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47回国会参議院1964/12/08

予算委員会 第2号

発言数
152
登壇者
16
会派数
3
開催日
1964/12/08

会議録

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告をいたします。  去る十二月四日、小山邦太郎君、河野謙三君、小林英三君が辞任され、豊田雅孝君、高野一夫君、植竹春彦君が選任されました。  七日、小平芳平君、米田勲君が辞任され、和泉覚君、阿具根登君が選任されました。  また本日、高山恒雄君が辞任され、向井長年君が選任されました。     —————————————

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)以上衆議院送付の三案を一括して議題といたします。  三案の取り扱いについて、先般の理事会において協議いたしましたが、そのおもなる内容については、お手元にお配りをしてあります刷りもののとおりにいたしました。さよう取り運ぶことに御   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。それではこれより三案の総括質疑に入ります。戸叶武君(拍手)

戸叶武日本社会党

○戸叶君 私は日本社会党を代表し、佐藤首相の所信表明演説に対して質問を行ないます。思い出せば、きょうは二十数年前に太平洋戦争が開始された日です。日本軍の真珠湾攻撃、アメリカ軍の広島、長崎への原爆投下、一片の悪夢です。戦争は人間を気違いにさせ、地獄への道を歩ませました。いまベトナムの危機を前にして、私たちは人類を破滅から救う努力をしなければなりません。そのかぎはだれが握っているか、私は原爆の被害国である日本がそのかぎを握っているのだと思うのです。佐藤首相は、明春一月十二日にジョンソン大統領と会談を行なう予定とのことです。私たちは、この会談から、キューバ危機の際にケネディ大統領とフルシチョフ首相がつくり出した以上の奇跡を生み出すことを期待しておるのであります。一九六二年の十月の二十二日、キューバ事件のあの日、ケネディ演説の直前に、ニューヨークの国連本部の午さん会の席上で、自民党を代表して佐藤さん、次に佐藤さんの指名で社会党の私が短いテーブルスピーチをしたことを記憶しております。あの日のできごとを回想しながら、佐藤さんはアメリカに行って何を訴えようとしているのか、そのことを承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 来年一月十二日に、ジョンソン大統領と会見することになりました。出かけて一体何を話をするかというお尋ねでございますが、御承知のように、わが国の外交の基本路線、これは所信表明にも申しましたように、どこまでも平和を守り、また自由を守る、その立場に立ちまして自主的な外交を展開していこうと思っているわであります。自主平和外交を展開しようと思っております。  日本にとりまして、ただいまアジアの問題、ことに中国大陸の問題、台湾の問題、これはそのアジアの問題の中核をなすものであります。今日、世界は流動しておりますし、ただいまこの問題をかかえている日本外交といたしましても、この問題と真剣に取り組んでいくことが望ましい、かように考えておりますし、また、国民大多数の方々も、この問題といかに取り組んでいくか、これが佐藤内閣の使命でもあるだろう、かようにもいわれているようであります。  したがいまして、私は今回の渡米を機会に、こういう中国問題、あるいは台湾の問題、さらにまた沖繩の問題等をも含めて、直接わがほうの所信を表明し、そして両国間に誤解のないような十分の意思の疎通をはかりたい、かように念願をして渡米するつもりでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 佐藤さんの、平和、自由の自主外交というものの実体が、いまだ十分に私たちは理解できないのですが、佐藤さんは外交演説の結びにおいて、「永続的で安定した世界平和は、東西間の平和共存のみで達成されるものではなく、まして、世界の平和を米ソ両国関係の動向にのみ依存せしめるべきではありません。」と主張しております。この主張には、私は何らかの意義があるのではないかと思うのでありますが、それは、米ソだけに世界の運命を託するのでなくて、アジアの問題はアジアでもって自主的に問題を解決していくというだけの心がまえがなければ、これだけの発言はなされないはずだと思うのでありますが、その点に関しまして、佐藤さんはどのようなお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 戸叶さんの御指摘のとおり、私どもはアジアに位する国でございます。私どもの発言は強くあってしかるべきであり、また、国際的発言権を持ってしかるべきだと、かように私は考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 そのアジアの問題で日本として一番重要なのは中国問題が最重点政策となされなければならないと思いますが、佐藤さんはどうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中国問題以外にもいろいろございますが、ただいま当面してそうして国際的な話題を呼んでおるのはこの中国問題だと、かように私は考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 佐藤首相の外交政策の弱点はどういうところにあるかと私は考えておったのですが、問題は、やはり政策以前のところに弱点があるのではないかと思うのです。それは、現在の国際情勢のきびしさというものに対するこの動向の把握というものが甘過ぎるのではないでしょうか。佐藤さんは、この有史以来の大変革期に遭遇いたしまして、世界のこの流れを、激動する世界でなく、「流動する世界」だと、きわめて平穏な形にながめておりますが、この甘さが、佐藤首相が中国問題とまっこうに取り組むのだという姿勢を示しながらも、相手側から相手にされない点ではないかと思うのですが、この点をどう考えておられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 国際情勢の見方が甘いか辛いか、これは戸叶さんの私に対する御批判でありますので、私自身は最善を尽くしておる、かように考えておりますので、この点は議論になりますが、さように御了承いただきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 昔から「さとう」は甘いときまっておりますから、別にそのことをこれ以上究明しないようにいたしますが、この中国問題が重要であるということを佐藤さんは強調しながらも、国際情勢の推移を勘案しつつ、慎重に、真剣にブレーキのほうはかかってしまって、この重要問題の取っ組みが前向きには前進していないのです。それが証拠に、在来からの政経分離の原則を維持し、貿易の拡大につとめ、中共封じ込め政策や中共敵視政策はとらない、こういう消極的態度では、まあ池田内閣の政策を踏襲するのだからしかたがないと言えばそれまでですけれども、この佐藤内閣としての中国問題に対する特徴が私は出ていないのじゃないかと思いますが、あなたはどういう面において特徴を出そうとしておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 佐藤内閣はまだ誕生したばかりでございます。1カ月でございます。今後いろいろ進むべき方向をきめるものもございます。ただいままでのところ、とりあえず池田路線を踏襲する、かようなことを申しておるのでありまして、まだそれより以上には出ておらない。このことを御了承いただきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 中国では、彰真氏の入国拒否以来、佐藤内閣に非難攻撃を浴びせておることは御承知のとおりであります。一つは彰真北京市長の入国拒否。二つは原爆実験に対する非難。三は国連加入に対する重要事項指定方式の支持。四は岸元首相らの台湾訪問等、国民政府に対する一億五千万ドルの長期借款などに集中されております。このことは、佐藤さんもすでに御承知のとおりと思いますが、日中両国の立場は、おのおの立場上に相違があります。しかし、中国側の非難が、それが全部誤解だというふうには私は思えないのでありますが、このように日本と中国との間に感覚的なズレというか、非常にそごを来たしている原因はどこにあるというふうに佐藤さんは考えておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中共側でどういうふうに考えておりますか私は存じませんが、私どもの態度がみずからの所信を表明している、その関係におきましていかような食い違いがあるのか、私は十分研究しておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 相手のことがわからないのじゃ、これは幕下相撲ならば別ですけれども、相撲でも幕内以上になりますと、相手の手口というのはわかるので、お互いに相手がわかったその上で勝負手をやらなければならない。これでは、このようにゆるふんの姿勢では、土俵の上の相撲はできないのであります。  そこで、私は、まず彰真氏の入国拒否の問題から反省を促したいと思うのでありますが、いま日本と中国は、いろいろないざこざがありましたが、お互いに反省して歩み寄りを開始した重要な段階であります。そのときに彰真氏が入国拒否をされたということは、向こう側にとっては非常に方が非常に軽率でなかったと思うのでありますが、外務官僚や法務官僚の見解からすれば、政府は政経分離のたてまえをとっている以上、日本の共産党の大会に外国の共産党の代表が入国することは、いままでも認めておらないのだから、当然なやり方だというふうに、こう解釈ができるかもしれません。しかし、そこには何らの政治的配慮がなされていないのではないでしょうか、いま日本は、共産国としてのソ連なりあるいは中国なりとも仲よくしょうという形で、話し合いでお互いに結び合っていこうというところまできているときに、こういうようなこわばった姿勢では、今後共産圏との外交なり共産圏との人事交流というものはできなくなるんじゃないかと思いますが、佐藤さんは、そういう点について若干でも反省しておったところはないでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) いままでの関係でありますと、こういう問題が起こらないで済んだ。もちろん日本側には日本側の考え方があり、中共側には中共側の考え方がおありだと思います。その双方がお互いに理解し合うということが、こういう問題を避けるゆえんではないかと私は思うのであります。今回の措置は、日本政府として当然本来のその立場によってこれがとられた、御承知のように。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日本には日本の立場があり、中国には中国の立場があるというのは当然であります。しかしイデオロギー的に、また国家性格にも相違がある日本と中国が、お互いに仲よくしていこうという形においては、両方とももっと深い理解を持って相手の立場というものを尊重しなければならないと思います。昭和三十六年にも彰真氏は入国を拒否されておりますが、そのときの情勢といまの情勢というものは全く違っておるんじゃないかと思います。彰真氏は、中国の最高指導者の一人です。現に中国共産党の政治局員で北京市長です。先般の中ソ両党会談では中国代表団長だった人物です。この人を治安に害になることを予想される人物というふうな属僚外交をもってしては、今後、対共産圏の外交というものは、私はいろいろな意味においてデッドロックに乗り上げるのではないかと思うのであります。中国の一流の人たちは、他国における礼儀作法の節度は心得ております。中国人にとってはメンツをたっとぶ伝統があるのであります。こういう非礼なことというのは許されないのであります。橋本官房長官はおりませんが、橋本さんは朝日新聞の東亜部長をつとめ、長くわれわれと一緒に上海におりましたが、橋本君くらいがあの処置を慨嘆した程度で、佐藤内閣の中には、中国問題に取っ組むだけの心得を心得ている人たちがいないのはまことに残念です。この十九年間の外務官僚の中国問題に対するブランク、これをどらやって政治家が埋めるかというところに中国問題の取り組み方があるんだと思いますが、佐藤さんは政治家のはずでありまして、どうぞ官僚の親分としての感覚でなく、この中国問題に取り組んでいってもらいたいと思いますが、御所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの御意見は拝聴いたしておきます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それでは今度は、私のほうで佐藤さんに拝聴したい点があります。それは中国は一つだ、中国は一つだということは、中共も台湾の政府も両方とも中国は一つだといっているんだから中国は一つだ、何かこれはごろ合わせかとんち教室の問答ならばいざ知りませんが、こういうことが一国の総理大臣において発言されているのはナンセンスだと思います。中国は確かに一つです。しかし、現実に北京に中華人民共和政府があり、台湾に中華民国国民政府があるのであります。佐藤さんの言う、中国は一つだという意味は、一つの中国の国土、二つの中国の政府という意味をこの中に含めているのかどうか、この点を明確に概念規定して答弁してもらいたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が、中国は一つだと、かように申しておるのは、台湾を含めて中国は一つだ、これが台湾にいる国民政府も、北京にいる北京政府も同じように申しておるのです。これが中国国民の中国は一つという議論であって、私ども他国がそれはとやかく言う筋のものじゃない、これが私の考え方であります。北京政府も国民政府も一つだと言っておるんだから、他国がそのまま承認したらどうか、しかし、ただいま言われるとおり、これが中国は一つであり、しかし、実際には二つの政府がある、そこに問題があるのであります。これを私は戸叶君と同じような立場で認めておるわけであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いま佐藤さんは、台湾を含めて中国は一つだと北京も台湾も言っておる、だから自分もそうです、これはまあオウムの答弁です。中国人はそういうふうに解釈しておってけっこうと思いますが、今度は私は、日本人の、日本の立場からの解釈を承りたいのです。  それでは佐藤さんに承りますが、台湾が中国の一部である以上は、台湾問題は中国の国内問題として解決してもよろしいかどうか、それに対して御同意されるかどうか承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、国民政府とは当方は講和条約を締結し、そうして条約的な、国際的な義務を負っておるものでございます。そろいう関係のあることを前提としてお考えいただきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 そのとおりです。日本政府は、椎名外務大臣の表現をもってするならば、幸か不幸か台湾の国民政府と日華平和条約を結んでおるのであります。その際に、日本はその条約においてどういう規定を行なっておりますか、台湾、澎湖島を統治している国民政府を相手にあの条約はつくっているのじゃありませんか。中国は一つだというが、大陸に現実的統治していないところの国民政府を、台湾、澎湖島を統治している国民政府という概念規定の中において、その主権を限定してあの条約はつくられているところに特徴があるんだと思います。そういう意味において、日本政府はこの中国は一つだというようなそらごとでなくて、との現実の上に立って今後国民政府との間はどういうふうに調整していくか、そのことについて承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中国を代表する政府として国民政府と平和条約を締結したのであります。そういう関係が今日も持続しておるということであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 今度は条約局長に御答弁願います。あの日華条約を読んでもらいたい。

藤崎萬里外務省条約局長

○政府委員(藤崎萬里君) 日本が中華民国国民政府と平和条約を結んだ基礎の考え方は、主権を制限するということじゃございませんで、現実に施政権が及ぶ範囲が限られているということを念頭に置いてある種の地域的適用の制限が必然的に伴うとうな条項は、そういう制限の及ぶ範囲に限るということになっておるわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 現在の国際法学者ほど観念的になっているものはないのですが、いまの答弁はきわめて現実的で、私はあの日華条約というものはよくできていると思うのです。浮き上がらないで、リアルに現実を見て、いわゆる古い形の主権論でなくて、主権が制限されたとか制限されないとかという議論でないが、現実に施政権の限られたものを対象として条約を結んでいるのです。これは政治学的に見れば限定主権です。観念法学でいえば、これは制限は設けられてないといいますが、そういう観念法学の時代で流動する世界の動きを規定づけることはできないのです。そこに佐藤さんの答弁の苦しいところもあるのだと思いますが、いずれにしても、この中国問題特に台湾問題に触れることは日本でもはれものにさわるように、うっかり触れると誤解を受ける、むずかしいというので避けておるのでありますが、アメリカは、日本よりもオープンで、大胆に模索しながらもこの問題に対していろいろな問題を提示しております。  その一つの例として、ニューヨークタイムズは、台湾の自決権保障案を提唱しています。その案は、一つの中国の国土、二つの中国の政府の思想で、領土問題は両政府とも一つだと言っているからそのままにしておいて、中共、国府それぞれを合法政府と認めようという案です。佐藤さんの考え方はどうもこの考え方にすれすれの模様でありますが、表現はむずかしいと思いますが、この案に対して御賛成ですか反対ですか、それともどういう見解を持っているか、これは仮定じゃなく、具体的な案がニューヨークタイムズによって提示されておりますから、その御答弁を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来のお話のように、中国問題同時に台湾問題、これが核心に触れないと、この問題の核心に触れるとこういうことになるのだというお話でございます。私もそのとおりだと思います。しこうして、最近ニューヨークタイムズばかりではなく、各方面でいろいろな議論が出ております。そのいろいろな議論に対して私が一つ一つ取り上げて論駁するつもりはございません。私はかような意見がすでに各方面でまちまちながらも出ておるということは、ようやく中国問題、アジアのこの問題と各方面で真剣に取り組みつつあるのではないか、かように思って、いろいろの意見の出ることをむしろ私は歓迎しております。ただいまかような意味で各方面の意見も聞き、また、国際的関係の意見も聞くし、同時にまた、国内における各方面の意見も聞きまして私が真剣に取り組んでいきたい。今日まで所信表明におきましてこれは重要な問題であるから慎重に扱っていくのだ、こういうことを申しましたのもただいま申し上げるような事情でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 答弁になっていない答弁ですが、これも答弁の一種だと思って承っておきます。それでもう一つ、いまアメリカで大きく話題になっているのは、ワシントンポストのフォーレー・アンナ記者の提唱している台湾の国連信託統治案であります。それは台湾の米軍を沖繩に引き揚げ、台湾移住の外省人を海外に移住させ、台湾を台湾住民の自治に移し、台湾を台湾住民に自主的に防衛させ、台湾を国連の信託に移す、その場合は日本を台湾の信託統治国にするという案です。この案にはどうも自民党のほうでは飛びつきそうな顔をしている人が一ぱいあるようですが、政府は軽率にこの案に飛びつくようなことは、いまの佐藤さんの考えではないと思いますが、こういうふうにアメリカでは大胆にいろいろな案という本のが打ち出されております。それをいろいろ聞いて勉強されてアメリカに行くのでしょうが、アメリカに行ったときに、具体的にジョンソンさんかう切り込まれたときに、そのときにどう佐藤さんは答えるかまえができているのでしょうか。どうもこれを尋ねても前と同じような答弁にならない答弁しかいただけないのだとすると、今度は日本のあなたに近いところの松村謙三さんの御意見を引用してあなたに質問いたします。  松村謙三さんは、台湾に対する中国の態度をこう見ています。中国が台湾に武力を使う考えはやめた、中国本土がりっぱになれば台湾はこちらで招かなくてもやってくる、十年や十五年の台湾問題のたな上げを覚悟にしてと、毎日新聞に書いております。松村先輩は思慮の深い人です、時代の流れをよく見ております。私はこの見解は一見識だと思います。一見識であるが、中国側はアメリカなり日本の出方いかんによって必ずしもこうでなくなると思います。そこに佐藤さんが見ている流動の世界と激動の世界の違いがあるのです。私は一歩誤ると中国問題はきわめて重大な危局に私は遭遇しないとも限らないので、そういう点が心配があるのですが、佐藤さんはアメリカに出向いて行くときに、われわれには答弁にならない答弁をしていてもいいが、ジョンソンさんに対してはそんな答弁をしておったのでは日本の代表として認められません。そういう問題が具体的に出たとき、日本の代表として佐藤榮作さんは、総理大臣は、どういう答弁をいたそうとしているか、そのことを承りたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げますように、各方面の意見を聞いてただいま自分の考え方をまとめようとしておる段階でございます。近く椎名外務大臣も帰ってまいりますし、そうすればさらに各方面の意見が比較的よくわかってくるのではないかと思います。しかし、私が主張したいことは、アジアに位する日本にとりましでは、中国問題はまことに重大な意味を持つものだ、こういう意味から、遠く離れておるヨーロッパの諸国やアフリカ諸国の考えと、この中共問題はわが国の考え方、取り組み方が違うことです。ただいまはアメリカ自身も、アジアの平和を維持するために非常な苦労を続けております。したがいまして、アメリカ側の考え方、また直接そのたなごころにある日本の考え方、二つの考え方をつき合わせて十分懇談すること、これが望ましいことのように思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いまの佐藤さんの答弁はかなりすなおになってきたと思うのです。そのついでにもう少し前進してみたいと思うのですが、私はアメリカ側でも、ほんとうに知識人、見識人は苦しんでおると思います。ちょうどいまから十年前ですが、一九五四年の十二月九日のマーシャル記念日の日に、当時の対外援助計画の長官であったスタッセン氏が、現代イデオロギーの時代である、いまわれわれは思想戦の十字路に立っている、イデオロギー的回答を持たなければならないときがきている、しかし、アジア問題の解決というものはきわめて困難だ、アジア問題に関してはアジアの人々にこれを自主的に解決してもうわなければならないので、それに対して欧米諸国は協力をまた惜しんではいけない、というような演説をやっております。アメリカの中にも私はいろいろな人があると思います。しかし問題は、この十年間アメリカが停滞し、アジア政策に失敗に失敗を重ねているのは、アジアからアジアの苦悩を代表するような、アメリカの人々の心をゆすぶるような声が、アメリカの中に打ち込まれていないところに原因があるのではないかと思います。  私は、アメリカにいままで、あの当時のスタッセンの演説を聞いてから後、四たびたずねております。一番気の毒だったのは、あなたのおにいさんの岸さんが行ったときの一九五七年のアメリカ訪問です。ワシントンの国会でやった、あるいはプレス・クラブでやった、ニューヨークの日米協会の席上でやった演説はりっぱなものでした。日米関係の貿易のアンバランスの是正、当時輸出が五億ドル、輸入が十億ドル、こんなアンバランスの状態では日本は立ち行かないということを彼は言い、中共貿易に対しても、前年度輸出が六千万ドル、輸入が八千万ドル、これをおのおの一億ドル程度拡大していきたいという考えにすぎないのだからアメリカは了解してくれと訴え、第三には、アメリカは中共よりも東南アジア貿易をやれと言うが、東南アジアには金がない、国連なりアメリカが保障しなければ日本は焦げつきになるだけで、実際上において東南アジア貿易というものはできないのだということを訴えても、一つの拍手だにアメリカにはないのです。ダレス外交の重圧のもとに岸さんの演説で拍手が起きたのは、安保条約改定の重荷をしょっていけということだけだったのです。そういう暗たんたる悲劇の中に、日本の総理大臣が参勤交代的にアメリカに行ったときといまのときは違うのです。ここが岸信介さんと佐藤榮作さんの大きな違いにならなければならないと思います。  私は、アジアの苦悩を代表し、一番あなたがアジアのこと、中国のことは日本の私が知っているのだ、教えてつかわすと言うのは失礼だが、アメリカのアジア政策に、日本がかつて幾つかの失敗をやっているのですからその経験に基づいて、ベトナムのどろ沼からどうやって脱出しなければならないか、中国の封じ込め政策なんか愚策を捨てなさいという形の建設的な発言がなされなければ——私は大統領就任前にジョンソンさんに会いに行くというあなたのタイミングはいいと思うのです。就任してからの演説の前に、ケネディとフルシチョフがあの危機のときにやった演説のように、あなたの撃ち込む平和の一弾が、真珠湾へぶち込んだ弾丸と違って、太平洋の平和を保障するような弾丸にならなければ、いまのアジアにおける日本の指導的地位などというおこがましいことは言えないと思うのです。そろいう決意で行かれるかどうか、御心境承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) いままでの所信表明や、また、衆議院における質疑応答、また、本日のこの席における私の平和自主外交の推進をするその決意、これは御了承がいくことだと思います。問題は、私一人がさように意気込みましても、なかなか十分の効果をあげるものではない。各方面、ことに国民の支持を得て、また、国民大多数が念願しておられる平和のために、自由を守るために私は使いしたいと、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連をして一言だけお伺いをいたしますが、いまや中国問題で、国連の場で重要事項の指定に賛成するとか、反対をするとか、あるいは棄権をするとか、そういういろいろな動きを、世界なりあるいは国内における各種の動向を見きわめて態度をきめられるということなのか。そういう問題の打開に何らかの糸口を日本みずからが見つけて、積極的に打開のイニシアチブをとろうとする、そういう意欲を持って臨まれるというのか。その基本的なことをひとつお伺いしておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 羽生さんにお答えいたしますが、ただいままでのところは、十六回総会において重要事項、重要問題だということをわが国が提案したのでございます。その効果が残っているかどうかということのいろいろ議論がございますが、私は、ただいままでのところ、その日本の態度には変わりはないと、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは総理、若干私の申し上げたことを誤解されておるんじゃないかと思いますが、先ほど来、戸叶君に対する御答弁を承っておりますというと、アジアなり世界の平和のために、積極的にこの局面打開の意欲を持って取り組まれるということをおっしゃったので、従来のような重要事項指定という、ただ形式的なやりとりでは問題の解決にはならぬ、だから積極的にその打開のために何らかの構想を持って糸口を切り開くような、そういう意欲的な外交を展開する意思を持っておられるのかどらか、こういうことでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 時間的な問題はあると思います。この際に、いわゆる中共支持の諸君のように、わが国が条約を締結している国府を追い出して、そうして中共政府を承認しろという、こういう主張は、現状におきましてこれはたいへんな問題だと私は思います。申すまでもなく、国府は最初からの国連の加盟国でありますし、また、安保理事会の常任理事国でもあります。それが追放のような形において解決されるということについては、非常なたいへんな問題だと、かように私は思っておるんです。ここにいかに取り組むべきかという問題の根本があるんだと、かように思っております。先ほど来、戸叶さんとの質問を通じましてもその問題の所在は明らかになりつつあると思います。したがいまして、かような状態を二月に片づげるとか、三月に片づけるとか、こういう筋のものじゃないだろう。私は、こういう席で申すことはいかがかと思いますが、党の長老の松村さんにいたしましても、この重大な問題がそう短期間に片づくとは見通しをしておられないようであります。おそらく皆ざまも非常に短かい期間に解決するとはお考えでないだろうと、かように思ますが、問題の時間的な、あるいはタイミングの問題、これはひとつ十分考えのうちに入れておかないといけないんじゃないか、かように私は思ってこの問題と真剣に取り組んではおりますけれども、非常に早急に解決すると、かようには思っておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 中国の国連加盟の問題、これはきわめて重要な問題であります。ガーナ出身のケーソーンサッケー国連総会議長は十二月二日の記者会見で、北京政府が国連代表権を持つべきは当然だと意見を発表しております。そのあと椎名外相は、去る四日、国連総会の本会議でケーソンサッケー議長に対し、議長がわが国もその一員であるアジア・アフリカ諸国の衆望をになって選ばれていることに深い喜びを感じ、この総会を円滑に運営するため一そう協力する責任があるという演説をやっております。アジア・アフリカを代表して国連総会の議長に選ばれた人がこのような見解を発表しているときに、アジア・アフリカにおける先進国という自負を持っている日本が、うしろ向きの姿勢で中国の国連加盟を現実的にブレーキをかげるようなやり方をしておっては、アジアから孤立するのじゃないでしょうか。私はこういう形式的な外務官僚の解釈でなくて、もっとすなおな形において、この激動する中において中国をこの太平洋の海の中に、国連の海の中にどうやって押し出していこうかという手伝いを日本がするほうが、日本の政治としては賢明な政治じゃないかと思うので、私はいま、外交というものは保守的であれば安全であるというような古い時代の感覚で外交を行なっている外務官僚に取り囲まれて、政治のない外交をまた佐藤内閣がやったのでは、私は前進できなくなるのじゃないかと思いますが、先ほどの問題は、あとから重要事項指定方式の問題に対してはこまかく質問いたしますが、その問題について佐藤さんの答弁を願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来の質疑応答でだんだん明らかになってきたと思いますが、この代表権問題をめぐって、それこそほんとにアジアの平和につながる重要な問題だ、はたしてかような事態がアジアの平和を維持する上において何らの変化なしとかように答えられるかどらか、私はその意味において重要問題として慎重に考えていきたいと思います。先ほど来申し上げますように、最初からの加盟国であり、しかもまた、安保理事会の常任理事国であるこの国府の関係をそう簡単に処理ができないんだと、私は見ておる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この国連における重要事項指定方式の問題に関しまして、さきに椎名外相は中共の加盟を阻止し、または引き延ばすためのものだという見解に同意したことは、衆議院の予算委員会であり、その後佐藤首相はこの見解を適当な機会に釈明か取り消しさせると言明しておりますが、どういう点を釈明させ、取り消させようとしているのか、その点を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどから申し上げておりますように、国府、同時にまた中国大陸の北京政府、いずれとも仲よくしていきたいわが国の態度は、これは変わりはないのであります。したがいまして、一方だけであるかのごとき印象を与えたことは何だかことば足らずではないだろうか、かような意味をもって、衆議院予算委員会においては、椎名君の説明をさらに舌足らず、こういう表現をしたように思っております。当時の速記録を十分読んでみなければわからないことでありますが、わが国が一貫して、国府とはただいま申すような条約上の義務を持っておる、そういう意味で親交を続けていく。中国大陸に対しましては、政経分離でこれまた仲よくしていきたい。こういう念願を続けておりますので、その一方だけに対してきつい考え方をとったような椎名外務大臣の答弁は不十分だと、こういう意味でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 衆議院の予算委員会で藤崎外務省条約局長が、重要事項指定の議決をくつがえすためには単純多数の賛成——過半数でなくて、三分の二をこえる賛成が必要であるということを明らかにしておりますが、このこと国連の中においてもいままでも議論があったことだし、特に今回はいろんな意味において激しい議論があると思いますが、新聞の伝えるところによると、外務省の中でも二つの意見があるというのであります。それは単純多数で否決できるという解釈があるということでありましょうが、これは当然です。ただ、そういう解釈が国連の中においても日本の外務省の中にもあるというこの事実を無視することはできないのでありますが、政府はそういう意見が外務省の中にも国連の中にもあっても、いままでの行きがかり上、あるいはまた、アメリカから頼まれていることだしこれで押し通すのだ、そういうような見解の上に立っていくのですか。

藤崎萬里外務省条約局長

○政府委員(藤崎萬里君) この問題につきましては、外務省内でも従来いろいろ研究いたしております。ただ、国連内でこの問題が特に論議せられたということは私承知いたしておりません。学説にもいろいろあるようでございますが、まあ、この点についてアメリカから頼まれたというようなことは全然ないのでございまして、私はきのう申し上げましたように、そういうふうに解釈することが、この制度がわざわざ国連憲章に設けられている趣旨からいって最も妥当ではないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私はうしろ向きの説明をお願いしたのじゃない。これから国連総会で当然問題になったときには、この議論が出るんです。議論が出たときに、日本の議論というものがナンセンスだというような笑いを受けてはたいへんだと思うから注意したのです。もうそういう没理論的な理屈は抜きにして政治論に佐藤さん戻るのでありますが、全体として、中国の国連加盟は時の問題で、幾ら引き延ばそうとしてもせいぜい一年以上は引き延ばせないというところに来ているのです。それは外務省でも私はわかっていると思います。わかっていながらも、そういう重要事項指定方式というようなものを出してブレーキをかけてそうして一年間引き延ばすということが、どれだけ政治的な効果があるのですか。日本としてまたどれだけの得があるのですか。いまアジアのベトナム、ラオス等の火薬庫に火がついておるのです。中国は核実験をやっているのです。アメリカの軍はベトナムの北に砲撃を加えようというようなせっぱ詰まった情勢が生まれてきているのです。こういうときに国連の中へ中国が入ってもらわなくてアジア問題の解決ができると佐藤さんは考えているんですか。ここに問題があると思うのです。私は官僚の解釈でなくて、直感的に、いま激動の中にあるアジアのまっただ中で、日本のことを考えると同時に、中国を除いてアジア問題の解決はできないんじゃないですか。しかも、日本と中国だけで問題は片づかない。中国も国連の場に入ってもらって、その中で世界とともに悩み、世界の人々とともに語り合ってこの危機を切り抜けようとするのが外交じゃありませんか。これが国連の役割りじゃありませんか。それにもかかわらず、門扉を固く閉ざして、この中へ入ってくるなというような形では、問題は片づかないと思うのですが、佐藤さんいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中共の国連加盟、この問題をめぐりましていわゆる中国の代表権の問題が起こるわけであります。したがいまして、この中国代表権の問題の解決なしには国連加盟ということは考えられない。戸叶さんすでに御承知のように、国府を締め出して中共に中国代表権を与えろ、こういう説になっております。ここに私どもが当惑している問題がある。この点御了承いただきたいのであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 その問題では、外交に老練なイギリスは、いち早く中華人民共和国政府を承認したが、台湾に領事館を置いて、それで国民政府を否認していないという方式をとっております。フランスはことしの一月に中華人民共和国政府を承認いたしました。また最近は、台湾問題でカナダも動いているといいます。そういう有力な各国の動きに対して外務省はどのように考えておりますか。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 事務当局の事実に関する認識の状況を御説明申し上げます。  イギリスにつきましては、御指摘のとおり、前労働党内閣の時代にすでに中共を承認いたしまして、北京との間に代理大使を交換いたしておりまして、同時に、台湾の淡水に領事館を置いているわけております。それにつきまして、最近この北京の大使館を代理大使から本大使に繰り上げる、ロンドンにおきます中共の臨時大使も大使に位を上げるというような話もあるのでございますけれども、台湾に対するこの淡水の領事館の問題が障害になって、まだその問題が片がついていないということでございまして、イギリスのあの方式も、必ずしも所期のとおりの効果を発揮していない。一方フランスにつきましては、御承知のとおり、あのときフランスは中共承認にあたって、国府との関係を切ることを前提条件とはされなかったということを発表いたしまして、何らかそこに妥協の余地があるようなうわさが一時流れたのでございますが、事実は、御承知のとおり、いよいよ中共の大使がパリに乗り込むという前に、フランスに対して、国府の大使のほらはどうしてくれるのだということを居直られまして、フランスとしては国府との関係を切ったと、こういうふうな状況になっておりまして、各国とも、中共と国府の両方をどういうふうに解決していくかということにはなかなか苦慮している状況でございまして、一がいに単純にこの一つのパターンをモデルとするというわけにもいかないので、慎重に事務当局としてはいろいろの場合を検討しているということであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この台湾問題と関連していま中ソ論争で一番問題になっているのは、蒙古人民共和国政府の成立の過程だと思います。アジア局長、私は承りたいのですが、ソ連の援助によって外蒙はかつて独立し、戦前、松岡外相の時代にソ連と日本が不可侵条約を結んだときに、ソ連は内蒙の、日本は外蒙の独立を承認したというような経緯はあり、その後ヤルタ協定の制約によって、また、一九四五年の八月十四日の中ソ友好相互同盟条約を結んだ際に、国民政府はソ連に抵抗したが結局は承認せざるを得なかった。ああいうふうな経緯を経てソ連が蒙古人民共和国政府を成立さした際には住民の人民投票という形で決定したかと思うのでありますが、その間のいきさつほどうなっておりますか。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) お答え申し上げます。  蒙古人民共和国、すなわち外蒙の成立の経緯については、いま先生御指摘のとおりの経緯だったと承知しております。そらして、一九二一年独立を宣言いたしまして、その後いま先生が御指摘のような経緯がございましたのですが、いよいよ一九六一年の国連第十六回総会において国連の加盟も結局認められることになりました。日本もそのとき拍手をもってアクラメーションによる加盟賛成ということで、以来日本も事実上外蒙と申しますか蒙古人民共和国を承認しているというたてまえをとっている次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 蒙古の例は台湾の参考にはなりませんが、しかし、ああいうような形式できめたとしても、今日中ソ論争の根底にはこの蒙古問題も内在しておるのであります。蒙古民族は、中国内における内蒙のほらが多いのでありまして、この外蒙と内蒙の関係、蒙古人民共和政府の問題、これは二つのドイツ、二つの朝鮮、二つのベトナムというような問題とも関連して、やはり領土問題というのはきわめて私は深刻だと思うのです。それだけに、佐藤さんがアメリカに行った場合においても、台湾問題が一番むずかしい。一歩あやまると命取りになります。日本が昔台湾を統治していたからといって、ものほしそうな顔をすると、台湾の問題でとんでもないやけどをして、ほんとうに日本と中国との関係の中に百年の悔いを私はつくるようなことがあると思うのです。中国の指導者は、私が想像する限り、世界の革命家の中において最も知性のある、最も教養のある、節度を持った指導者が私は多く集まっていると思うのです。これはイデオロギーと国の立場が違うからいろいろな誤解も生まれてきておって、アメリカもソ連も中国を正しく理解していない。そのときに、イデオロギーや国家性格は違っても、長い文化の上の交流によって、日本は中国をほんとうに腹から理解していた、日本は理解してくれたというこういう感情が中国側にしみ込むような外交がなされなければ、日中関係というものは私は是正されないと思うのです。そういう意味において、佐藤さんの中国に行く役割りが大きいと思うのですが、このついでに領土問題としてはあなたが沖繩の問題にも触れるというのですが、沖繩、小笠原の問題——私はソ連に行きましてミコヤンやフルシチョフさんに南樺太や千島の問題でもずいぶん食ってかかりました。しかし、領土問題の解決は、領土問題の中に埋没したのでは解決つかないのです。フルシチョフが八月十四日に私たちの前で言ったように、千島は何らの経済的価値はない、単なる軍事的価値だけだ、しかし、東西の軍事的対立の中においてこの問題の解決はなかなか困難だと、半分冗談でしょうが、軽い気持ちで、社会党内閣でもできればすぐに解決いたしますよと、冗談であれ、冗談でなくほんとうかもしれませんが、問題は、東西対立のきびしさ、軍事的な対立のきびしさが解消されて、平和共存の態勢が起きるならば、ヤルタ協定は解消せられ、南樺太なり千島なりは日本に私は返ってくると思います。問題は、だれがそれを始めるか。アメリカがそれを始めたら、アメリカが世界で一番りっぱです。ソ連がそれをやったならば、ソ連が世界で一番りっぱです。しかし、いま、日本は、かつて中国と戦い、ロシアと戦い、アメリカと戦い、世界じゅうを相手に戦いまくった国民であるが、原爆の洗礼を受けて、人類に再びあの悲劇を繰り返させまいという形で、いま非武装のまま平和憲法を盾にして世界に外交をやっているのです。このときに、日本の外務大臣、いや、あなたは日本の総理大臣だ。総理大臣がやる役割りは、椎名さんのような役割りよりももっと高い次元の上に立って、ジョンソンさん、私の言うことを聞いてください、私は、ケネディさんも殺されたが、殺されてもいいから政治家は魂の外交をやらなくちゃいかぬ、やっぱりソ連にも飛んでいく、北京にも飛んでいく、そうしてお互いにひざを交えてこの世界の危機を救おうじゃないですかというようなことを言えば、これは派閥の親玉佐藤でもなく、自民党の総裁佐藤でもなく、これは日本の政治家としていままで比類のない佐藤さんというのが歴史に残るのだと思うのですが、これは佐藤さんだけの名誉じゃない。私は日本はその大きな外交的な役割りをするかぎを握っていると思います。単なるお使いの儀礼的ないままでの総理大臣のようなやり方をあなたもそういうことはしないということを新聞に言っているからやらないと思いますが、もっと気のきいた役割りを今度はアメリカに行ってやってもらいたいと思います。  そこで、今度は、話題を転じまして、経済の問題に入ります。時間がありませんから、簡単にいきますけれども、アメリカのドル防衛の問題に対して利子平衡税がつくられたときに、私はアメリカのドル防衛のきびしさというものを日本の政府はもっと身にしみて理解していなければだめだと言ったが、そのとおりであります。しかし、いま、東西貿易、ソ連、中共との貿易は非常に拡大しているのですが、通産大臣、どういうふうになっておりますか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 東西貿易は、幸いに相当な伸びを示しておると思います。昨年度におきまして総額五億二千七百万ドル程度になっておると思いますが、本年上期におきましてはさらにこれが順調に伸びまして、三億五千二百万ドル程度になっております。現在のところ、このまま推移いたしますならば、おそらく七億ドルを上回るものと、こういうふうに見通しを持っておる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 中国は、いま、ソ連が技術協力を拒んでから、やはり産業建設に対してはプラント輸出なり技術協力という点を非常に求めていると思うのでありますが、政府としてはどういう形において中国側とこの問題で接触を保っているか、それを承りたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) プラント輸出の問題につきまして特にいま中国との関係をお尋ねでございますが、終始申し上げておりますのは、政経分離のたてまえで、民間ベースと、こういうことにいたしております。したがいまして、延べ払いの問題につきましても民間ベースで行なっていきたいと、こういう考え方でございますが、現在のところいろいろ問題がございますが、あの日紡のプラント輸出のようなものがずっと話題を呼んでおるのでございますけれども、具体的にこういうことにいたしたいというような話は現在のところ通産省のほうには参っておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 ソ連のシベリア開発、それからプラント輸出、沿岸貿易、そういうのはどういうふうになっておりますか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) お答え申し上げます。  対岸貿易につきましては、協定付属議定書で客年四、五百万ドルと見積もられておるのでありすすが、昨年の実績は一輸出約三十万ドル、輸入約九十万ドル、本年の一−九月の実績は、輸出約一千万ドル、輸入約一千八百万ドルと見積もられております。ソ連のシベリア開発、あるいは化学プラントの導入等がかなり進んでいることも聞いておりますが、その詳細は明らかではございません。ソ連のシベリア開発に対する要請が具体化した場合におきましては、わが国としてはコマーシャル・ベースに基づきましてこれに応ずる用意がございます。私の手元には、先般林業大臣が見えられまして、シベリア開発のことについての林業大臣としての御希望がございました。しかし、それは林業大臣だけの立場でございまして、私としてはその御希望だけを承っておきました。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 赤城農林大臣にお尋ねいたします。高度経済成長下において成長率の低い農業におきましては、農民の所得というものが相変わらず低いのです。この問題をどうするかというのは、日本だけでなく、世界各国の問題です。若者が農村にいない、お嫁が来ないという原因も、収入が低いからです。それを助けるために、イギリスでは、最近は今度は予算の六%、デンマークにならって、デンマークも国の予算の六%の補助金政策を行なっております。いまバース・アップの問題で人事院勧告をめぐって公労協とも問題がきびしくなっておりますが、この農民の問題に対してそういう点ではどういう配慮を持っておりますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 農業は国内産業の面でも脆弱でありまするし、国際的にも日本農業が競争力が弱いということは御指摘のとおりでございます。でありますので、どうしても国がこれに対して相当の保護政策というものを行なわなければ農業というものは成り立たないという基本的な考え方でございます。そこで、農民の所得、他産業との所得格差、あるいは勤労所得との格差、これが生じておることも御指摘のとおりでございます。この格差は、三十七年度等におきましては、大体その前と違いまして、横ばい程度でございます。三十八年度もそういうことでございます。こういうような所得の格差、生活水準の格差が解消するまでには参っておりません。これに対しては、農業政策全体が働いていかないと、この格差是正ということにはまいらぬと思います。もちろん、生産性の向上とか、構造の改善とか、価格流通対策とか、あるいは金融面で措置するとか、こういう面があります。端的に価格の支持というような問題もありますけれども、価格支持ももちろん行なっております。日本の農産物の約七割程度については価格支持制度も行なわれておりますが、十分とは申し上げられません。しかし、本格的にはやりは生産性の向上ということが基本的だと考えますけれども、価格制度も怠ってはならぬと思って、せっかく力をいたしておる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 赤城さんが触れた価格制度にだけ一点にしぼってお尋ねしますが、主要農作物の価格の安定を各国ともはかっております。日本では、米麦だけは何とかなっておりますが、その他契約栽培をやっているたばこやビール麦及びビートというようなものでもいまだ安定しておりません。特に乳価は、世界各国とも、市販の、売られる値段の、二十円で売られれば十円は、その半分は農民の手に入るという仕組みになっておりますが、日本はそういう向きにもなっておりません。こういう点を数年来是正するように説いているのですが、いまだ政府は是正しておりません。また、鶏卵の問題におきましても、百六十円の最低価格では農民はやっていけないのです。これはやはり二百円程度にまで上げなければ、えさ代にもならぬという嘆きは起きております。また、豚肉なんかは、来年の二月になるとまた過剰生産になって、そうして暴落するだろうといわれております。こういうふうに、畜産に果樹へと政府がすすめても、価格安定していないところに問題があると思いますが、また、えさが高過ぎます。日本ほどえさの高いところはないです。こういう問題をどういうふうに農林大臣はやっていこうとしていますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 価格対策、自由経済下の価格対策でございますので、なかなか十分にいかない面もございます。しかし、先ほど申し上げましたように、農産物の約七割については価格安定支持制度が行なわれております。  いま一々例を引いてのお尋ねでございますが、野菜等につきましても、契約栽培的な形で支持をしていく。また、指定産地制度、あるいはまた価格安定制度等もしいております。十分ではございませんが、そういう流通対策、生産対策から支持をしていきたいと思います。  牛乳等につきましても、共販体制等をしいておりますが、なかなかうまくいきません。それで、いま御承知のように、畜産事業団によって乳製品の価格安定対策をとっておりますけれども、来年度においてはさらに牛乳そのものに対して不足払い的な制度が考えられないものだろうかということで検討を進めておるわけであります。  鶏卵等につきましても、非常に生産がふえておるような関係でございますが、これにつきましても、保管調整制度によりまして価格の支持はいたして、ある程度安定をいたしておりますけれども、価格そのものが生産者から見れば高くないといううらみがございます。とういう点につきましても、出荷調整等についてさらに力をいたさなければならないと考えております。その原因が、いま御指摘のように、どうしても飼料が高い、あるいは酪農等におきましても自給飼料でなく購入飼料に依存していると、こういうこともありますので、酪農等におきましては自給飼料の分野を広めていこうということに尽くしておりまするし、飼料の問題につきましても価格対策を考えて、たとえば本年度の政府のふすま等につきましては価格を上げないで払い下げるというようなことをとっておりますけれども、なお一そう配慮をいたしていきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 時間がありませんから、最後に一括して質問いたします。  この通常国会で大蔵大臣に日銀法の改正、それから予算局、予算編成の問題等の問題を出しておりますが、もう相当の期間を経ているので、どこまで大蔵省その他で構想ができたか、それを承りたい。  それと総理大臣に向かいましては、私は、きょうの新聞を見てもわかりますように、激動する世界の対応するために、国連におきましては、ソ連側では核全面禁止を求める提案を出しております。日本におきましても、米ソの協定というものに賛成いたしましたが、一歩進んで核全面禁止の方向を目ざして前進しなければならないときでありまして、こういう問題が国連の中でどんどん問題が出ておりますし、ジョンソンさんと会ってもいろいろな問題が私は出てくると思うのです。きょうは中国問題にしぼってお話をしたのですが、佐藤さんは、訪米の前にいろいろな各方面の話を聞き、国民の支持を得て平和を守る、自由を守るために使いしたいと言っておりますが、野党の党首との会談というものも打診的に打ち上げたようですが、あれはどうなっているか。日本の外交は、いまのところ、超党派外交ではありません。それだからといって、反対党の意見に耳を傾けるだけのゆとりと謙虚さがなければ、超党派外交への道というものは開けないと思うのです。反対党の党首の言うとおりになさらなくてもいいが、やはり日本の反対党はどういう見解を持っているか、世論はどういう声をあげているか、そういういものをにないながらアメリカに行くのと、不肖佐藤はこういう考えですと言って行くのとでは迫力が違うと思うのです。寛容と調和の外交というものは、このきびしい中で寛容を必要とし、また、対立の中に調和を求めていかなければならないというときの姿勢だと思うのでありますが、そういう意味において、私は中国問題にきょうは中心をしぼっておりますが、中国問題が日本の外交で一番むずかしい問題だと思います。しかし、むずかしいだけに中国問題は煮詰まってきたと思うのです。私は、中国問題はある意味においていままでの偏見を入れないで超党派外交が可能なりとするならば、中国問題から私はあるところまで始まっていくんじゃないかと思うのです。じゃまになるのは安保体制でありますが、政府間に安保条約が結ばれていても、野党と世論の抵抗があって安保体制の強化というものが現実的に制約を受けております。安保条約があっても日中の国交正常化は可能だと私は思います。日中平和条約結実の中に安保体制も自然に解消せざるを得なくなってくるんじゃないか。そういうふうにダイナミックに問題を見ていかなくちゃならな、と思うのですが、これは私の私見でありますけれども、私は先ほど佐藤さんの私に対する答弁の決意を聞いて、これは佐藤さんもアメリカに行くときには、日本の臨時国会に一番最初に総理大臣として出席したときのような様子でなく、堂々の陣を張ってやはり行かなければならないと思いますので、そういう意味で各方面の意見を聞くというのは、どういう方々の意見を聞こうとしているのか、そういう点を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の政治姿勢、これは寛容と調和ということを申しております。また、ただいまはその立場から重要問題について党首会談をしたらどらか、こういうお話でございます。今日まで私は必要があれば、党首会談を行なうということを申し、発表いたしております。今日までの姿を見ますると、たとえば国会運営、これは程度の低いものもございますが、そういう場合にしばしば両党の責任者が会合している。また、問題によりましては、党首が会談している。この種の事柄が行なわれていて、国の重大問題について党首が胸襟を開いて話をしたということが今日までない。これは国民から見ましても、まことに残念に思っていることではないか。これが私がもっと、広い意味で党首会談をしたらどうか、こういうことを発表したゆえんであります。問題はどこまでもそれぞれの党には、それぞれの主張があることだと思いますが、それをその主張のもとにおいても調和ある国政の運営ができるわけであります。ましてや外交の問題になれば、これは国の基本に関する問題であります。そういう意味で、政治家が事柄の重要性を十分認識して、そうして一党にとらわれることなく、大局的に話し合っていく。そうして進路を見つけるということが、これが望ましいことではないかと思います。そういう意味から党首会談ということが表明されておるのであります。ただいま戸叶さんのお話で、具体的に今回やるかやらないか、こういう問題でありますが、今回そういう事態かどらかよく研究いたしまして、しかる後に具体的には取り運んでまいりたい、かように思いますが、今回直ちに渡米を前にして会談を必要とするかどうか、これはまだもう少し研究の余地があるように思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 日本銀行法は、御承知のとおり、日本の金融制度の根幹をなす非常に重要な問題でございますので、昭和三十五年九月金融制度調査会の日銀法に関する答申の趣旨を生かしながら、来たる通常国会に提案を目途といたしまして検討を進めておるわけでございます。  なお、第二の行政機構に関する答申につきまして特に予算編成問題等の機構等につきましても、非常に重要な問題でありますので、大蔵省としても二重機構にならないように、また、財政のうち歳入、歳出等が分断されたり、また、金融、財政投融資というようなものとの関係もございますので、慎重に検討を進めているわけであります。

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 櫻内通産大臣から先ほどの答弁を補足するため発言を求められております。この際これを許します。櫻内通産大臣。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど対岸貿易のお尋ねがございましたが、資料が十分でなくて、補足と訂正をさせていただきます。  協定付属議定書で各年四、五百万ドル、こう申し上げましたが、各年これは片道四、五百万ドルでございます。なお、一九六四年、本年の一−九月の実績は、輸出が約百万ドル、輸入が約百八十万ドルと見積もられておる次第でございます。

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 戸叶君の質疑は、終了いたしました。  午後一時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。高野一夫君。(拍手)

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私は、まず日韓問題、日韓会談問題、そのほか二、三の点について、総理大臣外関係大臣にお伺いしてみたいと思います。  現在すでに第七回の会談が開かれているようでありますが、しかし、二十六年の最初の予備会談を入れると、まさに大臣に及んでおる。実に十三年かかっております。その間、あるいは大平外務大臣、赤城農林大臣等が随時また会談をされて今日に至っているわけでございまするが、私は、この日韓両国が国交正常化をはかる会談をするのには、もうすでに始まったから言うのも少しどうかと思いますけれども、もう一つ予備的の行為がほしかったと思うんです。それは、両国政府並びに国民がよく理解の上に、それで両国の政府が十分誠意を持って当たる用意がなけりゃならぬと思います。  そこで、日本側は片道通行みたいなことで十分の誠意を示していると思いますけれども、韓国のほうが、わが日本の国民感情が納得するような誠意をいままで示したかどうかというと、それはわれわれはなかったように考える。現在会談中でございますから、私は刺激的なことばはなるべく慎んで申し上げたいと思うわけですけれども、たとえば二十七年に、李承晩大統領の李ライン、これは、この十三年の会談の間、このままにしておいて、日本の漁船が拿捕され、船員が抑留され、刑を科せられ、刑を終えてなお抑留を続けられる、こういう事態を十三年間繰り返してきて、その反面、国交正常化の会談を続けている。こういう変則的な事態があったと私は思うのであります。そこで、一番過去においてしてほしかったことは、もしも日韓両国の国交正常化がはかられるならば李ラインは撤廃する用意がある、こういうことを韓国政策に声明をしてもらって、その上でいままでの数次の会談が開かるべきではなかったろうかと思うわけであります。しかし、そのことなくして、すでに第七回、予備会談を入れればすでに八回目の会談がいま持たれておるところでございます。  そこで、私は総理大臣にお伺いしたいのは、今度の会談は、私どもも、すみやかにこれには妥結して日韓双方が国交の正常化をはかれるように切望してやまない次第でございますけれども、たとえば基本問題、基本関係、あるいは法的地位の問題、請求権、そういうものを最初から会談に持ち込んでごうも差しつかえなかろと思いますけれども、いままで暗礁に乗り上げた、その暗礁であったラインの問題、あるいは大きく言って漁業の問題、これについて今度の会談で妥結する、話が折り合う見込みがはたしてあるのであろうかどうであろうか、こういうことを、従来の何回も繰り返された会談の経過から見て、われわれは日本の国民として一応心配せざるを得ない立場にあるわけであります。そこで、この点について、一応まず総理大臣の見込みを——いま折衝の最中に、どうななだろう、ああなるだろう、ということは言えないかもしれませんけれども、何らかお話しを願えば、どうかひとつ御説明を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 日韓国交正常化につきましては、両国国民の大多数が希望しているところだと思います。したがいまして、佐藤内閣が発足いたしまして以来、早期解決、そういう方向で努力するということを声明もし、また事実さような意味で努力してまいっておるのであります。ただいまお示しになりましたように、両国の国交を正常化する、そういう考え方におきましては、何よりも両国国民の相互の理解、また正しい認識の上に立っての理解、これを深めていくことが何よりも必要であります。各種の問題が両国の懸案事項になっておりますが、その場合に、ただいまお示しになりましたいわゆる李ラインなるもの、これも大きな関心事であること、これは間違いございません。また、日本の政府は、いままでともに、これは国際法上また国際慣行上から見ましても不法であり不当である、そういうものだということをしばしば申し入れて、これが早期妥結を願ってきたところであります。不幸にいたしまして、ただいままでは、これが解決しておらない。今回の交渉におきましては、李ラインを含んでの漁業問題、これが一番の山場になるのではないか、かように考えております。私どもがかねての主張を堅持して、そうして両国国民の理解の上に、打開、妥結していくように、この上とも努力する考えでございます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私が考えておったことは、すでに会談が始まってしまっているわけですから、いまさらどうすることもできないわけでありますが、いまの総理大臣のお話のごとく、この問題は、日本が国際的にきわめて不法なる措置であるということをはっきりと打ち出して折衝が始められているわけでありましょうから、李ライン完全に一応撤廃、この線をひとつ堅持し、交渉を続けられるように切望をしたいわけです。  そこで、報道関係で伝えられるところによりますと、かつての、本年春ですか、赤城・元会談で、漁業問題に関するある程度の意見の一致を見られたということがあり、それが土台になって今度の全般的の漁業交渉がなされるのか、あるいは振り出しに戻って始められるのか、それはわかりませんけれども、伝えられるところによると、たとえば専管水域というもの、調整区域というものを設ける。まあ事実かどらかわかりませんが。そうすると、専管水域というのは韓国の漁船だけが出入りができて、日本の漁船は禁止をされる。調整区域については、日本の漁船の出入りが許されるけれども、おそらく漁船の隻数を限られる、あるいは底びき網がいいとかいかぬとか、数を限定されるとかいうような問題が出てくる。そういうようなふうにも伝えられるわけなんでありますけれども、まごまごすると、公海の中に日本の漁船だけが入れない専管水域ができたり、日本の漁船が非常に強い制限を受けて、ようやく出入りのできる調整区域といいますか何というか、そういうような水域ができるというよううことになると、これも、李ラインそのものは撤廃されても、結果においては、日本の漁業、漁民が非常に圧迫を感ずるような結果が起こりかねないのではないか。その辺は十分留意されてやっておられるはずだと思いまするけれども、こういう点について、もしも多少なりともこの席で御意見が伺えるならば、赤城農林大臣からひとつ御所見を伺ってみたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 国際的な取りきめ、あるいは慣例等もありますので、沿岸十二海里までは専管水域を設ける例も世界の諸国にあるのでございます。でありますので、交渉の過程によりまして、専管水域十二海里を韓国の沿岸に設けよらじゃないか、設けることをお互いの話し合いの上できめようじゃないかということを進めてまいりました。専管水域のきめ方も、一般的には、潮の引いた低潮線から十二海里ということでございますが、韓国の島が南及び西のほらに入り乱れておりまして屈曲もはなはだしい、こうういところには、島をつないで、それを基線として、そこから十二海里ということも国際的に認められているということでありますので、そういうような形で専管水域十二海里を引こうじゃないかという話し合いを進めておったわけであります。これは漁業の専管水域でございまして、相手国が権利がなくなるということではございません。権利は留保してありますが、大体においてその沿岸国が漁業をもっぱらするというような形の専管水域でありまして、その専管水域の外に共同規制区域の地域を設ける。これは、ソ連との関係におきましても、あるいはまた日米加の漁業関係におきましても、あるいは民間の日本と中共との漁業協定等にも例があるわけでございます。これは、魚族資源を両国で保護していこう、平等に捕獲して、しかも魚族の資源を維持していこら、こういう点から共同規制区域というようなものを設けている例もあるのであります。  その専管水域の外に共同規制区域を設ける、この規制区域につきましては、両国平等の立場で漁労をする、漁獲をしていくということがたてまえでございます。これが世間では、李承晩ラインそのままのところまでいくのじゃないかというようなことを疑問に思っておる者もございます。事実、初めの線は、向こう側からそれに近い線まで規制区域を広げようという案がありましたが、そういうものでは李承晩ラインにかわるべきもので、そういう線は承認できないということで、現在の李承晩ラインよりもずっと向こうの内側に引っ込んだところに規制区域の線を引こうじゃないか、その規制区域の線内においては両国平等だけれども、現在におきましては実績からいこう、日本が相当な実績を持っておりますので、その実績を基準として、その中における漁獲量等につきましてはきめていこう、こういうふうなやり方をしているわけでございます。その十二海里の専管永域の基線の引き方、その島伝いにどういう線を引いていくかということについての意見が一致しなかった点があるのであります。それから規制区域の線の引き方において一致しない点があった。それから漁獲量といって、量をいわゆるトン数やなにかで正確な統計がございませんので、それできめていくということは無理があるので、隻数できめていこうということで話を進めておったわけでございます。  今度の会談におきまして、専門家同士できのうから始まったようでありますが、前の話が進んだところを起点として話を進めようというのがこちら側の考え方、向こうでは必ずしもそうではないような考え方を言っておったようでございますけれども、早期になるべく両方の国民感情を考えてやっていくということならば、もとへ戻すというよりも、すでにきまったことを起点としてやったほうがいいんじゃないかということに話を進めているような次第でございます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私は現在の会談の妥結を希望しているものでございますから、どうも、これ以上触れると、いささか少しぐあいが悪い話も出さなければならなくなりますので、やめたいと思います。実は、防衛庁長官にも、日本の自衛隊法に定められた海上、陸上、航空自衛隊の任務、これと日本の漁民が侵される、利益の不当なる侵害を受けた場合の行動についても所信をお尋ねしたかったのでありますが、ただ、そういう点について、私が一つの疑問を持っている自衛隊法三条にある自衛隊の任務ということをどういうふうに解釈すればいいか。ことに、日本の公海における漁業権の侵害、そういうものについて、それとこの自衛隊法三条に定められた任務とを結びつけて、ひとつ考えてみる必要がありゃしないか、こういうように考えておりますが、この点については、目下会談中でございますから、あえて防衛庁長官の御答弁は求めないことにいたしたいと思います。  最後に、この日韓問題で、私は総理にもう一点お伺いしたいのでありますが、日ソの間、あるいは日中の間におていは、相当ひんぱんに文化交流のいろいろな形がとられておる。非常にいいことだと私どもは思っておる。ところで、せっかく一番隣、かつては、ある時期は日本の領土でもあったこの韓国と日本との間の文化交流の、具体的あるいは効果あるやり方というものがあまり行なわれなかったのじゃないか、こういうように考えられる。これはやはり、日韓両国民の理解を深め、そうして国交の正常化をほんとうに実を結ばせるためには、むしろそういうような両国民の文化交流による感情の融和といいますか、お互いに知識を持ち合うこと、そういうことが非常に基調として大事なことではなかろうか。過去はやむを得ないとして、今後会談の成立するいかんにかかわらず、文化交流については、日韓双方とも特に力を入れて考えていくべきじゃないか、こういうように考えておりますが、総理大臣の一応の御見解を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は高野さんと全く同意見でございます。十三年間交渉を続けながら何らの進展を見ていない。これは、政府間だけでこの種の交渉を続ける、こういうところに非常にむずかしさがある。実を結ばなかったゆえんもあるだろうと思います。ただいま言われるようなことが、真に両国の国交を正常化するゆえんだと、かように私は思います。ただ、今日になってまいりますと、いまから文化交流、人事交流で、その他のものをいたしましても、たいへんおそいのでございます。ただいま再開したばかりの日韓交渉、これはぜひまとめる方向に努力をしてまいりたい、かように考えます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 ぜひすみやかなる成立を希望してやみません。  次に、私は農林大臣に主としてお伺いしてみたいのでありますが、いまの国内糖価の著しい変動、とれで、輸入糖を原料とする精製業者、あるいは国産糖の製造業、これも非常に不安定な状態にある。同時に、国産糖の原料であるサトウキビあるいはてん菜、そういういものを栽培している南九州から南西諸島、沖繩、また北海道、こういう方面の栽培に当たっている農家が非常な不安におびえていると考えます。これは、何とかここで安定策を講じなければいけないのではないか。ほんとうならば、私どもの考え方では、常識では、国内のこういう弱い線はまず安定策を強く進めて、実行に移しておいて、そうしてしかる後に自由化が行なわるべきではなかったろうかと思います。十分の安定対策が講ぜられない前に——甘味資源対策とか、いろいろやっておりますけれども、なおほんとうの強い線が出ない前に、突如として昨年自由化されてしまった。その影響は、いろいろな意味において、国内の製造業、原料の栽培、そういう方面にあらわれていると考えられます。でありますから、何とかしてすみやかに、まず国内の糖価の安定、あるいは輸入粗糖の価格あるいは数量、これはまあ自由化でございますから、あまり自由化の精神にそむくようなことはやれますまいけれども、その自由化の精神にそむかない方法をもって、何らか安定対策を講じていただかないというと、次第次第に、製造業者、栽培業者は、いろいろ不安な状態に追い込まれたまま年々推移していく状態にある。この点について、まああまり時間もございませんが、大筋で、何か、たとえば関税の割り当て制度を置くとかなんとか、そのほか事業団を置くとか、何か方法をそれに農林省では考えられていることと思うのですけれども、この秋の収穫、ことに北海道の冷害を受けたてん菜、そういうようなことから考えますと、この辺で政府が安定策に対する所信を明確にされることが一番必要なんじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、何か赤城農林大臣お考えございましたら……。この点について一点お伺いしてみたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 粗糖の自由化の前に国内の対策を講じてやるか、あるいは自由化するときに同時にやるか、あるいはあとでもいいからやるかという三つの問題、三つの時期があると思います。でありますので、自由化の際に、甘味資源の対策の法律をつくっていこうということで、これはあとになりましたが、甘味資源関係の法律を御賛成いただいたわけでございます。それによって、国内の甘味資源の買い入れをいたしまして、価格の安定を期しておるのでございますけれども、いまお話しのように、国際的に粗糖の価格等が低迷いたしまして非常に下落いたしました。そのあおりを食いまして、糖業界もそうでありまするし、また国内の甘味資源の産業といいますか、農業方面においても、いろいろなしわ寄せといいますか、影響を来たしております。でありますので、この際根本的に、粗糖に対しまして、お話のように自由化に背反しない程度において対策を講ずべきではないかということで、粗糖の一手輸入というような関係の事業団というようなものをつくって、そして価格を一定のところに安定させる、したがって、国内の甘味資源の作物を栽培しておる人等におきましても、いまの法律のもとで、それとの関連において安定をさしていこうじゃないかというような考え方をもって、案をもって、いろいろ各方面の意見やらなにかをいま聴取しております。非常に賛成の向きが多いようでございます。一部にまだ誤解等もありまして、そこでまだ最終的結論を出すというわけにはまいりませんけれども、お話のような対策を鋭意また急速に講じなければならないということで対処をいたしておる現状でございます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 そのいろいろな対策がいずれきまろうとも、これは通常国会中にその対策が鮮明にされるところまで話が進んでまいりましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) いまの見通しでは、相当煮詰まってきましたので、通常国会にそいういう対策が出せるような形になるのじゃないかというふうに予想されております。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 そこで私は、この糖価安定に関連しましてもう一つ申し上げたいことは、バレイショ、カンショ等をもとにするでん粉、でん粉をもとにするブドウ糖、こういう三段階の問題なんですが、ブドウ糖の需要というものは、御承知のとおりに、もうほとんど現状のままではきまっておって、そう需要量が増大するとも考えられません。そこで学者にいろいろただしてみまするというと、このブドウ糖の甘味が足りないわけですけれども、二〇ないし二五%砂糖に混合しても甘味そのものにはあまり差異はない。りっぱに甘味料として使える。ただ、いろいろな化学的性質が違いますから、たとえば吸収が一方は強いとか一方はあまりないとかいうことなんかがあって、簡単にはまぜられないかもしれないけれども、これを立法化して甘味料として砂糖を使う場合には、その砂糖にはパーセンテージのいかんはいずれまた研究していただくとして、二〇あるいは二五%のブドウ糖を混加しなければならぬ、混加したものでなければ売ってはならず、甘味料として使ってはならない、こういうようなこと、あるいは、かん詰めには普通の砂糖は絶対使わせない、ブドウ糖でなければ使っちゃいけない、こういうようなブドウ糖の需要を増大させる何らかの立法措置がほしいような感じがいたします。これについて何かいままで御研究になったこともおありであろうと思うのですが、農林大臣のお考えを伺ってみたいとおもうのであります。それは、ブドウ糖の需要がそこで増大する、かりに二〇%ないし二五%混加するということになりますと、一カ年のブドウ糖の需要は相当なものになる。数十万トンになるはずである。そうすると、その原料であるでん粉はまたそれに少し輪をかけて、   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 かりに六十万トンのブドウ糖が必要であるならば、七十万トンのでん粉が必要になってくる。そういたしますれば、政府が全量でん粉を買い上げてくれなければ農村が因るというような、現在の予算措置上も非常にむずかしいいろいろな問題も出てまいるわけでありますけれども、これでいけば合理的にあまり国の金を使わないで安定策が講ぜられていくのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、これは、いま直ちにはいろいろな問題が——、化学的物質でありますから問題がございましょうが、今後この線を何か進めていきたいという気持ちで研究をやっていただく、あるいはすでに研究済みならば御所信の披瀝をお願いしたいのですが、この点について何をお考えがございましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) ブドウ糖の消費の拡大につきまして、あるいはブドウ糖、その他でん粉等の政府買い上げの措置はとっておるようでございますが、これを、ブドウ糖を砂糖に混合することを法律で強制したらどらかというお話でございます。これは私のほうでもそれぞれ研究はさしておるのでございますけれども、ただ砂糖が国民の嗜好品でありますし、また、砂糖の半分以上は菓子等の加工原料であるので、必ずしも強制するというところがいいかどうかということにつきましては、疑問を持っておるわけでございます。しかし、なお研究いたしたいと思いますが、それはそれといたしまして、ブドウ糖の消費拡大は必要でありますので、これにつきましては適正な措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 時間がないので急ぎますが、どらかひとつこのブドウ糖を強制的に使わして——使わせることはそれくらいやっても、私は日本の国民全体のいろいろの生活、あるいは産業の安定ということに役立つならば、そう不満は持つまいと考えます。どらかひとつ前向きの姿勢で農林省として研究をお進めを願いたいと思います。  次に、この問題について、最後に通産大臣にお伺いしたいことは、農林省は価格安定法によりまして、でん粉の買い上げ価格をきめる。また、その原料につきまして基準価格をきめるということは、たとえばイモについては三十円なら三十円、去年もことしもきめるということは、少なくともそれだけは生産農家に渡さなければ、やはり農家の経済がもたないから、そういうことで三十円も少ないと思うけれども、それでも、その三十円はやはり守るべき性質のものだろうと思う。しかるに、通産省関係のアルコール工場は、この三十円の基準価格があるにかかわらず、たとえば二十円、二十一円でことしもお買いになっている。これはアルコールの原料としては三十円でなければならぬということはもちろんないし、主として基準価格そのものは、でん粉に直接関係する線が強いわけでありましょうが、安ければ安いほど、安いアルコールができていいかもしれぬ。また、アルコールの製造の採算からいって、安くなければ困るのかもしれぬけれども、せっかく農林省が中心となって、三十円をきめて農家の収入確保をはかりたいというのに、そのまん中につくられているアルコール工場が二十一円でこれを買っている。そうすると、売らないといえばいいわけだけれども、金がない。ことにことしは九州なんかまた災害があって、金がないから安くてもしようがないから売ってしまうよりしようがない。だから、まとめて二十一円で買うといえば、二十一円で売っちゃう。それがまた、せっかくきめられた基準価格が根本的にくずれて意味をなさないことになる。これは同じ政府の中で、農林省と通産省が全く、両方とも理由があるでしょうけれども、違った方法をとっていることになりはしないか。これはやはり通産省関係でありましても、せっかく農林省が立てた三十円なら三十円というものをやはり守って、そうしてそれだけのものが生産農家のふところに入るように、やはり政府としてやっていただかなければならぬじゃないかと私は思う。けれども、事実において、ことしも二十一円で買い入れられている。これはどういうふうに考えたらよろしいものか。こういうことは今後ひとつ繰り返したくないものだと思うのですけれども、これについて通産大臣の一応の御説明を聞かしていただきたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま高野委員の御質問の御趣旨は、私よくわかるのでございますが、これはカンショの生産農家に対する非常に影音が多いのでございますから、たいへん恐縮ですが、ちょっと事情を申し上げさしていただきたいと思うのであります。  御承知のように、今年はカンショの作柄がよかったようでございます。そのために農家が売り急いでおったと思うのであります。それで、通産省所管のアルコール工場のほらにこれを売る、従来大体でん粉のほうに七、八割見当いきます。そうして、アルコール工場のほうは一割少し、それを今年は作柄もいいし、売り急いでもおられる、どんどん値も下がっているという実情から、アルコール工場のほうで、少しよけい買おう、こういうことになったのでございまして、私の承知しているのでは、工場着の価格が二十六円から三十一円ぐらいで買っていると思います。この価格のきめ方は、生産者と需要者とが懇談会をもちまして、十日ごとに大体の価格をきめて買い上げたと思うのであります。で、いまお話しのでん粉のほうは、基準価格三十円になっておる、それに対して、アルコールのほうのカンショが安かったのではないか、こういうわけでございますが、ただいま申し上げるような事情から価格がきまっております。その間に農産物価格安定法に基づきまして、五万トンのでん粉の買い上げがきめられました。そうしてその結果、三十円の基準価格ということになったと思うのであります。したがって、アルコール工場のほうから当時のその実情からして買い上げてまいりました価格が、その当時の農家にとりまして非常に不当なものであったと思わないのであります。むしろ、でき過ぎまして御心配になっておるところを、量もふやして、買い上げるというような善処をしたつもりでございまして、その間の事情で御了承をいただきたいと思います。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私は、次の問題に移りたいので、この問題はこれでやめますけれども、しかし、生産が相当進んで過剰で売り急いでいたというのではなくして、売り急がなければならない経済状態に追い込まれておった。災害がある、米はない、配給米で農家が食わなければならない、その配給米もろくすっぽう買えない。だから、たたかれても何しても、何でもかんでも売ってしまわなければならない状態にあった。この辺はやはりよくひとつ考えてもらって、これは大臣の直接責任でも何でもない、出先でそうやってしまうわけなんでしょうけれども、ひとつ来年以降においては、やはり価格安定の線に沿うたやり方を、同じ政府の中ですから、とっていただきたいということを希望して、この質問を私はやめます。  次に、労働大臣に伺いたいのは、中小企業関係における労働力の問題でございます。現在、つい数年前までは人手の余る経済、いまは人手が非常に不足して困る経済であります。そこで、いろいろ統計を見てみますると、三十二年ごろまでは、就業者が年々増加する分についてみますと、大体八割弱、七九%というものは全部中小企業の中へ吸収されおった。わずか二一%が大企業に吸収されておった。それがだんだん変わってまいりまして、三十四年ごろには、両方半々になる。一昨年から昨年にかけては、中小企業が吸収し得るものはわずか三〇%、あと七〇%はすべて大企業に行ってしまう。したがって、増加する分については、ようやく百三十二万ぐらいが中小企業へ、三百三十万ぐらいが大企業に行ってしまう、こういうふうに非常な変革が起こってきている。しかも一方において、この農村の流出者が非常に多い。最近はすでにおそらく八十何万から九十万をこえているでしょう。これが一応大部分が中小企業に入っている。けれども、入りましても、勤続一年未満というのが実に五〇%以上に及んでおる。でありますから、いま中小企業に吸収された労働者であっても、半数以上は一年未満しかつとめておらぬ。そして従来その中小企業の中で離職した者は、同じ中小企業の別な会社なり店に入ったものが、最近は中小企業から転職してほとんどその大部分が大企業のほうに行ってしまう。中小企業の倒産ということがありますけれども、これはいろいろ金融逼迫その他、やりくりがつかなくて倒産するものもありましょうけれども、いわゆる労務倒産、こういうものが意外に多いのではないかという感じを持ちます。ことに、こういうふうにだんだん若い者——流出者のほとんどが非常に若い、農村その他からの流出者の七〇%前後は十九歳以下、そういたしますと、それを補うために中高年齢層が中小企業の中に吸収されて入る。そうして、それはそれとしてまことにけっこうですけれども、能率は劣る、賃金は若い者よりよけい払わなければならない、こういう事態が起こってきまして、この労務倒産ということが今後非常に深刻な問題になってくるのではないか、こういうふうに私は考えるのですが、この間のことについて、一応石田労働大臣の御所見を聞かしいただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 中小企業が特に若い労働力の不足に悩んでいる、その実情はただいま御指摘のとおりでございます。ただ、これに対処する道は、中小企業が労働条件の悪いままで、そこへ必要労働力を確保するようにしようということも、これは実際上は不可能なことでございます。幸い最近は、特に初任給はほとんど規模別の差がなくなってまいりました。しかしながら、他の条件が非常に違う。そこで、他の条件を政治の手によって補っていく。たとえば住宅の建設、レクリエーションの設備、あるいはまた、退職金共済制度への加入の促進、あるいはまた、そのほかの厚生施設の充実というようなことをいたしますために、所要の補助をいたしていくということが一点でございます。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 しかし、根本は規模別の賃金格差は縮まってきておりますけれども、それを、規模別の賃金格差を裏づける生産性の格差というものがあまり縮まってまいっておりません。そこでまず、中小企業は生産性の格差を縮めるような他の施策を要請されるのではないかと思うのであります。それからもう一つは、なるほど現在高等学校卒業生についての求人求職の割合は四倍、中学校については三・六倍というような非常にアンバランスを示しておりますが、その求人が実勢であるかどうかということになりますと、どうも水増し求人というようなものが多い。むしろ人不足のムードというものがそれに拍車をかけているようにも思われるのであります。それから同時に、何でもかんでも若年労働でなければならない、また、何でもかんでも従来どおり人が余っておった時代と同じように労務管理を考える、こういう点に業者自体の反省も必要ではなかろうかと存じます。人不足人不足といわれていながら、たとえば流通部門におきまして自動販売機の普及はまだそれほどにいっておりません。元来スーパーマーケットなどの発達は、この人不足を補うために発達したのでありますが、わが国のスーパーマーケットには人間が一ぱいいる。どうもそういうような無反省のような面も多いように思われるのであります。そういう一点の反省を促しつつ、あるいは改善を指導しつつ、同時に、所要の施設を充実していくということが大切だろうと思っている次第であります。しかし、その背景をなします生産性の向上に対する他の行政の指導というものもむろん必要であります。それからもう一つは、大企業あるいは政府関係機関が不足な若年労働を先取りするという問題であります。若年労働でなくても十分間に合うものを、大企業とかあるいは政府関係機関というようなものを背景といたしまして先取りをする。この是正が必要であろうと思うのでありまして、政府関係機関に対しましては、数年前に一度強い勧告をやはり私の在任中にいたしたのでありますが、先般は職種の指定をいたしまして、そして若年層でなくて間に合う職種、たとえて申しますならば、道路公団や首都高速度道路公団等の入口の料金徴収係、これなどは、定年退職者で私どもは十分間に合うと思っております。そういうところについては、中高年齢層を採用して若年層を採用しないようにというような行政指導をいたしたい。また大企業におきましても、これに呼応いたしまして日経連等においてその対策を考究中でございます。  それからわが国の雇用関係を見てみますと、もう一つ特徴的なことは、農業人口の他産業への流出、これが先進各国のうちで第二次産業より第三次産業によけい行っているのは、わが国とアメリカだけでありまして、アメリカは非常に高い生産性にささえられておりますから、それでも成り立つのでありましょうが、わが国の現状において直接生産に関係しない第三次産業に多く流れ過ぎているという経済の現状について、やはり考究をすべきものがあると思っておる次第でございます。農村から若年労働が流れて中高年齢が残る。これはわが国の農業が将来どれくらいの規模、そしてそれについはどれくらいの農業人口労働力を必要とするかということを目途とする農林行政上の問題である点も多いのでありますが、私どもといたしましては、農村から中高年齢層の諸君が他産業へ移る場合の職業の訓練、あるいはあっせんその他について万全を期しまして、でき得る限り農業労働力の年齢的な不均衡というものの是正に、労政の面からも協力をいたしてまいっておるつもりでございます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 この農村の流出が非常に多いということは、現在農村のはなはだしい人手不足、そして相当の高賃金の日当を払わなければ人もおらない、手伝いも得られない、こういうようなことでございまするが、これはひとつ何とか農村に若い者が残って仕事ができて食っていけるような、そういう農村に、どうしてそういう農村をつくっていけるであろうか、こういうような点について、もっとお互いに考えてみる必要があるのじゃないかと思います。  もう時間がありませんから省略します。  そこで、いまお話しになりました、たとえば共同施設、共同の福利施設あるいは宿舎、そのほか賃金の格差の是正というようなこと、あるいはそのほか機械化いろいろありましょう、そういう点については、できるだけ政府が資金面において従来より以上に手伝ってやる、援助あるいは融資そのほかそういう面で資金的に手伝ってやってもらわなければ、幾らこういう共同施設をつくる、何をつくると言ったところで、もともと中小企業というよりも零細弱体企業が多いのでございますから、なかなかそういうことを言っても、一向ようつくりません。でありますから、それについては、やはり政府が手をとってやっていくというようなことで、ぜひひとつ何とか援助して資金面について十分の配慮を願いたい。この点について一言だけでけっこうですから、大蔵大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 労働省の意向を十分聞きながら、お説に沿うようにしてまいりたいと思います。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 どうも与党議員が質問しますと、つい八百長質問みたいになってしまう。ついまた私の場合は、そうでないつもりでしたけれども、とかくそう思われがちで、私のほうでもつい遠慮いたします。  それから最後に、私は時間がないので、二点だけ簡単に伺いたい。  それは佐藤内閣ができましてから、社会開発ということばが盛んに使われる。私はこの社会開発というのは、狭義に解せられる場合、広義に解せられる場合、いろいろあるようでありますけれども、その典型的縮図が離島にあるのじゃないか。離島対策あるいは道路、港湾の問題、通信から電灯の問題、産業の問題、いろんな問題が、住宅、文化、医療その他の厚生施設、すべてそういう一連の社会開発に関する対策となるべきものが、離島対策に圧縮されているような感じだ。ところで、離島対策についてはすでに長い間いろいろ対策が講ぜられてきて、相当の効果をあげられているようですけれども、まだ回ってみますと、ずいぶんと不十分な部面があります。特に不十分と考えられる点は、文化的施設、医療施設、保険料は払うけれども、病気になっても医者にかかれない。診療所をつくってやっても医者が来ない。こういう事態で、まことにその点については、常に生命の危険にさらされている離島民百三十八万人おる。もう一つは、離島でありますから当然海がある、航路がある。この航路が離島にとっては私は完全なる一つの道路と考えるべきであると思う。その道路と考えるべき航路が全くどこでも赤字である。もうまるで会社がつぶれそうな状態になって、離島航路が細々と続けられておるわけです。この点をせっかく離島対策やるのならば、この厚生、文化的対策、予算措置もこの辺はきわめて薄いようである。航路に対する補助といいますか、何らかの援助の対策、こいういう点についてもう少し具体的に対策をとってもらいたいと思います。これはどの大臣にお尋ねすべきか、総括して佐藤総理大臣からお願いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘のように、社会開発という新しいことばを使っておりますが、別に新しいわけではございません。これはただいまお話しのように広義あるいは狭義いろいろと取り扱いがあるようですが、要は経済開発にいたしましても、これを国民の生活に直結するようにということをねらいとして、別の見方から社会開発という見方をいたしておるわけであります。その立場でいろいろ本土におきましても問題があるわけでありますが、ただいま御指摘になりました離島関係におきまして、特にこういう点が注意して取り上げられなければ、離島振興の諸対策も生きてこない、いわゆる実にならない、こういうことが言えるのじゃないかと思います。ただいま仰せになりました文化的施設あるいは水道、電灯あるいは医療施設、さらにまた航路等、全般にわたって離島関係ではたいへん社会施設がおくれておる。そういう意味でとにかく離島住民のためを思い、この経済の開発におくれを来たしておるこの離島方面に対して、社会開発の立場から諸施策をもっと充実しろ、これはたいへん筋のあることでございます。私はかねてから離島対策事業、その予算がかような意味で盛られておると思います。今後一そう注意いたしまして、社会開発の効果をあげるように一そうこれと取り組んでいく、こういう考え方でございます。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(松浦周太郎君) 総理大臣がお答えになりましたから、もう多くは申し上げる必要ございませんが、補足申し上げておきます。  離島航路の問題といたしましては、しばしば国会で問題になっており、離島航路が、離島航路整備法に基づきまして航路補助金、三十九年度におきましては六千万円計上しておりますが、このくらいのことでは、とうてい多数の島々に満足な船を配付することができませんから、現在法律をいま成案を急ぎつつあります。その目標とするところは、ただいま総理の申されましたように社会開発、地域開発を満足させようとするためには、離島が一番地域開発的なところでございますので、高野先生のおっしゃるようにするためには、陸地における二級国道の改修費に相当するだけのものを離島航路に振り向けることが、私はほんとうに必要なことだと思います。そこまでの手当てをいたしますということになれば、相当安全輸送並びに低廉な運賃をもって乗せることができると思いますから、現在運輸省におきましてはその法案の整備中でございまして、来国会にこれを提案いたしたいと思いますから、御協賛いただきたいと思います。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 社会開発という日本語としては比較的耳新しいキャッチフレーズができたわけでありますから、これの典型的縮図である離島問題については、今後さらにいまの総理並びに運輸大臣の御答弁のように積極的にお進めを願いたいと思います。  私は最後にもう一点だけお伺いしてみたい。それでやめます。それは、最近政府管掌の健康保険その他非常に赤字が多い。との赤字対策に政府当局はいろいろ苦心をされているようであります。まず一つ私が不思議にたえないのは、なぜこんなに赤字が出るかというと、年々被保険者はふえてまいる、受診率はふえる。年々の推移をたどるならば、来年度、次年度、その次はどれくらいの費用がかかる、保険料は幾ら取ればいいという対策がはっきり計画が出てこなければならない。それが出てくるならば、こんなに百何十億、二百何十億ものという赤字が出てしまったということは、あり得るはずがないと考える。にもかかわらずそういう赤字が出てくる。それは結局政府の保険対策が、そういう数字的計画が非常にずさんであるからじゃないだろうか、こうとしか考えられない。その点は一体どういうふうに厚生大臣はお考えになっているか。ちゃんと計画を立てて数字を立てて予算を組み、いろいろやっているんだけれども、どうもやむを得ず赤字になっちゃう、こういうことなのか、計画のそご、ずさん、そういうところに原因があるのか、その両方か、まず一応この点について厚生大臣の御所見を聞きたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 健康保険財政が非常に赤字であるということ、これはずさんであるか、何かそういう狂うような重大な原因がどこにあるかというお尋ねでございますが、健康保険財政がいまお尋ねございましたように、巨額の赤字になっていることは事実でございます。いろいろ原因を調べてまいっておりますが、これはいろいろ事情があるようでございますが、その中の大きな点を一つ申し上げますと、どらも薬の使用が非常に増加しておる。あるいはまた薬の単価が上がったものを、いわゆる高いものを使っているということ、そういうようなところが基本的なものではなかろうか、こう考えております。保険財政の立て直しを考えておりまして、詳細に調査中でございますので、ここで原因を、どこがはっきりしているかということを申し上げかねますが、大体いま申し上げたようなところが狂っているのではないか、こういうように考えております。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 すでに出てしまった赤字は、これはしようがないから、赤字解消の方法を講じなければなりませんが、それを講ずると同時に、将来やはりあまり計画がそごしない線を厚生省、大蔵省双方の間でなければ、これは話がまとまらないと思いますので、十分御研究を願いたいと思います。  ところで、最近しばしば伝えられているところによりますと、この赤字解消のために保険料率を上げる、今度はいままで除外されておったところのボーナス等にも保険料を、臨時保険料か知らぬけれども徴収する、薬価基準を引き下げる、そのほか患者の一部負担、これをやろうというようなふうの案が政府の中にあるやに聞いております。こういうことは、私はそれは保険料率もある程度上げなくちゃなりますまい、なりますまいが、事務的、事務当局としての計画、やり方ならば、それでもけっこうです。けれども患者の一部負担となりますと、毎日現金を持っていかなければ医者にかかれないことになる。そうすると保険料率は上げて取られるわ、毎日金を、現金を持っていかなければ医者にかかれない、病院に行けぬ。これがわれわれ政治的感覚をもって、はたしてほんとうの社会保険といえるでしょうか。赤字が出た、足りないからということで、事務的にいろいろなことをやれば、もっとほかにもいろいろな方法があるでしょう。がしかし、零細な被保険者、それの保険料を上げて、今度はボーナスもその相手にされるかもしれない。まだ正確な案のお示しがないからわかりませんけれども、新聞には大々的にそれが伝えられておる。ボーナスも保険料を徴収する元に取り上げられる。そこへもってきて毎日現金を持っていかなければ医者にかかれない。これが日本の国民皆保険医療である社会保険と言えるだろうかという疑問を私は持つのです。この現在どんなに貧乏な者であっても、今日金がなくても安心して医者にかかれるのが社会保険だろうと思う。それが毎日なにがしかの金を持っていかなければ医者にかかれない。これは受診率を押える効果はあると思います。しかし受診率を押えるということは、無意味な不必要な治療、投薬それを押えることであって、病気である患者が医者にかかっちゃいけないということは、受診率を押えることになるまいと考える。今度はかかりたくてもかかれない。そういう自分が状態にありながら、きょうの保険の金がないために医者に行けない、開業医に行けない、病院に行けない。これじゃ、私はどらもほんとうの社会保障の中核をなすべき社会保険医療とは考えられない。これはひとつ厚生大臣、大蔵大臣双方に関係のある事柄でありましょうが、何とかこの新聞報道に伝えられるような、そういう政府当局の案なるものについて、あらためて再検討を願いたい。もう少し政治的に考えて社会保険医療だと思われるような、何千万の国民からそう思われて、ありがたがられるような社会保険に、医療にしてもらえないか。いま政府が計画なされようとしている一部負担のごとき問題は、これは国民から最もありがたがられないものになってしまいます。それはわれわれ政党政治をやっている者としても、非常に困ります。この点については、もう少しひとつ政治的解決、政治的考慮をしていただきたい。ただ金がないからやむを得ないというのでは、それは私はどうも政治論からは遠ざかった話のような感じがいたします。この点について厚生大臣と大蔵大臣のひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 健康保険財政の急激な悪化に伴いまして、抜本的な財政の立て直しをいたしたい、こういうような考えをもちまして、いまいろいろの案を考えつつある実情でございます。高野委員からお述べになりましたようなことも、一つの案の中に予想されまして考慮していることも事実でございます。しかし、まだ来年度の問題でございまして、いずれ予算折衝になるわけでございます。考え方といたしましては、私も高野委員のおっしゃる気持ちはよく承知いたしておりますので、できるだけ被保険者の負担のかからないようにして、しかも社会保険の実効をあげていくということに重点を置いて考えたいと思いますが、何しろ保険制度そのものについても再検討したほうがいいんじゃないかというようなまた議論がございます。いろいろの角度から検討いたしまして、政府部内として意見をまとめていきたいと、こう考えております。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 大筋につきましては、厚生大臣が述べられたとおりでございます。また、各種の保険の赤字の状態も御承知のとおりでございまして、制度を守る上からも、よりよき合理的な制度として発展せしむるためにも、相当な手段を講じなければならない状態であるということも、御理解いただげると思います。また、いまあなたが御指摘になりましたが、治療を受けたい人でも治療を受けられないような状態にしてはならぬ——それにはもちろんそのとおりでございます。こういう制度を発展せしめていこうというのでございますから、治療を必要とするものに対して治療が行なわれないようにするなんということはごうまつも考えておりません。また、ただ合理化を多少進めなければならないという面に、いまの制度のままでは、医者にかからなくてもいいんだがどうせこういう切符を持っておるんだからかからなければ損だとか、いらっしゃればいつでもおいでになれるんですよ、また腹が痛いと言えば頭の痛い薬までも持たせて差し上げるということでは、これは制度そのものが根本的に参ってしまうということにもなりますので、この社会保険そのものがわれわれ国民のためによりよい制度になるようにということを慎重に検討いたしておるわけでございますので、政府間だけの考えではなく、世の意見も十分聞きながら合理的なものにしてまいりたい、こう考えます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私はこれで発言を終わりますが、最後に総理にお願いだけ申し上げておきたいことは、どうかひとつこの保険制度につきましては、ほんとうに抜本的に、根本的にやりかえる、いろんな制度の改廃、統合、調整、これが必要であろうと思います。これは、われわれにもその責任があると思いますから、政府並びに国会方面でも十分検討を進めたい。同時に、りっぱなほんとうの、文字どおり社会保険である、その線が明確に浮び上がれるような施策に持っていっていただきたい。これを最後に私は佐藤総理大臣にお願いをいたしまして、私の発言を終わります。

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 高野君の質疑は終了いたしました。

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 次に和泉覚君。

和泉覚公明党

○和泉覚君 私は、公明党を代表して、外交問題について若干の質問をいたしたいと思います。  まず、アジア問題を中心といたしまして総理大臣にお尋ねをいたします。  質問のまず第一点は、ベトナム問題でありますが、長期にわたるところの南北の紛争は、トンキン湾事件並びに政情の不安定等ますますどろ沼の様相を呈しております。そうして多くの民衆というものはほんとうに悲惨な苦しみにあえいでおる。この問題は、われわれ非常に同情にたえないものがあります。このことに関連いたしまして、去る四月、アメリカのラスク長官が書簡をもって、自由主義諸国に対して南ベトナムの援助に協力するような要請がありました。日本もこれに協力するというような意思表示をしてまいりましたが、その後の経過は一体どうなっておるのか、この点をお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 事務当局から説明させます。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 御答弁申し上げます。先ほど御指摘のございましたラスク長官の手紙のほかに、ベトナム政府自体からも、現地サイゴン、それから東京におきまして累次援助の要請がございました。それにこたえまして、人道上の見地から、医療団の派遣、それから医療品の送付を主にした援助を、総額米ドルにいたしまして百五十万ドル、日本金にいたしましてざっと五億余りの援助をしたわけでございまして、すでに医師四名、看護婦二名よりなる医療団が行っておりまして、大体この年内一ぱいで引き揚げることになっておりますけれども、先方では外科関係の治療、皮膚科関係の治療等に従事いた七まして、これは一般の民間の病院に派遣されているのでございますが、非常に現地住民から感謝されておる状況でございます。医療品、救急車等につきましても、逐次現地に到着いたしまして、盛大な引き渡し式をいたしまして、先方で非常に感謝されている、そういう状況でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いま年内というようなお話がありましたが、この規模は封来大きくするつもりはないのか、あるいはまた、いま言う年内に引き掲げるということは、年内でもってあとは終わりというような意味なのか、この点をひとつはっきり承りたいのですが。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 一応、予算措置の関係もございまして、今度送りました百五十万ドル限りで、先のことはまだ今後の検討に属する方針でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いまからのことはまだわからないというようなお話ですが、このような医療協力というような問題が民生の安定というためであって、いまのように、日本の場合には公立病院というものに勤労の形をとっておりますけれども、南ベトナムは、現在戒厳令もしかれておりますし、不穏な状態にもあるので、広い意味から言うと、その負傷者というようなものに対する手当ても含まれている、後方勤務というような意味も考えられるのではないか。したがって、そうなれば、軍事協力というような意味にも誤解を生むというような問題が生ずるのではないか、このように考えておるんですが、この点は総理大臣はどのようにお考えになっておられるか、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 南ベトナムに対する医療団の派遣は、ただいま後宮アジア局長が説明したとおりであります。この問題につきまして、いろいろ誤解を生ずるおそれがあるということでございますが、ただいま申し上げましたとおり、人道上の見地からこれを派遣いたしたのでありまして、そのようなことは一切ないと思います。私は、政局を担当する以前から、東南アジア諸国の国民、民族、これに対して医療団を派遣することはたいへん効果のあることじゃないだろうか、ことに貧困との戦いでありますが、これらの諸民族は病気と戦っている、そういう立場で、ぜひとも医療団を派遣すること、そうして医薬品を送付すること、これは必ず民生の安定に寄与するだろう、こういうことを、かねてから持論を持っていたのであります。今回ベトナムにつきまして百五十万ドルという相当の金額が予算の上で行なわれたことは、確かに効果があり、ベトナム人から非常に感謝されておる、かように私は考えております。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いまの、その医療団として行っておるし、また、いまからの問題は、わからないということは、将来も行くということがあり得るということになるわけなんですが、そのような場合に現在の、先ほど申し上げましたように、非常に政情が不安定、いつどんなような事件が起きるかわからない、このようなときに、その医療団というようなものに対して、もしも事故があったような場合には一体、責任というものは、日本政府というものにあるのか、あるいはまた、南ベトナム政府にあるのか、こういう点の責任の所在というようなものも明らかになっておられるのか、あるいはまた、なっておられないのか、この点も重ねてお伺いしたいと思うんですが。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 御指摘のごとく、事故が起こる可能性も全然予期されないわけではございませんので、その場合の責任論ということになりますと、いろいろ過失論、そういう問題もからんでくると思うのでございまして、とりあえず、そういう事故が起こりました場合の補償については、十分の手だてをとるという見地から、出発にあたりまして、保険を十分政府資金でかける、そういう措置をいたしました。

和泉覚公明党

○和泉覚君 やはりベトナムの問題ですが、だんだんと深刻になるにつれまして、先日も北ベトナムに対して爆撃云々ということもありましたし、米国では盛んに北進論というような問題が活発になってきておりますが、また、現実には、北ベトナムがいつ爆撃をされるかわからない、ラオスでも、きのうあたりの新聞は、爆撃を云々というようなことが出ておりましたが、こんなことは、結局、中共に対して見るならば、このような行為は非常に中共としては脅威を感ずることでありましょうし、また、そのようにしばしばと彼らも見解を発表しておるところでありますが、これはまた、先日もソ連のブレジネフ第一書記は、そのように、米軍機の北ベトナムに対するところの攻撃、爆撃に対しては、必要な援助の用意があるというような発表もしておりました。したがって、同じアジアの一角で、このような米国の北進論というようなものが中ソを刺激をすれば、ますます事件は多きくなってくるし、このようなときに日本が、南ベトナムに対するところの、このような援助にちょっと見られるような、米国の要請によって、あるいはベトナムの要請によって出るというようなことが、かえって刺激を中共やソ連に与えるというようなことになりはしないか。それがまた、アジアというものの平和の解決のためにも悪い結果をもたらすような結果になりはしないか。日本として、軍事援助と受け取られるような心配のあるようなこのような問題は、ちょうど火中のクリを拾うような危険というものが伴っておるというように感ずるんですが、この心配もありますが、これに対して総理大臣は、どのような見解を持っておられるか、お伺いをしたいと思うんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はかねてから平和自主外交、これを積極的に進めてまいりたいということを、数回にわたって御説明してまいりました。その立場に立ちまして、どこまでも平和を守る、と同時に自由を守る、こういう立場で、自主外交を積極的に展開するのであります。したがいまして、ただいま仰せのごとく、あるいは北ベトナムに対する進撃だとか爆撃だとか、こういうこと、これは私どもも、そういうことがないことを心から希望しておりますし、また、アメリカ政府自身も、公式にまだ発表はいたしておらないように思います。とにかく、いずれにいたしましても、平和のうちに政局が安定することを心から願い、また、それらの国民がどこまでも自由を守り、そうして、しあわせであることを心から念願しておるのでありまして、そういう事態の起こらないことを強く希望しております。

鈴木一弘公明党

○鈴木一弘君 関連して。いまの質問の趣旨から言って、北ベトナム爆撃云々、このような問題が起きているので、そういうときに、総理として、先ほどの御答弁の中では、医療団の派遣あるいは医薬品の送付というようなことは、向こうの民衆にとって非常にぐあいのいいことだからという持論であった、そういう善意をもって、たとえ民間に対しての援助というような形であっても、現在のような状態では、軍事目的と見られる心配があるのではないか、その点について、むしろこういうような騒乱の際には、援助の扱いというものは相当慎重にしなければなりませんし、賠償協力以外の形で出ているわけでありますから、要請で出ただけに、そういう軍事目的であると相手側にとられ、また、平和を刺激する、そうならないかということなんです。それに対する見解を聞いているわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど後宮アジア局長が説明いたしましたように、もっぱら人道的見地に立って私どもはこれを行なっているのであります。ただいま鈴木さんが御指摘になるように、これはどこまでも善意なものだ、これは同時に、日本国民自身が善意の行為をしている、そういうことを十分徹底させることによりまして、かような誤解はないようにいたしたいものだと思います。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろん、アジアの問題で、平和であることをだれも希望し願っていることは当然だと思うのですが、いまも総理は、自主外交で臨んでおられる、このようなお話だったのですが、いわゆる自主外交というものは、世界平和の上に立脚して、あくまでも国家の利益というものを考え、一つの陣営というものに傾かないでやっていくというのが、ほんとうの自主外交ではないか。しかるに、現在の総理は、アジアの動向を流動的というように判断されて申し述べておられますが、確かに世界の注目を浴びているところのベトナムにしろ、あるいはまたラオスにしろ、すべて東南アジアの諸地域でありまするがゆえに、特に南ベトナムの紛争は、中共と米国というものの代理戦争である、このような様相を呈しております。したがって、その深刻さはますます深くなるばかりであって、日本の安全と平和が、アジアの情勢に密接不可分な関係にあるということを考えたときに、また、アジアの唯一の先進国としての日本も、ベトナム問題の解決のためには、日本として、ただ平和を希望するというような消極的な意見だけじゃなしに、日本として当然果たすべきところの役割りというものがあるのではないか。その役割りをどのようにお考えになっておられるか。その解決のためにどのような処置をとられようという積極的な方策というものはないのか、この点をお伺いしたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたとおりに、私どもが平和を愛好する、そうしてただいまベトナムは非常に苦しい立場に立っている、これを座視するに忍びないという気持ちから、人道的立場で今回の援助を行なったものだと思います。これは先ほどの後宮局長の説明にもあったとおりであります。その事柄が、あるいはいまのお話からは、あるいは何もしないほうがいいんじゃないか、誤解を受けやすいから一切やめたほうがいいんじゃないか、こういうお尋ねであるかのようにとれるのでございますけれども、私はこの立場から申しますならば、やはり人道的立場に徹して、そうして平和を守り抜くという、その立場で、この種の援助はしてしかるべきだ、これが積極的な立場じゃないかと、かように私は思います。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いま答弁にありました、アジアのベトナム問題の平和解決というものは、だれだって願っておるわけですけれども、根本的な、いま言う独自の自主外交でもって、いわゆる先ほど申し上げましたような、両方の代理戦争とまで言われておるわけなんですから、解決策の根本的なものが必要であって、むしろ根本的な手を打たずに、いま言うたような医療団の派遣というようなものは、かえって有害ではないか、このことを申し上げただけであって、そのことの根底の上に立っての話だと理解してもらいたいし、その点をひとつ明らかにしてもらいたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 和泉さんのお尋ね、やや、私、解釈しかねておりましたが、ただいまのお話のように、私どもは、日本国としては、これは平和憲法を守っておりますので、一切の紛争に積極的に関与するような気持ちは毛頭ございません。むしろ私どもの国家的な使命をあらゆる機会に声明することが望ましいのだと思います。今回の人道的立場に立って医療団が出ておるのも、その国の性格を明らかにしておるのだと思うし、また国際会議の場等におきましても、国際紛争への介入はしませんが、この紛争なしに平和を守り怖く、そういう効力が各国ともされるように、あらゆる場合に発言してまいるようにつとめるつもりでございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろん平和を願って、紛争のないということは、だれも願っておるところのわけですが、現実において、いまそこにあるわけですから、ただ消極的に平和を願い、希望しておるというような消極的態度でやるんでなしに、むしろそこに、あくまでも平和というものを提唱しているところの積極的な方策というか、積極的な働きというものが、総理におありなのかということを、先ほどもお尋ねしたわけなんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたので御了承がいくんじゃないかと思います。私どもはあらゆる機会に、国際的紛争、これを国連その他を通じまして、国際会議等において、私どもの立場を声明することによって、その解決をはかっていきたい、こういうことを申しておるわけであります。

和泉覚公明党

○和泉覚君 次に、中共の問題でありますが、先日、政府は韓国に二千万ドル、台湾に一億五千万ドルの援助借款が認められたというようなことを聞きましたのですが、これはどのようになっておられるか、事実であられるのか。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) お答え申し上げます。まず、韓国の二千万ドルの借款と申しますか、延べ払い輸出につきましては、目下、事務当局で話が煮詰まっておりまして、もうすぐ最後の妥結に達する段階でございます。  それからもう一つ、御指示のございました台湾湾につきましては、まだ具体的の話は起こっておりません。先方にそういう希望があるということは聞いておりますが、まだ、それに基づきまして外交交渉は始まっておらない段階でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 すると、台湾の一億五千万ドルのやつは、まだ話が出たというだけでもって、政府としては、まだ別に方針も何もないし、出たならばやられる考えであるのか、それとも向こうの希望というだけの話なのか、この点をひとつはっきりしていただきたいと思うのです。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 国府からの希望は、一応承知しておりますので、目下、政府内部で検討中の段階でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろんこれは事務当局で検討中と言われるのですが、総理とするならば、おやりになるお考えであられるのか、あるいはまたどうなのか、この点を……どちらでもけっこうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま後宮局長がお答えいたしましたように、国民政府側で要望しておると、こういう事実はあります。もちろん政府といたしましても、これの扱い方は、いわゆる政治借款という形では扱わないつもりであります。したがいまして、コマーシャル・ベースの話として、さらに今後、それが具体化されるかどうか、いわゆる商談でございますので、そういう意味では話を詰める必要があるだろう、かように思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 総理からは、政治借款ではないという御答弁でございましたが、あとからまた混乱すると悪いから、申し上げておきますが、政府借款の要請がございます。それに対して、いま、政府部内で事務的に検討しておる段階でございますので、この検討の結果、煮詰まりましたら政府の最終的な態度を打ち出したいという考えでおります。国府に対しての政府信用供与ということは、結論としては出てくると考えます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 何だかちょっとややこしいようですが、いずれにしても、その問題がややこしいように、このような問題も、中共の国連加盟の問題等に関連して、結局いろいろな、台湾に対するところの援助、先ほど来の質問もありましたが、中共にとって見るならば、こういうことも一つの、中共の封じ込め政策に協力しておるのではなかろうかというような、向こうが受け取り方をしておるわけなんです。総理は、こういう点は考慮せずに、ただ経済的という関係だけでもってお考えになられる予定なのか、そういう点も一つの考慮に入れておられるのか、この点をひとつ答えていただきたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、国民政府とはりっぱな条約がございますし、平和条約を締結しておる。そうして、ただいま、これは国交を正常化しておる友好国だ、こういう関係でございますので、ただいまのような交易がある、これは当然のことであります。これをいわゆる封じ込め政策ではないか、こう言われることは、私はまことに心外であります。封じ込めというのは、一体どういうことなのか、中国と一切経済交流もしないのか、文化交流もしないのか、こういうことで、経済断交あるいは文化断交、そういうことをするのが封じ込めというのかというと、私どもは御承知のように、中国大陸に対しては、すでに政経分離で貿易はどんどん進めていきたいと言っておるし、また文化交流も、それぞれの機関を通じてどんどんやっております。いわゆる封じ込め政策というものは、どういうものか私にはわかりませんが、こういうことをやったからといって、さような誤解はないだろうと、固く私は信じます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いずれにしても、いろいろな紛争があり、また中共方面ではそのように考えておられるんではなかろうかと、私もこれは考えておるわけなんですからして、したがって、その防衛手段というか、そのためにその周辺というものを固めて自衛をしようというような考え方がまた向こうにあるのではないか。したがって、そういうように、向こうとしても対アジア政策を進めておると思うのでありますが、中共の立場に立てば、いろいろこういう問題も当然のことと考えられるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、このことが世界の不安の一因ということになっておるということを考えたときに、これを何とかしなければならない。このように考えておりますし、また、そのためには、中共というものに対して理解をするということも大事なことであります。しかるに、いわゆる先ほど来申し上げました根本的の問題というものを取り上げないで、ただ政府はそれを見ておるという、米国と同じ立場に立って、そして中共というものを見ておるというようにしか思われない節がたくさんあるわけなんです。特に佐藤政権は、先日の彰真氏の入国拒否の問題等も、中共の側からとるならば非常に冷たいというような態度に感ぜられておられるわけですが、これらも先ほど言うところの自主外交というところの内容にちょっとそぐわないような気がするわけなんですけれども、この点も総理はどのようにこれを理解されておられるのか。この点をひとつお答え願いたいと思うんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 彰真市長の入国を拒否したことは、これはわが国が主権国家としてその判断に基づいてやったことでありまして、これは自主外交をちっともそれと……当然のことであります。かように私は思います。ただいまお尋ねになりました疑問点は、こういうところにありはしないかと思います。私がかねてから申しておりますように、中国は一つだと、台湾を含めて一つだと言っておる。その見解につきましては、国民政府もまた北京政府も同様であります。中国は一つだと、台湾を含めて、ということを言っております。ところが、そういう議論があるにかかわらず、ただいま中国には二つの政権があり、国民政府があり、北京政府がある。そうして日本はどういう態度をとっておるかというと、その台湾にある国民政府とはりっぱな条約を結んでおる。したがって、その状態も在来から友好関係を続けてきておる。しかし、私どもは中国大陸を無視するわけにはいかない。したがって、そのほうに対しては今日も政経分離のたてまえで進んできておる。そうして貿易もだんだんふえてきておる。二億二千万ドル以上の貿易まで今日は実現しておる。両者の関係も、最近の彰真氏の入国を拒否した後におきましても、LT事務所等におきまして商談は次々にまとまっている。したがいまして、この関係から見ますれば、日本政府のとっておるその態度を、時期的にやむを得ないものとして北京政府も認めておるものではないかと、かように私は了解しております。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろん中共と台湾、先ほどからずっと質問がありましたが、一つの中国と言ってみたところで、一つの台湾政府があるんだし、それが非常に困っておられるというような先ほど御答弁がありましたが、いずれにしても、われわれとしても、その問題は武力解決によらないで平和解決ということは、われわれも願っておることは変わりはありませんが、したがって、この中共の国連加盟というような問題につきましても、政府は従来の方針というものは変えない。また、いまも話がありました政経分離というんですけれども、経済のほらはどんどん進めていこうと、ただその政経分離の政治のほうという問題は、あまり前向きであるという問題が見られないんではないか。したがって、アジアの諸問題の複雑しているということも、そういうところに大きな原因があるものと私たちは思われるわけですが、たとえばベトナムの問題にしろ、あるいはラオス等の、アジアで起こる紛争、必ずその陰には全部中共があるわけです。ところが、肝心の中共というものは国連というものに加盟されていない。そのために、共通の広場、土俵といいますか、広場でもって話し合いということが行なわれない。したがって、平和と安定的な繁栄というものを口にしておりますところの、しかも総理は国連外交ということを中心として絶えずやるというようにおっしゃっておられたわけですから、総理みずからが、先ほどの問題にも戻りますが、アジアの問題打開のために乗り出す、そうして国連の場にむしろ入れるように努力することも必要ではないか、こういうように思われるのですが、この点はいかようにお考えなのか、お答え願いたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中共政府が国連に加盟するということは、これが直ちに中国の代表権の問題になるわけであります。あるいはこの代表権の問題にならないで国連に加盟する方法があるかどうかでございます。したがいまして、午前中の当委員会においても説明いたしましたとおり、この中国代表権の問題にからんでの国連加盟、これはなかなか困難なことだ。ただいま一つの中国というものを主張している、この関係もあり、またその関係の処理もできていない現状において、これはまことにむずかしいことである、かように私は思う。したがって、午前中も申し上げたとおり、その点でほんとうに当惑しているのです、こういう実情を申し上げました。私自身がこういう事柄につきまして、いま予算委員会に説明いたしておりますところのものは、今日まで池田内閣がとってきたその態度自身でございます。それより以上のことは申しておりません。ただいまそれから先の問題についてのいまお尋ねでございますが、その点についての、各界、各方面、国際的な意見も聴取し、そうして最後に、私どもの国のあり方、それをきめていきたい、こういう態度でございます。まだ現状において結論が出ていない、こういうことを重ねてお答えしておきます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いまの問題に関連するわけですが、中共の国連加盟については、先日も外務大臣が、重要方式の指定にしたのは加盟の阻止、並びに引き延ばしのためである云々というような発言に対して、そのとおり、というようなお答えがございまして、この問題も、先日衆議院の予算委員会で、総理から、帰国後の取り消しというような答弁をされておったように聞いておりますが、また先ほども、あの問題は外務大臣のちょっとした舌足らずであったというようなお答えでありましたが、ただ、その言葉自体を取り消すのか、その気持ちからして前向きの姿勢でもって国連加盟というものに対して、あの重要方式の指定にしたのは引き延ばしのためではないのだという意味か、積極的といわないまでも、加盟のために努力するというような意味に解してよろしいのか、どらなのか。ただ気持ちには変わりないけれども、言葉の上だけを取り消したというような意味なのか、この点をひとつはっきりしていただきたいと思うのですが。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私どもは国民政府との友好関係、並びに中国大陸との貿易その他の関係、これを持続していくという態度をとっております。椎名君も、外務大臣の当時のお話では、何らかその関係がはっきりしておらないような気がした、中共政府に対して十分に、日本政府が今日とっている態度、これをもう少し親切に説明する必要があったのではないか、かように思って、これが舌足らずという表現をし、帰ってきたら十分その間を釈明もし、あるいは必要があれば取り消すだろう、こういうことを申し上げた次第であります。

和泉覚公明党

○和泉覚君 そこで、その中国の国連加盟の問題ですが、アメリカが認めるならば日本も認めるのではないか、一日前に認めるのか一日あとに認めるのか、などと言われておるわけですけれども、結局、いまいろいろな問題もあるでしょうけれども、早期に加盟させられるような努力をするというお考えがあられるのかどうなのか、この点をお伺いしたいと思うのですが。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、早期に加盟されるように努力する、こういうことは、意味がないと申してはことばが過ぎるかもしれませんが、実は実情に合わないのじゃないか。今日中国は一つだと言っている、ところが現実には二つの政権がある、この問題が片づくことが先決問題だと思います。どんな形で片づくか、これは別でございますが、さように私は考えております。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろん、来月、三カ月後に入れろというような問題をいうのではなしに、その努力というものが必要ではないかということを申し上げたのでして、来月や三カ月後に入れろという意味のことではないわけです。  それはそれといたしまして、次は、中共の先日のあの核爆発に対しては、総理ははなはだ遺憾であるというような見解を発表されました。むしろ中共こそ、国連の加盟とは意味が違うのだから、核停条約に参加すべきであるというような見解を発表されましたけれども、これも加盟実現というものに対する具体策というものが提起されるのか、そこまで具体策を提起してまで加盟させようとする努力があるのか、それともただ遺憾であるという意思表明であるのか、この点もひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、中共が核爆発をした、核実験をしたこれに対しましては、世界唯一の被爆国である日本国民として大きな関心を寄せたことは事実であります。また、国民の大多数の方々は、どうして平和的利用の方向で科学技術の進歩に使うことができなかったか、そういう意味で、中共を非難するわけではありませんが、非常に今回の核実験に対しまして遺憾に思っておると思います。政府は、その国民全般の意向、大多数の意向を体しまして、中共に、かようなことはされないがいいだろう、また部分的核爆発実験禁止、この条約に加盟することが望ましい、こういうことを声明しているわけであります。私は、中共に対しまして、さらに交渉を持つとは思いませんが、ただいまの事柄で日本がどういう処置がとられることを希望しておるか、これは十分おわかりだと思っております。

和泉覚公明党

○和泉覚君 もちろん、いまのように核爆発を実験して、これも中共自体がその立場からいうならば、国際環境というものの一つの突破口であるというように考えておると思いますが、中共に部分核停というものを加盟を呼びかけても、これに応ずるかどうか、これもひとつ望めないことなんでありますが、ほんとうの平和というものを考えた場合に、先ほども申しましたように、アメリカが中共に対するところのひとつ考え方というものを話し合って変えていかなければならぬ面もあるのではなかろうか、そのように考えておるわけですが、これに対して努力を払って、そして環境を是正していくというような必要があるのではないか。この点を総理としてはどのようにお考えになっておられるのか。そうしてこの部分核停の問題は中共に限らず、西側においてもフランスが同条約に加盟していないというような問題も、この部分核停の価値からするならば半減されておるというように解釈できるわけですけれども、結局、政府はフランス自体というものに対してもこの条約に加盟すべきであるというように働きかけることが大事ではないかというように思うのですが、この点は両方ともお答え願いたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) フランスに対しましても、また中共に対しましても、私どもの主張は同一でございます。いずれの国にいたしましても、核兵器を持つことについては私ども反対である、こういう意向をはっきりさしておるわけであります。この点では別に中共とフランスを別に扱う考え方はしないつもりであります。  また、中共がアメリカをいかに考えるか、またアメリカが中共に対していかに考えるか、こういうことは私どもの平和を愛好している、平和憲法を守っている日本の国にとりまして、自主外交を展開するという立場からは、それは全然別の問題でございます。私は、平和を真に愛好する国は日本だけではない、たくさんあると思いますが、そういうような国が手をつないで、そうして国際恒久平和への道をたどっていく、これはとうといことだ、ぜひそうあってほしい、かように思います。

和泉覚公明党

○和泉覚君 中国の国連加盟の問題もなかなか望めないというような問題から、国連のウ・タント事務総長が国連に加盟並びに非加盟の国をオブザーバーとして参加させるような提案をしたといわれますが、もちろんこれには中共も含まれておると思うのです。こういう形においてやられることも、そうして中共というものをそういう場に接しさせるということも、必要なことと思われるのですが、こういう問題に対しては総理はどのようにお考えになっておられるのか、この点もひとつお尋ねしたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 中共の国連加盟をめぐりまして、いろいろな論議がかわされている。ウ・タント事務総長ばかりでなく、また各方面で、あるいは中立諸国はどういう考えだとか、あるいはニューヨークでは新聞にどういう社説が出たとか、いろいろな議論が出ておると思います。私はこれを一々論駁するつもりはございません。ただ、今日この問題をめぐりましてたいへん活発な意見が出ておる、このこと自身が、この問題を解決させる方向への一歩前進あるいは数歩前進である、こういう意味で、その出てくることを非常に歓迎している、こういう立場であります。どの説がいいとかどの説が悪いというわけではございませんし、またそのいずれの方向にきまる、こいううわけでもございません。いまつくりだしておる、この問題を解決しようというそういう意味の立場からの意見だと、かように拝聴しておるということでございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 次に、明年の一月十二日に総理はアメリカに行かれて、ジョンソン大統領と会談をされるとのことですが、もちろんその焦点というものは中共問題であろうと思いますが、総理はこの会談に臨まれまして、先ほどもいろいろ質問がありましたが、また質問いたしましたように、一、二カ月後に中共を承認するというような意味から私は申し上げるわけではありませんが、中共承認問題を否定するというところの立場、そういうものでもって臨まれるのか、あるいはまた中共の国連加盟は必至であるというところの判断から米国というものに対してこちらの意見を言うて、そうして米国自体をも説得してくるような気持ちで行かれるのか、ただ向こうの意見々聞くのが主体なのか、この点をはっきりしてもらいたいと思うのですが。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が何回も申し上げておりますように、自主平和外交を展開していくということを申しておりますが、ただいまどちらの方向でどうこう、具体的に何々ということは申し上げませんが、そういうことでジョンソン大統領ともお目にかかるつもりでおります。

和泉覚公明党

○和泉覚君 次に、軍縮問題ですが、ジュネーブの軍縮委員会は、米ソの対立によってその前途には多くの問題というものをかかえておりますし、現に行き詰まりが見受けられておるのでありますが、この軍縮委員会の現状はどのようになっておるのか、これもひとつお聞かせ願いたいと思うのです。

滝川正久外務省国際連合局長事務代理

○政府委員(滝川正久君) ただいま、ジュネーブ軍縮委員会の現状はどうなっておるかという御質問でございましたので、概略御説明申し上げます。  本年一月二十一日、第六次会期を開きまして、四月二十九日に終わりました。続きまして、六月九日まで休んでおりましたのが、同日から再び始まりまして、これは第七次会期でございますが、九月十七日に終わりまして、九月二十二日、国連総会に対しまして、軍縮委の審議状況に関する報告書を提出いたしました。この主要な議題は五つばかりあるわけでございますけれども、結論的に申しますと、ほとんど見るべき成果は残念ながらなかったわけでございます。  ただ、これは委員会外、議場外におきまして、米英ソ三国が交渉いたしまして、それぞれこの三国が自発的に兵器用核分裂物質の生産削減をやるということになりまして、四月二十日、米ソ、続きまして、四月二十一日にイギリスが同様の措置をとる旨の公式発表をいたしました。これは直接の会議の結果ではございませんけれども、軍縮委における審議に関連いたしましてできましたものでございまして、これによって軍縮に対しまする世論の期待にこたえたということはいえようと思います。  なお、ただいまは国連総会における軍縮問題の審議を見守るために休んでおる次第であります。

和泉覚公明党

○和泉覚君 いまのその軍縮委員会に日本として参加していないわけなんですが、これはやはりこちらの意思なのか、あるいはまた参加できない理由というものがどこにあるのか、この点もひとつお答え願いたいと思います。

滝川正久外務省国際連合局長事務代理

○政府委員(滝川正久君) 御承知のとおり、十八カ国委員会は、以前は十カ国委員会であったわけであります。これはいわゆる西側と東側が五カ国ずつ参加いたしておりまして、それには中立国が参加していない。そこで、これに中立国を加えたらいいだろうということになりまして、第十五回総会、一九六〇年でございますが、中立国を加えようという提案が起こりました。この際に、アメリカが中立国として十カ国ほどの名前をあげたわけでございます。その中に、日本も提案の中には入っておりました。しかしながら、中立国ということになりますと、これは日本、その他の国もございますけれども、ちょっとぐあい悪いじゃないかというソ連側のそういう反対にあいまして、結局入らなかったわけであります。そうしてインド、アラブ連合その他八カ国が加わりまして、現在の十八カ国軍縮委員会というものが成立したいきさつがございます。以上そういうことでございまして、その理由はただいまも続いているだろうと思う次第でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 中立国は除外された、拒否されたというお話にちょっと承ったわけなんですが、それはこちらからも積極的に、入ってその場で討議しようというような気持ちから積極的に参加の働きかけ、そういうものはおありになったのかどうか、その点もちょと……。

滝川正久外務省国際連合局長事務代理

○政府委員(滝川正久君) ちょっと私の説明が誤解されていると思いますのは、中立国が入ってはいけないというのではなくて、中立国を加えようという際に、日本は中立国とは言いがたいからという理由で入らなかったわけであります。  なお、その後十八カ国軍縮委員会は相当審議をしておりますが、これに日本が入ろうということを日本側から働きかけたいきさつはないと存じております。

和泉覚公明党

○和泉覚君 軍縮会議での最も重要な問題というのは、やはり何といっても核兵器だと思われるわけですが、従来日本は国連の総会などでも核兵器というものは撤廃すべきである、このように常に叫んできたのであります。また、そのような具体的な問題を討議する場からはずされるというような結局形になるわけですから、したがって、日本はただ一つの被爆国であるというような意味からいっても、積極的にむしろこれに参加して世界の軍縮というものを、その問題に対してほんとうに積極的な働きかけをするとともに、今後もどんどんとその会議に出るところの資格というものを得るためにもつとめるべきではないか、こういうように考えられるわけですけれども、その点はどのようにお考えになるのか、ひとつお尋ねしたいと思うのです。

藤崎萬里外務省条約局長

○政府委員(藤崎萬里君) 外務省といたしましても同様な気持ちを持っております。しかし、積極的に参加するといいましても、だいぶ日本としては軍事知識その他の面でギャップがございますので、いままでのそういうおくれを取り戻すために目下若い人員を養成して着々研究を進めておる、かような段階でございます。

和泉覚公明党

○和泉覚君 研究は進めておられるという話ですが、やはりこれに対して総理のお考えがどのようであられるのか、この点ひとつはっきりとお願いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) この種の会合は平和確保への道だと私は考えます。機会があれば、その研究だけでなしに、積極的にそういう場を求める、これは望ましいことである、かように考えます。ただ、申し上げておきますが、いろいろ国際会議には国際会議というものの慣例等もございますから、そういう点も十分研究していきたい、このように思います。

和泉覚公明党

○和泉覚君 総理は所信表明で、米ソ両国の動向によって、世界の平和というものが方向づけられる形式というものは改められなければならないと、このように述べておられますが、確かに私もそのとおりだと思います。そこで、具体的な提案を用意しておられるか、また日本は世界唯一の原爆の被災国であるという立場からも、世界平和の推進の旗頭となっていくところの義務もあり、また権利もあると思います。したがって、日本は、国連に加盟非加盟の両陣営をともにまじえて平和建設のために世界平和の維持会議というようなものを提唱して、そして日本に常設さしていかれることが大事だと私は思うのですが、こういう問題に対して総理はどのようにお考えになっておられるのか、この点をお尋ねいたしまして、質問を終わりたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(佐藤榮作君) 世界平和維持会議、これはただいま和泉さんが仰せられたのでございますが、平和維持への一つの機構というか、そういうものは今日国際連合だと思います。そういう意味で国際連合を通じて私どもが平和維持への協力をしておる、努力を払っておる、こういうことでございますが、ただこの機会に申し上げておきたいのは、いろいろ民間団体等もあちらこちらにあるようでございますから、そういうものは私がただいま申すいわゆる国際的義務づけの国際連合というほうを第一に考えて、その点の民間団体等の動きもまた活発であってしかるべきだ、私はかように考えておりますので、別に民間団体のその機関を反対する、こういうものではないことだけ申し上げて、誤解のないように願っておきます。

寺尾豊自由民主党

○委員長(寺尾豊君) 和泉委員の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、明九日午前十時に委員会を開会いたします。  散会いたします。    午後三時二十三分散会      —————・—————

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