外務委員会 第20号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/05/12
会議録
○安藤委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣にお尋ねいたします。 この前の委員会で佐藤内閣のアジア外交政策について質問を始めたのですが、時間がなくて、きょうはその続きで、条約を審議するお約束もありますから十分時間がありませんが、当面二点についてお尋ねをいたしたい。第一は対中国政策について、第二は予想されるAA会議に対する政府の方針、これはベトナムに対するアメリカの侵略行為を目の前に控えてのAA会議でございますから、その点において特に重要であると考えるわけです。 そこで、順を追うてお尋ねいたしますが、先般、非常に無理解な妨害の態度をとられて、四月末に期限になっておりましたビニロンプラントに対する取引は、ついに政府の妨害によってこれは破壊をされたわけです。その後、川島特使がジャカルタにおいて周総理に会う機会が、スカルノのあっせんを依頼した結果できたわけですが、そのときに一体どういう接触をされたのか。政府並びに与党の皆さんは、行き詰まっておる日中問題に対して川島・周会談が行なわれたことは、これは今後の新しい前進のために非常に有益であったと言った。ところが、その後、北京の中日友好協会の会長である廖承志氏——廖承志氏は御承知のとおり政府の機関である外事弁理処の責任者の一人であり、対日政策については重要な政府機関内における地位を占めている人物であることは言うまでもありません。その廖承志氏が公の声明の中で、周・川島会談については何か楽観的な報道が行なわれておるようだけれども何らの期待を持ち得るべきものでないということで、会談に至りました経過並びに内容について、そういう、たまたま交差点で会ったと同じだといろ意味の一それにひとしいような談話が発表ざれたわけです。そのことについてはいまだ政府並びに党から何らの御意見もないようだし、内容についての発表もないようですが、川島・周会談で一体何を話してどういう前進が行なわれたのか、それを受け取って佐藤内閣は対中国政策についてどういう前向きの政策を具体的におとりになろうとしているのか、そのことについてまず外務大臣から一括して御報告とともに御意見をこの際明らかにしていただきたいのであります。
○椎名国務大臣 川島・周会談につきましては、会談の内容はお互いに公表しないという約束だそうでございまして、したがって、大体において私は承知をいたしておりますが、公表しないという申し合わせでございますので、これを破るわけにはまいりません。どうぞさよう御了承を願います。
○穗積委員 内容は公表しないということであっても、廖承志さんも、公表はしてないけれども、期待は持つべからず、何らの幻想すら持てないということを言っている。ところが、日本側は、ビニロンプラントの破壊以後、この会談によっていかにも何らかの将来への糸口あるいは希望的印象が持てたごとく国民に発表しているわけです。いずれでありますか。
○椎名国務大臣 具体的な問題を取り上げて右左に決定するというような申し合わせはなかったようでございます。
○穗積委員 申し合わせどころか、われわれも仄聞をいたしておりまして大体は推測がつくのです。すなわち、川島特使に渡した外務省案というものは、従来の外務省の考え方からすれば大体は推測がつく。それらは全部実らざる会談であった。つまり、日本側の対中国の判断において、非常な甘い観測というか、無原則な観測をしておったために、軽くいなされて、何らの発展の糸口にもならなければ、また、日本がいかにアジアの情勢なり対中国に対して原則もなければ理解も認識も欠いておるかということを暴露したにすぎないというのが会談の実情ではないかという印象を両談話の中からわれわれはくみ取るわけだ。そういう意味で、日本側との間における会談の印象について、これが一体前向きに役立った、政治的効果をあげたものであるか、そうではないのか、その点を私は聞いておるわけです。内容は、具体的に一々発表しないという相互の信義があるなら、また秘密会等で伺うこともできましょう。ここでは発表されないというならそれはやむを得ないけれども、その印象を私は伺っておるわけですね。
○椎名国務大臣 まあ印象といっても表現が非常にむずかしいわけでありますが、私は、川島・周恩来両氏の会談は、やはり会談そのものに非常な意義があったものと考えております。それを何か全然無意義であるとか空虚であるとかいったような表現のしかたは、私は適当なあらわし方ではないと考えます。
○穗積委員 川島・周会談の政治的評価というものに対して、中国問題を前向きにせしめるために意義があったという評価を外相はしておられるわけですが、一体どういう評価でございましょうか。その評価の、意義のあったという内容を具体的にひとつ明らかにしていただきたいのです。
○椎名国務大臣 それは、それを明らかにすることができないのはまことに残念でございますが、会談の内容にいずれ触れることにならざるを得ないので……。ただ、私は、政治的評価としては相当な価値、意義があったもの、かように考えておるのでありまして、なぜ一体それじゃ政治的評価が相当なものであるかという、その理由はどうも申し上げにくいのでございますので、御了承願いたいと思います。
○穗積委員 会談の内容を、川島がどういうことを言って、周総理がどういうことを答えた、あるいは向こうからこういう話があって、こちらはこういうことを言ったということを、私はここで公開の席上で具体的に話しにくいならそれを要求するわけではない。しかし、日中間の問題というのは、そこの会談で初めて出た問題ではない。出ておる中のどれかが取り上げられたに違いない。大体推測はつきます。したがって、それでは順を追うてお尋ねをいたしましょう。 対中国政策の中で、まず第一、貿易問題が問題になろうと思うのです。これは平和五原則、お互いに内政不干渉、そうして互恵平等、これはもう明確な両国間の原則であるわけですね。そのもとに立つ貿易の発展というものが、これは両国人民の圧倒的希望であるわけです。その利益は一方の国民にのみ利益であるのではなく、相互に利益であるということでございましょう。それが、池田内閣のときには、輸銀が使われて延べ払いもどんどん進もうという姿勢を示し、姿勢だけではなくて、現に大原のプラントは成就したわけです。ところが、第二のプラントであるニチボーのプラントについては、佐藤内閣、椎名外務大臣によって破壊された。これは当然取り戻すべきものである。続いて問題になっておる日立の造船の問題についても同様である。船舶の問題についても同様であると思うのです。これを一体どうして打開されるつもりであるのか、それをまず第一お尋ねをいたします。そういうことが一体ジャカルタ会談においてどれだけの効果、意義を発揮したのか、それとの関連においてお答えいただいてもけっこうです。いずれにいたしましても、会談によって問題が起きたのではなくて、起きておる問題というのは、もう秘密にするもしないもありはしない。国民的に理解され、国民的に願望されておる問題でございます。したがって、まず第一には、輸銀使用を中心とする対中国貿易についてのこのいまの行き詰まりを外務省は一体どういうふうに打開されるのか、ジャカルタ会談がそれにどういう意義を果たしたのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
○椎名国務大臣 具体的な懸案問題についてお互いに討議して結論を出すというような目的でその会見が行なわれたのではないのでありますから、あるいはそういう話は出たかも知らぬけれども、それを討議して結論を出すというような場ではない。ただ考え方をお互いに発表した、そして別れたというような性質のものだと私は解釈しております。そういうような意味において、問題のビニロンプラントの問題をどういうふうに話したというような場面はどうもなかったように思われます。
○穗積委員 私が言ったのは、川島・周会談で輸銀の問題、貿易の問題を具体的に話したのか話さないのか、そういうことを私は聞いておるのではないのです。それとは別に、当面国民的に問題になっている政治問題といえば、貿易についてはプラント輸出の問題を中心とするLT貿易が非常な危機に当面をしておる。その原因は、佐藤内閣の政治的破壊によってこれが行き詰まっておる。せっかく一九六三年以後開いてまいりましたLT貿易というものが、一路発展の方向へ向かっておったものが、これによってLTの拡大は非常に望みが薄い、そして車の片側である友好貿易だけがやや発展の望みが持てるというのが現状でございましょう。したがって、私はそのことを聞いているのです。川島・周会談の中で貿易の問題が出なかったから——私も具体的な話があったとは聞いていないのですけれども、あったから責任がある、話がなかったから責任がないということではないでしょう。当面これはどうしても解決しなければならない問題なんです。
○椎名国務大臣 ビニロンプラントの輸出金融の問題でありますが、輸銀の問題は貿易金融の一つの方法にすぎない。その問題にあまり拘泥して両国の大局的な経済交流というものを忘れるというようなことはとるべきでないし、また、そういう結果にはならないものと私は考えております。現に、最近の中共貿易を見ますと、一月から二月、この二カ月間の貿易実績を見ますと、前年同期よりもほとんど倍の実績を示しておる。これが三月以降においても決して衰える形勢にはないのでございまして、ただ貿易金融の一方法についてそこに見解の相違があったからといって、両国の貿易全体がそのために非常な破綻を来たすというようなことはあり得ないことであるし、また現実においてもそういうことにはなっておらないということを御了解を願いたいと思います。
○穗積委員 はなはだ心外の御発言でございます。貿易が伸びておるのは政府の力じゃない。両国の経済がそれを必要としておるからであり、その背景のもとに民間の商社のあらゆる努力の結果そういうふうになっているだけです。政府はそれを妨害しておる。妨害をしておっても伸びておるのです。それだけのことです。それで政府はいかにも伸ばしてやったがごとき御発言というものは、これはもうわれわれははなはだ心外に存ずるわけでございまして、そうではなくて、LTの中心というものは、長期総合、延べ払い制度を含むものであったわけです。それが中心になっておった。それによって日本の重化学工業をはじめとする基幹産業についても長期総合の計画的な取引を始めよう、そういうようなことで、従来の、いま伸びておると言われた友好取引のほかに、LT貿易なるものが特別の新しいルートとして発展をしてきたわけです。民間の努力で伸びておるからということが、政府の政策が正しいとか、それで満足しておっていいということにはさらにならない。いまのおことばですと、それじゃこの輸銀の問題あるいはプラントの問題等はこのまま当分やらなくてかまわないというように聞こえますが、そういうことでしょうか。
○椎名国務大臣 いま申し上げるように、これは貿易金融の一形態にすぎないのでありまして、あまりこれにこだわって貿易全体の方向を誤るというようなことは今日においては考えられないことでございます。実績においてもさようになっておるのでありまして、これは貿易金融の一形態にすぎない。他にも幾らでもその方法はあるのでありまして、あまりこれにこだわる必要はないように私は考えております。
○穗積委員 われわれもそう理解しておる。輸銀の問題というのは、この前再々申すように、延べ払いはもう商取引の一つの方法にすぎなくなってきている、そういうことですね。そこで、そうなりますと、ヨーロッパは金利が安いがわが国は金利が高い、それでは不利であるというので輸銀というものをつくって、ヨーロッパ並みの延べ払い金利で取引ができる、貿易の発展ができるということをやった。一方法にすぎないわけです。それをこだわっておるのは政府じゃないですか。日本政府だけですよ。初めは中国は、これは輸銀を使おうが民間銀行を使おうが、それは日本の国内の経済問題ですということでおったのを、あれをからませて、輸銀を使うことは台湾に対する約束違反になるのだ、したがって、これは単なる経済金融の一貿易の方法の問題ではない、形態の問題ではない、これは大きな政治問題なんだ、外交問題なんだと言い出したのはあなた方じゃないですか。盗人たけだけしいとはまさにこのことなんです。だれもこんなものを、あなたの輩下の事務官僚ですら、こんなものは一つの貿易上のメソッドにすぎないということに考えておったのを、外交問題であり政治問題であるとこれを取り上げたのは、佐藤内閣であり、あなたじゃないですか。あべこべのことを言っておるのだ。そんなことがよく言えますね。のみならず、あなた方が、そういうふうに、これは貿易の一形態の問題ではない、政治問題であり外交問題であると言ったから、それが大きなじゃまになって、石ころになって、車が前に進まない。こういうことで事実停とんしているじゃないですか。停とんするはずがないと言っても、事実はそれを原因として停とんしているんですよ。その原因、そのブレーキをかけた石はだれが置いたかというと、佐藤内閣が置いた。それをいまになって、一形態、一メソッドの一部分にすぎない、そんなことにとらわれるのはおかしいと、まさに盗人たけだけしい御発言でございまして、これはこのままあなたのほうへ申し上げたい。その一さまつなメソッドであることになぜ一体こだわっておられるのですか。それなら、かまわないことであるならば、すぐお使いになったらどうですか。池田内閣ですら使ったものを佐藤内閣で使えないはずはない。まさに貿易に対する要望は国民的世論として発展しているわけです。どうですか。一形態というのなら、かまわずあっさり使ったらどうですか。そのためにつくっているのですから。御答弁を願います。
○椎名国務大臣 いろいろないきさつがございましたので、この問題については慎重に取り扱いたいと考えております。
○穗積委員 慎重とはどういうことですか。慎重慎重で日が暮れて、時期を逸しますよ。そんなことで政府の責任が果たせますか。そんな無責任な内閣なら、内閣を辞職してかわってもらいたい。これはもう国民のほうはいたる世論であり、日本経済の要求であり、国際的常識なんです。ヨーロッパ諸国、ヨーロッパ並み・ヨーロッパ並みと、アメリカにおそれをなして、それを隠れみのにしたそのヨーロッパはどんどんやっておるのです。なぶやらないのでしょう。政治的偏見による破壊にすぎないじゃないですか。日本の前の池田内閣がやったことが、ことしになって、佐藤内閣になって、椎名外務大臣になってこれを破壊するとはどういうことでしょうか。あなたのおっしゃった一さまつな貿易取引の金融の方法にすぎない、形態にすぎないその手段を、一体こういう外交問題、政治問題に取り上げて、それを進行する車に対して列車妨害をしているのはあなた自身じゃありませんか。慎重にやるというのはどうやって慎重にやるのですか。みな待っているのです。しびれを切らしているのです。車を運転する責任のある内閣が慎重慎重では、いつまでも車は前へ進まない。そんなことで責任が果たせるでしょうか。慎重に何を検討するのですか。もっと責任のある答弁をしていただかなければ、これは国会を開いてこうして審議をいたしましても意味がないですね。もう問答無用ということでしょう。委員長もお聞きのとおりです。そういうことで条約だけ通せといったって、われわれそういうものに協力するわけにはいきませんよ。そういうことなら、問答無用ということでございます。けんかをやろうということです。力でやろうということじゃないですか。やらぬものはやらぬのだから、やるまで黙っておれということでしょう。椎名さん、あなたのいまの慎重にするからそれまで黙っておれということは、やらぬものはやらぬ、やるときはやるから、それまで黙っておれということでしょう。この問題はあなた自身に私すべき問題ではありません、中国問題、貿易問題というのは。どうぞもっと誠意を持ってお答えいただきたいのです。
○椎名国務大臣 この問題は、具体的には、もう先方が契約を破棄いたしましたので、いまは具体的な問題としては存在しないのであります。
○穗積委員 破棄したって、破棄せしめた原因はこっちがつくったのですから、期限が来たから自然に消滅したというわけです。だから、今後はどうするのですか。このままほうっておくのか。輸銀は一メソッドにすぎないのだからそんなことは気にするな、政治的に取り上げて問題にするのがおかしいんだという態度で、今度新しく再契約の話が出たときには、これに対してお使いになりますか。
○椎名国務大臣 いや、これをこの方法にあくまでたよるという考えがあるのかないのか、それからまず検討してかからなければならぬのでありまして、これは当事者の考えることであります。ただ、これが提起ざれた場合には、従来のいきさつからかんがみて、政府としては、慎重にこれを取り扱わざるを得ない、こういう立場にありますので、その点はここで明確に申し上げて、おきます。
○穗積委員 それじゃもう契約の内容、契約の条件というものは一わかっているのです。したがって、四月末で期限が切れたから一ぺん自然消滅したということになった。それじゃ、ニチボー並びに中国側、当事者間でもう一度再契約が始まったときには、輸銀の融資というものは政治的にあまり気にする必要のない単なる一メソッドである、したがってこれはあっさりお認めになるということでいいわけですね。さっきおっしゃったことはそういう意味ですね。何を気にするんだということなんです。
○椎名国務大臣 私は、貿易金融の一手段であるのでありますから、他の方法を考える余地もあるということを申し上げたつもりでおります。この輸銀に関する限りは、従来のいきさつもありまして、勢い慎重ならざるを得ない。で、貿易金融としては、これのみでない、他にもいろいろ有効な方法手段というものがあり得るはずでありますから、そういうものを研究したならばどうか、こう私どもは考えておるわけでありまして、この問題だけにこだわって、そして両国の貿易全体にひびを入らせるような考え方は日本政府としてはとっておらない、こういうことを申し上げたのであります。
○穗積委員 日本政府もまた貿易問題の目標というものが貿易を拡大することであるといまおっしゃったわけだが、そうであるならば、そのためにはいまの貿易融資の一方法として輸銀の問題というのは重要なんです。しかも、これを外交的に政治的にからませないであっさりと理解すべきものだとあなたはおっしゃった。そうであるなら、なぜ一体中国に対してのみ輸銀が使えないのか。あっさり使ったらいいじゃありませんか。他の国と差別する理由はどこにあるか、伺いたいというのです。
○椎名国務大臣 ただいまの段階においては、これを慎重に取り扱う、こういう方針でございます。
○穗積委員 どこが慎重を要する点なんでしょうか。
○椎名国務大臣 大体おわかりだろうと思いますが、いろいろいきさつがございまして、慎重に取り扱わざるを得ない立場にありますので、どうぞ御了承願います。
○穗積委員 それはすなわち輸銀という金融機関の経済上の理由にあるのではなくて、いま外務大臣の言われた融資の一方法、形態というものを政治的、外交的にこんがらかしてあなたの頭や佐藤さんの頭の中で考えているから、それが従来のいきさつだ、だからそれを検討しなければならぬ、こういうのでしょう。言うことが矛盾していないでしょうか。聡明なあなたがそろいう矛盾した論理で国民を納得させよう、私の質問をはぐらかそうとされても、これは論理になっていないと思うのです、先ほどから伺っておって。なぜ中国に対してのみこの問題にこだわって不公平な取り扱いをしなければならないのか、それがさっぱり理解ができない、納得がいかない、了承ができない。それで一体どうして中国問題を打開されるつもりでしょうか。 外務省、私はちょっと外務省の諸君にも含んで聞いていただきたいのですが、外務省の検討の中で、川島さんが立つ前に、中国問題をどうする、四月末の輸銀の問題、その前の船の問題も三月末期限が切れた、迫ってきて、そのときどうするかというときに、中国問題をベトナム問題にからませて、ベトナム問題で米中の本格的な対立があるかもしれぬ、そうなると輸銀の問題なんというのはすっ飛んでしまう、そうすると、すっ飛ばしたのは日本政府の無理解なる責任ではなくて、アメリカと中国との正面衝突、すなわちアメリカの責任において日中問題はすっ飛んでしまったんだということで政治的責任を嫁転できる可能性がある、そういう情勢もベトナム情勢の発展の中で考えられる、したがって当分ほおかぶりしていけというような、実に卑屈な、実にアジア外交問題というものを消極的に破壊する、消極的な姿勢を持ちながら実は破壊を目標にしておるそういう判断・意見が外務省内において、おそるべきことでありますけれども、憤慨すべきことであるけれども、あった。いま、さっきから外務大臣の御答弁を聞いておると、それに結びつけられる一つの点をなしておるわけです。そういうことでありますから、川島特使ですら、いままで外交問題やらないで、白紙で臨んでみて、わが外務省は一体何ごとであるか、外務省はアジア問題について一体どれだけの勉強をしているんだ、どれだけの見通しを持っているんだ、どれだけの情熱を持っているんだといって憤慨されたということが権威ある新聞を通じて国民の前に報道されている。これは当然のことだと思うんですね。結局何もないということでしょう。それで、佐藤内閣は、アジア外交をやるんだ、中国問題については真剣にやるんだといって公約されておる。ところが、何もやらないで、破壊したままで、それで慎重だ慎重だと言って、慎重ということですが、実際は破壊なんです。列車の進行をとめたまま何らの努力もしていない、責任も感じていない、これが事実じゃないでしょうか。アジア局長は一体どういう分析をして外務大臣をリードしておられるのですか。川島特使ですら憤慨しておるというのだから、責任上ここで外務省の事務当局の最高幹部の情勢分析なり判断というものを聞かしてもらいたい。後宮局長さん、どうですか。敬意を表してあなたに質問をしてあげるんだから、一体何を考えておるかということだ。貿易問題をどうやって解決するつもりですか。聡明なる内田経済局参事官がおられるが、御意見があったら伺いたいものだ。局長どうですか。これはいまの私と大臣との問答を聞いて国民ははがゆくなる。質問者が吉田茂さんなら水をぶっかけるところだ。
○後宮政府委員 一般的なアジア政策と一事務当局者の……。
○穗積委員 中国問題をどうやって打開するかということを聞くんですよ。
○後宮政府委員 ただ、具体的な問題といたしまして、いま御質問のございました、川島特使が御出発の前に、この中共貿易問題とベトナム問題とからめて、中共貿易問題について特に消極的態度をとっていいというような意見があったかどうかという点でございますが、その問題は、御出発前にそういう議論は私の承知する限り全然出ておりません。アジア問題全般について外務事務当局が消極的だという批判が各方面にあることは承知して、自粛自戒しているところでございますが、まあ方向は別といたしまして、マレーシア紛争の調停の問題にいたしましても、あるいは表面では何もしていないといろ批判のありますベトナム問題等につきましても、最高首脳部のほうではいろいろ心を砕いておられることも仄聞しております次第でございまして、全然何も動いていないというわけでもないような気がいたします。
○穗積委員 大臣、それじゃもうまるでいまの分析も判断もないということなんだ。そこで、あなたまかせ、幹部まかせということで御答弁がありましたが、そうなると、一体だれが考えておるかということに対してわれわれは不安を抱かるざを得ないんですね。対中国、対アジア政策というものは日本政府の中でどこでも考えられていない、アメリカまかせ、人まかせということです。それで、発言をしておるのは何かといえば、アメリカのベトナム戦争を支持しているだけです。それ以外に何もやってない。それで、十億ドルに即してこれからアジア開発銀行をつくって協力していこう、それ以外にないじゃないですか。日本政府の独自のアジア政策なんか一つもない。全部破壊だ。それで、何も考えてない、何も責任を感じていない。一体、こういう外務省、こういう内閣というものがあるでしょうか。国内における期待、並びに国際的にも、アジア・アフリカ地区において日本政府が東西問題・南北問題のちょうど交差点に立って、ここで重大な経済外交並びに政治的活動を期待されているときです。そのとき、いま伺いますと、何も考えていない、何もないということでしょう。それでは、日中問題に対しても、これから慎重にすると言って、どうやって打開するつもりですか。積極かつ真剣に日中問題を解決して、日中問題こそがアジア外交の中心だという設定をしたわけでしょう。その日中問題に対して何らやっていない。貿易が伸びておるといって宣伝されたが、それは政府の妨害にかかわらず民間が伸ばした結果にすぎないのです。われわれは失望して、われわれは怒りを感じて、こういうことで国会における審議をやりましても意味がないと思うのですね。外務大臣どうですか、総括的にもう一ぺん、一体中国問題を具体的にどう打開していくのか、慎重にはいいけれども、具体的にどういうことの判断のもとに今後打開をしていかれるのか。積極的な態度、姿勢というものがあってしかるべきだと思うのです。
○椎名国務大臣 経済問題については、もろ申し上げるまでもなく、政経分離の方針で積み上げて、両国の貿易の発展を推進する、こういう態度であります。いま問題になっておる輸出貿易金融の問題につきましては、これは一つの方法にすぎないのでありまして、他の方法がないわけじゃない。 一、二の案件についてこれを認めないからといって両国の貿易が全く崩壊するというものではない。現に一、二月の輸出入は全体といたしましてもう昨年の同期の二倍とはいきませんけれども約八割方著増しておるような状況でありまして、われわれは、この日中経済交流の問題については、従来の大方針に基づいてこの問題を推進してまいりたい考えであります。ただ、これに関連する一つの貿易金融の形態としての輸銀の問題については、従来のいきさつもありますので、ここのところ慎重にひとつ取り扱ってまいりたい、こういうことを、繰り返し申し上げるようでありますが、御了承を願いたいと思います。
○穗積委員 輸銀融資にかわる一つの方法とはどういうことを意味しておられますか。
○椎名国務大臣 それはひとつ、業界のくろうと筋が自分で考えて政府に申し出ることがあるならば申し出る、あるいは自分で工夫してもっと有利な方法がもし発見できるなら発見してやってもらう、こういうことでひとつ、これは国家貿易じゃありませんから、当業者が考えて、おのずから自分の進む道を発見してもらいたい。政治はあとからこれをあと押しずる。少なくとも日本に関する限りはこういうたてまえでございます。中国は、これは国家貿易でありますから、何もかにも統制して、政治と経済が合体してやっておる。日本はあくまで分離の原則によってやっておりますから、他の方法についてはひとつ当業者が大いに頭を働かして考えてもらう、政府が手伝うことがありましたらそれをお手伝いする、こういうふうにしていきたいと思います。
○穗積委員 そうすると、民間融資または第三国の銀行の融資ということになりますね。そんなばかばかしいことで日中貿易問題が打開できるとお考えでしょうか。何のために一体輸銀だけを、池田内閣は使った輸銀を佐藤内閣が使えないのか。これはゆゆしい問題じゃありませんか。それこそ政治的偏向だと思うのです。政経分離も何もありませんよ。ゆゆしい政治的偏向じゃございませんか。しかも一方的。他の方法とはそれじゃ民間融資または第三国融資ということですか。
○椎名国務大臣 それはいろいろあるだろうと思うのでありますが、とにかく、それは直接貿易に携わる当事者がそれを発見する、考えるということでございますから、もし申し出があって、政府の及ぶ限りにおいてそれを助成することができますれば、そのときに政府としては考えたい、こういうわけでございます。
○穗積委員 私のほうから言いますと、たいへん失礼ですけれども、不誠意、無責任な御答弁を繰り返されるだけで、さっぱり前へ進まないものですから、時間のみを空費をいたしてしまいまして、時間が切れたらもうこれで済むのだからいいのだとお考えになっているのかもしれぬが、そういう態度は聡明な椎名さんの得意とされるところかもしれませんが、その聡明さというものは主観的であって、政治的には非常にマイナスであり、とらざるところであるということを御忠告申し上げたい。首に綱をつけて答弁をさすわけにはいきませんから、はなはだ不満の意を表しながら、もう一点だけ、あとに質問者もありますから、AA会議に対する政府の方針を伺っておきたい。 第二回AA会議については、第一回AA会議のときよりは情勢並びに雰囲気がだいぶ趣を異にしてまいっております。特に、先ほど申しますように、ベトナム問題を控えてのアジア会議でございますから、非常に真剣であり、白熱することが予想される。そうなりますと、御承知のとおり、例の非同盟二十五カ国会議も、この間のカイロ会議におきましてはユーゴとインドとがいろいろ多少の妥協的な工作をしたけれども、これはもう全然嘲笑のもとにネグレクトされてしまって、中立諸国同盟会議というものはAA会議と同様に、反帝国主義、反植民地主義の旗じるしを高く掲げる結果になった。したがって、AA会議あるいは三A会議というもののみならず、中立諸国の会議の動向も圧倒的に反帝国主義、反植民地主義が中心になっておるわけです。特に、アジア問題というのは、日本が明治以後三A地区における唯一の独立国としてやってきた。そして帝国主義または植民地政策の加害者であった。ところが、今日、アジア会議、AA会議というものの中心は、南北問題に示されるように、圧倒的に、帝国主義侵略あるいは植民地搾取、これをはねのける、そしてまず何よりもその国の社会制度以前に共通している問題の民族の完全独立をかちとりたい、こういうことです。そしてまた、その完全独立をかちとる過程において経済的植民地主義の支配・搾取をはねのけていきたい、そして公平にして平等な、ひものつかない経済協力を先進諸国に求める、それが中心になるわけでしょう。ところが、政府は、中国並びにインドネシアライン、すなわち反アメリカ帝国主義、反新植民地主義の色彩をアメリカの代弁者のようになってこれを薄める、ベトナムのアメリカ侵略戦争に対する攻撃をやわらげる、こういう姿勢で第二回AA会議に臨み、その事前工作として、大野特使を中間派的な態度をとっておると思われる諸国に派遣をして、事前に反中国あるいは中国・ベトナムラインに対する対立勢力をつくって臨もうという動きを示しておるわけです。これはもうAA精神に対する裏切りでございまして、こういうことでベトナムに対する侵略戦争のアメリカ帝国主義の誤った政策に対する攻撃をやわらげようというようなことをやって、そして、一方においては、アメリカの金で買うような十億ドルの対外後進国援助、その馬に乗って日本が、アジア開発銀行をつくって、それの三分の一の資金は自己資金を出して、そして東南アジアに反共勢力をつくっていこう、反中国勢力をつくっていこう、こういう進出のしかた自身が私は新植民地主義の危険を包蔵するものだと思う。 そういう心配を持ちながら私は次のことをお尋ねいたしますが、AA会議対策として大野特使を各国に派遣されるという案が外務省を中心にして出されておるようでありますが、これは事実でございましょうか。
○椎名国務大臣 私もけさの新聞を見て驚いたのでありますが、外務省ではさような決定はいたしておりません。
○穗積委員 決定は見ておりませんが、可能性はどうでございますか。
○椎名国務大臣 少なくとも、特使をあらかじめ派遣してAAグループの中に対立を深めるような考え方は、これは絶対にとるべきではない、そう考えております。
○穗積委員 きのうきょうの日本の責任ある中央紙というものは、これを重大な問題として取り上げて報道しておるわけです。これが新聞記者の夢想から出てきたものではないと私は思うのです。これは外務省で何らかそういう原因をつくるというか、そういうことが流れたと思うのですが、後宮さん、そういう意見は全然ございませんでしたか。火もないのに煙が出てくるはずはないと思うのです。しかも権威ある各新聞が取り上げておるわけです。決定はしておらぬかもしれないが、そういう構想なり意見なりというものがあるにきまっていると思う。その目標は、反帝国主義、反植民地主義をやわらげる、そして中国・インドネシアラインとは違った別の勢力をつくってAA会議に乗り込もう、こういうことが明瞭に受け取れる報道になっておるわけです。どういうことですか。
○椎名国務大臣 いま申し上げますとおり、私自身が驚いておるので、外務省といたしましては、責任者は少なくともさような意図を持っておりません。
○穗積委員 それでは後宮さんにお尋ねしますが、あの記事というものは各新聞社の全くの空想的記事であるということでございましょうか。
○後宮政府委員 私も実はけさの新聞で驚いたのでございますが、想像できます根拠といたしましては、先々週からいわゆる四者会談が行なわれましたあとの新聞記事に、特使と申しますか、特派大使ということばは使ってございませんでしたが、会議の前に意思疎通をはかるためにだれかを派遣するような話も出たというような新聞記事が当時ございましたが、おそらくそれが何か根拠になってスペキュレーションの記事が出たと思いますが、まだ事務レベルにおいても全然そういう特使派遣ということは議論されておりません。
○穗積委員 報道によりますと、あさっての午後一時から政府並びに党の首脳者、椎名外務大臣も含む打ち合わせ会が佐藤総理、総裁の主宰のもとに行なわれる、その中においてこの基本方針並びに具体的な方針が討議されるのだ、こういうことになっております。そうなりますと、これはあるいは党のほうから出たものであるかもしない。そういうことでもし出ましたときは、一体、当面の外交の責任者である椎名外務大臣は、AA会議の準備行動として、大野さんであるかどうかは別として、まず第一、こういう特使を各国に事前運動としてお出しになるつもりであるかどうか。もう切迫しておりますから、いずれにしても外務省の構想というものはあるべきだと思うのですね。
○椎名国務大臣 外務省は御承知のとおり全世界に店を張っておる。人がしょっちゅう出たり入ったり、あるいは特使の人が回ったり、いろんな用件、目的を持って動いております。だから、近い将来人が絶対にもう行きもしなければ来もしないというような、こういうお約束はできません。できませんけれども、少なくとも、AA会議の対立を深刻にするような、そういう意図をもって人を派遣するとか、そういったようなことはいたしません。
○穗積委員 対立の意図ではなくて、融和の意図でもいいです。何でもいいけれども、とにかく、AA会議の準備行動として、こういう特使を各国遊説あるいは調査にお出しになるかならぬかということを聞いているのです。説明の、その目的の対外的な発表のことばは別にいたしましてですね。
○椎名国務大臣 人を出す出さぬというようなことについてのお約束はできません。ただ、AA会議の対立のみぞを深めるというような、そういう意図をもって何らかの工作をするということは、これはあり得ない。
○穗積委員 それから、AA会議にちょうど時期を同じゅういたしまして、——側面的にはジョンソンがまるでわれわれが帝国主義を規定したことを姿を持ってやってくれた。一方においては、原子爆弾をほのめかしながら武力による民族独立運動を弾圧する。一方においては、十億ドルの金のえさをもって、これでろうらくし、支配と搾取をやろう。これはまさに帝国主義の正体を姿の上に暴露してくれたわけです。これに呼応いたしまして、今度のアジアにおけるAA会議とちょうど時期を同じゅういたしまして、日本が最近活発になったのは、一昨日の対外経済援助の協力週間における佐藤総理の積極的な姿勢、それから続いて、外務省を中心に討議されているという、アメリカの十億ドル援助の問題と並行してアジア開発銀行の創設の意向、ある意味における、ベトナム問題以後におけるいまのAA会議、AA対策の一つの方向として取り上げようとしておる姿勢が明瞭に出てきておる。これはすなわち、中国問題は遮断をしてしまって、そうして、一方においては、いま言いましたような対立的な方向が外交の上でも経済援助の面でも非常にアクチブに佐藤内閣によって進むということが明瞭になってきつつあるわけです。 そこで私はお尋ねいたしますが、このアジア開発銀行の構想というものは、外務省中心で検討されておるようですが、一体どういうお考えであるのか。それから、もう一つは、米綿の委託加工による無償配給の問題が正式にもう外務省にアメリカ政府から申し入れがあったようですけれども、これの内容を報告していただいて、そうしてこれに対する日本政府の態度方針を明らかにしていただきたい。これは二つとも経済的な政策でありますから……。
○内田説明員 お答え申し上げます。 御指摘のアジア開銀問題は、先月のウェリントンでありましたエカフェできめたものでございまして、そのエカフェできめたラインに沿って、どの程度日本が貢献できるかということを検討しております。 それから、次の米綿加工の点につきましては、詳細はまだわかりませんので、もう少し検討さしていただきたいと存じます。
○穗積委員 申し入れのあったことは事実ですか。
○内田説明員 米綿加工というものがどうかというようなサウンディングはございましたけれども、具体的な点については、非常に不明な点がございますので、まだ承知しておりません。
○穗積委員 エカフェのウ・ニュン氏が来日されて、外務省と接触される予定のようですが、どういうことになっておりますか。いまの開銀の問題、あるいは世界銀行の問題を含んでですね。
○後宮政府委員 私、直接の所管でございませんので、完全に今度のウ・ニュン氏の使命を知悉しているわけではございませんが、私が横から聞いておるところでは、おもにアジア・ハイウェー等の問題について日本側と話をしたい……。
○穗積委員 ハイウエーだけではないでしょう。開発銀行の問題も含んでいるでしょう。いまの内田さんの御説明のとおり……。
○後宮政府委員 私の承知している限りでは、まだエカフェと直接に結びつくところまで開発銀行の話は進んでいないのではないかというふうに承知しておりますが、エカフェ自身の態度も、十億ドルの話の問題についてどういう態度をとるかということはまだはっきりきまっていないように承知しております。
○穗積委員 私の言っているのは、アジア開銀のことを言っているのです。それは外務省と大蔵省、通産省等日本国内における関係役所との間の下打ち合わせ程度でもまだ接触は始まっていないのですが。もうすでに外務省では相当開銀の問題についてはコンクリートにアクチブに進めておられるのではないですか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 アジア開銀につきましてのわが国の協力ぶりにつきましては、これは実は経済協力局の所管でございまして、私よく存じておりませんが、後刻調べた上御報告申し上げます。
○穗積委員 それから、そのほかのAA会議に臨む外務省の態度としては、中国・インドネシアライン、すなわち、ベトナムの侵略戦争を前にしてのアジア・アフリカ第二回会議というものは、反帝国主義、反新植民地ということ、これはむしろ積極的に日本もこれに同調支持すべき態度をもって臨むべきである。それを何かやわらげたりベトナム戦争の侵略を弁護するような態度で臨んで、そのかわりに金で頭をなでるような態度でアジア外交を佐藤内閣が進められようとしておるようだが、そういうことは誤りであると同時に、これはとうてい成功しないとわれわれは思うのです。与党と野党の間における議運の話し合いというような程度のことでお考えになって、そうして外へ行って第二回会議にお臨みになると、これはむしろはじき出されて恥をかいて帰る。アジアの裏切り者日本というような刻印をすら押される。そういう意図のもとの経済援助というものは、これは、日本は卑屈にもアメリカの経済援助を受けて、そうしておめかけ生活をだいぶやってきておりますから、他の国も貧乏人はみなそうであろうくらいに思ってお臨みになりますと、この南側に対する、すなわちアジア・アフリカ諸地域に対する経済援助というものも、これは失敗する。だからこそ、韓国の学生ですら日の丸を焼いたり、あるいは日本商社の看板に火をつけたりする思想が日本の外務当局に理解をされないわけです。だから、ベトコンの正体についての松本俊一さんの正しい報告すら、少数に孤立せしめてはじき出してしまう。こういう無理解な反動的な態度をとられる結果になっておるわけです。そういうことを私は御忠告を事前に申し上げながら、実は大野特使をもってするそういう軟化工作の事前運動はおやめになるべきであるということを私は御忠告申し上げたいと思うのです。いまの経済援助の問題については、新植民地主義として受け取られる危険が私は日本の姿勢の中に非常に多いと思うので、そこで、そのことについては、今後外務省は開銀なりあるいは米綿委託加工の問題なりについて慎重にひとつ基本原則の中で討議をして、そしてわれわれのそういう国民的な心配なり反対の意見というものを十分盛り込んで検討していただきたいということを強く私は要求いたしておきたいと思うのです。 最後に大臣にお尋ねいたしたいのは、今度は事前運動ではなくて、本格的な第二回AA会議に対する外務省の代表団派遣の方針についてこの際明らかにしておいていただきたい。この二回会議については、国民は非常な関心を持っていると思うのです。先ほど言いましたように、第一回の高碕使節団が参りましたときの空気、情勢とは非常に違っております。そしてまた、時の日本の政府の姿勢も違っておる。そういう不安と心配があるだけに、第二回AA会議に対する佐藤内閣の方針というものが非常に関心を持たれるから、最近各新聞ともこれを大きく報道して、そして政府の動きというものをずっと見守っておるというのが実情であろうと思うのです。そのやさきにおける外務委員会でありますから、当外務委員会を通じて、そういう国民的な関心というものを踏まえて、ひとつ椎名外務大臣からAA会議に対する方針を一括してこの際明らかにしていただきたい。時間がありませんので、もうこれで他の次の質問者に席を譲りたいと思いますから、再質問しないで済むように、ひとつ積極的に責任のある御答弁をわずらわしたいと思います。
○椎名国務大臣 いろいろ予想される問題等もありますので、ただいま外務省を中心にしてせっかく勉強しておる最中であります。近くアジア地域の公館長会議も東京において開かれる運びになっております。その会議の直接のメンバーではなくとも、アフリカ方面からも二、三の公館長をオブザーバーとして列席せしめて、今後AA会議に臨む態度なり方針なりを取りきめたい。そして、政府与党の方面にも十分に協議連絡をとりまして、この会議に出席する日本の態度というものを最終的にきめてまいりたい、こう考えております。でありますから、いまここで詳しく申し上げる段階にはなっておりません。あくまで国連の尊重、国際協力というものによって自由と平和を守っていく、こういうような構想のもとに臨んでまいりたいと考えておりますが、これ以上のことはただいまはここで申し上げる段階に達しておりませんので、さよう御了承願います。
○穗積委員 ちょっと一言だけ。四月のジャカルタの予備会議でも、新植民地主義反対、帝国主義反対を議題にするということは、あれは十の仮議題でございましたか、その中に筆頭に出ておるわけです。国連なんという問題はあとのほうですよ、国連の改組なり強化は。はぐらかしちゃいけませんよ。
○椎名国務大臣 そういったような問題につきましても、ただいま検討中でございます。
○安藤委員長 西村関一君。
○西村(関)委員 ベトナム戦争はますます苛烈かつ危険な状態に突入いたしているのでございますが、本日の新聞によりますと、南ベトナム軍の将兵が沖縄でゲリラ訓練を受けておるということが報道せられております。これは、沖縄の人たちは申すに及ばず、われわれ日本国民といたしまして看過することのできない問題だと思うのでございます。新聞によりますというと、「南ベトナム政府軍の将兵が沖縄で対ベトコン戦の訓練を受けていたことが十一日、一行の帰国で明らかにされた。一行はベトナム政府軍えり抜きの海兵隊将校五人、下士官五人の計十人で、三十日間沖縄本島中部太平洋岸の金武村にあるキャンプ・ハンセンに配置され、夜間演習など対ベトコン戦の訓練を受け、」云々とあります。こういうことが従来からあるのではないかということをわれわれは想像しておったのでございますが、新聞記事によりますというと、このことが事実であるということが明らかにされたのであります。この点につきまして外務大臣はどのようにこれを受け取っておいでになりますか。
○椎名国務大臣 私もこういう事実は事前に情報を受けておりません。しかし、これは条約上は別にこれに対して日本がとやかく文句を言う根拠はないと私は考えております。
○西村(関)委員 それでは、その条約の根拠はどういうところにあるのでございますか。
○椎名国務大臣 沖縄に関しましてはアメリカが三権を持っておる、こういう情勢にあるのでありますから、沖縄の中においてどういうことをしようと、これは何ら差しつかえないことではないかと考えております。
○西村(関)委員 少なくとも沖縄は日本の国土であります。条約上アメリカが沖縄において何をやろうとも差しつかえがないということでありましても、日本としては重大な関心を払うのは当然だと思うのであります。特にベトナム戦争に対しましては、日米安保条約の取りきめもありますけれども、日本政府としては独自の立場に立ってこれが一日も早く終息することについて指導的な役割りを果たしていかなければならないということは、大臣も言明しておられるところでありまして、そういうことも考えあわせまして、沖縄がその他の面におきましてもベトナム戦争に対してアメリカ側に加担をする、協力をするという形に進められてまいりますことは、国民として重大な関心を払うのは当然であります。沖縄島民、沖縄にあるところのわが同胞はこれに対して猛烈な反対を行なっておるということも本日の新聞にあらわれておるところでございますが、沖縄の与野党を含めて全島民が本土復帰を願っているときに、ただ条約においては差しつかえがないという日本の外務大臣の答弁が本委員会においてなされたということでは、これはおそらく、沖縄の全島復帰を願っているところの島民、しかも平和を願っているところの沖縄の人たちに対して非常な刺激を与え、かつ、われわれといたしましても、こういう形で沖縄が今後も南ベトナム政府軍の将兵の訓練の場に使われる、また、それが他の国たとえばフィリピンであるとかその他の韓国であるとかというような国の将兵のベトナム戦に参加するための訓練の場に使われるということは、これは重大な問題だと思うのでございますが、これに対しまして、外務大臣としては、ただ条約上アメリカが何をやろうと差しつかえないのだということだけで、それ以上の御発言がないということは非常に遺憾だと思うのでございますが、再度外務大臣の御答弁を願いたいと思います。
○椎名国務大臣 これはどういう状態なのか実際問題をまだつまびらかにしておりませんが、とにかく、これだけのことでありますれば、施政権をアメリカが持っておる状況においては、私はこれに干渉する何らの根拠はないと考えております。
○西村(関)委員 アメリカが施政権を持っている以上は日本政府としては干渉する権利は持っていない、政府当局としてそういう御発言があることは、政府の立場としてこれはやむを得ないことだと思いますけれども、しかし、そういうことだけでもって、こういうことがどんどん続けられていくということに対して大臣は一体どういうお気持ちをお持ちになるか。これは条約上どうにもできないのだから、施政権を持っているアメリカがやることだからどうにもしょうがないのだということと、ベトナム戦争に対して自主外交を行なおうという日本政府の立場との間に、私は少なくとも精神的な矛盾があると思う。条約上矛盾がないといたしましても、精神的に大きな矛盾があると思う。そういう点に対しまして、今後こういうことがどんどん続けられていくということは、むしろ日本がアジアにおける自主外交を行なうという上から大きな支障になると思うのであります。そういう点に対しまして大臣はどういうふうにこれをお取り上げになっておられますか。
○椎名国務大臣 問題は、南ベトナムにおけるベトコンというものをどういうふうに理解するかという問題でありますが、そのベトコンというものの思想なり主義なりというものは民族主義にあるのか、あるいは共産主義にあるのか、それは深く問題にする必要のないことであって、結局、その行為、いわゆるゲリラ活動をして国内を撹乱する、あるいは良民を殺戮する、そういうゲリラ行為に対してこれをどういうふうに見るかという問題から出発しなければならぬと思うのであります。これは放置すべき問題ではない。やはり、とにかくあらゆる有形無形の方法によってこのゲリラ行動というものを終息させるということが少なくとも必要であり大切なことであるというならば、その一つの手段としてこれに対する訓練をするということは、私は、差しつかえないんじゃないか、やむを得ざる一つのやはり自衛の行為ではないか、かように考えておるわけであります。
○西村(関)委員 南ベトナム解放民族戦線の軍隊が南ベトナムにおいてゲリラ活動をやっている、それは一体何のためにやっているか。そういう活動、いわゆるゲリラ活動を起こさざるを得なくなってきた事情は一体どこにあるかという点につきましても、これはアメリカの軍及び政府の言うことだけでなしに、もっと事実に即して日本政府としては深く検討しなければならないと思うのであります。戦争ともなれば、いずれの側がきれいな戦争でいずれの側がきたない戦争だということは言えない。食うか食われるかの立場に立って戦闘を繰り返す上において、実に悲惨なことが行なわれる。この悲惨な点、暴虐な点ということから言うならば、南ベトナム解放民族戦線軍、アメリカ側の言ういわゆるベトコン、あるいは南ベトナム政府軍の言うベトコンのとっておる態度と、南ベトナム政府軍及びアメリカ軍のとっておる軍事行動とどちらがひどいかということになれば、私は、もう比較にならぬくらいに南ベトナム政府軍や特にアメリカ軍のとっておる行動が、これは治安を撹乱するところの南ベトナム解放民族戦線の部隊をやっつけるためにやむを得ないんだという立場に立つとはいえ、非常な悪逆な戦闘行為を行なっている。大臣もごらんになったと思いますが、先般のNTVのテレビ放送を見ましても、南ベトナムの将兵がベトコンをつかまえて、まず指を切ってしまう。そうしてまた首をはねて、その首をぶらぶらぶら下げておるというような場面がテレビに映ってくる。私は思わず知らずもう見ることができないでスイッチを切った。正視できないようなことが行なわれておる。また、さらにアメリカ軍は、大臣も御承知のとおり、ナパーム弾を使っている。しかも、そのナパーム弾は大半が日本においてつくられておる。一発の爆弾でもって二キロ四方にあるところのものが一切焼けただれてしまうというような日本製の爆弾を無差別に南ベトナムの農村地帯にたたき込んでおる。黄燐爆弾あり、毒ガス弾あり、これらの化学兵器を使って、そうして無辜の住民を殺戮しておる。また、大量バーベキュー作戦といいますか、実に一個大隊規模の部隊を焼き殺してしまうというようなことまでやっている。そういう状態を考えるときに、大臣の言われる、治安を撹乱しているところのベトコンに対して、これをやっつけるためにあらゆる訓練を行なうことは当然のことだ、そのために日本の沖縄が使われるということもやむを得ないのだ、——やむを得ないと言われない。大臣はそれは当然のことだというような言い方をしておられる。それでは全く自主的な外交を行なうという資格があるとは私は考えられない。そこに、条約上の問題はともかくといたしまして、何らかの痛みを感ずる、何らかの問題解決への深い配慮を持った言動があってしかるべきだと私は思うのであります。ただ、ベトコンをやっつけるために沖縄がゲリラ戦の訓練場に使われるということはあたりまえだというような言い方をなさったのでは、これは私は問題の解決にならないばかりか非常に大きな禍根を残すと思うのであります。特に、このために迷惑をこうむっているところの沖縄の人たちがどういうふうにこれを受け取るか。いままで沖縄において、米軍の演習あるいはまた米軍が指導しているところのほかの国からやってきた連中が訓練を受けているということのためにどういう被害があったかということは、これはもういままでいろいろ報道されておる。ある学校においては一時間のうち八回も爆音のためにほとんど授業ができない。演習のためにきょうも学校休み、あしたも学校休みというような学校が、沖縄全土にわたって半分以上もある。正確な数字が報道されておりますけれども、いまそういうことを私はここで一々こまかく取り上げるつもりはございませんけれども、非常な迷惑を与えておる。そういう点に対しまして総理府は一体どういうふうに考えていますか。
○薄説明員 お話のように、戦後二十年を経過しまして、沖縄の方々が復帰したいという希望が非常に強くて、私どももすみやかにその実現の日が来ることを期待しておるのでありますが、アメリカの施政の範囲内の問題につきまして一々これに容喙するということになることは、いろいろ望ましくないのじゃないかと思っております。ただ、お話のような住民の安寧福祉に関する問題につきましては、協議委員会等も設置されておりますし、さらにそういうものを通じていろいろ申し入れることは十分努力していきたいと思います。
○西村(関)委員 外務大臣、このゲリラ戦の訓練は学校の校庭で行なわれておる。そのために授業ができないというところがずいぶんたくさん出ているのであります。そういうことを御存じでしょうか。こういうことに対して、南ベトナムのベトコンをやっつけるためにどのようなことをアメリカがやってもそれはあたりまえだというような言い方をするということは、私は許されぬと思う。もし必要ならば、私はここではっきり新聞記事を皆さんに申し上げてもいいのです。しかし、そういうことを一々ここで言わなくても、学校の校庭を使ってゲリラ戦の訓練をやっている。現に毒ガス弾の被害を受けた学童がある。爆音のために授業を放棄した学校が幾多ある。本島北部の六十九の小中学校のうち二十九校が、同じく中部では六十校のうち二十三校が演習のために授業に差しつかえているという状態であの。また、運般車から、ホークミサイルのあの爆弾が運搬している途中から落ちて、交通遮断になって非常な迷惑を受けたというような事例も報道されている。いろいろな問題があるのであります。こういうことに対して、総理府としては、いろいろな機関を通じて住民の利益に反するようなことについてはアメリカ側と討議する機会があるということでありますけれども、そういうことだけでは私は問題の解決にならぬと思う。きょうの新聞に報道せられたように、南ベトナム政府軍のよりすぐった将兵が沖縄においてこのような訓練を受けて、意気揚々と帰っていく。また第二の将兵を送り込むことになるだろうといったようなことを空港で発言している。防衛庁としてはこういう問題についてアメリカ側と事前に話をしたことがありますか。あるいはこういうことにつきまして防衛庁としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○島田(豊)政府委員 自衛隊と米軍との訓練の関係ということにつきましては、これは、自衛隊の訓練の場合に米軍の協力を得まして演習等を行なうということはございますけれども、米軍の要請によりまして自衛隊が共同の訓練に参加するというふうなことはございません。沖縄における米軍の訓練に自衛隊が参加する、あるいはその指導を受けるというふうなことがあるかどうかということでございますけれども、そういう事実は全くございません。ただ、防衛研修所の学生、それから陸上自衛隊の幹部候補生学校並びに幹部学校の学生、航空自衛隊の幹部候補生学校の学生、それから統合幕僚学校の学生、こういう学生諸君が、主として沖縄におきますところの戦跡の見学、第二次大戦の戦史の研究並びに米軍の装備・施設等の見学を目的といたしまして、数日間現地に参りましてそういういろいろな研修を受ける、こういうことはございますけれども、これは、米軍の演習に参加する、あるいはその指導を受けるというようなことは全くないのでございまして、あくまで、学生の一般的な国際的視野を広めるといいますか、そういう意味の研修を行なっているのにすぎないのでございます。
○西村(関)委員 去る一月の下句にウォーターズ・アメリカ太平洋方面陸軍総司令官が極東に参りまして、日本にも立ち寄った。もちろん沖縄、南朝鮮にも立ち寄っておる。その際防衛庁の天野陸幕長とウォーターズ氏が会見をいたしまして、主として補給関係の問題について話をしたということを聞いておりますが、これは、ベトナム戦争がいよいよ苛烈になってきておるのに関係をいたしまして、そういう問題を主として日本の防衛庁当局と話し合ったというふうに伝えられておりますが、その点はいかがですか。
○島田(豊)政府委員 私はそういう事実を聞いておりませんので、何ともお答え申し上げようがありませんが、そういうことはあり得ないというふうに私は考えております。
○西村(関)委員 日米兵たん協定というものはまだできてないと思うのでございます。が、しかし、日本でつくられるところの兵器また軍需物資等はすべてアメリカ軍の正規の規格に合わしてつくられておる、NATOの規格に合うようにつくられておるということでありますが、こういう点につきまして、防衛庁としてはこれをどういうふうに受け取っておられるのですか。
○島田(豊)政府委員 これは共同作戦の問題あるいはそういう補給の相互協力という問題になりますので、私、教育局長でございますので、所掌外になりますけれども、直接侵害を受けました場合に、日米が安保体制のもとにおきまして共同で日本の防衛をやるという場合には、相互にそういう武器の補給の協力というような関係も当然含まれると思いますので、そういう場合に備えまして、弾種につきまして、同じような弾種を日本としても確保しておくということは、そういう共同作戦の面からいきましてプラスになるというふうに考えますので、そういうことは十分あり得るというふうに考えます。
○西村(関)委員 条約局長にお伺いしますが、日米兵たん協定というものがまだできていないのにこういうことが行なわれておるということは、これでいいのですかどうですか。
○藤崎政府委員 条約上の権利義務ということでなしに、これが何かお互いに事実上の問題として有利であるからということで規格を統一するということが行なわれましても、それは特に条約上あるいは法律上差しつかえがあるということはないと存じます。
○西村(関)委員 兵たん協定というものがないのにこういうことが便宜上なされておるということは、これは事実上の東北アジア軍事機構の一端だというふうに見ても差しつかえないと思うのであります。東北アジア軍事機構というものに対して、この中に日本を入れようということはアメリカが絶えずねらっておるところであります。そういうことができない現在においては、事実上そういうことをやっている。また、韓国と日本とは時差が一時間あるのですけれども、この時差を無視して、同じ時間に合わして作戦指揮命令がやれるような体制をつくっておるということも、事実上の軍事機構の中において事が運ばれておるというふうに見ても差しつかえないと思うのであります。ベトナム戦争の問題に対しまして、もはやこれは特殊の戦争じゃなくて、アメリカが前面に出てきて、そして北爆をやり、また南においても作戦行動をやっておる。海兵隊がすでに作戦に参加しておる。戦闘行為に参加しておる。もはやこれは主客転倒した形においてベトナム戦争は戦われておる。そういう状態の中において、日本としてはよほど慎重な配慮をしていかなければならない。戦争をすみやかに終結させようということに対して、アジアの大国としての日本が自主的な外交を展開していこう、何とか一日も早く戦争をやめるような方向に努力していこう、そういうことのために絶えずその具体的な時期方法については模索しておるということは、大臣が繰り返し繰り返し本委員会において御答弁になっておられるところでございますが、そういう大臣のお考えが、これらの事実とにらみ合わせるときに、ますますそのことの具体性が遠ざかっていくような気が私はするのであります。ただ単に条約上の問題として取り上げられるだけじゃなくて、具体的な事実に直面をして、日本としてはどうあるべきかということについてもう少し高い次元で日本の外交を進めていただかなければならぬというふうに私は思うのでございますが、重ねて大臣の御所見を承りたいと思います。
○椎名国務大臣 戦争を一日も早く中止させるということは絶対に必要である、こう考えておりますが、しかし、何が一体戦争をせざるを得ない原因であるかという、戦争の原因というものに目をおおうて、ただ結果の戦争だけをなくするということでは、これは終局的に問題を収拾するゆえんではないのでありますから、やはり戦争を必要とした原因をなくするということに基づいて戦争が中止されるということでなければいかぬのであると思います。そういう意味におきまして、ジョンソン大統領が無条件討議ということを提議しておる。これにやはり対応して、北越なりあるいは南ベトナムのいわゆるベトコン、民族解放戦線ですか、そういうようなものも、とにかくテロとかあるいは軍事行動によって問題を解決しようという考え方を捨てて、そして素直に平和裏に話し合いをするという気持ちにならなければ、この戦争は収拾されないのではないかというふうに考えておるのでありまして、こういう問題を直視しつつ、日本としてできることは何でもひとつやってみたい、こういう考え方でありますが、しかし、なかなかその時、いわゆるタイミングなり、客観的な情勢というものがまだ招来されておらぬ、こういうことでございまして、まことに遺憾ではあるが、やはり客観的な情勢の推移を見守っていく現状ではないか、かように考えております。
○西村(関)委員 何が戦争の原因であるかということについて検討する必要がある、その原因を突きとめなければ対策が講じられないということを言われたのでありますが、一体ベトナムの戦争がいつから始まったか、ベトナムの歴史についていまさら私がここで述べるまでもなく、フランスの植民地時代から、支配者に対して立ち上がって独立を戦ったということ、さらに、フランスの旗色が悪くなってきたときに、アメリカがフランスに対してばく大な軍事援助を行なったという事実、また、場合によれば原子爆弾も用いてもいいというようなことまで言った事実、そして、さらに、ディエンビエンフーにおいてフランスが敗退をいたしましたあと、アメリカがばく大な軍事援助を行ない、また軍事顧問団を送り、今日まで及んできておるというその歴史的な事実、それと、南ベトナム民族解放戦線がいつ組織されたか、その綱領が何であるか、そしてその目的が何であるか等、歴史的な事実に照らして検討しなければ、ベトナム戦争の原因、また、その原因によってどう解決するかという結論は私は出てこないと思うのです。あえてそういう歴史的な事実に目を閉じて、ただ一方的にアメリカ側の言うことだけを聞いてそれに従っていくというのでは、私は、アジアの大国としての、しかも日本に非常な期待を寄せておるところの東南アジアの諸国の人々の期待に反すると思うのです。歴史的な事実に立って戦争の原因を突きとめていく。戦争がどこから来ているかということをきわめなければ解決への手が打てないと言うから、私はあえてこういうことを申し上げるのであります。そういう点について、大臣もお読みになっておられると思いますが、私は克明に切り抜きをいたしておりますが、日本の新聞でアメリカのベトナム政策を支持しているととろの論調はほとんど見当たらないのです。現地の日本の特派員の報道を見ましても、少しも見当たらないのであります。だが日本政府だけがアメリカのジョンソン声明を支持するということでは、国民がついていかない。アメリカの世論でさえも、いまは非常に変わりつつある。アメリカの上院における論議の経過を見ましても、必ずしもジョンソン大統領の声明を全部が全部支持しているとは言えない。むしろこれに対して反対の態度をとっているところの世論がかなり強く出てきておるのであります。それだのに、アジアの大国を自任し自主外交を主張するところの日本政府が、いつまでも金科玉条のようにジョンソン声明の線だけをもって、あるいはアメリカのベトナム白書だけをたよりにして外交をやるというのは、私はどうしても前向きの外交だとは言えないと思うのであります。もちろん、われわれの態度と政府の態度と必ずしも一致しないということは、私は当然だと思います。残念ながら、そういうことは現状においてはいたし方ないと思います。しかし、それにしても、何とか前向きの解決をとる必要がある。いまこうやってここで論議しているこの瞬間においても残虐な戦闘が繰り返されておるのであります。私は外務大臣が非常な苦慮をしておられるという点はわかります。何とかして解決へ乗り出したいというような意図を持っておられるという点はわかります。しかし、いつまで、いまはその時期でない、いまはその時期でないと言っておられるのでありましょうか。いつまでそういう態度を続けられるのでありましょうか。この瞬間においても多くの無事の民が殺されておる。また、北爆によって北ベトナムの多くの人たちがむざんな最期を遂げておる。また、このことによって南ベトナム解放民族戦線の勢力が弱まったか。決して弱まっていない。アメリカが軍事力を増強すればするほど、北爆を続ければ続けるほど、これを倍にして返していこうという、いわゆるベトコンの声明をそのとおりやっておる。ますます戦争は苛烈になっているじゃありませんか。こういうことを繰り返していくならば、はたしてどうなるであろうかということに対して、外務大臣は非常な憂いを持っておられると思うのです。痛みを感じておられると思うのです。そういうことに対して、私はその心境を述べていただきたいのです。何とかして解決しなければいかぬ。ただ抽象的な問題抽象的な取り上げ方じゃなくて、具体的にどうすればいいか。必ずしも野党側の私どもの意見と一致しない点があってもこれはやむを得ませんが、しかし、そこに、進歩と言いましょうか、前進と言いましょうか、そういうものを何も私は認めることができないので、非常に遺憾に思うのです。その点いかがでございましょうか。
○椎名国務大臣 その点につきましては西村さんと全く同感でございます。ただ、戦争が何のために行なわれておるか。結局南越の政治的な自由と独立というものを南越の要請によって守っていこうという立場にアメリカは立たされておる。そういう基本的な目標を達成するための戦争手段というものがどうも非常に適当でない、いろいろな批判がそこに出ておるのであります。でありますから、目的は是認するけれども手段がどうも適当な限界を越えているのではないかというような批判があるのでありますが、批判があるからといって、逆に他の外部からの実力によって政治的な自由・独立というものが侵されるということまでこれを容認するということは誤りであると思うのであります。その手段方法についても、もちろんこれは現状においてはやむを得ないという見解もあれば、どうも少し行き過ぎではないか、もう少しほかに何か適当な方法はないかというような考え方、いろいろあるだろうと思うのであります。とにかく、いずれにいたしましても、戦争そのものは一日もすみやかに終息すべきものであると考えるのでありますけれども、しかし、その根本の基本的な目標までこれを否定するわけにはいかない。ここに悩みがあるわけであります。日本といたしましても、この基本の問題にまでさかのぼって紛争を解決するということのために日本としてとるべき適当な方法があるならばいつでもとりたい、かように考えておる次第でございます。
○西村(関)委員 去る四月七日のアメリカ大統領ジョンソン氏のジョーンズホプキンス大学におけるところの、先ほど大臣も引証せられました即時無条件話し合いに応ずるというこの演説でありますが、その演説の舌の根もかわかない二十四時間後に北爆をやっている。こういうことに対して不思議にお感じにならないでしょうか。私は、正直に言って、この演説を聞いたときに、これはたしか私は大臣から直接いまこういう情報が入ったということを院内の大臣室で伺ったと思いますが、ほっとしたのです。これでアメリカも考えを変えたか、ベトナム戦争もようやく終わりに近づきつつあるかというふうに思ってほっとしたのです。しかし、しさいにこれを読んでみると幾多の問題を持っておるし、欺瞞に満ちているといろ点を見のがすわけにはいかなかったのでありますが、しかも二十四時間後には北爆をやっている。考える余地も何もないうちにまたどかんどかん猛烈な北爆をやっている。こういうことに対して大臣は少しも不思議にお感じにならないのですか。 私はまた、アメリカ大使館から出しております「東南アジアに対する計画、ジョンソン大統領の演説」というパンフレットを見ました。これは同じことを英文と日本文で出しているわけなのでありますが、この中に日本から派遣された医療団の写真が載っております。私も、サイゴンに参りまして、サイゴン市民病院のダイ院長に会って、長崎医大の医療団の皆さんが非常な努力をせられ、非常にりっぱな足跡を残して帰られたという点を、いろいろな人たちから、特にダイ院長から聞きまして、日本に対する大きな評価と感謝を持っていることを知りました。それはそれなりにいい働きをせられたと思うのであります。しかし、このパンフレットを見ますると、写真の説明の中でこういうふうに書いてある。「南ベトナムで共産主義者の侵略の犠牲者の治療にあたっている長崎大学の外科チーム。日本および自由陣営のほかの多くの国は資金、薬品、医療器具、医師、看護婦を南ベトナムに送っている」、こう書いてある。この医療団の派遣が軍事目的ではないということを政府もしばしば国会において答弁をせられたのです。ところが、アメリカ側はそう受け取っていないのです。「共産主義者の侵略の犠牲者の治療にあたっている」、少なくともこれでは間接的に明らかに軍事目的に奉仕しておるというように受け取られておる。事実、サイゴンにおける市民病院に派遣された長崎医大の外科チームの人たちは一般市民の診療に当たった、軍関係の傷病兵の治療に当たったのではないということを私も確かめてまいりました。しかし、アメリカはそうは言っていないのです。現に、この大使館から出しておるパンフレットには、この写真にそういう説明をしておる。こういうことは私は非常に注意しなければならぬと思うのであります。南ベトナムと北ベトナムを問わず、解放地区と政府軍の支配地区であるとを問わず、事実戦争のために苦しんでいるベトナム人民に対して、日本から医療の手を差し伸べる、救援の手を差し伸べるということは、私はすべきだと思うのです。しかし、こういうふうな受け取り方をされるような援助を行なうということは注意すべきだと思うのです。その点につきましても、私はいよいよ紛争の中に日本が巻き込まれていく結果になると思う。 この問題については、私もここで取り上げたことがございますから、これ以上申し上げませんけれども、大臣におかれては、いろいろ御苦心のある点は十分に察しますけれども、何とかひとつ問題の解決に向かって自主外交の実をあげていただきたいと思うのであります。たとえば、カンボジアの元首プリンス・シアヌークの考えているところのインドシナ中立化案というものもあります。また、フランスのドゴール大統領の打ち出しておるところの東南アジア全体を中立化しようという考え方もある。また、アメリカは、インドが提案をしておるところの、国境地帯にアジアの軍隊を派遣する、日本としては憲法のたてまえから日本の自衛隊を派遣することはできないだろうけれども、日本も含めてといったようなことを言っておる。そういう点が検討されておるというようなことが言われておる。うっかりそういういろいろな問題に対して意見を出すということは国内及び国外の論議を呼ぶもとになるから、大臣としては慎重なかまえでおられるという点はわかりますけれども、国際的にいろいろな動きがある。そういう点に対して、大臣は依然として、模索中、模索中、いまはその時期でない、時期でないと言っておられる。これでは私は解決にはならぬと思うのであります。その点いかがでしょうか。もち少しこの委員会において腹の中を打ち明けてひとつ話してもらえませんでしょうか。私は、大臣はおそらくいろいろ考えておられると思うのです。ですから、ひとつきようこの委員会において、勇気を持って、大臣、腹の中を打ち明けて話をしていただきたいと思うのであります。
○椎名国務大臣 有効適切な考え方があれば、もうほんとうに申し上げてみたいと思うのでありますが、なかなかそういう確信のある妙案というものがないのであります。しかし、一般的に言って、両方とも相手を目標にして互いに戦っておる、一方だけやめろ、こういうことでは問題は解決しないのでありまして、無条件戦争休止ということを片方が提案するならば、片一方もこれに応じて敵対行為をやめて、そして話し合いに入る、両方ともそういう気にならないとやはり問題は解決しないのではないか。これはきわめて簡単な論理だと思うのでありますが、どうも問題はここにあるのであります。でありますから、こういう情勢をどうしてつくり出すかということになるのであるかもしれませんが、なかなかそこに困難な問題が横たわっておる、かように考えております。
○西村(関)委員 私は、歴史的に考えましても、また現状を分析いたしましても、アメリカが南ベトナムから撤退する、そして問題の収拾はベトナム人の手にまかせるということが解決の一番の近道だと思うのであります。しかし、日本政府としては、アメリカとの関係がありますから、そういうことはなかなか言えないと思います。私は解決の方法としてそれ以外にないと思いますけれども、日本政府の外務大臣のお立場としてはそういうことはなかなか言えないと思います。しかし、少なくともいま大臣の言われましたように、どちらの側もまず戦争行為をやめることであるということは、日本政府の立場からは言えると思う。どうしてやめさせるかということは、これはやはり外交上の苦心の存するところだと思うのですが、そういうことが私は外交だと思うのであります。私は去る一月十九日にハノイにおいてホー・チミン大統領に会いました。単独で四十五分間ばかり話をいたしました。ホー・チミン大統領は、シアヌークさんの考え方よりは一歩進んで、シアヌークさんはインドシナの中立についてはわが国すなわち北ベトナムとタイとを除いておる、タイはアメリカに近いから中立と言ったってなかなかできない、またベトナム民主共和国は中立と言ったってなかなか応じないだろうからというので、ラオスとカンボジアと南ベトナムを中立化しようというのがシアヌークさんの考え方だが、ホー・チミンさんが言うのに、私はざらに北ベトナムをも含めてインドシナ全体を中立化しようということに対しては話し合いに応ずる用意があるということを現に私に言明をしておるのです。現在のホー・チミン政府の状態を分析してみるときに、私はその可能性がないとは思わないのであります。また、日本に期待するところは大きいと思うのであります。そういう点に対して、日本政府がもっと透徹した現状認識に立って、そうしてアメリカにもはっきりものを言う。現に私などは、アメリカの有識者と考えられる人々、また東京におるアメリカの人たちに、まあ社会党はアメリカとあまり接触がないというふうに普通言われておりますけれども、招かれれば私は行って堂々とベトナムの現状を話している。彼らはやはり耳を傾けておるのであります。私は、外務大臣がもっとそういう点に対して積極的に出られて、もうあといつまでおやりになるか知りませんが、少なくとも任期中に歴史に名を残すようなものを残して外務大臣をやめていただきたいと思うのです。あるいは続いておやりになるかもしれませんが、少なくとも内閣改造以前に、ここに椎名外務大臣ありと言われるような手を打っていただきたい。そのことを私は期待してやみません。もう時間がございませんので、最後にその点についてもう一度大臣の御所信を承って、私の質問を終わります。
○椎名国務大臣 できるだけ御期待に沿いたいと思いますが、まことにどうも微力でございまして、応じられそうもございません。 ————◇—————
○安藤委員長 日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 日英領事条約について、これはすでにいろいろ審議をした経過がございますので、特に問題になる点数点だけをこの際お尋ねをして明らかにしておきたいと思うのです。 最初に事務当局にお尋ねをいたしますが、ただいま日英間で相互に派遣しておる領事の数、派遣地はどういうことになっておりますか、事実を報告していただきたいと思います。
○佐藤説明員 日本側のほうからは、実館といたしましては、香港総領事館、それからソールスベリー総領事館を持っております。それから、ロンドンの大使館の中にロンドン総領事館というものを、これは大使館と一緒になっておりますが持っております。そのほかには名誉総領事として英本国のリバプールに一名の名誉総領事がおります。それから、イギリス側は、在京の大使館の中にやはり領事部を持っておりまして、これが領事館としての職務を行なっております。それから横浜に領事館を持っております。それから、大阪・神戸これは妙な名前でございますが、在大阪・神戸総領事館というものを持っております。それから門司に領事代理事務所を持っております。それだけでございます。
○穗積委員 その次にお尋ねいたしますが、在日英国人の数はどういうことになっておりますか。
○佐藤説明員 三十九年の調べでございますが、大体二千二百人ばかりになっております。
○穗積委員 どれはトランシットは除外してありますね。長期滞在でございますね。
○佐藤説明員 これは六十日以上在留する人間だけを対象にしております。
○穗積委員 そうしますと、問題になることの予想されます身体検査を受ける場合、特に軍事義務に関する身体検査、これは一体どのくらいが予想されますか。場合によれば女の兵隊も考えられないことはないが、それは除外して、老人と子供を除外するとどのくらいの数になりましょうか。
○佐藤説明員 ちょっと年のあれはわかりかねますが、現在イギリスはナショナル・サービス・アクトというものを持っておりまして、これで徴兵をやっておるのでございますが、現在のところは部分的に停止しておりますものですから、したがって、徴兵の面では動いておりませんから、現在のところでは問題になることはないと思います。
○穗積委員 そうすると、これで見ましても、女を抜き、子供を抜き、それから老人を抜いてみますと、日本に来ておる領事が、日本で在日英国人の身体検査をする必要というものはほとんど絶無でございましょう。そのために二十四条で身体検査の制度を異例にも初めて認める、これははなはだしく奇異な感じがするわけです。のみならず、こちら側の必要を考えますといろと、日本は軍役もない、徴兵制度もないわけですから、したがって、イギリスに在住している日本人の身体検査をする必要はないわけです。これは、イギリス側の実利から言いましても、日本側との相互主義からいきましても、このような規定、二十四条であえて新しくしかも奇異な感じを起こさしめる身体検査制度というものを取り入れる必要が一体どこにあるのだろうかという、事実の必要性から見ましてもはなはだしく奇異に感ずる。何が一体こういう規定を捜入せしめることになったか、はなはだしく奇異に存ずるわけです。大臣の御所惑いかがでございますか。
○藤崎政府委員 私から……。さしあたり現実の問題としては、身体検査を日本で行なうようなことは、向こうのナショナル・サービス・アクトが働いていない関係上ないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、いつそれがまた動き出すようになるかわからないわけでございまして、そういうことになった場合にイギリス国民で日本に来ている者の便宜を考えまして、一応こういうものはこういう規定を置いてそういう場合に備えておこう、こないう趣旨からこの規定が設けられたわけでございます。
○穗積委員 本来言えば、こういうものは日本としては拒否すべきものです。これはこの前も言ったとおりです。ところが、交渉の経緯をわれわれ漏れ承るところによると、アメリカとの領事条約の場合に、こういう不穏な不当な条項を、初めてでありますけれども、これを領事条約の中に明記せしむることを要求したのはアメリカ側であったと聞いておる。ところが、今度はイギリス側からこういう要求があったのではなくて、日本側からこういう条文を挿入していくことが、アメリカとの条約関係、それから今後予想される次の国々との条約の関係上、ここで抜かないで挿入しておいたほうがていさい上いい、ていさい上じゃなくて実利上いいという御意見によってこれが挿入されたというふうにわれわれは漏れ承っておるわけです。そうなりますと、はなはだしくわれわれは、この二十四条の身体検査条項というものをあえてここで規定されたことに対して疑問を感ずる。アメリカとイギリスの間にはこんなものはありません。私の理解では、ないと思っております。また、アメリカないしはイギリスが他の先進諸国との間における条約の中でもいまだない。これをあえてこういうことにしたというようなことの経緯並びにそのねらいは、一体日本政府外務省、何事であるか。われわれはいささか怒りを感ずる次第でございます。
○藤崎政府委員 今度のイギリスとの領事条約を締結するに際しましても、やはり日米の領事条約を一つのひな形として使ったということは、これは事実でございます。また、私も実は直接交渉にいずれの場合も携わったわけではございませんが、私の承知しておりますところでは、アメリカは今後この種の条約にはこういう条項を必ず設けるようにしたい、そういう方針であるという説明をいたしたそうでございます。
○穗積委員 いまの不平等規定に対する、平等主義に反するこの規定というものに対する御説明はどういうことになりましょうか。
○藤崎政府委員 その点につきましては、日米の領事条約の場合にも穗積先生から御質問がございましてお答えいたしたわけでございますが、条約上は、表現上は平等でありながら、実質上はそれの利益を受けるのは締結国の一方のみであるということは非常に往々あるわけでございまして、たしか、日米領事条約の場合には、フィルムの輸入については、アメリカ側は全然これを利用する場面はなくて、日本側の便宜のためにのみ入れたものであるけれども、規定上は両方に平等に適用になっているという例を引用してお答えしたように記憶いたしております。そういうわけで、条約においては往々にしてあることでございまして、特にこれだけが不平等であるということにはならないかと存じます。
○穗積委員 そうすると、日本の場合にはこれから他の米英以外の国々との間における領事条約にはみんなこれを入れるつもりでございますか。
○藤崎政府委員 さしあたり、領事条約というものを結ぶのは、次にはソ連を考えておりますが、ほかの国とは領事条約を結ぶということはまだ考えられておりません。 なお、この身体検査の規定につきましては、これは当時も御説明申し上げましたように、あくまでその国民の便宜のためのみの規定でございまして、やはり本国に帰って受けたいと言えば、もちろん本国に帰って受けるわけでございます。したがいまして、便宜のためでございますから、特にその本国が遠隔でございますとか、そういうことも考慮に入るわけでございまして、その場合場合に応じて考えればいいことであって、必ず方針としてこれを入れるということは考えておらないわけでございます。
○穗積委員 在日イギリス人の数も少ない。それから軍事的な身体検査の必要も少ない。わがほうは全然その必要を認めない。にもかかわらず、日本側から提案をしてこういう不当な条項を入れた。こういうことは、日米条約のときにも申し上げましたけれども、そうなってくると、次に問題になりますのは、やはり在日朝鮮人の問題が頭に浮かんでくるわけでございます。すなわち、在日朝鮮人約六十万の身体検査、すなわち徴兵検査の問題が出てくる。椎名外務大臣が先般ソウルにおいて仮調印をされました日韓基本条約の中にも、外交及び領事関係が再開されるということを明記しておるわけですから、そうなりますと、両国領事の交換、それに伴う領事条約、こういうものが考えられるわけでございましょう。そうすると、この中にもこれが入ってくるわけですね。大臣はどういうおつもりでございましたでしょうか。
○藤崎政府委員 韓国との間で領事条約を締結するという考えは、いまのところございません。
○穗積委員 そうすると、この取り扱いはどうなりましょうか。
○藤崎政府委員 一般国際法によって規律されることになるわけでございまして、前にも申し上げましたけれども、イギリス、アメリカの場合には、英米法系の国では領事の特権というものを非常に認めない、外交官と差別待遇をする、また、特にアメリカの場合には州法によっていろいろまちまちになっておるというような特別な事情がございまして、英米との間には結んだわけでございます。ソ連との間では、またいろいろ外交官とか領事とかの行動の制限がある、そういうような特殊事情がありますので、いま結ぼうということをしておるわけでございます。したがいまして、それ以外の国とは、何にも韓国とは限りませんが、領事条約を結ぶ必要性というものをそれほどあまり認めないということがあるわけでございます。
○椎熊委員 関連して。条約局長のいまのお話だと、次はソビエトとの領事問題に対する条約をやるだろう、こういうことなんですが、私どももソビエトの大使館からもそんなことを聞いているのです。というのは、戦前私の国の小樽にソビエトの領事館があった。それから、古い歴史の上からは函館にもあったのです。現在は小樽というところは通商関係でソビエトと非常に関係が深いわけです。ことに木材の輸入等では日本海側で一番の港でございます。数量においても金額においてもばく大なものです。そういうところにぜひソビエトの領事館を置いてもらいたいというのが市民の要望でございまして、陳情書など外務省にも差し上げてあるのです。先般私、小樽の市長と同行してソビエトの大使館へ行きまして、向こうの人と話したら、六月ころからそういう交渉に入るかもしらぬ、どこへ置くかということはソビエト側の希望だけではできないので、主として日本外務省の考え方に従わなければならぬと思う、小樽などはいいでしょうね、これは私見でございますけれども、ということを言っていました。そういう事実があって、何かそういう交渉も始まるという段階ですか。
○藤崎政府委員 実際にはまだそこまで至っておりません。それで、現実にそういう問題になってきましたときは、まずソ連側の日本における領事館の場合にはソ連から希望の場所を言いまして、それに対して日本側で異存がなければそれに同意するということになるだろうと思います。ただ、これは、領事条約とは関係がございますけれども、領事条約の中できめることではございませんで、また別の両国間の合意になるわけでございます。
○椎熊委員 わかりました。
○穗積委員 ソビエトとの必要性については、ちょっと聞き取れなかったのですが、何でございましたか。
○藤崎政府委員 ソ連では、御存じのように、外交官ですら、いろいろ行動の制限をしておるわけでございまして、したがいまして、まして領事の場合にはどの程度の特権・免除が認められるかということについて、われわれとしてはいよいよ領事館を開く場合には明確な取りきめがあったほうがいいという考え方でございます。
○穗積委員 きょうは条約の最近のを忘れて、いま拝借したのですが、アメリカとアイルランドとの条約には、十七条(b)項で、「国民的服務義務に関する派遣国の法令により」云々と、これは通知を発しその国民から届け出を受理するということで終わっておるわけです。にもかかわらず、日本では、そのあとを受けて身体検査まで入っておるわけだ。さっき御説明の英米法関係は、州法があり、あるいは外交官と領事とは区別して、その特権を認めていない、権能の範囲も明らかでないということであるから必要だという御説明であったわけですね。そうして通知並びに届け出のところまでは認めているけれども、日本においてのみ身体検査の条項が開かれておる。これはアイルランドとの関係も最近の締結であるのですから、そうなると、はなはだしく奇異に感ずるわけです。どういうわけでしょうか。どういうわけでこういう差別規定をお認めになったのか。
○藤崎政府委員 結局、アメリカとしては新しい条約を今後つくる場合には日本とのやつにならいたいということでございまして、先ほど申し上げましたように、日本が文章の上ではっきり示したのは最初の例であるということは、これは事実でございます。
○穗積委員 これは、この前の領事条約のときからでも、領事の特権が不明確であるからこれを明確にするんだ、それから相互主義の点でもこれを明確にしておいたほうがいいんだというのが、大体領事条約締結のこの前からの日本外務省の説明であり態度であったわけです。ところが、朝鮮の場合、あるいは韓国の場合、あるいはその他の国についてはその必要を認めないということは、はなはだしく奇異な感じがずる。そうすると、実際はこの身体検査の権限はだれによってやるかやらぬかをきめられるわけですか。たとえば韓国と国交が回復した場合に、韓国の領事関係が開かれますね、この基本条約にあるとおり。そうすると、在日朝鮮人の数は非常に多いわけですから、そこで、それに対する通知あるいは身体検査、これは一体だれによってきめられることになりましょうか、その権限は。
○藤崎政府委員 一般国際法上、外国で行政権を領事が行使するとかいうようなことはないわけでございまして、したがいまして、領事警察のような特別の条約がある場合は別でございますが、権限としては、こういうことを行なうことは条約ででもない限りは行ない得ないわけでございます。
○穗積委員 そうすると、日韓をわれわれは反対しているが、あなた方は妥結しようとしておる。日韓の関係が開かれて、日本へ領事がやってまいりましたときに、在日朝鮮人の身体検査はできないわけですね。権限は許されないわけですね。
○藤崎政府委員 さようでございます。
○穗積委員 それから、もう一つは、最近エコノミストでもちょっと問題にしたわけですけれども、三月十七日の東京新聞で報道されておる、京都市中京区にいる吉庚黙さんという十九才の男子でございますが、これに大韓民国兵役法第二十八条の規定によって本年度徴兵検査の対象者であるという通知が韓国政府から来ておる。それで、この者に対しましては、実は、海外在留中であって徴集を延期をする場合は延期願いを出さなければならない、出さなければ処罰されるという通知であったようです。これはお読みになったと思います。こういう行為がもうすでに始まっておるわけですね。そうなりますと、在外公館長に届け出をするというのは、麻布の代表部に届け出をするという意味になりましょうか。
○藤崎政府委員 私、事実関係をよく存じませんが、その趣旨は、韓国に帰ってこいということじゃないかと存じます。なおよく事実関係を調べまして、別の機会にお答えいたしたいと思います。
○穗積委員 こういうことになっているようです。貴下は一九六五年度徴兵適齢期に当たっている、大韓民国兵役法二十八条の規定によって六五年度の徴兵検査対象者である、国外居住者として徴兵の延期を受けようとするならば、規定によって国外徴集延期願書を提出しなければならない、その出願の期限は三月二十日までである、もし延期の出願もせず徴兵検査にも応じない場合は処罰される、延期の願いは在外公館長に提出しなさい、こういうこと。その在外公館長とはどれでございましょうか。
○藤崎政府委員 韓国の代表部のことかと存じますけれども、なおよく、そのものを見ておりませんので、検討した上ではっきりしたことはお答えいたしたいと思います。
○穗積委員 そうなりますと、ここではっきりしておきたいことは、領事条約を締結しない、したがって、一般国際法の慣例によって、日韓間で交換をした領事の権能あるいは特権、それについてのもろもろの取り扱いはむろん平等主義でやる、そして同時にその内容はいままでの慣習によるものである、こういうことがいま局長の御答弁であったと思うのです。この領事条約の二十四条に規定されたような通知を発しまたは届け出を受ける権限、——この場合は届け出ですね、もうすでに始まっていることは。届け出、通知書送達、在日韓国人に送達をし、またはそれの政府への届け出を受理することも領事には認められない、まして身体検査をやる権限も認められない、それをやった場合には、それは接受国である日本がその領事の行為は不当なるものとしてこれを中止せしめる、中止に応じない場合は退去を命じることができる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○藤崎政府委員 一般に自国の国民に対しては人的な管轄権は外国にいても及んでおるわけでございます。したがいまして、そういう通知をやりあるいは受領するということは一向に差しつかえないわけでございますが、ただ、行政権を地域的に外国に及ぼすことはもちろんできないわけでございますから、それには何らの強制権が伴われてないということでございます。一般に出生の届け出をするとか何とかいうようなことは当然に行なわれて差しつかえないことでございます。
○穗積委員 出生、死亡の届け出は、それはわかりますよ。それから、あるいはパスポートの旅行期間延長の届け出をする、これはわかります。そういうことでなくて、いまの国民の軍事的その他の義務通達を在日自国人に対して領事がこれを発行する、配付する、それから、それに対する届け出を受領する、そこまではいいと言われたわけでしょう。そこまでは領事条約がなくてもできる。それ以上の身体検査を行なう、すなわち、条約ができていないならば、韓国の国内法の実施・施行をわが国で行なうということは認められない、そういうふうに言われたわけでしょうか。そこのところをちょっと明確にしておいていただきたい。
○藤崎政府委員 何か通知を出しまして、出頭しろ、在外公館に出頭してくださいということを言われましても、かりに本人が出頭しませんでも、これに何らの強制力を及ぼすことができない、そういう趣旨でお答えしたのであります。
○穗積委員 強制力はないという法律解釈を日本外務省はいたしましても、日本へ交換されてやってまいりました領事がそれを行なった場合にはどうなりますか。その行政行為は領事の国際法の取り扱いから見て越権行為であるということを接受国である日本政府からその領事に対して表明し、中止してもらうよう意思表示をするということはできますね。その権利義務関係というものははっきりしておいていただかぬといかぬ。
○藤崎政府委員 本国政府の注意を喚起しまして、非常に事態が重い場合は、あるいはペルソナ・ノン・ダラータとして召還を要求するということにまで及び得るかと思います。しかし、そういうことは、単に日本政府がそう解釈しておるということじゃございませんで、もう国際的に確立された原則でございますから、実際には起こるはずはないことであるというふうに考えております。
○穗積委員 そうすると、その点もう一ぺん整理をして確認を最後に求めておきたいのですけれども、韓国との間については、先ほど言われたような理由によって特別に日韓編事条約は結ぶ必要は認めない、結ばないつもりである、そうして、その場合に、交換されてわが国に来た韓国領事は、徴兵検査を行なう権限は全くない、認められない、それをあえて彼が行なった場合には、そのときにはその越権行為である不当を接受国である日本政府から韓国木国政府に通達をして、場合によれば、はなはだしく不当と認めた場合にはこれを召還する手続を促進することができる、以上でよろしゅうございますね。
○藤崎政府委員 いまおっしゃったような趣旨も申しましたが、それ以外のことも申しましたので、それも含めてひとつ確認していただきたいと思います。
○穗積委員 そこで、その次にちょっと明らかにしておきたいことは、日米領事条約と日英条約との間の比較をいたしました場合に、日英条約のほうが制限的であるという、これは兼松参事官の御説明であったかと思うのですが、日英条約のほうが制限的であるといろならば、一体どういう点が日米に比較して制限的であるか、具体的な内容について御説明いただきたいと思います。
○佐藤説明員 その前に、御答弁いたしました兼松君の答弁というのを私読んでおらないのでございますけれども、おそらくこういう趣旨だっただろうと思います。イギリスのほうが領事特権について国内的に制限的に取り扱っている、こういう意味じゃないかと思いますが、したがって、いろいろ特権その他につきましても日米条約よりも非常に詳しく規定しているところがあるわけでございます。慣行上アメリカのほうが領事官に対して特権を認めている度合いが多いという意味だろうと思います。
○穗積委員 もう一つは、第二条の第(8)項でございますが、運転手等の役務職員、これは領事館職員として包括されるか包括されないかという問題、これは交通事故等の場合における責任問題にも関連すると思うのです。そういう意味で、この区別、それから、あとのそれに伴う、特に交通事故の責任というようなものを頭の中に想定して、その責任の区分、この点をちょっと明らかにしておいていただきたいと思います。
○佐藤説明員 二条(8)項で規定しておりますのは領事館職員というものの定義でありまして、これの中には運転手その他家事をやっている手伝いのような者は入らないということになっているわけでございます。領事館職員としては取り扱わないということになっております。(穗積委員「日米の場合に入って日英の場合に入れてないのは」と呼ぶ)この点は、日米の場合は領事館職員に入っておりますが、交通事故の場合はそれからはずしております。したがって、交通事故のケースを取り上げました場合には、日米も日英も同じであります。交通事故のケースを取り上げた場合には同じことになるわけでございます。両方ともはずれるわけでございます。
○穗積委員 事のついででございますから、ちょっとお尋ねしておきますが、例のマレーシアの大使館員が早稲田大学の学生をひき殺して逃亡いたしました。彼は非常に気の毒な家庭の事情にある。遺族は悲嘆に暮れ、この取り扱いに対して非常にふがいなく感じているわけですが、彼は本国へいち早く帰国してしまって、その後の責任追及があいまいのままになって、ペンディングの事件になっております。これは法律上の問題に当然発展いたしておるわけでございましょうけれども、それを援助する以前の措置として、外務省の態度あるいはこの問題に対する処理のしかた等に相当疑点をわれわれ日本国民としてむしろ抱いたわけだ。彼が遭難をいたしましたのは、御承知のとおり、東大の前の通りを駒込のほうへ行きましたところで、私の居住地の比較的近い地域でございますから、これは私ら一般の都民の間でも問題になっておるケースでございます。外国人による、しかも在日外国高官による傷害事件として、これは一体その後どういうふうになり、今後どういうふうにお取り扱いになるつもりであるのか。この十四条の公務上における交通事故についての賠償責任問題と関連をして、この事実を説明しながら、十四条の在日外国高官の責任の範囲、取り扱いについて説明をしておいていただきたい。
○藤崎政府委員 この事件は、当事者はマレーシアの大使館員でございまして、領事じゃなくて外交官であったわけでございますが、これは日本の刑事裁判権から免除があるわけでございますけれども、実際問題としましては、裁判所に訴えるというところまでいきませんで、示談の段階にとどまっているわけでございまして、その段階において外務省といたしましてもマレーシア大使館と当人及び保険会社との間に種々あっせんをいたしまして、現在の段階は、なお保険会社と本人ないしその代理人との間で円満に解決するように努力中である、かように了解いたしております。
○穗積委員 円満ではなく、不承不承なんですよ、相手が遠いから。 そこで、十四条の(2)項の(a)の(ii)でございましたか、公務上における交通事故についての賠償責任のことを規定しておりますが、日米条約にはこのような規定はなかったように思うのですね。ちょっと記憶が必ずしも正確でない。それは、きょうこの条約を審議するつもりでなかったので、私は前の条約を資料として持ってきてないのです。それで、必ずしも正確でございませんが、なかったように思う。この対英条約の中にはこれが書いてあるわけですね。これはどういうことによって生じたものであるか。また、その責任の区分を明確にしておいていただきたいと思うのです。
○佐藤説明員 日米条約にも、この自動車事故に関する保険をつけろというような意味の規定はあるわけでございます。この日英のほうにどうしてこういう形ではっきり民事責任のことを書いたかと申しますと、これはウイーンでできました領事特権条約がございます。このほうにはこういうふうにはっきり書いてあるわけでございます。したがって、その条文をとったというのが実情でございます。
○穗積委員 それから、あと航空機の問題が出てないですね。これからは船と同様に航空機の問題は大事だと思うのです。日米条約の場合には、船舶及び乗り組み員に関する規定は航空機にも適用するということがあったように思うのですが、日英の場合にはこのような規定が抜けておるのはどういう意味であるか。
○佐藤説明員 本件に関しましては、これは英側と話し合ったわけでございますが、実はこちらの管轄当局である運輸省のほうの希望もございまして、この点は日本側の希望で落としたわけでございます。
○穗積委員 だから、理由はどういうことですか。運輸省の御意見……。
○佐藤説明員 実は日米のほうに入りました経緯は私よく存じませんが、今回の日英の交渉の場合には、航空機関係の法規が必ずしも整備されていないという理由だったように存じております。
○穗積委員 整備されていなければ、ますますやっぱり航空機、乗り組み員に対する権利義務関係というものは明白にしておく必要がある。つまり、一般の航空機規定というものがあって、その一般規定に移せばもう当然心配ないということであれば、特殊条約に一々そういうことを書き込む必要はない。ところが、そうじゃなくて、国際的な航空規定というものがまだ整備されていなければ、なおさらこの特殊条約の中で権利義務関係というものは明文化しておく必要があるのではないかと逆に私どもには思われるのですね。そうすると、対米条約の中であったこの規定が対英関係においてあえて落とされておるということになりますと、しかもその理由はいま言ったようにあべこべの理由が口実になっておるようですが、そうするとますますふかしぎに思わざるを得ない。不合理に思わざるを得ない。これはどういうわけでございますか。
○佐藤説明員 これは、御承知のとおり、この航空機は船舶関係と同じことになるわけでございますが、日本のほうでやる場合にはイギリスの航空機に乗ってきた人間に対する取り扱いになるわけでございます。したがって、その取り扱いについてイギリス側が困ると申しますか、文句を言う立場になるわけでございます。だから、イギリス側のほうとして、日本の航空機に乗って向こうに行って、日本人が乗って来た、それを領事が種々世話をするという形のものは、イギリス側の法律でいくわけでございますから、ちょうどやり方としては逆になるわけでございます。したがって、困ると申すのは変でございますが、もし文句をつけるとすればイギリス側が文句をつける形になるわけでございます。
○穗積委員 これは要望いたしておきますが、航空関係というものは船以上にこれからむしろ国際交流の主要な運輸機関になりますから、したがって、必ずしもここで直ちに権利義務関係を明確化する——あったほうが望ましいのですけれども、なければいかぬということを抗弁はいたしません。けれども、近い将来にこれは航空関係全体の政策の中で合理的に平等主義で整備すべきことを主張し、要望をいたしておきたいと思います。 最後にお尋ねしたいのは三十九条の規定でございますが、これはこの条約の解釈または適用に関して紛争の解決のための規定でありますけれども、これは日米条約には規定を設けてなくて、こっちには出てきておる。この最近の日米の条約と同種条約でございますから、比較をいたしてみまして奇異に感ずるわけです。何か特殊な事情があったものであるかどうか。
○佐藤説明員 これは紛争解決の規定でございますが、御承知のとおり、日本は国際司法裁判所の一員でもございますし、大体条約に紛争解決規定は日本としては入れたいわけでございます。したがって、この規定も日本側の希望で入れたものでございます。
○穗積委員 質問を以上で終わります。
○安藤委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○安藤委員長 これにより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、遺憾ながらこの条約の批准について反対をいたしたいと思います。 理由は、前の日米領事条約のときにもその趣旨を明らかにいたしておりますから、簡潔にいたしたいと思います。 先ほどからの質疑の中でも明らかになりましたように、特に問題になりますのは、二十四条の領事に身体検査の制度をあえて設ける、今までなかったし、最近の米英両国が日本以外の三国と結んでおる条約の中にも散見することのできない規定をあえて設けるという点であります。特に最近ベトナムその他アジアにおける武力紛争あるいは国際紛争の激化される情勢にあります。この特殊な地域の中におきまして、平和憲法を堅持いたしておりますわが国は、徴兵義務は国民に負わせない。したがって、日本の在外領事がそういう行政事務をとるということは考えられない。にもかかわらず、日本に来ておる米英の領事に対して、在日自国人の数からいきましても必要性からいきましてもメリットがないと思われるにもかかわらず、こういう権限を与える奇異な条項をあえて挿入した。しかも今度の場合においては日本側から提案をした。そして、あと韓国あるいは北朝鮮との関係が問題になりますが、それとの関係においては条約は結ばないと言っているけれども、アメリカ並びにイギリスの在日領事がもうすでに実際上合法的に徴兵検査を行なおうという事実、この事実が在日韓国領事に適用され、それを援用いたしまして在日韓国領事がそういう徴兵検査の行政事務を行なうことを主張いたしますことは、火を見るよりも明らかでございます。韓国との間には領事条約は結ばないつもりであるということは、規定がないということ。そしてまた、これを認めないということを外交上の措置としてやるという御説明でございまして、それは、そのときどきの政府の政策あるいはアジアにおける情勢の変化に伴いまして、この外交方針というものは、今日の方針が明日・明後日にも不動な方針であるということは決して言えない。すなわち、むしろ条約規定が置かれたほうがかえって明確である。それがないということは、権限がないということで安心するのではなくて、無規定であり無条約であるということは、情勢の変化によって逆に言えば何でもできるということで、その実質的な事実をつくり上げるのがこの日米、日英領事条約であるということをわれわれは強く懸念する次第でございまして、昨年、日米領事条約に対して、同様の趣旨を眼目といたしまして、そのほかにも理由はありますけれども、それを中心の眼目としてわれわれは反対いたしましたが、その後のアジアにおける国際情勢の危険な局地戦争の挑発の事実を見ておりますと、ますますその不安を感じて、われわれの昨年来の反対の態度が正しかったということを私どもはいまさらながら思うわけでございます。同様の趣旨で、さらにその必要の高まっておる今日の情勢でありますので、一そう強い決意をもってわれわれはこれに反対せざるを得ない、こういう趣旨でございますから、どうか同僚議員諸君もそのことを虚心坦懐に明確にせられんことを希望いたしまして、私の討論を終わることにいたします。
○安藤委員長 これにて討論は終局いたしました。 直ちに採決いたします。 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○安藤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。ただいま議決いたしました委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十四日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時四十分散会