商工委員会 第5号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/02/17
会議録
○内田委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。桜井茂尚君。
○桜井委員 私はまず、質問を始める前に、私の目的を明らかにしておきます。それは、政治を行なう者の基本的な政治姿勢、並びにその施策の前提となる歴史的現段階に対する的確な現状判断をお伺いしたいのであります。 実は、初めに貿易の問題からお伺いしたかったのでございますが、通産大臣がお見えになっておりませんので、国内の問題からお伺いいたします。 しかし、一応前提として若干だけ触れておきますが、大蔵大臣も施政方針演説で言っておりますし、企画庁長官もおっしゃっているのですが、国際収支の見通しは、ことしはそう甘いものでもなく、また、外国への輸出についても、海外市況がそんなに甘いものではない、このようなことを申されております。そのことを一応前提として、国内の問題についてお伺いするのですが、まず最初に、昨年からことしにかけまして、不況が一応喧伝されておりますけれども、不況の実体がどういうものであるのか。人によると、ムード不況というようなことも言われておるのでありますが、大企業にほんとうに不況があったのか、そのことについて企画庁長官にお伺いいたします。
○高橋(衛)国務大臣 何が不況かという問題については非常にむずかしい問題でございまして、経済全体の総体的な、よくマクロ的と申しますが、マクロ的な見方からいたしますれば、昭和三十九年度の見通しは、昨年の暮れにこれを改定いたした次第でございますが、当初の年度開始前の見通しにおいては、実質成長率を七%ということで見通されておったわけでございますが、昨年暮れにそれを改定いたしまして、実質成長率を九・四%というふうにいたしたような次第でございます。言いかえれば、当初の見通しよりも、実質において二・四%だけより高い成長が行なえるという見通しになったわけでございます。また国際収支の面から見ますと、当初の見通しにおきましては一億五千万ドルの赤字ということで始まったわけでございますが、結局これを改定いたしまして、年度間総合収支において大体均衡をみるということに改定いたしたような次第でございます。また失業者の状態、つまり常用雇用の増加の割合等を言ってみますると、現実に前年同月比較におきまして、たとえば年度当初におきましては五%程度、それが昨年末においては三%台まで減りましたけれども、しかし、前年度同月比においてこれが着実に伸びてきておる。失業者の数も減ってきておるというふうな面、そういうふうな面を見てみますると、これは一体不況と言えるかということが感じられるわけでございますが、反面、御承知のように昨年の秋ごろから企業の倒産が急増してまいりました。年末においては実に六百件近いところの倒産件数。これは東京興信所の調べでございまして、政府調べはやっておりませんが、興信所の調べによりますと六百件に近く、しかも、債権額も九百何十億円という非常に膨大な金額に上っておるということ、また不渡り手形の数が相当ふえてまいりましたこと、そういうふうな点から見ますると、これは相当深刻な事態であるということを認めざるを得ない次第でございます。 ことにまた、企業体別にこれをしさいに検討してまいりますと、たとえば特殊鋼業界というようなものにおきましては、世界的な製品価格の下落というふうなこともございまして、全般的に非常に困難な経営の状況に相なってきておるのが実態でございます。その他セメントまたは合成繊維、または一部工作機械、そういうふうな各業態ごとにこまかい分析をしてみますると、製品のストックもだんだんと進んでまいっておるというようなことがございまして、これは相当に深刻な事態である。言いかえれば、これは不況というべき様相が顕著にその業態にあらわれてきておる、こういうふうに見ておるわけでございます。言いかえますと、マクロ的な見方から見れば、これはむしろ不況と言えるかどうかということの疑問が生ずるような実績を示しておりますが、しかし、個々の具体的な企業体においては、相当に深刻な不況に襲われておるという事態が生じてきておる、こう見ておる次第でございます。
○桜井委員 資本主義の発展が国内においても跛行的に進むということは必然的な、あるいは今日の段階における性格かもしれない。そこで大臣も申されているとおりだろうと私は思います。ですから私、最初に前提として、大企業において不況はあったかというようにお伺いしたのであります。もう少し詳しくお伺いいたしますが、大企業は引き締めにもかかわらず、大臣の言われたとおり、生産の拡大を続け、設備投資も雇用も増大しております。しかも償却前利益は前回の不況のときは六・九%減っておるのでありますが、今回は一・三%増ということになっております。そして金融はほとんど困っておりません。すなわち金融引き締め前に銀行から借りだめをして、しかも内部資金は四一%から五一%に高まっておる。そのうち償却は税制改革で有利になったので、一挙に行なわれ、三一%から四一%へと増加しております。さらにまた引き締め前の三期に比して二二%も多く増資をしております。そしてまた、前回と異なって、売り上げ金の回収はすばらしく向上いたしております。このようにして設備投資も継続し、生産も増大しているのであります。だから大企業にとって不況があったかどうか、中小企業とかあるいは特殊鋼とか特別な点はともかくとして、大企業にとって不況はあったか、こういうことをお伺いしているのです。
○高橋(衛)国務大臣 先ほどお答えいたしました点も、大企業、中小企業と分けて申し上げたわけじゃございません。業態によって、たとえばセメント業界には大企業もございますし、わりあいに小さな規模のものもございます。また工作機械メーカーについても、大規模のものもあれば小規模のものもある。そういうことで、政府が業態ごとについて見ますと、その業態で相当な不況の様相を示しているものも相当にあるということを申し上げた次第でございます。 ところで、一昨年の暮れから国際収支の状況が悪化してまいりましたような関係もございまして、金融引き締めをいたしてまいったのでございますが、桜井さん御承知のとおり、金融の引き締めは日本銀行を通じて行なわれる。日本銀行は引き締める際に、みずからの取引銀行を対象として具体的には行なわれるわけでございます。ところで、取引銀行は主として都市銀行または相当大きな地方銀行でございますので、これらの都市銀行なり大きな地方銀行というものは、大企業と金融の取引をする金融機関が多いわけでございます。したがってそういうふうな金融の引き締めを金融機関に対してするということになれば、自然大企業におけるところの設備投資が抑制されるという考え方のもとに金融引き締めをやってまいっておるのでございます。しかし、結果は必ずしもそううまくはいっておらぬことはお考えのとおりだと思います。と申しますのは、一方には大企業が下請企業にある程度しわ寄せ的な感じでそこに一つの影響が出てくる。いま一つは、本来中小企業向けの金融機関であるところの地方銀行、信用金庫、相互銀行、そういう方面からコールという形で資金が都市銀行に集中される。その二方面から中小企業金融というものが、大企業向けの引き締めであるにかかわらず、中小企業機関の金融についても引き締めの結果が生じてきておるということを事実として認めざるを得ないと思います。したがって、そういうような観点から、政府といたしましては、中小企業関係の三金融機関に対するところの金融について特段の配慮をいたしまして、金額を増額する政府の措置をとりまして、これが措置を講じてはまいっておるのでございますが、しかし、中小企業に対して金融引き締めの影響が相当あったことは、これは認めざるを得ないと思います。ただいまの御質疑の御意見中で、たとえば大企業の売り上げ金の回収が非常によくなったというお話でございましたが、これは事実に反するようでございまして、やはり引き締めをいたしてまいりましてから、漸次、たとえば手形のサイトが、わずかではございますけれどもさらに延長されたというふうな実態が出てまいりまして、私どものほうでは、売り上げ金の回収はむしろ全般として悪くなってきておるというふうな見方をしておる次第でございます。
○桜井委員 大体大臣もお認めでございますから、それでよろしいのですけれども、ただ、売り上げ金の回収は前に比較して全然問題にならなくよくなっておるということは、企画庁の統計に書いてある。この十二月の報告の中にはっきり書いてある。
○高橋(衛)国務大臣 私の申し上げましたのは、前回の引き締めと比較しては今回のほうがその悪化の程度が少ないということは事実でございますけれども、しかし、引き締めの結果としてやはり売り上げ金の回収が悪くなったことは事実でございます。その点をただいま申し上げた次第でございます。
○桜井委員 私があえて拘泥しましたのは、好況のときより回収が減っておるというのはあたりまえなんですけれども、ただ、今回の不況の一つの特色をなしますので特に申し上げたのであります。 それから次に、大企業は資金調達のため増資をやったり、内部保留をふやすために配当金を取りくずしたり、もちろん先ほど申しましたとおり、一挙に償却をやっておる、そういうことを考えれば、当然株の配当には影響が出てくるのでありまして、その上へもってきて証券会社の不健全な運営など、ムード不況と相まって株価が暴落したのでございます。そこで、日本共同証券や証券保有組合をつくって、日銀を通じて三千六百億から三千七百億円に及ぶ株の買いささえを行ない、その分をまた大企業の金融に事実上回す。そこで、日本共同証券や証券保有組合によって救済した株あるいはする株とは、どういう種類のものですか、大蔵省にお伺いいたします。
○内田委員長 株の担当がおらぬようでありますから、後回しにしてください。
○桜井委員 実はこの点が大蔵省関係で私の御質問する中心だったわけでありますが、それでは中小企業庁長官にお伺いしますが、昨年、未曽有の倒産をいたしておりますが、その原因は何か。特に今回の特色をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 昨年の一年間にわたります金融引き締めの政策が下部にまで浸透するにつれまして、いま御指摘がありましたように中小企業を中心として倒産が非常に多くなって、特に昨年の十二月には件数、金額ともに最高を示したのであります。幸いにいたしまして、昨年末さらに本年に入って、一般的な金融引き締めの緩和の政策もとられまして、一月には御承知のように四百二十億円、四百件、二月に入りましても、大体私の見ておるところでは、一月ぐらいのペースでいっております。しかしそうは言っても、四百数十件、四百二十億ということでございまして、相当高い倒産が続いておることは御指摘のとおりでありまして、決してこれについて先行きをわれわれは楽観しておりません。特に金融引き締めの緩和の影響が中小企業に及ぶのには相当かかるのじゃないか。大企業にはすぐこれが影響が出てくると思いますが、これが中小企業にまで及ぶのには数カ月かかるのではないかというようなことで苦慮いたしておる次第でございます。 これが原因につきましては、これは一応われわれのほうも、現在世間で倒産問題についての調査として比較的権威のあるものとしてわれわれ見ておりますのは、御承知の東京商工興信所の調査でございまして、これが個々の会社につきまして倒産の原因等を調査いたしまして、それを集計いたしております。これは先生も御承知と思いますが、これでずっと傾向を見ますと、たとえば設備投資の過大あるいは業績不振、寡少資本あるいは放漫経営、こういうようなおもに経営原因によるとするものが相当のウエートを占めておりますが、だんだん金融引き締めが浸透してまいるに従いまして、売り掛け金の回収難あるいは在庫状況の悪化というようなものの原因が最近はふえておるように私は見ております。 それからもう一つ、これもそうたいした調査ではない、ということを言ってはいかぬですが、これも新聞に出ましたが、全国銀行協会が、昨年の十月から十二月までに取引停止を受けたもののうちで、法人では資本金百万円以上、個人では負債金額一千万円以上のものについて取引しておる金融機関から、その原因を調べさせている。これは私は比較的権威のあるものじゃないかというふうに見ておりますが、この調査によりますと、十月が千三十二件、十一月が千十五件、十二月が九百七十三件と、わずかながら減少ぎみに推移しておるということで、十二月の数字が、興信所の数字と相当食い迷っておりますが、これは全国銀行協会の取引先ということで、こういう差がでてくるのじゃないかと思います。これを原因別に見ますと、大体八割以上が売り掛け金回収難、これは三七%、業績不振、つまり光り上げ不振あるいは在庫状況の悪化というようなものによりまする業績不振が二六%、それから設備投資過大、自己資本寡少というようなものが一九%、その三つの原因が大体八割以上を占めておるというようなことで、ここらから最近の倒産の原因というものは、ほぼつかめるのじゃないかというふうに私は思っております。
○桜井委員 長官の御説明は、いつの不況でもそういう大体同じ傾向をとっておるだろうと思うのですけれども、特に昨年の特色ということになりますと、やはり大企業のほうは売り上げ金の回収がよかった、中小企業のほうは売り上げ金の回収が悪い、ここが一つの大きな特色をなしておると思います。それからもう一つは、大企業のほうには金融は楽だった、中小企業のほうに金融が苦しかった、それは先ほど企画庁長官が申されましたとおり、地方銀行あるいは相互銀行、信用金庫等から、あるいは農林関係金融機関からコールマネーが都市銀行に入っている、したがって、それだけ中小企業金融を圧迫する、こういうようなことで中小企業には非常にきびしい状態が発生した、これが昨年の、あるいはことしにかけての特色じゃなかろうか、私はこのように考えるのですが、この点長官いかがですか。
○中野政府委員 最近の昨年来の倒産の特色について、これは特色というといろいろ見方があるのじゃないかと思います。いま先生御指摘になりましたあとのほうの、中小企業向け金融が大企業に比べてなお逼迫度が強かったのじゃなかろうかということは、御指摘のとおりだと思います。特に、中小企業向け貸し出しの増加というものの割合の減り方が、大企業よりも中小企業向けに多いわけです。これは数字が出ております。それからもう一つは、大企業のほうに金融の引き締めの度合いも相当強かったと私は思います。そのしわを、ややもすると力の弱い下請け関係、あるいは関連企業等の中小企業者のほうにしわ寄せをする。これは現に、たとえば下請け関係等を調べましても、現金で受け取る率が減っておる、あるいは手形のサイトが長くなっておるというふうなこと、あるいは検収等を長くして実際に支払いを延ばす、こういうふうな事例が出ておりまして、これは公正取引委員会、われわれのほうとしても調査をして、例の下請法違反の疑いあるものはびしびしこれが立ち入り検査等をやっておるつもりでございますが、なかなかこれをやりましても、昨年のような経済情勢でありますと、どうしてもやはり下請けのほうにしわ寄せをする、これはそのとおりであります。そういうことが、先ほど申し上げました、たとえば売り上げ金の回収難というようなもので相当倒産があるということを全銀協でも指摘をしておりますが、これは一つの、先生の言われた御指摘の点をあらわしておると思います。
○桜井委員 いま申しましたとおり、中小企業への引き締めが特に強く、しかも小企業にはそれが激しい状態であった。そこでちょっとお伺いするのですが、政府の中小企業施策で、全金融機関による中小企業金融の総計のうち、施策によって何%ぐらい効果を高めることができますか。
○中野政府委員 ちょっと非常にむずかしい御質問でございますが、中小企業向け金融の中で、御承知のように政府関係機関三機関ございますが、これに財政資金を出して中小企業金融の円滑化をはかろうとしておりますが、そのウエートは約八%でございます。
○桜井委員 三機関による金融が全体のウエートの八%にしか当たっていない。で、現に三十八年十月と三十九年十月で比較いたしてみますと、全国銀行と相互銀行の貸し出しワク中小企業向けは約十八兆円ありますが、そこで一%減っております。そして信用金庫と信用組合と政府関係三機関で貸し出しの増があるのですが、その貸し出しワクは約三兆、その増は〇・五%から一%という程度です。だから全金融の一割以下の八%のところで〇・五%から一%ぐらい増加したところで、九二%のところで一%減ってしまっては何にもならない。だから政府が、ずいぶん大幅な中小企業政策をとっている、このように盛んに言っておりますけれども、九牛の一毛というのはこのことじゃないんですか。だから倒産していく膨大な中小企業に対して一掬の涙を注いでいるという程度の政策にすぎないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、中小企業向け貸し出し残高の中に占める政府関係機関のウエートは一割足らずでございまして、ただ倒産とかこういうような場合に、いろいろわれわれが処置をしてまいる場合には、政府関係三機関を十分活用するということで、これは具体的には先生も御承知と思いますが、相当効果をあげ得るというふうに私は見ております。これに集中的に政策の重点を置いてやる。しかし、もちろんこれは一般の金融機関が協力していただかなければどうしてもうまくまいりません。したがって通産省では、地方の通産局を中心にしまして、市中の金融機関あるいは保証協会、政府関係機関等々とひんぱんに金融懇談会を開きまして、一般の市中金融機関の協力を十分求めるようにいたしております。しかしわれわれからいうと、これは十分とは考えておりませんが、努力はいたしております。
○桜井委員 ちょっと非常にふしぎなことをお伺いしたのですけれども、銀行も営利会社じゃないんですか。損をしても協力をしろ、こういうようにおっしゃられるのですか。
○中野政府委員 いままで大蔵省、日銀等が指導しておりますのは、主として大企業とか中堅企業等が倒れて、それに関連して倒産をする。したがってその中小企業自身はいままで健全な経営をやっておって、そこに一時、たとえば手形の買い戻し資金を融通してやるとか、あるいは不渡り手形をもらった際に一時資金の融通をしてやるということによって十分立ち上がり得る、金融のためにだけ非常な窮状におちいっておる、こういうものについては、金融機関も十分めんどうを見るべきじゃないか、これは当然のことだと思います。したがってそういう意味でいろいろ指導をいたして、これもある程度は効果があがっておるというふうに私は見ております。
○桜井委員 だから全体の中小企業金融のワクを銀行に広げろということは、これはちょっと困難でしょう。
○中野政府委員 銀行の中小企業向けの比率等を機械的に、これは何%でなければいかぬとか、そういうことはなかなかむずかしいと思いますが、しかし銀行局でも行政指導によってできるだけ中小企業には、こういうむずかしい状況でございますので、中小企業金融について十分配慮するようにということは末端の銀行等にも相当徹底をして、これは銀行局長の通達も出ておりますから、健全経営をやっておるものが金融関係からだけ連鎖倒産におちいるということのないように、また、そういうことがあった場合には一々報告させるような仕組みを大蔵省でもとっておるようであります。
○桜井委員 それをずいぶん繰り返してやったと私は理解しているのですが、そうですか。
○中野政府委員 そういうふうにやっております。
○桜井委員 やったにもかかわらず、結果はいま申し上げましたとおり減っているのであります。そこで、来年度も結局これと五十歩百歩の政策じゃないですか。わずかに量的に三機関に対して増加はありますけれども、質的な中小企業政策の大転換というようなものは何も見当たりません。だから政府のほうで宣伝しているような格差是正のための抜本的施策というようなものは私には見当たらないのですが、何かそういうものがあるのでございましょうか。
○中野政府委員 中小企業対策は、いま先生の言われました三機関に対する財政投融資、これはことしは千六百十七億に対して二千四十五億ということで、二六・五%アップになっております。しかしそれだけでなくて、一般会計の面におきまして、設備近代化資金の増ワクあるいは中小企業の高度化資金等の増ワクあるいは内容の改善等をはじめといたしまして、一般会計面について約三〇%以上の予算をふやしております。それから税制面につきましてもいろいろこまかい配慮をいたしておるのであります。これをはたして抜本的と言うか、画期的と言えるかどうかということについては、私はその方面の責任者でございますので、決して満足はいたしておりません。非常に不十分であるということは考えておりますが、しかし、きまった政策を忠実に実行して、少しでも効果があるように努力いたしておるつもりでございます。
○桜井委員 量的なただ単なる若干の施策しかないところにもってきて、何か新聞によりますと、近代化資金の貸し出しにも選別融資をやるというようなぐあいに報ぜられているのですが、それは事実ですか。
○中野政府委員 それは日本経済新聞の記事を御指摘になっておるのではないかと思いますが、私どもからいうと、これは全く間違っております。近代化資金について選別融資をやるというようなことは考えておりません。
○桜井委員 通産大臣がお見えになって、だいぶお急ぎのようでございますので、最初の質問に返っていきたいと思います。
○内田委員長 桜井君に申し上げますが、経済企画庁長官があとの御計画があるので、なるべく質問を集中していただいて、通産大臣はあとまでよろしい、こういうことのようでございます。
○桜井委員 では企画庁長官にお伺いいたしますが、所得成策というのはどういうことなのか、具体的にわかるようにひとつ御説明願います。
○高橋(衛)国務大臣 第二次大戦が終了いたしまして後、ヨーロッパの諸国で所得政策ということがだんだんと唱えられてまいったのでございますが、英語でインカムズ・ポリシーということばの縦訳に相なっております。オランダとか英国とか、またはフランスその他の国において、それぞれそういうふうなことが提唱され、また一部分、部分的にも実行されたこともございます。しかし、なかなかこれは成功の段階までいっていないのが実情でございます。先般英国の労働党内閣ができまして、その後英国におきましては、御承知のように国際収支が非常に悪化しておるというような関係から、国際収支の改善策として一五%の課徴金をつける、または輸出に対する税金の割り戻しをする、または公定歩合を五%から七%に非常な大幅な引き上げをするというような措置をいたしましたが、同時に、国内経済についていわゆる貯蓄の増強または消費の節約ということを相当強硬に主張せられると同時に、政府と労使、三者一体となって所得政策の推進に当たらなければ英国の経済の体質の改善はできない、ほんとうの立ち直りはできないというようなところから、たしか年末、十二月の十六日にこの三者の意見の一致を見たという発表があったのでございます。その経過を見れば、大体所得政策というのはどういうものかということがわかると思うのでありますが、要するにその三者が相協力して生産性の上昇にあらゆる努力を傾注する。しこうして生産性の上昇についての障害となるものについては、全力をあげて打破する努力をする。同時、生産性の上昇の範囲に賃金の上昇がとどまることが適当である。同時に、今度また利潤につきましても、利潤が一定の範囲を越える場合においては、その利潤について政府が適当な措置をとることを考慮する、そういうふうなことが声明に出ておるわけでございます。要するに、近年各国とも経済成長を中心とするところの政策をとってまいっておるのでございますが、その成長政策をとりますと、自然これが物価の問題に影響を及ぼしてまいりまして、各国とも物価の上昇に苦労してまいっておるのが実情でございます。 そこで、結局物価と賃金との関係、または利潤との関係、そういうふうなものの検討において、いろいろ研究がなされて、そして所得政策というものが生まれてきたわけでございます。大体各国によってこの取り扱いはそれぞれ違っておりますが、また考え方もある程度ニュアンスの違いがあるようでございますが、要するに賃金も利潤も、または価格につきましても、要するに経済の成長の成果をどういうふうに分配するかという問題について、賃金と利潤のみにこれを分配いたしますと、結局価格の上昇という結果にならざるを得ない。したがって、国民経済全体として、賃金というものが生産性の上昇と見合っておれば、それで物価の上昇は大体ない、安定するという考え方に基づいて、したがって大企業等におきましては生産性の上昇が相当大きいというふうな観点から、大企業におけるところの生産性の上昇が相当ありました場合に、それを全部利潤と賃金とに分配するだけじゃなしに、価格を引き下げることによって消費者にもこれを分配するということをすべきであるという考え方が、いわゆる所得政策というものかと存じます。
○桜井委員 一月二十九日に企画庁長官は経済同友会の懇談会で、賃上げを慎重にするように言っており、また経営者のいうその所得政策というものに賛成なすったというような新聞記事があったのですが、事実でございますか。
○高橋(衛)国務大臣 一月の二十九日に、経済同友会の人が会いたいということでございましたので会いまして、そしていろいろ当面の経済情勢の判断について議論し合ったことは事実でございます。またその際において、所得政策についても議論が出ました。外国における所得政策の問題、ことに英国の動き、またはフランスにおける物価対策の問題等についていろいろ話し合いと申しますか、お互いに意見の交換をいたしました。しかし政府として賃金をどうするというふうな問題について、何ら愚見は述べておりません。
○桜井委員 過去の投資が生産力化して、昨年も鉱工業生産は大きく上昇しております。そうして先ほど大臣が言われたとおり労働生産性も急上昇いたしておりますが、この労働生産性の上昇はどのくらいでございましたか。
○高橋(衛)国務大臣 この労働生産性の上昇につきましては、いろいろ調査する機関によって資料が違っておるのでございまして、必ずしも一定のものが得られないのでございますが、一つは日本銀行の主要企業経営分析というところで、これは主要企業だけでございまして、カバレージは割に少ない、そこで調べておるものがございます。それからまた大蔵省の法人企業統計、これは相当広い範囲にわたってこれを調べております。それから生産性本部、その三者でそれぞれ調べておりますので、必ずしも一定した数値には相なっておりませんが、このうち、生産性本部の資料がわりに早く統計が出ておりますので、この数字を申し上げますと、三十九年、暦年でございますが、三十九年は一五・八%の上昇ということに相なっております。 ところで、この点について特に申し上げておきたいと存じますのは、三十五年から三十八年の年率の生産性の上昇を見てみますと、日本銀行の主要企業経営分析におきましては九・二%の年率上昇でございますが、大蔵省の法人企業統計には、ずっと広い範囲のものを製造業の企業について集めておりますので、これは八%になっております。したがって、日本銀行の調査というものは、わりあいに大企業だけをピックアップしておるというような関係からいたしまして、どうしても生産性の上昇の率が大きく、全体の姿よりは相当過大に出ているということを特に申し上げておきたいと思います。
○桜井委員 日本には何しろ二重構造があるわけですから、中小企業と大企業との間に相当のアンバランスがありますから、したがってそれを総計すれば下がってくるのは当然であります。 そこで、次に労賃の上昇率はどうなっておりますか。
○高橋(衛)国務大臣 労賃は、昭和三十九年におきましては、労働省の毎月勤労統計でございますが、これが一一・四ということに相なっております。
○桜井委員 三十年以降高度経済成長成策、ことに近代化、合理化投資がどんどん行なわれて、生産性はぐんぐんと上がってきております。そうして現に昨年はおっしゃるとおりに大企業におきましては一五・八%、このように上がっております。一方、労賃のほうも確かに上がるには上がっておりますが、一一%である。そうすると、所得政策ということになると、それはどういう関係になるのでありますか、所得政策をとるとすると。
○高橋(衛)国務大臣 所得政策というのは、別段賃金をどうするということじゃございません。インカムズ・ポリシイでございますから、所得、利潤、または資本費、そういうものにいかにして経済成長の成果を分配するかということが所得政策という意味でございます。そういうことを最初に申し上げておきます。 それからいま一つお答え申し上げておきたいと存じますが、つまり労働生産性というのは、による一人当たりの生産性の上昇でございますが、それと賃金との比較をどうして見るかという問題でございます。これは非常に割り切ったものの考え方でございますが、他の条件が全部一致しておる、完全に同一であるという前提のもとに、つまり利潤も前と同じにするという、または原材料の原単位比率というものも変わらないという前提に立ちますれば、生産性の上昇は一体どうして起こるか、これは設備投資をやって、そして合理化、近代化を行なうということによって一人当たりの労働生産性は上昇する。ところがその設備投資というものは当然に金利がかかり、また償却が要るわけでございます。したがって、その生産性の上昇した成果のうち、当然にコストとしてかかるところの金利なり、それから償却費というものを差し引いて、残りの部分と賃金の上昇の割合が同じであれば、その企業は価格を引き上げなくても、価格をそのままにしておいた場合においては利潤は同一であると、こういうそろばんが成り立つわけでございます。
○桜井委員 売り上げ高に占める資本費と労賃との比率は、最近どのようになっておりますか。
○高島政府委員 先ほど大臣のお答えになりました、日銀の主要企業経営分析によりまして、三十五年くらいから売り上げ荷に占める資本費をトレースいたしてまいりますと、大体三十五年ごろ七・五%見当のものが、最近は九%を越す程度になっています。三十八年度上で大体九・二七%出ております。三十九年はまだございません。
○桜井委員 三十九年になって急送に過去の投資が生産力化している。ですから、三十八年の段階の数字でおっしゃられると困るのです。いずれにしましても資本費の占める割合は非常に多くなっている。そして先ほど大臣が、利潤を一定とすれば、こういうようにおっしゃられましたが、その利潤のはじき方にいたしましても、先ほど質疑の中で明らかになっておりますとおり、売り上げ高利益は、前は、不況のとき六・九%減であったにかかわらず、昨年は一・三%増であった。なぜそれが配当のほうには実際には舟てこなかったかといえば、それは償却をいっぱいしたからだ。そして内部留保を高めたからだ。ですから、そこのところでごまかしていますと、利潤も下がっている、だから労賃も下げるべきである。あるいはまた、物価のほうにいたしましても、大資本におきまして、とかくカルテル行為を結んで物価を引き下げない、こういう結果が出てくると思うのであります。そこで、大臣がせっかく所得政策とおっしゃっても、その具体的な内容は非常に片ぱな、破竹的なものにならざるを得ないと思うのですけれども、いかがでございますか。
○高橋(衛)国務大臣 冒頭にお答え申し上げましたように、三十九年度に入りましてから操業度は相当高水準を続けておりまして、予想よりも鉱工業生産がずっと上回ってきておるのが実態でございます。しこうしてアメリカ等の実績をとってみますと、操業度が上昇する場合においては必らず利潤率がぐっと上がってきているのが実清でございます。つまり操業度が上がれば固定費がふえなくて、同じ固定資産がより多く操業することになるわけでございますから、したがって利潤は急速度に上昇するというのが普通でございます。それで昨年の九月期の決算等を検討します際に、そういうふうに、つまり操業度が上昇し、売り上げが上昇しながら利益率がむしろ下がっておるということのほうが問題でございまして、これは桜井先生は三十七年のときの実績と比較してごらんになりますけれども、引き締めのときには必ずそうなるんだということではなしに、昭和三十七年のときは、御承知のとおりに、たしか実質成長率が予想よりもずっと少なくて、五・九%ではなかったかと思います。そういうふうに実成長率がぐんと激減した場合においては操業度がぐっと減る。したがって利潤は急速度に下降するのは当然でございます。したがって比較する場合においては実際の鉱工業生産、また実成長率がどうなったか、操業度がどうなったかということの関連において収益率を比較することが正しい。そういう観点からしますと、あれだけ売り上げが増加し、鉱工業生産がふえているにもかかわらず、売り上げはふえたが、償却後のたしか一・八%の増益でしかないというところにむしろ根本的に原因がある、こういうふうに私どもは見ているわけであります。
○桜井委員 売り上げ高利益は、前年の景気のいいときよりも一・三%増益になっているのですから………。 そこで、次にお伺いしますが、本年の消費者物価はすでに御承知のとおり米、パン、みそ、しょうゆ、バター、清酒などが上がっておりまして、一月の上昇だけで一・九%であります。年率に直せば、このままだったらたいへんなことで、二〇%、そのほかにこれから出るであろうといわれる医療費、バス、水道料金、授業料、中部電力、私鉄料金、これらの値上がり、こういう傾向はとうとうたるものがあります。こういう情勢で、政府のいう四十年度四・五%上昇という経済見通しにおさまるはずがないと私は思うのです。この点はいかがなものでございますか。
○高橋(衛)国務大臣 先ほどの御質問になおつけ加えておきますが、問題は、増収であったにかかわらず、売り上げが相当ふえたにかかわらず、それよりもはるかに低い割合でしか利益がふえてないというところに問題があるということを申し上げたのでございます。本来操業度がどんどん上がれば、固定費が同じであって売り上げが上がるわけでございますから、当然に利益率は売り上げの増加額よりも相当上回った増加を示すのが常識的に考えて普通でございますが、それが非常に低いところにとどまったということが問題であるということを申し上げたわけであります。
○桜井委員 話がもとに戻ったから、もう一ぺんそれについて質問します。 三十八年度にすでに投資して、もう固定費はふえているのです。それが生産力化したのです。ですから、その投資したものは、固定費は前からあったのです。それが生産力化したのです。だから三十八年度のときでもほぼ似たような、そういう固定費はあった、その点をあらかじめ申し上げておきます。
○高橋(衛)国務大臣 その点は、なお、非常に技術的な問題になりますから、別の機会に詳しく申し上げたいと思いますが、むしろ政府としては、さきに申しましたとおり、固定費が生産力化したという点をつけ加えて考えましても、これは、大体設備投資は年々同じ程度の金額がずっと続いてきているものでございますから、その設備投資が生産力化するという事態は、大体、毎年それほど大きな差はないという前提のもとに立てば、やはり私のさっき申しましたような理論が当然に生じてくる。そこに大きな問題があるということを申し上げておきたいと思います。 なお、先ほどの御質問に対しましてお答え申し上げますが、一月に東京都の消費者物価が一・九%上がりましたことは事実でございます。これは消費者米価が一四・八%上がった、それから医療費が上がりましたこと、この二つが最も大きい原因であったかと私ども思いますが、その他にも、たとえば住居費とか雑費の類が多少上がっておるというのが分析した結果であります。しこうして、三十九年度に入りまして、四月から十二月までの消費者物価の上昇率は三・九%でございます。したがって、年度を通じての平均、前年度対比の平均におきましては、私ども四・八%におさまり得るという見通しを今日でもなお持ち、同時にそれにおさまるようにあらゆる努力をして、便乗値上げ的なムードを押えるべく一生懸命努力しておる次第でございます。なるほど御指摘のように、いろいろ物価値上げの声が新聞等に相当出てまいっておりますことは事実でございますが、各関係の方面にぜひ御協力を願って、政府に権限のある部分についてはあらゆる努力をして最小限度にとどめるということをいたします結果として、私どもは三十九年度平均では四・八%にとどめ得る、かように考えておるわけでございます。 なお、四十年度につきましては、四・五%という見通しを立てた次第でございますが、従来は物価につきましてずいぶん低い上昇の見通しをされて、しかも結果がそれよりもはるかに高い結果に実績としてなってまいった経験を持っておるわけでございますが、そういうふうなことでは困りますので、私どもはいろいろ各物資についての物価の上昇の趨勢その他いろいろな面を検討いたしまして、そして政府が経済政策の運営、経済の成長をしっかりと安定的な基調に乗せていくということ、その他各般の物価対策をまじめに着実に実行してまいれば、必ずこの範囲にとどめ得るという考え方のもとに四・五%という見通しを立て、これに向かってあらゆる努力を傾注していきたい、かように考えておる次第でございます。
○桜井委員 これはこれからの零歳に影響しますから、もう一度お伺いをしておくのですが、あらゆる努力をして物価の値上がりを押える、公共料金などについてはもちろんその中に入る、そのあらゆる努力というのはどの程度のものかちょっと見当がつかないので、最小限といっても、やはりその限界というものが問題だろうと思います。ですから政府は三十九年度中に物価を上げてしまって、四十年度はずらっとならされた上で四・五%というような形に持っていくつもりなのかどうか、その点をお伺いします。
○高橋(衛)国務大臣 三十九年度中に上げてしまってというふうな考えは毛頭ございません。その時期と程度そのものは、いずれもそれぞれ対象となる、たとえば公共料金につきましては、対象となるところの企業自体について詳しく検討いたしまして、必要なときに必要最小限度の程度において料金の値上げ等を認めまして、御協力を願っていく、こういう態度をとっておるわけでございます。
○桜井委員 いま申し上げましたとおり、もう一月でもこういう状態でございまして、中期計画そのものがこのような物価値上がりを予期せずにつくられていると思うのですがそうなると、計画そのものがくずれてしまうと思うですが、いかがなものでありましょうか。
○高橋(衛)国務大臣 中期経済計画はよくごらん願っておると存じますが、もともとあの計画の成り立ちが、昭和四十三年度において、国際収支については経常収支においてバランスをとるということが一つの基本条件、もう一つの基本条件は、消費者物価を年率二・五%に押えるということに相なっておるわけでございます。つまり日本の経済の運営をそういうふうなところに持っていくのには、その他の政策をどうしたらいいか、たとえば経済成長率をどうしたらいいか、またはその他の経済運営についての質点施策をどこに置くべきかというふうなことを検討いたしました結果として、答えとして出てきたのがあの中期経済計画でございます。しこうして、中期経済計画では、経済の成長率を年率実質八・一%、こういうふうなことにいたしております。または個人消費の伸び率を約一〇%程度というようなふうに置いているわけでございます。それで、消費者物価を二五%にとどめるためには、経済の実質成長がどれだけであったらいいか、個人消費の伸びがどれだけであったらいいか、または賃金の上昇率がどの程度であるべきかというふうな答えを出したのが、あの中期経済計画でございます。したがって、もしも経済諸元があの中期経済計画にあらわれているような程度に――よく私ともいっておるのでございますが、経済の成長を安定的な基調に乗せるということができれば、これは消費者物価もその結果として当然に二・五%におさまるということに相なる次第でございます。ところが経済の実勢というものは、自由主義経済でございますから、必ずしもその答えのとおり出てくるものじゃございません。そういうことで、自然目的とした指標そのものも違った姿をあらわしてくることはやむを得ぬ次第でございますが、しかし政府といたしましては、どこまでも当初から基本目標として掲げたこの二つの目的を絶対に達成するのだという意気込みのもとに努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○桜井委員 いま大臣は、二つのいまおっしゃられた条件を絶対的な条件として、それを実現するために努力するということである、こうおっしゃられた。それで、それを基礎にしまして電子計算機ではじいた。ところがその後社会開発だとか中小企業、農業の近代化あるいは労働力の流動化等のために、財政投資や毎年度予算を弾力的に編成するという前書きを一月二十二日に閣議決定している。こういう条件が新たに加わっても、なおかつ絶対条件をもとにして電子計算機ではじいてしまった数字が狂わぬのですか。
○高橋(衛)国務大臣 御指摘の点は、まずあの閣議決定の問題であろうかと存じますが、それでただいまお話のありました農業、中小企業の近代化、これは中期経済計画にも大きな政策として掲げてある問題でございます。ことに二・五%の物価の関連におきましても、これは非常に重点を置いている点でございます。と申しますのは、先ほど来お話のありましたとおり、大企業等、生産性上昇の可能な部面においては、生産性上昇によって労働賃金の上昇その他の経済の増加も消化できるわけでございますが、こういうふうに労働事情がだんだん逼迫してまいりますると、若年労働者の初任給を中心といたしまして、どうしても賃金並びに所得の平準化ということが行なわれます。そういたしますると、中小企業なり農業なりという方面では、生産性の上昇でもってとうてい消化できないという程度の賃金の上昇が必然的に起こってくる。その場合に、それは結局価格に移行せざるを得ぬということになってきたのが、いままでの実績でございます。ことに国民総需要が和事大きく、従来昭和三十六年度から三十八年度まで、毎年個人消費の伸びが一五%をこえておったわけでございますが、年々一五%をこえるような個人消費の伸びということは、結局国民総需要の増加を相当急激に起こしている。そういうふうに総需要も非常に大きいというところから、中小企業、農業等におけるところのコストの上昇というものは非常に価格に転嫁しやすい環境をつくっている。そういう面から申しましても、どうしても中小企業、農業の近代化と申しますか、合理化というものによって、この部面における生産性の上昇を相当急速に進めるということが物価対策としてもぜひとも必要なわけでございます。そういうことを中期経済計画では指摘いたしておるわけでございまして、これは中期経済計画の考えている基本方針をそのままあそこにあらわしたということでございまして、別段変更はございません。おそらく問題は、社会資本の扱い方について、これを弾力的に行なうという面に御意見があるんだと存じますが、社会資本につきましては、中期経済計画では、昭和三十八年度価額で五年間に十七兆八千億円という金額を予定いたしたわけでございます。ちょうどそれは三十九年が終わろうとしている段階にあの計画ができたわけでございまして、すでに一年は経過しておるかっこうに相なっておりますが、昭和四十年度の予算の編成過程におきましては完全に中期経済計画の社会資本の金額と一致しておるわけでございまして、その間そごはございません。したがって政府のなすべき施策という面から、または財政の規模等の面から見ますれば、中期経済計画の線に完全に一致している、こう申し上げていいかと思っております。
○桜井委員 それは私も中期経済計画を拝見しておりますから、そういうことはみなわかっております、書いてあることは、しかし、ではなぜ前書きをつけたんですか。絶対的制約条件として、貿易を、この四十三年に通常貿易だけでとんとんに待っていくんだ。そしてまた物価は二・五%にするんだ、この範囲内において政策を、中小企業にはこう、農業にはこう、社会資本にはこう、こういうように初めからできているわけです。それをなぜ閣議で前書きをつけたんですか。前書きをつけずにすらっとやればよかったじゃありませんか。
○高橋(衛)国務大臣 前書きをつけましたのは、社会資本の、ただいま申しました十七兆八千億円につきましても、中期経済計画のあの答申自体に、弾力的に行なうべきであるということが書いてあるわけでございますが、しかし、過去の十年間の実績を基礎にして各経済諸元、諸要素の間の相関関係をずっともとにし、電子計算機を使って近代計量経済学の手法を用いてやったという計画ではございますが、何と申しましても将来の可能性と申しますか、不確実な可能性というものについての計量は人間わざでできるものではございません。そういうことで、ことに海外の情勢というものは相当流動的でございますので、時々刻々変化するところの海外の情勢、または国内の動きというものを見ながらやっていかなければ、このとおりやるんだというかっこうに考えたんでは政策が運用を誤ることになりかねないという観点から、あの種の前書きをつけたわけでございます。
○桜井委員 だいぶ言いわけなさっておるようですけれども、電子計算機はごまかされませんからどうにもならないだろうと思います。 通産大臣もお急ぎのようでございますので、企画庁長官でも通産大臣でも、どちらでもけっこうなのですが、企画庁長官もお帰りのようですからお伺いしますが、四十三年度までに貿易を通常貿易でとんとんにする。現に外資の導入は非常に困難になっておる。にもかかわらず四十年度においても投資は四兆九千億円という膨大な投資をしなければならない。そういう計画になっておる。一方物価は上がってくる。新聞によれば、大臣の答弁にもかかわらず、うっかりすると定期預金の利率五・五%を上回るんじゃなかろうか。そうすると預金の増加ということにも非常に困難な状態が出てくる。大体そういう資本の国内蓄積もなかなか困難だということになりますと、一月九日に公定歩合を引き下げたのですが、金融の緩和ということは非常にむずかしい問題になるんじゃなかろうか。したがって、貿易が、輸出が非常に伸びて黒字幅が拡大するということでないと、これ以上緩和すると、計画そのもの、施策そのものに大きな変更を生じなきゃならない、こう思うのですが、その点いかがですか。
○高橋(衛)国務大臣 昨年の下半期ごろから個人消費のあり方が相当慎重になってまいりました。三十八年度までは、先ほどもお答え申しましたとおり、一五%台の個人消費の伸びでございましたが、三十九年度はおそらくは一三%台にとどまるんじゃなかろうか、こういうふうに見ておるわけでございます。年末の百貨店の売り上げ等も、一昨年の暮れに比べまして相当鎮静してまいりましたし、また企業や金融機関の態度も非常に慎重になってまいっておるわけでございます。そういうふうな関係から、御指摘のように設備投資を昭和四十年四兆九千億円というふうに見通しを立てておりますが、これは、もちろん貯蓄の増強ということが一つの前提になるわけでございます。そういう意味で、個人消費がそういうふうにだんだん堅実になり、貯蓄性向がよくなってまいっておるということは非常にけっこうなことで、前途に対してある程度安定したものの考え方が国民全般に行き渡ってきたような感じがいたしまして喜ばしいことである、かように考えておるわけでございますが、この傾向は今後もそう大きくくずれることはないんじゃなかろうか、かように見ておるわけでございます。昭和四十年度の見通しにおきましても、個人消費の伸びを一二・七%というふうに考えましたのも、それらの点を勘案いたしましてそういうふうな数字をきめたような次第でございます。しこうして、一月の九日に公定歩合の引き下げをいたしましたけれども、その後の経過を見てみますと、企業の態度にも、金融機関の態度にも、そのために、何と申しますか、過熱するとか、またはあふられるというふうな感じは出ていないと私どもは判断いたしておるのでございます。もちろん、これは今後の経過をもう少し慎重に見守って、十二月の準備率の引き下げ、一月の公定歩合の引き下げ、その経過を慎重に見守って、もうしばらく経過を見ていきたい、かように考える次第でございます。 なお、国際収支につきましては、昨年の暮れに今年度の輸出を為替ベースで六十八億ドルというふうに見込んでおりましたが、その後の伸びが相当順調でございますので、おそらくは六十九億ドル程度になり、総合収支におきましてもある程度の黒字が出るんじゃなかろうかというふうに今日見通しております。また、最近までの信用状の収支も相当好調でございます。一-三月は本来輸入期でございますが、輸入期であるにかかわらず信用状収支におきましても、なおかつ昨年との比較においても差が相当大きく出ておるという状況でございます。ただ、一つ懸念をいたしておりますのは、十二月の数字を見てみますと、輸入総原材料指数というものが六八%になっておるのでございます。非常に低い数字。三十五年基準にいたしまして六八%というふうに非常に低い数字になってきておる。したがって、つまり原料の管理技術が非常に進んだというようなこと、または貿易の自由化によっていつでも入手できるというふうな、そういう事情に基づくことだけであるのかどうかという点は、これはもう少し検討してみたいと思いますが、そういうふうに原材料指数というものは非常に低いというところから、あるいは急激に輸入がふえるおそれはないかというふうな点に多少の懸念を持っておりまするし、また先ほど御指摘になりましたとおり、物価の動向についても、どうも騰勢がなかなか強い。非常に努力はいたしておりますが、なかなか騰勢が強いというふうな観点から、経済全体の運営といたしましては、今後慎重な態度をもって見守っていきたいと思っております。
○内田委員長 桜井君にちょっと申し上げますが、あとの通産大臣の時間の制約もありまするし、また、経済企画庁からは御承知のように近く法律案も出されますので、随時また質問をしていただくことにいたしまして、ぼつぼつ通産大臣のほうにお願いをいたしたいと思います。
○桜井委員 では通産大臣のほうに……。 日本の経済が常に国際収支の動向によって左右される点が非常に大きいので、最初に国際収支の点から御質問したいと思います。 昨年、池田前首相は、日本の国際収支の構造的赤字の原因は、貿易外収支の赤字にあると言いました。したがって、初めに私は資本収支からお伺いいたしたいと思います。 池田内閣は、外資導入による設備投資を行ない、高度経済成長政策をとってまいったのですが、借金は負担を将来へ延長するだけでありまして、現在はもはやその返済期に入ってきております。日本経済はこの返済期という負担を負いながら、なおかつ発展しなければならない現状であります。ところで、アメリカの利子平衡税の影響で、アメリカからの長期資本は三十八年八月以降ほとんどなく、ヨーロッパからの資本導入に依存いたしてまいりました。しかし、ヨーロッパにおける資本市場もアメリカほど底の厚いものではございませんでした。その後、イギリスが国際収支難から金利を引き上げ、アメリカ、カナダがこれに追随しました。したがって、ユーロ・マネーに依存する短期資本の導入も困難を加えてまいりました。さらに、ごく最近発表されたアメリカの国際収支教井によると、ドル防衛はますます強化され、日本に対しては年間一億ドルまでの免除以外には短期の銀行資金も事業資金も制限されるもようであります。そこで、資本収支の今後の見通しはどうなっておるか、佐藤内閣としてこれにどう対処するつもりか、これをお伺いしたい。
○櫻内国務大臣 ただいま桜井委員の御指摘のような悪条件もいろいろあろうと思います。ただ、本年度の国際収支の私どもの立てました見通しは、これは御承知だろうと思いますが、三億三千万ドルの黒字、こういう予想でまいっておるわけであります。それに対して、昨年の四月から十二月までの状況はどうか。これはいま御指摘のようないろいろな悪条件も入ってきておりますが、その結果が三億ドルちょっと上回った黒字、三億八百万ドルと思いますが、そういう黒字になっておるのでございます。それじゃく今後どうか。この今後につきましては、いまお話しのように、平衡税については、国債、政府保証債等について一億ドルは年間慰めよう、こういうことになりました。アメリカのドル防衛とか、あるいはヨーロッパ市場の状況とか、これは悪条件ではございますけれども、今度の新しい措置も若干考慮に入れて、そうして、いま政府の持っております見通し、これは二億五千万ドルというように四十年度の資本収支は考えておりますので、まあこの四月-十二月の実績、それからいま言うような状況で勘案していきまして、まず二億五千万ドル程度の資本収支の黒字はそうむずかしいものではない、かように観測しておるわけであります。
○桜井委員 政府も、方針として、外資導入を減らすような方向のようでございますので、その点はそれまでとしまして、次に、貿易外赤字の最も大きなものとして運賃があります。アメリカのシップ・アメリカン政策というもので非常な影響を受けた去年は、この問題が国会でたいへんな問題であったのであります。ところが、ことしはあまりたいしてどなたもおっしゃっていない。そこで、このシップ・アメリカン政策というのはわが国にどういう影響を具体的に及ぼしておるのか、この点をお尋ねいたします。
○櫻内国務大臣 大蔵省のほうから専門的にお答え願おうと思いますが、一応手元にある数字で申し上げますと、六一年におきましては、運輸関係の赤字は四億七千五百万ドル、六二年では四億八千百万ドル、六三年では四億二千九百万ドル、為替ベースで六三年度で二億三千九百万ドル、かような範囲の影響を受けておると思います。
○桜井委員 その範囲というのは全体でございまして……。
○櫻内国務大臣 そうでございます。
○桜井委員 シップ・アメリカンによる影響は、こう私は御質問したのですが、おわかりにならなければ、大臣はお忙しいようでありますから、ひとつ、あとで大阪がお帰りになってからお伺いいたします。 また、こういうようなことで外資の算入は非常に少なくなる。先ほども申しましたように、公定歩合の引き上げは一月の九日に行なった。そうして金融緩和の方向に向かいましたが、世界的には高金利傾向になっておる。輸出を強化するためにも、輸出ドライブをかけないと非常に困難だろうと思うのですが、この低金利政策というようなものを今後もおとりになるつもりかどうか。池田政府としてはそういうのが基本だったのですが、それが結局インフレを年々非常に巻き起こしたのですが、経済の安定成長ということになるとそういうわけにはいかないと思うのですけれども、この点はどうか。何か矛盾しているように思うのですが、いかがですか。
○櫻内国務大臣 この金利政策につきましては、日本銀行の政策委員会を中心に中立的に処置していくのが従来の行き方ではないかと思うのであります。ただ、この場合、産業界の関係、産業政策的な見地から通産大臣はどういうことを考えておるか、どういう方向が好ましいか、こういうことになってまいりますと、本日も中小企業関係の倒産問題でいろいろ御質疑があったようでございますが、私どもの立場からいうと、現在の金融引き締めがもう少し段階的により緩和されるほうがいいのじゃないか。というのは、金融引き締めによる直接的な原因に基づく企業倒産の状況もございます。また、この引き締めによって、過去に業績が悪かったとか、設備投資が非常に過大であったとかいうようなことで、そういうような要素が今回の金融引き締めを契機として表面化してきたというような事情もございまして、産業界としては、これ以上引き締められておってはどうも業界の強化というものができないのではないか。私どものほうからいえば、もう少し段階的にでも金融緩和をしてもらいたい、こういう立場でございます。
○桜井委員 それは通産大臣あるいは産業界が、大資本のほうから見ればおそらくそうだろうと思います。しかし、一国の経済というものはそういうことでは循環してまいりません。ですから、私が先ほど言ったように、外国が高金利政策、そうすればユーロ・マネーも入りにくくなる、それで国内においても資本蓄積をしなければならない。そうすれば、預金金利を引き上げなければ、少なくとも物価が上昇していくというような状況のもとでは蓄積が非常に困難であるというような一つの循環になってまいります。したがって、そういうことで、日本経済の今後につきましては金融面が楽でない。楽でないから、そこで通産省がきっとお考えになったのだろうと思うのですけれども、いわゆる産業構造政策というようなことで日銀か何かに申し入れて、貸し出しその他に選別融資を強化するというようなことを言われたようでございますが、その内容をひとつお知らせ願いたい。
○櫻内国務大臣 その選別融資ということば自体が、通産省では特に申しておるわけでございません。詳しくは企業局長から申し述べさせますが、われわれとしては日銀当局あるいは金融当局に対して、産業政策上の見地から融資のことを考えてもらいたい、それについては、個々の業種の実態をよくお話しするのがよかろう、こういうようなことで懇談をしたことは事実でございますが、しかし特におっしゃるような、いわゆる新聞等でいわれておる選別融資というような考え方では私はないのであります。産業政策上の実際をよく考えながらやってくれというのがわれわれの主張でございますが、企業局長もおりますから、詳しく御説明申し上げます。
○島田(喜)政府委員 大臣の御説明に補足をいたしまして私からお答えいたします。 御承知のように、私どもは、金融は逐次緩和されていく、こう判断をいたしております。ただ、金融が緩和されましても、日本の産業の実態は必ずしもそれで解決をするとは私ども考えておりません。御承知のように、国際競争力を強化いたしまして、ただいま御質問のございましたように国際収支を改善をしていかなければならない。開放経済下においてこういう大きな問題もかかえておりますし、同時に、金融引き締め後、ただいま緩和されつつある過程におきまして、御承知のように企業の過当競争という問題につきましては、企画庁長官からも御答弁がございましたが、自粛ムードが漸次醸成されつつありますけれども、しかし今後の動向を考えますと、また設備の過当競争が業種によっては行なわれてくる可能性があるわけでございますので、この点はやはり将来の状況あるいは現在の生産の状況等を勘案しながら、設備過大にならないように抑制すべきものは抑制をしなければならない、こういう考えでおります。御承知のように、設備というのは、できましたらば、これが大体フルに稼働するのが最も好ましいわけでございまして、設備が過剰になり供給過剰になったために操短をする、減産をするというのは、国民経済的に見ても実は好ましくございませんし、同時にまた企業にとりましてもコストが高くなりまして、企業の面からもこれは好ましい状況ではございません。同時にまた、ただいま申し上げますように、国際競争力をつけるという面から見ましても、また日本が国民所得についても、あるいは国際競争力についても、まだまだ先進国並みになっていない面がございますので、こういう面は成長の過程において近代化あるいは競争力をつけなければならぬ、こういう問題がございます。そういう意味では、やはり設備投資を通じまして近代化していくために伸ばしていかなければならぬものがある。したがいまして、伸ばすべき血、抑制すべき面を、これは業種業種によって非常に違いますので、業種の実態に即しながら、産業の、これは私ども構造問題と申しておりますが、そういう構造面から、ひとつ個々の企業だけでなしに、その業種業種全体が競争力がつき、体質が改善する方向で考えてまいりたい、そういう意味で、私どもは産業界とも話し合いをいたしまして、産業界の、いま申し上げました自粛ムードを前提にしながら、話し合いによって将来の需要の動向、需要構造が変化しつつある、生産の面においても、また技術変化をしておりますので、そういう問題を要するに話し合い、また必要があれば行政指導をいたしながら体制を考えますと同時に、金融機関も単に銀行の系列融資という範囲にとどまらず、産業の全体を通じまして、いま申し上げましたように抑制すべきものあるいは伸ばすべきものを、要するにそういう体制から、ひとつ金融機関も協力をしてもらうという考え方に立ちまして、日銀の総裁からも要請がございましたので、そういう点を御説明したわけでございます。同町に金融機関、全銀協等に対しましてもひとつ話をしたらどうかというサゼスチョンがございまして、この点もただいま申し上げました立場から説明をいたした次第であります。
○桜井委員 きょうの日本経済新聞にも、「選別融資が強まろう」「銀行別にルールづくり」、こういうことが書いてありました。日銀の新金融調節方式というもので、その指導のもとに進めていく。従来は財政面からいろいろと金融につきましてもかなりチェックできたのですが、最近におきましては、企業の内部保留がかなり大きくなってまいってきておるので、なかなかそういうぐあいにもいかぬというようなことも言われております。そうして、しかもその上へ持ってきてすっかり昨年と同じに、やはり相互銀行なり信用金庫なり、あるいは農林関係金融機関からお金をすっとコールで吸い上げるというようなかっこうが強まってきておる。中小企業のほうに回るべき資金というものが、やはり急速度に昨年と同じに、先ほど御質問を申し上げたように、そういう傾向をより強化しようとしております。こうなりますと、政府のほうで、中小企業政策というようなものをいかにいままでの状態で若干前進させてみたところで、どうにもならなくなるというようなぐあいに思うのですが、この点通産大臣はいかがにお考えでございますか。
○櫻内国務大臣 桜井委員の御指摘のような情勢もあったと思いますが、年が明けてからのコールの状況というものは、私は鎮静化しておると思うのです。当然中小企業者あるいは農村に行くべきものが都市にコールで回ってくるというような事態は緩和されておると私は見ます。これは数字的にもそうなっておると私は記憶しております。したがって、いまお話しのごとく中小企業に回るべきものが回ってないんじゃないかということについては、私はそういうふうに考えておりません。ことしになってからはその傾向はだいぶ変わってきておる、こういうふうに見ております。
○桜井委員 昨年も私、御質問申し上げまして、中小企業の合理化、近代化を進めるということは、結局のところ中小企業の上層部、そしてまた、関連産業においても最も合理的な企業、こういう下請企業を育成するのである、これが基本的な政府の施策である、このように昨年申し上げましたら、福田前大臣は、そのとおりだ、こうおっしゃったんです。したがって、そうなりますと、中小企業の残った部分の弱小なものは参ってしまう。そこで、現に、確かにいま大臣のおっしゃったとおり、コールの状況は若干ゆるくなっております。しかしながら、信用金庫にしても相互銀行にしてもだんだん選別を強化して、その中におけるわりあいに優秀なやつに金は貸す、それ以外のところは締めてしまうというようなかっこうになって、その結果はまた同じような形で都市銀行のほうへ金が回らざるを得ぬ。金の使い道がなくなりますから、こういう結果になる、こういうことを申し上げておるわけです。この点、いかがですか。
○櫻内国務大臣 このコールの関係が改善化されて、そしてそれが必然な面にどんどん流れておるかどうか、そういうような点で、いまお話しのような心配の傾向が全然ないとは私は申しません。したがって、日銀当局においても、その点については警告もしておると思うのであります。問題は、金融機関も信用度の低いところへどんどん貸し出しをして、そのために貸し倒れが出るというようなことでは、これは金融機関の責任者として考えざるを得ないんだと思うのであります。したがって、われわれとしてはその辺をどうカバーしていくかということから、御承知のような信用補完制度というようなものを考えて、そしてその信用力の乏しいものには保証制度を適用していこう、こうなったと思います。また、私はこれらの施策が進められていくべきであろうと思います。なお、弱小の方面に金が回らぬじゃないか、こういうことから、その点も考慮いたしまして、さらに信用保険制を拡充する意味におきまして、保険公庫もてん補率を上げて八〇%にして、そして無担保、無保証的な金融もしようじゃないか、こういうことによって御指摘のような非常に資金力の、信用力のないところへも、健全にまじめにやっておるのであれば多少でも金融がつくようにしよう、かような考え方を堅持しておるわけでございます。
○桜井委員 その点については、私、先ほど大臣がいらっしゃらないときにほとんど中小企業長官とお話し済みでございまして、それは九牛の一毛であるという結論になったのであります。 そこで、日本経済が全体として輸出増大という要請をかかえ、あるいは生産設備の増強ということをかかえて大きく動いていくそのときに、資金の配分が都市銀行に集中してきて、しかもそれが今度その中でも通産省が指導をして、その中からあるものを育てていく、また日銀なり全銀協に協力してもらって、それを育てるのだということになると、全体のさいふの中からは、だんだんほかへ行く部分は縮まってしまうということにならざるを得ません。これは論理です。そうなりますと、池田さんの場合には、全般的にインフレでもって金をばらまいて、輪転機を回してどんどん出してしまったけれども、今度の場合はそれを締めておいて、特に一部のところにぎゅうと締めるということになると、あとに残ったものが猛烈な勢いで、シビアーな形で追い込まれるというかっこうが出ざるを得ないのではないか。じわじわ苦しめられて、まだ何か期待があって成長していたということでなしに、今度は期待もなしにぎゅうと締められる、こういうことを私は心配する、この点いかがでしょう。
○櫻内国務大臣 ですから通産省の立場、産業政策上の見地からいうと、段階的にでも大ワクには金融はもう少し緩和されることを私は期待をしておるわけです。そのことは日銀にも企画庁にも大蔵省にも、経済閣僚懇談会などを通じて私は申しておるわけでありますが、ただ、いま桜井委員のおっしゃることについて私はちょっと疑問がございます。というのは、銀行、いわゆる都市銀行が金融の面でどの程度の分野を受け持っておるか、これはほんとうに大まかで恐縮ですが、五〇%だと思うのです。中小企業専門の金融機関である相互銀行、あるいは信用金庫、信用組合等は四二%、それから政府機関では八%、こういうふうになっております。日銀の中のそれでは割合はどうか、これはおそらくきょう御指摘があっただろうと思うのですが、これが七、三くらいで、その三が中小企業。ですから、これをもう一つ改善してもらいたい、もう少し中小企業のほうに金が出るようにしてもらいたい、こういうふうに考えていっておるので、御指摘のようにどこか中小企業を非常に狭いところへ追いやって、そしてきゅうきゅうさせているのだ、こういうことじゃないのじゃないかと思うのです。
○桜井委員 もう議論はいたしません。それは先ほどさんざんやりました。それが九牛の一毛であるという結論に達したのですから、あとでもってひとつごらんになっていただきたいと思います。 私、実はもっと貿易の問題で、先ほど質問が途中になっている問題、こういう問題で御質問したかったのですけれども、どうしても委員長のほうから四十分でやめろというようなお話でございますので、次会に譲りたいと思いますが、とにかくいずれにいたしましても、池田政府から佐藤政権にかわって、佐藤政権の特色というものは、官僚あるいは金融機関と結びついて、そのもとにおける統制が非常に強化されて、そして逆に統制されて、上層部の人についてはわりあいにうまくいくように思われるのですけれども、下層のほうについては、中小企業の援助だとかあるいは農業の構造改善といってみたって、結局のところもっともっとシビアーな形で規制があらわれてくるのではないか、だからどうも羊頭を掲げて狗肉を売るというような結果になりはしないかという疑念を私は持っているわけであります。この点につきまして、また時間がありましたら、あとでお伺いをさせていただきたいと思います。 以上をもって終わります。
○櫻内国務大臣 いま御指摘の点、そういうふうに非常に懸念をされるということは、私としてまことに残念でございます。私としては御指摘のような方向はできるだけ避けたいほうの人間でございまして、極力私の考え方を通産行政の上に反映すべく努力しておるわけでございます。
○内田委員長 次会は、明後十九日金曜日午前十時三十分より委員会を開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十分散会