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48回国会衆議院1965/03/12

外務委員会 第6号

発言数
39
登壇者
5
会派数
2
開催日
1965/03/12

会議録

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定を貿易及び開発に関する第四部の追加のために改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。外務政務次官永田亮一君。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定を貿易及び開発に関する第四部の追加のために改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  現在ガットの締約国は六十五カ国で、その大多数は低開発国でありますが、現行のガット協定三十五カ条のうち低開発国の特殊事情に対する配慮を定めた条項は第十八条一カ条にすぎず、低開発国側より、内容的にも不十分であるとして低開発国貿易促進の見地からガット規定の改正を検討すべしとの声が強くなり、その結果、昭和三十八年五月のガット大臣会議においてそのための規定機構委員会が設置され、直ちに改正の準備作業が開始されました。この間、国連貿易開発会議が開かれ、低開発国側は、低開発国に対する特恵の許与、一次産品価格の引き上げ等を含む低開発国貿易の促進措置につき、先進国に対して強い要求を打ち出しました。  このような情勢にかんがみまして、先進国側も、現状でできる限り低開発国側の要求をいれてガット規定に所要の改正を加える必要を認め、昨昭和三十九年十一月十七日からジュネーブで開催されていたガット締約国特別会議におきまして、低開発国貿易促進のために先進国がとるべき措置を定める新規定をガット協定に追加するための交渉が行なわれ、本年二月八日に本件改正議定書が採択された次第であります。  この議定書によってガット協定に追加される規定は、先進締約国側が、やむを得ない理由がある場合を除いて、低開発締約国の輸出関心産品に対する貿易障害の軽減及び廃止につとめること、低開発国産品を輸入する政府がその再販売価格をきめているときはその産品についての販売差益を衝平な水準に保つよう努力すること、低開発国からの輸入の促進のための措置を検討することなどをその骨子としております。  この改正議定書はガット締約国の三分の二が受諾すれば発効することになっておりますが、その採択日である二月八日にこの議定書を受諾した締約国は、アメリカ合衆国、カナダ等十二カ国であります。  この改正は、低開発締約国側の強い要請にかんがみて、先進締約国側が現段階において受諾することができる最大限の措置を取りまとめたものであり、各先進国とも、この改正の受諾を低開発貿易問題に臨む姿勢の問題として重視しております。わが国といたしましても、他の先進締約国と協調して低開発締約国との貿易関係を円滑に発展させていくためには、この議定書を受諾することが必要であると考えられます。  よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 これにて提案理由の説明を終わりました。      ————◇—————

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号(XVIII)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ただいま本委員会において議題となっておりまする案件につきまして、私は党を代表して去る二月十六日の本会議において政府に質問を試みたのでございます。  質問の要旨は次の五つの点からなっております。第一、今回の憲章改正の意義について、第二、憲章の根本的改正について、第三、憲章第四十二条とわが国憲法との関係について、第四、国際共産主義と対決するということと国連中心主義とは矛盾しないかという点について、第五は、国連とわが国の使命、その責任についてでございました。  これに対しまして、総理並びに外務大臣の答弁は、時間の関係等もあったと思われますが、きわめて不十分であったと感じております。これらの諸点につきまして、本日あらためて幾つかの点について政府のお考えを承りたいと思うのであります。  政府の本会議における御答弁の中で、私の質問に対して触れておられないところもございましたが、まず、触れておられる点からさらに政府の御見解を深めて御答弁をいただきたく御質問を申し上げる次第であります。  一つは、憲章第百七条及び五十三条の敵国条項の問題でございますが、総理は、これはまことに国連憲章そのものに合わない点の一つであって、「ただいま旧敵国の処理についての規定などを御引用になりましたが、これなどは明らかにそういうものだと思います。いずれ、これは外務大臣から御説明をいたしますが、ただいまさような状態でありますので、国連についてこれをくふうして、より改善していきたい」、こういうふうに答えておられます。ところが、椎名外務大臣は、この問題に関しまして、「憲章百七条及び五十三条の敵国条項の問題でございますが、これはおっしゃるとおり不平等なものでございまして、この改正は望ましいものであることは論をまたないのであります。しかし、わが国のごとく、平和愛好国として国連に加盟いたしました国にとっては、この条項は適用されないものと解釈しております」、こういう答弁をしておられるのでありまして、これは、一面、わが国にとっては改正されようとされまいとたいして関係がないのだ、平和愛好国として承認を受けているのだから、これには該当しないのだというような意味にもとられるのでございますが、これに対して、すみやかにこの条項は削除または改正すべきであると考えますが、あらためて政府の御見解を承りたいと思います。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 ただいまの御指摘でございますが、総理と外務大臣のお考えは矛盾したものではないと考えるのであります。総理は敵国条項を除くということが望ましいことであるという答弁をされ、外務大臣は、そういう発言はされなかったけれども、今日の日本の業績あるいはいままでの日本の行き方から見て、平和愛好国に徹しておる国であるから、そういう適用はないであろうということで、もし適用をされるというような心配があれば、もちろんこれは敵国条項を除くということが第一の問題になるわけでありまして、その点では、外務大臣も、敵国条項というものが不適当である、不都合なものであるという点につきましは、総理と同じ考えであると私は思っております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 国連憲章第百七条及び第五十三条には、第二次大戦における旧敵国に関する条項があるわけでございます。かかる条項は、憲章で規定しているところの加盟国の主権平等の原則から言いましても、明らかに過渡的、暫定的性質の規定であると考えるのでございます。これは今日においては当然改正されなければならないものだと考えます。いつまでもそのまま放置されておるということは。国連の目的に反するし、かつはなはだ不適当であると考えるのであります。戦後すでに二十年、国連もいまや百十四カ国の大世帯になっておるのでございまして、真に国際の平和と安全を維持し、すべての加盟国の経済及び社会的発展を促進するための国際機関であるところの国連が、その本来の使命、目的を達成してまいりますためには、もっと早くこのような憲章第百七条と第五十三条の改正または削除が行なわれてしかるべきだと思うのでございます。こういうような点について今日まで何らかの動きを政府としてとってこられたかどうか。先般の外務大臣の御答弁から考えますと、また、ただいまの政務次官の御答弁にも関係がございますが、積極的にこういう不適当な暫定的な条項は改正すべきである、また削除すべきであるという熱意のほどが十分にうかがわれないと思うのでございます。いままで他の国がこの問題に対し国連の場において取り上げた事例がございますか。また、日本政府としてこの点に触れて論議をなすったことがございますか。現在こういう暫定的な不適当な条項を削除するということに対して、日本は平和愛好国として加盟を認められたのだから、このままでもいいのだという印象を与える外務大臣のお気持ちでは、これは、国連の本来の使命から言ってきわめてまずいものだと言わざるを得ないのでありまして、すみやかにこれを削除するという働きをなさってしかるべきだと思いますが、その点いかがでございますか。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 いま御指摘のとおりでございまして、わが国といたしましても、こういう不都合なものは一日もすみやかに除くべきであるということにおいては、外務省、政府一致して考えておるのでございます。いろいろの機会にそういうことをやってまいったつもりでありますが、たとえば、この間の国連総会におきまして、外務大臣の演説の中でも、憲章は改正さるべきであるということを、世界の各国の人の前で発言をされておるのでございまして、できるだけそういう方向に向かって一日もすみやかに所期の目的を完遂したいの考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 椎名外務大臣は、国連総会の場において演説をせられ、国連をより強化し、また国連憲章の改正に対して働きかけをしなければいかぬということを言われたのでございます。しかし、先般の本会議においても私は伺ったのでございますけれども、政府の外交方針は国連中心主義である、アジアの一員としての外交方針をとると同時に、国連をさらに強化するという点に対して政府の方針が定まっておると理解いたしておりますが、どのように国連を強化するか。現在国連は大国主義におちいり、大国の意見が合わないと、拒否権に次ぐ拒否権のために安保理事会が開かれないで、総会によって事が運ばれるというような状態になってまいりまして、その総会さえも開かれないというような状態で、国連はその機能を麻痺してしまっておる、国連が危機におちいっておるという現状に対して、政府はどのように国連を改組し、どのように国連を強化しようというお考えであるか。ただ単に旧敵国条項を削除するということだけでは事は足りないと思うのでございますが、政府は国連に対する基本的な方針をお持ちになっておるはずだと思います。そういう点に対して、具体的にどのような点をどのように改正しどのように国連を強化していくというお考えでございますか。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 ただいま御指摘のように、国連は、憲章上においても、また運営の点においても、まだ非常に十分でない点が多々あることは、お話のとおりであります。国連強化の外交方針をとっている日本として、それでは一体どういうふうに貢献するかという心づもりの点でございますけれども、国連憲章の中でも改正すべき点は、いまお話しになりましたように、敵国条項の問題であるとか、あるいは拒否権の問題であるとか、あるいはまた平和維持について総会と安全保障理事会の権限がはっきりしていない、そういう点について、いまの憲章の第六章、紛争の平和的解決、それからまた強制措置、この間に、いま国連がサイプラスとかあるいは中近東でやっておりますような平和維持活動、こういうことを何らかひとつ明確にする必要があるのではないかというふうな声も、この十九回総会を契機といたしまして加盟国の間に非常に大きくなりつつあるということは、私は否定できない事実だと思います。そういう点で、いろいろ憲章の改正の点はあろうと私は思います。しかし、憲章改正ということよりも、何といっても、やはり国連というものは生きものであって、これをほんとうの世界の平和維持機構として育てていく、また強化していくという各国の国連に対する態度、そのことが非常に大事ではないかというふうな気がするわけであります。政府といたしまして、従来から国連強化の外交という方針で一貫して、国連加盟以来国連で活動しておるというふうに私了解しておるわけでございます。ただいま御指摘になりました十九回総会は、分担金の問題で、何一つ実質的な問題の審議に入らないで終わってしまって、ことしの九月一日まで長期休会というふうな状況になったわけでございます。ただいま国連で一番大きな問題は、やはりこの十九条問題の解決と申しますか、いわゆる国連の財政の危機というものをどういうふうに乗り切っていくかという問題に尽きるのじゃないかと思います。幸いにして、今度の総会でこの問題をあらゆる角度から検討するための特別委員会というものができまして、三十三カ国から構成されることになりまして、国際連合の平和維持活動をあらゆる観点から徹底的に検討するという使命を負わされているわけであります。幸いにしてわが国もこの三十三カ国の一員としてこれに参加することになりまして、六月の十五日までに一応の結論を総会に報告するということになっております。私もこの問題は非常に国際連合の強化という点から大事な問題であると思いまして、わが国といたしましても、この委員会において今後ほかの国と一緒になって、この国連強化という立場からこの委員会に入って貢献していきたい、そういうふうに考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 いま国連局長の言われた点についてでありますが、条約の改正だけではいかぬ、むしろ国連を動かしておるところの関係諸国がこれに参加し、これを動かしておるところの諸国が国連の機能をその設立の精神に従ってどのように発揮するか、またどのように協力していくかという点にある、しかも、その中心は財政問題、その問題の解決をはかるための小委員会においてわが国も積極的な発言をしていくんだ、こういう御答弁でございまして、それはまことにその意味においてはけっこうだと思うのでございますが、御承知の、イギリス労働党が、この前の総選挙にあたりまして、国連の道義を新たにし、国連の諸権能を強化するということを公約に掲げて選挙を戦いました。現イギリスの労働党内閣においてもその方針に立って、国連の道義を高めて、やはり、ただ単に条約をいじるというだけではなくて、関係各国の国連に対する協力のかまえ、国連の道義を高めるという精神的なバックグラウンドというものを重視するという点に力を入れている、しかもそれを公約に掲げて選挙を戦ったということも、私は注目されていいじゃないかと思うのでございます。  こういう点に対しまして、ただいまの国連局長のお話とも関連をするのでございますが、一つは、私は、国連にとって現在非常に不幸なできごとの一つは、インドネシアが国連から脱退をしたということだと思うのであります。これは、わが国政府としてもそれを未然に防止することができなかったかどうか。特に、友邦であるインドネシアがこのような重大な決意をいたしますことについては、その原因がどこにあったかということは、当然政府としても察知しておられたはずだと思うのでございます。ここまで踏み切らざるを得なくなったインドネシアに対して未然にこれを防止するという手を政府としてどうして打てなかったのだろうかと思うのであります。百十五カ国が百十四カ国になった。幸いにして連鎖的反応がアジア・アフリカの諸国の間からは起こっておりませんが、しかし、この問題は国連の問題について重大な内容を持っていると思うのでありまして、かつて池田内閣においては、インドネシア、マレーシアの紛争に対して仲介の労をとられたことがあります。今回のインドネシアの国連脱退の原因は、第十九回総会においてマレーシアが安保理事会の非常任理事国に選出されたということが直接の原因であったと考えるのでございますが、そういう脱退を防ぐために、現在紛争の中にあるところのマレーシアが非常任理事国になるということに対しても、日本政府は、自重を促すとか、何らかの手をとられなければならなかったではないかと思うのでございます。池田内閣はインドネシア、マレーシア間の紛争の仲介の労をとられたのでありますが、国連の場において、インドネシアのこのような雰囲気を事前に察知して何らかの手を打つ、この点について、国連中心主義を外交政策の基調として標榜しておられるところの佐藤内閣としても、両国の融和をはかり、和解をはかるということに対して現在どういう具体的手段を講じようとしておられるのか。脱退を未然に防ぐことができなかったのはまことに遺憾でありますが、しかし、紛争を融和、和解せしめるということは、アジアの平和、世界の平和にとってきわめて緊要なことだと思うのでございます。そのことが、国連の姿勢を正し、国連の道義を高めるという上から、特にアジア中心の、アジアの一員としての外交方針をとっておられる政府として、当面の問題として、いま現実の問題として必要なことだと私は思うのでありますが、こういう点に対してどういう手段を講じようとなすっておられますか。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 インドネシアが国連から脱退をしたということはまことに遺憾なことでございまして、わが国も、東洋における指導的な立場をとるべき立場において、こういうことを未然に防ぎ得なかったということはまことに残念に思っておるわけであります。しかし、もうこういう事態になった以上は、世界平和のためにも、一日もすみやかにインドネシア、マレーシアの紛争が解決されることを望んでおることは申し上げるまでもございません。さきに自民党は小笠公韶先生にお願いいたしましてインドネシアに行っていただいて、親しくスカルノ大統領、スバンドリオ外務大臣その他と会ってインドネシアの意向も聞いてきていただいております。しかし、なお双方の意向には相当の食い違いがあると思われますし、外務省といたしましても、駐在在外の公館を通じて、マレーシアあるいはフィリピン、インドネシアという国の情勢を集めておるのでありますが、いま直ちに日本がこの仲介に入っていくというところまではまだ機が熟しておらないと考えております。いまタイ国のほうでこの問題に積極的に仲介の労をとろうという動きが出ておりますので、しばらく、このタイ国のインドネシア、マレーシア紛争に対するバンコク会議が開かれるとすれば、そこにおける動勢を見きわめて、もちろんそこでうまくいけばよろしいのでありますが、なかなか簡単にはいかないと思われますので、その後の情勢を見ながら、わが国としても手を打ちたい、何らかの平和的な解決を見出したいと考えておる現状であります。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 ただいまの政務次官の御答弁をちょっと補足さしていただきます。  インドネシアの国連脱退の経緯でございますけれども、これは、一昨年の総会で安全保障理事会の非常任理事国選挙のときに、私から申し上げるまでもないと思いますけれども、チェコスロバキアとマレーシアとが最後まで争って、両方とも三分の二はとれなかった。そこで、両国が協議をいたしまして、実際は安全保障理事会の非常任理事国というのは二年の任期になっておりますが、チェコが一年、それからマレーシアが一年、こういうふうに一年ずつ分割するという紳士協定ができまして、それに基づきまして、昨年じゅうはチェコスロバキアは安全保障理事会の非常任理事国として当たる、ことしからはマレーシアが非常任理事国に加わるという協定ができました。昨年の十九回総会のぎりぎり、昨年の暮れの総会で、この紳士協定を確認する意味において非公式の投票をいたしました。その結果、マレーシアが三分の二をとって、そしてことし一年間非常任理事国に加わるということになったのでございます。その際議長が、マレーシアが一九六五年の一年間は非常任理事国になったという宣言をいたしましたときに、インドネシアの代表は、実は私はマレーシアというものを認めていないんだということを申しました。しかし、いま国連総会は、例の十九条の問題で、投票権は使わないということになっておるのでありまして、自分は反対であるけれどもこの問題を正式の投票に移すということは全体のために差し控えるということだったのです。そういうことをしておりますうちに、ちょうど三十一日の夕刻でございましたか、インドネシアのニューヨークの常駐代表が事務総長と議長に脱退の通告をしたということで、これはもうだれしも私は予期していなかった突発の事項であるというふうに考えております。未然に防ぐ方法はちょっとなかった。これは日本並びにほかの国においても言えるのじゃないか。それから事務局においてもそういうことは言えるんじゃないかというふうに思いますので、ちょっとその辺を補足させていただきたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 外交の問題でありますから、なかなか予期しないことも突発的なことも起こってくると思うのですけれども、その場にあらわれた現象だけをとらえて詮議しておるのではございません。やはり、その根にあるところの問題を見きわめながら、こういう不幸な事態を未然に食いとめていくというのが私は外交だと思うのであります。いま国連局長の言われた点につきましては、いろんな経緯があったことは私も承知をいたしておりますけれども、しかし、結果から見ると非常に残念だということでありまして、これに対して政務次官からタイ国の動きについてお話があった。その結果を期待をもって見守っている、また国も何らかの役割りを果たしていきたいというお話でございますが、私は、インドネシアのスカルノ大統領といえども、国連を脱退して快哉を叫んでおるとは思わないのであります。やむにやまれず、大国中心主義の、しかもいまマレーシアと紛争を重ねている際に、マレーシアが非常任理事国の一員になったという点から、それをきっかけとして脱退という行動に出たんですけれども、やはり国連に対する不満がこういう形をもって爆発したというふうに思うのでございます。これは、国連が本来の国連の姿に返る、国連憲章の制定せられた当時の本来の姿に返るということでありますならば、私はあえてインドネシアといえども考えを持ち直すということは可能だと思うのであります。そういう点につきまして、問題はやはり、現在の国連の姿、国連の運営のあり方というところにあると思うのでございまして、そういう点に対して、政府はしばしば、国連を強化するんだ、国連を強化して国連の機能をいよいよ発揮させるということがわが国外交の基本方針の一つだということを言っておられるのでありますが、この不幸な事態と関連をして、ただタイ国における国際会議の結果を待つというだけではなくて、政府としては、積極的に、両者の仲介の労をとるとか、その争点を明らかにして、そうして国連に対してどういう期待、どういう解決の条件を持っておるかということを、インドネシアの意見もよく聞いて、そういうような点についてもっと積極的な働きかけをすべきじゃないかと私は思うのです。ただ趨勢のおもむくところに従って善処していくんだというようなことでなしに、もっと積極的な自主的な立場からこの問題の解決に政府が乗り出していくという気がまえが、やはり国連を強化し、国連の道義を高めていこうという日本政府の考え方に合致すると私は思うのです。ただ時の流れに従って善処していくというのでは、私は弱いと思う。そういう点に対して、自民党からは特使を出されたと承っておりますけれども、政府としてこの際、国連の機能を強化するということを常に言っておられる以上は、この問題の解決に対して積極的に乗り出していく、このことはベトナムの問題もございますが、さしずめインドネシア、マレーシアの紛争に対してインドネシアも納得ができるというような点で何らかの和解工作を講ずるというかまえを持ってほしいと思う。もう一度政務次官の見解を承りたいと思います。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 西村先生のお説、ごもっともでございまして、政府といたしましても、今日の東アにおける日本の立場から考え、世界平和のために積極的な行動を起こすべきであると考えておるのであります。ただ、先ほど申しましたとおり、現在の状態におきましては、タイ国の外務大臣が非常に意欲的に動いておられまして、ラーマン及びスカルノ両氏に働きかけて、いまその解決に向かって努力をされておられます最中でございますので、しばらくその経緯を見ておるというのが現状でございます。しかし、決して日本がただほかの国にまかしてしまってこの両国の紛争を傍観しておるということではございません。自民党においても小笠さんが行かれましたが、政府のほといたしましても、常に駐在の公館を通じて情報を集め、場合によってはインドネシアのみならずマレーシアあるいはフィリピンに人を派遣するなりいたしまして、その解決を促進いたしたいと考えております。現状におきましては、サバにおけるインドネシアのゲリラが、あるいはマレー半島におけるインドネシアのゲリラというものが一番解決のネックになっておるのでございまして、ラーマン総理に言わせれば、まずこのゲリラをサバ及びマレー半島から撤退するということが前提条件である、それから話に乗ろうということでございます。インドネシア側にすれば、なかなかこの条件は応じられない、まあそういうことが一番大きなポイントかと思われますが、あるいは国連の監視のもとにおきまして現状を凍結した形で公明な選挙を行なってそのサバの帰属を決定するというようなことも政府としては一案として考えておるわけでありまして、もう少し機が熟しましたら、政府も乗り出しまして積極的にこの平和解決に寄与いたしたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 国際間の紛争というものは両者間の主張が平行線をたどっておるから起こるのでありまして、いま永田政務次官の言われましたような点についても、まず日本が仲介の労をとって話し合いの場をつくるということから始めないと、当初から平行線をたどっておるということは、いつの場合においてもこれはそうなんであります。だからといって手をこまぬいておられるわけじゃありませんが、注意深く情勢の推移を見きわめながら適切な手を打っていきたいということを考えておられるということでございますが、一方におきまして、中華人民共和国の周恩来首相も、この問題に関連して、国連を改組しなければいけない、いままでの国連の状態ではこういうことが繰り返されるし、問題の解決にならないから、まず国連を改組すべきである、それができなければ第二国連というようなものができるかもわからぬというようなことを言っているのでございます。そういうような事態になることは、これは私は周恩来首相といえども望んでいないと思うのであります。インドネシアのスカルノ大統領もそういうことは考えていないと思うのであります。しかし、勢いのおもむくところ、そういう事態にまで発展をするということは、現在ではまだそういう徴候が出ておらぬようでございますけれども、私は国連の危機がますます深刻になってくることだと思うのでありまして、いま永田政務次官の言われたような点については私も了承いたしますが、もう少し意欲的にこの問題の解決に政府は乗り出していただきいたい。そのことをスカルノ大統領もラーマン首相も私は考えておると思うのです。日本に期待しておると思うのであります。これは公正な立場に立ってこの両国間の紛争を解決するところの場をつくっていくということがまずさしずめ私は必要だと思うのでございます。大体、そういう点について、見通しとしては、タイの外務大臣がいろいろ骨を折っている、いつごろどういうような形で結論が出るというふうにお考えでしょうか。また、それに対して日本政府としてはどういう手を打っていこうというふうにお考えになっておられますか。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 私うっかりいたしておりまして、けさの報道によりますると、タイの情勢はあまりうまくいっておらぬようであります。したがいまして、まだ詳細なことは私存じませんが、うまくいかないとすれば、いよいよ今度は日本が乗り出す番になってくるのじゃないかと考えております。昨年も東京で、ラーマン首相、スカルノ大統領、マカパガル・フィリピン大統領という人たちの会談がございまして、これはまあ日本が座敷を貸したというだけで、積極的な日本の働きかけはいたしておりませんでしたが、いよいよタイの調停もうまくいかないということになれば、今度はあるいは、いろいろ段階があると思いますが、政府のほうから人を派遣するなり、あるいは在外公館長を東京に呼んで相談をするというようなことがまず考えられるのでありまして、さらに川島副総裁のような方がインドネシアだけではなしにマレシーア、フィリピンにも同じように行っていただいて、三者の意見をよく聞いてもらう、さらにその後においてあるいは東京において去年と同じような会談をしていただいて、今度は日本政府が積極的にこの三者に働きかけて仲裁の労をとるというようなことも考えられると思うのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 先ほど国連局長がお話しになりました国連の財政の問題についてでございますが、第十九回総会におきましては、十八理事国のうち六理事国の任期が終了して、そのまま後任理事国の選出が行なわれていないという状態であります。これは、憲章第十九条によるところの国連分担金についてアメリカとソビエトとの間に意見の対立があるということから正常な運営がなされていない、投票をもってするところの議事の進行が行なわれないためだというふうに伝えられておりますが、アメリカの主張とソ連の主張との食い違いはどこにあるのでしょうか。そしてまた、日本政府としては、両者の食い違いに対しどういう見解をお持ちになっておられますか。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 一番初めに御指摘になりました、まだ理事国の選任が終わっていないじゃないかというお話でございますが、これは、安全保障理事会については昨年の末に四カ国を選びまして、安全保障理事会というものが正式に構成されたわけであります。それから、経済社会理事会の六カ国については、若干おくれましたが、これも二月に入りまして各国の調整によりまして投票権を実際に正式に行使することなく経済社会理事会の理事国を選任しました。そういうわけで、一応この安全保障理事会も経済社会理事会も、理事国を補充する措置が完全にとられたわけであります。その点は問題はなかったわけであります。  御質問のアメリカとソ連の対立の問題でありますがこれはもう私からくどくど申し上げる必要はないと思いますが、要するに、ソ連その他いま十二カ国くらい滞納しておりますが、この滞納の分が過去二年間の分担金以上になっているということで第十九条の問題がひっかかってきまして、投票権があるかないかという問題でこの第十九回総会がこういうような変則的な状態になったわけです。ソ連、フランスなんかも滞納国になっておりますけれども、問題は国際連合が中近東のスエズの動乱のあと始末のために送りました国連緊急軍というものがございます。それからまた、一九六〇年からアフリカのコンゴへやりましたコンゴ国連軍というものがあるわけであります。この中近東のUNEFと申しますか、この経費は大体年間二千万ドルくらいになります。コンゴのほうは非常に大きな経費を要しまして、大体国連の一年間の経常の費用に見合う程度の一億ドルくらいの経費を要したわけであります。この経費の割り当てにつきまして、ソ連は、あくまでも、これは加盟国の全く自発的な意思によって支払うか支払わないかを決定する問題である、こういう主張をとっております。アメリカは、そうではなくて、国連の一般の通常経費だという見解をとっております。しかも、その間に、この問題がもめましたために国際司法裁判所の意見を聞いたことがあるのであります。国際司法裁判所は、スエズの国連軍の経費も、またコンゴの国連軍の経費も、これは国連のいわゆる正常の経費であるという意見を出したわけでございます。その意見をまた国連の総会が受けまして、国際司法裁判所の勧告の意見を受諾するという決議をしているわけであります。そういう立場から申しますと、コンゴの経費、それからUNEFの経費というものも正常の経費である。その後の滞納分が二年分を越しますと、この十九条の問題にひっかかってくるわけであります。そこで問題点があるわけであります。ソ連は、司法裁判所の意見というものはあくまでも勧告的な意見である、それからまた国連総会の決定も、これも勧告的なものであって、加盟国を拘束するものではない、こういう点でアメリカ側あるいはわれわれを含めて大多数の国と滞納国側との間の意見が衝突している、こういう非常にやっかいな問題になっております。ソ連はいまでもこういったUNEFとコンゴの経費は一文も払わないという立場をとっております。今度の十九回総会でも、そういう経費の法律的ないろいろな性質というものは一応たな上げにして、各国のこの経費に対する態度というものは、一応そういうことに触れないで、ともかく国際連合はこの支払いを拒否している国があるために非常に大きな財政的な赤字で悩んでおる、そこで、こういった金額、この経費に対する立場というものを離れて、ともかくソ連も何がしかの金を寄付しようじゃないか、そうすれば、アメリカやイギリスその他の国も、この経費は忠実にいままで払っておるけれどもソ連のメンツも立てて若干おつき合いしようではないかという案までできたわけでありますが、これも日の目を見ないで終わってしまったということになっております。先ほど申しましたように、間もなく開かれると思いますが、この三十三カ国委員会で、国際連合の平和維持活動のあり方というものも徹底的にひとつ検討していこうではないかという議題の問題の中には、将来の国際連合の平和維持活動のあり方というものとともに、過去、現在の国際連合の平和維持活動のあり方、それの財政といいますか、そういう問題までも含んで検討しようということになっておりますので、私は、六月十五日までに、少なくとも過去と現在の問題については三十三カ国で何らか一つの結論が出ることを希望しております。わが国といたしましては、ともかく平和維持というものは国際連合のかなめである、それに対する経費というものは、国際連合の平和維持活動というものは国際連合加盟国の共同責任である、共同責任である以上はその経費もやはり共同責任という立場に立って支払うべきであるという立場をいままでずっととってきております。これからもそういう態度で日本政府はこの問題に取り組んでいくべきじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 この国連の平和維持機構の問題でありますが、そのあり方について、そういうところから分担金の問題についての意見の対立も出てきておると思うのであります。いま局長の言われた三十三カ国の会議の成果にまつところが大きいということでございますが、これと関連をして、フランスのドゴール大統領が、去る二月四日の記者会見でありましたか、米、英、仏、ソ、中国——つまり北京政府でありますが、この五大国がジュネーブに集まってこの問題の打開のために会議を開くべきであるという提案をしておるのであります。三十三カ国の国連の機構を通してのこの平和維持機構のあり方についての会議の成果を一方において待つということも私は大事なことだと思いますが、こういうフランスの提案は、もちろんドゴールの言っておる点は、大国中心主義の国連のあり方というものに対して拍車をかける結果になることも考えられるのでありまして、私は必ずしもドゴールの考え方が正当なものだというふうには考えませんけれども、そういう動きがある。このままではいけない、何とかこの問題の妥結をはからなければいけないということで、中華人民共和国も入れて五大国の会議を開くということを言っておるわけであります。ソ連の言い分は、いわゆる国連軍のあり方について、特にコンゴに対して行なった国連警察軍のあり方に対しては、きわめて遺憾であるということから、分担金を出さないということを言っておるわけであります。そういう点については、根本には国連の平和維持機構の問題があると思います。そういう点に対して、政府としては、国連の平和維持機構についてはどういう見解をとっておられるか、どのようにするのが一番よいというふうに考えておられるか。これは憲法第九条との関係もございますが、先ほど局長が言われたように、国連に加盟しておる以上はやはり義務がある、その国連を維持していくところの経費の分担金は支払わなければならないのだということも関連をいたしますが、平和維持機構のあり方いかんによっては、私は、わが国憲法第九条にも抵触するところが出てくると思うのでございます。こういう点は、検討中検討中という従来からの御答弁でありますが、政府としてはこの点についてどの程度までの統一見解ができておりますか、永田政務次官にお伺いをいたしたいと思います。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 国連の平和維持機能を強化すべきであるという点につきましては、椎名外務大臣が国連の総会においても演説をされておるのでございまして、わが国の方針といたしまして、平和維持機能をますます強化すべきであるということには変わりはないわけであります。ただ、平和維持の方法につきましてもいろいろ問題がありますし、たとえば拒否権を持っておる安保理事会常任理事国というこれらの国々の間にほんとうに協調していくという精神がなければ、なかなかこれは実行がむずかしいわけであります。これらの安保常任理事国の間にほんとうに平和を維持していこうという気持ちをだんだん高めてもらいたい、そのために、わが国としてのとるべき態度として、これらの大きな権限を持っておる国に対する平和維持の考え方を進めていくように促進をしたい、大きな点からいきまして、わが国の平和維持機構推進の考え方としては、こういうことを考えておるわけであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 二月十六日の本会議における私の質問に対しまして、佐藤総理はこの問題について次のように答えられておるのであります。「私がしばしば申し上げるごとく、自由を守り、平和に徹する、この観点に立って、平和維持機構としての国連、これをどこまでも強化いたしたいものだ、かように私は考えておるのであります。国連警察軍についてのお尋ねがありましたが、ただいまのもとにおきましては、国連警察軍の性格、目的、行動の態様など、まだはっきりきまっておりません。いずれこういうものが明確になりました際に、憲法との問題を考うべきことだ、かように私は思っております。」という御答弁があったわけでございます。この問題に関連いたしまして、御承知のように、ソビエトの提案があり、北欧三国の提案があり、また志願制度によるところの国連警察隊の創設についてはデンマークの提案もある、また別にカナダの提案もある、列国議会同盟の議論もあるし、また世界各国からいろいろな意見が個人的にまた政府の公の見解として出されておるわけでございますが、こういういろいろな考え方に対しまして、日本政府は、国連としてはまだ国連警察軍の状態がどうあるべきかという具体的なものが示されていないから、まだ正式の見解を打ち出すことができないという御答弁でございましたが、この問題に対してイギリス政府から日本政府に対して何らかの照会といいますか、呼びかけといいますか、そういう話がロンドンの日本の公館を通じてあったでしょうかどうでしょうか、その点お伺いいたします。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 そういう申し出は、いままでのところイギリス政府から来ておりません。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 三月一日に、イギリス下院において、世界連邦イギリス国会議員グループから、この問題について政府に質問をいたしております。政府は国連警察軍の問題に対して日本政府と話し合いをしたかどうかという質問をしているのでございます。私はそのときの答弁についてはまだ承知いたしておりませんが、質問の要点を私のところへ送ってまいりましたので、そういうことを質問しておるということは事実でございます。その質問の結果はまだ聞いておりませんが、こういう点に対しても、イギリス政府は日本政府と何らかの話し合いをしたいという意図を持っているやに聞いております。こういう点も、だんだん具体的な問題が各国から出されてきておるやさきでございます。これはいろいろな問題があって、わが党におきましてもこれに対する見解が煮詰まっておるわけではございません。率直に申しまして、いろいろ検討中でございます。しかし、政府におかれましても、国連の強化という点から、また、国連の平和維持機関の問題を抜きにすることはできないわけでございますから、そういう点で、わが国憲法のたてまえを貫きながら、どのようにして国連の機能を発揮するかということをしさいに検討されることが大事だと思うのです。ただ、諸外国の見解が出てから、あるいは国連の正式見解が出てから検討するというのではおそいと私は思うのでありまして、日本政府としては、この問題に対して、国連を強化する、国連の平和維持機構を強化していくという点について、ひとつ積極的に見解を出していただきたい。野党の側からも、われわれは、社会党の外交委員会におきましても、まだこれは発足しておりませんけれども、国連小委員会を設けて検討するということになっておるわけでございままして、これらの問題に対してもうすでにソビエトの見解があり、北欧三国の見解があり、さらにまた別個にデンマークの見解が出されておる、カナダの見解も出ておるというやさきでございますから、国連の正式の意向が出ないまでも、それらの問題に対して日本政府としてはどういう考えに立つべきであるかということは、条約局においても検討中だということを聞いております。条約局長も見えておられますが、この点いかがでございますか。こういう点についてはどの程度までの検討をされておるか、お伺いしたいと思います。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 憲法との関係が問題になりますので、そういう意味において法制局のほうといろいろ協議はいたしておりますが、何か具体的な案を目ざして法律的な問題を検討しているという段階に至っておるわけではございませんで、憲法第九条の解釈としては、日本固有の自衛権発動以外の形で国際的な協力をやることには問題があるので、先生のお気持ちとは沿わないかもしれませんけれども、日本が積極的にこの問題について国際的に発言することは非常に困難であるから、いままでのところでは、外から出てきたものに対して、具体的にそれがはっきりしたら、それに応ぜられるかどうかを憲法の上から判断するよりほかない、そういう程度にとどまっている次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 次に私がお伺いいたしたいと思いますのは、アメリカの沖繩、小笠原の占領は国連憲章第七十八条に違反しないか、また、対日平和条約の第三条も根拠を失っておるというふうにわれわれは考えるのでございますが、この点につきまして政府の見解をお伺いをいたしたいと思います。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 憲章第七十八条は、ある地域全体として国連加盟国の地位を獲得した場合に、それが依然として信託統治制度のもとに置かれることは主権平等という国連憲章の基本原則に反する、そういう意味合いで設けられた規定でございます。したがいまして、その一部分の地域がそういう信託統治制度のもとに置かれることを禁ずる趣旨までは含まれておらない。これは従来から政府がとっておりました解釈でございまして、諸外国の学者あるいは政府も、もともとこの条文が置かれましたのは、中近東のシリア、レバノンでございましたか、ああいう地域のことを念頭に置いて設けた規定でございますので、そういう解釈に大体一致しておる、かように考えます。それから、日本国との平和条約第三条の規定は現在はその存立の基礎を失っておるというような御見解に承りましたけれども、政府といたしましてはそういう見解をとっておりませんので、もし何か理由でもお示しいただければ、もう少しその点についてのお答えをいたすことができるかと存じます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 憲章第十二章でありますか、信託統治制度の規定がありますが、これは現在どこに適用されておりますか。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 ただいま国際信託統治制度の置かれておる地域は、かってわが国の南方領域でありまして国際連盟のときにわが国が委任統治をやっておりました南太平洋地域、これはアメリカの信託制度のもとにございます。それと、イギリスと豪州とニュージーランドが信託統治しているナウル島とか、私いま名前を忘れましたが、ああいうところで、ごくわずかな、アメリカの地域を含めましてあと二地域ぐらいと記憶しております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 この信託統治制度というものは、今日の時代においては当然削除されてしまうべきものじゃないかというふうに考えるのでございますが、施政権の問題と関連をいたしまして、政府も、基本的な考え方については、沖繩におけるアメリカの施政権はすみやかに返還さるべきであるという考え方に立っておられると思うのでございますが、そういう点について、この信託統治制度というものがこの際削除せられるということが至当だというふうに考えられます。この信託統治制度というものがまだそのまま残されていっていいということでは、施政権の返還を要求する根拠が薄弱になってくると思うのでございますが、この点につきましては政府はどういうふうにお考えになっておりますか。

星文七外務事務官(国際連合局長)

○星政府委員 御指摘のとおり、信託統治制度と申しますのは、該当地域の自治、それから独立の達成ということを促進するのが一番大きな目的でございまして、御承知のように、国連が発足しましたときには、この中にたくさんの信託統治地域というものがあったわけであります。特にアフリカに多かったのであります。これが続々と独立いたしまして、ただいま信託統治地域になっておりますのは、いま申しましたように、ナウル島とニューギニア、それから南太平洋地域の諸島、こういう三地域になっております。特に、最後の南太平洋地域のあれは、戦略上の理由で信託統治地域となっていると考えられるのであります。しかし、いずれにいたしましても、この信託統治の基本的な目的と申しますのは、自治、それから独立の達成ということにあるというふうに了解しております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 先ほど政府の御見解もありましたけれども、沖繩と小笠原をほとんど永久的にアメリカが占領している、つまり施政権を返さないということは、私はどう考えてみても国連憲章の精神に違反するというふうに思うのであります。いろいろ条約の解釈等もございますけれども、アメリカがいつまでも沖繩と小笠原の施政権を返さないということは、いま問題にいたしております国連憲章の趣旨、その精神から言って、私は適当だとはどうしても考えられぬのであります。政府は施政権の返還についてはアメリカ側に対して要求をしておるということを言われるのでありますけれども、そうであれば、もっと熱意を持って、この問題に関連をしておるところの——しかもアメリカは信託統治というものをやろうとしていないのでありますから、将来沖繩、小笠原をアメリカが信託統治下に置くことを国連に提案するまでの間その施政権を行使するということになっておるわけでございまして、そういう意思が全然ないのであれば、当然これは、その施政権はすみやかに日本に返すべきものだというふうに考えるのであります。こういう点がこのままにされて今日まで来ておるということは、沖繩住民の、あるいは小笠原住民の意思にも反するし、また日本の主権の問題にも強い影響を与える問題だと思うのでございまして、この沖繩、小笠原の問題につきましてはお伺いいたしたいのでありますが、きょう総理府のほうから特連局長は見えておりますか。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 特連一課長が見えております。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 平和条約の解釈の問題でございますので、私からお答えさせていただきますが、信託統治にはしてもらいたくないということを日本からアメリカに言っておる立場にあるわけでございます。何をぐずぐずしているんだということは日本からは言えないわけでございます。それから、アメリカ政府といたしましては、まだ公には信託統治にする意思がないということを言ったことはないわけでございます。まあその二つのことがございますので、条約文の法律的な解釈といたしましては、現在なお信託統治のもとに置くことを前提として三権の行使を続けているのは、第三条違反であるというようなことは、法律論としては言えないのではなかろうか、かように考えます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 いま条約局長の言われたような点については、法律解釈上の問題があると思います。これはわれわれの見解と政府の見解とが一致しないという点があると思いますが、私は、条約の解釈だけの問題を取り上げておるのではなくて、アメリカが信託統治の意思があるないにかかわらず、すでに二十年以上経過している今日、いまなおアメリカが施政権を返還しないということは、これは国民感情にも反することだと思うし、また同時に、特に沖繩の住民の強い祖国復帰の、これは思想、信条を越えての願いにも反することだと思うのでございます。条約上のいろいろな解釈の問題についてわれわれの考え方と政府の考え方との間に食い違いがあるといたしましても、政府の基本的な姿勢としては、こういう沖繩住民の声を聞き、また日本国民の国民感情というものに率直に耳を傾けなければならないと思うのでございます。伝えられるところによりますと、当時のわが吉田茂全権は、帰国後天皇に上奏文を出された。その上奏文の中で、沖繩、小笠原がなお米軍の手にゆだねられることになったということはまことに申しわけのないことでありましたということを上奏文の中に書いておられるというふうに私は聞いております。そういう気持ちを持って当時の吉田全権が帰ってきて、天皇にそういう上奏文を書いておられる。その写しはたしか外務省にあると思うのです。私は、そういう点についても、ただ条約の解釈だけでもってどうにもならないのだというのではなくて、国民感情の上から言っても、また特に沖繩住民の全体の祖国復帰の強い願望から言っても、当時の吉田全権がそういう気持ちを持って帰ってきておられるとするならば、これを継承しているところの日本政府としては、条約上の問題があるにしても、解釈上の問題があるにしてもすみやかに何らかの手をアメリカ政府に対して打つべきではないかというふうに考えるのであります。その点、永田政務次官の率直なお気持ちをお伺いいたしたいと思うのです。

永田亮一自由民主党外務政務次官

○永田政府委員 条約の解釈につきましては先ほど条約局長から申しましたが、局長は専門家でありますから、おそらく解釈としては妥当であるかもしれませんが、しかし、条約の解釈は解釈といたしまして、ただいま西村先生御指摘のとおりに、沖繩、小笠原の施政権の返還ということは、長い間の島民、また日本国民の熱望でもあり、悲願でもございます。国民感情の上からも、一刻もすみやかな施政権の返還が望まれておるのであります。われわれは、いろいろの機会に全力を尽くして、一日もすみやかに施政権が返還されるように努力をいたしたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 終わります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 速記を始めて。  本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十七日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時散会

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