大蔵委員会 第24号
- 発言数
- 396 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/03/24
会議録
○吉田委員長 これより会議を開きます。 所得税法案、法人税法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
○只松委員 きのう質問の途中で本会議になりまして若干残したものがありますので、続いて質問をいたしてまいりたいと思います。 なおその前に、昨日通達の問題につきましていろいろ質疑をいたしたわけでありますが、きょう理事会でその取り扱いその他について御討議をいただくという委員長の取り計らいでございましたけれども、きょうはほかの議事もあったと見えて、論議の対象にならなかったようでございます。この通達というのは、きのうも繰り返して申しましたように税務行政においては一般の税法とともに、あるいは実際の国民においてはそれ以上に非常に大きなウエートを持っておるものでございますから、ぜひこの通達の問題については、ひとつ本委員会としても結論を出したいと思います。したがって理事会においてぜひ明日は、本法案の通過前に、この通達の問題については一つの結論を出していただきたい、こういうことを重ねてお願いをしておきたいと思います。 なおついでと言ってはあれですが、申し上げておきますけれども、この通達の法律的な解釈についてはいろいろございますけれども、通説として、訓令や通達は上級行政官庁の下級行政庁等に対する命令示達の形式であって、それ自体としては法規としての性質を持つものではない。したがって直接国民に対して規制力を持つものではない、こういうことが学説の一般的なものでござまいす。それはいろいろ学説というものは分かれておりますので、解釈する人によっていろいろ違いますけれども、通達に対する一般的な解釈というものはそういうものでございます。したがって昨日から私が論議しております通達の取り扱いについては、きのう堀委員その他から関連して御質問がありましたように、今日の国税庁の通達というものは、法律を逸脱して、あるいは法律よりもよけいに強い具体的な規制力を持っておる、こういうことが明らかにされておりますので、ぜひひとつ取り扱いについて御結論を出していただきたい、こういうふうに思います。
○吉田委員長 ただいまの只松君の御意見につきましては、本日の理事会では相談ができませんでしたので、次の理事会でよく御相談いたしまして、御返事を申し上げることにいたします。
○只松委員 そこで、通達とも若干関連をしてくるわけでございますが、けさの新聞を見ますと、更生会社への債権には税制上特に配慮する、こういうことが載っております。これは閣議において問題になったようでございますけれども、こういうものはいわゆる税法上の問題とは直接関係はないわけでございます。いかなる論拠に基づいて——あるいは政令とか省令をおつくりになる予定であるか、どういう方法で取り扱いになるのか、お聞きをしておきたいと思います。
○喜田村説明員 現在、たとえば債務者が更生会社になったとか、あるいは不渡り手形を出して取引停止処分になった、こういった場合の債権者の課税所得の計算、あるいはその納税ということにつきましては、法令及び通達によりましていろいろの救済手段が規定されております。たとえば先般申しましたように、相手の会社が更生会社になった場合には、その債権を二分の一まで貸し倒れとして償却できる。また国税局長の承認があれば、二分の一をこえて貸し倒れとして償却できるという措置が課税上とられて、通達によりましてそうした運用がされております。また一方、納税につきましては、相手の債務者が更生会社になったために、債権の取り立てができなくなった。そのために資金繰りが困って、納税を一時に納付することができなくなったというようなときには、国税通則法の規定によりまして納税の猶予ができる。またその場合には延滞税の免除も場合によりましてできる、こういった規定があるわけであります。こうした規定を十分に活用して、納税者の更生会社に対する、たとえば下請業者であるとか債権者というものを十分保護できるような規定が、現在課税、徴収、両面でできておるわけでございます。こうした措置を十分に——ただこれは、納税者はなかなか法律を見ただけではわからない、通達でこまかく規定しておりますので、通達をこまかく読まなければ十分わからないという場合が非常に多いために、納税者にまずこれを周知させる。また税務官庁側もこれを十分納税者の身になって運用してあげる、こうした両方の、周知宣伝と運用にあたってのこまかい心づかいということがなければ、なかなかこの規定は生きないわけでございます。したがいまして今回の山陽特殊鋼の問題につきましても、そうした運用に十分配慮するようにということを、税務署の課長を集めて国税局から指示した。そうした具体的な、こまかい配慮を十分きめこまかくやるようにという指示をしたという趣旨の、署に対する指示がこうした記事になってあらわれたもの、こういうふうに考えております。
○只松委員 それはあれですか、国税庁としておやりになったのですか。たとえばさらに具体的に「大阪国税局は、山陽特殊製鋼の行詰りや、取引先の倒産で被害を受けた業者を税の面で優遇することになり、大阪国税局関係税務署など十四カ所に特別の窓口を設ける。」こういう記事も出ておるわけなんです。これはやはりきょうの、すぐあとに出ておりますけれども、こういう権限というものは、いまお聞きしますと通達にある、こういうお話ですね。ところがこれを見ると今度は局が各税務署を集めてやっているのですね。これは通達から出てくる権限か。どこにそういう権限が署にあるのですか。どういう法的根拠があるのですか。
○喜田村説明員 先ほど通達と申し上げましたが、もちろん根拠法はたとえば従来の規定によりますと国税通則法の四十六条に納税の猶予という規定がございます。この規定の中で、たとえば納税者がその財産につきいろいろの災害を受けた、あるいは事業を休廃止した、こうした場合には納税の猶予ができる。またそういった場合には延滞税について減免できる、こういう規定があるわけであります。ただ根拠法としてはいまのそうした法律によりまして、一般的に規定されておるわけでございますが、それを具体的に適用する場合に、どうした場合にはこの規定の何項に該当するかということを、通達でこまかく定めておるところでございます。したがいましてそれを運用するのは、個々の認定ということになりますと、もちろん税務署長の認定ということになりまして、局あるいは庁から、新たにどうこうするといった認定の基準とかなんとかいう通達を出したわけではございません。この規定の十分な運用をはかるようにということを庁から局に、局から署に指示した、こういう性質の指示でございます。
○只松委員 いまお尋ねいたしましたことは、いわば納税者に対して優遇措置と申しますか、困難な立場の人を救済するということですね。ところが一方、税務署は原則としていま申告税務でございますが、申告に対して否認をするわけです。いまみたいに優遇だけではなくて、今度は否認をする。むしろ優遇することはこういうきわめて特殊の事態であって、否認することのほうが多いわけです。国税庁の否認権というのは、一体法の何条に基づくか、あるいはどういう権限に基づいているか、お尋ねしたいと思います。
○喜田村説明員 まずその前に今度の納税の猶予であるとか、あるいは貸し倒れの認定ということにつきましても、これは法律の範囲を逸脱して甘くしているということではございませんで、根拠法はもちろん法律にあるわけでございます。ただその具体的な認定というものについて、十分個々の納税者の実情について配慮するようにということを指示したわけであります。法律の範囲まで逸脱して甘くしておる、こういうことにはなっておりません。 次に否認の問題でございますが、一番はっきりしておりますのは、たとえば青色申告でない白色の納税者あるいは法人につきましては、税法の規定によりまして推計課税ができる、こういう根拠規定がございます。また実質課税の原則というのが税法にございまして、所得税で申しますと現行法の三条の二に、法律上帰属すると見られる収益の帰属者が単なる名義人である、それで収益の実際帰属する者がそれ以外であるという場合には、その者に対して、法律的な形式にかかわらず、課税できるといった規定もございます。こうした根拠規定がはっきり明文化されているものもあります。それ以外に、たとえばこれはだれだれの預金である、こういったような納税者の主張がありまして、税務署が調べました結果、それは実質上その人の預金ではなくて、納税者の預金であるということがはっきりいたしますれば、それによって課税する、そういったような事実、何が真実であるかということによりまして、税務署のほうの調査ないし課税というものが行なわれますために、納税者の主張とあるいは申告と違った認定をすることはあります。それば実体的な真実に基づいて課税をするという一般的な原則に基づいて否認する、こういうことになっておるわけでございます。
○只松委員 最後に一般的な原則というようなことを言われましたけれども、これはきわめてあいまいなことであります。否認権というものは税法上どこに根拠がございますか。新法の何条にあるか、あれば……。
○喜田村説明員 これは国税通則法の第二十四条でございますが、「税務署長は、納税申告書の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。」こういう規定がございます。これによりまして現在否認と申しますか、更正決定を行なっているわけであります。
○只松委員 いま更正の法的な根拠と調査捜査権ということが、ございますから、これは法律的な根拠はないとこうことはないと思うのです。一応それなりにあると思う。しかし今度実際上否認する基準、こういうことになりますと、これは何を基準に否認をされていくか。これは例が山ほどありまして課税対象が多いから、どれをとって引例したら適当であるか、なかなか容易ではございませんけれども、たとえば小さい例をとりますと交通費ですが、七百円までは一応交通費とみなす。今度九百円に上がったそうですが、非課税にする。ところが、それ以上になりますと、たとえば千五百円交通費が実際上かかってもらっていると、六百円は所得になってくる。これは全国一律にされているのか、あるいは各局署によって異なるのか、そういうこともあります。あるいはさっき言いましたように、前は七百円だったのがいまは九百円だ、あるいは地域によって、たとえば東京近郊のように、埼玉はおろか、群馬なり水戸のほうから通勤してこられる方もあるわけなんであります。こういう人は実質的に非常に多額の通勤費というものを必要としておるわけなんです。しかしそれが九百円で打ち切られる。あるいは東京都内の人はそれほどかかりませんし、地方の小都市にいくとそんなに交通費はかからない。あるいは国電はわりと安いけれども、国電がなくてバス、あるいは地下鉄もだいぶ高いわけなんですが、交通費なら交通費を一つとりましても、一体何を基準に否認したりしなかったり、こういうことをされておるか。そういうものの基準というものを、交通費はこうだ、Aはこうだ、Bはこうだ、Cはこうだという、いわゆるそういうサンプル的な、たとえば所得税の最低課税の基準のときに献立表をおつくりになりましたような、そういう何らかの課税基準というものをお持ちになっておるのか、どうですか。
○喜田村説明員 基本的には先ほど読みましたように、税務署長の認定ということになるわけでございますが、ただその場合にもちろん各担当者あるいは税務署長の個々の認定ということにまかせますと、その各人の認定によりましていろいろ強弱の差が出る、こういうことでは全体としての税務行政の統一が保持できないというような、認定に非常にばらばらな結果の出るおそれのあるものにつきましては、一応国税庁といたしまして、こうした場合にはこのような認定をするようにという、そういったような通達を出すことがございます。そうした場合には、全国の税務職員はその基準によりまして、更正決定ないし是認、否認をきめる、こういうことになりますが、ただしかしこれは昨日申しました税務職員に対する訓令でございまして、もちろん納税者に対してこれによりまして法的な性格を持つというような性格ではございまん。したがいまして通勤費の問題にいたしましても、給与の支給者からもらう給与の一切が給与所得になるわけでございますから、通勤費はもちろん本来から申しますと、これは給与所得に入るべきものであります。比較的少額の現物給与であるというような性格から、しいて追及しないということにしている性格のものでございますが、その場合でも、いまのようにそれがばらばらな税務職員の認定で、それぞれ一人一人のものについて変わるということではぐあいが悪いということから、こうした一応の基準をつくっているという性格のものであります。
○只松委員 その基準は通達でお流しになっておるのですか。
○喜田村説明員 通達で出しております。もちろんこれは一般の解釈通達というのでございませんで、国税庁の執行にあたりましてこれを統一するという意味で流した通達でございます。
○只松委員 また通達に返るわけにいきませんが、いま言います通達というのは……。(発言する者あり)ちょっと委員長、静かにしてください。
○吉田委員長 お静かに願います。
○只松委員 そういう通達というものは、たいへんにウエートを持っている。そこでまた否認に返りまして、たとえば否認した一例を皆さん方にお話しします。ある税務署で役員賞与などの損金不算入というようなことで否認が行なわれた。たとえば百万円否認が行なわれた、こういうふうに仮定いたしますと、あとでこの否認に対して当然に税金がかかってまいります。そのときに百万円の否認が行なわれたとするならば、法人税で三十七万円、重加算税三〇%として十一万一千円、法人事業税十二万円、重加算税三万六千円、法人都民税四万九千九百五十円、源泉所得税三十六万円、重加算税が十万八千円、不納付加算税が一万八千円、特別区民税が十万八千円、それに延滞税、これを全部総合いたしますと百三十四万六千六百四十円、正規に取られていきますと、こういう膨大な税金がかかってくるわけです。私どもは常に大法人と中小法人あるいは零細事業所得者ということを問題にして、ずっと徴税の問題なんか論議してきておりますけれども、こうやって大法人はそれほどきびしいあれがない。またいろいろな抜け穴がある。過日私がビールの税の問題なんかをお話ししたときもそういう一例なんです。中小法人やあるいは事業所得者でこういうふうに否認をされたということが起こった場合には、非常に膨大なこういう追徴金というものが取られるわけです。したがってただ単に否認ということだけ考えますと、わりに簡単な問題のようでございますけれども、その通達や何かに基づいて国税庁の末端の税務職員が否認をする、こういうことになりますと、国民にこれだけ重大な、百万円否認されただけで百三十四万六千円からの金を取られてくる、こういうことになるわけです。もちろんその場合いろいろ話し合いがあって、重加算税なんかこれだけ厳密に取られないということもあり得るかと思いますけれども、こうやってあとで百万円も否認されると、多少このやろうというわけでけんかになってきまして、感情的になります。そうすると税務署のほうもむきになって全部かけてくる、こういうことになりますと、これだけの税金が税法上取られることになっております。これはインチキでも何でもない。計算されると出てくる追徴金なんです。否認権というものは実に国民にとっておそるべき威力を発揮してくる。こういう否認権そのものを私は否定いたしませんし、それから一応法律的な根拠があることも認めますけれども、否認の基準というものがきわめてあいまいであるということは、これはおわかりのとおりなんです。局によって違い、人によって違い、あるいは個人によってそのときの感情その他によってもいろいろ違ってくるわけなんです。税務行政を行なう上において、ただ単に本委員会やあるいは国会で否認権というような抽象的な問題を論議したり、あるいは否認の問題について論議することはやさしいことでございますけれども、繰り返し申しますように金銭を扱う国税庁の否認権というものは、国民にこういう大きな関係を持ってくるということを御存じかどうか。あるいは御存じならばこういう否認権というものは、ただ単に法律上根拠があるというだけでなくて、もっと慎重に取り扱うべきだと思います。こういう点についてどういうお考えを持っておるか。
○喜田村説明員 否認の一般的な根拠は、先ほど申し上げましたように国税通則法にあるわけでございます。その個々のいろいろの各種取引について、どうした場合に幾らまで否認するかということにつきましては、もちろんでき得ればすべて法律にこまかく規定するということが、一番公平になるわけでございます。たとえば先ほどおっしゃいました役員報酬の問題で、賞与とおっしゃいましたのは役員報酬だろうと思いますが、役員報酬の場合には、法人がその事業年度において役員に対し支給した報酬の額が、当該役員の職務の内容であるとか、当該法人の収益及びその使用人に対する給与の支給状況、当該法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもののこれに対する報酬の支給の状況等に照らし、高過ぎると思えば、相当と認められる額まで否認できるという規定がございます。そうしたように、あらゆる場合にこうした否認の基準というものをつくるといたしましても、ただいまお読みしたように、依然としてばく然とした基準にしかならざるを得ない。したがいまして国税庁といたしましても、否認のやり方につきまして統一のできるものは、なるべく各担当者によりましてばらばらにならないように、統一するような通達を出せばいいわけでございますが、しかし事柄の性格上、必ずしもあらゆる場合にこれがその具体的な基準によりまして、一つ一つの認定ができるというほどのこまかい通達ができないというために、ある程度は各調査官の認定ということにまかせざるを得ない分野が残るわけでございます。そうした場合の認定をどうするかということになりますと、これは各調査官の良識とか、あるいは税法の知識とか人格とか、幅広いそうしたところに待たざるを得ない。したがいまして国税庁といたしましては、各調査官の税法の知識であるとか、あるいは教養であるとか人格、そういったところを全部なるべく高度に高めまして、その個々の認定がそんなに良識を離れたものにならないように、つまり良識によりまして認定ができるということが可能になりますように、職員の教育ということにつとめておるところでございまして、そうしたことを通じまして、個々の認定が妥当なものであるということを保障しよう、こう考えております。
○只松委員 いま帰するところ署員の人格、識見にまで話が及んでまいりましたけれども、これは笑いごとでない、非常に重要な一面だと思うのです。しかしこのことは国税庁側としては当然の問題だと思うのですが、主観的な問題になるのですね。また主観的な立場になる。そのことはやはり客観的にあるいは相対的に判断しなければならないし、処理をしていかなければならない。主観的というのは、いかに自分が善意を持っておっても、昔の専制君主、ツアーも、自分自身がそれほど主観的にはむちゃしているとはあるいは思っていなかったかもしれない。帝王として当然のことをしておる、こう思っていたかもしれないけれども、良民はこれによって非常に苦しんだわけなんです。そういうことのたとえば一つとして、裁判の場合は弁護士というものがあるわけなんですが、当然に刑事被告人やあるいは民事の場合の被告人のこういう争いでございませんから、弁護人とは違いますけれども、いま一つの問題として、税理士制度というのがあることは御承知のとおりだと思うのです。当然にあなたたちと国民の税理士に対する考え方というのが相当違っておることは、税理士の改正その他にもあらわれておりますけれども、やはりそういう恣意的に起こる、あるいは国税庁の人の良識や人格、識見に待たなければ、安全な徴税行政というものはできないということになれば、それを何らかの形で国民の側に立つ、あるいは不利益処分にならないように、国民のそういう立場を擁護していく制度として、もっと税理士制度を活用していく必要がある。あるいは皆さん方のほうとしては活用とまで言えなくとも、税理士諸君ともっと密接な有機的な関連を持って、この納税制度を行なっていかなければならない。実際上は確かに主要なあるいは困難な問題は税理士がタッチして、そこで処理されておる、こういうことを私たちは存じておりますし、大かたそういうことだと思いますけれども、しかし零細な人は税理士さんを雇えない。まあ雇っても帳面をつけてもらうだけで、最低月々三千円なり五千円なり一万円なりかかるわけです。そうすると零細な人は、それだけで自分の利益というものは半分以上すっ飛んでしまうということで、なかなか税理士さんに頼むこともできない。むしろ税理士さんに頼んでおる人々は、ある程度楽といってはあれだけれども、恵まれた立場の高所得者なり法人だと思う。したがってむしろわれわれなり皆さん方は、そういう帳面もつけ切らない、あるいはそういう否認事項もよくわからない。こういう人々に対して、人員も少ないわけですから、手取り足取りというわけにはいかないと思いますけれども、この議論から親切にしていかなければならないということはおわかりだと思います。ところが実際上の調査なり徴税というのはそういう人々に、私たちが繰り返し言っておるように、一番強く——税理士さんや何かおられるところは、そんなに突っついてもぼろが出ないとか、これは相当したものであるというので、それほど突っつかれないけれども、税理士さんなんかが頼めない人を一番きびしく税務署の場合は調査をされる。そこでこの否認権という問題が、一番末端の弱い人々に一番重要な問題を帯びてくる。もちろん私が役員賞与の問題について出しましたように、一般的な問題としては、否認権というものは大きな問題を呼びますけれども、一番末端の零細な人々に強い影響を帯びてくる。こういうことをお考えになるならば、もっと否認権の問題について、皆さん方は一考も再考もしていく必要があるのではないか。これは堂々めぐりになりまして、返るところは通達等の問題に関連してきます。したがって各国は通達の内容を——日本でも秘密ではないといえば秘密ではありません。公開してやるといえば公開ですけれども、これは裁判所の競売を見ましても公開競売です。しかし競売に立ち会う人間はプロだけで、一般の人は買いにくるということはほとんどないというような、政務次官よく御承知のとおりでございます。公開してあるといっても、こういう通達を知っておる者は、私たちもいつもいただきますけれども、見ることがない。よほどひまなときにばらばらとめくってみる程度、税務署の職員の人も全部が全部見ておらないと言っていますよ、自分の関係のあったもの以外。それくらいいわば非公開的なものなのです。どこかで、シビリアンコントロールではないけれども、やはりコントロールする必要が出てくる、こういうことに返ってくるわけです。そういうふうにお考えになりませんか。
○喜田村説明員 通達の問題はあとにいたしまして、小規模の納税者に非常に認定がきつく当たっているというお話がございましたが、国税庁といたしましても、まずどうしてそうした更正決定が比較的出やすいかと申しますと、所得の小規模の納税者の方々が、十分自分の所得をあとで立証できるだけの帳簿をつけておられないということのために、争いができる。したがいまして税務署の認定したところと、納税者の自分で考えているところと相違が出てきたために、更正決定のような場合が生じるということがございますので、現在国税庁といたしましては、小企業納税者に対しましては、できるだけ自分で記帳してもらう。記帳できない納税者につきましては、十分これを指導していく。あるいは必要によりまして、青色申告で税理士等に委託いたしまして、記帳の代行をしてもらう、こういうことを通じまして、各納税者が自分の所得というものが正確に計算できるようになる。しかもそれが後々税務署と争いになったような場合には、これにつきましてそうした記録に基づいて主張ができる、こういうことのできる態勢を確立するように心がけまして、小企業納税者に対する税の指導ということに非常に力を入れております。この記帳指導を通じまして、全員がたとえば青色申告によられたという場合に、更正決定しようとするときには、帳簿を検査した上に理由をつけて否認しなければならないということになります。その争点というものが非常にはっきりするという結果にもなりますので、現在のところそうした小企業納税者に対する指導というものに、国税庁としては非常に力を入れておるところでございます。 それから通達が、きのうも申しましたように、性格といたしましては各税務職員を拘束するだけでありまして、納税者を拘束するものではないということは事実上ありましても、その結果、各納税者が国税庁の通達というものによって、実質上かなり縛られるという結果があるということは御指摘のとおりでございまして、その通達のいかんということが、納税者の利害関係に非常に大きな影響を与えるということもお説のとおりでございます。したがいまして現在のところこの通達というものを、大蔵委員会に事後において提出いたしまして、これについて御批判があれば御批判をいただいて直すという措置をとっておるわけでございます。現在までのところ、昨日も申しましたように、まだ御指摘がないということは、つまりそれほど無理な通達が国税庁として出されていないということの一つの立証になるのではないかと思いますが、そうしたところから考えまして、現在の事後において御批判をいただくというやり方で、通達の妥当性あるいは合法性というものは一応保証できるのではないかと思われますので、事後におきまして提出いたしまして、御批判をいただくということに御了承願いたいと思います。
○只松委員 あなたはたいへんな誤解をしておられるわけです。さっきから言うように、税務署職員の人でさえも全部の通達を見ておらない。これは職員に聞いてごらんなさい。私も行って聞いておるのだから、あなた、下部に行って聞いてごらんなさい。ほんとうの話、知らない。ここにおる大蔵委員の人に、通達を読んでおる人が何人おるかといって聞いてごらんなさいよ。むずかしいから読まないし、わからないから読まない。国会議員の場合は忙しいということがありますから、見ておらないので文句がこないのですよ。正しいから文句がこないじゃなくて、見てないから文句がこない。しかも出たあとですから、出たあとに文句を言ったってしょうがない。これはいま審議しておる法案でも、一ぺんあなたたちは出すとメンツにかけて、きのうも偽りだけで一時間も論争するだけで、悪かったと言えばいいものを、悪かったと言わないで絶対がんばるでしょう。まして出した通達を改めるなんということは、混乱や何か起こりますから、何が変えますか。きのう各委員が討論したのをあなたは聞いておったかどうか知らないが、各国は事前に国会が解釈を下したり、あるいはコントロール制度というものができておるし、できつつある。こういうことをきのうみんな言ったわけです。したがってそういうふうに日本も、近代国家になるためには努力していかなければならない。専制的な君主国家ではないわけでございますから、そういうことを言っておるわけです。こういうことが近代的なほんとうの民主国家ということになるわけです。それはそれといたしまして、ひとつ誤解のないように、これはあなただけでなくて、議員さんなりみんなによくお考えいただきたいと思う。 認定のことをまだ続いてやりますけれども、大工、左官さんあたりは去年までは事業所得ですか、大体百万円まではいい。ことしは百五十万円に引き上げられたわけです。これも局でおやりになったと思うのですけれども、百万円と百五十万円といえばだいぶ違うのです。これを二百万にしてもらえばなおいいわけです。ところがどっこい、あなたのほうはそういうふうにしない。これもやはりあなたたちの一片の通達でなされておるわけです。こういうふうに通達、あるいはさっきから言っておりますこの百五十万までは認めるけれども、百六十万になったら否認するという否認権、これは決定的に徴税行政に影響力を持って、むしろ基本法なんかよりも非常に国民に密接です。さっき一番最初読み上げましたように、それは本来法律でもなければ、国民に対して命令を持つ力、拘束力を持つものではないけれども、実際上はそういうことになっておるわけです。したがってそういうことを改めていくためには、さっきからいろいろ言っているように、もっと研究する必要がある。たとえばそういうものを積極的に意思をくみ上げる。税理士のことでいいますと、青色申告のことがございます。青色申告でも皆さま方は相当否認をされる。これは青色申告するぐらいなら、人間いろいろありますから、多少ごまかす人もあるかもしれぬけれども、青色申告しようという人は、皆さん方にとって善意の人と見なければならない。これとても悪意と見るならば、これは全国民を犯罪人と見なければならない。そういう人たちには目をつぶるということではないが、あまりこまかいことを言わないで認めて、順次青色申告制度を伸ばしていく。子供を育てるときもそうです。あまりこまかいことを言うと、ひねくれてしまう。だから多少のことがあっても、元気にやれということを言っておけば、子供は自分でわかってきて、成長してまともな子になる。やはり同じことで、青色申告でも、皆さん方からいえば、だいぶ大目に見てきているとおっしゃるかもしれませんが、なかなかきびしいらしいです。また白色申告でも、大工、左官さんというのは、ことばは悪いけれども熊さん、八さんといって、昔から肉体労働をする人々は、なかなか帳面をつけないものです。こういう特殊な人もあります。こういう人でも、たとえば一例をとると、土建労働組合というのがあります。大工、左官の組合というものもありますし、いろいろそういうものがありまして、お互いに——皆さん方も大蔵官僚は大蔵官僚同士ある程度話をするみたいに、内部同士はそれなりに話をして、いわゆる良識的な線というものを出すわけなんです。そういうものを対象にいろいろ御相談になると、これはそうむちゃではない——表面上はいろいろやっても、落ちつくところに落ちついて、一つの線というものが出てくるのです。だから皆さん方も個人で補足しにくい場合には、団体であるとか、そういういろいろな扱い方というものがあると思うのです。国民の正しい納税方向を出していこう。だからもっと決定的に皆さん方のほうでは通達あるいは否認権というものを、法律的根拠に基づいて、われわれ税務職員の高い道徳性、識見、良識によって、やっておるとおっしゃるけれども、われわれから見ればそうじゃないわけです。ですからここのコントロールをするものとして、さっきから言うように基本的に国会におけるそういうものの解釈というものをはじめ、税理士あるいは青色申告あるいは各団体、こういうものを全部包含していって、非常に一般の行政と違って、法律で全部は規定することはできない。 それから裁判の事件を見ましても、行政法の中で税金関係の裁判というものはきわめて少ないのです。私もいろいろ判例を調べてみましたが、少ないのです。手数がかかりますし、どうせ最後は容易でないというので、裁判にまで持ち込んで、白黒を争そうのは少ないわけです。したがってそういうことをよく皆さん方お考えいただかないと、よく言われておりますように、昔陸軍いま大蔵、国税と、こう言われますように(「いや、いまは総評だ」と呼ぶ者あり)自民党の人は、議員さんはどうか知らぬけれども、一般国民にお聞きになるなら、何といったって、とにかく税務職員ぐらいおそろしいものはない。いまごらんなさい。中小企業者は税務職員と言いますよ。私が先ほどから言っておりますように、国税庁とか税金のことは、以前はあまり考えなかった労働組合員でさえ、国税庁、税金というものを考えるようになった。民商みたいな反税闘争ではない、反重税闘争というものを行なうようになったことを考えると、私が二日間にわたって質問してきた趣旨というものが、よくおわかりいただけると思う。ぜひそういう点を考慮いただきたいということをお願いいたします。 まだ各条文にわたって、一例をあげましたように、偽りというような非常に簡単に、しかもきわめて拡大解釈ができる、国民の誤解に対するこういうことばをお使いになっておるかと思えば、一方各条文には、昔ながらの非常にむずかしいことばがそのまま取り入れられておったり、矛盾した面、たとえば期間の問題にいたしましても、刑法上の遡及の期間と税法上の更正決定の期間がそごしておったり、あるいは通ってもおらない税理士法を通ったかのように書いたり、いろいろな問題がこの中にたくさんございます。こういうことを全部指摘して質問いたしますと、私だけでも二日、三日以上かかりますし、大体私に割り当てられました時間が来ましたので、以上を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○吉田委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 最初に泉さんにお伺いしますが、いろいろ自然増収が減ってきまして、新しい財源の確保ということが問題になってきたのですが、私たちは空閑地税、土地増価税、広告税などは考えるべき重要な問題だと思うのですが、そのほかのことで税金を取るというような問題が議題になったことがありますか。
○泉政府委員 お話のように、経済が安定成長に入りますと、だんだんと自然増収の幅が減ってまいります。そこで今後の財政をまかなっていくために、どういうふうにするかは、歳入面からもいろいろ検討しなければなりません。税の面で申し上げますと、いまお話の空閑地税、土地増価税あるいは広告税、このほかに御承知の一般売り上げ税あるいは取引高税といったもの、それから先年来からしばしば問題になっております高級繊維製品に対する物品税、こういった問題がいろいろあるわけでございます。しかし、これらにつきましては、それぞれ検討をいたしておりますけれども、問題がなかなか多うございまして、急速にどの税をどうこうというわけにはなかなかまいりにくい実情でございます。
○佐藤(觀)委員 先ほどちょっとお伺いしたんですが、広告税などは、いまのテレビ、新聞などを見ますと、相当収入になると思うのですが、こういうものは税制調査会では問題になっておりませんか。
○泉政府委員 税制調査会におきましては、三年間に今後の社会経済の進展に即応した基本的な税制のあり方ということを中心にやってまいりましたので、個々のこまかい税の内容についての検討は、まだ必ずしも十分でございません。 税制調査会のいままでの経緯を申し上げますと、ことしの自然増収の中で、減税と歳出の増加双方をまかなうことができてきた、そこの段階において新税を取り立てるということはなかなか問題でございますので、御承知のとおり今般揮発油税との関連からいたしまして、バランスをはかるために石油ガス税はどうしても新しく課税しないといけないということの答申は出ておりますけれども、広告税とか空閑地税などにつきましては、まだ新しく課税を起こすべきだというというところまでの結論は出しておらないのでございます。
○佐藤(觀)委員 主税局などで、広告税のほかに、いまの空閑地税と土地増価税というものを議題にされて、研究されたことがありますか。
○泉政府委員 これは主税局は税制についていろいろ検討いたしておりますので、常にそういった問題については検討いたしております。先ほど申し上げましたように、それを実行するにつきましてはいろいろ難点がございますので、いま直ちにこれを実施するというような結論は出しておらないわけでございます。
○佐藤(觀)委員 これは鍛冶さんにちょっとお伺いするのですが、都市の加速度的な集中、東京都がそうでありますが、東京とか名古屋とか大阪とか、その他六大都市の集中の度が非常に激しくなってきて、それのためにいろいろな社会的な弊害が起きてきていると思うのですが、こういうような点について政治的に、この佐藤内閣は何らか−の形で解決するというような考え方があるかどうか。またこれはこのまま捨ておけば、たいへんなことになるのじゃないかということが考えられますが、この点は一体政府はどのように考えておられますか。これは政治的な問題でございますから、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○鍛冶政府委員 都市過密対策ということはたいへん問題になっておりまして、始終政調等で議題になっておるわけでございます。したがって研究されておるということだけは申し上げられると思います。なおいまおっしゃったように、このままにしておいて一体いいのか、とてもこれではたいへんだ。この間の水の問題一つでも、こういうことで追っかけ追っかけやっておっては、とうてい追いつかれないのではないか。何とかしなければならぬということをみな言っておるわけでございまして、ただ具体的のなにはまだできておりませんけれども、研究中でございます。ことに首都経済圏ですか、この問題についても、それらの問題一が非常に大きなテーマとなってあらわれておることは間違いございません。
○佐藤(觀)委員 泉さんにお伺いするのですが、これは多少政治論になりますけれども、いま政務次官が言われましたように、過密都市というものは重大になってきましたので、都市の土地の値上がりというのはものすごく値上がっておる。そういうために、いま言う空閑地税とか土地増価税というのを取ったらどうかということが論議の対象になっておりますが、これについて空閑地税あるいは土地増価税というものを取った場合に、これは御承知のようにかえって逆作用になるという意見もありますけれども、これは財源の確保のためにも非常に重要だと思うのですが、その点はどういうようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○泉政府委員 土地増価税につきまして申し上げますと、これはかってドイツでやったことのある税でございますが、あの当時ドイツでは譲渡所得に対する課税をいたしておりません。したがって土地増価税といいましても、その土地が増価したということだけで課税するのでなしに、値上がりをして譲渡所得が出た、それを土地増価税の形で取るという形であったのであります。日本のように、土地の譲渡に対しまして譲渡所得税を取る場合には、その譲渡所得税と土地増価税とを重複して取ることはなかなかむずかしい問題でございます。土地の譲渡をしないでも、ただ最近のように都市が開発されて地価が上がった。そこで税を取るということになりますと、譲渡すれば収入がありますので、税金も納めやすいわけでありますが、ただ土地の値が上がったからといって、従来からそこに住んでおった人に土地増価税を取るということになりますと、土地の値が上がったことによる収入がないのにかかわらず、税を取るということで、税の執行上非常に難点が多いわけでございます。したがって土地増価税というのは、その執行問題がからんでなかなかむずかしいというのが、私どもの考えでございます。 次に空閑地税でございますが、問題は何を空閑地とするかということについての基準を設けることが必要になってくるわけですが、この基準の設定が非常にむずかしい。その土地に対して、上にある工作物と土地の面積との比率をどういうふうに見て空閑地と考えるか。それから日本のように木造で簡単にバラックが建てられるところになりますと、空閑地と考えておったものが、それを免れるために簡単なバラックをすぐ建てることができる、こういったような点からいたしまして、この空閑地税につきましても執行上いろいろ難点が多い。確かにフランスでは空閑地税をやっておりますので、フランスでできることが日本でできないはずはございませんけれども、そういった執行上のいろいろ難点が多いというところから、いま直ちに実施するのはどうか。要するに土地の値上がり対策としては、税制だけに期待することはむずかしいのでありまして、政府でもいろいろやっておりますように、やはり土地を開発する、そうしてまず供給をふやすということが先決問題でございまして、その供給をふやすのに助けになるのには税の援助措置と申しますか、譲渡所得税を軽減して、そういう山林あるいは農地を宅地にすることを助成するとかというようなことはできやすいのでありますが、税をかけることによってその空閑地をなくしようというようなことには、なかなかむずかしい問題があるわけでございまして、この場合には税をかけることによって、かえって土地の値上がりを来たすおそれもある、こういうことでございます。したがってこれらの新しい税を起こすことにつきましては、その他の土地対策との関連を十分考えまして、それらの政策が全部そろって効果があるというふうに認められる場合でないと、軽々しく税を起こすことは、かえって土地の値上がりを招きやすいというふうに考えております。そういう見地から、他の土地供給政策あるいは土地の需要の調整、建物の立体化、こういったことと関連させながら検討いたしてまいりたい、かように思っておるのでございます。
○佐藤(觀)委員 実はこの空閑地税とそれから土地の値上がりの問題について調べておったら、はからずも一昨日の朝日新聞、それからきのうの毎日新聞の論文に、これは相当世論が——これは簡単にすうっとやるのじゃなくて、やはり論説委員会できめてやるのだと思うのですが、そこに重要な問題として取り上げられておるということは、この内閣も社会開発とか盛んに言っておられますけれども、そういったことに耳をかさずに事をやるということではたいへんだと思うのですが、私は、いま泉さんの言われるように、どうも取りやすいところから取る、取りにくいところは取らぬというような、そういう方針じゃないか。だからもしこれがうまくいけば、一方においては税金が取れて、そのほかに土地の値段が高騰しないということになれば、これは一挙両得だと思うのですから、非常に困難でありますけれども、そういうところに何らかのくわを入れる必要はないかというような感じがするのですが、その点はどのようにお考えでございますか、伺いたいと思います。
○泉政府委員 お話のように、この税を起こすことによって土地の値上がりを防ぐことがほんとうに効果があるということでございますれば、私ども別段、これがむずかしいからといって避けているのではなくて、土地の値上がりをかえって助長するような結果になってはかえって問題であるというふうに考えて、ちゅうちょいたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、税制以外の土地供給政策なりあるいは土地の需要の調整の政策、こういうものと相まちまして、効果があると認められる場合におきましては実施する。それが執行上いろいろ難点があるからということは、税の立場から申し上げただけでございまして、それだからやらないという気持ちはないのであります。効果があるというふうな見込みが立ちますれば、私どもとして十分検討してまいりたい、このように思っておるのでございます。
○佐藤(觀)委員 豪州とか、カナダ、イギリスあたりでは実施をされたそうでありますが、わりかた土地の値上げを阻止したというようなことを聞いておりますけれども、その点は研究されたことがありますかどうか。
○泉政府委員 外国の事例はいろいろございますが、日本の土地事情とかなりかけ離れた事情でございます。ことにイギリスのニュータウンなど、かなり違った性格のものでございます。外国の事情が直ちに日本に適用できるとも思っておりません。しかしまた日本におきましても最近新市街地住宅開発ということで、相当そういった政策が建設省を中心に進められておりますので、そういった方面とも十分連絡をとりながら、今後とも検討してまいりたい、こう思っておるのであります。
○佐藤(觀)委員 むずかしいからといって手をつけないでおけば、何年たってもむずかしいと思うのですが、一体大蔵当局にそういう熱意があるかどうか。こういうものはむずかしいから取らぬという方針できまっておるのか。なるたけさわらぬ神にたたりなしということで、そういうことが等閑にされると思うのですが、御承知のようにいま住宅問題が大都市では問題になっております。政府も住宅をうんとふやすと言っておりますが、なかなか土地の問題が解決しないので、小さい住宅もできないというような状態になっておるわけです。こういう点について、これは主税局だけにそんなことを言っても無理でありますけれども、その関連で私は、一方において税金が取れ、その上に土地というものがもっと有効に使われるということになれば、ほんとうに、先ほど言いましたように一挙両得という立場からも、もう少し突っ込んで検討をする必要があるのではないか。そういうことを私は考えるのですが、そういうきざしとか、あるいは税調なんかでも、そういうことについては触れないから、触れさせないようにしているのではないかというような感じもするのですが、その点はどうですか。
○泉政府委員 別段税制調査会に触れさせないようなことをいたしておるわけではございません。私どもといたしましてはすなおに問題を提出いたしまして、税制調査会で議論していただいております。まだその結論を出すまでに至っておらないというのが実情でございまして、ただ先ほど申し上げましたように、この土地についていま土地増価税と空閑地税の両方話が出ておりますが、土地増価税のほうは先ほども申し上げましたように、ドイツの例などから見ましても、土地の譲渡があったときでないと、なかなか課税しにくいのであります。そういう点からいたしますと、すでに日本では譲渡所得税がございますので、譲渡所得税でやればいいということで、これは御承知のとおり昨年の税制改正におきまして、三年以内の保有にかかる土地の譲渡所得につきましては、半額課税にしない。投機を目的としておるような土地の売買から生ずる所得につきましては、そのような課税を行なうことによって、投機的な行為を防ぐということでやっておるのでございます。したがって土地増価税のほうは、いろいろ検討いたしましても、これはなかなか実施はむずかしいだろうと思います。ただ空閑地税につきましては、いまお話がありましたように、もしこれを設けることによってほんとうに土地の値上がりが生じないで、過密対策のため役立つという見通しが、他の土地政策などから出てまいりますれば、私どもとしてはこれを検討していくのにやぶさかでないわけでございます。それだけの熱意は十分に持っておるわけでございます。
○佐藤(觀)委員 土地増価税の問題は、固定資産税の問題その他の関連があり、言われたように譲渡所得の問題がありますから、それはできないにしても、空閑地税というものは、これは大都市に限ると思うのですが、社会政策上いろいろな有益なあれがあると思うのです。しかしただあなたの言われるように、ほかのほうから税金が入っておるから、そういうものを捨てておくということになると、あなたが税の公平ということを言っておられますけれども、不公平じゃないか。一方においては何もしないで土地がそのままでいま値上がっておる。一年間にばく大な値が上がってくる。何も労働を加えないで、ただ持っているということだけで、ばく大な収入を得ておるというような現状において、これを手をこまねいて捨てておくということは、これは不都合じゃないかと思うのですが、その辺はどのようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○泉政府委員 お話のように、最近の土地の値上がりが相当激しいものでございますから、かつて安い土地を持っておった人が、いま非常な資産家になるというような状況が出ておりますので、そういう点から、負担の公平ということからいたしますれば、もちろんそういうところに対して課税する。ただそれは固定資産税でやり、あるいは土地を譲渡した場合には譲渡所得税でやっていくということでございますが、いまお話の空閑地税につきましては、広い土地をただ遊ばしておくということは、国全体の土地利用の見地からいって好ましくない、そういうふうに思われますので、そういう意味で新しく課税すべきではないかという話が起きておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、空閑地税につきまして、何を空閑地と見るかということにつきまして、いろいろ問題がございます。その基準を税務署員が判定をするということになりますと、昨日からお話がございますように、税務署員のそういう基準の認定ということに対して、いろいろ国民の間に議論のあるところでございまして、さらにそこにもう一つ加えるということになりますと、私どもとしましても慎重に事を運んで考えなければならない、こういう状態にあるのでございます。
○佐藤(觀)委員 そうしますと、いま税務署が相当憎まれておる。その上また憎まれるのは困る、そういう考えでやっておられるのですか。
○泉政府委員 それは一つのあれを申し上げたのでございまして、それだけの理由で検討を延ばしておるということではもちろんございません。先ほども申し上げましたように、空閑地税ということだけでいまの土地の値上がりの対策として十分でないと思います。建設省方面の土地の供給増加あるいは需要の調整、この両面の政策と相まって、初めて実効があがるものだと思います。建設省の方面とそういった点をいろいろ打ち合わせて、ほんとうにこの税を施行することが、そういう面においての土地の値上がり防止、過密の解消ということに役立つということになるような方向で、検討いたしておるのでございます。
○佐藤(觀)委員 私は三、四年前にここで質問したのですが、これは笠信太郎さんの意見なんですけれども、どうも日本のインフレになる大きな一つの原因をなしておるものは、土地の値上がりということが一つの重大な要素になっておる、これを押えないとなかなか物価の値上がりその他の問題が解決しない、というようなことを言っておられましたが、どうもわれわれがいま考えるところでも、これはもっと大蔵省自体が、一方においては税の収入があるし、一方においては土地の値上がりがなければ、大衆が非常に喜ぶというような問題を、なぜちゅうちょしておるのかというように感ずるのですが、どうも私たちから考えると、大蔵省及び国税庁においては、取りやすいところから取って、弱い者だけいじめて、強い者から取らないというような、弱肉強食のやり方をやっておるのじゃないか。だから只松君が言われるように、税務署は一番いやがられておる。おそらく大蔵省もそういう点では、あまり好かれていないのじゃないかと思うのですが、そういうことについて、社会政策的にもある点までこういうものを、ひとつ突っ込んで考える必要があるのじゃないかと思うのですが、その点あなたの話を聞いておると、どうせ人に憎まれるよりは、このままやっていけばいいじゃないかというように、安易な気持ちでこれを積極的に詰め寄っておられないような感じがするのですが、その点はどうですか。
○泉政府委員 私ども別段、安易な気持ちでやっているわけではございません。真剣にこの問題をいろいろ検討いたしております。ただ繰り返して申し上げますように、こういう問題は税制にあまり過大な期待を寄せられると、かえってその実効があがらないのでございます。やはり税制とそのほかの政策と相マッチして、初めて効果がある問題だと思います。したがって単に税制だけで片づく問題ではございません。他の政策と相まってそれが効果がある場合に、どういうふうにやっていくかということを検討いたしておるのでございます。
○佐藤(觀)委員 これはお互いにいろいろ問答しておっても、大体泉さんがやる意思ないのですからしようがありません。それは他日の問題といたしまして、もう一つの所得税のことについて、これは膨大な法律でありますから、あとでまた同僚の委員からも質問があると思うのですが、今度五十四万円近くまで免税されましたけれども、五十四万というと月に五万円の収入の人よりかからぬわけですが、もっとこれを思い切ってやる必要があるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
○泉政府委員 所得税の課税最低限につきましては、毎年所得税の改正の際、常に配意いたしておるところでございます。ことに御承知のとおり三十五年以降、経済の異常な成長につれまして、国民の所得が非常にふえてまいりましたが、それに対して三十五年に所得税の改正を行なわなかった、これが非常に響きまして、その後の所得税の負担がかなり重いものになっております。課税最低限の引き上げが、所得の増加に十分追いついておらない。そういった状況からいたしまして、昨日もお話しございましたように、学校を卒業して間もない人が、直ちに所得税の納税者になる、こういった状況も出ておりますので、私どもといたしましては今後とも課税最低限の引き上げについては、十分努力いたしてまいりたいというふうに考えておるのであります。この程度をどの程度にするかということは、結局国民所得の上昇の程度と国民の消費生活の向上をどの程度考えていくか、この点に帰着すると思います。抽象的に何十万円がいいのだということになかなかいかない、やはり国民生活の実態と所得の増加の実態というものをよくにらんで検討していかなければならぬ、このように思っております。
○佐藤(觀)委員 外国との比較は、生活程度も違いますし、それから物価の水準その他いろいろ違いますが、大体イタリアとか西ドイツ、フランス、イギリスあたりは、最低のあれはどれくらいの標準を置いておりますか、ちょっと伺いたい。
○泉政府委員 日本では夫婦子供三人を標準世帯と言っておりますが、外国で必ずしもそれが標準世帯になっておるかどうかわかりませんけれども、そこで見ますと、西ドイツの場合の課税最低限は、いまのドイツマルクを為替相場で円に換算いたしますと、約八十三万円になっております。イタリアの場合は、どうもイタリアの税制は、分類所得税と総合所得税というので分かれております。非常に税制が複雑になっておりまして、明確でありませんけれども、イタリアの場合は、日本の課税最低限とほとんど変わらない程度のものでございます。国民一人当たりの平均所得ではイタリアのほうがまだ日本より高いのでありますが、イタリアの税制、ことに直接税は、制度そのものと実際に行なわれているところとが、かなり違っておるように私ども見受けられますので、そういう意味ではあまり参考にならないと思います。イギリスも課税最低限は、いまの標準世帯で申し上げますと八十九万円くらいのところであります。アメリカが標準世帯で約百二十万、こういった状況でございます。しかしこれは一人当たりの国民所得がかなり違いますので、それだけをとって日本が非常に低いのだというわけにはまいりかねると思います。一人当たり国民所得で申し上げますと、西ドイツは日本の二・五倍でございます。それから比べますと、そこまで追いつくにはなかなか時がかかるのじゃないかというふうに考えられるのでございます。
○佐藤(觀)委員 イギリスとフランス、わかっておったら概略でいいですからちょっと……。
○泉政府委員 フランスの場合におきましても、分類所得税と総合所得税の形になっております。総合所得税のほうで申し上げますと、かなり上のところで総合が行なわれることになっております。課税最低限が明確に日本の場合と比較できるような姿でございません。イギリスは先ほど申し上げましたように、八十九万円くらいのところで課税最低限がきまっております。
○佐藤(觀)委員 もう一つ、きのう大蔵大臣が答弁の中で間接税の問題に触れられましたが、今年はまあこの予算が通ったからあれですが、来年度あたりに間接税の新税をつくるような方針があるのかないのか。またあなた方は大体税調という隠れみのをつくって、都合のいいときは税調がこう言ったから、都合の悪いときは税調を無視するというような、かってなことを言っているのだが、これは泉さんが悪いのじゃない。政府が悪いのでありますけれども、そういう点について、間接税がどういうふうに検討されておりますか。
○泉政府委員 まだ本年の税制改正が国会を通過しておらない段階で、明年のことを申し上げることは必ずしも適切でないと思うのでございます。したがって私どもといたしましては、まだ四十一年について検討を始めておりません。ただ私どもが平素から考えておりますことについて申し上げますと、間接税につきましては、いま個別消費税の形をとっております間接税の増徴をはかることは、なかなかむずかしいのではないか。むしろ増徴よりも、三十七年に間接税の一般的な軽減を行なったあと、だいぶ時もたってまいっておりますので、明年あるいは明後年には、間接税について一ぺん見直す必要があるのじゃないか。増税よりもむしろ軽減しなければならぬ事態が起きてくるのじゃないか、こう思っておるのでございます。明年につきましてはそういう状況でございますし、明年の経済情勢がどういうふうになるか、自然増収がはたして出てくるかどうか、歳出の状況がどういうふうになるか、こういう状況を見きわめた上でないと、そういうことを無視して税はこうあるべきだというふうには、なかなかいきかねるのではないかと思っておりまして、したがいまして明年すぐに間接税の増徴をしなければならないというふうにも思っておりませんけれども、また明年直ちに三十七年以後の情勢も考えて間接税の減税ができるというふうにもまだ見当がついておりません。今後十分そういう点を検討してまいりたいと思います。
○佐藤(觀)委員 ちょっと喜田村さんにお伺いしたいのですが、泉さんがはからずも「金融財政事情」というところで、税制の簡素化ということを言っておりまして、役所もそれがわかってきたのじゃないかと思うのですが、これは絶えず私が言うのですけれども、この間北海道へ行きまして、小樽の税務署の署長さんたちと、国税局長と一緒に話をしたのですが、そのときに、申告のあれが非常にむずかし過ぎる、所得税の申告のあれにしても、これをもう少しわかりやすく、国民を納得させるような方法をとられる努力をされておるのか。われわれ幾ら言っても馬の耳に念仏で、ただ聞きっぱなしというようなことになっておるのか。この点は取るほうの側の方はどういうように思っておられるか、お聞きしたい。
○喜田村説明員 税法が実際に納税者に接触する面といたしましては、いまの所得税につきましては確定申告書を書くという段階で、直接納税者と税法とがぶつかるのが一番多い機会でございますので、この確定申告書をできるだけ納税者に書きやすいものにする、こういう努力は常々払っておるところでございまして、御承知のように申告所得税の申告書が大きく変わりましたのは、二年前に大きく変えたわけでございます。そのときにもなるべく納税者の書きやすいように、わかりやすいということだけと申しますか、それを主眼に改訂いたしたわけでございます。そのために、実際われわれが頭だけで考えたのではなかなか納税者の実情に合わないだろうということで、実際納税者の申告書を書かれる方々に集まっていただきまして、それにこちらの原案を見せ、またその後もう一回そうした方々にお集まり願って検討いたしまして、現在の申告書ができ上がったわけでございます。この点につきまして、さらに地方税と国税とで申告書の様式があまりかけ離れていてはぐあいが悪いということで、自治省のほうにもお願いいたしまして、なるべく国税に申告書を合わせるということをやっていただきまして、そうした点、両面から見まして、申告書としては従来よりだいぶ納税者にとってわかりやすいものになったとは考えております。しかし何ぶん税法が非常に複雑であるということのために、どうも簡素化も限度もありますために、依然としてまだわかりにくいという弊害は残っておりますが、執行面ではいろいろこうした面について、納税者にわかりやすいという申告書につきまして、最善の努力は払っているところでございます。
○佐藤(觀)委員 喜田村さんは大学を出た秀才でありますけれども、大衆は大学なんか出てないのです。そこでこの間百姓の人が来ましたからその話を聞きましたが、それと関連して八百屋の話を聞きました。八百屋だから当然なのかもしれないけれども、申告書をよう書けないので、十五日にはできない。それで夫婦げんかしておるわけです。ところが税務署はそういうことを何も調べないで、頭から税金をかけてくる。それでその細君はうちのおやじは無能だからと言って、夫婦げんかしておる姿を私は見てきたのです。確かに八百屋さんがもう少し勉強したらよさそうなものだけれども、それは将来のことで、現実にはなかなかそういうことができていないのです。ところが税務署はいまは御承知のように戦後と違って、相当優秀な人が入っているから、こんなことがわからないことはないじゃないか、こんな申告書が読めないのではしようがないじゃないかとしかるのですけれども、訴えはわれわれのところに来るわけです。だからこういう問題は、あなたのほうの税務署長すら申告書がむずかしいということを言っているのですから、ある点までかなを多くしたり、あるいは文章でも一あなたのほうの解説や手引きを見れば、われわれはどうにか理解できます。けれどもぽかっと上から申告書をもらった者にとっては、これは全く胸につかえるくらいのものじゃないかと思うのです。そういうのが日本の税金を納めるいわゆる中小企業の人々の姿だと思うのですが、その点についてあなた方が自分たちの学力から考えて平易だと言っても、大衆はレベルは正直言って低いのです。だからそういう点を思い起こして、この申告書なんかをつくっていただきたい。これはあなたのほうの都合のいいようにつくってあって、納めるほうに都合のいいように書いてないのです。これを納める側に立ってやらなければ、なかなか民主化というのはできないと私は思うのですが、その点はどういうようにお考えになっておるのか、これも伺いたいと思います。
○喜田村説明員 現在の申告書の一番主眼としておりますのは、非常に複雑な税法を、この申告書に書きます場合に、なるべくわかりやすく体系的にまとめ上げる、こういう納税者の一番書きやすい申告書にするということが第一の主眼になっております。そうしたねらいで先ほど申しましたように、実際に諮問委員会に集まっていただいたのは、いまの町の中小企業の方々あるいは自由職業の方々、そうしたほんとうに申告書を書かれる方に集まっていただいて、検討いたした次第であります。さらに今後ともそうした実際に書いておられる方々の御意見も取り入れる機会のありますときに、そうしたこれらの御意見を反映させていただいて、できればもう少しこれをわかりやすい申告書にしたいと思っております。ただ先ほど申しましたように現在の税法の複雑さという点から見れば、それにもある程度の限度はあるのではないか、こうは考えております。
○佐藤(觀)委員 それは喜田村さん、百姓なら百姓、八百屋なら八百屋、中小企業者なら中小企業者に端的にわかるような方法を講じないと、日本じゅう同じような申告書では、それは徹底はいかぬと思うのです。これはひとつ考えていただきたい問題だと思うのです。 それからこれは名古屋に起こったことでありますが、私の知った人が特別調査班に調べられたのですが、そのときのやり方が、初めからどろぼう扱いをするということを、非常におこっていました。その人の本宅の近くの相当有力なうちを全部調べたそうです。調べたといっても、中へ入って調べたのではなくて、いろいろなところで、あそこのうちはどれだけあってどうだということを盛んに調べた。それからその人はパチンコ屋をやっているわけですが、パチンコ屋でじゃらじゃら鳴らしているわきへ来て、あなたのほうのお調べがあったというので、非常に面目を失墜したということを言っておこっていましたが、こういうことは少し行き過ぎじゃないか。いま税務署がきらわれる点は、金を納めたくないからという点もありますけれども、ある点までそういう思いやりがちょっとなさ過ぎるのじゃないか。少なくとも特別調査があるから悪いことがあるかもしれないけれども、まだどろぼうをやったわけじゃないですから、そういうことをひとつ——これはおそらく名古屋で起こった事件だと思うのですが、われわれの耳に入らなかった。たまたまそこのうちの人が私と懇意なものですから、先生、これだけはひとつ大蔵委員会で質問してくれと憤慨して言っておられましたが、だいぶ前のことであります。そういうことについてもう少し指令を出す必要があるのじゃないか。こんなことほど指令を出さなくても、もう少しこういう点について税務署は思いやりをしてやるべきじゃないかと考えるのですが、この点はどう考えていますか。
○喜田村説明員 おっしゃるとおり税の執行面の調査官の態度、そうしたことのために納税者の反感を買う、税務行政に対する信頼を失わせるということがあってはならないのば、そのとおりで、ございます。かねがねそうした税務署の納税者に接する態度とか、納税者の言い分を十分聞くというようなことにつきましては、税務運営方針の一番大事な柱として指導しているところでございまして、納税者の言い分は十分聞くように、あるいは納税者の利益になることは進んで教えてあげる。そのほかすべて納税者に接する場合には、よく納税者の身になって接するようにということを、税務署の非常に大きな柱として指導しているところでございます。具体的ないまの内容ははっきりわかりませんが、もし行き過ぎがあったということがあれば、十分注意したいと思います。またそれ以外に、一般的に税務署員の納税者に対する態度というものにつきましては、今後ともこれまで同様十分な指導をしてまいりたいと思います。
○佐藤(觀)委員 それからもう一つ具体的な例で、私は名古屋の郡部のほうから出ているのですが、この間税務署のほうから——これは農業所得のほかに働きに多少行っているのだろうと思うのですが、そういう人のところが百軒ばかりあるところに、三十軒くらい税務署のほうから、あなたのうちはほかに収入がありますよと言って、親子で年六十万とか、あるいはこれは三分の一くらいは思い立ってやったのだと思うのですが、百姓の人は御承知のように自分の仕事を詰めて、あるいは半日なり一日なり働きに行く場合もあると思うのですが、こういうことでどんどん税務署が何でも取るということになると、どうせ取られるくらいなら遊んでおったほうがいい。そういうような結果が出てくるのですが、ことしはそういうような方針が国税庁でできましたか。これは部分的に名古屋の国税局だけやっておるのかもしれませんけれども、そういう新例が出てきましたが、こういう点は全国的なことになっておるのかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○喜田村説明員 農業所得者の出かせぎの所得その他につきまして、十分な調査をするようにというようなことは、国税庁としては指示はいたしておりません。あるいは名古屋国税局で、そうした漏れが非常に多いということに気がつきまして、あるいはそうした調査のやり方をやったのではないか、こう考えております。
○有馬委員 関連して。いま佐藤委員から御質問のありました点については、これは日ごろ横山委員からも質問検査権の限界について、常に本委員会でここ数年来主張され、佐藤委員も主張されてきておるところなんです。実際には全国的にこういったケースが出てまいっておりまして、その方法について私は徴税者側として、考慮しなければならない大きな余地があるのではないかと思うのであります。たとえば五十人くらい動員しまして、一つの会社に一カ月も二カ月もかかりっきりになるという状態の中では、企業自体が手をあげざるを得ない雰囲気に追い込まれていく。しかも帳簿書類全部を没収していく。そして旅館あたりに持っていってやっておるから、仕事はほとんどできない。そこに来て見ればいいじゃないかと言ったって、平常の業務というものはできないと思うのです。しかもその疑点があったならば、こういう疑点があるが、これについてはどうかという形で、納税者の意向を確めていくという方向ならいいのですけれども、まだあるはずだ、まだあるはずだというようなことで、つかんでいることは伏せておいて、そしてまるで誘導尋問みたいなことをやる。ですから納税者のほうでは、これをやられたのではかなわないから、なくてもあってもいいから、もうやけのやんぱちだということで、この程度ならどうでしょうかというようなことで、ありもしないことまで言ってしまうという形に追い込まれていく。これはゆゆしい事態だと思うのです。そういう形に追い込まないような配慮というものが、国税庁としてはぜひ必要だと思うのですが、これについてあなたと、それから政務次官からも関連してぜひお答えをいただきたいと思うのです。
○喜田村説明員 税の調査は、もちろん課税の公平、つまり正直者がばかをみないということをねらいとして行なわれるわけであります。しかし税務官庁側のためにあるということだけでなくて、その運用にあたりましては、納税者側のたとえば人権の問題であるとか、あるいは事業の円滑な遂行、そうしたことも十分尊重しなければならない。そのかね合いをどこに求めるかというのが、質問調査権の具体的な限界ということになるだろうと思うわけでございます。そうした意味で国税庁といたしましては、実際に調査する場合に、そうした納税者の人権であるとか、あるいは事業の円滑な遂行であるとか、そうしたことは十分尊重するように、かねがね指導いたしておるところでございます。さらに今後ともそうした点につきましては行き過ぎのないように、十分な指導をしてまいりたいと思います。 なお、いま最後におっしゃいましたように、そうした争いがない、納税者の申告がそのまま認められるというような段階になるのが、一番望ましいところでございます。そうした点につきましては、納税者のたとえば更正決定があったというような場合には、すぐ今後そうしたあやまちのないようにということを納税者に指導をするとか、あるいはそれ以外に一般的に納税者に対して申告指導を徹底する、こちらが調査に行って調査額を是正するというやり方を第二義的なものといたしまして、第一義的には納税者自身の正しい申告ができるような態勢をつくっていくということを、現在の税務行政の第一義として運用する。それが結果的には調査における摩擦というようなことをなくす基盤にもなると思われますので、そうしたところについて力を入れて、大いに指導しているところでございます。なお調査のやり方につきましては、今後とも行き過ぎのないということにつきましては、十分指導をやっていきたいと思っております。
○鍛冶政府委員 私は税のことはあまり詳しくないのですが、とにかくいまの税法は、納税者から申告させることをもって本体としておると思うのです。ところがいま佐藤さんの言われるように、なかなか申告がむずかしくて、みずからやりたくてもやれないという実情ですから、これは何としても税務署のほうから、こうすべきものだ、ああすべきものだといって教えてやる。もしくは申告について間違ったことのないように、相談相手になってやる。これぐらいの考えでなかったら、この完全は期せられぬものだと私は考えております。したがいまして、この間も国税局長会議がありましたときに、しろうとではありましたが、私はその意味で、今後はひとつ相談相手になろうじゃないか、それには税務署の署員というものはまっすぐにやってくれるもので、一番安心して相談できるものだ、こういう観念を植えつけるまでにやることが一番大事じゃないか、こう述べておりまするので、ぜひともそのような指導をしてもらいたいものだ、かように考えております。
○有馬委員 私は何も国税庁の配慮というものを、まっこうから否定しているのじゃないのです。しかし実際にやっておることを見ておりますと、先ほど申し上げましたように、まだあるはずだ、まだあるはずだということで、精神的な拷問にかけている状態が続いておるわけです。ですからもうやるせないということで、ある線まで出せばいいのじゃなかろうかという空気、これがあることについては、徴税者側として最も戒心しなければならないことだと思うのです。 〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 ですから、たとえば先ほど申し上げました帳簿等にいたしましても、業務に支障のないという配慮があるならば、その調査の対象の人と話し合いまして、たとえばそこの事務所の別室はないかというようなことで、すぐ平生の仕事をやろうと思えばその帳簿が見られるような態勢の中で調べていく。実際には旅館に全部持って帰っている。そこだろうと思って旅館に出かけても、そんなものはおらぬということではね返す。これではとてもだれのための徴税行政かということになりますので、これは私はまたいろいろお伺いしたいと思っておりましたけれども、佐藤委員からいま御質問がありましたので、関連でお尋ねするのですけれども、皆さん方の配慮というものはそこら辺にあると思いますが、前線に行きますと、それがそのまま伝わっていない。ここに一番問題があろうと思うのです。ですからそういったこまかいところまで指導していただくように、この際強く要望いたしたいと思うのです。関連ですからこれで終わりたいと思います。
○佐藤(觀)委員 今度のこの所得税法なんかも、われわれは数が少ないから通るだろうと思うのですが、選挙区の人が税金のことで苦情に行くと、税務署の役人から、この法律は国会議員がつくったのだ、佐藤さんに文句を言ってくれ、こう言われる。私たちは反対しているのだけれども、どうもそういう痛い目にあうのです。これば事実一般の人が考えるのは無理ないのですけれども……。 そこで、いま有馬さんも言われましたが、もう一つ注意していただきたいのは、調べに行く人は、失礼ですけれども月給五万円足らずですね。こんなに受け取ってというような、そういうちょっとした根性もあるわけですね。そういう偏見だけは、これはぜひひとつ——われわれは公務員のベースアップを、坊さんなど熱心に言っておるのですけれども、そういうことは私はわかるのです。わかるのだけれども、それは社会通念上、これはあるところまで相当収入が多い人もあるのだから、そういうことがないようにしていただきたいということが一つあるのです。 もう一つは、私いま芸術議員連盟をやっておるのですが、その中で、いろいろ国税庁のほうも、また東京国税局のほうもいろいろ親切にしていただくようになりまして、だいぶ進歩しましたけれども、この芸術家の収入というものほどわからぬものばないのです。特に絵かきなんかは最もわかりにくいのです。作家は書いたものがあるから税金はわかるのですけれども、一人一人税の対象が違うわけですね。これはその人その人によって違うわけです。こういうものをどういうように処理をしておられるのか。私も具体的な問題が出てくるものですから、一つ一ついろいろ検討していきたいと思うのですが、この点について、いろいろ誤解があるのではないかと思われますけれども、非常に不平が多い。舟橋聖一君なんか、しょっちゅう不平を言っている。私たちも名古屋に帰って向こうの人には、何も国税庁の役人があなたたちの収入をもらうのではない、これは国でもらう分だからして、何でも取れるだけ取ろうというのではないと言って説明はしておりますけれども、しかし現実に非常に大邸宅に住み、一方においては非常に大きな収入がある人が、案外少なくて、一ます一ますペンで原稿を書く人のほうが税金がつらいという現状は、やはり考えてやらねばならぬと思うのですが、その点はどういう処理をされておるか。喜田村さんでも直税部長でもいいですけれども、われわれが言わなければだれも言ってきませんから、いまの問題と関連してちょっとお伺いしたいと思うのですが、どうですか。
○喜田村説明員 最初の、また有馬委員からお尋ねのありました非常に調査の行き過ぎがあるという問題につきましては、それほどたくさんの人員が行く場合には、もちろん幹部がだれかついて行っております。十分その幹部に調査のやり方ということにつきまして注文をつけられまして、そうした調査の行き過ぎのないように、あるいは税務署、国税局には苦情相談所というものもございまして、苦情を申し入れることがなるべく気軽にできるというような体制もつくっておりますので、そうした機会を通じて、もし調査の行き過ぎがございましたならば、幹部を通じて是正していただくという方法をとっていただきたいと思いますし、もちろんこちらとしても、今後とも十分こうした点については指導してまいりたいと思います。 それから税務職員の月給が低いとか、あるいは待遇が悪いというために偏見を持って——偏見と申しますか、一応そうした感情的なことから、調査の行き過ぎがあるのではないかということにつきましては、そうしたことはないと思いますが、なおそうした誤解を招かないように、なるべく税務職員の待遇の改善、特に給与の引き上げ、宿舎の整備あるいは庁舎の整備とか、あるいはレクリエーションの活発化、そうしたことを通じまして、職員の待遇を高めると同時に、税務職員に対して税務職員の仕事の重要性ということを十分吹き込みまして、そうした自分の一身の待遇ということだけではなく、全体として自分の仕事に対する使命感に燃えて、りっぱな仕事をするように指導しているところでございます。 なお、作家の所得につきましては、現在御承知のように個々に実額調査をする作家もおりますし、あるいはそれではなくて一般的な標準率というもので課税している作家の方もあるわけでございます。この標準率をつくります場合には、単にこちらのほうで一般的に推計してつくるというのではなくて、個々の実額調査に基づきまして実例に基づいた標準率をつくっていくということで、実情に即した課税が行なわれるように配意いたしております。ただもちろん御承知のように作家の収入のほうは大体わかりますが、経費の面が非常に不分明なところが多いために、両者の間に争いのないという最後の経費の額まで十分はっきり確定することができないという場合が多いと思います。そうした場合におきましても、なるべく無理のないような課税をするように、特に職業の性質から見まして、必ずしも全部について証拠がなければ認めないというような無理な課税はしない、こういうふうに指導しております。
○佐藤(觀)委員 国税庁の方も忙しいし、仕事が多岐にわたるし、めんどうなことだから、なかなか思うようにはできないでしょうけれども、立場上十分に考えてやっていただきたいと思うのです。 それからもう一つ、農業所得のことで伺いたいのです。私のほうにちょうど埼玉の安行と同じような町が三つばかりある。祖父江とか平和とか稲沢など、これは苗木の名産地ですが、ずっといままではミカンとかカキとかクリの苗などというものは、反別で税をかけておったようでありますが、ことしからミカンだけは反別でなくて、新しい所得方式で税を取るようになったそうです。これも国税庁からそういう方針に変えられたのか、あるいは名古屋の国税局でやっておるのか。米や麦なんかは反別で取っておるのです。苗木というものも同じように反別で取っておったようでありますが、何か方向転換をするような素因とか、あるいは事情があるのですか。
○喜田村説明員 こちらで指示したかどうか、ちょっといまのところはっきりわかっておりませんが、こうした農業所得につきましても、標準率、標準課税と申しますと、どうしても画一的になります。そうした場合に、米作というようなものでありますと、場所によりましてそれほど収穫量に差がない、また経費にも差がないということで、画一的な標準率ということで、反別の課税がわりに可能になるわけでございますが、ミカンであるとかあるいはそのほかの特殊農作物になりますと、隣にありましたから同じ収入である、あるいは同じ経費であるということは必ずしも言えないために、なるべく個々の実情に即するような標準をつくっていく、あるいは個別課税をやっていくというような方法をとるということは十分考えられます。あるいはそうした反別課税では実情に即した納税者の間のバランスのとれた課税ができないということのために、こうした収入金課税あるいは個別課税ということに踏み切ったのではないかと思います。
○佐藤(觀)委員 喜田村さん、百姓というのはなかなかこまかいものでございまして、去年がどうにか税金が払えれば、ことしも同じような額だ。特に苗木なんかは一本三円かそこらですから、非常に零細なものです。しかし数も多いわけですから、非常に大きな税金になるわけなんで、こういう点についてわれわれが説明してもわからないのですよ。税務署の署長や課長さんが、先生、こういうふうになっていますからと言えば、私には理解できますけれども、そんな話をしてもなかなか百姓は理解できない。農業所得のような場合は非常に零細なものですから、これは非常に注意をしてやっていただかないと。中小企業者なら話はわかります。けれども農業所得はなかなかむずかしい問題がありますので、そういうような書きかえの場合には十分にひとつ検討して、従来あったことを変更する場合には、よほど前々から説明をしてやっていただきたいということを要望しておきます。 それから泉さんにまたお伺いするのですが、租税特別措置法の中で、私は御承知のように証券界のいまの沈滞を非常に憂えているものでありますけれども、今度は、この間松隈さんがここで反対をされておったのですが、税調にないようないわゆる証券の分離課税を今度の法案で出されたのですけれども、これはわずかのことならいいのですけれども、非常にばく大なあれが引かれることになったのですが、これはどういういきさつですか。一ぺん泉さんに伺いたいと思います。
○泉政府委員 配当所得に対する課税につきましては、かねてから証券界のほうから利子と配当との間に課税上不公平がある。というのは、利子については源泉分離の五%課税になっておるのに対して、配当については源泉徴収は五%だけれども、それを全額控除される。それでは配当の場合には譲渡所得が非課税になっているという点はあるけれども、それは増資が非常にたくさん行なわれておった当時はそういううまみもあったけれども、増資の速度が非常ににぶってきまして、利回り本意の投資になってくると、その譲渡所得の非課税という恩典は少ない。むしろ利子の場合の分離課税によるのと配当が総合課税にされるのとの間の不公平が目立ってくる。これを何とかしてくれ、こういうお話があったわけでございます。その点につきましては税制調査会におきましても種種論議があったのであります。税制調査会におきましては、基本的には利子が分離課税であるから配当も分離課税にするということは、ますます不公平を助長することになるのであって、両者の間の課税のバランスをはかるということであれば、むしろ利子所得に対する優遇を狭めていくということをやっていくのがいいのだということから、税制調査会では御承知のとおり、利子につきましては源泉税率の五%を一〇%にすると同時に、将来総合課税に進むという前提で二〇%の源泉選択税率を導入する。そして配当については、一銘柄年三万円までは確定申告を必要としないということを法律で規定する、こういう方向へ両者のバランスをはかるのが望ましいのではないか、こういうことで答申があったわけです。この答申を受けまして、政府のほうでいろいろ検討いたしたのでございます。このことにつきましてはもう新聞紙上に出ておったことでございますので、佐藤委員すでに十分御承知のことと思うのであります。 まず第一に、利子について源泉選択制度を導入するということは、貯蓄奨励の趣旨に反するということで、この源泉選択制度の導入が実現できなくなった。そうしますと配当のほうで、従来から利子とのバランスを言っておりましたから、利子のほうが分離課税ということになるのであれば、配当のほうもしかるべく優遇措置を講じてくれなければ困るということから始まりまして、一銘柄三万円まで確定申告をしないということについて、一銘柄五万円までというふうに拡大され、さらにその上に源泉選択の制度を導入しろということに相なったのでございます。その結果、配当につきましての税制は、確定申告をして源泉徴収された税額を還付を受けるような階層、それから確定申告をしないで済む階層、それから源泉選択でやっていく階層、さらには配当が年五十万円をこえるとか、あるいは一会社の株数の五%以上の株数を持っているということから源泉選択ができなくて、総合課税を受けるというような階層というように、非常に複雑に税制がなってまいったことは、お話のとおりでございます。その点からいたしますと、税制上、ことに負担の公平という点から、非常に問題のあるところでございます。何ぶんにも証券市場の不振のおりから、資本市場を育成強化するというためにやむを得ずとられた措置である、このように思っております。
○佐藤(觀)委員 泉さん、利子分離課税というのは、今度はほんとうは法律がなくなるわけでしょう。これは悪いから私らは反対したのです。利子分離課税があるから、配当のほうも悪いほうに見習うわけです。これは私はそういう理屈ではちょっと納得ができないと思うのです。そうでしょう、利子分離課税というのが大体間違っておるのですから。その間違っておるのに右へならえやったのでは、また間違いがよけい大きくなる。これは堀さんの質問に池田さんが来られて、絶対にこんなことは私はやらないと明言された。三、四年前、たしか十一委員室のここでやられたことがあると思うのですがね。泉さんを責めるのは気の毒だけれども、私らは証券界のいまの沈滞を非常に憂えておる一人ですけれども、どうも筋の通らないことをやるとなると、いろいろ不公平だ、そういうように考えるのです。そういう点であなた自体をあまり責めるのもあれだけれども、あなたが主税局長をやっておるのだから、やめれば知りませんけれども、あなたがここでやっておる以上、大臣が来ないから、あなたに突っかかるよりしようがないのですが、どうですか、私はそういうように解釈をしておるのです。泉さん、利子の分離課税というのは、大体金のある人に都合がいい。貧乏人には何も恩典はない。それは国全体のあれは、貯蓄の増強とかいろいろ名目はつけますけれども、やはり貧乏人でも税金を出しておるのですからね。そういう立場からすれば不公平だと思うのですが、その点はどういうようにお考えでしょうか。
○泉政府委員 税負担の公平という点から申し上げますれば、税制調査会が言っておりますように、利子についての優遇措置があるために、配当とのバランスがとれないというのであれば、利子の優遇措置を廃止する方向でバランスをとる、これが望ましい方向であると思うのであります。これはしかしいま申し上げましたように税負担の公平という見地からだけでなしに、国の財政、経済全体という見地からながめられた場合におきましては、必ずしも税負担の公平という見地からのみ処理できないことになってまいるわけでございます。そのために今回そういった特別措置がとられたわけでございます。私ども税負担の公平という見地から見ますと、必ずしも好ましい方向とは思っておりませんけれども、国の全体の政策からいたしまして、やむを得ない措置である、このように思っておるのであります。
○佐藤(觀)委員 まあ、泉さんも良心を持っておられるから、これ以上言いませんが、もう一つ、今度は同じ会社のを三百万円持っておる人は、五十万円ずつ六つにやれば、これは税金はかからないでしょう。これは大口に有利で小口に不利だと言われるゆえんなんですが、これを何とか防止する方法はないですか。
○泉政府委員 株式を持っておる場合、一社に集中して持っておるとその配当額が三百万円になる。したがって源泉選択ができない。それを数社の株を分散して持つということになりますと、その配当が五十万円未満でございます。以上になると課税になりますが、未満でありますれば源泉選択の道が開かれておる。したがってこういう源泉選択の制度は、源泉徴収税率が一五%と配当控除が一五%とございますので、合わせて三〇%、したがって上積み税率が三〇%をこえる階層、具体的に申しますと、課税所得で百八十万円をこえる階層、この人が有利になるわけであります。しかもその所得の上積み税率の適用段階が三五より多く、六〇、七〇というふうに非常に所得の高い人ほど有利になる。これはお話のとおりでございます。それだけの税負担の公平という見地からは、いろいろ問題があるということを申し上げておるのであります。
○佐藤(觀)委員 租税特別措置というのは、これは非常に悪い法律でありまして、大口、大きなあれを持っている人だけが税金をのがれるというような方法で、これはわれわれが租税特別措置に反対するのは、ゆえなきにあらずでありますが、そこで今度はまた利子でさえ悪いところに、配当のことは、これはこの間堀委員からいろいろ質問がありましたから、私はくどいことを申し上げませんけれども、こういうところは泉さんが矛盾しているのじゃないかと思います。たとえば空閑地税のようなものはむずかしいから税金を取らないが、配当所得に税金をはずしたら、よくなるというような矛盾したことを考えられておるというふうに感ずるのです。こういうところはよほど大蔵省として考えていただかないと、私としてはこういう不公平なことは、不平を持つというような考え方が国民に渡ると、これは大きな問題になるのじゃないか。一方においては非常に大きなものだけを大目に見て、黙って弱い者には何にも恩典が得られぬというような、こういう風潮があると、これはもうたいへんなことになるのじゃないかというような感じがするのですが、そういう点はどういうような指導をされていくのか。私は泉さんの気持ちはわかりますけれども、どうも一貫したあれがないように考えて、非常に残念に思うのですが、こういう点はどのように説明をされていかれますか、伺いたいと思います。
○泉政府委員 お話のように税負担の公平ということは、税制の根本でございますので、税制を考えていく場合に、これを最も重要視していくべきことは、お説のとおりでございます。したがいまして所得の少ない人、生活程度の低い人に課税をして、所得の多い人、生活程度の高い人に課税がゆるやかになるということは、決して望ましいことではございません。したがいまして私どもといたしましても、そういう点につきましては今後とも努力してまいりたいと思いますが、それにつきましては大蔵省だけというのでなしに、国全体の、特に政策指導階層がそういう気持ちになっていただかないと、なかなかむずかしい問題ではないかと思うのでございます。私だけでそういう点をがんばっておりましても、かえってそうすると主税局ファッショだというふうにも言われかねないと存じます。そういう点につきましては、私どもとしても十分努力してまいりますが、国全体がそういう方向に進む必要があるのではないか、このように考えております。
○佐藤(觀)委員 どうもいまの公平な税を取るということは、社会党が天下をとらなければできないのです。これはもう私は自信を持っておるのですが、いろいろ不平を言っても、おれが天下をとったときには必ずやるから、それまで待てと言って待たしておるわけです。それで泉さんからこういう問題について一応良心的な回答を得ましたので、私はこれ以上のことは言いませんけれども、これは大蔵大臣か総理大臣を責めぬことには、あなたを責めることは無理だということはわかっておりますけれども、まあ主税局長という地位におられますから、やむなく言っておるわけですが、どうぞひとついろいろな問題はありますが、いわゆる税の公平ということと同時に、納税者の気持ちになってやってほしい。納税者はこれは納税の義務がありますから当然だけれども、貯金ならば返ってきますけれども、税金は返ってこないでしょう。これは喜田村さんや直税部長さんたちもこの金を当然だと思うけれども、国民は取られるという気持ちなんですね。それだからなかなか納税思想をやかましく言っても、いま税務署が一般に人気の悪い点で、これは国民は取られるということを不平は言っていない。ただ取られるときに公平でないというところに、大きな不平があると思うのです。そういう点で私は国税庁の国という字が国でなくて、残酷の酷のほうにつながるというゆえんは、私はこれは税務署の人に非常に気の毒だと思っているけれども、そういう考え方があるということは、これは事実だと思うのですよ。どうかそういう点で——横山さんが関連質問があるそうですから、私はその程度にして、きょうの質問は終わります。
○横山委員 関連して。どうしてもわからない点がありますので、同僚諸君にいろいろ意見を聞いてみたのですが、同僚諸君もわからないということでありますから、問題の提起をしまして、場合によりましたらあしたにします。 法人税法百五十一条、代表者等の自署押印、代表者等は申告書に自署押印をしなければならない。一項、二項、三項に書いてあります。四項には「自署及び押印の有無は、法人税申告書の提出による申告の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。」つまり自署捺印があろうがあるまいが、申告書の効力には影響がない。税金は取る。こういうわけですね。ところが百六十一条、自署押印の規定に反した者、そのほかの者は一年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処する。判こを押せ、自分で判こを押さなければいかぬのだ。しかし判こを押そうが押すまいが、税務署には関係がない。税金は取るけれども、判こを押さないやつは一年以下の懲役または二十万円以下の罰金、これは一体どういうことでしょう。判こを押せ、押そうが押すまいが書類には関係はない。しかし押さなかったやつは一年以下の懲役にほうり込む、どういうことですか。
○泉政府委員 この点は現行法でもそうなっておるのでございますが、これは法人税の申告書を提出していただく場合には、その代表者が十分責任を持って出していただく、これが必要でございます。アメリカの申告書などは御承知のように、この申告書の記載は神に誓って間違いがないということを証明いたしますということで、自署されて申告されておるのであります。日本の場合でもそういう趣旨からいたしまして、代表者の方が自分で署名して判こを押していただきたい、こういうことで申告書制度を設けておるわけであります。したがってこれに反して自署押印をしない場合には、罰則の規定があるわけであります。ただそうかといって、自署押印がない申告書を提出したら、それは申告書提出の効果がないということにいたしますと、かえってまたいろいろ納税者に申告がなかったということのために不利を起こすことになりますので、その点におきましては申告の効力に影響がないのだ、申告書は期限内にそれを出していただいたのであれば、期限内申告書として扱う。もしそれが期限後であれば期限後申告書として扱う、こういうふうになっておるのであります。
○横山委員 それは泉さん、常識的に説得力が全然ない。そんなら税理士法、自署捺印をしろ、しかし自署捺押を税理士がしなくても影響がない、ここまできまっておる。罰則がない。所得税法はどうなっております。 〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
○泉政府委員 所得税の場合には、そういった自署押印という制度になっておりません。所得税の場合には非常にたくさんの納税者でございますし、また農業所得者などいろいろ所得の種類が違いますので、そういうふうになっておりますが、法人の場合には本来代表者が自分の会社の納むべき税額、課税標準が幾らで、税額が幾らであるかを知らぬようなことでは困るわけであります。代表者が責任を持って、自署押印をしていただくということになっておるのであります。
○横山委員 同僚諸君もお聞きになるように、法人税法だけが自署押印をしろ、けれども自署押印をしたところで、申告書の効力に何らの影響がないと書いてある。それでは泉さん、もう一ぺん第百五十一条の第四項を読んでください。
○泉政府委員 お話のとおり申告の効力に影響がないと書いてありまして、それは先ほど申し上げましたように、自署押印をしなくても、申告書が提出されれば、期限内に提出されたものは期限内申告書としての効力を有するということでございます。ただしかしそういうふうに効力を満たせるけれども、自署押印をしなかったことについてはその義務の懈怠として、代表者に対して罰則を適用するということになっておるのであります。
○吉田委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
○堀委員 それでは伺いますが、この罰則を適用した例をひとつ出してください。過去十年間の罰則適用の例をひとつ出してください。
○泉政府委員 現在の自署押印の制度は、すでに長い間とられておりまして、全部の申告書に自署押印されておりますので、したがって罰則を適用した事例はございません。
○堀委員 それでちょっと伺っておきたいのですが、自署押印ということですね。あなたのほうでこれは法律用語で書いているのですからね。捺印はわかりますよ。あなたのほうで自署であるかどうかは、どうやって判定するのですか。罰則までつけておいて、それが自署であるかどうか、判定できる何か基準があるのですか。判定できないでしょう。どうやって判定するのですか。捺印はいいけれども、自署であるかどうか、自筆であるかどうかが判定できないのに、罰則をつけるというのはおかしいでしょう。そういうあいまいな規定になっているから、実は罰則が適用されていないのです。やる気がないのです。やる気がないものを罰則として法律に書くということは、国民を欺くものです。これは修正しなければならぬ。
○横山委員 私の論理はこういうことですよ。とにかく申告の効力に影響を及ぼさないと断定しているわけです。自署押印というものがあろうがあるまいが、その申告の効力に影響ないと断じているわけです。影響がないものについて一年以下の懲役を課する。どうだ、鍛冶さん、ここはあなたの出番です。鍛冶さん、どうですか。そんなばかな理屈はありませんよ。
○鍛冶政府委員 突然言われても困りますが、これを読んでみますと、第百五十一条第四項は、申告書にあらわれておる税金を取ってもいいということを書いてあるのだと思います。署名がなかろうが判こがなかろうが、申告書にあらわれた税金は取るのだぞ、こういうことを書いてある。しかしそれかといって、先ほどから議論しておられるように自署せぬでもいいということになるのではない。するのがたてまえなんです。それをやらないのは違反なんだ。違反ではあるが、違反があるからといって税金を取られぬということになってはたいへんだから、なかっても税金は取ります、それからそうしなかった場合には違反であるから罰則を適用します、こういうことであろうと思います。
○横山委員 そんなら所得税法には同じことをなぜ書かないのです。いま泉君が言うのは所得税はたくさんで、法人税は少ない。そんなばかな話はない。あなたの理論だったら所得税法になぜ書かない。鍛冶さんに聞いているのです。法律家に聞いているのです。
○泉政府委員 所得税の場合におきましては、自分の所得の申告をするわけであります。法人の場合におきましては、代表者はもちろん業務執行機関ではありますけれども、一応法人そのものと業務執行機関である代表者とは別のものでございます。いわば会社の業務につきまして、善良なる管理者としての責任があるわけであります。したがって所得税の納税者と法人税の代表者の場合とは性格が違うわけであります。所得税の場合にまで自署押印してということは、なかなか期待することがむずかしい。しかし善良なる管理者の注意をもって業務執行に万全を期さなければならない代表者には、それだけの義務を課するのがあたりまえであるという考えであります。
○横山委員 これは何としても私は納得できない。この四項の効力に影響を及ぼさない、この四項がなければ私は罰則は可能性があると思う。自署押印を出せ、けれども自署捺印であろうとなかろうと、申告の効力に影響を及ぼさない。そんなに割り切っておるのにかかわらず、自署押印をしなかった者は一年以下の懲役、二十万円以下の罰金。私はいま法務委員会の理事をやっております。一年以下の懲役というのは重罪ですよ。そうでしょう、鍛冶さん。あなたも専門家だからよくおわかりのはずだ。一年以下の懲役、二十万円以下の罰金ほどの重罪であるのに、自署押印したかしなかったかについて、法律的効果はないと言っておるじゃありませんか。こんなばかな話がありますか。どっちか削るべきだ。
○泉政府委員 自署押印が法律的効果がないとおっしゃいますけれども、自署押印しなかったら、それでは法人税の申告としての効力がなくて、税金を取られぬでもいいのだということになりますと、これは変なことになるのであります。したがって自署押印がなくても、申告書としての効力には影響を及ぼさないということでございます。ただ御承知のとおり法人税の申告は、法人の確定決算を基礎にして申告をすることになっております。したがって善良なる管理者としての注意義務を果たすべき業務執行の代表者は、自分の法人の申告書について確定決算を基礎にしたものであるということを十分確認した上で、出していただかなければならないわけであります。そこで自署押印をしていただくということになっておるわけであります。自署押印をしなかった場合の罰則の懲役一年以下ということが重いかどうかということにつきましては、いろいろ御意見があるかとも思いますけれども、しかしそれほど法人税の申告書は重要な申告書であるということを考えまして、こういうような罰則規定になっておるのであります。
○横山委員 どうも鍛冶さん、返事に困って黙っておるのですが、私の言うことと同じだと思う。罰則を適用する理論が成立するなら、所得税法だって同じことですよ。会社の代表者の申告書であろうと個人の申告書であろうと、申告書に変わりがない。税法が申告書に期待しておるものについて、何ら軽重の差はない。判こをつこうとりくまいと、申告の効力には影響がない、自署であろうとなかろうと申告の効力には変わりはないと断定しておる。それにもかかわらず、自署してなかったら一年以下の懲役だ、二十万円以下の罰金だ。それは政府の立場がちょっとかって過ぎはせぬか、こういうことなんです。税理士法のものには、署名押印をしろ、けれども署名押印をしてなくても申告の効力に影響はないのだ、それは罰金がない。所得税法は全然書いてない。罰則について全部を統一しろという理論よりも、ここに効力に影響がないと言いながら何もならない。とことんまで言えば、自署押印は何も関係がないと言いながら、押印しなかったやつは一年以下の懲役、二十万円以下の罰金だ、こんな矛盾した論理があるか。
○鍛冶政府委員 私は黙っておるのでもないが、あまり私の専門でもないことを突然聞かれて、間違ったことを言うてもいかぬから——ちょっと申し上げますが、先ほどからあなたのおっしゃることに対しては私は答えられます。効力に影響がないということは、申告書には署名捺印はあるべきものなんだ、それが大前提です。あるべきものであるが、署名捺印をしないからといって、この申告書を土台にして徴税をせぬというわけにいかぬから、申告書としてはほんとうに完備したものではないけれども、それをもとにして税金を取るぞというのが、この百五十一条の第四項だと思うのです。(「申告書は不完備だが、徴税の効力はある」と呼ぶ者あり)そういうことです。それは故意に判こを押さずにおって、これは無効のもので取ったら何事だと言われるから、さようなことは言わせぬぞ、押さぬでも取るぞ、これだけなんです。それを何か影響がないといって、効力がすべて変わるようにそこで解釈されることに問題があるのだと思うのです。したがって出さなければならぬものを出さないというのは不都合だからこれは罰則、これが百六十一条だと思います。重いか軽いかは、これはまた別の議論でございます。
○横山委員 所得税法はなぜそれが入らないか。
○鍛冶政府委員 それはやってもいいかもしれぬが、所得税法はやらぬでもいいだろう。法人のほうはやらなければならぬというのが、このたてまえだと思います。
○横山委員 問題提起ですから多くは言いませんけれども、これは明らかに矛盾している。そんな矛盾をしておいて、しかもいま刑法の議論なんか法務委員会でやっておりますが、これは一年以下の懲役なんですよ。二十万円以下の罰金が他法と比べてどんなに重いものか、鍛冶さんもよく御存じのとおりだと思う。しかもそれは過去一回もそれによって適用されたことはないという事実を知るに及んでは、何をか言わんやというところですけれども、またあしたあらためてやります。
○吉田委員長 午後一時四十分より委員会を開会することとし、この際暫時休憩いたします。 午後一時十二分休憩 ————◇————— 午後二時六分開議
○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。平林剛君。
○平林委員 きょうは私、なるべく重複を避けまして、税三法についての質疑を続けたいと思います。 初めに、租税特別措置の昭和四十年度、平年度ベースで計算をいたしますと、どの程度の減収額になるだろうかという点につきまして、政府から御説明をいただきたいと思うのでございます。
○泉政府委員 租税特別措置による減収額につきましては、毎年度資料をお出しいたしておりまして、四十年度の資料もお手元に差し上げておると存じますが、昨年は、租税特別措置による三十九年度の減収額は二千九十八億となっておったのであります。本年の場合に見積もりますと、二千百十七億と相なっております。
○平林委員 ただいま資料の提出がすでにあったというお話でございますが、私まだそれを見ておらなかったものでありますから、合計については二千百十七億でございますが、それでは一応事項別に、貯蓄の奨励や内部留保の充実、その他の区分に従ってちょっと御説明をいただきたいと思います。
○泉政府委員 申し上げますと、大きく分けまして貯蓄の奨励関係におきまして、これは利子、配当、有価証券の譲渡所得の非課税、生命保険料控除、損害保険料控除、これらを全部含めてでありますが、千三百六十三億に相なっております。その次が企業の内部留保の充実で、価格変動準備金、異常危険準備金、渇水準備金、違約損失補償準備金、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、証券責任準備金、それから配当軽課措置、特定協同組合の課税の特例、これらを全部含めまして三百五十五億円、それから三番目に技術の振興及び設備の近代化の関係の特別償却と、探鉱準備金が入りますが、これが二百十億円、それから産業の助成措置として、技術等海外所得の特別控除であるとか、輸出割り増し償却、新規重要物産所得の免税、重要外国技術使用料課税の特例、航空機用揮発油税の免税、航空機の通行税の免税、重要機械類の輸入関税の免税、低開発地域、産炭地域などの工業用機械等の特別償却、それから清算所得課税の特例、これらを合わせまして二百六十五億円、それからその他といたしまして、米穀、米の予約減税の特例、社会保険診療報酬の特例、新築家屋、貸し家住宅の特別償却、新築住宅の登録税の軽減、増資登録税の軽減、それから特定公共事業に関する譲渡所得課税の特例、生前贈与の農地にかかる納期限の特例、これらを合わせますと三百四億の減収になるのでありますが、交際費の課税の特例におきまして三百八十億の増収をはかっておりますので、その他におきましては七十六億の増収になる。以上合計いたしますと二千百十七億の減収となりますが、減収だけを合計いたしますと、三百八十億の交際費課税の特例分の増収を差し引いておりますので、それに三百八十億を加えますと二千四百九十七億になるのであります。それから増収分を差し引いたネットが二千百十七億ということでございます。
○平林委員 この資料は私が受け取っておらないのがほんとうのようです。だからお手元に差し上げたなんというのはちょっと間違いだから、訂正しておいていただきたいのです。 いまお話がございましたように、交際費課税の特例の増収を除けば、例年どおりの試算でまいりますと二千四百九十七億円、こういうことでございまして、大体わかりました。ところでこの二千四百九十七億円、これは四十年度の試算でございますが、大体試算をしたあと、一年たって、実際との狂いといいますか、相違というのは例年たくさんあるものなんでしょうか。
○泉政府委員 これは歳入見積もりについても言えるわけでございますが、当初予算のときに見積もりました数字とその後の実績とでは、その年における経済成長のぐあいが違うというようなことで若干の相違が出てまいります。しかしその相違はあまり大きなものではございません。たとえて申し上げますと、有価証券譲渡所得の非課税によって減収が出ておると見込んでおりましても、株式の市況が悪くて売れば損だというので、譲渡所得の非課税の適用を待つまでもなく、非課税の特例が何ら効果を生じないというような場合もございまして、そういう場合には、売れば譲渡損が出るだけで、非課税にしておることの特典が生かされないということになってしまうこともあります。それから預貯金の利子につきまして、特例による減収を計算しておりますが、この預貯金の額が動いてくると一ということは、預貯金がふえますと、減収がもっと大きくなる。従来の傾向からいたしますと、預貯金は、当初に見込んでおったよりも若干ふえるのが多うございます。したがって当初に見込んでおったものより、そういった面においてはふえるのがある。そうしてふえるのと減るのと差し引きいたしますと、結局あまり変わらない、こういったことになっております。
○平林委員 例年こういうふうに試算を出していただいて、その後実績がどうであるかということを私一度確かめたいと思いますから、後でけっこうでありますので、その資料を御提出いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○泉政府委員 あまり古いのはいまのところないかと思いますが、たとえば一昨年くらいまでの資料はありますので、その点は後日またお差し出し申し上げます。
○平林委員 それから私最近ちょっとこの問題に疑問を感じたのでありますが、政府から提出をされておる租税特別措置及びその減収額一覧は、ただいまのように総トータルでは二千百十七億円ですけれども、交際費課税特例の増収を除いて考えれば二千四百九十七億円ある。まあかなり大きな金額になるわけでございます。それだけでなくて、実際上の企業に対する減税効果というものは、もっと大きいのじゃないかということをちょっと私感じたわけでございます。これはなぜそんなことを言うかと申しますと、ことしの二月十八日に予算委員会の公聴会が衆議院でございまして、公述人として関西経済同友会代表幹事の日向方斉という方が述べられておる会議録を読みまして、ちょっとそのような疑問を感じたわけであります。会議録をちょっと読んでみますと「まず最初に、現在経営者が最も希望することは企業減税でございます。今回の減税案によりますと、法人税率は一%引き下げでありますが、これではわれわれの希望とは全く比較にならないのであります。一方、輸出所得の控除の廃止は、輸出産業にとっては相当の増税となります。例を私どもの会社にとってみますと、半期約八百億円の生産をして二百億円の輸出をしておりますが、輸出所得控除額廃止によりまして約三百億円の増税になります。」こう書いてあるわけです。私、はて、輸出所得控除額の廃止で三百億円の増税になるということを言われておるから、何か数字の間違いじゃないかと思ったのであります。しかしこの人のただいま読み上げました公述にあらわれてくるいろいろな数字を点検いたしてみますと、間違っていないのです。たとえば私、他の資料からこの日向さんの所属を調べてみましたところが、住友金属工業におられる方でありまして、しかも「私どもの会社にとってみますと、半期約八百億円の生産をして二百億円の輸出をしております」ということも、昭和三十八年の同系の住友商事の輸出入取り扱い高の輸出の面を見ますと二百一億二千四百万円でございまして、ぴたり合っておるわけでございます。そこから考えてみると、輸出所得控除額を廃止して約三百億円の増税になるということも、何か間違いじゃないのじゃないかという感じがいたしまして、われわれが承知をしておる減収一覧による金額よりも、各企業企業にとってはかなり大きな減税効果になっているのじゃないかというような感じがしたのですけれども、私がいま読み上げました例から判断をしまして、主税局長、専門家としてどうお感じになるでしょうか。
○泉政府委員 数字の点は当人であられます日向方斉さんに伺わないとはっきりいたしませんが、私どもの感じでは住友金属工業自身が半期に納めている税金が三百億に達しておらないことからいたしまして、全部まかっているわけではないのでありますから、三百億という数字は間違い、私はその一けた間違った三十億でも多過ぎると思っております。そんなにない。したがってそれは何らかの数字の間違いではなかろうかと存じます。 なお輸出所得控除はもう御承知のとおり昨年廃止されましたので、特別措置として入っておりません。それまでは全体で二百十五億の減収になっておりました。しかも輸出をする会社というのはごく限られた会社でございますから、そういう輸出をしておる、しかも相当多額に輸出をしておる会社にとっては、非常に大きな減税の効果があったことは、三百億円という数字は別といたしましても、確かだと思います。それが輸出所得控除がなくなったということで、そういう会社にとってはかなり負担がふえたということはあろうと思います。御承知のとおり輸出所得控除を廃止したことに伴って輸出割り増し償却をふやすとか、技術等海外取引の特別控除を拡大するとか、あるいは海外市場開拓準備金を設けるとか、海外投資損失準備金を設けるとかという措置を講じて、そういったカバーをすることにしておりますけれども、全体としては輸出所得控除の二百十五億を上回る減収になっていますけれども、個々の企業にとってみると、今回の昨年とりました措置はかなりばらまかれた措置になっておりまして、従来輸出所得控除の特典を非常に受けておった会社にとっては、かなり効果の薄いものになっておることはいなめないと思います。
○平林委員 さてそこで、いまお話のように、三百億円というのは一けた違うのじゃないかというお話で、御本人に尋ねてみなければわからぬ、まさしくそのとおりだと思います。私も実はこれは疑問に思ったのです。疑問に思いました。そこで住友商事に尋ねてみれば一番わかるわけでございますけれども、そこまでは調べませんでした。しかしいまあなたのお話のように、大体三十億円くらいだろうということにそれでは仮定をいたしまして考えてみると、昭和三十八年の三月当時住友商事は二百一億円の輸出でございますから、大体これら主要商社の中では八番目に相当するわけです。一番多い三菱商事が八百三億円、三井物産が七百四十九億円、丸紅飯田が六百三十八億円、こういうふうに資料からたどってみますと、住友商事が三十億円なら、三菱商事はその四倍ですから百二十億円くらい、三井物産は同じように三倍強でございますから約百億円、丸紅飯田は三倍でございますから九十億円、こういうふうにいたしますと政府が従来発表いたしておりました輸出所得控除の額と実際の減税効果という面では、いろいろな面に響いてこんなに大きくなるのじゃないかという感じをするのでございますけれども、その点はいかがですか。
○泉政府委員 これはそうではございませんので、日向方斉さんの経営しておられるのは住友金属工業でございまして、金属工業が鉄鋼を輸出しておるその輸出高が二百億円、したがって利益率が一割としても二十億であります。二十億の法人税率を計算しても、輸出所得控除による特典があるのは十億にもならないのでありまして、三十億というのは一けた違ったとしても三十億台、しかもその三十億は私は多過ぎると思う、こう申し上げたのでありまして、私どもは三十億を是認しておるのではございません。いずれその金額は確かめた上でまた御返事いたしますが、住友金属工業自体が十億も特典を受けてはおらなかったであろうと思います。半期十億でありますから、年に直すと二十億になりますが、二十億も受けておらない程度だと思います。それから商社のほうは輸出所得控除の割合がメーカーと違って低くなっております。メーカーのほうは三%でありますが、商社は一%でございます。そういった点からいたしますと、商社の特別控除に伴う利益はわりに少ないのでありまして、私どもが調べた実績によりますと、二百十五億のうち商社全体で六十億、こういう数字になっております。
○平林委員 私は実際に政府が発表する減収額一覧の金額と、それぞれの企業に当てはめたときの減税効果というのは、違うのではないかという疑問をとりあえず申し上げておきます。これはなぜ言うかといえば、同じ日向さんが、今回の法人税一%の減税は、いろいろなものを差し引かれまして二千万円しかなりません、つまり今後の法人税率の引き下げ一%によって、この企業がどのぐらい恩典を受けるかといえば、二千万円にしかならない、こう言っているのです。これも私、取引やいろいろな企業の内容から見て過小である。つまり減税効果はこういう面ではまた少なくなる。しかし租税特別措置においては政府が発表した数字よりも、大きな効果になっているのではないかということを感じたのであります。そこでこれはひとつ今後の各企業に与える減税効果という点から見まして、主税局において御調査願いたい。そして特定の企業だけでなくて、主要産業のかなり大きな法人組織は、それぞれいろいろな租税特別措置によってどの程度の恩典を受けておるか、その資料をひとつまとめてもらいたいわけでございます。従来私いろいろな資料を調べてみるのでありますけれども、どうしても見当たらないわけでありまして、これはやはり政府のほうから調査して提出していただかなければならぬわけでございますので、これをひとつ主要な産業、企業でようございますから、大体常識的にこういう企業は、現在政府が法律によって行なっている租税特別措置で、どのぐらいの恩恵になっているかということを、見当をつける意味で必要な資料としてまとめていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○泉政府委員 お話の資料は法人の申告書を基礎に調査しないとむずかしいので、いますぐとおっしゃっても骨が折れますが、私どもといたしましてはそういった点には今後気をつけていかなければならぬと思っておりますので、できる限り資料を集めて、そういう資料を作成したいと思っております。 それから念のために申し上げておきますが、日向さんがおっしゃった法人税率一%による住友金属工業の受ける利益が少なくなるというのは、実は交際費課税をやりますので、これを強化しますとああいう交際費を相当多額に出しておるところは、その影響を相当受けまして、かなりその負担がふえる。したがって法人税率を一%下げましてもその効果がわりあい少なくなる、これは確かであろうと思います。そういう意味では、そういった交際費を従来たくさん出しておられる会社、これは私ども個別にある程度わかっておりますが、そういうところではかなりの負担になっておる。ひどいところになりますと、法人税率を一%下げることによる利益よりも、この交際費課税を強化することによる増のほうが多いといった会社もございます。
○平林委員 資料を集めて作成してくれる約束でございますから、私はなるべくすみやかにこうした作業をやってもらいたいということをお願いしておきます。 そこで、私がこういう問題を提起をして、政府にその資料を取りまとめることを要求いたしましたのは、一つの理由があるわけであります。租税特別措置が国としてのいろいろな保護政策、助成政策としてあるけれども、この助成あるいは援助が国だけで行なわれている場合は、まだ問題はない。しかるに今日の税法のもとにおきましては、地方税の負担にまではね返ることになるわけでございまして、今日地方財政は赤字、火の車でございます。その赤字、火の車で四苦八苦している地方財政を犠牲にしてまで、産業の助成をやる必要があるかどうか。私は国がいろいろな理由をつけて助成をし援助をすることを国策として、政府並びにその与党の政策として行なうというようなことは、これは現在の議会においてはやむを得ないと思いますけれども、さてそれならば、赤字で火の車になっている地方財政の犠牲までしいてやる必要があるかどうかという点は、おのずから別個になると思うのであります。そこでこうした問題についてひとつ検討を加える意味でも、ただいまの資料が必要なんでございまして、私、ただ無意味に要求しておるわけではないのであります。 そこで、幸い自治省のほうからお見えになっておりますから、ちょっとお伺いをいたしますけれども、ただいま私の質疑を聞いておられましたとおり、国税において租税特別措置の恩典は合計でおおよそ二千四百九十七億円になる。しかしこれは国税だけでございまして、地方税においては一体どういうふうにはね返ってきているだろうかという点を、明らかにしていただきたいと思います。
○佐々木説明員 国税の二千百十七億を前提にいたしました地方税のはね返り分は、四十年度におきまして五百七十七億でございます。国税の二千四百億を前提にして計算いたしますと七百五十三億という数字になっております。
○平林委員 おそれ入りますが、事項別で試算したのがありましたら、それをお話ししてください。
○佐々木説明員 先ほどの分類に従って申し上げますと、貯蓄の奨励関係で三百八十五億、内部留保の充実ということでの各種準備金等の関係で七十二億、技術の振興及び設備の近代化といったような特別償却の関係において九十七億、産業助成の関係におきます技術等海外所得の特別償却その他で六十億、その他の項目として米穀所得の課税の特例あるいは社会保険診療所得の特例等、それから交際費課税の特例によりまして、これらを合計いたしますと三十七億の増、そのうち交際費課税の特例分が百七十六億の増になっております。
○平林委員 ただいまお話がございましたように昭和四十年度で租税特別措置の地方税にはね返る分は五百七十七億円、交際費課税の特例を除いて考えますと七百五十三億円、相当な地方財政に対する犠牲がしいられておる。私は国の施策としておやりになる問題は議会で議論はしておりますが、それがすなわち地方税の犠牲をしいるという結果になっておるのは適当でないと考えるのでございまして、この点は何らかの解明を必要とするのではないかと思うのであります。自治省のほうでは何かこれに関して御見解はございますか。
○佐々木説明員 地方税に最も大きくはね返っております問題は、利子所得につきましての非課税の措置でございます。これが約三百億ございますが、現在の利子所得の分離課税の方式をとってまいりますと、技術的に——これは主として住民税でございますが、住民税においてその課税が可能かどうかというような問題がございます。さらに特別償却等の関係になってまいりますと、その分について地方税に適用しないというような問題になりますと、これはまた納税者のほうにおきまして相当めんどうな計算の事務が行なわれるというようなこともございます。地方税においてはできる限り国税のはね返りを避けたいというようなことから、現在事業税におきましては、たとえば海外市場開拓準備金の制度等につきましては適用をしないということにいたしまして、そうした国税の影響遮断の措置を可能なものについてはとるというような方針でおるわけでありますが、地方税全体といたしましてもできる限り租税特別措置のはね返りを可能な限りは遮断してまいりたいという方針で考えております。
○平林委員 いまのお話で気がついたのですが、地方税そのもので租税特別措置をおやりになっておる。たとえば電気ガス税ですか、そういうものの減収額というのは一体どのくらいになりますか。
○佐々木説明員 昭和四十年度におきまして六百九十七億でございます。
○平林委員 事業税でも相当租税特別措置による減収もあるし、国のはね返り分もある。合わせてみますと約千四百億円程度のものがございます。それで地方財政は赤字であっぷあっぷしておるということは、まことにこっけいな姿でないかと私は思うのであります。こういう租税特別措置は、国でやるなら別だが、地方財政を犠牲にまでしてこれだけの恩典を与える必要があるかという点は、考え直していかなければならぬ点があると思うのであります。たしか主税局長は税制調査会に対しても、こういう問題を諮問なさったのじゃないですか。これに対しての何か結論が出ておりませんか。
○泉政府委員 お話のように税制調査会には、租税特別措置の問題は常におはかりいたしております。税制調査会のいわゆる長期税制の答申におきましては、租税特別措置というのは何と申しましても租税の負担公平の原則を破るし、また租税の中立性を侵すということになって好ましくない。したがって租税特別措置につきましては、税制以外の措置でそれを達成することができないかどうか。また税制以外の措置では適当な手段方法がなくて、税制によらざるを得ないとした場合におきましても、政策目的自体が合理的であるかどうか、政策手段として租税を使うことが有効であるかどうか、さらにそういう税制措置を講ずることによって生ずる弊害と、それを償うに足るだけの政策効果があるかどうか、こういったテストを厳格に行なった上でなければ、特別措置を認めるべきでない。従来からある特別措置につきましては、そういう点から検討を加えて、すでに政策目的を達成したと認められるもの、あるいは効果がないと思われるもの、そういったものについては廃止すべきである、こう言っておるのであります。
○平林委員 一般的なものはわかります。私の申し上げたのは、地方税まではね返るということが、適当であるかどうかという点について、諮問なさっているはずなんです。それについての答申があったかどうか。
○泉政府委員 この点につきましては税制調査会としては、国税の措置はやむを得ぬ。当然に地方税にはね返るものもありましょうけれども、国税と地方税とはその性格が違うものでありますから、国税の措置が当然に地方税にはね返るようになるのは好ましくないというふうに言っております。したがって非課税あるいは特別措置について、国税の特例措置を直ちに地方税に移すということについては、慎重でなければならない、こういうことを答申いたしております。
○平林委員 ただいまのような考えも税制調査会の中にもある。また同時に参議院の予算委員会で同僚の木村禧八郎議員から、租税特別措置の問題についていろいろと追及があったとき、田中大蔵大臣がこういう答弁をしておるのであります。「税制の中に政策を織り込むということは、税制を非常に複雑にして、税を徴収するほうだけがわかって、国民全般が理解しにくい、こういう税制は理想的な税制とは言い得ないのであります。」なかなかはっきりしたことをおっしゃっているのですね。同時に「税制の中にたくさんの政策が織り込まれると、自分は一体国の恩恵を受けておるのか、保護を受けておるのか、こういう自覚、判断、評価というものも薄れがちであることも事実であります。」こういうことを述べられておるわけであります。多分大蔵大臣の本音だろうと思うのであります。こういうことから考えますと、租税特別措置全般についての批判も、閣僚の皆さんはじめ与党の中でも十分理解をしておると思うのであります。縮小する方向にいかなければいかぬ。しかしその中でも特に国の恩典が地方財政の負担で行なわれる。国の政策が地方財政の負担で行なわれるということについては、遮断をしていくということは一歩前進になるのじゃないか。とりあえずその方法について検討する必要を痛感しておるのでございますけれども、ひとつ政府においてもこの問題を取り上げてやってみようというお気持ちになってもらいたい。政務次官、ひとつお考えを述べておいていただきたいと思います。
○鍛冶政府委員 先日来ずいぶんこの委員会でも問題になっておるところでございまして、地方税と国税のほうの間を遮断するということは容易なことではないそうですが、相当考慮せなければならぬ問題だと思っておりますので、とくと研究することにさしていただきたいと思っております。
○平林委員 とくと考慮するというお答えでございます。先ほど私が要求いたしました資料、それから今日の地方税法、国税との関係など研究いたしまして、私も具体的な措置を考えついたらまた提案をしますけれども、これは政府の責任においてひとつとくと考慮してもらいたいということを要望いたします。 次の問題に移ります。自治省がお見えになっておりますから、その関係について少しお尋ねいたします。実は税金の問題は、国民にとって大きな負担になり、今日の税法のもとでは容易でないという状態にあることは、御承知のとおりでございます。ところができれば国民は税金はなるべく少ないほうがよろしいということで、いろいろくふうをなさるわけでございますけれども、そういう世相、そういう情勢の中におきまして、誤ってよけいに納め過ぎるという税金がかなりあるのではないか。この点は私、実は神奈川県で調査をしてみましたところが、昭和三十五年度で三億四千九百万円も誤ってよけいに納め過ぎたという資料が出てきたわけでございます。三十六年、七年も一億円から一億五千万円くらいある。昭和三十八年度は二億四千百万円もある。昭和三十九年度は三億六千万円もあるということでございまして、相当の金額になる。中小企業が多いのでございまして、そこからこれだけの税金を誤って納め過ぎさしておるということは、軽視できないものがあるのではないかと思うのであります。おそらく神奈川県だけでなくて、東京あるいは大阪、名古屋、各府県においても相当の数があるのではないかと思うのでありますが、こうした問題について何か御調査になっておるものがございますか。
○佐々木説明員 地方税におきまして過納金の還付の問題は、仰せのとおり各府県市町村とも生じておる問題でございます。ただ地方税の還付金の大部分を占めておりますものは、法人の住民税と法人の事業税の中間納付額の還付が、大体総還付金の八〇%程度を占めておるものと考えております。そのほか還付の生じますものは、自動車税でありますとか、軽自動車税につきましては、月割りで徴収をする制度が認められておりますので、自動車の廃車等によります還付金も、これは相当額あるはずであります。この全体の数字がどうなっておるかということは、私ども完全に資料をつかんでおりませんが、いま手元にあります数字によりますと、法人の事業税並びに個人の府県民税の中間納付額の還付の実績を見ますと、昭和三十八年度におきまして、全国各府県の合計が約二十五億という数字になっております。そういたしますと、大体府県の還付額はおそらく三十億程度になるのではなかろうかという見通しでございます。この還付金を生じますのは、これは税制上中間納付の制度が認められております関係から、やむを得ないものでございますが、地方税の場合には前年度において還付が生じました場合には、その年度の歳入から還付をいたします。しかし前年度において過納を生じましたものにつきましては、歳出予算を組んで歳出から還付をするという方式をとっております。そのために先ほど申しました法人関係の税で生じました約二十五億という数字も、これは過年度分につきましての歳出還付額ができておるわけであります。それで前年度の歳入還付いたしましたものは、これは数字がちょっと調査しにくい問題でございますが、現在の制度からいたしますと、この程度の還付額はやむを得ないのではないかという気持ちでおります。
○平林委員 いま表にあらわれたものが二十五億ないし三上億だと私は思うのです。表にあらわれざるものは、たとえば誤って納めさせたというようなことで、すぐ手続をとれて三カ月か半年で処理できるもの、こういうものを含めましたら、かなりの金額になると思うのですが、そういうものを想定してどのくらいになりますか。
○佐々木説明員 なかなか推定がむずかしいのでございますけれども、中間納付の還付を生じます場合には、年度のまたがりますものが非常に多いのではないだろうかという感じがいたしますので、総額としてその倍までにはいかないだろうという感じはしておりますが、推定はちょっと困難でございます。
○平林委員 国のほうはどうですか。国税庁、ひとつその問題について。
○泉政府委員 三十八年度の実績で申し上げますと、源泉所得税におきまして百九十九億、約二百億、申告所得税におきまして約五十三億、法人税におきまして二百九十億、合計いたしますと五百四十億余りの還付になっております。これは先ほど地方税のほうでお話がありましたように、法人の場合には中間納付税額の還付であるとか、あるいは法人が持っておる預金とかあるいは配当について、源泉徴収された所得税の還付であるとかであります。また源泉所得税の場合におきましても、源泉徴収されたものが、たとえば原稿料でございますと、一率に一〇%源泉徴収いたしますが、納税額の少なくていい人は返してもらえる。納税額の多い人は追加納付しなければならないということであります。そういったもので還付があるわけでございまして、一率に源泉徴収税率を定めざるを得ないという点からいたしますと、還付し、あるいは追加納付してもらうという状況になるのは、やむを得ないことではないかと思っております。しかしその金額があまりふえることにつきましては、私どもとして常に関心を持って見ておるわけであります。
○平林委員 国税においても昭和三十八年度の実績で五百四十億円、地方税においても二十五億ないし三十億円、これは一応還付金という形をとって表にあらわれたものでありますから、これだけで済んでおるわけです。そうでなくて、その年度内において処理できるというものを含めますと、これよりもっと多いということになるわけであります。この金額が多いということはどういうことかと言えば、それだけ中小法人において運転資金として確保しておけたものが税務署に納まってしまって、それだけ営業にいろいろな影響を与える。累積でありますけれども、それぞれの企業にとっては相当影響力を与えるわけであります。ですからなるべくこれを少なくしていくような措置を、徴税当局はとっていかなければならぬ。これは私は現在隠れておる中小企業の一つの問題であろうと思うのでありまして、こうした点について何らか措置がとれないものかどうか、また法律上の欠陥があるのでないかということを考えるのでありますが、主税局長、そういう点についてお考えがありましたら、ひとつ御説明いただきたい。
○泉政府委員 念のために申し上げておきますが、国税でいま申し上げました還付額と申しますのは、国税のほうでは御承知のとおり国税収納金整理資金特別会計がございまして、そこで収納額のうちから還付いたしておりますので、地方税のように、表にあらわれたものとあらわれてないものとがあるというのとは違うのであります。地方税全体の還付と見合うのが、先ほど申し上げました五百四十数億のものでございます。国税はこれ以外に還付金はございません。ただ還付加算税だけは歳出のほうに乗せまして出ております。その還付加算金のほうは別に歳出を立ててやりますので、税のほうの還付はいま申し上げたのが全額でございます。 それからいまお話のように、それをできるだけなくすべきではないかという点、ごもっともでございますが、そのうちたとえば法人税でございますと、ある年に欠損が生じますと、それを一年前の事業年度に繰り戻して還付を受ける。これは当然認めなければならぬ。その次の年に赤字になりまして、前に納めておったものを返してもらう、これは認めなければならぬと思うのであります。それ以外に大きいのが、先ほど地方税のほうでもお話がございました中間納付税額の還付、これが先ほど申し上げました法人税のほうで申しますと、二百九十億のうち百三十三億ほどがそういった金額になっております。したがってこの点について検討していかなければならぬわけでありますが、今度の法人税法の改正におきましては、そういった点を考慮いたしまして、中間納付税額が二万五千円以下となるような中小法人の場合におきましては、中間納付しなくてもいい。そして中間納付で返ってまたその次の確定申告のときに還付するというようなことで、納税者のほうも手数であるし、また税務署のほうでも一たん収納になってまた戻すという手数がかかることは好ましくないということで、そういう簡素化をはかって、中間納付税額の還付の件数を少なくする、こういうことにつとめておるのであります。そういった努力をいたしまして、そういうむだな還付ということが起こらないようにしたい。しかしいま申しました繰り戻しの還付のようなもの、これはぜひ必要であります。これは多額になってもやむを得ない、このように思っております。
○平林委員 ことしのように景気下降期になってまいりますと、比較的これは増加していく傾向にあると思います。特に前年の実績で予納させるよなことをやりますと、それが非常に多くなるということになるのでありまして、いまお話のように、なるべく中間決算で指導していくようなやり方をとる必要がある。これは私、徴税当局のやり方いかんによっては、非常に少なくさしていくことができるのではないかと思うのであります。この問題についてもきょうは提起しておきますから、適切な指導をやってもらいたい。私もことしの実績を調査いたしまして、適当な機会に、実効があがったかどうかという点を監査をしていくつもりでございますから、ひとつ適切な指導を要望しておきたいと思うのでございます。よろしゅうございましょうか。
○泉政府委員 お話のような点につきましては、今度の税法改正で、いま申し上げましたような措置をとるとともに、国税庁のほうにおきましても、そういった点を十分配慮してやってまいりたいと思っております。御趣旨に沿うように努力してまいりたいと存じます。
○平林委員 次の問題に移ります。今度は交際費の損金不算入の問題についてお尋ねをいたします。今回政府は、交際費の損金不算入の割合を現行の三〇%を五〇%に改めまして、これによる増収をはかることになりました。交際費の問題については、昨年私この委員会で指摘をいたしまして議論をしたことがございますが、一年経過した後に、またさらにあらためてこういう改正を提案をしてこられましたことに対しては、政府は非常に積極的な意欲が見られたものとして、敬意を表しておきます。この点、私は政府の積極的な態度は、敬意に値するものだと考えておるわけでございまして、こういう考え方は、まことに適切であると考えておるわけでございます。ただしかしながらなお問題がないというわけではございませんで、私は引き続きその点について、政府の考えを伺っておきたいと思うのであります。そこで最近における交際費の実情は一体どうであろうか。昨年度お尋ねいたしましたときは、昭和三十七年度の全法人の支出交際費及び損金不算入額をお聞きしたはずでございまして、これによると三十七年度は三千七百八十七億円の全法人の支出交際費でございます。損金不算入が三百三十七億円、こういうふうにお聞きしたのでありますが、三十八年度は一体どういうふうになっておるか、あるいは三十九年度はどうであるか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○泉政府委員 三十八年度につきましては、先般国税庁のほうから発表されておりますように、これはサンプル調査の結果引き伸ばしておりますので、若干前後の誤差があろうかと思いますが、交際費支出総額が四千五百六十二億円となっております。そしてそのうち欠損法人分が八百十六億、利益法人分が三千七百四十五億でございます。その利益法人分のうちでも、当時は三百万円プラス資本金の千分の一の控除額がありまして、その控除額の結果損金不算入とならない法人の分が千三百五十八億ほどございまして、したがって損金不算入の額のある法人が二千三百八十八億程度になっております。この三十八年の当時は二割、したがって四百七十八億ほど損金に算入されなかったのでございます。一応最近にわかっている統計ではそのようになっております。
○平林委員 資本金一千万円とそれ以下に区分した資料はございますか。これはこまかいことまでわからなくていいのですけれども、全法人の支出交際費の中で、資本金一千万円以上とそれ以下というふうに区分したら、一体どういうふうになるだろうか、その資料がございましたらひとつ発表していただきたい。
○泉政府委員 資本金階級別がこまかくなっておりますので、いまお話のような数字に直すには、集計しなければなりません。あとで集計してお目にかけます。
○平林委員 もう一つお尋ねしますが、従業員の慰安のための運動会とか演芸会、旅行のために要する費用とかいうのは交際費に認めない、あるいはその他政令で定める費用は認めない、そういう条項がございますね。この政令で定める費用というのは一体何なんですか。
○泉政府委員 政令で定める費用と申しますのは、交際費という範疇に入れるのははたしてどうかというようなものでございまして、それはいまの租税特別措置法の施行令の三十九条に掲げられておりますが、カレンダーであるとか、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐい、大体盆暮れにほんの名刺がわりというものでございます。これらの物品を贈与するために通常要する費用、それから「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物」、「これらに類する」ものの中に酒はもちろん入りません。茶菓、弁当を供与するために通常要する費用、それから「新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用」ということになっておりまして、交際費として規制するには適当でない社会礼儀とか、あるいは会議をするとき茶菓を出すくらいまでは交際費とは見ない、こういうふうに相なっております。
○平林委員 なかなかこまかく書いてあるようでございまして、私もう少し詳細に知りたいのでございますが、私が申し上げたいのは、いまの政令で定める費用の中にカレンダー、扇子、手ぬぐいと、こまかく規定されておりますね。諸外国の例を見ましても、アメリカやイギリス、西ドイツなどの例を見ますと、わが国と比較した場合に、私ここで少し考える必要がある問題があるのじゃないかと思うのであります。たとえば最近企業は、その営業上の必要もあるでしょうけれども、マージャンの接待をやったり、あるいはゴルフに連れていって接待したり、また高級バーへ連れていって接待したりするいろいろな方法が行なわれまして、社会道徳上どうかと思うような問題が私は多くなっておるように思うのであります。それでこの間新聞に書かれてありましたように、会社のえらい人があまり帰ってこないので、マージャンだとかゴルフだとかやっておるもので、奥さんが仮装強盗にあったというようなこともございまして、家庭の悲劇など生まれておるわけであります。会社の中にはこれ専門にやるような人がございまして、まるでマージャンの場所を設営するとか、ゴルフのあれをやるとかいうことを専門にやって、月給をもらっておるというようなことでありまして、そういう意味では、今回政府が損金不算入の割合を五〇%にしたということは、まことにけっこうであるけれども、その中身についても何か考慮する余地が私あるのじゃないかと思うのでございますが、そういう点については政府の考えは及ばなかったのでありましょうか。
○泉政府委員 交際費規制の対象とすべき交際費の範囲につきましては、この制度が昭和二十九年にとられました当時から、相手方である企業との間にいろいろ論議紛糾がございまして、それを積み重ねて、現在はおよそ交際費といわれるべき範囲のものにつきましては、徴税当局側の意見と納税者側である企業のほうの意見とが、大体合うようなところへきております。そこでいまお話し申し上げましたように、交際費として規制の対象に加えないものを、政令でこまかく規定するということになっておるわけであります。最近はだいぶ減ってきたと申すのでありますけれども。というのは、景気があまりよくありませんので、銀座のバーあたりもかんこ鳥が鳴いておるというようなことも聞くのであります。しかしそれにいたしましても、お話のようにゴルフ、マージャンその他の接待行為が相当多いということは、やはり事実であろうと思いますので、それらはすべて交際費の規制の対象になるわけであります。しかしいままでの両者の間の交際費としての範囲がようやく固まってきておりますので、いまこの点について特に変えなければならぬというふうに目立っておるものはないように思っております。
○平林委員 私はある程度の交際費は必要であるということは、認めないわけじゃないのです。ですからそういう意味では、この交際費の不算入の問題は税制の問題であると同時に、もう一つ社会に及ぼす影響ということを考えていかないと、私はしり抜けになってしまうのじゃないかと思うのであります。たとえば西ドイツの交際費の税における取り扱いを見ますと、純粋に事業上のものである場合でも、狩猟、狩りに行く経費であるとか、あるいは漁労のための支出ですか、これは魚とりか何かのことかと思うのですけれども、そういう支出であるとか、ヨット及びモーターボートの保持または使用のための支出、あるいはこれと類似の目的のための支出で、たとえばゴルフ場の保持であるとか、使用であるとか、こういうものについては否認をしているわけであります。私はこうしたものは、娯楽として大いに余裕があればやっていいことだと思いますけれども、税の問題とからみ合わせた場合には、税制上の問題とともに、社会に対する影響ということを考えねばならぬわけでありますから、過度のはやはり慎んでいく必要がある。過ぎたることは慎まなければならぬ。ところが現段階においては私はやはり世人の批判を受ける状況が横行しているのでないかと考えるのでありまして、そういう意味ではこの交際費課税特例の政令の中で、もう少し現状に合わせた形で検討する必要があるのでないか。いまお話のように税務当局は、企業側の代表といろいろ実情でお話し合いをしているようでありますけれども、こうしたことは私、やはり政治的に判断をして、一歩前進させるという必要があると思うのであります。政務次官、いかがですか。私はこれは政治的判断だと思うのですよ。こうした問題についてひとつ検討してもらいたいと思うのです。
○鍛冶政府委員 私はいままであまり研究しておらぬから、ちょっと答えかねますが、先ほどから聞いておりますると、厚生費と言ってもいいもの、それからそういうものでないので、これは純然たる交際費、それらの区別がよほどむずかしいのじゃないかと思うのです。それと、御説のとおり、どうもいままでは目に余るものはあったと思います。その意味において、このたびの税制改正は当を得たものだと私は考えておるわけであります。
○平林委員 税制改正は私は大いに賛意を表しております。方向としては正しいものであるということを申し上げております。問題は中身についてです。もっとこまかく私はきょうは申し上げておるわけでありまして、その中身です。今日のような経済事情になり、国民の生活の実情から考えて、われわれが大いに減税問題を議論しているときでしょう。最低課税水準が百六十七円とかというようなことで、それ以上は税金を取るというような税制をお出しになっておるわけでしょう。そういうときに私は社会に与える影響、国民の感情ということを考えられたならば、単に制限額を狭めていくというだけでなく、中身についてももっと高度の政治的指導が必要でないだろうかということを申し上げておるわけなんでありまして、これは私はぜひひとつ政府においても、また関係事務当局においても、こうした問題について御検討いただきたいということを希望いたしておきたいと思うのであります。 そこで政府は、この交際費の課税の問題について一段と配慮したことは私は認めますけれども、しからば、これは政務次官に質問いたしますが、政府自体の姿勢はどうであろうか。つまり制限額を三〇%から五〇%にいたしまして、前進を遂げられました。しからば政府自体の、各省官庁における交際費に対してどういう姿勢をもって臨まれたか。予算委員会ではございませんけれども、これに関連をいたしまして、やはり相当の配慮があったかと思うのでございますが、いかがですか。
○鍛冶政府委員 あまりに交際費をよけい使ってはおもしろくないというところから出ておりまする以上は、民間の交際費だけがいかぬので、政府の交際費がいいというわけではございません。同等の考え方からして、政府においてもおのずから自粛すべきものだと心得ております。
○平林委員 きょうの新聞を見ると、東京都の知事の交際費が年間四千万円、議長の交際費が二千万円です。まあ東京都の都議会においても問題が投げかけられておりまして、こういう交際費の使用をめぐって、議長の選挙などについてもやはり欲がからまってくるのでないかと思われるのでありまして、交際費の問題については、損金不算入の制度の一歩前進と相並んで、各方面に注意をしていく必要があると思うのでございますが、自治省のほうではいかがですか。こうした問題について全国的調査をしていますか。各都道府県ごとに大体どういう基準になっているかというような問題について、調査がございますか。あるいはそうした問題についてどういう配慮をしておりますか。
○佐々木説明員 財政関係は私の所管ではございませんので、手元に資料もございませんが、交際費の額がどのくらいになっているかということは、決算資料等に別に整えております。
○平林委員 それではこれは私に約束してください。資料を提出をしてもらいたい。これはこの問題を離れてもけっこうでございますから、資料の提出をひとつお願をしておきたいと思うのですが、いかがですか。
○佐々木説明員 所管のところから資料を取り寄せてお届けしたいと思います。
○平林委員 それでは交際費の問題については、先ほど政務次官に申し上げましたように、中身の問題、つまり政令の中身につきまして再検討を希望します。そうして社会に対する影響、国民の感情等から考えまして、この内容についてもひとつ考慮をわずらわしたいということを希望いたしまして、この質問を終わりたいと思います。 次に、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関る法律案につきまして、質問を行ないたいと思います。 第一は、この法案の中に、第二十三条の二並びに第五十八条の四の規定する新規重要物産の製造等による所得の負税の規定がございます。それから、第五十七条の二に渇水準備金勘定への繰入金額の損金算入の規定が、第五十七条の三に違約損失補償準備金の規定が、同じく第五十七条の四に保険会社等の異常危険準備金の規定などがございます。私は大体この条項を通読いたしまして、この規定を租税特別措置法の中にどうして含めないのか。この点がちょっとわからないのでありますけれども、こういう整備等に関する法律案をつくって、いまの規定がこの中に入っているわけですね。それでこれがもし成立いたしますと、それぞれ特別措置法の中に挿入される、こういうふうに理解をしてよろしいのですか。
○泉政府委員 お話のとおりでございまして、従来この新規重要物産の負税につきましては、所得税法及び法人税法に根拠規定がありまして、政令で規定いたしております。そのほか、違約損失補償準備金、渇水準備金、異常危険準備金、それらにつきましては実は所得税法、法人税法の政令で規定されておったのであります。しかしこれは本来租税特別措置でございまして、先ほど租税特別措置の減収額を申し上げた際にも、それで申し上げましたように、法人税法あるいは所得税法のような基本法にあるべきものでございません。そこで今回の改正におきましては、そういった基本法から租税特別措置法に移すことにいたしたのでございます。その結果、この施行に伴う関係法令の改正で、租税特別措置法の中にいまの五十七条の二とか四とかいうのを加えまして、租税特別措置法の中に移した。所得税、法人税の法律にあったものを措置法に移したのが新規重要物産免税、それ以外の準備金は政令にありましたのを法律にあげまして措置法に移した、こういうことになっております。
○平林委員 そうすると現在税三法のほかに、この整備等に関する法律案を私ども審議しておるわけでありますが、これがかりに成立をいたしまして後は、この法律案の中に規定されておるものは、それぞれの関係法律案の中に規定をされて、このものの中身はなくなってしまう、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○泉政府委員 簡単に申し上げますと、そういうことになるわけでございます。
○平林委員 残るものもあるのですか。
○泉政府委員 附則関係のもので残るのがありますが、それ以外は各税法をそれぞれ修正いたしておりますので、各税が全部そういうふうに直る。それ以外は何も残らない。ただ附則関係で若干残るものがあります。
○平林委員 私一番疑問に思いますのは、たとえばこの法律案をながめて、所得税法、法人税法、租税特別措置法、四本をそろえて読まないと、何か全般がわからなくなってしまうのではないかという感じがするのであります。そうするとこの法律案が成立をいたしました後は、われわれ租税特別措置法を読めば、いま指摘いたしました五十七条の二とか、五十七条の三とか、五十七条の四というのはちゃんと書いてある、移ってしまっておる、こういうふうに理解していいのですか。今度租税特別措置法を読んだら、やはり整備法の中にあってこっちの中にはちっともないじゃないか、こういうようなことにはならないのですか。
○泉政府委員 その点は御心配ございません。全部租税特別措置法の中に移ってまいります。
○平林委員 おもしろい法律だな。附則とかその他残ったものだけが今度は——そうすると将来、昭和四十年何月何日国会で成立した所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律を読んでみたら、法規集か法律の集成を読んでみたら、附則だけ残っていた、骨はばらばらじゃないけれども、あとはこれだけしかないというような法律でわれわれにお目見えするのですか。
○泉政府委員 この整備法自体は整備法としてはあるわけでございます。しかし各税法の一部改正でも同じように、一部改正いたしますと、一部改正の法律自体はありますけれども、しかし一部改正によってもとの法律が直りまして、法律集をつくります際にはもとのほうの法律をずっと全部直してしまう。それと同じことでございまして、この整備法自体はあるわけです。しかしその整備法の内容は、各税法あるいは税法に関係したいろいろな法規を全部直しておりますので、それらの法規が全部直ったものが法規集としてなってくる。整備法自体はもちろん生きておりますので、これ自体は一つの法律として残ります。しかしその実体は、いま申し上げましたように各税法のほうにばらばらに修正になってしまって、これを見なくても各税法を見ればわかるということになるわけであります。ただ適用関係の附則で、なお従前の例によるのだとかなんとかといった事柄が残るということでございます。
○平林委員 最終的に処理をされていって、それぞれに挿入をされるわけですね。そうすると実際に残るものは附則とかという一部のものだけになってくる。そうするとこれは形骸だけ残るということになるわけですね。いずれかはその附則も必要でないという時代がくれば、これは廃案になるというような取り扱いになるのですか。この点が私ら法案を審議していてわからない。自分らがこれをまとめなければならぬのですけれども、最終的には一体どうなるのであろう。ものの価値あまりない。これは幾つも方々に書いてあったっていいけれども、しかしそれにしても形骸だけになってそのあと一体どうなるのか。そのときはこれを廃する法律案でも出す必要があるのかないのかというような点など、いかがでしょうか。
○泉政府委員 これは実体の中身は、各税法を修正してしまいますので、中身はあまり意味がなくなってしまう。附則関係が意味のあるものであるだけになるということでございますが、さりとてこの法案がもう形骸だけにとどまったから、廃案にしてしまうというものではありません。これは昭和四十年の法律第何号として内閣には登録されて、内閣文庫の中にこのままの姿で載っておるのでございます。ただ各税法を見る場合には、一々この整備法を見なくても、各税法のほうで修正されてしまっておるので、これを見る必要はあまりないというだけでございます。法律としては、何番になるかわかりませんけれども、昭和四十年の法律第何号として明らかに存続するわけでございます。
○平林委員 本来いえば、各税法の改正あるいは法律の改正として提出してこなければならないのだけれども、便宜これに集めて一括の審議を求める、こういう法律案になっておるわけですね。
○泉政府委員 平たく申し上げますればそういうことでございます。所得税、法人税法を全文改正いたしましたために、従来所得税、法人税の条文を引いておりますと、その条文の数が違ってきておりますので、そこどそういう条文を引いている法律を全部直すということと、それからいま申し上げましたように、従来所得税、法人税あるいはその施行規則にあったものを法律にあげて規定する、そういうことのために整備する、こういった内容になっておるのでございます。
○平林委員 ちょっとわからなかったのですけれども、要するに本来であれば所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案あるいは租税特別措置法の一部を改正する法律案などにして提案してくべきものを、同じようなものであるから一括関係法令の整備等に関する法律案としてまとめて審議を求めておる、こういうふうに理解をしていいわけですか。
○泉政府委員 所得税法、法人税法は全文改正しますので、その改正に伴って、それ以外の法律について、ここに出ておりまする災害減免法、相続税法、資産再評価法、有価証券取引税法はじめ、ずっと七十三の法律をそれぞれ直さなければならない。それば趣旨からいたしますと同じ趣旨のものでありますので、一括して審議をお願いする、こういうことでございます。
○平林委員 私が仮説してお尋ねしたとおりお答えになったわけでございまして、大体そうじゃないかなと私も思うのであります。 そこで、しからばまだ成立していない法律案をさらに修正するというのはどういうわけですか。
○泉政府委員 これは法律技術的になかなかやっかいなのでありますが、本来からいえば所得税、法人税法が先に成立いたしまして、その成立に伴って他の関係法令がそれぞれ整備される、これが望ましいことでございます。しかしながら所得税法、法人税法が成立した後にこういう法案をつくってお出しして、その審議が非常におくれるということになりましたのでは、実際問題として所得税法の条文を引いているけれども、これは空文でございまして、所得税法にはそういう条文はないということになった後では困りますので、所得税法のその条文がなくなると同時に今度新しい法律の所得税法の条文の何条に規定するものによってほかの法律は動くのだ、こういうふうにしておく必要がありますために、こういう整備法を同時にお願いいたしておるのでございます。法律技術的に、国会の期間等からいたしまして、それだけの余裕がございまして、国会を通った後に所得税、法人税法の改正が実施されるのは、何カ月か後だ、その間に整備法をつくる、こういうふうに余裕がございますれば、楽なんでございますが、そういった余裕がありません。所得税、法人税法が国会を通過いたしまして、公布施行されると同時に、この整備法も公布施行されないと、法律の姿が変になりますので、このようなことをお願いしておるのでございます。それだけに審議上いろいろごめんどうをおかけする点については恐縮に存じております。
○平林委員 所得税法、法人税法、租税特別措置法は、一応現大蔵委員会において審議をいたしておりますから、おっつけいまの理由はわからないわけではありません。本来であれば、所得税法、法人税法、租税特別措置法の本案が成立をした後に、ついてはそれに付随をして整備をする必要があるから、この法案の成立をお願いするという形は、私は五十歩百歩といいますか、これについては多少譲って、時間的な問題であるから了承してもよいと思います。しかしこの中に、税理士法の一部を改正する法律の一部改正というのが出ておるわけでございまして、第六十八条に、「税理士法の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。」といって、いろいろな所要の法改正が提案をされておるわけであります。これはおかしいじゃないですか。税理士法というのは、まだ参議院の審議にございまして、法律案としては成立しておらないのですよ。成立しておらない法律案のまた一部改正なんというようなめんどうなことをやるというのは不適当じゃございませんか。私はこれは国会の法案審議の形の上からも、おかしいし、法律案が通らないうちにその通らない法律案の修正をさらにお願いするなんということにお目にかかったのは初めてなんですよ。これはおかしなことだと思うのですが、これはどういう理由ですか。
○泉政府委員 これはお話のように、税理士法の一部改正の法律案は、いま国会で継続審議になっておるのでございます。ただその税理士法の中に、所得税法第何条というのを条文を引いておるのでございます。そこで所得税法の第何条という規定が今度の所得税法の全文改正によりまして、動いてまいります。そこで現在国会で審議願っておりまする法律の引いておる所得税法第何条というのも動くのでございます、ということでございます。もしこの整備法は通ったけれども、税理士法の一部改正が成立しないということになりますれば、その点におきましては、この規定はから振りということになりまして、税理士法の一部改正を、もし何らかの修正がございまして、通過する際に、その趣旨を織り込んで改正をしなければならない、こういうことになるわけでございます。法規的には税理士法の一部改正に引いておる所得税法の条文が動いたから、その条文の数を動かすだけだということでございます。
○平林委員 私はこれはおかしいと思うのです。まだ成立しておらないところの法案を、その仮定に基づいて、そうしてさらに修正をするということは、これはちょっと納得できないですね。本委員会としても、これはやはり問題が残るのではないでしょうか。これだけではございません。六十八条の税理士法の一部を改正する法律の一部改正だけでなくて、第六十九条には、厚生年金保険法の一部を改正する法律の一部改正、これも私調べていませんけれども、たぶん議会では成立しておらないのじゃないでしょうか。同時にもう一つございまして、この法律案の百八十一ページに、所得税法の一部改正の第十二条として、その別表改正がございまして、「食料品総合小売市場管理会」という条項がございます。百八十二ページにも「食料品総合小売市場管理会法(昭和四十年法律第号)」とございまして、これも未成立なんです。この法律案も参議院の段階におきまして議論があり、この国会で成立するかどうか危ぶまれておる法律案でございます。特に、食料品総合小売市場管理会法案というようなものは、政府のほうは物価上昇を押える一環だという名目で、少数の都道府県に生鮮食料品のマーケットをつくるという法律案でございますけれども、この少数のマーケットをつくることによって物価の上昇が押えられるかというと、必ずしもそうではない。むしろ全国の数十万の生鮮食料品を販売するところの人たちは、重大な影響を受ける死活の問題であるというような、かなり問題がある法律案なんでございます。これは政府与党におきましても、いま検討の必要があるということでやっておる最中でございまして、これは成立するかどうかわからぬという法律案なんです。こういう成立するかどうかわからぬという法律案が含まれておるわけでございます。いわんや税理士法におきましては、本委員会は長い間大きく論争を続けておるものでございまして、私はこの法律案の成否というものは、やはり政府与党と私ども野党との間に十分話し合って、国家百年の計を立てなければならぬ重要な法律でございます。それをあたかも成立しているかのごとき形で法律案を提出し、その一部修正という形になるのは、これはどうも理屈に合わないと思うのでありまして、この取り扱いは委員長、何かする必要があるのじゃないでしょうか。
○泉政府委員 これは何か誤解がおありになるのだと思うのでありますが、私どもといたしましては、この所得税法、法人税法はこの年度内に成立いたしまして、三月三十一日に公布して四月一日から施行ということを前提にして事を考えているわけでございますが、その際に、もし食料品総合小売市場管理会法が、もしこっちが先に通っておりますと、これを修正しなければならない。しかしもし、この法律が国会をそれまでに通っておらなければ、これはこういうふうな改正を加えるということでやっておりますけれども、これ自体はから振りになるわけでございまして、そういうことでこの法律を一応まだ通るか通らぬかわからないけれども修正しておくというのでございまして、税理士法についても同様でございます。もし税理士法が三月三十一日以前に通ると、私思いませんけれども、もし通ると時間的に、三月三十一日までの間に修正する余裕がありませんから、一応ここに書いておきます。しかしもし、税理士法が通らなければこれはから振りに終わるだけでございます。そういう整備法というのは、非常に法規的な関係をそれぞれ処理しようとするものでございますので、ある法律案が同じ国会に出ておるけれども、まだ通るか通らぬかわからぬというような場合におきましてから振りになることがかなりあるのでございまして、やむを得ない事情があるわけでございます。これはこの前の国税通則法の制定のときの、国税通則法の施行等に伴う関係法令の整備等に関する法律のときにもいろいろ事例のあったことでございます。
○吉田委員長 平林委員に申し上げます。先ほどの御意見に対しましては、政府も法律的にもよく研究して提案をした法案でございますので、審査の過程を経て、質疑応答の過程を経て十分その点は究明されて納得のいくようなことでお進めを願いたいと思います。
○平林委員 委員長のお話もございますけれども、私は極端なことを言えば、前例はあったとしてもこれは国会の軽視、これは不思議な形であると思うのです。前例が問題じゃないのです。私が申し上げておるのは、議会で成立しない法律案をさらに修正をするというようなことは、かりに前例があったとしても奇態なことでないか。こういう取り扱いは本来が間違っておるのであって、もしも泉さんがいまるるとしてお話しになりましたような事情であるならば、それを附則かどこかに入れておかなければいけない。それはありますか、いまお話しになったようなことは、そういうものであるということを法律案としてございますか。
○泉政府委員 これは税理士法の場合には税理士法それ自体はいまあるわけでございますので、一部改正法律案が国会に提出されておって、そしてそれがいま国会で審議中であるわけです。そこでこういうときに、それぞれ税理士法に所得税法の条文が書いてございます。そこで法律技術上一部改正のほうの法律案についても条文が動くものは条文を動かしております。と同時に、国会でいつ成立するかわからないものでございますから、その税理士法の一部改正で、改正する前の旧税理士法、旧というか、いま現行法でございますが、現行法についてもこれを直していく、両方直しておりますから、もし税理士法の一部改正が先に成立しておりますれば、そのほうの改正で有効になる。それが成立しておらなければ現行税理士法の一部改正でこっちが有効になる、こういうものでございまして、どっちかがから振りになるというのでございまして、そういう意味では法規を整備していく際にはこれはやむを得ないことでございまして、まあから振りをするなということの御注意はごもっともでございます。しかしながらから振りにならざるを得ない場合がある。これはまあ国会の御意思によって法律が通るか通らぬかきまるわけでございますから、政府としてそれを予定してやるわけにまいりません。そういうことに相なるわけでございます。
○武藤委員 関連して。泉さんは国会運営や議事手続のことは全然しろうとです。あなたは要するにともかくもとの法律が根本的にだあっと変わるのだからそれに右へならえをして、いまかかっておる法律が自動的に直るような改正をしても、審議権の侵害あるいは一事不再議の原則、そういう議事手続には何も抵触しないのだという解釈をあなたはしておる。ところが今度は審議するほうの立場になってみると、いま審議の過程に入っておる税理士法という法律については、この法律が一たん通ってから、四月になったら直ちにいま参議院にかかっている法案の中身を、整備法が通ったことによってこういう点がこう変わりますという修正案というものを追加しなければならぬじゃないですか。追加補足しなければ向こうのいま出ておる法律というものを審議するほうでは、これを取り扱っていなければわからぬわけですからね。だからそういう点は、ぼくは、いま審議にかかっておる法案だけは二重の手間がかかるものだと思うのです。ですからこの整備法が通った場合に自動的に修正になるのはもとの法律、いわゆる税理士法の現行法のほう、これが右へならえで整理はできる。いま上程されている、参議院にあるものは、新たにこれが通過してから提出をする、この改正部分だけの追加をする、こういう手続をとることが国会の審議をよりスムーズに、わかりやすくさせる手続じゃないですか。どっちがいいのか、悪いのかということは私もわかりません。それは専門の今日の議事運営をしておる担当を呼んでみないとわかりませんが、私はいまの質疑応答を聞いておって、いまかかっておる法律だけは二重に別の手続をとるべきだ。ここで自動的に直るのは国会に出ていない現行法が直るのだという解釈です。現行法が直れば当然いま出ておる法律の修正案を出さなければならない、審議にかかっておるものは。この手続が正しいのではないだろうか、私はそう考えますが、どうでしょう。
○泉政府委員 この法律がいつ通るかということと非常に関連しておるものでございます。お話のように議院運営上は一事不再議というようないろいろな問題があることと存じます。法規の整備という見地から申し上げますと、いま施行されておる現行法並びにいつ成立するかわからないけれども、国会に出ておる法律につきまして、所得税、法人税の全文改正によって直さなければならぬところが出てくる。そこにつきましてお話のように現在国会で審議中の法律は、その審議しておる法律を修正して出すべきでないか、これはごもっともな御意見でございます。そういうやり方もあろうかと思いますが、一応はこの整備法に全部をあげまして、どこが動くのだということを明らかにしておきまして、もしこの整備法は成立したけれども、肝心のもとの法律のほうは成立しなかったということになりますれば、その点はこの法律がから振りに終わりまして、いずれその法律を審議する際に、ここに掲げておることと同じことを修正いたしまして議決していただくのでないと、新しくできるほうの法律が有効に成立しない、こういうことになるわけであります。
○平林委員 いや、あなたの説明はわからないことはないのです。それから私はこの問題については、そんなにいわゆる階級的利害とかいうものがある問題ではないと思います。しかしこれはおかしいですよ。少なくとも税理士法の一部を改正する法律の一部改正という条項や、まだ国会で成立しておらない問題については、これは幾ら煩が多いとしても除外をして提出をするというのがものの順序ですよ。その点では間違っているのではないですか。それはお認めなさいよ。
○泉政府委員 それはお考えでございますけれども、国会がいつお通しになるかということをわれわれ政府委員としては予測できません。お話のように三月三十一日までに通す法律については有効にいくわけでございます。ただ三月三十一日までに通らぬ法律については、から振りに終わるということになるわけであります。しかしこの法律案を作成する段階——これはずっと前のことでございますから、その段階におきまして三月三十一日までにどの法律は通る、どの法律は通らぬという見通しを立てて、この法案を作成するわけにまいりませんでしたために、その当時、国会に出ておる法律につきましては、全部一応改正するというたてまえでできておるのでございます。 たとえて申し上げますと、いずれ本委員会で御審議願うことになると思いますが、参議院のほうの先議で回ってきております租税条約に関する特例法、ここにも所得税法第何条というものを引いております。ところが今度所得税法が四月一日から条文が変わってまいります。そうするといま特例法の審議をお願いしておりますが、その特例法に規定してある所得税法第何条というものはなくなってしまうわけです。それでは困るというわけで、この整備法で新しい所得税法第何条というふうに直すことにお願いしております。これは三月三十一日までにおそらく通過させていただけると思いますから、それは有効である。三月三十一日までに通らなかった法律案につきましては、先ほども繰り返して申し上げておりますようにから振りになる。から振りになりましたならば、四月一日以降その法律案を通すかどうかおきめになる際に、その趣旨で修正していただかなければならない、こういうことになるわけであります。
○平林委員 主税局長は税のほうの専門家でございますから、この問題は税法の問題ではないのです。私は委員会において法案審議の慣行といいますか、ルールを確立する必要があるので、その立場からいうと変則であるし、おかしい。こういうことを申し上げているので、あなたはこの問題は担当でないのです。確かに一貫したほうが便利だというお考えはわかるし、この法案をまとめたときの事情というものはわかりますけれども、私が議論するのは委員長やあるいは与党議員の方々とも、これは法案を取り扱う場合の議会としての権威の問題を申し上げておるのです。ですからあなた幾ら答弁されても、私は納得しないのです。もしもあなたがいまのようなことであるとおっしゃるならば、附則の中に第何項と第何項はその成立を待って発効するというようなことが書いてあれば、これは話は別です。それも書いてないとすれば、法案の形そのものは間違っておるということを申し上げているのです。この取り扱いはどうでしょう。
○武藤委員 関連。ただいまの取り扱いについて、平林委員が主税局長の答弁では納得できぬ。そこでぜひ具体的な資料あるいはその根拠、どういう議事手続上の根拠があって法制局はこういう規定にしたのか、それをきょうじゅうにひとつここへ法制局を呼んで、平林議員が納得できるような説明を求めます。私もいま聞いておっても、どうも納得できぬ。
○吉田委員長 武藤委員の御意見でございますが、私も同様に考えております。法制上の技術的な手続というような関係もございますので、ここに法制局から出席をして、泉局長とともにその解明に当たられることを要請します。
○平林委員 それではそういう取り扱いをしていただけるならば、そこでお尋ねをいたしたいと思うのであります。 もう一つこの問題に関連をいたしまして、主税局長、今度あなたにお尋ねしますけれども、今回提案をされております三法並びに整備法を含めて政令の委任事項というのは、どのくらいあるでしょうか。これを勘定した人がございまして、所得税法で二百六十六カ所、法人税法で百二十三カ所なんという計算をなさった方がございますが、三法あるいは整備法全体で、一体政令委任事項というのは幾つございますか。
○泉政府委員 私もこまかく勘定いたしておりませんけれども、所得税及び法人税法につきましてはお話の数になっておると思います。それくらいの政令の条文がございますので、それくらいの数になっておることは確かでございます。ただ従来の政令と違いまして、従来の政令におきましては非常に大きな事柄まで政令委任いたしておったのでございますが、今回の全文改正にあたりましては、そういうことは避けまして、政令委任いたしておりましても、その委任の範囲はきわめて限られた、命令で定める金額、あるいは命令で定める方法というふうに、もうきわめて限られた範囲の委任しかいたしておりません。政令委任の点が相当多いことは確かでございますけれども、しかし委任された内容が、びっくりするほど、とてもその法律制定のときに予想しておらなかったような政令が出てくる心配はございません。
○平林委員 私はきのう、おととい議論がございましたように、政令委任の数が多いということももちろん問題であるが、同時にその政令の中に、金額、数額まで規定をされていることがむしろ問題である。この数額そのものが実際には納税者に直接影響を与えるものでありますから、そういう点が政令にゆだねられるということが問題である。そこでこれらについては、租税法定主義に基づいて何とか議会がコントロールすることはできまいかと具体的な提案をして、委員長並びに理事の各位にお願いをしておるわけでございます。そういうたてまえは、あなた方も尊重してくれなければいけないのです。いまお話しになりました数額、金額、非常に国民に関係のある政令というのは、それでは大体どのくらいございまして、具体的な例はどういうところにございますか。
○泉政府委員 これはたとえば法人税法で申し上げますと、引き当て金——これは五十二条からずっとございまして、五十六条までございます。この引き当て金につきまして、その引き当て金の損金算入の限度額、それはどういうものであるかという問題につきましては、たとえば貸し倒れ引き当て金でございますと、「当該事業年度終了の時における貸金の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額」ということになっておりまして、これは従来法人税法の政令でその内容がきまっておりますが、業種別に、小売り業であればどう、卸売り業であればどう、製造業であればどう、銀行その他の金融機関であれば幾ら、こういう割合でございます。これを租税法定主義だから、そんなのを政令で書かずに、全部法律で書いてしまえという御意見はおありだと思いますが、そういたしますと非常に法律の条文が長くなってしまって、非常に冗長になりますので、そういった従来からきまっておりますところの金額でありますから、その金額は政令にゆだねても差しつかえないのではないかということで、こういうふうにいたしております。政令委任が多いというお話でございますが、私どもとしてはできるだけそういう点に気をつけまして、基本的な事項は法律で書く。ただ従来からも政令で書いてあって、その内容が、特に法律で書けば冗長になってしまうというようなものは、政令にゆだねるということにしたのでございます。税率とかいうようなものは、もちろん政令で書くわけにはまいりませんので、きちんと法律で書きますけれども、そういった計算上の金額の限度額というようなものでございますと、これは政令で差しつかえないのではないかというふうに考えているのでございます。
○平林委員 どの程度を法律に規定し、どの程度を政令にゆだねるかという問題は、技術上あると思います。しかしわれわれが主張しておりますのは、少なくとも数額、金額の規定をするものについては、納税者にとっては重要な直接的影響を与えるものでありますから、これはやはり国会の承認を得て出すというのが筋である、それが租税法定主義の原則である、こういうことを言っているわけでありまして、そういう意味で私は解釈上の政令は別にいたしまして、直接影響を与える金額などの定めをしなければならぬ政令については、法律に書かないまでも、その政令は議会の承認を得るという形が必要だ、こう思うのでございます。 そこでこれは取り扱いを委員長、理事におまかせをしているわけでありますから別にいたしまして、あなたにお尋ねいたしますけれども、この法案が近々、期限の限度がございますから、かりに三月三十一日までに期限法として議会で成立するといたしましたならば、四月一日、すなわちその日に実施できるように、政令、省令、通達はでき上がりているのでしょうか。
○泉政府委員 お話のように三月三十一日までに、この法律ができるのに間に合うように政令をつくらなければなりません。私どもの職員は目下毎晩徹夜でやっているのでございます。ぜひ三月三十一日までに間に合わせたいと思って、一生懸命努力いたしております。
○平林委員 徹夜で努力をしていることに対しては、御苦労さんだと申し上げます。しかし問題は、この法律案が提出をされるときに、租税法定主義ということであれば、すでに政令あるいは省令、通達というものは、本来はでき上がっていなければいけない。そうして法律や法律案の中の政令委任事項はこういうものでございます、その審議を受けて、初めて租税法定主義ということの効果が出てくるわけですよ。いま御苦労なさっているのはいいけれども、その前に御苦労なさらぬからいけないのです。私はたてまえとしては、この法案の審議のときに、政令委任事項があれば、これは、どういうふうになっているかということを国会議員が審査をして、賛成、反対ということを述べるような機会を与えなければ、議会を侮辱したことになるのじゃないですか。
○泉政府委員 それはお話のとおり、法律案ができたときに、政令から通達から全部できておれば一番いいのでございますけれども、ものごとに順番がございまして、なかなかそう一ぺんに全部でき上がるというわけにいかないのでございます。私どもとしては、政令委任の事項は相当ございますけれども、しかしむしろ従来に比べて政令に非常に大きいものを委任するということをしないで、ごく限られた委任しかしない。たとえて申し上げますと、いまの特別修繕引き当て金の五十六条の規定でございますけれども、これはいまは全部政令で書いておるわけでございます。それを今度は基本的な法律に上げまして、ただ特別修繕引き当て金の限度額、これは周期的な大規模な修繕をするものでありますから、前回の特別修繕を行なった額を基礎にして政令で定める金額ということになっております。それを政令できめるということだけでございまして、そういう基本的な事項は全部法律に上げたのでありますから、そこで金額はもちろん大切なことでございますけれども、それは従来政令にある金額をそのまま書くことになるわけでございますので、政令委任してもそれほどのことではない。これが全然白地でありまして、いままでそういう政令も何もない。そこへ新しく法律をつくるということになりますと、それはなかなかいろいろ問題があろうかと思いますが、従来こういう政令で規定されておる点につきまして、そのうち重要な点は法律に上げて、政令で残すものは政令で残す、こういうことにしているのでありますから、全然白地のところへつくるのとは内容がだいぶ違うのではないか、こういうふうに思います。
○武藤委員 関連。税を取るということは財産権の侵害ですから、民主主義税法の上からいくならば、できるだけ厳密に政令の内容というものは、所得を計算する中身に触れない程度のもの、われわれはこういう考え方を持っている。そこで具体的にお尋ねしますが、今回の所得税法改正案の六十八条「各種所得の範囲及びその金額の計算の細目」というもので、こう書いてある。「この節に定めるもののほか、各種所得の範囲及び各種所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。」これなどは明らかに所得の範囲や所得の金額の計算まで租税法定主義ではなくて、政令に委任しておる。一体こういうことは租税法定主義のたてまえから好ましいだろうかどうだろうか。まず具体的にこの条文は何をさして、何を想定しておるのか、その実態から聞きましょうか。
○泉政府委員 六十八条、この政令はかなり大きな政令委任であることはお話のとおりでございます。ただ規定の内容といたしまして考えておりますのは、分収造林契約による収益というのがございます。これは所得の性質からいたしますと山林所得になるわけでございますが、そのことをこの政令で分収造林契約による収益は山林所得——これはいまでも政令で書いてあるわけでございますが、政令でそういうことを書く、それが所得の範囲で定めるものの内容でございます。それからもう一つ「所得の金額の計算に関し必要な事項」と申しますのは、生命保険契約に基づく年金または一時金の所得計算につきまして、掛け金と受け取る年金、一時金との額の関係から所得となるものの部分は幾らであるかということを書くのでございまして、これもいままでそういうことは政令で書いてあるのでございます。この六十八条と同じような大きな政令委任は、ほかにはないわけであります。この点は、所得税は御承知のとおり所得を十種類に分けて課税することになっておりますが、新しくいろいろな所得の形態が出てまいります。そのときに、そういう新しく出てきた形態の所得は何所得に入るのだということについて、一々法律を直していくことも一つの手だと思いますけれども、そういう法律を直すという形でなしに、そういう種類のものであれば、政令でできれば規定していくというやり方も、一つのやり方であろうと思うのでございます。この点では、前はもっと大きな政令委任の規定があったわけでございますが、それを今度はだいぶ縮小した程度でございまして、そういう意味では租税法定主義を一歩進めたと思うのでございます。規定の文章自体はかなり大きなことが政令に委任されておるようにお感じになるかもしれませんが、内容はそれほどのものではございません。
○武藤委員 泉さんはさっき平林さんの質問で、二、三カ条どこか政令委任の中身を説明してほしいと言ったことに対して、こういう大きいところを故意に落として、政令というものは、いやこういうこまかい点だけで、数額にはあまり関係がないというようなことを答弁して陳弁これつとめたから、私はいまこれを摘発したのですよ。これなどは完全に租税法定主義の原則を逸脱する規定ですよ。書いたらいいじゃないですか。分収造林というのは、いまだいぶはやってきた。いま県や市町村は分収造林という方法でできるだけ山林をやっていこうという方針になっておる。こういうことは、あり得べかりし予想じゃない。現実にすぐ予想できる事態なのです。そういうのを隠しておくと、税理士も困るのです。こういう収入は一体税理士さん、どうしたらいいですかと聞かれたって、そういうものを法律でうたってなかったら、所得の種類すらわからぬというような税理士では、税理士の手当はもらえないですよ。そのためにも、こういうものは、わかり切っているのだから、政令委任じゃなくて、もっとはっきり法律で書くべきだ。所得の実質課税というのだったら、その項目の中にはっきりそういうものはうたうべきではないか。特に、いままでこれは政令であったから、今度もまた政令でやるのだなんて言い分があるのですが、その言い分は通らない。なぜならば、今度は政令はできるだけ縮小させようという整備答申が出たので、全文改正を行ない、それに呼応して政令委任や通達事項をできるだけ縮小して、納税者の財産権がみだりに侵害をされないような、納税者はいつも自分の捕捉される所得が、どういう場合にあるかということをみずからわかるような税法にしようという答申なのですから、これは六十八条はちょっとまずいのじゃないですか。主税局長の努力の不足を私たちは嘆か、ざるを得ない。強く注意をいたしておきます。
○泉政府委員 お話のように分収造林契約は相当ございます。ただ山林所得というのは何ぞやというと、山林の伐採または譲渡による所得だ、こういうふうに昔から定義されてきておるのでございます。そこに山林の所得とは山林の伐採または譲渡による所得のほか、分収造林契約に基づく何何、これを含むのだというようなことは、書いて書けないことはないかもしれませんけれども、本来分収造林契約というのは山林の伐採、譲渡ということを前提としてできておる制度でございますので、やはり「山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいう。」とこう書いておけば、山林所得の性格は一番よくあらわれるのじゃないか。そこで新しく出てくるところの分収造林契約に基づく場合の所得は何であるか、それは山林の伐採または譲渡による所得と類似した所得であるから、山林所得として解していい、こういうことになるのだと思うのでございます。まあ六十八条の規定が残ったということにつきましては、まあ私どもとしては十分努力したのでありますけれども、なおどういうものが出てくるか、不安なきにしもあらずということで、念のために置いておる規定でありまして、これをそう活用して、何でもかんでもこれで書いてやろうというような気は毛頭持っておらないのでございます。
○平林委員 われわれはこの法案審議全般を通じて、やはり租税法定主義という原則を貫いていくということから、政令事項の中で数額に関係するものは議会に提出して、同時にその承認を得るような形をとっていくべきだ、こういう主張をしておるわけであります。確かにあなたがおっしゃるとおりに、たくさんありますから、いま徹夜で努力しておるという御苦労はわかります。わかりますが、いまあなたもお話のとおり、全部白地のものではない。しからば、白地のものもあるわけなんで、白地のものは出せますか。私はあなた方を追及するわけじゃないけれども、やはり少なくともこの議会で議論をされたわれわれの意思というものは尊重してもらわねばならぬ。一体その誠意がどのくらいうかがえるか確かめたいのです。しからば新しく白地として政令にゆだね、しかも国民に影響のある数額で、今日この段階においてでき上がっておるものはどのくらいあるか。これはきょうでもあすでも提出することができるかどうか。法案は通ってしまった。いや、おれの意思とは違ったのだと、国会議員があとであっけにとられないようにするためには、せめてでき上がったものだけでも提出をしていくという誠意がなければ、国会の意思に従った姿があらわれてこない。どうですか、そういうものを今明日中に提出できる用意がありますか。私はあなた方が議会における言論をどの程度尊重しておるかということをはかってみたい。
○泉政府委員 この所得税法及び法人税法のうち、政令で定める事項の内容につきましては、御要求によって今明日中にお出しすることができるように、いま手配をいたしております。そこで白地の関係はどうかということで、ございますが、たとえばこの法人税法で申し上げますと、賞与引き当て金、これは従来は全然ない。従来は申告期限までに各人別の明細を付して提出すれば未払い金として認める、損金として認める、こういうことであったわけであります。今度は、そういう各人別の明細がきまらぬでも、賞与引き当て金として認める。その賞与引き当金として認めるのは、前年の賞与支給実績を基礎にいたしまして、一人当たり前年には幾ら賞与を出した。それを基礎にいたしまして、たとえば九月決算で引き当てるのでありますれば、前年幾ら出しておった、それに対して六月にどれだけ支給しておる、そうすると、それを差し引いた引き当て金になる分は幾らだ、こういう計算をするのだということでございます。そういったものにつきましては、政令案要綱というものでごらんいただけば、おわかりになるように措置いたしたいと思っておるのでございます。
○平林委員 私どもも租税法定主義を言うからには、やはり前から要求しておくのがほんとうであったかもしれません。そういう点はわれわれの努力の欠けておる点もあろうと思いますが、むしろ政府は積極的にそうした提出をするというのが当然の措置だと思うのでございまして、気の毒ですけれども、やはりそういう筋だけは通していきたい、こう思いますので、委員長においても御善処をお願いいたしたいと思うのであります。 それでは法制局に先ほど懸案になっておった問題をお尋ねいたします。私が提起いたしましたのは、この所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案の中に、まだ議会で成立しない法律案の改正案まで含めてあるじゃないか。所得税法や法人税法や租税特別措置法のように、現段階で本委員会で審議中のものは一歩譲るにいたしましても、この議会で成立するかしないかわからないような法律案のさらに一部修正までを載せて委員会に提出するというのは、法律の体裁から考えてみても不可解である。同時にまた、それは国会の審議権に対して、取り扱い方として適当な方法ではない。もしかりにこの法律案を提出をするまでの間に、税理士法の一部を改正する法律案とか、厚生年金保険法の一部を改正する法律案であるとか、あるいは食料品総合小売市場管理会法案というものが成立しておるかおらないかわからなかったからこういう形でやった、御了承願いたいということをかりに認めたとしても、それならばそういうときの用意のため、附則に、この法律案が成立しないときはこうする、こういう規定が備わっておらなければ、われわれは法案審議の上においてよくない慣行を残すのではないか。法制局として、法律案の取り扱いについては厳格でなければならぬという立場から、どうしてこういうような形になったのか、私はこれは変則的なことであって、やはり議会において法律審議の形としては、仮定の問題を審議させることになるのであるから間違っておる、こういう指摘をしておるのでありますが、いかがでしょう。
○荒井政府委員 ただいま平林先生から御質問のありました点は、従来法律案を国会に出します際に、すでにその法律に関連のある他の法律の改正案とか、あるいは新制提案というようなものが出ております場合に、政府といたしましては、その提出いたしました法律案について、いずれも成立することを期待してその前後の関係の規定の整理をするというのが一般的な原則になって、従来からそういうような措置をしてきましたわけでございまして、その点は今回の所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案というものにおいて、初めて卒然としてそのような方策をとりましたわけではないのでございます。衆議院のほうではすでに通過いたしまして、現在参議院で審議中であるというような法律案もございますし、それはあと、両院制の憲法制度のもとにおきまして、参議院がどのように議決をされるかというのは、事参議院の権限に属する事項でございますし、そのようなものがその場合の両院制のもとにおける一院として絶対に通らないものであるというような判断をされることは、両院制の趣旨に反するのではないのかというふうに考えられますし、政府としては従来からこのような提出をいたしまして、あと全体の採否をどうされるかという点は、もちろん国会の御判断のもとに置かれるべく提出をいたしておるわけでございますので、今回の取り扱いはその従来の例に反した異例な扱いであるということにはなりませんで、従来からこういうたてまえで、たとえば今回のような全文改正というものが行なわれます場合に、他の関係の法令の面においてその整備の欠けるところがないかという点をよく目を配りまして、ただいま読み上げられました三つの法律案のほかにも、たとえば租税条約の実施に伴う関係法律の、所得税法等の特例等に関する法律案というようなものが四件ございますけれども、これにつきましても第二十六条から二十九条までの四カ条においても同様な措置をいたしておるわけでございます。
○平林委員 従来よりそういう措置をしているということは認めます。それはいいのですよ。あなたはよく私の話を聞いてください。従来よりのそういう法案の提出のしかたそのものを私は指摘しているのじゃないです。しかもまたこの法律案は整備法ですよ。整備法を三月三十一日までに成立させるのでなければ、そんなこと言いません。たとえば税理士法の一部を改正する法律案や厚生年金保険法の一部を改正する法律案や、あるいは私が指摘いたしました食料品管理会法案が成立した後にこれを成立させるというならば、こういう法案の提出のしかたをしても議論はないでしょう。しかしまだこれは成立していないのですよ。三月三十一日にはもう物理的に不可能なんです。税理士法の一部を改正する法律案なんというのは、これは三月三十一日までに成立しません。食料品管理会法案もそうです。そういうことになりますと、その成立を待ってこの法律案の審議をし、成立をさせる、こういうことであれば、私、従来の慣行もあるし、それでよろしいだろうと思いますが、かりに三月三十一日までにこれを衆議院で成立させるということになりますと、仮定の法律案が含まれたまま成立させることになって、これはおかしくございませんかというんです。
○荒井政府委員 御指摘の三つの法律案は、いずれも第四十六国会に提出いたしまして、継続審査になっている法律案である。あるいはそのうちの一部はその先議の院においてはすでに議決をされたものである、あるいは再提出されたものでございますけれども、提案理由ないしその趣旨説明もすでに第四十六国会以来始めているものである。中にはそれが昭和三十九年度予算関係法案になっているというものもあるわけでございます。そういう事情からいたしまして、政府といたしましては第四十六国会に提出し、特にその中で予算関係法律案にもなっているというものについては、一応その法律案が三月三十一日までの間に成立しないことを前提として法律案を出すとすれば、それ自体のほうがむしろおかしいのではないかという面も考えられますし、先ほど御説明をいたしましたような従来の取り扱いといたしまして、一つの法律案を国会に提出するというのに伴いまして、関連する法律の整備が必要になったという場合に、何ら措置をしないでお願いをするということのほうが、国会に対してはむしろ失礼であるといいますか、十分な手だてを尽くさなかったのではないかという趣旨で、これらの規定を盛り込んでおるわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
○平林委員 了承するしないの問題じゃないです。いまお話のように、予算に組まれているものであるというならば、食料品管理会法案というのは、これはある程度予算措置が伴いますから認めましょう。税理士法の一部を改正する法律案については、これは関係ないでしょう。それからいまあなたがおっしゃったけれども、衆議院を一度通過しておる、だからいいのだという考え方は、私は通らないと思うのですよ。やはり法律というものは衆議院と参議院の二院を通過、成立して初めて効果を発揮するものでありますから、衆議院を通過したから、衆議院段階においては成立しない法律案を提出してもいいという理屈は、少し強弁過ぎるのじゃないでしょうか。そんな解釈は、法制局のまともな解釈としては少し拡大解釈になっていやしませんか。
○荒井政府委員 衆議院が通っておりますからということではございませんで、内閣が法律を提出いたしておりますのは国会でございますので、国会というものをもちろん念頭に置きまして手続を進めておるわけでございますけれども、その場合、政府といたしましては提案の理由を申し上げましたような際にも、それらの法律案は内閣として責任を持って提出し、すみやかに御賛成あられることを期待して法律案を出しているということでございますし、その中でも特に先議の院である非常に有力な院が議決されているという事態は、やはり念頭には置かざるを得ないと思いますし、そういうような事情も、ございまして、従来の取り扱いの例に従って措置をいたしておるということでございます。
○平林委員 従来の慣例に従って提出をしたというのは認めます。それはいいですよ。しかし衆参両院を成立しないところの法案を、しかもその法律案の修正までこの法律案に含めてあるのは間違いでないですかということを言っている。
○荒井政府委員 たとえば税理士法の一部を改正する法律案というものが、本年の三月三十一日までに決定的に成立しないであろうということを、政府として予見して法律案を出すのはいいのかということになりますと、先ほど申し上げましたように、有力な先議の議院においては可決されて、後議の議院の議決があれば、その前後の議決をもって法律になるという状態になっておりますし、その場合に衆議院の側でその法律案、すなわち他院で審議されている法律案が確定的に成立はしないものであるということは、他院の権限に属する事項であるという意味におきましても、いかがかと思われる点もございますし、内閣の側といたしましても、参議院がそれを決定的にノーと言われるであろうというふうに予見をすることも、また参議院の独自の審議権というものについて、内閣が予断をもって何らかの措置をしたというようなことになると思われますので、その点は何らの予断を加えることなしに、それは四十六国会以来継続されているという事態で、しかも一院を通っておるという事態のもとにおいて、一応必要な措置として規定の整備をいたした、こういうことでございます。
○平林委員 どうもわからぬ。規定の整備だとか、そういう予断は許されないから、たてまえとして提出をした事情は私も理解しますと言っている。現実に通らないですよ。そうすればこの法案の審議の状態といたしましては、税理士法の一部を改正する法律の一部改正とか、まだ未成立の問題は除いて審議をして、この委員会は成立させることが必要なんじゃないか、そういう措置をとる必要があるのではないかということを聞いている。そういう措置をとらなくてもいいのですか。現実の問題ですよ。いままでやってきたことについてはいい。現実の問題としてこれを採決するまでに通ってないものを、仮定の問題を、しかも仮定の法律案についての修正までやるということはいかがか。これを取り除いてやることが法案審議の形としたら正しくはないか。悪い慣行を残してはならないと考えまして、その解釈を求めている。
○鍛冶政府委員 私だけの考えをひとつ申してみたいと思いますが、いま税理士法は、先ほどからあなたのおっしゃったように、物理的に通らぬじゃないか。これが先に通るじゃないか。こう言われるのだけれども、内閣で出すときには、物理的に通らぬとは思っていないです。いずれも四十八国会において通そうという頭で、通るものという頭で出しております。そこでいまここで法人税なり所得税をやっておって、向こうは通らぬからと言われますが、もしも向こうの法案を先にやるとすれば、これが出ておらなんだら、何だ、所得税法はどうなるのだ、法人税法はどうなるのだと言われるのと同じ議論になってまいります。だからこれはいずれも通るものとして両方で御審議を願う、こういうことがほんとうであろう、こう思いますが、いかがでしょう。
○平林委員 私、はっきりしたことを申しましょうか。いまのことはこの法案が通ったら、参議院の段階でいま審議中の税理士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、これに所要のことをやるようなことをそこでやればいいのですよ。たとえばかりにこれが三月三十一日までに通らぬと仮定しますね。そうすればこれの修正が必要になってくるのですよ。法律の成立したときから施行するというようにすぐ修正をしなければならない。私はそれと同じように、めんどうだけれども、法案審議の形としてはそのめんどうなことを省略すると、国会軽視のような形になってくるのでないかということを申し上げているのです。かりにこれがいろいろな事情で通らないとします。そうすれば、法律の形としてはみんな三月三十一日に通るべきものとしてやっておるのだけれども、かりに国会の意思で通らなかったということであれば、それについてはおっつけすぐ、法律成立の日からという修正をしなければならぬ。これは繁雑だけれどもしなければならぬですよ。同じように、現在これが衆議院の大蔵委員会において最終段階を迎えようとしている。しかるに初め税理士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案が通るようなことで提案をしたのだけれども、通らなかった。そうすればこれについては、たとえば附則のところに一部修正を加えて、この法律案中何条と何条のものについては議会で成立して後修正するというふうにやったほうが、法案の形としていいのではないか、これは法制当局としてそう考えるべきではないかということを私聞いているわけです。
○荒井政府委員 この整備法案の中で、ただいま問題になっておりますような、一部を改正する法律案というものに対する一部改正というものが出ました場合に、その一部を改正する法律というものが、その同一の国会で審議されているけれども、当該の法律案の成立以前に成立していなかったという場合に、当該の規定はどのようになるかという点につきましては、これも従来から確立している慣行があるわけでございます。これはたとえば昭和四十年法律第何号というふうに、その法律番号をあけておりますけれども、その法律の一部を改正する法律なるものが成立をしなかった場合には、その昭和四十年の法律番号何号という点は埋まりようがないわけでございまして、それが国会の御意思であるということになるわけでございます。そうしますと、その法律の一部を他の法律案で改正するというものを提案しております場合にも、唯一の立法機関であるところの国会の御意思というものが、その改正をしようとするもとの法律案を成立させるという意思が、少なくもその時点までにおいてはないということでありますと、それは一部を改正する法律という形としてはないという状態になるわけでございます。したがって、その部分についての改正規定というものは働かない、それが国会の御意思であるということでございまして、従来ともこのような例はないわけではございませんが、その場合の取り扱いというものは、確立しているわけでございます。ただいま申し上げましたようなふうに扱われている。それが国会の御意思というものを正しくそんたくした扱いであるということで、これは本件に始まることなく、従来から国会の御意思をそのように解して扱われているということであります。
○吉田委員長 関連質問を許します。武藤君。
○武藤委員 第三部長、こういう場合冷静に判断をして、もし税理士法が、いまの一部改正が通らなかった場合は、現行の生きている法律がこのまま自動的に改正になるのかならないのか、この整備法の規定で。これをまず伺いたい。
○荒井政府委員 その点につきましては、この整備法の第四十一条の中で、現行の税理士法がそのままの状態で四月一日を迎えているという場合には、その現行の税理士法がこの所得税法、法人税法の全文改正に伴って所要の規定の整備をしなければならないという部分は、まさに手当てをしておるわけでございまして、その現に一部改正法案を出している分が通らなかったという場合に、一切動かないのではないかということにはなっておらないわけでございまして、その面の整備もしてあるわけでございます。
○武藤委員 そこで問題は、現実に生きている法律を自動的に修正がなされて、あとはその手続だけ最初すればいいのです。いまかかっているのは、まだ胎内に入っているのですよ。胎内に入っているものまで修正をしようという場合には、こういう整備法でやるべきでない。生きている法律だけが自動的に直って、同時にかかっている法案については、修正案を出さなければいかぬ。これがより親切な、国会審議を明瞭に進められる、一目でわかるような親切な審議のさせ方ではないか。法律の取り扱いは、そのほうがより好ましいのではないか。慣例にとらわれずに考えた場合どうですか。どっちが好ましいですか。
○荒井政府委員 国会法の第五十九条の規定であったかと思いますが、その規定によりまして、たとえばすでに提出しておりますところの厚生年金保険法の一部を改正する法律案というものについて、修正を内閣のほうからするということも、一つの方法として考えられるところでございます。それが正当な方法ではないかというふうに見られる向きもあろうかと思いますけれども、その場合、同条の規定によりますと、すでに国会で審議を始めているという法律案につきましては、院の同意なしに内閣限りで直すということはできないということになっておりますし、その修正を要する点というのは、まさに所得税法、法人税法の全文改正に伴うものであるという基本的な点は、まさに共通するものでございまして、その意味で、整備法というようなものを出します際に、そういう分を含めて、その法律案たるや、ものによっては三十九年度の予算関係法案であるとか、継続審査をされているところの法律案であるとかいう事態に応じまして、それをもひっくるんだ規定の整備というものをいたしておる。そして、これはたとえば従来当委員会で御審議になられ、成立させられましたところの国税通則法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案、あるいは同種のたぐいのものにおいても、すでにいま行なわれているところであるというふうに思っております。
○武藤委員 だからいま言ったように、内閣としては、一たんかかっている法律案を修正追加するということはなかなか好ましくない、こういう見解があるなら、当然今度はこういう整備法で、当該委員会では全然わからないうちに、修正がなされているのですから、たとえそれが全体に響く修正であっても、当然社労なら社労に、法人税法、所得税法は次のように条文が変更になります、税理士法についてもこういう条文が変更になりますということを、当該委員会には出さないのですか。そんな不親切な法制局がありますか。どうですか、解釈は。
○荒井政府委員 その実体規定は、租税法の規定でございまして、現在たとえば社会労働委員会において付託されている法律案の実体を直すというものであれば、それはこちらの附則の問題ではない、といいますものの、所得税法の第何条と引用されている根拠規定が第何条に動いたというのは、これは単なる整備でありまして、それはまさに大蔵委員会がそういうような全文改正法案を通す気があるかどうか、それが通されるということであれば、必然的に、その第何条というものを第何条に改めなければならぬというような程度の関連した整備であるという意味におきまして、それ自体は租税法の改正に伴うものであるという意味におきまして、現在すでに他の整備法の条項におきましても、所管委員会としては、違う委員会の法律案がたくさん並んでおるわけでございます。しかしながら、それはその実体を直そうというのではなくて、租税法の規定がこのように改正されたというのに伴いまして、必要な条文の整理といったようなものをするという趣旨でございますので、そういう法律案が、議院運営委員会の決定に従いまして、当委員会に付託されたとしても、決してその筋道がおかしいというようなことになるものではないのではないかと、これは政府の側でございますから、院の内部のことについて申し上げるのはいかがかと思いますけれども、規定の整備というのはそういう趣旨のものだというふうに理解しております。
○武藤委員 もう一問だけ。そうすると、いまのあなたの解釈をかりにとるとすれば、実体を改める場合には、当然これは改正案として社労なりほかの委員会に修正案を出す、ただ単なる字句の整備あるいは配列の整備であるから出さなくてもいいのだ、そういう解釈の根拠、何かそういう取り扱い規定がお宅のほうにあるのですか。それとも恣意的に法制局が、これは簡易な整備程度だからこういう法でいいだろう、これは実態に触れるから必ず修正案で追加を出さなければならぬ、その基準は何かあるのですか。
○荒井政府委員 この整備法というのは、普通の法律でございましたら、これだけ書いてないので、普通は附則で関連する他の法律の改正というものをやる、それに相当するものを単行の法律案の形でまとめて提出をいたしておるものであるというふうに考えますが、その題名にもありますように、施行に伴う関係法令の整備等ということであり、それから単行の法律案につきまして、その本則の改正に関連して規定の整備が必要になったという場合の他の法令の整備というのは、本則の改正に伴う範囲内で規定するのが原則であるということになっておりまして、その点は、整備法という形で単独で出しましても、原則は同じでございます。
○平林委員 私は、これは何といっても納得できないんだ。あなたが、これは本来であれば、仮定の法律案、成立せざる法律案の修正ということをやることは適当でないと思うけれども、慣行その他があるので、こういうことも差しつかえない、こういうふうにお話しになるなら、なるほど、まあ慣行ということで百歩譲ろうかいという気になるのですよ。これでいいんだということになると、私納得できないのです。ほんとうをいえば、税理士法の一部を改正する法律の一部改正とか、国会で成立せざる法律案の修正というようなものについては、本則としては、この法案が成立した後に修正することが望ましいのであります、しかし従来の慣行もあって、諸般の事情から考えて、これでもそんなに間違っているものではないと、従来の慣行はなっておりますというなら、私は話はまあいいというのです。法制局がそういうことを言っておるから、私は納得できないのです。
○荒井政府委員 平林先生のおっしゃるように理解くださってもけっこうでございますし、私のほうでこれ以外の方法が絶対にあり得ないのであるという意味で申し上げておるわけでございませんで、従来慣行として行なわれておるというものを説明をいたそうとすれば、まあいままで申し上げたことであるということでございますので、基本的にはその先生のお考え方と大差はないものと思います。
○平林委員 大差がないじゃなくて、これが本則なんですよ。私はその点、主税局長あたりが便々と、何とかうまくおさまってくれないかということで説明するならわかるけれども、法制局が原則を間違えておっしゃられると、納得できないのです。いまのように考えてくれてもけっこうですということは、私の主張のとおりなんですよ。それが原則なんですよ。私は本来はそうしなければならないということです。私、これだけじゃなくて、まだ一ぱいほかに質問があるもので、もう一回私の言ったことを確認したら、この問題はこの辺で終わります。法制局、ひとつ答えてください。
○荒井政府委員 ただいま申し上げましたように、平林先生のほうがどうしてもこのように考えるのが筋であるということをおっしゃいますれば、その中にも確かにくみ取るべき条理がございまして、私どもそれをあながち全面的に否定するという考えで申し上げておるわけではございませんことは、ただいま申し上げましたとおりで、従来の扱いというものを御説明申し上げたいという意味に御理解賜わるようにお願いいたします。
○平林委員 まだいまのしゃべり方じゃ私は気に入らないな。法制局はもっとこういう問題については厳格であってほしいんですよ。これはたまたま税理士法の一部を改正する法律の一部改正というのは、われわれもまた与党の中でも相当批判のある法律案ですよ。それがかりにあなたのような拡大解釈によると、いや税理士法の一部を改正する法律の一部改正は国会の意思で通ったんだ、だからそいつも通さなければいけないのだというような拘束を持つという解釈になったということは重大問題ですよ。私はそういうものは持たないというふうに理解したいのですが、その点もう一回はっきりしておいてください。
○荒井政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○平林委員 もう一つ、ついでですからあなたにお尋ねしておきますが、この整備法の中に第七十一条、第七十二条、第七十三条の規定がございます。これは第七十一条は、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部改正であります。第七十二条は、連合国財産である株式の回復に関する政令の一部改正、第七十三条は、連合国財産の返還等に関する政令の一部改正の条項であります。法律ができて政令がいろいろ解釈されるという例は今日まで間々あるのでありますが、これはあべこべなんですね。政令を法律で直すということになっておるのですけれども、これは一体どういうわけでございますか。こういうことは慣行としてもあるのですか。
○荒井政府委員 この御指摘になりました政令は、昭和二十七年第十三回国会の成立法によりまして法律としての効力を有するということになっておるわけでございます。したがいまして、形式は政令という形式でございますけれども、十三国会におけるその措置によりまして現在法律としての効力を持つというものでありますがゆえに、それの改正は法律によることを要するということでございまして、従来これらの件につきましては、たとえば昭和二十九年のいわゆる在外四法の改正というような場合にも、当委員会に御審議をお願いいたしました一部改正法もございますし、重要なことは国税通則法の施行等に伴う関係法令の整備等に関する法律案という場合にも同様な措置をいたしたということでございまして、これはそういう一般的な扱いに基づくものでございます。
○平林委員 そうするとただいまあげました三つの政令は法律であるということでございますか。私ちょっと第十三回国会の措置というのはよく知らないのでありますが、はっきりこの政令は法律である、こういうふうな取り扱いになっておるのでしょうか。
○荒井政府委員 十三回国会で確かに、件名は正確に覚えておりませんけれども、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律というような件名の法律が成立をいたしまして、従来政令という形で施行されたものであるけれども、それはその国今の議決によりまして、法律としての効力を有するというふうにはっきり規定されておるわけでございます。
○平林委員 法制局はこれでけっこうです。 そこで、もとに戻りまして、これでだいぶ時間を食っちゃったからあとのやつははしょって質問しなければなりませんが、この整備法の中に租税特別措置の規定がございまして、新規重要物産の製造等による所得の免税の規定がございます。この免税額は別の資料で約七億円ということは承知いたしておりますけれども、その新規重要物産というものは、たとえばどういうものでしょうか。
○泉政府委員 この新規重要物産の範囲につきましては、現在法人税法施行規則第二条に規定されておりまして、一号から二十三号までございます。このうちにはすでにもう時限的なものがございまして、ある時期までに設備の新設あるいは増設をしたものに限っておりまして、その期間を過ぎた後に新設あるいは増設してもそれは適用を受けないということになっておるのでございます。これは新規重要物産として国産のもので新しい設備である、したがってそれを行なう場合に採算的に不安があって損失を生ずるか利益になるかわからない、そういうときに、もし利益になってもその重要物産から生ずる利益は免税にするから心配なしに新規事業を始めなさい、こういう趣旨で設けられておるものでございます。 重要物産の内容を申し上げますと、エチレン並びにこれを原料として製造するポリエチレン、エチレンオキサイド及びエチレングリコール、アクリルニトリル及びこれを原料として製造する合成繊維、焼成燐肥及び自己の製造した焼成燐肥に燐酸液を作用させて製造する燐酸肥料、ケミグランドパルプ、ポリスチレン、ポリビニールアルコール及びこれを原料として製造する合成繊維、ポリ塩化ビニールを原料として製造する合成繊維、塩化ビニリデン・塩化ビニール共重合物を原料として製造する合成繊維、大蔵省令で定める合成繊維精紡機を用いて製造する合成繊維紡績糸、醋酸繊維素及び醋酸繊維、両性イオン界面活性剤、ジルコニウム地金、シリコン片、テレフタール酸、ポリエチレンテレフタレート樹脂を原料として製造する合成繊維、スチレン単量体、ブタジエン単量体、合成ゴム、それからチタンまたはチタン合金、ポリカーボネート、計数型電子計算機の本体並びにこれと電気的に接続して作動する入出力装置及び記憶機、イオン交換樹脂膜、アルキルベンゾール、こういうふうになっております。
○平林委員 この新規重要物産の認定でございますけれども、基準としてはこの法律の第三項に「国民経済上重要と認められる新規産業に係る物産で、その製造又は採掘の技術が確立されていないこと、需要の見とおしが困難であることその他の事由によりその製造又は採掘の事業の開始に当たり採算について著しく不安があるものとして政令で定めるものをいう。」と基準が書いてあるのですが、この認定はだれがするのですか。
○泉政府委員 これは政令で規定いたしますから、最終的には内閣において認定することになります。ただ実務的には、これらの重要物産はいま読み上げたところからおわりになりますように通産省の所管物資であるものが多いわけでございます。したがって技術的には、通産省のほうと私どものほうの技術担当者との間で、そういう新しい製造方法によってつくられる新規の物産、これを認めるか認めないかということを議論いたしましてきめていくという形になっておるのでございます。
○平林委員 その規定はどこにも書いてないのですね。いま政令であるから内閣だというお話でしたが、ここに書いてある政令とは、いまお話になりましたむずかしい名前のものをいう、こう規定をしてあるだけでありまして、これをやる者はだれだというようなことは書いてないですね。これもやはり慣行でやっているわけですか。
○泉政府委員 これは通産省は通産省設置法に基づきましてやるべき仕事がきまっております。大蔵省主税局は大蔵省設置法に基づきましてやるべき仕事がきまっておるわけですが、それぞれきまっておる仕事に基づいてこの政令をつくっていくことになるわけであります。その際に、通産省としては自分の所管物資の見地からこれを入れてもらいたいというふうになります。大蔵省としましては、歳入の点その他からいたしましてこれを入れるのが適当かどうかということで合議いたしまして、まとまったものが政令という形で出てまいる、これは普通の行政のやり方であります。
○平林委員 従来の法人と個人との割合はどうなっておりますか。
○泉政府委員 先ほど読み上げましたように、こういう物資は新しいものでございまして、従来から個人がこういう新しい事業を興すということはまずございません。したがってこれはいままでは所得税法にもございましたけれども、実際は個人で適用を受けるものはいまのところはございません。昔は石炭なんかが重要物産でございましたから、その当時は個人でも適用を受けたことがございましたけれども、現在のようにこういう新しい化学製品というふうになってまいりましてからは、個人で適用を受けるものはないようになっております。
○平林委員 個人はない、法人が多い。それならば第二十三条の二に所得の免税として「青色申告書を提出する個人が政令で定める期間内に新規重要物産の製造若しくは採掘の事業を開始し、」という条項は無用になるのではないですか。
○泉政府委員 そうは言い切れないのでありまして、現在はないけれども、将来もしこういう事業を個人で興すということがかりに起きたならば、その個人には適用を認めないのだというわけにまいりません。そういう事業を営むものであれば、個人であろうと法人であろうとそれは全部認めますということにして法律は規定しております。ただ私が申し上げましたのは、いまのところ実際上個人としてこういう新しい化学製品をつくっておるものはおりません。しかしいつそれをつくろうという方が出てくるかわかりません。そういう意味で規定としては置いてあるということでございます。
○平林委員 これは法人のほうに認めるから個人のほうもないとはいえないので用意をされておる法律ということで、非常に思いやりがあり過ぎる法律の形になっている。なぜかというと、私はこういうのは反対なんです。 それでお尋ねしますけれども、確かに需要の見通しが困難であったり、採算に著しく不安があるものとして認定をいたしましても、かりにそれが大いに需要があって、当たって利益が出たと仮定いたします。いまあなたは個人がなくても仮定でつくったというのですから、採算がとれた、利潤が見込まれる、こういう場合はどうしますか。
○泉政府委員 ですからそういうふうにしてもうかっておれば、その所得に対して免税の効果が働く。しかしせっかく新規事業をやったけれども利益にならない、損だというときには免税の恩典が働かないということになる。そういう意味ではこの重要物産の免税制度というのはいろいろ問題がないことはないのでありまして、利益が出たら効果はあるけれども、利益がないと効果はない。ところが利益が出るかどうかははっきりしない、こういうものでありますから、それだけにこの新規重要物産の免税制度については税制の問題としても検討すべきじゃないかということで、私どももいろいろ議論いたしております。本来からいいますと、いわばばくちみたいなものでありまして、当たればもうかる、当たらなければもうからぬというような制度は税制としては適当でない。したがって私どもとしては新規重要物産免税の制度はできればなくしていきたい、そうして免税の制度でなしにもしそういう新規重要物産を興こす、それを助長する必要があるというなら、それは特別償却でやったらいいじゃないか。特別償却なら償却不足は繰り越して認められるのだから、特別償却でいくべきじゃないかという見解を持っておるのでございます。そういうことで通産省ともいろいろ話し合っておるのでありますが、何分にも通産省としてはすでに免税というのをとっておるのだから、いまその範囲を縮小されるようなことになるのは通産省として困るということで、なかなか同意が得られないというのが現状でございます。
○平林委員 いずれにしても現段階におきましては主として法人、しかもこの減収見込みは七億円、そして認定をされた後に利益があったときの問題等も考えますと、租税特別措置でこういうことをやるということは私は適当でない問題であると考えておるわけでありまして、いまのお話だと大蔵省のほうはあまり乗り気じゃないので、ほんとうはつくりたくないのだけれども、通産省のほうが文句を言うてへこたれない、こういうことでありまして、これはおかしな話だと私は思うのであります。特に私古い記憶なんですが、あなたはこの問題では、こういうものは廃止をしたいというようなことをかつて言明をされたことがある。それが今回出ておるから私は特に取り上げて言うのです。やはりこれは廃止すべきであるとあなたが昔言明をされたことが正しいのであって、ここでひょっこり出すということはおかしいんじゃないですか。
○泉政府委員 先ほど申し上げたとおりの経緯を経てこういうふうになっておるのでありまして、私どもとしては先般私が申し上げましたように、重要物産の免税制度というのは税制の問題としてはあまり好ましい制度ではないと思っております。
○平林委員 いろいろな租税特別措置もありますけれども、七億とか一億とか、これらを私申し上げようと思っておりましたのは、違約損失補償準備金勘定への繰り入れ額及び違約損失補てん額の損金算入等、これもやはり減収額は一億円、こういうこまかいものをいろいろ入れてこの法案ができておるわけです。ちょっと見ると整備法だから整備法のやつだなと思っていると、うっかり見落としそうな租税特別措置がこの中にころころと入っているわけなんで、いろいろな租税特別措置で、今日国会で議論をされました利子所得やあるいは配当課税の問題についてももちろん議論はありますけれども、こういうようなものを、やれあれを入れる、これを入れるということは、現在の産業界人のあさましい姿を見せつけられているような気がするのです。佐藤総理大臣がこの間財界人の中で財界人の自粛ということを言われましたけれども、何でもかんでも政府の税制措置におんぶしてやっていこうという量見はおかしいですよ。私はそういう意味では典型的なものだと思うのです。金額も幸い一億とか七億ですから、こういうことは断固整理していくという気風が私はなければならないと思う。この間私は例を申し上げましたが、衆議院の予算委員会で出てこられました公述人は、財界を代表していろいろ企業課税の問題について御意見がございましたが、ほんとうにてまえがってな言い方ばかりしていると思うのですよ。そのくせ現在の金融問題について、金融ルールをつくるということについて意見を述べる中では、大体産業あるいは経営というものは、資本主義のもとでは自立をさせなければいけないんだ、そうしてこうした問題について、やたら政府が介入してくるのはおかしいんだなんといって、金融の面の融資ルールをつくる方面については変な理屈をもって財界の自主性だとかなんとかいうのですね。そして税制のほうの問題については、やれおんぶすれば抱っこしろ、抱っこすればどうしろというようなやり方をとってまことに不見識きわまる。私はそういう意味から今日の租税特別措置の中では、最も退治しやすいものから退治していかなければならない。この意味では、この法案の中に出てきております小さな——小さなでもない七億とか一億、比較的少ないようなものについて認めるということはやっぱりいかがなものであろうかということを考えまして、この点を申し上げたわけでございます。ひとつこの点も、大蔵省当局としてはおそらく賛成じゃあるまいと思うものでございますから、なおひとつねばって、われわれも応援をしますから、こういうものは退治してもらいたい。こういう租税特別措置は大いに退治をする、これは協力をしようじゃないですか。そして大いに資料を出し合って、こういうものはやっぱり税の公平の立場からいきまして変えていかなければならぬと思うのでありまして、それを大いに私は主張しておきたいと思うのであります。 あと簡単にちょっと伺いますが、今度の税法改正の中で、私やっぱり基本的に少し問題なのは、税制調査会が従来国民の税負担率を見るにあたりまして、税負担率を二〇%ということを限界に置きまして、そして減税の基本的方向としておられたわけです。それが今回方向転換をされてしまいまして、自然増収の二〇%ないし二五%、こういうような方向に変わってしまったわけであります。私はこの点まことに遺憾に思うのです。今日まで税制調査会が中山会長を中心にして、二〇%という一つのめどを設けたことによりまして、国民はどれだけ救われているかわからない。年々激しい財政需要がありまして、特に政府の施策が積極的な取り組みをするに従って、財政の需要というのは多くなる。その中で減税についてはとかく軽視をする傾向があった時代において、なおこの税負担率二〇%を当分維持すべきであるという従来の税調の考え方は、私は相当高く評価しておるわけであります。これがもしなかったらもっと高い税負担率に進んでいったのではないかということを考えますと、これは非常に評価すべき一つの基準であったと思うのであります。それが、中山会長がいなくなるととたんに、別の基準があらわれてくるということは、私は今日までの意義をくずしてしまう便宜的な措置であるというそしりを免れない、こう思うのであります。これは政府当局に言うより、間接的に私は税制調査会に対して批判をしたいと考えておるわけであります。この負担率が方向転換されたことによりまして、一番救われたのは政府だ。主税当局ではなくて、その中枢にすわっておるところの内閣総理大臣をはじめ政府与党の幹部の人が一番救われた。ほっとしておるだろうと思うのです。私はそういうことから考えますと、今後の国民の税負担の増強ということに拍車をかけることをおそれて、そこでひとつ主税局長にお尋ねをしておきたいと思います。今後国民の税負担が重いか軽いかというようなことをはかる場合に、あなた方が一番資料をお持ちになり絶えず見てもらいたいと思っておる。われわれも国民の声を直接聞いて絶えず考えていかなければならぬ問題でありますけれども、やっぱり数字だとか資料にあらわれてくるわけでありますから、そういう点からいきまして、私はぜひ政府の事務当局においてもこうした問題についてのものさしを用意しておいてもらいたいということを希望するわけであります。私はいま税制調査会がいうような自然増収の二〇%ないし二五%ということではだめだと思うのであります。そういうことから考えまして、今後はどういうものさしを用意しておいたらいいだろうか、あなた方としては国民の税負担がいろいろな政策的な要請からなるべくくずされないように注意をする番兵の役割りも果たさなければならぬと思うわけでありますが、そういう点のものさしは今後どういうものを考えていかれるつもりでありますか。
○泉政府委員 この問題は私がお答えするのが適当かどうかわからないのでございますが、確かに税制調査会が昭和三十五年に国民所得に対する税負担率を二〇%程度の線に押えろということを基準として減税政策をとるべきだという答申を行ないましたことが、その後の政府の減税政策に大きな影響を及ぼしまして、それによって国民の租税負担の増大が押えられてきた、これは確かにおっしゃるとおりであったと思います・それだけにあの答申の国民所得に対する税負担率二〇%ということの大きな意義があったということは、私どもも十分承知しなければならないとその意義を評価いたしておるものでございます。ただ税制調査会の委員は学者の方が多いわけでございますので、学問的に見ていくと、なるほど国民所得に対する税負担率二〇%ということは大きな政治的な力は持っておるけれども、学問的に言うと、国民所得が増大して一人当たり国民所得がふえていくならば、同時に国民の担税力もふえていくのだから、したがって国民所得に対して二〇%ということで固めてしまうということは学問的には成り立たない。やはり国民所得の増大に応じて若干ずつは担税力もふえていくということは認めざるを得ない。そこで国民所得に対する負担率二〇%という基準でいつまでもやっていくわけにはいかないので新しい基準を考えたらどうかということになって、新しい基準が検討されたのであります。そのときに標準世帯の場合の税負担、これは直接税の負担と間接税の負担と両方がありますが、それがどの程度であることが望ましいかという面、それから財政の面から見まして国民経済全体に占める財政の比率がどの程度であればいいかという面、こういう両面からいろいろ検討いたしたのでございますが、何ぶんにも減税ということになりますと、数字的な基準でないとあまり効果がない。抽象的な表現であらわしましてもそれはあまり役に立たない。そういうことからいたしまして過去十年間の財政の状況を振り返ってみますと、その間におきましては揮発油税、地方道路税、軽油引取税というふうな目的税、あるいは目的税的なものを除きました自然増収部分については、その部分の二〇%程度を初年度減税に充てておる。そして日本の経済が今日のように成長してきたのだ、とすれば、今後財政需要は相当多いけれども、やっぱりその中で自然増収の二〇%程度というものは減税に充てていくのだという従来の方針をそのまま踏襲していくべきではないか。過去の例を見ますと、昭和三十二年とか三十年ごろには自然増収の二〇%以上の減税を行なってきておる。ところが最近の三十九年の減税を見ますと、まだ自然増収の二〇%に達しておらない。それじゃ困るから、自然増収の二〇%程度は初年度減税にすべきだというので新しい基準が出たのでございます。新しい基準によって従来の国民所得に対する二〇%というのが変えられたために、国民の税負担がふえていくのじゃないかという御心配があるかもしれませんが、それは自然増収の二〇%という減税をやっていきますればそうふえない。私どもの試算ではございますけれども、昭和四十三年までの間に、ふえましても——現在の負担率が三十九年は二二・二%でございますが、これが四十年度には二二・一%に下がっております。これが四十三年のときには二二・二%から〇・二%くらい上がる程度にとどまるのではないかというふうに考えておるのであります。ただそれは自然増収の二〇%の減税を続けていった場合のことでありまして、もしそのとおりやらない——ことしは御承知のとおり国税におきましては一九・一%で二〇%に近いのでございますが、地方税のほうは増税になっております。地方税の増収のほうでは自然増収の減税どころかかなり増税をやっておりますために、国税、地方税を合わせますととても二〇%になっておりません。したがってそういう点から考えますと、二二・四%にはおさまらぬで、もっとふえる心配がございます。しかし自然増収の二〇%ということであればできないことではない、ぜひできることをやってほしいというのが税制調査会の答申でございまして、できないことを言うよりもこれだけ努力すればできるのだというものをぜひやってもらいたいという熱意に燃えた答申だと思っております。私どももぜひそういう答申の線を守っていきたい。単年度におきましてはいろいろな財政需要がありまして必ずしも守れない場合がございますけれども、数年を通じてはぜひそれを守るような方向で努力していくべきだ、このように考えておるのであります。
○平林委員 私は税制調査会の今日までの検討の結果にひそめられている配慮については敬意を表しますけれども、この問題についてだけはどうも納得できないのです。特に税負担率が二〇%台をだんだんこえてまいりましてこれを離れる傾向になったので、新たにつくり上げられた理屈とだけしかどうも理解できない。それにかわるべき自然増収に対する割合で減税をせよというのは一つの期待感でありまして、実際に政府がその政策をとるかどうかはなかなか問題だということから考えますと、絶えず国民の税負担の現状をはかるものさしというものは、やはり従来のやり方が非常に効果があったと考えておるわけであります。もちろんそれには理論的にいって欠陥はあるでしょう。あるでしょうけれども、それを補う方法があった。その方法を考案していってほしかったわけであります。それをただ有業人口に対する納税者の割合とか、課税最低限と食糧費との関係などだけでは私は十分なものではないと考えるのでありまして、税負担率の考え方については、もう十年間もやってきたのですから、それが急激にころっと今度はこっちのほうがベターだということはあり得ないのです。それまでだって学者の方が相当おられて研究されて、いろいろなことを考慮なさってこの程度ということをおきめになったのですから、その線はやはり貫いてもらいたかった。その意味では私は中山会長に対してはるかに敬意を表しまして、この問題については調査会でさらに検討してもらいたいということを希望して質問を終わっておきたいと思うのであります。
○吉田委員長 藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、税法三法を中心に質問をさしていただきたいと思います。いま先輩平林議員の質問もございましたので、その関連になるかどうかわかりませんが、一応関連的な立場から質問をしてみたいと思います。 まず第一は、今回、今年度の税制改正にあたって、本委員会においても一番問題になりましたのは、税制調査会の答申を政府は全面的に尊重していない、こういう点が一つの論議の焦点になったと私は思うわけです。そういう点からいきますと、私どもの立場から考えましても、税制調査会の答申をどういう基準として受けとめるかということについては、それぞれの立場において若干の相違はあるといたしましても、原則的には負担の公平の原則、租税の中立性、総合累進税率の構造の基本的な立場というものを貫いておる。こういういわば原則的な基本的なあるいは税制の体系的な立場からいいますと、税制調査会の答申というものは、私どもは基本的に尊重すべきものだというふうに考えるわけであります。これはいままでも質問に出たところでありましょうけれども、なお念のため重ねてお尋ねをいたしますが、政府としてはやはりこの答申を権威あるものとして尊重すべきだという立場をとられておるのかどうか、これをまずお尋ねしたいと思います。
○泉政府委員 私から御答弁申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、従来からいたしまして、政府にいろいろ審議会とか調査会というのがございますが、それらのうちでは税制調査会の答申は尊重されてきたほうが多いという実績は十分持っておると思います。ただ昭和四十年度の税制の改正につきましては、所得税に一部違った点がございますけれども、相当程度税制調査会の答申を取り入れた。法人税についても同様でございます。ただ租税特別措置につきましては、税制調査会の答申と今回政府がとった措置との間にかなり大きな懸隔がある。しかしながら、政府としてはできるだけ税制調査会の答申を尊重するという基本的なたてまえに変わりないものだと私は思います。ただ現在の情勢からいたしまして、そういう特別措置をとられたものでありまして、そういうことがない限りは、基本的には税制調査会の答申を尊重していくという態度に変わりはないものと思っております。
○藤田(高)委員 これはたいへん理屈っぽいお尋ねのしかたかもわかりませんが、私は、この税制調査会というものは、一応客観的に判断をして、権威ある諮問機関だというふうに見るわけであります。その点について政府は権威ある諮問機関と考えられておるのかどうか。これはひとつ政務次官のほうからお答え願いたいと思います。
○鍛冶政府委員 もちろん権威あるものとして諮問をいたしたのでございますから、権威を認め、かつこれを尊重すべきは当然であると思います。
○藤田(高)委員 実際いいますと、権威とは何かということを聞かしていただきたいのですけれども、何か理屈のこね合いのようなことになりましてもいけませんから、そういったことは省略をいたします。 私は、これは全く私なりの判断でありますけれども、税制調査会のメンバーを見ますと、昨日の春日議員と総理の質疑応答ではございませんが、例の租税特別措置に関連する利子あるいは配当分離課税に対して、総理は日本の学者の意見であれば、私はこれを尊重するというような意味のことを答弁なさったと思うのです。税制調査会の答申案をつくるメンバーには日本の学者がずいぶんおるわけです。いま私はあえてこのメンバーの一覧表と現職の役職名をみな見ておるわけでありますが、中山伊知郎会長をはじめとして学者も三、四名入っておりますし、日銀総裁であります、当時三菱銀行の頭取でありました宇佐美さんをはじめとし、また業界代表としては、大原網一郎倉敷レイヨンの社長をはじめとして、土井正治住友化学の会長、その他、これは一つ一つ申し上げませんけれども、まさに日本の各層各界といいますか、そういうところのベストメンバーを集めたような人たちによって構成をされている機関であります。しかもこれは私のほうから申し上げるまでもないことでありますが、この「昭和四十年度の税制改正に関する答申及びその審議の内容と経過の説明」の中で冒頭触れておりますように、今次の答申を出すまでには三年間かかった。しかも体系的基本的な見地から検討をして、総会だけでも二十三回行なっておる。また三つの部会に分かれて検討しておるが、その三部会は五十回に及んでその具体的な内容についての審議を深めておる。さらには基礎問題小委員会において、基礎的理論的問題を中心として、これまた十八回にわたって細密かつ慎重に審議をした。その結果がここに税制改正に関する答申として出てきたのだということを言っておるわけであります。私は必ずしも、回数を多く会議をやったからその結論は権威があるとか、あるいはりっぱなものだということを言おうと思いませんが、少なくともこういった一応各層各界のベストメンバーとも言うべき方々が寄られて、これだけ慎重な検討をされて出しておる一つの結論というものは、私はそうたくさんないように思うわけです。いわゆる客観的に見て社会的な評価としては権威ある機関がこういう答申を具体的に出された以上、しかも内閣総理大臣の諮問機関として、総理からその税制調査会に諮問をする、こういう形をとってここに出てきた答申というものは、私は全面的にこれを尊重すべきだと思うのです。 具体的なことをお尋ねしますが、そういう観点から申しますと、税制調査会から出されてきた答申というものは、政府は、政府が出される税制改正の最低基準としてこれを採択すべきではないか。政府の今度とっておる態度は、逆にこれを最高の基準として採択して、表現は悪いかもわかりませんが、一つの標準的な基準として、一部、法人税でいえば、基礎控除を二万引き上げるという点を一万しか上げてないとか、配当分離課税あるいは利子分離課税についてはこれを廃止すべきだという答申が出ておるにもかかわらず、逆に実質的な配当の分離課税を認めるというふうに、そういう意味の答申案よりも下回った形にこの答申案を取り上げておるというところに非常に私は問題があると思うのです。そういう立場からいって、基本的には私はこの種の答申案というものは全面的に採択をするということが当然だと思うわけでありますが、政府の考えとして、政府はそういう全面的に尊重するという考え方を取り入れていく御意思があるかどうか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
○鍛冶政府委員 お説のとおり全面的にこれを尊重すべきことは当然だと思います。しかし全面的にこれをみな採択せなければならぬということになると、これは少々変わってくるのじゃないかと思います。実際の政治をあずかっておる上におきましてどうしてもいかぬこともございますので、それらの点で、政策の面からやむを得ずこれと異なったものをやったかしらぬが、精神はこれを踏みにじろうというふうに考えていないことだけは間違いないと思います。
○藤田(高)委員 これは鍛冶政務次官の御答弁は、御答弁の表現そのままに受け取りたいわけでありますけれども、私は、現実にあらわれてきた政策ないしは政治の姿というものは、たいへん失礼な言い分でありますけれども、いまのおことばをそのまま受け取ることができないわけであります。それはなぜかと申しますと、気持ちは尊重する、基本的な考え方は尊重する、こう言われるわけですが、まあ政治というものは気持ちがわかっただけではいけないのでありまして、やはり国民生活に具体的にその税制改正がどのように結びついていくかということが中心にならなければいかぬと思うのです。そういう点からいきますと、今度のこの税制改正につきましては、もうすでに先輩諸氏からも触れられておりますように、私はたいへん矛盾に満ちた措置をとられておると思う。わけても、いまの鍛冶政務次官の御答弁では、具体的に採択するということと尊重するということとは別だ、こう言われるわけでありますが、私は、政府として答申案が採択できないという場合には、少なくともその税制調査会の答申案が、政策的な見地、あるいは税制という基本的な体系的な理論的な立場から見ても、基本的に誤りである、間違っておる、そういう客観的に判断のできる条件のある場合には採択をしないということはわかりますけれども、少なくとも、俗なことばでいえば、縦から見ても横から見ても筋の通った、そうしてだれ人も、それこそ大多数の国民が納得のいくようなものについて採択できぬということになると、これはいわゆる本末転倒したことになると思う。そういう点からいきますと、今度の利子分離課税ないしは実質的な源泉選択制度による配当分離課税のごときは、採択しないという理由が国民には納得いかないと思うのですよ。そういう点について、なぜこれだけ筋の通ったものがひん曲げられた形における逆行するようなものにならざるを得なかったか、私はこの点について政務次官及び主税局長の見解をお尋ねしたいと思います。
○鍛冶政府委員 むずかしいことになりますと、しろうとの私があまり踏み入ったことを申してかえって失礼かもしれませんが、とにかく昨日総理も大蔵大臣もここでるる述べましたので、私はそのとおりであると心得ております。なおあと技術的なことその他は局長から答弁いたさせます。
○泉政府委員 税制調査会の答申を基本的に尊重するという立場だと言いながら、利子、配当についての特別措置は税制調査会の答申から著しく離れているではないか、これはお説のように違っております。なぜこのようになったかということにつきましては、昨日総理及び大蔵大臣からお答えになったとおりでございますが、さらに申し上げますと、従来から利子と配当との間におきまして課税上差違があるということにつきまして、証券業界を中心にいろいろ不満があったわけでございます。これにつきましては、申すまでもなく、利子は五%で分離課税になっているのに対して、配当は五%の源泉徴収で総合課税になる、同じ資産所得でありながらそのような差があるのは適当ではないというお話がございました。これに対しまして政府としましては、従来、利子と配当とは資産所得ではあるけれども、どちらかというと配当のほうがより高額な人が多く持っておる、そこに利子と配当とは性格上違いがあるのだということを言ってまいっておったのであります。しかしながら税制調査会におきましては、利子と配当との間に違いがあるというので、配当に分離課税を求めてくるという現在のいろいろな要望に対しましては、そういう方向で利子と配当の課税のバランスをとるのは好ましくない、したがって利子についてはむしろ優遇措置をやめる、そういうことで利子と配当との課税のバランスをとるべきだということで答申が出たのであります。そこでお話のように、利子については、源泉徴収税率を五%から一〇%に上げると同時に、源泉選択の制度を導入して、将来総合課税の方向に進むのだということを明らかにせよ、そうして配当については、源泉徴収税率を同じく一〇%にいたしますが、一銘柄年三万円までの配当は確定申告をしなくてもいいというような制度にということで答申がなされたのであります。先ほども申し上げましたように、利子については源泉徴収税率は五%から一〇%に引き上げますけれども、分離課税は依然として二年続けていくという方針がとられまして、それに伴いまして、配当につきましても、一銘柄年三万円までと言っておったのを、一銘柄年五万円までは確定申告を要しないというふうに広げられたのでございます。さらに配当につきましては、昨年イタリアで三〇%の税率による源泉選択の制度が導入されましたのにならって、日本でも源泉徴収税率一五%と配当控除一五%とを合わせて三〇%の税率による源泉選択の制度を導入することになったわけであります。しかしこの措置が高額な所得者に対する優遇になるという点からいたしまして、年五十万円以上のような配当所得であるとか、あるいは一企業の株数の五%以上を持っているような株主のその株から受ける配当、こういうものには源泉選択はできないということで、そういう面では少し大所得者に対する優遇に片寄りがちであるということをある程度チェックするということにいたしておるのでございます。しかし繰り返して申しますように、税負担の公平という点からいいますと、こういった特別措置は問題のあるところでありまして、したがって税制上あまり好ましいものではございません。ただ、現在の貯蓄奨励であるとか、あるいは資本市場の育成強化であるとかいう点からいたしまして、まあやむを得ざる措置であるというふうに考えられるのでございます。
○藤田(高)委員 主税局長のお考えは、私は事務当局としては十分理解できておるわけです。これはあとで主税局長にも、国のいわば台所を預かる事務担当者としての見解を聞きたいと思っておりますが、去年の十一月三日の「エコノミスト」にも、「所得税の減税を重視する」という対談の中で、あなたがこの分離課税の問題についてはお触れになっています。これを一口で言いますと、あなたは、これは補助金を出しておるのと同じであるということで、証券業界とか金融界が税金についてとやかく言うこと自体がおかしいのだという意味のことを言われております。私は筋としてはそのとおりだと思う。しかし結果としてこういうふうに国の政策が——台所を預っておる責任ある事務担当者がそう言う。あるいは先ほど私がくどいように申し上げた税制調査会のメンバーを見ても、こういう権威ある人々によって出された結論というものさえじゅうりんされて、客観的に、社会的に、いわば極端に言ったら特定の人を除けばこの分離課税について賛成する人はいない。こういうものをあえて一つの改正案として出してきて、そうして国の法律ということで拘束力を持たせて、そうして国民に押しつけてくるということになると、これは悪法といえども法治国家である以上は悪法に従わざるを得ないということを政府みずからがやっておることになると思うのです。こういうことになりますと、善良な、いわゆる一日の食費が百五十円や百六十円くらいしか見てくれてない例の所得税の課税最低限の低所得者、勤労者から見れば、政府がこういうべらぼうな税制改正をやるのであれば、われわれは租税そのものに対して協力することができない。場合によると、昔の反税闘争ではないですけれども、旗の振り方によるとこれはたいへんなことになる。私は重要な改悪だと思うのです。こういう点は、私ども新人議員の立場から申し上げることはたいへん口はばったい言い方かもわかりませんが、こういう筋違いの政治のあり方、あるいは税制の改正というものに対しては、やはり国会審議を通じて、野党全員はもちろんのこと、与党の皆さんの中にも心ある人はこの改悪案には反対をされると思うのです。そういう点からいくと、国会審議というのは、やはり政府案が出された、政府与党が多数だからそれでもうきまってしまうのだ、こういうことではなくて、昨日も山中議員が一つの修正案を出されましたが、ああいう形で、これだけ国会の審議の中で質問をする者、質問をしない者といえども利子の分離課税、あるいは配当の実質的な分離課税については、これは悪法である、改悪だから廃止すべきだ、こういうふうにほとんどの人が考えておるのじゃないかと私は思う。そういうものについては政府としてはいさぎよくこの種の改悪案というものは修正し、あるいは撤回すべきだと思うのですが、政務次官の見解を聞かしてもらいたい。もし政務次官が、これはわしのお答えすることじゃないと言うのであれば、私はこの種の問題は、こういう重大な法案を通すか通さぬかという段階にくれば、政府も真剣に今国会を振り返ってみて、せめてこの程度のことはこれは国民の前に対しても修正することが政府の正しい立場であろう、こういう立場から反省をして修正され、いわゆるこの種の改悪点については撤回されることが望ましいと思うのですが、それについての見解をお尋ねしたい。
○鍛冶政府委員 私ごときしろうとがそんな重大な答弁をする柄でもないと思いまするが、大臣がしばしばここで答えておりますように、分離課税については批判のあることは十分承知している、これは覚悟の上だと言っておりますが、国民ことごとくが悪法だと信じておるとは私は考えません。批判はあるとは心得ます。その意味において、今日のわが日本の財政の上からしてどうしてもこれをやらなければならなかったという大臣の苦心のほどを国民が察してくれれば、いま直ちにあなたのおっしゃるようなものではなかろうと考えます。
○藤田(高)委員 もとに返りますが、国民ことごとくだということになりますと、これはなるほど国民投票でもやってみなければわからないかもしれませんが、私は、国民投票をやってもこの問題に関する限りは、首相の国民投票ではないけれども、絶対勝つと思いますよ。なぜならば、くどいようでありますが、税制調査会のメンバーを見れば、金融業界、新聞報道界、学界、それに地方公共団体の代表、これは市長も知事もおります。さらには婦人代表、労働組合代表、中小企業代表、弁護士、税理士の代表、消費者代表、これだけの人々が寄ってつくった統一した意見として出されてきた答申案であれば、鍛冶政務次官の御答弁ではないが、国民ことごとくが賛成をしておる、支持をしておる、こういうふうに理解することがごくすなおな理解のしかたであって、いま言われたように、批判はあるけれども国民ことごとくが支持しておるのではないということは、これはまさに私は政治的なものの言い方だと思う。だからその点は政治的だというのであれば率直に言って、証券界なり金融界の一部の政治的な圧力に屈してこういうことにならざるを得なかったなら得なかったということを批判を覚悟しておやりになるのであれば、なぜこういうことになったかという点については率直にその真意を国民の前に明らかにすべきだと思うのですが、その点どうでしょう。
○鍛冶政府委員 調査委員の方々はりっぱな方々です。そしてまた税制という面からだけ見ればそれは確かにりっぱな御議論でありましょう。けれども税制の面からそうしたいとは思っても、世の中には政治の面においてどうしてもできない事情があるわけなんです。そういうことからやむを得ずそれに従われなかったということでありまして、頭からこれを踏みにじっていいのだとは心得ておりません。また国民も大臣のこの苦心をよくわかってくれたら、いまのは悪法だ、ことごとくつぶしてしまわなければならぬとは私は考えておりません。どうぞその点は御了承をお願いしたいと思う。
○藤田(高)委員 これは私は撤回しない限り、修正しない限り、この問題に関する限りは理解できないという前提に立つわけなんです。私は決してだんこ理屈でそのことだけで質問を続けようとは思いませんが、政治の世界では、税制上どんなに筋が通ったことであってもできないことがあり得るのだ。政治の世界というものは生きものですから、それは時と場合によってはそういうことがあるでしょう。しかし今回の場合には、私はいま問題になっておる点については、それほど客観的に今日の日本政治の中でできない理由というものはないと思うのです。あえて政治的な事情があったとすれば、先刻私が指摘いたしましたように、率直にどういう理由でこの利子分離課税を二カ年間存続させ、さらには配当の実質的な分離課税というものを新たに新設をしなければならなかったのか。この政治的な事情というものを率直にやはりこの国会審議を通して、国民の前に明らかにする責任が政府としてはあると思う。その点についてひとつ明快な御答弁を願いたい。
○鍛冶政府委員 私ごときがここで説明する柄でもございません。この間から大蔵大臣がここでしばしば述べておりますから、それでひとつ御了承を願いたいと思います。私はこれにつけ加えて申し述べるだけの能力がございませんから……。
○藤田(高)委員 私はほかの政務次官と違って、少なくとも大蔵委員会にとってはこの種の問題が百あるとすれば、その中で五つになるか、三つになるか知らぬが、非常に重要な課題については、政務次官は単なるメッセンジャーボーイやお飾りものではないと思うのです。少なくとも大臣の実質的な補佐役といいますか、相談役としての立場にあるわけですからこういう基本的な問題については、大臣にかわって答弁ができる立場にあるというふうに、私は理解するわけです。そういう点からいって、いまのような御答弁については、はなはだ遺憾であります。私は、どうしてもそういうことができないならば、もう一度大臣がここへ来られたときでけっこうですから、できれば今晩おそくなりあすの朝、ぜひ大臣の出席を求めて政治的な事情があってできなかったと、こう言われておるのですから、その政治的事情とは何であったかということを大臣から御答弁願いたい。それから、ひとつ委員長にその取り計らいをお願いいたしたいと思います。 今度のこの種の問題を通して、私ども一年そこそこの経験しかありませんが、残念に思いますことは、先ほどの政務次官——これは鍛冶さん自身の個人的な御人格なり人物をどうこう言うわけではありませんが、やはり政務次官というポスト、立場というものは、これまた、もっともっと権威あらしめなければいかぬのじゃないかと思うのですね。それと同じように、この税制調査会の存在というものをもっともっと客観的に正しく評価し、その答申案というものは基本的、全面的に尊重していくという姿勢がなければ、せっかくの税制調査会というものを政府みずからが否定することになるのじゃないか、そのことを私はおそれるわけです。しかも、この分離課税の問題のごときは、ここでこの法案が通れば二年間はこのままで行くんでしょう。そうすると、税制調査会のこの答申案を見れば、この四、五年間は、この答申案の線に沿って日本の税制改革をやることが望ましい、そういう答申がなされておるのに、今度の改正で、四年なら四年間のうち、半分がこの悪法によって縛られるということは、何としても私は問題があると思う。そういう点から、いまの政治的事情については特別の取り計らいをしていただいてでも御答弁を願いたいと思うわけであります。その点についての御見解をお尋ねいたします。
○吉田委員長 藤田委員の大蔵大臣要求については、さしあたり今晩出席ができないことによって委員会を開いておるわけでございます。それで政務次官もおりますし、また事務当局もおりますので、政治的云々ということについては御究明願って、今晩の質疑の過程を経て御了解願いたいと思います。——失礼を申し上げました。出られないということでございましたが、ただいま連絡がございまして、大蔵大臣は七時から出席ができるということに連絡がつきましたので、御了承願います。
○鍛冶政府委員 重大な問題でございますから、大臣が答えておらぬことであるならまだどうか知りませんが、大臣はここでしばしば述べております。ことにきのうは総理大臣と二人でこの点に対してるる述べたのでございますから、私はそれで御了解を得られると思うのです。私がよけいなことを言うて、大臣のことばに汚点をつけるようなことがあってはかえって失礼でございますから、どうかいままでの大臣の述べられたことで御了承願いますと申し上げておるのです。
○藤田(高)委員 いや、私も昨日の総理並びに大蔵大臣が出席された委員会には出ておったわけですから、そういう御答弁は正しく理解した上で、しかも私自身がその答弁を聞いてなおかつ理解ができないということであらためて質問をしておるわけです。 そこで、私は総理や大臣の言ったことを事務担当者が違ったようなことを答弁することはできないかとも思うのですけれども、えらい言質をとるようですが、先ほどお見せした去年の「エコノミスト」によりますと、主税局長は昨日の総理並びに田中大蔵大臣の答弁とは全く逆なことを言っておるのですよ。これを御紹介しましょうか。というのは、鍛冶政務次官は先ほど、大臣の言ったことと違ったことを言うてはいかぬとおっしゃる。私の理解に間違いなければ、昨日も総理及び大臣の答弁は、この種の分離課税を存続し、ないしは新たに設けた理由は、資本市場の育成と資本蓄積、貯蓄の奨励、あえてことばを集約すれば、この三つに集約される理由でこの種の分離課税というものは存続もしくは新しい一五%の選択制度を認めました、こういうことだったと思うのですよ。ところが、昨年十一月三日の「エコノミスト」の泉さんの御見解を拝聴しますと、結局本誌の質問者が「むしろ、両方止めてしまえば公平なのでは。」とこう聞きますと、泉さんは利子配当のことを言っておりますが、「結局、利子が五%だから配当もという関係なんですよ。本当は結局そういうことは止めて……。」と、結局両方ともやめてしまったらいいということをおっしゃっておる。それに対してこの「エコノミスト」の質問者は、「そうすると資本蓄積を阻害するというようなことが言われていますが。」と、これに対して泉さんは「だけど、貯蓄というのは、経済学で認められている通り、可処分所得がふえることによってできるので、税制が分離課税になっているから、蓄積がふえるというものじゃない。だれも、分離課税になっているから余計しようなんていう気を起すよりも、やはり自分の老後」云々と、こう出ておるわけです。そうしますと、鍛冶政務次官のいまの御答弁では、大臣なり総理の見解で了解してほしい、こういう言い方ですが、私はそれ自体が了解できないわけです。いわゆる事務担当者といいますか、大蔵省を預かる主計局長、主税局長、国税庁長官と言えば、これは国の機構の中でも一番大事なところにすわられている方である。そういう方がいわゆる大臣の御見解とは全く逆の見解を発表されておる。私どもはそれではどちらを信頼していいのか、これはやっぱり問題だと思うのですよ。こういうことについては、政府は事務当局と見解がこういうふうに違った場合にはなぜ違ったか、なぜこういうことにならざるを得なかったかというくらいなことは、少なくとも国会審議を通じて明らかにしないと政治に対する信頼は置けないと思う。そういう立場からあえてこの問題についての見解をくどいようでございますけれどもお尋ねをしておるわけなんです。したがって政務次官にそういう立場からあなたの見解をもう一度お尋ねすると同時に、泉主税局長、私はあなたのお考えはなかなかりっぱだと思う。いろいろ官僚論なんという批判もありますけれども、そういうことはともかくとして事務当局はこういう筋の通った姿勢で考えられて取り組んでいただいておることについては、ほんとうに敬意を表するのです。この問題については個人的にはたいへん気の毒なような質問かもわかりませんが、主税局長としては今日なおかつこの見解どおりのことをお考えかどうか、これを私はお尋ねしておきたいと思います。
○泉政府委員 私についての御質問の部分についてお答えいたします。 確かに昨年「エコノミスト」の記者が私のところへおいでになりまして、私はそういった問答をいたしました。これは税制のほうを担当いたしておる者といたしましては、当然そういう考えであるのであります。貯蓄というものは国民の可処分所得がふえるのに相関してふえていくものでありまして、税制上分離課税にしたから、選択課税にしたからということでふえていくものではないと私は信じております。しかしながら税制の立場はそうでございますけれども、世の中には税制の立場だけで処理できない問題があるわけであります。高い立場に立って資本市場の育成強化であるとか、あるいは貯蓄奨励のためにどうしてもこういうことが必要であるという高い見地に立って税制以外の判断を加えて判断をされますと、私ども税制だけの立場を貫くことはできにくい。そういう点からいたしましてこういう改正になってまいったのであります。先ほどから繰り返して申し上げておりますように、税負担の公平という見地から好ましい制度ではございませんけれども、そういう高い立場がおっしゃられるとやむを得ない措置である、このように申し上げたいのであります。 〔「鳴いて血をはくホトトギス」と呼ぶ者あり〕
○藤田(高)委員 やはり先輩はなれておるだけあって、やじにしても適切なやじをされておりますけれども、私は決して事務当局を苦しめてやろうとか、言質をとらえて政府を窮地におとしいれようとか、そういうことを目的にして質問をしておるのではなくて、やはり今度の税制改正の基本的なものの考え方からいって、どうしても私は政治的要素を入れて納得しようとしても納得できないという点がありますので、個人的には半ばつらい思いで質問をしておるわけであります。私は、政務次官にこの程度のことはたいへん失礼な言い方ですけれども、お答え願えると思うのでありますが、これも税制上の問題として泉さんのことばを借りて言えば、新制高校を卒業したてのサラリーマンでさえ、いきなり所得税を納めておるのだから、いわんや私財を持っておる人たちが、この利子とか配当とかいうものは、元本に税金がかかるのでなく、いわゆる利子に対する税金であるから、やはり総合累進課税にすべきだという意味の見解が述べられておる。私は非常に適切な御見解だと思うのです。この点については、ことし中学校、高等学校を卒業したサラリーマンでさえ所得税をかけておるのでありますから、こういった利子あるいは配当については、やはり総合所得に返すことのほうがやはり正しいと思うのですが、それについてはどうですか。
○鍛冶政府委員 先ほど来申しますように、税法ということから考えますと、それは正論だと思います。けれどもそれに従われない政治情勢がある以上はやむを得ない。この点をひとつ御了承願いたいと思います。
○藤田(高)委員 あらためて政治情勢、政治事情ということが出てきたわけですが、これはぜひ大臣御出席の後において、その政治事情とは何であったか、それをひとつ具体的に聞かしていただくことを留保いたします。 次に進みたいと思いますが、所得税についてであります。これは事務的なことをお尋ねしますが、国税中に占める所得税の割合、それから国民所得中に占める所得税の割合、これは三十四年以降でけっこうですが、どういうことになっておるかお尋ねしたい。時間的にピッチをあげる意味から一度にお尋ねをしますが、四十年度の平均国民所得はどれくらいになっておりますか。四点は、平均国民所得に対する課税最低限の割合、これまた昭和三十四年以降どういう傾向をたどっておるか。五点は所得税の納税人員の増加状況、これまた三十四年以降どういうふうな数字を示しておるか。以上お答えをいただきたいと思います。
○泉政府委員 まず第一に国税全体、この場合には租税及び印紙収入に入っておりませんけれど専売益金、これは本来消費税と同じ性格を持っておりますので、われわれが分析を行ないます際には専売益金を間接税の中に入れて考えておりますが、その国税収入のうちで所得税がどの程度の割合を占めておるかと申し上げますと、昭和三十四年で申し上げますと二〇・三%、三十五年が二一・七%、三十六年が二二・二%、三十七年が二四・二%、三十八年が二五・三%、三十九年はまだ年度の収入が確定しておりませんので、一応補正予算の金額で見積もったところを申し上げますと二六・五%、四十年度が二八・二%、このように、所得税は御承知のとおり三十五年以降、日本の異常な経済成長に伴いまして国民の所得がふえてまいりまして、所得税のウエートはだんだん高まってきております。これは所得税の減税を毎年毎年やっておりましても、所得税の収入の弾性値が高いものですから、毎年減税をしてもそのウエートは高まってくるという傾向になっておるのであります。 次に、国民所得に対して所得税がどの程度のウェートになっておるかと申しますと、これはいま数字がございませんので、あとで調べて申し上げます。 次に、四十年度の平均国民所得は一人当たり二十三万一千円となっております。そこで、かりに標準世帯をとりまして、夫婦、子供三人ということで見ますと、五人家族でありますから百十五万六千四十五円ということに計算が出てまいります。 それから四番目のお尋ねは、この百十五万六千四十五円の場合に、日本の税法でいけば八万五千円の所得税になります。 それから、所得税の納税人員の推移でございますが、昭和三十四年におきましては千百八十九万人。戦後わが国の所得税の納税人員が一番少なかったのは昭和三十一年でございまして、このとき千九十一万一千人でございます。それが三十四年に千百八十九万ということになっておったのでありますが、その後、これも先ほど申し上げましたように、経済の異常な発展につれまして国民所得がふえましたので、年々減税を行ないましたけれども、納税者はだんだんとふえてまいりまして、三十五年が千三百八十八万四千人、三十六年が千五百十五万二千人、三十七年が千七百十六万七千人、三十八年が千九百八万二千人、こうなっておりまして、三十九年はまだ実績は出ませんけれども、一応の予算の見込みで申し上げますと千九百八十四万人ということになっております。四十年度では、予算で見積もったところでは二千二十六万八千人、こういうことになっております。 次に、国民所得に対して所得税の比率がどうなっておるかという第二点を申し上げますと、三十四年には三・二%、三十五年には三・九%、三十六年には四・一%、三十七年には四・二%、三十八年に四・四%、三十九年は先ほど申し上げましたようにまだ年度の数字がかたまりませんけれども、一応補正予算で申し上げますと四・八%、四十年度がこれも予算の数字で申し上げますと五・〇%、このようになっております。
○藤田(高)委員 いまお答えいただきました幾つかの数字の傾向を見ますと、この基準のとり方についてはいろいろ問題があろうかと思いますが、たとえば所得倍増計画の昭和三十四年を一つ起点にとりますと、三十四年から以降、たとえば国税中に占める所得税の割合が三十四年をピークとしてずっとふえておりますね。所得税が増大をしている。また国民所得中に占める所得税の割合も、これまた軌を一にして三十四年をピークとしてずっと増大をしております。さらには平均国民所得に対する課税最低限の割合というものは、これは率がむしろ横ばいといいますか、オーバーな言い方かわかりませんが、膠着的な状態を示しておる、こういういま御発表があったと思います。私はしろうとなりに判断をするわけですが、こういう傾向がなぜ数字の上にあらわれてくるのだろうか。こういう傾向を数字があらわすという一つの大きな要因は、所得税に対する課税最低限が低過ぎるということが一番大きな要素になっていると思うわけです。まずこの点についての見解を聞かしてもらいたい。
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和三十五年以降のわが国の経済成長の発展が非常に高かった、それにつれまして国民の所得の増加も著しいものがあったわけであります。ところが御承知のとおり、三十四年の九月に伊勢湾台風がありまして、三十五年には所得税の減税を、それまでずっと毎年やっておったのにやらなかったわけであります。この所得税の減税はやらないわ、所得は非常にふえたわということで、その後は毎年所得税の減税をやっておりますけれども、所得税の減税をやりましても、これがその後のなかなか追っつかない原因になっておるのでございます。その結果、所得のふえ方が多い割りには課税最低限の引き上げがそれに伴っておらない。そのために納税者が年々ふえていくというような形になっております。これはいなめない事実だと思うのでございます。しかしながら一たんこういう情勢ができ上がりますと、それをはね返して納税人員を急激に減らすというようなことをするには、非常に大きな減税をしないと追っつかないというような状況でございまして、そういった点からいたしますと、税制の点からいたしますと所得税の減税を大幅にやって、そういう点を救っていくことがいいかと思いますが、国の財政全体の立場に立ちますと、所得税の減税だけ、それだけをやるわけにいかない。歳出の増加にも必要であるというようなことでございます。そういった点を十分かね合って減税をどの程度やり、歳出の増加をどういうふうにするかということの判断が必要になってくると思います。
○藤田(高)委員 これはたいへん大事な点だと私は思うわけですが、先ほど発表になりました数字から判断しますと、やはり所得税の納税人員というものがずっとここ数年来二百万人程度ずつ伸びを示しておる。この納税人員がふえておるということ、先ほど私が指摘をした国民所得中に占める所得税の割合というものがずっと増大をしておる、さらにまた平均国民所得の中に占める課税最低限の割合というものが横ばい状態にある、こういうことは、結局名目所得は増大しておるのに、税金が多くかかるようになったけれども、それに半ば比例した形の課税最低限というものがそれに平行して上がらないで、いわばカーブとしては非常にゆるやかな形で横ばいをしておる。ここに私はその原因があると思うのです。これはあとで指摘するように、私ども社会党の立場からいえば、課税最低限は五人世帯で八十万程度にすべきだということを主張しておりますし、かたがたこの間の修正案の中にもそういった考え方が出されたと思うのです。私はいまの局長から数字を聞きまして、ちょっと計算尺ではじいてみたのですが、平均国民所得に対する課税最低限の割合の推移、この数字のうち三十四年の平均国民所得の額が五十四万二千二十円。これを一つの基準値にしますと、三十五年は一一八%、三十六年が一四〇、三十七年が一五〇、三十八年が一七二、三十九年が一九〇、そして先ほど御説明のありました平均国民所得の推定見込み額、四十年度百十五万六千、四十五年というのは指数の上からいきますと二一五になるんです。この三十四年を基準にとれば。私どもの算出の根拠としては、戦前を基準にとりたいところですが、これは総体的な比較論として三十四年をとらしてもらっても、いま申し上げたように平均国民所得で二倍強にふえております。ところが政府のいままでやってきた課税最低限というものは、三十四年を一〇〇としてその金額を三十一万三千百五十六円としますと、これは約の数字でありますが、政府がやってきておるのは三十五年が三十二万七千円、三十六年が三十九万円、三十七年が四十万八千円、三十八年が四十三万八千円、三十九年が四十七万一千円、そうして問題のことしは五十四万少々、こういうことになります。これをいま平均国民所得が伸びたものに一応比例をさして計算をしてみますと、三十五年が三十七万、三十六年が四十四万、三十七年が四十七万、三十八年が五十四万、三十九年で六十万、ことしは少なくとも六十八万ないし七十万の課税最低限というものを設定すべきだ。平均国民所得を一つの基準にとってそれに大体並行的な条件を付加するなれば、課税最低限というものは七十万程度になってしかるべきではないか。そういう措置をとることが必要だ。いわゆる百万以下の所得税の納入分布状況を見ますと、百万以下の所得が九割方を占めておる。九割方占めておるということは、百万以下のいわば低い所得層によって所得税というものがまかなわれておるんだということになる。そうなると、利子分離課税や配当分離課税ではありませんけれども、そういう勤労所得者層を中心にした減税というものを行なうべきじゃないか。それを行なう基本は、いま私がはじきましたのはおそらく間違ってないと思いますが、四十年度で六十八万ないし七十万程度の課税最低限というものを設定すべきじゃないかと思う。こういうことをやることがほんとうに国民のためになる税制改正ですし、減税案だと私は思うのですが、それに対する見解をひとつ聞かしていただきたい。
○泉政府委員 お話しのように、平均一人当たり国民所得の伸び率に合わせて、所得税の課税最低限を引き上げるということも一つの考え方であろうと思います。そういう点からいえば、お話しのように本年は六十八万ないし七十万程度でないと平均一人当たり国民所得の伸び率と合っていないということになります。しかしながら、平均国民所得と課税最低限とが必ず同じようにバランスしておらなければならぬかというと、それはまたそのときの財政事情によりまして必ずしもそうはいかない。私どものほうとしましては、いろいろお話ございますけれども、一つの基準として、課税最低限の考え方の場合には、マーケットバスケット方式による食糧費を基礎といたしまして、これから基準生計費というものを算出して、それで一応見ておるわけであります。もちろんその食糧費の内容につきましていろいろ御批判がございます。したがって私どもは、常にそれらの点をかみしめて検討してまいりまして、もっと食糧費の姿を妥当なものに持っていくという検討は常にいたしてまいりたいと思いますけれども、しかし平均国民所得に対する課税最低限を、同じ率に保つということはなかなか実施がむずかしいのではないか。それよりも食糧費の内容をもっと検討して、それをよりりっぱなものに持っていって、それを基礎にやっていくというのがいいのではないかと思っております。なぜかと申しますと、平均国民所得というのは、国民所得を人口数で割っただけでございまして、やはり抽象的な数字でございまして、具体的な家計にあらわれたような数字ではないわけであります。したがってわれわれが想定する夫婦子供三人という標準世帯でも、そういう標準世帯ではどういう生活をしておるかということは、結局それだけの収入があるということが前提になるわけであります。そういう具体的な数字に基づいて検討すべきものだと考えております。そういう点からいたしますと、課税最低限は引き上げるのが望ましいということは私どもも考えておりますが、しかし現実政策として考えますと、一挙に八十万円に上げろとおっしゃっても、現状が五十四万円でございますので、一挙に八十万円に上げることは、これは財政を破壊してしまわたい限りなかなかできない。やはり現実の政策としては、歳出の面と歳入の面とにらみ合わせながら、現状からどういうふうに改善したらやっていけるかということの探究をすべきものだと思っております。私どもといたしましてはそういう見地から、課税最低限をどういうふうに引き上げていくかということを今後とも検討したいと思っておるのでございます。
○藤田(高)委員 党の方針としては八十万という主張をしておるわけですけれども、いまここの論議では、総体的な比較論として、平均国民所得一いうものと、課税最低限というものの推移から見れば、六十八万ないし七十万程度になるじゃないか。大体政府がこういうものを一つの基準に有力な要素にして、適切な課税最低限というものをここ数年間設定してこなかったから、こういうことになっておるのだということを指摘しておるのです。ですからいままでの数年間のやり方が誤っておった、そういうあやまちを——泉局長のように人格りっぱな人ですから、そういう悪い根性はないと思いますけれども、八十万にすると、一つの比喩でしょうが、財政を破壊してしまうというようなお話でしたが、私は今日までの課税最低限の設定のしかたが平均国民所得を一つの基準にとってみても誤っておったのではないか、六十八万ないし七十万にしてもよろしいのではないか、こういうわれわれの主張であります。たまたまそのことを一つの条件にとりますと、いや実はマーケットバスケット方式によってやったのだ、こうおっしゃる。私どもからいえば、むしろこのこと自体のほうが問題がある。これはきょうは限られた時間ですから、マーケットバスケットのこの大蔵省からいただいた資料は持っておりますけれども、私も労働組合出身でマーケットバスケットを中心にする賃金論についてはいささかやってきたほうなんで、このことについてはたいへん私自身も興味を持っておるので、時間があればやりたいところでありますが、きょうはそれはやめます。やめますが、このマーケットバスケット方式による一つの手段として出ておるのがこれまた税調の資料にあると思うのです。これでいきますと、いわゆる五人世帯の「マーケット・バスケットによる食料費を基準にして算定した生計費と改正案による課税最低限との比較」、こうなっておる。この表を見ますと、いわゆる五人世帯が赤字になっておる。四人世帯も赤字、独身も赤字なんです。この資料を一応基準にしますと、二人世帯と三人世帯のところだけが赤字が出ていない。あとは赤字が出ておるのですね。こういうマーケットバスケットの資料を中心にして考えた場合にもやはりこの最低限度額というものは低いということが言えるのじゃないか。いわんや五十四万何がしで設定をしておるこの五人世帯の課税最低限、独身者でいう二十万そこそこの課税最低限というものは、これはエンゲル係数四五%ではございませんけれども、憲法にいう文化的な生活を営むことのできる課税最低限じゃないと私は思う。これはたまたま前段私が平均国民所得に対する課税最低限の割合というものを引き合いに出しましたが、いま局長のおっしゃられるような条件を加味し、さらにはいま一つ加えますならば、全国一律最賃制の問題ではございませんが、今日の労働市場から見てやはり初任給というものを上げないことには人が職場に求められない、こういう実態からいって比較的初任給というものは上がってきておるわけなんですね。こういう条件から見ても、初任給が上がるということはそれだけ独身層といいますか、下層に対する所得税の対象数が多くなるわけですから、それだけ絶対数がふえるということになれば、そういう要素も加味して課税最低限というものは当然もっと引き上げられてしかるべきだと私は思う。その点についての見解を聞かしてもらいたい。
○泉政府委員 マーケットバスケット方式による食料費を基準にして算定した生計費と課税最低限との比較でございますが、なるほど三十九年の消費支出金額を基礎にしてみますと、現行法による課税最低限との間では、独身のところと四人世帯と五人世帯のところでは赤字になっております。いま御審議いただいております所得税の改正によりますと、初年度でこの五人世帯までそれぞれ黒字になるわけであります。ただ課税最低限との差ということになりますと、独身世帯で税制調査会案は二万一千円になることになっております。政府案ではそこまでいっておりませんけれども、しかしまあ黒字にはなる。しかし独身世帯と五人世帯のところで黒字の幅がほかの世帯に比べて少ない。そこにいろいろ問題があるということは私どもも十分承知いたしておるのでございます。先ほどお話がございましたように、最近の初任給の引き上げというものが非常に大きい。そのために課税最低限の引き上げがそれに追っついておらない。これはお説のとおりだと思っております。したがって、私どもとしては課税最低限をそういう方向で上げていくことが必要だと考えております。今後はそういう方向で検討いたしたいと思うのであります。
○藤田(高)委員 努力方向としてこれは具体的に御努力願いたいと思うわけですが、いま私が指摘したような要素も付加して、従来のような横ばい的な半ば微温的なようなやり方ではなくて、根本的に課税最低限というものは引き上げる方向で御検討、御努力願いたいと思う。 それで、このことに関連して私はこの機会にお尋ねしておきたいのですが、今度の税制調査会の答申案は基礎控除が十二万を十四万に引き上げた。二万円の引き上げ、こういう案が出されておるのに対して、政府案は十二万を十三万、一万引き上げ。配偶者控除を十一万を十二万に引き上げ。結局そこでつじつまをかっこうとして合わせて二万円、こういうかっこうになっておると思う。ところがこれによって相対的な犠牲者といいますか、犠牲をこうむるのは独身者だと思うのです。独身者は基礎控除が上がれば世帯持ちと同じように二万円基礎控除が上がるわけですけれども、これはオーバーな言い方かもわかりませんが、配偶者のために独身者が犠牲になるような税制改正を政府がやっておるのですね。次の時代を背負う青年はこれからやはり結婚の準備もしていかなければならぬ。そして職場においても生産点においても、社会的に第一線で働かなければいかぬ青年を対象に考える場合に、税制調査会の答申案もこれまた尊重することが正しかったのじゃないかと思うのです。われわれとしてはぜひそうしてもらいたいと思うのですが、それに対する見解はどうでしょう。
○泉政府委員 この点につきましては、税制調査会の答申が出ました後政府案がつくられる過程の間におきましていろいろ論議のあったところでございますが、先日もどなたかにお答え申し上げましたように、税制調査会の答申が出まして政府案を検討する段階で一番問題になりましたのが税率の点でございます。税率を緩和するということ、これは税制調査会でもかなり大きなポイントを置いた答申であったわけでございますが、ただその内容が課税所得三百万円以下の税率を緩和するということになっておる。ところが現在において必要なのは何かということになると、やはり所得税では課税最低限を引き上げるということが先決ではないか。そこで税率につきましては、いまそういう緩和をはかる反面、最低税率の八%を一〇%に上げるということにしておりましたので、税率の上がる階層におる人たち、この人たちには実は税率だけでは増税になります。そこで基礎控除を二万円引き上げることによって増税にならぬように、負担がふえないようにして税制調査会案ができておったわけであります。しかしながら、給与所得者の場合は問題ないのでありますが、事業所得者の場合でありますと、独身者ですと少しも減税にならない階層が出てくる。それはみんなが減税を受ける際に好ましくないではないかということから、そういうのは結局は最低税率を引き上げておるからだ。そこで、最低税率を引き上げないで税率の緩和だけはかるとしますと、四百六十億の減税になる。それではなかなか財源がもたないということからいたしまして、税率の改正はやむを得ないから、この際は見送りにしようということになったわけでございます。そこで税率の改正で六十億、初年度は五十億でございますが、財源が浮いてきたわけでございますが、しかしそれではそれ以外の内容は全部税制調査会の答申どおりやるかということになりますと、基礎控除を二万円上げるということで、お話のように独身者はよくなっておるわけでございますけれども、基礎控除と配偶者控除とは、昭和三十六年のときは同額で出発したのでありますが、だんだんその差が開いております。現在二万円。ところが税制調査会案で基礎控除を二万円上げて配偶者控除をそのまま据え置くということにいたしますと、その間三万円の開きになるわけであります。そこで基礎控除と配偶者控除が三万円も開くのははたしてどうだろうかということになりますと、基礎控除を二万円上げて、さらにそのほかに配偶者控除を上げれば、それができれば問題はないのであります。そうしますと、減税財源が非常にたくさん要る。そこでやむを得ず、基礎控除の二万円引き上げを一万五千円にするか一万円にするかといういろいろ議論があったわけでございます。結局は一万円引き上げにとどめる、そのかわりに減税財源でいきますと、基礎控除を一万円引き上げますと百八十億要るわけでありますが、配偶者控除を一万円上げた場合には百億で済む、それならば百億でも配偶者控除の一万円引き上げをしておこうじゃないかということになったわけでございます。お話しのように配偶者のある者のために独身者が犠牲になったのだというような表現ができないことはないと思いますけれども、まあそれは少し酷になるのではないか。私洗いざらい改正案が出てくる過程を申し上げたのであります。そういう経過をたどったのでございます。しかしそのために、政府案によりますと、税制調査会の案の場合よりも所得税の納税者が約四十万人ふえることになっております。これはいろいろ低い所得階層の人の負担がふえるという意味で問題のあることとは思っております。今後の税制改正の際におきましては、先ほどしばしばお答えいたしましたように、そういう独身者の初任給、結局そういう中学校、高等学校を卒業した人の初任給とそういう人々の課税最低限とがうまくなるような方向で検討したい、こう思っております。
○藤田(高)委員 次に、課税最低限の問題ですが、独身者が二十万ちょっと、五人世帯の場合は五十四万ちょっとが一つの限界になっておるわけですけれども、先ほどの局長の御答弁ではないですが、マーケットバスケット方式から見てあの献立の内容を見ますと、これは本会議でも予算委員会等でもすでに触れたところですが、子供に一これは子供に限らなくてもいいと思うのですけれども、毎日なま卵一個あるいは牛乳一本、そういうものを飲めるようなマーケットバスケットにはなっていないですね。それは私はこれだけ——本会議ではありませんが、日本の経済発展、今日ただいまのいろいろな企業倒産がどうだ、あるいは高度成長政策が行き詰まってこういう状態が起きているじゃないか、そういう政治上の責任を追及するような問題は別にして一応留保して考えた場合に、政府筋のことばを借りて言えば、ここまで経済が発展し成長してきている、こういう中における所得税の中に見積もられておる課税最低限の中に占める献立表というものが、こういう貧弱なものでよろしいのでしょうか。私はこれはやはり、ひとり課税最低限の問題だけではないと思いますけれども、こういう内容が今日の日本国憲法にふさわしいような献立表になっていく、これがお互いの政治的な努力目標でなければならぬと思うのですが、その点についての見解はどうでしょう。
○泉政府委員 お話しのとおり国民の所得がふえて国民の生活内容が向上する、これはもう政治の目ざす目標であることは申すまでもございません。したがってマーケットバスケット方式による食料費の計算にいたしましてもそういう意味で今後十分改善検討を加えていく必要があることは、先ほど私が申しましたとおり私どもも十分感じておるところでございます。ただ、税のときには減税減税ということになりますが、歳出の面になりますと今度は歳出をふやせというのがわが国の国民の一般的な風潮でございまして、そういうことでは財政というものはもたないということになるわけでございます。したがって税だけを減税しろというだけではなく、それと同時に歳出はふやさないのだとか削るのだ、こういう方向が出てこないと、なかなか財政としてバランスしない。それでは公債を発行すればいいじゃないかとおっしゃられましても、そういう公債を発行するということの他の金融、経済に及ぼす影響も考えなきゃならぬ。そういうことからいたしますと、やはり一足飛びに姿を変えたようなことにはなかなかやりにくいのであります。非常にあゆみののろいことかもしれませんけれども、一歩一歩改善の方向に向かって努力していく、この努力の積み重ねがたいへん必要なのではないか、私このように思うのであります。
○藤田(高)委員 これはいまの局長の御答弁のような筋からいきますと、それは私ども党の立場ということになれば、財政構造全般の改革ということが問題になるわけでして、一般にいわれておるように、出すものは幾らでも出せ、税金を払うのはいやだ、しかしやるものはどんどんやってくれ、こういうことはお互いに国政を論ずるものはそういう意味の無責任な考え方では論議をしてないのでして、私はやはり今日の日本経済の状態に見合った献立ないしはマーケットバスケットの内容というものはこういう貧弱なものであってはならぬということは、政府みずからもまた、こういった政策立案にあたるそれぞれの衝にあたるものが、積極的に、むしろこういう内容を向上さす、この考え方がなければ、私は逆に言わせてもらえば、金がないのだ、財源を償うためにはこういう低い生活にでも甘んじてもらわなければいかぬのだ、こういう逆論法にもなるのでして、そういうことでなくて、やはり日本の経済が一つの跛行的な性格を持って発展してきたとはいえ、一方では非常な高所得層が存在しておるというこういう実態の中から見た場合に、私は課税最低限を引き上げていく、その課税最低限の中に盛られたマーケットバスケットの内容というものは、もっともっと人間らしい生活のできる、文化的な生活のできる条件を入れるべきだ。この点については政府も率直にそのことは認めてしかるべきじゃないか。当面どこに基準を置くかという点については、それは立場の相違によって若干の違いが出るかもわかりませんが、私が指摘したように、私としては少なくともやはり六十八万ないし七十万程度の課税最低限が引かれる程度のところまでこのマーケットバスケットの内容というものを改善すれば、いま私が指摘をしておるような貧弱な食生活の内容から他の文化的な生活要素も総体的に上がってくる、こういうことを指摘しておるのでありまして、その点については政府も文字どおり、私は、積極的に今後こういう内容の改善に努力を払ってもらいたい。こういうことはお約束できると思うのですが、どうでしょう。
○泉政府委員 お話のように、マーケットバスケット方式による食糧費の内容の改善につきましては、私どもも今後とも努力してまいりたいと思うのでございます。ただ、あれをごらんになって、いかにも食糧費が少ないじゃないか。百六十七円四十八銭でどうやって食っていくのだというおことばがございますが、しかし、これは総理府の統計で出ておりますけれども、全国の人口五万以上の都市の勤労者世帯の平均一カ月の食糧費は一万七千二百六十五円でありまして、その世帯は、これはいろいろな世帯を総合いたしておりますために、四・二人の計算になっておりますが、これで見ますと、一人当たりの一日の食費は百三十九円三十四銭になっておるのであります。われわれが算出いたしました食糧費の百六十七円四十八銭というのは、これは成年男子の食糧費でございますので、これを五人世帯の子供なんかを入れて計算しますと、大体この百三十九円三十四銭といった数字に近いものになっておるのでありまして、具体的に申し上げますと、百三十八円五十四銭ということに相なっておるのでございます。そういう意味では、このマーケットバスケット方式による食糧費の改善をはかることも必要でありますけれども、と同時に、現実の勤労者世帯の食糧費がそれしかないのだ、そういう生活の実態しか存存しないのだという事態の改善も、私必要であろうと思うのでございます。食糧費の計算だけふやしても、現実の生活がそれに応じて向上するようなものにならないと、私いけないのだと思うのでございます。お話の点につきましては、私どもも今後鋭意検討を加えまして、食糧費の内容がもっともっと国民の食糧費として恥ずかしくないようなものになるように努力はいたしたいと存じます。
○藤田(高)委員 いまの総理府の資料からいきますと、さらに三十円ばかり低い生活をしておる。これが実態だ。労働者の生活あるいは勤労者の生活水準というものはそういうものだ。これは決して局長は、総理府の数字がこういう低いものだから大蔵省のなにのほうはまだよりまし的なものだという意味じゃなかったと思いますけれども、私は、こういう状態に置かれておるような大多数の勤労者層というものが御承知のように広範におるわけですから、こういう人たちからその所得税を取るということ自体今度は問題になってくると思うのですよ。これは戦前の所得税を課税しておったその比較ではございませんけれども、それ自体が問題になってくる。しかしこのことは、私は、きょうは質問の内容にはこれ以上触れようとは思いません。ただ、局長から、そういう実態にある勤労者層の生活水準を他の面において向上さすことは必要じゃないか、これは非常に私は積極的な御発言として歓迎をするわけですが、これはたとえば、そういうためにこそ健全なる労働運動がある一つの大きな役割りも果たしておりますし、問題は、やはり全般的な政府施策の中で、そういった勤労者の生活が総体的に向上できるようにならなければいかぬと思うのです。 そこで私は、たまたま勤労者の問題が出ましたから、続いて退職金に対する課税問題をお尋ねしたいと思うのですが、まず事務的なこととして、間違っておったらいけませんので、私も若干の調査はいたしておりますが、現行制度による退職金に対する課税方式はどういうことになっておるか、ちょっとお尋ねをしたいと思うのです。
○泉政府委員 退職金につきましては、勤務年数に応ずる控除というのをいたしておりまして、従来は、年令の差異に応じましてその控除に差等があったのでございますが、昨年の改正におきまして、この勤務一年について五万円を控除する。したがって、学校を出まして就職いたしまして、三十年勤務するということになれば、百五十万円を控除する。その控除した残額の二分の一に対して、他の所得と分離して税率を適用して課税する、こういうことになっております。
○藤田(高)委員 それでは確認の意味でいまの御答弁を繰り返しますと、退職金から特別控除を引く。その特別控除は、勤続一年に対して五万円の割りで勤続年数をかけたものが特別控除である。ですから、一つの例をとりますと、三十年勤続して三百万円の退職金をもらった。そうしますと、勤続一年に対して五万円の三十年ですから百五十万円。それを引いた残りの百五十万の二分の一、つまり七十五万円が課税対象額になる。この七十五万円に対して税率が、いろいろ刻みがございますね。 〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 その刻みに沿って、たとえば五十万円から八十万円のランクで二〇%だったら二〇%のその税率をかけるんだ。こういう算式だというふうに理解していいわけですね。
○泉政府委員 さようでございます。
○藤田(高)委員 それでは課税方式は理解できましたが、そこで、給与所得の総額は四十年度で幾らになっておるか。その給与所得総額の中に占める退職金の額というものはどの程度になっておるか、これを説明してもらいたいと思うのです。——ちょっと時間がかかるようでしたらあとでもかまいません。
○泉政府委員 給与所得のほうから申し上げますと、今度の税制改正が行なわれた後の姿で見ますと、十兆五千五百八十九億二千七百万円というのが給与の総額になっております。それからいろいろな控除が行なわれるわけでございます。 それから、退職所得の——退職のほうのトータルがいまちょっと手元に資料がございませんのであとで申し上げます。
○藤田(高)委員 給与所得総額は十兆幾らということでわかったのですが、その中の所得税はわかりますか。
○泉政府委員 これは予算の説明のほうに出ておりますが、この算出された源泉徴収の税額では五千六百六十六億七千五百万円ということになっておるわけでございます。
○藤田(高)委員 この五千六百六十六億七千五百万円のうち、退職金の課税の額ですね。これは大体あとで詳しい資料はいただくことにして、ごく概数でどの程度になるか、いまわかりませんか。
○泉政府委員 いま申し上げましたのは給与所得に対する源泉徴収の税額でございまして、退職のほうはそれと別になっておりまして、退職所得についての——先ほど申し上げましたように、退職所得は分離課税になっておりますので、源泉徴収で終わるというのが多いのでございます。一年間に二カ所から退職いたしますと、これは普通の人にはないわけでありますが、会社の重役さんなんかにはあるわけですが、そういう場合には申告納税しなければなりませんが、普通は源泉課税だけで終わるわけであります。それで申し上げますと、退職所得の源泉徴収税額は百四十億七百万円ということになっております。
○藤田(高)委員 四十年度ですね。
○泉政府委員 四十年度でございます。
○藤田(高)委員 基礎的な数字は大体理解できましたが、そこで、これはここ十年余りの経過の中で、退職金に対する減免措置についてもそれぞれの努力が払われておるところですけれども、基本的に私どもの立場から申しますと、先ほどの泉局長の御答弁ではないですが、総理府が発表しておる勤労者の一日の食費は百三十九円、これはたまたま、毎月勤労統計ですか、この資料によりますと、三十人以上の総平均が三万六百十円、一年間の所得にして三十六万七千三百円。五百人以上の、いわば中企業以上の平均でいきますと、月三万四千四百三十八円、年所得四十一万二千八百円、これが平均賃金になっております。これは男女込みであります。ところが男子だけの平均をとりますと、三十人以上で年収四十三万四百七十六円。五百人以上の場合は、男子だけで年収約四十八万、こういういわば非常に低賃金の実態を示しておるわけなんですね。こういう低賃金で働いておる勤労者が、しし営々として二十年、三十年働いて、そうして支給される退職金に税金がかかるというのは、これは何としても私どもとしては理解できないわけです。事ごとに引き合いに出すようでありますけれども、例の利子分離課税やその配当——分離ではないですけれども、そういう高額所得者なり資産家に対しては、もう優遇にも優遇の措置を講じながら、片やこのような低賃金で働いておる生産勤労者に対しては、退職金にまで税金がかかっておる。昨年度の改正で、私は率直に言って退職金の額が全国的にまだ非常に低いですから、その低いために昨年の改正というものがかなりいい面の改正になっておると思うのです。思いますけれども、いま私が指摘したような低賃金の労働者の退職金に課税するということは、これは基本的に間違っておるのじゃないか。いわゆる退職金とは何かという性格論になれば、賃金のあと払いであるとか、あるいは社会保障制度の補完的な役割りを果たすものであるとか、あるいは長年の勤労に対する功労加算的なものを加味するんだとか、いろいろ言い分があると私は思いますけれども、政治的な立場から判断をするなれば、これは日本の社会保障制度というものが……。 せっかく大臣がお見えになりましたので、大臣には若干寸足らずの質問になるかもわかりませんが、私ども働く勤労者の立場からいいますと非常に重要な問題でありますし、かたがた今回の税制改正の中には、以下申し上げるような条件というものが含まれてないという観点から、私どもとしては非常に重要視しておる退職金に対する課税の問題であります。これは先ほど主税局長のほうから説明を聞きまして、昨年の改正でかなり働く者にとってもいい条件に改善されたという説明があったわけですが、私どもの立場からいいますと、退職金に対する性格づけ、見方というものはいろいろありましょうけれども、私どもの見解をもってすれば、退職金とは今日の日本の社会保障制度というものが十分でない。したがって、その社会保障制度を補完するという立場から、個々の職場においては労働者の生活上の、これは主として老後の生活でありますが、老後の生活防衛手段としてつくっておる制度が退職金制度であり、退職金だというふうに私は考えるわけです。そういう観点からいきますと、私が先ほど数字を提供しましたように、今日の労働者の賃金実態というものは、総理府の資料によりましても、三十人以上の全労働者の男女込みの平均賃金は月三万程度、年収三十七万程度、五百人以上の企業をとりましても月三万四千五百円程度、年収四十一万二千八百円程度という平均賃金自体がそういう低賃金であります。また男子だけをとっても、三十人以上の込みの男子の平均賃金というものは、年収にして四十三万そこそこ、五百人以上の企業の男子だけの平均賃金をとっても四十八万そこそこ、こういう低賃金の労働者がしし営々として、いわば積み立てた退職金に課税をするということは非常に酷なやり方ではないかと私は思うのですが、まず基本的な問題として、せっかく大臣お見えになりましたから、ひとつ大臣の御見解を聞かしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 私もあなたの言うような考え方を基本的に持っております。税の理論の上ではいろいろな問題があるかもわかりませんが、少なくとも一人の人が長い間かかって最後に受ける給与といいますか、そういう意味から考えて、私は退職金というものに対しては何年以上働いた者は幾ら、二十年以上の者は幾ら、三十年以上の者は幾らというふうな限度を設けてもいいと思いますが、これは税制改正で相当な控除があるとはいいながら、いまの退職金ということを考えますと、私はある程度までの限度には課税をしないというような原則は好ましいことだということで、私自身も大蔵省に参りましてから退職金に税金をかけないようにできないかということを研究いたしました。しかしいまいろいろ問題になっておる政府関係機関等で一期やったらすぐ退職金をもらう、それをみんな課税対象からはずすということは給与とのバランスから見て問題があるということもありましたが、私はやはりさっき申し上げておるように二十年、三十年、人生における一番最後の報酬、それをもとにして余生に対する希望をつなぐというものでありますから、そういう意味で何らかの区分をしながら免税の制度を考えられないかということで将来とも検討してまいりたいと思います。私はまあしろうとではありますが、生命保険をかけたらいわば子供に対して幾らかずつの、限度があっていいと思いますが、それと退職金に対しては非常にあきらめきれないというような気持ちで今日までもおりますので、将来だんだんと控除の額が上がっていくということはもちろんでありますが、何かこう何十年働いて最後に受けるものはそのまま自分の手に入るのだというようなことは、政策の上でもやはり大きな効果があるものだという考えでおるわけであります。
○藤田(高)委員 基本的な考え方についてはやはり廃止といいますか、そういう長年の勤労の功に報いるという性格を持った立場から、文字どおりこれは前向きで検討したいというそういう御答弁に対しては私は敬意を表したいと思うのです。具体的な問題として、今度の税制調査会の案の中には四十年度の改正案としては出てきておりませんが、少なくともそれだけの前向きのお考えを大蔵大臣がお持ちであれば、なぜことしの改正案の中にそれを盛り込むことができなかったのか、お尋ねしたいと思います。
○田中国務大臣 そこまで言われるとまた困るわけでございますが、基本的な面で私も大蔵省に参ってから三年間、また将来とも私はそういう姿勢でいきたいということをすなおに申し上げたわけであります。減税でやりたいことは非常にたくさんあります。私もいま当委員会に出席する前に国税庁次長に、いまの税率を半分にしたら一体幾ら減収になるのだ——絶えずお互いがやはり減税はしたい、こういう立場にあることはこれはひとつ認めていただきたい。しかし財政収入の面も考えなければなりませんし、一年間のものではなく、いままででも十年間引き続いてずっと減税をやっておりますし、乏しい財源であっても減税というものは将来もずっと続けていきたい。こういう思想でありますから、今度の中でなぜやらなかった、こういうことになりますと、理屈で申し上げますと二、三年前にもやりましたからとこういうことになるわけであります。そうではなく、やりたいというものもたくさんありますので、こういうものをやはり一つずつでも実現させていくという考え方でございます。
○藤田(高)委員 ことしなぜやらなかったか、そのことについてはこれ以上追及しようと思いませんが、それでは来年度以降の税制改正の中では優先的に善処願えるかどうかお尋ねいたします。
○田中国務大臣 まあ基本的姿勢を申し上げたのでございますから、これでひとつ御了解いただきたいと思います。そのほかにまだいろいろ予算審議の過程において妻の座に対して百億にのぼる減税も来年最優先にしなければいかぬとか、いろいろな問題が提起されておりますので、あなたの御発言をひとつ十分体して、減税というものに対しては前向きで非常に誠意を持ってやっているということでひとつ御了解いただきたいと思います。
○藤田(高)委員 これは冗談ではなしに、ガソリン税の問題ではないですが、その程度の善処方を約束してくれることを期待して実は質問したのですが、そこまでは私もお答えをいただこうと思いませんが、いま御答弁のありましたように、誠意を持って検討し努力をする、こういうことで了承したいと思うのです。 ただこの際、若干こまかいことになりますが、これは局長にお尋ねしたいと思うのです。私は今度の税制改正の独身者の二十万の最低課税、これから退職金というものの課税額というものをはじいてみますと非常に矛盾がある。なぜなれば、年間二十万の独身者に対して課税されるということ、それまでは課税がされないわけですから、公務員の賞与でいいますと年間四・二カ月、だから十六カ月で計算しますと、これは非常に概数ですが、月一万三千円までは税金がかからないということになります。 〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 そうしますと、退職金について十五年、二十年、二十五年、三十年、こういうふうにいろいろ刻みがございますが、三十年で計算をしてみますと、三十年の十二カ月で三百六十カ月、これに一・三万円をかけますと四百六十八万という数字が出てくるわけです。これは概数ですが、そういう計算方式でいきますと、十五年で退職するのを五十五歳と押えて、逆に五十五歳から十五年の場合だったら四十歳で会社へ入った、こういう形でいきますと、これまた十五年の場合でしたら一・三万円かけますと二百三十四万、約二百四十万、二十年の場合でしたら同じ計算でいって約三百二十万、二十五年の場合には約四百万、三十年の場合には約四百七十万、こういう数字が出るわけです。きょうは夜中まで審議するらしいのですけれども、私の持ち時間はもうあとわずかばかりしかありませんので結論を急ぎたいと思いますけれども、こういった計算の内容と、この三十九年度の税制改正に関する答申の審議内容、この中にはいわゆる現在の改正案にある退職所得のどの程度までは税金がかかるかというなにがあります。これといろいろ比較してみますと、いま私が一つの試算的なものを提示したのですけれども、これとの間にもかなりな差があるわけです。私は少なくとも課税最低限として独身者の場合に二十万円という線を引くのであれば、いま個別的に計算をしたようなものを一つのよりどころにしても、これは退職金に対する課税最低額というものをもっと引き上げる必要がある。その引き上げ方については、いまの勤続一年に対して五万円というのを七万ないし八万にするという方法もあるだろう。それはどういうシステムをとるかは別にして、ぜひ大蔵大臣の、来年以降の税制改正の中では積極的に努力をしてみよう、緊褌一番とは言わなかったけれども、ひとつ努力してみよう、こういう線に沿っていま私が提示したような具体的なものを十分参考にして御検討願いたいと思う。 ただ、この機会に局長にお尋ねをしておきたいのは、独身者の所得税における課税最低限二十万とこの退職金の現行制度による課税の基準との間には相当矛盾があるのではないか、この点についての見解を聞かしてもらいたいと思います。
○泉政府委員 退職所得の性格については、先ほど藤田委員もおっしゃいましたように、わが国の学者の間にもいろいろの見解がございます。そこでいま藤田委員は給与所得の課税最低限、一月当たりから算出して退職所得の場合にも同じ考え方は適用できないかという御意見でございますが、これはまあ働いておる間の給与所得とそれから退職するときの所得と、これはかなり性格は私は違うといわざるを得ないと思います。そういう意味では退職所得の課税最低限についての一つの検討資料にはなると私は思いますので、貴重な御意見として拝聴いたしましたが、しかしそれだけの基準で事を考えるわけにはいきませんので、やはりわが国でいま勤続二十年、三十年、二十五年というような場合に幾らの退職金が支払われておるのか、大企業はどうか、中小企業はどうか、そういった退職金の支払いの実態を見まして、そして勤続年数に応じて控除がふえていって、まあ私は退職金に全然課税をしてはいけないとは思いませんけれども、退職金に対する課税が妥当なところまでは課税にならぬような方向で検討していくべきものだと思っておるのであります。ただ、これは大臣もおっしゃいましたように、退職金に対する課税につきまして改正を行ないますと、えてしてそれが会社重役さんがほうぼうの会社の重役を兼ねておって、そのやめるときに非常にたくさんの恩典を受けることになるのは好ましくないのであります。そこで長年勤務した人とそうでない人との間にはどうしても差を設けざるを得ない。ただ、そうしますと、同じ勤労者でも、勤務年数が短くて退職すると、重役ではないんだけれども重役級の扱いを受けることにならざるを得ない。そこら辺に退職金課税というのもいろいろなむずかしさがあるわけでございます。せっかくのおことばでございますし、私どももかねてから考えておるところでございますので、退職金に対する課税につきましては、今後とも十分検討してまいりたいと存じます。
○藤田(高)委員 これは最初からえらいこだわっておるような言い方でありますけれども、例の利子分離課税やあるいは配当の実質的な分離課税がやれるくらいな器用さを今日の政府なり事務当局は持っておるわけですから、いま言われた重役のあっちこっちから集めてくるような退職金に対して適正な課税を行なうというぐらいなことは朝めし前にやれると私は思うのですよ。私どもはそういうものを中心にした退職金に対する課税を論じておるのではないので、私どもはまじめに新制中学なりあるいは高等学校なり大学を出てそうして長年企業の中で生産点で働いた人に対する退職金、私ども働く者の立場からいっても、完全な、りっぱな社会保障制度ができ上がった暁には退職金制度というものに対しても私は考え方が変わってくるだろうと思うし、やはり近代的な労使関係というものについては、若干話が横道にそれるかもわかりませんが、私は社会保障というものが完備できれば個々の労使間の中で退職金をどうこうするというようなことは、これはだんだんと影が薄くなってくると思う。またそういう方向にあるべきだと私は考えています。ですからいま先ほどから質問をし、指摘をいたしておりますことは、少なくとも今日の状態の中において社会保障制度が不完備な状態の中で、いわば社会保障制度の補完的な役割りを果たす退職金という前提に立ち、片やまじめな勤労者の老後の生活を維持、保障する、こういう退職金に対してはぜひ大臣が御答弁になられたように基本的には配慮をしていく、課税をしない方向で検討していく、こういう線に沿ってぜひ事務当局としても御検討願いたいことを、これは強く要請をしておきたいと思います。 そこで、大臣がお見えになりましたので、先ほど実は政務次官はじめ主税局長にお尋ねをした中で、問題といいますとどうかと思いますが、きょう私自身がここで質問をしました一つの中心点として例の利子分離課税及び配当に対する実質的な分離課税の問題であります。これは昨日総理と大臣の御答弁も聞かしていただきました。しかしその御答弁の内容は、私の理解に誤りがなければこういうことであったように思うわけです。税制調査会の答申は廃止する方向で答申案を出してきておる。ところがこの点に関する限りは逆行した形の処置がいま政府によってとられつつある。なぜこういうことにならざるを得なかったのかということについては、総理も大臣も資本市場を育成する、資本蓄積を行なう、貯蓄を奨励する、あえていえば以上三つに集約されるような御答弁の内容であったと私は思うのです。ところが、これはたまたま事務当局を引き合いにして個人的には失礼であったかと思うのですが、先ほど来から昨年の十一月三日の泉さんの写真入りの見解を実は引き合いに出させてもらった。それによりますと、やはり学のある人だけあってなかなかりっぱなことを言われておる。これは経済学においてもこういうふうな分離課税をやったから資本蓄積がなされたり、あるいは貯蓄の奨励がなされるのだということは、これは間違いだということを言われておるわけですよ。それであれば、この総理なり、大臣の言われたこととこれは全く食い違うじゃないか、こういうふうに質問をしますと、この種の重大な答弁は、大事な答弁は、これはやはり次官ではやれぬと、こうおっしゃるから、私は次官さんともなると、こういったことについては大臣と全く不離不即の関係で、一致した見解で政務をあずかっておるのだから御答弁できると思いましたけれども、おそらく鍛冶先生のなにからいいますと、謙譲の美徳を発揮されて大臣と答弁を譲られたのだろうと思いますが、私は率直に言って昨日の答弁と、この私どもが信頼をいたしております主税局長という重要な行政機構の中にすわっておる人の見解がここまで、極端な表現をさしてもらえば百八十度違ったような見解のもとに今日の行政がなされるということは、日本の政治が行なわれるということは、私はある意味において悲劇だと思う。この点については私は大臣の御答弁には、あるいは総理の御答弁には賛成しかねるわけですよ。やはり分離課税の問題については主税局が「エコノミスト」の中ではしなくもお答えになられておることを私どもは支持する立場をとっておるわけです。そういう立場から、こういう見解は、昨日の総理及び大臣の答弁というものはある意味においてというか、本質的にはこれは筋が通らぬじゃないかということを強く重ねて質問をしますと、政務次官の御答弁では、そういう筋としては、税制上の考え方としては主税局長の言うとおりだ、しかしこれにはこういうふうになったのは特別な政治事情があってこうなったのだと、こうおっしゃるのですね。それでは特別な政治事情とは具体的に何ぞや、その具体的事情というものを明らかにしてもらわないと、筋はなるほどそうでございます、税利上の観点からいってもそれは正しいことです、しかし別に政治事情があって筋とは逆のことになったのですということになると、そこでそれでは具体的な事情というものは何と何と何であったのか、これをひとつ国民の前に明らかにしてもらいたいというのが、私の実は大臣にお尋ねをしたい要点でございます。
○田中国務大臣 「エコノミスト」に泉主税局長が述べたことは、学問的なものとしてまた税制に対する基本的な考え方としてりっぱなものであると評価をしています。またこの施策をとりました後に学者がいろんな批判をしておりますが、一理があると私も十分考えておりますし、また謙虚な立場でこれらの批判にこたえたいという考えでございます。しかし過程においてまた原則的な理論の上ではそういうことがあります。現実の問題としてはそれと反するものをとらなければならないということもあり得るのです。これは税は公平でなければならぬということはだれもが異論がありません。異論がありませんし、公平でなければならないけれども、石炭企業がつぶれそうになれば税においても特別措置をとるのであります。(「それとこれとは別だ」と呼ぶ者あり)いや、別だと考えるのが大体おかしいのです。だからそういうことは、結局いまのあらゆる特別措置をあなた方は全部排除しなさい。これは排除できるような事態の招来こそ望ましい、こう私たちも答えておりますし、そう思っておりますが、いまの凡百の特別措置も、税理論からいえば早くこれを廃止しなければならない。しかし社会情勢がそういう特別措置を必要とする情勢にあるので、政策目的を達成するために遺憾ながらそういう特別措置をとっておる。その特別措置をとっておるものを一歩進めて今度の特別措置をまたとった、こういうふうに理解をしていただけば、幾らか私たちの考えがおわかりになると思う。 もう一つ、学問的な理論においてもまた一貫する理論においてもそういうものをとっていかなければならないということでありながらも、それと逆な政策を一時ある時期とらなければならぬことはあります。これは国際的にも、日本は輸出依存の国でありますから、対日差別待遇を撤廃させなければ日本の輸出が伸びない。そういうためにはどうしても日本も開放経済になり、相手に対して対日差別待遇を撤廃させると同時に、これらはこちらも関税的には下げていかなければならない。ならないのだけれども、国内的にはある時期国際競争に対応できない農業や中小企業がある場合、こういう基本理念とは反した関税政策をとらざるを得ないのです。またわれわれもいま砂糖の自由化をやりました。砂糖の自由化をやったけれども、その結果国際糖価はうんと下がった。国内的には国内糖業者は混乱をしておる。そのためにはある時期において、自由化に逆行するといえども、事業団構想といえどもとらざるを得ない場合があります。現在の過程において私は事業団構想には反対であります。これは自由化をみずからやった閣僚でありますから反対であります。理論的にいま私が論文を書くとすれば、泉主税局長が書いたと同じことを書くわけであります。しかし反対であるということはだれもが認めると思う。思うが、これは最終的にいろいろなことを言う。であるかもしれないけれども、現状いかんせん、クォーターシステムを採用するのだ、事業団構想をとらざるを得ない、こういう結論が出て、私が理論的には反対であるといっても、事業団構想に賛成をして法律を出したときに、私が言っておる論文と実際やったこととどうも違うじゃないか。これはあり得ると思います。そういうのはあるのであります。だからこの複雑な世の中を理論一本でもって通せるという考えはだれも持っておらぬと思う。社会党の皆さんも自民党との間で、法律を上げるときには絶対反対だという理論があります。その過程においてあなた方は反対の論文を書く。しかし両党で話し合いをすれば、社会主義では反対だけれどもしょうがないといって妥協案が出るじゃありませんか。ですから理論的にものを考えて、泉主税局長の理論を私自身は認めておりますが、最終的により高い立場、より広い立場において、政治の立場において、内閣がこういう施策をとるという決定をしてもその論文と全く反する、こういうことは社会の悲劇だ、こういうことを考えるのには、どうも少し政治をとっておると、そのような考え方だけでやったら政治は前進いたしません。しかも私は浪曲調で答えたと言われておりますが、そうではなく、あなた方は片山内閣時代の与党でありますが、片山内閣が成立せられたときでも、あの政策と違う政策をたくさんとられたのです。それは現実を見て現実を前進させなければならないときに、理論は一時たなに上げておきながら、しかもその理論を通すような時代を招来するためにも、ある一時期それと反する政策をとらざるを得ない、こういうふうに理解をしていただけば、私は政府の立場ということがよく理解できると思います。 あとに残ることは、もうこういう政策をとっても貯蓄はふえない、こういう政策をとっても証券市場はだんだん悪くなる、こういうところに詰めて御論議になるならば、こういう政策をとることによって、歴史的にも過去はこういう政策をとりました、こういうことによってこういう結果を得たじゃありませんかというような考え方は申し上げられると思います。
○藤田(高)委員 大臣の一般論としての、一般論の中における例外的なものの処理のしかたという点については、私は理解をすることができるわけです。しかし私が先ほどからやや具体的に問題点を指摘して質問したことに対しては、たいへん失礼な言い分ですけれども、非常に次元の低いお説教じみた答弁だったと思うのです。一般的なものの中において例外的にものを処理していかなければならぬというくらいは、私もそれはわかります。しかし今度の場合、先ほどの大臣のことばを引用さしてもらうなれば、現状いかんせんということで、特定な政策目的を達成するためにはそういう筋論を曲げてでも処理せざるを得ない場合がある。今回の場合、それでは現状をいかんせん、その政策目的を達成するためにどうしてもやらなければいかなかったという理由はどこにあるのですか。それを明らかにしてもらいたいと思います。
○田中国務大臣 私はこの政策をとることがおそかったと思っております。これは私は、昭和二十年の敗戦のときに、無資本の時代にこういう政策をとっておれば、今日このようなひずみはできなかったと思います。高度成長政策を掲げながらその間において一番の失敗は何か。私は明らかに申し上げるのは、資金計画がなかったということなんです。中期経済計画に対しましても、八・一%といいながら資金計画をどうするのだ。私は、中期経済計画の中で一番のポイントは、八・一%を、この高度成長の結果に積み重ねていくという場合に、産業資金は一体幾ら要るのだ、そのときにいまのままにしていったならば自己資本比率二三%が二二%に落ちるのだ、こういう数字は逆算すればすぐ出るわけであります。これを中期経済計画を四十三年までやるには一体どういう産業資金が要るのか。この資金は外資によって得るのは一体どれだけ得るのか、また国民生産の向上においてどう得るのか、また借り入れ金というものでどうして得るのか、また資本市場としてどうして得るのかという計算が積み重ねられなければ、私はやはり第二の失敗ということはあり得ると思っております。非常に慎重にこの問題に対処しなければならぬと思うのです。ですから、いま一番の問題は何かということをわれわれが考えるときに、私は特に池田内閣の閣僚でもありましたから自由化のベルを押したのです。押した責任者であります。開放経済に向かっておるならば、またそうしなければ日本のこれからの飛躍はないというときに、いまの状態で一体いいのか。私は、どんな社会保障も大切だし、また文教の刷新拡充も大切でありますし、また公共投資としての先行投資も必要だと思うのです。しかしそれよりもその前提になるものは何かというと私は、日本の貯蓄と日本の自己資本比率を上げることによってそういう基盤がつくられないと、これはすべて砂上の楼閣になってしまう。私はほんとうにそう考えておるのです。私はまじめにいま倒産している人のあの状態を見るときに、一億五千万円の資本金であって、そして倒産したときの負債は一体幾らあるか、七十億円あります。それは日本繊維であります。そういう実態でここまで行っちゃ、これは二十年間われわれが築き上げてきたものが自由化のあらしにほんとうにぶつかってみたときに、この産業は耐え得るだろうかということをまじめに考えなければ、幾らいままで何年間も何年間もこうして平均賃金が上がってきても、元も子もなくなった場合どうしますか。実際最後にそれが三、四年前に石炭企業に対して、この人間整理資金をどうするかと言ったのですが、いまは前金をやらなければ山に入る人はなくなるじゃありませんか。私は日本経済の実態もそういう危険を含んでおると思うのであります。ですから私はこの政策をとるときには、相当反対があるということを覚悟しておりました。しかも当時の総理大臣であった池田総理の意見を私が聞いたときも、私は税でもって生まれて税でもって育ってきたのだから私は反対だと言われたのです。あなたも反対だし私もその気持ちはわかるけれども、しかしいま自己資本比率を上げた、それから貯蓄をしなければ物価問題にどう対処します。私は、物価問題をほんとうに超党派でやるなら私のようなあれでやるなら、賃金の一年、二年のストップをやりましょう。そういうことができ得る状態であるかということを考えれば、現実はそうじゃない、やはり賃金を上げていかなければならないような物価状態になっているのです。ですから物価に対して財政資金を百億や二百億、千億出してこの物価に対処できるわけがありません。ですから遠回りであってもやはり私は西ドイツがとったような国民自体の貯蓄によってわれわれの生活基盤——生活基盤とは何か、産業基盤であります。産業基盤というものは戦前のように独占資本家と国民自体が対立する状態にはありません。国民自体が総資本家にならなければならない事態であります。ですからいま五百万人や千万人が株券を持っているから資本家だという考え方じゃない。国民すべてが日本の産業の資本家にならなければ、それに働く従業員は一体何によってささえられるのですか。私はまじめに考えたのです。大部分の国民全体が産業資本家にならなければならないのです。そこに感覚の相違があるのです。何か戦前の資本家と従業員というものは利害対立しておるという、そういうものじゃない。過去にはこれだけの大戦争をやって国に何がありますか。この無資本の中からここまで立ち上がってきたというのはみんな借金じゃありませんか。あなた方は借金をやめろというじゃありませんか。この政策をとるのは自分の政治生命をかけるように私は深刻な気持ちでやっていた。ですからそんな甘ちょろいものの考え方でこの政策をとったのじゃない。私は吉田内閣の時代にこの政策はとられるべきだった、その前の片山内閣のときにとるべきだった。そうしておったらこのような状態になりません。それだけじゃありませんよ。私のやっておることをそのままあなた方に差し上げたときに、このまま中期経済計画の八・一%は成長を続けていって四十三年にはどうなりますか。自己資本比率はどこまで行きますか。いや中期経済計画をやめなさいということであれば、やめた場合にどうなりますか。ですから中期経済計画だけを私は言っておるわけじゃありませんが、いままで経済成長してきて賃金も上がってきたものを、ここでもってストップできますか。それこそ混乱が来るのであります。ですから実際の政治の中を考えるときに、マイナスがあっても結局混乱というものが生じないようにして、協力体制をとる。そういう場合やはり私は政策の中で最も重要なものは、いま自己資本比率を上げる、貯蓄と資本蓄積によって世界に対抗する。私はあなた方がこの政策は悪いというならこの政策をやめて、そしてほんとうに自己資本比率を上げて物価を押えて安定成長に持っていくだけの他にどういう政策があるかということをお聞きしたいですよ。私はそういう意味で、そんな不まじめな態度で、人気取りや何かでこういう政策をとったのではありません。しかもいまのように、大衆自体が考えれば私の考えよりもあなたの考えのほうに票は行きそうなんだ。そうでしょう。それは私はよく理解しているのです。にもかかわらず、こういう政策にあえて踏み切らなければならなかったというのは、自由化のベルを押して日本の国民は困っている。しかし困っておっては困る。結局国際競争力に耐えながら完全に自由化に行かなければならない。私はそういう責任の上に立ってこういう政策をとっておるのであって、政治家として私は当然の責めを果たした。私はこういう政策をとらないで、このままだらだらとやっていたら、それこそ政治家の責任は追及せらるべきだ、こういうものの考え方であります。
○藤田(高)委員 大臣の答弁は、それはそれなりに私は非常に真剣味を帯びた御答弁であったという点については敬意を表わします。しかしなるほど私の問いに対してはあれだけ広範なことを言われなければ私の答弁にならぬというところに、すでに私は一つの問題がある。これは直接私の質問したことには全然と言っていいくらい関係のないこともございますよ。それは全然階級対立のないというような言い方をしても、一億総国民全部株主になって何か高額所得の、配当所得の対象に源泉選択制度の対象になるようなそういう幻想を与えるかのごとき、そういう答弁を私は求めておるのじゃないのです。私はそうじゃなくて先ほどの退職金の問題じゃないけれども、今日の労働者の生活実態なんというのは平均賃金で三十万や四十万でまだ呻吟しておるのですよ。そういう多くの日本の勤労階層にいま田中大蔵大臣のような何か高額所得の、配当所得の対象になるような、そんな答弁をしたら国民がどうこれを受け取りますか。私はやはり大臣に対して反感を持つだけだと思うのですよ。そういうことではなくて、私はやはり相当な決意でこの政策はおとりになったということはわかります。わかりますけれども、私どもはやはり税制の改正という観点から、基本的には税制問題としてこれをとらえる限りにおいては、税の公平の原則、税の中立性の原則、そうして累進課税の原則、これはやはり税制を論ずる場合には私は基本的な姿勢でなければいかぬと思う。そういう基本的な立場というものが、主従の関係でいえば従ないしは二義的三義的な立場に追いやられて、そうしていま言われたような、あえて私は大臣の答弁を批評するわけじゃありませんけれども、あれだけ長く答弁されたものを突き詰めて言うたら、開放経済に立ち向かうためにわしはこれをやったんだ、こういうことだと私は思うのですよ。いろいろ大ぶろしきはたくさん広げられたけれども、私はあえていえば開放経済に立ち向かうために、自由化に対処するためにこうやったと言われる。さすれば、きょうは冒頭からこれを出して言っておるのですけれども、税制調査会のメンバーという人は、これは学者、金融界、産業界、いわゆる業界、それから中小企業の代表、報道陣代表、弁護士からはじまって労働組合代表、消費者代表、農民代表、まさに各層各界を網羅したいわばそういう権威ある代表者によってこれは構成されておる。日銀総裁も入っている。現在の日銀総裁、三菱銀行の頭取だったその人も入っておる。あるいは中山伊知郎さんのような経済学者も入っておる。こういう人たちがいま田中大蔵大臣が言われたような今日日本が自由化を迎え、対外的な国際競争場裏に臨むそういう中において、この利子分離課税の問題ないしは配当課税の問題について検討しなかったということは、そういう条件は、そういう権威者は権威者、学者は学者の立場で十分検討して出してきたものがこれでしょう。そういう先ほどからの論議でいえば権威論じゃないけれども、これだけの各層各界の代表者を網羅して五十回も六十回もの慎重な検討をやって出してきた案というものは、それは田中さんはなるほど大蔵大臣を長くやられておりますから、それは実務的な政治家としては傾聴すべきところもあろうかと思うが、私は、やはり政策論としては、政策立案者としては、ここに参加をしておるようなメンバーは、失礼な言い分だけれども、田中大蔵大臣に匹敵するような人物だと思う。そういう人の出されたこの答申案というものに全く逆行してまで、日本のいま置かれておる立場からいって、自由化に対処しなければいかぬというのであれば、その自由化をやったこと自体が今度は問題になりますよ。自由化の号令をかけたあなた自身のやったことが、時期が早かった、無理をやった、その無理に合わしていくために、たとえば配当分離の問題のように、筋の通らないものまで、自由化に対処するということで、逆にこじつけていくということは、私は正しい意味の政策方針に沿った政治のあり方ではないと思うのですが、この点はどうでしょう。
○田中国務大臣 私は、税制に対して、あなたのような考え方はよく理解できます。しかしあなたは私のことを何にも理解しないということをはっきり申し上げる。それはなぜかというと、税法というものは一律であり、最もわかりやすい税法のほうがいいと思う。そうして税は一律に取って、そうして明らかに補助金とかそういうもので出すほうがより私は簡単だと思います。そうして国の恩恵というものを受けているということに対しても明らかでありますから、そうすべきだと私は思う。思うけれども、税法というものは、いまのあなたが考えている税理論だけではなく、税法は一つの……。(藤田(高)委員「いや、私が考えておるというより、これですよ。」と呼ぶ)いまあなたの質問に対してお答えしておるのです。あなたの質問は黙って聞いたのだから……。それはいま国のためにやる政策に対しては、国民の税金を預かって、それを予算でもって投資をする、こういう面が一つあります。もう一つは税制、もう一つは金融、こういう問題があります。税制そのものがあなたがいま申されたようなことだけではなく、政策を税制の中でこなしておるというのがいまの日本の税制なんです。そういうことを考える場合に、税に対する基本論だけで議論はできないわけであります。でありますから、政策的なものをいまの税率の中に含んでおるとしたならば、ある政策を行なう場合、税を使うということはあり得ることであります。 それからもう一つ、私は率直な意見を申さしていただきますが、あなたは私より若いようですし、これからまだ十年も二十年もこの問題をやると思うから、私はこの問題をここで明らかにしておきたいと思います。それは、税は公平でなければいかぬ、これはあたりまえのことなんです。しかもこれはあなたが主点を置かれるには、税を徴収する場合、またこれを逆に政府から免税をしたり減税をしたり、そういう場合に、公平論というのはやはり分配論の基盤に感じが立っている。しかし日本自体のもとをつくるには一体何が要るのかということを、税理論よりももっと基盤になる理論がもう一つ私はあると思うのです。会社においても、労働組合は少なくとも賃金を上げなさい、しかし会社をつぶしてしまっては困る、会社自体をほんとうに興す、これをもっと大きくしていくというもとの理論を、政治はこれも解決していかなければならないのです。そうでしょう。しかもその税法の中で、そういう政策というものがあるとしたならば、そういうことも考えて盛らなければならぬと私は思うのです。ですから、いまの日本に何が一体必要なのか。金です。(「金は一体これで集まるか」と呼ぶ者あり)集まるのです。そうしてあなた方がこの間から議論されておりましたが、免税をしたけれども、減税をしたけれども、そのときにはふえなかった。しかも増税をしたときにはふえておる。これは同じ状態におけるものの考え方でしかないのです。しかしその税制というものがどういうふうに作用したか。上げなければもっとふえたかもわかりません。ですから、そういう羅列する数字の比較だけでは、私はそういうものをそこで断ち割るべきものではないと思う。私は、いま自由民主党が戦後ずっと政権担当をしておりながら、少なくともいまの状態はひずみがあります。このひずみを直していくためには、どんなに非難されようがやはり必要であるという政策はとらざるを得ない、そういう考え方でとったわけなんです。ですから、あなたの税理論を私はよく理解をしておりますが、そういう税理論をそのまま長く保っていくような社会を一日も早くつくりたい、こういう考え方でとったわけであります。 もう一つは税制調査会の問題でありますが、税制調査会の方々は確かに勉強していただいておりますし、私も尊重したいという考えであります。この問題に関しては、私は税調に言ったのです。今度はこれはどうしてもやらなければならぬから、私がひとつ二、三回出ますから私の意見を聞いてくださいと言ったのですが、いや、まあその問題はおいでにならなくとも結論を出しますから、こういうことで、私がついに税制調査会に三回も四回も出ないで−私が出ておればもう少し私に近い答申が得られたのじゃないかと思います。私は、やはりここで、非常に重大な問題でありますから、これだけ真剣な話でありますから、申し上げます。税は税制調査会というもの、これは私はやはり——いまあなたは各階の人たちを網羅しておると言いましたが、やはり実際に苦労して月給を払っておる人——月給は安い。私も月給をもらったこともありますし、月給を払ったこともありますが、安いのです。安いのですが、二十五日になれば必ず払わなければならぬ、会社が赤字であろうが何であろうが払わなければならぬという苦労、こういう苦労を踏み越えて自分の社稷を守ってきた、こういう人の意見も聞くべきであります。ですから、私は、そういう意味で、税制調査会というものはうんと拡大したい。ほんとうに将来の税制をつくるなら、やはり現実に税金を納めておる人、現実に日本の産業を立ち上げておる人、こういう人たちをもっとたくさんにして、私は税調に対しては真にもっと実態を——理論はもちろん私もよく理解しますが、実態的にも応急な措置もとれるような、また、そういう問題に対しては、経営者といいますか、そういう人たちも網羅して、税制の将来に対しては誤りなきを期したい、こう思います。
○藤田(高)委員 私もいま大蔵大臣が言われておるような御答弁の論旨に合わしてきょう質問をするということであれば、不勉強ながらも私どもは私どもなりの意見もあります。お互いにこれは真剣に——私は、見解の違いがありましても、大蔵大臣は大蔵大臣として、その自分の自説を貫いて責任ある処置をとられておるわけですから、その意気なりそういう姿勢は姿勢なりに(「敬意を表する」と呼ぶ者あり)敬意とまではいきませんが、その意気は壮としたいと思うのですけれども、私は持ち時間も率直に言って若干オーバーしておりますからこれでやめます。やめますし、そうして一般的な経済全般に関するような論議はきょうの私の質問の主たる課題ではありませんから、私はそのことには言及いたしません。しかし、きょうの質問の焦点は、やはり税制問題として、税制は他の分野にももちろん関係があるけれども、私は税制問題という立場から考えた場合に、一つの政策の筋論としてはこれは逆行するものである。この点については、遺憾ながらやむを得ざる政治事情によってこうなったんだという点については、大蔵大臣は私の答弁を十分理解していないという御不満もあるかもしれませんが、私は遺憾ながらそのことについては十分納得のいくことができませんでした。これは納得のできないまま、また先輩議員に質問を譲るといっては失礼ですが、交代をしていただきたい。ただ、税調に対する見解がたまたま出たわけですが、これは最後に、税調の構成はワクを広げたい、こういうことでありますが、具体的にはいつごろからそういった一つの改革といいますかに手をつけられるような考えを持たれておるのか。 それともう一つ、最後にお尋ねしておきますが、池田総理は、税だけでなくて、経済はおれにまかしておけ、経済はわしにまかしてくれと言って胸をたたいた総理なんです。あなたはその前総理の意見さえ採択をされない。いわんや、こういう客観的に、社会的に権威があると私どもは判断をしておる税調の意見もしりぞけて、いまの御答弁を聞いておりますと、田中大蔵大臣がこの分離課税の問題に関しては非常に強引に独走的な牽引力を発揮してやられたというふうに理解するわけです。私は、きょうは時間がありませんからやめますけれども、よく本会議の答弁を聞いておっても国民の納得するようなことに耳を傾けてやらなければいかぬじゃないかということは、もう常に殺し文句じゃないけれども、田中大蔵大臣はじめ、総理はじめみな御答弁される。ここまで強引にこの分離課税をやらなければ日本の資本蓄積ないしは海外的に太刀打ちのできる、国際競争に臨むだけの資本蓄積といいますか、力が培養されないという点についてはどうしても私は納得できません。それほどまでに強引にこの問題を進められた政治的な背景なりあるいは政治的な事情というものは、きょうは遺憾ながら結果的には聞かないまま私の質問を終わることは残念でありますが、私は政治の姿勢としてこういう強引なあり方はいかがかと思うわけであります。内閣総理大臣の諮問機関としてこういうものをつくった以上は、やはり諮問機関の機関そのものを権威あらしめるように努力すると同時に、そこから出てきたものはやはり基本的にこれを尊重するという姿勢があってこそ、民主的な政治の発展があるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。 私の見解を申し述べて私の質問を終わりたいと思います。
○田中国務大臣 税調の人数は三十名ということで法律はなっておりますから、まあこれは私はいまの税調の皆さんをかえてどうしよう、こういう考えではありません。まあ三十名ということでなくとも、もっと各界の代表を入れながらより広範な立場で検討するということは好ましいことだという考え方を申し述べただけでございまして、いつ法律を改正するとか、一体それじゃ二百人にするのか、三百人にするのかということで申し上げておるわけではありませんから、御了解を得たいと思います。これはまあ将来ひとつほんとうに抜本的にやるということになれば、まあ何百人か、ほんとうに部会を設けてあらゆる角度から検討する、何年もかかってよりよい税制を検討するということは、ある意味においては必要だと思います。しかしいまの法律を直してすぐどうしようという考え方を持つものではありません。 それから後段の問題は、これはまあおしかりでございますから拝聴しておきます。これは私はしかられるということを十分承知しておったのですが、しかし私自身もいままで社会保障をやろうとかそれから賃金を上げようとか、学校に対しても国民の金を出そうとか、こういうことはだれでもいいことでありますから、特に公選で出ておる人はだれでも言うのです。増税をやろうとか、ある意味において増税をしなければいかぬとか、私は十八年の政治生活の中で四回も増税に関係しました。これは私みずからが法律をつくったガソリンの増税を昭和二十七年からやっておるわけでありますが、やはりある意味においてある時期において増税もまたやむを得ない場合もあり得ます。私はだからそういう意味で特に悲壮感を持って申し上げておるわけではありませんが、こういう政策的なもの、これを私はある意味で税制調査会に答申をほんとうに求めるということはむずかしいのではないかと思うのです。それは非常に忙しい方方を、ある時期に集まっていただいて主税局がつくったものを説明して答申をしていただくということですから、だから政治的な非常に広範な問題を処理するというときには、やはり政府が政治責任を持って国民の理解を得る、そして国民の判断にゆだねる、こういうことでなければ、私は民主的な政府というものがほんとうに国民の利益を擁護するわけにはいかぬと思うのです。そういう意味で、御批判はございますが、長い将来に対してやはり増税にも似た非常に手きびしい批判のある問題でありますが、まだ議員の地位にある一人としてはやむを得ない措置だった、こういうことを申し上げて御理解をいただきたいと思います。
○吉田委員長 武藤山治君
○武藤委員 大臣に質問しようと思っていま構想を練っておったのですが、行かれてしまって、これは主税局長に聞くのはちょっと気の毒なことになりましたし、政務次官は、先ほど私の能力ではあまりそういう政治的問題はということでこれまた逃げられる。 まず最初に、今回の基礎控除の引き上げで、税調案と今回の政府案では一万円差がついた、政府案のほうが少ない、そうなった経緯をひとつ明らかにしてもらいたいのです。なぜそうなったかという経過を、具体的に順を追って説明を願いたい。
○泉政府委員 これは先ほど藤田委員に申し上げたところでございますが、税制調査会の答申の所得税の減税の中で、税率の緩和ということが大きなポイントになっておったわけであります。その税率の緩和のときには課税所得三百万円以下の税率を緩和する反面、最低税率の八%というのを一〇%に引き上げるということで、税率のほうでは——ほんとうは税率緩和によって四百六十億、これは平年度で申し上げておりますが、四百六十億の減税になるものを、八%を一〇%にバックすることによって四百億の増収を求め、差し引き六十億、これは平年度で六十億であります。初年度になりますと五十億、こういう案になっておったわけであります。そういたしますと税率が二%ふえることになりますので、低額所得層のところでは、税率だけでは負担がふえることになります。その負担を軽減するためには少なくとも基礎控除を二万円上げないと負担の増加が消えない、そういうことからいたしまして、基礎控除を二万円上げるということになっておったわけでありますが、その基礎控除二万円ということになりますと約三百八十億の減税財源が要るわけであります。そこで所得税の減税の幅が非常に大きなものにならざるを得ないということになったわけであります。 そこで、そういう税制調査会の答申を受けまして、政府の段階で減税の内容を検討することになりますと、まず第一に税率の緩和ということが望ましいことではあるけれども、いま所得税で一番必要なのは何かということになると、やはり課税最低限の引き上げではないか。税率の緩和も減税財源がたくさんあって、できるときにはそれも望ましいことだけれども、減税財源に乏しい四十年度においては、そこまでできないのもいたし方ないじゃないかということになりまして、税率の改正は見送ることになったわけでありますが、そういたしますと基礎控除を二万円上げることによって初年度三百八十億もの財源を使わなくてもいいのではないかということから、この基礎控除二万円を一万五千円にするかあるいは一万円にするかいろいろ論議がありたわけでありますが、結局一万円ということになったわけであります。そうしますと、御承知のとおり私どもがはじいておるところのマーケット・バスケット方式による食料費を基礎にした基準生計費と課税最低限とを比べてみますと、基礎控除一万円引き上げのままでいったのでは、五人世帯のところで課税最低限と基準生計費との間が赤字になってくるということになりますので、どうしてもそこで、課税最低限をそういった五人世帯のところで上げなくちゃいかぬ。その上げる手段として基礎控除でいきますと追加の百八十億が要るし、それから配偶者控除でいくと百億で済む、そういう勘定になりましたものですから、百八十億かかる基礎控除の二万円引き上げよりも、基礎控除は一万円にとどめて、そして配偶者控除を一万円上げると百億で済む。そこで五人世帯のところではそれによって基準生計費と課税最低限との間に若干のゆとりがある。そういうことになるのだから、配偶者控除を一万円引き上げようじゃないか。と同時に、御承知のとおり配偶者控除というのは、三十六年に基礎控除と同額で発足したのでありますけれども、その後三十八年のとき五千円の開きが出た、三十九年の改正のとき一万円の開きが出た。今度また基礎控除を二万円上げて、配偶者控除を据え置くということになりますと、三万円の開きになる。それは配偶者控除の制度が設けられた趣旨から見て好ましい方向ではないのではないかということからいたしまして、基礎控除を一万円引き上げにとどめ、それをさらに一万円上げることよりも減税財源の少なくて済む配偶者控除を一万円引き上げるといういきさつになって、今回のような改正案を提出するようなことになったのでございます。
○武藤委員 そうすると税制調査会の案では、特別措置で平年度五百二十億円、初年度五百十五億円の増徴が見込める、こういう答申を出した。ところが五百二十億の増徴できるという見込みでいったら、所得税のほうの減税分にかなりの財源が回せたはずだ。そうすると基礎控除の答申どおりできなかったのも、その根本的理由は特別措置のほうの増徴になるべきものが、逆に配当の今回の措置、利子所得の今回の措置で、増収がわずか四十八億円に減ってしまった。こういうことで所得税のほうへその犠牲がかぶさってきた、こう理解していいですね。
○泉政府委員 数字的に申し上げますと、お話のようなことになるわけでございますが、しかしこれは特別措置が先にきまってどうこうというわけでは必ずしもございません。どちらが先にきまってどちらがあとにきまったというわけではありませんが、全体として税制改正案を検討する際に、いま申し上げましたような経緯からいたしまして、減税財源に乏しい四十年度のことでございますので、そういうことになったのであります。
○武藤委員 しかしあなたはどっちが先かどっちがあとかということはいずれだかわからぬと言っても、特別措置の合理化をし整理をしろという税調の答申に基づけば、五百二十億も余分に入るのですよ。それをとにかくやめさせられて——あなたがやめたとは言いません。それをやめさせられて財源が足りなくなってきた。片方によけい回さなければならぬ、利子配当のほうの減税の財源に回さなければならぬ。そうして所得税のほうに犠牲がかかったということだけは明らかですね。だから私は所得税のほうが先にきまったのではなくて、やはり利子配当の取り扱いがきまって、さあきまったから今度はどこで内容をいじろうか、いじる段階になって基礎控除の二万円を一万円に減らされた。税率の手直しもできなかった、こう理解していいのではないでしょうか。その理解は間違いですか。 それともう一つ新聞のそのときどきの情勢によると、当初は自民党税調部会ですか、財政部会でも、どうもいまのような配当を五万円まで申告不要にする、あるいは実質上の分離課税にするということはちょっと難点があるというので、抵抗しておったように新聞記事は書いておる。最終段階に強姦されたかっこうになっておったわけですね。すると主税局はそこへ追い込まれるまでどういうところから——一体こういう五万円まで不要にするという命令は、自民党から出てきたのか、それとも藤田君の質問のように大蔵大臣が独走的に押しつけてきたのか。あなたのほうにぜひこれで作業をせよという、これは自民党、与党からあなたのほうは指示を受けたのですか、それとも大蔵大臣ですか、どちらでしょう。
○泉政府委員 前段のほうについてお答えいたしますが、計数的にはお話のように租税特別措置による増収という税制調査会の答申がそのとおりいかなかったこと、これが四十年度の減税財源全体が苦しいところに加わって、そういうことになりましたものですから、結果論からいえばお話のようなことが言えるかと思います。 それから配当の問題、利子の特別措置の問題、これはお隣に坊政調会の税制調査会長がおられますので、坊先生からお聞きいただいたほうがよろしい問題かと思うのであります。私どもからお答えすべきことではなかろうと存じます。
○武藤委員 それではこれ以上主税局長にどうも聞くのは酷ですから、あとからゆっくり一献傾けながら坊先生にお尋ねしたいと思いますが、こういう主税局の意思ではない政策が決定をされて、一年間これからやるわけですが、その間この利子と配当の取り扱いが、税調の経過の中からいろいろ文章にされておる。特別措置をやる場合にはこの三つの原則をテストしてやるのだ、こういう意見が一応出されておる。一つは政策目的自体の合理性の判定、もう一つは有効性の判定、効果と弊害の比較考量、この三つの原則をひとつ今度テストした場合に、一体この三つの原則に適合するだろうかどうだろうか、主税局長、これから一年間テストをしなければならぬですが、あなたのいまの感じはいかがですか。
○泉政府委員 お話のように租税特別措置につきましては、税制調査会のいうようなテストをすることが必要なわけであります。ただそのテストする場合に数字的にあらわれ得るものはわりあいにテストしやすいのでありますが、数字的にあらわれないものについてのテストはなかなか困難であります。しかしそれにしても何とか数字的なものにあらわしてテストしなければならぬと思っております。したがってこの措置は二年間とられることになっておりますが、その間にそのテストを数字的にどうやったらテストが十分できるかということも考えまして、この措置をとってすぐ結果の数字が出るわけではございません。二年たつうちにどういう数字的な結果が出てくるか、その数字的な結果を見た上でテストしなければなりません。なかなか数字的にあらわしにくい問題でございます。どういうものをとって数字的に表現し得るか検討いたしてみたいと思っております。
○武藤委員 今回の利子、配当の取り扱いが、いまのテストの場合数字に出てくるであろうと予想される数値というものは、一体どういう統計である程度調べられると思いますか、主税局長の御意見ではどうですか。
○泉政府委員 これは御承知のとおり自己資本の充実が必要である、あるいは資本市場の育成、強化が必要である。こういうことからこの特別措置がとられることになったわけでございますから、したがって二年たった間の自己資本の比率が改善されるかどうか、増資が行なわれるかどうか、株価が高くなっていくかどうか、こういった点が配当については言えると思います。 それから利子につきましては、いろいろいままでの数字もございますが、今後さらに二年間の間に金融機関に対する預貯金がはたしてどういうふうになるか、そういった点を数字的に見きわめていきたい、こう思います。
○武藤委員 そうしますと、自己資本のむずかしいのをやるところに問題がある。自己資本の充実の問題一つをとらえてみても、たとえば戦後の様子をずっと比較してみても、三十五年が三二・五、その前が三五・二、三八・一、三九・七、三六・五、三十四年の所得倍増政策が発表されるときを基準にして考えただけでも自己資本比率はどうなっているかというと、年々逆に低下の傾向にきておる、そうですね。所得倍増論が出てからは自己資本比率が低下しておる。それが低下してきたから、田中さんは今回配当の処置をして何とか自己資本比率を上げたいのだ。この間堀さんの予算委員会の質問のときには、二六%か二八%くらいになったらこういう政策は必要ないかもしれませんとか、その場限りの言いのがれ答弁をしておる。私は議事録を読んでみてびっくりしたのです。この自己資本比率が低下してきた原因は何かということに大臣は気を使っていない、私はそう思う。というのは借り入れ金がべらぼうに多ければ幾ら増資をして資本をふやしていったって、それの成長率よりも借金の成長のほうが多ければ自己資本比率はふえないのです、そうでしょう。かりに百万円自己資本をふやして借金を五百万円ふやしたのでは借金の成長率のほうが多いのですから、これは幾ら骨を折ったってここへ出てくる資本比率というものは非常に低くなるわけであります。問題はこの借り入れ金にも問題がある。 もう一つは、増資と借り入れ金、この増資をみなしたがらない。なぜかと言えば、いまの配当を会社から出した場合の損金に算入するかしないかの問題のほうが、個人に渡る配当の減税をするよりももっと先に解決しなければならぬ。自己資本比率対策としては私はそういう気がする。ここらの点は一体税調ではどんな検討をされたのでしょう。あなたも税調に出ておるのでしょう。税調ではそういう自己資本比率をふやすために一体利子や配当にどういう処置をとったらいいか、ことしで切れたものを延長する際にも当然議論されたと思うのですが、ここらの自己資本比率をふやすためには何から手をつけたらいいかという議論はどうだったのですか。
○泉政府委員 お話のとおり、自己資本比率が所得倍増計画が始まった後だんだんと低下いたしております。これは借り入れ金が増加していることに基づいておることは、私もそのように考えております。税制調査会でそれでは自己資本比率をふやすことについてどういう検討をしたかという点でございますが、この点につきましては、根本的にいまのような経済成長をしておるときに、自己資本比率が低くたって何が悪いんだ、こういう考え方もございます。学者の方は別段それで一向差しつかえないじゃないか、いずれ経済成長がゆるやかになっていけば借り入れ金が少なくなってきて、そうして自己資本比率は上がっていくのであって、こういう経済の成長の速度の早いときに借入金でやらずに、株式資本なりあるいは社内留保で自己資本比率をふやそうったってとてもそれはできるものではない。経済の原則からいってとてもできるものではないということでございまして、税制調査会でもいろいろ論議がございましたけれども、そういう意見の方も相当おられます。それといまひとつは、自己資本比率をふやすためには社内留保をふやさす必要があるのじゃないか、それには武藤委員のお話のように配当を損金に算入するということも一つの考えではないか、これもまた税制調査会でいろいろ論議がございました。しかし結果的には配当を損金に算入している国は先進諸国のどの税制にもございません。ということはやはり税というのは所得の発生したところに一番近い段階で課税するのが最も望ましいのであります。配当について損金に算入して、個人に配当されたときにそこで総合課税すればいいじゃないかとおっしゃいましても、個人に総合課税するということは非常な困難な問題でございます。そこで配当を損金に算入すればどうしても配当を支払う法人の段階で、株主に払う前に源泉徴収をしなければいかぬ。しかもその源泉徴収は一〇%というような軽いものでなくて、少なくとも三〇%以上のような高い税率による源泉徴収を行なわなければならない。それでは株主は源泉徴収の相当高いものを負担せざるを得ないことになるわけであります。そういう点からいたしますと、配当損金算入についてもいろいろ問題があるわけであります。そういう点から税制調査会では配当損金算入もまた好ましくない、そこでいまの法人擬制説を前提とする限り、これもまあいろいろ論議のあるところでございますけれども、法人擬制説を前提としないで、法人については独立の課税をすべきだ、イギリスの利潤税のような考え方をとるべきだという御意見もございましたが、しかし一応日本の税制がシャウプ勧告以来法人擬制説をとっておりますので、それを前提にして考えると、むしろ配当を損金にしないで、法人の所得に対する税率をいまのように留保と配当とに分けずに税率を一本にして、そのかわりに法人で、税率一本で取った後配当されましたものを個人の所得に総合するときには、いまイギリスでとられておりますように法人税込みの配当にしまして、それを個人の所得税に総合いたしまして、グロスアップして、そこから所得税を算出して前に納めた法人税相当額を所得税から差し引く、これが一番理論的なやり方ではないかという答申があったわけでございます。しかしながら四十年度からは、それではイギリスがいまやっているような方向に進むべきかどうかということになりますと、法人税率を一本にするときに現在会社によって配当性向が違いますために、配当性向の高いところでは法人税率を一本にするといまよりも負担が重くなるところが出てくるわけであります。しかもそれがいまの日本の基幹産業であるところの鉄鋼とか電力とか、そういった会社に出てまいりますので、それは四十年度からそういう方向を一挙にとることは好ましくないということで見送りになりまして、社内留保をふやすという意味において内部留保に対する税率をせめて一%軽減する、中小法人であるならばさらに二%軽減する、こういうような改正案になったわけでございます。税制調査会としては減価償却とかその社内留保ということによって自己資本がふえていくべきであって、配当に対する優遇措置のようなことによって必ずしも増資が盛んになっていくというものではないという認識に立って答申いたしておるのであります。
○武藤委員 主税局長のところに資料があるかどうかちょっとお尋ねしますが、国際間における民間資本形成率というのがすぐわかる資料がありますか。民間資本の形成率、それを見ますと日本は三八%、アメリカは一四%、イギリスは一七%、西ドイツは二七%、民間資本形成率は、率で見ると日本が最高なんですね。このことは裏返して見ると、日本国民全体の所得のうち、勤労所得とそれ以外の所得、特に法人所得とを比較してみますと、法人の所得のほうが、諸外国と比較して日本の場合はべらぼうに多いのですよ。それだけ労働者に対する賃金が、また分配が少ないということをはっきりあらわしているわけなんです。そういうようなことを、自己資本比率の傾向や民間資本形成率を見ていくと、いま田中大蔵大臣がたいへん興奮をして、政治生命をかけての今回の措置だと言うけれども、どうも私は実効があがらないと思うのです。今回の配当の取り扱いについては、自己資本形成にこれが貢献しないと思う。それについて主税局内として一あなた個人の意見じゃなくて、税を担当する主税局内として一体そういう自己資本比率を高めるために、これが貢献をするという見通しを持っている意見が多いのか。どうですか、その点は。
○泉政府委員 いまのお話の民間資本形成ということは、結局国民の所得のうちから消費されたものの残りが貯蓄になるわけでありますが、その貯蓄の割合によってきまっていくことでありまして、お話しのように、その点からいたしますと、日本の貯蓄率というものは世界でも冠たる高いものでございまして、したがって、民間資本形成も世界の各国に比べると割合が非常に高い、これは確かにそうでございます。ただ御承知のとおり日本の場合には、最近の年々のフローとしての貯蓄は多いのでございますが、敗戦によりまして過去の蓄積が吹っ飛んでしまったということからいたしまして、ストックが少ない。フローとしては相当多いのでありますけれども、ストックが少ない。そこにいまの自己資本が低いということが原因しております。そういう点からいたしますと、このストックをつくっていくのは短時日の間にはなかなかむずかしいことでありまして、相当長い期間をかけなければできないことだと思います。 なお主税局部内でどういう意見があるか、私も忙しいものでございますから、一人一人の意見は聞いておりませんけれども、その内容は大かた武藤さんが御想像になるとおりだと存じております。
○武藤委員 次に、大臣は、国家的立場、国民的立場からこの施策は非常に適切で、信念を持って正しいのだ、こう言い張っておるのですが、今度の預金非課税限度が百万円になりますと、いまの階層で所得階層別に見て、百万円までの貯金というものが全体の預金の何%ぐらいを占めていますか。だから百万円まで落とすと、全体の預金額のパーセンテージではどの程度までが課税にならずに済みますか。−ちょっと古いのですけれども、これは三十九年まで全部出ていますが、国会統計提要のやつで見ると、百万円までの預貯金というのは全体の九五・一%を占めておりますね。大部分なんです。ですからその九五・一%までの預金量は百万円以下の預金ですから、これはもう全部今度の非課税で落ちるんですよ。したがって、今回の措置で残るほうの数というのはほんのわずかなんですね。それはこの前主税局長は堀さんの質問に答えて、大体三十万世帯、このくらいという線を肯定しておりますが、この数はどうでしょうかね。
○泉政府委員 まず利子のほうで申し上げますと、われわれのほうは税金のほうの計算からいたしまして、預金額というよりも利子額のほうで計算してみたのでありますが、利子額で見ますと個人の受ける利子額のトータルが六千七百八十六億でございますが、そのうち少額貯蓄の非課税によって課税されなくなるものが五千三百五十億、したがって、残りの千四百三十五億に課税するということになるわけでございます。 それから先般堀委員のお話のありました配当の新しい措置によってどれだけの人が適用を受けるかということでございますが、人数からいたしますと、堀委員は三十万人くらいしか恩典を受ける人はないだろうということでございますが、これは大体そういった数字であろうかと思っております。どれだけの方が源泉選択をなされるか、これはなかなか予測のつきにくい数字でございます。私どももいろいろな推計はいたしておりますが、全体として見た場合に、確定申告をしなくてもいい人、それからしなくてもよくって、それによって得になる人及び源泉選択をして得になる人の数は、堀委員のおっしゃった数字とたいして違わないと思います。
○武藤委員 主税局では個人の所得順位というのはわかるのですか。日本で一位が何億、個人所得の最高から十位くらいまでわかるのですか。わかったら、それをちょっと明らかにしてください。
○泉政府委員 これは御承知のとおり現在の所得税法におきましては、所得五百万円をこえる人につきましては公示制度によって公示することになっております。したがいまして、私どものほうもその公示された者のうち大きな所得の人については、国税庁のほうから資料をもらっております。しかし私どものほうの資料をもらっている分は全部ではございません。そのうちのごく一部分でございます。
○武藤委員 それをちょっと発表してください。個人所得の最高は何億なのか。その次が何人くらいいるかを。大体一億以上の個人の人数はどのくらいいるのですか、全国で。
○泉政府委員 現在三月十五日までに申告はされておりますけれども、まだその申告のほうの内訳は集まっておりませんので、三十八年分の所得で申し上げますと、最高の所得の方が四億八千四百三十四万五千円でございまして、その次の方が三億五千二百八十万六千円、その次の方が二億七千七百九十六万九千円、その次の方が二億六千百七十四万七千円、その次の方が二億四千九百八十六万八千円、その次の方が二億四千七百八十九万三千円……。
○武藤委員 その辺からは数でいいです、一億以上。
○泉政府委員 一億以上の数が入っておらないのでございますが、一億以上の大体の数は三十人ぐらいと思っております。(有馬委員「それは新聞にも発表されるんだから、名前もついでにおっしゃいよ」と呼ぶ)これはもうすでに新聞に発表されたものでございますので……(有馬委員「覚えていないから、ついでに言いなさい」と呼ぶ)第一の方が松下電器産業の会長でおられます松下幸之助さん、第二位の方が鹿島建設の鹿島守之助さん、その次は石橋幹一郎さん、それから、これは譲渡所得がおもなのでありますが、中川光代さんという中川興業の社長、それからその次がヤンマーディーゼルの山岡社長、その次が本田技研の本田社長さん、こういうことになっております。
○武藤委員 そこでこの年間個人所得のうち配当所得というのは、一体、この個人個人の人の場合それぞれ違うでしょうけれども、ちょっとひとつ参考までに配当と利子所得だけこの中で区分けしてみてください。
○泉政府委員 たいへん恐縮でございますが、総所得金額は公表することになっておりますが、所得の内訳は発表いたさないことになっております。ただそれではあまりそっけございませんので申し上げますと、まあ概して高額所得者の方は配当も相当大きいのが普通でございます。ただ、中には先ほどちょっと申し上げましたように譲渡所得の多いというような方の中には配当の少ないという方もございますが、いま申し上げましたように、大きな会社の社長さんとして経営をやっておられるという方は、概して配当も多いとお考えになってよろしいと存じます。
○武藤委員 配当を一年間に一千万以上受け取っておる個人の数どのくらいありますか。名前聞かないんだから、これはいいでしょう。一千万以上配当収入を得ている数はわかるでしょう。
○泉政府委員 いまちょっとその資料を手元に持っておりませんが、役所のほうに帰ってさがせば何かそういう資料をつくれるかと思いますけれども、後ほどまた……。
○武藤委員 主税局長、できれば明日本会議で討論をする予定になっておりますので、この討論の材料にひとつ使いたいので、あすの午前中までに資料を出してもらいたい。 次に、主税局長、国税収入の中で所得税の構成比を見ると、どうも三十三年あたりがちょっと高いんですが、三十四年は二〇・三、三十五年は二一・七、三十六年が二二・七、三十七年が二四・二、三十八年が二五、三十九年は二四・八。これを見ると、どうも所得税の国税収入中に占める構成比というものはあまり好ましい方向に趨勢はたどっていない。これは、名目所得が上がったからといって税金がこう上がっていくという仕組みですからね、この比率はもっと下がるようにしなければいかぬと思うけれども、主税局長の見解どうですか。
○泉政府委員 この税制の中で、負担の公平という点から一番望ましいのは所得税でございます。したがって、抽象的に申し上げますと、所得税のウエートが下がるということは決して望ましいのではないのでありまして、逆にいえば、この税負担の公平の見地から見て望ましくない他の税のウエートが高まるということでありますから、そういう意味では、抽象的に言えば所得税のウエートが高くなっていくのがむしろ税制としては望ましい。ただ、現在の日本のように、課税最低限が低くて所得税のウエートが高まっていくというのであれば、これは何といたしましても、低い所得層のところから相当の課税を求めることになりますので、そういう意味では必ずしも所得税のウエートが高まることがいいとはいえない。要するに所得税のウエートがふえることがいいか悪いかということは単純に数字だけでは言えないのであります。同時にその国民の所得の状況とその生活の実態、それに対する税がどういうふうになっており、また所得税以外の他の税がどういうふうな負担をされているか、この比較できまることと思うのであります。私は所得税のウエートが上がっていっているから、すぐにそれが悪い方向だとは一概には言い切れないと存じます。
○武藤委員 しかしそれは、所得税減税が他の税と比較して減税の絶対額が少ないからこういう傾向をたどっているのだと思います。だからできれば、ヨーロッパ並みの生活水準に達するまでは実質生活を充実させ、生活程度を高める、こういう配慮を十分するならば、こういう構成比というものはできるだけ横ばいでいく程度にやはり当分減税をする必要がある、私はそう思う。そこでまず実質所得の戦前戦後の趨勢を見て、さらに総合物価指数や消費者物価指数のインフレートした分を見て、一体今日の課税最低限はどの程度が戦前の何年ぐらいに匹敵するか、そういう検討は一体税調なり主税局ではいたしているのかどうか、それもひとつ聞かしていただきたい。実質所得はどの程度に伸びてきてという、それをひとつ明らかにしてください。
○泉政府委員 お話でございますが、御承知のとおり、わが国で昭和二十五年以降減税をいろいろやっておりますが、そのうちの八割は所得税の減税でございます。したがって、ほかの税を減税して所得税を減税しなかったから所得税のウエートがふえたのではなくて、所得税を毎年減税して、減税のトータルのうち八割まで所得税の減税をやったのだけれども、なおかつ追っついていっていないのに問題があるというふうに御理解いただきたいのでございます。所得税につきましては、国民の所得がふえていきまして、早く欧米並みの一人当たりの国民所得になっていく、欧米では所得税の税の中に占めるウエートは非常に多いのであります。したがって、所得税の内容がよくなって、そうして税全体に占める所得税のウエートが高まる、こういう方向に進むのが私は望ましい姿であると思います。 それから課税最低限につきまして、戦前といまの課税最低限を比較する方法はいろいろやっておりますが、これは物価指数は経済企画庁で使っております戦前の貨幣価値を現在の貨幣価値に換算する方法がございますので、それでやってみますと、たとえば戦前昭和九−十一年当時の課税最低限、この当時は日本の所得税はほんとうの所得税ではなくて、当時は納税者わずかに六十八万人といったような状態でございますから、今日の所得税と比較すること自体が非常に無理でございます。しかし、かりにあえてその当時の基準をとってみますと、その当時の課税最低限を現在に引き直しますと約八十五万円でございます。それから日本の所得税制が本格的になったというのは昭和四十五年の税制改正、これによって日本の所得税というのが近代的な税として出てきたわけでございます。そのときの数字に比べますと、七十四万円くらいが課税最低限である、そういうことに比べますと、現在の五十四万円、平年度に直して五十六万円でありますが、それはまだまだ課税最低限としては、戦前の数字を現在の貨幣価値に直した金額には及んでおらない、そういうことでございます。
○武藤委員 先ほど佐藤先輩もそれから藤田君も、社会党は課税最低限度標準世帯八十万にすべきだと言っておりますが、われわれの八十万にすべきだという主張の論拠は、戦前昭和九−十一年、この両方を実は検討した結果、当然日本の今日の水準からいくならば標準世帯八十万までは課税すべきでない、こういうわれわれの主張であったわけであります。われわれがいま考えた数字と主税局長がいま答えた数字では、八十五万と七十四万、やや私たちの考えた八十万——課税最低限度というのはとにかく戦前並みの課税最低限度にする、こういうことになったわけです。したがって、主税当局も今後ひとつそういう検討をして、まず何とか戦前並みの形にしよう。確かに納税人員ががくっと減りますよ。確かにそれは低所得者ががくっと減りますよ。減るけれども、そのことがまず人間尊重というスローガンをたてまえにする佐藤さんが、国民生活の向上、人間尊重、実質生活を向上させるんだと言うからにはまずここらを手始めに、ここ三、四年の作業にとらわれずに、一挙に課税最低限を戦前並みに復帰する、どうですか。そういう検討を主税局がばんばんやってみて、時の与党を動かすくらいな名主税局長にならぬことには、あなたの責任を果たしたとは言えないような気がするのですが、そういう作業をやるという意気込みについてのあなたの心境をひとつ聞かしてもらいたい。
○泉政府委員 作業はもちろんいたしてもよろしいのでありますが、とうていそういった税制改正が来年度実行し得る見通しはございません。社会党内閣になれば別でございますけれども……。そういう段階でございますので、私どもとしては作業はいたしてみますけれども、それを必ず来年やるというようなことは申し上げかねるのでございます。 それから先ほどお話しの配当所得一千万以上の方でございますが、これは統計的数字はなかなかつかみにくいのでございますが、三十八年の申告の統計からいたしますと、一千万円以上の総所得を持っている人で配当所得のある人が五千人でございます。三十八年から三十九年、四十年となりまして、四十年にはそういった所得が相当ふえておりますので、四十年で見ますればおそらくこの人数は七千人にはなっておると思いますけれども、しかしその程度の数字でございます。
○武藤委員 この一千万以上の所得者で配当所得がある者が七千人であるから、ほんのわずかの人たちに今回の特別措置がごそっと効果を発揮する。まことに不公平、応能原則に反する。先ほど田中大蔵大臣は、租税というものは公平の原則じゃないと言った。それは確かに応能原則もあるし、公平の原則もあるし、効果の点も考えなければならない。こういう点いろいろ考えてみて、どう頭をひねくり回してみても、今回の配当の処置というものは私は賛成できない。気に食わぬ。けしからぬ。そういう点で主税局長もこれをやることによって恩恵を受ける数はまことに少ないということは、この案が押しつけられるころから大体わかっておったのですか、そういうことになるということは大体知っておったのですか。
○泉政府委員 念のために申し上げておきますが、一千万以上の配当の人が大体七千人くらいであろうということから、今回の提案による利益を受ける者が七千人であると推定されては困るのでありまして、先ほど申し上げましたとおり、相当の数になるわけです。ただそれでは私どものほうでそういうことを知っておったかどうかということは、これは十分承知いたしておりまして、そういう措置がとられるときに源泉選択のほうで得になる人は、年五十万くらいから上のところで認めては、これはたいへんなことになるというので、せめてそこでチェックしなければならぬ、あるいは総株式数の何%くらいでチェックしないとあぶない、こういうことである程度のチェックはいたしたのでございますけれども、全体としてこういう制度自体はやむを得ないということでございます。
○堀委員 関連して。予算委員会で時間がなかったので聞けなかったのですが、あしたもちょっと聞けないかもしれないので、二つ三つ聞いておきたい。 それは今度の配当分離課税では減収が立ちますね。その減収の立つ中の一つに、五万円までの確定申告不要の減収の立ち方と、それから五十万までの源泉選択分離による立ち方と二つに分けられておる。そこであなたのほうでは、やはりおそらくいまのお話しのように推定数ですね、要するに、この恩恵を浴する推定数がやはりあっていいだろうと思うのです。そこで、五万円の分で当然出てくる。金額を出すためには、そこの中における人間の推定数があっていいのだと思うので、一体そういう推定数で頭割りにしてみると、これは一つの斜線になりますから、これは横で切るわけだから、それでどうというのは別ですが、とりあえず一人頭で計算をしてみると、一体五万円までの確定申告不要の場合には一人頭幾らの減税になるのか、五十万円の源泉分離は一体一人頭幾らになるのか、ちょっとそれを答えておいていただきたい。
○泉政府委員 私のほうで減収の計算をいたしておる場合には、配当金額を基礎にしてやっておりまして、人員は必ずしも基礎にいたしておりません。ただ先ほど有馬委員にお答え申し上げましたとおりに、私どものほうでいろいろ推計をやっておるわけでございますが、その推計をやりますと、いま申し上げましたように、配当が年一銘柄五十万円以上の人とか、会社の総株数の五%以上持っておる人、これは源泉選択できないということにいたしておりますので、源泉選択をする人はおそらく大体三万人程度ではないか。そうしますと、あと確定申告不要の人がどの程度になるかということでございますが、この人数は約二十万ぐらいではないかというふうに想像いたしておるのでございます。その数字といまの源泉選択による分と計算すれば一人当たりが出てくることかと思います。いまここで計算できませんので、あとでその計算がもしできるようでありましたら……。 〔堀委員「それはあなた、三万と二十万だから、すぐ割り算したって出るじゃないですか。ラウンドナンバーなんだから、減収額はわかっておる。私きょう質問するつもりじゃないので、資料を持っていないが、減収額は億単位でそれを三万と二十万の推計で割ればいい」と呼ぶ〕
○吉田委員長 しばらく速記をとめて。 〔速記中止〕
○吉田委員長 速記を始めて。
○泉政府委員 源泉選択分について申し上げますと、これは御承知のとおり、源泉徴収税率のほうを五%から一〇%に引き上げておりますために、源泉選択による利益というのは、源泉選択の一五%とそれから配当控除を認められないことによる点と差し引きして考えなければなりません。それで見ますと、一人当たりの平均額でいきますと、得になるのが約十七万円ぐらいの税額でございます。確定申告不要の人たちは、これも一人当たりに直しますと、五万五千円の税額でございます。
○堀委員 どうもありがとうございました。
○武藤委員 次にもう一つ、過般参議院で木村落八郎さんの質問に資料提出をいたしました。それによると、夫婦者で七十五万七千三百四十九円のところが物価調整でとんとん、物価の上昇と今回の減税でとんとんで、一銭も減税の恩恵を受けない計算になる、こういう資料が出たわけでありますが、これによると物価上昇率をどのぐらいに見たかというと、三十九年度の実績と見込みとの食い違い〇・六%を計算の基礎に入れて、四十年度の上昇見込みを四・五%と、こう見ておるわけですね。一体四・五%の物価上昇で四十年が推移するのかというところにまた大きな問題が出てくるわけです。そうすると、税金を取られるのは、一年後、一年後と取られるから、四十年度はさらに納税者の立場に立ってみると、負担感というものは非常に重く感ずる傾向になるのではないか、こう私は考える。消費者米価の値上げ、医療費の値上げ、バス賃の値上げ、公共料金が次から次へと値上げになった。おふろ屋も値上げになった。まああっちこっち大騒ぎです。水道料金などは一挙に五割——私の町でも五割。おととい二宮町という町へ行ってみたら、健康保険税が七割今度上がる、というのは、七割給付と今回の医療費の引き上げと一緒にがさつときたものだから、保険税が倍になる。そういうような状態で、末端ではこれはたいへんな騒ぎなんです。そういう物価上昇の四・五というものが狂ってくることは、もう間違いない。そうなってみると、この表も、もっと下のところへ実際は物価調整が四十年は落ちてくる。したがって、納税者の負担感、犠牲感、重いという感じは、これだけ減税をしても全く感じられないという減税幅になってしまう、私はそう考える。そういう納税者の感じですね、負担感というものが軽くなったという感じを持てるような減税だとお考えになりますか。どうでしょう、物価の趨勢から比較して。
○泉政府委員 政府といたしましては、四十年度の消費者物価の値上がりは四・五%という推計のもとに、いろいろな施策をいたしておりますので、最近のような物価情勢の結果、この四・五がどうなるか、これはあらかじめ想定して申し上げかねるのでございますが、しかし、消費者物価が想定されておった四・五%よりももっと上がるということになりますれば、お手元に差し上げました資料で、物価調整が、減税ができておるという階層のところが、もう少し下の階層にまで移るだろう、これは確かにおっしゃるとおりでございます。しかし、これで見ていただきますと、独身者で年収七十一万円のところまで物価調整ができておりますから、独身者で七十一万取っている人というのは、これはよほどの年齢になっても意地を張って結婚してないというような人でない限りは、そう所得の多い人はないと思っております。これはある程度救えるのではないか。夫婦者の場合七十五万円、この辺でございますと、夫婦で七十五万円の人はかなりおるかもしれません。物価が上がれば、もっと低いところで調整ということになりますから、あるいはその辺は問題があるかもしれませんが、夫婦子三人になりますと百五十九万円でございますから、これはかなり所得の上のところではないかというふうに考えられますので、もちろん十分であるとは申し上げかねますけれども、物価調整はかなりできておる。ただ、階層世帯別に見ると、その間若干の問題があるのではないかというふうに見られます。ただ、この数字は、名目所得が一律にふえるとかいうふうな計算をいたしておりますのと、それから、本来こういうふうに世帯が違いますと、物価騰貴の及ぼす影響もやはり違うはずなんであります。というのは、その世帯で物価騰貴の影響を受けるような支出をしている内容が違うはずでございますから、一律に同じ物価騰貴の影響を受けるのではなくて、物価騰貴の影響を受ける程度が違うはずでございます。したがって、正確にはそういうふうな分析をしてみないと、正確なことにはならないと思います。ただ、私どもいろいろ勉強いたしておりますが、そういったことをやっているあれがございませんので、やむを得ず現在は一律に出しておりますけれども、いま申し上げましたような分析も今後進めていって、形式的な数字でなしに、実態と合ったような検討をしなければならぬ、こう思っております。
○武藤委員 だから私は、具体的数字や何かを聞いたのじゃなくて、負担感というものが解消されない程度の減税だ、具体的にいうならば、独身者で二十万の者が幾ら減税になったかというと、絶対額では四十年に千八十円、一カ月百円減税にならないのですよ。三十万の人で千八十円、五十万の人で二千九百五十四円ですよ。この辺の階層が一番多いわけだ、三十万から五十万程度の。一年に千八十円から二千九百五十円、一カ月減税額が二百円。これでは、払うほうの立場になると、全然減税してもらったという感じを受けませんよ。ぼくが聞いているのはそういうことなんです。絶対額でいうとほんの微々たる減税なんですね。だからさっき課税最低限八十万までばっと思い切ってやれというのは、そういう重い税金だという犠牲感、負担感というものを緩和をしなければ、貯蓄奨励だ何だと幾ら政府がいっても、上では減税だ減税だといっても、実際取られるさいふの中は月百円や二百円では、これは政府のいうことを国民が信頼しなくなりますよ、こういう減税では。そこで一回思い切った、負担感を軽減させるような態度をとらなければ、政府のいうことを国民は聞かぬ。おまけに納税、徴税思想というものが——何だ、利子配当の人にはそんなにいうのか——今度は利子は、配当と比較したら悪くなりますけれども、配当ならそんなにいいのか、それじゃ配当を買え買えと政府がおだてて、買ってみたところが、投資信託が、五十円が三千二百円になっておる。これまた政府がうそをつく。これじゃ一体おれはどこへいったらいいんだということになる。これでは国民は可処分所得が、あぶなくてあぶなくて、どこへ持っていったらいいかわからなくなる。私は今回の減税の内容を見ると、これは比較考量すべきものがありますが、配当などに手をつけてこんなことをやらずに、もっとこういう低所得者に対して思い切った減税をやるべきだった、こういう立場からの具体的数字、こういう点を……。 そこで私は、先ほどの「エコノミスト」で、いやしくも主税局長がわれわれと同じ見解の対談をやった。貯蓄をふやす、資本市場を強化する道は可処分所得をふやす道である、まさにそのとおりであります。税調もそう策申をしておる。しからば可処分所得をふやすのに一番手初めに主税局として手をつけなければならないと思われる問題は何か。これをまず聞きたい。
○泉政府委員 お話しではございますが、二十万円の給与の収入の人は現在千二百八十六円しか税金を納めておらないのです。したがって千八十円減税するということは、税金の面ではほとんど税金がなくなるというので、私は相当負担感が軽減される、こう思うのでございます。もっともっと減税すればいいということは、これはおっしゃるとおりだと思いますが、納めていない人は負担感が減るも何もないので、これはいたし方ないことだと思います。それはともかくといたしまして、課税最低限を引き上げまして、そしてそういった国民の負担を救うということ、これはもちろん必要でございます。しかしながら米価が上がる、医療費が上がる、そのほかのいろんな料金が上がるといったものをすべて税金でまかなえといわれても、それはなかなかできないと私は思います。やはりこれは給与が増加し、所得が増加するということによって実現できることでありまして、税のほうでは、ただ給与がふえたといっても、その間物価が上昇するために実質所得がふえない。それにもかかわらず税が名目所得に課税されるために負担が重くなる。これは税として調整しなければならぬ、そういうことを考えておりまして、そういう意味での物価調整減税は十分やらなくちゃいかぬし、それだけでなしに、実質的に国民の生活水準が向上するということを考えると、物価調整だけで済ましてはいけないのであります。それ以上の実質減税になる減税をやるべきだ、こういうのが私どもの基本的態度でございます。
○武藤委員 主税局長の答弁でけっこうです。ただ私の言っているのは、いま二十万という例を出したのはまずかったですね。かりに二十万円でも、あなたなんか静止している、動かない数字の上で見ているが、私の言っているのは、負担感、犠牲感を受けているのは動いている人間、その人間はいまは表の上では二十万に適用されるけれども、四月になって給料が上がる、政府の見通しでも九・四%の給料の上昇を見込んでいるわけだ。約一割。そうするとそのふえたものに対して課税されてくるんですから、結局は去年二十万だった人は一千八十円で済んだが、今度は、実際は一回ゼロに落ちたはずなのが、年末へいってみたら、何だやっぱりおれは二千円取られた、政府は減税だ減税だというけれどもおかしいじゃないかという負担感は消えないんですよ、動いている人間は。数字の上では消えるけれども……。そういう者がそういう感じにならないような減税を今後はしなければいけない——まあいまの答弁でいいですけれども、そういう注文をひとつつけておきたいと思います。 きょうは実はもっともっとわが党の税制改正案から全部を出そうと思ったのですが、もうだいぶ時間もたって皆さんも疲れたようでありますからやめたいのでありますが、ひとつ今回の特別措置で森林組合を取り上げておりますが、前々から注文をつけられて、主税局長もここでだいぶとっちめられて、田中武夫さんがおった当時生協の問題を注文をつけられておった、生協の課税の問題についても四分の一の減免措置をやったらどうか、もう一つは企業組合、これも協同組合法に基づく組織であって、いろいろ給料の制限もあり、業務の制限もあり、協同組合法による制裁を受けるようになっている、そういう企業組合や員外利用を認めない生協に対してなぜ今回処置しなかったのか、森林組合だけ取り扱って。主税局長の耳に入っていなかったならいざ知らず、かなり強くここで議論され要望され、今後検討していこうとあなたは約束をしておる。それがなぜ今回の改正に出ないのか、私はまことに残念でたまらない。その経過をひとつ……。
○泉政府委員 消費生活協同組合につきましては、武藤委員お話しのとおり昨年の国会の際田中武夫委員からいろいろ御質問を受けました。私も検討をお約束いたし、検討いたしたのであります。ただその際にもお答えいたしましたように、消費生活協同組合の中には員外利用を認めておるような団体がございまして、その員外利用をしておるものは、どうも普通の小売り商との間に思わしからない傾向が出ております。これは適当ではないじゃないかということでございます。そこで員外利用をやっているものとやってないものとどの程度であるかということをいろいろ調べたのでありますが、どうも厚生省のほうにはそういった統計が実はあまりないのでございます。そこで厚生省といろいろ、どうしてそういう統計がないのか、もっとしっかりしなければ困るじゃないかということをやったのでありますが、結局そういった員外利用の具体的な統計もないし、はっきりしない。そのままではどうも今回森林組合にそういう適用をするようにしたと同じような措置がとりにくいということになりまして、今回は見送らざるを得ないという事態になったのでございます。なお企業組合につきましてもこれは御承知のとおり個人企業が企業組合の中に埋没してしまうわけでございまして、まあ協同組合法の中に規定されておるのでありますけれども、その法人格としての性格は一般の協同組合とはかなり違っているのではないかというふうに考えられるのでございます。その点からいたしますと、私どもいつまでもこの企業組合の制度ができてあれが設立された当時のことを根に持っておるわけではございませんけれども、しかし企業形態として見たときに、協同組合などと同じだとおっしゃるのはどうも理解しがたい。そこで今回の措置におきましては、企業組合の組合員が確定申告をする場合に、給与以外の所得が五万円以下のときには確定申告しなくてもいい、こういうふうなことだけをいたしまして、それ以外の御要望の企業組合の制度の優遇措置につきましては、なお今後検討したい、こういう立場におるわけでございます。
○武藤委員 そこであとでこれを議員修正で与野党一致して修正をするというふうな場合に、主税局としてたいへんな支障を来たしますか、どうでしょう。
○泉政府委員 どういう御修正の内容かまだ承っておりませんので、内容も聞かずにお答えするわけにはまいりませんが、消費生活協同組合の出資の四分の一に達するまでの留保の二分の一を非課税にするということになりますと、税額からいえばたいしたことはないと思いますけれども、しかし予算に見込んでおる数字に穴があくということは問題であろうと存じております。
○武藤委員 穴があくのは、あなたの見積もりの法人税などは百三十六億円も大穴があいて、十二月の国会に修正までしたのですよ。いわんや五千万円程度の穴があいだからといって、これはどこでも埋め合わせつく。これはどうしても四分の一の留保所得に対して二分の一の課税を減税するという、ほかなみに——いま与党の議員まで主税局長は何にも知らぬ。これはやはり協同組合法やほかの法律にうといからそういう答弁をなさるので、まだ今後、与野党が修正案の検討をするという場合には、前向きでひとつ御協力をしてもらうということを要望しておきます。 最後にもう一つだけ。これはせっかく出ている法律で、あした討論をするのに質問をしないとどうもしづらいものだからちょっと聞いておくのですが、今回の所得税法の改正の第一条の趣旨の中に、いままでなかった規定が入りました。いいですね。第一条にいままでなかった表現が入っておる。一体税法というものはどういう性格のものなのか、これが国によって違いますね。スイスでも西ドイツでもイギリスでも、税法というものは一体どういうものであるべきかという規定がある。税法というものは、民主的な理解のしかたと、非民主的な理解のしかたと、税法というのはこういう性格のものだといういろいろな学説もあります。今回の改正で、「納税義務の適正な履行を確保するため」と書いてある。納税者の立場は全然書いてない。これは一体どういう学説をあなたは採用してこの一条の新しい文句をここへ入れたんでしょうか。
○泉政府委員 まあこの法律の趣旨とするところの思想的な内容というよりも、事柄だけを書いたのでございまして、その事柄は結局所得税の納税義務者はだれであり、課税所得の範囲はどうであり、税額の計算方法はどうなっておるか、また申告、納付、還付の手続はどうであり、また源泉徴収についてはどういう手続で源泉徴収をするか、そのほか納税義務の適正な履行を確保するためには、利子税であるとか、加算税であるとか、あるいは罰則の規定がございますが、そういう事柄を規定するのだということでございまして、それは所得税法で規定しておる内容の事柄を羅列しただけでございます。ここにおっしゃる思想的なといいますか、そういうものの内容は全然盛られていないわけであります。そういった思想的な内容と申しますか、そういうものを盛るべきじゃないかという御意見は拝聴いたしておきます。しかし今回の改正はもっぱら事務的な、どういう範囲のことを規定しておるのだということしか掲げてないのでございます。
○武藤委員 それは主税局長重大なんですよ。日本の今日の憲法も租税法定主義をはっきり掲げているということは、国民の財産権というものはそうみだりに侵害されないという立場から租税法定主義の原則はある。したがって一体税法というものは国民の財産権をどの程度まで侵害できるのか、そういう点がやはり税論議としては非常に根本的な議論になるのです。スイスの法律を見ると、あの国会が発行しておるレファレンスを読んでみると、スイスでは、法治国家的形成を配慮することが税法だ。まだドイツでは、税法とは国民に財産権の保障を法定することだ、したがってただ単に納税義務の適正な履行を確保するといって、納税義務者だけが国家権力に収奪される、国税権力側の立場からだけ書かれるという法律は、民主的な税法とは言えないし、したがってもっと民主的な条項というものを入れて、財産権というものがみだりに侵害をされないようにしなければいけない。そういう基本的な配慮が今回の整備法に基づく、あるいは全文改正に基づく改正ではいささか落ちていた。この点は私たちは少々片手落ちではなかったか、こういう感じを持つわけであります。今後私たちはこういう税法というものを、通達行政の問題、政令委任の二百六十六カ条の問題、これらの問題についても一応政令というものは国によっては全部国会の承認を受ける国がありますよ。財産権に触れるような問題、数量や金額に触れるような政令は全部国会の承認を必要とするものがある。議決は要らないけれども承認を必要とする。何かそういうものがなければ権力のみだりな乱用というものを押えることができないのであります。民主主義の天下というものはそこが違うわけでありますから、日本をより民主国家にするために、今後税法の基本理念からもひとつ十分検討願いたい。強く要望して、まだ二時間余っておりますが、私の質問を一応終了いたします。
○吉田委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○吉田委員長 速記を始めて。 竹本孫一君。
○竹本委員 私は二、三の点について簡単に質問をいたしたいと思います。 第一は物価調整減税の問題についてであります。先ほど来いろいろと論議が重ねられておりますが、特に調整の限度の問題に関しまして、大事なのは物価の問題でございますけれども、政府は、四・五%、こういうことでございますが、政府の物価の見通しが当たったことはあまりありません。私どもは大体七%くらいはことしは上がるだろう、こう見ておりますが、一体大蔵省としては四・五%、もしくはその近くに物価の上昇は押えられるものとお考えであるか、あるいはわれわれの考えるように、これだけの公共料金その他の引き上げがあって、一つの値上がりムードができてくれば、やはり七%くらいまではやむを得ず上がるというふうに見ておられるか、これは重大な影響がありますので、承っておきたいと思います。
○泉政府委員 私どものほうは税のほうを主としてやっておりますので、物価の見通しについては経済企画庁なり、そのほかの物価についての専門家の意見を尊重をいたしておるのでございますが、それではことしの消費者物価の値上がりが、政府予想のとおり四・五%で済むかどうかということになりますと、最近のような経済の動きでは、場合によって四・五%ではおさまらぬかもしれません。しかしながら、それでは何%になるかということにつきましては、まだ現在の段階で明確に申し上げることはできないと思います。いま少し日にちがたったあとでないと、どの程度になるかということの予測はつかないと思います。しかしながら今後の政策よろしきを得れば、この四・五%をそう変わらないところにとどまり得るのではないかというふうに考えております。
○竹本委員 政策よろしきを得ればという条件が、なかなかむずかしいというのがわれわれの考え方でございますが、先ほどお話のときちょっと聞き漏らしましたけれども、調整限度のどこまでが——独身者の場合、夫婦、夫婦に子供二人といったような場合にはどこまでという限度をもう一度おっしゃっていただきたい。そして同時にもしこれが七%に物価が上がるといったような場合には、その調整の限度というものはどの辺になるか、これは大ざっぱな見通しを伺いたい。
○泉政府委員 私どもの計算につきましては、先ほど武藤委員にお答えいたしましたように、計数の取り方などについて、いろいろ問題がないことはないのでありますが、いま私どもが計算した方法で申し上げますと、名目所得は三十九年に比べて四十年には一三・二%増加するものと見込みます。そこで物価が五・一%、四十年度自体としては四・五%でありますが、私どもが当初三十九年に想定いたしておりました物価の上昇より、実際の三十九年の見込みが少し動いております。御承知のとおり、政府は四・二%と予想しておったのが四・八%になるということでございますので、その差の分を四・五%に加えますと五・一%ということになるわけであります。そこで、実質所得は七%増加する、こういう前提のもとに計算いたしたのでございます。それによりますと、三十九年のこれも当初予算のベースでも、所得金額が独身者の場合には七十一万五千百五円、これを名目所得が四十年に二二・二%増加するというので見ますれば、四十年度の所得では八十万九千四百九十九円、こういう金額になります。夫婦者について申し上げますと、同じく三十九年の所得が七十五万七千三百四十九円でございまして、四十年度名目所得は八十五万七千三百二十円でございます。それから少し飛ばしまして、夫婦子三人について申し上げますと、三十九年の所得が百五十九万三千八百十円、四十年度名目所得は百八十万四千百九十三円、こういうところまでは物価調整による減税がきく。ただ先ほど武藤委員にお答えいたしましたように、物価の上昇が四・五%でなくて、もう少し高くなるということになれば、この調整のきく所得階層というものがもう少し下に下がる、こういうことになるわけでございます。
○竹本委員 今度は物価調整のための対策でございますけれども、やはり今後もどういう点に重点を置いていかれるのか、いわゆる基礎控除の引き上げといったようなものに重点を置いていかれるのか、あるいはそのほかのものも考えておられるのであるか、その点をひとつ伺いたい。
○泉政府委員 わが国の生計費の実態から考えてみますと、所得税の諸控除のうちで一番やはり重視すべきは基礎控除とそれから扶養控除とそれから給与所得控除、この三つは一番重点を置いて考えていかなければならぬと思います。その次は配偶者控除になるのではないかというふうに考えております。
○竹本委員 先ほどお話がありましたが、第二番目の問題でございます。 政府は期待以上、一般に予想せられた以上の減税をやったということを非常に強調せられておりますが、私考えてみますのに、物価の問題等の関係もありますが、今度減税をされても、平年度で税を納める人が千九百三十八万人になるというお話でございますが、先ほどお話の出ました六十八万人、これから私どもが考えてみるに、六十八万人の者が七百万人くらいになった。これは十倍、それが戦後いつの間にか一千万人になった。一千万人から二千万人になった。これは非常にテンポが早いのでありますが、これは決して所得がそういう勢いでふえて、大衆生活が豊かになって税を納めるということではなくて、私は、税のほうが下におりてきて、いわゆる大衆課税的な要素が強くなったために、納税者の数がおそろしい勢いでふえたのだ、こういうふうに思います。したがいまして、納税者を減税によって今度も二千万人以下に押えたわけでございますけれども、こんなに二千万を前後しておるということは、日本の国民の所得がふえたとか、経済が高度成長を実質的にしたということではなくて、私はむしろ税そのものが大衆課税的な要素を強めてきたのだというふうに見るべきではないかと思いますが、お考えを承りたいと思います。
○泉政府委員 その点につきましてはいろいろの考え方があろうかと思いますけれども、どこの国でも戦後所得税の納税者は非常に増加いたしております。アメリカのような国におきましても、戦前に比べますとその増加度合いというものは非常なものでございます。ただ日本の場合には、何ぶんにもまだ一人当たり国民所得が諸外国に比べて低いのに所得税の納税者の数がわりあい多い。これは問題であるわけでございます。そういう意味では、今後とも所得税の減税をして納税者の数を減らしていく、こういう努力が必要である、このように思っております。
○竹本委員 これに対して一つの目安あるいは目標、そういうものをお持ちですか。
○泉政府委員 この点につきましては繰り返して申しておりますように、税だけの点でなしに歳出と関連してまいりますので、やはり歳出のほうのふえ方をある程度押えていくのでないとなかなかやっていけないということが一つと、それからいま一つ税のほうだけで見ますと、一つの考え方としては有業人口に対して所得税の納税者の割合が半分程度くらいになるということを一つの目標に考える。これは税制調査会も言っていることでございますが、それも一つの考え方であろうと思います。それからまた課税最低限につきましていろいろ御意見ございますけれども、それを引き上げることによって、いま私どもがはじいておるマーケットバスケット方式による食料費を基準とした生計費だけでなしに、もっと豊かな生活のできるような課税最低限まで引き上げる、そういう目安と両方から考えていかなければならぬと思っております。
○竹本委員 いま国民の一人当たりの平均所得を二十一万円くらいに考えてどうだろうかと思いますが、そうすると五人家族で百万円、それに対して今度の非課税の限界である課税最低限が五十六万円と、大体半分くらいだと思いますけれども、そういうふうに考えていいかどうか。 それから、時間がないのであわせて伺いますが、先ほど昭和九−十一年についてお話がありました。それを引き伸ばしてインフレートしてみると八十五万円だとか七十四万円だとかいうお話がございましたけれども、それは当時の課税最低限が幾らであって指数をどのくらいに見てのお話でございますか。
○泉政府委員 まず最初の、四十年度の一人当たり国民所得は二十三万一千円くらいと見込まれます。これを基礎にしますと、五人世帯では百十五万くらいの所得になるわけでございまして、今度の改正によりまして課税最低限が初年度五十四万円、平年度五十六万円になりましてもその約半分程度でございまして、この点からいいますともっと課税最低限を引き上げていくことが望ましいというふうに考えられます。 次に、戦前の課税最低限につきましては、昭和九−十一年当時は御承知のとおり千五百円というのが課税最低限になっておったわけでございますが、夫婦子供三人の世帯について申し上げますと、税額控除がございますので、それを所得に直しますと千八百七十五円でございます。これを物価でインフレートしたわけでございますが、その数字は四百五十四倍という数字を使っております。 次に、昭和十五年当時におきましては、夫婦子供三人のところでは千五百二十円の基礎控除というか、課税最低限になっておったわけでございまして、そのときの物価は、昭和九−十一年を一としまして一・九七になっております。約倍近いところでございます。それを基礎にいまの四百五十四倍という数字を用いまして換算したものでございます。
○竹本委員 あまり議論めいたことは時間がないので避けますが、次に累進構造の再検討の問題を伺いたいと思います。 現在サラリーマン等で、サラリーマンだけでもありませんが、七十万から三百万くらいの層が一番負担が多いと思いますが、そうであるかどうか。また物価騰貴も含めて、累進構造の再検討ということについてどういう努力をされたか、またこれからされるのであるか、その辺を伺いたいと思います。
○泉政府委員 お話のとおり、近年のわが国の所得税の減税は、課税最低限の引き上げに重点を置いて行なわれておりまして、税率の改正は昭和三十二年に行なわれまして以来ほとんど行なわれておりません。昭和三十六年と七年に府県民税を増加する関係で国のほうの税率を少し下げまして、その分を地方税に譲ったわけでございますが、その際若干調整が行なわれていますけれども、これはどちらかというと所得税を軽減して地方税をふやしたのであります。実質的な軽減にはあまりなっておらない。そういう点からいたしますと、税率の改正は三十二年からほとんど行なわれていないといっていいわけであります。その点から見ますと、どうしても控除の引き上げは所得の低い人には非常に有利に働きますけれども、所得の上といってはあれでございますけれども、最近の普通のサラリーマンの中堅どころというような人にとりましては、減税はあまり行き渡っていない。所得の非常に多い人は別といたしまして、やはりサラリーマンの普通の人がもっと減税を受ける必要があるのではないか。そういう意味では税率の緩和をする必要があるということで、税制調査会にもいろいろ案を諮問いたしまして、税制調査会のほうでは課税所得三百万以下のところで税率の緩和をやったらどうかという答申が出たわけであります。先ほど申し上げましたような経緯からいたしまして、本年は見送ったということになったわけでございますが、しかし大臣が言明しておられますように、来年は税率緩和をぜひやりたいということでございます。私どももその点を十分検討して努力してまいりたい、このように思っております。
○竹本委員 来年の話になりましたけれども、とにかく私どもの感じとしましては、下のほうも不十分でございますし、いろいろ議論がありますけれども、下のほうはいまお話のように引き上げをやって何とか色をつけている。また上のほうは、先ほど来議論がありましたように、一千万以上の者になるとよ過ぎるだけの待遇をしておる。中堅層の七十万から三百万くらいの間においてはほとんど顧みられていないということでございますので、これはぜひ真剣に取り上げていただきたいということを要望いたしておきます。 次に事業所得についてでございますけれども、専従者控除の引き上げが行なわれました。十八万、十五万、白色の場合が十二万ということになりましたけれども、これはいつまでたっても同じように差がついているわけでございますけれども、これを大体平均化するといいますか、十八万円なら十八万円一本でいくというような考え方はどうしてもおとりにならないのであるか。
○泉政府委員 この差の設けられている理由につきましては前国会でも申し上げたと思いますが、青色申告をしておる場合におきましてはこの金額というのは限度額になっておりまして、必ずこの金額を控除するというわけではないのであります。この金額の範囲内で実際親族に支給した額を引くということになるわけでございます。その意味で、白色の場合の十二万円控除というのとは性格がやや違うわけでございます。専従者控除につきましてはたびたび申し上げておりますように、この制度に限度額を設けることが適当かどうかという問題もございます。ことに私も先日実例を聞かされたのでございますけれども、息子といってももう相当の年齢に達して、妻もあれば子供もある、そういう人が、息子なんだけれどもやはり父親の診療所を手伝って医者としてやっておるということになると、やはり専従者控除の対象にしかならないのであります。しかし妻があり子供まであるような人も十八万円しか引かないのだというのは制度としてどういうものだろうか、これは確かに先般お聞きいたしまして考えさせられたのであります。そういう点からいいますと、いつまでもそういうものに限度額を置いているのはどうかという点もあります。さりとて限度額をやめてしまうと、任意なやり方によりまして、本来それだけの給与を払ってないのに給与を払ったことにして、そうして負担の軽減を受けるということになってもまた都合が悪いわけです。その辺のことを考えながら、今後とも専従者控除の問題につきましては、実際に他に働きに行った場合にはどの程度の給料がもらえるだろうかということと見比べつつ検討をしていかなければならぬ、このように思っております。
○竹本委員 次に、法人税の問題でひとつ伺いたいと思いますが、大企業について三百万円以上一律一%ということは、あまりにも機械的であって意味がない。むしろ矛盾のほうが多いと思いますけれども、その一%一律にやられた理由をお聞かせいただきたい。
○泉政府委員 この法人税の税率につきましてはいろいろ意見があるところでございまして、一%くらいではたいした効果はないからもっとためて一ぺんに数%できないかとかいろいろな意見があったのでございます。四十年度の財源が乏しい中で所得税の減税もやらなければならぬわ、また開放経済時に向かって企業の国際競争力の強化ということも必要であるということからいたしまして、わずかでありますけれども法人税率一%、しかし年三百万円の所得以下の中小法人に対しましては二%軽減する、こういう措置をとることによって金額的にはかなりの減税になるわけでありますが、それによって企業の内部留保が少しでもふえればということを考えて提案いたしておる次第でございます。望ましいことはもっと軽減ができればいいことでありますけれども、しかし法人税率自体から申しますと、日本の法人税率は諸外国の法人税率に比べて高くはないのであります。ただ国際競争力の強化といった政策的な意図の本とに、そういう税率を引き下げております。現段階におきましては、一%ぐらいの程度でやむを得なかったものと考えております。
○竹本委員 特に中小企業の問題について一言伺いたいと思います。 われわれはこの点で二つの考え方を持っております。一つは同じ三百万円以下でもこれを三つぐらいに分けたらどうかという点であります。たとえば百万円以下は二三%、百万円から二百万円までは二八%、二百万円から三百万円までは三〇%の法人税率にする。こういうふうに中小と申しましても非常に数は多いし、しかもその間における断層が非常に大きいので、いま申し上げましたように百万円以下と、それ以上二百万円まで、二百万円から三百万円までというのは会社の力関係がずいぶん違いますので、これを差をつけて、若干のめんどうはあるかもしれないけれども法人税も取り扱いをやるということがこの際必要なことではないか、その点が一つ。もう一つは、減価償却資産につきまして、中小企業の場合には初年度に特別償却制度を認めていくというような形で、いま政府のいわれておる近代化を促進するのにもう少し役立つような方向で税法を考えたらどうか。この二つの点をわれわれは強く要望したいのでございますけれども、どういうお考えでございますか。
○泉政府委員 まず法人税率につきましてもっと税率の段階をたくさんにしたらどうかという御意見、これはいろいろそういう御意見があるのでございますが、日本のいまの法人税の考え方が、法人税は個人の所得税の前取りであるという考え方に基づいておりますので、そういう点からいたしますと、法人税は独立の税ではなくて所得税の前取りにすぎない。したがって所得税のいわば源泉徴収税率なんだというふうに考えられるわけであります。その点からいたしますと、最終負担は所得税で調整するのだから法人税自体は一律の税率が望ましいということになるわけであります。これは税制調査会もそのような答申をいたしておるのでございます。ただそういうことで昭和二十五年のシャウプ勧告に基づく税制改正のときには、法人税率は一律に三五%であったわけであります。それが朝鮮動乱によって法人の所得がふえたというので四二%に上がりました。その後四〇%に軽減し、さらに三八%に軽減して現在の姿になっているわけでありますが、そういう過程で特別措置が二十八年、ころから非常にたくさんとられまして、実際問題として大企業と中小企業との間の税負担の差があるのではないか、実効税率に差があるのではないかということからいたしまして、最初は五十万円以下の所得について税率を軽減しました。それが百万円になり二百万円になり、今日の三百万円になっているわけであります。そういう税率の差等を設けることになったわけでありますが、さらにこれ以上に税率の差を設けるべきかどうかということになりますと、観念的なことを申し上げるようでありますけれども、やはり法人税の考え方自体について、いまの擬制説的な立場だけでなく、やはり法人は独立して納税主体になり得るのだというような観念を取り入れないと、そういう税率の差等を設けることがむずかしいのではないかと思うのであります。もちろんそういう法人税の考え方もあるわけでありますが、そういうことになりますと二十五年以来とられておりますわが国の法人税についての考え方を根本的に直すということになりますので、なかなか一挙に踏み切れないということで、税制調査会でもまだいろいろ検討をいたしておるのであります。そういう状態でありますので、いまにわかに法人税の税率の段階をもう少し多くすることには賛成いたしかねるのであります。いま申し上げましたような考え方で、法人税の本質自体について、もう少し十分な検討をしなければならぬ、こう考えております。 それから中小企業の特別償却の点でございますが、これは竹本委員御承知のとおり現在租税特別措置法に基づきまして、中小企業用の合理化機械といたしまして、一般の合理化機械ほど精度が高いのではありませんけれども、特に中小企業で多く使われておるような合理化機械につきましては、初年度三分の一の特別償却——一般の大企業の使う合理化機械につきましては、特別償却割合を初年度二割五分に落としたのでありますが、中小企業につきましては依然として初年度三分の一の特別償却ができるようにいたしておりまして、問題はその合理化機械の内容でございますが、これにつきましては通産省のほうにいろいろ御要望がございますので、本年七月までいまの告示の適用期限がありますので、その七月までに通産省と打ち合わせまして、合理化機械の入れかえをいたし、最近の事態に即応するようにしたい、こう考えております。
○竹本委員 あと一つだけ。実は重大な問題で、先ほどの分離課税の問題です。一つは、分離課税にしてもしないでも、たいして利害関係はあまり変わらない、そういうボーダーラインは幾らであるか。それから先ほどお話しがあったのですけれども、ちょっとよく聞こえなかったのだが、私の見ておるところでは、大体それが二十三万人、その線が百八十万円くらいだと見ておりますが、それでいいかどうか。
○泉政府委員 配当について分離課税ということになりますと、源泉徴収税率が今度一〇%、それと配当控除率が一五%でございますから、その両方合わせました二五%。そこの課税所得で見ますと八十万から百二十万まで、それが二五%でございますから、それを上回る階層は分離によって得になる。それから八十万以下のところは分離になると損になるということでございまして、課税所得で百二十万でございますから、それに基礎控除、配偶者控除、給与所得控除というものを加えていきますと、標準世帯で言えば、それに五十四万円加えて百七十四万円控除になる、こういうことであります。
○竹本委員 それが大体二十三万人くらいと押えていいかどうかということです。わかりませんか。
○泉政府委員 分離になりますと、先ほど申し上げました確定申告不要の人よりも数は減ってまいります。したがって完全分離のほうで得になるという人はおそらく十四、五万人ではないか、このように考えられます。
○竹本委員 時間がありませんから、一つだけ最後でありますが、われわれ情報で聞いておる程度ですから詳しいことはよく知りませんが、先ほど大臣が非常に熱意を込めてと申しますか、非常に興奮して答弁された点でありますけれども、かりに、現在の時点において、自己資本の率を上げよう、あるいは国際競争に勝たなければならぬのだといういろいろの要請があるとして、それで政策的立場において、税調の答申が何であろうと、とにかく政府の責任において、特に政治的立場において、この分離課税といいますか、源泉選択制をとるということになりましても一これから先が大事だと思うのです。大臣は何だか理論どおりには参りませんと言って、初めからしまいまで無理論でいこうというような言い方をしますけれども、かりに政策的立場で源泉選択をとらなければならぬといったような場合でも、そのとり方、例外のつくり方がいろいろあると思うのです。今度出されているような案が唯一絶対のものじゃない。私が承っているところによると、自民党の中では山中試案というものがあった。これは分離課税、ただし源泉徴収の税率を三〇%にする、それで三年間という御意見であったと聞いておる。この山中試案のほうが一まあ、そういうものがあったかどうか私よくわかりませんが、かりにあったとして、あるいはなかったとしても、このほうがよほど合理的だと思う。とにかくその意味で私どもは、山中試案を飛び越えて田中試案といいますか、今度の政府の原案になった。その点かりにそういう政策的必要を認めるとしても納得できない。この点についての局長のお考えを承っておきたい。
○泉政府委員 お話のとおり、配当に対する優遇措置を講ずるとした場合にも、いまの一五%の税率による源泉選択が唯一無二の方法でないことは申し上げるまでもございません。その過程でもいろいろ案がございましたし、いろいろな考え方はあり得るところでございます。ただ最終において現在提案申し上げているような案に落ちついたわけでございますが、これまでにならないで、租税負担の公平はある程度は害するにしても、これほどは害さないという案はいろいろつくり得ます。また検討すべきものであろうと思っております。
○竹本委員 要望して終わります。大蔵大臣は先ほど来非常に熱意を込めてお話がありましたけれども、理論どおりにはまいらないと、まいらないほうにだけ熱意を入れて話された。これは私は間違いだと思うのです。理論を通すということのために熱意を持たれ、悲壮な決意をされるということでなければだめだ。そのほうの努力がなくて、世の中は全部は理論でいかないのだというので無理論でいく、理論に反するようなことに熱意を持たれるのは間違いでありますので、この点は政府は今後のものの考え方において十分御反省を願いたいと要望して終わります。
○吉田委員長 次会は、明二十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後十時九分散会