産業公害対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1965/02/10
会議録
○保科委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任の件につきましておはかりをいたします。 ただいま理事一名が欠員になっておりますので、その補欠選任をいたしたいと存じますが、先例によりまして、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保科委員長 御異議なしと認めます。よって、天野公義君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○保科委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。 まず、産業公害の現状と対策について、経済企画庁、厚生省、通商産業省からそれぞれ説明を聴取いたします。 まず、通商産業省企業局馬郡産業立地部長。
○馬郡説明員 通産省から産業公害の現状と対策について御説明を申し上げます。 お手元の資料の中で、「産業公害の現状と対策」という資料と「昭和四〇年度産業公害対策について」という、通産省より提出しました二つの資料がございますので、これについて御説明を申し上げたいと思います。 産業公害の現状と対策でございますが、第一ページにございますとおり、産業公害の範囲につきまして、ここに、工場排水による河川水、海水の汚濁を第一といたしまして、工場排ガスによる大気汚染、工場操業に伴う騒音、振動、悪臭、工業用水くみ上げ——工業用水ないしはビル用水もございますが、そのくみ上げによります地盤沈下というのを例示としてあげております。現在のところ、産業公害というものにつきましてはっきりした定義もございませんし、法律的な過去の前例も比較的薄うございまして、その定義自体ははっきりございませんが、ここにあげておりますようなものを現在産業公害というふうにあげまして、その対策を考えているわけでございます。学者の中でもいろいろな御意見がございますが、確たる定説はございませんので、普通行政的に取り上げておりますものにつきまして御説明を申し上げたいと思います。 ただ、産業公害と申しましても、ここにございます水質の汚濁にいたしましても、大気汚染にいたしましても、ただ工場、事業場から出るものだけではございませんで、たとえば隅田川の場合に見られますとおり、工場排水が隅田川の汚濁の場合につきましては大体七割見当、家庭排水からの汚濁が約三割見当ということもいわれております。また都市騒音にいたしましても、工場騒音のほかに、建築騒音、交通騒音というものも複合しておりまして、これを全部合わせまして公害現象でございますが、そういうふうな複合的な現象というふうになってまいっておるわけでございます。 二ページ目に、産業公害問題の背景としまして、公害問題が大きくなってきた背景をいろいろ書き並べておりますが、第一は、産業と人口が主として京浜、中京、阪神、北九州等のいわゆる四大工業地帯ないしはその周辺部に非常に集中しており、全国の生産額の七割近くがこれらの地域で占められておるわけでございます。もちろん、この現象は、ここにもございますように、大体戦前から見ましてもほとんど六割五分から七割見当ということでございまして、三十七年度の数字がここに落ちておりますが、たとえば三十七年度におきましても七〇・七%でございまして、ほぼ六割五分から七割という数字を前後いたしておりまして、この傾向は同じようなものではございますが、ただ、従来よりも水準が高い工業生産が行なわれたということが、かかる公害問題の一つの要因であろうかと思います。 それから第二番目は、都市計画の不備でございます。御承知のように、日本の地形は、六〇%以上が山岳地帯で、平野地帯は二〇%程度でございます。その平野地帯がしかも海岸部に位置しておるわけでございます。この二〇%程度の平野地区に住宅と工場がひしめき合っており、かつ海岸が比較的遠浅のところがございまして、そこに埋め立てが比較的容易な地点がございます。その容易な地点に大規模工場が建設されておるわけでございまして、海岸から申しますと、一番先に大規模な工業地帯、その内側に従来の工業地帯ないしは住宅地帯、そのうしろに山があるというような状況が生じておるわけでございます。結局、そういう地形的な条件、あるいは住宅と工場が混在しておるような都市計画というようなもの、こういうものがからみ合いましてかなり大きな公害現象を起こしてきておる。たとえば四日市の場合におきましても、工場と工場の谷間に住宅が残されているというような現象が見られるわけでございます。 それから三番目に、公共投資の不足ということも一つの要因にあげられようかと思います。隅田川にいたしましても、沿岸工場の約九〇%が中小企業でございます。隅田川への排水のある程度までの原因がこれらの中小企業から出ていることはもちろんで、ございますが、ただ、排水処理施設をつくるといたしますと、一軒一軒にかなりの用地を要するわけでございます。ところが、御承知のような隅田川の周辺の状況でございまして、一軒一軒に処理施設を設置することは用地的にも不可能な状態でございます。最も合理的な方法と申しますのは、諸外国で行なわれておりますような、家庭下水なり工場排水を共同に処理いたします下水道を整備するということが最も合理的な方法であろうかと思いますが、現在のところ、たとえば東京都の下水道の普及率というのも二四%程度でございまして、完成にはまだあと三千億有余の金も要るというような問題があろうと思います。 第四番目には、技術の開発研究の立ちおくれということも一つの原因であると思います。すす、粉じんにつきましては、最近集じん機等の技術の進展によりましてかなりの問題が片づいておりますが、たとえば四日市で問題になっておりますような亜硫酸ガスにつきましては、最近のエネルギー革命ということから結果的に起こってきた問題でございますが、重油の中に含まれております硫黄分を除く技術というものは、世界的にもまだ未開発の状態でございます。また、煙の中にございます亜硫酸ガスを除く技術もいまだしという段階でございます。このほか、メッキの排液の処理につきましても同じような問題もあろうというふうに考えております。 こういうふうな事情がいろいろ込み合いまして現在の公害問題を引き起こしていることと思いますが、七ページに、産業公害の現状といたしまして、現在の公害のタイプを分けておるわけでございます。 水質汚濁につきましては、農業、水産業に影響を与える場合、上水道源に影響を与える場合、あるいは隅田川のような都市環境の問題として取り扱われている場合、あるいは四日市海域のように、海水が汚濁いたしまして異臭魚を発生するというような問題、こういうのが大体水質汚濁のタイプであろうかと思います。 大気汚染のタイプといたしましては、すす、粉じんを主体といたすもの、それから亜硫酸ガスを主体といたすもの、第三番目に、自動車の排気ガスを主体にするものというふうに分類できると思います。 それから騒音につきましては、工場騒音、建築騒音、それから交通騒音、広告騒音というような、大体この四種類に分類できるかと思いますが、騒音につきましては、現在、公害につきましての苦情が最も多いものでございます。 次に、最近の産業公害問題の傾向につきまして若干触れているわけでございますが、水質汚濁につきましては、先ほども申しましたように、過度に集中いたしました工場や家庭からの排水が、下水道の未整備もございまして都市河川に流入いたしまして、それを非常に汚濁さしているという問題でございます。 大気汚染につきましては、工場やビルのばい煙やあるいは自動車の排気ガスによるものというのが複合して出てまいっておりますが、あとで御説明いたしますとおり、ばい煙規制法がようやく動き出してまいりましたという関係、あるいは石炭系燃料から石油系燃料への転換、あるいは高能率集じん機の普及などによって、すす、粉じんによる汚染等は若干低下の傾向でございます。たとえて申しますと、宇部におきましては、二十六年度の降下ばいじん量——これは月一平方キロメートルの降下ばいじん量でございますが、昭和二十六年度には五十五・九トン、約五十六トンでございましたのが、三十六年度は十六トンと、かなり改善の様子も見られております。それから横浜市の例で申しますと、三十二年と三十七年を比較いたしてまいりますと、これは場所によりましていろいろ非常に大きな差がございますが、大体三十七年度は三十二年度に対して七、八%というようなのが現状でございます。したがいまして、このすす、粉じん問題はある程度解決の方向に一歩前進しつつございますが、最近亜硫酸ガスなどによります大気汚染が問題となってきているわけでございます。 御承知のような四日市の問題でございますが、これは戦後に急速に発達しました近代的な大工業都市でございますが、この四日市の公害問題の原因として私たち考えられますことは、ここは燃料の使用量が石油が九で石炭が一というふうに石油系燃料に燃料が片寄っている——片寄っていると申しますか、石油系燃料を主とした工業都市であるということ、それから工場、事業場の配置、したがいまして、それに伴いまして配置いたします煙突の位置等が、風向と大体同じ方向にございます。それから住宅と工場が混在している、むしろ工場の間に住宅があるというような都市計画になっておるようなところもございます。それから現地にございます鈴鹿川というのがかなり煙の流れに大きな影響を与えているというようなことで、かなり局地的な汚染を生じているような現状でございますが、これは一昨年、通産、厚生両省御相談申しまして現地に特別の調査団を派遣いたしまして、その勧告に基づきまして目下各種の改善策を講じております。根本的対策としては、勧告でも指摘しておりますが、公害防止技術の開発研究の大幅な促進、それから四日市という大工業都市のどういうふうな都市改造を考えていくか、過去の都市計画、当時この四日市の都市計画をやられた方々にお話を聞いてまいりますと、現在のような工業都市を予想しなかったし、また、現在ございますような亜硫酸ガス等の公害問題というものを予想してなかったというようなことでございますので、現在の状態にマッチした都市計画というものを考えなければならぬということではなかろうかと思います。また、この四日市のような前例を再び今後新しい都市におきまして起こすようなことがないようにというのが、今後の地域開発をやっていきます場合の大きな重点になろうと考えております。 沼津・三島地区につきましては、昨年工業整備特別地域に指定されました東駿河湾地区に属しております地帯でございますが、昨年石油コンビナートの建設が計画されましたとき、地元では、四日市のような問題が起こるのではないかということで、かなりいろいろな問題が起こったわけでございます。政府としましても、これも厚生、通産両省御相談申し上げまして特別の調査団を派遣いたしまして、公害対策のための事前調査として調査を実施したわけでございます。先ほど申しましたように、今後の新産都市、工業整備特別地域等新しい工業都市建設にあたりましては、公害対策のための事前調査として、今後四日市のような問題の起こることのないようにというのを念願いたしております。そのモデルケースとして昨年実施したわけでございますが、現地で地上及び上空で発煙実験を行ない、それによる煙の流れ、気象庁の方々の御協力によりまして、気象条件によるそういうものの変化、あるいは模型によります風洞実験を行ないましてその煙の流れ等々を実験いたしまして、調査団の報告といたしましては、企業、国、公共団体が対策を実行すれば、四日市のような公害問題は起こらないだろうというような勧告になっておるのでございます。 このような調査というものは、今後新しい工業都市につきましては実施してまいる予定でございまして、四十年度の予算におきましても、その調査費用を計上いたしている次第でございます。それによりまして科学的な分析を行ない、今後の工場配置あるいは都市計画というようなものを考えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 次に、産業公害の対策でございますが、これまでの対策をまず申し上げます。 法令による規制といたしましては、工場排水につきましては、水質保全法と工場排水法がございます。水質保全法は、水質に関します基本法でございまして、工場排水法は、それを受けました実施法ということになっております。それから大気汚染につきましては、ばい煙規制法がございます。それから地盤沈下につきましては、工業用水法と、ビル用水のくみ上げの規制に関する法律というものがございます。 工場排水の規制につきましては、後ほど局長から御説明があると存じますので、簡単に御説明させていただきますが、規制の対象となります水域を指定いたしまして、その規制の基準となる水質の決定、これは経済企画庁で水質審議会の意見を聞いて決定していただくということになっております。工場排水法に基づきましてそれぞれ各業種の所管大臣が規制をやってまいるわけでございますが、そのためには、その水を排出いたします施設を指定いたします。たとえば電気メッキの酸またはアルカリによる洗浄施設等の指定をいたしてまいります。この特定施設の指定をいたしますと、今後は、その設置または変更につきましては全部届け出をいただきまして、それに基づきまして、その届けられました施設というものの処理によってはたして定められました水質基準どおりの排水ができるかどうかということをチェックいたしまして、あるいはそれが適当でない場合におきましては、汚水の処理方法に関しまする計画の変更、あるいはその特定施設を設置するという計画自体の変更または廃止を命令することができますし、あるいはその施設の改善命令あるいはその施設の使用の一時停止命令を出すという仕組みになっておるわけでございます。 ばい煙につきましては、ほぼこの工場排水の規制と同じような立て方になっておりまして、規制の対象となる地域の指定、これは現在まで京浜、阪神、北九州、四日市、千葉、名古屋、大牟田の七地域に指定をいたしております。それから規制の対象となりますばい煙の発生施設につきまして、たとえばボイラーでございますとか、あるいは溶鉱炉というような指定をいたしてまいります。それと同時に、規制の基準となります排出基準の設定を行ないます。この法律は厚生、通産両大臣の所管でございまして、両省協議の上でかようなものを設定してまいるわけであります。 その規制につきましては、ただいま排水につきましてやることとほぼ同じようなシステムでございまして、その指定施設につきまして、それをつくる場合におきましてはこれを届け出をしてもらう、そしてその排出基準に違反している場合は所要の命令が出せるというふうなシステムになっているわけでございます。 そのほか、ばい煙規制法におきましては、緊急時の措置、たとえばスモッグが起こったような場合におきましては、各都道府県知事が各工場に対しまして煙を出さないような協力の依頼をする、あるいは和解の仲介に都道府県知事が当たるというような規定もございます。その指定地域につきましては、一三ページから一四ページに表として載せておるわけでございます。 それから地盤沈下の防止につきましては、これは三十一年から実施してまいっておるわけでございますが、ある地域を指定いたしまして、その地域内におきましては工業用水として井戸水の使用を禁止する、井戸水のくみ上げを規制してまいる、こういうことでございますが、ただ規制するばかりではその工場自体がやめなければならぬということでございますので、これの見返りの工業用水道を建設して、その建設が終わり次第、新しい井戸はもちろんのこと、古い井戸につきましても全面的に使用を禁止する、こういうふうな立て方になっておるわけでございます。指定地域といたしまして、そこにもございますように、川崎市以下十一地区を指定いたしておる次第でございます。 なお、このために地盤沈下対策事業としての工業用水道の建設につきましては、三十一年度以来三十九年度までに八十六億の補助金を出しておりますし、また、三十九年度からは、地盤沈下対策事業を急速に推進いたしますために、補助率の引き上げも行なったような次第でございます。 それからなお、かような公害問題につきましては、何ぶん企業者の知識も、正直のところ、まだ乏しいというのが現状でございます。また、その取り締まりを行なってまいります都道府県等の方方もまだなかなか知識がないという点もございますので、これに必要な技術指導を行ない、あるいは講習会を行ない、あるいは業種別にどういう施設をつくればよろしいかというような施設基準書なり、あるいは特に中小企業関係業種につきましては技術の指導書も作成いたしまして、かなりこまかい指導を現在実施しているところでございます。 なお、助成措置といたしましては、中小企業に対しましては、中小企業金融公庫による融資、あるいは中小企業設備近代化資金によります無利子の貸し付けというようなのもございます。中小企業以外の企業に対しましては、日本開発銀行による融資による助成手段をとっております。 なお、税制措置といたしましては、固定資産税につきましては、ばい煙なり排水の処理施設につきましては、固定資産税の非課税対象ということになっております。なお、減価償却制度につきましても、機械、装置は七年、構築物につきましては十年ないし二十年というような特例措置を講じているような次第でございます。 このほか、各地方公共団体においてもそれぞれの助成措置をお願いしてまいっておるわけでございます。 技術の開発につきましては、後ほど工業技術院の院長から御説明申し上げますので、省略させていただきますが、おおむね、この公害防止の一番のポイントは、何と申しましても、発生源から公害が出ないようにするということが第一番目であろうかと思います。通産省でも、過去五年間にわたりまして約四億近くの特別研究費を投入いたしまして各種の研究をやってまいったわけでございます。明年度におきましてもさらにこれを強化する方向で考えておるような次第でございます。 次に、これからの対策でございますが、これは「昭和四〇年度産業公害対策について」という別刷りの表と両方——見にくくてはなはだ申しわけございませんが、両方一緒にして御説明さしていただきます。 四十年度の産業公害対策としましては、公害防止事業団の新設、これは後ほど関係法案を提出いたしまして御審議をお願いいたしたいと思っておりますが、すでに産業が集中しておりまして産業公害問題を急速に解決しなければならぬ地域を重点的に取り上げまして所要の対策を講じてまいりたい、こういうふうな考え方で新しい事業団を新設したいというふうに考えておる次第でございます。 それから新産業都市等新しい工業地帯に対します産業公害対策でございますが、先ほども申しましたように、すでに公害が起こってまいりました後に対策を講ずるとすれば、かなり多大の費用を要するだけではございませんで、対策自体も非常にむずかしい対策になってまいりますので、今後工業開発の見込まれる新産都市等につきましては事前の予防措置を講ずる必要があろうというふうに考えております。そのために、総合事前調査を実施いたしまして、それに基づきましての立地指導を行ないたいというふうに考えております。その予算といたしまして、四十年度におきましては三千五百万円を計上しておるような次第でございます。 それから公害防止技術の開発研究につきましては、これは後ほど工業技術院長から御説明をしていただきます。 それから法令の運用強化につきましては、水質保全法につきましては、これは後に経済企画庁から御説明があると思いますが、かなり河川の指定を急速に行なってまいりたいというふうに思っております。 それから十九ページの上から四行目でございますが、四十年度指定予定地域として、工場排水法とございますのはミスプリントでございまして、ばい煙規制法の関係でございますが、この五地域を四十年度新しく指定いたしてまいりたい、それから地下水のくみ上げ規制に関しましては、大阪府の東部を指定してまいりたい、かように考えておる次第でございます。 それから騒音、振動に対しまする対策につきましては、実は過去一年間にわたりまして通産省でも各音響関係の学者の方々にお集まり願いましていろいろ検討を行なってまいったわけでございますが、実はこの関係の検討というのもまだ不十分でございますし、実は実態自体もかなりまだ不分明な点もございます。技術対策もまだかなり未開発の状態でございます。私どものほうに実は、産業構造審議会と申しますものがございまして、そこに産業公害部会を設けて、現在、産業公害問題につきましていろんな御審議を願っておりますが、騒音につきましては、特にいまのような現状でございますので、騒音対策小委員会というものを置きまして技術的対策の検討を進めると同時に、実態調査もさらに実施してまいりたい。試験所においてもさらに技術研究をしてまいりたい。さしあたり、いままで検討してまいりました成果に基づきまして、四十年度におきましては、さらに実験的な試みでございますが、送風機、プレス等の機種につきまして、騒音防止技術指導書というものを関係企業に配布いたしまして、まずここあたりから手始めに具体的な実験を始めてみたい、その問題につきまして、具体的なアプローチをやってみたい、かように考えておる次第でございます。 それから助成措置につきましては、先ほど申しました助成措置に加えまして、現在日本開発銀行は四十年度約二十億の融資ワクを予定いたしておる次第でございますが、それにつきまして特利をつけますように目下交渉中でございます。それから中小企業金融公庫による融資につきましても、同様な考え方で月下協議中でございます。それから中小企業設備近代化資金による無利子貸し付けの償還期限は現行七年でございますが、これを九年に延長いたします。なお、中小企業高度化資金による無利子貸し付けを公害対策として実施していきたいという考えもございますが、これにつきましても、現行の償還期限七年を九年に延長いたしますと同時に、特に中小企業団地内の共同処理施設につきましては、据え置き期間を、通常は一年でございますが、三年に延長してまいりたいというふうに考えております。そのほか、ブロック別の産業公害対策協議会を各通産局単位に設けまして、国、地方公共団体、産業界及び学識経験者からなります協議会を設けまして、地方的に各地域ごとにそれぞれ実効性のある解決方法を見出すような努力をしてまいりたいというふうに考えております。 なお、先ほどもちょっと触れましたように、産業構造審議会の中の産業公害部会におきまして、産業公害の基本的な考え方というものを現在御検討願っておりますが、その答申を待ちまして、産業公害行政の考え方を整理いたしまして、さらに強力な推進をはかってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 非常に大急ぎでございましたが、一応現状と対策につきまして、簡単でありますが、御説明させていただきました。
○保科委員長 次に、馬場工業技術院長。
○馬場政府委員 それでは、産業公害に関しますこれの対策技術の研究の現状について、また、どういうことを考えておるかということにつきまして御説明を申し上げたいと思います。 先ほど御説明がありましたとおりに、この産業公害の現象と申しますものは非常に複雑多岐なものでございます。そこで、これを押えるということに最も決定的なものは、発生源においてそういうものが発生しないようにするということでございます。お手元に横長の資料で「産業公害対策技術について」というのがございますが、これによりまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。 この第一ページにございますのは、大気汚染に関しますものでございますが、全部について御説明すればよろしゅうございますけれども、そのうちの一例をとりまして、どういうふうにすればよいかということを技術的に申し上げてみたいと思います。 まず、大気汚染について考えますと、たとえば石炭を燃焼いたしましたときに発生いたします公害、これはすすとか、あるいはばいじん、こまかい粉じんでございますが、こういうものによって発生するわけでございます。 左側の四角に囲ってあるカッコの中のすす、粉じんというのは、有害な、害を与えるものの名前でございます。 さて、石炭を燃焼いたしますと、その燃焼によって、こういうすすでございますとか、あるいは粉じんを発生いたすわけでございます。そこで、すすのもとになります石炭の中の煙のもとをとれば、少なくとも煙のすすの害はなくなる。次に、燃焼段階におきまして、すすが出ないようにする、あるいは灰が飛び散らないようにする、これは燃焼技術及び燃焼機の改良によってそれができるわけであります。今度出ましたときには、その燃焼後に出ますガスの中の粉じんを集め、出ないようにする、そういうことによって害を与えないようにすることができるわけであります。先ほどの例にありましたように、重油燃焼の場合には亜硫酸ガスのようなものが害になるわけであります。そこで、重油の中の亜硫酸ガスのもとになる硫黄を分離して取ってしまうということが一番もとになるわけでありますが、たとえば、燃焼に際しましても、硫黄を固定いたしますようなものを一緒に突っ込んで燃すというような、燃焼方法の改良によっても果たせるわけであります。それから、出ました亜硫酸ガスを煙突に出る前に洗い取る、あるいは固体に吸着させて取るというような方法があるわけでございます。こういうふうに、公害を与えないようにするのにもいろいろな手段が考えられるわけでございます。 ついでに簡単に御説明申し上げますと、二枚目の表は水質汚濁に関するものでありまして、これはちょっと表現が前のと変わっておりますが、まん中にいろいろな名前が出ておりまして、これが発生源であります。左側のほうは、これがどういう影響を与えるかという例示でありますし、右側のほうは対策であります。 さて、こういった方向が考えられるわけでございますが、それならば、これを研究するにはどういうことをやればいいかということになるわけでございます。それが三枚目に書いてございますが、公害の種類といたしましては、大気汚染、水質汚濁、あるいは騒音、振動というようなことがあるわけでございます。先ほど申しましたとおり、それを防止するための技術対策といたしまして研究項目となるものが、まん中に書いてあるものであります。これに関連いたします技術としては、関連技術と書いてありますが、ここにありますように、電気工学、化学工学、装置工学、機械工学、燃焼工学、プロセス工学あるいは微生物工学、こういういろいろな技術と、それから測定その他に関しましては、物理学あるいは化学というような基礎的なサイエンスの問題があるわけでございます。したがいまして、この防止技術に関しましては、非常に広範な科学と技術のコンビネーションを考えないといけないわけでございます。現在までにわれわれのところで——私どものほうには十三の試験研究機関がございますが、それらの各部門におきまして、それぞれを総合いたしまして研究を進めてまいったわけでございます。 その次に、工業技術院特別研究費一覧という表がございます。工業技術院傘下の研究機関におきましては、研究費が経常費と特別研究費に分かれておりまして、特別研究費と申しますのは、特定の大きな問題、金額を大きく必要とする特別の問題についてこれが出されるものであります。そうして経常研究費は、主として基礎的な問題について出しておるものでございます。ここにございますのは、三十九年度と四十年度の現在提出しております予算の関係でございます。左側にいろいろな研究項目が書いてございまして、まん中にございますのが、どの試験研究機関が担当しておるかということでございます。その次は三十九年度の予算でございまして、特別研究費だけで七千数百万円、経常研究費は三千五百万円でございます。四十年度に提出しております予算につきましては、特別研究費を、この三十九年度の二倍をこえます一億九千三百万円というふうに増額をお願いしておるわけでございます。 このほかに、われわれの試験研究機関並びに工業技術院といたしましては、こういうふうな研究によって得ました成果、たとえばどれだけ汚染をしておるかというような分析試験の方法、こういったものを確立いたしました場合には、これをJIS化いたしまして、これを使っていただく。と申しますのは、有害物質の量その他をまず測定しなければならぬわけでございますが、この場合に、方法、装置などの違いによりましていろいろなデータが出ますと、これを比較するのに非常にむずかしくなるわけでございまして、そこでこれを規格化しておるわけでございます。 それから、先ほどの説明にもありましたとおりに、公設機関、府県等にございますいろいろな機関の指導をやって、技術的な問題に対する指導を行なっておるわけでございます。 以上のようなのが概略で、ございます。 そこで、どういうふうなことをやっているか、先ほどの御説明にございましたが、「昭和四〇年度産業公害対策について」という縦書きの資料の中の四ページ以降のところでちょっとごらん願いたいと思います。 まず、産業公害特別研究費の大幅増額、これは先ほど御説明いたしましたとおりに、七千数百万円を約三億にお願いしょうということでございます。 それから、風洞関係、廃水処理に関しますデモンストレーション・プラント、そういうものに関する試験並びに研究を行なうために、産業公害研究開発部というものを新しくつくる。この金額その他はここに書いてあるとおりでございます。 先ほども御説明申し上げましたとおりに、この問題に関する専門分野は非常に広うございます。したがって、現在私どもの傘下にございますいろいろな試験研究所で、いろいろな方面から、それぞれの専門からこの問題に取り組んでおるわけでございます。したがって、この間の調整あるいは民間に対する研究開発などを強力に推進いたすために、産業公害担当の研究調整官というものをお願いしておるわけでございます。 以上で御説明を終わります。
○保科委員長 次は、経済企画庁鈴木水資源局長。
○鈴木(喜)政府委員 お手元に「水質保全行政について」という資料がございます。このほか「水質調査基本計画」あるいは「公共用水域の水質の保全に関する法律及び同法施行令等」こういうのがございます。このうち「水質保全行政について」という資料で、水質保全関係の概要を御説明したいと思います。 私ども経済企画庁の水資源局におきましては、水行政の一半を占めるものとしまして、水質汚濁の防止につきまして基本的な事項をやっておるわけでございます。この中心になります水質保全法、正確には、別につけてございます公共用水域の水質の保全に関する法律でございますが、これはいわば基本法的なものでございまして、これの実施法は、通産省その他が所管しております工排法——略称でございますが、その他、鉱山保安法、水洗炭業法、下水道法、こういうものが実施法になっておりまして、いわば二本立てになっておるわけでございます。 公害一般につきましては先ほど通産省のほうから詳細に御説明がございましたので、そのうちの水質汚濁関係につきまして、あるいは若干ダブる点があると思いますが、水質汚濁行政につきましては比較的早い時期からやっておりますので、やや詳しく御説明したいと思います。 公害の中で若干水質汚濁関係の特殊な姿があると思うのでございますが、最近問題になっております隅田川等都市河川につきましては、当然、公害一般としまして環境衛生的な面が被害の中心になるわけでございますが、全国的に見ますと、いろいろ被害件数等から見ましても、水産あるいは農地あるいは上水道、こういったものが問題の中心になってきたわけでございます。したがいまして、若干の都市河川は別でございますが、全国的に見ますと、やはり産業間の水の利用の調整をはかるということがいままで主体となって行なわれてきた、そのために水質保全法におきましては、その調整の基準、これが水質基準でございますが、それをつくって、それに基づいて関係各省がそれぞれの関係法律に基づいて規制を行なっていく、こういう立て方でございます。また一面、そういうことでございますので、水質のいろいろな紛争につきまして、従来の民事裁判と違いました和解の仲介制度というのを法律の一つの重要な柱としておるわけでございます。 以下、資料に基づきまして若干御説明いたします。 一ページに「水質汚濁の主原因とその規制法」と書いてございます。これは水質汚濁関係の規制の目ぼしいものを書いたわけでございます。一から八まで、いろいろな法律が水質汚濁の防止につきまして規定しておるわけでございますが、具体的に規制の基準をつくりまして、それに基づいて厳格な規制をするのが、一から四でございます。これらが最近の水質汚濁問題の中心になっているというわけでございます。一は、工場、事業場からの排水、二は、鉱山、事業場からの排水、三が、水洗炭業の事業場からの排水、四が、下水道からの排水ということでございます。 それから二番目としまして、汚濁除害施設の整備でございますが、われわれとしましては、発生源である企業自身が、社会的な責任としまして、除害施設につきましては当然自己負担するのが原則であると思っておりますが、同時に、非常にそれの原因がはっきりしない場合もございますし、それからわが国の産業の特殊性としまして、中小企業のウエートが非常に大きい、こういうようなこともございまして、国においても応分の負担をすると申しますか、助成について考えておるわけでございます。これは先ほど通産省で御説明ございましたので、省略いたします。 それから、除害施設として最も一般的なものでございますが、二番目に書いてございますように、こういう一般的な防除施設につきましては、当然、国なり地方団体が社会資本の整備という観点からやっていくべきだと思いますが、下水道その他の生活環境整備措置でございます。 それから三番目としましては、河川のしゅんせつ、浄化用水の導入等でございまして、現に隅田川におきましても、水資源開発公団が、行ないました利根導水路の一部を使いまして新河岸川から河川の浄化用水を入れて浄化にある程度の貢献をしておる、こういうことでございます。 それから四番目でございますが、工場または住宅団地の建設における事前指導でございまして、工場立地調査法等に規定しておるわけでございますが、最近盛んに進められております新産都市あるいは工業整備地域等の建設計画におきましても、それぞれ公害の事前指導の計画が盛られておるわけでございます。 五番目が、現実に起きました紛争の和解仲介制度でございまして、これは水質保全法等に規定されておるわけでございますが、この1から5までの一部を経済企画庁の水質源局が担当しておるわけでございます。 二の、水質保全法の概要でございますが、水質保全法は、先ほど来御説明いたしましたとおり、水質汚濁の防止につきましての基本法的な役割りを果たしておるわけでございまして、その中心がこの三番目に書いてございます指定水域及び水質基準の設定でございます。 その前に、二番目にございますように、全国の水域につきまして、あらかじめ調査河川を指定いたしまして、それに基づきまして調査を進めていくということで、現在、三十六年に水質審議会の議を経まして告示をしてございますが、別にお配りしてあります資料にもございますように、百二十一水域が調査基本計画の調査水域として決定されておるわけでございます。 それから、三番目の水質基準が中心でございますが、この水質基準は、いわば工業用水の排水の基準でございまして、排水のところで具体的に規制していこうということでございます。この水質基準ができました場合には、(4)にございますように、関係行政機関の長は水質基準を順守することになっておるわけでございますが、これを受けて、たとえば工排法あるいは下水道法等が具体的な規制をやっていくわけでございます。これらの仕事にあたりましては、非常に専門的科学的な知識も要するわけでございますし、経済企画庁の付属機関としまして、五番目の水質審議会ができておるわけでございまして、これには委員が二十名おりまして、当然に関係各省にまたがる仕事でございますので、関係各省の次官も委員の一部になっておるわけでございます。 それから、水質保全法の二番目の柱が、(6)の和解仲介制度でございますが、御承知のように、水質汚濁問題——公害全部について同様でございますが、非常にそれの発生ないし被害の因果関係が技術的でございましてむずかしいというような点もございますし、また被害そのものにつきましても評価がなかなかむずかしい、こういうことで普通の民事裁判には適当でないということで、和解仲介制度を設けておるわけでございます。これは都道府県知事が、あらかじめ十五人以内の仲介員をきめておきまして、具体的な案件が出てきました場合、その中から五人の仲介員を指定して仲介をやっていくわけでございます。 いままでのこの水質保全法の実施法が工排法等でございますが、工排法等につきましても、これは現に通産省その他が所管でございますが、具体的な規制はこれでやっていきますので、簡単に御説明いたします。 これの二番目に規制の対象が書いてございますが、汚水等を排出する施設、いわゆる特定施設といわれておるわけでございますが、現在、政令で五十二項目が定められまして、大蔵大臣以下五省にまたがっております。具体的には関係各省の出先機関ないし都道府県知事にその監督権限が委任されておるわけでございます。 これが規制の内容の重点でございますが、これは五番目にございます汚水等の処理方法の改善等の命令でございまして、各関係主務大臣が、工場排水の水質基準に違反している場合には、その排出する工場等に対しまして、処理方法の改善あるいはその排水します特定施設の使用の一時停止命令を出すことができるようになっております。 その他、水質測定義務なり、国の援助、あるいは罰則等を規定しているわけでございます。 その次の六ページに以上の関係を図示してございますが、この図面でごらんになっていただきますように、最初の調査基本計画、これは先ほど申し上げました、すでに百二十一水域につきまして決定公表されておるわけでございますが、これに基づきまして毎年度調査を進めておりまして、三十九年度までに、後ほどの資料にございますが、四十五水域の調査を終わっております。これらの調査は当然通年調査も必要でございますので、一年ないし二年の調査をやりまして、それを整理解析した上で水質審議会に諮問する、その答申を受けまして経済企画庁長官が指定水域の指定と水質基準の設定を行ない、その基準に基づきまして、二番目の実施監督は関係大臣がそれぞれの根拠法に基づきましてやっていく、こういう立て方になっているわけでございます。 それから次は、企画庁関係の予算でございますが、企画庁におきましては調査が中心でございますので、ここにあがっておりますような水質調査費を中心として、その他紛争仲介のための交付金等が予算のおもなものでございます。 それから八ページでございますが、いままでの水域調査とそれの対策の概況でございます。この法律が施行になりました三十四年以来、三十八年度までに三十七水域の調査を終わっております。その内訳は、そこに書いてございますように、具体的に水質基準が審議会を経て決定いたしまして、現に実施中のものが九水域でございます。それから現在水質審議会に付託中のものが五水域、近く審議会に審議付託しようとしておりますものが七水域でございます。それから調査の結果を整理解析中のものが七水域、そのほかに、調査は済みましたが、その後漁業権が消滅いたしましたり、あるいはこれについての強力な除害施設の工事が現に進んでおるというようなことで、当面水質基準の設定を見合わせているものが九水域ございます。なお、本年度は八水域を現在調査中でございます。それの内訳は、次に出ております表でごらん願いたいと思います。 それから一枚飛ばしまして、十一ページに、水質保全法のもう一つの柱でございます和解仲介制度の実施の状況がございますが、三十四年度に法施行以来、各都道府県知事に申し立てられた件数が二十五件でございまして、そのうち解決いたしましたものが十九件でございます。それらの個所別の表は、次に掲げておるような状況でございます。 以上、簡単でございますが、水質保全行政について概要を御説明いたしました。
○保科委員長 次は、矢野参事官。
○矢野説明員 お手元に「国民生活局の設置について」という薄い資料がございますから、それを御参照いただきたいと思います。 公害防止行政の総合調整という観点から、若干所見を述べさしていただきます。 経済企画庁では、今国会に経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を提出しておりますが、この主体は国民生活局の設置であります。国民生活局の設置の必要性等この設置に関連します問題は、ここの主題ではございませんので省略させていただきますが、お手元の資料の最初のページにもありますように、国民生活行政を推進していく必要件につきましては、わが国経済は、近年の著しい発展によって、産業構造の高度化、国際競争力の強化、所得水準の向上、雇用状態の改善など目ざましい成果を遂げてきた、しかしながら、他方、この間において、ややもすれば国民生活の質的な面がおろそかにされがちになり、さらに、その向上を阻害するような事情も見られるようになっておりまして、今後は、これらの阻害要因を積極的に取り除くのみならず、経済成長の成果が真に国民福祉の向上に結びつくよう強力な施策を推進すべきである、こういうことが国民生活行政の推進、ひいては国民生活局の設置の必要性の根拠でありますが、このうちにありますように、経済の発展はもとより国民生活の向上の重要な基本的な要素になるわけでありますが、ややもしますと、その経済の発展に伴って、ある面では国民生活の向上を阻害するような面もないわけではない、また、そうした阻害要因を積極的に取り除くということも必要だ、これがまさにこの公害の問題が国民生活の向上という面に非常に重要な関連があるということを申しておるわけであります。 ところで、この公害防止行政につきましては、公害の発生という面から見ましても、あるいはその影響を受けるという側から見ましても、非常に多岐にわたっておりまして、また行政機関としましても各省に直接間接に広くまたがっておるわけであります。また今後さらにこういう公害の問題はますます広範になっていくかと思うわけでありますが、そういたしますと、当然公害防止行政を強力に推進する、あるいはその効果を十分発揮させるためには、その総合調整という問題が今後ますます重要になってくるかと存じます。昨年臨時行政調査会の行政機構改革に関する答申の中では、この公害防止行政につきまして、当面、内閣府に調整官を設け、そのうちの一人を担当者として公害防止行政の総合調整に当たらせるが、恒久的な機関については別途また考慮するということで、この点につきましてまだ明確な結論は出しておりません。しかし、いずれにしましても、国民生活の向上安定という面から考えます場合に、当然、この公害の問題につきまして、その基本的な経済政策の立案、あるいはそういう立場からの総合調整という問題が重要にならざるを得ないというように考えております。 これはあくまでも現在国会に提出されております国民生活局の設置が可決されるという前提に立ちました考え方でありまして、いま当面の問題ではございませんが、あらかじめ、国民生活行政と公害の総合調整ということとの関連につきまして所見を申し述べさしていただいた次第であります。
○保科委員長 次は、厚生省舘林環境衛生局長。
○舘林(宣)政府委員 「昭和四十年度公害対策について」というパンフレットが、ございますので、ごらん願いたいと思います。細長い研究項目の資料もございますが、本日はこの資料だけについて御説明申し上げます。厚生行政の立場から公害対策を立てていきます厚生省の考え方、あるいは公害の把握のしかたということを簡明に御説明申し上げます。それからまた、いままですでにだいぶ各省から御説明がございましたので、なるべくダブらないようにいたします。 公害の考え方でございますが、何を公害というかというような一番基本的な定義の問題があるわけでありますが、そのものの考え方は別としまして、これから御説明申しあげますのは、公害をその態様の面からとらえた——すでに通産省から同じとらえ方の御説明がございましたが、やはり私どももその線に沿って、大気汚染あるいは水質汚濁、騒音、こういう形でとらえて御説明申し上げたいと思います。 大気汚染で一番問題になっておりますのは、ばい煙の問題でございますが、ばい煙と申しますのは、いわゆるすすでございます。空に浮遊いたしておりますちりの中には、非常に大きい粒子のものと小型のものとございます。小型のものはそのまま地上に落下することなくて、長期間空中に舞っておるわけであります。その小型のものは浮遊粉じんと申しまして、大型のもの、煙突から出て間もなく地上に落下するものをばいじんと私どもは申しております。最近の厚生省の測定によりますと、ばいじんの量は、一ヵ月平均、日本の都市では一平方キロ当たり二十ないし三十トンでございまして、これらのばいじんの量を外国と比べてみますと、西独が大体わが国のばいじん量に比較できるのでございます。比較的多い都市は、釜石、札幌、大牟田、北九州、大阪等でございます。イギリスあるいはアメリカはわが国よりやや少ないのでございます。このばいじんのおもな原因は、石炭を燃料とする場合でございますので、最近はばいじん量は減少の傾向にございます。 ばいじんはやや減少の傾向にございましても、浮遊粉じんはやや増加する傾向があるわけでございまして、東京都内の私どもの測定値では、ここに書いてございますように、イギリス、アメリカにおける都市の測定結果よりは非常に多いという状況でございます。これらの非常に小型のものが人体の肺のわりあい深部に入っていって影響するということで、実際問題としてはばいじんよりは相当重要視しなければならない種類のものでございます。 次は亜硫酸ガスでございますが、空気中に放出される有毒ガスの中で、実際上最も問題となるものは亜硫酸ガスでございます。亜硫酸ガスは各種の燃料から出てまいりますが、現在のわが国の都市で一番問題になりますのは石油燃料でございます。特に亜硫酸ガスの発生量の多いと思われますのは、三ページの一番最後に書いてございます火力発電所あるいは石油精製、石油化学産業というような系統の産業から比較的多く出てくるわけでありまして、特にわが国で亜硫酸ガスが問題となりますのは、使用の石油がわりあい硫黄分を多く含んでおる、二・五%前後の硫黄分を含んでおるということから、亜硫酸ガスの量がかなり多いわけであります。その亜硫酸ガスの量がどのくらいになったら人体に影響するかということは、厳密なことはなお確定いたしておりませんけれども、現在〇・二PPM以上になりますと、ぜんそくの患者の症状が少しふえてくるという状況でございます。 次に、自動車の排気ガスでございますが、わが国においても最近自動車の排気ガスが非常に問題となっております。自動車の排気ガスには各種の有毒物質がございますが、一番問題となっておりますのは一酸化炭素でありまして、それに続いて酸化窒素とか二酸化窒素とか、そういう種類のものでございます。そのほか、炭化水素、フォルムアルデヒド、鉛化合物、硫黄酸化物、すす等がございます。一酸化炭素はガソリン車が主でございまして、ディーゼル車はばい煙を比較的多く排気するわけでございます。この一酸化炭素が人体にどのような影響を与えるかということは、自動車の排気ガスを比較的多く吸う職業に従事しておる交通巡査の血液等を調べてみますと、慢性中毒を起こしておるという事例が証明されております。 今後ますます自動車の排気ガスの問題は大きな問題となってくるものと思うわけでございますが、この対策は、排気ガスから有毒ガスをとる技術上のかなりむずかしい問題があるわけでございます。それで、ばい煙規制法によりまして大気汚染に対する対策を立てておるわけでございますが、これはすでに通産省から御説明がありましたので、省略いたします。 水質汚濁、これも経済企画庁から詳しい御説明がございましたので、省略いたしますが、近年多摩川等で見られるように、水質の汚染が水道の水源を汚染する、あるいは隅田川におけるがごとく、公衆衛生上といいますか、環境衛生上の問題を惹起するということで、新しい河川を水質保全法で指定するという問題が起こっておるわけでありますが、これらの法律によって指定をいたしましても、相当程度以上の規模の施設に対しての規制でございまして、たとえば、実際問題として多摩川等ではし尿が流れ込むというような、規制外の対象による汚染度が相当多いわけであります。したがいまして、下水道とか、その他し尿対策を進めなければ、十分な汚濁防止ができないという実態がございます。それから、河川の汚濁防止をどの程度までやるかということは、実際問題としてかなりむずかしい問題でございますが、一応の基準として、BOD+PPM以下、DO——と申しますのは溶存酸素の量でございますが、一PPM以上、こういう数値が目安になるわけでありまして、この程度に河川がなれば、いわゆる悪臭を感じない、あるいは河川が自浄作用で腐敗しない、こういう数値でございます。 次が騒音及び振動でございますが、いわゆる公害として苦情が出てまいるのは、むしろこの騒音及び振動が一番市民の身近な問題でございますので、件数としては一番多いわけでございます。最近、各種交通機関、工場、建築現場、宣伝放送、あるいは航空機のジェット化というような問題がございまして、大きな問題となっておるわけであります。この騒音の防止というのは、実態上はなかなかむずかしい。しかもわが国のように人口が非常に棚密で平野の少ない地域におきましては、騒音問題が社会問題として非常に大きな問題となっておるわけであります。 次が悪臭でございますが、最近の化学工業の発達で、先般川崎あるいは名古屋市の南部というようなところでございましたが、石油化学工業に基因するメルカプタン、あるいは化学繊維、パルプ工場の硫化物、油脂、肥料、ゴム、でん粉工場、魚介類の腸、骨、ごみ処理場というようなものが悪臭の根源でございます。これは騒音と相並んでこれから対策に努力をしなければならない非常にむずかしい問題でございます。 公害防止対策として厚生省が四十年度に進めていきますものは、八ページをごらんいただきますと、通産省から御説明がありましたように、公害防止事業団の設置、これは両省共管でございます。それから公害衛生の研究体制の確立。環境基準を設定し、公害の影響の究明をする、あるいは先ほど申しましたし尿処理施設、下水の終末処理方式、ごみ焼却場の焼却装置というような面での公害防除装置の研究ということが基本的な科学技術上の問題でございますので、これらの面で研究体制を強力に推進するために、まず、公害調査研究の委託費を二千万円計上いたしまして、既存の大学、研究所、専門団体に研究を委託する、第二は、環境基準をつくるために主要な場所に大気汚染測定網をつくるという目標で、さしあたり四十年度は三ヵ所の自動記録装置を配置いたしたい、それを中央に集めまして分析センターにおいて分析をし、実態を知るということをいたしたいと考えております。なお、ばい煙が人体に及ぼす影響を本年度に引き続きまして調査をするために、千三百万円をもって大阪、四日市において調査いたしたい。 それから従来法的な措置の不十分でございました自動車の排気ガスあるいは騒音という面を究明するために、調査費を計上いたしておるわけであります。 また、新産都市、工業整備特別地域等におきまして、あらかじめ、公害が発生しないような計画を推進するために、調査費を計上いたしまして、通産省と共同で事前調査をして指導してまいりたい、かように考えております。 その他、既定行政の強化としまして、公害に関する厚生行政所管の分野の審議をしていただくための審議会を設置する、また、ばい煙規制法に基づいて、地域指定をするための調査費、あるいはいままで法的に規制していない有害ガスの指定をする準備のための調査費、及び都道府県の公害に関する検査をするための施設を強化するための補助金を二千三百万円ほど計上してございます。 以上でございます。
○保科委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午後一時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後二時四十一分散会