商工委員会 第27号
- 発言数
- 172 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/04/13
会議録
○内田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の小規模企業共済法案を議題とし、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。桜井茂尚君。
○桜井委員 私は質問したいことがたくさんございますので、ひとつ、御回答くださる方は、私の質問したことに関してだけ御返事をいただきたいのであります。それ以外の点、関連してまいります点は、おそらくあとで必ずまたそこで質問をするだろうと思いますので、ダブって何度もいたしますとかえって時間の浪費でございますので、どうか質問した点についてだけ御回答を願いたいと思います。大臣がお見えになりませんので……。
○内田委員長 政府委員室を出ましたから、五分以内に到着すると思います。中小企業庁長官と担当官が出席いたしておりまするので、お始めをしただければ幸いであります。
○桜井委員 では、まず最初に、本案の審議を始めます前に参考として、前提条件といたしまして、今後の日本の産業構造、あり方、こういうものを明らかにしておきたいと思います。 そこで、参考のために日本とイギリス並びに西ドイツの雇用構造、ことに自営業者を中心にその比較をお願いいたします。
○中野政府委員 担当の振興課長から……。
○長田説明員 労働省が一九六五年に出されました労働統計要覧によりますと、わが国の場合は、三十五年度の総理府の事業所統計による製造業の従業員総数でございますが、これは八百九十万六千ということになっておりますが、規模別に従業者の全体を一〇〇とした場合のウエートを申し上げますと、五百人以上の場合は二三・五%、それから百人から四百九十九人までが二一%、それから五十人から九十九人までが一一%、四十九人以下が四四・五%、特に四十九人以下が相当ウエートが高いわけでございます。西ドイツの場合は、一九六四年の統計年報によりますると、総数八百万二千人、これを一〇〇といたしました場合に、それぞれのウエートは、五百人以上の規模のものが四九・八%、それから百人から四百九十九人までが二九・四%、それから五十人から九十九人が八・九%、四十九人以下が一一・八%というふうになっております。なお、イギリスにおきましても、総数七百六十七万八千、これは一九五八年の生産センサスによりまするところのものでありますが、これを一〇〇といたしました場合に、五百人以上の規模のところが四八・二%、約半分近くを占めておりまして、五十人以下、つまり四十九人以下が一一・七%というふうにウエートが非常に小さいわけです。日本の場合は特に五十人以下のウエートが非常に高くなっております。
○桜井委員 ついでに、いま私が申し上げたのですが、自営業者だけの点もお述べを願います。
○長田説明員 わが国の場合の、自営業主を中心にいたしました就業者の地位別の構成比を申し上げますと、わが国の場合の一九六三年における就業者総数、これが四千二百五十七万人ございますが、これを一〇〇といたしました場合の自営業主の数、これが八百八十四万となっておりまして、そのウエートは二〇・八%、これに対しまして西ドイツの場合、やはり同じく一九六三年度でございますが、就業者総数二千六百八十八万人、これを一〇〇といたしました場合の自営業主の数は三百十五万六千で、その比率は一一・七%、日本の場合の約半分近くになっております。さらにイギリスの場合はそれより低くて、総就業者数二千二百六十一万人を一〇〇といたしました場合、自営業主の数は百六十四万九千人で七・三%というふうに非常にウエートは小さくなっております。
○桜井委員 ついでに、これはこれからの議論の基礎になるものですからお伺いいたすのですが、一人当たりの付加価値生産性の比較をお願いいたします。
○長田説明員 同じく労働統計要覧によりますと、製造業における労働者一人当たりの付加価値額の規模別格差でございますが、千人以上の規模のところの労働者一人当たりの付加価値額を一〇〇といたしました場合のそれぞれの規模別の比率を申し上げますと、一九六一年、三十六年度の工業統計表によりますところの規模別格差でございますが、五百人から九百九十九人までの規模のところでは七五・七%、それから百人から四百九十九人規模で五六・八%、五十人から九十九人規模で四二・八%、それから十人から四十九人が三五・七%、四人から九人までの規模のところで三〇・六%というふうに、規模が小さくなりますほど付加価値の額が非常にウエートが減ってきております。同じウエートを西ドイツの場合と比較してみますと、やはり同じく千人以上を一〇〇とした場合に、五百人から九百九十九人規模のところで九〇・四、それから百人から四百九十九人までが八二・八%、五十人から九十九人までが七二・八、それから十人から四十九人規模で七一・九というふうに、日本の場合よりもだいぶ高くなっております。さらに英国の場合は、一九四九年の統計でありますが、同じく千人以上の規模のところの付加価値生産額を一〇〇とした場合に、五百人から九百九十九人規模で九八・一%、それから百人から四百九十九人規模のもので九六・四、五十人から九十九人規模で九三・八、それから十人から四十九人規模のところで九一・四というふうに比較的格差が少なくなっています。
○桜井委員 いま御説明のあったとおりでありまして、わが国には中小企業ことに零細なものが乱立し、多品目小量生産その他過当競争を行なっているという現況であります。そしてさらにまた当然のこと、近代化が立ちおくれておりますし、零細な自営業者が多く、これが日本経済の二重構造として指摘されており、経済成長下における格差拡大の問題として提起されているのでございます。この点政府はお認めになりますか。
○中野政府委員 いま御指摘の事情は、われわれも十分認識しております。
○桜井委員 ところで、日本経済は今後も発展を続けなければなりませんが、いま申し上げましたような問題、この問題を解決しつつ発展するのであります。将来十五年あるいは二十年先に、今日のイギリスまでとは直ちにいかなくとも、せめて西ドイツぐらいの産業構造の近代化を実現しなければならない、このように政府は考えておるのでありましょうか。この点お伺いいたします。
○中野政府委員 いまの御指摘の点につきましては、このたび出しました中小企業白書におきましても、過去の分析によりまして、いわゆる中小企業、特にそのうちで零細企業といいますか、こういうところのウエートというものが次第に減ってきている。中小企業自身につきましても、就業者の数あるいは付加価値、出荷、販売等を見ましても、やや長い目で見ますというと減ってきておるわけでございまして、特に就業構造等につきましても、次第に、いわゆる西欧先進型に向かっていくというふうにわれわれも考えております。
○桜井委員 そこで、大臣にお伺いいたします。ちょっと角度を変えた御質問でございますけれども、政府は常々、わが国は資本主義の国であり自由経済を基調とすると、あらゆるところで言っている。このように私は記憶しておるのでございますが、間違いございませんか。
○櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
○桜井委員 それならばお伺いいたしますが、自由経済が基調である限り、企業の優勝劣敗は必然であります。しかもこの場合、生産、購買、販売、金融等において大企業が常に勝ち、そしてまた、中小企業の分野に残されるであろう限られた中でも、資本度の充実し、近代的経営を行なっているものが優位に立ち、わが国に圧倒的多数を占める非近代的中小企業、零細業者の没落は原理的に必然性を持ったものである。そして、大臣が本会議で本法案提出理由の説明でしているように、今日の社会的、経済的諸条件のもとにおいて、このことはより急速度に進行している。こういうことを大臣はもう一度確認していただけますか。
○櫻内国務大臣 桜井委員が御指摘したような、そういう現実に欠陥が出ておる。そして、それを政治の上では放置はできない、原則は原則でございますが、放置できない。そのために、政府としては諸施策を講ずるのだ、たとえば近代化資金、高度化資金を出すとか、あるいは今回の共済事業団のごときもその一例でございますが、ただ野放しにして、欠陥があらわれておくがままにほうっておく、こういうわけではないわけでございます。
○桜井委員 大臣、先ほど私、質問を始める前に、質問にだけ答えてほしいと言ったのですが、あとでその点は必ず触れます。それでないと、あっちこっち、かえって混乱いたしますので……。 といたしますと、いま大臣が仰せられたように、政治の課題は、現在の業者がしいたげられることによって、二十年後において必然的に実現する産業構造の近代化ということではなくて、ここ数年あるいは十数年の間における過渡期の政策でなければならない。イギリスにおいては、二カ年にわたって徐々に進行してきたこと、そしてそれにもかかわらず矛盾が発生して、しばしば政治的大問題になったという問題は数知れずあります。チャーチスト運動その他歴史上に残る問題は枚挙にいとまがございません。このことをわれわれはいま、たかだか二十年か三十年で解決しなければならないのであります。こういう点を政府ははっきり自覚して政策をお立てになっておりますか。その点を一言お答え願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 事実認識の点についてあるいは桜井委員のお考えと私の考え方の差があるかもしれぬと思います。これはそこまで掘り下げてみないとわかりません。しかし基本的の認識については同様でございます。
○桜井委員 それならば、いかに困難なことであっても、いま大臣が申されましたとおり事実認識が重大であります。だから現実を直視しなければなりません。そして現在行なわなければならない政策とは何であるか。それは一部に生き残るであろう中小企業の近代化、そういうこと。そしてその反面に生ずる膨大な中小企業、零細業者の没落、それらのものの労働者化に対応する政策でなければならない。基本的にはこの二つである、このように考えますが、いかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 やはりこれも荒木的な考えとしては差はないと思うのでありますが、ただ、この没落するというその範囲でございますね。日本の置かれておる経済構造の実情からいたしまして、やはり特殊の業種というものが相当あると思うのであります。そういうものは当然御質問の中で没落の中にはお入れになっておらぬと思いますので、そういう立場で同じような考えに立ちます。
○桜井委員 ですから私、先ほど申し上げました、一部に生き残ると、このように申し上げておきました。生き残る分野があることは当然存じております。しかも先ほど申し上げましたとおり、イギリスでもドイツでも当然残っているのであります。 そこでまたお伺いするのですが、現在の政府の中小企業政策、これは盛りだくさんに並べられています。しかしこれは無原則であります。そして非常に世論を気にしたその場のがれの政策の傾向がございます。いま私が質問したとおりとするならば、確かに一方では中小企業の近代化政策というものがある。そこで、一方では没落と労働者化の過程における摩擦を排除するということが、資本主義を守る保守党としても当然実施しなければならない重要な政策のはずであります。ゆえに、私は昨年当委員会並びに本会議におきまして政治の谷間に、何ら国家の恩恵を受けない零細業者が、一人ないし二人の事業主というものだけとってみても二百が以上あることを指摘しておきました。そしてこのことは、福田前大臣も認め、何かよい知恵があったら拝借したいと申しました。私はそのとき、政策に関する二、三の事例をあげておきました。けれども昨年度は政府の施策がないためいかんともしがたく、一年間の余裕を政府に与えることによって質問を打ち切りました。 そこでお伺いしたいのですが、今回提案された小規模企業共済法案、特別小口金融制度の法案は、私が指摘した点に対応するものとして、これらの人々に対する政府の施策として提案されたもの、このように理解して差しつかえございませんか。
○櫻内国務大臣 当時桜井委員がどういうような施策を御提案になりましたか、たいへん失礼でございますが、私不勉強でただいま存じ上げておらないのでありますが、もし零細企業に対する施策としておあげになっておられるとすれば、当然国会における前大胆の御答弁に出発しておるのでありますから、私ども同じ党であり、引き継いだ者として、将来の立案に際して御意向も反映していきたいと思います。
○桜井委員 それならば、はたして本案がこれらの任務を解決するに足るものであるかどうか、具体的にお伺いします。 まず、その本論に入る前提といたしまして、今後における雇用構造の見通しはどうなるか、労働力の需要と供給についてお伺いしたいと思います。 四十一年を項点にいたしまして、新卒は減る一方であります。日本経済の重化学工業化、ことに戦略産業といわれる自動車、造船、電気、機械、精密機械、土木建築等、これらの発展が続くならば、生産性の向上もさることながら、まだ労働力の不足は続くものと考えなければなりません。そうした場合、新卒を除いた労働力の給源をどこに求めるつもりであるのか、この点をお伺いいたします。
○細野説明員 今後の就業構造の問題につきまして、長期経済計画の労働分科会の報告によりまして御説明申し上げたいと思います。 長期経済計画の労働分科会の就業構造の見通しといたしまして、三十八年度をベースとして四十三年度までに、三十八年度の四千六百三十八万人という就業者が四千九百二十八万人に、二百九十万人ふえるのではなかろうか。その間におきまして供給業種、家従は約二百万ぐらい減る。一方雇用者のほうは約四百九十万ほどふえる。こういうふうな見通しを立てているわけでございます。その中で、労働力の需給がどうなるかというお尋ねでございましたので、若干その辺の需給のバランスの点をやや分析して考えてまいりますと、全産業の就業者を見ました場合に、この間の企業の措置として、いま申し上げましたように二百万ちょっとというものを見込んでおるわけでございますが、その場合に供給としては、学卒の供給ではいま御指摘のようにかなりのずれが生ずるわけであります。そのいずれの補充としましては非労働力の労働力化ということをはからなければそのギャップを埋められないということになるわけであります。そのギャップにつきましては、三分の二ぐらいは学卒統計にあらわれていない新規学卒者と同様の状態にある方々で従来も埋めてきておりますし、その程度の埋め方はその期間中についてはできるのではなかろうか、残りの三分の一程度につきましては、一度結婚等によりまして職業戦線から引退しました女工さんその他の中庸年齢の女性等が、子供さんが大きくなってもう一度働けるようになって職業戦線に出てくる、そういうふうな方々をもって埋めることが従来もございましたし、その程度はこの期間中には何とか埋まるのではなかろうか、こういうように見通されておるわけでございます。
○桜井委員 いま御説明のあったような計画をお立てのようでございます。それ以外に農業から百万ぐらい計算に入れているようでございます。従来、政府の考えは、その給源を農業に求めているように見受けられました。だが農業からの流出が苦しく、学卒者の農業への残留は六%内外であり、農業の青壮年を中心とした基幹労働力は、近代的農業を確立するためにももはや温存しなければならない事態になっております。そして現に農業労働力の流出が年々ますます老齢化していることを考えるときに、また政府の指導する小農体系が続く限り、農村からの労働力流出の限界が見えてきました。将来に多数を期待することは困難だろうと思われます。そして農林自営業者の数が、労働省の三十八年度の統計によれば四百六十七万であるに比し、非農林自営業者の数は五百十四万であります。しかも非農林業者のほうが金銭に対する計算も高く、土地に対する執着も少ない。しかも労働者の賃金所得と自営業者の所得との格差等が労働者側に有利に展開している。したがって私は、非農林自営業者の労働者化が急速に進展するものと考えておるのであります。そしてこの現象の端的なあらわれは、昭和三十七年度の商業統計によりますと、戦後潜在失業のプールとして年々増大してきた小売り商店の絶対数が初めて二万人減っていることから見てもわかります。また流通革命や工業における製品の規格化が進行していること等から考えてみても、いま言ったことが必然性を持っている、そしてそのように進んでいる、このように私は考えます。この点、政府は従来見落としているのじゃなかろうか。そこで、このような零細業者の分解形態がどのように進行しているんだという統計や分析がもしあるのならちょうだいしたいのであります。その点御質問いたします。
○中野政府委員 いま先生の御指摘になりました全体を的確につかむ数字というものはなかなかむずかしいのでございますが、部分的なものにつきましては、今度出しました中小企業白書等にも触れておりまして、特にいま零細企業のところが停滞傾向、あるいは絶対数が減っていくという傾向にあることは指摘しております。
○桜井委員 この調査は実は政府におきましても非常に不十分なのであります。たとえば労働力調査や就業構造調査があるにしても、統計研究も時間的にずれを持つ、しかも統計調査項目が不十分であります。だから、いま急速に展開しつつある経済の変化の速度に対応し得ず、あすへの政策樹立に役立ち得ないのであります。農業関係の調査に比しまして数段立ちおくれております。たとえ全日本的にできないにしましても、モデルケースなり実態調査なりをすべきであると思うのであります。従来政府は、倒産や高利貸し金融についてもそうでした。いつも中小企業については調査が不十分であるということを認めていながら、先ほど私が申し上げまして大臣がお認めになりましたとおり、いままでは問題を直視してない。そしてこのような状態でほんとうに政治が行なえるかどうか。先ほど大臣のお約束なさったこととはだいぶ違ったような実態であります。この点につきまして今後どうするつもりか、大臣から御回答を願います。
○櫻内国務大臣 桜井委員が御指摘のように、非農林自営者の流動状況といいますか、これを正確に把握する必要性というものは当然これはあると思います。先ほど中小企業庁長官より概略の点しか現在政府として持っておらない、こういうことは非常に遺憾でございまして、今後この種の統計の充実につとめたいと思います。
○桜井委員 この際特につけ加えておきますが、たとえば高利貸し金融というものを一つとりましても、これが零細業者に及ぼす影響はたいへんであります。その総額は、大蔵省のぼやっとした統計だけでも九千億に及ぼうとしている。金融引き締めのこのときに、これが及ぼす影響というものはたいへんだ。しかもこの裏に常に犯罪が隠れている事実もあるのであります。自殺者の中にはこういう方が多いということも新聞紙上では見受けられるのであります。しかるにこの点が、警察庁としても、法務省にしても、通産省にしても、大蔵省にしても何ら調べてない。こういう点は非常に残念であります。特にこういう点までつけ加えて御要望いたしておきます。 では、具体的に本案の内容に入ります。小規模企業共済法案は、掛け金が月一口五百円から十口五千円までになっておりますが、五百円並びに五千円掛けて、五年目、十年目、十五年目、二十年目にはそれぞれ幾らになりますか。
○長田説明員 五百円の場合、その別表にございますが、廃業と退職と両方のケースがございます。上欄が廃業に該当するケースの場合の数字でございます。下欄が退職の場合で、それぞれについて申し上げますと、五年目の場合は三万七千百六十円、退職の場合は三万三千百七十円、十年目の場合が八万八千三百二十円、退職の場合が七万七千六百円、十五年で十五万八千七百四十円、退職の場合が十三万八千九百七十円、二十年目で二十五万五千六百七十円、退職の場合が二十一万六千九百十円でございます。五千円の場合はその十倍でございます。
○桜井委員 ところで、現在中小企業者の年齢別分布はどうなっておりますか。トータルだけでけっこうです。
○長田説明員 自営業主の年齢別構成ですが、三十九年三月末現在におきます労働力調査によって見てみますと、非農林部門で自営業主の総数が五百十一万ということになっておりますが、それから十五歳から以上のものをとったものでありまして、大体三十歳から三十九歳までのところが百三十二万、それから四十歳から五十四歳のところが百八十七万、この辺が一番ピークになっておりまして、大体平均年令が四十五歳前後になっております。
○桜井委員 二十五歳から五年間隔でおっしゃってください。
○長田説明員 二十歳から二十四歳までが十四万、それから二十五歳から二十九歳までが四十三万、三十歳から三十九歳までが百三十三万、それから四十歳から五十四歳までが百八十七万、五十五歳から六十四歳までが九十万、六十五歳以上が四十三万、こういうことになっております。
○桜井委員 いろいろな調査があると思いますが、大体いま課長さんから申されましたとおり四十歳以上の者が相当圧倒的に多数を占めておる。そしていまおっしゃられた統計ではちょっと無理なんですが、別の統計からいきますと六十一歳以上の者が実は全体の四分の一を占める、七十二万に達しております。そこで、政府の本法律案にあたりまして、平均年齢幾つとお考えになりましたか。
○長田説明員 平均四十五歳ということでございます。
○桜井委員 とすると、普通の労働者は定年が従来五十五歳でありましたが、最近延びてきたといっても、まだ六十歳をこしておりません。政府は、事業主が幾つまで働けるとお考えでございますか。
○長田説明員 大体この年齢別構成表によりましては、六十歳以上も四十万以上ございますが、一応六十五歳前後というふうに考えております。
○桜井委員 そうだろうと思います。そういたしますと、一応四十五歳というものを基準にして考える。そして六十五歳までを考える。といたしますと、五十歳で転職するときには、最低の人では三万七千円、最高は三十七万円、五十五歳では最低が八万八千円、最高では八十八万三千円、六十歳では、最低が十五万九千円、最高が百五十八万七千円、六十五歳では、最低が二十五万五千円、最高が二百五十五万円、こういう給付になります。実際に適用されるのはこの額までだろうと思います。二十五年、三十年先ということは、これは先ほどから申し上げましたとおり、現在の業者の圧倒的部分を占めるものが死んじゃった、なくなってからあとのことでございますし、日本経済の構造が全面的に大きく変化したあとのことでございまして、実際には本法の役立たない時代でございます。こういうように私は考えられるのでございますが、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 いま御指摘がございましたように、今回の小規模共済制度がここ数間年の問題に対処する制度として非常に不十分じゃないかという御指摘の点は、そういう一面も確かにあるかと思います。しかし、従来の小規模企業者というのは、御承知のように働いている従業員とそんなに所得も変わらないのに、これに対する社会保険あるいは労災保険——今度は労災保険は御承知のように中小企業者にも全部適用するように労働者と話しまして、いま国会に出しておりますが、そのほかの厚生年金、そのほかいろいろな社会保険的な制度というものもございません。また、労働者にあります退職金制度というものもございませんので、この際、この小規模企業者の皆さまの相互扶助の精神に基づきまして、転廃業後に備えた皆さんの拠出による一種の共済制度というものをつくることによりまして、将来にわたってその生活の安定、あるいは場合によれば事業の再建資金というようなものの一助にしよう、こういうことでございますので、この制度につきましては、ひとり長い目でこの制度を育てていくという気持ちでわれわれとしてはやっていきたいと考えております。
○桜井委員 ですから、一番最初に私は大臣に確認したのであります。大きく変転する日本経済の発展、その中において問題は過渡期の政策でなければならない。それを二十五年、三十年先にそれがどうなるであろうかということをいま論議している時間的余裕もなければ、またそういう政策を大問題とすべきでもない。むしろこの過渡期の混乱の中で摩擦をどうして排除したらよいか、こういう点が主眼でなければならない。だから私はいま申し上げましたとおり、二十五年、三十年先のことではなく、現実にいま問題になっている人々をどう解決するかということだろう、このように大臣に確認したのであります。長官の御答弁は大臣のお考えとは若干食い違っているように私は考えます。 次に、勤労者の退職金を一応考えてみますとき、官公庁職員は一般労働者の平均ベースよりも常におくれてベースアップされておるのでありまして、あまりよいとは言えない。しかも恩給がありますから、退職金はなおさらよいほうとは言えません。その官公庁職員の一時退職金は、法律上は——事実ではございません、法律上は幾らもらえるのですか。事例を若干あげていただきたいと思います。
○長田説明員 公務員の勤続年数別退職金、これはやめるときの等号によりまして若干違うのでございますが、モデルケースとしての例を申し上げます。大体、大学卒で五年目で十五万六千円、十年目で四十五万五千円、十五年目で九十七万円、二十年目で百六十一万八千円、これは整理退職の場合であります。一般の退職の場合はこれより低くて、五年目が六万二千四百円、十年目で二十二万七千五百円、十五年目で六十四万六千六百円、二十年目で百十三万二千円、こういうような数中になります。高校卒の場合はこれより額が下回ります。
○桜井委員 高校卒の場合に若干額が下回っている。だが本法によりますと、小規模事業者の場合には、恩給がないにもかかわらず官公庁職員の退職金よりも安い。これはいま申されたとおりであります。そこで、現在の都市労働者の月平均世帯収入——自営業者は世帯で仕事をしておりますから、世帯収入は幾らですか。
○長田説明員 総理府の家計調査報告の三十九年十月で見ますと、都市勤労者の一世帯平均収入は実収入で五万三百四十五円であります。その他前月からの繰り越し、実収入以外の収入等を入れますと七万七千八百円ということになっております。
○桜井委員 前月からの繰り越しは、統計には必ず翌月に繰り越しがございますから……。 ただそこでもう一度、これは統計でちょっとふしぎだったからお伺いするのですが、総理府の家計調査が、三十八年では総収入が八万三千百八十六円になっているのですが、どうして三十九年は減っているのですか。
○長田説明員 これは月別にだいぶ増減がございます。たまたま三十九年十月の場合の数字が三十八年平均より若干下回ったということであると思います。
○桜井委員 統計を安いところで取ればそうなるかもしれませんが、一年間平均でありますと私の申し上げたとおりであります。そういたしますと、五百円ずつ本法によってかけていきますと、先ほど申しましたとおり十年で八万八千円、十五年で十五万八千円、二十年で二十五万五千円であります。これでは生計費の一ないし三カ月分にしかなりません。だから本法は退職金の役割りを果たすということはできない。また転廃に伴う摩擦に対する給付としてもほとんど無意味になってしまうのであります。 また、お伺いしますが、現在失業保険法による給付は、法律に基づくと、原則として何か月掛けて月収の何カ月もらえるのでありますか。
○長田説明員 一応この被保険者の期間によりまして区分がございます。大体六カ月から九カ月までの分につきましては九十日分、三カ月分でございます。それ未満のものは掛け捨てでございます。それから、十カ月以上が百八十日分、六カ月分であります。なお、五年から十年までの分は二百十日分、これは七カ月分であります。それから、十年以上被保険者であった者に対しましては二百七十日分、九カ月分になります。これは俸給額の平均〇・六ですか、こういうことになろうと思います。
○桜井委員 では、都市勤労者の失業保険の対象になる平均月収は幾らでございますか。
○長田説明員 やはり同じ三十九年十月末の都市勤労者世帯平均収入、これの数字をとってみますと、つとめ先からの収入、これがこの失業保険の保険料の基礎になるわけでございます。これの全国平均をとってみますと、四万六千六百三十五円ということになります。
○桜井委員 そうしますと、四万六千六百三十五円としますと、この人は六カ月分というと幾らもらえるわけですか。
○長田説明員 一応六カ月分で十万四千四百円であります。
○桜井委員 そういたしますと、都市勤労者の失業保険金よりも、この本法によりまして五年掛けましても、十カ月掛けたものに及ばないのであります。ですから、本法は、失業保険の役割りにも達しない。また、自営業者は失業者にさえなれない。この点はいつも日本の統計を見まする場合に重要なことでありまして、失業者がいつも三十七万であるとか幾らであるとかいうようなぐあいに出ておりますけれども、実は、その底にこういう失業者にもなれない自営業者がたくさんいるのである。しかもその失業者にもなれないほど不幸な人々は、本法によりましても、失業保険よりもはるかに不利で、救済が行なわれないという状態であるということであります。 次に、本法では、掛け金が生命保険を含めて一貫した税金控除になるはずでございますが、そのとおりでございますか。
○長田説明員 さようでございます。
○桜井委員 そこで、本法の対象である自営業者の生命保険への加入額は月平均現在幾らになっておりますか。
○長田説明員 国税庁統計によりますと、月平均自営業者の場合二万二千百円という数字になっております。
○桜井委員 そういたしますと、もう一つお伺いしますが、生命保険の税金控除額は幾らでございますか。
○長田説明員 掛け金五万円までにつきまして限度三万五千円まででございます。これは二万円までは全額、二万円から五万円までの三万円分につきましては半額ということで、合計三万五千円の控除であります。
○桜井委員 そういたしますと、現在の生命保険による税金控除額を引きますと、本法適用による利益は約一万三千円しかないということになるのでありますが、そのとおりでありますか。
○長田説明員 大体さようでございます。
○桜井委員 この利点から逆算いたしますと、本法による利益は月二口、千円の掛け金までであります。これでは廃業したときに五年で七万四千円、十年で十七万六千円、十五年で三十一万七千円にすぎません。 ところで、本法は、生命保険をも含めて、一貫した税金控除になっているので、その性格は、生活資金的なものと理解すべきものと思うのですが、どうでしょうか。
○中野政府委員 今度の制度の趣旨は、小規模企業者が相互扶助の精神によって退廃の際の生活の安定あるいは事業の再建に備えて日ごろから拠出によりまして共済制度をつくろうということでございまして、いま御指摘のように、一つはやはり退廃直後の生活安定に資するということが一つの目的になっておるわけであります。
○桜井委員 事業の再建に役立つかどうかはあとでまた御討議をお願いいたします。 とにかくいずれにしましても、生活資金的なものであり、しかもそれは官公吏の退職金にも及ばず、失業保険金にも及ばず、結局は、つぶれたときに生命保険よりも幾分有利な掛け金をしているにすぎないという結果になると思うのですが、どうですか。
○中野政府委員 この点につきましては、今回の制度が一種の拠出、皆さんの相互扶助精神に基づく拠出による共済制度でございますので、掛け命を非常に多くすれば、これは退職廃業のときに相当の金をもらえるということになるわけでありますが、しかしこれも現在の零細企業者の所得の現状からいえば、五百円ないし五千円程度を掛けるというのが、大体平均して妥当なところじゃないかというふうにわれわれ見たわけでございます。御承知のように、中小企業の退職金共済事業団のほうは二百円から二千円ということになっておりますので、そこらのバランスも考えまして、所得収入等から見まして、五千円以上毎月掛けるということもむずかしいのじゃないか。それから、確かに御指摘のように、この税金の所得控除ということについても、もう少し利点をわれわれとしても研究はいたしたのでありますが、現時点におきましては、生命保険の控除の中に入れるということが最大のやり方である。それ以上のことは、もう少しさらに今後研究さしていただきたいという考え方でございます。
○桜井委員 私の質問は、生命保険よりも幾分有利な掛け金をしているにすぎないと思うがどうかという質問でございます。
○中野政府委員 われわれも今度の制度が非常にまだ十分とは考えておりませんので、先生御指摘の点もわれわれには十分納得できるわけであります。
○桜井委員 次に、公募地方債、利付金融債、電力債の応募利回りは幾らでございますか。
○長田説明員 政府保証債の場合は七分七毛であります。
○桜井委員 質問に答えてください。私の質問は、公募地方債、金融債、電力債の応募者利回れは幾らですかということです。
○長田説明員 金融債の場合は七分三厘でございます。これは利付金融債の場合であります。
○桜井委員 公募地方債……。
○長田説明員 大体公募地方債の場合はそれを若干上回ると思います。
○桜井委員 電力債はどうです。——では私から申し上げます。公募地方債は七分三厘五毛四糸、金融債は七分三厘、電力債は七分四厘八糸であります。間違いないでしょう。本法による利回りは七分二厘と思いますが、いかがですか。
○長田説明員 大体七分二厘くらいだと思います。
○桜井委員 そういたしますと、これらの債券に比して不利であります。さらに、これらの債券は、据え置き期間が五年ないし七年でありますが、途中で売ることもできるし、担保にすることもできます。しかるに本法によりますと、一年は掛け捨てになるばかりか、たとえば五千円ずつ十一カ月掛けて解約した場合は、五万五千円の損をするほか、さらにそれに見合う所得税が取られてしまうのであります。そして向こう三年間は無利子となっております。任意加入とはいいながら、あまりにも不利益ではないかと思うのですが、いかがなものでございますか。この点長官から御回答願います。
○中野政府委員 確かに、御指摘のように利回りという点から見ますと、金銭信託あるいは金融債等に比較してやや劣っておることになるわけでありますが、ただ、御承知のように、こういう金銭信託あるいは金融債等につきましては、比較的短期のものでございまして、非常に長い将来にわたって高利回りの保証がないわけであります。その点につきましては、本制度は、国が保証する安全確実なものであるわけでありまして、その点においては長い意味で安心してこれを利用できる制度であるというふうに考えておるわけであります。
○桜井委員 何かいま私が申し上げました公社債が不安定なような御答弁でございますけれども、これらは日銀券発行の基礎として担保にさえなっているものであります。これが不安定なものであるということは言えないはずだと思うのですが、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 私のことばが少し足りなかったかと思いますが、非常に不安定という意味でなくて、将来にわたって現在のような利回りを保証しておるかしてないかという点において、今度の制度とやや異なっておるのではないかという点を申し上げたのであります。
○桜井委員 次に、それならば私は、より具体的に現実の問題を把握するために問題を提起いたしますが、本法の対象である二百八十九万の業者、この中で最も多い百二十七万に及ぶ小売り業者、そしてその中でも圧倒的に多い六十七万の食料品店、この食料品店を例にとってみましょう。一人ないし四人の食料品店の一年間の売り上げ高平均は幾らでございますか。
○長田説明員 昭和三十五年度の商業統計調査によりますと、一人から四人規模の食料品店、小売り業の一店舗当たり平均売り上げ高は百八十万四千円ということになっております。これは年間でございます。
○桜井委員 これは三十八年の統計でございますから、現在はそれよりはおそらく多いだろう、このように私も推定をいたします。しかし、月二十万円程度でございます。しかもこれは一人ないし四人の平均でありますから、一人ないし二人のところではやはりこれ以下かもしれません。ところで、最もわかりやすくするために、一番数の多い魚屋さんの例をとりますが、魚屋さんの粗収益は何%でございますか。
○長田説明員 売り上げ高対総利益率……。
○桜井委員 運転資金との計算でお願いします。
○長田説明員 経営資本回転率としましては三・八でございます。売り上げ高の純利益率が三・一%、総利益率が二〇・六%、こういうことでございます。
○桜井委員 運転資金の回転率は月何回になっておりますか。
○長田説明員 運転資本回転率は年で三・八回転であります。
○桜井委員 そういたしますと、五百円ずつ毎月運転資金として追加していった場合、五年で幾ら、十年で幾ら、十五年で幾らの利回りになり、幾らの収益をあげることができますか。
○長田説明員 いま先生がおっしゃいましたような形で、年に三・八回回転するということで、毎月五百円ずつ積み立てていく場合に、これはならさなければなりませんので、正確な答えにならないかもしれないと思うのでありますが、一応半年で利益が元本に繰り入れられるという計算で、いまの総利益率でいきますと、約二割になるわけでございますが、その場合だと、五年目で四万七千八百十二円、十年目で十七万一千八百二十五円といったような数字になるわけでございます。
○桜井委員 その数字の計算はおよそ間違いじゃございませんか。
○長田説明員 いまの五百円を月々に一応積み立てまして、これを半年で利益を元本に繰り入れる場合という形でやりました年金複利の計算方法、それでいきますと、いま申し上げましたような数字になるわけでございます。
○桜井委員 けたが違ってやしませんか。
○中野政府委員 桜井先生の御質問は、いまの魚屋さんを例にとって、毎月五百円を運転資金に回して、それが売り上げ高の利益率が三・一%というようなある程度の利益が出る、こういうふうに計算した場合、五年目、十年目、二十年目にその金が幾らたまっていくか、こういう御質問だろうと思いますが、さようであれば、いまの振興課長の計算は違っておるようでございますので、これはあとで正確に計算しましてお答えいたします。
○桜井委員 たしか課長さんは私にこの前には、一千万円になるという報告をいたしております。二十年くらいになりますと、それほどべらぼうもない数字になっていくのであります。しかし、それほどべらぼうもない数字になるということにつきましては、私は現実にはそういうことにならないと思う。中小企業者は、自営業者は、実際にはそれをそのように追加投資せずに、あがった利益を生活のために使い込んでしまうというのが現実であります。 大臣にちょっとお伺いしようと思ったら、いまお出になってしまいましたので、あしたお伺いすることにいたしまして、ちょっと飛ばしてお伺いいたしますが、結局いまちょっと私が申しましたとおり、自営業者というのは純粋な意味では企業ではありません。したがって金融機関から見放され、金融に非常に困っております。だからこそ政府も今回無担保、無保証の特別小口保険を提案したのだろうと思います。しかしこの法律でも、適用される対象は税金を三年支払っているものと限定することによりまして、二百万人以上の零細業者がすべてはずされてしまいました。このように金融に困っている零細業者、日々の経営にあたって余裕金などというものがあるはずもありません。月々五百円の掛け金にしても、すぐ引き出せるところへ預けるほかない、小規模事業者は銀行から借りるときも信用度が小さいので苦労し、高利貸しから借りているのが現状であります。だから高利貸し金融が大蔵省調査でもわかるとおり九千億円もある。そして資金をフルに回転しなければ生計さえ成り立たないのであります。もし借金をしたならば、利息を払うのにきゅうきゅうとしているというのが現実であって、長い将来を考えて経営するなどということはない。目先をどうして切り抜けるかということで骨を折っているのであります。だから本法で加入した場合でも、現には一方で借金をし、一方で掛け金をするという実態が発生しないとも限らない。そういたしますと、その差額だけ損をするという結果になってしまうのでございますが、この点はどういうようにお考えでございますか。
○中野政府委員 計算上はいま先生が御指摘になったようになると思います。ただ零細業者といえども、経営者として、やはり借金をするときには一定の償還の見込みというものを立ててやるわけでございますので、片方で長い将来に備えて、一方でこういう共済制度による掛け金をやっていく、また一時的に経営の困難を切り抜けるために借金をする、その利息は高いじゃないかという御指摘じゃないかと思いますが、そういうことも実際の経営としては、現実問題としてはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
○桜井委員 ですからこの法案にいたしましても、現実には零細業者といいましても、かなり上層部の人しか利用はできなくなってしまう、ちょうど無担保、無保証の先日の法案と同じ状態になる、このことはやむを得ぬ、このように私は考えます。 そこで、政府は掛け金に対して還元融資をするといっております。ところが本法によりますと、給付金は差し押えすることができません。何を担保に還元融資をするのか、その条件は何ですか。
○中野政府委員 もちろんこの還元融資につきましては、普通の金融機関、一般の市中の金融機関の金融とは違いますから、これに加入しておりまする零細業者あるいはこれらの団体というものについて、たとえば再建の資金あるいは災害等の場合に備えて融資をする、あるいは場合によっては転業等に必要な資金等をめんどう見たいという考え方でございます。もちろんこれは片方で零細な方々から金を集めて、それを還元融資するわけでございますから、安全確実という点を阻害しない程度にやらなければいけませんので、原則としては保証人等はとるということになるかと思います。
○桜井委員 そうしますと、従来国民金融公庫から借りているということと差はないと思います。そしてまたこのような人々はおそらくちょうど国民金融公庫と取引し得る人、その程度の人がこの法律によって加入をするということになるのじゃないかと思います。 そこで、その還元融資する場合の金利は幾らでございますか。
○中野政府委員 まだこれは最終的にはきめておりませんが、国民金融公庫、中小企業金融公庫等の金融の利回りが現在九分でございますが、これよりは安くいたしたい、たとえば八分五厘というふうなことを考えております。
○桜井委員 利回りが七分二厘でありますから、八分五厘といたしましても、掛けて借りるということでは、その差額分だけ損をする結果になります。そしてまたこの制度が、還元融資ということは目的ではないだろうと思いますが、もしそれが目的だとするなら相互銀行と同じことになりますし、政府みずからが歩積み両建てをすることになります。また借りられる人は、先ほど私申し上げましたとおり、国民金融公庫でも借りられる程度の者でございます。その結果は、本法を施行いたしますと、国はろくな犠牲を払わないで、零細業者の金を集めて、零細業者の上層部に近代化のために金を貸す、こういう結果が出てくるのではなかろうかと思うのですけれども、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 今度の制度は、やはりあくまで小規模企業者の皆さま方の相互扶助の精神に基づく拠出による共済制度でございますので、もちろんこれがあるいは事業等の面につきましては、特に小規模企業者の中でも零細層というようなものに対する配慮ということは十分置かなければならぬというふうに考えて、今後の運用面等について、いま御指摘があったような一部の者のための制度ということにおちいらないように考えていかなければならないと思います。
○桜井委員 いや、考える考えないの問題でも、運営をどうするかという問題でもないのであります。そういう問題ではなくて、この集まった金をたとえば還元融資をするということになると、保証人をとって還元融資をするということになると、どんなことをしても、意図のいかんにかかわらず、零細業者の金を集めて、そして先ほどもおっしゃいましたように、安全性を考えて貸すのでありますから、零細業者のうちの上層部に金が融資されるという結果になるではないかということを御質問しておるのであります。
○中野政府委員 これは還元融資の際に、一部の層に片寄るということのないように、運用面で相当考える余地はあるのではないかというふうに考えております。
○桜井委員 近代化であるとか、そういうことをはかるということが、近代化、合理化を進めるという過程の中では、いかに配慮する、しないにかかわらず、近代化に進むそのものに対する資金源を零細業者の中から集めていくという結果が出てくる、ただそれだけを指摘したにすぎないのであります。さらにまた、集まったお金で運用益をはかるために公社債を買う方針だと思いますが、そうではございませんか。
○中野政府委員 今度共済制度によって集まりました金の運用につきましては、現在御承知のように労働省のやっております中小企業退職金共済事業団に準じた運用をやりたいというふうに考えております。若干は政府保証債でありますが、大部分は、たとえば商工中金債というような中小企業に還元できるような金の運用のしかたをやりたいというふうに考えております。
○桜井委員 そういたしますと、たとえば中金債を買うにいたしましても、本来国が財政投融資でめんどうを見るべきのもを、食べるものも倹約して掛けた零細業者の金に肩がわりするという結果が生ずるであろう、このように思うのでございますが、いかがですか。
○中野政府委員 たとえば、商工中金に対する財政投融資の問題は、そういうことと別個に、国としてどの程度の応援をして、資金量全体をふやして中小企業の金融を円滑化するかという観点から、われわれとしては考えてまいりたいというふうに考えております。
○桜井委員 当然そうでなければならない、このように考えますけれども、結果的には中金の資金量がふえるという形が当然出てくるのであります。先ほど申し上げましたとおり、零細な業者の資金が、それが結果論的にはやはりその零細業者の資金によって零細業者の近代化をはかる、こういう方向に結果論としてはならざるを得ない、こういうことであります。そこで、先ほどから繰り返して申しておりますけれども、本法の適用対象は、自営業者といってもやはり余裕のある上層部、全自営業者の一割以内、このように推定されるのであります。零細でも企業らしきものに該当する程度のもの、このものとならざるを得ない。もしそれ以下であるとするならば、これは生計費を食っているわけですから、企業らしきものということであります。そういたしますと、具体的に言いますと、たとえば小売り商ならば、現状では国民金融公庫がやっておりますとおり、月売り上げ四十万円以上のもの、こういうことにならざるを得ません。こういう方々のお金を操作する量というものは比較的多いのであります。しかも意識の上では、自分は資本家であり、経営者であり、労働者よりは社会的に上位に位すると自分では考えておる傾向があります。それを労働者の退職金よりも少ない給付、先ほど申しましたとおり、失業保険よりも少ない、こういう給付であります。日常の自分の生活水準から勘案いたしましても、本法がそういう程度のものであって、本気で加入するというものが多いかどうか、この点についての見通しをお伺いいたしたい。
○中野政府委員 本法の対象となる零細企業者は約三百万以上あるわけでございまして、いま先生が御指摘になりましたようないろいろな制約というようなものがあるかと思います。しかし、実際これはどの程度入ってくるかという見通しはむずかしいのでありますが、一応われわれがこの案をつくった際の見通しを申し上げますと、四十年度の加入目標を全体の約一%の三万人といたしまして、五年後には逐次ふえまして約二十六万人、全対象の一割程度、余裕金総額は約二百億円程度に達するのじゃないかというふうに考えております。確かに御指摘であったようにいろいろの制約の問題がございまして、私ども非常に心配しておりますが、ただ、この制度につきましては、全国の中小企業の団体、商工会議所それから商工会、青色申告会等から非常に要望があった事項でございまして、なるほど給付のほうのやり方が非常にほかの制度に比べて薄いのじゃないかという御指摘も、われわれも非常に認識をいたしておるつもりでございますが、非常に皆さん方の要望も強いし、また今度の制度をやる場合には、そういう各中小企業の組合あるいは商工会、商工会議所等に代行手数料というようなものも幾分差し上げまして、加入促進等の手伝いをしていただく。ぜひそういうことをやらしてほしいということの要望もございますので、そういう関係の団体等の協力を得まして、この目標程度には持っていきたいと考えております。
○桜井委員 非常に正直におっしゃっていると思います。大体一割見当というのが、私は初めからそうだろうと考えました。そこで、政府のほうから一生懸命お願いして、たいして魅力はないのだけれども入っていただく。それでは、しょっちゅう問題になりますように、いわゆる官庁の外郭機関をむやみにただつくって、役にも立たない制度で天下り人事が行なわれるということになるおそれもあるのであります。 そこで、もう一つ、観点を変えまして、現在本法の対象となるもので事業転換、職業転換を行なうと考えられるものは、どの程度ありますか。
○長田説明員 昭和三十七年度の就業基本調査によりますと、自営業主で転職を希望する者、これが全体で十四万三千ぐらい、うち非農林部門が十三万四千、大体そういうことになっております。なお、同じく三十七年度の基本調査によりますと、自営業主が業をかえたという数字が載ってございますのが一万六千、それから自営業主が雇用者に一応転化したという形で報告が出ておりますのが四万九千でございます。
○桜井委員 そのとおりであります。ですから、自営業者の中で、先ほど長官は三百万人程度と言いましたが、まあ統計もいろいろとり方はございますけれども、とにかく十三万四千人というものは、すでに労働者になりたい、こういうことをはっきり意思表示しているのであります。一年間の統計でそうでございます。しかもそれは三十七年の統計であります。年々その後におきまして急速度の経済の変転がございます。だから、今日におきましては、より以上のものがあろうと考えられます。しかるに本法は、それに対しまして、先ほど申しましたとおり、一カ月ないし三カ月の食いつなぎができる程度のものしかもらえない。しかも三年間は据え置きである。いま現実に三十七年の統計でも十三万四千の人がかわりたいと言っているこの問題、これには、この法律は対処することができないのであります。さらに、事業転換というものはなかなかむずかしいのでありまして一統計にもあらわれておりますとおり、一万六千であります。そこで、事業転換の場合を考えてみましょう。たとえば工業の場合、二十人以下の人を使っている業者は、長年その道でたたき上げてきた専門技術者が大部分であります。したがって、関連性ある仕事に事業の内容を転換させるならともかく、全然別の事業ということでは、適応性がございません。そこで、関連性ある事業へ仕事の内容を変えていった場合、本法の適用はございますか。
○中野政府委員 いろいろな場合があるかと思いますが、会社を一度やめて新しく別の事業に転換をするということは、当然これは本法の適用があるわけであります。会社が存続しながら、その中で事業の種目を変えていくという場合は、継続性があるものと考えております。
○桜井委員 先ほども申し上げましたとおり、全然変えてしまうということでは適応性がない。部分的に変える場合にのみ適応性があるのであります。ですから全面的に新規事業にいくという場合も、あるいは万に一つないとは限りませんけれども、部分的に転換していくという場合には本法の適用がありません。とするなら、新事業への転換は困難であります。結局つぶれるまで現在の事業を継続する以外に方法がなく、したがって零細企業の場合、大局的には事業転換ということは存在しないということになると思いますが、いかがですか。
○中野政府委員 零細業者の事業転換ということが非常にむずかしいのじゃないかという御指摘は、そのとおりだと思いますが、事業転換資金等につきましても、従来から国民金融公庫なり中小公庫、商工中金というようなものでめんどう見ておりますし、あるいは今度制定いたしますいわゆる無担保、無保証制度、信用保証協会の保証による金融の円滑化というようなこともございますので一これが金融的に全然道がふさがれておるというふうには考えておりません。もちろん、いままでの制度で転換問題に十分対処し得るかという御指摘になりますと、われわれも非常に疑問を持っておりまして、これは御承知のように商法にもございますから、事業転換の問題というものは、小規模企業共済法だけでなくて、もう少し広い観点からこの問題は今後真剣に取り組んでいかなければならぬというふうに考えております。
○桜井委員 私の質問は、本法によって事業転換ということが具体的にどのようなぐあいになるかということであります。
○中野政府委員 これは、会社をやめましてまた別の仕事をするというような場合には共済金がとれるわけでございますが、先ほど申し上げましたいわゆる還元融資の一環としても考えていきたいというふうに考えております。
○桜井委員 ですから、一部事業内容の変更ということでは本法の対象にならない。 次に民間サービス業をとってみましても、たとえば理髪業、パーマ、あんま、はり、きゅう、あるいは各種修理業さらには医師、弁護士等々、こういった専門的技術をもって身を立てている業者はこれまた同様であります。これらの人々は転業することはできません。営業の場所を変えることができるだけであります。さらにもう一つできることは、雇用者になることであります。営業の場所をただ変えるということで本法の適用になりますか。
○中野政府委員 営業の場所を変えるだけでは対象にならぬと考えております。
○桜井委員 これも結局、自営をやめて雇用者になるというときだけしか本法は適用になりません。 さらに商業についてお伺いいたします。一般に商業の場合も比較的転業がしやすいように考えられがちでございますが、法人成りした零細法人や自営業者の場合、これとてかなり専門的知識に基づいて経営が行なわれています。たとえば商業の三分の一を占め最も業者の多い食料品店をとってみても、肉屋、魚屋、八百屋、それぞれかなり専門的技術と知識を必要としておるのでありまして、肉屋が魚屋に変わることも魚屋が八百屋に変わることも、またその逆もできないのです。次に多い繊維品にとってみましても同様であります。そして呉服屋、くつ屋、金物屋、電気商には、それぞれ専門的知識とそれに基づく経営技術が必要であります。だから若干の取り扱い商品を変えるといった事業内容の変更以外は、一般常識的に思ったほど簡単に事業転換ができるわけではありません。一番簡単にできるのはパチンコ屋が一ぱい屋になり、旅館が料理屋になる等々ごく限られた範囲である、このように思われるのでございますが、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 零細業者が業種を相当違ったものに転換するということは、実際問題として非常にむずかしいのではないかという御指摘は、そのとおりだと思います。
○桜井委員 だから先ほども申されましたとおり、統計にも明らかなとおり、自営業者の転換は、その大部分が廃業の結果雇用者になるということであります。いわゆる近代的、資本家的経営者が、多数の専門家を雇い、もうかる事業なら何でも手を出し、何にでも転換し得る能力を持っていることとは非常に異なっているのであります。この点政府は認識が欠けているのではなかろうか、このように思うのですが、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 いまの御指摘の点については私も同感でございます。
○桜井委員 先ほど申しましたとおり、数は少ないのでございますが、転業者はございます。そこで、それならば転業をする場合に、金額の点から御質問いたしますが、最高月五千円支払うと想定される雇用者二十人を使用する企業、または五人の従業員を持つ商業、サービス業の事業主の所得はそれぞれ月平均幾らでありますか。
○長田説明員 これは所得の形ではとらえておりませんが、個人企業経済調査年報という三十七年度の資料を見ますと、製造業で十人から十九人規模の階層のものでございますが、これの年平均の企業当たり営業利益の額でございますが、これが二百十五万四千円、卸、小売りの場合には四人規模のところで百十三万七千円という数字が出ております。これはただ期末のたなおろし資産と、それから減価償却分等を調整いたしまして、販売経費等の間接経費は含まれておらないわけであります。
○桜井委員 また、これらの事業主が経営にあたり、一企業当たりに投下している固定資本、運転資金、年間売り上げの総額、並びに利潤はそれぞれ幾らでございますか。固定資産と流動資産だけでもけっこうです。
○長田説明員 固定資産につきましては、昭和三十七年度法人企業統計をもとにいたしまして見てみますと、製造業の場合、五人未満企業で固定資産の所有額が平均いたしますと五百七十万円、流動資産で一千八十二万三千円ということになっております。それから卸、小売り業では固定資産が三百八万二千円、流動資産で千五百十三万三千円ということになっております。これは先ほど申しました個人企業統計とは別であります。
○桜井委員 そういたしますと、製造業の場合は、固定資産と流動資産で千六百五十二万円、卸、小売りの場合で千八百二十二万円、これらのものが必要であります。しかるに本法によりますと、これらの企業者は十年掛けても八十万円、十五年で百八十九万円、この程度のお金では事業をやめて新しい事業を開始するというわけにはまいりません。ないよりはましだということは言えるかとは存じますけれども、これでは事業を転換するということはできない。したがって、やはりいままでどおりにつぶれるまでやっていくというほかしかたがありません。結局先ほど長官が申され、また大臣が本会議で説明したのとは若干異なりまして、事業の再建、転換ということにはたいして役に立たないという結果になると思います。もし事業転換のためならば全然別の政策が必要である、私はこのように思うのでございますが、いかがなものでございますか。
○中野政府委員 今度の制度も、零細企業者の事業の再建あるいは転換あるいは生活の安定というようなものに資する、それの一助としてこういうことを考えたわけであります。もちろん事業転換をしようというような場合には、それ相応の自己資金というようなものも必要でございますし、また政府関係金融機関等の融資も考えられるわけでございます。ただいま御指摘の最後にありましたように、事業転換に対する施策というものは、従来政府がやっておる施策だけでは非常に不十分であるというふうに私も考えております。特にこれから非常に激しく変動する経済情勢に対処しまして、事業転換をどういうふうにスムーズにやっていくかということが、これからの中小企業対策の大きな課題になりつつあるというふうに私も認識いたしております。
○桜井委員 ですから、事業転換のためには、先ほどお話がありましたように、約二千万の金がないことには幾ら小さくたってなかなかできない。それに対して十年で八十八万であります。四十五歳の人は十年たてば五十五歳、それがやっと事業転換の最終の年でしょう。まさか六十五歳になって、これから事業転換をやるという人はなかなかないだろうと思います。それですから、現在四十五歳の人が五十五歳になったときに、二千万のところで八十八万、これでは役にも立ちません。また事業を転換するというのは、現在の事業が不振でどうにもならなくなってきているから、債務も生じ、いろいろ困り切って転換するのでありますから、なかなか自己資金などというものがあるはずもないのであります。したがって、先ほど私が申しましたとおり、現実にあらわれた統計では、三十七年でも、勤労者になりたいという人はあっても、事業転換という人は非常に少ない、こういう実態であります。だから本法は結局のところ生活資金的なものである。そして生命保険よりもわずかに有利な掛け金をしているにすぎない。しかも退職金や失業保険よりも貧弱である、こういう結果になるのであります。そして零細業者が労働者に転換するといたしましても、これまた先ほど申しましたとおり一カ月か三カ月の食いつなぎ資金にしかならない、こういうことで、本格的な労働者への転換対策としても不十分であります。 それで、零細業者が労働者に転換するという場合に、この点も昨年私は指摘しておりますが、自営業者には常に売り掛け金と買い掛け金がある。もし廃業して転職するとするならば、社会通念からいって、売り掛け金は取りにくくなる、その回収にもまた時間的余裕がない。一方買い掛け金は、その支払いに債鬼が押し寄せるような状態になって非常に苦しまなければなりません。だからきちんとした近代的労働者になれずに、自分の給料から仕入れ代金を出すというようなかっこうで兼業を営み、家族ともども苦しんでいるという実態が、私は二、三カ所調べてはございますけれども、かなりあるのでございます。そこで、昨年も申し上げたのでございますが、転業、廃業する自営業者にかわって国が債権債務を整理する機関をつくる、こういう気はございませんか。私はこれは可能だと思うのです。この点政府はどのようにお考えになりますか。
○中野政府委員 これは非常に関係するところが多いので、確かに先生御指摘のように、零細企業者がその事業をやめて、むしろ労務者になって働く、労働者のほうに行くことを容易にすべきじゃないか、これも今後の転換対策の一つの大きな柱というか、方向だろうと思います。具体的な措置については、いま先生から御指摘がありました点は今後十分検討してまいりたいと存じます。
○桜井委員 あと大臣にお伺いしたい点がございますので、もちろん次官もおいででございますけれども、政策問題が相当出てまいりますし、それからまた大蔵省のほうから税制その他の問題についてもお伺いするということで、本法の本論に入ってまいりたいと思いますから、本日はこの程度で……。
○内田委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○内田委員長 速記を始めて。
○桜井委員 総体的にいいまして本法は、社会保障制度の保護もなく、失業者にさえなれない零細業者というものに対する法律としては、あまりにも零細業者の期待を裏切っているのではなかろうか、このように考えられます。そこで、最終的に結論をお伺いすることは大臣にお伺いいたすといたしまして、大蔵省との関係もあるようでございますので、一応大蔵省の見解を聞いて本日は終わりにしたいと思います。 一般公務員に適用される各種社会保険、さらにはこれに類似する中小企業退職共済等は、いずれも掛け金は全額税控除になっております。しかるに本法では、掛け金に対する税金控除が生命保険と通算になっているにすぎません。だから本法を実効あらしめるためには掛け金に対する税金控除を全部すべきだ、このように思うのですが、通産省の御回答はあした大臣にお願いするとして、技術的な点もあるようでありますので、大蔵省からお伺いしたいと思います。
○山下説明員 ただいま御指摘の点につきましては、所得税法では、ただいま御指摘のとおりに、社会保険料控除と生命保険料控除がございます。そのうち社会保険料控除は強制されておるものについてのみ適用されておる。本法によりますものは、任意と申しますか、そういう点がございますので、社会保険料控除の体系の中に入ってまいらない、かように考えております。
○桜井委員 私よく知らないからお伺いするの外すが、生命保険は任意加入でございますが、それに対して控除をしておる。これはどういう論拠に基づいておるのでございますか。
○山下説明員 御指摘のとおりでございまして、生命保険料は貯蓄でございまして、これにつきましては税法上所得控除を認めております。そういう貯蓄ではございまするけれども、いわゆる社会保障の観点とか、あるいは長期貯蓄の奨励とか、そういった観点から特殊の控除を認める制度でございます。
○桜井委員 そういう考えを本法に取り入れてなぜ悪いのですか。
○山下説明員 したがいまして、本法によるものはこの生命保険料控除の対象にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○桜井委員 なぜそれをそれ以外にやっては悪いかということです。全額控除をしてはなぜ悪いか。例外はすでに生命保険でできているわけですから。
○山下説明員 これは立法論に入ると思うのでございますが、先ほど振興課長からも御説明がございましたように、生命保険料控除につきましては、一般的に最高三万五千円という限度があります。その限度を、生命保険料控除、あるいはこのたびの本法のような控除をひっくるめまして、どの程度にするかという点は、また税法上の別個の観点から論議をされることと思います。
○桜井委員 あなたは先ほどからの私の議論はお聞きになっているはずであります。官公庁の諸君の退職金よりももちろん悪いし、失業保険の給付よりももっと悪い。そして失業者にもなり得ない自営業者が日本には五百十四万もおる。これが今日まで日本の政治の谷間に、ただ悲しく泣いていた、そして生存を続けている人たちであります。これに対して、初めて本法がこれを若干でも適用して救おうというときに、いま申し上げましたように、所得税法においてこういう例外規定が生命保険にあるなら、それではこれを全額控除したらなぜ悪いかということを聞いておるのであります。
○山下説明員 全額控除と申しますのは、いまも申し上げましたように、強制的な社会保険料であるならば、現在の税法上のたてまえから申しまして全額控除に相なります。しかし、このたびの本法のものにつきましては、私ども通産省といろいろ御論議いたしたわけでございますけれども、生命保険料控除の体系の中に入れることを、現行では、先ほど長官も仰せられましたように、その点では十分考慮いたした次第であります。ただ、これを全額ということに相なりますと、生命保険料控除の体系の中に入れます以上は、やはり控除の限度があるということでございます。
○桜井委員 生命保険料体系の中に入れなくたっていいじゃないですか。九九%にしたっていいじゃないですか、全額が悪いというなら、強制じゃないからというなら。ただ、大蔵省の皆さんは税の体系上困る、こうおっしゃっている。しかし、体系がどうこうという問題ではなくて、日本において苦しんでおる人々をどうするかという問題でございます。この問題に対しまして、もし税法上の体系が従来こうであるとするならば、その体系解釈のしようは学者諸君や官吏の皆さんがお考えになればよろしいのであって、こういう点について、なぜ悪いということを主張できるのか、その主張の根拠をお伺いしたいのであります。
○山下説明員 本法によりまする掛け金並びに給付は一種の貯蓄でございます。貯蓄を所得の税から引くということはやはり相当な問題でございまして、もちろん御指摘のように中小企業というものの現在のあり方、あるいは将来の方向からいたしまして、いろんな御論議はあるかと思いますけれども、現在の所租税法のたてまえからいたしますと、貯蓄について所得税から引くということはいささか問題が大きいと思います。
○桜井委員 なぜ貯蓄とあなたはきめたのですか。大体今日は資本主義の世の中であるということは、大臣が先ほどはっきりとお答えになった。そして、資本主義の世の中であるがゆえに、資本主義の原則といりものがこの世の中の基本を貫いているのであります。自営業者というものは資本主義以前の形態であります。しかしそれを取り扱う場合には、常に資本主義の形態の中に擬制をした形でもって取り扱っているのであります。だから自営業者は資本家であり経営者であり労働者であります。そのように指導して、青色申告でも何でもやっているじゃありませんか。そういたしますと、経営者としての自分が労働者としての自分に給料を払ってなぜ悪いのですか。たとえば中小企業退職金共済法、あの場合は経営者は支払っていますね。しかしこれには税金をかけていない。相手が労働者であるから。同じことじゃないですか。経営者であって資本象であって労働者なんです。だから経営者である自分が労働者である自分に給料を払ってなぜ悪いのですか。そしてやめるときは経営者であることをやめるのです。経営者であることをやめたときに、労働者であるところの自分がその給料をもらってなぜ悪いのか。そういう解釈が間違いであるということを教えていただきたい。
○山下説明員 ただいま御指摘の問題は、いろいろ従来からも論議の多いところでございます。自家労賃についてこれを経費として認めるかどうかという問題でございます。これはわれわれ現在の税制のたてまえからいたしますと、これは所得税法の経費とは認めがたい、かように考えます。なお、もしそれを経営者分と労働者分と分離するといたしましても、所得は総合でございますから合算になります。そして問題は、その場合にもし労働分についてどう考えるかというと、これは現在の給与所得に認められております給与所得控除を認めるかどうかという問題でございます。したがいまして、現在勤労者について給与所得控除が認められているのを、そのような経営者である方々の自家労働分についても認めるかどうかという一つの立法論があると思いますが、税制上は現在はそのたてまえをとっておらないわけであります。
○桜井委員 立場をとるとらないは別なんであります。皆さま方がそう解釈したのです。一定の法律ができた上に立ってそれを解釈した。そこでそういうことについて、たとえば中小企業退職金共済法ですか、この法律と同じ取り扱いをした場合にどうかということを一つ私はいま申し上げたわけです。それから、先ほど申しました貯蓄であるという考え方からいった場合に、この場合に所得控除はおかしい、こういうようにおっしゃられる。それではそれに対しては例外を生命保険にすでに認めているじゃないか。ただそれを三万五千円と額をきめただけの話じゃないか。それならこの法律について全額、掛け金に対して認めたからといってなぜ悪いのですか。しかも社会保障としての考え方からいったって、全額が悪ければ九割九分にすればいいじゃないですか、こういうことを申し上げたわけです。これについてどうしても大蔵省としてはだめだという見解をお教え願いたい。
○山下説明員 もちろんどうしてもだめだという絶対的なことは私どもは申し上げられませんが、この本法の控除制度を生命保険料控除の対象にいたしたという以上は、これと同じ一般的な限度の中におさめてしかるべきものだ、かように考えております。
○桜井委員 わかりました。本法は生命保険控除の対象にした、そういうことが前提になっているのであります。したがってこれをはずせば、もしそこの点を修正すれば差しつかえないという結果になると考えてよろしいのですね。
○山下説明員 税制上このような控除を別に認めるかどうかという問題であります。
○桜井委員 それは差しつかえないわけですね。
○山下説明員 私どもといたしましては、税制上は適当でないと考えております。
○桜井委員 ですから、適当でない根拠を教えていただきたい。生命保険については、それだけのすでにもう法律に対してある穴をこしらえちゃったじゃないですか。
○山下説明員 先ほどから申し上げておりますとおりに、この掛け金なり給付は生命保険とは性格は同じでございます。したがいまして現行所得税法上に認めておりますところの生命保険料控除の中へ入れてしかるべきものと考えております。
○桜井委員 ですからその前提をはずしてお伺いしたのに、また前提を入れてお答えになっている。問題は、貯蓄ならば資本主義の発展の上からいってこれは有効であるからよろしいが、その犠牲になるものに対するところの救済という点ではそれは反対である、こういうことをおっしゃっているにすぎません。この点はあらためてまたあした大臣にお伺いいたします。 次に、また本法は共済金が給付されたとき、一応所得として、不動産譲渡所得とか満期になった生命保険とかと全く同様に取り扱われております。そして高率の課税をされることになっております。ですから、掛け金をかけたときに税金をとられる。また今度最後に給付されたときには、またとられます。もちろん若干掛け金の分は差し引いてありますけれども。そして法人の役員の場合には、退職金より逆に不利益なんです。この点は不平等ではないか。さらにまた、たとえば死亡による共済金の給付の場合には、相続税法第三条、十二条、十三条によって遺族はほとんど無税となっております。しかるに本法案は生命共済的な色彩が非常に強いという点、こういう点を顧みても、また先ほど私がたいして転換には役立たない、こう申しておるのですが、大臣や長官の言うように、やむを得ず転換するのだというような最後のどたん場、こういう状態にあるものに対するものとしては、非常に不利益、不十分である、このように考えるのですが、もっと弾力的な有利な課税を受けるような制度に改めるということは、大蔵省としてはどのようにお考えでございますか。
○山下説明員 私どもから申し上げるのははなはだどうかと思いますが、これは非常に有利なことになっておると考えております。先生いまもお話がございましたが、これは掛け金をかけるときに生命保険料控除の対象といたしまして、それは所得から控除されるわけでございます。そしてまた給付を受けます場合でございますが、お話しのように、一時所得として課税のたてまえには相なっておりますけれども、先ほど来伺っております。たとえば六十五万円くらいのことにいたしますと、掛け金を引きまして、それから一時所得につきましては特別控除額がございますが、それを控除いたしまして、さらに二分の一いたします。そういたしますと、それから基礎控除等の控除を引きますると、課税にならない面が多いのじゃないか。そして掛け金のときに、生命保険料控除で所得税から引かれておるし、その掛け金が給付の場合にはまた引かれるというわけでございまして、税制上は実は非常に有利なことに相なるわけでございます。
○桜井委員 一時所得としては、譲渡所得あるいは生命保険と全く同様に取り扱われているのでしょう。
○山下説明員 その点は同じでございます。
○桜井委員 だから特に有利になっているということを言えるほどのものじゃないのです。
○山下説明員 それは先生、掛け金の段階におきまして保険料控除、先ほど私申し上げました掛け金等で引く……。
○桜井委員 その分をまた引くのはあたりまえです。そうでなければ二重課税になるでしょう。
○山下説明員 二重課税にはなりません。もし片方で課税しておりますれば、それを給付のときに引くのはよろしゅうございますけれども、片方でも課税しない、しかもまた課税段階、給付の段階で掛け金を引くのでございますから、非常に有利でございます。
○桜井委員 どうも頭が悪いのかな。課税しない——どこに課税しないのですか。生命保険料の範囲だけ課税しないというのでしょう。
○山下説明員 そうです。
○桜井委員 それっぽっちじゃないですか。それじゃ千円分しか利益がないと私は言っているのです。あなたはさっきから議論を聞いているのでしょう。聞いているのにまたおかしなことをおっしゃっているのですけれども、そのくらいのことは承知の上で私は言っている。だから生命保険程度のことしかやってないじゃないかと言っている。 次に、大蔵省では答弁できないようですから、もう一つお伺いします。前に述べましたが、七分二厘の利回りということでは、先ほど申し上げましたような公社債の利回りに劣っております。したがって事務費に対する補助金じゃなくて掛け命に対する補助金まで出しませんというと、この利回りはうまいぐあいに上がってこない。七分二厘というのはやっぱり運用利益を考えるからこういうことになるのであります。この点につきまして、掛け金に対する補助金というものを出すべきだ、このように思うのですけれども、そうでないと、先ほど申しましたような公社債を買っているほうがよほど得だということになるのですが、どうですか。これは長官からお伺いしたい。
○中野政府委員 いま御指摘の点は、実は打ち割った話を申し上げますと、この制度をつくるときに通産省として当初考えておりましたのは、御承知のような中小企業退職金共済事業団の制度におきましては、掛け金、月二百円分について十年以上かけると一割の補助金が出ることになっておりますので、零細企業者でありますし、所得も労務者とそんなに違わないというようなことで、今度の制度を考えたのでございます。一部国庫補助をやったらどうかという提案は、実はうそではございませんので、やったのでございますが、先ほど来いろいろ御指摘がありましたが、中小企業者の事業主自身が自分のためにこれは掛け金をする、こういう形になっておりまして、先生がおっしゃったように、それは事業主が経営者と労務者の二重の面があるから、この掛け金は所要経費に見てもいいじゃないか、法人の場合はむしろ損金に見ていいじゃないか、こういう考え方もできないことはないと考えておりますが、一応予算折衝の過程におきまして、これは国庫補助というところまでは政府全体としてちょっと無理じゃないだろうかということで、実はこれは労働省のほうの退職金共済事業団にはございませんが、そのかわり政府が出資をする、もちろん事務経費につきましては退職金共済事業団のほうも全額国庫補助でございますから、この点同じでございますが、四千万円の政府出資ということで、これは将来また増額もできるわけでございまして、そういう面で、今後の問題としましては先生御指摘の点ももう少し改善をいたしたいというのが私の願望でございます。
○桜井委員 自分のために掛けているとおっしゃいますが、そう言うなら普通の労働者だって全部自分のために掛けているのです。官吏の方々だってそうです。全部自分のために掛けているのであって、それだからこそ失業保険をもらえる。それに対して国家がめんどうを見ている。しかるに零細自営業者というのは、繰り返して申しますが、失業者になれない人なんです。しかも統計で見ますると、最近政府のほうで発表しませんから私も困っておりますけれども、三十二年度の統計では、たとえば商業をとって見ますと、百十二万業者、小売り業が、そのうち十万円以下の売り上げのものが何と七十二万、十万から二十万までの売り上げのものが二十万、二十万から五十万までの売り上げのものが十八万であります。五十万円以上の売り上げの人ではじめて何とか食っていける。それ以下の人々は、十万売り上げたって、二割五分所得があったと仮定したって二万五千円、都市勤労者の、そのときにおきまする収入は平均五万一千円であります。二十万にしたってそれに及ばない。都市勤労者よりもなおみじめな自営業者は二百万人以上三百万人近くいるのだというこの現実を忘れて、だから法律をつくりまするときに、自営業者といえば何かだんなさまで金を持っておる人、自分たちの所得でもってやっておるのだ、国家の援助は要らないのだ、こういう考え方が出てくるのであります。だから初めから申し上げておりますとおり、日本の統計がおかしい。完全失業者はまだいいのです。失業者にさえなれない人々に対する施策としてはあまりにもみじめではないか。そしてまたこれらの人々に対する政策というものは今日まで何もなかった。社会保障の面からいってもありません。昨年も福田前大臣にお伺いいたしましたら、それらの人々は社会保障でやる、こうおっしゃるから、しからば商売をやっておる者が生活保護を受けられるか、こう私は質問したのであります。ないのです。そういう人たちに対して少なくとも本法案を出して若干でも救いの手を伸べようとするときに、貯蓄なら法律に例外規定を設ける。ところがこういうことに対してはむずかしいから強制加入というわけにいかぬ。確かにむずかしい。むずかしいからといってその問題を、強制まではいかないけれども、政府指導でも何でもできるだけやると長官がいま言っておる。そういう社会保障的な意味が、生命共済的な意味が多分にある本法案に対しては認められぬ、こういう立場であります。これは基本的にどこか狂いがあるのじゃないですか。ですから私は先ほど大臣に冒頭において質問した。資本主義である限り優勝劣敗はつきものである。だから通産政策として近代化の政策は確かにある。なければならない。それは一つである。しかしその間没落、労働者化へ、そしてその間に摩擦現象がたくさん出てくる。その摩擦現象に対する対応策を考えなければならぬ。この二つが根幹である。このように申し上げた。その一つとして、せめてもの、なきにまさる政策としてこの法律が出ていると思う。そこで掛け金に対する全額控除、それにまた補助金、これらのものが削られたなら、本法案はないのと同様であります。ないのと同様どころか、零細業者の金を集めて、先ほど申し上げましたその一部の人の金融に回すのだ、そしてあげくの果ては、場合によると政府の財政投融資の節約にしてしまう。こういうことになってくると、結果論的には悪法になりますぞ。ですから悪法にするもしないも、これは数日後に通るかもしれませんけれども、この法律をどのように取り扱い、どのように修正していくか、こういうことはたいへんな問題であります。 以上、私は、あとは大臣にお伺いしたいことがまだございますので、本日はこれにて終わりといたします。 ————◇—————
○内田委員長 参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。 先刻理事の間で御協議願いましたとおり、中小企業に関する件の調査のため、山陽特殊製鋼株式会社の倒産に関する問題について、来たる十六日金曜日参考人に出席を求めることとして、その人選、手続等に関しましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次会は、明十四日水曜日午前十時十五分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十四分散会