予算委員会 第4号
- 発言数
- 291 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1964/12/02
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 春日一幸君。
○春日委員 私は、この国会が開会されまして以来、佐藤総理の御発言を注意深く拝聴いたしてまいったのでありますが、しかしながら、それには何かしら一国の内閣総理大臣として厳然として貫くものが見受けられないことをはなはだ遺憾に存ずるものでございます。しかしながら、私はこのことについては、あるいは総理が民生政治の中において、民主政治は議会政治、議会政治は政党政治であるが、この与党の自民党の中において、いまだ何らの責任的立場に立たれていなかったことに理由があるのではないかと拝察をいたしておりました。さりながら、総理は昨日の自民党の大会において総裁として御選任を受けられたのでございますから、いまや総理、総裁として、ことごとくの資格条件を完備されたと思うのでございます。 そこで、私はまず最初に、この政局に対処される総理の信念、御決意、これについてお伺いをいたしたいと思うのでございます。 私は、一つの参考として申し述べるのでありますが、昨年イギリスの労働党において、あの若きウイルソンがその党首に就任されますとき、老アトリーが、一党の党首たる者の資格として三つの条件を示して教訓を与えたことが伝えられております。その一つは、まず党首たる者は、時の流れに沿って、そうして大きな洞察力を持つこと。それから第二には、事があらば、その事と直ちに取り組むこと。第三には、人事を間違いなくかつうまくやること。これであります。私は、総理はかねがね宰相の道を志されまして長い間精進されてまいったのでございますから、当然あなたの抱負経綸というものはすでに胆斗のごときものがあるはずであると思うのでございます。なお、私どもはあなたの抱負経綸についてはいままでしばしば漏れ承ってまいったのでございます。 この際、私はあらためてお伺いをいたしたいことは、すなわち、総理はこのような国の内外多事多端のおりから、国政の大事に対処してどのような決意をもってそのことに当たらんとされるものであるか、まずその信念のほどを国民の前に明らかにされたいと思うのであります。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。私は昨日自民党の総裁にもなりました。また三週間余にわたってもう総理でもございます。ただいま春日さんからたいへん御理解のあるおことばをいただいておりますが、私が政治と取り組んでまいります場合に、もちろん自民党の総裁、あるいは政党政治のあり方から、与党から選ばれた総理、あるいはまた国会で信任を得た総理、こういう立場、いろいろな立場がございますが、その前に私政治家としてかくありたい、かように思いますことは、ぜひりっぱな日本人としてどこまでも行動していくことが望ましいのではないだろうか、私どもはもちろん政党、その立場において政策も皆さま方に約束しておりますし、またそれが社会党と対決する場でもあります。また民主社会党の諸君ともその政策で争う場合もありますが、私は、どうしたらりっぱな日本人になれるのか、そこに政治の基調を置きたい。このことは私が所信表明において申し上げた、青年諸君に対して希望を述べておる、その一語にあるのでありまして、りっぱな日本人になること、同時に世界市民として恥ずかしくない人間になってほしい、こういうことを申しております。これはひとり青少年に対する私の希望ばかりではございません。これは政治家として当然かくあるべきではないか、かように私は思って政局と取り組み、その難局の打開に努力してまいるつもりでございます。
○春日委員 私がこの機会に特に強調して総理に御銘記を願いたいことは、それは、総理は自民党議員諸氏の御支持によってわが国内閣首班の地位を占められたのでありまするが、しかし、内閣総理大臣になられたその後においては、これはもはや自民党の内閣総理大臣ではなくして、日本国の、日本国民の内閣総理大臣であるということを特に心の中に御銘記を願わなければならぬと存ずるのでございます。なるほど後任人事の選考の過程におきましては、自民党の内部において、それは池田路線を受け継がれる人たることが一個の要件になっておったようではございまするけれども、このことは明らかに自民党内部の問題でございまして、これは、国民の大多数の者は少なくとも関与していない、関知していない事柄であると思うのでございます。 私は、この際、さらに突っ込んで明確に願っておきたいと思いますることは、いままで佐藤路線がこうであるとか、池田路線がこうであるとかいうようなことが取りざたされておりましたが、今後政局に対処される佐藤総理の決意というものは、日本国の総理大臣としてその国政の大事に当たられるものであるのか、それとも自民党の党員として党議に縛られて、その党議のワクの中において、党務執行の形でその総理の職務に当たられるものであるか、この点は国民の前にあなたの決意のほどを明らかにしていただきたいと思います。もとより政党政治の中において、党に籍を持つ者が党の政策、方針に拘束を受けるごとは、これは当然のことであると思う。けれども党首たる者は、綸言汗のごときものと申しまして、やはりそこには不羈奔放であっては相なりませんけれども、一歩先んじた何かそこに指導性がなければならぬと思う。党の決定がこうであるから、これに従ってこれをやるんだというようなことであっては、私は日本国の総理大臣としてこのような大いなる難事に立ち向かうだけの資格条件を欠くことになるのではないかとおもんばかるのでございます。この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま春日委員の御指摘になりますように、政局を担当する者の責任、これはまことに重大であります。私は今日まで自主平和外交を積極的に展開する、こういうこともお約束いたしました。これは申すまでもなく、日本の利益、ナショナル・インタレストを代表するということがその根幹になっておるのであります。どこまでも総理として全体の責任をとるつもりでありますし、また民主社会党や社会党の方々に対しましても、党首会談あるいは話し合いの政治を申しておりますのも、これは責任の一半を分担していただきたい、こういう意味ではございません。ものによっては責任もとってもらいたいが、とりたくない、こういうお話もあるでしょう。しかしながら、全体として話し合いをし、そうして調和を遂げて国政を進めていこう、こういうことはただいまの春日さんのお話と同じ気持ちであります。私は昨日町村長会議にまいりまして、その席で佐藤内閣総理大臣の万歳を三唱されまして、ほんとうに感激しておりましたが、おそらく町村長の中には社会党の方もあるいは民主社会党の方もいらっしゃったと思うのです。確かに壇上にはそういう顔ぶれも見たのでありますが、それらの方から一緒になって万歳を三唱していただいて、私はやはり総理大臣というものはこういうところで国を代表しているのだ、そういう意味の御声援を受けているのだ、だからそういう意味で、いいことはいい、悪いことは悪いで御叱声は受けるだろうが、同時にそういう意味の御声援を得ている、かように思いますので、その点に立って政治を運営してまいります。
○春日委員 問題は、わが国が当面いたしておりまするこの内外の諸情勢の中に対処して、国の安全と国民の福祉の増大のためにわが国の政策はいかにあるべきか、私は問題の集約点はここにあると思うのでございます。なるほど池田路線もあり、あるいは佐藤路線もあり、自民党の政策もさまざまあるではございましょうし、あるいは後任首班指名の過程においてさまざまな条件等があったではございましょうけれども、私は特に御銘記を願いたいことは、レーニンですら、真理は条件つきで可動的なものであると言っておる。真理ですらそうでありまするのに、政策や政治方針というようなものは、これは流動する情勢の変異に応じて、これが転換するというようなことはあって当然のことだと思うのでございます。私は去る七月総裁選挙のときに、あなたが池田政策に対してまっこうからこれを批判をなさいました。しこうしてまた、その批判をされたことと現在の立場とはどうであるかという質問に答えられまして、これは党内民主主義の立場において、党内において論議を戦わすことは何らとがめを受けるべき筋合いのものではないとあなたは釈明をされました。私はこの点においては、すなわち池田政策に対して批判をされたその論旨、それから党内言論の自由であるという民主主義体制のもとにおける政治家の言動、こういうもの、は私は佐藤さんの述べられておるところとおおむね同感でございます。けれども、私が申し上げたいことは、初心忘るべからずということでございます。すなわち、四カ月前、あなたが日本国のためにはかくあらなければならぬと掲げられたその抱負経綸というものは、そんなに急に転変していいという筋合いのものではございません。その後いろいろな変化があったではございましょうけれども、あなたは当初の志を遂げられて、ここにいまやわが国政を担当するその出発点に立たれておるのでございます。ですから私は、あなたが厳然としてみずからの信ずるところ、かつて天下に向かってみずからの抱負経綸として明らかにされたところ、これを貫いて国政に臨まれるべきではないか、こういうことでございます。あなたのそのような御主張や方針を国会が支持するか支持しないか、それは今後のことではございませんか。やってみなければわからないことではございませんか。あなたの厳然たる信念に基づいてそれぞれの政策を打ち出されて、国会がそれを支持すればこれは政治家としてまことに本懐ではございませんか。私は、もしそれ国会があなたの主張や方針を排撃したり反対するというようなときがあるならば、そのときこそ政治家的信条に燃えて、闘志闘魂を燃やしてその反対者と戦っていく、これが私は政治家の真骨頂ではないかと思うが、総理の御信念はいかがでありましょうか。
○佐藤国務大臣 お説のようなことも考えますが、いま現実の問題として政治と取り組んでまいりますと、私自身は初心忘るべからずで、私の政策は厳然と持っております。しかし、その政策を具現化していく、それはやはり実情に即してやらなければなりません。今日現状において池田路線で経済も動き政治も動いてきております。これは急激に変わるものとは思いません。また、これを急激に急変することが望ましいことだとは私は思いません。だから、問題はそこにあるので、ただ春日さんの言われるように、私はもう何もかも妥協しておる、こういう筋ではございません。私は、はっきりした私の政治路線を持っておりますが、ただいまの状況下においてそれをいかに具現していくかということを考えておるだけであります。
○春日委員 総理の所信表明以来特にアクセントを置かれておりますのは、例の寛容と調和ということばでございます。けれども、由来寛容とか調和というようなものは、言うならば寛容の精神をもって調和をはかっていくということは、問題が煮詰まってきて、これを収拾、収束せしめるようなときに、手段として、心がまえとしてとるべきことばであって、またかまえであって、初めから寛容、初めから調和というのはおかしいじゃございませんか。私は民主主義の基本的なあり方というものは、まず初めにみずからの信ずるところをあらわに、なまで、厳然として天下にこれを公示していく、そういうことでなければならぬと思う。初めから調和する、初めから寛容でいく、相手に反発も賛成もあるかないかわからぬときに、調和をはかっていくとか寛容でいくとかいうようなことは、私はおかしいではないかと思う、民主政治はみずから信ずるところを厳然として主張していって、反対論とともにみずからの意見を戦わして、十分話が煮詰まったところで、多数決の倫理によって事を決していくという、そのときの決し方に調和があってしかるべきだ、寛容の心があってしかるべきだと思う。初めから何にも言わない先に、相手の心が何であるかもわからない先に、いきなり調和、初めから寛容、何たることでありますか。あなたの郷党の先輩の伊藤博文、あるいは山縣有朋、あるいは寺内正毅、こういう方が一国の宰相としてどのような国難に対処してきたか、国政万事の心がまえをどこに置いたか、そのことをあなたがよく考えられるならば、いきなり初めから調和でいくのだ、いきなり初めから寛容でいくのだ、こんなような形ではなく、党内に向かっても党外に向かっても、あなたが政治家的信条を貫いて、そうして信を国民に問うていく、こういうような態勢で政治に取り組んでいただくのでなければ、私はいま国内外に山積する問題をあなたがほんとうに消化していくことができるかどうか、国家と国民のためにまことに不安にたえないので、この点についてもう一ぺん腹の底からあなたの決意を述べていただきたいと思います。(「そうだ」「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)
○佐藤国務大臣 私はどこまでも民主主義、民主政治を育て上げていく、その基盤に立っておるということを申しました。ただいまお話があり、また社会党の諸君からそうだ、そうだと言われている。それがいかにも何かリーダーシップをとれとか、あるいは上からその主張をはっきり押しつけろ、こういうようにとれますが、私はそういう力の政治はとりたくないのであります。これは民主政治、民主主義の当然のあり方ではないかと思うのであります。意見を発表しないからわからないのだ、寛容と忍耐、寛容と調和、それがどこかわからないじゃないかと言われますが、民衆とともに、国民とともに歩む政治、国民とともに進めていく政治は、ただいま言われるようなものではございません。この民主主義のもとにおいて一番大事なことは、民主政治のもとにおけるリーダーシップというものはいかにして形成されるか、こういう点にあると思います。この点は、まさか春日さんのいまの御意見が全部春日さんの真意でもないだろうと思いますが、どうか民主主義下におけるリーダーシップはいかにあるべきか、こういう点を十分考えていただきたい、私はかように思います。
○春日委員 私は内政外交にまたがって、多くの問題の疑義をたださなければなりませんので、この政治姿勢の問題だけに時間を費やすことができません。けれども、私が申し上げたことが私の真意ではあるまいなどとおっしゃってはまことに迷惑でございます。私は真意に基づいてこの重要なる場所においてこの質問を行なっておるのでございまして、すなわち政治家の信念、これはもう政治家の生命なんです。信念に基づいて行動していく。われわれはかつて、あのサンフランシスコ講和条約に社会党の諸君とともに志を異にいたしまして、当時社会党を二つに分けました。あるいは国民政党論、階級政党論等によって政治信条を異にして、ここにわれわれは困難な道を歩んでこの民社党を結成しておるのである。われわれは政治信念に基づいて行動するにあらざれば、政治家の真骨頂いずくにかある。私はこの点についてほんとうにあなたの反省を求めたい。なるほど調和も大事です。たいへんこれは大事です。けれども、初めから寛容と言って、自分でかくあるべしと抱負経綸を持ちながら、天下に向かって、おれがこの地位を占めたらこのことをやると言って公約しながら――私は、いまあなたが何を言われたかということは、六月二十四日、七月四日、全部ここに持ってきておるけれども、いまそのようなことをことあげしてどうこう申し上げておるのではございません。男子たるものは、やはり信念を貫いて行動せなければならぬということでございます。だから、初めから寛容とか、初めから調和とか言わないで、どうかひとつ、あなたはいまや得がたき地位に立たれたのでありますから、全国民の運命があなたの双肩にかかっておるという責任感を痛感されるならば、池田路線がどうであるとか、いままでの問題がああであるとか、こうであるとか言わないで、本日の新聞の論評の中にもありましたが、やはり厳然として貫いたものを見せて、わが国政の進路に、国民の進むべき道を明らかにしていく、これが内閣総理大臣の責任でなくて何としますか。私は寛容と忍耐を否定するものではございませんけれども、それが民主政治の本来的な本然的な姿ではないということを御忠告申し上げて、質問に入ります。 なお、私は閣僚諸君に御願いを申し上げるのでありますが、私どもは実は代表質問が私に限られております。したがって、内政、外交全般にまたがって限られた時間で質疑を尽くさなければなりません。私もことばを簡略にいたしますから、答弁もぜひともひとつ御簡略にお願いをいたしたいと思います。 まず、外交問題について質問をいたしますが、中共の核実験を契機といたしまして、これが国際情勢に及ぼす影響並びに政府の対策についてお伺いをいたしたいと思います。そこで、次の諸点について政府はどのような状況判断をされておるのであるか、これを伺います。 第一点は、現在中共が保有しておる核爆弾の数量並びにその生産能力及び運搬兵器の有無。第二には、核爆弾製造のための中共における原子炉の規模並びにその基数はいかん。第三点は、中共が核保有国として実戦的核保有国になる時期はいつごろであるか。こういうような問題は、わが国の防衛政策のためには特に必要欠くべからざるいろいろな要素を持っておると思うのでございます。政府の見通し並びにその認識、これはどういうものであるか、お伺いをいたします。
○小泉国務大臣 中共核実験の結果につきましては世界が注目をしたところでございますが、その後のいろいろな情報を総合判断いたしました結果、わが国といたしましては、核爆発の実験には成功いたしましたものの、これが核装備を保有するまでには数次の実験と改良を行ない、また、運搬手段の開発等につきましても相当の年月を経なければならないことは、いままで科学、工業水準のきわめて高い米ソ両国の核保有の経過に徴しましても明らかなるところでございます。さような関係からいたしまして、中共が核実験をいたしましても、これが真に戦力となるまでには相当の年月を要するということが世界の常識でございます。また、わが日本といたしましては、元来、核兵器というものは戦争抑制力としての意味を持つものでありまして、これは日米安保条約体制によってアメリカに今日まで依存をしてきておりますので、今後といえどもこの方針を変える必要はない。あくまでもわれわれは防衛ということに専念をいたしまして、核兵力は日米安保体制によるということの方針でございますので、この中共の核爆発の実験以後において日本の防衛体制に変更を加えるとか、さような必要を認めていないのでございます。 また、先ほど来春日先生から御質問の中共における核の実験に至る経過その他の模様につきましては、われわれとして何ら情報を得ておりませんから、今後の的確なる保有量あるいは核の工場等についての確たる情報を得ることはできない次第であります。
○春日委員 いま防衛庁長官の御答弁がございましたけれども、核の実験が中国に行なわれまして以来、さまざまな科学評論雑誌や専門雑誌は、どこに原子炉があるであろうかとか、あるいは運搬兵器としてこういうものがあるのであるから運搬は可能であろうとか、アメリカ並びに、このほどはフランスの評論家、専門学者から、あるいは向こう三カ年間に実戦的核保有国として中共はそれぞれの機能を持つに至るであろうとかいうような論評が加えられ、これが報道されておるのでございます。防衛庁長官は、こういうような評論、すなわら最も近き将来に、あるいはそれが三年、三年のうちに実戦的核保有国になるであろう。運搬兵器はイリューシンではない、何でありましたか、ソ連から受けておりまするその航空兵器が現にその核爆弾を運搬する機能を持っておるから、近くできないことはないであろうというような論評もお読みになっておるとおりであろうと思うのです。何らの脅威も感じられてはいないのであるか。何も情報がないということは異様なことではございませんか。少なくとも防衛庁たるものは、内外情勢の変化に対応して、あまねく情勢を察知し、それぞれの情報を収集されて、国防に完ぺきを期せられることは当然の責務であろうと思う。何もないということはないじゃありませんか。われわれだって、そういうような公刊された情報だって少なからざるものをキャッチいたしておる。これについて重ねて御答弁を願いたい。
○小泉国務大臣 アメリカの原子力委員会あるいはマクナマラ国防長官のアメリカにおける記者会見等が、ただいま申し上げましたような私どもの情勢判断の一つの基礎をなしておるのでございますが、この国防長官の記者会見の席上におきましても、御承知でございましょうが、核保有に至るまでには相当の年月を要するから、現在の情勢下においてはアメリカの核戦略を何ら変更する必要はないということをアメリカも言明をいたしております。いま春日先生から二、三年のあとというようなお話もございましたが、いままでの常識においては、八年、十年実験から核保有に至る年数が要るということが世界のこの方面の権威者の常識でございましたが、中共の核爆発の実験の結果というものは、かねて世界が予想しておりたよりも相当高度の進歩をもたらしておるということは、アメリカの原子力委員会においても発表いたしておりますので、あるいは十年が五、六年あるいは二、三年に縮まるということも予想されないわけではございませんけれども、あまりにも中共の核実験の結果というものをば過大に評価することは、いたずらに国民に不安を与え、かえって私は危険ではないかというようにも考えておるわけでございまして、われわれは日本の既定方針として核装備をしたい、核兵器の持ち込みも許さないというような、あくまでも日米共同体制を堅持するというたてまえにおいて、日本としてのこれに対する措置というものはできないのでございますし、また先ほど来申しますとおり、あくまでも核は戦争抑制兵力としての意義を持ち、これはアメリカに依存をしてまいりました既定方針を貫く以外にはないということを申し上げて御了承をいただきたいと思います。
○春日委員 いままでの自民党の防衛政策は東西の力の均衡を基調とするものでございました。ただいま防衛庁長官の御答弁にもございましたごとく一常識的には核実験がなされてから八、九年先であろうと言われたが、実験された後には、これ、が五、六年に圧縮された、あるいは二、三年に圧縮されるかもしれないとのいろいろな判断がなされておると言われておる。だといたしますと、いままで東西の力の均衡の上に日本の防衛政策の基調が置かれたといたしますならば、ここ二、三年あるいは三、四年のうちに中国が実戦的核保有国になった場合、その力の均衡は破れることになりはしないか、これが第一点。そういう心配が全然ないか。もしありとすれば、その低下した日本の防衛力の低下部分を政府は何によってこれを補わんとするものであるのか、このことについて端的にひとつ御答弁を願いたいと思います。
○小泉国務大臣 先ほど申しましたとおりのアメリカとの関係におきまして、少なくともここ二、三年は、中共の核実験が成功いたしましても、東西両陣営の力の均衡が破れるとは私どもは考えていないのでありまして、わが防衛体制としては、すでに決定をいたしております第二次防衛計画を完遂をする。また第三次防衛計画の策定にあたっては、そのときの情勢によって、春日先生のお考えになっておられるような御心配の点もあるいは考慮しなければならないのではないかとも考えますが、現在の段階においては、早急に力の均衡は破れない。現第二次防御計画を推進をすれば事足りるというような考え方に立っておるのであります。
○春日委員 それでは、現実に東西の力の均衡の上に立って日本の安全が保障されておるとされてまいりました。ところが、いままでなかったところの中国、これが核保有国になる、それが近い将来になることはもはや現実の見通しである。それにもかかわらず、東西の均衡が全然破れることはないという保障は何でありますか、これを伺いたいと思います。現実にいままでなかったものがとにかく東側に加わるのである。加わるにもかかわらず、こちらに対して何ら低下することはないとするその論拠は何でありますか、御説明願いたい。
○小泉国務大臣 日本としては核戦力を持たない、先ほどから申し上げておりますとおり、核はあくまでも戦争抑制兵力であって、核はアメリカに依存をしておりまして、そのアメリカの責任者が記者会見において、当面中共が核実験に成功をしても、アメリカの核戦略に何らの変更をする必要はないと言明をいたしておりますので、それに信頼をいたし、われわれもそういう観点に立っておるのであります。
○春日委員 そういたしますと、総理にお伺いをいたすのでありますが、いままでなかった核武装が中国でなされる。なされたにもかかわらず、日本の防衛体制に何にも心配がないとする、そのないささえとなるものは何かといえば、防衛庁長官が答えられたがごとく、これはアメリカの核戦力に依存をするということであるのであります。すなわち、期待をするということが言われておるのでございます。だとすれば、考えられることは、ここに中国において核武装がだんだんと拡大強化されるに伴うて、アメリカの極東地域におきまするところの核武装体制というものは、中国において増強開発される部分だけ、これがまた増強されていくということを念頭に置いて判断されておるものと思われるが、いかがでありますか、すなわち、そのことは端的に言うならば、やがてはわが国の核武装、あるいは沖繩の核武装、あるいは米国の核兵器積載の航空機ないしは原子力潜水艦の日本配置、このような三つの方法以外に、向こうに増強されるものをこちら側において全然ほかっておいて、力の均衡ありとは判断ができない。論理が立たない。だから、向こうが増強された分だけ力の均衡を保って補強せんとするならば、ただいま申し上げたように、日本国の核武装、それから沖繩の徹底的核武装、あるいは核兵器積載の飛行機の日本配置、あるいは核兵器積載の潜水艦の日本配置、こういうようなものを念頭に置いて、そうなればこうやるんだから心配はない、こういうことを言われておるのであるかどうか、これをあらためて御答弁願いたい。
○佐藤国務大臣 ただいま中共の核爆発実験をめぐっていろいろ論議がかわされております。先ほど来防衛庁長官が申しておりますように、核爆発実験をした、これが直ちに中共が核武装したのだ、ここにまだ論理的な飛躍があるのです。その点を防衛庁長官は先ほど来るる説明しております。この点はおそらく春日さんも御存じと思います。ただ、いままでのように、十年先だとか五年先だとかいっているが、さような言い方では国民も不安にかられる。そういう意味で、私どもも国の安全ということにつきまして特別に留意をいたしております。もちろん、いままで経済の繁栄、生活の向上、そういう点に特に留意しておりましたのも、国の安全を考えながらも、ただいままでアジアの危機といいますか、あるいは切迫感、緊張感といいますか、そういうものがただいまのような点にまで触れなくともいいよう状況であったと思います。しかしながら、ただいまはそのアジアの状況も変わってまいりましたし、国際緊張の場も扱い方いかんによっては、一歩誤ればそういう事態も起こるのではないだろうか、こういう意味で、私どももたいへんこれが詳細な実情を把握することに注意をいたしておるような次第であります。その点は、先ほどの防衛庁長官の説明でよくおわかりだと思います。 問題は、そういう場合に一体いかにするのか。ただいままでのところ、私が所信表明で明らかにいたしたように、中共自身がりっぱな科学技術水準を持っているなら、どうしてそれを平和の方向へ利用してくれないのか、戦争への道にそれをとることはまことに残念じゃないか。そういう意味で、私は不十分ではありますが、昨年締結されたモスクワの部分的核停条約に加入することをすすめておる。問題はそこにあるだろうと思います。私はどこまでも平和主義でものごとを進めていきたい、この点は中共側におきましても十分理解していただきたいのであります。ただいま御指摘のように、直ちに対立抗争への道をたどる、これにはまだまだ段階があるように思いますので、対立抗争への道はできるだけ避けて、そうしてただいま申し上げるように、平和への協力の方向に中共も協力していただきたい、これがただいまとっておる基本的外交方針であります。 また、お尋ねになりたいと思うところの、日本の核武装は一体どうかということですが、これは前内閣、前々内閣以来しばしば皆さま方にも申し上げておるように、日本には核兵器の持ち込みはごめんこうむります、こういうことをはっきり実は申しておるのでありますから、その点で唯一の被爆国である日本国民、これは核兵器のおそろしさをほんとうに身にしみて感じておりますし、同時にこの核兵器というものは人類平和への道ではないということをほんとうに身をもって感じておる国民でありますから、そういう方向で私はこの国の安全を確保する、その道をたどっていきたい、かように考えております。
○春日委員 私は、近き三年、四年というときに中国が実戦的核保有国になるであろうといういろいろな想定、判断がなされておりまするときに、これに対する防衛政策について論じ合うということは架空の論議ではないと思う。しかし、それはいまここで論じ合っても結論が出ないとするならば、ただ一点だけ明らかに願っておきたいが、池田前首相も、歴代の総理も、米国の核持ち込みは絶対に拒否、わが国の非核武装を貫く方針を再三確約されてまいっておりますが、佐藤さんの方針もそれに何らの変更を加うるところはありませんですね。
○佐藤国務大臣 前言で答えたとおりに、そのとおりにいたしたいと思います。
○春日委員 そういたしますると、政府の方針が核非武装にありまして、そうして米国による核兵器持ち込みは絶対拒否する方針であるにいたしましても、現状では、条約上、法制上その核を確認する手段というものが確立されていないと思うのでございます。すなわち、日米安保条約では、時の政府の方針いかんによっては非核武装の当面の方針がいつでも変更され得る危険が存在することを見落としてはなりません。 私は、政府が今回原子力潜水艦の日本寄港による核持ち込みの不安について、安保条約第六条に基づく事前協議、それから岸、アイク共同声明、こういうもので十分チェックできると言われてはおりますけれども、しかし、安保条約第六条に基づく事前協議の条項においても、また日米共同声明にも、核兵器そのものに関する何らの文言は明示されていないということ。ただ日本政府の承認しないことはやらないと言っているだけのことでございますから、そのことは別のことばで言うならば、日本国政府の方針が変わって、これを承認するということになれば、核兵器を持ち込むことはできる、こういうことになっておるのでございますね。だから、自民党内閣のその方針が不変であるとしても、その方針自体がいつ何時変わるかもしれないし、自民党内閣それ自体がいつ変わるかもしれない。だから、こういうような情勢のもとにおいては、日本国に対してアメリカの核兵器持ち込みを断固として拒否するという有権的な保障というものはここに確立してはいないと思う。現在の法制上、条約上、日本国に対して核兵器を持ち込み得るの余地が残されておるというこの欠陥を総理はお認めになりませんか、いかがでありますか。
○佐藤国務大臣 ただいまの点につきましては、過日予算委員会において政府の所見を明らかにしたところであります。ただいま法制局長官にそのときのいきさつ、安保条約並びに交換公文、その当時議論になった点等をもう少し詳細に説明させます。
○高辻政府委員 要点をお話し申し上げたいと思います。 御指摘のように、安保条約の付属交換公文に、装備の重要な変更については事前協議の対象とするということがありますことは御存じのとおりでございますが、重要な装備の変更という中に核兵器の持ち込みが入ることはもちろん常識上は明らかだと思いますが、それでは足りない、文言が必ずしも明白でないというお尋ねでございますが、その点につきましては、いずれ政府のほうから申し上げる機会があると思いますが、この付属交換公文の交渉の過程で、この重要な装備の変更というのは、核弾頭、それから中距離、あるいは長距離のミサイルの特ち込み並びにこのようなミサイルの基地の建設であるというようなことが口頭で了解されておる経過もございます。そのようなことから、重要な装備の変更に核兵器の持ち込みが入るということは、明文では明らかにされておりませんでも、ことばの意味あるいはその交換公文の経緯等から考えまして、その点は明らかではないかと考えます。
○春日委員 私が申し上げているのは、佐藤内閣といえども、佐藤内閣の政策、方針については、これは言明できると思う。けれども、他の内閣、あなたのあとを継ぐ内閣がどのような政策をとるであろうかは、これは保証することはできないと思う。だから、現在の第六条に基づくところの事前協議にしろ、岸・アイク共同声明にしろ、日本国政府の欲せざるところはアメリカはこれをやらないというだけのことでございまして、もしそれ、日本国政府が核装備をやってくれと言ったら、アメリカはどうなりますかお答え願いたい。法制局長官からお答え願いたい。
○佐藤国務大臣 これは、法制局長官でなくとも私ではっきり答えられますが、ただいまのような仮定を引き合いに出されて、そうして理論的に責められることはいかがかと思います。いま自民党内閣もはっきり申しておりますし、また皆さんのところも、先ほど来核武装しろというような御意見であるかのようにも聞き取れたのでありますが、どうも核武装には反対だと、こういうようでございますので、どこも、内閣がかわってもただいま御指摘になるようなことを言う政党はないと思っております。
○春日委員 はたしてそれが自民党の真意であるかどうかという問題は、私はこの際天下に明らかにしておきたい。お互いに国民として超党派的によくこの問題を把握して論じたいと思うのでありますが、核武装を断固しないということが各党こぞっての同一した見解であり信念であるとするならば、われわれがいままで過去四回にまたがって日本の非核武装に関する決議案を国会に上程いたしました。昭和三十二年以来本日まで四回上程したが、各党の意見合致を見ずして、それはみんな本会議において趣旨弁明をしただけで、これがそのまま流れておるとか、委員会には託されたまま結論を得ずになるとか、あるいは議運における協議がととのわずしてそのことが本会議の議題にならずとかという形で、四回とも流れてきてまいっておる。この事実関係を重視せなければならぬと思うのですね。だから、たとえば共産党のごときは、中共における核実験、こういうようなことはあえてとがむべきにあらずとしてこれに賛成をいたしておる。反対された志賀君一派のために、党の分裂を来たすほどの問題になっておるのですね。だから私は、日本国が民主国でありまする限り、いかなる政党がいかなる政策をひっさげて国政に当たるかによって、このようなことは何人も保証することができない。だとすれば、後日中共が、あるいはその他の国が核兵器を開発して核武装ということが普通化されてまいりましたような場合、日本国の時の政府が核武装あってしかるべしと、こういうような政策、方針を決定いたしました場合、日米安保条約第六条に基づく事前協議やあるいは岸・アイク共同声明というものは、日本国政府が核武装してくれともしかりに言った場合、それをノーと言うことはできない。向こうは持ち込むことができることになっておる。だから、日本の非核武装に関する一つの政策というものは、現在自民党の内閣も社会党も民社党も断じてそのようなことに対しては厳然として反対をいたしておるが、ただ国家百年の計を立てるならば、すなわち何ら現在の条約上、法制上、わが国に核武装を、これを禁止するとかあるいはアメリカの核兵器持ち込みを禁止するとか、こういうような有権的な取りきめが確立されていない、そういうところに一個の欠陥ありとは御認識にならないか。これは法律上の問題でありまするから、政府がかわっても、日本国の政府がもしそれ核兵器を持ってきてくれと言っても、アメリカは持ってこないような保証があるかどうか、法制局長官から、これは法理の立場ですね、法律上どういうことになるのか、事務的にひとつ御答弁願いたい。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。先ほど御説明申しましたように、安保条約の付属交換公文は事前協議の対象ということになっております。したがって、協議において拒否するという態度が明確であれば、それはものをいうわけでございますし、そうでなければまた話は違うわけでございますが、しかし、そういう態度が明確である限りを前提といたしますれば、先ほど来申し上げているとおりに、もう確固たる結果を得ることは間違いないと思います。 それからもう一つ、御承知のように、日本には原子力基本法という法律がございます。原子力基本法は、核燃料の利用等につきましては平和の目的に限るということになっておりますから、したがって、わが国は法律上は、少なくもそういう面からいって、核爆発の利用というものについては法制上の制約があるということははっきり申し上げられると思います。
○春日委員 私は、そういうような詭弁をお互いに論ずるのではなくして、原子力基本法の制約があると言ったけれども、この間アメリカの原子力潜水艦が来たときに、原子力基本法の基本精神である民主、自主、公開の原則が守られておるか。アメリカにおいて原子力潜水艦の問題は軍事の秘密に関する問題だからといってノータッチではないか。だから、原子力基本法があって日米安全保障条約に対する装備の変更その他について自主的なチェックができるというような保証がありますか。現にできていないじゃありませんか。だから、私が申し上げているのは、そういうふうなばかげた詭弁ではなくして、われわれがこの核爆弾によって被害を受けた最初の民族ですね。民族の犠牲者として日本国において核武装を断じてやらないというその不退転の決意を定めるならば――現在の安保条約においては核兵器を持ち込まれる心配を後日に残すのである、こういう立場から私どもが先般来主張いたしておりまするのは、これは自民党の国対委員長にも社会党の国対委員長にもそれぞれ委員長を通じて申し上げておりますることは、このような欠陥が現存する――これは心ある人が法律を読めば、そんな心配があることは歴然事項である。詭弁をもってわれわれを言いくるまそうと思ったって、われわれが安保条約の三べんや五へん通読しなくてこのことが論じられますか。そんなことを言っておるのではございません。このような欠陥を補完することのためには、別の一般協定をアメリカとの間に締結するの必要はないか。すなわち、核兵器を日本国に持ち込むことを禁止するの一般協定、これを取りきめておけば、その条約の存する限り、日本国の政府の方針あるいは政府そのものが交代をしまして、そしてその核兵器を持ち込まないという、あるいはこれを許さないという方針にどのような変化があったとしても、その条約が厳存することによって政府を拘束する、このことによって日本の非核武装の政策がここに将来に向かって保障ができる、その措置が確立できる。こういうことを申し述べておるのであるが、これについて総理の見解はいかがでありますか。
○佐藤国務大臣 原子力潜水艦がいま突然と話題になりましたが、私は、進歩的な政治家であられる春日君からの原子力潜水艦が核武器であるかのような言い方には賛成しないのです。御承知のように、これは新しい推進力、近代的な推進力でございますから、そういう意味で、この原子力潜水艦が寄ったじゃないかということで直ちにいまの核兵器との混同だけはされないように願っておきたい。これはたいへんいい機会でありますから私これを説くのですが、国民の一部にも、原子力潜水艦というものは核兵器じゃないか、そういう感じを国民の方がずいぶん持っているのです。これは、政党の方々もそういうような宣伝もされている。だからそういうことのないようにこれはぜひしていただきたいのです。 そうして本論に入りますが、核兵器の持ち込みにつきましては、私は御心配は要らないと思います。たいへん、かりにとか、あるいはそういう事態が万一とか、こういうような表現でございますが、私はこれこそ政府の信頼、国民から与えられる信頼、そういうことだと思います。ことに百年の大計からこういうことをやれとおっしゃいますが、百年後に核兵器や何かというものはなくなっているかもわからない。昔の人はこんなことを言ったそうだ、ずいぶんおかしなことだということにもならないとも限らないのでありますので、そういうことはおっしゃらないようにしたほうがいいと思います。
○春日委員 まるで質問と答弁とが車井戸みたいにすれ違っておるのですね。何か音響を発しておいて、さすればぼくの時間が来て終わってしまうという、これでは私は困ると思うのですよ。私が申し上げておるのは、法制局長官が、原子力基本法というものがあってそれがチェックできると言っておるけれども、現に、原子力基本法の三原則は民主、自主、公開の原則があったけれども、そういうことが日米安保条約に基づくところのアメリカの軍事秘密という名においてチェックされて、それは十分にその機能を発揮することができない現状にある。だから、政府がかわれば持ち込んでくる心配がある、政府の方針が変われば持ち込んでくる心配があるから、将来ともにそのことをなくするためには、アメリカと日本との間に日本に核兵器持ち込み禁止の協定を締結する、一般協定締結、こういう必要はないか、このことを申し上げておるのでございます。しかし、この問題はいまここで結論を得るということは困難でございましょう。ただ願わくば、われわれが言わんとするところは何であるか、私はあなた方の心の中にはやはり御理解を願えるものがあると思う。ただ、ここでそういうものが必要があるとかないとかいうようなことは、端的に御表明は願えないであろうから、これは少し――総裁に御就任になった佐藤さんでございますから、リーダーシップを持たれて、あなたの日本会の精神をもって、とにかく厳然たる将来百年の計を立てていく、こういう意味で、このわれわれが提唱しておりまする一般協定の問題について、十分ひとつ御研究を願っておきたいと思います。これは議運もしくは他の委員会で質問をいたしたいと思います。 次は、日韓交渉にさっそく入りたいと思うのでありまするが、聞くところによりますると、九月来日をいたしましたバンディ米国務次官補、これが日韓交渉についてきわめて積極的にいろいろと説いて回られておるということでございます。また、アメリカの調停案が駐米韓国大使館を通じて韓国側に伝えられた、こういうことも言われております。アメリカは昨今日韓交渉について積極的な態度を見せてまいったようでございまするが、その状況はいかがでありますか、これをちょっと御説明願いたい。
○佐藤国務大臣 バンディがどうしたとか、アメリカ政府がどうしたとかいうお話でありますが、よもや日韓交渉、日本がやっておる交渉にアメリカ側がどういうような気持ちを持っているか、これは私も知りません。九月云々と、言われますので、その経過があれば後宮君から説明させます。
○春日委員 ちょっと進めてまいりましょう。その次にまとめて御答弁願いましょう。 十月の七日に衆議院外務委員会において、与党の質問に答えられて椎名外務大臣がこういうことを述べられております。すなわち「バンディ氏が向こうへまいりまして、日韓の問題の円滑な進捗を希望するということを韓国政府に言ったことは、新聞にすでに伝わっておるとおりでございます。」「具体的な日韓の現在の問題を取り上げて、そしてこれをこうしたらいいああしたらいいというような、そういうようないわばまあおせっかいと申しますか、そういうことは一切無用であります」こういうぐあいに椎名さんが外務委員会で答弁されておるのでございます。私は、椎名さんとしては、アメリカに向かって要らぬおせっかいをするなというようなことを言われることは、これはまことに珍しいことで、ごりっぱなことだと思うのでございまするが、このような答弁等から考えまして、何事かがあったであろうとわれわれはそんたくし得るのでございます。何かがあったでありましょうが、何がありましたか、これをお知らせ願いたい。
○後宮政府委員 さっき御引用のございました椎名大臣の御答弁のとおり、バンディ氏が来まして、日本を通りまして韓国に参りました。そうして向こうの要路の人とも会ったのでございますが、そして共同声明にも日韓交渉を促進することの希望を表明しております。で、帰りましたときは、そのまま日本を通過して帰ったのでございますけれども、ここのアメリカ大使館を通じて聴取いたしましたところによりましても、一般的な希望の表明、これは、米国は従来から自由陣営の隣国同士の日韓が早く国交を正常化するようにという希望は絶えず表明しておりましたので、韓国に行く前に日本に寄りましたときも、われわれにも表明してまいりましたし、韓国でもそういうふうに言ったようでありますが、それ以上具体的の懸案には全然触れておりません。
○春日委員 バーネット氏が日韓会談に対する韓国民の疑惑を一掃するために、この際、大平・金合意事項、これをひとつ白紙に戻してはどうか、こういうようなことを提案されたとわれわれは聞いておりまするが、そのような事実関係はございますか。
○後宮政府委員 バーネット氏を含め、米国側から全然交渉内容については話がございませんでした。大平・金了承線を白紙に戻せというような議論は、韓国の野党が最近やはり言っておるようでございますが、それに対して、むしろ向こうの国務総理等は、外交上の信義の関係上そういうことはできないと答えておるようでございます。
○春日委員 そういたしますると、伺いまするが、政府は将来日韓交渉の過程で――アメリカ側もそういうようなことを言っておる。現に後宮局長も、韓国の野党側において白紙論、こういうようなものが論じられておるというような情勢を踏んまえて私は質問をいたしまするが、政府は将来日韓交渉の過程で、何らかの形で大平・金合意を撤回もしくはこれに対して修正を加うるようなことがあるかないか、断じてないか、この点をひとつ明らかにお示しを願いたいと思います。
○後宮政府委員 請求権にいたしましても、漁業にいたしましても、交渉の途中ででき上がりましたことを基礎にしてだんだん積み上げていくということを方針にいたしておりまして、今般再開いたします交渉につきましても、韓国側に対してもそういうことを外交上の信義として要求しておるのでありまして、日本側といたしましても、従来了解のついたところは、これは維持していくという方針を堅持しております。
○春日委員 ちょっと、もう一ぺんはっきりこれは総理大臣にお伺いをいたしたいのでございまするが、この金・大平の合意事項、これは生きておるのか。政府は、今後断固としてこの条項というものに加えもせず減らしもせず、この決定を貫いていくものであるのか、これを伺いたいと思います。方針を伺います。
○佐藤国務大臣 これはりっぱに生きております。そのことを申し上げておきます。
○春日委員 ではここで伺いまするが、それでは政府は、日韓国交正常化の方針は、大平・金合意事項その他当時述べられておりました一括解決の方針、これを堅持される方針であることに変わりはございませんか。
○佐藤国務大臣 そのとおりであります。ただいま申し上げますように、大平・金メモというものが全部を解決しておりませんから、そういう点を御了承おき願いたいのであります。
○春日委員 一括解決の方針には変わりございませんね、――それでは伺いまするが、今回調印されようといたしておりまする対韓二千万ドルの援助借款、これはどういう性格のものでございましょうか、これを伺いたいと思います。
○西山政府委員 ただいま交渉いたしておりまする二千万ドルの延べ払い借款の性格は、一方におきまして大平・金了解におきまする三億、二億の請求権とは何ら関係ないものでございます。また、性質といたしましては、日本政府は、二千万ドルの範囲におきまして、金利五分七厘五毛、一年の据え置き期間を含みまする五年の延べ払い条件で民間におきまして商談ができますれば、それを輸出の承認を与える、こういう性質のものでございます。
○春日委員 異様な御答弁を承りました。すなわち、十一月の二十八日の本委員会、勝間田委員はかくのごとくに質問されました。「最近なしくずし解決のような姿で二千万ドルのいわゆる経済援助をやっているようでありますが、あるいはプラント輸出等を行なっておるようでありますが、これはすなわち有償援助の中に含まれると考えますが、いかがですか。」この質問を発したのに対しまして椎名外務大臣は答えられて、「両国の間に意見の相違がございましたが、ただいまでは全く意見の合致を見まして、商業ベースによる例の一億ドル以上という範疇の中に入るということになっております。」と、これは明確に御答弁がなされておるのでございます。この外務大臣の御答弁は、間違っておるのでございますか。総理大臣より御答弁を願います。
○西山政府委員 勝間田先生の御質問は、私どもが速記録で拝見したところによりますと、最近なしくずし解決のような姿で、二千万ドルのいわゆる経済援助をやっているようでありますが、あるいはプラント輸出等を行なっているようでありますが、これはすなわち有償援助の中に含まれていると考えますが、いかがですかという御質問でございます。これに対しまする椎名外務大臣の御答弁は、両国の間に意見の相違がございましたが、ただいまでは全く意見の合致を見まして、商業ベースによる例の一億ドル以上という範疇の中に入るということになっておりますという御答弁がございます。私どもはこれを見まして、御質問が、二つの違うカテゴリーの問題が提起されておりまして、椎名外務大臣は後段のプラント輸出等の延べ払いの点について御答弁になったと、こう解釈しております。
○春日委員 こういうばかげた釈明が通るでしょうか、実際問題として。現にこの椎名答弁に端を発して、韓国政界では大きな衝撃が与えられて、これが大問題になっておる。政治問題に相なっておる。これは、勝間田委員はいずれ機会を得て問題の処理をなされるでございましょうが、少なくともこのなしくずし的に二千万ドルのいわゆる経済援助をやっておるのでありますが、あるいはプラント輸出等を行なっておるようでありますが、これはすなわち有償援助の中に含まれておるかといって聞いたら、これは商業ベースによる例の一億ドル以上という、あの範疇の中に入るということになっております。と明確に答えておる。民主政治は言論政治です。だから、言論というものによって問題の可否を決していく政治なんですから、したがって、誤っておったならば誤っておったと言って訂正をしなければならないし、明確にしていかなければならぬ。こういう質問をしておいて、前のほうにはことさらに答えないで、あとのほうに答えたものだと思うなんというばかげたことが許されますか。総理大臣、この問題は明確になされる必要があると思う。間違っておるならば間違っておる、間違っていないならば間違っていない、すなわち商業ベースによる例の一億ドルの中に入っておるのかどうか、これはひとつ明確にしようじゃございませんか。国際的な問題であるから、この問題は、ただそのような一局長の何が何だかわけのわからぬその御答弁で、問題が明確になるものではございません。われわれの質疑応答は、お互いにことばじりをとって責め合うものではない。問題の疑義を明らかにするところにその目的があるのです。疑義を明らかにしましょう。どちらでもいいから、はっきりとしようじゃございませんか。
○田中国務大臣 これは外務、通産、大蔵三省で池田内閣の当時、合議の上決定をしたものでございますので、当時の事情をお答えをいたしまして、なお外務大臣帰られてから、外務大臣の発言に対して訂正する個所があれば訂正するということで御了承願いたいと思います。 私も、当時椎名外務大臣が答弁されておるのを聞いておりまして、いまのような御質問が起こるかもしらぬということを感じたわけであります。しかし、これはいま事務当局ベースで答弁をしますと、確かにおかしい答弁だと春日さん御指摘になりますが、しかし、勝間田さんは三つの問題をお聞きになりました。それはプラント輸出の問題、これは当然いま答えたとおり商業ベースのものであります。それからもう一つの二千万ドル、質問の重点は二千万ドルが大平・金メモの中のものか、また漁業交渉でもって出ておる、商業ベース一億ドル以上という話が出ておるものの中かということを御指摘になって質問をしておられるわけでありますから、その件に対して答弁をしておらぬといえばそれだけでございますが、これをきめましたときの率直な考えとしては、二億ドル、三億ドルとは違う。また、これが大平・金メモ等でもっていわれておる商業ベース、コマーシャル・ベースの一億ドル以上というものの中に入るのかどうか。これは日本政府の感じ方と韓国政府の本件に対する認識のしかたがまだ違うのでありますから、両国政府で完全にこれを詰めておらないというところに問題があるようであります。でありますから、われわれがこれをきめるときには、新しい事態、経済的に非常にお困りになっておるという隣国の事態に対して、二千万ドルの新しい条件による援助を行なおう、こういうことで政府は決定をしたわけであります。でありますから、これがなしくずしだということを春日君は御指摘をされておりますが、必ずしもなしくずしではない。だから、いままでのものとは全然関係のない新しい事態に対処しての二千万ドルの援助だ、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
○春日委員 その内容、性格の問題は後ほどただしたいと思うのでありますが、椎名答弁というものは間違っておるのかどうかという問題でございます。間違っておるのかどうか。 それではちょっと事務的に伺いますが、あなたのほうは、外務省は、韓国に向かってこの問題について何らかの釈明的通告を行なっておるはずである。本日の新聞がこれを報道いたしておりました。後宮さん、韓国に対して何らかの釈明的、あるいは説明的通告を行なっておるはずである。どういう通告をなさいましたか。
○西山政府委員 二千万ドルの延べ払い借款につきましては、いわゆる一億ドル以上の通常の商業ベースによる延べ払いと違います。違いますと申しますのは、通常の商業ベースによる延べ払いによりますと、通常支払い条件は半年ないしはせいぜい一年のユーザンスの程度でございますが、二千万ドルの延べ払いの条件は、先ほど申し上げましたように、一年据え置きの五年払いということでございまして、取引は民間ベースで行ないますけれども、支払い条件は相当緩和された条件で行なっておるのでございます。したがいまして、当初から韓国側には、二千万ドルの延べ払いの案件は、もちろん三億、二億の有償のものとは関係なく、またいわゆる一億ドル以上と申します通常の商業ベースによる延べ払いのものとは違う、こういう前提で話をしておりまして、問題になりまして韓国の政府から私のほうに照会がございまして、私のほうからこの点を重ねてはっきり申し上げて、先方に通知しておる次第でございます。
○春日委員 少なくともこのような外交案件について、交渉相手方であります韓国がわれわれと同じように疑義を抱いた。その疑義に対して日本国政府は説明をあらためて行なった。説明をことさらに行なわなければならないほど、この椎名答弁というものはその真相そのものに対して正しい答弁を行なっていない。このことはお認めになりますか。韓国に対してこのような説明をことさらに行なわなければならないほど事ほどさように誤解を生じた答弁であった。この事実関係はお認めになりますか。
○佐藤国務大臣 先ほど来事務当局からよく説明いたしておりますように、お尋ねの点が二つの問題があった。それに答えて、一つだった。そういう意味で誤解を招きやすいような状態だった、かように私は考えております。これから、この予算委員会その他国会は最も大事なところでありますから、誤解をしないような答弁をするように、十分注意していかなければならないと思います。そういう意味で、椎名君が帰りましたら、問題になっておることもよく話しまして、そうして誤解を受けないようにいたしたいものだと思います。
○春日委員 そういうような答弁ではなくして、これはだれが読んだところで、質問のアクセントはどこにあるか、「二千万ドルのいわゆる経済援助をやっているようでありますが、」と、ここにアクセントがございまして、それから「あるいは」とここで言っておるのです。この答弁は二千万ドルに対してなされたものとわれわれは受け取った。韓国も受け取った。受け取ったから、大問題が発生した。発生したから、ゆゆしきこととして政府はこれに対して説明を行なった。これが事実の経過でございます。だとすれば、いま総理がおっしゃったように、国会は国権の最高の機関で、最も大切な場所であるとするならば、このような疑義を生じ、誤解を与えたことに対して、われわれ国会もまた誤解をしておる。われわれ国会が誤解をすれば、誤った判断をし、誤った決定を行なっていく。国家のために重大ではございませんか。向こうに説明をしたら、なぜみずから進んで、おとといだって、きのうだって、国会に向かってその説明を行なわれないのか。私はこういうことはよろしくないと思うのです。私は、内閣の首班たるの責任者の立場に立って、佐藤さんから国会に対して何らかの責任的の意思表示がこの際あってしかるべきだと思う。何か責任的な御発言をなさいませ。
○荒舩委員長 ちょっと総理待ってください。ただいま春日君の質問並びに外務大臣の前回における答弁と食い違いがあるようです。したがいまして、外務大臣が帰国されると同時に、この問題についてはあらためてこの委員会で発言するか、あるいは他の委員会で発言するか、はっきり答弁をすることにいたしたいと思います。
○春日委員 それでは、その問題についてはいずれまたということにいたします。 そこで伺いまするが、ただいま政府の答弁によれば、この二千万ドルの対外援助借款は、いわゆる大平・金両氏の合意したもののワク外であることが明らかになりました。それは有償商業ベースによる一億ドルでもない。それから大平・金メモの中にありまする三億の無償、二億の有償、それでもない。だとすれば、それ以外のものである。すなわち大平・金合意事項にこれだけの条件を加えたことになると思うが、そのように理解してよろしいか。
○後宮政府委員 大平答弁の趣旨は、一度この国会でもあらためて御答弁がございましたように、請求権問題を解決いたしまして、国交正常化をするという目的のために出す援助がこの三億、二億という無償、有償のあれでございまして、緊急援助等は、これは請求権問題には関係ないものである。ちょうどフィリピン、インドネシア等、あるいはタイの特別円等、この賠償的なものを払っておりますところに対しても別途援助はやっている。それと同じような種類のもの、そういうふうに解釈しております。
○春日委員 私は、冒頭に伺ったのは、政府の対韓交渉は一括解決の方針でやるのだ、それ以外のことはやらないのだということは、ぎりぎりの論議としてすでに歴史的に本委員会において論じ尽くされてまいったところでございます。いまタイに対しての経済援助ありと言われる。インドネシアに経済援助、緊急援助ありと言われるが、これは、それらの国々とは国交が正常な形で保たれておるのである。これから新しく国交を開こうとする、そしてその国交を開くためのさまざまな条件があるが、その条件は大平・金メモを主軸として、たとえば漁業協定でありまするとか、漁業協力でありまするとか、いろいろな問題を同時並行的に解決するにあらざれば何ごともしないのである。これがいままでの方針とされて、われわれはそれを理解してまいったところでございます。 私は伺いますが、国交関係が何にもない国に、国交回復のさまざまな条件が押しつ押されつはなはだ難航しておるそういう問題を、一括解決でなければ解決しないのだと言っておいて、どんどんほかのことをやっていって、それでよろしいか。それでは納得できないじゃありませんか。一括解決でなければやらないと言っておる。けれども、これはそれとは全然別問題の隣国に対する緊急援助であると言っておられる。国交のあるところには緊急援助があってしかるべきだと思うけれども、国交が何も結ばれていないところにそういうことをやることは、異様なことであると思う。 それからもう一つ申し上げたいことは、国際的ヒューマニズムの立場に立って、見るに見かねて援助するというのであれば、それは全然別個という判断もあるであろうが、それならば、向こうがこういう条件でなければ受けないとか、ああいう条件でなければ受けないとか、特にまたヒューマニズムの問題、人道的問題から見るに見かねて援助するというのであれば、初めから一回限り、あとはやらないのだぞというようなことは、ドスをきかせて物を与えるなんていうことは、これはまたおかしなこと、筋の立たぬことじゃございませんか。私がお伺いいたしたいことは、何でもいいから、国民の前に真相を明らかにして、そうして国民の協力と理解のもとにわれわれはその問題の処理を進めてもらいたいということである。三億ドル、二億ドル、その中のいずれでもない。一億ドルの商業ベース、それでもない。全部一括解決でなければ処理しないと言っておいて、二千万ドルやっていく、国交の関係も何もないところに。そういうことをやっていけば一括解決の交渉を妨げるとして、一括解決でなければものごとを処理しないと言っておいてこれをするのは何ごとか。この点を明らかに願いたいと思う。
○荒舩委員長 後宮アジア局長。
○春日委員 君、ちょっと待て。どういうぐあいなのかね、政治の問題について君がしょっちゅう出てきて言うのは。
○佐藤国務大臣 いま外交交渉のことですから、実際にやっておることをみな説明させよう、こう思って、実は後宮君を呼んだのです。しかし、どうしても聞かれないということでありますから、私からお答えいたしますが、一括交渉ということばがあって、そうしてこういうことをやっておるのは不都合じゃないか、こういうお話ですが、私どもは、日韓交渉、両国の国交回復は、そういう方向にいきたいと思っております。今日交渉成立前においても、すでに民間は民間交流をやっております。経済的にもそれぞれの関係を持っておる。それ以外にも文化交流もあるし、そういうことが一括交渉で片づかなければ一切交渉するのはけしからぬじゃないか、これは少し言い過ぎじゃないかと思う。そういう意味の交渉がそれぞれありしまして、交流がありまして、そういうことがやはり国交回復への道ではないか、私はかように思います。
○春日委員 私は、政治というものは、筋を通さなければいかぬと思うのです。たとえば中共との問題については、政経分離というその方針を堅持されておる。それは国交が結ばれていない国だから、したがって、政経分離でなければならない。政府間の取りきめだとか、政府間のいろいろな協力関係というものは困難だと言われておる。政経分離、それは、国交のない国においてなし得る限界というものはおのずからあるのだということを、あなた方のほうは自民党政府の政策としてしばしば天下に明らかにされてまいったところである。ところが、韓国との間に国交はないじゃございませんか。だから、民間ベースでおやりになることは、これをとがめるものではございません。多々ますます弁ずべし。われわれだって、そのことについて異論を述べたことはございませんけれども、これは民間ベースではない、商業ベースではない、政府ベースである。政府ベースの事柄をやるとするならば、やはり日韓交渉において金、大平の間において、取りきめされた一個の合意事項というものがある。この合意事項というものは守らなければならないと思うが、今回それをここに守らないで、プラスアルファの事柄を加えて行なうということは、それは何か。そういう新しい必要が発生したと見るべきであるが、その必要とは一体何であるか。これを国民がわかるように御説明願えればよろしい。田中副総理からでも御答弁願えますか。(笑声)
○佐藤国務大臣 これは、関係の者が前内閣の当時からいろいろ手がけてまいったものでございます。したがいまして、その当時最も関係され、そしてその衝に当たった、かように考えます大蔵大臣から、もう一度説明させます。
○田中国務大臣 御承知のとおり、先ほども外務省の事務当局から御説明がございましたが、日韓交渉を妥結をする場合には、大平・金メモにありますように、二億ドル、三億ドルというものと離しては妥結調印はいたしません、当然こちらが払えば自動的に請求権はなくなるという前提で交渉を進めておるわけでありますから、ですから、その調印が終わるとか、それからいまの竹島の問題とか、いろいろな問題を一応片づけて、国民にわかるような状態にならないと、二億ドルや三億ドルというものは、分割払いにも応じませんよということを国会からも念を押されておりますし、内閣としても、前内閣時代、はっきりした内閣の基本的方針を国会に御説明申し上げておるわけであります。でありますから、今度の二千万ドルの分につきましては、この大平外務大臣の国会における対韓交渉に対する基本的な政府の態度とは全然別なものであります。ということは、一体何で出したのか。われわれも外務省の要求に対して、この問題、こういうものを出すと、国会でもって、実際は違うものであるけれども、一括解決といいながらまた別な援助をするじゃないかという議論が出ますよ、ということを私の立場で言ったわけですが、これは御承知のとおり、当時経済的な事情、全く経済的に困っている事情が隣の国にあって、しかもそれは、かつてはわれわと同一な国家を形成しておった国であり、日韓交渉をやって正常化を進めておる相手方である、こういうことで、中共にも米を送ろうとしたことがございますが、韓国に対する経済援助二千万ドルというような問題は、そういう意味で新しい経済的混乱に対してお手伝いをする、米を送ったものに少し毛のはえたようなものだ、こういうことですよということで政府が意見をまとめたわけですから、まあ春日さん、ものわかりのいい方ですから、そういうことはひとつ御了承になれると思います。
○春日委員 そんな八百長的な相談を持ちかけられたって、だめですよ。(笑声)実際、中共に対しては政経分離だ、国交が回復されていないから、政府として何事もなし得ないと言っておる。韓国のほうについては、国交が回復されなくても、政治的になし得ることを何でも政府がやっている。そんなばかなことは、国民が聞いても、おっしゃっているあなた自体が、これは全く答弁が言いにくい、舌かむ思いで答弁されておると思うのだが、私はもう少しほんとうに――私は総理に申し上げたいことは、だから私は最初に申し上げた。桂太郎が、山県有朋が、伊藤博文が、あなたの郷党の先輩たちが国難の対処に取り組んでどういうぐあいにその身命を賭してやってきたかということなんです。だから、こういうような小さな問題についても、椎名外務大臣が間違った答弁をいたしました、これはまことに許しがたきことでございます。国際的波紋を生じたということであるならば、その罪まことにこれは解職に値するとか、政府の首班として国会に対して陳謝するとか、悪いところは悪い、いいことはいいとして、問題を先へ先へと進めていかなければいけないですね。前のほうの質問には答えないであとの質問に答えたような気がしますとか、向こうから質問があったからこういう回答をしておきましたとか言って、そうしていま副総理をもって自認される大蔵大臣のごときは、野党に向かって、ものわかりのいいあなたがあんまりこまかいことを言うなとかいうようなばかげた相談を持ちかけてくる。何が何だかわけがわからない。大いにひとつ善処を願いたいと思う。 この問題は、椎名さんが戻られたら、これは荒舩清十郎委員長の厳然たる責任において、喚問して、これは究明して、責任の所在を明らかにされたいことを強く要請いたします。
○荒舩委員長 承知いたしました。
○春日委員 時間がございませんので、中共問題、沖繩問題を他の委員会に譲りまして、経済問題についてお伺いをいたしたいと思います。 先日、本会議における総理の所信表明の中に、経済問題についてこう述べられております。「最近の経済動向を見ますと、景気調整策の効果がようやく経済の各分野に浸透し、国内経済が落ちつきを取り戻し、」云々、こう述べられておる。私は、これはあまり現実離れがした見方ではないかと思うのです。国内経済が落ちつきを取り戻した、こんなふうにほんとうに総理は見ておられるのですか。簡単にひとつ、あなたもお忙しいようでありますし、時間も次第に切迫しておりますから、わが国経済を何と見ておられるか。
○佐藤国務大臣 現在の経済につきましてたいへん心配した向きもあるようでございますし、また一面、今日までの効果があがりつつあった、かような見方もあります。しかし、昨年末来景気調整に政府が取り組んでおりますが、まだまだ十分その効果をあげているとは言いかねます。したがいまして、後におきまして、所信表明においてはさらにその足らない点をつけ加えて説明しておるようでございます。
○春日委員 それでは、総理は御所用があるようでございまするが、これはわが国経済の現状に関する政治的認識でありますから、この一問だけお聞き取りを願ってお出かけを願いたい。しかし、用事を済ませたらすぐ来てもらわぬといかぬですがね。私は続いて質問をいたしたいと思う。あなたが退席されておりまする時間は、私の持ち時間として継続させていただくことにいたしますから、これは御了承願いたいと思う。 ここにわが国の経済学者や経済評論家たちが、あなたのそのような御認識にもかかわらず――われわれ民社党が申し上げると、これは野党であるから政府与党に対して攻撃的というような、そういうハンディもあるでございましょうから、わが国の経済評論家、経済学者が日本の経済を何と見ておるか。これは、わが国の経済が二重構造だ、頭でっかちの胴細りだ、日本の経済はかたわだ、こういうことを言っておるのでございますね。そうして学者たちが指摘しておりまするようないろいろなひずみ、これを具体的に申しますると、これを分類して整理いたしますならば――これはひとつ心にとめていただきたい。これは、すなわち産業面においては農業と工業との格差の拡大、大企業と中小企業との格差の拡大、それから過剰設備と過剰生産の増大、これが産業面における一つの大きなひずみである。企業面においては、中小企業の金融難、手形の不渡り、倒産の続出、二つには、資本の生産性及び収益率の低下、それから企業の一般的業績が悪化いたしております。これはもう法人税の決算にあらわれてまいって来ておる。それから自己資本の著しい低下。それから雇用面においては、これは石田労働大臣十分御検討であろうと思いますが、特に労働力の逼塞逼迫。それから金融面においては、銀行のオーバーローン、企業間信用の膨張、長期、短期の金利のアンバランス、それから日銀券のとめどのない膨張。それから証券面においては、株価の暴落、出来高の減少、株式市場の機能の喪失、こういう問題。それから物価面においては、消費物価の持続的な高騰、地価の驚異的な奔騰、管理価格等による卸価格の下方硬直性のあらわれ。それから国際収支の面においては、貿易外収支の赤字幅の増大、外貨依存態勢の恒常化、こういうような問題、それから国民生活面においては、貧富の格差の拡大でありまするとか、住宅難の深刻化、交通の麻痺状態、公害の増大。こういうようなぐあいに、学者が整理分類してあげておりまするどれ一つをとっても、これは非常に重大な事態がここに招来されておる。なるほど量的な拡大はもたらされましたけれども、質的な悪化が累積しておって、いろいろな悪い要素がわが国経済の中に根を深くおろしている。病根が非常に蔓延をしておる。私は、非常事態ではないかと思うのでございます。だから、私が冒頭に申し上げましたように、一国の総理たる者は、事があればその事とすぐさま取り組むこと、そういうことを申し上げた。これはアトリーさんがウィルソンさんに、総理総裁たる者はかくあるべしと教えたまあ教訓の一つであると思うのだが、すぐ取り組まなければならぬ。社会開発とか何とかいうようなことで、ぼつぼつ研究していくというような筋合いのものではない。私はここに十幾つの重大な事態を指摘して申し上げました。こういうようなものに一体どういう決意を持って取り組むか、そういうような腹がまえがあるか。臨時国会、通常国会にこれが対策を打って出すという決意があるか、これを伺いたいと思う。
○佐藤国務大臣 ただいま具体的にいろいろあげられましたが、まだそれ以外にも問題がある。先ほど来のことは問題だと思います。しかし、片一方で総需要がふえている。あるいは完全雇用の状態はここにちゃんと維持しておる。こういうようなことも、経済全般のあり方について考慮していかなければならない問題なんです。一部経済評論家やまた政治的なその担当の部門の人が、非常に深刻に考えておる。しかし、ただいまの経済は、ただ一つ一つをとってそれに対策を立てるわけにいかない状況なんです。そこにお互いの総合性と申しますか、相互関連の問題があるのだから、その相互間連の問題をいかに整理していくか、こういうところに経済対策のむずかしさがあるわけです。たとえばいま申しますように、大企業だけに労働者が集まっておる。こういうような場合に、それじゃ中小企業のほうは一体どうなるのかとか、あるいは過密都市はどうするのか、こういうことでも、ただ単なる労働対策という非常に限られた問題だけでは解決できない状況になっている。株価対策しかり、あるいは金融対策しかり、税制がしかり、全部がそのとおりであります。だから、そこらにむずかしさがあり、そうして時間をかしてもらわなければ軌道に乗せるわけにいかない。私は真剣に経済安定への方向にこれを導いていく。これが急速にその方向に転換はできないだろうと思いますが、しかし、今日の経済状態はいかにも正常でない。そういう点を直していくことが大事なように思います。 なお、詳細につきましては関係各大臣から説明さしていただいて、途中で退座しますこと、たいへん恐縮でありますが、この辺で失礼さしていただきます。
○春日委員 それでは、私はこのようなわが国経済の現状を皆さま方に、閣僚諸公に念頭に置いていただきながら、これに対する対策の各論に入りたいと思うのでございます。 〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 まず最初に、重要産業対策、基幹産業対策について伺います。 今日の日本経済のひずみの根本の原因は、何と言ってもこれは、本委員会でも述べられておりますように、過大な設備投資が平気で行なわれたことにあると思う。最近十年間に名目国民総生産は三倍の規模に高められましたけれども、同じ十年間に設備投資が六倍になっております。これは大企業が市場占拠率拡大のために、企業の社会的責任を忘れ、争って設備投資を急いだ結果、このような二重投資、三重投資になってまいっております。ここに資料がございますが、現状によりますと、そのような設備投資、過剰投資の結果として、燐酸肥料は五〇・九%の稼動率でしかない、セメントは五八・一%の稼動率、羊毛紡績は六三・五%、化学繊維は七二・四%、ガラスは七七・四%、紙パルプ等は八〇・何%と、とにかくそのような国家の財産、国民の資材をそのように食いつぶしてまいっておることを重視しなければならぬ。このような無秩序、無責任な設備投資の横行は、わが国の経済体制が民主主義体制だからといってこれをほかっておいていいという筋合いのものではないと思う、ほかっておいたから現状になったのでございますから。したがって、少なくとも重要産業については、自由経済を基調とはしながらも、何らかの方法によって投資の計画化をはかる必要があると思うのです。この意味において、重要産業に対しては産業別経済会議を設置するとか、企業の社会的責任を明確にするとか、特に労働者の主体性の尊重をはかるとか、いろいろ重要産業に対する産業秩序の基本を明定する必要があると思うが、政府の考え方はいかがでありますか、大蔵大臣から御答弁願います。
○田中国務大臣 御指摘のとおり、設備投資が非常に大きくなったということは事実でございます。これから基幹産業ともいうべき産業の五カ年、十カ年の将来に対しての産業投資会議のような機関を設けて調整を行なう必要がないか、こういう御質問だと思います。金融機関その他がいままで投資計画に対してはチェックもし、また通産省や大蔵省としても、これら重要産業に対して金融面からチェックが行なわれてまいったわけでありまして、自由経済の放任主義から申しますと、いろいろな計画経済的な機構をつくって、これを押えたり調整をしたりすることは好ましくないということを基本的に言われておりますが、私は、やはり現状の日銀法とか、現状の銀行法とかを前提に考えますときに、ただ金融機関だけで適当に調整がされるだろうという考えだけではなく、やはり戦前の商工省が管理行政第一ということでやったような、そういう強さを考えるわけではありませんが、やはり日本の基礎産業、重要産業の現状を十分分析認識して、これからの三カ年、五カ年の投資計画はどうあるべきか、また同業間の調整はどうあるべきかという一つの青写真というものは持っておる。この青写真をどこで書くかという問題に対しては、現在は経済企画庁とか大蔵省とか通産省とかがやっておりますが、経済閣僚会議というようなものだけではなく、もう少し自主的な面も十分考えながらも、何らかの計画立案調整を行なうものが必要ではないかという感じはいたします。
○春日委員 この問題については、前池田内閣は特振法というものを提出されまして、これに対して若干の施策を加えようとしたものではございましたけれども、これはわれわれの判断では、独占禁止法に風穴をあけるのみならず、戦前の重要産業統制令のような、わが国の産業に対する官僚支配の傾向が強いとして、われわれはこれを反対いたして、この法律は流産になっておること御承知のとおりでございます。したがいまして、いまさきに私が述べましたように、また田中さんの構想の中にもいささか示されておりますように、すなわち産業の民主的体制を確保しながら、かつはまた自由経済の基調の上に立って、このような基幹産業の社会的使命、これを明確にするために、時間がありませんから、私はここに委員長の許しを得て資料としてお手元に配付いたしておきましたわが党の重要産業基本法、このようなものを制定することによってその問題の解決をはからなければならぬと思うが、この問題については、ひとつ十分政府において御検討を願っておきたいと思う。すなわち、特振法は流れました。二回にわたって流れました。何らかの施策を講じなければならぬであろうということは、政府自体も認識されておるところでございます。けれども、流れたについては流れた理由がある。その理由を解消しながら、ここにわが党は対案をつくってみましたが、これについて十分御検討の上、とにかくそういう重要産業、基幹産業に対する社会的使命を明確にしながら、この経済のひずみを直すために具体的な施策を講ぜられたいと思うが、大臣の御答弁はいかがでありますか。
○田中国務大臣 重要産業基本法案要綱はいまいただきました。これはひとつ十分読みまして検討いたしたいと思います。 ただ、春日さんが言われておるように、私自身もその必要性は認めておるわけであります。計画も必要である、また青写真をもととしてやらなければいかぬ、しかも自由経済の中においてさえそうである、それはもちろん私も同感でございます。ただ、どうもこのごろすべてのものに基本法をつくる。中小企業基本法、農業基本法、これは必要であり、効果もありますが、基本法ばやりで、すべてのものに基本法をということですが、私は、必ずしも基本法というような法律でがんじがらめにするということよりも、この前に提案をしてものになりませんでしたが、あの当時は、御承知のように、産業界自体も特振法などというものに反対でした。でありますが、わずか半年ばかりたった今日、各業界とも、特に基礎産業部面に対しては特振法を必要とする、こういうことでございますので、政府自体も、もう一回新しい立場でもってあの種の問題に対しても検討を進めて、また御審議をわずらわしたい、こう考えておるわけであります。
○春日委員 基本法であろうと何であろうと、名前なんかは論ずるところではございません。中身、政策でございます。だから、一つ御検討願いたい。 次は、金融の正常化について政府の対策をただします。 きょうのこの金融のひずみは、都市銀行のオーバーローン、企業間信用の膨張、それから長短金利のアンバランス、これは日銀券の膨張、それから証券市場の機能麻痺等がその原因と見られておるのでございます。このような金融のひずみを是正して金融の正常化と証券市場の機能の拡大を実現するためには、まず、基本的なあり方として、企業が必要とする産業資金については、短期資金は金融市場を通じてこれを調達する、長期資金は証券市場を通じてこれを供給するという本来の基本的な法則が確立されなければならぬと思う。そのためには、金融市場と証券市場との間に絶えず資金の交流、融通が行なわれて、そこにおのずからなる有機的な関係の醸成されるように、すなわち、現在の間接金融方式万能主義をまずもって是正して、そうして直接金融方式を重視する方向に金融政策の基本を定めていかねばならぬと思うが、このような基本的理念に対する蔵相の御見解はいかがでありますか。
○田中国務大臣 基本的には春日さんのお考えに全く賛成であります。私が先回もこの席から申し上げましたが、いままでの超高度成長とも言われるような成長を続けてきながら、成長は続けてきたけれども、その過程において産業資金をどうして得るのかという具体的な計画がこれと同時になかったというところに問題が生じたわけであります。でありますから、日銀信用の膨張によって設備投資が行なわれ、景気が刺激をされ、所得が倍増され、今日になったという極端な議論も存在するのはそういうわけでございます。でありますから、オーバーローンの解消、それから金融の正常化をはかる、こういうことでございます。金融の正常化をはかるというなら、あなたの言ったとおり、間接資本偏重の弊風をやめて、そうして長期、良質な資金というものは証券市場もしくは社債市場によって得るという道を開かないできたところに、オーバーローンの解消ができない、こういうことでございます。でありますので、中期経済見通しを立てて、八・一%、五カ年間の経済成長を考える以上、この産業資金はこれからどういう方向で得るかということを考えなければなりません。もちろん、戦前のように自己資本比率六一%がいいとは考えませんが、現在のように二三%であって、しかも証券市場はこのように不振を続けておる。これではもうどうにもならないということでありますので、直接資本の市場の拡大強化に対して格段の施策を行なうという考えであります。
○春日委員 これは、直接資金調達のための証券市場の機能の拡大をはかることは緊急焦眉の問題であり、第一義的な要請事項であると思うのでありますが、これは後ほど論ずるといたしまして、同時に、銀行の貸し出し過多、オーバーローンをすみやかに何らかの形で規制する行政措置、政策措置を講じられなければならぬと思うのです。ここに、昭和三十年を一〇〇といたしますと、名目国民総生産が三倍でございますのに、全国銀行の貸し出し金は五倍になっております。これは御調査のとおりであろうと思います。この銀行の貸し出しをささえたものは日銀貸し出しであって、日銀貸し出しは、三十年のそれに比べて、これまた四倍に達しておる。これは何とかしなければならぬと思うのでございます。 そこで、金融の正常化対策としては、私は、現行銀行法を改正して、銀行の社会的責任というものを明確にしていく必要があるであろうと思う。御承知のとおりに、現在の銀行法は、一口で言うならば、組織的な面に重点が置かれて、営業的な面というものが従属的に扱われているきらいなしとはしない。だから、この際銀行法の中に、大口貸し出し、情実貸し出し、それから長期貸し出し、それから預貸率、こういうようなものを法律で制限をして、同時にまた、銀行と大企業との癒着状態、これを遮断していかなければならぬと思うのですね。そういうような一連の施策を講ずるためには、単なる中期経済計画によって財政投融資をどうする、予算の規模をどうする、税制をこうするというような問題は、これは言うならば迂遠の施策であり、そのようなことはすでに三年か二年くらい前から池田内閣も言われてきたけれども、言うべくして効果はあがり得るものではない。だから、銀行のやり方がいけなくて起こった、こういう経済のひずみですね。わが国産業経済の随所にこのような重大なる問題を起こしたとするならば、直接起こした加害者ですね、その責任者すなわち銀行。ならば、その銀行の営業の基準、これを改めていかなければならぬ。現在の日本の経済が要請するスタイルにこれを直していかなければならぬと考えるので、これまた、私どもがいろいろの角度から検討して、ここに委員長の許しを得て配付をいたしたところの現行銀行法改正案、この中にも、集中融資、偏向融資、系列融資、それから銀行の企業支配の現象、こういうようなものを排除して、社会的使命を明確にするための措置を的確に論じております。御検討あって銀行法を改正なさるべきであると思うが、大臣の御見解はいかがでありますか。
○田中国務大臣 銀行法は、御承知のように戦前の立法でございまして、改正をしたいということは国会でも言明をいたしております。金融制度調査会その他にも諮問をしながら改正に対して努力を続けておるということでございます。また、民社党さんがおつくりになった銀行法改正案も十分参考にして読んで勉強したいと思います。 ただ、春日さんに申し上げておきたいことは、現在私たちもじくじたるものを覚えております。日銀法でも銀行法でも、総動員法時代の法律がそのまま生きておるのですから、やれば何でもできるはずなんです。これをやらないで今日まで来たということは、確かにこれは法律が悪いだけではなく、われわれ自体も十分戒心しなければならぬものもございます。それを新しい憲法下の情勢に合うように法律を改正しようという考え方を持っておるわけでございますから、すべてのものをこまかく条文に規定をして、銀行がにっちもさっちもいかないような状態にするために改正をしようというのではありません。角をためて牛を殺すことのないように、日銀法、銀行法の改正は非常に重要な問題でありますので、現象だけにとらわれないで、十分野の遺賢の意見も聞きながら、その道の大家の意見も徴して、新しい金融の憲法として遺憾なき改正案をまとめたいという考えであります。
○春日委員 ただお互いが委員会において論じ合って問題を指摘し合うだけでは問題の解決にはならないと思う。だから、調和の精神を説かれておるけれども、野党の意見提唱といえども、これが国家と国民のためにプラスになるという判断があったならば、これを取り入れるにためらうことなかれ、これはひとつ勇をもって断行してもらいたいと思うのですね。ただいまの銀行法のごときは、田中さんが政調会長時代、いまから五、六年前からしばしば論じられておるところであり、いまあなたがそれをなさろうと思えばやり得る立場にある。たとえば情実融資、偏向融資、これは、そういうようなことで銀行が企業支配をしておる現実はひいど。私はこの間の九月決算によって銀行から頭取や重役が企業会社の社長になっておりますものをいろいろ調べてみたけれども、これはえらいことです。銀行法には、銀行は営利事業を行なってはならないと、禁止をされておる。ところが、その融資を通じて事実上銀行がその企業支配をしておる。だから、そこの副頭取をそこの社長にしたり、そこの常務を社長にしたり、九月決算で銀行から天下り的に重役が何名出ておるか。九月だけでも十八名出ておる。このことは、銀行法の法律の条文そのものに違反せずといえども、銀行法の法意をおかすもはなはだしきものであると思う。だから、私は、いまそこに資料としてお届けをいたしました銀行法の改正案、これは必ずしも民社党のポリシーじゃございません。これは、学者、評論家、専門家等の意見も第三者的に徴して、かくあるべしという公正なる論理を打ち出しておると思う。どうかひとつ、天に口なし、天、民社党をもってこれを言わしめるというような、これは天の声だと思って、この問題には十分ひとつ取り組まれることをお願いをいたしておきたい。 それから、中小企業の資金確保対策についてお伺いをいたしたいのでございますが、なるほど政府は年末に際して、三公庫に対して八百億円当面の措置はなすってはおるようでございますが、しかし、貸し出し総額二十三兆をこえる中において、中小企業がいま相当の金を使っておる、九兆もしくは九兆五千億の金を使っておると思うが、それで破産、倒産相次いでおるというこの現状に徴するならば、ここに八百億や千億を加えたところで、これはどういう効果があるか。五十メガトンの目方のところへ三貫目や五貫目の目方を加えたところで、その重量感に影響がないと同じように、とにかくそんなものでは決定的な資金梗塞解消の施策にはなりがたいと思う。中小企業がわが国産業経済の中において、ここに労働大臣がおられるけれども、雇用においては、とにかく店員、工員の総数かれこれ千八百万、あるいは通関実績においても五五%をこえるでございましょう。小売り流通においては八六・八%、わが国産業経済の中において非常なウエートを占め、役割りを果たしておる。そういうようなものの全体の資金量が、ざっといまのところ統計によると三九・何%、四割を切っておりますね。都市銀行十三銀行においては、かつては大体三対七の割合で、三割のものが中小企業に確保されておったが、いまではこれが二割を割ろうといたしておる。大企業が八〇%、中小企業が二〇%、この大銀行というものは、すなわち産業に栄養を送る動脈の中の大動脈である。この大動脈が資金の配分を大企業八〇%、中小企業二〇%というようなことでは、大企業には二重投資、過剰投資が行なわれ、中小企業にはこのような重税と金詰まりで破産、倒産相次ぐのは当然のことである。いまこそ私は、その果たしておる役割りに相応した資金の供給、商売は元手次第だから、資金の供給というものが確保されなければならぬと思う。そのためには、中小企業の資金確保措置、これは、大銀行の貸し出しシェアはいかにあるべきか、地方銀行の貸し出しシェアはいかにあるべきか、相互銀行、信用金庫はどうあれ、これを法律によってきちっと規定して、ある程度自由経済の中においても社会的立場においてそのような資金の配分措置を講ずるの必要があると思う。このために、これまた資料として中小企業に対する資金確保に関する特別措置法、わが党は、かくのごとき政策が実現される必要があるであろう、法律の制定を必要とするであろうという考え方でこれをやっております。これはひとつ通産大臣、経済企画庁長官、大蔵大臣、十分協議されて、何とかそのような果たしておる役割りの分に応じた資金の供給、これが確保されて、そうしてその均衡ある成長発展が大企業も中小企業もともに手を携えてそういう成果をおさめられるように必要なる措置を講ずべきであると思うが、大蔵大臣の所見はいかがでありますか。
○田中国務大臣 中小企業に対しては、春日さんの御意見、十分拝承もいたしておりますし、私たちも年末金融対策等に対して格段の措置を考えておるのでございます。ただ、ここでちょっと春日さんに、そんなことは釈迦に説法でございますが、しいて申し上げると、中小企業に対してただ金をふやすということだけでは、この問題はなかなか解決しないのであります。でありますから、中小企業というものに対して、皆さんとも御相談をしながら下請代金支払遅延等防止法をつくりましたが、これはやはり有名無実だというようなものの、ほんとうに大企業が下請に対して払わなければならないというようなことを完全にやらしめるようにするにはどうするのか、こういう問題をまず正す必要がございます。それから中小企業の年率の回転は一体どの程度にし、業種別にどの程度が一体理想的であるか、これに対して資金はどう確保すべきかということをおおむねきめてかからないと、少なくとも中小三公庫に対しては年度を通じまして対前年度比三〇%以上も資金の量をふやしても、これはまだ二階から目薬だ、こういう感じで、中小企業金融対策をいつまで追っかけていっても、なかなかこの問題は解決せぬのであります。また、特に戦後は中小企業専門金融機関が大きく伸びてまいりましたし、特に相互銀行などは預金高三兆円にもなんなんとしておるのであります。いま都市銀行の二〇%弱という中小企業向け融資の話を御指摘になりましたが、これももちろん都市銀行が中小企業に二〇%でいいということではありませんが、これは、金融機関の金融の流れの実態そのものを見ますと、都市銀行の中小企業向け金融の量を二五%に法定をすることは必ずしも合理的ではありません。まあしかし、現実の姿も十分把握しながら、新しい立場に立って、画期的なといいますか、中小企業の金融はどうあるべきかということに対しては積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
○春日委員 御研究の上、確信を得られたら、直ちに通常国会にでも御提案を願いたいと思うのでございます。ただ概念的に前年度比二〇%、三〇%、こういう問題で解決がつかないのであります。つかないから、破産、倒産が相次いで、十月が四百三十件、十一月が六百何十件。これは、だんだんと、単なる経済問題としてではなくして、いまやこれが社会不安、政治不安として高まりつつある。これは大いにあるがままに御判断になって、前年度比によってこれこれの率がふえておるから、それをもって足れりとか、それをもってみずからの施策の慰めとしておられるということは適当でない。問題を具体的に解決をせなければ、政府というものが国民に対してになっておる責任を果たすゆえんにはならないのである。実効を確保する、こういうところにひとつあなた方の想をまとめてもらいたい。 そこで、私は、この際さらに具体的な問題を一つ提案をしながら御判断を得たいのでありますが、いま関連倒産の問題がだいぶ大きな社会問題になっております。すなわち、自己の責任によらずして、相手が倒れたからわれわれが倒れざるを得ないという、これは一個の社会的な責任であろうと私は思う。実際的には政治責任ではあろうけれども、大企業の連中やいろいろな連中の責任をも加えて、一個の社会的責任と見るべきであるが、そのような社会的な原因によってみずからが破産、倒産をせざるを得ないものに対しては、国は何らかの施策をこらして、このものをささえていかなければならぬと思うのでありますが、そのためには、私どものほうで、――時間がありませんから、詳細を尽くし得ないことは残念でありまするが、関連倒産を救済するための特別立法、あるいは不渡り手形をつかまされた場合において、その不渡り手形を整理して、そうして債権者の利益を守ってやって、破産、倒産を防衛していくというような具体的施策、こういうものが私は必要であろうと思うのであります。だから、私は、こういう問題についてもぜひともひとつ御検討が願いたい。不渡り手形なんかは国の機関として、たとえばここに不渡手形整理協会というようなものをつくって、そこへみんな持っていく、そこでこれが公正なる商取引に基づくところの犠牲であるということがわかったならば、これは税法上直ちにそれを損金算入をしながら、その中の幾分かのものは、商工中金なんかに別ワク資金を設けて、これに長期融資を行なうことによって倒産を救済して、当面の破局を防いでいく、私は考えればやり方はあると思うのです。問題があったら、直ちにそのことに手がけることというのは、私はこのことだと思うのであります。だから、この問題についても具体的政策を通産大臣にも私はその案を提示いたしておきましたが、よろしくひとつ内閣において御検討の上、前向きの形で御解決を願いたい。 それから、石田労働大臣にお伺いしたいのでありまするが、かねがね石田労働大臣は、中小企業の労働力不足問題について一個の見識を持たれて対策を立てられておるようでございまするが、問題は中高年齢層ですね。潜在失業者がどれだけあるか、これはつまびらかでないといたしましても、実在することは実在するのである。今日中小企業に新卒の労働力がまいりませんのは、大企業がこれを独占するというその結果によるものが多いと思うのでございます。だから、私は、大企業なり官公庁なりが新卒を雇用せんとする場合、現存するところの有閑労働力すなわち中高年齢労働者、これをコンビネーションで雇わなければならないというような、たとえば百人新卒を採用するときには必ず二十名なり三十名、――業種、業態によって、それは政令によって区分があってよろしいでありましょうが、そういうようなコンバインしたところの採用方式、これは、公共の福祉の名のもとに、そういうような政策はそれこそ調整ができることだと思うのでございます。私は、中高年齢労務者雇用促進法というような法律を設けて、一方においては中高年齢労務者にその就職の機会を確保しながら、かたがたもって中小企業に新卒の労働力が流動していくように、大企業と官公庁の新卒独占の現在のこの弊害を是正するの意思はないか。何か政府において協議会、研究会が持たれておるようでありますが、そういうような何ら法律の義務づけられていないような研究会等においては効果があがらないと思う。現にあがってはいないのである。だから、その実効効果を確保することのために、この際そのような立法を行なうの意思はないか。労働大臣から御答弁願います。
○石田国務大臣 わが国の労働力の需給状態は、一般的には人不足、人不足と言われておりますけれども、実際絶対数から言ってほんとうに不足なのは技能労働者でありまして、他の労働力については、過剰の中の不足とでも申しますか、非常な偏在がございます。その偏在が人不足ムードをつくり上げて、それがまたさらに悪循環をしているというふうに私どもは考えておるのでありまして、特に若年労働に対する求人が殺到する割合に比して中高年齢層の就職が今日なお非常に困難であることは、御指摘のとおりであります。前に労働省におりましたときには、政府関係機関あるいは大企業が若年労働を先取りするという弊害を除去いたしますために、政府関係機関の責任者を招致いたしまして、強く申し入れたことがありましたけれども、御指摘のとおり、強制力を持ちませんものですから、あまり実績があがっていなかったのであります。今度は職種を指定いたしまして、政府関係機関等においては、若年労働でなくて十分間に合うものについては中高年齢層を採用するように強い行政指導をいたしておりますし、日経連その他におきましてもこれに対応する措置をとっております。また、本年四月からは、新高校及び中学校卒業者の採用申し込みに対しては中高年齢層を併用するように行政的に強い指導をいたしておるのであります。この行政指導をしばらくやってみまして、これは職種を指定して強い行政指導をやっておるのでありますが、これをやってみまして、あわせて、ただいま御意見のような、とにかく強制措置をとり得るような方法についても考究いたしたいと考えておる次第であります。
○春日委員 理事会の御決定で三十五分までと承っておりますので、それでは問題をILOにしぼって総理並びに労働大臣から御答弁を願いたいと思います。 去る九月二十五日、前池田内閣の官房長官鈴木さんは、記者会見において、ILO案件の処理方法について、八十七号条約を関係国内法と切り離して臨時国会で承認する方針だと述べられております。すなわち分割審議の方法を明らかにされました。一方、労働大臣は、このことについては全く聞いていないと当時述べられておるところでございます。だから、私は、いま政府の方針は何であるのか、佐藤内閣のILO審議に関する方針は何であるのか、これを伺いたいと思います。その時期並びに分割審議か、あるいはいままでのような一括審議か、その方針をお伺いいたしたいと思います。
○石田国務大臣 鈴木前内閣官房長官の談話がただいまお話しのように新聞記事になったということは承知いたしております。その真意について私が確かめたところによりますと、そういうふうには述べられなかった模様であります。私どもの方針は、まず第一に、八十七号条約の批准をあとう限りすみやかに行ないたいということでございます。そのために、ただいま政府案の案件の準備を進めておるところでありまして、前の国会に提出いたしました政府原案、その後の特別委員会の審議について当時の大橋前労働大臣がお答えになりました答弁、あるいは日本政府とILO当局との間にかわされました公文、そういうものを参酌いたしまして、政府原案の作成を急いでおるところでございます。政府原案ができまして与党との調整が終わりましたら、あとう限りすみやかにこれを関係法案とともに一括して提出をいたす方針でございます。それをどういうふうに審議するかということは国会がおきめになることだ、こう考えておる次第であります。
○春日委員 それでは伺いますが、この夏のILOの委員会で、当時出席をされた堀労働次官、この帰国談によりますと、調停委員会としては八十七号条約と公労法、地公労法を他の国公法、地公法と切り離してでもかまわぬから早く解決してほしい、こういうような意向が調停委員会の意向としてもたらされたと述べられておりますが、この問題はいかがでありますか。
○石田国務大臣 これはどういうことを根拠に御質問か存じませんけれども、ドライヤー委員会というものはそういうような意思表示をわれわれにされた事実はございません。
○春日委員 ただ、時間がありませんから、これを十分論じ尽くし得ないととは残念でありますが、問題は、調査団が一月にまいられるという、この事実関係でございます。 〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕 少なくとも国内の労働行政について、国内の問題について他国がそのことを審問調査することのために来るというようなことは、言うならば、これは一個の内政の干渉みたいなものであって、主権国家として私はこれは不名誉なことであると思う。かつて満州事変のときにリットン調査団というものが日本にまいりました。昭和七年でありますか、とにもかくにもリットン調査団があの満州事変の事実関係を調査することのためにこの調査に来た以来、日本国の行政のあり方について国外の第三者に調査を受けなければならぬというような事態は、これははなはだもって不名誉きわまる事柄であると思うのです。だから、こういうような問題は一日もすみやかに、これがILOに対する公約事項でありますならば、また国会並びに国民に対する政府の公約事項でありますならば、早期にこれが批准できる態勢で問題を持ちかけてこなければだめじゃございませんか。すなわち、あの五案件一括審議というようなことでやってこられたものですから、したがって、問題がいろいろとふくそういたしまして、何国会もこれが流産のうき目を見ておる。先国会において十二月の二十日に提案されましたけれども、早期提案でありながら会期中に議決することができなかった。だから、このような経験にかんがみて、われわれは、最もすみやかにこれを議決をせなければならないとするならば、国会が通り得る方法を選んで議案の提出をはかられるべきであると思う。国会がもとよりその扱いをみずから決することは当然の事項でございまして、私も長い間国会運営に携わっておるから、そんなことはわかっておる。ただ、そういうようなことでなくして、政府もこれをおもんばかり見るならば、どういう形で提案をしたらどういうぐあいで通るか、どういう形で提案すればいかなる抵抗を激発するか、よくそのことを考えられて、初心忘るべからずということがございますけれども、石田さんがずっと前に労働大臣をやられておられたときに、労働問題懇談会に諮問を発し、その答申を待ってこれを善処すると言われておる。労働問題懇談会の答申は、公労法、地公労法並びに条約案件、これを処理すれば、必ずしも国公法、地公法については同時改正をするの必要はないということが答申の中に付記されておると思う。だから、そういう便乗改悪を排して、なし得る形で法案の提出をなすべきではないか。いかがでありますか。
○石田国務大臣 御説のとおり、労働問題懇談会の答申はそのとおりでございました。ただ、国会を通過させるためには、政党政治でありますので、まず与党内の意見の調整をはかっていくということもまた大切なことであり、早く国会の議決を得られる方法の一つでもございますので、そういうことをも勘案いたしまして、でき得る限りすみやかに議決を得られるような方法を考慮しつつ、政府原案の作成に目下鋭意努力中でございます。
○春日委員 時間がまいりましたから、結論として申し上げます。 わが党は、わずかな時間で政治姿勢から財政、外交万般にわたっての質問ということでございまして、質問申し上げなければならぬ問題が他に多く残されておりますけれども、もう時間がまいりました。私が総理に申し上げたいことは、とにかく日本国の進路というものが、あなたによってかじをとられ、その決せられた方向に進んでいくということでございます。中共問題にいたしましても、あなたは一つの中国論を言っておるが、それは一つの台湾論にしかすぎないものであって、何とか問題を解決せなければならぬと言われておりながら、具体的にその政策というもの、方針というものが国民の前に明示されておりません。私は、一つの台湾、一つの中共論というようなものも、これは何もひとりわれら民社党が言っておるのではなくして、イギリスの労働党のウイルソン、この人も明確に言っておる。ド・ゴールも言っておる。いまや西欧民主主義陣営の中においての国際的常識になっておるのです。何事かを解決しようと思えば、困難ではあろうけれども、大胆に口を開いて、――初めにことばありだ。初めにことばをあらわして、自分の意思を明確に相手に伝えていかなければならぬ。重大な問題だから慎重にやるということだけでは私は一歩の前進もないと思うのでございます。経済問題についていろいろと問題点を指摘いたしましたけれども、それに対する具体策は、講ずれば講じ得る道がないのではございません。非常にそのことについていろいろな反論があるからこれをためらわれておる。ためらわれておるから、池田内閣が四カ年間にまたがって何もせざる池田内閣の批判を受けながら、ああいう形で交代されたのでございます。どうか前車の轍を踏まざらぬように。寛容と忍耐とか、寛容と調和とか、こんなものは同じようなことだと私は思うのです。なさねばならねことは直ちにひとつ手がけて、万難を排して、そのことに体当たりをする、このような勇猛心をもってこのことに当たられんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて春日君の質疑は終了いたしました。 午後は一時三十分から再開することといたします。 午後の質疑者は淡谷悠藏君及び加藤進君であります。淡谷君の出席要求大臣は、内閣総理大臣、大蔵大臣、厚生大臣、農林大臣、労働大臣、自治大臣及び経済企画庁長官であります。加藤君の出席要求大臣は、内閣総理大臣、法務大臣、外務大臣及び通商産業大臣であります。 暫時休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十七分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き、議会を開きます。 昭和三十九年度補正予算に対する質疑を続行いたします。 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 まず佐藤総理に御答弁を願いたいと思うのですが、これまで総理は池田政策を踏襲するということをしばしば御答弁になりました。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 これは七月の総裁選挙のときの佐藤榮作氏の言明とは相当食い違ってはおりましたが、総理も、私は自由党員でありますということをはっきり申されておるように、それぞれお家の事情のようでございますから、この点は深く追及いたしません。事情をお察し申し上げます。しかし、池田政策を踏襲するとしましても、池田政策自体に免れない矛盾がありますので、この政策を踏襲する以上、これに大胆に直面することがやはり必要だろうと思うのであります。池田政策の矛盾を数え上げますと、非常にたくさんありまして、まさに経済高度成長政策、所得倍増政策を打ち立てましてから、今日に至って非常にこの政策は重体になったのじゃないか、もはや前ガン症状などというものではないように思われるのですが、中でも国民が直接痛感いたしますことは、やはり中小企業と農業における所得のひずみであります。ここでも指摘されましたように、中小企業は、歴史あって初めというような深刻な倒産の前に立たされておりまするし、農村もまた破局寸前、いやもう破局が始まったというくらいに深刻な状態に陥っておりますので、佐藤内閣にわれわれ要求いたしますのは、この池田政策の最もひどいひずみをどう直していくかということに大きな関心を持っているのであります。中小企業につきましては、同僚の委員からそれぞれ質問がございましたから、私はあえて問いません。一体、経済成長政策が現在に至って日本の農業にどのような影響を及ぼしておるか。これがひいて農民の生活の上にどのような苦悶を与えておるか。これまで赤城農林大臣からはしばしば御答弁を伺いました。しかし、池田政策の踏襲といたしましても、この点については佐藤新内閣が最も新味を発揮すべき舞台でもあると思いますので、率直にかつ真剣な総理の御答弁をいただきたいと思うのであります。
○佐藤国務大臣 池田前内閣も経済のひずみを是正する、かように申しております。このひずみ、これは一体どこへ出ているか。それが先ほど来お話のあります中小企業あるいは農業、そういう点にひずみが非常に大きい。ただいままでのところこれだけだと私は申しません。しかし、いまお尋ねがありますこのひずみ是正については、そういう意味で農村、農業対策に対しまして特に真剣に取り組んでおる。私の池田政策の踏襲というか、それは、そういう意味におきましてひずみを是正する。ただ、その是正のしかたにあるいはニュアンスの相違が出てくるかわかりませんが、これは見のがすことのできない状況でございます。今日その格差がいかなる状態にあるか、また、その格差をいかにして是正していくか、そういう点について農林大臣から詳しく説明さします。
○赤城国務大臣 経済の成長に伴いまして農業の人口が減少してきているとか、あるいは農業生産物に対する需要が非常に大きいとか、あるいはまた農地の転用などがふえてきたとか、いろいろ悪い影響も及ぼしております。農業全体としては順調な伸びを示していますが、他産業の伸びが非常に強く進みましたので、その間にへんぱが出てきた、すなわちひずみが出てきたということは、御指摘のとおりでございます。 そこで、これをどういうふうに直していくかということでございますが、やはり根本的には生産性の高い農業に持っていかなければならないと思います。そういう意味におきまして、従来とも、生産の基盤である土地の生産性を高める、そして労働の生産性を高めるということに力を入れてまいったのでありますが、そのほか、何といたしましても国内的、国際的に非常に強い波が寄せられておる農業でありますから、この体質を改善する、農業構造の改善を行なっていく、あるいは価格・流通対策を講じていく、あるいは後継者の対策を講じていく、農業政策全般にわたってこのひずみを直していくことにしなければならぬと思いますが、特に本年度気をつけようとしておるのは、やはり国内的に見ても国際的に見ましても、日本の農業の零細性ということがなかなか抜け得られない問題でありますけれども、これは非常に日本の農業の立ちおくれの原因であると思います。そういう意味におきまして、経営規模を拡大していくということと、それからまた、兼業化がふえておりますから、この兼業化において、農業に残っていきたいという者に対しましては機械等を導入するとか、その他によって協業組織、こういう面を強化して、経営の拡大と協業化の両面からこのひずみを直していくということを考えておる次第でございます。
○淡谷委員 そのお話は私も、暗唱するほど聞きましたが、それだけではどうも満足できないので、きょうは総理に伺っておるわけなんであります。所得倍増計画の当初から、農民の所得が他産業の所得と同じように伸びないということをしばしば前総理も言われた。これは数字的に明らかであります。年間の所得の伸びが三・七%というところでは、とうてい他産業にこれは追っついていかない。十年くらいしても、まあせいぜい三〇%か四〇%になるのだが、五〇%までは政策的に持っていって、あとは農民の数を減らしてこれを倍にしますというのが、前池田総理のその当時の答弁であった。新総理は、農民の所得について、いま農林大臣が言われたように、格差是正、ひずみの解消が一体できると思われますか、農業それ自体としてはできないというふうにお考えでございますか、その点をはっきり御答弁願いたい。
○佐藤国務大臣 御承知のように、いままでの経済計画は農業の生産性を上げる、あるいは農業人口が減る、それは大体農業自身についてはその計画を上回るような成績を出しておると思います。しかしながら、他面、鉱工業生産そのほうの部門は非常な伸び方をしている。だから、当初の計画が悪かったとは申しませんが、しかし、少なくともその格差は縮まらないで大きくなってきておるというのが現状だと思います。先ほど農林大臣が申しますように、やはり専業農家の育成強化、これをはかっていく、これが農業基本法の示すところのものだと思います。 それに対しましてもう一つ考えてみたいのは、農業そのものもさることながら、農業に従事する農民、そういう観点に立って、農民の生活をもっとより近代的にし、農民も同じように文化的生活ができるようにする、そのためには農民の所得を増加さすという、そういうくふうもすべきじゃないか。こういう意味で、いわゆる兼業農家がふえるとか、また農業が零細化するとか、こういうものに対する対策として農家自身の収入をふやす、そういう方法もあわせてとっていく、これがただいまのわが国の農業の特質ではないか。一面に専業農家を育成強化する、そういうことに非常な努力を払ってまいりましても、この地形から申しまして、なかなかそうもいかない。あるいは土地に対する執着から申しましても、そう簡単なものでもない。他面、専業農家ができない、その育成強化ができない、そういう状態だと、農家自身が、あるいは農村自身が非常な疲弊を来たす。しかしながら、われわれが、さらに農家収入をふやしていく、そういう方法を考えるならば、この農村の疲弊も片づけ得るというか、解決の方向へ一歩進めることができるんじゃないか。そういう意味で、あるいは産業自身を地方へ分散さすとか、あるいは人口自身の都市への移動を防ぐようにするとか、同時にまた、文化自身も地方へこれを分散していくとか、こういう積極的な方策をとる。その二つをあわせてやることが現状においては望ましい方法ではないか、かように私は思います。
○淡谷委員 ただいまの御答弁は、池田農業政策の非常に忠実な踏襲だと私は考えるのであります。そして、専業農家、農業だけではもはや所得のひずみは直らない。このことは実にはっきりうたわれております。今度出ました中期経済計画、経済審議会のこれを見ましても、もはや農業の所得は他産業の所得には追っつけないともう宣言しておるのであります。これは明らかに所得倍増計画の欠陥をみずから暴露したものでございまするが、その際に、その事実を何か色を薄めるために、農業所得と農家所得との混同が行なわれておる。農業所得ではできない面を、農家所得、すなわち農外収入にたよって何とかつじつまを合わせようといった転身が行なわれているのであります。これは具体的に現在の日本の農業の姿を見ますというと明瞭であります。育成しようという専業農家の伸び、もしくは第一種兼業の伸びがあまり見られません。第二種兼業のほうがぐんとふえている事実に総理はお気づきだろうと思う。この第二種兼業というものは、池田構想によりますというと、まず労働力を都会に吸収し、やがてそのうちには、第二種兼業は農業によらなくても生活ができるような段階になるから、そのときは耕地を専業農家もしくは第一種の兼業農家に転売させまして、そこでさっき赤城農林大臣が言ったような耕地の拡大をやろうといった構想があったのでありますが、所得倍増計画発足以来、第二種兼業農家はなかなか思うように土地を手放さない。そこに専業農家も第一種兼業農家も思うように伸びていかない。これは悩みじゃないですか。赤城さんも率直に悩んでおられるので、第二種兼業の実態について、これは総理でございませんでも、赤城農林大臣からでも現在の状態の御答弁を願いたいと思う。
○赤城国務大臣 確かに第二種兼業が四二%くらいになっていますから、だんだんふえております。しかし、第一種の農家も決して悲観すべき状態ばかりじゃございません。やはり健全に育っているものもあります。しかし、先ほど申しましたように、現状、たとえば二町五反ですか、二・五ヘクタール百万戸造成というものもそのとおりにいきませんから、全体として見てみれば自立経営農家の伸びは非常にまずいわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、どうしても農業の実態からすれば、自立専業の経営農家の強化拡大ということが目標としてはもちろん必要でございます。一面において、だからといって兼業農家が土地を手放さないから無理に土地を取り上げるとか、あるいはいわゆる首切りという形でやろうという考えは毛頭持っておりません。これもやはり農家でございます。ただ、他産業に安定して入るということでありますならば、手放すべき土地は自立経営農家の拡大に資するような方向へ持っていってやりたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
○淡谷委員 私は、第二種兼業農家の位置づけをこの際はっきりしておく必要があると思う。これは、一方では日本の農業における第二種兼業の位置、もう一方では日本の農業における農民の位置、この二方面から見る必要があると思う。現在、第二種兼業は、生活の上から申しますというと、むしろ専業農家よりも、第一種事業農家よりも楽だと言われています。政府で出されました統計を見ましても、この生活程度は第二種兼業のほうがぐんと上になっております。しかも第二種兼業というのは、いわば農業専門ではやっていけないということが生んだ現象なんです。一体、農業でやっていけないものが、どうして第二種兼業といった半分は労働者で半分は農家だというこの形態にしがみつくか、この原因検討が非常に大事だろうと思います。これはあとで申し上げますが、生鮮食料品の問題でも、その他の農産物の流通の問題でも、農業は資本主義経済のもとでは非常に損をしている。つまり資本主義経済というものは、生産の利益よりも流通の利潤のほうに重点を置く経済であります。したがって、これまで加工、貯蔵、運搬、販売、すべてこれらを離されまして、粗生産一方に押し込められていた農民にとっては、流通過程に入れぬことは非常に収入を減らすもとをなしておると思う。農業は昔から、五割収奪の農政にさらされてまいりました。封建時代に年貢という形で五割収奪された。明治時代には年貢が小作料という名目に変わりましたが、五割収奪に変わりはなかった。この小作料という名目に変わって、農民は非常に収奪を受けましたので貧乏になったけれども、明治以来の日本の資本主義の勃興は、何とかこれを資本主義経済に組み入れるために、農村に現金の必要を痛感させる政策を激しくとったのであります。税金は税金、教育費は現金、病気になっても、もはや米では見てくれません。この現金の必要性、さらにはまた、金肥、農薬等の普及から、現金の必要がどうしても高くなってきますので、農産物を売り始めたとたんに流通過程に投げ込まれまして、生産の五割収奪とともに、流通過程における収奪が日本の農村を裸生産に追い込み、農民の生活を窮迫に落としたのは、これは常識であります。ところが、所得倍増計画が始まりましてから、農民は農産物を売るかわりに労働力を売ることを知ったのであります。また、売らせられたのであります。その結果が、第二種兼業というものの比重が大きく高まりまして、農業にしがみついてやるにはこの形しかなく、知らず知らずの間にこれが農民に浸透しておる。農民というものは何か知恵が足らぬ者のよう言われてまいりましたが、私は決してそうじやないと思う。農民はあるいは文字を読むこともまずいかもしれぬ。ことばもまずいでしょう。学問もないでしょう。けれども五割収奪という長い虐政の中に立って、たとえば大地にしがみついたような、こけのような生活であっても今日まで生き続けてきたという農民の生活に対する知恵、生活知というものは、重大に考えなければならぬ。理屈はつけないかもしれないが、おのずからに第二種兼業に集まってこの兼業農家の数がふえてきつつあるということは、まさにこうしたたくましい農民の生活知をあらわすものだと私は思うのであります。 しかしながら、第二種兼業も、産業の発達した阪神地方あるいは京浜地方、このような周辺の農家の第二種兼業と、九州あるいは山陰地方、東北、北海道、遠隔な地の第二種兼業とは非常に実態の違ったものがある。すなわち都会周辺では、こうした農民は日帰りをして、家に帰りながら労働賃金を取ることができる。ひずみは単に中小企業、農業だけではございません。産業の振興さえ、新産都市の計画さえ今日では非常に地域的な格差がある。その発達しない産業のもとにあっては、働こうと思っても場所がない。その結果膨大にふえてきましたのが北海道、東北あるいは北陸、山陰、九州といったようなこの産業に恵まれない土地の農民の出かせぎであります。これが三ちゃん農業と言われ、さらに二ちゃん農業と言われておる。おそらくは農村から今日ほど多くの出かせぎ者の出たことはないでしょう。この出かせぎ者の実態が一体どうなっておるか。これは労働大臣にお聞きしたい。いなければ、厚生大臣はおりませんか。
○神田国務大臣 お答えいたします。 ただいまお尋ねがございましたような事情だと思います。
○淡谷委員 すみませんが、もう一ぺんお答えください。いま別なことを話していましたので、あまり簡単な御答弁だったものですから・・。
○神田国務大臣 いまお述べになりましたような事情だと心得ております。
○淡谷委員 出かせぎ者の生活実態はどうなっているかということは、あるいはあなたのほうの所管外かもしれませんが、出かせぎ者を出した農村の家族の生活は、あなたのほうじゃないですか。これはどうです。
○神田国務大臣 いま申し上げましたように、お尋ねになったような事情でございますが、残られた家族につきましては、厚生省といたしましては世帯更生資金とか、あるいはその他の方法で見ておりますが、十分だというふうには考えておりません。
○淡谷委員 もっと端的に伺いましょう。厚生大臣、三ちゃん農業がなぜ二ちゃん農業に変わるか、その原因をどうとらえていますか。
○神田国務大臣 お答えいたします。 三ちゃん農業が二ちゃん農業に変わっているということも、事実私も了承しております。それをどういうふうに見ておるかという御意見でございますが、実態がこのとおりでございますので、どうするかということは生活の面においてそれぞれ便宜見ているわけでございますが、十分だとは思っておりません。
○淡谷委員 これは、厚生大臣に非常に、端的に対策を考えてもらわなければならない問題ですが、三ちゃん農業というのは、御承知のとおりじいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん、そのうちの一ちゃんのどこが欠けたかと申しますと、かあちゃんが欠けているのであります。とうちゃんが都会に労働に出てしまって、かあちゃんだけが農村に残ったらどうなりますか。厚生大臣、おわかりでしょう。非常に家庭を混乱させ、また不安ならしめる人道上の問題がある。それが社会問題としてやはり厚生省に帰ってくると思う。そのために、かあちゃんもがまんし切れなくて、やっぱり東京へ出るのです。京都へ出ます。大阪へ出ます。これが二ちゃん農業になった理由なんです。この対策は一体どうされますか。二ちゃん農業に変われるものはいいけれども、変われないものがある。出かせぎ労働者については、いま労働大臣が見えましたらなおまた質問したい。この一事をもってしても、今日の農村というのは、単に所得の点だけじゃなくて、農村の家庭生活自体が破壊されるような形になっていることを、これは大臣にもお考え願わなくちゃならない。しかも一体出てきた農村の労働者というものは、はたして考えてきたような生活をしているでしょうか。下請の不払いはないでしょうか。労働災害はないでしょうか。 これは総理にお聞きしたいのですが、実は農村で出かせぎ者の行くえ不明がたいへん多くなっております。これは単なる行くえ不明じゃない。全くわからない。山形県、秋田県、青森県まできております。非常にこの点は農村でも不安を感じまして、はなはだしきは、これはおそらく地下工事で深い穴の中へ引き込まれて、セメントで塗りつぶされたのであろうといったようなうわささえ出てきている、あるいはひそかに南ベトナムの経済援助のために輸出されたんだろうという話さえある。これがまさにこの不安のもとをなしておる。このうわさは信じがたいとしましても、行くえ不明になっている実態だけは、これはおおうべくもない。この点は、労働大臣が参りましてからまたあらためて質問をいたしますけれども、この際ひとつ総理にお聞きしたいのは、農村の出かせぎ労働者の失業保険について、何か制度を改正しようというような動きがあるように地方には伝わっておりますが、そういう意図はございますかどうか、お伺いしたい。
○佐藤国務大臣 前内閣の時代に、一度そういう議論をしたことがあるようですが、まだ法制局にもその話は回っておりません。いずれこの点は、労働大臣が出席してから労働大臣からお答えさせます。
○淡谷委員 ちょっと待ってています。――労働大臣、お見えにならなかったのでちょっと質問を休んでおりましたが、実は最近非常にふえております農村の出かせぎ労働者です。これは大臣の出身地である秋田県などでも深刻な形になっておると思いますが、この出かせぎ労働者、特に農村から出ております季節的な出かせぎ労働者が都会地でどのような待遇を受け、どのような状態にあるか、ひとつ大臣から御答弁願いたいと思う。
○石田国務大臣 大体、農村から都会へ季節的に出てまいりまする数は、最近公共事業等の増大その他の事情の影響を受けまして急増しております。総数は昨年度におきましておおよそ三十万程度でないかと推定されるのであります。この中で職業紹介所の窓口を通ったものについては、労働条件あるいは各種保険その他について万全を期しておりますし、実情を確保しておるのでありますが、それ以外、縁故あるいはいわゆるやみ職安とでも申しましょうか、手配師の手を通ってまいりますものの数は、かなりの数にのぼっておるのであります。そういうところにおきましては保険がかけられてないというような状態にあるのはむろんのこと、当初約束をしたような賃金が支払われない、いわゆる賃金不払いの実情等が生じてまいっておることも事実でございまして、それに対しましては、私どもはできるだけ地元市町村、農協その他の職員の方々の御協力を得まして、職業安定所の窓口を通してもらうように勧奨いたしますとともに、事業上の監督を強化いたしてまいっておるのであります。また、中には行くえ不明になる者が相当出てまいりました。先般、秋田県などで調査いたしましたところによると、いわゆる主人の行くえ不明になった数が五百人をこえるというようなことも聞き及びました。これにつきましては、季節的な出かせぎ労働者をたくさん出しておる地域に相談所等を設けまして、そうして出かせぎ先との連絡をとるとともに、留守宅の相談に乗るような方法をこれからとってまいりたい。これは今度の予算に予算要求をして対処したい、こう考えておる次第であります。やはり一番大切なことは、その行き先を私どものほうで確保する、確実に知っておるということでありまして、これには職業安定所を通してもらうということをぜひ励行してもらうようにいま一生懸命お願いをして回っておるところであります。縁故というのもかなりあるのでありますが、縁故紹介者それ自体が、ただいま申しましたような事態を生じても責任を負える紹介者ではないのでありますから、やはり職業安定所を通してもらうようにすることが最大の対策であろうと考えます。
○淡谷委員 ただいま大臣のお答えがございました出かせぎ労働者三十万というのは、職安を通した数でございますか。
○石田国務大臣 大体の推計でございます。職安を通した具体的な数は、いま事務当局からお答えいたします。
○淡谷委員 大臣がお見えになる前に私からも言っておったのですが、最近の出かせぎ労働者の行くえ不明というのは非常に大きな問題であります。秋田県だけで五百名といっておりまするが、全国的には、この行くえ不明者の数は概算どれくらいになっておりますか。
○石田国務大臣 これは非常な数にのぼると思うのでありますが、行くえ不明と申しましても、手紙が長くこないというような状態で、各出かせぎ労働者を出しておるところからの報告を待たなければなりませんので、いま調査をさしております。私はいま秋田県のことだけを申しましたが、秋田県が五百人といたしますと、相当な数にのぼっております。なお詳細な数字は、事務当局からあとで調査の上お答えいたします。
○淡谷委員 これは一労働大臣の責任じゃなくて、総理にも深刻にお考え願わなければならぬ。国民が一つの県下で、どのような形態にせよ、五百人の行くえ不明者があるということは、文明国、民主主義国家の姿じゃございません。全国でどれぐらいあるかわからない。地元のほうでわかっておるならば、行くえ不明と言わないでしょう。人一人が行くえ不明になっても大騒ぎをする日本で、農村の出かせぎ労働者が数百名行くえ不明という事態は、これはとても看過できない事態だと思いますが、総理の御決意のほどを伺いたい。
○佐藤国務大臣 これはたいへん重大な社会問題だと思います。同時にまた政治問題だと思います。 ただいま労働大臣がお答えしておりますように、やはり正規のルートを通じて臨時雇い、あるいは労働を提供する、こういうりっぱな慣習、長い歴史がございますが、これが守られないために、あとの調査が非常にできにくい、こういう事態があります。せっかく淡谷さんのいま質問がありますので、こういう予算委員会の席を通じまして、ただいま申し上げるように、労働省が十分お世話ができるような、そういう国民の協力もお願いしたいと思います。ただいまのところ、たいへん重大な問題だ、かように私考えております。したがいまして、これが対策につきましても、佐藤内閣として十分考慮してまいるつもりでございます。
○淡谷委員 これは、出てきます農村の労働者のほうに罪があると私は思いません。職安の仕組みとか、法規上のことは農家自体は知らないのです。ただ、こうした農家の労働者を誘い出しにいくほうの側に非常に責任があると思う。大きな会社が直接労働者を雇っておりますと、災害が起きても、何かその他の事故がありましても、それだけの負担をしなければならない。下請もしくは棒がしらにかってに労働者を集めさせますと、親会社は責任をのがれることができる。まさに人間雇用の下請制度が労働省のもとで行なわれているというふうに私には思われてならない。これは非常に重大な問題でございますから、もう即刻手を打っていただきたい。これは文明国としての恥であります。その点は強く申し上げておきます。 もう一つ、いま総理にも伺っておきましたが、失業保険制度の改正はいまのところ考えていないというのですが、労働省は通達を出しましたね。これは大臣、おわかりでしょう。この通達を見ますと、失業保険制度を改正したと同じような効果をあげる通達です。これが昭和三十九年八月二十八日、労働省職業安定局長の名前で出されております。この中にこういうことが書いてある。「結婚、妊娠、出産、育児、老病者の看護その他家事家業等の手伝いのために退職した者は、一般的には労働の意思及び能力がないと推定され、また、農業、商業等家業の繁忙期に手伝いをするため他に就職し得ない事情にある者(農閑期を利用する出かせぎ労務者が離職して帰省する場合は、これに該当することが多い。)は、労働の能力がないと推定される」、こういう通達は、一体労働大臣のどういう指導から出てくるんですか。
○石田国務大臣 まず最初に、前段の御質問からお答えいたします。 この請負関係につきまして適切でないものが多く、それが、ただいま申しましたような農村の季節労働者、あるいは出かせぎ者の問題を惹起している大きな原因になっておることは、御指摘のとおりであります。これにつきましては、先般閣議の了解を得まして、行政管理庁で、特に政府関係機関の請負関係について厳重な監察を実施して、姿勢を正すよう措置をしてもらうようにいたしております。しかし、それもそのとおりでありますし、また同時に、職業安定所の能力その他を周知徹底せしめるということにおいて、われわれのほうが欠けておったという事実も確かに認めざるを得ません。 そこで、先ほど申しましたように、農業協同組合あるいは各市町村等の人々に御委嘱申し上げまして、実際外に働きにいく場合は、職業安定所を通して行ってもらうということをいま強く指導いたして、そうして実行してもらうようにいたしておるのでございます。 それから失業保険の問題であります。失業保険の現状は、人不足だといわれている現在において非常に悪化をいたしてまいってきておるのであります。それと同時に、失業保険法に指定されておりますように、失業保険というのは、遇発的に生じました失業に対して、事故に対して補償をするのでありまして、あらかじめ予測されておる定期的なものを対象とするのはその本旨ではございません。それからもう一つは、失業保険の受給の対象は、労働の意思及び能力を持っておって、そうして職業のない人々に対して補償するのでございます。これが失業保険法のたてまえであります。そのたてまえに基づく運営を確保する責任が私はあると思うのであります。したがって、池田内閣の当時、閣議で失業保険法の運用のたてまえを検討するようなことが議題になりました。当時の池田総理からそういう発言があったことは事実でございますけれども、それを直していく場合におきまして、急速な変化を与えるということは適当ではないのでありまするから、先ほど総理からお答えがあったと思いまするけれども、現在失業保険法の期間延長等を急に改正するという意思はございません。 ちょっと、若干実情を申しますと、概括の数字でありますから間違っておるかもわかりませんが、北海道では保険金の納付額は三十四、五億前後だと思うのでありますが、受納額は百四十二億に達しております。淡谷さんの御郷里の青森県では、三億数千万円の納付に対して、受給は三十数億に達しております。それから私の郷里でございますが、私の郷里も三億数千万円に対して約二十億くらいではなかろうか、大ざっぱな数字でございますから、数字の若干の違いはあると思うのであります。しかし、これが現在積雪寒冷地、そして農業の生産性の低いところの人々の生活の大きな根拠となっていることもまた事実であります。しかし同時に、元来が経営者が休業補償的になすべきもの、元来労働の雇用条件というのは通年雇用が理想であります。それを半年しか仕事がない場合、あるいは十カ月しか仕事がない場合には、二カ月、三カ月の分については、元来が経営者が休業補償の形でなすべきもの、これを失業保険でやるというのは、これはたてまえがどうも違うように私は考えます。それから同時に、農業の生産性が低いことを補うためにそれを失業保険で補うというのも失業保険のたてまえに反すると思うのであります。ただし、いまこの業者が休業補償を急に行ない得るような条件にないことも事実であり、農業の生産性が急速に他の産業に追いついていくような急速な措置をとり得ないことも実情でございます。そこでこの現在の雇用状態、これはあくまでも私は誤りだと思っております。誤りだと思っておりまするが、誤りであるからといって、これを急速に直すことは、その地方の現在の支給者に対して急激な影響を与えまするから、私は法の運営の姿勢を正しつつ、他の所要の施策の進行と相まって、失業保険は保険本来の使命に立ち返るように行政的な指導によってやりたいとしておるのでありまして、職業安定局長の通達もその精神に基づいたものでございます。
○淡谷委員 非常にごもっともなような話ですが、一体失業保険を職業安定所にもらいに行った場合に、何が一番困っているかというと、就労の意思があるかということなんです。就労の意思はあります。しかしかよわき女性に百貨の石をしょえといったような職業を見つけて、それができませんといった場合に、直ちにこれは就労の意思がないものという認定は御無理でしょう。これは極端な例です、そんなことはありますまいけれども。少なくともその人間の持っている能力と体力、それに応じた職業を見つけて働く意思があるかというならば、まだ聞こえますけれども、全然本人の事情も考慮しないで、向こうの言いなりの事業所につかないからこれは就労の意思がないといって打ち切ることは、これはやはり制度のたてまえからいって残酷過ぎやしないかと思う。特に結婚は別としまして、妊娠、出産、育児などの場合に、これには失業保険をやらないということは、他の何らかの社会保障の方針がなければあまり残酷に過ぎやしませんか。特に老病者の看護は、これは労働じゃないでしょうか。こういうのは一体どう扱うのです。
○石田国務大臣 就業の意思を聞く場合、あるいは就業のあっせんをいたします場合は、むろんその御本人の置かれておりまする実情、能力、経験、そういうものを勘案して、適切なものをあっせんするのがたてまえであります。それでないからというて就労の意思がないものと直ちに断定するような措置をいたさせておるつもりはございませんが、もしそういう事実がございましたら、事実をあげてお申し出をしていただきましたら適切な指導をいたします。 それから出産とか結婚とかいうのは、もちろん共かせぎということは当然ありますけれども、就労の能力があるとはまず言えないんではなかろうか。それから老人の看護ということは、これは私もいま具体的な例を見まして、私一般的な指示を与えましたので、これはちょっと私も考えてみたい問題だと思っております。
○淡谷委員 特に大きいのは、農業、商業等、家業の繁忙期に手伝いをするため他に就職し得ない事情でございます。ここまで入りますと、あなたのおっしゃるこの保険制度の矛盾が露呈するのです。一体農業から労働者のほうに変わってきます諸君は、本業は農業だと私は思うのです。農業を離れたときは就職で、農業に帰ったときは失業だということは一体どういうことなんです。この点は大きな矛盾じゃないですか。
○石田国務大臣 農業は、これは就職です。職業についている、いわゆる就業でございます。だから就業しておるときに失業手当をもらうのには、これは筋違いではございますまいか。
○淡谷委員 農業が職業であるならば、農業ができなくなった、いわゆる農閑期はこれは失業じゃないですか。その農業に失業保険制度が適用できないから、やむを得ない手段として失業保険をもらうような別なほうに出る。率直に言えば、この労働に出てくるのは、むしろ失職する名目をつくるという者もいるのですよ。この際、農林業に対して失業保険制度をはっきり適用するお考えはございませんか。
○石田国務大臣 保険というものは、偶発的に発まする事故に対して補償するためにある制度でございまして、忙しいときは仕事があるが、毎年季節によって忙しかったり忙しくなかったりするという季節によって当然予想されてくる場合に対する措置は、これは必要ないとは申しません。しかし、これは保険でやる性質のもではないと考えております。したがって、農業、林業等も、その業態が元来が通年雇用をたてまえとしておる。それで偶発的な失業の危険がある、そういう場合についてはむろん適用が個々の例においてあるのですけれども、夏場と春場とは働いて冬になると当然やめていくという場合は、これに対する対策は別個にやってもらうべきことであって、失業保険へころがしてこられることは、私は本旨に反するものと考えております。
○淡谷委員 大事な問題ですから、先にお聞きしたいのですが、偶発的な原因で失業するというならば、いまのように中小企業の倒産が相次ぐ場合、政策の誤りから倒産した、いままで働いておった事業場が倒れた、これは一体偶発的なことですか、必然的なことですか。
○石田国務大臣 それは偶発的なことでございます。
○淡谷委員 それならば、農業は継続したいのだが、どうも農産物が安いから冬じゅうは休業しなければこれは倒れてしまう、やめたらこれはどうします。個々の農家の場合ないというならば、農業法人の失業保険制度をなぜおやめになるのですか。農業法人は一応この失業保険の適用を受けたですね、それを今度はやめようというのでしょう。ここらが実に混迷していると思うのですがね。
○石田国務大臣 農業とか水産業とか、そういうような職業の問題ではなくして、雇用形態の実態でございます。つまり通年雇用をたてまえとしておって、その中からあるいは忙しいとき、ひまなときによって若干率の失業が出てくる。そういう場合は対象にすべきでありますけれども、大体冬になるとごそっとみんなやめてしまう。極端な例を申しますと、ある土建会社なんかでは、社長と専務取締役だけ残って、あとは春になるとみんな失業してしまう、こういう事例も事実ございます。笑いごとじゃなく、事実あるのです。そういうことまで失業保険の対象にしておったら、これは保険の本来の趣旨と違ってまいります。そういうことに対する処置は必要ではないとは申しません。農業の生産性を高めていく方法、これは必要でしょう。それから農業の労働力の季節的な需給の変動、こういうものに対する処置もむろん必要でしょう。けれども、それは失業保険の問題ではない、こういうことを申し上げております。
○淡谷委員 ちょっと私の質問の趣旨をずらしておるようですがね。農業法人に対する失業保険制度の適用を一度やりましたね。これをまたやめようとしているのですが、この真意はどこにあるのです。まっすぐにお答え願います。
○石田国務大臣 それは、先ほどもお答えしましたとおり、農業とか水産業とか工業とかいうことではございません。雇用の状態であります。
○淡谷委員 それじゃ農業法人でも事情のいかんによっては保険制度を適用するということですね。確認しておきます。
○石田国務大臣 それは、通年雇用をたてまえとされるものについては、当然そうなるのはあたりまえであります。
○淡谷委員 農林大臣、この保険制度の六カ月で失業した者については保険を給付するということを、十二カ月に引き延ばそうといったような構想が一時あったように思いますが、もしこれを十二カ月に引き延ばした場合に、どういう現象が農家に起こるとお思いになりますか。
○赤城国務大臣 そういう話も出たことがあります。というのは、保険金を取る目的で農業法人をつくる。都会において六カ月働いて、今度は都会からやめていなかへ帰る。すると都会のほうから失業保険が六カ月分もらえる。農業のほうで六カ月名前だけの農業法人でおって、そして今度都会に行ったときには農業法人の解雇者になって失業保険を取る。一年じゅう失業保険を取るというような脱法的な考え方が一部分にあるというような話がありましたものですから、それで、その六カ月というものは十二カ月にしたらいいじゃないかという話があったことはあります。しかし、いま言ったように、労働大臣がお話しのように、業態によってきめるものではなくて、雇用関係によってきめるものでございますから、その期間等は、これは労働省において十分考えてきめるべきものだと思います。私のほうではどうということを申し入れる理由はございません。
○淡谷委員 これは、農林大臣の御答弁とも思えないのです。私は、赤城さんはもう少し農民に対して思いやりと同情のある大臣だと思っていました。それではまるで憎しみを持っている。なぜ農家が失業保険までもらって暮らさなければならないかという実情を、もう少し農林大臣としては思ってやる必要がある。さらに、この十二カ月延長ということは、さっき話しました第二種兼業の維持ができなくなるということを意味しませんか。これはどうです。根こそぎやめてしまう以外にこの経営は成り立たないということになりはしませんか。
○石田国務大臣 この際、念を押しておきますけれども、六カ月を十二カ月に延長するということをいまやるということを申しておりません。やらないのだ、そうして行政指導によって失業保険の会計の状態を姿勢を正していこうということでありますから、これは誤解のないように明確に申しておきます。今度の通常国会に十二カ月に延長するなどということを出すことは考えておりません。ただし姿勢は正します。
○淡谷委員 私は、十二カ月にする意思がないのだが、通達などによって、十二カ月にしたと同じような効果を出す傾向があるからお聞きをするのです。ここにはっきり書いてあるじゃないですか。「季節的労働者の通年雇用の推進」「季節的労働者については、次により年間を通じての就労を促進すること。」これはわかりますよ。こうなった暁に逆に農家の経営はどうなるかというのです。農家の経営、第二種兼業は一体どうなるか。これは、保険制度というものはやはり一つの営利事業じゃありませんから、明らかに社会保障の意味を持ち、政策的な意味を持ったのが失業保険制度です。したがって、なぜ農家が失業保険金までもらわなければならないかというと、先ほどからくどく言っておるように、現在農業では他産業のような人手が得られないというこの厳然たる事実があるでしょう。この政治の欠陥があるでしょう。そのひずみがこういうふうなひずみを起こしておるのです。直接のひずみはあるけれども、このひずみを起こした重大な政治のひずみに対して目を閉じることは、これは私は大臣としてはないと思う。それを直さなければならぬのです。単なる通達によって締め込んでみたところで、たとえば失業保険制度の会計が黒字になっても、これはやはり農家は倒れますよ。どうなります、一体。
○石田国務大臣 私が申し上げておりますことは、雇用制度というものは、元来通年雇用に持っていくのが理想であります。これは御異存はないと思うのです。それで、その方向に持っていくように指導を通達を通じてやっておるのであります。それから失業保険を取りにおいでになる方も、保険よりももっとたくさんの収入のある仕事をお世話を申し上げる、それを先にして、それでもなおどうしても職業にはつけない、こういうような場合については、むろん保険で見なければなりません。だから規則をたてまえにして、仕事も与えないで、それで保険金の支払いを締めてしまうということではないのであります。いま片一方において人不足だ人不足だといわれて、これは地方も東京も一緒であります。それで片一方においては保険金をもらってパチンコをするという状態が並存しておることは、これは私は適切なる状態ではないと思うので、失業保険の姿勢を正し、決してほうりっぱなしにするということを申しているのではありません。 それからもう一つ、これは御質問のさきにありました結婚という問題であります。これは保険制度は強制でございますから、結婚という場合に、いままで強制で保険金を納めておった人が、期間が短いからといってそのまま結婚だからもうあげないんだ、前のやつはかけ捨てだ――保険は元来はそうです、かけておる間じゅう事故がなければ。火災保険でも、かけておる間じゅう事故がなければ、保険をやめたからといって返してもらうものではありませんけれども、この結婚という場合については、義務制であるというたてまえから申しまして、検討はしてみたいと思っております。結婚の場合について、つまりいままでかけたものについて何かの措置をとるということは、結婚の場合は考えられる。しかし、元来理想である通年雇用に持っていくべきもので、その通年雇用をたてまえとするならば、季節的に仕事がない場合の補償は、本来のたてまえでは経営が休業補償ですべきものです。それから、それを失業保険に切りかえるということは、私はちょっとおかしい。 それから農業の生産性との結びつきをおっしゃいました。確かにそうなんです。現実に失業保険の支払いが生産性の低さを補っておる、農村の人人の生活を維持しておるということは、これは私も承知しております。あなたと同じに東北の人間でありますから見て知っております。知っておりますけれども、それは、元来は保険のたてまえで行なうべきものでないのです。農業の生産性の低いものは他の政策で行なうべきものだから、保険にころがされてくることは、これは問題の筋が違います。だから、元来違うということをみんなが知って、間違いなんだということ、たてまえと違うということを土台に置いてこの問題は考えたい。しかし、違うことは違うけれども、急に一ぺんにそんなことをしたらお互いの選挙区の人がみな困るのですから、これはあなただって私だって同じだ。だから急速にそんなことはいたしません。これは急速にそういうことはしない。他の政策の進行と相まちつつ、ほんとうの姿勢に戻していく。決して急速な変化を与えようとせず、だからさっきからの御質問は、一年の延長をいかにも私どもがするようなことをたてまえの御質問ですが、いまそういうことを考えておりませんから、それを明らかにいたしておきます。
○淡谷委員 それは私たちも困りますが、正直に言って、農民はもっと困るんですよ。それで、私言うのは、この通達はまさに一年に延長したと同じような効果と欠陥を生むおそれがあるから、これは十分運営に気をつけていただきたい。行き過ぎた通達はおやめなさいということを言いたい。 それからもう一つは、失業保険は大体保険制度に持っていかないで、農政の面その他政治の面で農家の経営なり生活なりは見てやるべきものだということを言っておりますが、それならばひとつ総理大臣にお聞きしますが、現在農村が、失業保険にさえたよらなければやっていけないような経営状態にある、この農業のひずみというものは一体どう直します。
○佐藤国務大臣 先ほど来、失業保険についてのいろいろのお話がありましたが、これは、私は労働大臣の説を支持いたします。農村また専業農家、これはわが国におきましてては、しばしば議論されますように米麦中心の農業だといわれておる、そこで米価の決定が最も大事なことであり、そういう意味でこの農家収入は、ただいまのような時代でも統制を続けて、そして価格安定というか、価格の引き上げ等を通じて農家収入を一応見ておるというのが現状でございます。ただいまいろいろお話がございました、何かの名目でも収入がふえれば非常にけっこうだ、こういうような形ではないはずであります。この点では、農林大臣が特に専業農家の育成強化をはかる、かようなことを申しておりますが、そういう場合に米麦中心の農業、その価格、それらの決定におきまして非常にそれぞれの機関を通じ慎重に扱っておるのでおわかりだと思います。
○淡谷委員 これは、先ほどから言っておりますとおり、日本の農業はいま非常な危殆に瀕しておりますので、あらゆる方面にひずみが出ていくと思うのです。おそらくはいまのような失業保険をもらえなくなり、さらにまたいい働き口もない、こういう状態になり、不景気が来るならば、せっかく農家の収入を維持して、農村においてはどうにかいい暮らしをしておった第二種兼業は倒れます。四〇%以上の第二種兼業が倒れた場合に、日本の食糧事情はどう変化しましょう。第二種兼業というものの日本の農業生産上における位置づけを一体農林大臣はどうお考えになっています。
○赤城国務大臣 第二種兼業農家も生産に寄与していることはもちろんでございます。いま四二%ありますが、土地にしても二二%の土地を耕しておりますから、相当寄与しています。でありますが、それよりも自立経営農家のほうがより生産性が上がっておりますから、自立経営農家のほうが寄与率は多いわけであります。しかし第二種兼業が滅びることは、私どもも期待していませんで、これを維持していくということならば、これは協業のような形で維持していくよりほかない、このように考えております。
○淡谷委員 確かに第二種兼業の農業生産の上において持っております一番の欠点は、社会性の欠如であります。食糧は、自給的には生産するけれども、国民全体のためには寄与ができない、ここに大きな難点がある。したがって方向は、農林大臣のおっしゃるとおり、専業農家と兼業農家に持っていくべきものと思いますが、一体この方針が進んでおるのですか。たとえば成長部門であるといわれました酪農、果樹、この方面の伸長は思うようにいっておりますか。
○赤城国務大臣 成長部門の果樹のほうは、相当協業化もいっております。酪農のほうは、酪農の性質上、多頭飼育ということが必要でございますが、そういう方面では手はつけていますが、進み方は非常ににぶい、こういう状態です。
○淡谷委員 総理にお尋ねしますが、最近物価問題で生鮮食料品の値上がりが非常にひどくなったり、あるいはまた急に安くなったりしていることを言っておりますが、一体生鮮食料品であるくだもの、野菜、魚、こういったようなものの価格というものはどこで押えられますか、ひとつお聞きしたい。
○佐藤国務大臣 価格はどこで押えられるか、こういうお尋ねでございますね。もちろん需要供給、それできまるというのが現状でございます。
○淡谷委員 私がお聞きしましたのは、そんなむずかしいことじゃなくて、高くなったというのはどこの価格を見て高くなったというのか。消費者価格はわかりますよ。卸売物価というものは、生産者の売るものとどう違うかというのが問題です。総理は、おそらくこれは消費者物価を見て、イカが高くなった、マグロが高くなったと思われているかもしれませんけれども、物価の中で最も横ばいを続けているのは生鮮食料品でしょう。この間も、御婦人連が産地で白菜を買ってくると非常に安い。この生産者の生鮮食料品の価格をどう維持するかということは非常にむずかしい問題になっておりますが、この価格問題を農林大臣どう押えられるつもりです。
○赤城国務大臣 これは、生産から流通から消費の全段階にわたってやはり生産者の価格は維持しなければならないと思います。そういう観点から、やはり計画的な栽培、こういうことが第一に必要であります。それから出荷等の調整も必要でございます。したがって、そういう面を指導しておりますが、なおさらに価格の安定が必要でございますから、価格安定資金とか、そういうものを設けて価格の安定に資する、あるいはまた栽培地の指定をして計画的な生産を進める、こういうことが生産者にとっての価格の安定策の一つである、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 成長部門としての酪農もしくは果樹は、米麦と違いましてあくまでも商品生産ですから、価格問題が重点に来ると思う。一体酪農における乳価の問題、それから養鶏における鶏卵の値段の問題、あるいは果樹の値段の問題、これを維持するために、農産物の自由化に対してもっとはっきりした手を打たれていいんじゃないですか。レモンの自由化は、一体レモンの生産者をどうしましたか。関係はないといいながら、バナナの輸入は非常にリンゴ、ミカンに影響を与えております。こういう形を見ますと、私は、農産物の自由化については、一そうひとつお考えを願いたいと思うのですが、総理のお考えをお聞きしたい。
○佐藤国務大臣 貿易の自由化におきましても、各国ともこの農産物の自由化については非常な慎重な態度をとっております。わが国においてもかような方法をとるのはあたりまえ、当然であります。
○淡谷委員 それで、実は具体的な問題として触れたいのですが、御承知のとおりことしはイカが非常に不漁です。不漁ですから高くなっています。高くなっても売れ行きが少ないから、ちっとももうかっていません。そのとたんに韓国からするめを百七十万ドルか輸入するという閣議決定をなさったそうですか、この真相はどうです。
○赤城国務大臣 閣議決定はいたしませんが、年末物価対策から考えまして、するめとか、ブリとか、たらことか、二百万ドル輸入しようというふうな進め方をしております。為替の割り当ては済んだんですが、まだ実際には動いておりません。
○淡谷委員 するめをふだんは幾ら入れておるのですか。三十万ドルでしょう。ことしはもう七十万ドル入りましたね。さらに百万ドル入れる、こう言う。そうしますと、百七十万ドルという大量のするめが入った場合に、そうでなくとも大漁のときは大漁貧乏、ことしはとれなくて不漁の貧乏、この魚価に対する影響はお考えになりましたか。
○赤城国務大臣 魚価に対する影響というよりも、年末の物価対策として措置をしたのでございます。しかし全然考えておりません。たとえば今度入れるのに業者の組合を通じて入れます。しかし生産者のほうの加工組合に対してそれを渡すという場合に、マージン等をもうけて渡さないように、実費で渡すように、こういうような対策は講じております。生産者は、特別に不漁でありますから、これは漁業災害等のようなもので対策を講じていくよりございません。直接イカを入れるから、これを生産者がどうこうということには手が打ちようがないわけであります。
○淡谷委員 生産者の魚価にはすぐ響いています。入るといううわさを聞いただけでも非常な恐慌を起こしておるのです。声だけでもう買いたたかれております。消費者の困ることはむろんわかりますが、消費者のためにやるならば、やはり生産者のことも少し考えてもらいたい。特に、このイカを入れる団体は何という団体ですか。
○赤城国務大臣 韓国水産物輸入協議会という協議会を通じております。
○淡谷委員 日本水産物輸入協議会とは違いますか。韓国ですか、日本ですか、どっちです。韓国の団体ですか。日本の団体ですか。
○赤城国務大臣 日本の団体で、韓国の水産物を輸入する協議会・・。
○淡谷委員 正式の名前は韓国水産物輸入協議会ですか。会長はどなたです。
○赤城国務大臣 承知しておりませんから事務当局より・・。
○淡谷委員 名前は韓国と日本と違いますがね。韓国と日本じゃたいへん違いますよ。だからそれははっきりしておきませんと・・。
○松岡政府委員 会長の名前は有吉という方でございます。
○淡谷委員 私も農林省から書類をもらいましたが、この書類には日本水産物輸入協議会会長有吉京吉とある。一つの会長で二つの団体を主宰しているのですか。韓国水産物輸入協議会、日本水産物輸入協議会、どっちの協議会なんですか、どうもわかりませんな。
○松岡政府委員 ただいま大臣は通称で言われたかと思いますが、正確には日本水産物輸入協議会でございます。
○淡谷委員 日本というのは通称では韓国というのですか。(笑声)日本国は通称韓国ですか。これは、正確な名前は日本水産物輸入協議会でしょう。韓国は通称でしょう。しかし、幾ら何でも日本ということを通称韓国と読んではいけませんよ。日本は日本の独自性を持ったほうがよろしい。
○赤城国務大臣 御説のとおりだと思います。いまちょっと書いたものに韓国とあったものですから・・。
○淡谷委員 この団体の理事には大洋漁業が入っております。日魯の下関の支社も入っております。とにかく大きな商社がほとんど頭を並べているのが協議会です。消費者のためも思うでしょうが、こういう団体の不漁につけ込む営利行為が行なわれませんか。一体百七十万ドルのイカというのは、単価はどれくらいについておるのです。これによって日本の水産物を圧迫するもしないもきまりますよ。
○松岡政府委員 一キロ大体六百円ぐらいかと思います。これは、まだしかしこれからの取引でございますので正確にはわかりません。
○淡谷委員 日本のするめは一キロ幾らしておりました、ことしは。
○松岡政府委員 六百円というのは国内価格でございますが、それより三割ぐらいは安くなるのが普通ではないかと考えております。
○淡谷委員 日本のするめの値段ですよ。
○松岡政府委員 日本のするめの値段が六百円くらいでございます。
○淡谷委員 これに対して韓国からは、この見返り物資に船の注文があったと聞いていますがね、これは、赤城農林大臣、お断わりになったそうですな。
○赤城国務大臣 それの見返りに船の注文があったわけじゃないのです。私のほうの許可を得ないで船の注文を受けて輸出しようということになっておったものですから、私はこれを断わっておるわけです。
○淡谷委員 どうも日韓間の取引というものは、どうしてそういう不明朗なものが多いのです。大臣の許可を得ないで船を出そうと思ったり、さっきの春日委員の質問についても、私は若干ふに落ちないことがある。これは、外務大臣が今度おいでになって、私の言い分が間違っておりましたといって訂正されてもおさまらない問題ですよ。一体、勝間田委員から質問がありました二千万ドルのいわゆる経済援助、これは二億・三億、ほかの第三の項目にあります「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」こういう一項との関係はどうなりますか。二千万ドルですよ。これは「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」、この項目とはどういう関係があるのですか。
○佐藤国務大臣 ただいま読まれたものとは関係ないようです。
○淡谷委員 それじゃこれは何ですか。1の(イ)は「無償経済協力は総額三億ドルとし、毎年三、〇〇〇万ドルずつを一〇年間にわたり日本国の生産物及び日本人の役務により供与する。但し、わが国の財政事情によっては双方合意の上、くり上げ実施することができる。」(ロ)は、「長期低利借款は総額二億ドルとし、一〇年間にわたり海外経済協力基金より供与する。その条件は年利率三・五パーセント、償還期限二〇年程度、うち据置期間七年程度とする。」(ハ)は、「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」、まさに今度の二千万ドルはここに該当するんじゃないですか、そうじゃないですか、これでなかったら、これは一体何なんですか。(ハ)は。
○田中国務大臣 先ほどお答えをしましたとおり、大平・金メモの内容をいま御指摘になったわけでありますが、日韓会談におきましては、有償、無償合わせて五億ドルということになっております。しかも一括解決ということになっておることも、しばしば政府が言明しておるとおりでございます。その大平・金メモ以外のことはやらないと言ったにもかかわらず、二千万ドルやったのは何かという立場で御指摘がございましたから、これは新しい経済的な危機に対して二千万ドルを限度として援助いたしたのでございます。こう答えておるわけでございます。でありますから、その大平・金メモの中で他に民間から幾らかの信用供与があるという問題は、これはコマーシャルベースということで衆議院及び参議院の予算委員会で政府の立場を明らかにいたしておりますので、この問題とは別です、こういうことを申し上げておるわけであります。
○淡谷委員 そうすると、(ハ)というのは、今度の二千万ドルとはどう違うのです。(ハ)は性質上今度の二千万ドルとはどうして違うんです。この二千万ドルをなぜこの中に入れなかったのですか、なぜこの中に入れないのですか。
○田中国務大臣 そこが、日韓交渉の中の一番最終的段階にお互い両国で詰められる問題だと私は理解いたしております。こちらのほうは、コマーシャルベースによる一億ドル以上ということでございますから、普通の制限的なものであるならば、一億ドル以内とか、二億ドル以内とか、三億ドル以内とか、こういうことになるわけでございますが、この大平・金メモ及び赤城農林大臣等がやられた漁業交渉を中心にしての民間の援助、民間の経済協力というようなものは一億ドル以上に及ぶ、コマーシャルベースによるということですから、これは何億ドルでもけっこうなわけであります。ですから日本政府としては、何億ドルでもお互いの親善をはかるために、またこれから両国の間にやることは一向差しつかえございません。こう言っておるのでございますが、何か韓国政府の考え方としては、私は有償、無償五億ドル、プラスアルファ的なものの考え方をしておるかもわかりませんが、日本政府がそのような二億・三億ドル、プラス幾らということを前提にして、大平・金メモを交換をしたということは理解をしておらないわけでございますので、その間にお互いに本件に対する考え方、ニュアンスに対しては幾らかの差があるかもわかりません。いずれにしましても、日本政府の原則は国会を通じて明らかにいたしておるとおりでございます。
○淡谷委員 よくわからないのですがね。この(ハ)の相当多額の通常の民間の信用供与というのは、一億以上幾らでもいいというのでしょう。これは一体何なんです。どこで出すのですか、今度の二千万ドルは。
○田中国務大臣 そこが大平・金メモの問題で、皆さんが有償、無償プラス幾らかということではないのですかという質問を何回か政府にやられたわけでありますが、政府は明らかに公表をされておりますとおり、一億ドル以上といいますが、その表現にあるように、民間のコマーシャルベースによる信用供与でありますから、これはその時点においてお互いが了解をすれば幾らかでもやり得る、こういう立場をとっておるわけであります。向こう側がどういうふうにこれを考えておるかは別にしまして、その立場をとっておることは明らかでございます。でありますから、今度の二千万ドルということは、これはコマーシャルベースというよりも、多少長い信用供与をしておりますので、これは援助ということに分かれておるわけであります。(発言する者あり)ですから、これはおかしくございません。ここは皆さんもよくお考えになっていただきたいのでありますが、日韓交渉で現在政府が国会を通じて国民の前に明らかにしておりますものは、有償、無償を通じて五億ドルということを明らかにいたしております。この上に韓国側がいろいろな要求があったかもわかりませんが、大平・金メモで承諾をしておるものは、政府でもってやりますものは、二億・三億の有償、無償の援助だけである。そのあとの問題は、友好の立場で民間において行なうコマーシャルベースによる民間の信用供与に対してはやります。こういうことを書いてあるだけでありまして、政府がやろうということに対しましては、有償、無償合わせて五億ドルということに限られていることは政府が明らかにしておるとおりであります。
○淡谷委員 韓国の経済企画院の資料によりますと、韓国政府がすでに許可している日本からのプラント輸入は、綿紡織工場、源麻生業、東洋棉花、丸紅、千四百六十万四千ドル。セメント工場、慶源産業、伊藤忠、五百万ドル。塩化ビニール樹脂工場、大韓プラスチック、新日窒、日綿実業、三十六万ドル。綿紡織施設改替及び増設、朝鮮紡織、伊藤忠千五百四十六万ドル。ポリアクリル工場、東洋合繊、丸紅、伊藤忠、三百八十万ドル及び五百十三万ドル。遠洋マグロ船十隻、共成産業、未発表、二百七十万ドル。冷間圧延工場、連合鉄鋼、豊田通商、四百十九万九千ドル。船舶建造及び修理、大鮮造船、川鉄商事、三十八万ドル。観光ホテル建設、ニュー・コリア・ホテル、丸紅、二十五万ドル。時計製造工場、丸一社、セイコー時計、三十一万九千ドル。これは一体どの部分に入るのですか。 ―――――――――――――
○青木委員長代理 途中でありますが、ただいまオーストラリア連邦議会のP・E・ルコツク下院副議長、R・クリーバー下院議員が本委員会を傍聴に見えておりますので、御紹介申し上げます。 〔拍手〕 ―――――――――――――
○青木委員長代理 淡谷君、どうぞ質問を継続してください。
○淡谷委員 これは一体どの項目に入るのですか。この(ハ)の項目へ入るのですか、入らないのですか。これもさっき赤城農林大臣が言ったように、政府とは無関係にやっておる(ハ)の条項なのですか。非常にこの内容というのはおかしいですね。 〔発言する者あり。〕
○青木委員長代理 静粛に願います。いまアジア局長が参りますから、ちょっとお待ちください。
○佐藤国務大臣 たいへんお待たせしましたが、ただいま事務当局がまいりますから、しばらくお待ちを願いたい。
○青木委員長代理 そのままお待ちください。――後宮アジア局長。
○後宮政府委員 お答え申し上げます。三億・二億の有償、無償、金・大平了承線で一応の了解に達しましたあの金額は、この請求権問題を解決いたしまして、国交正常化をするために供与する経済援助ということになっております。それに対しまして、二千万ドルのほうは、ことしの春以来先方の学生デモ等の政情不安がございまして、この根本の原因になっておりますのが、向こうの経済不安、工場の操業率が六割以下にも落ちているというような状況でございまして、これを救って雇用関係を幾分でもよくするために、この工場を再開するのに必要な原材料あるいは補修機械等を提供しよう、こういうことになりまして、いわば人道上の、まあ昨年米を無償でやりましたのにほぼ類似したような考え方でこれを提供することになりましたもので、全然請求権問題解決のための経済援助とは別ワクのものと了解しております。
○淡谷委員 どうも韓国の国会では、このワク内、ワク外をめぐって相当紛乱しているというので、外務省も頭にきているのか、全然こっちの質問とは違った答弁をされておりますが、私は、そんなことを聞いているんじゃないんです。いまもう一ぺん言います。 韓国経済企画院の資料によりますというと韓国政府がすでに許可をしておる日本からのプラント輸入の契約は次のとおりである。韓国側当事者、日本側当事者、延べ払い借款の金額。綿紡織工場、源麻生業、東洋棉花、丸紅、千四百六十万四千ドル。セメント工場、慶源産業、伊藤忠、五百万ドル。塩化ビニール樹脂工場、大韓プラスチック、新日窒、日綿実業、三十六万ドル。綿紡織施設改替及び増設、朝鮮紡織、伊藤忠、千五百四十六万ドル。ポリアクリル工場、東洋合繊、丸紅、伊藤忠、三百八十万ドル及び、五百十三万ドル。遠洋マグロ船十隻、共成産業、未発表、二百七十万ドル。冷間圧延工場、連合鉄鋼、豊田通商、四百十九万九千ドル。船舶建造及び修理、大鮮造船、川鉄商事、三十八万ドル。観光ホテル建設、ニュー・コリヤ・ホテル、丸紅、二十五万ドル。時計製造工場、丸一社、セイコー時計、三十一万九千ドル。以上にあげたようなものは、この大平・金協定の(ハ)の条項に入るのか入らないのかという質問です。
○後宮政府委員 いまおあげになりました経済協力と申しますか、延べ払い輸出の案件のうちで、日本側で許可になっておりますのは、私の承知する限りは四件だと承知しておりますが、これらはいずれもいわゆる金・大平了承線の第三番目、この前国会にお配りいたしました資料の第三番目に該当いたしますいわゆる一般の民間延べ払い輸出と、そういうことになっております。
○淡谷委員 いまの四つはどこどこですか。いまの四つの名前をもう一ぺん答弁願います。どこどこですか。
○後宮政府委員 四件は、数年前に輸出許可になりました紡績機械と、それから新潟鉄工のあの車両の分でございます。それからあとの二件は、今般許可になりましたセメント工場とそれからPVC、これでございます。
○淡谷委員 そんなものはいま読んだ中にはありませんよ。じゃ、これ以外にあったんですね。いま読んだのに入っておりません、セメント工場なんというのは。これはいつ許可したのです。 〔発言する者多し〕
○青木委員長代理 静粛に願います。
○後宮政府委員 金・大平了承線の内容の第三項目にうたってございます通常の民間借款というのは、国交正常化の前後にかかわらず提供する、請求権解決問題に関係なく提供するというのが相互の了解でございまして、金額につきましても別に青天井になっているわけでございます。
○淡谷委員 これじゃ全くいままでの答弁と食い違っています。これは一括解決に、全部きまってからこういうのは提供するということをさっきから答弁を得ている。今度は全然逆です、日韓会談ができたできないにかかわらずこれは供与するというのですから。どっちが正しいか。
○後宮政府委員 金・大平了承の線では、三億と二億については、これは国交正常化後ということになっておりまして、一般の民間借款につきましては、これは普通のコマーシャルベースのものでございますから、これは請求権と関係なしに、国交正常化の前後にかかわらず提供するという了解になっておった次第でございます。
○淡谷委員 それじゃますますおかしいです。そうしますと、今度の二千万ドルもまたこれは会談には関係なしに別ワク、別ワク別ワクとどこまで一体積み立てるのです。みんな別ワクじゃないですか。全くこれじゃ答弁に一致したところがありません。
○佐藤国務大臣 御承知のように、国交を回復しておらなくても、ただいま民間では貿易をやっております。御承知のように、中共に対しては政経分離のたてまえでやっておる。また、北鮮に対しましても、それぞれ国交は回復しておりませんが、貿易の面ではやっております。ただいまお尋ねになりました議論のものは、いわゆるそういう筋の民間ベースによる、コマーシャルベースによる通商の問題であります。したがいまして、大平・金メモには関係のないことであります。その点をはっきりして理解していただきたい。 〔「アジア局長の言うのと、総理大臣は違うじゃないか。」と呼び、その他発言する者多し〕
○青木委員長代理 議事進行につき発言を求められておりますので、これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 先ほどからいろいろ二千万ドルの有償供与についての問題の取り扱いについて、政府の答弁が、外務大臣はこれは明らかに一億以上のいわゆる大平・金メモの(ハ)の項に入るというような答弁を、これはわれわれそのとおり受け取ったのです。あとで釈明があったけれども、常識的な意味では、外務大臣の答弁は、これは速記録を見てもそうしかとれない。そこで、一体(ハ)の項というのは金額的にどの程度か、あるいは一億ドルといい、一億ドル以上といい、また一括解決という限り、(ハ)の項といえどもこれは当然(イ)(ロ)とあわせて措置すべきものだという答弁が従来行なわれておった。現に先ほどアジア局長の答弁を聞いても、最近における少なくとも許可をした二件は(ハ)の項に含まれると、こう言っている。それらをつなぎ合わせて考えてみると、一体どれが真意であるのか。また(ハ)の項に基づくコマーシャルベースと俗にいわれるこの項は、一体金額的にはどの程度のものを考えているのか、これはさっぱりわれわれとしてつかめない。いわば金額的に歯どめのない協定をこれは結んでおるものだ。そういうような約束を日本政府と韓国政府との間に結んで、それが前提となって日韓交渉が行なわれているものだ、こういうふうにわれわれは理解せざるを得ない。したがって、これ以上いろいろ質問を続けましても、ますます答弁はおかしくなるとわれわれは考える。したがって、この際、総理以下外務大臣あるいは事務当局も、この件に関する答弁の見解を統一して、常識的な考え方を持つわれわれ及び一般国民にこれ以上頭の中を混乱させないように措置をしていただきたいということを私は要求いたしまするので、この際、委員長は暫時休憩をせられるように要望いたします。
○青木委員長代理 それでは、十五分間休憩いたします。 午後三時二十六分休憩 ――――◇――――― 午後四時二十四分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 先ほどの淡谷悠藏名の質疑に対して、政府を代表して大蔵大臣より答弁をいたします。 大蔵大臣田中角榮君。
○田中国務大臣 先ほどの御質問にかかる政府答弁を統一をいたして申し上げます。 大平・金了解事項の(ハ)項は、民間コマーシャルベースによる通商を可能にする友好的宣言条項であります。いま御指摘の日本から韓国に対するプラント輸出の案件は、二千万ドルの緊急借款とは関係なく、かつ、これらの案件はいまだ許可しておりません。この中のものが実施せられるとすれば、(ハ)項に該当する性質のものと解せられます。先ほど後宮局長からお答えをしました新潟鉄工その他の件は、大平・金の了解と関係なく行なわれたものでございます。 なお、御質問にございました案件を申し上げますと、新潟鉄工が行ないました輸出は百六十八万三千ドルでございます。それから近畿車輌が行ないましたものが百六十七万六千ドルでございます。三井物産が行ないましたものが五十七万三千ドルでございます。川鉄商事が行ないましたものが四十二万六千ドルでございます。
○荒舩委員長 続いて後宮アジア局長の発言がございます。 後宮アジア局長。
○後宮政府委員 先ほどの答弁で私が申し上げました二件のプラント輸出に関します私の答弁は、記憶違いによるものでございまして、先ほど大臣が御答弁なさいましたとおりでございますので、ここに取り消さしていただきます。
○淡谷委員 いまの大蔵大臣の発言と後宮局長の訂正の答弁は、政府の統一した見解によるものでございますか、総理からあらためてお答えを願います。
○佐藤国務大臣 ただいま大蔵大臣がお答えしたものは、これは政府の統一見解でございます。
○淡谷委員 見解はわかりましたが、この問題についての疑点はなお解けてはいないのです。しかし、これはあしたもまた同僚から質問をしますから、私は簡単に一、二点だけお願いしておきたいことがあります。 それは(ハ)項というのは(イ)(ロ)の項とは全然別な性質を持つものだ、これは非常に重要な民間ベースだと言っていますが、それならどうして日韓予備交渉において、両首席代表間に現在までに大綱につき意見一致を見た請求権問題の解決方式の中に項を改めないで一緒に扱っているか、この点がどうもわからない。さらにこの内容については一億ドル以上ということがありますが、以上というのは、これは無限大ですから、またあとからあとからと幾らでも出るのだという解釈なのか。同時に、(イ)(ロ)(ハ)の項以外にまた二千万ドルの供与があったとすれば、二項の政府の義務と、(ハ)というさらに付帯の条項が一つ、それからさらにまたプラスアルファがついたわけですね。ほとんどこれは底なしに要求を受けてもしようがないというような感じがいたしますが、その辺の見解はどうでございましょうか。
○佐藤国務大臣 ただいまの(ハ)項について申し上げますと、先ほど田中大蔵大臣から、あれは宣言規定だ、かように申しました。そのとおりでございます。これはコマーシャルベースだということは、こちらが売り手、向こうが買い手の場合がありましょうし、また輸入の場合はあれには規定がございませんけれども、こちらが売り手で向こうが買い手でございます。そういう場合の売買契約、そういう貿易の輸出契約、これは自由にきまるものでございます。ただ最低限は幾らか、とにかく経済援助的な性質を多分に持つものだ、そこで一億以上ということを申しておるのだと思います。それが無制限にこちらが便宜を与えると、かようにお考えになるのは理論的には可能かもしれませんが、将来の実態に合わぬことであります。だから、その辺にはおのずから限度が生まれてくると思います。これは要するに韓国の経済状態、その状態に対して、当方で民間においてどういう信用を持つかという、そういう関係にあることだと思います。
○淡谷委員 どうも、統一見解はわかりましたが、ますますこのことはわからない。この原因は、大平・金会談の内容が明らかにされないところから来ておると思うのです。これはしばしばわれわれ要求いたしまして、これを明らかにして国民の疑念を解くようにと言っておりますが、いつごろ提出されますか。
○佐藤国務大臣 大平・金メモというものは、部分的には明らかにされたものがあると思いますが、しかし、両者交渉中のものでございますので、それを全部が明確にはしておらないと思います。ただいま、(イ)項あるいは(ロ)項あるいは(ハ)項と、こういうように分けておられますが、そのうちに、当方の義務的なものと、あるいは権利的なものと、こういうものは明確になっておるかと思いますけれども、最後の(ハ)項のような宣言的なものになりますと、権利義務とは別でございますので、そういう点を御了承いただきたいと思います。
○淡谷委員 (ハ)項には権利や義務はない。それでは日本の義務というのは(イ)(ロ)項だ、こう解釈してよろしいですね。
○佐藤国務大臣 いまの(ハ)項につきましても、権利義務がないという、これは少しことばが言い過ぎかと思います。この点は取り消しておきます。ただいま申し上げますように一億以上と、こういう点をはっきりさしておる。これは政府側においても、もちろん民間ベースにおいてそういう進出を期待しておる、こういう意味だと思います。これを権利義務と言うことは少し強くなりますが、その一億以上と、こう申しておりますところに、少なくとも最低は一億、その程度の貿易はあるだろう、そういう民間ベースの交渉はあるだろう。さらに、政府がそれより以上いろいろとあっせんすることもありはしないか、こういうことだと、かように考えます。権利義務ということは、その点では――いわゆる法律上ではない、かように考えていただきたい。
○淡谷委員 まだまだ質問は残るようですが、明日の予定の韓国問題の質問もございますから、それに譲ります。一応これで韓国問題についての質問は終わります。できるだけ早くこの疑いのある大平・金会談の内容というものは公開しまして、プラスアルファ、またプラスアルファ、またプラスアルファで、本体は別になってしまって、積み重ねだけ永遠に残るといったようなどろ沼状態が残らぬように御注意申し上げておきます。 次にお聞きしたいのは、米価についてであります。一体消費者米価の値上げというのは、池田内閣で閣議決定されたのか、佐藤内閣で閣議決定されたのか、ちょうどかわりぎわのきわどいところでございましたので、その点をはっきりさせていただきたい。
○田中国務大臣 池田内閣でございます。
○淡谷委員 どうも私は、その点はおかしいと思うんですが、何時にきめましたか。
○田中国務大臣 閣議の議を経てきめたわけでございます。
○淡谷委員 その閣議は、一体何日の何時にお開きになりましたか。あなた、池田内閣だと言うから、それをお聞きするわけです。
○田中国務大臣 内閣を総辞職をいたします日の持ち回り閣議でございます。
○淡谷委員 総辞職をした以後ですか、以前ですか、どっちです。だから、時間を聞いているのです。
○田中国務大臣 総辞職の署名は、午前九時か十時ごろの定例閣議――臨時閣議でございましたか、いずれにしても朝の閣議で署名をしたということであります。しかし、次の内閣ができるまではそのまま職務を行なっておるわけでありまして、その午前中に署名をした午後だと思います。
○淡谷委員 消費者米価の値上げというのは、物価抑制の政策を打ち出している場合、特に国民の生活が名階層を通じて必ずしも楽じゃないというときに、非常に大きな問題であります。この決定には慎重な考慮を必要とするのでありますが、米価審議会が電報で招集されまして――これはにわかに招集されたのであります。七、八、九日と思っております。その八日に前官房長官の鈴木善幸さんから、あと一日残ってはおるが、しゃにむに八日のうちに答申を出してほしいという強い申し入れがあったのであります。少なくともこの米価審議会は、内閣の都合で簡単に結論が出るような情勢ではございませんでした。それで翌日になって、九時半に結論が出ています。それを印刷をして――赤城農林大臣はお見えになりませんでしたけれども――非常にあやふやなうちに閣議決定を行なわれた。いま大蔵大臣から聞きますと、池田内閣がきめたんだと言いますが、これは当然継承する佐藤総理にも責任はつながると思うのです。一体米価審議会の答申は尊重されますか、尊重されませんか。
○赤城国務大臣 米価審議会の答申は、十分尊重するつもりでありまするし、この間も尊重いたしたつもりでございます。
○淡谷委員 そういうことは、赤城さん、あなたにも似合わない答弁だと思いますよ。答申ははっきりあなたおわかりでしょう。わからないならばもう一ぺん読みますがね。この答申には、消費者米価に関する諮問に対して次のとおり答申する。その一は、「食糧管理制度の適正運用に名をかりた国民主食たる米の消費者価格の引上げは、他物価の上昇を誘引し、生活家計に重大な影響を与えるものであり、国民経済の安定成長上、物価の安定が特に必要な現状に照らし、消費者米価を改定すべきではない。」というのがその答申の一です。これは上げるべきじゃないという答申です。その二は、「米の政府売り渡し価格が、政府買い入れ価格よりも著しく安いという逆ザヤになっていること、このままでは米の管理上支障が起ること、および近年の消費者家計に上昇が見られること、などにかんがみ、物価の動向を考慮し、消費者家計の安定をそこなわない限度において、消費者米価を改定するのはやむを得ない。」上げてはならないというのと、やむを得ないという、全然反対の答申がある。その場合にこの両論についてまとまりを出さなかったのは、これは米価審議会の至らない点でございましょうけれども、少なくともこの答申を得た内閣としては、やめぎわの内閣が、全責任を負って逃げ出すようにあわてふためいて短時間に一方のほうの答申だけを採用するということは、一体これは答申を尊重するゆえんでございましょうか、お伺いしたい。
○赤城国務大臣 私も、米価審議会には出席いたしておりまして、各委員の意見等を全部聞きました。その聞いた意見のほとんど全部が、上げるのはやむを得ない。ただし一部の人には、上げるのは控えるべきだ、反対だ、こういうふうな意向がございました。全体の意向を私も聞いておりましたので、その結論の前段も、慎重にしろというように私は拝聴しまして、大体上げるのはやむを得ないということが米価審議会の意向であった、こういうふうに了承して措置をとったわけであります。
○淡谷委員 これは赤城農林大臣の主観的な見方で、私たちは、やはり上げてはいけないという論と、やむを得ないという論とがこのとおりはっきり答申にあらわれていると思うのです。これは税制調査会のことについてきのう総理の御答弁もありましたが、税金については税制調査会の答申、さらに選挙制度の改正については選挙制度審議会の答申を尊重するといいますが、こういう形で尊重されては、尊重になりません。たくさん数のあります審議会の答申について、総理は一体どういう方針で臨まれるか。尊重するのかしないのか、はっきりこれは御答弁願いたい。
○佐藤国務大臣 各種調査会、審議会は、政府が委嘱しておる以上、その答申は尊重いたします。
○淡谷委員 最も重大な米価審議会の答申がろくに検討、分析もされないで、全くの食い逃げ同様に決定されたことはたいへん遺憾に思う。 労働大臣にお伺いしますが、先般の予算委員会で、消費者米価の値上げをすることは労働者の生活に対して好ましいか好ましくないかということを聞きました際に、労働大臣ははっきり好ましくないと答弁された。むろんあなたは早く帰りたいから、何とかいい答弁をするということを約束していましたけれども、公式の答弁ですから、早く帰りたかろうが帰りたくなかろうが、うその答弁じゃないと私は思う。そんなはっきりした答弁をした労働大臣が、この閣議決定に一言でも反対の意向を表明してくださいましたか。
○石田国務大臣 労働大臣といたしましては、いまでもそう思っております。同時に、国務大臣といたしまして、国の財政事情その他を勘案いたしましたときには、やはりやむを得ないと考えた次第であります。閣議において発言したかどうかということをちょっとはっきり記憶はしておりませんけれども、どちらかというとおしゃべりのほうでございますから、多分一応は私の考えは申し述べたつもりでおります。
○淡谷委員 どうも大臣というのは便利な商売ですな。まるで米審の答申みたいに、一人で二役をつとめていますからね。私はこれは石田さんにも似合わないと思う。企画庁長官、あなたもあの際、この米価の引き上げによって起こす物価への影響を非常に重大視しておられましたが、あなたはどういう発言をされたのですか。
○高橋(衛)国務大臣 米価が消費者物価に及ぼす影響は非常に大きいということは御指摘のとおりでございますので、消費者米価の引き上げについては慎重を期さなければいかぬというのが、私の当初からの主張でございました。しこうしてまた、食管会計におけるところの逆ざやその他の関係上、食管制度を維持する上から、または財政上の関係からどうしても上げなければならぬという場合においても、これを最小限度にとどめたいということが、私のずっと一貫した主張でございました。それらのいろいろな条件を勘案いたしまして、一四・八%という程度に引き上げることは、これはやむを得ぬという結論に達した次第でございます。
○淡谷委員 いずれも大勢に順応したようでございますが、赤城農林大臣は、米価審議会の席上で、消費者米価の値上げは必ずしも一月にこだわらないという重要な発言をしておられるんですがね。この政府決定によって、一月価上げということはだれが何といっても敢行するつもりですか。
○赤城国務大臣 一月にこだわらないということを言った記憶があります。しかし、公共料金や消費者米価等は、三十九年中に上げない、四十年からは慎重にやるということでございます。そして、すでに四十年に入れば、一月一日からのほうが適当だというふうに考えましたので、これを変更する気持ちはございません。
○淡谷委員 大蔵大臣に次に伺いますが、今度の消費者米価の引き上げによって出てきました財源は幾らでございますか。
○田中国務大臣 消費者米価の改定によりまして得たものは六百三十三億円であります。
○淡谷委員 これは、将来にわたってこの財源は狂いませんか。どれくらい狂う見込みですか。というのは、生産者米価は、一等、二等、三等、四等、五等と等級別できめるのでしょう。消費者の米価は、特選米、普通米、徳用米、この一等、二等、三等、四等、五等の配合と準内地米を混合して消費者米価の価格をつくるというのがことしの方針です。そうしますと、まだ等級格差別の数量がはっきりきまらないときに一体それだけの財源をちゃんと打ち出せるはずがないと思うのですがね。基準はどこに置かれたのですか。大体の概算ですか。
○田中国務大臣 この六百三十三億というのは、その内容をきめた食糧庁の数字でございますから、どういうことかというのは食糧庁長官に答弁をさせます。
○齋藤(誠)政府委員 お答えいたします。 これは四十年度以降におきます売却計画に基づきまして、普通米、特選米、徳用米をどの程度売却するか、また、在庫量がどうであるかということによって計算いたしたものでありますから、そう大きくは変わりません。
○淡谷委員 そう大きくは変わらぬという答弁ですけれども、北海道、東北あるいは九州の災害で米の収穫というものは油断がならないような状態になっている。それをそう大きくくらいの形で、事実的確に言えるのですかね。予算だからしかたがありませんが、消費者米価を上げる理由にしております食管会計の赤字、これも実に大ざっぱに全部ひっくるめて言っている。三十八年度の予算は、決算との間に食管会計についてどれだけの開きがございましたか。これは大蔵大臣の専門でしょう。あなたはこの前答弁しているのですよ、私に。
○齋藤(誠)政府委員 先ほどそう大きくは変わらぬと申し上げましたが、等級別の買い入れ実績というものが動くという程度において変わる程度でありますが、大体現在までの実績を基礎に置いておりますので、等級別の変動が多少動けば変わるという程度で、数量全体としては変わることはございません。 それから三十八年度の決算と、決算を作成いたします前の段階の見込みとを比較いたしますと、見込みにおきましては、国内米勘定が九百五十億の損と見ておりましたが、決算におきましては八百八十六億。それから食糧管理勘定全体といたしましては八百四十二億と見ておりましたものが、七百五十八億というふうに損失が減少いたしまして、差し引き八十四億予定と相違いたしております。
○淡谷委員 大蔵大臣、そのとおり予算と決算との間には、食管会計の部分だけで八十数億出てきているのですよ。今度非常な抵抗のあった消費者米価をしゃにむに大ざっぱな勘定で急いで上げたということは、私は、どうも初めから消費者米価の値上げをきめておいて、国民をごまかすために米価審議会を開いた、さあっと早わざでやめぎわの内閣がきめていったという、まことに無責任な態度を感ずるのであります。しかも今度出されました予算案を見ますと、食糧管理勘定における損失が大幅に増加する見込みとなったので消費者米価を上げるということを言っているのです。一体消費者米価を上げるのに、損失が大幅に増大したからそれだけ上げなければならないという食管法がありますか。これはあるはずはないでしょう。しかもその言いわけのように三億円の社会保障費を組んだ。内容を見ましたら、生活保護家庭に一日十円です。一日十円を生活保護家庭に与えておいて、それで社会保障ができたような顔をなさるということは、私は米価というものの重大性にかんがみてはなはだ心外です。大蔵大臣、どう考えられますか。
○田中国務大臣 財政上の理由だけで消費者米価を引き上げることは好ましくない、そのとおりと考えております。しかし、年間に二千億に近い一般会計からの繰り入れ、こういうことになりますと、このまま一体推移をさしていいのか。三十八年度、三十九年度と大幅に生産者米価が上がってまいったわけでありますが、生産者米価を上げる、消費者米価は据え置く、減税はすると、まあ非常にいいことでございますが、やはりどこかにバランスをとらないと元も子もなくするという議論にも逢着をするわけであります。でありますから、私たちは財政だけの問題ではございません。財政としていて関連をせしめれば、少なくとも生産者米価と消費者米価は無関係なものではない、こういう原則に立って申し上げられるだけでございます。このままにしておけば、食管制度そのものの存廃、改廃という問題にもやはり関係するものでありますから、少なくとも二年間生産者米価を上げて、二年に一回消費者米価を是正をする。しかも二年目に上げた部分の九〇%、九五%でもその程度でとどめようということで考えたわけでございますから、全くやむを得ざる処置と、こう理解いただきたいと思います。
○淡谷委員 これについては前回からしばしば言っておりますから、重ねて大蔵大臣に申し上げませんが、大臣も知っているとおり、食管会計の中には、一般会計に持っていくような項目があるでしょう。一般会計に移すような項目があるでしょう。たとえば食糧庁の人件費、事務費といったような、これはしばしば私申し上げておるのですが、一向これは実行なさらない。もしほんとうに食管会計を守ろうというならば、あそこから抜けるような項目だけは抜いたほうがいいと思いますが、抜く意思はありませんか。何べんも言ったのでありますから、私はくどく申し上げませんが・・。
○田中国務大臣 これは農林大臣にもお願いをして、米価審議会に小委員会をつくっていただいておりますし、淡谷さんも有力な委員でございますから、どうかひとつ、私たちもそういうやはり前向きのといいますか、政府が負担すべきものは負担する、そのかわりにこういうスライドするものはスライドする、しかし、スライドの額は、いかにスライドの原則はあっても、それがあまりにも消費者物価に影響があるという場合にはどうするかというような、そういう面もひとつ進めていただいて御答申をいただければ、私たちもそういう立場で填重に検討いたしたい、こう考えます。
○淡谷委員 佐藤総理に最初の質問に関連して申し上げますが、日本の農業というのは、いま非常に重大な破局的なところに立っております。いわば食糧管理制度を大事にしなければならない。もしこれを誤ったら需給が非常に乱れてしまう、食糧不安を招く。しかもこの財政負担が多くなるという矛盾は、ただ米価だけの矛盾ではなくて、しばしば言っておるとおり、日本の農業に革命的な革新を行なわなければ、これはもうできないことなんです。革命的なということは、池田総理大きらいでしたけれども、あえて使ったことばです。もはや小手先の問題では直らぬということを前総理の池田さんも言っておられた。あえて革命ということばを使った。赤城さんも深刻に悩んでおられると思う。農業基本法に基づき、あるいは構造改善に基づいてやっていますが、どたんばになるというとあとへ引きますし、また予算のとり方、指導の方針、援助のしかたなども不徹底なためにさっぱり前進しない。これはやはり総理就任と同時に、はっきりした農政転換を行なって、日本の農業というものに新時代を開くようなたくましい決意をお持ちになるのか、お持ちでないのか、これだけをはっきり確かめておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 冒頭に私が農業問題、農村問題、それと取り組む私の基本的な態度について申し上げました。なお、先ほど来いろいろ貴重な御意見を聞かせていただきました。私どものほうにおきましても、農林大臣まことに熱心であります。十分その事態の本質を究明いたしまして、そうして真剣に取り組んで、農民、これこそわが国の基盤だ、かように思いますので、これの生活安定、生活の向上、これに全力を注いでまいるつもりでございます。
○淡谷委員 農業の重大性に対して真剣に取り組まれるという総理の答弁を聞きました。この具体策についてもお聞きしたいのですが、まだこれは就任早々のことでございますから固まっていないことだと考えまして、いずれ通常国会の際には、一々予算についてこの決意の裏づけと実践の方向を確かめてみたいと思います。 本日は、これで質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて淡谷君の質疑は終了いたしました。(拍手) 次の質疑者は加藤進君でありますが、理事会の決定によりまして、質疑時間は一時間ということになっておりますから、さよう御了承を願います。 加藤進君。
○加藤(進)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、佐藤総理にお伺いをいたします。 私は具体的な事実をもって質問をいたしますので、佐藤総理におかれても明快な御回答をお願いしたいと思います。このたび政府は、わが党の大会に来賓として来日する中国共産党の代表団、朝鮮労働党代表団、ベトナム労働党代表団、及びインドネシア共産党代表団の入国を拒否されたのであります。そもそも各国の政党が自由にお互いに往来するということは、国際的民主主義の通念であり、原則であると思います。しかもこのたびの代表団は、中国をはじめそれぞれの国の幾億の人民を代表するものであり、中国共産党代表団団長彭真氏は、中国共産党の政治局員であり、北京市長であります。すなわち、党及び政府の最も重要な指導者の一人であります。また同じく団員陳郁氏は、広東省の省長であります。いずれも政府の要人であり高官であることは、御存じのとおりであります。かつてわが国には、中国より李徳全女史、許廣平女史、廖承志氏、劉寧一氏、南漢宸氏などの著名の人士の来訪がありました。また、わが国からは自民党の石橋湛山氏、松村謙三氏をはじめとして各党の代表は言うまでもなく、幾多の人々が中国を訪問し、中国の人民と政府に熱烈な歓迎を受けたことは周知のとおりであります。しかるに、今回このような代表団の入国を日本政府があえて拒否したことは、これら諸国数億の人民に対する重大な侮辱であり、また、事実上これはその政府に対する公然たる敵視の表明でなくて何でありましょうか。いま日本と世界の世論は、かつて岸内閣が日中関係を逆転させたあの中国国旗凌辱事件をさらに上回るような憤激をもってこの問題を注視しております。事実はそれだけではございません。政府は、この拒否した理由として次のように言っております。日本共産党の大会の性格にかんがみ、これらの代表団を入国させることは国内の対立抗争を激化させ、公安を害するというのであります。これは一体どういうことを意味するのでありましょうか。私は、佐藤内閣のこのような行為と言明はきわめて重要な問題であると考えております。日本人民とこれら諸国の人民が、このことについては絶対に承服せざるところであると信じております。したがいまして、私はここに次の三つの点について総理に質問をいたします。 第一の点は、政府はこれらの行為が中国その他代表団派遣国の人民に対する非礼であり、礼を失したことであり、侮辱であると考えないのであるかどうか。また、これは事実上それぞれの国の政府に対する無礼きわまりない行為であると考えないのかどうか、このことが第一点であります。 第二点です。また、政府はこう言っております。中国共産党その他の代表団を日本共産党の大会に参加させることは公安を害する、こう言っております。はたしてこれらの代表団がわが国の治安撹乱のために来日すると政府は考えられたかどうか、はっきり御回答をお願いしたいのであります。 第三の問題があります。佐藤総理は、政府のこのような不法な行為が日中友好のために役立ち、代表団派遣のアジア諸国との友好親善の道であると考えておられるかどうかであります。私はあえて申します。このような政府の行為こそ、文字どおりアジア諸国人民との親善友好関係の破壊でなくて一体何でしょうか。事はきわめて重大であります。佐藤総理大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
○佐藤国務大臣 ただいま一から三までに分けていろいろお尋ねがございました。私は、この種の事柄がありましたことはまことに遺憾に思います。遺憾に思いますが、それぞれの国は、その入国につきましてそれを許すか許さないか自由を持っております。そういう立場において、わが国はわが国の望ましい姿、そういう意味でこれを処置したのでございます。ただいま法務大臣から当時の経過を申し上げさせます。
○高橋(等)国務大臣 日本共産党は破防法の運用上調査を要する団体である、裁判例でもこのような調査を合法と認めております。このたびの日本共産党の大会は、昭和三十六年に行なわれました第八回党大会以来の党活動を反省、検討いたしまして、日共のいわゆる反帝、反独占の反政府闘争を展開させるための具体的戦術を決定しようとするものであったのであります。このような反政府闘争の傾向を支持、助長すると認められまする外国共産党代表を参加をさせますことは、わが国の利益及び公安を害するおそれがあると考えましたから、ただいま御指摘の外国共産党員の日共大会への出席のための入国をやむを得ず許否をいたしたような次第であります。 なお、これが日中の友好関係に逆行するというものとは考えておらないのでございまして、今回の措置は、先ほど申し上げました理由以外には全く他意はないのであります。日中両国がその立場を尊重しながら友好関係を発展させるということにつきましては、従来と何ら変更はございません。現に、こうした関係者の入国は、原則としてこれを承認をしてまいっておるのでございまして、御存じのようにLT貿易の連絡員の孫平化さん以下の入国滞在、あるいは新聞記者の交換等をいたしましたほかに、ごく最近は、十一月二十六日に平和委員会平野義太郎氏の招請によりまして、三名の方の入国を認めております。これは友好親善ということが題目になって申請をされております。その他の肥料関係、あるいは中国金属加工工業代表団等貿易関係者につきましても、多数の入国を認めておるようなわけでございまして、決して日中関係の友好をそこね、従来の方針を逆行さすというようなことではなしに、ますます両国の共存共栄をはかっていきたい、こういう考え方で入管の行政をやっておるようなわけでございます。
○加藤(進)委員 私は、国会の本会議において代表質問に対する佐藤総理の答弁をお聞きいたしました。あるときには、これは政経分離のたてまえからやったことである、こういう答弁を私は再三聞いております。いま法務大臣のおっしゃったその理由とは相当の食い違いがあるわけであります。この点はいかがでございましょうか。
○佐藤国務大臣 私は、この点はあまり議論をしたくないのです。したがいまして、かつては政経分離のたてまえでやっておるのだ。したがって、今回の日本共産党の大会に出られるということは、明らかに政治だけの目的ではないか、こういうことを申すつもりでありまして、こまかな法律的な議論はしたくない、それが両国の友好を続けるゆえんではないか、かように思いまして、しばしばそういうような表現をしております。しかし、その本来の姿は、ただいま法務大臣の説明したような法理的な立場に立って、そうしてわが国の公安、それを守るというその立場の見解でございます。
○加藤(進)委員 法務大臣の答弁でありますけれども、われわれ日本共産党の大会は、その内容は「前衛」「アカハタ」その他を通じて天下周知の内容であります。第八回党大会の議事録はすべて「前衛」に載せられております。第七回もしかり、第九回の今次の大会におきましても、その日々の行事はすべて「アカハタ」を通じて公表されております。しかも日本共産党は憲法のもとで保障された天下の公党であります。われわれは選挙のたびごとに百数十万ないしあるときには三百万の支持を得ました。そして国会にも現にわれわれのような国会議員が選ばれております。このような天下の公党に対して、かつての破防法のような不当な憲法無視の法律を振りかざしてこのような差別を行なうということは、私はかつての翼賛政治を再現させるような危険な反動的な内容がある、こう言わざるを得ないと考えております。私があえてこのことを申し上げるのは、では岸内閣がわが党の第七回党大会のときに、すなわち一九五八年ミーチン氏を代表とするソ連共産党代表団の入国を許したということは、公安を害するおそれなしとそのときに判断したと私は推定してもいいのかどうか、このことをもう一度お聞きしたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 日本共産党の中央機関紙の「アカハタ」、いまお話しになったやつです。十一月二十五日付には、この大会で協議決定される最も重要な事項として中央委員会の報告というものが載っております。そしてこの報告の中には、日共の綱領を形式化した路線として反帝、反独占の民主主義革命の旗とか、アメリカを先頭とする帝国主義に反対する民族解放と平和の国際統一戦線の旗というのがしるされております。かような点から見ましても、日共が今度の党大会で、日共のいわゆるアメリカ帝国主義と、そして日本の独占資本を革命の対象としてこれに対する闘争方針を協議決定するということは明らかであると当時判断をしたことは間違いないと思います。また、ただいま憲法上の合法政党であるというお話もございましたが、これはもちろん憲法上合法政党であるでありましょう。しかし、外国人の国内法上の地位は国民と同様の権利を認めなければならないことはなく、国際的な考え方の上でも、国内法で任意に定め得るものであるとされておる。生命、身体、財産の保護につきましては、国民と同様の保護を与えなければならないことは当然であります。その他の権利については、権利の性質いかんによって合理的な範囲で差別をすることが是認されております。およそ外国人が他国の政治に干渉することは、国際慣行上厳に慎しむべきものとされておることは御承知のとおりであります。外国人の政治上の言動に関する制限は、自国民と全く異なった地位に置かれております。これに加えますのに、外国人の入国を許可するかどうかということは一国主権の裁量に属するということが国際法上の通説であることは、前説申し上げたとおりでございます。わが憲法の解釈によりましても、最高裁判所の判例によって、憲法第二十二条、居住移転、移住の自由は外国人の日本国に居住することについては何ら規定していないとして、明確に判示されております。したがって、日本共産党が合法政党であること、その政治活動が法律に違反しない限り自由であることと、その大会に参加する外国人の入国を国内において予想される言動を理由に拒否することとは、全く別の問題である。国の利益上好ましくないと認められるものにつきましては、合理的範囲内で入国を拒否することは、一国の主権の行使として当然の措置であると私は考えておる次第でございます。
○加藤(進)委員 法務大臣も、日本共産党が憲法によって保障された合法政党であるということは認められました。また破防法による調査を要する団体ということの理由で、日本共産党の大会についていわれなき中傷を行ないました。一体アメリカ帝国主義を中心とする帝国主義に反対し、独占資本に反対して、そうして現在の政府の政策に反対してやる戦いが何がゆえに法律に違反し、何がゆえにいわば破防法の適用の内容になるのでしょうか。そんなことは絶対にあり得ません。公安を害するなどというような理由は成り立ちませんよ、それは。一体だれが公安を害しておりますか、いま。原子力潜水艦を入れて、日本の幾百万の大衆の憤激を買っているのは一体だれですか。物価をどんどん上げて、人民の生活を苦しめながら人民の反撃を買っているのは一体だれですか、これは。このような事態を考えてみても、もし公安を害するおそれがありというならば、まさに自民党佐藤内閣自身じゃないのか。こういうところに破防法を適用すべきである、と私はあえて申し上げたいと思う。また法務大臣はこう言いました、共産党の問題と外国代表の入国の問題とは別の問題だと言われた。そのとおりなんですよ。だから私は問題にしているんだ。そこで佐藤総理に対してどう質問しましたか。あなた御記憶ありますか。まず第一に私が聞いたのは、あのような代表団の拒否は、その代表団を送った人民に対して非礼侮辱に当たらぬかどうかということです。これはまだ回答がない。第二にはいまの問題です。第三には、これが日中友好を願う佐藤内閣の方針であるかどうか。こういうことですよ。その点については、私は法務大臣じゃなくて佐藤総理自身にお聞きしたい。
○佐藤国務大臣 日中友好関係を持続したい、こういう意味から、私は先ほど来この種の議論はあまりしたくないということを申し上げました。かような事態が起きたことは、両国のためにまことに遺憾であるという表現をいたしました。これで非礼あるいは侮辱だというようなことに対するお尋ねにお答えしたつもりであります。同時にまた、ただいま法務大臣が説明しておりますように、その後の入国につきましてもこれは許可しておる。こういう事態をごらん願えれば、全部拒否するというようなきつい敵視的な態度ではない。その点はおわかりだと思う。両国の間をもっとうまくやっていきたい、それは念願しているんだということが、法務大臣の措置でもおわかりだと思います。
○加藤(進)委員 なお一つ、いまの質問の中でお答え願わなかった問題があります。それは、外国の代表団が日本に入国をする、このことが治安を乱す原因になると考えられるかどうかということです。その点についてお答え願いたい。
○佐藤国務大臣 公安を害するおそれありやいなやということは、入国を引き受けるその国においてきめることであります。法務大臣が法務省入国管理令に基づきましてかような結論を出したこと、これは認定でございます。だから、さようにお考えをいただきたい。
○加藤(進)委員 出入国管理令ということを佐藤総理は言い出されました。出入国管理令のうちのどの条項に今回のような入国を拒否するような理由があるのでしょうか。ありませんよ、それは。
○高橋(等)国務大臣 出入国管理令の第五条第一項第十四号の「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」、この条項を適用して入国を拒否しておる。しかし、これは羽田、横浜等のわが出入国港まで来て上陸申請をした者を上陸を拒否する場合の法律でありまして、査証段階の入国拒否には直接適用はない。このたびのとにかく各共産国からの入国の人々には直接の適用はございません。ただ、外国人の入国を許可するかどうかは一国の自由裁量に属するところで、査証を拒否してもその理由を具体的に説明しないのが国際的の慣例であります。したがって、わが国の利益または公安上の見地から好ましくないと思えば、自由に査証を拒否することができるものではございますが、単なるそうしたことだけでやっておるのではなしに、出入国管理令の先ほど言いました第五条第一項第十四号の考え方に従って措置をいたしておる。いま総理が出入国管理令を適用しておると言われたのは、直接の通用ではありませんが、ただいま申し上げました出入国管理令第五条第一項第十四号の考え方に立って措置をいたしておる、かよう御了承願いたいと思うのであります。
○加藤(進)委員 答弁は全く堂々めぐりですよ。第一、公安を害するおそれがあるかと聞いたら、それは出入国管理令に抵触するという話だ。出入国管理令にはどういう規定があるかと言うと、今度は、入国拒否条項の適用は、公安を害するおそれがあるような団体という認定が政府によって行なわれる場合だ、こう言うのです。堂々めぐりじゃないですか。結局理由はないと同じことじゃないですか。あるのは政治的な判断、佐藤政府の政治的な一方的判断で中国代表団をはじめとするアジア各国の代表団の入国を拒否されたという事実だけが厳として残っている。こういうふうに私は言わざるを得ないと考えております。 そこで、佐藤総理は率直に遺憾の意を表されました。これは遺憾の意を表されないよりもけっこうです。しかしながら、私たちは、佐藤総理をはじめ政府の皆さんに、中国がこの問題についてどのように重大な関心を持ち、またこの問題について今後日中間にどのような事態が起こるかということについて、私はあえて皆さんに申し上げたいと思う。これは、十一月二十一日、その問題が起こったその日に、中国政府は次のように言明しております。佐藤政府が中国共産党代表団の入国を拒否したことについて中国人民は限りない憤激を感じている、また中国政府は日本政府のこの行動はただ査証を発行しないという問題ではないと考える、これは佐藤内閣が中国政府と人民に対していかなる態度をとっているかの問題である、彭真氏を団長とする代表団の訪日は日中友好を強化する重大な段取りであり、日中両国人民はこれを歓迎している、したがって佐藤内閣のこの不法な処置は日中関係の発展に危害を及ぼすものである、もし佐藤内閣にしてこのような不法な措置を固執するならば、重大な結果が生まれざるを得ないことを中国政府は厳正に指摘する、こう言っております。かつて前例のないほどの中国政府の断固たる態度が表明されております。佐藤内閣に対するまさにきびしい警告です。この言明に対して、佐藤総理はどのような所見を持っておられるのでありましょうか。
○荒舩委員長 加藤君に申し上げます。ここは日本国の衆議院の予算委員会でございますから、どうか間違えないようにしてください。
○加藤(進)委員 委員長、それは越権です。
○荒舩委員長 越権ではありません。
○加藤(進)委員 私は、日本人民の立場に立ち、日本の国の将来のことを考えて言っているのですよ。そのためには、日本の一政党ないし一政府の一方的な政治判断ではいかぬのだから、中国人民との友好を深めるためには、中国の六億の人民とその政府の態度を明確に理解しなくちゃいかぬ。そのことをいまあえて言っておるわけなんです。私は答弁を要求します。
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げましたように、私はこの事件についてあまり議論をしたくございません。これだけでよくわかってくださることだと思います。
○加藤(進)委員 私も、議論をしなくて、佐藤総理が今度のような事態を引き起こした重大な政治責任を感じて、いままでの態度を根本的に改めるという用意があるならば、私はあえて追及は申しません。しかしながら、実際は私はそうでないという懸念を強く持っておりますから、いま質問を申し上げておるわけです。聞くところによると、すでに中国と非常に関係の深い、常に連絡をとっておられる自民党のさる代議士が中国入国を希望されたのに対して、お断わりするという連絡があったと聞いております。また、新聞の報ずるところによると、日中貿促議連、この議連の代表団の中国入国に対しても、これが拒否されるという可能性が強いということを言われております。これは、その一つ一つがよしあしという問題ではなしに、そこにあらわれておるように、中国政府が今度の問題をいかに重視し、これについていかにきびしい態度をとっておるかということを踏んまえていかなければ、今後日本がアジアとの善隣友好関係をさらに発展させるという、佐藤総理みずからの理想が実現できないのではないか、こういうことを私たちは考えざるを得ないわけです。したがって、ただいま聞いたような、佐藤総理の答弁、これは、日中両国人民が熱望しておるような日中友好と親善について、はたして真に配慮を払われておる態度であるかどうか。私は、佐藤総理の腹の中にあるものが今度のような事態を引き起こしたということ、今度のような事態が日本の新たに誕生した佐藤内閣の手によって行なわれたということの中に、政府が中国を敵視するという、中国敵視の政策が推し進められようとしておる、その証拠のあらわれだ、私はこう見てもいいと考えますけれども、この問題について佐藤総理はどう考えられるか。
○佐藤国務大臣 佐藤内閣は中国を敵視していないということを本会議でも申しました。また、この席でも申しております。これは、日本共産党の加藤君が、敵視しているのだ、かように言われようがどうだろうが、私は敵視はしておりません。
○加藤(進)委員 私は事実を明らかにしながら質問を申し上げております。 それでは、去る十一月二十六日、二十七日、佐藤総理を含めた政府部内において、中国問題に関する意思統一が行なわれたはずであります。この意思統一の内容は、国民政府が国連で議席を失うようなやり方で中国政府の国連加盟に賛成することはできない、それはアジアの平和を乱すものである、こういう言明が出されたと聞いております。また、自由陣営に属する中国政府の国連議席はどんなことがあっても維持するように努力するということが意思統一されたと聞いております。これは事実でしょうか。
○佐藤国務大臣 さような事実はありません。
○加藤(進)委員 いま私は、佐藤総理が参加されたであろうこの政府部内の意思統一の内容について追及いたしました。佐藤総理みずからが、かかることは事実でない、こういうふうにおっしゃいました。私は、今後この問題についてその真相を追及していきたいと考えております。そういうことを私は申し上げて、この問題についてさらに追及を進めていきたいと考えております。 それで、私は、この政府部内の決定は間違いないと考えております。(「かってじゃないか」と呼ぶ者あり)かってか、かってじゃないかということは、今後黒白がつけられると考えております。しかし、そのときには、私は佐藤内閣自身が重大な関頭に立たなければならぬ時期だと、こういうふうにも警告申し上げなくてはならぬと考えております。いままで自民党政府が、中国を国連から追い出していくために、国連における中国の正当な代表権を拒否するために、いわゆる重要事項指定方式なるものを常に持ち出していきました。ところが、今回は、このような重要事項指定方式によってすら、中国の国連復帰を阻止することは不可能になるような新しい世界情勢が発展してきた。こういう上に立って、佐藤内閣の、先ほど申し上げたような従来の重要事項指定方式をも乗り越えていくような、さらに危険な方法によってでも中国の国連加盟を阻止しよう、こういうことが許せるかどうか。このことをもう一度佐藤総理から明確に御返事をお聞きしたい。
○佐藤国務大臣 お答えいたしますが、ひとりでいろいろ想像されて、いろいろかってな結論を出されては私も困ります、私自身が閣議を主宰しておりますが、閣議で先ほど来さように想像されるような事件はございません。そういうような議案はなかったということをはっきり申し上げます。そうして、私が今日までとっておりますものは、それこそ池田路線を踏襲しておる、池田路線と変わりはございません。政経分離を言い、そうして両国間の経済交流をもっと活発にやりたいとか、あるいは人的交流をしたいという、これは全部がそのとおりであります。ただいま国連の問題を引き合いに出されましたが、私は、これにつきまして、在来から池田総理がとっておるその態度そのものを私の政府の態度にしようかどうしようかと、こういうことでいろいろ工夫しておるということは、しばしば申し上げたとおりであります。今後これをさらに発展さすかどうするか、それについては、各界、各方面の御意見も聞きます。共産党の御意見ももちろん聞きます。また、私は諸外国の意見も聞きます。しこうして、その場合に最も大事なことは、日中両国が隣合わせであるということ。これは、私どもが好きでもきらいでも、よそへ移転するわけにいかない。その事実があるわけであります。そういう意味で、これは今後のアジア外交の重要課題だ。そういう意味で、私どもはこれを真剣に取り組んでまいるというこの態度は、はっきりいままでも何度も申し上げたはずであります。その意味で、共産党からしいられるような特別な悪意のある、あるいは敵意のあるそういう方向にきめつけられるようなものはどこにもございません。これは重ねてはっきり申し上げておきます。
○加藤(進)委員 まだ時間はだいじょうぶでしょう。
○荒舩委員長 しかし、どういう目的で御質問になるか、速記に残していいですか。
○加藤(進)委員 それは委員長が判断されることではない。
○荒舩委員長 いや、そんなことはありません。
○加藤(進)委員 私は質問をしておるのですから、その質問に正確に答えていただきたい。
○荒舩委員長 速記に残していいですか。速記を抹消しますよ、こういうのは。
○加藤(進)委員 私は、今度の代表団入国拒否問題がいわば佐藤内閣の試金石の一つになってきている、しかも、佐藤内閣の言われるアジア諸国との善隣友好関係の強化、こういう観点から見て、全くこれに逆行するものである、こういうことは事実において明らかだと思います。しかも、そればかりではないから、問題はなお深刻だと思うのです。というのは、すでに台湾に対して一億五千万ドルに及ぶような借款を行ないました。中国にとっては、これは内政干渉の最たるものですよ。こういうことをアメリカに追随して一方ではやり、先ほどの質問追及にあいましたような日韓会談のまことに驚くべき内容が次から次へと政府の手によって行なわれる。そうして、東北アジアにおける軍事同盟、この方向に向かって具体的に佐藤内閣の政策が進んできている。しかも、ベトナムを中心とするアメリカの次から次へ新たに計画されるような危険な戦争拡大政策に対して、物資、経済の援助が行なわれる。そればかりか、日本人がこの戦争に介入し、参加しつつある。いわばベトナムに対するアメリカの侵略戦争の片棒をかつぐ。こういう道が進められている。そうして、日本の沖繩、佐世保にはアメリカの原子力潜水艦が現に入ってきておる。こういう事態が次から次へと起こりつつある中で今度の問題が起こったわけであります。私たちは、このような池田内閣の危険な戦争政策、アメリカに追随する政策の続く限りは、中国との間の善隣友好を中心とするアジアの平和を実現するような外交政策は達成できない、こういうふうに私たちは考える。したがって、このような事態について思いを新たにして、佐藤総理が念願されると言われるような寛容と調和の精神に従って、そうして、アジアにおける善隣友好関係を前進させるためには、何をおいても大中国との間に、中国人民と日本人民との間に真に腹を割った友好親善の状態をつくり出すということが、日本政府における最も中心的な任務である、私はこう確信しております。私たち共産党も、その方向に対して全力をあげて、国会内外を通じて戦っております。こういう点を私は最後に総理にお尋ねして、もう一度総理の確固たる所信をお伺いしたいと考えます。
○佐藤国務大臣 私は、加藤君の立論とは違うかわかりませんが、どこまでも平和を愛好し、そうして自由を守り抜く、これが施政の根本であります。その立場に立って、アジアの平和、同時にまたアジア民族に幸福をもたらすようにあらゆる努力をするというのが私の考え方であります。いわゆる自主平和外交を積極的に推進していく、かような考え方でございます。
○加藤(進)委員 私は、入国拒否問題については、時間の都合上これ以上追及を差し控えます。しかし、この問題は重要でございますから、事態の発展によって、今後私の同僚議員の諸君とともにこの問題について一そう政府の所信をただしていきたいと考えております。 なお、この機会に私は一つお尋ねしたいことがあります。TBS報道シリーズというのがありまして、十一月十六日から十八日に「ベトナムで死んだ日本人」という放送が行なわれました。これによれば、十一月四日、南ベトナム、ダナンにおいて日本人船員斎藤賢三が南ベトナム警官に射殺されたという報道が出ております。また、日本平和委員会には写真や新聞が届いてきております。それには、日本の防衛庁関係の人物が現に南ベトナム第五師団司令部の作戦に参加しておるということが出てきております。このような事実をあげるならばさらに多数ございます。一体現在ベトナム戦争に日本人として直接間接何人参加しておるのか、私はお聞きしたいと思います。
○後宮政府委員 ベトナムの戦争に参加しておる日本人というのはございません。先ほど御指摘のありました斎藤氏は、LSTの輸送船の船員で、ダナンで警察官に射殺されたケースがあることは承知しております。
○加藤(進)委員 私はこの問題についてはなお具体的な資料を準備しつつこれからも質問をしたいと思いますが、特に本委員会において、私は、次のことを政府において調査して、そしてしかるべく文書で報告をお願いしたいと思います。それは、ベトナムに日本人は一体何人行っておるのか、どこで何をやっておるのか、こういう問題です。さらに、その中でどれくらい日本人が殺されておるのか、こういう事実について、日本人の生命、日本人の戦争参加の事実について可及的すみやかにこの委員会に報告されたい。委員長のしかるべき配慮をお願いしたいと思います。
○荒舩委員長 よく考えてみましょう。
○加藤(進)委員 考えるだけではいけません。これは事実の問題ですから、調査をしていただきたい。
○荒舩委員長 理事会において研究をいたします。
○加藤(進)委員 お願いします。 私は、ベトナムにおける問題にこまかく触れるわけにはいきません。しかしながら、アメリカがこのベトナムを中心として東南アジアで現に何をやり何を計画しておるかということは、周知の事実です。すなわち、ジュネーブ協定がじゅうりんされ、三万五千をこえる軍隊が送り込まれ、核兵器も持ち込まれております。いわばあらん限りの干渉と侵略がこのベトナムにおいて続けられております。トンキン湾事件をはじめとして、ベトナム民主共和国への爆撃が繰り返され、また、今日においては、さらに大規模な北進が、アメリカの政府、軍部の責任ある人から公然と言い放されております。しかも、ベトナムの爆撃目標もきめられております。私の聞くところによれば、たとえばメコン川の分流地点における公然とした爆撃、さらに、ソ連、中国がプラントを送った鉄鋼コンビナート、ここに爆撃目標が置かれておるということは、これは事実ですよ。ベトナムは、御承知のように、八十年間フランスの支配を受け、二十数年にわたる戦禍にあいながら、しかも自力で農業国から、後進国から工業国に発展した唯一の国です。その国の最も重要な鉄鋼コンビナートに対して、アメリカはまさに爆撃を加えようという計画を持っているということ。もしこのような事態が起こるならば、アジア人民は決してこれについて黙っておりませんよ。もしこのようなアメリカの危険きわまる計画に対し、危険きわまる侵略戦争に対して、日本がこれに加担するようなかりそめにも疑いのある行動を絶対にわれわれはやってはならぬ、こういうふうに考えております。しかし、事実はやられておるのですよ、これは。たとえば、日本から送られた医療団は一体何のために行ったのでしょうか。麻酔の専門家が行っております。外科と皮膚科が行っております。何のために行くのでしょうか。アメリカの傷病兵の治療のためにこれは行っているのでしょう。これがアメリカに加担しないといってどうして言いわけになりますか。物資が送られ、経済援助と言われる。しかし、それはアメリカのかいらい政権に対するてこ入れでしょう。しかも、日本人が、先ほどそれはないと言われましたが、事実は戦争に参加している。これが佐藤内閣のアジア善隣友好の外交の姿でしょうか。私はこの点について深く憂慮するものです。したがって、さらに私は機会をあらためてこの問題については追及をしたいと思いますけれども、こういう事実を頭に置いて、アジアにおける日本の外交が、平和とそうしてアジア諸国人民の友好を促進するような正しい道をとることを私は心から期待し、われわれはそのために奮闘する覚語です。 私は以上で質問を終わります。
○荒舩委員長 以上をもちまして加藤君の質疑は終了いたしました。 これをもちまして、昭和三十九年度補正予算三案に対する総括質疑は終了いたしました。 次会は明三日午前十時から開会し、昭和三十九年度補正予算三案に対する一般質疑に入ることにいたします。 明日の質疑者は、午前石野久男君、午後は武藤山治君及び川崎寛治君であります。 石野君の出席要求大臣は、法務大臣、外務大臣、大蔵大臣、農林大臣及び通産大臣であります。 武藤君の出席要求大臣は、法務大臣、外務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林大臣、通産大臣、労働大臣、自治大臣及び経済企画庁長官であります。川崎君の出席要求大臣は、外務大臣、文部大臣、厚生大臣及び農林大臣であります。 本日、委員会散会後直ちに理事会を開きますから、理事諸君は委員長室にお集まりをお願いいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十九分散会