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48回国会衆議院1965/02/15

外務委員会 第1号

発言数
37
登壇者
6
会派数
2
開催日
1965/02/15

会議録

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  当委員会としては国際情勢に関する事項について調査を行なうため議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 おはかりいたします。  理事松本七郎君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事に帆足計君を指名いたします。      ————◇—————

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務委員会といたしましては、御承知のように、ただいま極東の風雲急を告げ、南ベトナムを中心としてきわめて憂慮すべき事態にありますので、本来ならばこの問題を徹底的に審議することが当委員会の使命でございますが、椎名外務大臣には十七日に韓国を訪問されるスケジュールでございますし、明日午後本会議において国際局長から野党を代表してベトナム問題についての質問もございますから、きょうは、その重要なベトナム問題は明日に譲りまして、主として韓国の問題並びにそれと連関いたしまして中国の問題について外務大臣の御意向を問いただし、われわれの御要望も申し上げておきたいと思うのでございます。  ただいま予算委員会におきまして、石野議員からいろいろ質問がございましたのも拝聴いたしました。ちょうど日本の国内には自衛隊を中心として三矢事件という問題があったそうですか、この問題につきまして、韓国側は軍事政権でございますから何か期待を持ったとしたならば、これは期待はずれでありまして、旧職業軍人のあまり頭脳の明断でない方々が職を防衛庁に求められまして、まことに子供らしい、そして、二十年前の経験からあまり学んでない勉強をされた。したがいまして、国会からしかられて、そして問題は解決したというふうにお含み願いまして、韓国の軍部筋が時代錯誤の期待を日本の民主政治、民主化された日本の状況に置かないように、ひとつ外務大臣においてもお心にとめておいていただきたいと思うのでございます。御承知のように、朝鮮は南北に分断されておりますし、そこにいろいろの無理がありますし、また、長い閲歴史的に日本の植民地支配のもとにありましたから、そういう特殊の歴史的経験の中にありますことをよく外務大臣にはお心にとめて、そして日本国民にとって不利な事態が起こらないように御注意を願いたいのです。  そこで、お尋ねいたしますが、このたび韓国に親善のための訪問をなされますと、自然、従来数カ年間難航を続けております日韓会談につきまして、それと関連した問題について話し合いもあろうと存じます。そこで、念のためお尋ねいたしておきますが、韓国を訪問されまして政治経済のことについて論及されます場合は、やはり、実際に即して、韓国はその施政権の及んでいる範囲は三十八度線以南でございますから、しかるべき現実を踏まえてお話し合いがあることと思いますが、外務大臣はしかとその現実についての認識を持っておられますかどうか、まずこのことを、たびたび議員から質問のあったことでございますけれども、大事な問題ですから、お尋ねいたしておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは、もちろん国連総会の決議の趣旨に沿うて、半島の一部が適用範囲である、こう考えております。それ以北は全然白紙である、そういう考え方のもとに、われわれこの問題に当面しておる次第であります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまの御認識はきわめて実際的であると思いますが、同じく日本の国内には六十万の朝鮮人の居留民諸君が滞在しておりますが、日本に居留しております朝鮮の国民に諸関係が及びますときは、これもまた、国連の憲章の趣旨に従いまして、みずからの国籍を選ぶことは自由でございますから、南と取りきめましたことは韓国と在籍を希望された諸君に適用される、こういうふうに限定されていると理解してよろしゅうございますか。念のために……。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 御指摘の点は、法的地位の問題の交渉において一つの問題点でございます。御指摘のとおり、日韓交渉に臨みますわが国の基本的立場と矛盾しない解決方式をとることを念願しておりますが、まだ、いまのところ交渉は非常に技術的な段階になっておりまして、そこのところまで煮詰まっておらないというのが実情であります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 この問題は、在日朝鮮人に、一歩誤れば、南北ともに非常な不安を与える問題でございますから、政府の立場としましては、ただいま椎名外務大臣が確認されましたことをそのままその原則を国内に適用すればいいのでございますから、政府の立場としては、外務大臣の御答弁が国内に適用されたというような形をとるように方針をとって会談に臨んでおられますかどうか、もう少し明確にその点を確かめておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御指摘のとおり、政府の方針としてはさように考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいま御確認いただきまして、これは前の伊関アジア局長時代からたびたび確かめましたところでございまして、この点は、混乱いたしますと不測の迷惑を他に及ぼすことになり、人権宣言違反になりますから、特に御注意願いたいと思います。  その次にお尋ねいたしたいことは、朝鮮は、とにもかくにも歴史的に日本の植民地的支配に長い間あったわけです。ちょうど、この問題につきましては、かつてインドが英国の長い間の植民地支配下にあったと同じでありまして、聖雄といわれたガンジーも十数年にわたって英国の官憲によって投獄のうき目をみていたことは、御承知のとおりでございます。ガンジーと同じ立場に立つ人が朝鮮人にいた場合には、不逞鮮人といわれて、同じく王難の罪、獄窓の苦しみをなめましたことは、皆さん御承知のとおりでございます。これに対しまして、資本論の著者カール・マルクスは、それにもかかわらず、英国の支配によって数千年眠っていたインドの古代コンミューンの社会にヨーロッパの機械文明の新風を吹き込んだということは、これは歴史の一つの進歩である、しかし、この進歩は実に目をおおわしむるような弾圧と圧制と血と死の歴史であった、こう書いております。朝鮮におきまして、私は、六つの年から十六歳まで、父に連れられまして朝鮮の平壌におりまして、朝鮮の平壌中学に学んだのでございますけれども、子供心に映る朝鮮の姿、それは当時日韓併合の直後でありましたこともありまして、マルクスがインドを批評したほどでなかったとは必ずしも言えないたくさんの植民地支配の悲惨事を子供の目で見て知っておるのでございます。したがいまして、過去の歴史は歴史として、いま過去を論じてみたところでしかたがないことでありましょうし、また、一つ一つの例をとれば、ある部分に、はげ山に植林したとか、ある部分にアスファルトの道路が通ったとかいう部分的なことはありましょうけれども、基本的には植民地というものがどんなつらいものであるか、国内で言えば、いまは否定されておりますが、かつて日本国民の恥として残ったたとえば部落民というような、そういう過去の国民のあやまちの遺物と同じような涙と血で記録されておる数々のことがあるのでございます。したがいまして、外務大臣は簡単にアジア諸国民の国民感情を尊重せねばならぬと言われましたけれども、もう一つその奥に、やはり過去の植民地支配というものについては、それが宿命的な一つの歴史であったにしろ、過去において奴隷制度があり封建制度があったと同じように、今日のわれわれの理性においてこれは否定されねばならぬ過去のまことに暗い時代であったということの認識の上に立つことは、私は常識であろうと思うのです。個々の山が緑の山になったとか、個々の水田耕作が品種の改良によって収穫量がふえたとか、また、そのために良心的に努力した方々が主観的にはたくさんおられることもわれわれ知っておりますけれども、植民地支配というものがいかに苛烈にして人道に反したものであるかというくらいのことは、八月十五日の革命を経て私どもがはっきり自覚しておらねばならぬことだと思うのです。しかるに、高杉さんのこの前の談話を読みますると、まああの年代の平均的保守思想の方々が平素お考えになっておる独善とうぬぼれの典型的なものであって、日本の国民としてはまあああいう方々は相当の数おるのですから、そう珍しい現象ではありませんけれども、その時代錯誤の常識がのこのこと表に出まして、そして、日本にはこうして国会もあり外務委員会もあり新憲法もありますのに、三菱電機の社員に社長さんがいとも気楽に陳腐な社長訓辞をたれたまうごとくにたれたまわれたのでは、これは政治に害を及ぼすものであると私は思います。高杉さんたる者、一たび日韓会談について一役買うことを政府から委嘱を受けました以上は、やはり、朝鮮植民地支配の、マルクスのいわゆる血と死で書かれた歴史くらいは目を通されて、もっと日本民族としての自己反省の上に立って発言されてしかるべきであったと思うのです。したがいまして、これに対して世論から突っ込まれますると、その答弁はしどろもどろ。その発言は多少自分の真意が誤り伝えられたところもあるし、自分もまた反省の余地があるというならば意味がわかりますけれども、そういうことは誤解であるとか、大きく取り上げられ過ぎたとか、または作為によるものであるとかいうような答弁になってしまうというところに、私はやはり六十年配の方々の悲劇があるのではないかと思うのでございます。外務大臣は、かつて書かれた文章に対して、次々とアジア、アフリカ諸国で新興諸国が立ち上がる姿を見て、自分もそれらの新興諸国の独立の自主自尊の国民感情に対して深く感銘するところがあって、いまは考えを改めたという御発言が予算委員会でありましたけれども、多くの日本の財界の指導者、政界の指導者の中の幾らかの方々は、決してその見解を改めていない。その点では、かつて沢田廉三氏が同じことを述べ、久保田発言があり、そして同じような発言が大野伴睦さんにもございまして、義は友人なれど情は親子のごとし、大野さんはかわいらしい気持ちで、浪花節気分で、いともあいらしく言われたのでございましょうけれども、植民地支配というものはそういうなまやさしいものではなかったということは、この歴史に学んでわれわれは十分自覚していなくてはならぬことであると思うのでございます。  そこで、椎名さんは過去の日本の朝鮮に対する植民地支配というものをどのように評価して、また反省して韓国に臨まれようとするのか、深く考えていただいて、ひとつ御発言願いたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、昨年の暮れの国連総会に参りまして、ほとんど地球の大部分の国から代表団が繰り込んできて、一堂に集まって国連機構の目ざす目標に向かってみな平等の立場で協力しておる姿を見まして、これあるかなと深い感動を受けました。ただいま帆足委員からお話がございましたが、私としては、過去の体験によって、今後はいわゆる互恵平等の立場に立って共存共栄の道をひたすら進むべきものである、かような考え方をもって私の職責を全うしたい、かように考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務大臣がそういう反省の上に立たれるならば、高杉発言は、それが大体あのとおりのざっくばらんの発言であったとすれば、外務大臣としてはまことに遺憾だとお考えのはずですが、そのようにお考えでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 高杉代表の人格あるいは識見、特に日韓会談に対する熱意から見て、私は、伝えられるごときものは全然御本人の真意ではなかったと考えております。正式の席上におきましても、真情を吐露して、これを否定しております。全面的にこれを信頼しております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私は、高杉さんのいろいろお書きになったものを読みまして、それから、日本における保守層の相当多数の方々の常識というものを拝承いたしまして、大体あれが高杉さんの本音であって、そういう点において韓国と日本との間にはまだ深刻な矛盾がある、第一、朴政権自身が一方では沢田廉三さんや大野さんや高杉さんと手を握ろうとし、その人たちは過去の植民地政策に対して深い反省を持っていない、この問題について深い反省を持ち自由のとおとぶべきことをほんとうに痛感している日本国民は、もちろん与党の中にもおられますけれども、どちらかといえば野党のほうに強い、その野党と朴政権とはまた正反対の考え方を持っている、こういう点に矛盾があるのでなかろうかと思うのでございます。まあそれはとにかくといたしまして、私どもとしては、高杉さんは新しい朝鮮と新しい日本とを結びつけるには役者が古過ぎる、こう思っておるのでありまして、あの発言については責任をとって、おやめになってしかるべきであろう、まあ大方の植民地の歴史を持っているものたちはそのような印象を受けております。  しかし、それは、いずれ予算委員会で高杉さんに来ていただいて真意を確かめ、国民の世論が判断するでありましょうから、しばらくおきまして、朝鮮は現在南北に分断されております。分断されております朝鮮をこのままにいたしまして、南の二千万の人口に繁栄と安定を約束することは非常に困難だと思います。結局、朝鮮は、平和的方法によって、適当な手順によって何らかの形で南北統一することが望ましい。直接統一でなくても、南北懇談会のようなものができて、そして親戚、知友、書信の往来ができ、経済懇談会ができて経済の交流が行なわれなくてはならぬ。ちょうど九州と大阪とが分断されておるような状況でありまして、九州の石炭なくして大阪の工業がどうしてなり立つでしょう。また、大阪の方々の御親戚には九州の方がたくさんおる。その書信の往来すらストップしていて、どうしてその国のしあわせが、また精神及び経済の安定があり得るでしょう。したがいまして、朝鮮と交渉するにあたりましては、それが北との交渉にしろ、南との交渉にしろ、とにもかくにも、やはり将来の南北統一ということを念頭に置いておかねばならぬと思います。外務大臣は、北との分断の状況で、そして南朝鮮に経済の安定が、また再建が円滑にかなうであろうとお考えでしょうか。ちょっと伺っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 できることならば、もともと一つの国家を形成しておったのでありますから、申し上げるまでもなく、これは両者の間に十分の話し合いがついて、そして南北統一して一つの国を形成するということは、朝鮮民族の自身のためにも、また、ひいてはアジアの将来のだめにも望ましいことでありますが、ただいまは両者の意見が合わない。そのことのために統一がおくれておる。この点は局外者である日本から見ましても遺憾でございますが、なるべく早く統一されることを希望せざるを得ないのであります。しかし、ただいま韓国と国交を正常化して、経済その他の交流が一そうしげくなるということは、少なくとも朝鮮民族の過半数の人々にとって幸いなことであり、日本としてもまことに幸いでございまして、このことが南北朝鮮の統一を阻害する原因には絶対になり得ない、かように考えます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務大臣は、南北統一が望ましいと言われ、そして、先ほどは、三十八度線の南に韓国の施政権があるという現実に即して善処される、こう言われました。そういう前提のもとに将来南北統一が望ましいとするならば、私どもとしては、南北ともによき事務的関係を持って、そして、現状の中で不合理な要素を固定化させるようなことのないように配慮することが必要であるというのがわれわれの見解でございます。たとえば賠償金にいたしましても、若干の経済援助ならば、平和的に南の韓国の産業を助けるということならばだれしも異存はないでしょう。米の収穫をふやして農民の生活を楽にするのに貢献する、稲作の技術や品種の改良のために協力するというようなことならば、だれしも異存はないでしょう。しかし、賠償問題となりますと、南にかりに三億ドル払えば、北にもまた同額払わなければならぬような義理が自動的に生ずることを私は心配いたします。それからまた、日本が取得した特殊財産の韓国に対する返還などというようなことになりますと、南北統一の暁にそういうことを解決しようということでよいのでなかろうか。一体、外務大臣は、賠償問題を軽率に南に認めて、そしてそれが北に将来連鎖反応しないというお考えでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 韓国の現状に即してあくまで考えてまいりますから、請求権の内容等についてもやはり同じような立場でこれを処理する、したがって、北のほうは全く白紙である、こういう考え方であります。将来統一された場合には、その現状においてまた再考するということがあり得るわけでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私は賠償金の問題についてそれ以上深くは立ち入りたくないのですが、戦争もしなかった朝鮮に、南に三億ドル、そうすると北にまたそれが連鎖反応するおそれがあるし、それでは二十数年戦争した中国の賠償はどうなるかというような、現在友好関係においてよい雰囲気で解決の見通しのある問題にまで悪影響を及ぼすことを心配しております。われわれのこれについての心配が根拠のないものでないということを外務大臣は念頭に置いていただきたい。そして、いまのように分断されたときに、多額の資金を注入して、はたして韓国の経済復興にどのように有効に使われ得るか。外務大臣は、無償・有償の経済協力合計して五億ドル、民間の経済協力を加えて六、七億ドルの資金が供給されることがきまった暁に、その裏づけとなる経済復興計画がはたして可能であるかどうか十分に検討されたか、または、その問題が日程に上るようになったならば、私どもに、それは国民の大切な財政資金をむだ使いするのでない、それは両国の国民にほんとうに役に立ったということを納得させるだけの経済計画の資料をお持ちであるかどうか、また、それを御提示願えるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 それは、これをどういうふうにお使いになるか、これはもう他国の干渉を許さない、いわゆる自主的に自国の経済建設をやるのでありますから、とやかく干渉がましいことはもちろん言うべきではございません。ただ、しかしながら、向こうの発意で、これについてはかような考え方でこれを使用するというような申し出があれば、それはもちろんそれを受け入れる。そういろ立場にあるのでありまして、それ以上、それがいいとか悪いとか、あるいはこれに対していろいろな指揮をするというような立場にはないのであります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 でございますけれども、たとえば、青年に学資を補助いたしますような場合に、たとえ親戚、先輩、親友であろうとも、その出す金額、出す方法、出すタイミングを誤りましたならば、かえってその青年をそこなうことになるのと同じ理由でありまして、たとえば、ベトナムの例をとりましても、当時鶏三匹百五十億ドルといわれたあの賠償金は、いま南ベトナムでどういう結果になっておるでしょうか。当時のゴ・ジン・ジエムはすでに虐殺され、張作霖のごとく殺され、そしてその親戚の美人は魔女としてパリに飛び立ち、ドン政権にかわり、チャン政権にかわり、ドンチャン騒ぎのあとはグエン政権です。そして国内は騒然として治安の維持すらできない。こういうような状況を見るにつけましても、いま日本においては、国内になすべきことはたくさんあって、社会保障にしましても、住宅難の解決にしましても、教育地獄、試験地獄の解決にしましても、出さねばならぬ、有効に使わねばならぬ資金源を求める声は切であるのに、今日韓国に対して、こういう不安定な状況のときに、これを使うのは向こうの自由であると言われる。その自由と言われた政権は、きわめて不安定である。しかも北との関係もまだ見通しがついていない。そういうときに、ばく大な賠償金を先方の自由にまかして出すならば、私はタイミングが悪いと思うのです。タイミングの悪いときに金を出せば、キャバレーに使われ、リベートとなり、汚職に発展するような使い方になるであろうことは、火を見るより明らかです。いま南朝鮮にはわずか二十万トンの鉄しかできないでしょう。石炭の産額は微々たるもの。水力電気はほとんどない。工業人口わずか三十万足らずでしょう。失業者の数実に八十万をこえておるといわれる。サービス業九十万、商業、質屋、金融業が七、八十万というような人口構成でしょう。こういう惨たんたる状況の上に軍事政権が不安定な状況で立っておる。このときに六億ドルというような巨額な物資を一挙に注入することは、私は、それが抜き差しならぬ義務であるならばしかたがないけれども、両国の友情を固めるためであるならば、タイミングとして適当でないと思うのでございます。外務大臣はこういうことを深くお考えのことか。賠償問題には、とかく賠償産業が大いに活躍いたしまして、両国の間にリベート、政治腐敗、不当競争その他の問題がいつも伴っておりますことは、外務大臣の御承知のとおりです。したがいまして、私どもは、政府のやり方にもう少し慎重な態度を望みたい。一体、一挙に六億ドルの賠償金をきめ、これが何カ年間に分割して支出されるか存じませんけれども、使い方は先方の自由であるから計画も何もないというのでは、ちと心細いように思います。特に、賠償金ならしかたがないですけれども、経済協力のほうは、綿密な計画なしに私は支出することは非常に危険であると思います。  同時に、朴政権のもとでかりに話がまとまったとした場合に、朴政権が倒されまして他の政権になりましても、どういう政権になりましても、これは約束どおり続くものでしょうか。それもまだきまってないことですけれども、伺っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 お答えする前にお断りしておきますが、無償三億ドル、有償二億ドル、それからあとは民間の商業ベースの経済協力、これは一億ドル以上というので、請求権のワクから一応これを別扱いにして、そうして、会談成立の前後を問わずこれは自由、こういう考え方でございますから、誤解のないように。  そこで、どういうふうにこれを計画をして向こうが使うかということについては、これは有権的に日本側はとやかく言うべき筋合いではございませんが、しかし、現実に金の出し方に関連して、向こうから、これこれの計画を実は実行したい、それにはもっと早めてもらいたいとか、あるいはまたもう少し額を増してもらいたいとか、いろいろな具体的な要望が出てくると思うのでありますが、それは日本の財政の都合もありますが、できるだけ大筋の話がきまったならば、向こうの便利のいいように考えてあげる、そうして一そう資金の効率を高めてやるように、こちらからも好意ある助言を、もし向こうが受け入れるならばすることは一向差しつかえない、かように考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 韓国の政権が常に不安定であって、会談の途中でよく内閣が倒れてしまう、クーデターが起こるということは始終ありますが、その経済的、社会的背景は、南北に分断されまして、南の人口二千万、そうして先ほどのような経済構造であるというところに禍根があるわけです。政治というものは、現実を見て、そうして政策を立てねばなりませんから、一体、政府は、南朝鮮の経済状況、経済構造というものを正確に把握しておられるでしょうか。われわれ外務委員に対して、いま日韓会談が課題にのぼっておりますから、その参考として、韓国の経済調査として十分われわれを啓蒙するに足る、また外務大臣がよってもってそれを基盤にする調査資料はできておるでしょうか、お答え願いたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほどの御質問に一つお答えが抜けた点がございますから、まず補足をいたします。  政権が交代した場合にはどうだ、こういうお話でございますが、これはよくある例で、南アメリカなんかにはしょっちゅうそういう例がある。そこに政権の継続性を認めることができるかどうかということに問題はかかっておるのでございますが、政権がかわってもやはり前の政権の政策あるいは対外的な債権債務その他を全部受け継ぐ政権であるかどうかというようなことは実際の判断によると思いますが、そういうことである限りにおいては、当然、もし会談が完全に成立した際にはそれが続くものと考えます。  それから、韓国の国内事情について、とやかく外国がいわゆる内政干渉がましいことはすべきではないと思いますが、しかしながら、お互いに共存共栄という考え方に立っておるのでありますから、日本といたしましては、あらゆる場合に十分に隣国の情勢というものを研究して、そして自分の行動をやる上においての参考にすべきもの、こう考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 従来外務省の外交の欠点の一つは、現状をよく把握せずして外交が進められた。大東亜戦争にいたしましても、日本の鉄の自給力は三百万トンであった。アメリカの鉄は当時七千万トンでございました。三百万トンと七千万トンの鉄の戦い。これは、戦争の始まった日に私は椎名次官に会って、椎名次官がちっとも興奮されずに事態の前途を非常に憂慮されておったということをよく存じておりまして、敬意を表しておりますが、しかし、南ベトナムのことにいたしましても、南朝鮮のことにいたしましても、社会経済情勢の分析がほとんどないのではないかということを憂慮します。マンデス・フランスが失敗したあと、アメリカも同じわだちを踏んで数年間むだなことをしまして今日の事態におちいりました。フランスがもう満喫して経験済みのことを、アメリカは愚かしくも今日まで繰り返して、痛ましくもアメリカの青年たちを犠牲にし、罪なきベトナムの国民にまたより以上の苦痛を与えておることは、御承知のとおりです。人間には道徳というものがあるといいますけれども、今日道徳よりもっと重要なのは理性の問題です。無知であることが最悪の愚劣な行為となり、不道徳な行為となると思います。椎名外務大臣が御訪問なさる韓国の状況は、今日非常に矛盾をはらんだ社会経済情勢の中にあるということをお考えくださって、したがいまして、私どもは、事務的関係を結ぶ程度にしたほうが適当であろうと思う。必要なら南北ともに事務的関係を結ぶ、そして情勢の推移をもう少し見たほうがよろしいというのが私どもの見解でございます。このことを政府当局として銘記しておいていただきたい。この前小坂さんが行かれるときも、私どもは切々としてこのことを述べたけれども、お帰りになってエコノミストで座談会をやっている最中にクーデターが起こって、座談会がパーとなった。再びそういうことがないということをだれが保証し得るでしょうか。南朝鮮では人口二千万、北の人口は一千万です。北は幸いなるかな。南は相当の人物がやっても私は困難だと思います。いわんや、朴政権のような、二・二六事件の青年将校のような方が、主観的には清廉潔白な方であっても、ちょっと手に負えない社会情勢であると思います。したがいまして、私どもとしては、事務的関係にとどめておいたらどうであるかということは、外務大臣に対する外務委員としてのわれわれの切なる助言でございます。大臣はどのようにお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これはもうすでに十数年に及ぶ懸案でございまして、いろいろな事情で今日まで蹉跌を来たして完成しなかったのでございます。向こうの韓国の首脳部は、もはや機運が熟しておる、全面会談をぜひ完成したい、こういう態度でわれわれに対しておるのでございます。しだがいまして、われわれは、あくまで相手国の政権を信頼して、その政権と話し合いをする、これ以外にない、かような考え方でこの問題を処理したいと考えます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 最初に申し述べましたように、いまベトナムの状況は風雲急を告げておりますから、外務委員といたしましては、この問題の真相を解明し、国民に真相を伝え、われわれの発言も伝えて、安心していただく道を発見せねばならぬと思って、ベトナムから帰ったばかりの西村議員に劈頭に発言していただく予定でしたが、明日の午後本会議でこの質問がありますから、時間の都合上控えていただきましたが、あとで私の質問に関連して一言だけ西村さんからも御発言があります。  もう時間もありません。そこで、結論だけを最後に申し上げたいと思います。  さて、そういう状況でありますが、私どもは、いずれの国とも事務的関係において、すなわち、国交樹立の段階になってない国に対しては、その国々の内政干渉にわたらず、その国の統一を阻害しないように配慮しつつ事務的関係の強化につとめることが妥当である、こう考えております。そういう観点から、南北ともにイデオロギーを越えた淡々たる貿易の交流、技術・科学の交流、文化の交流、また人道に基づく親子兄弟の交流、書簡の交流などは当然認むべきものである、こう考えております。いまモスクワとワシントンですら人の行き来がなされておる時代でありますから、五年前とは内外の情勢はすっかり変わっておるということを、外務省、法務省その他関係当局はよく認識していただきたい。  そこで、南に対して平和の経済交流が行なわれているとするならば、北に対しても淡々たる気持ちで交流が行なわれてしかるべきである。茂山の鉄鉱石を昨年はすでに三十万トン輸入しました。私どもは通産省当局の御努力と外務当局の御良識に敬意を表するものですが、一体、ココム、チンコムなどというオブソリートなものがいまだにあるやにうわさに聞きましたが、すでにソ連では鉄鋼産額七千万トン、そしてワシントンを十五分後に爆撃し得る一万四千キロロケットすらできておる。月世界に足を延ばし得る人工衛生すらできているときに、ココム、チンコムとは一体何事であるか。私は、ダレスの白昼の夢の残滓をいまだに追うているような外交を非常に残念に思う次第でございます。そういうもののために制約を受けて、朝鮮との貿易も一進一退の状況である。中国との貿易も一進一退の状況である。したがいまして、政経分離である以上は、どこの国が何と言おうと、日本は海の国、海の国は貿易の国、平和と貿易は日本の民族にとって必需品です。したがって、中国が何と言おうと、台湾が何と言おうと、北朝鮮が何と言おうと、南朝鮮が何と言おうと、自由、平等、博愛で、いずれの国とも貿易をし、平和的な関係を進めていくことが、私は日本国民の原子力、ロケット時代において進むべき最大公約数だと思うのでございます。しかるに、ことさらに政府は、政治の問題と経済は分離とは言いながらも、政治を経済に逆に介入させまして、そして輸出入銀行の資金を使うのにすら障害が起こっておるということは、まことに残念だと思います。そもそも、吉田書簡などという、われわれが関知せざるものに制約されて、それがいま難航を続けているということですが、北朝鮮との貿易においても、一たび設備となると平和物資においてすら政府の了解がなかなか得られないと聞いておりますが、平和物資の生産に関する限りは、技術であれ、プラントであれ、商品であれ、差別なくそれが流れるのが当然であると思います。幸いに通商局次長が来ておりますから、次長さんの個人の意見は聞いてもつまらぬから聞きたくありませんが、局長さんまたは大臣の意向を受けて御出席になっておられるでしょうから、どうか前向きの姿勢で、今日の貿易促進を受け持っておる通商局としての立場から御努力のほどを御説明願いたいと思います。また、外務大臣からこれについてのお心組みのほどだけでも承っておきたい、こう思う次第です。

今村昇通商局次長

○今村説明員 中共貿易の現段階は、まだ国交の回復しておりません共産圏の一国ということで、政経分離という原則に立ちまして一つ一つの積み上げ方式で民間貿易を拡大していく、こういう段階であると思っております。また、したがいまして、延べ払い等につきましても、ケースバイケースに諸般の関係を慎重に考慮いたしまして、あるいはまた西欧各国のやり方等を十分参考にいたしまして、ケースバイケースにやっていく、こういうのが基本的な態度でございます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いま今村次長からお話がありましたが、よろしく外交上の考慮を加えて、きわめて慎重にこれを取り扱いつつある次第でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それでは、私はまだ質問がありますし、それから吉田書簡などという不思議なものについてお尋ねせねばなりませんけれども、外務大臣は韓国に行かれる直前ですし、行かれる直前にはいろいろ発言しにくいこともかえって多くて、やぶをつついてヘビを出すような質問をしてもあまり望ましくありません。緊急の問題で同僚の西村議員から一言質問がありますから、これ以上いたしません。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 西村関一君より関連質問の要求がございます。これを許します。西村君。  時間、御了承のとおりでございますから、ひとつ厳守をお願いいたします。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私は、一月四日に出発をいたしまして、二十五日間南北ベトナム、ラオス、カンボジアを旅行してまいり、主観をまじえないで客観的に現地の状態をつぶさに視察をし、また、いろいろな事実に基づいて私なりのベトナム問題の解決についての考え方をまとめてまいったのでございます。私は本委員会を通じまして政府の所信を伺い、また建設的に御進言申し上げたいと思っていることが多々あるのでございますが、きょうは時間がございません。ただ一点だけ、先ほどの帆足質問に関連をいたしまして、朝鮮の問題についてお伺いをいたしたいと思うのでございます。  ベトナムも朝鮮も不幸にして南北に分断されておるのでございまして、これは両民族とも平和的に統一をしたいということは共通の念願であると思うのでございます。先ほど外務大臣も、朝鮮の南北統一については自分も願うところである、しかし現状においてはなかなかむずかしい問題があるので簡単にはいかないという趣旨の御答弁がございましたが、ベトナム問題につきましては、私は、きょうは時間がございませんから、別の機会にゆっくり御質問を申し上げたいと思うのでございます。  朝鮮につきまして、外務大臣の南北統一については趣旨としては賛成であるというおことばに関連をいたしまして、現在日本に在住するところの朝鮮の方々が自分の国へ帰りたい、墓参りにも帰りたいし、長い間会わないところの親、きょうだい、親戚知己にも会いたいという願いを持っておられる方が多数ございますが、それに対して、日本政府としては、朝鮮の現状にかんがみてなかなか旅券をお出しにならない。また、向こうからもこちらに来たいと言われても、これも入国を許されないというのが現状でございます。また、われわれ日本人が北鮮に参りたい。朝鮮民主主義人民共和国に入国をしたいと思いましても、これまた正式旅券が下付されないという現状でございます。われわれ国会議員でありましても、国会議員が朝鮮民主主義人民共和国を訪れたいと考えましても、これまた正式旅券が下付されない。一昨年の社会党の議員団の場合は平壌行きの旅券が出ましたけれども、そういう状態をいつまで続けられるお考えであるか。これは、いろいろ法務当局の見解もあり、政府としての諸般の情勢にかんがみてのいろいろな配慮があることは私もよくわかりますが、しかし、人道上の立場から、こういうことが長く続けられるということは、これは許されないと思うのでございます。同時に、正式旅券を持って行き得ない国というのは、国交未回復国といえども他に類例がないのでございます。こういう状態を一日も早く解消されることが願わしいと思うのでございます。ただ、そういうことによりまして一定の制限が加えられるということは、これは私も現在の状態においては政府としてお考えになることもやむを得ないかと思いますけれども、原則としてそういう状態を一日も早く解消をするということが、大臣の先ほどの御答弁にございました南北を平和裏にすみやかに統一するということのためにも、私は、お互いに相交流し合うということが、お互いに知り合うということが大切ではなかろうかと思うのでございまして、この点に対する現時点における政府の御見解を一点だけただしまして、私の関連質問を終わりたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 在日鮮人がただいま六十万おりますけれども、その九割が南鮮系であり、一割が北鮮系である、こういう調査ができております。それから、そのうちで三分の二は日本で生まれて日本で育っておる、こういうことになりますから、いわゆる親子もきょうだいもとにかく顔を見ることができない、話もできないというようなことを非常に強調されますけれども、そう大ぜいの人ではないということなのであります。しかし、人道上の問題は人数の多寡に関係なく、やはり問題は問題であると言われれば、全くそのとおりであります。そこで、こういう問題をいつまでも継続しておくということは、これはすこぶるおもしろくないことなのであります。それで、だんだんに、ひとつきわめてスムーズに平和裏にかようなことが目標に達して、もはや問題はなかったということになることが一番望ましいのでありますが、何せ現状はなかなかそうは簡単にいかぬ、こういうことで、われわれは実は非常に苦慮しておる状況でございます。これは、この問題だけを取り上げて解決しようとしても、ほんとうの解決にならない。やはり基本的な問題から逐次解決していくにあらずんば円満な解決とは言えないのであります。しかし、そうかといって、やはりいまの姿は決して正常な姿だとは思いません。できるだけいまお述べになりましたような方向に沿うて、たとえ一歩でも半歩でも進めることがやはりわれわれのやるべきことである、こう考えておるような次第でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ちょっと資料をお願いしたいと思うのです。ベトナムの問題に関連しましてジュネーブ会議の資料と、それから、南朝鮮の経済実情についての外務省のいまレディメードになっている資料を委員長を通じてお願いしておきます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 当局においてはよく御了承おき願いたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時十二分散会

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