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48回国会衆議院1965/02/04

科学技術振興対策特別委員会 第3号

発言数
40
登壇者
8
会派数
2
開催日
1965/02/04

会議録

岡良一日本社会党

○岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 昨日大臣の所信表明がありましたが、この件につきましてはいずれ同僚委員等から詳しくその内容についてお聞きする機会があろうと思います。したがいまして、私は、きょうは最近ありました顕著なできごとについて二つお聞きし、それに関連してひとつ政府の施策をただしたい、こういうふうに思うのであります。  その一つは、去る一月三十一日の午後二時一分、鹿児島の宇宙空間観測所において東大宇宙航空研究所のロケットのラムダ3型2号機が非常に好都合に発射され、成功をおさめた、こういうことでございます。これは、私たちもこの成功に対しましては、心から喜びたい、このように思うわけです。この成功を喜ぶだけでなくて、将来の発展も祈りたい気持でございます。  そこで、科学技術庁として、この問題についてどのように成果があったか、あるいはまたこの真相について、当委員会にひとつわかっておる範囲内で発表していただきたい、このように思います。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。このたびの東大のロケットの打ち上げの成果につきましては、まだ確実な資料を入手いたしておりませんけれども、当地におきましたところの打ち上げのときの感覚並びに新聞紙上等の結果からいたしまして、所期の目的を達しまして、今後さらにラムダの開発、さらにミューの開発、したがいまして四十二年以降に打ち上げをいたしますという計画に一歩近づいたものであろうと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 政府としても、この問題は、所信表明の中でも明らかにして、力を入れたい、このように申されておりますので、一月三十一日に打ち上げられて、そしてきょうが二月四日ですが、かなり詳細なデータがもう入っていなければならない、こういうように思うわけです。ただいまの説明では、確実な資料を入手していないが、所期の目的を大体達しただろう、このように言われておるのですが、所期の目的とは一体どんなことか。  それから、新聞によりますと、高度においていままでにない新記録をつくった。それだけでなくして、本年の南極観測等の関連もあって、静かな太陽の活動状況をとらえる観測ということも関連して非常に成功であった、というように書いてあるのです。その点はどうですか。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○高橋(正)政府委員 今回のL3型2号機の到達高度並びに水平到達距離並びに超高層の大気の物理的の諸現象、そのようなものの観測結果というものにつきましては当初の目的を達成したものであると思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 まあ資料を入手していないので、これ以上お聞きするのは無理かと思いますので、できましたら詳しく調査された上で文書にして発表していただきたい、こういうように思うわけであります。  それから、これは委員長にもお願いしておきたいのですが、この成果についていろいろ考えてみると、四十三年までには人工衛星を打ち上げることができて、そして世界では六番目の国になるだろう、その間に打ち上げがなければ六番目の国になるだろうというように、かなりの期待が持たれておる問題です。もちろん私たちは、こういう総合的な応用的なものばかり目を奪われるわけではありませんけれども、しかし成功は成功であり、成果は成果であるというように考えて、やはり賞揚していきたい、これは推進していくだけの体制を持たなければならないと思います。そこで委員長にお願いしたいのは、できましたら、糸川さんもこの実験には参加しておられるので、この会合に来ていただいて、ひとついろいろ御説明を聞いたり、私どもも質問したい。新聞にさえ、電離層や放射能など超高層を観測し、データを観測所へ自動的に送信する、こういうことが載っておるのです。やはり科学技術庁としては正確に押えていただきたい、こういうように思うのです。  そこで、この問題に関して第二の問題に入りたいと思うのです。読売新聞の編集手帳にこのことが載っております。これをお読みになったかどうか。私は読みまして、やはり日本の科学行政のあり方として、あるいは科学研究所のあり方として多くの示唆を含んでおると思いますし、私たちもたいへん心配しておる問題点でありますので、ひとつ読んでみたいと思います。  東大の宇宙航空研究所のロケット——ラムダ3型2号は、三十一日高度千四十キロの新しい記録をつくった。高さだけではない、IQSY(静かな太陽観測年)の国際共同観測の上でも電離層、宇宙線などの観測に成功した。ラムダ3型は重さ七トン、全長十九・一メートル、三段式ロケットの中でも最大のものだが、さておつぎは推力百トンのミュー・ロケットをもって国産の人工衛星を打ち上げる段取り。見通しとしては四十二年の三月ごろに打ち上げられるだろうという。そうすると(その間にほかの国が打ち上げないことを考えにいれての話だが)日本は世界六番目に人工衛星を持つ国となる。米ソをのぞいてイギリス、イタリア、カナダが打ち上げている。東大宇宙航研のロケットは固体燃料一本槍だが、科学技術庁はまた液体燃料による二段式ロケットLSIA型(一トン)を去年の七月に打ち上げた。なぜ、二本バラバラにやるのか。燃料開発だけじゃない、このままでいくと、東大と科学技術庁が別々に二つの人工衛星を打ち上げる事態にもなりかねない。同じ税金を何億と使いながら不経済な話ではないか。きくところによると科学技術庁は“国威宣揚”のために人工衛星を打ちあげると称し、東大は“科学”のためにやるのだといって対立しているという。宇宙開発一本化をめざして東大宇宙航研の高木所長を迎えて「宇宙開発推進本部」をつくったまではよいが、ちっとも一本化は進んでいない。いぜんとして“国威宣揚”の“日の丸衛星”と“科学のための人工衛星”の計画が対立して進んでいることは予算面をみてもわかる。ELDO(ヨーロッパ・ロケット開発機構)をごらんなさい。一九六一年にイギリスがよびかけて発足した国際グループで、その協同開発の努力の一本化もみごとである。第一段ロケットはイギリス、第二段はフランス、第三段はドイツ、人工衛星本体はイタリア、ベルギーは電波誘導装置を開発し、オランダは通信システムの開発と風洞の力学的実験を担当している。せまい日本で、やれミューの、日の丸衛星のとてんでんばらばらな予算の使い方をしている宇宙科学者たちのシリの穴の小ささよ。」  こう書いてある。確かに頂門の一針に私はなるように思うのです。  そこで、まあお互いに競合してこういう研究をすることの利点もあるだろうと思う。しかしながら、こういうような共同で作業する実態というものをつかまえて今後進んでいただかなければならないと思うのですが、一体こういうような——いまお聞きいたしましても、東大のことはわれわれ知らぬということで、今度の実験に対するところの回答も得られなかったわけですが、こういう論説に対しまして一体どういうように科学技術庁としてはお考えになるか、これについての御意見を承りたいと思います。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。  従来とも乏しい経費並びに人的能力を活用いたしますためには宇宙開発体制を一元化すべきだという声も、私どもも十分にその点につきましては考慮いたしておるわけでございます。ただ、従来の開発の形態が、それぞれ異なりました目的を目ざしまして発展してまいりました経緯もございますので、現状におきましては早急な一元化ということにつきましてはなかなか困難な事情があるかと思います。ただ、宇宙審議会の答申におきましても、将来の一元化ということを理想といたしましてさらに御検討に相なるということになっておりますので、われわれといたしましては、宇宙審議会の場におきまして、そのような基本的な、今後に向かっての理念というものが一日も早く出ることを希望するわけであります。  なお、その一つの段階と申しまするか、現時点におきましてはそれではいかがにいたしますかということでございますけれども、私の先ほどの資料の提出につきましてあるいはそのような東大のことは知らぬというような御印象を与えましたことは、これは私のことばの足らないところで、まことに申しわけないと思っておりますが、今後私どもが、昨日の所信表明におきましても長官から申されました四十五年度を目途といたします人工衛星の打ち上げ計画につきましては、その間、現時点におきましては、たとえ機構上二元的な形をとっておりましょうとも、実質的に大学側との関連と申しまするか、連携をより強くいたしたいと思っております。具体的に申し上げますると、これも御承知おきのとおり、昨年高木東大宇宙航空研究所長の宇宙開発推進本部長併任ということにつきまして、人的な一つの接点ができたわけでございますけれども、ただいまそのような接点を起点といたしまして、大学の、あるいはその他の関係者を含めました技術委員会というものを宇宙開発推進本部の中に設けまして、大学側におきますところの従来停滞しがちであった両者の技術的な問題の交流、あるいはさらに将来につきましては施設、設備等の共用、こういうような点につきまして十分な連携ができますよう、基本的な点から論議を進めさらに検討いたしたい、こういうふうな所存でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 技術協力する、あるいはまた委員会を設けて共同研究の場をつくる、こういう方向に対しましては私たちは異議をさしはさむものではないのです。  しかしながら、きのうも私たち寄り合いの会合で話が出たわけですが、科学技術庁としては各省庁から出てこられておるので、ともすればもとの古巣といいますか、そこに対しての郷愁を持たれるのではないか、こういう心配をわれわれとしては持っておったわけですが、最近こういうことが非常に定着してまいりまして、そういう点の安心感は持った。しかしながら、寄り合い世帯の弱点が一方では克服されておるわけですけれども、定着してくればくるほど次にまたなわ張り争いといいますか、お役所かたぎが出てこないか、この点を非常に心配するわけです。そういう立場からいまの問題を私たちは申し上げたわけです。  これは大臣がおいでになれば、大臣としての政治的な配慮ということもお聞きしたいわけなんですが、幸い次官が見えております。これは別に高度な政治的な配慮を要する問題ではありませんので、纐纈次官からひとつ御所信を承っておきたい、こう思うのです。私は、科学技術を振興するという観点からは、いま申されましたように連絡、協調あるいは整理、統合、こういう立場をとってもらうことが科学技術庁の大きな仕事ではないか、こういうぐあいに思っております。そうして近代科学を開発し、推進していくという役所にふさわしい前向きの姿勢で、各省庁に所属しておるところの研究所というものをできれば自分の掌握下に入れるというような努力を今後続けていただかなければならないので、こうしたいままでのなわ張り争い的なからをみずからの姿勢において打ち破っていっていただかなかったら、いま前向きでやるとか言っておりながら後退してしまうというおそれがあるわけであります。そういうことから、ひとつ所管大臣ないしは次官として、これはもう特に配慮してもらわなければならぬ点だと思うのですが、所信を聞かしていただきたい。

纐纈彌三自由民主党科学技術政務次官

○纐纈政府委員 お答えします。ただいま三木さんの指摘されました点、私まことに同感でございまして、何と申しましても、御承知のように科学技術庁は発足以来まだ日が浅いのでございますし、しかも、科学振興の面はあらゆる点に関係がありまして、したがって各省庁とも関係があり、また大学等の究究とも非常に密接な関係がございまして、従来それが独自の見地からそれぞれの研究が進められてまいったのでございますが、今後わが国が科学技術を発展していくことがわが国の国柄からいいまして、いわゆるエネルギー源も不足している、資源も少ないというような観点からいたしまして、どうしても科学技術は振興しなければならぬということは、昨日の長官の所信表明の中にもうたわれておるような状態でございます。  それには、いま外国の例もおあげになったようでございますが、どうしてもやはり昔からのなわ張り根性というようなものを捨てていかなければなりません。とかくどうもお役人はそういう感じが従来伝わっておりまして、これが行政をやっていく上に相当の支障を来たしておるということも私は承知いたしておるようなわけでございますが、その意味からいたしまして、人事の交流その他につきましても、まあ最近はただいま御指摘のような意味合いでだんだん順調にまいっておりますが、昨日の閣議でもちょっとその問題について問題が提起されたようでございまして、今後人事交流等につきましても、科学技術庁関係ばかりでなく、全省庁にわたって、円滑に、また人材を適所に利用するというような意味合いからいたしまして、もっと問題なく人事交流ができるような方法をとらなければならぬということが問題になっておりまして、それを具体的に進めていくというようなことを論議されておるようなわけでございます。  今度のロケットの問題につきましても、いま大学と科学技術庁とが何かけんかをしているようなことの御指摘があったのですけれども、まあ局長のほうからも御説明がありましたように、高木先生を両方の所長にいただいて、そうしてその間の調整をはかるというようなことをいたしておりますが、そういう形において、やはりなわ張り根性というようなものを少しでも早く払拭しまして、そうしてこの大事な科学技術の進展に資するように努力を続けておるわけでございます。なかなか一朝一夕にできないかもしれませんが、ただいま三木さんが御指摘になりました線に科学技術庁としても今後努力を続けてまいりまして、この大事な科学技術振興のために資したいと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 所信を表明されましたこのことでもわかっておるわけなんですが、幸い閣議でそういう話が出た、こういうことですが、いまこれとよく似たような、省庁ではありませんけれども、中青協におきまして、中青協の役人方には、もう一回文部省に帰りたい、こういうような郷愁が非常に出ておるわけなんです。こういうことが、ともすれば総括的な立場にある省庁において、あるいは協議会において、そういう傾向をたどっておりますので、ここの問題ではありませんけれども、閣議に出たということですので、ひとつ定着するようにしていただいて、そうしてそこからいま纐纈次官も言われましたように、なわ張り争いのないようにして、科学技術庁の名前にふさわしい前向きの姿勢が早くとれるようにしていただきたい。これを要望しておきたいと思います。  関連質問があるそうですから……。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほどの三木委員の質問に対する高橋局長の答弁につきまして、関連してちょっとお伺いいたします。  別に、私、ことばじりを拾うわけじゃありませんが、先ほど三木委員は読売新聞の編集手帳の記事をあげて、東大は科学のために、科学技術庁は国威宣揚のために、こういうことを言ったわけです。それに対して高橋局長の答弁は、相異なる目的のために云々と答えたですね。その相異なる目的とは何か。そのことは、三木さんが新聞記事を引用した、すなわち東大は科学振興のために、科学技術庁は日の丸をあげるために、国威宣揚のために、ということを肯定の上で相異なる目的と言われたのかどうか。もしそうだとするならば、科学技術庁設置法第三条の科学技術庁の任務及び第七条の二の研究調整局の事務、この第一号等々から見て、あなたの発言は重要であります。軽率な発言をしてもらっては困るので、あらためて、異なる目的とは何か、お伺いいたします。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。  私の申し上げました異なる目的と申しますのは、国威宣揚ということは私は申し上げなかったと思います。ただいま田中先生の御指摘のとおり、当庁の設置法第三条によりますところの国民経済への寄与、そのような観点と、それから真理の探求という大学の従来の使命感と申しますか、その意味において異なると申し上げたわけです。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 幸いにして愛知長官は文部大臣を兼ねておるので、これは相互の立場に立っての意見を伺うのにちょうどいいと思うのです。三木さんのいまの質問は、むしろ大臣に答弁をしてもらうような性質だったと思うのですが、高橋局長が答弁せられて安易に言われたのだろうが、ああいうことばを使われると、先に三木さんが二つの目的をあげたですね、それを肯定せられた上に立って相異なる目的と言われたように勘違いされますから、私はことばじりは拾いませんが、今後答弁には気をつけてください。いついかなる場所で関連質問を出すかわかりませんから……。

岡良一日本社会党

○岡委員長 なお、御出席の兼重原子力委員は、先般まで宇宙開発審議会の会長をしておられて、第一次答申の衝に当たられたわけですから、補足的な御見解の表明があるならば……。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 私、積極的に申しませんけれども、御要求があれば何か申し上げます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 次に、科学技術者の養成の問題です。これは先般の当委員会でも、イギリスの例をとって申し上げたり、さらにまたスイスのCERNにおけるところの日本の研究者の問題を申し上げて、皆さんに御注意を喚起願ったわけです。イギリスは、やはり日本と同じように、科学技術者がアメリカに流出するということを非常におそれてその対策を講じており、なおCERNにおきましては、日本の東大を出たところの若い科学者が、いま日本からはびた一文ももらっておりません、お世話になっておりませんと言ったということについて、私は公憤を交えて申し上げたことがございます。びた一文もらっていないとはいいながら、日本の国費で東大の教育を受けておるのですから、一人何百万円かの金がかかっておるわけですね。そういう若い科学者がCERNに留学生として、アメリカの財団からお世話になって行っておる、まことに惜しいことではないかというお話を申し上げたわけです。  きのうの長官の御説明の中にも、科学技術者を養成し、その「処遇の改善につきましても一段と努力いたす所存であります」とこう述べられております。こういうような宇宙開発にいたしましても、後にお聞きしたいところの原子力の平和利用の問題にいたしましても、やはり科学者の問題を考えなければならないわけなんです。これはずっと前からやかましく言っておりながら、さて科学者の処遇の改善ということになりますと、やはり役所の中におけるところの他省庁との関係ができてきたり、あるいは学校におきますと、他の種類の学校の教授との関係ができてきたりして、一向この問題が先に進まない。とやかくしておるうちに、優秀な頭脳が海外に流出するおそれがあると思うのです。私は、この宇宙開発の問題と関連して、このことだけひとつお聞きしておきたいと思います。  どのようにして処遇の改善に努力をするか、あるいは研究公務員の資質の向上に努力をするか、こういうことだけあげても、実際できませんでしたということになれば、これはいたし方ない。だから、そのはっきりした青写真といいますか、そういうものを示していただく。詳しいことがいま出せなければ、こういう方法でやるという概略だけでけっこうですから、これは次官でも、あるいは局長からでも伺いたい。大臣がこういう所信表明をしておるのですから、そういう点の抱負を持っておられるだろうと思います。必ずあなたのほうからその原稿が出、原案が出ておるわけですから、それに対する抱負があろうと思いますので、それをひとつお聞きしてみたいと思います。

纐纈彌三自由民主党科学技術政務次官

○纐纈政府委員 科学技術者の養成につきましては、三木さんも文教の関係でよく御存じだろうと思いますが、文部省といたしましても、特に理工科系の学校をだんだんふやしてまいっております。そういうことでございますが、来年度の予算につきましても、国内留学制度を認めまして、それによってそういう科学者のお互いに研摩する制度を設けることにいたしたのでございます。  また科学技術者の待過問題につきましては、御承知のように、今回公務員の特例法によりまして、十分ではないかもしれませんが、それに対して特別の給与を与えて科学技術者の養成に尽くしたい。  なお、海外に優秀な方々が相当行っておられまして、特にアメリカが多いようでございますが、向こうの財団のほうで財政的な援助を受けておられるのでございますが、これにつきましても、実はそういう方等を日本に迎えてもっと高度な形の科学技術の研さん、お互いに知識を交換し合っていきたい、というような方法を現在としては考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 科学技術の振興という問題につきましては、われわれ社会党といたしましては、これは与野党一致して考えていかなければならない段階にきておるということを認識しております。それについても、何としても科学を推進するのは人ですから、施設だとか、風土だとか、環境とかいうよりも、まずよい人を得なければならない。それには、いま纐纈次官の言われただけではわれわれは画期的なものは求めにくいと思うのです。アメリカにいたしますと、年間二万ドルぐらいの俸給をもって科学者を吸収していくという方法をとっておるようでありますが、とても二万ドルというようなところまでは及ばないだろうと思いますけれども、科学者が自分の仕事に安んじていけるという方法、あるいはアルバイトといいますか、たいていそういうことをやっておると思うのですが、そういうことをしなくともやっていけるような方途を科学技術庁としては先頭を切って示してもらわなければ、ただ、からの中に閉じこもってしまっては、そういう先がけといいますか、口火が切られないと思いますので、これについても、大臣がおいでになりましたら私も詳しくいろいろな問題について聞きたいと思います。きょうは纐纈次官からはその方針だけお聞きしたいというふうに思ったわけです。  特にその中で、社会党として非常に参考にしなければならないのは、英国の労働党首のウィルソンが三十八年の十一月に演説をしております。この演説は、科学技術者の問題について四項目を指摘しております。このことは学ぶべきことだと思っているのです。まず第一は、科学者をたくさん養成しなければならない。第二には、それを国内にとどめなければならない。第三には、そのとどめたところの科学者を十分活用できるように訓練しなければならない、そして産業を再編成してもこの技術を十全に生かすことがイギリスの生きていく道だということを言っております。  私は、近く予算委員会で、この問題について国の大きな施策としてお聞きしたいと思っているのですが、ウィルソンはそういうぐあいに言っておるわけなんです。われわれとしても、それを参考にして今後施策を立てていかなければならないと思うのですが、ひとつ次官としても、この問題は科学技術庁内においても早く案を立てていただきたい、こういうように思うのです。それを要望したいのです。  それから、次の問題に移りたいのですが、原子力委員もおいでになっておりますので、きょうすぐにお返事いただきたい問題ではございませんけれども、ひとつお聞きをして、善処を願いたい点がございます。  それは、すでに御存じのとおり、佐世保に米原子力潜水艦シードラゴン号が入港いたしました。この入港したことについて、反対、賛成の両論があって、現地では物議をかもしております。  私がお聞きしたいことは、日本政府はこの原子力潜水艦が日本に寄港するに際しましては、原子力委員会がこれについて安全だといったという証明を与えたということを唯一の根拠にしております。次に原子力委員会は、これについて、われわれとしては原子炉安全審査会などにはかってやるだけの具体的なものはない、あるいは立ち入りすることもできないのだから、したがってアメリカの示したところの資料によって安全を確認するしかいたし方がない、こういうようにいっておられるわけなんです。  しかし、いまここにあるアメリカの資料では変わった現状が出てきておるわけなんです。米議会では、スレッシャー号事件の証言をして、安全性が不備であったということを正直に、率直に認めておるわけなんです。こういう事態が出てまいっております。原子力委員会といたしましては、これについてどういうような確報を得ておられるか。われわれは新聞によって知っただけでありますので、これ以上のことはわからないわけなんです。あなた方のほうでは、これについてはかなり確信を持って、前には原子力潜水艦は安全であるとおっしゃっておりますから、このことについてもかなり詳しい御調査もなされ、あるいは資料もきておるだろうと思いますので、それについて、原子力委員の方どなたでもけっこうですが、ひとつ発表していただきたい。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 お答え申し上げます。  ただいまのスレッシャー号事件の公聴会の記録が最近発表されましたことは御承知のとおりでございます。その発表の文は、比較的最近正式のルートを経まして入手いたしました。これは原子力局において現在慎重に検討中でございますが、私どもが了解しております範囲では、いま申されました新たに発見されましたところはいずれも非核部分に対するものでございます。それで非核部分が核部分に比べて非常に軽率であったと申しますか、注意が十分届いていなかったというような批判でございます。船でございますから、非核部分の欠点が核部分のほうに影響を及ぼすということももちろんあり得るわけでございます。けれども、そういう非核部分についてのことがありましたから日本側で核部分にどういう影響が及ぶと考えられるときどうするという結論をすぐ出す資料ではないと思っております。私どもは、核部分に対して非常に安全を重要視しておりますアメリカの原子力委員会、あるいはそれの安全諮問委員会、そういうものがスレッシャ一号事件のそういうことから発見されましたことについて、これまで原子力潜水艦あるいは海軍の艦艇に用いられておりましたその原子炉の安全性について考え直すというようなことはまだ聞いておりませんので、現在のところこの前の見解にこちらから修正を加えてどうということになっていない、こう考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いまの話で私ちょっと納得がいかぬ点は、いま兼重原子力委員は、こういうことでないと思います、というようなお話でありました。ないと思いますでなくて、相手国から、いわゆるアメリカからはっきりした資料を得られて、ないということがはっきりしたのですかどうか、そういう点をひとつ。いまちょっとあいまいでしたので、はっきりしておいていただきたいと思います。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 資料はかなり分厚なものでございますので、それを全部完全に分析したというところまではいっておりません。けれども、その公聴会における発表の中でも、その核部分に関する事故であったろうという証拠はないということは言っております。したがって、核部分のあれでなかったということを言っておるわけではございませんけれども、あったという証拠は見当たらない。そのほか非核部分につきましてはいろいろ不完全であったところが発見された、こういうことのようでございますので、いま私が申しましたように、不完全なことが、船のことでありますから、核部分に全然関係がないとは申せないと思いますけれども、どういう関係があるかということなど、こちらではっきりさせるだけの資料ではないと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 シードラゴン号がいま入港しておる状況は、われわれ憶測ですけれども、佐世保に二回入ってきて、しかも一艦で入ってきているわけですね。そうして、いまのところは日本の世論を探るかのごとく、しかも俗なことばでいいますと、抜き足差し足のかっこうで入ってきておる。こういう形ですから、こうした事故が起こるというような心配は、私はいまのところないと思う。しかしながら、どんどんと日本の国民もそのことにならされてしまって、不感症になってしまうといいますか、そうなってきたときには、原子力潜水艦がくびすを接して入ってくる。そうしたときにわれわれは事故が起こらないかということを非常に心配するわけなんです。  ところが、新聞によると、原潜の父リコーバー中将は次のように証言している。  「一、近年原子力潜水艦および通常潜水艦数隻が、設計、建造の不備、資材の不適当な使用、点検方法の欠陥などによって危うく沈没しそうになった。  一、スレッシャー号の非核部分の導管の接合個所のいくつかはオーバーホール後の最後の航海にさきだって点検されたが、その他の導管の状態が点検された個所のそれと似たものだったとすれば、同艦が最後に出航した際には基準以下の接合個所が数百もあったということになる。」  この証言を見ても、非常に危険な要素を含んでおるわけなんです。  私たちは、深く潜水した場合に強い水圧を受けて、その接触点が故障を越こす、こういうことを非常に必配するわけなんです。それと、われわれがやかましく言っておったのは、海上事故が非常に多いということ、こういう点からも問題にしておったわけです。それは別の要素ですが、こういうことから、私は、きょう原子力委員会としてすぐに次の私の申し上げることについての見解は出しにくいと思いますので、こういう安全性が不備だったということがアメリカのスレッシャー号事件についての証言、これによってもなお日本の港に寄ることが安全であるという見解を文書によって当委員会に出していただきたい。あなたがたは、前の条件と違うんですから、こういう証言が正直に出されたんですから、それでもなお安全であるというところの見解を一応御相談いただいて、いますぐにその答えを求めようとはいたしませんが、これは委員長、ひとつ文書で、御協議の上当委員会に出していただくようにお願いしておきたいと思います。委員長、よろしゅうございますか。

岡良一日本社会党

○岡委員長 それでは三木喜夫君の御要求の資料については、早急に提出させるように委員長において取り計らいます。

石野久男日本社会党

○石野委員 関連。私は、ただいまの三木委員からの要請による文書回答をいただくについて、一言兼重原子力委員にお聞きしておきたいのです。  兼重委員は学者でもございますし、私たちは非常に尊敬しておる技術者だと思うのであります。したがって、こういう問題はきわめて慎重に、政治的ではなく御答弁なさっておるものと思うわけです。三木委員からただいま申しましたスレッシャー号の事故の問題については、兼重委員からは、それは非核部分の事故であって核部分については事故はないのだという御答弁で、それは全然関係がないとは言えないけれども、しかしとにかくたいしたことはなさそうだ、というふうに受け取れる御答弁でございました。今でもよろしいし、あるいは文書回答をいただいてもよろしいですが、現に佐世保に原子力潜水艦が入っております。もし非核部分の事故によってシードラゴン号が佐世保において沈没したとしたら、そのときわれわれは安全性の確保ができるだろうかどうか。そういう問題について原子力委員会は、これは架空の事実だからということは言えない。すでにそういう事故がスレッシャー号において起こっているのです。事故の起きたところは非常に深海であったかどうか知りませんけれども、佐世保の港内においてそういう事故がないとは断言できない。そのときに、われわれはそこで安全性の確保ができるかどうか。そしてまた、安全性を確保するためにわが国においてはどういう処置をするのか、原子力委員会はどういう責任を持つのか、そういう問題についても明確にひとつ御答弁をいただきたい。このことは文書回答ではなくて、ただいまでも原子力委員としての兼重氏の御意見は受け取っておきたいので、そういう問題について兼重委員はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。  私は、アメリカの側の公的文書がどういうふうな内容を持っているかということについては現に原子力局で検討中だとおっしゃいますから、その検討を待つことにやぶさかではございませんけれども、事故はもうすでに起きておるし、しかも、ただいまもお話のありますように、リコーバー中将の発言によりますと、そういう部門の故障個所が数百カ所もあるということまでも言っておるわけでございますから、事故がないことは断言できないので、仮定だから答えはできないというようなことじゃなしに、科学者として、現に佐世保に入っている、これがもし事故があったときにどういうふうに安全性を確保する自信が原子力委員会においてあるのか、ということについての御所見をひとつこの際伺っておきたい。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 ただいまの御質問の中で、事故は非核部分であって核部分ではなかったと私がさっき申し上げたようにおとりになった節がございますけれども、私が申し上げましたのは、スレッシャー号で最近いろいろ不完全な部分が発見された、これはスレッシャー号事件を契機にいたしまして、アメリカの原子力潜水艦、あるいは全体に共通の問題のようでございますけれども、それは非核部分における不完全さが問題になったということでございまして、核部分についてそういう不完全さが発見されたということではございませんということを申し上げたわけでございます。そのリコーバー中将は、かねがねいろいろな機会で皆さま方お聞き及びと思いますけれども、あの提督は、アメリカの原子力潜水艦の父と人からもいわれ、自分もそう信じておるような人でございます。どういう問題も人に委任したことがない、というのは、この前のスキップジャック号の公聴会でも申しております。全部自分が握っておる、そして自分が責任を持っておる、ということを絶えず言っております。それで、あの人は、そういう観点から、非核部分については自分のように責任を持った者がいないことについて非常に不安を表明しておるわけでございます。ですから、リコーバー中将がそういう不安を持っておるということが核部分についても不安を持っているということではございませんで、核部分についてはむしろ見る人によっては自信過剰と見るかもしれないくらい自信を持っておると私は見ております。  そこで、いま佐世保の港内で事故ということを申されましたけれども、その事故というのは船でございますからいろいろなことが予想されまして、もちろん海難事故あるいは衝突、沈没というようなことは当然あると思っておかなければなりません。そういうようなことも、原子炉の安全を審査いたしますときには、どういうことが一番条件が悪い事故として考えられるかというのをやっておりますのが原子炉の安全審査であることは御承知と思います。  ところが、軍艦につきましては、どういう程度にそれを見ておるかというような資料が得られませんから、日本の安全審査によって直接これを確かめるすべがない。けれども、アメリカでは、それを海軍だけでやるのではなしに、アメリカの原子力委員会及びそれの安全諮問委員会の審査を経てやっておるということはアメリカ政府の保証でございます。そういうので、佐世保港内でどういう事故を予想しておりますか、これはアメリカ側で予想しておるところでございまして、こういうことが、アメリカの港に入るその安全基準に照らして日本でも安全であるというふうに判断されたときに日本の港に入る、ということがアメリカ側の保証の中にございます。先ほど三木先生は、いまは非常におそるおそる入ってくるようであるが、そのうちにくびすを接してという表現をされましたが、これはもう何にもしないでどんどん入ってくるというわけではなく、それぞれアメリカの港に入る安全基準に照らして、それがアメリカでもくびすを接するごとく入れるものなら日本にもそういうふうにして入ってくるかもしれませんけれども、一応そういう安全基準に照らして、差しつかえない場合に入ってくることでございます。そういう事故の起こることなどもちろんある想定のもとに考えた上でやることでございますから、そこで何らかの海難事故が起こればすぐその周辺の住民にまで影響を及ぼすような、そういう核的な事故が起こる、あるいはそういう災害が起こるということは絶対にないもの、こう確信しておりますゆえに、この前の見解でもアメリカ側の保証がそのとおり信頼できるのならば安全上支障がないものと考える、そういう見解を出したわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、原子力委員をなさっておる方みんなきわめて優秀な科学者であると考えておりますから、すべての条件を科学的にお考えになっていると思うのです。政治的に考えることはもちろん必要なときもありましょうけれども、主として科学的に考えておると思うのです。  海難の事故について予想される条件はいろいろあると思いますけれども、たとえば現にシードラゴン号が入っておって、これが海難事故で故障して沈没するとか座礁するというような場合が出てきます。そしてただいま兼重氏の言われることは、非核部分においてはいろいろな不完全さが多数見つかっておるけれども、核部分についてはもう完全無欠である、こういうふうに完ぺきであるというふうに、そういう信頼に基づいてわれわれはこれを認めたのだ、こうおっしゃる。私は兼重氏にお聞きしますが、もし何かの事情によって——いまのお話では、くびすを接して入ってくるような場合でもすべて安全性を完全に保証されるという条件の中で入ってくるから、付近には御迷惑はかけますまい、こう言っておる。  ところが、日本は御承知のように非常に濁霧の多い国です。非常に科学的ななにを持っておりましても船は座礁する場合があります。しかも、座礁した船が、いろいろな力でそれは完全に離礁させることはできるかもしれませんが、私は、子供の時分に軍艦が私の村の近くで、すぐ目の前で座礁したのを見た経験を持っております。その当時の力ではどうしてもその軍艦を離礁させることができないで、これはまつ二つに自然に割れてしまいました。これは音羽艦という軍艦でございましたが、第一次世界戦争のあとです。  おそらくいまは科学が非常に優秀だから、今度はシードラゴン号が何万トンか知りませんけれども、その船が来て座礁した、ものすごいウインチであげてこれは離礁させることができるかもしれませんけれども、そうでない場合は、これはあるいは波浪のためにこわれるかもしれない。完全な核部分がそういう事故のために事故が起きたとしたら、どうしますか。私はこれは最悪の場合を言っております。最悪の場合を言っておって、あるいはもの笑いをされるかもしれませんが、しかし、われわれは、科学的に非常に完ぺきだと思うものがあちらこちらで事故を起こしておりますよ。  とにかく日本という国は、原爆というものによって非常に障害を受けて、しんみにこたえるほど核に対する警戒を持っておるわけです。私たちは、いまここで、原子力潜水艦は動く基地ですから、核基地ですから、それだけにこれは寄せつけないようにしましょうということを政府にも言い、また国民にも訴え、しかもそのことを積極的に佐世保で原子力潜水艦の寄港反対まで言っておるような事態でございますだけに、それはもう間違いだとおっしゃるならば、その安全性の問題について、非核部分が不完全だから、核部分は完全だから、ということだけではいかないと私は思うのです。炉を持っておる。核装備をする、炉があるのです。しかもその炉は、たとえば停泊期間、二日間なり三日間なり炉をとめるというようなことをおっしゃいますけれども、炉はそう簡単に私はとめられないだろうと思うのです。一日や二日では、とめてまたすぐ火をつけるというようなことは、そう簡単に済むものではなかろうと思います。だから、結局事故が起きたときにはその炉は稼働しておるだろうし、稼働しておるようなときにどういうふうに安全性を確保するような処置をするのかということを私は聞いておるのです。原子力委員会は、そういう問題について、ただアメリカが保証するからいいのだ、こうおっしゃるとするならば、これは日本人の立場からすると非常に心配なんです。  兼重氏に私が聞きたいことは、科学者としての兼重氏はそういう問題についてどれだけ——アメリカの保証を別にして、あなた自身はそれについてどれだけの保証を与えておるのかということを聞きたいわけなんです。私は、アメリカの保証に依存しておるということならば、率直に言うと、もう何も日本の原子力委員会なんか要らない。私の聞きたいのは、アメリカの保証がいかにあろうとも、日本の原子力委員会はそれに対してどれだけの信憑性と保証を与えるのか、ということをあなたの口からこの際聞きたい、こういうことの質問ですから、その点ひとつ御答弁を願いたい。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 先ほど私がお答えしました中に、核部分は完全無欠である、そういう意味で申したわけではございませんで、先ほど三木先生が引用されましたスレッシャー号事件の最近の発表で問題になっておりますのは、非核部分についていろいろな不完全な部分があったらしいということ、これは先ほども申しましたように、スレッシャー号だけではございません、アメリカの原子力潜水艦共通の問題でございます。しかし、そういうことでございまして、原子炉というものが安全であるということは、絶対にいかなる事故も起こさないという意味で安全であると言っているわけではございませんで、原子炉に対しましてもいろいろな事故というのは考えられておるわけであります。それが日本で申しますと技術的に考えられる限りの一番ぐあいの悪い事故が起こったときにどういうことが起こるか、それがどれだけの放射性の物質を外に出して、どの範囲にどういう影響を及ぼすかということを検討いたしました上で、この炉をどこに据えるということは安全上差しつかえないというふうな判断をしておるわけでございます。しかし、それでおそらく原子力潜水艦の——どの潜水艦でも、いままでこれだけの基準でやれば安全であると考えてやっておったのに対しましても、やはり先ほどの例に出ましたような新しい問題が発見されるくらいでありますから、現在技術的に考えてあらゆる悪い条件のときの事故というのが、はたしてそれでいいかどうかというのは、やはり問題があるものでありますから、技術的な観点からはそういうことは起こるはずでないと思うような、そういうものまで仮想いたしまして、それでどうかということまでやっておるわけでございます。そのやり方は、アメリカの原子力委員会のやっておりますやり方は、むしろ技術的に起こるかもしれない最悪の事故というのは省きしまて、それ以上のものを仮想して安全審査をやっておるというのが、普通の陸上の平和目的に使われます、たとえば原子力発電所などに対するやり方でございます。  ですから、私、決して原子炉核部分は完全無欠であって、事故などは絶対に起こさないというふうに申しておるわけではございませんけれども、そこで事故があったとしましても、これが周辺の住民に危険を及ぼすというものにはならないということをいたしましたものが原子炉の安全であるとかいうふうなことでございますから、それを軍艦のものについては、それがどういう資料でどうなっているかということを自分でやれないということから、これはアメリカの政府の保証ということを申しております。それで、アメリカ政府が保証するのを信頼するだけだったら、日本の原子炉の安全審査なんかは、将来アメリカで安全に働いておる炉を持ってくれば要らぬということになるじゃないかという御意見がときどき出るのであります。それと政府の保証ということは非常に性格の違ったものでございまして、軍艦についてそういう措置をとったことが、ほかのものにも同様に及ぶということは決してございません。したがって、軍艦について入港を認めるか認めないか、その安全性の判断をするということになりますれば、前に原子力委員会がとりましたような態度のほかには、今度はデンマークでとりましたように、わからないから入港を認めるべきでない、こういうのと、その二種類だと思います。そこで、日本の原子力委員会はそれにつきまして前に申しましたような方針をとったということであることは、これまで私の何度かこういう機会に申しましたことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 関連ですから、あまり長くはなにしませんで、また他日質問さしていただきますが、ただいまのお話で兼重委員は、軍艦だから自分でやれないので、それでまあアメリカ政府の保証にゆだねる、こういう立場をとった、こうおっしゃられるわけですね。なるほど、事故が起きて周辺の住民に被害を与えるかどうかという問題についてのなには、原子力委員会は自分でその審査はできないのだ、それをどうにも手ができないので、しようがないからアメリカ政府の保証をそのまま受けて立ちました、こういうやり方が非常に原子力委員会としての自主性を欠いているのじゃないか、私はこう思うのですよ。責任感が薄いのじゃないか、こう思うのです。この点はきわめて重要ですよ。  私は、たびたび先ほどから兼重委員に申し上げているように、原子力委員会は政府の政策を実行するために設けられている点は、一つあります。しかし、それはあくまでも科学的でなければならぬと思うのです。日本の核のいろいろな平和的な利用の部門についてきわめて科学的な立場から政府に具申するのであって、それを政治的にどう利用するかということは政府のやることだ。やはり原子力委員会のやるべきことは、それをきわめて科学的な立場で論議すべきものであろうと思うのです。皆さんがこの軍艦の問題については自分では手を出すことができなかった。だけれども、意見を述べなければならないというような事情があったのだろうかどうだろうか、イエスと言わなければならなかったのだろうかどうだろうか、この点はひとつはっきりしてください。これは皆さんの主体性において言ったのか、政府のそう言わなければならないという要請に基づいて言ったのか。もし皆さんが主体的に言ったとするならば、あなた方の科学的な良心は一体どこにあるのか。その科学的な良心の裏づけになるべきあなた方の認識はどこにあるのか、それを明確にしていただきたい。それでないと私たちは非常に心配をいたします。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 私がアメリカ政府の保証にまっておるということを申しましたのは、そのとおりでございますが、一般に知られておりますアメリカ原子力潜水艦の原子炉がどういうものであるのかというようなことは、もちろん発表された資料においてわかっております限りはこれは見ておりまして、そういうようなことから、どういうものであるということは、これはある程度の正確さで想像はできることでございますけれども、そのこと自体と、たとえば日本で安全審査をしておりますときにやることは同じではないのでございます。片方の手に入る資料の上で判断することだけでいいとか悪いということがきめられないということで申しておるわけでございます。何もしないで、何もわからないで、それでただアメリカ政府の保証だけだというふうにはお考えくださる必要はないと思います。  それから、何か政治的な理由があって、これを安全であると言わざるを得なくて言ったかどうかという、その御質問に対しましては、私ども、政府からこれを安全であるという結論を出すように、そういう指示をもちろん受けたことはございませんし、また意見を述べる期間について制限を受けたこともございません。ですから、そういう意味では別に指示を受けてやったわけではございませんが、その原子力潜水艦の安全問題について意見をいつかは言わなければならないようなふうになりました一番最初のきっかけは、私どもがつくったわけではありませんで、その問題について政府が話を始めてからあとのことでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ぼくはかためてやろうとは思っておったのですが、そういうことを言われるとやらなければならぬことになるのです。いまの石野委員の質問はきわめて明確に言っておるわけなんです。政府から、そういうことについて政治的に言わなくてはならないような羽目におちいったから言ったのかどうかということに対して指摘されたのですよ。  それじゃ、自発的にそういうことを原子力委員会がやることについては、私がいつか言ったように、原子力委員会設置法の所管事務の中になくちゃならないわけです。そうなるともう一ぺ私聞くのですが、その行為は原子力委員会の権限であるやいなや。権限であるとするならば設置法何条何項によるか、明確に答えてください。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 田中先生の御質問は、この前もお話がございまして、私ども、委員長、大臣とやりとりがございましたことも伺っておりました。このことについてのお答えは、どうも私ができる性質のことでないように思いますから、それは大臣と今後やっていただきまして、もしもその大臣の答えが私の先ほど申しましたこととと違って、私の申したことが何か間違ったことでありました場合は、そのときには私はまたそのような処置をとることにいたしまして、きょうここで田中先生の御議論と私とは太刀打ちできるとは思いませんし、私そういうことについての専門家ではございませんから、あとで大臣とやっていただくようにお願いしたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それはおかしいですよ。あなたはいま何の資格でこの国会に出ておられますか。原子力委員でしょう。原子力委員会の構成員でしょう。メンバーじゃないですか。その原子力委員会がやったんですよ。それに何の根拠もなく、何の自信もなく、大臣に聞いてくれとは、大臣の命令を受けてやったのですか。あなた自身が行動をとった、あなたが構成メンバーの一人であるところの原子力委員会が結論を出したのでしょう。それに対して答弁できないとは何事だ。原子力委員会をやめなさい。そういう発言があるのか。やめなさい。与党に異議があったら言ってごらん。

村田浩科学技術庁原子力局長

○村田政府委員 ただいま田中先生からの設置法に関する御質問に対しまして、原子力局としましてお答え申し上げたいと思います。  原子力潜水艦の安全問題につきまして、原子力委員会は、原子力委員会設置法第二条第四号、すなわち「核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること。」に基づまして、その権限を有するものと解しております。けだしこの規定はわが国の属地的に施政権力の及ぶ範囲内における事象を対象とするものでございますから、一般に外国の原子力船でございましても、これがわが国の領域内に入ってまいりました場合には、その原子力船に設置された原子炉についても対象になるものと考えられるからであります。  しかしながら、原子力潜水艦は軍艦でございますために、国際法上特殊な地位が与えられております。つまり国内法の規制の外に置かれておるわけでございます。したがって、ただいま申し上げました設置法第二条第四号の権限はございますが、いわば潜在的権限になっておる、このように解しております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 二条四号については、いろいろこれまで議論したのです。その潜在的権限なんということばが出てきたことについて、学者にも来てもらった。いまさらあなたにそんなことを聞こうとは思っていない。あの安全性を確認したことが原子炉の規制に関する事項なんですか。この討論はやめます。この討論は大臣と一騎打ちいたします。  ここで委員長、希望があります。速記をとめてください。

岡良一日本社会党

○岡委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

岡良一日本社会党

○岡委員長 速記を始めて。三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いろいろと物議をかもしたようですが、私が申し上げておることを兼重さんにひとつ確認しておいていただきたいと思います。  「不備だった安全性」という見出しで新聞に載ったのです。その中には「原子力潜水艦スレッシャー号の沈没事件についての証言を発表、「構造の実際と基準が安全性の見地から見て十分でなかった」と指摘した。」こうなっておる。  そうすると、この前にあなた方が発表されました原子力委の総合見解、これは八月二十八日。「原子力委員会は二十八日、原子力潜水艦の寄港受諾について政府に報告した同委員会の「総合的見解」を発表した。内容の全文は次のとおり。」これはあなた方からもらいましたし、新聞にも載っておりますし、私は何回も読んでみました。  こうした情勢、正直にアメリカが「不備だった安全性」ということを発表したのならば、あなた方が根拠を置かれたのは、安全だ安全だという米国の言い分をたてまえにして安全とせられたのですから、不完全であるということを認めた以上、情勢は変わったと見られたかどうか。あなた方の根拠は変わったと私は見たい。これは新聞だけですから、向こうはどういうような発表をしたかというその原文は、われわれのほうも別のルートから入っておりますけれども、しかしそれは間違っておってはいけませんので、科学技術庁から、はっきりしたものを日本語で書いて、ひとつ出してもらいたい。  それから、それについてここにも書いてありますように、「この発表によると、何人かの証人たちが米原子力潜水艦隊の創設を急ぐ圧力のため各種の欠陥が生じたと指摘している。」こう書いてある。いろいろ欠陥が出た。そうしたら皆さん方も、どちらから強制されたものであるか、強制されたものでないか、という論議もありましたけれども、まあ日本としても受け入れることに非常に急だった。長い論議は経たけれども、何も論議をしていなかったんですよ、何も学問的な見解は出ていないんですよ。一年半も置いておきながら、何も学問的な進歩はなかった、前進はなかった。そうして急に八月二十八日、こういう不幸な事態を生んだわけなんです。私たちは、不幸であるとあえて言いたいですね。それは受け入れに非常に急であった。米国は原子力潜水艦隊の創設に急なために欠陥を生じた、日本は受け入れに急なために欠陥が生じたと見るべきだと私は思う。というのは、この不備だったということがいま出てきましたから、ここで情勢は変わったと見て、そうして私たちはひとつ見解を求めるわけなんです。それを文章で出てくれ、こういうことなんです。  そこで、もう一つ付け加えたいことは、ここにサバンナ号の停泊基準というものが来ておるわけです。これは原文で来ておりますから、なんですけれども、この停泊基準というものはサバンナ号においても米国はちゃんとつくっておるわけなんです。その見地に立っても、一ぺん検討してもらいたいと思います。商船においてもそうです。だから軍艦においても非常に危険性を持っておると思うんです。われわれそういう心配を持つんです。オープンリーな商船においてもこの停泊基準というものを出さなければならぬという状況ですから、そういう見地から、私は、科学者の良心においてこのことを検討していただいて、しかして見解を発表していただきたい。  情勢は変わっていないという考え方に、いまさっきから聞いておりますと、そうおっしゃったのではありませんけれども、そういうふうにとれるのです。そういう立場からいまの三点について要望したい、こういうぐあいに思います。よろしくお願いします。

村田浩科学技術庁原子力局長

○村田政府委員 ただいまの三木先生の、スレッシャー号沈没事件に関連しまして、アメリカ議会の上下両院合同原子力委員会が聴聞会の記録を先般発表いたしました、その資料に関連していろいろと御質問がございました。その日本文の全文を入手したいという御要望もございましたわけですが、先ほど兼重委員からも御説明ございましたように、ただいま原子力局のほうで詳細に検討いたしております。ただ、資料がたいへん膨大でございまして、それを全部日本語にいたすといたしますと少し時間がかかろうかと思います。英文のままでございますと、これはコピーをとればよろしいかと思いますが、その点をちょっと御了承願いたいと思います。  それから、新聞報道ではいろいろ出ておることは私ども承知いたしておりますが、私どもが現在検討中ではございますけれども、一応その資料を調べております段階で承知いたしておりますのは、この報告の冒頭に上下両院合同原子力委員会の委員長でございますジョン・パストール上院議員が序言で述べておりますように、指摘いたしておりますことは、大きく分けて二つあるようでございます。  第一は、アメリカの原子力潜水艦におきまして、その設計、建造並びに運転に関しまする技術基準、これが原子力関係につきましては非常に厳重にできておる。それに対して、いわゆる非核部分といいますか、その部分の技術基準が必ずしもそれとマッチするごとくなっていない面があるようでございます。この点を指摘しておるのが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、この潜水艦を設計、建造、運転していきます、これを監督いたします立場といたしまして、米国の海軍部内における組織を見ますと、原子力関係につきましては、先ほどお話に出ましたリコーバー中将が第一号原子力潜水艦ノーテラス号以来今日まで、長い間一貫して同中将の監督、指揮下に設計、建造、運転されてきておるのに対しまして、その以外の部分、つまり一般の非核部分でございますが、その関係の技術的な設計、建造、運転についての監督を行なうべき海軍内の技術指導者、この異動が非常にひんぱんに行なわれ、一貫した責任のもとに指導してこられなかったという形跡がある、この点を改める必要があるのではないか。大きく分けますとこの二点を指摘いたしておるようであります。  詳細にわたりましては海軍省の各係官並びに原子力委員会のほうの担当者がいろいろと証言をいたしておるわけでございますが、先ほどの兼重委員のお話もございましたように、ほとんどが、いわゆる潜水艦として深海にもぐりますときに受けます水圧が非常に大きくなりますために、その水圧に対抗して配管、水の通りますパイプ等のジョイントの強度等において十分な検査基準なり建造基準なり、そういうものを確かめていく必要がある。この点をいろいろと追及いたしておりまして、原子炉関係につきましては、スレッシャー号事故に対しまして、この報告におきましても放射能の漏れが感知されておらないということは証言されておるようでございます。とりあえずただいま私どもで承知しております範囲でちょっと御参考までに申し上げておきます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 村田さん、そういうふうにおっしゃると、われわれとしてもちょっと言いたくなる。これでおこうと思っておったのですがね。まあ膨大なものであるけれども、当委員会には示してもらわなければいかぬ。時間がかかるでしょうということをおっしゃるようですけれども、新聞でさえもだいぶん前に発表しておる。あなたがおっしゃるようなそういう要点でもけっこうですから、出してもらいたいということと、それから、こういう見解については、それが出てからわれわれはお聞きしたいと思うのです。その上で聞きたいと思うのに、そういうつけ加えをやられますから、いろんな点でわれわれとしてもまた言いたくなるわけです。だから、いま申しましたように、率直にそれを出してもらいたい。新聞でさえそれを出しておるのですから。それから見解を、兼重先生よろしゅうございますか。  これで終わります。

岡良一日本社会党

○岡委員長 次会は、来たる二月十日水曜日午後一時より理事会、午後一時三十分より委員会を開くこととして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会

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