農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/12/04
会議録
○委員長(温水三郎君) 委員会を開きます。 農林水産基本政策に関する件を議題といたします。 この際、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。農林大臣。
○国務大臣(赤城宗徳君) このたびの組閣によって、五たび農林大臣を拝命いたし、引き続き農林水産行政をになうことになりました。決意を新たにし、重責を果たしてまいる覚悟でありますので、皆様方の理解ある御協力をお願いいたしたいと存じます。 まず、農政の推進について申し上げます。 農業内外の諸情勢からみて、農業の近代化を一そう積極的に推進するためには、従来からの施策を一そう拡充するほか、新しい考え方のもとに施策を講ずべきときにきていると存じ、昨年来構想を練ってまいりましたが、昭和四十年度予算の編成に当たりまして、とくに次の施策を重点として鋭意その実現に努めたいと存じております。 第一は、農業経営規模拡大のための措置であります。 国民食糧の安定的な供給と農業の他産業に対する格差の是正という農政の目標を実現いたしますために、農業全体の生産を高め、また農家全体の所得を上げることが必要でありますことは申すまでもありませんが、この際特に生産性が高く、農業所得の水準も高い自立家族経営の育成につとめることが重要であると存じます。このためには、農業構造改善事業の推進、農業生産基盤の整備等、各般の施策を進めるほか、農家が農地を手放す場合に自立経営への道を目指す農家の手に移るよう特別の配慮を行なうことが必要であろうと存じます。 このような観点から、フランス、西独等の西欧諸国の事例も研究いたしました結果、農地移動を経営規模の拡大の方向へ方向づける制度について検討を進めております。 これと同時に、農業に対して熱意を失い、離農を希望している農家が構造改善に資する方向で円滑に離農することができますよう、離農者が離農に際し必要とする資金及び資産を円滑に処分するための資金を長期低利に融通し、あわせて政府全体として離農者の就職あっせん等転職を円滑かつ確実にするためのあたたかい措置を講ずるようにいたしたいと考えます。 第二は、農業生産基盤の整備を推進するための措置であります。 農業の近代化のための基礎である農業生産基盤の整備につきましては、これを徹底的に推進しなければならないと存ずるのであります。 このため、農業の機械化に即応して、圃場整備、農道整備、基幹かんがい排水施設等の諸事業を一そう計画的かつ強力に進め、また農業経営規模の拡大と農業生産の選択的拡大に資するように農用地の造成につとめ、さらに八郎潟に新農村を建設するため八郎潟新農村建設事業を強力に準進ずる考えであります。 第三は、酪農振興対策であります。 酪農も従来順調に伸びてきてはおりますものの、将来に問題がないとは申せない状況でありますので、この際、牛乳乳製品の需給の動向及び酪農経営についての長期的観点から、飲用乳に重点を置いて、対策の確立をはかる所存であります。 このため、牛乳乳製品の需要の増大に対応して生産の拡大につとめ、さらに多頭飼養の推進、草地改良の促進、乳牛集団育成事業の充実等により生産性の向上をはかり、一方、生乳の学校給食の増大等により市乳化を促進する考えであります。また、開放経済体制への移行に対処しつつ酪農の安定的発展をはかるため、価格安定制度の改善強化をはかるとともに、乳製品の一元的輸入を行なうことも考えております。 第四は、農業後継者対策であります。 すぐれた農業後継者を確保するためには、農村の生活環境を改善し、家族関係を近代化することも大切でありますけれども、農業を青少年にとって魅力ある産業として確立することが本格的な道であります。このため、前述のように各般の施策を講ずることはもとよりでありますが、より直接的な後継者対策として、農業後継者育成資金及び農家生活改善資金を拡充するほか、民間による農業教育活動を積極的に進めるため、政府及び民間の出資のもとに農業後継者育成振興基金を設置する考えであります。 第五は、農業金融の改善合理化であります。 農業の近代化のための諸施策の拡充強化に伴い、制度金融の拡充をはかるとともに、現地において資金融通が円滑かつ迅速に行なわれるよう貸し付け体制の改善措置等を講ずる考えであります。 林業及び水産業につきましても、その近代化をはかるため、次のような事項を重点として、施策の推進をはかる所存であります。 まず、林業につきましては、国土保全と森林資源の開発確保のため、新治山五カ年計画による治山事業の拡充実施、林道網の整備促進、造林の推進等に格段の努力を払い、また林業の近代化を推進するため、林業基本法に基づき林業構造改善事業の実施等、生産、流通、構造等各般の施策を総合的に講じてまいる所存であります。 次に、水産につきましては、沿岸漁業及び中小漁業の近代化をはかるため、沿岸漁業等振興法に基づき、漁業経営の拡大と安定を目指して、漁港整備、構造改善等の諸施策を拡充し、また水産物の供給と価格の安定、流通、加工の合理化につとめてまいる所存であります。なお、海外遠洋漁業につきましては、各国との協調を旨としてその一そうの発展を期したいと存じます。 また、本年は年初以来、春の凍霜害、九州、四国における長雨、新潟地震、山陰、北陸の水害、台風第二十号、北海道冷害など例年になく災害が続発しました。その被害額は、農地、農業用筆の施設で六百五十億円、農林水産物で一千八百五十億円にのぼり、農林水産業関係の総被害額は約二千五百億円に達しております。 これらの被害の復旧及び被害農林漁家の経営の再建のためには、農業共済金の早期支払いその他農業災害補償の円滑な実施を行なうとともに、国庫補助及び経営資金の融通等そのつど措置を講じてまいりました。特に、このたびの北海道の冷害を契機として、天災融資法の当面の問題点について所要の改正をいたしたく、本臨時国会に改正法案の提出を予定いたしております。 本委員会及び委員各位の御支援御協力をお願い申し上げて、私のごあいさつといたします。
○委員長(温水三郎君) ただいまの農林大臣の御発言に関し、質疑のおありの方は、順次御発言願います。
○渡辺勘吉君 ただいまの四十七回臨時国会における大臣のごあいあつをいただいたのでありますが、そのごあいさつにも触れておられますように、農業内外の諸情勢から見て、農業の近代化を一そう積極的に推進するためには、従来からの施策を一そう拡充するほか新しい考え方のもとに云々という、四十年度予算の編成にあっての、業については五つの柱、林業については新治山五カ年計画の促進なり、林道網の整備促進、造林の推進、林業構造改善を新たに林業基本法に基づいて取り上げること、水産については、港湾整備あるいは構造改善、水産物の価格安定、流通等にわたるごあいさつを伺ったわけであります。このことから考えますと、池田内閣当時の農政と、佐藤内閣による農政とにいささかの相違もないような印象を受けるのでありますけれども、しかし、私は、去る十一月の二十一日に、本院において佐藤総理が農業政策について触れたその所信を伺いますと、必ずしも佐藤農政というものは池田農政のそのままの引き継ぎではないという印象を持つわけであります。というのは、佐藤内閣は人間尊重の政治を実現するため、社会開発を推し進めることを政策の基調とすると申されて、農業に関係することを拾ってみましても、物価問題を根本的に解決するために、すみやかに経済の成長を安定基調に乗せることであるが、そのプロセスにおいて、農業、中小企業など生産性の低い部門の近代化、流通機構の改善、合理化をはかることが急務である。農政の内政における位置づけというものは、かって池田内閣の際には、昨年の十月の池田総理の所信表明では、農業、中小企業は他産業に比較してきわめて格差拡大の矛盾に悩んでおるという事実認識の上に立って、農業の革新的な近代化を講ずるんだと、そのためには財政、金融の総力をこれに傾注する所存であるということを申しておったわけであります。社会開発という概念の中に、一体従来取り上げられたひずみ是正というものがどういうふうに置かれておるのかということももう一つの問題でありますが、あれだけ前内閣では農業、中小企業のひずみ是正には財政、金融の総力をあげてこれに立ち向かう所存であるという、総理の所信にもかかわらず、三十九年度に実施されつつある農業政策というものは、国民の期待とは別に、格差拡大を阻止する方向に意欲的なものが盛り込まれていない。そういう国会における所信表明と、具体的な施策の内容というものがちぐはぐになっておるという経過を踏まえて考えましても、物価問題を安定成長の施策の中に講ずる、その過程において農業の近代化をやるんだということになれば、なお一そうひずみの是正というものに取っ組むということが表からもう消えうせておるのではないかという懸念を持つわけであります。この社会開発というものの理解のしかたは、学者においてもいろいろに定義づけておるようでありますが、私は、過般十一月の十七日の経済審議会で、政府に答申した、そのうちの企画部会の国民生活分科会の報告を見ますと、社会開発についての意義、定義というものを述べておるのでありますが、その定義によりますと、社会開発計画とは、住宅、交通、保険、医療、環境衛生、社会福祉、教育、人口問題などの社会的面での開発をいうのである、特にわが国においては、社会保障、生活環境、教育文化、この三本の柱に重点が置かれているということを、国民生活分科会の報告では社会開発の定義をいたしておるわけであります。これを政策の基調としてやっていくことにおいて、もとより異論のあろうはずはないわけであります。申し上げるまでもなく、農業基本法の第一条には、農業の特殊な性格の産業として、その持っておる社会的な、経済的な、かつ自然的な制約による不利を補正するということで、第一条の目的にうたわれておるわけでありますから、その社会的制約による不利を補正するという——三つの大きな不利を補正するという柱の一つとして、社会開発が取り上げられ、社会的不利を補正するということが政策の前面に登場したことに、これはむしろ賛意を表するわけでありますけれども、むしろこの社会開発の社会的制約の不利を補正する以前の問題として、経済的不利の補正ということが、繰り返しますが、前の池田内閣では、ひずみ是正という大きな項目を掲げて、そのためには財政金融の総力をあげるのだということで、経済的不利の補正を国民に向かって約束をいたしたのが、今度の所信表明では、それがどこにも見当たらない、むしろ物価問題を安定基調に乗せることの過程において農業の近代化をやるということになりますと、私の指摘いたしたいのは、大臣のごあいさつにある、従来の施策を踏襲して云々ということは、総理のおかわりになられた間に、この経済的不利の補正ということが、かなり重点的な内容からははずされておるような受け取り方を、総理の所信表明の中に読み取らざるを得ないわけであります。この点は、一体そういう理解のしかたが間違っておるのか、あるいはそういう理解のとおりなのか、このことを佐藤内閣の赤城農林大臣にまずお伺いをいたしたいわけであります。
○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、池田内閣から佐藤内閣にかわりましても、農業関係は農業基本法の考え方を中心として対策を講じていくということでありますから、変わったものはないと思います。ただ、いまお話のように、池田内閣におきましては、他産業との所得あるいは生活水準の格差、このひずみが非常に拡大するおそれがあるから、徹底的にそれを是正しよう、こういうようなところに焦点を強く合わしておったわけであります。ですから話が非常に端的であったのですが、佐藤内閣におきましては、社会開発というようなことばを使っておりますので、いま御指摘のよなに、そういう点がぼやけやしないかという感じは一応持つと思います。社会開発ということばが学問的にどういうことを意味するかということにつきましては、いろいろまだ問題があろうかと思いますが、政治的に考えまするならば、やはり人間生活の環境をよくしていくということであると思います。そういう意味におきましては、農業あるいは農山漁村民の社会環境、人間的な環境からいえば、いまの格差等もありまして、よくないのでありますから、これを開発して他産業との格差を是正していく、国民の食糧をまかなっていく、こういうことは、社会開発の中に当然含まれておるものと私は解します。ただ、焦点が、大きな広い面から提唱しておりますので、ぼけておるというような感はいたしますけれども、農業関係というものは、その実態をとらえて、それに対処していかなければなりませんし、その将来の見通しも持ってやっていかなくちゃなりませんから、池田内閣から佐藤内閣にかわっても、その政策の基調、方針というものに私は変わりはないと、こういうふうに思います。
○渡辺勘吉君 佐藤総理も、この社会開発の内容というものを要約して、社会保障と、生活環境と、教育、文化というものに要約して、国会で、所信の中に述べておるわけであります。したがって、佐藤総理の農政の考え方というものは、の所信表明の中では、繰り返しますけれども、はね上がる物価の、大きな安定経済の中での手直しというその過程において、農業近代化をやるということで、従来の農業——零細企業に対する意欲というものが、きわめて削減をされておることは、いま大臣も御答弁の中に是認をされたことだと思うのであります。もとより従来ともここ二、三年来、特にひずみ是正——これは所得の格差の拡大という現実に対して、地域の格差の拡大という現実に対して、ひずみ是正ということが強調されておるわけでありますが、このことは、三十六年からスタートを切った所得倍増計画を内容とする高度経済成長政策の、大きな反古の上に立つて打ち出されたものであると思いますから、そうであるとするならば、これはかなり大胆に、池田さんが言うたように、革命的なかまえ方でこれを講じないと、私はひずみ是正は、従来の経過にもかんがみますると、から念仏に終わるおそれを多分に抱かざるを得ないわけであります。この大きな政策課題に取っ組んだ経済審議会の、三十九年から四十三年までの五カ年間の中期経済計画というものが取り上げられまして、先月の十七日に内閣に答申をされたのでありますが、この中期経済計画の答申の内容を見ますと、これは政府の政策運営の指針としてつくられたものである。したがって、あくまでも政策のプログラムとしての実行性を失わないようにすべき役割をになっておって、これによって民間企業や国民が将来の方向を考える場合の指針となるものと述べており、またこの答申の前文には、会長のことばとして、政府は必ずこの答申された中期経済計画を実行すべきことを強調しておられますが、この中期経済計画は、その答申どおり尊重されて、閣議で決定されることだと思いますが、その辺のお取り扱いはどういうことになるでありましょうか。また、この答申を受けてから、これを閣議で決定するには、一般には今月上旬と伝えられておりますが、いつごろ閣議で、この中期経済計画を決定されるお見込みであるか、その二点をお伺いいたします。
○国務大臣(赤城宗徳君) 中期経済計画につきましては、答申があった報告は、閣議でみな受けております。尊重はもちろんいたしますが、その内容等につきましては、さらに検討を加えて、案を経済企画庁側から提出をされて、それを原案として審議するということに相なっておりますので、答申そのままを尊重するということではないわけであります。 しからば、いつごろそれができて審議することになるかということでございますが、いまのところ、十二月の上旬というようなめどは持っておりません。まだ話し合いが始まったばかりでございまして、内容の検討につきましては、これを最終案として閣議に出して、それを決定するというまでには固まっておりません。
○渡辺勘吉君 閣議できめる時期については、明らかな見通しは伺えないわけでありますが、かなりの学識経験者を動員して、かなりの日数を要して検討したものでありますけれども、私も、この計画には大きな問題があることを痛感をいたしておるわけであります。しかし、ただいま大臣のごあいさつにもありましたような、来年度の予算にかかわるところの農業については、自立経営農家の育成を目途とする農業経営規模の拡大の措置なり、あるいは生産基盤の整備促進の問題なり、その他、あげられた五つの柱、あるいは林業、を通じて、来年の予算を踏まえてのごあいさつに共通してうかがえることは、農林漁業に対する社会資本の物量の程度が、私は、このひずみ是正につながる内容になるのか、ならないのかの、これは大きな要素だと考えるわけであります。 そこで、私は、この中期経済計画の中の、特に社会資本分科会の報告を通読をいたしたのでありますが、社会資本の重視を中期経済計画では一貫してうたっておりますが、その中で、三十九年から四十三年に至る五カ年の間に投下すべき社会資本の総量というものを、十七兆八千億円という予測を立てておるわけであります。この十七兆八千億円を投下しましても、政府の粗資本ストックの国民総生産に対する割合というものは、三十八年度末の〇・九一%からわずかに〇・〇六%アップの〇・九七%にすぎない、これは戦前の、平常時の水準までの回復の程度であって、戦後における社会資本の質的向上を計算に入れ、先進国との歴史的な格差を考えてみたならば、きわめて不十分であるということを、またこの社会資本分科会の答申の中にも触れておるわけであります。そして、この社会資本投資の計画を見ましても、計画自体はきわめて総花的であって、中期経済計画をつくったメリットもかなりその効力が削減されるのではないかということを懸念するのであります。で、エコノミストの十二月一日号を見ましても、次のように指摘をいたしております。現実の政策が進められていく過程と、これまでの経過を見た場合に、たとえば倍増計画にしても、格差の是正はうたわれていたわけだけれども、現実にはむしろ格差が拡大してきたんではないか、というのは、よほど政府が農業や中小企業に集中的に、強力に、資金ないしは対策を講じなければ、バランスのとれた発展は困難なことを、過去の経過が実証しておる。中期経済計画はひずみ是正が大きな重点、社会開発の佐藤政策の一枚看板に対応した形での政策の施行方法だとしても、集中的に金を入れていくとか、大企業部門の投資は押えても、こちらにまわす態度をはっきり出して、それを裏づける社会資本の配分なり、強力な施策が必要であるというふうに、たとえばエコノミスト誌では問題を整理をいたしております。このことは、ただいま大臣の所信の表明の中にも、私は貫かれておることだと思うのでありますが、農政の基本対策を、いまごあいさつにありましたように、農業経営規模拡大のための第一の、来年度とるべき大きな措置としておられる、あるいはその内容として、農業の機械化等、資本装備の充実による生産性の向上ということが、この御所信の中に読みとれるのでありますが、これを、同じ経済審議会の答申した中期経済計画の社会資本分科会の報告の中に見ましても、十七兆八千億という投資が計画のとおり実施され、かつ国民総生産が本計画の想定どおりとした場合にも、これは戦前程度にすぎない、きわめて不満であるというようなことを、この中でも取り上げておるのでありますが、その十七兆八千億円の中で、農林漁業に対しては、御承知のように一兆二百億というものを、この配分の中では、社会資本分科会では答申をいたしております。また治山治水については、九千億という数字を答申をいたしております。 繰り返しますけれども、この中期経済計画というものは、これから実施するであろう五カ年の長きにわたる政府の施策のプランニング・ポイントをなすものである、したがって、大臣は、ただいま冒頭で述べられましたような、今後の施策を講ずるに当たりまして、この社会資本分科会で答申した社会資本配分の、御所管の農林漁業関係、及び御所管の治山関係について、一体どういうふうに受けとめられ、閣議決定までの間に、それに対してどういう措置をおとりになる御所存であるかを、まずお伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(赤城宗徳君) 中期経済計画の中の農業関係でございますが、いま御指摘のように、農業関係一兆二百億、治山治水九千億ということで答申になっております。もともと私どもといたしましては、農林関係一兆二百億程度だと思いますが、また治山関係もこれよりずっと上であります。そういう社会資本を最小限度配分しなければ、いまのひずみ是正という面にも寄与できないという考え方で要求をいたしておったところが、こういう内容になって答申されております。でありますので、私どもといたしましては、これでは不十分だという観点から、なお折衝もし、閣議決定の案に対しましては、これ以上のものにしなければならぬという態度で進めておるわけであります。
○渡辺勘吉君 いや、その一兆二百億とおっしゃいましたけれども、現実に……。
○国務大臣(赤城宗徳君) 数字を間違えましたが、一兆三千九百九十億円要求して、査定が一兆二百億円ということであります。
○渡辺勘吉君 一兆三千九百九十億円の、農林大臣が意思表示をされたものに対して、一兆二百億ということでありますから、その割合からいたしましたなら、御要求の七割程度にすぎないわけであります。私は、いま大臣が冒頭でごあいさつをされた五つの柱の中を、もっと具体的に検討をするために、来年の予算を踏まえての所信表明でありますから、見てまいりますと、たとえば生産基盤の整備につきましても、三十九年から四十三年までの今後五カ年間に、既存の農地として荒廃するものが十九万ヘクタールと想定をいたしております。これに対して中期経済計画期間中には、同量の十九万ヘクタールを新規造成をしなければならぬということで、これに対する一つの原案というものをお出しになっておられるようであります。その一つを取り上げて見ましても、これは私具体的に要約して、五つの柱のうちの一つの中でお尋ねをいたすつもりでありますが、わが国で必要とする農林産物で、わが国で生産に適するものは、これをわが国の生産者によってまかなうという、いわゆる国内自給度の向上というものは、大きな国の農政の柱でなければならぬと思います。だとすれば、既存の耕地六百万ヘクタールというものでは、今後の生活水準の向上によって消費程度の上昇等を考えますと、どうしても既存の耕地では自給度の向上は達成できないわけでありますから、当然農耕牧地の適地であるものが、いまだ農耕地になっていないもの、おおよそ六百万ヘクタールと称されておりますが、これを緻密な国土調査に基づいて、国土の高度利用ということを、もっと積極的にやるための財政投資をまず考えるべきであるという意見を持つわけであります。そういうことを全然無視して、既存の耕地の縮小というものをとどめようというところに、私は基本的に、国内自給度の向上に対する政府の施策のなさというものを指摘せざるを得ないわけであります。この経済審議会の答申も明らかに指摘しているように、目標年次の国民の総生産が、基準年次の四八%も増加するという展望をしておるのに、農産物の国内自給度は、三十八年度末の八五%を、目標年次の四十三年には八〇%と、これを推定をしておる。しかし、八〇%と要約する過程においては、開放経済体制の中では七割程度を最低として考えざるを得ないということも、この情勢分析の中にうたっております。なお、今後の所得弾性値等から見て、今後、十年後には七五%程度に自給度が低下するということを指摘をいたしております。そういう経済審議会の答申というものは、私は大臣とともに、基本的な反対の態度を表明するわけであります。社会党の長期展望に立つ農業政策の大きな柱の一つは、農産物の国内自給度の向上に第一の柱を置いております。そのためには、国土の高度利用のためには、百万ヘクタールの畑地の造成と、二百万ヘクタールの草地の造成を具体的にうたっております。その国民の一日一人当たりの消費するカロリーを、現在の二千二百四十二カロリーから、西ドイツ並みの三千カロリーを目途として、これだけの自給度の向上というための、基盤開拓の大きな柱を立てておるわけであります。そういうものには目をつぶって、既存の耕地の、しかも壊廃の耕地は優等地がほとんどであります。上田、上畑が壊滅していく。新たに開拓する農耕地は、面積においては同じ十九万ヘクタールを目途といたしましても、その土地の生産性は非常に低いことは明らかであります。こういうきわめて消極的な内容を、私はこの具体的な社会資本投下の中の基盤整備の中にも読みとらざるを得ないわけであります。 きょうは、そういう基本的なことを大臣にお尋ねすることは、これ以上は控えまして、実際この基盤整備に、たとえば九千三百五十三億というものを見込んでおられます。一兆三千九百九十九億の中に、基盤整備としては九千三百五十三億を見込んでおられる、これすらも内訳はもとより示さない、大ざっぱなこれは社会資本分科会の答申でありますから、私はそのペースに乗って、内訳論争をしようと思いませんが、総体で見て、七社程度に大幅に削減をしておる、この経済審議会の社会資本の配分というものが、もしもこのまま認められたといたしましたならば、今後五カ年の間に、この荒廃する土地の面積は、あるいは想像以上に、十九万ヘクタールをこすことはあっても、それ以下にとどまることはないと見て間違いはないと思います。そうすると、新たに、そのつぶれ地に相当する農地を開発するための十九万ヘクタールに要する基盤整備の社会資本の三割程度の削減というものは、一そう国内の自給度を低下することに拍車をかけることは明らかであります。したがって、大臣は、この原案では不満であると表明されました。私も大きな、これは基本的にもそうでありますが、さしあたりにおいても、農林省が出したワクそのものに、まず第一に不満を表明しますけれども、百歩譲って、現時点では、一応政府が、農林省当局が考えられたものに譲歩いたしましても、それをさらに下回るということであれば、これは格差解消ではなくて、一そう格差が拡大し、農業の国内産業における位置づけというものは、一そう他産業に隷属するばかりではなくて、諸外国の農業に隷属する位置づけというものが一そうはっきりしてくる、そういう意味において、少なくとも、大臣は、総括して考えられたこの五カ年間の社会資本、農林漁業に対する一兆三千九百九十九億というものは、びた一文もこれを削減したのでは、あなたが先ほど申されたように、所信表明の趣旨に合致しないというふうに思うのでありますが、この最も二重構造の底辺に沈澱している農業に対して、これに光を与えるためにも、一番の決定的な要素は、まず、社会資本を積極的に投下することが政策の基本をなすものであるという観点に立って、大臣は、閣議決定に至る過程において、この企画庁が所管する経済審議会の答申の、農林漁業に対する社会資本の一兆二百億円に対しては、いかなる決意といかなる目標でそれを実現するお考えであるか、それをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 全体的の観点から、いかようになるか、その結論は私もわかりませんが、農林関係からいいますならば、やはり農林関係で要求いたしましたその額というものは、最少限度必要だという観点で折衝いたしていきたいと考えております。
○渡辺勘吉君 実際、総体として各省が要求しておる五カ年の社会資本の総量は、二十兆七千三百三十六億の額に達しております。これに対して十七兆八千億でありますから、どこの所管省でも、これはぜひ自分の所管する社会資本の一〇〇%の実現を主張するでありましょう、大臣がいま御答弁になったことは、その他の閣僚と同じ立場で考えておるのだとすれば、これはたいへんなことになると、これもよけいなことでありますが懸念をするわけであります。農業というもの、あるいは中小企業というものは、特に重点を置かなければならないということで、多少は倍増計画のときの配分よりも割合がふえておることは承知をいたしております。しかし、こんなことでは、この地域経済計画の社会資本の投下予想量ではどうにもならないということを、私はひとつ具体的な一つの事例を中心として、大臣にお尋ねをいたしたいわけであります。というのは、大体農林水産委員会でありますから、農林水産の社会資本についてよく触れる経過もあるわけであります。ひとつ問題を、従来取り上げが薄かった治山のことについて、私は、大臣が要求されたものと、この社会資本分科会が配分したものとの間に、どれだけこの前の通常国会で成立した林業基本法なり、あるいは保安林整備臨時措置法なりというものが、このままでいったならばとんでもないことになるかということを、ひとつ私の指摘のし方が間違っておれば、これはお教えをいただきたいのでありますが、私なりに整理をした資料で、具体的にお尋ねをいたしたいわけであります。 実は、きのう私のところへ、岩手県の治山協会の陳情書が舞い込んでまいりました。その陳情書を見ますと、目下経済企画庁において立案中の、中期経済計画における治山投資の総額は、一千億円程度の案が立てられているようであるが、もしこの中期経済計画に従って新五カ年計画を策定するものとすれば、昭和四十年から四十四年までの総事業量は、三千億円をはるかに下回るわずか一千二百億円程度にすぎない。三分の一にしか達しないということを、この陳情書では言うております。これは従来の民有林の治山だけにしぼってみますと、この九千億の中の、この協会は一千億を治山の総ワクと見ておるようでありますが、大体この気に食わない配分を、内訳まで想定して、九千億のうち治水が八千億で治山が一千億だなどという事務的なペースに入ること自体、私はこういう協会の責任者に大きな異論を持つものでありますが、しかし、こう公に印刷されたもので出てきた限りは、一応取り上げざるを得ない。大臣も御承知のように、過去五カ年のこの治山の実績というものは、毎年々々のその伸び率は二〇%を下がっていません。前年度と対比して二割以上、この過去五カ年の治山の平均進捗率を示しております。二割以上の進捗率を示しておりながら、 ’なことには、計画以外に、災害による要復旧追加量というものが新たに発生してきております。そこで、この十カ年計画の前に五カ年計画と、新たに災害によって山が荒廃した実面積とを足したものと、この五カ年の実績を見ますと、国有林、民有林を合わせて、その進捗率はわずかに五八%の、きわめて保安林の整備というものが進んでいない。計画の半分をちょっと上回ったにすぎないという実態を示しております。これがまず従来の経過であります。これから新たに中期経済計画で進んでまいるとなりますと、九千億という中にどれだけの治山の量があるかはわかりませんけれども、こういう協会等が示しておるような、かりに一千億ということになりますと、新五カ年計画は、これは四十年度からでありますから中期経済計画の三十九年度から四十三年までの期間に、五カ年計画のそれぞれの数字を配置がえをしてみますと、これが千七百五十三億ということになります。千七百五十三億というものが一千億ということに相なりますと、これだけで、治山事業は進捗率が従来の実積の二〇%を下回って、わずかに年平均一〇%程度の進捗にとどまるということになってくるわけであります。大臣はこの社会資本の投資の中で、御所管の治山事業については、民有林については千七百五十三億五千万を要求されたはずであります。それが実際には、治山治水九千億のうち一千億ということでありますと、その割合は御要求の五七%にすぎない。従来の、過去五年の治山の平均伸び率が二〇%年率であり、しかもその後における荒廃地等の発生から見れば、全体の実態に対してはその進捗がわずかに五八%という、国土の保全という、四十六回通常国会でわれわれが通過をした林業基本法の精神は、現実にはじゅうりんされつつある事態において、これらの社会資本の投資を、私は、千七百五十三億というもの以上に上回るものを担当の大臣としては意思表示をさるべきものだと思うのでありますが、それはまあ別といたしまして、一応治山事業五カ年計画というものをお立てになられたのでありますから、それを忠実に実行するためには、中期経済計画期間は千七百五十三億を下回っては、国土の保全という林業基本法の趣旨は、これは絵に書いたもちになる危険にいまさらされていると言わざるを得ないのであります。その点について、少なくとも、この治山に対しては一千億というような、五七%というような、そういう理不尽な、特にこれは社会開発にもつながる大きな要素でもあれば、少なくとも、農林大臣が責任を持ってお立てになった千七百五十三億というものが、是が非でも達成していただきませんと、林業基本法はこれはいけない。これはいずれ次の通常国会で、またいろいろ関連法案の際に、十分審議をすることでありますけれども、なぜ私が社会資本の問題を第一点として御質問の中心に据えるかということは、何といいましても、これが閣議で決定された限りは、今後五カ年財政当局によって縛られる。大きなこれは今後の拘束を受けるがゆえに、一つの例だけをあげて、大臣にもっと具体的な、積極的な御所信をお伺いいたしたいために、従来はあまり国会等でも取り上げられなかった治山事業を、一つの例として、先ほどの答弁のような通り一ぺんのことではなしに、たとえばこの治山事業についての千七百五十三億というものは、大臣が具体的な施策として、林業基本法に基づいておやりになる内容の、大きな柱の一つとして、第一条の目的にも、国土の保全ということをうたっているわけでありますし、また保安林の臨時措置法も期限が切れるというので、十カ年の延長をした経過もあります。保安林の整備育成ということについてどれだけ積極的にお考えになるかは、抽象的な御答弁よりも、今後三十九年から四十三年を規制するであろうところの、あるいは規制されないという理解もありましょうが、答申にもあるように、政府はこれを確実に実行すべしというような会長の大きな提案もありますので、私は一応それを正直に受けるべきだと思うので、ついては、閣議で決定する前に、この治山について一千億その他ということでは、これは基本法が泣くのではないかということで、具体的にこの数字に触れて、もっと所信のほどをお伺いいたしておきたいと思います
○国務大臣(赤城宗徳君) お話のとおりだと思います。治山の内示と言いますか、千百億ばかりでございます、千百二十五億。治山を万遺憾なきを期するには、千七百五十数億が必要だと、こういう観点に立って要求しておるわけでございますが、これを一つの例としてとらえたようでございますが、そのすべてにおいても、計画どおりいきませんと支障を来たすわけでございますので、強くわれわれの要求を貫徹したいと、こう考えております。
○委員長(温水三郎君) あと数分で大臣が退席されますので、そのつもりで御質問下さい。
○渡辺勘吉君 あと最大限にしぼりましても、来年の政府の御政策に対して、予算なりその他を伴うことでお伺いをしなければならない柱は四つございます。たとえばそのうちの一つでありますけれども、大臣の冒頭のごあいさつの中には、価格政策については、単に酪農で多少触れておられるだけでありますが、一体その点をどうお考えになるのかということは、私はやはりここでお伺いをしなければならぬ大きな問題の一つでございます。この経済審議会では、生産対策なりあるいは構造対策ということをどんどん進めていって、そういう構造対策なり、生産対策の過程における価格政策の役割を、補完的なもの、所得権衡のための補完的なものにすぎないということを、経済審議会では答申をいたしております。構造政策が諸外国に比べまして非常に立ちおくれをしておるわが国におきましては、むしろ先進国の例にもあるように、価格政策を先行さして、構造政策がそのあとに進んできたという、先ほどは農地の移動についての西ドイツ等の例を引用されましたけれども、むしろそういうていの引用よりは、価格政策が先行して、しかるのちに構造政策が取り上げられたという先進国の事例等にかんがみまするならば、これは日本農業の現在置かれておる立場からいたしますならば、価格政策というものが相互補完的なものとして位置づけられてしかるべきものだと思うのであります。また農業労働力の流動化にいたしましても、開放体制に向こう農業の今後のあるべき姿におきましても、遺憾ながら農業に対するビジョンに欠けることをきわめて遺憾といたします。そういう点について、きょう御声明のありましたごあいさつに関連して、いろいろお伺いをいたしたいのでありますが、大臣の御都合も、もう予定の時間も過ぎましたので、これは次の機会に譲りまして、今日は以上の私のお尋ねにとどめることにいたします。
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かに価格政策が先行する実態であろうかと思います。というのは、農業そのものが本質的に他産業と太刀打ちできないという位置にあるわけでありますから、まず価格政策でそれを先行していくということが必要でありますが、ただ問題は、本格的には、やはり構造政策、生産政策に本格的に手をつけて、価格政策を補完的にしなくちゃならぬということでございますけれども、過渡的といいますか、これがいつまで過渡的になるかしりませんが、価格政策も相互補完的にやっていかなくちゃならぬ問題であろうということは同感であります。
○委員長(温水三郎君) 委員会を休憩いたします。 午後二時三十七分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 —————・—————