予算委員会 第23号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/06
会議録
○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 予算の執行状況に関する調査を議題とし、きのうに引き続き質疑を行ないます。山本伊三郎君。
○山本伊三郎君 それでは、本日まあ三点についてお伺いしたいのですが、まず、外交問題で大平外相にお尋ねしたいのです。昨日からたびたび日韓問題でいろいろ質問がありましたが、きょう私、日韓問題はやめておきます。昨日からいろいろ外相の答弁を聞いておりますと、あまり晴れ晴れしい顔つきではございません。また、今後の問題もございますので、きょうは日韓会談は一応おくことにいたしまして、外交一般についてひとつ大平外相にお聞きしておきたいのであります。 池田内閣が成立した当時、すなわち一九六〇年当時から見ると、世界の情勢は私相当変わっておるんじゃないかと思うのです。一九五九年だと思いますが、キャンプ・デービッドにおけるアイゼンハワーといわゆるフルシチョフの会談、世間でこれを頂上会談と言っておるようでありますが、この当時の情勢からみると、過去四年間に相当私は変わっているのじゃないかと思う。ごく最近の例をみましても、先日ソ連のミコヤン第一副首相が参られて、いろいろ池田総理とも話をし、あなたとも話をされたようでございますが、その他、東西の関係は私は非常に変わってきていると思うのです。池田内閣が成立した当時は、岸内閣当時の安保条約改定に伴ういろいろの問題がございました。いわゆる日米同盟条約というべき安全保障条約が改定されまして、その当時は相当東西の緊張はけわしいものがあったと思うのですが、その後四年間のこの変化というものは、政府は一体どうこれをみておられるか、認識されているか。きわめて抽象的でありますが、大平外相から、その点依然としてあの安保条約改定当時のいわゆる外交路線を堅持していくのだ、それとも若干幅のある外交方針をとっておるのだ、こういう点について、まず、ひとつ見解をお示し願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、いわゆる東西間における緊張緩和のムードというものが出たばかりでなく、それが核停条約その他の形で具体化してまいっておることも仰せのとおりでございます。そのような世界情勢の変化は一応認めます。認めますけれども、なぜこういう緊張緩和が招来されたかという原因を探求してみますと、そこには、東西間にある緊張した軍事力の均衡があるから、緊張の緩和がその上に招来されたわけでございまして、軍事力の均衡、その上に支えられた平和という基本的な関係は少しも変わっていないと思うのでございます。ただ兵器が発達してまいりまするし、大量の殺戮力を持ちました最終兵器ともいうようなものの発展が年とともに進んでまいりまして、大きな世界戦争というようなことになりますると、人類の滅亡をきたすという認識は双方にありますこともまた事実でございますが、今日あるがままの平和は相互の間、東西間の軍事力の均衡と申しますか、恐怖の均衡と申しますか、そういうものが基底にあるという冷厳たる事実を忘れてはならないと思いまするし、したがいまして、東西間のそういった力のバランスの一環をなす日米安保条約というものを、もしぞんざいに考えますると、この平和の基盤が失われると思うのでございます。このことは、その一角から平和がくずれると思うのでござ、まして、私どもはこれを堅持することによって世界の平和に寄与いたしておると確信いたしております。 —————————————
○委員長(太田正孝君) ただいま委員の変更がございました。 中尾辰義君が辞任をされ、その補欠として北條雋八君が選任されました。 —————————————
○山本伊三郎君 まあ軍事力のいわゆる均衡が、平和をもたらしておる、東西のいわゆる緊張を緩和しておる基本的な結果である、こういわれますが、それも、私も否定はしませんが、しかし、いつも大平外相なりあるいは池田総理がいわれますが、日本は自由主義国の一員として日米安保条約を堅持していくんだ。しかし、フランスもいわゆる自由主義国の一員であり、あるいはまたイギリスもそうだと思う。しかし、フランスの外交方針を考えると、日本とやはりそのとっておられる方向が若干違うのじゃないかと思う。フランスの例を申しますと、中共を承認したり、あるいはイギリスにおきましても、日本以上に中共との関係が非常に緊密であり、ソ連とはもっと緊密だと思う、こういう点を私があなたの口から聞きたいのです。もちろんこの軍事力の均衡ということは、これは単に戦後の状態だけじゃない。おそらく第一次、第二次大戦前からも一応はやはり軍事力の均衡というものが戦争を食いとめておった原因になっておるのかもしれませんが、特に私は日本の場合、安保条約が改定された当時といまとは、いままでのような日米同盟条約に、これに食い下がっただけでは、くっついただけでは日本の外交がおくれるのじゃないか、こういう懸念から言っておる。そこです、具体的に申しますが、これはミコヤン第一副首相がまいられまして、池田総理、いわゆる日本政府から北方領土の問題について、いわゆる条件を出されたようであります。私もそれは日本の国民の一人として、これは北海道に住む人だけの問題でない。択捉、国後あるいは歯舞、色丹の問題は、これは非常に日本の経済上からいっても問題があるところでございまするが、これを提案されるのはきわめて私はあの文面を見ましても消極的であろうと思う。それを認めるなら、平和条約云々とかいっている——それよりももっと積極的に、私はソ連が一番おそれれておるのはやはり沖繩のアメリカのいわゆる基地の問題だと思う。したがって、沖繩の施政権の返還と北方領土の問題をあわせて日本は積極的にこれを取り上げて、両国に働きかけるということが、いまの日本の国民の感情からいえば、それが私はいいのじゃないかと思うのですが、その点についてどう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) 北方領土の問題と沖繩の問題とは、全然問題が平面を異にするわけでございます。北方領土の問題は、わが国固有の領土の問題でございまして、当然にわが国が領有する権利があるわけでございまするし、それがわれわれ国民の一致した信念でもあるわけでございます。が、沖繩は、平和条約締結にあたりまして、わが国がアメリカに施政権を認めた立場にあるわけでございまして、条約について忠実にこれを順守していく、私は、日本のような国は、武力をもって外国に臨むわけにもまいりません。やはり徹底した平和の精神と、そして国際正義を守り、締結した条約に忠実であるという精神を各国から十分の理解を得ることによって、日本の発展の素地ができると思うのでございまして、一たん施政権をアメリカに認めた以上は、アメリカの施政権を尊重すべきだと思うのでございます。そのように、北方領土の問題と沖繩の問題とは全然意味、平面を私は異にする問題であると了解いたしております。しかしながら、政治の問題といたしまして、山本さんのおっしゃる意味もわからぬではないわけでございまして、沖繩復帰の運動、沖繩復帰の悲願というものは、沖繩だけでなく、日本全土にほうはいといたしておるわけでございます。これは私どもが考え得る程度を越えた非常に深刻な問題だと覚えております。問題はこれにどうこたえるかでございまするが、これはまっこうから施政権を認めた日本の立場を、施政権をアメリカに認めたアメリカの立場を否認するという立場でなくて、基本はアメリカと日本との信頼というものを打ち立てていって、施政権の返還ということを一日も早く招来するような政治的環境をつくってまいるという姿においてこたえてまいらなければならぬものだと考えております。
○山本伊三郎君 私の言っているのは、北方領土の問題とそれから沖繩の施政権の問題は、条約上そういうものについては異なるものはよく知っておる。しかし、日本の国民の立場から考えて、沖繩におる要するに日本の国民、それから北方領土に対する日本の国民の考え方というものは、いずれも、施政権であろうが固有の領土と政府が言おうとも、いわゆる日本の領土であるということについては、すべては正当であると考えておるわけですね。したがって、私はそういう条約上の問題でこちらはこうだと言っておらないのです。もう戦後二十年ですよ。二十年という長い間、いわゆる領土でありながら、一方は施政権ということで実質的には日本の領土のような形をとっておらない。北方領土にいたしましても、いまなお全然問題が進展しておらない。日本政府はいつもいわれるけれども、なるほど平和主義、われわれ平和主義なんです。武力を用いるというのは毛頭考えもせない。しかし、平和主義なら平和主義でやれる方法がある。向こうからいわゆる全面核兵器の停止についても申し入れがあったら、それに対してこちらがいわゆる北方領土を返してもらいたい、平和条約を締結するなら北方領土を考えてもらいたいというように向こうから言われたときに、こちらからそれを出すというようなきわめて消極的な態度では、世界の世論もおそらく日本に同情しないだろう、その点を私は指摘しておる。そういう点でどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) これは今回のフルシチョフ書簡に対する返簡の形で、いま御指摘のような北方領土問題に触れたわけでございますが、御指摘のように、ただいままで日ソ間におきましては、たびたびこの問題に触れて、わが国は非常に精力的に終始ソ連側の注意を喚起いたしておるわけでございます。先方から申し出があったときに反応を示すというだけではございません。
○山本伊三郎君 これは条約上とか、そういう問題でなくして、三国間における問題として国連で取り上げるというような方法も考えられるのじゃないですか、この北方領土なり、あるいは施政権の問題。条約上から言われると、それは日本と、それからアメリカの問題であり、日本とソ連との関係であるから問題にならぬが、しかし、世界の、いわゆる世論と申しますか、日本の立場を支持さすということも、やはり二国間あるいは三国間における交渉において私は有利な立場が出てくると思う。これは外交上の問題ですから、あなたのほうが専門なんです。国民の感情からいったら、二十年もたつのに、ときたまいわゆる新聞で、北方領土の問題、施政権の問題が出る。国会ではしょっちゅうやられておりますけれども、国民の間ではそう簡単には考えておらない。政府として何らかこれに打つ手というものは、向こうから言われるまで待つ以外にないのかどうか。あなたはしょっちゅうやっておると言われますが、しからば具体的に聞きますが、いつ、どういう方法でソ連なり、あるいはアメリカに施政権の返還、北方領土の返還についてどういう働きをされたか、具体的にひとつその後、過去池田内閣ができてからいままで何回、どういう方法をやられたのか。おそらく私は聞かない。ありますか。
○国務大臣(大平正芳君) いつ、どういう姿でやったか一々記憶いたしておりませんが、そのつど新聞に発表いたしておりますので御了承いただけると思うのでございますが、いま山本さんが言われたこの北方領土に対する外交的努力でございますが、私どもとしましては、世界の各国の世論形成のために、この領土の沿革、性質、平和条約との関連等につきまして、各国に研究の依頼をずっとしてきております。最近も日仏協議、日英協議等におきましては、十分のデータを差し上げて先方の検討を求めております。先方におきましても、興味を持って、研究いたします、そして、その結果は日本に申し上げますと言っておりまするし、アメリカにつきましては、ずっと以前からこの問題についての検討を依頼し、また、アメリカのほうの返事もちょうだいいたしておるわけでございます。したがいまして、国際的な世論というものがだんだん熟成の度を加えてまいりますと、あなたが言われたように、これを国連その他国際的な場面に持ち出すことが有効であり、ある段階が必ず来るだろう、そういう事態を招来すべく努力をいたしておるわけでございます。 沖繩の施政権につきましては、先ほど申し上げましたように、わが国としては、アメリカが暫定的に施政権を持つというたてまえになっておりまするので、この問題はあくまでも高度の政治問題だと思うのでございます。条約上の問題としてでなくて、政治の問題だと思うわけでございます。で、この施政権の返還を招来するには、日米間の信頼が何よりも確立されなければならぬと思うのでございまするし、また、アメリカの政府並びにアメリカの世論というものの沖繩に対する政策というものは変わってこなければならぬ。そういうために沖繩の施政権の返還というものを招来するような素地をどのようにして醸成してまいるかということにおいて、日本政府としてやるべきことを終始やってきておるわけでございます。最近国会においても、総理からも言われましたように、アメリカの新聞等の論調はだいぶん変ってきておりますというようなことも、これはわれわれが沖繩問題に対して、アメリカ朝野に対して、終始、いわばPRを続けておるわけでございますが、そういったことの反応の一つだと思うわけでございます。私ども、そういう高度の政治問題として、そういう基盤をつくってまいるために、努力を重ねてまいりたいと考えております。
○山本伊三郎君 これについてもう一回ひとつ念を押しておきたいのですが、私は最近アメリカへ行ったこともございませんが、行く人について、アメリカ市民の沖繩に対する感情はどうか、沖繩の問題についてどうかということを聞いてもらっておるのですが、また聞きですから、私はその前提で聞きますが、アメリカの場合は、沖繩というものはアメリカの経済的な問題からしても、別にその沖繩というものは何も施政権を持たなくちゃならぬという理由はない、そういう利益はない、ただ、軍事的に見て、あれはいまの段階で離すことは困るので、まあ依然として施政権を執行しておるのだ、こういうことを私に言ってくれる人が多いのです。間違いであるかどうか知りません。いま言われたように、アメリカがあれを持っておるというのは、やはり軍事上以外に私は現在意味がないのじゃないかと私は理解しております。また、ソ連のほうも、私はソ連のミコヤンと会ったこともございませんが、いつも声明を見ますると、やはりこの沖繩にあのアメリカの基地があるということは、やはり北方の領土というものとの均衡上、やはりこれを離すことができないというような意味のことも私も聞いておる。そうすると、両面とも私はいまのこの世界情勢による軍事的な関係からこれが解決しないのじゃないかという、そういう見方をする人もあります。私もその見方をしておりますが、したがって、私は大平外相言われましたように、何かアメリカ側の沖繩を離すことが経済的に政治的に非常に重要な問題であるかのごとき印象を与えられますが、私は軍事上以外にないと見ておるのですが、それが間違いであるかどうか。 それともう一つ。北方領土なり沖繩の施政権が、一体もう戦後二十年になるのですが、日本のほんとうの領土として、日本の施政権——行政が行なえるような形にいつなるのか、お見通しがあったら——国民はそれが聞きたいと思う。政府はただ誠意を示してやっていくのだということはわかりますが、しかし、一体二十年にもなるのに、沖繩人は、日本の国民でありながらまだ渡航も自由でない、こういう状態が私は許せるかどうか。これは北方領土もあわせて、どういう御見解であるか、この点ひとつお答え願いたいのです。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカの沖繩保持は主として軍事的な理由に基づくということは、山本さんと私全然同意見でございます。極東の緊張が続く限り、その限りにおいて保持するのだと、こういうことでございまして、沖繩を保持する必要がなくなれば、軍事的に沖繩を保有する必要がなければ、何もアメリカが沖繩に施政権を持つ必要がないと思います。アメリカもそう考えていると思います。現にそう言っておるわけでございますから、それはあなたと同意見でございます。しからばいつ返るか、こういう問題でございますが、冒頭にあなたの御質問に対して答えましたように、いまの東西間の軍事力のバランスというものが、世界各地における軍事施設の存在ということによって具象化されておるわけでございまして、日本並び沖繩等にある基地というものも、そういう軍事力を構成する重要な部分になっておるわけでございます。したがって、この全体として軍縮が進み、バランスをとりながらだんだんと世界が全面軍縮の作業が進みまして、お互いに東西の両陣営が同じバランスをとりながら、漸次軍事力を削減してまいるということに成功いたしますならば、そういうことの進行の過程におきまして、そういう軍事施設が漸次なくなっていくだろうと思うのでございますが、そういうことは、ジュネーブでいろいろ議論をやっておりますが、一向まだ実のある結論が出ない、原則論の討議に終始しておるのがいまの段階でございます。なかなかそれを削減してまいることが困難であるとすれば、いまのような軍事施設というものを日本にまかし切るという信頼ができたら返すと思います。しかし、御承知のように、日本には、米軍基地反対という強い政治勢力もあるわけでございまして、私は遺憾ながら、いまの日本にアメリカは返さぬだろうと思うのでございます。私が申し上げておる高度の政治問題であるというのは、そういう意味でございまして、アメリカが日本に信頼できるという段階になれば返ってくると思うのでございまして、これは言いかえれば、アメリカの決意と申しますよりは、日本の政治情勢が決定する問題であろうかと思います。 北方領土の問題につきましては、ソ連は過去完了の問題として、済んだ問題といたしておりますが、私どもは対ソ連のみならず、世界の主要国に対しまして、われわれの主張の正当なるゆえんを印象づけ、それを具体的に検討していただいて、世界世論の情勢を待ち、これが有効に国際的世論として結実するような時期、そういう時期を醸成してまいるように努力しなければなりませんし、それが成功する時期というのは、いまから予言するわけにまいりませんが、われわれといたしましては、一つ心々れんがを積み重ねていく以外に道はないと思います。
○山本伊三郎君 それに反駁を加えておったら時間がたくさんかかるのですが、先ほどちょっと気にかかることを言われたのですが、日本にいわゆる軍事的力ができれば、それなら返すだろう、こういう御発言であったと思うのです。それが一部には基地反対のえらい勢力がある、何だかわれわれをさして言われているようだと、どうも気にかかるのです。私はこれで終わろうと思ったのですが、私は日本が平和主義でいく以上は返してもらうということは、もちろん、それはあそこに基地をつくったりすることは、そんなことは毛頭考えていかない。私はアメリカの基地があそこにあることによって非常に日本が迷惑をするということから、早く返してもらわなければということを、沖繩の人の希望なり考え方を聞いてみなさい、これは全く一日千秋の思いで待っておりますよ。この点はひとつ十分政府も考えられて、アメリカが許すのだというよりも、固有の領土として、すでに沖繩は日本の領土なんだから、施政権だけを持っているのだから、早くわれわれは施政権を返してもらいたいということで、積極的にひとつ取り上げてやってもらいたい。向こうから言ってくるのを待っていては、なかなか返さないと思うのです。そういう点でひとつぜひ努力を願いたいと思うのですが、時間がないから次に移ります。 次にラオスを中心としたインドシナ半島の動乱、混乱、紛争ですが、これはすでにわが国としましてはラオス、カンボジアあるいは南ベトナム、そういうところとは経済協力あるいは緊密ないわゆる外交上の交渉がある国だと思いますが、それが不幸にして今日非常に混乱をしておる。動乱のちまたにおる。アメリカも相当積極的にこれに武力をつぎ込もうとしているようでありますが、具体的に質問する前に、ラオスを中心とした東南アジアのこの問題について、日本政府はどういう考え方とそれと実情認識をされておるか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) インドシナ三国、ベトナムは三千万、カンボジア三百万、ラオス二百万、大体この数字が示しているように、ベトナムが一番大きな問題であると思うのであります。この三つの国のいま御指摘の不安定という問題は、一体的に把握しなければならないと思うのでございます。その不安定の原因がどこにあるかという見方はいろいろございますが、一九五四年に休戦協定ができまして、そうして外国軍隊が一年とどまることなく、それらの国々が独立と自由を楽しむ環境をつくり上げようと努力したわけでございますが、その後、この中立協定が守られ得なかったということで問題が出ておるわけでございます。アメリカに言わせれば、一九六二年の休戦監視委員会の報告にありますように、明らかにこれは北からの武力介入である、それがある限りこれを排除するためにわれわれは軍事的野心も領土的野心もないけれども、このインドシナの自由と独立はわれわれが防衛しなければならない、という強い決意で当たっておりますことは御承知のとおりでございます。北のほうでは、アメリカのほうが軍事介入であると非難いたしておるというのが今日の状況のございます。これに対しましていろいろ収拾の提議が、国際会議を開きまして、協議をしようという提案がカンボジアからも出されておりますし、プーマ首相からも出されております。フランスからも出されておりますし、ポーランドからも出されております。そのいずれの案もまだ関係国の同意を得るに至っていない、まだフロートした段階にあるというのが今日の段階でございます。私どもといたしましては、アジアの安定と平和をこいねがう意味合いから、このイスドシナ三国に平和が返ることを、安定がもたらされることを一日も早かれとこいねがっておるわけでございます。その他の過程におきまして、賠償、経済協力等でお約束をいたしておるもの以外に日本としてできることにつきましては、困苦に耐えておる方々に対しまして、可能な援助はして差し上げるべく、具体的な検討をいたしておるという段階でございます。
○山本伊三郎君 一昨年ですか、十四カ国会議で一応ラオスの政権を確認してやられた後今日の状態に来ておるのですが、東南アジア、いわゆるラオスあるいはタイ——タイは別として、カンボジアあるいは南ベトナムというようなところの市民といいますか、国民は、非常に私は迷惑をしておるのじゃないかと思うのですね。それで、これは私は大国のいわゆる勢力の争いをああいう後進国地帯でやっておるのじゃないかと思うのですね。私はいろいろ政治上の問題はあると思いますが、しかし、私はあまりここできわどいことを申しませんが、この間アジア太平洋地域の公館長会議をやられましたね。そのときに、その方面から、何といいますか、公館長帰ってきていろいろ情勢報告されておるのですが、聞きたいのは、一体あの不安な情勢をかもしておる急所的問題はどこにあるということを会議の中からあなた受け取られますか。簡単にその点だけひとつ。
○国務大臣(大平正芳君) 公館長諸君の一致した見解としては、わが国としては、アジアの先進国たる立場において、もっと親身に、もっと親切に、経済の面で、技術の面で、医療その他の面で考えられないかというのが一致した見解でございます。事態の客観的認識そのものは、いま前段に申し上げたように、あの地域は他国の勢力が介入することなく、せっかくかちえた独立でございますから、インドシナ三国がそれぞれの文字どおりの独立を享楽できる環境が国際的な協力においてできることをこいねがっておるわけでございます。
○山本伊三郎君 それじゃ具体的にひとつ聞きますが、日本も相当被害国だと思うのです。そういうことを抽象的に言ったらわかりませんが、ラオスとは一九五九年に経済技術協力協定をしておりますね。それで、いまあのラオスの首都であるビエンチャンは相当いろいろ動揺しております。向こうでは上水道建設としていわゆる経済協力をしておるのですが、その後少しも進捗しておらないというふうに聞いておるのですが、これはまああなた御存じであればけっこうですが、一体相当向こうに借款を与えてやっておる工事の進行はどうなっておるのか。相当あの動乱において日本自体が被害を受けておると思うのですが、その状態どうですか。
○政府委員(後宮虎郎君) ラオスは、御指摘のとおり、現在は相当混乱した状況にございますが、日本の経済協力の進捗は、それ以前に相当進んでおりましたので、現在数字で申し上げますと、九八・九%までこの三月でほとんど工事が履行した、そういうことになっております。
○山本伊三郎君 私は実は水道出身だから、特に水道の問題を取り上げたのですが、それは全般としてこのインドシナ三国に対する賠償なり経済協力については、七・五%程度遂行されておるということをこの前聞いたのですが、具体的に言って、ビエンチャンのいわゆる上水道、非常に向こうは水が悪いと聞いておるのですが、工事の状態も完成しておるのかどうか。この点をちょっと聞いておきたい、参考までに。
○政府委員(後宮虎郎君) 先ほど申し上げました九八・九%と申します数字は、これはラオスのみについてでございままして、カンボジアにつきましてはまだ七四%、ベトナムにつきましてはては八八%という数字になっております。あそこはもう、ラオスに対する経済援助は御承知のとおり、ほとんど全額水道工事、それからそれに必要な現地貨幣を得るための消費財の輸出くらいで、ほとんど水道工事になっております。
○山本伊三郎君 それでは予定していたのはそれだけでございますが、けさの新聞で、実は国連の貿易開発会議で、相当先進国と低開発国との間で問題があるようですね。これはまあ外務省の管轄かあるいは経済企画庁か知りませんが、これについて日本から、機構問題については可能性があるので、閣僚級の代表を送ってこれに対していわゆる先進国と低開発国の間の何かとりなしをするというようなことを言っておられるのですが、これは払いままでは東西の緊張であったが、今度はそうでなくして、先進国とそれから低開発国、南北の間の大きい問題が起こってくるのじゃないかという懸念があるのですが、これについて外務大臣はどういう認識でおられますか。
○国務大臣(大平正芳君) 国連の貿易開発会議は最終の段階を迎えまして、いわゆる援助問題、援助ワクの問題、保証融資の問題について合意を見た以外、第一次産品の問題、特恵制度の問題、そうしていま御指摘の機構問題につきましては南北の先鋭な対立がございまして、南側が自国のみずからの案を強行採決してしまったという事態になったわけでございます。非常に遺憾なことでございますけれども、私どもといたしましては、何か今後こういう問題を継続して漸次考究しかつ発展させていくためには、機構の問題というような問題でもせめていしずえとしてつくっておいたほうがいいんじゃないかという考え方で、政府部内におきましても日本が仲介の労をとるべきだという御意見もありまして、きのうから検討をいたしたわけでございますが、今日の段階は、各国の関心もまた機構問題につきましては何かまとまりをつけたいということで、後進国も先進国もそれぞれの案を持ち寄りつつある段階でございまして、北の案と南の案とが二つ抜きさしならない対立を見ておるという段階を越えまして、お互いに歩み寄りの具体的な案をお互いに持ち出しかけておる段階でございます。したがって、私といたしましては、日本としてもこの段階ではどういう打開の具体案が考えられるかという点を考案いたしまして、先ほど現地に訓令をいたしたところでございまして、仲介に立つというもう段階を越えておると思うのでございます。具体的な案を突き合わせながら、そこに何らかの帰一した、機構問題についてはせめて一つのまとまりをつけるべく最終的な努力をしてみたいと考えております。
○藤田進君 関連して。まあ昨日夕方、この予算委員会の席上で、まあ総理そのほかと外務大臣も協議されて訓令を出された模様に私は昨日受け取ったわけでございますが、そのことがきょう報じられているように思いますけれども、まあ決裂しそうで決裂しそうにないような事態で、ほんとうにわれわれわかりにくいのでございます。昨日の段階ではこれは決裂しそうだから、日本としては低開発寄りに何かのとりなしをしたけれども、まとまらなかったというゼスチュアでもやろうと考えているのだなと思ったのですが、いまの御説明では、そうでもないようにも聞えるわけです。そこで、わがほうの真意としては、どういうところにポイントを置いてまとめようとされているのか。すでに訓令も出されていることですし、詳しくひとつ御説明をいただきたいのが第一点です。 それから第二の点は、この機構問題以外にも、当初からわが国においては、必ずしも低開発国に同調し得ない農産物、その他第一次産品等々について主張されていたと思うのですが、その後のわがほうの主張というものが私ども明確にどうもつかみとれないわけであります。したがって、今次の長期にわたる貿易開発会議の成果としては、いま申されましたまとまった点以外は、まず、機構問題がまとまるかどうかということにとどまるのか。この会議の見通し、収穫等についても、当予算委員会を通じて明快にしていただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国連の貿易開発会議は、第一回の会合でございまして、この第一回の会合に過大な期待を寄せることは、問題が南北問題という世界始まって以来初めての歴史的な大きな課題でございまするし、問題が多岐広範にわたっておりまするし、その国々の国内経済政策に深刻な影響を与える非常に腰の重い問題をかかえておりますので、大きな期待を第一回の会合に寄せることは無理だと思うのでございます。したがって、ただいま補償融資、補償援助額等の問題について一応の道標ができたというだけでも、私は一つの収穫であったと思うのでございます。一番やっかいな一次産品の問題、補償融資の問題等につきましては、先般朝海代表の帰国を求めて、政府部内で協議いたしまして、日本としても可能なぎりぎりまで前向きに考えて訓令をいたしたわけでございますが、これは不幸にいたしまして、先進国側と後進国側の決定的な対立というかっこうになりまして、米英が第一次産品につきましては、あっせんの労をとられておりましたが、それも成功しないで、ただいま、この問題については望が持てない状態になっておると思うのでございます。しかしながら、貿易開発会議の結論というものはECOSOCに報告され、国連の総会に報告され、そうして国連は、また次の段階をどのようにもくろんでいくかということをいろいろ討議するわけでございまして、今回はそもそものスタートでございますから、ここで結着がつかないからといって失望するに及ばないわけでございまして、今回熱心に討議されて先鋭な対立を見たということでも大きな意義があったと思うのでございます。 それから機構問題についての具体的な提案でございますが、機構問題につきましては、貿易開発会議の総会の投票をどのような投票制度にするか、その下に置かれる常設委員会の投票制度をどのようなものにするか。すなわち、先進国のボイスはどのように制限するか。逆に言うと、後進国のボイスはどのようにかちとるか、そこが争点になっておりますのでございます。それで私どもとしては、その間考えられる先進国側の態度、後進国側の態度の妥協案として、この程度のことは考えられやしないかという点を苦心して考えまして訓令いたしたということでございます。で、これを一口に申し上げますれば、総会におきましても、委員会におきましても、先進国の過半数の支持がなければ決議ができない。言いかえれば、先進国側の拒否権があると、そういうまあ二つのかまし方になっておるわけでございます。そこを緩和した案を考えて、しかも動き得る案を考えてやってみておるわけでございます。各国の出方も刻々に聞いておるわけでございますが、各国もいろいろその点はもっと苦心をいたしておるようでございます。いましばらく時をかしていただきたいと思います。
○羽生三七君 ちょっと。機構問題は別としまして、日本の政府としては、先進国、後進国に分けて、どちらにということを一言にして言うのはなかなかこれ、めんどうだろうと思いますが、ウエートはどっちにあるのですか。先進国側にあるのか、あるいは後進国側にあるのか。機構問題についての精神です。
○国務大臣(大平正芳君) 実体は先進国なんです。精神は、後進国に十分の理解を持っていきたいと思います。
○山本伊三郎君 それじゃ時間も迫りますので、外交問題はこれで終わりたいと思います。 次に、大蔵大臣とそれから総理府総務長官に、どちらでもけっこうです。旧地主に対する報償の問題ですね。農地報償の問題がなかなかやっかいになっておるようでございますが、これはまあ私新聞で見るだけでございますが、与党内部の事情は知りませんが、相当具体案がまとまってきたようでございます。大蔵省は大蔵省として相当な案を持っておられたようですが、それではいかないというので、与党の力によってそれがだいぶ変わってきたわけですが、これは所管が総理府総務長官のほうだと思いますが、現在、政府が国会に出さんとする農地報償案というものは、一体どういうものであるか。それをひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(野田武夫君) 農地報償案が、先般来から政府においても、いろいろ内容の検討をいたしております。同時に、いまお話にありましたように、与党のほうでもいろいろと案ができておりますが、実は率直に申しますと、与党の案というものと、政府で考えておるものとの間で、まだ合意ができない。つまり一致しないという段階でございまして、案の内容は、まだ何らの具体的なものを持っておりません。したがって、どういう案かということでございますが、おそらく来週早々あたりから、いまお話しのある具体的な案の作成にかかるのじゃないかと、こう考えております。
○山本伊三郎君 これは前提を言うのを忘れましたが、きのう亀田委員から言われましたように、これはもうわれわれとしては基本的に反対な態度をとっておるのですが、しかし、現実の問題として、もうここに出てきておりますので聞きますが、五月二十九日です。池田総理が全国の農地解放同盟の役員の方に約束をされたという新聞の報道で、すでに新聞でその要綱が発表されておる。それによると、時間がかかりますから言いませんが、相当上回ったものが大体約束されておるようであります。そこで大蔵大臣に聞きますが、今度あなたのほうの番だと思うのですが、大蔵省は相当大蔵省で反対がされておったようでありますが、今度の案によると、いままで、五年の償還というやつを十年ということで延ばすかわりに、それはもちろん無利子の交付公債で、いままで所得が四十万円、五十万円程度のものであったと思いますが、それを百二十万円以下のものにするという条件で、財産税の物納農地についてもこれを報償する。それから報償額は一人二十万円の最高額であったやつを、これを百万円に引き上げる、こういうように報じておるのですが、これは大蔵大臣承認されたのですか、相当私は問題があると思いますが、ちょっとその点を聞いておきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 自由民主党側で調査会をつくって農地報償法案の党案の作成をしておられます。政府といたししまては、別な角度から報償法案というようなものを検討いたしております。おりますが、いま御指摘になりましたように、物納を含めるとか、それから百万円に頭打ちにするとか、そういうものは政府としては現在きめておりません。しいて申し上げれば、物納というような問題は法律上非常にむずかしい問題でございまして、他の財産税の納付者との区別はどうするか、非常にむずかしい問題でありますので、農地報償が実現をするという段階においても、財産税の物納をやられたという問題、いわゆる物納問題は非常に救済しにくいというふうに考えているわけでございます。
○山本伊三郎君 政府が、いよいよ与党の力強い圧力と申しますか、政党政治ですから、与党の言うことを聞かなければならぬ羽目になったと思いますが、私は、実は岸内閣当時から、農地被買収者問題調査会設置のときから、これに関係しているのです。岸総理も、調査会をつくるけれども、それに最高裁で、あの農地解放については適当な価額でやられたのであるからこれは違法でないという最高裁の判決が出ておるということで、いろいろ問題化して、いよいよ大詰めになった。私はそのときからも言っているのですが、なるほど農地を買収された農民の方々、あるいは地主の一部の方々も困っておられる方があるだろう。そういう方々に対して、これは一つの戦争による被害であるから何とかしなければならぬという政府の趣旨はわれわれ了とする。そこでいわゆる調査会が無理につくられて、それで工藤委員会——調査会は工藤さんが委員長でやられた。その答申も、総理府総務長官この前言ったとおり御存じだろうと思います。困っている人はおらない。おらないじゃないけれども、非常に少ない。それを乗り越えて、あの戦争の結果いわゆる農地の解放というものは、これは一つの、この前の農林大臣にも私は聞いたのですが、善政である。政治としていいんだ。いい政治をやって、そしてそれによってこれは被害と言いますか、私は被害だと言わないのですが、それによってきたところのものを報償する。ちょっと私はすらっと考えて国民は納得しないと思います。そこで、赤城さんは初めてでございますが、あの農地解放は日本の戦後の政治としてよかったか悪かったか。これをひとつあなたにも聞いておきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 幾ぶん無理はあったとは思いますけれども、私は非常によかったと。すなわち政治的に見まするならば、あの解放がなければ日本の国内が共産革命的な方向へ相当行くような情勢にあったときにああいう解放ができたので、非常に日本にとってよかった。 もう一つは、食糧の非常に逼迫しておる時期でございましたので、これを耕作者が所有して食糧増産の意欲を高める。こういう点についてあの解放は非常に日本の農政にとってはよかったと、こう考えております。
○山本伊三郎君 どうもすみませんでした。証人に証書してもらったのですが、前の農林大臣もそういうことでこの委員会で言われたのですが、そうすると、われわれはわからないのです。あの戦争によって被害を——損害をこうむったというのは、単に旧地主の方々だけではありません。預金をしておる方々も、その他大ぜいの人が海外の資産を持っておった方々も大ぜい、私は被害をこうむっておると思うのです。なぜこの、その当時地主であった方々だけいわゆる補償となれば、憲法に対して問題があります。それを報償という名前で、私、法律的にはこれをこの前法制局長官に聞いたのですが、いろいろわかったようなわからぬような答弁をいたしましたが、報償というものがはたして憲法上どういう形で国がこれを国民に出す金であるか、私それもわからない。したがって、これは政治的にどうしても解決しないということからこの問題が起こってきたと思うのです。そうしますると、今度大体一千五百億から二千億というものが出される。それは私は国の財政上から見ても相当大きい問題であると思うのですが。それが先ほど総理府総務長官の言を聞くと、やはりもう出さなくちゃならぬ段階に来ておるということでありますが、これは相当大きい問題だと思うのですが、私は、大蔵大臣でもよろしいし、あるいは総理府総務長官でもよろしい。私は、池田総理に実は聞きたかったのでありますが、きょうはおられませんが、それを踏み切ってもやるという説明のつく、国民に説明のつくきまり手が、ことばがありますか。どうしてもこうやらなくちゃならぬのだということが説明できますか。総理府総務長官どうですか。
○政府委員(野田武夫君) どうしても報償をやらなくちゃならぬという説明ということでございますが、これはただ簡単に、これらの農地の被買収の方々の意見で、圧力によってのみこの法案を出すという段階ではなくて、御承知のとおり、これを取り扱います場合において、特に農地の被買収者の関係している調査をするために、三十八年度に総理府に調査室をつくりました。その結果、この問題をどう取り扱うかということにつきましては、まず実態調査をいたしました。同時に、世論調査をいたしました。その結果、世論調査並びに実態調査の結果、この結論として、いま農林大臣が申しました、当時の情勢においては、農地を解放しなければ共産化するおそれがあったとか、あるいは当時の食糧事情からすれば、非常に逼迫した食糧の情勢にあたってこれらの方々が、いわゆる従来の農地を全部解放して——全部じゃありませんが——法の示すところに従って解放して、その結果耕作者が生産意欲を増して当時の食糧問題の解決に資した。こういうことからいたしまして、特に世論調査におきましては、報償すべきだという世論のほうが相当多数でございました。これらを勘案いたしまして、政府といたしましては、この実態調査、世論調査その他の調査に基づきまして、一応何らかの措置をして、この農地被買収者に対して報償するほうがいいと、こういう大体方針を確認いたした次第でございます。
○山本伊三郎君 先ほど世論調査と言われますが、総理府でああいう簡単なもので、これが日本国民の全体の世論だと思うと大間違いです。実態調査をされたということもわかっておりますが、なかなかこの実態調査も困難をきわめておるようです。そこで、私が聞きたいのは、あなたはそう言われるけれども、実態はそうじゃない。私のほうにも農地被買収者の方が陳情に見えます。陳情と言うより、私はいつもここで反対しているものだから、抗議的な陳情に見えます。その人の意見はこうなんですよ。なるほど解放と言うけれども、お金をもらいました。買ってもらった。もちろん交付公債で買ってもらったけれども、実際農地を解放したけれども、これを農地としてそのままやってもらっておるならば、私らは文句も言いません。ところが、その後土地がずっと上がってきて、反三百円ぐらいのものが坪何万円ということになった。われわれはじっとしておれません。こういうことでは、何とか政府がしていただかなければいけないということは、大多数の意見です。これが間違いなら間違いで、もしそう言うのが間違いであるならば、私はその人を連れて来ますよ。こういうのが大体です。これが農地被買収者の問題が起こってきた根源です。最高裁が判決を出しているでしょう。御存じでしょう。適当なものである、適当にこれは買い上げたものであるから、これは補償する必要もない。違法でもない。日本の最高裁判所が判決しておるのですよ。この事実からして、あなたの言われることについて私はどうも納得できない。そういう点から考えまして、もっと率直に話をしてもらわぬと困ると思う。それは、われわれも必要であれば出さなくちゃならない。そういう損害をこうむらしたならやらなけりゃならぬ。戦争未亡人の問題にいたしましても、われわれは賛成しておる。やり方についてはわれわれは反対であるけれども、基本的には賛成であるということで、やっておりますよ。しかし、これについてはそうではないですよ。困ってもおらない、何にも理由はないのに、土地が上がってきたので、自分が離した土地があまりにも上がっておるので、われわれは黙っておれないということがその原因なんです。一体、土地の上がった政治をやったのはだれですか。それを一ぺん聞きましょう。
○政府委員(野田武夫君) 世論調査が当てにならないというおことばですと、もうこれはちょっと、従来、多年やっておる政府の世論調査というものが全部そうなってくるわけです。いままで、国会の審議にあたりましては、政府は、世論調査というものは一方に偏したものではございませんで、公平にやっておりまするから、大体世論調査というものをわれわれは尊重して政治を行なっております。その世論調査の中で、いま山本さんのお話しになりました土地の値上がりというものも、もちろんこれも世論調査の一項目になっております。そこで、これは時間がかかりますから省きますが、たとえば、例を引きますと、世論調査の中で、農地改革は戦後の民主化や経済復興に役立った、これに協力した地主に対して現在何らかの報償をしてやったほうがよいかどうか、こういう世論調査に対しましては、もっともだという人が三六%出ております。反対も出ている。一六%の反対も出ております。さらに、いま御指摘になりました、土地の価格が非常に値上がりしておる。旧地主は、強制的に買収されたものは気の毒だ、これらに対して国家報償を要求しておるが無理かどうかということにつきましては、もっともだ、報償すべきだというものが四七%、そうは思わない、つまり反対のものが一七%、こういう世論調査の結果になっております。したがって、私が世論調査並びに実態調査その他の調査の結果と申しましたのは、いまちょうど御指摘のこの世論調査も示しておりますし、山本さんのいまお話に出ておりましたが、つまり旧地主の解放した土地の価格とその後の変動した価格というものは、もうたいへんな差でございまして、それはだれがやったか、こうお話しでございますが、要するに、事実はたいへんな格差があるわけなんです。そういたしますと、これは、政治はできるだけ公平でなければならない。その公平の原則——原則ということばが当たるか当たらないかわかりませんが、特に民主政治は公平にやらなくちゃならぬということからいたしますと、いまちょうど山本さんのところに陳情に来る旧地主と同じように、この解放当時の地価とその後変動した地価の格差というものは、実に非常に開きが大きい。こういう事情を考えますると、これに対して何らかの措置をするのが妥当ではないか。こういう結論で、その調査の結果、政府といたしましては、この際、何らかの報償をしたほうがいいのではないかということになったのでございます。
○山本伊三郎君 私は世論調査のその抽出方法がどうかということを言っておらない。その中で二千億程度の報償を認めるかどうかといえば、国民はそんなものいいとは言いませんよ。何らかの措置をやってやらぬといけないということは人間の感情として出るのだから、そういう世論調査は、この件に関しては間違いであると指摘したわけです。いまもう一ぺんやってみなさい。二千億ほど出すのだ、これはいいかどうかと、その世論調査もう一ぺんやってみなさい。賛成というのがどのくらいあるか問題がある。したがって、その点はまあ時間がかかるから一応おきますが、大蔵大臣、あなたもお急ぎだから先に聞きますが、きのう池田総理が、いわゆる赤字公債はこれはいけない、生産公債であればこれはいいのだ、いわゆる健全財政を守るためには、生産公債というものは、これはいままでやっておるけれども、赤字公債はやらないということの答弁がされた、米田委員に対して。この交付公債は生産公債に当たるのですか、どうですか、この点ひとつ。
○国務大臣(田中角榮君) きのう総理から御答弁申し上げましたが、国債を発行するかしないかという議論は、一般会計の財源の補てんとして長期公債を発行するというものを俗に国債、内国債と言っておりまするから、このようなものにつきましては、依然として総需要も強いし、また皆さんの御発言でも、三十九年度の予算はその規模が大きいと、こう言われておるのでございますから、そういう事実に徴して長期国債を発行するような意思はございません。こう申し上げたわけでございます。それから現在出しております住宅公団債とか、また商工中金債とか地方債とか、未亡人に払いました交付公債とか、こういうものは俗にいわれる内国債、長期国債にはもちろん含めてはおりません、こう申し上げておるわけでございまして、今度の農地被買収者に交付公債で交付をするとしたならば、これは未亡人に対して御賛成を得まして交付をしたものと同様のものでございまして、長期国債いわゆる内国債の発行の中の国債ではございません。
○山本伊三郎君 きのうあなた聞いておられたが、池田さんの答弁はそうじゃないのですよ。一般財源、いわゆる普通財源に赤字を生じたものに対する公債は、これはもう認めない、しかし生産性のある、いわゆる事業を興すための、そういうものについての公債については認めますと、そういう発言ですよ。長期とか短期というものは問題でない。長期であろうと短期であろうと、普通経済をまかなうための要するに公債であれば、これは赤字公債ですよ。それはぼくはちょっと食い違っておると思うのですがね。
○国務大臣(田中角榮君) 総理大臣と私の意思は統一してございますから、私が申し上げたとおりのことを申し上げたわけでございます。減税をするために、減税財源として公債を発行するようなものとか、一般財源、いわゆるガソリン税を代償にして道路の建設公債を出すとか、いずれにいたしましても一般会計の財源不足を補うために出すような国債は出しません。こう申し上げておるのでございます。しかしいま地方債とか、公団債とか、いろいろなものを出しておるじゃないかと、こういう御発言がございますから、これらのものは俗にいわれる内国債、国債を発行するかしないかという範疇のものではございませんと、こう答えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 そこで、いま未亡人のことを言われました。それも同じことです。今度の交付公債も一般財源からの支払う問題でしょう。長期であるか、短期であるか別として。これによって何も、いわゆる事業を興して生産性が上がるわけじゃないでしょう。だから私は、今度の農地報償に用いるところの交付公債というものは、一般財源から支払われるものであって、一般財源の赤字になる。赤字といいますか、負債になるものであるということを私言っている。それは違うのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 山本さんは御専門で、十分承和をしておられて、私がひっかかりそうな御発言をしておられるようですが、未亡人に対する交付公債、それから農地証券のようなものとか、それからいま新たに法律を御審議願いまして農地被買収者に十年とか十五年とかの交付公債をやっても、それが一般財源を求めるための公債でないということは、これはもう御承知の上で言われておることだと思います。一般財源というのは、今年度三兆二千億の予算を、財源は三兆四千億しかない、それをどうしても道路をやるために、社会保障をやるために、減税をやるために、あと千億の財源がどうしても必要である。この場合、国債をもって財源を当該年度に確保するという場合に国債を発行する。戦前の国債の例を見ればもうご承知のとおりでございまして、こういう国債を発行する意思はございませんと申し上げておるわけでございます。
○山本伊三郎君 それはきのうの池田さんの答弁とちょっと違う。きょうの新聞でもちょっと批評しています。要するに、生産公債は、これはいいのだ、しかし非生産の公債というものは、これは要するに日本の国家財政をあぶなくするもとだからいかない、こういうことだ。私が言っているのは、交付公債、これは私は生産の公債でない、こういう見方をしておる。長期であるか短期であるか、これは別ですよ。来年度の予算にこれをどうするかじゃない。これは二十年の要するに月賦償還だからこれは問題ないと思うのだが、しかし、私は一応国家財政そのものに食い込むところの赤字債券であるという見方をしておるのですが、その論争はどうなんですか。
○国務大臣(田中角榮君) 学問的に申し上げると、全然区分せられるべきものであることは御承知のとおりでございます。電電公社が出しておる公債がいわゆる赤字公債であるというわけではないわけでございます。いわゆる交付公債でございまして、あなたが言われるのは、建設とか道路の財源にするものとか、港湾にするものとか、先行投資——先行き投資をするものは建設公債であり、あと減税とかその他の経常支出をまかなうために出すようなものは赤字公債だ、こういうふうに分類せられておりますが、私たちの考え方は、いわゆる一般会計の財源を確保するために出す公債、いわゆる国債というものは出しませんということの中には建設公債をも含めておるわけでございます。
○山本伊三郎君 あなたピントが合わぬのですがね。ぼくの言うのは、来年度予算は問題ないのですよ。交付公債というのは、一般財源からやっぱり償還するのでしょう。これはこれに交付しておって、事業を起こし、それから支払うというわけじゃないでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 私が言っていることでよろしいのでございます。あなたも御主張なさいました例の地方税の減収補てん債、これも同じことでございます。未亡人に対して交付しましたものも交付公債でございます。これから農地被買収者に交付をするにしても交付公債でございますが、これも学問的にも十分区分をせられておることでございまして、一般会計の財源を確保するために出すものは公債であり、赤字公債ではありますが、交付公債は一般会計から支出をするものでございますが、将来の国の債務というものを明らかにするために交付をするだけでございます。でありますから、国鉄とかそれから防衛庁などで債務負担行為というのもございますし、それから先ほど申し上げたように、減収補てん債、それから未亡人に対する交付公債、これは将来国で負担をすべき債務を明らかにしたというだけでございまして、当該年度の財源を確保するものではありませんから、学問的にも事実の上からも赤字公債というものとは確実に区分をせられておると思います。
○山本伊三郎君 それはゆっくり考えてもらうといいですが、ぼくらの心配しているのは、あなたが赤字公債でこれはないのだと言われるが、長期に見れば赤字公債です。一般財源からいずれ払わなければいけない、償還しなければいけない。鉄道の建設とか、道路の建設とか、あるいは水道の建設とかというのは、これは生産を高めるための一つの投資です。そういうものについては、国家財政上赤字公債であるとは言わない。しかし、一般財源としてやがて債務として償還しなければならない。そういうものとしては私は国家財政上将来危険性があるというたてまえで言っている。それで話をしておっても、あなたは義理がたい人だから、白状しないと思いますが、よくひとつまたゆっくりやりましょう。 そこで、かりに交付公債にいたしましても、これは換価できますね。要するに、通貨ではないけれどもそれだけ通貨は膨張した現象をきたしませんか。これは二十年の償還ということですから、二千億を二十で割ると、年々百億というものが問題になると思う。しかし、交付公債ですから、換価する場合には、この二千億というものがそれだけ流通市場に問題になってくると私は見ているのですが、その点の見解はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 党が三役にあげられた案が千九百十三億ということでございまして、それを全部のむというような考えはございません。政府は政府の独自の見解で、国会の御審議を願うものを原案としてつくるわけでございまから、二千億というような感じをいま持っておりません。それから二十年間に二千億と仮定した場合年間百億ずつじゃないかといいますが、これは譲渡禁止でございますから、通貨が膨張するというような問題とは全然別でございます。
○山本伊三郎君 問題は譲渡禁止、この前の交付債はそういうことになっておりますが、現実の問題で私はそうじゃないと思うのですがね。それはあなたのほうがいろいろ取り締まると思いますけれども、交付公債でも流通しておる場合もありますよ。それを担保に借りるかどうかは別でございますが、そういう現象があることは事実です。現にそれが交付債を受けるという前提でそういうことを考えておるのですよ。二十年間にこんなものを償還されたって、それはそんなもの問題にしない人が多いですよ。そういうことをあなたはその法律どおり考えられているのか、あとまたやみ米で農林大臣に聞きますけれども、これは間違いないですか。
○国務大臣(田中角榮君) 通貨の膨張には全然関係はございません。法律で一万円の額面の交付公債がある、償還期限は一万円、十カ年である、無利子であるという場合に、また譲渡禁止であるという場合に、流通をしないというのがほんとうでございますが、現実的に流通をするという、流通をしておる例を知っておるぞ、こう言われれば、まあ世の中でございますから、流通をするということもあり得るということは私も理解します。一万円の利息が交付公債を担保にして金を借りるときには幾らだ、大体二千円なり三千円ですね、こういうような話も聞いてはおります。聞いてはおりますが、そういうことのないように、これから法案作成の過程において十分検討いたしておる次第であります。
○山本伊三郎君 もう一問だけ聞いておきます。通貨の膨張はない、もちろんそれを貨幣で担保に借りる場合は、それはいい。そうでない場合がある。通貨で返さなくちゃならぬという場合に、それを担保に置いて、そのままで要するに帳消しにするという方法もあるんですよ。あなたは担保に置いて金を借りるということだけしか考えておられなければ間違いが起きる。その場合はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) ちょっと質問の趣旨がはっきりしないのでありますが、少なくとも千億を十カ年間に割ると百億ぐらいになる、百億だけは通貨が膨張するのじゃないかというようなことであろうと思いますが、それは予算が年々一〇%とか五%とか一五%とかふえていくわけでございまから、その予算の中で、まあ三千億ふえる場合には、百億だとすれば三十分の一ふえるわけでございます。五千億とすれば五十分の一、国の予算の歳出のワクがふえていくということでございますから、通貨の膨張ということと、国の歳出ワクの増加が直ちに結びつくものではないということは御承知のとおりでございます。
○山本伊三郎君 まあそれは基本的に反対な立場から言っておるのですが、あなたはもうそれを全部否定して、問題ないと言われておるのですが、これは地方に対する交付公債から見ると、相当膨大な金額、二十年間に償還するということから、年々百億程度だから、これは予算で措置できるというようなあなたの説明ですが、私はそう簡単に、これはかりに皆さん方がどういう、千五百億で押えるか、あるいは二千億になるかは別として、一千億をこすことはこれは私も明らかだと思っております。おそらく一千億以上こしたものが皆さん方が了解するだろうと私は考えておる。まあそれであるかどうかわかりません。そういう結果になると、私は、経済上もまた政治上も非常に大きな問題が起こるから、先ほどから若干質問したのですが、大蔵大臣は、経済的にも財政的にもこれはもう微動もしない、やれるのだ、ただ、問題は、これは認めるか認めぬかは別問題として、決定しておらないという答弁ですが、それに間違いないですか。
○国務大臣(田中角榮君) 百億というのは仮定の数字でございますが、財政上、経済上問題ないなどというような考え方は持っておりません。これは少なくとも財政の支出につきましては、最高の効率的な考え方を前提にしなければなりませんので、いやしくも国民の税金でございますから、それはもう非常に深刻な考え方に立っておるわけでございます。でありますから、財政上、経済上問題ない、もう幾らでもやるんじゃ、こういうような考えはございません。でありますから、もうあのくらい来ているから内閣ものみそうなものだ、このくらい新聞には出ておりますが、いつでも田中大蔵大臣は強い難色を示しておる、こういうことを言っておりますから、これはもう御承知のとおりであります。
○羽生三七君 関連。先ほどの公債問題ですが、一般会計の不足を補てんするための赤字公債がこれはいけないと池田総理の言われたことはよくわかります。これは同感です。ただ、問題は、自民党の中にやはり公債発行論があるが、それは一般会計の赤字補てんの意味の公債発行論を言っておるのか、池田さんがきのうここで答弁されたようなことを言っておるのか、本質的に違いがあるのかどうか。これはあなたにお聞きするのはちょっと筋違いかと思いますが、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 筋違いじゃございません。総理大臣と私はちゃんと意思を一つにいたしておりますし、答弁の基本は同一のもので答弁しておるわけでございますから、間違いはないわけでございます。党内には確かに公債発行論はございます。この公債発行論の考え方は二つあるわけでございます。一つは、ガソリン税等、将来相当の税収が確保せられるものを十五年分を五カ年間に繰り上げて、あとの十カ年分を償還財源として、五年間で十万キロ程度の道路整備を行なえば、それが十五年間でやるよりも経済的には非常に効率に回るので、そうすべきだという議論がございます。もう一つは、税の問題でございます。税負担が比較的に高いと言われておるのでありますから、大幅な減税をするために、特にいままでの減税は課税最低限を引き上げるというようなことだけでございますが、そうではなくて、税制全般に対して中堅層に対する減税もやるというようなことを抜本的にやるには相当大きな減税財源を必要としますから、減税に充てる財源を確保するために国債を出すべし、こういう考え方が二つあるわけであります。 一つの問題は、いつでもこれは論じられている問題でございますが、私たちは建設のためとはいいながら、公債で財源を確保しなくても十分確保できます、こういうことを言っております。なぜかといいますと、いまでももうすでに総需要は非常に高いのであります。でありますから、衆参両院の予算委員会におきましても、いつでも十四・二%でもまだ高い、少なくとも一〇%程度、もっと縮めなければ国際収支の改善とか、物価の抑制とか、そういうことができないじゃないか、こういうことが事実論じられておりますし、総需要が高いという事実はそのとおりでございまして、公定歩合の二厘引き上げをやっても四兆二、三千億の設備投資があるだろうこういう状態でありますから、これ以上建設公債を発行して、そうして総需要プラス・アルファをつくって皆さんが考えられるような正常な経済発展が一体願えるだろうかという問題もありますので、いまの段階において建設公債を発行する意図はありませんと、こう申し上げているわけであります。 第二の問題は、減税の問題でございますが、確かに減税の問題は、戦前はそのとおりのことをやったわけです。戦前はいまよりも確かに税負担率は非常に少ない。しかも経済成長率は年間四%ないし四・五%でございますから、ちょうど昭和二十九年からいままでの半分であります。しかも、戦費が非常に大きかったというところに、公債は無制限に発行しなければならない、自転車操業的な財政の事情ができたわけでございますので、戦前の状態に徴しても、いま大幅な減税をするために公債で財源をつくって減税ができ得るか。 まあ総需要の非常に高いという点もあわせて考えますと、第一段の段階においても、第二の段階においても、公債ということは考えないで、健全均衡財政を貫いていくべきではないか。健全均衡財政の中でも二四%、一七・二%、一四・二%と、こういう状態でありますから、私は公債論というものにはふたをしておいて、健全なる財政収入でやっていくべきだ、こういう考えを申し上げているわけであります。
○山本伊三郎君 それでは、最後に締めくくりで、農地報償の問題について大蔵大臣に聞いておきますが、先ほどの話から総合しますと、政府は千五百億、それもまだ考えておらない。まあ考えておらないかどうか、まだきまっておらない、そういうことですが、この国会でもうすでに国会はあとわずかになった。しかも、ILOという重要な問題もあります。この機会にまあ与党のほうから言えば相当力を入れておられると思うのですが、どうですか、この国会にこういう難問題を出すという見通しがあるのですか。
○国務大臣(田中角榮君) 本件につきましては、党側から特に今国会に出すべし、こういう強い党議の決定で、内閣に対する要請がございます。また、新聞等をごらんになったと思いますが、大蔵大臣が難色を示しているために出ない、まとまらないというのであるから、大蔵大臣も公的立場に立ってまとめて早く提出すべし、こういう——政党政治でございますから、党側はどこでも強いというのはこれはおわかりのとおりでございまして、相当強い要求がございます。私は今国会に出せるということになるには、私たちが最終的に政府の原案としたものを党側が御理解になるということになればこの国会に出ると思います。しかし、政府案を理解されないで、党側の案だけをのめ、こういうような状態になると、出ないこともあり得るかもわかりません。まあしかし、政府でもこの国会にできるだけ処置をしたい、こう申し上げておるのでありますから、誠意をもってこれに当たっておるのでございます。
○山本伊三郎君 それでは、大蔵大臣いいです。 それでは、農地報償の問題は以上にいたしまして、次に、農林大臣にひとつ、時間も相当追ってきましたので、簡単に米の需給についてお尋ねしたいと思います。 いままで農林行政として、農業、農家の経済ということから、選択的拡大ということで、米以外のほうに相当力を入れてこられたということであります。しかし、最近主食である米の需給というものは非常に逼迫してきたように聞いている。また、現実にわれわれこれはもう毎日食べておりますから、家庭においてもそれを聞くのですが、三十九米穀年度における政府の米の需給計画なり見通し、そういうものをひとつお聞かせ願いたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 三十八年の産米は三十七年よりも少なかったわけであります。収獲からいいまするならば、おととしよりも去年の産米は、生産は少なかったわけでございます。にもかかわらず、政府への売り渡しといいますか、政府の買いました米は、おととしより去年現在買ったほうが多いわけでございます。でございますから、政府の持っている供給米は、おととしより多い、こういうことになっておりますけれども、ここ両三年、端境期に新米への食い込みをしております。三十六年度も三十七年度も三十八年度も。こういう関係で、三十九年の端境期におきましても、新しく三十九年産米を食い込まないというと、供給面が十分でない、こういう見通しでございます。 そういうような関係でございますので、輸入の手当てをしなければなりません。そういう関係で、三十九年会計年度において輸入の米を米穀年度に繰り上げまして輸入をするということの措置をとってきています。そういう関係で、輸入のほうの手当ても、七月には約束したものが入ってくると、こういうような形になっておりますので、全体的には、米の供給面は、輸入も含めて供給面に不安はない、こういう需給計画になります。ただ、申し上げましたように、早場を繰り上げて端境期に食べている、供給に入れていると、こういうことがありますので、端境期が問題だと思います。 もう一つは、一昨年より昨年の生産は減っておるのでございますけれども、政府へ売り渡したといいますか、政府に買い上げた米の量は、一昨年より収獲の少ない去年のほうが政府に買い上げた米が多いわけです。したがって、残った米といいますか、保有米とか、そういう米は少なくなっている、こういう状況でございます。したがいまして、いわゆる自由米といいますか、そういうものの窮屈さと、それからまた、都市への人口の増加によりまして消費が全体的にふえている、そういう面で、いささか窮屈を感じておるわけでございますが、全体的に見まするならば、不安のない状況で供給量は確保できると、こういうふうな見通しでございます。
○山本伊三郎君 それが確保、現実にできておらない。これは私の付近の配給所からもらってきた実情なんです。いなかでもそうらしいのです。現在十キロのやつを六キロにしてくれとか、非常に押えられてきておる。また、それだけの米しか来ないというのです、現実に。「山本さん見て下さい、ないんですよ、隠しておるのじゃありません」、こう言うんですよ。あなた、いまここで確保されておると言うけれども、事実現在確保されておらない。そこで、やむを得ないから自由米に走る。食べていかなければいかぬから。私がいま言っているのは、政府が買い上げたもの、配給所のルートを通じてやるのと自由米と総合して日本の国民は食べているのですよ。現在、やみ米といいますか、あなた方は自由米といいますが、やみ米だと思うのですけれども、これなくしてはおられないのです、生活は。したがって、いま配給米とかなんとか言うけれども、米の需給というと、自由米も外米も含めた問題としてわれわれは感じ取っているのです。それが、手元がなくなってきている、こういう実情であるから、私は農林行政に対してはしろうとですから、特にこの点だけはあなたに聞きたいと思っておるから、やっておる。確保できておらない。しかも、これがことしの端境期に来たら、どうにもならぬと思います。 あなたはいま輸入米をふやすと言いますが、大体、昨年、一昨年ごろまで輸入米は五万トンくらいだったですか、私は数字ははっきりわかりませんが、一体本年はどこからどれだけ輸入する計画があるのですか。ちょっとそれを教えていただきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かに配給が十キロというところを全部配給を受けるということになれば足らなくなります。ただ、従来、配給量月十キロということにいたしておりますが、実績といいますか、それは六・七キロにずっとなっています。でございますので、十キロ配給というのはくずしておりませんけれども、いままでの実績面のものを各県等へ回しております。でございますので、地域的にいろいろいまのお話のようなことも出ておりますので、そういう調整はいたして万全を期すというような形でやっております。 それから輸入でございますが、これは、準内地米としては十二万トンであったかと思います。そのほかを含めては二十五万トンだと思います。数字に間違いがあるといけませんから、なお政府委員から確かめて答弁させます。
○政府委員(齋藤誠君) お答えいたします。 輸入米のことしの計画といたしましては、いわゆる内地米に準ずる準内地米、これを十三万トン予定いたしております。現在までのこの計画につきましては、カリフォルニア米、それからスペイン米、台湾米を含めまして、この計画十三万トンに対しまして、現在では約十七万五千トンの輸入の見込みでございます。それから南方から入ってまいります、いわゆる外米と称しておりますが、これが三万五千トン計画いたしております。これは、ビルマ、タイから入ってまいります。それからそのほかに砕米というのがございます。くだけ米でございます。これは、主として加工用、工業用に回るものでございまますが、これを約九万トン予定いたしております。これらは、タイ、カンボジア、ベトナム等から例年輸入いたしておるのでございます。年次計画といたしましては、これらは、全体合わせまして二十五万五千トンの計画でございまして、準内地米が計画よりも若干ふえましたので、それよりも四万五千トンですか、増加しておるのが現状でございます。
○山本伊三郎君 いままでのやつ。昨年のやつ。
○政府委員(齋藤誠君) 昨年は大体二十二万トンくらいだと承知いたしております。そのうち、準内地米が約十万トンでございます。
○委員長(太田正孝君) 山本君、時間が来ましたから……。
○山本伊三郎君 じゃ、もう一つだけ。時間があればいろいろ聞きたいのですがね。 昨年よりも、大体二万トンから三万トンほど、ことしは多い計画ですが、もう時間がありませんから率直に聞きますが、三十九年の米穀年度において、これまで日本の国民が主食に困らないでいけるという計画は保証できますね。これだけ聞いておきます。
○国務大臣(赤城宗徳君) 端境期の食い込みというか、ことしの八月から九月の手当てを十分にやって、これで安心ができるようなことにいたしたいと、こう思っております。いまのところ、不安はないということを申し上げて差しつかえないと思います。
○山本伊三郎君 労働大臣に待ってもらったから、一問だけ労働大臣に、いよいよ時間が来まして相すみませんが。実は、私はきょうはあなたに質問を遠慮しようと思っておったんですが、きのう公明会の質問で、ちょっと気にかかりましたので、やんわりと聞いておきます。党内の事情もあるらしいですから。 いよいよ国会も最後になりまして、ILOが唯一の大きい問題になっております。これに対する誠意自体が、国際的にもまた国内的にも、国会自体にしても非常に問題があると思うんです。私も、いま大臣に追及しようという考えは、いま現時においては何もありません。政府は誠意をもってやっておられるということも私も了解をしておりますが、万が一、あの倉石修正案と俗にいわれておりますが、われわれは自社両党の協定案だと思っておるんですが、それがくずれるとなると、これは、われわれとしては、遺憾ながら、どう世間の批判を買おうとも、やはり国会で問題とせざるを得ないと思うんです。そこで、これはまあ私は希望的の質問になりますが、せっかく努力されておる政府を信頼しておりますが、衆議院のほうでは遅々として上がってきません。参議院でも、われわれ質問したいこともたくさんありますが、その見通し、それをあなたに聞くのはどうかと思いますが、衆議院における情勢、審議の状態、あなたが出られた間における状態を御説明願って、この国会で、池田総理はたびたび言っておられますが、批准も国内法も成立させたいと、こういうことを言っておられますが、その状態、どうでございますか。その点をひとつお聞かせ願いたい。
○国務大臣(大橋武夫君) ILOにつきましては、私も、池田総理の、ぜひこの国会で成立をさせなければならぬという強い考えに基づきまして、衆議院の特別委員会におきましての御審議にできるだけの御協力を申し上げておる次第なのでございます。そこで、これにつきましては、問題の倉石案なるものが伝えられておるのでございまするが、私ども政府案を提出しておりまする政府当局といたしまして、まだ国会において現実に提案されておりません修正案につきまして、賛否の意見を積極的に申し上げる段階ではございませんが、すでに昨年以来、問題点は大体周知になっておりまするので、これにつきましては、政府としてもできるだけ案の成立を期するという意味において検討を続けてまいっておったわけでございます。もとより、ILOの問題につきましては、関係各省が多うございまして、これらの問題点に対する政府の見解を調整するにあたりましては、関係の各省もすべて打ち合わせの上でなければできないというような事情がございまするので、政府部内においては、一月以来、法制局を中心にいたしまして、問題点についての政府の見解を申し上げなければならぬ時期になったならば、どういう程度の見解を申し上げることが適当であろうかということについて、案の、ぜひ今国会通過に協力するという誠意ある立場をもって、政府部内においても見解の統一をはかってまいった次第なのでございます。幸いにいたしまして、政府内においては見解の統一を見たのでございまするが、しかし、それでもなお、完全に倉石案に対して全面的に問題がないというような状況ではなかったのでございます。しかし、倉石案の趣旨とするところについては、政府の関係者も十分に理解をいたし、これらの問題点として指摘されておる事項のうちには、法律的には、その趣旨に従って、政府原案を解釈する場合におきましても、本来倉石案の趣旨とするところと同じような意味で解釈すべきものであるという点が明らかになったところも多々あるわけなのでございます。 一番問題となっておりまする中央交渉の点につきましても、すでに文部大臣からも見解を委員会において明らかにされておりまするとおり、文部大臣が、教育上の問題について、最も教育に関係の深い立場にあるところの日教組の責任者と会見し意見の交換を行なうことは、現在においても、これは当然のことであるというようなところまで政府としては見解を統一いたしてまいっておるわけでございます。これらの政府の見解は、衆議院の特別委員会におきまして、与野党の質問に対しまして、それぞれの当局者から懇切に説明をいたしてまいったつもりでございまするので、現在では、委員会におきまして、特に与党の理事が中心になりまして、修正案を具体化していこうという作業が進められておるように思うのでございます。もとより、これにつきましては、党内において相当調整上困難を伴うのでございましょうが、私ども政府といたしましては、与党においてできるだけすみやかに修正案を調整され、そしてこれを委員会の議題としてお取り上げになるということを期待いたしておる次第でございます。 いずれにいたしましても、その案が委員会にあらわれる段階になりますまでには、まだ数日を要するのではないか、これが衆議院に出た上で、さらになお残余の質疑が若干あるように存じまするので、かれこれ考えますると、まだ相当日数を要するのではないか、衆議院を通過いたしまするには相当の日数がかかる、こういうふうに存じておるような次第でございます。
○委員長(太田正孝君) 山本君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時九分散会