予算委員会 第3号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1964/12/09
会議録
○委員長(寺尾豊君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。 昨日、亀田得治君が辞任され、その補欠として永岡光治君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括議題として、昨日に引き続き質疑を行ないます。阿具根登君。
○阿具根登君 まず最初に、政治姿勢の問題について総理のお考えをただしたいと思います。 時間が限られておりますので、簡単に質問していきますが、池田内閣で寛容と忍耐ということを言われたわけです。佐藤内閣になってから忍耐は寛容の中に入っているのだと、だからうたう必要はないのだということを言われておる。まあことばじりをとるわけじゃございませんが、それならば、なぜ池田内閣は忍耐ということを強く打ち出しておったかという問題が一点。あなたはそのかわりに調和ということを言っておられる。そうずると、そういう解釈でいくならば、調和ということも寛容の中に入ってくるものである。なぜ忍耐というものを調和に変えなければならなかったか。どこかに池田内閣と違うあなたは姿勢を示そうとされておることはわかりますが、基本理念としては一体どういうことなのか。その点を一点お伺いしておきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 民主主義、民主政治を守るというのが私どもの基本的政治姿勢でございます。その立場に立てば、寛容、話し合い、そういうことは、その基盤をなすものだと思います。池田総理は、同時にそれに忍耐ということばを入れました。私は池田総理の姿勢を批判するつもりはございませんが、われわれが同じ基盤に立って、民主主義、民主政治を守り抜くその立場に立って、なお私どもが痛切に感ずることは、今日いかにも不調和な姿が至るところに出ているじゃないか。その不調和を取り除くこと、これまた政治の態度であってしかるべきである、かように私考えまして、そこで調和ということばを入れたのであります。この民主主義、民主政治、これは一色に塗りつぶすものではないと思います。主義を一つにしろとか、あるいは主張を一つに変えろとか、こういう、いわゆる塗りつぶすわけにはいかない。しかしながら、それぞれの存在の意義があるのでありますが、そこに調和という精神を取り入れ、お互いがお互いの姿のままにおいても調和がとれていくならば国政はうまく運営される。そして前進するのではないか、こういうことを私気がつきまして、そういう意味で寛容、調和、こういうことを申しておるのであります。基本的態度の、民主政治あるいは民主主義を守る、これについては何ら変わりはございません。
○阿具根登君 民主主義を守るということは、これは当然でございまして、いままで歴代の内閣で民主主義を守らないといった内閣はおらないわけなんです。ところが、この調和ということを打ち出された直後、本院の本会議で同僚の藤田議員からの、それでは強行採決とか単独審議ということはやらないのかという質問に対して、そのとおりだということをお答えになっておって、今度は、衆議院の予算委員会では、与党の諸君からつつかれれば、これは限度があるんだと、こういうことを言われるわけなんです。その限度が私は問題だと思います。その限度をだれが線を引くかという問題で、いつも国会は紛争しているわけなんです。だから、そういうふうにどちらにもよくとれるような政治姿勢というものがあるだろうか、こう考えるわけなんです。だからその点、本会議であなたははっきりわが党の同僚議員の質問に答えているわけです。それが衆議院の予算委員会においてはくつがえってきている、そういう点はいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 民主主義、民主政治、これは阿具根さんも御承知のように、やはり個人の人格の尊重、これはつきまとっていると思います。そういたしますと、個人的な存在から申せば、これは必ずしも一様ではございません。そこにやはりとしての対立――個と個の対立、あるいは個と全体との対立、こういう事柄はあり得ると思います。しかし、この対立をそのままにしておいたんでは進まない、そういう場合が出てくるだろう、かように私は思います。それが民主主義であり民主政治である、かように考えます。そこで、過般もお尋ねのありました強行採決あるいは単独採決、これは私のとらないところでありますということを申し上げたのであります。私は、本来、かような強行採決、単独採決、こういうことがしばしば行なわれるということは、まことに遺憾なことだ、さような意味から、私はかようなことはとらない、こういう気持ちでございます。しかし、皆さま方もお考えになったらよくおわかりだと思いますが、強行採決あるいは単独採決はなぜ行なわれるか、しばしばそれが審議放棄であるとか、その他の形においてやむを得ずかような事態を起こしておりますが、私は、採決側だけの責任だとは必ずしも思っておりません。これはやはり民主主義のあり方から見まして当然のことだろうと思います。私は寛容――もちろん一体どこが忍耐の終わりかということを申し上げたくはございませんで、これは皆さま方の良識できまることだと思います。――この立場に立って、やはり民主主義のルールは守っていかなければならない、そうしなければ民主政治が実を結ばない、かように私は思うわけですが、その意味におきまして、私は本会議で「これは私のとらないところである」。さらに申せば、私の賛成しないところであります。こういう意味であります。どうかこういう事態が起こらないようにお互いに協力願いたいというのが私の真の気持ちであります。そこに、いわゆる調和という精神をとっていけば、そういうことができるんではないか、それぞれの方がそれぞれの立場において主張される、それはもちろん社会党もぜひ賛成なさい、こういうわけにはいかない、これは反対のままでいいんだ、反対のままでいいが、またしかし、そこに調和が保てるためには、強行採決だとかあるいは単独採決だとか、かような不調和な状態は避けなければならない。これが私の主張でございます。
○阿具根登君 これは水かけ論になっていきますから、この程度でやめますが、そういう事態が起こらぬようにしていただきたいという発言がございましたが、そういう発言が起こらないように総理大臣のほうで特に御注意を願いたいと思います。 次に、外務大臣はけさお帰りになって非常にお疲れのことだと思いますが、外務大臣に御質問申し上げますが、その前に総理大臣の御答弁をいただきたいと思います。 椎名外務大臣が国連に出席されている間に、二つの、外務大臣の答弁の中に矛盾が出ていることは御承知のとおりです。一つは日中問題、一つは日韓問題、この二つが、外相の考え方が違っているから釈明ないし取り消しをさせるというようなことを総理は言っておられますが、その気持ちをここでひとつ発表願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣が旅行中、衆議院予算委員会におきまして、その発言をめぐり、私が勝間田議員にお答えしたものでございます。当時、ただいま阿具根さんが御指摘のように、釈明なり、取り消しなり、適当な方法をとらせます。こういうことを申したわけであります。当時の話は、椎名外務大臣の話がまことに簡単でございまして、そうして誤解をお招きやすいように思えましたので、私はその点をさらにふえんする必要がある、こういうことを申したのでございます。ただいま椎名外務大臣が帰って見えましたので、その点をお答えさせたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先般、衆議院の外務委員会におきまして、(「予算委員会だ」と呼ぶ者あり)勝間田委員の質問に答えて申しましたことが、少し簡単にすぎまして、そのために誤解を生じたことは、まことに遺憾でございます。国連における中国代表権問題につきましては、アジアの平和、ひいては世界の平和に関連する重要な問題である。十分に実質的な審議を加えて、極東及び世界の平和にしとりを残さないように世界世論の納得する解決案を見出すべきであるというのが、アジアに位置し、中国と隣合っている、中国問題に対して重大な関心を有しているわが国の基本的な態度でございまして、わが国がこの問題を重要問題指定方式としてこれを支持するゆえんもここにあるのであります。わが国としては、中華民国との間に外交関係を維持しておりまして、また歴史的にも密接な関係にあり、友好信義という観念からも、単純に同政府を国連から排除する結果をもたらす措置に対しては、同調することはできない、こういう態度できたことは御承知のとおりであります。かような意味において、結果においては、あなたの言われていることになるというような意味でお答えを申した次第であります。しかしこのことは、日本が決して中共を敵視することを意味するものではないということを、あらためて御了解を願いたいと思います。 それから韓国の二千万ドルの問題につきましては、いわゆる大平・金了解の一億ドル以上というものとは、これまた性格を異にするものでありまして、隣国の経済的な窮状を見るに忍びず、必要な原材料を供給するというような意味におきまして、特別な有利な条件、すなわち普通のコマシャル・ベース以上の有利な条件のもとにこれを供与するというのでございまして、おのずからプラント輸出の条件と違う、そういう意味において一億ドルの範疇とは外のものである、こういう趣旨をつけ加えて申し上げまして、御了解を願いとうございます。
○阿具根登君 まず、日韓問題からお尋ねいたしますが、衆議院の二十八日に、勝間田委員の質問に対して、外務大臣ははっきり、これは一億ドルの中に入っておるということを申し上げておられる。ただいまこれは民間信用供与の外のものだということを言われておるわけですが、そこでお尋ねしたいと思いますのは、外務大臣が衆議院でそういう答弁をされたあと、韓国で非常に大きな問題になって、それは約束の先取りである、内取りである、こういうことが言われておったと思うのです。そうすると、いま外務大臣が言われましたように、一億ドル以上の供与外だとするならば、一億ドル以上ということはどこまでをお考えになっておるか知りませんが、これは幅がどこまでもあるわけなんです。そうすると、そういう点であるならばこれは内取りとか前取りとかいうことにならないと私は思う。当然積み重ねていける。性格が違うというならば性格が違うということで論争されるはずです。そうしますと、これは国民のみんなが疑惑に思うのは、三億、二億のほかに一億ドルというのが大平・金メモの中に何か別にあるんではないか、こういうような考えを非常に強く持つわけです。だからその一億ドルの中に二千万ドルが入ってくるんだというように向こうがとられて非常に反対されておると、こういうように私は考えるんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 韓国側が、それに入っておるということに対して非常な強い反応を示したことは、どういう理由か私もよく、帰ったばかりで事情をつまびらかにいたしませんが、結局一億ドル以上の民間べースによる供与というのと、なぜ二千万ドルの消費財輸出が違うかということを申しますと、これは通常のコマーシャル・べースをはるかにこえた条件によるものであって、その範疇には入らない。一億ドル以上というのは普通のコマーシャル・ベースのものである、こういうことでございますから、おのずから範疇外である、こういうふうに解釈しております。
○阿具根登君 それならば、そういう論争がなされるはずだと、私は言っておるわけです。ところが、一億ドルの先取り、内取りというようなことになっておるとすれば、五億ドルのほかに一億ドルというのは言質を与えられておるのか、約束の中に入っておるのか、あるいは先方がそういうように考えておられるか、いずれかでなければ、そういう論争になってこないと思うのです。それが民間ペースと違うのだかう、それは別個の性格のものだというならば、それでわかります。しかし、そうじゃないのです。そこに私は何か大平金メモに隠されてあるものがあるのではないかというのがみんなの疑問じゃないかと思うのです。そういう点から考えていけば、椎名外務大臣が最初言った一億ドルの中に含まれておるということが正しかったのではないか。それが韓国でああいうことになったので、あわててこういう修正をした、こういうように受け取られる節があると思うのですが、そういう点についてはどういうお考えですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大平・金了解のうちにもあるのでありますが、この一億ドル以上というのは直接請求権とは関係がなくて、しかも会談の成立の前後を問わず、その問題については両国の間に話がつき次第、これを実行に移していくという了解があることを御了解願いたいと思います。
○阿具根登君 どういう答弁だったかまだよくわからないのですが、それではその了解事項、私らに拝見できますか、了解事項をひとつこちらに回していただけますか。
○政府委員(後宮虎郎君) 問題の金・大平了解につきましては、昨年の国会でも資料要求の御要請がございまして両院にお配りいたしました資料があるとおりでございまして、問題のいわゆる民間借款につきましては、いわゆる(ハ)項という項目の中で三億、二億のほかにも、この通常のコマーシャル、べースの民間借款が相当額与えられるということで御了解願ったわけでございます。一昨日衆議院の予算委員会でも御質問がありましたときに、大蔵大臣からも当時御答弁ございましたとおり、この(ハ)項については、通常の民間べースの延べ払い貿易を助長していくための友好的な規定である、このことにつきましては韓国の政府当局に関する限り、よく了承しておるところでございます。
○阿具根登君 それでは私が最初からお尋ねしておりますように、性格が違うのだからこれは別だという反論があったならばわかるのです。そうじゃなくて一億ドルの中に入っておらないと、それだったら内取りだ、先取りだ、こういうことが言われておるということは、一億ドルという何かの約束があるのではないか、だから内取りということになれば、あと八千万ドルになるんじゃないかと、こういうことでこういう論争が起きてきておるのじゃないか、こういう私は心配をするわけなんです。いま局長が言われたとおりとするならば、それは性格が違うのであって、民間べースの一億ドル以上ではございません、これならはっきりしておるわけです。もしそれに含まっておったとするならば、条件が違ったとしても、一億ドル以上だかう二千万ドルになるか、五千万ドルになるか、あるいは十万ドルになるかわからないが、それは論争にならないわけです。だから私はそういうものがあるのじゃないかということで自分たち自身がそういう疑問を述べているわけです。国民にも非常に割り切れない何かが隠されておるのじゃないかという気持ちがある、こういうことをはっきりしてもらいたい、こういうことなんです。
○政府委員(後宮虎郎君) 御疑問の御趣旨了解し得るところでございます。先ほど申し上げましたわれわれと交渉いたしました韓国の政府筋といたしましては、あのような(ハ)項の性格についてはよく了承しておるところでございますけれども、向こうの一般民衆あるいは野党の中には、あれが先ほど御指摘ございましたとおり、何か請求権問題解決のためのはっきりした法的義務のある第三項目、金額や何かきめられたのに隠されたワクがあるような疑惑が向こうでも野党その他一般の中にもあるようでありまして、その点は二千万ドルが入るのじゃないか、それならば請求権の前取りで、そこに汚職でもからんでいるのじゃないかというふうな猜疑心から向こうの国会でも問題になったことは御指摘のとおりでございますが、事実はほんとうにこの(ハ)項につきましては全然民間べースのものでございます。また、請求権問題解決、したがって、国交正常化の前後にかかわらず、これは請求権問題解決とは関係なく履行されるものでございますので、全然関係ないわけでございます。
○阿具根登君 それでは総理にお尋ねいたしますが、そういうように(イ)、(ロ)、(ハ)項まできまっておって、まだ妥結しておらない、国交が正常化されておらないのに、政府間でこの二千万ドル等の話し合いができるということは、中国に比較した場合に一体どういうお考えなのか、中国は政経分離でこれは民間だけが一切のものをやっている、政府は一切タッチしない、韓国についてはこういう姿で、そういう(イ)、(ロ)、(ハ)の三項まできまっておるにかかわらず、こういうことが政府間でやられるということは一体どういうことなのですかという問題をひとつ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中国と韓国と同一の取り扱い方はしていないじゃないか、そういうお尋ねでございますが、そのとおりでございます。中国大陸に対する扱い方、韓国に対する扱い方はこれは別でございます。今日韓国の実情等を見まして、そうしてこれから友好関係を結んでいこうという、そういう立場に立って日本がこの援助は当然だ、こういう意味でやっておるのでございます。これはただいま中国と同様の立場でない、そのことだけ御説明ができるところでございます。
○阿具根登君 韓国に対しては友好関係を深めていくために中国と違った態度をとるということになれば、中国に対しては一体友好関係をとるつもりなのか、あるいはどういうことなのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中共政府との関係は御承知のように、政経分離で友好関係を続けてきている、こういう状況でございます。これは先ほど来お話がありますように、この中国の代表権問題をめぐりいろいろむずかしい問題がございますから、ただいま国民政府と条約を結んでおる関係において友好関係は続けておる、国民政府との間に。そこで北京政府に対しては政経分離の形で貿易は進めていっている、こういう実情にあるのでございます。それと韓国の場合は違うということを申し上げたわけでございます。
○阿具根登君 中国の問題でお尋ねいたしますが、総理大臣は中国に対して封じ込め政策はとらないんだ、敵視政策はとらないんだ、中国は一本である、一つであるということを言っておられますが、そのとおりに確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
○阿具根登君 そうすると、衆議院の予算委員会において椎名外相の発言が問題になって、今日一応釈明に似たような答弁をされたわけなんですが、しかし、それでは国連において椎名外相が政府代表として発言された内容は、当然総理大臣も目をお通しになったと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
○阿具根登君 そういたしますと、まあ代表権問題でまた答弁なさると思うのですが、外務大臣は、国連総会において中国の核実験を鋭く非難された。もちろん隣国であり原爆の被害を受けておる日本国民としては、これは私は当然だと思うのです。しかし、そのあとで、わざわざ重要指定事項に関して発言をされておられる。十六回国連総会において十八章の重要指定事項にきめられたこの問題について慎重にこれを検討すべきであるということをわざわざ外務大臣は国連総会の演説において言っておられる。これは友好的ですか、それとも敵視ですか、お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は敵視政策だとは考えません。
○阿具根登君 それはどういう理由でですか。そう簡単にぶっきらぼうでなくて、どういうわけでそうだということを説明していただきます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほども申し上げましたとおり、アジアの平和及び世界の平和に関連する重要な問題であり、かような観点から、これは重要事項として取り扱うべきものである、こう述べた次第でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中共の核実験、これを非難した、これが敵視政策だと、かように言われるようでありますが、私は核実験をしたことはまことに残念であり、国民大多数もその気持ちでいると思います。外務大臣が、国民大多数の意見を代表して国連で演説する、これは当然だと思います。しこうして、おそらく核実験をしたことについては、社会党の方も非難していらっしゃる。私はやっぱり同じ立場で、被爆国である日本が、唯一の被爆国である日本がこの核実験に対してかような非難をすること、強い意見を出すこと、これは当然だと思います。そういうことがこれは敵視政策では絶対にございません。おそらく国際的にもこの意見は支持してくれている。私はかように考えております。
○阿具根登君 私の質問のしかたが悪かったのかもしれないけれども、どういうように総理はそういうふうにとられるのですか。その核実験については強い語気で非難されたが、私もそれには賛成だと言っているのです。そのとおりだと言っているわけです。それを何であなたはそういうふうに言われるのです。私が言っているのは、重要指定事項としてわざわざ国連でやられたことは、これは国連加盟を遠ざけるために、国連加盟をできないためにとられたやつであるから、これが敵視政策であると言っているわけです。私は原爆の実験をそう言っておるわけではないのですよ。何かそういうふうに勘違いされて、または勘違いしたふうにして何か答弁を左右されちゃ困る。重要事項ということはわかっているけれども、重要指定事項ということは三分の二できめねばならぬということは、当分中国が国連に加入できない。ところが、過半数でいくならば、もう衆議院でも言われまして問題になっておりますが、一票か二票かの問題でどっちにどうなるかわからぬというときなんです。そういうときに、こういう重要指定事項だということをはっきりと向こうで強調されておるということは、これはことばをかえて言えば、衆議院で言われた椎名外相の考え方がそのまま出ておる本音であって、それを何かそうでないごとくに総理が修正されておる総理の態度がおかしいのじゃないですか。私はそう思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま非難したあとで第十六回の決議を出した、こう言われるのです。非難したあとでというところに、いかにもつながりがあるようだ、かように私は思うのです。それで前段のような私が感じを持ったのです。これは阿具根委員自身がそれを重要問題の議題にするということを言っておるのは、いかにも中共を非難した、それだからこれを出したんだと、こういうことに聞こえた。だからただいまのような私は答弁をするのはあたりまえなんで、その点はただいま阿具根さんもおっしゃるように、社会党もこれに反対したんだ、したがって、核実験とはこれは別だ、こういうお話でございます。それならば、そういう意味で、私どもが第十六回にとった態度、これは今日もなお続いておるというのが私どもの政府の考え方であります。だから、椎名君がそれを説明することはちっとも差しつかえない。そして、それをしも敵視政策と言われることは、いかにもふに落ちないことなんです。いままで敵視政策ということはあまり言われなかった。今回初めて敵視政策をとったんじゃないかと言われた、かように私は思いますので、これは椎名外務大臣が申しておりますように、国民政府との間の友好条約関係、同時にまた、中共が支配しておる中国大陸に対して、従前同様政経分離でやっていくんだ、かように申しておるのでございまして、これは敵視政策だとか、かように申し得る関係のものではない、こういうことを重ねて御説明申し上げます。
○阿具根登君 それならば、もう少し――あまりしゃべると時間がありませんから、一応わかっていただいておるものと思うのですけれども、核爆発実験は確かに非難さるべきものだと私は思うのです。しかし、それを国連の外に追い出しておいて、そしてやるな、やるなと言うのはおかしいのじゃないか。むしろ国連に早く入ってもうって、国連の中で一連の問題を片づけていくのが、世界平和に対する大きな寄与じゃなかろうかと私は思うわけなんです。だから、その関連をあなたは逆におとりになっている。私はそういうふうにおとりくださると思った。だから私はこういう質問をするわけなんですが、そうすると、国連には入れない、そうして国連の決定で縛りつける、入れないということは敵視政策じゃないんだということは、相手国から見れば、あまり虫のいいことを言い過ぎるな、それは日本の立場で、日本の総理大臣として考えておられるかもしれないけれども、こういう外交の問題は相手側のことも考えねばならぬ。相手方から言わせるならば、そういうことをしておいて、そうして敵視政策じゃありません、封じ込め政策じゃありません、友好にいきましょうというのは、相手側から見れば、私は通らないと思う。だから、佐藤内閣になってから、非常な反対を中国でされておるということも、今日新聞で私は知っておるわけなんです。一体どうなんでしょうか。相手側からとったら、そうされても相手側に友好だと言えるのか、無理じゃないでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中国は一つだ、こういうことを申し、台湾をも含めて一つだということを言っている。そうして、これは国民政府も、また中共政府もそのとおりだと言っておるのですね。そうして代表権問題になりますが、私どもは国民政府と友好関係を従来も結んでおる、国際的義務を持っておる。そのときに中国を国連に入れるということは、これはいま中共支持派の諸君が言うごとく、国民政府を追い出して、そして中共が取ってかわる、中共がその代表権を握れ、これが国連加盟だと言っている。そこにいま申し上げるような、中国は一つと言っている、台湾を含めて言っている、この形がはたして可能かどうか。言うまでもなく、中国大陸における中共政府も強大でありますし、また、国民政府自身も、台湾海峡を控えて、これまた相当の軍備をしておる。そういう状態で対立している形でございます。これこそがアジアの平和でなくして何でありましょう、かような主張をすることが。したがって、私どもが重要問題だと言うのは、平和を確保する見地かうこれを重要問題だと言っている。このことはおわかりだと思います。私は中国の人々にいたしましても、今日置かれておるこの国際情勢のその姿そのものを見て、これは私は納得がいくのじゃないかと思います。私ども、今日国民政府と友好関係を続けていき、同時に、中国大陸に対しては政経分離で進めていく、こういう形、そして、国連加盟が、いわゆる大平前外相ではないが、みんなから喜ばれて、そうして祝福された、その形において入っていくという状態が望ましいので、そういうときになれば何をか言わんや。私どもが今日この中共の国連加盟をふさいでおる、かようにとられることはまことに私は遺憾です。私は、これはいま申し上げるようないわゆる抽象的な理論と、現実の問題と、これが明らかに食い違っておる。中国は一つだと言いながら、現実には二つの政権がある。そういう状態において、そしてその代表権問題を片づけないで、そして国連加盟ということがそう簡単にできるものではないと思います。だからこそ、あるいはいろいろな説をなす人がございます。それが欧州諸国の中にもあるようだし、あるいはまた、アメリカの内部にもある。そういう意味で、この中共の国連加盟の問題がいろいろ論議されておるというのがいまの実情じゃないだろうか。かような状態にあることをお考えいただくと、私どもが簡単に、敵視政策だとか、中共の国連加盟が実現しなければ、これは中共の敵視政策だ、あるいはこの国連加盟ができなければ、これは封じ込め政策に賛成だ、かように言われることは、私ども政府が当面しておる事態に対しても、同情ある御理解とは私はどうしても考えられない。私は皆さん方と同じように、この状態、いまの理論的な問題と、それから現実の二つの政権のある事態、それをいかに調和するか、そこに非常な困難、くふうが要るのだ、かように思います。問題は、社会党の方もそんなに――中国は一つだという、その議論のもとにおいて、現実に二つの政権のあるもの、これをいかに調和するかということについては非常に御苦心のあることだと私も思います。思いますが、ただいま申し上げますように、それが実現しないからといって敵視政策だとか、あるいは封じ込め政策だとか、また、これが中共の立場に立てばそういう結論になるのは当然だ、こう言われることは、やや飛躍をしておるのではないだろうか、私はかように思います。
○阿具根登君 総理のお話を聞いておりますと、中国は一つであって、その一つの政府は台湾である、台北であるということにもうはっきり規定づけられてしまっておるということが一つだ。それではいつまでたっても私は国連加入の問題は出てこない。そうして、みんなから祝福されて中国が入ってくるならば、それは何をか言わんやと言っておられるが、みんなから祝福されて入れるようには一体だれがするのか。一番近く、一番歴史的につながりのある日本が、その他のよその国が祝福して入ってくるようにするのが日本のつとめじゃないだろうか。それを、祝福されて入ってくるようになったならば、ということを言っておりながら、入ってこれないような政策を、とっておるということになりはしないかということなんです。総理の言っておられることは私よくわかりますよ。わかるけれども、それだけで私は言っていけるか、世界の平和という問題について私は考えていけるかということを心配するわけなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国連加盟の問題は国連加盟国全体が考えることだ、しかし、日本はそのそばにいるのじゃないか、隣国にいるのじゃないか、アジアにいるのじゃないか、そういう意味で、他の国よりも日本自身がそういうことを心配するのが筋じゃないか、これは阿具根さんのお考えに私も賛成でございます。
○藤田進君 関連。どうも聞いておりますと、衆議院における外相の答弁が今日うやむやにされているように思われるので、議事進行を兼ねて、この際もっと端的に表現をして、明確にしていただきたいと思う。 そこで、最初に椎名外相にお伺いをいたしますが、あなたは重要方式をとった理由として、国連に中共の加盟を阻止するないしこれを引き延ばすという、そういうことではないかとの間に対して、そのとおりだということであったわけであります。その後、アメリカにおいでになりましたあと、総理等から舌足らずという説が出て今日に至り、ここにまいってきたわけですが、しからばいまの克明に読み上げられましたその御答弁でまいりますと、要するに非常に重要な問題である。総理のことばを合わせれば、いかにも中共の国連加盟を見るということはアジアの平和を乱る、戦争近きにあるというような印象さえ受けるわけです。しかし、そういう重要な、複雑な問題であるがゆえに慎重に審議をし、どうするかを世界とともに考えるということであって、国連の加盟を阻止する手段としてないし引き延ばす手段としてではない、重要方式のわがほうの主張というものは、というふうに聞こえるわけであります。しかし私は、阿具根委員も指摘するように、椎名外相の端的に答弁をしたことが実は真意であって、重要であるとかなんとかというのは、これは一つの説明にすぎないといまでも思っている。国民もそう思うでしょう、こんな答弁では。裏返して言えば、しからば中共の加盟というものについてわが日本政府外相としては、これを引き延ばすとか、あるいはこれを阻止するとかいうことではなしに、できることなら早く国連に加盟をさせるべきだ、そして日本としてはこれを、重要方式は唱えているが、真意は決してこれを阻止するということではない、入っていくべきだというふうになるのかどうか、あなたがそうだと言われたことよりも逆のことが、あなたがのみ込めるのかどうか、それを了解されるのかどうか、ひとつお伺いしてみたい。総理は、アジアにおける中共、台湾政府との間において第三者的な発言をよそおいつつ、実は台湾政府の立場に立っておられることが明らかなんです。これが佐藤内閣のアジア政策における前向きか、うしろ向きかという大きな、これは岐路をなす私は外交論争であると心得ております。まず椎名外相から、以上申し上げたことについて明確に、あなたの真意でないことをとっさに答えられたとすれば、まことに重要であるし、お答えをいただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) さいぜん申し上げたように、この代表権問題はアジアにとって、また世界にとってきわめて重要な問題であります。したがって、世界世論とともにこの問題を処理しなければならぬ、さような観点から重要問題指定事項としてこれを取り扱うべきものである、かように主張してまいったのであります。 一方において、ただいま国交を取り結んでおる中華民国政府は、これまたすでに外交関係を持っており、またきわめて密接不可分な関係にありまして、中共国連加盟を認めることが、すなわち中華民国政府の国連からの追い出し、追放ということになる以上は、簡単にこれに同調することはできないという態度を従来とってきたことも事実でございます。この立場をとる限りにおいては、勝間田議員の、そう解釈してよろしいかということに、結局、結論としてはなると、こういうことを私が申し上げたのでございまして、その点の説明がまことに不十分でございまして、先ほどこの問題を補足したような次第でございます。
○藤田進君 それでは、いまの御答弁は、どうも議事が進行しませんからお伺いしますが、阻止しないしこれを引き延ばすという趣旨においては変わりはない、ただ加えて、重要であるのでかような重要方式、三分の二方式をとるのだ、こう理解してよろしいのかどうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 法制上の解釈にも関係いたしますので、法制局長官から御答弁いたさせます。
○藤田進君 法制に何の関係がありますか、外相のこの答弁が……。これは総理どうでしょう、法制に何の関係があるのですか、いまの外相の真意というものが……。おかしいじゃないですか。外務大臣はだれなんだ、何をやっているんだ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中共加盟の問題が、アジア、世界の平和にきわめて重要な関連を持っております。したがって、これは重要事項指定方式で取り扱うべきものである、こういう主張をわれわれ持っておるのであります。
○藤田進君 答弁なっていないですよ。椎名さんちょっと聞いてください。これは勝間田君の質問に対してはそのとおりだ、つまり国連に加盟することを阻止しないし引き延ばすという方法かという趣旨の質問――そうだとおっしゃったことに対して、補足説明として重要であるということがきょう加わったわけで、しからばこれを阻止しないし引き延ばすという手段に加えて、非常にアジアの軍事、外交、経済上複雑な事情にあるし、したがって、重要方式にというものが理由に加わったにすぎないのだ。阻止しないし引き延ばすという真意は外相には依然としてある、こう理解してよろしいのかと、こういうことなんですよ、ポイントは。それを答えなさいよ。これは法制局長官に関係ないのですよ。おかしいじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 同時に中華民国政府を追い出すというようなことについては、従来、これに反対してまいった次第でございます。
○藤田進君 阻止し引き延ばすという趣旨があるのかないのか、答弁しなさいよ。
○戸叶武君 関連。こういう問答をしていては議事が進まないと思うのです。だれでもアジア、世界の平和に関係のある重要問題だということは認めて、佐藤首相の一つの中国論というのは現実に一つの中国の国土、その上に二つの中国政府があるということも、われわれも認めておるのです。これは法律的に認めるとかなんとかでなく、現実にそうだ。この上にどうやって中国問題を解決するかというところにむずかしいところがある。そのむずかしいという認識の上に立って、政府のやっている態度は軽率なんです。答弁になっていないのです。まあ佐藤さんは、前の椎名さんがどじを踏んだのを弁解することにだけ執心しているけど、椎名問題を切り離して、もっと原則的に総理大臣としての見解を示してもらいたい。それは、中国の国連代表権問題をめぐり重要事項指定方式をとる態度です。これは政府は中国を国連に加盟させることに原則的に賛成なのかどうか。ぼくは賛成だと思う。賛成だという上に立ってそれを実現するのには、国府を国連から追い出すのには忍びないかう代表権を失わせない、ここにまた椎名問題が残るのですが、との考え方が残っているのです。そうすると、あなたの言う、この阿具根君の質問の劈頭に言った調和というのがくずれちゃうのです。これを中国を、この二つの中国の問題をどういうふうに解決するかというところに調和があるのでしょう。調和でなくて、一方に加担して、中共の国連代表権を取ることに反対で、国府のほうに加担して、足を引っぱるというのじゃ、調和もくそもないじゃないですか。それでは佐藤さんの哲学はくずれているじゃないですか。その点を阿具根さんはついているのです。これは、この重要事項指定方式をめぐっての椎名さんが国連総会でやった演説というのは、はなはだけしからぬのです。それが佐藤内閣の態度だとすると、中国側から敵視されるのも無理からぬことだと思うし、非常に重要なデリケートな段階ですから、もっと明確な答弁をして、椎名さんにもっと答弁らしい答弁をさせるより、頼りない外務大臣からでは因るから、総理大臣、かわって答弁してもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどからお答えしたところでよほど明確になっていると私は思います。私自身の態度は、今日までしばしば申しましたように、池田内閣路線を踏襲しておる、これが現状の段階ですということをはっきり申し上げておる。今後の私どものとり方、これについては各界、各方面の意見を聞いて慎重に取り組んでまいります、こういう表現をしておる。そのとおりなんです。ただ、これから先へ行ってどうなるのか、その話がいろいろいま議論になっておるのです。私は将来のことについて、まだ結論を申してはおりません。ただいまいろいろお尋ねがございますが、そういう点について、私はまだただいまお答えするような段階でないことを重ねて申し上げます。
○羽生三七君 関連。簡単に椎名さんに、椎名外務大臣にお尋ねいたします。問題はさきの閉会中の当予算委員会で申し上げたとおり、重要事項であるということと、重要事項指定の提案者になるなりあるいは同調者になるということは別の問題です。中国問題が重要であることは、われわれもよく承知しております。簡単に解決できるものでない、そのことはよく承知しております。しかし、そのことと重要事項指定方式の提案者なり同調者になるということは全然別個の問題である、これがまず一つ。そういう立場に立って考えるときに、結果として、今度の国連総会で、中国が必ずしも国連加入が、あるいは代表権問題が解決しないことがあるかもしれませんよ、結果としては、表決の結果。その場合と、最初から、きょうのスタートから、それが中国重要事項指定方式は国連加盟を阻止するためのものであるといろ勝間田君の、そうではないかということに対して、そうだといった問題とは根本的に違うのです、これは。ですから、結果として、国連で不幸にして中国がまだその目的を実現できないような事態が起こるかもしれない。そのことと最初のスタートから中国の国連加盟を阻止するための重要事項指定方式の提示をするという、これは根本的に違います。だから、その前言を取り消すかどうか、問題はそこにあるのです。将来の基本的な対中国政策については、関連質問なんかでは言える時間はありませんから申し上げません。端的にそういう意味の前言を取り消されるかどうか、この一点だけをお伺いいたします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 重要事項であるとのその見方は、皆さん御同意であります。一面において、中共の国連代表権問題の推進が同時に中華民国の国連追放ということになるならば、これはわが国としては同調できないという態度をとってきたことも、これまた御了承のとおりでございます。したがって、今回、国連において重要事項指定方式に従ってこれを処理する立場に日本として立つ限りにおいては、結論としては、勝間田議員の言われたとおりになるということを申し上げたのでああますが、重要事項指定方式そのものを主張することが直接にこれを阻止あるいは延期するという性質のものでないということは、これは当然でございまして、もし、そういうふうにとられる言い方をしたならば、私はこれはもういさぎよく取り消してまいりたい、かように存じます。
○委員長(寺尾豊君) どうです、議事進行上この辺にして……。
○藤田進君 委員長、いいですか。わしの質問には答弁していないのですかう。内閣もそういう調子でしょうか、全然……。
○委員長(寺尾豊君) それでは藤田進君。
○藤田進君 椎名さん、椎名外相、昭和三十九年十一月二十八日土曜日に、あなたは勝間田委員の問いに対してお答えになっているわけです。そこのところを読みます。大蔵大臣も横から、ぼくが指摘しているのと違うような言い方をしておられますから。いろいろ言っておるが、結局、「そういう判断の上に立ってなおかつあなたは」――これは勝間田委員が言っておるのですよ。――「あなたは重要事項方式にこだわるということは、中華人民共和国の国連加盟を阻止する手段であり、あるいはそれを引き延ばす手段である、そういう外交として私はこれを見ることができる、そのように判断してよろしいのか。」、「○椎名国務大臣 あなたの御解釈でよろしゅうございます。」。そこで勝間田委員は総理に対して、「総理、このいまの外務大臣の答弁は、まことに率直で、しかも重要だと私は思う。そう私は理解せざるを得ないのですけれども、総理はどう思いますか。」。総理は答えて、「外務大臣からお答えいたしておりますのは、現状においての外務大臣の態度であります。これは私どもも、政府もそのとおりであります。」、こう言っておるわけですよ。あなたはその後ずっと長いこと将来のことを言っておられる。問題の点は、羽生委員も関連して質疑されましたように、これにお答えが不明確ですが、この御発言ですね、つまり阻止する、ないし引き延ばすという手段で重要方式というものは主張しているのであるのかないのか、ここなんです、わかりますか、さっき言ったのは。
○委員長(寺尾豊君) 椎名外務大臣。
○藤田進君 質問は終わっておりません。さっき言ったのは、もしそうだとすればという仮説を設けて、それならば取り消してもいいし、そうでなければ取り消さない、このようなことなんです。はっきりしなさいよ。ですから、私はさらに積極的に一枚加えて質問をるるしている。これをお取り消しになるということになれば、阻止しない、または加盟を引き延ばすといろ真意はない、そういう気持ちはない、積極的には加盟を促進するというか、加盟に決して不賛成ではないというふうにもとれる、端的にお取り消しになれば。取り消すのか取り消さないのかがまず一つ。取り消したとすれば、その趣旨は、どういうわけか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 重要事項指定方式をとる趣旨は、阻止または引き延ばしの手段でありません。でありますから、そういうふうにとられることはまことに遺憾でございますから、これは取り消します。
○阿具根登君 そうしますと、そういう意図がなくて、取り消したと、こういうふうにおっしゃるけれども、結果論としてはどうですか。総理大臣は、そのときにこういうことをお答えになっている。「適当な機会に椎名君の前言は、これは釈明なりあるいは取り消しなりさせてしかるべきだ」と、「これは私が総理として、そういうことをよく申し上げたいと思います。」と、こう言われているわけですね。そう言われているわけなんです。ところが、重要事項指定と、こうなってくれば、いま言われたようにしかならないではないか。口では、反対、そういうことは取り消しますと言われているけれども、しかし、現実問題としてはそうならないじゃないか。それを、わざわざ国連の総会に発言されるということは、これはうらはらを言っておられるということになるじゃありませんか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 一方、中共国連加盟を認めることによって、直ちに中華民国政府を国連から追放するということになる限りにおいては、これは反対であると、そういう立場をとっておるのでございますから、結論においては、やはり重要事項の指定のその直接のねらいは、これは重要であるから重要事項として指定する、従来の中華民国に対する態度は、やはりただいま政府としては不変でございます。
○阿具根登君 どうも、同じことを何回も言っていかんのですけれども、その当時、これは藤田君からも、羽生さんからも言われましたが、重要指定事項でいけば、これは国連加入を阻止か、あるいはこれを延ばすことだということになるということを言われたわけなんですよ。それに対して、結果としてはそうなりましょうと、こう言われた。それを総理大臣は取り消すとおっしゃったわけなんです。それで椎名外務大臣取り消したわけなんです。しかし、取り消したけれども、重要指定事項ということを国連で発言されてきた、強調されてきたということは、これは取り消しておうないわけなんです。ここじゃ取り消しておっても、向こうじゃ取り消しておらないわけなんです。どういうことなんですか。それをやれば、引き延ばすことになるんだと、国連加入を阻止することだということを言われた場合に、そうなるからそれを取り消しますと言われておる。そうすると、一体どうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 重要問題であることは、先ほど来、説明でよくおわかりだと思います。重要問題であることには……(「わからない」と呼ぶ者あり)わからないと言われるけれども、大体おわかりだと思います。(笑声)私どもはそれは重要問題だと思う。いま中共の立場を支持しておる連中国の言っておることは、中共が国民政府にかわって、そうしてこれを中国の代表者にしろということにはなっておる。いいですか、それは、当方としては、国民政府とのいままでの条約関係、またアジアの平和ということを考えるときに、これはまことに重大な問題だと、重大な結果を引き起こすだろうということで、重要問題ということとしてこれを取り扱おうと言っておるのであります。この点では、椎名外務大臣もそのとおり答えているわけです。ただ、勝間田議員のお尋ねは、これは中共の加盟を阻止するその手段かと、こう言われておる。私どもは、さような手段、あるいはさような目的でこれを取り扱っておるんではないということを、はっきり何度も申し上げておる。ただいま言われますように、重要問題にすれば、結局、中共の国連加盟は実現しないじゃないか、こういうことを言われておる。そうすれば、それこそ政府は中共を、手段ではない、あるいは目的ではないと言いながらも、そういう結果になるのではないか、こう言われる。しかし、これは私どもが第十六回総会以来とってきた態度、このことは国連加盟の全体の国がきめることでありまして、私ども一国の立場でとやかくきめるわけではないのであります。だから、この重要問題としての提案とその結果とを結びつけて、そうして、中国の国連加盟は実現しないから、さてはいよいよこれを加盟ささないつもりでさような方法をとるのだ、こう言われることは、論理的に無理があるのじゃございませんか。私は先ほど来聞いておりまして、何だかこれを、その結果生ずるところのものを、当方の責任だけにしいられることに私は無理があると思うのです。重要問題であるということで、これは国連に加盟をしておる各国とも重要問題だ、現にイギリスなどはさようにしておるじゃありませんか。中国、これを承認している。しかしながら、国連にこれを加盟さすことについては、確かに重要問題だと、こういうことでこれに賛成をしておる。重要問題であることに賛成をしておる。それではイギリス自身も中共の国連加盟を拒否しているか。そういうものじゃない。いわゆる重要問題の取り扱い方が、国連全体の加盟国の意向できめるものである、ここをよく御理解をいただきたいと思います。私は、一部の方々が、特別な意図を持ってかような手段に訴えたのではないか、かような手段をとったのではないか、こう言われることは、日本政府の真意を十分御理解がいただけないのでたいへん私は残念に思います。私は、中共の国連加盟は今日も重要問題である、このことははっきり申し上げておきたいと思います。先ほど来数次にわたりまして申し上げたとおり、とにかく二つの政府がある。そうして、その二つの政府が台湾海峡をはさんで、そうして対峙しておる。これは直ちに片一方を除外すると、こういうような結果を生ずるなら、これはアジアの平和にも重大なる影響のあることだ。私どもは安閑としてはおれない問題だ。かように、私はほんとうに身近に、これが重要問題であるということを、私は痛切に感じます。だから、そういう点は、目的があったりあるいは手段であったりするものではないこと、これだけは御了承をいただきたいと思います。
○阿具根登君 そういうことは、この発端が、衆議院でやられた場合に、重要事項指定ということをやれば結果はこうなるではありませんかということを言っているわけなんですよ。そのとおりなってきているわけなんです。そうすると、何を取り消したのか。取り消したのではないのです。ですねということは、これは重要な問題だということはわかっておる。しかし、重要事項指定ということになれば三分の二の壁が云々ということは、中国が国連加盟、なかなか加盟できないと、それを、そういうことを承知しながらやるということは、阻止することか引き延ばすことになるではないかということに対して、そのとおりだと答えられたわけです。私はそのほうが正直だと思うのです。それを取り消されたのもおかしいと思うのです、逆に言えばね。本心はそこなんでしょう。いま国連に入ってもういたくないのでしょう。入ってもらったら因るんでしょう。だから、重要指定事項として入られないようにしたんでしょう。だから、こうなるんだがどうかということを質問されておるわけなんです。私もそれをいま質問しておるわけです。もう時間がないから、私はこれ以上論争しません。
○国務大臣(佐藤榮作君) それで総理大臣として、外務大臣に釈明なり取り消しなりいたさせますということを申し上げた。私はどうも十分その間の事情を説明すればおわかりがいただけると、かように思いますが、外務大臣のあの答弁では、この結果だけをみて、そして結果をとらえられ、そしてこれがその目的でやったことじゃないか、こう詰められておる。その印象だけが非常に強く残っておる。この点では私外務大臣に釈明さしてしかるべきだと、かように思ったものですかうお話をしたわけであります。
○阿具根登君 まだ私は決して了解しておるわけじゃございません。まだ意見はございますが、もう時間がないようになりましたので、次の問題に移ります。 まず、石炭の問題で御質問申し上げたいのですが、その前に労働大臣に一点お聞きしておきたいと思うのは、港湾労働等対策審議会から本年の三月三日に答申がきれております。港湾労働法案は一体次の通常国会に出す腹があるのかどうか、審議会の答申を尊重される気持ちがあるのかどうか。私は今日風聞するところによりますと、運輸省でほこれに反対をされておるやに聞いております。一体政府としてこの答申案に対してどういう対策を持っておられるか。通常国会に出されるのか、あるいは出されないのか、その点をはっきり労働大臣からまず一点聞いておきます。
○国務大臣(石田博英君) 審議会の答申を尊重して法案の整備を急いでおります。そして、次の通常国会に提出いたすことを目的といたして、いま鋭意努力中でございます。
○阿具根登君 運輸大臣おられたですね。質問の通知をせんでまことに失礼ですが、簡単なものですからひとつ御答弁を願います。私が聞いておるのが誤りであって、そして次の国会に出すのだということになれば、質問はもう何もいたしませんが、その点をひとつ……。
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいま労働大臣の仰せになりましたようにいま創案中であるようでありますが、事務的に労働省とわれわれのほうと折衝中でございます。
○阿具根登君 運輸大臣、折衝中ということは、答申案の線に沿って法律案を出すのだということが前提になって折衝されておるのですか、それとも、これに対して異議があるのですか。
○国務大臣(松浦周太郎君) 労働関係におきましては、できる限り労働者の福祉生活をよくするように漸進的に前向きの方向で折衝中であります。
○阿具根登君 どうも運輸大臣の話ではすきっとしませんですが、総理に一言お尋ねしておきます。 総理大臣、いまの問題は、答申案が出ておって、そうして港湾荷役労働者がどういう生活をしておるか、どういう労働条件になるかということは、御承知のはずなんです。それが次の通常国会に法案として出されるか出されないかという問題ではっきりした答弁が、労働大臣は出したいと言っておられるけれども、何か運輸大臣のほうではまあ研究中であるの相談中であるのということなんです。そういうことが非常に問題になっておるので、ここでひとつお聞きをしておるわけなんですが、総理大臣、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 労働省と運輸省と意見が対立まではいかなくともそごしている、こういう点があるかもわかりませんが、しかし、労働大臣がお答えするように、答申を尊重して、そして至急にまとめたい、かように申しておるのでありますから、しばらく時間をかしていただければ必ず結論が出る、かように私は思います。
○阿具根登君 次に、石炭の問題についてお尋ねいたしますが、これは私から説明をするまでもなく、総理大臣は第一次有沢調査団の答申のときの通産大臣でございましたし、非常にお骨折りを願っておりますので、よく御承知のことと思いますが、きょうの新聞で見てみますと、すでに柱だけは決定されたかにみえております。 まずお伺いしたいと思いますのは、第一次有沢調査団の答申がありましたときに、有沢団長は、私企業としてのこれが限界である、これがもしも達成されなかった場合は、私企業としてはもう打つ手はない、社会化以外にはありませんと、こういうことを言っておられたのです。ところが、今日聞いてみますと、いよいよ炭価の値上げをしなければならない、あるいは利子補給をしなければならない、こういう結果になってきた。極端に申し上げれば、こういう線で答申が出されて、それを実施したとするならば、私はまた一年か二年後にはより以上の不況になって国会の審議になってくると思う。そういうことは見えすいていると私は思うが、一体総理大臣はどういうようにお考えになっているか、お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) まだ有沢調査団の報告が完全に出ておりません。新聞でいろいろな報道しておることは私も承知いたしております。しかして、政府は、エネルギーの問題を石炭をも含めて、これは真剣に取り組んでおる、その立場に立って結論を得たいと、かように思っておるのが現在の立場であります。それが、ただいま言われるように、あるいは炭価の引き上げ、あるいは利子補給等の問題、あるいは労務者はすでに計画以上に減っている、あるいは今後の新しい労務者をいかにしてこれにつかすか、こういうようないろいろの問題があるようであります。 第一回の調査報告に基づいての結果はおおむね成功したんではないかと思いますが、ただいまりっぱに石炭産業、その山としてりっぱな成績をあげておるものもあるようであります。なおしかし総体としてはいかにもまずい、こういうのが有沢さんの調査団の報告の骨子ではないだろうか、かように思います。全然見込みのないものではないので、りっぱな成績をあげておるものもある、そうすると、あげていないところのものは一体どういうところにあるのか、さらにそれを掘り下げてみましてそうしていろいろ対策を立てていく、おそらくその対策が国内エネルギー源、これはぜひとも確保したい、そうしてその産業を長く永続して続いていくように、そういう意味で必要な魅力といいますか、魅力を与えてその産業を維持したい、それには一体どうしたらいいかというのが調査報告の方向ではないだろうかと私ただいま想像しているのですが、いずれにいたしましても、調査報告が出まして真剣にひとつ取り組んでみたい、かように考えております。
○阿具根登君 私どもが新聞で知る範囲においては、もう炭価の値上げとかあるいは利子補給ではやっていけない、だから差額補給をやるべきだという意見と二つが対立していると聞いている。大体今度の第二次調査団が出られます根本原因になったのは、第一次調査団のときには、いかにして合理化をやっていくかという問題が主眼であったわけです。今度は、総理も言われましたように、いかにして労働者を確保するか。逆になっておるわけです。だから、まずこの問題を考える前には労働問題を考えなければならないと思う。炭鉱の労働者は、一体どういう待遇をさるべきか、どういう生活環境に置かるべきかという問題が問題になると思う。だから、その点についてひとつ労働大臣から、労働大臣はいつもこういう問題では失業者のしわ寄せばかり背負ってやっておると思う。一応労働大臣から炭鉱労働者を確保するためにはどういうことをやってもらわなければだめだという考え方があると思う。その点をひとつ詳細にお尋ねいたします。 さらに、時間があまりないから口早に言いますけれども、外国等の炭鉱労働者は一体どういう賃金水準に置かれておるか、一般産業労働者とどういう比率になっておるかというような問題をひとつ御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 炭鉱合理化の問題は、ついこの間までは、合理化に伴って出てまいりまする離職者に対していかにして有効な再就職の道を見出すかということが重点でございました。しかし、今日は、ただいま御指摘のとおり、問題は逆になってまいりました。第一次有沢調査団の目標といたしまして昭和四十三年十二万という線は、今日すでにもう十一万になりまして、おそらく四十三年になると九万を前後するものになるのじゃないかというような状態になってまいったのであります。したがって、これからの石炭の問題における重点は、御指摘のように、いかにして所要労働力、しかも優秀な労働力を山にとどめておくか、あるいは受け入れるかということになると思うのであります。それには、何と申しましても、まず労働環境の整備であります。住宅の問題、厚生施設の問題を含めた労働環境の整備であることは言うまでもないのであります。 次には石炭労働が他産業に比してどういう労働条件にあるのが妥当であるかという問題であると思います。石炭労働の中でもいろいろございますが、特に坑内労働というものは、他の労働に比べて非常に過重であります。したがって、わが国におきましても、また諸外国におきましても、その賃金水準は他の十基幹産業の賃金水準の上位にございまして、外国の例を示せという御要求でございますが、西ドイツにおきましては、石炭産業従業員は、鉄鋼とともに他産業より約一割くらい高い地位にあると承知しております。また、その他の欧米各国におきましても、少なくとも他産業の上位にあることも事実であります。わが国においては、昭和三十三年、つまりこの石炭の合理化が行なわれまする直前においては、各種産業のうちで大体第五位くらいにありましたと、こう記憶しておりますが、現在は第十位くらい、あるいはもっと下かもしれませんが、くらいになったのじゃなかろうと思います。これを鉄鋼と比較してみますと、昭和三十三年におきましては五千円ちょっとこえたくらいの差額がありました。鉄鋼のほうがよかったのであります。いいことは三十三年も同様でございますが、現在はその差がかなり開いてまいりました。それは、石炭合理化という作業は、他の産業、あるいは国家にかなりな負担をかけつつ行なわなければならなかったという実情から、労働条件の向上等についても、他産業の上昇率に比べて低かった。そういうことによってだんだん開いてまいったろうと思うのであります。そういう条件下において所要労働力を確保するということは、これはたいへんむずかしい問題だと思います。やはりその労働の量質その他かう勘案をいたしまして、十基幹産業の水準にだんだん近づけていくような方向にもっていくことが必要だろう。これは一ぺんに持っていけといわれても無理でありますが、将来だんだん近づいていって、その労働の量質にふさわしいものになる見込みがあるのだということを示すことがやはり必要労働力を確保するために大切なことであろうと思っております。同時に、石炭労働、特に坑内労働は年齢がだんだんたつに従いまして能力が落ち、収入も減るのであります。しかも、他産業より早く限界に達します。そうなりますと、老後の保障という問題についても、やはり他産業と違った、それよりもすぐれた処置を考えていかなければならないだろう、私はかように考えておる次第でありまして、有沢調査団との接触にあたりましても、そういう方針をもって接触を続けておる次第であります。
○阿具根登君 労働大臣の言われることは非常に私はけっこうだと思いますが、それではもう調査団の答申はおそらく骨格はきのうきまってしまったということになっているのでありますが、そういうのが織り込まれているかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(石田博英君) 詳細には承っていないわけでありますけれども、まだ労働の問題についてどういうことをはかるかということを正式にも承っておりませんし、それから新聞紙上でもごく小部分しか出ておりません。私は、なお私どもの考え方が通るように、反映されるように、最後の努力といろと大げさでございますが、努力を続けておる段階でざごいます。
○阿具根登君 それでは、通産大臣にお尋ねいたしますが、十二月四日の新聞によりますと、答申案がおくれるためにすでに二本の柱を立てて大蔵省と予算折衝に入った、こういうことになっているわけです。答申が出されておらないのに、もうすでに予算折衝に入っておられる。しかも、答申をされるために非常に各委員の方々は御苦労されているのに、通産省だけが通産省の考え方を打ち出している。それが今日の新聞に出ておる姿であります。そうすると、一般炭三百円、鉄鋼二百円、その他利子補給、こうなっておるのですが、これを計算していけば、この利子補給、あるいは炭価の値上がりで大体百八十円だ、一トン当たりですね。その中に幾ら労働者の賃金のアップを考えておられるか、その点をお尋ねいたします。 一つは、まだ答申が出ていないのに予算折衝されておったということは一体どういうことなのですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまのお尋ねは、御承知のように、私その間OECDの閣僚会議に参りまして留守をしておりましたから、帰りましてから新聞記事でそういうことが伝えられておりますので、担当の者を招致いたしまして、こういう事実があるかないかということを聞きましたところ、さような事実はないということであります。したがいまして、いま給与の引き上げがどの程度織り込まれておるかということについても、さようなことがないわけでありますから、御了承いただきたいと思います。
○阿具根登君 通産大臣が外国に行っておったためにその間の事情がわからぬとおっしゃるなら、わかる方に答えていただきます。新聞ではすでに労務者の賃金は七%ということを発表してあります。逆算すればそうなると思います。そういうことで炭鉱に労働者が集まると思っておるか。そういうことならば、ますます炭鉱の労働者は減るだけだと思います。新聞は七%と発表してある。通産大臣はおいででなかったならば、ひとつわかる方が説明していただきたい。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまお答えしたとおりです。私、戻りましてから、そのようなことが問題になっておるということを聞いて、担当者にさような事実があるかないかということを聞きましたら、さような事実はございませんということなんであります。ですから、わかっている者があればその者に答えろと言っても、さような事実がないのであります。御了承願います。
○阿具根登君 それでは、七%の炭鉱の労働者の賃金アップということはあり得ないと。いま労働大臣が言われましたように、少なくとも鉄鋼労働者並みに、いますぐということではないが、そういう鉄鋼労働者並みというか、それは西独のことでありますかう、あるいはほかの産業、まあ十大産業並みということになると思いますが、そういうことがこの中に含まれておるかどうかということなんです。
○国務大臣(石田博英君) ちょっと委員長。誤解を招くといけませんので、明確にしておきたいと思います。私は、鉄鋼産業はいま全労働賃金の最上位にございます。しかし、それに近づけていくのが妥当であるとかないとかということよりは、石炭産業に従事している人の労働の質量から比べて、少なくともいわゆる十基幹産業の、かつてわが国でも上位にあり、それから諸外国においては先ほど申し上げましたような地位にあるのでありますから、少なくとも十基幹産業の水準にだんだんと近づいていくという希望を持たせることが必要なんだということを申し上げましたので、一番上にある鉄鋼にということを申し上げたのでございませんから、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。 それからもう一つ申し上げておきます。七%というような数字がいろいろ試案検討されているかのごとく新聞に出ておりますが、それは有沢調査団がいろんな報告をなされる過程においていろいろなことが出たと思うのでありますが、まだそれが最終のものとして出ておりませんので、これは私のほうから申しますと、やはりそういう固定した観念でいきますと、たとえば他産業が五彩である場合にはそれでけっこうでありましょうが、そうでない場合は近づいていくということにならない。六%でも近づいていくということになるでしょうけれども、そうはいかない。したがって、そういう固定した考え方で一体いいのかどうかということになりますと、私は固定した観念では、これはどうも処理できない問題じゃないだろうか。やはり他産業の上がってまいります水準、それとの関連において考えるのが先ほどから申しました趣旨に近いものでないだろうかと私は考えております。試算の過程で出たということは聞いております。聞いておりますけれども、それが結論だとは承知していないことも申し上げておきます。
○阿具根登君 通産大臣、答弁を……。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま労働大臣から詳細申し上げたわけでございますが、私ほんとうにそういう試算のことも聞いておらないのでございまして、いま局長からも聞きましたが、別に結論に至っておらない、こういうことでございます。
○阿具根登君 それではどうも質問がしようがないんですが、それじゃ総理大臣にひとつお答え願いましょう。 三百円、二百円という値上がりが新聞で発表されておりますが、まだ答申はされておらないけれども、私はこれはもう動かない数字だと思って、その観点から話を進めていきたいと思うのです。そういうように炭価その他を一切政府で縛るならば、その中で労働者の賃金が幾らだということが入っておるはずなんです。そうでなかったならば、そういう数字が出てくるわけはないんです。そうすると、賃金は労使間だということを言われるけれども、政府がそれだけのワクをきめてしまうならば、労使間はあくまでも紛争を続けていかなければならぬ、そうしてだんだん人は減っていく、こういうことなんです。だから、もう現在は労働者が足らなくて十一万名を切ってきた。だから、ひとつこういう際に、労働大臣が言われましたように、労働者が炭鉱に魅力を持てるようにということについて総理大臣の考え方をお聞きしたいというのと、総理大臣はかねがね人間尊重ということを言っておられます。人間尊重というたてまえから、炭鉱の坑内でこれだけ危険な仕事をしている。年々四百数十人死んでおる。特に去年は三池で四百五十八人の人が一ぺんに死んでおる。そういうところに働く人の保安状態あるいは生活環境、こういうものは他産業と比べていまのような低位にあっていいかどうか。おそらく労働大臣はそれじゃだめだ、それじゃ人は集まらぬと言っておられる。それならば、答申の線がいかにあろうと、労働者の人間尊重、特に坑内で働く人の人間尊重という線に立って、魅力のあるように、みんなが喜んで炭鉱で働いてもらうように、少なくとも十大産業並みに引き上げるべきであるということを私ははっきりとさしてもらいたいと思うのです。 つい昨日ですか、年末手当の中労委の案が出て、三万九千円で妥結したと新聞で承知しております。坑内で営々と働いて、そうしてたくさんの死者を出し、あるいはけが人を出し、病人を出して、他産業が六万、七万というときに、三万九千円で妥結をしていかねばならぬ。しかも、その三万九千円がまるまる金をもらえるかというと、なかなかそれができずに、半分は組合が労働金庫に御相談を申し上げて支払わねばならぬ、こういう実情にあるわけなんです。こういう点について、総理大臣と大蔵大臣からひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 石炭産業につきましては、御承知のとおり、政府としても他の私企業にも類例のないような手段を行なっておるわけであります。でありますが、国内産業とはいいながら基幹産業でもありますし、また、日本が現在までこのように経済発展の基盤にもなったことでございますし、しかも、エネルギー政策からいっても重要なものでありますし、これをまたただ安い原油にだけ切りかえるといって、外貨問題、国際収支の上からいっても問題がありますので、非常に広い立場から十分に慎重に考えた結果、答申の線に沿って政府として財政上可能な限り最大の努力をいたしてまいったことは事実でございます。これは他に類例がないというほどの処置をとっております。 なお、第二の問題として、それでもなおうまくいかないということでありますので、第二の答申を求めておるという段階でありますので、答申が出ましたら、私たちもできるだけこの答申を尊重していきたいという基本的な考えでございます。しかし、財政当局から考えまして、いまこの新聞に出ておるようなものが答申になるのかどうかわかりませんけれども、こういうふうな答申が出た場合に、一体財政当局としてこれをのめるかどうか、いわゆる利子補給の問題とか、それから価格補給金の問題とか、こうなると、全く国営産業と同じような状態になる。もう私企業の範疇に入るのかと思うくらいにいろいろな問題があります。財政上も一体できるのかどうかわからない。しかし、その新聞に出ておる数字であっても、労働者に対する待遇が必ずしもいいものではないということもあなたがいま御発言になっておることも理解できますし、しかし、それだけに非常にむずかしい問題だ、こういうことでございますので、ここで答申がまだ出ない前にああいたします、こういたします、こうはいたしませんということを申し上げるよりも、非常に調査団が苦労しておられますから、この調査団の答申を静かに待って、この答申が出た場合政府はこれに対して可能な限り最大の努力をする、こういうことで理解をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣がお答えしたことでよく御理解をいただいたと思いますが、有沢調査団がただいま調査の取りまとめ、報告書の取りまとめに一番苦心しておる際でございます。したがいまして、とやかくいま政府がいろいろな意見を発表するよりも、その調査団が公正にでき上がることを持つ、これが一番望ましい姿だと思います。しかし、それぞれ関係の方々が関心を持たれることは当然でありますし、また、政府もそれぞれの省におきましてその立場立場に調査団の報告書がいかに出てくるか、そういうことでたいへん心配もいたしております。私は、そういう取りまとめを最後にするという立場にございますので、調査報告ができるだけ早く出て、しかも予算編成の時期でございますかう、なるべく早く出てくることを希望しますけれども、それかといって結論を急いで実情に合わないようでも困ると、かように思います。阿具根さんすでに御承知のように、また、ただいま田中大蔵大臣から説明いたしましたように、過去における石炭産業、これに対する政府の考え方、またその育成方法、これはたいへん至れり尽せりであったんではないかと思います。しかしながら、十数年来、事情も変わってまいりました。経済界の激変を来たして、そうしてかつての非常に強固な基盤に立っておる石炭産業といえども、新しい立場からいろいろ悩みを持ってきたように思います。これは、政府も、また経営者も、また労働者も、三位一体となって、そうしてこの事業の確保といいますか、そういう方向に努力すべきだと思います。国のエネルギー政策から見まして大事であることは申すまでもないのであります。また、そういう意味で政府も努力もし、また経営者も非常に骨を折ってきたと思います。ただいま言われておりますごとく、これが私企業である限りにおいて、また私企業はいいと思いますが、私企業である限りにおいては、やはり労使双方がその事業をもり立てる、その立場に立って、そうして納得のいく方法ですべてのものがきまっていくことが望ましい姿だと私は考えます。ただいまその労使双方の関係だけにたよるわけにいかないから、そこで有沢調査団のような第三者をもって構成されておる調査報告を求めて、そうして政府も所要の補助手続をしようと、こういうのであります。したがいまして、それぞれの立場においてそれぞれの要望もあることだと思いますが、置かれておる現況、現在はまことにきびしい状態になっておる。石炭産業自体もかつてのような事態とはよほど変わってきておる。それで労使双方とも自分たちの事業を守り抜く、そういう立場でふるい立っていただきたいし、また、それを持続し、長く続けていくと、そういう立場でこの石炭産業の基盤の強化もはからなければならない。そういう意見の政府の所要の保護、援助、これはもちろんすべきだと思います。要は、有沢調査団の報告書、それの提出を待ちまして、政府が最終的な態度をきめていきたい、かように思います。
○阿具根登君 そういうことはわかるのです。人間尊重というたてまえから、いまのような炭鉱労働者の環境であっていいかということを私はあなたに聞いているのです。そういうことは、労働大臣が言っているように、少なくとも十大産業並みにいかなければ、炭鉱の労働者の生活環境、作業環境というものに対する対策にはならないだろう。だから、その点を聞いておるわけなんです。 それから、いまのような、まあ答申がどう出るかわかりませんけれども、新聞で見たような答申であるとするならば、これはこの一年後、二年後には必ずこれ以上の問題が出てくる。あるいはそれを待っておられるんではないか、こう思われる。極端に言えば、私企業では限界があってもうやっていけないと、こう思うのです。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が人間尊重ということを唱えておりますのは、石炭産業ばかりがそれは特殊な地位にあると、かように言うこともないだろう、私は全部がもっと人間尊重の立場において政治が進められてしかるべきだと思う、かような一般的なことを申しております。それぞれの立場にある人がまた身につまされた言い方もされるでありましょう。それらのそれぞれがもっと生活環境の改善をはかっていく、これがどこまでも公正な立場であってしかるべきである、かように思います。特に人間尊重の立場において石炭産業従業員だけ特別な工夫をしろとおっしゃることは、私の人間尊重というのとはやや違ってまいりますが、とにかくこの炭鉱従業者が特別に非常な苦しい状況にいる、そういう点は先ほど来労働大臣も考えておりますから、労働大臣の所見に従うつもりでございます。 また、その産業の給与を幾ら幾らにしろと、かような点を申しておられますが、私は、先ほど来、この産業を持続することが労使双方の方々の責任ではないか、また政府もそういう意味でこれは大事なことだと、こういう抽象的なお答えをしたのでありますけれども、幾らの給料がいいとか、かようなことは私は申し上げたつもりはございません。もちろんその事業がりっぱに繁盛し、そうして栄えていく、そうしてどんどん給与が上がってくること、これはたいへんけっこうなことで、そういうことを希望いたしますが、それぞれの産業にそれぞれの特異性がございますかう、そういうことは長い目で見ての将来の目標をどこに置くか、こういうことについては先ほど石田労働大臣が申しておるように、これは十大産業のうちに伍して、そうしてその地位を固めるようにしたいと思うが、ただいまの状況においてはただちにどうこうとは私は言えない。これはよくおわかりで、私の話が抽象的でございましたけれども、そういう意味でございますので、御了承いただきたいと思います。
○阿具根登君 もう時間がきたからやめますが、人間尊重という場合に、一般的な尊重で、炭鉱だけをとっておらないと。いま炭鉱の問題を私は論じているわけなんです。あなたが一ぺん炭鉱労働者と同じような立場になって坑内に下がってみませんか。そうしたらおわかりになるだろうと思うのです。 もう時間がないから、これで私は質問を打ち切りますが、物価問題で質問をしようと思ってたくさんの大臣の方においでを願いまして、質問をできなかったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わります。
○委員長(寺尾豊君) 阿具根君の質疑は終了いたしました。 午後一時二十分再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十八分開会
○委員長(寺尾豊君) 予算委員会を再開いたします。 委員の変更がございました。井上清一君、和泉覚君が辞任され、小林英三君、浅井亨君が選任されました。 ―――――・―――――
○委員長(寺尾豊君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。田畑金光君。
○田畑金光君 私は民社党を代表いたしまして、最初に外交問題、次に内政問題について若干お伺いしたいと思います。 最初に、午前中いろいろ議論がありました中国問題について、佐藤総理並びに椎名外務大臣にお尋ねいたしますが、率直に申しまして、質疑応答を伺っておりましても、佐藤総理の中国問題に対する態度は、言葉は多いが、実体が何なのかということが明確につかむことができないわけです。ことに、衆議院においても、また本参議院におきましても、佐藤総理も外務大臣もよくよく、しばしばにわたりまして答弁を取り消しておられるわけであります。 まず、第一にお尋ねしたいのは、佐藤総理は、先般組閣されました直後の記者会見で、中共、国府のいずれもが、中国は一つだと言っているとき、中国は二つだと言うのは内政干渉だ、こう述べられまして、それを衆議院の外務委員会でまず取り消しておられますが、なぜ取り消されたのか、その事情を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 取り消したと言われるが、中国は一つだということは取り消してはおりません。ただいまそのことを第三者、他国がとやかく言うことは内政干渉だ、こういったことは、ことばが言い過ぎだということで、内政干渉だということだけは取り消したということがございまして、全体を取り消したわけではございません。誤解のないように願っておきます。
○田畑金光君 佐藤総理の先ほど来の御答弁を通じ、また感じましたことは、特に衆議院段階においては、中国問題については各界の意見を聞いて決定する、こう述べておられますが、各界とは何なのか。特に、来年一月早々にはジョンソン大統領と会見されるわけでありますが、それまでに中国問題についての佐藤総理としての明確な方針を立ててお話し合いをなさるつもりなのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今日まで私は池田路線を踏襲しておった、今後の時点については、これから流動する情勢など十分考えて、そうして慎重に扱っていく、こういうことを所信表明でも申しております。同時にまた、こうしていろいろの御意見の出るのを静かに聞いているのも、各界各層の意見を聞いているその姿でございます。また、もちろん国際連合に加入している各国の意見なども十分耳をかしてみる、しかる上で腹がまえ、腹づもりをきめていこう、こういうのでございます。
○田畑金光君 党首会談ということを過般言われておりましたが、特にアメリカに行かれていろいろ重要問題をお話されるならば、党首会談などということも、それこそ各界の意見を聞く最もいい機会であろうと思いますが、その点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 必要があれば党首会談も考えるということでございます。ただいまこの問題で直ちに党首会談をするか、こう聞かれれば、まだそういう考えには固まっておりません、かように答えます。
○田畑金光君 各界の意見を聞かれるといっても、自民党には自民党としての中国政策があるはずです。特に佐藤総理としては、従来の自民党の中国政策について大きな転機が来ているかう、これについて検討しようという心づもりで各界の意見を聞くと、こういうふうにお話になっているのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この種の問題は一定不変というわけにはなかなかいかない問題でございます。流動する情勢にも対処していろいろ慎重に考えていかなければならない。このことは、私が所信表明で、外交の面で自主平和外交を展開する、かように申しておりましても、やはり情勢の変化という、それに対処していく、その心がまえがなければいけないのであります。だから一定不変だと、かようにきめつけられることは、これはたいへん迷惑でございます。
○向井長年君 関連。いま田畑委員の質問に際しまして、総理は、各党の党首会談、これは必要があれば聞く、こういうことを言われたんですが、どういう場合に必要があると考えられるのか。一般世論のやはり各党は国内的な代表である、こういう立場から、来年早々アメリカでジョンソン大統領に会われる前に、国内の世論という問題を、必要があればということは、どういうことで必要があると感じられるのか、その点をお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 必要があればは、必要があればでございます。そのどういう場合に必要があるのかということを聞かれることは、私はたいへんむつかしいお答えになるように思います。これは私がそういうことを認定したときにお話をするということであります。
○向井長年君 国内世論を佐藤総理は一応胸におさめて会われるんじゃないかと思うんです。そうして国際的な各国の情勢もにらみ合わせて最終的な判断をきれると思うんですが、国内世論の統一という問題については、これは当然必要じゃないですか。必要があると認定したときはと言うが、その認定はどういうところに根拠を求めて認定するのか、再度お尋ねします。
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんむつかしいお問いでございますが、どうも私必要があればそのときにやる、どういうとき必要なんだと言われるが、ちょっとまだただいまそういう状況でないので、私自身まだ党首会談を計画するという気持になっておりません。さように御了承いただきます。
○向井長年君 国内世論をどういうように佐藤総理は把握するつもりなんですか。各界と言われるが、国内世論はどういう各界の層からそういう意見を聞いて把握されようとするのか、質問いたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 各界各層の意見は、もうすでにはっきりしておるものもございます。たとえば共産党の諸君は何を主張しておるか、これは私が把握できないわけはございません。あらためて話し合って、しかる後にわかるわけでもございません。民主社会党の方々のかねての中国問題に対する主張も私は承知をしておるつもりでございます。したがいまして、そういう事柄がその後変われば別でございますが、ただいまのところはっきりしておるものを、あらためて聞く必要はないことじゃないか、かように思います。
○田畑金光君 けさ、椎名外相は国連総会に出られてお帰りになりましたが、帰られたその談話をお聞きいたしますと、総理の指示に基づいて、ラスク国務長官とは日本の特殊性につい話し合ってきた、そう言っておられます。特殊性とは何でございますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 特殊性というのは、どういうことであるか、私も……新聞に出ておったのであります。
○田畑金光君 答弁になっていない。私が聞いておるのに、私に聞いたら答弁にならないでしょう。何ですか、あんたに質問しているんですよ、私は。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、特殊性……どうも私もはっきりしないんですがね、たとえば中国なら中国の問題に関して、日本は特殊の立場をとっておると、たとえばです、そういったようなことの特殊性について御質問でございますか。ちょっとただ特殊性と言われてもわからないんです。
○田畑金光君 そうじゃなくて、日本の中国に対する関係は、アメリカの中国に対する関係とは別個な特殊な事情にあるという問題を説明なさったと、こういうことです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それならばわかります。ただ特殊性ではわからない。それは、日本と中国との多年にわたる歴史的な関係、あるいはもう同文同種とか言われますが、そういったような文化交流が多年にわたって行なわれておったというようなその事実にもっぱら基因するものと考えられるのでありますが、そういう意味においては、他の国と特別な別個な一つの国民感情と申しますか、民族感覚と申しますか、そういうものを持っておるという点からいって、これは特殊性であると私は考えるのであります。そういう点につきまして若干の意見を申し述べたつもりでおります。
○田畑金光君 その主張に対して、ラスク長官は何と答えたのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お互いに腹蔵ない意見の交換をいたしまして、必ずしも結論を一致させるように討論をしたわけじゃないので、大部分はもう聞き流して、そうか、ということであります。
○田畑金光君 佐藤総理は、外務大臣のいまの答弁で御満足ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外交問題の経緯は、なかなか一々詳しく御説明を申し上げることは困難でございます。また、言わないのがただいままでの慣例でございますので、ただいま椎名外務大臣がお答えしたことがたいへん要領よくか要領悪くか、そういう御答弁をしたことについて御不満だと思いますが、しかし、外交交渉は、相手方のあることも当然でありますが、この両者の間でどういうやりとりをしたか、これはなかなか詳しく説明をするということは、外交の礼譲にも反することでありまして、それはとらないのであります。私は、別に外務大臣から報告を伺っておりますので、外務大臣はりっぱにその役目を果たしてきておる、かように考えております。
○田畑金光君 佐藤総理に私お尋ねしますが、あなたが今度アメリカに行かれてトップ会談をなされるわけでありまするが、その際も、いま外相の答えたように、日本と中国とは近いのですよ、歴史的な関係もありますよ、同文同種ですよ、というただそれだけの特殊性を主張してお帰りになるつもりなのか。それとも、中国政策についてはこのような行き方で日本政府としては行くのですよ、という建設的な政策をひっさげてジョンソンとの会談に臨まれようとするのか、どっちなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣も、日本の特殊性を、その立場に立って日本の自主外交を展開してまいった、かように私は伺っております。報告を聞いております。今回私が出かけるにつきましても、ジョンソン大統領とはそういう立場に立って、いわゆる特殊な立場にある日本の総理としてのその立場に立って、十分私のほうの主張を相手方をして認識させたい、十分話し合っていきたい、かように思っております。また、アメリカ側にいろいろな意見があるでしょうが、それもまた十分腹蔵なく聞き、そうして両者の間でお互いに意思の疎通をはかり、もっと了解点に達することができるものは了解点に達したい、かように私は努力してまいるつもりでございます。
○田畑金光君 重ねてお尋ねいたしますが、要するに、総理としては今日の情勢に立って、あるいは今後の世界の、あるいはアジアの動きを見通しなされて、新たな立場に立って中国政策を進めるが、そういう問題店について、あるいはそういう政策の方向についてジョンソンと会談なされる、そういう意味でございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、日本の立場に立って、日本の総理としての立場に立って、十分意見を交換してくる、こういうことでございます。
○田畑金光君 椎名外務大臣にお尋ねいたしますが、あなたはこの間来、こういうことを委員会等で答えております。中共に代表権を認める当然の結果として、国民政府が国連から追放されるという考え方には、従来どおり反対である、こう述べておられますが、これが対中国政策の基本的な方針であり、今後ともこの基本的な方針で処するということになろうかと考えるが、その点もう一度確認しておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまの段階においては、中共の代表権を認めるその反面において当然中華民国を国連から追放するという一連の問題については、従来どおりの主張を変更をいたさないつもりでございます。
○田畑金光君 ただいまのところは、ということでありますが、ただいまのところはというと、将来変更することもあり得ると、こういうことで解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私は、あくまでただいまの現実の当面する段階についての所見を申し上げたのであります。
○田畑金光君 だから私は、その基本的な立場は、将来ともそういう立場を政府としては貫くのかどうか、これをお尋ねしているわけです。佐藤総理の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう衆議院においても、予算委員会におきましても、私がたびたび答えたことであります。ただいままでの現時点における私の考え方は池田路線を踏襲している、これははっきりしている。これから先のことはまだ申し上げる段階ではございません。かようにお答えをいたしております。田畑さんに対しても、前質問者に対すると同じようにお答えいたしてまいります。これは別に変わりはございません。
○田畑金光君 椎名外務大臣は、衆議院の予算委員会において、次のようなことを答弁の中に申しております。「中共加盟を認めることが、他面において台湾における中華民国政府を国連から追放するということになることは、少なくとも現状のバランスをくつがえすことになりまして、そこに極東の平和あるいは政治的安定に多大の亀裂を生ずるゆえんでございますので、これは、われわれとしては認めることはできない」、と明確に言い切っております。総理はこの椎名答弁についていかようにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) けさほども答えたとおり、そのとおりでございます。
○田畑金光君 そうしますと、端的に申しますならば、この椎名外務大臣の二つの答弁を通じて言い得ることは、台湾政権の国連における議席が確保されるという前提で中国の国連加盟の問題が処理されるとするならば、そういう段階においては、日本政府としても中国の国連加盟を支持する、こういうことになろうかと考えますが、この点、明確にひとつ政府の方針を示していただきたいと思うんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) けさほど来申しておりますように、私は、中国は一つだと、こういう考え方をしております。そうして日本と国民政府との間に平和条約があることもはっきり申し上げました。その意味において、私どもは国民政府に対して国際的な義務があることもこれは明確であります。しこうして、現実は中国に二つの政権がある。その二つの政権があるために、その代表権をめぐっていろいろむずかしい問題が起こっておるのであるということを、よく詳しくお話をしたはずでございます。そういう状況のもとにおいてこれからいかにしていくかということ、それは、ただいまから先はわかりません、ということを申し上げたのであります。今日までのところははっきりしておるということを申したのでございましてそれより以上お問いになりましても、ただいま、これから先の問題はないのでございますからまだ考えがきまっておらないのでございますから、それはお答えするわけにまいりません。
○田畑金光君 これまでのことは私たちもわかっておるわけです。これからどうするかということを聞いておるわけです。それが政府の方針であり、政策であり、また、頂上会談において佐藤総理がお述べになる方向だと思うんです。その方向はいかにあるべきか、どういう方針でいかれるかということを私はお尋ねするわけです。椎名外務大臣の先ほどの二つの答弁を総理も率直にお認めになるならば、国民政府を国連の議席から追放することは、極東の政治的な安定をこわすから、政府ほどこまでもその行き方に反対する、――はっきりその前提があるわけです。その前提が見通されるならば、中国の国連加盟についてはまた弾力的に処置していこうとする態度をすでに答弁の中にきめておるわけでありますが、この点はどうなのか、こう聞いておるわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは幾らお責めになりましても、先ほど来申すとおりでございまして、ただいまその現実にある二つの中国、さらに私どもが国際的な義務を負っている相手国、それをいかに調和するかというところに問題があるのであります。ただいま言われるような姿になかなかならないのではないか。ただいま言っておりますように、中共承認の諸国がみんな申しておりますのは、国府を追放して、そして中国、中共がこれに取ってかわるという言い方をしておる。これは私どもは、たいへんなことだ、それこそ東洋の平和にも関する重大な問題だ、だからこそ重大問題としてそれは取り上げなければならない、ということを申しておるのでありまして、この日本の考え方は、池田内閣から佐藤内閣になりましても、また椎名外務大臣にかわりましても、変わらない不動の考え方でございます。問題は、要点はただいま申し上げるようなところにあるわけでありますから、いま、それから先はどうなるのかと、こう言われましても、今日のような状況で、中共が国民政府にとってかわる、国民政府追放のような形においてこれが処理されることは、これはたいへんな問題だと、かように思いますので、ただいま重要問題ということを提案しておる第十六回総会において提案した、こういういきさつがあるわけでございます。今日もその関係において変わりはございません。
○田畑金光君 重要事項であることが、いま総理の述べられた前提であるとするならば、日本政府が国連において、中共加盟の問題を重要事項として取り上げられるということは、そもそも国府にかわって中共が国連の議席を確保することについては、現段階においてはいれられない、こういうことになるわけでありまするから、したがって、重要事項というのは、率直に申して、中共の国連加盟を引き延ばす手段として利用しておるにすぎない。それは、椎名外務大臣が衆議院で答えて、そしてまた総理の答弁を通じて訂正させられた、こういうことになっておりますが、むしろ率直に正直に答えているのは椎名外務大臣だと思うのです。総理の態度は、答えは、単にことばを多くして表面を糊塗しておるにすぎない、こう言われてもしかたないじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、国連加盟国全体がきめる問題であります。いいですか、国連加盟国全体が、いわゆるこの国連加盟国によって祝福される状態で中共のこの問題が解決するならば、これはもう私どもも何にも言うことはないのです。だから、この点をよくお考えをいただきたいのであります。三分の二というこれが重要問題の採決の方法だと、このことは、国連大多数の方々が賛成される、いわゆる中共が祝福されて、そうして加盟が決定する、こういうことだと思います。したがいまして、いま三分の二の数がどうとかこうとかいう問題じゃなくて、これで国連加盟の諸国の考え方が、その方向が定まる。かようにお考えをいただきたい。これは日本だけの考え方で、これは中共承認をはばむのだ、そのためにこれを提案しておるのだと、かようなことは言い過ぎだと思います。私は、どこまでも国連というものが全体の、総体といいますか、大多数の方々の、大多数の国の意向によってこの問題がきまるということが望ましい姿だと、こういうことを申しておるのであります。したがいまして、在来からの方針に変わりはございません。
○田畑金光君 椎名外相は、これまた、けさほどの新聞を拝見しますと、中共の国連加盟問題はきわめて流動的であると語っております。重要事項指定の問題も同じだと言っております。流動的だ、何ですか、これは。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 流動的ということばですが、これも新聞にあるいは出ておるかもしれません。中共加盟を受け入れるかどうかという問題については、加盟国の票読みが国によってまちまちである、これが事実だと思います。しかも、時がたつに従って、それが票読みが必ずしも一定しない、流動する、こういう状況だと思います。そういうことを私がしゃべったことが、あるいは新聞に出ておるかもしれません。たぶんそういうことではないかと思います。私が話したとすれば。(笑声)
○田畑金光君 椎名外相にお尋ねしますが、中国問題については、あなたは国連に行って、票読みだけをあれこれと話をなさって、票読みだけを検討してきたわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、決してそういうわけじゃありません。
○田畑金光君 それじゃどうなるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中共代表権の問題がどうなるかというお尋ねだと思いますが、これは一月、あるいは二月以降にいよいよ表面化する問題だと思います。どうなるかは、私も予測がつきません。単純投票の場合はどうか、あるいは重要事項方式によってやった場合にはどうか、おのずから結論は二様に出てくると思いますが、これはまだ予測がつきません。それだけです。
○田畑金光君 単純投票でいこうというのか、三分の二投票を支持するのか、どっちなんです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それは申し上げるまでもなく国連代表権問題は、きわめて重要な問題であります。従来から日本といたしましては、重要事項としてこれを取り扱うべきであるという主張を変えてはおりません。
○藤田進君 関連。われわれ委員側には、時間という制約があります。外務大臣、よく記事で見るのですが、新聞などでとぼけるという字がよく出ております。ほんとうにとぼけているのか、それが正真正銘なのか、私は実際よくわからないのです。いま田畑委員の聞いているのは、「流動性」ということをあなたはよく言う。それから、総理の所信表明の中にもはっきりと「流動性」というものが出ているのです。衆議院では「激動」という成田書記長の質問に対しては、社会党のために「激動」と言ってくれるなと、そんなところまで総理は答弁しているのですね、私も聞いておりましたが。この流動性についてどう考えるかという意味は、これは流動している以上、外交が今日の時点ではどういうことを強調されるか。あすの時点においては、その流動に対応し得るということを意味するんだろうと私どもは理解していたのです。あなたが帰られてその中にも出ているので、田畑委員はそこをついている。流動性ということである以上、必ずこれに対応する外交政策――私が言うたとすれば、そうかもしらぬ。票読みであれこれ違うが、各国で……。その辺が流動性でございます――話にならぬじゃないですか。では、日本はどういう票読みをしているのですか、日本の票読みを聞きたい。流動性に対応するそのかまえというものを聞きたい。とぼけないで……。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 本件に対する日本の態度は不変でございまして、これはきわめて重要な問題であるがゆえに、重要問題としてこれを取り扱うべきである、こういうことであります。中共加盟問題に対する考え方が、国によっては変わり得る可能性が多分に出てきておる。しかし、日本といたしましては、それにもかかわらず、これは重要問題であるがゆえに重要事項方式によって決定すべきである、こう考えております。
○田畑金光君 そうしますと、総理の答弁と椎名外相の答弁とつなぎ合わせてみますると、要するに票読みの結果、三分の二以上が中国の国連加盟、あるいは中国の国連代表権を認めるという流動的な情勢が生まれた節には、日本もその動きに同調するという意味なのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 流動性といっても、いまたとえば、椎名外務大臣からお答えがありましたように、私はこういうようにとっております。ただいまの票読みよりも、いろいろな中国の加盟問題をめぐって意見が出ている。在来のような中共支持の諸国だけの意見でもなし、またそれ以外にもあるいはニューヨーク・タイムズ、あるいはアメリカの中でもある一つの意見を述べる人もある。あるいはまた欧州諸国のうちにも、別な主張をする人があり、国がある。こういうように、なかなか中国の問題について活発な意見がただいま出てきている。これをおそらく流動する国際情勢と、かような表現で見るべきではないかと思います。それがおそらく票読みにもなっていくであろうし、いろいろな形になっていくでございましょうが、ともかくも、いろいろな意見が出てきている。その姿は、私どももちゃんと了承しているわけであります。それだけに、このいろいろな意見が出てきているが、それでもなおかつこれが圧倒的な意見だというものは、まだなかなかきまらない。かように思いますので、そういう意味で、この動向をつかむことは非常に困難だ、かように私は思うのであります。しかし、この種の意見が次次と出ていることは、私は、中国問題を解決する一つの前進である。見方によっては大きな前進であり、何らかの解決をしようとしているこれは国際的なあせりの姿でもあると、かように私は思うのであります。 そういう意味で、かつて、この予算委員会でもお答えしたことでありますが、かような意味の、各方面から各種の意見が出ることは、たいへん歓迎すべきことではないか。私どもが最後の決心をする上におきましても、たいへん必要なことではないか、かようなことを私は申したと思いますが、今日も、この田畑さんのお尋ねに対しまして、私はさような意味ではないだろうか。いま明確に言われないから、なかなか議論が双方食い違っておりまして、意見が一致しないのだが、おそらく田畑さんのお尋ねも、ただいまのようないろいろな意見が出ているが、それに対してどういうように考えるか、こういうことだと思います。私はそういう意味では、中国問題解決への一つの進歩だろうとかように思います。進歩といっていいか、少なくとも、中国問題の、中国の加盟問題が発展しつつある、こういうことは言えるのではないか、かように私は思います。
○戸叶武君 関連。私は、これは内閣のほうの答弁の交通整理をしないと、実際これはけが人が出ると思う。それは佐藤さんでも椎名さんでも、二つのパラドックスの上に立っている。その一つは、一つの中国を堅持するか。現実問題としては、二つの中国の政府があるということを認めなくちゃならない、国連から国府を追い出すのは反対だ。このことは、いわゆる二つの中国論につながっているのです。それからもう一つは、重要事項指定方式は引き延ばしではないと言うが、現実的には引き延ばすという結果を生んでいる。それですから、椎名さんが言うような論理が出てくるのであって、流動する世界に対応していくための不動の姿勢だ。流動してくる世界に対応するには、もっと柔軟なものを持たなければならないのだが、国連でやった演説は、動きのとれないような結果を生んだのではないかと思う。 結論を急ぎますが、佐藤首相の言わんとする点は、中共の国連加盟には賛成だ、そういう表現を総理大臣として言えないかもしれませんが、賛成だ、この問題を円満に解決するためには、賛否両論が世界で対立しているのだから、重要問題としてしばらく時をかしてもらいたいというような、こういう非願が心の中に秘められているんじゃないか。これは善意の解釈だが、逆に、いままでの表現だと、何か中共を国連加盟から阻止してるような方向にだけ佐藤内閣が行ってるような印象しか受けない。こうなると、せっかくの意図というものが私は中国側には通らない。われわれにも通らないんだから、世間でもそういうふうに受け取れないんだから、これは重大な問題だと思います。みんなが繰り返し繰り返しこの問題に集中して質問をしているんですが、堂々めぐりしてたんじゃ、ますます迷路に入っちゃうから、もう少し明快に答弁してもらいたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 何度申しても同じことなんですが、ただいま戸叶君が善意の解釈だと言われているが、まあ善意の解釈があったり悪意の解釈があったり、いろいろするようですが、しかし、政府として今日までとっておる態度、今日の段階においてとっておる態度、これは国連において椎名君も演説してきたばかりでございますが、私が重ねて申しますが、在来の方針を踏襲しておるということでございます。いわゆる流動する国際情勢に対処して今後いかにするかということは、まだそれについてはきまったものがございません、かように申しておるのでございまして、それを善意にあるいは悪意に、かようにとられないで、そのままをひとつお聞き取りいただきたいと、かように思います。
○田畑金光君 先ほどの佐藤総理のお答えの中に、非常に重要な問題も含んでおるように看取いたしますが、そこで私、時間の関係もありますので率直にお尋ねいたしますが、総理の先ほどの答弁の中には、アメリカの中にも、政治評論家等の中にはこうこういう意見もある、流動しておるよくそれは認めます。カナダが第十六回の国連総会においてこういうことを申しております。中国代表権問題の公正な解決を目的とするいかなる提案も、慎重に検討する用意があるが、台湾の政治的統治体を力で消滅させるような解決は受諾し得ない、台湾住民の自決権は保障すべきであると述べ、本年九月の東京における日加会談においても、マーチン外相は同趣旨のことを言っておるわけです。この考え方は、御承知のごとくイギリス労働党政権の考え方であり、スカンジナビア三国の考え方でもありまするが、こういう考え方について、総理としてはどういう御所信であるのか、率直に承りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 率直にお答えいたしますが、との種の説を論駁しない、その態度をとっております。
○田畑金光君 論駁しない――そういうことで、私は一応総理の考え方も了解できたような感じもいたしまするが、わが党といたしましては従来、中国は一つであり、それを代表する政府は北京政府である、わが国はこの観点に立って、まず国連において中共の代表権を認め、かつ台湾の暫定的地位を認めることに重点を置く、すなわち台湾については、その最終的な帰属は、有効な国際管理のもとに住民の意思を正当に表示する機会を与え、その意思を尊重して最終的帰属を決定する、右の方針に立ってわが国は自由陣営の意見の調整、特に米国と台湾の説得につとめる。――ことに私は、来年総理がアメリカの新政権ジョンソン大統領と会われるならば、当然日本の立場において、しかも世界的にも、特にアジアの問題として一番重要であり困難なこの問題について、前向きに建設的に処理しようとするならば、先ほどの椎名外務大臣のようなふまじめな答弁でなくして、もっと建設的に日本の行くべき道を明らかにされて、そういう立場において、ジョンソン大統領を説得するぐらいの気がまえで臨んでしかるべきだと私は考えますが、あらためて総理の御意見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 民主社会党のかねてからの主張は、私は存じ上げております。しかし私自身は、先ほど来申しておりますように、北京政府もまた国民政府も、中国は一つだと言っている。それをあえて幾つあるとかいうような表現はしません。こうはっきり申しているのでありまして、この点で基本的に民主社会党の諸君と立場が違っております。同時にまた、台湾の問題につきましては、わが方はこの領土権を放棄したという立場でございます。これがただ放棄しただけでありまして、それより以上発言する立場でない、こういう状態に置かれている、これはやはり守っていきたい、かように私は思っております。
○田畑金光君 私、台湾問題の法的地位の問題その他議論するつもりでおりましたが、予定された時間がきておりますので、私はやめるわけです。ただ、私は特に総理に最後に念を押しておいたのは、来年ジョンソン大統領と会見されるについては、あなたの中国問題に対する取り扱いはこうである、こうなければならぬ、したがってアメリカとも同調できない場合もあり得るだろうが、日本としてはこういくのだ、こういう立場でお話をする決意かどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、日本を代表して、日本の総理として出かけるのでございます。お尋ねを受けるまでもなく、私は日本の主張、そういうものを身に体して、そうして話し合ってみるつもりでおります。もちろん、短期間の間に結論は出ないかもわかりません。しかし、私は十分当方の主張を相手方に認識さしたい、かような意気込みで出かけるつもりでございます。
○田畑金光君 椎名外務大臣に今度またお尋ねしますが、あなたは、この間の国連総会で一般演説をなさりましたが、その中で、国連の待機部隊設置の動きは、時宜を得たもので敬意を表すと言明し、さらにすみやかに国連軍が常設されることを提唱しております。これに対して、佐藤総理の委員会における答弁は、明確でないのでありますが、国連軍創設の問題について、佐藤総理並びに椎名外相の御見解を、この際承っておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国連軍というものがどういうものであるか、まだはっきりいたしません。しかし、私どもが考えますことは、国際連合は、これは国際平和機構として十分働いてもういたい、そういう気持ちがございます。したがいまして、この平和機構としての働きを強化する、そういう意味のものであれば、一般的には賛成だ、こういうことを申しているのでありまして、もちろん、国連軍の機能なりその性格なりがもっと具体化すると、われわれが反対することがございますが、ただいま申し上げるような国際平和機構として働く、平和維持への協力をする、その主体になる、こういうものであるならば、私どもは一般的に賛成でございまして、こういう態度を申したのでございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国連軍設置の問題についての概括的な所見はただいま総理からお話しになりましたが、全然私も同感でございまして、これは重複して申し上げませんが、最近ソ連から提案されておりますのは、国連常備軍を設けるべし、しかしてその詳細な点を申し上げますと、この常備軍の一切の事項は安保理事会において処理すべきものである、経費の点につきましても、管理、運営、すべての点において安保理事会がやるべきである、こういうことでございまして、なお常任理事国はこの常備軍を供出しない、こういうようなこともうたってあります。で、これにつきましては、その常備軍を設備すべしというその根本的な思想については、全く国連の平和維持機能の強化でございますので、全然異論はないのでありますけれども、ただいまのこの安保理事会の運営のあり方からいいますと、常任理事国五カ国ありますが、その一国でも拒否権を行使すれば全然これは動かなくなる、こういうような状況をそのまま存置して常備軍をその国連の安保理事のもとに運営するということはきわめて困難な問題が生ずるのでありまして、常任理事国も兵を国連常備軍に供出しない、こういうようなことがあっては、なおざらそこにいろいろな不明朗なものがたくさん出てくるのでありまして、その根本思想においてはよろしいが、その細目にわたっては種々検討すべき問題が多々あるということを感ずるのであります。これに反して、北欧三国及びオランダあるいはカナダ等から提唱されておる国連軍の待機部隊――いざ国連が平和維持機能を発揮する、ある程度実力を行使しなければならぬというような場合には、待機部隊を供出して、そして国連の指揮下にそれを置く、そうして平和維持機能というものを大いに発揮していく、こういう提案が出ておりますが、これはまあ根本的な問題でありませんけれども、さしあたり間に合うという点においてはかなりこれは尊重すべき構想ではないか、こういうふうに考えるのであります。いずれにいたしましても、各国がその持っておる軍備というものを漸次縮小して、そうして完全な軍縮に到達する過程において国連に平和維持軍というものを常設して、そして国際紛争によってあるいは生じ得るこの実力行使、そういうようなものを未然に防止する意味においては、この国連平和軍の常設ということは、とにかくわれわれが終局的にはこれを考えざるを得ない、かように考えておる次第であります。
○田畑金光君 いや、外務大臣に私率直にお尋ねしたいのは、あなたは、国会における答弁を見ても、この問題については非常に熱心であり、積極論者であり、国連総会においてもこの問題を強く支持推進をされておられるが、そういう立場において、わが国の国内においても、国連待機軍ということになりましょうかどうか知らぬが、国連軍創設について国内の体制整備に政府は積極的にお取り組みになるのかどうか、端的にそれをお聞きしているわけです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういうものができるということを前提にして、さてわが国がこれに対してどういう関連性を持つべきであるかという点については、これは憲法上の問題にも触れてまいる問題でございまして、慎重にまあ準備のために研究中でございます。
○政府委員(高辻正巳君) 国内法制の問題の関連がございましたので、その部分を補足して申し上げたいと思います。 国連警察軍、特に待機軍と呼ばれておる毛のが国際的に各国で設けられておることについての外務大臣の御感想がございましたが、国内法制上の問題としては、申し上げるまでもなく、憲法その他の法制上の問題がございまして、国連待機軍と称されるものは、結局は国連警察軍と言われるものに各国がその部隊を派遣するということになる手段として実は置かれるものでございます。したがって、その場合には、国連の協力活動がいかななる部面にわたって行なわれるのかということを抜きにしては、実はその問題は解決することはできないわけでございます。そこで、結局は、そうなりますと、その国連活動の面を十分に分析し、心得まして、それぞれの場合についての研究をしなければならぬと思います。そういう意味で、私どもは、先ほど外務大臣のお話がありましたように、目下研究中、目下勉強中というところでございます。
○田畑金光君 法制局長官からせっかくお答えがありましたが、私がいま申し上げておる国連軍あるいは国連警察軍というのは、武力制裁をやるためのものではなくて、スエズ事件とかコンゴ問題に見られるような、いわゆる警察的な火消し役の部隊を求めておるわけで、局地紛争の拡大を防止するというのがいわゆる私は国連警察軍の任務だろうと考えておるわけです。そういう意味合いにおきまして、憲法のいわゆる国権の発動としての武力の行使という性格のものではないと考えておるわけで、そういう面における国連警察軍の創設ということが言われておるのがこの問題だと思いまするが、この点について、研究中研究中と言われておるが、どういう機関でどんな問題との関連で研究なさっておられるのか、あらためてお尋ねします。
○政府委員(高辻正巳君) ただいまお話がありましたので、問題がだいぶはっきりいたしましたが、私が先ほど申し上げましたのは、国連警察軍の活動というものをいままで見てまいりますと、これは田畑先生おっしゃいますような、単純に警察行動と言われるものもむろんでございましょうが、そうでないものも実はいままでの例から見るとあるような気がいたします。したがって、そういうものにまで国連待機軍と言われるものが出ていかなければならぬようなことになりますと、これはなかなか問題があるのじゃないか、そういう点を実は心配いたすわけでございます。しかし、おっしゃいますように、全く平和的な活動の部面にわたるというようなことであれば、これはおのずから問題は簡単になると思いますが、しかし、そういう場合でも、国際上におけるいろいろな問題でございますので、やはりその実態等と見比べていろいろ考えていかなければならぬ問題があるわけでございます。 どこで研究をしているかということでございますが、これは主として法制面では法制局でいたしております。しかし、また同時に、そういう各国の例とか、そういうものになりますと、それぞれの部局の資料等をちょうだいして勉強しておる次第でございます。
○田畑金光君 外相は、との間の総会で、領土問題を出されております、北方領土の問題。どうして沖繩、小笠原等南の島の問題については触れられなかったのか。
○政府委員(藤崎萬里君) 北方領土の問題をメンションした個所は紛争の解決に関する部分だったと記憶いたしておりますが、北方領土につきましては日ソ間に紛争があるわけでございます。しかしながら、沖繩につきましては、南方諸島につきましては、平和条約の第三条の規定がございます。これで、こういう状態は合法的であり、その点については紛争はなく、ただ日本といたしましてはできるだけ早く施政権を返還してもらいたい、自治権を拡大してもらいたい、そういうような話し合いが行なわれておる。そういう違いがあるわけでございます。
○田畑金光君 そんな事務的な答弁では満足できません。私がお尋ねしたいのは、従来、政府は、北方領土の問題は対日平和条約に署名した連合国の間で解決するということをしばしば言われていたわけです。しかるに、今回そういうような手続をとらないで国連でこの問題を出されたというのは、どういうことを考えておられるのか、それをお尋ねしているわけです。
○政府委員(藤崎萬里君) いまの北方領土の問題を申しましたのは、日本が放棄した千島列島に入っておらない択捉、国後、歯舞、色丹のことでございます。連合国間で相談してきめるべきことだと申しますのは、日本が放棄した千島、南樺太、こういう方面のことなわけでございます。
○田畑金光君 時間の関係もありますから、さらにもう一つお尋ねしておきたいことは、同じく一般演説の中で、安保理事会あるいは経済社会理事会の議席拡大の憲章改正についてはすみやかに批准手続をとろうじゃないかと呼びかけておられます。しかし、私は、憲章の中で日本としてまず改正を提唱すべきは、憲章五十三条、百七条という、いわゆる旧敵国条項をはずすことこそ具体的な日本の提案としてしかるべきじゃないかと考えますが、どうしてこういう日本の立場において主張すべきやつを主張されなかったか、これを外務大臣にお尋ねします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約の問題でございますので、条約局長から答弁いたさせます。
○政府委員(藤崎萬里君) 御趣旨はよく私どももわかりますが、できるだけ早い機会をとらえてそういう問題を取り上げるようにいたしたいと思っております。
○田畑金光君 外務大臣ひとつあなたの考えをお聞きしましょう。重要なこれは外交の大きな問題ですよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま条約局長から御答弁申し上げたとおりであります。
○田畑金光君 私は、次に日韓問題について若干お尋ねしますが、まず最初にお尋ねしたいことは、本年四月から中断された日韓の交渉が、八カ月ぶりに始まったわけです。佐藤内閣もこれに非常に生命をかけているような感じもしますが、ただ、またいつどんな事件が韓国国内等で起きて中断するかもしれぬ。そういうことを考えてみますと、やはり韓国の国内情勢をよく見ながら交渉を進めることが必要じゃなかろうか。そういう意味におきましては、どうして、わが国の代表部を韓国に設置する、これを前提として交渉を進めるような順序を踏まれないのか、これをまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 公館の設置問題については、かねてわがほうより提案したところでございますが、韓国のほうの国内事情からこの問題はしばらく待ってもらいたいというような要請がございまして、まあ一応これを受け入れて今日に至っておる次第であります。
○田畑金光君 韓国の国内事情というのはどういうことですか。そうして、また、いつごろしからばこの問題の解決ができるのですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 交渉の事実上の経緯だけ御説明申し上げます。 終戦当時、韓国の代表部がございまして、日本側はなかったものでございます、終戦以来。それで、講和条約発効のときにあたりまして、先方と実は交換公文をいたしまして、向こうの代表部を認めるかわりに日本側のソウルにおける代表部も認めるようにという交換公文があったわけでございます。ところが、その後、まず第一に朝鮮戦争が起こりまして、それを実施する段階に至らなかった。大体それが片づきましたので、こちらからさらに請求いたしましたのに対しましては、いま大臣から御答弁がございましたように、こうして交渉をやっておる最中にこの在外事務所というような形で国交が半分開けたような形になると、韓国の国民に対してもう懸案解決の努力を放棄するのかというような印象を与えまして、韓国の国内政治上非常に困るから、どうか国交正常化の交渉をまず急いでくれというので、向こう側が強く希望したわけでございます。しかし、こちらといたしましては、先ほど申し上げました交換公文のこともございますので、機会あるごとにこういう代表部を置くことが結局双方の意思の疎通をよくして国交正常化の交渉の促進にも役立つのだからということを申しまして、従来とも機会あるごとに要求しておりますのですが、いま大臣の御答弁のように、まだ向こうが承知してくれない、そういう状況でございます。
○田畑金光君 向こうの事情だけ聞いて、こっちの事情はさっぱり話し合いの結論を出し得ない、これでは話にならぬじゃありませんか。二カ国間の会談でございますから、しかも交渉を円滑に進めるためには、やはり相互に場所をかえてお互い話し合いを進めるといろのが外交交渉における一つの慣行だと、こう思うのです。そういう意味におきまして、向こうが事情があってどうだこうだ――日本の立場はしからばどうなんだ、日韓交渉においては日本が一方的に譲歩をやっておるにすぎないじゃないかという国民の強い不満あるいは批判があることに総理も御承知だと思いますけれども、この点総理はどのようにお考えになりまするか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日韓交渉に取り組みましてもうすでに十三年経過しております。この間に、いろいろ問題が派生したりして、非常に前途が暗い時期もございました。しかし、今日できるだけ早く日韓交渉を妥結して国交の正常化を樹立しよう、これは両国国民大多数の意向でございます。今日この意向を体して私どもも真剣に取り組んでおります。ただいま、いままでにも公館を開設したらもっと早く妥結したんじゃないか、こういう御意見でございますが、そういう見方もあろうかと思いますが、しかし、私ども両者の間におきまして、もう早く妥結して、それから後に本格的に公館を設置すればいいじゃないか、いまにも妥結しそうだということで、今日まで十三年もこれは経過したのでございます。まことに残念しごくであります。したがいまして、今日、この公館設置の問題よりも、本格的なほうの、本筋のほうの話を進めることに一そう力をいたしまして、そうしてりっぱな公館の開設と、こういう方向へ進みたいものだと思います。御承知のように、公館は開設はいたしませんでしたが、最近におきましては短期的に当方からも向こうに出かける、そうして向こうの情勢なども十分把握するような道が開かれております。これもやっぱり両国正常化への道をたどりつつあるのだ、かように思っておりますので、できるだけ早く早期に日韓交渉を妥結して、そうして本格的な国交を持つように、開始ができるように、そういう方向で努力したい、かように考えます。
○田畑金光君 総理のお答えは、そうしますと、代表部設置はもうたな上げをして、とにかく話し合いの解決を急ぐのだ、こういうことですか。そうしますと、先ほどの外務大臣の答弁と食い違っておるし、外相の答弁の中で、韓国の国内事情でその問題は処理できぬと言っているが、韓国の国内事情とはどういうことなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の説明で補足をいたしますが、ただいま申し上げまするように、本格的な国交の妥結をはかりたい、それに力をいたしたいと思います。そして同時に、そのことが公館開設にも通ずるわけでありまして、私は、公館を早く開設しろというお話につきましては、今日までも、たびたび当方からは要求してきた、しかし、それがいまにも妥結しそうだというふうなことで延び延びになってきた、しかし、あまりに長くなっておりますから、ただいまこれを補足的に、当方から出かけて、そうして、まあ事務所的なものを持っておって、短期の滞在で、人はかわりますが、そういう行ったり来たりして、そうして両国の国内事情なども把握しておる、こういう状況であることをいま説明いたしました。したがいまして、ただいま外務大臣が申しておりますように、公館開設、それにつきましては、私どもも本来の希望でございますけれども、しかし、たびたび申し上げますように、やっぱり日韓交渉妥結をすることが本筋でございます。それに力をいたしたい、かように申すのでございます。誤解のないように願っておきます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国内事情をあまりせんさくして申し上げることは、この際は控えたいと思いますが、とにかく、いま設置を急ぐということは、かくかくの事情で国内がなかなかまとまらないというようなことが、たびたび向こうから提唱されまして、それがつい延び延びになっている原因のように思われます。いま総理が言われまするように、だいぶ韓国の国内事情も整とんしてまいりまして、いまはもう一刻も早く本格的な会談を進めたい、こういう考えにこり固まっておる時期でございます。それをすなおに受けて、そして、この日韓会談をできるだけ早くまとめあげたい、そこにわがほうとしても力を集中しておるような次第でございます。御了承をお願いします。
○田畑金光君 若干請求権の内容についてお尋ねしますが、大平・金合意による三億ドル無償、二億ドル有償、一億ドル以上の民間ベースによる経済協力となっていますが、この有償二億ドルというのは、具体的にその内容はどういう内容なのか。長期の延べ払いとか、金利については一般商業べースより低いとか、そういうことが想定されますが、そうしますと、今回二千万ドルの対韓緊急援助をなされましたが、それと同じような内容のものと理解してもいいのかどうか。
○政府委員(西山昭君) 三億の無償、二億の有償の請求権に関しますと問題につきましては、一応大平・金了解におきまして、二億ドルの有償供与の内容は、経済協力基金から金利三分五厘程度、二十年程度の償還期限で十年間にわたって韓国政府に供与しようという内容が一応了解されておりますが、対象品目や具体的な手続の細目につきましては、まだ話し合いが行なわれていない次第でございます。なお、この二億ドルの有償供与は、請求権の問題の解決に関連しまして行なう経済協力でございますが、御指摘の二千万ドルの目下交渉中の信用供与につきましては、これは韓国の経済再建を助けようという日本政府の自発的な意思に基づきまして行なわれまする原材料、機械部品等の信用供与でございまして、二億ドルの請求権に関連します有償供与とは何ら関係ないものでございます。
○田畑金光君 最近、塩化ビニールとセメントのプラント延べ払い輸出がきまったと言われておりますが、これは一億ドル以上の民間ベースのものに入ることを二日の衆議院予算委員会で明らかにしています。そうすると、一億ドル以上の民間べースによる取引が実際に行なわれた起算時点はいつなのか。大平・金メモ以後、車両の延べ払いはこれに入らないが、今回のプラントについては一億ドル以上の民間べースに入ると政府は説明しておりますが、その理由はどういう理由でしょうか。
○政府委員(西山昭君) 大平・金了解におきましては、国会に配付いたしました資料の八項におきまして、三億ドル無償、二億の有償の請求権に関連しまする経済協力とは別個に、国交の正常化に関しまする請権求の解決の以前及びそのあとにおきましても、通常の民間べースの商業的な延べ払い案件につきましては協力しましょうと、こういう友好的な意味の意向が表明されておりまして、これに基づきまして、その精神にのっとりまして、御指摘の二件は、政府においても検討した次第でございます。一億ドル以上と申しまするのは、韓国側におきまして一億ドル以上というような数字の表明もございましたけれども、これは性格におきましては、通常の延べ払いのものでございまして、いわば青天井の性質のものでございます。したがいまして、そういう意味におきましては、PVCのプラントとセメントのプラントが入るということは――この性質に該当するということは言える次第でございますが、これは二億、三億の請求権とは何ら関係ないものでございます。
○田畑金光君 李ライン撤廃の代償として漁業協力ということが取りざたされています。韓国は一億ドル以上要求し、日本政府は七千万ドル限度を提案しておると言われているが、その直相をひとつ農林大臣から明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) お尋ねの、李ライン撤廃の代償ではございませんが、漁業の協力を要望されて、その協力として、いまの民間ベースで一億四千万ぐらいの要求がありました。いまは一億一千万ぐらいと言っております。それが話の途中におきましては、七千万ドルぐらいの民間ベースはいいのではないかというような話し合いをしましたが、これはきまっておりません。そういう話の途中で会談はそのままになってしまいました。
○田畑金光君 その点でお尋ねしたいのは、それは大平・金メモ以外の漁業協力という名目でまた別に金を出すのか、それとも、同メモによる民間協力一億ドル以上の中に含むのか、あるいは二億ドルの有償援助の中に含むのか、それほどうなのか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 大平・金メモの有償、無償、二億、三億には含みません。八項ですか、C項ですか、C項の一億ドル以上の民間べース、コマーシャル・べースという項の中に入ると、こういうふうに私のほうでは了解していますが、向こうでは、まだそういうふうな了解はしていない。
○田畑金光君 在韓商社に対する課税問題では、初め政府は反対をとっていましたが、その後、課税やむなしということで妥協されましたが、そのいきさつはどうなんですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 従来までの折衝の経緯を御説明申し上げますと、御承知のとおり、本年九月初めに、この在韓商社に対しまして、突然約二十六万ドルにのぼる法人税、営業税の納税告知書が参ったわけでございますが、それに対しまして、こちらのほうは、御承知のとおり、営業鑑札もないのにこういう税金をかげてくるということに異議を申し述べまして、税金を絶対に払わぬというのではないけれども、そういう点、法的根拠等について、いろいろ先方に陳情書、向こうの税務当局に対して、二回にわたって、現地商社が共同歩調をとりまして陳情書を出しておりまして、一方、政府といたしましては、韓国側に対して、この問題は、そういう法的の問題が解決するまでは、差し押え等の措置をとらないようにということを申し出ておりまして、現在までのところ、韓国側はこういう差し押え措置をとっておりません。いままだ技術的に、そういう法的の課税の根拠、あるいは、その算定をどういうふうな基準でやるとか、そういう点について、まだ技術的に、この関係商社と、それから向こうの税務当局、それからまたこちらの代表部のほうと日本政府のほうで、情報交換、意見の交換をしている段階でございます。
○田畑金光君 そこで、私、韓国問題について、最後に佐藤総理――お疲れで居眠りしておられるようですがいいですか――佐藤総理に特に念を押しておきたいのですが、いまお聞きのとおりに、日韓交渉においては、日本が次々に譲歩しておるわけです。にもかかわらず、先日の朴大統領の、日本記者団の質問に対する書面の回答を見ますと、こういうことを申しております。「日本側の誠意を前提とするものであって、決して無条件成就を意味するものでない。日本が相応の誠意の努力さえ示せば、韓国は日韓会談を成就させる体制をととのえている。」、これは、さらに大幅な譲歩を要求しておるとしかわれわれは解釈できないわけです。ことに李ライン問題について朴大統領は、平和ラインの撤廃の問題は、現時点においては、ある仮定のもとで論ずべきではない、こう言っております。現在までの日韓交渉での李ライン問題は、まだ仮定の問題としか取り扱われていないのかどうか。本来なら、妥当な内容で日韓に漁業問題が解決されるなら、李ラインの撤廃にも応ずる用意がある、これくらいはもうこの段階で朴大統領も言ってよさそうなものだが、なお大幅な譲歩を要するような内容を主張しておるわけです。 こういうふうに見てきますると、李ライン問題について、あるいは平和ライン、国防ラインというような名のもとに、またこれを残すのじゃなかろうか等とも言われておりますが、こういう問題について、佐藤総理としては、日韓交渉妥結について、合理的な、あくまでもわが国の国民感情、国民の利益に立って処理するという基本的な方針を貫くべきだと、こう思うのです。わが党は、もちろん、日韓交渉については、諸懸案が合理的な立場において解決されるならば賛成という立場をとっておるわけでありまするが、佐藤総理の所信をこの際承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日韓交渉の妥結についての政府の基本的態度は、はっきりいたしております。また、韓国側におきましても、今回は、ぜひとも妥結させたいという非常な意気込みであるのでございます。私は、この種の事柄は、両国国民の相互の理解、そのもとにおいて初めてできることだと思っております。 ただいま問題として提起されますところの李ラインあるいは平和ラインとか、かような言い方をされておりまするが、これなぞは、これから仲よくしていこう、友好関係を樹立しようという、その日韓両国の間に、かようなラインがあってはおかしいのです。どこまでもそういうものはないはずなんです。したがいまして、かねてから漁業問題としての主張もございますが、私どもは、これは国際法上、あるいは国際慣習上、慣例上、不法または不当だと考えられるような事柄につきましては、当方の主張をはっきりさせたいと思います。 ただ、皆さまにも御了承いただきたいことは、私どもにもなかなか国内の問題がございます。相手国、韓国におきましてもやはり国内の事情もいろいろある。さような状況のもとにおいて、この交渉が行なわれるのであります。どちらかと申せば、ほんとうに両国のこの交渉はガラス張りの中で行なわれているような状態でございますけれども、ただ、ただいま交渉しているそのさなかにおいて、いろいろの要望を出されることはけっこうでありますが、それに対して政府が一々お答えすることは、交渉をまとめたいというその立場から、望ましいことではないと思います。どうか両国国交の正常化を心から願っている大多数の国民の方々のその気持ちを体していただいて、そうして、ただいま申し上げますように、交渉の過程の事柄について、いきさつについては、あまりとやかく言われないように願いたい。しかし、私は、政府として、いろいろの要望を聞くことについては、もちろん伺います。しかし、その話を詰めることがはたして適当かどうか、その点を申しておるのであります。 なおまた、日本政府といたしましては、かねてから李ラインあるいは平和ライン、こういうものについての主張はいたしておりますが、同時にまた、一括妥結というその線も守っておりますので、その点だけははっきり申し上げまして、ただいま交渉に当たっているのは、諸案件一括妥結、そういうことで交渉をしている、さように御了承をいただきたいと思います。
○田畑金光君 次に、私は、若干時間が切迫しましたので、沖繩問題についてお尋ねしますが、総理は、過般の衆議院予算委員会において、ジョンソン大統領との会談の際には、沖繩問題を当然取り上げると、こう言われておりまするし、また、できれば沖繩の現地をみずから行って見てきたい、こういうことをお話しなされておりまするが、いずれも間違いないかどうか、この際、総理のひとつお考えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 衆議院予算委員会で答えたことと、きょうも変わってはおりません。ただ申し上げたいのは、沖繩県民というか、あるいは琉球島民と申しまするか、これらの方々が祖国復帰をほんとうに心から願っております。しかして、これの希望を達成させたい、かように強く私は考えますが、そのあり方、その方法、これなどは、よくその時期等を考えてやらないと、ただ要求しっぱなしで、その念願を実現するのでこれは正しいのだということで、主張するだけでも、ものは解決するものではございません。したがいまして、この基本的態度、これについては十分御理解をいただきたいと思いますが、同時にまた、相当の、今日までの経緯等から見ますると、時日を要するものであり、最も効果ある方法は、いかなる時期にいかなる交渉をするかということに詰まるだろうと思いますので、そういう点については、もうしばらく状態をごらんおき願いたい、かようにお答をしておきます。
○田畑金光君 総理は、本年六月総裁選挙に臨まれるにあたって、新聞記者との会談の中で、特に外交方針の第一項目として、北方領土のそれに対する返還要求、さらにアメリカに対しては、沖繩の施政権返還を強く主張する、こういうことを言われておるわけです。今日降ってわいたようにと言っては語弊がありますが、意外に早い時期に総理になられて、案外戸惑いされているのかもしれません。この際、せっかくアメリカに渡るのならば、あなたが選挙で公約されたことは、次期総理としての公約であったのでありますから、当然、今回のジョンソン大統領との会談においては、施政権問題を堂々と私は主張されるものと考えておりますが、その準備ありやいなや。ことに私は、思い起こしてもういたいのは、一九五七年の岸・アイク声明において、あなたのお兄さんである元岸総理は、沖繩施政権返還について主張しております。声明の中にも出ております。しかし、一九六一年六月の池田・ケネディ会談の中においては、池田前総理は、施政権問題に触れることをやめて、これを自治の問題と経済繁栄の問題に後退させております。これは私は後退だと見ております。その後、御承知のごとく、一九六二年三月十九日に、ケネディの沖繩新政策の声明があったわけであります。沖繩新政策、ケネディの新政策の中には、御承知のように、沖繩は日本の領土の一部であるということを明確に言い切っておるわけであります。そういうような情勢の発展の上に立って、沖繩施政権返還については堂々と主張すべきであると私は考えるわけです。ことに沖繩の人口は、今日まさに百万になろうとしております。国連加盟諸国は百二十二ございますが、その中で百万未満の人口の国が十六あるわけであります。アジアの指導的な地位をもって任じ、また、世界の十大工業国家の一つに数えられている日本が、しかも、国連に加盟して十四年になっている一今日、自分の同胞が、自分の国土の一部が、なおかつアメリカの軍事占領のもとにあるということは、これこそ恥ずべき問題だと私は考えます。この際私は、堂々と施政権返還について、佐藤総理はジョンソン大統領と話し合いをなさるべきだと、こう考えます。さらに私は、せめて一つくらいは、具体的な成果をあげてきてもらいたいその一つは、すなわち、自治権拡大を唯一のシンボルとして、沖繩の住民は、今日少なくとも、みずから治めるものは、みずからの手で選挙される人を充ててもらいたい。行政主席の公選くらいは、あなたが行かれて、これくらいの約束は取りつけていただきたい。それくらいはひとつ成果をあげてきていただきたいと思いますが、この点において、総理の強い所信の表明と見解を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はかねてから北方領土、ことに国後、択捉、歯舞、色丹、これは日本の固有の領土である、これが日本の統治下に帰るのをたいへん念願しております。この点は、いままでの内閣も機会あるごとにソ連と交渉しておるようでございます。これまた、引き続いてその主張を繰り返してまいるつもりでございます。 また、南方の沖繩領土の問題については、これまた、私の政治家としての念願で、祖国復帰を念願しておる百万島民にこたえたい。また同時に、これは九千万国民の願望でもある、十分その線に沿って善処してまいりたい、かように考えております。もちろん、この事柄の実現につきましては、これは不退転の決意のもとにおいて初めてやり得ることだと思います。先ほど来申し上げておりますように、ただいま特殊な事情下に置かれておる沖繩でございますので、その経緯等もあり、なかなか簡単にこの問題は解決をするとは思いません。しかし、せめて、ただいま御主張になりました施政権の返還ができないならば、あるいは自治の拡大であるとか、その他の点に何か取りつけができないものかと、こういうことも私は念願をしておるものでございます。過般、松岡主席と懇談いたしまして、これらの点についての御要望もよく伺っております。まあ、ただいま田畑さんの御主張、御意見も、この機会にとくと伺ったのでございまして、大体私が考えておるような事柄と同一ではないだろうか、かように思います。要は、相手方に十分日本の本来の、かねての願望であるその願いを受け入れていただく、こういうことをよく主張し、よく理解を持って、そうして、この問題の解決に当たるべきだ、かように私は考えております。
○田畑金光君 最後に私は、若干国内問題について、内政問題についてお尋ねいたしますが、第一にお尋ねしたいのはILO問題です。 ILO問題は、この臨時国会に政府は提案されるものと期待しておりましたが、なお提案しておりません。承るところによれば、今日、党、政府の間では調整中と言われております。いつをめどに調整なされようとしておるのか、また、いま調整されておられるという具体的な問題点はどういう問題点なのか、これをひとつ石田労働大臣から承りたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) できるだけ臨時国会に提案をいたしたいと思って、まず政府部内の意見の調整に当たっておりました。おおよそめどがつきました。近く党との折衝に入るつもりでございます。その案の内容でございます、問題点でございますが、これは御承知のように、いままで長いいろいろな経緯をもって今日に至った問題でありまして、部分的にいろいろと事前に議論の対象となることは、この八十七号条約批准のために決していいことでないと思います。政府案としてまとまりました際に、提案をされました際に実際がわかるようにしたほうがまとまりやすいという事情にございますことを、ひとつ御了察をいただきまして、この程度でごかんべんをいただきたいと思います。
○田畑金光君 まあ、それがまとまりやすいというなら、それ以上追及はいたしませんが、私は佐藤総理にお尋ねしておきたいことは、来年一月にはドライヤー委員会の実情調査団が日本に参ってくるわけです。ちょうどそのころ総理は、アメリカにおいてジョンソン大統領と会談されておるわけです。ヨーロッパの、あるいはアジアの多くの国が、まあ大半の国がこの条約については批准しておるときに、また、佐藤総理といたしましても、私は、総理となって初めてアメリカに渡られるわけで、頂上会談に当たるわけでありますかう、男子の本懐これに過ぐるものなしという気持ちだと思うのです。そういうときに、自分の国においてはこういう条約の批准すらもできないで、外国から調査に来る、こういうようなことは、私は恥ずべきことじゃなかろうかと、こう思うのです。ことに、このILO問題については、これまた、昭和三十二年二月、時の岸総理の閣議決定からずっと尾を引いて今日まで来ておるわけでありまするが、この問題については、いま石田労働大臣のお話にもありましたように、いろいろ政府部内、今度はこれから党との調整、こういうことになろうかと思いますが、勇断をもってこの問題の処理に当たる決意がおありと思いますが、この際、どういうような方針でILO問題を処理されていこうとするのか、見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ILO条約の批准は、佐藤内閣といたしましても、いち早くその態度を声明しておりました。できるだけ早くこの批准をしたい、そういう意味で国会提案を急いでおる、こういう段階でございます。ただいま石田労働大臣が申しておりますように、もうすでに今日までの経過から申しまして、いまさら政府案ができてないという筋のものでもない、かように私は思いますが、実際はなかなかその問題をめぐりまして意見があるわけであります。その最後の仕上げにかかっておる、こういう状況でございます。私はこれは勇断をもって提案を期すと、かように申し上げてお答えといたします。
○田畑金光君 私は、せっかく調整の最終的な問題点は国家公務員法、地方公務員法の改正の問題であるし、その問題も突き詰めてみると、日教組の中央交渉をどうするか、こういう問題だと思います。話し合いをすることはできるという宣言的な文言を入れるかどうか、そこに結局帰着すると考えておるわけです。そこで私は、一番関係の深い愛知文部大臣に、この問題についてどのようにお考えになっておられるか。あなたがこの問題についていかような態度をとられるかということが、即佐藤内閣としてILOの条約あるいは関係法案を成立せしめるかどうかという重大な岐路に立っておるわけでありまするが、あなたとしてはこの問題についてはどのように考えておられるか。さらに私は、これに関連して、石田労相は先般ILO帰国後の記者会見で、違法行為が直るまで国際的な権利を与えるべきでないという意図は誤りである、近代国家になった以上は国際的水準の労働法規は持つべきである、こう述べられております。これは私は、石田労相は労働憲章を書かれたほどの感覚でありまするから、そういう意味合いにおきまして、このことばは、与党の中の、非常にこの問題に水をかけておるというか、消極的な人々に対する警告的なことばである、私はこう一人で理解しておるわけです。ことに、これに関連してわれわれが非常に勉強になりますこと、参考になりますことは、本年九月臨時行政調査会はいろいろな改革意見書を出しておりますが、公務員に関する改革意見書を見ますると、その中で、公務員についても労働基本権を認めるべきだ、こういうことを申しております。また、公社、公団等の改革に関する意見書を見ますならば、労使紛争の解決は、一般企業におけると同様に、原則として労使間の団体交渉にゆだねることとし、第三者機関としての現在のこういう制度は廃止し、紛争の調停あっせん機関としては現在の中労委を活用すべきものと考える、このように、今後の明確な労働基本権のあり方については、公共企業体について一つの勧告を出しておるわけであります、答申を出しておるわけであります。この際、私は、政府におかれても、このような答申の持つ権威に照らしてみましても、また、御承知のごとく、国際的には、公務員に対しましても、あるいは公企体の職員に対しましても、労働基本権が与えられているわけであります。団体交渉権、争議権――もちろん公務員については、争議権についてはインジャンクション制度等がございますが、そういう点等を考えるならば、この際、私は、地方公務員法の改正についても、一つの方向を明確に打ち出されて、来たるべき通常国会においてはILOの批准をなし遂げるべきだ、こう考えておりますが、この点について、特に関係されておる愛知文相の見解、それから石田労働大臣の見解、最後に佐藤総理の御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ILO関係諸法律案につきましては、ただいま石田労働大臣からお答えしたとおりでございまして、ただいま鋭意政府案を練っているところでございますから、あまり詳しい内容を申し上げることはいかがと思いますが、せっかくのお尋ねでございますから、私の見解を申し上げて御参考に供したいと思います。一般論といたしまして、公務員につきまして、職員が給与、勤務時間その他の勤務条件の維持改善をはかることを目的として職員団体を結成するととは、当然認められているところでございます。そうして、それらの事項につきまして、当局と交渉する道が開かれておることも、御承知のとおりでございます。そこで、公立学校の教職員でありますが、この勤務条件につきましては、法律上これを管理し、また決定する権限というものは、都道府県の教育委員会にありますし、都道府県の教育委員会がこれらの教職員団体の交渉の当事者になっているわけであります。現に、その交渉に応じておるわけでございます。それと同時に、文部大臣は、これらの公立学校の教職員とは、いま申しましたような各都道府県の教育委員会と同じような立場にはおりませんので、交渉の相手方としての立場に立つものではない、法律的に見ましてかような見解から、直接公立学校の教職員と文部大臣とが法律によって交渉をするというようなことは、私はとらざるところでございます。それからまた、そのほかの点につきましては、教育政策というようなことにつきましては、文部省あるいは文部大臣といたしましては、当然国会を通じて国民に責任を負うべきものであると考えるわけでありまして、文部大臣と教職員団体の役員とが対等の立場で、教育政策について話し合ったり、交渉したり、決定したり、そういうことをすべき筋合いではない、かように考えるわけでございまして、これらの点については、前内閣以来の文部当局としての考え方を、私もそのとおり踏襲してまいりたい、かように考えているわけであります。
○国務大臣(石田博英君) ジュネーブから帰りました新聞記事、そのとおり申しました。同時に、いまでもそう考えております。しかし、もう一つその前に前提がございます。その前の前提と申しますのは、労働運動を進めていくにあたって現在の法律の覇絆を乗り越えていくというのはあたりまえなんだ、乗り越えて労働運動というものは初めて発展、展開されるのだという考え方は誤りであるということを申しているのでありまして、両方申しているのでありまして、片一方だけ言われることは私は迷惑に存じます。 それから、第二番目の、公共企業体の職員あるいは公務員の労働権の問題につきまして、これまた臨時行政調査会の答申は、その次にそういうことの具体的な展開について審議会を設けて検討するようにということもまた入っているのでございまして、その審議会のそういうことを含めて、政府として臨時行政査調会の答申を検討しつつある段階でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 文部大臣、労働大臣からお答えがあったと思いますが、私は、ILOの条約批准、これは早くやらなければいかぬ、かように思っておりまして、ただいま政府提案の原案、これの作成に意を注いでいるという実情にございます。この問題は、どこまでも近代的な労働運動、労働問題、いわゆる基本的人権、あるいはさらにまた人間尊重、こういう立場において、労使双方――公務員の場合は労使双方ということは当たりませんが、とにかく対立抗争のない、いわゆる調和の世界を実現するためにも、この種のルールはぜひ必要だと、かように考えております。
○田畑金光君 終わります。
○委員長(寺尾豊君) 田畑君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) ただいま委員の変更がございました。阿具根登君が辞任され、その補欠として米田勲君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に岩間正男君。
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、中国問題を中心として質問したいと思います。 まず第一に、佐藤総理は、両院の予算委員会で、台湾を含めて中国は一つであると答弁を繰り返していますが、その法的な根拠は一体何なのか、この点をまずお伺いします。
○政府委員(藤崎萬里君) 総理の御答弁は政治上の御意見で、別にあそこの領土的なステータスの法律の問題についての御所見ではないと私は了解しております。
○岩間正男君 あんな答弁じゃ問題になりませんから総理から答えていただきたい。総理の解説を……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は中国は一つだ、かように申してきました。そうしてそれにつきましては、台湾を含めてということばも使いました。それが、ただいま条約局長が説明しておるのは、法律的な見解ではなくて、政治的なステータスを申しておる、かように御了承いただきたいと思います。
○岩間正男君 一国の総理の言明ですよ。単に中国側がそう言っているからそうだというようなオウム返しの答弁では、これは全くナンセンスです。これはきのうも繰り返された。私はそういうことじゃいかぬので、もっと明確にこの法的根拠を明らかにしてほしいと思います。重ねてお伺いします。
○政府委員(高辻正巳君) 法律的根拠とまあ仰せになるわけでございますが、総理が仰せになっているのを私そばで拝承しておりますが、総理が言われる御趣旨は、中共も、また国民政府も、ともに中国は一つであると言っておる。それに対して、その両国以上の人がそれをとやかく言うのはどうかという御趣旨のように思います。したがって、法律的な根拠ということにつきましては、さらに御質問でもあれば喜んでお答えしますが、その程度のことではちょっとお答えをいたしかねる。申しわけないのでありますが、御了承願いたい。
○岩間正男君 そんな答弁で了承できますか。国会の権威にかかわる。条約局長も、法制局長官も、総理のことばを翻訳するような言い分です。そんなことはだれも聞かない。総理自身がどういう法的根拠に立って台湾を含めて中国は一つであると認めておるのか、これがはっきりしなければ、あなたの言っていることばは非常に浮いているのです。ですから、その点をお聞きしておるのです。どうですか、もう一度重ねて伺います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中国大陸については御疑問がないでしょう。問題は台湾だと思います。台湾につきましては、私ども日本はこれを放棄した、こういう状態があるわけでございます。そうして、この状態でその台湾についてのその後の処置については、日本は何も言うようなことはございません。また言うような立場ではございません。これは法律的にはそういうことが言えるわけであります。一応放棄した国、その国の立場においてはかように申し上げるのが適当だと思います。そのことを申しておるわけでございます。
○岩間正男君 それでは重ねて伺いますが、あなたは中国の北京政府やあるいは台湾政府が中国は一つと言っているから、それをそのまま受けて、それで中国は一つだ、こう言っているのですね。これは了解できるわけです。そうしたら、中国側ではこの法的根拠があって言っているのだろう、単にこれは言っているわけではないのです。中国側で言っている法的根拠というのは、これはどういうふうにあなたはつかんでおられるか、これは重要なことです。それをわからないで、単にいいなりほうだいに向こうの言うことを認めている。それでは中国が国連に加入したいと言っているかう、当然、その論理からいけば中国の国連加入は何をおいてもあなたは認めなければならぬということになります。中国側の言っている法的根拠を伺います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいままで日本は台湾を放棄した、そういうことははっきりお認めになるでしょう。私どもはそのことをとやかくは申しません。そして北京政府は、中国は、一つだと言っている。国民政府もまた中国は一つだと言っている。その状況のもとにおいて、私ども日本人が中共の法律的主張は何か、それを私どもは知らない。それは中共で十分説明してもらいたい、ただそれだけでございます。
○岩間正男君 これはたよりない、情ないことだと思います。外務省としても非常にこれは怠慢ですよ。相手の言い分をちゃんと聞いて、それを検討してそして了承、決定するという自主的な判断、いわゆるあなたの自主外交からいえば、当然判断しなければならない、こんなことは世界周知のことでしょう。言うまでもなく、それはカイロ宣言、ポツダム宣言、さらに日本降伏文書等に明記されている。国際条約であることは、これは総理は言っておられないけれども、認めなければならぬ問題だ。しかも、これに基づいて事実上の処理もはっきり終っている。すなわち、一九四五年十月二十五日、台北で日本軍の降伏式が行なわれた。それと同時に台湾は中国の一省は編入された。そして台北には台湾省の行政長官署が設置され、陳儀氏が初代長官となったのです。このようにして、法的にも、また事実上からも台湾は名実ともに中国に編入された。これは厳とした事実であります。中国政府も蒋介石もともにこのことを根拠として、台湾を含めて中国は一つであると主張しておるのではないのですか。総理はこの事実を認めざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(藤崎萬里君) そういう事実があることは私どもも承知いたしております。カイロ宣言、ポツダム宣言があり、これを降伏文書で受諾して、これには台湾、澎湖島は中国に返還さるべしということが明記してある。これも全部承知いたしております。ただ、サンフランシスコの講和会議で、講和条約の共同提案者であるイギリスもアメリカも、この平和条約では日本に台湾及び澎湖島を放棄きせるだけであって、その後のことはきめてない、こういうふうにいっておりまして、国際法の一般原則からいいまして、領土の最終的な処理は平和条約でやることである、こういうことがありますので、この締めくくりがついてないということをいままで申し上げているわけであります。それで御了解いただきたいと思います。
○岩間正男君 そういうような答弁をしなければならないところに、日本国の政治のゆがみがあった。これはいままでも当委員会でも問題になったわけです。はっきり帰属の事実というものは認められたはずです。一九五二年、現にトルーマン声明が出されております。これにはカイロ宣言、ポツダム宣言、日本降伏文書によってはっきり台湾は中国に編入されている。アメリカはこれを疑ったこともない。しかし、その後の情勢でまるでこれを引っくり返すというようなやり方をやっているのが事実です。そういうことで、そんなものはでたらめです、通用しませんよ。それをまたあんなやり方で、これはここで時間がないのでこの詳細を言うことはできないが、こういう上に立っていまのようなあいまいな態度をとっているのじゃ話にならない。私はしたがって総理にお聞きしますが、あなたは台湾の帰属は未定であると言った覚えはないということを言ったのですね。衆議院の予算委員会で弁解した。そんなら一体台湾の帰属は決定していると考えてよろしいのか、あるいはそうでないのか、この点についてお伺いをします、どうなんです。帰属は未定であるということばは、これは言った覚えがないと言って取り消している。そんならこれは帰属していると認めているのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、日本政府、これは日本の立場ですよ。日本の立場ではっきり申せるのは、サンフランシスコ条約で、これを台湾、澎湖島の領土権を放棄している、これだけがはっきりしている。これは条約上の義務でございます。その事態を言います。それから先は私どものとやかく言うことではございません。
○岩間正男君 そうすると、あなたの言っている台湾を含めて中国は一つであるということばは、実にこれはあいまいだということになりますよ。そういうことでは話にならぬ。私は一つの中国の根拠について聞いたが、これも十分にはっきり言えない。それから台湾の帰属が決定しているかどうか、これについてもはっきり言えない。これが中国問題を重視するという総理の発言です。なぜ思い切ったことがもっと言えないのか。それは心の中で、結局は台湾を中心にした中国というものを考えているからではないのか。こうした考えははっきり今度のあなたのお兄さんの岸氏の台湾訪問となり、また親書を持って一億五千万ドルの借款、こういうような問題となって、そうしてきのうのこれはニュースを見ましても非常に中国側を刺激しているんじゃないですか。これは明らかに蒋介石を擁護して中華人民共和国を敵視する二つの中国のあらわれだ、その下心だというふうに考えてもこれは仕方がない、こういうふうに思うのですけれども、この点で、ことばはいかにうまくこの事態をつくろって言っても、私は日本の国民はだまされていないと思うのです。これははっきりしなければならない。 私は次に中国の代表権問題について質問します。総理はこの問題についても、国府は国連の原加盟国であり安保理事会の常任理事国でもある。また日台条約上の関係もあるので、中国の加盟によって国府が国連から追い出されようとするようなことはできないと思うと述べ、中華人民共和国が国連内に正当な地位を回復することを妨害するような態度を明らかにしました。こんなことで一体アジアと世界のこの現実が乗り切れると思っておられるのですか。この点についての御所見を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来岩間君ではないが、他の質問者に答えて、朝から中国の代表権問題につきましてはるる説明をいたしました。岩間君もよく聞いていらっしゃったと思いますけれども、重ねてその点を申し上げることはいたしませんが、ただいま申し上げますように、現実は先ほど来申すような状況のもとにございます。この点を十分御了承いただきたい。この状態のもとにおいて私どもはアジアの平和を維持していくため最善を尽くしたい、この念願をしておるわけであります。
○岩間正男君 これはあとでもっと詳細に触れたいと思いますが、ことばで言っても、問題はやっている行動なんです。あくまで行動かう見なければその正体はわからないです。あなたはもう池田路線というものを踏襲するという限りは、これは結局、中国の国連加入を阻止し、妨害するということになる。政経分離、これはもう古い、現実に合わない。世界の情勢はそんなものじゃない。そういう大勢の中で、あなたはいままでの路線を押えようという、そこからくる大きなこれはひずみなんだ。これは私はそういう点で、もっと当面する問題について聞きたいと思いますが、藤崎条約局長が七日の衆議院の予算委員会で、第十六回国連総会で日本が提案した中国代表権に関する重要事項指定の決定はまだ生きているということを主張した。さらに今度の総会で、新たに同決議取り消しの案件が出されるようなことがあっても、その重要問題が、もうすでに重要事項でなくなるということも、重要問題に関する決議でございますから、やはり三分の二の多数を要すると考えるのが至当でございます。実にややっこしい格好で、ブルジョア法律、これはほんとうにこういう言い方で述べていますよ。 そこで、私は椎名外相にお聞きしたい。決議の取り消しを要求する案件が出されるとすれば、それはあくまで手続上の案件と思いますが、どうでしょうか。これは手続上の案件で、当然内容を決定する案件とはこれは区別されなければならないところのものである。この点の区別ははっきりしなきゃならぬと思う。どうお考えですか、椎名外相。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは具体的に提案者の提案の内容によってその性格がきまる問題だと思うのであります。問題の内容が重要であるという観点から提案される場合と、それから単に手続の問題として提案される場合とが、おのずから区別されなければならぬ。かように考えるわけであります。
○岩間正男君 私はこの前の決議を否決する、そういう問題として言った、限定しているのですよ。だから、あくまでこれは手続上の問題になるわけでしょう。これは藤崎条約局長が答弁してもしようがない、もう元凶だから、黙っているほうがいいじゃないか。
○政府委員(藤崎萬里君) 私が衆議院の予算委員会でお答えいたしました趣旨をもう一度御説明させていただきたいと思いますが、この問題につきましては、議事規則その他に特別の規定はございません。先例もございません。しかし、この重要事項を追加指定するという制度が憲章の中で特に設けられた趣旨からしまして、もし一度重要事項に指定になったものが、すぐまた過半数で取り消されるということでは、重要事項を追加指定するという制度が設けられた趣旨が没却されることになるのではなかろうか。そうして、文理解釈としましても、さっきお読み上げいただきましたように、第十八条の第二項で解釈できるのではないか。それが制度の本旨からいって最も適当な解釈のしかたじゃなかろうかと、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
○岩間正男君 手続上の問題かどうか。そんな衆議院の釈明みたいなことを聞いているのじゃない。手続上の問題はどうなんだ、手続上の問題とはっきり考えることができるでしょう。
○政府委員(藤崎萬里君) つまり重要問題として指定されているものを今後は重要問題でなくするという決議は、すでに重要問題に関する決議もある。そう読まないと重要事項追加指定の制度が設けられた趣旨が理解できなくなる、こういう趣旨を申し上げておるわけでございます。
○岩間正男君 三百代言の言うことがそれです。そうじゃないです。これは手続上の問題ですよ。だから、したがって、当然、十八条三項に、その他の問題に関する決定は構成国の過半数によって行なわれると明示されておりますが、これは当然この規定に従って二分の一でいいはずですよ。条約局長がさっきから、いまのようなあいまいなことばで、そうして重要な問題だ、そういうことを言っておりますけれども、なぜ二分の一で決議を通過さしておいたものが今度は取り消しのときに三分の二にならなければならないかというようなことは、何ら説明していない。あれは説明じゃないですよ。こじつけというものです。こうしたやり方、これを外務省の属僚たちがとっている。このやり方にこそはっきり中国敵視の政策、そうして国連における代表権問題を意識的にぼやかしている、こういう姿が出ているとはっきり私は言えると思う。あくまでこういう立場を、いま条約局長が言ったような立場を総理は認められておりますか、これは総理にお尋ねします。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。条約局長が条約局の立場でいままで検討した結果を申し上げましたが、私は、前の発言のこともありましたし、十分な研究を遂げたつもりでございます。ただいま条約局長が申されたものには十分な理由があると考えます。したがって、いまの観釈は政府当局の考えとお受け取り願います。
○岩間正男君 総理、確認してください。いいんですか。しないほうがいいです。したら、たいへんなことになる。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは十分検討してただいま法制局長官並びに藤崎条約局長がお答えしたとおりに考えております。
○岩間正男君 たいへんなことです。きょうの朝刊によりますと、アメリカ国務省は同日、「米政府は国連憲章第十八条第三項にもとづいて取り消しは三分の二の多数ではなく、単純過半数でよいと考えており、こんごもこの立ち場を変えるつもりはない」という公式見解を発表している。アメリカはそう言っているんですよ。アメリカは単にこれは二分の一だと、これを取り消すのに。そうすると、あくまで日本の外務省の見解は、これはアメリカと食い違ってきておる。これを押していっていいんですか。だから、私は気をつけなさいと言ったんです。どうなんですか。
○政府委員(高辻正巳君) アメリカの解釈というのをいま承りましたが、これは一般に、御承知のように法というものには解釈がつきものでございます。その解釈が時に複数になるということもよく見られることでございます。その解決方法としては、国内の法制の問題であれば、あるいは裁判所で結論をきめるとか、いろいろなきめ方がございます。この問題につきましても、むろんいずれは――各国の間に少しずつの解釈の立場が違うこともあり得ると思います。あり得ると思いますが、それはいずれ国連なりの場面で統一することになると思いますが、われわれはいま申し上げたような解釈をとっておるわけでございます。
○岩間正男君 世界のもの笑いになります。アメリカさえこういう態度を明快に公式の見解を発表しているんですよ。それを日本があくまでそれにしがみついて、そうしてこれを押し通す気ですか。私はもうこういうだらしないやり方、つまり結局は重要指定問題にしがみついて中国の国連代表権の復活というものを阻止しようとする考え方です。その意を受けたところの外務官僚たちが、法制局長官が、こういうことをいかにもお茶坊主的にやっているこの姿、これがいまの日本の姿です。みっともないじゃないですか。私は、こういう点ではっきりした態度を首相はとるべきだと思う。 椎名外相の午前中の釈明を聞いているというと、私は全くなっていないと思う。問題は、何回も繰り返しますが、ことばじゃない、事実なんです。あなたは衆議院予算委員会で中共加盟を認めることは国民政府追放になるから認めることはできないと答弁している。しかし、一体あなた方は――午前からの質問を聞いて私は関連を取ろうとしたが、委員長許さなかったから、私は発言することができなかった。あなたたちは一体、六億五千万の中国の立場に立って考えたことがありますか。真に人民の気持ちというもの、それから中華人民共和国の立場に立って一体考えたことがありますか。あなたたちは、中国の国連加盟を認めれば台湾の政府は追い出される、これは忍びないからあくまでがんばるのだと言っておる。しかし、そのような妨害をあくまで続けていけば、人口において、領土において、何十倍の力を持っているところの中国が、国連に加盟されることが事実上妨害される。そのようなばかげた、現実に合わない基本態度をとっておって、どうして一体前向きの外交が展開されるのですか。私は、はっきりここにこれはあらわれておる。ですから、私は、この国連代表権の問題というものは佐藤内閣の試金石だ、代表団の拒否の問題も試金石になりましたが、これはまさに試金石だ、こういうふうに考えております。ですから、佐藤総理と椎名外相は違ったような言い方を言っていますが、ことばの上で見ないで実践の上で見ておる。実践の上で見ていると、全く同じことだ。こういうことでは全くお話にならない。ことに椎名外相は、中国の国連加盟が極東の平和と安全に亀裂を生じさせるそういうばかなことを言っている。何を根拠にしてそういうことを言っているのか。こういう反共的な思想でいっておって、どうしていまの現実が見えるか。私はいまのようなことは中国敵視政策のあらわれだと思いますが、私はここであなたの見解を伺いたい。椎名外相、いかがですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 六億の人口を有しているあの広大なシナ大陸、この現実はやはり無視することはできない。そこでわれわれは中華民国と国交正常化をいたしまして、一方においては政経分離の法則によって中国との経済の交流、人事の交流等を積み重ねていく、こういう方式をとっておるのであります。 なお、私が中華民国のかわりに中共を認めて、中華民国をこのかわりに追放するということは、極東の平和と安全の上からとるべきでないということを申し上げたのは、もっぱら現実の情勢に照らして私はさように判断するのが至当である、そして日本といたしましても、この方針を堅持してまいったということも、私は重ねて申し上げて御了解を得たいと思います。
○岩間正男君 どうもお疲れのようですから、あまり追撃もどうかと思う点もあるかと思いますけれども、もう少し筋の通ったことを言っていただきたい。 佐藤外交路線の中に経済外交というものがある。その中には、アジア諸国の人つくり国つくり――自分の国の人つくり国つくりもできないのに、ほかの国の人つくり国つくりを口にするということはおかしいですよ。こういうことは大東亜共栄圏の復活に通ずる。あなたたちの前歴がそれを示している。こういうやり方なんですよ、大体。それに外務省では、去る三日の椎名・ラスク会談の中国問題についてアメリカ政府の意向を打診するために、外務省では次のような案を用意したということが伝えられている。その内容というのはこうです。国連で中共支持が多い結果が出た場合、一つの中国の立場をとっている国府が国連から飛び出すおそれがある。そのときアメリカはどうしますかと日本側が聞く。ところが、それに対して逆にアメリカ側から、日本はどうするかと反問された場合のそのときの答えとして、日本としては極力国民政府に飛び出さないようにしてほしいと説得するということばまで準備したといわれている。これが正体じゃないですか。だから、けさの釈明や取り消し、こういうものが机上でことばとしてだけ通用したって、実際やっているこの実態というものは、全くこれはあべこべになっているのじゃないですか。私は、このようなことで政府がどんなにうまく言っても、やはり二つの中国の陰謀というものが一方にあって、台湾を中心としたそういうやり方をやっていることについてごまかされない何よりの証明が、いまの外務省の情報であろうと私は思うのです。この点いかがですか。私は重ねて総理に、あなたの明快な答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 総理の御答弁の前に、外務省がいまあなたが申されたような資料を準備したというお話でございましたが、さような根拠は全然ありませんということを申し上げておきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が何度も申し上げますように、中国は一つだと、その立場に立ち、現実の二つの政権がある、しかもその一つとは、国府とは私どもは国際条約を結んで国際的な条約上の義務を負っている、こういう立場にある。この現実と本来の考え方との間にどえらい開きがある。それで当惑しておるとかつて申しましたが、そういう状態でございます。私どもが今日においてやり得る方法は一体何なのか。これは国民政府との間に友好関係を続けていく。同時に、中国大陸をこの間では政経分離の原則に立って、そうして交流を盛んにしていく。もちろん、こういう事柄が中国内部の問題として解決される日が来るかもわからない。しばらく時期をかしていただきたい、かように私は思うのです。 中国問題について各方面からいろいろな意見が出ている。これらのものがこの問題を解決さす一つの進展への方向ではないかと、さように私は見ておるのです。あえて共産党の岩間君をこれで説得するつもりはございません。もちろん、日本共産党には日本共産党の御所見がおありだと思います。それはまたこういう機会に私どもにお話しになれば、私どももその日本共産党の主張はどこにあるか、これははっきりしておきたい、かように私は思います。
○岩間正男君 外務大臣から答弁があった、そういう情報はなかったと。しかし、松村謙三氏は、最近の中国代表権問題に対する外務省の属僚たちのやり方は、まるで二・二六時代の青年将校に似ていると言っている。これは国の運命に関する重大な問題ですよ。こういうやり方じゃだめです。 それから、佐藤総理からはいまのような話がありましたが、こういうあべこべの上に立ってあなたのいまのことばそれ自身だけ見るというと、相当聞かなくちゃならぬところもあるようです。私は、現実の政治がどう展開されるかということを問題にしている。むしろ共産党にものをお聞きになったほろがいいんじゃないですか。この前、衆議院の加藤君の質問に対して、共産党の意見も聞く、こう言った。むしろ聞いたらどうです。現状の把握がまるでなっていない。根本からそこのところが違っている。だから、ことばでどんなにきれいなことを言ってもだめだと思う。 私は、最後に申し上げたいと思う。中国敵視政策は、国連の代表権問題だけではありません。原子力潜水艦問題では、成立早々佐藤内閣は国民の反対を押し切って激しい反撃を受けました。また、中国の核実験に対してはあられもない非難に終始し、国際的に、ここにもアジア・アフリカ諸国の非難をかっています。また、次いで起こった彰真氏ら中国代表団の入国拒否問題は、中国との前向きの外交を進める絶好のチャンスであった。私は高橋法務大臣に、この党の要請を持ってまいりました。あなたはそのとき、難問を持ってきてもらった、こういうことを言われた。私はそのとき、あなたは前向きになってこの問題を解決しなければたいへんなことになりますよ。――これはわれわれの現実の判断から、情勢の把握から出たことばなんです。そのとき、それをほんとうにお聞きになってもっと前向きの姿勢をとっていれば、今日のようなこのざまの悪い姿にはならなかったと思う。私はそういう点から、これはほんとうに由来非常によかった中国との前向きの外交を進める絶好のチャンスをつぶした。いわゆる佐藤自主外交の正体を暴露した。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君に御注意申し上げます。五分経過をいたしました。
○岩間正男君 これは連続の大黒星です。総理は、この上になお黒星を重ねようとするのか。総理は、就任早々以来事ごとに、中国問題の重要性を指摘してきましたけれども、アメリカの至上命令の圧力に屈して非常によろめいている。こんなものでいいわけのものじゃないと私は思います。こういう点について、ほんとうに真剣に私は再考されることを要求して、私の質問を終わります。
○委員長(寺尾豊君) 岩間君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(寺尾豊君) 次に、市川房枝君。
○市川房枝君 佐藤総理は、このたび日本の政治の最高責任者である総理並びに自民党総裁におなりになりました。まことに御苦労さまだと存じます。 私は、まず総理に敬意を表したいことが二つございます。国民の多数が反対しておりました国会議員の歳費の値上げが一年間ストップするらしいのでありまするが、これは主として総理が、国民感情を尊重してお骨折りをくだすった結果だろうと私は思っております。それからなお、四十年度の予算の編成に際して、いままで心ある国民のひんしゅくをかっておりましたいわゆる圧力団体をおたしなめになったこと、これもたいへんけっこうであったと思っております。この二つとも、前の池田総理にはできなかったことでございます。 日本の政治において今日最も必要なことは、謙虚に庶民の声を聞いて、その要求にこたえることと、政治家自身が率先垂範することだと私は考えておりますが、総理も御賛成くださると思いますが、いかがでございましょうか、まずそれを伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の政治姿勢は、率先垂範というようなことばは当たらないと思いますが、私は国民とともに進む政治を念願しております。ただいまのおあげになりました歳費値上げの問題にいたしましても、これは衆参両院の議員の方々の良識の結果、これにつきましていろいろ制約を設けようとされる、これは両院の皆さま方の良識がそのようにしたと、かように私は思います。私の念願するものは、率先垂範というような大それたことでは毛頭ございません。どこまでも国民とともに進む、こういう政治でありたい、かように思っております。
○市川房枝君 歳費の問題でございますが、お骨折りを願ったついでに、この際、懸案となっております議員の税金の問題もひとつ片づけていただいたらありがたいと思います。御承知のとおりに、通信交通手当等が実費弁償として無税になっておりますが、渡し切りは給与として課税するということになっており、一般の国民は税金を払っております。そこで国民の間には、国会議員に対するこの特別の扱いを非常に不満としております。で、私は、国会議員としては、やはり一般の国民と同じ扱いを受けるべきだと思っております。総理はいかがお考えでしょうか。 なお、大蔵大臣には、三月の予算委員会のときにこの問題でお伺いしたんですが、その後どういうふうに進展をしておりまするか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 国会議員には、国会議員の手当等に関する法律の規定に基づきまして、通信交通費及び審査雑費が給与されております。これは法律に基づくものでございます。ただいま御指摘のございましたように、実費弁償的なものでございます。定額旅費式なものとなって、法律で本条に関する支出に対しては税金をかけないという明文がない以上、実費精算が講じられておらないということは、やはり定額旅費を支給したと同じような立場で課税対象にせざるを得ない、これは法律の考え上当然そうなるわけでございます。これに対して昨年三月ごろからでございますか、ずっと考えておるわけであります。正すものは正したい、こういうことでございます。いま、どのくらいお使いになっておるのかということで、だんだん事情等も聞いておりますが、国会は国権の最高機関であり、唯一の立法府でございますので、かかる措置は国会が自発的にとられることが一番望ましい、こういう考え方で、現在国会側の自主的な御判断を待っておると、こういうことでございます。
○市川房枝君 今度の歳費、旅費及び手当等に関する法律の改正は、政務次官と同等にしたものでありますが、実は三十五年まではそうなっておったんです。で、それを昨年の三月に、政務次官よりも少し高くしたいということで変えて、また十八万円ということにしたのです。で、また今度それをもとに戻したわけなんです。これは私、国民からいうと、議員が勝手なときに法律を直しているという印象を与えるので、たいへんにまずいことだと、まあこう考えるのでございます。それから政務次官と同等ということも、政務次官は国家公務員法にいう特別職である、ところが議員は特別職ではないのでありまして、これを同等にするということは、私はやっぱりちょっと賛成しかねると思うのでありますけれども、大蔵大臣はそれをいかがお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、戦後の国会法ができましたことを契機にしまして、昭和二十二年に、国会議員は単独法をもって、歳費に関する法律という、給与に関する法律を設けたわけであります。でございますが、その一条には、御承知のとおり国会の議長、衆参両院議長は内閣総理大臣と同等の給与を受ける、また副議長は国務大臣と同等である、こういう規定が明文上ございます。また議員は十八万円の給与を受けるという条文でございますが、この第一条の前段の規定、国会の議長及び副議長が公務員の特別職の特定な者と同等である、こういう規定がある以上、国会議員もこのように規定することも一つの方法だということが長いこと論じられてきたことでございます。で、まあそうでございませんと、法律が別になっておりますので、他の一般公務員や、また特別職の給与が上がったときでも、当然のことであるという改正の場合でも、どうもお手盛りだお手盛りだ――御自分で御自分のことをしようということはなかなかやりにくいものであります。でありますから、普通であってもお手盛りだと言われる場合もございます。当然改正すべき状態になってもお手盛りだと言われることもございます。が、今度の場合は、国会議員が直接お直しくだされば一番いいのでございますが、国会法の三十五条では、議員は一般職の最高を上回る給与を受けるという、いわゆる国会は国権の最高機関であるという新しい憲法の条文をそのままあらわすような規定がございます。でありますからこのままで、議員も御自分で改正にならない、政府も予算を組まないということになるというと、国会法三十五条の違反問題が起こってまいります。でありますから、政務次官が二十四万円というふうになりますので、二十四万円と同等ということで、政務次官イコールの給与を受けるというふうに改正案を提案いたしたということでございます。これはいま政務次官は特別職だと言われましたが、今度の人事院勧告の中で、特別職の政務次官を対象にしてではなく、東大の総長及び京大の総長を二十四万円とすべしということがございます。これを認証官にしょう、特別職にしようというようなことも考えたこともございますが、国会でいけないということで、御審議がお願いできなかったということもございます。そういう状態で、一般職である東大及び京大の総長を二十四万円にしなさいという勧告を受けてこれを守る以上、国会法三十五条との競合関係が当然起こってくるわけでございます。でありますので、政府といたしましては予算を計上すると同時に、この国会法三十五条の規定をそのまま生かし、憲法の思想をも生かすためにも、政務次官と同等ということに改正をしたわけであります。一般職の給与に関する法律の一部改正の中で、東大の総長と同額というふうな改正の方法はなくはございません。ございませんが、以上のような理由に基づいて改正案を提案いたしておるのでございます。
○市川房枝君 いまの大蔵大臣のお話も多少まだ議論がありますけれども、時間がかかりますから、また別な機会にしまして、いま大蔵大臣が引用なさいました国会法の三十五条「議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける。」この規定が今度の値上げの理由になったわけでして、それをしないと法律違反になる、こういうことなんですが、むしろ私は国会法を削っちゃって、そうしてむしろ国会は国会の自主的判断によって、そうして一般公務員より高くてもいいし、低くてもいい、国民の納得を得ておきめになるほうがむしろいいのではないか。これは前の人事院総裁の浅井さんなんかそういう言見をおっしゃっておりますし、私もまあそれがいいと、ころ思うのでありますけれども、それはいかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) この国会法の三十五条の改正という問題は、あなたの御発言を待つまでもなく、いままで戦後ずっとこの問題は議論をせられてきた問題でございます。ただこの問題は感情的な問題だけで、また常識の線だけで改正でき得るかどうか、非常にむずかしい問題を含んでいることは御承知だと思います。それはなぜかというと、この国会法第三十五条の規定そのものは、新しい憲法と旧憲法との差異を端的にあらわしているものであります。これは新憲法はもちろん主権在君から在民になり、国会は唯一の立法府である、国会は国権の最高機関である、この明文がございます。これを受けているのが国会法三十五条の国会議員、いわゆる特別職といえども一般職の公務員の最高額以上の給与を受けるという規定につながっているのでございまして、これは占領治下にあって、占領政策のメモ・ケースのものでもあったのでございます。非常に特殊な、特異な立場に立って、新しい思想を貫いた条文でありますので、これを削ってしまうということになりますと、そういう給与は受けないということであっても一向差しつえかないという議論もありますが、これは国会法に基づく国会議員の不逮捕権、こういう特権につながる一連のものでもあるということで、なかなか純法律論的に考えますとむずかしいものであるということで、これは国会の判断に待つと、こういうことでございます。
○市川房枝君 三十五条については、お話しのように非常にやかましくおっしゃる方もあるし、そうでないとおっしゃる方もあるし、私は意見を少し聞いてみたいのですが、そういう問題も含めて、私はこの際いい機会ですから、一ぺん国会議員の歳費といいますか、給与を一ぺん再検討していただいて、そうしてすっきりしたというか、国民が納得いく線でして、こういうことがしよっちゅう繰り返されないことを、私は国会のためにも国民のためにも望みたいのですが、それは総理、ひとつ引き続いてそのことにお骨折りを願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 総理、あとからお答えになると思いますが、私たちもその予算を組みますときに、絶えずこの問題になります。同時に、人事院勧告をいただきまして、これを法律の一部改正案を出すたびに、絶えず問題になりますので、考えております。しかし、これはただ便宜論から国会議員の歳費をどうするかという問題ではなく、先ほどの税の問題等も、場合によれば新憲法の精神をはっきりときめまして、それで不逮捕特権がありますと同じように、いわゆる議員の歳費は課税をしないという原則を貫かなきゃならぬ場合もあります。その場合は、一般職の給与等を全然切り離して、昔のように歳費三千円と、こういうはっきりとした法律によってきめるか、なかなかむずかしい問題がありますので、ただ便宜的に特別委員会をつくって検討するというものではなく、私はやはり憲法調査会の小さいような、全然憲法の条章、国会というものの機能、そういうむずかしい問題もすべてを前提にして、ちょうど二十年にもなります、新しい憲法になりましてから。そういう意味で、その一環として、第三者が非常に高い立場で将来を考えながら、国会議員の歳費という、いやな面だけではなく、憲法に連なる問題として結論を出していただく、こういうことになるなら、私はこの問題一挙に解決するだろう、政府としても、財政当局としても、そうありたいと、こう考えております。
○市川房枝君 いまの大蔵大臣の御意見、私はたいへんけっこうに思います。その線でひとつぜひやっていただきたいのです。ただ、まあつけ加えたいことは、国会議員の特権とおっしゃいましたけれども、私、国民の受ける感情は、あまり特権と言わないで、税金をやっぱり国民と同じにとるようにする。そのかわり、額がそれで減るんなら少し額をふやしても、国民の納得を得るようにすれば、私はけっこうだと思うかう、なるべく国会議員自身が、自分たち自身の特権をみずから振り回すことは、私はかえって逆効果になる、こういうふうに考えますかう、それはひとつどうぞお含みおきいただきたいと思います。 次には、公明選挙のことをお聞きしたいのですが、私は、去る七月の自民党総裁選挙のときに、当時立候補されておりました総理にお目にかかって、たとえ公職選挙法の適用はないけれども、ぜひ公明選挙でお願いしたいとお願いにあがりました。そうしましたら、総理は、もちろん公明選挙でやりますとお答えくださいましたけれども、覚えていてくださいますか。あの選挙はずいぶんひどい不公明選挙で、二十億、三十億の金が飛んだとうわさされておりますが、総理の選挙は公明選挙でやってくださいましたかどうか、ちょっと伺いたいんですが……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 七月の総裁公選につきまして、事前にお話がありましたことは記憶いたしております。私は御趣旨に沿ってやってまいったと、かように考えております。当の候補者である私自身が、いま二十億だとか、三十億と言われますが、かような金が動いたとは絶対に思いません。この点は党のためにも、また国民に対しましても、はっきり申し上げておきます。またその後の、今回の池田総理が病気で退陣なされました後の行き方につきましては、これはよく御承知のとおりだと思いますが、政党としての反省のもとに、今回は前総理が後継総理を指名する、こういう新しい例もできたのでございます。私はこういうようなことが積み重ねていかれるならば、政党の国民に対する信頼も、信用も回復するだろうし、またたいへん憲政の上からもいいことができたと、かように喜んでおります。したがいまして、私が今後どういう時期にやめますか、それは別といたしましても、この先例はやはり守っていきたいという感じが強くいたしております。
○市川房枝君 総理のいまのおことばを一応伺っておきまして、あと少し前例を調べてみたいと思います。 それから三十九年度は大きい選挙はございませんが、政治の常時啓発のために五億五千万円の予算が計上され、公明選挙運動が行なわれております。選挙のあるときには、さらに多額の金が支出されておりますが、選挙にはだんだん金が要るようになり、選挙違反もだんだんふえてきております。これでは税金がもったいない、やめたほうがいいのではないかというようなことも言われるかもしれませんけれども、しかし、政治の基礎である選挙が、いまの状態であっては困りますので、腐敗選挙をなくするように、政府としてはもっと力を入れて公明選挙運動にくふうをこらしてやっていただきたい、総理は、去年の衆議院の選挙のときには、岸元総理と一緒に公明選挙で選挙をおやりになったということをちょっと聞いておりますけれども、一般の公明選挙においてどうお考えになっておりますか、お伺いします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度、これは民主政治、あるいは議会政治そのものの基盤でございます。これが公明でなければならない、また公正でなければならない、こういう立場で、あらゆる機会に公明選挙ということがうたわれてきて、そして耳にたこができるほど公明選挙ということばも私どもになじみ深いことばになっております。そして選挙の場合をしばしば考えてみますと、候補者自身が悪い、大部分は候補者自身の責任でもあろうかと思いますが、そういう意味で、候補者自身が批判の的になる、かように考えますが、私は、選挙こそは、選ばれる者も、選ぶ者も、同じ立場、同じ責任において初めて公明選挙が生きるのではないか、先ほどお話しになりますように、だんだん選挙がたび重なるにつれて、所要の資金がだんだんふえる、ただいまの物価高騰、その他から申しましても、人件費その他事務費が非常にかさまってくる、こういうことはございますが、いわゆる法定額以内で選挙をするということには、やはり候補者も、また選挙民もお互いに協力してやるということが必要だろうと思います。また一面において、政府の公的な場において、選挙が公営方式にどの程度期し得るか、その程度も考えまして、選挙の費用のかさまらないような方法をとりたいと思います。選挙制度審議会もたびたび答申はしておりますが、なかなかこの点では十分の効果をあげておらない、いろいろまたくふうもこらされておるようであります。ただいま選挙制度審議会が行なわれ、また十二日はその総会があるようでございます。私もそれに出席して、私の所見の一端も披露しよう、かように考えますが、要は、国民とともに正しい選挙をやる、また金のかかうない選挙をする、そういう意味の御協力を願わなければならないと、かように思っておる次第でございます。
○市川房枝君 政治の常時啓発、公明選挙運動に関する事務は、自治省では選挙局の管理課の中でしておいでになるようですが、担当者は二人だけらしいのですが、これではたいへん心細いのでありますが、新聞で拝見しますと、何だか新しい課をつくって、そのために担当するようにするようなことが出ておりましたけれども、それは事実でありましょうかどうか。自治大臣からちょっとお返事を伺いたいんですが。
○国務大臣(吉武恵市君) 市川さんの公明選挙運動に対する御熱意に対しましては、平素より敬意を表しておるところでございますが、先ほど総理からもお答えがございましたように、やはりこの問題は、選挙をする人、また、選挙人ともに考えていくべきことでございまして、自治省といたしましては、選挙のときだけでなしに、常時啓発をしなければならぬということで、先年来、これにつきまして相当の予算を計上し、また、常時啓発もしておるところでございます。ことしも、御承知と思いますが、十一月の、ちょうど選挙人名簿の閲覧時期でもございましたので、一カ月使いまして、全国にわたって、いろいろの先生方にもお願いをして、講演会その他の運動を展開してきたようなところでございます。ただいま御質問の各府県のいわゆる選挙管理委員会に二名おる、これを課にしたらどうかというお話でございますが……。
○市川房枝君 いえ、それは中央の……。
○国務大臣(吉武恵市君) 中央のほうはまだそういう課をつくるというところまでいっておりませんけれども、この問題はもっと力を入れてやりたいと、こういうことで、来年度の予算につきましても、相当の増額を要求しておるところでございます。
○市川房枝君 公明選挙運動がなかなかいい結果が出ないという原因の一つは、地方で公明選挙運動を担当しておるのは、法律の上で選挙管理委員会なのですが、その管理委員に必ずしも適任者がなっていない。いや、選挙で落選したような人が選挙管理委員になっているところが相当あるということが私は大きな原因だと思うんですけれど一も、そこで、その選挙管理委員を選出する選出のしかたといいますか、あるいはその中に中立の学識経験者も、あるいは婦人というものも加えるというようなふうにして、常時啓発、公明選挙運動に適任者をそこの中に加えていくか、それでなかったら、選挙管理委員にはいままでの選挙事務だけを担当させて、そして政治啓発のほう、公明選挙運動のほうは別な機関にさせるということでないと、私いまのままの機構で公明選挙運動をやっても効果はあがらぬというような気がします。そういうことはいますぐここでお返事を私いただかなくてもいいんですが、ひとつ御検討願ってお考えいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(吉武恵市君) お話のとおりでございまして、選挙管理委員の方には、従来とも、人格のりっぱな方をひとつ選ぶようにということを言っておりますけれども、ところによりますると御指摘のようなこともあるかと思いますので、今後一そうそのような指導をしてまいりたいと思っております。
○市川房枝君 来年の六月に予定されておりまする参議院議員選挙を前にして、事前運動が活発化していると新聞が伝えておりますが、その状況並びしにこれに対する警察当局の決意を国家公安委員長にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(吉武恵市君) 来年行なわれまする参議院選挙を控えまして、事前運動がだんだんと行なわれつつあるということでございます。私ども警察当局として調べましたところによりますと、今日まで事前運動と目されて警告した案件は七十件ばかりございます。
○市川房枝君 厚生大臣にお尋ねしたいんですが、厚生省に、この十月二日に退官されて、十月三十日に自民党の全国区の候補者として公認された局長がいられましたね。お名前は預かっておきます。その前局長と後任の新任局長とが、去る十一月十日に、これはS県と申しておきます。S県の老人福祉大会に出席して新旧のあいさつをされ、その後関係団体の会長と二人で訪問してあいさつをして回られたということです。訪問されたほうは事前運動だというふうに受け取っているようです。その翌日は、新局長と県の民生労働部長だとか児童課長が関係の福祉団体幹部と会合して、よろしくとまたおっしゃったのですが、このよろしくというのは、やはり前局長の選挙をよろしくということだというふうに受け取っております。また、県の児童課長なんかは、この前局長を講師に招いてくれといって、その関係福祉団体に申し入れているとも聞いております。これは私の耳に入ったほんの一つ二つでありますが、ほかの地方でも同じことが行なわれているのではないかと思います。厚生省関係の公務員の方々は、三十七年の参議院議員選挙の際に苦い経験をしておいでになるはずだと思います。こういう地位利用と思われるような疑いを持たれるような行動は不謹慎じゃないかと思うのでありますが、大臣のお耳にも入っておりますか。大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(神田博君) ただいま例示されましたこと、実は昨日市川さんの質問がこういう要旨だということをお聞きいたしまして初めて承知したようなわけでありまして、その事実のあるなしというふうなことについての調査が、したがいまして、手が回っておりません。しかし、いまお述べになりましたようなことがもしあるようであるとしますならば、そういうようなお考えをお持ちになること、私は当然だと思っております。十分調査いたしまして、ことに現職の官吏が疑われるような行動があるといたしますならば、それぞれ注意なり処分なり考えたいと思います。
○市川房枝君 そのいま申し上げた局長のパンフレットをここに二冊持っております。一冊には、これはやめられてから公認の候補となられてからのものです。その表にはちゃんと前の局長の名前、肩書きがついております。もう一つのは、これもまああとで出たのですが、表にはその人の写真が出ている。この中には経歴が一ぱい書いてあるのですが、これは私、選挙運動の疑いがあるパンフレットじゃないかと思います。また、前のは、これはこの間の十月の二十日の厚生省全社協、全天協共催の日比谷公会堂での全国母子福祉大会というのがあって、私差しつかえてとうとう行かなかったのですが、ところが、そこへ厚生省がこのパンフレットを持っていって配ったのだそうです。これも私は少しおかしいと思う。それから、もう一つのパンフレットの中に、これも明らかに選挙用なんですけれども、中に皇太子さまのお写真が出ているのです。その写真をご一緒にご本人が写っている写真が出ているのですが、これも私やはり皇室を選挙のちょっと道具に使うというふうにいわれてもしようがないのではないかという心配なんですが、だから、こういうことをどういうふうにお考えになりますか。厚生大臣、このパンフレットをもしごらんにならなかったら、私あとでお見せしてもよろしゅうございます。
○国務大臣(神田博君) ただいま市川さんがお述べになりましたようなこと、私もこれ初耳でございまして、また、いま提示された資料も承知いたしておりません。お貸ししてくださるそうでございますから、十分ひとつ見てみたいと思っております。 なお、在官当時と退官のあととは、また私の監督があるかないかという問題にも関係いたします。いずれにいたしましても、そういうような疑いと申しましょうか、御心配をかけていることは、はなはだ遺憾にたえません。
○市川房枝君 高級公務員が退官後直ちに立候補なさることについては、国費で事前運動を行なうことが多いというか、それから公務員を選挙に巻き込むことになりますし、ほかの候補者と公平ではない、公平なチャンスを与えることにならないというような意味で、これを禁止するのは憲法違反だという考え方があるのですが、私は、やっぱり公共の福祉のために、退官後少なくとも一年間は立候補を禁止してもいいのではないか、そういう法律をつくってもいいのではないか。これは選挙制度審議会あたりでもそういう意見が出て、結局はどうもそうならないのですが、これは総理、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も官僚の出でございまして、衆議院に立候補いたします際に、さような法律をつくったらどうだ、これをつくらないとどうも選挙が乱れる、こういうことで、いろいろそういう議が出たことを承知しております。当時は、たしかどうも憲法問題だろうが、立候補を禁止するということは少し行き過ぎではないだろうか、こういうことで取りやめになったと思います。しかしながら、ただいまお述べになりましたような、次々にいろいろおもしろくない事態が発生しておりますので、ことに前回の選挙におきましては批判も非常にきびしくなっております。よほど見違えるようになりつつあるとは思いますが、厳に戒めなければならないことだと思います。私自身が官僚の親分でございますので、そういうことはとくと伺って、そうして公明選挙の方向に進めてまいりたい、かように考える次第であります。
○市川房枝君 総理は、十一月二十一日の国会における所信表明の中で、「政府の基盤たる自由民主党の近代化を推進し、」とおっしゃっております。また、十二月一日の自民党大会でも同じようなことをおっしゃっております。私は、政権を担当しておいでになる自民党の近代化を切にこいねがっておる一人といたしまして、たいへんにけっこうだと思っております。そこで、総理の近代化の具体的内容、その実現の順序等を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 党の近交化につきましては、ただいまの幹事長の三木君、さらに、また、三木君がかわりまして、ただいまは水田三喜男君がそのほうを担当しております。せんだっても水田三喜男君を呼んで、約一時間にわたりまして懇談をいたしました。いろいろむずかしい問題があるようでございますが、一つは選挙制度そのものでもございますし、また、もう一つは党の組織の問題、これに力を入れなければならないということでございまして、その意味において党の綱領も近代化しなければならない面がある、同時に、党の組織化に非常な力を入れていく、かように考えますと、やはり支部というもののあり方が、保守党は保守党なりにくふうする必要があるように思います。ただいまお述べのように、支部の機能も十分ではないようでございますので、こういう点にも反省を加えていく、同時に、また、金のかからないような組織がないだろうかということで、いろいろくふうしておるようでありますが、選挙運動そのものについては、もうすでにしばしば国会におきまして審議を経ております。 〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 どうも国会議員――衆参両院議員の選挙がいつも問題になるようでありますが、その他にも地方議会の選挙がございますし、こういう市町村の末端の選挙から公明な道をたどっていかないとなかなかうまくできるものではないのだ、こういうことがございますので、選挙自身の公明化の問題は、私は、先ほどお答えいたしましたように、選挙者、被選挙者、これが一体となること、こういうことを申しましたが、同時に、市町村の選挙から正していく、そういうことが最も必要なのではないだろうか、住民に最も身近な選挙といえば市町村の選挙でございますかう、そういうものが正しくなって、そうして今度国会議員の選挙になれば、さらに見方も変わってくるのではないだろうかと、かように思います。 これと関連して申すわけではございませんが、党の近代化、これはしばしば注意しないと、その地域地域におきましても、フェースリフティング、これがどうしても必要なことのように思いますので、水田君もせっかくやっておりますが、なかなか困難な問題であるようでございます。いままで言われております派閥解消、これなども表面に出てしばしば世論の批判の的になっておりますので、最近は党もそういう点ではよほど反省をしておりますので、最近の形なら派閥は順次解消していくような方向ではないだろうか。しかし、党の近代化は、それも一つの方法だが、もっと積極的な意味において党の組織化に力を入れよう、こういうことで非常に骨を折っておるようであります。私、総裁といたしまして、ただいま水田君のとっておるその行き方はいい方向だと、かように思います。いずれにいたしましても、党員全体の方の理解と、そうして同情ある措置で、そうして反省を重ねてはじめてこの党の近代化が実を結ぶのではないだろうか、かように思っておる次第であります。
○市川房枝君 私の時間が終わったのですが、一問だけお許しを願って終えいたと思います。 いま総理の党近代化の質問に対するお答えをいただいたのですが、お話の点、いずれも近代化に必要な事柄ばかりだと思いますが、私は、三十八年十月の三木答申の報告書を拝見をしておるのですが、その中で、一切の派閥の無条件解消ということが、もう何よりも一番大事だということをおっしゃり、そうして去年のいまごろだと思いますが、新年にかけて派閥解消をだいぶ各派がなすって、たいへんうまくいくようなふうに出ていたのですが、去年の総裁選挙でまた派閥が強化されて今日にまいっておるという状態――で、総理の派閥は周山会というのですね。その周山会は自民党の派閥の中では非常に有力な派閥でおいでになっているというか、私は、こまかいことはよくわかりませんけれども、金の面から少し調べておりまして、周山会が正式に政治資金規正法によって自治省にお届けになった書類の写しを実はここに持っておるのです。これを拝見しますと、収入総額は三十八年度に四億四千四百二十一万円、河野さんの派閥の第一国政研究会が四億一千四百六十万円で、河野さんよりか少し多いのであります。自民党の派閥の中では一番強くいうっしゃるのだろうと思うのですが、その中でのお金の面での私の疑問が少しあって、それを伺いたいと思うのですが、それは別の機会にしたいと思いますが、将来この派閥を総理としてはだんだん解消する方向に持っておいでになるおつもりでございましょうか、いかがでしょうか。それを伺って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 三木答申が出まして、各派閥は解消したという形をとっております。私は、周山会はいち早く解消いたしたのでございまして、ただいまはもう周山会というものはございません。しかして、その後何らかそれにかわったものがまたできたのじゃないか、こういうお話がございます。それで、私が申すのですが、派閥解消はなかなか一朝一夕にはできないのだ。各派閥が、ただいま申すように、周山会が解消した、あるいは宏池会が解消した、そういう姿で一歩前進したのだ。さらに、その解消の上で今度は何をするのか、その道をたどらないとまたもとへ返るぞと、これを注意しておるわけであります。 その次の関題は、これは党内の問題でございますが、いわゆる派閥人事を解消していく、こういう方向になりますならば、必ず実を結ぶに違いない。長い間のしきたりでございますので、一朝一夕にこれをひっくり返すということはなかなか困難なことですが、そういう意味で党の三木君の第一弾は成功したのですが、第二弾を用意しなかったところにその派閥閥解消の実をあげることができなかった、実を結ぶことができなかったように思います。したがいまして、今回もそういう意味で派閥人事をしないということを念願いたしておりまして、そういう方向で進んでいきたい、かように思います。御批判は自由でございますかう、とにかく長い間のしきたりでありますし、ことに、また、大きな政党でございますから、それがお互いに懇親を重ねておるという関係のものは依然として残っておるということでございますが、ただいま申すような方向で明かるい政党にしていく、これが第一の私どもの願いであります。
○市川房枝君 ちょっと伺いたいのですが、周山会はもう解消したとおっしゃいましたね。これはもっとも三十八年度ですから、ことしの三十九年のは私調べてないからわかりませんけれども、じゃ、ないのですね。かわるものはありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、かわるものと言われますが、佐藤事務所はございます。それから、もう一つは、木曜クラブというものがございます。しかし、もう周山会というものはございません。さように御了承いただきます。
○市川房枝君 そうですか。 それから、いまの派閥の人事をしないのだ、そして派閥解消の方向にいくのだとおっしゃる。それはたいへんけっこうだと思いますが、総理は、前の池田さんの引き継ぎの人事でいらっしゃるかう、佐藤総理のいまおっしゃいました人事はまだ拝見ができないわけですが、近い将来に佐藤内閣の新しい人事をさないますでしょうと思いますが、そのときは、ぜひひとつ派閥によらない、適材適所による人事をおやりいただいて、それを拝見さしていただくようにお願いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) もう一つ、誤解があると因りますからお答えしておきますが、ただいま池田総理が組閣したその後の人事を引き継いでおりますが、これもただいま申すような派閥人事にとらわれない証拠でございます。どうかひとつよろしくお願いいたします。
○理事(平島敏夫君) 市川君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○理事(平島敏夫君) 次に、永岡光治君。
○永岡光治君 私は、労働問題を中心に若干質問をいたしたいと思うのであります。 その前に、私の前に質問をいたしました田畑君のILO問題に関する答弁の中で、明確を欠くものがありますので、この問題について総理及び労働大臣の所見をただしたいと思います。 その第一点は、昨日でしたか一昨日でしたか、よくわかりませんが、新聞の記事によりますと、閣僚懇談会ですか閣議ですか、それも明確に記憶いたしておりませんが、このILO八十七号条約の、案件をめぐりまして、政府で意識統一をいたしたかの記事が出ておりましたが、その問題についてどのような意識統一をいたしましたのか、この際、この委員会を通して明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 一昨日であったと思いますが、ILOの八十七号条約批准案件の政府原案に関する関係閣僚の懇談会を開きまして、今日まで各官庁が事務的に準備をいたしましたうちで、問題の残っております点についての調整をいたしました。本日は佐藤人事院総裁をお招きいたしまして、本日の朝御意見を聴取いたしました。この問題点を明らかにしろということでございますが、いままで、先ほど田畑委員の御質問にもお答えいたしたのでございますけれども、これは御承知でしょうが、いままでいろいろむずかしい経緯をたどってまいりました。したがって、政府原案ができて、それから与党との調整に入るわけでございまして、事前にいろいろと不十分な状態において、まだものがしっかり固まらない状態において世の中に出しますことは、いろいろ論議を招きますので、ひとつ政府原案としてまとまったものができたとき、そうして御審議を願いましたときに御論議を願うことといたしまして、その間はひとつ御猶予のほどをお願いをしてまいったのでありまして、どうかひとつ今回も御猶予をお願い申し上げたいと存じます。
○永岡光治君 そこで、佐藤総理にお尋ねいたしますが、ILO八十七号案件が批准をされていないということで、すでにジュネーブの国際の理事会においてたいへん非難をこうむり、十四回ですか十五回にわたりまして、早く批准をしろという勧告があったことは十分承知をいたしておると思うのでありますが、先般この問題をめぐりましてILO本部の調査委員会が開かれまして、石田労働大臣も出席されたと記憶いたしておりますが、当面の急務だろうと私思うのでありますが、お話によりますと、この臨時国会では提案が間に合わない。そこで、重ねてこれは明確にしていただきたいと思うのでありますが、通常国会には何がなんでもこれはぜひとも批准をする、こういう立場であるのかどうか、その決意ですね、これを明確にしてもういたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) できることならば臨時国会に提案したいということで準備を進めておるわけであります。しかしながら、八年もたっている問題でありまして、なお、結論がなかなか困難だと、これはその後の情勢の変化もございまして、なかなか最終案が決定しないということであります。どうも臨時国会に間に合わないということでありまして、私は残念に思っております。したがいまして、通常国会が開かれれば、これは早期に提案をして、ぜひとも批准にこぎつけたいと念願しております。もちろん皆さん方の御協力を得なければならぬ問題でありますので、これは衆参両院の方々の御協力を得まして、ぜひ批准にこぎつけたい、かように考えております。
○永岡光治君 そこで、お尋ねいたすわけでありますが、ぜひ通常国会で衆参両院の協力をいただいて成立をさせてもういたいというお考えでありますが、池田総理時代には話し合いのムードと申しますか、そういうことであったのでありますが、佐藤総理になりましてからは調和ということでものごとを処理していきたいというお話でありますが、御承知のとおり、この案件につきましては長い懸案でありまして、与党も野党も一致してこの案件が無事通過するようにということで、特に社会党、自民党の間で出先機関がきめられまして、私もまたその一人として加えていただきまして折衝に当たってきたわけでありますが、そのつど、出先の自民党の方々の意向をただしまして、党の中にも十分にこのことは了解しておるのかどうか、そのつどまた十分了解しておるという言明を私どもいただいたわけでありまして、世にいろ倉石修正案という表現を使っておりますが、これがまとまるにつきましては、社会党の成田書記長及び自民党の前尾幹事長が会議を開きまして、お互いに了解を取りかわした一事もあるわけでありますが、そういういきさつから考えますと、石田労働大臣はいま、内容を発表することは差し控えてもういたいという話でありますが、その配慮のほどはわかるわけでありますが、そういうことでありますならば、十分成案を得るまでにおいても、公式にか非公式にか、それはどういう方法をとるのが適当であるかは存んじませんけれども、やはり与野党一致してこの案件が国会を通過するという十分な根回しと申しますか、手だては私は必要だろうと思うのであります。それすらもしないということであれば、これは明らかに佐藤総理の言うところの調和の私は政治ではないと思うのでありますが、そういうことは十分考えておいでになると思いますが、どうでございましょうか。
○国務大臣(石田博英君) 前内閣の時代と申しますか、前の通常国会におきましては、この案件を与野党で話し合いによって円満に成立させたいという目的をもって、まあいわゆる倉石修正案というものができました。政府の与党幹部もその修正一案の実現に非常な努力をいたしました。しかし、党内いろいろ意見がございまして、御承知のごとくまとまらなかったのでございます。誠意を尽して努力いたしましたが、まとまらなかった。そこで、まとまらないという事実を報告をし、この点についての両党の折衝というものは、これを打ち切ってもらいたい、こういうことを申し上げました結果、社会党ではそれを理由として内閣不信任案をお出しになって、そしてそれが否決されたと、こういう経緯でございます。 私は、現在の段階におきまして、いわゆる倉石修正案というものは、国会の審議を拘束する両党一の話し合いとしてのものは終止符を打った、こう考えておるのでありますが、そういう解釈のもとに出発をしておるのでございますけれども、しかし、前の特別委員会におきまして、政府原案とともに倉石修正案も議論の的になりました、対象になりました。それについて前大橋労働大臣その他関係閣僚が答弁をいろいろいたしております。その答弁をいたしたものは、やはり現政府といえども責任を継承する必要がある、それから政府としてILO当局の疑問に答えていろいろ政府の態度を表明いたしております、そういうものもむろん当然責任を継承する必要がある、こういうたてまえのもとに、いま政府原案の作成に着手をいたしておる次第であります。 むろん、そういうたてまえで進行しておるのでありますが、そこで、まずわれわれが、与党として、あるいは政党内閣の政府として法案を提出いたします場合におきましては、いままで申しましたようなことと同時に、与党内の意見の調整を得ることが第一でございます。そしてその後の御意見等の処理は、これは国会の場を通じてなされるのが正しいのではなかろうか、私はこう考えておる次第でありまして、前から、非公式・公式にいろいろお話を申し上げるということは、私は国会の論議をする余地を少なくする、こう思います。また、社会党その他のお考えは、先ほど、前の特別委員会でいろいろ御議論があり、また倉石修正案等の中に表明せられておる点もございまして、こちらではすでによく承知している。それを勘案しつつやって、残余はひとつ国会の論議の場で御審議を願いたい、こう考えておる次第であります。
○永岡光治君 いま労働大臣の答弁にありましたように、これは長い間かかりましてまとめた一つのいきさつがある事実は、やはり事実として認めなければならぬと思う。したがいまして、でき上がるであろう政府原案につきましても、私はこれはあえて公式だとか非公式だとかいうことにこだわりませんけれども、おそらくどういう法案をつくる場合にいたしましても、与党の案をまとめる場合にいたしましても、やはりこれは長い間まとまらなかったというこのむずかしい事実を私は前提として認識をしていかなければならぬと思うのでありますから、その点は十分ひとつ考慮をいたされまして、どうぞひとつ与野党一致してこれが国会を通過するように最善の努力をしてもらいたいということを、特にひとつ要望しておきたいと思います。その点について、佐藤総理のひとつ所見を承っておきたいと思います。 〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、政府原案というものが一日も早くできることが大事なことだと思いますし、それが出た上で国会におきまして十分論議を尽くして、そうして皆さま方の御協力を得る、こういう形で批准ができればたいへんしあわせだと、かように思っております。
○永岡光治君 先ほど申し上げましたように、私の主張するところは、とにかくこの案件が論議になりましたが、長い経過を持っておりますし、また与野党で話し合いをして、この話し合いがまとまるにつきましても三年有半というもの長くかかっておる、その事実問題、現実問題といいますか、そういう問題を十分ひとつ念頭に置かれまして、野党も快く賛成できるような法案ができるように、最善の努力を重ねて要望して、次の問題に入りたいと思うのであります。 同じくILO八十七号条約の問題でありますけれども、性質は違いますが、百五号条約という案件がまだ残っておるわけでありますが、この点についてはしばしば本委員会におきましても政府の決意をただしたのでありますが、そのつど早急に批准できるように努力したいと、こういう答弁があったわけでありますが、その方針については今日も変わりないのかどうか、重ねて質問をしておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) そのつもりでおります。ただ、一ぺんに二つというのはなかなかむずかしいので、まず八十七号条約を片づけてというようなつもりでおるのでありますが、できるだけそういう方向で努力をするつもりであります。
○永岡光治君 そこで、このILO八十七号条約案件が国会に提案されますと、国内法の改正も同時にこれと関連して出るという私ども予想がされるわけでありますが、その方針はやっぱり堅持されておるわけですか。
○国務大臣(石田博英君) 関係国内法の改正も同時に提案をいたしたいと考えております。
○永岡光治君 そこで問題になるわけでありますが、実はこれは大蔵大臣にお尋ねしたほうがいいかと思うのでありますが、この前の通常国会、三月二十七日の本会議におきます政府答弁におきまして、大橋労働大臣、田中大蔵大臣は、賃金の決定にあたってはあくまで労使の自主交渉できめるべきで、また政府が権力的に介入する意図は毛頭ないのだと、こういう答弁をしております。これは三公社五現業の給与問題をめぐりましての紛争の起きておるさなかの政府の見解でありますが、この方針は今日も変わりないのかどうか。念のために聞いておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 労使双方が現行制度の活用によって円満に協調し結論を出さるべきであって、政府がこれに主導的な立場をとるというようなことは慎まなければならぬという考え方は変わっておりません。
○永岡光治君 したがって、これは現労働大臣の石田労働大臣に所見をただすわけでありますが、ただいま大蔵大臣の答弁をされました趣旨、さらにまた、これは四月十五日の本会議における政府答弁になっておりますけれども、大橋労働大臣は、政府として職権による仲裁申請は考えていないけれども、労使間の紛争はその自主的な努力によって解決さるべきである、そのためのあっせんは考慮してもよい、こういう考えを披瀝したわけでありますが、同じく石田労働大臣としても、との労使の問題についてはそのような見解を持っておるのかどうか、これも念を押しておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) そのとおり考えております。ただいまおっしゃった御意見は、結局、三公社五現業において当事者能力をもって交渉し得られるような土台をつくれということであろうと思うのでありますが、そういうことにつきましては、四月十六日の池田総理大臣と総評幹部との話し合いの中にもありましたし、その後しばしば政府も答弁をいたしておるのでありますが、関係次官会議を開きまして、逐次具体案の作成にいま鋭意努力中でございます。
○永岡光治君 そういたしますと、自主的交渉で解決してもういたいという方針でありますが、今日までの実際の状況を見て、はたして自主的な解決ができるような状態になっておるのかどうか、これはやはり問題が私はあろうと思うのです。特に本日は佐藤総理にもこの点をただしておきたいと思うのでありますが、あなたは、過去におきまして、これらの関係しておる主管大臣になり、十分承知をしておることであります。また、電電公社ができ上がる際における責任者でも私はあると記憶をいたしておりますが、そこで、この公共企業体等労働関係法を見ますと、この第八条では団体交渉の対象になる事項がきめられておるわけです。その中に明らかに「賃金その他の給与」ということがあるわけです。あるいは「労働時間」、そういうものがあります。ところが、これが十六条になりますと、どうも、きめても予算上資金上それが無理な際にはだめなんだ、こういうことになっているわけですが、今日の予算のたてまえからいたしますと、予算総額制度をとっているのじゃないかと思いますが、その点は、その自主交渉で解決できるということと、予算総額制をとっておるということと、これは一体どういう関係になるのか、その点を明確にしてもらいたい。
○国務大臣(田中角榮君) 裁定まで持ち込まないで調停段階において片づけられるようにという趣旨で御質問があるわけでございますが、先ほど労働大臣からお答え申し上げましたように、この問題は、前向きにいま次官会議でもって検討しておるわけです。なぜかといいますと、非常にむずかしい問題がたくさんございます。それはどこかといいますと、調停段階でもって解決をするといっても、実際に解決するだけの当事者能力を与えておらないじゃないか、結論的には仲裁にいかなければいかぬと、こういうことでございますが、この間の事情はなぜかといいますと、実際問題として調停段階で片づけ得るのかと、こういう問題を詰めてみますと、その場合、三公社五現業の間でもって相当なアンバランスが、――きまった場合ですな、相当なアンバランスが出る場合がございます。ですから、三公社五現業間のバランスの問題等見るにしても、やはり第三者的な中立委員の意見が一番公平だということで、仲裁にいっておるわけであります。でありますが、そうであるならば、いまの調停段階では、前向きにやるといっても当事者能力を拡大せぬじゃないか、こういうことになりますので、この間の事情を十分前提としまして、一体もっといい道があるのかということをいま検討いたしておるわけでございます。
○永岡光治君 これは労働大臣にお尋ねいたしますが、いままで調停段階で、この賃金問題で――主として基本賃金の問題に限ってでありますが、解決をしたかどうか。私の記憶では、解決した場合はなかったと思うのです。みな仲裁委員会というところへ持ち込んだと思うのですが、そうすると、この調停委員会というのは必要ないではないかと思うのでありますが、その点はどのように理解をされておりますか。
○国務大臣(石田博英君) 労使関係の問題を処理する経過といたしましては、やはりでき得る限り、一番いいのは労使関係の話し合いで、他人さまに御迷惑をかけないでまとまるのが一番いい。しかし、そうでない場合は、第三者機関の調停でまとまる段階が一番いい。仲裁段階へいくのは、まあまあ労使関係の問題を処理する問題としては第三番目くらいのものだと。これはまあ、労使関係の問題を処理する一般論としてはそのとおりでありまして、そのたてまえの上から法律はそうなっているのであります。御指摘のとおり、調停段階で事が片づいたことは一回もございません。そこに、われわれが何とか当事者能力を持たせて、つまり三番目までいかんで、二番目、一番目で問題を処理するような方法がないであろうか、これは、労働行政、つまり労使関係というものを扱う労働行政の立場からいえばそのとおりで、私はできるだけそういうふうにしてもらいたいと思っておるのでありますが、そのほかのいろんな制約、財政その他の制約、いろいろな問題とのからみ合いがございまして、そう急に結論を出す、結論が早く出るということには、なかなかいかないのであります。しかし、それでも、ごくきわめて近い機会にも関係次官会議を、さらに私どものほろで督促といったらおかしいのでありますが、急がせまして、開くようなことになっておりまして、そういう方向で何とか努力をしてまいりたいと、こう思っております。
○永岡光治君 まあ、その前向きの姿勢で検討されていることは了といたしまして、早急にその方向に実を結ぶように最善の努力をしていただきたいと思うのでありますが、この際さらに、その仲裁なり調停なりというものが非常に不自然な形になっておるということを、一つ例をあげて、ここで政府の反省を求めたいと思うのでありますが、国鉄総裁、きょうお見えになっておると思うのでありますが、ことしの四月に、例の十七日を期しての紛争の問題がございましたが、その際に、仲裁委員会に対しまして、石田総裁は、うちの国鉄の給与をよくしてくれという陳情をしたと――まあ説明したというか、陳情したというか、よく知りませんが、新聞ではそのような記事が出ておったわけです。これは私は全く奇々怪々に感じたわけです。当の、能力を持って団体交渉に当たって、自分で解決しなければならぬ人が、その解決をしないで、仲裁委員会へ行ってそういう陳情をしなければならぬということは、きわめて私は不見識だと思うのですね。そうだと思うのです。そういう制度、やはり私は、問題はそこにあると思うのですね。国鉄総裁がやられたことは、私は悪いとは言いません。それはもう当然なことだと思うのですね。仲裁機関にかかる以上は、何としても給与の改善をはかってもらいたいという、その熱意は私は了といたしますが、そうしなければ解決しないというなら、当事者がその仲裁委員会に来て、自分でそんなら解決したらいいんじゃないかと、国民は当然思うと私は思うのです。そこにこの制度の欠陥があると思うのです。だから、この制度の根本的な改革をやらなきゃならぬと思いますが、この制度をやはり改革すべき必要があると私は思うのでありますが、つまり自主的な皆さんの権限によって、そういう能力をさらに一そう完全なものにしてもらう、そういう方向に進むべきだと思いますが、国鉄総裁の過去の経験からいたしまして、総裁はどのように感じておるか、答弁を求めたいと思います。
○説明員(石田禮助君) お答えいたします。 昨年の労働争議(「ことし」と呼ぶ者あり)のことでございますが、予算の関係その他の点から申しまして、国鉄総裁には解決する力がない。そこで仲裁裁定に持っていった次第であります。要するに、われわれの国民の予算からいくというと、与うるものは何にもないのであります。そこで仲裁裁定に持っていった、こういう次第であります。私は、この制度がいいかどうかということは、これはもう少し研究する必要があると思いますが、しかし、実際問題からいってですね。組合とわれわれが交渉して解決をつけるということは、これは実にむずかしい問題がありますので、それで、一方に国鉄というものは、組合に対しては、労働争議というか、ストライキというものを禁止しておるのですからして、まあ第三者である仲裁裁定の公平なる判断によってきめるということが一番公平じゃないか、それできまれば結局政府というものはこれに対する予算づけもしてくれる、こういうことで、いまのところでは、現在の制度で私は別に変える必要はないということに考えております。
○永岡光治君 いまの制度を変える必要がないということになると、また問題が私はあると思うので、政府のほうでも、これは十分前向きの姿勢で考えなきゃならぬということでありまして、自主的に問題を解決するようにという政府の意識があるわけでありますけれども、そういう意識統一をしているのだけれども、なかなか思うようにそのことが解決されていないから、その方向にぜひひとつ前向きで次官会議のほうでもはかってもらいたいと、まあこういうお話をしているというふうに私も理解しておるわけですから、これはまあぜひそういう解決のしかたをしなければならぬ。もちろん、今後の問題については、公社自体にもこれは問題があると思います。経営の自主権の問題もあると思います。それと関連をしてやらなければならぬと思いますが、いままで行なわれました過去の実績を見ますと、なかなか自主的な交渉が思うようにいかない。そこでこれは仲裁に持っていかなきゃならぬ。長い時間をかける。調停委員会も踏まなければならぬ。その間に、自然これはもう、政治闘争はけしからぬというけれども、政治闘争にならざるを得ないところに追い込んでおるこの事実を、十分ひとつ、政府当局も公社関係の当局者も考えていただいて、早急に解決をはからなければならないと思うのであります。 この点について石田労働大臣のほうにお尋ねをしたいと思うのでありますが、それはどういうことかといいますと、今年の九月、臨時行政調査会から答申が出ておるわけです。これは先ほど田畑君もちょっと触れておりましたが、その中に明確に入っておるわけであります。経営の自主権の確立の問題を一つ言われております。それから、また第三項には「労使関係について、審議会を設けて、労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」――今日も当事者能力がないとは、おそらく言えないと思いますが、私は完全ではないと思うのです。そういう意味で、「公社側の当事者能力の確立をはかること。」、こういうふうに答申されておりますが、当然私は、佐藤内閣といえども、こういう調査会の答申は尊重しないとは言わないと思うのですが、いかような見解を持っておいでになるのか、その点をひとつ労働大臣のほうにただしておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 先ほども申しましたように、労使関係の処理は、一番いいのは、労使間、労使当事者同士で解決していくのが一番いい。しかし、その次は調停、その次は第三者機関の公平な仲裁、これが一番いいと思っておるのであります。また、法律もそうできておるわけでございます。そこで、そのために当事者能力を持たなければならない。調停段階で処理ができるだけの能力を持たなければならない。そういうたてまえで四月十七日の池田前総理大臣の発言もあったろうと思うのでありますし、私もそれはそう考えておりまして、先ほどから繰り返して申しますように、次官会議で鋭意努力中でございます。臨時行政調査会の答申、私も承知いたしております。これは全体として、いま政府は検討中でございます。労使関係の部分につきましては、審議会を設けてこれを検討しろということであります。それは労使関係だけを切り離して処理できない。やはり公社の経営のあり方それ自体が問題になっている。それは勧告にもそう書いてございます。したがって、そういう全体から考えて処理しなければならない要素が多いためと承知いたしておりますので、そういう答申の意味を尊重しつつ政府全体としていま検討しておる段階でございます。
○永岡光治君 労働大臣の労働問題の主管大臣としての答弁はわかりましたが、これは田中大蔵大臣になりますか、総理からまとめてでもいいのでありますが、経営の自主権の確立の問題について、現状では私は問題があると思うのです。この問題についてやはり検討していく考えをお持ちになっておるのかどうか、これはひとつ総理のほうから明確にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど石田労働大臣から答えましたように、ただいま次官会議でいろいろ検討しておるということでございます。これはできるだけ早くその結論が出るというふうに私も努力したい、かように考えております。
○国務大臣(田中角榮君) 一言だけ。この問題は次官会議でもいま検討しておりますが、ここで一つだけお考えいただきたいのは、三公社五現業というものは、確かに自主的に、自主性を認めて給与総額制度等に対する弾力条項を規定できないかということに対して、われわれも十分検討いたしました。どうもしかし検討いたしてまいりますと、最終的に壁にぶっつかる。というのは国会の審議権との問題であります。これがいわゆる一般会計であったものがだんだんと特別会計になり、三公社になり、五現業になったとはいいながら、あくまでもこれが持つ公益性、しかもこれはほとんど名前は三公社五現業といいながら国営企業であり、国家事業であります。そういう意味で国会で政府関係機関としての予算審議をお願いしているわけでございます。でありますので、給与総額を当事者能力でもってかえられるというようなことが検討される場合に、国会の給与総額に対する審議権との問題、こういう問題がからんでおりますので、なかなかその結論が出ないということでございますが、しかし、一般会計から特別会計にだんだん三公社五現業、特殊会社に移していくという方向を考えて、どこかに調和点が見出せないかという問題点があるわけであります。いずれにいたしましても、前向きで検討を進めているということだけを申し上げておきます。
○永岡光治君 労働大臣に重ねてお尋ねしておきたい。実は田畑君の質問の際に、基本権を争議権を与える方向で検討し、そうして当事者能力を与えるようにという勧告があるじゃないか、いやその前に審議会があるんですよ、それを忘れてもらっちゃ因りますよという答弁があったわけでありますが、そうすると、今度の改正にあっては、この問題について審議会等を設置して検討するというような考えがあるのかないのか、当然私はあるだろうと思うんです、尊重してやるという。
○国務大臣(石田博英君) これは勧告を部分的に私のほうで、自分の所管のところだけを部分的に取り上げて、私が単独で先走った答弁をする段階ではないのでございまして、いま行政管理庁を中心としまして、勧告全体の取り扱いを検討いたしている段階でございます。それをどうする、全体をどう取り扱うかというのは政府の大方針であります。これは私ここでひとり、一労働大臣のお答えする範囲ではないと思うのであります。私は、労働行政のたてまえから言えば、さっきから申しますように検討すべき余地がございます。しかし、それだけでは片づかないから、そこにも、その勧告の中にもそれだけには限定していない。つまり公社、現業のあり方自体にまでその中に含めているわけでありまして、私はやはりこの問題も、そういう総合的な範囲で検討すべきものだ、勧告のとおり審議会で行なうのかあるいは他の方法をとるのか、これはいま目下政府全体として検討して、(「前向きで。」と呼ぶ者あり)いや、もちろんわれわれは一切の問題について後退してはならないのでありまして、常に前進をしていくのが政治のたてまえであることは言うまでもないのであります。
○永岡光治君 もう一つ労働大臣に、この年末なり、また、春の賃金の引き上げ等の問題で、およそ想像は私どもつくわけでありますかう、これも労働大臣にひとつただしておきたいと思うのでありますが、この公企労法の第八条ですね。団体交渉の規定があるわけです。賃金なり、給与なり、それから労働時間あるいはまた休憩、休日、休暇、昇級昇格、転職、免職、休職、先任権、その基準に関する事項だとか、あるいはまた、それの前各号に掲げるもののほか、労働条件に関するものということがあるわけです。ところが最近の労使関係を私ども見ておりますと、管理運営事項だからということで、管理運営事項と称して非常にこの拒否をする態度があるわけです。つまり話し合いに応じないで、そうして国民の大切なサービス機関をあずかっている三公社なり、五現業の諸君、事業その他が置き忘れられてしまって、労使関係の、いや、その団体交渉事項であるとか、ないとか、いや、それは話し合いに応じないのだとか、応ずるのだとかいうようなことで、感情的にしかも発展してまいりまして、みぞを深くして非常におもわしくない。労使慣行の正常化から見ると非常に残念な事態がしばしば出現をしているわけでありますが、そこで、この管理運営事項といえども、これは労働条件と表裏になる関係がたくさんあるんです。これは労働大臣みずからが承知していると思うんです。だからそういう問題については、私は、管理運営事項については話し合いに応じなくていい、こういう一つの規定があったにしても、それはどこまでも独断専行していいんじゃ、おまえらの意見は一歩も聞く必要はないんじゃという、そういう精神ではないと思うんです。権利として言われたら必ず応じなければならぬ、そうして団体交渉できまってからやらなければならぬ、そういうものではないということを私は規定しているものだと思うので、これはひとつ十分話し合いをしてみて、特に私はこの話し合いが最近非常に不正常になっていると思うのですが、やはりお互いにこういう問題は話し合いをして、円満にものごとが解決するように、お互いに相互の理解を深めていくという、こういうたてまえの指導がどうも欠けているのではないか、このように思うわけでありますが、労働大臣としてはそういう指導をしていただけるのか、いただけないのか、いまでもだいじょうぶと、こう見ているのかどうか。これは国民の立場からいいますと、非常に迷惑しておる。国民にサービスをされるその事業があとに置かれてしまって、お互いにけんかばかりやっている。話の内容を聞いてみると、いや団体交渉事項である、いやそうじゃないということだけでけんかをして、そうして国民に迷惑を及ぼしている。こういうあり方がはたして正常なあり方であるかどうか。管理運営事項の問題についても、そのような理解の上に立っての話し合いをすべきじゃないか、こういうふうに私は考えておりますが、どうぞ。
○国務大臣(石田博英君) 労使が自主的に団体交渉を一定の法規の上に立って行なっていくその内容について、一々行政指導をしたり関与したりする立場でないことは、これは永岡さんよくおわかりいただけると存じます。同時に、各公社、各現業、それぞれの職員団体の間の具体的な、実際的な団体交渉の詳細な内容は、私は残念ながら一々報告を聞いているわけでもないし、承知いたしておりません。しかし、一般論として申し上げたいと存じます。一般論としては、労使関係というものはこれは人間関係でございますから、でき得る限り話し合いをして、円満に、無益な摩擦のないように運営されることがこれは一番望ましいことだと存じます。しかしながら、と申しましても、議事の進行上、何でもかんでも話し合いをするということになると、議事の進行にも妨げられるようなことがございましょうから、そこはそれ、権限に属するものは優先的に取り扱う。時間があった場合、他の事項についてもこれは話を聞く。団体交渉の中に入らないものについては、むろん取りきめる必要もないし、拘束される必要もないのでありますけれども、それでも、まあ意見を聞いてむだということはないわけでありますかう、それは意見を聞くことを妨げない。これは一般論であります。また、と同時に、一般論としては、議事の進行ということも、やっぱり議事の整理ということも必要であろう。それから、その人間関係の処理にあたって感情的になることは、これも一般論として望ましくないことは言うまでもありません。
○永岡光治君 私のたださんとした趣旨は十分理解していただいたと思うので、これ以上触れませんが、時間もないようでありますから、最後に一つだけこれは聞いておきたいと思うのですが、人事院勧告に伴う問題です。四月で調査して、八月に勧告をして五月から給与改訂を行ないなさいという勧告をする。ところが政府は、それは予算にもう一年間――たとえば本年でいえば、三十九年度組んであるのだから予算がないからだめである。そこで五月はだめで、例年十月でしたけれども、一カ月ばかり少し早めたといえども、完全に勧告実施はされていないわけですが、そこでこの問題について、給与担当大臣は関係の閣僚ですかと話し合いをして、どうしたものだろうと、これを妥当なものに、合理的なものにしたいということで相談をしておるような新聞の記事が出ておりましたが、どのような最近の結論になっておるのか、まだ結論がまとまっていないとするならば、その考え方、給与担当大臣としての考え方、これをひとつ承りたいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) 四月の時点において調査をして五月から給与改訂という勧告を八月にもらうといういまの状態が五年ばかり続いておるわけでありまするが、御承知のように、今年の財政状態が、自然増収がたいへん詰まってきた関係で、例年以上に人事院勧告をそのまま実行することが非常に困難になりました。例年十月でありますのに、これが、財源の関係からいうと十月実施も困難であるという財政当局の意見も強く主張されたくらいであったわけでありまするが、しかし、政府としては、仲裁裁定との関係もあり、一般公務員が労働三権を公益という立場で制約を受けておることから考え、人事院の勧告はこれを極力尊重しなければならないということで、たいへん窮屈な財源の中で無理をして決意をしてもらいまして、一カ月だけではありましたが、例年より繰り上げて九月実施ということにしたわけであります。しかるところ、来年の情勢を考えますると、財政の状況が本年以上に緩和されるという見通しはなかなか立ちそうもないという状態であります。閣議決定をいたしました際に、勧告の時期について検討をしてもらおうということでこれが人事院に申し入れをいたし、人事院でも十分に検討をいたしてもうっておるわけであります。しかし、これも調査時点を、四月をあるいは五月にする、六月にする、いろいろそれなりの意義があるわけでありまするが、その後二カ月なり二ヵ月半なり調査検討の時期があって勧告をされますると、どうしても年度初めにうまく給与改善の費用を繰り込むということはなかなかむずかしいわけであります。したがって、来年度はどういうことになりまするか、人事院にただいま意向をただしましても、来年どういうことになるか、民間給与との差が四%であるか、六%であるか、何%であるか、これは見当をつけることはできないといま言っておる状況でございます。しかし、常識的に考えて五、六%の差がある勧告が出ることも予想をしなければならないかとも考えられるわけであります。そういう点で、もし勧告が五%をこえるものとして出た場合のことを考えますると、その際の余剰財源、あるいは自然増収をもってまかなうことができるかどうか相当の心配がありまするので、何らかの措置をとる必要があるのではないかということを考えておる段階でございます。したがって、関係事務当局の間でその問題についての一応の話し合いをさせておるのでございまするが、まだ閣僚段階でこの問題についての意見を交換をする段階に至っておりません。なるべくしかし早い時期に、便宜、先般の勧告実施をいたしました際の六人委員会と申しまするか、六人あたりで話をひとつして、詰めてみたいというふうに考えておりまするが、まだその運びに至らず、したがって、結論に達しておらない実情でございます。
○永岡光治君 あまりはっきりした結論的な答弁がないわけで、非常に残念でありますが、予算がきまって、あとで勧告されるというのが例年の例です。田中大蔵大臣の従来の例からいえば、予算がないからこれはできないのだ。――これもおそらくそういうことになりそうな危険があるわけです。ところが、政府の予算を見ますると、たとえば、災害と比較して適当であるかどうか別といたしまして、災害があるかもしらぬ、ないかもしらぬ。しかし、災害があるとして予算を組んでいるということがあるわけですね、予備費やその他で。災害がなければ幸いということで余る。災害がなかったら余るわけでしょう。災害のために予想してやはり組んでいるわけです。いま給与担当大臣の話を聞くと、五%以上おそらくあるだろうと思うと。しかし、それは的確な数字はわからない。予想されるわけです、これは明らかに。勧告が出なくて政府の立場として済まされるというのであれば、それは財源が余るということになるわけでありますが、これは予算ですから、みな使わなければならないということもないのです。予算は未定ということにもある程度通ずることもあり得るわけです。私は、この人事院勧告というものを、従来の実績から考えてみて、いまだかつて一回も完全実施したことはないと言っても差しつかえないくらいの状況だと思うのでありますが、これはひとつ労働基本権を奪われておる公務員の立場から考えまして、不当な――去年もそうだしことしもそうですが、五月から実施をしろというのに四カ月も五カ月もやらない。これはやはり政府としてはどうかと思うのですね。それで、おまえらあまり不満を言ってはいかぬ、文句を言ってはいかぬ、こういう行き方は私は正しいあり方ではないと思います。こういう問題についても十分検討して、六人委員会か五人委員会か知りませんが、早急に合理的な妥当な方法をぜひ考えてもらいたい。このことを要望して私の質問を終わりますが、答弁をひとつどなたからでもいいですが、できれば佐藤総理から聞いておけばいいと思うのでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、予算編成期を迎えて寄り寄り協議をいたしておるわけでありますが、これは制度上の問題として永岡さんのお気持ち非常によくわかりますが、ことばを濁しておいて誤解を受けると困りますかう、私の財政当局の立場でもってはっきり申し上げます。 これは、私が現段階において考えておりますものは、民間給与との差で年度の中期において人事院勧告がある。しかし、この人事院勧告によりまして、経済に及ぼす、全国民の経済に及ぼす影響もありますので、慎重に検討をして、結局十月実施ということに過去四カ年間なっておるわけであります。それを今度は一カ月繰り上げて九月ということにいたしました。しかし、今度中期経済見通しと金融調整下における現在の経済状態を比較しまして考えますと、どうも来年は、これはほんとうに年度の中期においてことしのような七%、八%というような勧告を受けたとしても、はたして実施できるかというくらいに歳入見通しは窮屈であります。実際四十年度の予算を組むのに対して、これは超均衡過ぎると思うくらいな状態でございますので、一体できるのかどうかという問題がございます。ですから、これを今度あらかじめ予測して組んだらどうかというような、言外にそういうようなお話をなさっておりますが、これは財政法の問題で国会で常におしかりを受けているわけです。予測をしてつかみで予算を組んで審議をわずらわすということは、とてもいまの制度の上ではそういうことは許されようはずはございません。それに対しては、予備費という制度がある。これは、いままでは二百億でございました。それを、今度、災害があまりにも大きいので、三百億ということにして、災害予備費を百億追加いたしましたが、いずれにいたしましても、人事院勧告のあるのを予想して組むということは、はたして可能かどうか。しかも、人事院という全く第三者が公正な立場で現状を見て国会及び政府に勧告するという制度になっておりますから、あるであろうということでもって組んで国会に予算を御審議願うということは、いまの制度上非常にむずかしい。いずれにしましても、たいへん実際上むずかしいということを御了解願いたいと思います。
○委員長(寺尾豊君) 永岡君の質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にいたしまして、明十日午前十時から委員会を開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十五分散会