地方行政委員会 第2号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/11/19
会議録
○森田委員長 これより会議を開きます。 警察に関する件について調査を進めます。 前会に引き続き、佐世保における原子力潜水艦寄港反対デモの際の議員逮捕その他警察官の職務執行に関する問題について質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。藤田義光君。
○藤田(義)委員 昨日の同僚渡海委員の質問によりまして、おおむね国家公安委員長並びに警察庁長官等に対する質疑を終わっておりますので、私は主として長崎県警察本部長に質問いたしたいと思います。 本部長のきょう国会に来ました資格は政府の説明員である、こういうふうに解釈してよろしいかどうか、御本人から……。
○江口政府委員 昨日の国会からの呼び出しの資格が説明員ということになっておりますので、私たちは説明員ということで了承いたしております。ただ、稻留警視長は国家公務員である関係でそういうことになっておると思いますが、しかし、職務関係は長崎県警察の職員であり、その職務をとっておりまするから、その点職務の関係においてはデリケートであるということを御了知の上で、説明員であっても名前はどっちでもかまわないんじゃないか、こういう考え方でございます。
○藤田(義)委員 同僚楢崎議員の逮捕事件は事きわめて重大でありまして、問題は国会の構成に関すると同時に憲法、国会法に関連する近来珍しい重大事件である。したがいまして、私はほとんど楢崎事件を中心に質問を展開いたしたいと思いますが、稻留説明員が警察の職務を執行するにあたり、その心がまえの大前提としてまずお伺いいたしたいことは、警察法の第一条に、個人の権利と自由の保護並びに公共の安全と秩序の維持という警察法の大目的が掲げられておる。説明員は、個人の権利と自由の保護、これに対する公共の、安全と秩序の維持、この二つの目的のどちらに重点を置いておられ、またどのような見解で警察の職務執行をやっておられるか、お伺いいたしたい。
○稻留説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。 警察が職務を執行し、警察を運営していく上に、個人の権利と自由の保護と、他面公共の安全と秩序の維持を、どちらに重きを置いて運営していくかというお尋ねでございまするけれども、私の判断によりますると、両々相まってどちらも全ういたしていかなければならないと思いまするし、また、公共の安全、それから秩序の維持も、ひっきょうするところ個人の権利また自由の保護と相なるものと思っております。
○藤田(義)委員 そこで、問題のシードラゴン号が佐世保に入港しまして以来の原子力潜水艦反対運動に対する本部長の警備方針、これはどういうふうな方針で警備をされたか、お伺いいたしたい。
○稻留説明員 今回、原潜が佐世保に入りますに際しまして、長崎県警察としましてどういう警備方針をとったかというお尋ねでございまするが、大きいこと小さいこと、たくさん考えて、最も的確な警察活動をいたしたいと苦心いたしましたが、そのおもなるものを申し上げますと、常に、警察というものは、いかなる場合にも法を守って、厳正中立に仕事を進めていくということをやはり基調といたしました。それから、一人一人の警察官につきましては、特に沈着冷静な気持ちというものを強く要望いたしまして、相手方の挑発に乗じましたり、そういったことのないようにいたしまして、国民の保護という大任を全ういたしたい。その次に私どもの大きな基調といたしましたことは、けが人を出さない、重傷者をなるべく出さないということを常に考えて警察の活動をいたしたい。さらに、その次には、混乱が起きました場合にはなるべく早期にこの混乱を静めてまいりたい、その拡大というものを防止するように敏速に警察活動を講じたいと考えたわけでございます。特に、こういった混乱に関連いたしましては、集団で起きます場合もありまするが、また夜間等個々の人と人の間に問題が起きる場合もございまするけれども、考えの一つといたしまして、デモをやられる方と、あるいは夜歩かれる方と米国人とが直接に接触して問題を起こすようなことはなるべく避けたいと努力をいたしたわけでございます。次に、当然のことでございまするけれども、交通整理ということにも重要な眼目を置きまして、行進がスムーズに流れて、一般の交通というものに支障を及ぼさないように相当な警察官を充当いたしたい。さらに考えましたことは、違法行為を続行するような場合には、やはり大きな事態を防ぐ意味におきましても、悪質な実行行為者に対しましては現場の検挙を徹底していきたいということを申し合わせた次第でございます。さらに、一連の警備活動をやっていきまする際に私どもが取りきめましたことは、原則としまして警棒を使用しない。万が一警棒を使用しなければならないような悪化しました状態が発生しました場合は、必ず中隊長以上の現場指揮官の命令によって使うということでございます。それから、さらに、現場におきましていろいろと的確なる警察活動を全ういたしますのに加えまして、留守を守っております各警察署その他につきましても、なるべく一般の警察事務が停滞しないように、間隙のないように、また部内の事故がないようにつとめた次第でございます。なお、動員数につきましては、いろいろと情報も入っておりましたので、適当な数を割り出すことに相当苦心をいたした次第でございまして、私どもとしては適当な数字ではなかったかと考えております。なお、現場警察官の考え方といたしまして、現行犯が起きました場合には、個々の警察官の判断によりまして的確に事態を処理いたす、さらに、常態的な犯罪、道路交通法に違反しておりますとか、あるいはデモの条件に違反しておりますような事態は、これは自分の指揮官の指揮を受けまして処置するように取りきめたわけでございます。大体以上を骨子としまして警備活動をいたした次第でございます。
○藤田(義)委員 昨日の当委員会における審議におきまして、今回の楢崎事件の全責任は稻留本部長にあるという政府当局の回答がありましたが、稻留本部長も全責任があると理解しておるかどうか、また、この問題が起きました十三日並びに前日本部長はどこにおられてどういう措置をとられたか。
○稻留説明員 警察活動の全責任、また終局的な責任は警察本部長にあるものと思っております。しかしながら、また、事態によりましては、それぞれ段階的に責任者というものはきまるものかと考えまするけれども、全責任は私にあることを確信いたしております。 当日の私の位置でございまするけれども、私、急遽東京の会議より帰りまして、十二日より佐世保におりまして、事態が終局するまで佐世保におった次第でございます。特に、十三日の事態のときには、現場に行きましていろいろと指揮いたした次第であります。
○藤田(義)委員 いまのお答えで、十三日の事件のときは事件後に現場に行ったような印象を受けたのでありますが、実際上現場をよく承知しておられるかどうか。この点は、今後の委員会の審議、人的要素にも相当微妙な深刻な関係がありますのでお伺いしたい。十二日、十三日はデモないし事件の現場を目撃されておるかどうか、この点をお伺いしたい。
○稻留説明員 全体の現場を全部見たということは申し上げられませんけれども、十三日につきましても、その重要な場面につきましては、私自身現場におりました。
○藤田(義)委員 十二日の問題については昨日も質疑がありましたが、説明員は初めてでありますから、重ねてお伺いいたしたい。楢崎代議士の某警察官に対する暴行事件というようなことを本部上長は知っておられるかどうか。
○稻留説明員 十二日の事件はよく報告を受けて存じておりまして、警察官に対する暴行事件がありました。
○藤田(義)委員 もう少しく具体的にお話し願いたい。
○稻留説明員 少し具体的に申し上げますと、十一月十二日の午前七時ごろより平瀬町ロータリー付近で交通整理に交通大隊第一中隊第一小隊が当たっておったのでございますが、午前十時ごろより、警察隊の警告を無視いたしまして、佐世保警察署長が許可いたしました条件を守らずに、行進を禁止した米軍上陸場へ行進しようというデモ隊が、数回にわたりまして警察の阻止部隊に突っ込んで、体当たりを繰り返してきたわけでございますが、同じく午前十一時三十分ごろ、一たん引き返して隊列を整えておりましたデモ隊が、CPビル方面から平瀬町ロータリー方面へ行進を起こしまして、米軍上陸場の方向へ強行突破をはかったわけでございます。そのためデモ隊は道路左側から次第に道路中央線を突破し、道路一ぱいに広がってまいりましたために、交通整理に従事しておりました、ただいま申し上げました第一小隊は、ここで道路の西側を確保いたしまして交通の支障を少なくいたしまするために、中央線より東側にデモ隊を圧縮、規制を行なったんでございますが、その際に、楢崎弥之助さんは、大体の時間にいたしまして午前十一時四十分ごろでありますが、ロータリー北側から約五十メートルの路上におきまして、右警察活動に従事しておりました第一小隊第二分隊の山川正義巡査を、後方より腕をつかみまして引き倒したという暴行、公務執行妨害の事件が出ておりまして、同巡査は、診断の結果五日間の治療を要する負傷を負うた次第であります。
○藤田(義)委員 昨日来の審議によりまして、十三日のいわゆる現行犯というものは事態が相当軽微のようにわれわれには考えられる。しかるに、十二日は五日間という診断書があるにもかかわらず逮捕というようなことが起きていない。そこにわれわれは非常に不審な点をいだくんですが、どういう理由であったか、お示し願いたい。
○稻留説明員 十二日の場合のほうが十三日より内容におきまして重いものであったということは、私どもも考えておりますが、当日逮捕に当たった警察官がその瞬間に国会議員であるということを言われたわけでございまして、瞬間警察官がたじろいだわけでございます。そのためにまた、逃げられたと申しますか、警察官の支配から離れていかれたわけでありますが、それが実態でございます。しかし、たじろいだという警察官の気持ちの中はいろいろなものがあるかと思います。
○藤田(義)委員 警察官がたじろいだという御答弁でございますが、十三日には、滝井国会議員小柳国会議員等がおって、いま逮捕せんとする楢崎君は国会議員であるという発言が前日と同様にあったんではないか。この点をお示し願いたい。
○稻留説明員 十三日の場合におきましては、逮捕のその現場におきましては国会議員であるというおことばはなかったわけでございますが、約、車に到着いたしましたころに、うしろから、たすきをかけられました方が、国会議員であると呼んでこられたわけでございますが、その際、逮補しました警察官は、はっきりかけておられますので、その方々が自分が国会議員であると叫んでおられるものと判断いたしております。
○藤田(義)委員 そこで、車に乗せたうしろから国会議員のたすきをかけた人が国会議員であるということを呼びかけた。しからば、逮捕という事実はいつ完結するか。まだそれは警職法第五条のいわゆる制止行為ではないか、制止行為の段階ではないか、警察に行って手続を始める瞬間に逮捕完結ではないか、こういう見方をする人も一あると思いますが、その点いかがですか。
○稻留説明員 警察官が実力によりましてそういった事案を起こしました者を逮捕する場合は、からだに触れた瞬間が逮捕という法律上の効果を全うするとも考えませんが、その事態を拾収するためにその現場から引き抜くとか、いろいろの問題がございまするが、私どもの見解といたしましては、車の中に入ったときにはすでに逮捕、という警察官の行為はでき上がったんじゃないかと判断いたしております。
○藤田(義)委員 そうしますると、十二日の問題は事件として手続中の段階であるかどうか。また、十三日の逮捕後のいわゆる法律手続はどのような進行をしておるか。事件は捜査中の段階であれば詳しく言えぬと思いますが、一応お伺いしておきたい。
○稻留説明員 十二日の事件につきましては、ただいま調査中でございまして、最後の決定的なことは申し上げられませんけれども、私どもの判断といたしましては、現在の調査の段階におきましては、立件送致すべきものであると考えてはおります。 十三日の分につきましては、これは大かた立件できるような書類等も整いましたので、なるべくこれを急ぎまして、間もなく送致することができるのではないかと考えております
○藤田(義)委員 事は現職国会議員の問題であり、しかも会期中の事件であります。ただいま本部部長の答弁の中にありましたとおり、現職国会議員の事件はいわゆる立件事件である。したがって、国務大臣あるいは警察庁長官というものに連絡の上で処理するということが慣例になっておるんではないかと思いますが、この点はどうなんですか。
○稻留説明員 事件によりまして、警察庁関係の御教示なり、いろいろお知恵を拝借するということはありまするし、われわれもこれをなるべくつとめていく場合がありまするけれども、こういった現行犯を逮捕して処理します場合に、事前に警察庁に云々、了解ということはないのでございます。しかし、逮捕いたしましたあとは、すみやかにこれを報告いたしております。
○藤田(義)委員 この事件のみならず、その他刑事事件として追及されている問題もあるかどうか、お伺いいたします。
○稻留説明員 この事件と申されまするのは、楢崎さんに関係いたします事件かと心得まするが、それ以外につきまして何か違法について警察活動を進めているのではないかという御質問かと思いまするけれども、私ども一が刑事事件として処理できますることも、現行犯でやっていきますることもありまするし、また、事後いろいろの資料によりまして大きな違法というものが見込まれました場合は、これはやはり調べまして、刑事事件として処理しなければならない職責でございます。現在の段階におきましても、その当時の違法のデモ、違法の行進等につきましては、さらに調査いたしまして、証拠十分のものにつきましては調査を進めていきたい、さらに証拠を得ましたならば送致いたしたい考えでございまするけれども、現在調査中でございます。
○藤田(義)委員 時間がございませんので具体的問題点はあまり追及できませんが、昨日の質問に関連して、現場にずっとおったと言われる本部長にお伺いいたしたいまず第一点は、十三日の日三々五々上陸地点に参りましたいわゆる労働組合員等は、上陸地点周辺でどのような行動をとっておったか、また、昨日の質問者の中では、当時この付近の一般の交通状況は平穏であって、交通妨害となるような事態はなかったというような発言があったやに記憶いたしておりますが、いかがであったか、お示し願いたい。
○稻留説明員 十三日に三々五々入ってきましたときの状況を申し上げます。 これは、私は現場で見ましたのでございまするが、総合会館のほうから、両側の歩道を、三々五々と申しまするけれども、相当の人がロータリーのほうに向かっておられまして、ロータリーから上陸地のほうに入りかけたわけでございます。その際に、私は現場におりましたけれども、部下を指揮いたしまして、最初入っておられまする数十名につきましては、何ら警察活動というものをやっておらないのでございます。そして、どういうものであるかということをある程度見たわけでございます。そうしましたところが、上陸地のところに相当、三十名から五十名集まられまして、どうもこれは姿を変えた、デモ隊と見受けられる、デモになりそうであるという感じがいたしましたので、そこでもすぐ警察の実力を使いませんで、私は現場で職務質問というものを警察官にさせた。少し人の動きがおかしいから、職務質問をしてごらん、せよということで、職務質問をやっておりましたところが、その上陸地方面における集まった人々の動向、さらに、その人たちが佐世保重工業のほうの道路に進んで行かれるこの動向を見まして、これはデモ行進に違いないと判断いたしましたので、ロータリーの線に、警察官を使いしまて、あるいは段階的には警察の交通上の指導、あるいは誘導ということにもなりましたでしょう、最後的には一つの阻止線を引いたわけでございます。 初めの状況は、大体そういう状況でございまするが、さらに、その船をつけまする、その上陸地から佐世保重工業に至る間の中間よりもう少し行ったところでございますけれども、その辺に約二百名くらいの人々が集結されまして、最初の幾分、三分の一くらいは、上陸地におりました人も合してでございましょうが、何がしの軽い警察官の誘導でロータリーのほうに引き揚げましたけれども、あと残りました百五十名というも一のが、なかなかたむろいたしまして、交通の支障を来たしておった。これも誘導によりましてロータリーのほうに押していったわけでございまするが、その途中からこれらの人々は、さらに加わりました二台の宣伝カーとともに大きなデモをぶたれたわけでございまして、その間の事情は相当喧騒なものでありました。
○藤田(義)委員 上陸地点の状況、三々五々集まられているということをデモというような答弁がありましたが、これは一般の観光客が原子力潜水艦を見に行ったのと同じではないか、また指導者もいないじゃないか、こういう疑いがあるわけですが、お答え願いたい。
○稻留説明員 初め入りましたときは三々五々でありましたけれども、上陸地に集まった集合の形態、それからSSKの方面に行きまする行進、また停滞しておる状態、そういったものから、これは、私どもとしては確実なデモ行進であると認めなければならなかったわけでありますが、さらに、私は、その後半大きなデモがぶたれたわけでございますが、それも二つやはりわれわれの判断というものを誤まらしていないと考えておるわけでございます。
○藤田(義)委員 きのうの大原代議士の質問によりますと、現場にいた石橋代議士が、上陸地点周辺の集団と警察部隊とのトラブルを避けるために、積極的に現場の警察の指揮者に、集団を誘導するからという申し出があったと聞いておりますが、その点はどうですか。
○稻留説明員 私どもの調査によりますると、積極的に石橋議員が誘導するという意思を表示せられたことはない。そこの現場におりました交通関係の指揮官が石橋代議士さんに、ひとつ誘導していただきたいような話を申し入れたけれども、石橋さんは、自分はこの人々とは関係はない、指揮者ではないということを二、三回お言いになられた。しかし、最後に、またお願いといいますか、そこの現場指揮官が石橋さんと話をせられまして、石橋さんがロータリーのほうにそのデモ隊が行くことを勧められたところが、のろのろそのデモ隊の人が歩き出したということは認められております。
○藤田(義)委員 ロータリーから出ましたデモ隊が、どの方向に行くべきか現地の警察指揮者に質問したところ、明確な回答がなかった。ところが、そのうちに追い打ちをかけるように警察部隊が襲いかかってきたので、この混乱を防止するために楢崎代議士が間に立ったのだ、こういうようなことも聞いておるわけでありますが、 ロータリーから出て以後の状況はどうであったか、お尋ねしたい。
○稻留説明員 ロータリーに参りますまでその百五十人くらいの集団が相当大きなデモをぶちまして、ロータリー寸前では少しくとまったわけでございまするが、それから、デモコースと反対のほうに、初めは直線でございまするが、走っていって、その中央点を突破した辺からジグザグ行進に移ったわけでございまして、これは相当なジグザグ行進でありました。
○森田委員長 藤田君、時間が迫ってまいりましたから、簡潔に願います。
○藤田(義)委員 時間がありませんから、最後にお伺いいたします。 この事件について、稻留本部長が楢崎代議士の性格批判をやった、こういうことが伝わっておりますが、そういう事実があるかどうか、あったとすれば、どういう状況でそういう発言をしたのか、経緯をお示し願いたい。 と同時に、最後に、今回の現職の国会議員逮捕という重大問題を惹起した長崎県警察本部長として、今日、正当なる警察の職務執行をやったんだ、天地神明に誓って恥じない、こういう心境であるか、あるいは少し行き過ぎたというような心境であるか、率直なるお気持ちをお示し願いたい。これが最後の私の質問であります。
○稻留説明員 ちょっと先ほどの御質問に回答が足りませんでしたからつけ加えますが、仲裁に入られたと申されておるのでございますが、われわれは、現場のかっこうから、また、楢崎さんが自分の方々の方面を向いて制止せられておるのではなくて、警察のほうを向いて力を用いておられるかっこうから、これは決して仲裁に入っておる姿ではない。そこで、警察としましては、楢崎さんの行為を公務執行妨害と確実に認められると私は確信いたしております。 それから、今度の事件につきまして、私どものやりました一連の行為というものは何らか少しやり過ぎたんじゃないかというような考えはないかと申しておられますけれども、私どもとしましては、全部法に従って、また、かかる場合において警察官がやらなければならない職責を十分に全うしたものと考えておりまして、いまのところ、そういうことについては、やり過ぎたというようなことは考えておりません。
○森田委員長 滝井義高君。
○滝井委員 稻留本部長には、十二、十三、十四日と、佐世保に参りましてたいへんお世話になりましたし、本日はまた遠路わざわざ国会までおいでいただきまして、まず同じ日本人として心から御礼を申し上げます。事は、与党の藤岡議員も言われたように、かつてなかった一国会議員を逮捕したという重大な事件でございます。したがって、軽々に扱うわけには参らぬ。 まず第一に後藤田さんにお尋ねします。昨日は、あなたは、私の質問に対して、十二日の事件は取り調べ中であるので、答えるわけにはまいらぬと言って拒否をした。ところが、本日はぬけぬけと与党の議員の質問に対しては答えてしまったじゃないか。明らかに与党と野党とで国会における答弁の差別があるのは一体どうするのか。これだけでも、稻留君、君は懲罰だ。取り調べ中の事件は断じて発表することはできませんと、きのう二度にわたって私がここで関連質問をやったけれども、拒否したじゃないか。これは一体どうするんだ。昨日ここで野党の議員の質問に対しては拒否して、その翌日にはぬけぬけと与党の議員には答弁をするとは何事だ。これだけでも国会議員の差別待遇をしておるじゃないか。これだけでもしておるじゃないか。してないのか。——局長、君だ。すでに答弁をしてしまったんだよ。
○後藤田政府委員 お答えを申し上げます。 私は、昨日、十三日の前日の楢崎代議士の事件について、警察官が五日間ばかりの負傷をした事件がございました、ただ、本件については目下捜査中でございまするので、その内容を詳しく申し上げるわけにはまいりません、こういうお答えをいたしたのでございます。先ほどの本部長の説明も、私は聞いておりまして、捜査の内容にわたっておるものとは考えておりません。
○滝井委員 あなた、そんなぬけぬけと変なことを言うものじゃない。昨日は何も言わなかったじゃないですか。ただ五日ばかりのけがをしただけだ、その内容はどうだと言ったのだけれども、取り調べ中だから言えませんと言ったのだ。じょうずの手から水が漏れるということわざが昔からあるけれども、これです。もう第一に水が漏れちゃった。いかにあなた方が口裏を合わせ、共同謀議をやりつつあったかということですよ。いまから私はそれを少しずつ全貌を明らかにしていきますから。まず第一に、これが千丈の堤もアリの一穴で、一つ穴が掘れちゃった。 稻留本部長にお尋ねをいたします。大きい声を出したって、おそろしがらずにひとつ答えてください。あなたは一体議員の不逮捕特権についてどういう見解を持っておるのか、ひとつ御説明願いたい。
○稻留説明員 国会議員の不逮捕特権につきましては、国会議員がその任務を全うせられるためにきめられたものと考えております。私ども一としましては、法にきまった範囲で、その法にきまった内容を尊重してやるわけでございまして、今回の場合は、院外でありまするし、現行犯でありまするので、私どもは当然の職務を執行したと考えております。
○滝井委員 そうしますと、現行犯ならば一般国民と全く同一でやってもいい、どんなささいなことでもやってもいいということになるんですか、国会議員は。
○稻留説明員 法にきめられました以外におきましては全く同じ取り扱いをすべきものであると考えております。
○滝井委員 そうしますと、わざわざ憲法五十条にどうしてああいう規定を入れておるんでしょうか。どんな軽微なことでも同じだということになれば、どうして入れておるんです。必要ないじゃないか。憲法の五十条にそんなものは入れる必要はない。
○稻留説明員 仰せのごとく定めてございまするけれども、法律に定める場合を除くと書きまして、その定めとしまして、院外で現行犯の場合は、私どもはこれを逮捕できることに法律がきめております。
○滝井委員 だから、どんな軽微なことでも現行犯といってやれますかと言っているんです。たとえば、国会の第一議員会館から国会に来るのに、歩道があります。ところが、歩道以外のところを通ったら、これは明らかに違反です。代議士は幾らでもやっている。そうすると、おまわりさんがぼっとつかまえれば、これは現行犯、それで逮捕できますね。これは普通の人でも逮捕できるのですか。それで逮捕できるのですか。——うしろで何を言っているんだ。君に尋ねているのではないじゃないか。本部長に尋ねている。
○稻留説明員 お答えいたします。 私どもは、現行犯逮捕ということを、刑事事件を処理していく上に用いていかなければなりませんけれども、いかなる軽微の事件でも現行犯逮捕をするというものでもございません。相手というものの住所、氏名等が明確でありまして、証拠隠滅せられるおそれもなくて、あとから調べても十分調べられるというようなことがはっきりしました場合には、逮捕いたさずに処理することもあると思います。
○滝井委員 いかなる軽微のものでも逮捕するということではない、そういう場合は住所その他がはっきりしておれば逮捕いたしません、それでいいです。それだけの常識さえお持ちになっておればだいじょうぶです。 それから、当時社会党議員団をあなた方はデモと一体と見たかどうか。——うしろはだれですか。委員長、そんな予断を入れさしたらいかぬですよ。現場の問題を尋ねている。
○稻留説明員 国会議員の方々をデモの一団と見るかどうかということは個々の場合によるものでございまして、終始見るとか、この場合見ないとかということはちょっと申し上げられません。
○滝井委員 佐世保の場合、いわゆる十三日の場合はデモと一体と見るかどうか。
○稻留説明員 それも、全部国会議員の方々をどうということは言われませんが、ケースによって、デモの一員であると認められた場合があると思います。
○滝井委員 いかなるケースの場合をデモと一体と見るか。
○稻留説明員 それは、その国会議員さんのその場におけるデモの一団との関係、言動、位置、そういったものを総合いたしまして、われわれとしましては、デモの一員であるというふうに判断しなければなりません。
○滝井委員 いかなる関係と、いかなる位置と、いかなる言動があった場合に一体と見るか。
○稻留説明員 それは、一々具体的には私申し上げられないことじゃないかと思います。デモの一団の人々がやっておられる行為と非常に似かよっておって、そして密接して、周囲からデモと認められるような形においでになられれば、われわれはデモ隊の一員として考えなければならないと思います。
○滝井委員 言動についてはどういう言動があったらデモと一体と見るのですか。
○稻留説明員 これも、すべてのことばを網羅して御説明申し上げることはできませんけれども、たとえば、一団のデモが、アメ公帰れ、原潜反対と言ってデモをぶっておられるときに、そのデモの中に入って、あるいは密接して同じようなことを言っておられるようなことがあれば、これは相当にそのデモと同じような、デモ隊の一員であると判断されると思います。しかし、個々に一つ一つのことばをあげて説明するということはむずかしいんじゃないかと私は考えます。
○滝井委員 それだけの整理ができればけっこうです。 そうしますと、十三日の楢崎君が逮捕されたとき、さいぜんの藤田君の質問では、大事なときは現場におったようなおらなかったような、藤田君の突っ込みも足らなかったのですが、あいまいです。そこで、楢崎君の逮捕された十時三十分から四十分の時点においてはどこにおったか、ロータリーのそばにおったかどうか。
○稻留説明員 私はロータリーの付近におりました。
○滝井委員 私は実はあなたをさがしたけれども、見当らなかった。どこにおりましたか。ロータリーのどこのどの車におりましたか。
○稻留説明員 そのとき私はロータリー近辺からSSKの中間あたりを何回も往復しましたし、また、多くのデモ行為なり警察官の活動に対して監視しておりましたので、その瞬間にどこにおったかということは、実際のところ私申し上げることはできません。
○滝井委員 そうしますと、動きつつある自動車の上におった。しかもそれはロータリーからSSKの間である。これは二千メートルぐらいありますね。ロータリーから上陸場に行って、今度は右にずっと曲がったのがSSKですから、この路上におった、こういう確認でいいんですね。これは大事なところですからね。
○稻留説明員 それは、先ほど申し上げました、私どもが違法のデモと見られまする多くの人々の行動の始まりから終わりまでの私の位置を申し上げましたのでありまして、私がおりましたのは、ロータリー付近ならば、実際のところあちらこちらにおりましたのです。その間にだけおったというわけではございません。しかし、一々この時点にどこにおったかということは、実際申し上げることはできません。
○滝井委員 なかなか正直でよろしいです。それがほんとうです。私、ロータリーのところであなたをさがしたのですから。本部長はどこにおるか、さがして見当たらなかったので、それならばおそらく佐世保警察署におられるだろうというので、私はすぐ行ったのです。行きましたら、あなたが出てこられずに、小山署長が出てきた。したがって、あなたはロータリーのところにはいなかった。私、さがしたのですから。間違いなくさがした。私は天地神明に誓ってうそ言いませんよ。さがしたのです。あなたもいま正直です。どこにおったかわからぬ、こういうことはほんとうなんです。その時点にはどこにおったかあなたはわからぬ。そこで、どこにおったかわからぬ人にこれからの核心の問題を尋ねるのですから、なかなか雲をつかむようなことになるかもしれませんけれども、これは少し尋ねなければならぬことになるわけです。 その前に、やはり人間というものは過去の経験というのが非常にものごとを処理する上にものを言うわけです。そこで、変なことを聞くようでございますけれども、稻留さんは長崎県にいらっしゃってからどれくらいになるのか、その前にどこにいらっしゃったのか、そして前にいらっしゃった前任地で何か大きな事件を片づけたことがあれは、その大きな事件は何か、それをひとつ御説明願っておきたいと思います。
○稻留説明員 私は、長崎県警察本部長を拝命いたしましてから約七カ月余りでございます。前任地は熊本県警察本部長でございます。熊本県におきましては、類以の事件をお尋ねになることと思いますけれども、水俣の争議を私の期間中に措置いたしました。
○滝井委員 たいへん大問題ばかり担当されるようで、非常に敬意を表します。なかなか有能なわけですよ。 そこで、この現場におられなかったあなたにこういうことを言うのも何ですが、現行犯の具体的な内容です。特にこの場合は楢崎弥之助代議士にしぼって、楢崎弥之助氏の現行犯の具体的な内容をひとつ御説願明いたいと思います。 〔委員長退席、田川委員長代理着席〕
○稻留説明員 十三日に、許可のない地点にデモがありまして、そのデモがロータリーの線を越えまして、いっときしましてジグサグ行進を、やって、大きな交通量の支障を招来したわけでございます。その際に、警察案としましては、これをそのままにおきましてはさらに事態が悪化いたしまするので、部隊を運用いたしましてそれを中断いたしました。そのとき、約三分の一ぐらいを制圧しておりました部隊の中の警察官に対しまして、楢崎弥之助さんが右手でもちまして警察官の手を打ったのでございます。この行為が警察官の公務を妨害しておる行為であります。
○滝井委員 そうしますと、楢崎君が右の手で警官のどちらの手を打ったのですか。
○稻留説明員 右手で巡査の右手首を上から殴打いたしております。
○滝井委員 そこで、ここが大事なところです。楢崎君の発言によると、左手首をおまわりさんが握った、——これは、あそこの佐世保署の署長室であなたと楢崎君と相まみえたときに、楢崎君があなたの手を、こうやられたのですとやろうとしたときに、あなたは拒否しましたね。楢崎君は左手をやられたわけです。左手をやられたときは一体どっちの手で手首を握るかというと、おまわりさんは右手で握ります。これは合気道です。ぴしゃっと右手で握るわけです。右手で握ると、残っておる手はどっちが残っておるかというと、楢崎君は左手が握られているから右手でぽっとたたく。そうすると手首です。こうなるわけです。 そこで、まあいいです、百歩を譲って楢崎君がなぐったといたしますかね。一体なぐったという証拠です。これはおまわりさんは中里一男さんというらしいのですが、私はなかなか勇気のあるおまわりさんだと思いますよ。勇気のあるおまわりさんで、ほめていいです。この中里一男さんの、一体その人の主観で現行犯としてとられたのか、何か楢崎君の右の手がその中里おまわりさんの右の手首をたたいている具体的な写真の証拠でもあるのか。全く本人の主観によって現行犯という決定をしているのか、そこを明らかにしておいてもらいたいと思います。
○稻留説明員 主観で逮捕いたしたのではございません。客観的な事実によりまして逮捕いたしたわけでございます。
○滝井委員 わかりました。そうすると、その客観的な事実を述べてもらいたいと思います。
○稻留説明員 それは執行妨害されて、たたかれた当該巡査、並びにそのそばにおりました警察官というものが、はっきり見ておるわけでございます。この見聞を私どもは照会いたしてのことでございます。
○滝井委員 そうすると、楢崎君が手首を曲げられておったという事実を見た人もおるわけですよ。
○稻留説明員 私どもは、そういうことを全然認めておりません。しかしこの問題は、刑事事件として手続が進められていく上におきましてはっきりすることではないかと思います。
○滝井委員 われわれがいま追及しているのは、この逮捕が不当だからあなたにも国会に来ていただいているので、あなたがそれを既成事実として進めさせるわけにはわれわれはいかぬのです。それだからわざわざきてもらっているわけです。そうしますと、結局あなたは、楢崎君から右の手首をなぐられたというおまわりさんの発言をお聞きになってきているのですよ。あなたが見たわけではないのです。あなたはどこにおったかわからなかったのですから、したがって見ていない。これはそのおまわりさんをここに呼べばはっきりしますね。
○稻留説明員 その巡査を呼ぶ必要はないのじゃないかと私思います。私の申し上げることが間違いないと確信いたしております。
○滝井委員 間違いないと言ったって、それはあなた、聞いたのでしょう。あなたが見たのですか。あなたが見て、ここで私は見ましたという発言ができればそれは私はいいです。しかし、それは報告を聞いただけでしょう。
○稻留説明員 それは、刑事事件としましても十分検討をやらして、調査し、また検討されていく問題でありまして、ここでその問題について申し上げるのはあるいは適当じゃないじゃないかと思うのでございます。私の話は間違いありませんし、私も信頼する優秀な部下に命じて調査させましたのですから、これは間違いないと思います。私が一切を見なくても、確信のある話はできると思っております。
○滝井委員 とにかくあなたが現場を見ていないということは確実ですね。だから、見ていないということは確実なので、われわれとしてはあなたを信頼しないわけではないが、あなたのその主張がほんとうに正しいかどうかということを明らかにするためには、やはり中里さんにどうしても来てもらわなければならぬ。裁判でいいと言うけれども、裁判所にしよったら、これは最高裁までいって、いつ片づくかわからぬ。だからやはりこれは私たちの国会の構成に関する、国会議員の身分の問題なんですから、だからこれは逮捕ということが重大なんです。さいぜんから言っているように、いまの佐藤内閣というのは、あなたも御存じのとおり佐藤内閣総理大臣は、身をもって逮捕問題を体験している人なんですよ。その人がいま総理大臣のときに、あれほど世間を騒がせたその総理大臣、指揮権を発動して逮捕を免れた総理大臣がおるときに、軽微な事件で同じ身分の国会議員を逮捕しようとしておる——のではない、したのですから、だから重大なんです。あなたはその必要はない、こうおっしゃるが、われわれはそれは必要です、あなたはそこにいっていないということははっきりしたのですから。 そこで、逮捕した場所です。楢崎君を逮捕した場所は一体どこです。
○稻留説明員 ロータリーのところから総合会館のほうに向かいました方向に約五十メートル近くいきましたところの、ロータリーのほうに向かって左側の、歩道と車道の中間辺でございます。
○滝井委員 歩道に近いほうでしょう。中間と言ったって、あの広い、あれは二十メートルくらいありますか……。
○稻留説明員 すれすれのところでございます。
○滝井委員 やはりあなたがそばにおられぬものだから、後から陰の声がなかなかひんぱんにいくので、あなたは閣僚級だ。それはそれでいいです。 そこで、さいぜん社会党の国会議員とデモの関係を聞いたわけです。関係、位置、言動というようなことを言われたわけですね。そこで楢崎君の服装について、一体あなた方はこの服装についてどういう見解を持っておるか。
○稻留説明員 服装そのものについては別に見解はございませんが、国会議員の方と非常に認められにくい服装でございました。
○滝井委員 事態は瞬間に、地からわくか、天から降ってきたかというように楢崎君があすこにあらわれたわけではない。いま忍術がはやっているが彼も忍者ではない。やはり一個の人の子です。よき青年代議士ですよ。いかにすばしっこい青年代議士でも、地からわいたか天から降ったかのように、あすこに、ロータリーから五十メートルの、あなたの言うすれすれのところにぽこっと出たのではない。楢崎君はこれはもうSSKのところからずっとあの二千メートルばかりのところを、あなた方の警官があたかも羊の群れか、牛の群れをカウボーイが追うがごとくに追うてくる、その横をついてきたのですからね。きちっとわれわれと同じように、赤の国会議員のたすきをかけてついてきたのですよ。だから、なるほどわれわれがレインコートを着ておった、あるいはスプリングコートを着ておった、楢崎君の着ておった上着はハーフコートであったという違いはありますよ。しかし、たすきをかけて、はち巻きをしておるのは、みなわれわれもしておったのですから、だから他の国会議員と違ったってちっともかまわぬことになる。実は昨日は、この服装が問題になってきておるのです。これがやはり楢崎君逮捕の一つの何か有力な目標となるがごとき発言もあったのです。いまの発言もそういうニュアンスです。 そうすると、逮捕したときに楢崎君はどういう行動をしておりましたか。
○稻留説明員 その際楢崎さんは、なぜ逮捕するかということを聞かれた。別に国会議員であるということは表明しておられません。
○滝井委員 楢崎君がどういう行動をしておりましたかと言うのです。手をこうおまわりさんの方向に向かってあげたらこれは公務執行妨害だというならば、さいぜん私が言うように、第一議員会館から国会に来る歩道以外のところを通ったら、これは道路交通法違反の現行犯でやられますよ。ところがそれは、そういう軽微な問題は、身分、住所その他、逃げも隠れもしないということがあるんだから、そういうような際は逮捕いたしませんというようなことがあったわけでしょう。楢崎君が国会議員であるということは、一緒にずっと来ているのです。それから十二日もわかっておったわけでしょう。天下の楢崎弥之助がおったということはわかっておったのですから……。十二日もわかっておったし、そして昨日は、幹部はみんな楢崎君がおったということは知りておりましたということは、後藤田さんがちゃんとここで証言している。だから幹部はみんな十二日に楢崎君がおったということは知っているのですよ。幹部はみんな知っている。十三日におったということも知っている。それに服装がヤッケスタイルというのですか、それだったから——そんなもの、何も現行犯と関係ない。ヤッケ・スタイルであろうと何スタイルであろうと、そんなものは、スタイルは関係ない。スタイルで関係があったら、頭が大きいとか、しりが大きいとかまで関係してきますよ、そんなことを言っておると。だから、何も関係がないはずなんです。しかも国会議員ということを幹部はみんな知っておったんだ。知っておったということはきのう言っておるん、だから……。そうすると、代議士が何人おるかということをあなた方だって全部調べておるはずですよ。社会党の代議士がきょうはおよそ何人来ているということは、みんな調べているはずです。その中に、楢崎弥之助代議士の名前がなかったはずはない。そうすると、代議士が来ておるということを周知徹底しなかったとすれば、あなた方の責任だ。だから、一体どういう行動をしておったかということを私はあなたに尋ねておるのです。その行動を言ったらいい。
○稻留説明員 当日楢崎さんが来ていることを、幹部はみんな知っておった、多くの幹部が楢崎さんが来ておることを知っておったと思いますが、どの顔が楢崎さんで、あるということを全部の幹部、全部の警察官は知っておらなかったし、私自身も、あのときお会いしましたが、初めてこの方が楢崎さんであったということがわかったのでございます。
○滝井委員 とにかく楢崎代議士がおったということははっきりしておるのです。それは昨日あなたの上司が答弁しておるのですよ。そこで、時間がないから——この楢崎君が代議士であるかどうかということを知っておったか知らなかったかということがまた一つの問題点なんですが、ところが昨日以来の答弁を見ると、これは代議士と知っておったら、だんだん分が悪くなったものだから、代議士であろうと何であろうと現行犯だから逮捕した、こういう形になってきているのですよ。論理がそうなってきているのですよ。そこで私がいまから、この逮捕はねらい撃ちであったという点を少しはっきりさしてみたいと思います。 まず第一に、きのうから、十三日の現行犯の問題を論議する場合に、何も十二日の警察官の五日の負傷の問題なんかここで持ち出す必要もないわけです。ところがそれをきのうは、いわば社会党に一つの先制攻撃をかけるために、江口長官以下持ち出してきている。このことは江戸のかたきを長崎で討つということがあるが、十二日のかたきを十三日で討とうとしているわけです。すでにそこに、楢崎という代議士は十二日にこんな悪いことをしたぞ、そして場合によっては、社会党が文句を言うなら容赦せぬぞ。さいぜんあなたは言ったでしょう。いいですか。あなたは、十三日の事件よりか十二日の事件のほうがもっと重大でございましたと言っている。きのうも、わざわざ聞きもしないのに、十二日にありますといって出してきた。これがすでにもう楢崎君を、江戸のかたきを長崎で討たなければならぬという一つの予断があなた方の頭にできたということです。(笑声)これは笑いごとじゃない。できたということです。それはどうしてそういうことになるかというと、これは楢崎君自身も聞いておるからよくわかる。その中里おまわりさん等が楢崎君をつかまえたときに、ようやくつかまえたと言っておる。このやつ、やっとつかまえたと言っている。やっとつかまえたということは一体何かということです。前に何かがあったからこそ、やっとつかまえたと喜んだのでしょう。そして今度あなた自身があの警察の署長室で、あなたの横に楢崎君がすわっておるのです。右の手をこういうように私は曲げられたんですよと言ってやろうとしたら、あなたが一体何と言ったかというと、そんな性格だからやられるのだとあなたは言った。そんな性格だからやられるのだと言ったんだ。一体あなたは、楢崎君を見たこともないのに、よくまたそんな性格だということを知っておったもんだ。見たこともない。だからやはり人間というものは、そのことのはの中に出てくるのですよ。やっぱり人間というものは性は善ですからね。私は善だと思っているのです。だからあなたも善であるように、楢崎代議士も非常に善人なんです。私たち楢崎君を信頼しています。それで、そんな性格だからやられるのだと言ったことは、同時に今度は昨日の渡海さんの質問に対する後藤田さん等の答弁、あるいは川村さん等の質問に対する答弁を見ても、楢崎君の服装と行動が他の代議士と違っておった、こういうことを言うのですよ。何もわれわれと楢崎君と違っていないでしょう。同じことをやっておる。それをわざわざ違っておったという印象をつけようとすることが、やはり予断をしているわけです。そうしないとなかなかぐあいが悪い。 〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 それからもう一つ、私は警察署に行きまして小山署長にお会いをしたのです。そして小山さん、国会議員が逮捕されました。一体どういう理由で逮捕したのですと言ったら、小山さんちょっと顔面蒼白になりまして、私は知りませんというのです。一体どこに楢崎さんがおるのですか、おるのも知りませんと、こういうのです。そこで探してください。——電話をかけて出て行きました。そこで私は国会議員の逮捕の問題について、私の記憶がちょっとおぼろげだったので、警察のルーズリーフ式の六法全書を借りて見た。借りて見たら、国会法の三十三条のところを、画然としてこう折っておった。そして、私それを見たのです。持ってきた六法全書は三十三条を折っておった。帰って佐世保署のをごらんなさい、折っておるから。したがって、もうこれは前の日の十二日のかたきを討たなければならぬというねらいが、少なくとも末端まではいっていなかったかもしれぬが、幹部にはあっておるわけです。そこで私はそういう事実を見ております。そして楢崎君が逮捕されてから、私はすぐにかけていって、私は楢崎君に抱きつきました。そしてこの人は国会議員だ。——きのう、白いたすきをかけた人が飛んでいったということを後藤課長が言った。それは私です。私がおったことはあなた方が証言をしてくれたわけです。そして私は楢崎君に抱きついたのです。そしてこの人は国会議員だから連れて行ってはいかぬ、連行してはいかぬ。逃げも隠れもしないと私は言ったんだ。そうしたら、国会議員が何だと言って、私の両手をとって引き離してしまった。そこで私は、三本筋の帽子をかぶった人が——これは中隊長か大隊長か何か知りませんが、おったのです。そこでこういう状態であなたは責任が持てるか、国会議員ですよ。で、あなたは指揮者だから、あなたの名刺をくださいと言ったのです。名前を教えてくださいと言ったのです。教えなかった。そこで佐世保署に行ってから、署長とあなたに要求したのです。あの三本筋の人を連れてきてくれ、はっきりするから……。ところがあなた方は、それを私たちにあそこで面会させなかったのです。拒否したでしょう。これらの事実は、もう幹部は十二日には楢崎君が来ていることは知っておるし、十三日も知っておるということで、明らかにねらい撃ちをしておるわけです。しかも服装は違うぞと言ってきたとすれは、他の国会議員と違うことはすぐわかる。後藤田さん頭を横にひねっておるけれども、これだけの事実が出てきておるのだから。ですからこういう形でもしあなた方が国会議員を簡単に逮捕してやるということになれば、いいですか、選挙があって社会党が二百二十五名、自由民主党が二百二十名、こういうようになった。そうして社会党がこの国会のまわりで社会党選挙大勝祝賀会をやった。そこで旗行列をやった。われわれもそれに一緒に出ておった。そうしたらおまわりさんが左を通れ、右を通れとあっちこっち言って、これはあなた方の誘導に従わなければならぬけれども、たまたま代議士がちょっと聞かなかった。公務執行妨害で十人逮捕すれば、社会党政権はそれでおだぶつになるのですよ。そして自由民主党の政権ができる。選挙の結果と違ってくるのです。それほど重大な——笑いごとにしておるけれども、それほど重大な問題を含んでおる。もし社会党が政権をとって自由民主党がそういうことをやってごらんなさい、どういうことになるのですか、ここなんですよ。この問題は、院の構成に関係する重要な問題です。イギリスの労働党と保守党の状態を見てごらんなさい。四票の違いですよ。入院をしている議員でさえも担架をもってつれてきて、採決をやろうとして、そしてあの鉄鋼国有化法案を通すか通さぬかという問題があるじゃないですか、現実にそういう問題があるのです。だからこの問題は、非常にあなたは現地で御苦労されていることはわかります。わかるけれども、何せ原潜が寄港することに、反対をするという政治的な問題をわれわれは討議をし、行動をして、そして運動をやっているわけでしょう。それを警察権力が介入をして、ささいなことで一人の国会議員を逮捕するということは、それが一時間であろうと、二時間であろうと、もし二時間ができるならば五時間ができ、十時間ができ、一日ができるということになる、ささいな現行犯ということで。ここなんですよ、問題は。だからそういう非常に予断を持ったようなやり方でやられるということは、われわれは納得がいかない。特にいまの内閣総理大臣が、身をもってそういうことを体験した人だ。その人が総理のときに、ささいなことでやるということは私たちは許されぬということなんです。それであなた方が佐藤内閣の運命を、これから三人で背負っていけるかというといけないでしょう。ここなんですよ。もしあなた方がやらなかったら、私たちは場合によってはあした、 あさって出ないですよ。佐藤内閣は、施政演説もしない前に議員を逮捕したということでこういう状態になったとしたらどうなりますか。あなたの責任は万死に値するのですよ。死んでも死に切れない。佐藤さんは苦心さんたん、粒々辛苦してようやく政権の座についたじゃないですか。それを九仭の功を一貫に欠くような形をつくっていいですか。(「そういうことを言うのは不見識だ」と呼ぶ者あり)不見識じゃないですよ。こういう重大な要素を含んでいる。だから私たちはこういうことで簡単に下れないということです。 そこで楢崎君を取り調べ室に行って調べましたね。だれが調べたのですか。
○稻留説明員 警察は、十二日の事件があったから、十三日の場合にはねらい撃ちをして楢崎さんを逮捕した、こう言われるのでございますけれども、私どものほうには全然そういうことはございませんし、実際忙しいときでありまして、そういうひまもなかったのであります。おことばを返すようでございますけれども、実際ああいった場合に法に違反して公務執行妨害等をやられる方がおりました場合には、あるいはそれをその翌日の場合に参考にするために、私どもとしましては早くそれを全警察官に知らせまして、こういう人がおるから用心せよと言うような措置も成り立つかと思いますけれども、そういうひまがなかったのでございまして、私どもにはねらい撃ちということは全然ないのでございます。 それからだきついたときに国会議員だと言った。——これは、当該警察官はたすきをかけて国会議員だと言って迫ってこられますので、そのこられる方が国会議員であると認めたわけでございます。 それから非常に重要な問題で、警察の出方についていろいろと御批判がございましたけれども、私どもの問題といたしましては、法にきめられたことを、個々の人間の現象としまして、これに法を適用したという一つのケースの問題として考えておりまして、突発的なことではないかと考えております。 それから取り調べは、署に連れてまいりまして浅草警部補がこれに当たりましたところが、そのときに初めて、十一時か十一時過ぎだったかと思いますけれども、名刺をお出しになられまして、そのときに、警察としましては国会議員であることを確認いたしまして、さっそく上局への報告のことも考えますし、いろいろと早く取り調べなければならぬということも指示したわけでございますが、これを聞きました浅草警部補は、直ちに捜査の主たる係官である捜査一課長に報告しまして、捜査一課長は吉田警部をこれにかわらせて取り調べて、約二時間後にはお帰り願ったわけでございます。
○滝井委員 いまのあなたの答弁で一つ食い違いがまた出てきたのです。私が楢崎さんを国会議員だと言ったら私を国会議員だと思った、こう言っておる。昨日の江口さんの答弁はそうじゃない。私を国会議員だというのじゃなくて、楢崎さんを国会議員だと言われたと言っておる。速記に載っています。食い違ってきたです。
○江口政府委員 お答えします。 いずれ速記録ができると思いますが、私の記憶では、昨日そういう答弁をした覚えはございません。ただ昨日食い迷いがあるというお話で、一番初めに報告を受けた議院運営委員会における質疑応答の中で、つかまえるときに国会議員であることを知っておったかということでございましたが、それは知らなかった、しかし自動車に乗せられるときに、これは国会議員だと言って、数名の人が言ったのに云々という質問がございましたので、そういう報告は受けておりませんでしたけれども、もしそういう事実があったならば、そこで気づいたのじゃなかろうかと私は想像しますという答えをその際いたしました。しかし逐次入ってくる連絡によりますと、やはりその場合においても、きのう後藤田局長が答えたとおり、まわりの警察官は、逮捕された御本人を国会議員だとは、その場合には気づかなかったということでございますから、きのう訂正をしたわけでございます。議院運営委員会における私の答弁は、まさしく私の想像として、御質問のようであれば、そのときに気づいたであろうと私は思います、こういうことは確かに答えておりますが、昨日は、それを、そうじゃない、現地からの報告ではそうじゃないというふうに訂正をしたというのが、きのうの私の答弁だと思いまするが、後刻その点は速記録ではっきりすると思います。
○滝井委員 問題は、そこに参謀筋の指揮官がおるわけです。私はその人に名刺を下さい、国会議員を逮捕したのだから、責任者をはっきりしておかなければいかぬからと言ったわけです。あなたに言ったでしょう、あの佐世保署で。会わしてくれ、その人を連れてきてください、再三再四にわたって育ったのです。指揮官がおったのですから、何だったらその指揮官を呼んでもらいましょう。はっきりするのだから。私はうそを言っていないのですから。私は天地神明に誓ってやりますから。指揮官に言ってある。肥えた、ずんぐりした、背の低い、目のバセドウ氏病のようにちょっと飛び出たようなかっこうの人ですよ。小柳参議院議員がおります。ちゃんとそばに一緒におったのですから。だからちゃんとわかっておるのです。うそは言いません。 そこで、取り調べです。取り調べでは、初め楢崎さんを取り調べ室に入れております。そして三十分ぐらい待たして、だれか来た人に名刺を出している、草野警部とかというけれども、名刺を出した。そうしたら三十分ぐらい待たして今度は応接室みたいなところに案内したわけですね。これは代議士だからということがわかったからかもしれませんが、なかなか芸がこまかいです。初めは取り調べ室に入れている。代議士とわかったから次は応接室みたいなところに入れて敬意を表する、なかなか芸がこまかいです。こまかいところはけっこうです。そこで、どうも公務執行の妨害の現行犯として逮捕したようですとこう言う。現行犯ですとは言い切らなかったのです。現行犯として逮捕したようです、と。楢崎君が、そんなことはない、ようですというような、あいまいなことでは困ると言っている。そうしたら、それじゃ現行犯です、こう言いかえた。それで、私の逮捕は不当逮捕だと言った、——これは調書に書いてある。実は末端の警官がカッとなって、先生、どうもやるようなことがあるようですから、まあ今後どうなるかわかりませんけれどもというようなことを言ったわけです。この二点が大事なんです。そこで楢崎君が、実は小柳参議院議員と滝井代議士が、私がとらえられたときに急いでかけてやってきて、これは国会議員だから放せと主張した、そうしたら国会議員が何だと暴言を吐いたという主張をしたのです。これが警察官の本質的の姿なんだということを言ったら、そのことはひとつ調書に書くのをやめてもらいたい、許してくれ、こう言っておるのです。いまあなたの言う調べた人はなかなかおとなしい警部さんです。非常にいい人です。しかしいい人だけれども、やはり言ったことは言ったことで、国会議員の身分に関することですからはっきりしておかなければならぬ。 もう一つ、逮捕するときに手首をなぐったということで現行犯として逮捕しておるのですが、楢崎君のほうとしては現行犯として逮捕したそのおまわりさんが、逆手をとっておる。だから、これは明らかに不当逮捕だから、私のほうが告訴する、逆に告訴する、こう言っている。そうしたら、いや、これもひとつ調書には書かないようにしてくださいと言っているのです。書かなかったのです。そこで、今後の警察の取り扱い、出方等を見て私はこの二点についてははっきりいたします、これで出てきて、それであなたのところに来たのです。こういう事実があるのですよ。そうしてあなたのほうは中央にすぐに県警を通じて連絡をした。連絡をしたら、中央のほうがあわてたのですよ。国会議員だったものだから、すぐ釈放せいということを言うたということを再三にわたって江口さんも言っている。すぐ釈放せい。中央の江口さんは、いままでも言ったでしょう、すぐ釈放せいと私は言いましたと。あなたのほうは現行犯であろうと何であろうと断じてつかまえて放さぬ、こうおっしゃるけれども、中央はすぐ放せ、こう言っているのです。そこで佐世保の署長は私に何と言ったか。私が、これは重大な事態になりますよ、だからまずすみやかに釈放しなさいと言ったら、小山署長というのはなかなか善良な人ですよ。どう言ったかというと、実は私は国会議員とは知りませんでした。しかし聞いてみると国会議員だということだから、それは重大だと思って慎重に取り扱うように言っております、こう言っているのです。そう言ったのです。そうして今度はいろいろあなた方と相談した。おそらくあなた方中央と連絡したら、すぐに釈放せいと言われたものだから、今度はあわてて私のところに来て、ただいまもう釈放しました、こういうことだったのです。初めの勢いと、あそこの勢いとは打って変わっておったのです。ところがいよいよ国会でこうして取り上げられると、これはたいへんだ、逆功勢に出なければたいへんだというので、きのうから見ていると虚勢の張り続けです。今度は十四日の最後のロータリーから総合会館に至るデモの状態のときに、私はどういう行動をとったかというと、こういう行動をとったのです。あなた方の指揮者がデモ隊に向かって、牛を追うカウボーイのごとくにぐっと押しかけていったときに、私はすぐ二本棒と三本棒の指揮官に言ったのです。そうして君、ちょっと来い。君はこういう状態でデモ隊を追い散らし、むちゃくちゃに狂暴なことをやっていいか、私は君の顔を覚えておって、そうしてこれを国会で言いますよと言ったら、私は指揮者ではありませんといって指揮者はみな逃げてしまった。前日の状態があるから……。そういう状態だったのですよ。だからこれは、こういうように事態が政治問題になって、そうして簡単にいくと思ったら大間違いですよ。だから、いいかげんなところであなた方も辞を低うして、やっぱり引くところは引く、処理するところは処理して、きちっと事態を収めないと、あなた方がきのう以来の高飛車の状態を続けるならば、これは佐藤内閣の運命に関係してくるということです。まだ施政演説も一回もやらないで、そうしてアメリカから原子力潜水艦の寄港というおみやげをもらって、佐藤さんこそいい迷惑です。しかもそのおみやげの付録に、警察官の行き過ぎのために、佐藤内閣は反動、弾圧内閣だ、警察国家をつくろうとする内閣だなんという汚名を着せられることは、私は佐藤さんのために惜しむのです。それはむしろそこのあなた方の三人が、どうこれを判断するかによって佐藤内閣の運命はきまるのです。それほど重大な運命を握っているのです。笑いごとじゃないのです。これが社会党の趣旨なんです。だから、そういう事態があったということです。 私はもうこれでやめます。やめますけれども、とにかく楢崎さんの現行犯というものがきわめて軽微のものである、あなたがさいぜん藤田さんの質問に答弁した中に、きわめていいことがあるのです。それは、違法行為が続行する場合には、悪質者には現場の検挙をする、こうなっておる。そうすると、悪質者は現場の検挙をするということになれば、楢崎代議士は悪質者ということになるのです。だから違法行為がずっと続行して、そして悪質者の場合に現場で検挙する、こういうことになっておる。そうするとあたかも楢崎君が悪質者のごとくに言うわけでしょう。そうして、しかも十二日の事件では逃げられた、こう言うのです。逃げられたならば、何で翌日すぐ逮捕しないのですか。堂々と出てきているのだ。あなたは逃げられたということばを使っていますよ。悪質者を逮捕すると言い、そうしてしかも、それならば楢崎君は悪質者であり、逃げたものならば何で逮捕しないのですか。ところが前日の事件を、取り調べ中で云々と言う。しかし本人はおるのです。逃げられたと言う。だからじっと聞いておると、あなた方の主張は論理一貫していないですよ。むしろ私が客観的にあの状態を見ると、あの上陸地点からロータリーに至る間の追い込みの状態というものは、ほんとうに狂暴な警官が善良な市民を追い立てる姿だったのですよ。そして狂暴な人と狂暴でない人がおる。この佐世保署のおまわりさんか何かしらぬけれども、交通の腕章をつけた人たちは、実に親切丁寧だったのです。行ってください、——それでいいんですよ。それで行くんです。あなたも私も日本人です。アメリカが言ったじゃないですか。アジアにおける戦争が不可避だとするならば、アジア人をしてアジア人と戦わしめよと言ったんです。何で私たちが同じ日本人で、同じ血の続いておるあなたを攻め立てなければならぬのですか。これはアメリカの原子力潜水艦がくるからでしょうが。長崎にあれだけの激しい原爆を受けて、そのお隣の佐世保のあの平和な二十五万の町に、山清く水うるわしいあの佐世保の町に、また事が起こったらどうしますか。郷土を愛する者が、やはりある程度立ち上がって憤激するのは当然でしょう。あなた方もその犠牲になるのですよ。それならば、あなた方は左右の道路の白線を引いておるまん中に立ってじっとしておればいいんですよ。それをあたかも羊を、あるいは牛を追うがごとくに追い立てなくてもいいんです。そういうことをやるからこういう事件が起こるんです。そういう状態ではなかったのだ、あすこは。それをあたかも生命、身体、財産を侵害するとか、公共の福祉あるいは秩序を侵害するとかという大時代的なことばを持ってきて、あたかも悪者が攻め入ってくるがごとき状態を仮想するというのはいけないことなんですよ。やっぱりもう少し大乗的な気持ちで、お互いに日本人なんだから——アメリカは言ったじゃないですか。アジアにおける戦争が不可避だとするならば、アジア人をしてアジア人と戦わしめよ。何も日本人のおまわりさんと、日本人の国会議員、労働組合員が戦う必要はないのです。秩序整然とできるのですよ。ここなんですよ。治安の維持というものは、その機微を知らなかったらだめです。ああ道路交通法だ。ああ警職法だ。警職法の五条だ、七条だというしゃくし定木の、その文字に書いておるものをいたずらにあやつって、そして善良な市民、善良な学生を泣かせ、頭をたたき割るということはよくないです。そういう点ではやはり十分ひとつ反省しなければいかぬと思うのです。私はあなたが水俣事件以来非常に苦労しておることを知っております。それだけに敬意を表します。それだけに矢面に当たっておることをお気の毒だと思います。しかし一国の民主主義が危機に直面をするときは、私は、あなたがいかに善良な警官であっても、やはりその点については許すことができないということになるのです。だから十分考えて、ひとつお帰りになったら中里巡査やその他に言い含めて、常々と国会に出て、天地神明に誓って言うことは言う。軽微であったなら軽微であったと言ってくださいよ。それ以上われわれは追及する気持ちはありません。事件がきちっとなりさえずればいいのですから。これは佐藤内閣の運命にも関係することだから、今夜一晩ゆっくり寝て、胸に手を当ててお考えになって、ひとつ今後いい処置ができるようにしていくことをお願いしておきます。 中里さんはぜひひとつ呼んでもらわなければなりませんから……。
○江口政府委員 私から一言お答えいたします。 現地では十三日に非常に勇気りんりんとやったが、中央に報告したら中央のほうですぐ釈放せいという指示があった、こういうお話でございますが、なるほど十三日に逮捕いたしまして、その報告は私も国家公安委員長も、出先の会議の場で警備局長から報告を受けました。しかし非常にそれは簡単であったことは先ほど申し上げたとおりでございます。その席でこれはあわてたといいますか、あわてたというふうにとられればそうでございますが、それは大きなことが起こったという気持ちは持ったことは事実でございます。しかしながら、警察法にも書いてございますとおり、こういう事件、いかに重大でございましても、私たちがそれを釈放せいとか、釈放するなとかいう指示をする権限はございません。したがいまして大臣としては、国会議員というものをそういうことでつかまえたということになると、これは知らずにあるいはつかまえたかもしらぬけれども、釈放方は早くやったほうがいいという意味の御指示というか、われわれに対する御指示はございました。しかしながら、いまのような法律関係でございますから、後藤田局長はもう少し詳しくそれを考えまして、早く釈放するには早く調べて、できるだけ調べの結着を早くして釈放したらよかろうというアドバイスを現地にやっておりますことは、現地で受けておる事実もありまするし、こちらのほうでそういうふうな申し入れをしておることははっきりしておりますから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたい、こう考えます。 それから悪質なものというふうな目標をつけてやったというようなことは、私たちもこれはいままで受けておる報告を総合して考えません。しかし、やはり現場における公務執行妨害の態様というものは、悪質な行為として検挙をしたことはこれは事実でありますので、そういうふうに御了解願いたいと思います。
○滝井委員 いままでの質問を通じて、客観的に見て悪質だということが出てこないわけですよ。悪質だということが出てこないですよ。おまわりさんの前に、労働組合とそれからデモとの間に手を広げた。おまわりさんのほうに向いて広げたということが公務執行妨害になっておるのですから、これを悪質な行為だといえば、さいぜん言ったようにもう道路を渡ることでも悪質になるのです。だから全くそういう主観的な、客観性の非常に少ない一方的なことで、しかもやられたとおまわりさんがいえばやられたということになる。片一方はおれのほうがやられたんだ、こうおっしゃっておるのですから、これは私たちは、この事件が現行犯として一体逮捕されるような悪質なものであったかどうかということが重点なんです。悪質であったものでなければ検挙しないということは、さいぜん藤田君に答弁しておる。そうすると、その楢崎君が手を広げて立ったことが悪質だ、こういうことは、どうしても客観性が立たないのですよ。立たないからこそあなた方は、十二日のことを、またできれば悪いことばで言えばでっち上げる、そうでなければ捏造するか、そうしてできれば追い打ちでもかけよう、おどしでもかけよう、こういう形だけれども、それはわれわれもそういう形をやればあくまでも反撃をしますし、そういうきたないことをしちゃいけませんぞ、こう言っておるのです。問題は十三日の十時三十分から四十分あるいは四十五分の時点のことを言っておるのだから、その時点について十分あなたがたも考えてしないと、内閣の運命に関するような重大なことになりますぞ、こう言っておる。日本の民主主義の危機になりますよ、こう言っておる。私たちは日本の議会制度を守る。われわれ社会党は議会制民主主義だ。平和革命方式をとろうとしておるのだから、それをおまわりさんからそういうようなことで一々われわれ逮捕されることは忍びないのです。この点を言っておるのです。それで私はこれは重大だと言っておるのです。いままでない。ぼくらも砂川の経験もしました。安保のときもまん中に入って行ったのです。それだけれども、いままではそういうことは一回もなかった。ところが今度初めてだから、注意をしてもらわなければいかぬ、こう言っておるのです。 これで質問を終わりますけれども、いずれこれは中里さんはやっぱり来てもらわぬことには、本部長さんだけでは、あなたが幾らここでだいじょうぶだ、こうがんばっても、私自身が客観性がないのですから、あなたの聞いたことをまた聞きではいかぬですから、ここにやられた本人もおるわけですから、やった本人を連れてこなければいかぬ。 委員長、中里さんをぜひひとつ呼んでいただくことをお願いをして、留保して、そうして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○森田委員長 安井吉典君。
○安井委員 ちょっと関連いたしまして、本部長に一点だけ伺っておきたいと思います。 楢崎君の容疑は、公務執行妨害罪容疑だというふうにお話があるわけでありますが、ただその執行妨害のあり方、その手を広げたときの状態が執行妨害と見られておるのか、打ったときの状態が執行妨害というふうに言われておるのか、その点ですが、どうでしょう。
○稻留説明員 警察官の手を打った、その瞬間の行為を公務執行妨害……。
○安井委員 すると広げたときのやつはそうでなしに、打った状態だけを言われる、そういうことのようですね。 そこで公務執行妨害罪は刑法の第九十五条の規定であるわけでありますが、「公務員ノ職務ヲ執行ステルニ当リ之ニ対シテ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ禁錮二処ス」これが第一項の規定なわけですね。この解釈に際して、職務執行の妨害となる程度の暴行または脅迫が必要だ、そういう犯罪構成要件が要るんだ、そういうふうに私は理解しておりますが、どうですか。
○稻留説明員 それは、その人の行為によりまして、警察官の行為が妨害されることはあると思います。しかし、またその場合の警察官の能力その他によりましていろいろの場合はあるかと思いますけれども、妨害を受けておるわけであります。
○安井委員 つまりその暴行によってどの程度の——それじゃこのケースを特定して言いましょう。今度の場合に、これによってどれだけ職務の執行に妨害を受けたか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
○稻留説明員 警察官が手を打たれましたら、それ以後警察官がやらなければならない仕事ができなくなります。(「それは何の仕事だ」と呼ぶ者あり)それは、デモ隊を制圧しているその仕事ができなくなるわけであります。
○安井委員 楢崎君はそれじゃどの程度打ったのですか。私も現場にいないもんですからね。滝井さんと違って私はいないもんですから、それで伺うのですけれども、どの程度打って、どのくらいの痛さがあって、どれくらいだったのですか。
○稻留説明員 相対峙して接触している姿から一歩引かれまして、強く警察官の手を打たれた。それによって警察官がこういうふうにのめる前のかっこうになったわけです。
○安井委員 それはあなたが見てたんですか。それともどういうふうな証拠によってそれを言われているのか。つまり打たれた警察官の証言なのか、見ていた人の証言なのか。それを証明し得る物的証拠はどういうふうに収集されているのか、それをひとつ伺います。
○稻留説明員 その場の警察官が主たる証拠であります。しかしながら、妨害を受けた警察官のみならず、そばにおった警察官も、それは妨害だ、こう言ってそのときの状態を如実に確認しております。
○安井委員 それはやはり主観の問題があると思うのですよ。打たれた人の主観、見ていた人の主観、それからまた国会議員もだいぶその場にいたはずです。それから楢崎君の主観もあるでしょう。そういうようないろんなものをまじえた客観的な判断でやはり問題の結論は出されなくてはならないんじゃないかと思うのですが、そういうふうな御措置は講ぜられましたか。
○稻留説明員 その点は、具体的な行為に対する刑事法上の評価でございますから、最後は法廷においてきめていただくことと考えております。
○安井委員 関連ですから私これでやめますが、ここで委員長、ひとつ資料をお願いいたしたいと思います。 この事件の概要に関する報告書、きのうも御報告がございましたけれども、それをひとつ文書で御提出を願いたいと思います。それからこの事件に関する一番の焦点は、公務執行妨害罪の成立と、それが現行犯であったかどうかというところが論点だと思いますので、この点を明らかにした文書をもって御報告を願いたいと思います。それから第三番目は、今度の事件における県警の警備編成表、だれが責任者で、現場までのずうっと一貫した編成の内容がわかる資料をひとつ御提出願いたいと思います。それからもう一つ最後に現場写真ですね。特にいままでの政府側の発言の中には、たすきをかけていたとか、いや腰に下げていたとか、そういうふうなのがあるのです。きのうもそういう御答弁だったわけですね。ところが、新聞写真を見ますと、どうしても肩からかけているようなあれがあります。ですから、それもぜひ資料として御提出願いたい。それからまた、警察のほうでこれらの現場の状態が判明し得るような写真がありましたら、それも御提出願いたいと思います。以上です。
○後藤説明員 二点について私からお答え申し上げます。 一点は、安井先生の御質問で、公務執行妨害罪には妨害を受けた公務員の職務の執行が現実に妨害される必要があるかどうかという問題でございますが、御承知のように、刑法第九十五条は「公務員ノ職務ヲ執行スルニ当り之二対シテ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ禁錮二処ス」と第一項にございまして、あえて公務員の職務がそのことによって妨害されたることの必要性をうたっておりません。また、判例も一貫してこの態度をとっておりまして、間接の暴行であってもこれは公務執行妨害罪が成立するということをいっておりますので、本件の場合は、デモの不法なる激しい蛇行進の規制に当たりましたその警察官の規制中の行為に対しまして、右手をもって強く規制しておる警察官の右手を殴打したわけでございますので、明瞭にこれは暴行にあたります。したがいまして、公務員の職務を執行するにあたり、これに対する暴行でございますので、この点はいささかの疑問がないものと考えております。 それからただいま資料の提出の御要求がございましたが、写真等は、これは現実にただいま捜査中の事件でございますので、ものによりましては、お出しできるものはきわめて少なかろうと考えております。
○森田委員長 資料の取り寄せにつきましては、善処いたします。 次に門司亮君。
○門司委員 私はいままでこの事件に関していろいろ各方面からの質疑応答を拝聴いたしておりましたが、私も現場におりませんから、事実についてどうこうは申し上げませんが、その中で納得のいかない問題について御質問を申し上げたいと思いますので、それぞれの係からひとつ適切な御答弁をわずらわしたいと思います。 第一に私がお伺いをしたいと思いますのは、憲法上の議員不逮捕の原則について法制局はどう考えておるかということ、並びにこれの具体的な問題としての取り扱いについて、警察当局はどうお考えになっているか、この点をひとつ確かめておきたいと思います。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 議員不逮捕の特権につきましては、これはもちろん民主主義国家における国会の機能の重要性にかんがみまして、議員としての職責を全うされたいという要請から出たものだと存じておりますが、なおそれにつきまして、その国会の職責を全うしていただくという要請と、それから本件に関連して申しますならば、院外における現行犯をなされた場合の刑事手続上の要請との調整をはかった規定だ、こういうふうに考えております。
○江口政府委員 国会議員のいわゆる不逮捕特権についての精神は、国会の審議というものをなるだけスムーズに行なわせるために、いやしくも会期中においては法律で定めたぎりぎりのものでない限り逮捕しないというような精神だと考えて、私たちも十分その精神は尊重して実施していかなきゃならぬ、こういう考えでおります。
○門司委員 私は、さっきの法制局の答弁でございますが、この中に少し欠けている点がありはしないか。あるいは警察の答弁も、単に文章上の解釈であって、憲法の精神に触れていないじゃないか。憲法の精神の最も重要なことは、議員の身分というものは、院の構成にきわめて大きな影響を持つものである。いわゆる民主政治であり、議会政治である、あるいはもう少し詳しく言うならば政党政治である、そういう際における院の構成というものは、非常に大事なものでありまして、この院の構成にいささかでも支障があるようなことがあっては、民主政治としての十分な機能を果たすことはできないと私は解釈している。この点はどうなんですか。私は、それのほうが重要じゃないか、個人の身分を保障するという形よりも、むしろ院の構成のほうが大事じゃないか、院の構成に基づいて初めて審議が行なわれるのでありますから、私はそう解釈しているのですが、私の解釈は違いますか。
○真田政府委員 私が申し上げました、国会としての職能を十分に果たしていただくという民主主義の要請でございますが、その中には、ただいま先生の仰せになりました国会議員としての御身分あるいは院の構成、こういうものも全部入っているのだろうとは、もちろん存じております。つまり行政権の作用によりまして国会の審議が妨げられるというようなことがあってはならないという、国会の尊重の精神でございますから、いま仰せのようなことも含まれておるのだろうと存じております。
○門司委員 まあ、いまの御答弁で、やや私の考え方に近いように考えておりますが、そうだといたしますと、この議員の身分に関する問題はきわめて重要でございまして、いまお話のありましたように、今回の事件は、刑法九十五条の発動であることに間違いはないと私は思うし、またそのとおりだと思う。 ここで問題になりますのは、いろいろ議論はされておりますが、公務員の職務行為に対しまする有効要件をほんとうに具備しておったかどうかということが一つであります。この点については、私は現場に行っておりませんから、その実態を明らかにすることが非常に困難でありますが、いままでの各同僚の質問その他を参酌いたしてまいりますと、現場における様相は、必ずしも職務行為の有効件というものを阻害するような行為というほどではなかったではないかという気がするのですが、その辺を一つ本部長さんから、そうではなかった、明らかにこういう行為があって、こういう者を逮捕すべきであったのが逮捕ができなかったというような実証がもしあげられるならば、この際、一つあげていただきたいと思います。
○稻留説明員 十三日の逮捕現場における警察活動の問題でありますが、これは、先ほど御説明申し上げましたとおり、ロータリーの中央線から、初め直線でありましたけれども、ジグザグのデモを打って、非常な交通障害の集団行為を惹起しまして、これを整理しなければ、そういった交通障害からどういう事態が惹起されるか、生命、身体、財産に対して惹起されるか、相当な危険が見込まれましたので、警察活動をやったわけでございまして、ここに立っておる警察官の行為は、十分職務行為として有効要件を持っておるものと考えております。
○門司委員 それだけではよくわかりませんので、これからさらにそれに関連してお尋ねをいたしたいと思います。 警察官の職務執行に対しまするいわゆる妨害罪、今度の事件でありますが、この妨害罪に対する処置としての適法性は、どれをお認めになりましたか。いわゆる幾つかいままでのわれわれが聞いております範囲の問題があったのでありますが、したがって、いまお話しになりましたそういう他人の生命、財産に影響を及ぼすような事態になるかもしれないという一つの判断のもとに行なわれた行為というものについて、これらの適法性はどういう角度からこれを判断されておるのか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。私は、この点をなお答弁の資料にするのにしやすいように申し上げておきますが、こういう場合の適法性といっておりますのは、結局客観的に見るのか、あるいは主観的に本人が見るのか、あるいは一般的な見解に従うかというようないろいろな判断の基準があろうと思いますが、その判断の基準は一体どこに求められたかということであります。この点を本部長から明らかにしていただけませんと、いまのただどうもそういう気がしたというだけではいけない。それはだれが判断したか、どういう判断の資料に基づいておやりになったか。この場合は、私はおそらく警察官の個人の判断によって行なわれておる、いわゆる主観的な立場で行なわれておると考えておるのだが、そうですが。
○稻留説明員 これも説明申し上げましたとおり、違法のデモをやりまして、それがジグザグになりまして大きな混乱が生じ、これを二つに分けなければさらに混乱が増大するという場合に分けて入ったのでございますが、その全体の三分の二のほうでは、熊本の警察官が傷害をされるというような、こういった事態が出ておりました。かくのごとく、人のからだに傷害を与えるような事態ができておって、また一般の交通というものも大きく妨害を受けておりますから、こういったものを客観的に見まして、かかる事態というものが法の要件を十分満たしておると私どもは判断しておるわけであります。かかる場合に、しかしながら、分けて入る警察官に対しましては、この場合は中隊長の指揮でありますし、個別の現行犯につきましては、当該警察官であります。
○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしゅうございますか。今度の事件は、当該警察官の主観的立場に立って処置をした、こういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。
○稻留説明員 現行犯の逮捕は、当該警察官一個の判断によったものであります。しかし、部隊活動は、中隊長の指揮によって警察は動いているわけであります。
○門司委員 私は、部隊活動を聞いているのではありませんで、ただ逮捕した警察官が主観的にやったかどうかということを聞いておるのであります。 それで法制局にさらにお伺いをしたいのでありますが、いまお話を承っておりますと、出先の警察官の主観的な立場によって処置をされたということが大体言えると私は思うのでありますが、この場合に私どもが問題になると思いますことは、主観的にものを考えてまいりますということは、公務員のいわゆる自由裁量による職務行為から生ずる問題でございます。したがって、これには御承知のように、公務員という一つの立場から、公務員の行為につきましては、これは国家作用としての優位性がどうしても生ずる危険性がある、公正な判断を欠く危険性があります。このことは法制局はどういうふうに認められますか。そういう判断があるということに法制上幾らか認められますか。
○真田政府委員 お答えいたします。 いまの最後の御質問にそのものずばりでお答えいたしますならば、それは公務員も人間でございますから、判断を誤ることはあり得ることだ、これはもちろんでございます。 そこで、先生が前段で仰せられました公務執行妨害罪の前提となる公務の適法性あるいは違法性の判断はどうしてきめるかという基準でございますが、これは、御承知のとおり非常にむずかしい問題でございまして、いろいろ学説もあるようでございます。ただ、裁判所の判例を見ますと、大体これは主観によってきめるのだというふうにいっております。ただ、それにしましても、手放しで当該公務員が適法だと思ってやった行為は全部公務執行妨害罪で保護されるのだというふうにいっているわけではございませんので、当該公務員が適法だと思ってやったその判断が、当該公務行為の行なわれた当時の事態に応じて一般的にそう思うのはもっともだというような条件が備わっておれば、かりにそれが振り返ってみた場合に適法性の要件に欠けるところがあっても、それは公務執行妨害罪で保護されるのだというふうにいっているのが判例の態度だと、私たちは承知しております。
○門司委員 そこでだんだん問題がむずかしくなるような気がしますが、公務員というのは、ことに警察官というのは、いわゆる国家権力の一つの作用という、一般住民に対しましては優位性を持っております。したがって、そこから違法性を判断する場合には、これは個人的に見ましても、あるいはこれが主観的に考えられても、いわゆる個人の感情あるいは主観的にこれを判断してまいりますと、この警察官のそういう立場に従属してものを判断してまいりますと、結局判断を誤る危険性が非常に多いということを一応われわれは考えるのでありますが、そういうふうに警察当局は考えませんか。これはひとつ警察当局から、江口さんのほうから御答弁願いたいと思います。
○江口政府委員 先ほど法制局からお答えになりましたように、警察官といえども人間でございますから、そういう御心配ももちろんあるわけであります。しかしながら、現行犯逮捕というような場合においては、どうしてもそれをする個々人の判断以外にはこれはやれないわけでございまするから、したがいまして、私たちは、そういうことをする際に判断を間違わないような教養と訓練というものをかねがねからやっていくということで、間違いのないことを期しておるわけでございます。
○門司委員 そうすると、こう考えてよろしゅうございますか。今度の事件は、かねがねそういうことがないように注意しているから、そういう判断に間違いがないものだとわれわれは解釈しているということに一応いまの答弁では聞き取れたのでありますが、そういうふうに一応私この事件で考えてみますと、そこで問題になってまいりますのは、この公務員に対しまする執行妨害に対する規定は、十分考えなければなりませんことは、いま申し上げましたように、国家作用という住民に対するある種の優位性を持っておる国家公務員の個人の判断、あるいはそれから来る一つの主観的な判断というようなものに、私はこの法の適用を従属させるわけにはいかないと思う。そのことはどういうことかといいますと、この種の犯罪と裏表になりますものに、警察官の、いわゆる公務員の職権乱用があります。職権乱用とこうした国民の行なういわゆる妨害行為というものとの今日までの裁判所その他の実例をずっと見てみますと、公務員に対しまする職権乱用についての訴追あるいはこれに対する問題は、住民のほうから言わせますときわめて困難であります。その訴追も困難であり、また事実たくさんあっても、これを一々摘発する能力を国民はなかなか持っておりません。ところが一方、警察官その他の行ないます行為について、これは職務執行妨害だということが、もし今日の日本の法律が定めておりますような、何らの規制を加えておらない——私は法律自身にも問題があると思います。たとえばドイツの法律を見てみますならば、この職務執行についてはかなり制約をしている。しかし、日本にはそういう法律上の制約は何もない、野放しである。だから、警察官その他が、いわゆる公務員の個人の考え方、あるいは主観的にものを判断することができるということで、この種の犯罪は非常に多い。今日国民が憂慮いたしますものは、いわゆる国民の権利として憲法に定めております公務員の行き過ぎ、いわゆる職権乱用に対しては、比較的これを摘発する機会は少ない。ところが、公務員のこの種の犯罪については容易にこれが行ない得る日本の現行法に、私は多少の問題はあろうかと思いますが、それにいたしましても、そういうことが大体国民の間に考えられる、ここに私は非常に大きな一つの問題がありはしないかと考える。 そこで、私はこれらの問題についてぜひ考えなければならないことは、この法規の立場から当然考えられてまいりますことは、この種の犯罪検挙に対しましては、あくまでも客観的判断に基づく十分の資料がなければ結局独断行為になるという、いわゆる官吏の一方的処置に終わるという危険性が非常にあろうかと思いますが、この点に対する法制局の見解をひとつこの際はっきりしておいていただきたい。
○真田政府委員 お答えいたします。 仰せられますように、公務員の職権乱用罪とそれから公務執行妨害罪の摘発なり、告発なり、告訴、起訴の事例の数は、あるいは先生の仰せられるとおりであるかもしれません。それは私、そっちのほうは担当しておりませんので、よくつまびらかにいたしておりませんけれども、法制といたしましては、両方そろっておるわけでございますし、それからあと運用の問題としては、いろいろそれぞれの所管にあられる各庁で厳正に、また条理を尽くして適用されるべき筋合いのものであろうかと存じます。 それで、公務執行妨害罪の前提になります公務の適法性をどうしても客観的にきめなければおかしいではないかというような御疑問ではないかと思うのでございますが、これも非常に問題のあるところでございまして、従来の解釈、それから裁判所の態度は、先ほど私がお答えしたとおりでございます。 なお、その点につきまして、刑法の改正の審議会が法務省に現在持たれておりますけれども、その法制審議会の刑法改正部会でも、当然その点は検討されるのだろうと思います。いずれそういう作業が終わりましたときには、もちろん法文上にも明らかになるかと思いますけれども、現在では、先ほど申しましたような解釈になっておるというふうにお答えするよりほかしかたがないわけでございます。
○門司委員 現在ではしかたがないというお話でありますが、しかし、国民が理解し、納得しようとするには、この法規自身の立場から考えてまいりましても、どうしてもそこには客観的に判断さるべき十分な資料がなければ、私は国民はなかなか理解し、納得しないと思う。特に私はここでこういうことを申し上げますのは、同僚議員の逮捕事件について、今日までの新聞は、一方的に暴行があったから逮捕したのだという観念が、非常に強く新聞の論調その他にあらわれているようであります。真実性がちっともわからない。その真実性を明らかにすることのためには——少なくとも当該警察官の個人の意思やあるいはそのときの主観的立場に立ってだけ処理をされると、こういう問題が私は出てくると思う。したがって、この種の問題は、少なくとも客観性を帯びた、何人も承諾、ということばはどうかと思いますが、承認し得る、あるいは理解し得る処置が望ましいのであるということは、私は警察当局もそのとおりだと思います。 そこで問題になってまいりますことは、この問題について警察当局にひとつお聞きいたしたいと思いますことは、われわれは、この種の問題につきましては、どこまでも客観的判断によってこれを行なっていくことが必要だと思います。したがって、警察行政の中でも、いきなりこれを職務執行妨害として取り扱うのか、あるいはこれに対しては事前に何らかの注意を行なう義務があるのか、私は道義的には警察にはその義務があると思う。法律的には義務はございませんよ。しかし、少なくともそういうことをされれば公務執行妨害になりますぞという親切さが、私はなければならないと思う。これは人間と人間の行き合いですから、その行き合いのときに、いままでの意見を聞いてみますると、楢崎君のほうはいやとめるつもりだったと言うし、片一方は職務執行妨害だと言う。そしてその際に手が触れたとか触れないとかいうようなことである。これだけでは一向わからない。したがって、そういうときには、そういう行為は公務員の職務執行妨害になりますぞという客観的なものを求める行為というものが、私は警察官には当然あるべきだと思う。この教養を怠って、この教養をなされなければ、警察権の今日の乱用は私はますます激しいものになると思う。私は、この点について警察は一体どういう指導をしておるのか。ただ何でもいいから主観的に個人の意思で、行為があったら片っ端からこれをひっくくってしまえというような乱暴なことは、私は許されないと思う。そこに、私どもが主張しておりますこれらの問題については、どうしても一客観的判断に基づくことが正しいということが私は言えると思う。この点は、警察当局と法制局との間に多少食い違いがあるようでありますが、そうお考えになりませんか。犯罪を未然に防止する。犯罪を少なくして、国民の良識を促す。権力を持つ者が、権力のみに拘泥して、権力のみを発動しようとすれば、世の中はめちゃくちゃになります。この点をドイツの法律はかなり戒めております。しかし、日本の場合は、これは野放しである。そこにこういう問題が起ころうかと思いますが、警察官の教養として、そういうことはお話しになっていないですか。何でもいいから、犯罪があればめちゃくちゃにそれを取り締まってしまえというような乱暴な教育をされているかどうか、この場合もそういう行為が行なわれたかどうか、その点を一つ現場の本部長さんから明らかにしていただきたいと思います。
○江口政府委員 私から一般的なことについてお答えいたします。 警察官の職務の執行が正しい執行であるということがもちろん公務執行妨害の場合も前提になるわけでありますが、この点については、もちろん正しい執行をするようにということでかねがね訓練をいたしております。だから、今度の場合におきましても、その公務執行妨害罪の前提になった警察官の職務が正しい意味の公務であったということについては、るる本部長が述べておるように、私たちもそういうふうに間違いないと考えております。 それから公務執行妨害罪として逮捕したり検挙したりする際に、事前によくそういうことのないように注意をしてやれというようなことについては、その場合場合によることでございまして、よく門司先生も東京都内等でごらんになるように、警視庁等のデモ規制等の場合には、実にくどいぐらいに繰り返してそういうことを予告し、しかもなおそういうことが行なわれた場合にやっているということをごらんになると思いますが、佐世保の場合におきましては、ああいう性質の状態のときには、あなたがこうやったら公務執行妨害罪になりますぞということをおそらく告げるような条件の場合ではなかった、こう考えますので、やはりこれは態様態様によってやるべきことであって、あらかじめ告げなければそういうことはしてはいけないというような意味の訓練、教養はいたしておりません。
○門司委員 現場はどうです、そういう状況であったかどうか。
○稻留説明員 逮捕の瞬間に、その場で事前にそういう行為を予想して一つの犯罪防止の警察の仕事をやるという問題が、今回の場合、その警察官といたしましては、これはとうてい私ども行なわれがたいのではないかと思います。しかし、周囲からマイクの大きな声で、しばしば警察官の指示に従って行動してもらいたいということは、訴えておるわけでございます。 なお、こういった個々の場合は別としましても、一般的に警察官の職務執行が適法にいくようには、私どもかねて強い教養をいたしております。
○門司委員 どうも答弁がちょっとあいまいですが、なるほどスピーカーやその他で言われますが、しかし、これは団体なら団体に対する一つの注意であって、個々のこうした起こり得る、あるいは起ころうとしておるケースについては、何にも指示されないわけであります。この場合も、私は、いままでの質疑応答の中から私が感じまする感じとしては、あの場合でもかりに楢崎君が手を広げたとしても、そういう行為は公務執行妨害になりますぞ、やめてもらいたいという注意をする余裕がなかったということは、私には考えられない。と申し上げますのは、この種の犯罪は、あなた方のほうではどういう事件が起こるかわからない、予測しがたいものが起こるかもわからないという判断のもとにおやりになっておると思いますが、その現場における直接の瞬間の問題としては、強盗や窃盗や殺人とは違うのである。 〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 したがって、瞬間を入れずしてこれを逮捕しなければ、逃げたらたいへんだというような客観性の問題というか、事件ではないはずだ。楢崎君がかりに手を広げたとするならば、そういう行為は職務執行の妨害になりますから、逮捕しますぞというくらいのことを言う余裕は、十分あったと思う。そういう警察官の教養の欠けているところに、こういう問題が起こりはしませんか。私は、その点は非常に遺憾に考えている。もし警察がもう少し手を尽くしておったならば、こういう問題は起こらなかったであろう。もし起こったといたしましても、そこに十分な逮捕する客観性の問題が警察側に出てくる。しかし、今日の場合は、それを直ちに警察側の逮捕ということは、そういう意味から言えば私どもは是認しがたい、こう考えておりますが、私のこの考え方は間違いですか。
○稻留説明員 この場合、具体的にその騒擾の集団の一方では、熊本部隊の東警部というのが巻き込まれまして、臨み倒されて、けるような事態が起きておりまして、かような切迫しましたときに、警察官の手を打ってくる行為というものを事前に予知して、その瞬間に犯罪を防止するように誘導するということは、事実上困難でありまして、その点、当該警察官の行為というものにつきましては、私は非はないと考えております。
○門司委員 どうも警察官の行為に非はないとお考えのようです。そう言われることがあなたの立場かもしれないと思うのですが、いままでずっと質疑を聞いてみますと、手を打ったとか打たないとかいうことは、楢崎君の左の手にむしろ警察官のほうがさわった、あるいはねじ上げたということばが使ってありますが、ねじ上げたということばを使ってもよろしい。それに対してそれを払いのけたという行為、こう考えてまいりますと、私は、むしろいまの本部長の答弁のほうがおかしいような気がするのです。だから、手をねじ上げたというときには、聞いてみますと、楢崎君が手を広げられた、こういうのですから、そのときに、そういう行為は執行妨害として逮捕しますぞというくらいのことは告げてもよろしいのではないですか。これが職務執行妨害になるかならぬかということは、楢崎君自身がそれを自覚しているかしていないかということは、別の問題であります。だから、そういう問題をあなたの警察官の単なる主観的な立場だけ、個人の感情だけに訴えてやられるところに、私は今日の問題が起こっていると考える。少なくともわれわれの考え、判断からいきますならば、どうしてもこの種の問題についての法規の精神というもの、法規の立場から考えてまいりますならば、客観的判断で当然処置さるべきものである。したがって、その前段としては、これにそういう注意事項というものがあってしかるべきである。そうして客観情勢というものが十分でき上がったときに初めて逮捕することが可能である、できるのであるということにならざるを得ない。先ほど滝井君の話を聞いてみますると、その中に、公務員の職権乱用で訴えるぞというような意見もあったように聞いておりますが、そういう判断に迷うことになる。見方によっては先に——かりに自分は職務執行妨害をするつもりではなかった。いわゆるこれを制止するつもりで手を広げた。それを警察側から見れば職務執行妨害になった。だから手をねじった。それをはずしたから、これまた暴行罪として、職務執行妨害としてこれを取り扱った、こういう実にややこしいケースである。 私はもう一つこの問題を法制局に聞いておきたいと思いますが、いま申し上げましたように、私は、あくまでもこの法律の適用性あるいは適法性というものは、少なくとも客観的判断に基づいてこれを適用すべき法律だと考えますが、その場合に、少なくともこの客観的の判断を義務づけるといいますか、立証し得るものは、一ついま申し上げましたように、例の注意をするという、義務行為と私は申し上げませんが、そういう処置がとらるべきではなかったかということ、もう一つは、この種の犯罪については、少なくとも第三者としての客観的情勢がそうであったという証人が必要だと考えているが、この点は法制局はどうお考えになりますか。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 事は事実認定の問題、しかもそれの証明方法の問題に触れてくるわけでございますが、制度論といたしまして、犯罪の構成要件に該当するかどうかということの認定をする資料として第三者の行為がなければならないという法律をつくることには、私にわかに賛成できないのではなかろうかというふうに考えます。それは、結局刑事訴訟法の刑事裁判における事実認定の方法の問題でございまして、もし第三者的な証言がなければ絶対に犯罪にならないのだということになりますと、かりに加害者と被害者としかおらない場所で行なわれたという場合には、これは絶対犯罪にならない、処罰されないというようなことにも相なろうかと思いますし、結局は、それは加害者の言い分、被害者の言い分、両方を裁判官が聞きまして、いわゆる自由心証主義にのっとりまして事実認定をする、それが現在の原則でございますので、特にこの罪に限って第三者的な証拠がなければならないのだというふうにすることはいかがかというふうに考える次第でございます。
○安井委員 ちょっと関連してお聞きしたいのですが、先ほどの私の質問の際に、手を広げて、それからあと手をたたいたのだというふうに私は理解していたのですが、いまの門司さんのお尋ねの中に出てきておるのは、手をねじった、払った、打った、そういう途中の何かケースが抜けているように思うのですが、この点につきまして、楢崎君はどういうふうに証言しておりますか。
○稻留説明員 楢崎さんは、手をねじったと、こう言っておられるわけです。しかし、私どものほうでは、そういうことはなく、当該警察官が逆八に手をかまえまして集団を制しておった。そのときに一歩下がって警察官の手を打ってこられたのが事実でございます。
○安井委員 この点が私は大事な問題だと思います。だから、手をたたいたというのだから、私はどういう形で手をたたいたのかわからないけれども、手をとったことは事実ですね。
○稻留説明員 警察官は、楢崎さんの手をとっておりません。
○安井委員 これは重大な食い違いですよ。とっていないのですか。それではどういうふうな姿で手をたたいたのですか、ちょっとやってください。手を広げたでしょう。その次にどういうとこで手をたたいたのですか。——あなたに聞いておるのじゃないよ。本部長。
○後藤説明員 私は、昨日お答え申し上げましたように、当日その現場は見ておりませんが、その現場近くに私はおりました。そうしてその直後の状況、直前の状況はよく見ております。したがいまして、そういう点では、そのたたいておる状況というのは私見ておりませんから何とも申し上げられませんが、本部長よりはむしろ私のほうが、その現場の証人的な意味でも正しかろうと思います。私がきのう申し上げましたように、事は非常に重大でございますので、この逮捕に当たりました警察官あるいはその暴行を受けた警察官、それらにつきまして間違いがないかどうかということを念を押しまして聞きました。その結果、私は、それらの者の言うところを総合いたしまして記憶に残っておるところでございますが、これはただいま本部長がお答え申し上げましたように、通常の逆八と申しますか、こういう形で規制をしてまいりました。これは警棒も使っておりませんで、当時百五十名ばかりのデモ隊がロータリーの中心線あたりまでは参りましたけれども、それからは五、六列のスクラムを組んでかけ足に移り、そして残余の入ってくる人々を阻止しておりました警察部隊の阻止線の突端あたりから急に道路一ぱいのジグザグ行進に入ったわけであります。そうしてその際、規制のために待機しておりました熊本からの応援部隊の右翼前端におりました、いまだ規制に入っておらない警察官の一人を、この渦巻きデモの中に巻き込みまして、このジグザグ行進の中に巻き込みまして、そうして入って参りました。そこでこれに対して規制を加えていったわけでありますので、まず第一に規制に入りましたのは、熊本中隊の中隊長の「前へ」という命によりまして、これに規制に入りました。この状況をロータリーの寸前で見ておりまして、おそらくこの百五十名は、大体総合会館ないしはそちらの方向に向かって——総合会館のほうかあるいは総合会館に至る前の、ただいま申しました阻止されているデモの集団の中に入っていくかいずれかであるということで、停止しておりましたこの長崎の部隊が、そこでこの状況を見まして制止に入ったわけであります。その制止に入りました警察官の制止の態勢は、まさしくこれは逆八の手にかまえて押していったのであります。そうして歩道上と車道にあふれておりました者を歩道上まで押し上げたわけでありますが、その歩道と車道とのまさしく中間のところまできて一息入れて、さらにもう少し押さなければあぶないということで押そうとした、その出ばなを、楢崎さんは体を左に半歩開かれて、そうして右手を頭のところまで持っていかれて、これで、右手をもって、たたいた、こういうことであります。私は、ただいま申し上げましたように、見てはおりませんけれども、この現場におりました逮捕した警察官及びこれに協力しました警察官、及び暴行を受けました警察官のそれらの話を聴取いたしました結果、総合しまして私の記憶にあるところを申し上げておるのでございます。〔「うそを言うな」と呼び、その他の発言する者多し〕
○田川委員長代理 御静粛に願います。
○安井委員 あなたが事実を確認しておることはわかりますよ。本部長どうなんですか。本部長はみずから責任者であられたはずです。いまの警備課長後藤さんではなしに、警備本部長が責任者であられたはずですね。どうですか。 〔発言する者多し〕
○田川委員長代理 御静粛に願います。
○安井委員 その点はっきり……。手をこうやっておるときに打ったのですか。どこを打ったのですか。あなたに聞いているのではない。そういう責任のない警備本部長が責任者だったのか。
○稻留説明員 先ほどからしばしば申し上げておりますとおり、手首を打ったのです。警察官は、相手の手には、さか手のごときは絶対にやっておりません。逆八で押しておるわけです。
○安井委員 ちょっと待ってください。 〔「うそを言うな」と呼び、その他発言する者多し〕
○田川委員長代理 御静粛に願います。
○安井委員 こうやっておるときに、こう打ったんですか。
○後藤説明員 これは、私ただいま申し上げましたように、私も楢崎先生が逆に手をとられたので払いのけたというふうに言っておられるように聞きましたので、その点の間違いがないかどうかこれは少しも遠慮することはない、どういう状況であったかよく言ってくれということで、私は聞きました。そうしましたところが、私はそういうことは絶対にいたしません、それは胸と胸とが接するようなぐあいで、こういうふうに打ったのである。そうしてそれは半歩左へ開いてたたいたのである、私どもは、どうして右手をたたいたのか、右手であれば左手でなければなるまいと思ったのであります。ところがなるほど左に半歩開けば、これは確かに右手がたたけるのでございます。そうしまして右手がたたける、右の手首がたたけると同時に左の手はひじでもって当たって落ちておるのであります。
○安井委員 後藤さんに伺いますが、右の手のどういうところを打ったのですか。こういうかっこうで打ったのですか。
○後藤説明員 これは私が申し上げましたように、逆八と申しますこういう手で、こういう態勢で押していったわけであります。そうして先生の胸に触れるか触れぬかという状態で、もう一歩押さなければならぬというようなときに、先生はからだに触れるなというようなことを言われながら半歩開かれてたたいた、こういうことでございますので、こういうところでこういうかっこうでいった、この右手を半歩開かれてたたいた、こういうことでございます。
○安井委員 これは私、いま門司さんの非常な法律論の大事なところの関連ですから、これで一応やめてあとまた質問の際にお伺いしたいと思いますが、先ほど私資料要求の中で、警察側が事実を認定したその資料を御提出を願ったわけでありますが、楢崎代議士がその問題についてどういうふうな証言をしているか、その食い違いの点もぜひ明らかにしていただきたいと思います。楢崎代議士の証言のほうもあわせて資料として御提出願っておきたいと思います。 これで関連を終わります。
○門司委員 いま法制局の答弁でありますが、私もこの種の問題について、これの適法性を判断いたします場合に、客観的に見ることが正しいのか、あるいは主観的に処理するのがよろしいのか、あるいは一般人の見解によるのがよろしいのかということは、いろいろあろうかと思いますが、判断の基準としては、理論的には一般人の判断にゆだねるということは誤りだと思っております。それは法制局のいまの答弁のとおりだと思っております。しかし、これは判断にゆだねるというのでなくして、事実認定について、そういう具体的のものがなければ、結局さっき申し上げましたように、国家権力という一つの背景を持った警察官が、自分の考え方、自分の主観的の立場からだけでそのときの状況を判断するということについては、誤りをおかす危険がある。したがって、われわれがとるべきものは客観的の条件が備わるということが必要ではないかということを聞いておるのでありまして、私も第三者にまかせることがいいということは誤りだと思っております。一般人に認識を求めることは誤りだと思っております。しかし、それを立証するには、少なくとも主観的、個人的でなくして、やはり、客観性というものが重要視さるべきである、私はこう考えるのである。だから、私の考え方について、この客観性が主観性よりも判断の資料としては正しい判断が下せるのだということを私は考えるのであるが、これについて法的解釈がどうかということを聞いているのであります。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 公務執行妨害罪の前提となる公務の適法性をどうきめるかという点が御指摘の問題点でございますが、これは先ほど申しましたように、裁判所の態度も、手放しで当該公務員の主観によってきめるのではないのだ、当該行為が行なわれた当時の諸般の状況から見てそう思うのがもっともだというような事情が備わっておれば、適法なものとして、適法な公務として公務執行妨害罪の保護を受けるという趣旨でございます。したがいまして、当該公務員だけがしゃにむに、やたらに適法だ適法だと思っても、それはだめだ、やはりそう思うのがもっともだという条件が備わってなければならない、こういう趣旨でございます。
○門司委員 それはそのとおりなんです。条件が備わらなければ、裁判所は判決するわけにいきはしませんね。それから、私は、その前提として、この種の事件について、そういう警察官の個人的あるいは主観的の立場から判断をして逮捕するのがよろしいのか、それを解明していこうとするには、少なくとも客観的の条件というものが備わることが、この種の問題の判断をするときによいのかということなんです。実際私はなぜそういうことを聞いているかというと、いま混迷しておるのは、ここで議論されている、片一方は公務執行妨害だと言うし、片方は公務執行妨害でないのだということで、いわゆるこの公務執行妨害という警察官の行為の適法性というものについて議論されている。それで水かけ論というか、平行線をたどっているから、そういうものの判断の資料としては、少なくとも私の考え方では、客観的に見てそういう適法性があったかなかったかということを判断の資料にするということが正しいのではないか、こういう聞き方をしているのでありまして、それを判例がどうのこうのと言われておりますが、私は裁判所もいまのお話のようなことをやられると思います。しかし、少なくとも適法性の問題を議論するからには、その三つの中でどれが一体妥当性があり、どれが正しいかということを一応概念の上でわれわれは知る必要がある、きめる必要がある。その中から出てくるものが、それなら現地の実態をどう把握するかということが、私は次に問題として必ず出てくると思う。いまそのことのために、現地の警察本部長だけでなくて、署長さんや逮捕した直接の主観的に職務行為を行なった人を呼んで聞いたらなおよくわかるだろうということが、社会党側から要求されている一つの事実であります。この客観性を認める必要性はないという一体意見であるかどうかということを、もう一度念のために聞いておきたい。こういう客観性の状態を知る必要はないのだ、ただ警察官の行為それ自身は適法だという判断のもとに、そういう現場の警察官などは呼ぶ必要はないのだとか、あるいは呼ばなくてもよろしいのであるという議論がなされておって、いつまでたっても平行線をたどる。それを法律的に一つの目安をつけていこうとするには、どうしてもこういう一つの公務の適法性というのが判断される資料がないと、どうもぐあいが悪いのです。私は、少なくともいま申し上げましたように、客観情勢から見て判断することが、この適法性には最も妥当な行き方だと考える。だから、私の考え方が違っておるかどうかということである。あとは、あなたの言われる、ただ単に裁判の判決がどうだこうだということは、私も知っているのです。また裁判所もそうやるだろうと思っております。裁判所だって、証拠も何にもないのに、ただ警察官が言ったからといって、それを全部取り上げるわけにいかぬと思います。だから、私はいま聞いておるのでありまして、もう一度やっかいのようですけれども、念のためにひとつ聞いておきたいと思います。
○真田政府委員 公務執行妨害罪の前提には、適法な公務がなければならないということになるわけでございまして、これが客観的にもすべて要件を備えているということであれば問題がないわけでございまして、先ほど来私が申し上げておりますのは、たとえ主観的に適法だと思っておっても、客観的に見てそれが違法な行為である場合には、公務執行妨害罪になるかならぬかというような事例の場合の解釈といたしまして、大体いままでは公務員の主観によってきめるのだという線が出ておるわけでございますが、しかし、それは考えてみればひどい話なんで、客観的に適法でないものが、当該公務員が適法だと思えば、適法な行為として公務執行妨害罪による刑法の保護を受けるというのは筋が悪いわけでございまして、そういう場合には、主観的に思っておっただけではだめなんだ。それで、それを裏づけるといいますか、客観的と言ってもよろしゅうございますが、何らかの事情があって、そうして当該公務員が自分の執行行為が適法な公務であると思うのがもっともだという状況が備わっておれば、これは公務執行妨害罪として刑法の適用がある、こういう解釈でございます。
○門司委員 大体問題はわかってきたような気がするのでありますが、いままでそこがわからなかったものですから、結局いままでの論争の中の当局の答弁では、あくまでも主観的あるいは個人的、と言うと少し行き過ぎかもしれませんが、おまわりさんの個人的の立場からくる主観的の判断だけしか警察側、当局側からは説明がされなかった。質問されておる方は、これに客観性がどうだということで議論をされておって、そのけじめが実はついていなかったので、いま法制局の見解をただしたのでありますが、法制局の見解としても、やはりそれが主観的のものであっても、それには客観性がなければならないというような御趣旨の御答弁だったと考えます。そうだといたしますと、ここで問題になってまいりますのは、その客観性というものをどこに求めるかということであります。これは非常に大きな問題でありまして、これをどうするかということ、しかし、最後の決着は裁判所でやるのだということでまた逃げられるかもしれませんが、しかし、少なくとも国会議員の身分に関して世上とやかくの批評がある。そうしてこれは国会議員全体の品位にも関係いたします。国会全体の名誉のためにも、この問題はある程度裁判所にあらざるわれわれの調査権の範囲において、やはり解明する必要があろうと思いますから、私は一番あとに結論的にも申し上げますが、その次に聞いておきたいと思いますことは、これは公務執行妨害ではありますが、公務執行妨害の性質は、暴行ということに解釈してよろしゅうございますか。たたいておるのであるから、私は暴行と考えるのだが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○後藤田政府委員 お答え申し上げます。 仰せのとおりでございます。暴行ということでございます。
○門司委員 暴行だということになってまいりますと問題になりますのは、暴行の概念についての考え方であります。暴行というのは概念で一体どう取り扱うか、どれが暴行なのかという概念が一つございます。最近の傾向としてこの暴行というものの概念がだんだん拡張されて解釈されてまいりますと、非常に大きな危険性を生ずるのであります。暴行の範囲というもの、暴行の概念というもの、この場合には、その暴行というのは公務執行のでき得ざるほどの障害を与えたということになるのですか。この場合の暴行の範囲というものは、執行が不可能になるほどの暴行であったと考えてよろしいのですか。
○後藤説明員 これは、私先ほど御説明申し上げましたが、この公務執行妨害罪にいいます暴行は、「公務員ノ職務ヲ執行スルニ当り暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者」とございますので、その暴行は、その結果として職務の執行ができなくなったという結果の発生は必要でないというのが、昔の大審院以来の判例でございます。そこで、暴行の概念は、これは一般的に暴行罪の暴行の概念といたしましては、人に向かって不法なる物理的な勢力を発揮することであるというふうに判例が一貫してなっております。
○門司委員 そうなってまいりますと、結局暴行の範囲というものの解釈が非常に広くなってまいりまして、これは、さわっても、暴行だと本人が感ずれば暴行になるということですね。そこに一つの問題がございます。あるいは不作為の問題、暴行するつもりでなかったけれども、歩いていて手が触れたのだ、これも暴行だといえば暴行ということになります。こういうことについてこれから拡大解釈をされますと、私は非常に大きな問題が起ころうかと思う。ことにデモその他の場合は、彼我ということばは悪いから使いませんが、結局両方が相対峙しておって、往々にしてこういう場面があるわけです。その場合に、公務員に対してかりに手が触れた、くつの上から足で踏んだ、これは暴行だという処置が行なわれるということになりますと、私は暴行の概念というものについては——私は、景行自身だけを取り上げれば、いまの説明のようになろうかと思います。それは何も警察官の職務執行に対して関係があろうとなかろうと、それが妨害になろうとなるまいと、暴行であるという概念に私はなろうかと思います。しかし、ここで公務執行妨害という定義を下しております、この公務執行妨害の定義の中には、いわゆる執行を妨害するという一つの現実性というものが、私はなければならないと考える。これが私は法の解釈上正しいと思う。ただ暴行だけをつかまえれば、そういうことになりますよ。しかし、その暴行の概念というものが、いま申し上げましたようなことでだんだん拡張解釈をされて、手が触れても——片方は触れたつもりだ、犯意もなければ何にもない、不作為である。しかし、それは片方から考えれば暴行だ。いままでしょっちゅうこういうことを繰り返しておるのですね。そうして議論がされておる。したがって、私はこの際明らかにしておきたいと思いますことは、公務執行妨害というからには、この場合公務の執行が非常に困難におちいるような現実であったかどうかということです。楢崎君の行為が、手をたたいたか、つついたか知りませんが、その行為自身が直接公務の執行に大きな支障を来たしたというような事例があるなら、この際示しておいていただきたい。単に暴行だからということだけで私どもはこれを承認するわけにはいかぬ。
○後藤説明員 公務執行妨害罪と俗に申しておりますけれども、条文は先ほど私読み上げましたように、また御承知のように、刑法第九十五条では「公務員ノ職務ヲ執行スルニ当リ之二対シテ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者」とございまして、あえてその結果公務員の業務が妨害されたという結果の発生は必要でないという解釈が一貫しておりますし、また判例もこの態度をとっておるわけでございます。有形力の不法なる行使、これを暴行という、こういうことでございます。先生いまお示しになりました例で申し上げますと、かりに間違って手を触れた、あるいは足を踏んだというようなものは、これは申し上げるまでもなく故意のない行為でございますから、そのような罪を犯す意なき行為はこれを罰しないのが当然でございますので、それは公務執行妨害罪にはならぬわけでございます。
○門司委員 そこが非常にむずかしいんじゃないか。この種の問題を取り扱う場合に、いまお話しのように、なるほど物理的には、ものの考え方としてそういう行為がある。しかし、その物理的にやむを得ざる行為、人と人とが接触して歩く場合に、あるいは足を踏むかもしれない、あるいは手をさわるかもしれない、あるいは胸をつつくかもしれない、突き当たるかもしれない。その行為は、物理的にはその現場はそうなっておった。がしかし、これを相手方がいわゆる犯罪として取り上げる場合には、法律上は一つの犯罪になることは事実です。そういう告訴が行なわれれば、それは本人の意思が、私はそう感じたということになれば、一つの犯罪になることは事実です。法律上の解釈からいけば、いまあなたの言われるとおりであります。しかし、ものの見方というものの中にはやはり客観性というものが、先ほど申し上げておりますように、十分あって、あの行為は明らかに公務執行妨害だというような客観性のない場合に、この暴力という範囲をいまのお話のようにただ法律論の一点ばりでいけば、非常に大きな誤りを犯す危険性がある。したがって、さっきから申し上げておりますように、主観的にこの種のものを見るよりも、客観的の判断というものが非常に大事だということを申し上げておるのでありまして、いまの答弁では、私はあまりにも法律論的のしゃくし定木的な答弁であって、われわれは、警察行政を行なう警察官としてはきわめて遺憾な存在であるといわざるを得ない。そんなことで一体警察官がつとまるかどうかということである。私は、その点はきわめて遺憾であって、これ以上あなたと議論はいたしません。そういう議論をする人と幾ら議論をしていても始まらぬと思う。われわれは、少なくとも警察行政というものの立場からいけば——なるほど法律的にはそう考えます。どんなに物理的にやむを得ざる事態であっても、なぐったことはなぐったんだから、と本人が感じているんだから、なぐられたといって持っていけば、法律上暴行罪になることはさまっている。しかし、物理的にぶつからなければならなかった原因があるというのなら、裁判所によってそれをどう解釈するかということは別の問題であって、警察官としてはそういう取り扱いをすることもできるわけであります。また、法律上もそういう解釈が今日までされておるわけであります。不作為のものであっても、暴行は暴行として、犯罪は犯罪として取り扱っているということは事実であります。しかし、それではこの種の問題を解決するには非常に困難である、やりにくいということで、いまお尋ねを申し上げておるのであります。 それからさらに、これは後藤田君に聞きたいのでありますが、昨日の答弁の中に、身分を知ったのは名刺を出されたときに確認した、こういうお話しでありますが、ここにも非常に問題がございます。確認をしたというときと身分を知ったときというのは違うのであります。 〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 いまお話しのように、非常な利口な答弁というか、ずるい答弁でのがれられております。滝井君がうしろから行って国会議員だと、言っても、滝井君を国会議員と考えて、楢崎君は国会議員と考えなかったというような妙な答弁をされておりますが、それはそれとして、問題はここにあると思う。確認をしたときと知ったときというのは、時限が違うのです。あなた方は、かりに警察が容疑ありとして引っぱられる場合も、犯人についてはある程度その人が本人であるという自信のもとに引っぱられたに違いない。しかし、確認をする場合には、指紋その他の照合によって初めて確認されるという段階があるのである。だから、きのうの答弁のように、知ったのは名刺を出されたときでありました、それまでは知らぬ。知らぬ、存ぜぬでは、警察としては少しものの判断に誤りがありはしないか。むしろ前段でこのことは知っておったとするならば、かりに車の中でもわかっておったならば、当然警察の処置としては、少なくとも現行犯ではあっても逮捕した以上は——逮捕しているから、そこでもう逮捕しないんだといって逃がすわけにはいかなかったかもしれない。しかし、逮捕した以上は、直ちに国会に、あるいは上司に報告されることは、警察の役務だと思う。その義務を怠ったという事実はございませんか。
○後藤田政府委員 お答え申し上げます。 身分を知ったのはいつか、こういうお話でございますが、昨日お答えいたしましたように、車の中では当該巡査は半信半疑というのが実情のようでございます。署へ来まして、浅草警部補のところで、楢崎さんが国会議員である、そして、しかも楢崎さんであるということを確実に知った、こういうことで、昨日お答えしたとおりでございます。 その後の報告につきましても、昨日お答えをいたしましたが、私も実は当日外で会議をやっておりましたが、そこに報告がきましたのが十一時三十五分ないし四十分くらいの間だと思います。直ちに大臣、長官に私から報告申し上げたのですが、私のほうとしては、内閣総理大臣及び官房長官に伝えていただくために、十二時までには秘書官にその旨を直ちに連絡をいたしました。内閣のほうでそれを国会のほうにどのように御連絡があったかは、私ども承知をいたしておりません。ただ、事柄はきわめて重大でございますし、私どもとしては、当然これは正式文書でもって御報告しなければならぬということで、翌日文書でもって警察庁長官名内閣官房長官あてに事実を報告申し上げた、こういうことに相なっております。
○門司委員 その問題についても、いまの後藤田君の答弁は、さっき申し上げましたような質問に答えたものではございませんで、処置、経過を話されただけでございまして、私が聞いておるのは、少なくとも確認をした——いわゆる警察の立場というものが、確認したときが初めて知ったときだという解釈をされるのか、あるいはそれ以前にわかっておれば、これは当然国会議員としての処置をとるべきではなかったかということです。これは非常にむずかしいことで、警察として確認するかしないかということは、名刺を出したからその人だと確認したとおっしゃるけれども、この場合そうでありましょうけれども、実際は、名刺も一向当てにならぬ場合もあります。それから、本人の自供も当てになりませんから、これも当てにならない。結局、それを証拠づけるものは何かというと、指紋でもとらなければわからぬということになるかもしれない。だから、私はこの種の問題については、少なくとも国会議員であります限りにおいては、冒頭に申し上げましたように、院の構成に関するきわめて重大な問題でありますので、それと知れたらやはり遅滞なく報告するということが、私は警察のとるべきそのときの手段であったと思います。 そこで、私は本部長にひとつお聞きいたしたいのでありますが、国会議員の諸君がかなり大ぜい現地においでになったことは、すでに知られておる。したがって、こういう間違いがあるであろう、こういう事件があるであろうということを予測されて、警察に注意されたことはございますか。
○稻留説明員 国会議員の方が来られておるから、ただいまのお話のような事態があるだろうということを事前に考えて教養したかどうかということでございますが、そういうことをいたしておりません。
○門司委員 いたす必要はなかったということでやられなかったかもしれない。しかし、事態の発展の上にはそういうこともあり得る、予測し得ることではなかったかと私は考える。もしそういうことが予測されて、国会議員に対しての逮捕等については、やはりある程度の、あるいは捕逮しても——私は別に現行犯を逮捕して悪いとは言いませんよ。法律の命ずるところでやることでありますから、警察が法律の命ずるところでその職務を行なわれるものについて何ら文句を言うわけではない。しかし、その後の処置等については、やはりいろいろ手続上の問題も私はあろうかと思う。そういう問題は迅速に行なわれる、あるいはそれが迅速に処置がされていくというようなことが、当然私には考えられたと思う。しかし、その指示をしなかったと言われれば、それだけでございます。 さらにお聞きをしておきたいと思いますことは、したがって先ほどから私が聞いておりますように、少なくともこれらの事件を、国会としてその調査権の範囲において、私どもはもう少し問題を明らかにしていきたいということの最大の理由は、国会議員としての立場、国会議員して品位、国会の権威というようなものを考えてまいりますと、往々にして新聞に伝えられておりますものの中には、どうも国会議員がそんなよけいなところに出しゃばるからけしからぬのだ、国会議員だって警察官をなぐったら、それは当然だという一方的な宣伝がかなりされているようでございます。これについてはいい悪いは別にいたしまして、やはりある程度客観性のある事実をわれわれは調査する必要がありはしないか。これは最後には裁判に行くだろうから、裁判所で白黒がわかればそれできまりがつくんだというようなことでは、なかなか問題といいますか、いまの次元を回復することは私は困難だと考える。したがって私は、何も警察の行為が行き過ぎであるとか、あるいはどうかということをここではっきり判定するわけにはまだまいりません。したがって、われわれの調査権に基づく範囲において事実を知ろうとすれば、もう少し客観的のそのときの状態を知るという、いわゆるわれわれの判断の資料を、あくまでも警察の個人的、主観的の立場でわれわれが判断し、ここで議論することでなくして、少なくともわれわれが納得し得る客観情勢というものをもう少し知らなければ、私はこの論議はなかなか核心に触れない、問題の解決はつきにくいと考える。したがって、いままでの質疑、いままでの答弁の中には、それを見出すことは非常に困難だと実は私は考えております。それはなぜかといえば、先ほど申し上げましたように、本部長は、何も注意をしなくともいいんだ、また警察庁の長官は、スピーカーその他で呼びかけているからそういうことはわかっているんだとおっしゃっているように聞こえますけれども、この場合、だからといっていきなりこういう処置の行なわれたということは、私どもは是認するわけにはいかない。少なくとも国会議員の名誉のためにも、本院の名誉のためにも、私はもう少し詳細な客観情勢というものを知るわれわれには役務とは申し上げませんが、あるいは義務があるかもしれない。したがって、委員長にしばしばお願いをしておるのでありますが、もう少し事実認定についてひとつ——まあ、事実認定ということばを使うことはあるいは行き過ぎかもしれません、何も裁判所でもなければ検察庁でもないものが事実認定をするということは行き過ぎかもしれない。しかし、事実を知る必要は私どもはあろうかと思う。そうしてやはり国民の前に問題を明らかにする必要はあろうかと思います。いかなる人でございましょうとも、その人の行為が非違である場合においては、法治国としてこれをかばう必要は毛頭ないのである。その場合、法の前には平等でなければならないことは当然であります。しかし、それにはやはりそれだけの、われわれの同僚の、あるいは国会という一つの団体と申し上げると語弊があるかもしれませんが、国家組織の中におけるこれらの問題については、国会議員全体が、国民全体が納得し得る、司法権を別にした国会の調査権としての調査の必要がもう少しありはしないかということであります。きょうの質問だけでは実は私はその核心には触れておりません。幸いにして、と申し上げるとこれまた行き過ぎとおこられるかもしれませんが、法制局の見解は、少なくとも客観情勢がやはり大事だということを、それによるということはなかなか言われなかった。私は客観情勢が判断の資料になるべきだと考えたが、それに全幅的によるとは言われなかったが、しかし、そういうものが非常に大事だとお話しになったと思いますので、法律的に見てまいりましても、この場合、もう少しわれわれが事実の判断のなし得る処置を委員長でぜひひとつとってもらいたい。先ほど安井君から資料を要求されましたこともその一つのあらわれだと私は思います。しかし、その資料だけではたして納得ができるかどうか、判断ができるかどうかということである。でありますので、同僚の身分に関することとして、事実を事実としてわれわれが知り得る処置をひとつぜひ話し合いの中でとっていただきたい。このことを重ねて私は委員長にお願いをいたしまして、最後に、実は大臣に少し文句と言うとおこられるかもわかりませんが、お話があったのでありますが、大臣はやむを得ざる用事で五時に出かけるということでありますので、いずれまたこの問題はあとで私がお尋ねをする機会もあろうかと思います。これはこの事件だけに関することではありませんで、警察行政全体に関する問題でありまして、繰り返して申し上げておきますが、たとえ公務執行妨害でございますということを判断されても、それの週法性というものが十分に納得するものでなければ、警察官の個人の感情、個人の主観的の立場に立ってこれが処置されるということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、国家権力の作用だという優位性を一般国民よりも持っております。したがって、その権力の乱用ということは非常におそろしいことにならざるを得ないのではないか。と同時に、先ほどから課長さんが説明しておりますように、暴行の範囲というものの拡大が、単なる暴行ということだけで、事前事後というような客観情勢をさらに考えない、あるいは物理的のものを考えない、法理論的だけに議論されるというような警察官であっては、なおさら私はその点は明確にしておく必要があるというように考えますので、きょう私の質問はこの程度で終わりますが、あと川村さんから関連した質問があるそうであります。きょうは一応大臣に対しまして、答弁自身は総括したものとして聞きたいと思っておりましたが、おられませんので、一応保留いたしまして、きょうの私の質問を終わらしていただきたいと思います。
○森田委員長 川村継義君。
○川村委員 ただいまのいろいろ御質疑に関連いたしまして、私、二、三点お伺いをしておきたいと思います。きょうの本部長の御答弁、あるいはそれに付随した後藤課長の答弁の中に、実際の実情と食い違っておる点があるようであります。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。 そこで第一にお尋ねするのでありますが、十三日の午前十時四十五分、楢崎さんが逮捕された以前の問題で、いわゆるロータリーの内側と申しますか、上陸地に通ずるあの道路上を、先ほどからいろいろ説明があっているような経過を経て、一つの集合体として、石橋代議士に誘導されて集団の人々がロータリー付近に引き返してきた。その到着した時点は十時三十分になるかならないころであったかと思う。その時点におけるロータリーからいわゆる矢岳町に通ずる道路、総合会館方面における警官隊の配備隊形はどうなっておったのか、それをひとつ本部長からまずお示しいただきたい。
○稻留説明員 お答えいたします。 最初に、その前後におきまして、まず田村中隊はロータリーから上陸地方面に向かいまして右側の向こう側、ロータリーを越えて右側の入り口のあたりのところに待機いたしておりました。それから熊本中隊は、二、三小隊はおおむね事態の起きました反対の右側のところに待機いたしておりました。熊本中隊の一小隊は両者の、すなわちロータリーの右側の辺に待機いたしておりました。
○川村委員 ロータリーを越えて総合会館寄りのいわゆるこの道路上、これはデモを許可されている道路であります。この場合に、ロータリーから総合会館方面に向かって右側、ロータリーに向かって左側、この車道と歩道の境目に位置された部隊が一つある。いま一つは、反対側のいわゆるロータリーから総合会館に向かって左側、そこの歩道及び車道にかけて配置された部隊がある。つまり車道を両側面ではさんだ形において部隊が配置されておった。この部隊名は、いまあなたがおっしゃった部隊名であるかもしれない。ところが、ロータリーから矢岳町方面、総合会館方面に向かって中央線寄りに配置された部隊、この部隊はどこの部隊ですか。
○稻留説明員 それは、そこにたむろいたしておりましたデモ隊のために配置されたものでありまして、長崎の部隊であります。
○川村委員 いまあなたが、たむろしたデモ隊のためにと言われたそのデモ隊というのは、つまり道路の左側、歩道上に休憩をしておる。もっと言うならば百五、六十名の諸君は三々五々海を見、あるいは潜水艦を見たいということで中に入って行った。途中であなた方が遮断をしたいわゆる取り残された諸君が左側の歩道の上にたむろしておる。そのことをいまあなたはたむろしておるデモ隊と言ったと私は思いますが、それでよろしいですね。
○稻留説明員 そのとおりであります。
○川村委員 そのデモ隊が歩道から車道に出てこないように制止をしておる部隊がその前面にある。ロータリーから中央線寄りに四、五十メートル直線に配置されている部隊がある。それから、先ほど申し上げましたように、ロータリーの左側、総合会館に向かって左側の歩道上に配置されておる部隊がある。こういう部隊隊形になっております。これははっきりと、本部長はそのときここにおいでではないからあなたが現認されておらないかもしれない。しかし、後藤課長は現場におったと言っておるから、あるいはその配置ははっきり現認されておるはずであります。そういう配置状況の中で、問題になったところのロータリー内、上院地点のほうに、これはけしからぬ集合体、デモだ、デモするおそれがあるというようないろいろの川中で出されてきた。先頭には石橋代議士が誘導しておる。この誘導されたところの集団がロータリーを通過して、左側の歩道の上にばらばらに休憩というか、全く隊形をつくらないでたむろしておる諸君のところに行こうとしたのに、なぜそれを行かせなかったか、なぜ総合会館のほうに灯れと指示したのですか。
○稻留説明員 その場合に全面的に、この入ってきた一群のデモ隊を、たむろしておるデモ隊のところへ行ってはいけない、そう言ったことは、部分的に、あるいはその入ってきたデモ隊をなるべく交通上の支障を起こさしめないために、あるいはそういったジグザグ等を早く防止させるために、現場の指揮官というものが非常に短い距離について言ったことはあるかもしれませんけれども、全面的にデモ隊との接触を最後まで警察官がやめさせるという方針はとっておりません。
○川村委員 そこにあなたのほうの実際の指揮の行なわれたことを確認しておられない。石橋代議士が、どっちに行けというのか、中央線にはたくさんの警官隊がおるではないか、向こうの集合しておる諸君の中には一緒に行けないと言ったら、まっすぐ帰れ、こう言って総合会館のほうに引き返すことを指示した。だからそちらの方向に進んでおるところに、中央線に配置されたその部隊を通り切って歩道上に待機しておる諸君と合流をしようとしたときに、中央線におった部隊がこれを阻止しようとしたでしょう。これは後藤さん知っておるかもしれない。本部長はあるいは現認されておらないかもしれない。そのとおり報告されておるかどうか、あなたのほうが報告を受けておるか知りません。中央線に待機している部隊を四、五十メートル——五十メートルとなかったと思う。それを通過し切って、左側のほうの歩道上にたむろしておる諸君と合流をしようとしたところが阻止された。だからその先頭は左に向いてしまった。そこで、先ほどからあなたたちがたびたび言っておるように、蛇行行進、ジグザグ行進というものが摘発された。よろしゅうございますね。私はそのそばにおって確認しておるんですよ。これは後藤さんより私のほうがはっきり覚えておるかもしれない。そこでジグザグ行進が始まったら、あなたたちが言うように、これを突きくずす、あるいは道路上に押し上げようとして警官隊の突っ込みが、正しくおとなしく言うなら排除行動が行なわれた。だからして、そのときのその部隊は、そういう形で混乱を起こしながらジグザグで進行して、ほとんどロータリー内から出てきた部隊はもう四、五十メーリル過ぎ去ってしまおうとした。ところが、それを見たところの歩道上に待機、たむろしておったところの諸君が、興奮したのか激高したのか知りませんけれども、その部隊に斜め右において合流しようとした。その合流しようとした部隊をおりるなと言って制止したのが .歩道上にたむろしておった諸君がおりていってジグザグでやっている、それを追われておるのに合流しようとしたときに、そこに一つの衝突が起こったんです。楢崎代議士はそこに入ったんですよ。あなたたちが言うように、ジグザグデモが行なわれて、そうして警官が巻き込まれて云々、これを排除しようとした警官隊の中に割って入ってあの事態になったというのは、現認のしかたが違う。本部長いかがです。その辺のところは現地の指揮官から御報告を受けておりますか。
○稻留説明員 ただいまお話がありましたけれども、多数のデモ隊員もおりましたから、二、三の人がその間、たむろしていたデモ隊と、またやってきた。デモ隊員との何がしの交換、移動はあったかとも思いますけれども、全体としましてロータリーから先、大きなデモを打った百五十名くらいの一団がロータリーを越えて渡ってきまして、大きなジグザグコースを打ったために、そこに警察官が割り入ったということについては、私どもは間違いないと考えております。
○川村委員 そこで問題は、私が前段に言いましたように、ロータリーを出切ったならばデモを許可されておる道路であります。そこでロータリーから出てきた諸君が、左側の歩道上でたむろしておる諸君と合流をするという意思があるんだから、それを認めて一緒になしで、そうして許されたとおりに、きちんとデモの隊形をつくらせてごらんなさい。ああいう混乱は起こらないと私は思う。それを合流することを阻止して、総合会館のほうに後退する、帰れという指示をしてしまったので、あの混乱が起きたということを十分ひとつ認識しておいてもらわなければ、楢崎代議士事件の起こった場所と、デモが警官を渦に巻き込んでどうこうしたからという、その混乱とを一緒にして考えてはならないと私は思う。いかがです。
○稻留説明員 この際、ロータリーの向こう側から入ってきました百五十名の集団というものは、上陸場より少し前から二台の宣伝力ーもつきまして、猛烈な違法のデモを打ってきた人たちであります。場合によりましては相当停滞いたしまして、交通の障害を来たしておるのでございます。ようやくにしてこれをロータリー線まで持ってきておりますので、警察の判断としましては、かかる違法のデモを打つ人々をさらに停滞しておりますデモ隊と合流せしめましたならば、さらに大きな支障、障害、騒擾が起きるものと判断し、さらに瞬間ジグザグのデモを打ったのでございますので、一応これは分離することが警察の措置としてはいいと考えております。
○川村委員 本部長のお答えの中に、前段でお答えいただいたお考えといまお答えになったお考えとが相当違っておる。最後のいまお答えになったお考えが私はそのときの指揮官の考え方だと思うのですよ。 そこで、私が先ほど申し上げたように、なぜ一体ああせなければならなかったか、一隊は中に入ることを阻止されて歩道上にたむろしておる。おそらく出てくるのを待っておったのではないかと思う。出てきた諸君がそれに合流しようとしておる。しかもそこがデモを許可されておる道路である。おそらくそこで一緒になって、そしてそれぞれの隊列の指揮官の掌握の中に入って、きめられたところのコースを行進し始めたかもしれない。それをいまあなたのような即断あるいは独断で、結局総合会館のほうに帰れと、こういうことで警官の制約、攻撃がかかったのでああいう結果になったということも、これはぜひ考えていただきたい。これは指揮上の大きな問題であります。私が、こう実際の事実とあなた方のおっしゃっておる事態とが食い違いが出るというのも、それを申し上げたいと思ったのも、現認されておらないそのことが皆さん方の答弁となって出てくるということは、真相をやはり誤るおそれもある。皆さん方の第一線の指揮官を御信用なさることはけっこうです。しかし、そのまま絶対間違いないんだというようなお考えで取り上げられていただくということについては、これは問題があると思う。こういうことであります。 そこで、 いま本部長が最後にお話しになった、ロータリーの中から出てくる諸君が相当の集団である、しかも宣伝カーがこれについて大きな声を立ててついてきたから、これを出したらば、合流させたならばたいへんな事態になるのじゃないか、こうあなたは言っておられる。御心配されるのはわからぬでもありません。ところが、これにはきょうのあなたのほうの説明や答弁にいろいろありましたけれども、実は本部長がロータリーを入られて上陸地付近に、上陸地のあの右折するところの右かどにあなたが到着されたのは何時でございましたか。
○稻留説明員 おおむね九時二十分、三十分ごろでなかったかと思いますが、正確な時間はちょっといまのところ……。
○川村委員 もう少しおそいですね。 そこで、本部長は先ほど御答弁の中に、ロータリー内で上陸地と向こう側のほうに二つの大きな集団が形成されてデモ化するおそれがある、こういう答弁をなさっておる。ところがあなたは、その前の時点、いわゆる九時ころ、九時ちょっと過ぎ、そういう時点のロータリー内の状況はよく御存じでないと思う。これはおそらく現場の指揮官から御報告を受けておられると思います。そこで私が実はきのうも少しばかり説明したのですけれども、三々一五々、こういうようなことで歩道を通って、上陸地付近に行った諸君が、海を見たい、潜水艦を見たいということになると、これはやはり人情として立ちどまりますね。それがあとから来た者と、そこに七、八名、十名、こういうように停止することは、それはあり得るわけです。上陸地から見た人がよく見えないので、さらに右折をして向こう側のほうに進んでいって、ああいう建物の間等から見ようと行動したことも事実であります。そういう停滞を生じたことはそのとおりです。しかし、ぐんぐんさっさと歩くのだということを要求するほうがこれは無印なのです、全く自由意思で入っているわけですから。ところが、その姿を見られた指揮官が、これはあなたの命令であったと思うのでありますが、これはたいへんだというようなことで、一個小隊、二個小隊をかけてこさせて、上陸地付近の者にそこにとどまってはいかぬ、そこは車が通行するから——アメリカの車であります、通行するからじゃまになると注意をなさった。そこでそこに集まった諸君が、その注意を受けてずっと右側のほうに進んでいったのであります。ところが、その後もやはり三々五々行進をして入ってくる。ここで問題なのは、それを皆さんのほうは非常に心配なさった。これは何かをしでかすのではなかろうか——私の推測ですよ。そこで一個小隊、二個小隊という諸君がかけてきて、あるいは警察の車も入ってきて、早くロータリーに帰れと幾たびか呼びましたね。ところが、帰れといっても、やっぱり少し先まで行ってみて引き返さなければならぬ。ところが、早く帰らぬとけしからぬぞというので、実力行使とは言いませんけれども、押し戻すような行動をとられた。とられたから、あなたが言うように、上陸地から何百メートルになりましょうか、右側にあなたのほうの警官の諸君から押しかたまらされて一つの集団ができた。いま一つは、はるか向こうの停留所付近でこういうかたまりができた。こういうことですよ。あなたはちょうどそのころ車で上陸地においでた。そこへ入った諸君は、初めからデモを組むとか、あるいはすわり込みをするとか、そういうことは考えられていなかったと思うのです。それをどうも皆さん方のほうは、そこまで少し心配され過ぎたのではないか。そこで集団の形になって、早く帰れというようなことになって、指揮する者がいない、どうじゃこうじゃ、ばらばらですからね。それで先ほどからお話があったように、石橋代議士があれやこれやかけ合って、じゃ自分がひとつ世話役になって誘導しようということで、実は誘導を始めているわけですね。その間、帰ってくる間に警官の諸君が幾たびかこのデモの形を二十名くらいに分断をして運ぼうとするわけです。ずっと並んでぼつぼつ帰っておるのをそのまま帰せばいいのに、途中から分断をして持って行こうとする。そこでそのとき入ってきたところのこちらのほうの関係の車が、何するか、ひどいことするな、こういうことで実はがなり立てておるわけです。私はかぜを引いておりましたから、ちょうどその車に乗っておったのですよ。だから、そういう事態をよくメモしておりました。そこであなたのほうで初めからデモ化するとか、何かやり起こすのではなかろうかというような考え方で対処されたということに私は少し解せないところがあります。あのときもう少し静かにと申しましょうか、あたりまえに見ていただけば、あの中に入った諸君は、そのままロータリーのほうへ帰ってきたのではないか。そういうような経過をたどっておる集団の諸君が、ロータリーを出るときに、これがまた一緒になったらたいへんなことになるということで、先ほど申し上げたような方向に指示して帰そうとなさるから、ああいう混乱が起きたのだということをぜひひとつ耳に入れておきたい。何かございましたら……。
○稻留説明員 ただいまのロータリーから内部に集団が入りましたときの情景は、川村議員さんのお話、大体間違いはないと思いまするが、幾分違ったところもあったのじゃないかと思いますが、そのときの私自身の行動を申し上げたいと思います。 総合会館から出てまいりました昨日の、その日前までのデモ隊と同じような姿をした人が三々五々ロータリのほうへ行ったのでございますが、その先頭がロータリー線に、大方先頭でございます、二、三の例外はあったかと思いますが、到達しましたときに、私はそのロータリーのところにおったのでございます。そうして、見まして、とにかくこれはデモ隊員と考えられる人々が三々五々入っておる。しばらく私はこれをそのままに、そこには部隊はたくさんおりましたけれども、部隊にさわらせずに、そのまま入るのを見たわけでございます。そうしましたところが、上陣地に数十名集まりまして、またSSKの方向に進んで行ったのでございます。最後はこの数字が二百名くらいになっておるのでございまするが、その途中の段階で、私はこれはデモと認めたわけでございます。しかしそのときも、私が認めかけたときにもすぐ阻止線を張らずに、そばにおる警察官に職務質問をさせたのでございます。少しでも十分に念を入れたいというので、どうも動きがおかしいから職務質問をせよといって職務質問をさせたのでございます。それから十分にデモの変形と認められましたので阻止線を張ったわけでございますが、その後私は折り返し船を着けるバスの停留所のところに行きましたとき、一部は警察官の誘導でロータリーの方面に帰ってきました。しかし、それが上陸地からどう曲がってどういう形になったかは見届けておりませんが、そのときにまだおそらく全体の三分の二くらいはそこの道路上に停滞しておりまするから、これはいかない、それでもう少し部隊を持ってきて誘導しなければいかぬと思いまして、ロータリーのところへまた自動車を折り返して行ったわけです。そうしてその間に石橋さんと何がしの話し合いがあったものかと思いまするけれども、その停滞し、あるいは動いておる集団というものをロータリーのほうに誘導いたしましたところ、その途中で宣伝カーも加わりまして、大きなデモが打たれたのでございます。これは私は実際に現場で見たところでございます。
○川村委員 私がきのうもちょっと申し上げたと思いまするけれども、いま私が指摘した二つの事態を考えてみるときに、警備に当たる警官隊が、デモ隊だということであまりに神経過敏に考え過ぎる。そのために警備をオーバーにするということになりますと、あるいは平穏に済んでおったかもしれないものがこういう混乱を引き起こすということもある、これは見なければならぬと思います。いま本部長が答えられた点について、私がそれは全然違う、そういう否定はいたしません。警官隊のロータリー付近における配備の状況、デモ隊に対して加えられたところの力、そういうものが私が申し上げたとおりであるということをぜひひとつ認識していただきたいと思う。 そこでいま一つ、先ほどからの質問をお聞きしておりますと、安井委員の質問についても、本部長も後藤課長もえらい自信を持って、警官のほうは楢崎さんの手を握っておらぬ、ねじ上げておらぬ、そういうことを言っておられますけれども、これは実に大きな問題だと思います。これはあなたのほうでもやったわけでなし、また二人とも現認されておるわけでないので、あなたの部下がそういう証言をするか、報告をするか、そういうことによって信じておられると思いますが、しかし、これはそのまま認めるわけにまいりません。たびたびきのうからも問題になっておるように、もうくどくは申し上げませんけれども、きのうからるるわれわれのほうで指摘いたしましたように、楢崎氏が逮捕されて連行されようとしたときに、滝井、小柳両議員が、これは国会議員だ、だから待て、そういうことで制止をしようとしたところが、国会議員が何だ、こういうことで車に押し込んだ、そして連れて行こうとした。その車の中で、いわゆる平戸署の、楢崎さんが手を打ったというその警官、その警官は楢崎さんに、手は握りましたということを言っているのですよ。楢崎さんが聞いた、手は握りましたと言っているのです。ところが、あのとっさの場合に、あるいはその警官がねじ上げたことを隠したのか、あるいは言うのをはばかったのか、あるいはついそれを言いそびれたのか、そこのところは、これはよく調べてみなければわかりません。ところが本人は楢崎さんに対して、手は握りました、こう言っているのです。それをさえあなた方が調べておらない、聞いておらぬということになりますと、あまりにもこれは一方的じゃないか。楢崎さんは、手をねじ上げられたからこれを払いのけたと言っておる。それを、いかにも楢崎さんがうそを言っておるように、先ほどからえらい自信を持っておっしゃるということはどうかと思う。これは一番大きな問題である。そこできのうから実は問題になっておるわけでありますけれども、この点についてさらに調べてみるとか、詳しく調査をしてみるとか、そういうようなことばも一つも出なくて、間違いないのだ、握っていない、こういうように言明をしておられる。それでよろしゅうございますか。もう一度お尋ねいたします。
○稻留説明員 ただいまの、車の中で楢崎議員の手を握ったということを警察官が言ったということは、ただいままでの御質問の中で初めてでございまするが、こういう事実はございませんし……(「初めて聞いて、ございませんとは何だ」と呼び、その他発言する者あり)また、私どもの事実の調査に誤りはございません。
○川村委員 もう私、重ねてお尋ねいたしません。しかしいま私が申し上げましたように、楢崎氏がまるきり違ったことを言っておるとは思われない。楢崎氏の人格を無視することは許されません。そこで、本部長はそういうことはないとおっしゃる。ないとおっしゃる。われわれの調べではないとおっしゃる。ということは、皆さん方が実際そのことを詳しく調べられたのか、そこまで調べられていないのか、これも疑問があるわけです。したがって、たびたび私たちが委員長にお願いいたしておりますように、この点は非常に重大でありますから、何としてもこの点を明らかにしなければなりません。この点は明らかにしなければなりません。これは楢崎代議士の人格にもかかわる問題であります。しかも公務執行妨害といわれるこのことが、はたして正当であったかどうかという、警察権の権力行使にも関係する問題でありますから、委員長に重ねて、参考人としてそれらの諸君をお呼びいただいて(「証人だ」と呼ぶ者あり)さらに審議が進められるようにお取り計らいをお願いいたしまして、私の関連質問を終わります。
○森田委員長 午後七時三十分から再開することとし、暫時体感いたします。 午後五時五十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕