予算委員会 第6号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1964/12/12
会議録
○委員長(寺尾豊君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。北村暢君。(拍手)
○北村暢君 私は、最初に災害問題について若干お伺いいたします。 天災融資法の問題については、改正案が昨日出たようでございますから、その点は農林水産委員会、他の委員会に譲りまして、北海道を中心とするところの災害に対する融資のワクの問題について端的にお伺いいたしたいと思いますが、北海道の災害の被害額五百七十三億といわれておりますが、これに対する融資のワクはどのように考えておられるか、まず御答弁をいただきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 天災融資法によるもの約四十億、それから自作農維持資金、これが約四十五億か五十億、正確に私いま記憶しておりませんが、もしあれならば事務当局から……。
○北村暢君 大体天災融資法と自作農資金の融資で八十五億程度と聞いております。これは三十一年災害の際に被害額三百九十六億程度であったときに百億の融資をしております。それに比べれば被害額等において相当高いのに八十五億程度ということについては、これは私どもとしては納得いかないのでありますが、どういう経過でこういうことになったか、そしてまた、大蔵大臣にお伺いしますが、この融資ワクについて再考慮する余地があるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 前の災害に比較しまして、この度は広範でございますが、その程度、深さといいますか、被害の程度においては前よりも薄いといいますか、そういうような関係から、計算上いま申し上げたようなことになっております。しかし、これだけでは足らぬということでありますので、天災融資法の改正等を待って融資額を増す、こういう予定をいたしております。
○国務大臣(田中角榮君) 天災融資法につきましては、おおむね倍額程度はふやそうということにしておりますし、それから自作農創設資金の問題につきましても若干ふやしたいということで、いま折衝いたしております。
○北村暢君 いまの農林大臣の被害の程度が薄いと、こうおっしゃいますけれども、今度の北海道の冷害はそういう薄いという程度のものではないと判断いたします。いまの農林大臣、大蔵大臣のせっかくの誠意のある答弁がございますから、ぜひひとつ格段の御努力をお願いいたしたい。 次に、開拓者に対する災害の問題についてお伺いいたしますけれども、開拓者は実際問題として天災融資法、自作農資金の融資というものは、締め出されたような形になっております。したがって、開拓者資金のうちの災害資金を借りるというのでありますけれども、これは七割災害以上でなければ借りられないという非常にきびしい条件になっております。しかも開拓農家は信用度が非常に低いために、また現実に多額の負債を背負っているために、今日災害にあいながら悲惨な状態の中に融資を受けられないという実態にあります。これに対していかなる態度で臨まれるのか。いまだに融資の額すらきまらないというような状況にあるようでありますが、これについての対策をひとつ承りたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 政府委員から答弁いたさせます。
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答えいたします。開拓者に対します災害の制度といたしましては、天災融資法が当然適用されます。それから自創資金が開拓者にも融資されることになっております。それからもう一つ特別会計によります開拓者資金融通法によります融資がございます。で、ただいま大臣からお話がございましたように、天災融資法のワクがきまり、自創資金のワクがきまりますれば、開拓者に対しまして所要の額をその中から出すということになる。最後の開拓者資金融通法によります資金につきましては、目下情勢を調査中でありますが、一これが出ますれば、特別会計の流用等の措置を講じまして融資をいたす所存でございます。
○北村暢君 大臣にお尋ねしますが、いま事務当局の答弁でございますが、実際問題としては、制度は確かに天災融資法あるいは自作農資金が借りられる制度にはなっておる。しかし、実際に先ほど申したように信用度からいって、また、現実に背負っている負債の状況からいって、借りられないというのが現実の姿なんです。したがって、いま事務当局から言われましたその制度があるにかかわらず活用できないという現状をよく認識されまして、農林大臣においてその制度を活用できるように十分配慮するように指導願いたいと思いますが、所見を伺いたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) せっかくそういう制度があるのに利用できないということではいけませんから、十二分に特に活用できるような措置をとりたい。こう考えます。
○北村暢君 次に、開拓者に対する負債整理の問題でございますが、今日、災害を別としても、開拓者の負債というものは、これを何らかの形で整理しなければ今後の営農において差しつかえる。特に離農等が相当出てきている状況でございます。離農資金等も考慮されておりますけれども、それは負債を整理することでやっとこであって、離農後の職業転換における生活資金あるいは何らかの形の職業転換における経営資金、こういうものにはなっていない状況でございます。したがって、開拓農家に対する負債整理の問題は非常に大きな政治問題となっており、この点については従来附帯決議等をもって負債整理に対する政府の処置を要求され、これは与野党一致して附帯決議等もつけて開拓者資金融通法の改正のときにも出ている問題でございます。負債整理についてどのように対処せられるか、この際伺っておきたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 開拓農家に二種類があると思いますが、この負債整理につきまして、開拓者のうちの振興対策の対象となるものは、二類農家といっておるものにつきましては、各農家の計画樹立の際に延滞負債を自作農維持資金から借りかえすることといたしまして、営農振興対策資金の貸し付けを受けることができるよう措置しておるわけでございます。 それからまた、営農確立の見込みのない開拓者、いわゆる三類農家でございますが、これにつきましては、政府資金については債権管理法の規定に従いまして条件緩和等の措置をとることといたしております。 その他に関係機関と協議を進めておりまして、公庫資金、中金の資金等につきましては、それぞれの金融機関の協力を得まして同様の条件緩和を行なうことといたしております。
○北村暢君 次に、畑作振興の意味におきまして、畑作共済制度の確立ということが今日要望せられております。これは長年の要望でございますが、畑作共済制度を新たに設けるということについてのしばしば本会議その他において質問が出ておるところでございますが、これに対する対策がどのようになっているか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(赤城宗徳君) 畑作のうちでも果樹共済につきましては相当検討を進めて、これを実現するのが近い機会というふうに進んでおります。一般の畑作の共済につきましても検討を続けておりますけれども、何しろ複雑であり、種目も多いので、なかなか研究の成果をまだ得るまでに至っておりません。しかし、このたびの北海道の災害等につきましても畑作の振興をしなくちゃならぬ北海道でございます。そこで畑作の被害も非常に多いということでございますので、畑作の共済につきましては、前向きにこれの成果をといいますか、検討の結果を早く見るように検討を進めさしております。
○北村暢君 次に、金融引き締め緩和の問題について大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。 昨日の閣議で通産大臣から、金融引き締め緩和について積極的な主張が行なわれたと新聞で報じておりますが、年内に金融引き締め緩和の処置をとる意思があるかどうか。また、その内容についてどんな措置をとろうとしているのか、それの時期的な見通しについてお尋ねをいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 金融調整は、御承知のとおり、昨年の十二月の十六日から約一年間になるわけでございます。昨年の十二月の十六日に準備率の引き上げを行ない、それから窓口規制を行ない、三月の十八日に公定歩合の二厘引き上げを行ないまして今日に至っておるわけでございます。でありますが、この金融調整の具体的な仕事は日銀がやる仕事でございますので、私がお答えをできるものではございません。しかし、金融政策上、年末年始にかけてどう考えておるのかという問題を申し上げますと、調整も一年間やってまいりまして、当初の目的である国際収支の安定という面につきましては、七月に経常収支がバランスをとり、七月、八月には貿易収支、経常収支がバランスをとるようになったことは御承知のとおりでございます。また、輸入も高水準ではございますが、おおむね横ばいという状態でございます。また、国内産業の各分野に対しましても、引き締めが浸透をいたしておるということも認められるわけでございます。ただその反面、国際的に見ましても、イギリス、アメリカ、カナダの引き続いての公定歩合の引き上げ問題がございましたし、また、安定的に横ばいを続けておるとはいいながら、輸入も高水準であるということ、また、当初七%の実質成長率を考えておったわけでございますが、実質今年度一〇%にもなるということでありまして、金融調整下においては異常に高い生産が続いておるということでございます。でありますので、金融を基本的に、引き締め緩和をうるという基本的な体制下にはないという見方もあるわけでございますが、一面中小企業の倒産その他中堅企業の倒産と非常に不況感もございますの、で、緩和論もまた一部に激しいということも事実でございます。でありますので、いま金融の基本的な制策の姿勢としましては、金融を全面的に緩和をすべき時期ではありませんが、しかし、その課程においてひずみの生じておる部面に対してはきめこまかく措置をいたしまして、またそうすることが新しい、ニューモードといいますか、画一一律的に引き締め、一律的に解除をするという在来のやり方ではなく、その状態に対処しながらきめこまかくやることが新しい調整のやり方であるというふうに考えておるわけでございます。いずれにしましても、準備率の引き下げを行なうとか、行定歩合の引き下げを行なうとかという問題は、日銀政策委員会が決定する問題ではございますが、必要な面に対しては金は出していかなければならないし、また、年末金融対策に対して、特に中小企業等に対しては遺憾なく処置をしてまいるということでございます。
○北村暢君 どうも聞いているというと、緩和をするのだか、しないのだか、あいまいもことして、そこは非常にむずかしい答弁のようでございます。確かに日銀内部にも金融緩和について慎重論があり、大蔵大臣も閣内においても慎重論をとっておられるというふうに伺っております。私はいまおっしゃったように、アメリカなりイギリスなりカナダ等が公定歩合の引き上げに踏み切っておる、国内的にいっても、いまお話のあったように、不況々々といいながらも高度成長を続けておる、こういうような時期に金融引き締めの緩和をやったならば景気の再上昇、相当な刺激になり、一昨年の金融緩和の際に半年を待たずして引き締めをやらなければならなくなった、こういうような状態を繰り返す危険性があるのではないかと思うのであります。そういう意味において、この金融緩和の問題については相当慎重を要するのではないか、このように考えます。したがって、それかといって、いまの緩和の要請というものは相当強いのでありますから、これをどう対処するか、窓口規制の問題、預金準備率の引き下げの問題、公定歩合の問題、確かに日銀関係の政策委員会できめられる問題であります。しかしながら、金融政策としては、やはり政府としても無関心ではおられない問題であることは間違いございません。したがって、私は、年末金融の、しかも、この大企業の景気刺激にならない範囲の中小企業金融の、倒産を防ぐ状況における最小限度の金融緩和でなければならないと、このように考えますが、大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 確かに国際的に見ましても、また、四月一日から開放経済に向かいまして、これからは国際収支が悪化したということをもって為替制限ができない八条国に移行しておるのでございますから、もうあと戻りができない。こういうことから考えますと、引き締めを緩和した場合、あと戻り――いわゆる景気がまた再燃過熱をするおそれがあるときには、予防的にも長期において引き締めを行なうということが確かに理論的にも正しいことでございます。また、そういう懸念は十分現在ございます。なぜかというと、七%成長を考えておったものが、実質一〇%になる。これから中期経済見通しにおきましても、四十三年まで五カ年間平均八・一%でございます。それをもう初年度の三十九年度において、調整下、しかも、一年間の調整をやっておりながら、一〇%の成長率を遂げるということは、非常に高いことは事実でございます。輸出も確かに二〇%――二三%という非常に、有史以来初めてというほど、高い輸出伸長率を示しておりますが、輸入も同じく相当伸びておるわけでございます。でございますので、その内容も、まだ原材料在庫水準は非常に低いということを考えますと、どうも引き締めなければいかぬという、理論的に考えるとどうしてもそういうことになります。ところが、倒産も戦後最大だと、こう言われておりますので、全く相反する面があるわけでございますので、いかにむずかしいかということは、もう確かにこの一事をもっても、御指摘のとおりでございます。でありますから、基本的姿勢としては金融引き締めを緩和する段階ではないが、しかし、その過程におきまして、きめこまかく配慮をして、いま証券市場におきましても共同証券に日銀が直接融資をするというようなことが報道せられておりますが、こういうところに金を出すことは引き締め政策と相反しないという考え方をとっておるわけでありますし、中小企業に対して年末大きな買いオペレーションを行なったり、財政資金による五百億の買いオペレーションを行なったり、また、中小三公庫の資金ワクを八百億も追加したり、また年末、昨年は対前年比較二〇%増しでありましたものをことしは三〇%増しにする。三〇%増しといいますか、もう九千億の三〇%増しといえば約三千億、これに日銀が行なうオペレーション二千二百億を合わせれば、五千億にもなる。こういうことでございますので、非常に調整下としては大きな資金的な放出をやっておりますが、こういうことも必要であるという認識に立って行なっておるわけでございます。まあ日銀政策委員会がやることではございますが、政府と日銀との間に意思の疎通は十分はかっておりますし、お互いに遺憾なきを期するという体制をとっておりますので、世界的な動き、また、日本が現在一年間行なってまいりました引き締めの結果の判断、また、将来に対する見通しを十分考えながら、遺憾なき処置をとってまいりたいと、こう考えます。
○北村暢君 私はここで中期経済計画の問題について……。
○羽生三七君 ちょっと関連して。年末を控えての中小企業等の当面する融資、それはよくわかりますし、また、必要なケース・バイ・ケースできめのこまかい配慮をすることはよくわかります。また、それも必要だと思います。ただ、問題は、景気の現状から見て、この年末なんということではなしに、ある程度の期間を想定して、基調として緩和の方向を政府としては想定しておるのか。この二月、三カ月という短期ではなしに、ここにあると想定しておるのかどうか。日銀は別であります。 それが一つと、それから国際金利にさや寄せされるということもずっと言ってこられたが、最近の外国の金利高騰との関連でそれはどうなるのか。その二点を……。
○国務大臣(田中角榮君) 日銀とは別にとは言いますが、日銀とは一体でございまして、表向きは日銀がしかるべくやっておりますし、法制上もそうでございますが、これは政府と日銀との間でございますから、金融政策を政府が立てれば、日銀と政府との間には絶えず意思の疎通をはかって遺憾なきを期していることは、言うを待たないわけでございます。先ほども申し上げたとおり、確かに相反する二つの現象がございまして、非常にむずかしい状況ではございます。状況ではございますが、いずれにしましても一年間調整の過程を続けてきているわけでございますから、これから半年も一年もまだ現在のまま続けるということにはなりません。いずれにいたしましても、もう少し見て、実際からいうと十二月までは……、もう七月、八月には貿易収支も経常収支もバランスをしております。また、しかも輸入の貿易収支においては、六十二億ドルをもってバランスをとるということでございましたが、約六十七、八億ドルでバランスがとれるということでございますが、経常収支はもう五億二千万ドルの赤字が、年間を通じて四億ぐらいの赤字――四億ないし五億ということで、少なくとも一億ないし一億五千万ドルの黒字が出るのじゃないかとさえ考えておりますので、当初引き締めをやったころから考えますと、もう目的を達成したので解除してもいいという議論になるわけでございます。ところが、現象はそうではなく、一〇%も非常に高い成長率であって、物価問題から見ると、どうも解決しておらぬ。国際収支の安定、物価の安定、経済の正常な安定、三つを目標にしたわけですが、国際収支の問題は片づいたと考えましても、どうしても物価問題がとても安心できる状態でもないし、第三の経済成長率も高い。しかも国際収支に対しましては、一月、二月、三月の輸入期を見なければいかぬ。また、見たほうがより安定的だ、こういう考えがございますので、非常に慎重な姿勢をとっております。おりますが、一月、二月、三月、少なくとも三月の――一――三月の輸入期を越して国際収支が安定的である、物価の成長率も安定的な見通しがつくということになれば、解除の方向に進むべきであるということは言い得るわけでございます。 それからもう一つ金利の問題、これは私たちも絶えず明らかにいたしておりますが、これは相反しないことを明確にしておるわけでございます。金利は将来的にはできるだけ安い金利にしなければならない、それは日本というものは特殊な状態であります。原材料がない日本が、原材料を海外から仰いで、原材料を持っている国と自由競争をしなければならないのでございますから、金利はどうかというと、金利は国際水準から倍くらいであります。アメリカが三%、こちらは六・五七でございますから約倍。そういう状態では困るので、できるだけ企業の金利負担、というものを軽減していかなければならぬ。特に中小零細企業の金利負担の重圧から解放するためにも、金利は国際水準にさや寄せしなければならない。このためには金融機関の合理化をはかったり、いろいろな意味で金融機関が一番配当が多く、金融機関の月給が一番高いということが許されることではないのでありまして、こういう意味では金融の正常化をはかりながら、国際金利にさや寄せをしていかなければならぬ、この方向は全然だれでも日本人は同じ考えを持っておると思うのです。ただこれを一挙に国際金利、低金利にいこうというのではありません。徐々にではございますが、できるだけ早い機会に国際金利にさや寄せして、自由競争に資そうという考えでございます。しかし、いま金利の弾力性は失なわれておりまして、どうも預金の集まり方よりも、どうしても産業資金のほうが非常に旺盛であるために、日銀信用によってどんどんと通貨が増発をされて、そういう意味でオーバー・ローンという現象が起きておりますので、そういう意味では、需要と供給のバランスをとるためにも金利はもう少し弾力性を持たして、そして産業資金というものに対しても多少セーブをするような金利体系をとったほうがいいのではないかという議論があります。もう一つは、金利が梗塞をしておりますために、公社債市場というものが全然育成強化せられないわけであります。でありますので、公社債市場の育成強化のためには金利に弾力性を持たせなければ公社債が売れない、オープン・マーケットができないというということになりますので、この意味ではいまの硬直性を帯びておる金利を弾力性を持たせてはどうか、弾力性を持たせると必ず資金の需要よりも――需要、供給を見るときに金のほしいほうが強いので金利は上がり目になります。しかも、そこで日本の公定歩合が一番高かったのに、日本よりもはるかに高い七%というイギリスの公定歩合ができたので、国際金利にさや寄せをするという方向とは逆だから、一体どっちをとるんだということですが、これはどっちも必要なわけでございます。高金利をとるということに対して、だれも賛成するはずはない。ただ、高金利ではなく、金利に弾力性を持たせる。ある時期にいまよりも高くなる可能性ができるということを言うわけでありますが、しかし、いつまでも高いというのではなく、弾力性を持たせるということも、産業資金の流れを正常にすることによって、究極においては低金利政策が進め得るということでございまして、これは何ら相反する政策でも考えでもないわけであります。
○北村暢君 中期経済計画の資料を要求したいと思いますが、目標年度の国民経済計算――計量小委員会の報告、各分科会の報告等の答申の添付書類を資料として提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、非常に広範なものでございまして、ただいま印刷に回しておるのでございますが、しばらく時間をおかし願いたいと思います。
○北村暢君 それはもうできているはずなんですが、まあ大量にできてないので配布できないというならわかりますが、まあおくれてもいいのです、これは通常国会でやる論議ですから。出していただきたいと思います。 時間がございませんから、きょうは中期経済計画の問題点の内容等についての質問は省略をさしていただきまして、その取り扱い問題について質問をいたしたいと思うのですが、この答申に対して、政府は一体中期経済計画の策定後いつごろ決定せられるつもりでございますか。
○国務大臣(高橋衛君) 政府は、あの中期経済計画が今年の一月から約十カ月間にわたって、非常に多数の各界の権威の方にお集まり願って検討しておりました結果の答申でございますので、この趣旨を十分に尊重していきたい、かように考えておる次第でございますが、なお、政府部内においてそれぞれ意見の聴取をし、また、党との連絡をただいまやっておるところでございまして、その意見の調整ができ次第、政府の計画として必要な措置をいたしたい、かように考えておる次第であります。
○北村暢君 来年度予算編成の大蔵省の内示がもう十七、八日ごろ出ようと、こういう時期であります。それに、まだ来年度から実施する中期経済計画の結論が出ないということになるというと、来年度の予算にこの中期経済計画の結果というものは反映できない結果になるのじゃないかということを心配するんですが、しかもこの内容については、安定的な慎重論と高度の成長を積極的にする積極論者との折衷でできたというような、この中期経済計画であります。したがって、いまおっしゃられたように、相当異論のあるものでありますから、早く結論を出す必要があるのじゃないか。 端的にお伺いいたしますけれども、成長率につきまして、八・一%は高過ぎるのじゃないか、前の所得倍増計画のときですら七%ちょっとですが、これを池田さんが、九%に変えた、こういういきさつがあるわけであります。したがって、この八・一%というのは高過ぎるのじゃないか。しかもこれに対する企画庁長官は、設備投資の成長率は二〇%であったものが一〇数%なんだからこれで安定するのだ、こういうふうにおっしゃっているようでございますが、しかし、これに対する八・一%は高いという意見が一つあります。それからまた、自民党内部に、公共投資が少な過ぎるから、これはもっと増額すべきだという意見もあります。したがって、この中期経済計画については異論があるわけであります。したがって、これをすみやかに政府の態度として決定する必要がある。そして来年度予算に反映する必要があると思うのですが、いまのようなことでは来年の予算に間に合わないのじゃないかと思われるのですが、そういう意味でお伺いしているのです。
○国務大臣(高橋衛君) 中期経済計画の五カ年間の平均実質成長率は八・一%でございますが、これは先にも御答弁申し上げましたとおり、過去十年の平均の実質成長率が約一〇%に近い。また、過去三年度間の実質成長率は一〇・八%であります。それに比べれば相当に低く押えられておるかと思います。同時にこの中期経済計画の性格は、昭和四十三年度において国際収支が経常収支でバランスをとる、並びに消費者物価を相当に安定的な状態におく、この二つを前提としていろんな経済企画諸元の連関関係を検討していく、そうして査定せられた結論が、それを達成するためには年度間平均八・一%の上昇が適当であるという答申に相なっておるのでございます。しこうして、これはもちろん各年度ごとにその翌年度におけるところのたとえば輸出の伸びぐあい、現実に、たとえば英国が先に歩合の引き上げをやる、輸入課徴金をとった、こういうふうに各国それぞれいろんな経済政策をとりますので、そういうふうな輸出環境その他も十分に勘案して、そうしてその次の年度においてどの程度の輸出が見込めるか、また輸入条件はどうなるかというようなこと、また、物価の情勢がどうなるのだというような事柄をしさいに検討いたしまして、この中期経済計画の精神を尊重してそれぞれ決定していく、こういう考え方に立っておるわけでございます。しこうして、御指摘のように、この中期経済計画におけるところの社会資本の投資十七兆八千億、これが過小であるという意見が党のほうにありますことは御指摘のとおりでございますが、ただ先ほども申し上げましたとおり、これをふくらませるということは結局四十三年度におけるところの国際収支のバランスがとれなくなるという結果を来たすおそれがございます。そういう意味でこれは慎重に扱う必要があろうかと思います。同時に、社会資本の投資につきましては、答申におきましても、「基本方針に従いつつ、国民経済および財政の動向を勘案して、弾力的に対処する必要がある。」とこういうふうに非常に弾力的な答申に相なっておりますので、必ずしも中期経済計画そのまますることは――その年度の実情に応じて考えればいいことであって、必ずしもそのとおりやるという趣旨のことを求めておるものじゃない。むしろ根本的には、精神、基本的な方針、これを十分に尊重して、そうして、これを実際の経済政策に実現していく。こういうことが求められているものと、かように考えておる次第でございます。
○北村暢君 その内容的な問題について、時間がございませんからこれはもう論議いたしません。 端的にお伺いいたしますが、この答申を修正した形において同計画案を採用するおつもりなのか。それとも、答申は答申として一応決定を、答申のまま決定をして、そうして、経済政策の中心には、佐藤内閣の経済政策の中心には置かない、答申は答申だという程度で処理をしようとせられるのか。この点についてお伺いしたい。それは、首相は施政方針の演説においても、この中期経済計画の問題については一言も触れておらないのです。したがって、佐藤総理の佐藤色というものがどういうふうに出てくるかということについて関心があるわけです。そういう点からいって、これは総理大臣おられないからわからないのですが、企画庁長官が担当でありますから、その点を、いま申したように、修正して計画案として政府で決定するのか、そのまま一応答申案どおりをするのか。この点をひとつ明確にしていただきたい。
○国務大臣(高橋衛君) 佐藤総理の所信表明演説には中期経済計画という文字はございませんが、その中期経済計画において答申せられました基本的な経済政策に対する方針と申しますか、考え方というものは随所にこれがあらわれておるわけでございます。したがって、その答申の根本精神は十分に尊重されていると、かように考えておるわけでございます。 それから中期経済計画は、御承知のとおり、計量経済学のきわめて科学的な手法によってつくられました。言いかえますと、四十三次方程式というような電子計算機を使ってのやり方でございますので、それぞれ相関関係がございますので、一つの要素を動かすということになると全部の要素が変わるという性格のものでございますので、また同時に、先ほど答弁申し上げましたとおり、その答申自体がそのときの情勢に応じて弾力的に処理すべきものであると、こういうふうに答申がなっておりますので、これを改定するというふうな考え方はございませんが、しかしながら、実情に合ったように政府の方針を精神を尊重しつつ処理していくと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○瀬谷英行君 関連。中期経済計画のいまの問題に関連して質問いたしますが、佐藤内閣の基本方針としては、やはり物価の安定ということを非常に強調しておられるわけなんです。ところが、いまお話をお聞きしますと、大体において中期経済計画を予算編成の土台にされるように聞きとれるわけでありますけれども、この内容を読んでみますと、いま私手元に持っておりませんけれども、たしか一二ページでしたか、いろいろ数字的な比率が出ておりますが、所得倍増計画の際に設備投資というものが度が過ぎて、物価の高騰をかなり招いておるというのが結論として出ておるわけなんです。ところが、中期経済計画を見ますと、昭和三十八年から四十三年にかけて消費のパーセンテージが減っておって、設備投資のパーセンテージは決して減っておらぬように見たのでありますが、こういうふうな方向でいって、はたしてひずみの是正とかあるいは物価の安定というものが期し得られるものかどうか。どうも前の所得倍増計画をそのまま、ほぼそのまま踏襲するような形になっておるように見受けるのであります。一番問題になっておりますところの物価の安定というものはどこに基礎を置いていくのか。前の所得倍増計画を踏襲する形においてはたして可能なのかどうか。それらの点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(高橋衛君) お答え申し上げますが、設備投資は過去十カ年の実質の設備投資の伸び率は一年間一九・八%でございます。しこうして、この中期経済計画において採用いたしました伸び率は九・九でございます。また、個人消費は過去におけるところの実績が七・二でありましたものを年率七・三ずつ個人消費が伸びるという姿になっておるわけでございます。しこうして、物価の問題についてはこれはむしろ物価を年率二・五%にするのにはどうしたらいいかという前提でこの中期経済計画ができ上がっておるのでございまして、したがって、この中期経済計画のような姿で経済の運営が行なわれれば、昭和四十三年度までに経常収支はバランスがとれる。物価は二・五%に安定せしめることができると、こういう答申になっておる次第でございます。
○北村暢君 次に、私はただいまの中期経済計画で取り上げておりますひずみ是正の最大の問題である農業問題についてお伺いいたしますが、去る本会議における同僚鶴園君の質問に対しまして、この農業問題に対する質問についてどうも総理大臣、企画庁長官、農林大臣等の答弁を速記録で確かめましたところ、ひずみ是正の決意というものについてまことに認識が浅いのじゃないかという感じを深くするのであります。いま、電子計算機を使ってやったんだから、これが正しいのだというようなお話のようでございますが、どうも企画庁長官の意思が電子計算機に左右されちゃって政治的な意欲というものは一つも出ていないのじゃないかという感じを深くするのであります。そういう点についてまず企画庁長官にお尋ねいたしますが、所得倍増計画のときにとりました二重構造解消のための農林関係の諸施策がどのように中期経済計画では変更をされようとしておるのか、この点をひとつ御説明をいただきたい。
○国務大臣(高橋衛君) お答え申し上げますが、計量経済学の近代的な科学的な手法を用いてつくりあげたということを申し上げましただけでございまして、別に電子計算機に左右されたという意味ではございません。しこうして、この中期経済計画においては、先ほど申しましたとおり、国際収支とかまたは消費者物価というものをどうしたらいいかということを前提に掲げておりますが、同時に、政策目標として、農業、中小企業のいわゆる生産性の向上が非常に立ちおくれておる部門に対するところの施策に重点を置くということが大きな項目として掲げられておる次第でございます。それで、これはなお非常に不足だというお考え方もあろうかと存じますが、農林漁業関係の投資についても、過去五カ年の実績の大体倍額程度がここに予定されておる次第でございます。 ただ、ここで申し上げておきたいことは、農業につきましては、たとえば、土地基盤の整備をし、または機械の導入をする、協業を促進する、自立経営農家の育成をする、または離農者の対策をするというふうな各種の施策を講じてまいるようになっておりますが、これらの実際上の効果があがりますのには、北村さんよく御承知のとおり、相当に期間を要する。計画期間中にその結果が生産性の上昇が顕著にあらわれてくるということは、なかなか今日農業の実態から困難な情勢にあることはよくおわかり願えると思うのであります。そういうふうな結果として、その五年間におきましては、結局生産性の上昇を約三%程度、これは年率でございます。それから同時に農業の就業人口が過去の実績が年率三%程度の減少を見ておりますので、その程度の減少が今後も起こるであろうという想定をいたしております。そういうようなところから、一人当たりにいたしますと6%程度の上昇が見られておるわけでございますが、平均実質成長率と比べ、また農業基本法におけるところの農業と他産業とのつまり所得の均衡を保持するという面等から考えますると、それではその所期の目的を達成することができません。そういう意味で、結局価格政策でもってこの計画期間においてはその補充をしていくということがどうしても必要になってくる、こういうふうに答申では考えておる次第でございます。
○北村暢君 そういうことでしょうが、所得倍増計画における二・五ヘクタールの自立経営農家百万戸を育成していくのだ、こういう計画になっておったはずであります。それについて今度の中期経済計画においても変更はございませんか。
○国務大臣(高橋衛君) お答え申し上げます。 所得倍増計画では、四十五年度において、お示しのとおり、二・五ヘクタールの自立経営農家を百万戸つくるという計画になっておったのでございますが、中期経済計画においては、まず第一に、経営規模に対してそういうふうに二・五ヘクタールという観念に固着することは妥当ではない、今後相当経済環境も変わってまいるでありましょうし、その後の経過を見て、そうして自立経営農家というものの規模がどの程度であるべきかという問題については、必ずしもこれをきめておくということは妥当でないということで、その辺の決定はいたしておりません。 それから百万戸をいつ実現するかという問題についても、これは年度を区切るということは実情に即さないということで、将来百万戸程度の自立経営農家を育成する、こういうふうに答申されておる次第であります。
○北村暢君 大蔵大臣の都合があるそうでありますから、一問だけお尋ねをしておきますが、この自立経営農家の育成との関連する問題でございますが、いま農林当局はこの自立経営農家育成のための一つの手段として農地管理事業団というものを新たにつくって農地の流動化を促進したい、こういうことで来年度の新規施策としてこれを打ち出しておるようでございます。これに対する予算折衝が非常に難航しておるということでございますが、これに対する大臣の見通しをひとつお伺いいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 事業団構想が予算要求として提出をせられております。いまこれに対して対案をつくるべく努力をしておるのでございますが、いまのところまだその途中でありますから、さだかに結論を申し上げられる段階ではございません。農林大臣は非常にひとつどうしてもやりたいという意気込みのようでございますが、私の立場からいたしますと、これは認めたらたいへんなことになるなあというような感じもいたします。これも、金の上での問題が一つございますし、それからいま農協に対する信託制度とかいろいろなものが考究され実施されたりしております。農地を預かっておるというようなことで金を出し得るのかどうか、これは非常な大きな問題でございますので、農林大臣の意向を十分お聞きしながら、またこちらの意向を十分聞いていただいて、最後に二人でひとつ腹を割って十分話して、どちらが一体国家のためによりいいか、また農民のためにもどういいかという問題を十分検討して結論を出したいと、こう考えるのであります。
○北村暢君 その問題は私は必ずしも賛成ではないんです。したがって、これは慎重にひとつ大蔵省でも対処していただきたい、こういうふうに思うわけです。それで大臣はこれで帰っていただいていいと思います。 そこで、企画庁長官の先ほどの御答弁でございますが、自立経営農家の育成をやりたいということを本会議で答弁されておるわけでございます。それで、実際に所得倍増計画を実施しまして五年間実施した結果、それじゃこの自立経営農家の育成ができるかどうか。ゼロに近いのであります。それで十年後に百万の自立経営農家を育成するという目標が立てられておるんですが、五年間やってゼロなんでありますから、あとの五年間でそれじゃ達成できるかというと、これはたいへんな問題です。それを何らの考慮なしに、修正されることなしに、中期経済計画で、漫然とその時期別の年度別の推移等については触れられない。こういうことでは、ひずみ是正というようなことで言っておられるけれども、ひずみはまた五年たってもやはり残るのじゃないかという感じがいたします。それですから、電子計算機のその数字というものはまことに当てにならないということを私は指摘をしたいと思う。そういうことでこの中期計画を立てられておるとするならば、いまの大臣の答弁のようなことでは、当てにならないのじゃないかという感じがいたします。ほんとうに自立経営農家を育成するという意欲を国会の答弁としてではなしに持っておられるのですか、どうですか、計画として。
○国務大臣(高橋衛君) 北村さんよく御承知のとおり、農地の、つまり耕地面積の自立経営農家として必要な程度の農地の拡大と申しますか、ということは、これは現在の日本の農村の実情から申しまして非常に困難があるということは、よく御了解願えると存じます。したがって、そういうふうな大きな方向を打ち立てて、そして自立経営農家の育成をやっていくのだというこの政策目標はやはりしっかりと持って、そしてその方向に努力すべきことは、これは当然であろうと思うのであります。しかして、なるほど自立経営農家、これは自立経営農家だというものは何戸できたかということになりますと、こういうふうな調べはやっておりませんが、農地の経営面積が漸次、つまり専業農家等におきまして耕地面積が増加してきた傾向は顕著に認められるのでございます。一町五反歩以上の農家が六十一万戸程度昨年度中になっているということは、そういうふうな傾向を物語っておるものであろうと存じます。したがって、今後も、いわゆる農地の流動化対策と申しますか、それが円滑に行なわれるような施策を同時に並行して行なう。そのために、離農される方が十分にそう摩擦なしに離農し、そして新しい天地を求められるというふうな方向に持っていくということがやはり政策として必要じゃなかろうかと、さように考えておるわけであります。今日、北村さんも御承知のとおり、第二種兼業がどんどんふえてまいっております。それで、そういうふうな第二種兼業になるということは、農家所得としては、農外所得の相当な増大によって所得が増加することでございますから、その面からだけ申しますれば、所得の上昇を来たすことであって、喜ぶべきことであろうかと存じますけれども、自然そういうふうな第二種兼業等になりますと、農地の経営が粗放になり、生産性の上昇という面からみますとマイナスの効果を招来する。そういうふうな事柄もございますので、そこで、農林省とせられましては、例の農地管理事業団等の構想をお持ちになり、また同時に、離農者に対してもっとあたたかい愛情のある態度でもって、それが新しい天地と申しますか方向に土地を手放しながらやっていけるというふうな施策を講じていきたい、かように考えているわけでございます。 それで、倍増計画においては四十五年というふうな目標年次をつくりましたけれども、そういうふうな最近の実情等を種々勘案いたしまして、これはそういうふうに年度を限って百万戸つくるというふうなことを考えてみてもなかなか実況が困難である、農村におけるところの摩擦なく自然にそれができ上がるというふうな方向に政府は助成をしていく、これが妥当であろうということで、目標年次をきめないで百万戸程度の自立経営農家を育成したい、こういうふうに答申されておるわけでございます。
○北村暢君 それでは、農林大臣にお伺いいたしますが、農業基本法制定の後における農業政策の根幹とも言うべき政策は、農業構造改善事業であったと思います。その農業構造改善事業を実施いたしまして四年目でありますが、その成果が、また状況が、一体その目的でありました主産地形成、あるいは選択的拡大、農家の所得、農業人口の流動の状況、こういうものがどのようになっているのか、所期の目的を達せられる方向に進んでおるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(赤城宗徳君) まず、事務的に申し上げますと、三十九年度におきまして構造改善事業が新たに四百十三の市町村を計画地域として指定しました。そして、三百十九の市町村で事業に着手することになっております。本年度までにそれによりまして約千六百の計画地域の指定が行なわれますとともに、約八百の市町村において農業者の創意による自主的な計画に従って事業の着実な実施がはかられることになっております。そこで、従来、いまやっている農業構造改善事業そのものがよくいっているかどうか。私はよくいっていると思います。ただ、こういう結果はございました。自主的でない、あるいは弾力性を持たぬというような点がありました。そういう点も改めていかなくちゃならないと思って改めております。それから事業費が足らぬというのでありますので、本年度単独融資の費用をふやしました。それから構造改善事業が一町村の中の一部で局部的である、したがって、他の部落等における不満もあり、思うようにいかぬということでございますので、一地区に二つを指定するというようなことも改めました。いろいろな方面で改めてきておりますので、悪い面は是正されつつあると思います。 それで、構造改善の主としてやっている対象は土地基盤、生産基盤の整備及び主産地形成というような目標で共同化等を進めておるのでございます。一町村の一部でありますので、あるいはまた指定が全部全国がやっておるのじゃありませんから、やらないところもありますし、やっておるところにおきましても十分でないといううらみはあろうと思いますけれども、やっているところは相当熱意をもって進めておると思います。さらに、こういう一部分でありますので、三十八年から主生産地形成あるいは広域的な公共事業というような面で広域的にひとつ考えていく点も必要じゃないかというようなことで三十八年から調査をいたしておるのも実を結ぶので、ひとつ広域的な構造改善的な仕事をしていこうかというようなことを考えておるわけでございます。 そこで、農業基本法との関係でございますが、先ほど大蔵大臣に対する御質問等にもありました農地管理事業団でございます。私は、構造改善というものはどうしてもこれはしなくちゃならぬ。政府が手をかけるとかかけないとかは別として、やっぱり農業が体質改善をし、構造改善をしなくちゃならぬもう段階にきている。他産業との所得の格差、あるいは生産性の格差、これを是正しなくちゃならぬ。あるいは国際的に見て日本の農産物がコスト高になっておる、こういう点がございまするし、国際競争力が非常に弱い、こういう両面に差しはさまれている日本の農業でありますから、どうしてもこれは構造改善をして日本の農業を強化して他産業との所得の均衡にあるいは格差の是正を進めていかなくちゃならぬということになりまするというと、やはり土地生産基盤の拡大とかあるいは主産地形成等によっていくということも必要でございますけれども、その前にやはり日本の農業の零細性といいますか、そういうものを克服していきませんと、現在労働力の非常に不足しています一方において、それを補うためにまた近代化のために機械化を進めております。こういう機械を効率的に使用するにいたしましても、あるいは労力の対策からいたしましても、土地が経営規模が一つは広くなくてはならぬ、あるいは資本の装備が十分になくちゃならぬと、こういう二つの面があろうと思います。でありますので、一面においては質的には土地の生産基盤の整備によって土地をよくしていく。このためには農道も必要でございます。圃場の整備によって土地の集団化も必要でございます。そういうことによって質的に農業がやりよくなるようにしなくちゃいかぬ。それから量的に言いまするならば、資本の装備とやっぱり土地基盤を拡大していく。こういう点から考えますならば、やはり農業基本法にうたっておりまするように、自立経営農家の拡大強化及び協業の推進、こう二つの面から推していかなければならなぬと思います。 その第一番目の経営規模の拡大でございますが、現在七万町歩ほどの土地が移動しております。この移動をほんとうに経営規模の拡大のほうに、そして基本法の目標としている他産業との均衡のとれた、格差を是正していくという方向に持っていくのには、経営規模を希望している人のほうにその移動を向けていくということが必要でありまするし、一方において、その裏づけとして他産業に安定的にはいる、兼業農家は兼業農家として安定してはいれるような対策を講じていくと同時に、その表といいますか裏は、やはりその土地が経営規模拡大のほうに移動していくということが必要だろう、こういうふうに考えているわけであります。そういう意味におきまして現在七万町歩の移動はいたしておりまするけれども、その移動を経営規模の拡大、農家の強化という方面に方向づける。まあ交通整理を、単なる交通整理ではございませんが、そういう方面に交通を整理して強化していくということが、単にほうっておくだけではまずいので、そういう方向づけをするために管理事業団というようなものが必要ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。 全体的に見まして、お尋ねのように、構造改善事業にも欠陥もございました。しかし、これは好むと好まざるとにかかわらず手をつけなければならぬ問題でございますので、そういう欠陥のある点は是正しつつ、構造改善事業は相当効果をおさめておると思います。しかし、さらにそれを一そう推進するために、ほんとうの構造改善の前提といいますか、構造改善の基本であるところの自立経営規模の拡大及び協業の推進ということによって、他産業との格差是正あるいは国際競争力を増していく、そうして国民の食糧を充足していくという方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。
○北村暢君 次に、行政管理庁長官にお伺いいたしますが、行政管理庁がいち早くこの構造改作事業の問題について行政監察を行なわれたことについては、非常に敬意を表します。それで、行政監察の結果について概略御説明を願いまして、さらに今後における監察の方針についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) ただいま農林大臣からもお答えをいたしましたように、構造改善の問題は、農業の将来にとりまして基本的な最も重大な事業であろうと思うわけであります。したがいまして、このことが始まりまして相当の年月がたったわけではございませんが、事業が適正に推進をされますることを願いまして、時期はわりあいに早かったのでございまするが、行政管理庁としては監察を行ないましたわけでございます。 監察は、御承知のように、昨年の十月から本年の三月にかけて行ないまして、三十九年五月三十日に農林大臣に対して勧告をいたしたわけでございます。 ごく要点を申し上げまするが、全般的の問題としては、農業基本法の示す構造対策の中核として構造改善事業を有効に推進をしていくためには、他の農林助成事業との総合性を強め、さらに基本的施策としての農畜産物の価格・流通対策、労働力の対策及び農地制度対策などを農業の内外の諸情勢に応じて並行的に改善拡充することが必要であるということを考え、そのねらいをもって第一番の監察要点といたしました。 構造改善事業の進め方の問題として、農業発展の地帯性に適応をすることが一つでございます。構造改善事業は基幹作物を中心として進められるので、その作物選定には、農業発展の地帯性に応ずるよう、適地適産、主産地形成等の方向を強く指導をしてもらいたいということをねらって監察をいたしました。 さらに全国三千百市町村に点状に本事業を実施することは事業効果の面で問題があるのではないか、もっと地域の特性に応じて重点的に実施をして、点から面への展開の施策が望ましいのではないかという観点で監察をいたしました。 次は、関連する各種事業との総合性を強めることでございます。構造改善事業計画に直接関連をする土地改良事業、河川の改修事業等との調整、国有林野の活用の問題、農協との連携をさらに強める問題、環境整備に関する諸事業との総合性を強める問題等についての監察を行ないました。 次は、大規模経営に関する技術体系の確立の問題でございます。大型の機械等に関する技術体系がまだ不安定な面があるので農民に不安を与えておる、これら技術体系の確立に積極的な努力をしてもらう必要があるであろうという観点であります。 その他は実施体制及び指導の充実、融資の円滑化、重要な問題でございまするが、事業認定事務の簡素化、迅速化、啓蒙宣伝の徹底等についても特に監察をいたしたのでございます。こういう事項をねらい、またこういう事項に要点をしぼって監察をし、勧告をいたしたわけでございます。農林省におかれましてもこれらの問題を十分取り入れられまして、その後の施策の推進に活用をしていただいておる状況でございます。そうして、その実施の状況についての回答は近くいただけるようになっておるわけでございます。その状況をにらみ、さらに構造改善事業実施のこれからの大きい見通し等も考えあわせまして、必要に応じてはさらに監察を行なうということも考慮をしてみたいという考えでおるわけでございます。
○北村暢君 農林大臣の詳しい御説明がありまして、考え方としては農林大臣の考え方に私は必ずしも反対ではない。特に後段における、ほんとうの意味における構造改善事業をこれからやりたいと、こうおっしゃる。この点については確かにそうだと思う。それはしたがって私は、時間がございませんから特にお伺いいたしますが、構造改善事業実施にあたりましてパイロット事業を行なったわけでありますが、これの結論、成果というものをどういうふうに評価されておられるか、この点についてお伺いいたします。
○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように、もともと構造改善はほうとうは全国の農山漁村にやるべきでございますが、財政の都合その他からでき得ないのでパイロット的なやり方で進めたのが現状でございます。現状もそういう点におきましては点といううらみはございます。しかし、こういうものが全農村等にほんとうは行なわれなくてはならぬと思います。でありますので、いまの行政管理庁の監察等におきましても全部やれと、これは全部やりたい。しかし、国の財政等の都合でできないことでございますので、やむを得ないで点というような形でありますが、これは本質的にパイロット的な性格を持っております。でありますので、パイロットとしてほんとによく行っているか、ほかがまねしてどうしてもやりたいというところまで行っているかどうかということについては、疑問を私も持っております。それほどの効果をおさめてない点があろうと思います。ただ、それを実施したところにおきましては、やはり実施しない前よりも非常に構造が改善されている、ことに主産地形成でも果樹地帯などにおきましては非常な成果をあげています。それから基盤の整備等についても成果をあげておりますので、全体的に見ますならばやはり成果をあげておると、こういうふうに見ております。
○北村暢君 私は、そういう構造改善事業を実施したのにかかわらず、兼業農家がどんどん進んでいる。そして第二種兼業が一番所得が高い。農政の根幹である専業農家の所得が一番低い。そうして農村からは若い労働者はどんどん流動している。こういう問題が構造改善事業を実施している中において現実に起こっている問題です。これは今後の農政を確立する上において非常に重要な問題であると思う。これについて一体どのように判断されておるか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かにいまのお話のように、農家のうちで第二種兼業農家の所得が一番多く、その次に第一種兼農家、その次が専業農家ということになっております。これはやはり高度経済成長のもたらすもので、農業そのものの伸びというものは従来から進んでおりますが、それ以上に他産業の伸びが進んできておりまして、高度経済成長のしわ寄せといいますか、それが農村に寄ってきたという結果だと存じます。そういうことでございますので、先ほど申し上げましたように、他産業に出ていく農業労働力が非常に多い。三十七、八年、年間七万人くらい出ております。あるいはまた、いまの所得の多いというか、第二種兼農家等もふえております。四二%くらいになっておって、七地も二二%くらいの土地を耕作している、こういうことであります。こういうことでございますから、やはり先ほど私が申し上げましたように、構造改善の基本的な問題、やはり他産業にどうしても労働力が必要であり、他産業に入れたいという第二種兼業農家につきましては、これは就業の安定といいますか、そういう機会を与えて、そういう土地はほんとうに自立経営する人に渡るようにしたい。それからまた、第二種兼業の中でも、やはり農業を捨て切れない、農業をやっていけるのだ、農業でやっていきたいのだ、こういう者に対しましては、やはり共同化によって労力を節約し、土地の経常面積が共同によって広がるような形でやっていきたい、こういうものをやはり構造改善の中に入れていかなければならないじゃないか。そういうことがいままで欠けておった。漫然と全体的の動きの中で構造改善をやっていましたから、構造改善で進んだ点も全体的のマイナスの点で引っぱられて、そうして第二種兼業の所得が多い。これは、所得の点から見れば何も排斥することではございませんが、農業本来からいいましたならば、やはり農業の生産が相当鈍るということでございますから、農業そのものからいえば好ましくないことでございます。しかし、所得の面からは、これはけっこうなことでございますが、農業本来の本格的な姿に持っていきたい、兼業農家につきましてもそういうような考え方を持っておりますが、そういうことが構造改善としてやはり重点的に重きを置かれていなかった。で、そういう観点から、全体的のマイナス面が構造改善の進んだプラス面の足を引っぱっておったというような形のように、私は理解いたしております。
○北村暢君 いまのその問題を解決しないと、いままでやりました農業構造改善事業と称するものは主産地形成であり、選択的拡大であって、農業の改善はできたけれども、農業構造改善はできておらない、これをはっきり認めていただきたいと思います。したがって、構造政策なき農業構造改善事業であったのであります。この批判は、これはいろいろ新聞がそういうふうに言っておりますし、農業専門家もそう言っておるのであります。したがって、この問題がたいへんです。したがって、この流動化しているのは、所得倍増計画の農村人口の移動以上に人口は移動しているのであります。移動しているのにかかわらず、構造政策は進行していない、ここに農業改善事業の重大な問題があるのであります。でありますから、それはやはりこれだけで、農業政策だけでは完結しないので、流動化する。職業転換をする。職業教育なり、あるいは低賃金、雇用の安定といった、先のこの問題が解決しない限りは、どうしても農村に片一方足を踏み込まざるを得ない。したがって、零細農家はこれにきゅうきゅうとして農地を手放さないのであります。この問題は農林大臣だけでは解決できない問題なんです。したがって、これは経済企画庁においても、ひずみの最大の原因はそこにある。高度成長は、そのために高度成長したのだ。低賃金とこの農村からの安い労働力によって今日の高度成長ができた。この点をひとつ十分理解してもらわなければいけない。この点についてはいかがですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 考え方、見方、全く私も同感でありまするし、同じことでございます。で、この問題は農業だけでなかなか解決できない問題であります。雇用の関係もありまするし、それから財政投資の問題もございます。経済成長で相当な財源というものができてきたとしまするならば、ことしはないというようなことを言っていますが、そういうものはこういうひずみの是正に投下していかなくちゃならぬ、こういうふうに考えていまするし、それから、いまの雇用の問題等につきましても、これは労働行政からも考えてもらわにゃならぬし、あるいは厚生関係からいえば厚生省関係、こういうので、全面的に経済企画庁としても考えてもらっていかなければ、農業面だけで解決のつかない面が相当広い、また深い、こういうふうに考えております。
○北村暢君 もう一つは、先ほど行管の指摘にもありましたように、技術体系の問題であります。いまの農業構造改善事業、時間がございませんので一括してお答えいただきたいと思いますが、技術体系が確立しておらない。そのために、農民は、大型機械を入れていいのかどうなのか、非常に不安に思っている、このことが一つ。その技術体系について確立される状況はどうなっているのか、そのまた決意がどうかということが一つ。それから、先ほど、農地管理事業団をつくって農地の移動を流動化するというけれども、その構想は、農地は時価によって売買をするという問題がある。これは高過ぎて、高い農地を買ったんでは、とても今後の農業の経営において採算がとれないという問題。借地をする場合には、農地法によって強制小作料でもって安過ぎて貸す者がいない、こういう状態です。したがって、農協の農地信託制度が行なわれたけれども、その件数はどうなっているか。全然行なわれていないというのが実情でございます。これも答弁いただきたい。そういう問題と、それから構造改善事業の補助残の融資というものについては、これは農民の負担であります。成功するかしないかどうかわからないものに対して大きな負債を背負うということに対して非常な疑問がある。この問題の改善をひとつしなければならない。それからもう一つは、先ほどお伺いしたパイロット事業の成果を参考として一般構造改善事業に踏み切るならよかったが、ところが、一般構造改善事業自体がパイロットです、見本であります。大臣も認めるように、点である。これが、十年間実施してわずかに全部落の五%にしかならない、こういう実情であります。したがって、これはあくまでもパイロット事業であります。一般事業がパイロット事業の性格を持っておる。これはお認めになるであろうと思います。そういう面におけるいろいろな施策をやった中で、ほんとうにこのひずみ是正のできる状態というのはどこにあるかといえば、これは先ほど言った労働生産性が上がったことでしょうけれども、それがほんとうに農業の、農家の所得に結びついてない。農業のほんとうの構造改善ができてない。これが今日の農業構造改善事業の最大の欠陥であります。この点について、ぜひひとつ行管においても、今後の監査において、ほんとうの意味の構造改善事業というものがほんとうに農政の根幹としての行政効果があらわれておるかどうかということについての観察がなされなければ、機械が入っただのなんだのということだけでは私はほんとうの目的は達せられない、このように思いまするので、これらについて、時間が来ましたので、総体的にひとつ各大臣から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 労働力の不足にも対処し、また、農民の重労働の解放という意味におきましても、機械化を進めていかなくてはならないことは当然でございますが、お話のように、大型機械が人らぬ状況でございます。これは一面におきましては、土地が集中してない、集団化してないという点、それから協業の面がなかなか思わしく進まないという面、あるいは経営規模が小さいといういろいろな面がございます。しかし、それを克服して、やはり共同化等によりまして、当面農業機械の機械化を推進いたしておるわけでございますが、その技術に関して欠くる点があるのじゃないかということでございます。これは御承知のように、都道府県の試験研究機関等と密接な分担協力をいたしまして、農業機械化研究所におきましても機械の開発等について十分な研究をし、これをやって進めております。ただ、その基盤が機械化にまだ向いていないということと、農業機械は周期的、季節的でございまして、年じゅう使いませんので、これの償却といいますか、償却が他産業の機械を使う場合と比較して非常に不利であるというような面がございます。そういう点を克服して、技術の研究におきましても、また実態に沿うようにする点におきましても研究を進めて、これをやっていきたいと思います。 それから、構造改善の単独融資の問題で、農民の負担になる、これはよほど考えてみなくっちゃいかぬじゃないかというお説でございます。これはほんとうにそういうふうに考えまして、構造改善の効果があがるようにしなければなりませんし、また、そのためには、計画等におきましても、十分効果があがるような計画に基づいて構造改善に着手し、その単独融資の面が農民のほんとうに返せないようなつらい負担にならないように十分注意していきたいと思います。 それから、管理事業団をする場合に、農地を取得するのが時価でいくということで、いま時価も相当高くなっております。これでは今度新たに取得したものの経常が不利になるし、いかぬじゃないか。まあ、二重価格的な制度も考えられないわけでございませんが、これは財政的の問題もございまするし、土地価格をさらにつり上げるというようなことにもなろうかと思います。でございますのでいまやむを得ず時価ということで考えていかなければならないのじゃないか。そのかわり、取得するものにつきましては非常に長期だ。たとえば四十年ぐらいを考えております。まず低利の、たとえば二分くらいの利率で取得資金を融資する、こういうような考え方で、いま手をつけていこうという構想でございます。 構造改善が、実際に構造改善しないよりはしたほうが私はずっといいということを先ほど申し上げましたが、それにつきましても、上すべりとは申しませんが、底をついたところまで行っていないということは御指摘のとおりであります。しかも、全国的に面の面に行っておりませんから、点の面がございます。しかし、点の面でも、ほんとうにパイロット的な効果をあげれば、面に拡大していくことになろうと思います。そういう面で、点から面に拡大するような方向でやっていきたいということと、構造改善の本質的なものにいままで手を触れていなかったのじゃないかという御意見、私もそのとおりに痛感しておるのでございます。でございますので、本質的な問題にも手を触れて、ほんとうに農村の体質、農業の体質改善ということに進めていきたいと、こう考えております。
○国務大臣(増原恵吉君) おことばのとおり、農業構造改善について総合的にまた基本的に考えるべき方向が確かにあるように思います。行管の監察としましても、土地利用についての全般的な監察を行ない、勧告も出したこともございまするし、雇用政策全般についての監察もいたしたわけでございます。保安林の監察というたてまえから、森林との結びつきの問題も監察をいたしたりしたわけでございます。農業構造改善のこれからの行き方がほんとうに基本的、総合的に行けまするような方向で、最近における農林省からの回答を待ち、実情を見まして、さらにまた工夫をこらしていきたいと、こういうように考えます。
○委員長(寺尾豊君) 北村君の質疑は終了いたしました。(拍手)午後一時十五分から再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十一分開会
○委員長(寺尾豊君) 予算委員会を再開いたします。 委員の変更がございましたので御報告いたします。 鈴木一弘君が辞任され、北條雋八君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。向井長年君。
○向井長年君 私は、総合エネルギー政策につきまして、まずお聞きしたいと思うんですが、時間の関係もございますから、その中の原子力開発につきまして質問をいたしたいと思います。 まず、原子力はいま理論の問題からいよいよ実用の段階に入ってきておると思います。そこで、ちょうど本年の八月三十一日にジュネーブで国連主催の第三回の平和利用の国際会議が開催されまして、日本代表もそこに出席されて、いまさらながら、わが国の原子力の立ちおくれを痛感して帰ったようでございますが、この立ちおくれに対する理由というものはどういうところにあるのか、おくれた理由、こういう問題につきましてまずお聞きしたいと思います。これは科学技術庁長官にお聞きします。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま御指摘のように、本年八月の国際会議に際しまして、わが国からも各方面の権威者が相当数出席いたしたわけでございますが、その報告によりますると、ただいまお話がございましたように、相当おくれをとりはしないであろうか、これではならじというような一言にして申せばそういう感じを持って皆さん帰られたようでございます。そこでわれわれといたしましても、御承知のとおりに、原子力発電というような問題につきましては、前期、後期の長期計画をすでに立てておるわけでございますけれども、これの計画どおりの推進ということが何より必要であるということを再認識をいたしまして、たとえば、新たにまた、その関係の権威者の懇談会を設けて既定計画の再検討を要するやいなやというところまで及びまして、諸般の措置を進めつつあるところでございます。
○向井長年君 いま私がお聞きしたのは、おくれた理由はどういうところにあるかということでございまして、おそらくおくれた理由につきましては、まず行政庁のあり方、いうならば、いま文部大臣が科学技術庁長官を兼務されている。このことは、まず第一にそういうところにも行政上の欠陥があるのではなかろうか。いま自治大臣が公安委員長を兼務しておりますが、そういう性格ではないと思うんです、科学技術庁の場合は。宇宙の時代、宇宙開発の時代だと、こう言われている中で、そういう行政庁のあり方の問題につきましても不備があるのではないかということ。あるいはもう一点は、財政上の問題、こういう問題についてもこれはなかなかたいへんで、十分じゃない。こういう二点等がまず中心にあげられるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがなものですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 第一点につきましては、私が文部省と兼務しております立場にありますので、たいへんお答えをしにくいわけでございますけれども、しかし、一面から申しますと、科学技術行政と、それから学術あるいは研究という方面も担当いたしております文部省とが兼任によりまして効果を発揮し得る面も多いのじゃなかろうか。これは、イギリスの最近の例などに徴しましても、よい結果も相当期待できるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから第二点は、先ほど失礼いたしましたが、おくれた原因はどうかということに関連いたすわけでありますが、私は必ずしもおくれたというふうには思っておりませんので、したがって、おくれた原因というものが、かくかくこれであるということを具体的にお示しするほどの用意は実は持っていないわけであります。しかしながら、たとえば資金的に申しますると、何ぶんにも、科学技術庁の全予算というものも、たとえば三十九年度でいえば二百億に足りない。しかし、その中の過半は原子力関係に向けておるという現状ではありますことで、なるほど財政上の資金の配分というものがかなり少ないということは指摘できる点かと思います。今後、たとえば使用済み燃料の再処理問題等にもただいまいろいろ頭を悩ましておりますけれども、そういう面で、できるだけ財政的な直接の援助というものが必要でなかろうか、今後にむしろ問題は非常に大きくかかってきているというように、そういうふうに私は理解いたしておるわけであります。
○向井長年君 財政的の問題については長官も認められておると思うのですが、機構の問題ですが、これにつきましては、まず、エネルギーという立場から考えましても、これは、先般来問題になっておりますいわゆる石炭問題、あるいは輸入産業である石油、重油、あるいは電力、そして原子力、こういうように総合エネルギーの立場から考えるならば、いまそれの開発機関というものは、行政的に言うならば通産省にあるわけなんですが、少なくとも、こういう大きな将来のにない手である原子力という問題を考えるならば、これはやはり科学技術庁が研究問題として大きくこれを取り上げなければならぬ。と同時に、これが一つの完全な省として考えられるということになれば、問題は一つそこにあると思うのです。あるいはまた、エネルギーの立場から考えるならば、少なくとも動力省というか、エネルギー省、こういうものが別個につくらるべきであると思うのですが、この点は、特に行政管理庁長官にお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(増原恵吉君) 原子力を中心にしてエネルギーの全体の問題、非常に重要な問題についての機構をどう考えるかということでございます。この問題について、最近臨時行政調査会から出された答申の中に、若干関連のある答申があるわけでございます。これは、石油、石炭及び電力の三つのエネルギーが、現在は、鉱山、石炭及び公益事業の三局にわたって所管をされておるが、エネルギーの需給計画、需給調整を、これを総合的、一体的に把握しなければならぬから、機構の再編成を行なう必要があるという答申を出しておるわけであります。この場合、原子電力についてはやはり公益事業局に入っておるわけでございます。エネルギーを総合的に考え、特に将来の原子エネルギーの開発の問題を考えましたときに、仰せのとおり、機構については十分考えなければならない。臨時行政調査会の答申は、通産省に総局的なものを考えたらどうかという意向のようでございます。しかし、外国の例を見ますると、イギリスでは燃料動力省というものがあるようでありまするし、フランスには工業エネルギー省というようなものがあるようでありまするし、西独には原子力大臣というものが置かれて、おそらく省があるのではないかと思われるのですが、そういう事情もあるようでございまして、政府としても、この問題は十分検討をいたしたいという考えでございます。
○向井長年君 当然検討されて、諸外国のように、やはりエネルギー、いわゆる動力省、こういう問題の早期実現を私たちは強く希望したいのですが、そこでまず、その中の原子力平和利用の今後の基本的な方針並びに原子力の位置づけをどういうところに持っていくか、この問題を特に科学技術庁長にお聞きしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 原子力の今後の草本的な開発計画という点でございますが、まず何よりも、原子力基本法に示されました三原則に基づきまして、徹底した平和利用、そうして自主、公開の原則によってすべての方策を立て、かつこれを推進してまいりたいということを一番の基本的な考え方にしているわけでございます。 次に、具体的な内容になりますると、一つ大きな問題は、ただいまも御指摘がございましたが、原子力の発電の問題でございますが、これは、原子力開発利用の長期計画、前期十年、後期十年という計画を立てておりますことは御承知のとおりでございますが、これを、先ほども申しましたように、計画どおりに推進をするということをまず何よりの基本的な心がまえとして推進をはかってまいりたいと思っておるわけでございます。 それから、それらの点に関連いたしまして、先ほどの大原則によりましてわが国自体の原子力の自主的な体制を整備するということが非常に必要なことであると思うのでありまして、そういう点から申しますと、民間の電気事業者だけでは解決し得ない問題、たとえば核燃料の安定供給をはかるというような問題などにつきましては、国が相当積極的に協力を、将来においても、していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。先ほど申しましたいわゆる再処理問題ということでこれが取り上げられなければならないと思います。 それから、他の方面で申しまするならば、原子力船の問題でございますけれども、これは、本年度中に第一船の本設計が終わる予定でございまして、来年度にはいよいよ原子炉本体の製作及び船体の建造に取りかかることに相なると思います。 さらに、今後の動力炉等の研究開発といたしましては、導入炉の国産化、国産動力炉及び高速増殖炉の開発に取り組むべき段階であると考えておりますが、それらの点につきましては、先ほども申し上げましたように、動力炉懇談会というものを――先般八月の国際会議等で大いに刺激を受けまして懇談会を設け、これらの点についての促進と申しましょうか、計画並びに実施の促進を鋭意考えておるところでございます。
○向井長年君 冒頭に長官は、いわゆる計画どおり実施に移したい、こういうことを言われておりますが、いま基本的な方向は、エネルギーとしての開発、いわゆる発電あるいは原子力商船の開発、あるいは輸出産業として今後の動力炉、こういう問題をいまあげられておりますが、これに対する懇談会とか、そういう問題だけではなくて、具体的に計画どおり進められるところのいわゆる財政措置とか、こういう問題もあわせてそういう計画を立てられておるのか、この点お尋ねします。
○国務大臣(愛知揆一君) この総合エネルギー対策といたしましても、お示しのとおり、将来原子力というものが非常に大きな比重を占める、こういうふうな認識のもとに考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたが、長期計画につきましては、これはたとえば前期十年間に百万キロワット、それから後期十年間に六百万ないし八百万キロワットという原子力発電所の建設計画を伴っておるわけでございます。場合によれば、もっとこれを繰り上げて実施しなければならぬという問題も当然起こってくるかと思っております。しかし、同時に、二十年にもわたるような長期計画でございますから、年次別に財政計画の上にこれを明示するということはむずかしいと思いますし、それからなお、原子力発電につきましては、先ほど申し上げましたようなものを除きまして、民間電力会社に相当のこれは努力をしてもらわなければなりませんので、そういう資金計画等について、ここで的確に、第何年度はこうこうなっておるというところまでは、そういったものの性格といたしましても、数字的に御説明することはできないわけでございますけれども、昭和三十六年であったと思いますが、この計画をつくりまして以来、少なくとも今日までのところは、基本計画が実現できるということで資金的な措置等も考えておることは御承知のとおりだと思います。
○向井長年君 特に今後の開発について、エネルギー界における原子力の占める割合はどの程度に考えておるか。これは科学技術庁長官とあわせて通産大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) わが国におけるエネルギーの需要は、申すまでもなく、年々大幅に増加しております。ところで、輸入エネルギー、なかんずく石油に対する依存度が急増いたしておりますことも、いまさら数字的に申し上げるまでもないと思いますが、今後原子力発電は、供給の安定性、経済性、あるいは外貨負担上の有利性というようなことから見まして、石油にかわって、あるいはそれに補足的な意味合いにおきまして、相当の比重を占めるようにしなければならぬと思います。先ほど申し上げました数字をこの点に当てはめて申し上げますと、昭和四十五年までには百四十万キロワット程度で、その比重はいまだきわめて低い二ないし三%でございますが、その後昭和五十五年までの十年間に六百万ないし八百五十万キロワット程度の開発までいくことになりますると、この期間において増設される火力発電設備の約三〇%程度を占めることになる、こういう位置づけになろうかと考えております。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま愛知国務大臣のほうからお答えしておることで大体尽きておるとは思うのでありますが、通産省の立場から考えますときに、原子力発電が、その開発促進により比較的近い将来に経済的べースに達する、この経済ベースに達するというところに非常に価値があるのではないか。私どもその点を大いに期待しておるところでございます。また、核燃料については、輸送、備蓄が用意でありますことから、原子力は将来低廉と安定の両原則を満足する有望なエネルギー源である、こういうふうに考えまして、言うまでもなく、エネルギー源としてはパーセンテージという点よりも非常に重要性が増してくる、かように思うのであります。さらに観点を変えますときに、将来ますます輸入エネルギーに対する依存度の高まることが予想されるわが国のエネルギー事情であるということは御承知のとおりだと思います。しかるところ、原子力発電は、重油火力に比し、将来外貨所要量も少なくなると見込まれ、国際収支の面にも寄与するものでありますので、これを大いに開発をすべきものである、こういうふうに私どもは長期的に見ておるのでございまして、エネルギー資源の上から、原子力発電、原子力の効果というものは大きな効果があるものと思います。
○向井長年君 いま言われましたように、大体四十五年度の需要は二千三百五十億キロワットアワー程度だと思いますね。いままでの推定から見まして、十年間の一年間当たり九・二%の増強というか、需要の伸び、これに対して二百五十万キロワットを開発しなければならぬ。こういうことになってくると、これはもちろん水火力にあわせて原子力も開発するわけですが、いま長官が三〇%程度といえば、ちょうど七百五十万キロワット程度になるわけだ。先ほど言われた五十五年度には大体六百から八百程度と言われているが、しからばこれを開発するにはどういう機構をもって開発しようとしているのか。具体的にいわゆる民間に対する依存を考えておるのか。いわゆる開発機構の問題について所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 開発の機構といたしましては、御承知のように、すでに九電力会社の中でも、東電はじめ電力会社が直接計画をもうすでに進行しておるようなわけでございますから、原則的に考えまして、現在のところでは、現在の電力会社の機構によりまして原子力発電を担当してもらえるという考え方に立っておるわけでございます。
○向井長年君 十年間に大体そういう約六百万から八百万開発するといっておるけれども、いま民間を中心にして考えておるのだが、現在は、東海村にある原子力株式会社、これが来春、十六万一キロですか、開発される。引き続き、東京なり関西、中部というところが民間として開発を進めおる。こういうことでございますけれども、これは大体キロにしてどれくらいを考えておられるのか、いまのところ。したがって いま八百万とか言われているけれども、これが全部そういうところで十年の間に開発されるのか、こういう問題についてはいかがなものですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 原子力発電のコストの問題でございますが、これは、いろいろの点から正確な数字を私も自信を持ってまだ申し上げるところに至っておりませんけれども、たとえば御案内のように、外国の例で申しますならば、一九六〇年に完成したヤンキー発電所の場合におきましては、発電費がキロワット三円九十六銭というような数字が出ておりますが、同時に、一九六七年あるいは六八年ごろに完成を予定されておるところでは、低い場合には一円七十二銭というような発電費が見込まれておりまするし、あるいはまた二円四十一銭というような数字も示されておるわけでございます。こういったような外国の例なども相当参考になるのではなかろうかと考えております。
○向井長年君 長官、そういうピントはずれの答弁をしてはだめです。単価のことを聞いておるのでない。単価のことはあとで申し上げたい。いま言っておるのは、キロワットで十年間に八百あるいは六百開発するという、そういう開発機構をどういうところに求めておるのか。一応現在は、原子力株式会社あるいは民間会社三社が一応手がけておる。そういうところで八百万の開発を十年間にやろうとするのか。その点、計画をどう考えているかということを聞いておるわけです。これは通産大臣からも答弁していただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) いま発電費のお尋ねも含まれておるかと思いまして、よけいなことを申し上げて失礼いたしました。 原子力発電の機構の問題につきましては、先ほど申しましたように、これからの前期十年間と後期十年間に分けて、後期十年間に少なくとも六百万、多ければ八百ないし八百五十万いかなければならぬと考えておるわけでありますが、これらを、建設を担当し、かつ運営をしていけるところとしては、私はいまのところ、原則的に電力会社に期待してよろしい、かように考えております。同時にこのことは、企業としてのやはり建設費や、したがってまた発電費をどういうふうに計算するかというようなことに当然かかってくるわけでございますが、今後相当長い期間のことでもございますが、ただいまのところ、私は電力会社に原則的に担当してもらうということでやっていけると、かように考えておるわけでございます。
○国務大臣(櫻内義雄君) 現在、原子力発電の開発につきましては、先ほど来向井委員が御指摘なように、日本原子力発電株式会社が茨城県東海村におきまして英国型の原子力発電所十六万六千キロを建設中であるわけであります。これは明年運転開始予定でありますが、さらに同社が福井県敦賀市におきまして第二号原子力発電所の建設に来年着手しようとしているわけでございます。愛知国務大臣が申し上げましたように、四十五年ごろまでに大体百四十万キロワットを予想しているわけでございますが、これは、東京、中部、関西電力の三社がそれぞれ一基を完成させる予定である、こういう見通しで計算をしているわけでございまして、これらの五基の合計が百四十万キロワットになるわけでございますが、この三基のうちで二社分については、すでに敷地も取得済みでございます。で、この経過からおわかりのように、日本原子力発電株式会社や、また民間の電力会社におきまして、鋭意今後の原子力発電の計画を推進していくわけでございます。で、私としては、これらの建設の、あるいは運転の経験等の積み重ねが、その後の四十五年に至りますところの、先ほど愛知国務大臣が言われたとおりに、六百万ないし八百五十万キロワットの原子力発電設備の上に大いに役立っていくと思うのでございます。 いろいろ向井委員から御心配をちょうだいしておりますが、現在、第一号発電所に対しては、電源開発株式会社を通じまして二十億円の出資をするほか、開銀資金の八十五億円の融資によって、これが達成をはかったのでございますが、これらの経緯でおわかりのごとくに、今後民間会社がやるにしても相当資金の不足でございましょう。これについては開銀の融資も考えなけはばならないと思いますが、要するに、百四十万キロワットのこの経験を土台にいたしまして、そして九電力の協力のもとに目的を果たしていきたい。また、通産省の所管から考えますときに、その目標を果たすのに、そう至難でないではないか、こういうふうに予想をしておるような次第でございます。
○向井長年君 この原子力開発につきましては、そういう原子力株式会社を、各社が出資し、つくって、そしてそれはそれで開発さしていく、民間は民間で別々にやれ――ほとんど、いわゆる燃料は外国依存なんですね。そういうような事業を、各民間が適宜に勝手に――いま三社が一応開発計画を立てているというけれども、能力があるならば九社ともおのおのが個々にやり出す、こういうかっこうになってくると思うのです、将来においては。当初つくった原子力株式会社というのは各社も出資しているわけなんです。どうしてこういう会社を中心にして原子力を担当せしめるということを考えないのか。もう、能力があれば適当に勝手に民間でやってもらう、こういうむぞうさな原子力開発に対する考え方が、どうもわれわれ納得できないのですよ。一つの会社ができているのに、それには若干、一つ、二つ開発させるけれども、その他は各社の能力において開発してもらう、こういう無責任なものの考え方ですね。どういうことなんですか。これは、通産大臣。
○国務大臣(櫻内義雄君) 向井委員の御質問の焦点がちょっと私にはとりかねたのであります。というのは、先ほども申し上げましたように、この日本原子力発電株式会社のほうも、来年送電を開始する分のほかに、次の分をもうすでに計画をしておるわけであります。で、しかも、向井委員の御指摘もございましたように、日本の原子力発電が世界の各国に比してどうもおくれておるのではないか、こういうような見地からいたしてまいりますと、いまの九電力が、火力、水力の開発に加えて原子力の発電所を持つということを、私はこれを阻害しなくてもいいんじゃないか。むしろ、そういうこともあわせてやるほうが、四十五年の六百万ないし八百五十万というその目標を達成するのではないか。日本原子力発電株式会社だけを中心にして、これを拡充してやっていくということにしても、これはそういうふうな一元的な開発の方法も好ましいとは思います、思いますけれども、現状からして、おくれておる日本の原子力発電を少しレベル・アップする、ピッチを上げてくということを考えると、むしろ、現在とられている方針が必ずしもその御非難を受けなくていいのではないか、こういうふうに考えるのでございまして、この点、御了承願いたいと思うのであります。
○向井長年君 そういう、開発がおくれているから、各社はやれるところはやらしたら早いのじゃないか、こういうものの考え方で答弁しておりますが、私が言っているのはそういうことじゃない。経済ベースから考えて、東海村で発電されるやつが来春東京に売られると思いますが、これがどのくらいになるのですか。おそらく、キロワット六円程度になるのじゃないのですか。したがって、一般の火力、水力の開発とはおのずから違うと思うんですよ、これは。したがって、国際的に言うならば、外国燃料に依存をしなければならぬ、あるいは将来これは開発しなければならぬ大きな問題ならば、そういう、各社に分散して適宜にやることによって、いわゆるそれの財政面の問題も考え、あるいはその他を考えるならば、これはコストに合ってこないのじゃないか。したがって、一つの会社がたまたまできたんだから、これを中心に開発する方向をなぜとらないか。機構としてそういう考えが一番いいのじゃないか。その点が、民間能力に応じて適宜開発さしていこうというものの考え方は、それの裏づけがどうなってくるか。結局、コストが上がってくる。場合によっては、最後は電気料金の値上げをしなければならぬ、こういう結果が生まれてくるのではなかろうかということを言っているんです。通産大臣、どうですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 向井委員が述べられた御見解も、私はそれなりに考えられると思います。しかし、民間企業においてやりますことは、やはり企業自体の自由なる意思に幕づいて行なわれますので、おそらく、先ほどから申し上げますように、現在までの積み重ねた経験等がものをいいまして、民間企業がやることが、それが非常に採算が悪いものである、こういうふうに私は一がいに判定ができないと思うのであります。各社が原子力発電をやろうというときには、必ずその採算の基礎を十分考えて持ってくるのではないか。現に、三社計画を進めているのでございままして、これらのやられた結果が、お話のように、非常に民間会社は大きなコストになって、そうして電力料金の値上げになったんだというような事態になってまいりますれば、これはまた別であろうと思います。しかし、私としては、現在非常に未熟な状況からようやく軌道に乗らんとしている、またそれぞれの会社が、やってみよう、こういう意欲に燃えているときには、おくれている日本の原子力発電の実情からいたしまして、これを奨励するほうがかえっていいのじゃないか。これは、まあ行き方の相違でございまして、ここで向井委員と特に私論争をしようとは思いません。ただ、あくまでも積み重ねて、そうしてどうやって日本の原子力発電が世界各国に伍していけるか、こういうところに鋭意私の考え方を集中してまいりたい。もし、その間に大きな障害があるとするならば、それは当然考え直さなければならぬと思いますが、現状では、そういう予想はないと思います。
○向井長年君 通産大臣ね。東海村の原子力株式会社が設立されておりますが、これは、どこがこういう会社をつくったんですか。電発を含む各社が出資してつくっているんです。その他の産業もあわせてそういうように出資して一つの会社ができたということは、まずそこに開発をさそうというところから出たはずであります。したがって、各社がこれに多く出資して、一本の形で地域的に開発するということは、何ら無理じゃないわけです。これは私は、いま三社と言っているが、将来においては、九社ともまたやろうとすると思うのであります。かいしょうもないのに、一人前にやらなければ、おれのところはいわゆる電力会社の地位が保てないというような形から私は取り組んでくると思うんです。結局、そういうむだな形をとらずに、一つの会社を各社が出資してやっている以上は、これを中心に、しかも燃料はすべて国産依存である。こういう立場から考えれば、コストの問題もそういうところに私は一つの商業ベースも生まれる要素を持っていると思う。そういう、何といいますか、むぞうさな開発計画というものは非常に無責任な考え方ではないかということを私は言いたいわけです。と同時に、先ほど外国の例も若干言われておりましたけれども、長官、これはアメリカは論外といたしまして、イギリスにおいても、フランスにおいても、イタリアにおいても、これは大体電力は国営なんです。国営だからやりよいわけです。したがって、どんどんこの開発は進んでいっているわけです。ところで、日本とよく似た民間とすれば西独、特に西独の場合はどういう開発方法をやっているか、先般おそらく原子力委員会から行かれて驚いた人たちは、あるいはいまさらながらおくれているということを痛感したことは、政府のこの開発に対する意欲とそれに対する裏づけだと思う。これは大蔵大臣、聞いていただきたいと思う、あとから大蔵大臣に質問したいのですが、特にドイツにおいては発電炉一基について一億マルクの補助を出しているのですよ、補助を。一億マルクといえば幾らですか、日本円で九十億じゃないですか、九十億。一基について最高九十億出しているわけです。いままでの火力等のなにと比較いたしますと、九〇%以上政府が補償しているのです。こういうようにやはり国として真剣に取り組んでいる姿がそういうところにあらわれている。日本においては一応研究所をつくり、あるいは技術庁があっても、ほんとうに、具体的にこういう六百万とか八百万という計画は立ててありますけれども、ほんとうにこれを政府みずからがっくり上げて取り組むという姿勢がない。私はそれを指摘しているのです。そういう問題について、これは原子力を担当している長官あるいは通産大臣、どう考えられますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来、通産大臣からお答えをいたしておりますような私は考え方でいるわけでございますが、なお、ただいまお話がございました点に関連いたしますので申し上げますけれども、これは何と申しましても、やはり国の推進、援助ということが積極的でなければならないという点はまことに御同感でございます。で、たとえば使用済み燃料の再処理の問題にいたしましても、これを原子燃料公社、国の出資によって建設をしたい、あるいはまたプルトニウムの国による買い上げということも考えてもらいたい、それから原子力を担当しているものといたしましては、そういう点もあわせて考えるということが、こうした発電計画が推進される非常に有力な環境をつくることになると思っているわけでございます。
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから繰り返して申し上げた中で、向井委員の大体の御了解が得られていると思うのです。この日本原子力発電株式会社を中心にして、いま開発をしていっている、そうして、当初におきましてはいろいろな困難性があったろうと思います。原子力を日本で平和利用するということからこれが始まったのでありますから、そういう場合におきまして一足飛びに民間会社がやるというようなことは考えられませんでしたが、私が申し上げているとおりに、これが積み重ねられた経験の上から立ちますならば、従来は相当至難であると考えられておったことも、あるいは採算上どうかと思われておったこともこれが今後におきましては容易に民間会社でもやり得るようになってくる。そうなってまいりますと、九電力の持っておる技術陣などを統括するよりも、今後におきましては、水力から火力、火力からむしろ原子力というようなふうにだんだんと発展をしていくと思うんでありますから、その場合に現在の各社が持っておる技術陣を動員し、そうして日本原子力発電株式会社を通じての経験をそこに導入しながらやっていく、そのことによって日本の原子力発電のおくれが取り戻せるもんだと、一元的にやっていくということは、確かに向井委員の言われるようなねらいがわからないではありません。しかし、といってそういう方法がいいのか、いま申し上げたような経緯から民間会社も努力をするほうがいいのかということになってきますと、だんだんに原子力発電というものもこれが普及し、一般化していくという趨勢に私はあるんではないか、こういうような見地から、現に進められておるところの各電力会社の原子力発電を私は阻害する理由はない、こういうような見地に立っておるような次第でございます。
○向井長年君 通産大臣の言うことは、何回繰り返しても同じことをやっているんですが、これは基本的にエネルギーという立場から、あるいはまた電力開発という立場から、これは非常に現在まで電発にいたしましても、それは電発は民間が開発できない水力を中心につくった会社だと思う。それが石炭事情から火力を電発にやらせるということでまた出てきた。それから原子力の問題については、原子力会社をまずやろうじゃないかと、各社が出資してこれをやり出した。次はまたこれを民間がやる。大きなことを原子力委員会で、いわゆる国際会議の中で大きな計画を発表してきた。ところが実際が伴っていないんですよ。六百万、八百万といっても、しからばどういうかっこうでやるか、あるいはそれに対する資金の裏づけをどうするか、財政的な面が無計画でこういうことを発表しておる。それは夢か構想ならばそれでよろしい、しかし現実に開発しなければならぬ。先ほど言ったように需要がどんどん伸びる、これに対しては火力も開発すると同時に、原子力の占める割合というものはおのずから出てきておるわけです。これに対する具体的な構想というものはあまりにばくとして、ただ抽象的であって、何ら裏づけがないということを私は指摘しておる。したがって、その機構というものは、まず根本的に、先ほど言うように、民間能力のあるところでやってもらおうじゃないか、そういう考え方を持っておるから、こういうずさんな形になっておるんじゃないか、こう私は考えておるわけなんです。そこで大蔵大臣、先ほども言っておりましたが、これからのエネルギーの開発について、先ほど言いましたように、ドイツの場合は民間がやっておりますが、国家から大きな補助をやっておる、国家的な一つの開発として補助をやっておる。そういう形において日本の場合においては、先ほど言われるように、開銀とか、あるいはまた財政投融資とか、こういう形で若干やる程度で、何らできないと思うんですよ、いままでの状態では。今後そういう問題がすべてコストにかかってくる。いま東海村の問題についても、私は来春四月ごろ送電できようとすれば、一般の水火力から考えると、高い単価でしか売れない、約六円近い。こんなことで商業ベースに合うか、これをひとつ財政的に今後の開発計画に対する裏づけを大蔵大臣はどう考えるか、お聞きしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 電力及び原子力につきましては、電源開発の基本計画に基づいて、所要資金の確保に努めておるわけでございます。本年度における開発銀行の融資を申し上げますと、百九十億でございまして、このうち原子力は二十五億でございます。このほか電源開発会社に対しまして三百十九億円の財政投融資からの貸し出しを考えておりますし、なお公営電力等に対しましては、地方債として百七十二億、電力関係で合計六百八十一億という巨額な金を使っておるわけでございます。こうして政府が電力会社及び電源開発に対しての財政資金からの投資を考えておりますので、これらをもととして九電力及び電源開発等が原子力の発電に対して、民間とは言いながら中心にやっておるわけでございますから、政府も開銀融資その他を通じまして、でき得る限りの援助をしたいという考え方に立っておるわけでございます。
○向井長年君 国際会議で発表してきましたこの計画に基づいてこれが進められるわけですが、それに対する政府は裏づけができるかどうかというのですよ。私が聞いておるのは、現在はそういうやつをやってきておるけれども、これは裏づけができるのかどうか。
○国務大臣(田中角榮君) 国際会議に対して非常に前向きな発言をいたしておりますし、また原子力発電ということが将来非常に必要であり、エネルギー政策として今日から投資もし、また研究開発も進めていかなければならぬということは論のないところでございます。国際会議で発言をした、勇ましいといいますか、前向きな、こういう発言をそのまま年次計画を財政的にみるということもさることでございますが、日本においては他に電源開発会社及び九電力、地方電力等の開発計画もあるのでございますし、これらの計画も財政事情等を十分考えながら、最も合理的な開発計画を進めてまいるということでございまして、ある時期になればピッチを上げることもできますし、また新しい仕事であり、膨大な資金も必要とするものでございますし、やはりスタートの時点においては慎重にこれをやるべきであると、こういうふうにも考えております。
○向井長年君 通産大臣にお聞きしますが、四十五年度には大体百万キロあるいは百四十キロですか、これは一応計画されておりますが、これのいわゆる単価はどれくらいになりますか、いまのところ。
○国務大臣(櫻内義雄君) たいへん恐縮でございますが、個々の会社で単価も違いますし、詳細私存じませんので、政府委員からお答えいたします。
○説明員(瀬川正男君) お答えいたします。原子力発電の発電原価につきましては、御承知のように、現在、原子力発電会社が東海村でイギリス型の一号炉をつくっておるわけでございますが、これが先ほど向井先生のお話のように、五円数十銭と六円近くの発電原価になるかとも思いますが、それに引き続きまして原子力発電会社は二号炉といたしまして敦賀の付近に建設を来年着工する、この二号炉はアメリカの軽水型を採用することになっておりますが、これにつきましては、現在アメリカがすでに一キロワットアワーにつき四ミルないし六ミル、日本の金にしますと一円五十銭前後でできるというような数字をアメリカはよく発表しておるようでございますが、これはアメリカの場合は五十万キロワット前後のきわめて大容量の場合でございまして、しかもアメリカの場合にはしばしば発電原価と称するものが日本の場合と非常に内容が違いまして、発電炉の発電機の出口で発電原価と称するわけでございまして、日本の場合はそういう発電機から出た電気をさらに変電設備を入れて送電するというようなわけでありまして、したがいまして、土地の面積及び変電設備等一切これにプラスして考えなければならないわけでありまして、しばしばアメリカの発電原価で日本もそういう一円五、六十銭でできるというような間違いを起こしやすいわけでありますが、したがいまして、軽水型で原子力の発電会社が二号炉をやりましても、やはり私は三円を下るということは現在では不可能ではないかと推測しておるわけであります。しかし、自後、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、関西電力あるいは東京電力が三号炉、四号炉とやるような状態になりますと、だんだん三円を割って二円台になるということに、必ずそういう時期がまいるというふうに私どもは推測しておるわけであります。したがいまして、四十一年度以降、三号炉、四号炉というようなものに着手する時代は、現在の石炭火力発電原価には匹敵するのではないか。さらに五号炉以降になりますと、逐次重油専焼火力発電に近づいていくというようなふうに、大ざっぱに申し上げますと推測しておる次第であります。
○向井長年君 発電原価の問題につきましては、おそらく推定しかできないでしょう、いまのところは。具体的の建設計画が立っておらないのだから、その程度でしか答弁はないと思う。しかし、こういう機構の開発をし、それに対して十分な裏づけがないとなれば、やはり私はこの問題は相当単価の上昇を考えざるを得ないという気がするわけなんで、これは政府に対して警告をいたしておきたいと思うのです。 そこで、先ほどから愛知長官がたびたび燃料問題を言われておりますけれども、これはいま燃料公社がございますけれども、この燃料公社は大体国内資源の発掘といいますか、開発、これに中心を置いて、再処理という問題については重点に考えておらなかったと思うのです。いままでは。したがって、これからこういういよいよ市場に電力が出てくるならば、これは再処理問題が重大な大きな問題になる。したがって、この再処理問題について、すべて燃料は外国依存ですから、船をつくって外国で再処理してもらうか、国内において再処理工場をつくってやるか、これは二つしかないと思うのです。船をつくってということは世界で初めてで、そういうことは事実上できないと思うのです。それならば、国内において再処理をやらなければならぬと思う。これはいまの公社が中心になってやるつもりであるのか、あるいは各社がかってにやろうとするのか、その他国が考えるのか、買い上げの問題、この点をひとつ明確にしていただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたように、原子力委員会を中心といたします原子力関係者の間では、いろいろの事情を従来から詳細に検討をいたしまして、結論として原子燃料公社で再処理工場を国の出資でやってもらうことが一番妥当であろう、プルトニウムの国による買い上げをやることが妥当である、こういう結論に達しておるわけでございます。しかし、この点につきましては、相当の財政上の問題を当然含むわけでございますし、率直に申しまして、いまだそれらのほうとの打ち合わせというものは完全に終わっておりません。したがって、政府としてここで方針を確定したということを申し上げるのにはまだ時期が早いと思います。
○向井長年君 先ほど国際会議に発表したように、そういう計画を進めるためには、やはりその問題も政府として明確に出さなければ具体的には進まぬというわけなんですよ。おそらく国内で再処理工場をつくり、政府がプルトニウムの買い上げ保存、こういうかっこうをとっていくならば、相当莫大な資金が必要だと思う。大蔵大臣、おそらく二百億程度は必要じゃないですか、この点に対して大蔵大臣、腹がまえがあるかどうか。
○国務大臣(田中角榮君) プルトニウムは、これは初めはイギリスに持っていくということだったようです。それが今度は輸送ができないということです。これをいま政府が買うといたしましても、金が非常に大きくかかるというだけでなく、これはもう買っておくというだけで、なかなか使用するに至らないということでございます。いまのところ、政府がこれを、少なくとも大蔵省の立場で予算編成の上でもって一体出し得るのかどうかということは非常にむずかしいということでございます原子力発電そのものは民間の創意とくふうを中心にしてやっておるのでございますから、この問題もそちらで御解決を願うのが筋だと、こう考えております。
○向井長年君 いま大蔵大臣がああいうことを言われておりますが、愛知長官あるいは通産大臣、こういうことは、私がいま聞くように、全くずさんだというのですよ。国際会議の中では大きなことを言って帰ってきたけれども、非常に立ちおくれておる、何とかしなければならぬ、こういう関係者は気分になって帰ったけれども、国内においては、それに対する一応机の上の計画はできても、実際裏づけをもってやれる体制ではない。これをどうするかということを私は先ほどから聞いておるのです。したがって、私はいま時間もございませんから、それに対して結論をどうというわけじゃございませんけれども、こういうずさんなことでは、やはり今後エネルギーの、あるいはまた国際水準に達するエネルギー産業としては、なかなかたいへんですよ、これは。だから、やはり冒頭に言ったように、取り組み方の機構というものをまず考えなければならぬ。ここに私は基本があると思いますので、もう時間もございませんから、私はこれ以上この問題は申しません。いずれ適当な機会に質問いたしたいと思います。そこで、それにからむ私はまず軍事的な問題について、これは防衛庁長官にもお聞きしたいのですが、いま日本は核兵器の問題については、最終目的は何といっても核兵器禁止ということを強く打ち出しておるわけであります。そのためには、まず実験全面禁止あるいは部分的禁止、こういう形で進んできたと思うのです。そこで、お隣の中国が先般実験を行ない、しかも核保有国になった。こういうような中で、しかも先般、これは実はアメリカのニューヨーク・タイムズの軍事評論家のハンソン・ボールドウィンという人が、一九七〇年度までにはいまの核保有国以外に、ベルギー、カナダ、チェコ、東西ドイツ、インド、イタリア、日本、スウェーデン、スイス、イスラエル、アラブ連合の十一カ国が、その意思があれば数年後には核保有国に進める国である、こういうことをニューヨーク・タイムズで報道しておるのであります。そこで、政府は、平和憲法下においては絶対そういうことはないと思うし、われわれも信じておりますけれども、私は念のために聞いておきたいのですが、核保有をするという考え方はおそらくないと思うのですが、これに対して明確に回答を願いたい。
○国務大臣(小泉純也君) 政府は、今日まで終始一貫いたしまして、核装備はしない、核兵器の持ち込みは許さないという基本方針でございまして、今日といえどもいささかもそれは変更いたしておりません。
○向井長年君 いまの答弁、当然のことだと思うのですが、しからばこのタイムズで報じておるように、日本の科学技術水準というか、能力というか、これはあくまでニューヨーク・タイムズで報じておるように、そういう核兵器を持つ能力はあるのか、技術水準、この点について防衛庁官あるいは科学技術庁長官、二人にお尋ねいたします。
○国務大臣(小泉純也君) 核の研究開発というようなことは、現在防衛庁では一切いたしておりません。
○国務大臣(愛知揆一君) ほど冒頭に申し上げましたように、科学技術庁といたしましても、原子力委員会といたしましても、原子力基本法の三原則にのっとった仕事をいたしておるわけでございますから、そういうふうな研究はいたしておりません。
○向井長年君 十二月七日に自民党の元総理である山岸信介氏が日華協力委員会の総会でも、日本代表として、日本は中共が製造した核兵器より何倍も強力なものをつくる能力がある、しかし、日本は平和憲法のもとで原子力平和利用を誓約しておる、こういうことを述べておるのですよ。能力があると断言しておるのですが、このへんどうですか、長官。
○国務大臣(愛知揆一君) あるなしの問題よりも、さようなことは考えておりません。
○向井長年君 考えておると、つくれと、だれも言っていないのですよ。能力があるということを台湾で報道しているのですから、事実あるのかないのかということを聞いているのです。
○国務大臣(愛知揆一君) そういうことを言われた方がだれであるかは別問題としまして、私はそういうことに一切関知しておりませんし、またお答えすべき筋合いのものではない、かように考えます。
○向井長年君 何だかえらい避けておるのだけれども、そんな心配しなくてもいいのですよ。何も核兵器をつくることを、つくれとかつくるべきであるとか、そういうことを聞いているのではなくて、日本の技術水準としてそういうものがあるのか、こういうことを聞いているので、岸さんははっきり堂々と外国で言っているのだ。二倍も三倍も非常に強力のものをつくる能力があるのだということで。日本の代表ですよ、これは。いわゆる政府から派遣された代表ですよ、日華会議に。そこで述べられている。何も個人が言っているのではないのですよ。日本の代表としてそういうことをああいう会議で述べられている。それをいま日本の政府の皆さん方が、そんなもの関知しない、こういうものの言い方はおかしい。こういうことが技術的にあるかどうか、こういうことなんです。どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 何といいましょうか、核兵力をつくる能力があるかないか、こういう点のお尋ねだと思います。しかし、私どもはそういうことを考えたこともなければ計画したこともないから、能力のあるなしという判定などの問題ではないと、私はこう思います。
○向井長年君 外務大臣、日華会議に出られた岸さんが、これは日本の政府代表ですね、総会に出ておられるのですから。これはおそらく総理の指名を受けて出たと思う。この人がこの会議に出て、明確にそういうことを言っておられるわけですね。だから、その点について、外務大臣、どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日華協力委員会は、あれは政府とは直接関係ございません。 それから、いまの能力の問題でございますが、担当大臣の愛知長官がああいうことを言っております。私のほうから、その能力があるだろうともないだろうとも、どうも申し上げるようなわけにまいりません。どうぞ御了承願います。
○向井長年君 何だかこわいものにさわるように言っておりますが、私たちの、学者のいわゆる研究では、これはこういうことを言われているのですよ。大体一回の核爆発に必要なプルトニウム量は五から十キログラム、二十万キロワット程度の爆出力を持つ原子炉があれば、年間三個あるいは四個分のプルトニウムを生産することができると、こういうことを学者が言っているのですよ。それであれば、日本は二十万キロの炉を持てばそういうものはできるというように学術的になってくるわけです。私はその学術的の問題を聞いているのに、何かおそれて、何にもしゃべらぬ。それはちょっとおかしいですよ。そういうことはいいです、時間もございませんから。どうも核問題についてはびくびくしてしまって、何も言われない。どうもわれわれ納得できません。
○委員長(寺尾豊君) 向井君、五分経過をしております。
○向井長年君 まことに申しわけありません。ほかに質問する事項がたくさんあったのですが、時間が過ぎましてまことに申しわけございませんが、最後にひとつ委員長、お願いしたいのですが、これは労働大臣にお願いいたします。 佐藤内閣は、まず第一に、政治姿勢としては寛容と調和、こういうことを言われているわけです。これは国会の問題だけではなくて、社会的にはやはりそういう形をとっていかなきゃならぬ、こういう一つの方針だと思うんです。しからば、まず労使問題、労使問題についてもやはり調和をもって、寛容の気持ちで、いい労使慣行をつくらなきゃならぬ、こういう基本の上に立ってお聞きするわけでございますけれども、昭和二十八年八月七日にしかれましたスト規制法、これはちょっと私が前のときにも一ぺん労働大臣に質問したことがある。これは特に労働大臣がジュネーブから帰られて、先般の田畑質問の中にありましたように、いわゆる公労協の労働者に対しても労働基本権を当然与えるべきである、こういうことを言われておる。労働基本権というものを国際水準まで持っていかなきゃならぬ、こういうことを発言されておるわけです。それには前提がある。その前提は、いわゆる法の規制を飛び越えて進むことが労働運動であるというようなものの考え方であっては困る、こういう一つの条件がついています。けっこうです。 しからば、私は言うんですが、いま電気の労働者に昭和二十八年にしかれたスト規制法、これは三年の時限立法であって、いまは恒久立法にされちゃった。これに対して、少なくとも労働基本権から考えるならば、当然これは撤廃すべきだと。あとの条件はしからばどうかというと、この規制を乗り越えて事実上十年余り何か争議を起こしたことありますか。その点に対して、この労働スト規制法を廃止する考えがあるかないか、はっきりお答えいただきたい。
○国務大臣(石田博英君) 私がジュネーブから帰ってまいりまして、新聞記者団の御質問に答えたのは、おおよその趣旨はただいま向井さんのおっしゃったとおりでありますが、公労協にもという具体的な名前をあげた事実はございませんから、その部分だけは取り消して、申し上げたことがないということだけはひとつ御承知願いたいと思います。 そこで、スト規制法でございます。これは電気事業あるいは石炭産業というようなものが破壊的な状態におちいるようなことがありますと国民生活に重大な影響を与える、という趣旨のもとにつくられた法律でございます。いまお話がありましたように、昭和二十八年制定以来その法律に違反する行為がなかったのであります。それからまた、昨年電気事業法が可決されますときの附帯決議にもございます。いま国民生活その他の関連において現在直ちに廃止する考えはありませんけれども、本年の六月に行なわれました決議の趣旨を尊重いたしまして、検討はいたしたいと考えております。
○向井長年君 いま私が言うことは、労使慣行を、いわゆる平和的にものごとの解決をするためには、常に政府が言うように武力均衡の中に平和が保たれる、こういうことを言われておるんでしょう。いま片手落ちでしょう。スト権を奪われて、憲法の二十八条にいうところの団体行動権がない。そういうことにしておいて均衡を保った。いわゆる話し合いの中で解決できるかということですよ。そのストライキを実施するという、大衆に迷惑をかけるという考え方じゃなくて、ものごとを平和的に解決するならば、そういう均衡を保った中で話し合いをするという立場から、こういう恥ずべき悪法は早くなくさなくちゃならぬ。先般の国会におきまして池田総理は、あるいは大橋労働大臣も、撤廃への前向きの姿勢で検討しましょうということを回答された。石田労働大臣、どうですか。
○国務大臣(石田博英君) いま申しましたとおり、三十九年六月に行なわれました電気事業法案可決の際の附帯決議がございまたので――ございましたののでなく、そういうこともありましたので、おっしゃるように、むろん、検討するという意味では、そういう意味の検討でございます。
○向井長年君 他の大臣のほうにもいろいろ聞きましたが、地方税の問題とかあるいは保険の問題でお聞きしたかったんですが、時間がございませんので。失礼いたしました。これで終わります。
○委員長(寺尾豊君) 向井君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に、佐藤尚武君。
○佐藤尚武君 私は、きょうまた外務大臣にお伺いをしたりお考えを、願ったりしたいと思いまして問題に立ったわけでありますが、実は前回の国会の予算委員会におきまして一度、いまこれから申し上げる問題について外務大臣にお話をこの予算委員会において、申し上げたことがあったのであります。 それは、来年がつまり国際連合創立以来二十周年に当たるという問題があって、昨年の総会の決議で来年を国際協力年とするということになっておるわけで、このことにつきましては、すでに国際連合から参加国各国に対してその決議を伝達したり関係の書類を通達したりなんかされたことと思うのでありますが、世界平和維持のために努力をしておる国際連合が二十周年の年を迎えるということそれ自身、たいへん喜ばしいことでありまして、つまり二十年の間はどうやらこうやら世界の平和が破られることなしに済んだということを意味するのでありまして、そういう意味におきましても、たいへん有意義な年でなければならぬと思うのであります。そこで、各国においてどういう行事をするかということについて、国際連合では国際協力年委員会というようなものを設けて、そしていろいろな計画を立てるための研究を始めたり、またその各国の計画を調整したりなんかするような仕事にすでにとりかかっておる様子でありますが、この問題につきましては、日本政府でももちろんその通知を受け取ると同時に、それぞれ研究をし始めておられるのであろうと推測するわけであります。そういう点につきまして、外務大臣、外務省においてはどういうふうにこの問題を取り扱っているかということについて、もし御説明がいただければお願いいたしたいと思いまするし、さもなければ、外務当局からでけっこうであります。御説明をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答え申し上げます。協力年の指定及びこれに関連して適当に行事を推進するという決議に対しまして、わが国もこれに賛成をいたしました。したがって、何らか記念行事を遂行したいと実は考えておりますが、いまだ内容は具体的に決定いたしておりません。ちょうど先般、この間国連総会に参りまして、ウ・タント事務総長に来日を御招待申し上げた。ちょうど風邪を引いて出てこれなかったので、次長に伝達を頼んでまいりましたが、おそらくそれは受諾していただけると思います。ちょうどそのころを見はからって何らかの行事を行ないたい、かように考えておる次第でございます。
○佐藤尚武君 すでに外務大臣はその問題を取り上げられまして、そして来年の協力年に際して何か適当な行動をとりたいというお話をされたということこれはまことにけっこうなことだと思うのでありますが、とにかく日本はこの夏、オリンピックのゲームでは、世界に非常に大きな名声をはせた国でありまするし、この意義のある国連の二十周年にあたりましては、これを祝福する意味におきましても、また今後の世界平和維持の上に貢献する意味におきましても、何か世界的な、そうして、いかにも日本らしいやり方をやることができたらば、まことに望ましいことではなかろうかと思うのでありまして、つまり、政治家はもとよりのこと、国際法学者ないしは政治地理学と申しますか、広範な見地に立っての国際政治を観察し、検討し、かつまた、将来、どういうふうに持っていって世界平和を維持するかというような広範な問題について、世界的に意義のあるような、何か意見を発表するような機関を設けられたらば、非常にいいのじゃなかろうかというような考えを、これは私一個の考えでありまするけれども、そういうふうに思うのであります。各国でもむろん同じようなことをやるでございましょう。この国際協力年間を祝福するために、日本でいわゆるお祭り騒ぎをするというようなことは、これは私は要らないことであって、そういうような意味での催しでなく、いま申し上げましたような、学者を動員したり、政治家が率先してその企てに参加したりなどするというようなことでもって、有意義な結果をもたらすというふうに持っていったらばどうかと思うのでありまするが、いずれにしましても、これは、すでに国連の参加国が招請されておることでありまするからして、日本におきましても、政府自身が、これは率先して計画を立てられるということが必要であるし、またこれは政府の義務であろうかと思うのでございます。むろん、民間におきましても、協力を惜しむものではなかろうと思いまするが、とにかく、国の行事としてこれをやっていただくというたてまえをとられることを、私は非常に望むのでありまして、そういう点につきましての外務大臣の御意向が伺っておきたいものだと思うのであります。と申しますることは、学者を動員するにしましても、また論文を書くにいたしましても、時日を要することでありまして、きょう、あすにもすぐできるというわけのものではございません。もうすでに、来年の一月一日から二十周年は始まるのであり、国際協力年間が、その日から始まるということになりまするので、早急にプランを立て、そうして、動員する向きは動員する、また、その研究に対しましては、必要な資料を供給することに努力をするし、また、各般の便宜を供与しなければならぬということもありましょうし、したがいまして、これは時日を要する問題でありまするがゆえに、私は、年末に迫りました今日において、外務大臣の注意を喚起したいと思うわけであります。どうぞそういう意味におきまして御答弁を願えれば、たいへんありがたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) たいへん貴重な御意見を拝聴いたしました。十分に参考にいたしまして考えたいと思います。
○佐藤尚武君 私の意見が貴重な意見であるかどうか、これは問題でありますが、しかし、外務大臣におかれまして、そういったような線に沿うて努力をするつもりであるというようなお考えでありましょうか。大臣の決意と申しましてはあまり大きいようでありまするけれども、こうやりたいというように考えておるのでありましょうか。つまり、私の申しまする要点は、国が率先して、そういう計画を進めるという、そこにあるのであります。そういう点について、もう一度、しつこいようでありまするけれども、念を押してお伺いしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん実行する意味で、貴重な御意見を参考にしたい、こう申し上げたのであります。
○佐藤尚武君 どうも私、耳が悪いせいか、はっきり聞き取れなかったのでありますが、(「耳がよくたってわからないよ」と呼ぶ者あり)少なくとも私がいま申しました見解に対して、反対の意見は表せられなかったように思います。むしろ、大体において賛成をしてくださったのかと思いまするので、それではできるだけ早い機会に、外務省内と申しましょうか、外務省なら外務省内に、適当な、そうしてまた、有力な委員会でもおつくりくださいまして、そうしてどういう方面に働きかけ、また、どういう組織でもって、この年間を意味のあるものにするかというようなことについて研究を進められるように、ぜひそういうふうにお願いを申し上げたいと申すのでありまするから、どうか御了承いただきたいと思うのであります。
○委員長(寺尾豊君) 佐藤君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に、岩間正男君。
○岩間正男君 私は、時間の関係から、問題を要約して、椎名外相に対し、佐藤内閣がなぜ、日韓会談の早期妥結をあせっているのか、その目的と真意がどこにあるのか。早期妥結をめぐる二、三の基本問題についてただしたいと思います。 まず第一に、佐藤総理は、日韓交渉の妥結は、佐藤内閣の当面する重要な使命であると語り、また、内閣調査室の九月月報には、韓国を敵対勢力に渡さないことが、外交政策の第一の目的である、と述べて、韓国へのてこ入れを強調しています。 次に、去る九月末、日本と南朝鮮を訪問したアメリカのウィリアム・バンディ国務次官補は、北京、平壌、ハノイの侵略に対抗して戦う体制づくりの必要を強調し、日韓早期妥結のためには、アメリカは、できるだけのことは何でもすると圧力を加えているのであります。これがトンキン湾の武力侵略以来の北ベトナムにおいての戦争拡大政策と関連して語られているところに非常に特徴があります。 第三に、朴正煕は、太平洋における反共の中枢は韓国、アメリカ、日本、台湾である。この三者の結束だけがアジアの安定を確保すると強調したのであります。 これらの三者のことばに共通している点を考えますと、反共とアメリカのアジア侵略の体制固めのためには、どうしても日韓会談の早期妥結をやるのだという点にあります。これは事実上、反共軍事同盟NEATO結成の下固めであると思います。椎名外相はこれをどう見ておられますか、まずこの点からお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日韓の国交正常化はすでに十年以来の願望でございます。先般会談が相当順調に進んだところで、はからずも韓国国内の政情の変化によりまして挫折をしておったのであります。わがほうとしては、向うの政情の安定、また会談に対して相当に責任ある体制になったならば、わがほうとしてはいつでもこれに応じて早期妥結の用意をしておったのであります。今般先方から新しい大使がお見えになりまして、すでに韓国側において早期妥結の用意も整ったという申し出がありましたので、これを再開いたしまして、ただいま進行中であります。これは反共軍事同盟でも何でもない、従来主張してきた長い間の韓国との関係を考慮して、一日も早く国交正常化することが双方の繁栄のためにまことにとるべき方向である、さように考えてこの道を進んでおる次第であります。
○岩間正男君 自民党内でもなぜこんなに急ぐかということは、この議場でも質問があったわけですね。だから事態がかように展開しないのに急いでいる、そうしてその理由として、私は三つの要件をあげたのでありますが、これについては明らかに語られないで、一般的な答弁をしております。これは了承できません。 私は、時間の関係ありますから次に進みたいと思いますが、次の問題は、日韓交渉をめぐる諸懸案事項すなわち李ライン、漁業問題、竹島問題、在日朝鮮人の法的地位等、すべてここに重大な危険をはらんでいることは事実であります。その中でも、日韓交渉の本質を最も端的にあらわしているのが請求権問題であります。十一月二十八日の衆議院予算委員会で、藤崎条約局長は、サンフランシスコ条約第四条の(b)項を読み上げて、米軍政当局の措置を認めたので、日本側の請求権はこれでなくなり、韓国の日本に対する請求権だけが残っておる、その解決のために日韓交渉をやってきた、しかし、北鮮に対しては、このような規定かないから、日本の取り分すなわち請求権が残っており、しかも日本側の取り分が多い見込みだ、こういうことを答弁しています。北朝鮮に対する態度は、日本政府の反動的な意図を最もむき出しにしたものでありますが、南朝鮮に対する態度もこれと本質的には何ら変わっていないのであります。 一体日本政府はカイロ・ポツダム宣言によって義務づけられている三十六年間にわたる帝国主義的植民地略取の罪を償う気などは毛頭なくて、大平・金メモによる無償、有償五億ドルのつかみ金と民間の信用供与でごまかそうとしているのであります。現にきのう結ばれた二千万ドルの緊急援助の取り決めも、政府がいかに苦しい統一解釈で国民の目を欺こうとしても、それが日韓交渉の促進剤的な役割と、会談妥結を見越して、すでに日本独占によって食い荒された分の穴埋めであろうことは、衆議院の審議の経過を見れば明らかであります。朝鮮人民はこれを了承するはずはないと思うのであります。政府の態度のどこに一体反省と誠意があるのか、あらためて日韓妥結を急ぐ政府として。この点について明確に私は答弁されたいと思うのであります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 伺っておりますが、全く全然所見を異にしている、これで非常に明快な答弁になると思うのであります。御了承願いたいと思います。
○岩間正男君 所見を異にすると言ったって、聞いていることに対してさっぱりあなたは答えない。こういうような(b)項の解釈で、しかもカイロ・ポツダム宣言の精神によれば、当然十三年、三十六年間の償いをすべきだ、その精神の上に立たなければ、これは日韓の国交回復なんということはできない。それをあなたは所見が違うなどと言う。問題にはならない、こんな答弁では。 私は次に進みます。ところで政府は、一体この数カ月、全朝鮮全土をおおっている統一を要求するという声を、どう一体見ているのです。これは、北朝鮮のオリンピック選手辛金丹親子が、東京でめぐり合いをしました。それをきっかけに、全朝鮮民族の一人一人の胸底に押えつけられていた心の灯が、奔流のような要求となっていまあらわれているのです。朴一派の激しい弾圧にもかかわらず、この声は抑えることはできない。軍事クーデター直後に、民族日報社長を死刑にしましたが、情勢の大きな変化は、いまでは同じような問題で逮捕した朝鮮日報編集長等を、人民の抗議で釈放せざるを得なくなってきているのです。現在南朝鮮では、統一の論議を出し尽くそう、手紙の交換、交流をしよう、民族内部の問題は、朝鮮人自身がやる、外部の干渉はやめてくれ、こういう声が満ちあふれている。日本政府は、カイロ宣言以後の義務としても、朝鮮の独立統一を妨害してはならないと思うのです。またそのことこそが朝鮮民族の悲願にかなう道であります。政府は直ちに、朝鮮の南北分断、人民弾圧以外何の役にも立たない日韓会談をやめ、一切の統一運動の妨害をやめ、とりあえず当面問題として基本的、人権的、人道上の問題である肉身面会の交流を取り計らうべきだと思うのですが、この点について外相の所見を重ねて伺いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 南北統一の問題は、これは南北朝鮮の合意によってきめられるべき問題でありまして、韓国の主張は、国連の監視のもとに人口の比例によって、自由選挙によって代表を選んで、そうして統一国会制度というものを設けよう、こういうような主張のようでありますが、北鮮は北鮮でまた別の見解を持っておる。こういうことで、今日まで統一問題が妥結しないようであります。 それで、わがほうとしては、適法に成立し、またこれを認めておる韓国と、ただいま国交正常化のための会談を開始しておるのでありまして、これは決して南北統一を妨げるものではないということを、固く信じておる次第でございます。さよう御了承願います。
○岩間正男君 事実はまさに逆でしょう。統一の機運がほうはいとして起こった、そうなったらたいへんだ。台湾と韓国、日本、これを含めてアメリカの基地体制がくずれてくる。だからこそ急いでこの妥結をやろうというのが、真のねらいじゃないですか。そんなことはわかり切ったことです。あなたはそんなような言い方で、いまの朝鮮民族が下からほうはいと起こしている要求を、しいて見ようとしていない。しかし、ほんとに目を開いてごらんなさい。そんな時代じゃないのです。そんな上に立ってるから、たいへんな外交になる。 私は、以上要点だけについて、時間の関係から質問したんです。この質問の中で明らかにしたように、第一に、日韓会談はアメリカ帝国主義の朝鮮、中国、ベトナムに対する侵略と戦争の体制づくりであります。第二に、朝鮮民族の悲願である民族統一を破壊して、南北分断を固定化し、第三に、人民抑圧の政治を強化しているために、崩壊に瀕しているかいらい朴政権に対するてこ入れであり、きわめて反動的なものであります。十三年前、アメリカ帝国主義のアジア侵略体制づくりとして始められた、そもそもそのような性格で始められたこの日韓会談は、強行妥結をはかるたびに、人民の激しい反対を受けて破れてきました。この戦いは、南朝鮮だけでなく、朝鮮民主主義人民共和国の政府と人民、日本人民と在日六十万朝鮮人民の十三年にわたる連帯と戦闘的友情の戦いの成果であります。そしてこれは全世界の進歩的人民、社会主義諸国、アジア、アフリカの新興独立諸国の力強い支持を現に受け続けているのであります。すでに十三年間にわたる長い戦いが示しているように、アメリカ帝国主義とその追従する勢力が、いかに日韓会談を強行しようとしても、この広大な反帝、平和の民主勢力の団結した力は、必らずその野望を紛砕し、朝鮮人民の統一を支援してやまないのであります。 かって三年前のことです、参議院の本会議の議場で、わが党の野坂議長が、李鐘晩政権が朝鮮人民の決起にあって倒れたあとの日韓会談強行に際して、これは必らず失敗するし、かりに成立しても、そのとき当の相手が雲散霧消したらどうするかということを指摘しました。事態はまさにそのとおりになったのではなかったでしょうか。まさにそのとおりです。 私は、椎名外相が真に自主平和外交を望むなら、朝鮮民族の悲願である民族統一を妨害し、日本にとっても不幸を招くだけであるところのこの日韓会談を、直ちにやめるよう私は要求したいと思います。これに対する外相の最後の決意をお伺いしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 重ねて申し上げますが、ただいまの日韓会談は、南北の統一問題を決して妨げるものではございません。
○岩間正男君 佐藤内閣は成立以来、黒星続きです。第一に、原潜寄港問題、第二に、中国の核実験に対するねじ曲げた解釈、真にその真意をごまかして口ぎたなくそれを非難した。第三には、彰真代表団のわが党大会に対する参加、この入国拒否。そして非常に動揺している。日韓会談を強行すれば、まさにそのような黒星をさらに大きく重ねる。しかも、これは民族の運命にとって非常に重大な、将来破滅さえ含んでいるような問題であると思います。私は、いまのような答弁であなたがやっていると、とんでもないということを最後に警告して、私の質問を終わります。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に、林塩君。
○林塩君 私は、所得保障と一緒に社会保障の二本立てになっておりますところの医療保障に関しまして、いささか質問を厚生大臣にしたいと思います。現在、医療の問題が非常に大きな問題になっておりますおりからでもございます。それからまた、医療費問題は、これはまた予算にも大きく響くことでございます。そのことにつきましても伺いたいのでございますが、時間が短こうございますので、一応問題をしぼりまして、現在社会の問題になっておりますところの看護問題について伺いたいと思います。この数年来看護従事者の不足がだんだん深刻化いたしまして、病院、診療所等の医療に関しまして、その運営の上にも重大な結果を来たしておる状態でございます。それにつきまして、厚生省は少しその対策が手ぬるいのではないかということが世論でございます。私どももそういうふうに思います。病院がつくられましても、必要な治療ができない、収容ができない。看護関係が不足をしておりますために、ほんとうに必要なところにそういう手が伸びていないというような状態でございます。それにつきまして何らかの対策がなされなければならないと思いますが、これにつきまして大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) 看護婦の不足と申しまょうか、ただいまお述べになりましたように、まことに大きな問題だと思っております。そこで、厚生省といたしましても、この不足をひとついかにして埋めるかと、こういうことでございまして、昭和三十八年度より看護婦養成に対する国庫補助の大幅な増額をはかりまして、積極的に助成措置を講じてまいっております。昭和三十九年度におきましても、引き続き、看護婦養成所の施設整備に対し一億八百万円、学生に対する修学資金の貸費事業に四千八百万円の国庫補助を行ないまして、養成人員の増加につとめるとともに、女子中学・高等学校に対する広報活動を行ない、志願者の確保をはかっているところでありますが、昭和四十年におきましては、さらにこれらの施策を積極的に進めまして、御心配になっているような点をひとつないようにいたしたい、かような所存でございます。
○林塩君 厚生省におきまして着々準備をしていただいていることはまことにけっこうだと思いますが、しかし、そのくらいでほんとうにできるかどうか。このことにつきましては、昨年もそういうふうなことでしているというふうに言われましたが、その程度でいいのかどうかということでございます。これにつきまして、大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(神田博君) お答えいたします。 看護婦の不足の原因は、どうも待遇の問題に相当大きなウェートがあるんじゃなかろうかと思っております。そこで、一方におきましては待遇の改善をいたしたい。先般の人事院勧告等につきましても、いささか厚生省のほうからも要請いたしまして、できるだけひとつ引き上げていただきたいというようなことでございまして、私どもの要望どおりではございませんでしたが、かなり上回った処遇をしていただいたという事情でございます。今後もそれらの点を十分ひとつ気をつけまして、そして待遇の面からひとつおいでいただく。あるいはまたこの仕事の性質上、勤務条件その他等についてもいろいろ配慮を払ったならば、おいでいただけるんじゃないか。まあ諸般の施策を練っている際でございます。
○林塩君 それにつきまして、待遇の問題はもとよりでございますけれども、しかし、待遇はなかなかよくなりません。それで、それにつきまして一応厚生省でも努力はしていただいておるのでございますけれども、そういう医療費と関係いたしまして、これがなかなか待遇がよくならない等について御研究になったことがございますかどうか、一応伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) ただいまもお話し申し上げましたように、いろいろ考慮を払いまして、待遇の引き上げに努力いたしてまいっておりますが、詳細のことは政府委員からひとつ答弁させたいと思います。
○説明員(尾崎嘉篤君) 看護婦の待遇改善につきまして、これは全体の医療費の中で考えねばならない問題でございますが、今回の緊急是正に当たりましても、前回の改訂以後の人件費等の上昇を見込むように、いろいろいま検討しておるところでございます。なお、それとともに、国家公務員の看護婦さんの待遇が、ほかの全般のやはり基準と申しますか、参考になりますので、国家公務員として国立病院、国立療養所で働いております看護婦さんの待遇是正につきまして努力をしておる次第でございます。たとえば初任給につきまして、看護婦さんが現在初任給が一万四千四百円でございますが、それを、さかのぼりまして九月から、一万七千四百円と、かなりほかに比べまして大幅に値上げをすると、こういうような努力もいたしておるわけでございます。将来さらに一そう努力を続けたいと思います。
○林塩君 国家公務員だけが看護婦ではございませんで、これは全国に十何万ございます看護婦のうちのほんの少しが国家公務員でございます。精神科の問題につきましても問題があるのですが、これなどは民間がほとんどであるというふうな状態でございます。でございますので、それにつきまして、なぜそれならばそういうところが低いかということにつきまして、厚生御当局は御調査になったことがありますかどうか。一応伺いたいと思います。
○説明員(尾崎嘉篤君) 精神病棟に勤務せられます看護婦さんの勤務状況と、その待遇というふうなものを特別に全般的に調査したことはございませんが、精神病棟に勤務せられます看護婦さんにつきまして、一部の施設につきましては、病院を見に行きましたときなどに話をいろいろ承っております。こういうふうな実態でございます。
○林塩君 それをお調べになりますと、ずいぶん違ったものが出てまいると思うのでございます。ここで、なぜ看護婦にならないかというようなことを聞いてみますと、やはり給与が低い。給与が低いというところに持ってまいりまして、その上なお病院におきますところのいろいろな業務上の問題もございます。これなどは厚生御当局でできるだけよいように御指導になっておりますか、どうですか、これについても伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) 林委員のお述べになりましたようなこと、厚生当局におきましても十分考慮に入れて、そして養成もし、また指導もし、そしてまた諸般の手当て等も考えまして、できるだけ――これはまあ直ちにすべてが解決されるわけではございませんで、できるだけ早い機会に充足できるようにと、こういう熱意で努力をしている際でございます。
○林塩君 それにつきまして今日九・五%の医療費の是正がなされました。この中に看護関係についてのいろいろな施策というものが盛られてのことでございましょうか。それにつきまして内容はよくわかりませんが、九・五%の医療費値上げにつきましてのその含みというようなことにつきまして、もしありましたら伺いたいと思うのでございます。
○国務大臣(神田博君) 今回の九・五%の医療費の引き上げの中にも、いまお述べになったような趣旨の点を十分考慮いたして配慮しているつもりでございます。詳細のことは政府委員から説明いたさせます。
○政府委員(小山進次郎君) ただいま大臣が申し上げましたように、今回の改訂の中には、たとえば前回きめられましたときから今日までにおける人件費の上昇というようなことを非常に重く考えておりまするので、人件費の中でも医師と並んで非常に大きなウェートを占めている看護婦の問題については、これは十分考慮されるはずでございます。なお、もう一つ条件の問題といたしましては、前回の改正がありました三十六年度から今回の改訂までの間に、看護婦の勤務条件で、従来週四十八時間というのが支配的でございましたけれども、これが逐次四十四時間のほうに向かって動いております。これは当然あってしかるべき方向であろう、こういう判断のもとに、できるならばそういうことをすべての医療機関が受け入れられるような条件を与えるようにしたい、こういうふうな考え方でいろいろと検討しています。
○林塩君 それにつきまして厚生省できめられておりませんですが、医療費の中に看護がどのくらいのウェートを占めているかということの評価なんでございますが、これにつきまして当局から流されております中に、これが看護費はどこから出るかということでございますが、それを調べてみますと、入院料の中に入っている。それからまた基準看護料の中に入っている。ただそれだけが看護の財源になっているようでございます。試みに申し上げてみますと、厚生省から流されておりますものの中に、医師の給与はこれこれ、看護婦の給与はこれこれというふうに流されております、その基準の中で一番低いのが、病院の従業員の中で一番低いのが看護婦です。それで、これではどうしても集まりようがないということ。それからまた払おうにも払われないというふうに考えるわけでございますが、それについて将来医療費を、点数を是正されますときに、これについて何かお考えがあるかどうか伺っておきたいと思います。
○国務大臣(神田博君) ただいまお述べになりましたようなことは、十分考慮いたしたいと思います。御承知のように、今度の九・五%の改正は医療費の緊急是正でございまして、根本的の改正を今後検討を加えまして、その際には十分ひとつ検討いたしたい、かように考えております。
○林塩君 医療費問題がむずかしい問題でございますことよくわかりますけれども、看護にウエートが置かれていない、医療費の中で看護の評価がなされていない、それ自体が大きな問題であろうと思うのであります。払うにも払われないような算定の中で払えというほうが無理なんです。ですから、病院経営にも、また診療経営にもいろいろ関係があることでございますが、こういうことについて大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 看護婦の確保が非常にむずかしい現状でございますし、看護婦の待遇そのものがよくないということは承知いたしております。いま厚生大臣と話をしたんでありますが、ベース・アップその他の費用を中に見積もってはおるということでありますが、看護婦にどの程度のウエートをかけなければならぬかという問題は考慮しなければならぬと思います。大蔵当局としましても、この実情に徴しまして、十分検討してまいりたいと思います。
○林塩君 で、医療費の問題に関連しまして、またたださえ非常に窮屈な医療費の中で看護婦養成もやっているというような現状なんでございまますが、これは将来何とか医療費の中で看護婦養成をやらないで、看護婦はやはり医療の重要な部分でございますし、それから医療を受ける方たちにとりましても大きな問題であろうと思うのでございますが、その医療費の問題が大きな問題であって、狭苦しい医療費の中で看護婦養成をしていかなければならぬというのは大きな矛盾であろうと思うのでございます。これにつきまして厚生大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) 現在の看護婦養成の制度が医療費の中で行なわれておる、これはお述べになったとおりに私も承知いたしております。この制度が、今日のようなきびしい世相の際に一体病院経済からそんなことが永続できるかどうか、根本的にこれは考え直す必要があるのではないか、こういうような御趣旨に承ったんでありますが、私もその点につきましてはやはりそういう考えを持っておりまして、なかなか長い歴史がございますし、すぐどうというわけにはまいりませんが、いまお述べになったような方向で解決しなければならぬ問題ではないか、大きな問題でございますので真剣に取っ組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
○林塩君 真剣に取り組んでいただくことはありがたいと思うのでございますけれども、やはり前向きの姿勢で――真剣に取り組むだけでなくて、何らかの前向きの方策というものが立てられなければならぬと思うのでございますが、それについて予算的の措置その他についてはしてあるものでございますかどうか、これも伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) お答えいたします。 ただいま予算的措置という中には入っておりませんが、将来におきましてもこの議論はまじめに検討いたしてまいります。いまお話しになりましたように、もちろん前向きでひとつ検討いたしたいと、そうずるずるでなく、これは重要な問題でありますし、私はやはり急ぐべき問題だと、こういうふうに考えております。
○林塩君 厚生大臣がたいへん重要な問題でございますから前向きの姿勢で取り組んでまいりたいという態度を示していただきましたことは、ありがたいのでございますが、それを受けて大蔵大臣としてはどのようにお考えになりますか、伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 公的な医療機関における看護婦養成の問題については、施設の補助とか備品の補助とかのことをいろいろやっておるわけであります。看護婦全体の問題として将来どうあるべきかという問題は、われわれもこの実情をよく知っておりますし、看護婦養成の重要さということは特に強調いたしておりますので、厚生当局の意向を十分徴しながら適切な措置をとってまいりたいと思います。
○林塩君 それから、その次に、看護婦学校並びに看護婦養成所の内容なんでございますけれども、それがいま申し上げましたような状態で、やはり医療費の中から運営されておりますというふうなまことに貧弱なものでございます。その貧弱さをカバーするためにいろいろ努力がなされておるのでございますが、一番困っておる問題は、看護婦の養成に当たりますところの教育に当たりますところの教員の問題です。これは文部省においても取り上げられなければならない問題であろうかと思うのでございますけれども、なかなかそこまで行っておりません。厚生省といたしましては、十分そういう問題につきまして、やはり教員の確保というようなものも考えられておると思うのでございますが、この点につきましては厚生大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(神田博君) お答えいたします。 看護婦養成制度を考えてまいります際に、やはりいまお述べになったようなことも大きな解決をはからなければならない問題の一つでございます。その点につきましても十分配慮いたしまして、そうしてこの問題を解決いたしたい、こう考えております。
○林塩君 いつも私が申しますと、配慮している、それから大事な問題だと、こう言われるんですが、この二、三年一向それが進展いたしません。そのために起こってきている問題が看護婦の不足の問題、そこへもってきまして病院並びに診療所の経営の問題、運営の問題、ひきましては低医療費対策と言っている医療費自体のしわ寄せを看護関係みずから受けまして、そのしわ寄せがまた患者さんにいくというようなことでございます。そういうことにつきまして、当局は実態というものを御存じの上で対策を立てようとする真剣な御決意があるかどうか、それについてもう一度厚生大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) ただいま林委員がお述べになりましたような事情のすべてを十分承知いたしておりますので、それらのすべてを勘案いたしまして、そして十分検討いたして善処いたしたい、こういうふうに思います。
○林塩君 そういうことで、前向きの姿勢でございますので、できるだけ早い機会にスピードを出していただいて、何とかその対策が講じられるようにいたしませんと、もういま看護婦の不足というのがひどい問題になっておるということでございます。世論にもそういうふうに出ております。そして、厚生省は少し手ぬるいんじゃないか、なまぬるいんじゃないか、そういう声が出ておるのに、どうしてそういう対策をしないんだということでございます。医療費問題も非常に大きな問題でございますが、しかし、医療そのものの中にあるものを分析いたしてみますと、必ずしも医師が行なっておるものだけが医療でないのでございます。それは、もう近代の医療というものの概念が拡大されまして、そうしてその医療によって受ける幸福はやはり国民一人一人であります。その中には看護婦のサービスもございましょうし、それからまたその他のリハビリテーションに対するいろいろな手当てもございましょうし、そういう意味におきまして、医療費問題の解決をなさろうと思いますならば、その問題と一緒に考えられなければならないということについてでございますが、医療費問題が大きな問題になっておりまして、点数の是正などそういうものについても考えていこうというふうにお考えになっていくときでございます。それに対して中央医療協議会においてそういうことの答申が出されるというようなときでございますが、私は昨年の予算委員会におきましても厚生大臣にそのことを伺いましたところ、そういう医療費の問題は、内容等の改定につきましては中央医療協議会においてするので、その答申を待ってということでございました。しかし、その医療協議会についても、なかなかできないようでございますが、看護問題を検討いたしますときにも、その中央医療協議会の中に点数化されるように持っていくのでなければ問題は解決しないというふうに考えますが、それにつきまして、厚生大臣のこの問題についての御所見、それから御決意など伺っておきたいと思います。御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(神田博君) 医療費問題を解決すると申しましょうか、検討するには、どうしても看護婦の問題を加えて考えなければならぬことと思います。医療費の中で考えるか、医療費の外で考えるかは、今後これは検討の余地があろうかと思いますが、いずれにいたしましても医療の中に看護というものがこれは重大な要素を持っておりますことは、お説のとおりだと思っております。四十年度におきましても、看護婦の養成その他充足のために相当の予算を要求しておる段階でございます。中央医療協の問題がいまお話がございましたが、今回のは緊急是正でございまして、恒久的なことは引き続いて中央医療協議会に御相談する、こういうような段階になっておりますので、前向きでひとつ進んでまいりたい。非常に困っておるということも十分私どもは承知いたしておりますので、前向きで検討して善処いたしたいと、かように考えております。
○藤田進君 関連して。私ども地方に参りましても、それから実際に病院生活をやってみても痛感するのは、特に林さんの指摘される看護婦さんの問題だと思います。前向き、真剣ということばで、非常にありがたいようなのですが、中身が一つもないので、私は関連質問に立たざるを得なくなったのですが、なぜこのように看護婦の払底ということになるのかということ、あるいは場合によれば質の低下ということもあり得るでしょう。この点をどう把握されているか、ひとつその辺から私は伺ってみたいと思います。白衣の天使であるとかといったようなこと、あるいはまた看護士というような名前に変えようとか、補助看制度を設けてみようとか、いろいろなそういう動きもあるようですが、名前を運転手から運転士に変えてみたり、いろいろ過去にもありましたね。そういう問題ではないと私は思います。待遇の問題もあるが、環境の問題もかなりあると思います。たとえば、結婚され、子供ができると、託児所がない、やめなきゃならない。あるいは准看においても、定時制高校に通いたいけれども、職業の性質上夜間高校に行くような者は雇ってくれないとか、あるいは雇ったとしても夜間勤務には応じなければならないとか、そういういわば総合的な検討を加えなければ足らないのじゃないだろうか。たとえば託児所にいたしましても、現在は専売公社工場等はかなり普及されているし、うまくいっているように思います。数個の病院が適当な場所に託児所を設けることについて政府が何か措置を講じるとか、あるいは大きな国公立病院については単独に託児所の計画をするとか、勤めやすくなるということも、これが一つの政策の中にあらわれてこなきゃならないと思うのであります。高度経済成長のやはり一つの影響とも思いますが、しかしいずれにしても、看護婦さんのみが、一般的に女子の職場はほかの意味においても追い出されつつあるというときに、にもかかわらず、看護婦さんの不足ということは、少し矛盾を私どもは感じるのです。いかなる事情でこのようになっているかということと、以上指摘いたしました事柄について、どうしていただけるだろうかお伺いしたい。
○国務大臣(神田博君) ただいま藤田さんからも、いろいろ例をおあげになって、看護婦の不足状態を一体どういうふうに考えているか、この対策いかんということをいろいろ承ったわけでございますが、いまお話のございましたような諸事情はもとよりございます。しかし、私どもは、根本はやはり、待遇が悪いということと、労働が過重ではなかったか、この二つの点が一番大きな問題じゃなかろうかというふうに見ております。いまお話しのような点、もちろんこれは総合的に充足をはかるために施策を待たなければならぬことでございますが、その重要な点は、取り残されたといいますか、労働過重であって待遇が悪い――現に、待遇がいいというか、労働も過重でないというか、組合の健保の病院には看護婦が不足しておらぬ、こういう事実を考えましても、そういうことがいいのじゃないかと思います。しかし、これはこれといたしましても、いまお述べになったような諸般の事情がやはり不足に拍車をかけておったのじゃないかと思います。したがって、ただ待遇だけをよくする、あるいは労働負担を軽減するというだけでは、やはり集まらぬと思います。何といっても、その使命の重大といいますか、天職として魅力のあるような制度に持っていかなければならぬのじゃないか。そういう意味においては、いろいろやはりいまお述べになったような点も考慮に入れて充足をはかっていきたい、前向きにひとつ取っ組んでいきたい、こういう気持ちでございます。
○林塩君 お願いしておきたいと思いますことは、ただいま藤田委員からもございましたように、大きな問題になっているということでございます。待遇のみの問題ではないと思いますけれども、しかし待遇がまず第一番だと思いますが、それにはやはり医療費問題も関係してまいります。それからまた、厚生省当局といたしまして厚生行政の中で一番大事だと思われている点が一番抜けているのじゃないかというふうに思うわけでございます。それでやはり、人間尊重というような面から考えましても、一番尊重さるべきは弱い人、それから最も人の手を要して大事にされなければならない人たちのことを考えますときに、その面の対策が十分でなくて、どうして医療保障だ、社会保障だということが確立されるであろうかというふうに思うわけでございます。大臣はそのことについてはよく御存じと思います。思いますので、前向きの姿勢と言われますが、その施策についても、きめこまかくて、そうして十分にやっていただきたいと思います。そうでなければやはり政治の上に大きなひずみがくるのじゃないかというふうに考えますがために、特にそのことを申し上げたいと思います。大蔵大臣におかれましても、どうぞその問題は重要な問題だとお考えくださいまして、予算の面にも、これはたくさんありますので、一人一人を考えますとたくさんになるようでございますけれども、下部のところの幅が非常に広いのでございますので、どうぞその辺もくんで御対策を願いたい。お願い申し上げます。質問を終わります。
○委員長(寺尾豊君) 林君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に鈴木強君。
○鈴木強君 私は、最初に、公共企業体の当事者能力についてまず郵政大臣にお尋ねをいたします。 九日のこの委員会において、同僚永岡君から質問がございました。その際、石田労働大臣は、現行法を活用して、制度の中で労使間でやっていただきたいのだ、こういう趣旨の御発言をなさいました。郵政大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(徳安實藏君) お答えいたします。 賃金並びに労働条件等に対する団体交渉に対しまして、いまの組織と機構の上におきましては、やはり能力はあると私どもは認めておるわけでありますが、しかし、完全ではないかもしれません点もございますので、いろいろ御指摘もございますから、ただいま、その能力をより以上高めるためにも、一そう研究する必要があるんじゃないかということで、次官会議でいま検討しておるようでございます。その結論を私どもは待ちたいと考えております。
○鈴木強君 電電公社の総裁はどうお考えになりますか。
○説明員(大橋八郎君) お答え申し上げます。 現在の法制のもとにおきましては、当事者能力全然なしとは言いがたいと思います。御承知のとおり、公共企業体等労働関係法の八条で、団交事項の一項目として給与ということが掲げてあるのでありますから、全然当事者能力なしとは私は言いがたいと思います。しかしながら、いよいよ実行に移そうとするにあたりましては、いろいろの制約がたくさん他の法文の条項でもつくられてありますので、非常に困難であるということは申し上げておかれると思います。
○鈴木強君 郵政大臣、当事者能力があると、こうあなたは断定されました。しからば、具体的に、公労法あるいは公社法、予算総則等から、一体どこにあるのか。
○国務大臣(徳安實藏君) その能力をもちろん完全に果すためには、いろいろな制約がございます。あるいは国会の制約もございましょうし、内閣一連の制約等もございましょう。しかしながら、いまの組織の上におきましては、能力ありとして折衝さしていただく以外にはまあ道がない、かように考えるわけでありまして、完全とは言えませんけれども、能力あるものと私どもは認めて折衝さしておるわけでございます。
○鈴木強君 これは全然私にはわかりません。公労法第八条の団体交渉権と、公労法第十六条の予算上資金上の制約がございます。ですから、あなたはそういう点をとらえて国会における制約と、こうおっしゃるのですが、そうではなくして、一体、電電公社の総裁と、労使相互間における当事者ですね、いわゆる当事者というのは、そういう意味の当事者なんです。一体どこにいまの予算総則上、何条によってどういう措置ができるとか、そういう具体的な点について私は伺っているのです。
○国務大臣(徳安實藏君) 電電公社のことにつきましては、もちろん総裁が御答弁なさるほうがいいと思いますから、私は差し控えますが、現在の段階におきまして、私どもが、電電公社の団体交渉等につきましても、郵政省としてこれに介入をしたこともございませんし、特に干渉がましいこともしたわけでございませんので、電電公社独自の立場においてその機能を発揮して交渉なさっておると考えております。法律上の解釈等につきましては、電電公社のほうから、電電公社に関する限りは御答弁をいただくことがいいと思います。
○鈴木強君 法律の解釈を私は電電公社に求めようとは思いません。あなたは当事者の能力があるとおっしゃるから、一体、具体的に、公共企業体の労使双方に、どの条文によってそういう能力があると断定なさいますかという、もう少し具体的に私聞いているのですから。
○国務大臣(徳安實藏君) 電電公社のことに対しましては、先ほど申し上げましたように、電電公社からお答えしたほうがいいと思います。私は郵政特別事業関係について御答弁申し上げますが、給与総額範囲内におきましては、御承知のように、大蔵省と折衝をしながら、その制約も受けずに措置していきますことは、御承知のとおりでございます。ただ、それを越える場合でありますとか、あるいは裁定等によりまして多額な費用を要しまして、それが借り入れ等の処置をとらねばならぬというような場合には、もちろん補正の処置をとらなくちゃなりません。しかし、そういう場合におきましても、不可能なことを承知しながら協約を結ぶわけではございませんので、やはり政府の責任においてこれはなし得るという信念を持ちまして、各関係と折衝をしながら、十分のめどをつけて協約をするわけでございますから、そのする行為等につきまして考えてみましても、私は能力ありとただいまのところでは考えねばならない、かように考えます。ただ、給与総額等におきまして、もう少し手を加えますれば、もっと高い次元においての能力は発揮できるのではないかという点もございます。こういう点につきましては、先ほど申し上げましたように、次官会議等におきまして検討を加えておるようでございますから、しばらくその検討を待ちたいと、かように考えておるわけであります。
○瀬谷英行君 関連。いま当事者能力はあると思うというお話であって、予算面並びに要員面でもって制約を受けておるということはいまお答えになっておるわけです。ところが、賃金並びに労働条件等について当事者能力があると思うというふうにおっしゃってはおりますけれども、予算面、要員面においての制約があって、その総額の範囲内でのみ当事者能力があるということであれば、事実上、労使間の紛争に関する問題は、当事者能力が実質的にはないのと同じということになるのではないかと思う。その総額の範囲内というようなことで問題の解決をし得るようなことは問題にならぬわけです、事実上は。これはいままでの経験で言えることじゃないかと思う。いま鈴木さんが再三質問をされておることなんでありますけれども、従来の経験によれば、何らこれは当事者能力ありとして解決をした例はないわけです。そうすると、高い次元での能力をいま欲しておられるということをおっしゃいました。それを次官会議で検討しておるということもおっしゃいました。そうすると、検討しておるという内容が、これは法律改正、いままでの公労法の実質的な障害となっておる個所の改正をやるということでないと意味がないと思うのでありますが、そこまで突っ込んで次官会議で検討をしておられるのかどうか。また、それを行なうだけの準備があるのかどうか。その段階はどうなっておるのか。単に検討しておるだけでは私らには見当がつかないので、その辺を具体的にお答えを願いたい。
○国務大臣(徳安實藏君) 次官会議で検討しております内容につきましては、ただいま承知いたしておりませんが、もちろ制約を受けた検討をしているわけではございませんから、高い次元において検討されていると思います。給与総額等の範囲などという御意見もございまますが、私どもは、やっぱり国会で審議を願う点もございますれば、閣内で決定すべきものもございますし、政府全体として考えなくちゃならぬ問題等もございますから、自主的と申しましても、やはりそこにはおのずから制約があり限度もあるわけでありまして、そういう意味からいえば、何にもない野天の野っぱなしで御協議をし協約を結ぶということから考えれば、相当制約があることはあります。ありますと同時に、またそれが自主性がない、能力が少ないと言われれば、もちろんそうだと思いますけれども、いまの段階におきましては、遺憾ながらそれを守っていくよりしようがないと思います。そこで、これをより以上高い次元においてもっと能力あらしめるためにはどうすればいいかという問題につきましては、先ほど申し上げましたような各般の情勢を勘案しながら、ただいま検討中だということでございますから、その結論を待ちまして私ども善処したい、かように考えているわけであります。
○鈴木強君 どうも大臣のおっしゃっている当事者能力という意味が少しあいまいなんですから、少しはっきりしたいと思う。これは公共企業体、要するに、郵政特別会計の場合と三公社の場合とは、これまたちょっと形が違いますから、ですから、電電公社とたとえば全電通の労働組合との自主団体交渉というものが、公労法八条でやられましても、予算総則上、公社の予算が国会を通って、給与総額なり、あるいは弾力条項によってかりに発動ができたとしても、これは郵政大臣なり大蔵大臣の承認がなければ、これはどうにもならない。費目の移流用は一切禁止せられている。給与総額といいましても、給与総額は、ことし何名新規要員があって、現在員が何名で、それに対する平均ベース幾らというのがトータルで出てくるわけですから、それはしかも、基準内外の移流用が一切禁止せられている。これは電電公社の例をとれば、昭和二十七年の発足当時から三十一年までは、基準内外の移流用は認められておった。これは、あなたに了承を得なくても、総裁ができたのであります。しかし、三十二年の四月以降、その移流用も禁止されてしまったわけであります。だから、給与総額の中における何の妙味もない。総裁としては、一つもこれは移流用の権限がないわけであります。そういう意味において、一体、あなたが言うように、高い次元におけるいろいろと配慮しなければならないということを抜いて、ほんとうに労働組合と経営者がこれでやろうといって話し合いをして問題の解決のできる――要するに賃金問題に関する限り、そういうことができないじゃないですかということを私は言っているのです。あなたはそれを、移流用だとか、あるいは国会の、仲裁裁定の場合とか、いろいろ言われておりますけれども、そこを明確にしてもらいたい、こう私は言っているのです。
○国務大臣(徳安實藏君) お答えします。 私は、鈴木さんの御質問は郵政省に関することではないかと実は思って、郵政省のことをもっぱら土台にしてお答えしたわけでありますが、電電公社を主題にして、電電公社の団体交渉なりその他を基本にして、総裁なり私に御質問になると、私はこういうように考えていなかったものでございますから、多少行き違いがあったかもしれません。それはお許し願いたいと思います。 そこで、電電公社のことにつきましては、私は、御承知のとおり全くのしろうとでございまして、かけ出しでございますし、鈴木さんはほんとうのくろうとだそうでありますから、あるいはむしろお教えを請わなければならぬかもしれませんが、一応電電公社のことは、従来団体交渉されておる経過を見ましても、もちろんいろいろ法律なりその他の点において制約を受けることは事実でございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、私どもの場合でも、大蔵省から別に干渉を受けたり指図を受けてはおりませんが、交渉して連絡はとっております。しかし、また、電電公社におきます私どもとの関係におきましても、御報告は聞いておりますし、連絡はとっておりますけれども、私どものほうがその自主権を侵すような立場においていろいろ介入しましたり、干渉がましいことは一つも言っていないつもりでございます。したがって、電電公社は電電公社の立場から、許された範囲において折衝なさっておるわけでございますが、もしこの団体交渉で解決が不可能であるという場合には、申し上げるまでもなく、仲裁裁定で解決されておるわけでありまして、そういうことをしなくても、自主性があるならばできるのじゃないか、もっと自主性を認めろというような御見解ではないかと思いますが、その点につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、多少の、そうした問題につきましては、もうことしの春から御議論がございまして、政府でもこれを取り上げてただいま検討をしておるという段階でございまして、私もその内容について、どの程度にそれが進んでおりますか、あるいはまた、どれとどれはやるがどれとどれはやらないというような結論まで出ておるものか、そういうことをまだ報告受けておりません。いま鋭意検討中であるという報告を受けておるだけでございますので、そうした点についての答弁を必要といたしますならば、もうしばらくひとつお待ちをいただきたいと思います。
○鈴木強君 私は、郵政大臣は電信電話公社を監督している大臣でありますから、当然この公労法上の当事者能力には関連が出てくるわけですね。さっきも申し上げましたように、予算総則には、すべてあなたと相談しないと一銭も使えないということになっているわけですから、団体交渉する過程においては、あなたが理解をして移流用の判こを押してくれれば――これはまあ大蔵大臣とも相談しなけりゃならぬこともあるんですけれども、そうすれば、ある程度の弾力はできてきます。ですから、郵政大臣だから郵政特別会計のほうだけやればいいということじゃなくて、結局、監督大臣としての承認権というものが、全部これは入っておりますから、予算総則ごらんになりますと。そういう意味において、たとえば全電通と電電公社がだいぶ前から当事者能力をめぐって団交を重ねてきたようでありますが、ついに一昨日でございますか、徹夜をしたが、ついに結論が出ずして決裂した。そうして全電通は非常事態宣言を発して、この繁忙期を迎えている現在において、きわめて遺憾な事態が起きていると私は思います。一体、こういうふうな事態が起きることは、いま申し上げました当事者能力に欠けているからで、もしあるというならば、なぜこれをやれないんですか。やって事態を解決する努力がなされましたか。そういう点が、これは郵政省の特別会計だからということで逃げるわけにいかぬと思う、あなたは。
○国務大臣(徳安實藏君) お答えします。 質問の御要旨をちょっとはき違えておったということを申し上げておるわけでありまして、郵政大臣として電電公社を監督する責任がありますことは、もちろんお話しのとおりであります。したがって、先ほど申し上げましたように、いま許されている可能な範囲において、もう全然電電公社等に対しましては、団体交渉に介入しましたり、私どもの意思をいれようなんていう考えはありませんで、自主的にできるだけ御交渉願って、そうして、その御報告を受けましたことは、すべて大蔵大臣に御協議申し上げるというような気持ちでやっております。いまお話しのような、本日非常に不幸な事態が起きたそうであります。しかし、その事態につきましても、詳細な報告を承っておりませんで、ただ賃金値上げについてすみやかに金額を示して協力をしたいという申し出があったが、いま直ちにそういうことに回答不可能だという答弁をしておいたと、それでたまたま、知らぬうちにきょうそういう事態になったという、きわめて簡単な報告がございましたので、いずれ、それに対する詳細な報告も後刻承りたいと考えております。電電公社でもあんまりとっさであったために、内容等についても、詳しいことは話をしなかったということでありまして、ただこういう事態の起きたというだけの報告を受けただけでございます。
○鈴木強君 この事態が起きた原因は、当事者能力の問題に端を発しておりますので、監督をする郵政大臣としても、ひとつ最高のあなたの御配慮によって問題の解決ができますように、私はこの機会にこいねがうものであります。 時間もありませんので、この問題についてそう詳しくは触れられませんが、そこで、いま大臣のおっしゃった次官会議で検討なさっている、こういう御意見でございまいますが、私には、いまの段階でまだ検討をしているなどというがごときは、政府の怠慢もはなはだしい、この問題に対する――と私は言わざるを得ないのであります。なぜならば、あなたも御承知のとおり、公共企業体の当事者能力の問題を含めて、公社経営については、昭和二十四年国鉄、昭和二十七年電電、もちろん専売は二十四年になっておりますが、その三公社が設立をされまして以来、給与総額制度の問題に端を発して、団体交渉権と、資金上予算上の問題等がぶち当たって、毎年毎年このために紛争が起きておったのであります。したがって、政府もそれらの矛盾を十分考えて、マッカーサーの書簡によって、オーダーによってでき上がった電電――この公社、公共企業体制度というものでありますから、幾多の矛盾もあったでしょう。ですから、それについて吉田内閣、岸内閣、それぞれ委員会をつくりまして、そこにも諮問をしております。昭和二十九年には御承知のとおり、臨時公共企業体合理化審議会の答申が出まして、このことについては、明確に給与総額制度を撤廃することが望ましいというくらいに、その廃止論が強く出ておったのであります。越えて昭和三十二年の二月にも、公共企業体審議会の答申が出されまして、給与総額がやはり問題になっております。やはり企業会計にふさわしい予算制度にしなければいけないと、こういう答申が二度も出ているにもかかわらず、今日までもう十年の間、歴代内閣はこれを放置している。私は、いつもこの委員会におきましても、総理大臣にもお願いしてきました。一日も早く制度の欠陥を是正して、直に労働者が産業に協力できる体制をつくってもらいたい、これを私は願ってきたのでありますが、それが放置されている。そうしてことしの四月十七日の公労協の半日ストのときに、池田総理大臣と太田総評議長の会談になり、当事者能力の問題についてはやはり不備があるから直そう、こういう約束をしました。加えてことしの九月の臨時行政調査会の答申の中にもそういうことがうたわれております。したがって、いまごろの政府が当事者能力の問題について検討してございますなんということは、私にはわからない。なぜもっとこういう問題について答申をすなおに受けて、法の欠陥を是正して、ほんとうの意味の公共企業体経営にしていかないのですか。それに対してどうお考えになりますか。
○国務大臣(徳安實藏君) 率直に申し上げまして、私は実は労働問題はあまり得手じゃありません。違った方面のほうを一生懸命で勉強しておったわけでございますが、もちろん国会議員でございますから、国政百般に通じなければなりませんけれども、労働問題はあまり得手じゃございません。ようやく今度就任いたしまして、こういう問題が初めて頭に入りつつある状態であります。いま一生懸命勉強しておりまして、御説のような点につきましても、これは当然御趣旨の点はごもっともだと思いますから、それぞれの筋を得まして、次官会議にもすみやかに結論が得られますように努力いたしたいと思います。
○瀬谷英行君 関連。私も高い次元でとか、あるいは次官会議で検討ということを聞きましたから、その具体的な内容はどうかということをお聞きしたわけなんです。ところが、率直に申してあまり得手ではないという御返事でしたけれども、何回も何回も労使間の紛争が起きるというのは、電電公社に限らず、あるいは国鉄側であろうと、公共企業体の中では、当事者能力というのが有名無実であるために、こういう紛争が起きているわけなんです。だからいま年末を控えてまた電電公社で問題を起こしている、あるいは国鉄でも問題が起きるかもしれない、春闘になればなおさらじゃないかと思うのです。だからいまの段階では、検討しておるという段階ではないと思うのです。火事が起きてから井戸を掘っているような状態では困ると思うのです。だから、これはいつまでにどういう内容の、たとえば法律改正なら法律改正ということをやろうとするのか、運用の面でどうしようと思っているのかということが明らかにならないと困ると思うのです。その点をもしわかっておるならば、大臣がよく知らなかったならば、事務当局でもいいですから、もしほんとうに次官会議で検討しているということであるならば、その具体的な内容を、いつまでに成案を得るのかといったようなこともお聞かせ願いたいと思います。 それからいま一つ、これは大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、いつも最終的に問題になりますことは、予算面並びに要員面でもってワクがはめられておって、そのワクの中だけの操作が許されている。そのワクからはみ出すことができない。そこに当事者能力が有名無実になる原因があるわけなんです。その辺を一体、もし改正をしようというような気運が出てきた場合に、大蔵大臣としてこれらに対してどういう態度をおとりになるのか、はたしてその辺について当事者能力を事実上与えるような解決の方向を、大蔵大臣としてもお考えになっているのかどうか、いまの数々の公共企業体関係の紛争にかんがみて、この辺は考えておられるかと思うのでありますが、もしお考えがありましたならば、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 当事者能力の問題は、長いこと問題になっているわけでございます。しかも、この春の池田・太田会談以後、真剣にこの問題に対しては取り組んでいるわけでございますが、なかなか結論が出ないというところが真相でございます。それは、当事者能力がないのかといいますと国会で議決をせられた範囲においては、制約は受けておりますが、当事者が団体交渉によって解決することはできるようになっております。しかし問題なのは、双方が妥結をした場合、給与総額を変更でき得るか、こういう問題が一番大きな焦点になっているわけでございます。これはいま、調停段階でもって何とかしますといったところで、当事者能力がないではないか。結局、仲裁にいかなければ移流用を認めない法制上の制約を受けておっては、事実上の給与総額変更という当事者能力に対しては全然認めておらない。それを認められるかどうか、こういう問題であります。でありますので、独立した会計であるし、しかも企業努力によっていろいろな合理化を進めていくわけでありますし、その合理化のメリットがあれば、それを両方で話し合いをして解決できるというようなワクを与えて一向差しつかえないじゃないかという議論、もう一つは、政府機関としての国会の議決との関係が一つ問題になるわけであります。これが一番政府関係機関、いわゆる政府機関であるだけに、国会の議決というものと調停段階における当事者の意思というものと、いずれにウェートを置くかという問題を一つ解決しなければならないわけであります。もう一つは、労使双方だけでもって給与総額を変更し得ると、こう是認した場合、問題が起きてまいりますのは、同じような三公社五現業の間において、給与に不均衡が起きないかという問題もあるわけであります。でありますから、現在は結局第三者だけの中立委員による裁定があったときには当然移流用を認める、こういうふうになっているわけでございます。法制上いろいろ考えた結果現行制度ができたのですが、これではどうも労使双方がうまくいかない、何かないか、こういっていま検討しているのが事実でございますから、長いこと検討してなかなか結論が出ない問題ではございますが、政府も誠意は持っているということはひとつお考えをいただきたい、こう考えるわけであります。
○鈴木強君 大蔵大臣は郵政大臣もおやりになって、私どももこの問題で話したこともありますし、ときに委員会でもかなりあなたと激論したこともございます。徳安郵政大臣も、ただ単に労働問題ということに受け取っていただかないで、やはり公共企業体制度自体の欠陥、特に予算制度の問題、これは預託金の問題とかいろいろございますけれども、とにかく企業会計にふさわしい予算制度を確立するということが、やはり根本だと思うのです。このことを今度の臨時行政調査会の場合でも、三十二年十二月の岸総理大臣に出した答申の中にもうたっておるわけであります。ここにはむしろ企業性にふさわしいものに根本的に改めるとともに、国会の議決を要しないものとするとして、独立採算制の採用、給与総額制度の否定を明らかにした、こういうふうに述べてあるくらいに問題になっているところですから、こういう点をやはり十分に早急に御検討いただきたいと思うのです。社会党は、すでに昭和三十六年四十回国会のときに、私が電電公社法の改正とともにこの問題を提案して、二度継続審査をしていただいている。ところが、残念ながら政府の腰も弱いし、主体の理解がないために廃案になっているといういきさつもある。ですから、むしろあなたのほうがもたもたしているから、社会党から問題を投げかけているにかかわらず、この問題が未解決にはっているということを十分認識していただきたい。したがって、私は歴代郵政大臣にも十分それを認識して引き継ぎ事項として伝えていただきたい、こういうことまで申し上げて、そういたしますと言っているのに、あなたはちっとも引き継いでいないような答弁をしておられるので、私は問題のとらえ方というものに対して、誠意があるように言っているが、実は誠意がない、あるいはもっと早くできるはずだ、こういうことを結論しなければならん。ひとつ本腰を入れてこの問題の解決に当たっていただきたい、こう思います。 時間が過ぎてまいりますので、次に移ります。ちょっと大蔵大臣の都合もあるようですから、一つ最初に伺いたいのは、大蔵大臣、金融引き締めの影響がたいへんひどくなってまいりまして、中小企業の倒産が激しくなっておりますが、それだけでなくて、大企業の中にもそういった問題が起きてきているように思います。そこで新聞の報ずるところによりますと、閣内においても金融緩和論というものが出てきていると、こういうふうに私たち聞くのですけれども、これに対して大蔵大臣はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 金融引き締めは、昨年の十二月十六日からちょうど一年間にわたって行なっておるわけであります。この金融引き締めの前提となった事項は、まず第一番目に、国際収支の長期安定、第二には、物価の安定、第三には、安定成長の確保ということでございます。特に国際収支の問題を重視をして金融調整に入ったわけでございますが、七――八月には貿易収支及び経常収支も均衡するようになりました。十二月までの輸出期は、国際収支は非常に安定的な方向になったわけでございますが、一――三月の輸入期を控えてもう少し慎重に見守らなければならないのではないかという考えに立っておるわけであります。これはどういう意味かと申しますと、国際収支は非常によくなりましたけれども、輸入水準か非常に高いということが一つ、第二には、原材料在庫率が非常に低いということが二つ、また第三番目には、当初七%の実質成長率を予想いたしておりましたものが、引き締め一年間の今日、なお一〇%程度の実質成長率を維持しておるということでありますので、ここで基本的に金融引き締めを緩和いたしますと、まだ逆戻りをするおそれなしとしないということが一つございます。それから同時に、非常に不況感というものもあります。倒産、特に中小企業の金詰まりと言われておりますが、いま御指摘のように大事業、基礎産業といえどもこの例外ではないという事実に対しまして、金融緩和に踏み切るべきだという両立した議論がございます。政府といたしまして、金融政策につきましては、日銀当局とも十分意思の疎通をはかっておるわけでございまして、基本的には金融引き締めを大幅に緩和をするときではないと思うが、しかし年末に際して、中小企業その他のひずみの生じておる部面に対しては、思い切って金も出して、きめこまかく措置をしようということをきめておるわけでございます。なお、預金準備率の引き下げとか、公定歩合の問題とか、これら一連の金融調節手段につきましては、法律の定めに従って日本銀行でやることになっておりますので、私がここで申し上げる段階ではないと思います。しかし、日本銀行と政府との間には、十分意思の疎通をはかっておりますので、また、現状認識、現状把握というものに対して遺憾なき態勢をとっておりますので、産業界の非常に困っておる事態には十分対処してまいりたいと思うわけであります。 それから、もし引き締めがやられた具体的なものの中で一つでも二つでも修正が行なわれるというような場合は、これはひう大幅に金融の緩和だというような議論もございますが、私は必ずしもそう考えておりません。在来のように一斉にスタートをし、一斉にゴールに入るというような引き締め、引き締め解除のやり方だけではなくて、ニューモードと私は称しておるのでありますが、実態に即して弾力的に行なってこそ効果があるのだというふうに考えておるわけであります。具体的な問題については、これは日銀の問題でございますので申し上げることはできませんが、いずれにしても現状認識は十分しておりますし、適切な処置はとってまいりますということだけ申し上げておきます。
○鈴木強君 これは同僚の北村委員からも質問があったようですから、私はこれ以上触れません。 それから大蔵大臣は、証券取引法を改正して、証券取引所の上場基準を強化しようという、そういう意向をお持ちのように伺っておりますが、一体これは、いまの基準が甘いかどうかというその判定は非常に問題があると思うのです。ですから、一体いまの基準のどこが悪くて、どうしようというのか、具体的なお考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 直接資本市場の拡大強化ということは、産業の問題だけではなく、日本全体の問題としても非常に重要な問題でございます。でございますから、証券市場、また公社債市場の育成強化をはかろうといたしておるのでございますが、しかし昨今、証券市場不振の上になおいろいろな具体的な問題が露呈をいたしております。しかも中には、十年間も一割以上の配当をしておったのだけれども、いまになって更生会社になってみたらタコ配だったなどということで、これで一体いいのか。これはもう全くまじめに考えて、直ちに処置しなければならないことであることは当然であります。でありますから、特に私たちは証券取引法の所管省でございますし、資本市場拡大強化を使命といたしておる大蔵省といたしましては、このようなことをそのままに放置をしてはならないという考え方で、まず上場審査基準、廃止の基準等の強化をやらなければならない。また、資本金基準の引き上げについても考えるべきだと思います。第三には、取引所の上場会社に対する権限も強化をしなければならぬと思います。また、経理報告につきましても、会社責任の所在を十分明らかにしなければならぬと思います。また、有価証券届出書の真実記載の確保ということに対しても、より確実な方法を見出さなければならぬわけでございます。ちょうどいま証券取引法の改正を急いでおりますので、この過程におきまして法律条文として入れなければならないものと、またいま申し上げたようなものは現在法規のもとで取引所の内規を改正したり、基準改正でもって措置されるものがございますので、こういうものもひとつ全部取り上げて、まず証券市場に対する国民の理解と信頼をかちうるための万般の施策を行なってまいりたいと、こう考えております。
○鈴木強君 現在の上場基準で、あなたの言われるように、この基準の運用の面から非常にまずい点があって、やはりいまお述べになっている経理状況、こういったこととか、あるいは資本金の問題とか、いろいろその会社の中身については、なかなかこれは立ち入るのがむずかしいと思うのですよ。むずかしいけれども、認可をする、許可をする権限を持っている大蔵省としては、上場認可の際には、そういう点は十分に研究をし調査をして、その上でやったら、特に強化しなくてもいい部門もあるのじゃないんですか。運用上の問題から解決できる面もあるのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 私がいま列挙しました問題等は、法律の改正を待たず、現行法のままでできることでございます。また、一応やっておることでございますが、こういう問題が起きますと、もっと手きびしくやるべきだと、こういう議論はもう何人でも了解されるわけでありますが、こういう問題にならないうちに、大蔵省は確かに法律でできることになっております、大蔵大臣の最終的に認可を得て上場するものでございますから。ところが、実際の問題として、その普通の状況において大蔵省がいろいろな書類の提出を求めたり、また会社に行って経理内容を調査する、これはなかなかむずかしいことでございます。現在になってまいりますと、特殊な例を見ましても、上場しておるものは、とにかくその内容を証券取引法に基づいて公にしておるわけであります。しかも、公認会計士の監査報告がついております。これは間違いない。そうしてその証券を、不特定多数の一般国民から資金を得るのでありまするから、こういう内容でもって何割配当をします、絶対だいじょうぶです。こう言っておって、そうして五年も十年もやっておって、一ぺんに実はタコ配でございましたと、こういうことは、これは不当である。上場する以上、定期的に検査する人――このごろ私のほうにも、とても強い手紙、電話その他たいへんおしかりを受けております。そういう問題に対して本格的に取り組まなければならぬときだと思います。私自身、君が大蔵大臣として認可をしてこういう状態になったから、われわれの欠損を全部補てんせよと、こう言われて非常に困っております。これは私が困るだけではありません。日本の将来の資本市場のためにも、正すべきものは直ちに正すべきであります。私はそういう意味で申し上げたのであります。
○鈴木強君 それからあと二つまとめてあなたに質問したいと思います。 一つは、教科書の無償供与ですが、新聞によりますと、来年度の予算には御承知のとおり小学校六年生と中学校一年生の分を計上することになっておりますね。そういうふうに法案提出の際に方針を明らかにしていただいたわけであります。ところが、財源難のために六年生だけにしようじゃないか、こういう意見もあるそうでありますけれども、これはちょっと困りますよ。全部予定どおりやっていただけますか。 それからもう一つ、小学校の子供の修学旅行の宿泊料の問題が、二百円、百円と値上げになるそうでありますが、特に貧困家庭の子供たちは経済的な理由でどうしても行けないという人が出てきます。この場合、現行御承知のとおり国の補助金が出ております。中学生が二千七百八十円、小学生が千百円、このうち半額は地方自治体で負担するのでありますが、値上げされますと非常に問題がありますので、文部大臣もいらしておりますので、伺いたかったのですが、できるだけ値上げしていただかないことが根本でありますが、もうすでに京都とか一部ではやっておりますから、値上げをされる場合には、大蔵大臣、そういう貧しい人たちの子供のことですから、上がった分の半額だけみていただくようにこれはひとつやっていただきたいと思うのですが、この点どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 昭和三十九年度には小学校五年生まで教科書の無償交付を実施いたします。来年度は中学一年生までやりたいということで、前池田総理も申し述べたわけでありますが、五年生までやるだけでも来年十七、八億ふえるわけでございます。六年生まではこれは確実にやりたいと思いますが、中学一年生までやり得るかどうかは、これは財源問題もありまして、私は非常に苦慮しておるところでございます。特に国会でも申し述べましたが、地方負担を半分ずつやろうということも原則になっておったわけでございますが、これは原則というよりも、そういう私たちの考えに対して相談をしようということが、相談がなかなかまとまらないでおりますものですから、どうも財源の問題で中学一年生までやり得るのか、まだ四十年度の予算編成の問題でございますので、さだかには申し上げられませんが、一応頭を痛めておるということだけは申し上げておきます。 それから、いまの修学旅行の宿泊料の問題につきましては、けさの新聞で見ました。こんなところくらい値を上げないでくれればいいのにと私自身も思ったのでございますが、いろいろ問題があるのでございましょう。そういう御質問があると思いませんでしたので、まだよく調べておりませんが、ひとつあすでもあさってでも文部大臣の意向も十分聞きながら、この間の事情を十分調べてみたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 教科書については、いま大蔵大臣からお話がありましたが、文部省の立場におきましては、もちろん既定方針どおりやってもらいたいということを強く考えておるわけでございます。 それから修学旅行の宿泊費等の問題については、実は値上げの問題がいろいろ声があがっておりますが、私としては、できるだけこれは値上げはしないでほしい。それから、するような場合には、何とかして補てんの措置を講じてあげなければなるまい、原則的にはそのように考えておりますが、なおこれは四十年度予算の問題にも関連するところがあると思いますので、御趣旨の点は十分ひとつ考えてまいりたいと思います。
○鈴木強君 その点、ぜひひとつよろしくお願いします。 それから次に、放送法の改正の問題について郵政大臣にお尋ねいたします。 先般、臨時放送関係法制調査会から答申が出まして、あなたの御意見として、次の通常国会に法案を提案すると、こういう御意向のように聞いておりますが、それは間違いないのでございますか。
○国務大臣(徳安實藏君) なるべく取り急いで提出するようにいたしたいと思いまして、ただいま作業中でございます。
○鈴木強君 それで、ちょっと私この際一、二の問題について伺っておきたいのでありますが、この答申に対して、民間放送連盟あるいは約二十五の既設のテレビ放送会社から、あなたに対して改正の意見書が出ていると思うのです。この中でひとつ明らかにしておいていただきたいのは、免許基準の点で複数局の支配の点ですね、要するに一地方に一カ所しかないところに二局のテレビ局を設ける、こういうふうな基準については非常に慎重にしてもらいたいという意見があるのですけれども、この点は放送法の改正までに御検討いただけるかどうか。 それからついでに質問いたしますが、たとえばFM放送についても、放送の技術基準というものがきまったと私は思うのでございますが、この技術基準はきまったのかどうなのか。きまったのならひとつ、免許方針というのは政府がお考えになるわけですから、その免許方針というのをすみやかに御決定いただいて、いま認可の申請のある、幾つかの方々がございますので、これに対してすみやかなる機会に私は認可いたすべきであろう、かように思いますが、この点どうでございましょうか。 それからカラーテレビの普及状況は、今日どうなっておりますか。これは非常に時期尚早ということで私たちは猛烈に反対したんですが、ついにスタートして、すでに四年になると思いますが、一体、今後発展の見通しがあるのかどうなのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。 それからテレビ番組の編成について、番組審議会等でいろいろ御検討いただいておると思いますが、どうもテレビから流れてくる画面の中に人殺しや暴力行為等がかなり多く出ていると思うのです。こういうことが勢い青少年の非行にも通ずるし、何かこれはひとつうまい方法がないかと、こういう点を私は考えるのでございますが、この点、郵政大臣として何かよい知恵はないのでございますか。この次の放送法の改正の際に、どういうかっこうか、この問題についてひとつ御配意があるかどうか。 それからNHKの受信料の問題については、民間放送連盟からも意見が出ております。しかし、私は現在のNHKの受信料制度というのは存置すべきであるという考えに立ちます。ただし、現在の受信料を適正化し、合理化していくということは当然であります。がしかし、そのシステムというものは私は堅持すべきだと、こう思いますが、これらの点は、民間放送協会等も必ずしも否定しておりませんが、意見のあるところでございますから、これらの問題についてどうお考えか、ひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
○国務大臣(徳安實藏君) お答えいたします。 現在、放送法の改正につきまして慎重に検討を加えておるわけでございますが、大体、来年の六月一日が全部のラジオ、テレビの再免許に切りかえるときでございますので、なるべくそれをめどにいたしまして、ただいま出ておりますものも解決するように努力いたしたいと考えております。現在新しい免許も相当たくさん出ておりますし、既設のものも拡張について申請がたくさんございます。答申に基づきまして、一県少なくも二局ぐらいは完全にローカルを添えて視聴できるようにという強い要請、答申もございますので、そうしたことを勘案しながら、いまの申請並びに現況等をにらみ合わして妥当な線を出したいと考えております。 番組のことでございますが、ただいまお話しのように、私もこの問題につきましては、非常に頭を悩ましておりまして、しばしば当事者と会見して注意を喚起いたしておるわけでございますが、最近、答申の中にも、テレビ、ラジオは、これは国民のものだ、事業者に与えてはおりますが、それは事業者のものじゃないのだ、国民のもの、国のものを使っておるんだという概念を忘れないようにしてほしいという答申もございました。私はごもっともだと思いますので、従来は何か編成する者の責任としか考えられないような時代もございましたけれども、今後におきましては、やはり事業を行なう者の責任だというようなぐあいにまで持っていくべきだというふうに考えております。したがって、法改正につきましても、そうした面をどの程度に織り込めるか、ただいま研究をいたしております。民放、NHK共同で、最近は実施番組のことにつきまして相携えて協力しておるようでございますので、だんだんにその成果はあらわれておると思いますけれども、今後一段とこうした問題については力を入れたいと思います。 カラーテレビの問題でございますが、現在約四万ぐらい普及されておるという、これは概算でございますので、的確な数字はわかりませんが、おおよそ四万戸ぐらいではなかろうか、かように考えております。しかし、これは、非常に従来は価格は高うございまして、一時は四十万、五十万円でございましたが、最近は十万円、二十万円にだんだんに下がってまいりましたし、いろんな施設も整いつつありますから、だんだんに普及されるんではなかろうかというように考えております。しかし、現状は、ただいま申しましたように、四万戸ぐらいな程度でございまして、普及率はきわめて微々たるもののように考えます。現在の普及率は、テレビ、ラジオを見たり聞いたりしておる者の数から考えますときわめて少ないようでございます。 また、FMのことにつきましては、たくさんの新聞関係等からの申請がございまして、ただいま申請者二百十社、局数四百十六局、こういう大量な申請が出ております。先般来から陳情も受けております。しかし、この問題は非常に重要な問題でございまして、誤りますというと取り返しがつかぬことになりますので、十二分に慎重に研究せねばならぬと思っておりますが、ただいまそういう基準等は、新しいものは考えておりません。したがって、これを全般的に許可いたしますことにつきましては、先ほど申し上げましたように、来年の六月一日の再免許をめどにいたしまして、こういう点も解決いたしたい、かように考えております。ただいま基準のめどもつけておりません。標準もきめておりません。ただ試験的にやっているものに、わずかばかり免許をしているという状態のようでございます。 それから、NHKの受信料につきましては、先ほどお話がございましたようでありますが、答申によりますと、従来と変わった考え方のように変わっておるようでございますが、これらにつきましても、非常なむずかしい事柄でございますので、今回の改正にあたりまして、慎重に考えましてあやまちのないようにいたしたいと考えておるわけでございます。 その他申し上げることを残したことがございましたら、あらためて答弁いたします。
○鈴木強君 ここだけはっきりお聞きしておきたいのですが、マス・メディアの独占排除ですね、この方針は従来郵政省がとってきた方針なんですが、ときどきぐらついているんです。したがって、私は、こういう従来の独占排除という方針はぜひ堅持をしていただかなくちゃいけないと思うんですが、この点、大臣は自信がございますか。
○国務大臣(徳安實藏君) そうした点につきましては、十二分に配慮いたしたいと思っております。
○鈴木強君 次に郵政大臣に……。
○委員長(寺尾豊君) ちょっと御注意しますが、もう持ち時間はだいぶ超過をいたしております。
○鈴木強君 電信電話公社でこのたび電信電話調査会というのを設置して、電報料金と、それから電話の現在非常に積滞が多くて、つかないのに対する計画の再修正等を諮問しているようでございます。これは総裁、電信のほうは私わかりますが、今度調査会に諮問したことは。しかし、電話のほうについては、料金改正を昭和三十七年にやられたばかりでございますが、そういう料金改正の意図を持っているというふうに思われるのですけれども、この点はどうでございますか。
○説明員(大橋八郎君) お答え申し上げます。 現在、電信電話調査会というものをつくりまして、三十名の有識者に集まっていただきまして、目下進行中であります。これは、ただいま御指摘のように料金の問題だけを取り扱うとか、料金の研究という意味で必ずしもつくったものではございません。一方、電信については、もう御承知のとおりのわけで、公社といたしましては、中継機械化、その他を中心として今日まで各方面から合理化をはかってまいったのでありますが、どうも思うように収支の状況が好転いたしません。一方、電話とか速達等の発達によりまして、電信事業の社会的、経済的の機能というものが漸次変わってまいりましたし、そこで、電信事業の全般にわたりまして根本的に検討を加えまして、これをいかにすべきかという根本問題の研究をお願いするというのが、一つの目的でございます。 それからいま一つ、電話のほうは、これは鈴木さん御承知のとおり、公社設立以来、直ちに五カ年計画の設定をやりまして、第一次、第二次五カ年計画を経て、いま第三次の五カ年計画の二年目になっているわけでございます。大体、新規電話の架設については、第一次も第二次も、初めの計画よりも、それよりもっとよけい実はつけてまいっております。第三次においても、五カ年間に五百万の電話をつけようということで計画ができていることは御承知のとおりでございます。そこで、現在はその二年目でありますが、ところがつけるほうは、大体私どもの予定もしくは予定以上の数をつけてまいったのでありますが、一方世の中の需要というものが、われわれの努力以上の需要がたくさんまいっておりますので、私どもの長期計画といたしましては、昭和四十七年度末までに申し込みのたまっているものを全部一掃して、そのときになりますと、申し込みがあれば、できるだけすぐつけて、翌年まで持ち越すというようなことのないようにしよう、こういう理想のもとにやっているのでありますが、どうも申し込みはどんどんふえてまいりまして、最近の情勢によりますと、第二次五カ年計画の終わりでありました三十何年でありますか、七年でありますか、そのときの情勢では百六万の申し込みの積滞があったわけであります。そこで、第三次五カ年計画によって五百万つければ、第三次五カ年計画の終わりであります四十二年までには七十万余りの積滞に減るだろう、そうしてその先、五カ年計画をやりますると理想が達せられる、かようなつもりで今日までやってまいりました。ところが、申し込みが非常に予想外にたくさん引き続いてまいりますので、現在においては減るどころかますます増加いたしております。現在においてはちょうどいま二年目の終わりごろでございますが、それでもなお百五十万を突破いたすような積滞がたまっておりますので、これをこのまま放置するということは私ども責任者として、はなはだどうも困ったことだというので、何とかこれをひとつ打開して、申し込みをできるだけ早く積滞をなくしよう、こう考えますと、なかなか困難な問題であります。ことに一方、最近申し込みの積滞の多くは個人住宅の申し込み、または農村等の申し込みでありまして、これはどうしても使用量の少ない申し込みでありますから、これがだんだん割合が増してまいりますと、全体の電話――一個の平均の収入というものが減ってまいりますので、最近は収支率というものはだんだん悪くなっております。一方、御承知の加入者債券の引き受けをやってもらっているのは償還がだんだん迫ってまいりますので多くなってまいります。近くその償還というものが出されると一千億以上の償還をしなければならないという事態が迫ってまいりますので、このまま推移いたしますと、今後の長期計画の遂行が非常に困難な状況にあります。そこでどの程度に今後これを処理していくか、根本的にこれも掘り下げて将来の根本の政策を立てたい、かようなことでこの電信電話に関するこういう根本問題の調査、意見を求めているわけでございます。したがいまして、その結果がどういうことになりますか、場合によっては何かいい名案が出るかもしれませんが、もし収入状態等がどうも困難だということになると、初めから目的としているわけではありませんけれども、あるいは料金の値上げ問題ということもクローズアップされてくることになるかもしれません。これはまだ調査を始めたばかりでございますから、どういう結果が出るか、今日まだ申し上げるわけにはまいりません。
○鈴木強君 防衛庁長官に、たいへんお待たせしてすみませんでしたが、時間がありませんので、一つだけお尋ねいたしますが、実は杉江統合幕僚会議議長が小牧の基地で記者会見をして、将来原子力潜水艦を日本で国産化したいという発言をされておるのですが、大臣はこれを御承知でございましょうか。
○国務大臣(小泉純也君) ただいま鈴木先生が仰せられましたように、昨日名古屋において、杉江統幕議長が記者会見の席上でさようなことの発言があったということを新聞社方面の情報で承りまして、私のほうでは、あまりに意外なことに驚いて、さっそく調査をいたさせまして、本人とも昨晩電話連絡等を詳細にいたしておるのでございますが、新聞紙の報道するところにはいろいろ誤解がございまして、その前提にいろいろな質問応答が行なわれたあとに、統幕議長の意見としては、世界のすべての船舶がほとんど原子力を推進力とするというような時代がきたときにはどうかという質問に対して、そういうような時代がきた場合には、わが潜水艦等にも推進力として原子力を用いるということが考えられるのではないかというような意味の発言であって、新聞の報ずるところには、自分の真意が非常に誤解をされておるということでございまして私どもといたしましても、さようなことは全然考えておりませんし、またそういう意味の研究開発、そういうことも何らいたしておりませんし、これは全くの統幕議長のことば足らずか、あるいは記者諸君との間の質問応答に対する大きな誤解であって、きわめて遺憾なできごとであったと考えておる次第であります。
○委員長(寺尾豊君) 鈴木君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、一般質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって三案の一般質疑は終局したものと認めます。
○委員長(寺尾豊君) この際、おはかりいたします。山本伊三郎君から、明後日の同君の質疑に日銀総裁の出席を求められております。参考人として山際日銀総裁の出席を認めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。 本日はこの程度にいたしまして、次回は明後日十四日午前十一時に委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十六分散会