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第48回国会衆議院1965/03/10

外務委員会 第5号

発言数
14 件
登壇者
4 名
会派数
2
開催日
1965/03/10

会議録

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が病気のため出席できませんので、その指名により理事である私が委員長の職務を行ないます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際特に申し上げておきますが、外務大臣は参議院の予算委員会の都合がありまして、大体三十分程度本委員会に出席の予定でございますから、あらかじめ御了承を願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ベトナム情勢がいよいよ緊迫化いたしてまいりまして、去る八日にはアメリカの海兵隊が二個大隊ダナンに上陸をしたというようなこともあり、北ベトナム及びラオスに対するアメリカの爆撃もその数を増してきておるという状態、まことに憂うべきものがあるのでございますが、特に米海兵隊がダナンに上陸をしたということは、従来軍事顧問団という形式で南ベトナムすなわちベトナム共和国に対して軍事援助を行なっておったところのアメリカとしては、直接ベトナム戦争に参加するという形をとってきたと考えられるのでありますが、こういう状態に対しまして、椎名外務大臣はどういう見解をおとりになっておられるか。特に、アメリカ政府の言い分によりますと、これは国連憲章第五十一条の集団自衛の措置だということを言っておりますが、はたしてそういう見解が正しいかどうか。こういう情勢を進めてまいりまするならば、先般の本委員会においても私は質問したのでございますが、現在までの爆撃は報復爆撃であると言われて、十九度線以南の北ベトナムの軍事基地に対して向けられておるということでございますが、しかし、これが十九度線を越えてハイフォンからハノイにまで爆撃が及ぶということになれば、ゆゆしい事態に立ち至らないとも限らないと思うのでございます。この時点において県政府このベトナムの戦争に対して——戦争と申しますか、動乱と申しますか、この事態に対してどのような考え方を持って対処していこうとお考えになっておられますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御指摘のとおり、最近の北ベトナム空襲あるいは海兵隊の南ベトナム投入等の軍事行動を見ますと、相当軍事行動が強化されておるということは事実でありますが、米国が累次、これらはいずれも北からの侵略防止及び南ベトナムの自由と独立の防衛であるということを言明しておるのでございますが、われわれといたしましてもこのアメリカの言明を信頼しておる次第でございます。しかし、わが国といたしましては、あくまで戦線の不拡大を希望し、適当な機会をもって平和的な話し合いが開始せられて、一日も早く事態の収拾が実現することを期待しておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 先ほども私が触れました国連憲章第五十一条の集団自衛の発動であるという見解に対しまして、これは武力攻撃が発生した場合という条件がついているのでございますが、はたして、北ベトナムから、つまりベトナム民主共和国からベトナム共和国に対して十七度線を越えて武力攻撃が行なわれたという事実がどういう事実に基づいておるかという点が一つの問題だと思うのでございますが、南ベトナムにおきましては、南ベトナム民族解放戦線が組織されて、独立した組織、独立した機能、独立した行動をやっておるのでありまして、もちろん同一目的に立っておるところの北のベトナム民主共和国の祖国戦線と全然交流がないということは言えないと思いますけれども、しかし、北からの大量の武器・弾薬・人員の補給があって、民族解放戦線の部隊が強化されておるという事実がどこにあるかということが一つの問題だと思うのでございます。そのことのためにアメリカ側は報復爆撃ということを言っておりますけれども、しかし、現在におきましては、すでに、ダナンにおける海兵隊の上陸等の事実から見ましても、また最近のアメリカ側の言明から見ましても、報復爆撃ではなくて、むしろ自衛のための攻撃、攻撃体制に立っておるというふうに考えられますが、こういう点も、国連憲章第五十一条の条文の解釈と事実とがどう結びつくかという点に問題があると思うのでございます。そういう点に対しまして、日本政府としては、ただ一方的にアメリカ側の言い分だけを聞いて、それでよろしいのだということでは、この近接しているアジアのインドシナ地域における紛争を解決する日本政府としての独自の姿勢ではなかろうと思いますが、こういう点に対しましてどのようにお考えになっておられますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先般のアメリカ及び南ベトナムの共同声明にもございましたが、人と多量の兵器の浸透が絶えず継続して行なわれておる、この事実及びそれに相次いで起こるテロ行為、これらを目してすなわち侵略の継続である、こう言っておるのであります。事態の解釈としては当然侵略の継続が行なわれておる、これに対して一つの反撃を加える、こういう考え方を私どもは支持せざるを得ないと思うのであります。  法律論でございますが、五十一条をどう解釈するかということを離れて、私は政治的な判断としてさような見解を持っておるのでございますが、なお、五十一条の解釈につきましては政府委員から申し上げます。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 憲章第五十一条の武力攻撃ということばの意味についてでございますが、これは、公然たる軍事行動の場合だけに限らず、いわゆる間接侵略と称せられるものの場合でも、それに人員・武器等の武力的な要素が入っておる場合には、これはこの場合の武力攻撃に該当するという見解を前から政府ではとっております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 問題は、北からの武器・弾薬・人員の補給がひんぱんに行なわれ、それが南ベトナム民族解放戦線軍を強化しているというので、「武力攻撃が発生した場合」というこの条項に該当する集団自衛権の発動だ、こういう解釈でございますが、トイホア及びプレークの両空軍基地に対する民族解放戦線のゲリラ部隊が攻撃を加えたときに使われました武器の最有力なものはアメリカ製の81MM迫撃砲であったということをニューヨーク・タイムズも指摘をしておるのであります。最近の外電によりますと、二月におきましては、南ベトナム政府軍の死傷及び行くえ不明の数はいままでにない記録的な数を示している、したがって、武器・弾薬を遺棄してまいった数もおびただしい数にのぼっているということが伝えられているのでございます。つまり、北からの補給ではなくて、戦線の推移によって、南ベトナム政府軍に支給されておりましたアメリカ製の武器がベトナム民族解放戦線軍の手に渡って、これが用いられているということも当然考えられる。ただ単にニューヨーク・タイムズの記事をまつまでもなく、それは当然考えられると思うのであります。むしろ、北からの補給ということよりは、戦線の推移によってアメリカ製の武器が、いわゆるベトコン、南ベトナム民族解放戦線軍の手に渡ってこれが威力を発揮している、こういうことであれば、これは北からの浸透だということは、私はその根拠はきわめて薄弱だと思うのでございます。第一、北から南へどれだけのものが入ってくるか。海上の補給と申しましても、ここ数カ月以前までは海岸地帯はほとんど政府軍の手にあった。民族解放戦線軍は山岳地帯にありまして、そうして塩を得るのに非常に困難をしておった。ようやくここ一、二カ月ほどの間にユエ南方の海岸地区をおさめたために、そこから海水による塩をつくることによって塩の補給にこと欠かないで済ますことができたというようなことも言われておるのでございまして、事実、海上の補給なども、ごく最近まではあるいは北から南ヘジャンクによって補給されるということは全然ないとは言えない、ある程度は考えられるかもしれませんが、大量の武器・弾薬が南ベトナム民族解放戦線軍に補給されているということはどうも考えられない。しかも、国連の休戦監視委員会におきましても、どちらが攻撃を加えたかということについての結論が出ていないのであります。特に、今度のアメリカの爆撃に対しましては、ポーランド、インドはこれに反対をしている、またカナダは意見を保留、少数意見を述べているというわけで、国連の休戦監視委員会の意見もまちまちである。まちまちというよりは、多数意見のほうはむしろアメリカの爆撃は根拠がないと言ってこれに反対をしておる。したがって、国連における結論もまだ出ていない段階において、一方的にアメリカの言い分だけが筋が通っておるということは、これは言えない。理屈から言っても事実から言っても、私はきわめてむずかしいと思うのであります。そういう点に対しまして、日本政府としては、従来からアメリカと特別な関係、安保条約の関係がございますから、アメリカの言い分を信用してこれに従って政府の方針とされていく以外にはない、こういうことを言われるのでございますが、それでは自主外交の名前に反すると私は思うのでございます。この足元に火がついてきているところのベトナム情勢に対して、ただ一方的にアメリカの言い分だけを聞いて、これに唯々諾々として従っていくということは、きわめて残念なことだと思うのでございます。  いま、御承知のとおり、インドシナ諸国、諸民族、諸団体の代表たちが、カンボジアのプノンペンにおいて、カンボジアの元首シアヌーク殿下の主宰によるところのインドシナ人民会議というものに集まってまいりまして、これは非常に重大な会議であると私も考えておったのでございますが、きのうきょうの外電によりますと、穏健派——カンボジア及び南ベトナムのハリに亡命しているところの反政府の立場をとっている代表たちの、国際会議によるところの収拾をはかろうという穏健な考え方は押えられて、むしろ南ベトナムからのアメリカ軍の撤退ということ以外に解決の道はないという強硬な意見が多数を占めるに至ったということでございますが、こういう国際会議も開かれておる。また、ソビエトやフランスやイギリスや国連の事務総長のウ・タント氏あたりからの呼びかけも出てきておる。こういう情勢の中において、日本政府はいまなお一方的にアメリカの言い分に追随をしてそれでいいんだということでは、私は、アジアの外交、また自主外交の名にそむくと思うのでございます。こういう点に対して政府は何らかの手を打とうというお考えを持たれてしかるべきだと思うのでございますが、この点いかがでございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 プノンペンにおいてインドシナの人民会議が開かれておりまして、穏健派がとうとうねじり伏せられて強硬派に凱歌があがったように新聞が伝えておりますが、なおこれに引き続いてウ・タント事務総長の七カ国に対する提案というものが、どうも新聞に漏れたのでございましょうか、真相はあるいは、その内容の詳細はもちろんわかりませんが、国際会議による話し合いの解決を呼びかけたものと推測されるのでございますが、われわれといたしましても、一日も早く平和的話し合いによって事態の収拾炉実現できることを期待しておるのであります。ただ、北越のほうは、アメリカ軍の撤退だけが問題の解決である、こう言っている。アメリカは、北越の支持によるベトコンの実力による国内撹乱というものがおさまれば、いつでもわれわれは撤退する、そして、南ベトナムの政治的な自由というものがそこに回復されるならば、喜んで撤退する、こう言っておるのであります。この両者の主張を比べてみますとわかるように、ただアメリカ軍の撤退だけが問題の解決である、こういうことでは、自由陣営の一員として、その説にはわれわれは賛成できない。ただ一方的な国内の撹乱、実力によるいわゆる人民解放という名のもとに南ベトナムの共産化が実現されるというのでは、われわれとしてはこの説に賛成するわけにいかない。やはり、適当なきっかけを待って、そしてほんとうに南ベトナムの自由と平和のために実力行使を両方でこれをやめる、中止するという事態を願わなければならぬと私どもは考えておるのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 外務大臣のおっしゃる点は、これはアメリカの公式な声明であり、一方はまた、ベトナム民主共和国、北ベトナムの公式な言明であり、したがって、社会主義国と自由主義国との間の見解の相違があるということは、これはもう明らかであります。しかし、そういう公式の言明だけで、日本はアメリカの言明を支持し北側の言明を支持しないというのでは、私は外交にならないと思うのです。事務官僚の立場でそういうことを言われるならば、それは私も一応認めますけれども、いやしくも日本国の外務大臣としてこの事態に対してどう対処するかということについては、アメリカの悩みもあるし、やはり北ベトナムにおけるところの問題もあると私は思うのでして、それらの問題を探って、それをつかみ出して、そうしてこれを俎上にのせて解決への努力をするというのが、日本外交の自主性を保つゆえんだと思うのです。そういう表面的な言明だけでは、これは両者の意見が一致しないということは明らかでございます。それだけでは私は外交にならないと思う。私どもの社会党、また私個人としては、まずアメリカの軍隊が南ベトナムから撤退することが先決条件だという考え方を持っておりますけれども、しかし、日本政府の外務大臣として、そこに何らかの手を打つことがやっぱり必要ではないか。ただアメリカ側の言い分だけに従って、その言明のほうが正しいのだという表面的な言われ方だけでは、この急迫しているところの事態に対処するゆえんではないと思うのであります。その辺、私は、アメリカにも悩みがあると思うのです。非常に力の誇示をいたしておりますけれども、その行き着くところエスカレーション式に十九度線を越えてハイフォン、ハノイにまで爆撃が及ぶという事態になればどういうことが起こるかということに対する悩みがあると思うのです。また、南ベトナムにおけるところの軍事顧問団が、公称二万五千と言っておりますが、現在は五万をこえておると言われておる。その軍人の間においてさえも、一体何のために戦争をやっているか、ゲリラにいつ何どき襲撃されるかわからない、しかも政府軍は一向動こうとしないという状態において、なぜこのような戦争を続けなければならないかということに対して、アメリカの軍事顧問団の軍隊の中においてさえも厭戦気分が出てきておる。私がユエにおいてアメリカの軍事顧問団の某中尉とたまたま一緒にめしを食っていろいろ話をしましたら、そういうことを言っておりました。ベトコンが来たというので攻撃に移ろうとしても、政府軍は隊長が出てこないので一向動かない、隊長が出てきたころにはもうベトコンは姿を隠してしまってどこにもおらぬ、こういうことでは戦争にならぬ、また私ども自身もこういうわけのわからない戦争はもうごめんだ、早くアメリカにおる妻子のもとへ帰りたいということを率直に話をしておりました。一人のそういうことばでもって全体を律することはできないかもわかりませんけれども、おそらくそういう気持ちがアメリカの軍事顧問団の中にも浸透してきておると私は思う。もちろん、政府軍の将兵の中においては、それは一ぱいです。大体、民衆の支持を受けていないところの戦争に勝ち目があるというふうに考えられること自体が、私は常識をはずれておると思う。アメリカの側におきましても、私はジョンソンに悩みがあると思う。事実一日二百万ドルからの金を三年間にわたって南ベトナムに投じてきた。また、二万五千と言い五万と言われるところの軍事顧問団を投入しておる。さらに今回は二個大隊の海兵隊をダナンに上陸さした。こういうことをやって、力で押し進めていくことによってこの事態が解決できる、力で押しまくって北ベトナムが参ってしまう、また南のベトナム民族解放戦線軍の勢いを弱め得るというようなことをアメリカがまともに考えておるとするならば、これはどうかしておると思うのです。どこかでより有利な立場をつくって、そこで国際会議によるところの話し合いによって事態を収拾したいというのが、私はジョンソンの腹だと思うのです。北のベトナム民主共和国の側におきましても、戦争がこれ以上拡大することを望んでいるとは考えられません。しかし、攻撃されるならばどこまでも受けて立つということで万全の備えをしていると思うのです。どんなに爆撃されても、その爆撃に対してへこたれるようなかまえではない。私がこの一月に九日間北のベトナム民主共和国の各地を回って、また各階層の人々に出会って話を聞いてみても、そういう決意がかたいということ、——戦争の不拡大を望んでおって、ジュネーブ協定の精神によって平和的に南北の統一をはかり、戦争を終息させたいということは口を開けば語っておりますが、しかし、アメリカの攻撃に対しては断固戦うという決意を固めておることは事実であります。そういうことで解決がつかないということは、これはもうどんなにひいき目に見てもアメリカの側に不利があると私は思うのでございます。また、これがかりにハイフォン、ハノイにまで爆撃が及ぶということになれば、必ずや中華人民共和国がきょうだい国としてのベトナム民主共和国に対して軍事援助を行なうということも当然考えられる。いまアメリカと平和共存の路線をやっておるところのソ連といえども黙ってじっとほっておくことはできないと思うのであります。そういう段階において、両方に問題がある。その問題を探って、それをつかみ出して、そしてこれを解決への糸口としての素材にしていくという努力を一体だれがやるか。遠い西欧のフランスのドゴールがやる、あるいは国連の事務総長のウ・タント氏がやるというのではなくて、ごく近いアジアの一国であるところの、しかもアジア中心の外交を唱えておるところの日本政府がやるべきではないかと思うのです。いま外務大臣の言われたような、公式の言明だけで一方的にアメリカに加担するというのでは、私はどう考えてみたって自主外交の名にそむくと思うのであります。朝日新聞の顧問の笠信太郎氏が、佐藤総理はすべからくアメリカに飛んでジョンソン大統領と会見をしてこの事態の収拾に協力するという姿勢を持つべきだということを投書欄に書いておりましたが、そういう意見も出てきておるのであります。私は、椎名さんが韓国のソウルに行かれるということも、政府としてはそれなりの理由があったと思います。われわれは反対はいたしましたが、あったと思います。しかし、そういうことを考えられる前に、なぜ椎名さんが、このインドシナ戦争、ベトナム戦争の解決のために乗り出して、ジョンソンに会い、あるいはその他の関係諸国の責任者に会って、問題の終結に身を挺して当たるという気魄を示してくださらないかということを思うのであります。先ほど外務大臣のおっしゃったような、これは集団自衛の措置であるということがもし妥当だとするならば、戦線の拡大の状態によりましては、北ベトナムを爆撃しているところのアメリカの第七艦隊の基地である日本の佐世保を北ベトナムが爆撃をしても、あるいは北ベトナムと中華人民共和国の空軍が爆撃をしても、これまた集団自衛の措置であるというふうに言われてもどうにもしようがないことだと思うのです。そういうような事態に立ち至らないことを願うものでございますが、しかし、理屈から言うと、そういうことも今後の戦線の推移によってはないとは断言できない。そういうことにならない前に何らかの手を打つべきが至当ではなかろうかと思うのであります。その点もう一度外務大臣の御所信を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 たびたび申し上げるように、われわれとしては、いわゆる自由と平和を守る、こういう信条のもとにアメリカと提携しておるのでございます。ただ米軍が撤退するということだけを条件にして一体どういうふうに収拾するつもりなのか。結局、南ベトナムのいわゆる人民解放、すなわち共産化、そういうことでございますと、これは南ベトナムの人民の意思にも反するのでございますから、アメリカがその南越の人民の意思に従って自由と平和を守るためにあそこにおるということは当然のことであり、ただ米軍を撤退させるというだけでは、私は問題の解決にはならないと思います。南越のあの混乱した時局を収拾するために、やはり両方とも誠意をもってこれに当たるということでないと、私は問題の解決にならぬと思うのであります。その機会をいかにしてつかむかという方法論の問題でございますが、これは、ただ右往左往するだけではこの問題の解決はむずかしい。十分なタイミングをはかって、最も効果がある方法を選ばなければならぬ、かように考えておるのでありまして、それを言えといま仰せられても、これはちょっとただいまの段階においては無理だ、こう申し述べる以外にないのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 南ベトナムにおける自由と民主主義を守るために、北からの共産主義の進出に対してこれを守るのがアメリカの義務であり、またアメリカと同盟を結んでいるところの日本の義務だ、こういうふうな見解でございますが、南ベトナムにおきましても、民衆の各階層においては、戦争は一日も早く——これは軍の少数の指導者は別としても、大多数のサイゴン政府の軍隊の中においてさえも、やめてもらいたいという気持ちが強いのであります。また、共産主義者の侵略を防ぐということを言われますけれども、そういう問題はやはりベトナム人の手にまかすべきが至当ではなかろうか。ベトナムの問題はベトナム人の手にまかせということは、至るところでいまほうはいとして起こっているところの学生運動、仏教徒の運動の一つの大きなスローガンになっている。こういう状態において、アメリカがいつまでも南ベトナムから手を引かない、ますます武力を強化するというやり方では、ますます民心を失ってしまう。これは、私が九日間南ベトナムの各地を歩きまして学生に会い、仏教徒の指導者に会い、またその他の各階層の人々に会ったときに、みんなが口をそろえて言っておった点であります。そういうことを考えましても、椎名外務大臣が、打つべき手を考えておる、しかしそれはタイミングがある、その時期について、方法についてはいま言えないのだということを言われましたが、タイミングを失われるようなことはないと私は思いますけれども、事態はいま非常に緊迫しておる。いまこそそのタイミングではないかと思うのです。政府が打つべき手を持っているということを言われたことは、私にとって初めてであります。従来からアメリカの言いなりになって、ただアメリカの報告をそのままうのみにしておられるという印象を国民に与えておりましたけれども、いま初めて大臣は、打つべき手を考えておる、持っておる、しかしいま言うべきときではないということを言われたのでございますが、その片りんだけでもひとつここでお示しいただけないでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 打つべき手は持っておるとは決してまだ申しておらないのでございます。その点は誤解のないように。打つべき手を模索しておるということが一番適当な表現であると思いますが、しかし、これはいわゆるタイミングがございまして、なかなか、そのタイミングとその手段というものとを一致させるということは、これはいかなる場合においても非常にむずかしい問題でございますが、ことに、このベトナムの問題については、これは非常に複雑しておりまして、容易にその手段方法が見つかるものではないと思うのであります。ただ、日本といたしましていかにこの事態の解決に有効な協力をするかという点は、これは絶えず研究しておかなければならぬ問題でありまして、われわれもいろいろな考え方をいたしておるのでございますが、これはまだ申し上げる段階には立ち至っておりません。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 その打つべき手を、現在もう素案ができているのだということではないが、模索しているということを言われました。私は率直に外務大臣がそういうことをおっしゃったその気持ちはわかるのでありますが、そうこうしておるうちに事態は収拾することのできないような悲局にまで突入しないとは限らないと思います。そういう点を憂えるのであります。今度、伝え聞くところによりますと、松本俊一氏が大使の資格でもって南ベトナム、ラオス、カンボジアに派遣せられるということを新聞で読みましたが、そういうことも、いま大臣の言われたような解決策に対する参考にする実情を調査し意見を聴取するということのあらわれだと思うのですが、私はそういうことで松本氏のような方が行かれるということに対してけっこうだと思う。しかし、そういうことだけでは問題の解決にならないと思う。いま、御承知のとおり、ベトナムにおきましては、北と南を通じてその人口の約八割は仏教徒であります。自民党のほうにおかれましても、仏教徒と交流を行なうために大谷参議院議員が派遣せられ、仏教徒の指導者に会っておられる。仏教徒の動きというものは、今回のクーデターによってもあらわれておりますように、政治には介入しない、あくまでも実力行使をしない、どこまでも無抵抗、非武装の立場で自由と民主主義を求める活動をするという立場をとっておりますが、仏教徒の影響というものは非常に強いのであります。南ベトナムはもちろんのこと、北ベトナムにおいても仏教徒の影響は強いのであります。また、いわゆるベトコン、南ベトナム民族解放戦線軍の中にも仏教徒が入っておる。そこで、そこらのところで何らかの手を打つという糸口が見つけられるのではないか。椎名外務大臣が、問題の解決に対して検討しておる、しかしその結果はいま言うべき段階ではないと言われるそのことも、私は率直にそのお気持ちは認めますが、しかし、そうこうしておるうちに事態が収拾することのできないような破局に落ち込まないとは断言できないと思う。そういうときでありますから、どうか政府におかれましては一刻も早くその結論を出して、そして適切な収拾への手を打っていただきたい。ただ南ベトナム政府に対する若干の経済援助を行なうということだけでは、何ら問題の解決にならないと思うのであります。そういう点につきまして、私は政府の善処を重ねて要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

野田武夫自由民主党

○野田(武)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会

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