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47回国会衆議院1964/12/17

石炭対策特別委員会 第6号

発言数
94
登壇者
12
会派数
3
開催日
1964/12/17

会議録

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭鉱業調査団の答申に関する問題について、本日、参考人として石炭鉱業調査団の方々に御出席をいただいております。  本日御出席の方々は有沢広巳君、青山秀三郎君、万仲余所治君、伊木正二君、石原周夫君、中野実君の各位であります。  また、高橋正雄君がわざわざ九州からおいでくださいましたので、参考人に追加したしました。なお、稲葉秀三君、円城寺次郎君、金子美雄君は、所用のため少しおくれて出席される予定でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席くだされ、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  特に、大部分の方々には、一昨年に引き続いて再度調査団員となられ、このたびの調査、答申に当たられたのでありますが、そのなみなみならぬ御努力に対しまして、本委員会といたしましても深く敬意を表する次第でございます。  今日、わが国の石炭産業が未曽有の危機に直面し、いまやその存立すら危ぶまれておるときにあたり、わが国産業の大宗であります石炭産業を安定させ、将来の明眸を与えるためには、この際抜本的な石炭政策の樹立が望まれるところであります。幸いにして、昨十六日石炭鉱業調査団の答申が政府に対して行なわれましたが、調査団の方々も以上のような観点に立って今回の答申をなされたことと存じますので、この際、それらにつきまして忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  それでは、まず、調査団を代表して団長の有沢広巳君から答申の内容について御説明をお願いいたしたいと存じます。参考人各位には、そのあとで委員各位の質疑に応じていただきたいと存じます。  それでは、有沢団長にお願いいたします。有沢広巳君。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 石炭調査団の答申が昨日政府に対して行なわれました。その答申の内容をごく概略お話を申し上げたいと思います。  今回の調査団は、御承知のように、調査の対象と申しましょうか、問題とする事項が非常に多きにわたっておりまして、大づかみに申しましても、石炭鉱業そのものの自立の問題、それから鉱害の問題、第三は産炭地振興の問題。産炭地振興にはなお文教の問題も含まれております。しかも、その一つ一つの問題が、内容的に申しまして非常に多方面にわたっている次第でありまして、したがって、私ども調査いたしまして答申を作成いたしますにあたりましては、非常に各般の多岐多端の問題を処理しなければならなかったのであります。したがって、答申も、その対象の多岐多端な事柄に対応いたしまして、問題に対する対策も非常に多岐多端にわたっておりますので、これをこまかに御説明を申し上げますとたいへん時間を要するわけでございます。それで大体これからお話し申し上げますことは、この三つの大きな問題につきましてごく概略にお話を申し上げまして、御質問に応じまして細部の問題を御説明申し上げたいと考えます。  第一の石炭鉱業そのものの問題、これは先般第一次調査団によりましての報告で、政府がそれに基づいた石炭対策大綱をお立てになったわけでございますが、それによりましても明らかでありますように、石炭鉱業の再建のための大きな柱といたしましては、スクラップ・アンド・ビルドということになっております。これはもうたいへん大規模なスクラップ・アンド・ビルドを行なう、この大方針のもとにおいて、それから出てくるいろいろの問題、特にその中では離職者の問題、そういう問題につきまして所要の対策を打ち出したわけでございます。これは非常に大規模なものでありまして、これがどういうふうにうまく行なわれるかということが、その後の大きな関心事になっていたと言うことができます。しかしながら、この大規模なスクラップ・アンド・ビルドを行なうことによって、昭和四十二年度には大体石炭鉱業は自立するというふうな見通しであったわけであります。  それから今日まで約二年を経たわけでございますが、どうもこの二年の間に石炭鉱業、なかんずく石炭企業の経理は、どっちかと申しますと、全体として申しますならば——と申しますのは、若干の企業は確かに前よりもよくなっておりますけれども、多くの石炭企業におきましては経理の情勢はむしろ悪化してきている。このままではとうてい企業として存立できないというふうな事態になってきたのであります。一体それがどうして起こったかということにつきましては、この答申の一ページから二ページにかけまして幾つかの事情をあげて説明をしてあります。その間に、予定されていなかったような諸事情、なかんずく予想以上に大幅な労働者の離山が行なわれた。そしてその離山に伴う整理資金と申しましょうか、退職資金、これも巨額にのぼりました。その金利の負担も企業にとりましては大きな圧迫の要因になった。また、大幅な労働者の離山のために、出炭も予想どおりの出炭が行なわれない。出炭がそういう状況でございますので、コストの低下も予想以上に低下しないというふうな事情もありまして、石炭企業の経理は大きな赤字をかかえ、しかもこの赤字は将来に向かってとうてい償却のできそうな見込みが立たない、こういうふうな事態に相なったのであります。そこで、それに関連いたしましていろいろな問題が出てきております。しかもそれは、言ってみますれば悪循環的な作用を伴ってあらわれてきておるというふうなことが言えます。  そこで、私どもは、この石炭企業のそういう状態を立て直すには、まず何と申しましても、この企業の経理を改善しなければならないということ。また、企業の経理を改善すると申しましても、同時に離山ムードといいましょうか、労働者が山を去っていく、そうして労働力の不足が生じる、そのこと自体が生産を落とすという結果になります。この関係は何とかして断ち切らなければならない。経理がよくなりますれば、むろんこの問題を一つ解決することができるようにも思われます。  そこでまず、経理問題をどういうふうに改善をするかということで、いろいろ検討を加えたわけであります。経理状況を改善するためには、二つの方法が考えられるわけでありまして、一つは炭価を引き上げる。これはごく普通の場合には、一つの企業の経理が悪い、売り上げ高が少ない、コストが高い、こういう場合にはむろん価格の引き上げということが行なわれるわけであります。そうでなければ、石炭企業を維持する必要があるというたてまえから申しまして、何か補給金の支給をやる。補給金を支給する場合には、どうしてもそれに伴う財源というものを考えなければなりません。エネルギー政策の見地から申しますならば、財源といたしましては、石炭の競合エネルギーである重油に消費税をかける。ヨーロッパあるいは西ドイツあたりでは、そういう政策がとられているのであります。この二つの考え方しかないと思いますが、そのいずれをとるにいたしましても、大きな負担をほかの産業に、あるいは他の消費者にかけるということに相なるのであります。  そこで、この場合にいずれの方策をとるかということで、調査団といたしましては、たいへん激しい討論が行なわれたわけでありますが、結局落ちついたところは、石炭の価格を引き上げるということでありました。  補給金を支給するということは、今日のような段階では、と申しますのは、まだ石炭企業の中には、大手もあれば中小もある。そればかりでなく、その各企業間の格差が非常に激しい。そういう格差のある企業に対しまして、たとえばトン当たり何百円とか、あるいは等級をつけまして、Aグループの会社にはトン当たり何円、Bグループの会社にはトン当たりもっと大きい額とかいうふうに、いろいろ分配の方法は考えられましょうけれども、いずれにしましても、補給金ということになりますれば、そういう会社の格差が大きいだけに、今度それの管理というものが非常にむずかしいということが一つであります。ほとんど国家管理的なやり方でなければ、とうてい円滑に、かつ正当に補給金を支給するということは困難であろうということであります。もう一つは、補給金が支出をされるということになりますと、とかく経営の努力がゆるむということも考えられます。  それから、他方におきましては、重油消費税、これはかなり大幅な重油消費税をかけなければなりませんが、その大幅な重油消費税は石油の精製業並びに重油の消費者、それらの消費者にまともにかぶってくる問題であります。しかも、重油の消費税をかけるということになれば、一律に消費税がかかるような状態でなければ公平を期することができないということもありまして、少なくとも重油消費税を財源とするところの炭価の補給金という問題は、今日の段階ではまだこれを取り上げるのは適当でなかろうという判断になったのであります。  そこで、他方の炭価の引き上げということに落ちついたわけでありますけれども、それじゃ幾らぐらいの炭価に値上げすればよかろうか。これも何ぶんにも石炭の消費者にまともに負担がかぶっていくことでございます。ですから、なるべく少ない負担で、しかも石炭企業の経理が改善されるというめどをつけなければならないとわれわれは考えております。どれくらいの金額があれば石炭企業の経理が改善されるか——と申しましても、その石炭企業の中に、たとえば大手だけについて考えてみましても、企業の経理の状況には非常に大きな違いがあります。ですから、一等悪い経理の状況にある会社をも炭価の引き上げで救うということになりますれば、これは非常に大きな炭価の引き上げが必要になります。むろん今日でも三、四の企業は大体黒字になっておるところもあります。こういう企業にとりましては、大幅な炭価の引き上げがあるということになりますと、たいへん大きな利益がこれによって出てくるということになります。そこで、私どもの考えは、上のグループに属するもの、つまりいいほうのグループに属する企業と、下のほうの今日特別に悪い状態にある企業、このグループは、企業経理を改善するには幾ばくの金額が必要であるかというような計算をする場合には一応これを除外いたしまして、大体その中間にある大多数の企業の経理が改善されるのに一体どの程度の金額が必要であろうか、そういう観点からめどをつけたわけであります。そういたしますと、大体三百円から四百円の間、三百何十円というふうな見当が出てきたのであります。  そこで、この三百円ないし四百円の間にある金額で企業収支の改善をはからなければなりますまいというわけで、その金額を全部炭価に、したがって石炭を消費しておる石炭の消費部門にのみおっかぶせるということはどうであろうかといふうに考えました。御承知のように、石炭の大口の消費者は電力と鉄鋼、それにガスであります。これらの大口の石炭の消費者は、とにかく今日のエネルギー革命のもとにおきましては、石炭というものは割り高なエネルギーである、つまり経済性の点から申しますとなかなか石炭を消費しにくい事情のもとにあるにかかわらず、電力に対しましては、長期引き取りの政策を第一次調査団のときに打ち出しまして、長期にわたって一定の数量を引き取ってもらっております。鉄鋼におきましても同様に、国内の原料炭は全部引き取ってもらうということになっております。つまり割り高なエネルギーであるけれども、国のエネルギーの供給の安定性の見地から、これだけ引き取ってもらいたいということで、経済性には若干反しますけれども、引き取ってもらっておるわけでありますが、その引き取りは今後もなおむろん維持していかなければなりません。そういうふうに数量の長期にわたっての引き取りをお願いしている需要部門に、その上にさらに炭価の引き上げをやるというわけでございますから、これは需要部門としましてもたいへん大きな負担といいましょうか、ある意味からいえば、経済性の観点からいえばますます逆行するような形になります。経済性に逆行してもこの際石炭鉱業の確立のためには炭価の引き上げが必要であるということをわれわれは打ち出すわけでありますから、その炭価の引き上げは、その安易な考え方のもとに引き上げるわけにはまいりません。ですから、いま申しましたように、企業の収支改善にとりまして三百円ないし四百円の間のある金額が必要であるということでありましても、それをそのままそっくり炭価の値上げにおんぶさせるというわけにはまいりません。この際企業収支の改善のために、国も応分の出しまえを出すべきである、こういうふうに考えたわけであります。  そこで、炭価といたしましては、一般炭につきましては三百円、それから原料炭につきましては二百円というふうに、一つの段階をつけまして炭価の値上げを考えたわけであります。  この場合ついででございますから、いまの問題を片づけておきたいと思いますのは、あとで述べます鉱害につきましても、政府の補助率を大幅に引き上げてもらうという提案をいたしておりますが、それによって鉱業権者は鉱害費の節約が若干できます。これがまあ、計算によって数十円できます。二十円とか三十円とか、そう大きな金額じゃむろんありませんけれども、数十円できます。それからもう一つは、あとで申し述べます利子補給によって、これまた百円以内、数十円の補給が行なわれるわけであります。それを合計いたしますと、まあ大体三百円を数十円オーバーする金額になりまして、それだけのものが企業に入ってくる、あるいは節約されることによりまして企業収支の改善をはかるというたてまえになっております。  炭価はいまのとおりでございますが、いま申しました利子補給の場合におきましても同様、国のお金と申せ、国民の腹を痛めたお金でございますので、これも、利子補給をしなければならないといたしましても、やはり合理的な利子補給を考えなければなりません。石炭企業が借金を持っているからといって、その金利はすべてこれをまかなってやる、補給してやるというふうな安易な考え方でこの問題を処理するわけにもまいりません。そこで私どもは、先ほども申しましたように、石炭企業には、非常に収支の観点から申しまして大きな格差がある。黒字の経営を続けておる企業に、今日利子補給をする必要はなかろう。それからその次のBグループと申しますか、悪い収支だけれども、しかしそう大きな悪さでもない、こういう企業につきましては、その企業の合理化計画と申しましょうか、あるいは収支改善対策とか生産合理化計画とか、そういうふうな計画をよく審査した上で、開銀その他の政府機関からの借り入れ金——設備資金でございますが、設備資金の金利を三%だけ補給しよう、六・五%の中の三%を補給しよう。それから、それらのグループよりももっと経理の悪い企業につきましては、これはもっときびしい条件のもとに、今日石炭鉱業審議会に経理審査会というものがございますが、その経理審査会の手を経まして、ここで十分審査の上、三%を上回る補給をすることも考える。そういうふうな考え方でこの利子補給を国が行なう、こういうふうな考え方になりました。  したがって、炭価の引き上げと、それから利子補給。利子補給も一括一律の補給ではなくて、いまのような段階をつけた補給で経理の改善をはかる、こういう考え方であります。  経理収支の改善のほうは、まあそういうことで一応改善されるといたしましても、その場合に、そういう改善策を講ずることによって経理の今後の状況は一体どういうふうになるだろうかということの見通しを立てなければなりません。その見通しにおきまして、将来にわたってのいろいろな要素を考慮しなければなりませんけれども、その中で特に重要なファクターは、これは何と申しましても賃金であります。石炭鉱業においては、いわゆる労働集約産業でありますので、コストの中で、経費と申しましょうか、賃金が最も大きな重要なファクターをなしております。その賃金が今後どういう変化を遂げるかという見通しでございます。しかも、この賃金問題は、労働者を確保する観点から申しまして一つの大きな要素でもあります。その意味から申しましても、これは非常に重大な問題になると思います。ですから、私どもは、この賃金の上昇率をこの経理収支改善の見通しに、作業の中にどう織り込んでいくかということが非常に問題になったわけでございますが、むろんこれを的確に決定するような——よく批評家は、科学的にきめろというふうなことを申しますが、科学的にきめるということがなかなかむずかしい。常に流動的で変化しておる。ことに、一般産業における賃金の動きが今後どういうふうな動きをするか。なるほど過去においてはこうであったということは言えますが、今後においてどういうふうな動きをするかということを予測することは、なかなかできるものではありません。その一般産業の賃金の動きとやはり相対的に炭鉱の労務者の賃金の上界というふうなものも考えなければなりません。そこで、この問題は非常に困った問題ですけれども、私どもはこれを七%というふうに考えました。七%が低いとかあるいは高いとかいうふうな議論は、むろんあり得ると思います。それ自体として低いとか高いとかいうこともありましょうが、しかし私どもは、この七%はこの経理収支の改善の場合に、一つの重要なファクターとして取り入れる係数と考えたわけでございます。  このことにつきましてここで特に申し上げておきたい点は、この七%の賃金アップを経理収支改善の場合に私どもが係数として取り入れるということは、私どもが賃金の上昇率を指示しているというものではありません。そうではなくて、経理収支改善の将来の見通しをするために必要な係数として取り入れたものである。ですから、個々の企業によりましては、われわれがその経理改善の見通しの中に同じく取り入れた生産性の上昇ということよりも、もっと大きな生産性の上昇が行なわれるということであれば、むろん企業といたしましてはこの七%の上に何がしかの増加分を加えることもできるでありましょう。また反対に、予想した生産性が上がらないということでありますれば、七%を出すということもかなりその企業にとりましては苦しいことに相なるでありましょう。要するに、そういうわけでございますから、この七%の賃金アップということを試算の係数として入れてあります意味は、一つの賃金の今後の上昇率、上昇を私どもは指示するつもりもなければ、指示したものでもありません。  その点につきまして、今回の答申に労務者対策という項目がありますが、労務者対策の中におきましても、したがって賃金の問題については何の対策も打ち出してはおりません。その労務者対策において賃金の、あるいはもっと広く労働条件に対する改善対策が打ち出されていないことが、たいへんこの答申が、何といいましょうか、柱が一本欠けておるというふうな御意見も承っておるのでありますが、まあ賃金問題といいましょうか、労働条件の問題は、これは何と申しましても、労使間の最も大きな問題であろうと思います。ほかの、労働者の生活環境であるとか作業環境の改善ということにつきましては、これは労使の間の問題でもありますけれども、同時に政府もそれに対して援助を与える、助成を行なうということも可能でありますが、賃金そのものにつきましては、第三者が調停としては入り得るでありましょうけれども、一つの指示を与えるということは、これは避けるべきでないかと考えたのであります。むろんそういうのは普通の状態のことであって、今日におきましてはむしろ指示を与え、そのもとにおいて労使も安定をはかっていくべきであるという御意見もあります。でありますが、もしそういうふうな指示を与えるということになりますれば、むろんこれは労使ともその指示に従うということにならざるを得ませんし、企業のほうから申しますれば、その指示をされた賃金なら賃金、労働条件を、十分支払っていくだけの力とか財源とかいうもの、そのものがなければならないのであります。でありますから、もし賃金の指示が何らかの形において行なわれるということでありますれば、収支改善対策の中にそれに見合う何らかの項目を設ける必要があります。ですが、いまの炭価の問題で収支の改善をはかるというふうに考えておるこの場合におきまして、もしそういう何らかの賃金に関する指示を行なっていくということでありますれば、当然これは炭価の上に反映してこなければなりません。おそらく、簡単に申しますれば、もっと高い炭価の引き上げが行なわれなければならぬと思います。  なるほど、一方的にこれを考えますれば、それも不可能というわけではなかろうと言えると思います。三百円も上げるのだから、この際四百円も五百円も上げて差しつかえがないじゃないかという考え方も起こるでありましょう。しかし、先ほども申し上げましたように、炭価の引き上げは単なる炭価の引き上げで終わるものじゃなくて、必ず石炭の消費者、しかも経済性の観点からいえばむしろ反した形において石炭を需要してくれておる、消費してくれておるその需要部門に対して、まさに負担をより一そう大きくおっかぶせるということに相なるだけに、そう安易に労働条件の問題を、よければますますいいというふうな形に考えるわけにはまいりません。いまの三百円、二百円の炭価の引き上げにつきましても、需要部門には、かなりといいましょうか、非常に強い反対があるのであります。これもまあ私、無理はないというふうに考えますが、それだけにこの炭価といいましょうか、需要部門に対しましても、十分の説得力を持った形においてしか炭価の値上げを要請することはできないと私どもは考えております。  要するにこの問題につきましては、私どもは二つの方程式、一つは需要部門の受ける犠牲といいましょうか、犠牲の限度、他方においてはこの経理収支改善の試算の場合における係数としての賃上げ率、これがどの程度の大きさのものになるべきか、この二つの方程式を同時に解く。これを切り離して一方的に解いていくわけにもいかない。炭価のほうからいえば、なるほど安いがいいのですから、賃金も低いほうがいいということになりましょうが、労働者のほうからいえば賃金は高いほうがいい。したがって炭価はまあ上がる。それでは需要部門が困る。こういう二つの方程式を同時に解くというふうな苦境に立たざるを得なかったわけでありますが、その両方を勘案いたしまして、いまの経理収支の改善の中に織り込むべき一つの重要な係数としての賃金の上昇率は七%に考えたわけであります。ですから、まあその点は考え方として誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。  それで労働者対策は、そういう意味におきまして、労働条件につきましては対策としては何も打ち出しませんでしたが、そのほかの点、たとえば労働者の生活環境の改善の問題、作業環境の改善の問題、それから、これはあとの始末の問題ですけれども、いまもって存在する離職者の対策はどうするかというふうな問題を、当答申の中に盛ってあります。生活環境の改善ということは、私たいへん重要な問題であろうと思うのであります。今日は幾らか落ちついてまいりましたけれども、ことしの夏ごろまではたいへん大きな離山ムードがあったわけです。この離山ムードで大ぜいの人が山を去っていく。その根拠にはいろいろな理由があったと思います。確かに労働条件が悪い、もっといい他の産業に移っていくという人々もむろんあったと思いますが、しかしそれだけで人々が山を去ったのではない。石炭鉱業そのものに対して、将来性に不安を持つようになった。暗い希望しか持てなくなった。あるいは自分のつとめておる会社の経理がどうも思わしくない、あるいは会社そのものの将来が危ぶまれるという不安から山を去る人もおった。また、老後がたいへん心配だという形で山を去った人もありましょう。いろいろな要因が重なり合って、この離山ムードがつくり上げられたと思いますが、その中で、生活環境ということも大きな問題になっておる点だと思います。私たちが現地の調査でしばしば訴えられましたことは、特に北海道でございますけれども、今日の炭住が非常に悪くなった。もう老朽化した。昔ならともかくも今日になって、これはたいへんきたないような話ですけれども、外便所の住宅、ことに冬の非常に寒い極寒のときでも、用足しは家の外に出なければならぬというふうな住宅、しかも戦前に建ったうちがかなり多いのでありまして、老朽化しております。そういう住宅に、今日たとえば若い人に来てくれと言ってみたって、それは来るはずがないという訴えであります。自分たちは長い間こういう住宅に住まってきたからともかくとして、若い人はもうこんな住宅の中に入ってくるはずがない、住宅を何とかしてもらいたいという訴えがかなり強かったのであります。そういう印象がわれわれにも強く残っておりましたので、またその訴えも非常に理由のあることだと考えましたので、ここに住宅を新改築することにつきまして政府に措置を求めておる次第でございます。  それからもう一つは、これは労働条件の中に入るとも言えますけれども、ここでは生活環境の中に入れてありまするが、年金の問題であります。今度通常国会に厚生年金法の改正が提出されると思いますので、まあそれで一般に年金は幾らかよくなるとは思いますが、この地下産業の労働者の年金というものは特別に考えるべきではないか。今日の厚生年金でも、受給開始の年限を五十五歳というふうに早めておることは確かでありますが、そればかりではなくて、もっと手厚い年金の支給と、それから地下労働の重筋肉労働者にふさわしい年金の支給のしかた、たとえば、普通の産業では賃金は年功序列になっておりますが、炭鉱の場合におきましては賃金は能率給、請負給であります。でありますから、若いときはわりあいに賃金は多くもらえますけれども、ある年齢、相当高い、四十歳なり四十歳をこえたあたりから、だんだん重筋肉労働にたえられなくなりまして、手取りの賃金額が減ってまいります。それは当然のことだと思います。重筋肉労働に従事した人で年をとった人は、もうそう長くこういう労働に従事することはできない。したがって手取りは落ちてくる。もっと軽い、軽作業の職場に移らなければならないということになるわけです。一般産業ではこれが年功序列ですから、年をとったらますます賃金支給額が上がるような形になっておりますからよろしいのですが、地下労働者の場合にはそうはいかない。したがって、ドイツあたりの年金制度におきましても、もう五十歳になりましたならば、まだ年金受給の年限には達しないのですけれども、もう重労働作業には従事ができない、軽作業に従事するのでありますから賃金も落ちる、しかしもうすぐ、その場合において、たとえば五十歳なら五十歳において、年金の何分の一かの支給が開始されます。したがって、働きながら年金の何分の一かの支給を受ける。したがって年金と、働いてもらう賃金とを合算いたしますと、いままでの賃金とそう大きい変化がない、こういう形になっております。それからいよいよ引退をした後は、かなり手厚い年金で老後を十分送ることができる。先般、日本の労働者でドイツで働いておりました炭鉱夫が帰ってまいりましたときに、ちょうど私どもまだこういう問題を討論中でありましたので、その日本の労働者に伺ってみましても、やはり何といっても老後の心配がないということが一等うらやましいという話でありました。むろんドイツの炭鉱夫の賃金は、日本の炭鉱夫の賃金よりも高いことは確かでありますが、もう一つ大きなバックアップといたしまして、年金がある。だから、この年金制度についてひとつ何か対策を講じてもらいたい。しかし日本では、年金のほかに退職金がある。これは普通にある。ドイツの場合は、退職金はありますが、日本のようにたくさんもらうような退職金はない。制度としてないのであります。ですから、日本の場合においては退職金制度と年金制度と両方関連せしめて考えなければなりませんので、そういう問題をずっと検討するということになりますと、とても私どもの手に負えない問題でもあります。こういう具体案をつくれと申しましても、とても私どもの手では具体案をつくるわけにまいりません。ことにいままでの年金とどういうふうにつながるかというふうな点を考えましても、なかなかむずかしい問題が続出してまいりました。具体案をこう考えるべきだということをすぐさま申し上げることはできませんでございましたので、これをなるべく早く検討するというふうにこの点では申し上げてあります。  作業環境整備の場合におきましても、あまりこまかくなるからここでは省略いたしますが、一つだけ申しますと、最近は深部移行に伴って、たいへん高熱多湿の切り羽で働かなければならないようになった。これも労働者にとりましては、働くことをいやがるわけではないんだけれども、現実の問題としてこういう職場ではそう能率をあげるわけにはいかないし、それから非常に疲労を感ずるということも訴えられましたので、こういうところには近代化資金を投じて冷房の設備をするというふうなことも提案をしてあります。  要するに私どもは、労働者対策といたしましては労働条件、なかんずく賃金の問題につきましては何の指示も与えることはいたしませんでしたが、そのほかの点につきましては、現地で多くの要望のありました点をなるべく盛るようにつとめたわけであります。  たいへん長くなるようでありますから、少しはしょってこれから申し上げますが、石炭鉱業プロパーの問題としましては、おもな問題は収支の改善対策とそれから労務者対策、そのほかに保安という問題があります。保安につきましても、保安の施設を充実するとか、教育をするとか、監督をやるとか、いろいろなやり方がありましょう。これにつきましても日本では、御承知のように災害がかなり多い。この災害が多いということも、労働者に対して山を去らせる一つの要因になっている。やはり現地では、こう災害の危険が多くてはやり切れぬ、こういう声が非常に多かった。ですから保安問題につきましても、ここではいろいろと検討して対策を提案いたしておる次第でございます。  こういうふうにしていったときに、それでは一体今後石炭鉱業はどうなると考えられるかという点でございますが、今日生産の目標としましては五千五百万トンということになっておりますが、これはむろん私どもは何の変更を加えるということもいたしませんでした。しかし、五千五百万トンを実際に掘り出せるかというと、それは今日のところまだなかなか掘り出すことはできません。したがって今年におきましても、五千百数十万トンが予定されておるにすぎない。電力等需要面のほうでは、もっと出てくるならばそれを引き取るという用意を十分持っておりますけれども、供給のほうができない、不足をしておるという形であります。この需要部門に対して供給が不足するということは、これは長期引き取り契約を結んでおりますだけに非常に需要部門を不安がらせる点でございまして、鉄鋼にいたしましても魅力にいたしましても、この点を強く訴えられるわけでございます。しかし、いまそう言われましても、なかなかこの五千五百万トンをすぐ掘るというわけにはまいりません。それは石炭の山の生産体制としてはそれだけの体制を整えていると言うことはできると思いますけれども、今日労働者の減った状態のもとにおいては、たとえば掘進がおくれるというふうなこともありまして、なかなか予定どおりの炭を掘ることができません。減った労働者の点から申しますならば、もっと機械化を促進しなければならないと思います。その機械化、つまり山のビルド・アップがおくれているということは確かにあるのでありまして、それがだんだんビルド・アップされるにつれまして、出炭あるいは供給がふえていくというふうに考えられます。なかんずく今度経営上の収支改善の政策が行なわれるということになりますと、私はもりと出炭のほうが活発になるのじゃないかという気もいたしておりますが、ともかくも四十二年までは五千三百万トン程度のところにまで持っていき得るような見通しは、いまのところ、現在の立場から言うとありません。  しかし四十二年度末になりますと、大体、これも大手だけについてしかわかりませんけれども、大手十七社のうちで、八〇%以上の、八〇数%になるかもしれませんが、八〇%以上の会社につきましてはもう自立ができる、まだ赤字の負債はむろんありますけれども、もう損益収支におきましても赤字でなくなる、黒字といってもそう大きな黒字でない会社もありますけれども、大体黒字になる、赤字は消える、こういうふうな状態になりますので、大部分の会社が黒字で自立ができるという体制になると思います。ただあとの数社といいましょうか、二〇%足らずといいましょうか、全出炭の二〇%足らずのものがなお再建計画を続けていかなければなりません。これは十分国家のほうで監督といいましょうか、一種の管理を行なって、再建計画の実施を続けていかなければならないと思います。そういうふうにして、これをずっと持ちこたえていくことができるような体制になるとは思います。ですから、一応の石炭企業の自立体制ができるというふうに私どもが申しておりますのはその意味でありまして、大部分の会社についてそう言えることになるけれども、なお数社につきましては十分めんどうを見ながらこれを抱きかかえていくというふうなことが必要であるということであります。もっともこれは、この間に大きな経済事情の変化がないというふうに考えた場合のことであります。しかし、御承知のように、経済並びに石炭産業自身もかなりまだ流動的であります。思わぬ変化ということも起こり得るわけでございますから、私どもは石炭鉱業審議会が毎年毎年十分めんどうを見ていくといいましょうか、監督もし調査もし、変化があったときにはすぐその変化に対応するような措置を提案するという形で、ただ私どものこういうこれこれの対策案が出たから、それを実施しているだけで事柄が万事済むというふうなものじゃない。ことに流動の激しいと申しましょうか、流動してやまないような今日の場合においては特にそうだと思うのであります。  たいへん時間が長くたりましたが、御質問を受けることで、もっとあとの足りないところは補充することにいたしまして、時間がありませんから簡単に申し上げます。  鉱害につきましては、ずっと昔からたまってきている大きな問題でございまして、これをこの場において一気に私どもに解決案をつくれ、こう言われてもたいへん困惑せざるを得ないのですが、今度の鉱害対策については、もっと鉱害の復旧事業を早めなければいけないということ、したがって年々の鉱害復旧事業量を大きくしなければいけない、それが大きく復旧できるような形の対策を打ち出すということなっております。それがためにとにかく国家の補助率を大幅に引き上げてもらうということが眼目なっております。  ほかにこまかいことで、無資力の場合とか、あるいは無資力に近いような場合はどうするかというふうなことも、それぞれ書いてありますが、鉱害対策の趣旨から申しますと、いま申しましたように、年々の鉱害復旧事業量を大きくする、それによってこの鉱害の復旧を——いまのところでいくと二十年とか何十年とかかかると申しますけれども、そんなことではたいへんでございますから、もっと鉱害復旧事業量を大きく、大幅にやれるような態勢をとることが眼目になっておると言っていいと思います。  それから産炭地振興の場合も、これにはいろんなことが書かれておりますけれども、結局は産炭地振興のためには、新産都市の問題もあるいは低開発地域の開発の問題も重要であることはむろんのことでありますけれども、緊急を要することからいたしますと、産炭地振興が最も緊急を要するという観点から、一つは道路の埋設と工業用水の供給、この面も、従来の考え方から申しますと、いろいろ制約を受けるようでありますけれども、そう言っておったのではこの緊急性の観点からいって間に合わないのじゃないかということであります。ですから、将来交通量が多くなるから隘路になる、そのときに初めてこれを拡大してやるというふうな考え方では、産炭地における道路の問題も解決しない。むしろ道路をつけて、その道路が一つのインセンティブになって企業が産炭地に来るような道路を考えてもらいたい。工業用水も確かに割り高な水になるかもしれぬけれども、それだからこの工業用水を設けることは許さないというふうな考え方でなくて、その工業用水が産炭地の企業の誘致にとって必要であるから、したがって割り高の水にならないような措置をすることによって工業用水の供給が行なわれる、こういう観点に立っておることが一つであります。  それから第二の産炭地の問題は、企業誘致に対しましては、滝沢地振興下乗団からいろいろ資金を融通するわけですが、その融通につきましても、いままでいろいろな制約があった。ですから今日、産炭地に逸出しておる企業もかなりできておりますけれども、みな中小企業である。中小といいますか、どっちかというともっと小さいほうの企業である。中堅企業になっていない。ですから今後は中堅企業も進出ができるような融資条件の緩和をはかってもらいたいということ。それから産炭地の事業団のつくる土地造成費も、かなりところによっては割り高になっているものもあるけれども、そういうものも、コスト主義からいえば確かにそうです、コスト主義を放棄しろとはわれわれは申しませんが、そうぴしゃっとコスト主義で割り出さなくてもいいじゃないかという点も指摘いたしまして、要するに産炭地事業団の造成する土地も工業用地も、場合によってはもっと安く売れるというふうな考え方が取り入れられております。  第三は地方財政の問題です。  地方財政が非常に窮迫していることは御承知のとおりでありますが、これが交付税で必要最小限度の点は十分まかなわれていますが、市町村が前向きの何か仕事をする、将来に向かっての何か仕事をするという、それだけの財源はなかなか与えられていない。それがためには、交付税をもっと何か特別に手厚く配慮してもらうことができないか。ともかくもそういう面で地方財政も前向きの仕事も若干できるような形の考え方が取り入れられるように配慮してある次第でございます。  産炭地の文教対策もなかなかむずかしい問題でございますが、ここでは一つは、非行少年等もかなり多いのでありますから、そういうことを考慮いたしまして、いわゆるカウンセラーを重点的に必要な学校に配置するということ。それからもう一つは、給食施設がありますれば、場合によりましては国家から給食費が支給されるわけですが、給食施設がないために給食費が支給されないというところも多々あるようであります。したがってこういう地域においては、私は給食ということが非常に重要だと思いますので、その点ができるように考えてもらいたいということを申しております。  最後に一言私のほうから申し上げておきたい点は、何しろいまごく重点的に説明しましても一時間以上かかるようなわけでございまして、われわれが取り組みました問題が、最初に申しましたように多岐多端の問題であって、その一つ一つに具体的な対策を打ち出すということが、とにかくこういう答申の場合には必要でありますけれども、なかなかその一つ一つの問題に具体策を検討して、それに最も適当な対策にまで煮詰めるだけの時間がないということもありました。また、先ほど年金の場合にお話し申し上げましたように、とてもわれわれだけの力ではその問題に対して具体的な案を考え出すことができないというふうな場合もありました。それがために、答申の中にはしばしばやや抽象的なことばが使われておりますし、また場合によりましては、検討することを要すとか、検討するとかいうふうな文句が入っているのでありますが、それはいま申しましたような意味において、一つは時間が足りなかったということと、もう一つは、われわれの専門的な知識以上の問題にしばしば当面せざるを得ない。したがって、考え方の方向としては打ち出すことができましても、その方向に従った具体的な案をつくり出すことができなかったということもありまして、いまのようになっておるわけでございます。そういう点を御了承の上、答申をごらんいただければまことに幸いだと思います。  たいへんまずい説明をいたしたようでありますが、これで私の説明を終わらせていただきます。(拍手)

中村寅太自由民主党

○中村委員長 午後は十二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ————◇—————    午後零時四十九分開議

有田喜一自由民主党

○有田委員長代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。  石炭鉱業調査団の答申に関する問題について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。中川俊思君。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 私は、まずもって、本年夏以来石炭産業再建の方策樹立のため、きわめて困難な問題と取り組まれました有沢団長以下各委員に対し、深甚な感謝と敬意を表する次第であります。  さて、先刻御報告を拝聴して痛感いたしましたことは、わが国石炭鉱業が再び深刻な危機に直面していることをあらためて認識し、きわめて憂慮にたえない次第であります。  前回の石炭鉱業調査団は、昭和四十二年度における石炭鉱業の自立達成を目標として、需要の確保と非能率炭鉱の大規模な閉山及び高能率炭鉱の造成を中心とする生産体制の近代化及びこれに伴う画期的な離職者対策の樹立と産炭地域の振興を答申したのであります。この答申に基づいて石炭鉱業は、他産業においてもかつて見られないような大規模かつきびしい合理化を行なってその体質改善を行なったのであります。にもかかわらず、石炭鉱業の危機は依然として去らない。いな、むしろ、このまま放任するならば石炭鉱業は崩壊するのではないかとさえ見らるる状態に至ったのであります。万一石炭鉱業の崩壊した場合、そのもたらす国民経済的損失は、本答申にも指摘されているごとく、国際収支の上からも、はたまた供給の安定性の上からもきわめて憂慮すべきであり、石炭を確保することは、御承知のとおり、国家的要請と考えるのであります。この点についての認識はすでに欧米諸国においても同様であり、これが国際的常識と言えるのではないかと思います。   〔有田委員長代理退席、委員長着席〕  そこで私は、まず、本調査団の団長は有沢さんでございますから、個々の方に対する私の質問は、必要であるならば随時お答えをいただきたいと思いますが、まず原則としては、有沢さんから御答弁をいただくならは調査団全体の御意思ではないかと考えますので、できるならば有沢さんから御答弁いただきたいと思います。  ただ冒頭お断わりしておきますが、私はごく端的にお伺いいたします。したがって、先ほどあなたが御報告になりましたような具体的な問題、あるいは技術的と申しますか、そういう問題については私はあまり質問をしたくないのです。それよりかむしろ基本的な問題、根本問題をどうお考えになるか、そういう点についてのみごく一、二の問題についてお尋ねいたしますから、率直にお答えをいただきたいと思うのであります。  一体、政府もそうでございますが、石炭業界も一般民間もそうだと思うのですが、石炭を斜陽産業という認識に基づいて取り扱っている面が非常に多いんじゃないかと思いますが、有沢さんはこの点についてどうお考えになりますか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 石炭産業は、エネルギー産業として考えますと、非常に強力な重油その他のエネルギーが進出してまいりましたので、その経済性の面から申しますと、確かに産業の競争力というものは著しく弱められていると言うことができると思います。その意味を斜陽産業ということで言いますならば、確かに斜陽産業だということが一応言えると思います。しかしエネルギーの問題は、単に経済性の観点のみで判断をすべきものではないと私どもは考えておるわけでございまして、その点から申しますと、依然として石炭産業は国の重要な資源産業である。その意味から申しまするならば、斜陽というふうには言うことができないんじゃないかと考えております。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 私もいま有沢さんのおっしゃられたと同様な考えでございます。ところが政府の施策を見ましても、石炭産業に対して斜陽産業だという観念に基づいてすべての施策が行なわれておる。たとえば鉱害の問題を処理するにあたりましても、大蔵省はなかなか石炭に金を出さない。それから私がしばしば、エネルギーの問題を処理するについては、石炭の問題だけ扱ってもだめなんだ、重油の問題、石油の問題もあるし、原子力、LPGの問題もある、いろいろな問題があるのだから、総合的にこの問題を検討しなければだめだということを述べましても、政府はなかなかそれをやろうとしない。そういう点から考えまして、有沢さんはいま斜陽産業とは考えないとおっしいますが、やはりそういう根本観念が日本国民全般の中に、一つのムードとしてあるのではないかと私は思う。そういうことが石炭問題をいたずらに混乱におとしいれ、抜本的な対策が構ぜられないゆえんではないかと考えておるのであります。特に石炭の問題は、有沢さんの調査団の行動一つを見ても、非常に客観的情勢に支配されて変化が激しゅうございます。三十七年のあなた方の御答申を見ますと、値下げせいということであった。今回の答申を見ますと、値上げせいということなんです。この一つの問題をとってみましても、非常に客観的情勢に支配される面が大きいのでございます。そういう石炭産業を単なる斜陽産業と認識しているところに、一つの大きな誤りがあるのではないだろうかと思います。私は有沢さんと全く同意見でございまして、斜陽産業とは見ていないのでございます。今日でこそ石油の問題、原子力、LPGの問題等が入ってまいりましたけれども、石炭は古来から日本における国産エネルギー資源といたしまして、重要な役目を果たしておったのでございます。やはりドイツやイギリスのごとく、石炭を大事にしなければならない、日本古来からの重要なエネルギー資源であるという認識を忘れてはいけないということを私も痛切に感じております。  そこで、有沢さんは非常に皆さま方と御協力になりまして、石炭の問題に御熱心でございますが、石炭の問題は、私が先ほどから申し上げるごとく、石炭だけで解決できない問題じゃないかと思います。そういう点について、総合エネルギー政策の見地から石炭の問題をどうお考えになっておるか。単なる石炭そのものだけでなく、総合エネルギー政策の観点から、石炭はどういう立場に置かなければならないか、どういうふうに位置づけなければならないか、こういう点について調査団の皆さま方と十分御検討になったことと思いますが、それらに対する具体的な案がこの報告書にはあまり見られていないように思いますので、御論議になりました過程でもけっこうでございますが、日本のエネルギー政策をどういうふうに持っていくべきか、石炭はその間にあってどういうふうに位置づけるべきか、こういう点について御論議になった点、その他有沢さんの御意見等を承れればまことにしあわせだと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 総合エネルギー政策の見地から石炭をどのように位置づけるべきかという御質問の御趣旨でございますが、答申の中には五千五百万トンの出炭を目標とすることは妥当である、こういうふうに書かれてあります。と申しますのは、調査団といたしましては、調査の委託を受けましたのは石炭鉱業審議会の会長からでございまして、その際私どもの調査団が与えられましたのは、政府の取りきめました石炭対策大綱のワクの中で石炭産業の今後のいくべき道並びにそれに対する対策について調査検討して答申をするように、こういうわけでございました。ずいぶん世間では、私ども調査をしている間に、もう五千五百万トンなんというような線は維持できない、またそれを目標とするのも妥当でなかろう、こういう批判なり意見をしばしば聞かされたのでありますけれども、私どもは、団の性格からいっても、その問題を検討する、つまりそれよりは少ない形のものとして検討するというようなことは、全然考えなかった次第でございます。それよりも、この場合私個人の見解をお話し申し上げたいと思いますが、確かに総合エネルギー政策の中において石炭を位置づけるということが非常に必要なことでありますし、前の調査団はその見地から五千五百万トンの線を打ち出しております。その後、通産省の中に開かれました産業構造調査会のエネルギー部会におきましても、やはり五千五百万トンの線が出されております。五千五百万トンがいいか、五千万トンがいいか、あるいは六千万トンがいいか、これはいろいろ見方があろうかと思いますけれども、しかし、この五千五百万トン程度の出炭は、日本の炭層の条件から申しましても、相当経済的な形で掘り出すことができる量だと私は考えております。そうだとするならば、供給安定の見地から、これだけの量の炭を掘る体制を常に整えておくということが、たいへん重要ではなかろうかと思います。もしエネルギーの供給に不安があるということでありますならば、これだけの体制を整えておけば、六千万トンなり六千五百万トンなり増産をすることはさして困難なことではないと思います。かりにこれが三千万トンというふうなことになっていたものを、一気に五千万トンに上げるということは非常にむずかしい問題で、ほとんど不可能に近いというふうに考えられます。その点で私は、個人的見解でございますけれども、いまの線を確保していくことが総合エネルギー政策の見地から必要だというふうに考えております。  しかし、この問題は、総合エネルギーにおいて石炭がどういう位置を占めるべきかということは、これは国の、あるいは国民の一つの根本的な方針として決定されていなければならない問題だと思います。単にある諮問機関がこれこれのが必要だ、これくらいの目標を立てることが必要だと言ったり、また、かりに政府が石炭政策大綱で五千五百万トンの出炭を維持していく、こういうふうに言われたといたしましても、それがはたして、総合エネルギー政策の中においての石炭の位置を国民的な意味において決定したものであるかどうか、この点がすこぶるあいまいだと私は思います。もし、これは国会で御決定いただければいいかと思いますが、国民的な決定で、総合エネルギー政策の中において石炭というものは今後とも五千五百万トンなら五千五百万トンの線を確保していく、この大原則がきまっておりますならば、そのもとにおいて石油をどういうふうに考えるか、原子力発電をどういうふうに考えるか、また石炭の生産をどういうふうに維持していくか、それらのいろいろの関連の問題と手段につきましては、おのずから措置することができると思います。おのずからと申しますのは、措置することが非常にやさしいという意味であります。それはたいした問題じゃないと思います。  ところが、根本の筋がきまっていないということが非常に問題をこんがらがしてくる。たとえば今回の調査団の場合におきましても、石炭産業の確立のためにこれこれのことをしなければならないと、こう申しますと、そんなことまでして何で維持する必要があるのだと、こういう反論が必ず出てくるのであります。これが私は一等むずかしい問題といいましょうか、問題の基本的な点だと思います。つまり、日本では、エネルギー総合政策の確立は非常に強く要望されていながら、いまだそれが国民的な決定を見ていないというところに、問題の最も大きな欠陥と申しましょうか、弱さがあると思うのであります。私は実は個人的にはそういうふうに考えておる次第でございます。  調査団の報告の中におきましては、総論の最後のところでございますが、石炭の長期にわたるビジョンといたしましては、エネルギー供給の安定に貢献をし、そして近代的な生活環境と安定した労働条件のもとで石炭産業を確立していく、これが長期ビジョンとして考えられる姿でありますが、その趣旨のもとにおいてこういう姿をどういうふうにして実現していくか、その手段方法についてはいろいろ検討すべき根本的な問題がまだある。たとえば重油消費税をかけるがいいか、あるいは国の何か補助金を出すがいいか、あるいはその他いろいろの形の手段方法があると思います。しかし、ここでは長期ビジョンというふうになっておりますが、そのビジョンが国民的なビジョンになっているか。われわれはそういうビジョンを持っておるにしましても、国民がはたしてそのビジョンをまことに妥当な、確かに日本の国民としてその方針に従っていかなければならぬ、それを支持していかなければならぬ、ここまできておるかどうかということについては、私はまだ疑問があると思います。  その意味におきまして、いま私が個人的意見として申し上げましたように、このエネルギー総合政策の根本の方針はまだ国民的な基盤において確定されていない。いろいろなことがいままで言われてきたことは確かでありますけれども、国あるいは国民の基本方針というものがまだきまっていない。このことが問題の中における最も大きな弱点になっておるということを申し上げたいと思います。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 お説のとおり、国民の総合的な基本問題がきまっていない、政府がきめようとしない。そういう中にあって、有沢調査団はこれだけの御調査をなさったのでございますが、いま最後におっしゃった国民的ビジョンと申しますか、石炭問題に対するビジョンが、どうもこの調査団の報告書を拝見いたしますと、どこにあるのか。実はビジョンということを書いてございますけれども、どこへ一体国民はそれを求めるのか。たとえば私が先ほど来申し上げましたように、総合エネルギー政策というものを立てて、そしてその中における石炭はこういうものだ、石炭に対しては五千五百万トンでなくとも、あるいは五千万トンでもよろしいかもしれない、経済ベースの点からいったら三千万トンということもいわれておるのでございますが、とにかく石炭はこういうふうに位置づけるんだ、石炭をこういうふうに位置づけるについてはこれだけの労務対策が必要なんだ、これだけの保安対策が必要なんだといういろいろなケースがあるだろうと思うのでありますが、そういう点が明瞭にされていない。したがって、私はこのたびの皆さま方の非常に御許心になりました報告書を拝見いたしまして、何だかもの足りない感じがしたのであります。有沢調査団は石炭問題に対してどういうふうな考えを持っておるのかという政府の要求でございますから、それに対して、石炭政策というものはこういうふうにいくべきじゃないかという、具体的なこまかい問題もむろん必要でございますが、それよりか大綱をまず示して、その大綱に基づいてこういうふうな具体的な案をつくったらいいだろうという報告書が、実はほしかったのでございます。そういう点につきましては、せっかくの御努力に対してまことに御無礼なことを申し上げて恐縮でございますが、そういう点をはっきり見出すことのできなかったことをまことに遺憾に思うのでございます。  それから、五千五百万トンということが、御案内のとおり第一回の調査以来主張されており、また政府のほうでもそういうことを言っておるのでございます。五千五百万トンという出炭量の問題は、むろん現在の日本の石炭産業における規模その他から割り出された問題だと思います。先ほどの御報告の中にも、ちょっと有沢さんからお話があったように承りましたが、五千五百万トンの科学的な根拠というもの、むろん先ほどお話のありましたように、流動性の激しい今日でございますから、科学的根拠なんて、そんなむずかしいことを言ってみたところで、そういうことが決定づけられるものじゃないということも言えますけれども、しかし、五千五百万トンというのは、いかなる根拠に基づいて五千五百万トンということを言わなければならないのか。たとえば先ほど来申し上げますように、総合エネルギー政策の中で重油がこれだけだ、原子力が将来こうなるのだ、だから五千五百万トンは確保しなければならないというのか。ただばく然と、五千五百万トンぐらいはいまの日本の出炭規模その他から見て掘れるから、まず総合エネルギーの中で石炭を五千五百万トン使って、あとの残りは重油なりその他のエネルギー資源に向けるというのか。実ははなはだ不勉強で恐縮でございますが、五千五百万トンの根拠が私わからないのでございます。その点もう一度ひとつ御答弁願います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 五千五百万トンの線は、前回の調査団のときに出てきた線でございます。考え方といたしましては、確かにいまおっしゃられましたところの後者に属するわけで、まず日本の炭層の条件から考えまして、どの規模の出炭が最も安く、安いといっても石油よりはそう安くはいかぬかもしれませんが、石炭としては安く掘れるか。高くても掘っていいというなら、それはまたずっとたくさんのものが掘れると思います。エネルギーの観点から石炭を位置づけるという場合には、一般にいわれておりますように、一方には低廉の原則があります。他方においては供給の安全保障の見地、この二つがあるわけで、両者ははっきりと矛盾をしておるわけです。  そこで、何か科学的な根拠でこれをひとつはじき出せ、こう申されましても、実は科学もそこまでは進歩しておるとは私は思いません。これは日本ばかりじゃない、この夏イギリスでも承ったところでございますし、ドイツでもまたそういう話を聞いたところですが、この二つの観点から、その国においての出炭量を、その国の資源状況、それからいままでの過去の蓄積——技術的な蓄積とか労働者の蓄積とか、いろいろ蓄積がありますが、そういう蓄積のもとにおいて判定を下すべきだといわれております。私どもが第一次調査団のときに考えました考え方は、この二つの原理のもとにおいて、そして日本の炭層のそのときにおける姿を土台にいたしまして割り出した数字であります。むろんそれを吟味するために、五千五百万トンという線が出たが、はたしてこれをどういうふうに消費者は消費してくれるであろうか、その需要の測定のほうもいたしたわけでございます。そういう需要のほうも長期引き取りをやる。その長期の引き取りも、幾らでも引き取ってもらうというわけにはいくまい。電力コストがそう上がらぬ限りにおいての引き取りをやってもらう。鉄鋼においてもまた同様で、原料炭におきましても同様でございます。そしてまた価格の引き下げという面も、従来のような価格を維持していくというのでは、石炭と重油との間の価格差があまりにも大きくなるのじゃないかということもありまして、そしてまた、出炭の技術とか機構とか、あるいはコストという面から見ましても、欧米に比してまだかなり高いということでございますならば、これはもりと安くすることができるんじゃないかという観点から、価格の引き下げという問題をも加えて、そしていまの低廉の原則と供給の安全保障の見地、この二つをかみ合わせて一応五千五百万トンという線をはじき出したわけでございます。それが百万トン減ってはいけないとか、二百万トン減ってはいけないとか、そういうふうなリジットな五千五百万トンではむろんありません。けれども、大体五千五百万トン程度の生産体制を今後維持していくことは、低廉の見地からいってもそう大きな支障はない。  たとえば電力にいたしますならば、電力のほうはますます重油専焼火力がふえてまいります。ですから、石炭の地位というものは相対的に低下する。したがって、それだけの石炭を引き取ったといたしましても、重力料金あるいは電力コスト、発電コストにそう大きな影響はない。依然として電力コストはかなり安く維持していけるという判定を下すことができたわけであります。  鉄鋼の場合におきましても、欧州に比べれば日本の弱粘結炭は確かに千円以上高いかもしれません。しかし、もし日本において弱粘結炭が出なかったときには、今度はセラース・マーケットになります。いまのような値段で、はたして弱粘結炭を購入することができるかどうか。それは多くのケースでもうすでに実証済みであります。セラース・マーケットになれば、売り値は高くなるにきまっております。ですから、そういう面からいいまして、いま高い弱粘結炭を日本鉄鋼業は全部引き取るということにいたしまして、それがはたしてコストにどれだけの影響を持つかという検討もいたしたわけであります。なるほど影響がないわけじゃありませんけれども、そう大幅なものじゃなかろう。弱粘結炭全部を日本の出炭でまかなっておるわけじゃありませんし、また強粉炭も使うわけでありますから、そう大きな影響はなかろう、こういう判定で、いま申し上げましたような線が出てきたわけでございます。  五千五百万トンの線が科学的にどういう根拠で出てきたのだと、それを数学的にはじき出すようなお考えになっていらっしゃる向きが、よく批評される方にしばしばあるようでありますけれども、そういうことはなかなかできるものじゃない。算術的な計算で五千五百万トンというものが出てきたわけじゃありません。原理的には、いま申しましたようなことで、あっちこっちの観点をあわせて取り入れて、五千五百万トン、それもいま申し上げましたようにそうリジットな、びた一文欠けてはいけないというような数字ではむろんありません。そういう考え方で五千五百万トンはきまってきておるわけです。  この夏、イギリス、ドイツに参りましたが、イギリスは二億トン、こう申しましたので、その二億トンはどうしてきめたんだ、何か科学的な根拠があるのか、こう聞いたわけですけれども、そういうことはないんだ、政府も消費者も、それから世論も、一億八千万トンの線が妥当であろうというふうにいままで考えていたけれども、石炭庁は、一億八千万トンを二億トンにふやしてもそう大きなコストアップにはならないということがわかったので、われわれは二億トンの線を打ち出しておるのだ、そしていまは消費者も政府も大体この線で納得してくれておる、こう申しました。ドイツのほうも、一億四千万トンがいま目標になっております。この線も、ドイツの業界、政府で聞きますと、やはりイギリスで私ども聞いた考え方と大体同じであります。  ですから、まあ大体の目標として一つの線が、ある数字が出てこなければならないことは当然でございますが、その数字というものは、いま申し上げましたように、考え方の基礎には低廉の原則と安全供給の観点、こういう二つのものがありますが、それだけではなかなか実際の数字は出てくるものじゃない。結局、需要側の問題も考えなければなりません。石炭を使うことによるコストアップの問題も考えなければいけない。そうして初めて、かなり大まかな数字でございますけれども、そういう数字が出てきたものだと御了解を願いたいと思います。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 この際、質疑をされる委員各位に申し上げますが、質疑の通告者が多数おられますので、質疑時間を一人二十分程度にして御協力をいただきたいと存じます。  また、高橋正雄参考人は二時半に退席いたされなければなりませんので、高橋参考人に対する御質疑がございましたら、先にしていただきたいと存じます。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 いま有沢さんから、石炭の値段を少しばかり上げても、たとえば電力にしても、あるいはガスにしても、鉄鋼にしても、そうコストアップする必要はないというような御意見と拝聴したのですが、もし今回の御答申にありますように、二百円ないし三百円トン当たりアップしたといたしまして、電力の料金、あるいは鉄鋼、ガス等にどの程度の影響を与えるのか。いまのお話から伺いますと、たいした問題でないということでございますが、私どもはそう考えないのです。そこを数字的に御検討になったといたしますならば、それをひとつ御提示いただきたいと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 いまたいしたコストアップにならないというふうに申しましたのは、全体としてのコストアップの問題でございまして、つまり将来を見通してのコストアップの問題でございます。と申しますのは、電力で申しますならば電力需要が伸びる、発電量もふえる、そのふえる発電量の大部分は重油専焼でやる。したがって、石炭を使ったり、あるいは石炭の価格が高くなっても、それはだんだん相対的な地位というか、あるいはコスト全体に占める引き上げ要因というものは薄まっていく。こういう意味において、コストアップの問題は、つまり総合エネルギー政策の見地から申しますとあまりたいしたことはないのだ、こういうことを申し上げました。  ところが、今回提案をしている電力用炭三百円を一ぺんに上げますとこれは一ぺんに上がってくるわけですね。そういたしますと、何と申しましても、二千万トン引き取れば六十億というものがぶっかかっていくわけです。それがまともに電力業界に負担増としてあらわれてくるわけです。しかも、重油をもっぱらたいておる電力会社もあれば、あるいは石炭をもっぱらたいておる電力会社もあります。それによってそれぞれ異なってくると思います。だから、電力全体の問題として考えるときにはまた考えようもありますが、今度はそうでなく、個々の会社についてみますと、いろいろの違った負担増が問題としてあらわれてくることは事実だと思います。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 いまお話の中に、石炭が上がればどんどん重油専焼に変えていくのじゃないか、だから全体としてはたいした問題ではないということですが、そこに問題があると私は思うのです。重油専焼に変えていかさないために、石炭を何千万トンも電力会社に義務づけておるわけです。それが、いまあなたのおっしゃるように、石炭が高くなれば重油を使えばいいじゃないか、そういう御意思でないかもしれませんが、もしそういうことであるとするならば、石炭産業というものはますます苦しくなっていく。それは第一経済合理性に反する、そういうふうにお考えにならないですか。それでなくても電力会社はできるだけ石油をよけい使おうと思っておるのですからね。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 いまのお話は少し誤解されておると思います。と申しますのは、電力というものは、需要がふえるから発電量もふえておるのです。そのふえておる分が重油専焼を使います。ですから全体としては、重油専焼火力の発電量というものはますますふえるわけです。そこは安いわけです。そこへ高いものが一部分あるわけです、石炭火力が。先にこっちがふえるのですから、全体として見れば、この高いほうが薄まってくるわけですね。だから安いということを言っておるのです。ふえる分まで石炭をふやせというふうには申しておりません。引き取り量というものはきまっております。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 電力がふえる分は、重油と石炭と並行してふやしていったらいいじゃないですか。それでなければ、石炭はいつまでも現在の位置にとどまっていなければならない。石炭の発展はないのです。石炭事業というものの発展はないことになります。電力需要がどんどんふえていけば、重油もふやさなければならない。重油を五〇%ふやせば石炭も五〇%ふやすというふうに電力業界を指導していくのが、私は石炭事業の発展じゃないかと思う。いまあなたのおっしゃるように、今後電力需要がだんだんふえていく分だけ重油専焼に持っていけばいいのだということになれば、石炭はいつまでも現在のまま五千万トンか五千二百万トンか、とにかくそれだけで定着されてしまうので、石炭事業の発展はないというふうに考えるのですが、どうでしょうか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 両方ともふやしていけばいいのですが・・。それでわれわれのほうも、だんだん電力用の石炭の消費もふえるように見ております。前の調査団の報告にも、三千万トンまでふえるということになっております。なかんずく、最近は電発が石炭火力発電を引き受けて、それで発電をする、石炭を使っていく。何といいましても、五千五百万トン程度の規模を用意して考えておりますから、そう電力にばかり使ってもらっても、ほかのほうが足りないということも起こってくるわけです。まあ一般工業用の石炭の消費というものは、いまボイラー規制法がありましてある程度のチェックをしておりますが、これがはずれるということになりますと、だんだん減っていく。ボイラー規制法のもとにおいてさえ、一般工業用の石炭に対する需要というものは減ってきておるわけです。その減っておる分は電力のほうで引き取ってもらっておりますけれども、何しろ電力の発電量の増加は年々非常に大きいものがある。ですから、それだけの炭ではむろん間に合わぬですから、もっとより多い部分が重油専焼で発電を行なうようになるわけです。ですから、全体として薄まっていくということになるわけです。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 有沢さん、あなた方五千五百万トンしかできないと思っておられるのですか。私は、日本の政府のやり方いかんによって六千万トンも七千万トンも出ると思うのです。たとえばあなたがおっしゃったイギリスが、一億八千万トンを二億トンにして、二千万トンふやしておる。ドイツもふやしておる。そういう点からいきましたら、五千五百万トンというものが金科玉条で、これ以上伸びないのだという観点に立って石炭政策を論ぜられることは、はなはだ迷惑だと思うのです。さらにふやせばいいじゃありませんか。ですから、電力事業にエネルギー資源が必要になってくる。重油も使うべし、石炭も使うべしという政策を並行して進めるところに、私は石炭事業の発展があるのじゃないかと思うのです。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 ごもっともだと思いますが、先ほども申しましたように、日本の五千五百万トンという数字は、これはいままでの日本の歴史において一等高い、大きな数字です。ドイツの一億四千万トンというのは、かつて二億トン近く掘ったものが一億四千万トンになっております。イギリスの二億トンというのも、すでに二億四千万トン掘っていたものがそれだけ減ってきて、それを二億トンで食いとめようということになってきております。  ですから、石炭を大きくするためにはどんどん使ったほうがいいということはごもっともでございますけれども、しかし、先ほども申しましたように、高くてもいいというならば、それは六千万トンでも七千万トンでも、掘って掘れないことはないと思います。

中川俊思自由民主党

○中川(俊)委員 それでは、時間がないようですから、最後に一つだけお聞きしたいのです。  有沢さんは幸い、石炭は斜陽産業ではない、総合エネルギー政策に対しては政府は怠慢である。こういう御意見のようでございますから、まことに私も牧服するのですが、今回の答申で利子補給という問題が出ております。こういうふうになってまいりますと、やはり石炭の国家管理というとちょっと言い過ぎかもしれませんが、何らかの形で政府が関与せざるを得ない状態に追い込まれると思うのです。この点については、調査団としてはどういうお考えなんですか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 利子補給の場合におきましても、これは先ほども申し上げましたように、三分の補給をするグループと、三分をこえてさらに大幅な利子補給をするグループと、この二つに分かれます。それをかりにB、Cとしますと、Bのグループの場合におきましても、ただ補給をするわけではなくて、ちゃんと生産計画とか合理化計画とか、あるいは収支改善計画とかというものを出して、それをこの場合は石炭鉱業審議会の資金部会で十分検討して、その上で適当であると考えた場合にこれを出すということになっております。なかんずくCグループの場合には、三分をこえて補給するという場合におきましては、もう非常に厳重な国家の監督、規制というものが加わって初めてそういうことが実行されるわけです。ですから、石炭業は私企業ではありますけれども、そういう面から見ると、国家の制約とか国家管理という面が非常に大きく出てきておることは確かでございます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 多賀谷真稔吾。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 二度にわたりまして非常に困難な問題の調査に当たられました有沢団長はじめ各位に、敬意と感謝を申し上げる次第です。  一応今度の答申を読んでみますると、各般にわたって実態の把握については十分なされておる、こういうように感ずるわけであります。  しかし、この答申を読んで率直に国民はどう受け取るだろうか。また、私たちが読んだ感じでは、一息はつけるだろうけれども、はたして問題解決になっておるだろうか、というのが私が読みました印象でございます。ことに労働者は、有沢第二次調査団の答申をかなり期待をして見守っておるわけです。これは、自分の一生の運命、すなわち身の振り方をこの答申いかんによっては考え直さなければならぬという気持ちを持っている労働者がかなりいるだろうと思います。そういう意味において、はたしてこの答申が労働者の要望にこたえるだろうかどうかという点については、かなり疑問なきを得ないように考えるわけであります。あるいは産炭地域鉱害の被害者の問題点についても、かなり広範に触れてはおられます。その要望の趣旨に沿っておりますけれども、はたして実効ある処置がとられるだろうかという不安は、これは今後の政府の予算並びに立法の問題とともに、やはりあるだろうと思います。かような点にのっとりまして、以下質問をしていきたいと思います。  第一に、先ほど根本問題として中川委員から指摘があり、また調査団長からむしろ逆の意味において提起があったわけですが、エネルギーの総合的な中における石炭の位置づけというのは、これは有沢先生は、むしろ国がきめるべきであって、国民的決定がないのだと言われるけれども、私たちは、むしろ石炭を中心として調査をなさっておられます有沢調査団のほうから問題の提起を願いたかった。これは第一次答申のときでもわれわれそういう話をしたわけですけれども、もう少し学者先生、その道の権威者が高い角度から、ひとつわれわれの方向をぜひ提起していただきたかった。むしろ電力が幾ら引き取るのだとか、鉄鋼は幾ら引き取るのだという、失礼ですけれども、いわば商取引の範囲まで介入されないで、高い見地からの提案がほしかったということをこの前に申し上げたわけですけれども、残念ながら今度の場合も、そういった点についてはわれわれの期待に必ずしも沿うていないという気持ちを持ちます。ことに行政官庁の介入という問題がありますけれども、いわば調査団の委員の方々と行政官庁との合作であるという感じがする。ですから、高い角度からの答申が行なわれないで——まあ答申の場合に政府が全然無視するということはありません。ないでしょうけれども、その意味においては抜本的な対策になり得ない可能性がある、こういううらみを前回と同様に感ずるわけです。  そこで、質問の第一点は、他の国において行なわれておるのに、なぜ日本においては行なわれないか、それは他のエネルギーとの調整の問題です。これは、イギリスやフランスのように、電力も石炭も国有並びに公社制度のもとにおいては簡単でしょう。しかし、西ドイツのような私企業においても現実に行なっておる。そうして、御指摘のように重油に対して消費税をとっておる。日本においても、御存じのように、銅においては行なわれておるわけです。銅の輸入、地金並びに輸入鉱石と国内鉱石との調整は行なわれておるわけです。銅において行なわれる問題が、なぜこれだけ大きな社会問題になっておる石炭において行なわれないのか。この点、どうして、これだけ深刻に叫ばれておりながら、問題点をあとに先生方はお残しになっておるのか。問題は確かに指摘をされております。しかし、これは今後の検討を要する問題である、こうおっしゃっておる。しかし、時期をはずすと、これは私は非常に深刻な、取り返しのつかない状態になると思うのです。ですから、第三次、第四次の調査団ということをいまの時点においてわれわれは期待をすることができません。しかし、五千五百万トン、また先生方がおっしゃっております五千二百万トンも、調査団の答申の段階において、少なくとも私の見積もりでは百四十万トン程度の炭鉱がつぶれそうになっておる。その見通しが強くなってきておる。こういう段階でありますから、この五千二百万トンの確保も私は非常にむずかしいと思う。そこで西欧でとられておる方式がどうして行なわれないのか、その提案がなぜあとに延ばされたのか、これをお聞かせ願いたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 西欧でとられておる総合エネルギー政策の見地からの措置がどうしてとられなかったのかということでございます。  これは一つは、われわれ調査団が、その報告の中にわりあいに簡単に書いてありますけれども、非常に大きな論議をした一つの問題点でございます。しかし、重油消費税をかけるということになりますと、かなり大幅の重油消費税をかけなければいかぬ。それの当該産業とか需要部門に及ぼす影響というものは、非常に大きなものがある。また、総合エネルギー政策の見地から見ましても、それがエネルギー全般のコストのアップになる影響もかなり大きいものがある。  それよりも、他の方法で石炭産業の確立ができるならば、その道を選ぶのがこの際においては合理的でないか。むろん石炭産業が、総合エネルギー政策におきまして五千五百万トンなら五千五百万トンという線を確立していくということが国民的に決定されておりますならば、その五千五百万トンを維持していくために必要な経費というものは、国民的な負担であってしかるべきだ、税金を払ってでもこれを維持していくべきだ、負担していくべきだということになるわけです。その総合エネルギー政策の基本的な方針が国民的にきまっていない。それがきまってさえいれば、話は簡単だと先ほども私は申しました。それがきまっていないがために、私らの調査団の中でもそれが大きな議論になったわけです。  いわんや、これが一ぺん重油消費税七百円とかあるいは千円とかかけるということになりますれば、これは大きな世論を巻き起こすでありましょう。巻き起こしてでも、そこできめるべきだということも一つの考え方でありましょう。しかし、それがためには非常に時間がかかるかもしれぬ。その間に石炭は一体どうなるんだということも心配しなければなりません。  そこで、先ほど申しましたように、問題をこの段階において処理していく合理的な方法として炭価の引き上げと利子補給の問題、そういう方法をこの際としてはとるべきだということでございます。したがって、今回の調査団の答申をもってこれで最終的な解決の案である、こういうふうに考えることはむろんできません。長期ビジョンの最後のところに書いておきましたように、その問題はまず十分基本方針を考えていただいて、その上でその線に沿った問題を、それこそ国民的な基盤で検討、決定をしてもらいたい、こういうふうに申し上げた次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 高橋参考人は二時に退席されるそうでございますので、ちょっと問題をはしょりまして、高橋参考人にお尋ねいたしたいと思います。先生が担当されておるやに聞いております産炭地振興の問題で二、三お聞かせを願いたいと思います。  実は産炭地における文教政策の問題であります。この文教対策については、いわば前書きのところにはかなり問題点を把握されておるようですが、政策として出てきたものは「良き社会環境の醸成に努める必要がある。」という提案と、さらに「産炭地域の実情を勘案し、いわゆるカウンセラーなどの増員を図り、これを重点校に配置する等極力非行少年対策上効果があがるよう配置する。」さらに就学援助、給食設備、教材その他の問題が提起されております。  そこで、「カウンセラーなど」という「など」は一体どういう意味であるか。私はこれは単にカウンセラーの増員程度では解決できない問題ではないかと思うわけです。  各団員の皆さんが御承知のとおり、炭鉱労働者並びに離職者のスクラップ化だけでなくて、子供の世界にまでそのスクラップ化は及んでおる。最近における集団的な非行化の状態、さらに暗い炭鉱の家庭から逃避をしたいという子供の状態、すなわち新制中学を出て、就職をしても、その就職先を転々として、親のほうに通知をしない。それは重苦しい家庭から早く解放されたいという気持ち、それからさらに最近における学校の状態は、比較的学力のいい子供を持つ家庭はどんどん離村をする、そうしていわば比較的学力の低い家庭が炭鉱に残るという、非常に失礼な話ですけれども、現状はそういう状態。そうして特殊学級並びに養護学校の生徒のうちで、たとえば五十三名のうち五十一名は生活保護である。こういうことを考えると、現在の生活保護児童が非常に多いという状態の中では、おのずからその学校の教育の実情というものがわかるだろうと思う。  そこで、これらの問題を解決するためには、どうしてもカウンセラー程度の問題では解決できないのじゃないか、こういうように考えるわけですが、この「など」にはどういう意味が含まれておるのか。実はわれわれ立法府では、この前、産炭地振興のときに、鉱工業の次に農業がある、「など」ということばで実は農業が入っておるということを言ったこともあるのですけれども、かなりこれには含みがあるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。   〔委員長退席、中川(俊)委員長代理着席〕

高橋正雄石炭鉱業調査団特別調査員

○高橋参考人 それでは、「カウンセラーなど」というところについて、御説明申し上げます。  私だけが産炭地振興問題を取り上げたのでなく、したがって、文教問題についても、ほかの調査団の方もいろいろ御意見をお述べになったわけでありますが、私が調査団の席で申し上げまして、大体皆さんも御賛成されたんだと思う点をこれから申し上げます。  私は九州に住んでおりますので、三十四年ごろに皆さんと一緒に黒い羽根運動というのを起こしまして、石山灰産業、したがって産炭地が重大な問題になりそうだということについて、口幅ったいことでありますけれども、のろしをあげて、皆さんと一緒に解決に努力しようとしたことがあるわけであります。それから、若い研究者と一緒に、文部省から二カ年にわたって科学研究費をいただきまして、昨年と今年は厚生省の委託調査で、いま御質問のような問題について調査をしているわけであります。まだ完了しているわけではありませんけれども、「カウンセラーなど」という関係で申し上げますと、学校の先生というのは、ちゃんとまとまっている都会における学校の先生とは、質的といっていいほど違う仕事が非常に多いわけであります。そこでどうしても、ほかの方面でもいろいろなことをしなければいけないと思いますけれども、学校の先生を非常に増員しなければいけない。  その学校の先生というのは、単に教室の中で教えるだけではなくて、たとえばこういうこともあるわけであります。ただいまお話がありましたように、五十三人の生徒のうちで、五十一人の生活保護あるいは学校用品の保護を受けているような子供があるわけであります。そうしますと、たとえば学用品の中の鉛筆入れ、いまはペン入れというのですか、ペン入れを五十一人分先生が買ってこなければいかぬわけであります。ところが、その際五十一個のペン入れを大量仕入れしまして、同じ色、同じ形にしたのではその生徒が受け取らないわけであります。なぜならば、そんなものを持っていればすぐに、あの人は生活保護を受けているんだということがわかるわけであります。それで先生方は、狭い町をかけずり回って、あるいは自費で博多などまで来まして、五十一全部別なものは買いませんけれども、そういうふうな努力までしているわけであります。それから、学校を休む子供が非常に多いので、うちに行ってみましても、親もいない、子供もいない。夜まで待っていないとその子供が帰ってこないというわけであります。それから、学用のことだけではなくて、親たちの生活保護に必要な書類や何かまで、先生方が行ってめんどうを見ないとどうにもならないわけであります。  そういう意味で、産炭地における、ことに疲弊した産炭地における先生方の仕事というものは、親のかわりもやり、先生の仕事もやり、あるいは社会福祉関係の人のお手伝いもしなければいかぬ。さらに、不良といいますか、非行少年ということもあり、あるいは学校半ばにして関西なり何なりへ出ていった人を探しにいくということもありまして、たいへんな仕事があるわけであります。  そこで、私といたしましては、どうしても学校の先生というのを非常に多くふやしていただきたい。そうしなければだめなんじゃないかということを申し上げました。私が調査団の席で申しました考え方と申しますのは、カウンセラーその他の必要な教職員を増員し、必要と認められる学校については必ず配置するようにすべきではないか。それから、実質的には特殊学級といっていいような学校なり学級が多いわけでありますから、そういう学校、学級については養護の教諭、さらにはそういう関係の事務職員も配置するように考えるべきではないか、そういう意見を述べました。それから、教育委員会のほうにも若干のカウンセラーみたいな人がおることはおりますけれども、とても実情に即してはおりませんので、教育委員会のほうにも教育扶助事務を扱う、あるいは就学扶助、援助事務を扱うような人を置かなければいけないのじゃないか。  そういうことを含めまして、先ほど団長からお話がありましたように、あまりこまかい技術的、具体的なことまでは調査団としては言わないでいいじゃないかということでありますので、「カウンセラーなど」という表現になったのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そういたしますと、その他必要な教職員を増員し、そうしてその必要な学校に配置する、こういう意味に理解したらよろしいですか。

高橋正雄石炭鉱業調査団特別調査員

○高橋参考人 ただいまの御質問のように考えてよろしいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 関連で。時間もないようでありますから、あるいは高橋先生が産炭地振興関係を全部担当されたかどうかわかりませんけれども、調査団の答申の中に書いてある点について、まとめてひとつ御質問したいと思います。  今度の答申では、地方財政の問題なりあるいは教育の現状、こういう問題をかなり指摘されておるわけであります。この答申の四七ページから四八ページにわたりまして、「道路、工業用水等の公共事業のうち」云々と書いてありまして、「当該事業に要する経費については、国の負担率、補助率の引上げを行なう。」こういう点が書かれてございます。この点についてもう少し、どの程度に具体的に御検討いただいたか、お漏らしいただけるならばお聞きしたい。  その次の問題点で、五一ページに、「地方財政対策」というのがございます。その上から三行目に「今後とも、交付税の配分に当たってさらに一層手厚い措置を講ずるとともに、地方債発行の許可についても特別に配慮する。」こういう点が出ております。この程度のことで今日の産炭地の実情というのがはたしていいものかどうなのかという疑問がございます。こういう点について、もっとひとつ具体的にお聞かせいただければ幸いだと思っております。  それから、就学奨励関係で、「とくに」と、こういうことになっておりまして、学校給食の問題が取り上げられております。その前に書かれてある問題もいずれも重要な問題でありますけれども、学校給食等、たとえば中学校あたりでは今日二五、六%しか給食室を持っておらない、こういう現況でありまして、これが集団的なカキどろぼう、ミカンどろぼう、不良化の非常な温床になっておるわけであまりして、特段の配慮を払う、こういうことでありますけれども、この辺について「とくに」とお断わりしてありますので、この点お尋ねしたい。  最後にもう一点。最後のところに書いてあります「行政体制の整備」の末尾に、「その総合的な実施が可能となるよう行政体制の整備を図るべきである」と抽象的に書かれてあるわけでありますが、具体的にはどういうことを意味しておるのか。  以上お尋ねしたい。

高橋正雄石炭鉱業調査団特別調査員

○高橋参考人 いろいろ御質問がありました。それについてみんなお答えすべきでありますけれども、時間の都合というよりも、産炭地振興についてもっともっと権威のある調査団員がいらっしゃいますので、いま団長その他の方とも御相談いたしまして、その他の点は石原団員がおっしゃるそうであります。  学校との関係で、学校の先年でありますので学校のことだけやることになってあれですけれども、給食のことを「とくに」というふうに申しましたのは、ここに詳しいわれわれの調査も持っているのでありますが、何がかわいそうだ、さんたんだと申しまして、子供たちの食べものが——親たちもひどいものを食っておりますが、せめて学校へ来ておるときくらいは、ほかの子供と同じものを食べさせるということが何よりも大判なことではないか。学校の先生の増員ももちろん大事でございますけれども、ともかく将来の日本をしょって立つべき少年、生徒について少なくとも給食くらいはしてあげるべきだ。給食の設備があり、その自治体が給食をすることになりますと、もしその家庭が十分に資力がないということが証明されれば全額的に給食が得られるわけですから、そういうことをぜひやっていただきたい。そういう意味で「とくに」ということになったのであります。  はなはだ失礼でありますけれども、私は時間がありませんので、ほかの点はほかの方が・・。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 便宜私からお答えを申します。  最初に御指摘のございました補助の引き上げの率の問題。後ほどお尋ねがありました点とも関連をいたすわけでございまするが、現在産炭地の公共団体、市町村、府県など御承知のような状態でありまして、これに対してどういう措置をとるかというのは、私ども非常に内部で重ねて相談をいたしたことであります。ただ、たとえば鉱産税が減少いたしておる、あるいは生産保護世帯が多い、あるいは失業対策の金が要る、こういうような、歳入の減少であるとか、あるいは経常的な歳出の増加ということにつきましては、ここ数年、年を重ねまして自治省のほうで特別交付税で相当きめのこまかい配慮をしていただいているようであります。現に生活保護費などにつきましても、ほとんどかかりました費用を、補助と補助で足りません分というものを相当こまかく見まして、特別交付税の配分の積算をいたしておるようであります。ただ、御承知のように、特別交付税というものは幾つかの項目に、この項目で幾らという配分をいたしませんで、当該団体に対しまして一括して幾らという形になりまするために、この分に幾ら、この分に幾らということにつきましての表向き明らかになっている数字はございませんけれども、これは関係の市町村長さんたちのお話を伺いましても、そこら辺のところは逐年だんだんきめがこまかくなり、だんだんかゆいところに手が届くような配分をしてもらっているという実情であるようであります。しかしながら、特別交付税というものはその性質上、たとえば災害が非常に多いというようなときになりますると、あるいはそれ以外の特別交付税配分の項目が相当多いということになりますると、毎年毎年特別交付税は御承知のように金額がふえてまいりまするが、相当重点的に炭鉱に配分をしていただくということになりませんと、今後におきまする地方の財政が困るかどうか、そこら辺のことがございまするので、特にこの配分についてということを申しておるわけであります。  しかしながら、これではいわば後向きと申しまするか、新しい施設をする、たとえば産炭地振興のために道路をつくる、あるいは工業用水をつくるということになりますると、これは特別交付税の性格上、及ばない部分があるわけであります。これらの点につきましても、特別交付税はある程度までの配慮をしてもらっているようでありまするが、当然事柄の性質上限界がございまするから、その分につきましては補助率を上げてもらう必要があるのではないか。ただ、これは何から何まで一切、たとえば府県道を上げる、あるいは市町村道を上げるというわけにまいりませんので、産炭地の振興上ここからここまでの道路が必要であるという場合に、その道路を指定してもらいまして、その場合に補助率の引き上げを行なう、こういうようなことを考えてまいりたい。御承知のように、佐賀県、長崎県というようなところにつきましては、公共事業のかさ上げの制度がございます。したがって、県が施行いたしまする公共事業につきましては、離島振興とほとんど近いところまで上がる部分がございます。しかしながら、これは必ずしも佐賀県、長崎県だけの問題でございません。また市町村の問題もございます。そういう意味で、各個の、たとえば工業用水にいたしましても、これが津炭地振興のかなめであるという部分があるわけでありまして、そういうようなものにつきましては、その事業を指定いたしまして補助率の引き上げをやっていただきたいということを申しておるわけであります。  それから最後の、行政体制の整備の問題であります。これにつきましては、今回の調査団の調査の場合においてもそうでございまするし、これは有沢先生以下私ども実は産炭地域振興審議会の委員というものをやっておるわけでありまして、産炭地域振興審議会の席上でも感ずるわけでありまするが、御承知のように、数個の県にわたっておりまして、行政的に、国の行政から申しましても、たとえば通産局である、あるいは地方農政局である、あるいは地方建設局である、こういうふうに、たとえば鉱害の一点につきましても、そういった各省の権限にわたります。また県といたしましても幾つかの県にわたり、また市町村はもちろん相当あるわけでありますから、どうしても対策が、二人三脚がうまくまいってない面が多いわけてあります。これは全体の機構そのものをどうするかということになりますと、これまた全体の行政機構の問題になるわけでありますが、私ども当面考えましたことは、もう少し国の各局なり、あるいは各県の間、そういうところで、もっともっと意思の疎通をはかる仕組みを考えたらどうかという意味で申したのでありまして、そういうことがうまくまいりますれば、たとえば鉱害の問題にいたしましても、いま事業団がございますが、事業団との関係などにおきましても相当改善ができる点がありはせぬかというような感じを持ちますので、最後にその点を入れたわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 有沢団長のお話ですと、国の基本的な政策が確立していないので、基本的な政策が確立しておればその線に沿うて作業ができる、こういうことで、さらに答申の総論の終わりに、長期ビジョンというものについて提案をしているのだ、こういうお話です。この点はいわばもう少し声を大きくしてこの答申に盛っていただきたかったと希望するわけです。  それから、いわば微温的で、あるワクがはめられておるという中で作業をされたので、非常に困難性があったと思いますけれども、各国、たとえばイギリスでも、国有論は別にしても、現実に重油の値段は一万円をこしているわけです。西ドイツでもやはり八千円程度はしている。日本は六千円から六千五百円。ですから、重油が世界一安いという市場になっている。石炭の値段もいま必ずしも高くない、西欧に比べてむしろ低いという状態である。それから、能率のほうもかつてのような状態ではなくて、いま相当の能率をあげている。西欧に比べて低くないという状態。それでなぜ苦しんでいるかという問題になるわけです。それは結局、エネルギー調整というものができていないところに問題があるのではないか、これが一点。  もう一点は、イギリスあるいはフランスは別としても、西ドイツでも、その企業形態を見ると、資本主義なら資本主義らしく非常に強靱な状態になっている。すなわち、石炭と鉄鋼は一体になっている。鉄鋼会社が石炭を経営しているといっても過言ではない。日本の場合は、いわば需要業界と石炭業界というものが常に相対立をしているというところに、基本的問題があるのではないかと思う。  私はいま銅のお話をいたしましたけれども、銅は、たとえば住友金属鉱山で掘ったのは、住友金属鉱山で製錬をして住友電工に送る。古河においても同じ、あるいは日本鉱業においても同じような状態になっている。ですから、いわば需要業界と供給側がおじさんとおいというような関係、どちらがおいになっているかわかりませんけれども、そういう関係に依然としてあるわけです。  ところが石炭の場合は、全然別個の資本系統になっている。ここに、同じ資本主義といいましても、資本主義らしい強靱さがない。ただ金融機関とくっついているというだけです。  日本資本主義の発展の歴史を見ると、九州の鉄道はほとんど三菱がやっておったし、海運も三菱がやっておった。北海道は北海道炭礦鉄道会社、汽船株式会社といったように、鉄道もやり、そして汽船もやり、さらに輪西の製鉄所もやっておった。いわば最初のスタートは資本主義の強靱性のテンポをもってやったわけでしょうけれども、途中において国有鉄道になり、あるいは日本製鉄株式会社になり、あるいは電力は御存じのように電発になった、こういう経過もあるわけです。  ですから、日本の炭界というものは、資本主義でいっても一番弱いような経営形態になっているし、それかといって、それを国有とか国家管理ということについては、むしろ自民党のほうがイデオロギー的にそれに抵抗をしておるという、こういう状態になっておるわけですね。まあ気持ちとして抵抗しておる。ですから、私はこの形態についてもやはり考えていかなければならない状態ではないかと思う。資本主義でいくなら、一般炭の会社は電力会社と一緒になる、あるいは原料炭の会社は鉄鋼と一緒になれば、これは強靱です。いい悪いは別として強靱です。とにかく需要業界と相対立して抗争して、あるときは値段を高く売って、あるいは品位の悪い石炭をとらしたり、あるときは今度は逆に、価格を抑えられてダンピングをしておる。これをもうずっと繰り返してきておるのが歴史ですね。ですから、そういった点についても十分考慮する必要があるのではないか。やはり将来の問題としてこれへ書かれるならば、そういう提案も書かれてしかるべきではなかったかと思う。  いま西ドイツにおいては、御存じのように二十五マルクか消費税をかけておりますが、それでも最近は重油に対する消費規制の問題が起こっておる。政府は石油会社の大手を呼んでその協力方を願っておる。それができなければ今度は輸入規制をやるんだ、こういっておる。しかも、依然として消費税は続いておる。こういう状態ですから、なぜ日本だけができないのか。これはどこかで声をあげなくてはならぬわけですがね。どうして、もう少し声を大きくあげてやれなかったのか。もう一年もすると、私はかなりつぶれていくんじゃないかと思うのですよ。大手の会社の社長の談話として、本日の新聞に出ておりますが、十七社のうち十一社は救われないだろう、こう言っておる。そういう談話が出ておる。十七社のうも十一社は救われないだろう、こういうのです。ですから、どうも値段だけを上げても、制度的に解決をしてやらなければだめな状態にきておると思うのですがね。どうでしょうか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 いまお話のありましたほかの国はともかく、西ドイツはまさにおっしゃるとおりになっておりまして、われわれから見るとたいへんうらやましい企業形態が資本主義の基礎の上に成立しておる、こういうことができると思います。そして、いまお話のありましたように、歴史的な発展というものは、その国によってそれぞれ違ってきている。  日本の場合は、この歴史的な発展で今日の段階にきているということは、もうこれは事実なんですから、これを変更することは、急にいま何ともしようがないのですが、これを将来に向かってどういうふうに考えていくか。なるほど、鉄鋼のほうが原料炭山とくっつき、電力が一般用炭の山とくっつくとして、一体になってやっていくことができますならば、それはまあ石炭のほうとしてはたいへん好都合な企業形態になると私は思います。しかし、これだって、いまはもう鉄のほうも磁力のほうも一応私企業なんです。私企業のほうがそれを、一緒になってくれなければならない、そうでなければその基礎をもう一ぺん考え直さなければならないということになるだろうと思います。  なぜそういうふうな提案をしないか、おまえ、よくわかっていてなぜしないか、こういう御追及だと思いますが、先ほども申しましたように、われわれの調査団としましては、石炭鉱業審議会から調査の委託を受けて、そのワク内でこの作業をやっておるわけです。ですから、もしそういうワクをはみ出た、もっと基本的な、もっと高次の見地からエネルギー全体の問題として考えろということになりますと、それはまあ別の調査会か、あるいは、まあいろんな意見は各方面から出すことはできましょうけれども、先ほども申し上げましたように、最終的には私はやはり国民的な決定、そういうものがあれば、そのもとにおいていろんな案を検討することはわりあいにやさしくなってくると思います。根本の問題をいきなりこの調査団にかけろとおっしゃられても、これは少し御無理のように私どもは考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次に、私は、一番答申の中の柱であります労務対策についてお聞かせ願いたいと思います。  日本の場合は、御承知のように終身雇用制度のもとにあるわけで、そこで将来の不安定な炭鉱には、幾ら当面賃金を上げても、若い者、技能を持った者は来ないと思うんです。一体この点をどういうように解決をされるか。自分の一生を保障してくれる山がありますか、こう言われた場合に、われわれだって、この山はだいじょうふだ、君の一生はだいじょうぶだという、他の企業ほどの保証はできないんですね。   〔中川(俊)委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、この問題に一体どうこたえてやりたのか、これをひとつお聞かせ願いたい。  時間がありませんから、続いてお尋ねいたしますが、労務問題に限って御答弁願いたいと思います。  その次の点は、先ほど、賃金の問題について触れられなかった非常な苦労の点をお聞かせ願って、大体わかったわけです。しかし、少なくとも重筋労働者にふさわしい賃金というものは、この答申の中に盛り込まれてしかるべきではなかったかと思うんです。あるべき姿というものがやはり書かれる必要があったのではないか、こういうように思います。  それから、私は、離山はムードだけではないと思うんですね。現実の利害関係からいいまして、難山したほうがいわば得になるという、こういう現実があらわれておる。それはすなわち大正炭鉱においてもすでにあらわれておるわけです。先にやめた者のほうが退職金を、全部はもらえませんでしたけれども、六側でももらった。しかし、あと、山と一緒にやめる者は退職金のほとんどをもらえないという現状。だから、とにかく早くやめておったほうがより有利であるという、現実的な利益関係に沿うてやめる労働者が多いわけですよ。ことに、山の一部を分離して閉山をする、あるいは他の山を閉山をした場合に、残った山の労働者は、そのやめた人々の退職金まで、さらにその金利まで自分たちが負担をするのかという、そのことに対する不安があるわけです。ですから、閉山をする側の労働者だけがやめるのじゃなくて、生き残るはずの山のほうの労働者もやめていくというのが現状ですね。それはすなわち、退職金の確保ができない。現状の退職金の確保をどうしてしてやるか、これについてどういうように答申では考えられたか、この点をお聞かせ順いたいと思います。  さらに根本問題として、一体物価上昇というものについて、どういう基礎の上に立ってこれらの三百円ないし二百円というものが出たのか、これをどういうようにお考えになったのか、これをお聞かせ願いたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 簡単にお答えいたしますが、老後の問題、若い人が入ってきての後々の老後の問題につきましては、先ほど申しましたように、やっぱりこれは年金制度というものが確立しなければならないと思います。厚生年金はむろんありますけれども、それがやがて改正はされるでありましょうけれども、その金額だけでは老後がうまくいくというふうにも考えられませんので、私どもは、労働者として老後の生活を安んじて送れるような年金の問題を考えてもらいたいということを申し上げてあります。ただ、その年金の問題は、日本の場合におきましては、年金と退職金というものが結びついて考えられておりますので、退職金とあわせて検討を至急にしてもらいたい、こういうふうに答申では申し上げたわけであります。  それで、ついでですけれども、退職金につきましても早く確保したい、私も実は各方面から手紙やはがきが参りまして、退職金がもらえなかったという事実をしばしば訴えられました。この前の調査団のときにも、退職金の問題があったわけでありますから、中小企業退職金制度ですか、それのほうに中小企業は入ってやってもらいたいというふうに述べたのですけれども、あれに入ることをちゅうちょしているという中小もありますれば、入りたくても中小の制限で入れないものもあるというふうな実情を聞きましたので、年金との関係はあるにいたしましても、中小、大手を問わず、一定の額の退職金はもう初めから退職金金庫なら退職金金庫に積み立てておく、そして積み立てている分から、退職者が出た場合には、退職金をそれだけのものは必ず支払いをする、ただ、大手と中小ではかなり退職金に違いがありますから、その積み立ての制度のほうは中小のほうを基準にして、大手も中小も積み立てをして、大手のほうは労使の間に協約がありますならば、その上乗せをする、個々の大手の会社と組合なら組合との間で決定したとおり行なっていく、そういうふうな退職金制度といいますか、退職基金制度といったものが考えられます。しかしいま申しましたように、一方では年金の制度を提案をしておりますので、その年金制度のできぐあい、それとこの退職金制度との関係が出てくるわけでございますから、あわせて至急に検討をしてもらいたい、こういうふうに申し上げてあります。  それから労働条件と賃金につきまして、重筋労働にふさわしい賃金を支払うように考えるべきじゃないかというお説でございます。私もそうやりたいという考えはむろん持っておりますが、先ほどもるるお話を申し上げましたように、第一に日本の場合においては、鉄鋼なら鉄綱会社というものの賃金制度と炭鉱の賃金制度というのは違いがあります。そして出稼日数にも違いがあります。だから比較ということもなかなかむずかしい。かりに鉄綱が一〇%上がって、炭鉱が七%しか上がらないというふうな表面的な率ばかりでものをきめるというわけにもいかない点があります。しかし何らかの合理的な方法がそこの間に見出されたといたしましても、そしてその問題につきましても相当検討はしましたけれども、かりにそれが見出されたといたしましても、先ほども申し上げましたように、それに相応する資金源が企業の側になければならないわけです。今日企業というものは、言ってみますれば、一つの素通り勘定になっておりまして、一方から取り上げたものを、資材その他はむろん払わなければなりませんけれども、賃金として払わなければならぬ。炭鉱会社自身で何か自分の保有している金を引き出すという余地がないので、一方から入ったものが他方に流れ出ていく、こういうふうな事態になっておりますので、一方を大きくすれば他方も大きくしなければならぬ、こういう関係になっておるわけです。ですから、一方の賃金上昇率を大きく見込むといたしますと、他方にそれだけの用意をしなければなりません。それがいま炭価引き上げということになりますと、もっと大幅の値上げを考えざるを得ない、こういう問題に当面するわけであります。私どもは会社経理の計算の上におきましては、七%のアップということを一つの基準にしておりますが、先ほどもるる申し上げましたように、これである一つの賃金率の指示をしているわけではありません。もし政府なら政府でもっと大幅な賃金アップをこの際すべきだというお考えでございますならば、その資金源を他方に用意されて、それをもって、企業を通じてでもいいでしょうが、企業を通じてお払いになるということならば、むろんけっこうな話だと思います。ただ、われわれに資金源もあわせて調達を考えろ、こういうことになりますと、われわれの考え方は、先ほど申し上げましたように、一方では需要というものも十分考慮しなければならないということに相なります。七%という問題は、これはお話のありました物価上昇というふうなものが大幅に起こってくるということになりますと、実質的に申しますと、実質賃金の上昇というものはそう大きなものにならなくなります。一般の物価上昇の中におきまして、ほかの一般の産業の賃金の上昇がどういうふうな動きを示すか、これは今日私どもはとうてい予測ができない。物価上昇率も、きょうの新聞でしたか、政府は四・五%、こういうふうに来年度の物価上昇をお考えになっているようでございますけれども、私はこれは非常に高いのではないかと思っております。しかし大体その程度に上がるということになりますと、一般の消費者物価の上昇に対しまして一般の賃金の上昇がどういうふうな数字になってくるか、そこらあたりから、むしろ炭鉱における賃金というものもおのずからきまってくるものであろうと考えられます。そういう面が、私どもにはなかなかこうだときめて考えるわけにまいりませんので、この答申の総論の最後のところにも、一般経済界並びに炭鉱の事情もきわめて流動的な状態であるというふうになっております。ですから、それに応じて石炭鉱業審議会のほうはちゃんと調査をし、あるいは献言をするというふうなことが絶えず必要であろう、そうでなければ、石炭鉱業の確立は、一応四十二年というようにいろいろな措置から考えておりますけれども、そういう大きな経済上の変化がここに起こってくるということになりますと、これはそっちの方面からわれわれのねらいが狂ってくるということになろうと思います。それがための準備を、アフターケアといいましょうか、テイクケアを絶えずしていかなければならない、こういうことになろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 まず物価の問題ですが、卸売り物価、要するに資材費の高騰ですが、この点はどういうようにお考えであるか。すなわち、二百円ないし三百円をお上げになる場合の物価上昇というものは、どういうように考えておられるか。  それから賃金のバックグラウンドになります消費者物価というものはどういうふうにお考えになっているのか、それもお聞かせ願いたいと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 御売り物価は一%くらいの上昇を見ております。  それから消費者物価のほうは見ておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は退職金の問題に二つあるわけです。一つの問題は、私が申しましたように、いまから炭鉱に入る若い人々の問題、これは通算制という観念がなければ意味がない。この問題。それからいま現実につとめている者が退職金がもらえない、あるいは賃金の未払いのままほうり出されるという問題。あとの問題は制度というよりも、むしろ資金の問題です。残念ながら整備資金も、実は一山がやめるという場合には適用がないわけです。一社一山でやめていくという労働者には整備資金の融資の道もない。ですから、これは要するに交付金における、買い上げ代金における操作の問題になる。幸いにして、未払い代金あるいは退職金も払えないというような山は無資力の状態にある、ですから無資力の鉱害復旧という問題で一つの道があるわけです。ですからこれらを総合的に考えると、私はかなり退職金の確保もできるのではないかという気持ちがするわけです。それらをどういうように見るか。北海道のほうは比較的鉱害がございませんから、退職者もかなりの額の退職金をもらうことができる。ところが九州のほうは鉱害の量が多いものですから、わずかしか退職金がもらえないという問題が起こっておる。この二つの問題についてお聞かせを願いたいと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 最初の通算の問題は、むろんそうだと私は思います。  第二の、現在就職しておりまして不幸にも一山としての山がつぶれたとき、この場合には買い上げ代金で払うことになっておりますけれども、しかしいまおっしゃる鉱害の問題があって、鉱害の賠償金としてとられる、とどうも金が少なくて退職金が支払えない、こういう問題があろうと思います。それにつきましては、無資力の鉱害のものをどういうように復旧するか、したがってまた、それの拠出がどういうようになるかという問題と関係するかと思いますが、他方におきましては、いまお話がありましたように、何かやり方によって退職金をできるだけ多く払う——一方には北海道のようにほとんど問題のない山もあるし、他方には九州のように非常にひどい山がありますから、九州のほうにのみ特例として適用ができるような措置を考えたい、それは鉱業審議会あたりで今後は考えていきたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 さらに、答申のある問題点についてお聞かせ願いたいと思います。  流通機構の面で共販機関の設置を考えられておるようですけれども、ことに共販機関を中心として、配船調整の強化、交錯輸送の改善、銘柄の整理、こういう、いままで言われておりましたけれども解決できないものの提起がなされておるわけです。具体的に、交錯輸送の改善までやり得るような共販組織というものは、一体どういうように考えられておるかお聞かせ願いたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 共販制度、共販会社みたいなものをつくるということは、個々で交錯輸送であるとかそういった問題のチェックを一々することができません。だから一方の会社がある需要者と契約して、たとえば北海道の炭を九州に運んで売る、その逆の場合もあるでしょうが、そういう場合には共販会社のほうでチェックをして、その炭はむしろ九州の側で供給をしてもらうようにする。そのかわりのものを今度は九州のほうが提供しなければいかぬ、あるいは共販会社で提供するということがありましょうが、とにかく共販会社のほうで調整をしていくということでございます。共販会社を設けなければならぬという趣旨は、現在のところは石炭価格について基準炭価というものがありまして、これは千二百円引いたところでそれぞれきまってきて、九州は幾ら、北海道は幾らというふうになっておりまけれども、場合によりましてはこの基準価格さえ守られていない。また御承知のように、中小の山の売る炭は、大手の炭よりはさらに格差がついて安くなっておる。こういうような事情もありますので、今度せっかく三百円上げてもらうわけでございますから、一般にこの共販で決済を済ませることになれば、今後はそういう弱いものと強いものとの取引で非常に値引きになっておるようなことは起こらないようになると思います。ですから中小炭鉱なんかにとりましては、この制度はたいへんいい影響を持つようになるだろうと私は考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは電力用炭なら電力用炭だけやるわけですか。ちょっと前で電力用炭代金精算株式会社の改組ということをおっしゃっておるわけですが、これは当面電力用炭なら電力用炭だけの共販組織とお考えですか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 そうです。といいますのは、電力用炭というものは、いままで比軽的値引きが多かったということも言えましょうし、まとまった量が大きく動くわけでありますから、したがって、中小にいたしましても大手にいたしましても、電力向けの需要がますますふえてきておるわけでありますから、それをやる。それが個々のケースになりますと、なかなかこれを共販的に操作することはむずかしいかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そうすると共販組織が一応炭鉱から買って、そうして電力会社に納入するという形になるのですか。実際には個々の炭鉱会社と電力会社が契約をして、その事務的なものあるいは特にはみ出たようなものをチェックする、こういう形になるのですか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 チェックもいたしますし、代金の回収その他も全部一応共販会社がやるわけであります。契約は個々的にやってもらいます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 時間もありませんから、まとめてずっと質問をいたしますから、御答弁をお願い申し上げたいと思います。  まず、合理化事業団の保有鉱区並びにこの新制度によって放棄をされた鉱区で隣接鉱区からの合理的採掘のできるもの、これを活用するということが書いてあります。あるいはすでに放棄並びに保有しておるところでも、隣接鉱区からの採掘だけでなくて、かつて使った坑口、放棄した坑口からも逆に隣接鉱区のほうに入っていけば可能だという問題もあるでしょう。これは必ずしも私も適当な例は浮かばないのですが、これは総合しての判断であるかどうかという点が一点。  さらに、事業内訓練あるいは共同職業訓練という問題が提起されておりますが、実はいまの若い生徒は、訓練所ではどうもいかぬと言っておるんですよ。やはり資格のもらえる学校、一生よその場所に行っても通用する学校の資格というものが非常に問題になっておると思います。これはひとつ文部省と話をされて、事業内訓練をどの程度やるか、あるいは共同的な学校施設にどの程度行けば資格をやるとか、これは高等学校の三年を四年制にしてもいいわけでありますから、そういうような点の配慮がなかったのかどうかという点をお聞かせ願いたい。  さらに緊急就労対策について漸減をする、こういうように書いてありますが、これは産炭地振興との関連においてぜひ考えていただきたいのは、あの地域においてはむしろ、緊就のような仕事がどうしても必要ではないかと思います。それは炭鉱離職者だけでなくて、他の中小企業からも、あるいは農村からも、炭鉱の閉山に伴って、いわばいままでの仕事だけでは食っていけないという状態が出てきておる。ですから、新しい産業の誘致がどんどん画期的に行なわれれば別として、実際問題としては、こういった制度で救う以外には方法がない個所があるんじゃないかと思うのです。ですから、これらの点についてどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたい。  さらに、組夫について、ただ保安教育のことが書いてありますけれども、実は組夫は、現在の統計によりますと、現実に常用坑内夫の二倍の災得率を持っておる。一人当たりの災害が二倍になっておるのですよ。普通の鉱員の二倍です。本来、災害の起こるような個所に組夫が入るというのがおかしいのですよ。おかしいけれども、現実に組夫のほうが二倍の災害率を持っている。これは鉱山保安局から先日聞いたわけですが、私はこの状態は改革をしなければならない問題ではないか、いま労働力は足らないのですから、もう組夫という形でなくて、会社の責任において本鉱員にしたらどうか、そうして総合的な訓練をしたらどうか、こういうように考えるわけです。むしろ現在の状態でありますと、労働組合のほうも、自分たちの労働力を補充するために組夫が必要だ、こういう形になっておる。しかし一歩進んで、それを組合員に入れて、本格的な従業員にして訓練をする必要があるんじゃないか。要するに、坑外の雑役をやっているわけじゃない。災害率が二倍であるということは、当然採炭に従事しておる、こう考えざるを得ないわけです。これも組夫の制度がなくなると炭鉱がつぶれるなんということは、おかしな話ですよ。むしろ本採用にしてやって、どうして経営が成り立たないか。これはやはり漸進的な、前向きの方向で考えていただきたい。  それから次に、同僚議員からもいろいろ質問があると思いますから、問題点だけちょっと聞いておきますが、鉱害対策における大幅な補助率の引き上げとは、どういう程度のものを考えられておるか。  さらに、産炭地における中核となるような企業ということがある。中核になるような企業とは、どういったものを考えられておるか。さらに、その中核になるべき企業が導入をされるような誘因をつくると言われるけれども、ただ単にかけ声だけでは現実に非常に困難であるので、どういった方法を考えられておるか。  さらに、産炭地事業団の土地の譲渡価格について、引き下げの措置を講ずると言われておるけれども、この問題について、各国でやっておる、すなわち、英国あるいはベルギー等でやっておる画期的な制度の必要はないのか。ただ、いまのように、事業団の負担においてとかいうことでなくて、制度としてその価格をどういうふうにするか、半分なら半分見る、こういうような制度の必要があるんではないか、こういうように考えるわけです。それらの点について、ひとつ御答弁をお願い申し上げたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 たくさん御質問がございましたが、職業訓練につきましては、なるほど学校の資格があるとたいへん都合がいいということで、かなり文部省と折衝をいたしましたが、これは何か法律がありまして、その法律にきまっているような形を整えれば学校の資格はいつでも提供できる、こういうわけでございます。ただしかし、それをやるがために、一般教養のための教員とか、みな配置をしなければいかぬわけです。それが今度は、会社のほうからいうと、かなり大きな負担になるわけです。就学時間の問題なんかは、年限を延長することによって解決がつくようでございますけれども、とにかくカリキュラムの編成といいましょうか、その点で非常に行き詰まることになるわけです。それがために、答申にあげてありますような形のことが精一ぱいだということになりました。教育の根本の問題について私どもは何といってもしろうとでございますから、いや、これでもいいのだというふうにはなかなか押し切れない点がありました。しかしお説のとおりに現地の声は、何かそういう資格が与えられるようなものにしてほしいという希望が非常に強かったというので、取り上げてかなり検討しましたけれども、御満足のいくような結果が出なかったわけでございます。  それから緊急就労の問題でございますが、漸減するというのは従来ずっととってきた方針でございます。しかし、これはむろん実情に応じて漸減するということでございますから、その地域に必要性がある限りは維持されていくということに相なろうと思います。  それから組夫の問題でございますが、確かに組夫の災害率が高いということは私どもも知らされております。これは本鉱員にしたらいいじゃないかというお話で、私どももそういうことを申しましたが、どうもこれは、直接本人から聞いたわけではありませんけれども、会社側の説明では、本人が希望しない、本人としましては転々と移動する自由を持っておりたい、こういうことのようでございまして、中には組夫であって本鉱員になっているところもありますけれども、しかしまた、なかなかそうもいかない面もあるという実情だそうでございます。御趣旨の点はまさに私も同感でございますが、実情がそういうふうなことでございます。最も悪質の者は、いわゆる肩入れ金をもらってある職場、切り羽とかあるいは坑道で働いて、幾らかおったと思ったら、またほかの山のほうに肩入れ金をもらって出かけていく。そういう全く憂うべき現象が組夫の中に起こっているわけです。それと申しますのも、これは何といいましても、労働力の不足の中から発生していると思います。  それから次の、復旧事業に対し大幅な補助率の引き上げを行なうこと。これは私どもは非常に大幅のことを考えておりまして、対象によってもそれぞれいろいろ違うというお話でございますから、一律に申し上げることはできにくいかと思いますけれども、特鉱並みというふうな点を考えていたわけです。  それから、中核とする企業の誘引といたしましては、ないわけでは決してありませんで、いままででもいろいろな減税、固定資産税の減免とかいろいろあったわけです。それからまた産炭地振興事業団の融資、これもいままでもありましたけれども、ここで中核となる企業に進出してもらいたいという意味は、大きな会社の子会社とか、大きな会社が直接間接に背後にあって、そうしてやっていける、そういうふうな企業、背後にある企業が産炭地に進出すること、いままではそれが事業団の融資ワクとかあるいは融資比率とか、そういういろいろな制度で制約を受けていたわけです。その制約をもう今度は非常に大幅にゆるめてもらいまして、たとえばかりに三井鉱山なら三井鉱山が何か自分の子会社を田川なら田川の付近につくるというようなときにも、その事業団の金が使える、こういうことができるような措置を開いたわけです。  それから土地価格の問題でございますが、これも確かに私どもの間で、いまお説のような画期的な、ヨーロッパでやっているような考え方を取り入れたらどうかということを申しましたが、そうなりますと今度は、土地造成の費用というか、土地造成そのものがかなりイージーゴーイングに行なわれるおそれもある。ですから、やはり原価主義というそのプリンシプルは動かすべきでなかろう。しかし今度は、そのプリンシプルにこだわって高い土地になった。たとえば農地の買い入れ価格なんというものが非常に大きなウエートを占めるのですが、その土地の農地の買い入れ価格が非常に高かったために、造成された地価もまた高いというふうな問題もしばしば起こってくるわけです。あるいは護岸工事をしなければ土地造成ができないというときには、護岸工事の費用まで土地価格の中に入っている。そういうふうなことまで厳密にコスト計算をするのはどうかというわけで、その点も相当弾力的に土地価格の決定ができるように、今度の答申でできておるように思います。  それからあとの鉱区の問題につきましては、中野さんから・・。

中野実石炭鉱業調査団特別調査員

○中野参考人 ただいま鉱区の問題につきまして御質問がございましたので、簡単にお答え申し上げます。  石炭鉱業審議会の中に鉱区調整部会というのがございますのは、皆さま御承知のとおりでございます。あの鉱区調整部会では、現に生きた鉱区同士の調整をやることになっております。私もあれに参画しておりますが、問題はかなりあるようでございますが、非常にむずかしい点があるわけでございます。それはそれといたしまして、実はせんだって、調査団に加わりまして、技術班といたしまして九州の中興鉱業の福島鉱でございますか、あそこをちょっと見学いたしました。ところが、あそこは、御承知のように、立て坑で入りまして、かなり近代的な仕組みを持っておりますし、また生産能率からいたしましても、わずかに六十センチ程度の炭層であるにもかかわらず、原炭能率がほぼ百トンというようなことでございました。ところが、現地で聞いてみますと、隣に鉱区があったのだけれども、すでにもう買い上げられてなくなってしまったのだが、炭層はある、この生産構造でいけば向こうに行かれるような見込みがあるというような話も聞きましたし、私どもまたその点についていろいろディスカッションをしたわけでございます。生きた鉱区の調整というのは非常にむずかしい面があるわけですけれども、死んだ鉱区と申しますか、鉱区としては死んでおりましても、資源としてはあるわけでございますので、そういう点はむしろ調整の意味を拡大していただくように、あるいは法律的の措置をとる必要があればとるとかしまして、ああいう残った資源が有効に合理的に掘れるという立場を今後とらなければならないのではないか。行政当局に聞きますと、まだほかにもそういう例があるように聞いておりますので、この際そういう解釈をしていただけるようにひとつお願いしたい、そういう気持ちでございます。  それからもう一つ、多賀谷先生からお話のありました、いわば極端の例ですが、同じ坑口からほかのほうを掘れば、これもまた一つ合理的であろうというような御質問でございましたが、これは私の想像が間違っているかもしれませんが、あるいは三菱鉱業の端島の例ではないかというふうな想像もしております。御指摘のとおり、普通の場合ではどうかわかりませんが、海底炭鉱のような場合ですと、かりに端島の三ツ瀬のほうの鉱区を開発するといたしましても、いまの法制的な立場からいいますと、新鉱開発をするためには、理屈からいえば端島の立て坑の隣にもう一つ立て坑を掘りまして、そうして三ツ瀬のほうに向かいますと、これはおそらく新鉱開発のルールに入るのじゃないかと思いますけれども、いままでの立て坑を使って新区域を掘りましても、これはおそらく法制的には新鉱にはならないのじゃないかというような、間違っているかもしれませんが、そんな気がいたします。しかしこれを技術的に見ますと、あの隣に立て坑を掘って三ツ瀬を開発するというのは、法制的には正しいかもしれませんが、技術的にも経済的にもナンセンスであります。私ども技術の立場といたしましては、たとえもとの立て坑であり斜坑であっても、新しい区域を掘る場合にはそれは合理的である、そんなふうな判断をしておる次第でございます。以上でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 新鉱開発の場合に、現実に北九州では大きな問題になっておる。百四十億も投資をして、その後の地上物件との関係で掘ることが困難である。そこで、これは相当長期的に計画をしないと、せっかく莫大な投資をしたけれども、その炭鉱ができたためにその付近に町が形成されて、そのためにまた掘れなくなったということでは、これは私は今後の問題として非常に困ると思うのです。ですから、これはもう初めから、町の形成されるようなところには許可をしない、あるいは一応政府として未開発炭田の開発として指定した地域には、今後そういう物件の建つことを制限をするとか、これはやはり総合的な国土利用の面から考えていかなければできないのじゃないかと思うのです。私は個々のいま起こっておる問題をとやかく言うわけではありませんけれども、今後の長い将来の展望として、総合的な資源開発の面、あるいは土地利用の面、こういう面から国がある大きな指針を与えてやらないと、私企業でやる限りにおいてはこれは非常に困難ではないかと思うのです。現在はわりあいに発達していない地域だと考えても、その炭鉱ができたことによって関連産業がその辺に誘致をされて、そうして工場ができる、そのために逆に掘れなくなるということでは困る。ですから、こういった問題についてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。  それとともに、閉山によって他の炭鉱に影響する、たとえば水の問題、こういう問題の処置についてはどういうようにお考えであるか。  それから、最終的に質問いたしたいと思いますが、これは決定版ではない、こうおっしゃる。この前の第一次答申のときは、これは私企業としての最後の機会である、こうおっしゃったわけです。今度の場合は、一応やってみるけれどもかなり困難な面も出てくる、それは石炭鉱業審議会で手直ししながらやっていく、しかし情勢が非常に変わってくれば、また、いまから第三次ということもなんですけれども、さらに検討をしなければならぬことが想定されるかどうか、これを最後にお聞かせ願いたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 最後の点最も重要だと思いますので、私からお答えいたします。あとの問題はそれぞれ担当の方からお願いします。  今後の答申が最終決定的な案ではないということを申し上げましたのは、これさえやれば、あとはもう何もしなくても四十二年ごろには石炭は自立する——自立という意味は、先ほど来申しましたように、八〇%程度の企業が自立できるという体制だ、こう言っているわけではなくて、その間にもなおかなり流動的な面があるので、そのためには十分テークケアを常にしていかなければならないということであります。  それで、最後には第三次の調査団ができるか、こういうお話でございますが、私はそうは考えておりません。むしろもしそういう段階にきましたときには、先ほど来私どもが申し上げておる総合エネルギー政策の国民的決定を一日も早くしていただいて、そしてそれこそ今度は最終的な案を立て得るような、あるいは最終的に問題を処理できるような体制を確立しなければならぬ、こういうふうに考えております。ですから、その点が長期ビジョンの問題として答申の最後に書いてある。書き方が少し弱いとかおっしゃられますが、私どもの考え方の基礎にはそういう考え方があるわけでございます。御了承願います。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 ただいまのお話にございました、閉山によりまして隣接の炭鉱が水をかぶるという問題、私ども現地に参りましたときにも、そういうケースにつきまして話を聞いたわけでございます。内部で議論もいたしてみたわけでございますが、ただ、技術的にどこら辺にどういう限界を置きましてその問題を取り扱うかということになりますと、おそらく仰せの点は、何らか当面の補助制度でも考えたらどうかというお話だと思うのでありますが、私どもが与えられた時間内の検討におきましては、新しい補助制度を打ち出すというまでのことにもならなかったものでありますから、今回の答申におきましてはその問題に触れなかったわけであります。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 もう一つの御質問の、つまりいままで炭鉱があって、そこで町が栄えて、今度は掘っていくと鉱害が起こって掘れなくなる、こういうふうな問題は困るから、資源の見地と鉱業立地の見地というもので、前もって計画的な指針といったようなものを与えるべきだというお説ですが、これは私も全くそのとおりだと思います。いままでは日本の資源の開発といいましょうか、資源産業の行き方としましては、あまりにも無計画で事が進んできたように思われます。それは政府自身のほうも指針を与えることをしなかったためだと考えられます。  私、その点を非常に痛感いたしますのは、ルール地方には三本の川が流れております。そしてここで約一億トンばかりの炭が出ておりますが、この三本の川の中で、ほんとうに濁っておる川はただ一つの川なんです。あとの二つの川は非常にきれいな水が流れております。そうして汚水というか、選炭水は全部この一つの川に流れ込むようにレイアウトができております。だれがそういうことをしたかと聞きましても、あの地方の人は、よくわかりません、前からそういうことになっておるんだ、こういうことなんです。そして、よごれておる川がラインに注ぐまでの間には、何段階かの清浄装置を経まして、ライン川に流れ込むときにはきれいな水になっております。そういう配慮、計画というものが一つの大きな石炭地区、ルールにはできておるわけです。  日本の遠賀川なら遠賀川一つをとってみても、あの地方は相当の炭が出ましたけれども、今日ああいうていたらくになっているということは、要するに炭鉱全体のレイアウトが十分でない、計画的でなかったということだと思います。その上に、地上物権の問題も同様だと思います。  ですから、そういう見地から申しますと、確かに政府の指針と、私企業がその指針に従って、資源産業あるいは地上の工場というものの配置を考えて、お互いに協力して開発していくべきだ、こういうふうに考えます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今度の答申は、新聞などにはビジョン不在の答申といわれているわけです。さいぜんじょうだんごとに話したのですが、私は実は総論から読まずに、各論から逆に読んでみたのです。そうしましたら、第一次の答申よりかはるかにきめがこまかくなっているわけです。しかも、幾ぶん有沢先生自身がお認めのように、抽象的なところ、あるいは検討いたしますというようなところが相当あるわけです。  しかし、問題は、気息えんえんたる患者であるこの石炭鉱業に対して、いまは長期のビジョンを出したところでいかんともすることができないわけです。まずこの気息えんえんたる病状を、とにかく何とか呼吸が楽になる状態に持っていくことが、当面の有沢名医としての当然の対策だと私は思うのです。そういう意味で、私はむしろ逆説的な言い方をすれば、まず当面気息えんえんたるこの患者を、これだけの処方で一体救えるのか救えないのか。何とか呼吸困難はこれでとれると、やぶ医者の滝井義高は認定したわけです。  そこで、この処方をどう実行するかということが問題なのです。第一次有沢調査団の出した答申というものが、全部的を射ることができなかったわけですね。労務その他、安定すると思っておったものが、安定をしなかった。逆になってしまったわけです。そこで今度は、少なくとも当面の呼吸困難な状態を解決をしてもらうという処方を出したのですから、この処方を実施をする方針まで有沢さんたちには逃げてもらったら困ると思うのです。  そこで、私がまず第一にお願いをいたしたいのは、われわれはあすからさっそく政府に向かってこの答申の実行を迫っていくわけですが、その場合に有沢さんたちが、いやいや、おれはもう答申を出したのだから、それから先は政府と国会の責任であるということで逃げられてしまったのでは、また第一次答申と同じ轍を踏むことになる。そういうことが第一次に行なわれたので、率直に言って、私はきょう名前が出ておるいわゆる調査団のレギュラー・メンバーについては不信感を表明をした。石炭局長が御承知ですが、私一番強硬な不信感を表明したのです。しかし、いまの日本のこの石炭の危機を救うには、有沢さんや青山さんや稲葉さんや円城寺さんや万仲さん等がおらなければだめだということをいわれたわけです。それならば、医者の選択権がないならば、この人以外にないというなら、もうたよるよりしかたがない。私も実はあきらめたわけです。そこで、あきらめてこういう処方が出たのですから、今度はこれを実行するまでは、われわれとともに強力にひとつ政府に実施を迫るという、その気魄というか、勇気というか、それをお持ちだと思うのですが、まず調査団を代表して覚悟を述べておいていただきたいと思うのです。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 答申にも書いてありますように、アフターケアが必要である、そのアフターケアのためには石炭鉱業審議会が当たる。私どもも石炭鉱業審議会の委員の一員でありますので、今後とも従来以上の誠意をもってこのアフターケアに当たりたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ひとつぜひ、そのアフターケアとやらに当たってもらいたいと思うのです。実はそのアフターケアということばについても、私が国会で第二次調査団というものをつくることが必要だと言ったら、福田さんがアフターケアということばを使ったので、私は実は反発をしたのです。アフターケアというのは、われわれの医学用語である。それからそれが経済学その他に使い始められた。アフターケアというのは、そもそもわれわれの医学用語として使い始められたのは、結核の患者が、微熱もとれて、空洞もふさがって、たんも出なくなって、ようやくこれから散歩ができる、この散歩をどういうぐあいにやらしたら、ほんとうに熱も出なくて、固定したものがずっと持続できるか、そしてどういう段階が来たら職場復帰ができるか、こういうことをきちっと医者が見てやっていくのがアフターケアだ。だから、有沢調査団がやったことは、まだちっとも空洞もふさがっていなければ、微熱もとれていないんだ、むしろ空洞は拡大をして、そうして熱はぱっぱっとたくさん出ておる。うんと汚物その他も吐いておるんだ。だから、これはアフターケアではないんだ、あんたそんなことを言うから間違いだと言ったら、渋々とアフターケアを修正するようなことをやったわけですよ。有沢先生も、アフターケアと思ってもらっては困るんですよ。ちっとも空洞は固まってもいないし、熱も出ないように安定しているわけではない。  だから、このアフターケアということばというものは、そもそもそういう結核の後保護的な問題から出ておることばであって、いまやむしろ病状が悪化をして苦悶をしておる者のアフターケアではないんで、この点はひとつ十分考えておいてもらいたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 その点訂正しておきますけれども、医学上のアフターケアということばはまさにそうですか、経済で使っているアフターケアといいますのは、機械が故障したときにその故障を直すのがアフターケアでございますから、ひとつ・・。そういう意味でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 とにかくこの機械は単なる故障じゃなくて、もはや油も切れている。故障というのは、油ぐらいはあるんだけれども、どっか一つ歯車が折れたとかなんとかというぐらいです。これはもう全く故障だらけで、動かなくなっている、こういうことなんですから、こういう共通の認識で質問をしないと話にならぬです。  そこで、五千五百万トンの確保については当面はとりあえず困難だ、現状はやはり五千二百万トンだということを七ページにうたってくれておるわけです。現実に五千二百万トンというのは、一体第一次調査団の答申以来機械化が進んだり、あるいは保安等が安全になって、そしてそういうことが出ておるかというと、そうではないんですね。これはここ数年来の炭鉱における機械化の進捗の状態その他を見ても、停滞していますよ。進んでいない。  それじゃ一体出炭は、何で五千万トン前後の石炭が出ておったかというと、みんな労働力で出ておるわけですよ。これは統計的に調べたらわかるわけなんです。労働力です。だからこそ、七ページにも「生産体制の整備に当たっては、とくに、労務状況の変化に対応すべき機械化の促進をはじめ、生産性の向上を可能ならしめる技術の開発に努めることが必要である。」こう書いてあるわけですね。機械化の促進をするためには金が要る。技術の開発をやるためにも、相当の長期の研究その他の金が要るわけです。ところが、いまの気息えんえんたる石炭鉱業は、そんなものに金を出す余裕がない。一番安いのは何か。人間を使って掘ることです。だからこそ、現在昭和三十九年で、十六万人の炭鉱労働者の中に二万二千人の組夫がおるということです。この組夫というものは、規制をやらなければどんどんふえていくのですよ。三池のような大炭鉱でも減る情勢はない。ふえる情勢しかない。そうしてこれで、一人当たりの出炭が三十九トンとか四十トンということになって能率が上がっているというカムフラージュが行なわれているだけです。実質的には炭鉱というものは、むしろ昔の大正の末期と同じような、もろ手の労働によってやられる形のほうが普通になりつつあるということです。  そこでこういう中で労務の確保をやらなければならぬ、機械化をやらなければならぬ、技術開発をやらなければならぬ、保安を確保しなければならぬといっても、一体これはできるのかどうかということですよ。この点に対する第一次答申以来の炭鉱の機械化の停滞の状態、そして組夫がだんだんふえるというこの客観的情勢というものは、よほどのメスを入れないとできないんじゃないかという感じがするんです。文章の上で見ると、いろいろこれに対する対象は書いてあるけれども、現実はいい方向になっていないんです。これは一体どこから糸口をつくって、組夫を使わずに、機械化を進行せしめて、そしてやる体制をつくろうとするのかということです。

中野実石炭鉱業調査団特別調査員

○中野参考人 ただいまの御質問の中の、技術開発その他の面についてちょっとお答え申し上げます。  いまお話を伺いまして、労働力に依存して相当石炭が出ているということも、確かに事実でございます。しかし、機械化もかなり進んでいるわけでございますが、御承知のように機械化というものは、機械を入れれば必ず石炭が自動的に出てくるというものではなくて、そこは若干の条件があるわけでございます。私ども今度見てまいりまして痛感いたしましたことの一つは、現象的に申し上げますと、掘進が非常におくれているということでございます。私ども技術の関係の者の考えでは、正常な掘進量と機械化とがあるバランスをとらないと、正常には出炭ができない。  そんな観点から見ますと、三十七年、三十八年の両年度、あるいはことしぐらいにかけまして、全国的に見ますと、掘進量というものがそれほど多くないわけでございます。そこで、そういうような環境の中で機械化を強行することになりますと、むしろ機械化の非常な弱点が出てまいりまして、機械は入れたけれども動かない、したがって、ピック採炭をやるとかいうことで、人力にたよらざるを得ないというような結果になるわけであります。そこで、行政当局でもその辺はよくわかっておりまして、三十九年で掘進の機械化率が約五〇%程度に上昇いたしましたので、今後これを急速に機械化するようにいたしますと、払いの機械化と掘進の機械化とがあるバランスをとる状態になると思います。そういたしますと、初めて機械化の効果があらわれてくるわけでございまして、ただいまはその最悪の事態で、切り羽機械化の推進と坑道掘進のおくれとが逆な関係になっておりまして、私どもの立場から見ますと、いろいろな事情はあるかもしれませんが、少なくとも最悪の事態になっているというふうに考えられるわけであります。   〔委員長退席、中村(重)委員長代理着席〕  そこで、今度その辺を推進してまいりますと、機械化の効果が出てくる。しかし、各社の提出しました資料を検討してみますと、高度機械化と申しましても、たとえば一つの例として、自走ワクの使用というものは四十二、三年度におきましても数炭鉱程度にとどまっております。そういたしますと、西欧の高度機械化に比べましてかなりまだ劣るわけであります。もしこの辺の施策が順調にまいりまして、自走ワクの開発あるいは普及というものが速急に促進されることになりますと、私どもの見方では、当然掘進の正常なバランスというものは考えなければなりませんけれども、いわゆる先ほど御指摘のような労力にたよらない出炭量というものがかなり出てくるのではないかというような技術的な見方を持っております。その辺につきまして推進力をむしろ国会にお願いをしたいわけでありまして、現状の長期計画はさらに技術の開発その他によって変わるであろうというふうに考えます。  それから、先ほど御指摘ありました、金がないから人を使うという問題でありますが、事実、御承知の石炭技術研究所等におきましても、納付金がなかなか納まらない。したがって、国の補助金ももうこれ以上は要らぬというような関係のことは御存じかと思うわけでありますが、従来の補助金制度でなくて、何かこうもっと大幅な国の援助と申しますか——私どもは法制的なことはわかりませんので、おそらく私のこの発言というものはその立場から見たら無謀な発言かと思われるわけでありますが、永久にというわけじゃありませんが、少なくとも四十三年度ぐらいまでの数年間につきましては、石炭技術研究所等につきまして業界と密着した研究ができるような、五、六億ぐらいの金はそのまま出してくれるというようなことを国会のほうで御指摘いただくことを、技術上の立場から非常に期待しているわけでございます。一言蛇足をつけ加えました。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 いま技術の観点から中野委員からお話をしていただきました。出炭の上から申しますと、確かに労力と技術あるいは機械というものになろうと思いますが、労力の面につきましても、むろん自己都合で退職する人もおりますが、他方におきましてはもっと人員を充実するという努力を尽くさなければなりません。何でもかんでも労力といいましても、今日一般に人手不足の時代になってきておりますので、炭鉱だけが十分の労力を確保できるというわけにはまいりません。その意味から申しますと、いま中野さんの御指摘になったような機械化の方向、これはイギリスなんかでも相当機械化の方向に非常に大きな努力を傾けておるわけでございますが、日本におきましてもやはりその方向をたどらなければならないと思います。そこで、お金が相当要ると考えられます。私どもの一応の計算の結果から申しますと、三十九年度から四十二年度までに、約千三百億円の設備機械化のための投資をする。これは、むろん自己資金もあります、あるいは市中からの調達もありますけれども、なお政府の開発銀行であるとか、中小企業公庫であるとか、あるいは合理化事業団というふうな方面からの金を十分配慮ができるような措置を、答申の三九ページに指摘してございます。

八木昇日本社会党

○八木(昇)委員 ちょっと関連しまして、一点だけお伺いしたいと思います。  私少しぼんやり聞いておりましたので、正確に私が把握したかどうかわからないのですが、この答申の線で今後施策が行なわれていけば、五千二百万トンという出炭はどうしても確保していかなければならないが、その五千二百万トンの出炭のうち約八割程度の企業ですね、出炭総量の八割に相当する出炭を受け持っておる企業については、昭和四十二年ごろからは黒字に転ずると思う、残りの二割相当分についてはその後もなお相当の企業努力やその他の施策というものが必要ではないかと思う、こういうような御趣旨の御説明であったのじゃないか、こう理解したのです。  そうなりますと、今後各企業は盛んに機械化や合理化その他も進めていくわけでございますから、出炭能率をあげていくということになる。そうすると、出炭量として五千二百万トンを確保し、その八割は昭和四十三年度ごろからは黒字に転ずるということになれば、現在はまだたくさん炭鉱があるわけですね。全国にどのくらいあるか私もよく知りませんが、二百鉱ぐらいはまだ生きていると思うのです。そうなりますと、出炭量の八割は昭和四十二年度ごろからは黒字に転ずる、こういう基本的な態度であるとすれば、事実問題としては、ここ二、三年のうちに、現在生きておる炭鉱二百鉱のうち、相当数は脱落してつぶれていく、これはやむを得ない、こういう考え方が基本なのであろうこう考えられるわけであります。そうなりますと、一体その予想をどういうふうに立てておられるのか。こまかくは予想を立てるわけにはいかぬでしょうけれども、しかし概略どういう予想を立てておられるかということを承りたいし、へたをしますと、そのことによってかえって不安を増大するという面が出てくる。いまや気息えんえんとしておる炭鉱の人々にとっては、経営者側にとっても、働いておる現実の労働者にとっても、こういう非常な懸念があるものですから、その点を御説明願いたいと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 私が八割見当と申しましたのは、これは大手についてでございまして、社数で申しますと三つか四つかになりますけれども、しかしその中にもなお、いろいろな関連から、たとえば兼業の関係から維持できるというような問題も出てくると思います。ですから、八割は五千二百万トン全部の問題ではなくて、大手の関係からだけ申し上げるわけです。  あと中小の問題がありますが、これはある程度われわれにおいても把握ができます。把握した限りにおきましては、その中小も、今度の二百円、三百円の炭価値上げと利子補給でやっていけると思いますが、ただ把握できない中小もあるわけでございます。そこらあたりはちょっとわれわれの見当が立たないわけです。現に本年度においても、まだ相当中小から買い上げの申請が出ております。これが今度の炭価値上げの形でどういうふうにおさまりますか、私どもの見当のつかないのはそこの分野だけでありまして、大手と、ほかの中小の大部分といってもいいかもしれませんが、中小の相当の大きな部分だけにつきましてはわれわれは把握しております。その点はやっていけるということが言えると思います。気息えんえんとしておる、それで企業の経常としては損益収支がまだ黒字になるという体制にはないけれども、しかし、もっと長期間を経なければ収支が黒字にならないというだけのことで、収支がだんだん好転をしていくように再建計画に沿ってこれを、何といいましょうか、テークケアしながら持っていっておるわけでございますから、その点の不安はまずない、こういうことだと思います。

八木昇日本社会党

○八木(昇)委員 念のためにもう一点。これはもう当然そうだとは思うのですが、いまの御説明で答申の意味するところのものはわかりました。  それで、そうなりますと、やはり今後やっていけない中小の炭鉱あたりが幾らか出てくる。そういう場合に買い上げ申請が出てくるということもあるわけで、買い上げという問題は今後も当然やはり引き続いて行なっていくということですか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 さようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 現状においては五千二百万トンというものが相当多く労働力に依存をして確保されておるという点、しかも機械化というのが必ずしも思ったほど進んでいないという点については、大あらましお認めいただきました。今後なお技術研究所や、あるいは機械化のための相当の投資というものを必要とすることもわかっていただけたわけですが、それに関連をして、労務の問題を先にちょっとやらしていただきたいのです。  さいぜん有沢先生御自身が、第一次調査団のときには五%の賃金アップの問題を、今回二%上げて七%程度、需要側の負担の問題あるいは労使の関係等から考えて七%くらいだろう、これを自分のほうで指示をするということは、これは労使関係のたてまえからしでいけない、これを上げるか下げるか、あるいはそのままでやるかということは全く離れて、われわれはこのくらいだ、こう一つの係数として扱っただけだ、ということをおっしゃったわけです。  私は、この点はもう一つ違った観点から見てみる必要があると思う。それは、現状において五千二百万トンを確保することが非常に労働力に依存をしておるとするならば、この係数として扱った七%程度で現実の十六万人程度——機械化が進めばそれはだんだんと減って、四十三年の三月三十一日には十二万人程度になっていくのでしょうが、機械化がもし進行しなければ、依然として十五、六万人の労働力を確保していなければ五千二百万トンの出炭の確保は困難なわけです。したがって、そうなりますと、一体国家公務員でも七・九%のベースアップがすでに今年九月からされるというときに、直筋労働の炭鉱が七%程度のアップで、いまの離山ムードというものをある程度阻止できると思うかどうかという点です。何としても現実に労働力に依存しておるとすれば、炭労、全鉱等の炭鉱労働者の団体というものがこの七%というものを——先生としては経済学者として係数とごらんになるけれども、現実に賃金でめしを食っている労働者としては、これは単なる係数では済まないところがあるわけです。この係数というもので一応の石炭鉱業の安定はできるという見通しだが、しかし、離山ムードをとめることができなければ安定ができないということになるわけです。ここらの関係をどう見ておるのか。私、需要者側の問題はわかりました。労使関係の問題はわかったが、しかし、現実に起こりつつあるこの離山ムード、幾ぶん停滞ぎみであるが、かえって七%という係数が出たために、むしろ多賀谷君が言うように、促進する可能性はないか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 確かにおっしゃる点の問題点がありましたので、労働者対策のための部会でも非常な議論が戦わされた点でございます。七%の問題は、これをもし賃金の労使関係できまってくる七%というふうにお考えになる場合には、ほかの産業が今後どういうふうに上がるか、特に先ほどの御質問にありました一般物価がどれくらい上がるかということと関連をしてくる問題だと思います。だけれども、われわれのほうで初めから物価が何%上がるんだ、あるいは一般産業のほうがどれくらい上がるんだということを予想するというわけにもまいりません。過去の数字でいえば、一般産業は一〇%くらい、九・何%上がっているようでございますが、しかし、これが将来とも続いていくところの数字であるかどうか、これもなかなか保証することはできません。そうだといたしますと、私は、国鉄の賃上げも大体七%だ、現実七%くらいになっておるという話も聞きましたし、そのほかのほうからも、そういう大企業の賃上げが七%くらいだというような点からいいましても、一つの妥当な線でないだろうかというふうに考えたわけです。  しかし、いま申し上げましたように、一般の経済界の動きというものがどう動くか、また消費者物価というものがどういうふうに動くかということによりましては、これはまた話が非常に変わってくる。そういう問題は、今後の経済情勢並びに炭鉱業の流動しておるというところに加えてあるわけです。ですから、その意味から申しまして、流動的な状態であるから、今後はどうしても石炭審議会あたりで、ことばは滝井さんは非常にきらわれるけれども、アフターケアを続けて、適時適切な施策を献策するというか、建言をしていかなければいくまい、こういうふうに考えておるわけです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その他の労務政策はちょっとあとでまとめてお尋ねしますが、ちょうどページの都合上、一九ページの見解です。  一九ページに、「電力および鉄鋼業界における石炭の長期引取りに伴う負担増対策として、原重油関税の特別還付制度を延長するとともに、石炭価格の引上げに伴う両業界の負担増についても、その軽減につき措置すべきである。」と書いてある。「なお、産炭地域の電力会社については適切な配慮が必要であろう。」ここに電力業界と鉄鋼業界に対する特別還付制度の延長のほかに、いま一つやはり負担軽減の措置を考えるべきだということがうたわれているわけです。  この内容というものは、一体何を意味するかということと、それから産炭地の電力会社に適切な配慮をというのは、これはどういうことなのか。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 便宜私からお答え申し上げます。  現在原油の輸入関税のうち、この二年ほど前に上げました二%の分につきましては、特別還付という制度があることは御承知のとおりでありますが、一般還付、根元のほうの六%と違いまして、これは数量にリンクいたしました還付制度になっております。したがいまして、この前段に書いてありますることは、実は二年の年限が間もなくまいるわけでありまするが、この二%はさらに延長を必要といたすのではないかという点が一点であります。  さらに、現存の特別還付制度におきまする数量のベースは、いわゆる五千五百万トンのベースになっております。これは正確に五千五百万トンではございませんけれども、それが冒頭に書きましたように、現在のところ五千二百万トン程度に相なっておるわけでございます。したがいまして、そのベースが現実に食い違っておりまする点を調整いたすことができますれば、現在の制度そのままと違った結果になるじゃないか。その具体的な内容は行政当局において検討さるべきものだと思うのでありますが、私ども着想の点はその点でございます。   〔中村(重)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、第二の産炭地云々という点につきましては、三百円の電力用炭を含みまする一般炭の値上げを申しているわけでありまするが、御承知のように、カロリー別、炭種別、いろいろな構成があるわけであります。したがいまして、電力用炭におきまして平均三百円という値上げをいたしまするときにも、その炭種の構成なり、あるいはカロリーの分け方なり、そういうようなもので、これは電力業界あるいは石炭業界と御相談になり、あるいは行政当局も当然参与せられるかと思うのでありますが、そういうような構成のしかたで、炭種別にあるいはカロリー別に開きまする際に、そういうような考慮をすることによりまして、産炭地にありまする電力会社に対しまする影響が緩和せられるようなことをお考えいただけないか、こういう一つの着想であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、もう少し具体的に言うと、後段の産炭地の電力会社につきましては、トン当たり三百円の炭価を引き上げるけれども、やはり安くやりなさいという、結論的に言うとそういう意味ですね。  それから、前段のほうの、五千五百万トンベースで特別還付の問題を考えてきたが、五千二百万トンベースになったんだから、したがってその分だけ収入が減ることになる、減る分については特別の配慮をしなさい、こういうことなんですか。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 先に申し上げました特別還付の問題でございまするが、特別の配慮と申しまするか、現在予想せられまする配炭の現状から見まして、その配炭をせられまする実際の見通し、それに即した還付の計算のしかたがあろうじゃないかということを申しておりまするのが一点であります。  第二のほうは、特に有利ということでありまするか、要するに産炭地のことを考えて、炭種別、カロリー別の開きを考えていただきたいということでございますから、これはおのずから石炭の値段をきめまするには、御承知のとおり各電力会社ごとによって違っている実情であります。これを機械的に統一したほうがよろしいということを申すわけではございません。ございませんが、その開き方をきめまするときに、いろいな理屈の立て方がございましょうから、その理屈の立て方の中でひとつ考えていただきたいというこを申し上げたのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は産炭地の電力会社、たとえば九州電力なんというのは、石炭会社をうんと買いたたいておるわけですよ。産炭地の石炭は、これは中京あるいは京浜に比べて石炭が安いのは当然です。しかし、それが普通に運賃コストだけが安いというぐらいの安さじゃなくて、むしろ過剰炭その他があったり、まあ地元の関係その他もあって、これまでもうんと買いたたかれておるという、こういう経済外的な要素があるわけです。これは麻生多賀吉さん自身が石炭山の社長であり、九州電力の会長であったという点もあって、彼自身も言っておったように、そういう関係もあるわけですから、そういうことを言っておるわけですね。打ち砕いて言えばそういう点ですね。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 御承知のように基準炭価制度というものがございますから、したがいまして、いま滝井委員が御指摘のように、一方的にたたいてまいったというふうに申すわけにまいらぬ点があると思います。基準炭価で、カロリー別に開いたものがきまっているわけであります。ただしかしながら、これはいままでのいろいろな実績がございまするし、たとえば大手、中小というような問題もございまして、一つのものさしだけでない点がございますから、その点は、今回の答申後にまた基準炭価がきめられると思うのでありますが、基基準炭価のきめ方のときに——滝井委員のおっしゃったような実情も、一つの実情でございましょう。また、それ以外にある程度までさや寄せをしてきている面もございましょう。そういう点もあわせまして、産炭地の電力会社に非常に強い影響がないように考えていただきたい、こういう趣旨を申しておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は、国鉄運賃の問題です。国鉄運賃が炭価について非常に重要な役割りを演ずることは、第一次答申以来ずいぶんいろいろ論議したところです。今年は佐藤総理のツルの一声で、なかなか運賃の引き上げは行なわれないようです。これは財政投融資その他でやることになるのでしょうが、しかしこれは四十一年度からはそうはいかぬという情勢もあると思うのです。そうしますと、ここらのものの考え方、「国鉄運賃については、その引上げは、石炭鉱業に対し重大な影響をもたらすので、石炭企業の経理に支障を及ぼさないようなんらかの措置をとるべきである」と、こうおっしゃっておるわけです。いままではこれは合理化事業団のほうで保証か何かしてやって、運賃についてはちょっと緩和してやっておったと思うのですが、そういうことをこれは続けなさいという意味なんですか、それとも何かもっと別な方法を講ずるべきだということになるのですか。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 合理化事業団の保証につきましては、私ごく最近の事情を存じておりませんが、滝井委員御指摘のように、スタートいたしまして以来そういう制度になっておりますので、現在も続いておると思います。それは当然続けていただきたいという趣旨でございますが、鉄道運賃のほうはさしあたり明年度引き上げにならないということでありますれば、われわれのほうの配慮もその点は要らないことになるのでありますが、明年以降ということに相なりますれば、何ぶんにも単価にいたしまして北海道六百円、九州の場合におきましても三百円という程度の運賃を支払っているのでありますから、現在この答申にるる申し述べておりますような石炭業界の実情からいたしまして、その点を十分に考慮していただきたいということを申しておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、そこらはまだ具体的には出ていないということになるのですね。これは国鉄の立場になって考えますと、運賃の値上げも認められなかった、そしてそれが利子の要る財政投融資になった。松浦さんなかなか大声を張り上げて田中大蔵大臣とけんかをしているらしいですが、利子補給をせよなどと言っておるようですが、その上に今度は石炭の輸送費について延納とか、大まけにまけるということになると、国鉄の立場からいうとなかなかそうはいかぬということになるので、やはりこれは何らか具体的な対策というものを出しておかないと——これが結局鉱害までひっくるめて三百円か四百円の炭価を上げたというような形にしてもらうわけですから、これは相当重要な役割りを演ずることになるわけです。これはもうちょっと何か具体的に、こういう検討をされたのはこういう構想とこういう構想だ、その中からどれを選ぶかは政府の御自由でございますぐらいのことはひとつ示唆しておいていただきたいと思うのですが、どういう点を構想として検討したのですか。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 何ぶんにも鉄道運賃の引き上げというもの自身がまだ——あれは審議会でありますか、墾談会でありますかの答申がございまして、政府側としてまだ態度を決定しておられぬ段階であります。したがいまして、私どものほうといたしましても論議はいたしましたけれども、それではどうなったらどうなるのだというようなところまで詰めて議論をする運びになっておりません。ただ、先ほども繰り返して申し上げましたとおり、相当大きな限界要素でございますし、その引き上げの及ぼす影響も大きいものでありますから、いま答申で申し上げているような趣旨で政府当局に申すということに相なったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあひとつそこらは具体的になったらもう一ぺん石原さんと有沢先生に来てもらって知恵をかしていただきましょう。  新鉱開発ですが、これは多賀谷君も尋ねておりましたけれども、大体いまのような状態で何十億という金を入れて新鉱開発をやるような会社があるのかどうかということです。たとえばいま三池の問題で——私このごろちょっと三池の炭鉱の中に入ってみましたが、御存じのとおり、三池は海底を掘っておるわけです。二十五メートルから三十メートル進むごとに、坑内の温度が一度ずつ上がるわけです。最近は、有沢先生も御存じだと思いますが、熱中症が起こり始めている。私も切り羽のところまでずっと入ってみました。そうすると、われわれのように最近ああいう中で動いたり仕事をしたことのない人間は、猛烈な発汗が起こってくるわけですね。四十度近くあると思うのです。ずっと海底に行くわけです。いま排気坑は陸地にあるわけですが、そうすると、海の中に排気坑をつくらなければ、掘進が二十五メートルか三十メートル進むごとに一度ずつ温度が上がるのを防ぐ方法はないわけです。そうすると、海の中に立て坑をつくらなければならぬ。これには何十億と金が要るわけです。結局その金がないばかりに、暑い中で仕事をしている。いまでも三池ではときどき熱中症が起こっています。御存じだと思いますよ。これは保安上からいっても大問題です。しかも、ああいう有望な炭鉱が、新鉱を開発する場合に、塔をつくってそこから立て坑を掘りたいのだけれども、その掘る金が何十億も要るから、金がないということで非常にこそくなことだけやっておる。最近は岩粉さえまけばいいと思って岩粉をまっ白にまいていますが、しかし中はまさに地獄になりつつあるという実態があるわけです。ああいうビルド鉱さえ立て坑が掘れないという段階です。二瀬なんかもやっておるわけですが、二瀬のほうは金を持っておるからいいですよ。一体、これでほんとうに有望な新鉱の開発が、いまのような大手の炭鉱の経理状態、それから炭価の状態等から見て可能性があるのかどうかということです。私は、これはもしおやりになろうとするならば、いま二瀬その他でおやりになっているところにまず重点的にやって、これを早く着炭をせしめるという方法をとる必要があるのじゃないかと思う。何かたくさん夢のようなことばかり出して新鉱開発、新鉱開発というのじゃなくて、現実に新鉱開発をやって資金その他で行き詰まっておるところに、まず重点的に金をつぎ込んで、それを早く着炭せしめて、労務の確保、いわゆるビジョンを与えるということのほうがいいのじゃないかという感じがするのです。そのものについては政府が相当長期の低利の金で見てやる、あるいは利子補給をするとかいうことをやらないと、いまのような状態では私は新鉱開発新鉱開発と書いたところで、やれる態勢ではないじゃないかという感じがするのですが、この点どうお考えになっておりますか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 新鉱開発のお考えはまさに私どもの考えておるところでございまして、新鉱開発のところにその問題を書いております。未開発炭田につきましてはこれから調査をするということになっておりますが、新鉱開発をやって十分やれるというふうなところ、これは北海道には幾つかあるし、九州にも若干あるように考えられますが、そこにつきましては、いまの資金も、事業団の資金を投入して、まずそこからやっていくという考え方、お説のとおりに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 すでにいまやって、資金的に行き詰まってどうしようかと迷っているところをやる。それから三池みたいなところは、だんだん熱中症が起こっておる。そして金がなくて困っておる。風穴をどこかあけたいというのを先に風穴をあけてやる、こういう重点的で効率的な資金の使い方をやってもらいたいと思うのです。  それから鉱区の調整の中で、さいぜん多賀谷さんも触れておられましたが、合理化事業団の持っておる鉱区、あるいは石炭鉱山整理促進交付金で抹消した鉱区、これらのものの採掘の問題ですね。これらの地区は、無資力になったりなんかして、やっとこさ鉱害の復旧をやったところです。そこにまた、下から水をくみ上げると、さいの川原の石積みでがたがたといってしまうおそれがあるわけです。そこでこういうものについては、いまの新鉱開発ではないけれども、よほど資力のある炭鉱で、そしてやはり有望だというものに限定をしておかないと——いままで私はこれを政府に何回か質問したことがあるのです。歴代の厚生大臣は、これについてはうんともすんとも答え切らなかったのです。今度初めてですよ、こういういわば画期的な政策を休眠とか抹消した鉱区に対して打ち出すのは。その点についてはよほど慎重な配慮でやっていただきたいと思うのです。  それから、労務対策で、年金です。年金は、有沢さんすでに御承知のように、今度の通常国会に厚生年金の改正が出るわけです。その中には炭鉱労働者に対してそれほど特例的なものは出ていないわけですね。もうすでにこれは案ができております。前の国会に一回出た案を、また政府は出すわけです。そうしますと、いまの離山ムードなり不安定な状態を解消するためには、直ちに通常国会に提出するであろうこの厚生年金法の一部を改正する法律案の中に、やはり盛り込む必要があると思うのです。その点はやはり有沢先生のほうから厚生省の当局に、われわれも申しますが、早急に申しておいていただく必要があるんじゃないかという感じがしますが、その点についてはどうでしょうか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 その点につきましては、鉱山労働者の年金とかいうふうなものを独立にしたがいいか、あるいはいまの厚生年金に一緒に考えたがいいかというふうな問題は、実は私どもまだ十分そこまで検討が進んでいませんが、そこに書いておきましたように、一応厚生年金の改正は一般の労働者にとりましてたいへん前向きになっておるわけでございますから、その改正は改正で行なって、その後に、そういう鉱山労働者の年金の問題をどう考えるかということにつきましては、至急に検討を開始してもらいたい、こういうふうに書いてあるわけです。ですからお説のように、今回の改正法案にこの問題をもう一ぺん組み入れるということになると、おそらくその案ができないだろうと思います。案をつくるのにも、その制度をどうするかという内容があるとともに、経過規定というか、従来の厚生年金とのつなぎをどうするかというふうな問題もあわせて考えなければなりませんので、なかなか案をつくるのには、すぐ検討を始めましても若干の日数を要しなければまとまった案が出てこない、こういうふうに考えられます。そのために一般の労働者の厚生年金の改正が一年でもおくれるということは忍びないことでありますから、厚生年金の改正後にひとつやってもらいたい。という意味は、たぶんこの通常国会ではそれが通るだろうから、そのあとですぐ開始してもらって、それでいま申し上げましたように、制度と厚生年金とのつなぎをあわせて検討してもらいたい、こういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは先生も社会保障の専門家ですから、私から御説明するまでもないのですが、今度の厚生年金法の改正というのは企業年金をつくることになるわけですね。これは日本の退職金制度に致命的な影響を与えてくるわけです。政府は二、三年前に、この厚生年金の改正を企業年金に持っていくための地ならしとして、法人税法の改正で企業年金をつくったのです。それは私、大蔵委員会で反対したけれども負けたのですが、今度は厚生年金の中に企業年金を導入してきたわけです。したがって、炭鉱の労働者は、先生がさいぜんから御指摘になるように、厚生年金がある、別に退職金もあるのだ、こうなりますと、大手の優秀なところは、厚生年金の改正とともに企業年金をつくっていく可能性があるわけです。そうして退職金をなしくずし的に、分割的に払っていくわけです。御承知のとおり、いま企業で賃金支払い総額に占める退職金の支払い額というものは、おそらく七%か八%くらいになっておる。非常に大きな額になってきた。しかもそれが一挙に二百万とか三百万とか、ばく大な金を払うのです。したがって、企業経営の上で運転資金に非常に困ることになる。そこでその三百かとか四百万の退職金を一時金に払わずに、これを十カ年の有期の分割年金にすれば非常にいいわけです。しかも、それは社内の運転資金にも使えることになる。そうすると一挙両得になるわけです。そういうねらいが、企業の資金繰りの困難から出てきているわけです。したがって私は、これをあとに延ばしていくということになると、その退職金の問題とも関連をして、なかなかこういう特別の制度はできなくなるのではないか。日本人はのど元過ぎれば熱さを忘れるで、だんだん石炭政策が軌道に乗ると、もうそんなものは要らないんじゃないかということになってしまう。やはり鉄は熱いうちに一挙にやっていく。そうすると厚生省当局も厚生年金を通さなければならぬのですから、炭鉱労働者の特別制度をやろうじゃないかということになるのです。われわれ野党は非常に疑ぐり深くなっている。あつものにこりてなますを吹く形がいつもあるのです。そこで何ぞ来年を待たんやで、できれば今年からやって、一緒にやっておくほうが実現の可能性があるし、早く安定させることができる、こういう考え方があるので、この考え方は、先生、改正後の措置のほかということでなくて、厚生年金の改正と同時に、特別の年金制度ということにやっていただきたいと思うのです。そういうように政府がすでにお城の外堀を埋めてしまっているのです。退職金というものをなしくずし的にくずして、それを分割年金にしようという意図は、法人税と今度の年金の中に出てきているわけです。この点はひとつぜひ、これは御答弁はいまいただきましたけれども、そういう客観情勢があることでひとつ御検討願いたいと思うのです。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 ちょっとよけいなことを申し上げるようですが、決して有沢先生の足を引っぱるわけではないのでありますけれども、有沢先生から申し上げ、滝井委員御理解のような年金の勧告をいたしたわけでございます。ただ、御承知のように、現存の厚生年金の中には坑内労働者は特殊な扱いをいたしておるわけでありまして、それに対します助成もあるわけであります。したがいまして事務的に考えてみますると、そういうような制度をまた継ぎ足してやるのか、あるいはドイツ流に全然別の年金制度をやるのかという問題もあるわけでありますが、いずれの場合にいたしましても、国庫の重い助成がありますだけに、現在の厚生年金の、これから国会で御審議をいただこうというものにつけ加えてお話しに相なりますと、これには立案にも、審議にも、その両者の筋をどうするかということにつきましても、相当な時間がかかると思われるものでありますから、先ほど有沢団長からお答えいただきましたようなことでありますので、非常に早急にというお話は私もたいへんにむずかしいんじゃないかということで、一言蛇足でありますが、つけ加えて申し上げるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは石原さんは主計局長をおやりになったから御存じのとおり、二、三年前に、炭鉱労働者は実は五十歳から厚生年金をもらっておったのを、五十五歳に延期し改悪したわけです。われわれはそのときにはそうはいかぬ、五十歳にすべきだと言ったのだが、政府は強硬に五十五歳にしちゃったわけです。そして、炭鉱労働者だけについては一割五分の国庫負担をやっているわけです。これも他のものと違った特例をあすこに入れておることは御存じのとおりなんです。したがって今度、たとえばこの炭鉱労働者のための一割五分を三割とか四割の国庫負担にすれば、これはできることになるわけです。それだけ坑内労働者はよけい保険料を払っておるのですよ。期間も他のものが六十歳ならばこれは五十五歳と、こういうようにずっと若くしておるわけですからね。だからその点は、やろうと思えばそんなにむずかしくない。一週間もあれば、馬力かけて法制局でやればできることになる。年金ですから、一挙にばく大な金を払うわけじゃない。やはり十五年間働く、三十年間働く、こういう坑内、坑外で十五年、二十年という期限があるわけです。だから、その期限に到達した者でないと年金がもらえないわけですからね。出したからといって、すぐ財政負担はないわけです。ただその場合に、一割五分の月掛を三割とか四割程度のものにしておかないと、そういう特別措置はできないということになるわけです。どうせ今度は政府が一万円年金をおやりになろうとしておるわけですから、この際おやりになるということが、一つの方向じゃないか。石原さんは、主計局長的な感覚じゃなくて、この際は石炭調査団の一員としてひとつ考えておいていただきたいと思うのです。これは場合によってはわれわれも考えて、政府案が出たら修正案を出してもいいと思うのです。  それから「就職仕度金制度等を活用して」とあります。今度は炭鉱離職者にこういう制度をとることになるわけですね。いままでは炭鉱離職者が炭鉱に行く場合には、労働省はそういう奨励金的な制度というものは一切いかぬ、炭鉱労働者はやめたら突き放してしまうんだという制度をとっておった。あんなところに置いておったら暴動が起こるというような考えも持っておった。そして炭住も何もみんな取っ払っちゃった。ところが今度はがらりと政策を百八十度転換してくることになる。私はそのときからこれを言っておったのです。先生たちの第一次答申のときに、私は、炭鉱労働者はこれをやるべきだ、炭鉱から炭鉱に行く場合だって必要だということを言っておったけれども、社会党の中にもそんなばかなことを言ったってと笑っておった者もいたのですが、言い当てたことになるわけです。これは「就職仕度金制度等」と書いていらっしゃいますけれども、炭鉱離職者が関西、東京等に広域職業紹介で行く場合と同じように、これは恩典を与えるということに理解をして差しつかえないですか。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 これは一般の失対事業のときに、やはりそういう制度が行なわれておりますので、そういうものをこの場合も使う、それを拡充するという意味でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、それは炭鉱離職者よりかずっと程度が悪いわけですね。普通の一般失対に入っているような人たちが、広域職業紹介を受けて行くというようなときくらいのものだ。それはなかなか不満だけれども、そういうことだと考えれば・・。  それから、さいぜん多賀谷さんもお聞きになっておりましたが、緊就ですね。この炭鉱労働者の平均年齢が、三十九か四十くらいになってきたわけですね。ことしはおそらく四十くらいになっておると思うのです。先生も御存じのとおり、あの飯塚の職業訓練所に行って聞いたときに、去年までの生徒の平均年齢は四十歳だった、ことしは一挙に六歳上がって四十六歳になった、こういうのです。四十六歳以上になりますと、広域職業紹介をやっても二割そこそこしか雇用はないですよ。そうしますと、いまの失対労務者の平均年齢、炭鉱離職者でなくて一般失対に行っている失対労務者の平均年齢は、五十三歳か五十四歳になってきた。こういう五十以上の人たらに一体どういう仕事をやらせるかということが、産炭地における離職者対策における非常に重要な問題点になっておる。政府は緊就については、もう法律はことしの十二月十七日で切れるからやめますという。われわれは延長法を出せというけれども、閣議決定したのだという。閣議決定なんというような法治国家が悪い習慣をつけちゃいかぬと思うのです。やはり法律できちっとやらなければいかぬと思うのだが、労働者が大蔵省その他から圧力をかけられて、閣議決定事項としてやっておるわけです。そして、御承知のように、失業保険が赤字になったとかなんとかいろいろ理由をつけて、失業者に対する政策というものは非常に引き締めが強くなってきておるわけです。金融は緩和しておるけれども、こういうところには引き締めが非常に強くなってきておる。そうしますと、五十以上の人は一体どこに行くのかということなんです。産炭地では行き場がないのです。特に家事従事者、一般の婦人の働き場がないのです。家事に従事しておったら、それは労働しておったものといまのあれではみなすのです。そして雇用をしてくれないのです。失対事業にも入れてくれない。こういう問題がありますし、それから緊急失対法を改正して、六十歳以上の高齢の失業者の就労対策事業というものを政府はつくったのですが、これは何もやっていない。こういう実態だものですから、五十をこえたらもはや行き場がないという状態です。これらの諸君がいまの残った、うらぶれ果てた炭住にみんな住んでおるわけです。そしてこれらの諸君の子弟が学校に行っている、こういうことでしょう。だから雇用政策がない、生活保護にならざるを得ない、そしてそのために学校にも迷惑を及ぼす、子供の不良化ができる、こういう悪循環が起きておる。ここに何か画期的なものをやってくれなければ困る。それではそういうものは誘致企業が来たときに使ってもらえるかというと、全然使ってもらえない。誘致企業が来て使ってもらえるのは何かというと、若年の、新規に中学、高等学校を出たフレッシュな労働力しか使わない。こういう形ですから、そういう五十以上の人の行き場が全然ない。そこで、こういう中で先生たちが、この緊就事業というものは漸減するのだというような御方針をとられると、労働省はえたりかしこしとばかり、これをもって七千人を六千四百人に減らしたわけです。また来年は五千人に減らしちゃうのです。だからこの点は、ちょっとヒューマニズムがなさ過ぎる。こういう点はもうちょっと、先生ほんとうにヒューマニズムがおありなんだから、少しこれは方向転換をしてもらう必要が私はあるのじゃないかというような感じがします。行けるなら行くのですけれども、行き場がないのです。その点はどうです。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 なかなか高年齢者の再就職という問題は、むずかしい問題でございます。緊就の問題は、いま申しましたように、実情に応じて漸減をしていくということになるわけでございます。一般の方針はやはり、正常な雇用の進展に伴って漸減をしていくということであります。したがって実情に応じてということでありますから、その点はわれわれもある程度配慮をそこに加えて考えておるわけでございます。ただ中高、特に高年齢層の職場ということになりますと、実は私どもも名案がないのですよ。だけれども、そう言っているわけにもいきませんから、そのほかの守衛だとかいろいろな軽作業をやるような職場を一般につくっていこう、またそういうところにはなるべく高年令層の人をとってもらおう、こういうふうに考えておるわけですけれども、ただ産炭地域そのものにおいての高年齢層の職場というものになると、なかなか名案がないですね。だからもしどうしてもそれが問題ならば、特別のことを考えなければならぬと思ったのですけれども、その案がなかなかできるところまでいかないわけですよ。名案がついに生まれなかったということです。その気持ちは大いにあったのですけれども。つまりその気持ちと申しますのは、もうそこは問題が済んで置き去りになっておる人々、炭鉱の合理化といいましょうか、合理化のために置き去りになっておる人々については、何かもっとあたたかい目でこれを援護していくような法的措置がほしい、こういうことでいろいろ検討してみましたけれども、高年齢層の再就職の問題になりますとなかなか名案が出てこなかったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いま、そのことがやはり筑豊における社会不安というものを非常に醸成をし、政治の不信感をつくっておるわけです。その点については、名案がなければやはり何らかその対策を講ずるべく政府に忠告をしておいていただきたいと思います。  鉱害をちょっと一括をして。四二ページです。四二ページのまず第一に、復旧事業に対する大幅な補助率の引き上げは、多賀谷さんの質問に対して、特鉱程度とおっしゃいました。そうするとそのずっとあとに「復旧事業団に対する国の補助率を大幅に引き上げる」と、こうなっておるわけですが、これは、復旧事業に対する大幅の補助率と復旧事業団に対する大幅の補助率とはどう違うのか。これはちょっと文章のあやで、同じことを意味するのかどうか、それが一つ。  それからいま一つは、新方式で買い上げられて、そこで整理促進交付金が出てくるわけです。ところがその鉱害賠償の留保額を上回る年々賠償等の金銭賠償の不足分については、特別の措置を講ずるということになっておるわけです。それでこの留保額が不足をするというときに特別の措置を講ずることは、一体どういうことなのかということです。  それから、緊急を要する復旧対策について検討をするということを書いておるわけです。これはこういう場合があるわけです。炭鉱が買い上げになった。ところがまだ復旧計画その他、被害者の判こも全部もらえない。もらえないのに、県道のまん中に大きな穴がぽっかりあいた。これを一体どうするんや、鉱業権者は、この責任は自分だということははっきりしているんだけれども、まだ金を使う体制が出てこないのだという。鉱業権者は金は留保金以外にないというような場合だって、緊急を要する場合なんです。こういう場合は、この前私のところで、国と県がちょっとやったことがあるんです。こういう場合には、緊急を要する復旧対策について今後検討するというのは、どういうことになるのか。それから対策をずっと七つばかり述べて、そして以上の対策のほかに今後制度上、運用上の改善をはかる必要があると、こうお書きになっておるわけです。これはどういう点を意味しておるのか。  それからいま一つは、鉱業権者の同意権の問題です。鉱害を復旧するときには、鉱業権者が同意をしないと鉱害の復旧ができないわけですよ。いかに急いで復旧しようとしても、有沢先生がさいぜん言われたように、十年も十五年も鉱害復旧がかかるようではどうにもならぬというけれども、鉱業権者が同意をしなければ十年、二十年どころか、五十年も百年もこれはだめになってしまうのです。この鉱業権者の同意権というものを、こんなに政府が石炭政策について、あるいは鉱害対策について肩入れをしておるのに、なお依然として鉱業権者の権利というものをそれほど尊重しなければならぬのかどうかということが一つ。  それからいま一つは、御存じのとおり鉱害復旧をやる責任者の体制というものが違ってきたわけです。それは旧方式においては滝井義高というものが炭鉱をやっておった。そうして滝井義高の鉱区を合理化事業団に売るわけです。そうすると合理化事業団が私に交付金をくれますが、そのときには滝井義高と合理化事業団が共同責任になっておるわけです。鉱害の復旧については連帯責任です。こういう形が一つあります。いま一つ、新方式は、滝井義高の鉱区というものを抹消することによって整理促進交付金がくるという形です。そのときの責任は合理化事業団にはない。滝井義高が全部の責任を持つ、こういう形の鉱害の復旧が一つあるわけです。それからその場合に、滝井義高が抹消する場合でも、保安で抹消する場合と、普通の形の申し出で抹消する場合と二つありますけれども、これは本質的には大体同じです。それからいま一つは、もう無資力になってしまった。私はもうお手上げだ、一銭も金がないという復旧のしかたと、それから今後この補助率を大幅に上げた場合には幾ぶん違った形が出てくるわけです。第四の方式が出てくると思うのです。基本は同じでも、ものの処理のしかたとしては新しい形が出てくるわけです。  こういう四通りの種類がこれから出てくることになるわけです。しかしそれらのものには全部補助率の引き上げというものがかぶさってくることは事実です。特鉱程度の補助率の引き上げがかぶさってくれば、その分だけ楽になることは事実ですが、連帯責任があった場合にはこれは合理化事業団が全部やるのだが、合理化事業団にその金があるのかないのかといえばいまないのです。合理化事業団は石炭業者の納付金で運営をされる、あるいは整理促進交付金がまだ鉱業権者から被害農民その他に渡る前に、その金が合理化事業団にプールされておって、それを運営する利子からくる、こういう金しかないのです。だから合理化事業団というものは名は合理化事業団、金なんかも貸しておりますよ、しかし鉱害復旧については無能力者です。だからこういう四つの場合の処理について、やはり快刀乱麻の方針を出しておいてもらわぬと、これは被害民にとってはたいへんなことです。  それから立ったついでにあと三つだけ言っておきます。  それは特交です。さいぜん細谷さんが起債の許可と特交でやれるのか言ったのですが、御存じのとおり、特交というのはひもつきでないわけです。そこでほんとうにその金がきたかどうかということがわからぬわけです。たとえば学校の準要保護児童のために教育扶助の金を二分の一国が出して、二分の一自治体が出すわけです。そうして二分の一は特交に入れてやったぞ、こういわれるわけです。ところがその二分の一の金を使うのは、教育委員会が使うわけです。金は市町村の特別交付税のワクの中に入ってくるわけです。そうすると市町村は、きた金を他のものに回してしまった。教育委員会のほうの予算にその金が回ってこなかったらおしまいになってしまう。だからこれは、責任を自治省の特交に押しつけるのではなくて、やはり補助率の引き上げということでいかないと、こういう金はあかしが立たない。だからやはりあかしの立つ金にしないと、産炭地というものは特交特交といっても、これは何もかにもみんな自治省の特交ではわからぬじゃないかという意見が最近出てき始めた。だから、そういう有沢調査団の出す金というものは、この答申によって出ていく金というものは、やはり特交でなくて、補助率できちっと上げていくという形にしないと、先生方がせっかくりっぱな竜を描いても目が入らないことになる。目が入らなかったら、この竜は天にのぼることができないのです。だから、大蔵省で主計局長をやられた石原さんがおられるのだから、その点は補助率をきちっとやる。そして、これは時限立法でいいと思うのです。何も長期にやる必要はないのです。石炭政策がある程度浸透して安定するまでの三年なら三年、五年なら五年の時限立法、特別の立法、教育とかこういう公共事業の補助には特別の立法で、ちょうど厚生年金で特別立法をやろうといわれると同じように、きちっとやっていく。こういう形のほうがあかしが立つ。そのかわりに、四年なら四年、五年なら五年したらやめてしまったらいいんですよ。私はそういう政策をとるべきだと思うのです。以上です。

石原周夫石炭鉱業調査団特別調査員

○石原参考人 一番最後の、特別交付税でまかないます問題から先に申し上げます。御承知のように、地方財政のうちの幾つかの項目につきましては、一部国で補助を出しますとともに、その補助の裏と申しますか、地方団体の負担に属します分につきまして、普通交付税で措置している場合もございますけれども、特別交付税で措置している場合が多いわけでございますが、そういう措置をいたしているわけであります。これは一般論としても、いま滝井先生のお話のように、特別交付税というものはよく中身がわからないから、もらった地方団体としては、そのもらった趣旨で必ずしも金が動かない。したがってその趣旨を通すためには補助金をふやしたらどうかという御意見が、これは必ずしもただいまの滝井先生の論点だけではなくて、あるわけでありまして、この点につきましては、実は自治体としては広い行政をやっているものでありますから、地方団体の考えいかんによりまして、滝井先生御指摘のようなケースが起こらないとは申せないわけであります。しかしながら、それではみな補助金を厚くして、その補助金のとおりに地方の行政を動かすかということになりますと、これは国と地方との関係の一般論というものがございまして、ある程度までは補助で筋をつけておくけれども、財源全体として、地方の財政がこれに応じられるかどうかということは、やはり交付税を含めて考えるという行き方にならざるを得ないかと思います。ただしかしながら、先ほど申し上げましたように、前向きの仕事につきまして、たとえば道路の建設であるとか、あるいは工業用水の開設であるというような点につきましては、現在の特別交付税というものにおきましてもなかなかそこまでのめんどうは見切れないシステムになっておりますから、このほうはわれわれも特別に対象を指定いたしまして補助率の引き上げを行なったらどうであろうかということを申しておるわけであります。  なお、鉱害につきまして数点のお尋ねがあったわけでありまして、まず第一点になりますか、事業団への補助率を引き上げるのと、鉱害復旧いたしまする工事費に対します補助率の引き上げと同じことかというお尋ねでありますが、それは違うわけでありまして、四四ページの初めの一行目のところからごらんをいただきますように、「事業団の調査設計要員の充実、無資力鉱害復旧に伴う暫定補償等の財源の確保および緊急復旧の工事費の調達を図る」、そういうことのために要しまする鉱害復旧事業団の事業費ないし事務費の補助でございますから、先ほど御指摘になりました鉱害そのものの復旧事業費、それに対する特鉱並みの補助率ということを申し上げましたのとはこれは違うわけでありまして、それによって事業団が働きいいようにしようというのが、その第一点であります。  第二のお尋ねの緊急工事の問題であります。緊急工事の問題につきましては、これは御承知のように、基本計画がきまりましてから工事をいたすわけでありますが、有資力、無資力の判定をいたしておりますのにひまがかかりますと、その間に時期を失することがございますので、したがいまして基本計画の認可そのものは差しおきまして、あらかじめ緊急工事の形で工事をしておきまして、その後におきまして有資力、無資力の判定をいたし、それに基づいて有資力者から金をとる、こういうような仕組みになっております。そういうのがこの緊急工事にうたってあるところの意味であります。  それから三番目の、同意が一体とことんまで要るかどうかという点でございます。これは現在法的には、同意なしに基本計画を認可してしまう手段はあるわけでありますけれども、御承知のように、そういうような事態を避けまして、発動をいたしていないようであります。ここにおきましても、それでは同意そのものがなくてもやろうかということは書いてあるわけではございませんので、同意が容易となる、今後は前述の諸対策によりまして石炭企業の同意が容易になるということを背景といたしまして、これらの鉱害被害者、石炭企業、関係行政機関、そういう人たちの全面的な協力を求めまして、同意を前提にした措置をやってまいりたい。しかしながら伝家の宝刀と申しますか、最終的な手段としては引き続き、同意なくして認可する方法が法律上は残されておる、これは従来どおりであります。  それから最後に、合理化事業団がない場合の措置のお尋ねがあったわけでありますが、これにつきましては四二ページの終わりから四三ページにかけまして「整理促進交付金等からの鉱害賠償留保額を上回る毎年賠償等の金銭賠償の不足分については、特別の措置を講ずるよう検討する」とありまして、この措置についてひとつ行政当局で検討してもらいたいという答申をいたしておるわけであります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 伊藤卯四郎君。

伊藤卯四郎民主社会党

○伊藤(卯)委員 私は最初に、有沢団長御一行が最も困難な炭鉱問題で長期にわたって調査に御苦労願いましたことを、心からその労に感謝したいと思います。  二点だけこの機会にお伺いをしておきたいと思います。  一点は、御存じのように、日本のエネルギーの状態を見てみますと、過去十年、また今後の十年等を展望してみますと、大体年々一〇%ぐらい増加をしまして、十年で倍になるというような需要量の増加をいたしております。ところが石炭だけは、議論されておりますように、むしろ縮小するという状態になっております。そこで、これは私どもが従来から主張してきておったことでありますし、おそらく有沢団長もそうお考えになっておられると存じますが、エネルギー界の今後の長期安定国策を樹立するということは、それぞれのエネルギーを総合調整をする、たとえば数量、価格、そういうものを強力な国家機構によって管理してやらなければ、現在のエネルギー界の混乱状態を救うことはできない。あに石炭のみではない。そういう点から、このたびの答申は炭価の値上げと補給金の問題とで、かなり反対の意見もあったようでありますけれども、これは有沢団長相当英断をもって答申案をつくられたということを伺っております。そこで私どもが、有沢団長が調査に出発される際に、何回か機会あるごとに申し上げたことは、政府が答申を取り上げてやれるやれぬは別として、日本の基幹産業であるエネルギーの将来にわたっての安定国策を確立するためには、思い切った答申を出していただきたいということを申し上げてきておりました。先ほどから団長の御意見を伺っておりますと、そういう長期安定の根本的な問題を解決するということは、それは石炭鉱業審議会から委嘱されていないんだ、こういうようにお述べになったように私伺っております。そうすると、石炭鉱業審議会は政府の御用機関でございます。その御用機関が、有沢調査団一行に対して、一つの、答申にワクをはめておる、制約を加えておるということであるなら、これは許されぬことである、私はこう思っております。せっかく専門家の皆さんが権威をもって調査をし、結論を答申される、それはきわめて自由でなければならぬ、そして国家産業、特に基幹産業に対する権威あるものを答申をしてもらうということについて、何かそういう政府機関からそのようなことを申しておるとするなら、これは断じて許されぬことであると私は思っておりますが、そこらのいきさつの点について、どういう御苦心をされたのか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 調査団ができましたいきさつは、ただいまお述べになりましたように、石炭鉱業審議会の会長から石炭鉱業審議会にはかりまして、そして団長以下委員が会長によって選ばれたわけでございます。その際、私どもの委嘱されましたのは、五千五百万トンの生産体制を堅持して、そしてこれがどういうように今後維持できるか、それについての調査、答申をしてもらいたいということであったのであります。その点について、五千五百万トン維持の抜本的な対策を立てるということも、むろんわれわれの任務の中に入っていないわけじゃありません。入っていたと言っても差しつかえありませんが、しかし、さていよいよ抜本的な対策を立てるということになりますと、実はまだ、先ほど来申し上げておりますように、エネルギー総合政策の原理がどうも日本では確立していない。大体その原理そのものについていろんな議論をしなければならなくなるわけです。中にはむろん、五千五百万トンを維持するということはこの際よすべきである。もっと少ない数量で考えるべきであるとか、あるいはもっと大きく考えるべきであるとかいう、そもそもの議論に入ってくるわけです。だけれども、私どもはその点では五千五百万トンを一応維持するという考え方に立っておる。委嘱の上からそういうことになりますが、しかし実際議論としましては、その五千五百万トンの線が一応鉱業審議会からは委嘱されましたけれども、これが国民的にみなが、積極的にか消極的にか、そこはどうでも、その五千五百万トンの線を確立するということについてだれも疑いを持たないということになっているかということになりますと、そこに問題があるわけです。ですから、たとえばその線を維持するためには何でも必要なことは全部やるということを考えることも、できないわけじゃありませんけれども、しかしそういう考え方をすると、その措置というものがはたして国民から受け入れられるかどうかという心配を持つものも出てくるわけです。ですから、先ほど来私が申し上げておりますのは、この五千五百万トンなら五千五百万トンの生産を、今後どういうエネルギー構造になりましてもこの線は確保する、それが国の基本方針であるということになりますれば、その線を実現していくために必要ないろいろな措置、これはむろん金がかかる場合もありましょう、あるいは相当の強制を行なわなければならない場合もありましょうけれども、しかしそういう強制なりお金なりは、いずれもこの原理、つまりこの基本的な国の方針というものから出てくるわけでございます。そうなれば、私はわりあいに簡単にいろいろな案を考えることはできたと思うのですが、どうも実際の場合にあたりましては、それが実はまだ確立していないおそれがある、というよりも事実確立していないのではないかと思われるわけです。ですから、結局答申案の総論の最終のところにも書いてありますように、その問題を、国民的にきまった上で根本的に、最終的な石炭鉱業の維持再建といいましょうか、再建のための方針、手段を検討する、そういうふうに持っていくべきであろう。私どもでは、非常に苦しんだあげく、そういう一つの結論を打ち出しておる次第でございまして、鉱業審議会が御用機関だとおっしゃられますけれども、御用機関とはむろん私は思っておりませんし、それに対して政府が何か指図を与えたとも考えておりません。ただ、審議会のほうでは、政府から石炭調査団をつくって調査をするようにという要望が石炭鉱業審議会に出ましたときに、石炭鉱業審議会で、いまのこういう趣旨でお引き受けをいたしましょう、こういうことになったと思うわけですから、そう政府が石炭鉱業審議会に非常な大きな強制を加え、ワクをはめた、こういう趣旨ではありませんから、そう点は誤解のないようにお願いいたします。

伊藤卯四郎民主社会党

○伊藤(卯)委員 いま一点お伺いしたいと思いますのは、今度の炭価の値上げと利子補給との関係におきまして、労働賃金を上げることも明らかにされておるようであります。そこで私が心配になりますのは、いま答申に出されたような程度上げられて、それで炭鉱を離職していく労働者を炭鉱に食いとめることができるだろうかということでございます。というのは、さっきから意見がいろいろ出ておったようでありますけれども、いずれ国鉄の運賃の上がることは必至でございます。それと、船賃の上がることも必至でございます。そして、消費者米価とともに、公共料金の値上げがされていくことも必至でございます。私どもが考えまして、来年は産業経済の点においてはデフレ的傾向も起こってくるのではないか。しかし国民生活の上においては、諸物価の上がるとともに、インフレ的傾向が出てくるのじゃないか。そこで炭鉱経営の中においては、やはり輸送賃をはじめ、いま電力を上げてくれというところも起こっております。そういう点からしますと、やはり炭鉱に必要な機材、それから輸送、それから労働賃金、そういうものは当然相当上がってくるし、上げなければならぬということになってくると、かなり苦しい状態が依然として出てくるのじゃないか。いま黒字経営というのは、私どもの知る限りにおいては、たしか三つか四つあるんじゃないか、あとはほとんど赤字と言っていいのではないか。そういう現状でございますから、したがって、町方の基幹産業というか、あるいは重労働関係というか、そういうところに相伴っていくような労働賃金に炭鉱で上げていくということは、なかなかできないのじゃないか。ということは、日本の経済力の発展しておる現状は世界の五番目といってあります。しかし国民生活は、平均してみると、世界の二十二位か三位だという数字があらゆる点で出ておるようでございます。そうして、そういう点から西欧並みの賃金、あるいは経済力が世界の五位であるなら、われわれの労働賃金、待遇もそれに準ずべきであるということを、労働組合側で強く主張しております。そういう点から、やはり明年の春の賃上げ等に伴って、そういう点が強く出てくることは必至でございます。そういう場合に、炭鉱労働者のほうでも、やはりそれに準じた労働諸条件が炭鉱に確立されなければ、炭鉱から出て町方のほうに行ってしまうのじゃないかということは、当然予期せなければならぬことでございます。そういたしますと、炭鉱には若い者がいなくなるばかりじゃない、技能工、そうした熟練工というものもだんだんいなくなってしまって、炭鉱は人的に不安定、老朽、老廃する。その労働者の関係から、計画出炭というものがなかなか出せないということが起こってくるのじゃないか。炭鉱のじり貧という問題が、そういう人的な関係からも相当起こってくることを考えなければならぬのじゃないか。  その点を憂慮されて、たぶん炭鉱に老齢年金というものをお考えになったのじゃないかと思いますが、この老齢年金というのは、一般的なものでなく、つまり炭鉱特有の老齢年金、たとえばAの炭鉱に五年、Bの炭鉱に五年、Cの炭鉱に五年ずつ、通算をして十五年炭鉱に永年勤続をしたというような意味において老齢年金をつくれ、そういう意味を含まれた老齢年金制を答申しておられるのかどうか。それから先ほどからだんだん申し上げてきましたように、答申に盛られた内容によって、炭鉱から離職をしていく人たちを食いとめていくということ、さらに、炭鉱は人的に若返り、さらに人的にあふれるものがあるということを保障することができるという見通しの上に立って、あの答申というものがつくられてあるのかどうか、この点も、せっかく答申をしていただきましたのですし、私はある一面の非常に重要な使命を持っておるものだと思いますから、この点についてひとつ有沢団長から、確信のある点をお聞かせ願いたい。

有沢広巳石炭鉱業調査団団長

○有沢参考人 炭鉱において労働者を若返らせるということの必要もむろんありますし、まただんだん退山をしていく人々を食いとめるという何らかの措置を必要とするということはお説のとおりでございまして、これがうまく成功しないと、ほかの経理対策をやったといたしましても、予定の出炭が出ないということでは、やはり経営としてもうまくいかないという結果になると思います。そこで私どもの調査団の中では、その両方の面を非常に強くからみ合わせて考えたわけでございます。  そこで炭鉱労働者を引きとめたり、あるいは若い人にも入ってきてもらったりするための職場にするためには、これはむろん労働条件といいましょうか、賃金の問題もあります。しかし、そればかりではない。第一、つとめている会社が経理がしっかりしているかどうか、将来にわたって不安がないかどうかということも、大きな一つの要素になっております。そういう事例は、各地で現地調査をした場合に、多くの労働者諸君から聞かされたところであります。それからもう一つは、生活環境がどういう環境であるか、また作業の環境がどういうことであるかということにつきましても、かなりしばしば訴えを聞くことができたわけであります。そういう労働者にとってのいろんな雇用の条件というものにつきまして、私どもは比較的まんべんない考慮を払ったつもりでおります。  その中で一つ、炭鉱労働者の年金制度、これは退職金制度等とからみ合わせての話でありますけれども、年金制度をこの際取り急いで検討をしてもらいたい、こういう提案を申し上げましたゆえんは、炭鉱労働者は、賃金体系から申しましても一般の産業とは違った賃金体系になっておる。また労働力の消耗のぐあいから申しましても、一般労働者とは違っております。ですから、炭鉱ばかりじゃない、これは地下労働一般かと思いますが、そういう鉱山労働者が老後の生活に心配のないような特別の配慮を行なってもらいたい、配慮した制度をひとつ早く検対してもらいたい、こういう趣旨で申し上げましたので、通算の問題はむろんその中の一つの重要な問題であります。  賃金の問題は、先ほど来しばしば申し上げておりますように、これは七%ということを経理の見通しのための一つの係数としてはじいたものであります。その場合は、一応卸売り物価は一%ぐらいの上昇、消費者物価の点におきましてはほとんど上昇はなかろう、なかろうと言ってはなんですが、上昇を見込まないで計算をしたものであります。と申しますのは、経営者にとりましては、やはり資材の購入にいたしましても、販売する石炭の価格にいたしましても、卸売り物価が一つ重要な問題でございますから、その点を考えたわけですが、消費者物価につきましては、きょうの新聞では、先ほども申しましたように、四・五%でしたか、政府は見込んでおる、こういうお話でございますが、そういうふうな物価上昇ということは、第一それでとどまるものか、あるいはそれ以上にとどまるものか、実ははっきりいたしません。あらかじめわれわれのほうで消費者物価を何%というふうに見込んでおくこともできないわけでございますから、それを見込まず、そしてむしろ、たとえば国鉄あたりの大きな国家企業がどれくらいの賃金アップになっているかというふうなことを勘案いたしまして、七%ぐらいということにして、そしてこれをいま申しましたような経理の改善の状況を見通すための必要な係数として取り上げたわけであります。でありますから、現実の経済におきまして、たとえば消費者物価がもっと上がってくる。そうすればおそらく、一般産業における賃金も上がってくる。いろいろな上がり方はあろうかと思いますけれども、とにかく上がってくるだろう。そういうことは私ども予想は全然できないわけじゃないにしましても、どれくらいになるかということにつきましてのめどはなかなか立たないわけでございます。それですから、この係数の中にそれを織り込むということはいたしませんでした。それであとその賃金が決定されることは、労使の関係でそれぞれ決定されていくと思います。労働者としましても、とても賃金が安いから、ほかの事情、つまり年金とかそういうものができたにしましても、そういう事情を勘案いたしましても、この安い賃金では働けないといって山を去っていく人がある。そうすると労務不足になる、企業経営としてはやっていけない、やはりある程度賃金を上げなくちゃならぬ、こういう問題も起こってくると思います。ですから、そういうような複雑な労使の関係できまってくる賃金は現実にどういう賃金がきまってくるか、こういう問題であろうかと思います。ある年には、賃金が、場合によりましては七%以上に上がるということもありましょう。また、個々の山についても同様のことが言えるかもしれません。しかし、また他の場合には、他の年には一般がもうそれほど上がらないということも起こり得るかもしれません。ここ三年間なら三年間の間に大体どの程度かといえば、いま申しましたように、大体国鉄のほうでは七%くらい上げている、年齢構成もかなり高い点から申しまして、一つの基準に相なろうかと思って、係数といたしましては七%をとったわけであります。ただ、その係数と実際の賃金が違うということは、むろん起こり得るかと思います。それで今後引き続いて、もっともっと高い賃金が支払われなければならないような一般情勢の変化というものが起こってきた場合にはどうするかというふうな問題が最後に残るかと思いますが、それにつきましては、まあ労使のほうで十分現在の石炭の事情を良識をもって認識してもらわなければならぬ、そして御協力を願わなければなりませんけれども、その御協力にもそれぞれ限界もあろうと思います。その上でこの賃金が労使関係できまってくる、しかもそれが七%より多い、とても企業が負担していけないというふうな問題が起こってくるかもしれません。起こってくるとまでは申せませんが、あるいはそういうおそれもないわけではありません。そういうふうな問題もありましょう。そういう問題はいずれも、一般の経済情勢の変化並びに炭鉱業自身における変化という問題でありまして、その変化に伴ってわれわれのほうの石炭鉱業審議会では、時期を失しないで、それぞれの適切な案、措置を考え、これを政府のほうに申達したい、こういうふうに考えておる次第でございます。それで非常に大きな開きができてきて、とても鉱業審議会あたりの手に負えないほどの大きな変化が起こってくるというような事態になりますれば、もう至急に——それより前に早く日本のエネルギー総合政策の基本というものを確立するような手続がなされるべきだと思っておるのですが、それにも時間がかかると思います。その時間内に、まだそういうものができないうちにそういう問題が起こってくるとすれば、そのときそのときの手当てをしていくとともに、この確立の問題を至急に御検討願って確立していただきたい、こういうふうに考えております。これさえ確立してありますれば、いろいろな変化に対応することがおのずから比較的容易にできるように相なろうかと思っております。  年金制度の問題は、先ほども申しましたように、これは炭鉱特有、炭鉱というよりも地下労働に特有のものでありますから、地下労働者にふさわしい年金の制度をつくるという考え方であります。それがどういう形のものになりますか、ドイツのように単独のものにしたほうがいいか、あるいは厚生年金の中にさらに積み上げた形のものにしたがいいか、これは年金といいましても一種の保険経済みたいなものでありまして、だれかがその基金を出さなければいけませんから、そういう関係がどうしたならばいいかということについての具体的な案をわれわれがこの答申の中に指示することはできなかったわけであります。それは、一つは時間がなかったということもありますけれども、他方においては、年金関係の専門家がいないものでございますから、なかなか具体的な案を作成することができませんでしたから、これはなるべく早い機会に検討を始めて、実施のほうに持っていってもらいたい、こういうふうに申し上げるわけです。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は明十八日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十五分散会

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