農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/12/15
会議録
○高見委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、芳賀貢君外十八名提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の一部を改正する法律案、及び芳賀貢君外十一名提出、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。
○高見委員長 まず、内閣提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聴取いたします。舘林農林政務次官。
○舘林政府委員 ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 天災融資法は、昭和三十年に制定されて以来、天災による被害農林漁業者等に対する低利資金の融通に大きな役割りを果たしてまいりましたが、最近における農林漁業経営の推移に伴い、必ずしも経営の実態に即しているとは言いがたい面も生じておりますので、所要の検討を行なう必要があるものと考えていたのであります。 第四十六回国会終了後今日までの間において、各種の天災により各地に農作物等の被害が生じ、特に北海道においては、冷害により主要な農作物に五百億円をこえる大規模な被害が発生いたしました。これに対し、政府といたしましては、各般の施策を講じておるところでありますが、近年における農業経営の近代化に伴い資金の規模は増大しており、また特に北海道における経営規模は内地に比してかなり大きいものであるため、現行の天災融資法による貸し付け限度額のままでは、被害農林漁業者の経営資金の需要に十分には対処しがたいのであります。このような事態に対処して、被害農林漁業者に経営資金を十分に供給するため、当面必要とする措置を早急に講ずることとし、この法律案を提出する次第であります。 次に主要な改正点を御説明いたします。 第一点は、内地十五万円、北海道二十万円と定められれいた経営資金の貸し付け限度額をそれぞれ内地二十万円、北海道三十五万円に引き上げることであります。 第二点は、政令で定める法人につき、その経営資金の特別の貸し付け限度額を設け、これを二百五十万円とすることであります。 第三点は、すでに経営資金の貸し付けを受けている者がその償還期限内に再び被害農林漁業者に該当することとなった場合においては、その経営資金の償還に充てるために必要な資金の額を、政令で定める額の範囲内において、経営資金の貸し付け限度額に加算することであります。 第四点は、以上の改正にあわせて激甚災害法における天災融資法の特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金の貸し付け限度額内地二十万円、北海道二十五万円をそれぞれ内地二十五万円、北海道四十万円に引き上げることであります。 なお、これらの改正規定は、七月以降の天災につき適用することとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。 なお、金利、償還期限については、通常国会を目途に所要の改正をする方針であることを申し添えます。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
○高見委員長 次に、芳賀貢君外十八名提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の一部を改正する法律案及び芳賀貢君外十一名提出、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案について、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。芳賀貢君。
○芳賀議員 ただいま議題となりました芳賀貢外十八名提出にかかわる天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。 御承知のとおり、現行の天災融資法は三十年に議員立法として制定されたものであり、農林漁業災害に対する融資制度として、自来十年間にわたり農林漁業の経営及び再生産に必要な低利資金を現在まで一千億円に及び融通する措置を講じ、農林水産業の生産力の維持と経営の安定に重要な役割りを果たしてまいったのであります。 しかしながら、現行法は十年を経過した今日、運用の面においても農林水産業の経営の実態に適合しがたい欠陥があらわれてきたことはいなめない事実であります。 すなわち、近時における日本の経済の高度成長は目ざましいものがありますが、一方においては経済のひずみを生じ、成長率の低い農業との格差はますます増大して、昭和三十六年に制定された農業基本法もいまでは空文化される運命に置かれております。しかも、最近における物価の著しい値上がりは、農林漁業の経営に対しても必要経費の増加と資本効率の低下を招き、自立経営の維持、発展に重大な阻害となっております。 さらにわが国の置かれた地理的、気象的条件は、天災による被害が連年各地に発生し、特に農林漁業のこうむる損害は甚大なものがあります。 もちろん、国においても、天災によるこれらの災害については立法措置及び行政措置を講じて対処してまいったのでありますが、すみやかに災害関係の諸制度の根本的検討を進め、災害復旧、災害補償、災害融資等についての国としての責任を明らかにすべきであります。 特に農業経営に必要な資金の需要は増加の一途を示し、そのおもなものを農林統計に見ましても、全国農家一戸当たり平均現金支出は昭和三十年七万六千円であったものが三十八年には十五万二千円で一九九・七%、飼料は一万四千円が五万二千円で三五八%、農薬は三千二百円が八千円で二五〇%、農機具は四千三百円が六千六百円で一五七%となっているのであります。 このように、生産資材等の価格の高騰とあわせて投入量においてもはなはだしく増大しており、農林漁業の経営は本法制定当時と比較した場合、その実態に大きな変貌を来たしたにもかかわらず、現行法は旧態依然として運用されており、ほとんど全文にわたり、不合理、不適当な個所が指摘されるのであります。 したがいましてわが日本社会党といたしましては、近時における災害が農林漁業に与える影響と被害農林漁業者の経営の実態に留意し、この際、現行法に積極的な検討を加え、すなわち、被害者となり得る要件の緩和、貸し付け限度額の引き上げ、貸し付け金利の引き下げ等貸し付け条件の緩和、利子補給及び損失補償の国庫補助率の引き上げ等について所要の改正を行なうことといたしたのであります。また本年度において本土を縦断した台風二十号の激甚災害及び未曾有の被害をもたらした北海道の冷害に対しましても、本法を活用し、早急に対策を講ずる必要があると認められますので、両災害につきましても適用できるようにしようとしているのであります。 以上が本改正案を提出した理由であります。 次に、本案の内容について申し上げます。 第一点は、第二条第一項の被害農林漁業者となり得る条件を緩和をいたしまして、さらに一歩広く被害農林漁業に対しまして本法を適用し、天災資金の融通を受けられるようにしようとするものであります。 前述いたしましたとおり、農林漁業の経営が悪条件のもとに行なわれている現況にかんがみまして、天災に際しましては、すべての被害者に対して救済の手を差し伸べるのが至当でありますが、今回は、現行法の諸条件を基準としてその二〇%程度の条件緩和をいたそうとするものであります。すなわち、農業者であって農作物等の減収量が平年度の収穫量の三〇%以上であり、かつその損失額が平年度のその者の総収入の一〇%以上である旨、または果樹等の損失額が被害時の三〇%以上である旨、市町村長が認定した場合は被害農業者として本法による天災資金の貸し付けが受けられることとなっているのでありますが、この被害率を緩和し、農作物等の減収量の三〇%を二五%に、同損失額の一〇%を八%に、果樹等の損失額の三〇%を二五%にしようとするのであります。林業者につきましても同様に、薪炭等の損失額がその者の平年度総収入の一〇%である旨、または炭がま等施設の損失額が被害時の五〇%以上である旨、市町村長の認定を受けた者が貸し付け対象者となっているのでありますが、この被害率を緩和し、薪炭等の損失額の一〇%を八%に、施設の損失額の五〇%を四〇%にしようするのであります。 また、漁業者につきましても同様に、魚類等の損失額がその者の平年度の総収入の一〇%である旨、または漁船、漁具の損失額が被害時の五〇%以上である旨、市町村長の認定を受けた者が貸し付け対象者となっているのでありますが、この被害率を緩和し、魚類等の損失額の一〇%を八%に、漁船、漁具の損失額の五〇%を四〇%にしようとするのであります。 第二点は、第二条第二項の特別被害農林漁業者となり得る条件を緩和いたしまして、被害農林漁業者のうちその大部分の者に対し特別低利資金を融通することができるようにしようとするものであります。農林漁業者は被害農林漁業者のところにおいて申し述べましたように、農林漁業の経営はいささかも余裕は持たない実情にあります上に深刻な被害を受けた農林漁業者に対しましては、思い切った特別低利の資金を融通することは当然であると思うのでありまして、特別被害農林漁業者についてもおよそ二〇%程度の条件の緩和をはかろうとしているのであります。すなわち、特別被害農業者として特別低利資金の貸し付けを受けることのできる農業者は、現行法においては、農作物等の損失額がその者の平年度の総収入の五〇%以上、開拓者の場合は三〇%以上である旨、または果樹等の損失額が被害時の五〇%以上、開拓者の場合は四〇%以上である旨、市町村長の認定を受けた者となっているのでありますが、これらの被害率を緩和し、農作物の損失額の五〇%を四〇%に、開拓者の三〇%を二五%にし、また果樹等の損失額の五〇%を四〇%に、開拓者の四〇%を三五%にしようとするものであります。特別被害林業者につきましても同様に、薪炭等の損失額がその者の平年度の総収入の五〇%以上である旨、または炭がま等の施設の損失額が被害時の七〇%以上である旨、市町村長の認定を受けた者が貸し付け対象者となっているのでありますが、この被害率を緩和し、薪炭等の損失額の五〇%を四〇%に、施設の損失額の七〇%を六〇%にしようとするものであります。 また、特別被害漁業者につきましても同様に、魚類等の損失額がその者の平年度の総収入の五〇%以上である旨、または漁船、漁具の損失額が被害時の七〇%以上である旨、市町村長の認定を受けた者が貸し付け対象者となっているのでありますが、この被害率を緩和し、魚類等の損失額の五〇%を四〇%に、漁船、漁具の損失額の七〇%を六〇%にしようとするのであります。 さらに、現行法におきましては、特別被害農林漁業者としての条件を整えているにもかかわらず、その者の被害地が特別被害区域の指定を受けられないがために、特別低利資金の貨し付けを受けられないという大きな矛盾があるのであります。すなわち、法第二条第五項で特別被害地域として指定を受けることのできる条件は、原則として旧市町村の区域、開拓地にあっては十町歩以上の区域内の被害農林漁業者の中に特別被害農林漁業者が一〇%以上ある区域で知事の認定を受けた区域となっているのであります。 しかしながら、被害の深度は、指定地域であるがゆえに必ずその他の地域より大きいとはいいがたく、特別被害者としても指定区域内の者はその他の地域の者よりなお深刻であるとは断定し得ないのでありまして、法の適用の公平の点からしても、この際この不合理な条件を廃止しようとしているのであります。 第三点は、第二条第四項第一号から第三号までの経営資金及び同条第七項の事業資金についての貸し付け限度額の引き上げ及び貸し付け条件の緩和をはかろうとするのであります。先ほど申し述べましたとおり、農業者の現金支出は昭和三十年度に比較して二倍以上となっているのでありますし、頻発する災害のため天災資金等制度資金をはじめ各種資金の借り入れ残を多額にかかえている上に、再借り入れを余儀なくしている農家がそのほとんどでありまして、この際思い切った貸し付け額の引き上げと条件緩和をしないならば、被害農林漁業者を救うことはできないのであります。したがいまして、一般被害農林漁業者に対しましては二・五倍の、その他については二倍程度の条件緩和をはかろうとするのであります。 また、農業法人等に対する貸し付け制度を新設し、本法の拡充をはかることとしているのであります。すなわち、経営資金の貸し付け限度額については、現行法の被害農林漁業者に対する十五万円を四十万円に、北海道の地域にあっては、二十万円を五十万円に引き上げるとともに、農業法人に対しても新たに貸し付けることとし、すなわち、法人に対しては四百万円を、北海道の地域にあっては五百万円を限度として貸し付けようとするのであります。また、以上のように貸し付け限度額が定められているにもかかわらず、現行法にあっては、被害額を基準として、政令で定めるところより算出される額、または十五万円等以内で政令で定める額のどちらか低い額などと規定され、実際に貸し付けられる額は政令にすべて委任されているのであります。 この政令により定められる率は、過去の政令のほとんどは、被害額の三〇%と定めている関係上、貸し付け限度額が不当に制限されており、必要経営資金の額を大きく下回り、実情に沿わなくなっているのでありまして、少なくとも被害額の四〇%以上は貸し付けるべきであるとの観点に立って、政令にゆだねる最低率を四〇%とするように明定したのであります。償還期限及び貸し付け金利につきましても、貸し付け額の増額に伴いまして、農林漁業者の返済能力と経営に悪影響を与えない限界を考慮して、相当率の緩和をはかろうとしているのであります。すなわち、現行償還期限の五年以内を十年以内に延長するとともに、据え置き期間三年以内を新しく設けることとし、また金利につきましても、農林漁業の低収益性と災害資金の特質を考慮して、現行六分五厘を三分五厘に、開拓者資金の五分五厘を三分に、特別被害者の特別低利資金の三分五厘は二分に引き下げることとしているのであります。 特別低利資金の金利を二分とした理由につきましては、第四十六国会の予算委員会におきまして池田前首相が必要があれば年二分の資金を貸し付けることも考えると言明している経緯にかんがみても、災害資金の金利を大幅に引き下げることは妥当の措置と思われるのであります。 また、被害地域の農業協同組合等の事業資金についても、経営資金の条件等の緩和に伴いまして貸し付け限度額、貸し付け条件の緩和をはかることとしているのであります。すなわち、現行の貸し付け限度額の五百万円を一千万円に、連合会に対する貸し付けの一千万円を二千万円にするとともに、償還期限の三年以内を五年以内に、金利の年六分五厘を三分五厘にしようとするのであります。 第四点は、第三条及び第四条の地方公共団体の負担する利子補給及び損失補償に対する国庫補助額の引き上げであります。災害を受けた農林漁業者の属する市及び都道府県の財政負担を軽減することは、被害農林漁業者に対する救済と同様に必要欠くべからざるものであり、激甚災害に対処するための財政援助等に関する法律もこの趣旨をくんで立法されている点等からいたしましてもまた明らかであります。したがいまして、地方公共団体の負担する利子補給及び損失補償につきましても、原則として全額国庫で負担するようにしようとするものであります。すなわち、現行法の利子補給は三分五厘資金にあっては、利子支払い額の五〇%またはその年の貸し付け額を年利二分五厘で計算した額のどちらか低い額となっておりますのを、基準利子の九分五厘と三分五厘の金利差六分の利子の全額を国庫負担にしようとするものであります。開拓者の三分資金は、利子支払い額の五〇%またはその年の貸し付け金を年利三分で計算した額のどちらか低い額となっておりますのを、基準利子の九分五厘と三分の金利差六分五厘の利子の全額を、また、特別被害農林漁業者に貸し付ける二分資金についても、利子支払い額の六五%またはその年の貸し付け金の年利を五分五厘で計算した額かどちらか低い額となっておりますのを、九分五厘と二分との金利差の七分五厘の利子の全額を国庫補助しようとするものであります。かくのごとく市町村及び都道府県の利子補給の全額を国庫補助することになった場合にあっても、市町村及び都道府県が被災者の支払う利子の一部を補助することを禁じているわけではなく、その部分を補助したとしてもその補助金については、国庫は補助の対象としないこととしておるのであります。 また、損失補償につきましては、現行法にては損失補償額の五〇%かまたは貸し付け額の年二分五厘で計算した額かどちらか低い額を補助することとなっておりますのを、今回全額国庫補助にしようとしているのであります。 以上が天災融資法の一部改正案の理由及びその内容であります。 次に、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、その内容が天災融資法の改正に伴いまして、その均衡上の改正部分のみでありますので、提案の理由につきましては、天災融資法一部改正案の提案理由の説明で申し上げましたものと同様でありますので、重複を避けるためこれを省略させていただくことといたし、改正の内容について申し上げます。 第一点は、第八条第一項の経営資金の貸し付け限度の引き上げ及び貸し付け条件の緩和についてであります。現行法の貸し付け限度額は一戸当たり二十万円、北海道については二十五万円、政令で定める者すなわち果樹専業者等については五十万円となっておりますのを、一戸当たり六十万円、北海道は七十万円及び果樹専業者等は百万円とするほか、新たに農法人等に対する貸し付けの道を開くこととしているのでありまして、その限度額は六百万円、北海道にあっては七百万円、法人のうち果樹専業者等にあっては一千万円としようとするものであります。また償還期限につきましても、現行の五年を十年とし、政令に定める者に貸し付ける資金についての七年を十三年にしようとするものであります。そのほか、被害地域の組合等に対する事業資金についての貸し付け限度額及び貸し付け条件の緩和については、組合に対する一千万円を二千万円に、連合会にあっては、一千五百万円を三千万円に引き上げることといたしたのであります。 次に、本案付則におきまして、本法は、昭和三十九年七月一日以降の天災または災害につき適用することといたしたのであります。 これは、提案理由の項にて述べたとおり、台風第二十号及び北海道の未曾有の冷害が激甚であることにかんがみて、本法をこれらの災害による被害者に適用し救済する必要があるために設けたものであります。 以上がこの法案の理由並びにその内容の概要であります。 本案は特に緊急を要する災害関係法の改正案でもありますので、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案についての提案理由を御説明申し上げます。 自作農維持資金融通制度は、昭和三十年に、農地改革の成果を保持するため、長期低利の金融を通じて自作農の転落防止、農業経営の安定向上をはかるために創設を見たものでありまして、以来三十八年度までに六万八千件、千九十八億円の資金を、農地等を取得しようとする自作農並びに相続、疾病、災害等による細分化防止と経営の維持をはかろうとする自作農に貸し付けてまいったのであります。しかして、この間における制度改正につきましては、三十六年に、北海道農家の固定化負債を整理するための特別措置を講ずるための法律改正を行ない、さらに昨年、本制度においては、維持資金のみを融通し、農地等の取得資金は農林漁業金融公庫の資金から融通することとして、法律名称を自作農維持資金融通法とする法律改正が行なわれましたことは、各位の御承知のとおりでありまして、本制度が、特に災害を受けた自作農の経営と家計を救う融資制度としては高く評価されるようになり、三十一年の北海道の冷害、三十二年の諫早台風、三十三年の狩野川台風、三十四年の伊勢湾台風、三十六年の第二室戸台風、三十八年四月以降の長雨等に対し、百十六億円を追加して貸し付けられているのであります。 しかしながら、わが国経済の高度成長に伴うひずみ是正が要請される今日におきまして、農業基本法体制下にあるわが国農業の実態を見まするならば、農業の生産性を向上し、農業と他産業の所得格差を解消するための施策は、遺憾ながら十分に講ぜられているとは認めがたいのであります。なかんずく、農林漁業金融政策については、超低利長期の条件をもって農富な資金を投下するため、現行の金融諸制度を根本的に改善すべきは当然でありますが、いまもってこれが実現を見ないのははなはだ遺憾とするところであります。 わが日本社会党は、かねてからこれらの点を強く主張いたし、特に本制度の改善は早急に実現すべきであることを主張してまいりましたが、これが大方より容認されました結果、本委員会において、第三十八国会の三十六年三月三十日、農林漁業金融公庫法の一部改正案を可決の際、全会一致をもって、「自作農維持創設資金の貸付条件については、その限度額の大幅引上げ、年利の大幅引下げを行なうとともに据置期間は五年、償還期限は三十年以上に改訂すること。」の附帯決議を付し、第三十九国会の同年十月二十七日においても、全会一致をもって、自作農維持創設資金融通法の改正に関する件として「政府は、昭和三十七年度より、自作農維持創設資金について、その貸付条件を、利率年三分五厘、償還期間三十年以上、据置期間五年以内に、その限度を百万円に、それぞれ改訂するとともに大幅に融資枠の拡大をはかるよう自作農維持創設資金融通法の改正を行なうべきである。」旨の決議を行ない、さらに、昨年の第四十三国会及び本年の第四十六国会において、農林漁業金融公庫法の一部改正案を可決の際、いずれも同様趣旨の附帯決議を付しているのであります。 以上の経緯及び本年における北海道の大冷害並びに二十号台風等の災害により、本制度の資金需要の追加が百数十億円をこえようとしている実情等にかんがみまして、この際、被害農家の窮状を救済し、その経営を安定させるために本制度を一段と拡充する趣旨をもって、ここに本案を提出することにいたした次第であります。 本案の内容について申し上げます。 第一に、現行貸し付け条件について、利率年五分、その償還期間二十年以内、据え置き期間三年以内となっている点を、利率年三分、償還期間三十五年以内、据え置き期間五年以内に改めることとしております。 第二に、貸し付け金の限度については、林漁業金融公庫の自作農維持資金融通に関する業務方法書によって、最高額は一農業者当たり三十万円とし、災害により必要な資金については、それ以外の資金と通算して五十万円とし、法人に対する最高額は一法人当たり二百五十万円とすることにそれぞれ定められておりますが、この際、これを大幅に引き上げて、これを法律に明記することとし、一農業者の限度額は百万円、法人の限度額は五百万円とすることとしております。 以上が本案を提出した趣旨及びその内容であります。何とど慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
○高見委員長 午後一時半から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後十一時二分休憩 ————◇————— 午後二時五十分開議
○高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、芳賀貢君外十八名提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の一部を改正する法律案、及び芳賀貢君外十一名提出、自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案、右三案について質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、これを許します。中川一郎君。
○中川(一)委員 まず第一番目に御質問を申し上げたいのは、このたびの天災は、北海道の史上でも最高と言われる大きなものであります。この原因は、気象条件によることはもちろんでありますけれども、そのほかに、いままでとってきたところの北海道の農政のあり方が、この冷害に対してきわめて弱かったのではないか。たとえて言いますならば、熱帯作物である水田が北海道にどんどん広がって、そして寒冷農業に適したところの酪農がきわめておくれておる。政府のとっておる措置も、酪農と寒地農業についてはきわめて手薄である。水田については土地改良あるいは試験研究、共済制度あるいは価格制度と、すべてにわたってあたたかい措置がありますけれども、畑作については試験研究に始まって、土地改良ももちろんのこと、共済制度に至ってはゼロである。さらには価格対策に至っても全くないにひとしい。こういった農政のあり方が、冷害の前に非常に弱くて、被害を大きくした原因ではないかと思います。政府はその点についてどういうふうに考えておられるか、まず第一番目にお伺いいたしたいと思います。
○赤城国務大臣 全面的に寒地農業といいますか、北海道の農業に対しては万全だとはもちろん考えておりません。しかし、いま御指摘のように、何もほっておいたというわけではございませんで、たとえば稲作もある線あたりから先はなかなかむずかしいとは思いますが、その線まではとにかく品種の改良等もいたして、寒冷に向くような品種も試験場等でどんどんつくっていく。したがいまして、東北地方等においても冷害が常襲のようでありましたが、東北のほうはだんだん冷害というものがなくなってきた。まだ北海道にそういう冷害があるのは遺憾でございますが、稲作につきましても、そういう品種の改良もいたしたり、あるいは早植え、早刈り取りというようなことも考えて指導してきたわけであります。あるいはまた北海道におきましては、畑作を中心として寒地農業というものを確立していくべきだということは、数年前から指導をいたしまして、畑作に関する補助融資等につきましても、法律その他によって考えてきたわけでございますが、いまの畑作共済制度等はまだ実現する運びに至っておりませんで、そういう点では欠くるところがあったと思います。また畑作と同時に、畜産、ことに酪農を中心としてやるべきだ、また酪農とてん菜とを結びつけてやるべきだというような方向も、相当進めてきたわけでございまして、本年の予算等におきましても、荒地試験などを北海道でやって草地の造成をしていこう、こういうような方向もとっておりますので、必ずしも北海道の農業を放てきするあるいは粗末にするということでなく、寒地農業確立には進んできたのでございますが、その点万全でなかったという点も、ことしの冷害を導くような結果になったことは認めざるを得ないのであります。なおさらに一そう、寒地農業といいますか、寒地といわぬでも、ああいうところに当然適した農業が確立されなければならぬと思いますので、その方向へ進めていきたい、こう考えております。
○中川(一)委員 このたび農林省が政府原案として出されました天災資金並びに激甚法の改正の内容を見ますと、きわめて不十分と言わざるを得ないと思います。第一番目が、金利あるいは償還期限等の条件緩和について触れておられない。それから第二番目が、個人に対する融資の限度額もわれわれの期待しておったようなものではない。農林大臣が現地を見まして、しばしば農民の方々に会い、あるいは委員会等においても、この法律を改正をして大いに期待にこたえたいというふうに言っておられ、われわれもまた期待を持っておったのでございますが、今回金利並びに償還期限を除外視したというのはどういう理由でありますか、この点を承っておきたいと存じます。
○赤城国務大臣 融資の限度額等につきましては、最新の統計等も基礎といたしまして、現金の経営面に占むる割合ということを換算いたしまして、まあ提案の程度が妥当でないかということで提案いたしたわけでございます。 なお、今度の天災融資法の改正は、これは暫定法でございますが、そのまた暫定的といいますか、当面一番緊急を要する問題、その問題を取り上げて、融資限度額を上げてそれをさかのぼらせよう、こういうような態度に出たのでございますが、金利等につきましては、実は金利あるいは償還期限等につきましても、事務的には検討いたしてはおりますが、これは他の金利体系との関係、償還期限との関係、あるいは農林省ばかりでなく、多少ほかの省との関係等のいろいろな問題が残っておりますので、短期間に御審議を願うことはどうだろうか、こういうことで、とりあえず融資限度額だけを上げるということで、当面する問題のみを取り上げて御審議を願っておるわけであります。
○中川(一)委員 われわれが承ったところでは、この金利、償還期限の点については、今回はいま言ったようないろいろな理由から間に合わなかったけれども、通常国会においてはやりたいというふうに聞いておりますが、それは間違いないかどうかということが一つと、もう一つは、その法律の根本的な改正ができました場合、今度の災害にもさかのぼるかという一点であります。もしこれがさかのぼれないということに相なりましたならば、これはたいへんなことになるであろうと思うのでありますが、この点についての農林大臣の見解をひとつこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
○赤城国務大臣 金利利率の引き下げあるいは償還期限の延長等につきましては、通常国会において、それまでに案を整えて御審議を願う、こういう予定で進めております。ただ、その際に、償還期限等は当然そのときより延びるわけであります。金利の利率引き下げ等もそのときからやられていくわけでございますけれども、これをさかのぼらせるということになりますると、もし利息等について支払いが済んだものは、また返還しなければならぬというようなことにも相なろうかと思いますので、金利の引き下げの面でさかのぼるということは、よほど研究してみませんと結論が出ないと思います。ただ、借りても、まだ通常国会ごろにはそれほど返すという時期に達していませんから、それ以後の金利を下げたもので計算してみれば、相当法律改正の効果はあらわれると思います。その以前については、計算上の問題でありますけれども、現に支払いをしたような場合には、返さなければならないというような問題があろうと思います。これはなお十分検討しませんと、結論をいま出しかねると思いますので、なお検討を命じたいと思います。
○中川(一)委員 ただいまの大臣のお答えを、事務的に支障のないものについては検討をして、できるだけさかのぼるというふうに解釈してよろしゅうございまか。
○赤城国務大臣 事務的に繁雑になったり、そのために混乱したりしないようなことに検討の結論が出まするならば、私はさかのぼってもいいと思いますが、金利をさかのぼらした例というのは、いままで一つぐらいしかないように聞いています。でありますので、十分検討しませんと、いま的確に申し上げる段階には参っておりませんということをつけ加えておきたいと思います。
○中川(一)委員 その辺のところももう少し詰めておきたいところではありますが、農林大臣は非常に真摯に北海道の農業を理解され、特に今回の災害については深い関心を持っておられますので、農林大臣並びに農林省当局に期待をいたしまして、この程度に終えたいと思いますが、最後に、もう一つ大きな問題が資金の総ワクであります。 今回農林省が考えておる、政令で定めるところの総ワクについては、百三億とか承っておりますが、百三億を被害農家約十万戸に引き伸ばしますと、一戸当たりにしまして十万円足らず。今回激甚については四十万円、一般の災害については三十五万円と、限度をそれぞれ引き上げていただきましたけれども、そういった関係で、百三億ということでは、実際農家あるいは農協等が割り当てをする場合に支障を来たすというのが現状であります。しかも、これは予算措置が伴うといえば伴いますけれども、利子補給でありますから、財政上の負担はそれほどないはずであります。資金総ワクについて早期に決定をしてもらうと同時に、百三億を上回る——北海道としては百五十億の資金が必要だと言われております。この点について、早期にきめていただきたいことと、総ワクを上げていただきたい、この点について大臣のお考えを承っておきたいと思います。
○赤城国務大臣 提案の法律が通過いたしまするならば、いまお話しのように、四十五億に対して百億以上のワクを設定するつもりでございます。これは御承知のように経営資金でございますので、できるならば借りないでまかなえればまかなっていったほうが農家のためでもあろうと思いますけれども、被害が甚大でありますので、経営資金としても相当必要なことに相なろうかと、いまのお話でも承っております。できるだけふやしたいと思っています。百億以上どれぐらいまでというめどをまだつけておりませんが、できるだけふやしたい、こういうつもりでおります。
○中川(一)委員 もう一点。この法律とは直接関係ありませんけれども、北海道の冷害対策で大きな関係のありますのが自創資金でございます。自創資金については、条件緩和という希望もありますが、これは将来の問題として、われわれ要望したいと思いますのは、とりあえずは、資金のワクが四十億しか出ておらない。北海道ではぜひとも八十億——いま四十億を持ってきまして現地では割りようがない。ある一村の例で言いますと、百七十九戸必要なところにいまの四十億を割り振ると七十九戸程度、百戸程度はどうしようもない、配分ができないというような状況であります。これは営農資金とは違いまして生活資金でありますから、ひとつこの点については、いまのような四十億じゃなくて、聞くところによると、五十億というところまではだいじょうぶのように聞いておりますが、このワクについても、ひとつ早期に引き上げをいただき、できれば八十億をいただきたいと思っておりますが、農林大臣のお考えを承っておきたいと思います。
○赤城国務大臣 自作農維持資金につきましては、いまお話のように、条件緩和の問題もあろうと思いますが、相続、疾病等いろいろな関係の資金でございますので、これは慎重に考慮していきませんと、簡単には条材のほうはできないと思います。 ワクのほうでございますが、ワクのほうにつきましても、天災融資法の改正が本国会で通過いたしました暁には、当然上げていかなくちゃならないと思います。それにつきましても、いまお話のような考えを持っております。頭を持っておりますが、埋め合わせもできるだけふやしていきたい、こういう考え方でいろいろ各方面とも折衝していきたい、こう思っております。
○中川(一)委員 それでは時間がございませんので、お約束どおり、以上をもって質問を終わらしていただきたいと思います。どうか条件緩和、次の通常国会でやる予定のものをぜひ実行してもらいたいこと、それからさかのぼってもらいたいこと、さらには融資の総ワク並びに自創資金の総ワクについて、国会でこの法律が通りました直後にやっていただくことを重ねて強くお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○高見委員長 松浦定義君。
○松浦(定)委員 昨日本会議でもお尋ねいたしましたが、時間の関係で十分な御答弁をいただけなかったので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。 いま同僚の中川委員の質問を聞いておりましても、現地の事情というものは非常に深刻である。こうした問題は与野党にかかわらず、われわれ議員の責任においても、当然現地に納得のいくような立法を講じなければならぬということで努力をいたしておるわけでございますが、いまのお話の中で私も非常に不満に考えますのは、今回の改定で、なるほど限度額については多少お上げになったことはわかるわけであります。しかも、これをもって十分だというふうに、今朝の政務次官の趣旨説明の中にもありましたが、私どもはそういうふうに考えられないと思います。 一例をもっていま中川委員からお話のように、限度額だけ借りられるという人が、今回の災害を受けたもの、すなわち、政府が認められました収穫皆無あるいは三分作、五分作、こうした以下の該当者に、当然の要求にこたえるだけの額が総体的に出るのか出ないのか、こういう点が私は非常にわからないのであります。なるほどおきめになりました額で見ますと、融資法の場合におきましても三十五万になったわけでありますから、これがかりに十万戸あるとすれば三百五十億要するわけであります。いま大体百億以上というお話がありましたけれども、聞くところによれば、百三億ということになりますと、これを十万戸に割れば十万円しか当たらない。しかし、このワクで三十五万ずつ当てますと、三万何戸しか当たらないわけです。いまの北海道の実情でもって要請をいたしておりますのは、少なくとも収穫皆無といいますか、それに該当するものは大体十万戸に到達する。しかも、そのほか七分作以下のものについても考えますと、十五万戸は当然必要だという数字が、北海道だけでも実は出ているわけであります。そういたしますと、いま政府の考えておられる三十五万あるいは二十万という線で、どれだけの農家にこれによってほんとうに災害を受けた者の経営資金が当たるものか、こういう点を十分御調査願っておるはずでありますから、対象農家の戸数をここでひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。
○赤城国務大臣 融資希望農家は大体十万戸というふうに見ております。
○松浦(定)委員 十万戸と見ておって、そして今度の改定でもってその十万戸の要求にこたえるには、先ほど申し上げましたような形で三十五万要るわけなんです。なるほど数字の上では三十五万にふやしてやるぞというけれども、片一方の金額では百億近くしかないということでありますれば、実際問題としては十万円の限度額といったような形に結果的になるわけでありますが、こういう点の調査といいますか、もう少し具体的に、だれが聞いてもなるほどと思えるようなお考えをお示しいただきたいと思います。
○中西政府委員 お話の点、平均しまして割り算をしますと、そのとおりになるわけでございます。ただ、被害の実態あるいは被害を受けました農家の経営の中身と申しますか、現段階における農家の余剰の蓄積等を考え合わせるとほどほどの金額ではないかというふうに考えておるわけです。と言いまして、百三億を全然ふやさないということを言っているわじゃないのです。できるだけの努力をしたいと思いますが、従来の各種災害の場合の資金需要の実態から見まして、こういう見方で決して無理はないという、これは経験上の問題でございますけれども、そういうふうな判断で資金ワクをきめてまいりたい、かように思います。
○松浦(定)委員 そうしますと、この三十五万はきめたけれども、それに該当する人はないのだという結果があらわれておるような見方にしか考えられないわけなんです。そういうことになるのですか。
○中西政府委員 該当する人の数は相当あると思うのですけれども、もっと少ない金額で済む人もあるという、その辺のからみ合いで考えておるわけであります。
○松浦(定)委員 そうしますと、道でもって五百七十三億、それから政府でもって五百三億ですか、この被害があった。しかし、被害はあるけれども、余裕があるから、この程度でいい、こういう結論になると思うのですが、そうしますと、この三十五万というものは、預貯金も何もない、もうあすの生活にも困る、こういうものだけに対してこの三十五万が適当だ、こういうお考えで御決定になったのですか。
○中西政府委員 北海道の農家経済調査から申しますと、平均いたしまして二十五万円から三十万円程度の農家の預貯金がございます。被害は五百三億円の被害がございますけれども、その被害の態様はそれぞれ農家によって違いますし、従来の経験から推しての融資ワクでうまくおさまり得るというふうに考えておるわけです。なお、五百億をこえる被害があって、百億ばかりの融資額で足りると思っておるのかというようなお尋ねでございますが、天災融資法の融資のほかに、保険の関係もございますし、自創資金の関係もあるということで、要望に沿い得るのではないか、かように思っておる次第です。
○松浦(定)委員 保険の関係が七十億くらいあるということを一応聞いているわけですが、自創資金が現在の四十億に十億ふえるとして、それを合算いたしましても百五十億円にしかならない。私どもの言っておる数字からいいますと、十万戸で十五万円しかならぬ、こういうことになるわけです。いまお話によりますと、預貯金が三十万内外ずつあるというお話でありますけれども、これは御承知のとおり、私どもの知っている範囲内でも、一千万以上持っておる農家もあるわけであります。それから数百万の人も相当あります。とにかく二十二万も農家があるうちですから、それは数百万あるいは一千万以上、千万台以上持いってる人も少なくないわけであります。しかし、そういう人は、おそらくこの問題について二十万を三十五万にしてくれといったような運動の中には入っていないわけです。そういうことでない者、ほかの人はよけい貯金をしておっても、実際にはない人もあるのでありますから、平均で三十万あるからというような、そういう機械的な計算の上でこの問題を——しかもこれはもう九月からそれぞれ委員会、本会議、予算委員会、多くのところで議論をし、調査された結果においてのいまの御回答で、いままでこういうことはお話になかった。三十万の平均のあれがあるから、おそらくあるだろう、こういう考え方で、今度の融資ワクを三十五万にしたって、これはもう借りない者も相当あるし、あるいは貸さなくてもいい者も出てくるから、これで間に合うのだ、こういうことでありますけれども、そういうような個々の預金の調査というものをされたのですか、そういう点を伺っておきます。
○中西政府委員 いま私が申し上げました一戸当たり三十万円程度といいますのは、農家経済調査に基づくものであります。したがいまして、お話のように、非常に大きな預貯金が平均化されてその中へ入っております。また、一戸当たり三十万円の預貯金があるからということで、そのまま算術の数式として、その結果百億というものを導いたものではございません。一つの着眼点として申し上げたのでございます。 〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 計算の問題としましては、現地の実情と過去の経験から導き出すというやり方を用いておるわけです。おそらく若干の増額の実現を見るかと思いますけれども、その辺で現地で十分おさまり得るのではないか。と申しますのは、たびたびの災害で、融資ワクあるいは個々の農家についての限度等につきましていろいろな要望がございますけれども、いままでの経験からいたしますと、それぞれ結果として見ますとおさまってきておる。そういうふうな観点から今度の分もきめていったらどうか、かように思っておるわけです。
○松浦(定)委員 農林省はなるほど現地の事情はよくわかりますしするから、大臣以下いろいろそういう点については御不満だということはおわかりになっておると思うのです。しかし、大蔵省がなかなか、これはもう何も農業関係ばかりではなく、あらゆる問題について、大蔵省としては非常に予算上の面というと渋いわけです。私どもは、この災害の問題についてはそういうことを超越してやってもらいたいということを絶えず言っておるのでありますけれども、出す金においては同じだというような考え方で、いまお話しのように非常に難色を示しておる。ですから、この点、私は、ここで農林省の努力されておる関係者にこういうことを言っても、結果的にはもう大蔵省のほうでどうにもならないからということであるならば、こういう委員会にも大蔵省に来てもらって、われわれとしてやはり協力する点については十分やらなければいかぬと思うのですが、事ここに至りまして、ここでどうこうというわけにはまいらぬと思うのです。しかし、いまお話しの中で、一番私はどうかと思いますのは、過去の貸し付けた例によって間に合ってきた、あるいは一部、数年前いろいろな意味で会計検査院からいろいろ指摘を受けるような貸し付けの面もあったということも、私は承知をいたしております。しかし、今度の冷害こそは、そういうようなことについては十分配慮をいたしまして、道以下関係者は今度の早場米については全く適正を期する、そういう中で、調査には一本の形で調査をしなければならぬということで、われわれ国会側から言うと、ずいぶん農林省や道庁を責めるような形で、この調査の結果がおそいのではないかということを言っておりましたけれども、そういう万全の策を講ずる意味においてやった調査なのであります。そのあらわれが、やはり十五万戸というものについては、多かれ少なかれ、たとえ三万でも五万でも貸さなければならぬ、こういうことの結果が、要求として出てきておるわけであります。その中で、いまお話しのように、これはもう十万戸のうちでも相当数間に合っておる、しかも預貯金等の問題について、ただいままでのデータの上でそういう判断をされておるということにこれはなると思うのですが、実際問題としては、個々の預貯金なんというものはもう調べられるものではないと思うのです。しかし、現実に見た目で、水田にいたしましても畑作にいたしましても、少なくとも最低百万から百五十万、二百万の収益があるべきものが皆無である、しかもそれに対しては、最低数十万以上の肥料代あるいは農薬その他農機具に対する損害というものがあるわけなんです。そういう状態の中で、もしかりに三十万円なら三十万円という貯金があるから貸せないのだということになりますと、末端においてこれは私は金が余ってくる問題があると思うのです。それはなぜかというと、一面で借金をしておりましても、農協にはある程度預金をしておくわけです。あれも貯金、これも貯金ということで、融資を受けるために貯金をしておる者もあるわけです。一方で借金をしながら、一方で積んでおく、こういう例があるのです。そうすると、借金のほうは何も考えないで、貯金のほうだけを考えて貸し付けるということになりますと、これはもう自分の借金を言うのはいやだ、ほかに二百万も三百万も借金があるということを言うのはいやだから、このままで、十五万や二十万借りなくても別に借金すればいいということになるわけです。そういうような現状でありますから、私は、今度の問題では、なるほどただ二十万を三十五万に、あるいは二十五万を四十万にされた、これだけ見ますると、これはもう賛成したっていいのではないか。もう昨日からきょうあたり、いろいろ農業団体その他の関係者は、これは反対するのはおかしいのではないか、これでは困るのだ、こう言っておられるのですけれども、全く困る人があるわけです。しかし、そちらのほうでは、これは困っているものはたいしたことはないのだ、もうこれで余ってくるのだ、こういうような見方で今度の改定についてお考えであるならば、いままでかつてない災害に対して非常な落胆をするであろうと私は思うのです。したがって、それが来年度の再生産に影響する、これは当然であります。ですから、いま私どもとしては、この限度額を引き上げてもらいたい、しかし、私は、限度額を引き上げるということについては、極端なことを言いますれば、あまりこだわらなくてもいいと思うのです。社会党は、昨日提案いたしました面についても、相当限度額の引き上げについては努力をいたしております。しかし、いまのような形で、いよいよ貸すということになって貸せないような額では、何ぼ引き上げてもいかないわけであります。このような数字で、三十五万と四十万、あるいは五十万、こういうものがたとえば北海道に貸せることになっておるのですから、これがそのまま貸すことができるならば、先ほどもお話しになりました共済の七十億もあるし、あるいは自創資金もおそらく六十億ぐらいはおふやしになると思うので、そういうものを合わせれば、やはりわれわれ社会党が希望しておるような形に大体追っつくわけです。しかし、数字はこういうふうに出したけれども、現実には貸せないのだ、したがって、そういう積算は百億くらいでとまるのだというお考えですから、いまお話しになりましたようなそういうこまかい数字で、実際あすからどうするかという農家を説得しようと思っても、これはできないわけなんです。災害対策が九月から進められまして、調査が終わって、私どもいつも言っておるように、十一月の二十日までには何としても今日現段階においておやりになっておるようなことが各農協から農家にまで伝わっておらないと、おそらくこれは収拾がむずかしいということを私は申し上げておったのです。ところが、今日になりまして、この問題でいきますと、いまのようなお話で、これを単協でいよいよ個人に対して配分するということになりますと、これはもう非常にむずかしい結果が出てくる、私はこう思うのでありまして、この際、私どもとしては、融資額をふやすのは、当然総体の資金額をどの程度に考えておられるかということが一番大事なかぎになると思うのです。いまのお話で四十五億、これは青森県を含んでおりますが、青森県は数ヵ町村にだけだといいますから、たいしたことはないと思います。しかし、百三億では、これはもうだれが考えたって十分ではない。それに自創資金が入りましても、あるいは保険金が入りましても、これは私は十分だとは考えていないのです。この保険金が入るのは水田農家だけであります。畑作農家には麦類で少し入る人があるかないかというだけであります。水田農家は、この保険金が七十億入っても、これの何十倍かの被害があるわけです。ですから、七十億入っているから、総体のワクがかりにたとえば百億であっても、これを加算してもいいのではないかというお考えは、私は北海道の今度の冷害の全体に対しては当てはまらぬのではないかと思うのです。ましてや、畑作地帯の中心である地帯におきましては、この保険金がないということだけにおいても、共済制度の今日までの不十分な点を十分指摘いたしておるわけでありますから、この機会に、保険金があろうとなかろうと、やはり同じ農家の立場に立って今度は救済政策が実現されるべきだ、こういうふうに私は考えておるわけであります。ですから、いま百三億という算定は、やはり農家の経済状態のそれぞれのものをお考えになって、ワクはこうきめたけれども、これでいいのだということになろうと思いますが、それはいまそれ以上というお話がありましたけれども、道といたしましては、先ほど申し上げましたように、非常な努力をいたしました積算が百五十億でありますから、これはおそらく百五十億が百五十億必ずしも全額認めていただけるということにはならないと仮定いたしましても、最低限度、どんなに譲歩いたしましても百二十億を下っては、いかなる理由をつけて説明されようとも、現地の実態を救済するということについては、この法律をもってしては十分だというふうには考えられないと思います。ですから、いまの百三億というものが最低百二十億になるかならぬか、それに近い数字といいますか、完全に百二十億程度のものが出ないと、いまの自創資金がかりに六十億になりましても百八十億にしかならないわけであります。要求する二百五十億よりは七十億も少なくなるわけでありますから、この点についてもう少しお考え願いたい。農家の預貯金の点とかなんとかいうような、そういうむずかしい、重箱のすみをほじるようなこまかい調査をやっても、これはどうにもならない災害である。そういう天災的なものを救うのがやはり政治であるわけであります。そういう点に十分考慮をされないということになるから、これは政災であるとか、あるいは人災であるとかいうような、われわれ自体としても耳の痛いようなことばを現地で聞かなければならぬわけであります。こういう点については百歩譲るといたしましても、いま申し上げました限度額を引き上げるということについては非常にむずかしい。しかし、貸し付ける総額においては、認定のし方できまるわけです。いまのようなお話でありますならば、これはもう百億でもそうなんだ、百五十億になってもそれはもう反対できない、こういうわけですと、農林省、大蔵省の話し合いがつけば、これはもう与野党としても異議がないわけでありますから、そういう点について、少なくとも最低どの程度までお上げになるだけの御意思があるかどうかということを、ひとつ大臣から御答弁を願いたいと思います。
○赤城国務大臣 北海道の災害対策につきましては、十分あらゆる手を打ちまして、最後に残ったのが融資だけの問題になっておると思います。融資の中でも、現在融資法の総ワクが非常に足りないのじゃないかというお話をるる承っております。少なくとも百二十億は必要じゃないかということを承っております。できるだけ努力をいたしていきます。
○松浦(定)委員 大臣の御答弁も、なるほどいまここではっきり幾らということは言えないことはよくわかります。しかし、いま申し上げましたような形でありますから、この点については十二分にひとつ御配慮を願いたいと思います。 それから今度の改正案では、先ほど午前中の委員会で政務次官のごあいさつの中にありましたが、金利並びに償還期限等については次の通常国会で考えたいと、こういうごあいさつであります。私どもの手元へ今朝配付になりましたこの提案理由の御説明の中には、そのことが実は入っていないわけなんです。この点は、先ほど、そう言うと少しおかしいのでありますけれども、政務次官は入っていないままの御意見をお出しになろうとしたところ、そこへ口頭でもっていま申し上げました点を挿入されたわけであります。私は、結論的にはわからぬわけではございませんが、そうしますと、その間において、今朝手元へこの書類が配付になるまでは、そういうお考えはなかった。しかし、その後これを入れるというお考えになったということについては、今日までの経過では、そういうことは全然考えないでおられたのか、この点をひとつちょっと御説明願いたいのであります。
○舘林政府委員 私、午前中に大臣にかわりまして提案理由の説明をしたときは、いまのお話のように、金利並びに償還期限につきまして、特別に次の通常国会で考えるということを申し上げた次第でございます。またお話のように、皆さま方のお手元に配ってあるものにつきましては、印刷の中にはそれが入っておりません。御質問はごもっともと思います。ただ、私が大臣にかわりまして提案理由を説明いたしましたのは、いま政府が出している案につきましての提案理由の説明でございました。しかし、その後いろいろ大臣の御意見等も承り、また議員の方々の御意見を承りまして、やはり次の国会において金利の問題と、それから償還期限の問題をどうするかということが一番関心の中心であるということがわかりましたので、大臣の御了解を得まして、先ほどのように御説明申し上げたような次第でございます。したがいまして、当然印刷されたものは間違いでございまして、直ちに新しく刷り直しまして補整いたしたいと思います。
○松浦(定)委員 ですから、やはりそういう重大な問題をそこまでお考えになっておるのなら、今朝これをお配りになるときに、別に張ってでもお出しになれば、何も私どもはせっかくの御意思を曲げているような形ではなかったというふうに思いますが、実際問題としては、もしこういう点にそれだけの御配慮があるといたしますならば、やはりどういうようなお考え方でおやりになっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。先ほど中川委員からの質問にもちょっとありまして、お触れになったようでありますが、たとえば金利の問題について今度通常国会で修正されますと、それからしかこれを該当させない、したがって、金利の問題ではさかのぼってこれをするということはできない、こういう大臣のお話です。私もこれは非常にむずかしいことだと思うわけです。しかし、今度のこの天災法の融資はおそらく来年度の経営資金でありますから、最終の来年の五月、あるいは時によっては七月、八月、その時期にしか使われない金も実はあるわけであります。よほど早くても一月、二月から使うわけであります。来年の三月−五月ごろにもしこれが改正されまして、そしてこれを遡及するといたしましても、その間の利子はおそらく少ないと思います。ですから、極端に申し上げますならば、いまからそれをおやりになっておいても、はっきり何らかの形でお示しになっておいても、政府としては、金額の点からいってはそんなに負担になるようなことはないと思うのです。こういう点につきまして、やはり遡及するということが法律上ではできないけれども、その間の必要とする利子差額というものについては何らかの形で考えることがはっきりしておれば、私は、これは今回の暫定措置法に対するさらにまた暫定的な考え方としては、一歩前進である、こう思うのですが、この点はどうお考えになっておりますか、お尋ねいたしたいと思います。
○赤城国務大臣 大体法律のたてまえは、遡及しないというのが原則でございますけれども、事災害であり、財政的な問題でございますので、ワク等はさかのぼって実施するということに提案した次第でございまして、金利の点につきましては二つあると思います。事務的にたいへん複雑化してきやしないかという面、それから少額であるけれども、御意見のように何とかさかのぼらせてもいいのじゃないかという御意見等も承っておりますが、これはなおいろいろ打ち合わせる方面もありますし、そういうことを頭に入れて研究していきたい、こう思っておりますので、御了承願いたいと思います。
○松浦(定)委員 金利の点はそういうことで御努力願いたいと思います。償還期限の延長等についても、これは五年を七年にするとか、あるいは七年を十年にするとか、こういうことについては、十分その実態に応じてやっていただける、そういうお考えでの御提案だろう、こう思うわけであります。 そこで、政府が今度の問題で非常に努力されておっても、われわれとして、わりあいにそれに対して努力が不十分ではないか、こういうふうに指摘いたしますのは、今度の場合は利子補給をされるだけでありますから、その間の額は非常に少ないわけであります。今度の百億くらいになるという利子補給について、五ヵ年間に利子補給の金額がどの程度になるのか、あるいは初年度にどのくらいか、この点をちょっとお聞きしておきたいと思います。
○中西政府委員 これは概算でございますが、百億としまして、十年間の利子補給の累積をいたしますと十億でございます。
○松浦(定)委員 いま十ヵ年と言いましたが、これは五ヵ年と七ヵ年とあるのですから、ちょっと……。
○中西政府委員 失礼いたしました。訂正いたします。五ヵ年であります。
○松浦(定)委員 五ヵ年間に十億、初年度の場合はどれくらいになるのですか。
○中西政府委員 初年度が二億六千万でございます。
○松浦(定)委員 そんなになるのですか。初年度というのは、たとえばこれが今度実行されて、来年一月、二月から貸し付ける、そうすると、来年初年度というか、四十年度の末で二億六千という数字になるわけですか。
○中西政府委員 さようでございます。十億と二億六千万円といいますと、初めのうちは多過ぎるじゃないかというお感じだと思いますけれども、毎年償還していきまして元本が減ってまいります。そういう関係でそういう数字になるわけでございます。
○松浦(定)委員 いまお聞きいたしまして、百億になっても十億程度の国の支出である、こういうことであります。実際問題といたしましては、くどいようでありますけれども、この大災害に対して、政府は五ヵ年間に十億の支出をする、そういう法律を今度つくるにあたって、非常に詳細な調査をされておる。その結論が、被災者といいますか、現地の農民に対しては期待に沿えないということになるわけでありますが、私どもとしては、この機会にひとつ全面改正を要求するということは、利子の問題、償還期限の問題とあわせて今回御提案になることのほうが、実際問題としては合理的であったと思うのです。時間がないし、いろいろの関係がありますから、申し上げてもどうかと思いますけれども、次の通常国会にこの問題を金利の面についても償還期限の問題についても十分考える、こういう農林大臣の御言明でありますから、今日の段階において、私どもとしては、最終的には融資総額が、先ほど申し上げましたように、そういうお話でありますと、百三億というものは何かそこに理論づけられてしまうのではないかという心配があるわけであります。ですから、この機会におきましては、これを十二分に配慮していただくことによって、現段階に出されておるこの改正法案も生きてくるのでないか、こういうように思うわけであります。 いろいろ他の同僚議員からの御質問もあろうかと思いますし、それぞれ今後の話し合いもあろうと思いますが、こういう点をひとつ十分御検討をいただくことによって、本法の趣旨が被災地、被災農民にいきわたるように、そうしてまた、来年の再生産ができるように、私どもとしては大臣以下関係者の方々の御努力をここに切に望んでおく次第でございます。 本日は時間の関係もございまするので、以上の点につきまして御質問申し上げまして、私の質問を終わりといたします。
○赤城国務大臣 十分御意見の趣旨に沿うように努力していきたい、こう思っております。
○仮谷委員長代理 林百郎君。
○林委員 最初に、従来北海道の農業は非常に借金の多い農業でして、これは赤城農相も北海道に行っておられるようですが、借金の非常に多い農業経営をしている農家なんです。したがって、今度の災害によって天災融資法で配慮をしましても、その配慮された金が従来の借金の穴埋めのほうに回ってしまう。したがって、農協としては、従来からの借金の帳簿上の操作だけで天災融資の金をやって終わってしまって、現実に農民の手につかない。したがって、せっかく天災融資という名目で、はなはだ不十分な金でありますけれども、融資をすることを考慮しても、それが農民にとっては実際はことしの災害の復旧の面に金が回らないという問題があるわけなんですが、その点については農林大臣はどうお考えになっていますか。 〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕 このことについては、現地の新聞で、これは新聞の名前を切り抜いてしまったのでちょっとわかりませんが、赤城農相が行ったときに、質問として、せっかく天災融資法が適用され、融資の道が開けても、負債が多いために融資を受けることができない農家も出てくると思うが、この点何か配慮できないものか、こういう現地の新聞記者の質問があったわけですけれども、これについて農林大臣はどういうようにお考えになっておりますか。
○赤城国務大臣 せっかく天災融資法によって経営資金を出そういうのに、前に借金があるから、それと相殺してしまうというか、帳簿上で片づけられるということは、この冷害に対する救済措置を曲げていくようなものでありまして、私は当を得ていないと思います。農協等のいろいろな事情はあろうと思いますけれども、前の借金は前の借金、これもできるだけ条件なんかを緩和して長くするようなことにすべきであるし、今度の天災融資法による営農資金は、営農資金として使えるように私は指導していきたい、こう思っております。ことに利子補給があるのでありますから、そういう意味におきまして生きていくように指導していきたいと思います。
○林委員 具体的な指導をお聞きしたいのですが、農相も、新聞記事によりますと、借りかえればよいわけだが、手続がめんどうなために、みんなやめてしまうという点があるようだ。これは扱う人にもよるが、冷害への融資はあくまでことしの被害に対する処置として考える必要がある。考える必要は必要でいいだろうけれども、現地の農協の操作が帳簿上の相殺というような手続をしておる場合に、農林大臣の言うように、冷害への融資は、あくまでことしの被害に対するものとして考える必要がある。考えるだけで片づかない状態に現地ではなっておるので、どういうような指導を具体的にされておるのかということをお聞きしたいし、またどういう指導をしようとするのかということをお聞きしたい。
○久宗政府委員 手続のことでございますから、私から便宜お答え申し上げます。 災害が起こりまして、特に今度の北海道の災害の場合は、非常に膨大な被害でございますので、御指摘のような問題も起こり得る可能性があったわけであります。そこで、私どもといたしましては、もちろん組合の内部での取り扱いは別といたしまして、制度金融につきましては、災害が起こりまして、十月の初めに、いまの制度融金ではいろいろこれを延ばします措置がございますので、具体的に通達を出しまして、いまおっしゃるような問題にならないような措置をとったわけでございます。これはなるべく趣旨が徹底いたしますように、毎回災害の際はうたっておりますけれども、今度の冷害の場合は、特にそれを注意いたしまして、比較的早目に処置をいたしたわけであります。 それから今回の改正で、いま御提案しておりますものの中では、従来は新規の被害者、前に経営資金を借りておられて、今度お返しになる分がまだ残っておるという方の扱いが、いわば内ワクの中で処理されておったわけであります。今度は北海道で例をとりますと、三十五万までになりますが、そのほかに借りかえ資金というものは外に出しまして、新規の方でもあるいは負債のある方でも、借り方は同じ形になりまして、もとの負債の分、借りかえる分を外ワクにいたしました。この点は従前よりも非常に改善されたのではないかと思います。
○林委員 これは農林大臣御承知かどうかわりませんが、北海道では特別に農協が、組合勘定というか、組合貸し付け勘定という制度がございまして、大体三、四月ごろ、その農家の年間の収入を計算しまして、それを毎月に分けて、そして生活資金と営農資金を農協が営農を管理するというような形で毎月貸し付けているわけですね。これは中小企業の銀行管理みたいなものです。ところが、今度の災害が出ましてから、組合のほうでは、その組合勘定の貸し付け金を停止して、もう新たにこれから組合勘定の貸し付けをしても、ことしの災害ではとうてい農協としては回収する見込みがないから、これを停止いたしますといって、災害で非常な打撃を受けているところへ、さらに組合勘定の貸し付け停止の処置までされて、そしてそのことが、もうやむを得ず農民が離農をし、北海道から、内地というか、本土といいますか、こちらのほうへも農業をあきらめて流出しなければならないような状態、あるいはもう営農をあきらめて他の生活の方法を考えなきゃならないような深刻な状態にきておるわけでありますけれども、そういうような農業協同組合の処置について、農相としては実情を把握されているかどうか。また把握されているとすれば、どのような指導をされているのか。特に、そういう組合勘定制度というものがある北海道の営農の特質性から考えて、やはりこれは捨ておくわけにいかない状態だと思いますので、その点をお聞きしたいと思います。
○久宗政府委員 いまの組合貸し付け勘定のございますことは伺っておりますし、またそういう運用を北海道でしておられることも存じておるわけでございますが、さような場合に、もし単協で資金がお困りになるという場合でございますれば、当然これは系統組織といたしましては、信連がごめんどうを見る、またそれが困れば中金がめんどうを見るという形で、段階的に処置するよりいたしかたないと思います。
○林委員 そうしますと、天災融資法の中の、北海道の道とそれから北海道の農協の連合会との間で、そういう損失補償もするんだという契約が現実にされておるのか。されておるとすれば、どういう内容の契約がされているのですか。
○久宗政府委員 単協と信連の間の損失補償という問題ではないと思うのでございます。もちろん、単協でやっておられますいまの勘定につきましても、その額とかそれからその地域の組合によりまして、いろいろそれをやっておられますために、単協資金がどのくらい苦しいかというのは、被害の度合いにもよりましょうし、あるいはその勘定の運用にもよると思いますので、一律にまかなえないという問題ではないと私は思うのです。したたがいまして、普通に考えますれば、これは当然道の信連でお扱いになるわけでございますし、その場合に、その関係だけで資金が足りないということも考えられませんが、かりに足りなければ、さらに中金が調節するということで処理ができると思います。また、その場合に、いま御指摘の損失補償の関係は、これは単協と信連の間ではないと思います。
○林委員 いや、私の聞いているのは、単協と信単連ではなくして、単協は単協で非常に被害を受けて、一番被害を受けて、単協としても苦しい地域、市町村としても苦しい地域があるわけですね。そういうところへ、問題の処理をそういう下のほうに押しつけてしまって、そして道と北海道の農協の連合会との間の契約、さらには道のそういう契約に基づく天災融資法の三条の国庫楠町の措置、こういうプールについて、上のほうの大きな綱をまず張ってやらなければ、現実に被害を受けて一番困っているところの単協と、それから農民と、そこの財政に乏しい市町村で問題を処理しろということだけで突き落としたんでは、これはいま言ったような事態、ことしはあなたのところへは貸し付けはできません、組合勘定の貸し付けもできません、あるいはせっかく融資がきても、あなたは前の借金があるからこれに充てます、あるいは新しく融資を受けるなら土地を抵当に入れなさいというような、非常に深刻な事態が出ているわけですよ。そういう場合に、道と農協連合会あるいは信連との関係、それに対する天災融資法の三条に基づく国庫補助ですね、この操作がどのようになされているかということなんです。まだ何もしてないのですか。
○久宗政府委員 具体的にはいろいろなケースがあると思います。単協のほうの資金繰りと、それからその町村の財政の問題があると思いますが、町村財政につきましては、別途交付金のやり方に特別な措置がございますので、この処置はできると思うのでございますが、一応系統資金で申し上げますと、単協でどうしてもできません場合には、これは実質的には信連が乗り出す以外にないわけでございますが、その場合の組織といたしましては、やはり単協を経由する形をとらざるを得ませんけれども、実質的には単協でなくして、信連が直接乗り出すという形で処理するものと考えられます。
○林委員 ちょっとおかしいですね。天災融資法の三条の、都道府県が連合の金融機関との間に、連合の金融機関の利子補給をしたりあるいは損失補償するような契約をしている場合に、それをさらに国が補助してやる、もし都道府県がそういうことによる利子補給あるいは損失補償をして負担をしておった場合には、国が補助してやる、こういう前提のもとに、都道府県、すなわち北海道の道と、農協の北海道の連合会の信連なら信連との間の補償の契約、利子補給の契約が現在なされているのかいないのか。いるとすれば、その内容はどうか。それに対して国庫補助としての行政的な指導はどうしているということを聞いているのですよ。
○中沢説明員 御承知のように、十一月九日で、北海道の冷害に対するいわゆる四十五億といっておられます政令を公布施行いたしました。現実には北海道道庁におきましてこの割り当て事務を進めていないようでございます。したがって、契約の準備はいたしていると思いますけれども、まだ市町村段階まで入りました損失補償契約及び利子補給契約の、組合と公共団体との間の手続は完了していないのではないか、こういうふうに考えております。
○林委員 道と信連。
○中沢説明員 道と北海道信連との間におきましては、すでに臨時の道議会が開催されたというふうに聞いておりますので、道と信連との間におきましては、契約が成り立っておるのではないか、こういうふうに考えます。
○林委員 成り立っているのではないかなんて、いまごろになって農林省がそんなことを言ってどうなんですか。災害のあったのは九月でしょう。それを、大事な天災融資法の一番の大ワクがきまったかどうかまだ知りませんなんていうことで、あなた、北海道の冷害に対する農林省の親切な処置と言えますか。まずそこがなければ、上のほうの補償がなければ、下のほうはできないんですよ。下というのは、ほんとうに冷害を受けて、現実に困っているところなんだから、その困っている単位農協と単位市町村と、それからこの農民が何とかしろしろといって、上のほうが大きな網を張ってやらなければ、十分安心してできないでしょう。だから、もし道が道議会でどのような議決をしたのかわかっているなら、ここで知らしてもらいたいし、わかっていないなら、もうやむを得ないから、至急資料として私のほうに提出をしてもらいたいと思うのです。
○中沢説明員 おしかりを受けて恐縮でございますけれども、道議会でそういう信連との間における契約が締結されたというふうに確認しておりませんが、確認次第、その内容を資料として提出いたしたいと思います。
○林委員 それからもう一つ、その問題とからみまして、そういう組合勘定の支給が停止されますので、農民としては、農業系統の融資によって生活を立てるという道ができませんので、やむを得ず、一般的な救済土木事業だとか、あるいは生活保護の支給を受けるというような、これは農民としてはまことに残念ですけれども、そういう方法も考えざるを得ない。私のほうの調査によりますと、大体従来でも、北海道で農家として生活保護を受けていた者が一万二千三十六人であった。ところが、今度の冷害によって、さらにそれが二千八百五十五世帯、一万四千九人、生活保護を受けなければ生活が成り立たない農家が発生したということが、道の民生部の報告から出ておる。ところが、農民が生活保護を受けたいとしても、あそこは御承知のとおり本州とは違いまして、耕作反別が非常に広いところだものだから、やむを得ず、農機具を持っているとか、農業用の役畜を持たざるを得ないわけです。そこで、生活保護を受けるということになって民生委員が審査するときには、おまえのところは農機具がちゃんとあるじゃないか、おまえのところには役畜があるじゃないか、それで生活保護を受けるとは何事だということで、生活保護の適用が狭められてきて、受けるわけにいかないような状態になっている。ところが、よく調べてみれば、その役畜も農機具も借金のかたまりみたいになっている。持っていたからといって、それが生活を助ける手段になっておらない。こういう状態なのに、その借金のかたまりのような役畜があるとか、あるいは農機具があるということのために、北海道の農民が生活保護すら受けることができない。私のほうの調査ですと、九月以降、七日に一人ずつ自殺者が出ているということが伝えられております。そういうことに対して、これは管轄は厚生省だと思いますが、厚生省の政府委員にお聞きしたいのですけれども、生活保護を受けるかどうかというのは、形の上だけで、農機具があったり役畜があったり耕作反別が広いということだけできるべきではなくて、その農業経営の内容はどのようになっているかということから、どうにもならない場合には、農民であっても生活保護を受けるよりしかたがないという状態になっていると思いますが、その点について厚生省はどう考えているのか、具体的な生活保護の適用をどうしているのか、お聞きしたいと思います。
○加藤説明員 生活保護の農民に対する適用の条件でございますが、生活保護におきましては、農民が最小限度の営農のために必要な農地あるいは役畜、農機具につきましては、地域の実情によりまして、たとえばいま御指摘のありました北海道における五町歩と内地における五町歩とは質が違いますので、地域の実情に即して、いわゆる中以下の営農の最小限度の保有については、これを保護をかける場合に欠格条件にはしない、そういう態度をとっておりまして、現に私どものほうで北海道の主管課長を呼びまして聞いてみますと、たとえば開拓地においては馬を二頭持っている、これは最小限度だから保護の条件にする、さような態度をとっております。 なお、借金の問題でございますが、生活保護におきましては、過去の借金を認めることはできませんので、借金をしておられるときには、申しわけないけれども、貸したお方は、借り主が生活保護を離れられて返済能力ができるまでお待ち願いたい。生活保護としては、現に生活をされるいわゆる最小限度の生活を保障する、そういう態度でございます。
○林委員 九月に、御承知のとおり、北海道であのような未曾有の農業災害があったわけでありますが、そのことによって新しく農家として生活保護を受けるに至る世帯、新しく増加した世帯数と人員はわかりますか。
○加藤説明員 私のほうでさっそく月別の報告をとっておりますが、現在のところ、収穫が悪くなったために直ちに保護を受けたと歴然とわかるものは、まだほとんどございません。ただ、民生委員その他を通じて今後保護を受けるであろうという世帯がどれくらいあるかということを道では調査しているようでございますが、その調査も今後の問題でございますので、はっきりした数字はわかっておりません。
○林委員 災害は九月にあって、現実に生活保護をもらわなければ生きていけないという農家がたくさんあるわけなのですよ。それを中央の厚生省がまだ数字も把握できないというような状態は、これは農林省も同じですけれども、厚生省としてもいかにも冷酷な態度じゃないでしょうか。少なくとも九月に北海道でかつてないあのような大災害を受けて、テレビにしても、毎週冷害に苦しむ農民の実情ということで放送すらされているときに、その冷害のために、あるいはその農業災害のために、新たに農業経営ができなくなった、そうして生活保護にたよらなければならない、あるいはそれと明確な因果関係がないにしても、北海道としては、新たに生活保護を受ける世帯がこれだけふえて、これだけの人員になって、それに対してどういうような指導をしているかということがここで説明できないでしょうか。
○加藤説明員 実は北海道の冷害がありときましたに、すぐ北海道庁から来てもらいまして、それに対する北海道庁の見込みその他を聞きましたところ、いまお答えいたしましたように、民生委員を通じて調べている。なお、これに対する国の保護費の概算の支給がそれで足りるかという見通しでございますが、これにつきましては若干大目に配っておりますので、生活保護におきましては、月々のその農家の収入と、それから現実に御承知の生活保護の最低生活費を見積もりまして、不足額を出すわけでございまして、現実にそれは道が福祉事務所を通してやらしておりまして、具体的な数字としてまだ私のほうに上がってきませんけれども、あれば即刻やるように指示は済んでおります。この数字が具体的に上がってこないだけでありまして、私のほうでは遺漏のないように保護するように指示してございます。
○林委員 そうすると、大臣にお聞きしますが、大臣が北海道で言われておる、冷害への融資はあくまでことしの被害に対するものとして考える必要があるというあなたの談話、これは普通の商業新聞で見ておるわけでありますが、こういうお考えは、現在でもあなたの行政指導としてお持ちになっておるかどうか、その点と、厚生省のほうでは先ほどのように、単に形式的に役畜の牛を二頭持っているとか、あるいは農機具を持っているというような形式的な基準から離れて、北海道の農業経営の実情からいって、耕作反別の問題、あるいは歴史的な農業の特殊性からいって、生活保護を受ける場合には、内地の適用基準とおのずから異なった基準を立てるように指導している、こういうことは確認していいかどうか、お二人に、それでいいならいいで記録にとどめておきたいと思います。
○赤城国務大臣 ことしの災害はことしの災害と見て、それに対する対策をしていく方針でございます。これを古い借金や何かと相殺するというようなことにするようなことは、当を得ていないと思いますので、ことしの災害を災害として取り扱っていく、こういうふうに考えております。
○加藤説明員 生活保護におきましては、北海道独自の営農基準に基づきまして、最小限度の生活を維持するための基礎的なものは保有を認めております。
○林委員 それから農林大臣にお聞きしたいのですが、天災融資によって融資額を若干広げているのでありますが、われわれとしては、この程度のものでは、北海道の本年度の冷害で、北海道の農民の現状からいっては、とうてい農業の再生産を保障するに足るようなものではない、こういうように考えておるわけです。本会議場で赤城農相は、社会党の案を批判して、われわれのほうが現実的だというようなことで、妙なところでいばっておりましたけれども、しかし、現実的であるだけに、かえって実情に沿わないような、全く不十分というか、現状からいえば、農業の再生産に寄与することより全く遠く離れた程度のものだと思うわけです。そこで、これはどうしても必然的な結果として離農者がふえてくることは、これはもう全く現実としては否定できない現象となって出てきているわけです。 そこで、この問題について一つお聞きしたいことは、農相は先日の委員会におきましてこういう所信表明をしているわけです。「農業に対して熱意を失い、」私は、このことば自体、一体農林大臣が、農業に対して熱意を失う農民というのはどういうことを考えているのか、農林大臣からこういうことばを聞くのははなはだ遺憾だと思いますけれども、こういうことばを使って、そうして「離農を希望している農家が構造改善に資する方向で円滑に離農することができますよう、離農者が離農に際し必要とする資金及び資産を円滑に処分するための資金を長期低利に融通し、」それから「離農者の就職あっせん等転職を円滑かつ確実にする」こういうことを所信表明として述べられておるのであります。農業に熱意を失い、離農を希望している者に対しては、その就職あっせん、転職等を円滑かつ確実にする、農林大臣がこういうことを言われているわけでありますけれども、これは具体的にどういう制度のことをお考えになっておるわけですか。何か新たな制度を設ける構想をお持ちになっているのですか、この具体的な政策の内容をお聞きしたいのです。
○赤城国務大臣 農業に熱意を失っておる者もあろうと思います。これは農業よりも他の業体のほうがいいということで、他の業体にあこがれて、農業を粗末にしている、いわゆる荒しづくりしているというような人は現実にあるのです。これは農業そのものの政策もさることながら、やはり他の産業によって所得をよけいに得られるというような期待と希望を持っている者には——そういう者が農業者の中にもあるということは、これは事実でございます。したがって、そういう人で、実はほかの産業に入りたいのだけれども、他の産業のほうに安定的な保障がない。たとえば雇用につきましても、普通の雇用でなくて、臨時雇い的な雇用で他の産業に雇われているというような者などもあります。しかし、これが十分生活の保障も立つような雇用の安定を得られるというようなことであるとか、あるいはまた社会保障制度、あるいは年金制度などもその中に含むと思いますが、そういうような制度などもあって、少ない耕地でやっておるよりは、他の産業で働いたほうがいいというような考え方を持っている人も、兼業農家の中にはあると思います。兼業農家には、土地を放さないで、土地を耕して、そうして熱意を持っていながら、その熱意が十分に達成されない兼業農業もあると同時に、またよりよい就業の機会があって安定すれば、土地を捨ててそのほうに入り切ってもいい、こういう者もあろう、こういうことも事実であります。そういうことがありますので、あえて農民を追い出すということはありませんけれども、現在も七十万からの人が出ておるのでございます。でありますので、あるいは土地を放してほかの産業に入りたい、こういう希望、しかし、それには条件がございますので、離農するにつきましても、離農について職業の訓練もありましょう。あるいは離農するについての、開拓者などにつきましてもありますが、資金というものも必要でございましょう。こういうようなものがある場合には、その資金の手当をするというようなことをいたしまして、しいて追い出すのじゃなくて、どうしてもほかの産業に入りたいという希望があり、しかもその入るのに土地も手放していきたいということになりますならば、その土地を構造改善の基本であるところの経営規模の拡大のほうに回していくというようなことも必要であろう。こういう両面から考えまして、離農を好むといいますか、離農して他の産業に入るほうがいいと考えて、その方向へ向いていっておる者に対しましては、離農に対しての相当の手当をしていくべきではないか、こういうように考えているわけであります。
○林委員 私は、百姓をあきらめた者には、なるべくあきらめのいいようにしてやるということを農林大臣が言うのはおかしいと思うのです。兼業農家だって、だれも好んで兼業農家になったのじゃない。農業経営ができないから、やむを得ず兼業農家になるのでしょう。それは農業政策が貧困だからです。本来なら百姓は百姓でやっていきたいけれども、農業収入だけでやれないから、やむを得ず兼業農家になり、若い者は都会に流出せざるを得ない。そうしたら、農林大臣としては、どのようにしてこういう若い者を農村にとどめておき、どのようにして兼業農家を専業農家に振り向けるようにするかを考えるのが、私は農林大臣だと思うのですよ。ところが、赤城農林大臣は、百姓でなるべく土地を手放していきたい者は出ていってくれ、そのために援助するというようなことは、これは少なくとも中貧農のこの人たちの立場に立って、農家経営ができるような立場に立つ農業政策をあなたは考えておらない、私はこう思いますよ。結局、一部の大きな農家を資本主義的に発展さして、あとのものはもう百姓はあきらめたほうがいいでしょうという政策じゃないでしょうか。 私はお聞きしますけれども、あなたはここでは言いませんけれども、新聞で農地管理事業営団とか、そういうことを言いますけれども、そういうことを考えておられるのかどうか、考えるとすれば、農地管理事業営団というものをどういう構想でどのようにしてやろうとしておるのか、それはどう考えていますか。
○赤城国務大臣 兼業農家は農業政策が悪いと言いますけれども、いかに農業政策がよくいっても、一反歩や二反歩の農業だけでは食べていけません。たとえば米の価格を十倍にしても、一反歩や二反歩では農業だけでやっていくわけにまいりません。ですから、勢い兼業になっていくということでありますが、兼業で一反歩、二反歩でいくというのは、そういうものは捨ててもほかの業に入りたいという、これは職業は自由でございます。何も農業だけに押えつけておくということも、これは当を得たことじゃないと思います。そういう意味におきましては、やはり出たい者に対しましては、出るのについて手厚い方法をとってやるということは、これは政府として当然なことだと思います。 そこで、管理事業団の話でございますが、これは個人としてもありますが、やはり日本の農業全体として見ましても、経営規模が小さいということは、何としても日本の農業が、他の産業と比べて、生産性におきましても生活水準におきましても、あるいは国際的な競争力から見ましても、かよわい点だと思います。そういう点において、無理してでなく、できることならば経営規模が大きいほうか——これは小さい人を圧迫して大きくなるのじゃありません。地主、小作人というような関係じゃございません。やはり経営規模が大きくなっていくということならば、生産面におきましても、あるいは生産性におきましても、あるいは他産業との関係はもちろん、国際的にもよくなってくることであります。これは何も日本だけの問題じゃございません。世界的にこういうふうに機械化ができてくる、人手が不足してくる、こういうことになってくれば、いままでの耕作面積ではもう労力が余ってくる。余ってこないでも、労力が不足してくることに対抗できなくなってきております。機械化をしていくということになれば、やはり耕作面積も広くなくちゃならぬ。労力の不足の対策としても機械化をし、機械化をすれば、耕地面積が狭い。でありますから、開拓、干拓等によって耕地面積をふやしていくということも一つでございます。あるいは土地改良によって土地を集団化するということも、これは一つの大きな方法だと思います。しかし、同時に、やはり土地を手放す人があるならば、それをスムーズにあっせんして、そうして経営規模を拡大しようとする人に、たとえば二分、四十年の低利の金を回して、そうしてこれを取得させる。こういうふうにして経営を健全化していくといいますか、強靱化していく、こういうことは必要でありまして、そのためにほかの農業者に害を与えるということじゃございません。私は、そういう方向でそれをあっせんするといいますか、土地を取得し、土地を売り渡す、あるいは信託を受けるというような農地管理事業団という構想でそれを方向づけていく、こういうことが根本的に一番大事なことじゃないか、こういうふうに考えて、その構想を進めております。
○林委員 農業をやめたくなる人に対しては、やめる方法をスムーズにするように考えていると農林大臣は言いますけれども、好んで農業をやめる人はいないと言うんですよ。好んで兼業農家になる人はいないと言うんですよ。できたら親子、兄弟みんなで農村で働きたいけれども、農業政策の貧困のために、農村に、いては生活ができないから、やむを得ず出ていくのだ。やむを得ず出ていく者に対してはあたたかい配慮をしてやるということは、百姓に首をつらしておいて、首をつったのをおろしてやるときには親切におろしてやるというのと変わりないですよ。一反や二反の農家が兼業農家になっているのじゃなくても、もう七反から八反、北海道のごときは二町とか三町の農家が、経営ができなくて離農しかけているんですよ。そこをどうとめてやるかということが、農林大臣の所信の表明としては一番重要なとこじゃないか。その重要なところを、出ていくのを出ていきやすいようにしてやるということが、あなたの所信表明の根幹になっている。私はそんな農林大臣はないと思いますよ。 それからもう一つ、北海道へ行ってあなたはこういうことを言っているのです。これも大事な問題だと思います。北海道では、ことしは酪農だけが何とか被害を受けなくてやっていけた。それは被害を受けていますけれども、畑作や米作よりは少なかった。ところが、その酪農についても、その後の自由化の方向とからめて、農林省の態度が前向きの態度でないようなことが見えるので心配だという質問を受けて、これに対してあなたはこういうことを言っているわけです。「畜産振興事業団による乳製品の一手輸入がある。これによって国内の価格の操作もでき、差額を酪農振興に回すようにしたい。これはまだ予算折衝の段階で、きまったわけではないが、ぜひ実現したい。」これは不足払い制とかなんとか、いろいろ人は言っておりますけれども、これはどういうことなんですか。要するに、輸入も拡大していく、拡大した輸入によって得た利益を日本の酪農のほうへ回してやる、そういう構想ですか。少なくとも新聞で見ればこう書いてあります。「畜産振興事業団による乳製品の一手輸入がある。これによって国内の価格の操作もでき、」要するに、輸入によって国内の価格の操作をし、「差額を酪農振興に回すようにしたい。」これじゃ輸入が根幹ですよ。それで、あなたの施政方針演説を見ましても、乳製品の一元的輸入を行なうことを考えておる。これはもう天災融資法にからんでおる重要な問題です。だから、天災融資法のワクを幾ら広げても、あなたの考えておる農業政策の根幹がこういうのでは、救われようがないじゃないですか、北海道の農民は。(「関連しないじゃないか」と呼ぶ者あり)関連している。これはどういうことなんですか。
○赤城国務大臣 それは共産党から言いますならば、困った農家がたくさんできて、その困った農家を全部よくしようというような考え方かと思います。それも一つの方法でしょう。しかし、それが現実にできるかどうか。農業をやる人も他の産業に行く人も、これは職業は自由でありますから、好んで行く人もあるでしょう。だから、農業政策も大事でありますが、外へ行く人に対しては、あたたかい気持ちをもってこれを送り出すというのも、農村、農業を守るものとして当然のことだと思います。 それから、畜産事業団によって輸入をするというようなことは、輸入を増すことだ——輸入を増すことではありません。御承知のように、輸入を増すということは考えておりません。(林委員「増しておるんじゃないか」と呼ぶ)現実に入っております。入っておるけれども、日本の酪農品というものはコスト高でございますし、輸入品は安い。安いから、一手に輸入をして、日本の酪農に害がないような価格の操作をすれば、これは安いものを入れるのですから、相当の益は出るわけでございます。ですから、日本の酪農を保護するために、一手に輸入をしてそれで酪農資金が生み出せるならば、酪農振興の資金に回していくということですから、何も酪農を追い込むというか、悪くするようなことではない。酪農を進める考え方の基礎に立っておるわけであります。
○林委員 これで終わります。 あなた、そんな詭弁を言ったってだめですよ。日本の酪農を救済するためにアメリカから乳製品を入れる、そんなことは、あなただけがもっともだと思っているだけですよ。第一、学校給食をなま牛乳にしてくれ、脱脂粉乳の輸入を幾らかでも少なくしてくれと言っておるのに、全然してないじゃないか。しかもなま牛乳の生産費は、デンマークに次いで世界で二番目に安いのですよ。ただ、乳製品が高いのですよ。そこで、安い乳製品、ナチュラル・チーズだとかなんとかアメリカからどっと入れてきて、それでもうけて、そのおこぼれを日本の酪農民にやる。アメリカの脱脂粉乳やナチュラル・チーズのおこぼれを日本の酪農民にやる。それで日本の酪農を振興しようなんということは、あなたは、基本的にはアメリカの余剰農産物を日本へ入れる、これを佐藤内閣の基本的方針としてやっておるのだ。それじゃ農民としては承知しないから、幾らかおこぼれをやろうじゃないか、それは詭弁でそう言っておるのじゃないですか。何かそういう正論を共産党だとかなんとか、そういうひきょうな態度はやめなさい。お互いに農民のことを考えておるのですよ。あなたの農業政策は、貿易の自由化によって日本の酪農は大きな打撃を受けていますよ。これをますます拡大しようとしている。ただ手放しで拡大できないから、不足払い制度というようなものを入れて、そうして幾らか差額を酪農へ入れて、それでごまかそうとしている。もしそうでないなら、脱脂粉乳の輸入をやめたらいいじゃないですか。学校給食を全部なま牛乳に切りかえてしまったらいいじゃないですか。
○赤城国務大臣 いまのお話は全く逆であります。たとえばなま牛乳の問題も、四十五年までになま牛乳に全部脱脂乳をかえていこう、こういうことを考えておるわけです。ですから、いまの学校給食の問題も、いまのお話と全く逆でございます。脱脂粉乳をやめて、四十五年までには全部なま牛乳でやっていこう。それから酪農品をますます買って、そしてアメリカの余剰農産物を入れて、アメリカに何か依存するような言い方でございますけれども、そういうことじゃございません。いまほかでも入っておるのはこれは事実でございます。でございますから、なるべくこの酪農を育てていくためにいい方法をとろう、こういうことでございます。
○高見委員長 本日の会議はこの程度にとどめ、次会は、明十六日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十分散会