予算委員会 第7号
- 発言数
- 324 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1964/12/14
会議録
○委員長(寺尾豊君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。 本日浅井亨君、中尾辰義君が辞任され、その補欠として白木義一郎君、鈴木一弘君が選任されました。 なお、本日参考人として出席を求めました山際日銀総裁はかぜのため出席できませんので、佐々木日銀副総裁が出席いたします。
○委員長(寺尾豊君) 昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。 これより締めくくりの総括質疑に入ります。山本伊三郎君。
○山本伊三郎君 佐藤総理とは初めて予算委員会で相対しますが、実は総括締めくくりでございますので、時間の関係もあって、たくさん聞きたいと思いますので、ことば足らずに、ずばり当たりますので、失礼な点がありましたらひとつお許しを願いたいと思います。 池田前内閣のできた三十五年のときに、池田総理が組閣当初、池田内閣のいわゆる中心的重点施策として所得倍増というものを打ち出されました。それがよしあしは別といたしまして、一応国民にアピールしたことは事実であります。佐藤さんが組閣をされまして、いろいろ演説も聞きましたが、中心的な重点施策は一体何かということについて私なりに理解しておりまするが、あらためてひとつ、これがわしの中心重点施策だという点を、この機会に言明していただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。ただいままでのところ、池田内閣の路線を踏襲するということを申しております。しかし経済問題につきましては、もうすでに池田路線のひずみ是正の方向で昨年末以来金融の引き締めなどをいたしております。したがいまして、経済成長政策が今日まで効果をおさめた、これは私も認めるものでございますが、ただいま生じている経済界のひずみ、これを是正することに当面の重大関心を寄せておるのであります。たとえば物価の問題であるとか、あるいは経済の信用の非常な膨張であるとか、あるいは資本市場の育成強化の問題であるとか、そういう意味のものに特に力を入れていこう。この点を私は、私なりにいままで皆さま方に申し上げておるのは、経済の安定成長ということを申しております。この安定成長と、しからばいままでの積極的な政策との相違は一体どこにあるのか。かように考えますると、私は、いままでの高度経済成長政策がもたらしました完全雇用であるとか、あるいは国民生活の向上であるとか、こういうことはもちろんけっこうなことでございます。しかし事実、ひずみを是正しなければならないような状態に立ち至ったことも、これも見のがすことができない。かように考えてまいりますると、私のねらいとするところのものは一面におきまして完全雇用、同時にまた、国民生活の安定向上、同時に国際収支の均衡を保つ、あるいは物価の安定を期する、そういう範囲においての経済の成長をはかっていく。これはお互いに総合的な関連を持ちますから、その総合性を十分発揮して、本来の姿である経済成長を進めてまいりますが、ただいま申し上げるような諸点について均衡のとれることが必要だろう、いわゆる安定健全成長、そういうことをねらう、それを骨子にする。かような考えが私の考え方でございます。
○山本伊三郎君 いろいろと御説明を加えられたのですが、そうすると、こういう理解をしていいですか。池田内閣当時の高度経済成長が行き過ぎた。したがって、そのひずみを直すための均衡のとれた安定成長が佐藤内閣の使命である、こう理解していいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 当面は、その点に特に重点を置きますと、かように申しておるわけです。当面の事態……。
○山本伊三郎君 私があなたの所信表明演説から受けた印象からいたしますと、佐藤内閣は特に社会開発、これが一つの大きい看板と申しますか、重要な施策だ。こういう受け取り方を、いままで衆参両院におけるあなたの発言の中から受け取っておったのでございますが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 当面、先ほどのような諸点に力を入れてまいりますが、政治そのものの姿勢といたしましては、いわゆる社会開発、そういう態度で臨みたい。社会開発と申しますのは、これは別に新しいことではございません。経済開発の効果を国民生活あるいはわれわれの生活に直結さすと、こういう点に重点を置いた経済成長をねらうのでございます。したがいまして、ただいま申し上げるようなひずみ是正、これに当面重点を置きますが、今度はさような状態が起こらないような、こういう工夫をこらして、まあ八方に力を——目を注いだ行き方でいきたいというのが、基本的な考え方でございます。
○山本伊三郎君 きょうは内政問題にのみと思っておったのですが、特に前の池田内閣当時のいきさつもありますので、一つだけ外交問題で、外務大臣のおる間にちょっと佐藤さんの御意向を聞いておきたい。 それは、私、前から沖繩の施政権の問題と北方領土の問題に関しまして、政府の、池田内閣当時の意見が合わなかったのでございますが、政府の意向としては、沖繩の施政権返還の問題と北方領土の問題は、おのおの日米、日ソの二国間の外交問題である、こういう見解に立たれておったのでございますが、私は今日連帯外交という上から申しまして、沖繩施政権の問題も北方領土の問題も、アメリカにもソ連にも、またその他の国にも関係があるので、これを国連の場で解決のめどをつけるべきでないかという主張をしてきたのでございますが、この点に関しまして佐藤総理はどういう見解を持っておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一口に北方領土、また南方領土と仰せられますが、その現状をかもし出しておる原因はそれぞれ違っておるのであります。国後、択捉については、私どもは本来の固有の領土であるということを主張し、何らの話し合いなしにこれは一方的に私どもが占領されておる、そういう事態であります。その事態を回復すべくあらゆる機会にソ連と交渉をしておる、これが国後、択捉、歯舞、色丹の問題でございます。しかして、歯舞、色丹については、日ソ共同声明によりまして、その帰趨、それは一応取りきめができておるのでありますが、しかしただいま申すように、国後、択捉につきましては、私どもの領土権が侵されておるということを池田内閣あるいはそれ以前から一貫して主張しておるのであります。また、南方の領土は、これはアメリカと私どもが平和条約を結び、そうしてそのときに取りきめられ、今日潜在主権を認めておる、こういう関係にございます。これが安保条約その他の規定にも関係を持つようでありますし、同時にまた、池田内閣あるいは岸内閣等がこれにつきましてアメリカ政府と交渉しておる。本来の基本的条約に基づくものということでございますので、南方と北方を同一に論ずるわけにはいかない、かように思います。しこうして、ただいままでのところ、国連の場で、北方領土にいたしましてもまだなかなか口切るという段階にまで至ってないのではないか、かように私思いますが、あるいは国連の場ですでにそういう発言をしたかどうか、これは私記憶しておりませんが、十分に検討していただきたいと思います。ソ連と直接交渉している、これは数回にわたってその交渉をしておることは御承知のとおりでございます。南方の問題は、沖繩の問題は、これとは別にアメリカとただいま協議会あるいはその他の方法で実現を期すべくいろいろ協議をしておる、かような状態でございます。
○山本伊三郎君 いまの総理の答弁を聞きますと、前の池田内閣の当時の外交方針、大体そのとおりだと思います。しかし、この点はひとつ、もうこれから追及しませんが、この問題はおのおの性格が違うことはわかります。しかし、沖繩にいたしましても北方領土にいたしましても、アメリカあるいはソ連の言うのを聞きますと、いわゆる経済的な条件でなくして、軍事的な問題が、これが大きいウエートを占めておるようであります。したがって、性格は違うけれども、国連の場でその問題を持ち出してやるということが一つの方法でなかろうかと思いますので、この点はひとつ佐藤新内閣におきましても十分検討していただきたいと思いますが、その点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) あらゆる機会にこの本来の領土の確保をはかるのが、私ども政府の当然の責任でございますし、ただいま御指摘になりましたように、かようなことも一案ではないかと言われることにつきまして、ただいまお答えしましたように、北方と南方と、同時あるいは同一のものではないが、しかし少なくとも北方の領土につきましては、こういうような国連の場なども使ってよろしいんじゃないのか。あるいは軍縮、軍備撤廃、そういう件にも関連し、こういうような本来の領土が復帰すること、それにも関連し、発展さしてもよろしいのではないか、かように思いますが、そういう意味で、あらゆる方法で検討してまいりたいというつもりでございます。
○山本伊三郎君 それでは、きょうの質問の主題である明年度予算編成の基礎条件という立場から、数点にわたって、ひとつこれはまず関係大臣にお聞きしたいと思いますが、第一点といたしまして、来年度の経済の見通しでございますが、これもいろいろの問題がありますから、逐次お尋ねしたいと思いますが、今年度の、三十九年度のいわゆる経済成長、当初七%を実績で押えるという方針でありましたが、この十月の鉱工業生産指数を見ますると一七五まで上がっております。これから見ると、本年度の成長率はおそらく実質一〇形以上こえるのじゃないかと思うのですが、来年度は一体政府は予算編成の見通しとしてどの程度の経済成長を考えておるか、この点をひとつ具体的に御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(高橋衛君) お答えいたします。 ただいま御指摘のとおり、十月までの鉱工業生産を見ますると、相当高水準でございます。しこうして十一月以降においてこれが横ばいになるという大体想定をいたしましても、それが一五%近くになろうかと思いますが、それが横ばいになるかあるいはダウンするか、上がるか、その辺の見当をただいまつけておるところでございます。いずれにいたしましても、当初の見通しは実質で七%でございましたが、九%から一〇%の間ぐらいに落ちつくのじゃなかろうか。ただいま、いろんな指標を集めましてこれを検討しておる最中でございます。 来年度の経済見通しにつきましては、今年度の見通しをかためた上で、その上に来年度の見通しをつくり上げる予定でございますが、一つ申し上げておきたいと存じますのは、今年度はおそらくは輸出が六十八億ドル近くになるのじゃなかろうかと存じます。そういたしますと、前年度比較において二二・五%ぐらいの伸びに相なります。これはいままで例のない非常な輸出の伸びでございます。しこうして来年度もまたこのようないい輸出関係に恵まれるかどうかというような点、またはヨーロッパにおける情勢、東南アジアの情勢、またはアメリカの、各国別にしさいにこれを検討しました際に、これは今年のような状態はとうてい望み得ないのじゃないかという感じがいたしますので、それらを各地域別にまた商品別にこまかく当たっておる次第でございます。 それで、来年度の国際収支につきましては、今年度は当初から大体一億五千万ドル程度の総合収支における赤字を見通しにおいて予定をいたしておったのでございますが、実績が大体少しながら黒字になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますが、来年度においては少なくともこういうふうに開放経済態勢に入った次第でございますので、国際収支においてはバランスをとるということを前提として見通しを立てていきたい、そういうふうな考え方から、ただいま輸出の伸びがどの程度にいくであろうか、または、来年度におけるところの鉱工業生産、または設備投資その他の推移を、最近までの輸出の状況その他各種の指標をとりまとめまして検討している最中でございます。
○山本伊三郎君 いろいろ国際収支とか貿易指数の問題をお話しになったが、ぼくの尋ねておるのは、中期経済計画というものを出されたのですが、これによると、三十九年度から四十三年度まで経済成長八・一%平均に押えるという、こういう計画書は出されておるのでございますが、当面、四十年度ですね、いろいろ要因がありますけれども、もうすでに予算編成をされておると思うのですが、その際に、まあ来年度の経済成長の——まだこれから検討するということではないと思うのですが、ここでこう言うたからこの来年の予算審議の際に間違っておるじゃないかということでなくして、現在の段階で、経済企画庁としてはどれぐらいのものがいまの日本の経済の実態から経済成長率を見たらいいか、その点を聞いておるのです。
○国務大臣(高橋衛君) ただいまもお答え申しましたとおり、来年度におけるところの輸出の伸びが大体七十六億ドルか七億ドルか、そういうところについて、または資本収支の状態が大体どんな状態であるか、そういうことについて、ただいま関係各省間でこまかく打ち合わせ中でございますので、もう数日中にはこれをまとめ得ると、かように考えております。
○山本伊三郎君 ピントが合わぬかしれませんが、昨年は七%という実質で押えようとしたのですが、事実は伸びておる。しかし、来年度はどれくらいになるかということが、貿易関係、そういうことでなくして、一応のめどというものがあるのじゃないかと思って質問したのですが、まだそれはないのですね。 それなら次に移りますが、またあとで総合的に尋ねますが、いま説明されました国際収支、この問題でございます。この点につきましてはいま若干説明されましたが、この夏から貿易指数は非常にいい指数を示しておりますが、貿易が改善されたとは私は思っておらない。依然として輸入水準は高いし、それに上回るところの輸出が堅調であったということによって、国際収支、特に貿易収支が均衡を保っておるということだけだと思うのです。しかし、すでに最近、イギリス、アメリカにおきましても、公定歩合の引き上げ等によって、また、イギリスの輸入に対する課徴制度がしかれたということから、後半期には私は必ずしもいままでのような輸出の好調というものが見られないと思うのですが、そういう点で、これは通産大臣か経済企画庁か知りませんけれども、いまちょっと説明されましたけれども、貿易指数、特にまた貿易収支において、年度末までの見通しというものは一体どう持っておられるか、それによって、来年度の貿易収支、貿易指数はどういうように移っていくかという、そういう見通しについてちょっと御説明願いたいと思います。
○国務大臣(高橋衛君) 例年、一−三月が輸入期に相当いたしております。がしかし、大体信用状の収支というものが先行きを示す一つの指標に相なっておりますので、こういうふうな信用状収支の最近の実績までを見て一−三月を見てみますると一大体信用状なしの収支が相当最近ウエイトを増してきておりますので、必ずしも的確な予想はつきにくいのでございますが、先ほどもお答え申しましたように、輸出が六十八億ドル近くにいきはしないかと、こういう推定をいたしております。したがって、総合収支全体といたしまして、見通しにおいては一億五千万ドルの赤字を予想いたしておりましたが、やや黒字に、小さな、小幅の黒字程度のことになりはしないかと、こういう予想をいたしております。
○山本伊三郎君 いま説明されたんですが、通産大臣にちょっと聞いておきたいのですが、まあ、いまの日本の貿易構造を見ますると、対アメリカ、対米貿易が非常にウエートが多いのでありますが、今度のアメリカの公定歩合の引き上げ等によって日本の対米貿易にどれくらいの影響があるか。いま経済企画庁はきわめて楽観的な御答弁だったと思うのですが、私は必ずしもそう見ておらないのですが、この点について所見はどうですか。
○国務大臣(高橋衛君) 対米貿易にどういう影響を、アメリカの公定歩合が三・五%から四%に上げられたといって、及ぼすだろうかという御質問でございますが、ただいままでのところ、これがそれほど大きな影響があるようには見ておらない次第でございます。ただ、資本収支等においてはある程度の影響があることは、これはもう当然予想されるところでございます。
○山本伊三郎君 大蔵大臣に聞きますがね。経済企画庁なんかのは学者的な答弁のように思うのですがね。まあ数字の上にいろいろ出ておりますからわかっておるのですが、これは私、野党であるとか、そういうことでなくして、国際収支はもう日本経済の基本ですから心配しておるのですが、そういう楽観的で見ていいかどうか。この点ひとつ大蔵大臣に聞いてみたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) ただいままでに経済企画庁長官から述べましたとおり、三十九年度年度間を通じまして一億五千万ドルの総合の赤字でございました。ところが、八月、七月のころから貿易収支及び経常収支がバランスをとるようになりましたし、十二月までは輸出期でございますので、現在の状態では好調と言い得るわけでございます。しかし、一−三月の輸入期を通じまして、年度間を通じての総合じりでどうかといいますと、少なくとも一億五千万ドルの総合の赤字がとんとんにはなる、うまくいけば小幅の黒字だろうということでございます。しかし、あなたが御指摘になりましたように、輸出が非常に国内の金融引き締め等によって大幅に伸びておる、しかも年間一三、四%から一五、六%でも高いにもかかわらず、二二%ないし三%という高い水準でありますから、こういうことが持続的になるのかという問題が一つ、もう一つは、原材料在庫指数が七〇でございますから非常に低い、これが、為替管理を行なっておった当時とは違って、自由に必要な品物が入るというのであるから、この七〇余の低い原材料在庫指数が、これがノーマルなものだという見方と、非常に低位にあるという見方とあるわけでございます。でございますので、現在一−三月の輸入期を見ると、必ずしもこのままの好調が続かないという見方もございます。でありますが、年間を通じまして、いずれにしても、総合収支がとんとん、少なくとも総合において一億五千万ドル以上の国際収支の改善ということができるということは、これは数字の上で事実でございます。 それからイギリスの公定歩合引き上げに引き続きまして、アメリカ及びカナダの公定歩合の引き上げがありましたので、これが、少なくとも二十三、四億ドルという大きな対米貿易が相当制約をされないかという見方はございますが、アメリカは史上空前といわれる好況下にございます。でございますから、ドル防衛のためにアメリカ、カナダが公定歩合を引き上げても、日本の対米貿易に影響をするというようなところまでは、現在のところ、いかないのじゃないかという見方も確かにございます。これは、アメリカ自体でも、せっかく百億ドルに及ぶ減税を行なった結果、こういう好況をようやく求めたにもかかわらず、今後の国際的な問題として一体どうなるのかという心配論も一部にございます。対米貿易の二十五、六億ドルぐらいのものにそう大きな影響を及ぼすという不況観というものは、いま直ちに、少なくとも半年、一年の後に来るというふうに見るのは、少し早見ではないかという見通しでございます。
○山本伊三郎君 質問の題目がたくさんございますから次に移りますが、国内の経済情勢ですが、これはもうたびたび本委員会で取り上げられましたが、証券界の低迷する実情でございます。株式市場はきわめて悪化しておる。いろいろ日銀あたりが、これは政府のてこ入れでございますが、共同証券を通じて融資をしているけれども、ダウ平均価格は千二百円程度に低迷しておる。これに対して——これは見通しですよ、来年度予算編成にあたっての見通しですね、これはどういう見通しを政府はしておられるか。現在、融資によって証券界を整備しようとしておるけれども、一向これに対する効果がない。一体、これには相当深い原因があります。時間がないから、そういうことを言いませんけれども、政府としては、こういう証券界の不況に対して、来年度の予算編成にある程度の影響がある。これについて見通しをどう大蔵大臣は持っておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 経済見通しにつきましては、先ほど、作業中でありますということを経済企画庁から答えられましたが、近く、来年度の経済見通しにつきましては数字的に固めて発表し、また来年度の予算編成の基準といたしたいという考えでございます。まあ、今年度は大体一〇%近くに実質成長率がなるであろう、そういう意味から考えますと、来年度は七%ないし八%の間でおおむね数字が固まるのではないかというふうに考えております。 それから証券界が非常に不振であるということは御指摘のとおりでございます。なぜ一体不振なのか。これは、私が申し上げなくても、いろいろな理由がございます。ただ、金融引き締めによってと言われておりますが、私はそう考えておりません。証券界は、これからの飛躍に際して、ここでひとつ証券業者も体質改善をしないければなりませんし、また直接資本市場である公社債市場、証券市場の育成ということに対して政策的にも税制の上でもバランスを失しておったという問題もございます。いままで高度の成長率を続けながら、産業資金を間接金融である金融にウエートを置いて、自己資本比率戦前六一%のものが現在二三%に落ちておるということでございますので、やはりバランスのとれた産業資金の調達ということになれば、直接資本市場の強化育成ということも急がなければならないということは論をまたないわけでございます。同時に、四十三年まで五カ年間を通じて平均八・一%の成長を想定いたしておりますので、このためには、いままでのものだけではなく、将来三カ年間に及ぶ運用資金をどう調達するかということも考えれば、当然資本市場の強化策が講じられなければならぬことは、理論上も事実上も当然のことでございます。そういう意味で、現在は自己資本比率を上げなければならない状態にありながら非常に低位にあり、しかも、その上なお市場に余剰株がだぶついておる。これを共同証券で買い上げなければならぬというようなことであり、一面、二月以降の増資調整さえも必要だということは不正常な状態でございます。これを正常化して、これからの中期経済計画に基づく産業資金の調達というものに対して、施策的にも積極的に措置してまいりたいと思いますので、来年を待たずして証券市場の正常化というものを進めてまいりたい、また進めなければならない、こういう考えに立っておるわけでございます。
○山本伊三郎君 いまの大蔵大臣の、株式、いわゆる証券界の不況は金融引き締めによる原因といりものはそうウエートはないというような意味にとれたんですが、私はそうでもないと思うんです。実は私、関西出身ですから、兜町の知り合いはございませんけれども、北浜の方々に十分なじみなわけで、たびたび聞くんですが、日銀総裁はきょうは出席ないようでございますが、昨年の暮れ十二月に預金の準備率の引き上げをやって、一応金融引き締めの端緒をつくった。越えて本年三月に公定歩合引き上げ、これはやはり時期を失したということが大きく叫ばれております。それは、商売人であるからそういうことを言われるのかもしれませんけれども、やはり、その当時政府の若干の政策上の圧力で、日銀自体の金融操作でやるべきものが、政策的に押えられた。こういうことから時期を失した。それが、一年たってまだ金融引き締めの緩和はできない。それが原因であるということが言われております。したがって、大蔵大臣はそう言われておりますけれども、やはり金融引き締めによって証券界に影響していることは事実であると思います。その点は否定されますか。
○国務大臣(田中角榮君) 証券界の不況は金融引き締めのみによるものではないということを申し上げたわけでございます。金融調整ということも一つの原因だろうということは言えます。これは、日銀信用の圧縮、いわゆるオーバーローンの解消、金融の正常化ということを急いでいる過程において一年にわたる金融調整が行なわれましたから、金融正常化のしわが直接資本市場に寄っている、これは否定できないところであります。産業資金を詰めますから。それになお、下請に対しては、支払遅延防止法によって支払いを早めなさいということになると、結局どうすることになるかというと、現在手持ちになっております証券を市場に売り出して換金する。土地などもその意味において売り出しておりますが、土地の換金は証券より時期的におそいという意味合で、市場にある余剰株を一時たな上げをしなけばれならない状態にあって、なお年末においては換金を急ぐために手持ちの証券を売る。特に日本は、機関投資家というものの中には産業資本がそのまま関連産業の株を持っているということがございますので、やむにやまれず換金する。これが資本市場の不振に拍車をかけている。これは否定できないことでございます。 ただ、金融調節だけが証券市場の不況化を招いたものだというと、私はそうだと思いません。これは、政策上、少なくとも証券市場に対する政策も、預金の利子等と比べては均衝を失しておったということも一つでございます。また、証券会社そのものが、少し、売らんかなの方針が強過ぎたということもございます。いろいろな原因がございます。政府の施策の上にも、また証券業者自体の体質改善も、また金融の調整の結果しわが寄っているという、いろいろな問題がございます。これらの問題を通じて、総合的に施策を進めるということによって、証券市場の育成、拡大強化をはかってまいるということであります。
○山本伊三郎君 いろいろ言いたいことがありますが、これに関連して、先ほどちょっと言いましたが、日銀副総裁は見えておられますか。総裁、何か病気で来られないようでありますが、いま申しました、昨年暮れから本年三月における公定歩合の引き上げ、いわゆる一連の金融操作が、政府が相当政策上押えたので、日銀は適時適切な措置がとれなかったという声が強いのですが、そういう考え方は日銀当局としてどう考えておりますか。
○参考人(佐々木直君) ただいま、昨年の暮れの準備率の引き上げ、その他それに続きました金融措置について、政府との話し合いがうまくいかなかったから、おくれたのではないかという御趣旨の御質問だと存じますが、そういう事実は全くございません。常によく連絡をとっておりまして、それによって時期を失したという判断は、私ども全然持っておりません。
○山本伊三郎君 それはまあ、ここでそうやったということは、総理大臣、大蔵大臣の前では——ちょっと言しにくいことになる。一般はそう見ておるのです。でないと、一年になりますよ、金融の引き締めをしてから。それがため、株式市場及びそういうものについては、これはすべてそういうものが影響しておるとは、私もすべての要素とは思っておりませんが、しかし、それは大きい影響があると思う。特に中小企業の倒産は、おそらく史上最高の記録を示しておる。毎月四百件以上も倒れておる。不渡り手形は四百億以上を上回っておる。こういう実態が、それはもう金融引き締めによって来たるところが、私はほとんどだと思う。一年もまだこれが解除緩和できぬという事情が、一体日銀当局としてどう考えられるか、その点もう一度伺います。
○参考人(佐々木直君) ただいまの御質問は、引き上げがおそかったから、解除までに時間が長くかかるのではないか、こういう御趣旨だと思いましたが、実はすでに引き締めの効果は、貿易収支その他にも出始めております。したがって、一年間の間引き締めが何にもその効果を生まなかったというものではございません。したがって、この秋ぐらいからは、日本銀行の窓口規制におきましても、多少の査定額のはみ出しを認めるとか、あるいは部分的には、中小企業金融でありますとか、輸出金融でありますとか、そういうものには相当増額を認めておるという事実がございます。したがって、方向としましては、その引き締めの効果の発揮によって、だんだん金融措置の緩和が可能な方向に進みつつある、こういう事実は確かに見られるものだと思います。したがって、一年という非常に、一年間というはっきりした限界には、確かにここでは去年の十二月に預金準備率を上げたことから考えますと、ちょうど一年にはなっておりますが、その一年という日の限られたことではなくて、もうその大体近いところまでは来ておるということは申し上げられるかと思います。
○山本伊三郎君 まあそこでいろいろと遠回しに聞きたいのですが、時間がないから率直に聞きますがね。もう限界に来ておると思う。で、しかも政府部内でも、金融引き締めの緩和の声が出ております。これはもう産業界、経済界はもちろんのことであります。日銀としてはこの年末は買いオペ五百億ですか、五百億円の買いオペによって、何とか中小企業の金融をつけようという考えですが、私はそれだけじゃだめだと思う。したがって、本格的な金融引き締めの緩和と申しますか、むしろ解除と申しますか、公定歩合の引き下げ、そういう点について日銀当局は検討されておりますか。
○参考人(佐々木直君) 年末金融につきましては、債券の買い入れ二千二百億円。それから日本銀行の貸し出し限度額の約三割の引き上げ等々、いろいろな準備をすでにしておりまして、これによりまして、年末金融は大体順調に進んでいくものと考えております。公定歩合その他日本銀行のとるべき金融政策につきましては、常に検討いたしておりまして、状況の変化に応じた弾力的な措置がとれるだけの勉強は、常に続けております。
○山本伊三郎君 まあもちろんそういうことでやっていただいておると思いますが、もうすでに公定歩合の引き下げの問題については、これはまあ表面には出ておりませんけれども、財界ではきわめて強い希望があると思っておるのです。その点について、一時は、来年二月にはやるのではないかというようなことも言われておったんですが、その点について勉強はしていただいておると思います。そういう時期についてどういうぐあいになっておりますか。
○参考人(佐々木直君) ただいま申し上げましたように、情勢の変化に応じていつも対応するように準備をしておるというふうに申し上げました次第でございます。したがって、今後の事情の推移いかんということが一番大事な眼目でございまして、したがって、時期がいつになるかというようなことは、いまの時期において判断は非常に困難であると存じております。
○山本伊三郎君 参考人として来ていただいておるのですから、政府当局のような追及もできませんが、もうすでに、先ほどから皆さん方、政府の方々の言われているように、貿易収支も非常に改善された、また、日銀当局もあの効果は相当あった、こういうことを言われておるのです。そうすれば、それに次ぐところの問題というものは当然出てくるものだということで質問しておるのですが、その情勢に応じてすぐやれる、それはやれるでしょう、ちゃんと自分らは腹は大体きまっておると思う、しかし、それはいつ何日ということはきまらぬけれども、大体どういうことになるだろうということはわかっておると思うのですが、その点もう一回しつこいようでございますが、お聞かせ願いたい。
○参考人(佐々木直君) いま御質問の日本銀行の政策手段につきましては、政策委員会における決定を待って初めて実行されるのでございまして、いまさら申し上げる必要はございませんが、したがいまして、どうも私どもいまから時期を予言するということは、政策委員会に対しても非常に失礼でございますし、どうもその点はこれ以上具体的には申し上げかねます。
○木村禧八郎君 関連して。ただいまの山本さんの金融調整に関する質問に関連いたしまして、簡単に佐々木副総裁に伺いたいと思います。これは、この前の質問にも関連するのですが、端的に伺いますが、日本銀行は、共同証券が現在のような純然たる私的証券会社であることを前提として直接に融資をするのかしないのか、この前まだしてないと、日証金を通じて融資をしているということを聞きましたが、今後情勢によっては、日銀か直接共同証券に融資をするのかしないのか、その場合、共同証券は純然たる、これは普通の証券会社と同じ営利会社であります。定款をごらんになりますと。この前は、目的は信用の安定をはかると、信用恐慌を防ぐというところにあるといいますが、そういうふうに伝えられておりますが、定款には何らそういうものは書いてありません。普通の証券会社と同じ定款であります。そういう営利的な証券会社に対して、日本銀行が巨額な融資を直接やるべきかどうか、もしやるならば、共同証券に対して公的な性格を与える必要がある、それまではやるべきではないと思います。それをそういう法律を出すか出さないか。もしそうせずして私は融資をしたら、これは非常に問題になる、いままで日本銀行はそういう証券会社に直接融資したことはないです。しかし、ただ法律上は何も規定してないからやっても差しつかえない、それは中央銀行としての使命、役割りと反すると思います。諸外国ではそういうことをやっておりますか。中央銀行が直接営利会社である証券会社に巨額の融資をやる事例があるかどうか、この点について、これが第一点です。関連質問ですから再質問はあまりいたしませんから、その点十分にお答え願いたいと思います。今後共同証券に直接融資をするかどうか、共同証券の性格を変えないでですね。 それから第二点は、政策委員会は、かりに共同証券に融資する場合にいろいろな条件等につきまして、掛け目その他につきまして有利な取り扱いを政策委員会ができますかどうか。そういう特定の一会社に対しましての融資をする場合、特別なそういう扱いを政策委員会はで、きるものかどうか、この二点を伺いたい。 それからあと大蔵大臣も関連して……。
○参考人(佐々木直君) ただいまの御質問の第一点でございますが、共同証券に対しまして日本銀行が直接融資をいたしますということは、全くこれはいままで例のないことでもございますし、そういうような特殊な取り計らいを中央銀行として極力避けるべきであるという御意見は、全くそのとおりに私どもも考えております。したがいまして、先般の御質問のときに、当面は日証金に証券資金を融通する方法でやっていきたい、またやっていけると思うというふうにお話し申し上げました。したがって、共同証券に対する直接の融資の問題は、今後非常に信用不安その他そういう特殊な状況が起こって、しかもなお、資金が共同証券が不足するというようなことでも起これば、そういうときには全体の信用を維持するために考えなければならないかと、そういうふうに思っておるのだというふうに御説明したつもりでございます。したがいまして、私どもとしては、そういうような特殊な措置を必要とするような事態が起こらないことを非常に希望しておりますし、また、そういう方向に問題の解決をもっていこうというふうにいろいろ検討もしておる次第でございます。
○瀬谷英行君 外国に例があるのかどうか。
○参考人(佐々木直君) 外国の例は私は聞いておりませんが、ほかの国で証券対策をやっておる国はございます。ただ中央銀行が直接証券会社にさっきのお話のように、巨額な資金を融通しておる例は私ども存じておりません。 それから第二点の、政策委員会が相手によって条件を変えるというようなことが権能として与えられているかという御質問だと思いますが、政策委員会の権限の規定の中にはそういうことを否定する規定はございません。ですから結局問題は、そういうような特別措置をすることが日本の全体の金融政策の面からいって妥当なりやいなやということの判断に私は帰するものだと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 大体日銀の副総裁が答えたことと私の考えも同じでございます。共同証券に直接融資をすることがいいのか悪いのかということでございますが、これは日証金を通じてやるということが最もすなおでございますが、より高い立場から考えて、共同証券に直接融資をする道を開いたとしても、法律上疑義のあるものではないということだけは明確でございます。これは御承知のとおり、日本銀行がいま相互銀行等に対して取引を行なっておるということもございますが、これはただ相互銀行法に基づくということでございますが、同時に、証券会社も証券取引法に基づいておるのでございまして、ただそこに銀行と証券業者は違うという考え方に立っての立論とすればいろいろな御発言もあると思いますが、しかし、共同証券が全くの営利会社というのではなく、特殊な目的をもって運営せられておるということでございますから、日銀が道を開いても法律上の問題はないと考えます。同時に、証券に対して日本は全く証券業法に基づいて区別をせられておりますが、西ドイツのように、銀行自体が証券業務をあわせて行なっておるというような面から考えますと、中央銀行と銀行業務の関係において証券とのつながりは十分あるわけでございます。日本はその意味で制度の上で多少違うというだけでございます
○稲葉誠一君 定款との関係。
○国務大臣(田中角榮君) 定款は御承知のとおり、共同証券は設立の経緯から見ましても半公的な使命を持っておるわけではございますが、法律上は証券取引業法に基づく会社でありますので、一般の証券会社と同じ取り扱いを大蔵大臣としてはやっております。しかし、融資を直接行なうというようなことになれば、定款をどう改めるほうがいいというような問題は常識的には出てくるとは思いすが、いずれにしても法律的に問題はないということは言い得るわけであります。
○山本伊三郎君 この問題でまだ実は話は追及したいのですが、総理は十二時半からワトソンとの会談があるそうですから、総理に対して、おられる間に聞いておきたい、ちょっと順序が変わりますけれども。 四十年度の予算編成、まあ大蔵大臣おられたらいいのでございますが、総理として聞いておきたいのですが、きわめて来年度の財政が窮屈である、そういうことから、非常に予算編成に苦悩されておるということを新聞で見ておる。しかし、せっかく佐藤内閣ができて、先ほど申しましたように、社会開発ということで相当財政需要が高まってくると思う。一体今度の四十年度の予算編成について、佐藤総理として、どういうところに重点を置いて現実に予算面にあらわれた施策がとられるか、この点ひとつ聞いておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 山本さん御指摘のように、来年の財源はなかなか苦しい状況にございます。大蔵大臣もそういう点でいろいろ検討を続けられております。また、私が先ほど山本さんの御質問に答えたように、当面私が力をいたすべき点は、ただいまの当面する問題と真剣に取り組む、これはただいま申し上げますように、源財的にもそうせざるを得ないように思いますが、当面いろいろこれに対処する問題が起きております。これがまず第一のように思っております。そうして私が施政演説その他におきまして表明しております政治のあり方、今後の目標とするもの、これを切り詰められた予算の中におきましてもできるだけその方向で取り入れていきたいと、こういうことで大蔵大臣をわずらわしてただいま苦心している最中でございます。また、党側の要求もいろいろございますから、それらの点もさらに調整をはかる段階だと、かように御了承いただきたいと思います。 いずれにいたしましても、総体から見ました来年度予算の編成、これはたいへんな難事業でありますので、各界の御協力を得たい、また、各党の御協力も得たい、かように考えております。
○山本伊三郎君 いろいろあるのでございますが、順序を狂わすとどうも話が進みませんので、おれる時間だけおっていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) はい承知いたいました。
○山本伊三郎君 物価の問題について総合的に聞いておきたいのですが、経企長官は本会議における私の質問に対しても、きわめて楽観的と言わないけれども、まあそう心配ない、現在三%余りの上昇であるから年間通じて年率大体四%以内におさまるんじゃないか、こういう趣旨であったと思うのです。しかし、どうしても私は消費者米価の引き上げ等によりまして、なるほどあなたの言われるように、消費者米価の物価構造の中に占めるウエートはあるいは〇・二五%程度の微弱なものかしりませんけれども、米価は物価の一つの基礎的なものでありますから、それが上がると、実際そのもの自体のいわゆる物価が引き上げ要素がなくても、一つのムードとして上がることは当然だと思う。この点について年間、当初の四・二%を私は上回ると見ておるのですが、この点について長官はどういう見解でおられるか、もう一度聞いておきたい。
○国務大臣(高橋衛君) この前本会議で御答弁申し上げました当時は、まだ十月の全都市の消費者物価の指数が出てなかった段階でございましたので、その当時におきましては今年度の当初見通しが四・二でございましたから、その目標に対して何とかいけるのじゃなかろうかという御答弁を申し上げた次第であります。ところが、十月の指数が前月比較において急激に二%の上昇という指数があらわれてまいりました。これは非常なショックでございましたが、幸いにして、十一月になりましてこれが〇・九%の——これは東京だけの数字でございますけれども——〇・九%の下落を示してまいりました。その後やや落ち着きを示しておる次第でございます。こうして、お話のとおり、消費者米価を上げます場合におけるところの影響は、単に消費者米価自体の全体のウエートに及ぼすところの影響だけにとどまらぬというおそれがある。その点は私ども非常に心配いたしておる点でございます。公共料金等の問題におきましても、むしろ心理的な、つまりムードというものに非常に警戒的な立場をとっておりまして、そのムードを起こさないような方向で何とか処理したいということで苦心をいたしておる次第でございますが、しかし、本年度の実質の成長率が、先ほどもお話のありましたとおり、当初の見通しが実質で九%であったものが一〇%に近くなるというように、全体の総需要が相当増しておるという状況もございまして、したがって、ただいまの段階では、なかなか四・二そのままを押えていくということはある程度困難じゃなかろうかという見方に変わってまいっておるわけでございます。しかし、これはどこまでもこれを目標として努力するというところに意義がある次第でございますので、そういう方面にことに便乗ムードを起こさないような方向にあらゆる努力を尽くしていきたい、かように考える次第でございます。
○山本伊三郎君 それじゃ、総理が所用で退席されますので、これは総理に答えてもらわなくてけっこうですから、大蔵大臣ひとつ。 来年度予算編成の問題に関連して減税の問題、十二日に税調会から答申がありました。政府もちょっとその点見解を発表されておったのでございますが、今度の税制調査会の答申、これに対して政府の見解を、総理に見解があればひとつ。新聞でちょっと拝見いたしましたのでその点だけ聞いておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 税制調査会の答申を東畑、松隈両委員並びに主税局長帯同の上で報告書をいただきました。そうして、報告についての審議の経過についてのおもなる議論等私は伺ったのでございます。長期の税制のあり方については、これは税制調査会におきまして審議されておることもちろんだと思います。と申しますのは、本来税制のあるべき姿、これは中立性を保つべきことだ。こういう言い方をしておられますので、長期の税制のあり方につきましてはなお検討はいたしますが、これは答申をいただいたということであります。ところで、来年度予算編成にも関連を持ちます、来年度の予算はいかにあるべきか、こういう点の報告を伺ったのでありますが、実は、大蔵当局とも全然打ち合わせなしでありますし、私はいきなりその報告を伺ったのでございます。しこうして、私がその面におきまして率直に申しましたことは、税制の中立性、これは議論のないところでしょう。それを維持されることはよろしい。しかしながら、私どもはしばしば政治的立場から金融、財政、税制各方面からこれについてこういう現象に対しての対処をする、かように実はうたっております。また申しております。また、政治家としてはそうあるべきだと今日もなお考えております。したがって、税の具体的なあり方等についてはなお十二分にひとつ検討さしていただきたい。政府がときに力を入れるものがそれぞれあるだろう。まあ、いろいろ問題のあるものもございますが、問題のないものについて申せば、たとえば私は輸出奨励をやっておるかつて通産大臣時分に、輸出についての特別税制を各国の要望から引っ込めざるを得なかった。後退せざるを得なかった。しかしながら、今日そういう問題にぶつかってみると、いかにすれば輸出が増強されるか、やはり税制の面からもかようなことを考えるのが政治家ではないでしょうか。別に税制調査の皆さん方と御議論するわけではございませんが、そういう意味のやや弾力的な処置をひとつ政府としては採用したいから、ただいま御答申はありがたくちょうだいいたしますが、ただいま申し上げるような基本的な考え方でそれぞれの具体的なものについて取り組んでまいります。特に私が必要と考えますのは、ただいま輸出について申しましたが、あるいはこういう際は貯蓄も奨励したい。あるいはまた資本市場の健全なる育成強化、こういうこともはかりたい。そういうような意味におきまして税制がやはり役立つならば、本来の基本線を曲げるまでもなく、そういう点についても考慮をすべきだ、かように思います。こういう実はしろうと、また大胆な——大蔵当局には別に話を伺ったわけじゃございませんが、私自身の感じておる税制についての平素の考え方を率直に実は答えた次第でございます。 今日、大蔵大臣も具体的な案につきまして、いかに減税があるべきか、特に減税の要望は非常に強い。そういう意味でいろいろ減税財源について苦心しておられるようであります。先ほど来いろいろのお話を伺って私感ずるのでありますが、一面においてインフレ的な政策も必要である、一面においてデフレ的な政策も必要としておる。今日の済経状態は、デフレ的なものとインフレ的なものと、全然正反対なものをそれぞれの部面において取り扱わざるを得ない。これが政治家の立場じゃないだろうか。ただ単に経済学者的な考え方ならば、デフレ的な処置でこれに対処する、この言って済むかもわかりませんが、しかし、私ども、倒産は多い、あるいは不渡りはどんどん出ておる。あるいはまた、財界にも非常に苦しいものか次々に出ておる。しかも、私ども政治家として見ましたときに、いわゆる黒字倒産などは、あらゆるきめこまかな手を打ってこれを防がなければなりません。ただいまのような連鎖倒産等々を生じておるその事態に対して対処せざるを得ない。そういう際に、これは議論はいろいろあるだろうと思いますが、そういう意味でインフレ的な政策もデフレ的な政策も相互にかみ合わせて、また、時期的にそれぞれ対症療法をしていく。税の姿もやはりそういうことでなければ、今日の物価問題なりあるいは企業の実態なりに対処していくことはできないのではないか。たいへんそういう意味で憂慮して、また心配し、同時に、私は私なりに工夫をしているような次第でございます。
○山本伊三郎君 いま総理は、大蔵大臣がおられるから、あなたのほうが詳しいが、非常に意味深長なお話だった。税制調査会の答申があったけれども、政治家という立場からいえば、この答申に対してそのままやるかどうかは非常にむずかしいという意味のようにとれたのですが、この点あなたは佐藤さんとは一体の方だと思いますが、どういう考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 税制調査会の答申は、長期答申を受けまして、来年度の答申は来たる十六日に受けるという予定でございます。 総理は、長期答申を受けましたときに、ある時間懇談されたようであります。その間の事情をいま明らかにされたわけでございます。私もまだ、大蔵省が考えております税制のこまかい問題に対して総理に直接報告をしておりません。党の税制調査会もございますし、また、財源等の問題もございますので、いま鋭意検討を進めておるわけでございます。いずれにしましても、税制調査会の答申は尊重する、こういうことを国会を通じて国民に明らかにいたしておりますので、たいへんだなとは思います、事実。実際新聞その他で税制調査会が十六日に答申するであろうと報道されております数字だけでも、これは非常にたいへんだと思います。初年度だけでも所得税の減税が九百億になんなんとする、平年度約千百億にもなるということでございますから、非常にたいへんだとは思いますが、いずれにしても、たいへんの中にもこれを実現するというのが大蔵大臣の役目でもございますので、そういう意味でいま非常に苦労しておるということだけでもひとつ御理解賜わりたい。その上になおなおたくさんの減税をやりたい。総理には、閣外にありますときに、三千億減税という税に対する姿勢をしゃべられたことはございますが、ここまではなかなかすぐは行きませんけれども、財源乏しき中にも減税にはひとつ努力していきたいというので、日夜苦労しておることを申し上げます。
○山本伊三郎君 長期税制については、私も、率直に申しまして、まだ十分検討いたしておりません。来年度の減税については、実質四百四億ということがいわれておりますが、大蔵大臣がそう心配するようなものでないと私は思っているのです。で、所得税については今度若干ウエートを置かれたことについては、税調会に対して若干敬意を表していいと思う、その実数については別といたしまして。しかし、今度の税調会の実は案を見ましても、課税最低限にしましても一二%程度しか上がっておらないと思うのです。現在標準家族夫婦と子供四人では、現行では五十四万二千二百三十一円、初年度六十一万何がし、平年度で六十三万、こういう程度のものが答申されておると思うのですが、それにいたしましても、最低限課税だけを見ましても、一二%というと、物価の上昇その他生活内容の問題から考えますと、実質的な減税とはならぬと思うのです。したがって、いままでそういう試算をされているかどうかしりませんけれども、今度の所得税に関してのみでは、初年度の税収について所得税は差し引きどれだけの増になるか。これによって課税対象がふえるということでございますが、その試算をされておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 税調の答申はまだ正式に出たわけではございませんが、新聞その他でもって承知いたしておる数字から見ますと、差し引きいたしますと四百億余でございますけれども、所得税から見ますと、これはたいへんな減税でございます。すでに二千億減税といったときでも、平年度六百数十億が所得税の減税でございます。今度は初年度八百六、七十億の減税をやろうということでございます。ただ、差し引きをするというのは、こちらがいままでやりたいというような姿勢を明らかにいたしておりました利子所得の五%源泉分離を、一〇%に引き上げよう。そういうもので増税をはかって、それを全部所得税減税に回そうという、こういう方法でございますから、これは、そういう意味では、所得税減税に対しての答申がもし守られるとしたならば、これは画期的なものである。こういうことをすなおに国民各位は感じていただけると思います。でありますので、所得税だけでは過去にない最も大幅な減税をやりなさい、こういう答申のようでございます。これは非常に、引き上げられるほうからいいますと大反対もございますし、一体これで貯蓄増強ができるのか、資本蓄積は一体できるのか、不振の証券市場などはこれで一体よくなるのか、こういういろいろな議論がございます。ございますけれども、所得税に関しては、いずれにしても相当思い切った答申がいただけるようであるということは、これはひとつお認めいただけると思うわけでございます。しかも、しいて言えば、減税は、いま言ったとおり、所得税の減税に関しては八百六十億余の減税になるわけでございます。それを他の増収でもって差し引き……。
○山本伊三郎君 所得がふえて、所得全部のやつで四十年度の所得税収の見込みというものはできていませんか、これが実施されたときの。
○国務大臣(田中角榮君) それはまだできておりません。
○山本伊三郎君 できていないといっても、やはり事務当局では、そういう試算も相当これは専門家だから大体できると思うんですが、所得税収の四十年度は、本年度との比較においてどういう結末になるかわかりませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど経済企画庁長官か申しましたとおり、現在まだ来年度の経済成長率を想定できておりませんので、それによってこまかい税収をはじき出すというわけにはいかないわけでございます。
○山本伊三郎君 大まかでいいんです。
○国務大臣(田中角榮君) 大まかと申しましても、いやしくも国会で申し上げるような数字はまとまっておりません。
○山本伊三郎君 私は、その点がいつも、国会へ出て数年にしかならぬのですが、非常に不満なんですよ。今日参議院のこの予算委員会を終わりますと、今度予算委員会が衆議院で開かれるときには、来年度予算ができ、すでにあらゆる税収の見積もりがされる。その上で論議をする。論議をしたところで、結局それが通されてしまう。したがって、国会というものは、結局、はっきりしたものが出てからしか論議ができないというのがいままでの現状なんですね。したがって、この減税がやられるとはたして来年度の税収がどうなるか、そういうことも、すべてできてからでないと論議できぬということは非常に残念です。大蔵省は十九日にすでに予算の一応第一次案をつくろうということが新聞に出ているんですよ。それが、まだそういうものが全然わからぬということについては、ちょっとわれわれも理解できないんですがね。
○国務大臣(田中角榮君) これは先ほどから申し上げておりますとおり、成長率自身がまだ未定でございますのでどうしてもはじき出せない、しかも、いま実際きまっていない、こういうことでございますが、きめるまでには国会において十分御注意をいただいておりますので、そういうことを金科玉条としながら十分検討してやるわけでございますので、これはひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○山本伊三郎君 時間がないので、いろいろ追及したいのでございますが……。先ほど、くしくも租税特別措置に関する問題の増税の問題がありましたが、これは相当自民党政府としては問題があると思うのです。われわれはこれではいけないと思っておるのでございますが、利子所得税、配当所得の課税の改正——五%を一〇%に引き上げる、選択課税にするという問題についての見解について……。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げたとおり、非常に困っております。これは私だけの、現在はまだ不確定要素のままで申し上げておりますが、新聞に報道せられておりますような答申がそのまま答申をされて、この答申をこのまま尊重しなさいということになりますと、私としてはたいへん困るということは事実でございます。しかも、所得税減税を大幅にやりたいという感じは、れは私も人後に落ちないわけでございますが、それを貯蓄増強とか、それから資本蓄積とか、そういう全くいま焦眉の急にあるという面から増収を行なって、これを財源として所得税減税を大幅に行なうということでありますので、私としては非常にたいへんな状態にあるということは事実でございます。これは、物価問題がいま焦点になっておりますが、物価問題を一体片づけるには、物価を抑制するにはどういう方法をとるのかというと、これはもう申すまでもなく、各国がやっておることでございます。思い切った物価の処置というのは、ただ公共料金のストップだけではなくて、ある場合においては賃金ストップ、ある場合においては増税を行なう、こういうことで物価問題に、イタリアもどこも、対処しておるのでございますから、そのときに、物価問題、物価問題と言いながら、自民党政府は、一面において物価が上がるからどうしても実質的に減税をしなければならないということで、過去十年間にわたって一兆一千億、しかもそのうち九千億は所得税減税をやり、今度の答申も、逆に資本蓄積や貯蓄増強、いわゆる物価問題からは当然貯蓄増強と資本蓄積というように、いわゆる国民の余剰資金といいますか、消費に回るものを節約してもらって一応吸い上げたいといわれておるようなものを、逆に今度増税をして所得税減税に回すというのでありますから、理論的に見ても、物価問題から考えると、これもまたたいへんな答申の方向ではございます。ございますが、私どもも申し上げておりますように、所得税減税がやはり必要だ、こういう考えも持っておりますので、さて、あとは財源がない。ない財源の中でどうして貯蓄増強及び資本蓄積をやるかということがいま私が当面しておる最も困難なる問題でございますが、何とかしてひとつ知恵をしぼって、皆さまにほめられるべきひとつ減税案を仕上げたい、こう考えておるわけであります。
○山本伊三郎君 時間があれば、ひとついろいろ論争したいのですよ。いま大蔵大臣は、いわゆるイギリスのウィルソン首相が出された所得政策についても言及したいのじゃないかと思うのですが、そういうことを言っておると私の時間がなくなるから、あなたの時間は幾らでもあるのですが、それで残念ですが……反駁したいのは幾らでもありますよ。所得税減税にウエートを置けばどうなるかということを言いたいのですが、時間がありませんので、これはまた次の機会に譲りますが、一つだけ今度の新税新設のLPGの、いわゆる液化石油ガスに対する新税、これは私ちょっと、立場を別に変えても、問題があると思うのですが、この点どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) LPGにつきまして、LPGの新税創設につきましては、現在の段階において慎重に検討いたしております。これは税制調査会からは、地方税にするか、国税にするかは別として、新税を創設したほうがいいというような方向で答申をいただくように承知をいたしておりますが、これはいま御指摘がございましたように、なかなかたいへんな問題ではございます。しかし、財政当局から見ますと、ガソリン税収の相当額が道路財源として拘束を受けております。そういう意味からいいますと、LPGにガソリンが変わっていきつつあるということで、五カ年計画二兆一千億から四兆一千億に大幅にふえておるにもかかわらず、ガソリン税収入自体が頭打ちの状況であり、しかも、その中の相当部分が加速度的にLPGガスに移りつつあるということから考えますと、当然何らかの処置でLPGに対する税を確保しなければ道路財源の確保はむずかしいということになるわけでございます。理論的にもそうなると思います。ただ、現実的には新しいものを採用するのでございますから、設備とか、そういうものに対して投資が必要でございます。それで、実際の問題としまして、まあ、二万五、六千円にして、六、七十億、二万円にして五、六十億。一万五、六千円というような数字でもって考えますと、もっと初年度は低い税収になります。しかし、将来として私は当然この問題は考慮をすべきだと思います。そうしないと、じゃ道路整備をどうするかという問題にすぐぶつかるわけでございますので、また、一般財源を入れるということは困難な状況であるというふうになれば、いつの日にか必ずやらなければならぬ。しかし、これを今年度の税の改正ですぐ取り上げると、来年度これが相当大幅なタクシー料金等の値上げではね返ってくるということになりますと、公共料金ストップの問題で、一体どっちをとるべきか、非常にむずかしい問題がございます。これは特に国税か、地方税かという問題もありますので、前段申し上げたとおり、慎重な検討をいたしたいということでございます。
○山本伊三郎君 まあ、道路財源その他の問題がありますけれども、LPGについては、これは公害にも相当関係がある。で、これはきょうは時間がございませんが、LPGガスを使用するのと、ガソリン等によるのと、この大気の汚染する——スモッグのデータを実は私は、私が調査をさせて、大阪の市立衛生試験所にやらしておる。これについて、厚生大臣は、一体そういうLPGガスの排気によるものと、ガソリンの排気によるものとの大気の汚染の相違、状態、公害の立場から調査をされておりますか。
○国務大臣(神田博君) 研究させておりますが、まだ結論は出ておりません。
○山本伊三郎君 私は厚生大臣を責めるわけじゃないのですがね、これは相当まあ廃棄していたものを廃棄物利用でやったことがもとなんですが、これがために設備——自動車そのものに設備して、相当金をかけてやっておるのです。そして、いわゆる公害等から考えて奨励すべき燃料なんです。それに対して、またそれに課税するということは、結局、政府は何を考えてやっておるのか。まあ、税源から見ると、大蔵大臣言われるように、ほしいようなところの税源であるけれども、総体的に見ると、私はこの点は相当検討すべきであると思いますが、時間がないからそれ一点と、最終的に、今度税調会が十六日に出されるこの答申に対して大蔵大臣はいま慎重な発言をされたが、われわれとしては所得課税にウエートを置いておるというこの答申については、ある程度私は賛意と申しますか、敬意を表しておるのですが、どうしてもやはりもう減税財源がそうないという現状から、これは最低限として課税、減税はこれでやらなくちゃならぬと思うのですが、その点どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) LPGの問題につきましては、先ほど申し上げたとおり、最終的にはいつの日にか必ずこれはもうガソリン税収入が減れば当然課税すべきだ。ただ、四十年度の問題に対しては、諸般の問題を十分検討をいたしておりますということであります。それは、中には、いまあなたが御指摘になったように、公害予算は、一体五十億の税収を取って公害予算を百億出すのですかというような荒っぽい陳情といいますか、私を説得しようという人もございます。でございますから、公害問題とか、新しいもの、いままで特にこれは利用できないでおったものが、技術的、科学的な進歩によって、かわるものが新しい燃料として出てきておる。しかも、これは車の改造あるいはスタンドの改造、また、タクシーという公共料金にすぐ直接関係のあるものがこれを使っておる。こういう問題で、いま頭を痛めておる、慎重にやっておるということで御理解いただきたいと思います。しかし、これはいつまでもやらないのではなく、これはいつの日にかガソリンにこれがかわっていくのですから、これは当然必要な方向である。その意味では、税調の答申も方向としては間違いないということだけはひとつ御理解いただきたいと思います。 それからもう一つの、税調の答申を不満足ながらこれをやるか、私のほうでこれをもし実施ができるとすれば、不満どころでなく、私は相当なものだとは考えておりますが、財源の問題から考えますと、なかなかむずかしい問題がたくさんございます。ございますが、税調の答申を、基本的には答申を尊重いたしますと明らかにいたしており、私といたしましては、これが実現のためにあらゆる努力を傾けてまいりたい、こう考えます。
○山本伊三郎君 減税の問題については一応その程度におきます。 それで最後になりますが、来年度の予算の大体の見積もりが新聞に出ておるのでございますが、総予算、どの程度におさめるべきであるか、大蔵大臣の見解だけ、これだけちょっと。
○国務大臣(田中角榮君) 経済成長率もまだ想定の段階でございまして、正式な決定が出ておりませんので、税収の総額の見積もりもできず、また、減税の総額もきまっておらないところでございますので、一般会計の総額を対前年度比どうするかということは、まださだかに申し上げられる段階ではございませんが、本年度が一四・二%の増でございますので、少なくともそれ以下に押えたいということは基本的姿勢でございます。以下であるならば、一二%ないし二二%かということになるわけでありますから、これは計数整理をして見ないと、こうはっきり申し上げるわけではありませんが、いずれにしても一四・二%をこすような一般会計の規模にはならないであろうということは申し上げられます。財政投融資につきましても、財源の状態から考えますと、まあ、正常な財源は大体一五%程度でございます。でございますので、これも一般会計の規模と同じく、対前年度比の伸び率を高く押えるということはむずかしい段階だということでございます。基本的には財政投融資また金融、表裏一体の原則のもとに予算編成を進めてまいりたい、こういう考えであります。
○山本伊三郎君 財投でも質問をしたいと思いませが、とうとう時間もなくなってしまったので、医療費の問題で厚生大臣にお伺いいたします。 実は私、本会議でもあなたに質問したのですが、この四月に中央医療協が答申をして、緊急是正八%、それにはいろいろ医師会また医療側からは問題ありますけれども、一応中間機関としてそういうもので答申されたものを、政府があなたと党三役ぐらいで話をして、これを一・五%引き上げて九・五%にするという、こういうことは今後医療費の決定に対して、その内容のよし悪しは、支払い固体とそれから医療団体のほうには問題があることは当然です。それをかってにそういうことを政府がやるということについては、一つのよい決定のルールを、私は政府みずから破ったと思うのですが、その点について、厚生大臣、どういう考えを持っておられるか。
○国務大臣(神田博君) 医療費に関しまして、今年の四月十八日ですか、中医協から答申がありましたことは御承知のとおりでございます。このまた中医協の答申につきまして、その答申までの経過あるいは答申につきまして、一方のにない手である医師会側が非常な反対をしておることも、これは御承知のとおりでございます。四月に決定いたしまして、私が就任いたしましたのは七月でございましたか、とにかく四月から七月まで決定も見なかった。その決定を施行を見なかったということも、これは事実でございます。私、就任後約六十日ぐらいでございますか、慎重にこの決定を調査いたしまして、中医協の答申の線を十分尊重いたしまして、中医協の答申の線に沿いました決定と申しますか、九・五を予算措置をいたしまして、そうして円満に施行いたしたい、こういういろいろの角度から考えた結果、そういうようなことになりまして、まあ、今日予算にお願いしておる、こういう事情でございます。
○山本伊三郎君 まあ、適正医療ということについては、これはなかなか問題があります。しかし、私はいま言っておるのは、中医協の答申に沿ってと言われますけれども、一・五%のこの引き上げの差というものは、沿ったとは言えない。それがために補正予算にも相当の費用が盛られておるのですね。私は少なくともあなたが信任されて厚生大臣になってやられたことでございますが、少なくともあらゆる社会的ないまの実情から見て、そういう公正な中間機関の答申というものは、やはり一応それを承認した上に立って、今後問題があるときは、政府は異存があれば、政府のほうからまたそれに対して諮問をしていいと思う。一・五%上げて、私はその意図に沿ったとは思っていない。あなたの独断ではないですか。
○国務大臣(神田博君) いまお述べになったような御議論のあることもよく存じておりますが、しかし、あの答申案を十分調査いたしまして、答申の内容はいろいろございます。八%ということは、いわゆる常識的に出た八%という線でございまして、私が九・五に、いろいろ調査いたしましてそういう政府の決定を見たということも、必ずしも答申の線をはずれておるというふうに見ていない面もございます。ただ、今度国会に中立委員の御承認をお願いしておりますが、いずれ中立委員の御承認が済みますればこれを任命するという段取りになるわけでございます。そういう手はずになりますれば、追って中医協を開きまして、十分御審議を願うと、こういうことになっております。
○山本伊三郎君 私の言うことが通じないと思うのですがね。しからば、九・五%をあなたが調査をしてこれが適当であるというこの医療費の基準は、これは絶対的ですか。また四月には、何かいろいろ医師会はだめだと、医師会自身も問題にしておりますよ。それでおさまりますか、これを聞いておきます。
○国務大臣(神田博君) 今回ののは、御承知のよりに、緊急是正でございまして、九・五で私はおさめていただきたいと、こういう念願でございます。
○山本伊三郎君 緊急是正であるから、暫定的なものであるから八%出されておるのですね。それをあなたはいろいろ調査して九・五%にやったと言われるんですね。一体その根拠はどこにあるのですか。
○国務大臣(神田博君) 中医協に諮問をいたしたわけでございます。諮問に対する答申でございまして、この答申を受けて、厚生大臣があらゆる角度から調査いたしまして、勘案いたしまして、そしてそういう結論に達してお願いしておると、こういう事情でございます。
○山本伊三郎君 またいずれこの問題については——これでは私は納得しない、おさまりませんが、きょうはこの程度でおいておきます。 そこで、実は地方財政の問題で大蔵大臣にちょっと聞いておきたいのですが、地方財政が——あなたは国家財政もそうだと言うと思いますが、それは言わないで、地方財政を考えてもらいたい。自治大臣もここにおりますけれども、地方財政は非常に困っておる。しかも、経済成長に伴って産業基盤強化のために地方財政が相当支出されておる。こういうことで困っておるので、今度も地方交付税率の引き上げをいわれておるわけでございますけれども、大蔵省としてはどう考えておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 現在のところ、御要求はございますが、引き上げが非常にむずかしいと、こういう考え方を持っております。これはただ大蔵大臣としての立場だけで申し上げておるのではございませんで、広範囲に考えて、そのような結論を私はいま現時点において持っております。それはなぜかと申しますと、二八・九%の地方交付税率を三〇%に一・一%引き上げたほうがよろしいということでございますが、これは、ただ、今度の人事院勧告の問題を契機にして、こういう問題が深刻になっておりますが、地方財政そのものが、四十年度予算になりますと、国の一般会計の規模よりも大きくなるわけでございます。でございますから、物価問題等を考えておりますと、財政はただ国の一般会計、財政投融資のワクだけをしぼるのではなく、やはり特別会計も、政府関係機関も、また地方財政も十分その姿勢に応じなければ、これらの問題は解決できないわけであります。でありますから、地方財政が非常に逼迫しておるという現状は私も承知をしております。私自身が地方自治の確立、地方財政の健全化という方針は十分承知しておりますし、地方開発論者でありますので、言うことはわかるのでありますが、いまの段階において四十年度を契機にしてこれを片づけるということにはどうしても納得ができないのであります。でありますから、これから中期経済計画の中において地方計画はどうあるべきか、国と地方との行政の分担はどうあるべきか、また地方財政の状態をどうすべきか、また財源調整の問題等は一体どう解決するのか、こういう問題を総合的に検討して、しかる後に、国と地方との関係である交付税率の問題を真剣に検討するというならば、私も話はわかりますが、いずれにしても、金がないからただこのままでもって交付税率を三〇%に引き上げる、それ以外にない、ですから、減税をするにも国から補てんをしなければならない——いろいろな問題を考えて、そういうことで、私はいま直ちにこの問題を首背するわけにはまいらないということを申し上げておるのでございまして、この間の事情をひとつ十分御了解を賜わりたい。
○国務大臣(吉武恵市君) 地方財政の逼迫の状況は、山本さんから御指摘のとおりでございます。また、国の財政が非常に困難であることも、ただいま大蔵大臣から述べたとおりでございます。しかしながら、困難であるということだけでは解決はいたしません。地方財政の今日の状況を打開いたしまするためには、交付税率をどうしても上げなきゃならぬのではないか、こういうことで目下打衝しておるところでございます。
○山本伊三郎君 それはひとつ、自治大臣のしりをたたくわけじゃないけれども、うんとおやりなさい。大蔵大臣の事情はわかるけれども、それは地方財政はきわめて破局の状態ですから。 そこで、時間がきましたが、最後になりましたが、労働大臣ひとつ。私、どうしてもこれをやらぬとどうもおさまらぬ因縁がありますので。ILO八十七号の問題ですが、この前、あれは永岡氏ですかだれかに答えられましたが、倉石修正案についてはいろいろ問題があってとうとうああいうことに落ちつきましたが、あれはもう自民党内部があんなものは約束ではないということで立ち消えたようにいわれておりますが、それはそれといたしまして、これはいずれにしても解決しなければならぬ問題だと思います、もうあなたの御答弁のとおり。ILOの理事会にも総会にもあなたは出席されて、国際情勢もあなたはよく御存じでございますが、今度は政府の原案として、倉石修正案ということばを使っていいかどうか知りませんが、われわれ社会党の意向を入れたものを出してもらえるだろうという考えにわれわれはおるのでございますが、この点について労働大臣の見解を一つ伺いたい。 それからいよいよ来年早々ILOから調査団が参りますが、こういう際でございますから、われわれも内部的に争いを起こしたものを見せたくありません。したがって、できるならばそれまでに、まあ国会で結論が出なかっても、政治的にある程度了解をするということがやはり政治家としては必要でなかろうかと思いますので、その点も、いつごろあなたのほうでそういうものがまとまるのか、この見通しについても一つ、この二つについてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 前国会に設けられました特別委員会におきまして、当時提出せられました政府の原案と、同時に、野党の方々と申しますか、社会党の方々と自由民主党の代表者との間でまとまりましたいわゆる倉石修正案というものが論議の的と相なりまして、それについて私の前任者であります大橋前労働大臣がいろいろお答えをいたしております。そのお答えをなされたことについては私も責任を継承するつもりでございますし、政府の原案においてもそれをあとう限り盛り上げていくように努力をいたしておるつもりでございます。また、政府は、ILO当局からのいろいろな問い合わせに対して、政府の公式見解をILO当局に送っております。それもむろん尊重し、内容に組み入れられていくべきものと考えております。で、政府原案の作成は非常に急いでおりまして、もうほとんど大体了解点に達しました。そこで、近々党にそれを提示いたしまして党の御検討を願う、こういう運びになっております。私といたしましても、ドライヤー調査団が来日をせられるときには、政府としてこの批准案件についての原案を持っていることが必要である、こう考えておる次第でございます。
○山本伊三郎君 もう質問ではないのですが、ほかの建設その他の大臣にせっかく来ていただきましたが、時間がございませんので、質問ができないことをまことに遺憾と思いますが、御了解いただきたいと思います。 これで終わります。
○委員長(寺尾豊君) 山本君の質疑は終了いたしました。 午後二時十分再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後一時五分休憩 —————・————— 午後二時二十六分開会
○委員長(寺尾豊君) 予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。藤田進君。
○藤田進君 まず最初に、アジア外交を中心に総理、外相にお伺いいたしたいと思います。御承知のように、本日をもちまして補正予算に関する審議は最後の段階となってまいりました。この八日以来かなりきめのこまかい質疑がかわされましたが、総理から受け取りましたわれわれの印象といたしましては、重要な問題についてはいまだ結論がないということのほうが正しいと思われます。しかし、すでに来一月を目途に、おそらく十日でございますか、アメリカにも渡られる、その地ならしとしての本日ワトソン高等弁務官との会見もされる、あるいはアフリカ在外公館長会議にも出席され、鋭意情報の把握なり等々について努力されているようにうかがうわけでありますので、本日はどうか総理としての所信を明確にお答えをいただきたいと思います。 そこで、その第一は、過日椎名外相は国連におきましていろいろ演説をされているのでありますが、要するに、アジアにおけるいわば運命共同体としてのアジアの立場から、首相はどういうイニシアチブをとろうとされるのか、私はきわめて重要な段階に来ていると思うのであります。この間の質疑応答の中から出ていますものを見ても、総理は阿具根委員の質疑に対して次のように答えております。中共の国連加盟というもののもたらす影響として、「二つの政府が台湾海峡をはさんで、そうして対峙しておる。これは直ちに片一方を除外すると、こういうような結果を生ずるなら、これはアジアの平和にも市大なる影響のあることだ。私どもは安閑としてはおれない問題だ。かように、私はほんとうに身近に、これが重要問題であるということを、私は痛切に感じます。」と言われているのであります。これは繰り返し言われております。そこで、中共の国連加盟というものが現在票読みもなかなか複雑で、その帰趨は明らかでないといたしましても、かなり流動する中において、加盟へのいわば時間の問題とさえ言われているときに、もし中共が加盟するということになれば、それほど安閑としておれない、いかにも戦争がすぐでも始まろうかという意味の御表現があるわけで、この問題意識についてまず掘り下げた意見をお伺いしたいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の具体的な外交につきましては、御指摘のように、まだはっきりしたものをつかんでおりません。しかしながら、私が今日まで集めました材料では、私のいわゆる自主平和外交という路線につきましては、私はだんだん自信を強めてきておると、こういう感じがいたしております。ことに、アジア、アフリカ各国の公館長な、どの話を聞いてみますと、そういう点はよほど自信を強めておると、かように申してもいいのではないだろうか、かように私思っておるのでございます。 ただいまお話しになりました中国問題は、これは現実の具体的な外交の問題でございますが、これにつきましてはまだ確とした態度をきめてはおりません。ただいま御指摘のように、二つの政権があるということ、これはいなめない事実であります。その門に何らかの調整方法があるのか。これがただいま言われる国連加盟は時間の問題だと、こう言われるが、こういう場合に時間の問題と言うことができるのかどうか。時間の問題だと言っていると、これは一年あるいは二年先、非常に短い問題のときにしばしば使うのでございますが、私はそれほどの切迫感はまだ感じておりません。これが何年かかる問題か、まだまだ見通しが立たない、かように思いますので藤田さんの言われておる時間の問題だといたしましても、ことしじゅうにそういう事態になるのだ、あるいは来年は必ずなるんだ、こういうような差し迫った考え方でもないんではないか。そのことば自身、私の理解するものと藤田さんの主張なさるものが幸いにして同一であればしあわせでございますが、非常な差し迫った時間の問題と、こういう感じはちょっといたしかねるのでございます。そういう立場から、ただいまの二つの政権、しかもそれが台湾海峡をはさんで対峙している、こういう事実がある。おそらく、このことにつきましては、世界各国とも関心を持っておることだと思いますが、そういう意味において、この問題をいかに片づけるか、そういう意味で国連加盟の諸国の間にもいろいろ意見が出ている。そういう事柄がただいまの問題の解決の進展への方向をたどっておる証左ではあるだろう。しかし、決定的なまだ議論が出ておらない、そういうのがいまの段階ではないかと、かように私は考えております。したがいまして、やや先を急がないといいますか、私の態度とすれば先を急がない気持ちでこの問題と取り組んでまいると、かような状況であります。
○藤田進君 残されている御答弁は、アジアの平和にも重大な影響がある、安閑としておれない、中共が国連加盟するということになれば。こういうことを、速記がここにあるが、しばしばお答えになっているわけです。そのように重大である、あるいは台湾が日本に攻めてくるのではないかといったような印象を国民は受けるわけです。そこらの事情を、こういう表現の根拠をなすものをお伺いしたいわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げますように、中国は一つだと言っておる。これは台湾も中共も同じことでございます。しかし、現実には二つの政権が対峙しておる、これも事実でございます。そういう状況でございますから、片一方を除外するとかその代表権にかわるというときにどういうような処置に出るか、私は想像がつかないのであります。非常に重大に考えれば重大だと、かようなことを触れたと思います。したがいまして、これはただいま申し上げておるように、そんなことはたいしたことはないんだ、片一方を除外したってそれは問題ないんだと、かようには私は思わない、かように思います。
○藤田進君 総理の言われているアジアの平和にも重大な影響を持つ、私はほんとうに身近に考えていて安閑としておれないという意味が、何か中共加盟ということが決すれば台湾は軍事行動に出るとか、何かそういうことの意味があるのかないのか。アジアの平和ですよ、安閑としておれないという問題の意識を明確に聞いておきたいということがポイントなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたように、二つが対峙しておることは御承知だと思います。そうしてその中国加盟が、今日までのところでは、一般にいわれておるのは、中国の代表権問題に関することだ、かように私は理解しております。そういたしますと、中共を支援する国連加盟国の連中は、中国の代表権者である台湾に中共がかわれと、こういうことを言っておるようでございます。そういう場合が出たときに一体はたして台湾はどういうふうになさるか、これはたいへんな問題だと、かように思います。しかしながら、先ほど来申し上げますように、これは理論的な構成の問題でございますが、いわゆる時期の問題だということがそれがさほどに差し迫っておらないという解釈でありますならば、これまたそこにゆとりのある問題である、かように考えます。したがいまして、答弁だけから得られます結論はいろいろございましょうが、実際にこの問題の処刑にあたって私どもが考える場合、あらゆる場合をくふうし、あらゆる場合を想定して結論を出していかなければならない、それほど重大な問題だと、かように申しておるのであります。
○藤田進君 岸さんもそれから石井さん等を含む日華協力委員会が先般持たれ、共同声明が発せられております。私はこれをここで読み上げませんが、これについて日本政府、ことに総理大臣としては、どういうふうにお考えか。政府をしてかくかくせしめる、政府をしてどうということが多く出ているわけであります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日華協力委員会は直接政府と関係がないわけでありまして、私も役人を離れた時代に協力委員会の一員として向こうに渡ったことがあります。これは全く政府の責任というようなものは全然そこに出てこないのでありまして、もしさような文句を使うとすれば、中華民国の民間の要望を持ち帰ってそうして政府にこれを伝達してそのしかるべき政府の活動を促進すると、そういう意味に使っておるのでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣もまだ報告を聞いていないということでありますが、私もまた報告を聞いておりません。また、私と岸との間は個人的にはたいへん親しい仲でございますが、事柄はそれと混淆すべき筋のものではないように思います。
○藤田進君 まあそれほどのものかもしれません。まだ一切関知しないという外務大臣の御答弁で、それにしても情報把握その他いかがなものかと私は思う。本日ワトソン高等弁務官とも会われているようでございますが、またアフリカ在外公館長会議にも出られて、ますますその自信を強めたという所信表明でございます。やがて来月あたりになりまして、ジョンソン大統領初め、それぞれ要路にお会いになるということのようですが、本日会われました模様をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ワトソン弁務官とは、日本に来られた際に、私に敬意を表する、こういうことでございまして、これは初めて会ったわけでございまするから、初対面のあいさつをした。と同時に、ライシャワー大使も一緒でありますから、今日沖繩問題について、いろいろ経済委員会その他で協議しておる事項や、その他一般的な事柄、しかも弁務官の所掌する範囲は限られておりますから、弁務官というよりも、大使と話をするほうが本筋のものが多いのでございます。そういうことは、きょうは時間が十分ありませんので、その辺までの話し合いはできませんでした。ただ、ワトソン弁務官から、特に関心を寄せられているものが、琉球産の砂糖の問題、これなど出してみえまして、そして大へん友好裏に話が続けられた、かような状態でございます。公館長会議のほうには、御承知のように、アフリカですでに独立した国が三十六カ国ございます。わがほうで駐在しております外交官が十三というようなことでございますから、この独立した各国に対しまして実情を周知さす、理解を深める、こういうことにもただいま事を欠いている、そういう意味で、各国からの事情を聞いてまいりましたが、とにかくアフリカの国々は最近独立し、国内整備に非常な力をいたしておる。まだ外国の事情については十分材料を持っていないというのが今日までのところではないか、かように思います。また、過般行なわれましたオリンピックに参加したその国も、三十六カ国のうちできわめて少数でございますし、さようなことなども、これから在外公館の働くべきそういう方向についての指示をいたしたわけであります。ことに重大な第二回AA会議が開催されようとしておりますから、そういうことについての事務的な詰めを願っておいたような次第でございます。いずれにいたしましても、私はアジアに位し、そうしてアフリカとも特別な深い関係を持っているこの日本が、これらの国情につきまして、さらに詳しい材料を持ち、そうしてこれらの国々ともども提携いたして、世界の平和へ努力すること、これが私どもの責務ではないか、かような考えを強くした次第でありまして、先ほど申すような自主、平和外交、こういうことが、特にこういう意味で感ぜられるのでございます。ワトソン弁務官との話し合いは、ただいま申したような程度であり、また公館長会議は、私は昼食をしながら、連中とひざをまじえて話し合った程度でございますが、その受けた感じは、ただいま率直に御披露したとおりでございます。
○藤田進君 訪米を前にして、少なくともワトソン氏との間には、あるいはライシャワー大使も陪席されたといたしますればなおのこと、自治権の拡大等を中心に意見の交換を十分して、しかる後に訪米をなさるというふうに私ども受け取っておりましたが、まことにそのことがなかったとすれば遺憾に思います。この点重ねてお伺いをいたしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 全然話し合いがないわけではございませんが、非常に時間が短い、ことにその基礎になりますものが、一九六二年、故ケネディ大統領の琉球諸島についての本来の基本的なとりきめがございます。この一九六二年のケネディの覚え書きというものは、その前年に池田総理が出かけられて、そうして琉球の問題、これをケネディと話し会った。それに基づいて発せられたものでございますし、ただいまその内容、それを具体的に詰めているというのが今日の状況でございます。もちろん施政権の問題が加味され、自治権拡大の問題が加味されている、そういう実情にあることを御了承いただきたいと思います。
○藤田進君 正直に言われれば理解するわけですが、先ほどはどうも佐藤さんが砂糖の話を聞いたということで終わったのかなというような印象を受けました。 そこで佐藤さんがかなり積極的に、つまり自主的な外交を展開しようというふうに所信表明ないし質疑応答でも出てきているのですが、参勤交代だなんだといわれておりますが、今度アメリカにおいでになる場合は、日本の首班、政府首脳として、総理としてものを言うべきは言う、そして理解を深めて、中国問題、あるいはその他アジア全般にわたる問題で相当な切り込んだ話をされてくるように思われて一面いるわけです。沖繩自治権はもちろんのこと、佐藤さん年来の北方を含む領土の返還というようなことまで進むかどうかは別として、かなり沖繩問題についても突っ込んだ、そしてアジアにおける外交については相当なイニシアをとった姿勢でおいでになると理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そういう態度で臨みたいと、かようなただいま意欲的な気持で一ぱいでございます。
○藤田進君 これは姿勢というだけでなく、態度というだけでなく、それにはそれ相当の問題を提起されなければならぬと思います。その問題の提起は、いずれ会談され、共同コミュニケになるか、そういった時期まで私は洗い出してとは申し上げませんが、重要なポイントとしてはこういう問題を考えているということは、国民も期待しているだろうし、国会を通して明確にしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま勉強の最中でございます。したがいまして、その全部について申し上げることもいかがかと思いますが、しかし、私が申し上げたいことは、最近の国際情勢の変化に対応して、あるいはその他の国がどういう、フランス、イギリス等がどういう考え方をもっているか、さらにまた、アジアの問題について積極的に当方の立場上で主張することがございますが、同時に、相手国もどういうことを考えているか、それが中国問題であったり、ベトナムの問題であったり、また、台湾の問題であったりするだろうと思いますが、同時に、韓国の問題も忘れることはできませんし、こういうアジアの各般の問題につきまして、忌憚のない意見の交換をしたいし、さらに私どもがかねて主張している沖繩の問題、さらにまた貿易上の問題、いろいろございます。大体項目別に分けてみると、ただいま御披露しているような点でございます。それをいかようにするか、その個々の問題につきましては、いままでもそれぞれに断片的にお話ししていると思いますが、しかし、ジョンソン大統領と会見する際にはそういうものをさらに掘り下げてまとめていく必要があるように思いますので、ただ問題点だけを披露しておきまして、それから先はしばらくあずからしていただきたいと思います。
○藤田進君 椎名外相も随行されるということも聞くわけですが、主要なメンバーとしてはどういう代表団でおいでになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣を同行するつもりでございます。外務大臣は同時に日英外相会議等引き続いて行なわれますので、その前にアメリカに行っていただこうと、かように考えておりまして、それ以外にはただいま予定いたしておりません。大臣は外務大臣と私が出かけたい、かように考えております。
○藤田進君 去る十日、モスクワ放送を通じて日本の国連における、いわば主導権を期待するような放送がなされ、広く国内におきましても、アジア外交については、特に平和の問題、非核武装等を中心に日本の外交のあり方を期待していると思います。いわば前向きの方向で期待していると思います。これらの線に沿ってアメリカとの折衝は十分ひとつわがほうの考えを、議会を通じて野党の考えも御存じだと思いますから反映していただきたい。それにしても調和の政治、話し合いの政治と言われていますが、この際、これら少なくとも外交問題について意見を忌憚なく交換して遺漏なきを期する意味で、野党党首との会談というか——会談は困るが党首会見ならいいと言われていますが、それは会見、会談どちらでもよろしい、お会いになって、そういった基礎の上でジョンソン大統領をたずねられるという、そういう準備はございませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 野党党首との会談あるいは会見、もちろんそれは会談でも会見でもどちらでもよろしゅうございますが、ただいま私どもが展開する外交自身の問題がまだはっきりした線が出ておりませんので、ただいま御協力を求めるという立場にはまだ出ておりません。しこうして、今回出かける、そのものがもともと理解あるいは認識、そういうことにつきまして十分の意思の疎通をはかりたいということが主眼でございますだけに、ただいま直ちに野党党首と会見あるいは会談する、こういうところまでまだ運んでおりません。しかし、これはもちろん私どもの希望するところではありますから、問題が煮詰まり、また同時に具体的なもので、こういう点について野党の方々の協力を求めたいと、こういう段階になれば、私どもも積極的に会談でも会見でもけっこうでございますが、そういうものを開くような段取りにしたい、かように考えております。
○藤田進君 与党ないし政府間の結論が出てという場合もあり得るでしょう。それも方法でしょうが、この種問題は与野党が共同決定をするという段階には至らないことはよく承知いたしております。それだからこそ、かたく固まった意見になる前に、むしろいろいろ意見も徴しながら、政府の意向を固めるということが、この際適当ではないかと思うのですが、しかし、訪米なさるまでにはあるいはそういう機会もあるかもしれないし、その場合には会見したいというふうにも聞えるわけでございますが、訪米前にそのような機会を持つ可能性があると受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) せっかく会談あるいは会見、そうして協力し、また自分たちの意見も述べたい、かようなお気持ちであれば、これは私どもも望むところでありますから、これを拒むというようなことはもちろんいたしません。しかして私のほうからただいま御迷惑をおかけするような段階になるかどうか、しばらく模様を見させていただきたいというのが私の真意でございます。私はもともと各党首とも、国の行く道でございますから、そういう意味で共同の場があり、そうしてそこで虚心たんかいに意見を吐露してみると、必ず国にも幸いすることだと、国政の運営上必ず役立つと、かような持論を持っております。ただいま私がアメリカに出かける、その前に、そういう事柄を開かなければならないか、必要性をどこまで考えるか。もともとそこまでの必要性はなくとも、会えばいいじゃないか、こういう議論もあると思います。しかし、やっぱり会えば何か結論を出さなくちゃならない。こういうような段階だと、よほどそれにつきましても慎重な態度でお答えをしないと、ただいまのところではむずかしいのではないか、かように思いますから、ただ意見を聞いただけ、これだけではあまり意味がございませんし、何らかの意見の一致の方向で、そして到達することが望ましい、かように思いますので、この会見、会談というのもやっぱり慎重にすべきじゃないだろうか、こういう気持ちでございます。藤田さんのお話になりますお気持ちもよくわかりますから、私もそういう線に沿っては十分国政を運用していきたい、かように思っておりますけれども、ただいま申し上げますように、会談してあるいはお目にかかって、どういう結論が出るのか、そこらまだやや私のほうが煮詰まらないものがある、そういう意味で腹づもりができていないというのが偽りない現状についての私の心境でございます。
○藤田進君 国内における与野党の間においてさえ、それほど慎重にちゃんと地ならしができて会見、会談すれば、かくかくの結論が出る、双方ののみ得るというときでなければ会わないというふうに聞える。しかし相手方から会見の申し入れ等があれば、これは拒まないということも言明されている。このことを、訪米されてジョンソン大統領に会うという場合には、どうわれわれ理解したらいいのですか。すでに訪米前にある種の問題の提起とその内容並びに結論が出て、そのことを実質的、形式的にも整えるために訪米なさる。いかにも野党領袖、党首も会うと同様におやりになるのか、あるいはとにかく行って話してみなければ相手のこともそう煮詰まってはいない、会った上で理解も深め、また向こうの言い分も聞いて、まとまるものはまとめてみようということではないのだろうかと私は思ったのですが、その態度と、国内における総理の態度というものは大きな矛盾がありはしませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 会談、会見、こういうものは何か議論なしにすっと行なわれたときにけっこうなんで、いや会うか会わないか、一体何を話するのだ、こう話が議論めいてきますと、もうそれで大体会おうという雰囲気がこわれやすいものでございます。したがいまして、私は先ほど藤田さんのお尋ねにいろいろお答えをしておるんですが、その点が基本的に問題ではないかと思います。私は藤田さんのおっしゃった最初の滑り出しのようなお尋ねの気持ちでこういう問題を扱うべきではないか、かように思うのでございます。これはなかなか議論してくるとむずかしくなる、議論なしにそのものずばりと会う、そこで問題が解決する、こういうこともありますので、その辺は十分ベテランであられる藤田さんもその間の呼吸はよくおのみ込みだと思いますから、そういうものではないか、かように思います。
○藤田進君 さっぱりわかりませんが、じゃジョンソンさんとは大体話の一致する見通しなり、いかにも野党とお会いになると同様な結論が出ているのですか。ちゃんと外交路線を通じて話し合いがついているのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 結論は、まだもちろん出ておりません。先ほど来申し上げますように、ただいま案を練りつつある、こういうことでございますから、まだそこまでいって、同一意見だと、かようには私は思いません。まだこれから案をつくるわけでございますから、まだ相当時間がかかる問題だと、かように思っております。
○藤田進君 では、野党党首方面からの申し入れがあれば、これを拒まないと言うことは、明らかにできるわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、それは差しつかえないことです。ただ、これも野党から申し込んだら受けますと、こう四角四面でお答えしますと、総理は申し込めと言ったと、じゃ、行こうか、こういうようになりますので、その辺は誤解のないように願いたいと思います。それは、当方が外交を担当しておるという立場から申せば、本来なら私のほうからお願いする筋のものなんです。だから、そういう点も、野党から申し込んだら聞くか、かように詰め寄られると、いかにも理屈っぽくなります。もちろんこれは問題のないことであります。本来、私のほうが積極性を持つべき筋のものだと、かように思っておるのでございます。ですから、その点は誤解のないようにお願いします。
○藤田進君 今度の所信表明におきまして、総理並びに外相は、国連の平和維持体制の強化ということを言われ、国連における外相演説にも、このことが明らかに出ております。ソ連の提案ないし北欧その他のものに触れながら、ここに所信を表明されているのであります。しからば、その国連平和維持体制というものを——このことは、演説草稿を外相ないし総理も了解したということのようですが、もちろんそうだと思うのです。だとすれば、わが方の国連平和維持体制なりは、具体的にはどういうものを構想されているのか、お伺いしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) すでに申し上げたように、ソ連の国連常備軍の構想は、そのアイデアにおいては何人も私は反対はないと思うのであります。ただ、その具体的方法につきましては、多分に問題がある。特に、この常備軍の実際の管理運営、あるいは経費等の問題については、安全保障理事会が専管する、こういうようなこと。しかも、常任理事国は、これに常備軍を提供しないというようなことが書いてあります。御承知のとおり常任理事国は、いずれも拒否権を持っておる。でありますから、この拒否権が発動されると、常備軍は全く動かない。それからまた、国連憲章の上からいっても、経費の出し方等について、多分にそこに疑義を生ずるのであります。その他いろいろの点について、これを動かす上におきまして非常な疑問があるのでありますから、これらの問題をすべて解決するということでなければ動かない、しかも、その解決はきわめて困難だというのでございますから、むしろ手っとり早く国連の平和維持機能を強化するという現状に当てはめてこれを考える場合には、北欧三国、オランダあるいはカナダ等の提唱する国連軍待機部隊、それを各国が持っておって、いざ鎌倉という場合にこれを提供して、平和維持機能の強化にこれを資する、こういうことのほうが、きわめて現段階においては手っとり早いのじゃないか。ただし、これにももちろん問題がありまして、それの運営をどうするか、それから待機部隊というものの段階において、国連との関係をどうするか、あるいは経費の分担をどうするかというようなことが書いてありませんし、しかもこれは、国連に具体的に提案された問題ではない、そういうような段階でございますから、まだ実際に国連加盟の各国がこれを具体的に研究するという状況に迫られておらないというような状況でございます。これはさきに申し上げたとおりでありますが、しかし、それがいよいよ提案されるかされないかは別として、もしも提案された場合は、日本が、一体これに対して、どういう態度をもって対処するかということになるのでありますが、これらの問題は、すでに申し上げたとおり、これ自体の疑問がもう少し解明されて、そうして、しかも日本の憲法等のたてまえから、はたしていかなる形の参画が可能であるかというようなことを、ただいまその準備のために研究に取りかかっておるような段階でございます。
○藤田進君 あなたの御提案は、全面完全軍縮が実現する過程において設置される国連平和軍へと進化することを強く希望するという演説なんですね。この平和軍へ進化を希望されるわけですが、このことは、単なる国連におけるはったりや理想論ではなくて、建設的、現実的な問題として、あなたはこれを提起されたと解するのが至当ではないでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ希望を述べたのでございまして、まだこれを国連に提案したというものではもちろんございません。さように御了承を願います。
○藤田進君 理想論ですか。現実論としてお出しになったのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 現実問題としては、やはり待機部隊というものをもう少し詰めて、具体的にこの内容をはっきりさせて、そうしてそれに日本としてどの程度参画し得るかということがまず第一段階であろうと思います。そうして各国の軍備縮小あるいは全面的軍縮というような方向に向かってだんだん一歩ずつ近づいてまいる、その過程において国連平和軍というものの構想が生まれてくる、こういうようなことは、まことに日本としても望ましいことなのである、こういう希望を述べた次第でございます。
○藤田進君 所信表明にも出ているように、国連の平和維持体制の強化ということは、現実の今日の問題として、外相はその所信として表明していると思うのであります。違いますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的にそういう問題が一歩一歩実現に向かって近づくことはまことに望ましいという希望を申したのでございまして、まだこれをもって提案とか、あるいは問題の提起とかいうべき段階ではないと思います。
○藤田進君 所信表明はさっぱり——どうなっているんですか。「来たるべき第十九回国連総会においては、特に、国際連合の平和維持機能強化の問題及び南北問題が、最も一重要」になってくるんだと、それであなたは乗り込んでいって演説したんでしょう。希望するということは、その建設的な、あるいは現実的な基礎をもっておやりになったんだと私は思うのです。どうなんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ結局ただいまのところは希望を述べたのでありますけれども、しかし、いやしくとも一国を代表してかようなことを述べた以上は、もし国連待機部隊というようなものがだんだん具体化してまいる、また一方において、さらにこれより進んだ意見が出てくるというような場合には、日本として可能な範囲においてこれに参画する意思があるということをやはり表明しておるものとは思いますけれども、こういうことは一国でなし得る問題ではありません。やはり国連加盟国全体の世論がそこにかたまってくる場合には、これに対して決して責任回避をするものではないというだけの意思の表明はしたものと解釈いたします。
○戸叶武君 国連で外務大臣が演説をやったときの態度ときょうの藤田さんに対する答弁とでは、非常に違いがあると思います。外交は内政と違って待ったがきかないのです。したがって外交は慎重を要し、性格的にはコンサルティングであるとまでいわれているほどなのです。しかるにあなたの国連総会における演説においては、国連の平和維持機能をいかに強化するかの重要な問題に対して、ソ連の提案に対してはこれに反対し、カナダ、北欧、オランダ等の国連待機部隊設置の問題に対しては国連平和軍へ進化させようとはかっているものであるという認定のもとに、積極的に賛成しているのです。賛成する前の態度としては、きょう藤田さんへの答弁であなたが言ったように、これ自体の疑問が解明されることが第一です。もう一つは、あなたがきょう答弁したように、日本憲法からして、いかなる参画が可能であるかということを研究しなければならないのです。その二つを究明しないで、あなたは国際会議の国連総会において、積極的にこれを支持するような態度表明をしたじゃないですか。この態度を表明したからには、あとに引くことはできないんです。この態度を表明したからには、あなたはきょう言ったのと違って、事前にこれ自体の疑問を解明してかかったはずである。それからこれに積極的に参画しようとするならば、日本憲法からしていかなる参画が可能であるかということを研究した結果の発言でなければならないのです。あのときの態度ときょうの答弁とは、えらい違いであります。これは外交がこういうしろうとといいますか、あなたのようなあぶなっかしい、あとと先とがまるで宙返りしているような行き方をされては、一国を代表する外務大臣として非常にあぶなっかしいのです。これは外務大臣の答弁並びに総理大臣の答弁を促します。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ソ連の提案に対して、私はこれをまっこうから反対しているのではないのでありまして、そのアイデアについては私は何人も反対はないと考えます。平和維持の機能を強化する意味においてそういう常備軍を持つということはけっこうだと思います。ただしかしながら、これを安保理事会の専管にするということになりますと、これは拒否権によって一国が拒否権を行使した場合に、ほとんど動かなくなる。それからまた常任理事国がこれに出兵をしないということも、理事国の軍備はみな非常に強大でありますから、どうもその強大なもののほかに立っている国連常備軍というものは、いかにもまあ見ようによっては貧弱な場合も出てくる、こういうようなことも疑問の一つでございます。それからまた、経費はすべて憲章によって総会の権限になっているのだが、それも安保理事会の専管ということになっているというようなことがあって、いろんなことがありますが、基本的には、この拒否権というものが強く働くということをそのまま許すならば、常備軍も一動かなくなるのではないか、であるからして実際の用には非常に立ちにくいということを申しているのでありまして、それよりも、常備軍というものには至らないけれども、待機軍というものを各国が持っておって、そして緊急の場合にはこれを供出するということのほうがもう少し手っとり早い。ただそれにしても、いまのどういう運営をするか、それからまた待機部隊の段階においてどういう関係を国連との間に持つかというようなことが明確でないと……。こういうことを言っているのでありまして、いまあなたのおっしゃるようにソ連の提案は反対、待機軍は賛成、そう簡単に言ったわけじゃありません。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
○戸叶武君 総理大臣が答弁しづらいようですけれど、この問題は外交評論家ならばよろしいのです。一国を代表しての外務大臣が国連総会の上においてあのような明快な意見を披瀝したということは、私は軽率だと思います。日本国憲法の第九条をあなたは知っているはずです。この日本には、この第九条があるために、いまこれをめぐって憲法改正の論議も非常に重要なので、国連待機軍が出たからといって、外交評論家のようにすぐ飛びついて、それをどうこうという態度表明をすべきでなくて、こういうものが提案され、できたが、日本がこれに対してどうかという考えが具体的に問われたときには、日本の国会で十分に審議するなり、閣内でもって十分に検討するなり、その慎重さを経て、はじめて国際社会に対して日本の外務大臣としての態度表明がされてしかるべきなのです。あなたはそういう先ばしった態度表明をやって、だれにも問われない先に一番先ばしった表明をやって、日本のこの国会を無視し、内閣における過程を無視して独走するというような行き方は、日本の外務大臣としてきわめて不適任だと思います。この大切なときに。総理大臣少ししかっておいてください、態度表明を願います。今後もあることですから。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま国連そのものが果たすべき役割がいろいろあると思いますが、そのうちでも、国連自身が持つ平和維持機能、こういうものが国連でただいま中心課題になっておることはよく御存じのとおりだと思います。いかにして国連の平和機能を強化するか、この立場からやはり平和維持機構という、そういう方向に議論が発展しておると思います。ただいま外務大臣がお答えいたしましたのも、また、当時国連総会において発言いたしましたのも、おそらくこの国連の持つ機能、これを強化する、そのための機構、そういうところにまで議論が発展したものがと、かように私は思います。しこうして、わが国の憲法、また、その他の法律が、具体的の場合にもちろん議論の余地がある、また、ものによりましては全然憲法で禁止しておる、こういう事項もあろうと思います。したがいまして、国連総会における外務大臣の発言は、ただいま申し上げるよな基本的態度からいろいろ議論を進めた、それが演説になったのだ、かように私は理解しておりますが、さような御理解をいただきたいと思いますし、また、具体的な問題になれば、もちろん国会にも、重大なる案件でもありますし、また、わが国の憲法その他の法律のあることも十分政府としては理解しておるところでありますから、具体化した場合に、そういうものと抵触するやいなや、これは十分研究しなければなりませんが、ただいま演説したその段階におきましてはそこまでの問題はないように私は思っておるのであります。過日の本会議におきましての私の答弁も、さような意味合いにおきまして、この国連の持つ平和機能、同時に、これは強化しなければならない。しかしまだ具体的にいかようなものが出てくるかどうもわからないのだ、そういう際に十分とくと研究しよう、こういうことを本会議でもお答えしたように思っておりますし、いまなお同じような考え方でございますし、また、外務大臣の先ほど来の答弁も、さように私は聞いておるような次第でございます。
○藤田進君 なるほど外相は、ソ連の提案は、しばしば安保理事会という姿で拒否権を持つこの理事会の運営等は尊重しつつ、総会における運営といったことをうたっているのであります。そのことさえ合理化されていけば、拒否権のないようにということであれば、ソ連の提案にも必ずしも反対ではない、賛成してやぶさかではないということにもなるわけで、また、他面、北欧その他の提案については、きわめてこれに注目すべき発言をされております。 そこで、総理の御答弁ではありますが、そういう希望し、あるいはこれに賛否を表する場合に、わが国として、しからばどういう具体的世界平和維持機能強化になる、あるいは国連軍というか、平和維持部隊というか、こういうものにどういう貢献を具体的にはなさろうとするのか。総理の所信表明でも、世界平和維持のためには一そう積極的な貢献をなし得るよう努力すると言われておる。これを受けて、外相の所信表明はさらに前進し、国連演説となってあらわれておる。この一連のものがどういう姿で、具体的にはどういう貢献をすることになるのか、お伺いしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 前提を踏んだ話でございますから、そのつもりでお聞き取りを願いたいと思いますが、かりに北欧三国等の提案に関して不明瞭な点で明瞭になって、そうしてこの経費をどうするか、あるいは運営をどうするか、あるいは待機部隊の段階において国連との関係がどういうことに相なるかというようなことが具体的に解明されて、そうしてこれが国連にいよいよ提案されてそれが具体的になった場合、日本としてはどういうふうにこれに貢献するかということだろうと思いますが、これは先ほど以来申し上げたように、日本の憲法との関係を十分に研究をいたしまして、疑義のない方法をとらなければなりません。でありますから、経費の分担それ自体にもあるいは問題があるかもしれない。そういうようなことは、ただいまのところ、そういう仮定のもとに、その前提のもとにいろいろいま研究しておる段階でございますので、はっきりと申し上げることができないのでありますけれども、しかしながら、結局国連加盟の一国として、世界の平和維持機能の強化のために何にも貢献ができないというのじゃまことに情けない。何かそこに憲法その他の点において十分の解明がありますれば、日本としては応分の協力をしなければならぬものと考えておる次第でございます。
○藤田進君 いや、もうどこがどうあろうと、総理も外相も、議会の所信表明として、貢献をなし得るように努力すると言っているのです。そのときが来てみて貢献できるのか、どんなことになるのか研究しようと言っておるのじゃないのですよ。そんな所信表明では困るのです。あなたが国連で演説され、希望された平和軍というものへの進化ということを言っておる。あなたが提起する、その希望する平和軍への進化についてはしからばどうなんです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 平和軍が常設されるということは非常に理想でございまして、まだまだ今日の現実から申しまして遠いのであります。しかし、そういうような理想の形態ができますればまことにけっこうなことでございまして、何らかの方法によって日本といたしましてもそれに協力、貢献すべきであると考えております。
○藤田進君 その何らかの方法という点をお伺いしている。貢献すると言っているのです、外相も総理も。ちゃんと印刷物でもらい、私どもも聞いたのです、本会議で。その具体的一環として平和軍への進化を希望された。何らかのこれに協力するという、その何らかのということを明確にすべきです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) おことばを返すようでありますが、私は「全面完全軍縮が実現する過程において設置されると思われる国際連合平和軍へと進化することを強く希望するのであります。このためにわが国を含むすべての加盟国が、関連する諸問題の解決方法の検討に一そう協力すべきであると考えるものであります。」と、こういうふうに言い回しておりますので、そう断定的に必ず協力するとか貢献するということを言っておるわけではありません、どうぞさように御了承願います。
○羽生三七君 いまのお話の中に、何らかの寄与を検討されると言いますが、検討する必要もなく、いわゆる日本の海外派兵を意味するような形で国連軍なりあるいは待機部隊、これに参加するということは、検討するまでもなく、憲法違反ということは明瞭なんじゃないですか。だから、現在のいわゆる交戦を目的としたような軍隊がなくなって、いわゆる軍備というものが完全になくなって、純然たる世界平和機構としての国連常備警察隊というものができた場合には、これ話は全く別です。私は、むしろそういうものはできたほうがいいと思っておる。そうでなしに、現状の機構のもとにおいてそういうものができた場合に日本が何らかの寄与をするといった場合は、赤十字的な活動、医薬とか、その他そういうことは検討の余地があるでしょうが、いまお話のような点は、これは検討するまでもなく、明瞭だと思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(高辻正巳君) お話がやや技術的な点になってまいりましたので、私から答弁さしていただきます。国連の平和維持機能に対する協力としては、むろんこれはいろいろな援助の種類がございますから、そういう道でできるわけでございますが、問題は、国連の待機軍を設置することそのことについて一体どの程度できるかという問題になると思います。国連待機軍については、これを頭から平和の目的だけに限っていくということであれば、これはむろん一法でございますが、てれ以外の分野になりますと、これは全く私が申し上げるまでもないわけでございますが、日本の憲法が武力の行使、武力の威嚇というものについて厳重な禁止規定を置いておりますし、また、参議院は、かつて、自衛隊についてではありますけれども、海外出動をしてはならぬという御決議もございます。そういうものをみんな頭に入れまして、一体どの程度までできるかということは、かなりデリケートな問題でございます。むろん国連の協力活動というのは、観念的に割り切って言えば何でもないのでございますが、これが何ぶん国際場裏の問題でございますので、その辺はうんと締めて考えていかないと将来に悔いを残すこともあり得るわけでございます。そういうわけで、これを具体的に考えるにつきましては、もう少し時間をかけてわれわれとしては勉強さしていただきたい、こう思うわけでございます。
○藤田進君 三百代言の言うことは聞きたくない。外相にお伺いするけれども、あるいは総理もこれを了承して演説をしている。国連の平和軍への進化を希望して、あとに読まれたとおり、これに寄与することを固い約束をされている、国内的にも。その何らかということを具体的にまず聞きたいのです、外相。
○国務大臣(椎名悦三郎君) でありますから、たびたびお話するように、日本の憲法のたてまえが厳然として存在しておるのでありますから、もしも出兵に参加するというようなことは、これは私は憲法の解釈の専門家でもございませんけれども、おそらくこれはもう不可能な問題だと思います。その他いかなる形でも一体協力できないものか、どういう範囲ならばできるかというようなことにつきましては、これは法制局等において十分に研究している段階でございます。
○藤田進君 研究して結論も出ないのに、まあのうのうと国連の百何カ国の代表の前でこのような希望をあなたはしたのですか。そんな不見識なものですか、この演説は。総理にお伺いしますが、一そう積極的な平和維持に貢献をなし得るよう努力する所在でありますとあなたはおっしゃっておる。外相の演説は了解されたと私は聞いております。どういう協力をするのですか。問題を提起し、希望されている。
○国務大臣(佐藤榮作君) 平和機能、これは先ほど来お話が出ておりますが、ただいま私どもが協力することは、法制局長官お答えしたように、いままでも幾らも協力しておる事柄がございますし、これがたとえば国連の費用負担をしたり、あるいは、また、活動に便するために、あるいは厚生施設の面で協力をしたり、あるいは技術協力の面でいろいろコンサルタントその他に協力しいる、こういう事柄が全部国連の機能を強化する、国連自身が平和機能を持っている、こういう立場から私どもそれに協力しておるわけです。ですから、積極的に協力することは現憲法下におきましても私どもはなし得る、そういうことをもっと積極的にやったらどうか、こういうことを申し上げておるわけであります。私は、その所信表明で別に問題を起こしているとは思いません。また、そうあるべきだと思います。ことにわが国のような立場にある国は、当然国連のような世界各国の協力を得る、そういう立場において世界の平和を守るのが当然だ、だからこそ各方面にわたって積極的な協力をする、これを私は主張しておるのでございます。
○藤田進君 だんだん明確になってきました。総理がただいま例示せられましたことをもって積極的な貢献という内容をわれわれは読み取るというふうに理解して、その他のことはないのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、国連への協力は、ただいま思いついただけ披露したわけでございます。その他にもまだあるかもわかりません。あるいは農業関係におきましても、あるいは、また、商業関係におきましてもそれぞれあるだろうと思います。だから、そう限定はするつもりはございませんし、私のまだ知らない点があれば御指摘をいただきたい、かように思います。
○藤田進君 では、逆にこちらから指摘をいたしますからお答えをいただきたいのですが、外相が希望した平和軍への進化という、そういういわば平和維持軍、これを平和維持機能の中核とした場合に、これに対して分担金の負担をする、あるいは直接求められてこれに部隊を派遣するということは、それ以外にもあると言われても、それは含まれておるのかいないのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは外務大臣からお答えしたほうがいいと思いますが、そこまでの具体的なものはございません。私は、国連待機軍、こういう発言をしておる。そのもとにおきましては、国連に加入しておる各国がそういう事柄で意見をまとめてくれればたいへんけっこうだ、こういう主張だと思います。この意味で、私、さらに経費分担はどうなるか、あるいはそういう場合に出兵するのかしないのか、そこまで掘り下げた議論ではないと私は思います。問題は、ただいま国連の平和機構はいかにあるべきかというのでいろいろ各国が議論しているそういう際に、一つの提案としてただいま申し上げるような事柄を外務大臣が言うのは、私、不見識ではないだろう。ただ、十分掘り下げられておらない、煮詰まっておらない、そういうことを言うことは無責任じゃないか、かように言われることは、どうも国際問題の処理にあたって、やや先走った御議論ではないかと、私はかように理解しております。
○藤田進君 いや、この問題は総理、もうすでに池田内閣でも問題になっておるのです。わがほうに求められた場合、部隊は憲法上送れないのだ、そういうものを一体のうのうと提案してみたりすることがわが国の外交としてプラスかマイナスかという議論も、すでにこまかい議論がなされておるのです、過去に、予算委員会においても。にもかかわらず、この際、特に佐藤内閣の外相としてこの問題を提起される以上、国際外交場裏において、いろいろな国内的問題も煮詰めて、政府も十分意思の統一をされて、かくあるべきという希望を出されるものだと私どもは信じます。そこらで煮詰めてはいないが、まあ腰だめでこれはどうだと、そういうものではないと理解をしていたわけで、したがって、このような平和軍への進化の場合に、わがほうは部隊は送れないけれども、あるいは送るからという結論は当然あるべきだと思う。参議院においては、昭和二十九年にも、自衛隊の海外派遣はいかぬとか決議をしてある。それから、憲法は明らかに第九条でとめている。だからこそ憲法九条の改正を与党の憲法調査会委員としては、るる述べられて、愛知さんもそのメンバーだと思うんですが、われわれに出されている記録等を読んでみると、海外の国連軍に関連しての発言が出ているんです。そういう事情を十分御存じの総理として私はお伺いしているわけで、これに部隊を送る所存なのかどうなのか。送れないけれども、よそのほうでやってもらおうということなのか。そのときでなきゃわからない、研究中だと本会議であなた言っていたんですよ。そんなことは通りませんよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん現状におきましては、憲法なり自衛隊法でこれははっきりしている事柄でございます。だから、わが国がなし得ることは憲法並びに自衛隊法等ではっきりしている、こういうところで疑問はないだろうと、私はかように考えております。
○藤田進君 念のために念押しをしますが、現行憲法上、その解釈上も、そういった平和軍への進化の場合、部隊を送ることはこれはできないと理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はできないように思いますが、法制局長官はできる場合とできない場合があると、かように法律の専門家は申しておりますので、なお正確を期する意味で、法制局長官の説明を一応御聴取願います。
○政府委員(高辻正巳君) 非常に慎重に私申し上げているつもりでございますが、要するに、国連警察軍というものが一体いかなるものであるかということに尽きます。たとえば国連待機軍をつくるというのは何のためにつくるかと申しますと、いわゆる国連警察軍に対する一つの寄与の方法、手段でございます。したがって、問題は、いわゆる国連警察軍に対する協力の中身になると思います。したがって、その協力の中身が憲法九条に該当するようなものでなければ、これはむろんいいということになります。ところが、そうでない場合には憲法に抵触をするということになるわけで、そういう意味からできるものとできないものがあると言わざるを得ないわけでございまして、たとえばこれは前から出ていると思いますが、一つの国際社会というものが、一つの進化の過程として、あるいは結果として理想的な一つの社会に近いものができる、その社会の中での治安を維持するというようなことになれば、これは協力の余地があるように思います。ところが、国連の介在がありましても、やはり一国対一国の国際紛争の解決というような場面になりますと、これは私が申し上げるまでもなく、憲法との関係が問題になります。そういう意味で、十ぱ一からげにできるということも申せませんし、また、同時に、その活動を抜きにして、一切できないということも言えないわけでございます。どうもそれについてその辺が御不満でございますが、その辺を十分に考えていかなければならぬというのが私の率直な考えでございます。
○藤田進君 かんかん晴れて照っている日は天気でございますが、曇ったり雨が降ると天気が悪うございますと言うようなものですよ。具体的に言っているのですよ。平和軍として進化することを希望されるわけです、政府が。それに対してどうなのかという端的な問題だ。あなたの議論を聞いていると、部隊は警察オンリーだと、紛争に直接武力をもって介入するものではないから、日本海を渡るかどこを渡るか、渡って行った。ところが、行って見ると、いざ知らず、他の国の部隊とともに行動に移らなければならぬ。いやこれはどうも様子が違う、われわれは憲法があってそうはいかぬのだからといって列外へ出て、また引き返して帰ってくるというようなことになるわけでしょう。そんなことを聞いているのじゃない。具体的にいま外相が希望したものについてはどうかと言っているのです。
○政府委員(高辻正巳君) もう少しこまかく申し上げますが、例の武力の行使、いわゆる国連軍の協力という場合に、武力の行使にわたらないようなもの、これはむろんたいした問題ではないと思います。ところで、武力を行使する場合について問題があるわけですが、その武力の行使の場合に、国際紛争を解決するような実態がある場合、そういう場合については、憲法から、なまやさしくそれができるということは言えない。言える場合があるとすれば、さっき申し上げたような一つの典型的な事例になりますが、国際社会における治安の維持というようなことに徹底したようなものであれば、これはできないとは言えないだろうと思います。その辺は非常に不徹底であると仰せられますが、観念論で言えば大体いま申し上げたようなところで、国連の協力がそういう平和目的に限るということであれば、要するに武力の行使というのはそこに大きな要素ではないということであればできると申し上げていいと思います。
○藤田進君 平和軍に進化したこの軍隊はどうかと言っているのです。答弁になっていないですよ。答弁する気なら、聞いたことを答弁してくれよ。
○政府委員(高辻正巳君) 平和軍に進化した場合はどうかというお尋ねのようでございまして、私よけいなことを心配して申し上げましたが、その平和軍なるものが、さっき申し上げたような一つの理想的な典型的な場面であれば、それはできないとは言えない、こう思います。
○藤田進君 総理大臣にかわって答弁するのだから、外相に聞いて、どういうものを想定しているのか、それに対してどうだと、こうならば、ああならばと、そんなことじゃないのです。外相と打ち合わせして、どういう軍隊を想定しているのか、それに対してどうか。
○政府委員(高辻正巳君) 先ほど申し上げましたが、平和軍というのが先ほど私が御説明したようなものであれば、これは問題ではないと思います。平和軍というのは、現在の段階でこういうものであるということを、現実にそれができているわけでございませんので、それこそできる場合を考えつつその場面に対処する方策を考えていけばそれでいいのではないかと思うわけでございます。
○藤田進君 外相は演説で、平和軍に進化することを強く希望して、列国はこうせいと言っているのでしょうが。その構想をまず確かめて、それはどうかといって聞いている。よその外務大臣が言っているのなら聞きませんよ。日本の外務大臣が提起しているのだから、どういう軍隊を提起しているのか、構想を持っているのか、重大な問題ですよ、これは。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国際平和軍と申しましても、その内容が軍隊であるか、いわゆる国際間の紛争を実力をもって処理する軍隊であるか、それとも国際社会の警察隊であるかという点について必ずしも明確ではございませんので、その両方を想定していま法制局長官から申し上げた次第でございます。
○藤田進君 あなたがどういう考えなのかだ。椎名さん、あなたが平和軍への進化を熱望されるわけで、その平和軍については一つの構想があるはずです。それはこまかくどこの国が何人で、費用はどうということは、そこまではないとしても、こういう平和維持の機能としては、ものが必要だ。それが完全軍縮に至る過程に軍縮になってしまえばいいが、至る過程にはこういうものがほしいのだ、希望するのだとあなたはおっしゃっているでしょう。そうなんでしょう。だとすれば、どういうものを想定されているかということは、それはわかっているはずです。それをお答えください。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的な軍縮の過程に当てはめて、そして国連としてどういう機能のものを常備するかということになるのでありますが、いずれにいたしましても、私は、国連の平和維持機能の強化、それから完全軍縮への方向をあくまで進めるというこの形に対して、その軍縮の推進と申しますか、その下段として平和軍に進化することを希望する、こういうふうに概括的に話したのでありまして、そのときの平和軍は警察軍的なものであるか、それとも、それよりもはみ出たものであるかというようなことについては、それは具体的にその場合によってその姿というものはおのずからあらわれるのでございまして、いまからどちらかに固定的にきめてかかるということは、これは無理ではないかと思うのであります。
○藤田進君 まあ国連外交というものがそうだとすれば、まことにどうもあやしいものであることのますます感を深めるわけであります。言い出したものの、憲法上問題があるので、その辺を逃げているということのようですけれども、これはいつの日か現実の事態に逢着されることと思いますし、そのことをいまの日にやはり予定して国際外交の上で明確な態度をとらなければならないと思います。ことに警察あるいは監視隊程度で行った場合は憲法に違反しないのだ。やったところが紛争状態があり、ここに巻き込まれていくようなときだけは、わがほうだけは逃げて帰ってくるのだというような理屈を言うに至っては、どうも納得がいきません。総理の重ねての、いま警察軍のような場合、あるいはそうでない国際紛争を力で解決する、介入するというような場合等々が提起されているが、それぞれについて見解を承っておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど法制局長官がお答えしたとおりでございまして、問題の国連軍、これは頭の中で描いた、また、将来の国連、恒久平和社会というようなもの、そういうようなものを念頭に置いての国連軍、いわゆる警察軍というようなものと、先ほど来言われる紛争解決の待機隊というようなものと、こういうような場合とだいぶ意見が違っていると思います。それは先ほど法制局長官が言ったとおりでございます。なお、もう一度、政府の所見を、こういう場合には出る、こういう場合には出られない、こういうことをお尋ねでございますから、法制局長官をして説明させます。
○政府委員(高辻正巳君) きわめて大ざっぱな言い方であることを御了承願いたいのですが、要するに、国際平和社会というものが実現する過程にはいろいろな段階があると思います。要するに、先ほどは理想的と申し上げましたが、われわれが頭に描くそういう社会ができた、あたかも国際社会の中で一国の治安の維持というものと相当するような一つの機構というものが現出いたしました場合に、日本がそれに兵力を提供するということは、末節の法制上の問題はいろいろございます。ございますが、大きな憲法のワクからいえば、これは憲法が国際紛争を解決する手段として武力の行使を否認しているということとは直接にはぶつからない。あとは政策の大きな当否の問題があることはむろんであると思いますが、理論上はそうだと思います。ところが、その過程に至ります場合に、たとえば皆さん御承知のとおりの朝鮮動乱とか、ああいうことになりますと、いま言いましたような段階のものとは多少趣が違ってきます。そういうものについて日本国が国連待機軍というようなものを設けると仮定しまして、そういう場合に、それに出ていくようなことになりますと、やはり憲法上は相当考えなければならぬ問題があるのではないか、こう思うわけでございます。で、国際平和社会というものが実現して、先ほどお尋ねのような意味合いのものがそれでありますなら、それは十分に考える余地があるというふうに思うわけでございます。むろんそれらは武力の行使というのが中心的な問題の場合でございます。そうでなくて、武力の行使を伴わないような場合につきましては、これはまた憲法の九条の問題外の問題で、もっぱら政策の問題になるわけでございます。
○藤田進君 これは法制局長官に端的に聞くが、わがほうがそれに参加するということになれば、丸腰で一切の武器、兵器は持たずに行くということになれば間違はないということになりますか。
○政府委員(高辻正巳君) 丸腰ならいい、丸腰でなければいけないというようなことではなくて、まさにその協力活動の実質内容そのものでございます。
○藤田進君 多くの問題を残しておりますので、次に移りますが、最近議会でいろいろ議決し、あるいは委員会における議決といったものが非常になおざりになりつつあることはまことに遺憾であります。いやしくも、委員会あるいは本会議等における議決というものは、これをそのまま実施されるのが至当であると思う。いかがでしょうか、総理のお心がまえは。
○国務大臣(田中角榮君) 各省法律案御審議のときに、各委員会、本会議等で、衆参両院とも、幾多の附帯決議等をおつけいただくわけでございますが、法律ではございませんが、国会の御意思の決定でありますので、政府は川能な限りこれが実現に努めるという基本的姿勢をとっているわけでございます。
○藤田進君 これは総理が答弁するのが至当だと思いますが、去る通常国会におきまして、地方行政委員会において附帯決議がなされている。これは一つの例であります。それは工業整備特別地域整備促進法に対する附帯決議、この中で「工業整備特別地域整備事業の地方負担の軽減を図るため、新産業都市の場合と同様に、実施に当たっては、国の予算および財政投融資を重点的に投入」する、さらに長いのですけれども、議員提出でいろいろないま地域開発法がありますね。あるいは何々地方開発とか、これらを総合的に、抜本的にひとつ再検討しよう。そしてすみやかに、これは次の国会を予定したわけです、これじゃありません、通常国会、二十一日からの、ということになっているのに、私の調査では、何らこの決議が作用していない。そしてさらに議員提出で与党筋もお出しになろうかという動きさえあるのであります。こういう日本の地域開発、総合開発ということは、ある面では、佐藤総理の所信にあるように、地域格差の是正をする、よって社会開発をするという国全体の問題としてお考えになろうとしている。大蔵大臣は人間尊重の意味で、島とかあるいは山間僻地——人間がいる、これも考えたいという答弁をこの間していた。とするならば総合的に——散発的に議員提出ということではなくて、この際は、附帯決議にあるように、総合的な施策として抜本的な検討を加えて、これが集約化をはかられる時期に来ていると私は思う。だから全会一致で議決され、ときの国務大臣も、これについてそのようにいたしますと答弁をしている。いまだ何らのこれが措置がないということはまことに遺憾であります。いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最初のお尋ねのとき、大蔵大臣がお答えいたしましたように、もちろん国会の決議は尊重しなければなりません。その線は私どもがもちろん堅持していかなければなりません。しかして、しばしば予算的措置を伴うもの、あるいは立法的措置を必要とするものとか、いろいろあるようでございます。その決議事項だけを取り上げて簡単に申しましても、予算的措置あるいは立法事項その他、まあ行政的措置ならば比較的御期待に沿い得るものと思いますが、そういうようないろいろのテクニックの問題があると思います。そういう点で、できるだけ私どもは決議は尊重してまいりますが、そういう意味の実施の時期、実施の方法等につきましては、いわゆる附帯決議の場合にややその趣を異にしておるのじゃないだろうか。しかしながら、毎年毎年同一の決議が出されて、そしてそれが予算的措置を講ぜられたもの、これは過去の例でも幾つもあると思います。したがいまして、決議をみたらその次の国会で必ずやるとか、あるいはその次に必ずそれが解決するとか、そこまではやや皆さま方のほうも性急ではないだろうか、かように私は思いますが、いずれにいたしましても、非常に多数の決議がなされておる。そういうものを一まとめにして一つの立法をしてみたい、こういう事柄は皆さま方の関係でおやりになること、そういうことがなお研究の余地ではあるとは私思いますが、さらに、この種の簡易な気持ちで、また非常に手っとり早い気持ちで、この附帯決議がなされること、これは今後慎重に扱われるべき筋のものだと、かように私は理解しております。
○藤田進君 ちょっと不穏当なことを総理は言われますよ。これは大蔵大臣の答弁でぼくは理解していたんですがね、何だかんだ言われるが、要するに、決議の乱発をおまえらするが、それはひとつおまえら慎しめというのが一つ、金を伴ったり、立法を伴うものはそうそうにできるかい、また、それはそのうちにできるものはできるわいとしか聞こえないですよ、これはね、そういうものであっちゃならぬのですよ。これらの決議、いま指摘したものは、ときの与党、これが政府との折衝も持ち、担当大臣、所管大臣とも折衝を持ち、そしてでき上がっているんです。おおむねそうです。いま工特法についてもそうです。ですから所管大臣が答弁をしておる、必ず。本会議の決議では必ず本会議において所管大臣が答弁しているでしょう。こういうものが逐一実施されていかなければ、これは問題によっては、その国会で無理ならば、次の国会もありましょう。この精神が失われてくれば、法案をあるいは修正したいけれども、しかし、この際は成立させよう、しかし、次の機会には抜本的に全体をひとつ考え直そう——この問題はまさにそうなんです。そうしますから、この際はひとつ成立させようということになっているのに、まさにこれは食い逃げじゃないですか。食い逃げをいたしますという私は約束はできない。それからこれは通産においてもあるのです。池田総理、それから労働大臣は大橋さんが出られまして、いろいろやりました結果、電気事業法案に対する附帯決議というものがある。これは一体どうなっていますか。さらに、本会議における議決もあるのです。労働の部面もございます。これはILO条約批准のこの状況下において、スト規制法についてはもうこれは必要なしと言わぬばかりの御答弁もいただいて、ならば、この際、これが撤廃の方向で検討せよという決議になっている。どうなっていますか。
○国務大臣(石田博英君) 前国会におきまして、電気事業法を御可決願いますときの附帯決議として、スト規制法を撤廃の方向に向かって検討をしろという附帯決議がございましたことは、事務引き継ぎのときに承知をいたしております。このスト規制法がどういう経過で制定され、そして今日に至っているかということは、藤田委員よく御承知のとおりであります。私もまた、この間においてこのスト規制法に該当するような事案の起こらなかったということはよく承知いたしております。また、スト権というものは、この労働の基本権の中心をなすものであることも承知をいたしております。そこで、御決議に基づきまして、この本案制定の当時のような危険性は今日全くなくなっているであろうかどうか、あるいはまた本案を廃止いたしましたときに、電気供給事業というようなものを確保する保証が得られるかどうか、あるいはまたこの法律によって保たれておりまする国民の安心感というものが、法律の廃止によって不安感に変わるようなことはないだろうか。言いかえれば、世論の理解を得られるだろうかどうかということにわたってただいま検討をいたしておるのでありますが、決議の趣旨を十分尊重いたしまして、前向きで検討をいたしたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 通産省の所管では、電気事業法の附帯決議、それから総合エネルギー政策に関する決議、さらに日本電気計器検定所法案に対する附帯決議、それらであったと思うのであります。先ほど総理も言われましたように、また、大蔵大臣も言われましたように、今後立法措置を必要とするもの、あるいは財政上の問題に関連するものにつきましては、このたびのこの幾つかの決議にはそれほど関係がないと思うのであります。主として行政指導の面の問題が多うございまして、たとえば総合エネルギー政策に関する決議におきまして、これは特別調査団を派遣して、積極的に対策を推進する、これは現に実行をいたしております。また、日本電気計器検定所の発足に当たって注意すべき事項が、参議院におきましては六項目あったと思いますが、ただいま詳しく述べるのを避けますが、大体六項目その御趣旨に沿うて善処をいたしております。また電気事業法の附帯決議によります通産省関係につきましてのサービスの水準の向上であるとか、広域運営の推進であるとか、あるいは未点灯部落の問題であるとか、公共補償の適正化の問題であるとか、水力開発についての問題、大体藤田委員御承知のように、まずまずそうおしかりを受けなくていい程度に善処をしておるつもりでございます。復元問題についても、なかなかやかましい問題ございますが、東京都が解決いたしまして、残された山口県、宮城県及び都留市についてもだんだんと交渉の進行中である、こういうことでございまして、通産省の関係は以上のとおりでございます。
○藤田進君 労働大臣のお説、前向きというのはどっち向きの前向きかわかりませんが、廃止の方向ですみやかに検討を加えることになっているのです。これは、大橋さんの提起されたことをいま何か蒸し返しを労働大臣がするような気がしますが、そういう事態はないと、それならば論理的に必要ないじゃないか、それは全くそのとおりであり、池田総理にも御出席願って、これは検討する時期に来ているということを言っているんです。これは十分速記を調べられて、通常国会にはひとつ廃止法をお出しいただくように期待したいと思います。 それから、高橋経企庁長官所用で留守ですから、これは非公式のことをここで申し上げたくないのですが、企画庁だけではどうにもならないというのが実態のようです。私は、総合開発について具体的にきょうお伺いしようと思って資料も持ってきたわけですが、道路をはじめ公共投資にしても、オリンピックがあったとはいいながら、非常に地域的なアンバランスがあるのです。しかも、議員提出でばらばらに行なわれていくということでは、現政府としては少なくとも整理段階に来ていると思うのです。これは早急に、また議員提出が出てくる時期ですから、抜本的に検討されるべきだと思う。総理は企画庁を督励して、関係各省を督励して、どうかその附帯決議に沿うように御処置を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 企画庁を督励いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○委員長(寺尾豊君) 藤田君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) なお、ただいま委員の変更がございました。小林英三君、櫻井志郎君、八木一郎君が辞任され、その補欠として井上清一君、栗原祐幸君、川野三暁君が選任されました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) 次に、白木義一郎君。
○白木義一郎君 私は総理大臣にお伺いいたしますが、総理大臣は日本民族についてどのように考えていらっしゃいますか。どうしてこのような質問をするかといえば、日本国を預かる総理として、わが民族に対する評価をどのように見ておられるか、その見方がおのれを知るためにも必要であると思うからであります。私は、日本民族は勇気においても、また、その知恵においても世界最優秀であると思っております。総理はいかにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本民族はたいへん勤勉で、また、勇気があり、困難を克服し、みずから運命を開拓していくりっぱな国民であると私は考えております。
○白木義一郎君 日本民族が世界人類に対して受け持っている役割りはどうお考えでしょうか。わが国の憲法には、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように決意するとあります。さらに、恒久、平和への念願、全世界から恐怖と欠乏の追放をうたって、それを達成することを誓っております。したがって、われわれは、日本民族の役割りは世界平和の達成と相互繁栄であると確信しておりますが、総理はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 世界の平和と人類の福祉に貢献する、これがわが民族の使命と、かように考えております。
○白木義一郎君 総理はかつて世界市民ということばをお使いになっていらっしゃいますが、どういう内容のものであるか、よくわからないのでありますが、おそらくは全世界のいかなる民族と本協調をし、また協力し合える、世界と融和できる日本人の像——日本人像を示しているのであろうと考えているのでありますが、その意味からしても、移住問題は実に重要であると考えられるが、特に置き去りにされ、忘れ去られている移住問題に対して総理の基本的な考え、決意を承りたいものと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答え申し上げます。 一昨年、海外移住審議会の答申で示された基本的理念に基づきまして、海外移住は、わが民族の全能力を十分発揮して、相手国の開発に寄与し、協力し、もって世界の福祉向上に貢献するというたてまえで、これを実行すべきものと考えている次第でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、日本民族というものは世界人としてりっぱにやれるということを申しましたが、これは各国から尊敬を受け同時に信頼に足る民族だ、こういうみずからの地歩を高めて、その立場において活動してほしいということでございます。ただいま言われます移民——移住問題に対するこの気持ちは、これは必ずや各国において迎え入れられるだろう、またそうして適当な働き場所を与えられるだろう、かようなことを考えている次第でございまして、そういう意味における移民問題、これは重大な問題で、わが民族のになうべき一つの使命である。その使命達成の上から、これは必要なことではないか、かように私は考えております。
○白木義一郎君 偏狭な島国から全世界に雄飛して、世界民族のために、また平和のために、優秀な日本人の移住はぜひ必要である、このようにわれわれは念願しております。そのような観点から順次、現在の移住行政についてお伺いしたいと思います。 最初に、外務大臣にお伺いいたしますが、私はかつて二回にわたって中南米諸国の移住地をつぶさに視察、調査をしてまいりましたが、非常に多くの問題が残されております。まず、移住事業団法と一緒に生まれなければならなかった移住基本法は、一体どのようにいまなっておられるか、この問題をめぐって、かつては各省の所管争い、また権限争いは、国家的利益を押し殺してまいりましたが、その後そのような問題はどのようになっているか、また基本法をつくる意思がおありかどうか、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 移住基本法につきましては、各方面の御意見を徴しまして、なるべくすみやかにこれを制定したいという考え方を持っている次第でございますが、関係各省においてまだいささか意見の相違がございますので、それの調整に手間どっている次第でございます。
○白木義一郎君 その移住事業団が発足してから数回にわたって事業団の理事長あるいは事業団の幹部が、多額の費用を使って南米各地を調査に出かけておりますが、一向その報告また調査に対しての意見を伺ったことがありませんので、そのような報告が政府にあったかどうか、あったとすれば要点をお知らせ願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 詳細、移住局長からお答え申し上げます。
○政府委員(白幡友敬君) 私からお答え申し上げます。事業団が発足いたしまして、移住事業団の理事長その他幹部が、昨年の秋以来数回にわたって南米各地を視察してまいりました。私もごく最近南米を見てまいりました。結論といたしまして、ただいま御指摘のとおり、移住問題には現地において非常にたくさんの問題がございます。この問題の解決に、われわれはただいまこれをなるたけ早く解決してきれいな形の移住行政をやっていきたいと思いまして努力をいたしております。しかし、一面、移住というもの、特に中南米におきます移住は、将来依然として非常に大きな希望を持つことができる事業であるとわれわれは思っております。これを大いに促進していきたいと、かように考えております。
○白木義一郎君 事業団法が先国会で成立した際に、参議院で四項目の附帯決議が付されておりますが、これが尊重され実践されておるかどうかお伺いしたいと思います。なぜかといいますと、その附帯決議の中には、「事業団は、高い識見と強い指導力を持つ理事長の下に、海外移住に情熱をもち、実務に専念する清新、誠実な人材をもって構成すること。」このような決議がなされておるわけでありますが、現在の最高幹部、すなわち理事長、筆頭理事いずれも警視総監、またがっての警察庁長官、こういうような経歴の方が最高の役員として任命されております。したがいまして、高い見識と、海外移住に異常な情熱を持っているかどうか、この点がはなはだ心配であります。そこに現在の海外移住の行き詰まり、また政府全体が非常にこの問題に対して強く推進できない、そのような点を感じますので、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 移住事業団の人事構成につきましては、まことに貴見のとおりでございます。はたしてこれが現実の問題として適当であるかどうかというお尋ねでございますが、要は、かなり広い範囲の仕事を推進するのでございまして、偏見のない包容力のあるりっぱな識見を持った人がその理事長に当たるべきでございます。その点においてただいまの理事長は全く私は適当な人材であると考えております。なお、これらに配するに、各方面の人々をもって構成されております。特に民間の専門家等も十分に選ばれまして、それぞれの衝に当たっておる次第でありまして、これらの人材を統轄して引き締めていく上において、理事長は申し分ない、かように存じておる次第でございます。
○白木義一郎君 大臣の御意見は、まさに画期的な移住行政が行なわれるにふさわしい事業団の人事である、こういうようなお話ですが、残念ながら実際はそれと正反対であります。移住者にとって、事業団はたった一つのよりどころであります。にもかかわらず、海外の移住地における派遣幹部の横暴は目にあまるものがあります。事業団の本質はもともと移住者へのサービス機関であるべきはずでありますが、まことに官僚的、高圧的である、あるいは、極端な事なかれ主義によって、移住者が非常に困る、また悩んでいる、いじめられている、このような現状を私は見てまいりました。昼間からばくち、酒あるいは女性問題で現地の信望を失っております。これは事業団本部の綱紀の乱れの反映と考えられますが、外務大臣はどのようにこの点を御存じであり、あるいは御存じであるならば、今後どのように監督指導される御決意であるか、これをお答え願って、御退席をいただきます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 最高幹部の人的構成について、ただいまお答え申し上げましたが、まだ末端の方面につきましては、御指摘のようなことがあるいはあるかもしれません。それらの点につきましては、かすに時日をもっていただかなければならぬと思うのでありますが、だんだんとさような方面に粛正の歩を進めるように、十分に監督指導してまいりたいと存じます。
○白木義一郎君 外務大臣が所用のため退席をされたので、総理大臣または政府委員から答弁を願いたいと思います。 わが国の海外移住は、後進地域への生活根拠の移転という現状でありますので、長期安定融資によって移住者の便宜をはかってやらなければならないと思いますが、現況はどうかといいますと、営農資金で借り入れを受けたものが、出先職員からきびしい返済を受けておる、また、その金利は非常に想像できないほど高い金利である。そのために、移住者は大きな希望を持って海外へ出かけたにもかかわらず、現状では非常にみじめな、こじき同様の生活をしております。このような事態を放置しておいて外交を論じ、あるいは総理が世界に呼びかけても、この外交の推進には大きな障害になるであろう、このように考えております。したがいまして、総理大臣もこの際、移住者の融資に対して貸し付け金はどのぐらいの利息になっておるか、あるいはまた一家族どれぐらいな借金をかかえて苦しんでおるかというようなことを御存じになったほうがいいと思います。そういう意味で、政府委員から特にボリビアのサンファン移住地の実態をお知らせ願いたいと思います。こういう問題について、一国の責任者としてどのような解決をしようというのか、この点は総理大臣からお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 後ほど実情につきましては事務当局から説明さしたいと思います。今日の移住、移民、これは昔の移住、移民とはこと変わっております。内地の開拓者につきましても、しばしば要請されるところでありますが、内地の開拓者自身すでに相当の資金がないと困るだろう、こういうことがいわれております。まして外地に出かけて、そうして全然気候、風土、人情その他にもなれない場所、そこで働くのでございますから、ただいま御指摘になりましたような点について十分考慮が払われなければ成功するものではないと思います。そういう意味で、最近におきましては移民の資金の融資なり、あるいはどういう財産状態であるか等々も十分見きわめて、しかるのちに外地の事情に通暁している先覚者の指導のもとに出かける、これが最も望ましい姿だと、かように思いますが、しかし、まだなかなかそういう点まで手が回っていないところがあるのではないか、したがって、ただいまのようなお尋ねを受けるのではないかと思いますので、まず、実情を十分お聞きとりをいただきたいと思います。
○政府委員(白幡友敬君) 南米に出ております日本人の移住者の状況は、長い間いろいろな問題が先ほど申しましたようにございまして、私も、ことしの九月アルゼンチンで会議を聞きまして、現地に働いております外務省の出先機関及び事業団の支部関係者を集めまして実情を聞いてまいりました。また、さらにブラジルにおきまして、いわゆる日系の方々がどういうようにお考えになっていらっしゃるかということについても、いろいろ御意見を伺ってまいりました。この移住者はいろいろな土地によりまして条件が違いまして、かなりうまくいっているところもございますし、また、非常にみじめなところもございます。現に非常にみじめなところも数カ所あります事実を私も見てまいりました。 そこで、ただいま御指摘がございましたサンファン地区でございますが、これは当初まいりましたときとだいぶ情勢が変ってまいりました。特に、移住者が大体米作に依存しておりました。この米の価格が非常に変動いたしましたことと、それからああいう地域でも物価が自然上がってきておりまして、そのために、日本の移住者が使っております現地の労務者の賃金が上がるというようなことから、最近非常に移住者の経済状況が悪くなってきておるということを、私ども報告を受けております。今度もつぶさに聞いてまいったわけでございます。そこで、何とかして早くこの窮状を改善しなければならないというので、実は私がまいります前から、現地にいろいろな調査員を派遣いたしまして事情を調べてまいりまして、最近大体このサンファンに対する改善策の素案をつくりました。ただ、かなり従来の移住者の生活安定をいたしますためには、たとえば営農方法であるとか、いろいろな点で従来とはかなり思い切った改善をしなければならないと思っております。それには自然、財政支出も伴いますので、私どもはいまつくりました案に基づきまして、これから大蔵省と逐次折衝いたしていきたいと思っておりまするが、私どものいま目標としておりまするところは、平均いたしまして、サンファン地区におります日本人の移住者が、中にはかなり高額な借金を背負っておられると思いますので、大体この借金を返済をし、しかもその上にある程度の余裕金ができる、大体一戸当たり三十万円くらいの余裕金ができるということを目標にいたしまして、これを大体二年間ないし長くかかりましても三年間にその目標に到達するように考えたいと思って、いま具体案を練っております。それからサンファン地区以外にもかなり、非常に気の毒な状況にある事実がございます。これに対しましても、われわれがいま直ちに実行できるものはどんどん実行するようにして、早く基礎的なそういう融資に当たらなければならないという考えを持って突き進めておる次第でございます。
○白木義一郎君 総理大臣もようやく移住問題に関心を持たれたようで、まことにけっこうなことと思いますが、現状の融資に対する事業団の金利は幾らですか。
○政府委員(白幡友敬君) お答えいたします。大体平均いたしますと、七、八分ぐらいになると思いまするが、ただ問題は、国によりまして、この金を融資いたしましたものに税金がかかることがございます。そのために金を借りた人の負担というものがかなり大きくなってくるということはございます。
○白木義一郎君 いまお聞きのとおりでございます。原っぱのまん中で米をつくっても販路がない、市場がない、現金化することができない、食事等も、塩も砂糖も手に入らない。こういう移住者に対して政府は事業団から五分の金利を催促している。また相手国の関係からまた一分何厘の利息がつけられる、課税される。そこへ持ってきて農協から手数料のような利子がとられる。一割以上の金利を抱えてそうして苦しんでおります。しかも、いま局長から何とかするというようなお話があったわけでございますが、現場の幹部の怠慢によりまして、そのような借金を握って、そうして横暴なふるまいをしているのが現状です。これでは将来の日本の海外発展の大きなガンになり、また現在の時点において政府がその問題を積極的に解決するような意欲がなければ、今後の世界進出に対して大きなブレーキになる、このようなことをひそかに心配しておりますので、この機会を使って、移住問題をあえて閣僚に知っておいてもらいたい、こういう気持ちで実は質問に当ったわけですが、その点もう一度総理から決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 移住問題の困難さは、ただいま言われる点ばかりでなく、国内の生活が非常に向上し、外地へ出てもう一苦労しようという、そういう気持ちがやや見出しかねる、そういうところも民族の発展性を阻害しておる、国内の生活になれてきた、こういうところも一つあるわけです。もう一つは、相手の国のことでございますから、相手の国と十分、移民協定を結んでやる、これがなかなか十分でない、さらにまたその土地の選定、これが日本人に向いておる土地なのか、あるいは農業に向いておるところか、あるいはまた技術移民に適当なところか、そういうようないろいろな問題があるわけでございます。しこうして、さらにいま御指摘になりますような融資、資金の問題、ずいぶん何かと複雑な様相を来たしておりまして、最近の移民の状態は逐年あまりふるわない状況である、かように思いまして、在来から移民船を動かしておるところなど、その船の収益も上がらない、こういうことで特別に政府の補助を航路についてはいただいておる。しかし、移民自身が非常に多いようで、毎船便とも満腹しておるようだと、会社もりっぱに立っていくんだと思います。ただいま申し上げるように、最近の実情は私どもの期待するような移民の実績をあげておりません。ただいま私が述べましたような各点に、さらに私どももっと正確な、正しい認識を持ってそういう意味からの指導、これは絶対に必要なんではないか、同時にまた国民の意欲にこたえる、海外雄飛というようなその気持にこたえるだけの施設をしてやらないとなかなか効果をあげかねるのではないか、かように思っておるのでありまして、ただいま移住局長等からも詳細に実情の報告があり、また白木君自身みずから数回にわたって現地を視察しておられる、こういう事柄から新しい希望に燃えた青年その他が向こうへ出かけて、そして安堵して移民開拓、それができるように、こういうことを御指摘になっておりますが、他方におきましても、外務省を中心にはしておりますが、各省にまたがる問題でございますし、外地における協定のむずかしさもさることながら、また事業団等の内部的事情等につきましても十分指導の目を光らせて、そうして関係各省が一丸となってこの問題を推進しないと、ただいま御指摘のように、その転機に来ているんではないか、私も非常に心配しておる次第でございます。必ずや各省の協力を得、また担当する事業団自身も、在来のようなことでなく、その人を得て、そしてただいまの幹部諸公はりっぱな人のように伺っておりますが、さらに末端まで事業団の本来の使命に生きるようによく徹底さして、そして外国の協力も得て、移民の事業がりっぱに成績をあげ、日本民族の発展ばかりでなく、その国に対しましても必ず経済的に寄与する、あるいは政治的にも寄与する、こういうものであるよう一そう力を入れてまいりたい、かように考えます。
○白木義一郎君 総理大臣はいろいろ問題があるとおっしゃいましたけれども、結局は国内内部にあるのです。外国にあるんではないということを御承知願いたいと思います。 そこで、海外派遣の職員と、それから現地採用の職員の間の待遇が非常に違いがある。こっちから行った職員に対しては家族手当がある、現地で採用になった者は家族手当がない、こういうような現状になっておりますので、給与規程はどのようになっているか、お答え願います。
○政府委員(白幡友敬君) 移住事業団の日本から現地に派遣しております職員と、いわゆる現地採用職員との聞の待遇の差は確かにただいま御指摘のとおり、昨年度まではかなり開きがございました。これは移住事業団というものは御承知のとおり、昔の海協連とそれから移住振興会社の合体した形になっておりますので、そのうちの職員の相当部分が移住事業団に入ってきておりますし、それが給与の基準がばらばらでございまして、そういうところもありましたので、私どもでもこれを一本化することと同時に、日本から参ります職員と現地採用の職員との間の給与の差をできるだけ公正なものにしなければならないという考えで、今三十九年の会計年度におきまして、大蔵省と協議をいたしました結果、ほぼ決定いたしまして現在それが実施されております。これによりますと、現地職員の給与が大体平均いたしまして百九十一ドル、これに対しまして派遣職員の平均が二百三十六ドルということになっております。これはもちろんいずれの場合でも、ますますよければよいのでございますが、政府機関あるいは政府の出資いたしておりますいろんな機関がございますが、こういう機関の滞在職員、日本から参りました職員と、それから現地採用の職員との基準は常に差がございます。なぜかと申しますと、日本から参ります者は、やはり居所が日本にございまして、一時的に外地に行っておる。したがって、生活の上でいろいろな無理と申しますか、不必要な出費も多くなるわけであります。現地職員というのは大体そこに長く永住しておる人でございますので、その間、自然、生活が、まあ日本から参ります者に比べますというと、長い間の蓄積によりまして安定した形になってきておるというようなことから差がついております。この政府職員及び政府関係職員の本国から参ります職員の給与と、現地職員との大体の基準に合わせて移住事業団の職員の給与も定めておるわけでございます。
○白木義一郎君 総理大臣も来春渡米されるそうですが、一歩足を伸ばして南米各地の移住の実態をお調べになっていただくとよくわかると思います。あのような説明では、私ども現地で移民と一諸に蚊に刺され、またネズミの災害を見てきたわれわれとしては承服いたしかねます。そこで、移住はここ十五年ないし二十年が勝負だと言われております。わが国の移住希望者、潜在している移住希望者は約三百万人いると推定されておりますが、現在、民族の興隆と相互扶助の実現に向かって海外移住を強力に推進していかなければならない立場にあると思うものでございます。したがって、政府も民間も一致協力して移住体制をつくる必要があり、こうした移住政策の立案とその実施のための総合的、集中的な機関がぜひ必要である。そのために移住省を設けて国家百年の大計を整えるお考えがおありかどうか、お伺いします。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話のように、移住省を設置する、こういうことでございますが、一昨年ようやく海外移住審議会をして、いかにしたらいいか、ようやく海外移住事業団をつくるというその機構が生まれたばかりでございまして、ただいま一年たっております。その意味でいろいろ注文が出ておる、かように私先ほど来もお話を聞いておるのであります。私はただいま直ちに機構をいじって移住省をつくる、これが適当なりやいなやまだ決しかねております。したがいまして、ただいまの段階におきましては、ようやく発足した移住事業団をして真に効果あらしめる、こういう方向で努力すべきではないか。また、各省の協力もさらにまだ足りないようでございますから、積極的にこの事業団に集中するように指導すべきではないか、かように考えております。
○白木義一郎君 いずれは私どもが提唱するこのような方向へ必らずまいらなければならないと思いますし、そのときにただいまの御答弁が思い出されると思います。 問題をかえまして、先日、総理は、選挙制度審議会に出席になり、選挙の公明化は民主政治発展の、原動力であって、その問題については歴代の内閣が熱意を持って来たけれども、自分はより以上の熱意を持って取り組むと、こうおっしゃっておりましたが、その公明化についてはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま選挙制度審議会、調査会と申しますか、そこでいろいろ案を練っていらっしゃるようでございます。ただいままで私どもが非常に選挙の腐敗、そのことをいままで自分で選挙をしてまいりまして痛感いたしております。また腐敗をめぐって不公明な選挙がしばしば行なわれておる、こういうことでは相ならない、かように思って、こういう点を特に選挙制度審議会の各位に十分ひとつ御検討願って、そしてりっぱな答申を出してくださいますように、かような私の端的な所見を発表したばかりでございます。
○白木義一郎君 従来まで何度も政治資金規正について答申がされております。会社や組合等からの寄付または献金等はやめて、個人の献金のみにして、政界の浄化、またはきれいな選挙をすべきである、これらの答申を尊重し、実現に努力するという総理は、まずこの問題から取り組むべきであると思います。どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんただいまの選挙公営の範囲を拡大されるでありましょうし、また選挙の法定費用というものが守られなければならない、こういうことで、これを厳守すること、これはひとり被選挙者だけの問題ではなく、選挙民、選挙者一体となって初めてこのことができるように思います。私は前回の選挙におきまして法定選挙費用を厳守した、きびしい、いわゆるその他の選挙費用等につきましても、極力これを制限して選挙を事実行ないました。なかなかそれにも問題があるようでございますが、ただいまの状態で選挙の公正を期することがいかにむずかしいか、私自身体験を持っておるわけでございます。これは何といたしましても被選挙者、同時に選挙民、またもっと詳しく申しますならば、過日も選挙制度審議会で申したのでございますが、国会議員の選挙もさることだが、もっと末端の市町村の選挙から、市長の選挙やあるいは市町村議会の選挙、これらが姿勢を正されないとなかなか困難ではないか、こういうことを実は率直に私披露したような次第でございまして、審議会の方々もそういう点については一そう真剣に取り組むというような態度のようにお見受けいたしました。私はそういう意味で答申は必ずりっぱなものが出てくるだろう、かように期待をいたしております。
○白木義一郎君 今回の審議会においても、御承知のように小選挙区制など、選挙区をいじる前にまず選挙の浄化、公明化が必要であるという意見が出ております。なるほど制度を幾ら変えても買収等の悪質犯が急増している現在、資金などの規正ということが優先さるべきである、資金規正をしなければ、どんなに選挙法を改正しても買収選挙はなくならない、このように解釈しておりますが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ問題があるようでございます。ただいまの選挙資金あるいは政治資金、そういうものにももちろんメスを入れなきゃならないだろうと思いますし、また政党自身もただいままでのところ組織政党といいながら、なかなか末端の組織が十分活動するような状態じゃございません。同時に選挙制度そのものも改正をお願いしておりますが、政党自身のあり方につきましても、組織政党の妙味を発揮できるように、そういう方向に移りたいということで、ただいま党近代化を進めておるわけであります。おそらくこのことは公明党におかれましても、また社会党におかれましても、民主社会党におかれましても同様ないわゆる組織活動、こういうことに力を入れられて、ただいま党の近代化、組織化をいろいろはかっていらっしゃることだと思います。保守党は保守党なりの考え方で、ただいま進んでおるような次第でございます。
○白木義一郎君 一九七〇年に開催を予定されております万国博覧会をわが国に誘致をするお考えがあるかどうか、また、もし誘致をするお考えがあるならば、国内のどこが適当であるか、このようなことが審議されておるように聞いておりますが、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 一九七〇年に国際博覧会を開催したいという希望の都道府県がございます。現在、大阪府あるいは兵庫県の神戸市、滋賀県あるいは東京都、こういうようにございます。私どもとしては、この万国博をいたすことによりまして、輸出の振興に寄与する、あるいは国内産業の発展に刺激になる、さらには観光の上にも寄与する面があろう、こういうことで開催をするということにつきましては、そのような方針で検討をしておるわけでございますが、しかしながら、これをいよいよやるということになりますれば、何としても博覧会の開催地の調整であるとか、財政上の責任であるとか、いろいろ問題が起きてくると思うのでございまして、せっかく現在検討中でございます。この国会に博覧会の条約の批准承認をお願いしておりますが、これは開催するしないとは別個に、ひとまず条約に参加をしておこう、そういたしますと、いよいよ開催をいたすという申請をいたしますときに、条約に参加をしておるということが、これが他の希望国との間に競合する上に有利になろうかと思います。とりあえず条約の批准をお願いしておる、こういうことでございます。
○委員長(寺尾豊君) 白木君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) 次に、田畑金光君。
○田畑金光君 私、限られた時間でありますので、内政問題について若干お尋ねしたいと思います。 最初に総理にお尋ねしたいことは、社会開発の問題であります。総理が政治のビジョンとして社会開発ということばを出されたことはまことに当を得ておる、こう考えます。今後われわれも大いに社会開発ということばを国民大衆に訴えなければなりませんが、しかし、正直に申しまして、なかなか理解しにくいことばであるわけです。そこで、社会開発の元祖である佐藤総理から、わかりいいようにひとつ御説明がいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 社会開発の元祖はおそれ入りましたが、これは国連等で使われたことばでございますが、私このことを考えてみますると、国際社会におきましては、しばしば低開発の問題、これを高度に引き上げることによりまして国際関係が変わってくる、こういうことを言っておるようであります。この社会開発、もとをただして申せば、私どものやる経済行為、あるいは政治行為、すべてが人を対象にしておるはずであります。それならば、人を対象にし、また国民生活を対象にしての経済発展を、また政治活動を展開する、これが端的に申して必要なことだ、その意味で私は社会開発ということばを使っておるわけであります。かような意味合いからすれば、社会開発はまことに広義なものでございますが、ただいまもっとなし得る具体的なものを出したいという意味から、もう少し狭義に解釈しまして、いわゆる経済開発、この経済開発の効果をお互いの生活、また社会に直ちにもたらし得るような、そういうねらいのしかたはないだろうか、それがいわゆる社会開発のねらいでございます。たとえて申しますならば、経済は非常に発展した、しかし、そのために一面で公害に悩んでいる。もともと人類のしあわせのために経済を発展さしたんだ、高度の技術がそこで生まれてきたんだ、しかしながら、それが公害という形でお互いの生活を苦しめておる、あるいはまた、高度の技術の結果、経済は発展し、生産性はなるほど上がった、しかしながら、工場災害などはどんどん起こる、こういう点についても十分考慮が払われなければならない、こういうような点がございます。あるいはまた、経済発展をいたしますと、道路の整備がすぐ問題になる、あるいはまた、産業間の格差が必ず問題になる。中小企業がどうなるか、あるいは農業はどうなるか。高度の技術、あるいはそういう経済の発展に追随し得ないようなものが出てくる。これが労働方面におきまして、労働問題においては、あるいは賃金の問題として、いわゆる同種同業のものの賃金の平準化、あるいはまた、異種のものの間におきましても賃金の平準化ということが行なわれつつある。ところが、経済の発展は必ずしもそういうような状態に追随しておらない。そこに問題があるのであります。したがいまして、私どもはこの経済の発展、これはたいへんけっこうなことだ。しかし、その経済の発展を、経済の発展というだけで見ないで、これが人類にいかに貢献するか、またこれを直結さす、こういう意味にものごとを考えていこう、これがいわゆる社会開発の思想でございます。経済発展と社会開発、これは両々相まって、初めてりっぱな効果を私どもに与えてくれる、福祉に貢献してくれるもの、かように私は考えるのであります。かような立場から、いろいろ取り上げる問題は多々ございます。ただいまそれがひずみという形において取り上げられている。これはもっと考え方によっては、ひずみでなく、あるいは産業構造から当然生ずるものと、こういう結論になるかもわからないが、いずれにしても、このひずみ、そういう状態が放任されるべきではない。社会開発だろうが何であろうが、とにかくそれが是正されることはみんなが希望するわけであります。とにかく、新しく一つの目標を置いて、その方向に力を集中していく、これが私のねらいでございます。 そこで、ただいまのところから、いろいろ考えみて、どういうことが一番先に必要になるだろうか。衣食住、かように申して、これでわれわれの生活を批判しておりますが、その衣食は大体どこに比べても、まずまずのところにきている。だけれども、いかにも住居の問題は足らない、不足がちだ、またその内容におきましても、まことに恥ずかしい思いをする。ことにその住宅費などは、生活の費用から見ましても非常にかさんでいる。こういうことを考えてまいりますと、いわゆる勤労者住宅を整備するということは、ただいまの一番急ぐ問題ではないか。もちろん政府は、池田内閣時代におきまして、すでに一世帯一住宅、こういうスローガンを掲げております。これが五年たてば実現するような方向だと思います。さらに、その内容をもう少し充実してものごとを考えてみる、こういうように、ものの見方をもう一度ひとつ考え直していく、それが社会開発の思想だ。その方向でものごとを整備していく、そうすれば、現在よりももっとあたたかい気持になれるのじゃないか。まあここに人間尊重の政治的理念も実は出てくるのであります。たいへんつまらないことを申し上げて恐縮でございますが、私はただいま申し上げるような意味合いをもちまして、社会開発ということを特に強く取り上げておるような次第でございます。
○田畑金光君 広義あるいは狭義に理解した場合はかくかくであるということ、われわれも理解できますが、社会開発という政治的なビジョンというのは、これは佐藤総理のビジョンなのか、保守党としてのビジョンなのか、あるいはわが国の今後の政治のあり方としてのビジョンであるのか、こういう点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんむずかしいお尋ねのように思いますが、ただいま私が申し上げたような考え方は、私自身の考え方ではなく、これは自由民主党の中に、この考え方を支持する方も非常にございますし、また、大にしては国連自身ですでにこの問題を取り上げておる。おそらく、各党の皆様方も、そのねらいが正しければ御支持なさるだろう、かように私は考えております。別に専売特許ではございませんし、また元祖争いをするつもりもございません。
○田畑金光君 総理がこのことばを提唱されたのは、この七月の総裁選挙のときでありますが、いろいろな解釈の仕方あるいはものの見方もあると思いますが、ただ、経済的な側面からこれをながめた場合に、とにかくひずみの是正、格差の縮小、こういう点から、七月総裁選挙のときに強く訴えられたわけです。そういう問題の処理が即人間の尊重だ、そういう角度から見ますと、これは当然いままでの経済政策そのものに対する批判であり、また、かじのとり方を変えなきゃならぬ、こういうことになろうと思っていますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 在来の経済高度成長政策に対するひとつの反省だとおとりくだされば十分かと思います。新しい意味合いにおきまして、けさほども高度経済成長とこの関係をいろいろ尋ねられましたが、私は一貫して申し上げておるのですが、高度経済成長政策、これはりっぱな成功をおさめた、しかし、他の面におきまして幾つも欠点を暴露した、もしこの社会開発の考え方で高度経済成長を進めていたら、おそらくそういうことはなかっただろう、かように私は思うのでございまして、ただいまも言うように、批判めいたことよりも、さらに、こういう思想があることによりまして高度経済成長が一そう充実してくるのではなかろうか、かように私は思います。
○田畑金光君 いかなる政治的なビジョンであっても、それを実現するプログラムというのが国民の前に明らかにされなきやならぬと思います。同時にまた、それを政治的な政策として、政策的な実践の問題でどうそれを具体化するかということが示されねはならぬと、こう考えます。また、承るところによれば、来春早々、総理は社会開発懇談会なるものをつくって、そこで民間人等のビジョン・メーカー等を集めてさらに具体化される、こういうようなことを聞いておりますが、しからば政策で、社会開発懇談会の中を通じ、初めて具体化されるのか、それとも来年の予算措置の中に第一歩を踏み出すのかどうか、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) けさほども実は申し上げたのでございますが、私は現状と取り組んで、そして現状を克服すること、これをただいまの一番大事なことだと考えております。ただいま国際収支の問題、これは一応安定したとは言いながら、まだまだ心配の状況に置かれておりまするし、あるいは物価はただいままで非常にやかましい問題になっておりますし、あるいはまた不渡りかあるとか、あるいは倒産があるとか、倒産につきましては、私はいわゆる黒字倒産はどんなことをしても防がなきゃならぬ、こういうことを申したわけでありますが、先ほど山本さんのお尋ねに対しまして、私の所見の一端を御披露いたしました。ただいまそういうことをいろいろ考えております。ただいま来年度予算を編成する——これは全貌を明らかにするわけにまいりませんが、ただいままで私聞いておりますところでは非常に窮屈な財源だ、なかなか新しい仕事はしにくいような状況にあるやに伺います。この財源のもとにおきまして、新しいことを行なうというよりも現状を克服することにまず力を入れる、そうして、ただいまの新しい予算を組む前に、新しい政策が、窮屈ながらも、そういう点で盛り込める、その方向だけはあらわしていきたい、これが私のただいま来年度予算編成への心組みであり、私のねらいでもございます。なかなか最初から非常に期待を大きくされましてもできることではございませんが、しかし、おそらく予算的なものにつきましては、それぞれ小さいながらもその芽が出てくる、こういう方向でいきたいと、かように思っております。
○田畑金光君 もう一つ私のお尋ねした点は、社会開発懇談会なるものをつくられるというお話でありますが、その点はどういうふうになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 社会開発懇談会、これをつくりたいという構想を持っております。しかしながら、これは法制上のものでなくて、私の相談をするような機関、まあそういうもので、肩のこらないものにしたいと、かように思っております。
○田畑金光君 これは私けさほど別の委員会におりまして、その他の同僚委員の質問を聞いておりませんので、あるいは重複しておるかもしれませんが、厚生大臣が佐藤総理に地域開発における社会開発、こういう報告書を出されたと新聞で拝見いたしました。この内容等を見ますると、先ほど総理の答えられた内容とほぼ一致しておるわけです。すでに二年前厚生省がこういう問題に取り組んでいたというのは見識であったと、こう思うわけですが、厚生大臣としては、この内容を今後政策の中にどのように具現していこうとするのか、また研究会をつくられた動機、今後この成果をどのように生かそうとするのか、それを承っておきたいと思います。
○国務大臣(神田博君) ただいま田畑さんのお尋ねでございますが、社会開発の意義については総理からお答えございましたとおりに考えております。この地域開発における社会開発の策定に関する研究というものを厚生科学研究費によって研究課題としてまいりました。いま御例示になられました地域開発研究会というのは、国立公衆衛生院長の斎藤潔を委員長として進めてまいりました。この研究結果の報告をいま御例示されたと思っております。その内容は社会開発に伴う社会変動と福祉行政、社会開発における公衆衛生の諸問題、社会開発に関連する特殊研究を含め、社会開発に関する行財政の課題と問題点を各般にわたって提起したものであります。厚生省におきましては、すでに新産業都市の建設の推進にあたっては、産業開発のみに偏することなく、住民の生活環境その他につき十分配慮するよう指導してまいっております。今後、早急に社会開発に関する具体的施策を検討しまして、社会開発行政を協力に推進するため、省内に社会開発の研究会を設けまして、大体来年の三月ころまでに成案を得たいという意向で鋭意研究を積んでおります。
○田畑金光君 それとはまた別に、この間高橋経企長官から佐藤総理に、社会開発の基本構想案なるものが出されたと、こう新聞にうたわれておりますが、それはどういう内容なんですか。
○国務大臣(高橋衛君) 先ほど総理から詳しく社会開発についての御答弁を申し上げましたが、社会開発については、歴史的にいろいろな定義も変わってまいっていると思うのでございますが、当初は後進国の開発について、経済開発をやろうとしても、その前提として、そこの住民の教育なり、または境環衛生施設なり、または技能者の養成なり、そういうふうな前提条件がどうしても必要だ、そういう面から、経済開発の前提として社会開発を必要とする。そういうことで社会開発ということばが使われた最初の起こりかと考えておるのでありますが、それが漸次先進国の間にもそのことばが変わった意味において使われてまいってきたように見ておるわけであります。ところで、今日、日本の政府において、この社会開発ということばをどういうふうに把握するかという問題について、大体の構想を経済企画庁としてとりまとめてみたわけでございますが、 〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 それは、経済開発は、要するに経済合理性に基づいて観念される一方、社会開発は人間尊重の精神、立場と申しますか、または人間の欲求面からの開発をどういうふうに見るかということから、把握していくことが妥当じゃないかという観点から、所得の再分配の関係、または環境の改善等の面からこれを考えまして、結局その内容といたしましては、先ほど総理からも御答弁申し上げましたが、住宅、または上下水道等の環境の改善、またさらに、これは振りかえ所得になる問題でございますが、社会保障の充実、また公害の防除、さらには労働の流動性の拡充、人的能力の向上、そういうふうな範囲を大体社会開発として把握することが妥当じゃなかろうかという一応の見解をとりまとめたような次第でございます。
○田畑金光君 それで、私は総理にお願いし、また希望するわけでありますが、厚生大臣も、すでに二年来社会開発研究会なるものでこの問題を取り上げてきているわけです。今度新しく経企長官もこの問題を取り上げて進めるわけです。また一方においては、来年総理のブレーンとして社会開発懇談会なるものを設けるということでありますが、とにかくこれを大いに研究し、さらに精密な方向に一つのビジョンをつくることはけっこうであるが、現にもうすでに問題として提起されておるし、その処理の具体的な方向もだんだんと出ているわけでありまするから、単にビジョンをビジョンに終わらせるだけでなくして、所得倍増政策でもって国民を一つのビジョンでつっておいて、結果においてはいろいろな破綻を来たし、国民大衆の生活は物価高でかえって苦しくなっておるという現実等を見たときに、ビジョンだけで国民を惑わすのでなくして、具体的な施策の中に一歩々々前進させる、解決させる、これが大事だと思う。そういう意味で私は来年度の予算の中で強くその第一歩を踏み出していただきたいと、こう考えておりますが、もう一度、ひとつ総理のお考えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま厚生省あるいは経済企画庁、それぞれの大臣から説明を徴されました社会開発といわれるいわゆるその範囲におきましても、さらに建設省、文部省、さらにこれに鉄道あるいは郵政、労働、こういうところまで、これらがみな関係を持つのでございますから、したがいまして、この社会開発をうまくやっていこう、手ぎわよくやっていこうとすると、これは広範にいまの行政の全分野にもわたっておるわけであります。別な言い方をしますならば、今日の行政が総合的に結び付いて、初めてその効果を発揮する、社会開発となれば、その総合性を十分活かして初めて効果が上がるように思うのでありまして、そういう意味で社会開発懇談会というものは発足をしたいと思うのであります。もちろん、在来の各省の所掌事項を動かすつもりはございません。動かすつもりはございませんが、ただいまのものを関連してみていくというところが、新しい社会開発の理念でもあるわけであります。そういう意味で、大蔵省におきましても予算編成と取り組んでまいりますが、先ほど申しますように、なかなか十分今度はこれを取り上げたというほどはっきりはいたしかねるのじゃないか、それを私心配しておりますが、ただその芽だけはぜひともつまないように、また植え付けていきたい、こういう考え方でおるのであります。在来から取り上げられておるあるいは社会保障の制度も、もちろんその中に入るわけでございますし、また労働の移動の問題もただいま申されましたが、大へんなむずかしい問題でございます。そういうことを総合的に立案するところにその妙味がある、かように御了承いただきたいと思います。
○田畑金光君 大蔵大臣にお尋ねしますが、来年の予算編成が非常に財源難等で苦労しておる、きびしい、こう言われておりますが、どういう事情でそうなっておるのか、その内容についてひとつ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 安定成長期に入りましたので、税収はいままでのようにそう大きく伸びを期待することはできないということがまず前提になっておるわけでございます。なお予算につきましては、いま御指摘になりましたとおり、社会開発の面一つ取り上げましても、財政上の要請はますます大きくなっておるわけでございます。また財政におきましても、五カ年計画その他法律等ですでに長期の計画を立てて、予算の方向が拘束を受けておる面もございまして、歳出要求は多いが、財源はそう多く期待することはできない、よって予算編成はなかなかむずかしいものがあるのではないか、こういうことでございます。
○田畑金光君 いま冒頭に、安定成長に入ったから苦しくなったというわけですが、安定成長にかじを切りかえたら苦しくなったというだけでは、これは原因の説明にならぬと思うのです。もっとやはり財政的な今日の悩みというものは、苦しみというのは、もっともっと深い、いままでの財政政策の行き過ぎというか、あるいは失敗と申しますか、そういうまあいわば池田財政の大きな今日は危機というものが財政、予算編成の今日の苦難に変わっておる、こう考えておるわけでありますが、私はその辺の事情もひとつ大蔵大臣として、特に大蔵大臣は、この二年有半財政政策の責任者であったわけでありますから、その辺の事情をひとつ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) いままでの財政経済政策が悪かったから金がなくなった、また予算編成が苦しくなったということはございません。普通はこうあるべきであった、あるべき姿にかえったと、こう言って間違いありません。いままで財政にゆとりがございましたのは、高度成長政策におきましても、初めは年率九%、後年度におきましては七・二%の成長率を想定しておったわけでございますが、御承知のとおり非常に高い、異常ともいうべく、皆さんから御指摘を受けますとおり、超高度成長といわれるように、当初予定をしました五〇%増し、またあるときには一〇〇%に近い、一〇何%成長という非常に高い成長率がございました。でありますので、またその間において物価の上昇等もございましたので、名目成長率が非常に高くなったということで、税収の伸びは異常ともいわれることがございました。昨年等も約二千億の自然増収があったわけでございまして、そういう状態ではいけない、いわゆる国際収支の長期安定、物価を抑制し、なお、国内均衡をはかるためにも安定成長を確保することが先決であるということでございまして、今年度の当初の見通しは七%、名目九・七%でございます。しかも実質は七%成長の見込みが一〇%近くになっておりますが、税収は過去におけるように高い率で確保できないという状態になったわけでございます。でありますから、来年度を七%ないし八%の間で実質成長率をもし押えたと仮定をいたしまして、物価をことしのように四%ないし四・五%くらいで押えてまいりますと、どうしても名目成長率は一〇%余となるわけでございます。そうしますと、現在の三十九年度における税収の総額は約三兆円でございますので、弾性値なんかを見ても四千五百億でございますので、今年度の六千八百億を見込みました当初の税収と比べますと、四千五百億確保できるかどうか、まあぎりぎりの線であろうと思います。そういうことから考えますと、歳出は、先ほど申し上げましたように、五カ年計画、三カ年計画、十カ年計画ということになっておりますし、また昨年よりも下げていくというものはほとんどありませんので、 〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 財源から見まして、予算は二〇%も、一七・八%も対前年度伸ばすというわけにはまいりません。今年度の総ワクは三兆二千五百億でございますので、四千五百億のうち当年度の経費等を引いてまいりますと、せいぜい一二、三%ふやせれば上々というような数字的な制約がございますので、ただいま申し上げましたように、いままでに比べて非常に財源は苦しいと、こういうことを申し上げたわけでございます。しかし、田畑さん、まだ八%でも高い、実際に安定成長期の六%とか五%とかいう、こういう数字を出されるとしたならば、もっと税収は減るわけであります。減ればもちろんあなたの言うとおり健全財政ということになりまして、これは対前年度比五%増し、六%増し、七%増しということになるわけでございまして、そういう意味からいいますと、真の政策は、その既定経費を削減し、合理化する以外には新しい政策はできないということもいえるわけであります。でありますから、これから安定成長でもってほんとうに真に健全均衡財政をやれということになりますと、これから四十年度以降の財政というものは、健全財政の基調をくずさない以上、こういうことが正常な予算である、こうも言い得るわけであります。
○田畑金光君 私は、そこで大蔵大臣にお尋ねするわけですが、とにかく、いまの御答弁を聞いても、私として非常に理解のまいらぬことは、高度成長、超高度成長政策、それが今日の事態を生み出したと思うのです。いわば池田内閣の高度成長政策は、財政金融政策によって支えられてきたわけです。そこで、経済成長が即自然増収になり、そしてそれが積極財政というふうになったわけです。それで積極財政がまた経済をふくらまして自然増収、そして積極財政という悪循環が重なって今日にきたとみるわけです。今日、高度成長から安定成長の曲がりかどに立ったと、それでいまお話のように、税の自然増収に期待できない、予算編成の困難に直面した。しかも、いまや当然増経費の膨張のため、新規の施策を控えても、なおかつ従来の行政水準を維持するだけでも精一ぱいだと、こういうふうになっておるのが現状だと思っております。今日のこの財政経済の実態というのは、いままでの超高度成長政策をとってきた、いわば池田−田中財政の私は大きな責任であるといってもこれは過言でないと、こう考えますが、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 池田−田中財政、佐藤−田中財政と言われても、あまり差はございません。ちょうど池田内閣の最後の段階におきましては、高度成長を企図しましたから、超高度成長が行なわれまして、その過程において、いい面もありました。設備投資が行き過ぎたというけれども、年率二三%にも及ぶ輸出を伸ばすような基盤もできたのでございますから、歴史の長い目から見れば、これが功罪というものは、あなた方が御指摘になるように、超高度成長政策というものがわが民族に与えた罪悪のほうが多いなどということは、私は考えておりません。いずれにいたしましても、超高度成長を行ないまして、いろいろなひずみが出てまいりましたから、今度は、開放経済に向かいまして、いままでのような状態が出ては困るので、安定成長を確保して国内均衡をはかろうという姿勢は、もう前々の国会から十分ここで御説明を申し上げておるわけでございます。それで、今度佐藤内閣になりましても、佐藤内閣としては国内均衡をはかるということにあると、それじゃ主要目標は何か、安定成長の中においても人間性を中心とした社会開発を中心にしてやろうと、こう言っておるのでありますから、これは、自由民主党内閣の姿勢として全然変わっておらないわけでございます。でございますからして、いままでがあまりにも超高度であったと、実際成長が超高度でございましたから、予期しない財源が確保せりれた。しかし今度は安定成長でありますから、これはもう普通の姿なんです。いままでがあまりにも——税収があまりよけいあって異常でございました。でありますから、これからはほんとうに財源がない。戦前もそうでございました。なかったから内国債を出し、外債を出したのでございますが、まだまだ今度はないとはいいながら外国債を出しません。またインベントリーも取りくずしません。減税もやります。こういういろいろな施策、社会開発は相当やります。こう言っておって、その範囲内において健全の基調をくずさないで、財源が苦しいと、こう言っておるのですから、いよいよ正常になったなあと、こういうことで、あなたに御指摘されるほどの財政になったわけではございません。
○田畑金光君 時間がないので議論するわけにもまいらぬわけです。いかにあなたが言われようとも、たとえばもう二つ考えてみると、超高度成長政策の結果、異常な物価の値上がりがきた。そして賃金の値上がりがきた。それが予算単価の値上がりにはね返り、またあるいは社会保障費を引き上げなければならぬ、医療費を引き上げねばならぬ、こういう問題にはね返って、またそれが安定成長の曲がりかどに立って、いよいよ来年度予算編成を苦しくしておる、これが実情ではございませんか。そういう高度成長の功罪というのは、いろいろあるかもしれぬが、現実の今日の財政編成の困難を見るならば、いままでの財政の行き過ぎが、あるいは高度成長政策の行き過ぎが、今日の財政編成の苦難をもたらしているのだ、こういうことをいうべきだと思うのでありますが、どうでありますか。
○国務大臣(田中角榮君) これはもう見解の相違でございまして、私たち自由民主党は、そうは考えておらないのでございます。所得倍増政策は正しい、しかし所得倍増政策の前半において高過ぎた、高過ぎたけれども、その過程においてはただ非難すべきものではない、確かに物価も上がりましたし、国内不均衡ができたし、いろいろ問題がありましたが、国際競争力にはたえ得るようになりましたし、輸出は二〇何%伸びるようになったのです。だから功罪というものに対しては、後世史家がひもといても、私はこの政策が誤りであったとは、私は絶対に考えておりません。ですが、行き過ぎを——いつまでも十四条国にあるわまではございませんので、開放経済体制下においてあと戻りができない。また国際的経済の波動を直接受けるようになった日本の姿を考えるときに、やはり安定成長を目途とした健全財政にしなければならんということでございますから、安定成長を目途にしておるのであって、私は四十年度の予算が、四千五百億程度の自然増収をもって予算が組めないといっておるのではないのであります。その中でなお戦前のように金がないから内国債を出そうとか、また過去に蓄積をした金もございますが、それさえも崩さないで、超健全均衡ともいうべき姿勢を守りながら、合理的な予算を何とかして組みますと、こういうのでございますから、これはひとつ予算を組んでから御批判をいただきたい、こう思います。
○田畑金光君 まあそれは何とか組み得るでしょう。予算編成の技術は、もう三年も大蔵大臣をやっておられるのですから、これはいかようにもお組みなさると思うのです。しかし当面のいろいろな要電に対してどうその予算がこたえ得るかというところにまた問題があろうと思うのです。たとえば一例をいうならば、御承知のように、消費者米価の値上げをやっておるわけです。なぜ消費者米価の値上げをやったかというと、一つは来年度予算編成の財源措置として消費者米価を上げなければ、食管の赤字がいよいよ重なってきて、来年度の予算編成が組めないのだということで、消費者米価の値上げという問題が現実に起きたわけです。また国鉄運賃の料金の値上げも、いわば財政投融資のワクでカバーできないから、あの国鉄諮問委員会の答申の二六%はぜひ上げてくれ、こう国鉄総裁やあるいはまた運輸大臣は主張していると思うのです。公共料金の問題を一つとらえてみても、要するにいままでの高度経済成長政策のひずみが、こういう面に現われてきておるということははっきりしていると思っているわけです。私はこの際、ひとつ運輸大臣おいででございまするが、来年国鉄運賃を値上げしないで、しからば第三次国鉄合理化、近代化計画の線をどのように進めていかれようとするのか、これは運輸大臣にお聞きするとともに、こういう面にまた一つのいままでの池田財政のしわ寄せが現われておるのじゃなかろうか、こう見ておりますが、この点はどうでしょうか、大蔵大臣の御見解を承っておきたい。
○国務大臣(松浦周太郎君) 私が先にお答えいたします。御承知のように、昨年の十二月予算編成の際に、国鉄基本問題懇談会というものができまして、満一カ年間斯界の権威者あるいは学界の権威者を集めまして、検討いたしました結果、今日の過密ダイヤの解消、輸送力の増強、あるいは全国における幹線複線化、電化、その他明治時代の鉄道の近代的改良というような諸問題に対してどうしてもこれはやらなければならないというようなことで、御承知のように、十一月二十七日に二兆九千七百二十億の金を六カ年間で支出して、そうして輸送力の増強をはからなければならぬという答申があったのであります。それにつきましては二度閣議に中間報告がありましたが、閣議におきましては、いずれも中間報告を了承いたしておりますが、まだ閣議の決定事項になっておりません。そこで、私に対するお問いに対しましては、今日の財政は御存じのような状況でございますから非常な窮乏でございます。けれども、それ以上に過密ダイヤの問題については、人命尊重の佐藤内閣の現状においてはこのままにしておくことはできません。何がなんでもこの過密ダイヤの解消は第一に取り上げなければならぬ。輸送力増強の問題は第一に取り上げなければなりません。そこで、できるだけ大蔵大臣にお骨折りを願いまして、財政や投融資を従来よりも多くいただく。同時に、国鉄でございますから、国家の財政投資を一般会計から相当できるだけやっていただきたい。それでもどうしてもできないということでございますならば、これはやはり国鉄を利用する人に負担してもらわなけれでならない。これはやはりガソリン税の思想と相似たものでございまして、道路を利用する者にガソリン税を負担させるという思想と、鉄道を利用する者にその改良費の一部を負担してもうのはやや似ているのでございますから、できるだけ国民負担を軽くはいたしたいのでございますが、背に腹は変えられない場合は、できるだけ最小限度の負担はしていただかなければならぬと思っておる次第でございます。
○国務大臣(田中角榮君) お答え申し上げます。 超高度成長をした形において物価が値上がりした——高度成長を遂げながら物価を安定させていくということは確かに必要なことでございますが、しかし、近代的な経済構造にだんだんと切りかえていくという過程において物価が多少上がる——まあ多少だけではなくて少し上がり過ぎたという御批判はございますが、しかし、その過程において皆さんが長いこと政府を攻撃されておったものは徐々に吸収したことも事実でございます。輸出は一体どうしてやるのか。輸出は伸びました。国際収支は安定拡大をする、拡大しつつ安定の方向を確保しつつあります。農村の二、三男対策をどうするのか。農村に対しても少なくとも二、三男対策などを四、五年前のように言わなくなるようになりました。中小企業と大企業との賃金の格差をどうするのか。これは労働問題では焦点でございましたが、現在賃金の、平準化が行なわれつつあります。しかし、生産性の違う一次産業と二次産業、三次産業の平準化を行なおうということでございますし、しかも、歴史的に短い時間にこれを行なおうとするのでございますから、その間においてすべてのものが生産性に吸収され、安定物価の中でこれを消化し切るということが、言い得てなかなかかたいということは、世界の経済的歴史にあらわれている現象でございます。でありますから、多少の物価の上がりの中にすべてのものが可能になっていくということは好ましいことでございますが、多少消費者物価が上がり過ぎたということもありますので、今度は安定成長の中で逆にひずみを解消していこうという政策明らかにしておるのであります。それから米価や運賃の引き上げ——運賃はまだ引き上げるときめておりませんが、米価を引き上げたことは、結局金がなくなったからです。これは財政的な理由もございます。理由もございますが、財政的理由にのみよるものではございません。より高い立場において長期的な視野に立って行なう施策の一つでもあります。これは農業政策全体に匹敵するような食管会計に赤字をかかえて、一般国民の税金をもってこれを補てんしていく、こういうことは一体長く続くものでありましょうか。もちろん、生産者米価は引き上げなさい、消費者米価は引き下げなさい、減税はしなさい、これはいいことでありますが、同時に同一の場所においてこれを行なうということになると、それは可能な問題には限度があるわけであります。でありますから、少なくとも一千億の一般会計の繰り入れだけを解消するために消費者米価を引き上げたのではありません。公共料金のストップ解除の第一としてやったのでございますから、よほどこの問題には慎重な配慮をいたしたのであります。今度はそのままにしておけば二千億の繰り入れになるわけであります。そこで、本年度の生産者米価引き上げの分をこのままにしておくと、食管会計自体を否定するような事態になっては元も子もなくするという遠大な配慮もあったということもひとつ御理解いただきたい。こういう考え方をお静かにお考えいただければ、政府がいかにして消費者米価を引き上げたかという考え方も御理解いただけると思います。そういう意味で、鉄道運賃に対しては必要性は十分認めておりますが、引き上げの決定にはしごく慎重である、こういうことであります。
○田畑金光君 時間が来ましたので私もうやめます。具体的にいろいろ質問したいと思いましたけれども、これで終わりますが、ただ最後に私が大蔵大臣にお尋ねしたいのは、あなたの先ほどの御答弁を聞いておると、こういう苦しい時期ではあるけれども、減税もやる、あるいは社会開発もやってみせる、こういうことなんですね。ほんとうにできるのかどうか。あるいはまた、いまの運輸大臣のご希望のように、国鉄に対する財政投融資の面についても、運賃を上げないで何とか考えてあげる、あげなければならぬ、まあこういうことですね。それはやってみないとわからぬことでありますが、実際不可能だとわれわれは見ておるわけです。また、せっかくこの間税制調査会の小委員会が減税の答申を出しておりますが、たとえばあなたの、企業減税と所得税の減税とフィフティー・フィフティーだ、こういうような理論を主張すると、結局また、せっかく答申された所得税の減税も後退させる、こういうことになりかねないとわれわれは見ておるわけです。そこで、根本的にいまや高度経済成長から安定成長に切りかわる、それでいまいろいろ苦しいのだとお話しになっておりますが、そのことは同時に、今後のわが国の財政経済の姿勢としては百八十度の新たな行き方がとられなければならぬ、私はこう見ておるのです。たとえば、いままでのように財政金融で経済を刺激する、積極財政で経済を膨張させる、そういうような行き方等はこれからはとるわけにはまいらぬと思うわけであります。むしろこれからの財政は、経済の成長からくるもろもろのひずみを是正するという面に今後の財政運営の中心は置かれなければならぬ、これは一例でありますが、そういうような形で、私は財政計画についても百八十度の一つの転機に来ておるやに考えるわけであります。そういう面におきまして私がもう一度佐藤総理にお伺いしたいのは、池田路線を踏襲すると言われてこられましたけれども、財政一つの面を見ても、池田路線を踏襲したのではにっちもさっちもやっていけない現時点に立っておるじゃありませんか、そういう点で、佐藤総理は、それでもなお池田路線を踏襲するのだというただ形式だけのことばでこの場を答弁されるおつもりかどうか、それをひとつ総理からお聞きしておきたい、こう考えております。
○国務大臣(田中角榮君) 乏しい財源の中にも健全財政の基調をくずさない、いやしくも財政が景気を刺激することがないように十分配慮し、調和ある予算規模の中で、可能な限り重点施策を、もちろん減税も含めて、実現をしていきたい、こう考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 高度経済成長、これは池田路線であったと言われますが、やはりそのねらいはどこまでも経済の成長にあった、かように思いますが、私は、今度は安定健全成長、これをねんがけております。もちろん当面する事態におきましては、ただいままでのところ池田路線が間違っているとは思いません。しかしながら、池田路線に対して、これをいつまでもくぎづけにする、こういうわけにはいかない。ことに、当面しておりますひずみを是正していく、そういうふうに情勢に応じた処置がとられなければならない。かように考えておりますので、必ずしもくぎづけにされるものだとは、かようには考えておりません。
○木村禧八郎君 関連。
○委員長(寺尾豊君) 時間がだいぶ経過しておりますから簡単に。
○木村禧八郎君 簡単に大蔵大臣に、物価の問題についていろいろお述べになりましたが、従来池田内閣のもとで言われた、われわれにまた説明いたしました物価に対する説明と非常に違っていますよ。そう言っちゃ失礼ですけれども、ほとんど、何というのですか、全く無根拠なその場限りのあなたの御答弁だと聞きます。前に、池田内閣のもとではこういう説明をしたのですよ。経済成長のもとで成長率の三分の一くらいの物価の値上がり、つまり三%程度はやむを得ないのだという説明だったのですよ。そうだったでしょう。ところが今度どうです。ことしは四・二%以上になりますよ。四・六%とかあるいは五%くらいになる。そうでしょう。それでは三分の一以上じゃありませんか。物価問題に対する反省がちっともありませんよ。来年度はどうです。名目一〇%ならが三%くらいの物価の値上がりは適当だと、前の説明からそうなる。ところが、政府は四・二%だと言ったでしょう。全然根拠がないのです。何を目途として、何を理論的に基準にしてめどをつけて物価の問題に対処するのか。全くでたらめですよ。もう少し根拠のある、いままでずっと説明してきたそのこととつじつまの合った説明をしていただきたい。そうしなければ、われわれ何を基準として批判していいかわからないから、その点もう少し明快に、今後物価対策を考える場合のめどはどうか。いままでは成長率の三分の一程度、これだってわれわれ意見がありますけれども、一応そういう説明をしてきたのです。それと矛盾しておると思いますが、この点についてお伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 結果的に矛盾でございますが、政府が企図いたしましたように、政府が発言をし、あなたにお答えしたような率で物価の上昇はとどまらなかったということは、もうさっきも御指摘されておるとおりでございます。それはもう認めます。確かに九%高度成長を続けておるときには、その三分の一、三%程度、こういうことでございましたが、九%経済成長率が十何%にもなったということには、過去二、三カ年の平均というのは実質六%にもなるということで、何回もこの席で陳弁したことでございますから、これは何も違っておるわけでございません。これは非常に高くなりましたということを申し上げましたが、いまの答弁何も違っておりません。ただ経済成長率の問題で物価値上がりがあったということは、マイナスの面だけだったという木村さんの御指摘でございますから、それはマイナス面だけではなく、そういう超高度の成長の陰には、物価の値上がりというマイナス面はございますが、しかし、輸出も相当大幅に伸びた、国際競争力もついたというプラス面もあることを十分御理解願いたい。しかし、こういうことでは困りますので、これから安定成長を目途としてかかるひずみを吸収するような方法をとっておるのです。こう言っておるのでございますから、何も違っておりません。ただ事実を述べただけでございます。
○木村禧八郎君 今後も三分の一ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 今後の問題は、いま中期経済見通しが明らかにせられて、政府、与党の間では、これをひとつ政府の基本方針にするか、答申を得たものだけにするか、政府、党一体の合意のもとにやるか、これを決定するかをいま慎重に検討中でございますので、しばらく時日をかしていただきたい。
○委員長(寺尾豊君) 田畑君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) 次に佐藤尚武君。
○佐藤尚武君 私は、佐藤総理大臣に対しまして国府関係、中共関係についてお尋ねをすることにいたしました。 実は、中共問題に関しましては、昭和三十四年岸総理大臣——岸内閣の時代に参議院の本会議で質問を申し上げたことがございましたが、それ以来もう五年にもなりますけれども、その長い間私は自分の考えは一つも変えていないのであります。そして外務大臣には、現任の大胆並びに前大臣に対しましても、たびたび私の意見を申し述べる機会があったのでありまするけれども、今日まで佐藤総理に対しましてはこの機会を持たなかったのであります。しかしながら、総理は一月十日ごろ、ワシントンにおもむかれるというようなことも伝えられておりますし、また、国際連合におきましても、中共加盟の問題は一月十五日ごろ上程されるだろうというような報道もありまするし、してみますれば、本日きわめて限られた時間でも利用して、そうして総理に私の考えを聞いていただくほかは機会がないだろうということを考えまして、あえてお耳を汚す次第でございます。 実は、台湾の国民政府に対しましては日本は非常に大きな借りを持っておるということは、これは総理も御同感でございましょうし、それは、終戦当時蒋介石総統が人道上の見地から、また大きな、莫大な賠償の要求さえも放棄して、そうして日本に対して非常な寛大な態度をとってくれたということに対しては、日本人としてはこれを恩義に感ぜざるを得ないのであります。それをいま忘れてはならないはずであります。その恩義に対して報いるところなく、これを平然として放棄して、そうしてただ利益に走るというようなことがありましたならば、これは国際信義をまるきり無視するものであり、放棄するものであり、日本の立場としてはまことにみじめなものにおちいってしまうということ、これは多言を要する必要もございません。私は、国際信義を非常に重く見るものでありまして、この国際信義をないがしろにして、そうして日本のような大国になりつつある国の立場というものは私はまるきりあり得ないと思うのであります。 そこででございますが、私は、現に国際連合の安保理事会に代表されている国府の地位というものは、最後の最後まで日本は守り通していかなければならないと主張するものであります。詳細はどうか知りませんが、おそらく来年はもっともっと国府に対して形勢は悪くなる可能性があるのじゃないかとおそれられるのでありますが、つまり来年よしんば中共の参加問題を重要問題として取り扱うことに成功しましたところで、はたして三分の二の多数を占め得るやいなや見当がつかないというようなところまで追い詰められるかもしれませんが、しかし、その場合におきましても、日本の態度を変えてはならないのであって、どこまでも国府に忠実になにを進めていかなければならない、日本としては進めていかなければならないということを主張してまいっておるものであります。いや、そんなかたくなな調子でどうするのだ、そういうことをやったならば仲間はずれになってしまって日本は非常な損をするんじゃないかという議論はむろんありますし、だんだんとそういう議論が勢力を占めつつあるようにも見えます。しかしながら、よしんば一時日本は非常な不利な立場におちいったといたしましても、一つもおそれる必要はないのであります。また、そういう場面に際してびくびくする必要は一つもないと思うのであります。日本の力がここまで伸びてきた今日、経済上におきましても、また産業の面、工業力の面におきましても、日本の力がここまで増進いたしてきたという今日におきましては、一つも右顧左べんして、そうして人と同じようにかけ出していくというようなことはやる必要がないと主張するものであります。なるほど、バスに乗りおくれて一時は損をしたというようなかっこうにならぬとも限りませんけれども、平然として乗りおくれて、そして日本は日本の進むべき道を歩んで行ったならば、小国と言っちゃ悪いかもしれませんが、新興国——小国は取り消します。新興国の人たちも、ああ、日本はそれほどまでに国際信義というものに重きを置き、忠実であったのかということを理解しまするときに、私は、日本に対しての彼らの考え方は非賞に違ってくると思うものであり、また、それであってこそ初めて日本というものは国際社会に重きをなし得るの、だということを痛感させられるものであります。いや、バスに乗りおくれたから云々と言いますけれども、日本の力がここまでついてきた以上は、そのうちに先方からバスを仕立てて日本を迎えに来るという、そういう日が必ず来ると思うのでありまするがゆえに、何も御心配には及ばないということを申し上げたいのであります。 私の意見に対しまして総理が御答弁くだされが、まことに傾聴いたしまするし、さもなくて、こういう問題非常に機微な問題であって、これから重要な国際的な会談ないしは会議に出られる前に、総理の態度を表明されるというようなことは支障があるというようなお考えがありとするならば、私はあえて何の御答弁も追及いたしません。ただ私の考えをお聞きくだすって、そうしてこれに対して相当考慮を払っていただくということで私は満足するものでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 佐藤さんはさすがにいままでの御経験が豊富でございます。国際の社会において最も大事なことは、信義を重んずる、そこに初めて国際信用ができ、信用なくして何事もなし得ない、これは確かに卓見であり、私ども教えられるところと思います。ただいまのお話もそういう意味合いにおきまして傾聴いたしたのでございますが、御承知のように中共、同時に国府の関係、この問題は、お話のごとくまことにデリケートな問題でございますし、機微に触れる問題でございます。ただいままでの国府と日本との間における国際的な義務、権利、そういうものは十分承知しております。その上、ただいま言われるように、総統の終戦時わが国に示された好意、またそれはことばではあらわし得ないたいへんな好意をいただいた、こういう事柄も、私どもは今後に処していく上において考慮すべき問題であると思います。 ただいま現実には政権が二つある、こういう実情でございます。中国問題も、よって来たるところこの二つあるというところに問題があるのであります。いずれにいたしましても、政府は慎重にこの問題と取り組む決意でございます。また、在来からの政府の主張もこれは一貫しておると思います。そういう意味で、お答えする立場におきましてもあるいは御不満かと思いますが、ただいま申し上げたように、お説も十分拝聴いたしましたし、その観点に立ちまして慎重に善処してまいる、かような立場でございます。
○佐藤尚武君 時間が来たことを知っておりますが、最後に一言言わせていただきたいと思います。 それは誤解を避けるために申し上げるのでありますが、私は国民政府を支持するという立場に立っていることはそのとおりでありますが、何もこれは私が個人的に国民政府と特別な関係を持っているというようなことから出ているわけでは一切ございません。私は、蒋介石総統にまだお会いしたことがございませんし、また、現在国民政府の要人の中でも、一、二の例外を除きましたほかは一切面識がないというような立場でありまして、したがいまして、個人的関係から、何も借金を背負っているわけでもなければ何でもないのでありますけれども、ただ日本の立場としてはこうあらねばならぬという、そういう見地から申し上げているということを御理解願いたいと思うのでございます。 ただ一つ私は少し気になりましたので今日のこの質問をいたしたのでありますが、総理は、いつかの機会に、国際間の関係は単に感情の問題のみで片づけるわけにはいかないというようなことをつけ加えておっしゃったことがあります。私は、国民政府との関係は、感情の問題ではなくて、これは道義の問題、国際信義の問題であるということを強く申し上げたいのであります。しかし、いずれにいたしましても、この大きな問題は政府は全責任を持って善処せられるべき問題であると心得まするがゆえに、あえて、ただいま言われましたごとく、慎重にお考えになりまして、常識的な善処の態度に出られることを切にお願い申し上げるものでございます。私はこれで引き下がります。
○委員長(寺尾豊君) 佐藤君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) 次に岩間正男君。
○岩間正男君 佐藤総理は、人間尊重、社会開発ということを説いて、特に青少年問題を重視しているようですが、その青少年問題に対する抱負とさらにその具体策について明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 青少年問題は、私、特に所信表明でも明確にし、その短い間でも相当の量をさいて説明しておりますから、それについて何か御疑問がおありでしょうか。
○岩間正男君 あなたの抱負を言ってください、あらためて。最近やっているでしょう、青少年問題協議会というのをあなたやっているでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 所信表明のほうではよくおわかりを願っておるようでありますが、さらに申し上げれば、過日青少年協議会に私出願して、そうしてあの所信表明の具体化につき、同時に、青少年協議会の諸君におはかりをしたわけであります。私から申し上げるまでもなく、青少年諸君が出まして、心身ともに健全でりっぱに育ってくれと、同時に日本人としてりっぱであり、同時に世界人としてもりっぱな青少年、人間に育ってくれと、こういう要望をいたしました。何かそれで、ございましょうか。
○岩間正男君 もっと何か、あまり簡単過ぎるな。(笑声)あなたのあそこでの演説を繰り返しませんけれども、たいへん美辞麗句を述べていられます。しかし国民が聞きたがっているのは、そういう抽象的な議論じゃない、そういうものがどうして実現できるか、その具体策です。その具体策についてどういう方法があるかお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 青少年問題は、ただ単に抽象的ではないと言われる、この教育の場あるいは育つ場所、それがそれぞれあるわけであります。小さいときは、幼にしては家庭、さらにそれから学校に参る、そうして社会教育、成人教育等いろいろ各方面の訓練を受けてくる。そうして初めて修練を積み、みがかれてりっぱな人格を養成する、かように私は考えております。
○岩間正男君 私は青少年問題を論ずるとき、もう少し具体的な地についた議論をしなきゃならぬ。そこで、あなたがいま具体策を非常に抽象的に述べられた、私は二、三の点についてどのような一体政策を立てるのか、その前提条件としてお聞きしたいと思うのです。人間尊重ということを言っておられる、そうして青少年の非行化の問題が非常に大きな問題になっておる。しかしこの原因について、これはほんとうに調べていられるのかどうか、これはわれわれもいままで法務委員会の視察なんかの場合、各検察庁あるいは裁判所に聞いてみる、しかし、ほとんどそういうことはないのです。しかし、私はこのような非行化の底には、おとなに対する青少年の不信の問題がある。第一にどうも憲法が非常に無視されおる、自衛隊がつくられておる、外国の軍事基地が日本に二百有余ある、さらに日本の政治そのものに汚職が依然としてつきまとっておる、買収選挙が公然と行なわれている、こういうこと、こういうことに対して非常にいまのおとなの政治に対して不信を持っていると思うのです。また経済の政策のひずみからアンバランスが出ている、これは非常に青少年に暗いやはり影を与えています。私はこういう点から見て、どうしても青少年問題を論ずるなら、その資格として、何よりも政治の大もとを正すということがなけりゃならぬ、こういう点についてまずあなたはどう考えておられるか、これをお聞きします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は青少年の非行があると思う。同時に大多数の青少年はすくすくと成長しておる、かように私は考えます。これがいわゆる民主主義じゃないか、民主主義のもとにおきましては、一部、もちろん思想的にもいろいろまちまちの議論される方が、極端な思想を持つ方もあるでしょう。あるいはまた右翼暴力団体もございます。しかしながら大多数というものは、国民大多数というものはその歩んでいく道は大体間違いはないんです。また青少年におきましても、もちろん青少年の非行、中にはどろぼうをする人もあるだろうし、あるいは殺人するような人もいるでしょう。だが、その大多数の者というものが踏んでおる道は、これは正しいものであり、それは誤りはないと思います。ただ私ども政治家が、わずかではあってもかような非行者が出たり、あるいは道義を乱る者があったら、これを放任するわけにはいかない。したがいまして、私は大多数の青少年の教育に失望はしておりません。必ずそれは大道を歩んでいく、堂々たるものだ、日本人としても、また世界市民としてもりっぱな尊敬を受けるものだ、かように信じております。しかしその踏みはずしておるきわめて少数の者に対する対策、それは一体どういうところから生じておるか、そういう点についての非行、これを正していかなければならない。それがただいま言われるように、全部が全部政治の腐敗の責任でもないでしょうし、あるいはまた憲法が守られていない結果だ、かような言い方でもないだろうと思います。しかし正すべきは正して、そうして間違いが起こらないようにしなければならないと思います。ただいま言われるような、いわゆる世をすねた考え方で青少年は必ずしも成長しておらない、私はすくすくと本来伸びるべき筋のものが青少年の持っておる特質だ、それをひとつ生かしていきたい、かように私は考えております。
○岩間正男君 青少年の本質はあなたの言われたようにすくすく伸びる、あくまで純真だ、しかし同時に批判力を持っておる。白は白、黒は黒、これはおとなよりもっと鋭いかもしれない。そういう点から言えば、当然あなたは人間尊重ということを言っていますけれども、こういう批判力などというものは育てなければならぬでしょう。そうでなければ日本の将来に対して非常にこれは禍根を残すことになる。ところがそれをおおうような暗い事実があるのですね。この前青森の小学校の子供はこう言っていますよ。日本のおとなはばかだ、広島や長崎に原爆が落ちた、それでもまた戦争をやろうとしている、こういうことを言っている。これは鋭いです。私は聞かなければならぬと思う。そういう点で、これはもっと日本の政治家そのものが青少年の非行を問題する前に、自分みずからを正すということが、これは絶対に必要だと思う。この点あなたはある程度認められておる、次に行きます。(笑声) 次に、憲法改悪による赤紙徴兵令の復活、海外派兵ということを心からにくんで反対しておる、これは日本の青少年の特質だと思います。これを尊重しますかどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、私どもはただいま憲法を守っております。ただいま仰せになるような事柄は、何か事実を曲げて解釈されるのじゃないか、かように思っております。
○岩間正男君 事実を曲げてというのはどういうことですか。目を開いて現実を見てごらんなさい。この赤紙徴兵令に賛成している青少年があるかどうか。あなた、じゃそういうことをやりながら、一方で自衛隊の募集人を強化したり、自衛隊に宿泊をさせたり、そういうことを平気でやっているじゃないですか。なぜはっきり言い切れないのですか。憲法を守る当の責任者として当然そういうことはしないと言わなければ、これは平仄合わぬと思うのですが、どうなんですか。海外派兵や赤紙徴兵令の復活は反対しているのですかどうです。これを尊重しますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 憲法を守っておるのですが、赤紙召集というようなことがありますか、いま。
○岩間正男君 いやそういうものを復活にと言っている。よく聞かなければ……。総理は疲れているようだけれども、よく聞いて……。(笑声)
○国務大臣(佐藤榮作君) そういうことはございません。
○岩間正男君 次に、第三にお聞きします。いま低賃金政策によって青少年の生活不安、前途に対する光明のなさ、ことに中小企業の場合なんか、そういうことは非常に起こっております、最近の倒産状態。それで住宅がないので結婚もできないというこの現状がたくさんある。これは人間尊重の立場からは、非常にこれはうまくないと思うのです。こういうものに対してどう考えるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 住宅問題は、確かに当面する私どもの政治問題でございます。したがいまして、一ぺんに解決することはなかなか困難ですが、漸を追うてこれを実現していきたい、かような考えでございます。
○岩間正男君 第四にお聞きします。いま生活苦のために、ことに低所得者の場合は子弟に能力があり希望があってもなかなか子供が進学できない、こういう機会があります。それは憲法に保障されている憲法二十六条の教育の機会均等、こういうものも非常に失われていると思う。これは人間尊重の精神にはなはだ反すると思う。こういう問題について総理の見解を承っておきたい。総理なるべくやってください。文部大臣に聞いていないのだ。
○国務大臣(愛知揆一君) お話がこまかくなりましたから申し上げますが、たとえば一例をあげますれば、先般来皆さんで心配しておられる産炭地等について、要保護家庭の児童に、就学奨励費の国庫の負担率を大幅に引き上げるというような、たとえていえば具体策を講じておるわけであります。
○岩間正男君 まあ産炭地の問題出ましたが、東北の出かせぎ地帯、それから新潟その他の災害地帯、北海道の寒冷害地帯、こういうものをもっと、これは実際行ってみると、たいへんな事態になっていると思います。私はこういうところを、あなたは青少年とひざを交えて話したいなどと言っているのだが、こういうところにほんとうに入って行って、実態に触れなければならぬ。 次にお聞きしたいのは、高校で一学年五十五名——六十名のすし詰めが現在行なわれている。これは、人間尊重の教育はこれじゃできないと思うのだが、こういう点について、これはどういうふうに一体対処する考えですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 高校の問題については、高校に入学する生徒が非常に激増しておりますことは、御承知のとおりでございます。したがって、適正な学級規模に一挙にいけなかった事実は御指摘のとおりであります。そこで高校について、特別の標準法を設けまして、標準法から一割オーバーする定員はやむを得ないこととして認めておるわけでありますが、しかし実際問題としては、それよりも若干上回っておるところもあるのでありまして、これの解消ということについては、鋭意、意を用いておるわけであります。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君、持ち時間が超過しましたから。
○岩間正男君 これは、こんな定数で、大体一学級五十五人−六十人で教育をするなんということは、これは全く問題になりません。人間尊重も、もう全く尊重もここにきわまれりという状態ですよ。こういう現状はこれから四、五続くという状態について、こういう問題そのものを今後解決するという方向をとらなければ、話にならないと私は思うのです。それでこういうことが実は教育予算にこれはかかわってくるわけです。高校全入の問題、それから定員を少なくする問題、これは切実な要求としていま院外で父兄がもう戦っているところです。こういう問題で、教育予算の問題なんですが、この教育予算は相対的に非常に少なくなってきていると思うのです。しかも教育の父兄負担、大衆負担というものは、非常にこれはそれに比例して多くなってきている。これが実情、だと思います。したがって私は、教育費そのものというものが、どういうふうに考えられているのか、第一にこれは大蔵大臣にお聞きしたいのだけれども、一体教育費というものは生産費なのか、あるいは消費の費用なのか、この点の性格規定というのは非常に私は重大な問題だと思います。時間の関係から十分に教育予算について論ずることができないのが残念ですけれども、私は、もう一つは、父兄が教育の負担で最近の物価高の中で全くどうにもならない、非常にあえいでいる実態がある。この前も木村議員から問題が出ましたが、エンゲル系数が最近下がっている。これは日本の生活内容がよくなったのだという池田総理のこれに対する答弁がありました。しかしこれはそうじゃない。最近の物価荷で食費は非常にかさんできているけれども、食べるものも節約して、最近のこれは非常にふえている。公立に行けないから私立に、私立に行けば三倍、五倍の金がかかる。やむを得ず自分の食べ物をも削って教育費をまかなっていく、こういう実態が出ている。私は二十六条に保障する教育費の全額国庫負担というものが実現できれば、これは大衆軽減、大衆の生活内容というものは、おそらく二〇%から一〇%低下する。これはたいへんな私は社会保障になります。あなたの言う社会開発をほんとうに実現するころの道だと、こういう観点から教育費というものは一体論じられたことがあるかどうか。これは論じられていない。この点で私は真剣にこの問題と対処しなければならない。財政難だから教育費はあと回しだ、もう二番、三番だという考え方では、あなたの言う民族の将来をになう青少年の教育を真剣にやるのだというそういう説明は、全然これは話にならんのだと思う。私は、政治家は大体教育の内容にタッチすべきじゃない。教育基本法見てごらんなさい。権力の不当な支配に対して、はっきりこれを禁止しているのが教育基本法の精神です。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君、四分超過をしました。
○岩間正男君 政治家のやることは、まさにこれは教育の施設をつくり、そのような設備をつくり、何よりも具体的な予算の裏づけをするということが最大の任務なんです。美辞麗句を並べて、愛国心を説いて、そうして再び青少年を戦場にかり立てるようなことは、私はやるべきではない。これについてまあ時間がないそうですから、総理の明確な答弁、それから大蔵大臣これについて答えてください。
○国務大臣(田中角榮君) 政府としましては、教育にあたりまして、父兄負担の軽減について、各種の文教施設の面での配意を重ねておるところでございます。特に要保護、準要保護児童、生徒等低所得階層に対しまして、所要の経費につきまして公費によって就学援助を行なっております。 それから、教育費は全額国庫負担をやれということにつきましては、全額国庫負担の思想、また全額個人負担の思想、このいずれにも明確にウエートを置くわけではなく、国民生活の実情に即しまして、緊急のものから逐次社会保障的な施策の充実という面でつとめているわけでございます。 教育予算がどんどんと減っておるというお話でございますが、それはどういう数字で言われておるかわかりませんが、昭和三十五年度では対前年度比一二・一%、三十六年度は一七・五%、三十七年度は一九・七%、三十八年度は二二・〇%、三十九年度は特別会計分を含めまして一七・二%と、一般会計の伸び率を上回る、これが万全だとは考えておりませんが、政府が年々教育に重点を置いておるということは数字が明らかに示しておるとおりでございます。 最後に、教育費は一体何かということが先ほどございました。経済投資か、先行投資か何か。これは教育費ということでございまして、これはひとつ御了解願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま教育費の問題につきましては、大蔵大臣から詳細に説明いたしましたので、御了承いただいたものと思います。 私は、岩間君が、いわゆる私の人間尊重、その立場に立っておられるということを実は初めて知りました。たいへんけっこうなことで、人間尊重の政治を私はやっていく、その立場におきまして。もちろんこれは一朝一夕にできることではございません。しかしながら、この人間尊重という方向に皆さま方が関心を持たれることを非常に喜んでおります。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君の発言は終了いたしました。 —————・—————
○委員長(寺尾豊君) 次に林塩君。
○林塩君 総理は、このたびの御所見の中で、経済開発と均衡のとれた社会開発は、福祉国家への課題である、それで、社会福祉の諸施策を積極的に推進する所存である、そのためには、社会保障については、長期的な観点から、所得保障、医療保障の内容の充実と体系の整備につとめたいと言われていますが、まことにけっこうなことだと存じます。それにつきまして、私は、総理にお伺いしたいのでございますが、所得保障と医療保障の内容の充実について、どのような構想をお持ちになっていらっしゃいますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(神田博君) その林委員の御質問は、先般もこの席でいろいろお答え申し上げたとおりでございまして、いまお問いになりました医療保障と健康保障の面に重大な手を打てということでございますが、政府といたしましては、国民の総合的な幸福を増進することが政治の究極の目的である以上は、衛生の面においても、医療予防と並んで積極的な健康の保持増進をはかるべきことは御指摘のとおりでございまして、ときあたかも東洋における最初のオリンピックを成功裏に終わり、全国民が体位、体力の問題について関心を深めているときでもあるので、この機会に健康の基礎である栄養の改善を推進するとともに、長期的な国民の健康づくりの基盤として母子保健対策の充実をはかり、さらに各層の職業、年齢にふさわしい体操その他の体育の普及、自然の中におけるレクリエーション施設の整備、公害防止その他健全な生活環境の増進等、幅広い視野において健康増進に対する対策を進めてまいりたいと、かように考えております。
○林塩君 総理に聞きたかったのでございますが、厚生大臣から伺いましたが、総理も闘いといていただきたいと思います。 で、社会保障は所得保障と医療保障との二本建てということは御存じと思いますが、この両者は密接なつながりを持っております。低所得者が所得保障によりまして、一応最低生活を確保することができました場合でも、最近は物価高でございますので、この最低生活を確保するということは、たいへん困難かと思います。それでも、そういうふうな所得保障によりまして最低生活を確保するようなことができたとしましても、病気とか、傷害事故とか、出産などによりまして不時の支出が重みました場合には、たちまち生活困窮におちいるということは、要生活保護者の被保護原因を調べてみますと、疾病によるということが六七%になっていることによっても明らかなところでございます。そういう事実によりましても明瞭でありますのでございますが、このような問題につきまして、社会開発の面で、総理はことに人間尊重、それから生活の基盤の確立というようなことを言っていらっしゃいますが、この問題は非常に重要な問題だと思いますけれども、それにつきまして総理はそういう状態をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 現状におきましてはまことに不十分、また政府の施策も十分だとは言えません。今後さらに私どもが力を入れて、かような状態について是正していくことが私どもの政治の仕事だと、かように考えています。非常に問題が広範でございますし、簡単な短時日にはなかなかこれが是正されませんから、そういう意味で政府の施策に十分御協力願いたいと、かように思います。
○林塩君 短時日でできないことはよくわかっておりますし、それからまた、長期の見通しがなければ、こういうことはできないということはよくわかるわけでございます。わが国の医療保障制度もようやく国民皆保険の体系を整えるようになりましたが、現在の医療保障の方向は、疾病の治療に重点が置かれておりまして、病気以前の段階、病気の予防に対する対策に乏しいということでございますが、この点につきまして総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 予防衛生、これは特殊の疾病に対しましては、そういうものが講ぜられるようでございます。ただ、その予防というよりも、さらにもっと積極的に健康増進、その方向へも進むべきではないだろうか。そういう意味で、何かとくふうもし、施策も講じてまいるようにしたいと、かように考えております。
○林塩君 将来の見通しと致しましては、予防衛生の面にも十分施策をしていきたいという御所見でございますのでけっこうだと存じます。しかし、これにつきましては、なかなか具体的な問題について施策の上に十分なことがなされなければならないのではないかと考えます。公衆衛生上の施策におきましても、まだまだなすべきことがたくさんあると思います。それからまた、国民の健康教育の問題につきましても進めていかなければならない問題だと思うのでございますが、現在このような問題がわりあいに行なわれておりません。それにつきまして、ただいま御答弁がございましたので承知をいたしました。 先を急ぎますので一応御質問をいたしたいと思います。 福祉問題はまだまだ大きな問題がございますので、短時間ではとても質問をいたしかねますが、重点的に申し上げたいと思います。現状はどういう状態かと申しますと、病院とか診療所とか精神病院とかいうような医療機関におきまして、国民の診療看護の上に重大な役割を果たしていると思われますところの医療従事者、ことに医師、看護関係者の不足が問題になっております。医師の数も不足でございますけれども、特に著しいのは看護関係者でございます。看護関係者は看護婦、准看護婦、また公衆衛生の最前線におきまして国民の健康の増進に役立ち、予防のために役立ち、健康教育に役立っておりますはずの、ことにまた僻地におきましては医療機関の不備、無医地区などによりまして活躍しております保健婦の仕事というのはたいへんなのでございますが、その数がまことに少ないわけでございます。こういう点につきまして、早くから厚生省のほうでも政府においても、いろいろ施策はあったと思いますけれども、しかしながらまだ十分でございません。これにつきまして総理はどのようにお考えになっておられますか。また、この面につきまして、人間尊重の意味から、国民の健康増進の意味からおきまして、将来どのような御見解をお持ちになっていらっしゃいますか伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘のように、いまなお無医村、お医者さんのいない地区もある、また看護婦はたいへん人手不足、こういうことでございますが、これと同時に、また収入の面におきましても私どもはいろいろくふうしなければならないようなものがあるようでございます。今回ようやく医療費もある程度引き上げるようでございますが、こういう点が、ことに看護婦の場合に各県でまちまちであるかのようにうかがっております。これらはぜひとも厚生省におきましても十分他職との均衡をとるという立場におきまして、所要な人を確保することが必要だろうと思います。ただいまこまかい、また管理その他につきましての御意見もございましたが、まだまだわが国の医療制度そのもの、また実態に即した医療制度をやる、そういう点にはよほどこれから努力していかなければならないものがあるのではないかとかように思います。厚生省におきましても、ただいま御指摘になりましたような点について、不十分とはいいながらそれぞれ手をつけ、また皆さま方の御協力を得てというのが現状だと思います。
○林塩君 時間が参りましたのですが、重要な問題でございますので、もう二点伺いたいと思います。 福祉国家を建設するために、いろいろ施策があると思いますが、政府におきましては、昭和四十五年までに一応英国並みの福祉国家をつくるんだというように発表がございました。これにつきましては、総理は御確認なさいますでしょうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 四十五年までに英国並みの福祉国家をつくるんだ、これは少しことばが言い過ぎかもわかりません。私はなかなかさようにはならないかと思います。ことに英国の制度そのものにつきましても、いろいろ批判があると思います。必ずしも英国全部を手本にするというわけにもいかない財政上の事情もございますし、それらの点は、国家百年の大計を立てる、こういう見地に立ちまして十分考究し、そうして財政ともにらみ合わせ、また経済の発達状況ともにらみ合わして、そうしてきめるべきではないか、かように思います。
○林塩君 もう一、二点お願いします。 英国におきまして福祉国家思想を入れますときに、一番問題になりましたのが、この看護従事者の数の問題、質の問題でございます。こういうことにつきましては、政府は特に福祉国家を建設するといわれるならば、その問題は十分に考えられてしかるべきでないかと思うわけでございます。福祉国家といいますと、これは疾病とか、あるいはまた負傷者、それからまた精神薄弱、それから重度の肢体不自由児、それから貧困な老人、それから保護を要しますところの幼児、そういう人たちがまず守られるのが福祉国家であろうかと思うのでございますけれども、それを守るのはだれが守りますかといいますときに、一番手近なものがその最前線にありまして働いていきますところの看護従事者でございます。で、英国におきましては早くからこの問題と取り組みまして、そしてこの法律の上でも相当な施策がなされているのでございますが、わが国におきましてはそれが逆になっております。それで、看護従事者の数にいたしましても一、二十年の間に、僅々二十年の間に、英国におきましては、人口は二%しかふえておりませんのに、看護人口は五〇%ふえております。それが、わが国におきましては至って逆な数字が出ておりますのでございます。近時この看護従事者の不足が社会問題になっておりますおりから、このことなどもよくお考えになりまして、四十五年度までにできませずとも、遠い将来には必ず実現させるという見通しでございましたら、早急にこの看護対策をぜひともお立ていただきますようにお願いしたいわけでございますが、これに対しまして総理の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 林さんはさすがにその道の方であられますので、ただいま看護従事者の質並びに数についての御要望を私拝聴いたしたのでございますが、それぞれまた厚生省におきましてもやっておることだと思いますので、ただいま実情を説明さしたいと思います。なお、ただいまのような点につきまして、私どもも一そう努力してまいりたいと、かように考えます。
○委員長(寺尾豊君) 林君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) なお、ただいま委員の変更がございました。草葉隆圓君が辞任され、二木謙吾君の選任されました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) 以上をもちまして締めくくり総括質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。 よって、補正予算三案の質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) これより三案の討論に入ります。通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。まず、山本伊三郎君。
○山本伊三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております昭和三十九年度補正予算三案に対しまして、反対の立場で意見を述べます。 本日の委員会でも、総理並びに大蔵大臣その他閣僚から、池田内閣の高度経済成長いわゆる所得倍増政策に対しましてはひずみがあるけれども、基本的に誤りでないという意見はたびたび聞いております。われわれはそういう評価をしておりません。そのひずみ自体が、すでに三十五年の所得倍増政策が打ち出されたときに、このような経済政策であれば、経済成長そのものはあるけれども、その受ける犠牲は一般勤労大衆がしわ寄せを受けるということから、すでにその当時実は警告を発しております。すなわち、わが党が前内閣当時からたびたび警告をしておりましたが、過剰設備はいまや現実の生産力化しておる、基幹産業全般に及びましてその過剰設備、過剰生産の状態は深刻なものであります。これはもうすでに佐藤内閣も認めておられると思いますが、それがため金融は梗塞し、企業の発展状態はきわめて悪化をしております。株式市場も、きわめて低迷をし、悪化をしております。日銀信用による株価操作を必要とするほど実は異常な状態におちいっておるのであります。また一方、中小企業は、本日私も質問をいたしましたように、史上始まっての倒産を記録しております。農民も高度経済成長の犠牲となっております。消費者物価は言うまでもなく非常に高騰をしております。 このように、所得倍増の経済政策の破綻一歩前に、実は佐藤内閣が出現したのであります。この佐藤内閣は、きびしくも、この委員会でも、本会議でも、前池田内閣の施策をそのまま基本として踏襲するということを言明されました。佐藤内閣が出現した際には、われわれも一番新鮮な政策が出るものと期待しておりましたけれども、きびしくも前池田内閣の路線を踏襲するという実は言明がありましたので、わが党といたしましても、しからばこの佐藤内閣に対してもきびしく対決をしなければならぬというほぞを固めた次第でございます。 まあ前提は、いろいろございますけれども、時間の制約もありますので、補正予算案の具体的な反対の理由を述べたいと思います。 まず第一に、公務員の給与の問題であります。今度の補正の大部分を占めておりますけれども、公務員の給与につきましても、本会議で私も質問いたしましたけれども、毎年五月実施が人事院で勧告されるのに、政府はこれを十月に値切っております。本年は、大蔵大臣のことばをかりますると、せめて一カ月だけでも早くやったのだから財政困難のおりから了解をしてもらいたい、こういう趣旨でありますけれども、われわれはそれは了解できません。公務員といえども人間として生活をしなければならぬ。しかも、人事院の勧告を見ましても、民間の給与よりも低いということがすでに立証されておるのです。しかるに、その実施すらも四カ月も五カ月もこれを値切るということは、われわれとしてはどうしても納得はできません。 それと同時に、もう一つは、地方公務員に対する財源措置の問題であります。これは趣旨としては問題はございません。しかし、そのやり方については、非常に地方財政の将来の運営に影響が私はあると思う。百五十億の財源を資金運用部資金から五年間の返済期間をもってこれを貸し付ける。反対に地方交付税の会計から見ると、これを借り入れる。しかも、五年間にこれは返済する——まあ利子補給は政府はするようでありますけれども。これは地方交付税の結局先食いということになりまして、単年度主義のこれがくずされるということが、われわれとして基本的な反対の理由であります。もしそういうことでやらなければならないならば、臨時調整補給金として一般会計から交付税特別会計にこれは補てんすべきである、こういうわれわれは考えを持っております。この点につきましては、質問の際にもはっきりとした答弁はございませんでしたけれども、われわれはそういう点においても、この金額の百五十億云々というよりも、むしろそのやり方について、ますます今後地方財政を苦しめるもとになるのじゃないかということも、反対をする理由であります。 第二点といたしましては、この本補正予算を見ますると、新潟の地震あるいは北海道その他の災害、冷害あるいは長雨による災害に対しては、公共施設に対する補てんはしておるけれども、その被害を受けた農民なりあるいは一般市民に対してのいわゆる個人的なこれに対する救済の費用が考えられておらない。特に北海道の冷害はきわめてきびしいようであります。そういう正月を迎えて苦しんでおるこれらの人に対する措置がきわめて冷淡であるということが、これは第二の反対の理由であります。 第三は、医療費の問題であります。これもたびたび私は質問いたしましたけれども、今日非常に国家経済も悪い。今度はこれによって医療費の改定に伴う総医療費の年間増加額が七百億円になるようでありますけれども、単に国家財政に及ぼす問題だけではございません。これによって各種保険、健康保険の経済がきわめて逼迫してくると思うのですが、これが簡単に政府並びに自民党の意思だけで緊急是正の八%上回ってこれが値上げの実施をされたということについては、われわれは容認できない反対の理由であります。 いろいろ理由がありますが、時間の関係で省略いたしまして、実は一応支出の問題はそういうことにいたしまして、財源の調達についても相当政府の責任があると思う。今度の補正予算を見ますると、法人税のいわゆる減収による減額補正が百二十億も含まれております。この問題につきましても、三十九年度予算審議の際にも、この税収については、ある程度水増しと申しますか、相当高過ぎるじゃないか、今日高度経済成長、いわゆる成長率は七%あるいは一〇%になるかしらないけれども、収益率が問題である、そういうことから法人税の見積もりについては問題があるということを指摘したのでございまするが、これが事実今度の補正で百二十億のいわゆる減収であるということにあらわれてまいりました。これは私は、財政当局といたしましてはやはりきわめて責任があると思います。そのほか財源調達のほうでは、既定経費の節約で、一律三%ということで無差別にそういうことをやられておるようであります。これは私は、経費節約の趣旨としては妥当でないと思う。国家行政の中にはいろいろ問題があります。特に学校給食の問題とか、あるいは僻地往診料の特別補助の問題等、緊急欠くべからざるというよりも、むしろそういう方々の生活に直接影響するものも同じように画一的にそういうことをやられたことについては、われわれはどうしても承服はできません。 最後に、中小企業対策については、政府も年末の金融、融資ということで、五百億円のいわゆる買いオペ資金を出されたようであります。また日銀も、きょうの日銀副総裁の答弁では、二千二百億の年末の中小企業に対する買いオペを実施して万遺漏なきを期しておると言われますけれども、現実には、そういう措置をとられても中小企業そのものにそれだけの効果は及ぼしておらないという現実は、皆さん方御存じだと思う。そういう意味におきまして、今度の補正三案に対しましては、なるほど財政難においていろいろの問題があるけれどもやられたというその苦労は買うけれども、全般を通覧いたしましてわれわれは反対をせざるを得ないというのがわれわれの意見でございます。 以上をもちまして私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)
○委員長(寺尾豊君) 次に村山道雄君。
○村山道雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております昭和三十九年度一般会計補正予算第1号外二件について賛成の意を表するものであります。 右三案の内容につきましては、さきに大蔵大臣から説明がありましたように、おもな補正要因は、第一に公務員給与の改善を本年九月から実施するに伴い必要となる経費、第二に公共土木施設等の災害復旧等事業に必要な経費、第三に農業災害に対処するための農業共済再保険特別会計への繰り入れ、第四に診療報酬改定に伴う増額経費、第五に食糧管理特別会計への繰り入れ、第六に義務的経費の精算不足額の補てん等でありまして、いずれをとりましても、当初予算作成後に生じた理由に基づき特に緊急に措置を要するものばかりであります。ことに本年度のように景気調整の影響を受けて租税収入が伸び悩んでおりまする中で、税外収入の確保と既定経費の節減につとめ、一千億円をこえる財源需要をまかなうだけの補正予算を編成いたしました政府の努力に対して、深甚の敬意を表する次第であります。 次に、本委員会の審議を通じて議論の対象となりました二、三の点を中心に簡単に所見を申し述べたいと存じます。 まずその第一点は、人事院勧告に基づく公務員の給与改善をいつから実施すべきかという点であります。政府におきましては、本年度の苦しい財源事情にもかかわらず一本問題に積極的な検討を加え、物件費について原則として三%の節約を断行するほか、欠員の補充につきましてはこれを必要最小限度にとどめることとしまして補正財源の捻出につとめ、従来の十月実施を一カ月繰り上げて九月実施に踏み切ることとしているのであります。もし、本案に反対する諸君の主張いたしまするように、五月までさかのぼって給与改定を行なう場合には、国においてさらに八百億円という巨額の予算を必要といたしますが、前述のような本年度の財政事情のもとでは、このような財源を捻出することはとうてい不可能であると言わざるを得ないのでございます。また、地方公務員の給与改定に要する経費につきましても、本案に反対する諸君は、その必要経費の全額を国が地方公共団体に交付すべきであると主張されておりまするが、九月一日より実施する場合でもその所要額は、一般財源計算で総額約百七十億円、そのうち交付団体分で約四百三十億円という巨額に及ぶわけであります。本件につきまして、政府が、国税三税の補正に伴います地方交付税の増加以外は、できるだけ地方税の自然増収を確保することにつとめるとともに、地方公共団体も国に準じて経費の節減をはかることによりまかなうというたてまえのもとに、特に臨時の措置として交付税及び譲与税配付金特別会計が資金運用部資金百五十億円の借り入れを行なうこととしておりますのは、本年度の特殊な事情に即した適宜の措置であると言えるのでございます。 第二の論点は、消費者米価の引き上げであります。このたびの補正予算におきまして、食糧管理特別会計への繰り入れは六十億円にとどまっておりまするが、これは御承知のように、生産者米価を三十八年度八・四%、三十九年度一三・六%と引き続いて大幅に引き上げました反面、今回消費者米価を二年ぶりに四十年一月一日から一四・八%に引き上げることにした結果であります。もし本案に反対する諸君の主張いたしますように、消費者米価を据え置くことといたしますれば、生産者米価と消費者米価との逆ざやが拡大し、食糧管理制度の円滑な運営を阻害することとなるのみならず、食糧管理特別会計国内米勘定の損失は、三十九年度当初予算に対して約九百六十億円に増大し、このため、同特別会計調整勘定への繰り入れ所要額は、本年度当初予算に計上しておりまする九百九十億円をさらに大きく上回る巨額に達するわけでございます。したがいまして、政府がこの際、消費者の家計を害しない程度において消費者米価の改定に踏み切るとともに、徳用米制度の活用と、正月用モチ米価格の据え置きという措置をとられたことにつきましては、その勇断と慎重なる配慮に対して、ここに敬意を表する次第であります。 なお、消費者米価の引き上げに関連いたしまして、諸物価の値上がり傾向が問題とされておりまするが、消費者米価の引き上げそのものは、家計支出に対して〇・七%程度の影響しか与えないものであります。しかしながら、政府におきましては、こうしたことを契機として便乗的値上がりムードがびまんすることのないように、周到なる配慮を払われんことを切望いたす次第であります、 第三は、災害の復旧等に必要な経費の追加についてであります。御承知のように、本年は新潟地震や山陰、北陸豪雨をはじめ、相当大規模な災害の発生が見られ、公共土木施設及び農地、農業用施設の被害報告額は、昨年の千二百億を三百億円以上上回っております。政府におきましては、その復旧について百八十億円にのぼる予備費支出をもって適宜適切な措置を講じてきているところでありまするが、なお今後の復旧のため必要とする経費百六十三億円と、過年災の復旧等の事業について、予定の進捗率を確保するために必要とする二十五億円との合計額を、今回の補正予算に計上されたわけでありまして、まことに時宜を得たものであります。 また、農業共済再保険特別会計への繰り入れ二十九億円も、北海道、東北地方における冷害によって生じた農産物被害等に対処するためのものであり、さらに、財政投融資計画における日本国有鉄道に対する二百五億円の追加、北海道東北開発公庫に対する四十億円の追加及び地方債の追加百四十億円も、主として災害復旧のためのものでありまして、これら諸般の措置を通じて、災害地における経済の復旧と民生の安定が十分にはかられておりますことに対しまして、心から賛意を表する次第であります。 このほか、診療報酬改定に伴う増加経費、義務的経費の精算不足額の補てん等も、まことにやむを得ないものでありまして、あわせて賛成の意を表するものであります。 最後に申し上げたいのでありまするが、以上申し述べてきましたように、今回補正予算に計上されました各経費を支出することにつきましては、本案に反対される諸君からも根本的な反対がないのでありまして、むしろ、諸君の主張どおりにすれば、さらに巨額の財政支出を要することとなるばかりであります。このような場合には、政府の意向をただしつつ、しかるべき財源をさがし出して増額補正を要求するのならば話がわかるのでございまするが、本案自体に反対を唱えられることは、私には理解に苦しむところであります。したがいまして、私といたしましては、本補正予算三案に対し、全会一致賛成されることを希望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(寺尾豊君) 次に、鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)等の三案に反対の討論をいたすものであります。 今回の補正予算は、公務員の給与改定、災害復旧など緊急を要するものがあります。このような予算案にあえて反対する理由を簡単に申し上げたいと思います。 まず第一に取り上げる反対の理由は、本予算案の性格であります。現在、高度経済成長政策の失敗から各所にひずみがあらわれております。政府は、引き締め基調のもとに安定成長を進めているので、政策転換の必要はない、このように言っておりますが、現実には、中小企業の倒産記録の更新、不況の深刻化、物価上昇による国民生活の不安定をもたらしております。国民が佐藤新政権に期待したものは、これらの問題の解決が第一であります。しかるに、消費者米価の値上げは他物価の上昇の誘因になるとは考えられない、あるいは、公共料金はケース・バイ・ケースでもって対処する、というような答弁から見まして、政府の物価対策は全く国民に不安を与えるだけで、何らの具体的な施策の考えを見られなかったのであります。 さらに、急を要する中小企業への対策が今予算案に十分見られないということは、外航船舶の建造量に伴う開銀への百億円の財投計画の追加と対比してみますと明らかであり、政府にもし中小企業への熱意があれば、低利の長期資金の供給を政府三機関をして行なわせるため、今回の補正において、三機関へ財投の大幅追加をさらにするべきであると思うのであります。 このような国民大衆にとっての緊急問題に対して期待できる姿勢が、人間不在の排除を言う新政権には見られないのであり、そのような国民不在の性格の予算案に対して反対するものであります。第二の反対の理由は、公務員の給与引き上げについてでありますが、政府は人事院勧告を尊重した、このように言っておりますが、勧告はあくまでも五月実施であり、たとえ一カ月前進の九月実施となっても、なお多くの差がございます。それに対して、財政上の問題と、一般経済に及ぼす影響を考えておったと、このように言っておりますが、一般経済の影響が給与改定に及んだのであって、経済の変動、物価の上昇から見て、勧告どおり五月実施を予算に盛り込むべきでありまして、この点について政府の九月実施は、公務員の生活を考えぬものであり、承服できないものであります。しかし、昨年暮れの予算委員会において指摘したように、今回は、例年の十月実施が九月実施となったのは一進歩であり、さらに前進するよう、政府の勇気を望んでやまない次第であります。以上、反対の意見を述べて討論を終わります。(拍手)
○委員長(寺尾豊君) 次に、佐藤尚武君。
○佐藤尚武君 私は、ただいま議題となっております本年度第一次補正予算案に対し、以下二、三の要望を申し述べ、賛成の意を表するものであります。 本補正予算案は、申すまでもなく、公務員の給与改定、災害対策、医療費や米価値上げに伴う措置を内容とするものでありまして、緊急やむを得ないものと認め、賛意を表するものであります。 しかしながら、この際、特に政府当局に要望を申し上げておきたい点があります。 その第一は、公務員の汚職追放であります。毎日、新聞や放送をにぎわしておりまする公務員等の汚職事件は、国民道義の上に非常な悪影響を及ぼし、廉直真摯の気風をむしばみ、ひいては青少年の不良化にもつながり、また、政治不信の一大要因ともなっております。はなやかだったオリンピックの施設の裏にも、また、世界一を誇る東海道新幹線の裏にも、汚職という暗い影がつきまとってきたことを考えることは、国民にとって、まことに遺憾千万であり、全くやりきれない気持ちなのであります。政府はこの際、一大決意をもって綱紀の粛正をはかり、いやしくも再び汚職の発生するようなことのないよう、格段の措置を切望するものであります。 第二は、行財政の合理的な整理を行ない、効率のよい親切な政治の行なわれる姿勢を整えてもらいたいということであります。 わが国は、ここ数年来のいわゆる高度成長、所得倍増のあまいムードに乗って放漫に膨張した行財政規模を、思い切って合理的に整理すべき時期に至っていると思います。政府は、納税者たる多数国民の立場に立って、困難を排し、勇気をもってこの問題の処理を進められたいと願うものであります。 第三に、本予算の執行にあたっては、医療行政は全国民を対象とするものであることを銘記して取り運ぶようにいたしたく、また、米価や医療費の値上げが物価値上げの調子を助長することのないように、さらに、これらの値上げが低所得層の家計を圧迫しないように、きめのこまかい適切な措置を切望するものであります。 以上をもって私の討論を終わります。
○委員長(寺尾豊君) 次に、向井長年君。
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案の昭和三十九年度予算補正三案に対して、遺憾ながら反対の意を表明いたします。 前内閣の諸案件を前内閣の政策方針どおりに編成されたものでありまして、次のような憂慮すべき問題点を内包いたしておると思うのであります。 本案第一の問題点は、物価値上げ容認予算であります。佐藤総理は、本国会の所信表明の中で、物価抑制を強調しながら、実は国民生活の根底である主食と医療費の値上げについて、前内閣の方針をそのまま引き継いでおるのであります。 本案第二の問題点は、歳入補正編成にあたり、無定見な財源かき集め予算である点であります。 その一つは、既定経費のうち、人件費を除く他の諸経費を、原則として当初予算の三%分を節減している点であります。特に施設費、補助金をも含む節減であるため、明らかに事業繰り延べを抜き打ち的に強制するものであると思うのであります。このことは、本年度通常予算が、年度半ばにして全体の三%も節減でき得る水ぶくれ部分があったということであります。 その二は、地方交付金財源として、新たに資金運用部資金の融資を充当するよう法定しようとする点にあります。すなわち、地方自治体の経常経費財源に将来返済を予定する融資部分を加えることは、交付税交付の安定を阻害するものと言わねばなりません。 本案第三の問題点は、現在の大不況に対する緊急対策費を何ら計上していない点であります。現在の不況は、単に景気調整期のそれではなく、深刻なる生産過剰と供給過剰にもかかわらず、証券を中心に金融のメカニズムが半ばストップしておるのであります。政府と日銀の勇断なくしてこの危機を打開することはできません。特に昨今の中小企業連鎖倒産は日を追って激しく、政府の言う年末向け短期融資によってはとうてい防止できるものではありません。この際、政府は、中小企業危機を打開するため、手形融資資金として、最低五百億円は緊急支出すべきだと思います。 民社党が本件に反対する最大の理由は、政府が当然なすべき物価対策と不況対策を完全に無視している点にあることを指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(寺尾豊君) 次に、岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、昭和三十九年度補正予算三案に反対するものであります。 一、この予算案が両院で審議されているとき、これと並行して、韓国に対する緊急援助二千万ドルが決定され、また、台湾に対する一億五千万ドルの政府借款がきめられようとしている。これがきわめて特徴的であり、佐藤内閣の反動的正体をみずから暴露するものである。「中国は一つである」、「敵視政策はとらない」などということばの下から、こういう措置がとられているのである。そのねらいは、言うまでもなく、いま危殆に瀕している反共、朴、蒋の徒に、日本政府がアメリカの肩がわりとなっててこ入れをし、日韓会談を早期妥結させるとともに、台湾を強化して、日台韓の反共軍事同盟を結成しようとする野望のあらわれである。これは一つには、中国や北ベトナム侵攻をたくらむアメリカの片棒をかつぐことであり、いま一つは、アジアの人つくり、国つくりを口実に、帝国主義的進出を企てる佐藤内閣の経済外交のあらわれである。 二、しかも、これらの政策は、重税、高物価、低賃金による犠牲の上に成り立っている。このことは、本補正予算の上にも歴然とあらわれている。 まず、歳入面では、すでに年間六千億に及ぶ自然増収を取り立てながら、さらに本補正予算では、勤労及び申告所得税など八百六十億を上積みして、大衆収奪を一そう強化している。一方、独占資本や大企業などに対する法人税の減収を認め、減免税による手厚い保護を加えている事実とあわせて考えれば、その性格は一そう明瞭であろう。 三、政府は財源難を口実に、こうした重税、高物価政策など、激しい収奪を行ないながら、目下生活苦にあえいでいる人民の要求には、耳をかそうとしない。その性格は、本補正予算の歳出面ににじみ出ている。 まず第一は、公務員の給与である。公務員労働者の生活は、目下窮乏の一路をたどっているにもかかわらず、政府は低きに過ぎる人事院勧告の線さえ、四カ月もおくらせて実施するという、いつもながらの常套手段を繰り返している。これでは公務員労働者の生活苦は一向に解消されないのである。 第二は、災害復旧費の問題である。いわゆる高度経済政策と農業構造改善事業の推進は、日本の国土と農業を根本から荒廃させ、その結果は、冷霜害、台風、豪雨、地震などによる道路、農業施設などの被害を一そう拡大している。それらの被害は一千五百七十八億と言われている。それを本補正予算では、わずかに一割程度計上したにすぎない。さらに、北海道をはじめとする農作物の甚大な被害については、わずかな農業共済保険の支払いと申しわけ的な融資でごまかそうとしている。 第三は、医療費の問題である。政府はこのたび、中央医療協議会の答申を無視して、人民負担による医療費の値上げを強行した。政府は名目だけの政府負担の引き上げを口実にして、医療費の大部分を人民負担にしたのみか、初診料、入院料の引き上げ、薬価の半額本人負担など、二重負担を強いている。 第四は、消費者米価の問題である。政府は国民の強い反対を押し切り、政変のどさくさまぎれを利用して、消費者米価の大幅引き上げを断行した。これは明らかに食管法無視である。この暴挙は、ただに大衆負担の強化と物価高を刺激するにとどまらず、食管法をなしくずしに廃止して、いわゆる開放経済体制のもとで、外国食糧の輸入をますますふやす結果となることは明らかである。 四、以上述べたように、本補正予算案の反人民的性格はきわめて明らかであります。けさの毎日新聞の世論調査によれば、物価安定を望む声は全体の八〇%をこえている。これを裏づけるように、院外の物価値上げ反対運動は、他の諸闘争とも結んで、かつてないほど大きな勢いで盛り上がっている。しかるに、政府はこの声を無視し続けているのであります。物価安定どころか、本予算による米価、医療費等の値上げによって再値上がりムードの突破口が切り開かれ、次いで国鉄運賃、私鉄、電気、水道、ガスなどの公共料金の値上げに火を点ずるだろうことは明らかであります。 有史以来の中小企業の連続倒産には、何らの方策がなく、労働者、農民の生活の危機はますます深まるのみであります。これが国民生活の安定を口にして登場した佐藤内閣手始めの財政金融政策の正体であります。しかも、さらに重要なことは、これらの方針は目下編成を急ぎつつある来年度予算にも持ち越されることであります。われわれは、本補正予算に絶対に反対し、その性格を明らかにするとともに、人民大衆とともに真の生活の向上と安定を目ざして戦うものであります。
○委員長(寺尾豊君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって三案の討論は終局したものと認めます。
○藤田進君 採決に入る前に。内外の情勢きわめて重大なときに、わずか六日間の審議を経て、ここに最終的各会派の賛否討論が厳粛に行なわれているときに、従来の長い慣行を無断で破って、所管大臣の出席が一部ないことは、まことに遺憾であります。この際、総理は厳重に戒めるとともに、将来かかることのないように、十分なる御注意を与えていただきたいことを希望して、議事進行について、委員長はすべからくお取り計らいをいただきたい。
○委員長(寺尾豊君) 佐藤内閣総理大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま藤田委員の発言のこと、所管大臣が出席していないということは、今後はこのような事態が起こらないように十分注意をいたしまして、また、当該大臣に十分注意いたさせたいと、かように考えます。どうぞ御了承いただきたいと思います。
○委員長(寺尾豊君) これより三案の採決を行ないます。昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を衆議院送付どおり可決することに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(寺尾豊君) 起立多数と認めます。よって三案は、衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、先例により、これを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(寺尾豊君) この際、おはかりいたします。 予算の執行状況に関する調査につきましては、今期国会開会中調査を完了することは困難であると思われますので、閉会中も引き続きこれを行なうこととし、その要求書の作成及びその手続等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。 本日は、これにて散会いたします。 午後七時二十六分散会