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48回国会衆議院1965/04/07

外務委員会 第13号

発言数
162
登壇者
15
会派数
4
開催日
1965/04/07

会議録

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、椎名外務大臣より発言を求めておられますので、これを許します。椎名外務大臣。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 日韓会談の最近の進捗状況について御報告いたします。  李東元外務部長官及び車均禧農林部長官の訪日により日韓会談は大幅に進捗し、四月三日、漁業問題、請求権及び経済協力並びに在日韓国人の待遇の三大懸案についてそれぞれの合意事項にイニシアルを行なうに至りました。  まず、漁業問題については、両国の納得のいく線で、漁業に関する水域、魚族資源保護のための暫定的漁業規制措置及び漁業協力等の諸問題につき大綱の合意に達し、この結果、日韓間の漁業問題に関する合意事項がイニシアルされました。漁業に関する水域については、済州島付近の一部の水域を除いて最近の国際的傾向に従ってこれを沿岸の基線から測定して十二マイルまでの範囲に合意できたこと、また、共同規制水域における出漁隻数及び漁獲量についても、わが国の漁業実績がほぼ確保されたことは、わが国として満足すべきことであります。さらに、それ以上に、このたびの合意により韓国側は公海自由の原則並びに公海における取り締まり及び裁判管轄権の旗国主義の原則を認めました。その結果、わが国が過去十数年にわたって要求し続けてきた李ラインの撤廃と日本漁船の安全操業とが確保されることとなり、これは実に画期的な意義を有するものであります。  次に、請求権及び経済協力問題に関しては、昭和三十七年の大平・金会談に基づきその大綱の了解はできていたのでありますが、今次外相会議において、諸般の情勢の進展を勘案し、細目についての話し合いを詰めた結果、今度の合意事項ができ上がった次第であります。これにより、日韓問の請求権問題は、通常取引により発生したものを除き一切解決することになります。拿捕漁船の問題は、諸懸案が一括解決される見通しがつきましたので、この際大局的見地から請求権問題の一環として解決することにいたしました。請求権及び経済協力の問題の解決は、単に過去の請求権問題を最終的に解決するという消極的な面にとどまらず、平等互恵の精神により韓国経済の発展のため援助を与え、もって韓国の民生安定をはかり、日韓両国の経済面における緊密な協力関係の基盤をつくるという積極的な意義を有するものであります。  在日韓国人の待遇問題に関しては、永住許可の範囲、強制退去事由及びその処遇について大綱の合意に達したのであります。在日韓国人の取り扱いは、わが国の長い将来にわたる社会秩序の問題に関係する重要問題でありますので、われわれは特に慎重に交渉に臨みました。永住許可の範囲については、在日韓国人の特殊な歴史的背景にかんがみ子々孫々にまで永住権が認められるべきであるとの韓国側の強い主張があったため交渉は難航いたしましたが、結局、終戦以前から引き続き日本に居住する者、その直系卑属で協定発効後五年間の過渡期間が終わるまでに日本で出生する者、及びこれらの子で日本で出生する者に永住許可を与え、その後のことについては二十五年以内にあらためて協議することで合意が成立した次第であります。また、退去強制につきましては、内乱、外患、国交に関する罪、無期または七年以上の懲役・禁錮という重罪、麻薬常習犯等を犯した者は退去強制ができることに合意しました。さらに、処遇問題についても、教育及び生活保護等につき妥当な考慮を払うという基本原則を確認いたしました。以上を全体として見ますと、善良な在日韓国人が日本において平和で安定した生活を営むことを保障したいという両国関係者の希望は十分に達成されたものと考えます。  今後は、できるだけすみやかに今回イニシアルが行なわれました三つの合意の大綱の条文化を行なうとともに、竹島問題等残された懸案の解決をはかる所存であります。  歴史的、地理的に、また文化的、経済的に最も密接な関係にある日韓両国が国交を正常化し、もって永久の善隣提携関係を樹立することは、まことに当然であり、きわめて自然なことであります。最も近い隣国と仲よくすることができないようでは、とうてい平和外交は推進できるはずがありません。わが国世論が日韓国交正常化交渉を支持しているゆえんもここにあると存じます。  ところで、世上一部に、韓国との国交正常化は朝鮮の分裂を永久化し、その統一を阻害するものであるとの議論があります。しかしながら、朝鮮の統一方式に関し、韓国は国連監視下の全朝鮮自由選挙に基づき全朝鮮単一政府をつくるといういわゆる国連方式を終始一貫支持しているのに反し、北朝鮮側は朝鮮統一問題に国連が介入することに反対の立場を維持しているところに、統一が容易に実現しない原因のあることは周知の事実であります。北朝鮮側が国連の権威と権限を認め国連方式による統一に賛成しさえすれば、朝鮮の統一は実現し得るものであります。したがって、日韓国交正常化は南北朝鮮の統一を妨げるものではありません。われわれは、申すまでもなく、朝鮮の統一が一日も早く実現することを祈ってやみませんが、これはまさに国連の場において純粋に平和的な動機によって達成さるべきであると思います。  日韓交渉はまた、平等互恵の原則に基づく善隣友好関係を日韓両国の間に確立するという観点から行なわれているものであり、両国の平和と繁栄を意図する以外に他意はありません。韓国政府は目下工業化への基盤造成、国民経済の体質改善を通じての自立的成長を目標に五カ年計画を進めており、米国をはじめ、ドイツ、イタリア、フランス等の国々が韓国のその努力を支持して、これに諸般の協力の手を差し伸べております。かかる時期に際し、隣国である日本が、韓国の国民生活の向上繁栄をもたらそうとする国際的共同事業の一翼を分担し、できるだけの寄与貢献をしようとするのは、あまりにも当然の責務であると思います。  わが国の一部には、今回の交渉においてわが方が大きな譲歩を行なったとの批判があるようでありますが、決してそのようなことはないのであります。他方、韓国側においては、今回の交渉結果に必ずしも満足ではないとの批判があるのであります。十四年の長きにわたるこの困難な交渉をまとめるためには相互の歩み寄りに待たなければならないことは言うまでもありません。今回の成果は、双方が互譲の精神によって大局的見地からお互いの国民の納得のいく線で合意をはかったことを立証するものであり、その意味で、日韓両国間に新しい友好関係ができ上がった事実を裏書きするものと確信いたします。  日韓交渉は、種々の紆余曲折を経た後、このたびようやく三大懸案につき合意が成立したわけでありますが、これはアジアの平和と安定を希求するわが国外交の基本的姿勢に基づくものであり、われわれはこのような積極的外交を今後も推し進めていく覚悟であることをここであらためて明らかにしたいと考えます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。菊池義郎君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 ただいま大臣の日韓交渉の経過についての御報告を拝承いたしまして、御苦労のほどお察し申し上げる次第です。至難中の至難でありました日韓会談が妥結しますことは、ほんとうに両国民にとって幸福なことであると存じます。  ところで、私の質問でございますが、与党の議員の立場よりいたしまして、至って建設的な意見ばかり申し上げて御意見をただしたいと存じますので、率直にお答え願いたいと存じます。時間もない関係で、簡潔にお答え願いたいと思います。  本日の新聞を見ますと、昨日、ソ連駐在の下田大使がソ連の覚え書きにに対する回答をソ連側にもたらしたようでございますが、その覚え書きの内容の重点だけちょっとお漏らし願えればと思います。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 おもな点は二つございまして、一つは、日本国内の米軍の施設・区域がベトナムにおける米軍の軍事行動の基地として利用されているというのはけしからぬという趣旨でございます。第二点は、日本がその国際的な地位をベトナムの平和解決のために利用して何かの外交的な措置をとるべきじゃないかという趣旨でございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それはわかっておりますが、それに対する日本側の答えはどうだったのですか。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 答えは、第一点につきましては、前から日本政府がソ連側の申し入れに対して答えているとおりであるということ。第二点につきましては、ソ連こそ現在のベトナムの時局収拾のために積極的な行動をとるべきであるということを指摘したということでございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 アジア・アフリカ会議の記念式典はベトナム問題について各国が話し合う絶好の機会であると存じますが、こういう機会を利用して、日本政府はこの会合において十分の意思表示をすべきであると思いますが、大臣はどうお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 主催国であるインドネシアのスカルノ大統領は、今回のバンドン会議は、第一回のAA会議が開かれて十年たつ、いわゆる十年記念式典であって、特別の政治的意図を持ってこの会議を主催するものでないということを言っておりますから、バンドン会議それ自身は何らそういう行動に出るものとは期待されないのであります。ただ、そこへ集まったAA諸国の間において適宜政治的な接触が行なわれることは、もう当然のことであると思います。そういう意味において、アジアを中心とするもろもろの紛争あるいは懸案、そういうものを解決の糸口を探求するとか、あるいは話し合いをするというような機会、当然それぞれの国の間において会談する機会が持たれることになると思うのであります。ただいまのところ日本がそういうような接触について特別の具体的な計画をまだ持っておるわけでもございませんが、しかし、そういう場合に、こちらから仕向ける、あるいはまた先方からしかけられる、そのいずれの場合を問わず、従来の日本の立場あるいは将来に対する方針というようなものは十分に用意するといいますか、心にとめて参るので、ありますから、適宜日本の考え方を十分に合理的に相手に理解させるいい機会になる、かように考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 私は、こういう機会こそ積極的に利用し、活用すべきであると考えます。それでありますから、ただ記念式典というだけにとどまらず、それを乗り起えて、積極的にこっちから呼びかけてベトナム問題の解決のために努力すべきであると思うのでございます。それにつけて、そういったような役割りを演ずるには、川島副総裁に随行するところのメンバーがどうも不適当ではないか、しろうとばかり多くてくろうとがさっぱり入っておらない、これを私は痛感いたしますが、大臣はどうお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 外交にもピンからキリまでいろいろありまして、ものによっては、あまりくろうと過ぎてよくわからないという場合もあるのです。しろうと外交もそういう意味においてなかなか捨てがたいものがあると私は思うのです。しかし、外交界のベテランである大野前駐英大使も副使として参るのでございまして、そのいずれの方面においても相当なメンバーをそろえて参るのでありますから、メンバーが非常に貧弱であるというようなあなたの御見解でありますけれども、私はそうは思いません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 その点において私はどうも意見が違いますが、やはりくろうとを入れたらいいと思うのです。結局、この会合においては、ベトナム問題、それからマレーシアとインドネシアとの紛争に関する話し合い、そういうことも必ず出なければならず、また、出すべきである、こっちから誘導すべきであると思うのです。こういう点において大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほど申し上げたように、そういう機会をどうつかむかということでございまして、その問題が議題になっているわけでもなければ、あるいは、さらに小委員会を設けてそういう外交上の懸案を国際的に討議する、そういう企てのものではございませんので、ただ思い思いにその問題を話し合う機会に恵まれるというだけの話でございます。それらの問題については団長の胸三寸の中にあるのであります。こちらから指令をするというようなことはないのであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 胸三寸とおっしゃれば一言もございませんが、ところで、マレーシア・インドネシアの紛争解決のために関係四カ国の調停委員会を設けるという新聞の報道がございますが、そういうことは事実でございますかどうですか。また、できる見通しがございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 マレーシア紛争は行き詰まったままでございますが、この四カ国調停委員会の問題は、一つの解決の糸口として考えられておる一つの案でございます。この四カ国の調停委員になるべき国をどういうふうにして選ぶか、そしてそのできあがった後にいかに運用するか、また、その調停委員会と当事国との関係と申しますか、調停国のきめることに対しても、全然よけいなおせっかいだ、こういうようなことになるのじゃ、これはもう何にも意味がないのでありまして、一体その当事国はその意向というものをどの程度に尊重していくかといったようないろろいな問題があるのでありまして、そのいずれもまだ手がついておらない状態であります。この問題を短い期間に片づけるなんということは、とうてい望むべきもない事柄でござますが、しかし、こういう機会に、この問題に対してどういう一体意向を持っておるかというようなことは、おそらく当事国が集まるだろうから、もしできればその意向を打診するというようなことも決してむだではないと思うのでありますけれども、一切、こういう問題については、何らのあらかじめ意図を持ってこの会議に参列するわけではないのであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 川島副総裁が中共の周恩来首相ともこの式典で会うでございましょうが、その際に、日立造船のあの貨物船の輸出が取り消された、このことについても何か話し合うことになっておりますか。私はそういういい機会だと思いますが……。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いや、そういうような意図は私はないと思います。また、周恩来首相とまあ接触をするような機会がありましても、はたしてそういうことが話題になるかどうか、それもどうも期待はできないと思うのであります。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 ベトナム問題に関しまして、日本政府の態度はあまりに消極に過ぎて、われわれ不満に思っておるのでございますが、すべて積極的に出るべきだと思うのです。英国はすでに要路の大官をアメリカにつかわして折衝しております。それから、カナダのほうでも、首相みずからだいぶいろいろ陰でもって骨を折っておる。各国が平和回復の意欲を燃やしている際に、アジアの最も有力な国である日本が拱手傍観するということはないと思うのです。それでは世界の信望を失墜するばかりであって、日本の威信を高めるゆえんではないと思うのです。総理は、社会党の幹部の質問に対しまして、いま動くときではない、時期を見て動くであろうというようなことを答えておりまするが、もう時期はすでにおそいと私は考えておる。いまからして何らかの行動を開始し発言をしておかなければ、あとになって会議の主導権を握るということもむずかしいことになるのでありまするから、今日より直ちにもう動き出すべきであると私は考えておるのでありますが、大臣はどうお考えになっておるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この問題については、どういうことをすればこの収拾が実現されるかという、いわゆる模索の程度で各国が動いておるのが現状でございますが、なかなかこれという効果のある方法が発見されないというのが現状でございます。日本といたしましても、アジアの一国として身近に感ずる問題でありますから、一日も早く平和解決が望ましいのでありますけれども、現状はなかなかうまい妙手がない。あまり効果のない手を何べんも打つというようなことになりますと、発言力がそれに準じて低下するのでありますから、よほど根回しをして、そうして、ここぞと思うような手を打つべきである、こう考えておりますが、総理の申したとおり、ただいまは適当なタイミングじゃない、かように私も考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 どうも、いたずらに策を弄して、そうして慎重を期するのは官僚政治家の通弊でございます。この通弊を改めなければ、ほんとうの外交はできぬと私は思うのでございますが、国連に呼びかけるのもいいし、それから、ジュネーブの会議の新方式をとることもいいでしょう。いろいろ、考えようによって、あの手この手と打つ手はあると私は考えます。その手を打つこともなくして、ただ手をこまぬいて傍観するということは、決してアジアの大国日本の態度ではないと考える次第でございますが、ウ・タント事務総長は、前にベトナム問題ついて七カ国の会議を提唱しておりまするし、それからまた、米国の国務次官補でありまするところの、そうして国連を担当しておるクリーブランド氏も、この問題解決のために国連を利用すべきであると言っておる。松本俊一君の報告を見ますると、ベトナムの近隣の国々はみんな日本のあっせんを期待しておるということでございますので、こういうことを考えあわせまして、日本政府といたしましては早急にこの折衝の手を打つべきであると思う。ただいまおっしゃいました、効果のないことをやってはかえって発言権が鈍るという考えは、これはもう時代錯誤の考えでありまして、今日の外交はそんなものではない。失敗したらまたほかの手を打つ、それがだめだったらまたほかの手を打つ、そういうふうにあの手この手と打って、そうしてものは初めて成立するものである、私はかように考えておりますが、大臣はどうお考えか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 おしゃるとおり、ただちゅうちょ逡巡するだけが能力ではないと思います。だんだんベトナム問題もいろいろな動きが出てまいりますた。絶えず注意深くこれを観察し、日本が何をどういうふうにやるべきかということにつきまして、せっかく考究を重ねておる次第でございます。最近松本大使も非常に貴重な報告をもたらしたのでございます。せっかく御指摘の線に沿うて努力したいと考えます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 日本としては、ソビエトに対しましても、もっともっと積極的に、共産圏に対して影響力の大きいソビエトからしてこの調停のために動くべきであるということを強硬に申し入れるべきであると私は思うのでございます。それから、日本はまだアメリカに対してすらも何ら折衝しておらない。日本は米国の同盟国でありますからして、この最も関係の深い同盟国といたしましては、直ちにまずアメリカに対して折衝を開始すべきであると思うのです。時期を待てば待つほどアメリカはますます深いりします。ジョンソン及びジョンソンのぐるりの連中は、共産主義の研究を全然やっていない。私はそう見ております。それだからして、爆撃によってベトナムの共産主義者の根をとめることができると考えておる人が多いようです。ところが、共産主義者にとっては、共産主義というものは一つの信仰になっておる。創価学会の信仰どころではない、それに何十倍するところの深い信仰を持っておるのでありますから、たたけばたたくほど彼らは強くなるばかりなんです。たたいて彼らを屈服させるということは絶対にできない。結局においてアメリカは不名誉の退却をせんければならぬという結末になるということは、菊池義郎は予言してはばからない。でありますからして、今日日本としては、アメリカに対しても折衝し、列国会議を開くためにも進んで活躍すべきであると思うのであります。これに対する大臣のお答えをいただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ああいう内乱と申しますか、間接侵略と申しますか、ああいうものは、おっしゃるとおり、ただ爆撃あるいは武力というものだけではなかなかおさまらない。私満州におりましたときに、向こうの要人がよく、ああいうものは、兵三政七といって、兵力三分政治力七分、こういうことでいかなければならぬ、日本の関東軍は匪賊の討伐にあべこべに兵七政三あるいは政ゼロでやっておるというようなことを言っておりましたが、やはり精神的なものをねらわないと、国民が匪賊になびいておるというような地帯では、なかなか討伐だけでは片づかないということがありました。そういうような体験も多少持っておりますので、ベトナムのことはどうなっておるか私はよく知りませんけれども、ただ武力討伐あるいは武力行動だけによって問題を解決するということは、もし考えておるとすればそれは完全ではない、かように考えておりますので、大きな考え方については菊池さんと同感でございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 アメリカの民主党政権の外交というものは、もうへまばかりやっておる。共和党が政権を握っておりましたときは、米国の外交はさん然と輝いて自由世界から尊敬され、共産圏からはおそれられておった。ところが、今度のベトナムの紛争にしても、ソビエトに押し切られて二つに分けた。ドイツと朝鮮を二つに分けたことも、これまたソビエトに押し切られて、ああいうへまなこと、ばかなことをやっておる。共産主義者にとっては、親子兄弟殺し合うということは、主張の違う場合には当然のことです。自由世界の人にとっては絶対にできないことだ。そういうばかなことまでも民主党の政権はやっておる。それから、ベルリンの封鎖のときにも、ソビエトをはばかって空から輸送した。自由世界の信望を失っておる。朝鮮戦争のときには、マッカーサーをそでにしても統一の機会を失っている。それから、終戦直前には、ソビエトを誘って、日本の南樺太と千島列島をおまえにやるから日本に戦争を吹っかけろと言って吹っかけさせた。終戦後には日本の軍備を全部はぎ取っておいて、いまはまた憲法を改正して、正式な軍備をやってくれということをしげしげ要求している。そういうばかげたへまな外交ばかりやっているのですから、今日、民主党の政権に対しましては、徹底的に誤りを述べ、そうして直ちにこの爆撃を停止すべきことを積極的に勧めるべきであると私は考えておるのです。  よけいな話のようでありますが、大統領選挙のときにジョンソンと戦ったゴールドウォーター、これの書物は八百万部も売れている、世界的なベストセラーの一つになっている。それほどの天才でありますが、これは徹底的に共産主義の研究をやっている男なんです。ところが、これはあまりに大胆にものを言い切る男で、それで、あれを大統領にするということは戦争でもおっぱじめるのではないかということで、婦人からおそれられて、商人からおそれられて、全部票がジヨンソンのほうに行ってしまったような次第なんですが、ジョンソンは、これは独自の見識を持っている男でも何でもない。ただ、からくりはじょうず、内政問題には通じておりますが、外交問題はわからぬ男です。そういう男でありまするからして、彼を反省させるためにも、日本としては、同盟国として、米国を愛すれば愛するほど、ジョンソンを愛すれば愛するほど、彼に対して進言すべきである、助言すべきである、警告すべきであると私は考えておるのであります。大臣のお考えを承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御意見はよく拝聴しておきます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 インドネシアとマレーシアの紛争の解決にも、スカルノは、国連による平和的解決を望んでおります。こういうことを明言しておるのでありますからして、日本といたしましては国連を活用すべきであると思う。日本は昨年マフィリンド三国に対して東京で首脳会談、外相会談を開く場所までも提供しておるくらいでありまするからして、今度こそは徹底的に解決のために努力してもらいたいと思うのでございますが、むずかしいむずかしいと思っていれば何でもむずかしいし、やさしいと思えばやさしくなるもので、要するに、この外交なんというものは熱意いかんにかかっておるのであります。タレーランのごときは、昔の人ですが、ああいうように、二頭三頭の馬を合わせて、そうしてすばらしい外交をやっているくらいであります。日本といたしましてこのくらいの紛争の解決はできぬことはないと私は思う。スカルノ夫人は日本人であり、日本に対しては非常に親密感を持っている男でありますので…   〔「ほんとうかな」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 私語を禁じます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 ほんとうなんです。われわれは紹介されている。したがって、大臣も、川島副総裁のしりをたたいて、徹底的に活躍してくださらんことを要望してもらいたい。大臣の意気込みを拝聴したいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 とにかく、今度川島副総裁には、そうざらいにない舞台に御苦労を願うわけです。あらゆる機会をとらえて日本の外交のためにきわめて有効適切な動きをしていただくということを大いに期待しておる次第でございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 インドネシアは非常に経済的に窮迫しております。それで、日本としてはこの親日家であるところのスカルノ及び親日国家であるインドネシアを大いに援助してやったほうが国策上適当であると私は考えておるのでございますが、インドネシアに対する賠償以外の協力の形、大体大づかみのところ、金額にしてどれくらい、どういうものがございましょうか。

片上一郎外務事務官(経済協力局外務参事官)

○片上説明員 お答えいたします。  賠償以外で、延べ払いの関係でかなりのプロジェクトがいままでに出ておるわけでございますが、六三年の数字で申し上げますと、二国間の政府ベースで、六三年の支出ベースで約三千万ドルくらいでございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 私は、スカルノは偉い男だと思うのです。彼は、十年間監獄、牢獄につながれて、なおかつその意思をひるがえさず、そうしてこのインドネシアの独立のために戦った志士であり、英雄的色素の豊かな人物で、私は好きでありますが、こういう人の指導する国を助けておけば、必ず日本のためにもなると考えております。どうか大臣も、総理と御協議の上で、このインドネシアをできる限り助けてもらいたい。希望を述べておく次第でございます。  さらに、沖繩、小笠原の問題でございますが、どうもこの沖繩と小笠原とでは政府の考えが違っておるようでございまして、沖繩のためには、施政権の返還だ何だ、いろいろ折衝しておられますが、小笠原の傷民を向こうへ帰すということについては、さっぱり熱意がないようであります。かわいそうに、数千名の連中が東京で食うに困っております。何とかこれを帰してやりたいと思います。ところが、小笠原には米国の軍事施設は何一つないのです。でありますから、あすこへ帰して少しも支障はございません。私はそういうように考えておりますが、外務省はどうして彼らを向こうへ送り帰す骨を折らないのでありますか。

安川壯外務事務官(アメリカ局長)

○安川政府委員 小笠原につきましては、従来の経緯は御承知であると思いますから、アメリカ側との従来の話し合いの経緯だけ申し上げますと、終戦後島民が非常に帰島を強く希望しておりまして、それは政府といたしましても再三にわたりアメリカ側と話し合ったわけでございます。ところが、アメリカ側としてはどうしても軍事上の理由によって島民の帰島を許すわけにいかないということで、話がつきませんで、これはいつであったか私正確に記憶しておりませんが、たしか三十四年か五年であったと思いますが、当分帰島はできないということを前提にしまして、他方、住民が生活その他で非常に困窮し、かつ小笠原で漁業その他の生業を失なったということに対します補償と申しますか、そういう趣旨で、アメリカ側から、たしか六百万ドルであったと思いますが、邦貨にしますと約二十億円の金を受け取りまして、これを、帰島ができないことに対する補償と申しますか、正式の法律上の意味の補償とは申せないかもしれませんけれども、そういう趣旨で支払ったわけでございます。そこで、現在におきましては、近い将来に島民を帰すということは、そのときのアメリカ側との話し合いの経過で申しましても、相当困難があると思いますけれども、帰島を希望しておる、いずれの日にかは帰島の実現を希望しておるという立場につきましては、常にアメリカ側に明らかにしておるわけでございますが、これはすでに発表いたしましたとおり、帰島ということは当面望めませんので、島民の希望によりまして、とりあえず墓参をしたいという希望につきましてアメリカにと話し合いました結果、これも非常に困難な話し合いでございましたけれども、御承知のように、本年一月佐藤総理が参られました際に直接ジョンソン大統領にこの件を伝えられました結果、墓参につきましては近く実現をする運びになっております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 墓参りなんということは、これはどうでもいいことでございますが、アメリカの軍事施設は小笠原には全然ないのですよ。ないのだから、何も軍事上の理由というものはないはずなんです。そういう点をもっと突っ込んで、外務省で強硬に折衝してもらいたいと思うのです。その金はいただいたと言いますが、それはほんのおしるしで、それによって彼らの損害を補うなんということはとうていできないのです。この希望を申し上げまして、私の質問を終わります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ただいま外務大臣が本委員会に進んで発言を求められまして、過般の日韓交渉について自画自賛的な発言をせられました。また菊池委員からもこれを高く評価する意味の発言がありましたが、われわれ野党側といたしましては、このような発言に対して承服ができません。この点について、われわれも所信はすでにいろいろな機会に表明をいたしておりますが、この機会にも質問をいたしましてさらに問題点を明らかにして、大臣の報告に対して論議を深めたいのでありますが、本日は、時間の関係上、また、他の質問を用意いたしておりまするから、この問題についての質問は他日に保留をするということで、本日の質問に入りたいと思います。  ベトナムにおけるところの戦況は実に憂慮すべき段階に突入いたしております。これが帰趨いたしますところ、どのような不祥な、不幸な事態に立ち至らないとも限らない状態になっておるのでございます。その根本的な解決の方策といたしましては、ただいま菊池委員からもいろいろ御意見があり、大臣の御答弁がございましたが、一向いままでの御答弁から進展していない。少しも変っていない。いまだに模索をしておられる。模索ならまだいいのですけれども、暗中模索の状態から脱していないということを聞きまして、非常に情けない気持ちにさえなっているのであります。きょうはこのベトナム問題の解決に対するわが日本としての基本的な姿勢についていろいろ御質問したいのでございますけれども、これも時間がありません。わずかな一時間足らずの時間でとうてい質問ができません。ただ、私は、この前の委員会におきまして、北ベトナムとの貿易がこの四月から完全にストップしてしまう、それは配船の関係から事実上できなくなってしまうという問題について質問をいたしましたが、本日は、例のLST乗組み員の問題について、過般の本院の予算委員会において取り上げられましたが、問題は解明されないままに今日の段階に入っておるのでございますから、私はその問題について政府のお考えを伺いたいと思うのでございます。  昨年の十一月にはLST日本人乗り組み員の射殺事件があり、その補償の問題も片づいていないのに、つい先ごろまた、ダナン港停泊中のLST船が南ベトナム解放民族戦線の人たちによりまして爆破され、日本人船員が負傷したという事件が起こりました。幸い日本人船員の被害は軽微でございましたけれども、もしもこの船に爆薬等を積んでいたといたしましたならば、たちまち船はこっぱみじんになって、多数の被害者が出たであろうと思うのでございます。現に、去る二月十六日の本院予算委員会におきまして、横路委員からの質問の中で、いま問題になっているところの一切のいわゆる武器、弾薬、おまけに韓国からの今度の兵隊、沖繩からの海兵隊、沖繩からのアメリカの陸軍、そういうものを全部LSTで日本人船員の手によって運ばれておるという点が追及されておりますが、この点に関して政府の答弁はほとんどなされてないのでございます。そこで、私がお伺いいたしたい点は、いずれにいたしましても、八百名をこえるところのLST船乗り組みの日本人船員の生命財産の保護の問題でございます。特に生命の保護の問題でございます。この点に対して政府はどのような責任をおとりになりますか、まずその点お伺いをいたしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは、自発的な意思によって乗船を希望しておる限りにおきましては、政府としてはこれを強制的に中止させるということはできないたてまえになっております。しかし、将来情勢が非常に悪化して、船が近づくことすら危険であるとか、その他の危険が及ぶような重大な時期になりますれば、あらためて適当な措置はとりたいと思うのでありますが、ただいまのところはまだそれほど事態は悪化しておらない、かように考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私は、大臣の御認識が失礼ながらきわめて甘いと思うのでございます。事態はそういうのんきなことを言っている状態ではございません。LST船によりまして、日本から、また沖繩から、あるいは韓国から、多数の武器・弾薬・兵員・資材が運ばれておるということが事実であれば、またこれは事実でございますが、そういう船舶に関して、今度の戦乱の域外にある、そう危険が伴っていないのだということではたして済まされるであろうか。八百名をこえるところのこれらの乗り組み員、船員の生命の保護、これは当然日本政府が当たらなければならない点であると思うのでございます。またさらにどのような事態が起こるかもわからないのでありまして、南ベトナム解放民族戦線軍にこれらのLST船乗り組み員である日本人の船員がつかまったというような場合に、一体どういう取り扱いを受けるか、戦時国際法の捕虜とみなされるかどうか、交戦者とみなされて戦時国際法の取り扱いを受けられるかどうか、あるいはまたスパイとしてスパイ嫌疑を受けて逮捕され、また極刑に処せられるというような危険がないとは言えないのであります。このようにベトナム戦乱が複雑微妙な段階に入って、しかも危機的な様相を示しているときに、いま大臣の言われたような、そういう危険が全然ないと断言する材料は何もないと思うのであります。あれほど警戒厳重をきわめておりましたサイゴンのアメリカ大使館ですらあのような爆破をされたという事態において、LST船に関して危険が伴わないというようなことで、その時期が来るならば何らかの措置を講ずるということで、もし不祥の事態が起こった場合に、外務省は、海外にあるところの日本人の生命財産の保護に任ずるその責任上、一体どういう立場をとっていかれるか、どのように責任をとろうと考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。

安川壯外務事務官(アメリカ局長)

○安川政府委員 ただいまの西村先生の御発言の中の事実関係につきまして、若干認識が違っている点がございますので、その点をまず申し上げます。  LSTがどういう輸送任務についているかという点でございますけれども、ただいまの御発言によりますと、たとえば韓国の派遣の兵隊あるいは沖縄からアメリカの海兵隊を輸送したという御発言がございましたが、韓国の軍隊を運んだのはLSTでございますけれども、これは日本人の船員が乗船しているLSTとは全然関係がありません。全然関係しておりません。その点は確認しておりますから、はっきり申し上げておきます。それから、沖縄から海兵隊を運んだということも私は聞いておりませんけれども、おそらくそういうことはないと思いますけれども、これは確認しておりませんので、いずれ確認した上でお答えできると思います。その他一般に物質を輸送しているわけでございますが、もちろん軍需品を運んでいることも事実でございます。ただ、これは、軍需品ばかりではなく、一般の民需品を運んで――南ベトナム現地の輸送手段が不足して民需物資が不足しているという関係もございまして、軍需物資を運ぶと同時に、相当多量の民需物資を運びまして、それを沿岸各地にLSTが分配しているというのが現状でございます。  それから、安全確保につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、現状におきましては、船員がある程度の危険を覚悟の上でみずから乗船を希望する以上、これを政府が強権をもってとめる段階ではないというふうに考えておりますけれども、乗船を政府がとめない以上、この安全確保につきましては、まず第一次的には、この輸送の責任を持っております米軍、そしてこの乗員の雇用主の立場にあります米軍に第一次的な責任があるわけでございます。この点につきましては、従来から再三アメリカ側につきまして日本人船員の安全確保については万全を期するように何回も申し入れておりまして、アメリカ側も、この点につきましては、安全の確保に万全の措置を講ずるということを言明しております。それで、しからば具体的にどういう措置をとっているかという点につきましても、実は詳しくアメリカ側から説明を受けておりますけれども、内容が軍事機密にわたります関係で、ここでそのとっている具体的な安全措置を一々御説明できませんけれども、たとえば、これは先般新聞にも横浜にあります米軍の輸送司令官の談話として出ておりますので、そのまま引用させていただきますが、たとえば、船長が危険であると判断した場合には、陸上の輸送司令官が積み荷の命令を出してもそれに従わなくてもいいということも規定されております。そういうことで、現状におきましては、アメリカ側の安全措置の万全の措置をとることを期待しておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 いまアメリカ局長の言われた点につきましては、一方的にアメリカ側の言明を信頼しておられると思うのでございますが、他方面からのいろいろな資料によりますと、必ずしもいま局長の言われたようなことではないというふうにわれわれは考えておるのであります。また、先ほど私の申しました二月十六日の本院予算委員会における横路委員の質問に対しましても、政府は何らこれに対して答えておられないのであります。その後アメリカ局においてアメリカ当局との間に話し合いがあって、そういう事実はないということを確認されたんだと思いますが、しかし、それはアメリカ側の一方的な言い分だけでありまして、必ずしも事実に合致しているものだというふうにはわれわれ考えてない。また、現にアメリカ局長はある程度の危険を覚悟してということを言われましたが、ある程度の危険というのはどういうものであるか、これはやはりその度合いの問題もありますが、われわれは非常な危険があるということを考えるものであります。  このように空中戦にまでベトナム戦争が発展してきておる段階において、また、いま認められましたように軍需品を積んでいる、軍需品だけではない、民需品も積んでいるんだが、軍需品も積んでいるという船をそのまま黙って北ベトナム側が通させるわけがないということも考えられるのであります。停泊中に起こった事故などは、すでにダナンにおいて現にあった。それがもうないんだという確証はどこにもない。そういうことを考えますときに、一体安全の保障というものを政府はただアメリカ側に要望する、雇い主であるところのアメリカ側に要望するということだけでは、これは十分に責任を果たしたとは言えないと思うのであります。  また、強制的に乗船をやめさせるということはできないにいたしましても、いろいろ身分の上においても問題がある。この点については、さきの予算委員会において戸叶委員からも横路委員からも追及されておるのであります。追及をされて明確な答弁がなされていないのであります。いろいろ行き違いができておるのであります。こういう点につきまして私はあらためて政府の見解を伺いたいと思うのでありますが、衆議院予算委員会の要求資料として、昭和四十年二月十七日に法務省から提出せられました「LST乗組員の出入国管理上の地位について」という資料がございます。これほどわからない資料はないのであります。私はこれを幾たび繰り返し読んでも納得がいかないのであります。たとえば、「一、LST乗組員は、出入国管理会二条三号にいう乗員であるから、同令六〇条および六一条の規定により、旅券を用いないで、適法に出入国することができる。LST乗組員であることは、船員手帳の様式を利用した運輸大臣の証明によって確認している。」、これが第一項であります。第二項は、「昨年十一月二十五日以降は外国船の日本人乗員の取扱いを統一するため」、――統一するためと書いてございます。LST乗組員に対する右の証明を新規には行なわないこととしたが、このことによって、その日までにした運輸大臣の証明が失効するわけではない。したがって、その証明によりLST乗組員であることを確認して、旅券なしに出入国を認めることは適法である。」、こういう見解の表明が資料として予算委員会に提出をされております。  一体、LST乗り組み員は、米船運航会社の船員手帳を持っていたが、それは、同会社が解散するとともに、その会社の使っておるところの船の船員としての身分を失っておるのであります。したがいまして、その船員手帳なるものは無効であります。船員手帳を持っていない者を乗員と言えるかどうか、船員法五十条一項の乗員と言えるかどうかというところにも大きな問題がございます。「船舶の乗員でありますから、出入国手続は要らない、」と当時八木政府委員は答えておられますが、これはごまかしではないかと思うのです。船員手帳類似の文書をもって出入国の手続をしてきたが、疑義があったのでそれを改めたと言っておられる。一体どういう疑義があったのでありましょうか。船員手帳では米軍の船に乗ることはできません。この点につきましても、戸叶委員が、三十七年の八月以降何もしないで今日に来て、去年から疑義があるというので旅券に切りかえなければならないということは、それまでほったらかしておいたということになるのではないかということで追及しているのでありますが、その点に対しても、政府は、これは無法ではない、違法ではないということを松浦運輸大臣が答弁している。どうもそれは納得がいかないのであります。いままでどういうような法的な根拠でLST乗り組み員の出入国の管理をやってきたか、それは違法ではなかったかという点につきまして、まず運輸省の見解を聞きたいと思います。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 お答えいたします。  出入国管理は法務省の所管でございますが、船員手帳は運輸省において発給をしておりますので、その関係について御説明申し上げます。  ただいま御指摘のように、LSTの乗り組み員は三十七年の八月以降は船員法の適用を受けない者となったわけでございます。と申しますのは、三十七年三月三十一日まで、米船運航株式会社の雇用員でございましたこれらの者は船員法の適用を受けておりました。三十七年四月一日から同年の七月三十一日までは、調達庁の、つまり日本政府の雇用する者でありました。したがいまして、この間においても当然船員法の適用がございました。したがいまして、これらに乗り組む船員は船員法の受有の義務があったわけでございます。三十七年八月一日以降、いわゆる米軍の直接雇用ということになったわけでございます。日本の船員法は、日本船舶に乗り組む者、もしくは日本船舶を所有することができる者が借り入れた船舶に乗り組む者、つまり、つづめて言えば、日本人が雇用主であるということが船員法上の船員たるの要件でございまして、現在米軍に直接雇用されておる乗り組み員は船員法上の船員ではないわけでございまして、船員手帳の受有の義務はありません。  入国管理上の取り扱いといたしましては、従来船員手帳を義務として保有しておりました船員が、三十七年八月一日において船員法の適用がなくなったといたしましても、直ちに船員手帳の返還を命ずる規定はございません。しかも、出入国管理令上の出国あるいは日本人の再入国の取り扱いにつきましては、乗員である限りにおいては旅券を必要としないということだけが決定されておりますので、まず、その船舶に乗り組んでおる者は乗員であるかいなか、船舶の乗り組み員であるかいなかということ、また、それが日本人であるかいなかということが出入国審査の対象になると私は考えております。したがいまして、従来LSTの乗り組み員であったということは、その者が所持しておった船員手帳によって一応明らかになります。さらに、運輸省において、この者は米軍に雇用されるLSTの乗り組み員であるということの証明をいたしたわけでございます。しかも、日本人であることは、船員手帳の記載事項あるいは交付手続上の本籍あるいは国籍の確認がございますから、それらですべて確認されておるわけでございます。従来船員手帳によって出入国しておった者が米軍の直接雇用になりましても、別に、日本人であること、LSTの乗り組み員であることに変わりはございません。船員法の適用がないことは先生は御指摘のとおりでございますが、船員法の適用のない者が船員手帳の所持をしてはいけないということになっておりません。たまたまその場合に、船員にとっては、従来船員手帳を持っておった事実、これを一挙にほかの証明書類に切りかえることが困難である、また、これで日本人であること、及びLSTの乗り組み員であることの身分を出入国管理上十分明らかにすることができるという判断で、暫定的に船員手帳をそのまま身分証明書として使用させておったわけであります。その効力につきましては、先ほど先生が読み上げられました法務大臣の見解のとおりだと思います。  それから、これを旅券に切りかえるという問題でございますが、この問題は実は三十七年八月一日切りかえ以後関係各省で相談をしておりまして、三十九年の七月から私どもは旅券に切りかえるほうが行政上の取り扱いとしてはいいのではないか、と申しますのは、一般外国船に日本人が雇用されておる者は現在も五百人以上おります。これらは一応旅券の発給を受けて、そうして出入国あるいは外国における上陸の便を得ておるわけでございます。LSTについてこのような取り扱いをすることが行政上の取り扱いを統一するために適正であるというふうに考えまして、関係各省と相談をいたしまして、昨年十一月以降は、旅券の申請があれば旅券を外務省のほうで交付して、それによって身分をはっきりさせることができる。しかし、船員手帳で従来出入国しておった者が、旅券を発給することによって効力を全く失うわけではございません。LST乗り組み員であるという事実及び日本人であるという事実がなくならない限り、船員手帳に対して行なった証明が出入国管理上有効なものである、かように考える次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 船員手帳は返さぬでもいい、返せという規定がないから返さなくてもいいということを言われましたが、しかし、他の外国船に乗り組んでいるところの船員は全部正式の旅券によって乗り組んでいるのであるならば、なぜ同時にそのような措置をされなかったのであるか。あとになって辻原委員に追及されて疑義が出てきたから関係各省が寄って旅券に切りかえる方針をきめたというふうにしか、われわれは国会審議の中では受け取れないのです。この点に対して、管理局次長が見えておられますが、御見解を承りたいと思います。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 私どもとしては、乗員――いわゆる船員と乗員というふうに区別して申し上げますが、船員と申しますのは船員法によるものでございます。一般に船に乗って船の用務に従事している者は乗員でございます。その乗員につきましては、乗員手帳でもよければ、あるいは旅券でもよろしい、あるいはその他の証明書でもよろしゅうございますが、乗員であるという身分を証明する文書があればそれで十分と考えておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 乗員手帳というものがあるのですか。船員手帳ならばわかりますけれども、乗員手帳というものは聞いたことがない。それから、正式な船員手帳を持っているといえども、それを雇用したところの会社がつぶれてしまっておる、解散をしてしまっておる、その会社の関係の船員手帳を持っていることでもってそれを乗員と言えるかどうか。これは私は船員法の解釈の上においても問題がある点だと思うのでございます。ただいま、とにかくLSTに乗っているのだから乗員だということはわかり切っておる、日本人であるとわかり切っておる。だからそこで便法を講じたのだ、こういうことを言われる。この資料の仲では、「船員手帳の様式を利用した運輸大臣の証明によって確認している。」ということを言っておられるのでありますが、そういうことがどうも思わしくない、いろいろな疑義があるということで旅券に切りかえるという方針をきめられた、またほかの外国船に乗っているところの船員との関係を統一するという意味からも、そういう証明は新規には行なわないし、またその後は旅券に切りかえるという方針を確認した、こういうことでありますが、こういう例はほかにはないと思うのです。こういうやり方で証明をして、船員手帳とあるいは旅券と同じ効力を持つものだという取り扱いをした例が他にあるかどうか。これはきわめて安易な考え方でいままでもLSTの乗り組み員の出入国を管理しておられた。こういう便法が、出入国管理令のたてまえから言って許されるかどうか。しかもこれが、いろいろ問題をばらんでおるところのベトナム戦争の一方の陣営に加担するという形で、アメリカの輸送に協力するという形で行なわれているという場合に、出入国管理の責任をとっておるところの法務省として、いままでは違法でなかったが、しかしこれからは旅券に切りかえていくのだということでは、私は問題が解決しないと思うのです。特に出入国管理については非常に厳重な規制をしておられるところの入国管理局の当局として、この点に対していま簡単にお答えになりましたけれども、私は納得がいきません。さらにこれらの点についての法務省の考えを伺いたいと思います。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 乗員手帳と申し上げましたのは、日本人並びに外国人を含んだ一般の乗員について申し上げたので乗員手帳ということばを使ったわけでございまして、乗員の身分を証明する外国の文書も含めた意味でございます。  それから運輸省が証明している文書でございますので、私どもとしては、権限があるところの官庁が証明している文書である限りは、証明文書として十分と考えておるわけでございまして、私どもとしては何ら疑義を持っておりません。ただ、先ほど船員局長がお答えになりましたとおり、ほかの外国船に乗り組んでいるところの日本人、そういう者には旅券を出している、それと一緒に統一する意味で、わざわざLST乗員だけを別に証明書でやらないで、それも同じように旅券でやったほうがいいだろうということから、統一する意味でやったのでございまして、前の証明書、それが決して問題があるというふうには考えておりません。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 それじゃ、運輸省の証明があればどこへでも行ったり来たりすることが自由自在にできるということになるのですか。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 さようでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 これはたいへんなことだ。入管がそういう考えであるというならば、これはたいへんだと思うのです。運輸省がそういう証明をしたからどこへ行ってもいい、その人がLSTに乗り組んでおるということをかりにやめても、その船員手帳を返さない限りはどこへでも行けるということですか。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 その証明書には、これはLSTの乗員であるということが書いてございます。したがいまして、ほかの船舶に乗った場合には、つまりLSTの乗員であるということではございませんので、その実質と証明書が合致しておりませんので、その場合には証明書として十分であるとは認められないと思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 それはどういう証明になっていますか、正確な文書は。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 ここへ見本を持ってまいりませんが、船員手帳のいろいろな記事を書き込むところがございます。そのうちに官庁記事欄というところがございます。そこに、この者は米軍に雇用されているLSTの乗り組み員であるという証明をいたしております。その証明は、雇い主でありLSTの船を所管しておる米国軍事海上輸送司令部ですか、MSTSという機関から乗り組み員名簿というものを出させて、それを照合しつつ本人の申請によって証明をいたしております。したがいまして、実際に船に乗りおりする、つまり、外国の船でございますから、乗りおりをして出入国の検査を受けるときには、当然船長が提出いたしますクルーリスト、――乗り組み員名簿でございますが、乗り組み員名簿と本人の写真貼付のいまの船員手帳もしくは旅券というものとを照らし合わせて、そしてその乗り組み員であることを確認をして出入国を認める。これは、日本船が日本の港に入ったとき、あるいは外国へ行った場合、あるいは外国船が日本の港へ来た場合、少なくとも本人の持っておる何らかの証明書と船が法律上備えつけを義務づけられておる乗員名簿というものとを照らし合わせてやっておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 そうしますと、その運輸省の証明は、米国が動かしているところのLSTの乗り組み員である日本人船員手帳を持っている者であればそれでよろしい、それがいまはベトナムに向かって運航をしておりますけれども、どこへ行ってもそれはかまわないということですか。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 そのとおりでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 そういうことでは私は問題があると思うのです。それならばなぜそういう取り扱いを停止するというふうにきめられたか。それはただほかの外国船に乗り組んでいるところの日本人船員との統一をするためだと言われますが、それならばなぜ当初からそれをやらなかったか。なぜ、三十七年から三十九年まで、あるいは今日までそのままの状態を続けてこられたか。それでもいけるなら、そのままやっていったらいい。ほかの船員との統一上というのは初めからわかっているのです。それをなぜその時点においてやらなかったか。その点がわからないですが、いかがですか。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 LSTの乗り組み員である日本人船員の方は、御承知のように、終戦直後から乗っている方が大部分でございます。終戦直後と申しますのは、日本に船がなくて、引き揚げ者の輸送に米軍のLSTの貸与を受けざるを得なかった。そこで、米軍管理のもとに日本人の船員が全部乗り組んで各地からの日本人の引き揚げ輸送に従事したわけでございます。それ以後、占領中は商船管理委員会という政府機関の雇用人としてこの勤務あるいはその後米軍の軍需物資の輸送ということに当たってまいりました。それから、先ほど御指摘のように、昭和二十七年に米船運航株式会社という民間会社ができまして、これがLSTの委託運航を行なうようになって、LSTに占領直後から乗っておられた方々は米船運航会社の雇い人になったわけでございます。それまでは商船管理委員会、実体は戦争中からございました船舶運営会でやっておられた。その日本人船員で、先ほど申し上げましたような経緯でずっと船員手帳を持ち、これは船員法上の船員でございまして、義務として船員手帳を持っておった者でございますが、三十七年七月三十一日という時点でこれが直接雇用に切りかわった。働いておる態様には変わりはない、人は全然変わりはないというときに、一挙に八百何十人を、これは航海しておる者もございますし、そういうものを全部旅券に切りかえるということが円滑にいくかどうか。また、これはこまかいことかもしれませんけれども、船員手帳は従来持っておりますから、これについて証明をもらうのに何らの金銭的な負担はないわけでございますが、旅券を発給する場合には三千円の負担がかかります。これはもちろん旅券の申請人の負担でございます。そこで、私どもは、旅券に切りかえるのが、御指摘のとおり、他の外国船とのつり合い上行政上の統一を期する必要があるということであり、これが全く新たにLSTに乗り組んでおるなら当然そういう措置が十分とれる、しかし、八百何十人、当時は九百人ばかりいらっしゃったのでありますが、この方々が長年同じ仕事をしてきた、同じ船に乗ってきた、それがある日突然にいままでの船員手帳が効力がなくなって旅券に切りかえるという取り扱いができなかった、また、一人ずつ三千円要るというようなこと、それらの事情を考えまして、そして、従来持っておる船員手帳を利用することによって出入国管理同上の取り扱いが可能であるという判断から、そういうような取り扱いをいたしております。これは、どこまでも、御指摘のように、一般の外国船に乗り組んだ場合には旅券によるというのが通例でございますから、この通例に従うようにいたしたわけであります。三千円の負担につきましても、これは雇用主の負担にするようにということで、米軍側においてそういう措置がとられるということで、実は昨年の六月以降この問題を正式に取り上げていろいろな手続等を検討してまいって、十一月以降そういう措置を講じ、現在すでに一部で旅券に切りかえつつある次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 いまのお二人の御答弁を伺っておりますと、あくまでこれは便法である、どの法のどの条文にも該当しない、旅券法、船員法、入国管理令のどれにも基づかないところの便法でやっておられるというふうにしか私には理解できないのであります。こういうことでは法の秩序が十分に保たれるとは思えないのであります。ほかの場合にそういう例がない。ただ、終戦直後からLSTに乗り組んでいろいろな困難な情勢のもとに任務を果たしてきた多くの日本人船員の方々のためにあたたかい配慮をして、そういったところから便法をとらざるを得ないことになったんだというふうに言われる点も、わからぬじゃありません。船員の方の立場からはそういうことが望ましいことであるかもわかりません。しかし、事は三千円そこそこの金額の問題ではないと思うのです。やはり、法の秩序の上から言って、便法はなるべく避けるべきである、あくまでも法によるところの措置をすべきであるというふうに考えるのであります。しかも、いま承りますと、雇い主であるところのアメリカ側が三千円は支払うという話ができつつあるという。なぜいままでそういう措置がなされなかったか。いずれにいたしましても、すみやかに旅券に切りかえるということがなぜなされなかったか。これは勘ぐれば切りがないのでございますけれども、アメリカ軍の目的に協力するということについては非常に寛である。ゆるやかである。そして、一方には、たとえば朝鮮民主主義人民共和国の人たちには、日本国内にあるところの朝鮮の方々の往来の自由については非常にきびしい態度をとっておられる。こういうことは不公平ではないか。こういう点につきましても私はなお納得がまいりませんが一体、今日まで旅券を正式に申請してきた事例、また旅券を下付した事例がどのくらいございますか。外務省にお伺いたします。

山下重明外務事務官(移住局長心得)

○山下政府委員 LST関係の旅券の申請は、神奈川県庁を通じて昨日五十九名分を受け取りました。そのほか、神奈川県庁には申請手続をしているということで、おそらく近く外務省に回されると思います。現在、旅券法に基づいてこれを発給することになりますが、まだ発給は一名もしておりません。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私も、昨日の朝日新聞によりまして、「LST乗組員の旅券申請取次ぐ」というこの記事を読みまして、いよいよ出たなというふうに感じたのでありますが、これは一体どこの国へ向かっての旅券を申請しておりますか。

山下重明外務事務官(移住局長心得)

○山下政府委員 これは、行き先国が、船の寄る寄港地として十幾つの国を広くあげております。外務省でいま検討しておりますが、出すとすれば、米国、ニュージーランド、フィリピンとかという三つ四つの国をあげて、あとは必要な寄港地という形で発給されることになると思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 もう一度伺いますが、アメリカ合衆国とニュージーランドと……。

山下重明外務事務官(移住局長心得)

○山下政府委員 そのほか、まだはっきりきめておりませんが。一つ二つの国をあげて、そのほかのところは寄港する場合にこれが有効であるという書き方になると思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 まだその方針もきまってないようですね。行く先の国の名前もきまっていない旅券を申請している、十ばかりあげているが、その中から幾つか選ぶんだということで、外務省の移住局で検討中だと言われるのですが、行く先はきまっている。これは南ベトナムです。南ベトナムに行くのにそういう手の込んだことをやらなければならないのか。はっきりと南ベトナム共和国なら南ベトナム共和国と書けばいい。そして、はっきりその国の査証を受ければいい。なぜそういう手の込んだことをやるか。これは問題だと思うのですが、その点もう一度はっきり答えてください。

山下重明外務事務官(移住局長心得)

○山下政府委員 普通、外国船に乗り組む場合の人に出す旅券は、その船がどこの港に着くかわかりませんので、普通、船舶の所属国並びにそのほか必ず行くというようなところを一つ二つあげて、そのほか寄港するところはどこでも上がれるという書き方にして発給するのが通常になっておりますので、そういう考え方で今回もやりたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 このLSTの運航の目的ははっきりきまっているのです。これは南ベトナムに対する米側の軍需品、――民需品もあるけれども、軍需品を運ぶということを先ほどもアメリカ局長が確認している。そういうものに対して、ニュージーランドへ行くとか、一体ニュージーランドへほんとうに行くんでしょうか。それは、船の所有国であるところのアメリカ、またその寄港地ということも従来の慣例上あると思いますが、これほど目的がはっきりしているものはないというふうに考えられるにかかわらず、そういうような十からの国の名前をあげて旅券の申請をするということ自体が、私は問題だと思う。そういうことで、このLST乗り組み員の問題につきましては私は承服できないのであります。  そこで、このLSTの船舶は、船齢二十年からのほろ船で非常に危険なものだということが言われておりますが、一体どういうものを積んできているか。先ほどアメリカ局長からも若干のお話がございましたけれども、これはどこで何を積んでどこに行っているかということを、これは運輸省ではなくて外務省だと思いますが、外務省は一体どういうふうに調査しておられるか。これはアメリカの所有船であるからアメリカ側の言い分をただ聞くだけで、それ以上のことは何もしていないと言われれば、それまでだと思いますけれども、私は問題の起こってないときにはそこまで追及しないです。しかし、いま南北ベトナムが死闘を繰り返しておる。南北ベトナムといいましょうか、南ベトナム解放民族戦線と、サイゴン政府軍とまたその背後、背後というよりもむしろ表へ出てきているところのアメリカ軍との間に非常な死闘を繰り返しておるというこの段階において、日本人船員がこれに参加しておる、そういう状態の中で軍需品を運んでおるということ自体に私は問題があると思うのです。そういうことであるならば、私は日本が直接もしくは間接にベトナム戦争に介入しておるという非難を受けても弁解の余地はないと思うのでございます。そういう点に対しまして、外務大臣は先ほどからの質問応答のやりとりをお聞きになりましてどうお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 よく船の運航のことにつきましては私具体的な知識を持っておりませんので、いまの政府委員の答弁でよろしいのではないか、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 関連。先ほど入国管理局のほうで、LSTの船員であるということの運輸省の証明があるからこれを認めるんだという御答弁でございましたが、運輸省はこの証明をどの範囲で出すという基準を持っておるのですか。その基準はどういう法的な基準に基づいて、どの範囲でどこの国がそういう証明書を出してきたらそれを認めるというような基準をもってその証明を出しておるのかどうか。ここははっきりしておいていただきませんと、これはアメリカだけじゃないのだから、ここははっきりひとつ、証明を出す基準はどういうところにあるか、明確にこの際しておいていただきたい。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 LSTの船員本人から申請がございました欄に、先ほど申し上げましたようにMSTSから持ってこられたクルーリストと照らし合わせまして、その船員手帳の所持者がLSTの乗り組み員として勤務しておるという事実を証明しておるのであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 私の聞いておるのは、それじゃなくて、運輸省が証明を出せば入国管理局はもう船員手帳を持っていなくてもあるいは乗員証がなくてもいいんだという、こういう御答弁でございましたから、だから、運輸省は全般的にどの国とどの国とどの国に対してその証明を出すのか、また、どういう場合に出すのかということを明確にしておいていただきたい。何を基準にしてどういう法的な根拠でそれを出すのか、ただ気分で出しているのかどうか、そこをはっきりしておいていただきたい。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 ただいま、LSTの船員についてのみ証明をして、こういう証明はほかには一切出しておりません。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、それはどういう根拠に基づいておるのです。また、法的にはどこに基づいておるのですか。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 法律に、証明をするなとか、しろということはございませんので、事実の確認を、便宜な官庁として、管海官庁としていたしておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 管理局に聞きますが、管理局は、こういう証明を認めて、証明が出ているんだからもう私は文句はないんだという先ほどの御答弁でございました。出国管理の実態というものは、そういうような証明をいつでも認めて出すということですか。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 入管令の二条六号に乗員手帳というものの定義がございます。乗員手帳というものは「船員手帳、旅券又はこれらに準ずる文書で乗員が所持するものをいう。」ということになっておりまして、乗員であるということをまずわれわれは調べるわけでございますが、乗員である者がこれらに準ずるような文書を持っておれば、これは乗員手帳である、こういうふうに解釈しておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、とにかく乗員である者、それから乗員に準ずる文書を持っておればそれでいいのだ、こういう話ですね。それの根拠になるのが、運輸省が証明しているからだ、こういうことであったのですね。そこで、だから私がいまお聞きするのは、あなたのほうは、運輸省が証明しているからいい、こういうわけです。運輸省はそういう証明をだれにでも出すのですかということを私は聞いているわけです。どこの国、どういう人、どういう場合にでも出すのかということを聞いていることと、それからまた、運輸省が証明さえすれば管理局はそれを文句なしに認めるということなのか、この二つを聞くわけです。だから、まず管理局のほうに、運輸省の証明がありさえすればもうどこへでも文句なしにそれを認めるということですか、それを伺いたい。

中村正夫検事(入国管理局次長)

○中村政府委員 当然、運輸省として、外国人に対しては、おそらく運輸省としては証明書は出せないものと理解いたします。日本人の乗員に対して証明されれば、それは差しつかえないものと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、日本人であれば出す、それはそうだろうと思います。  そこで、運輸省に聞きますが、運輸省は、その証明を出す基準というものを、法的には何に基づいておるのか、どういう範囲で出すのかということを、そこをはっきりしてほしいのです。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 先ほど申し上げましたように、かかる証明をするなとか、していいとかいう根拠のことではございませんで、事実の確認を行なっておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、事実の確認があればいつでも証明するのですね。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 LSTの船員の取り扱いについては、事実があれば確認をいたします。

石野久男日本社会党

○石野委員 なぜLSTだけという限定をするのですか。その限定をしなければならない理由はどこにあるのですか。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 LST以外にかかる証明の要求は全然ございませんし、また、あるとも考えられませんから、現在のところLSTについてだけ行なっております。

石野久男日本社会党

○石野委員 あるとも考えられませんというのはどういうことなんですか。運輸省に私がお聞きしていることは、あなたのほうは特定の者だけやっているのじゃないだろうと思うのですよ。こういうことは一つの前例になるわけです。だから、日本人であればということについては文句はないわけですよ。日本人であればもう証明の要求があれば出すわけでしょう。そうすると、あらゆる場合において――それはどういう場合には証明を出さないのですか、それをお聞かせ願いたい。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 先ほど申し上げましたように、LSTに乗り組んでいる日本人船員は従来船員手帳を船員法上持つ義務があって、その者について船員法の適用がなくなった日以降においてかかる証明をしておる、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 それはもうわかっているのですよ、何べんも聞いたのだから。問題は、あらゆる日本人がどんな場合においてもそういう要請をした場合には証明を出すのかということを私は聞いているのです。前に船員手帳を持っていて、そうしてその方がいまLSTに乗船している諸君に出しているような証明を必要とする場合があれば、いつでも運輸省は出しますかということを聞いている。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 日本の船員が船員手帳を持っておって船へ乗る場合には、公認という手続が法律上規定してございまして、これは証明でございません。何丸にどういう条件で乗るということをきめたものを持ってきて、そうして船員手帳にその点を確かめて証明と申しますか公認はいたしておりますが、その以外にはそういう証明という事例はございません。ただ、乗船履歴、自分はどういう船に何年乗って、どういう勤務をしたかというような証明は、要求があればいたしております。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、公認という事実、そういうことがあればどんなものでも証明はするわけですね。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 日本船舶に乗り組む日本船員についてはそのとおりでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 じゃ、LSTは日本船舶ですか。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 日本船舶ではございません。

石野久男日本社会党

○石野委員 それじゃ、なぜ証明したのです。

亀山信郎運輸事務官(船員局長)

○亀山政府委員 先ほど申し上げましたように、LSTの船員が船員法の適用を受けなくなったときに、この者について出入国管理令上いかなる書類を持てば日本人であること及び船舶の乗員であることの事実が確認できるかということから生じたことでございまして、入国管理局その他の官庁と打ち合わせの上、かかる証明があれば出入国管理令上の取り扱いができるということで証明をした、こういうことでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 ちょっと申し上げます。石野さん、あなた関連質問でもあられますし、かつ大臣のここを退席せられる時間も迫ります。しかも質問者もふえております。できるだけ簡潔にお願いします。

石野久男日本社会党

○石野委員 それでは、委員長のおことばもありますし、きょうは大臣のお帰りの時間もあるというので、この程度にしておきますが、この問題については、これはわれわれは理解できない。非常に便宜主義をとっておられて、この立法の府を冒涜することばだと私は思っているのです。だから、これは他日お聞きすることにいたしまするが、所管は違うけれども、外務大臣にひとつお聞きしておきたいと思います。  こういう問題は、これは明らかに外交関係の一環をなすものだと思うのです。他の事例はほとんどありませんし、また法的にも根拠も何もないけれども、こういうような、ただいま聞いているような事情で証明書を出しているということは、どうも法の手続上から言って間違っているんじゃないかというふうにわれわれは思うのですが、外務大臣は、その問題について何か手落ちがあるようには考えていないだろうか、あるいはまた、それに対しては、それを補備するような方策を考えなければならぬというふうにお考えになっておりますか、このままでいいとお考えになっておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 非常にややこしい話でございますが、いま初めて伺ったので、別にこれに対しては特定の御意見は申し上げられないわけであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私はまだ質問が残っておりますけれども、他の委員の質問要求もございますから、この問題につきましては、私ばこの次の機会に質問を保留さしていただきたい。なお多くの質問が残っておりますので、その点については保留をいたします。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私は予定をいたしておりませんでしたけれども、昨日中国から対日貿易問題について重大な通告がございました。したがって、そのことだけに関して緊急に一問お尋ねして、政府の今後の態度を明らかにしておいていただきたいと思います。  元来、ニチボーその他の対中国プラント輸出問題につきましては、政府の中において、通産省は、これを早く輸銀を使って契約を実行に移すべきである、こういう態度を省議をもって決定されていたのです。ところが、外務省が非常に誤った外交上の政治的偏向にまりまして、この正しい判断に対して、並びに輸銀の問題についても、これは、できましたときの政治的要求並びに法律によりまして、政府が干渉すべきものではないたてまえになっておるのに、それに圧力を加えまして、ついにこれを破壊いたしたのでございます。このことは説明を要しません。事の重大性については説明を要しない。すなわち、わが国と中国との間における貿易その他の友好関係の破壊になる。時たまたま日韓会談あるいはベトナム問題等起きておるときに、日本と中国との間のこういう破壊的な政治工作というものは、これは重大な意味を持っておると思いますので、今後一体政府はどういう考えでこれを処理される方針であるか、その基本的な態度並びに具体的な方策についてお答えをいただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この貿易に関する国内金融の問題でありますが、これは自主的に決定する、こういう態度をとっておるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 自主的に判断すべきことは当然なんです。それが自主的に判断しないのが外務省であったのです。その誤りがいまわれわれ国民の願望を裏切っておるわけでございます。したがって、お尋ねいたしますが、実は貿易の問題は通産省であるにかかわらず、今度は明らかに通産省は早くからその態度を決して、あなたや総理にも話があったわけである。ところが、外務省がこれを政治的偏向によって粉砕したわけでございます。だから、次に、この月の末をめどにいたしまして、最初から問題になっておりましたニチボーのビニロンプラントの契約実行の問題があるわけでございますが、これもまた妨害するつもりであるかどうであるか、その点をはっきり具体的にお答えをいただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これも同様に取り扱ってまいりたい、こう考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはお答えになりません。自主的であることは、お互いに確認して、当然なことなんです。何ら事新しい答弁にならない。それが自主的にきめられないところに問題があったわけです。だから、口だけでも自主的に返ったことはけっこうなことだ。吉田書簡は中国が問題にしたのではない。われわれ野党が問題にしたのではありません。こんなものは関係のないはずであると思っておったら、政府みずからが内外にわたって、これは政府が拘束されておる文書であるということをみずから言われた。だから問題になったんです。自主的であるのは当然であります。そんなことを聞いているのではありません。四月末に迫っておりますニチボーのプラント輸出について、政府は一体どういう方針をもって臨むか、これを聞きたいのです。問題は具体的ですよ。そんな抽象的、一般的なことを聞いているのではない。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いや、重大でありますから、慎重に検討して自主的に決定する、こういうことであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その自主的に検討というのは、どういう方向をとることですか。こんなことをいまごろ検討してなんということで答弁になりますか。われわれを愚弄するもんじゃないでしょうか。もう昨年からずっと続いておる問題なんです。それだから、今度の三月末の船舶のプラント輸出についても、われわれは、公式あるいは非公式に、佐藤総理はじめ党の関係の方、政府の関係の方々に、公のところで問答するよりは、実際政府の自主的な決定をされることを期待をし、そのことに対してわれわれの意見も申し上げておった。ついこの間もそうです。あなた、わかっていることだ。検討も何もありゃしませんよ。すでにおそきに失しておることです。そういうことで国民を納得させようというのは、あなたの官僚的独善主義が残っておるからです。誤りです。ぜひお答えください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 日中貿易に対する基本的な考え方は、御承知のとおり、政経分離の方針に沿うて積み重ねてだんだんこれを将来拡大してまいりたい、こういう与え方でございます。そういう考え方のもとにこの問題についてはきわめて慎重な態度で検討してまいりたい。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 椎名さん、あなたはこれで――私は委員長と打ち合わせの上で一問だけで質問を終りたいと思っていたのです。ところが、あなたがお答えにならぬから困るのです。あなたは、こんな御答弁でわれわれ並びに国民が納得するとお考えになっていますか。外務省としては最後までイエスとは答えられない、したがって、通産省がきめたという形をとってもらえるならそれを期待する、あるいは総理の裁決ということで決定するならそれを期待する、しかし、外務省としては、アメリカと台湾との関係上答えられもしなければイエスとも言えない、こういうことならこういうことで国民の前に正直に言ったらどうでしょう。椎名さん、そういうことじゃないのですか。それならそれではっきり言いなさい。それならそれで、政府あるいはあなたの外務省の態度によってわれわれもまたそれに対する態度を決定いたします。考慮中で、検討した上で答えるからそれまで待っておれ、こんな子供だましみたいな答弁で答えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 それは行政上の個々のケースでございまして、その点はひとつそれぞれの責任官庁におまかせを願いたい。それに対する方針といたしましては、たびたび申し上げておるとおり、政経分離の線に沿うてこの対中共貿易は積み重ねてまいりたい。この一つ一つの具体的な問題、これは行政の仕事でございますから、これはおまかせを願いたい。ただ、方針といたしましては、慎重に検討して……

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 前向きか、うしろ向きか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 もちろん前向きです。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 委員長との約束もありますから、はなはだ不十分な答弁でございますけれども、これで最後にいたします。一問は椎名外務大臣、一問は通産省にそれぞれいたしまして、これで打ち切りますから、再質問を必要としないようにはっきりお答えをいただきたいと思います。  第一問は、いまの外務大臣のあれですが、外務大臣に確認をしておいていただきたいのですが、輸銀法というのは、わが国の民間の金融機関の利子が高過ぎる、ところが、ヨーロッパはわが国よりはるかに低い、そこで、対中国貿易に例をとりましても、プラント輸出が六三年から始まりまして以後、この貿易競争の中で日本側がはなはだしく不利な立場に立つ、そういう意味で実は輸銀法をつくって、そしてヨーロッパ並みの利子でやらせるということが、実は輸銀法が設定されました政治的背景であったと思うのです。そして、法律的には、出資をなるほど政府からもいたしておりますけれども、その運用につきましては、これは民間に一任をいたしまして、貿易発展の政策の一環の判断において自主的に輸銀がやるべきものである、政府の許可を必要としない、政府のディレクティブによって方針を曲げさせるということにはなっていないのです。私はそう理解しておる。その輸銀法のできました政治的背景並びに輸銀法の内容についての政府と輸銀との関係につきましては、輸銀の自主的な判断による決定、これにゆだねるべきであり、また、これに対して政府がとやかく干渉すべきものではない、こういうふうに法律のたてまえはなっておると私は考えます。それについて、そのとおりであるか、誤りがあるならば、あなたは違った考えを持っておられるならば、それに対するお答えをいただきたい。  それから、通産省、これは先般のわが委員会におきましても役所の決定だから待っておれと言っているけれども、待っておれないじゃないですか。だからわれわれは三月三十一日米まで待っておったのです、それまでに必ずやりますからと言うので。それで、外務省はおそらく最後まで賛成をしないだろう。それはなぜかというと、政治的偏向を持っておるから。しかしながら、通産省は、その壁を破り、また総理もその考えであるから、三月三十一日末までにはこれを必ず実行するということを公式、非公式に声明をしておるわけだ。だから、いま言ったとおり、われわれは自主的にやることを期待して待っておったのです。待っておったら、破壊してしまったじゃないですか。破壊しましたよ、われわれ国民の要望を裏切って。待っておれと言うけれども、待っておれぬじゃないですか。昨日向こうから最後通告が来たんですよ。これに対して通産省はおそらく、それ見ろ、われわれの言うとおりではないかというふうにお考えになって、外務省を心中責めておられると思う。そこで、今後これを一体どうせられるおつもりであるのか、そのお考えを具体的に言っていただきたい。この点はどうだ、この点はどうだという用意はしておりますけれども、それをやっておりますと時間がおそくなりますから、お互いに話がわかっておる間柄だから、あなたのほうで想定されるすべてのことを答えていただきたい。たとえば、櫻内大臣が、ある程度の冷却期間を置いて必ずこれについては努力をしたい、そうして必ず実現をしたいとも言っている。しかも四月はビニロンプラントの期限がまた月末に追いかけて来ておるわけです。そういうことに対して一体どうされるおつもりであるか。それから、北京に行っておりますT事務所の代表者は通産省からお出しになった前官僚です。それに対して何らかのインフォーメーションが向こうからあったか、こちらからディレクティブをお出しになったか、間接ででも、ジェトロを通じてでもあるいは貿促を通じてでも、じっとしておるということはあり得ないことですね。それらについて具体的かつ詳細に御答弁をいただきたい。  以上お尋ねいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 輸銀はわが国の輸出振興のために特殊の金融をする機関でございまして、このたてまえはあなたの言われるとおりでございます。ただ、やはり政府の資金を使っておる関係があって、その運用におきましては政府の方針にできるだけ沿うようにわれわれは期待しておるわけです。

宮城恭一通商産業事務官(大臣官房審議官)

○宮城説明員 政府のこの問題に対します統一見解が出まして、その線に沿いまして中共側も受けてくるのじゃないかという期待を持っておりましたのでございますが、受けてくれませんでしたのはまことに遺憾に存じておる次第でございます。今後とも、この統一方針が確立されておりますので、これに基づきまして、いろいろな機会を通じまして、また、北京にも高碕事務所の出張所がございまして、そこで向こうとの接触もできるわけでございますし、東京にも廖事務所がございますので、そういうパイプを通じまして、できるだけ両国の立場を理解し合い、そうしてその問題を前向きに解決していくように努力していきたいというように思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ビニロンプラントについてはどうするつもりですか。ビニロンプラントについては努力をしないのですか。

宮城恭一通商産業事務官(大臣官房審議官)

○宮城説明員 努力をしてまいりたいと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは四月いっぱいですよ。御承知ですね。

宮城恭一通商産業事務官(大臣官房審議官)

○宮城説明員 知っております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 私は、外務大臣に、現在行なわれておりますアメリカの北ベトナムの爆撃に対する見解をこの際明らかにしていただきたいと存じます。  このごろ連日のようにアメリカが北ベトナムの爆撃をやっておりますが、その中で第七艦隊所属の航空機が爆撃を行なっておる。このたびごとに外務省はアメリカから協議を受けておりますか、お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 そのたびごとに協議は受けておりません。

永末英一民主社会党

○永末委員 昨年のトンキン湾の事件のあとには大使がやってきて協議を行なったと、外務大臣は当院で報告いたしました。この二月にはちょっと下がりまして公使がやってきて外務省と協議を行なったと予算委員会に報告いたしました。いまアメリカが連日のようにやっておるのにかかわらず、なぜ外務省は協議を受けないのですか。安保条約四条では、日本側からそれを要請すれば、あっちが協議に応ずるとなっておる。なぜ要請されないのか、お答え願いたい。

安川壯外務事務官(アメリカ局長)

○安川政府委員 いま大臣が申された趣旨は、アメリカが爆撃するごとにそのつど協議をしておるかという趣旨で、そのつど協議は受けておらない、こうお答えになったと私は理解しております。しかし、アメリカ側がベトナムの北爆をするに際しまして、なぜこれをやらなければならぬかということについては十分説明を受けております。それから、その後におきましても、その前におきましても、ベトナム問題につきましては、あらゆるレベルでアメリカ側と密接な連絡をとっております。

永末英一民主社会党

○永末委員 いま局長の答弁がございましたが、そうしますと、外務大臣は、これからアメリカが、北ベトナム爆撃、どこに何をしようと、白紙委任状をアメリカ側に渡した、こういうことですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 どういうわけで白紙委任状を出さなければならぬかよくわかりませんが、どうも御質問のポイントがよくわかりませんで……。

永末英一民主社会党

○永末委員 安保条約の第四条の後段によれば、「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」、こうなっておる。ところが、いま北ベトナムに対してアメリカが爆撃をやっておることについて、あなたは、この第四条に一つも該当しない、極東の平和と安全にも該当しない、日本の脅威にもならないのだ、こういう判断でありますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 さような判断はしておりません。ただ、この一つ一つの爆撃の行為に対して協議をする必要はない。いわば北からの絶えざる浸透、侵略の継続である、これを排除するためにやっておるのだというこの考え方には、われわれは同調をいたしております。それで、その特殊の問題が起こった場合には、これはもちろんこちらから協議をいたします。いたしますが、いまの個々の爆撃の問題に対しては、そのつど協議をする必要を認めないから協議をいたしません。

永末英一民主社会党

○永末委員 国民が心配をいたしておりますのは、アメリカの北爆がどんどん北へ参って、ハノイの周辺に近づいてくる、もし首都ハノイを爆撃したり、あるいはまたハノイの北側を爆撃する、そういう場合に、中共軍との接触が行なわれる、あるいはまた、そこに入ってきておるソビエト側からのいろいろな対空兵器による接触が行なわれる、こういうことが日本の平和に直接に脅威をもたらすのではないか、そのために外務省はどこかでやはり線を引いてがんばってほしいとみな思っておると思う。ところが、いまのあなたの御答弁では、何にもなしで、ちっともそういうことは心配ないのだ、そんなばかな考えを一体国民が納得しますか。いまのような状態、一つ一つの爆撃が、一体アメリカはどこへ行くか、そういうことに日本人は重大な不安を感じておるのである。あなたは、アメリカがどこへ爆撃をしようと、起こるまでは安全である、日本の国は何も脅威を受けない、こういうお考えでこの問題を見ておられるか、お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ただ私の申し上げたことをそのまま御理解願いたいのであります。それに尾ひれをつけて、そういうようなことまで私はいまちっとも問題にしておらない。ただ、起こった個々の爆撃に対して一々協議をする必要はないから協議をしない、こういうことを申し上げておるのであります。

永末英一民主社会党

○永末委員 外務大臣は、国民の心を体して外交をやるべきであって、あなたは問題にしないと言うが、国民はそれを心配しているじゃないですか。このごろあらゆる報道機関でもこの問題を取り上げておるのは、日本に関係があるから問題にしておるのであって、この前の二月十二日の予算委員会の私の質問に対して、あなたは妙なことをお答えになった。私は安保条約の第一条をあげて、あなたは、これはあの当時のアメリカ側の事後報告でございますが、安保条約の四条の協議だ、こう言われたのでありますが、その協議を受けたのはそれの例外である、こういう条約に例外があるということをあなたはお述べになった。これをひとつ明らかにしていただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ちょっと以前のことでございましてよくわかりませんが、どういうことですか。もう一度……。

永末英一民主社会党

○永末委員 当日の私の質問は二つございます。一つは、安保条約の第一条では、両方の締約国は武力による威嚇または武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも慎むことを約束するとなっておる、その場合、アメリカ国は北ベトナム国に対して攻撃をしかけておるのであるから、したがってこの第一条に反しているのではないか、これが一点。もう一つは、この安保条約が日本の安全と極東の安全に関係がある、こういうことがこの審議のときに行なわれた、極東の範囲については明らかに台湾以北ということが政府の統一見解として示されておった、したがって北ベトナムに対するアメリカ軍の攻撃というものは安保条約が考えている範囲外である、したがってこの点についてそれに縛られることはできないということを私は申し上げた。この二つに対してあなたの御答弁は、「今回のベトナムの問題はその例外的な部分に入る、かように解釈しております。」、これがあなたの答弁です。お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 確かにそういうことがございましたが、安保条約において極東の範囲ということが非常に問題になりまして、それに対する政府の統一見解は、フィリピン以北ということになっておった。そこで、それではその以北以外の問題は全然考えなくてよろしいかという場合に、それ以外の地域において勃発した攻撃が極東の平和と安全に相当な影響を与える場合には、その地域外といえどもやはり行動をする範囲にこれを認めなければならぬ、こういう大体の統一見解を示しておったのであります。でありますから、ベトナムはフィリピン以北じゃない、以南でございます。以南であるけれども、極東の安全、平和というものに至大の関係を持っておるあの事件に対しては、やはり日米安保条約のワク内としてこれを考えなければいかぬ、こういうことを申し上げたのであります。  それから、もう一つ、第一条の問題でございますが、これはあらゆる場合に武力行使を禁じておるのではなくて、禁じておるのは、領土保全を害する行為であるかどうか、あるいは政治的な独立を害する行為であるかどうかというような場合を言っておるので、侵略からみずからを守るという場合にはこれに該当しない、かように考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 第一点も第二点もはなはだ重要な御解釈を外務大臣はやられておる。第一点の場合には、極東の地域そのものに、その地域における安全を脅かす行為があった場合に安保条約は発動いたします、こういうことが政府の態度であった。ところが、いまの答弁は、あの当時の統一解釈の極東の範囲以外であっても、それが、日本の外務省がかってに考えて、その極東の地域に何らか影響を及ぼすものであれば安保条約は発動いたします、こうなれば、外務大臣、いまの世界の兵器の発達の段階から申しまして、極東の地域なんというようなところは、それは、北極海であろうと、南極海であろうと、アフリカであろうと、どこからでも安全を脅威されるのである。そうすれば、地域的限定はなし、極東とは申したが、それは対象になる圏であって、極東や日本の平和と安全に対する脅威というものは、世界地球上どこでもある、こういう御解釈で安保条約を解釈しておられるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 あのときの統一見解はいま手元に持っておりませんが、極東の範囲は、大体さっき申し上げたように、この極東の範囲の安全が周辺地域に起こった事情のために脅威されるような場合には、これに対処するために取るべき行動の範囲というものは、極東の地域に必ずしも限定されなくてよろしい、こういうことがすでにあの当時政府の統一見解としてきまり、これに基づいて万般の御質問に対する答弁をしておったのであります。でありますから、北極でも南極でもいいといったようなことじゃないのであります。その極東の地域に脅威を与えるような問題がその周辺において起こった場合には、これを排除するために取るべき行動は取らなきゃならぬ、こういう意味であります。

永末英一民主社会党

○永末委員 そういう御解釈を政府はとられておっても、おかしいじゃないですか。極東の地域に対して平和を乱すようなそういう原因が周辺に起こる、そういう判断を政府はいたしますけれども、ベトナムの地域のみに起こっておることがどうしていまの統一解釈であるフィリピン以北というような極東の地域に及ぼしますか。そこのところの判断を伺いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは、日本人といたしましては、だれしもすでに感じておるのではないかと思うのであります。決してこれは対岸の火災視すべき問題じゃなくて、日本と政治的にも経済的にもあらゆる面において非常な近接な関係があり、ここの動揺混乱というものが、いま日本の各方面に異常な衝撃を与えておる、こういうことでございますから、極東の平和と安全に至大の関係があるということは、私がくどくどしく申し上げるまでもなく、皆さん御承知のところじゃないかと私は考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 安保条約のときに、極東というはなはだ不分明な地域が条約上書き上げられたために、あれほどの問題になりました。いまの外務大臣の御見解では、ベトナムはいわゆるその極東の地域の周辺地区である、こういうことでありますが、先ほど申し上げましたように、兵器の発達の状況から申して、周辺というのは非常に伸びてくるおそれがある。あなたは周辺と言われたが、どこまでが周辺だとお考えか、お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 少なくともベトナムは周辺である、かように考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 ベトナムのもっと外の、ベトナムの周辺、またその周辺、それも極東の地域に外務省が関係あるとお考えになれば、いまのあなたの統一解釈を適用する、こういう御意向ですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 そのときになって考えてみたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 永末さんに申し上げますが、瞬間が迫っていますから……。

永末英一民主社会党

○永末委員 まことに奇怪千万な解釈です。私どもはこの安保条約は反対でありますけれども、きめられた以上は、できるだけ極限して解釈をしていかなければならぬ。ところが、いまの外務大臣のお考えは、幾らでもふくらまされる。地球上全般にふくらむじゃありませんか。この御解釈に対しては私は賛成することはできません。いずれまた日をあらためてきっちり聞きます。  もう一つの点は、あなたは、私が安保条約第一条をあげた場合に、領土の保全、政治的独立、それとは関係ないんだと言う。北ベトナム国が領土の保全と政治的独立をアメリカの爆撃によって脅かされておることは事実でしょう。それを、北ベトナム国が南に侵略をしておるからアメリカが発動したのですか。この点については二、三回本院におきましても質問がございました。あなたは妙な答弁をされております。北ベトナム国がアメリカ国に侵略をして、そしてアメリカ国が発動しておるのですか。それはこの安保条約一条のきちっときめた範囲外であるけれども、全体としては安保条約の発動し得る範囲だ、こう言うが、この点をもう一ぺん明確に当委員会で御答弁を願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 アメリカは、南ベトナムの要請によって、その独立と自由を守るために軍事介入をしておるのであります。それで、ただいまは北からの侵略の継続がある。これに対する南ベトナムの自由と独立のために、この絶えざる侵略を排撃しなければならぬ、こういういわば自衛行為でございますから、第一条はこれを排撃しておるわけではない、こう解釈しております。

永末英一民主社会党

○永末委員 その自衛行為ということばをあなたは再三本院において使われる。自衛行為というのは、南ベトナム国が北ベトナム国に対して急迫不正の侵害があった場合に、あるいは自衛行為をやるかもしれません。なぜアメリカの兵力が北ベトナムを爆撃する場合に自衛ということばを使われるのですか。その点をもう一ぺんお答えを願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この場合はいわゆる集団保障体制をとっておるのでありまして、アメリカ、南越、これが一体となって北方の侵略に対して対抗しておる、こういうふうに考えていくべきものであると考えます。

永末英一民主社会党

○永末委員 集団保障体制というあいまいなことばを使われますが、そんなものが南ベトナム共和国とアメリカ合衆国との間にありますか、お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 単独ではありませんから、結局二国でもやはり集団防衛である、これは国連においても認めておるところでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 あなたはときどき国連をやる。国連のどこに根拠がございますか、お答えを願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 国連憲章のたしか五十一条だったと思います。

永末英一民主社会党

○永末委員 国連憲章第五十一条は、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合に集団的自衛権が働く、しかし、その場合は安全保障理事会に報告する、こうなっておる。どこに関係がありますか。ベトナム共和国は国連加盟国ですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 国連加盟国でなくても、この精神をもってやる限りにおいては、これは差しつかえないと思うのであります。

永末英一民主社会党

○永末委員 国際連合憲章というのは一つの国際条約です。そうして、いろいろ考えたあげく、一つの国が他国の事由によって武力を発動する場合の一つの苦しまぎれの条項として五十一条をつっ込んだ経過は、あなたも御承知だと私は思います。しかるにかかわらず、いまあなたがそう言われるから質問したところ、その国際連合憲章五十一条はそのまま発動するのではないが、連合憲章の精神に基づいて、そんなばかなことが言えますか。先ほど申しましたように、条約の解釈は、つまり発動する場合、特に武力を用いる場合には、厳格に解釈しなくてはならぬ。精神で何でもやれるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 五十一条は、これはもう非常な大原則でありまして、この大原則に準じて自由陣営の国が行動する場合には、私はこれは当然承認してよろしいものと考えます。あまりその法文の字句に拘泥して、大局、大精神を誤るというようなことは、私はとらない。

永末英一民主社会党

○永末委員 外務大臣のはなはだ大きな政治の方針を伺いましたが、あなたは日本国の外務大臣です。日本国の外交は、日本国が結んでおるところのそれぞれの条約及び国内法に準拠して行なわれるべきである。ところが、そんなものに拘泥しておったら大局を誤ると言われる。政治的判断は大局を見なければならないのはあたりまえの話です。しかしながら、他国の行動をどう判断するかは、日本国が加盟しているところの国際条約や締結しているところの国際条約に即して厳格に判断してもらわなければ、何が起こるかわからないじゃないですか。いまあなたは、自由陣営のと言われたが、共産陣営でも同じ判断をしてやってきたときに、どうしますか。そういう解釈でよろしいか。もう一度お答え願います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 どんな国でも、憲章の精神を当てはめて悪いというものではないと私は考えております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 永末君に申し上げますが、内閣委員会からしばしば要求が来ておりますので、この一問で質問を終わってください。

永末英一民主社会党

○永末委員 外務大臣、重要なことなんです。私は二点について伺った。極東の範囲というものがあれだけ問題になり、一応政府が御解釈になったにもかかわらず、いまやそれを、極端に言えば地球上どこにでも無限大に拡大し得るような立場に佐藤内閣はあるという一点をわれわれは伺った。もう一点は、アメリカがある一国に対して武力攻撃をかけておる。しかも、そのアメリカに対しては、われわれは安保条約上日本の領上内に軍事基地を提供いたしておる。この場合に、アメリカがやっておる行動に対して、あなたはもう野方図にこれを認めて、そして日本にある基地を自由にお使いください、こういうことを言っておるようにわれわれには考えられる。これは日本の平和に対してきわめて危険なことだと考えます。あなたは、日本の国がアメリカに軍事基地を提供している場合に、そんなに条約上の文言やあるいはまたそれを支えている国際連合憲章の明文で規定せられた文句を離れて、精神だとか大局だとか、そういうことでこれらを御解釈なさって、これらの問題に対処する外交方針をお持ちか、最後にもう一ぺんお答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、日本の基地を無制限に何をやってもよろしいというようなことでこれを解釈することはできないのでございまして、すなわち、この基地を使って直接作戦行動に進発する場合には事前協議をしなければならぬ、こういった制約がすでにあるのでありまして、これを野方図に使わせるというような考えもなければ、また、そういうたてまえにもなっておらないということを申し上げます。  それから、極東の範囲は、これは具体的に判断すべきものでございまして、ただ関係があるから地球のはてまでよろしいというようなことは、私は拡張して解釈しておるものではありません。ベトナムは少なくともその周辺である、かような判断のもとにこの問題に対処しております。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 川上貫一君。  川上さん、あなたには五分に限定してお許しできますけれども、よろしゅうございますか。それでなかったらここで打ち切ります。再々の内閣委員会の催促ですから。どうなさいますか。

川上貫一日本共産党

○川上委員 私の質問は簡単です。外務大臣に聞きます。  アメリカのマクナマラ国防長官は、この五日に、USニューズ・アンド・ワールド・レポートの質問に答えてこういう答弁をしております。日本の防衛予算は日本の国民総生産を考えるとあまりに少額過ぎる、これはよくない、アメリカは日本がもっと防衛責任を持つことを要請している、こう言っておる。どういう要請が来ておるのか、これが第一点。  さらに、同国防長官は、われわれが書いて、われわれがその適用をさせた日本国憲法が軍事力の増強、軍事計画の進展を阻んでいる、こう言うておる。外務大臣はこのマクナマラ発言をどういうように受け取りますか、これが一問です。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 アメリカが日本の国防費を少い多いといって指図する権利はありません。ただ、かつて日本が軍事援助を受けておった。それで、だんだん日本の財政が豊かになればそれに従って人の世話にならず防衛の費用は自分でまかなうという約束のもとに防衛の援助を受けておった。それをだんだん減らして、もうほとんどなしになっておりますが、そのときの約束として、いまの国防費はとても自前ではまかない切れぬからもう少し援助を続けてくれというような交渉が――私がその交渉に当たったわけではありませんけれども、おそらくそういったようないきさつがあったことは、これはもう自明の理であると思うのであります。そういうような点を想起して、要請しておるということばを使ったのだろうと思うのであります。最近はさような指図は、もう軍事援助も受けておりませんから……。ただ、希望は持っているかもしれませんが、さような要請というようなもので何らの意思表示を日本に対して行なっておると私は考えておりません。  それから、憲法が云々、こういうことは、私はどういう意味かよくわかりませんが、ただ雑誌にあらわれた文句に対して一々これを問題にする必要もない。日本は日本の憲法を守っていけばいいのでありますから、この問題にお答えすることは私は控えたいと思います。

川上貫一日本共産党

○川上委員 アメリカの干渉を受けない、こういう意味に外務大臣は答弁されたと思うのであります。しかし、この国防長官の発言は、アメリカの国防責任者が、日本に対し、あなた方に対して、軍事力を増強せいということを強要した発言なんです。また、憲法の改悪を要求した発言です。この発言は日本の主権に干渉しておる。軍国主義の復活を公然と強要するものである。これは日本人民に対して無礼な、傲慢な、無法千万な発言だと思う。時間がありませんから私はこれについて十分に聞く余裕を持っておりませんけれども、これにつけ加えて言うと、このマクナマラ発言というのは簡単なことではない。ベトナム戦争の無制限の拡大、アメリカの戦争政策の一段の遂行、この一環として述べておるのです。単純な発言じゃないのです。このアメリカのやり方に対しては、いま世界の人民は非難をし、抗議をしておる。日本人民も心から怒って、全国に広範に抗議の戦いが巻き起こっておるのです。ところが、こういう時分に、あなた方はこのアメリカの干渉と戦争の政策に協力しておる。ことにベトナムにおけるアメリカのこの無法千万な戦争の拡大と北伐、これを支持して、協力しておるのです。これはきょうの質問の中でも明らかになっておる。アメリカの言うことなら何でも頭を下げる。何でも聞いておる。きゅうきゅうとしてこれに従っておる。だから、国防長官、国防の責任者が、このような無礼千万な発言を行なうことになる。こういう態度で日本はよろしいのか。あなた方はアメリカの言うことなら何でも聞く。何でも頭を下げる。きょうのLSTの問題でもそうなんです。向こうが言うたから、あんなことをやっておる。これが日本人民の要望にかないますか、外務大臣。こういうことが、アジアの平和、日本の安全、国民の利益にかないますか。この国防長官の発言をどう思いますか。これは外務大臣の考え方を聞いておきたい。このような無礼千万な発言を堂々としてやっておる。しかも、これは一新聞記者の方に言ったというのじゃない。全新聞社の質問に答えてやっておる。これは内政干渉という程度の問題ではない。日本を侮辱しておる。外務大臣の考え方を聞いておきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 別にわれわれは問題にしておりません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会

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