年だとか四年だとかいう年限にこだわる必要はないと思うのです。私はそういう心がまえで公社債市場の整備というような問題も準備し、また国民にも御協力を願って、貯蓄マインドが再建されるという基調ができたそのときは、この考え方を実行し得る時期である、かように考えております。

平林剛日本社会党

○平林委員 公債の問題についてただいまある程度のお話ございました、財源など追い詰められた形での赤字公債は絶対にしないというお話でございます。それは確認をしておきたい。しかし先ほど私申し上げました昭和七年当時の公債発行のときも、不況という意味では現事態と同じですけれども、やはり積極的な事業を起こすのだ、公共事業にお金を使うのだということから出発して公債が発行されておるわけです。道路その他あなたが所信で述べられましたように恒久的な施設のものならばというお考のようですけれども、出発点はそこでも、公債発行というものがどういう事態に最終にはおちいるかということをひとつ慎重の上にも慎重であってもらいたいと思うのです。同時にいまのお話のように物価安定、物価が上昇しないような見通しが立てば、あるいは物価がだいじょうぶで環境が整備されるまでは、こういうお話であります。先ほど私の質問に答えて物価の問題について安心ができるような事態になるのは二年後だ、こう言っているのですね。その二年後というのは昭和四十三年でしょう。しからば佐藤総理の言われたように——それだけの経済見通し、経済分析をなさっておる福田大蔵大臣が、環境さえ整えばその前だとかいうような、世間を惑わすようなことは、ちょっとおっしゃり方としてはおかしいのじゃないか、こう思うのでございます。ひとつ公債の発行の問題についてはきょうはこの程度にとどめておきますけれども、発言についても十分御注意を願いたいということを申し上げておきたい。  それから次に減税の問題について少し触れます。先ほど堀委員も言われましたが、私は別な角度から大蔵大臣のお考えをただしておきたいと思うのでありますが、減税のお考えについては伺いました。そして資本蓄積という意味での減税という積極的なお考えです。いままではこういう趣旨と違った議論が行なわれておりましたが、その点では積極的減税。ただ悪いことには企業減税を重視するというような傾向に新大蔵大臣のお答えが、真意であるかどうかは別にしても伝えられておるのです。従来は企業減税のほうが少な目であったから、今度はこれを重視したいというような記事があらわれてまいりまして、どうも今度の大蔵大臣は企業減税のほうをやる。やるとすれば所得税と企業減税半々にやるのだというようなことが伝えられておるわけです。私はこれはきわめて遺憾なことで、この問題について議論する時間ございませんけれども、端的に申し上げましてこれからの減税政策を行なう場合に、税制調査会というものがある。この税制調査会の答申をまってお考えになるかどうか、これを伺いたいと思うのです。税制調査会の答申が問題じゃないのだ、わしはいまの経済分析から政府政策として必要だからやるというようなお考えがあるのか、とりあえず税制調査会の答申をまってそして減税政策を行なうおつもりなのか、どちらでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私も税の改正につきましては税制調査会にこれをおはかりするつもりであります。おはかりいたしまして答申が出ましたならばできる限りこれを尊重したい気持ちであります。ただこれは私は国会に対して責任を持つのであります。でありますから最終的には皆様方国会議員の方々の意見を、最も重視しなければならぬという立場にある、その点は御了承願います。

平林剛日本社会党

○平林委員 時間もございませんから、次に伺いたいことは物価安定の問題であります。  先ほどお話がございましたように、これからの経済あるいはお考えになっておる政策をお進めになるにいたしましても、第一には物価安定ということを述べられておりまして、たいへん重要視されておることはけっこうなことであります。また国民はこれを期待しておる。そこで物価安定のお題目というのは、実は国民は聞きあきておるわけです。何かもっと具体的なものを打ってもらいたい、そういう気持ちで一ぱいであります。  そこで私は、参議院選挙も前でありますから、政府はこの際国民の一番期待しておる物価安定について具体的な方策がありゃいなや。具体的方策が、福田蔵相としてお考えあるならば、ぜひひとつこの際御披露していただきたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 先ほど物価問題は非常にむずかしい時間のかかることであるというふうに申し上げたのでありまするけれども、それは結局いままでもいわれておりまする流通機構の問題、これはどうしてもやらなければならないことかと思います。それからやはり労働の流動性を強化する、この政策も進めなければならぬ。同時に住宅と土地の問題です。土地は最近の状況ではずいぶん実勢価格が下がってきておるようでありますが、この問題の根本的解決、これもやらなければならぬ。それから同時に、国民全体に対しましてお願いしたいことは、消費の健全化という問題です。そういうような各方面の政策が、これはことばだけでなくて、ぴしぴしと実現されていくというところに物価対策の根本があるのじゃあるまいか、私はそういうふうに考えまして、この物価の問題を中心に、今度は党と政府一緒になって基本的な考え方をきめ、びしびしやっていこう、こういうのでしばらく御猶予のほどをお願いいたしたいと存じます。

平林剛日本社会党

○平林委員 すぐに即効薬的なものがないということはわかります。これはやはり金融だとか財政だとか、そうしていまお述べになりました具体的な問題を着実にやっていく以外ない。ところが今日やっておらぬから問題なのでありまして、私はいまお述べになりました以外で、たとえば管理価格についてどうなさるつもりか、管理価格があるかないかという議論になりますとこれは議論でごいまして、私は実質的なことを申し上げているわけであります。寡占資本がある程度独占的に価格を構成できるところのいわゆる管理価格について、この際それもあわせて考えるというお考えなのかどうか、これを伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 そういう問題も含めて物価対策中心に相談をしていきたい、こういうふうに存じております。

平林剛日本社会党

○平林委員 私はこの問題と同時に、先ほど福田蔵相がお述べになりました景気をどういう転機でもって回復していくかというお答えになりました中で、輸出振興の問題をあげられておりました。いろいろな要素とともに、その重点的なものは輸出振興にかけられておる、私はその点は当然の帰結であり、これが本命であろうという考えであることは間違いありません。ただ輸出を振興すれば景気の回復なり何なりという考え方の中にこういう考え方があるんじゃないか。つまり最近各企業で製品がたまった、余った、ダブついた、これが非常に財界、企業に対する重荷になっておる。そこでこれを外にさばくことによって軽くしていく、輸出振興にそういう意味でドライブをかける、一つにこういう普通の形の輸出振興という以外に、財界救済のための輸出振興という性格を多分に帯びているのでないか。またそれが最近露骨になっているのでないかということを心配するのであります。そんな輸出振興は、私は大きな意味で日本経済というものを考えた場合、これはかえって害があると思うのです。これはあるところで得た資料なんでありますが、最近の財界、特に企業の中では電機製品だとかあるいはセメントだとかの各企業では、相談をやったり生産調整をやったりしまして、また在庫もふえておるから大体二、三割から四割くらい企業においては生産調整をやっております。その企業が外国に売り出す価格を私は調べてみたのでありますが、国内販売価格と輸出価格にはおおよそ一〇〇対九〇くらいの違いがあることは私もある程度承知しております。しかしたとえば電気洗濯機が外国に輸出されるときには一台約五千三十円くらいで売り出しておる。国内販売価格は二万円ですよ。噴流式とか何式とかいう形で新しい型新しい型が生まれてきて大体二万円くらいです。あるいはそれ以上高いものもある。ところがこれは製品の内容まで述べませんけれども、一台約五千三十円くらいで輸出しておるんですよ。あるいは輸出しようとして商社に働きかけていますよ。トースターなんかのごときは六百円くらいですよ。それから電気がまなんかのごときは九百円くらいです。テレビは大体一台当たり一万一千七百九十円くらいです。東京のある町に行きましても安売りしても四万円、三万円です。普通ならば五、六万円です。それがこういう価格をもって輸出商社を通じて売り込みをやっておる。こういう輸出振興策というのは私は日本経済から見ていかがなものであろうか。幾ら滞貨を縮めるからといいましても、こんな輸出振興というものは大きな意味で日本の信用を落とし、あるいはダンピングのそしりを免れない。そんなことができるならば私は管理価格にメスをふるって物価を押えるための役割りをさしたらいいじゃないか、こう思うんですよ。極端な輸出価格の安さ、こういうことをやらせるよりは、私はむしろ消費者に向けて価格を下げていく、物価安定に資する、こういう考え方がなければならぬ。これは本来通産大臣に主張すべきことですが、あなたは大蔵行政のワクを越えて輸出振興を考えるとか、こういうお話をときどき漏らしておりますから申し上げたのですが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私も輸出が一時的な滞貨さばきの形であるということはあまり歓迎すべきでないと思います。あくまでも輸出市場の開拓というところに中心を置いて考えていく、こういうところのお話には同感でございます。

平林剛日本社会党

○平林委員 この問題は、時間がございませんから詳しくは触れません。しかし私の申し上げた点を十分お考えいただきまして対処してもらいたい。そうでなければ取り返しがつかないことになると考えております。  これをもって質問を終わります。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 竹本孫一君。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 経済が最も不景気で困っておるときに、そうしてまた財政の専門家である福田さんが大蔵大臣として登場されましたので、国民の期待が非常に大きいと思いますが、ぜひ御健闘をお願いするという意味で三つほどお伺いをいたしたいと思います。現在の経済の不況というものをどういうふうに性格を見るかということは非常に重大な問題でありますけれども、非常に理論的な面がありますので、そういうところは避けまして端的にお伺いをいたしたいと思います。  その第一点でありますが、経済のひずみを直すというような考え方、あるいは高度成長のスピードをスローダウンしなければならないというような考え方、私はこういう考え方では現在の不景気をどうすることもできない、そういう考え方に立ちまして、大臣がきわめて率直に過剰設備、過剰生産の問題を指摘しておられる点については敬意を払うわけであります。しかしそれに続きまして、その対策としてどう出るかということについては、先ほど来いろいろと御熱心な質問もございました。またお答えもございましたが、私は少し角度を変えまして、端的にお伺いいたしたいと思いますのは、中期経済計画の問題であります。  これは御承知のように、高度成長政策の手直しといったような考え方もあったでしょう。いろいろな考え方がありましたけれども、本質的に見れば、高度成長の考え方をただ少し手直しをして出直したものにすぎません。その本質はやはり量的な拡大ということが中心になっております。したがいまして、今日の経済の不況に根本的なメスを入れるということからいけば、どうしてもこの中期経済計画というものを根本的に一てきしなければだめだと思うわけであります。そういう意味で内閣改造ができまして新発足をなさる、またさらに経済政策の閣僚会議も持たれるということになりましたので、私は政治的効果から申しましても、きわめて率直大胆に、この中期経済計画はその量的拡大中心の考え方に間違いがあるという理由によって、またもう一つは、社会開発の理想というものはほとんどこの中には実現されていないというか、徹底しておりません。ただ社会開発的な項目を並べ変えて、新しい装いで表現をしておるだけで、ほとんど問題にならない。すなわち量の面から見ても、質の面から見ても、中期経済計画というものはもはや時代おくれであって、全く時代の要請、国民の要請に沿うものでない、そういうふうに考えますので、大臣に伺いたい第一点は、この新しい出発の門出にあたって、量的拡大を中心として考えた中期経済計画は根本的に変えるのだというお考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 中期経済計画は三十九年度からの計画になっておりますが、すでにもう今日、計画自体に予想された数字が相当動いてきておる。特に顕著なのは輸出入の数字でございます。中期経済計画の中心は国際収支にあるわけでありまするが、その国際収支の軸になる貿易収支が動いてきておるというようなことから、中期経済計画につきましては、もうこれは再検討する必要があるということは私は疑問はないと思うのです。ただ、所得倍増計画にいたせ、中期経済計画にいたせ、これはまあ一応の指針というか、デスクワークの参考というような意味合いでつくっておるものでありまするが、これがもう経済政策の中心をなす、金科玉条、かなめのごとき受け取られ方をしがちでありますことに対しましては、私はその考え方を修正していかなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。まあそういうこともありますが、ともかく閣僚会議も持たれるというこの際に、中期経済計画をどういうふうに扱っていくかということにつきましては、お話のような趣旨もありますので、とくと相談をしてみたい、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 大臣のお考えと大体同じじゃないかと思いますけれども、デスクの参考にするのだと  いわれるのですけれども、私の考えでは参考にならない、あるいはしてはならないのだということまで突っ込んでひとつお考え願いたいと思います。  第二の点に移ります。これは政治の姿勢が佐藤改造内閣で非常にいわれておりますが、それとの関連において、私は経済の姿勢ということを特に問題にいたしたいのであります。  そういう点で、結論から申し上げますけれども、私は今日の経済ほど——いわゆるわれわれの考えで申します資本主義経済でありますが、その資本主義経済でありながら資本主義の原則を無視したり、脱落したり、脱線したり、とんでもない資本主義のあり方になっておる。まあことばが適当であるかどうかわかりませんけれども、私は、かつて笠さんが「花見酒の経済」とかなんとかということをいわれましたけれども、それにならって言うならば、これはアル中資本主義だと思うのです。資本主義の特色を、私有財産制度、経済的自己責任主義、経済自由の原則、利潤原則と、かりにこう四つ拾ってみましょう。そうしますと、その四つが今日どういうふうに貫かれておるかというと、全部脱線、脱落、でたらめになってしまっております。私有財産制度であることには間違いありませんけれども、いわゆる借金経済についても、新閣僚の新聞の座談会等におきましても、借りた金について責任を持てというようなことは言われておりますけれども、今日の借金経済というものは全くでたらめ主義で、人のものか自分のものか、あるいは私有財産をどこまでどういうふうにしようとするのか、その資本主義の原則がめちゃくちゃになっておるではないか。経済的自己責任主義ということになりますと、問題はもっと端的であります。これだけ経済を行き詰まらした人がどれだけの責任をとっておるかということを考えますと、これはあらためてまた議論をしなければならぬ問題でございますけれども、経済上の自己責任主義は、財界の人、産業経営の責任を持っておられる方が決して十分貫いていない。政府も、ことばで最近責任の所在ということを新しい改造内閣で盛んに言われておるようでありまして、その点は賛成でありますけれども、問題は、責任の所在を明らかにするということばの中に、責任を追及するのだということがなければならぬと思うのです。ところが、責任の所在を明らかにすると言われますけれども、責任を追及するという態勢が一体どこまであるか。紛飾決算の問題にいたしましても、あるいはその他の問題にいたしましても、経営を行き詰まらせ、労働者あるいは中小企業に非常な犠牲を負わせる、あるいは社会の経済を混乱させるということについて、その責任者がどれだけの社会的責任を実際にになっておるか、こういう問題になりますと、私は非常な疑問がある。特にいけないのは、政府が、たとえば山一証券もそうでありますけれども、私は山一証券をつぶせという議論をしているわけじゃありませんが、最近は経済界あるいは評論家の中にも、新自由主義とかなんとかいうような名前において、やはり経済の自己責任主義は、資本主義は資本主義なりにある程度貫徹しなければうそだという指摘があります。私はごもっともな意見だと思うのです。会社が大きくなっておれば、大きな銀行であれば、大きな証券会社であれば、それが倒れた場合における国民経済への影響が大きいという理由によって、最後は政府が大きな手助けをする、日銀が応援をする、そこをまたたよりにし、あるいはそこを計算に入れてでたらめな経営をやり、あるいは少なくともその責任をはっきりさせない、こういう傾向が非常に強い。一体大臣は、経済的な自己責任主義を資本主義の原則の上に立ってどの程度まで追及させようとお考えであるか、その点を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 お話のとおりだと思うのです。私もこの立場になりました以上、私の関係する金融界に対しましては、ほんとうにいままでの金融界がとってきた態度に対しまして深い反省をして、その反省の上に立ちましてひとつ新しいルールをつくっていくように強く要請していきたい、こういうふうに考えます。同時に、おそらく三木通産大臣においても同じことだろうと思う。私もこのことにつきましては通産大臣とよく話し合いまして、新しい気がまえをもちまして財界が責任感の上に立つ態勢をつくり上げる、これをぜひ推し進めてみたい、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 それに関連して、具体的にお伺いしたいのです。  田中前蔵相も、最後のころには、企業会計法といったようなものを考えて、ぜひその責任追及の一つの手段にしたいというようなお考えであったように思うのでありますが、新大臣はやはり企業会計法的なものをぜひ実現しようという御熱意、御認識がおありかどうかを伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まだ企業会計法という問題は考えたことはありませんけれども、よく勉強してみます。そのことだけを申し上げます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 もう一つ、経済自由の原則というようなことから考えて、私は、今日、たとえば輸入の問題にいたしましても、開放経済下に一ぺんに安い外国の品物が日本に流れ込んでは犠牲が大きいということもわかります。しかし、ただ単に保護政策的なことばかりをやっていて、はたして日本の経済の国際開放経済化に対する競争力が出てくるかどうか、その点について非常な矛盾を感じ、心配も感じておりますので、お伺いをいたしたいと思いますけれども、特に輸入の自由化の残されておる問題は農村、漁村の製品関係のものでありますが、今後とも経済の企業活動の自由の原則についてはどの程度お考えになっておるか。さらにそれと関連をいたしますけれども、米価の問題も、いままた大きな日程にのぼろうといたしておりますけれども、大臣のお考えで——日本では農業は御承知のように選択的拡大ということをいわれておる。今日のような変な、と言っては極端な言い方になりますけれども、変なあり方では、私は農村においても米をつくることが一番得になるようになっておる。そういう形で一体日本の農業の、国際的な経済の視野から見たあり方が正しい線が出るかどうか、また、日本の国民経済全体のあり方を考えた場合にどうか、いろいろ問題があろうと思うのです。したがいまして、今日自由の原則からいった場合に、選択的拡大ということは私はできる余地はない、そういう意味での新しい再検討を要請されておると思いますけれども、その点についても大臣のお考えを承りたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は、自由化の問題につきましては世界の動き、これをよほど見ながら対処していかなければならない、こういうふうな考えを持っております。ことに農作物につきましては、諸外国でも相当幅広い保護政策をとっております。その見地から、自由化からこれを除外しておるという事例が多いのでありまして、わが国でも、わが国の零細集約農業でなかなか海外農産物と競争できない。しかしこれを守ってやらなければならないという立場にある農産物が相当多いように思うのであります。特に農産物につきまして、私は、自由化自由化とはいうけれども慎重に考えていかなければならぬというふうに考えております。それから米の話でございますが、私は主食の大半というものは、これはどこまでもわが国において自給する、こういう基本方針のもとに農政を運営しなければならぬ、かように考えておるのであります。つまり、食糧を輸入する——これは食べて、ほんとに消費されてしまうのであります。それを節して石炭を、鉄を、といえばこれは再生産になる。残るのです。またそれが回転して発展するのです。そういうものと非常に意味が違うのです。また国際情勢なんかがいろいろ変化をすることもあり得るのです。そういうことを考えますと、主食はほとんど大部分を自給をする態勢におくことが日本としては望ましいんだというふうに考えておることを申し上げます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 最後に、財政制度審議会のことについて一言お伺いをいたしたいと思います。前の国会で財政法が改正され、財政制度審議会につきましても十二人の委員が二十五名になりました。財源難のことにつきましては先ほど来熱心な御議論がございました。さらに社会開発あるいは社会資本の充実の面について経費支出の面が増大するということも先ほど来議論がなされました。こういう苦しい情勢の中にあって、大蔵大臣としてはたいへん御苦労でございますが、この問題に前向きに科学的に取り組むために、私は財政制度審議会を活用すべきであると思います。また、そのために十二名の委員を二十五名にしたのだと思いますけれども、一体財政制度審議会はいつからどのような形でこれを御活用になるのか、そのお考えを承りたい。同時に、財政制度審議会において論議されるべき基本的な問題につきましては、従来の委員会のあり方と違いまして、やはり与野党の国会議員も中に入れて基本的な問題をそこで十分論議すべきではないかという点を思いますけれども大臣のお考えを承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まだ私、財政審議会の運用のことまで実は考えておらなかったのです。御意見のほどもよく頭に置きまして、これが活用方につきまして善処してまいります。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 これでおしまいにいたしますが、そこで大臣にもう一つ、審議会に関係してお伺いいたします。  私は、いままでの財政のあり方について実は深刻なる疑問を持っておりますが、それは財政が高度成長のインデュースメント・ファクター、誘因として大きな役割りを果たしておる。しかも日本の行き詰まりを生じた高度成長の原因をつくった財政自身がほとんど無反省に膨張を続けてきておる。その中には財政支出も御承知のように多いときには二四%、最近では行き詰まってやっと十四・何%になりましたけれども、これは計画的に経費を押えたというのではなくて、それ以上の財政はもうまかなえなくなって、息切れがして一四%に落ちたんだ、極端に言えば私はそういうふうに思う。現にことしの予算の編成につきましても、財政法の改正をして剰余金の繰り入れを二分の一から五分の一にしたりしてみたり、あるいは利子補給という特別な制度を考えてみたりして、あらゆる無理算段をやって、やっと一四・二%の成長に押え得たということになっておるわけです。そういう点から考えてみまして、日本の三兆円からの財政の支出面、歳出面については幾多のむだがあろうと思うのです。これは大臣のいま所信表明の中にありました、一円といえどもゆるがせにすることはできない、まことにりっぱなお考えであり、ぜひそのお考えを貫徹していただきたい。それにはまず隗より始めよで、大蔵省が組まれておる予算、その三兆円をこえる予算の経費支出の面で、単に会計検査院がやっているような法律違反があるかないかというような問題ではなくして、経済のエフィシェンシー、効率の上においてむだがないか、無用な重複はないか、アンバランスはないか、こういう点でこの辺で一ぺん戦後二十年の総反省をする意味で再検討をしてみたらどうか。私は日本の財政三兆六千億の中に一割のむだがあるとしても、三千六百億円の財源がここに出る。私は役人の経験もありますので、やはりこの点は若干わかります。ことにいままでのように膨張したり収縮したりする過程においてやってきたのではなくて、膨張一路でたどってきたこの財政の膨張を考えてみると、なおさら主計局がいろいろ御苦労なさったにしても、そこにむだもあり重複もあるだろう。この辺で特に財政審議会あたりで、フーバー委員会なりロイアル・コミッティなりの先例にも学ぶところがあってしかるべきだ。ぜひひとつ財政審議会においてはそういう意味の経費の再検討を経済効率の面からやってみられる御意思はないか、お伺いをいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 たいへんにけっこうなお話だと思います。十分考えてまいりたいと思います。     —————————————

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 松永国有財産局長及び鈴木国際金融局長よりそれぞれ発言を求められております。これを許します。  松永国有財産局長。

松永勇大蔵事務官(国有財産局長)

○松永説明員 私、このたび国有財産局長を拝命いたしました松永勇でございます。今後ともよろしくお願いいたします。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 鈴木国際金融局長。

鈴木秀雄大蔵事務官(国際金融局長)

○鈴木説明員 私、五月二十日付で国際金融局長を命ぜられました。いろいろ国際金融についてむずかしい問題があります際、非常に若輩ではございますが、極力勉強してうまくやっていきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 次会は、来たる七月九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会

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