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47回国会衆議院1964/12/16

文教委員会 第3号

発言数
70
登壇者
12
会派数
2
開催日
1964/12/16

会議録

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。長谷川峻君。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 私は青少年問題について関係者皆さん方の御意見、将来の考え方などについてお答えをいただきたいと思うのです。  と申しますことは、文教委員会でいろいろな基本的な文教政策を論じていますが、私たち政治家として、新聞を毎日を見ておって、一面、二面、社会面に大きく出る記事、そういうものを論議もしていますが、下のほうに小さく載った記事、その中にも真理があり、いろいろな対策をする必要があるのじゃないか。現にきのううちへ帰って夕刊を見てみますと、一面のほうには総理大臣の来年度予算基本方針とか、NATO理事会のいろいろな問題とか、補正予算の成立とか載っているのです。しかし社会面のほうを見ると、またいろいろな事件の中に、下のほうに小さく載っている問題が二つございます。「教育長夫妻をなぐる」神奈川県で乱暴な兄弟、「短刀で女教師おどす北海道の中学生」こういう夕刊の社会面の下のほうに載っている同じようなケース、この二つを見たときに、私は、やはり文教政策を論ずる一人として、いまや四十年度予算等々で文部省関係のいろいろな大事な予算をやっておりますが、こうした問題について深く心をいたす、また非常に深く考える筋合いのものではなかろうか、こういう気持ちです。最近なかんずく週刊雑誌とか新聞が非行少年問題の特集をしております。それを見ますと、週刊雑誌の売り物に「先生をとりまく〃狼〃生徒たち」「頻発する教師殴打事件」「日本版〃暴力教室〃の実態」あるいはまたほかの新聞によると、特集によって、非常に多く発行部数を出している新聞に「暴力団の鉄砲玉非行少年」「二軍へ組織化目立つ」「力だけの世界の魅力」こうしたことが、日本の文教政策が非常に伸展していると私たちが誇りを持ち、またよそへ行っても自慢しているときに、非常に原始的な問題、非常に初歩の問題、しかも経済成長を世界が注目するこの日本において、こんなことは私は低開発地帯以下だと思う。こういう問題をあらためて私たちは反省もし、その対策というものを練る必要があるんじゃなかろうか、こう思いますが、最近の警察庁あたりにわかっております全国の数字的なものを、まず簡単でよろしゅうございますが、たとえばこの週刊雑誌にしましても、全国の学校の例が全部名前入りで書いてあります。私どもも小学校、中学校はみな出ておりますが、その時代でも小さないたずらは、子供の発展する活力からやりました。しかしながらいまのように「先生対生徒の屋上の決闘」とか、「先公!あまったれんな!」こういうことで載っているということは、諸外国の中にはスラム街などに暴力教室のようなことのあることも聞きますが、日本の場合は、このような記事をどの新聞を見てもここ一週間——ひとつ関係者の方々は一週間新聞を注意してもらえば、全国的な例なんですね。これは子供を持つ親として、あるいは教育に多少でも関心を持つ者としては、たいへんな責任でもあるし、憂慮すべき問題じゃないか、こう思います。最近の総理府発行の書類を見ましても、昭和三十八年中に全国の警察で取り扱った非行少年は百九十九万七千四百十八人。いままでの最高であった昭和三十七年よりふえております。そして十歳から二十歳未満の少年人口は二千三十三万四千人に推定されているが、少年千人当たり九十八・二人が実は非行少年という記事が出ておるのです。総理府の記録です。こういう実態か警察関係ではどういうふうに数字的に一応把握されているか、また事件そのものを警察事件にしている、していないは別といたしまして、おそらくこれは警察本庁から出たこういう特集の記事でしょう、警察庁あたりから取材されたところのこういう週刊雑誌の全国的な計数だろうと思いますが、そういうものをどう把握されながら、御報告をもらいつつ、その数字はどんなところにいっているか、これをひとまず最初にお伺いしたいと思うのです。

大津英男警視監(警察庁保安局長)

○大津政府委員 長谷川先生の御質問でございますが、私ども持っております数字から申し上げてまいりますと、刑法犯少年、これは十四歳未満の触法少年を含めまして昭和三十八年の数字が二十二万九千七百十七、大体二十三万に近い数字でございます。このほかに特別法違反の少年、道路交通法違犯がその大部分でございますけれども、そのほかのものを含めまして特別法違反の少年が七十七万二千四百四十五、こういう数字がございます。そのほかに喫煙、飲酒あるいは怠学、そのほか不健全娯楽、夜遊び、そのようなことで街頭などにおきまして虞犯あるいは不良行為少年として補導を受けました数字が九十九万三千八十二名、こういうような非常に大きな数字になっておるわけでございます。このような数字は年々ふえてきておるのでありますが、傾向といたしましては十四、五歳の少年が一番多い。次いで十八、九歳、それから十四歳未満、それから十六、七歳というようなことで、要するにそういうローティーンにそういうものが移ってきておるということ。それから学生生徒の非行犯罪がふえておるということでございまして、少年非行の五八・八%が学生生徒によるものである、こういうこと、それから内容としましては、粗暴犯や窃盗が多い、それから中流家庭の少年にまでそういう非行がふえてきておるということ、もう一つは、非行が集団化しておる、こういうような特色が見られるのでございます。警察としましては、そういう者に対しまして、文部省とも連絡をいたしまして、学校警察連絡協議会の設置その他によりまして、こういう少年の早期発見、補導あるいは環境浄化あるいは少年の福祉を害する犯罪の検挙、あるいは地区の防止活動に参加するというようなことをいろいろやっておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、学生生徒の犯罪が多くなっておるということは見のがすことができない事実でございまして、文部省にも特にその点いろいろな対策をお願いしておるというような面もあるわけでございます。  数字的に申しますと、学生生徒の非行につきましては、全刑法犯少年中に占めまする生徒の割合が年々ふえてきておるということで、昭和三十一年に五万一千二百七十二名で四〇・二%でございましたが、昭和三十八年には、先ほど申し上げました五八・八%、十三万四千九百八十六人というふうにふえてきておる。しかも学生生徒の中では中学生が一番多い、こういう傾向が出ております。それから学生生徒の千人当たりの刑法犯の数をとってみますと、小学生で千人について四・三人、中学生が一一・八人、高校生で七・三人、これも中学生が一番高い、こういう率が出ておるわけでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 警察庁の数字によりましても、年々歳々ふえているということだけは事実であります。しかもその間に十四、五歳のローティーンが非常に多くなったということ、それから窃盗が多いということ、こうした問題などを見ますと、特に中学生の場合に、子供を持っておる親としますと、非常に憂慮すべき問題であります。文部大臣、こういう世相についてどういうお感じをされ、どういう気持ちで対処されようとしますか。こうした場所において所信を御解明願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 非行少年の問題につきましては、実は私も数年来非常に心を痛めておったのでありますが、特に文部省に参りましてから、ただいまも警察庁のほうから数字をあげて御説明がありましたように、数におきましても、またその内容におきましても増加し、かつ悪質といいますか、非常に憂慮すべき現象になっておりますことは、まことに残念でもあり、またこれに対してはあらゆる総合的な対策が必要であると思います。その中にはもちろん学校教育の面で対策を講ずべきところもあります。また、社会教育の面で対策を講ずべきものもございます。また、文部省以外の方面で、ただいまもお話しがございましたが、いわゆる早期発見、補導というようなことについては、警察その他にも非常な御協力を願わなければならないというように、多面にわたって対策を講じていかなければならない。これについては先ほどもおあげになりましたが、たとえば新聞や週刊誌におきまする生徒が先生に暴行を加えるというようなことは、全くこれはあり得べからざることだと思います。特にこういう点については各般の処置を講じてまいりたいと思います。  それから、この中学校、あるいは高等学校等についても若干言えることかと思いますけれども、特に中学校におきましては、申すまでもなく義務教育になっておる関係で、多少、何といいますか、頭の弱いと言っては語弊がありますけれども、多少異常な者も一緒に教育しなければならないというような面においても、冷静に事態を見つめて対策を考えなければならぬ面もあろうかと思っております。  いろいろ申し上げたいことはたくさんございますが、基本的な姿勢といたしましては、もうほんとにこれは憂慮すべき事態であると考えて、できるだけのことをしてまいりたいと思っておるわけでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 大臣の答弁とすればそういうふうな一般的なことしか言えないかと思いますが、これはいろんな経済施設をやることも大事でありますが、こういうふうな事態にどんどん進展するということは、私たちにもいささかの責任がありますが、私はほんとうにいまの日本で一番考えなければならぬことだと思うのです。これは恥ずかしいことなんですよ。どこの国へ行ったって、こういうふうに暴力団の鉄砲玉に非行少年が組織化されているなんという国はないんじゃないか。ことに二十一世紀の夢を持っている愛知さんに、ひとつこれは数字やら抽象的な議論やらじゃ青年は救われない。少年は教えられない。ほんとに真剣に私はかかってもらわなければならぬのじゃないかというふうな気がするんです。  そこで、暴力団の話が出ましたので、大津局長にお尋ねしますが、この中学生の生徒諸君などが暴力団の二軍的なものに組織されていく。民主主義の社会において暴力団のいけないということは当然でありますが、これがすぐにそういう風潮が出ますというと、政治的な暴力に出てくるんですが、最近非行少年の暴力団化という問題などについて、この国会の場からこういう委員会においてはっきりと、ひとつ材料があり警告されるものがあるならば、御警告をお願いいたしたい、こう思うわけです。

大津英男警視監(警察庁保安局長)

○大津政府委員 非行少年の集団化問題を申し上げたのでございますが、その集団になっておりまする少年がさらに暴力団の手先として使われておるというようなことが見受けられるのは事実でございまして、御指摘のような点があるわけでございます。私どもが得ておりまする数字では、現在暴力団の構成員またはこれに関連を有する少年の数は一万七千幾らというようなことでございまして、暴力団の構成員、あるいは構成員に準ずる者の総数の九・三%、一割足らずというような数字になっておるのでございますが、これは三十六年、七年、八年と年々比べてまいりますと、少しずつ減ってきておる。こういうような傾向が見られるわけでございます。それから、昭和三十八年中に暴力団関係で検挙しました少年の数は九千八百九十五人どいうことで、これは暴力団関係の検挙人員全体の一九・四%という数字を占めておりますが、これも三十六年、七年と比べますと、少しずつ下がってきておるというような傾向が見られるわけでございまして、非行少年の多くが不良グルーブをつくりまして、自分の力の威力を示す、あるいは事があるときは味方を動員をするというようなことにもなるわけでありまするし、町の不良のやからとよしみを持つということで、何かにつけてそういう暴力を振うのに都合がよいということから、こういう傾向が生まれてきておると思うのでございますが、また暴力団にいたしましても、自己の勢力を伸張するというためには自分の支配下にそういう非行少年グルーブを入れておくということが何かにつけて便利であるということで、そういう少年を誘惑をして自分の支配下に置いていく。また、そういう二軍を養成していくというような傾向が見られるわけでありますし、場合によりましては賭博の張り番をさしてみたり、あるいは露店のサクラをさしてみたりというようなこともいろいろ見られるわけでございますし、私どもそういう意味で一般の非行少年の傾向の中の集団化というものがさらに暴力団と結びついていくということについては、暴力団自身を現在徹底的に検挙をしていくと同時に、非行少年のグループにつきましても集団非行解体という作業をやるという意味で、いま一人一人の少年の補導ということのほかに、集団そのものの解体、集団そのものの補導というようなことも、警察の現在のやり方の中に取り入れまして、特に非行グループにつきましてはソシオメトリーというような方法も取り入れまして、こういう点を解決するように努力をしていきたい、かような考えで進めておる次第であります。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 今度は文部省の福田局長にお尋ねしましよう。  いまだんだんのお話の中に、結局ローティーンの者が、しかも義務教育の者が多い。これは文部省とすればいまいろいろなことで子供たちを指導している、そういうところの関心が非常に強くなくちゃいかぬと思う。そこで、各地方の教育委員会が一々こういう事件のことを報告してこないでしょうけれども、異例中の異例のような事件ばかりなんですね。私たちだっていたずらをしたけれども、先生を集団でなぐるというような中学生でなかった。少しは活発な子供がいいにきまっていますけれども、ことにいまの男性というものは非常に女性化時代だから元気のいいことはいいが、先生を集団でなぐって、卒業式に警察官が入った。あるいは暴力団等から解体作業が行なわれなければならぬというようなことがそちこちで発生しているということになりますと、これは学校教育だけの罪ではないにしろ、学校教育などにおいても多少の責任があるのではないか。最近の予算の中にカウンセラー予算をとってみたり、来年度もとろうとしてみたり、あるいはまた道徳教育等々といわれて研究指定校をやってみたり、あるいは道徳教育の副読本のようなものも配付されて無料で小学校、中学校の先生にやるような予算手続などもしておりますけれども、そういう施策のほかにどんなことをやる、そしてこの現状をどういうところで防ごうとする努力をされておるか、そうした方法と現状のやっておることをお尋ねしたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 先ほど警察庁からいろいろ学生生徒などのいわゆる青少年犯罪についての具体的な数字をあげての御説明がございましたが、私どもその中で特に義務教育の段階における生徒の犯罪というものは年々ふえておるという事実は非常に憂慮しておる次第でございます。最近警察庁などでお調べをいただいた統計によりますと、教師に対する暴力事件だけでも三十八年度に百六十七件、集団的リンチ事犯というものが人員にいたしまして千六百九十五人、生徒間の暴力事犯というようなものが千五百五十八人というような数に上っております。それ以外に個々の犯罪の内容を見てみますと、大部分が窃盗でございます。それからその次に多いのが、いわゆる暴行とか傷害とか脅迫、恐喝といったようないわゆる粗暴犯、そういうものが多く出ております。したがいまして御指摘になりましたように、この義務教育の段階における今後の指導として、いかなる対策を考えるべきかということについては、教育委員会なりあるいは文部省その他関係のところでいろいろ検討いたしておるわけでございますが、その非行に走ります原因については、いろいろ多岐にわたるようでございます。あるいは本人の能力あるいは性格といったようなものに起因する場合もございますし、それから家庭や社会における指導というものが十分届いてないというような場合も、その非行なり犯罪に走る率が非常に高いようでございます。あるいはまた一部には、マスコミなどの影響によって、いわゆる環境が悪いためにそういう非行、犯罪というものが起きたというような事例もございます。しかしそういう社会や家庭のほかに、学校自身としては、やはり大いに反省しなければならない点が多々あると思います。したがいまして学校における指導というものについては、十分教育委員会なり学校の現場において、これをできる限り手の届いた指導をやっていただく。こういう趣旨から、私どもといたしましては、中学校あるいは高等学校の段階における生徒指導あるいは進路指導というようなものも含めまして、生徒の指導について極力学校の体制を強化していくという方法をとっているわけでございます。そのために昨年から生徒指導の研究指定校を設けました。その研究指定校におきまして、具体的にいろいろ研究しました結果が、他の学校にもそれを活用していけるという方式を考えておるわけでございますが、そういう研究指定校を設けたり、あるいは学校で先生が具体的に指導します場合に、いままでの単なる教科の指導と違いまして、特にいろいろな各方面の知識が必要でございますので、それに備えての先生の講習会、生徒指導講座と申しておりますが、そういうものを開設して、そしてできる限り先生に自信を持って指導のできるような体制をつくっていくというようなこともいたしております。それから単にそれのみにとどまらないで、できれば長期に生徒の進路指導その他の指導を十分徹底させ得るような専任のカウンセラーを置いていきたいということで、本年度は約百名のカウンセラーを増員したわけでございますが、各地の学校にそれをだんだん及ぼしていきたいという計画的な任事を進めておるわけでございます。  そういうことと同時に、学校でのいろいろな指導というものが、一歩校門を出ますと、校外においてこわれていくという心配もご、ざいますので、これは先ほど警察のほうから御説明ございましたように、昨年来警察当局といろいろ連絡をとりまして、特にいろいろ問題がある生徒につきましては、これを早期に発見して、事前になるべく警察と連絡をとりながら指導していくというやり方をとっておりまして、学校、警察との連絡協議会などを設けておりますのも、その趣旨でございます。  そういういろいろな対策を講じておりますが、私どもが考えておりますことは、やはり戦後の教育の中に、何と申しますか、ものの価値観と申しますか、道徳的な考え方についての一面弱い点がありはしないかという点も感じられるわけでございます。したがって根本は、やはり子供の道徳教育というものに中心を置いて指導していく必要があろう、そういうことで道徳教育の充実強化を毎年やっておるわけでございますが、しかしながら具体的な個々のケースにつきまして、いろいろ対症療法的にやるということもいろいろやっておりますけれども、なかなか簡単にすぐ効果があらわれてないというような点で、私どもは非常に悩んでおるわけでございます。  大体以上でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 教育は非常に多岐にわたりますから、なかなかすぐ対症療法の出ないこと、また関係する部面が非常に大きいこともわかります。専門家である先生方でさえも御心配しているようなかっこうでありますが、そこで私が一つ考えますことは、お互い道徳教育とかいろいろな研究指定校もやって逐次いまから始めつつあるようなかっこうですが、これはどんなものでしょう。人間というものは、生まれたものは、動物、生物、それがしつけの中で約束ごとを世の中において守っていく。そこで社会生活が行なわれる。これはどこもそうだろうと思うのです。ですから私たちのような者でも、人間の道は誤らないようにというところに毎日の苦心があるわけですが、そうしますと、いま貧困家庭よりも中流家庭あたりに非行少年がふえてきているという話などがありますと、ただ単に道徳教育の講習会をやったとか、カウンセラーを置いたとか、いろいろな連絡協議会をやったとか、そういういろいろな制度的なものでは片づかぬのじゃないか。これはやっぱりだれの子供を見てもそうです。自分の子供を持ってみてわかることです。やはり動物的なるものも、きちっとしつけをすることが必要なんじゃないか。一体盗みをするということ、これなどは私は非常なことだと思うのです。いわんや、何かかっとなってすぐ人を殺すということ、刃物を出して自分の気に食わぬから簡単に人を殺していくなんということ、これなどは、私は道徳教育以前の問題だと思うのですよ。そうしますと、私はあなた方のほうでつくったこの本もずっと読んでみました。道徳教育の副読本でしょう。これを読んでみても、どうも抽象論が多くて、激しさがない、強さがないという感じがするのですね。これはおそらく義務でもなければ、読まない人もあるかもしれないし、あるいは授業時間は何時間とっているかというふうなことも考えますと、基本とすれば、どうしても、盗んじゃいかぬとか犯しちゃいかぬとかあるいは殺しちゃいかぬというふうなものを、反復して子供のうちに社会全体の中にそういうものがずっと積み上げられていかなければいけないのじゃないか。そういう反復鍛練のときというものは一体日本のどこにあるか。でもなければ、しつけをしてもいいし、しなくてもよろしい。そうしたところに非行的な気持ちを持っている者が集団で襲いかかることもあるだろうし、というふうなことになります。これはやはり自分の子供を持ってみてわかりますし、人の子供を預かってわかることですが、鍛練の時間なり反復というものがない。盗んじゃいかぬということ、殺しちゃいかぬということ、あるいは犯しちゃいかぬというふうなことなどは、これはどんな世界においても共通した一番大事な問題じゃないか。そうでなければ私はやはり動物的なままでいくだろうと思います。そしていまの風潮から見ますと、いかに自分が享楽をするか、自分の個人生活というものをいかに豊かにするかというふうなことが全体の風潮の中にありますから、大きくなった者に対しての社会的責任などというものが、どうも影が薄いのじゃないか、強調されていないのじゃないか。というのは、私だけじゃありませんが、社会党の長谷川正三君もそうですけれども、今度私もソ連に行ってみました。行くにあたって、私がほかの議員と一緒にソ連大使館にごあいさつに行ったら、ソ連に行ったら二つだけは必ず注意してくれ、一つは戦争の問題 一つは道路の上でたんを吐かないでくれ、これはすぐ処罰されますから、…これはわれわれ国会議員をつかまえて、お客さんに行く国会議員をつかまえてそういう注意をするんです。行ってみますと、私は向こうで偶然のように、八年間も文部大臣をやったカイロフという人、いま教育アカデミーの総裁ですが、その方ともお目にかかる機会を得たんですが、帰ってきて、その人がずっといままで研究したものを読んでみました。向こうではそう深く注意しないでいたんですが、そうしますというと、彼などはソ連の子供たちの教育について徹底したものを持っております。ソ連の子供の場合に、私が三十日しかいない間にソ連で聞いたことは、ここ十年以内のうちに中学生が刃物でけんかしたことがあるかということなんです。ごく簡単なことなんです。ほかにいろいろなことを研究してきた人があるだろうけれども、十年間のうちで刃物ざんまいで子供がけんかしたことがあるかということを聞いたんです。それは絶対ないというんですね。いたずらしたりけんかはある。しかし刃物でけんかしたということはない。そういうことが、私たち国会議員にさえも注意するように、社会教育が発達し、それを学校の場においても発達させつつある、こういう姿は、私は日本の場合でも見習わなければいかぬのじゃないか。それがはっきり行なわれていれば、集団暴行も行なわれないし、暴力団の第二軍にもならないで済むというふうな気持ちになるんです。たとえば、文部省などではおそらく御存じでしょうけれども、「生徒守則」というものがあります。これはカイロフという文部大臣時代にできた。それを見ますというと、「すべての生徒は次の如き義務がある。」「教養のある文化的な市民となり、かつソビエトの祖国にできうるかぎりの利益をもたらすために忍耐強く、根気強く、知識を見につけること。」「学校長と教師の命令に絶対に従うこと。」とか、あるいは「学校の中では綺麗に髪を解かし、さっぱりした身なりをすること。」とか「鐘がなったら直ちに教室に入り、自分の席に着くこと。」とか、教「師や学校長が教室に入るとき、および教室から出るときには起立して送迎する。」とか、「学校長と教師には敬意を払うこと。道で教師や学校長に出あった際には礼儀正しいおじぎによる挨拶をすること。この際、男の子は帽子をとること。」「学校の財産を守ること。自分の品、同志の品を注意深く取扱うこと。」いろんなことが徹底して、私たちが行くにさえも注意するくらいでありますから、自分のほうはこの二十則の生徒守則というものを徹底的に守らしておる。そのほかに、校外活動というものが、集団によって、お互いに練成させて、反復して鍛練しておる。このことはいろんなよその国のいいもの——建物のいいもの、産業の拡充というものを見る以上に、非常に私は敬意を払ってきたんです。こういうことからしますというと、僕はどうも一番簡単にできる反復鍛練というものが日本の学校教育の場にあるか、あるいはそれを社会教育の場に、そういう意味で拡充しているか、ふえんしていっているか。これは何も国家統制でも何でもありません。自分の子供であり、人の子供を預かる者、またそれの成長を願って国の金などを出しながらいろいろ御協力申し上げる者からすると当然なる要求でありましょうし、またそういう中から社会的義務というものを感じさせていくのにもなるんじゃないかということからしますと、早い話が、こういう道徳教育のことなどというものは、ただ、義務性にいまなってないようであるが、そういう考えの中から持っていく場合には、どんな方々といえども、これは反対しないだろうと思う。どんな人といえども私は賛成するだろうと思いますが、そうしたことについて大臣、御所見はいかがですか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 私も全くただいまお話しになりましたような点については御同感であると同時に、非常に憂いを深くしている次第でありますが、ちょうどたまたまソ連のカイロフ氏のことにお触れになりましたけれども、私といたしましても、諸外国の、ソ連をはじめいろいろの苦心をしている状態を見てみて、ひとつ率直にいえば、われわれの足りなかったところは、遠慮が過ぎて、そうしてやはりきりっとした指導精神といいますか、その心がまえがどうも足りなかったんじゃないかというような感じがするわけでございます。確かにいまも御指摘のように、従来のやり方については、なまぬるいと申しますか、抽象的と申しますか、そういう点が非常に多かったように思いますので、これらの点については大いに考えを新たにしなければならないと思っております。  それからもう一つは、社会教育と申しますか、そういう点にもお触れになりましたが、最近も、私みずからもいろいろの施設や、やり方もなるべく見て、自分としての考えも固めるつもりで勉強しておるつもりでありますが、たとえば、婦人学級でありますとか、それから青年学級でありますとかいうようなところを見ましても、実は親御さんたちが、そういう点について非常にいま心配がきつくなっております。われわれがそういうところを見ましても、当局といいますか、われわれのやり方がおくれておった。むしろ先へもっと指導的にいかなければならないのではなかろうかということを痛切に感じました。同時に親御さんたちもまたずいぶんと考えていただきたいことがあるわけで、先ほどちょっと私申しましたが、実は数年前法務省の立場から非行少年という問題にアプローチしてみて、そのときに非常に感じたことの一つを申しますと、たとえば、アメリカのグリュック博士夫妻がつとに唱道しておることでありますけれども、人間というものは、親のしつけあるいは愛情、家庭の中の雰囲気というものがいいか悪いかによって、満五歳にしてその子の運命が運命づけられるというような説をしておられることもあるくらいで、私は非常にこれに共感を覚えるわけであります。したがって、ただいまお説がございましたが、自分が子の親として見た場合に、子供に対する責任といいますか、義務といいますか、こういう点もわきまえて、というとたいへん僣越なことを言うようでありますけれども、やはり子供に対する自覚と責任ということを親御さんの側でももう少しきちんとしていただきたい、これらの点については、最近の婦人学級あたりでも非常に取り上げられておることですから、こういうことをいまお説のとおり反復して私どもも挺身して努力をしてまいりたいと思っております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 子供は、つくったときだけが責任じゃなくして、子供のしつけ、子供をりっぱにするのは親子の共同作戦ですから、まさに大臣のおっしゃるとおりだと思います。また、そのことが終戦以来は価値判断が少しずれてきたものですから、何か子供の言うことはわがままを許す、それが民主主義だというふうな感じになっているんじゃないか。で、結論は、いろいろな技術的なことは幾らでも論ぜられるのです、幅広いですから。しかし、問題は何としても敗戦からここまできた日本が、警察庁の数字で見ても年々歳々こういうものがふえていくということはとてもじゃないのです。たいへんなことなのですよ。これは国があげてかかって、みんなあげて共通の責任としてやっていただかなければ、私たちの次の時代はどうなるかという不安になるのです。そういうものがただ制度あるいはいろいろな講習会等によって——これも必要でありますが、ほんとうの愛情なり熱情を持ってやるという雰囲気を世の中に出す。そうすれば、いささかそういうことにいままでは疑問を持ったり、ちょっと抵抗を示すようなこと、何か変わった議論のように思った方々といえども、人の子であり自分の子供がすくすくと規律正しく人に迷惑をかけないで伸びていくようなものに対して反対する人はないだろうと思う。そういうところは断々固としてやっていただいていいのじゃなかろうかということをこの際に重ねてひとつ要望申し上げます。  そこで社会教育局長にもお尋ねしますが、去年、ことしあたりから両親学級とか家庭教育学級等々の名前で新しい学級などを始めたようですが、いま大臣がおっしゃったように、婦人学級、若妻学級、いろんなものをやっておりますが、新しい学級を始めるときの、スタートにおけるところの開設者の心がまえというのが大事だと思うのです。私は、農村でそういう新しい学級の初めての会合に出席してみました。私もそのやり方などを拝見いたしましたが、何でも初めが大事です。そうしたときに、心がまえというものを、どういう御指導をされているのか、またどういうふうに持っていかれようとするのか、その気持ちをぜひお尋ねしておきたいと思います。

蒲生芳郎文部事務官(社会教育局長)

○蒲生説明員 ただいまの青少年の教育問題でございますが、先ほど大臣も申されましたように、戦後の混乱によりまして、いままでございました道徳観念と申しますか、そういうものが一応くずれてしまって、新しいモラルというものが確立されていないのじゃないか。同時に、親たちの子供に対する自信がなくなったということがその原因の一つになると考えられると思います。そこで、いま先生御指摘のように、婦人学級あるいは新しく本年度から開設されました家庭教育学級におきましては、特に家庭における両親の子供に対する教育、しつけを中心として、相互にそれを検討し、どこに問題があるか、どうしたら家庭教育あるいは子供に対するしつけが十分できるかということを中心に検討してもらうという趣旨で開設したわけでございます。当初は家庭教育学級の趣旨なりあるいは運営につきまして十分徹底していなかったようなうらみもございますので、教育委員会関係の方たちにお集まり願いまして、家庭教育学級あるいは婦人学級が、家庭の子弟、青少年に対するそうした問題を中心に運営し運動してもらうという趣旨のことをお話しいたしまして、それぞれの学級で徹底していただくようにお願いもし、その線に沿っていま運営されてきつつございます。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕  なお、その家庭における両親の問題ももちろん重要でございますが、もっと一般的に申しまして、青少年教育に対する一般社会の関心が薄いではないか、と申しますのは、たとえば最近の映画、テレビあるいは週刊誌等を見ましても、エロ、グロ、暴力というものが非常に盛んに扱われております。こういうものの子供に対する影響というものが非常に大きいんじゃなかろうかという意味からいたしましても、いま国がたとえば映画制作に対して直接これを左右する、統制するということはできませんけれども、どこまでも業者の自粛と申しますか、自主的規制を勧奨いたしまして、そうした悪影響を及ぼすようなものは排除していただく、つくってもらわないというふうに、たとえば映倫当局でございますとか、あるいは映画五社の方たちでございますとか、そういうところへもしばしばお目にかかってお願い申し上げておる状況でございます。  それからまた、いま先生おっしゃいますように、お互いがそうした正しい生活、正しい行き方をしていきますためには、集団による研さんと申しますか、そういう仕組みが必要であると思いますので、青少年団体によります自主的な活動、特に少年団体のほうは数はかなり子供会等もできておりますけれども、必ずしも活発な活動をしていない向きもございますので、今後少年団体の育成、活発な活動について十分配慮して努力してまいりたい、かように考えております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 考え方としてはそれでありますが、それをどういうふうに激しく実行していくかという問題が残ってくると思います。そこで、最近、いろいろな青少年問題については皆さん御心配で、それぞれの所管でそれぞれ御苦心されているようでありますが、人間が悪いことをした場合にはしかられたり、ときに罰せられたりして、その間に矯正されていくことも必要でございます。最近青少年保護教育条例というのがそちこちに生まれているようでありますが、こうした問題などによっても、まだできていない県もあるが、できている県は、それができたことによってはたしてどういうふうなお感じを皆さんがされて、どういう成果をおさめられたと思うか。できている県は二十五県くらいあるようでありますが、そうした問題について、いまから先なおそういうものができたほうがいいものか、あるいは条例で定まっているいろいろな規制事項などがございますが、そんなことができたことによって牽制になったり、矯正されたり、あるいは事前にそういうものが防止されたというふうな効果をあげておられると思うか。その中に、なかんずくこういう条項は非常に効果があがりましたというふうな問題があったならば、ひとつ警察庁当局あたりから御披露を願って参考にしたらいかがかと思います。

大津英男警視監(警察庁保安局長)

○大津政府委員 少年の保護育成条例の制定という問題につきましては、できれば中青協のほうからお話しいただいたほうがいいのではないかと思います。

赤石清悦総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○赤石政府委員 御指摘のような青少年保護育成条例は今日約二十六県できております。約半数ちょっとこした程度でございますが、この条例につきましては、制定に当たりましてはいろいろ問題がございますが、制定されました府県の当事者といたしましては、現在の青少年問題は放置できないというような観点から保護条例をつくったものと私どもは解しております。どのような効果をあげたかということになりますれば、実はまだ分析が足りませんのでお答えいたしかねると思いますが、たとえば青少年には見せたくない映画をある程度押えるとか、あるいはまた刃物等の取り扱いについて慣重にやるとか、あるいはまたいろいろな危険なものの販売その他に対して注意を与えるとか、あるいは夜間外出に対して注意を行き渡らせるといったような点の効果があるのではないかと期待しております。ただ、その保護条例に関しまして国としてどういう態度をとるかにつきましては、従来国といたしましては、憲法の問題がございますので、自主的な立場においてできるだけ解決していく、こういうふうな立場をとっていることは先ほど文部省からのお話があったとおりでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 保護条例の条項は多岐にわたりますから、一つ一つについては、その効果、データをまだとっていないということも了解できます。そういう細部にわたっての材料を要求する意思もありませんが、そうしたものまでつくりつつやりながら、一方においてはそれが効果をおさめているから、ほかの地方でも一つの反復鍛練のために必要だということで勧奨される向きがあるならばおすすめいただきたいと思うのであります。  そこで福田局長に具体的に聞きますが、いまの道徳の時間、これは現行の八教科以外の教科で、学校の先生は文部省編さんの道徳の指導資料によって一週間一時間指導している。児童、生徒は、学習指導要領に準拠した民間で作成されたいわゆる副読本を使っております。私は、こういうものこそ、まさにだれでもわかるモラル、だれでも必要な最低のモラルですから、ときによっては文部省でつくって、そして全部にお配りするような考え方が必要なんじゃないかと思いますが、何か御研究されておりますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 御指摘のように、小学校、中学校の道徳の特設時間は、この前の教育課程の改定の際に、一週一時間ということになっております。その一週一時間の道徳の特設時間をどのように教えるかという問題になりますと、いま御指摘のありましたような読みもの資料だとか、あるいは視聴覚教材とか、あるいは教師がいろいろ自分で説話をするとか、そういうようないろいろな方法を織りまぜて実施するというたてまえになっております。ところが現場の学校では、やはりいろいろなそういう視聴覚教材なりあるいは読みもの資料というものがあったほうがよろしいというような意見が強くなってまいりましたので、従来あるいは校長会だとかあるいはまた教科書会社などで副読本的な、ものをかなり編さんをして出版しておったことがございますが、最近これが非常に利用され始めておりまして、文部省としても今年度初めて全国の小中学校の先生方に道徳教育の手引き書として道徳資料を作成して配付したわけでございます。それ以前にも、全国の学校には行き渡っておりませんけれども、少なくとも教育委員会なり指導主事などに行き渡るように、いわゆる教師用の指導書というものは毎年つくって出しております。それらの指導書というものの中身はいろいろございますけれども、要するに子供のしつけ、道徳教育というものについての基本的な指導のしかた、そういうものに重点を置いて具体的な指導例などをこれに加えまして出版をいたしております。先ほど御指摘のありましたいわゆる三つの戒律みたいなものは、これは非常に重要なものでありますけれども、日本の場合におきましては、宗教教育というものがあまり行き渡っておりませんので——外国におきましてはむしろ家庭なり教会において、こういうものは学校以前の問題として非常に反復教え込まれているわけなんです。そういう点が足りませんのは事実でございます。したがって私どもとしては、やはり道徳教育と申しますか、日常生活の基本として、子供に対するしつけの中でそういう問題も非常に重要視をして取り上げていきたいということを考えているわけでございます。今後の道徳資料の作成にあたりましても、指導資料の中にはそういった問題を加味していきたいと考えております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 いまの一週一時間、それはほんとうにやっているのでしょうか。私はちょっと疑問に思うのですが。副読本のようにして視聴覚とかいろいろなものを説話体でやる。それをかりにやっていても、子供に激しく印象づけられているかという気がするのです。それはどこの国でも、いまのようにだれでも守らなければならぬようなものはきちっときまっているのですね。社会もそれを認めている。社会も、それをいたずらする場合には注意することもある。その注意がずっとみんなの気持ちの中に教育されているものですから、電車の中でお年寄りに席を譲らなければ注意するだろうし、あるいは暴力団が何かいたずらをすれば、ほかの方々も一それを押えるに協力する。日本人のように黙って見ていないというふうなことになってくると思うのです。ですから、そういう基本は、やはり人間というものは動物なんだから、それを反復鍛練する、そういう機会をつくってよかろうと思います。道徳倍増というのは、銭はかからぬし、過熱はしないし、幾らやったって倒産しないし、これはみんなが喜ぶものだ。日本の場合に終戦後欠けたのはこのことなんですから、そうした、銭がかからぬで効果があって、後代の国民が喜ぶようなことを私はぜひやってもらいたい。  ということは、非常に古い話になるけれども、一体明治時代の日本というものは、いまよりも人口が少なかったし富んでいないにかかわらず、外国人は日本に来た場合に何に魅力を感じたか。富士山や芸者だけじゃない。ラフカディオ・ハーンとかいろんな人たちが日本に来て感じて書いたことは何かというと、やはりモラルの日本なんですね。いなかを歩いても何か親切そうだ。一生懸命勤勉のようだ。根気がありそうだ。風雪に耐えて人間は進んでいく。自分のことだけじゃない、何か対社会的なものを感じているというふうな零囲気が、日本というものがここずっと尊敬もされ、そういうものこそ日本が世界のうちの大国といわれた一つのゆえんじゃないか。約束を破らぬ。そうしたことからしますと、終戦以来のお互いが、ちょうど、いまやだれでもが反対しない、だれしもが認める時代になってきているから、断々固としてやるべきときじゃなかろうか。つまらぬ話でありますけれども、私は向こうに行っている間に、なかなか本は買えませんので、ホテルで売っている絵本などを買ってきました。飛行機の中で向こうの連中に翻訳してもらったが、みんなきびしい社会道徳です。道路を歩くにはどうするか。その中には自分の国の英雄レーニンの伝記もみんな入っている。そうしたものをいろんな面から教え込んでいって、鍛練され反復されていく間に一つの社会性というものが生まれてくるんじゃないか。こういうことを考えますと、この機会に大臣に再三お願いいたしますけれども、予算の時期でいろんなことも必要でありますが、金のかからぬ、そしてだれしもが憂えているこういう問題を、この際あらためて、ただ機構だけにまかせないで、大臣が御中心になりながら、この時代に私たちが是正し、この時代に何かその次の者にもよきものを残すという気持ちでおやりいただきたいことをあわせて御要望申し上げます。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 あらためてお答えするまでもなく、私は全くただいまの御説に御同感でございます。もっと率直にいえば、いろいろの制度なりやり方なりについてはずいぶんくふうが生まれてきているわけで、要はこれを活用して魂を入れることじゃなかろうか。それとわれわれの努力であると考えますので、ただいまいろいろお述べいただきましたことをさらによく胸に体しまして、あらためて努力をいたしたいと思います。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長代理 関連質問ですね。床次徳二君。

床次徳二自由民主党

○床次委員 いま、青少年の犯罪の状態あるいは青少年教育の重大性についてお話を承ったのですが、今日まで青少年問題を論じられる場合におきまして、その取り扱いにおいて、青年と少年と申しますか、少年法から申しますならば、二十歳未満は少年として扱う。児童福祉法でいえば、児童を少年、幼児、乳児と分けておられるというような形でありまして、観念的に申しまして、これを一括して対策を講じておられるように思うのでありますが、最近年齢が低下してきたということ自体におきましては、むしろいわゆる俗にいう、私ども少年と申したいのですが、小学校、中学校等の状態そのものについて、ずいぶん検討すべき問題があるのじゃないか。したがって青少年対策というものも、小中学校以下と高等学校以上、年齢別にこれを大きく二つに分けて、対策するほうも考えるべきじゃないかと思うのでありますが、この点私は将来ともはっきりした対策を立てるべきだと思っております。いずれ詳しく別の機会に伺いたいと思いますが、とりあえず今日、大臣の御意見を伺いたい。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 先ほど来いろいろ御議論がございますように、確かにただいま御指摘の点は現在でも問題でありますし、今後も大きく区別して考えてまいりたいと思っておりますが、ただいま現状で一例を申し上げますと、すでに文部省でやっておりますことの中でも、少年と青年とを区別したやり方をやっておるわけでございます。たとえば青少年関係の指導者の研修を行なっておりますけれども、これは研修は全然別にやりまして、たとえば本年度で申しますと、去る五月と七月に青年団体の指導者の研修を行ないましたが、少年団体のほうにつきましては、来月これを行なうことにいたしておるわけであります。その考え方としては一少年と青年のそれぞれの年代に応じた考え方と対策を推進しなければ、有効適切な効果はあげ得ない、こういう考え方のもとにそうやっておるのでございますが、同時に少年につきましては、たとえば団体関係でも子供会というような会を中心に育成してまいりたい。そしてこの面においては、例を申しますと、家庭におけるしつけというようなことを重視していこう、それから青年のほうについては青年学級とか勤労青年学校というような場を利用いたしまして、青年にふさわしいような健全な団体活動を助長する、こういうふうな考え方で現にやりつつあるわけでございますが、今後におきまして、さらにこういったような差別というか、対象によって異なった措置を推進したい、かように考えているわけでございます。

床次徳二自由民主党

○床次委員 いまのように小さい年齢と多少高い年齢、二つに分けて考えた場合と、文部省のいわゆる教育という立場を考えますと、青年対策というものは非常に広い。現実におきましては少年子女につきましては学校教育だけでもって、それ以外の社会教育の面がまことにお粗末である、今後予算の面で積極的に私ども努力していただきたいと思うのでありますが、なおこの機会に質問いたしまして、将来へのまた御検討もいただきたいと思っておるのでございますが、それは今日社会教育、特に青少年に対する政府の施策以外に、民間団体はいろいろ活躍いたしておるのであります。しかし種類から申しますると、ほとんど児童保護関係あるいは児童福祉あるいは社会福祉法人、あるいは宗教法人というようなものの活動が多いのであります。本来の社会教育関係の活動というものはきわめて微弱だと思うのです。しかしその内容を検討してみると、他のいわゆる宗教法人あるいは社会福祉法人等におきましては、いろいろな意味において特権を持っておるわけです。積極的の国の助成がないにいたしましても、税制その他におけるところの大きな減免という有利な立場を持っておるわけでありますが、社会教育法人とでもいうべきか、社会教育関係団体というのは社会教育法にありますが、こういうようなものは積極的な助成と申しますか、ただいまのような他の特殊法人あるいは宗教法人が持っておりますような優遇措置というものを持っていないのであります。これは憲法の問題とも関連いたすのでありますが、社会教育法人が何ゆえかような状態にあるかということに対して、文部当局におきましては十分検討していただきたいと思うのであります。少なくとも重要性におきまして今後非常に大事な少年問題でありますし、もっと積極的に優遇措置を講じてもいいのではないかと私ども考えるのであります。これは憲法との考え方の問題とも思うのでありますが、少なくともいまのようなマイナスの状態にしておくということは、これは全く私どもの疑うところであります。なお国家といたしましてもこれを積極的に育成する必要があるのではないか。その点に対して文部当局に伺いたい。いずれ詳細につきましては別の機会にお願いいたしたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 社会教育関係の団体に対して税制上の措置が足りないという点については、御指摘のとおりでございまして、せめてこのくらいの税制上の優遇措置はぜひ実現してもらいたい。これは文部省としてはさように考えておるわけでございますが、御案内のように、税制についての特例を設けるということはなかなか相当の抵抗があるのでございます。それらの当局に対しまして現在大いに努力をいたしておるような状況でございますが、こういったような種類の問題につきましては、各方面からのひとつ御協力をお願いいたしまして、文部省の考えておりますような税制上の優遇措置が実現できるようにお願いしたいものだ、とかねがね私も念願しておりますような次第でございます。

床次徳二自由民主党

○床次委員 今後御検討願っていただきたいと思うのでありますが、なお積極的に、いわゆる少年団体あるいは青年等の社会教育団体を育成するという方針につきましては、現在やっておられる予算面においてはきわめてわずかである、もっと積極的な措置が必要でありますと同時に、いわゆる民間団体の育成助長ということが実は非常に大事だと思う。これに関しましては将来国家といたしましてどういうふうに考えておられるか。憲法との関係もよくお考えいただきまして、私は積極的な措置をとっていただきたい。特に、先ほど来ちょっと議論があったのでありますが、社会福祉法人その他いろいろの施設があります、あるいは体育の問題等もありますが、こういうものははたして教育的におきまして十分な考慮を加えておるかと申しますと、いわゆる青少年の育成、練成というものが、長谷川委員の御質問になったようなものにおきましては必ずしも目的が合致しておらないのじゃないか。教育的見地から申しますと、もっと別のものが要求せられておるのでありまして、そういう純粋な教育理念の加味された青少年活動というものに対する積極的な助成と申しますか、育成というものに対する国家の態度と申しますか、こういうものをひとつ検討していただきたいと思う。  私は、今日人づくりを政府が推進しております以上、こういう面におけるところの育成と申しますか、学校教育の拡充と相並んでぜひ必要なものだと思うので、特に検討をお願いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 御同感でございまして、青年関係の団体あるいは少年関係の団体等につきましては、実は四十年度の予算の概算におきましても、ある程度の国家としての援助措置をお願いいたしておるわけでありますが、ただいま御指摘のようなもっと広い立場に立って大いに推進をしなければならないということについては、私も全く御同感で、この上とも努力をいたさなければならないと思っております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 予算等において要求しておられることはまことにけっこうでありますが、ぜひふやしていただく必要があります。青少年対策施設というもの、たとえば青年の家なんかがありますが、青年の家がそのまま少年に対して役立つものではない、こういう点につきましてはまだまだ政府といたしましては御検討願わなければならぬ。最初に申し上げましたように、対青年と申しますか、比較的年長の者と年少の者とではある意味において全く違うのではないか。その根本精神をよく御理解をいただきまして、今後の対策を講ずる必要があるのじゃないかと思います。言いますならば、どっちかというと、私は、文部省の社会教育の考え方がいままで非常にルーズであったのじゃないか、この点大きな盲点があったのじゃないか、かような意味におきまして、ぜひひとつ文部大臣の努力をお願いしたいと思う次第であります。  終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長代理 三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 長谷川委員が約一時間にわたって質問しましたけれども、およそくつを隔ててかゆきをかくといいますか、御本人もそういう気持ちでおられるだろうと思います。一時間やっても、この問題は、焦点に触れ、解決の道なりというものを、皆さんから的確に聞くことはほとんどできないと思うのです。それくらいこの問題は大きいので、長谷川委員の努力の上にわれわれは積み重ねていって、今後相ともに、この青少年問題というものは政府も国会も一緒になって前向きで考えなければならぬ重要な問題だと思います。  私も昨年の国会でこの問題を取り上げて政府の施策、今後の心がまえというものを承ったはずです。しかしながらきょう聞いておりまして、昨年答弁せられたその答弁と何ら変わってない。また変わるべきはずのものでないものもあるかもしれません。しかしながら意欲において、私はその前向きのものを感じ取れなかったのを非常に残念と思うのです。ただ犯罪がこれだけ多くなったという警察庁の話を受けて、これは警察庁は取り締ってもらっておるので、むしろ私たちは気の毒だと思うのです。文教の立場から道徳教育を青い、あるいはまた社会教育を抽象的に言い、これだけで事足れりとするのだったら、いつの日か、やはり河清を待つといいますか、そういうことに私はならざるを得ないと思うのです。  そこで、きょうはそういうたくさんの問題について触れることができませんので、いま御答弁のあった中から断片的にひとつ聞かしていただいて、今後皆さんのほうでこういう点を考えなければならぬという点はひとつ施策を立ててもらいたいと思う。  そこで、まず第一に青少年問題を論ずるときに、昨年度青少年の白書を出しておりますが、この白書の中にこの問題を解決するところの基盤をどこに置くかという、まずその基盤の置き方を中背協では昨年明確にされた、すなわち幼少期からの人間形成への努力を私たちはあげることができると思います。これは一つの進歩だと思うのです。   〔上村委員長代理退席、長谷川峻委員長代理着席〕 大臣もいまその問題を取り上げられて、いわゆる幼年期の性格形成期、いわゆる五歳の第一次性格形成期に重点を置く、こういうお話だった。これはいいことですけれども、いまの間に合わない。幼年期の子供がどんどん青少年になってくるには間に合うかもしれませんけれども、いまの間に合わないということになる。いま的確にその問題を取り上げていくにはどうするかということが、私は緊急問題ではないかと思うのです。長谷川君と私は同じ立場に立っております。そこで緊急であり、緊迫感を持って重要であるという立場から、この問題にひとつ対処してもらいたいと思うのです。  そこで、私は昨年度の問題でひとつ聞いてみたいと思うのですが、昨年度ある私立学校で三名の子供が寄って自動車の運転手を殺しておるのです。そして後また高校生、もう一人は工員でしたが、連続東京都内で七回強盗をやっておるのです。その事件を二つ取り上げまして、これに対するところの対策をお互い立てなければならぬ、これは総合対策である。総合対策をどのように立てるかということで申し上げたと思うのですが、まず中青協からお聞きしたいと思うのですが、どのような総合対策をいま立てておられるのですか。あれから一年たっておる。かけ声だけに私は終わっておるんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。

赤石清悦総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○赤石政府委員 青少年問題、特に非行の問題は、ただいままで御指摘のとおりきわめて複雑で、かつ根源の深い問題でございますので、なかなか御期待どおり中背協のみならず、各省とも効果をあげかねておる点もあるかと思います。特に非行問題について御説のとおりでありますが、ただいまの問題、どうしたかという問題もございますけれども、特に中青協といたしましてはこれは一つずつの官庁の問題ではなく、関係する全官庁が歩調を合わせて相連絡し合っていかなければならない大問題でありますので、従来しばしば非行少年の問題につきましては、政府に向かって意見の具申等をしてきたのでございますが、現在はさらに一歩進めまして、具体的にどのような解決策を各省でとるべきかにつきまして、さらに一歩深める意味において特別な委員会を設けて、いませっかく検討しております。ということは、いままで何もしなかったということじゃございませんが、さらに各省がすでにやりかけておりますものを一そうそれに拍車をかけ、相連絡し合ってやるための対策をいま講じようとしておるわけでございます。来年の半ばころまでにせめて中間報告だけでも出していただきたいと期待しているわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 去年も同じようなことを言っておられた。連絡協調する、そういうやり方。いまそれを委員会にかけておられるという段階ですね。そうすると、まだ前向きに何も連絡協議会というものはできていないということですか。

赤石清悦総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○赤石政府委員 非行問題につきましては、従来何もやっていなかったということでございませんで、しばしば各省の連絡官もしくは幹事、中青協に出ております委員とそれぞれ連絡しておりますし、いろんな事項につきまして予算編成等をめぐってもいろいろ連絡を従来もいたしてまいっておったわけであります。ただ非行問題はなかなか複雑で根源の深い問題でございますので、さらに一そう深めていきたいという観点からの特別委員会を特に取り上げたという意味でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 その点はわかりましたけれども、そうした現在のところで各省が寄って、いろいろ連絡協議した、そこからいま何が出てきておるのですか。どういうことをするということが出てきておるのですか。

赤石清悦総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○赤石政府委員 ただいま前局長から指摘があり、昨年からの多少の進歩を一応言ったほうがよかろう、こういう御忠告があったのでありますが、特に非行問題は、教育、労働、福祉各方面にわたっております。したがって、中青協が特に重点的に補導センターに対する助成策を講じました。これには警察その他関係方面が全部一括してこれに当たる、こういうふうなこともやっております。それが一例でございます。  それからその委員会がどういうことかということでございますが、原因をまず究明するということ、それから具体的な対策を講じてほしいということ、従来とも各省ともそれぞれ案を持って、それを進めておられますけれども、それが一貫した施策になり、それが効果を一そうあげられるように総合的にやってほしい、こういうふうにいま進めておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 文部省にお伺いしますが、去年この二つの事例を申し上げたのですが、これは重要な問題ですから、現地ともよく連絡をとり、先生方ともよく連絡をとって、この問題の検討と反省と、今後の施策を考えていかなければならない、こういう御答弁だったのですが、この二つの所属しておる学校から一体どういう結論が出、その後どういう施策をやっておるか。教育的な取り扱い、事件が起こって国会でこれが問題になって、そうしてそれが問題になりっぱなしでは進展がないと思うのです。これについて新聞もあれだけ取り上げ、また週刊誌も取り上げて非常にやかましく騒いだ問題です。これが等閑に付されておるということはやはり問題だと思うのです。とにかく一つの事件が起こった、それに対しての十分な反省とあるいは現場でどれだけそれに対して苦しんでおるか、そういう事態を起こさぬように。ただし、その起こさぬように苦しんでおることが抑圧になってしまったら、子供たち、いわゆる青少年の力というものはどっかにまたはけ口を求めていくわけです。だからその取り扱いということが非常に問題になってくるのです。そういう意味合いで、申し上げるので、この取り扱いのいかんによっては文部省の今後の施策の一つのヒントにもなると思うので、お聞きしておるのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 管理局長が見えておりませんので、申し上げかねますが、具体的なことにつきましてはそれぞれ当該の学校において対策を立てておると思いますが、ただいまそういう具体的な問題につきましてお答えする材料を持っておりませんので、適当な機会にまた次回にでもお答えさしていただきたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それはいまに限ったことではございませんから、この次のことでけっこうです。次期国会でもいいわけなんです。これは息の長い、われわれとしては、勝負をしなければならない問題ですからそれでけっこうです。  最近起こりました問題で、これは文部省はどういう施策をとり、どういう考え方かということを聞いておきたいのですが、私立学校で、それこそ集団で学校のガラスに石を投げて、自分たちの言い分が通らなかったということで事件を起こしておりますね。あれをどういうぐあいに見、どういうように指導していくのか、どういうように考えておられますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私立学校に限らず公立の学校におきましても、そういう似たような暴行事件というものは過去においてもございました。したがって、そういう問題につきましても、やはり何と申しますか、群集心理といいますか、学校の中での多くの生徒が集団になっていろいろ暴行するというような事柄につきましては、学校全体の生徒に対する指導というものを十分徹底させるということが必要でございましょうし、また、その中で二、三の特別に指導を要する生徒というものがおるようでございます。そういうものについては、やはり問題生徒として学校あるいは家庭を通じて、さらにいろいろ問題生徒としての悩み、そういうものを十分聞いてやるとか、あるいはその子供に対する具体的な性格なり、日常の行動というものを十分考えながら指導してやるという以外には適切な方法はないと思いますが、具体的な問題として、この集団的な暴行につきましては、学校自体において——いま申しましたような集団暴行事件というような事柄は、それは非常にいけないことでありますから、それに対する十分な配慮と予防というものは、学校自体が講じておるわけでございます。それについて教育委員会、必要あれば文部省としてもそういう指導方法について従来から教育委員会を通じて、やっておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 何か、それもくつの上からかゆいところをかいているような感じですが、この前この委員会で、私は商船学校の上級生が下級生に集団で暴行を加え、そして下級生が全部盟休をやったというような問題を取り上げました。今度の問題は、御存じのように子供たちが髪を伸ばさせてくれ、こういうことを学校に要求した。それは子供としての要求だ、学校側は学生として相ならぬということから、まだ精神状況の不安定な高等学校の生徒のそうした激情によるものかしりませんが、ああいうような結果になった。まことに悲しむべきことですが、これはやはり新聞あたりでずいぶん取り上げましたし、あるいはまた一般民間の声としても相当やかましく言われたのです。問題は何かといいますと、いま福田局長は学校の指導ということと、中心になる二、三の子供の指導こういうお話しです。いわゆる取り締まりの側の考え方に立った発言があったのですけれども、私はやはり学校の教育方針というものもこの際考えるべきではないかと思うのです。それは髪を伸ばすというようなこの問題で、なぜそういうようなトラブルを起こさなければならぬか。そういう方向に子供がいっておるということもやはりそのときには見なければなりませんけれども、髪を伸ばすこと、伸ばさぬこと、これはたいしたことでないと思うのです。なぜそれを押えつけなければいけなかったかというところに問題があるのです。これは私立学校ですから、文部省はこういう問題についてとやかく干渉がましいことは私は言ってもらいたくないと思うのですけれども、これはやはり教育の問題として取り上げていただいて、考えてもらいたいと思う。ただ子供たちだけを抑圧するというところに一つ問題があったのじゃないか。こういうとらえ方もいまひとつ考えに入れてもらいたい、 こういうように思うのです。  それから、社会教育局長がいまたいへんなことをおっしゃいましたので、私非常に気にかかるのですが、こういう状況になったのはマス・コミが非常に罪があるので、だから映画あたりを規制したりチェックしなければならぬ。警察庁あたりがおっしゃるのだったらまたたいへんなことになるのですけれども、社会教育局長がこれを言われたのですが、これはこういうぐあいにして映画をチェックするのですか。あなたは非常に大きなことをおっしゃった。いまそれは問題ですよ。あの映画一つ見てください。私たちも映画がいいとは言いません。もう露出的な映画で、特に最近はそうですよ。子供が見ればいい影響はないのですけれども、それはどうやるのですか。それはもう大きな問題で、やり方によってはたいへんなことになる。

蒲生芳郎文部事務官(社会教育局長)

○蒲生説明員 私が先ほど申しましたことは、決して国なり役所がそれをチェックするということは申し上げておりませんので、やはりあくまでもその製作者なり業者なりの自主的な規制と申しますか、良識に基づいた自主的規制をお願いしたいということで、たとえば映倫の当局でありますとか、あるいは製作者、五社の方々と懇談をしました際にそういうことを申し上げて、特に青少年の教育の観点からあまりひどいものは御遠慮願いたいというふうなことを申し上げておるわけでございます。決して国が直接これを規制する方法をとるとうふうなことは考えておりません。(「明快」と呼ぶ者あり)

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 明快という話ですが、決して明快でないのです。いままでもそういう話はずっとあったのですよ。映倫にとか、あるいは自主規制とか。それでできないのですよ。それをあなたは同じことを言っておるだけの話でね。それでは全然できない。どうするか。あなたはたいへんなことを言ったのです。規制してここからの影響を避ける、こういうのだが、これは突っ切れませんよ。これは大事な問題で、それでなお規制できないけれども、どういう方法があるかということだ。お願いする、お願いする、自主的ということは、もういままでずっと言い古しているんだ。

蒲生芳郎文部事務官(社会教育局長)

○蒲生説明員 再三でございますけれども、あとから速記を読んでいただけばおわかりになると思いますが、決して直接に国が規制するということは申しておりません。  それから、では具体的にどういう効果があるのかということでございますが、一例を申し上げますと、私社会教育局長を拝命しまして間もなく、「白日夢」という映画が実は上映されておりまして、新聞なりあるいは週刊誌なり映画雑誌等で非常にこの点をついておりまして、ひどい映画ということでございますので、私も見にまいったのでございますが、まことに筋などはさっぱりわからないで、ただ裸体になったり、暴行シーンなどがございまして、これが一体どういう映画的な価値があろうかということを非常に考えました。そして映倫の方たちともお話し合いをしましたところが、映倫のほうからまた製作者、配給会社のほうへ話がございまして、そのために相当の部分をカットされ、また変な音などを消してしまったという実例があります。そういう努力を——すぐは効果はなかなか上がりませんけれども、機会あるごとにそうした努力を続けていけば、だんだん明るい社会になっていくのじゃなかろうか、かように考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 妙薬はないようですので、お互いの問題としてこれは今後考えていかなければならない問題だと思います。  そこで福田局長にお聞きしたいのですが、福田局長は先ほどの質問の中で、現場の道徳教育といろいろな問題について施策を強化するということばを使われた、それは何を強化するかということで私は聞いておりましたが、これは道徳教育の研究指定校を設けて、そこで研究する、そしてその考え方を他の学校に及ぼす、これはノーマルな考え方で、そういうルートをたどるだろうと思うのですが、ただここで考えてもらわなければならぬことは、施策をどんどんふやしていくだけで現場がオーバーワークにならないか。研究会、研究会ということになると、たいへんなことになると思うのです。私はきのう、別の問題ですけれども、文部省が主催で文教委員会で給食施設の視察に行ったわけです。ここでいい学校だけ見せてもらうお話だったのですけれども、悪い学校もひとつ見せてくれということで、特別に頼んで——悪いということばは悪いですけれども、施設に困っておられるところ、あるいは指導に困っておられるところを、現実の悩みを通してわれわれは見たいということを話をしましたところが、その学校は先生に聞いてみるとたいへんだったらしい。もちろん用意もなかったのでしょうけれども。あなた方の考え方では一つの看板娘をこしらえて、その看板娘に見習えというかっこうで道徳教育をやっていこう、これも一つのアイデアかもしれませんけれども、その中には問題がある。ただオーバーワークをどうするか、研究会、研究会あるいは資料、資料と言うて、これも読め、あれも読めとお仕着せの問題をどんどん出してきて、これは現場では後生大事に、文部省がおっしゃるのですから、考えられる人も多いだろうと思います。しかしオーバーワークをどう考えるかということです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 もちろん、いろいろ現場におきましては、各種の講習会や研究会等が数たくさんあるわけでございますから、それは現場の教師に対してあまりオーバーワークにならぬという点は十分配慮すべき点だと思います。ただ、研究校などにおきます研究自体は、非常に熱心な学校でなければできないわけでございますから、したがって積極的にそういう研究テーマに取り組んで、それを研究していこうというような、少なくとも短時日でなくて、長期にわたって研究していこうというような意欲のある学校でないと研究はできません。そういう学校を選んで私どもは研究指定校としてやっておるわけでございます。したがってできる限りおっしゃるような点は配慮したいと思いますけれども、やはり熱心な先生方というものは相当そういう部面に一生懸命になるわけでございます。そういう点から申しますと、やはり先生の熱意というものを私どもはでき得る限り続けていただきたいという気持ちを持っておるわけでございまして、先ほど私が申しましたいろいろな施策を強化するということは、単にそういうことだけじゃなくして、御承知のようにいままで道徳教育をやってない学校が全国の中でもかなりの数に上っておったわけでございます。したがってそういう小中学校に特設機関ができましても、道徳教育というものをやっていない学校についても、でき得る限り父兄の要望にこたえて道徳教育をやってもらいたいというような勧奨を私どもはしてまいったわけでございます。一例をとりますと、北海道などはいままで道徳教育を半分以上の学校がやってないという実情でございましたが、最近になりますと七割近くもやっているというような状況でございます。そういう点もあわせてやっていきたいと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 愛知文部大臣に一つお聞きしておきたいのですが、青少年を愛する政治、遊び場などを拡充するということを総理が中青協の会議で述べておられます。そしてその中で、青少年とひざを交えて語り合い、青少年を愛する政治の実現につとめる、このひざを交えて語り合うということが青少年を愛する政治になるのか、これだけかどうか。もうちょっと言いますと、遊び場をつくるというようなことが、遊び場をつくるだけが青少年を愛する政治になるのかどうか。おそらく総理が中青協でこの話をせられた以上、愛知文部大臣がこのことに対しての考えを総理に進言されておるに違いないと思う。そこで青少年を愛する政治というものの志向するところ、抽象的なものでは困りますので、それはどういうものであるか、もう少し具体的に言っていただきたい。総理の言っておるのはそれだけしかわからないのであります。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 総理が中青協で、その前後の関係その他からどういうふうにこれを表現されたか、私その場におりませんからつまびらかにいたしておりませんけれども、先ほど来いろいろ御論議がございますように、青少年問題というこの大きな非常に大事な憂うべき問題につきましては、現在でも、不十分でありますけれども、何と申しましてもいろいろな制度や機構が考えられております。しかし要は、先頭に立つ責任のある人たちが意欲を持って、先ほど長谷川委員の御指摘になりましたような気持ちで、ほんとうに相ともにりっぱな人間になっていこうではないかという意欲を、できるだけ多くの機会に直接青少年にも触れて話していくことがいいということをかねがね総理も言っておりますから、そういう気持ちを端的に表現されたのではなかろうかと思います。遊び場をつくるということ、だけが決して青少年とか幼児に対する問題の対策の全部でないということは申し上げるまでもないことであると思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 中青協にもう一つ聞いておきたいのですが、この前青少年白書が出たときに、当時の新聞の論説の中で、私はやはりいいことが言ってあると思ったのですが、「今年の白書は青少年問題を高度成長政策との関連で考えようとしている。高度成長政策が青少年の生活にどんな影響を与え、功罪両面でどんな結果を生んだか、客観的に見ようとしている。この点は青少年問題を単に道徳問題に還元せず、流動する社会生活の中でとらえる姿勢を示したものといえよう。」私はこの姿勢はいいと思うのです。文部省は道徳教育オンリーみたいなかっこうでいっておりますけれども、中青協はそういう考え方を持っておるようなのですが、さて流動するその生活の中で、これからどういう方向を目ざして総合的にやることをまとめていくか。これはあとで文部大臣にも文部省にもお聞きしたいと思うのですが、いま青少年問題で一番問題になっていることは、刑罰主義でいくか温情主義でいくかという問題です。これがおそらく大きな論点になろうと思うのです。文部省の立場はまだはっきりしていないのですけれども、中青協はそれに対してどういう考えを持つのか。そして総合的にまとめようとする、あなた総合とおっしゃるけれども、努力としてはまた協議会を持っておる。協議会はこの四十年の中ほどくらいにきまるだろう。しかしながら中青協の考え方を持たぬと人々にまかしておるのだったら中青協は要らぬのですよ。みんなを寄せて相談するだけだったら中青協じゃなしに文部省がやったらいいのですよ。中青協は一つの考え方を持たなければいかぬと思う。このごろ政府の政策は全部そうですよ。税制でも何でも自分で責任をとらぬで、そういう委員会とか協議会を設けてそこへ責任をなすりつけて、彼らがそう言うたからそうだというような行き方で持っていくくせがある。中青協もそういう悪いくせだ。参考意見を聞くのはけっこうです。しかし基本的な考え方はどうなのか、それをひとつ示してもらいたいと思う。

赤石清悦総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○赤石政府委員 私は事務局長でございまして、制度上の問題の御意見もあるようでございますが、一応協議会というものがございまして、そこが各省、各専門家によってできております以上、またその他に特別の委員会ができております以上、それの大体の報告の見通しがないうちに、事務局長としてどういうように考えているかということは、私の立場上差し控えなければなりませんが、しかしただいままでの委員のお話の論点をいろいろ集約して私なりに一応まとめて申し上げまするならば、たとえば最近当面の青少年対策に対する意見として政府に配られた、意見具申されましたこういうものから見ましても、一応論点といたしましては、日本の人間が、どういう方向に、理想像と申しますか、そういうことを持つべきかといったようなことを踏まえつつ、しかし現実において家庭の問題、家庭教育の振興の問題、家庭の福祉の問題、それからいろいろ学校教育に論点が集中したのでございますが、学校教育とはいろいろ問題がございますが、特に非行その他を考えますならば、生徒指導の問題を特に指摘しております。  それから第三は、勤労青年、中学校を卒業しました勤労青少年の犯罪なり非行化のパーセンテージがかなり高いのでございますので、義務教育終了後の青少年の教育と訓練の問題を指摘しております。  それから第四番目は、何のために人間が労働するか、働くかという年少労働者の生活態度の問題を取り上げております。  それから第五番目といたしましては、先ほどもございましたように、青年がよき方向にいくためには、グループ、組織を持って、お互いその中に人間形成が行なわれるべきであるという意味で、青少年のグループ活動の促進と青少年指導者の育成、こういった点を指摘しております。  それから第六番目には、やはりスポーツ、レクリエーションの果たす役割りはきわめて大事であるということを指摘しております。  それから青少年の健全な育成のための諸施設が、日本は戦後かなり設けられてございますが、なお先進諸国に比べるならばまだ不十分である。したがって青少年関係施設の充実を指摘しております。  それから、先ほど来お話がございましたように、日本の今日の社会環境には、かなり青少年に悪影響を及ぼすものが見られるので、この社会環境の浄化について取り上げてほしいということをいっております。  それからまたいろいろの事件が起きた場合、年少青年の精神障害者の問題がございます。この問題をもっと科学的に究明し、かつこれへの国民の知識を普及すべきであるという点を指摘しております。  最後に、これらをひっくるめまして、非行青少年問題についてはやはり総合的な根本的な最終的な解決策をこの辺でぜひ打ち立てるべきである、こういうふうな点を指摘しているわけでございます。  こういうふうな観点に立って、いま非行対策特別委員会は、かなり原因を——学者的な論点の対立を指摘するのじゃなくて、学者の一致した論点を集約しまして、それに基づいた各省の具体的な施策を展開しよう、こういうふうに各先生方が意気込んでやっていただいております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それは努力目標でいいのですけれども、いま社会教育局長が言ったのと同じように、社会環境を浄化しようということを目標にしておりますという一つだけ取り上げますと、それをどうして浄化するかという方向づけをあなた方のほうで持っておるかということを聞いておるのです。これだこれだということはいままでずっとあってきたのです。そういう努力目標はあって、その努力はいつも結実してないのです。その中の一つを取り上げて社会環境の浄化をしましょうということ、その意気込みで取り組んでくれということを言うて、協議会か委員会か知りませんけれども、激励しておるそうです。そして最終的には、そういうことの目標として総合的に取り扱いましょう、こういうことなんですが、その総合策も出ていない。それから浄化の方法も具体的になっていない。これはいま急でなくてもいいです。非常に大事な問題ですから、ひとつまた今後聞かしてください、そういう具体的な問題として。  それから福田初中局長に聞きたいのですけれども、これも前に私は聞いたかと思うのですけれども、無軌道高校生の背景、これは去年の三月ごろですか、社説が出ておる。この中にやはり私たちの心がけなればならぬことがたくさん言ってある。とにかく社会だ、学校だ、家庭だというて個個ばらばらにあっちこっち責任を持っていっても解決がつきませんから、結局われわれ政治家がまず自分の姿勢を正さなければならぬ、それがまず第一義だと思うのです。それから政治家がこの問題に真剣に取り組まなければいかぬと思うのです。長谷川さんのおっしゃったのはその点で共鳴しておるので、むしろ今後青少年問題に対するところの小委員会をここでつくって、われわれとして考えるところの方向づけを出さなければならぬ。なぜかといいますと、現場において文部省が道徳教育という。そうするとわれわれ社会党としては、道徳教育はあまりお仕着せ過ぎて押しつけになっているじゃないかというまた対立がある。この対立ばかりやっておったって事件の解決にならぬと思うのです。そこでどうしても並行線をたどる問題は並行線をたどってもいいですけれども、どこかで決着するところは、子供のしあわせのために、われわれはそこで決着点を見出して、そのことから早く進めていく。法務省も出ておいでになるでしょうし、警察もおいでになるでしょうし、あるいは厚生省もおいでになるでしょうから、そこらでそれぞれ要求していかなければならぬと思うのです。そういうことがわれわれの責任だと思うからこういうことを言っておるのですけれども、当時の社説にこういうことが書いてあります。私が言うんだったら、また社会党が言いよりますから、子供の人数を減らせ、こういうことになると思うのですけれども、こういうことが書いてあります。東京の私立高校では、ベビーブームの影響で一年生は五十人以上の学級はざらである。一人一人の生徒に教師の目が届くのは三十人が限度だといわれております。教育のマスプロダクションはいまほどひどいことはないが、この責任の大半は政治家が負うものだ。しかしもっとおそろしいのは、教師がすし詰めを理由にして、きめのこまかい生徒指導を放棄することであり、おとなと子供の中間にあって、ゆれ動くティーンエージャーのモラルについてもみんな責任を回避しないて真剣に考えてみようと書いてある。責任回避は現場といえどもするべきではない。また政府としても、高等学校を、小中でさえ四十、四十五を指向しておるのに、いまの現実は五十五名以上ですよ。たいていのところはたくさんとらなければならぬということで……。それで全体で高等学校の生徒を五十五名にして、規定よりよけいにはみ出した多く収容した人数を文部省は何ぼと押えておるか。これをどういうように解消しようとしておられるか。こういう一五十五名以上というのは、高等学校にとっては時代逆行ですよ。小中は減らしていって、逆に高等学校はどんどんふやしていっている。これは現場側の要求で、中学校あたりから非常にやかましく要求しますから、高等学校はしかたなく、必要悪としてやっておるのですがね。これに対して規定以外に収容しておる人数は、全体で何ぼと考えておられるか、何ぼと踏んでおられるか。それに対してどういう対策をとろうとお考えになっておるか。この問題は高等学校でも、人数を少なくするということは大事だと私は思うのです。高等学校だけ逆になってしまっている。これをひとつ初中局長にお聞きしたい。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 それはいまよくわかりますが、高等学校の急増期におきましては、やむを得ず一学級の定員の一割まではこえて収容してもよろしいということになっておるわけでございます。したがいまして、生徒の指導の面から申しますと、なるべくこえないほうがいいわけでありますけれども、一般の父兄の高等学校に志望する希望をかなえるという意味におきましては、やはりそういう限度まではこれを入れてやりたい、これは人情のしからしめるところでございます。ただ公立学校におきましては、その一割、五十五人というところまで置いているところはあまりございません。それ以内に、平均いたしまして五十二、三人というところでございます。ただ私立学校におきましては、御承知のように五十五人をこえて、あるいは六十人、あるいはそれ以上という学校もあるようでございます。  しかしながら、この問題につきましては私どもとしては好ましくはございませんけれども、私立学校の現状としてそういう生徒の収容のしかたをしておりますのを、一面、何と申しますか、できる限り私立学校の指導によってこれを解消してもらいたいというような考え方をいたしておりますけれども、具体的に申しますと、ただいま御質問のございましたように、政府として高等学校の入学者に対する収容力の問題から申しますと、御承知のように毎年高等学校の志願者の増加に対しまして財源的に保障いたします線は一年百五十五万人ということになっております。したがって昨年あたりはそれをこえまして百六十万人以上の、約十二万人くらい政府計画よりも多い生徒を収容したわけでございます。しかしそれが全部、いわゆるすし詰め学級になっているかということを考えますと、それはそうではございませんので、いま申しましたような、一割まではオーバーしてもよろしいということになっておりますから、その限界の以内に大部分がなっておるわけでございます。したがって正確に申しますと、ただいま御質問のありました数が幾らあるかということは、私どもとしては私立学校の場合でございますので正確につかんでおりません。しかしながら個々の学校ではそういう事例が見受けられることは、非常に残念でございますが、事実でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 大臣にお聞きしたいのですが、ことしの三月十七日ですが、三人の高等学校の生徒が連続的な悪いことをやりましたことについて、当時新聞はこれを温情か刑罰かという問題で非常に大きく取り上げました。当時の新聞を読んでみますと、最高裁と家庭裁判所は少年保護を中心に考えている。それから法務省や検察庁は刑事責任をとらせるという刑罰主義、一方では試験観察、いわゆる日本の刑法の法体系の上に立って一方は米英法でいこう、片方はドイツ法でいこう、そういう両極作用が出てきている。ここで文部省がどういう考えをとるか、これは大きな分岐点になると思うのです。私はきょうそういうところまで論議を進める余地はありませんけれども、相当これは今後論議をしなければならぬと思うのです。端的に言って説明はしにくいかと思うのですけれども、大臣はこれについてどういうお考えをお持ちですか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 ただいま御指摘の事件、これは刑事事件になるといいますか、刑事事件として検察庁と最高裁判所の何局でございましたか、その間に意見に若干の対立があるように承知いたしております。  そこで端的にこの事件について私、所見を申し上げることもいかがかと思いますが、一般論としては、黒か白かということを、なかなかこれは言いにくい問題じゃないかと思う。それから英米主義が作用しているのか、あるいはドイツ主義が作用しているのか、その辺のところも、これは検察庁と最高裁の問題でございますから、私、あえて言及することを避けたいと思いますが、やはりああいう事件が起こったことは非常に不幸なことで、その原因が追及され、そしてそれに対する対策を考えなければならないというのが文部省の立場であると思います。  それから刑罰主義でいくか温情主義でいくかということについては、先ほど長谷川委員の質問にお答えしたときも申しましたが、私の非常に共鳴しておるグリュック方式におきましても、たとえばおとうさん、おかあさんの愛情にしても、あるいはその監督、しつけにしましても、きつ過ぎでもいけない、でき合いでもいけない、そういう観点から非常に分析した表をグリュック夫妻がつくっている。これなども非常に私は参考になると思うのですが、一がいに一つのケースをつかまえて、これは黒でいくか白でいくかというのではなくて、やはりその原因から究明し、おい立ちから究明していって、これは温情でやるべきかあるいは刑罰主義でいくべきかということを私はきめるべき問題ではないかと思いますが、いま申しましたのは要するに私の私見でございます。御了承願いたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 最後に一つ社会教育局長にお聞きしておきたいのですが、私のところにPHPという小さい雑誌がきております。私は何の気なしにその十二月号を読んでおりますと、日本HR協会専務理事の山田宏さんが青少年の非行の問題を簡単な論説の中で触れておられるんです。それには「戦後の風潮として、後輩を戒しめたり叱るという事が人格尊重という美名のもとにかげをひそめた。寮生活でも自治というと聞こえがよいが、若い人の生活設計に真剣に相談にのる気配がうすれて無責任な放任主義にゆだねられる傾向が見受けられる。」これは保守的な考え方です。もう一つ進んだ考え方として「青少年の非行を問題にするときその現象に驚きの目を向けるだけでなく、本質に触れるべきだ。」こう書いておられる。その一つの本質として「食糧事情の悪化していた戦後の混乱期には子供の食事に気を配る事が精一杯で、大事な性格形成期によい相談相手になる余裕をもたなかった親たちが多かろう。それでも素質にめぐまれ意志の強固な子供達には独立心を芽えさす上にかえって幸したかも知れない。けれども自信を失った子供たちは成長に及んで自分のことを真剣に考えてくれるもののいない寂しさから、類は類をよんで徒党を組み非行に走ったともいえよう。」こういうことが響いてある。この中で大きく抽出できることは私は子供の自信だと思うのです。こういう自信を持たすために社会教育局長、これは社会教育局長だけに限りませんけれども、こうした子供の背景ということを私たちは考えてやらなかったら——戦後という、食糧事情という、混乱という、その背景をさしたわけですけれども、まだまだ背景があるんですね。どういう背景を押えておられるか。先がたのように映画を規制するというようなこういう考え方だけで背景を押えておってもらっては困るので、それをひとつ聞かしてもらいたいし、初中局長にも考えがあれば聞かしてもらいたいと思います。

蒲生芳郎文部事務官(社会教育局長)

○蒲生説明員 お尋ねの点は最近の戦後における青少年の非行の原因と申しますか、私先ほど有害な環境の影響ということを一例として申し上げましたが、非行化の原因としてはいろいろ要素がからみ合っておると思います。しかしその中で考えられるものといたしましては、一つは戦後のそうした食糧事情の悪化とかあるいは経済上の不安定等もありましたが、その後だんだん世の中がよくなりまして食糧事情もよくなってきた。最近青少年の体位が非常に向上してまいっておりますが、その反面精神的な成長というものが追いついていけないという事情もあるんじゃないか。つまり心身の発達のアンバランスということがあるんじゃなかろうか、それが一つでございます。  それから先ほど申しましたように、モラルの確立、戦後の新しいモラルというものが確立していなかったがために、その面からまいります社会道徳なりあるいは順法精神の欠除、欠けておったということもございましょうし、また親たちが戦後の新しい社会なりあるいは教育なりに追いついていけないために子供に対する自信を失っておった。そういう意味から、先ほども申しましたように、家庭教育の充実とか、貧困ということが言われておりますけれども、そういう面もあろうかと思います。  それからまた景気がよくなったために、いわゆるレジャー・ブームというものが起こりまして、その面から享楽的な風潮が盛んになった。いろいろ考えられますが、そうした要素がからみ合って青少年非行の原因があるんじゃなかろうか、かように考えております。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいま社会教育局長から申し上げたことは、私も同感でございますが、ただ背景という問題の中にはいろいろなものがあると思います。これは御承知と思いますが、私ども学校教育の場としてこれを考えました場合に、現在の義務教育の中では、いろいろな子供がございます。したがいまして中学校の段階を考えましても、学力と申しますか、学業そのものにあまり適応していないという子供もかなりあるようでございます。学力調査の結果から見ましても、いろいろ数学とかあるいは理科というような学科につきましては、やはりいろいろ指導上のむずかしい問題があるということはわかっております。そういう点を考えましても、これは一例でございますけれども、やはり個人の能力に応じた教育を施していくというようなやり方をすべきではなかろうか。  それからまた高等学校も、御承知のように進学率七〇%をこえております。そういう中にはやはりいろいろな多種多様な子供がおるわけでございます。したがいまして学校教育自体といたしましても、やはり個人の特性、能力、そういうものに応じた教育をやるというやり方を今後検討すべきではなかろうかというような点を私どもは考えておるわけでございまして、これも一つの学校教育の中におけるいろいろな問題のある背景であろうと考えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 この問題にはたくさん問題がありますから、また後の問題にしておきたいと思うのですが、どうせ長谷川君のほうからもまだ問題があるだろうし、それに関連した質問でまだしてないですから、そのときにしたいと思います。  ただ一つここで大臣に言っておきたいことは、ILOをめぐって、私はやはり現場の教師あるいは日教組と言ってもいいですが、それと文部省との間の不信感、話し合いのないということが、これは世間一般の子供たちに及ぼす影響が大きい背景だと思うのです。いまの背景の、一つは貧困の問題があがりましたが、それから子供自体の問題も社会教育局長のほうから出しました。しかしながら、社会体制の中で二つの考え方を持って相互いに対立し合っておる。初中局長はそういう種まきをした人ではありませんけれども、文部省では、大臣でなくても、その種まきをして、いまこんな混乱を呼んでおる有力な人があったわけです。そういう人がいつもそれにお先棒をかついで、国会ではこういう論議を戦わさなければならないということですね。今後ILOの問題をめぐって中央交渉権や何かで、また日教組の問題あるいは教師の要求の問題で、だいぶまた論議を戦わさなければならぬと思いますけれども、こういう話し合いのない世界や不信感というものが私は背景にあると思う。これは率直に一ぺん考えてみてもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、それも一ぺん文部省と論議しましょう。文部省は長い間抑圧の教育をやってきております。長い間権力の集中、中央集権をやろうという考え方から、これは抽象的なことばで具体性を帯びておりませんけれども、そういうことからあの教育二法以来教師を押えつけることばかりにかかった。いま初中局長の御答弁を聞いておりましても、指導とか取り締まりとかいう立場だけに立って、頭の髪をちょっと長くすることくらいそうこだわらなくてもというような、学校自体の取り扱い方はあなたの考え方にはなかった。あの事件を知らなかったかもしれません。あの学校自体の、髪を伸ばさしてくれということで千人ほどの子供が石を投げつけてたいへんな乱暴をしておりますね。それは学校側の立場を考えておらない御答弁でしたが、そういう簡単な子供自身の頭の髪の問題だけでも抑圧だけの教育、抑圧だけの政治をやっておったのでは、——私はこの問題も、道徳教育をやるとかなんとかいうことで対立しておるということも、根本的にはあると思うのです。長谷川さんが、道徳教育以前の子供の性情の問題をあげられました。これは子供の発達段階におけるところの考え方から言われたのです。私は社会機構の中で、そういう要素を持っていないかということを、ひとつあなた方が真剣に考えていただきたいと思います。私たちも今後これを論議いたしましょう。きょうはこんな中途はんぱで論議を終えてしまうことは心もとないのですが、何せ十一時近くから始まった委員会ですから、こんなことになってしまったのです。本来ならば午後もかけてやらしていただきたいと思うのですが、しかし午後は本会議がありますから、ここでおいて、同僚の長谷川君のほうからぜひ大臣に、もう日も追っておりますので聞いておきたいということがありますので、私は一応この点でやめさせていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員長代理 長谷川正三君。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 私はきょうの委員会で長谷川峻委員の質問、床次、ただいまの三木、各委員のお話を伺っておりまして、私もついおとといも、東京のある高校の女生徒が自殺をして、そのおとうさんから泣いて訴えられました。いま審議された問題につきましては、私自身も長い間教壇を汚してまいった者の一人としてたくさんの意見もありますし、また文部省の御意向をただしたい、また善処をお願いしたい点もありますけれども、いま三木委員もおっしゃったように、時間がきょうは二時から本会議ということになりまして、終日審議をするという予定が途中で切られることになりますし、またすでにお昼を相当回っておりますからこの問題については次に譲りたいと思います。  またもう一つ、現在全国で非常に問題になっております限度政令の問題につきましても、すでに前回の委員会から同僚の小林進委員から御質問を申し上げる予定になっておりまして、きょう午後その予定にしておりますが、これもおそらく今日できない、まことに残念に思いますが、どうしても私は、文化財保護の問題で、すでに現在工事が進行しておって、本日この機会を失しますと、長く悔いを残すおそれのある事態に立ち至っておりますので、たいへん恐縮でございますけれども、もうちょっと時間をいただいて質問させていただきたいと思います。  私がきょうここで御質問申し上げたいのは、東京都下町田市の埋蔵文化の問題でございます。いま御承知のように、全国的に非常に急速に国土の開発が行なわれておりますことは、前国会でも私指摘し、質問したところでありますけれども、また参議院におきましても昨日ですか、相当その問題について審議が進められたように伺っておりますが、町田市におきまして旧鶴川村地区を中心にして日本住宅公団の大きな宅地の造成あるいは公団住宅の建設ということが進んでおるようでありますが、その過程におきまして、ここに非常に貴重な遺跡が豊富に残されているということがだんだん明らかになっておるわけですけれども、しかしながら事前の基礎調査、分布調査等がきわめて不十分であり、また発掘の調査費もしたがって非常にずさんな、不足した予算しかない。また、当初計画というものを一たん立ててしまうと何でもかんでもこれを強行してしまうというような事態から、すでにもう学者の方々の立場から言えばまことに千載に悔いを残すような惜しい埋蔵文化がどんどん破壊され、もう雲散霧消しつつある、こういうことを伺っておりますので、いまからでもおそくありませんから、まだ残っている部分について適当な対処をし、どうしてもうちを建てるということになれば、これはそのまま残さない場合、完全な記録として保存する必要がありましょうし、また問題によりましては若干の計画変更をしてもそのまま保存をすというふうに善処をしなければならない問題もあろうかと思いますので、この点につきまして文部省、特に当面の責任者である文化財保護委員会に、その事態をどのように把握されておるか。そうしてどういうふうに対処されておるのか。つまり経過、今後の対策について承りたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 本件につきましてはただいま御指摘もございましたように、実は昨日参議院の文教委員会でも熱心な質疑応答があった次第でございますが、詳細につきまして文化財保護委員会の局長から御説明させたいと思います。

宮地茂文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○宮地説明員 ただいまの長谷川先生のお尋ねでございますが、この鶴川団地につきましては御承知のように日本住宅公団が計画いたしまして、三十数万坪の宅地造成をするということで開発が行なわれておるものでございます。この土地につきましてはかねてから繩文時代、古墳時代にかけましての遺物包含地等が所在しておりますので、この宅地造成にあたりまして事前に調査をするということで双方了解に達しまして、調査費百五十万円をもちまして、この調査費は住宅公団のほうと町田市とで調査費を出したのでございますが、調査をすることになりました。当初の計画では調査期間一カ月、調査個所約十六カ所ということで、国学院大学の大場教授を団長といたしまして、八月に調査が進められました。ところが、予定の一カ月でほぼ調査を終了いたしましたが、まだ二カ所ばかりの大きな地域と調査をしておるうちに判明いたしましたその他の小さな部分ですが、数カ所についてなお調査を継続する必要がある、こういう事態になりましたので、九月以降もつい十二月初旬まで、十二月の五日までですか、継続的に調査が続行されてまいったものでございます。したがいまして、今後、以上申しましたようにほぼ調査は完了いたしましたが、大きな場所二カ所と若干の場所を調査する必要がございますので、当初計画いたしました百五十万円の調査費では足りないということで、調査団のほうから経費の増額要求がございました。それに対しまして町田市と公団のほうで約百万円の予算を追加計上するよう目下努力中でございますが、文化財保護委員会といたしましても、せっかくのこの調査が十分に功を奏しないのでは申しわけないというふうに考えまして増額について努力しておるので、町田市と公団で不十分であるということであれば、国としてもこれに補助金を出したい、こういうふうに考えております。したがいまして、調査につきましてはほぼ完全な調査が行なわれるというふうに考えております。  次に、この調査の途中におきまして、繩文時代中期の住宅趾十数基が、U字型、馬蹄型でありますが、ローマ字のU字型に十数基の住居趾が検出されたようでございます。調査に当たっておられる方々の御意見としましては、その個所をぜひ保存したいということで、その希望が町田市のほうから住宅公団にも協議要望されたわけでございます。今日までのいきさつといたしましては、公団側としましても事前の調査でそのようにせっかく土地区画整理も一定の計画に基づいてやろうとしておる場合に、ある程度進行した後に、高さが十メートル、二十メートル以上もあるようでございますが、そこをそのまま残すということでは当初の計画上非常に困るということできわめて困難ではないかというふうな返事があったようでございます。したがいまして私どものほうといたしましても遺跡が、数千戸もつくられる団地内でございますので、わずかの——全部宅地一式にすることなく、多少緑地を残すといったような意味からも、その住居趾ができることならば保存されるのが望ましい、このように考えまして町田市とも相談をいたし、公団側ともきのう来話をしておりますが、この場ではっきりとこの場所が保存されますと明確にお答えすることは困難でございますが、そのように努力したいというふうに考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 かなり的確な御答弁だったと思うのです。問題は私の伺いたいところにすべて直接触れていただいておったのですが、そこで伺いたいのですけれども、地下に埋蔵しておるものですから、外から調べるということはなかなかむずかしいと思います。しかし専門家が調べれば、かなり表面を調べても大体どういうものがありそうだということはわかるわけです。ところが今回こういう事態になっているということは、これはおそらく全国的にもあると思いますが、この町田の場合、その基礎調査といいますか、分布調査といいますか、最初上から、表面から見る調査ですね、発掘調査ではなくてそういう事前の調査というようなことについては予算が組んであったのですか、ないのですか。伺うところによりますと、事前調査の費用などは一銭も組んでなかった、こういうふうに伺っておるのです。そういうようなやり方を今後もやるとなれば、至るところで今後重大な問題にぶつかり、そのつど計画変更をしなければならないということで、公団側にも迷惑をかけるでしょう。これは文化財保護委員会としての指導の面で今後非常に重大な問題になると思いますので、その点ひとつ歯に衣を着せずにはっきり御答弁を願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 具体的な町田の問題につきましては、ただいま局長から御説明申し上げたとおりなのでありますが、いま御指摘の一般的な問題といたしましては、実は私も非常に頭を悩ましております。たまたま昨日のことでございますが、閣議で新産都市、それから工業整備地域の整備促進についての議題が出ました。その機会に、私閣議でも特に発言をいたしたのでございますけれども、ちょうどだだいま御指摘のとおりでありまして、事業が始まってしまってからこういう文化財があるというようなことになって、工事をする人も迷惑をいたしますし、文化財保護委員会としてもはなはだ迷惑なことでございますので、今後こうした国家的な事業を推進する場合には、前もって文化財保護委員会の意見を十分聴して、そしてこういう可能性のありますようなところについては事前に十分調査をして、これには触れないで済むような推進の仕方をやってもらいたいということを特に発言いたして、関係閣僚の了解を求めたような次第でございます。これは一つの例でございますけれども、ただいま御指摘のような点につきましては、実は私、文部省へ行きます前から方々でこういう種類の問題を見聞しておりましたので、特に留意をいたしまして、善処してまいりたいと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 大臣が閣議でも問題にされたという点は、おくればせではありながら、非常に適切な御処置だと思いますが、その御答弁の裏を返すと、この場合も事前調査の予算というのは組んでいなかったということですね。

宮地茂文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○宮地説明員 大臣のおっしゃいました御答弁に若干事務的な補足をさしていただきたいと思いますが、実は事前調査でございますので、先ほど御説明いたしましたように、いわゆる発掘をして根本的に調査をするというものではございません。しかし、私のほうといたしましては、三十五年から三カ年間でございましたかにわたりまして、全国にこういった埋蔵文化財がどのくらいあるか一各県で一応発掘して根本的な調査ではないけれども、一応の表面ずらの調査というようなことを三年計画でやらせました。金額が非常に僅少でまことに恥ずかしいのですが、東京都にもたしか二十五万円程度の経費しか補助できなかったと思いますが、全国的に一応どういうところにどういった埋蔵文化財の包蔵地があるという調査はさせました。それで今回の鶴川地区の宅地造成につきましても、一応事前にこういうところにあるということがわかっておりましたのは十数個所あったわけです。ところが、たまたま実際に調査をいたしましたところ、いま問題になりましたいわゆる馬蹄型の住居趾というのは、事前の調査では、そこはあると考えられなかった場所のようでございます。あると考えたいわゆる埋蔵文化財包蔵地を記入いたしました台帳と申しましょうか、それには記入されなかった個所からそういう住居趾が出まして、記入されてあった個所はもちろん発掘調査いたしましたところ、それよりもむしろ事前にわからなかったほうに重要なものがあったということでございますので、補足さしていただきます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 いまのお答えも私の質問にえんきょくにお答えになっておるので、つまり全国的に台帳のようなものを、十分な予算ではないけれども、一応つくった。それをもって事前調査の費用というふうにいっていらっしゃると思うのですが、つまり鶴川団地をつくるについて、今度その部分についてもう一回きちっと事前調査をする費用というものは組んでなかったというのですね。そこのところをはっきりさしていただきたい。これは今後やはり非常に問題になると思います。  そこで伺うんですが、国土開発問題があちこちでいろいろな形で出ておりますが、特に名神高速道路とか東海道新幹線あるいは現在の中央道、こういったような問題に関連して、道路公団と文化財保護委員会との間では、いままでかなり経験を積んできておりますので、こういう場合に埋蔵文化財の調査なりその保存なりについてある程度の、たとえば一史跡について三十万円とか、その他その手続き上もかなりこまかい取りきめというものができておって、ある程度軌道に乗っておる。ところが今回の問題は、日本住宅公団はこれから全国的にたくさん宅地を造成されると思いますが、住宅公団との間にも日本道路公団と同じように、相当詳細なこういう場合の取りきめ、原則、基準、そしてルール、そういったようなものができておるのかできていないのか。私はそういうものは住宅公団とは全然できていなかったのじゃないか、そのためにこういうことがまた特に起こっているのじゃないか。すでに千葉県の松戸市の例であるとかあるいは千葉市の例であるとか、いろいろ伺っておるんですけれども、そういう点について現在どうなっておるのか、今後どうなさるおつもりか、この点をお伺いします。

宮地茂文部事務官(文化財保護委員会事務局長)

○宮地説明員 ただいま御指摘になりました道路公団、住宅公団等々とどのような事前の打ち合わせがなされているかということからお答えいたしますが、私のほうといたしましては、近年開発事業が非常に促進されてまいっております。そういったことからそれぞれ中央にあります全国的な道路公団とか住宅公団とか、もちろん建設省とか農林省も同様でございますが、そういうところと私のほうとである程度の了解に達したものを協定文にしようではないかということで、その正式の協定文のようなものができておるのが道路公団でございます。それでその他にもお話し合いいたしましたが、その他のほうには、一応道路公団とこのような取りきめになったのでよろしくお願いしたいということで、協力をお願いいたしております。したがいまして、道路公団のようにはっきりとお互いに形式的にも合意に達したものは住宅公団にはまだできておりません。  しかし、今回の鶴川地区の調査におきましても、道路公団との間で取りかわしている趣旨のように、事前に現実に公団が仕事を始める場合に、お互いに話し合いまして、この地区とこの地区を調査をしてもらいたい、そのためには経費はこれだけかかる、できればその全部、できなければ大部分は住宅公団のほうで持ってもらいたいという話で進めたわけでございます。したがいまして、形式的には道路公団だけですが、道路公団と結んでおります協定とほぼ同じ内容で住宅公団その他各省とは話が進んでおります。今回の鶴川地区におきましても、そういう意味で百五十万円あれば大体よろしいというお互いの合意で出発したわけです。いつか長谷川先生から指摘のありました八王子の場合も、一応これだけだという金額はもらってやっているうちに足りなくなるというケースを重ねているわけであります。それで担当者も八王子の場合と同じでございますが、大場教授も、たびたび最初の見積もりが狂って申しわけないといったようなことを大場先生も言っておられますので、公団とは正式に結んでおりませんし、各省とも正式な協定はございませんが、各省庁とも大規模なこういうものにはある程度協力してもらっております。  それから、それにいたしましても今回の鶴川地区につきましては、私のほうとしましては一応一地域のことですから、都のほう、あるいは町田市と調査団の先生、それと公団とお互いに話し合いをするようにあっせんいたしまして、それ以上入りませんでしたが、今後の点もございますので、先ほど来おっしゃいました新産都市とかいろいろな、地域的ではございましても、国家的な大きな計画があるところには事前にそういうことを申し入れいたしておりますし、私のほうと今後話し合いを進めて実施してもらいたいというふうにお願いしております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)委員 一時二十分でぜひやめてほしいという御要請がきておりますので、それには御協力申し上げたいのですが、いまお話しの、住宅公団とは正式にはやっておらない、一応道路公団のものをただ基準にして示す、それでは弱いと私は思うのです。これはやはりそういう大きな事業をしている団体が、できれば少なくともきちっとやるようにぜひやっていただかなければならない。そうしませんと、末端にいっては、そういう上のほうできちっとした基準がつくってあれば、それに基づいて相当細部な折衝ができると思うのです。そういう点がありますから、これはぜひそのように要望しておきます。  それから残りの問題ですが、新たに発見されたのは、大きいところが二カ所に小さいところが数カ所ということで、数でいうと三十二カ所ぐらいになるというふうに伺っておるのですが、それについて百万という予算ということですが、私の聞いているのではもうちょっと大きい予算が必要のように聞いております。これについては、万やむを得ない場合は町と公団でできるだけあと捻出してもらい、さらに国庫からも補助したいということですが、この国庫の補助額をまた聞くと一問一答になりますから伺いませんが、せっかくやった調査が中途はんぱで終わってしまうようなことがないように、ひとつ最大限の善処を要望したいと思います。  それからもう一つ、先ほどこれも明確なお答えにはなり得ないというお答えだったのですが、特に典型的な繩文中期の住居趾が発見されたという。しかしそれが何か二十メートルの差があるので、計画上残すことはむずかしいというふうに公団は言っておるけれども、何とか緑地化して若干変更してもそこは完全に保存できるようにしたいという御答弁でありましたけれども、この点もぜひ——いろいろ役所関係その他のこともありまして、とかく一ぺん計画するとそのまま強行するという悪いくせがございますが、こういう事態でありますから、ぜひそこを完全保存の方向で、文化財保護委員会としては折衝し、そのようにやるようにお願いをしたいと思います。  私ももうこれ以上長く申しませんが、実際現地へ行きますと、学者の方や各大学の考古学専攻の学生が、ちょうど登山姿のようなかっこうで、どろまみれになってやっておって、しかもこういう予算がないために寒風にさらされながら一泊三食七百五十円、木賃宿あるいは神社のお堂を借りてごろ寝をしてやっておる。あるいはまた一日百五十円ときめられている日当も支払えないで停止しておるし、旅費も交通費も出していない。こういう中で、ただ学問を愛するために奮闘している。こういう実情をひとつよくお考えいただいて、少なくともこういう方々は山をかけた役所の予算折衝のようなことは全然ないわけです。きわめて切り詰めた謙虚な予算を要求していると思いますから、そういう点について十分ひとつあたたかい配慮をお願いして、予算上あるいは計画変更上、ひとつこの地区の万全の体制をいまからでも、すでにこわれたところはしかたがありませんけれども、とっていただきたい。しかもこれは私、きょう無理にこの時間をとってやったのは、すでに一方でブルドーザーが動いているという段階ですから、早急に、一刻を争って善処していただかないとあとの祭りになるおそれがありますから、この点特に強調しておきます。  なおこれに関連して、私は三多摩の三十万都市をつくるというニュータウンの問題や、あるいは先般御質問申し上げた国分寺の公園化がその後どうなっているかという問題についても御質問申し上げたいと思いますが、時間がありませんから、審議に御協力申し上げ、以上の要望を強くいたしまして、本日の質問を終わります。  次回ぜひ引き続いてやらしていただくように特にお願いして終わります。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後十八日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時二十五分散会

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