社会労働委員会 第39号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/07/10
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 この際、厚生大臣、厚生政務次官及び労働政務次官よりそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。 まず、厚生大臣鈴木善幸君。
○鈴木国務大臣 私は、さきの内閣改造に際しまして、はからずも厚生大臣の重責をになうことになりました。 近来の国民生活の向上、多様化は、厚生行政にも大きな影響を与え、新しい角度からの行政の検討を要請しているのでありますが、この結果、厚生行政にもさまざまの問題が生じておるのであります。 御承知のように、厚生行政は国民一人一人の毎日の生活に深く密着しており、そのいかんは国民福祉の向上に大きな影響を与えるものでありまして、厚生行政の当面する諸問題の解決については、非常な決意を持って当たる必要がございます。経済の水準が西欧諸国の域に達しようとしている現在、国民の福祉もまたこれに劣らず力強く前進する必要があるのであります。この意味で、現在の厚生行政がかかえておりまするもろもろの問題は早急に解決しなければなりません。あらためて責務の重大さを痛感するとともに、今後広い視野に立って、新しい角度から厚生行政の推進につとめたいと存じます。 まず、医療保険につきましては、将来の医療保険制度の発展の方向もあわせ考えながら、当面の保険財政の危機の解消をはかりたいと存じます。このため、まず中央社会保険医療協議会をすみやかに開催するよう努力いたしますとともに、現在社会保障制度審議会及び社会保険審議会に諮問中の医療保険三法について、両審議会の答申を待って成案を得、できるだけ早期にその、実現につとめたいと存じます。国民健康保険の財政につきましても、その急激な悪化に対処するため、昭和三十九年度、の国庫負担金等の不足分について、できるだけ早期に措置いたしたい所存であります。 第二に、年金制度の充実につきましては、さきの国会で成立いたしました厚生年金保険法の改正に引き続きまして、国民年金の分野におきましてもその充実強化をはかりたいと存じます。すなわち、来年度は国民年金の第一回目の財政再計算時期に当たりますので、主として拠出年金を中心に給付水準の向上、支給要件の緩和等をはかる所存であります。 次に、社会福祉及び児童福祉の問題といたしまして、とかく経済の成長に取り残されがちな身体障害者、老人、低所得者、要保護児童などに対しましてあたたかい配慮の手が伸びるよう、特段の努力をいたしたいと存じます。とりわけ昨今大きな社会問題とさえなっておりまする重症心身障害児対策につきましては、真剣に取り組みたいと考えております。このため、収容保護を必要とする児童のために収容施設の増設をはかりますほか、在宅児の指導体制を一そう強化する所存であります。 第四に、生活環境の改善につきましては、新たに設けられた公害審議会における審議や公害防止事業団の業務等を中心に、公害をはじめとする環境衛生上の諸問題の解決をはかり、また、これまで中小企業対策の中でもとりわけ立ちおくれている環境衛生関係営業対策の充実強化につとめたいと存じます。 厚生行政につきましては、以上の問題のほか、国民生活の安定と向上をはかるため、当面解決を迫られている問題が少なくありません。私は今後とも誠意をもってこれらの問題の解決に努力する所存であります。 ここに、あらためて委員各位の一そうの御支援、御協力を切にお願い申し上げます。(拍手)
○松澤委員長 次に、厚生政務次官佐々木義武君。
○佐々木説明員 私、今般厚生政務次官に任命されました佐々木義武でございます。厚生行政を担当いたしますのは全く初めてでございます。また生来不敏な者でありまして、何かと皆さまの御指導、御援助を仰ぎますことが多いと存じますが、どうぞよろしくお導きのほどをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○松澤委員長 次に、労働政務次官天野光晴君。
○天野説明員 私、このたび労働政務次官を拝命いたしましたが、労働行政にはほとんどタッチしたことがございませんので、皆さま方の御指導によりまして、できるだけ御期待に沿えるようにいたしたいと思います。どうかひとつ委員会の皆さま方の格別な御配慮を心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえる次第であります。(拍手)
○松澤委員長 これより厚生行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 選挙のあとで新大臣の鈴木さんもお疲れだと思いますけれども、すでに大蔵委員会においては、この金融不況の問題について昨日鋭意審議を開始いたしております。さらに十二日には日銀総裁を呼んで、金融、証券問題等をやることになっております。したがって、われわれの社会労働委員会といえども、開会されたからにはやはり鋭意国政についてやることが——参議院選挙においてもわかるように、すでに自由民主党と社会党は既成政党として見られているわけです。東京都における政治姿勢が悪かったこと等についても、相当の批判があることは御存じのとおりです。したがって、われわれも真摯な態度で国政に取り組んでいかなければならぬ。これは与党自由民主党の態度であり、野党第一党の社会党の態度でなければならぬ、こう思うわけです。 そこで、お疲れでこざいましょうが、現在日本の経済の不況と並び称せられて非常に重要な厚生行政の二、三の問題について、改造内閣において新しく就任された鈴木厚生大臣の意見を聞かしていただきたい、こう思うわけです。 まず第一に、いま重要な二、三の問題点についての所信をお述べになりましたけれども、どうもきわめて抽象的にすっとお述べになっただけで新味がないわけです。歴代の厚生大臣がお述べになるのと同じことをお述べにおったわけですが、しかし、いま、やはり日本の厚生行政というのは重大な転換期にきているのではないか、私はこう思うわけです。まず第一に、その転換期にきている厚生行政において一番大きく燃え盛っている問題というのは、何といっても保険三法の取り扱いです。保険三法の取り扱いというのは依然として、政府はいま社会保障制度審議会なり社会保険審議会に、政府の考え方をお出しになっておるのだけれども、もはやそういう考え方では現在の社会保険の危機は乗り切れないということは、万民衆目の一致しているところなんです。それに対して政府が、ちっとも態度を明確化し、新しい方針を出そうとしていないということですね。こういう点を私は非常にひきょうだと思う。むしろ政治を預かったからには、政治を預かった人が主体的なみずからの考え方、方針というものを耕すべきだ。それを出して、審議会なり調査会というものが一体どういうようにそれについて意見を付すか、こういうふうに政治のイニシアチブを握って、その上で態度を求めるということでなくてはならぬと思うのです。いま出しております。自由にこれを料理してください、それが出た上でそれを尊重いたしますという態度は、最も政治家としてひきょうな態度だと思うのです。そういうひきょうな態度を私はとるべきでないと思うのです。この際、やはり政権を預かる政府与党として、内閣としての態度をぴしっと出して、これについてひとつイエス、ノーをいただきたい、悪いところは出していただきたい、やはりこういう勇気のある、指導性のある態度というものが欠けておるんですね。そこで、新しい大臣としては、保険三法というものをいま出しておるままでやはり審議会の意見を求めていくことになるのか、それともこの際勇断をもってこの態度を、現在の不況という情勢のもとに、あるいは被保険者大衆に負担能力がないというこの客観的な情勢の認識の上に立って新しく出すつもりであるのか、それともいままでどおりのぐずぐずした態度でいって、そうして出たとこ勝負でやるということになるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
○鈴木国務大臣 保険三法の御審議は、ただいま社会保障制度審議会並びに社会保険審議会におきまして御審議をわずらわしておるのであります。私は、先般両審議会に出席をいたしましてその考えを率直に申し上げたのでございますが、政府といたしましては、現在諮問いたしておりまする案を取り上げないで、あの案に対する審議会の御意見も拝聴いたしたい、また、よりベターな御意見あるいは案がおありになればそれをお聞かせを願い、十分尊重して実行してまいりたいと考えておるわけであります。私といたしましても、実は就任以来各方面の御意見を虚心に承りまして、自分としてもそれぞれ検討を加えておる段階でございます。したがいまして、審議会のほうから御意見を求められ、また必要な際におきましては、私はいろんな考え方を参考案としてお伝えをいたしまして、そして審議会の審議の促進をはかるように努力いたしたいと、このように考えておるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、政府の基本的な態度というのは、現在出しております保険三法というのが政府の基本的な態度である、それよりいい案があったらひとつ育ってください、なければこの案でいきます。こういうことなんですね。
○鈴木国務大臣 私は、必ずしも政府の出しております諮問案、原案を固執いたしておりません。審議会で十分審議を尽くされ、よりベターな案がありますればそれをお聞かせを願って、政府としてもそれを尊重してやってまいる。また私自身も、ただいま各方面の御意見を伺いながら私としての考えをまとめております。私の考えにつきましても、随時お求めに応じて審議会にお伝えをいたしまして、そして審議の参考に資したい、かように考えておるわけでございます。
○滝井委員 どうもちょっとはっきりしないのですがね。政府が出している案というものには固執しない、よりよき案があれば尊重いたします、私の考え方も随時まとめて述べていきますというのでは、一体政府がこの段階で——きょうの新聞でも御承知のとおり、六百六十億という政府管掌健康保険の赤字が七百八十五億というようになっておりますということは、食管会計と同じでしょう。食管会計がすでに今年度千六十五億くらいの赤字、今度千三百七十四円上げれば、千七百十五億円程度の赤字になる。六百五十億程度の赤字が加算してくるわけです。ところが、これは赤字があったにもかかわらず生産者米価を上げて、近くこれについて消費者米価を上げるか一般会計で補充するかということになってきているわけですね。わりあいこれははっきりしてきておる。与党も、赤字の中でもきちっと引き上げの幅を出してきておるわけです。審議会もあったけれども、審議会を全然無視して政治米価を決定しているでしょう。こういう段階で、この赤字の問題について政府が明確な政治方針というものを出さずして、一切を審議にまかしておって、いい案があれば出してください、たまには私も行って案を述べますということでは、これは指導性がない。社会保険については政治不在です。それではいかぬのじゃないか。この際、せっかくあなたがおなりになったのだから、やはりどろをかぶるならどろをかぶって、与党はこういう方向で社会保険を解決するんだという方針がなければ、ちっとも意味がない。そういうあいまいな態度でいっておられると、私は率直に言うのですが、あなたも前の神田さんと同じようなことになる。幸いあなたは、きょうは大蔵大臣の代理になったのだから財政も握っておるのですよ。だから、やはりこの際腹をきめなければいかぬ。いまのようなあいまいな態度では、私は信頼することができない。この問題は、もうわれわれはおべっかを言っておったってしようがない。なくなられた河野さんでも、おれは厚生大臣だけはやめだ、こうおっしゃるのをあなたはお引き受けになったのだから、河野さん以上の実力なんです。だから、そういう点ではやっぱりずばりとおやりになる必要があるのです。それをおやりにならぬと神田さんと同じようになる。八方美人になって、最後には皆から突きつけられて、どたんばにはもうどうにもならぬということになってしまうのです。その点はもう少しはっきりしないと……。あなたの考えがまとまっておるなら、ここで述べてください。全然まとまっていないなら、これから勉強しますというのならば、二十二日まで待ってもけっこうです。これはやっぱりはっきりしないと、厚生大臣というのは飾りものではないわけです、こういうことを承知でおなりになっておるわけですから、自信がなくてなったのではしようがないのです。私は口が悪いから、言うことだけは遠慮なく言うのです。しかし、御協力は申し上げますよ。だから、もう少しはっきりあなたのお考えがあれば、こういう方向に持っていきたいと……。
○鈴木国務大臣 保険財政が非常に悪化しておりますことは、いま滝井委員が御指摘のとおりでございます。私といたしましても、できるだけ早い機会に両審議会の、審議の促進、早期の答申をちょうだいいたしまして、そうして今度の二十二日から開かれます臨時国会には時間的に無理と思いますが、その予想されます秋の臨時国会には、ぜひ、いま滝井さんが御指摘になりましたように、この保険財政を解決する案を私は自分の責任において提出をいたし、解決をいたしたいと考えておるわけでございます。 この問題につきましては、私から申し上げるまでもなく、いろいろむずかしい今日までの経緯がございまして、その事情を社会保険審議会、社会保障制度審議会におきましても十分了察をされまして、審議の促進に御協力をいただいておるという段階であります。その答申を待ちまして保険財政その他の諸問題を解決するように責任ある措置をとりたい、こう考えております。
○滝井委員 そうしますと、結局あなたが責任ある案を秋の臨時国会には出します。しかし、それも、社会保険審議会なり社会保障制度審議会の答申が出ないと出せないわけでしょう。それがあくまでも前提のわけでしょう。そうしますと、これは出なければぐずぐずと、ずっと引っぱられていくことになっちゃう。そこで、やはりそれを乗り切っていくためには、政府として責任ある案を出さないと、客観的に見てもそうはならないのですよ。それはもう相手方がまとまる方向に待てば、徳川家康と同じです。鳴くまで待とうホトトギス、いつになるかわからない。やはりそういう点で、もう少しきちっとしなければいかぬということです。そういう点については幾ぶん私と意見が違います。秋の臨時国会までに案をまとめてするということについては、これはいいでしょう。しかし、それまでにやはり政府が基本的な方針を出さないと、これは全部金が伴うのですから、なお私、その点について少し大臣の意見を聞きたいのですが、このくらいでちょっとやめて参議院に行っていただいて、あと保険局長なり、事務的なことを先にお聞かせ願っておきたいと思います。 薬務局長と保険局長がいらっしゃっておりますから、ちょっとお尋ねするのですが、保険局長として一体——御存じのとおり、近く国鉄運賃も上がるわけです。それから生産者米価は上がったわけです。去年も上がって、ことしも上がったわけですね。十一月の米穀年度から千三百七十五円上がることになるわけです。そうすると、医療費の緊急是正というのは、去年の四月十八日に答申が出て緊急是正をしなさい、緊急是正なんですね。そうすると、この緊急是正がだらだらと、こんなに長く延んでいくということになると、これはたいへんなことになるわけです。この点について、一体事務当局としては基本的にどういう考え方をお持ちなのかということです。客観的に諸物価はどんどん上がる。去年の六月からことしの六月までの一年間の消費者物価の値上がりを見ますと、これは九%前後上がっているのですね。こういうように物価がどんどん上がっているわけでしょう。そうして医療費も緊急是正だ。本格是正は、四月十八日の答申をごらんになっても、引き続いてやることになっておるわけです。そうすると、この事態を、一体、あなたも薬務局長として一半の責任があるわけです。今度は保険局長になってきたから、全面責任があるわけです。これを一体、あなたは事務当局としてどういうようにおやりになるつもりなのか。いま大臣は、次の通常国会までには必ず案をつくります、こうなりますと、次の通常国会に出す案は、緊急是正から本格是正のものにまでなっていかないとだめなんですね。これは米価が上がり、運賃が上がってくるし、諸物価が全部、いま言ったように九%上がっているわけですから、そういうものを織り込んだものにしないと、これは問題が出てくるわけです。そういう点について、一体どういう考え方をあなた方は事務的にお持ちになっているのかということです。
○熊崎説明員 昨年の四月十八日の有沢答申に基づきまして、ことしの一月に九・五%の医療費のアップをいたしました。その間の影響率等も、現在政府管掌その他につきましても検討を急いでおる際でございますし、さしあたって、例の薬価基準の振りかえ分三%につきまして、中央社会保険医療協議会に諮問をいたしておる段階でもございますので、当面のところ、中医協の再開並びに保険三法の改正案の国会上程等につきまして、私どもとしましては全力をあげて当面の問題の解決に当たるという態度になっておるわけでございます。
○滝井委員 当面の解決に当たるけれども、それはもうすでにおととし以来の問題でしょう。ところが、その答申の出た以降の変動についての対策はどうしますかということを聞いているのです。緊急是正の問題については、これはいま問題になって政府としては九・五をきめた。その後にただ残っているのは、三%分の問題が残っている。それがいつの間にか、あと一・五が出たけれども、この根拠その他についてはあとでただします。しかし緊急是正以降の客観的な情勢の変化に対応する諸施策というものは一体どうするのですか、こう言うのです。そればやらないのですか。何もやらなくて、ほおかぶりをしていくというつもりなのかどうか、ここらあたりをはっきりしておかないと、財政の根本対策が立たないことになるのです。だから、あなた方の財政の根本対策というのは、今度出しておる保険三法というものは、そういう将来の恒久的な是正の問題もひっくるめてあの案は出しておるわけでしょう。あれは緊急是正だけに対応する改正案ですか。
○熊崎説明員 保険三法の改正案の問題につきましては、九・五%の医療費値上げに対しましての当血の打開策ということではございません。さしあたっての現在の政府管掌健康保険並びにその他の保険につきましての財政対策を、どのように再建していくかという考え方に立って私ども検討いたしておるわけでございます。それから緊急是正以後の一般的な医療費の問題につきましては、これは現在の中表、乙表をいかにしてやっていくか、また技術料の評価をどのようにしていくか、あるいは薬価の問題を、どのようにするかというふうなことで全般的な問題にもわたりますし、また私どもとしましては、社会保障制度審議会におきまして、三法の審議を含めまして、そのような全般的な問題につきましても検討中ということを聞いておりますので、そういうもろもろの、各界のいろいろな御意見も出そろう機会を待ちまして、今後どのように根本的に解決していくかということにつきまして、努力をいたしたいと考えております。
○滝井委員 そうすると、事務当局としては、保険三法の改正というものはあらゆるものをひっくるめた恒久的な改正である、緊急是正に対応するものではない。それから緊急是正の九・五に引き続き客観的な経済情勢の変化に対応するものとしては、これは恒久的に甲乙二表の問題として、技術料の問題とか薬価の問題というものを検討して、そして四月十八日答申の緊急是正プラス、あれは恒久的な問題については引き続きやるという。その引き続いてやるのはいつまでに結論を出すかわからぬが、とにかくずっとやっていくのだ。とりあえず医療というものは九・五の緊急是正でやれば、しばらくここ二、三年はいまのままだ、こういう理解でいいですね。ここ二、三年——二、三年と言っても、もう四月十八日から一年は過ぎていますから、ここあと二年ぐらいは九・五のままでずっとやっていくのだ。客観的に見るとそれまで結論が出ないでしょう。
○熊崎説明員 先ほど滝井先生のお話の中に、三法改正につきまして恒久対策というふうなおことばがございました。この点は、先ほど大臣も申し上げられたと思いますが、そういう点も含めまして、私どもとしましては、当面の財政対策をどのようにしていくかという緊急必要に迫られた問題もございますので、この辺を含めまして検討するということになっておるわけでございます。また医療費の問題につきましては、先生の御指摘のとおりの点もあろうかと思いますし、やはり現在の医療費問題につきましては、根本的に病院、診療所の経営内容がどのようになっているかというふうな点も十分正確に把握する必要もございますので、そのような問題も含めまして今後検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
○滝井委員 もう少しきちっとしたものを言ってもらいたいのです。保険三法というのは、いまあなたは当面の対策だ、こうおっしゃるけれども、当面の対策も九・五の赤字対策もひっくるめて、むしろあれは恒久的な対策として出てきているわけでしょう。そうであるかどうかということが一つ。 それから九・五のアップをことしの一月一日からおやりになったが、これについては、高度経済成長下における緊急にとるべき対策として答申がある。しかし、それの底流としては、基盤としては、恒久的なものがなければならぬけれども、これはやっていない。そうすると、この緊急対策でこれほどごたごたしておるんだから、これから恒久的な結論が出るためには、ここ二年やそこらはかかるでしょう。もうすでに去年の四月からことしの四月まで一年を経過して、九・五さえまだ収拾がつかないんだから、今後もう二年ぐらいかかるでしょうが、その間は医療費問題のアップはないと理解して差しつかえないか、こう言っておる。ひとつ事務当局としてのその見方を言ってくれということです。政治的にはあとで大臣に尋ねるから、そのとおりでございますならそのとおり、そうじゃない、その前にわれわれはこういう形をやるというのなら、やるんだということを言ってもらいたい。
○熊崎説明員 御質問の趣旨はよくわかるわけでございますが、さしあたり私どもとしまして、たとえば先生のおっしゃるように、ここ二年でやるとかやらないとかいうことにつきまして、いまここではっきり申し上げることはできかねると思います。ただ、そういった問題は、現在中央社会保険医療協議会が一応半数の任期切れになっておりまして、中医協再開に全力をあげるということに相なっておるわけでございますので、中医協再開後におきまして、おそらく今後どうするかということは、その段階で相談が出てくる、こういうことになろうかと思います。
○滝井委員 それは諮問機関のことであって、諮問はあなた方が諮問するのです。だから、事務当局としての見通しは、どうですかということを聞いておる。こんな見通しさえできなかったら、初めから保険局長の資格がないですよ。この段階で客観的にごらんになってみて、一体それじゃすぐにことしの終わりにでも、いまの状況で医療費の恒久的な是正がやれることになるのですか。やはりそこらの見通しを立てて大臣を補佐しないと間違うのです。小山さん以下みんな間違えたでしょう。支払い側が了承していないものも、了承しておるような補佐をして間違えた。だから、これはやはり初めからおきゅうをすえてやかましく育っておかぬと、私に言わせれば、たるんどると思うのです。やはりもう少しふんどしを締めかえて、初めから目を光らせてやらなければいかぬ。だから、緊急是正から恒久是正をやらなければならぬことは確実なんだから、一体どの程度の見通しのもとに事務的には処理をしたい。やはり小山君は、それくらいのことはここで言えたのです。熊崎さんが言えないはずはない、同じところにいるのですから。そういう何もかも医療協議会にまかしたようなことを言うけれども、あくまでもこれは諮問機関ですよ。だから、行政なり政治というものが責任を持つ。政治が責任を持つためには、行政がきちっとした行政をしなければいかぬのです。それが行なわれていない。何もかも中央医療協議会——社会保険審議会、社会保険医療協議会という諮問機関に責任を転嫁して、自分たちは手をこまねいておるようなことでは政治は進まないということです。だから、そういう点はもう少しきちっとしないといかぬ。 そこで、大臣がいらっしゃったから……。そうすると、いま大臣、中央社会保険医療協議会を待って厚生行政の、特に社会保険の行政の一切をきめるといういまの答弁です。そうしますと、一体中央社会保険医療協議会は、いかなる条件があったら再開できるのですか。いかなる条件があったら再開ができるとお考えになっていますか。
○鈴木国務大臣 滝井さんもその間の経緯を御承知のとおり、中央医療協が今日ああいう状態で再開ができない事情にありますことば、よく今日までの経過を御承知の滝井さんがおわかりの点だと思います。私、この再開につきましては非常にむずかしい事情がございますが、各方面の御意見を十分拝聴しながら七月中にぜひ中央医療協が再開し、軌道に乗りますように最善の努力をいま払っておる段階でございます。いましばらくお待ちを願いたいと存じます。
○滝井委員 その条件というものは、どういう条件があったら再開できるでしょうか、こういうことを尋ねているのです。
○鈴木国務大臣 それらのことも、各方面からいろいろ御意見を伺いながら調整に努力をいたしておる段階でございます。
○滝井委員 いま公益委員の二人が六月の初めで任期が切れておるわけですね。これは当然国会の承認の人事で、入れかえをしなければならぬのでしょうが、あなたとしては、欠員の二人をすっと差しかえるだけで再開をすることになるのでしょうか、それとも公益委員を全面的に入れかえて再開することになるのでしょうか。これは御存じのとおり、社会保障制度審議会の大内先生等からいろいろ案が出てきているわけです。実はいまから数年前に改正するときに、大内先生が、今度政府のほうで出しておる案を私も検討して、三つの案、現在の四人を国会承認にする案、あるいは公益委員だけが委員の中にあるけれども、最終的に決断を下す案、それから公益委員だけで構成する案、三つの案を私つくりました。最終的に国会案に落ちついたのですが、そのわれわれのつくった案が、いま蒸し返されて出てきているわけです。あなたとしては、一体二人だけを差しかえをして新しく任命をしておいきになる方針なのか、それとももう一ぺん公益委員を新しく入れかえて、そうして四人の公益委員を国会で任命していく方針なのか、これはもうすぐ二十二日ですからね、もうきまっておるはずです。
○鈴木国務大臣 中央医療協につきましては、いろいろの改組案等の御意見も実は伺ってはおります。伺っておりますが、私といたしましては、ただいままでの三者構成と申しますか、そういう形でもう一ぺん円満な運営に努力してみたい、このように考えております。公益委員の任期の切れた方だけをかえるか、あるいはもっと大きな観点から全体を入れかえるか、そういう問題につきましてもいま慎重に各方面の意見を聞いて検討中でございます。
○滝井委員 三者構成でいくということについては、私も同じです。それでいくべきだと思う。ただしかし、最近一つ矛盾が出てきた。それはどういう予盾かというと、これも私はいまから数年前に指摘をして、当時の灘尾さんなり古井さんが厚生大臣のときに指摘をしたのですが、 〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕 御存じのとおり、中央社会保険医療協議会というのは、社会保険診療報酬の額をきめるところです。それから同時に法律の体系をきめる、いわゆる社会保険の運営の大綱をきめる社会保険審議会と構成が違うということです。片や法律をきめる。法律というものは、いわば医療の額その他をきめる重要な基盤をきめる、基礎をきめるところなんだ。その構成が違うわけです。そこでこの両方が、必ずしも意見の一致を見ないという事態が出てきているわけです。このように医療保険というものが重大になってきますと、社会保険審議会と中央社会保険医療協議会をむしろ一本化しなければならぬというような客観情勢もあると思う。構成が違うのですね。たとえば療養担当者側というものは、片一方は、医療協議会においては支払いと受け取りという、こういう形で対等の立場であって、公益がある。ところが、社会保険審議会では医療者側は公益の側になっておる、こういうように矛盾が出てきている。そこで内閣にある社会保障制度審議会も、今度はここは学識経験者だけです。それは高い見地からすれば、学識経験者だけでけっこうだと思う。同じ社会保険を扱う構成がこういうように違うということから非常に問題が出てきている。もはやこれは根本的に、ここで問題を解決する上に検討しなければならぬ点になってきている。しかも製薬企業、薬価というものが非常に大きな比重を占めておるということになると、やはりこういう委員の中に製薬というものを入れて、決定に従わせるという方向でないと、欠席裁判の形ではぐあいが悪いという問題が出てきておる。入っていない。こういう大事な問題をきめるときに欠席裁判をすれば、やはり民主的な決定でないという問題もあるわけです。だから、こういう点の社会保険審議会と中央社会保険医療協議会との関連、むしろ統合一本化というような問題も、この際検討しなければならない段階にきていると思うのです。だから政府は、さきに二月の二十七日ですか、あなたの前任者の神田さんの当時、支払い側との了解事項で医療問題調査会というようなものをおつくりになった。これは官房長官も入っておつくりになった。そしてそういう根本的な問題も検討しようと言ったのだが、そのままになってしまっておるのです。当然こういう問題も、いまのような社会保険行政の転換期にあたっては検討しなければならぬところにきていると思うのです。そういう点について、一体あなたの御意見はどうなんですか。
○鈴木国務大臣 社会保険審議会、中央医療協等の人的構成なり、あるいはその所管いたします役割りというようなものから、いろいろ両者の関係を今後検討していくべきであるという御意見は、私も今後参考にいたしまして、十分将来の問題として研究していきたいと考えております。ただ、当面といたしましては、なるだけ早く保険財政の危機打開、また早く事態を軌道に乗せる、こういうようなことが強く要請されておりますので、私といたしましては、当面は従来のとおりの体制で審議の促進をお願いをいたしたい、かように考えております。ただ、基本的には、滝井さんの御指摘になった問題というものは将来十分研究すべき問題点である、このように考えております。
○滝井委員 ぜひひとついまのような根本的なところにもメスを入れて——やはり非常に複雑怪奇になっておるわけです。これは、いままでは厚生省としては分裂支配をやればいい、保険者、被保険者をできるだけばらばらにしておいて、分裂支配をやればいいという安易な気持ちでおったわけです。いままで保険財政が赤字も少なかったり、あるいは黒字に転換したときもそういう分裂支配でよかった。ところが、いまのように食管会計と並び称せられるような膨大な赤字を各保険が全部かぶってくると、もはや分裂支配の状態では、みずからがみずからの首を絞める状態になってきているわけです。そこでそういう形をやめて、すっきりした、すべての人が協力する形の医療保険行政というものを打ち立てなければならぬと思うのです。そのためには、一つ大きな前提条件がある。それはやはりいまの保険主義を改めて、相当大幅な国庫負担を、ちょうど国が国民健康保険にやっていると同じ程度に、政府管掌健康保険にも出さなければならぬということなんです。いまから十年前に、赤字が五十八億から六十億のとき、当時の大蔵大臣は一萬田さんだった、総理は岸さんだった。その後池田さんが一萬田さんのあとに大蔵大臣になりましたが、当時三十億の金を出した。政府管掌に三十億出したのですよ。赤字が五十八億か六十億のときに三十億出した。ところが、いまや赤字が六百六十億から、四十年度末には今度はさらに飛躍して七百八十五億、当時の十倍以上になるのに、当時と同じ三十億しか政府から出していない。これを今度幸いに臨時大蔵大臣を兼ねられたのだから、大蔵省主計局を説得する必要がある。これではいかぬ、やはり政府管掌健康保険に最低三百億出さなければならぬ。それを出さない。うしろのあなたの補佐役に聞いてごらんなさい。みな当然だと言いますよ。十年前、政府管掌保険赤字六十億のとき三十億出したのですよ。当時の一萬田さんも岸さんも池田さんも、おれの目の黒い間は、滝井君、この三十億は絶対減らさぬのだと大みえを切った。ところが目の黒いうち 池田さんはガンができられたけれども、目は黒い。いつの間にか五億に減らした。うそを申しませんと言って、うそを言った。これは鈴木さん、幸いに池田さんの保証人なんです。官房長官として、むしろあなたのほうが池田さんの保証人なんです。当時、目の黒い間は絶対減らさぬと言っておったのを、上五億に減らした。今度赤字が七百億以上もできたときに、三十億ではあまりにも政治になっていないのですよ。だからこの際、やはり政府管掌健康保険に三百億くらい出して——赤字が十倍になっておるのですから、十倍出すのは当然です。そういう形に一体政府がいく意思があるのかどうかということなんです。依然として薬代を半額負担させたり、それからボーナスにまで保険料をかける、保険料を取り上げていくというようなことだけで患者や被保険者には負担させるけれども、政府は昔と同じ三十億しか出さぬ、これでは通らないですよ。これは昔ならば泣く子と地頭には勝てぬと言っておったけれども、民主時代には、子供が泣いておろうと地頭さんが何と言おうと、これは三十億では承知しない。ここなんですよ。この基本的な態度を、一体政府がどういう方向をとるかということが問題なんです。これについてあなたの決意はどうですか。このところが片づけば、他のものは展開していくのですよ。心棒が立つ。こまは心棒がなければ回らないと同じように、社会保険だって心棒がなければ回らない。これが心棒ですよ。
○鈴木国務大臣 保険財政は、いま滝井さん御指摘になったように、非常に急激な悪化の様相を呈しておるわけであります。私といたしましては、過去の累積赤字、この噴出のために各保険の運営が渋滞するようなことがあってはいけない、こう考えておるのでありまして、過去の累積赤字につきましては、別途、これは今度の保険三法の改正とは切り離して何らかの対策は講ぜねばいかぬ、このように考えております。 なお、今後平年度における保険財政の確立という面につきまして、相当国庫の負担をすべきであるという御指摘につきましては、私もいろいろ検討を加えておりまして、特に低所得層の負担増にならないように、そういう点に特段の配慮をしていきたい、このように考えており、その低所得層の負担増になる部分につきまして、国庫がかわって負担する等の措置によって相当国庫の支出を考えていきたい、こういう方向でいまいろいろ検討も進めております。
○滝井委員 いままでの厚生大臣の答弁と比べて、だいぶ前進したです。私は、国庫負担についてはいろいろ検討したい、特に低所得階層については、その負担の軽減のために十分考慮を払うということは、結局低所得階層に肩がわりして、国がある程度財政的に措置しようということだと思うのです。そうすると、御存じのとおり、政府管掌健康保険は一事業所当たり従業員平均二十三人程度、昨年十二月における標準報酬調査では二万三千円です。ボーナスを入れても三十万円そこそこです。大蔵省の普通の生計費、これだけあれば栄養失調にならぬという生計費の調査というものは、五十三万何がしです。だから、免税点を五十四万四千二百円にしておるわけですが、所得三十万円以下の層が大半を占めておるわけです、去年の十二月の社会保険の標準報酬調査では平均二万三千円ですから。そういう点から考えても、相当大幅なものを入れなければならぬと思うのです。社会保険に関係あるものは、五つの人が関係がある。まず、事業主が関係がある、労働者、被保険者自身、それから製薬企業、医療担当者、国、いわゆる地方公共団体も関係ありますが、代表的に国、この五者ですよ。国が大幅の国庫負担をやるということになれば、これは五人が喜ぶが、五者一両損です。みなやはり一両損にしてもらうんだという形になっていって、ある程度労働者側、被保険者側も、国がそれだけ出すならば、やむを得ぬじゃないか、われわれの医療を直すのだから幾分負担しよう、こうなる。その場合に問題なのは、事業主と製薬企業と医療担当者が問題なんです。医療担当者は、あなたがたとえば一割とか一割五分今後上げようと言うけれども、これは国が相当大幅に出してみんなにも負担してもらっておるのだから、医療担当者もひとつこの際には、一割五分上げたいところだけれども、一割一分とか二分でがまん願えぬか、こういう相談ができるわけです。いままでは国が一文も出さぬでそれを言っておったのですから、これはできない。そこで医療担当者のほうはなんとか説得できる。被保険者もいま言ったように、国が出せば幾分か出しましょう。そうすると、あとは事業業主と製薬企業をどうするかという、この二つが今後におけるあなたの政策の一番重要なところだと思う。事業主は、御存じのとおり健康保険は折半の原則になっておるわけです。いま千分の六十三の保険料を折半です。ところが大企業の健康保険組合に行ってごらんなさい。折半の原則はみなくずれておる。日本銀行等をお調べになると、昔は労働者側は千分の十一かそこらしか納めていませんでした。したがって、いまは貧しいところほど事業主も貧しい。それから労働者も貧しいので、折半の原則を貫いている。ここをひとつこの際であるから、保険財政の赤字で労働者側も困っておる、したがってこの折半の原則を少しくずすということです。健康保険組合で許しているのですから、これを少なくとも四分六と言いたいが、どうしてもできなければ五分五厘と四分四厘でもいい、こういう形に持っていく意思が一体あるかどうかということです。健康保険組合も現・実にそういう形になっておるのですよ。そういう意思があるのかどうか。
○鈴木国務大臣 滝井さんの御意見は恒久的な今後検討すべき重要な問題を多々含んでおられるわけであります。私も将来にわたってそういう根本的な問題につきましても検討していきたい、こう考えておるわけでありますが、私は先般も、社会保険審議会等で、恒久的な対策、そういうものと逆行するようなことであってはいけないけれども、当面の保険財政の危機等を考えました場合に、緊急、応急の措置として秋の臨時国会に間に合うように御答申を願いたい、あまり基本的、根本的な問題になっておりますと、これはなかなか答申を早くちょうだいできないというような事情もございます。いま御指摘になったような根本に触れるような問題は将来審議会等の御意見も十分伺い、また私どもも検討を加えていきたい、かように考えております。
○滝井委員 私がなぜいまの問題を持ち出してきたかというと、私はいま事業主と被保険者と製薬企業と療養担当者側と政府と、保険に重要な役割りを演ずる五音を出してきておるわけです。いま保険の非常に根本の問題についてはなお検討したい。事業主の折半負担の原則というのは、すでに組合管掌ではこわれてしまっていますよ。政府管掌では生きている。これを少し変えてみたらどうですかというような質問をした。これは恒久的なものだからしばらく時間をくれ、こういうことです。それではよろしい。そうすると今度は製薬企業です。製薬企業は先日社会保険審議会で総医療費の四・五%の引き下げをおやりになることになった。この根拠というものを、これはもう先般来ずっと言われてきているわけですが、この根拠を出してくれと言うけれども、なかなか出してくれない。これはもうすでに資料が集まってきちっとしているはずです。この選挙の前に、四十八国会のときに、言ったら、もうすぐできます。四月末にはで五月末にはでこう言ってきておったわけです。もうやがて真夏になろうとしているわけですから、冬来たりなば春遠からじと言っておったけれども、春も過ぎて夏になろうとしているわけですから、これは四・五%の科学的な基礎があれば御説明願っておきたい。
○鈴木国務大臣 薬価基準の問題でありますが、私が六月に就任をいたしまして、そうして事務当局からいろいろ説明を求めて聞いておるのでありますが、十月の三%程度の薬価の引き下げ、その後半年しか経過いたしておりませんが、過去三年間に三%薬価が下がった、これがわずか半年の間にその半分の一・五%下がる、こういう点につきまして、しろうとでございまして、いろいろ事情を聞いておりましたが、どうもふに落ちない点が実は多々あるわけであります。そこで私はもう一ぺん再調査、再検討をするように事務当局に指示いたしまして、大体七月下旬にはその答えが出るようにいま督励をいたしている段階でございます。そこでこの十月までの三%の引き下げのほかに十月以降七月の下旬までにどういうような薬価の引き下げができるかどうかということを目下再検討、再調査を命じている段階でございます。
○滝井委員 熊崎さんおられますけれども、この前は大体三百種類くらいをやれば四月の終わりか五月の終わりには結論が出ますということであったわけですね。それが大臣になってもう一ぺん再検討しよう、こういうふうになったわけです。そうすると、これは何日現在でやることになるのですか。去年の十月では三%であったけれども、その後価格もどんどん変わってきておりますね。ですから今度は三%もパーになっているわけです。したがって新しい観点から一体何%下がるか、こういう検討になるわけです。一・五%と特定したものじゃないはずです。薬価というものはどんどん動いていくのですから、やはり根っこが動くのだから、もとの三%というものはもう無関係になってしまっているわけです。去年の十月の時点では三%でよかった、しかしその後動いているから、それが三%になるか六%になるか二%になるかわからぬわけです。ですから、いつの時点で、何月何日の時点で静止した状態で調査して、それを基礎にしてやるということになるのか。これはいつの時点でやるのですか。何月何日の時点で……。
○坂元説明員 ただいま大臣から申し上げましたように、私どものほうで事務的な調査をやっておりますが、お尋ねの調査時点でございますが、六月一日現在で調査を始めております。
○滝井委員 そうしますと六月一日現在で薬価を調査すれば、それはもはや昨年の十月分三%というのは全部御破算になって、新しい観点から何%一体一次の臨時国会——秋の臨時国会ですね。今度の三十二日から始まる臨時国会ではもう間に合わないから、秋の臨時国会には六月一日現在としての実勢価格と薬価基準との差が出てくるわけですね。そう考えて差しつかえありませんか。ここは大半ですから、厚生省はしょっちゅう動いておりますから、いつの時点になるのか、さっぱりわからない。議論をするときにはどの時点かということをきちっとしておいてやってもらわないと、これはもう話にならぬ。だからそのことをはっきり——六月一日の時点で薬価を幾ら下げる、こういうことになっている、実勢価格との差でいくんだ、こういう形になるのでしょう、薬価基準を六月一日現在の実勢価格で処理をする、またその後臨時国会が八月の終わりか九月の初めに開かれたときに、またその時点でございますということになれば、薬価基準というものは動きがあるのだから、毎日動いているのですからわからなくなってしまう。大臣それで、間違いないでしょうね。
○鈴木国務大臣 そういうぐあいにお考えいただいてけっこうです。
○滝井委員 そうしますと、六月一日現在の薬価基準ということになると、いままでの三%とか一・五%というのは全部御破算になるという理解で差しつかえないのですね。
○坂元説明員 ただいま私申し上げましたのは、ちょっとことばが足らなかったと思います。六月一日で調査いたしておりますのは、いわゆる相場品目について調査を実施いたしておるわけでございます。したがいましてB価品目のほうは、六月一日でやっている調査とは直接結びつかないわけでございます。いま先生お尋ねのような、実勢価格と薬価基準との差、これをどういうふうに理解するかについては、少なくとも私ども現在やっているB価品目や相場品目については、卸の実態をつかまえまして、相場品目の相場価格というものを六月一日現在でつかもう、こういう調査をやっているわけでございます。
○滝井委員 そうするとB価品目はどういうことになるのですか、これは何もやらないのですか。あれは、ちょっと誤解しておるといけませんが、B価品目というのは一社でつくっている独占のものですね。相場品目というのは二社、三社でつくっている競合のものですね。そうすると独占的なB価品目について調査をしないということもおかしい。御存じのとおり日本の製薬企業というのは海外市場を持たないわけです。国内市場のシェアを確立すれば製薬企業が生きていく、いわゆる健全化の道なんです。したがってそのB価品目を持っている製薬企業は、これはダンピングをやるわけです。思い切って、たとえば国立病院なんかをお調べになると一番安くなっている。国立病院にダンピングをやって、国立病院のシェアを確立しさえすればいい、確立してしまえばそれで値段を徐々に上げていけばいい。相場品目はそうはいかないのです。ことし四千億ぐらい出ておるが、最近ちょっと見ておると、海外には二百億そこそこしか出ないでしょう。ヨーロッパ諸国はそのできた総薬品生産高の少なくとも六割か七割は海外輸出しているのですよ。国内市場では三割かそこらしか占めていない。ところが日本では五%そこそこしか海外には持っていかないんだから。九割五分というのは国内市場ですからね。だからこういうB価品目のものについて、あなた方が調査もせぬでそのままやっていくということになりますと、いわゆるB価品目というのは安定する。いわゆる相場品目というのは中小が多い、こういうことが問題になってくるわけです。それでは製薬企業は納得しないですよ。だから問題は日本の物価政策と同じで、一体独占価格をどうするかということが一番物価政策上重要な問題であるのと同じように、ここが問題なんですよ。これを一体どうするかという、そこをあなた方がきちっと適正な価格をきめておかないと問題なんです。こうなると製薬企業の根本にメスを入れなければならないことになる。大臣はここらあたりまだしろうとだからお気づきにならぬと思う。実は薬というものは医療機関の窓口に入ったら統制価格になってしまうのです。薬価基準というのはいわば一つの統制価格です。そして薬価基準で医者は患者にやるわけではないのですよ。今度は平均薬価というのになるのです。十五円以下の薬は患者には全部六円でやるのです。ここを間違えないようにしておかぬといけないのですよ。十五円で買った薬を、薬価基準で十五円だからといって、すぐに患者に十五円ではやらない。そのときにはその内服薬は六円で患者にやる、こうなっておるのです。だから実勢価格と薬価基準が違ったからといって、その差額を全部医者でもうけているなんて思ったら大間違いだ。こういうからくりが一つある。こういうところを厚生省はちっとも言っていないのです。そして実勢価格と薬価基準の差額を医者がもうけておるという宣伝をしておる。これは非常な免罪を医者に着せておるわけです。これは六円でやるのです。十五円、三十円、四十五円、六十円以上、こうなっておる。だから、したがって甲表を使うところは、六十円で買うた薬は十九円でやらなければならぬことになる。そこでそれを十九円でやらないためにはどうするかというと、六十円以上の薬を使うわけです。六十円以上の薬を使えば六十円もらえることになる。だから甲表はこらんのとおり高貴薬ばかり使って六十円以下の薬を使わない、こういう矛盾が出てきている。だからこういう点を十分しろうとの大臣に、あなた方は教えておかなければならぬ。そこで大臣がうのみをして、そういうふうに一・五%を追加して四・五%薬価基準を下げますなんて言っていると、そんなことにならぬ可能性が出てくる。御承知のとおり総医療費の四・五というと、一体薬価を幾らに下げるということになりますか。総医療費の四・五というのは薬価にしたら幾ら薬価を下げることになりますか。
○熊崎説明員 大体医療費の中で薬剤費の占める率は三割をオーバーしております。大体三倍しているわけであります。
○滝井委員 御存じのとおり一割二分ちょっと下げることになる。そうしますと、いま調査をしているのは相場品目だけでB価品目は調査していない。そうすると独占的な価格のものはそのままだ。そうして相場品目で二、三社が競争してダンピングをやりながら、国内市場を確立をしているものは安くしてきている。だから製薬企業は中小はやっていけないからいま倒れつつある。こういうところは調査をして下げていく。こういう薬務行政のいわば偏向が行なわれているわけですね。だからこういう点についてやはりきちっとしたことをやらないとたいへんなことになってくるわけです。だから私たちはこういう点についてはもう少し相場品目とかB価品目にメスを入れる。同時に、日本の製薬企業の現状というものが諸外国の製薬企業と通うんだという現状にメスを入れてやらないといかぬ。薬というものが医療機関の窓口に入ったとたんにガラス張りになって、その前は星雲状態なんだ。一体十円の薬というものは十円で適正な利潤をつくり上げているのかどうかということが何もわからぬのですよ。ただ抜き取り調査をやってバルクライン九〇とか九五とか決定するだけで、その前の価格構成というものはうまくいっているのか、適正な利潤が保障されているのか、それとも過大な利潤をとっているのかということが何も考えられていない。ここに日本の医療の根本的問題がひそんでいる。この根本にメスを入れるということになると、これは石炭にも電力にもメスを入れなければならぬということになる。かつて日経連の代表と健康保険組合の代表と労働組合の代表と学識経験者、みな呼びました。製薬企業を適正化する、製薬の原価を適正化することは全部賛成ですと言った。ただ日経連ひとりが反対だった。当時入江さんという日通の専務が代表で出てきて反対だった。医療というものはサービス業だから価格を統制化し適正化してよろしい、物を原価主義でやってよろしい、しかし製薬企業というものはサービス業じゃないんだ、生産企業なんだ、したがってここに適正な利潤で適正な価格で医療機関に出すというようなことはまがりなりませんと言って反対した。その根本的な流れがいま来ている。いまから十年前のあの健康保険の赤字のときに、私たちはいまと同じような議論をやった。そうして参考人を呼んだ。意見は日経連だけが反対で、他のものは全部製薬企業は医療機関と同じように適正な利潤で医療機関に入れるべきだという意見があったけれども、日経連だけが反対だ、他のものは全部賛成だった。政府はやらない、きょうから日経連が反対だからやれないという形になってきている。だからしたがってそうなればここにこの保険の赤字の中で、さいぜんから申し上げますように国もある程度国庫負担を出す。そうすると労働者もある程度忍ぼう、医療機関もある程度値上げを忍んでもらうということになってきて、事業主も幾ぶんこれは出してもらわなければならぬ、みなが忍んでいく。そうすると製薬企業ということになればやはりここに製薬企業に適正利潤を保障してやる、同じに製薬の研究その他の問題については、ずっと前の国会で小林さん等も指摘しておりましたけれども、大学の学部との変な関係を断ち切って、そして研究については国がやはり減税政策をとってやる、研究費その他をとってやるという、ような適正な方法でいかぬといかぬわけです。そういう関係の五者がそれぞれ一両損をする、そうしてみんなが喜ぶという形で社会保険体制を確立する、そのときには国が当然大幅な国庫負担というものを持っていかなければならぬ、そういう段階がきたら、次にはやはり社会保険の統合にいかなければならぬわけです。貴族と貧民の社会保険の体制、月とスッポンの状態があってはいけないわけです。あるところでは人間ドックにも入れるし、サナトリウムというか、保養所も持っておる、あるところでは高貴薬なんかは現金を出さなければやってもらえないということではいかぬわけです、同じ社会保険で。これは次の段階では社会保険の統合問題が起こってくる。しかし、そのためにはいまのような地ならしをしておかなければだめです。だから、そこらあたりをやはり新しい大臣、腹をきめてもらって、日経連や事業主についてはちっと目をはじくかもしれない。目をはじくかもしれないけれども、九千八百万の命を守るためには、そのくらいの蛮勇をふるわなければだめです。自由民主党は百六十七万人の地主のために千五百億の金を出す蛮勇をふるったのですから、あの勇気さえあればわけないです。このくらいわけなくできる。だから、私は言いたいことはたくさんあるけれども時間がありませんから、ひとつそれだけの蛮勇を、この際、大蔵大臣も兼務されておりますから、ふるっていただきたい、こう思うわけです。 〔齋藤委員長代理退席、委員長着席〕
○鈴木国務大臣 滝井さんから非常に御研究の深い、含蓄のある御意見を拝聴いたしたのでありますが、ただ、この点だけを明らかにしておきたいと思います。薬価の問題につきましては、十月の時点の際には、相場品目だけじゃなしに、B価品目につきましても十分詳細に調査をいたしたのでございます。それからこの七月末までに私は再調査を命じておりますが、時間的な関係もあって、いま薬務局長から言ったような相場品目だけに重点を置いた調査ということを考えておるようでありますが、この点も十分B価品目につきましても十月と同じようなぐあいにできるだけ努力をするようにいたしたい、かように考えております。
○松澤委員長 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十三分散会