議院運営委員会 第6号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1964/12/07
会議録
○福永委員長 これより会議を開きます。 まず、大蔵委員長辞任の件についてでありますが、大蔵委員長山中貞則君から委員長辞任願いが提出されました。 大蔵委員長の辞任の問題につきましては、理事会におきまして、田中副議長から事情を聴取いたしましたが、その取り扱い、手続等にやや遺憾の点があり、今後はこのようなことのないようにいたしたいとのことでありました。 本件は、本日の本会議においてこれを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○福永委員長 次に、大蔵委員長の選挙についてでありますが、ただいま御決定願いました大蔵委員長の辞任が、本会議において許可されましたならば、引き続き大蔵委員長の選挙を行なうこととし、その選挙は、その手続を省略して、議長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、自由民主党から、後任候補者として吉田重延君を推薦してまいっております。 —————————————
○福永委員長 次に、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名についてでありますが、同管理会委員及び同予備委員が来たる十八日に任期が満了いたしますので、その後任として、お手元に配付の印刷物にありますとおりの諸君をそれぞれ各党から推薦してまいっております。 ————————————— 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名の件 委 員 大浜 英子君(自推薦) 山浦 貫一君(同 ) 藤牧 新平君(社推薦) 岡崎 三郎君(同 ) 山崎 広君(民社推薦) 予備委員 近藤 英明君(自推薦) 小島 憲君(同 ) 中村 勝正君(社推薦) 仲井 英雄君(同 ) 米山 雄治君(民社推薦) —————————————
○福永委員長 本件は、各党推薦のとおり指名することとし、本日の本会議においてこれを行なうこととするに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、この指名は、その手続を省略して、議長において指名することとなりますから、御了承願います。 —————————————
○福永委員長 次に、中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件についてでありますが、同委員に佐口卓君、中西實君、馬場啓之助君を任命することについて、内閣から本院の同意を求めてまいっております。 本件は、これに同意を与えることとし、本日の本会議において議題とするに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○福永委員長 次に、本日予算委員会の審査を終了した昭和三十九年度一般会計補正予算(第1号)、昭和三十九年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和三十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、内閣委員会の審査を終了する予定の一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、地方行政委員会の審査を終了した昭和三十九年度分の地方交付税の特例等に関する法律案、石炭対策特別委員会の審査を終了した石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案について、各委員長から緊急上程の申し出があります。 右各案は、いずれも本日の本会議に緊急上程するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、ただいま緊急上程するに決しました補正予算三件に対し、日本社会党の山花秀雄君、民主社会党の麻生良方君から、それぞれ反対討論の通告があります。 討論時間は、おのおの十分程度とするに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、日本共産党は、先ほどの理事会において御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。 また、補正予算三件の採決は、起立でお願いいたしたいと存じますので、御了承願います。 —————————————
○福永委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
○久保田事務総長 まず、大蔵委員長山中貞則君辞任の件を議長発議でおはかりいたします。次に、辞任の許可がありましたならば、大蔵委員長の選挙を行ないます。委員長の候補者として自民党から吉田重延君の推薦がございます。選挙の手続を省略して、議長指名で行ないます。次に、中央選挙管理会委員及び同予備委員指名の件をおはかりいたします。選挙の手続を省略いたしまして、議長指名で行ないます。次に、中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件をおはかりいたします。次に、昭和三十九年度一般会計補正予算外二件を一括して議題といたします。荒舩委員長の御報告がありまして、山花秀雄さん、麻生良方さんが反対討論をなさいます。採決は三件一括で行ないまして、起立採決でお願いいたします。次に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案外二案がただいま委員会を終了したそうでございますので、これを一括議題といたしまして、河本内閣委員長の御報告がございます。本案は、社会、民社、共産が反対でございます。次に、昭和三十九年度分の地方交付税の特例等に関する法律案を緊急上程いたしまして、森田地方行政委員長の御報告がございます。社会、民社、共産が反対でございます。次に、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、中村石炭対策特別委員長の御報告がございます。共産党が反対でございます。 以上でございます。 —————————————
○福永委員長 次に、前回の委員会において、会期中の議員の逮捕に関し、衆議院法制局長及び内閣法制次長に対し質疑を行なったのでありますが、本日は、本件に関し、高橋法務大臣、吉武国家公安委員長、橋本内閣官房長官、高辻内閣法制局長官及び江口警察庁長官並びに三浦衆議院法制局長が出席されております。 質疑の申し出がありますので、これを許します。柳田秀一君。
○柳田委員 一番最初に法務大臣にお尋ねいたします。 来る十日、国際連合で世界人権宣言が採択された日であります。去る四日から第十六回の人権週間が催されております。第一線警察官の行為、それが国民のいわゆる憲法、法律で保障されておる人権に対して侵犯したというようなことは、私は世界にないと思う。第一線の警察官のやったことは、いつの場合でも正当とは、私は言えぬと思う。ときには警察官にも行き過ぎがある。大体どの程度警察官によるそういうような行き過ぎ、あるいは不当に人権を侵犯し、侵害したというような事例があるか。時たまたま人権週間に入っておりますので、まず法務大臣から承りたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 ただいまお尋ねの警察官の人権侵犯関係の状況ですが、いろいろな方面からそうした指摘を受けておることもあります。十分にわれわれとしてはこれには注意を促しておるのでございますが、具体的な御質問に対しましては、刑事局長から答弁さすことをお許し願いたいと思います。
○柳田委員 刑事局長はきょうは呼んでおらぬのです。
○高橋(等)国務大臣 刑事局長……。
○柳田委員 それはかってに来ておるだけで、こっちは呼んでおらぬのです。あなたはいま、たまたま刑事局長と言われましたが、法務省では人権擁護局の所管の事項だと思う。すでに人権擁護局のほうで発表された最近の人権侵犯のデータがあるのじゃないですか。
○高橋(等)国務大臣 いろいろと問題になっておりますケースはありますが、ただいまちょうどその御質問があると思わなかったものですから、ここへ持ってきておりませんのです。宙には覚えておりません。
○柳田委員 それでは私が調べたのを先に申し上げて、大臣の御見解を聞きたいのです。一々数字まで大臣が覚えておるとは思えませんが、あなたのところの人権擁護局の発表によりますと、ことしの一月から九月までこういうので二百十一件の訴えがあったそうです。人権擁護局で調べてみると、そのうちの三十件は明らかに警察官の不当人権侵犯、一五%はやはり警察官の不当人権侵犯だというデータが出ておる。これはどうですか。
○高橋(等)国務大臣 先ほども申しますように、警察官による人権侵犯事件が訴えられ、また、その中には人権侵犯の事実ありと認定されたものがあることは承知いたしておりますが、何ぶん資料を持ってきておりませんので、どうぞ御了承願いたいと思います。
○柳田委員 それじゃ国家公安委員長にお尋ねします。いま同じ問題で法務省の人権擁護局からはことしになってから九月までに一五%に及び警察官の不当な人権侵犯の事実が出ておる。今日人権週間に入っておることも御存じのとおりである。警察の総元締めをやられる国家公安委員長として、こういう事例が出ておることに対して、あなたはどうお考えになりますか。
○吉武国務大臣 人権の尊重せられることは当然でございます。もし警察官に行き過ぎの点があれば、これはもちろん注意をして、そのようなことのないように留意していくべきものではないか、かように存じております。
○柳田委員 私はこの前この委員会で、ちょうど佐世保の例の梅崎代議士の逮捕事件のあったその日に、あなたに参考人としてここに来ていただいた。そのときにも私は、不当であるとか不法であるとまでは言わない、しかし、警察官の行動に行き過ぎがなかったと断言できるかと、こういう聞き方をした。国家公安委員長としても、警察庁長官としても、警察官の行動に行き過ぎがなかったと断言できますか、こういう私は質問のしかたをしておる。あなた方に、いや不法でございません、不当でございません、そういうような聞き方をしたのではない。私はいろいろな場合に警察官に行き過ぎがあると思っておる。警察官も人間です。裁判官も人間なんです。だから、あのときも行き過ぎがある。私は、少なくとも常識ある答えならば、今回の佐世保事件がそれに該当するかどうかは別にして、警察官も人間でございますから、それは行き過ぎがないとは言えません、こういうことは注意いたします、こういうような常識ある答弁をあなたから引き出そうと思った。ところが、あなたはがんとして、その事件がすぐ佐世保の事件にひっかかると思ったかしらぬが、あなたにしても、江口警察庁長官にしても、こういう問題は警察官がやったことは、たとえそれが多少行き過ぎであろうが何であろうが、それを隠そう隠そうという気配がずっと前からあると思う。ことに、今回でも佐世保の署長を国会に参考人として呼ぼうとしたならば、警察のほうからどう言ってきましたか。これは警察官の士気に影響をしますからそういうことがないように、長崎県の警察本部長を出しますから、とこう言う。何かというと警察官の士気に関係すると言う。警察官の行き過ぎを是正してこそあたりまえなんです。それを、そういうことをやる動きはすべて警察官の士気に影響するというものの考え方は、やはり昔からの警察国家のなごりが残っておると思いますが、どうですか、私の考えは間違っておりますか。
○吉武国務大臣 先般の本委員会での御質問は、長崎県の佐世保の問題でございましたので、私も詳細は聞いておりませんけれども、聞いた範囲においては正当であった、こう思いますので申し上げたことで、ただいま柳田さんの御質問は、警察官一般について行き過ぎがあるようだが、どうかというお話でございますので、それは私もあることがあるだろうと思います。したがいまして、そういう問題につきましては、率直に、行き過ぎがあれば、これを訂正もし、あるいはまた今後とも注意をすべきである、こういうことを申し上げる次第でございます。
○柳田委員 国家公安委員長にお尋ねしますが、国会議員のいわゆる不逮捕特権というものは、ひとりわが国だけでなしに、諸外国にも立法例がある。ただわが国においては、この前あなたに来ていただいたときにも申し上げたように、ひとり日本国憲法が基本的人権を尊重する、日本国憲法になってから入れたものでなしに、すでに帝国憲法以来同じ趣旨のものがある。そこで、帝国憲法五十三条と日本国憲法五十条と、多少文章は違いますが、それを貫いて流れておる精神はどこにあるとあなたは理解されておりますか。
○吉武国務大臣 私は現在の憲法の解釈につきまして心得ておるわけでございまして、現在の憲法は五十条で御承知のように、国会議員は会期中は法律の定める場合以外は逮捕はできない……。
○柳田委員 法律の文章を聞いておるのじゃない。法律の文章は、私はここに持っておりますから、よく知っております。どこにその精神があるか。
○吉武国務大臣 旧憲法との間の相違点は、これは私、実は専門でございませんので、法制局からのお答えをひとつお聞き取り願いたいと思います。
○柳田委員 旧憲法以来今日に至る七十年の間に、まだ一回も国会議員のこういうような現行犯逮捕事件がない。それが今回まことに残念ながら起こった。こういうような問題に対しては、あなたは警察の最高責任者として、旧憲法以来初めてこういうことが起こったならば、旧憲法と新しい憲法の相違、あるいは旧憲法と新しい憲法との大体同じような点、あるいは諸外国の立法例くらいは、当然あなたは調べるべきだ。それをそんなものは知りませんと言う。この楢崎事件をあなたはどう理解しておるか。それであなた警察の元締めがつとまりますか。それでは私が申し上げましょう。帝国憲法の五十三条は、ゆっくり読みますから、そのまま筆記しなさい。「両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内亂外患二關ル罪ヲ除ク外會期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルコトナシ」、これは帝国憲法なんです。日本国憲法の五十条とどこが違いますか。
○吉武国務大臣 旧憲法は、いま御指摘になりましたように、五十三条では「両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内亂外患二關ル罪ヲ除ク外會期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルゝコトナシ」、したがいまして、これではここにありまするように、現行犯罪については、これは例外が認められておると思います。それから現行犯でない場合は、内乱外患に関する罪を除いては逮捕できない。こういうふうになっておるのでありまして、私は、現在の憲法とそう違っていないのじゃないか。内乱外患に関する罪を除くというところが違っておりますが、これは現行犯でない場合を指摘しておるものと解釈しております。
○柳田委員 私の読み方では、新しい憲法は、旧憲法に現行犯罪というもの、内乱外患に関する罪を除外例として認めてある。それを、そういうことはすべて法律に譲った。これがまず第一に一番大きな違いだ。前は憲法にそれを入れてあった。今回はそれを法律に譲った。そこが一番大きな違いだ。こういうふうに言えると思う。そこで、これを憲法に規定し、あるいは法律に譲ったという法解釈は、きょうは法制局の高辻さんもお見えになっておるし、衆議院の法制局長も来ておるから、そういう方に伺います。そこで、この旧憲法では、除外例は法律に譲らずして、憲法そのものに書いたとするならば、その除外例とは一体何ぞや。ということは、「現行犯罪又ハ内亂外患二關ル罪」と書いてある。ということは、「現行犯罪又ハ」——「または」とか「もしくは」とか「あるいは」とか「及び」ということの解釈は、法律家によっては非常にむずかしいことを言っておるが、私たち法律のしろうとでわかりません。わかりませんが、われわれすなおに読んでみると、現行犯罪というものは、少なくとも内乱外患の罪あるいは内乱外患の罪と匹敵するくらいの重いものである。重いからこそこれをわざわざ憲法に書いた。こまかいようなものなら憲法にこれを列記しません。憲法というものは基本法なんです。基本法にまで入れたということは、非常に重大な事項である。内乱外患に関する罪というものは、帝国憲法制定当時には非常に大きな問題であったと思う。内乱外患の罪に匹敵するような現行犯罪、こういうふうに精神は読むべきである。法律は別です。法律のたてまえからは、現行犯罪というものをずっと書いて、内乱外患の罪というものは——これは現行犯罪にはいろいろあります。あとから申しますけれども、少なくとも現行犯罪というものは、かなり議員としてはこれは致命的な犯罪なんです。私はそう思う。そういうように解釈すべきだ。だから、この現行犯罪という帝国憲法を受けて、日本国憲法ができるときも国会法に譲った。院外における現行犯罪というものを第三十三条で書いておると思う。そういうふうに見てくると、私は今回の佐世保事件というものは、かりに議員外の者があれと同様の事件をやったとしても、これはそう重大な事件ですか。あれはどうですか。たまたま大衆運動の先頭に立って、大衆運動の渦中に入った者、第一線の警察官と、大衆運動を指導したり、あるいは先頭におったり、あるいは両方のトラブルの起こったところをあっせんに中に入った、そういう人間が、たまたま左足を引いたとか右足を持っていったとか、いや、さわったとか、いやなぐったと言い、さわったと言い、人によってそれぞれ水かけ論になるような行動というものは、国家、社会から見て、そう非常に大きな問題ではないでしょう。国会議員が現行犯罪であるいは破廉恥罪をやった、こういう場合は問題にならぬ。そうじゃなしに、先ほどの楢崎事件のようなものは、それがかりに議員でなくても、犯罪として私はそう大きな問題ではないと思う。ましてや、会期中の国会議員のやったことでしょう。これを第一線の警察官の認定で逮捕した。しかも、私は先般法制局長官を呼んだときにも聞いたのですが、その逮捕する時間においては議員の身分はわからなかったかもしれない。しかし、逮捕して護送車に乗せようとしたところを、参議院議員の小柳君と衆議院議員の滝井君が、この人間は福岡県選出の楢崎代議士であるということで、身分を明らかにしておる。身分を明らかにしたならば、そこでなぜ護送車に乗せる必要があったか。ここにも問題がある。一応任意出頭の道もあるのです。あるいは、そこで釈放する道もあるのです。かりに百歩譲って、今度佐世保署に十時何分かに着いた。しかも二時まで、四時間の間自由を拘束したでしょう。こういうことは、私は正当であったとは言えぬと思う。明らかに不当であったとは言いませんよ。しかし、こうしたことは行き過ぎであったくらいのことは、あなたの口から聞いたっていいと思うが、どうですか。
○吉武国務大臣 せっかくの法律の御解釈でありますけれども、私どもは、現在の憲法の五十条の規定、そして法律の定める場合を除くといって、国会法三十三条によって、現行犯罪の場合を除いては会期中は許諾なければ逮捕ができない、こう書いてございます。でありまするから、この解釈をいたしますると、国会議員であるから特別の特権があるとは考えられない。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)そういうふうにございましょう。
○柳田委員 これは国会議員の特権ですよ。
○吉武国務大臣 いや、それは特権とありましても、「法律の定める」とありまして、そうして国会法の三十三条には、会期中は現行犯を除く場合のほか許諾なければ逮捕できない、こうなっておるわけであります。したがいまして、国会議員であるから特別のあれがあるというわけじゃございませんで、会期中はその保護、保障といいますかのために許諾なくしてはいかぬ、ただし現行犯は別だ、こうあるわけであります。でありまするから、現行犯について国会議員はそう私は軽々になにすべきものでない、慎重でなければなりませんけれども、これは一般の人と国会議員をそう区別して取り扱うべき性質のものではない、かように存ずるわけであります。
○佐々木(良)委員 関連して、公安委員長に重ねてお伺いしますが、そうすると、この条文、憲法五十条から国会法三十三条、三十四条に連なっておる条文の解釈から見て、現行犯逮捕については、国会議員と国会議員でない者との区別はない、こういう前提ですか。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、法の前には私は現行犯については同じと思いますが、先ほど申しましたように、国会議員については慎重に取り扱うべきである、こういう感じを持ってはおります。
○佐々木(良)委員 法の前には同じというのは、憲法十四条からの筋でしょう。それから不逮捕特権の出てくるところは五十条ですね。だから五十条は、十四条のいうならば国会議員に対する例外的規定になっておるわけですね。その場合に、いまあなたの口から、現行犯逮捕については、国会議員であろうとなかろうと、それは同じだというたてまえです。しかしながら、慎重にせんならぬと言われましたね。それでは慎重にというのはどういうことですか。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、法の前には区別はできないと思います。けれども、国会議員であれば、そう軽々に取り扱うべきでないから、私は慎重にと、かように申し上げたのであります。
○佐々木(良)委員 重ねてお伺いしますが、そうすると、当時もし楢崎事件の際に、国会議員であることがわかっておったならば逮捕しなかったであろうかもしれないとお考えになりますか。
○吉武国務大臣 現行犯のことでございますから、その場におけるあの当時は公務執行の妨害でございます。でありますから、公務執行の妨害という現行犯がございますと、それは国会議員でありましょうと、あるいは他の方でありましょうと、区別は私できないと思います。
○佐々木(良)委員 慎重にという意味は、どういう意味ですか。
○吉武国務大臣 それは取り扱いについて、その場合に慎重に考えて、逮捕しなくて済めば逮捕しないという取り扱いをすべきものだと思います。
○佐々木(良)委員 それじゃ江口さんにお伺いいたしますが、警察権の執行上、いまちょうどお話が出ておるような問題について、そうすると、国会議員である場合には慎重に考えなければならぬのであるから、したがって、国会議員である場合には、普通の人では逮捕すべきところを国会議員であるがために逮捕しないこともあり得る、こういうふうにいま解釈になるわけですが、そういう扱いをしておられますか。
○江口政府委員 ただいま公安委員長からお答えになりました慎重という意味は、事実上、私たちの法律的な解釈としては、現行犯については同じだ、一般人と区別できないと思いまするけれども、ただ罪の種類によりましては、はっきり名前がわかっておる人とか、あるいは逃亡のおそれがないというような者については、私人としても、一般人であっても、逮捕については十分考えるというたてまえでございますから、国会議員であればなおさらのこと、そういうおそれはないわけでございまするから、事実上の逮捕というものが一般私人全部のものとどうかというようなことになれば、片方は逮捕し、片方は逮捕しないという場合があるいはできようかと思います。
○佐々木(良)委員 重ねて伺いますけれども、要するに、不逮捕特権の対象となっておる議員ということであるから、つかまえないことがあり得るというのですか。
○江口政府委員 不逮捕特権の文章からそうなるのじゃなしに、その精神といいますか、こういう罪でいまつかまえなくても、あとでそれは調べることができるとかなんとかいう、いろいろな意味がございまして、一般私人といいましても、国会議員さんとそう変わらない。そこでつかまえなくてもいいという人もありましょうから、国会議員の身分があれば、どういう場合であっても一般人と区別するということじゃなしに、一般人のうちの逃げ隠れはしない、あとからでもできるという人と同じような扱いになろうか、こういう考えでございます。
○佐々木(良)委員 そうしますと、こういうことですね。憲法五十条なり国会法三十三条から出てくる解釈ではなしに、逃亡のおそれ等がないという意味の判断の一つの材料に国会議員という職責がなり得る、こういう判断ですか。
○江口政府委員 私の答えておりますのは、そういう意味でございます。
○佐々木(良)委員 重ねてお伺いいたしますが、国会法三十四条の許諾要求の場合、これはたびたび出た話でありますが、許諾要求に対しましては、これは議員であるがために慎重を期さなければならぬというのが、この委員会における歴代内閣の官房長官なり法務大臣なりの話であり、同時にまた公安委員長の話でもあったわけであります。その場合に、国会議員であるがゆえに許諾要求については慎重でなければならぬというその慎重の意味は同じ意味ですか。つまり、逃亡のおそれがないとか、そういう意味で必ずしも逮捕しなければならぬということでもないから、許諾要求を出すのに慎重を期していい、こういう意味ですか、江口さん。
○江口政府委員 おっしゃる意味がよくわかりませんけれども。
○佐々木(良)委員 もう一ぺん言いましょうか。憲法五十条に基づきまして、国会法三十四条がこれを受けた法律になっておりますね。その場合に、許諾要求を本院に対して行なった後に逮捕するということになりますね。許諾要求をする場合に、単なる犯罪捜査上の必要という問題の上に、国会議員であるがゆえにこれは慎重に扱わなければならぬ、慎重に逮捕要求をしなければならぬ、こういう話なんですが、その慎重という意味は、国会議員だから逃亡のおそれもないであろうから、したがって、そう簡単に出さぬでもいい、要するに、逃亡のおそれあるなしという判断材料に議員という資格を使うというだけの解釈ですか、こういうことです。
○江口政府委員 現行犯でない場合の通常逮捕の場合、令状を出すときの規定でございまするけれども、その場合は、やはり通常人でございましても、令状をとって逮捕するということは重要なことでございますが、ましてや、国会の会期中、国会議員としての職責をお尽くしになることに差しつかえがあるというようなことも十分考慮に入れて令状の請求をする、こういう考え方でございまして、その場合、逃亡云々ということは、あるいはないかと思います。
○佐々木(良)委員 そうすると、三十四条の許諾要求をする場合には、犯罪の種類や犯罪の重い軽いや、あるいは捜査上の必要度合いや、その辺を考えて、それから国会議員の審議権というものとの比重を考えてお出しになる、こういうことですか。
○江口政府委員 国会議員の不逮捕特権というものの沿革なり精神というものについて、いろいろ説のあることは御承知のとおりでございますが、われわれとしては、法律上のたてまえとしては、ただいまおっしゃったような説をとっておりません。ただ、事実上は、非常に慎重にやらなければならぬということは、影響するところも大きい。ただ法律的にそうであるということではなしに、いろいろな観点から勘案する場合の材料になる、こういうふうに考えております。
○佐々木(良)委員 内閣法制局長官にお伺いいたしますが、解釈論の基本が何かぐらついておるようであります。この間、いま柳田君から話がありましたように、法制局の次長の吉國さんにおいで願って話をした際に、五十条の解釈については、これは沿革的な、つまり昔、行政権なりあるいは王権なりというものが議会に対して圧力を加える、そういうことから議員の身分を守るためにできた法律だ、そういう意味ではこれは歴史的な規定だ、その意味で、ひょっとすると現在はもうすでに三権分立の制度ができ上がっておるし、そういうことは万々あるまいというくらいな感じで、これは歴史的な規定として、言うならば宣言規定くらいな意味で軽く見ていいという考え方と、これと対立するものに、現在なお、この五十条というものは、実質的な非常に大きな意味を持つ、それは審議権の尊重という意味だ、したがって、審議権の尊重というかまえから五十条は解釈したほうがよろしい、そういう解釈に基づいて、たぶん三十三条、三十四条もできておるのだろう、こういうふうな解釈があったのですけれども、大体われわれもそういう解釈をとっておるのですが、法制局長官どうですか。
○高辻政府委員 私、さきに法制局長官に任命された高辻でございます。どうぞよろしく御指導願います。 実は、ただいまお話がございましたように、先般この席に欠席をいたしまして、次長の吉國君が出てまいりまして、まことに相すまないことをおわび申し上げます。その際の次長の御答弁は、私の答弁とお受け取りいただいてけっこうでございます。
○佐々木(良)委員 そうしますと、江口さんに重ねてお伺いいたしますが、先ほど、解釈上の問題は別としてと言われましたが、法解釈は大体において、特別な状態ができない限り法制局が中心になって解釈していくのを演繹していっていいのじゃないかと私は思いますが、そういういまの法制局の解釈のしかたでもって、この五十条から三十三条、三十四条と解釈されておるのじゃないですか。
○江口政府委員 私たちが現実に扱っております精神は、法制局でお答えになったことと同じだと思います。
○柳田委員 ことばだけでなく、具体的にどういうことですか。
○江口政府委員 この間吉國さんがお答えになりました……。
○柳田委員 具体的に君の口から聞こう。
○江口政府委員 それでは読みます。(「読みますじゃないよ」と呼ぶ者あり)吉國さんの答弁をもらってきておりますから。「いわゆる議員の不逮捕特権は、ほとんどすべての国の議会の議員に共通の特典であり、わが明治憲法第五三条も、これを認めていた。この制度は、議会制度の歴史的発展の過程において発達したものであり、その趣旨は、政府が反対党の議員を政略的に逮捕して議会を支配しようとした例があったことに鑑み、政府の逮捕権の濫用を防止するという点にあったと思われる。現在では、このほかに、国会の審議権の円滑な行使を確保するという趣旨も含まれていると考えてよいのではないかと思う。」こういう答えでございます。
○佐々木(良)委員 したがいまして、国会の審議権を尊重することが法運営の一番中心にならざるを得ぬと思います。その解釈から出て、三十四条の許諾要求をする場合にでも、警察側で、単なる捜査上の必要という尺度だけではなしに、国会の審議権の尊重ということと比較考量して許諾要求をされるのですか、こう聞いておるのです。
○江口政府委員 私たちの立場は、もちろん、捜査上の必要ということを中心にいたしますけれども、これはやはり国会審議の円滑な行使というものを考慮の中に入れて、しかも、なお捜査上必要であれば、許諾の要求をもちろんするわけでございます。しかし、この精神は、国会は国会として円満な行使を確保するという大目的がございますが、これはまた一般私人におきましても、やはり場合によっては、捜査上の必要があっても、そういう事情というものを考慮することはあり得るのでございます。その点を申し上げたのであります。
○佐々木(良)委員 重ねて、国会側で、許諾要求が来た場合に、その案件をどう扱うかというのは別問題です。国会側でやるわけですから。そうではなくて、国会に対して許諾要求をされるのに、警察が中心になって許諾要求をされるわけでしょう。その許諾要求をするのに、犯罪の捜査上の必要だけではなしに、国会側の審議権を尊重するという考慮が入るのですかと聞いているのです。
○江口政府委員 もちろん、その場合は入ります。
○佐々木(良)委員 その判断はだれがされますか。
○江口政府委員 具体の事件を扱う府県の本部長、東京でいえば警視総監、その最高の責任者がするはずでございます。
○佐々木(良)委員 その解釈の指導は、十分に行き届いておるとお考えになっておりますか。
○江口政府委員 こういう事例はたくさんはございませんので、行き届くということがどうかと思いますが、この精神については、みな同じ気持ちで行き届いておると私は思います。
○佐々木(良)委員 吉武公安委員長に重ねてお伺いいたしますが、江口さんは行き届いておるといま言われましたけれども、実際は、三十三年に同じ事件を扱いました際に、許諾要求が現実に出たのです。その際に、現地の警察本部長も来てもらい、関係の警部も来てもらって聞いたときにはそうではなかった。あくまでも憲法五十条というものは、十四条の例外的な解釈はとらない、そうして犯罪捜査上必要があれば、われわれは要求いたします、そして、いま逮捕させてもいいのか悪いのかの判断は国会側でしてもらったらよろしい、こういうことだったのです。つまり十四条は、法の前に万人は全部平等であるという観点に立ちますから、寸毫といえどもそこにそういう考慮があってはなりません。犯罪捜査上必要であるならば、たとえば、選挙違反事件であろうと、あるいは、極端に言うならば交通違反であろうと、その必要があるならば、われわれは許諾要求を出すべきであって、そしてそれを追及すべきだ、大体、ほんとうはこういう考え方、かまえであったことは事実です。目下の各地方警察は、いま江口さんの言われたような形で不逮捕特権なるものを考えておるというふうにお考えになりますか。
○吉武国務大臣 私は、現在の各本部長は、長官が言ったように心得ていると思います。ただ警察当局は、そういう職務の執行に忠実でありますから、必要があるならば要求をしたい、しかし、するにつきましても、やはり常識というものがありますから、それは考えて要求する、私はかように存じております。
○佐々木(良)委員 重ねて、ただいまの柳田君から引っぱり出された現行犯の問題について、考え方をお伺いいたしたいと思います。 現行犯が除外例になっていることは法上明らかであります。この現行犯を除外例にした立法趣旨はどういうところにあるとお考えになりますか。
○江口政府委員 現行犯については、目の前で行なわれる犯罪でありますから、犯罪が明らかである明白性の問題が一つ、それから、現行犯という文字どおりそこでつかまえなければ、もちろん現行犯の逮捕というものはあり得ないわけでありますから、事実問題として、院の許諾を受けるようないとまがない、こういうことから例外にされておるものだと考えます。
○佐々木(良)委員 そうしますと、この例外規定を含めて一番根本にさかのぼる五十条の考え方は、議員というものは会期中は原則としてはつかまえてはならぬものだ、特別な一この場合には一つは現行犯と書いてありますね。現行犯を中心として特別なもの以外はつかまえてはならぬものだ。それから現行犯でない場合にでも、ただ犯罪捜査上必要だということでなしに、非常に重要な犯罪であり、非常に重要な取り調べであるから、国会の審議権もさることながら、なおより重要だと判断された場合にしか逮捕してはならないものだ、こういうふうな一番もとの解釈は同じだろうと思います。そうしますと、現行犯の除外例というものについて、現行犯という尺度だけではかっていいかどうか、一つの疑問点が残ると私は思います。それは解釈上であるか、あるいは立法上の問題もあるかもしれませんけれども、現行犯であるならば、交通違反でも、それに似たような、このごろ格別行政罰が多いですが、そういうものでも、現行犯という尺度に照らして、国会議員であろうと何であろうと、片っ端から取っつかまえていい、こういうふうに解釈して執行していいものであろうか、江口さん、どうお考えになりますか。
○江口政府委員 二点お尋ねの点があろうと思いますが、まず第一点は、五十条の基本的な解釈の問題で、これは国会の審議権と犯罪の種類のその重さ軽さによって判断すべきだという説があることは、私も先ほど申し述べましたが、私たちは、いまの法律はそのたてまえをとっていないというたてまえに立っておりますことが一つと、それから第二番目の、現行犯であれば、それではどんな軽微なものでもやれるのか、一般私人と同じにというお話でありますが、一般私人と同じにという点ではそのとおりでございますが、一般私人でございましても、軽微な罪につきましては、現行犯逮捕をいたさないわけです。それからまた、法律上も五百円以下の罰金あるいは拘留、科料というものについては、特別の場合以外は現行犯逮捕ができないということになっておりますから、いまおあげになったような犯罪のうちの非常に軽微なものにつきましては、一般私人といえども逮捕いたしませんので、その点は同じようなことになるのではないか、こう思います。
○佐々木(良)委員 そうしますと、先ほど来の慎重にということばがまたなくなってしまったことになるのですが、どうですか。議員であるがゆえに慎重にせんならぬという先ほどの考え方がなくなったようになりますけれども……。
○江口政府委員 慎重にするということは、事実上の問題でございまして、法律的にどうかというお話について先ほどから申し上げておるわけであります。
○佐々木(良)委員 江口さんの警察権運用のしかた、執行のしかたを聞いておるのです。あなたは、やはり国会議員に対しては慎重にせい、こういうふうに通達でも、あるいは訓練でもしておられますか。
○江口政府委員 私が長官になりましてからは、そういう訓令をした覚えもございませんが、慎重にするということは、常時われわれの考えておることでございます。
○佐々木(良)委員 江口さん、たいへん失礼なんですが、この前もここで調べたときも、警察庁長官なり、公安委員長なり、法務大臣なりの考え方は、大体常識的な判断をされるのです。ところが、現場の人はそうでなかったのです。したがって、警察権の執行のしかたに問題があるわけです。だから、私どもはそういうふうに訓練をし、通達をされておるのかと、こう聞いておるのですが、現場の一線においては、慎重もへったくれもない、国会議員が何だ、法の前には全部同じだ、こういう考え方でやられておるのではないでしょうか、こういうことを聞いておるわけです。
○江口政府委員 現行犯逮捕という場合は、もちろんそれを逮捕する警察官の判断以外は、その場に居合わせないものでございますけれども、許諾要求なんということになりますと、最後の責任を持った本部長が判断をいたしまするけれども、その判断の前に、われわれとも十分打ち合わせをして、やったほうがよかろう、やらぬほうがよかろうというふうな議論を尽くした上でやることでありますから、三十四条等につきましては、十分その具体の事件で……。
○佐々木(良)委員 三十三条に、現行犯の場合を除いてと書いてある。だから、現行犯はつかまえてもいいということになるが、この現行犯をつかまえるのにも、議員である場合には慎重でなければならぬし、慎重にせいと言うておるのだ、こう言われたのじゃないですか。
○江口政府委員 私になりましてから、特別な通牒は出したことはございませんことは、先ほど申し上げたとおりでございます。現行犯逮捕の場合でも、もちろんその慎重という精神は生きるわけでございますけれども、しかし、最後的には、幾ら慎重と申しましても、現実につかまえる人間の判断以外はないわけでございますから、この分については将来とも……。
○佐々木(良)委員 私どもも考えておるのですが、もう一。へん十分ひとつ考えていただきたいと思うのです。開会中に議員をつかまえる場合に、許諾要求してつかまえる場合は、いまお話しのように非常に慎重ですね。ところが、現行犯の場合には、いまの話によると、慎重であるのか、慎重でないのかわからないくらいな、要するに一般人と同じだ、こういうことですね。五十条の精神は、要するに、開会中議員というものはあまり取っつかまえるなということでしょう。そういうことではないですか。だから、大体原則としては、その立場に立って三十三条、三十四条というものを解釈していかなければならぬし、法の運用を、格別警察庁でもそういう考え方で運営していかなければならぬということではないですか。
○江口政府委員 議会の会期中はなるたけつかまえるなということで、それは不逮捕特権という題目がございますとおり、精神としてなるたけ国会審議に影響を与えぬようにせよという意味ではあるということは、私も認めますけれども、その期間中犯罪が行なわれても、それを処理するのは慎重にせい、たとえば、通常逮捕であれば許諾要求をしてやる、それを国会のほうの判断でどうされるか……。
○佐々木(良)委員 してやるのではない。許諾要求をするのに慎重かと言ったら、あなたも慎重であると言う……。
○江口政府委員 許諾要求をするのも、むろん慎重であります。そこまではわかりますけれども、現行犯逮捕もできるだけしないということであるかどうかというのは、この法律からは出てこないと思います。
○佐々木(良)委員 この問題はなお残りますが、ちょっと別の面からお伺いしたいと思います。 現行犯の中に公務執行妨害罪で逮捕することがあることは御承知のとおりですが、公務執行妨害罪というものは、刑法で、公務員の職務の執行をするのに対して、これに暴行または脅迫を加えた場合、こう書いてあるはずです。その一番普通の場合に問題になるのは、公務員の職務の執行が正当であったかなかったかということが問題として残りますね。ただし、刑事訴訟法の現行犯逮捕の規定によると、御承知のように「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」といって、そうしてその「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と、こう書いてありますね。したがって、取っつかまえてあとから調べてみたらうそだったということでも、逮捕ということは成立しますね。その逮捕をする場合に、これはこの前のときに、私はうろ覚えでちょっと言ったのですが、たぶんドイツの刑事訴訟法か何かその辺のによりますと、これは適法に公務員の職務の執行が行なわれておることを前提としておったと思います。日本の法制では、公務員の職務執行をするにあたって、これに対して暴行または脅迫を加えた場合とたぶん書いてあったと思うのですが、それを外国法令の一部によれば、公務員の職務を正当にあるいは適法に執行するにあたって、これに対して暴行または脅迫を加えた場合、こういうようなことだったと思うのです。それで、私は学生のときのうろ覚えではっきりしませんけれども、あなたが警察庁長官として、公務執行妨害罪として逮捕をするという場合には、公務員の職務の執行があれば、それが適法であるかないかという問題は全然別問題にして、むしろあとから考えればあるいは行き過ぎの場合があったとしても、それはやはり逮捕の前提になり得る、こういうふうに考えて指導しておられますか、それとも適正ということあるいは適法ということを、そのまま外国法令と同じような解釈に立っておられますか。実際はどっちでやっておられるのですか。
○江口政府委員 もちろん、その公務の執行は適法であり、適正でなければならぬわけでありますが、しかし、それが行き過ぎるというようなことがございましても、本人において客観的にその事態において適法な公務の執行だというふうに信じてその執行をやる状態であれば、それに対する妨害は公務執行妨害罪になるという判例もあることでございますし、適法、適正を旨とはいたしておりますけれども、それは結果において行き過ぎというようなことが、公務執行妨害の逮捕等の場合にはあり得ることでございますから……。
○柳田委員 あり得る、だからぼくは行き過ぎはないかと聞いている。
○江口政府委員 できるだけそういうことのないように、もちろん指導をしておるわけでございます。
○佐々木(良)委員 したがって、私はここのところは非常に大事だと思います。公務執行者は、要するに権力当事者でしょう。公務執行者は警察だ、あるいは内閣だ、したがって、公務執行者は現実の権力当事者ですね。権力当事者がその公務を執行するにあたって、適法であろうがなかろうが公務執行妨害罪は成立するという前提に立って逮捕もできる、警察の中はこういう解釈でしょう。それから、いま外国の例を言った場合には、そこに適法に行なわれていることが要件になっておりますね。そうすると、日本の警察の場合には、いま柳田君が言ったように、適法に行なわれない場合も相当あり得るわけだ。その適法に公務執行が行なわれない場合でも、公務執行妨害罪と容疑をかけられて取っつかまえられるということになれば、実際は議員の不逮捕特権というものは、許諾要求は、いろいろ言うからめんどうくさい、だから、もしそのつもりになりさえすれば、大衆行動の先頭に立っておるやつは片っぱしから取っつかまえる、あるいはもっとひどい場合には、交通違反の名前ででも、どういうようにしてでも、いまの解釈であると逮捕できるということになりますね。そうすれば、憲法五十条の精神というものはほとんどじゅうりんされ得る、じゅうりんするかしないかは警察にまかせっぱなし、こういうことになりはしませんか。江口さん、そこのところの矛盾を感じられませんか。
○江口政府委員 先ほど答えたことと関連いたしますが、あとであげられたような事例の場合には、議員であるからということではなくても、そういうのに逮捕は現にいたしてもおりませんし、やる気はございません。それから適正、適法ということは、本人は客観的に考えて、これは適法であろうと自分の主観だけでなしに、適法な、適正な公務の執行だと思っていても、あとで調べてみて、そうでなかったというようなことが、これは万に一つあり得るということを申し上げたのでございまして、初めから適法でもなければ、適正でもないというような場合には、もちろん公務執行妨害罪は成り立ちもしませんし、そのことに対する妨害を逮捕するというようなことは考えられないことでございます。
○佐々木(良)委員 法制局長官にちょっと重ねてお伺いいたしますが、いまのお話のように、その解釈が妥当であるかは知らないけれども、日本の法制といまの警察当局の解釈のしかたによりますと、公務執行妨害は、その公務執行が適法に行なわれておるかおらぬかということを必ずしも前提にしないということであれば、そうすると、何ぼでもほんとうは行き過ぎができるわけだから、したがって、その場合には、憲法五十条の精神を踏みにじることは、ほとんど警察権限の中に握られてしまっておるということになるのではないかと思いますけれども、法制局としては、これをどう解釈しておりますか。
○高辻政府委員 先ほど来御議論がありますように、この議員の不逮捕特権につきましては、旧憲法と新憲法との間に、先ほど御指摘がありましたように、現行犯罪なり内乱外患罪というものが旧憲法には憲法上明記されておった。ところが新憲法では、法律の定める場合を除くほかということになっております。これは、むろん重大な変更だと思います。それは憲法の上にあれが掲げてあるのと、「法律の定める場合を除いては、」というその法律は、実は国会がおつくりになる。そういう意味で、その法律をつくるのは国会の自律的な御措置に待っておるというところが非常に違うところでございます。しかし、同時に、国会がおつくりになった法律の中で、実は現行犯罪というのが出ておりますために、法律の執行者としては、現行犯罪が何であるかということでいろいろ話が出ていると思います。むろん、それについて運営上の問題はどうかというようなことについても、いろいろ考えなければならぬ問題はあると思いますが、とにかくそういうところが変わってきております。 そこで、いまの本問にお答えをいたしますが、なるほど公務の執行というものはむろん適法でなければならぬ。かってに一人の当事者が適法だと思ったら何でもいいというわけではなくて、適法だと思い、かつ、その適法だと思うことが、万人と言うと大げさかもしれませんが、一般的にそう思うのにしごくもっともであるというような条件が備わらなければ、それはやはりその場合の公務にはならない。したがって、お話のように、およそ適法と思いさえすれば何でもできるということにはならない。これは、おそらく他の政府当局の説明もそういうことだと思いますが、私、御指名でございますので、申し上げればそういうことであります。
○柳田委員 高辻さん、そこで、院外における現行犯と書いてありますね。その現行犯というものに対して、確かに帝国憲法に書いてあるのと、法律をつくる国会の自律性にまかしたという現行法と違いますね。そうして現在の国会にまかされたのは、明治憲法になかったところの、会期前に逮捕された者といえども会期に入れば即刻釈放しなければならぬ、これもまた帝国憲法と違うところです。これはこの前吉國君からも御説明があったように、国会の権能に対して司法権、行政権の不当な干渉を防ぐという、これは少し消極的な意味。あるいは積極的には、やはり国会の権能を円滑に行なわしめる、国会本来の職責を円滑にやらせるという積極的な面とある。こういう精神だと思うのです。ところが、いま佐々木君がだんだん追及していきますと、結局、第一線の、逮捕令状を持っておらぬ警察官が、刑事訴訟法に基づいて、いわゆる公務執行妨害だとか何とか云々ということで、現行犯で逮捕しますね。その逮捕の前提として客観性、妥当性がそこにあったかどうか、あるいはかりに公務執行妨害なら、はたして正当な行為をして、その正当な行為を妨害したとか、そういう客観的な事実があろうがならろうが、いま佐々木君が言うように、逮捕という事実は成立するわけなのです。そういうことになってくると、国会法をつくったときにも、新しい憲法をつくったときにも、今日のように大衆運動というようなもの、いまのような状態はそう予測していなかったと思う。あるいは交通事犯でも、これだけ交通地獄といわれるような事象は、そのとき予測しておらぬと思う。ところが、世の中の現実というものがそういうふうになってくると、その現実に対する法の規則というものは、いまから二十年ほど前にこの法律をつくったときと比べてだいぶ違うわけです。そこで、この法律の運用というものは、いまの事象に対してなされるのですから、今日の事態においてなされるのですから、法制をしたときの精神からは必ずしも並行しては進んでいないわけです。そうすると、今回の楢崎事件のような問題も不幸にして起こってくるわけです。そこに問題があるわけです。われわれが追及したのは、そこを言っているわけです。確かに法の精神というものは、憲法でいえば十四条で法のもとに政治的にも平等でなければならぬ。ところが、政治的に平等でないのです。憲法五十条というのは、一つの例外規定なんです。そうすると、いまの江口君の解釈のごときは、ときにとっては十四条を持ってき、ときにとっては慎重にというようなことばで五十条の精神をややにおわす。都合のいいときは十四条で法のものに平等、国会議員でも一般の人でも同様でございますが、しかし一般の人でも逃亡のおそれがないときは、慎重に考慮を加えております、国会議員は慎重にやるという。だから憲法の五十条の精神を加えるかのごとく、加えぬかのごとく、根本のところは十四条になってくる。そうすると、今日の大衆運動とか交通事犯というようなものになってくると、「院外における現行犯罪」というものの事例をもう少し制約する必要があるのじゃなかろうかということを三浦法制局長は私見として述べておられるのです。こういう見解に対して、あなたのほうはどういうようなお考えですか。
○高辻政府委員 すべて法には、法をつくった場合の状況と、それから法をつくった後に発展する現実の問題との背離というのが、一般的に申して、遺憾ながら現実に起こり得る。そういう場合には、ある程度解釈で補っていくということもございますが、むろん法というのは永久の法であるわけでなしに、これはぴったりとした改正を加えていくという方法もございます。そこは実はどこで限界をとるかということになりますと、これはほんとうにむずかしい問題でございまして、実は、この場合はこうだ、あの場合はああだというわけにもまいりません。ただ、そういうことになりましたら、立法論のほうも研究していっていい問題かもしれない、ある時点においてはそういうことも考えなければならぬかもしれません。まあものごとの事態によって多少ずつ違うと思いますが、一般論を申せば、そういうことだと思います。
○只松委員 先ほどからお伺しておりますと、だいぶ角度が違うと思うのです。国家公安委員長なり長官でもいいのですが、お答え願います。立法、司法、行政と、三権分立の行なわれておるというのが近代民主主義国家の原則だと思いますが、そういたしますと、憲法五十条にしたところで、いま国会議員の不逮捕特権ということがいわれておるのは、国会議員なるがゆえに特別の人間として不逮捕特権がある、こういう形の論議がどうも強いような傾向を私は見受けるのですが、そうでなくして、その三権分立の中から、行政機構というものは、これまた民主主義社会では与党と野党が権力争いを常に行なう。権力争いを行なう場合に、特に与党側では、いまの佐藤さんの指揮権発動にも見られますように、権力をもって指揮権でそういうことを処理することができることもある。野党側としてはそういう方法がない。そういういわば与野党の権力争奪の一つの面、軽々しく野党側の国会議員を逮捕してはならない、こういうことだけではありませんが、こういうことを非常にウエートを重く見たり、あるいは、また、ものの解釈によってはウエートを重く見なくても、そういうことを含んだ中からこの国会議員の不逮捕特権というものが出てきておる、こういうふうに憲法の解釈上もいわれておるわけです。こういう点はいまほとんど論ぜられないで、大体現場の問題とか、あるいは現行犯の解釈の問題、こういう形で論議が進められておるわけです。これはどなたでもいいですが、そういう形からこの憲法に特に国会議員の不逮捕特権の項がうたわれたりしておる、こういうふうにはお考えになりませんか。
○高辻政府委員 憲法五十条の規定の趣旨につきましては、むろん何べんもお話があったと思います。要するに、国権の最高機関、現在はそうでありますし、昔でもやはり国民の代表機関であったことに変わりがないわけです。それに対して別の権力が何らかの干渉を加えて、思うとおりに審議がいかない、そういうことを防ごうという趣旨でございますから、そこには、やはり、国会、議会あるいは議員というものに対する考え方というものが含まれておるといいますか、そこに集中されておる、これだけは確かなことだと思います。
○只松委員 そういうことであるのならば、先ほどの論議はおかしいとは言いませんけれども、特に江口長官あたりの現行犯の解釈、そういう問題ももう少し角度を変えた考え方なり答弁が、ぼくは必要であろうと思います。佐々木さんからもちょっとお話がありましたように、やはり公務執行妨害という罪——現行犯はいろいろありますけれども、公務執行妨害ということに例をとりますと、今度の楢崎君の事件でも起こったように、片方はなぐった、なぐらない、あるいは片方は防いだ、防がないという。これは私たちもデモの中に入っていてよくあることですが、片方の警察は警棒を使ってなぐってくるのに対して、ひどいじゃないかと言って、こうやって手をあげたのを、なぐりにかかったといって現行犯としてやられるわけです。これは昔、治安維持法のときに、どこで現行犯を逮捕するかというときに、鈴木文治がステッキを持っていて、ステッキを肩から以上に上げた。その瞬間をとらえて、これを凶器とみなして鈴木文治が逮捕された、こういうこともあるわけです。だから、先ほどのようにシビアーといいますか、法のもとに万人は平等である、こういう角度からのみ国会議員の不逮捕特権というものを論じていけば、確かに江口さんのおっしゃるとおりの解釈が出てくると思います。しかし、そうではなくて、権力争いの母体の中から出てくる国会議員の不逮捕特権ということにウエートを置いて解釈していくならば、先ほどから言っておる江口さんの解釈というのは、たいへんに趣旨が反してきはしないか。きょうは衆議院の法制局長が来ておらないようですが、二、三日前に話があったときには、私が言っているようなことをにおわせるような答弁のほうが多かった。その点、江口さん、どういうふうにお考えになりますか。
○江口政府委員 先日の本委員会における御論議の模様を、私あとで聞きまして存じておりますが、立法論としては別でございますけれども、現在の法の適用という面からすると、五十条の精神を生かすには、法律でやはりこれこれと書かない以上は、法律に書いてあるとおりが法のたてまえであり、それをどう運用するかは、事実上の運用の面で考える以外はない、私たちはこういうふうに考えております。
○林議員 吉武さんと江口さんにお尋ねしたい。 さっきからいろいろな問題はありますけれども、非常に重要な問題だと思うのです。憲法で保障されておる、とにかく国会議員の特権ですからね。それが現場の警察官の判断いかんでどうにもなるということは、たいへんな問題だと思います。それで慎重にしろとかしないとかいう意見も出ております。そこで、私はいろいろな問題がありますけれども、その中の一つの現行犯なら逮捕しなければいけないのですか。現行犯だから当然逮捕するのがあたりまえだという理論で進められておるのですけれども、現行犯ならどうして逮捕するのですか。逮捕するかしないか、その自由はあるのですか、ないのですか。
○吉武国務大臣 現行犯につきまして逮捕する必要があるかないかは、その場におけるいわゆる判断できめることだと私は思います。
○林議員 江口さん、どうですか。
○江口政府委員 私も同様でございます。
○林議員 刑事訴訟法には逮捕することができるとあるのです。逮捕しなければならないとは書いてないでしょう。そこで、逮捕することができる場合に、逮捕するのとしないのと、どういうように条件が違うか、どういう場合は逮捕し、どういう場合は逮捕しないのですか。
○江口政府委員 まず、しない面から言いますと、先ほど一ぺんお答えしましたが、五百円以下の罰金または拘留科料のついておるというような罪については、例外以外は逮捕しない。これはしようにも法律的にできない。それから逮捕のできる面でありましても、逃亡とかあるいは証拠隠滅とかいうおそれがなければ、逮捕しないで事件を立てていくというのが捜査の原則でございます。
○林議員 だから、そこが問題です。逃亡するおそれがあるとか、証拠隠滅のおそれがある場合に、捜査の都合上逮捕するのでしょう。何も応報的に、警察官の手をたたいたから、おまえは悪人だから逮捕するという意味じゃないでしょう。それは少なくとも国会議員ですよ。しかも、楢崎君は隣の県の福岡選出の国会議員ですよ。国会議員というものを、逃亡するおそれがあるといって、どこに逃亡するのですか。証拠隠滅といって、何の証拠を隠滅するのですか。手をたたいたとかたたかないとかいっても、警察官がそこにおるじゃないですか。証拠隠滅のしようがないじゃないですか。それを逮捕するというところに、普通の刑事犯罪と違った政治的な弾圧、国会議員に対する侵すことのできない審議権を侵しておると考えませんか。そんなことをいって、暴行だからいいけれども、脅迫ならどうしますか。私がこういう大きな声を出すから、林百郎は目をつり上げてでかい声を出した、あれは脅迫だと自民党の人にやたらに言われて、自民党の権力下にある役人に逮捕されては、野党なんかたまったものではない。何でそれでは楢崎君を逮捕する必要があったのですか。逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれがどこにあったのですか。これは吉武さんに聞きたい。
○福永委員長 林君、よく御理解だろうと思いますが、本日は別に具体的にどの件ということではありません。したがって、そういうことを御認識の上で御質疑を願いたい。
○林議員 わかりました。具体的に福崎さんの問題にもからんで、少なくとも国会議員は、憲法で不逮捕特権が保障される、しかも、国権の最高機関の構成員ですよ。それが逃亡のおそれがあるとか、あるいは証拠隠滅のおそれがあるというようなことで、しかも、それが単なる暴行だとか暴行でないというような被疑事実だけで、どうして逮捕する必要があるのですか。
○吉武国務大臣 必要があるかないかは、それはそのときの事情によることでございまして、私は、あの際において交通規制上やむを得なかった、かように存じております。 〔発言する者あり〕
○福永委員長 御静粛に願います。
○吉武国務大臣 大衆デモで、渦巻き行進やら蛇行進で混乱しておるときの規制をしていたわけであります。そのときの公務執行を妨げられたので逮捕された。私はやむを得ないと思います。
○林議員 逮捕というのは、公務執行の妨害をしたから逮捕するのじゃないですよ。公務執行妨害被疑ですよ。まだ被疑事実ですよ。現に起訴されていないでしょう。そういう被疑事実を捜査する上に、この人を逮捕しなければ将来の捜査に妨げがあるというときに逮捕するということが出てくるのです。そんなジグザグデモをしたからといって、国会議員を逮捕する必要がありますか。するしないは別ですよ。だから、将来逃亡のおそれとか証拠隠滅のおそれがどこにあって逮捕する必要があったのですかと聞いておる。隣の県の国会議員ですよ。吉武さんのおっしゃるようなことで、あなたは権力の座にすわっておるからいいですよ。野党の身になってごらんなさい。違法の公務執行妨害をするように挑発をかけて、ジグザグデモの中に入ったら交通規制違反で、現行犯で逮捕します、林君、あなたの声が少し大きいから逮捕しますなんてやられたら、これは全く政治的な意図で、憲法で保障されたわれわれの不逮捕特権が左右されますよ。だから、ぼくは吉武さんの言うことは間違いだと思う。かりに交通規制上何とかしなければいけない必要があったとしても、それは逮捕の理由になりませんよ。犯罪捜査上どういう必要があって逮捕したのですか。
○吉武国務大臣 私が言ったのは、公務の執行をしておったのは、交通規制のために公務をやっていたわけです。規制をしていた。それを妨げて、なぐられたというのでそれを逮捕したわけですから、これは私、現行犯としてやむを得ないのじゃないかと思います。
○林議員 ちょっと討議のべースが違うんです。現行犯をかりに楢崎君がしたとしても、現行犯をしたからといって、なぜ逮捕しなければならないか。逮捕というのは、被疑事実の捜査の必要上するものであって、あなた方みたいに現行犯があったらすぐ逮捕する、しかも、現行犯であるかないかの判断は、一警察官がする。そんなことをいったら、憲法で保障された国会議員の不逮捕特権を一警察官の判断でどうにでもなるじゃありませんか。しかも、令状を出す場合には、裁判官が逮捕する必要があるかどうかということを、普通の場合はちゃんとやるわけでしょう。しかも、現行犯でなければ、内閣の承諾を得て裁判官の令状と−内閣と裁判官と両方の判断にまかされるわけでしょう。そういう慎重な手続がとられるというときに、現行犯だからということだけで逮捕されるなどという解釈を吉武さんがしていたら、これは大事な問題ですよ。重大な、われわれ国会議員の権限に対する侵犯ですよ。あなた、考えを直してもらわなければならぬ。現行犯であるかどうかということは論議があるし、委員長の注意もあって、具体的にそういう目下裁判にかけられるという問題の討議はいたしませんよ。しかし、少なくとも国会議員であり、公然と何万という人から選挙された国会議員を、しかも国権の最高機関を構成する国会議員を、普通の不逞のやらかと同じように、あれはどこかに逃げていくかもしれない、あるいは証拠隠滅をして何かするかもしれないというようなことで、しかも、現場の一警察官の判断だけで逮捕されてはたまったものではないじゃないですか。あなたそう思いませんか。ぼくは弁護士だから、特にそういうことを敏感に感ずるのです。あなたは自治省の大臣であると同時に、国会議員だという身分を忘れては困る。あなたはいま人のことだと思っているかもしれないが、いつ自分の身に振りかかってくるかもしれないですよ。共産党が権力を握るときだってあるのだから、もう少し慎重に、もう少し正確な答弁をしてもらいたい。現行犯だから逮捕するなんということはないでしょう。
○吉武国務大臣 現行犯で必要があるから逮捕したのであります。そこで林さんの前提は、やはり根本にさかのぼると私は思います。つまり、国会議員は不逮捕特権があって特別扱いされるものだということを前提にされておるのでありますが、先ほど江口長官が言いましたように、憲法で法律の定める場合を除くといって、その法律の三十三条には、現行犯を除く場合と規定してある。ですから、その現行犯については、先ほど、法のたてまえをいえば、法の前には平等である、国会議員であるからといっての区別はできない。ただ実際上慎重な取り扱いをすることは、これは常識上当然だ、こういうことを言っておるわけであります。先ほど来林さんがおっしゃるように、それは国会議員だと思って、そうしてむちゃくちゃに逮捕されては困るじゃないか、これはそのとおりで、そういうことをするはずはないのであります。でありまするから、そういう乱用を初めから前提としてお考えになると、それはおかしいじゃないかということでありますけれども、そういう趣旨では私はやっていないと思います。
○林議員 吉武さん、あなたは全然わかっておらないですよ。私は国会議員の特権なんて言っていませんよ。刑事訴訟法だって、現行犯人は逮捕することができるとあるのですよ。これは国会議員であろうとだれであろうとあたりまえです。そこで、それでは現行犯でも必ずしも逮捕しなくてもいいのです。なぜ逮捕するかというと、今後の犯罪の捜査上支障を来たすような事態が起きてはいかぬから、念のために逮捕するわけでしょう。これは国会議員だって一般の人だって同じですよ。そこで、楢崎君を逮捕する必要があるかどうかという問題を考慮する場合に、一般の人ですから、逃亡のおそれがなかったり、証拠隠滅のおそれがなければ逮捕はしないのです。逮捕しなければいかぬということは、どこにもないのです。それを少なくとも今度は常識的な判断、公平な判断をする場合に、普通の人ですら逃亡のおそれがなく、証拠隠滅のおそれがない場合には逮捕しないというのに、少なくとも国会議員たる身分のある者を、普通の人ですらしないものを特にするということは、これは明らかに国会議員の地位を侵害するといったって当然じゃありませんか。それでは、普通の人ですらやらないことを、楢崎君になぜ特に逃亡のおそれがあり、証拠隠滅のおそれがあるといってやったのですか。これは明らかに政治的な意図ですよ。そう考えざるを得ないじゃないですか。私は国会議員の特権なんて言っていませんよ。普通の人だってそうですよ。
○江口政府委員 私から補足いたしますが、いまおっしゃるとおりでございます。普通の場合でも、国会議員であっても現行犯逮捕をするということは、逃亡のおそれがあるか、あるいはまた犯罪を繰り返す予防の意味があるか、あるいは証拠隠滅というような、何か、いまつかまえなければ困るという合理的な根拠のあった場合やるわけでありますが、あの場合は、何べんも申し上げまするように、楢崎代議士だということは、逮捕するときにはわからなかった。(「ちゃんと書いてあるじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それはなかった。
○福永委員長 御静粛に願います。
○江口政府委員 もう一つは、楢崎代議士だけをなぜやったかというような話でございますが、同様の事件で三十人近く公務執行妨害罪で逮捕されています。だから、楢崎さんというものを特に目ざしたという事実は毛頭ございません。
○柳田委員 それでは江口さん、もしもあの瞬間で福崎代議士だとわかっておったらどうしましたか。いま、あなたの答弁では、証拠隠滅だとか、もう一ペん繰り返すだとか、あるいは逃亡だとか、そういうようなことは林さんのおっしゃるとおりだ、現行犯で逮捕することもあるし、逮捕することもないし、おっしゃるとおりだと言っておる。しかし、あの場合は、楢崎代議士とわかっていなかったという。わかっておったらどうしますか。
○江口政府委員 わかったらどうしたかということは、想像になるわけでございます。それは当該警察官がどういうふうに判断したかということを聞くことになるのでございまして、私はちょっとこれ以上答えられません。
○柳田委員 それでは、その警察官を呼んできたらいい。わからなかったから逮捕しましたという。もし、わかっておったらどうかと聞いたら、いや、それは警察官に聞かなければならぬ。そんなような、ここの委員会をばかにしたような答弁で委員長どうしますか。わかっていなかったから逮捕したのだ。いかにもわかっていなかったということを逮捕した理由であるかのごとく言ったでしょう。それではわかっておったらどうするのですか。わかっておったら、それは仮定の問題で、警察官を呼んでこなければ答えられない。そんなことでどうするのです。むちゃじゃないですか。わかっていなかったから逮捕したと言ったじゃないか。そんなばかなことがあるか。
○江口政府委員 わかっていなかったから逮捕したとは申しておりません。ただ、それをねらい撃ちにしたじゃないかというお話でございますから……。 〔「速記録を見ろ、だれがそんなことを言った」 と呼ぶ者あり〕
○江口政府委員 先ほどあった……。
○福永委員長 静粛に願います。
○江口政府委員 とにかく、つかまえた当座においては知らなかったことは事実でございますということを申し上げたのであります。
○中嶋(英)委員 私、すなおな質問をしたいのですけれども、先ほど柳田委員から人権侵害の問題で公安委員長に御質問があったのですが、訴え出たうちの一五%が人権擁護局では明らかに人権侵害だ、こういうふうに言われた。重大な問題だと思います。こういう警察職員の人権侵害がなぜ起きるか、私も非常に興味を持って調べてみたのでありますが、心得違いの場合と、それからその前後の情勢の中で、興奮状態あるいは感情的になって行なった場合、これが非常に多いわけです。こういうことからいって、警察官といえども、理性から離れる場合、理性を失う場合がある。そういうときに人権侵害の問題が往々にして起きるという問題があるのですが、この点、どのようにお考えになりますか。
○吉武国務大臣 私は、現実にはそういうこともあろうかと思います。しかし、そういうことはあってはならぬことで、これは今後といえども注意をして、行き過ぎのないように、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。
○中嶋(英)委員 ちょっと警察官の弁護的になりますが、心得違いで行なう場合と、人間ですから、ときに理性を失う。たとえば相手が冷笑したように見えた、本人は生まれつきの顔面神経痛だ、冷笑したように見えたからちょっとやったという、事実そういう例がある。そういう場合と、後段の場合にはむしろ同情的な見方ですけれども、あなたどちらのほうが多いと思いますか。心得違いの場合と完全なるはき違えの場合と、間々興奮し、感情的になって行き過ぎが出る場合と、どちらが多いと思いますか。
○吉武国務大臣 そのときどきの事情によることでありますから、一々私は存じませんけれども、まあ私ども考えておりますのは、今日の警察官は自重に自重を重ねておる、しかし、人間のやることですから、ときにはそういうこともあるだろう、しかし、今後といえども十分注意をしていくべきである、こういうふうに考えておるわけであります。
○中嶋(英)委員 それで、大衆運動などの場合に私らも参加する場合があるのですが、大衆運動と警察隊との接触の場合、常時自分の理性を極度に働かしていなければ、どういうきっかけで何が起こるかわからない。そうして、緊張してその場に臨んでおる。私おそらく警察官のほうでも、指導者たる者はそういう感情なり理性なりを持って一般に臨んでおると理解しておるのです。しかし、ときどき好ましくない状態が生まれる。しかし、それは大衆運動に警察官が接触する場合は、双方とも興奮状態になり得る場合が住々にしてあると思う。その点はどうですか。
○吉武国務大臣 私は、そういうこともあり得ると思います。しかし、それについては十分私ども注意をさせておるのであります。
○中嶋(英)委員 そうすると、公務執行妨害というものは、警察官の現場の判断にあるわけですけれども、それが客観的に妥当なものであるかないかという場合には、その場合の警察官の興奮状態に置かれやすいときなのか、そうでないのか、その点が非常に重大だと思うのですが、こういう点について、江口さんはどのような指示をされておりますか。
○江口政府委員 仰せのような事例の場合は、お互いに興奮して接触するということが多かろうと思いますから、そういう場合は、できるだけというよりも、原則として指揮官の判断によってやれということが一つと、それから指揮官を含めて全体の警備関係者に対して冷静であれというようなことは、そのつど注意をいたしております。
○中嶋(英)委員 それでもなお冷静を欠きやすい状態にありやすいですね。私は特定の問題を言っておるのじゃないのですが、一つの例ですけれども、たとえば長崎の事件のような場合に、先ほど国会議員は慎重に常識的に取り扱わなければならぬとおっしゃったが、私はあるときに、ある場所に行ったときに、警察官がそばにおる、何だと言ったら、いや、どうも右翼が介在する形勢があるので、万一何か間違いがあってはいかぬからあなたの身辺を保護したいのだ、こういうこともあったのですが、少なくとも原潜の問題は、あの当時の情勢からいって、社会党としては現場に現職の国会議員を派遣したという事実は、警察現場でも指揮官はよく知っておったと思う。その点は一般警官にもよく知らせておったと思うのですが、どうですか。
○江口政府委員 具体的にだれだれという先生がおいでになっておるかということは、指揮官といえども全部は知らなかったと思いますが、国会議員の方が何名見えておりますという報告がございますから、それはある程度行っておられるということは指揮官は知っていました。しかし、現実に警察官全体が知っておったかということになりますと、それはそうでございません。それはやはりああいう警備実施というものは、デモ等をやられるほうは時間をきめてやられるのでしょうけれども、こちらのほうは四六時中いるわけで、一日おきに大体交代をさせておる。きのうの警察官はきょうの警備についていないというような状況でございますから、具体に何々先生が来ておられるというようなことを、すべての警察官がその日知っておったというようなことは考えられないのでございます。
○中嶋(英)委員 先ほど来から現行犯というものが一つの壁になっておるのですが、現行犯というものは、犯罪が非常に明白な場合でしょう。その点、国家公安委員長どうですか。
○吉武国務大臣 もちろんそうだと思います。
○中嶋(英)委員 公務執行妨害というものは、いろいろな罪名がありますけれども、露骨にいうと、お手盛り罪になる危険性があるくらいで、よほど万人が認める場合でないと非常に明白性を欠きやすいものだと思いますが、その点はいかがですか。他の罪と比べて、何か起きるとすぐ明白にわかる、そういうものですか。
○吉武国務大臣 もちろん、先ほど来お答えをしておりますように、明らかでなければならぬと思います。
○中嶋(英)委員 たとえば、興奮状態にあった場合に、委員長と長官に伺うのだけれども、同僚の肩へ手を置いたとする、きげんのいいときはようと答えるけれども、きげんの悪いときには、ただようと言っただけで、相手は何をするのだという場合もあり得ますね。ですから、興奮状態にあったとき、その相手がつかみかかったものなのかあるいは制止したものなのか、そういうものが非常に判断が迷いやすい情勢にあると思うのですが、その点は一般的に、常識的に考えてどうですか。
○吉武国務大臣 ただいまのお尋ねは楢崎……。
○中嶋(英)委員 いや、そうではなくて……。
○吉武国務大臣 一般のですか。これはそのときの具体的のものを見ないと、ただおっしゃっただけではわかりません。
○中嶋(英)委員 現行犯というものは明白でなければならぬ。公務執行妨害というものも当然明白でなければならぬ。ただ、大衆行動と警察官の接触点の場合には興奮しやすい。興奮しやすい場合、相手は、制止したのが、考え方では制止と受け取らない場合もあり得るのですね。絶対あり得ませんか。あり得るでしょう。あるいは逆に、なぐりかかったものを制止と受け取る場合もあるかもしれない。興奮状態というものはそういう情勢でしょう。どうですか。
○吉武国務大臣 あらゆる場面があると思いますので、いまおっしゃったことで、私どもどうということは……。
○中嶋(英)委員 あり得ると思いますかと聞いておる。
○吉武国務大臣 あり得る場合があるかもしれませんし、それは具体的になってみなければ、私はお答えができません。
○中嶋(英)委員 ですから、それはあり得るということですね。 そうすると、公務執行妨害というものは、現場の警察官の認定にまかされておる。一方、先ほど来から現行犯であるからやむを得ないという壁をつくりながらも、しかし、国会議員の逮捕というものについては慎重を期さなければならぬことは常識だ、こうあなたはおっしゃっておる。そうすると、国会議員の逮捕があったというときすぐに——しかも、その情勢が今回の国会議員の逮捕のときは大衆行動と警察官との接触の場合ですから、興奮しやすい情勢にあるということもあなたはお認めになる。そういうことが起きた場合にまず考えることは、行き過ぎがあったかどうか、あるいは感情的な何かがあったかどうか、慎重に扱うならば、こういう点をお考えになるのがまず当然だと思う。それを何か初めから現行犯だから、現行犯だからといって立てこもっておられると、これは感情的なものでないとするならば何か意図的なものだ、こう理解せざるを得なくなってくるのですが、今回起きた遺憾な事件、具体的な楢崎問題について、そういう興奮とか、感情とか、あるいは何か行き違いとか、そういうものを一切除いて、あくまでも厳密な不当な公務執行妨害が起きたのでそれを逮捕したというお考えですか。それを結論としてお伺いいたします。
○吉武国務大臣 具体的の今回の楢崎事件についてのお尋ねでございましたら、それは私どもの調査の結果は、公務執行妨害が明らかであったので逮捕した、こういうことでございます。
○江口政府委員 同様でございます。
○中嶋(英)委員 そうすると、この場合には警察官のほうも冷静であった、それから公務執行妨害の事実についても明白であった、こういう条件を加味したお答えですね。
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、今回の事件については、そのように私どもは承知しております。
○中嶋(英)委員 承知しておりますということは、聞いたということですか。
○吉武国務大臣 私は現場にいたわけではありませんから、調査したものを自分で聞き、見しておるわけでございます。
○中嶋(英)委員 聞き、見したときに、それでは人権侵害については、警察官の場合は心得違いの場合もあるけれども、一方では、そのときの何か感情的なもの、あるいは興奮状態、そういうものから起きやすいという、こういうこともあなたはお認めになっておるのですね。それから大衆行動と警察官との接触の場合は間々興奮しやすい、理性を失いやすいということもお認めになっておる。そういうことがあったかどうかということについて、あなたとしては関心を払われておるかどうか、こういう点を私は聞いておる。その点どうですか。
○吉武国務大臣 人間のことですから、そういうことがあったかもしれませんが、結果的には、今回逮捕いたしました問題は、調査をいたしまして、公務の執行の妨害が明らかであって逮捕した、かように存じております。
○中嶋(英)委員 いま私が指摘したようなことがあったかもしれませんが、とにかくこれは公務執行妨害だということは、感情とか、興奮とか、冷静を欠くとかいう情勢があり得るということを認めた上で、なおわれわれは公務執行妨害だ、こういうことですね。
○吉武国務大臣 あったかもしれませんけれども、そういうことがあったということを前提として申し上げるわけじゃございません。それは、そういう大衆行動の規制をしておるときで、人間でございますから、感情にいささかのなにもなかったかあったかということは、私はそこに立ち会っておりませんからわかりませんけれども、結果的に、あの際における公務執行妨害は明らかであったがゆえに逮捕した、このように考えております。
○中嶋(英)委員 現行犯は犯罪の明白性が大切である。今回の公務執行妨害についても、先ほど法制局長官からも話があったように、万人とまではいかぬが、九千九百九十九人のことだろうと思いますけれども、ひとしく認める裏づけがなければ、うかつにはやってはいかぬ、こういう意見の発表がありましたね。そういう意味で、当日は現場についてあなたは調査をし、承知をしたというけれども、単に警察官の報告だけではなくて、客観性のある何か資料、報告、認定、そういうものを加味された上での先ほど来の御答弁であるかどうかを最後に伺います。
○吉武国務大臣 私どもは、事務当局が詳細に調査をいたしました結果を聞いておるわけであります。
○安宅委員 ちょっと法制局長官に伺います。先ほど長官は、立法の精神なり、そういうものは歴史的に非常に重大な要素を持ったものである、その適用にあたって、特に国会法三十三条など、国会の意思がそういう法律によってあらわれてきたので、たいへん運用上困ったり、むずかしいことがあり得るという意味の答弁をされておりました。それで、伺いますが、そういう法の精神なり立法のあり方というものをあなたのほうで解釈しようとするならば、不逮捕特権というものについては、たとえば、先ほど林さんからありましたように、かりに公務執行妨害に限って考えてみた場合にも、公務執行妨害という権力を行使する者が、比較的任意というか恣意に逮捕することができる状態、こういう場合は逮捕をすることができるという法律であるのにもかかわらず、現実は、警察庁長官などの答弁によれば、幾らでも逮捕ができる。それで、現実に、理由は別として、末端の一警官でもその判断ができるのだという結果になってくる。したがって、結果的には立法の精神というものは、そういうことから、今日そこに運用上たいへん大きな蹉跌を来たしておるのではないか、そういうことをあなたが感じておらないかどうか、これだけ聞きます。 なお、長官のあと法務大臣の答弁もあわせて聞いておきたいと思います。
○高辻政府委員 私は、先ほど議員の不逮捕特権の成立の由来及び旧憲法との比較について、国会の自律的な判断に基づいて法律を制定するというところが非常に違うと申し上げたわけです。それで、現行の法律が、例の国会法三十三条ということになっておりまして、そこには現行犯罪と書いてある。そこで、その現行犯罪の意味、解釈をめぐって、実はまさに何回となく議論がされておるわけであります。その際に、現行犯罪ということについて、立法上の制約は別段ございません。その上で、したがってまた解釈の問題になりますが、その運営の面で相当慎重に考慮をしなければならぬのじゃないかということは、実は他の政府委員からも申し上げておるところであります。しかし、それだけでは足りないのではないかという意見もあり得るわけでありますが、それは実は立法論の段階に入ってまいります。その辺はどういう判断をしたらいいものか、私どもはよくその辺は検討していい問題じゃないかと思います。ただ、国会法のことでございますので、内閣法制局が出過ぎてお話を申し上げるのもいかがかと思いますが、大体そういうものは検討されていいものかと思います。
○安宅委員 結果的には警察官の判断でもそういうことになり得るのだという。なっておるのか、なっていないのか、それだけ聞けばいい。法務大臣の答弁をまだ聞いていない。
○高橋(等)国務大臣 もう一ぺん簡単に言ってくれませんか。
○安宅委員 この不逮捕特権というのは、立法の精神なりそういうものは歴史的な意味を持っておるものだという解釈は、この前も言っておるのです。それからきょうも言っておるのです。ただ、国会の意思がいろいろな方面で出てきますから、そうした場合に三十三条ということが結果として出てきておる。だから、現行犯の場合どうかという議論が出ておるのです。いま法制局長官も言っておられる。ところが、現行犯として、一般人でさえも逮捕することができない場合も、できる場合もある。こういうときに、不逮捕特権というものを現実に持っておる国会議員でさえも、こういう法律が国会の意思でどう変わったという差し出がましいことはおれは言えないと長官は言っておる。私は公務執行妨害に限って言っておるのですが、結果的には権力を行使する人の判断、たとえば警察官もそうですね。その人の判断によって幾らでも左右される。結果的には今日そうなっておるということを認めざるを得ないのではないかということを質問しておる。ところが、法制局長官はずるくてそこのところは言っていない。そこをはっきり言ってもらいたい。
○高橋(等)国務大臣 私からお答えすることが適当であるかどうかと考えますが、結局、そうした職権を持った者が判断をいたすということは、これは事実でございます。ただ、不逮捕特権といまの現行犯との問題ということは、不逮捕特権をきめました沿革、その他国会の審議は非常に重要である。その審議に携わる議員の身分というようないろいろなことから勘案しまして、いまの現行犯だけ、あるいは院の許諾のあった場合これを逮捕できると規定してございます。これらの運用について非常にむずかしい問題があるというように私も感じておるのでございますが、それ以上、法律が厳として存在しております以上、法務省としては、やはりいまとにかく吉武大臣が言ったとおりに解釈をしております。
○安宅委員 長官、答弁漏れがあった。権力を行使する者が左右できる状態に結果的にはなっているかなっていないか、それを言わない。なっているでしょう。
○高辻政府委員 それは、結局、さっき申し上げましたように、公務執行妨害の現行犯としてそれが成立するためには、先ほども申し上げましたように、単にその人が全くそう思い切っておるからというだけでは足りなくて、そういうことを考えるにつきまして、一般人がそう思うのももっともだというような事情が備わらなければいけないということを申し上げました。そういう場合にこの場合が当たるのかどうか、これは結局具体的なケースの問題で、これまたはなはだ逃げるようではございますが、具体的に私どもはなはだ不案内でございますので、その辺は責任を持って申し上げられない。これはやむを得ない法制局長官でございますので、その点はあしからず御了承願いたいと思います。 〔「解釈がばらばらだ」と呼び、その他発言する者あり〕
○福永委員長 下平正一君。——他の諸君は御静粛に願います。
○下平委員 国会議員の逮捕の問題は、議会始まって以来の事件でありますし、本質的にもこれは非常に問題を含んでおると思います。そういう意味で、私は地方行政委員会等で扱うのでなしに、本来、議員の身分、国会の権威、そういう立場からこの委員会がほんとうに慎重に審議を重ねて、何らかの結論を出すべきだ、こういうことでこの委員会で取り上げてもらったことはたいへんいいと思うのです。今日までこの問題に関して、二回の議論を通じてやや明確になったことは、憲法の五十条、国会法の三十三条、その精神というものは、単なる従来の歴史的な考え方だけでなしに、新しい民主主義の新憲法のもとでは、国会の審議権というものがこの精神の中に十分含まれておるのだ、こういう点は、各党はもちろん、政府の出席者の方々も確認をされたことだと思うのです。そこで、当然その結果から出てくることは、国会法三十三条にいうところの現行犯というものはどういう場合をさすのか、どの程度のものをさすのかというような議論が出てきて、ここで議論が沸騰しておると思うのです。そこで、当然審議権が対象に含まれるという原則が確認されるなら、それに基づいて、それではもっと具体的に立法的な措置を講ずるのか、あるいは運用というものを明確にするのか、そういう議論というものにこの委員会の議論が発展しなければならぬと思うのです。ところが、本日はもう本会議の時間も迫っておりまするし、わずかの時間でこの結論を出すことはなかなかむずかしいと思います。 したがいまして、私はこれらの問題については、さらにこの委員会で継続して議論をし、審議をしていくということを前提にして、せっかく官房長官がお見えになっておりますが、さっきから手持ちぶさたのようでありますので、現段階の議論、経過等の中から、内閣としては、この種の問題についてどういう見解を持っておられるか、内閣を代表して一応官房長官の意見を聞いて、残余の点については、将来この委員会で十分検討していく、こういう形にしたらどうかと思うのです。
○橋本政府委員 先ほどから皆さんのお話を聞いておりまして、たいへん勉強になりました。国会会期中における国会議員の逮捕については、これは憲法その他議員の身分に関する法律にかんがみまして、現行犯罪の場合といえども、あるものについては十分に慎重に考慮して扱うべきものである、かように考えております。
○佐々木(良)委員 下平君の意見に賛成する意味で、私もちょっと要望しておきたいと思います。 まず、委員長に対して要望いたしますが、この問題は、先ほど話があったように、この委員会においても、三十三年の事件以来いろいろと検討を重ねたところでありますけれども、これは内閣の中でも、警察の中でも、それから国会の中でも、必ずしもまだ本質的な解釈は一貫したものが成り立っておらぬと思います。したがって、先ほど内閣法制局長官が言ったように、もし五十条の解釈を、先ほど来話があったように、国会の審議権尊重という趣旨に基づいてできておるのだという解釈のもとにその法制化をしようと思うならば、あるいは現行の国会法の三十三条、三十四条だけでは必ずしも立法が十分でないこともあり得ると思います。したがって、解釈論で埋められないならば、当然に今度は法改正という問題もあわせて検討しなければならぬと思います。その意味で、いま下平君が提案されたように、この問題については、今後引き続き本委員会において検討を続けられるように要望いたしたいと思います。 それからもう一つ、官房長官並びに内閣法制局長官に、同じ意味で私は要望しておきたいと思いますが、五十条の解釈は、先ほど来話があったように、大体一致したところにきておると思います。しかしながら、この運営にあたっては、現実にわれわれが経験した三回の許諾要求事件、二十七年、二十八年、三十三年に許諾要求が来ておって、あるいは来る寸前に取り下げがあったりして、似たような事件が三回続いておる。それから、現行犯逮捕は今回初めてという事例が起きたわけであります。この起きたことについて、内閣の考え方なり態度というものは必ずしも一貫しておらぬと思います。格別に、許諾要求につきましては、先ほど来申し上げておりますように、十分なる慎重な態度をとらなければならぬという態度は、内閣側から一貫して述べられておるところであります。許諾要求を単に犯罪捜査上の必要ということだけで、憲法十四条が命ずるような、あらゆる人に対して行なう捜査上の必要ということだけではなしに、国会議員の身分及び職責からかんがみて、慎重な態度をもって許諾要求をしなければならぬというふうには答弁をされております。しかしながら、現実に、先ほど申し上げましたように、その第一次的な要望をすべき警察官、本部長及び所轄の警察署長の近所においては、申し上げましたように、これはむしろ十四条のほうが先行するみたいな考え方であって、許諾要求は、少しでも犯罪捜査の必要があればわれわれは行なうのだ、そうして、それをうんと言うか言わないか、許諾にイエスを言うか言わないかということは、国会側の判断に帰せしむべきだ、こういう解釈が実際には警察官の線には一貫して流れておるような気が私はするのでありまして、内閣及び警察庁、それから公安委員長の近所の解釈と事実上運営が異なっておるわけであります。同時にまた、先ほど来話がありましたように、現行犯逮捕の問題については、先ほど江口さん自身の口から出たように、このことは必ずしも明瞭ではありません。つまり、議員として慎重な態度をとるべきかとらざるべきかということについて、ある場合には慎重な態度と言われ、ある場合にはそれは証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれが、議員であるからないから、こういう意味で逃亡のおそれだとか、証拠隠滅のおそれの、それの判断材料として議員の資格を取り上げられておるだけでありまして、憲法五十条に基づいて、審議権を尊重しなければならないから、議員の逮捕については、現行犯についても弾力的に考えなければならぬということにはなっておらぬわけであります。そうしますと、実際はその判断を第一線にまかされるわけですけれども、第一線にまかされた場合に、そういう判断ができないのは当然でありまして、お話がありましたように、むしろ乱用的な傾向さえあり得る状態である。格別、私は日本の法制、特に公務執行妨害罪につきましては、これら明治憲法以来の伝統みたいな形で、公務員の職務を執行するにあたって、これに対して暴力脅迫を加えた場合は公務執行妨害の容疑だということであって、諸外国の立法例にあるような、適法に公務執行が行なわれることが公務執行妨害罪の前提となっておらないという状態から、なお一そう私は乱用のおそれがあると思います。そして、現に乱用のおそれなしとしない事例が、楢崎事件を中心にして起こっておることは事実でありまして、この辺に対する内閣及び警察庁、それから現場の解釈は決して一貫したものではないと思います。したがいまして、現行法上におきましてもこの解釈を一貫され、そしてその解釈に基づいて、運用、施行上に矛盾がないようにひとつ十分配慮を願いたいと思います。公安委員長は知らぬ顔をしておられますけれども、現実に三十三年の場合には、ここに警察本部長も見え、扱われた警官も見えて、それから江口さんの前任者の石井さんですかも見えた場合に、はっきりと意見が食い違ったわけでありまして、その意見が直されても何もしておらぬわけであります。その意味におきまして、乱用のおそれを含めた場合の運用上の問題は厳然として残っておるわけでありますから、これらについて十分に配慮をした法の運用を、警察権の執行に対しまして、現行法のもとにおいても、憲法五十条の趣旨が尊重されるような意味において、ひとつ特に考慮を払われたいと思います。 それから最後に、私は公安委員長と江口長官に対して同様な意味から申し上げておきたいと思いますけれども、あなた方自身がどう解釈をされても、第一線に解釈を徹底し、運用を徹底しなければ意味をなさぬことであります。格別江口長官に申し上げておきたいことは、現行犯を除外した不逮捕という問題について、公務執行妨害罪なり、現行犯罪が成立するかしないかという問題とは無関係である。先ほど共産党からも意見がありましたように、逮捕ということ自身に対して憲法五十条の特例が出ておるのであるから、憲法五十条の特例というのは、公務執行妨害罪に対して議員も同じようだということではなくして、議員が逮捕されるか逮捕されないか、この逮捕の問題のところに重点があるのでありますから、この運用は非常に重大だと思います。事実は、おそらく柳田君が言いましたように、右手でたたいたか、左の手から引っぱったか知りませんが、事実認定する場合にはいずれかに決して、それが公務執行妨害罪になるかならぬかということで、理論上は紙一重でぴたっとなると思う。しかし、逮捕するかせぬかの幅は、非常に広い幅を持って存在するわけであります。この非常に広い幅こそは、まさに不逮捕特権をどう生かすか生かさないかという問題と密接に関連するところでありまして、この辺が、先ほど内閣法制局長官からもお話が出たように、解釈論で埋められるか、埋められないとするならば、あるいは特殊立法も必要ではなかろうかという問題が残っておる。しかしながら、残ってはおるけれども、この逮捕というところに非常に大きな事実の幅が存在しておることを承知をされて、そうして少なくとも憲法の趣旨に反しないような運営と、それから特別な警察官に対する訓練を怠らないようにお願いをいたしたいと思います。 私はえらいくどいようでありますけれども、実際問題として、この新憲法下になってからこの問題が扱われたのが、許諾要求三件似たような事件があったのに対して、しかも、三件とも選挙違反容疑の問題、それから逮捕一件は、それが現実に妨害罪になるかならぬか、考え方によっては行き過ぎだと見られるくらいな案件である。にもかかわらず、憲法にきめられた五十条という条文に照らしてみたときには、その実際のあり方と非常に幅があり過ぎる気がするわけでありまして、特に国会議員の特権問題については、いま世の中はたいへんシビアーであることは私ども承知している。しかしながら、この議員の特権問題についていろいろ話がありますけれども、私は、いま憲法に定められたるものに従って、むしろ国会の権威というものを最も慎重に考えなければならぬ時期にきていると思うわけであります。したがいまして、一そうこの問題について慎重に当局側も考えられ、委員会側でも扱われるように要望しておきたいと思います。
○福永委員長 下平、佐々木両君からの御要望もあり、この問題の取り扱いにつきましては、各位とも協議を申し上げた上善処いたしたいと存じます。 —————————————
○福永委員長 それでは、本会議は、午後三時五十分予鈴、午後四時から開会することといたします。 —————————————
○福永委員長 次回の本会議及び委員会は、公報をもってお知らせいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時十七分散会