外務委員会 第1号
- 発言数
- 190 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/12/15
会議録
○安藤委員長 これより会議を開きます。 この際一言ごあいさつを申しあげます。 今回、はからずも私が当外務委員会の委員長の重責をになうことになりました。微力ではございますが、練達なる委員各位の御協力を得まして、あやまちなきを期してまいりたいと存じます。何とぞ皆様の御支援、御協力をお願い申し上げます。 簡単ではございますが、ごあいさついたします。(拍手) ————◇—————
○安藤委員長 理事の補欠選任の件についておはかりいたします。 理事正示啓次郎君が去る十月六日委員を辞任され、また、理事でありました私が去る九日委員長に就任いたしましたので、理事が二名欠員になっております。この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事に 野田武夫君 福田篤泰君を指名いたします。 ————◇—————
○安藤委員長 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 当委員会としては、国際情勢に関する事項について調査を行なうため、議長の承認を求めたいと.存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○安藤委員長 国際博覧会に関する条約及び千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣椎名悦三郎君。
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました国際博覧会に関する条約及び千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、国際博覧会の乱設、その無秩序な運営等による弊害を除去して、各国が秩序のある、かつ効果的な国際博覧会を開催し及びこれに参加し得るよう国際的な基準を設けることを目的として作成されたものでありまして、条約の骨子は、所定の国際博覧会を開催し及びそれに参加する場合には対外的に政府の責任において行なうべきこと、国際博覧会の開催頻度及び開催期間を規制すること、国際博覧会の開催国は参加国に対して出品物についての通関上その他の便宜を与えること、条約の実施を確保するために国際事務局を設置すること等であり、議定書は、開催頻度及び開催期間の規制等についての規定の一部を改正するものであります。 わが国は、従来より、わが国の産業、文化の海外紹介、貿易振興、国際観光の促進、国際親善等の目的をもって、各国で開催される国際博覧会に積極的に参加してまいりましたが、最近においては、さらに進んで、わが国における国際博覧会の開催についての関心が高まりつつあります。 わが国において国際博覧会を開催する場合には、この条約の締約国となっていなければ、国際事務局の協力を得られず、また、締約国はわが国で開催される博覧会に参加するについて条約上一定の制約を受けるため、国際博覧会開催の効果は著しく減じられるおそれがあります。また、条約の締約国が開催する国際博覧会にわが国が参加するためには、条約の締約国となることは不可欠の要件ではありませんが、締約国となることにより、条約の保証の下により確実にかつ、より効果的に国際博覧会に参加することができることとなります。 よって、ここにこの条約及び議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○安藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○安藤委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 久しぶりに外務大臣にお尋ねいたしますが、他に質問者もおられますので、簡潔にお尋ねいたします。 日本にとってのみならず、今日の国際外交の中で、中国問題というのは最大の問題になってまいりました。しかも、外務大臣は今度国連総会に御出席になりまして国連を中心とする諸国の動き等を見てこられて、中国の国連における代表権問題について、従来の外務省が判断しておりましたものをさらに進めなければならぬ情勢に来たように見受けるわけです。 最初に、この際、あなたが国連総会に御出席になりました結果、中国の代表権問題に対する見通し、判断について、国会を通じて率直に御報告をいただきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 先般国連総会にまいりまして演説をやり、直ちに帰国いたしましたので、国連内部における、中国問題に関して各国がどういう考え方を持っておるか、また、どうしようとしておるかというようなことにつきまして、詳しく実情について調査をしてくるいとまがなかったのでございますから、国連に行った結果どうだと言われても、私は十分な観察をしてくるいとまがなかった。なお、この問題につきましては、表面化してまいりますのは年が明けておそらく二月ごろじゃないか、こういうことが言われております。その間にも刻々と情勢が変化する可能性はある問題であります。でありますから、いま的確な見通しがつくはずはございません。ただ、国連における代表権の問題をめぐって賛否の数がきわめて接近しつつあることは、あらゆる面の資料を集めて検討してみましても、どうもこれは間違いない、こう思われる情勢であります。
○穗積委員 フルシチョフの政治的な退陣、中国の核実験の成功、これに対する賛否は別といたしまして、この事実の国際情勢に及ぼす影響というものは非常に大きなものだと思うのです。このことは何も突忽として起きたのではなくて、一つの底流の動きというものがたまたまあの時期に表面にあらわれたにすぎないわけでございます。しかしながら、その事実が事実となってあらわれたということがさらに拍車をかけて情勢に大きな影響を与えつつある。われわれは、直観的に、当時中国北京を訪問中でございましたが、この事実によりまして、中国を中心とするアジア・アフリカ諸国またはラテン・アメリカ諸国の国際的連帯というものが急速に高まり、西ヨーロッパ諸国の諸君も中国の国連加盟に対しては来年を待たずして踏み切らざるを得なくなってきたのではないかという判断。したがって、私どもは、結論としては、わが日本外務省が判断いたしておりました、本年度は重要事項指定方式をやればこれで食いとめられるのだという判断は、この時期以後、すなわち十月上旬以後急速に根本的に変わるであろうという判断をしたわけです。にもかかわらず、日本外務省の判断がまだ見通しが立たない。これは私はお先まっ暗な外交ではないかと思うのです。情勢が判断がつかなければ、方針が立つわけはない。したがって、無方針、無原則ということで、私どもは、一体自主外交がどうして行なえるかという疑問を持つわけです。不満を持つわけです。私どものほうは、この問題については、むしろ一定の見通しを立てて、それを前向きに、しかも合理的に、公平に、前の大平外務大臣のことばを借りれば、公正な立場でこの問題に対する日本の方針をむしろ諸外国に働きかけて促進すべきであると思うのでありますが、外務大臣のこのことに関する御所見を伺いたいのでございます。
○椎名国務大臣 中共の核実験成功、これがどういう影響を与えておるか、それが中共の国連代表権問題の解決にどれだけの推進力をなしておるかということについては、私はまだ軽々に判断を下すべき段階でないと思うのです。確かに、中共の核実験の第一回の成功は、漸次各国に対して政治的なあるいは心理的な効果、影響を与えておることは事実でございますが、さればといって、今回の国連総会においてそれが相当顕著にあらわれるということをただいまの段階において即断することはまだ早い、かように考えております。
○穗積委員 中国の代表権問題が、外務大臣の言われるように、従来の外務省が欲していなかったことですけれども、賛否が相接近をして、いずれがいずれとも判断しがたい、すなわち、賛成者の数がふえてきつつあるということであります。その原因を私は一々ここであなたと論争しようと思っていません。フルシチョフの退陣、核実験、さらに加えるならば、中国の経済的な五九年以後の非常な困難の中において自立更生で、六二年を境といたしまして、また鉱工業並びに農業ともに急速な発展をしつつある。反対に、資本主義諸国におきましては、ちょうどこの時期に過剰生産による非常な行き詰まり、操短と市場競争の対立矛盾が激化しつつある。そういうことで、これまた、中国の地位、中国に対する経済的な接近というものが、中国のためではなくて、自国の資本主義経済の成長維持のためにも必要になってきておる。これらのことも、むろん中国接近なり中国の国際的評価に大きな影響を与えた原因であると思います。私は、それらについて、事のついでに、それらのものが原因になっておると思うがということを言っただけであって、それはあなたとここで論争しようと思っているのではなくて、時間がありませんから、伺いたいのは、そのように、日本の外務省がどう思おうが、どう判断しようが、どう希望しようが、中国の国連代表権は支持すべきであるという支持国がだんだんふえつつある。しかも、来年を待たず、今年度の国連総会において多数派が勝利を占めるかもわからぬ、おそらく勝利を占めるであろうという情勢になってきたときに、一体、自主アジア外交を誇る佐藤内閣の外交方針として、先ほど言いましたように、公正かつ積極的にこの問題に対して対処し、みずから日本の方針を明らかにし、アジアのみならず国際的に諸外国にこれをむしろ働きかけて、この問題処理のために積極的な外交上の任務を果たすことが必要ではないかと私は思うが、それについて、佐藤内閣の外交担当者であるあなたは、外務大臣は、そういう決意なり方針をお持ちになりませんかどうかということを聞いているのです。原因を聞いているのではありません。だから、問題を取り違えないで、見通しと、それについての日本政府の方針を伺っておるわけです。
○椎名国務大臣 いま申し上げたように、国連代表権の問題についての従来の情勢を全く逆転せしめるというだけの影響あるいは効果というものを示しておる、さようにはまだ考えることができない。でありますから、従来の方針で当面対処する、こういう方針でございます。
○穗積委員 あなたは、国連総会に出られる前の衆議院予算委員会において、重要事項指定方式でいくのだ、その政治的なねらいというものは中国の国連代表権の実現を阻止するねらいもあるのだ、そういうふうに理解して差しつかえないと言って、問題になった。佐藤首相は、これを取り消してもよろしいとあなたの留守中に言った。帰ってきてあなたは、参議院の予算委員会で、これを取り消すということばを使ったか、補足説明ということばを使ったか、それは官僚的な狡知によるごまかしのことばで、どっちにしてもたいしたことはありませんけれども、いずれにしても、重要事項指定方式による阻止、すなわち中国敵視政策は国連対策としてとらない、こういうことを明確に佐藤首相もあなたもされたわけですね。そうでしょう。
○椎名国務大臣 はっきり申し上げますが、重要事項指定ということが、すなわち中共の国連代表権問題を阻止し、またこれを延期するという趣旨にとってよろしいか、こういうたしか御質問でございました。それで、私は、さように解釈されてよろしい、こう言った。そこで問題になったのでございまして、この点は、私もことばが少し足りなかったと思いまして、こういうふうに直しました。それは、重要事項指定ということ自体は、これは目的を持っているわけじゃない、ですから、中共に代表権を与えて他面において国民政府を追放するということは、事それ自体が非常に重大な問題であるから、重要事項として指定する早、く言えば、重要だから重要事項として指定する。そういうのであって、それ自体に目的がない、ただ、しかしながら、その代表権を与えることによって、他面において、アルバニア国の提案の方式でございますが、国民政府を追放するという方式になっておる、この問題は、国民政府を追放するということは、これは極東における勢力の均衡をくずし、平和と安全とを阻害するものであるから、日本としては同調できない、その方針には変わりはありません、——アメリカから帰ってきて、参議院の予算委員会で、こういう趣旨の取り消しですか釈明ですか、どっちでもいいが、私はそういうことを申しまして、前回のことば足らずを訂正をいたした次第でございます。
○穗積委員 重要事項指定方式というものが一体どういう政治的意味を持っておるか、外交的ねらいを持っておるかということは、あなたが何と言われようと、これは国際的にも妨害の目的を持っておる、中国の代表権の実現を延期せしめる妨害的な目的を持っておるということは、こそくな手段であるということは、世界各国の常識になっております。したがって、私どもは、その後の情勢、あなたも見てきた情勢の変化に伴って、しかも佐藤内閣の自主的なアジア外交をやるのだというたてまえから見ましても、当然、政府の論理としても、この重要事項指定方式なんというこそくな、しかも時代おくれな国連における戦術、こういうものをもてあそぶべきではないと私どもは思うのです。これは誤りでございます。 この際ちょっと関連をして伺っておきますが、佐藤内閣が継承したといわれる前の池田内閣の大平外務大臣は、もし国連において中国の代表権が認められた場合には、当然わが日本政府は中華人民共和国政権を承認をする、この方針を明らかにされたわけですが、それについて佐藤内閣は同じ方針であると理解してよろしゅうございますね。
○椎名国務大臣 その前に、重要事項指定の問題は事をもてあそぶものであるというようなお話がございましたが、そうではないのでありまして、世界の平和、特にアジアの平和・政治的安定に至大の影響を持つものでありますから、こういうことをきめる場合には、国際社会のいわゆる多数の世論を背景にして、そして慎重にきめなければならぬ、こういうことについてはどなたも異論はないと思うのでございます。それを表決の方式に当てはめると、いわゆる重要事項指定方式、すなわち三分の二の多数によってきめるということになるわけであります。決して事をもてあそぶものではない。問題が重要であるから、国際世論というものを背景にして、そして、ただ一、二票の差できまるというのではなしに、三分の二の多数をもってきめるというのが正しいやり方であるという意味でわれわれはこれを主張しておるのであります。 それから、池田内閣の時代に、中共が祝福されて国連に加盟するという場合には日本もまたこれを承認するというような趣旨のことが前外務大臣によって答弁されておるというように承知しております。これは、いわゆる祝福されて云々ということは少し明確を欠く形容詞でございますけれども、しかしながら、結局、世界の平和と安定を傷つけないで、もうまことにぐあいよく国連加盟が実現するということを言っておるのだとすれば、私はもちろんそれに全然同意同感でございます。佐藤総理も大体こういう趣旨において前内閣の方針を踏襲するということをたしか国会において言明されておると私は承知しております。
○穗積委員 そうすると、来たるべき再開される国連総会においては、日本は諸外国の動向がどうであろうと重要事項指定方式で臨むという方針に変わりはない、こういうことですか。
○椎名国務大臣 さようでございます。
○穗積委員 諸外国の動向がいかように変化しても変わりはないという意味ですか、もう一ぺん念のために。ということは、すなわち、情勢判断をして、重要事項指定方式というものによってこれを阻止しようとしても阻止しきれない態勢が明確になった、そういう情勢判断がついたという場合においても、これを引っ込めるつもりはありませんか。
○椎名国務大臣 重要事項指定方式は、重要であるから重要事項として指定する、もう一つ、この国連代表権問題と関連して、国民政府の追放ということが、これはわれわれは同調できない、こういう趣旨でこの間釈明をいたしました。そこで、重要事項指定方式によって国際世論がやはり中共の国連加盟は認めるべきであるという結論に到達した場合には、これは、池田路線を踏襲しておるのでありますから、日本としてもこの世論に従わざるを得ない、こう考えます。
○穗積委員 ちょっと御答弁が不明確でわかりませんが、すなわち、おそらく、推定されることは、先ほど言ったように、中国の代表権は認めるべきである、それが国連の精神にのっとり、世界の平和と繁栄のために必要である、こういう意見が多数になりつつあるわけで、そういたしますと、こういう問題を、国連のたてまえとして、原則として重要事項指定方式などというものとして取り扱うべき議題ではない、すなわち、重要事項指定方式によってこれを取り扱うことに反対の決議がなされたときには、われわれの判断では、国連憲章のたてまえから見て、これは過半数で採決をさるべきものだと思う。ところが、日本外務省の条約局は、 いまだに、 アメリカに迎合するのか、あるいは法理的な知識判断が足りないのか知りませんけれども、この決議案自身も三分の二以上の賛成がなければ通すわけにはいかぬのだというかってな解釈をしておられるようです。これについては、きょう時間がありませんから条約局長の答弁は求めませんけれども、われわれはそう解釈しておる。おそらくは、日本外務省が何と言おうが、憲章解釈上そういう意見が国連における多数になるでしょう。そんな憲章規定というものはないのですから。外務省の言うような憲章規定解釈というものはないのですから。規定もありません。ですから、そういうことも考えられる。また、アメリカの説得に従って重要事項指定方式に持ち込んだといたしましても、それをも多数決の結果否決される、こういうことになる可能性もある。そのときでもなおかつ日本は何らの見通しも自主性もなく重要事項指定方式一点ばりにかじりついておやりになるつもりですか。そうして、日本は反対つまり重要事項指定方式による投票をしておいて、そしてそれが否決された、そして中国の代表権が認められた、そして日本はおめおめとして一体中国の政権をその翌日承認するのですか。そういうことが、日本のアジア外交における影響、今後の指導的立場を考えたときにいかに拙劣きわまる外交手段であるかということは、これは事理明瞭でございましょう。したがって、そういう判断が、外務大臣ですらもう賛否いずれが勝ちを制するかが判断しにくくなるほど変わりつつある、すなわち賛成支持者が多くなりつつあるという情勢の中で、いまだにそんな思想性も見通しもないばかばかしい情勢判断や方針というものが、一体だれのために、何のためにそういうことに固執しておられるのでしょうか。われわれはさっぱり意味がわからない。重要だから重要だ、——重要だということと重要事項指定方式とは違いますよ。そういうばかばかしい答弁をやっておるから、中国のみならず、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国、すなわち日本がこれから大いに提携していかなければ日本経済の発展のためにも平和のためにもならぬというこれら諸地域における日本に対する不信感あるいは軽べつ感というものが年とともに高まっておる。こういうことで一体アジアにおける自主外交がとれますか。外務大臣、御所感いかがでしょうか。ぼくはそういう態度をいつまでも固執すべきではないと思うのです。固執するところに、われわれは、国民としてはなはだしく不自然な、何かとらわれた、何かそこに悪意的な政治目的があるというふうに判断せざるを得ない。それが今日の国民の常識だと思うのです。もっと率直に積極的に方針を明らかにしていただきたいのです。
○椎名国務大臣 御質問の要旨が少しわかりません。明確でないのでありますが、しかし、せっかくの御質問のようでありますから、できるだけお答えは申し上げたいと思っておりますが、ただいまの方針は、先ほどから申し上げたように、中共を認め国府を追い出すということは、極東のバランスを破り、かつ平和とその安定のためにとらない、こういう方針を従来堅持してまいりましたが、今日においてもその方針には変わりはない。将来国連の国際世論が変わってきて、たとえ重要方式でやってもなおかつ国際世論が圧倒的に中共を認むべしという場合になったらどうかというようなお話でございましたが、具体的にあくまで現実の問題に当面して政策をじみちに立てていかなければならぬと私は考える。将来のことについては、いま右左をはっきりする段階ではないと私は考えております。
○穗積委員 段階ではないといって、あなた、目の前のことじゃないですか。何が段階ではないのですか。もうおそきに失するくらいでしょう。そういうことなら、自主外交だなんて大きなことを言わぬほうがいいですよ。何が自主積極でしょうか。どこに自主積極があるのですか。おかしいと思うのですね、そういう御答弁で得々としておられるということになれば。(「聞くほうが無理だ」と呼ぶ者あり)黙っていらっしゃい。発言があるならかってにしたらいいじゃないか。どうですか、大臣、そういうばかばかしい答弁で国民は納得しませんよ。遠い将来のことじゃない。もう今日の問題じゃないですか。一番の重大な問題ですよ。それに対して見通しも方針もない。この間あなたはラスクに会って話をしたようだが、中国の話は出なかったようだ。向こうから見ればベトナムに火がついておるから、ベトナムに協力しろという話だけでしょう。何も出ておらぬから、ラスクと会ったが話はわからなんだ、こういうんだ。それは正直な話でしょう。わからぬはずですよ。中国問題なんぞ頭に入らぬほど、向こうはベトナム問題でろうばい周章しておるのですから。しかも、カナダの外務大臣ですから、アジア地区におけるこの重大な問題は世界外交の焦点である。したがって日本の自主的な外交上の役割り、積極的な役割りというものを期待すると激励すらしておる。それに対して、一体ラスクと何を話したかしらんと思ったら、ベトナムのことでけつをたたかれて帰ってこられたのでしょう。だから、中国の問題なんというものは年を越してからにしようじゃないかということだと思う。そういうことで一体、外務大臣は佐藤首相に随行されて正月早々ジョンソンにお会いになるようだが、何を話するのですか。どういう態度で中国問題についてお話しになるのですか。どういう見通しと方針を持ってお話しになるのですか。そのことを承りたい。
○椎名国務大臣 穂積さんはどうもかってにいろいろなことをきめて、だんだんいろいろなことを論じておられますが、(穗積委員「それならここでラスク会談の内容を報告しなさい」と呼ぶ)——外交の話はあからさまに全部さらけ出すというわけにもいかぬようでございますから。(穗積委員「さらけ出さぬでももうわかっていますよ」と呼ぶ)それならばお答えする必要はない。 そこで、今度のジョンソン・佐藤会談でどういうことを話すかということでございますが、もちろん、短い時間でございますから、最も重要な問題をきわめて簡明直截に話さなければならぬ、かように考えております。しかし、事柄があまりに盛りだくさんでございまして、それをどういうふうに圧縮して短時間に効果をあげるかということについて、これから十分に研究をいたしまして、そして用意をしたいと考えております。ただいままだまとまっておりませんし、また、まとまっても、一々私からここで申し上げる自由を持っておらない、さように御了承願います。
○穗積委員 そんなもったいぶって言われて、われわれがその事実を明らかにすれば、あなたは、知りもしないことをかってに言っているということを言って、それじゃ発表しろと言ったら、言わない。どこが間違っておるか、間違っておるなら言ってみなさい。言えないじゃありませんか。それでしかも、今度はジョンソンと佐藤首相が中国問題について初めて話をしようというのだが、それに対してまだ方針もなければ判断もついていない。これで一体自主積極外交とはよくも言ったものですね。ことばでごまかそうとしたって、ごまかされませんよ。佐藤内閣登場以来、ことばだけでごまかして内容がないということが大衆の前に暴露しつつある。その最もはなはだしいものが中国問題です。外務大臣の責任はなはだしく重大でございますよ。 続いてお尋ねしますが、佐藤さんもあなたも中国は一つだと言っているが、この意味の内容について明らかにしていただきたい。すなわち、二つの中国は認めない、あるいは、われわれの判断では、二つの中国は認めないという中には、一つの中国、一つの台湾も、二つの中国論の中に入っているわけです。したがって、二つの中国も認めない、一つの中国、一つの台湾も認めない、このことばの内容はそうわれわれ国民としては理解するのがあたりまえだと思いますが、それについて間違いはございませんね。念を押しておきます。
○椎名国務大臣 国民政府も一つの中国と言っておるし、中共もまた、一つの中国、こう言っている。二つの政権がしかもここに対立をしておる。これが今日の現状だと思います。
○穗積委員 外務大臣、あなたは私の質問に対して答えていただけばいいのですよ。私の質問に答えていただきたいのです。あなたや佐藤さんの言っている一つの中国論というのは、二つの中国ではなく、また、一つの中国、一つの台湾でもない、あくまで中国は一つである、当然そう解釈すべきだと思うが、それについて意見を伺っておるのです。解釈上の問題でございます。
○椎名国務大臣 どうも私もその点についてよく突きとめてみたわけでもありませんが、お互いに 二つの政権が同じものを目ざして、これがおれのものだおれのものだ、こう言っておる。両方とも、一つの中国、こう言っておる。その事実をつかまえて一つの中国、両方とも一つだと言っているから、それを二つだとか三つだとか言うのはこれは内政干渉にもひとしいものである、だから、両方で一つと言っているから一つだろう、こういうまでの話じゃないかと私は考えております。それを、一つの中国論なんて、論などといって別にそれを振り回したわけでも何でもないと私は思います。一つの中国論というものを私自身は人の前で公開したことはございません。ただ、佐藤総理の一つの中国と言われるのは、それを二つだ三つだというのはむしろ内政干渉にひとしいものである、一つだと両方とも言っているから一つだろう、こういうのじゃないかと私は考えております。
○穗積委員 そうすると、中国大陸並びに台湾問題というのは、両方とも含んで中国の内政問題である、こういう意味ですね、内政干渉だというなら。
○椎名国務大臣 しかし、その後内政干渉ということばは佐藤総理は取り消されたようでございます。
○穗積委員 あなたはいま内政問題だと言ったじゃないの。そういうことを言って北京と台北が一つの中国を主張している、われこそが一つの中国の代表政権であると言っておるのに対して、これをああだこうだと言うことは内政干渉になると言われたでしょう。いま言われたじゃありませんか。そうすると、いまの御答弁は取り消しですか。
○椎名国務大臣 そういう内政干渉にひとしいというふうにとられるから、それで二つとか三つとかいうことはお言いにならないようにしているようだ、こういうふうに私は申し上げたつもりでございます。
○穗積委員 中国大陸と台湾との関係をエンクローズする問題は、これを内政干渉にひとしいということは、内政問題だということですね。これをはっきりしていただかないと、こうやって時間を使って質問をして、そうして政府の方針を明らかにしてもらい、かつわれわれは国民の利益に合致するように促進しようとしているのに、そんなわけのわからぬような答弁をしておられたのでは、これは時間の空費だと思うんですよ。一体どういうことですか。
○椎名国務大臣 国民政府も中共も、中国は一つである、こう言っているときに、よそからこれをとやかく言うことは避けるべきである、こういうことだろうと思います。
○穗積委員 それでは、一体さっきの内政干渉ということばはどういう意味ですか。内政干渉ということばは佐藤総理だと言っておられて、だからそれにわれわれ他国の者が干渉すべきではない、台湾の問題、大陸の問題との関係は、これは内政問題である、こう言われておいて、それじゃそれはそういう意味の一つのものですねと念を押したら、佐藤首相はそれを取り消されておると言う。それじゃ自分はどうするんですか。あなたはいまお答えになったんですよ。
○椎名国務大臣 ですから、私は一つの中国論というようなものを言ったことはないということを申し上げたので、ただ佐藤総理のこの問題に対する発言の経過をここで分析して申し上げて、御参考に供しただけの話です。
○穗積委員 あなた、そんなばかばかしい御答弁がありますか。同じ内閣ですよ。しかもほかの所管の問題じゃない。あなたの所管の外交問題だ。われわれが言ったことじゃない。佐藤首相に聞いてくれ、それならまた、あしたかあさってか佐藤首相が来るそうだから、あなたと一緒に聞きましょう、何を言っているかわからないから。 委員長、その点だけは、佐藤大臣が来られてから佐藤首相に聞いてくれという話だから、留保しておきましょう。 続いてお尋ねいたしますが、佐藤さんが……
○椎名国務大臣 ちょっと申し上げますが、佐藤総理に聞いてくれというようなことは、私は申し上げた覚えはありません。
○穗積委員 そうじゃないか、おれは言った覚えはないと言うんだから。
○椎名国務大臣 大体、あなたが初めに、一つの中国ということを言っておる、おまえも言っておる、これについて所見を言え、こういうような話だったのです。それで、佐藤総理は、両方とも一つの中国と言っておる、しかもそれが対立した政権である、であるからして一つだろう、こういう意味で発言したのだろうと思う。ところが、その問題について佐藤総理がその後において取り消したそうでございます。でありますから、それも御了承願いたい。 そこで、残る問題は、私には御質問の要点がよくわからないんです。(穗積委員「あなたはごまかしてわからないと称しておる」と呼ぶ)ですから、一体私に何を答弁しろとおっしゃるのか、その点ひとつあらためて伺いたいと思います。
○穗積委員 日本から見れば、中華民国の政権と中華人民共和国の政権と二つある。それも、全部大陸並びに台湾を含んでわれわれが唯一の政権であると主張している。それに対して日本が、中国問題は含んで一つの中国論でいくのだ、こういうことになれば、どちらをとるかということです。あるいは国共合作による一つの中国になるように促進するのも一つでしょう。さきのアルバニアの提案のように、中華民国を否定するという一つの中国論もあり得るでしょう。いろいろあると思うのです。そんなことは別として、それに対する日本側の方針は、一つの中国だと言う以上は、どういう方針をもって今後臨むつもりかと聞いておるわけです。
○椎名国務大臣 台湾の問題については、平和条約において日本はこれを単に放棄したにすぎないのでありまして、その所属、自後の領有等については、一切これは法律的には日本の関知しないところであります。でありますから、これについていま日本がとやかく言うべき立場にないと私は考えております。ただ、実際問題として、外部から見た場合に、二つの対立した政権が一つのものを争っておるという姿、これは日本のみならず世界のすべての人がこれを認めておるだろうと思うのであります。
○穗積委員 台湾の領土的帰属の問題について私はお尋ねしておるのではないのです。そういうことにすりかえられては困る。そうではなく、二つの政権が事実上ある、それは日本政府は認めておるわけです。そのときに一つだ一つだと言う以上は、いずれをとるのか、二つを一緒にさして——さしてと言うことは失礼で、表現が誤りでありまして、二つが一つになることを期待しつつ一つの中国論をとっておるのか、どういう方針ですかと聞いておるのですよ。
○椎名国務大臣 これは非常に複雑な難解な問題でありまして、日本がこれをきめてみたところが、そのとおりになるものでもない。この問題がもしここで質問・答弁の間にきまるような問題なら、初めから問題にならないのでありまして、きわめて重要であって、しかもきわめてむずかしい問題である。国際世論というものによってこの問題は国連の場においていずれ終局的にはきめるべき問題であろう、かように考えております。
○穗積委員 最後に、時間がありませんから、この問題について一歩前進するためにお尋ねいたしますが、最初に私がお尋ねしたように、あなた方日本政府が言っておる一つの中国ということは、いわゆる二つの中国だけではなくて、一つの中国、一つの台湾も否定をする考え方である、こう当然解釈すべきでありますが、それについてのはっきりしたお答えをいただきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 二つの政権が一つのものについてお互いに争っておるという状況を、最も合理的に世界世論によってこの問題を解決するのがいわゆる中国問題だと思うのでありまして、ここで軽軽にこの問題を割り切って考えるということは、きわめて現実無視の大胆な事柄であるのでありまして、私はこの問題についてお答えすることのできないことをまことに遺憾に存じます。
○穗積委員 遺憾と言ったって、あなたのほうから言っておるのですよ。日本政府が言っておるのですよ。一つの中国ということをあなたのほうから言っておるのですよ。だから、その内容はどういう意味ですかと聞いておるのです。軽々に答えるとは一体何ですか。軽々に発言したのはあなたのほうなんだ。政府なんですよ。だから、その中身は何ですかと聞いておるのですよ。一体そんなばかばかしい御答弁がありますか。
○椎名国務大臣 二つの相反する政権がお互いに同一のものを目ざして一つの中国とこう言っているのでございまして、これは何といっても不自然な状態である、これを合理的にどういうふうに解決するかということが今日の問題としてきわめて重大なゆえんである、かように考えるのでありまして、ただ、一つの中国ということばをどう解釈するか、あるいは中国は一つであるということをどういうふうな内容を持っているのか説明せい、こうおっしゃられるのだろうと思いますが、とにかくこれはむずかしい問題である、一つの中国というものはきわめてむずかしい問題である、そういうことを申し上げる以外にどうも申し上げようがないと私は考えます。
○安藤委員長 穂積君、時間が来ておりますが……。
○穗積委員 まことにこれは、何と言うのか、キツネにつままれたような御答弁で、いつまでやったって、こんなことならかんしゃくを起こしてこっちがちょっと病気を起こします。なるほど、あなた言われるように、佐藤さんがこの問題を国会においても明らかにされて、その後、内容がさっぱりわからぬというので、国民も国際諸国も実は日本の考え方について疑惑を持っているわけです。大事な問題ですから、佐藤首相と一緒のときにもう一ぺんお尋ねすることにして、きょうは留保いたしておきます。 ついつまらぬ御答弁をくだくだやられるものですから時間をとりまして、他の質問者に御迷惑でありますから、ここであと一問一答でごく簡単にお尋ねいたしますから、御明快な結論だけのお答えをいただきたい。 まず第一、いままで日本外務省は中国の要人と日本の政府の要人または機関の者とが接触することを好まない態度をとっておられたが、今度の国会の審議におきまして、佐藤首相はその点をひるがえされて、機会があるならば接触することにやぶさかでないと言われた。その方法はいろいろあると私は推定するわけです。たとえば、アメリカと中国がやっておるように、適当な場所における大使級会談をやる、あるいはまた、先方の要人がわが国を訪問したとき、たとえば彭真さんなり廖承志さん等が訪問をされたときに、首相あるいはその他の所管の大臣がお会いになる、あるいはまたそれぞれ担当の政府の機関の方々がお会いになる、こういう場合、それから第三の場合は、たとえば来年三月予定をされておるアジア・アフリカ会議に日本政府は積極的に出ようとしておられるが、そのときに中国は当然まいりますので、そのときに中国代表との間で単独に公式または非公式に接触をし懇談を遂げる、こういういろいろなケースが考えられると思う。それについて外務大臣のお考えをこの際伺っておきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 日本の中共に対する接触と申しますか、国と国との関係の問題につきましては、いわゆる政経分離の形で、その方針のもとにずっと実行をしておることは御承知のとおりであります。この状態下において、ちょうど、ある層において米中両国の要人がいろいろな問題について接触をしておる、個人的な接触か公的な接触か、その点の問題は別問題といたしまして、そういったような事例にならって何らかの方法によって接触することはどうか、こういうお話でございます。いま申し上げたように、政経分離の状態にいまある。その状態下において適宜両国の個人が適当な方法によって接触するということは、私は、差しつかえないのではないか、まあこう考えております。
○穗積委員 時間がすでに超過いたしておりますから、あと簡潔にお尋ねいたしますので、一括してお答えをいただきたいのです。 まず第一は、佐藤内閣の中国政策は、その後の足取りを見ますと、ことばの説明いかんにかかわらず、客観的な行動の中で明瞭なことは、南朝鮮との同盟を深める、それから台湾との関係を強化する、それを主軸として極東における反共諸国の連帯を深めて、それを対抗の壁として中国問題にかかる、このことは明瞭になってまいりました。特に、首相の令兄である岸さんの訪台、それから、佐藤内閣が急速に、池田内閣がやらなかったこれらの反共諸国に対する経済的援助を好んでこちらからプレゼントしようとしておること、そうして、あなたはまた、日韓会談に対して、相手の国の政治情勢、経済情勢を判断もせず、国民の世論も無視して、そうして強引にアメリカにしりをたたかれて日韓会談をでっち上げようとしておる、そうして、しかも、十一日——これはきょう時間があったらお尋ねしたいと思っておったのですが、次の機会に譲りますが、去る十一日に、すでに請求権や民間供与とは関係なしに二千万ドルの緊急経済供与を確定しようとされておる、これらで明らかであります。そういうことで、敵視政策はとらないの、封じ込め政策はとらないの、まるで頭隠してしり隠さず、これがまさに佐藤内閣の対中国政策であると私は思う。 そこで、具体的にお尋ねしたいのは、先般ソウルにおきましてこれら反共諸国が八カ国会議を計画した。それに対して日本をオブザーバーとして参加させることを申し合わせております。これに対して日本政府は、オブザーバーまたは正式メンバーその他の一切の名目・資格は別といたしまして、これを支持し、これに参加するつもりであるかどうか、これは非常に大事な点でございますからお尋ねをいたしておきます。 それから、もう一点は、来年三月予定されるアジア・アフリカ会議というものは非常に重要な意味を持っているとわれわれは政治的にも経済的にも判断をしてその成果に期待をかけておりますが、これに対しての予備会談における議題というものは、仮議題というものはすでに決定されておるわけですね、四月に。この十議題というものをながめてみましても、すべて、南北問題すなわち先進国の帝国主義政策または新植民地政策に反対をして新興国の経済的復興をはかる、あるいは軍縮と平和の問題、これが明確な議題になっている。これに対して佐藤総理は、前総理級の人物を政府代表として送りたいということを明らかにされて、その後これがどうなっているのかさっぱりわからぬ。したがって、これに対するその後の政府の方針はどういうふうに固まってきているのか。それから、第二には、これに関連をしてもう一つの問題は、四月に決定されておる仮議題に対して一体どういう方針でこれに臨むつもりであるか。 この八カ国会議の問題とAA会議に対する政府代表の人選並びにこれに臨む方針というものは今後の佐藤内閣の外交路線を行動の上においてきめる重要な二つの国際会議であると私は思うのです。したがって、これらはすべて中国問題と関連をいたしております。日韓会談とうらはらの関係につきましては、この前わが同志石野君が総理に向かってお尋ねをいたしまして、ここでもまた明確な答弁はありませんでしたが、私は、いままで論議をされていないこの二つの会議の重要性を指摘して、外務省のというよりはむしろ佐藤内閣の外交方針をこの際明らかに証明するものとして、この二つのことについてお尋ねをいたします。再質問をしないで済むようにお答えをいただきたいと思います。
○椎名国務大臣 八カ国会議とおっしゃるのは、たしかアジアの、豪州、ニュ一ジーランドを入れての何ですか、いま企てられつつあるところの会合ですか。(穗積委員「そうです」と呼ぶ)それならば、日本は参加しないことにきめております。 それから、来年の三月に予定されておるAA会議でございますが、これは日本といたしましては参加することに方針を決定しております。まだ人選等につきましては未定でございます。それから、予備会談の議決事項等につきましては、私まだ詳しく聞いておりませんので、アジア局長からお答え申し上げます。
○後宮政府委員 予備会談できまりました一応の仮議題につきましては、先生御承知のごとく、反帝、反植民地政策その他南北問題とございまして、大体この議題の大部分は、先般行なわれました非同盟国会議の議題、それから現在行なわれております国連総会での議題とダブっている面が非常に多いのでございまして、こういう議題に対して各国が非同盟会議でどういう態度をとったか、また今度の国連総会でどういう態度をとるか等、慎重に見きわめておりまして、また、各国にも訓令を出しまして、各国の態度を見きわめる、省内には研究のための特別の事務局をつくりまして慎重に検討しております。 なお、会談の時期につきましては、現在一応三月十日ということになっておりますが、国連総会が延びる模様がありますので、そうすると、少しまた一、二カ月延びるんじゃないかという情報もこのごろ出ておりまして、まだ確たることはわかっておりません。
○穗積委員 八カ国についてはオブザーバーとしても参加しないということですね。
○後宮政府委員 全然参加いたしません。
○安藤委員長 帆足計君。
○帆足委員 政府の御答弁は、多少問題の重要性もあって、奥歯にもののはさまったような御答弁で、聞いております私どももたいへん忍耐力を要するような次第でありますが、与党の皆さんにあまり忍耐力を強要するのも何ですから、てきぱきとお尋ねをし、てきぱきと答えていただきたいと思います。 私どもの議員の職務は、国民のだれしもが政府に問いただしたいことをお尋ねをして政府の方針をよく知り、また国民の要望を述べるということであろうと思いますが、毎日新聞の世論調査が数日前に発表されましたが、まことに国民の気持ちをよく代表していると思うんです。内においては物価の安定、社会保障の充実、大幅な減税等で、外に向かっては核実験の全面的禁止、沖繩、小笠原等の本土復帰、経済外交の推進、新中国との国交問題の解決促進、私はおおむね国民の言わんと欲するところがこの世論調査にあらわれておると思いますが、外務大臣が先ほど国連で演説なされました文章を詳しく拝見いたしますと、その中に、南北問題の解決はもちろん、人権の尊重、人種差別の撤廃、いまだに残存しておる植民地、非自治地域の円満な独立達成等のために一そうの努力をしたい、私はまことによいことばであると思いました。問題は、これを実行に移していただきたいという点にあるわけです。 原子力を兵器に使うことの全面禁止に賛成している政府として、原子力潜水艦がただ休養のためといって日本の港に来ることは、これは好ましくないという世論が非常に大きいのは、これは当然のことであると私は思うので、政府はもう少し国民の世論をよく聞いてもらいたいと思うのですが、アメリカもいろいろ考えて、どうも休息のためならワイキキ海岸のほうがやっぱりよかった、どうもデモの怒号に取り囲まれることは疲れが増すということで、横須賀港入港はしばらく見合わす、あるいは永遠に見合わせるかもしれませんがそうなれば御同慶の至りだと思う次第ですが、中国問題につきまして、中国の承認は月日の問題であるとだれしも考えておりますことは御了承のとおりです。 そこで、政府は、まあ重要問題指定にして慎重にやろうと言われておりますが、まあ数年前ならば確かに中国の政権が安定するかどうかまだ未定でありましたからその議論も成り立ちましたが、いまでは中国六億人民の政権の安定性を疑う者もありません。したがいまして、まだまだ重要事項と固執いたしますアメリカの本意は、敵は本能寺にありますことはもう周知のことで、別に包み隠ししなくても、中国の国連加盟を一年でも延ばして時をかせぎたい、秋霜烈日のような中国の論陣を敬遠しておる、まあこういうところであろうと思いますが、政府はなぜ今日においてなおこれを重要事項とすることを好むか。しかも、中国に対して非友好的態度はとりたくないという政策をとっておりながら、前向きの姿勢でいきたいと言いながら、しかもこれを重要事項ということを強調する。それではうしろ向きではないにしろカニの横ばいではないか、横向きではあるまいかなどと新聞に批評されておるような状況です。したがいまして、何ゆえに重要事項とされるか。それは六億数千万の人口が国連に入るから事重大である、それでは私は意味をなさないと思うのです。一体どういう点で重要事項とお考えになるか、それを伺いたい。これはだれしも伺いたいところであろうと思います。
○椎名国務大臣 ただいま国府が中国代表の政権として世界から認められておる。これを中共に置きかえるということは、世界の安定・平和という点から言いましてきわめて重要な問題であることは、だれしも異存のないところでありまして、かような問題について重要な変更をするわけであります。これはやはり国際世論を背景にして処理されるのが適当であるということから、重要事項指定をやって三分の二の多数をもってこの問題を処理しよう、こういうのであります。
○帆足委員 外務大臣の御答弁は、重要であるから重要である、こういうコンニャク問答のようなことになるのですが、ほんとうのところは、アメリカのこれに対する大義名分は、中国は好戦的傾向がある、国連憲章を守らぬおそれがあるということが、朝鮮戦争のときに突きつけた高名なダレス国務長官の言いがかりであったわけです。しかし、今日歴史を振り返ってみますと、当時中国が義勇軍を北朝鮮に派遣して、アメリカは有史以来初めての敗戦を味わったことは、あのマッカーサーの悲劇で皆さん御承知のとおりであります。数万の青年をクリスマスまでにニューヨークに帰還をせしめると言いながら、無事天国に見送ってしまった。クリスマスのときは天国で過ごした。アメリカの婦人連盟は大いに怒って、洗たく屋のせがれのトルーマンがおる限りは名誉ある休戦に持ち込むことはできない、アイゼンハワーにこそ出てもらわなければならぬというので、初めて民主党が破れて共和党が登場したことは御承知のとおりです。しかし、今日、中国がはたして好戦国であるかどうか。この問題につきまして、それでは一体中国がメキシコ湾に軍艦を送っておるか、カリブ海に基地をつくっておるか、パナマに中国・ソ連の基地があるかというと、そういう気配がなく、キューバにフルシチョフがあやまって基地を設けたときに、アメリカから懇請があってすなおにこれを引っ込めた。そのためにフルシチョフは、一部の人からは態度があいまいではないかといって非難を受けたくらいです。しかるに、アメリカは台湾あるいは南朝鮮その他に基地を置いておる。したがって、バランスの点から公平に考えれば、極東に出過ぎておるのはむしろアメリカである。もちろん、自由世界を守るという、彼らは彼らなりの名分と論理を持っておるでしょうけれども、われわれ第三者からながめますと、好戦的であるのはむしろ今日のアメリカ状況である。アイゼンハワー元帥が大統領をやめるときに、アメリカの軍事予算は総予算の七割に達しておって、それが膨大な軍事工業と結んでおる、まさにこの姿こそはアメリカにとって大きなガンとなるおそれがあるということを彼は警告しております。かつて日本が戦争経済に入り込んでしまったときに抜き差しならぬところに入ってしまいました。アメリカの職業軍人の今日の力、アメリカの景気を維持しているものの力として軍事費が過大であって、アメリカは、粘土の足のアメリカでないにしても、軽いヒポコンデリー症というか、一種の軽い肝臓硬変症にかかっておる。すなわち、一国の財政の七割が軍事費であるということは、健康な状況ではないと思うのです。そこからいろいろの理性的でない要素が生まれておる。ケネディ大統領が惜しくもファッショに暗殺されまして、その暗殺の張本人ですらがあの報告書を読みまして十分に納得できない点がある、こういう一面があるわけでございます。したがって、好戦国という定義を中国に下すことは妥当でない。国際連合憲章によると、すべての独立国は、主権を持っておる国は、その信条、宗教、政体のいかんを問わず世界の連合の一員たる資格があるということになっておりますから、特定国の利害や趣味によって一定の国を除外するということは、それは私は間違っておると思います・たとえばソ連は共産主義国であるけれども国連に加盟しておる。中国は社会主義国であるから国連に加盟して悪いという理由はないでしょうし、中国の軍備が大きいから国連に加盟されては困るというならば、アメリカの軍備はもっと大きい。どこの国がより好戦国であるかということは、今日の段階では判定しにくい問題であろうと思います。したがいまして、重要事項としてわざわざ指定しておることは、今日の段階では、やはり、外務大臣の言われるのと違って、中国の国連加盟をできるだけ引き延ばそうとするアメリカの戦略であることは周知のことですから、この周知のことについて議論することば中学生の討論会になりますから一応打ち切りにいたしまして、率直に考えまして、ただたんたんとしてこれは重要な問題であるから重要事項として指定するのでしたら、重要事項として指定したのはずっと前の国連総会のことです。したがいまして、今度の国連総会でそのままそれが有効であるかどうか、また、有効かどうかを投票できめるべきものかどうか、これについて政府の見解、解釈をまず承っておきたい。
○藤崎政府委員 政府といたしましては、重要事項と指定した決議は、十六総会に成立したものがいまでも有効に存続いたしておるという見解をとっております。
○帆足委員 当然そういうお答えであろうと思いますが、アメリカの国務省がそういう見解をとっておるらしく見えますから、そのまねをしておるものと思いますが、その次に、しからば、これに反対をする国がありまして、もう一度これを重要事項であるかどうかかけるということがあってかける、——当然二分の一以上の国は、もう今日では常識でありコモンセンスであって、別に重要事項というほどのものではないという解釈の国がおそらく多数であろうと思います。したがって、今日の事態において重要事項であるかどうかをかけることのほうが私は公正であると思います。たとえば、この外務委員会といたしましても、わずか三カ月休んでおります間に、フルシチョフすでに没落し、イギリスでは労働党が十年ぶりで政権につき、ドゴール大統領が独自の道を歩き、中国ではもはや核実験が行なわれておる。わずか三カ月外務大臣にお目にかからない間に三年たったような思いがいたします。いわんや、この前重要事項ときめられてから今日に至るまで十年以上の客観情勢の変化が来ていること、だれしも異存のないところであろうと思います。したがいまして、敵は本能寺にあり、含むところがあって重要事項と言うならばいざ知らず、公平に論理的に理性的にこの問題を世界の世論に問おうというならば、今度の国連総会において、今日なおこれがコモンセンスの領域に入らず重要事項として三分の二の議決を必要とするかどうかということを国連総会にはかることが私は当然であろうと思います。私は、日本政府がもっと保守であっても、もっと合理的な政府ならば——これは利害の問題ではありませんで論理の問題であります。論理を尊重せずしてどうして独立国としての権威が保てるでしょうか。インドは、軍備の小さい国でしたけれども、ネール首相の健在であられたときは非常に大きな道徳的権威を持っておりました。日本は、新憲法のもとに、永久太平の門を開こう、こう天皇陛下も仰せ出されて、平和を誓った国でありますから、私はそのくらいの自主性はあってしかるべきであると思います。したがいまして、今次の国連総会において重要事項かどうかということが上程されましたとき、そしてまたそれが否決されましたときは、それは効果があるかどうか、条約局長の回答でけっこうですから、どのようにそれをお考えですか。
○藤崎政府委員 現実の議事の順序がどういうことになるか、現在の段階ではまだ全然予想ができませんから、そういうことは含まないで、単純に憲章の解釈の問題として申し上げるということで御了承いただきたいと思います。 かりにもう一度重要事項指定の決議の効力を確認しようではないかというような趣旨の決議が出たら、これは十八条三項の規定によりまして過半数で成立すると解すべきものと思います。また、かりに、前にできた重要事項指定決議は有効であるという前提のもとにこれの効力をなくそうではないかという決議が出たとしますれば、その決議の成立には、第十八条第二項によりまして三分の二以上の多数を要すると解すべきが妥当ではないか、かように考えております。
○帆足委員 局長の答弁としてはよくわかりました。 そこで、もう一つお尋ねしますが、外務大臣は、二つの中国の問題につきまして、これはいわゆる政府にとっては微妙な問題ですから、二つの中国論というような論理ではなくて、ファクトとして、即物的に、蒋介石も一つの中国を主張しておるし、新中国政権も一つの中国を主張しておる、これが現実である、これについてとかくの論議をすることは控えたい、私はこういうふうに傍聴したのでございますが、私は事実としてそれは正しいと思うのです。現実はそうなっておるのですから。この問題につきまして、それを裏づける法的根拠があるわけです。それは、アチソンのときですか、トルーマンの時代に、すでに台湾は中国台湾省として、四百余州の一つとしてもはや引き継ぎを了承しておりました。省長官は台湾にはすでにできていたのです。したがいまして、蒋介石殿が中国は一つであると主張するのには法的論拠もあるわけで、その点では、金門、馬祖も台湾も実は国際法上の手続は同じものというふうに、もう手続は完了しておるわけです。しかし、そのことについては、あまり論議いたしますと、またいざこざいたしますから、一応事実を事実として見まして、しからば、将来過半数なり三分の二で国際連合において中国国連加入が承認された場合は、政府はその決議に従う、もちろん当然のことで、決議に従わなければ除名されるわけですから、決議に従うのでありましょう。そうした場合に、一つの中国であるという以上は、台湾はどうなるか、法理的にどうなるかということを外務大臣に伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 これも仮定の問題でございますから、非常にお答えしにくい問題であります。いまの御質問の要旨は、台湾を除いて、そして中国を承認した場合とおっしゃるのですか。
○帆足委員 中国は一つであるということを、台湾も中国も承認されておる。ちょうど、簡単に言えば、源為朝が八丈島に流された、八丈島政権と京の都の政権があって、人類にやましいところがなければ京の都が国連に加盟しているわけであって、為朝、弓張月が国連におるということはこっけいしごくな話であることはもう重々皆さん御承知のとおりです。しかし、それにもかかわらず、アメリカの圧力といろいろないきさつがあって、いまだに為朝殿が国連におるという状況です。しかし、為朝にもまた愛国心があって、余は敷島のやまとの国のまた一分流であるから、日のもとは一つであると論じ、京の都も日のもとは一つであると論じておる。ついに時至って京の都が国連に加盟した、為朝殿はどうなるか、こういうことなんです。外務大臣としてはあるいは答弁にお困りかもしれません。お困りであったら、窮したとおっしゃっていただいてけっこうです。私は、やはり武士の情けとして、そのつらいところはもうわかっているのですから、それならば外務大臣としてはまあ一般論でもよろしい。また、それをおっしゃりにくいなら、仮定のことは答えにくいという八十じいさまの教えを受けて——実は仮定のことでも都合のいいことはどんどん答えているのです。仮定のことに答えられなければ、天気予報すらできない。天気予報、気象台は閉鎖してしまったらいい。あの八十じいさまは、自分に都合の悪いときは、仮定のことには答えられない、都合のいいことは仮定のことでも三年先のことでもお答えになる。実にばからしいじいさんのわがままでございますけれども、それはまたじじいの問題はわれわれには興味がありませんから別問題といたしまして、何かつじつまを合わせるだけの答弁をなさって、条約局長の事務的、職業的御答弁を私は伺っておきたい。
○椎名国務大臣 何ごとも言いにくくなって、仮定のことですからというとっておきのやつも先に言われてしまって、どうも……。(笑声) とにかくきわめてデリケートな問題でありまして、デリケートな問題ほど、私は仮定のもとにとやかく言うべきではない。いたずらに問題を混乱させるにすぎないのでありますから、どうぞさように御了承願います。
○帆足委員 条約局長から職業的、法理的解釈を伺いたい。これなら許されるでしょう。別にそのために給料を減らすわけじゃありませんから、それはまた答えるべき義務があるわけです。公務員は国民に奉仕するものであって、特定の政党に奉仕すべきものじゃありません。どうぞ…。
○藤崎政府委員 政府としてはアルバニアの決議案の成立することには反対の立場をとっているわけでありまして……
○帆足委員 アルバニアのことを言っているのじゃないのです。中国のことを言っているのです。
○藤崎政府委員 いや、中国の代表権問題の決議案の提案国だったものですから、通称そう申しておりますが、これが成立することには反対いたしておりますので、これが成立した場合にはどうなるかということの答弁は、政府委員として差し控えさせていただきたいと思います。
○帆足委員 ただいまの官吏殿のお答えは、これは一政党に従属している立場であって、これでは懲戒免職の嫌疑が私はあると思うのです。というのは、外務大臣はこう答えられたのです。中国が三分の二の多数を得て——しかも、得られる可能性はもう近づいていることは、この一覧表でちゃんとリストがつくってある。あと三つ入れば、三つ動けばこまは回る。そのときには日本政府としては快くその事態を承認する、こう言われておるわけです。したがって、もはや仮定の問題じゃなくて論理の問題です。その論理の問題について、しかも、一つの中国という論理の上に、この現実を直視しておる一つの中国という論理の上で、新中国が国連加入を承認された場合、法的解釈上台湾はどうなるか、為朝殿の行くえいずこ、国民のだれしも聞きたいところです。それを答えられぬような条約局長だったら、われわれの貴重な税金をさき与えるのにわれわれは多少懐疑的精神が生ずる、こういうことになるわけです。どうか御答弁を願います。
○藤崎政府委員 私から答えられることは、先ほど申し上げたとおりでございまして、政治論として先の先のことは、いろいろ総理あるいは外務大臣からおっしゃるかもしれませんけれども、そういうことは私の職掌の範囲外だろうと思います。
○帆足委員 ただいま外務大臣が言われたとおりであって、三分の二が賛成したときにはそのようになるであろう、外務大臣はもう答えているのです。それに対して条約局長は、その後の事態についての純客観的、私心を交えない法律的解釈はどうであるかということを尋ねたのに、なお答え切れぬ。一体それほど日本人というものは憶病なのですか。一体どこの大学をお出になったか知らぬけれども、倫理徳目の問題だったかもしれませんけれども、小学校のときには少なくとも論語の精神を学ばれたと思うのです。それを答えられないということはやはりちょっと度が過ぎていると私は思うのですが、委員長から注意を与えたらいかがでしょうか。答えられないというのはどういう意味ですか。あなたは国際条約の専門家でしょう。その国際条約の専門家の解釈を聞きたい。——それでは、答えていいかどうかひとつ外務大臣に小さな声で相談してください。われわれは聞きたくってたまらぬわけです。そのためにわざわざトラックに乗って、議員になってここへ出てきているわけです。それでは、こういう重要な問題の答えを聞く権能がないとすれば、われわれは何のための議員ですか。
○椎名国務大臣 やはやその問題はもうはっきり解明されておるのでありますから、これ以上の問答は、たとえ法律論であっても、どうでしょう、むだじゃないかと思うのです。私は、三分の二の、つまり国際世論というものの支持によって承認をされた場合には、日本としてもこれに従うべきであろう。ほんとはこれはやはり仮定の問題ですから申し上げなくてもいいと思うのでありますけれども、とにかくそういう、べきであろうという意見を申し上げたのでございますから、これ以上は法律論の解釈はむしろなくてもいいんじゃないか、かように考えます。
○帆足委員 これよりいずるは悪よりいず、これはバイブルの有名なことばでありまして、私も多少信仰を持っておるものでありますから、それで満足しました。国民各位も、それが国際法上どういうことであるかということは自明の理として納得されると思います。ただ、遺憾であったのは、条約局長の学生時代の徳育において多少欠くるところがあった。勇気と論理において、また公務員は一部の政党に奉仕するのでなくして国民全体に奉仕せねばならぬということに対する御勉強が足りなかったので、新憲法の公務員の義務という規定がありますが、あそこをよく御勉強のほどお願いいたします。 時間がありませんから、あと同僚議員の質問もありますので、一言だけ。実は私はきょうは沖繩のことをお尋ねする約束で、総理府からまいっておりますから、伺っておきます。 私は、沖繩に総理が訪問されるという新聞記事を見まして非常に喜びました。外務大臣は、植民地、非自治地域が一日も早く消滅することを望む、こう言っております。それで、二つだけをお尋ねいたします。 非自治地域ということについて、また植民地的地域ということについて、アメリカの国連代表が非常に正しい報告をしております。なぜ正しいかといいますと、アメリカの国連代表は、われわれはかって英国の支配下に植民地として苦しんだ、したがって植民地の定義について最も正確な定義をなし得る国の一つはアメリカであろう、ゆえに余がこの定義をしようという前提を置きまして、国連総会におきまして、植民地とは、また非常自治地域とは、住民がその施政権、自治権を奪われ、継続的に、理由の何であるとを問わず他国の支配下におる地域、こう定義しております。このアメリカの定義に沖繩はまさに当たっておると思いますが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。これもお尋ねするまでもない自明の理でありますけれども、やはり念のためお尋ねしておきたい。
○椎名国務大臣 もうすでにアメリカも日本の沖繩に対する潜在主権というものを公然と認めておるのでありまして、ただ三権の行使を一時的に行使しておるというのでありまして、それも、おいおい自治権の拡大等につきましても着々実現しておるような状況でありますから、いわゆる植民地というものとは基本的に違っておると私は考えております。
○帆足委員 これにつきましてはいずれまたあらためて言いますが、潜在主権がありましても、顕在的にはすなわち継続的に十九年にわたって自治権を停止され、他国支配を受けておりますから、アメリカ代表の意見のとおりであるというのが国際的定説でございます。したがいまして、潜在主権は認められておるけれども、これが顕在的になるまでは非自治地域である、こういうふうにお答えにならないと、ちょっとこれは試験の答案としては落第になることは私は確実であると思います。これは当然のことですから、外務大臣はそれをお認めになって、そうして、アメリカ国務省はこれに対して目下反省しつつあってケネディの線を出したけれどもまだ十分でない、その点を政府は折衝しておる、こういうふうにお答えになってしかるべき問題であろうと思います。 そこで、最後に、沖繩において原爆被爆者が、広島、長崎で被害を受けまして故郷に帰って、そうして調査機関もなく医者もおりませんために非常に苦しんでおります。したがいまして、その調査と治療につきまして、野田総務長官のときにお願いに上がりまして、またこの外務委員会におきましてもこの問題の調査を要求いたしました。臼井長官もまた快くこの問題を御理解なさいまして、まず適切な調査をし、手当をし、また適当な医者を派遣し、また重症患者は本土に引き取る、こういう非常に心厚い御回答をいただいて、心強く感じた次第でございます。その後経過がどうなっておりますか、簡単に報告願い、詳しいことは文書で御報告願います。また、それが、停滞しておりますようでしたら、この機会に促進していただきたいとお願いいたします。
○山野政府委員 お答えいたします。 沖繩における原爆被爆者に救援の手を差し伸べる点につきましては、その後外務省を通じまして米大使館、琉球民政府のほうと折衝中でありまして、聞くところによりますと、民政府のほうと琉球政府のほうで原爆被爆者の実態等について御調査なすっておるようでございます。最近いろいろ具体的に大使館のほうからの照会等もありまして、この問題が向こう側に受け入れられるように、私のほうから積極的に接触を保って交渉を進めております。近く何らかの回答があると思いますので、その結果によりまして具体的な援助の措置等をきめてまいりたい、かように考えております。
○帆足委員 それでは、いまのことは調査を急いでいただきますと同時に、いま緊急を要する患者がありましたときは便宜的に本土に連れてきて治療するという御便宜をはかっていただいておることも私少し聞いております。したがいまして、医師の派遣の問題と、重症患者の本土引き取りの問題について、ひとつ厚生省当局とよくお打ち合わせを願いたい、これをお願いしておきます。 それから、時間がありませんから一つだけ。これは賞勲局の問題ですが、先日アメリカのルメー米空軍参謀長に勲一等旭日大綬章を差し上げたそうです。私どもといたしましては、この方は長崎、広島に原爆を投下した張本人であるとかねて伺っておりましたが、こういう人に旭日何とかというような勲章を上げることは、ちょっと原爆の犠性者に対して礼を失することになろうと思います。武勲かくかくたる将軍であろうとも、悪縁あってこのような関係になりました者に対して勲章を与えたということは、与えたものを取り戻すわけにもまいりませんでしょうけれども、片手落ちでなかったかという疑問を持ちます。したがいまして、賞勲局からお見えになっておりますでしょうが、その問題について一言事情をお聞かせ願いたい。別にかれこれ言うわけではありませんけれども、事情だけは知っておきたいと思っております。
○岩倉政府委員 お答えいたします。 ルメー海軍大将は、現在アメリカの空軍の参謀長でございます。戦後アメリカの空軍の参謀副長、参謀長を歴任されておりまして、戦後におけるわが国の航空自衛隊の発達にお尽くしになった。そういう方に対しまして、儀礼的に相互に勲章を交換し合うという国際慣例に基づきまして、叙勲せられたものでございます。なお、勲一等旭日章というのは、大将という軍隊の階級と申しますか、たとえば特命全権大使は勲一等旭日章、特命全権公使は勲一等瑞宝章というような慣例に基づきまして叙勲せられたものでございます。
○帆足委員 ちょっとお尋ねしますが、そのルメーなる職業軍人が広島、長崎の原爆の戦犯であるということは、間違っておりますか。
○岩倉政府委員 ルメー大将は、戦争中にB29の爆撃隊の隊長をせられておりましたけれども、防衛庁からの御説明によりますと、原子爆弾の投下の直接責任者ではないというふうに伺っております。
○帆足委員 私は、この問題につきまして、広島の人からその嘆きを聞いたのですが、もっともだと思うのです。したがいまして、身元調査を私のほうでもしておりますから、あなたのほうも、失敗したことは失敗したこととして、この戦犯に勲章を渡した——戦犯であるからといって、自衛隊との関係もあって、十周年記念で来るというのに勲章を渡さないということも、賞勲局としてはできにくい事情もあったと思うのです。これをジレンマと言うものでしょう。しかし、広島の皆さんからのこの嘆きを聞きましたときに、私は一種異様の気持ちがいたしました。廣田外務大臣が罪もなくして戦犯になられて絞首刑に処せられた日のことなどを思いますと、この何とかという職業軍人に旭日何とかというような勲章は、まことに歴史の皮肉ではあるまいか。私どもにどういう勲章を下さるか知りませんけれども、それに劣らぬ勲章をかくのごとき戦犯にあやまって与えておるということに対して、一人の良心的議員が、国民的感情から人生の悲劇を嘆いていたということを記録にとどめていただきたいと思います。
○安藤委員長 松井誠君。
○松井(誠)委員 私は主として原子力潜水艦の寄港の問題と条約との関係についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、その前に一点だけ日韓の問題についてお聞きをしておきたいと思うのです。 佐藤内閣になりましてから日韓会談が急ピッチで進められております。それと並行をして、例の二千万ドルの緊急援助が、伝えられるところによりますと去る十一日に調印をされた。この点について大臣に最初に一点お伺いをしたいと思いますけれども、この緊急援助というものは、いま進められておる日韓会談というものとは一体どういう関係にあるのか、関係があるのかないのか、その点をひとつ最初にお伺いいたしたいと思います。
○椎名国務大臣 これは関係はございません。隣国の窮乏まことに惨たんたるものでありまして、工場の原材料が不足する、あるいは機械部品が足りないために機械が動かない、そういうようなことで、さなきだに経済の状況が非常に悪化しておるのにかかわらず、ここに若干の補修機械部品あるいはまた原材料を供給すればその工場が動く、したがって雇用関係も非常によくなる、半失業あるいは失業の状態がだんだんとひどくなっておるのでありますが、雇用の関係が改善され、内外に対する生産品の供給というものは目に見えて潤沢になる、こういうことははっきりわかっておるのであります。韓国を相手にして会談のいま半ばにあるという状況でございますけれども、こういうことでは将来の日韓の国交回復の問題にも至大の影響を与えるのでありまして、われわれは、この会談の問題を離れてこの窮状を是正してあげたい、かような見地からこの二千万の緊急輸出の問題に踏み切ったような次第でございます。
○松井(誠)委員 いま大臣は、最初のほうでは、それは日韓会談とは関係がない、経済的な窮状を救うための緊急援助だというお話でありましたけれども、あとのほうでは、このままの経済状態でいくと、せっかくの日韓の国交回復も困難だということを言われた。私が聞きたかったのは実はその点なんです。つまり、関係があるかないかということは、この行なわれている緊急援助は日韓会談の地ならしだ、そういう言い方が世上伝えられておりますので、そういう役割りを持っておるのかどうかということであります。大臣は、前半の御答弁ではそれを否定されたかのようでありますけれども、結局それが日韓会談のいわば促進剤になる、あるいは、せっかく日韓会談で援助をしても、それがどろ沼に入ってしまうというようなことのないように、そういう投資が有効になるように、そういう地盤をあらかじめつくっておきたいのだ、そういう趣旨に受け取ったのですが、そういう意味では関係がある、このように理解してよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 とにかく、つながりがあるようにお受け取りになったとすれば、私は少し言い過ぎであったと思います。とにもかくにも、隣国の窮状見るに忍びず、このままの状態ではせっかく立ち直るだけの力があるにかかわらず次第次第にますます混乱、混迷におちいるということでございますので、隣国の一つの状況見るに忍びず、こういう意味において援助に踏み切ったような次第でございます。それがひいては日韓問題にも多少の影響があるのではないかということをちょっとつけ加えて申し上げましたが、これが何か日韓の会談を促進する上においての一つのねらいであるというようにもしもおとりになるとすれば、多少・私も言い過ぎたと思いますから、どうぞひとつ誤解のないように。
○松井(誠)委員 ちょうど重要事項指定方式の問題と同じように、それが結果的には中共の加入を阻止するということにもなるけれども、しかしそれが目的ではない、こういうことですが、いまの答弁も、結果的には日韓交渉を進めるという結果になるけれども、しかし日韓交渉を進めるということの目的ではない、あえて言いますならば同じような答弁の訂正をされておるわけですが、まあそれはそれでよろしゅうございます。といたしますと、この緊急援助という問題は、一体いつごろ話が始まったのか、その出だしは一体いつごろからかという状況をちょっとお伺いしたい。
○西山政府委員 御答弁申し上げます。 ことしの春以降、韓国の学生のデモその他がございまして、いろいろ新聞の報道その他で韓国の経済的な困難が伝えられまして、そのころから、韓国に対して若干の経済的な支援を与えるべきではないかという考え方からこの話が始まったわけでございます。
○松井(誠)委員 ことしの春からの話がやっと最近になって妥結をした。ずい、ふん延びて、緊急という名に値するかどうかが問題だと思うのですけれども、それでは一体こういうように延びてきた最大の理由というのはどこにありますか。
○西山政府委員 いろいろ、関係の省の事務的な当局の間におきまして、どういう形の支援をしたらいいかというようなことでなかなか議論が分かれまして、最終的な結論に達しなかったのでございます。それからまた、政府の意向が確定しましたあとにおきまして、韓国と実際上の手続の問題につきまして話しまして、いろいろ韓国の制度の問題とかいうものもございますし、また日本の銀行の制度その他の問題もございまして、そういうものを両者でお互いに理解してうまく実施ができるような手続を最終的にきめるということで相当時間がかかった次第でございます。
○松井(誠)委員 ちょっといまの御答弁が聞き取りにくかったのですが、それはまたあとでお伺いするとしまして、一体この緊急援助というのはどっちが先に言い出したものなんですか。向こうのほうから苦しいから何とかしてくれと言ってきたのがきっかけなのか、あるいはまた、見るに見かねてこちらのほうから先に手を伸ばしたのか、どっちなんです。
○西山政府委員 日本側から申し出た話でございます。
○松井(誠)委員 ことしの六月の十二日の新聞なんですけれども、これは、その前の十一日に日韓本会議の非公式折衝があって、そのときの模様を報じておるわけですが、これによりますと、韓国としては、消費財のそういう緊急援助という、いかにも救済という印象を与える援助よりも、むしろほんとうに貿易を拡大をしてもらいたい、そういう意味で、将来の生産を増進をするための、たとえばプラント輸出などというものに経済援助の重点を置いてもらいたい、それが韓国側の意向だというように伝えられておる。そして、同じその日の大平大臣の記者会見での言明によりましても、やはり緊急援助という形よりもほんとうの貿易拡大というもののほうがいいのではないかという趣旨の記者会見における言明がある。これはこの当時ちょうど後宮さんも出られておったようでありますけれども、やはり、その当時の韓国の状況というものは、緊急援助はむしろお断わりだ、それよりももっと将来の産業構造が変わるようなそういう意味の貿易拡大のほうをむしろ望んでおる、これが韓国の意向だったのですか。
○後宮政府委員 御指摘のとおり、日本側といたしましては、最初は昨年に準じまして米あるいは綿製品のような、すぐに食ったり着たりするものを提供しようということで先方の意向を打診したのでございますが、それに対しまして、向こうは、すぐ食ったり着たりして消えてしまうものよりも、産業をほんとうに振興するものをほしいということをまず言いました。それにつきまして、プラントがいいのか、それともさっき経済協力局長から申し上げました原材料ないし工場補修材料がいいのかというようなことについて、その後話が進みまして、とりあえず、工場等は建設に相当時間がかかるということで、ちょうど六〇%くらいの操業状況になっておりました工場を動かすための原材料、補修資材のほうに重点を置くということで、援助のほうはそういうふうになりました。片や、当時ジュネーブ等の国連貿易開発会議等でも言われておりましたように、エイドよりかトレード、援助よりか貿易ということが一つの合いことばのようになっておりまして、韓国のほうでも、その援助的な給付を拒絶するのではないけれども、それだけでは不十分だ、ちょうどいま六対一ぐらいになっております日韓間の貿易アンバランスをできるだけ縮めて、外貨獲得力をつけるために韓国の生産物、特に水産物等の輸入増のことも並行してやってくれ、要するにエイドとトレード両方やってくれ、こういうふうに言ってきたわけでございます。
○松井(誠)委員 この十一日に調印された内容でありますが、およそ新聞を通して承知はいたしておりますけれども、きまった内容のほんの概略を最初にひとつ報告をしていただきたいと思います。
○西山政府委員 二千万ドルの借款供与の書籍の交換の内容は、日本政府は、二千万ドルの限度まで、民間におきまして商談が成立しました契約を、金利五分七厘五毛、それから一年据え置きを含む五年の延べ払いで承認を行なう、こういう趣旨のものでございまして、その商談の契約の対象となります品目としましては、原材料及び機械の部品、こういうことに相なっております。
○松井(誠)委員 一年据え置きの五年でしたね。
○西山政府委員 一年据え置きを含む五年で、一年据え置き、あと四年の均等払い、こういうことになっております。
○松井(誠)委員 先般戸叶委員から、この問題について、一体これが焦げついた場合には最終的にはどうなるのかという質問がありましたけれども、必ずしもはっきりしなかった。とりあえずは当事者の犠牲になるだろうという程度でありましたけれども、さてそれが最終的には一体どういう形になるわけですか。
○西山政府委員 商談が成立しまして実際に契約が成立します前提としましては、韓国の輸入業者が韓国銀行の信用状を日本の輸出業者に開設するようになっております。
○松井(誠)委員 韓国銀行が保証をする。その韓国銀行の資産内容というものは一体どの程度のものかということはもちろんお調べになっての上のことだと思いますけれども、昨年の十二月ごろに韓国銀行の資産内容が非常に悪いということが韓国の中でも報ぜられた。また、韓国の国際収支も非常に悪い、外貨もほとんど底をつきそうだ、そういうことも報ぜられた。ことしの夏にプラント輸出なりあるいは援助の問題がさたやみになった最大の理由というのは、韓国のそういう支払い能力について疑問がある、そういうことが大きな原因だというように伝えられた。とすると、今度妥結をしたこれが、韓国銀行、いわば中央銀行ですね、その中央銀行の資産が非常に悪化をしておるというそういう状況が伝えられたあと、現在一体どの程度ほんとうに信用状を発行して間違いないという状況になっておるのか。しかもこれは一年据え置きを入れて五年間という長期、それも韓国の経済が非常に不安定だという状況、それから中央銀行でも破産しないという保証はない。そのときには一体どうなるのか。
○西山政府委員 契約は、御説明申し上げましたとおりに、一年据え置きの四年均等払いでありまして、毎年の半年ごとの償還額と申しますのは比較的僅少な額になりまして、私どもは韓国銀行の信用状が不渡りになるということはないものと考えております。
○松井(誠)委員 あった場合には機構的にはどう いうことになるのですか。たとえば、日本の輸出業者というのは、輸出入銀行なら輸出入銀行からの金融をとりあえず受けて、事実上代金を受け取るのかしらぬ。最終的には日本のそういう輸銀がかぶるというような仕組みになるわけですか。あり得るかどうかは別として、機構の上ではそういうことになるわけですか。
○西山政府委員 これは通常の延べ払いの案件でありまして、日本におきましては輸出業者が信用保険を受けることになると思います。
○松井(誠)委員 私が実はお伺いをしたいのは、韓国の経済状態というのが非常に悪化をしておる。そのときに、何か、延べ払いだというようなことで、いずれは返ってくるのだ、ただ普通のプラントでないこういうものに延べ払いをするという手続だけが異例なので、言ってみれば民間の信用供与と大した違いはないのだという印象を与える。しかし、実際には現に四千五百万ドルこげついたままになっておる。そういう韓国との貿易関係というものを考えると、当然こげつきというものを予想しなければならぬのじゃないか。あるいはこれは将来のことになりますけれども、請求権の問題が解決されたときに何かこっちに横すべりしていくのかどうか知りませんけれども、どうも支払いの関係についてきわめて不安だ。重ねて伺いますけれども、中央銀行だからといって、それで大体こげつきはないだろうという、それだけの見通しでやっておるわけですか。
○西山政府委員 最近のこの日韓間の貿易状況を見ますと、過去二、三年は日本側が一億ドル以上の出超をいたしておるような次第でございまして、これは現金決済でございますが、そういう事情も考えますれば、私は、現在この二千万ドルの五年間の延べ払いの金額が不渡りになるとか、そういうようなことを公に申すことは、私どもとしては申したくない次第でございます。
○松井(誠)委員 公に申したくなければしかたがございません。じゃ、その問題はそれにしまして、あと原子力潜水艦の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 原子力潜水艦の寄港の問題について、アメリカから声明と、それからエード・メモアールですか、これが来た。これに対して日本は確認をするという回答をした。これは条約局長にお尋ねをしますけれども、やはり国際法上の合意というように理解をしてよろしゅうございますか。
○藤崎政府委員 広い意味で合意と考えてよろしいと思います。
○松井(誠)委員 その原潜の寄港について新しく合意ができた。その合意の中で、これも先般問題になったことでありますけれども、二十四時間前に日本に通報をする、これはもちろん合意上の義務としてアメリカはやらなければならないわけですね。そのときに、いつの場合にもすべて事前に通報をするというのではなくて、通常の場合というのですが、この翻訳によりますと、通常少なくとも二十四時間前に通報するということになっておりますけれども、この通常というのはどういう意味ですか。 〔「戦争のとき以外だ」と呼ぶ者あり〕
○藤崎政府委員 通常と申しますことば自身の意味は、大体何割程度に行なわれる場合が通常だというふうに、一律に断定的には言えないと思います。その事柄のその場合場合に応じて常識的に判断するよりほかないと思います。
○松井(誠)委員 いま自民党の委員席から、通常というのは戦争のとき以外なのだという発言がありました。私もそう解釈すればまだはっきりすると思う。しかし、どうもそうじゃないらしいからお聞きをしたが、いまの御答弁のように、お聞きをしましたけれども何のことかわかりません。通常というのは、つまり異常の場合以外は通常でしょうね。何が一体異常なのかということは、ケース・バイ・ケースで判断をするということですか。
○藤崎政府委員 ちょっと私は御質問の趣旨を取り違えたかもわかりませんが、通常ということば自身の意味として申し上げると先ほどのようになる。この場合の通常というのは、事柄が原子力潜水艦の入港というようなことでございますから、実際にはほとんど予想し得ないくらいの場合なんだけれども、必ず断定的に二十四時間前の予告をするとまで言い切ることに若干の不安をアメリカ側が持ったために、こういう安全弁がちょっと加えられておるだけのことでありまして、何か通常でない場合を両者の間で想定してこういう字を入れたということじゃないわけでございます。
○松井(誠)委員 私は何も通常という日本語の意味を聞いておるわけじゃない。つまり、この声明に盛られている通常というのはどういう意味かということを聞いておるのです。 そうしますと、いまのお話では、一〇〇%というのが本来は原則なんだけれども、特に異常の場合には通報しないことがあり得る、そういう趣旨だ、そういうことですね。
○藤崎政府委員 大体お説のとおりでございます。
○松井(誠)委員 そういうことはアメリカに念を押して、そういう意味だということを確かめておるわけですか。
○竹内政府委員 確かめております。
○松井(誠)委員 その確かめた内容をもう少し正確にお伺いしたいと思いますけれども、そうしますと、通常というのは文字どおり通常なんだが、それでは、異常という場合はたとえばどういう場合を想定されるか。たとえば戦時というように限定をしていいのか。きわめてあり得べからざる状況といえば、せいぜい考えて戦時くらいしかない。それ以外に平時に通報ができないという、そういうことは常識的に考えられない。そうすると、自民党の委員の解釈のように、これはやはり戦時だという意味に解釈するのかどうなのか。
○竹内政府委員 そのような点までは詰めておりません。
○松井(誠)委員 これは単に一方的な宣言じゃなくて合意でしょう。合意であるということになれば、この通常というのはどういうことであるのか、そういうことがきちんときまっていなければ、一体これからあとこの合意を運用していくのに困るじゃないか。アメリカが通報しなかったとき、これは一体通常なのか通常でないのか、そういう議論になった場合に、通常というのは別に詰めておりません、これでは話にならない。少なくともこれは実質的には条約でしょう。その条約にそういうあいまいなものを残したままでいくということは一体適当なのか。詰めていないということ自体きわめて怠慢じゃないか。
○藤崎政府委員 さっき、最初の御質問で、これは合意かという問いに対しまして、私は広い意味でと申しましたが、いま私のお答えが若干誤解を与えているようなので、少し補足さしていただきますけれども、条約上これで義務づけられたということにはならないのでございまして、条約上は、地位協定上でございますが、向こうは権利があるわけでございます。人港の権利があるわけでございます。ただ、原子力潜水艦というものの特殊性にかんがみまして、特に地位協定上の権利義務と関連なしに、別にまたこういうことを両国政府間で打ち合わせたわけであります。 通常ということばの意義につきましては、先ほど私が申し上げましたように、別にこういう場合は例外としてよろしいのだというような例外を日米間では打ち合わせておりません。それくらいに予想し得ないような場合で、常識的に言えば必ず通報があると思っていいのだ、こういうことでございます。
○松井(誠)委員 最初の質問に返らなければなりませんけれども、私が冒頭お聞きしましたのは、これは合意である、そうすると、二十四時間前の通報というのは合意上の当然の義務として出てくるのではないか、それはそのとおりだという答弁、この点は間違いないでしょう。
○藤崎政府委員 いま私が申し上げたクォーリフィケーションをつけた上での合意でございます。それをすぐ条約上の義務と、こういうふうにおっしゃると、またひっかかりが出てくるわけでございます。
○松井(誠)委員 では、条約上のということばを避けて、合意の上での義務ができるのではないか。これが安保条約や地位協定と関係があるかないかということは別として、単にそれの実施の合意であるかどうかという関係は別として、ともかくこれは普通の国際間の約束である。約束ということば自体は、条約局長もいつかそのことばを使っておるのです。約束である限りは、それは実質的な条約でしょう。実質的な条約であるならば、そういう意味の条約上の義務として、二十四時間前の通報の義務が生まれる。これは間違いないでしょう。
○藤崎政府委員 条約だということばをときどきここでおっしゃると非常に混乱するような気がいたしますが、条約上、協定上の権利義務とは関係なしに、これだけは特別にこういう取り扱いをしましょうということを打ち合わせたということでございます。あまり義務とかなんとか、かたいことばをお使いになると、すぐそれじゃ協定上義務があるのかというような疑問を誘発いたしますので、そういう関係はないということを申し上げたわけでございます。
○松井(誠)委員 どうもはっきりしません。私は、条約というのは、安保条約という意味で言っておるのじゃなくて、実質上の条約じゃないかと言っておるので、それは混乱を起こさせるならばそのことばを避けますけれども、しかし、合意だというのでしょう。約束だというのでしょう。その約束には拘束されるわけでしょう。その拘束はまさに義務じゃありませんか。義務と言うとどこが行き過ぎなのですか。
○藤崎政府委員 条約というと、私どもはすぐ、憲法上の条約、国会の御承認を要するとか、そういうふうな四角四面なことを連想するわけでございます。条約上のことを申せば、むこうは自由を持ち、権利を持っておる。しかしながら、原子力潜水艦のことだけはこういうぐあいにいわば向こうが自制しよう、こっちも自制してくれということで、話し合いがついたということをすなおに受け取っていただきたいと思います。
○松井(誠)委員 私は政治論を聞いておるのじゃなくて、条約局長には条約論を聞いておるのです。つまり、国際法の問題を聞いておるわけです。条約というのは憲法に書いてある条約かどうかというややこしいことは避けます。だから、これは少なくとも合意だということになれば、拘束力のない合意というものはあり得ないのじゃないか。拘束力があるとすれば、それを義務と言うのがあなたおきらいならば、義務ということばを避けてもよろしゅうございますけれども、少なくとも二十四時間前に通報ということにアメリカとの合意の結果拘束をされる、こういう表現ならばいいでしょう。
○藤崎政府委員 けっこうでございます。
○松井(誠)委員 だとすれば、この通常というのは、一体どういう場合にアメリカが通報しなければならないかというその問題を通常ということばで限定しておるわけですから、どういう場合が通常か、どういう場合が通常でないかということを詰めないということはおかしいではないか、ただ向こうが一方的に声明をして、ああそうでございますかといって一方的な宣言を受けとるだけではなしに、これが合意という拘束力を持つとすれば、その合意の内容というものは確定しなければならぬのじゃないか、向こうの一方的な御意に召すままで、通報したりしなかったりということではなしに、そういうことがないとすれば通報という内容をもっとはっきりしなければならないじゃないか、私が先ほどから言うのはそういうことです。
○藤崎政府委員 そこでやはりさっきの話に立ち戻らなければならないのでございますが、はっきりこっちに権利があるものだったら、向こうが条約上の義務を履行するについて、通常義務を履行するなどということを言わせてはならぬということ、そういう議論ならばわかるわけでございますけれども、条約上の権利はあるけれどもこういうふうに取り扱い上しようということで、こっちとしてそう威たけだかになれる筋合いのものではないと思います。しかし、実質上の問題としては、先ほど申し上げましたように、何も向こうの御意の召すままに通報しなかったりしたりするというものではございませんで、常識的には必ずあるものと思って差しつかえないということを申し上げておるわけでございます。
○松井(誠)委員 私は先ほど通常という意味がきわめてあいまいだというお話をしたのですけれども、いまの私の質問はそのもう一つ先で、そういうあいまいのままにしておくのはいかぬではないかというお尋ねだったんです。あいまいな理由としては、元来アメリカに要求ができないことをアメリカのほうが言ってくるんだから、積極的にこちらでその内容を確定するんだということはどうかと思う、そういう意味で、怠慢じゃないけれども、いまの日本の置かれている立場から、やむを得ず向こうの言うとおりのんだんです、私の質問に対する答弁としては結局こういう答弁になるわけですね。
○藤崎政府委員 それと、もう一つ、実質的に通常というのはそれほど御心配になるような留保ではないということを申し上げたわけでございます。
○松井(誠)委員 心配になるような留保ではないということでありますが、そういう内容が確定してなければ、心配するじゃないですか。例によって信じなさい信じなさいでは、信じられないということから、こういう不安が出てくるんです。 それじゃこの問題はこれでやめますけれども、ともかく、通常ということばは厳密に詰めてはいない、そのとおりなんですね。しかし、通常の場合には通報するようにアメリカは拘束をされる、この点も間違いない。条約局長はうなずいておられますから、そのとおりだと思う。 それでは大臣に一つお尋ねしたいのですけれども、いままで政府は、こういう通報があった場合に国民に遅滞なくその旨を知らせる、こういうのが政府の態度でありましたが、念のためにお聞きしますけれども、この態度には今後も変化はない、かように考えてよろしゅうございますね。
○椎名国務大臣 そのとおりに心得ております。
○松井(誠)委員 そうしますと、一部新聞に伝えられておるように、官房長官から、将来は国民に知らせるかどうかわからぬというような言明があったようでありますが、大臣のいまの御答弁ではっきりいたしました。 それでは次の問題に移りたいと思います。それは、実は先般お伺いをしました例の交換公文の事前協議の範囲の問題なんです。この前兼松参事官にお尋ねいたしましたけれども、どうも表現が回りくどくてはっきりしなかったんですが、条約局長にもう一ぺんお尋ねしたい。 この重要な装備の変更というのは、核兵器の持ち込みあるいは中長距離ミサイルの持ち込み、ミサイルの基地の建設、その三つだ、それはわかります。わかるというのは、いろいろ留保をつけての意味ですが、わかる。しかし、それ以外にはそう重要な装備の変更とはいわない、それ以外は事前協議の対象にはならないのだという、限定的な積極的な意味を持っておるのか、あるいは、そうでなくして、たとえばこういうことなんだという例示的な意味にすぎないのか、もう一度はっきりお答え願いたい。
○藤崎政府委員 限定的な意味と了解していただいてけっこうでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、こういう事態が出てくるんじゃないでしょうか。つまり、この重要な装備の変更というのは言ってみれば核兵器の持ち込みだけを意味する。そうして日本政府は従来も核兵器の持ち込みは断わるということを言っておりますね。そうしてアメリカはこの事前協議については日本の意思に反して行動はしないということを保証しておりますね。この三つをつなぎ合わせてみると、核兵器の持ち込みについては日本は断わることははっきりしておる。アメリカはその意思に反することはしないということを言っておる。つまり、事前協議にもならないということですね、アメリカは日本が断わることがはっきりしている問題を持ってくるはずはない。日本は初めから断わるということを声明しておる。そうすると、アメリカ自身が一体核兵器持ち込みを協議の対象にしようということはないじゃないですか。そうなりますと、重要な装備の変更は事前協議の対象になるというこの交換公文は、少なくとも装備の変更に関しては適用する場合というものは一つもなくなってくる。そういう結果になりはしませんか。
○藤崎政府委員 この事前協議の交換公文には、御存じのとおり、装備の変更のみならずほかの二つの項目もあるわけでございますが、それに共通に使い得る表現としてああいうぐあいになっておりますけれども、結局、日本政府が核兵器の持ち込みに応じないという態度を堅持しておる限りは、結論においては仰せのとおりになるわけでございます。
○松井(誠)委員 この事前協議という制度は、言ってみれば、新しい安保条約が、政府の宣伝によると、日米が対等になった、その一番大きなシンボルのように言われておったのですね。事前協議というその大きな柱が、それでは具体的に重要な装備の変更という問題を考えてみると、核兵器の持ち込みそのものは事実上事前協議の以前の問題になるだろう、少なくとも装備の変更に関する限りは事前協議の対象になるものは実際にはない、そういう私の意見に条約局長は同意をされた。そうならざるを得ないと思うのです。ただ、私は、この重要な装備の変更というのがそれにもかかわらず事前協議の対象になり得るとすれば、こういうことじゃないかと思う。つまり、日本政府のその意思というものが変わってきた、持ち込みを許そうという気持ちになってきた、そのときに初めてこの事前協議という制度が生きてくる。そのときにはアメリカは、意思に反して行動しないというその共同声明にも触れなくなる。そこで初めて事前協議という制度が動いてくる。だから、日本が核兵器の持ち込みを禁止をしますと言っておる限りはこの制度は無にひとしいけれども、しかし、日本政府が核兵器の持ち込みよろしゅうございますという態度になれば、そのときにまさにこの事前協議の制度というものが重要な装備の変更に関しては動き出してくる、こういう妙なことになりはしませんか。
○藤崎政府委員 どうもたての両面かもしれませんが、私どもは、事前協議という関門が一つ設けられておるから結局核兵器の持ち込みができないというふうに考えておるわけでございまして、核兵器持ち込み何でもいいんだということだったら、わざわざこんなしちめんどうくさいことを言う必要もないのじゃないかという理屈もまた成り立つのじゃないかと思うのでございます。要するに、この事前協議という制度をつくりましたのは、日本政府の意思に反してこういうことが行なわれないということを明確にすることによって、その核兵器の持ち込みを拒否しようという趣旨であったことは、これは当時から繰り返し御説明申し上げているとおりでございます。
○安藤委員長 松井君、なるべく簡潔にお願いします。
○松井(誠)委員 その点について二点実はお伺いしたいと思う。 一つは、やはりこの前お伺いしましたように、この重要な点について文書化をされたものは一つもないということですね。この事前協議の対象が核兵器の持ち込みに限るというそのことは、これは単にこの交換公文の解釈の問題ではない。そうじゃなしに、幅の広い重要な装備の変更という大きな網を交換公文で打っておきながら、その中のきわめて限られたものの中にもし限定をしたとするならば、これはまさに国民に非常に大きな影響を持つ合意だと思う。そういう重要な合意について全然文書がない。そういうことは国際慣行上一体あるのですか。文書化されない合意というものは皆無じゃないかもしれません。しかし、それは、たとえば条約のほんとうに末端か、実施の問題とか、そういう問題ならば別ですけれども、この重要な装備の変更という大きな問題を核兵器の持ち込みということだけに限定をしてしまった、この非常に大きな変化、非常に重要な内容を持っておる合意、それの文書が全然ないということは一体どういうことか。
○藤崎政府委員 文書がないということは前から申し上げておるとおりでありまして、要するに、重要なという形容詞が意味が抽象的でございますから、具体的にいえばこうだということを両政府間で了解し合っておるわけでございます。これは単に装備の問題についてのみならず配備についても同じようなことがあるわけでございまして、配備の重要な変更というのは、陸軍でいえば一個師団以上とか、海軍でいえば一機動隊以上とか、大体その程度のことを考えておりますということを御答弁申し上げておるわけでございます。
○松井(誠)委員 いまの配備について、大体その程度という御答弁が出てくること自体、合意の内容が私はあいまいだということになりはしないかと思う。 お伺いしますけれども、それでは、アメリカは、この合意、これは核兵器の持ち込みというものを意味するのだ、そういうことを公式の場で認めた、そういう機会がありますか。
○藤崎政府委員 私が承知いたしておる限りではございませんが、しかし、日本政府が当時からこういうことを国会の答弁で繰り返しやっておることは、アメリカ政府も百も承知なわけでございます。 それから、先ほどの配備の点について、一個師団程度とかいって、程度ということばを使いましたのはこれは量の問題でございまして、こちらのほうに程度ということばを使ったからといって、装備のほうは質の問題でございますから、装備のほうについてあいまいさが出てくる、こういうことはないわけでございます。
○松井(誠)委員 アメリカは、私も調べてみましたけれども、公式の場ではこういうことを言明したことは一度もない。ただ、日本の国会で日本政府がそういう答弁をしておることについて黙って聞いているから承知しているはずだ、そういう証拠しかないわけでしょう。それでは一体、こういう内容の合意ができたということを証明する方法というものがあるのですか。その当時交渉に立ち会った藤山外務大臣がおらなくなれば、現実にはわからない。こういう重要な合意がそんなことでいいのでしょうか。そういう例はありますか。つまり、重要な合意というものが文書化されないという例はありますか。
○藤崎政府委員 例は幾らもあると思います。 それから、この場合には、何もないところにそういう合意をしておるわけではございませんで、はっきりこういう交換公文の上に頭をちゃんと出しておるわけでございますから、単なる口頭の合意よりはよほどりっぱな形を整えておると言って差しつかえないのじゃなかろうかと思います。
○松井(誠)委員 頭を出しておるなどというものではないですよ。重要な装備の変更というものは非常に範囲が広い。それを核兵器の持ち込みということに限定したことは、非常に大きな変更だと思う。私が言いたいのは、むしろアメリカが、事前協議の対象ではないということを断わりながら、しかも昨年の初めに伺いを立ててきた。しかも、この前の大臣の御答弁によれば、安全性に疑問があれば日本は断わるという。これは、事前協議の制度が持っている以上の立場という、言ってみればそういうはっきりした拒否権のようなものさえ大臣は言われておる。これくらい重要な装備の変更はないじゃないですか。こういう重要な装備の変更というものがあるにかかわらず、自分でこれは核兵器の持ち込みに限りますというような合意をして、それが単にもう交換公文で頭を出しておる、これの具体化だ、そういう安易な考え方は、私はとうてい同意をすることができない。しかし、時間がありませんので、最後に一点だけそれではお伺いしましょう。 そのように、これは、日本は核兵器の持ち込みに限るという、アメリカは積極的にそれに同意するという機会はなかったけれども、アメリカ自身もその意思だといわなければならぬ。そこまでくれば、これを文書にはっきりする、核兵器の持ち込みはしませんという合意を文書化する、そのことができないですか。ほんとうに半歩か一歩の前進でそれはできる。それをいままでそういうものについて政府はちっともはっきりした答弁をしていない。言ってみれば、もう文書化しなくてもはっきりしておるのだからという言い方をしておる。しかし、ちっともはっきりしてないですよ。アメリカ自身そういうことを一度も言ったことがない。言ったことがないとすれば、いざというときに、私はそういう約束をした覚えはありません、あなたがそういう解釈をかってにしたのでしょう、——アメリカを信ずれば別ですけれども、そういう場合だってある。そうでなくて、あなたの言うように、アメリカは百も承知だ、これはちゃんとした合憲ができておる、ちゃんとした合意ができておるというならば、それをどうして文書化できないのです。大臣にちょっとお伺いをしたいのですが、それを文書化することについて日本は何か一体ちゅうちょ逡巡しなければならぬ理由があるのですか。
○椎名国務大臣 何もちゅうちょ逡巡するような事柄はございません。ただ、従来の条約の交渉の過程において非常にはっきりした問題であって、もはやこれに対して何ら加除訂正する必要はないと考えております。
○松井(誠)委員 ちっともはっきりしていないのですよ、大臣。つまり、アメリカは日本とそういう約束をしましたということは一度も言っていないのですよ。しかも、日本は約束はしたと言っておるけれども、それが文書になったものは一つもないのですよ。外務省にも文書はないのですよ。あるのは、ただ条約審議のときに藤山外務大臣がしゃべったことだけしかないのですよ。それではっきりしているのですか。はっきりしているというのならば、そのはっきりしていることをどうして文書化できないのか、そういうことなんです。 もう一度お伺いしますが、ほんとうにはっきりしておるとお考えならば、いっそうのこと文書にするのは当然じゃないですか。これが一〇〇%もうどこからも水も漏らないような形ではっきりしておるのならば、私は無理は言いません。しかし、ことばの上でははっきりしておると言いながら、私がいま申し上げたようないろいろな八方破れじゃないですか。とすれば、これをはっきりさせるということにはそれなりの意味があるわけでしょう。それがどうしてできないのです。なぜする必要がないのです。
○藤崎政府委員 先ほどから申し上げておりますような装備における重要な変更という表現の意味は、これは条約ができてからあとからくっつけたものではございませんで、その前から日本は核兵器の持ち込みに反対だということを言っておりまして、その趣旨をあらわすためにこの表現が出てきたわけでございまして、それで何かこれでは不十分だというお話でございますけれども、核兵器の持ち込みというような重要な装備の変更が、装備における重要な変更ということに当たらないなどということはあり得ないわけでございまして、私どもといたしましては、これで十分である、かように考えております。
○松井(誠)委員 もうこれでやめますけれども、いまの条約局長のお話では、ことばは重要な装備の変更ということになっておるけれども、内容はもともとから核兵器の持ち込みを言ってみれば意味しておったのだ、こういう御答弁の趣旨でありましたね。これは私はいま初めて伺いましたので、その点について実は問題があると思うのですけれども、それは次の機会にいたします。しかし、ともかく、そういう経過があるにしても、その経過自体が文書化されていないからわからない。言ってみれば、その会談に立ち会った、交渉に立ち会った当事者しかわからない。そういう形にしておいて、しかし政府を信じなさい、アメリカを信じなさい、そういうことで一体この外交折衝の結果というものを言ってみれば国民に押しつける、そういうことが妥当な方法と言えるだろうか。むしろ、だから、ここまで問題が表面化してきたら、やはり文書化をするという問題についてもっと真剣に考える必要があるんじゃないか。私は、なぜそれが文書化できないのかという私の推測は申しません。しかし、ほんとうに政府でその約束がきちっとできておるならば、これが文書化できないはずはないのですよ。逆に言えば、文書化ができないのは、きちっとした合意がないということの証明ではないか、そういうように国民は勘ぐらざるを得ないのです。このことだけを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○安藤委員長 永末英一君。
○永末委員 私は、過般の国連総会で外務大臣が演説をされて、日本の国連を中心とした外交方針を全世界の人々に明確にされたという点について、非常に不分明な点、重要な点が、私の見るところでは四点ほどあると思いますので、これをひとつ伺いたいと思います。 ところで、大臣がここにおられるのは四時十五分までと伺っておりますが、すでにあと七分。理事会の申し合わせによれば約三十分ほど時間をいただけると伺っておりますが、委員長、もし大臣が四時十五分に御退席されるとするならば、あとの二十三分次の機会にひとつ質問を許されるかどうか、まず委員長に伺いたい。
○安藤委員長 次の機会におきましてなるべく二十三分の時間をお取り計らいいたすようにはいたしましょうけれども、またそのときの理事会のいろいろの御意見も出ましょうから、努力はいたしますけれども確約はできませんので、また外務大臣に対しても委員長としてこの場合できるだけあなたさまの御質問に御協力願うようにつとめますことを希望しますから、ひとつできるだけ質問してください。
○永末委員 外務大臣は、総会の演説で、中共が核戦力を保持することを目的として核爆発を行なった、このことは世界の核兵器禁止ないしは廃止を目的としている諸国民に対する裏切り行為であるというような強いことばで非難をされたようでございますが、核戦力を保持する目的で中共、北京政府が一生懸命やっているという認識に立っておられますね。
○椎名国務大臣 もう一度ひとつ……。
○永末委員 あなたが言われたのは、中共は、北京政府は、核戦力保持を目的として核爆発を行ない、このままずっとやっていく、こういう御認識に立って演説をされたと私は思いますが、間違いございませんか。
○椎名国務大臣 核兵器の全廃を口にしながら核爆発を行なうということは非常な矛盾ではないかというような考え方で私はものを言ったつもりでございます。
○永末委員 私の伺っておるのは、北京政府が自国の独自の核戦力を保持しようということでいま一路邁進しておる、こういうぐあいに日本政府は認識をされておると私は思うが、そのとおりであるかということを伺っておるのだから、そのことだけ伺いたい。
○椎名国務大臣 気持ちにおいては別に矛盾しておりませんが、核兵器の保持を目的として第一回の核実験を行なった、そういう事実はこれを認めております。
○永末委員 お隣の国で核戦力が開発せられていくということについては、日本国としては、わが国の安全についていろいろ考えなくちゃならない問題をはらんでいると私どもは思います。その点で、外務大臣が国連総会で申しましたのは、これに対する対策として部分核停条約に北京政府が入ることを強く希望しておる程度でございますが、その程度ですか。
○椎名国務大臣 直ちにこの実験を中止するということがまず大前提である。しかし、実験は中止してもどこからか核兵器を持ってきてこれを振り回すというようなことをしからば私は許すつもりでこういう発言をしているかといいますと、これは非常な誤解でございます。
○安藤委員長 永末君ちょっと、あと十分だけ無理してくれるそうです。だから、なるべく要約して、そして残りの十分幾らはまたこの次相談しますから、それでやってください。
○永末委員 時間が限られておりますので、外務大臣に期待いたすのは、質問をしておりますから、そうごちゃごちゃした質問をしておるつもりではございませんので、明確にポイントをお答え願いたいと思うのです。 私の伺っておるのは、北京政府は何としてでも自力の核戦力を保持しようと思ってやっている。その場合に、日本政府が単に部分核停条約に入ることを期待している程度でこれに対する対応策としておるかということを聞いております。
○椎名国務大臣 現状にあくまで即してものを言っているつもりでございまして、とにかく保持することはもちろんいかぬのであります。いかぬが、いまは向こうは持っているわけではない。これから実験をしてだんだん開発をしよう、こうしているのです。その前提であり踏み台であるところの核実験をやめろ、こういう要求でございます。
○永末委員 核実験をやめてほしいと日本国政府が北京政府に要求をする、要望する。ところが、その日本政府は北京政府を政府として認めておらぬ。こういう段階で一体どういう立場で要求されるのですか、伺いたい。
○椎名国務大臣 直接これを相手にして話しておるわけじゃありません。結局、国際世論に訴えて、そして中共はその世論にかんがみて自発的にやめることを期待しておる、こういう態度でございます。
○永末委員 その国際世論の場として国際連合総会を外務大臣は選ばれた。その国際連合にも北京政府は入っていないという現段階で、一体どうすればいいとお考えですか。
○椎名国務大臣 少なくともただいまの段階ではこれが一番有効な方法の一つである、さように考えたわけであります。
○永末委員 国内におきます政治上の世論も、現在の法制上は選挙を通してそれぞれの代表者が国会に選ばれてくる、それで多数党が内閣をとる、こういうことで世論が政治上顕在化してまいる。だとするならば、国際世論も同じであると思う。一方的に放送ばかりしておったって、どの程度の世論であるかを測定することはできない。もし日本政府が国際世論に訴えるとするならば、その世論の中で北京政府もまた正当な地位を持たなければ、犬の遠ぼえに終わるではありませんか。この点をどうお考えか。
○椎名国務大臣 必ずしも国連に加盟しておらぬでも、私は、心あるならばこれに耳を傾けることはでき、またこれに従うこともできるだろうと思います。そういうことを期待して演説をした次第でございます。
○永末委員 一方的に期待していることが国際的に通用するなら、外交なんというようなものはたやすいものだとわれわれは思うのです。そうではなくて、われわれの期待しているところを、どうやってよその国々と一定の法律上、条約上の関連を持ちながらその方針にいささかでも協調さしていくか、これが外交だと思う。ところが、外務大臣のお話では、何か国連総会の演壇で演説すれば非常に効果がある、こういうような御感覚で一体外交の責任者としてお立ちなのかどうか、伺いたい。
○椎名国務大臣 これはやはり現状の段階においては最も有効な方法の一つである、さように信じております。
○永末委員 現在のあなたの政府が、国連の外に北京政府を置いておく、そういう状態を前提にしておいて、こちらだけで国連総会の演壇でしゃべっておるということしか有効性の限度をお感じにならない。もしほんとうにお感じになるのなら、その原爆を持とうとしておる北京政府が、——これは原爆を持つことは必至だとわれわれは判断をする。あなたの政府も、数年ならずして持つであろうという判定を当衆議院予算委員会で表明された。だとするならば、その北京政府が国連に議席を持ち、そのことによって国際世論の場で正当に北京政府から核兵力に対する見解を明らかにさせるということが一番筋道ではございませんか。お答えを願いたい。
○椎名国務大臣 国連に加盟したからといって必ずしもこの問題が解決するとは私は考えない。現に国連に加盟しておる大国でもこの部分核停の条約に加盟しておらない現状であります。それからまた、東西両独のごとく、加盟しておらぬでもこの核停条約に参加しておるという実例もあるのでありまして、中共を国連に引き入れたからといって、この問題は必ずしも目的に向かって近づくものとは限らない、私はかように考えております。
○永末委員 いま日本と北京政府との間には、国と国との正常な関係がない、しかも国際的なつながりにおいてもほかの国も交えたいわゆる多数国間の状態においてもいささかも関係がない、こういう状態になっておる。その場合に、国連というのがだれが見ても現地球上に存在するほとんど全部の国家を網羅した国際機関であるとするならば、そこに中共が議席を持ってこの問題に北京政府が対処しようとすることと、持たずに対処させようとすることとには、非常な差異があるとわれわれは考えます。外務大臣は、そんなこと期待してもできるとは限らぬ、こういう御答弁ですが、もう一度重ねて伺いたい。
○椎名国務大臣 たびたび申し上げるように、現状の段階におきまして、被爆国として唯一のわが国が、核実験によって、ようやく静まっておる世界にまた再び災いをかもすというようなことは、何といってもこれは黙視できない。そこで、国連の場においてこの問題を披露しまして、そして加盟国の同調を得て、その国際世論の力によってとにもかくにもこの場合実験を停止させるような努力をいたしたのでございます。
○永末委員 もう一問外務大臣に伺いたい。私の申し上げているのは、あなたが対案として出されたのは、部分核停条約に北京政府も入ってくれろ、こう言われただけなんです。それだけの対案で一体いまのようなことが実視するのかどうか。世界世論に、北京政府に核実験停止さらにはまた核兵力を持たないようにやってくれろと日本政府からお願いする限りにおいては、日本政府もまた北京政府のあるべき姿についてある案を持っていかなくちゃならぬじゃないですか。よその政府にだけ、他国の政府にだけお願いをして、そして、われわれのほうは、先ほどからの問答を伺っておりますと、三分の二の重要事項指定で、北京政府の中国代表権取得ができ上がった暁にはというようなことばかり言っておられるけれども、わが国独自の立場として、もしあなたが言われるように被爆国とするならば、この核兵器をなくそうという悲願のためには、われわれの方針がもっと明確にならなければならぬと思いますが、重ねてこの点だけお答えを願っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 将来核兵器の全面廃棄ということは、もちろんわが国の念願であります。ただ、しかし、いまの時点において中共に望むところは、この実験の停止である。言うなれば、部分的核実験停止の条約に参加して、そしてすみやかに実験を中止する、これがきわめて現実的な問題で、ここにしぼってこの問題を持ち出した次第であります。ただ、実験停止さえすれば核兵器の問題についてはあとは何にも意見がない、そういったようなことにもし了解されるならば、これは大なる誤解である。ただこの際中共を相手にして言うべきことはこの一点であるというのでございます。
○安藤委員長 永末君、あなたの御質問の外務大臣へのし残しについては、留保せられることを委員長が了承いたします。外務大臣はここで解放いたします。
○永末委員 そのことを申し上げたかったのであって、私の質問は外務大臣が国連総会において演説されたことについてでございますから、外務大臣がおられませんと、外務省の方々に御質問申し上げてもしかたがない。あと国連警察軍あるいは国連憲章の改正問題等についてこの際留保をさせていただきます。 ————◇—————
○安藤委員長 連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。 国際博覧会に関する条約及び千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について、商工委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。この申し入れを受諾し、連合審査会を開会するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 本日はこの程度にとどめ、次回は、明十六日、午前十時より連合審査会、十一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会