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47回国会衆議院1964/12/03

予算委員会 第5号

発言数
233
登壇者
16
会派数
2
開催日
1964/12/03

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、これより一般質疑に入ります。  なお念のため申し上げますが、理事会の決定により、一般質疑の時間は一人当たり一時間三十分でありますから御了承願います。  それでは石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は予算審議にあたって、その外交の部門についての問題でお尋ねしたいと思います。  先般来の本会議、本委員会における首相並びに外相の答弁を聞いておると、はたして佐藤外交は平和のための善隣友好外交が本命なのか、それとも日中友好は見せかけで、政経分離に基づく貿易拡大のためのゼスチュアであって、本命は中共に対する敵視政策、封じ込め、日韓会談促進の反共外交、アメリカ追随の自主性を欠いた外交なのであるか、その外交における政治姿勢の基調がわからないのであります。あっちを向いているのかこっちを向いているのかさっぱりわからないというような印象を受けます。この際私は、佐藤内閣の自主外交というのはどういうところに力点を置いておるのか、外務大臣である佐藤総理にまず最初にお尋ねしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 私の外交の基本方針は、所信表明をよく読んでいただいたらわかると思います。私はそれで特に主張いたしましたのは、自主平和外交を積極的に推進するということを申しております。この自主平和外交とは一体何なのか。どこまでも平和を守り、自由を守るその基盤に立って、そしてナショナル・インタレストを主張していくんだ、これが自主平和外交の本来の姿であります。この点で語解を受ける筋のものは私はないように思う。これは非常にはっきりしている。さらに、どういう点に御疑問があるか、ただいまの基本的なものを申し上げますから、さらに質疑を重ねていきましょう。

石野久男日本社会党

○石野委員 総理はその施政演説でも委員会の答弁でも、常に中国問題と日韓会談は佐藤内閣の最大の課題である、こういうふうに言っております。これは記者会見のときでも国会でもそういうふうに言われたわけです。しかし、口では簡単に言いますけれども、実際にはこの中国問題と日韓問題とのかね合いというものは、私ははなはだむずかしいと思うのです。中国問題の解決は、少なくともアメリカに対しては、日本の主体性というものを強く出さないというと、これは解決できない問題だと思います。日韓会談の問題は、これはアメリカのアジア政策、極東政策の線に一〇〇%沿っているもので、早期解決はその方向にいくものである、こういうふうに見られます。したがって、佐藤内閣が中国問題の解決を積極的に前向きでやるんだ、日韓会談は早期に解決するんだ、こういうことをどのように――それこそ調和をとって外交の上でやるのか、非常にこれはむずかしい。しかもまた、その問題についての総理の答弁は、われわれにとって非常に理解できないものがあるのであります。この点について、総理はどのようにこれを、いわゆる中国問題の解決、それから日韓問題の早期解決というものを基本的な外交の方針として処理しようとしているのか、その点を明確に承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいま二つの問題を提起されました。しかし、この二つの問題は、二つにして一つなんです。私ども日本の立場から見れば、韓国が、また中共がどういう考え方にあろうと、私どもの立場においては、これは非常にはっきりしておる。今日まで伝統的に保守党内閣がとっておりますところの政策、これは韓国に対しての早期日韓交渉妥結であり、中国に対しては、これもまたそれぞれの主張は異にいたしておりましても、友好の、親善のその道をたどっていきたい、ただいまの状況において政経分離の方法がなし得る一番いい道ではないか、こういうことでその道をとっているわけであります。そうして、日韓交渉妥結にしろ、中国とも政経分離でその友好を重ねていこうということも、これはどこからも反対はされておらない、日本自身別に矛盾はしておらない、私はかように思うのです。この方針こそ、在来からの内閣のとってきた方針でありまして、佐藤内閣になりましてその点に変わりはないはずなんです。そこで、何だか佐藤内閣で変わったかのような誤解があるのか、あるいは不審があるのか、もしその不審があるならば、そういう点をついていただきたい、かように私は思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 中国問題について不審があるならば、ついてもらいたい、こういうような非常に高い姿勢の御答弁でございますが、中国問題は、総理はたびたび他の国の事情とは違うのだ、そういう処理のしかたをするんだ、こういうふうに言っております。それは、日本の利益のための外交路線をしくんだというふうにわれわれは理解して聞いたのでございますが、しかし、そういうことになりますと、先般来の総理の答弁、あるいは外務大臣の答弁というもののいろいろな面での食い違いというものが、ここでは非常に大きな問題になってきます。総理は、この日本の国の利益を守るための外交路線を自主的に中国に行なうという、こういう態度、たとえばそういう問題について、貿易の問題とか、あるいは中国に対するその他の外交上の問題とかいうことについて、それじゃどういうようなお考えを持っておられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ナショナル・インタレストをこちらが主張いたしますと、相手の国ももちろんナショナル・インタレストを主張してくる。そこで初めて貿易というものが話がまとまるのであります。一方的な主張だけではこれは相手を納得さすわけにいかない。相手の国にも相手の国の利益になるような主張がある。そこが調和の精神だ。お互いに話し合ってみて、そうして民間におきましても商業ベースで話がまとまる。それは売り手、買い手の立場で十分条件を合致さすわけです。これが私の申し上げる大事な点であり、政経分離の方針で、貿易を増進する、増大する、かように申しましても、これは一方的に押しつけ得るものではありません。だから相手方の立場、相手方の気持ちももちろんその中には尊重していかなければ、自国の利益を主張することにもならない。それだけのことは私にもわかっております。要は両国がそれぞれの立場にあるのだ。その立場は同一ではございません。それぞれの立場にあるが、そのそれぞれの立場において納得のいくような方法が望ましいのです。私はこれは国内においても同じだと思うのです。われわれ自由民主党と社会党とは、これは全然立場が同じだとは思いません。それぞれの立場が違っている。しかしながら、こうして国会運営をやっていく、そこにやはり話し合いの場があり、また調和がとれている。それでこそ国会運営がうまくいくのだと思います。国際的にもそういうものがあるだろう。それだからといって国会運営に、社会党は社会党の立場でお話をなさらないとか、自民党が自民党の立場を忘れて話をするとか、こういうものではない。自民党はやはり自民党の立場で主張してまいりますし、社会党の方も社会党の立場で主張なさって初めて政党があるのです。私は国際的にもそういう問題はあるだろう。お互いに双方がその立場は理解するが、お互いに干渉しないということ、これはもう基本的な現象だと思います。これは話がやや他に触れますが、池田前総理と私とを引き合いに出されることは、どちらかといいますと、これは自民党の内政干渉になるからあまり言われないように願いたいと思うのですが、お互いに干渉しないこと、それが必要だ、こういうふうに私は思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 ナショナル・インタレストに基づく調和の精神で話を進めていくのだ、よくわかります。そういうことがまた総理のいわゆる中国を敵視せず、中国を封じ込めしない立場をとるというようなこういうことばになってあらわれているものだ、私はこういうふうに理解したいのです。ところが総理は、中国問題についてはこういうふうに言っております。中国を敵視せず、中国を封じ込めない立場をとっているが、中国は一つだという点で問題がこじれている、こういうことを言っておられるのであります。これはわが党の勝間田議員なんかに対する答弁がそういうふうになっているが、また他面では、総理は二つの中国という立場をとらない、それを言うことは内政干渉だ、こういうふうに言っております。片方では中国は一つだという点で問題がこじれているのだ、こう言っており、片方では二つの中国の立場はとらないのだと言っておる。この論理は合わないのです。これは矛盾してきます。この論理を合わすのに、なぜ中国は一つだという点で問題がこじれているというふうに言うのか、この点総理の考え方をひとつわかりやすく話してほしいのです。これは、日本は他の国と事情が異なる立場から中国問題を取り扱うのだ、こう総理は言っているのですから、佐藤内閣はこの点について、この一つの中国だという立場をとろうとするときのいわゆる中華人民共和国、それからよくいわれる台湾、こういうような問題について、中国がどの点に重点を置いてその一つの中国という立場をとっていくのか、そういう点をひとつ明確にしていただきませんと、われわれはこの総理の考え方が全然わからない。これはわれわれだけでない、国民もわからないと思う。また、そこから、それぞれの誤解が生まれてくるのだと思うから、その点についてはっきりとひとつ総理の考え方を聞かせていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 まず第一に、わが国がこの中国問題と真剣に取り組んでおるその姿は他の国とは違うという、その点をまず解明しておきたいのです。  御承知のように、日本という国は中国、韓国、これと同じようにアジアに位している国です。したがいまして、アフリカやあるいはヨーロッパ等のように、遠隔の地であって、ただ貿易だけすればいいとか、どちらがどういうように楽になるのかという、こういうような国とは違うのだ。ここに日本の中国問題に持つ重大なる意義があるわけであります。私はしばしば申し上げておるが、これはどんなにしても関係を持たなければならない国なんです。こことシャットアウトのできるような国ではないのです、また私のほうが引っ越しをするような、そういうわけにもいかないのです。だから、この点をほんとうに身近に感じ、そうしてこれがわが国の外交の全部だ、あるいはその中心だ、こういうようにでも考えるべきものじゃないだろうか。したがって私は、その意味ではフランスが中共を承認したとか、あるいはアフリカの諸国が承認したとか、こういうのとはよほど違うと思うのです。そこに私どもが慎重にとらなければならないものがある。これが一つの問題であります。この点は私はわかってくださるだろうと思います。中国と日本とのいままでの関係から見まして、それはアフリカの諸国とのつき合いとは違うということは必ずわかってくれる、その立場に立っていま考えてみると、きょうは毎日新聞に比較的それらの点に触れた記事が載っております。これは石野さんもお読みになったと思います。(「今度は新聞を信ずるのか」と呼ぶ者あり)新聞を信ずるわけではありません。そうして、その記事が一番問題ですが、その中にいまの第一点の、その重要な問題だということはあまり触れてはおらないが、私はただいま申し上げるような意味でこれは重大だと思う。それから、その次に台湾が問題になっておる。台湾につきましては、これはわが国は放棄した地域であります。放棄したものがとやかく言う筋のものではございません。したがって、あの記事になっておりますように、私が台湾の帰属がはっきりしておらないとか、こういうようなことを言ったかのような記事が出ておりますが、これはたいへんな誤解であります。今日までこの放棄したこの国としては、台湾については何にも言わないのだ、これだけを明確にしておきます。そうして、台湾をも含めて中国は一つなりというのが、これは国民政府も北京政府も同じことを言っておる。この台湾を含めて中国は一つだ、これはそのとおりであっていいのじゃないか。外国人がそれをしいてとやかく二つだとか三つだとか言う必要はないことなんです。   〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 それこそ内政干渉になるんじゃないか。あるいは内政干渉ということはよけいかわかりませんが、たいへん関心を持つがゆえに、その中国の実体に触れるということ、これは私どもも避けなければならない、中国人自身が、中国の民族自身が考えておる、その筋を守るべきじゃないだろうか、私はかように思いますので、今日まで中国は二つだとかなんとか言った覚えはございません。私は必ず中国は一つだと言っている。これは非常にはっきりしていることなんです。この中国は一つだという立場でものごとをやっていく。今日、国民政府と日本との間にはりっぱな条約が結ばれておる。この問題は解決がなかなかできない状況だ、いまのままでいくのだ、こういう姿でございます。これが先ほど来言われる、そこにこじれがあるのじゃないかという勝間田君の質問に対する答弁にもなっておると思います。これは、私のほうにあるわけではございません。私のほうは非常に割り切って、そうして中国は一つなり、この主張をいままであらゆる機会に申しております。これは非常に明確なことであります。そういう実情にありますので、ただいまの質問に答えて、私はこれで非常に明確になっているのじゃないか、かように思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 確かに中国は一つだということの意味はわかりました。  そこで、最後に総理は、いま台湾との間には、国民政府との間にはりっぱに条約が結ばれておるのだ、こういうふうに話された。これを論理的に帰結していきますと、総理の言おうとする中国は一つだというのは、国民政府だということでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 そこがいまむずかしい問題になっておる。そこで、一体日本政府はいかにするか、あるいは国連加盟の問題はいかになるか、こういうところの問題なんです。私のいままで説明したところは現状までの説明であります。これから先の説明は、私の考え方はまだ申し上げておらない。ここに誤解がまたあるようです。私は、それでいままで池田内閣のとった方針は踏襲しております。現状はこういうようになっております。こういう説明をしておる。しこうして、中国問題は重大な問題でありますから、各界各層、また国際的にも十分意見を徴して私の最後の腹をきめたい、こういうことを何度も申しておる。その辺で誤解が生ずることは、いまから私をどちらかに追いやろうとなさるならそれは別です。それは共産党あたりの主張のように、佐藤はもうこういうことで話は固まっているのだ、その方向へ押しやるのだ、それでいいのだ、こういうようなら別ですが、私どものように両国の関係を親善友好に保とうというものはそこに重大なる悩みもあるので、その点をよくお考えをいただきたい。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまからある方向へ追いやろうとするならば、こういうお話で、私は総理の非常に心の苦しいところはよくわかるのです。しかし、政治は動いておる、国際間の事情もまた現実にやはり停滞はしていません。そこで、総理のその考え方は、佐藤内閣が具体的にやっていく一つ一つの仕事の中ではそれを明確に大衆の前に見せますし、世界にも示すことになるわけです。先ほどの中国の国連加盟の問題で、わが党の勝間田氏が、政府は中国の国連加盟を阻止し引き延ばそうとしているのかという質問をしたのに答えて、外務大臣は、そのとおりだ、そのように理解してよろしい、こういうことを答弁しております。椎名外相のこの答えは、あなたのいわゆる敵視せず、封じ込め政策をとらないといまるる御説明になったことと同じだと思いますか、そういう政策とは、全くこれは逆であります。われわれは別に政府をある方向へ追いやろうというような考え方はありませんけれども、政府の答弁は明確にそういう方向を示しております。だから私は、この中国の問題についての椎名外相の国連加盟阻止の態度というものは、中国に対する敵視政策である、中国封じ込めの政策の具体的な実践である、こういうふうに見るわけです。それらのことが、たとえば彭真氏の入国拒否というようなことにもなってあらわれる、それは決して友好的な態度でない、こういうふうに理解され、あるいは誤解されるのかもしれませんが、政府はそういう態度をとっておるのです。だからわれわれは、別段あなた方を、総理をある方向へ追い込もうとはしていませんが、総理の率いるところの内閣のわれわれに対する答えが、やはりそういうふうな方向を示しておるということは事実なんですから、この際、椎名外務大臣の答弁にあたって、あれはあなたとの間に十分な連絡はとれて行なわれたものであるのか、それともあなたの考え方と椎名外務大臣の考え方との間には食い違いがあるのかどうか、この点、ひとつ明確に総理の所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 これは重大な点でございます。私は当時聞いておりまして、椎名君、舌足らずじゃないか、少なくともこれは真意を伝えるだけの説得力のある答弁ではない、かように思いました。その後、翌日ですか、私特にお尋ねに答えて、友好的であり、私は敵視政策はとらない、こういうことを重ねて申し上げたのであります。ただいま重要問題という問題をめぐり、椎名君の発言が重要問題であるということだけは、これは理解をしていただきたいし、またその重要問題というのは、ただ数がどうとかいうような問題じゃなくて、先ほど来私が説明しておるようなわが国によっての重要性、それからスタートしておる重要問題だ、かようにお考えをいただきたいのであります。適当な機会に椎名君の前言は、これは釈明なりあるいは取り消しなりさせてしかるべきだ、これは私が総理として、そういうことをよく申し上げたいと思います。どうぞ御了承いただきます。

石野久男日本社会党

○石野委員 椎名外務大臣の問題については、他日釈明または取り消させるのが当然だという総理の意向はよくわかりました。  そこで、もう一つ私は問題をお聞きしておきたいのは、重要事項の方式をとるということについては、わが国の置かれておる事情がそういうことなんだから、それをひとつ理解してほしい、こういうようないまのお話でございます。先ほど総理は、中国問題に対するわが国の事情は、これはアジアに位しているところの特殊な立場にあるので、それは他の諸国、たとえばフランスが中国を承認した事情や、あるいはアフリカが中国とつき合いをしているような事情とまた違ったものがあるんだ、こういうようなお話がございました。このことばの意味から承りますると、フランスやあるいはアフリカの諸国が中国へ近づいていくのはよろしい、けれどもわれわれはアジアにおける特殊の地位にあるんだから、その総理のことばから判断しますと、そう簡単には中国には近づけられないのですよ、近づくことはできないのですよというような受け取り方をせざるを得なくなってくる。こういう点について総理の言おうとしているところが、本意であるのかあるいはどうなのか、これも舌足らずかどうなのかわかりませんが、これは逆にとられるといけませんから、その点、はっきりとひとつお話し願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 なるほどいまのように逆にとられるということも考えなければならないでしょうが、私は逆にとるほうがどうかしているのだ、どちらかといえば、これは仲よくするということをたびたび申し上げているんだから、それで仲よくするということはただ単なるつき合いということじゃないのです。私が他の国と違うと申しましたのに、どちらかといえば、これはまあ同種同文、あるいは同じような血だというようなことを申し上げるのもどうかと思いますが、とにかく長い長い間に積み重ねられた両国の関係であります。先ほども申し上げますように、気に食わぬからといって、これは引っ越しができるような国ではないのです。これは遠方の国ならつき合いも楽だろうが、またつき合いを断わることも楽だろう。しかし私どもは隣にいるんだから、これはどんなことがありましても仲よくしていかなければならない筋のものだ。その仲よくしていく方法が、やはり両国民の真の理解に基づき、真の認識の上に立って初めて可能なことだと思うのです。それをやはり双方の理解が足らないと、意外な結果になるのだ、かように私は思うのです。これは国連加盟の問題にしても、国連が多数決できめるという表決の方法をとっているのだ。本来から申しますならば、両国の関係はその票で争うよりも、真の理解の上に立って、そうして両国のこういう問題を解決することが望ましいのです。これは望ましいということを申し上げます。真にそういうのは数で争わないで、そうしてこれが真の理解に立ち、真の認識の上に立って、そうして友好関係が結ばれることが望ましいのです。そういうことをわれわれは今後努力していかなければならない。これが私の考えておる、いま大体の方向として考えておるものはそこなんです。こういうことが必要なんじゃないか。だから他の国の場合は、これはつき合うも断わるも楽だ、こういうのとは違うのですね。私どもは、両国関係は断ち切るわけにいかないだろう。これは平和への道をたどるなら、どうしても一緒になって仲よくしていかなければならぬ。平和への道をたどる場合に、それぞれの国のそれぞれの主張があるのだ、お互いに侵さないで、それがやっていけるのかどうか。それで深い理解に立つ、これが必要だ、かように私は思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 この際私は、総理の言う、いままでたびたび使っていることばですが、敵視しない、あるいは中国を封じ込めしないというこの内容でございますね。これはよく総理は使うことばですから、どういうことを意味しているのかということを明確にしませんというと、やはりお話は非常に前向きのように見えていながら、結果的にはうしろ向きになってしまうというような、実にちぐはぐな形になっていると思うのです。それで私は、総理が中国問題については真剣さが違うのだという、この総理の立場で、敵視せず、封じ込めをしないという意味は、できる限り早く中国を国連に加盟させようと努力し、中国が国内で、それ中国だ、台湾だというようなことなどはもう言わない、兄弟げんかは早くやめさせるようにすることに努力する。もしそれを、そういうような兄弟げんかをしているものをやめさせることについてじゃまをするものがあったら、総理はむしろ逆に他の国と事情は違うのだから、そういう立場で、日本の立場からその国や人々に対して注意を促し、そうしてなだめて、中国の完全な独立と平和に寄与するように総理が努力する、それがいわゆる総理の政治姿勢、佐藤内閣の中国を敵視せず、封じ込めをしない政策だ、こういうように私は理解をしたいのです。そのように私どもが理解してよろしいのですか、どうですか。その点をひとつはっきりしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 敵視しない、私どもはその立場を尊重するということです。そうして、どこまでも私どもが平和への道をたどっておるのだ、こういう立場ですから、敵視しないということはおわかりだと思います。  今日まで東西両陣営の対立があると片一方でいわれながら、片一方で雪解けがある、それが流動しておる世界情勢だ、国際情勢だといわれておる。そういう間に立って、この両国の間の相互理解を深めるということ、これはなかなか困難なことであります。過去におきましても、長い間の歴史がある。その間において、隣同士で理屈もわかっている事柄でなおそれが実現しておらないという、そこらに焦燥の感もいたさないわけではございませんが、しかしこれが現状の状態、現在の状態であります。したがって、あまり急いでも結果はしくじるのじゃないか。そこに私どもの一つのあせらない気持ちもあるわけであります。一体どうしたらいいのか。そういう意味のほんとうに真剣な気持ちで取り組んでいきたいと思います。そこで、私はわが党の人だろうが、社会党の諸君だろうが、向こうへ行かれることについてじゃまをしたことはございません。また出かけられる方々がそれぞれみんな友好への道をたどっておられる。ただいままで政教分離と言いながらも、こういう方々は政治家ですから、やはり政治の御意見も出ていくだろうが、そういうことも大目に見ておるのも、これはおわかりのとおりであります。ただ彭真氏の入国につきまして問題を引き起こしておるようであります。率直に言わしむれば、これはたいへん時期が悪かった、その目的が悪かった、かように私は思います。そういう意味からいろいろな事柄が言われるのですが、これは法理的に、法律的に申せば、法務大臣が昨日お答えしたとおりでありますけれども、両国の間がそういう理屈を言うことが大体間違っているのです。だから、そういう理屈を言わなくても済むような状態にお互いがならなければならない。だから、その後の方で中国から入ってくる人については別に法務省は断わっておらない。そういうことも御理解をいただくなら、おそらく彭真問題などは片がつく、こういうように私は思います。だから、そういう事柄をよくお考え願って、佐藤内閣は一貫した方針をとっておるのだ、ただいままでのところ在来の方針を踏襲しておる、そうして、それにはちっとも変わりはない。池田内閣が前向きであったと同様に佐藤内閣もまた前向きだ、こういうことだけはお考えをいただいて御理解をいただく、そうして、それから先の問題はまだまだなかなかむずかしい問題が幾つもあるのだ、まだ私が最終的な腹を固めておらない、こういう状態にあること、これも御理解をいただきたいのであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 いま敵視しないというのは、相手方の立場を尊重し平和の立場を守るのだ、そういう立場でやっていきたいのだ、こう総理は言いますけれども、いままでの彭真氏の入国問題やその他の発言などを通じて、必ずしも総理の考えているようなふうには向こうは受け取っていない。各国では受け取っていないし、われわれもまたそういうふうには理解できなかったわけです。そこで、そういうことの結果として、先般来たとえば日中議連の諸君の訪中の問題もどうもうまくいかなくなったようだし、それからあなたの腹心であり、あなたの片腕であるといわれておる久野さんの訪中も、やはりうまくいかなくなっているようでございます。これは中国では、あなたの腹心の方々が向こうに行きますと、むしろ佐藤さんは東洋のドゴールだというふうに主張されて、非常に違った意味での見方をされておったのに、それがだめになった。こういうことから、せっかく高碕さんが苦労なさって開かれかけてきておるLT貿易の問題にもひびが入るかもわからないというような事情であります。やはり総理は、こういうような事情に対処する何らかの具体的な考え方を持たなければいけないし、やらなければいけないのじゃなかろうか。総理はどういうように考えておりましょうと、事態はそういうふうにしてだんだん悪い方向に向いていく。これは、先ほどはこちらのせいじゃないのだということを他の面で言いましたけれども、むしろ今度の場合は、佐藤内閣ができてから急変した事情なんです。それはすべて佐藤総理をはじめとする内閣の議会における答弁とか、その他のことを通ずる行為の中から出てきているものであるだけに、いままで積み重ねてきたものがかえってくずれるというような結果が出ることについては、総理は責任を感じなくちゃいけないと思う。それについても、やはり総理の早急なる手の打ち方をしませんと、非常にたいへんなことが出てくるだろう、私はこう思います。総理は、これらの問題についてどのようなお考えをなさっておるか、ひとつこの際承っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 先ほど自主外交ということについてその立場をはっきりいたしました。当方の主張も主張、相手の国の主張もあるだろう。双方がお互いにその分野を侵さない、これが基本的に必要なことであります。これは双方がお互いにその立場を尊重していくことであります。この点で、私はただいまの石野さんの質問を通じ、大体石野さんも私の主張をわかってくだすったと思うが、この主張どおりにやっていきたいのであります。ただいま言われておりますような久野君の問題であるとか、あるいはその他の訪中議員の問題等がありますが、用向きはそれぞれ持っていらっしゃるようであります。私は、そういう事柄こそ政経分離の方針でいけばいいので、私が特別にこういう方々に特別な使命を委嘱したということはございません。はっきり申し上げておきます。私は、そういう意味のものをやはりお互いに積み重ねていって、それで初めて交通がひんぱんになり、経済交流が行なわれ、人的交流が行なわれて、そこにやはりゆるがすことのできないものができるのではないだろうか、かように思います。これが私の先ほど来言う正しい認識を持ち、そうして相互の理解を深める、それが一番大事なことだ。これが国交の基礎でなければならない、かように私は思います。どうかそういう意味の御協力も賜わりたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 正しい認識で相互理解を深めていくために、いわゆる国会だとか、あるいはその他の方々が交流を深めていくということにいろいろな問題を寄託しようという総理の気持ちはよくわかります。しかし、総理が前向きの姿勢をとっていこうとするならば、もうただまかしておくのではなくて、総理自身がむしろ大きな期待をかけてそれらのものに何らかの手を打たすというところまでいかないと、事態は逆な方向に向いていっていると私は思います。むしろ私は、今度久野氏が中国に行かれるにあたっては、総理のそういうようなことの何らかの期待をかけてそういう訪中をさせておるのだろうとさえ思っておったくらいなんです。そうあってしかるべきだと私は思っております。  そこで私は、中国問題についてはもう他の国と違った立場で、敵視せず、また封じ込めもしないという立場で行こうとするならば、ここらで何らかの手だてが出てこなければいけないと思う。それは、外交上の問題としてどういうふうな立場をとるか。いろいろありますけれども、具体的にそれをやるということが大事だと思います。それについては、たとえば中国とアメリカとの間でさえも、いわゆる会合が百何十回と行なわれているというような大使間の交流があるわけです。総理に私はこの際聞きたいのですが、総理は、非公式ながら大使会談というものを日中関係改善のために提出したいということを、従来も言ったようにわれわれは聞き及んでおります。それからまたある時期には、第三国において中国の首脳とも総理は会ってみたいというようなことも言われておった。私は、総理はいま党内野党でもないし、むしろ主流になって総理の位置についておる時期は千載一遇の時期だと思うのですが、その時期に、もし正式でなければそういう裏街道――裏街道と言っては悪いけれども、内交渉というものをするくらいの手だてはしなくちゃいけないのではないだろうか、私はそういうような気持ちをいまこの段階では持つべきだと思うのだが、総理はそういう点についてどういうふうにお考えになっているか、明確にひとつお聞かせ願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 久野代儀士の話がしばしば出ますが、久野代議士はたまたま前から出かけたいという商用があったようでございます。したがいまして、その商用が果たされる際に、もし誤解があるならば、それは当方の誤解を解いてくることも適当だと思います。しかし、これは不幸にいたしまして、久野氏の訪中はただいま取りやめという状況になっておる。また外国における大使級会談、あるいは外国において中国側の大事な要人と会うとか、こういう事柄もそういうチャンスがあれば別に避けるものではございません。おそらくAA会議などに行けば、それは中国代表とも話を進めるようなことがあるだろうと思います。しかして、この外交の問題というものはなかなか機微なデリケートな問題ですから、そういうチャンスをつくり出すということ、これがかえって目的を達しない場合もある。よくその効果も考えていかなければならないと思います。私、そういう立場で大使会談ということも、ただいますぐその結論に達しておるわけではございません。やらないときめているわけでもなければ、やるときめたわけでもない、こういう状態でございますが、こういう外交の問題は、やはり政府がそういう点を推進していく責任があるのでありますから、よくその実情に応じて、そうして効果のあるような方法を考えていくということを、ひとつおまかせをいただきたいと思います。  また皆さん方が出かけられる際におきましても、過去において私が個人的にお目にかかったこともありますし、そういうこともやはり両国間の話し合いを円滑にするゆえんだと思います。両方にやはり一つのムードができ上がる、そういうことが敵視政策というようなものがなくなるゆえんでもあるし、両国の国交をさらに進めていく方向でもあるわけであります。ただいままでのところお互いに遠方からいろいろな批判をしておる、それが誤解であったり、あるいは誤認であったりするような事柄もあるようであります。こういうことがたび重なると、石野さんのいま言われるように、だんだん深間に入っていく、こういう危険もありますから、そういうことはやはりお互いに避ける、そういう気持ちでいきたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 総理の自主外交を展開する上で、私はもう二つほど聞きたいものがある。  その一つは、中国の核実験に関連しての問題でございます。日本の国民は原爆被爆国民として核兵器に反対し、抗議する唯一の歴史的な資格を持っていると思っております。中国の核実験に対してわが党の代表は北京でこれに抗議をしました。しかし、わが党が中国核実験に反対したのは、米国やソ連が部分核停の中で核実験をするのを認めているのではないし、もちろん部分核停の中で核兵器をつくったり、あるいは使用可能の状態を温存させることを認めたのではありません。われわれは、日本人民の総意において核兵器の保有を絶対に認めないという立場をとっておるわけです。わが党は、中国の核実験に反対はしましたが、しかし中国の核兵器を全廃して、軍備全廃に進むための各国首脳会議の提唱には、心から賛意を表しておるのです。総理は、自主外交、唯一の被爆国の宰相として、核兵器の製造、実験、使用禁止のための国際会議を進んで提唱する政治姿勢をとるということは、一番適切な位置にあると私は思います。五つの核保有国へ総理は特使を派遣して、それからの問題の提唱をするというような気持ちはないか。また中国が呼びかけておりまする核兵器全廃に対する首脳者会議へむしろ積極的に飛び込んでいくというぐらいの気持ちがあってしかるべきじゃないかと私は思うのです。そういうところにこそ初めて総理の言う自主外交の姿勢というものが出てくる、こういうように私は思いまするので、これらの点についても総理の所見をお聞かせ願いたい。と同時に、わが党が、たとえば成田氏あるいは勝間田氏を通じてしばしば聞いておりますように、アジア太平洋地域における非核武装地帯の設定ということを聞いております。これは米ソ中日の間で積極的に働きかけることによって、特に日本がそのイニシアをとってやるべきことだ、私はこういうように思うのです。総理の考え方をひとつこの際明確に聞かしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 中共の核爆発実験に対しましては、世界ただ一つの被爆国の国民として、国民とともに私どもの所見を明確にいたしたはずであります。申すまでもなく、私どもは、いずれの国にしても、その国のいかんを問わず核兵器を持つことには絶対反対であります。それで、この点で申し上げて、所信表明でも珍しく強い態度の意見を表明したと思います。幸いにして、社会党の諸君もこれは同様であったと思います。核爆発に対して反対された。その後の経過につきましていろいろの具体策をいま提案されている。しかし、私考えますのに、真に平和を愛好する国ならば、やはり核兵器というようなものを持つべきじゃないんじゃないか。持つということ自身がすでにどうかしているのではないか。たいへん進んだ科学技術をどうして平和の方向へ使ってもらえないか、これは私まことに残念でございます。私は中共だけを非難するわけではございません。アメリカにしてもソ連にしてもそれは同様であります。フランスにしてもです。とにかく科学技術を、これこそ人類の平和、繁栄へ使って初めて科学技術の進歩が誇れるのだと思う。そういう意味で私まことに残念に思うのであります。しかし、この各国のあり方を見ますると、世界連合というような国ができればまた別でありますが、そうでないと、どうしても各国というものがそれぞれの立場においてそれぞれの安全を守る、こういう意味から、いま私どもが当面しておる大きな問題は矛盾した二つの問題なんです。片一方で軍拡をやり、片一方で軍備撤廃を叫んでおる。この二つの相反する命題がいま行なわれておる。何といってもその事実は、片一方だけの方向へは進んでおらないのです。全部軍備撤廃、全廃の方向に進んでいるとは思えない。それぞれが片一方で軍備拡張をやっておる、この間に処してこの種の問題を見ましたときに、これはやはり段階的に処理するのが当然ではないか、そういう意味で、持たないことを希望します。また製造しないことも希望します。またそれが運搬されないことも希望しますが、もうすでに持ったら、今度はやはりモスクワの核実験部分的禁止条約、これに参加することが望ましいのではないか、こういう意味で私どもはやっております。これがやはり核兵器全廃への道をたどっておるのだ、そうして、やはり管理の方式もありましょうし、この部分的核実験禁止条約からさらに段階的にこれが発展していく、こういう方向でありたい。ここでは遺憾ながら社会党の諸君と意見が対立しております。したがって、いま社会党の方々がいろいろ提案なさいますが、それには私は賛成でございません。したがいまして、いま非核武装協定をするとか、こういうことを言われても、これは私はできることではないと思う。むしろ持たないことを希望するのだ。どうしてこれを持ったか。これは、ほんとうに私は中共を非難するわけじゃございませんよ。それはそれぞれの立場があって、おそらく持たざるを得ないような事情もあっただろうと思います。いま私が指摘するように、片一方で軍備をやっておる、片一方で軍備撤廃をやっておる、その二つの考え方が対立をしておる、これが世界の姿であります。けれども、そういう事柄でそれぞれが主張すると、人類が最も好まないような兵器も出てくるのだ、その点、私は非常に残念に思うのです。  さらに最後に、核兵器を持たない日本として、被爆国として、何らか国際平和に対して発言する機会があるのではないか、こういう話があります。これは一つの提案としてわれわれが考えられることじゃないか。やはり非核武装の国が日本をはじめカナダあるいは欧州諸国にもあるわけであります。そういうような国々がほんとうに平和を愛好する立場から、やはり国際的な主張があってしかるべきじゃないか。そういう事柄が、国連のなかなか実現しにくい軍備全廃よりもあるいはもっと手っとり早く主張ができることじゃないか。最も人類の好まない核兵器だけはとにかくやらないようにするとか、こういうような事柄があるのじゃなかろうか、かように私は思います。これは、すでに列国議員連盟ではそういう主張をされた。これなどはたいへん有効であったろうと思います。そういうような方向を私どもはたどっていく、これが一つ望ましいことのように思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、せっかく総理から望ましいことだというお話を承っておりますので、一歩を進めてやはりイニシアをとるぐらいの積極性をとっていただくことを願いたいのです。むしろやはりこの際は、総理の自主外交の精神で、勇断をもってそういうことぐらいはやってどこにも非難されることはないと思うのです。むしろはっきりとこの際、総理はそのぐらいの着想で、佐藤外交というものを進めてもらうようにすべきだと思いますが、いま一度総理にそういう点についての御真意を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 先ほど来詳しく説明をいたしましたから、その点は皆さん方の御意見を伺っておきます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、もう一つこの自主外交の問題でお聞きしたいのは、経済外交についてです。わが国はいま開放経済に入っておって、これではいろいろな問題が出てきておると思います。時間がありませんから多くを言いませんが、しかし、その開放経済下における日本の国際収支の改善、それから経済の発展ということを期するにあたって、われわれはやはり当然貿易の構造の問題を考えなければいかぬと思うのです。先般来政府は、外交の基調がアジアにあるということをしばしば言っており、それが日本の実情だと思うのです。私はこの経済外交の問題で、今日の日本の経済外交の路線というものがあまりにもアメリカを軸にし過ぎておるということが大きいのじゃなかろうかと思います。私は別にアメリカと貿易をしてはいけないとは言わない。しかし、日本の将来の経済の展望ということを考え、発展の道を考えていきますと、アジア貿易というものは非常に重要だと思います。池田内閣以降、特に佐藤内閣になりまして、このアジア外交の路線というものに相当力点を置くということはよくわかるような気がいたします。しかしそのアジア外交の軸が、よく言われるように東南アジアを軸にするだけでは、これはとても発展していく日本の経済の容量というものを受け入れてくれるだけの器じゃないと私は思うのです。むしろやはり世界の人口の四分の一を占めている中国大陸、七億の市場性を持っておる国、こういうところへの貿易の姿勢というものが明確にならなければいけないのじゃないかと思います。そういう意味で、私は佐藤内閣におけるところの貿易に対するかまえというものは、別にアメリカとけんかしようとか、アメリカとの貿易をやめろと言うのじゃない。むしろやはり重点をアジア貿易外交の姿勢に置き、しかも中国に対する貿易の重点というものはもっともっと大きくなってこなければいけない、こういうように私は考えます。そういう意味で、貿易構造に関する総理の考え方、あるいはまた通産の面からの考え方、こういうものをひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 対米貿易が重点過ぎる、これからだんだんと構造上変えていかなければならぬ、こういう御説でございますが、何も対米中心の輸出、輸入をはかっておるわけではないわけであります。良質であり、低廉であり、また輸入代金の決済その他につきまして条件のいいところから輸入をするということで、輸入原材料がアメリカから一番多く入っておるということになっておるだけでございます。しかもその他の地域の原材料輸入がふえてくるに伴いまして、アメリカのウエートがだんだんと下がりつつある方向にあるということも御承知いただけると思います。輸出は、いずれにいたしましても、これは代金をいただかなくちゃならないわけであります。輸入に対して日本のように原材料も持たない国、海外から膨大もない原材料を輸入して、これに日本人の英知にかかる加工をして、それが逆に輸出をせられる、それが外貨の獲得になるという特殊な状態にある日本といたしましては、無制限に延べ払いをするとかいうわけにはいかないわけであります。でありますから、やはり永続的に日本の品物を買ってもらい、代金も確実に日本に払ってくれる、こういうところ。いわゆる購買力の豊かならざるところに貿易輸出の販路を求めてもなかなかうまくいかないわけであります。人間の数だけではありません。数はアフリカとか南米にもたくさんございますが、いずれにしても購買力の豊かならざるところではいけないわけでありまして、その意味で現実的にはアメリカに対する輸出が非常に大きいということは、これはやむを得ないことでございます。しかし、いつまでもアメリカだけということではなく、輸出の多様化をはからなければならぬということは事実であります。一国だけに集中しておるだけではどうしてもそこの景気の動向に日本の輸出が左右される、そういうことではいけませんので、近時、御承知のとおりヨーロッパ貿易も倍くらいに伸びておりますし、また共産圏貿易も、徐々ではございますが伸びてもおるというように、輸出の多様化、輸入の多様化、いわゆる貿易の多様化がはかられつつあって、構造上も幾らかずつ合理的な方向に動いておる、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 構造上の変化が漸次貿易の中に出てきておる、これは当然そうなっていくと思います。ただ私は、やはりそういう自然の成り行きではなしに、もっと政策というものは意図的でなければいけないという立場から実は聞いておるわけです。そういう点で特にわが国の貿易の上で問題になるのは、ココム、チンコムというもので従来非常に大きな制約を受けておったわけです。いままではそういう問題については、先ほど言われる購買力とかなんとかの関係で問題にはならなかったかもしれませんが、今後はその購買力も含めて、たとえば中国における異常なる発展ということを考えると、ココム、チンコムというものは非常に大きな制約を持っております。これは単に中国が好戦国家であるとかなんとかいうようなアメリカの言い分だけを聞いておったのではいけないのだと私は思います。むしろココム、チンコムの意図するところのものは、アメリカがよく言う中国や朝鮮は好戦国家だからとかなんとかいうことではなしに、アメリカの貿易政策がこの中に入っておるのだと私は見ております。そういう点をやはり自主外交の立場で明確に見抜くことをしなかったら、とてもわれわれの経済を国際的に発展させることはできない、私はこういうふうに思う。そういう点でココム、チンコムに対する政府の考え方、それをひとつはっきりと通産行政の中で打ち立てなければいかぬし、これにいつまでもとらわれておってはいけないのだが、それを断ち切るという自主的な姿勢というものはあるのかないのか。これはどうにもしかたがないという受け身の立場でいくのかどうか。ここのところをはっきりと、簡単でいいですからひとつ御答弁願いたい。   〔青木委員長代理退席、委員長着席〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 わが国が自由陣営の一員でありますので、ココムの精神に対して協力的であるということは御承知のとおりであります。しかし、これはココムのあらゆる品目に対して無条件に、これを全科玉条に考えておって一歩も前進がないというふうにおとりにならなくていいと思います。御承知のとおり、時代の変遷によりましてココム、チンコムの内容も変わってきております。現在百五十五品目だと思いますが、こういうふうにだんだん小さくなってくるわけです。しかも二十年前には兵器であったというようなものがいまはもちろん兵器じゃないとか、十年前には自動車なども軍需品であったが、だんだんとそれが軍需品ではない。いわゆるチンコム、ココムの内容というものが変わってきております。だんだんと緩和されてきておる。これは世界的な方向としてもそうでありますし、日本自体も世界各国もこれらのことを好ましい状態、こういうことで推進をしておるのでございますから、日本が全く他動的にどうなどということではなく、自主的に日本も姿勢の上ではココム、チンコムの原則に対して協力的な姿勢をとりながらも、具体的な問題に対しては、十分前向きに対処しておるということでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 総理にいま一つお聞きしておきたいのです。先般のわが党の成田書記長の問いに答えて、総理は、AA会議へ今度は代表を送るということを話されました。非常にけっこうなことだと思います。  ただしかし、このAA会議というのは、代表を送ればいいだけの問題じゃないので、AA会議の性格はもう総理もよくわかっておると思います。アジア・アフリカにおけるところの民族の独立とその自主的な体制をとろうという意欲に燃えた諸国がここに集まっております。したがって、わが国がこのAA会議に代表を送るというたてまえも、おのずからやはりそういう諸国間の事情というものを理解して、わが国がそれに対して積極的に協力するというたてまえのものがなければいけないだろう、私はこう思うのです。したがって、われわれは、このAA会議の諸国家は非常に後進国が多いのだから、経済的にただリードし、援助するというたてまえでいきさえすればいいのだということだけではいけない、こういうふうに思います。  そういう理解の上に立ってまいりますと、今日ベトナム地域に行なわれておるところの国際的な非常に好ましくない事態、特にアメリカのベトナムにおけるところの政策というものに対して、わが国がどういうような立場でこれを見るかということは非常に重要であります。先般池田内閣の時期には、アメリカのとったいわゆるベトナム北進政策の中で、非常に積極的な態度で協力しました。それは日米安保体制とかなんとかいうような理由づけであったけれども、われわれはとにかく憲法第九条の厳然たる精神を持っているにもかかわらず、それを非常に疑うような立場での協力体制があったと見られます。最近の情勢、特にきょうの新聞なんか見ますと、またベトナム地域におけるところの爆撃が始まったりなんかしております。近々また池田内閣の当時と同じような要請がわが国に対しても出てくるということを私は想像するのであります。  佐藤内閣は、AA会議に代表を送ろうというたてまえを片方に持ちながら、片方では自由主義国の一員であり、日米安保条約のワクの中だからというので、ベトナムにおけるところのいわゆるアメリカの北進攻勢というものに協力し、それに対して支援といいますか、その片棒をかつぐというようなやり方をするようなことであったならば、これはAA会議に入っていったってひんしゅくを買うだけだと思うのです。こういうことをしてはいけないと私は思います。  だから、佐藤総理に私は承りたいのですが、ベトナムにおけるところのこういう事態に対して、自主的な態勢から、アジアにおける特殊の地位を持っておる日本がどういうふうな対処のしかたをしていくか。日米安保条約を片方に持っておるということをかまえながら、どういうふうに総理はそれに対処する心組みでおられるかということを、この際明確に承っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 これはわが国の外交だけではなく、経済的な貿易の立場においても基本的に考えることでありますが、私は、独立した東南アジアの諸国は、その政治の安定なくしてはその国民の繁栄はない、かように思います。そういう意味で、貿易が拡大されても、これはやはりその政治が安定する、こういう方向に役立たさなければならない、かように思っておるのであります。  ただいまベトナムの問題についてお話がございましたが、長い政治不安、それが今日のようなベトナムの状態を現出しておる、一日も早くこの政治が安定していく、そういう意味の協力なら私ども幾らでもする、かように思います。私どもは、軍事的な力、そういうものはただいま持っておりませんし、また憲法の条章で禁じられておることもはっきりしております。したがいまして、なし得るものは、いかにすればその政治安定をもたらし得るか、こういうことだ、かように私は考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 ベトナム問題等についてはいろいろまだ聞きたいことがありますが、時間の関係上それはまた他の委員会に回さしていただいて、私は日韓問題について御質問したいと思います。  きょうからまた第七次の折衝が始まるそうであります。このきょうからの交渉では、総理のことばをかりると、日韓交渉は大体煮詰まっており、最後の仕上がりの段階だと思う、こういうお話です。きょうからの会談は大体どういうようなことを内容として始まるのか、その点について伺いたい。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 お答え申し上げます。  きょうから第七次会議が始まるわけでございますが、きょうはいわば本会議と申しますか、開場式と申しますか、単に両代表からあいさつがあるだけでございます。来週から三つの委員会が開かれることになっております。一つは漁業問題、もう一つは在日韓国人の法的地位に関する問題、もう一つは日韓間の基本関係に関する問題、この三つにつきまして委員会ベースで事務的に話を詰める、そうして年末、二十日過ぎくらいにもう一度本会議を開きまして、その委員会における成果を検討した上で、また来年からの会議の進め方をきめる、大体いまのところそういう手だてになっております。

石野久男日本社会党

○石野委員 漁業の問題、この問題では特に平和ラインの問題などが出てきますが、総理は先般の問答で、日韓の問題についてはいわゆる李ラインの撤廃が先決であるということを言われておりますが、そのことは間違いないのでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 これは両国国民が納得のいくような方法で片づけなければいかぬ、こういうことを申しております。当方もこれについての非常な主張があり、また韓国側にも、これは別でございましょうが、国防ラインその他の関係においてなかなか納得しにくいものがある。これをとにかく両者ともひざ突き合わして納得さしていく、その努力をする必要がある、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 先般わが党の勝間田氏の問いに対しての答えでは、李ラインの撤廃が先決だということを明確に言われておる。いまの話はちょっとこれがぼやけてきておる。その間、総理の考え方にどうも動揺があるようですが、これは総理のしっかりした考え方を聞かしてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 わがほうの主張ははっきりしておりますが、問題は、やはり両方がお互いに納得することが必要だ。ただいま申し上げるようなことをここで言うことが適当なりやいなや、今日会談を開いたばかりでありますから、そういう点は考えていただきたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 総理は、この前の答弁と、いま交渉の内容になるからというようなことで考えてもらいたいという、非常にわかったようなわからないような話。しかし、少なくともこの前は国会での答弁を明確にしておるし、議事録にも出ておる。この点ははっきりしておいてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ちゃんと速記録にも載っておることでございます。重ねてそのとおり言えとおっしゃれば、そのとおり、李ライン撤廃が先決であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 先ほどの話で国防ラインとか何とかいうことも出ましたし、それからいろいろありますが、行なわれる会談の中では在日朝鮮人の法的地位の問題があります。この問題は、もちろん日本に在留する南の朝鮮、北の朝鮮の両方を含めておるというふうに考えられるのか、あるいは南のほうだけというふうになるのかという問題が非常に重要でございます。そういう点で、ひとつ政府の考え方をはっきり聞かしていただきたい。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 御指摘のとおり、この問題が法的地位の交渉の中で一つの非常に重要な点になっております。この点はまだ話が詰まっておりません。交渉の最終段階において煮詰まる、そういうふうに思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは総理に承りますが、いまの後宮局長の話では、交渉の段階でまとまってくるんだ、こう言われておる。しかし、一方では三十八度線の北に限定政権というものを認めるというのは、池田内閣、また佐藤内閣もそのような方針をとっておると思います。  私は、日韓会談の内容とするものは朝鮮に対しては、南と北というものをどういうふうに扱うのか。在日朝鮮人は朝鮮人であることには間違いない。けれども、南と北との二つに分かれておる国に対しての関係は、みな違うところがあります。そういう問題は、全体としての朝鮮との友好関係の立場でものごとを運ぶ場合とそうでない場合とでは違ってくると思うのです、いま後宮局長の話によると、交渉の過程の中から出てくるということになれば、政府の日韓会談に対する、対朝鮮の外交というものに対する基本的な問題が明確にならないところがあるのじゃないかと思っておりま  この際、私は承りまするが、この日韓会談は、南半分の韓国相手で、北の朝鮮は限定政権としていささかもこれに触れるものじゃない、こういうふうに私は理解するのだが、それは違うのかどうか。それから、北の朝鮮に関して、政府は全然外交上の問題を考えていないのか。考えているとするならば、北の朝鮮に対してはどういうふうに外交を展開していこうとしておるのか、この際ひとつ総理から承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいまの日韓交渉、これは御承知のとおりでございます。  北との関係はいかにしておるのかということですが、北に対しましても、それぞれいま人事交流も行なわれておるようです。人も出かけております。皆さんのところもお出かけになったし、また私のほうの保守党からも出かけるようであります。また、ただいま貿易がそれぞれ進んでおる、かように思います。したがいまして、全然ネグレクトしておる関係ではございません。

石野久男日本社会党

○石野委員 総理は、いま人事交流も貿易も行なわれておって、決してネグレクトはしていないんだ、こういうふうにお話しがありましたが、実情はむしろ片方交通なんですよ。こちらからは何べんも行っておるけれども、向こうからは来れぬという事情がございます。私は、交流というのは、向こうとこちらが行ったり来たりすることが交流なんで、一方のときは交流とはいわない。だから、総理はそういう問題についてまだ明確なる意識を持っておられないようですが、総理の考え方はどういうところにあるんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 今日議員さん方だけがこちらから出かけておられるということでありますので、人事交流ということばは適当ではない、かように思いますから、それは取り消します。  こちらからは行っておられる。また、そのつど入国の手続をとりまして、許したものもありますし、許さないものもある。また、一般の交通は自由ではございません。明確に申すと、さような状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 確かに現状は一方交通だから、総理が先ほど答えた人事交流は行なわれていないのです。  しかし、私は総理に承りたい。この一方交通をいつまでも続けておったんでは、朝鮮との間の外交は開けないことになるんですから、朝鮮との外交を開くのにはやはり交流をしなければいけない。人事の問題にしても、文化の問題にしても、経済の問題にしても、交流があって初めて外交なんです。そういうような外交の路線はいま閉ざされております。佐藤内閣は依然としてこの閉ざした門は開かないつもりなのか、開くつもりなのか。その点、ひとつ総理の考え方を聞かしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 私の人事交流が少し間違っておったようですから、現状をまず後宮君に説明さして、それから後にただいまのお尋ねに答えることにします。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 御承知のとおり、人的往来につきましては、スケート選手が入ってまいりましただけで、オリンピックのとき相当大幅に認める予定でございましたが、あの御承知のような事情で流れたわけであります。  それ以外につきましては、人道上の問題、あるいは貿易に関する問題等で、先方からの入国あるいはこちらから行く問題について、いろいろ陳情その他要請が出ておることは承知しておるわけでございますが、いま貿易等につきましては、おととし以来中共並みの制度に緩和されまして、政経分離の原則で行なわれております。それから船の往来も行なわれておるわけでございますけれども、人についてはまだそこまで踏み切っておらない、経済関係についても踏み切っておらないというのが現状でございます。  なお、政府間ベースの接触につきましては、御承知のとおり、国連の決議がございまして、韓国を朝鮮半島のあの南鮮部分における唯一の合法政権と認めて、これと交流するようにとの国連決議があるわけで、政府間ベースについては、日本政府はそれに従っていままでやってきておるというのが現状でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 いままでのことは後宮君の説明でおわかりがいただけたと思います。  それでは、ただいま政府は大幅にこれを変える意思ありやということですが、ただいまのところ、そこまで踏み切っておりません。

石野久男日本社会党

○石野委員 人事の交流にしても何にしても、いまの総理の答弁からいいますと、従来どおりでいくんだということなんです。これはちっとも前向きでも何でもありません。  そこで私は承りたいのですが、中国と日本との間には非常に特殊な、他の国と違った事情があるということで、先ほどのお話は非常に前向きの話を承りました。朝鮮は中国よりもはるか向こうに日本から離れておる国なのかどうか。これは離れていない、むしろ近いんだと思います。私は、朝鮮の問題については中国よりももっと私たちは考えなければならぬ問題があると思うのです。三十六年間にわたって日本は朝鮮を隷属させておったのです。そして、そういう問題についての反省というものが、戦争の後の今日の日本にとっては何よりもまず考えなければならぬ問題だと思います。これは政府を攻撃するとかなんとかいう立場でなしに、日本人という立場で私はこのことを考えなければいかぬ、こう思うのです。ほんとうに私たちはまじめな立場で外交というものを考えていくことについては、総理が先ほど来言っておりまする、アジアにおける特殊の地位として中国を考える以上に朝鮮というものを考えなければいかぬと思います。その一つのあらわれとして、韓国に対するいろいろなつき合いをしておるのだと思うのです。しかし、この韓国へのつき合いというものは、韓国とつき合いすれば朝鮮全部とつき合いしておるのとは違います。先ほど後宮局長から話があるように、国連決議、一九四八年十二月十二日のいわゆる総会決議というものが毎年、毎年繰り返し再決議されて、そして今日わが国は北の朝鮮との取引も、あるいは交流も何もできないというような事情になっておるわけです。こういう事情をいつまでも続けておるようなことでありますると、われわれは、過去に歴史的に誤って踏んだ道というものに対する反省というものが全然出てないということになると私は思うのです。むしろやはり三十八度線を境にする北と南との朝鮮を見ますると、われわれは、その政治体制というものは異にしておりましても、しかしその政治の中から見る南と北との建設の事情というものは全然違っておることを見るわけです。むしろ北のほうが進んでおります。そして人民は非常に平和な生活をしておるのです。これは具体的な事実ですから、われわれがどんなに目をおうてもおおい切れるものじゃございません。政治はそれを具体的に現実として見なければいけないと思うのです。そういう立場で外交の路線はしかれなければいけないと思います。国連決議は、朝鮮戦争の始まる段階において行なわれたところの決議です。朝鮮戦争はもうすでに終わっております。停戦の段階です。そういう具体的な事実のない段階で、戦争の当時行なわれた決議をそのまま実践しておるというのが現在の南と北に対する日本の政治の実態なんです。これは間違いです。私は、佐藤さんがほんとうに自主外交をやろうとするなら、こういうあやまちを改めることを、しかも具体的に一番身近な形で現実的に自分のからだに受けておるいろいろな問題を解決していくことが大事だと思うのですが、そういう問題について、総理は依然として従前の政策を踏襲するのだということでは、これは何も目がないといわなければならない。佐藤総理の言うところの前向きの姿勢などというものは見せかけだということになってしまうのです。そんなことではだめだと思うのです。私は、もう少しはっきりと総理の真意を伺わしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいまの石野さんのお説、私も傾聴いたしましたが、渡りたい橋が幾つもありましても、なかなか同時に渡れない。最初の橋から渡っていくというのが順序であります。今日、日韓交渉をやっておりまして、それがまず妥結し、それからさらに進んでいく。いまどうも少し御無理な飛躍的な理想を述べられた。外交は現実であるということを御指摘になりながら、ただいまのようなお話に飛躍してきておる、かように思います。私は、どこまでも仲よくしたいというその気持ちには変わりはございません。しかし、やはり橋は一つ一つ渡っていく、これが必要だと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 道が幾つもあって、どれを渡っていいのかわからないのだという総理の答えは、率直に自分の心境を現わしておるものだと思って、私もそうだろうなと思います。しかし、それじゃいかぬと思うのですよ。現実であるだけに具体的な実情をよくつかまねばいかぬと思うのです。  いま日韓会談をきょうから始めております。先ほどの局長の話では三つの部会にわたってこれは行なわれるのですが、しかし、日韓会談を行なおうというこの韓国、南のほうの国内事情に、はたして日韓会談を進められるような情勢があるのかどうかということも、これは正確に見てとらねばいけません。四月二十三日と六月三日との学生のデモを中心として日韓会談が中断した。いま韓国では、日韓会談に対しては決して野党の側は協力しておりません。その野党のために日韓会談は中断してきているのだ。だから、いま朝鮮におけるところの政治情勢なり客観的な情勢がこれを受け入れられる態勢でないということを明確に見ると同時に、朝鮮におけるところの統一運動というものに対して総理はどういうように考えているか、ひとつお聞かせ願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 統一問題と日韓交渉とが相互に関連しておるというのが社会党さんのかねての主張でございますが、私どもはさように考えておりません。ただいまのこれは別な問題だ、かように考えておりますので、日韓交渉を進めたいという基本態度をとっておるわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 統一問題と日韓会談とは全然関係がないんだ、こういう総理の考え方、これは間違っております。これは朝鮮の内情というものを見ないで、外交を一方的にやろうという非常に独断的な考え方だと思います。朝鮮では、この統一問題こそがむしろ日韓会談については非常に重要な内容を持っているのです。おそらくいま韓国では国会も開かれておるし、それから学生諸君は静かにはしておるけれども、すでにいろいろな運動が起きております。もし日本にそういうような考え方が、総理のような考え方があるとしたら、おそらくこれは逆にはね返るだろうと思います。これはもっと真剣に考えないと、とんでもないところから日韓会談はつぶれますよ。私は、その点をよく総理は考えていただかなくちゃいかぬと思います。  椎名外務大臣は、二千万ドルの対韓援助は金・大平メモの(ハ)項一億ドル以上の中身だと、こう言った。ところが、きのうの討論の中から、統一見解の中で、そうじゃないんだ、これは別ものだ、こういうような説明がございました。請求権に関連しない二千万ドルの経済援助、これは緊急援助だというように田中大蔵大臣はお話しなさっております。そのような金をわれわれはいま出さねばならぬのかどうかという問題を一つ考えねばいかぬと思うのですよ。昭和三十六年に、四千五百万ドルの焦げつき債権の処理に関してやはり交換文書を取りかわしております。これはあくまでも焦げつき債権を取り立てるという趣旨において、それの取り立て方についての申し合わせをした内容だと思います。私は、この一億ドル以上の請求権交渉の中に、大平・金メモの中ではない二千万ドルというものを、この三十六年度の焦げつき債権処理に対する合意書とこれとの関係の中でどういうふうに政府はお扱いになろうとしておるのか、そういう点をひとつはっきりと聞かせていただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 御承知のとおり、四千五百万ドルのオープン勘定の残高につきましては、できるだけすみやかにこれが支払いをするということを確約をいたしておりますし、私たちもそう考えておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 いや、そう考えておるとするならば、この二千万ドルの援助というものは、請求権交渉の中のものじゃないというわけでしょう。そうじゃないというわけでしょう。今度の日韓会談の内容のものである大平・金メモの外だということになると、その処理は、三十六年度にかわされました合意書の範疇と全然関係なしに出せる理由のものじゃないはずですよ。これを出せる理由はどういうところから出てくるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 みんなかみ合わせないで、一つずつ――混乱させるような御質問をしないで、こういうふうな――石野さんもそんなことは十分御承知のはずでございますから、私はあえて申し上げなくてもいいと思いましたが、オープン勘定の残高四千五百万ドルというものは、これは日韓交渉が起きない前からの話なんです。一九六一年に、いままでのオープン勘定の残高はどういたしますか。そして日韓間で貿易が続けられておりますから、この以後のものは支払いはどうするのですかという問題を両国の間で十分協議をしました結果、覚え書きができたわけであります。それで、いままでの残高の、支払いが残っておるものの四千五百万ドルはひとつたな上げをして、別に払うことにいたしましょう、その後の貿易の代金は現金で払います、こういう協定になって、そのとおり現金で決済をされておるわけであります。ですから、この日韓の覚え善きによりまして、四千五百万ドルは早急に払っていただきたいという交渉はこれからやるわけであります。  それから後に起こりましたものは大平・金メモでございます。大平・金メモは、御承知の、日韓間に存在するところの国交の不正常な状態を正常にしたい、しかもその過程において日韓間の請求権問題に対しても終止符を打ちたい、こういうことで、両国を拘束をするものとしては、こちらは二億、三億、合計五億ドルの有償、無償の援助をいたしましょう、そのかわり、そのときには当然韓国も日本に対する請求権というものは消滅するんですよという、二つの国を拘束しておる大平・金メモがあるわけであります。ですから、その大平・金メモの中で四千五百万ドルを片づけましたか、こういうことにつきましては、大平・金メモとは別にその四千五百万ドルの問題は六一年の日韓の協定のとおりひとつやりましょう、こういうことになっているわけです。  それから、二千万ドルは今度の第三番目のものであって、この前の二つとは全く別のものでございます。これは、お隣の韓国が経済恐慌に見舞われて困っておいでになる。この経済的に非常にお困りになっておる隣国の状態を見まして、日本が援助をいたそう、こういうことでございます。これは援助といっても、民間と民間とが話し合いをしてきめたものに対して、一般の商業ベースよりも多少甘いといいますか、好意的な代金決済方法とかいろいろなものを政府もお手伝いをするということでございますから、これは新しい韓国の経済事態に対して日本が新しく提供する事態でございますので、これをからみ合わせないで、時点を全部分けてお考えになっていただければ、すなおに御了解いただけると思うわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 いま総理が急ぐようですから、総理に一つお聞きしておきたいのですが、昨日のこの二千万ドルの問題に関連して、金・大平メモの中の商業ベースによる一億ドル以上という問題、その中で四つのいわゆるプラントものは、これは実施するんだ、そういう話が後宮局長からあった。そういうことになりますると、一括解決の方針とはだいぶ違うわけですよ。その点の見解がどうも混乱しますから、総理は、四つのプラントものが一億ドル以上の範疇として商業ベースでやられるものについては、総括的に同時解決するという趣旨とは別個に、先行使用させるというような考え方でこれを進めていかれるのかどうか。すでにそのプラントものの進んでいる問題については、そういう点をひとつ総理は考え方を明確にしておいていただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 それは、きのうも申し上げましたように、四つのものに対しては統一的な見解をきのう申し上げたとおりでございます。  大平・金メモをすなおにお読みいただくと、私たちが読んでもあなたが読んでも同じことなわけであります。この第一と第二、いわゆる有償、無償の三億プラス三億、計五億ドルの問題は、これは日本は韓国に対して責任を負わなければならない、いわゆる協定が済んだ場合には日本政府を拘束する条件でございます。二億プラス三億は日本政府が支出をしなければならない、これは国際法上の義務であります。同時に、それを調印してこちらが義務を負うときには、韓国は日本に対する請求権とか、また日本が要求をしておるものに対しては放棄をするとか、日本の承諾を容認するとかいうことで、韓国を拘束するのであります。でありますから、大平・金メモにおける両国を拘束する面は、第一の二億ドル及び三億ドルの条項でございます。その(ハ)の条項は、これはきのうも申し上げましたように、両国が友好親善を基礎として通商を行なうということに対する宣言的なことをあらわしたものであって、お互いがこういう基本的な考え方で通商を進めてまいりましょうということでありまして、この内容に対しましては、はっきりした考え方としては、私たちがきのう申し上げたように両国が通商を行なう、こういうことを宣言的に申し上げておるのです、こう言っているわけです。ですから、これからの貿易の中で、いまの二千万ドルというようなものに近いようなもの、いわゆるコマーシャルベースの条件を半年でも一カ月でも二カ月でも、条件を緩和をするようなものが起きてきたと仮定した場合、これを(ハ)項の中に入れるのか入れないのかということは、お互いこれからの両国が交渉していく過程において、こういうものが(ハ)項ですな、(ハ)項とはこういうものですな、これは、過去にやられたものも、振り返って考えれば(ハ)項の中に含まれるものだというふうに、お互い両国がどういうふうな状態で認識をし合うかという問題であって、日本を拘束するものでもない、また向こうがこれに対して大きく主張をして、こういうものである、非常に特別な条件を要求するものだというならば、一億ドル以上などという表現がないわけでございますから、この(ハ)項の問題に対してはもう少しすなおに、そのままお考えになっていただいていいのではないかと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 それではもう一つだけ。そうしますると、先ほどの(ハ)項の問題については、これは(イ)(ロ)とは違って、道義的な責任はあっても法的には責任はないんだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 相手との交渉のものでございますし、両国の国際信義の上に立っての話でございますから、何かいやがらせを言うような、相手が刺激を受けるような、そういうことをあえて何回も何回も念を押すことはないと思いますが、きのう統一見解で申したとおり、私がいまここで申したとおり、両国を国際法上拘束をするものは二億ドル、三億ドルでございます。あとは友好親善をお互いが確認し合うような状態で書いたものが(ハ)項でございます。こう言っているのですから、大体日本人としてはわかるわけでございますから、御了解願います。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまの問題はとにかくまたあとで質問するとしまして、いまそれはおきまして、先ほどの四千五百万ドルの焦げつきの処理の段階のときに、申し合わせの中ではこういうようになっているわけでしょう。韓国は一九六一年一月末の債務四千五百七十二万九千三百九十八ドルを確認し、これを早急に決済すること、というのが第一項になっているわけですよ。ですから、われわれは、あり余る金を持っているわけじゃないのだから、しかも四千五百万ドルもという金を十何年も焦げつかしたままになっている。そういうときに、その問題の解決もしない、そしてその二千万ドルというのは、先ほどの(ハ)項の条項でもないんだというわけでしょう。そうすれば、(ハ)項の条項でなければ、この四千五百万ドルの焦げつき債権との関連の中でわれわれは金の出し入れを考えなければならないのですから、そういうことを全然考慮しないでやっているというところに、私は政府の考え方について疑問を持つのですよ。韓国の国内事情が非常に苦しいかもしれないけれども、日本では中小企業は倒産倒産で、次から次へぶっ倒れておるのですよ。一日に十何軒もつぶれていっている。それに対して手当てをする金がないじゃないですか。国内におけるところのわれわれの仲間がみんな倒産してつぶれていっているときに、何で隣ののきわめて不安定な韓国へ――しかも、話によればそういう金はみんな政治資金になっちゃうだろうといううわささえも言われているのですよ。何でそういう朴政権の政治資金になるような金を、約七十億円も八十億円にもわたるようなものをやらなければいかぬのか。こういうところをまたはっきりしなければ、これは国民は理解しませんよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 私は、外交上の問題でございますし、外務大臣でもございませんから、あまりはっきりしたことを申し上げたくございません。しかし、あなたがそのようなことをいたけだかになって政府に申されるということになりますと、私も閣員の一人として私の責任で申し上げます。  ただ、四千五百万ドルの焦げつき債権というものに対して、これをすぐとらなければいかぬ、これは国の債権でございますから、国民の債権でございますから、これはもう早く回収しなければならぬ、これはわかります。わかりますが、単に日韓間の問題だけではなく、日本とインドとの間、日本とアルゼンチンとの間にも、いろいろ焦つき債権の問題とか、またたな上げの問題とか、債権処理の問題とか、国際的な問題はたくさんあるのです。これはお互いが友好親善の状態において協定をして、こういうことは円満に解決をしておるわけです。しかも、韓国との間には、四千五百万ドルもとりなさい、南北の問題が円満に終わらないうちには日韓交渉はやめなさい、とにかく二千万ドルもやる金があったら中小企業に出しなさい、こういうことを国民がそのままに受け取られるとすると、そのとおりかとも思うかもわかりません。しかし、日本と韓国の間には、韓国は日本に対して十億ドル以上の要求もあるのです。その中には、かつて日本人として、軍人として、徴用工として、何年間も払わなかった給料を一体どうするんだ、九十万、百万に及んだ日本人として殺されたとか死んだとか、そういう人の遺族扶助料は一体どうなんだというような、日本に対するお互いに両国の間で話のつかない問題もあるのであります。でありますから、少なくとも十何年間にわたって日韓交渉はえんえんと続いておるのでございますから、私は少なくともそういう事実を全然隠蔽をして、日韓交渉に対しては四千五百万ドルをただとりなさい、こういうことでは国際的にはうまくいかないのであります。少なくともお互いはそういうことを知らないわけはない。事実、われわれの時代に行なわれたこういう事実は十分承知をしておるのでありますから、少なくとも政府は、その意味において、四千五百万ドルの債権は今日まで回収しないからといって、国民の利益をはからない行為ではないという観点に立っておるのです。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ごく簡潔に・・。石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまの大臣のなには非常に怒りを持ったものでございますが、私どもは、いまの大臣のそういう話を全然無視しようとは言わない。ただ問題は、日韓会談という問題の進め方の中には、朝鮮問題は朝鮮を統一したあとでやりなさいということをわれわれは言っているわけですよ。だから、そういうときに問題が提起されるときにはまたおのずから違います。しかし、いまの段階では、むしろ朝鮮におけるところの運動というのは、ここでは触れませんけれども、やはりアメリカのアジア政策、そして極東におけるところのいろいろな諸情勢の中で朴正熙を支持するという、そういう内容が日韓会談の中にあるから、だからそういうような形で日本の血税がそこへ注がれるということについてはわれわれは疑義を持つし、それは間違いだ、こう言うわけです。平和の姿勢を示すために、またほんとうにわれわれの友好関係を進めていくためにもそれは間違いだ、こういうふうにわれわれは考えておる。私は先ほどから何べんも言っているように、かつての日本と朝鮮の関係は大いに考えなければいけない。その間に行なわれている問題についての責任は感じなければいけません。けれども、そのことが将来の日本と朝鮮の友好関係を阻害するような問題になったり、それがいたずらな弊害をもたらすようなことをやってはいかぬから、私たちはそういうときにむだな金を使っちゃいけないと言っているのですから、これは政府としてもよく理解しなければいけないと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 しいてお答えを申し上げれば、私もわからぬことはありませんけれども、政府の考え方も理解をしていただきたい。これは、サンフランシスコ条約のときに全面講和でなければ絶対いかぬ、こういった議論と私は非常によく似ておると思います。しかも、あなた方もいま南北朝鮮を統一できる具体的なお考えがございますか。――いや、けっこうですが、どうもそういう実際できないことを前提にしながら、あえてできるような錯覚を起こさせながらこれを延ばしていく、じんぜん日をむなしゅうする。政府はそういう施策をとりません。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて石野君の質疑は終了いたしました。  午後は一時から再開することといたします。  午後の質疑者は、武藤山治君及び川崎寛治君であります。  武藤君の出席要求大臣は、法務大臣、外務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林大臣、通産大臣、労働大臣、自治大臣及び経済企画庁長官であります。川崎君の出席要求大臣は、外務大臣、文部大臣、厚生大臣及び農林大臣であります。  なお、念のため申し上げます。昨日の理事会の協議により、佐藤外務大臣臨時代理は、本日午後は一時三十分出席いたすことになっておりますので、武藤君及び川崎君の外務大臣臨時代理に対する質疑は、この間に先に行なうことにいたしますので御了承願います。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――    午後一時十三分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十九年度補正予算三案に対する質疑を続行いたします。  武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 きょうは佐藤さんが時間の都合で、冒頭に私が三十分、そのあと川崎議員が一時間という。佐藤さんの時間をそのように都合いたしましたので、答弁はひとつ端的に、明快にお願いをいたしたいと思います。  まず最初に、私は、本会議の総理の施政方針演説や本院における委員会の質疑応答を聞いておりますると、どうも中国の問題に関する総理の見解は非常に時代錯誤のような気がするし、実情認識が誤っているような気がするわけです。  まず第一は、総理は、中国は敵視しない、中国封じ込め政策には加わらない、あるいは中国封じ込めはしない、こういうことを発言をいたしておるのでありますが、総理の考えておる中国封じ込めということは、一体どういうことなのか、その実態、あなたの認識のほどをまず伺っておきたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 何度も御説明申し上げましたので、予算委員会を開かれぬ方は別でございますが、予算委員会の記録にもはっきり残っております。私は、いまの敵視しない、それは当方の厳然たる態度でありますから、これはそのまま受け取っていただきたいと思います。また、封じ込め政策には賛成しない、これはいろいろのとり方があるようでありますが、ただいま私ども政経分離の形において貿易を伸ばしていきたい、かような態度をとっておりますが、これは、いわゆる憲法自身が武力的な問題はもう解決しておりますし、ただ経済的にここで問題になっておりますチンコム、ココム、こういうようなものについての問題はありましょうが、それ以外の点においては、いわゆる貿易を拡大していきたい、こういう態度をとっておる。また、人の交流も比較的多くなりつつあります。こういう点がいわゆる封じ込め政策ではないのだ、また、私が敵視していないその証左でもあろう、かように考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私が聞いておるのは、そういうことではなくて、中国を封じ込めないというからには、いま表現されておる封じ込めというのは一体どういう内容のものか、これを聞いておるのです。たとえば、私のほうから私の見解の一つを申し上げるならば、封じ込め政策という中にはいろいろな部門があるわけです。たとえば政治的に中国を封鎖する、あるいは封ずる、経済的に中国を封ずる、軍事的に中国を封ずる。中国封じ込め政策のかなめは、政治的、経済的、軍事的に中国を封じ込めようとしておるでしょう、アメリカは。そういう封じ込め政策の片棒をいまの保守党内閣はとっている。とっていないというならば、そのとっていないという証拠を、具体的事実を示してもらいたい。たとえば安保条約に基づいて、日本にアメリカの軍隊がおり、日本の独立の領土である沖繩にアメリカの軍事基地があり、日本の港に原子力潜水艦が入ってくるような措置がとられる。こういうことは、極東という地域を冷静に考えた場合、軍事的に中国を封鎖しようという一環なんですよ。中国の本土から五十キロと離れないトンキン湾に第七艦隊を配置し、極東におけるこの軍事的防波堤というものは、中国を封じ込めるものでなくて何でしょう。そうでないというならば、そうでない理由をわかりやすく明らかにしてもらいたい。その認識からまず始まらなければ、あなたの見解を問いただすことはできない。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 日米安保条約は封じ込め政策のその一つだ、こういう御指摘がありましたが、私はこれはたいへん違ったことだと思います。これは、日米安保条約締結の際に明らかにしたところでありまして、これは防衛的な立場であります。これは積極性を全然持たない、いわゆる攻撃的な意図は全然ないものだ、この点をまず御理解いただきたいのです。これで、ただいま例に引き合いに出されたことは私は当たらないと思います。しこうして、いわゆる封じ込め政策というものに、これは、いままで的確な概念を与えてはおりません。どういう事柄が封じ込め政策だという、こういうことは言ってないように思います。日本のやっておることは一体どういうことなのか、アメリカのその封じ込め政策というものが何を意味するのか、これは私も聞いてはおりませんが、先ほど来申しますように貿易を拡大するとか、あるいは人的交流をするとか、あるいは文化交流も、これは別に制限はつけておらない、こういう現実の問題をごらんになれば、どういう観念であろうか、私にはわかりません。そのいわゆる封じ込め政策というのはそれではないだろう、かように御了承いただきたいのであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 総理みずからが封じ込めの概念を把握してないし、よくわからない。みずからの口からそういうことを言うようでは、中国を封じ込めない、敵視しないなどと、幾らことばで言ったって、それは相手の国は信用しませんよ。あなた自身認識不足なんですから。  こういうことを私は論議をしてもしかたがありませんから、先へ進めますが、それでは、重要事項方式の決議案に日本は賛成するのか反対するのかという質問に対して、過般椎名外務大臣は、日本は重要事項指定の決議に賛成をし、間違うと、もしくは一、二票の差で負けるかもしれない、こういう情勢判断の答弁をここで椎名外相はやりました。ところが、総理大臣は、特に日本と中国大陸との関係は、長い歴史的な関係から特別の国民感情もありというようなことを言っておる。そういう特別な事情があり、国民感情から見るならば、中国問題はできるだけ刺激を避け、できるだけすみやかに、しかも妥当な方法で国交が正常化するように前向きに努力するのが国民の感情にかなうのじゃないですか。ところが、国連に行って日本の外務大臣は、一、二票差で近々に負けるかもしらぬというような国際情勢のときに、あえて重要事項の指定決議に日本が加わるということは、中国から見たらどうですか、敵視じゃありませんか、仲よくしようという態度ですか、それとも中立的態度ですか、中国を封じ込め、独立させない、世界の仲間入りさせないという敵側に回る立場じゃありませんか、そうじゃないでしょうか、明らかにしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 佐藤内閣が実現して在来の方針に変わりがある、そうして池田内閣も敵視政策をとっていたとか、こう言われるのなら別ですが、池田内閣には敵視政策がなかったと、こう言われる。私は池田政策と同じ政策をとるのだと、こういうことを申していて、それで私がどうして敵視政策に変わったと言えるのでしょう。私は何度も申し上げているように、在来の政策をそのまま踏襲しております。こう言っている。それで敵視政策だとか、今度変わったのは敵視政策だとか、これは当たらない筋じゃないかと思う。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私は、池田前総理のとった外交が敵視政策でないなどということは一言も言ってない。私は、いま行なわれている国際連合の総会で日本の外務大臣がとろうとしておる態度が、中国を敵視することに通ずるではないか、幾ら弁解をしても、中国を加入させることをスムーズにさせようとしないのでしょう。阻止しようというのでしょう。あるいは中国の加盟を延期しようというのでしょう。これは隣国としてとるべき態度ではないと私は思うのです。しかしあなたの認識は、国民から見たら、私はおそらく失笑されると思うのですよ。  しかしここで論争しても、時間が限られておりますから、さらに展開をしていきますが、国際連合というのは一体どういう性格で生まれたもの、どういう趣旨で生まれたものであるかということは、われわれはいやというほどよく認識をさせられておるはずです。かつての国際連盟が平等な権限を各国に与え、失敗をし、二度と世界に戦争を起こすまい、恒久平和をつくろうではないか、そのためにはどうしたらいいかということの苦心の結果生まれたのが国際連合です。十九年の歴史の歩みを経た国際連合には、百十五カ国がいまや加盟しようとしておる。国連は決してアメリカのものじゃないんです。ソ連のものでもないのです。百十五カ国のそれぞれの民族が共存共栄をはかり、世界から戦争をなくそうという一つの機関なんです。そうでしょう、この考え方は間違いですか。まずこの点について総理の見解を聞いておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 一般的に申しましてたいへんりっぱな御認識だと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私のただいま申した見解が、一般的に申したらりっぱだとあなたが肯定なさるなら、では日本の隣国で、しかも七億の人口があり、日本の二十五倍の領土を有する中国と日本の関係を真剣に考えた際には、この国際連合の平和機構に中国が加入することが好ましいか好ましくないか。日本の国から見た場合に好ましいか好ましくないか、その点どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 かつて大平外務大臣は、国連加盟に中共が祝福されて入るような状態ならたいへんけっこうだ、かような答弁をいたしました。その後今日もあまり変わりはないように私は思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 中国が祝福されて国連に加入されるまで、具体的には世界の各国の重要事項方式が敗れたとき、そういう情勢がくるまで、隣国でも日本は中国問題を積極的にイニシアチブをとって世界の平和機構に加入させることをしようとしない、これが佐藤さんの態度ですね。まさに世界の大勢に従っていこう、アメリカに従っていこう、こういう考え方ですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 そこにいわゆる重要問題というのが取り上げられるのであります。重要問題ということは、ただ単に決議の方式が変わったというだけのものではない。ほんとに日本の国にとってこれは重大なんだ、そういう意味でこれは慎重に扱わなければならないのだ、これはけさほどからよくお話をしたはずなんです。どうも国連の会議が多数決、それが今度は三分の二の方式になるとか、こういうような形だけでごらんになって、重要方式はこれなんだ、三分の二なんだ、こういう簡単な割り切り方は、お若い武藤さんはそうまでお考えにならないで、ほんとにこれは日本にとって重大問題なんだ、だからこれが加盟化するかどうか、そういう意味ではこれを大事に扱おう、この態度、これはけさほどからずいぶんやかましく私その点を申し上げました。そうして、これは外国に追随するものではございません。日本自身が発議したというようにも聞いておりますが、そういうようにこれは重要な事項であります。よくこの点を考えていただきたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 幾ら信じなさい、信じなさいと言われても、佐藤さんのその説明では信ずるわけにいかない。なぜならば、日本に関し重要だから三分の二の重要事項方式をとるのだ、日本にとってどう重要なのですか。その内容はどういう点がどう重要なんですか、その点をまず明らかにしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいま重要問題という議題にこれが変わったということ、これは日本にとって重要である。ここで日本がそういうことを発議した、同時にそれが国際社会においても認められた、こういうことじゃありませんか。国際社会の問題としてこれは重要課題だ、こういうことであります。これは私どもが国連の機構というものを十分尊重しておる。そうして自分だけの考え方で押しまくってはおらない。やはりそれは、民主的に国際社会において、なるほどこれは重大問題だ、かように考えておる、そういうようになってこの問題が取り上げられた、かように私は思っております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 総理の答弁はことばのもてあそびですよ。内容には全く触れてないじゃありませんか、そうでしょう。端的に言うならば、中国は共産国家だ、共産主義の国だ、その共産主義を日本に持ってこられてはたまらぬ。日本の自由経済の体制が乱される、今日の保守党支配の権力が変わりやしないか、それはこわい、だから、相手は共産国家だから国連にも加入させないで、平和機構にも入れさせないのだ、これが本音でしょう。だってあなたの先ほどの説明では、日本にとって重要だといっても、具体的にどういう理由で重要なのか明らかじゃないじゃありませんか。これを明らかにしない限り、幾ら私が三十代の代議士で若いからといったって、そんな先を――国際問題を論ずるからには、若さだけで間違いをおかすようなことは私はないと思う。やはり国民は、日本と中国の関係というものは決してイギリスが中国を承認したり、フランスが中国を承認したりしたような、そういう単純な問題に国民は考えていない。日本は日清戦争以来戦争をずうっとやってきた。軍国主義の国からずっと経験を経てきた。その間、隣の中国をわれわれはいじめ、戦争をやった。そのざんげから、早く中国と日本というものは仲直りをしなきゃいけないんだ。相手が共産主義の国であろうが何であろうが、世界はいま多様化してそれぞれの民族の自治権を認め、それぞれが交際をしているときではないか。しかるに、中国とおつき合いができないなんという今日の政治のあり方はおかしいと国民は見ていますよ。それができない、それをやるとこういう危険があるこういう不都合があるということを国民に示すことが、やはりあなたたちの立場として正しい立場だと私は思うのです。率直に、ひとつ日本にとって都合が悪い、日本にとって重要だということを、もっとわかるように説明してください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 この重要事項だということは、先ほど申しましたように、わが国が隣同士なんだ、そうしていろんな交渉を持ってきているんだ、そういう意味で、まことに国連に加盟するということ自身は重大じゃないだろうか、かように日本自身が考える、これはあたりまえだろうと思う。そして、やっぱりその会議におきましても、国際社会においてそういう結論が出た、こういうことは、日本の考え方に対して、なるほど日本の言っていることはもっともなんだ、こういうことで賛成を得たんじゃないでしょうか。だから、私はいま中共の承認問題とはまた別で、やはり国連に加盟するということになりますと、別途の考え方もおのずからそこにあるんじゃないか、こう思いますが、いままでの経過なども、そういう意味で一度トレースしていただくとおわかりが願えるんじゃないだろうか。現に私どもは、中国の国連加盟問題について重要議題としての扱い方はしましたが、しかし、中共と現実には経済的にも貿易の拡大もどんどんはかっている。人の交流も行なわれている。それが自由ではないでしょう。しかしながら相当広範にわたってやられている。そういうことを考えてみますると、いわゆる国連加盟の問題とはそれは別個の問題だ、こういうように御理解できないでしょうか。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 総理が言うように理解できない。それは保留いたします。  その次に、それでは中国が国連に加入しない現在の状態が、平和維持機構としての国連の機能を十分発揮し、完全に機能を果たす上で好ましいか好ましくないか。入れないほうが好ましいか好ましくないか、端的にお答えください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 万国の祝福を受けて中共が国連に加盟できたら、それはそんないいことはない、かように私は思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 それでは、中国が加入しない国連が国連の誕生の性格から見て好ましいか、好ましくないか。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいまのような、国連が中共を除いていて国連の機能が十分発揮されているかどうか。私は、いま国連の機能としては十分発揮しておる、かように考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 中国が加入したほうがより機能が果たせると思いますが、どう考えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 先ほどお答えしたとおりであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 それではまだ大臣、勉強不足のようでありますから・・。法制局長官から一々サゼスチョンをしてもらって答えておるのは、これはあなたの見解というわけにはいかない。私は、きょうはあなたの認識を国民の前に明らかにしてもらおうと思ったのですが、これは期待はずれです。  そこで、もう一つお尋ねいたしますが、実は総理が中国、共産党政権の中国がどういう実情にあるか、それをまずどう把握しているかということが、やはり一国の政治を運営する責任者として非常に重要です。私は先々月、あなたのおそらく同じ派閥に所属すると思いますが、久野代議士、木村武雄代議士と北京で一緒になりました。北京の外交学会では、佐藤内閣ができると反動化の方向にいくという批評があるが、そうでもないと思いますよ、というのは、佐藤派だって北京に来ているのですから、こういうような話を私はお茶飲み話に聞いたのです。そういう人たちが中国を訪問してきて、おそらく親分のあなたに報告をしたと思うのです。これに対してあなたはどういう感じを持っていますか。それらの報告、あるいは松村さんともお会いをし、中国通の人たちとも会った、中国の国内の現状はかくかくこうである、したがって、日本はいま国家百年の大計を立てる基礎をつくらなければならないぞという憂国の至情を耳にした覚えはありませんか。中国の実情をどのようにあなたは報告の中から認識をしておりますか。その認識によってこれからの外交問題は大いに変わるんだ。(「ここにおるぞ」と呼び、その他発言する者あり)ここに追い込んだのはあなたたちの責任だぞ。――それを明らかに答弁してください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 中国問題はまことに重大であるということは、私は数回重ねて申しました。そういり立場に立って、私も非才ではありますがいろいろ勉強をいたしております。これは武藤さんの御認識と私の認識が違うかわかりません。たいへん努力しておるということだけ申し上げておきます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 一体いまの中国の毛沢東政権というもの、あるいは共産党政権というものが近い将来に瓦解をするとか、国内が混乱をするとか、そういうような事態は私はもうあり得ないという判断に立っております。したがって、アジアの平和、世界の平和を恒久的に維持するためには、どうしても中国を早く国連の一員にし、さらに政治的、経済的、軍事的な中国包囲網というものを解かなければ真の恒久平和は私はできないと考えております。私のそういう考え方は間違っておるでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 午前中から、また今回も当委員会を通じまして私が申し上げておる今日までの私の政治態度、またやり方、これは従前と同様のことをいたしております。これから先はこれからの問題であります、こういうことを申しました。そのとおりまだはっきりいたしておりません。あなたのお考えを批評する資格はございませんが、私は、あなた御自身がかく信ずるとおっしゃることは大いに敬意は表します。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私がなぜこういう見解を述べているかというと、いま佐藤さんが対中国問題に対してどういう態度を持つか、どういう認識を持ってこれからの施政を行なうか、このことは、ちょうど私たちがいま明治の政治家を歴史上読んで、日本をどの方向にどうしようかとして苦慮したことが今日になってはよくわかる。ところが、いまここでどういう方向にかじをとるかによって、後世の史家が佐藤榮作をどのような人物として評価するかという大きな問題につながると私は思う。それはただ単に佐藤個人ではないのです。日本の将来の運命をきめていくのです。そのために、日本はもうけんかはこりごりだ、もうげんこを振り上げた暴力による戦争だけはやめよう、人を殺し合うことは罪である、したがって、もうそういう準備も、そういう手段も一切捨てようではないかといって平和憲法は生まれたはずです。これは間違いないと思います。法制局長官が幾ら与党のにない手であっても、この解釈に私は間違いないと思う。ところが、国際情勢の変化と称して、朝鮮事変以来、かつてアイゼンハワーあるいはアメリカの日本に対する政治指導は、日本を東洋のスイスにする、恒久平和の達成できる中立国家にするといった憲法制定当時の言を直ちに捨てて、とうとう今日のアメリカの先兵に、アメリカの戦略の一員に日本が加えられた。この体制は、一体それでは保守党内閣が続く限り抜け出られないのか。抜け出ようとする努力をしないのか。真に日本はアジアのスイスとしての憲法の規定どおりの中立の国になろうとしないのか。保守党の指導原理は一体どうなっておるのですか。ひとつそれを聞かしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 あなたの御意見はこれは御自由でございますが、私どもは日本憲法によって国政が行なわれておる、かように思っております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私の持ち時間がなくなりますから、できるだけ短くお尋ねいたしますが、よく保守党の政治家の諸君は、政治は現実だ、外交も現実だ、現実だからどうにもならぬじゃないかと言って現実論を振り回す。振り回しながら、特に観念的なことをやっている。政治とは一体何かということを、総理はまだ就任日が浅いのでありますから、真剣にひとつ考えてもらいたい。政治の力、権力というものは、ただ単に既定の事実を守る力ではない。現実の矛盾、現実の欠点というものを取り除く力を持っている。尾高教授はかつて敗戦直後「法の窮極に在るもの」という書物を書きました。その中で、政治は法をつくる力である、同時に法を破る力でもある。間違った秩序、間違った民族の方向を、気がついたら直ちに直す力も政治は持っておるはずです。しかも総理大臣は、その力の集中された人物です。あなたの見解がいかに今後の日本の将来に重要であるかということは、あなたも十分認識をしなければならぬと思うのです。どうもこの間の答弁を聞いておると、外務大臣の答弁とあなたの答弁は全く食い違っておる。外務大臣は、国連において中国の加盟を阻止もしくは延期するために日本は努力する。あなたは、中国は敵視しません、封じ込め政策には加わりません、そう言いながら、経済の問題一つとっても、あなたは封じ込め政策に協力していますよ。たとえば中国は日本の品物を買いたい。日本も中国の物を買いたい。近くてお互いの利益になるからです。ところが、日本で鉄鉱石を中国からどんどん買おうとした場合には、品質が悪い。この品質を何とか選別をしてくれないか。中国は、選別はしましょう、しかしながら、選別をしていい鉄鉱石を売る、いい石炭を買ってもらうためには長期的な取引のきめがほしい、少なくとも五年間ぐらい継続して計画的に貿易ができるように政府が保証してくれないものか、すなわち政府間協定というものがここへ出てくる。ただ単にLT貿易にまかしておけ、友好商社貿易にまかしておけということでは何もやらないのと同じことなんですよ。中国問題については、政府は何もやらないのと同じことなんです。これは、やはり積極的に日中貿易を促進するために、この辺で政府間協定に私は踏み切るべきだと思う。大臣の見解はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 現状におきまして、LT方式で進めてまいるつもりであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 現状についてはという、その現状の認識をひとつ聞きたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 これは、午前中から申したとおりでございます。ただいまのところこういう方式でいくということであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 ただいまのところこういう方式でいくというのは、近い将来に変えるというような、前向きの方向で検討するという意味ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 将来については、まだ何にも申しておりません。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 申していないから将来について尋ねておるのです。答えてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 将来のことは将来で、そのときにわかります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 この答弁では、一国の総理大臣として聞くに値しないような答弁をいたしております。私はまことに残念です。しかし時間が割り当てられた三十分経過しましたから、これでやめます。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長代理 川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 沖繩問題一本にしぼってお尋ねしたいと思います。  衆参両院の本会議並びに本委員会におきます沖繩問題についての答弁は、きわめてあいまいであります。おそらく、民族の分断されております今日のこの悲劇、これについて国民もがっかりいたしたでありましょうし、百万の沖繩県民の諸君も、祖国復帰の熱願を踏みにじるものとして悲観をいたしておると思います。その立場が一つと、もう一つは、私は、日本社会党の沖繩調査国会議員団の一員としまして、十月の初め八名の同僚議員とともに沖繩をつぶさに見てまいりました。町村長あるいは議長、農協長あるいは被爆者、さらには青年、婦人、労働者、各階層の人たちとひざを突き合わして話をいたしてまいりましたし、また国会議員といたしましては、初めてゲリラ戦の訓練基地を通ってまいりました。ベトナムに向けてのゲリラの訓練基地を通り、沖繩本島の最北端であります辺戸岬から断ち切られております鹿児島の与論島の灯をながめてまいったのであります。そういう立場から、私は百万県民の率直な気持ちというものをはだにじかに感じてまいっておりますので、そういう点から、以下具体的にお尋ねをいたしてまいりたいと思います。なお、ワトソン高等弁務官とも二時間にわたって会談をいたしておりますので、そういった点についての理解も踏まえてやっておるつもりであります。  第一には、総理は、政府はあらゆる機会に施政権の返還の問題でこれを要望しております。こう答弁をいたしております。そこで、いつ、だれが、どんな形で要望したかを御答弁願いたいと思います。  沖繩の施政権の問題は、これは最高の政治問題であります。このことは、これまで繰り返し政府側が答弁をいたしてまいっております。でありますから、当然に政権の交代の際には、最高の政治問題であるその点について、最高の責任者の立場で御答弁願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 池田総理が六一年に向こうへまいりました際に、そのときにはっきり申しております。また、その後、総務長官はたびたび向こうへ出かけております。そういう折衝の折いつ、だれが、どこでという、そういうことは私具体的に存じませんけれども、いままで伺ったところでは、機会あるごとにそういう交渉をしておると、かように承知しております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 六一年の六月の池田・ケネディ会談においては、残念ながら施政権返還の問題については触れていないのであります。もう一度お尋ねします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 私は触れておるというように聞いております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは、総理が七月の総裁公選の際に、七月四日記者団に対して発表いたしました重点政策の中で、あなた自身が――その当時の新聞がここにありますから、読み上げますよ。池田内閣が沖繩の返還を正式にアメリカに要求したのは聞いたことがないと、こう言っておる、間違いでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 私が内閣総理大臣になってから聞いたのでありますから、その当時のことは、それは私のほうが間違ったか、あるいは記者のほうでどういう扱い方をしたか、それは別でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 民族のきわめて大きな問題でありますし、また最高の政治問題であるといわれてきておりますこの問題について、内閣総理大臣になるまでは知らなかったと、こういうことであるならば、池田総理はこうした大きな問題を自由民主党の諸君に伝えていなかったと断定できますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 外交に関することは一々申してはおりません。したがいまして、ただいまのようにこれは全部話をしなかったのか、こう言ってきめつけられますが、そういうことはやっぱり幹部級でお互いの了解事項である場合もあります。私が不幸にしてそういう話を聞いていなかったということも事実であります。しかし、今日ははっきりそれを聞いておりますというので、別に過去をお尋ねになるというよりも、これから先の問題だろうと思いますから、さように御了承いただきたい。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 アメリカの上院議院なりあるいは下院議院なりの軍事委員会において、沖繩の援助問題等をめぐって繰り返し繰り返し論議が行なわれております。その中においても、施政権の返還の問題については触れていないということが明確になっておるのであります。いかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 その辺のことは、私は知りません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 外務省のだれか・・。

竹内春海外務事務官(アメリカ局長)

○竹内政府委員 私どもそのような記録は承知しておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは私は読み上げます。一九六二年六月十四日、これはケネディ新政策が発表になったあと沖繩援助の増額の問題について、プライス法の修正案が出されているわけでありますけれども、それをめぐってのアメリカ上院軍事委員会の聴聞会で、ソルトンストールという上院議員が政府側に対して質問をしておるわけであります。これに対してジョンソン国務副次官、政治担当の副次官が明確に答弁をいたしております。「はっきり返還の時がわかるまでは交渉はなかったし、交渉中のものもないし、将来交渉することはないというのか。」これがソルトンストールの質問であります。それに対してジョンソンが、「これまでなんの交渉も行なわれていない。」と明確に答弁をいたしております。そこでアメリカ局長に、この事実を明確にしていただきたい。

竹内春海外務事務官(アメリカ局長)

○竹内政府委員 政府がしばしば交渉しておりますというのは、たとえば昭和三十二年の六月の岸総理の訪米、続いて同年の九月の藤山外務大臣の訪米、あるいは昭和三十五年九月の小坂外務大臣の訪米、あるいは先ほど総理から申されました昭和三十六年六月の池田総理の訪米、そういう機会にアメリカ政府にこの件を交渉しておるのでありまして、ただいま御引用の記録は私ども手持ちをしておりませんけれども、ただいま申しましたように、日本政府としてはそういう返還の要求をしておるのであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 私は沖繩問題を交渉していないといっているのじゃないのですよ。施政権の返還の問題がどのように交渉されたかということをいま明らかにしておるわけであります。そこで、岸・アイクの共同声明の中ではどうなっておるか、読み上げます。「首相は、日本国民が琉球と小笠原諸島の行政支配を日本に返還してもらいたいと強く望んでいることを強調したい。」いいですか、国民が望んでいることを強調したのです。施政権の返還を政府の責任で、日本政府として返してほしいという要求ではないのです。それに対しては、大統領は一言半句触れておりません。でありますから、岸・アイクの会談の際の、これはストロング・ディザイアを伝えただけであります。メッセンジャーであります。それから六一年の六月の池田・ケネディ会談の際には、施政権の返還の問題には全然触れずに、自治権の拡大なり福祉の増進なり経済の向上なり、そういう点について要求をしておるのであります。でありますから、施政権の返還それ自体については、何らいままで交渉がない、こう言わざるを得ないと思います。総理はその点を、どう判断されますか。

竹内春海外務事務官(アメリカ局長)

○竹内政府委員 ただいま御引用になりました池田総理とケネディ大統領との共同声明の中には次のように述べております。「大統領と総理大臣は米国の施政下にあるが、同時に日本が潜在主権を保有する琉球および小笠原諸島に関連する諸事項に関し、意見を交換した。」というのがございまして、施政権と特記はしておりませんけれども、その当時の交渉から申しますと、総理がそれに触れられたのでございます。そのように御了承願いたいと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それは絶対に了解できないことであって、ただ施政権はどこかに隠れておるのだ、全体的なものが施政権の問題なんだ、こういうことでは明確な答弁になっておりません。でありますから、あなたが七月の四日のその重要政策発表の際に、池田内閣が一ぺんもやったことがないと、それはあなたの認識であるばかりでなく、われわれもそう判断せざるを得ないわけであって、それ以上の証拠というものはわれわれにはいまだ明らかにされておりません。重ねて総理にお尋ねします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 いまアメリカ局長が御説明いたしましたとおり、当時琉球諸島の問題について全体で話のあったことは御了承がいただけるだろう。私も了承します。したがいまして、七月何と言おうが、それは間違いであったと先ほど申したとおりであります。また、あなたは非常な端的な表現をしておられます。そのとおりのことをやったか、これは行き方がやはり幾らかあなたとは違って、その辺はだいぶん政治家、総理として交渉したものだ、かように私は思うので、そのほうがとうといのじゃないか、かように私は思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それではもう少し事実関係を詰めてまいりまして、さらに先でお尋ねいたしたいと思います。  成田書記長の質問に対しまして、今日これを――つまり施政権の返還であります。今日これを要求することが効果を生ずるやいなやとくと考えさしていただきたい、こう言っております。また、今澄委員の質問に対しましても、ただいまの段階におきましては、そういうことではなくて、経済的、社会的、あるいは自治権の拡大等に努力をすることが将来の復帰を容易ならしめるのではないか、こう言っております。さらには、参議院においては、しかしこの問題よりも――施政権の返還ですね。この問題よりも、現状におきましては、その沖繩の経済的、社会的水準の向上、あるいは御指摘になりました自治権の拡大など、住民の要望実現に積極的に取り組んでいくほうが今日の実情に合うものだ、こう言っておられます。そこで、いま直ちに施政権の返還を要求することがなぜ効果を生じないのでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 この外交のあり方は、一つの目的、そのねらいがあって、そしてそれの実現に万全の方法を講ずる、これが外交の機微ではないでしょうか。いまお話しのように、要求しっぱなしで、もうそれで事が足りた、こういうものじゃない。やはりそういう事態を実現させなければならない。そういう意味において私どもの外交の目標があるわけなんです。これは川崎さんにもよくおわかりがいただけるんだと思う。私どもそれをやらないと言っておるわけじゃない。これは大いにつとめますと言っているでしょう。しかし、それがやはり効果をあげてくれなければ何にもならない。そこをよくお考えいただいて、そうして実現の方向で努力している、これが大事なことだというところに思いをいたしていただきたいのであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 そうしますと、施政権返還問題、つまり沖繩問題全般ではありません。施政権返還についての池田方式と佐藤方式というのは変わりはありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 私が政局を担当するようになりましてから、とくとそういう点を考えてまいります。もちろんただいままで池田方式そのものが踏襲されておりますが、さらにこれを前進さすことが可能なりやいなや、もうこれが実現する見込みありやいなや、これもよく打診をして、しかる後にやるべきことだと思います。当方の意向、百万県民の意向、同時に中央政府の考え方、これはアメリカにすでに通じてあるのであります。問題はそれをいかなる段取りでやるかということに帰するのではないか、かように私は思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 松岡主席とたびたび話し合っておる。それからまた答弁をしさいに見ますならば、意思統一をしてある。こういうふうに受け取れますが、施政権の返還を含んで、沖繩問題については松岡主席との間で意思統一がなされておる、そういうふうに見てよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 松岡主席とは、施政権の問題あるいは自治権の拡大全般について話し合っております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 ジョンソン大統領との会談について、勝間田委員から本委員会において質問をいたしました。その点に対しては、総理は、私の訪米についてもいろいろ議題はありますが、もちろん沖繩の問題も主要な問題であることを申し上げてお答えにしたい。つまりジョンソン会談の際に施政権返還の問題を要求するかどうか、このことについての答弁であります。この点はきわめて意味がよくわからないのでありますが、ジョンソン大統領と会われたときに、施政権の返還をまっ正面から要求をされますか、どうでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ジョンソン大統領と会見がいつできるか、まだわかりません。その点はしばらくお預けをいただきたいと思う。私、しかし、こういう問題はアメリカの最高責任者と話すべき事柄だと思います。その話し方はどういう話し方をするか、それは総理の責任においてさしていただきたいのでありまして、かくかくのことをやるかどうか、こういうようなお尋ねには、私は、私自身の責任においてやるんだということだけでひとつ御了承いただきたい。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 そういたしますと、総裁選挙の前はそういう慎重な配慮がなくて、ただ私が質問しておるようなそういう性急な形での白黒、そういうものを顧みずに、総裁選挙の前にはあなたの所信を表明されたと見てよろしいかどうか。具体的に発表されております重点政策を読み上げて、この点についてお尋ねをしたいと思います。「ソ連には北千島の返還を、アメリカには沖繩の返還を積極的に要求する。」よろしいですか、「領土問題が片づかないと戦後は終ったとか、日米パートナーシップの確立とか、ソ連との平和外交の推進とかはいえない。池田内閣が沖繩の返還を正式にアメリカに要求したのはきいたことがないが、」次が大事です。「私がもし政権をとれば、いずれアメリカへ出かけてジョンソン大統領に対して正面からこの問題を持ち出すつもりだ。」いつがどうあろうとも、まっ正面から施政権の返還の問題を大統領に対して出す、政権をとられたら。これは四カ月前のあなたの声明であります。変わりありませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 政治は流動してまいります。私はその流動する過程において間違いのないような処置をとっていく。ただ、私非常に残念に思いますことは、七月こう言ったじゃないかと、それで無理やりに縛られることは、私がせっかくやろうとする、情勢の変化に応じて私がとっていこうという、そういう外交問題についても縛られるような気がしてならないのです。もちろんその基本的なものの考え方は正しいと思います。今日も私は変わっておらないのです。しかしながら、そのときのことばじりあるいはそのいきさつなどをとって、そうして積極的にこれを端的に表明するかとか、あるいはこの問題をいかに、いかなる機会にやるか、こう言われることは、それは真意でない。やはり外交の姿というものはその姿勢が大事なんだ、かように思いますので、そういう意味で、やはり当方の外交の推進のしかた、これが過去のものと違うかどうか、それをひとつ比べていただきたいのであります。私はただいま政局を担当しておりますが、まだ直ちにジョンソン大統領と会うというわけでもないのだし、いましばらく時間をかしていただかないと、どうも過去においてしゃべったことと違うじゃないか――これは、確かに七月のいろいろな事項につきましては、国民の期待もございます。国民の輿望もになっておりますときで、これは党内の問題であるかのように思いますが、しかし、時にこれは公表しております。したがいまして、国民大多数の輿望をになっておる、そういう期待にもそむかない、こういう立場で行動するのが政治家の当然の責務であります。そういう意味で私は行動いたしますが、ただいま川崎君から一々指図を受けるような、これはこうするのか、ああするのか、どうするのだ、こういうようなことはしばらく私にまかせていただきたい、かように申し上げておるのであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 具体的にお尋ねをしておる問題に対して、具体的に尋ねることが指図をしておる。それであるならば白紙委任をせい、それと同じではありませんか。しかも所得税三千億の減税の問題にいたしましても、本委員会で井手委員の質問に対してあなたは弁明これつとめたわけであります。経済政策あるいは外交問題全般の問題にわたってこまかに追及をいたしますと、あなたは全部そう言って、総理の座に立って、責任のある地位についてみれば情勢が違っておるんだ、こういう形であなたは逃げておられる。まさに羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいだといわざるを得ないと思うのであります。四カ月前のあなたの発言が流動であるか激動であるか、あなたは一々流動だ、こういうふうにいっておられるが、どの雑誌をとってみても、どの新聞をとってみても、今日の情勢は激動だ、こういっているわけです。そうしますと、あなたの判断というのは、三、四カ月先のことは判断できない判断力しか持っていない、こう言われてもやむを得ないと思うのです。でありますから、そういう意味におきましては、この二十年の問題であります。沖繩施政権の返還の問題は、あなたが民族の悲願だ、こういっておられるように、日本民族二十年の問題であります。しかも、これから先、いまのまま進むならば何年かかるかわからぬ問題であります。それを、あなたが四カ月前に言われたことを、実際に政権の座についてみれば、判断についてはしばらくまかしてくれ、こういうことで逃げようといたしておるんでありますけれども、私はきわめて不満であります。あなたが発表されたそのことについては、国民がやはり眼を開いて見ておるのでありますから、これからの日本民族のこの課題を解決をしてまいりますにあたって、施政権の返還の問題については、私は総理のいまの答弁ではきわめて不満であります。でありますが、いまこれ以上お尋ねしましても、あなたの四カ月後の今日の判断では、これ以上の答弁は出てこないと思います。そこでジョンソン大統領に会われるのがいつかはっきりしない、こういうことでありますので、その点はさておきまして、アメリカに行かれます前に、この二十年間引き裂かれております沖繩の現地の諸君に会って、沖繩の現地の実態というものをあなた自身が最高の責任者としてつぶさに視察をし、さらにまた現地で、ただ単に松岡主席を通して云々ということではなくして、現地のなまの声を聞いて、それをジョンソン大統領との交渉の際にあなたの腹がまえとされる意思はあるかどうか、お尋ねいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 沖繩の問題は、先ほど来申しますように、これは民族の悲願だ、そういう立場で私は真剣に取り組んでまいります。松岡主席とお目にかかったゆえんも、たいへん忙しい際ではございましたが、やはり要領よくお話を続けたこともそういう点にあるのであります。したがいまして、ただいま言われるように、親しく直接に聞いたらどうだ、こういうお話、これまで私も沖繩に立ち寄ったことはございます。そういう際に一応のお話は聞いております。しかし、最近の事情はよほど変わっておるだろう、かように思いますし、新しく住民の気持ちに触れることは、これは必要だろうと思います。私も、機会があればそういうことをつくりたい、かように考えます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 私は現地に参りました一員として、百万県民にかわって、いまあなたが機会があれば行きたいと言われたことについては、それは時期もありますし、総理の立場もございますので、ジョンソン大統領に会う前が望ましいのでありますが、それ以後であるにしても、都合がつくならばぜひ沖繩現地に参りまして、つぶさに視察をし、触れていただきますことを要望いたしておきたいと思います。  次には、沖繩支配の法的な根拠は何であるか、外務大臣にお尋ねします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 法制局長官に詳しく説明させます。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答えをいたします。沖繩施政の法的根拠ということであったと思いますが、申し上げるまでもなく、日本国との平和条約第三条の規定で、アメリカ合衆国が現在立法、司法、行政の三権を行使する権利を有するというのが三条に出ております。その規定が根拠と申し上げていいと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 沖繩は、戦前三府四十三県の一県だったわけであります。つまり内地であったわけであります。このことは厳然たる事実でありますが、国連憲章がうたっております信託統治制度そのものの基本的な目的は何でありますか、法制局長官。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 これは、当然国連憲章の問題でございますが、国連憲章の規定の中に信託統治に付する場合の目的というものが幾らか出ております。その目的に従ってやるということが本来の考え方であろうと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 そういうことを聞いておるんじゃないのであって、信託統治制度の基本的な目的は何でありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 信託統治制度の基本目的は、一々お読みしなくてもいいかと思いますが、第七十六条にa、b、c、dという四つの事項が掲げられておる。それが基本目的でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは、私が先ほど申し上げましたが、沖繩は三府四十三県の一県であった。本土であります。内地であります。そこで、ただいま法制局長官は中をこまかには申されなかったが、七十六条が信託統治制度の基本的な目的だ、こういうふうに言われたわけであります。信託統治制度というものが、政治的、経済的、社会的、教育的な進歩の促進をやり、そうして自治を推進をし、さらに独立に持っていくんだ、こういうことが信託統治制度の基本的な目的であります。そういう点からいたしますならば、沖繩に信託統治制度を提案をするということ自体が妥当であったかどうかお尋ねいたします。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 先ほど申し上げましたように、沖繩を信託統治に付するということについて規定がありますのは、御承知のとおりに平和条約の第三条でございます。その第三条には、「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。」という規定がございます。この合衆国の提案というのは、別に平和条約上の義務ではなくて、そういう事態についての規定をそこに置いているだけでございます。これについては、現在施政権がアメリカ合衆国によってとられておるわけでございますが、この沖繩を「信託統治制度の下におくこととする」ということを予想すること自身がいかがかと思われますけれども、かりにそのことについてアカデミックな議論として申し上げますならば、それは、やはり先ほど御指摘をしました国連憲章七十六条にはa、b、c、dという規定がありまして、御指摘の分はおそらくbを仰せになったと思いますが、そのほかにも基本目的がございます。で、その基本目的に掲げておりますのは、実は信託統治に付する場合の基準ではなくして、信託統治に付された場合の目的が掲げてあるということは申し上げるまでもないと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 全然ピントはずれの答弁をしておられるのでありますけれども、国連憲章の信託統治制度の基本的な目的からするならば、沖繩は、軍事的なそういうことは抜きにして、国連憲章上のそれからいくならば、沖繩は信託統治制度に持っていくということは妥当な地域ではない、そのことは明確だと思うのです。いかがですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 私が、この沖繩の信託統治制度を国際連合憲章上妥当な措置であるかどうかということを、法制局から申し上げる筋合いではないと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 国連憲章と平和条約の解釈というものを、あなたは日本の法制局長官として明確にされて、それを政治の最高責任者に国政をつかさどっていく判断の基礎として与えるのがあなたの任務だと思うのであります。そういう点からいたしますならば、いまのあなたの答弁というのは、法制局長官が法的に学問的に――信託統治制度に沖繩の適用が提案される、そういうこと自体が妥当かどうか、国連憲章上のそういう解釈からして妥当であるかどうかということをお尋ねしておるのであります。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 たっての御質問でございますので、さらに当否の点について私が申し上げるのはいかがかと思いますけれども、国連の信託統治ということについて合衆国が提案された場合に、一体それは、現にあります国連憲章上の目的としてどれであるかということになれば、それはむしろbではなくてaであろうと私は思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 法制局長官とやりとりしておりますと、せっかくの総理のわずかな時間がなくなってまいりますので、先を急がざるを得ないのでありますが、私は、国連憲章の基本的な目的からいたしますならば、本土であり、内地であった。そして文明国であり、文明人であり、自治の能力を持っておる沖繩県民諸君、この全域を信託統治制度に提案をしよう、そういうこと自体が国連憲章違反である。このことについては、総理、いかがでありますか。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 日本国との平和条約自身に国連憲章の尊重の原則をうたっておりまして、同じ条約にこの第三条の規定があるわけでございます。私どもは、いままでずっと両者何ら抵触するものではないという解釈をとっております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 そういう態度では施政権返還の要求は出てきません。民族の立場でですよ。民族独立だとあなたも言っているのだ、四カ月前に。ほんとうに国民の立場で条約を解釈していく。また、それに合わなければ改正をしていく。そういう要求が外交であるし、政治であると思う。そういう立場からいたしますと、いまの条約局長の答弁というのは、日本の外務省の答弁だとは思わぬ。ただ、屈辱的な平和条約にいかに合わせるかということにつじつまを合わしているだけの作業でしかない、こう私は断定せざるを得ません。そういう意味からいいますならば、私は、平和条約第三条に掲げられております前段の、沖繩を信託統治制度に提案をするというそのこと自体が国連憲章違反であり不法な条件である、こういうふうに思います。  そこで、先ほど法制局長官も答弁をされておりますが、沖繩支配の法的な根拠というのは平和条約第三条だ。ところが、平和条約第三条は前段と後段があり、そうして前段と後段との間に、提案をし可決されるまでという条件があるわけであります。そういたしますと、この平和条約第三条は条件つきの条約であると思いますが、いかがでありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 御指摘のとおりに、第三条には明確に、そういう提案が行なわれ、かつ可決されるまでということに相なっております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 そこで、条件つきの条約であるということは明確になりました。  次に、お尋ねいたします。私は、この信託統治制度に提案をするということ自体が国連憲章違反であり不法である、こういう点を指摘いたしました。この点については、条約局長もまた法制局長官も、きわめてあいまいもことした答弁で逃げておりますが、時間の関係がありますので、これはいずれ他の機会に譲りたいと思います。  そこで次に、信託統治に提案をするそのこと自体は、一九六二年の三月十九日のケネディ新政策によってくずれた、そのとおりでよろしいですか。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 日本政府の立場は、従前から、信託統治制度などの提案はしないで、日本にできるだけまっすぐ返還してもらいたいということであります。これに対して、アメリカのほうは、はっきりそうしますとは公式には申しておりません。しかし、わが方の気持ちはアメリカもよくくんでくれているだろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、公式には国連の信託統治にはしませんとは申しておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 公式にはしないと言っておりますが、これは、アメリカの議会におけるやりとりの中では、提案しないであろうということはしばしば明確になっておるわけであります。そこで、私が次に明確にいたしてまいりたいことは、信託統治制度に提案をしない、信託統治地域にしていくということの提案をしない、大体そういうふうに一応解釈される。こうなりますと、先ほど法制局長官も、この条約は条件つき条約であると言われておるのでありますが、信託統治制度にすること自体が国連憲章違反であり不法である。そうしてその次に、提案しない、こういうことになるならば、提案をし、かつ可決されるまでというその時間的な条件がくずれたことになる。つまり不能である。そうしますと、次に法制局長官にお尋ねしたいんだが、不法であり不能な条件つき契約は無効であるかどうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 私はこれが条件つきということを申し上げておりませんが、先ほど申しましたように、「このような提案が行われ且つ可決されるまで、」ということに相なっておる。つまりそういう時期が来るまではアメリカが三権を行使するということであります。その時点が一体いつであるかということは、条約上は出ておらないわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは答弁になっておりません。信託統治制度に提案をしないというんですよ。しかも、条件が提案をし可決されるまで――その条件は満たされないのです。未来永劫に満たされない。それであるならば、不能であり不法な条件つき契約は無効であると、これは民法上の原則ですね。そういたしますと、総理、いかがでありますか。最高の判断として、この条約は信託統治にすること自体が不当である。そうしてまた、そういう提案をし可決されるまでという期間的な条件についても提案をしないであろうというのが――提案をしないという断定に近いものが現在の政府の見解であるといたしますならば、この条約三条というものはすでに不能であり不法である条件つきの条約である、こう断定をせざるを得ないと思うのでありますが、総理、いかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいまの法律論がいかようにあろうとも、信託統治には私ども賛成しません。できるだけ早く施政権の返還を求める、これが私の態度であります。したがいまして、ただいまの法律論を根掘り葉掘りされることが、はたしてそういう方向へいくのかどうか、これが問題だと思います。したがいまして、川崎委員が非常によく勉強しておられることはわかりますが、この辺で私どもの政府の方針、その方針を支持していただきたい、かように考えます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 法的なあいまいさというものは、これはやはり明らかにしていかなければいけないわけです。でありますから、そういった点については、当然に交渉の中で明らかにされてまいらなければならぬと思います。  そこで、総理の時間の関係もございますので、次に移りますが、憲法の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。憲法の適用の関係でございます。沖繩県民諸君は日本国民であるかどうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答えをいたします。日本国民でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 日本の領土であるかどうか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 一般的に領土という場合には、いろいろ定義がございますが、その領土という場合の概念というものに、的確にそのとおりであるということを言えるかどうかは問題ですけれども、潜在主権を持っておるという意味において、わが国の領土であることに変わりはございません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 総理にお尋ねしたいと思います。  ただいま法制局長官の答弁どおりに、これはケネディも領土であることは明確にしておりますし、領土である。そして日本国民である。これであるならば、憲法が保障いたしております権利あるいは自由、基本的な人権、こうしたものについては、当然に日本国憲法は、沖繩県民の諸君についても保障しなければならない、こう思いますが、いかがでありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 これは、御存じのとおりに、いま三権をアメリカ合衆国が行使しております。しかし、日本国憲法はもともと潜在主権ということがあらわしておりますように、現実的に、顕在的に適用になっているというのは、言うことがむずかしいと思いますけれども、潜在主権という名であらわされるような意味合いにおいて、憲法というものはそこに潜在的には施行されておる。したがって、言いかえれば、アメリカ合衆国の三権の行使というものがなくなれば、そこには当然日本国憲法があからさまな形において施行されるという意味の関係にあることは申すまでもないと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは長官にお尋ねしますが、本来適用すべきであるが、施政権がアメリカによって行使をされておるために、顕在的にできない、こういうことであるならば、憲法上の保障の役務はありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 アメリカ合衆国が三権を行使しておるわけでございますが、アメリカ合衆国には、アメリカ合衆国の法制上、その三権を行使するについての人権の保障というのは当然あることは言うまでもありませんし、それから、御承知かと思いますが、例の人権に関する世界宣言というようなものもございまして、いまや文明国における施政としては、人権の保障というものは、これはもう当然に受けておる、そういう意味では、どこの憲法がどうというまでもないことだと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 基本的な人権の本質からいたしましても、いま長官の答弁のとおりだろうと思います。そういたしますならば、本来沖繩県民の諸君にとっても、憲法上の国籍の自由であるとか、あるいは居住、移転の自由であるとか、あるいは参政権であるとか、あるいは憲法二十五条の社会保障の原則であるとか、権利であるとか、あるいは二十六条の義務教育の権利であるとか、こうした点については、すべて本土の国民同様のものであるべきであります。ただしかし、それが現在施政権の行使によって適用をはばまれておるということでありますから、それであるならば、憲法の適用をはばまれておる、つまり憲法がへっこんでおる。本来明治憲法には例外規定がありました。保障の例外規定がありました。ところが、日本国憲法には、保障の例外規定は禁止をされておるわけであります。そういたしまするならば、同じ日本国民でありながら、沖繩県民の諸君がその保障の例外に置かれておるということ自体が憲法に違反するのではありませんか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 これは、単純なる憲法論なり法理論などを申して解決をすべくもっと歴史的な経緯のある問題であることは御承知のとおりであります。言うまでもなく、日本国との平和条約によって、実は日本には平和がもたらされ、その結果として日本国憲法ができたということは、もうこれはまぎれもない事実でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それをやっておりますと時間がありませんから、特に総理にお尋ねしたいと思うのでありますが、そうした基本的な人権を守っていくためには、その代表を出すという参政権というものが、固有の基本的な人権として与えられておるわけであります。それからいたしまするならば、沖繩県民の諸君が代表を国会に出すということは、これは当然の固有の権利だ。基本的な権利だ。この点についてはいかがでありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答えいたします。沖繩の地位というものは、いままでお話が出ておりましたようなことでございまして、そこには三権の行使を向こうがいたしております。したがって、末のほうのお話から申し上げることになりますが、たとえば日本の選挙法をそこで施行しようといいましても、そういうわけにはまいりません。そういうことから言いましても、適法に議員を選出することも必ずしも直ちにできるというわけのものではない。したがって、御指摘のような状況を現出しようというのは、いまのところ無理だと申し上げるよりほかはないわけであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは、いまの前後のやりとりから総理はおわかりだと思いますが、日本国憲法は、平和条約の第三条、それの権源に基づいてアメリカが、大統領の行政命令をもって沖繩に施政権を行使しておるわけであります。そういたしまするならば、ただいまの法制局長官の答弁どおり、日本国憲法というのは大統領行政命令に押えられている部分がある。つまりへっこんでおる部分がある、こういう点についてはお認めになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいまの点は、先ほど法制局長官がお答えしたとおりでありまして、そこに誤解はないように思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 重ねてお尋ねしたいのでありますが、憲法上の――これはあとで厚生大臣、あるいは文部大臣、農林大臣、それぞれに具体的な問題でなおお尋ねをしてまいりたいと思いますけれども、私が先ほど言いましたように、実際に適用はできないけれども、保障する義務はあるのだ。でありまするから、それであるならば、義務があるならば、同じ国民が差別をされておる、例外の状態に置かれておる、こういう状態の中においては、それだけになお憲法が保障しておる権利、あるいは憲法が保障しておる自由、そうしたものに匹敵するだけのものを沖繩県民諸君には何らかの形で与えていくべき責任が政府にある、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 日本の憲法は、先ほどからの御質問の中にもありましたように、いまアメリカ合衆国が三権を行使しておる。これがなくなれば、日本国憲法はそのままの姿でそこに妥当するということをはっきり申し上げられますが、いまはそういう状況でない。しかし、憲法というのは、大体は国権の権力と国民との関係を律しているといっていいと思いますが、現在の沖繩における姿は、アメリカ合衆国の施政当局が沖繩の住民に対していろいろ三権を行使しておるという状況でございます。その場合に、はたしてその間の規律するものが何であるかということになれば、施政当局の最も基本的な原則としておりますものがそこに妥当するわけでございます。したがって、沖繩住民に対しての福祉を維持するための直接の責任を負っているのは、これは申すまでもなくアメリカ合衆国であるということになるわけでございます。むろん日本国としては、それについて関心を持たないわけにはいかないというのが現実でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは、ひとつ総理にお尋ねをしてまいりたいと思いますが、これは私の郷里の南日本新聞でありますが、これに、また十一月の十四日から米軍の演習が始まっております。演習が始まったために、窓は割れ、壁にひびが入り、まさに戦場にあるような状態に置かれておるわけであります。これが、さらに三日からは、本日からはナイキの演習がある。いまだかつてない大きな演習で、たいへんな被害を北谷村の諸君が受けておるわけでありますけれども、外務大臣はその点御存じでありますか。

竹内春海外務事務官(アメリカ局長)

○竹内政府委員 外務省としましては、そういう事実を承知しておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 先ほど、憲法適用から疎外をされておる、であるから百万県民の諸君が米軍の演習の中で泣いて苦しんでおろうがどうでもいい、そういうふうな母国政府の姿勢に見えるわけでありますが、これはたいへん遺憾であります。   〔発言する者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長代理 静粛に願います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 もう時間がございませんので、以上から、ひとつ総理に重ねて最後にお尋ねいたしたいのでありますが、平和条約の第三条は憲法をへこましておる。つまり憲法違反であるし、憲法をへこましておる。そしてまた条約自体が不法、不能な契約つき条約である。そういう立場からしますならば、沖繩の現地において、立法院の決議におきましても、あるいは那覇の市議会におきましても、繰り返し繰り返し、戦時占領のような状態が続けられておる、植民地のような支配が続けられておる、こういう形の強い憤りを持って、祖国への一日も早い復帰を熱願いたしております。また国会におきましても、衆議院、参議院、両院において五度にわたる施政権返還の決議をいたしてまいっているわけであります。そういたしますと、決議の精神は、ただ単に積み重ねでいけという決議ではありません。国民の代表による決議は、一日も早い施政権の返還を政府がすみやかにやれという決議であります。でありますから、その点について、今日ただいまの時点においては、施政権の返還を前面に出すことはきわめてよくないのだ、こういうふうに、幾たびかにわたる答弁からは受け取られるのでありますが、こうした国会における決議というものの精神を尊重して、真正面から施政権の返還に向かって――その交渉のしかたにはいろいろあるでありましょう。しかし施政権の返還を進め祖国復帰を推し進めてまいる、このことについての決意をあらためて重ねてお尋ねしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣・外務大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 琉球百万の人々が祖国復帰を熱願しておる、これは私どももすでに承知しておることであります。したがいまして、政府もこれが実現を期すべく最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。ただいま問題になっておりますような施政権の返還は、そういう形で簡単にこれが実現するものだとも考えませんが、しかしいま問題になるものは、そういう意味で今日は施政権の返還、これが第一の問題だろうと思います。これは沖繩におきましてもしばしば決議されておる、これを率直に取り入れて私どもが善処すること、これが今日祖国の政府のやるべき事柄だ、かように考えておる次第であります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 以上で終わります。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長代理 これにて、本日の佐藤内閣総理大臣並びに外務大臣臨時代理に対する質疑は終了いたしました。  武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 本来なら、総理大臣にお尋ねしたいところなのでありますが、時間がありませんので、やむを得ず法務大臣、文部大臣あるいは行政管理庁長官など、これらの閣僚にひとつ御見解を尋ねたいと思います。  国民のだれもがいま感じておりますのは、最近たいへん汚職が目立ったり、常識で考えられないような凶悪な犯罪が多発いたしております。その原因をここで論ずるいとまはありませんが、とにかくいまは金の世の中だ、金さえあれば、――一も金、二も金、三も金だ、阿弥陀も光る金の世の中だと言わんだかりの世相になっております。そういう心がけがぽつぽつあらわれてくるのが汚職というものの一つであります。最近の新聞を見ると、高速道路工事をやる会社が、公団から支給された鉄材を横流しをして三千万円も横領してしまった。また橋梁建設をめぐって、これまた政治献金を捻出するために、汚職で逮捕されるという騒ぎが出た。この事件などは、それをそそのかしたか、政治献金をもらうためかはわかりませんが、元警察本部長を、やったような偉い肩書きを持った政治家が、そういう不正な金を献金をさせたと新聞は報じておる。またつい最近では、通産省の外郭団体である双眼鏡輸出業者が、輸出の割り当てワクをもらえない輸出ワクで輸出をして、これまた三人も逮捕をされる。数えていきますと、まだまだたくさんある。税務署の係長が汚職をし、警察につかまったら、調べ室で――これなどもちょっと神経がどうかと思うのでありますが、係官に十万円ぽんと金を出して、ひとつ助けてくれという。ちょっと常識で考えられない汚職の状態です。こういうような状態がなぜ生まれたかというと、やはり政府の施策のどこかが狂っておる。経済の運営なり日本の社会制度なり、何かが狂っておる。狂っていなければこんな犯罪は出ませんよ。こういう状況について特に私は綱紀を粛正する必要があると思いますが、法務大臣の見解はいかがですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 綱紀の粛正につきましては多年にわたって努力を続けておるところでありますが、なお御指摘のような不正な事件があとを断たないということは、まことに遺憾に存じます。少なくとも政治に携わりあるいは地方行政に携わる人々が、清廉潔白なる態度でものに臨むということが根本のことでございます。しかし、汚職の問題につきましては、法務省の検察におきましても常時これを厳重に監視をいたし、捜査をいたしておる。そして、事実がありました場合は、法に照らしまして公正でしかも厳正な態度で臨んでおることは、御存じのとおりでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 生まれてしまった犯罪を厳重に処罰をするということは当然でありますが、それは火事にたとえるなら消火の作業。それよりも、法務大臣として防火のほうの態度、できた事件を厳罰に処するよりも、今度は起こらないようにするには一体政府の指導はどうしたらいいのか、そこらをひとつ国民に知らしていただきたい。  さらに、こういう犯罪が次から次へあとを断たないということは、青少年にも非常な悪影響を与えておるようです。つい最近などは、茨城県でしたか千葉県でしたか、中学校の生徒が先生を袋だたきになぐってしまって、とうとう入院をする始末、全治二カ月間の重傷だというのです。これもちょっと常識では考えられない。こういうような荒っぱい態度、生活態度というものは、やはり私は、いまの政府の政治・経済のひずみの一つだと思うのですが、こういうような状態を文部大臣は担当大臣としてどのように嘆いておりますか、またその対策はどうですか、ひとつそこらの心境も聞きたいところです。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 私もこういう状況についてはたいへん嘆いているわけです。したがって、先般の佐藤総理大臣の施政演説の中にもございますように、青少年の人たちに対しては、われわれ民族の歴史や伝統を正しく理解をしてもらう、そして未来に臨んで心身ともに健全な人になってもらいたいということを根本にいたしまして、教育については特に前向きに努力をしたいと思うのでありますが、そこで、問題は、教職員の資質の向上ということであると私は確信するわけでございます。もとより待遇改善その他につきましても、十分の努力を続けてまいるつもりでございますが、教職が天職である教職員の人たちの義務感といいますか、意欲と申しますか、そういう点を大いに盛り上げてもらうということが何よりも根本である、こういう信念に基づきまして教育行政を推進してまいりたいと考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 いまの社会状態では、愛知さんが幾ら声を大にして道徳教育を説いても、社会の流れてくる害毒のほうがあなたの道徳論を押し流すような、そういう情勢ですね。こういう金権万能、金さえあればという考え方が倫理道徳を失墜させる大もとだと私は思うわけです。そういう基本的な今日の社会状態というものを改善をしないと、これはあとを断ちませんよ。あなたは、それでもあなたの言う道徳教育で日教組を少しとっちめて、先生方に責任をかぶせようという指導方針で解決できるとお考えになりますか。もう一度その辺を・・。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 いろいろの点から、私どもとしては、人間尊重に徹していかなければならないということを基本にしておりますが、これも、総理大臣もしばしば言われますように、やはり社会生活を秩序あるものにしていくということのためには、いろいろの意味でルールを尊重しなければならないと思います。筋を通し、ルールを尊重していくという気風がおとなからまず始まり、勤労大衆にもよく理解され、そして、そういう点が政治なり社会の面にあらわれてくるということが根本であると思います。しかし、そう申しながら、それならば、社会世相がそうであるからといって、青少年教育についてはそういう状態がよくなってから手をつけてもいいではないか、(武藤委員「そうはいかない」と呼ぶ)そうはいかないのであります。その点は全く御同感だと思います。したがって、青少年の教育ということにつきましては、先ほど申しましたように、ひとつしっかり全国民的な御協力のもとに邁進してまいりたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 ただいま二人の大臣の答弁の中から同じような意見が出たのは、法務大臣は、清廉潔白な態度で、政治に携わる者あるいは権力の座にある者、こういう者は生活態度においてえりを正さなければならぬという意味を述べられた。愛知さんは、おとながまず青少年の模範になるような秩序を保つ必要があると言われる。二人とも、原因はおとなのほうにあるという御意見のような気がするのです。  そこで、少しおとなの世界に目を転じて、おとなの中でも、特に国の政治をつかさどる政治家の状態を見たら、どうでしょうか。この間週刊誌を見ましたら、ある派閥では二億何千万円の邸宅を派閥の何か所有物にして購入をしたとか、すでに内金を一億二千万円払ったとかいうことが週刊誌に出ておりました。そうらしいのであります。京都方面のようであります。私は、これも、そういう金は一体どこからどうめぐり回って出てくるのかという疑惑を国民が持つ一つだと考えるのです。こういうことも、ひとつ清廉潔白な態度をわれわれが示すという立場からも――私は決して自民党の政治家をいじめようなどとか、大臣を困らせようなどという気持ちで見解をただしておるのではないのです。その点はひとつ御了承のほどを願いたいのです。特に佐藤総理は、施政方針演説の中のしかも重要なところに、「自由民主党の近代化を推進し、公党としての倫理を高める」、倫理を高めるというのですね。国民に範をたれるような政党になって、青少年を不良化の道に追い込まないようにひとつ心がけたいという意味に理解してもいいでしょう。ところが、政治家が億の金をぽんと出せるというところにも、国会議員が六万円の歳費が上がるなんというと新聞に寄ってたかってたたかれるのです。  もう一つの例は、これも私はびっくりした一つでありますが、この間まで総理大臣をやっておった池田さんが、去年の七月から十二月までの政治資金規正法に基づく自治省への報告で、官報にも掲載された内容で、一人で八千九百万円の金を自由民主党に献金をいたしておるのです。たいへんな金ですよ。一体国会議員の歳費、大臣の歳費は月幾らですか。八千九百万円の金をぽんと政党に寄付できる個人というのは、正常な金ではたまりませんよ。普通の月給では。会社の社長を百もやっておって、みんな十万円ずつ月給をもらっておるようならまた別でしょう。しかし、国民にはそうは理解されないと思います。こういうように、政治献金の出場所というものをわれわれが考えてみると、どうもわれわれおとながまずえりを正さなければならないんじゃないだろうか、自己反省をしみじみしなければいけないのではないかと思うのです。特に、いま官報をざっと調べてみますと、去年の七月から十二月までに、周山会という会があって、四億四千四百万円の政治献金をもらっている。その次の第二が、第一国政研究会という、これも総裁候補のダービーにあらわれた人が親玉だなどと聞いておりますが、これが四億一千四百六十万円集めている。三番目が、国政研究会と称して、二億三千八百万円の金を集めている。もし名前を言えといえば、その派閥の親分の名前を発表してもけっこうですが、ここでは慎みます。四番目には、新政治経済研究所という名前で二億一千百万円の献金を受けております。そういたしますと、これらの第七位、八位までの合計で二十億円の政治献金が半年間になされたのであります。一体こんなに金をどんどんつぎ込める今日の企業家の状態でしょうか。あとで国税庁長官に今日の大法人の徴税状況や申告状況をお尋ねいたしますが、こういうようなことを公然と認めておくようなことで、一体日本の政治の姿勢というものが正しくなるものかどうか、私は非常な疑問を持つのです。同時に、日本の政治というものが国民からあいそをつかされないためにも、こういう今日のあり方、伝統、こういうよろしくない伝統というものは引き継ぐべきではないと私は考える。こういう点の粛正については何ら必要がないと考えているか、法を守る最高の立場にいる、法を守らせる最高の責任者である法務大臣はどんな御見解をお持ちでしょう。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 ただいま御指摘のものは、おそらく政治資金規正法によって届けられた正当なルートのものであると考えます。政党に対する献金は、程度の差もございますが、どうしても運用していく上に金がかかることは御存じのとおりで、この間も、総評のある偉い人が社会党に対して、やはり財界からの献金は控えるべきじゃないか、あなたと同じようなことを言っている。こういうことも事実があるから話が出たんだろうと思う。また、労働組合その他からも、社会党は総評その他からも献金を受けられておると同じように、保守党にはまた保守党としてそうしたものが必要である。そういうものが必要であるから、政治資金規正法というようなことで、これが明らかに表へ出る正当なルートということを実は定めておるようなわけなんであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 政治資金規正法に基づいて正式な報告がなされておることも承知をしております。ですから、私は、不法だなどとは言っておりません。ただ、こういう風潮というものが日本の政治のあり方をゆがめやしないか。国民が政治というものに対して一そうの指弾をするようになり、ぶあいそうになるのではないか。いろいろな意味で、こういう伝統というものはよろしくないのではないだろうか。好ましくないのではないだろうか。好ましくないものはできるだけ早い機会におやめになるほうがお互い政治に携わる者としていいと思うのです。特に、総評も確かに社会党に一年間に五千七百万円の政治献金をしております。しかし、これは個々の労働者からいただいたものであります。皆さんのいま発表された何々会、何々会というのは、政党ではないのです。政党に類似する個人のグループ、すなわち派閥であります。派閥の会にこれだけの金を集めるということは、これは少々性質が違うような気がいたしますが、性質は同じですか。  私は、このことで時間を費やしたくはないのでありますが、最後にこの点で一つただしておきたいのは、政府の資金、政府の直接ストレートな政策で恩恵を受ける企業、たとえば開発銀行の融資を受けている会社、輸出入銀行から多額に融資を受けておるもの、その他租税特別措置法などによって特段の恩恵を受ける少なくとも資本金一億円以上のような会社では、政治とのつながりが強いわけであります。ですから、そういう政治の施策によって、裏では公然と政治資金規正法に基づいてわいろに匹敵するような献金が出されても、責めようがない。これはもちろん今日の法人税法第九条に問題がある。社会党はこの第九条の寄付の規定を変えなければいけないと主張しておりますが、とにかく、こういうような国の金融や税制の恩恵を特に受ける会社からの政治献金というものはやめさせるべきじゃなかろうか、こう考えますが、法務大臣はどのような見解を持っていますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 これは法務大臣としてお答えする範囲を越えておるかと考えるのであります。ただ、そうしたことなどを含めまして、わが党は党の近代化をはかりますためにいろいろと現在検討を進めておることは、御存じのとおりでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 この内容やその経路等については各委員会でひとつ議論をすることにして、この程度にいたします。  次に、今議会に提案をされております補正予算の財源の問題でありますが、田中さんも政党出身のまさに野人としての政治家として、大いに私たちもその成長を期待をしておったわけであります。しかし、ここまで財政が苦しくなってくると、あなたの力でもどうにもならないほど今日の日本の財政は苦しい状態に追い込まれたと私は思います。今度の補正予算の内容を見ますると、法人税がすでに百二十億円余り歳入欠陥の予想となり、百二十億円を減額しようというのであります。さらに、有価証券取引税が六十億円歳入見込み違いで減額をする。物価税も消費動向の影響によって三十八億円の減額。年の途中で、つい一年にならない前にきめた予算がそのまま執行できない。歳入欠陥である。これは見積もりを立てた人の見積もり違いであり、責任だと思います。田中さんは、いや、おれの責任じゃない、日本の法人の収益が低下して税金が入らなくなったから減額になったんだと言うでしょう。確かにそうかもしれない。しかし、その根本は、なぜそういう経済動向の見通しを誤ったのかという責任にさらに発展をしていくわけであります。さらに、今回の予算の減額ではなくて追加財源を見ますると、所得税の増税、勤労研得、申告所得、合わせて六百七十億円の所得税の増税を見込んだわけであります。輸入関税が百九十九億。みみっちい財源に至っては、たばこ納付金を二十億円増額をして、専売公社にうんとたばこを売れと契励しなければならないような財源。さらには国有の土地を払い下げるに至っては、国の財産を食いつぶして財政をまかなうという状況。この土地は一体どこの土地を売るのか、これも詳細に聞きたいのでありますが、年の途中で国有財産である土地二十五億円の払い下げをせざるを得ない。日本銀行の益金から百五十五億円。これも、公定歩合の引き上げでおそらく日本銀行がもうかってきたから、これをひとつこちらに入れようというのかもしれません。さらに、当初予算に計画をした事業でできなくなった、すなわち節約でやらせられなくなった事業もあるわけです。合計が二百三十億円であります。このように、今国会に提出された補正財源を見ますると、まことに健全財政などとは言えない。おそらく大蔵大臣は、健全財政とは、公債を発行しないで年度間における収入を年度間に使っているから、これは健全財政だとおっしゃるかもしれない。しかし、その個々の財源の内容というものが通常の予算編成に使われるような状態かというと、今日はさようではない。こうなった責任は一体だれにあるのか、こうなった原因は一体どこから来たのか、まず原因を明らかにして、責任の所在も明らかにしてもらいたい。   〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 私がお答えするようなことは全部武藤さん御存じでございます。原因はどうなったかといいますと、私は、いままでのように年間三千億も自然増収が出るのはおかしいのであって、そういうものが正常でなかったと、あなたもいつもそう言われておるわけです。超高度成長、これはもう安定成長でなくて超高度成長であって、保守党内閣の失敗だというまでに極論されておるわけでありますから、超高度成長と言われるような状態のときには、考えたものよりも二千億も自然増収が多くなる。ですから、物価も上がりますし、また、それによって民間給与も上がる。民間給与との格差もできるので、人事院も勧告する。勧告をしただけはまあ財源があるので、これで補正予算を楽々と組む。こういうことではいかぬのだ、こういうおしかりを常に受けておったわけであります。でありますから、今度はひとつ安定成長期に入らなければならない。そういうことで、昨年の十二月から、国際収支の長期安定、物価の安定、経済の安定成長、こういう三安定のスローガンを掲げて長期調整過程に入ったわけでございます。今年度の予算を組みますときには、当初実質成長率は七%でございます。名目九・七%でございます。それが現在実質年間を通じて一〇%をこすのではないかとさえ言われておるのでございますが、とにかく安定成長期に入って、税収というものは、過去のように千五百億も二千億も自然増収が伸びるというような、はっきり言いますといわゆる乱調子というような状態ではなく、だんだん正常と言われるような状態に入ってきたということを端的に申し上げても間違いではないと思います。でありますから、中期経済見通しで明らかにせられております年率八・一%ということを考えても、現在さえ不況感があるというのでありますが、ことしは一〇%にもなると言っておるわけであります。そうしますと、この中期経済見通しのように八・一%ということをそのまま当てはめるとしても、経済はいまよりも相当詰まる状態になるわけであります。そうしなければ国際収支の安定も物価の抑制もできないということに対しては、皆さんも大体同じ路線にあるわけでございます。でありますから、いままでのようにぼんと予算執行の過程において千七百億に及ぶ中央・地方を通じての人事院勧告というようなものが出てきまして、補正予算を組まざるを得なくなったわけでございますが、結局来年、再来年安定成長期になりますと、制度上もそのようなことがはたして一体できるのか、こういうことをまじめに考えなければならない事態に至っておるということは御承知いただけると思います。これは不健全だ、こういうのでございますが、公債を発行すれば、それは不健全でございますが、とにかく、きめたものを切り詰めてまで何とか経常収入で経常支出をまかなおうと言っておるのでございますから、健全財政であることは間違いございません。これはひとつ十分御承知いただきたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 大蔵大臣に注意をしてもらいたいのは、私一時間しか持ち時間がないのですから、答弁が長いと私のほうの時間も少々長くしてもらわないと合いませんから、そのつもりで御答弁願います。  そこで、いま財源が非常に乏しくなり、苦しくなり、苦肉の策のような、私たちが見たらたいへんな御苦心の予算でありますが、、その原因は何かというと、これはやはり他人にあるのではないんですよ。日本の経済のせいにしちゃったり、高度成長のせいにしちゃって、自分の責任を感じないという態度はまずいのです。なぜこういう日本の財政の状況になったかというと、その一つは、去年の十一月、総選挙前に、予算編成も全然やってない間に、来年は何をやる、そういう総選挙の人気取り政策をばたばた掲げた、これが一つ。これを大蔵大臣がコントロールできない。第二の理由は、財界をはじめ自民党につながりを持っている団体の圧力、こういう圧力を国民的立場で正当に整理することができない、そういう圧力に屈服をしてしまっているというところから歳出がどんどんふくらんでしまう。第三番目が、超高度成長政策あるいは輸出振興という名で、企業減税や高額資産所得というものを特例によって相当税金を負けておる。歳入は逆に少なくなってきている。こういうような原因が今日の財政の窮乏をもたらしてきたと思うのであります。ところが、田中さんはたいへんほらを吹いて新聞記者との対談をいたしております。新聞はあまり信用できぬといえばそれまでですが、十一月十四日の日本経済新聞に、「大蔵省の伝統的な考え方でいくと予防医学には税金は使わないが、死んだ場合の措置にはやむを得ないというものだ。しかし死なないようにするのが先決ではないか。私は明治以来の大蔵省の伝統的発想法をはじめて変えた人間だと自負している。」、たいした大蔵大臣ですね。そこで、大蔵省の伝統的発想方法を初めて変えた大蔵大臣だというその大蔵省の発想方法というのはどういうのですか、いままでは。知らないと言ったって、ちゃんと日本経済新聞にあなたのこんなでかい写真まで入って、新聞記者と対談までやっていますよ。「財政・景気対策の新方向」。そこで、そういういままでの大蔵省の伝統的発想法を初めてあなたが大臣になって変えたというからには、何か特殊な、自負できるような変えたものというのはどういうことですか。予算編成についての何か変わったことでもあるのですか。それをひとつ聞かせてください。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 私は新聞がどう書いたかなどという答弁をするつもりはございませんが、私は確かに対談をいたしました。いたしましたが、その記事はまだ読んでおりません。それは、いまの私は、御承知のとおり、朝から国会に出ておりますのと、それから、その残余のひまは査定とかいろいろな御承知の仕事で、もうまさに寧日のないような状態でありまして、新聞はこまかく読んでおりません。おりませんが、ちょっと見せていただけば、ここで読んでもけっこうです。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 新聞を読んでいるうちにどうぞ続けて質問願います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 私のほうは質問を提出しておるのでありますから、すでに大蔵省の伝統的な発想法を変えたと言って自負しているのですから、どういう点を変えたかという質問をしているのですから、私のほうが時間を食っておるわけじゃないですよ。向こうが食っておるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 これは、私もいまちょっと見ましたら、こんなにうまい話を私は発言したわけじゃありません。長いことずらずらずらとお話をしたものを、専門家がうまくまとめた。まとめるとこうなるのでありましょう。これをあなたは、自分で棒線を引いて、ここだけ取り上げて質問されております。この前のほうを読んでみると、よくおわかりになる。証券市場が一体こんな状態でいいんですか、これではよくないと思います。それから、証券市場をよくするためには税制上何らかの措置をいたしますか、いたしたいと思います。こういう対談がずっと来まして、それは事務当局はなかなか反対ですな、それは、大蔵省というものの考え方、国の財政の支出が、災害が起こるから、起こるおそれがあるから防災で金を出すというようなことではなく、起こった場合はこれが災害復旧に対しては税金を使えるような考え方になっております。ですから、不況が起こった場合には税金を使ったり税制上の措置をいたします、まあ例を言うと、石炭企業というものが悪くなってしまう、このままではぶっつぶれてしまう、その場合には三千億の金を出しても特別立法をしてもいいんだが、石炭企業がつぶれますよつぶれますよと社会党さんが声を大にしても、なかなか、つぶれるかもしらぬということを前提にして財政資金を出したり税制上の予防措置をするということは、長い明治からの財政の基本の中にはなかなか消化しにくいことであったことは御承知のとおりであります、しかし、それでは金がかかりますから、今度は証券市場などがつぶれてしまわないうちに措置をしなければならぬと私は思います、こういうことを言っているのです。これを短く縮めるとこうなるので、そこはあなた十分御承知だと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 たいへんけっこうな大臣でありまして、死なないうちに、つぶれないうちに何とか処置をする、すなわち予防医学の財政措置をやる、なかなかいいことです。私も賛成です。ところが、現状はどうですか。中小企業の問題一つ見ても、田中さん御承知のように、一千万以上の負債で倒れたものの数だけでもたいへんでしょう。八月から毎月ウナギ登りに上昇です。八月は三百七十二件、十月は四百四十九件、前年同期に比較して一八二%の倒産の増加ですよ。倒産倍増ですよ。十一月は五百十八件、こういうような倒産の状況が今日の中小企業の姿です。つぶれないうちに、なぜあなた、大蔵省の発想法を変えた大蔵大臣が、いま路頭に迷っておる、ここに働いていた労働者も困っておる、中小企業のおやじも困っておる、さあ倒れたのだから、当然具体的にこれを救ってやる政治をやるべきです。なお、あなたの意見から言うならば、こういうものは倒れないうちに予防医学でこれを処置しなければいかぬ。なぜこれをやらぬのか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 中小企業に対しての施策をわが党もわが党政府もやっておらぬわけではございません。これは、歴年中小企業対策費用がどんどんどんどんふえておるということを考えてみても、いかに懸命にやっておるかはおわかりになると思います。何もやらぬ、こういうきめつけでございまして、はなはだ遺憾でございます。  また、今年度の中小企業の年末対策につきましても、私たちもこれで足れりと思っておるわけではありませんが、政府が当初見通しました経済成長率は七%であります。そして、現在日本の正常な平均は大体実質一〇%になるでございましょうと、こう答えておるのであります。しかも、中小三公庫の貸し付け資金のワクは、対前年度比三〇%近くもふやしておるのであります。なお、一般会計の伸び率が一四・二%でございますが、中小企業関係に対してははるかに伸び率を高くしておる。その上なお日銀を中心にしての財政資金による買いオペレーション、あらゆることをやっておるのでありますから、一件も倒産がないにしくはないし、また、そういうような目標でやるべきではありますが、しかし、何もやっておらぬというわけではない。私も足れりとは思っておりませんし、これからも十分やりますが、ひとつ誠意はあるというところは御理解賜わりたい。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 いま国会で笑っていられるような状態ではないのです、中小企業は。大臣も知っておるように、今度は不渡り手形の状況もそうでしょう。十月、十一月とも戦後記録をつくる水準ですよ。しかも、十一月一カ月間に九万二千六百枚の不渡り手形が出ておる。不渡り手形が出たために銀行取引を停止された業者が十一月に四千十一件ですよ。銀行取引が停止されれば業者はどういうことになりますか。これは路頭に迷いますよ。そこで働いておる労働者だってまんまが食えなくなるのですから、これはたいへんな事態なんです。こういうたいへんな事態を、銀行法の改正を通常国会でやります、あるいは手形法の改正もやって処置します。これで間に合いますか。予防にならないですよ。間に合わないですよ。いまの不渡りの出た人にどういう方法で不渡りをせずに済むように国が指導するか、めんどうを見るかというところが中小企業の諸君が聞きたいところなんです。手形法の改正、銀行法の改正、いや年末融資をばかっと三公庫に出したからというくらいでは、今日の資本主義のこの状態は解決できないですよ。大体大臣は、いまの経済の実態を、ひずみ是正なんという甘いことばで解決できると思っておるところに認識不足がある。資本主義自由経済の危機ですよ、ある面においては、ある部面は。まさに証券界にしても中小企業にしてもこれは危機ですよ。こういう状態をどう救うかというのは、自由主義経済を運営する財政金融担当の大蔵大臣の任務ですよ、責任ですよ。そうしなかったら、資本主義というのは、なに高度経済成長だ、それ十年間はもうかるぞ、所得倍増だぞと政府が宣伝する、業者は、あいつに負けまい、あいつに負けまいとシェアの競争をやる、設備投資の競争をやる、なに設備投資さえしておけば二年後にはまたいい景気が来るだろう。だろうですよ、みんな。資本主義自由経済ですからね。見込み生産なんですから、売れるであろう、買ってもらえるであろうで生産しておるわけです。昭和三十四年、五年、六年のそのあろうという見込みが、今度はあろうじゃなかったんですね。見込みがはずれたわけです。そこでまた、投資信託にしてもそうですか、中小企業にしても、四千件が銀行取引停止を食らって倒れても、九万数千枚の不渡り手形が出て路頭に迷っても、資本主義経済だからやむを得ないのだ、自由競争なんだ、弱肉強食なんだ、こうお考えならば、これらの人たちに大蔵大臣はどういう見舞いのことばを送りますか。あなたの見舞いのことばをちょっと聞かしてもらいたい。処置できないから。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 中小企業対策に対しては、これは、ただ口で言い合うだけであり、また皆さんの御質問にただ答えてその場が済めばいいというような考えではなく、お互いに深刻な考え方で、政府も的確な施策をと考えながらあらゆる立場で施策を進めておるわけであります。しかし、あなたが申されるとおり、中小企業対策というものは、ただ金融でめんどう見ればいいのだ、無担保金融の道を開けばいいんだ、また信用保証の道を開けばいいんだという、しかく簡単なものではないのであります。御承知のとおり、非常に複雑であり、多岐であり、その業態はたいへんなものでございます。そして、いま申し上げたとおり、確かに非常に高い倒産率であります。倒産率も高いけれども、政府が中小企業に対して三公庫とかその他いろいろな金融その他の施策をしておる率も、いままでの歴史の上で考えて一番高い施策をやっておるのであります。にもかかわらず倒産がふえる、また不渡りも出る、こういうことに対して、確かに、いま言われるように、日銀法の改正だ、銀行法の改正だ、あるいは手形法の改正でもって一体足れりと思うか。そんなことだけ考えておりません。ですから、下請け代金支払遅延等防止法も考えておりますし、歩積み、両建ての問題も考えておりますし、それから年末金融の問題も考えておりますし、あらゆる施策を行なっておるのです。ですが、この間も私はこの席で申し上げたんですが、私たちもこまかい倒産をした実態を調べておるのですが、どうも政府の施策だけではいけない問題がある。それは何か。それは構造上の問題だと思うのです。ところが賃金が、とにかく大きな企業の賃金はいいけれども、中小企業も思い切って賃金がはね上がる。これはもう生産性の中でもって全然カバーできないほど賃金のウエートが大きい。それから、もう一つは、設備投資をする前に、まず、大企業も鉄筋コンクリートのアパートを提供しているから、少なくともわれわれも鉄筋コンクリートの同じような設備を提供しなければ人が集まらないとか、――私は必ずしも労働力が絶対的に不足だとは考えておりません。にもかかわらず、とにかくそういう風潮的な面から来る中小企業の圧迫も相当ございます。同時に、今度倒産をしたものを見ますと、大なり小なり融通手形が絶えずからんでおる。これはどういうことか、こういっても、これは非常に問題がある。今度も、倒産といいますか、いま新聞に報道されております某会社の更生法適用、私もこの実態に対して十分検討しましたが、わずか一割に近いものではありますが、現在までの間にそういうものが出ております。それで倒産をした社長やその責任者が大蔵省や通産省へまいりますが、聞いてみると、何でここまでわからなかったのか、どうも経理にまかしておったのでわからなかった、こういうことです。私は、企業責任がこんなに不徹底な時代というものは承知いたしません。少なくとも銀行から常務取締役が二名も行っておって、しかも一人は経理担当であって、その実態を知らなかった。一体こういうものを追っかけて金融処置ができるのかどうか。私は、いまこそやはりお互いに事業に携わる者全体が、こんなひどい倒産に対してどう対処すればいいかよく考えなければならぬ。私は、政府もさることながら、金融機関もとにかく統計数字を見てから対策を立てるようではいかぬと思います。いままでのように、日銀でも銀行でも、統計から見ますと倒産も多いけれども、日本の成長率も非常に史上最高でございますからなどということでは、私は中小企業対策はできるとは思っておりません。毎日私は、大蔵省とも日銀とも、また金融機関とも絶えず強い折衝を続けて今日まで来ておるのでございますが、遺憾ながら、御指摘のように倒産の状態は減らないということに対して、ここで抜本的に中小企業の育成強化という問題に取り組まざるを得ない、また、取り組まなければならない、こう真に考えておるわけであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 田中大蔵大臣の経済観というか、自由主義経済に対する考え方というものの片りんを伺うことができました。それは、政府が倒れる中小企業を完全に救うことはできないという結論。不渡り手形が九万二千六百枚も出てきた。銀行取引が四千十一件も停止を食った。しかし、これはやはり個人の責任だ、経営者の能力と倫理の問題だという。それはそうでしょう。もうずっと前の十八、九世紀の資本主義の原理はまさにそのとおりです。自由にお互いが競争し、自由に生産し、見込み生産で売れるだろうと思って競争させるのが資本主義経済の原理です。ですから、あなたの答弁は資本主義者としてはまあ合格点です。しかし、二十世紀後半における世界各国の経済体制というものは、そういう経営者の責任倫理を説くだけではどうにもならないという資本主義の状態に来た。すなわち、日本でもいま学者が転型期ということばを使いだしてきた。転型期の経済というものは、結局、資本主義というものが過去のような経済循環では進まないぞということを言っておるのです。ちょっと景気が上昇したと思うと、国際収支の壁に当たったり、投資と貯金とのアンバランスが出たり、元本を割るような投資信託の値段になったり、これはまさに資本主義の局部における危機ですよ。それを解決するかしないかということは、自由主義経済そのものの反省がなければならない。そうすると、私に言わしめるならば、倒産、不渡り、銀行取引停止、これは三悪ですな、資本主義の中小企業に対する三悪、三悪は追放できないという結論になる。いまの大臣の答弁ではそうなる。私は方法はあると思うんです。たとえば、いよいよ不渡りが出そうだという業者は、政府機関の中小企業金融公庫の中に相談室があります。不渡りが出そうだという人はぜひここで相談をしなさい、自由主義経済はそう薄情なものではありません、諸君の相談に応じてあげられますよという親切な施策がなぜできないのか。倒産が出始まったらすぐそれをやったらいいじゃないですか。全国に中小企業金融公庫はある。商工中金も半官半民だけれどもありますよ。そこで、なるほどこれは個人のふしだらな経営、放漫な経営、無能力、これだけは救済のしようがないとか、これはちょっとめんどうを見れば助かる、政府の施策からなるほどやりくり算段が苦しくなったんだということは、調べればすぐわかりますよ。ほんとうに資本主義経済を維持し、保守党政権を長く続けようというならば、ここらで思い切ってやらなければ、業者はあいそをつかしますよ。倒れちゃってから、銀行停止を食っちゃってから、どうにもならぬということでは予防財政金融じゃないじゃありませんか。それはやっぱり消火作業。これじゃだめですよ。火事になる前にやはりこういうものができなければだめです。それを現実の事態として、いますぐやれることがあるじゃありませんか。この私の提案に対してはどうですか、中小企業金融公庫で相談したら。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 まあ私は武藤さんとは親しい間でありますし、武藤さんがこう短い時間に一方的にいやがらせを言って済ませようという方でないことはよくわかりますが、しかし、どうも中小企業対策に対する発言はきょうこの席だけで申し上げておるわけではございません。あなたも長いこと何年かにわたって質問もせられておりますし、また非常にいい施策を提示をされて、われわれがそれを実行しておるものもある。それを何にもしておらぬということを前提のようにしてきめつけられておられますが、(武藤委員「いや、そうでもない」と呼ぶ)それは、あなたがいま御発言になっていることをみなやっているのです。(武藤委員「年末金融はやっていないよ」と呼ぶ)みなやっておることを、何かやっておらぬような前提で御発言になることは、あなたのためにどうも私はおかしいと思う。なぜかと言いますと、私たちもそう思っておるのです。自由経済の中で倒れるものはどうにもならぬなどと考えておりません。政府は、当初七%しか成長率を見ておりませんが、小中企業に対しては、設備の改善とか、設備の近代化とか、少なくとも大企業に対しては思い切って設備投資を抑制しなければならないときであっても、一方においては中小企業は設備投資をしなければならぬ、こういう考えで、政府三公庫の資金量は三〇%、相定成長率の四倍も出しておるのです。それだけじゃありません。とにかく各銀行に対しても、中小企業に対して融資をしなさい、もし倒産をするものがあれば、そのメーンバンクはなぜ倒産をせしめたか、倒産をした中小企業だけではなく、倒産をする企業のメーンバンクであった、関係金融機関であったものはなぜいままで貸しておったのだ、なぜ融資を打ち切って倒産に追い込まざるを得なかったのか、これを全部報告を求めておるくらいに手きびしい措置をとっておるのであります。それだけではありません。銀行協会においては、ちゃんと、倒産をしそうなときにはその事実を申し出て、そしてこれを銀行でも十分検討する。ですから、いま大蔵省の銀行行政としては少し手きびしいかもわからぬとさえ考えておる。いままで長いことつき合っておりながら、なぜこのような不正常な経理まで君たちはかまわぬでおいたのか、なぜ是正させなかったのか、どうして一体最終的にここで突き放したのか、明らかにその事実を述べようとさえ金融機関に報告を求め、窓口指導もやっておるのですから、野方図な、自由経済の中で中小企業が倒れてもやむを得ぬなどという考えはごうまつも持っておらぬ。ほんとうに、あなたが述べたいろいろなもの、それ以上のことをいま政府もやっておるという事実は、ひとつこれを認めていただきたい。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 中小企業の問題については、ひとつ要望して、次の問題に入りたいと思います。大蔵大臣は、中小企業金融公庫でかなりの資金手当てをしておると言う。それは確かにしていますよ。何もしてないなどとは言ってない。これから数字を申し上げますが、中小企業金融公庫が本年の九月末までにどのくらい中小企業に貸しているかというと、借りたい借りたいといって来た人に貸しておる率は六一%です。充足率は六一%。あとの人たちは借りられない。その貸した残額合計が二千六百六十七億円です。多いとも少ないとも申しません。ところが開発銀行は、大会社に貸す開発銀行は、本年になって二百十九社に対してだけでも五百六十二億円の金を貸すのですよ。一件当たりの借りる額は非常に大きくなる。しかも八千六百億円の貸し付け残高ですよ。八千六百億円の開発銀行の貸し付け残高と、中小企業金融公庫の二千六百億円の残高とを比較した場合に、私は、中小企業を救済するためには、ここへもっともっと金を出してしかるべきだと思う。ですから、こういう倒産や不渡りが出るときには、急遽その窓口でだだっと解決するような本腰を入れた努力をしないというところに非常な不満があるわけです。すみやかにこの点については検討してしかるべきではないか。強く要望をしておきます。  次に、投資信託の償還期限が明年に迫ってきました。大臣も御承知のように、投資信託はすでに昭和三十四年に――他の各大臣の質問の時間がなくなりましたので、失礼ですが、お帰りになってけっこうです。あとの質問ができなくなりました。投資信託の元本割れの問題でありますが、これもたいへんな、日本の資本主義のかなめとも言うべき金融市場に大きな問題を提起しております。前二回にわたって償還期限を延期いたしましたが、そのときには非常に経済情勢に恵まれていて、一年償還を延期したそのときが好景気で、株の値が上がっておった。ですから、投資家はさほどの被害を受けなかった。今度は、明年償還のものを一年繰り延べたとしても、日本の経済が一年後に過去のような好況に恵まれ、株のダウ平均が上がるという見込みはちょっとむずかしい。投資信託というものは五千円一口で、しかも家庭の主婦に、専門家が株に運用するのですから、大蔵省が設定額を許可しているのですから、これは一番確実な利殖法ですよ、こう言って売り込んだわけであります。そういう方法で集めた投資信託が元本を割るに至っては、五千円がひどいのは三千二百円、こういう状態では、大臣が分離課税をやって証券界に有利にしてやろう、ちょっぴり空気を上昇させようとしても、焼け石に水であります。こういうような事態に到来をしておるときに、一体、貯蓄をしろしろなどと言ったって、貯金をした元本が、元金がなくなっていってしまうのではなかなか両建は困難です。大臣は、こういういまの証券市場あるいは資本調達市場の状態を一体どういう方法で投資家に被害を少なくしようとするのか。予防医学の上からもこれは直ちにやらなければいかぬ。いまから予防しないと、償還の期限が来てからでは間に合いませんよ。この点についてひとつ大臣のしっかりした方針を承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・通商産業大臣臨時代理

○田中国務大臣 まだ一年間の期限延長の申し出はございませんが、市況その他委託会社の運用の状況等十分見ながら慎重に対処しなければならないと思います。  第二の資本市場の問題については、この間私はここで申し上げました。資本市場の強化ということは、ほんとうに私は焦眉の急だと考えておるのであります。特に、中期経済見通しでも八・一%の実質成長率を必要とする、そうしなければひずみの解消さえもできないのだ、また国際収支の安定もなく、物価の抑制もできないのだ、こういうことでございますが、この資本をただいままでのような金融にのみ重点を置いてということになれば、日銀信用はますます膨張して、とても、オーバーローンの解消などは思いもよらないことだと思います。もちろん金融の正常化などはでき得ようはずはないのであります。特に、戦前六一%の自己資本比率が現在二三%という全く世にない状態になっておって、しかも、その状態でありながら、市場には過剰資本がある、過剰株式があって共同証券をして買い上げしめなければならぬというような状態は、はなはだ遺憾であります。私は、この間も申し上げたとおりに、これは、結局戦後十七、八年間、まあ率直に言いますと、二十五、六年ごろに日銀信用で一つの成長が伸びた場合がございます。これは朝鮮事件当時でございます。その後二回、三回にわたって日本の経済が今日になったわけでありまして、日銀信用でもって大きくなったら、そのちょっとした安定した時期に、もっと証券市場や公社債市場というものを育成強化して、そういうものに肩がわりをしながらバランスをとって第二のまた飛躍をする、こういうことであればよかったのでありますが、そのしわを今日まで寄せてきている。今日、オーバーローンの解消をやれ、オーバーボローイングの解消をやれ、金融の正常化をはかろう、こう言っても、これはもうできないことでありまして、資本市場の育成強化によってのみ金融の正常化もできる、こういうことでございます。でありますので、証券市場の育成強化、直接資本市場の育成強化策に対しては、あらゆる角度から検討というよりも実施してまいりたい、こう考えます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 これ一問で終わります。  いま大臣が答弁をしてもわかりますように、中小企業の問題、証券の問題、日本銀行の貸し出し過多の問題、この三つは日本自由主義経済の端的な欠陥があらわれてきたわけでしょう。ですから、これはひずみ是正なんということでは解決できぬのですよ。しかるに、政府は、その姿勢、国民に与える心理、そういうものの反省が足りない。池田路線の踏襲、国民は、池田路線の踏襲といえば、いままでやってきたことをそのまま続ければいいと思っていますよ。国民自体の気持ちはそうです。これでは今日の状態に対処する適切な態度とは言えない。  特に、私が最後に大臣に直接耳にとどめてもらって、今後の慎重な政策を期待する点は、通貨の問題でございます。いま日本銀行券がどのくらい発行されているかということを一目見ますと、池田さんが総理になる昭和三十五年の前のすなわち昭和三十四年には、日本銀行券は、八千七百六十六億円であった。それが、池田さんが総理をやっておる間の五年間に、何と二倍の一兆八千三百六十一億円。オーバーローンはどうかというならば、これはそれにさらに拍車をかけ、三十四年に四千二百五十六億円であったものが、本年九月には一兆四千百八億円、三・三倍に日銀の貸し出しがふえたのであります。これらの問題をめぐって、今日の物価が騰貴するのは、労働者の賃金が上がるからではない、農民の生産物の値が上がるからではない、一番基本は、日本銀行の操作が誤っておる、通貨が誤っておる、私はそう思います。これらの点については、大蔵大臣は日本銀行券の発行限度額をきめる力を持っておる。あなたの責任です。今後あなたは、池田路線を踏襲するなどという甘っちょろい考え方では日本の今日の金融、経済情勢を解決することができないことを強くあなたのお耳に入れて、今後の決意のほどを私は促したいと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて武藤君の質疑は終了いたしました。  続いて、川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 国民の権利あるいは自由の保障、基本的な人権の保障の問題につきましては、先ほど憲法論についてやってまいったのでありますが、あと各大臣に対して具体的な問題でお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  先ほどの答弁で、基本的な人権というもの、そして権利あるいは自由、これは本来持っておるわけであります。また政府も保障すべきでありますけれども、現在の適用上、施政権にはばまれてその責任を遂行できないという立場に現在あるわけであります。  そこで、大臣の都合によって農林大臣に一番最初にお尋ねしてまいりたいと思いますけれども、そうした生存権あるいは社会権というものは当然に保障されるべきであります。そういう立場からいたしますならば、憲法二十五条の最低生活を保障するという条文というものに基づいております。またそれを含んでおります農業基本法、これらのものも本来ならば当然に沖繩に適用されるべきであるけれども、現実には適用できておらない、こういう立場にあるわけであります。そういたしますならば、現在問題になっておりますサトウキビの問題にいたしましても、本来ならば本土内の農民と同様に取り扱うべきであるけれども、法律の構成上は沖繩産糖買入法ということで別個の法体系になっておるわけであります。そこで、沖繩の経済が基地収入と糖業の収入、この二つを柱にしておりますことは、私が申し上げるまでもないところであろうと思います。そこで、沖繩の農民を含んで、粗糖の自由化のために今日甘味資源関係の農家というものが極度の不安におとしいれられておるわけでありますけれども、その点について、甘味資源安定の長期計画というものをまずお示しいただきたいと思うのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 甘味資源の長期計画につきましては、いま法律ができましたから検討中でございますが、もし素案でありましたら事務当局から答弁いたさせます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 検討中で、具体的には待ってくれということでありますが、それでは、沖繩の第一次産業というのは、統計をとってみますならば、産業別の国民所得において一七・六%、それから就業者別にとってみますならば四二%、こういう比率になっておるわけであります。キビ作農家が五万八千戸、それは沖繩全農家の七三%に及んでおるわけでありますが、今日糖価が下落をしておる中で沖繩の産糖を買い上げない、こういう決定をいたしておるようでありますが、その理由を明確にしていただきたいのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 いまお話しのように、沖繩におけるサトウキビの生産が沖繩の農家経済に占める重要な地位、それと同時に沖繩産糖の本土への輸出事情にがんがみまして、砂糖の価格の著しい低落を見ておりまするときに、これを放置いたしますならば、沖繩の製糖事業の継続が困難となり、サトウキビの生産農家の経営の改善と所得の安定に支障を来たすと認められる場合には、いまお話しのように、甘味資源特別措置法による国内産糖の買い入れに準じて、沖繩産糖の政府買い入れに関する特別措置法に基づいて政府の買い入れができることとなっております。その買い入れ価格でございますが、甘味法による国内産糖の買い入れ価格、沖繩におけるサトウキビの生産事情、砂糖の製造事情等をしんしゃくして定めるということになっております。そこで、いま沖繩の産糖の買い入れをしないということではございません。いま、こういうわけで、沖繩産糖の政府買い入れにつきましては現存のところ買い入れを行なうべきかどうか、また、その際の買い入れ価格等について折衝、検討中でございます。いずれにいたしましても、沖繩産糖の政府買い入れに関する特別措置法の趣旨にのっとりまして、国内産糖の取り扱いと均衡を失することのないよう買い入れをする方向で検討しておるという段階でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 時間の関係がありますので、それ以上の追及は別の機会に譲りたいと思いますが、いずれにしましても、基地経済からの脱却ということは、先般の佐藤総理の答弁におきましても、あるいは本会議等におきます答弁にいたしましても、そうした方向が将来の問題だということで特に力を入れよう、予算の措置もしよう、こういうことでありますので、ただ単に事務的な段階での数字のはじき方によって糖価の安定価格をどこに置くか、こういう事務的な計算の問題もございますが、いま農林大臣が答弁をされましたように、また、今日置かれております沖繩の特殊性、そういうものからいたしまして、ぜひ沖繩農家の生活安定、そういう立場でこの問題を処理していただきますことをお願いいたして、農林大臣には終わりたいと思います。  次に、厚生大臣にお尋ねいたします。  先ほど質疑いたしましたように、憲法の問題でありますが、本来沖繩県民の諸君が日本国民として持っております基本的な権利、こういうものは明確であります。そういたしますならば、権利と自由の保障、このことについての政府の責任というものも明確であるが、それが現在はばまれている、こういう状態にありますので、それだけに、特に日本国憲法の中でも大きな地位を占めております憲法二十五条による、生活を守り、社会保障制度を確立していく、こうした権利については、特に政府としても責任があると思うのであります。昭和二十年、敗戦に至りますまでの社会保障、社会保険関係、そうした法律というものは米軍占領の後におきましても効力を持っておるのでありますが、それ以後本土側と切り離されておるために、今日沖繩の県民諸君には社会保障制度というものが全くないというのにひとしい状態に置かれておるわけでありますが、昭和二十年を境にしました沖繩の社会保障関係の法体系というものと、日本の本土の憲法二十五条に基づいております社会保障の体系というものを明らかにしていただきたいと思うのであります。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 お答えいたします。  沖繩が現に置かれておる地位につきましては、お述べになったとおりでございまして、したがいまして、社会保障制度の体系も十分でないということにつきましても、全くそのとおりでございます。現在、沖繩におきましては、生活保護法あるいは身体障害者福祉法、児童福祉法のいわゆる福祉三法と申しますか、それから結核予防法、精神衛生法のほか、失業保険法及び労働者災害補償保険法が施行されておりまして、制度としてはおおむね本土と同様になっておりますが、その他の社会保障制度、たとえば内地で重大な地位を占めております医療保険等の社会保障制度及び老人福祉法あるいは社会福祉面においてまだ立法措置をとられていない分野が相当多いようであります。また、すでに実施されておる諸制度につきましても、琉球政府の財政上の制約もありまして、本土のこれと比べた場合、おおむね十分じゃない、こういうことが言えるんじゃないかと思っております。  以上のとおりでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 法体系上の大ざっぱな答弁があったわけでありますが、憲法第二十五条によりますと、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、こういうふうになっておるわけであります。そこで、憲法はへこまされておるのでありますが、そうした国民が持っておる、つまり日本国民として持っております生存権あるいは社会権、こうしたものについて、沖繩県民の諸君が憲法違反として要求をしたならば、そのことに対して政府はいかに答えるべきであるか、お尋ねします。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 これは先ほどお答えしたことと関係がございますので、私からお答えさしていただきます。  先ほども申し上げましたように、現在沖繩は、平和条約の三条によりまして、立法、司法、行政の三権はアメリカ合衆国が持っておる。そこで、潜在主権という名前からもおわかりいただけますように、憲法がなまに働くということは、これは遺憾ながらその姿にはなっておらない。むろん、向こうの施政権がなくなれば、これはもう当然に無条件に日本国憲法がそのまま妥当するようになるということは明確でございますが、それまでは二十五条がなまに働いておるということは言えないと思うのです。しかし、そうだからといって、それじゃ沖繩の住民というものは一切基本的人権がないのかといえば、これはもう釈迦に説法みたいなもので、基本的人権というものの性格から言って、実定法の根拠を待つまでもなくあると言われるぐらいのものでございますから、むろんそういう保障はアメリカ当局においてもしかるべくやっておると思いますが、そういうわけでございますので、日本政府に対して二十五条を根拠として言ってくるということ自身が、そういう関係が生じないという意味で話は別になる、こういうことになります。むろん、先ほども申し上げましたように、日本国の国民としてあるわけでございますから、この処遇について重大な関心を持つことは当然でございますが、そういう憲法上の関係として規律されている関係ではない、こういうわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 この問題につきましては、いずれ具体的な憲法問題として争う問題が出てまいると思いますので、それは具体的に争ってまいりたいと思います。  そこで、時間もたいへん制約をされておりますので、次に文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。憲法二十六条では、教育を受ける権利、教育の義務というものが明確に規定をされておるわけでああります。この憲法の精神にのっとって教育基本法が制定をされておるわけであります。そこで、教育基本法というのは、本来同じ日本国民であります沖繩県民でございますので、教育基本法が本来ならばそのまま適用されるべきじゃないか、こう思うのでありますが、その点はいかがでありますか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 法律関係につきましては、法制局長官からお答えいたします。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 実はいま申し上げたことをそのまま繰り返すようなかっこうになりますが、それは省きまして、二十六条の関係も二十五条と同じように解すべきであるということだけ申し上げさしていただきます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 沖繩における沖繩教育基本法というものの制定過程については、文部大臣もよく御存じだろうと思います。この法案についてはかつて本会議で私が質問をしたこともございますが、この沖繩教育基本法というのは、高等弁務官側が繰り返し拒否をしたにもかかわらず、ねばり強い県民の戦いによってかちとってまいりましたきわめて貴重な法律でございます。そういう意味では、沖繩教育基本法は沖繩県民諸君の復帰への熱願をこめた血のにじんでおるような法律であるわけでありますが、その中で、日本国民としての教育、つまり本土と同じ国民としての教育をやっていくのだという大願望をうたっておる法律でございます。  そこで、具体的にお尋ねをいたしたいことは、そうした日本国民としての教育を熱願をいたしておるのでございますが、現在アメリカの施政権下あるためにそのことが行ない得ない、こういう状態にありますし、沖繩戦の激しさにより戦災で完全に焦土と化しておる中で教育の立て直しをやっております。私は、総理に質問をいたします最初に申し上げましたように、本土側からの国会議員としては初めてであると思いますが、本島の北部にあります安波、あるいは楚州、安田という、ほんとうの僻地の学校にもまいりまして、その実態も見てまいり、現場の教師諸君の悩みも聞いてまいったのであります。ところが、そうした純粋の僻地校だけではなくて、沖繩全体をとってみまして、児童、生徒一人当たりの教育費というのは本土の六〇%であり、また、校舎設備にいたしましても、一人当たりの面積においては六〇%である。そのほか、一般の設備にいたしましても文部省基準の一二・三%以下にある。また、特殊教育の実態においては本土の三分の一である。そして、さらに、そうした条件の中でがんばっております教師自身も、本土の教師と比較いたしますと、基本給において本土の八〇%、しかし、諸手当なり物価高なりを入れますならば、実質的には六割、こういう状態の中でがばっておるわけであります。  そこで、お尋ねいたしたいことは、こうした熱願をこめて、憲法の中にうたわれております日本国民としてのそうした教育をやろうと努力をいたしておるわけでありますが、本土側と同じ基準で、いま私が申し上げましたそういう条件を整備するという観点に立ちますならば、年間幾ら補助すべきでありますか。つまり、本土の法律がそのまま適用されるとするならば、年間幾ら補助されるべきであるか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 そういう角度から具体的な数字を申し上げる用意をいたしておらないのでありますが、ただいまお述べになりましたことにつきましては私も御同感でございまして、一般的に言って、沖繩における教育水準を本土と同等にしたい。そういう観点から申しますと、一部ではございますが、たとえば学校施設が鉄筋化が進んでいるというような点でよいところもございますけれども、しかし、たとえば教職員の問題につましては、ただいまも指摘がありましたように、あれだけの大戦禍を受けたあとでございますから、年令構成等において、本土とは比較にならないような条件下にございます。そこで、教職員の養成といいますか、資質の向上ということが第一の問題であります。それから、学校の設備、備品等の物的諸条件の分野においてもたいへん立ちおくれておるわけでありますが、幸い、昭和二十七年度以降におきましては、日本とアメリカと琉球と三者の間の協力がたいへんぐあいよくなってまいりましたので、これをたとえば昭和三十九年度について二、三の例を申し上げますならば、これは詳しい数字も用意しておりますけれども、沖繩における教育水準を高めるために琉球政府が主催する夏の認定講習会、あるいは改訂教育課程講習会というものがございますが、これに対して日本側からりっぱな講師を派遣いたしております。また、小・中学校、高等学校教員の沖繩から本土にまいりまして研修することも盛んになってまいりましたが、三十九年度においても相当十分の施設を拡充いたしたわけでございます。それから、一方におきましては、沖繩学生が本土の大学に勉強にまいりますが、これらにつきましても、国費あるいは自費の場合とも、日本側といたしましても相当の援助をすることになっております。これは育英奨学制度の拡充というような項で処理ができておるわけであります。それから、さらに、小学校全児童に対する教科書購入費の援助、それから、さらには、昭和四十年度の四月に入学する中学校の生徒に対しましては、全学年、三年までの教科書購入費に対しましては所要額の三分の一を援助することを実施することにいたしたわけであります。こういったような意味合いで、先ほども御指摘がありましたが、たとえば現状で申しますと、本土側のたとえば生徒児一人当たりの学校の施設の坪数でありますとか、あるいは教員一人当りの児童生徒数でありますとかいったような点については明らかに差別が相当ございます。この格差を早急に是正していかなければならないという考え方で、実は四十年度におきましてはかなりな予算の計上ができておるつもりでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 一つ一つ議論しようにも、もう時間がございませんので、ただ一つだけ指摘をいたしておきたいと思いますことは、鉄筋化が進んでおるということをたいへん得意そうに言っておられますが、これは、私たち現地に行ってまいりました場合にも、民政府の諸君は得意になって、鉄筋化されておるのを見てくれ、こう言っております。しかし、これは大きな都市部だけの問題でありまして、これ見よがしにやっておるにすぎないのであって、実際中に入りますならば、道路にいたしましても、軍用地を通っております道路はきわめてりっぱであります。しかし、それを一歩はずれたならばたいへんな道路である。そういう実態を、なまの実態についてはひとつ目をおわずに見てもらいたい、このことを要望しておきたいと思います。  それから、理科の器材でありますが、二十七年以降日米間の円滑なあれによって進められておる、こう言っておりますが、しかし、これは私たちはワトソン高等弁務官にも要望いたしてまいりましたし、検討を約束させてまいりましたが、各学校に六百ドルの理科器材をアメリカ側が送っております。ところが、この理科器材が、ドル防衛の立場からアメリカの産品であります。単位が違う。ヤード、ポンドで、単位が違うわけであります。日本の教科書と違っておりますので、六百ドルのうちほんとうに使いものになるのは五、六十ドル程度しかない。これはどの学校でも訴えております。そこで、この点につきましては、今後日本政府としましても、日米協議委員会なり日米琉技術委員会なりの中で技術的に検討できる問題でありますので、どうかこの点については、責任者である臼井総務長官のほうにおきましても、私たちもワトソン高等弁務官に具体的に提起をいたしておりますので、この問題についてもひとつ早急に解決してもらいますことをお願いをしたいと思います。その点についての総務長官の見解を伺いたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 ただいま御希望のように、できるだけそういう方向で努力いたしたいと考えます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 総務長官にお尋ねいたしますが、先ほど農林大臣にもお尋ねをいたしましたように、沖繩の経済は基地収入と糖業収入が二本の柱であります。そういう中で基地経済から脱却してまいるためには、当然沖繩経済振興の特別の措置が必要だと思います。さらに、先ほど米憲法論議をいたしてりおますように、これは国民に対するものでありますから、援助という性格のものではなくて、当然に国庫支出という形のものにならなければならないと思うわけであります。米軍側がアメリカの予算において沖繩援助費という形で計上されておりますその性格については、当然日本側の場合には変えていくべきじゃないか。その点について、援助の性格の問題が一つと、それから、奄美大島が復帰をいたしました場合に、奄美大島の復興特別措置法、こういう法律のもとにこの奄美大島の復興がはかられてまいったわけでありますが、そうした沖繩経済の振興特別措置、こういうものについて具体的な計画を準備する用意があるのかどうか、二点についてお尋ねいたしたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 いまお尋ねの沖繩に対するいわゆる援助でございますが、この点につきましては、単なる普通の援助という、そういう技術と経済的な援助をすればということでなく、やはり日本に返還された際にスムースに日本に復帰できるような、沖繩と内地の相当県とのバランスも考えまして復帰できるように、いまから日本の国としても考えておきたい、こういう考慮のもとでございます。  それから、計画的な将来の産業の発展でございますが、そういうものにつきましても、先日、日米協議委員会のほうにも、私のほうからも一年一年の各項目を取り上げてのものでなく、もう少し長期にわたって計画的に沖繩のほうに援助ができるように、こういうことで実は申し入れもいたしまして、具体的の案が少しまとまってくれば、さらに内容も小委員会でもつくってひとつ話していきたい、こう考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 総務長官が八月二十九日立法院にまいりまして、立法院議員の諸君と懇談会をいたしておるのでありますが、これは前にも新聞で見たことでありますし、また、その立法院議員の諸君との懇談の際の速記録を読んでみましても、たいへん問題になると思いますことは、今度の戦争で国民が大きな自由を得た、その自由を長く守っていきたいのだ、それは沖繩の犠牲の上に立っておる、こういう点については明確に言っておるわけであります。そこで、そうした大きな自由というものを守っていくために、沖繩の犠牲というものは、またアメリカの軍事支配というものはやむを得ぬのだ、こういう形に読み取れる長官の発言なんであります。といたしますならば、百万県民の犠牲の上で日本があがない得た自由というものを守っていきたいのだ、そういうふうに解釈をしてよろしいですか。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 私の申しましたのは、アメリカがあそこに基地を設けているのは、自由世界の安全の保障のためにあそこに基地を設けておるのである、この点については日本もやはり安保条約の精神から言っても現在同様の考え方に立っている、そこで、それがために、沖繩の県民が基地があるがためにいろいろの迷惑も自由の制限もされている、迷惑も受けていることは事実でありますので、その点についてわれわれとしても相当考慮をしなければいかぬだろう、こういう意味において申したわけであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 最後に一点。この点は議論をしてもまだ尽きない議論でありまして、これはまたあらためてやりますが、最後に、先ほど、沖繩の復興あるいはそうした長期の展望、そういう意味から見てもいろいろと施策をやっていくのだ、こういうことでありますが、今日那覇市にあります南方連絡事務所というのは、実は私たち行ってこの南方連絡事務所の機能を見てみますと、きわめて不十分であるし、こういう状態ではだめだと思うのです。たとえば日本側からの援助の消化云云、こういう議論等もありますが、この消化力の問題についてもいずれあらためて質疑をいたしたいと思いますけれども、そうした点から見ましても、今日の南方連絡事務所というものはきわめて中途はんぱな、文字どおり単なる連絡の事務所であって、本土側の責任を持った機関として、たとえば沖繩の県民諸君が渡航する場合に沖繩住民としての渡航証明書が出ておるわけでありますが、そうした点についても、この南方連絡事務所がもう少し組織を強化をされ、権限を与えられ、また日本国民としての渡航証明書が出されていく、そういうふうな方向に発展をさせるべきだと思います。その点についての長官の方針を伺いたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 その点につきましても、私どももできるだけ南連を充実していきたいということは考えておるわけでありますが、ただ、何ぶんにも、施政権がアメリカ側にございますので、そこで、その一つとして、先般来南方連絡事務所長が公使としての資格をたしか持っているはずです。そこで、民政府、高等弁務官、アメリカ側の民政官ともそういう関係である程度話し合い得る、こういう方向で、できるだけ沖繩の県民の福祉、便宜、渡航の上においてもできるだけ便宜等をはかる、そういう点についてはある程度話し合いができるように、これはあまり深くは実は外交関係のルートでないとなかなかできないのでございますが、公使の資格としてある程度できるような方向でやっております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 いまの総務長官の答弁で、公使の資格と言っておられますが、これは実際にはただ単に公使の称号だけであって、外交官としてのものは何らない。その点だけをひとつ指摘をしておいて、終わりたいと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。  次会は明四日午前十時より開会することといたします。  明日の午前の質疑者は玉置一徳君、午後の質疑者は滝井義高君及び芳賀貢君であります。  玉置君の出席要求大臣は、外務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林大臣、通産大臣、運輸大臣及び労働大臣であります。滝井君の出席要求大臣は、大蔵大臣、厚生大臣、労働大臣、通産大臣、文部大臣、自治大臣及び経済企画庁長官であります。芳賀君の出席要求大臣は、大蔵大臣、文部大臣、農林大臣及び労働大臣であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会

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