予算委員会 第18号
- 発言数
- 406 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/03/24
会議録
○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和三十九年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、きのうに引き続き質疑を行ないます。加瀬完君。
○加瀬完君 今日受験戦争ということばがございますが、このため教育が相当ゆがめられておると思うわけですが、この事態を文部大臣はどうお考えになられますか、まず伺います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。高等学校あるいは大学の入学試験に関連いたしまして、かなり激しい競争がございます。またこれに伴いまして、在学中中学校あるいは高等学校におきまして、いろいろ試験勉強と申しますか、試験準備のために激しい勉強をしておるという事実をいなむことはできないと思います。この点は私どもまことに心配をいたしておる事柄でございます。この高等学校の試験にいたしましても、また大学の試験にいたしましても、試験そのものは、すなわち選抜ということはやってまいらなければならないと思うのでございます。しかしながら、それに伴いましてあまり無理な勉強をするということは青少年の健全な育成の上から申しまして、よほど考えなければならないことであろうと思うのでありますが、試験問題等につきましては、大学などにおきましても、また高等学校の場合におきましても、あまり無理な試験問題を出さない、在学中まじめに勉強した人であれば相当な成績が得られるようにというような指導をいたしておるわけでございます。一面から申しまして、今日なおいわゆる有名校であるというふうな特定の学校に志願者が集中するというきらいがあるわけでございます。その関係で競争が非常に激しくなってくる、それを何とか突破しょうというのでみんな無理な試験勉強をする、こういうふうなことにもなっておるのではないか、かように考えますので、学校側に対しましては、私どもやはり生徒の能力、特性等に応じまして、適当な学校を選んで志願をするようにという指導をいたしておるわけでございます。何と申しましても、なるべくいい学校にという気持が強いわけでありますので、とかくこのような結果になると思いますが、どこまでもやはり生徒の進学のコースについて本人にかなったようなところを選ばせるように学校としても努力しなければならぬと思うのでありますが、同時にこの入学試験の問題が激化する一つの大きな要素といたしまして、やはり父兄の側においても考えてもらわなければならない点があるのではないか、かように私ども考える次第でありまして、父兄の側のやはり理解ある態度というものが非常に大切ではないかと思いますので、この点につきましては、学校を通じ、また社会教育を通じまして、父兄の側が進学についての適正な態度をとってもらうようにお願いをしたいと思うのでございます。同時にまた社会全体から申しましても、とかく何といいますか、学歴偏重とでも申しましょうか、あるいはまた特に特定の大学を卒業したら、無条件にいいもののような扱いをするというようなことにも問題があろうかと思うのでございます。このいわゆるあなたのおっしゃる受験戦争というふうな問題の解決のためには、本人も、学校もまた家庭も、社会もやはりそれぞれ考え直してもらって、このようなことをなるべく緩和するということに努めたいと考えておる次第でございます。
○加瀬完君 文部省は、学習帳や練習帳等の取り扱いに対して先般通牒をお出しになっておられますが、取り扱いの通牒だけでこのゆがめられた教育が姿勢を正されるということにはならないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先般文部省といたしまして、学習帳等に関しまして通達をいたしました。これと試験というふうなことの関連性においてのお尋ねでございますが、私はこのような学習帳その他のものを学校で採用いたしますとそれ自体を決して不適当であるとか何とかいうふうに考えておるわけじゃございません。ただ学校といたしましても、このような問題の扱いにつきましては、教師としての見識を持ってやっていただきたい、このように存じておる次第であります。むやみやたらにテストをやるとか何とかいうふうなこともどうであろうかと、かように考えるわけでございますが、やはり生徒の受験についての考え方について、学校の先生方が見識を持って取り扱ってほしい、このように考えておる次第であります。
○加瀬完君 学習帳や練習帳が使われなければならない、使用されざるを得ないところの教育の環境というものについてどうお考えでありますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在のいわゆる環境の問題でございますが、この環境について、先ほどお答え申し上げましたように、私どもは関係者がそれぞれひとつこれが是正に努めていただきたいと思うのであります。学習帳等の問題につきましても、勉強させる勉強させるというのでこれを採用する、採用せざるを得ないようなあるいは環境があるのではないかと思うのでありますが、こういう点については、やはり教育の任に当たっておる教師の諸君のいわゆる児戯ある判断を願いたい、このように思う次第でございます。また同時にかなりそういうものの売り込み競争も激しいようでございます。これらにつきましても、やはり教師としてのりっぱな態度を持って処していただきたい、かように考えておる次第であります。
○加瀬完君 激しい受験戦争というものをさらに激しくしているものに、テスト万能主義といったような傾向があるのではないかと思うわけでございますが、この点についてはどうお考えでありますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教育の手段方法等につきまして、ことに学力をつけていく方法等につきましては、私もしろうとのことでございますから、的確なことを申し上げかねるのでありますが、ただやたらにテストテストというのが能ではないというふうな、しろうととしては私は気持がいたしております。少しテストばやりになり過ぎておるんではなかろうか、その辺をひとつよく、いろいろの外部からの関係もございましょうけれども、学校の先生方に考えてほしい、このような気持を持っております。
○加瀬完君 いままで文部省の指導は、学力の向上というものを一つの目標にいたしまして、学力の向上のためには、一斉テスト等によりまして、結局教科力を引き上げるということをお考えになっていたわけであります。しかし学力というものと教科力というものが、イコールにはならないと思うわけでございますが、この点いかがでしょう。学力というものと教科の力というものはイコールではないのではないか、算数とか国語とかいった力ですね、そのままそれは学力にはならないんじゃないか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 非常に私にとってはむずかしいお尋ねでございますが、学力というものと、あるいは算数、国語その他のいわゆる教科のそれぞれのものについての力というものと一緒にはならぬ、こういう御趣旨ですか。
○加瀬完君 必ずしもイコールにはならない。学力というのはそういう教科のほかにもいろいろ力があるのじゃないか。テストだけでは、教科の力は強まるけれども、全体的な人間としての学力が強まるということには必ずしもならない、この点どうかということです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は専用の場合とそうでない場合と違うのじゃないかと思います。小学校あるいは中学校等の教育の場合を考えましたときには、読み方の学力がある、力があるというだけでその子供がすべての力があることにはならぬと思います。そういう意味合いにおきましては、すべての教科を通じまして力をつけていただく、それを総合したものがその子供の学力である、このように考えておる次第であります。
○加瀬完君 東大では能研テストに悲観的でございますね。その理由といたしまして、入学難を解決するのに能研テストがいいという文部省の方針であるけれども、これは高等学校等ではむしろ受験準備といいますか、高等学校の予備校化を来たすおそれすらある。だから能州テストはそのまま文部省の言うようには受けられないという態度をとっておるわけでございますが、この点はどうでしょう。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先般能研テストに関連いたしまして、東大側の意見というものが新聞に出ておりました。文部省としましては、この問題について東大の方々ともお話し合いをいたしたようでございます。多少その間に世間にあらわれている考え方と違った点もあるようでございますが、また文部省の考え方等に対しまして誤解もあったようでございます。いろいろお話し合いをいたしておりますが、この能研テストそのものに非協力というふうな考え方ではないように承知いたしておる次第であります。若干考え方に行き違いがあったり、誤解があったりという点はあったようでございます。なお十分に、ひとつ誤解のないようにお話し合いをいたしまして、われわれとしましては、この能研テストの実施についてはいろいろ協力もしていただきたいと思いますし、また能研テストの結果そのものが、また急に出るものではございません。今後何年間かテストにテストをやりまして、それでもって能研テストの何と申しますか、入学試験との関係においての考え方をきめてまいりたい、かように考えております。
○加瀬完君 東大が心配する点を推測をすれば、教育を行なっておって、その結果を見るために能研テストというのが行なわれるならば、これは文部省の意図のとおり問題がないわけでございますが、能研テストというものが一つの目的になって能研テストの成績を上げたいためにテストの準備をすると、こういうことでは高等学校の予備校化ということになりかねないという点ではないかと思うわけです。で、問題を小中学校に限ってみましても、学校側といたしまして、文部省や教育委員会が、教育行政の方向として、一斉テストというものを行なうことによって学力の向上というものを期しておるという強い指示が現在行なわれておるわけです。そうすると、学力を向上するために一斉テストをやるわけなんだけれども、行政側としては、一斉テストの成績で教育の効果を判定するということになりがちでございますから、そこで、教育を行なって一斉テストを受けるのじゃなくて、一斉テストのために教育の方向を全部一斉テストの方向に向けて、一斉テストの成績が上がったことを教育の成績が上がったことと錯覚しているような現場の状況が多分にございます。こういう傾向について、文部省では何かお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省の行なっております小中学校の学力テストでございますが、これは現在のいわゆる学力の状況等を見たいためにやっておるのであります。また将来の施策に対する資料を得たいためにやっておるわけでございまして、このほうはいわば成績を上げるためのテストというふうなつもりで文部省でやっておるわけじゃございません。しかし、現場の学校でいろいろテスト等をやっております場合には、これはまたおのずから違った目的を持ってテストをするということもあることであろうと私は思うのでございます。いまの能研テストの問題につきましても、また文部省の実施いたしております小中学校の学力テストの問題にいたしましても、したがってその問題の出し方についてはよく考えてまいらなければならない。問題の出し方が悪いと、おっしゃるような弊害を生じてくるということにもなろうかと思うのでございます。これは問題の出し方については、十分それそれの向きにおいて検討をしてもらいたいと、かように考えております。
○加瀬完君 問題の出し方以上に問題となっておりますのは、テストのさせ方なんです。テストのさせ方が結局問題になるわけです。たとえば、ある県におきましてはテストの成績によりまして、いい成績を得た教師は優秀な教師だということで特別昇給させております。こうなってまいりますと、自分の生活にも関係が濃くなってくるわけでございますから、好むと好まざるとにかかわらず、テストの成績をとるということが昇給に結びつけば、テスト万能主義にならざるを得ないという弊害が起こってまいります。こういうやり方はおそらく文部省の意図するところでなかった。文部省の意図する、いま大臣の御説明のように、経済条件その他の教育条件の格差がどう成績にあらわれているかという相関関係を見て、成績の格差が生じないように教育条件を変えていくための資料であるということであれば、これは十二分にその資料は文部省としてはもう整っているわけです。ですから、現状のような一斉テストの方法ということは、これは各教委等にまかせて、文部省が特別の一つの方針というものをとるということはもうおやめになってもいい時期じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省といたしましては、従来実施いたしております学力テストの方法につきましては、改作すべきものがあればもちろん改善するにやぶさかではございません。ただ、現存いますぐやめるかどうかということになりますと、まだやめるつもりはございませんし、今後続けてまいりたいと存じております。
○加瀬完君 時間の関係で先に進みますが、中学校などは、ほとんどもう都市周辺の中学校は高等学校の予備校でございます。そこで両校の志望者数、高等学校の合格者数は最近どうなっておりますか。それから地域によっては相当の激しい競争があると思いますが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府委員から答弁さしていただきます。
○政府委員(福田繁君) お答えを申し上げます。 本年の中学校から高等学校への志願者は約百七十六万人でございます。募集定員は公私立合わせまして百七十一万人という形になっております。
○加瀬完君 この昭和三十八年度の生徒の収容状況は、収容設備は百四十万人、それに対して収容実人員は百六十九万、収容率六八%ということですね。これが本年は緩和されたということになりますか。
○政府委員(福田繁君) お答えを申し上げます。 三十八年度におきましては募集定員公私立合わせまして百五十五万人、入った数は百六十万人でございます。したがいまして昨年よりもことしのほうが若干募集定員がふえております。その限りにおきましては、全国的に見ますと若干緩和しているということは訴えると思います。
○加瀬完君 この募集定員というものと収容人員というものとは違いますね。収容人口をはみ出すような募集をしているわけですね。ですから、確実に教育を行なっていく上には、これは収容定員だけ募集すればいいわけですけれども、一割、一割五分とふくらましているわけです。そこに問題があるわけです。しかし有名校への殺到の傾向というものは、三十八年度から三十九年度に移りましても依然として残っておりますね。この点はどうですか。
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げました三十八年度の数で百六十一万人と申し上げました、これは百六十六万人の間違いでございますので、訂正いたします。もちろん全国的に見ますと、今年も昨年も、競争率はさして変わらない状況でございますけれども、特定の学校につきましては、やはり有名校に集中するという傾向は、昨年も今年も同じでございます。その限りにおきましては、競争の激しい学校もございます。昨年から今年にかけまして、特に公立の学校におきましては、御承知と思いますが、できる限り入学調整措置を講ずるというような府県教育委員会の指導によりまして、従来、中学校におきましても、入学志願者の状況によりまして、できる限り不公平な事態の起きないように、その周辺の調整措置を講じてやっておりますが、その関係において、若干緩和されておるところもございますけれども、御指摘のような特定の学校については、そういう傾向は、なおやんでいないような状況でございます。
○加瀬完君 結局、有名校への志望というものがこのように激しく現存している限りは、入学のための準備というものは、当然そういう人たちにとりましては必要となってくるわけですね。文部省が、過度の受験勉強というものに対してどういう現在行政指呼をしておられるか、お答えをいただきたい。
○政府委員(福田繁君) もちろん特定校に集中するということにつきましては、いろいろな理由があるわけでございますが、私どもとしては、できる限りそういった有名校に集中しないような方針をもって、都道府県の教育委員会がこれを指導するということが肝要でございます。また、生徒の進度指導という観点から申しますと、生徒の適性、将来の進度に応じまして、具体的に個々の生徒についての進学指導なりそういったことを強化する必要があろうかと思います。したがいまして、中学校におきまして、できる限りそういう進度指導を強化するようなやり方をとるという方向で、私どもとしては県の教育委員会と協力いたしまして、従来からやっておるような次第でございます。
○加瀬完君 従来からおやりになっておるとおっしゃいますけれども、現状の御認識が足りないじゃないですか。ほとんどの中学校は補習教育を放課後しておる。しかも、謝礼を取って補習教育をしている現状です。それで、民間には模擬テストを専門とするいわゆるテスト屋がたくさんございます。こういうように、テスト万能の教育形態というものは何ら反省をされませんし、しかも、受験準備が公認——公然と行なわれておるようでは、どうしたって教師としては、補助教材というものを、好むと好まざるとにかかわらず、使わざるを得ないことになるのではありませんか。それを一片の通牒をやって、リベートを取るなのなんのと言ったところで、根本の、過度な受験準備というものはひとつも改まらない。これを改めない限り、結局、繰り返すようでございますけれども、補助教材の必要というものは、当然やむを得ないということになってきておるわけです。根本を改めないで、末梢の補助教材をどうするかということだけ通牒を出しておる、これは適正な指導とは言われないと思いますが、いかがですか。
○政府委員(福田繁君) 学校教育におきまして、特に中学校におきましては、高等学校への受験のために中学校の教育が悪い影響を受けるということは好ましくございませんことはもちろんでございます。したがいまして、高等学校の入学試験等につきましても、御承知のように内申と学力検査と、大体半々にこれを見るというようなやり方をいたしております。もちろんこの学力検査におきましても、学習指導要領にきめられております範囲内でできる限り基本的な平易な問題を出すという指導をいたしておるわけでございます。したがって、いろいろな学習参考書等をあさらなくても、基本的な学習をじみちに進めておれば、もちろん学力検査として十分合格し得る能力は養い得るものと考えております。したがいまして、私どもはそういう方向で今後も進めてまいりたいと思いますが、補助教材等につきましても御指摘のようにピンからキリまでございますので、もちろんいいものはこれは学校で教師が参考にお使いになるということはけっこうでございます。しかしながら、その中にはいろいろのものがございます。そういういろいろのものは、やはり取捨選択をいたしまして、学校教育の場にあまり有益でないものをあさって使うという傾向は、これは好ましいことではございませんので、そういった意味で私どもとしてはそれを是正をしていきたいと考えるわけでございます。
○加瀬完君 これは文部大臣に伺いますが、今日の文教情勢の方向は、いわゆる学力充実と非行化の防止、すなわち道徳教育の高揚といいますか、特に力点がこの二つに置かれておるものだと考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学力の充実ももとより必要でございます。同時に、やはり人間形成という意味におきまして、りっぱな心情を持ち、徳性を持った子供を養っていきたいと、かように考えておるわけでございます。もちろん非行防止ということについては、最も憂うべき問題といたしまして、われわれもこれを重視いたしておるような次第でございます。
○加瀬完君 学力の充実というために、いま言ったようにこのテスト万能主義というものが依然として何らの指導が加えられておらない。あるいは受験準備というものが公然と行なわれておって、これも何ら行政指導が加えられておらない、こういう形で学力の向上というものが進んでまいりますと、学力の向上が非行化の防止ということと同じレールにはまってくるかどうかという問題が起こるわけでございます。こういった現状の学校で行なわれておる学力の充実というものと非行化の問題というものには、均衡のとれない面があると思われますけれども、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは現在の学校の中におきまして、現在の教科課程の中におきまして、しっかり勉強をしてもらえば、それで入学試験は十分受かると、こういうふうに考えておるわけでございます。また、そういうふうな入学試験でなけりゃならぬと思うのでございます。現状は、御指摘のようにかなり無理な試験準備をする、無理な勉強をさしておるという事実は、これもいなむことができないのでございます。これらは、よろしくやはり是正すべきものとして私どもは考えておる次第でございます。そのつもりで今日までいろいろ指導はしてまいっておるわけでございます。決して放置しておるわけじゃございませんけれども、なかなか思うにまかせない点があるというのが、いまの私どもの悩みでございます。やはりただテストテストで、いわゆる道徳教育というような面がおろそかになってくる、人間形成の面がおろそかになってきてはほんとうに困る問題でございます。このバランスのとれた教育としていっているということが私どもの目標でございます。地方の現場の職員もそのつもりで、先刻来申しましたように教師としての見識をもって今後ともやってもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○加瀬完君 非行化の原因並びに始期といいますか、初めて非行をした時期、こういうものの調査が、全国教護院によって行なわれておりますけれども、内容を御存じですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私よく存じませんので、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。私どもその資料をいま持っておりませんけれども、拝見いたしたことはございます。
○加瀬完君 この全国教護院で初めて非行をした時期を調べますと、十歳以下というのが五六・二%、十一歳から十三歳までが三四・六%、九〇・八%というものが十三歳以下、すなわち中学校の年齢よりも下の時期に、悪いことをし始めておるわけです。この原因は何かという調べに対しましては、成績競争、知識偏重、これが根深く影響をしていると指摘をされております。特に学校で成績が悪いというために差別待遇を受けた、この劣等感、これが一番の原因になっております。この調査について、現在の文部省の教育行政の指導という面で、何か御反省はございませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学力の相違と申しますか、そういうふうな点で子供が劣等感を持つということは、これはあり得ることだと思うのでございます。それだけに、やはり各学校におけるそういう指導の面において気をつけてもらいたいと思うのでございます。その辺に対して配慮が不十分でありますと、子供の気持ちがそういうふうになりがちだということは、これは私もあることだと思うのでございまして、現場の特に気をつけてやっていただきたいことの一つでございます。われわれとしましては、さようなことのなからんことをただ希望をいたし、また、注意をいたしておるわけでございます。
○加瀬完君 それでは、先ほどあげましたように、某県教委のように、一斉テストの成績を昇給の基準にする、逆に言うならば、非行少年などを何か善導しようとして、いわゆる教育的ないろいろのめんどうを見る先生の行為というものは、あまり教育の業績としては評価されない、こういうやり方に対しましては、適当なときに、文部省の見解というものをはっきりとお示しいただけるものと了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学力テストの結果だけで、私はその教師の努力というものに対する判定の基準にはならぬと思います。やはり具体的なその学校学校の実情というものによって考えなければならぬと思うのであります。ただテストの結果がよかったから、その先生が特に勉強したのだというふうな簡単な結論は出すべきじゃないと思います。やはり先生の心情の問題につきましては、平素の教育と取り組む努力というところをお互いに見てまいらなければなりません。テストの結果だけで判定すべきものじゃなかろうと、私はさように考えます。
○加瀬完君 この受験戦争をさらに激化させているものに、越境入学がございます。これは一つの例でございますけれども、東京の某小学校で、六年六学級のうち、いわゆる八番以上の成積の者を男女別にいたしますと九十六人ございます。このうち五六%は越境入学者でございます。越境入学の実態を申しますと、同一番地に九人が寄留をしておったという事例すらございます。しかも、これは公然とその地方団体で認めておりまして、一万五千円とか、二万円とか越境入学料を取っておるわけであります。こういうやり方を、どうして筋道を正してまいられますか、御見解を承りたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) いわゆる越境入学の問題につきましては、文部省も頭を悩ましておるところでございまして、これが無反省に行なわれるということになりますと、義務教育を計画的に進めてまいるという上から申しましても、大きな支障となるところでありますので、今日までしばしば地方の関係当局に対しまして、これについて是正をするように注意をいたしてまいっておるところでありますが、いまもってあとを断つに至らないことは、まことに残念でございます。われわれといたしましては、この越境入学という現象につきましては、しかるべからざるもの、こういう考えのもとに指導をいたしておるところでございます。
○加瀬完君 結局、越境入学だけを取り締まろうとしても、これはどうにも問題の解決にはならないのであります。いまのような、この受験競争を激しくしなければ入学できない、こういう事態をもっと根本的に解決をする必要があろうと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 根本的に考えました場合に、私もお説のとおりと申し上げたいところが多々あるように思うのです。学校間の格差とでも申しますか、そういう事態が全部解消してくる、こういうことになりますれば、いわゆる特定校に子供が集中して志願をするというようなことも緩和されることであろうと思うのであります。そういう意味から申しますと、やはり学校の整備充実等につきまして一そう努力をいたしまして、いわゆる格差をないようにいたしたい。同時にまた、それによって、特定の学校に対する世間の特別な評価ということもないようにいたしたいというのが、われわれの目標でございまして、現実はなかなか簡単にそうはまいらないというところに大きな悩みがあるわけでございますけれども、この目標に向かってわれわれとしましては努力を継続すべきものと考えております。
○加瀬完君 一斉テストを何回おやりになりましても、一斉テストの成績は、学校の成績にも教師の成績にもならない、といいますのは、学校と家庭の経済力との関係、学力といいますか、学力と家庭の経済力との関係について、文部省の統計がおありのはずでございます。家庭の経済力が学力に非常に影響している、こういう表が出ておるはずでございますが、ひとつ御説明いただきます。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 子供の学力と家庭の経済力との相関関係でございますが、文部省にも多少の調べがございます。それによりますというと、一般的に申しますと、いわゆる経済力の低い家庭の子供が、学力もまた低いというふうな形も出ておりますが、しかしまた、内容的に見ますというと、必ずしも生活の豊かな家の子供の学力が高いということにもならないような数字が出ておるのでありまして、全体の子供の中で占める経済力の低い、いわば準要保護家庭、要保護家庭というふうなところの、子供の数は少ないのでございまして、それの平均した力というものが、高等学校等へ進学し得るような家庭の子供の数——このほうが多いのでありますが——その平均したものよりも低いということはいえますけれども、同時に、たくさんの、つまり上級学校へ進学し得るような子供の中にも、成績の悪い者はかなりおるのでありまして、一がいにどうも生活上の経済力というもので学力を比較するということもむずかしい点があるように思いますが、その数字等につきましては、政府委員からひとつお答えさせていただきます。
○加瀬完君 全日制同校入学に支障のない階層は、平均七十点以上が二四・八%、支障のある階層は、一・六%、すなわち、家庭で相当の学習をし得る経済的な条件がなければ、現状の成績は上がらない、こういう結果が、この表から出ると思うわけでございます。それは特殊なものをさがせば、貧困家庭の中にも優秀な者が当然おりますけれども、概していわゆる文部省のいわれる学力というものだけから表示するならば、全日制高校に行けるような家庭は、七十点以上が二四・八%に対して、行けない家庭は一・六%というように低い、すなわち学校教育そのものに、どこかゆがみがあるということにもなろうかと思うわけでございますが、今度の地財法の改正は、こういった特に家庭が税外負担のような形で教育費を出さなくてもバランスのとれるような教育が行なわれる一つの施策だと考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど申し上げましたように、平均的な数字で申しますというと、貧困家庭の子供の成績が幾らか劣っているということは認めているところでございます。ただ、いわゆる進学し得るような余裕のある家庭につきましての子供の中にも、ずいぶんと成績の悪い者が多いわけです。それで一がいには言えないということを申し上げましたようなわけでございます。一般的に申し上げますれば、やはり家計の不如意の家の子供が、勉強する上におきましても便利が少ないだろうということは考えられるわけであります。政府といたしましては、御承知のように、そういったふうの家庭の子供に対する援助ということは、これまでも努力をしてまいり、今後もまた努力をしてまいるつもりでございますので、学習上一般の子供と比べまして、あまり不利な地位に立たないようにするというのが私たちの施策の一つの目標でなければならないと思うわけであります。こういう点につきましては、今後ともに努力をいたしていくつもりでございます。いわゆる学校に関する経費等につきまして、いわゆる父兄負担と申しますか、そういうふうなものがなお少なからずあるということは、私もこれは否定することはできません。だんだんとそれをなくしていこうというのがわれわれの努力でございます。いわゆる家庭等の寄付によるものを押えていく、こういう方角で進めていきたいと思っておりますし、地財法の改正につきましては、本来、公費で持つべきものは当然公費で持つべきものである。それを一般の家庭の負担にすることはおもしろくない、こういうふうなことから改正をせられたものと私ども心得ておる次第でございます。これらの問題も、学校に対する一般の負担というものを合理化していく、こういうことに役立つものと私も考えております。
○加瀬完君 文部大臣の質問は以上で終わります。 東京第二空港の問題で伺いますが、閣議では、東京第二空港は人口過密に拍車をかけるなどの点で、東京周辺にはこだわらないという御決定だと伝えられておりますが、さようでございますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 第二空港の問題につきましては、閣議でいまだ決定はいたしておりません。個々の意見がございましたが、私どもといたしましては、航空審議会の意見に従いましてその検討を進めておるのが現状でございます。
○加瀬完君 運輸省は千葉県富里、産業計画会議は木更津沖を勧告しておるようでありますが、一体、決定しておらないというのは、この二つのうちのどちらかに決定するということなのか、それともあくまでも運輸省の初めの案で第二空港の推進をするということなんですか、いずれですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 産業計画会議の勧告は、同会議が独自の立場でやったものでありまして、航空審議会の答申と必ずしも一致いたしておりません。運輸省といたしましては、先ほど申し上げましたように、第一に航空管制上の、すなわち安全確保の意味から慎重を期しておりまして、富里と決定いたしたのではありません。およそ考えられる東京第二空港は、こういう条件を持っておられねばならぬ、こういう条件をいろいろ勘案いたしまして、航空審議会が三カ所についてそれぞれの意見が答申されたのを、そのまま閣議へ報告いたしまして、閣議の批判を求めたわけでございまして、いまだ運輸省といたしましても、ここにきめるとかいうことは決定いたしておりません。御承知のように、本年度の予算におきまして、そういう問題につきまして一億円の調査費を計上いたしておりまして、この予算が決定次第、本格的に調査に入りたいと考えております。
○加瀬完君 四月中か五月初旬までには一応決定するということが伝えられておりますが、そうではないのですか。一年かかって候補地を選定すると了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) この国際第二空港を使用する目標は、およそ昭和四十六年と考えております。と申しますのは、超音速機が実用化される時期が大体昭和四十六年と考えておりますから、それに間に合わすように最善の努力をいたしてやりたいと考えております。
○加瀬完君 防衛長官に伺いますが、いわゆる国際空港が新しくできるといたしますと、この騒音区域はどのくらいになりますか。
○国務大臣(福田篤泰君) 第二国際空港ができた場合の騒音度の問題でありますが、使われる機種あるいは型式によっていろいろ違いますが、現在のところ超音速のジェット旅客機はまだ開発中でございます。したがいまして、具体的に騒音度ははっきりいたしておりません。
○加瀬完君 想定はできるでしょう。
○国務大臣(福田篤泰君) 想定という立場から申しますと、大体いまの旅客機は民間では機体に消音機をつけております。この採用によりまして、大体十フォンから十五フォンくらい騒音度が減っております。
○加瀬完君 滑走路並びにいままで防衛庁でおやりになっている防音区域を入れますと、長さは約三十キロになります。幅は十五キロ、四百平方キロメートル以上、大体七十五フォン以上の区域を考えるとそのくらいになると考えていいでしょう。
○国務大臣(福田篤泰君) 専門的な数字になりますから政府委員から説明させます。 〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕
○政府委員(小野裕君) お答えいたします。 ただいままで、防衛庁並びに防衛施設庁が自衛隊と米軍の飛行場周辺に防音工事という形で学校の防音対策をとってまいりました区域というのは、いまお話しのような大体の範囲でございまして、滑走路の左右に五キロ、前後に十キロ、この範囲が大体私どもが防音対策を必要とする区域であると考えて工事をやってまいりました区域に該当いたします。
○加瀬完君 たとえば富里案といたしますと、そういった区域の中に人口十万、これだけの人がいるわけです。こういう、過密とはいえないにしても、人口十万の人が騒音に悩むといったようなところに空港の候補地を求めるということに問題を感じませんか、運輸大臣。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもといたしましては、そういう騒音をなるべく防止するために、用地決定の上は、あらゆる努力をいたしてその騒音を防止いたしますように努力をいたしたいと考えております。
○加瀬完君 防衛庁の担当官に伺いますが、騒音対策というものは、全部騒音の聞こえないところへ移転する以外に騒音の対策はないとさえ言われております。騒音対策は立ちますか、どういう騒音対策を立てるのですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 緩衝地帯をなるべく広くいたしまして、そうして騒音をなるべく、これから被害を直接受けないようにいたす所存でございまして、第二国際空港はそういう意味を持ちまして、大体七百万坪以上ということに想定いたして、いま研究いたしております 私どもはなるべく地元の皆さん方に迷惑かけないように努力いたしておる次第でございまして、非常なる被害がその地になるべく多くならないように、飛行場をなるべく大きくとって騒音地帯を広げてやっていきたいと、かように考えております。
○加瀬完君 緩衝地帯をつくろうが、防音林をつくろうが、上からの騒音を防ぐすべはないわけです。いま言ったように、四百平方キロという広いところにどう緩衝地帯がつくれますか、つくったところで、それが騒音対策になりますか。移転をする以外に騒音対策は成り立ちませんよ、こういうある程度の人口の集落地帯におきまして、もう一度お答えいただきます。
○国務大臣(綾部健太郎君) 用地がきまりました上で、どうしても移転しなければ騒音防止ができないという場合には相当の処置を考えていきたい、かように考えております。大体まあ普通のいわゆる騒音を防止する施設としては、七百万坪以上の空港をつくることによって大部分は防げるのじゃないかというように考えております。それは用地が決定いたしますれば、さらにその方面について、御趣旨のような移転する以外に方法がないとするならば、移転をお願いする等々のことを考えていく、かように考えております。
○加瀬完君 もう少し大臣、よく研究なさって御答弁をいただきたい。A3の九十五フォンですか、これは一時間に十回以上の障害回数、この飛行機は一体一日に何機離着する計算ですか、十回以上ではききません、九十五フォン以上の地域がほとんどです。九十五フォン以上の地帯にどうして人間が生活できますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 非常な専門的な数字になるので、当該局長からお答え申し上げます。
○政府委員(栃内一彦君) ただいまの騒音の問題でございますが、現在いわゆるSSTという飛行機につきましては開発中でございまして、騒音の問題につきましては的確な資料はまだ受けておりません。もちろん現在飛んでおりますいわゆる音速未満の旅客機、これにつきましても相当の騒音があることは事実でございまして、この騒音の測定をいたしまして、その範囲が非常に広い、あるいは狭いというような実際上の調査をいたしまして、そうしてまた、いま御指摘の飛行回数というものを調べまして、それによって、場合によっては緩衝地帯だけで間に合わないというところは移転補償するとか、あるいはそのほかの防音施設をやるとかいうようなことは、具体的に考えなければならないと、かように存じております。
○加瀬完君 おかしいですよ、あなた方のほうから出された資料によれば、すでに少なくともそういうことができるかどうかわかりませんが、算術的な計算をすれば二分間に一機、こういう割合で離着陸が行なわれる。しかもジェット機でございますから、現状よりも騒音の度合いが高いと見なければならない。しかも整備の場合の騒音、あるいは上空の場合の騒音、こういったことを考えると、現状の空港における騒音の比ではないと、これはだれが考えても当然の常識です。ですから騒音対策をどうするかということを打ち出さないで、空港の予定地に対しまして土地取得の交渉をいたしたってどうにもならないわけなんです。しかし、これはここで議論すると長くなりますからやめます。 そこで、千葉県知事は、富里の場合は三十万都市の建設ということを条件に引き受けようじゃないか、三十万都市の設備投資は、大体概算をいたしまして、道路を除いても三千億かかる、この三千億というものを政府が全部持つというなら引き受けよう、こういうことを言明いたしておりますが、それでよろしいということですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど申しましたように、千葉県に対する、いわゆる富里を第二国際空港と決定いたしたわけではございませんので、いよいよ決定する段取りになれば、どのくらいの金が要るか、どのくらいのことをやってやれるかということを具体的に交渉いたす所存でございます。
○加瀬完君 決定しないにしても、こういう条件が決定のかぎだということになれば、それをのめるかのめないかということは、ここでお答えになれるでしょう。
○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど申しましたように、そういう条件になるかならぬか、それをまだきめておらないのでございますから、ここで言明の限りではないと思います。
○加瀬完君 一応予定地でしょう。予定地ならば予定地のいろいろな条件というものをつぶさに検討をして、ここの予定地はこういう悪条件だからだめだ、ここの予定地はこういうことだからのめるといったようなことが、これは当然仮定において検討されるでしょう。その検討の一つのかぎとして、三千億の投資を政府が持つか。持てば引き受けると言っている。こういうべらぼうな要求を政府としてのめますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申しますように、決定のときにおきまして、はたして三千億が妥当な金額でありやいなや、それから千葉県知事の計画そのものがどういうものであるか、そういうことを今後一億円の調査費で詳細に——もし富里ときまるならば、詳細に調査して御返事申し上げるという以外に、きょうここでお答えする段階ではないと考えます。
○加瀬完君 これは建設大臣に伺いたいと思ったのですが、まだいらっしゃいませんので運輸大臣に伺いますが、政府は土地取得の場合に、損失補償基準要網というものを閣議で決定されておりますね。この要綱に準じて土地の取得はするのか、それとも空港の場合は別で、相手方の言い分に従って価格をきめるのか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 両方の方式でやりたいと思っております。一方、われわれが満足すべき状態で得られるならばそれをやるし、満足できない場合には別途の方法を講ずる、こう言うよりしょうがないと思います。
○加瀬完君 そうすると、閣議決定のこの損失補償基準要綱というものは、この場合は守らない、こういうことですね。
○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申しますように、具体的の問題が起こったときにそれを決定して……。
○加瀬完君 そんなばかなことはないでしょう。これは具体的な方法で、閣議できまった基準による方法だ。
○国務大臣(綾部健太郎君) もちろんそれに応ずるような場合にはそれを適用します。
○加瀬完君 これは適用しなければならないことになっているのですよ、基準として。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもはそういうことがきまっておればそれに従うよりしょうがないと思っております。
○加瀬完君 いや、閣議できめたのですからね。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもの——主として建設省の関係でございまして、建設省の政府委員が答弁するそうですから、お聞き願います。
○政府委員(町田充君) 公共用地の取得につきましては、御指摘のとおり損失補償基準の要綱は閣議決定されておりますので、飛行場の用地につきましてもこの基準要綱は当然適用になるという考えでございます。
○加瀬完君 あと一、二点、建設大臣に伺いたいのですが、十五分にいらっしゃるというので、なるべく短くと思いまして、運輸大臣で足りることはみな運輸大臣にお伺いしたのです。一、二点どうしても建設大臣にお伺いしなきゃならない。十五分に来るということですから、ちょっと待たしてください。
○理事(斎藤昇君) 加瀬君、お待たせしました。
○加瀬完君 建設大臣に伺いますが、国際第二空港の問題ですが、運輸大臣に伺いますと、相変わらず航空審議会の決定のように千葉県の富里案というように御説明があったわけでございますが、一方、新聞によりますと、東京の人口の過密にさらに拍車をかけるというようなところはまずいので、東京周辺より離してつくったほうがいいという判断が閣議においては下されたということでございますが、これは閣議としてはやはり富里案ということでございますか。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、これほどの大きな事業を決定することでございますから、運輸省で一存でおきめになることは困る。たとえて申しますれば、相なるべくは、私のほうで計画いたしておりまする路線、道路、この既存の道路もしくは新設の道路、こういうものに大きなウエートを置いて御考慮願うことでございませんと、あまり遠方におつくりいただきましても、そこまで道路の計画がございません。道路五ヵ年計画は一応つくっておりますが、その計画に全然入っていないところにむやみときめられても、私自身困ります。こういうことで、今後十分調整の必要もある、こう思います。
○加瀬完君 あと、建設大臣に取得伺います。一つは、用地取得の場合、いわゆる適正価格による取得方法、すなわち損失補償基準要綱を確実に守って取得をするという方法をおとりになるかどうか。もう一つは、非常に騒音の影響が多いようなところの御選定、騒音の影響が多い、わずか住民の人口が十万なら十万、十五万なら十五万の影響下に人口を含んでいるところに御選定をすることに、どうお考えになっておるか。その二点。
○国務大臣(河野一郎君) 補償は、先ほど事務当局からお答えいたしたとおり、なるべく影響のないところにつくるのがいいでしょうが、そういう場所が、これは総合的に判断せられることだと思いますが、一件一件どうかと聞かれると、なるべく騒音の影響がないところがいい、先ほど申しましたように、道路もなるべくあるほうがいい、地盤はなるべくいいということでございましょうが、いずれも総合的に判断をして、そうして結論を出すということになるだろうと思いますから、一つ一つについてこれじゃだめだ、 これじゃだめだといったら、場所がなくなってしまうということになるのじゃないかと思いますので、十分調整して結論を出したい、こう思います。
○加瀬完君 恐縮ですが、もう一点。閣議は何か五月ごろまでには結論を出すというように伝えられておりますが、運輸大臣のお話ですと、相当長期間調査をするのだということでございますが、地元としては、非常に問題が問題でございますので、心痛をいたしております。閣議の決定のお見込みは大体いつごろになりますか。
○国務大臣(河野一郎君) 私がきめるわけでございません。私も関係者の一人になっておりますけれども、なおまだ調整不十分でございますから、早急にきまるということはないだろうと思います。急ぐ必要はありますけれども、なかなか早急に決定するのは困難だろう、こう思っております。
○加瀬完君 これで建設大臣は終わります。次に、自治大臣を。
○理事(斎藤昇君) 自治大臣すぐ参りますから。 〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕
○加瀬完君 自治大臣に伺いますが、税外負担の解消のための財源補てんというものは確実にできておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 高等学校の建築についての税外負担につきましては、法律によりまして禁止をいたしましたので、三十九年度からは三十六億円の予算を交付税に入れることにいたしました。それ以外の税外負担につきましては、単価の是正等が逐年行なわれておりまするので、完全には税外負担をカバーできませんけれども、逐次これが解消に政府としては努力をいたしておる次第でございます。
○加瀬完君 三十六年、三十七年、三十八年、各年度の高校新改築費のうち、市町村、PTA、後援会その他の負担金、寄付金の内訳はどうなっておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 昭和三十六年度における公立の高等学校の建築費に対する負担金は、市町村が十二億円、PTAその他の負担金四十四億円、合計五十六億円となっております。昭和三十七年度における額は、市町村二十三億円、PTAその他四十六億円、合計六十九億円になっております。三十八年度は、まだ決算がでておりませんので、わかりません。
○加瀬完君 三十六年は六十億五千八百万、昭和三十七年は九十七億五千九百万、三十八年は八十四億三千九百万じゃございませんか。
○国務大臣(早川崇君) 三十八年は、まだ年度中でございますので、出ておりません。
○加瀬完君 三十七年はわかっていますね。
○国務大臣(早川崇君) 先ほどお答えしたとおりでございます。
○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、いま自治大臣に伺ったのでございますが、地財法の二十七条の改正によりまして、あのワクの中の税外負担というものは完全に解消したということでございますか。財源補てんは確実でございましょうか。
○国務大臣(早川崇君) 高校の建築費につきましては三十六億円を計上いたしておりますので、その面における税外負担は解消するつもりでございます。
○加瀬完君 三十六億円で解消したということになりますと、昭和三十九年度の高校建築事業費は幾らと見ているのですか。
○国務大臣(早川崇君) 昭和三十九年度における建築費は、急増分と改築分合わせまして二百二十八億円を見込んでおります。
○加瀬完君 その数字違っておりませんか。地方の予算規模から総計して、そういう数字になりますか。
○国務大臣(早川崇君) 間違いございません。なお、補足いたしますと、そのうち急増分百八十六億円につきましては、国庫補助金が二十九億円、地方債六十六億円、残九十一億円については地方交付税の基準財政需要額に算入することといたしておりますし、改築分四十二億円については、国庫補助金十一億円と、地方債一般単独分九十五億円のうちから措置する予定でございます。
○加瀬完君 それは財政計画上の数字でございまして、実際の予算の数字は違っておるはずでございます。 しかし、質問を次に移しまして、三十六年度決算において、税外負担分が見積もりと実際とに開きがあるのではございませんか。
○国務大臣(早川崇君) 各父兄がこの基準以上にいろいろな施設をつくられるという場合がございまして、最低の基準以上に支出する場合があるわけでありまして、そういった面におきましては、決算と大体のわれわれの計画との食い違いが出てくることは間々あることであります。
○加瀬完君 それでは、昭和三十七年、三十八年、三十九年度の税外負担はどういう傾向になっておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 小中学校も含めてでございますか、高校関係でございますか。高校関係は、御承知のように、三十九年度からは法律で禁止いたしますから、今後の問題としては起こらないと思うのであります。小中学校の税外負担につきましては、遺憾ながらまだそういう法律ができておりませんので、税外負担は依然として続いておるわけでありますけれども、三十九年度におきましては、単価もかなり、七%でありますから現実に近い単価に是正をされまして、今後税外負担のワクは減っていくものと思っているわけでございます。
○加瀬完君 高等学校はどうですか。
○国務大臣(早川崇君) 高等学校につきましては、いま申しましたように、三十九年度からは税外負担は、少なくとも建築費につきましては父兄が負担するということは法律で禁止されておりますから、なくなるものと考えております。
○加瀬完君 私の質問はそうじゃない。三十七年、三十八年、三十九年とどのように増減をしたかということを聞いておる、税外負担が高等学校に限って。減なら減とお示しいただければいい。
○国務大臣(早川崇君) 三十六年、七年、八年、大体横ばいの状態でございます。
○加瀬完君 そうすると、昨年の五月二十三日、地財法の改正のときに自治省の御説明なさったことはうそということになりますね。
○国務大臣(早川崇君) 大体横ばいと申しましたのは、三十六年度で建築費につきましては税外負担が四十四億円、これが三十六年であります。三十七年度は四十六億円。これは税外負担分でございまして、全体では若干ふえておりますけれども、そう大きい大幅な増額でありませんので、大体横ばいと、こう申したわけでございます。
○加瀬完君 そうではないのですよ。もっとふえているのですよ。これは当時の松島参事官が委員の質問に対して、三十六年よりも三十七、三十八年と、このままであれば税外負担は相当大幅にふえてくる見込みだとおっしゃっておるとおり、ふえておるのです。数字が違っておるのです。もう一回お答え願います。
○国務大臣(早川崇君) 事務当局がどういうお答えをいたしましたか知りませんが、先ほど申し上げましたように、若干はふえておるわけであります。数字で申しますと、昭和三十六年度における公立の高等学校の建築費に対する負担金は、先ほど申し上げましたように、市町村が十二億円、PTAその他の負担が四十四億円、合計五十六億円、三十七年においては六十九億円、約十億円程度はふえております。そういう意味では微増しておるということはお説のとおり言えるかと思います。
○加瀬完君 それでは、交付税の単位費用の引き上げで三十六億を埋めたということでありますが、これで埋まりますか、三十九年度は。
○国務大臣(早川崇君) 高校急増対策の計画と照応しながら三十六億円という数字をはじいたわけでございますから、必要以上な建築なりあるいは父兄の要望で付属施設というのでないならば、財政計画上は埋まるいうので、三十六億円を計上いたしたわけでございます。
○加瀬完君 これは計画では困るのです、財政計画だけでは。三十七年度、三十八年度、三十九年度と継続事業もあるわけですから、その継続事業の財源としては、当然これは税外負担として幾ら見込めるというものも含んでいたわけですから、それが見込めないということになると、その計画どおりいけば三十六億だけ埋まったワクで締めなければならない、仕事を。そうすれば事業を縮小をするということになるわけです。そこで問題は、三十九年度は一体税外負担分の減は幾らとごらんになるのですか。
○国務大臣(早川崇君) 説明員から……。
○説明員(岡田純夫君) 財政計画におきましても、交付税におきましても、対前年度、つまり三十八年度に対比いたしまして三十九年度は五十億財源増加措置をいたしております。財政計画上では税外負担の解消としまして見込んでおりますのは三百二十億に到達いたしますので、まあほぼ現在の税外負担については解消できるような態勢は整えておるものと、かように考えております。
○加瀬完君 税外負担分が幾ら減になるか、三十九年度。高等学校だけでけっこうですよ。税外負担分が幾ら減になるか。
○説明員(岡田純夫君) これは今後指導の問題でございますし、また、高等学校におきましては対町村関係におきましても、ただいま大臣から申されましたように、財政法の改正規定が三十九年度から完全に発動いたします。また、さらに県から市町村に対する負担解消といいますか、負担転嫁を禁止するばかりでなくて、住民に対しても負担転嫁を禁止いたすことになっておりますので、そういう法律ないし具体的な指導面から措置できるものと、また、ただいま自治大臣から申しましたように、対前年度建築関係におきましては急増対策分をはずしまして、三十六億追加する措置をいたしております。別に県が市町村に従来税外負担としてかけておりましたものが二十三億程度ございますので、解消できるものだというふうに考えております。
○加瀬完君 解消できるかできぬかの前には、前の数字がなければならない。税外負担として一応収入に見込んだ額は幾らなんです。それは取れないですから、それが埋まらなければ計画をするまでもない。その額は幾らだと伺っておるのです。
○説明員(岡田純夫君) お答え申し上げますが、財政計画等におきましては、税外負担を歳入に計上いたす、予定をいたすということはいたしておりません。使用料、雑収入等当然のものはいわばかたいめに歳入見積もりをいたしておりますけれども、さようなものは計上いたしておりません。
○加瀬完君 財政計画というものと実際の収支というものは、御存じのように違っているわけです。財政計画だけでバランスを合わせたところで、バランスにならぬ。財政計画で合わせると三十六億では足らないから、また税外負担の目減りというもので事業縮小ということになって、高等学校の急増対策はストップになる。あなた方はその数字はおわかりにならないのですか。急増分が三十億七千三百万、急増以外の改築分二十三億六千百万、計五十四億というものが税外負担の取れない分ですよ。これが埋まらなくて、三十六億と五十四億と、バランスが合いますか。ほかに五十四億から三十六億の不足分をどこで一体カバーしているのですか。大臣、答えてください。
○国務大臣(早川崇君) 五十六億という数字ばかりで埋まるわけではありませんが、要するに、三十九年度の高校急増分の予算の内訳を見てみますと、二百二十八億円要るわけであります。このうち急増分の改築として百八十六億円については、国庫助金金二十九億円、地方債六十六億円、残り九十一億円については地方交付税の基準財政需要額に算入いたしておるわけであります。特に改築分四十二億円については、国庫補助金十一億円と地方債一般単独分九十五億円の中から措置をする予定でございまして、なお、三十九年度はいま言った税外負担の解消をはかるために、建築費を中心に交付税の算定にあたりまして、三十六億円程度の府県分の高等学校建築費の基準財政需要額を増額いたしておるわけでありますから、そういう意味では税外負担解消の実効を期し得ると、こういうように考えておるわけであります。
○加瀬完君 それは急増分が三十億ですから、急増分三十六億で埋まります。 あらためて聞きますが、急増分以外の高校建築の費用は三十六、三十七、三十八でどうなっておりますか。
○説明員(岡田純夫君) 御説明申し上げますが、三十六億の増加は急増分以外の分でございます。先ほど大臣から申されました三十九年度高校二百二十八億措置してある関係等は、急増分が大半で、その他は補助事業分でございます。それ以外に、急増関係等以外に、単独事業等を中心にいたしまして三十六億強化措置をいたした、急増関係以外の分であります。
○加瀬完君 そんなことを聞いてないよ。いまのことを答えてください。三十六、三十七、三十八の急増以外の建築費はどうなっていますか、税外負担。急増以外の三十六年から三十八年までの高校建築の税外負担額です。
○説明員(岡田純夫君) また御質問を取り違えておりましたら、あとからさらに補足さしていただきますけれども、三十七年度の高校建築費で、急増以外の分につきましては、県分といたしまして建築費が四十一億。
○加瀬完君 税外負担が……。
○説明員(岡田純夫君) 税外負担が四十一億ございます。人件費、物件費等で三十八億、その他六億ございまして、八十五億というのが、税外負担の県分の三十七年度の全体の姿になっております。三十八年度はまだ調査中でございますのでわかりません。
○加瀬完君 それは急増分も含めてですか。
○説明員(岡田純夫君) これは急増分がそのうち約十五億。
○加瀬完君 じゃ、急増以外の分の税外負担は、今後どうしていくのかそれを伺います、自治大臣。
○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、国庫補助金、その他の単価是正による増額、それから起債あるいは交付税の基準財政需要の単価が上がってまいりますから、そういったことでさらに三十六億円というものが加わりますから、おおむね税外負担が吸収できる、こういう見積もりをいたしておる次第であります。
○加瀬完君 三十六億を全部に使っておりますが、それでは伺いますが、建設事業以外に税外負担はございませんか。
○国務大臣(早川崇君) 先ほど岡田君からもお答え申しましたように、人件費、物件費につきましても、若干の税外負担を父兄が負担しておるという実情でございます。
○加瀬完君 その数字をおっしゃってください、人件費、物件費等の。
○説明員(岡田純夫君) 申し上げます。人件費が四億、物件費が三十四億、建築費が四十一億、その他六億、計八十五億となっております。
○加瀬完君 それはいつですか。
○説明員(岡田純夫君) 三十七年度でございます。
○加瀬完君 地財法の改正では、まだ解消されない人件費、物件費の三十六年度決算におきましては、高校分だけでも四十億三千九百万でございますね。市町村分を住民が負担いたしましたものは九十三億七千五百万、これが——これがというのは、こういう形のものは三十九年度も残っている、それが三十六億で解消できるという御計算ですか。
○国務大臣(早川崇君) 三十九年度におきましては、地方交付税の算定にあたりまして、校舎の建築費を中心に三十六億円程度のものを増額いたしているわけであります。なお、道府県分の高等学校経理にかかる基準財政需要も増額をいたしておりますので、そういう面から税外負担の解消に実効を期したい、こう申している次第であります。
○加瀬完君 税外負担には建築費分だろうが、人件費分だろうが変わりがない。三十六億で建築費分が解消できたとしても、いま申し上げましたとおり、事業費、人件費等を合わせての市町村分を住民が負担したものは、三十六年度の決算では百三十七億、千八百万、府県分の事業費負担の三十一億二千六百万だけを解消しても九十三億というものが残る、三倍の税外負担というものが残る。これが税外負担の解消になりますか。これは自治省の決算をそのまま持ってきたのですから、数字は間違いないです。
○国務大臣(早川崇君) 御指摘の父兄の負担には、修学旅行とかいろいろその他の税外負担もあるわけであります。こういった面につきましては、これは自治省といたしましては措置する考えはございませんので、こういうのは児童の受益負担という考えでございますが、これが大体毎年八十億円をこえるほどあるわけであります。それについては税外負担として処理する考えはございません。
○加瀬完君 高等学校の税外負担の調査で、人件費、物件費の中に、高等学校の生徒の負担をする旅行の費用まで人件費の中に入っておりますか。
○国務大臣(早川崇君) 自治省のそれには先ほど申しましたように、そういうものは見ておりません。ただ人件費、物件費の税外負担の解消につきましては、たびたび申しておりますように、交付税の基準財政需要額には、三十九年度はそれを織り込んで考えているわけでありまして、建築分の三十六億円と合わせてわれわれは税外負担を解消していきたい、こういう考えでございますので、御了承いただきたいと思います。
○加瀬完君 ですから、事業費の三十一億だけを埋めたところで、三十六年度決算を例にとっても、あと九十三億の税外負担分というのは残るわけです。三倍のものを残しておいて三分の一のものを埋めたところで、税外負担の解消にはならないのじゃないか、これを一体どうするのだということです。
○国務大臣(早川崇君) それは交付税の算定上、そういったものを基準財政需要額の中に織り込みまして解消をはかっていく、こういう意味でございます。
○加瀬完君 交付税の算定によって三十六億出したのですよ、そのほかにはどこにも出てくるところはないでしょう、だめですよ、もう少しはっきりしたことをおっしゃらないと。
○国務大臣(早川崇君) 加瀬さんにお答えいたしますが、三十六億円だけふえているわけじゃない、交付税におきましては相当ふやしているので、それで吸収していくということで、なお数字につきましては、政府委員から答弁させます。
○説明員(岡田純夫君) ただいま大臣の申されましたのは、交付税の計算上、単独事業等を中心にいたしまして、したがいまして、高校問題あるいは道路問題が中心になりますけれども、包括的にある程度の額を県、市町村を通じまして算入いたしております。その額が県分につきましては三十九年の五百四十五億、それから市町村分につきましては二百十三億、合計七百五十九億の包括算入をいたしておりますので、それによりまして十分やっていける、かように考えております。
○加瀬完君 私の聞いておるのは、この二十七条の改正によりまして、結局その高校建築費等については一応税外負担を中止したわけです。しかしながら、市町村並びに市町村住民が、県分を負担している額は、高校急増対策は、三十六年度の決算三十一億、その他九十三億あるということですよ。この九十三億が、いま申し述べた人件費もありましょう、物件費もありましょう、あとでまた詳しく申し上げますが、交付税の算定の中で明瞭に解消されたということになりますかというのです。これは負担分としてまだ残るでしょう、禁じられていないものですから残るでしょう。まだ残っているのじゃないか、税外負担の分として、そういうことを言っているのです。どうしてこれが全部交付税の中に溶け込んだということになりますか。どういう計算でなりますか。
○説明員(岡田純夫君) それは申し上げましたように、ただいま絶対額を申し上げたのですけれども、包括算入によりまして、百七億、三十八年度よりも三十九年度は増加するといたしております。その考え方の思想は、先ほど申し上げましたように、税外負担等につきまして、五十億増加するといたしております。交付税におきましても、税外負担だけとしては、そのように追加措置をいたしております。総体としては、先ほど申し上げましたように、三百数十億の税外負担の解消を織り込んでおるわけでありますし、ただいまの包括算入におきまして、百億以上というものを増加する措置をいたしております。かたがた法的措置によりまして、県から市町村へ、あるいは市町村から割り当て等の、割り当て強制寄付等を禁止するということは、完全に三十九年度の当初より発動しておりますので、財源措置、法的措置、指導と相まちまして、やってまいれるものというふうに考えております。
○加瀬完君 ただそういう方向を打ち出したというだけです。税外負担が解消したということにならないでしょう。それなら伺いますが、二十七条の四の内容として、地財法施行令の十六条の三の内容は、市町村の小中学校の建設事業費というのを省いておる。高等学校の維持補修費というのを省いておる。税外負担をしてもいいというワクがちゃんと二十七条には残っておる。これを残しておって、解消したといっても、解消になりませんよ。これは大臣、どうですか。
○国務大臣(早川崇君) 小中学校等につきまする税外負担の禁止等は、まず高等学校関係が非常にひどいので、小中学校までこれを法律に入れなかったわけでありまして、われわれといたしましては、今後の問題として、小中学校の税外負担につきましては検討をいたしてまいりたいと考えております。
○加瀬完君 具体的に伺いますが、それでは学校納入金、いわゆる入学についての学校納入金は府県において総額どのくらいになりますか。これも寄付でしょう。
○国務大臣(早川崇君) 文部省の調査によりますと、三十六年度における学校徴収金は八十六億円程度と見積もっております。
○加瀬完君 それではそれは納入金のうちの入学料ではなくて、毎月徴収をされる金のうち施設充当費、施設充当積立金、こういうものはどのくらいになりますか。
○説明員(岡田純夫君) これは文部省の調査をただいま大臣から申し上げたのでございますので、後刻調査いたしまして加瀬先生にごらんにいれたいと思います。
○加瀬完君 これはある県で調べたところによりますると、年額四十四億になります。一つの県で四十四億、概算をいたしましても七百億程度にはなるはずです。こういうものがそのまま税外負担として、残っておる。税外負担のほんとうのところにメスが入っていないじゃありませんか。
○国務大臣(早川崇君) 御指摘の税外負担は、先ほどお答え申し上げましたように、自治省で計上しておる税外負担ではなくて、たとえばクラブ活動とかあるいは修学旅行の父兄負担とか、そういったものがかなり多額に上っておることは承知いたしておるわけであります。しかし、こういった経費につきましては、これは父兄が負担いたしておりますけれども、これは直接生徒の受益負担という考え方でございまして、そこまで税外負担といたしまして、交付税なり、あるいはその他の措置で負担するというだけの現在財政的余裕がございませんので、これはわれわれといたしましては関与をいたしておらないわけであります。
○加瀬完君 質問を急いでおりますから明瞭でないかもしれませんのでもう一度はっきり申し上げますが、いまあなたのおっしゃるように、旅行の費用とかクラブ活動の費用というようなものは全部省いても四十四億あるわけです。とりわけ施設充当費、施設のための費用、それから施設充当積立金、施設を何かやるための積立金、こういうものだけでも某県においては二十一億九千五百万円ある。約二十二億。これを全国全県で統計をすれば少なくも五百億をこえる数字になるはずです。施設充当費、施設充当積立金としてはほとんど校舎等の維持補修の費用です。こういうものを一体地財法の改正のときに禁じなくて野放しにしておけば、父兄の負担はなくても、生徒に幾らでも負担がかぶってくるじゃありませんか。それでは所期の目的の税外負担の解消にはならないじゃないかということを聞いておるわけです。
○国務大臣(早川崇君) 御指摘の点はおそらくその父兄の負担というような面で設備を充実するという面に負担させておるのであろうかと思うわけであります。
○加瀬完君 そうではなく、生徒が納入するのですよ、毎月幾らというふうに、授業料と同じように。
○国務大臣(早川崇君) それは地財法の改正は、いわば建築費とかその他の基本的なものの税外負担を解消するという措置で改正をいたしたわけであります。今後そういったそれ以外の税外負担がどうなっておるか、実情はいま加瀬委員の御指摘のとおりかどうかという問題もありましょうが、今後の問題として検討していきたいと思います。特に小中学校の税外負担、これは大きな問題でございますが、一挙に、財政の面もございますから、一切の義務教育あるいは高校の税外負担を解消するというには段階を踏みながら処置していかなれけばならない実情でございますので、今後の検討の課題といたして十分検討いたしたい。
○加瀬完君 結局、三十六億程度では埋まらないということです。埋まらないためには、高校の建築事業というものが事業縮小をしなければならないはめにおちいる。そういう府県ができた場合はどう救済をいたしますか。
○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、人件費、物件費その他建築分の三十六億円のみならず、百億以上の高校建築あるいはこれに要する費用の交付税の増額をいたしておるわけであります。それで措置できないような事態、県が出てくるじゃないか、こういう御指摘でございますが、何ぶん三十九年度からの実施でございます。実施の状況を見まして、そういうはみ出しが出てくるというような場合には、あるいは交付税で考えるとか、何らかの措置を講じまして、この地財法改正の趣旨を十分行政に生かしていきたい、かように考えておる次第であります。
○加瀬完君 それでは最後に伺いますが、地方財政全般についての見通しというものを明るく持ってよろしいという、いまもってお考えですか。
○国務大臣(早川崇君) なかなか答えにくいあれですが、私は率直に言って、現在の地方財政の姿というものは、豊富の中の飢餓であると私は思っておりました。という意味は、地方財政自体の財源はうんとふえてきておる。三兆円を突破して、来年度も自主財源におきまして二千三百億円、交付税八百四十億円近いものが増額になるわけであります。しかしながら同時に、公共投資、義務的経費、高校急増、その他生活を豊かにするための経費、これが国の予算において大幅に増額いたしておるわけでありまして、それの地元負担金という形におきましては、飢餓状態といいますか、非常に苦しいというのが、現在の姿ではないでしょうか。したがって、そういう意味では私は豊富にはなったけれども、苦しい、かく考えておるわけでありまして、地方の府県、自治体の自治というものは、みずからいろいろなことを選択する自由があるというのが自治でありますから、自治体の側におきましても、十分切り詰めて、健全財政、ただ事業をやればいいというような考えを捨てて、自分の力に即応したひとつ地方行政をやっていただきたい、かように思っておるわけでございまして、そういう意味におきましては、私は健全な地方財政を自治体がやる以上、決して何といいますか、赤字になるというような悲観的なものではございません。
○加瀬完君 この前の総括質問のときの御答弁は、数年前に比べれば非常に地方財政は豊かになった、自主財源もふえたし、交付税もふえて見通しは明るい、こういうお話だった。ところが、本日の新聞に発表されておりまするいわゆる地方財政の報告によれば、地方財政規模の増加額が鈍ってきた、財政収支の悪化が目立ってきた、税収が伸び悩んでいる、結局赤信号だ、こういうように報じられている。これは新聞が報じているのでなくて、自治省の報告書がそうなっている。前の大臣のお考えとは、実態は違うんじゃありませんか。これはお認めにならざるを得ないでしょう。
○国務大臣(早川崇君) 三十七年度の決算は、御説のとおり、自主財源の伸び悩みでございました。しかしながら、三十八、三十九年度においては、地方財政計画では、地方自主財源のかなりの伸びを見込んでおるわけであります。これは経済の成長の速度に即応いたしてそうなっておるわけでございます。したがって、私は地方財政全体として見れば、非常に豊富になっておる。五年、十年前は公債費を払うだけが精一ぱいの地方財政とは比較にならない充実したものになっておりまするけれども、私の申したいのは、同時に、事業、投資的経費、義務的経費が国民福祉のために大幅にふえつつある。そういう意味においては非常に苦しい面も出ておる、こういうわけでございまして、客観的に言えば、地方財政は非常に豊かになっております。相対的に見れば、常に自治体の知事さんや市町村長さんは苦しいのだと。こういうように御理解を賜われば、現在の地方財政の実情がはっきりするのではないかと思っております。
○加瀬完君 あなたの名前で発表された自治省の財政白書が、赤字団体はふえたと、単年度の黒字は十五億から百二十八億の赤字に転落をしたと、こうなっているのです。三十六年度は好景気のときです。その税収が三十七年度にくるでしょう。三十七年後半、三十八年というのは、経済成長の伸びが前年度に比べて鈍っているときでしょう。非常に税収が上がるように財政計画でなっておりますけれども、その上げさせるためには、特殊な方法を講ずるか、そうでなければ、これは無理な計算ですよ。三十八年度、三十九年度はわかりませんが、もっと赤字の団体が出ると予想されなければなりません。仕事は非常にふくらましているでしょう。たとえば新産業都市とか、広域行政とか、そうなって、ことしの投資的経費でも三〇%以上ふくらましているのです。こうなってまいれば、これはさらに赤字の傾向というものは強くなってこないわけにいかぬでしょう、どうですか。そうすれば、それはまた税外負担にはね返りますよ。
○国務大臣(早川崇君) 三十八年度、九年度は、決算はまだ確定いたしませんから、赤字団体が一一%、三十七年度できたというよりも上回ってくるという見通しは持っておりませんが、私は今後の地方財政を立てる場合の基本的な問題といたしましては、国家予算におけるいろいろな事業というものと地方財政をバランスとっていくということが、赤字団体をなくしていく道でございまするから、三十九年度はそういう意味で健全財政を各自治体にやっていただくように指導もし、またそういった地方行政の運営をいたしたい。そうするならば、必ずしも能力以上の負担をかかえて赤字になるというようなことは起こらないのではないかと、かように考えておる次第であります。
○加瀬完君 近ごろ、地方議員の報酬の問題がいろいろ話題になっておりますけれども、この地方議員の報酬についてどのような指導助言をなさろうというお考えですか。
○国務大臣(早川崇君) 財政計画、あるいは交付税の算定による人件費というものをかなり上回って特別職の議員の報酬が上がっておるということは承知をいたしておるわけであります。しかしながら、各自治体に対しまして、やはり世論に従って上げないところも出ておりまするし、まああまりに非常識な値上げというところも、中にはございますけれども、自治省といたしましては、こういうことは、世論に耳をかして、自治体自身が良識を持って解決していくというのが、自治の本旨でございますので、現在のところ、自治法による勧告権というものを、自治体にこの問題で発動するという考えは持っておらない次第でございます。
○加瀬完君 高いとか、低いとか、適正だとかいう基準は、一体、自治省はどこに置くのですか。
○国務大臣(早川崇君) 交付税とか、地方財政計画における人件費の算定基準というものはございます。これは最低の基準と考えておるわけで、最高はどうかというような問題は、それぞれの自治体、あるいは国民のほかの俸給のバランスをとりながら、自治体自身が御決定願うというのが妥当ではないでしょうか。
○加瀬完君 現状は自治体自身が適正な確定ができないから、いろいろ世論の問題になっておるわけでしょう。ですから、結局、その適正な基準というものは、どこに置けばいいか、こういった点について、もう少し適切なこれは指導助言というものがあってしかるべきじゃないかと私は思う。交付税の基準をいいましても、それじゃ不交付団体はかってに自分の財源だからいかように上げてもいいということにもなりかねません。去年の不交付団体が来年の交付団体になる場合だってあり得るわけです。そうではなくって、もっと別な角度から検討をする必要がありませんか。適正基準といいますか、そういうものを一応表示する必要はございませんか。
○国務大臣(早川崇君) 自治大臣として申し得ることは、先ほど申したように、社会のほかとのバランスによっておきめなさいということより期待できないわけでありまするが、交付団体におきましては、議員は十一万とか何とかはっきり数字が出ておるわけであります。それ以上出したものは交付税をもらえないのだ、それについては最低基準以上には自治体自身の財源で持ち出しなさい、これは暗黙の一つのアドバイスではないかと思うわけでございます。また、自治大臣が特に自治体の議員に対して勧告するということも考えましたけれども、国会議員の歳費の値上げの問題もありますし、国会議員のほうはかってにやっているじゃないか、それとのバランスと言われれば、そこにしいて自治大臣として勧告するということは少し強気に過ぎるんじゃないか、これは自治体御自身の良識で御解決になるべきものではなかろうか。ただし、交付税をもらっておるような交付団体におきましては、あの基準以上はお金は出ませんぞと、こういうことで暗黙のアドバイスをしておると考えておるわけであります。
○加瀬完君 まあ国会議員ということになりますと、私たち自身のことでございますから、これも必ずしも私は適正だとは思いませんが、しかし、これは白市大臣や総理大臣が勧告をしたりする、あるいは指導、助言をしたりする法的な根拠はないわけです。これはわれわれ自身できめなければならない問題。しかしながら、地方議員の報酬というものは、これは十二分に指導、助言のできる法的な立場というものを自治省なり何なりが持たせられておる。したがって、あなたのおっしゃるように、暗黙の助言で話が解決すればいい。しかし、それは一般の世論の賛成を得られないから問題が起こっているのでしょう。ですから、十一万円とか十万円とか言ったって、行政規模もございますし、財政の条件もございます行政規模とか財政の条件とか、その他もろもろの計算もする、条件も出して。それから、人口三万でこれだけの財政力の市町村については、報酬は幾らくらいが適当であるといったようなものを地方制度調査会なり、あるいは特別の諮問委員会なりを設けて、ここいらで——これはもちろん市町村議会、あるいは県議会関係のものも入ってもけっこうでしょう、一応標準の基準というものを出すべきときじゃないですか。この点、そういう考えはございませんか。
○国務大臣(早川崇君) なかなかむずかしい問題でございまして、地方自治というものに一々議員の報酬まで自治大臣が勧告を出すことがいいかどうか、議員がもし住民の常識をこえた歳費の値上げをすると、次の選挙で落ちるわけであります。それが自治体の本来の姿でありまするから、良識ある市町村におきましては、議員の報酬値上げに対しては、それは事業のほうにまわしてくれというような自治体も出ておるわけであります。東京都の場合にも、議長が裁断をいたしまして値上げをやめて、都政のためにそれだけの経費をというような決定をされたようでございます。まあそこに自治の何もございまするので、自治省といたしましては、交付税の最低基準は示しておるけれども、自治法によるはっきりこれ以上はだめなんだ、高過ぎるという勧告は、自治大臣として差し控えたほうがいいのではないか。これは自治体の良識、世論にまかすほうが地方自治のためにいいのじゃないか、こう判断しているわけでありまして、決して私は、だからと言って法外な特別職の議員の歳費値上げを賛成しているというのでは断じてございませんので、その間の真意をひとつおくみ取り願いたいと思います。
○加瀬完君 私はまた反対しているわけでもないのです。上げることが妥当な場合もあれば、上げてはならない場合もあり得るわけでしょう。しかしながら、一般的な基準というものが示さなければ、妥当か妥当でないかということを判断するのはなかなかむずかしいでしょう。交付税の算定で単位費用をきめてこまかく計算をするような作業を自治省がやっていらっしゃるならば、その規模に応じて、財政規模なり行政規模に応じて議員の報酬の標準というものをきめて、それから高く上げるか、場合によっては低くするかということは、これはその議会自身にまかしたっていいことなんです。上もとめなければ下もとめない、しかし、基準とすればこういうものだ、こういったものを示したって、一向これは差しつかえないと思う。十万とか十二万とかというような線で十ぱ一からげにやるということになれば、多過ぎるところもあれば少な過ぎるところもあって、現状の算定のほうがはるかにおかしいです、そういうことをやっておるとすれば。
○国務大臣(早川崇君) 補足してお答えいたしますが、地方財政計画における特別職、議員の歳費の算定は、五大市とか都道府県の人口二十万以上の都市とか区別して数字を出しているわけでございます。したがって、 最低の——最低といいますか、妥当といいますか、そういう数字は交付税算定上出ているわけでありますから、それを参考にするかしないか、それよりも多くするか、あるいは少なくするか、これは先ほど申しましたように、自治体の御自由におまかせする。しかし、それは世論に従ってやらなければできないのであるから、そこに自治体の妙味を発揮してもらいたい、良識をもってやってもらいたい、こういう気持ちを持っている、こういうことでございます。
○加瀬完君 良識を発揮させるための参考資料を出すことにやぶさかでなくなっていいわけです。単位費用の計算なんかということは、特殊な作業に従った者でなければわかりませんよ。こういうときに大体規模というものをはっきりさせるとか、はっきりさせ得ないならば、何かの審議会なり諮問委員会なりにかけて問題の解決をはかるという方法はとられてもいいのじゃないか。地方制度調査会等に諮問をしてみるお考えはありませんか。
○国務大臣(早川崇君) 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、単位費用以外に、歳費の問題について自治大臣の勧告権というものを発動する意思もございませんし、基準を地方財政計画以外につくることについて地方制度調査会に諮問する考えも、現在のところは持っておりません。
○加瀬完君 結局、地方財政の健全化というものをはかろうとするならば、支出の面というものに一応の基準というものをきちんとつくらなければ、どうにも健全化をはかるわけには筋道上いかないと思う。交付税をたとえば基準財政需要額で計算したところで、基準財政需要額のとおりにあなた方お認めにならないでしょう。基準財政収入額にしたところで、形式上の基準財政収入額以外のいろいろな収入をとっておっても、かりにそれが税外負担であっても、あるいは徴課外課税であっても、黙認をしているでしょう。それで、規模だけ広域行政とか何とかでいろいろふくらましてしまって、産業都市建設のための建設費用というものをふくらましてしまっている。こうなってくれば、地方は個々になればアンバランスにならざるを得ません。その一つの例に、私は、たとえば問題になっている議員の報酬だって、基準線は出していいのじゃないかということを伺ったわけです。しかし、そういう点については考慮をするお考えがないということだけはっきりいたしました。 最後に、税外負担でこういうようにまた適当に市町村によりまして支出がふえるということになれば、結局事業費の補てんというものがまた税外負担にはね返ってくる。で、二十七条の四を改正するならば、はっきりと小中学校の建設事業費についても寄付をしてはならないとなぜきめられないのか、それから高等学校の維持補修費も寄付をとってはならないとなぜきめられないのか、将来これを解決する方向にお考えがあるかどうか、伺いたい。
○国務大臣(早川崇君) 財政の全般を見合いまして、今後検討いたしてまいりたいと思います。
○委員長(太田正孝君) 加瀬君の質疑は終了いたしました。 午後一時に再開いたします。暫時休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ————・———— 午後一時三十八分開会
○委員長(太田正孝君) これより予算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。二宮文造君。
○二宮文造君 早川国家公安委員長にお伺いいたしますが、つい先ごろライシャー大使が危害を受けられたそうでございまして、私ども公明会もたいへん遺憾の意を表明するものでございますが、大臣のもとに送られた報告、その状況についてまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) ライシャワー大使の不慮の御遭難に対しまして、まことに遺憾に存じ、申しわけなく存じておる次第でございます。 本日発生いたしました襲撃事件のただいままでの概要をとりあえず御報告申し上げたいと思います。 発生の日時は、三月二十四日十二時五分でございまして、発生場所は、米大使館邸の中の玄関入口でございます。加害者の被疑者は、静岡県沼津市市場百六十九番地、無職、塩谷功和という昭和十九年生まれの少年でございまして、犯行の状況は、加害者は、刃渡り十三センチ、刃幅二センチメートル、刀身に「職人用」との刻み込みのある飛び出しナイフを使用し、ライシャワー大使の左大腿部を刺したものでございます。被害の状況は、ライシャワー大使は虎の門病院に収容され、傷は深く、出血多量で、手術中でございますが、生命には別状ない模様でございます。なお、犯人はホテル・オークラ側からへいを乗り越えて邸内に侵入した模様でございます。ただいままでの状況は以上でございます。
○二宮文造君 何かたいへんな不祥事件でございまして、お手元のほうでそういう不穏な空気というものを察知をされたような形勢はありましたですか。
○国務大臣(早川崇君) 現在まで調べておりまするが、特に不穏な状況はございませんでしたし、犯人は、われわれの手元にリストに載っているような、いわゆる政治関係のリストには載っておらないのでございまして、目下この背後関係、動機等、調査中でございます。
○二宮文造君 私どもは、在日公館の生命財産というものは、われわれの責任においてお守り申し上げるのが当然だと、また、これが国際慣習でもありますし、こういうふうな手落ちがあってはならないと思うのでございますが、今後の方針をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) まことに遺憾な事件でございまするが、今後在外公館の方々に対しましては、万全の警備措置をとりまして、かかる不祥事件の起こらないように、特に留意いたしたいと思っております。
○藤田進君 関連いたしまして、私、要望をかねてお伺いしておきます。 事件発生直後のことでございますので、いまの時点で背後関係その他については少し困難かと思います。そこで、二宮委員の質疑があと一時間半くらいかかると思います。十分その間に調査連絡をとられて、引き続き私は本問題で緊急的に御質問申し上げ、事態の究明並びに今後の対策等についてお伺いいたしますが、事件の背後関係その他、早急にひとつ連絡をとり、刻々の状況が御答弁できるように取り計らいをいただきたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) 目下、警察も、総力をあげて静岡県警本部その他と連絡を取りまして調査をいたしましております。その後の事情はそのつど報告いたします。
○二宮文造君 質疑に入りますが、地方に参りまして、府県やあるいは市町村の団体の関係者、あるいは地域の住民とお話しをしております際に、どうも国の方針で不明確であったり、あるいは法の不備というもので解釈に迷っているという点が非常に多いわけでございます。そこで、私は、ここでそういうふうな問題を取り上げまして、各大臣の明確な御答弁をお願いして、解決の方向を尋ねてまいりたい、こう願うものであります。 そこで、農林大臣にお伺いいたしますが、香川の事件でございますけれども、農地法と、それから農業協同組合法の一部改正に伴いまして、香川県で地主二百六十名が十七の農事組合法人をつくりました。そして、それぞれの小作地を現物出資をしまして共同作業をするというふうなことを強行いたしましたために、一部で刑事事件を引き起こしております。県では、この法人が、法人として登記を済ませ、行政庁に届け出をした。しかし、法人の実体を持っておりませんので、解散命令を出しました。ところが、当事者は、組合側のほうは、解散命令が無効であるという申し立てをして、目下係争中になっておりますが、この事件について大臣の見解を伺いたいことと、あわせて、こういう問題が起こりましたのは、農事組合法人の設立を容易にさせようという配慮で、その法の不備に基づくものじゃないかと思いますが、まず、この点からお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 結論的に申し上げますと、法律上の不備はないと思います。農事組合の設立は認可、許可主義でございますので、登記所へ登記いたしましたあとの届け出主義でございます。そういうことになっておりますが、いまお話がありましたように、不法である、不法の組合であるという場合には解散権を持っていますから、届け出主義で農業法人が簡単にできて、協業ができるような形にしてあるわけであります。しかし、不法な場合には解散命令によって解散することができる、こういうふうになっていますから、法律の不備はないと思います。あるいは、また、農地法の関係から言いまするというと、小作契約を解除するという場合には知事の認可が要るわけでございます。いまお話の場合には、そういう解除手続をしないで小作地を現物出資したということでございますから、これは違法でございます。いま御指摘の案件は、自分の耕作地等を現物出資して協業をやるということならば、これは当然私どもは期待し、そういうことが多くなることを希望しておりますが、御指摘の場合には、貸し付け小作地を現物出資いたしまして、契約の解除もいたしません。そうしてこれで協業をしようということでございますが、これは法人を法によって設けた趣旨とも反しまするし、農地法、あるいは農協法に違反している案件でございます。でございますので、違法のものでございますから解散は当然だと、こういうふうに考えます。
○二宮文造君 これは小作地返還要求の戦術のように考えられるわけです。しかし、そのよって来たるところは、やはりその小作料の統制、小作料統制額というものにあると思うのでございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 小作料を決定する場合に、それぞれの基準を考えまして小作料が決定されております。その小作料が現実に非常に低いじゃないか、こういう意見はございます。しかし、これまた利害いろいろありますので、高くするというようなことにした場合に、これを協業化の方向に持っていく場合、あるいは農協に信託する場合、こういう場合に、高いほうがいいのと低くては困るという面と、いろいろ利害が錯綜いたします。現実に小作料が安いじゃないかという意見は相当私も聞いております。しかし、これをどういうふうに改めるかということにつきましては、相当検討をいたしませんと、改めるという結論を出すのにはまだ早いと思います。そこで、小作料が安いが引き上げられない、引き上げられないから、いまの現物出資で農事法人のような形でやっていったんじゃないかというように見ておられるようでありますが、小作料問題も一つはあると思います。しかし、土地を売りたいとか、あるいは引き上げたいとかというようなことにつきましていろいろ問題がある面もあろうと思います。でありまするから、小作料だけの問題ではない。小作料も一部にはそういう関係があると思います。しかし、といって、脱法的な農事法人をつくるということが正当視されるといいますか、それはないはずでございます。
○二宮文造君 いま大臣から、農地の信託というお話がございましたけれども、これも、さきの農地法の改正できめられたわけですが、信託を受託し得る農協の数と、それから、現在までおわかりのその制度の利用状況についてお伺いしたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 農地法が改正されましてから、まあ不在地主ということでもございませんが、農地を農業協同組合に信託する道を開いたわけでございます。改正されてからまだ日が浅いので、ことに、全国のどの農協でも規約を改正いたしまして、信託を受託し得るという規定をきめる必要がございます。そういう関係で、全国総農協の過半数が信託規定を定めてはきております。これは増加する見込みでございますけれども、そういう段階でありますので、信託契約件数というものは非常に少ないんでございます。いま、信託規定を承認いたしました農協の数を申し上げますと、昭和三十七年の十二月末現在では六十六組合でございましたが、三十八年の三月末には四百十五組合、六月末には二千八十四組合、八月末には五千六百五十七組合、そこで、三十九年一月末現在では六千五百四十四組合になっています。これは規約を承認した組合でございます。信託の引き受け件数といたしましては、昭和三十八年十一月末現在で、まことに少ないんでございますが、十六件ということでございます。
○二宮文造君 その利用が、一般農家に浸透しない、利用されていないという理由はどこにあると把握されておられますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように、信託しようという人は、大体まあ兼業農家という人々だと思います。その兼業農家が、ほんとうに他の産業に安定した職業をしようという決心をつけるほど、受け入れ態勢が雇用の安定をもたらすような態勢になっておらぬ、こういうことでございますが、一面におきましては、まだ農地を自分で耕作するという機会を保留していると、こういう関係があろうと思います。したがいまして、信託をしてしまって、自分がまた耕作をするという場合に、取り戻すことをやっかい視しているというような面もあろうかと思います。 でございますので、私は、一面においては、他産業に入る人の雇用の安定ができてくるということになれば、まず信託しておいて、そして安定の時期を見てはこれを売り渡たすというようなことも出てくると思います。そういう面におきまして、一面には他産業に対する雇用の安定がまだ十分にいっていないということ、それから、土地を売却したいが、売却する前に信託をしておくという、これに対しての踏み切りがなかなかできない。それについて、先ほどお話がありました、いまの小作料の関係も幾らかからんでいると思います。信託しても十分に小作料といいますかが受け取れないというような気持、あるいは信託を受けるところの農協のほうにおきまして、十分な小作料が取れなければ収支が償わないといいますか、信託を受けてもあとに残るものがない、手数だけが残るという、その両面があろうと思います。そういう面は一そう検討して、できるならば、この信託制度を前向きに活用していきたい、こう考えております。
○二宮文造君 大臣のお話なんですが、確かにそういうふうな兼業農家で、ほかのところに就職したい、しかし、父祖伝来の土地というものへの愛着あるいは就職先の生活の不安というものも表面の理由でありますけれども、まず農家が踏み切れない大きな原因は、当面計算に合わない、私の聞いたところによりますと、信託は一応考えてみたけれども、手続に大体手数百円の金が要る。それで、今度自分が受け取るほうは、やはり小作の統制にかかって、せいぜい一反当たりで千数百円だ、その中で固定資産税をこれまた七、八百円取られる。せっかく手続をとってやってはみても、毎年その人が利益を受けるのがごくわずか、数百円という金にしかならぬ。手続もめんどうだしということで利用者が少ないというのが圧倒的な声なんですが、この点についてもう一度お伺いしたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話のようなことを私も聞いておりますので、私のほうでも、信託を引き受けた場合の実際の問題につきまして調査をしてみましたが、お話のとおりでございます。信託をするほうの者も、信託して、その信託の利益が非常に少ない。受けたほうでも、いろいろ手数がかかって、あまり好ましく引き受けようという要素がない。こういう実情でございます。でございますので、これは私はすすめていきたい制度だと思いますので、いろいろ改善をすべき点があろうと思います。引き受けるほうの手数も、いま非常に数が少ないものですから、一件だけ引き受けるにはそれ相当の手数が要る。数多くということならば、その分も人件費その他登記の点等におきましても何かといい。こういう面がございます。引き受けるほうも、また信託するほうも、両面に十分でない要素があると思うのです。そういう意味におきまして、御指摘のような点も考慮に入れまして、さらに検討を加えていきたいと思います。
○二宮文造君 もう一つ。その信託制度で隘路ができているわけですけれども、その貸付信託をしたいという希望を持っております、それは二種兼業農家、あるいは一種兼業農家にもそれがあるわけですけれども、法によりますと、創設地にはそれが適用されないということになっております。なるほど農地解放で売り渡しを受けたものは、さらにそれを貸し付けるということは、考えの上からは好ましくないということはわかるのですけれども、しかし、今度は農家の側から申しますと、せっかくきめられた信託制度が、しかも零細規模の農家であって、この制度を利用したいと思っても、もう除外規定のためにできないということがあるのですが、この点については大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) これは、農地解放当時におきましては、自作農に精進するために農地を解放する、こういうことでございましたので、小作地を取得したものが自作農として精進しないという場合には、これを適当だということであったわけでございます。しかし、その後改正になりまして、解放農地、こういう農地でも売買することを差しつかえない、こういうふうに変わってきました。前には、売買することについては押えておったわけであります、農業に精進するという目的から。ところが、売買等はもう自由にしてきた、解放農地も。でありまするから、やはり貸付信託なども、私は信託してはいけないというようなことは不適当だろうと思います。私は、これは検討の事項だと思っておるのでございますが、私は、解放地も貸付信託の対象としていいという意見を持っておりますが、これは、法を改正しませんとそこまでできませんが、さらに検討したいと思います。
○二宮文造君 結局、大臣とこうやってお話をしてまいりますと、いま農地の流動のネックになっていることは小作料の問題になってくると思うのです。そこで、小作料の問題についてお伺いしたいのですが、これは、昭和三十年に決定されて、今日まで据え置きになっております。しかも、その方式が農家の労賃を都市の近郊労賃で計算をして、さらに、それに農家の一定の利潤を留保して、その残高を小作料として計算するという方式が現在とられているようであります。したがって、出てくる金額が十アール当たり千円内外ということが出てくるわけでございますけれども、考えてみますと、農地は、大体平均その価格は二十万円、二十万円の土地が千円の小作統制にひっかかるということになってまいりますと、たいへんこれは問題だと思うのですが、大臣の見解を、そういう計算の上に立っての見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりますように、小作料の問題は非常にデリケートでございます。どういうふうにきまって現行小作料があるかということにつきましては、いまお話がありましたように、耕作者に労働の成果を亨受させるため、耕作者に都市近郊労賃、これを留保していく、そうして投下資本の費用を償い、かつ利潤を控除した残額を土地収益と考えまして、これを基準として小作料を定める、こういう方針で、昭和三十年当時の平均的の農家の平年の標準的水田経営を基礎として定められております。こういうことでございますから、いま御指摘のように、反当たり千円内外というようなことにもなっております。農地のほうはどうか。農地が収益を基礎とした農地価格ということでなくて、需給事情といいますか、いまもお話がありましたように、三十八年の全国平均では、水田が十九万四千円ですから、大体二十万円、畑が十一万八千円、こういうような調査もあります。最近の動向を見ますというと、農村的な地域では人口が少し出ておりますので、労力不足や雇用労賃の騰貴などの事情を反映しまして、私の土地などもそうでございますが、大体農地の価格は、農村地帯では頭打ちというようなこと、あるいは低落の傾向を迎えております。それに、農地の時価がかなり好水準にあります。このことが自作地の取得による経営の拡大を制約しておるという観点からも、借地によって経営拡大を促進するということも考えておるわけであります。そういうわけで、農地法の改正という場合に、所有権の面からばかりでなく、借地によって経営を拡大していく。流動化を進めていく。こういうことも考えておるんでございますが、そのときに、統制小作料を引き上げるということになるというと、流動化の面、耕地の拡大を所有権でなく賃貸借で拡大するという場合には、統制小作料を引き上げるべきでないかという意見もありますが、引き上げるということになると、それが一面支障をきたすことになるという面もございます。他面農業経営の現状から見まするというと、借地の増加をもたらすほど高い水準の小作料を支払い得るかどうか。しかも、適当な労働報酬をそれで確保できるかという経営面の状況もございます。こういうふうに相対立しておる面がありますので、どの程度が適当かということにつきましては、これは問題がある。しかし、いまこれを非常に高いものに改正していくということにつきましては、相当検討を加えなくてはならないことです。しかし、適当なものに落ちつけるにはどの程度がいいかということにつきましては、検討の余地が十分あると思いますので、検討を進めていきたい。
○二宮文造君 もう一つ、いまその小作料のことで考えられることは、現在やみ小作とか、あるいは請負耕作とかいうのが、これにあちこちで行なわれております。その場合の請負賃金といいますか、それが大体十アール当たり、一反当たり一万円から一万五千円というのが大体平均の金額になっているようでございますが、この金額と、それから小作料を、統制額を算定した場合に基礎になった労賃と、この比較はどういうふうになっておりますか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 結論的に申し上げますと、私は、請負耕作というものも、全面的の請負耕作は、これは法律に違反すると思いますが、作業等の請負という耕作は、私は別に違法ではない。それはいずれといたしましても、いまの統制小作料は、先ほど申し上げましたように、耕作者に労働の成果を受けさせるという考え方を基本として、具体的には、昭和三十年当時の平均的農家の標準的な水田経営を基礎としてきまっておりますが、家族労働については、当時の都市近郊労賃によって約一万三千円、こういうふうに算定されております、反当たり。一方その請負耕作という事態を見てみまするというと、労働報酬が一万円から一万五千円のものが多いというふうに見ております。統制小作料の基礎となっている家族労働費の額を現在そのまま適用することには種々の問題があると思います。また、正規の賃貸借と請負耕作とでは、耕作関係の相違点が多いと考えられますので、いま申し上げた金額、一万三千円と一万円から一万五千円、これを単純に比較するのはどうかと考えます。でありますので、大体反当たりの金と似たような形よりもちょっと多い金で請負耕作がなされておるように考えられますけれども、比較の基準は違っておりますけれども、金といたしましては、大体申し上げたような金になっております。
○二宮文造君 それでも大体地主といいますか、依頼するほうはそのほうが計算が引き合うようでございます。結論的に、農業基本法が制定されまして、農家経済を自立させるということでいままで施策がいろいと進められているわけでありますけれども、その中でやはり柱になってくるのは、経営規模の拡大ということであろうと思うのであります。しかも、その経営規模の拡大という方針は示されていても実態に非常に食い違いがある。むしろ、いま指摘しましたように、逆行するような傾向が現在見られているわけでございます。で、農家の七四%に当たりますのは一種並びに二種の兼業農家でございますし、またその経営収支というものを見ても、離農したい、あるいは脱農したいというふうな意向も持っております。しかし、大臣も言われましたように、農地法は現在改正されなければならない時期に来ている。小作料の問題にしましても、あるいは信託制度にしましても、いわゆる土地の保有だとか、それから流動、それからまた、その小作料というものに関連して改正しなければならない時期に参ったと思いますが、大臣がこれから手がけていかれようとするその構想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように、三十七年に一度改正しまして、耕作面積の上限といいますか、一つの制限を排除したり、あるいは農業生産法人を認めたり、信託制度を認めたのでございますけれども、思うようにいっておらぬということは、先ほど御質問にもございましたし、また私のほうから答弁したような次第でございます。一方、農業経営といたしましては、自立経営として相当の耕地面積を耕作するということが目標であり、また望ましい姿でございますけれども、これもはかばかしくいっておらぬということも実情でございます。そのために、農地法の改正は一度しましたが、さらに農地法あるいは農地制度にも関連して検討をする時期じゃないかと、すなわち、経営面積を広げるということが、所有権のみで、所有権を取得して広げるという面もございましょうけれども、先ほどからお話がありましたように、賃借権と申しますか、借りて経営面積を広げるというような方法もある。こういう点から考えまするならば、やはり流動化を所有権本位でいくか、あるいは所有権本位でいくといたしましても、賃借権もあわせて経営面積を広げていくという方法をとるのにはどういうふうにしたらいいか、こういう面が一つあろうと思います。あるいはまた土地の流動化の面で、これは農地制度に関係いたしますが、登記という制度がございますけれども、農地証券というような制度も昔あったわけでございます。地券といいますか、明治の初めごろに移動を簡易化するのに登記簿にかわるような地券制度、こういうようなものによっての土地の移動というようなことも考えられたときもあります。こういうような面などは、ひとつ研究する余地があるのかどうかというような面もあります。いまの小作料の面もございます。 それから農地の転換の問題でございますが、これは私は、純然たる農地地帯におきましては、農地の転換につきましてやはり一定の許可、認可というものを保有しておかなくちゃならぬと思います。ただ宅地地帯とか公共用地は、いまでも大体許可をしないでもやっているようでございますけれども、そういう面で農地の転換についての許可制度をどうするかというような問題もあると思います。こういうふうに考えてみまするというと、いまの農地法というものが、何といいますか、地主と耕作人との関係で地主の復活というものを押えて、そして耕作権というものを非常に強く保護していくと、こういう制度のようにできております。しかし一面、地主の復活ということは、これはいかに小作料を改正したといたしましてもあり得る問題じゃない。もうないと思います。ですから、そういう基本観念でできている農地法というものにつきまして、やはり地代は再検討をしていくべきものじゃないか。御指摘の面、あるいはいま私が申し上げた面等が問題点であろうと思います。ですから、いま、にわかに本国会等において改正法を出すというような運びにはなっておりませんけれども、事務当局等にも命じまして、あるいは外部の人の意見なども聴取しながら、適当な方向において改正するものがあったら改正すべきじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○二宮文造君 もう一点、大臣にお伺いしたいのですが、これは自治大臣にお伺いする予定であったのですが、関連してお伺いしたいのですが、いま、固定資産の再評価が行なわれますね。そこで、都市の近郊の農地は、宅地含みといいますか、宅地の価格を含んで、そしてある程度高いような評価になってくるのじゃないかと心配されるわけです。しかし税額のほうは上げないということが、いままで農地については確約されているわけですが、そこで、評価は高くするけれども税額を押えるのか、あるいは農地であるということで評価のほうを押えるのか、どちらか。ひとつ、その方針あるいはまた大臣が希望する方法についてお伺いしたいと思いますが。
○国務大臣(赤城宗徳君) 私も、都市近郊の農地、ほんとうに農業用として使っている農地の固定資産税評価の際に、宅地の価格等が上がるということを見越して評価を非常に高くされるという苦情を聞いております。これはやっぱり農地としてある場合には、農地としての固定資産税の基準価格評価であるべきが私は至当だと思います。これを宅地転換して宅地にして売るとか、あるいは宅地になったときにはこれは別でございますが、農地としてほんとうに使っていく場合には農地本来の評価に従って評価する、また税額等におきましてもこれは上げないということが当然である、こういうふうに私は考えます。
○二宮文造君 次に、厚生大臣にお伺いしたいと思うのですが、これもまた市町村に関係する問題ですが、市町村へ参りまして一番に苦情をいわれますことが、国民健康保険やあるいは国民年金の事務費の超過負担ですね、これについて非常に文句が出ております。で、なるほど国民健康保険は市町村が保険者ではありますけれども、これも法に基づいたことでありますし、国民年金につきましては、これはもうはっきりと国の委託事務になっております。しかも、その国民年金の事務費が倍額ぐらい市町村が超過負担をしているわけでございますが、この国民健康保険、国民年金に関する市町村財政の超過負担ですね、その概略についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) ただいまのように国民健康保険は市町村が保険者である、しかし国民年金は完全に国の仕事である。したがいまして、それの事務費が適正に配分されるということはあるべき姿でありまするが、現在までのところ実際問題として現実の支払いに対して赤字がだいぶ出ておる、こういう状況でありまして、毎年少しずつ改善はいたしております。それで、年金の問題でありますが、昭和三十七年度は事務費が二十一億七千万円、それから年金関係の印紙売りさばきの手数料として七億、合計二十九億円、この際の一人当たりは百十五円が昭和三十七年に払われたのでありますが、昭和三十八年にはこれを少し上げまして、被保険者一人当たりが百二十五円、これを合計しまして三十二億円、この差約三億円がふえた。しかし三十九年度におきましては、それでもまだ足りないということで、被保険者の一人当たり百三十円と、五円上げて、毎年多少——ちびちび上げたようなかっこうになっておりますが、まあ総額としましては三十四億円が支給されておると、そういうことであります。これもまあ結果的に見ますれば、結局三十七年度等におきましてもどうも遺憾ながら全体の約六〇%余しか渡らなかったと、こういうような結果が出ております。これはまあ、国民年金は始めたばかりでありまして、市町村の実施態勢が整わなかったと、また人数が相当にふえればその金額でもやれたと思うが、被保険者が少ないと、こういうことのために結論的にだいぶ赤字が出たと、こういうふうなことになっております。それからもう一つは、市町村によって、国民健康保険にしましても年金にしましても、使う金に非常な格差がある、これでもってわれわれとしては標準をどこに置くかということに毎年苦労をしておるのであります。すなわち、被保険者の数が多かったり少なかったりと、またそれに従事する人が、年齢が高かったり低かったりと、いろいろな不ぞろいがありまして、その標準額をつかむのに苦労しておる。こういう状態でありますが、だいぶまあ年金の事務も進んできまして落ちついてきたからして、これらの実態を把握してうまくやってまいりたい、こういうふうに考えております。 これはまあ国民年金でありますが、国保関係におきましても、毎年まあ上げてきておりまして、実はことしのこれも一人当たり十五円の値上げと、こういうことになっております。すなわち昭和三十五年は一人当たり百三十五円だったのを、ことしは百五十円にした。その金額にしましても去年が六十一億で、ことしは六十四億出たと、こういうことになっております。これにつきましても同様な問題がありまして、町村によって非常に支出に格差がある。こういうことで、この問題も同様、その標準額を求めるのにいま苦心をしている。しかしいずれにしろ、結果的にはまだ赤字が出ているということで、これを増していかなければならぬというふうに考えております。
○二宮文造君 大臣が、いま、人数が少ないからふえれば何とかなるのじゃなかったかと、こういうお話でありますが、実態は毎年累増しているわけであります。ですから、これは人数がふえたら何とかなるじゃなくて、やはり単位の問題だと思いますが、その点は今後とも、またよく配慮していただきたいと思います。 次は、保険税の問題ですけれども、保険税についてお伺いしたいことは、全国を見まして、一人当たりの税額の最高と最低と、それから平均額、これをひとつ伺いたいと思うのです。
○国務大臣(小林武治君) 現在のこの保険税は、低所得階層に対しては比較的重いと、こういうことが言われてきておりまして、これは人頭税みたいに、応益税として、とにかく最低額を負担する、こういうかっこうになっておりまして、この応益割りの保険税は、まあいろいろありまするが、昭和三十七年度の全国平均では、一人当たり五百十四円と、こういうのでありましたが、しかし高いところでは七百円あるいは八百円と、こういうことになっております。しかしこの応益保険税が非常に高いというので、御承知と思いますが、昭和三十八年には特に国庫補助をふやしまして、そうして年間所得が九万円以下の方はこれを減税する、こういうことにしまして、大体六割ないし四割、この応益税を減額する措置を講じたのでありまして、ただいまにおきましては、そう過酷なものではないのではないかと、こういうふうに考えております。
○二宮文造君 いまお話しのように、いろいろと各地によりまして、その税額が違うということをお聞きしたわけですけれども、その原因が、こういうでこぼこが、受診率とか、それからまた整備の状況とかで、それぞれの応益によって違ってくるということは理解できるわけです。しかし、ひとしく今度国という全体の立場から見ますと、国民という立場から見ますと、これは負担が公平じゃないのじゃないか。これは何とか調整する必要があるのじゃないかという意見も出てきて当然だと思うのです。その問題について、大臣はどのようなお考えを持っておられるか、承りたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) 給付の量の関係もあると同時に、たとえば高額所得者のないところはどうしても一般に保険税は重くなると、こういうふうな傾向がありまして、お話のように、これが市町村別になっているために、全国的に見れば格差が相当あると、こういうことになりまして、この問題も国全体としてはある程度調整をしなければならぬと、こういうことでありまして、実は国民健康保険の給付に対しましては、給付の全体の二割五分はいま国庫負担をしておりますが、そのほかに一側というものを国が出して、いまのようなことの調整に使うというふうなことをやっております。調整額がまだこれでは足りないではないか、こういうふうなお話がありますが、これは全体としてみれば、できるだけ格差をなくすという方向に私どもは進めなければならない、かように考えております。
○二宮文造君 先ほど確かに国民健康保険税が低所得者に対して過酷になっていると、それに対して救済の措置を講じているというお話でございますけれども、その原因は、あの地方税法に示されております資産割り、所得割りの百分の五十と、それから人頭割りといいますか平等割り、それからまた個人割りというのが百分の五十という、あのパーセンテージそのものに問題があるのじゃないか。それを動かさないでは、言われておりますところの、低所得者に対して過酷じゃないかという意見に対する反論にならないと思うのですけれども、この保険税の算出の基礎を、こういうパーセンテージに置いてあるのを、変更されるような御意図はございませんか。
○国務大臣(小林武治君) いまの問題も、また検討しなければならぬと、われわれも考えております。しかし、いま申し上げたように、九万円以下の所得の方は、大体六割か四割三十八年度から減税できるようにしたと、このことはある程度低所得者に対する何といいますか、救済になっていると思います。なお、この問題に関係しまして、実は昨年十月から世帯主を七割の給付にしたと、三十九年度からは世帯員も四カ年計画で七割にすると、そうすると、この二割というものは、今度は本人の負担がなくなる。こういうことになりますが、この分に対しましても、これは今度は実は政府が、二割分については四分の三負担をして、四分の一しか負担させない。こういうふうなことを、昨年も、また来年度も講ずると、これもまた保険税の軽減にお役に立つと。こういうふうに本人の負担を低くするということになるのじゃないか、かように考えております。
○二宮文造君 そこで問題になるのですが、その前にお伺いしたいのですが、やはり国民保険会計の収支のバランスをとるために、各市町村では相当の一般会計の繰り入れがございます。これはまた市町村の財政を圧迫している原因にもなるわけですけれども、この一般会計の繰り入れられた総額を幾らとつかまれておられるか。また、そういう状態が保険行政の上から好ましいと大臣はお考えになっておられるかどうかということを伺いたい。
○国務大臣(小林武治君) これは一般的に申せば、保険財政というものは独立会計でやるべきだ、こういうことからいたしますれば、必ずしも好ましい姿ではないと思うのであります。いま、国の状況を三十七年度でもって調べてみますと、繰り入れを行なった市町村の数が千九百七十九あると、三千数百の中でこれだけのものが繰り入れをしておる。その金額が約五十五億円となっておりまして、これは一般の市町村財政にもある程度圧迫を加えているということはいなみ得ないのでございますが、しかし、これにつきましては、いま話ししましたように、国庫負担金あるいは調整交付金と、こういうものを出しておりまするし、これが少ないといえば少ない問題も起きておりますが、また、市町村そのものが保険料を適正に考えておるか、こういうふうなことも多少問題があるのでありまして、標準保険料を取らないで、そうしてやっておるものがあるわけであります。それで、ただ漫然といまのような繰り入れをするということは私は適当でないと、こういうふうに考えますが、また一方におきまして、経営主体である市町村が、地方自治の観点から独自に給付内容をふやしているところがあります。法定の給付内容よりは給付内容をふやしている町村もありますし、また、わざわざ標準的な保険料を軽減しているような市町村もあります。また、保険施設の活動を活発ならしめるために特殊な金が要る、こういうふうなことのために一般会計から繰り入れを行なっておるものがあるのでありますが、このことは、必ずしも悪いとは申せないのでありまして、市町村が国民健康保険事業に対して一応補助のできる道は法制的には開いてあるのであります。要するに、積極的意図のためにいまの補助をしておるか、あるいは消極的の、穴を埋めるために補助をしているか、こういうことによっていいか悪いかという問題がきまってくると思うのでありまして、いま多くやっておるのは、足りないからやむを得ず補強をしておる。この姿は私はよいとは思いません。
○二宮文造君 いま、大臣のお話で、市町村が標準保険料を取ってない、あるいはまた、給付内容がよ過ぎる。単独でやっているから一般会計から繰り入れなければならない原因がそこにあるんだというお話なんですが、先ほどもお話がありましたように、昭和四十年の一月ですか、今度は世帯員も七割給付になってきます。そうなってきますと、いま考えられていることは、当然それは保険税の引き上げと、それでまかなうよりほかにないじゃないかというのが市町村のいわゆる担当の者の頭痛の種になっておる。で、四分の三を国で補助するというふうなお話もございましたけれども、この七割給付の問題と、それから保険税が引き上げ必至であるという考え方とにつきまして大臣のお考えを承りたい。
○国務大臣(小林武治君) いまのように、世帯主もあるいは世帯員にも七割給付で、二割給付を引き上げる。しかし、その引き上げた部分をできるだけ保険料にはね返らないように、四分の三は政府が補助をする。それで四分の一だけが保険料にはね返ることになると思いますが、その負担、その影響をできるだけ少なくするために、私はいま強く主張しまして、三十九年度も四分の三の補助をするということに予算が認められておるということを申し上げておきます。
○二宮文造君 そこで私非常に気になることは、この間、京都市できめられたことですけれども、京都市は、従来七、六の給付をやっておったそうでございます。ところが、どうも特別会計のほうでの収支のバランスがとりにくいというので、世帯員については五割給付に引き下げるというふうにきめたという話でございますけれども、国が七割給付を指導しているやさきに京都がそういうふうに五割に引き下げていくという傾向はよろしくないし、もしそれがそのまま認められるとするならば、市町村でも直ちにその保険税の値上げはしたくないというのが意向ですから、右にならえするような危険性も出てくるのじゃないかという心配があるわけですけれども、大臣のお考えを承りたい。
○国務大臣(小林武治君) ただいまの京都は一つの特殊性がありまして、従来でも政府の法律の案は五割給付であったのに、京都が給付を、けっこうなことでありますが、みずからの力でもって七割、六割にしておったと、その際にやはり相当、保険税を一度上げておるのでありまして、今度は保険税は上げられないと、こういうことで、一方また私はある程度京都の特殊事情ではないかと思いますが、医療給付があすこは他の自治団体に比べて増加いたしております。そういうことで保険財政が圧迫されて、やむなくこの際の一時的の手段としていわゆる法定の標準まで戻したと、こういうことになるのでありまして、世帯主の七割は継続をすると、しかして世帯員が国の施策によって七割になるときは京都も当然上げられると、こういうふうに思うのでありまして、いまはただ政府がきめた法定に戻ったのにすぎないと、京都は特殊事情が多少あってそういうことになったんで、ほかの町村にそのまま当てはまるとは私ども考えておりません。
○二宮文造君 行き過ぎていたのが法定のとおりに戻ったという説明なんですけれども、進んでいたのが戻るのですからそれだけ住民に対してはマイナスになってくると、そのネックになるのがやはり保険財政、その収支のバランスがネックになる問題でして、これは将来大いに国のほうでも検討していただかないと、市町村の財政が持てなくなってくるのじゃないかという心配がございます。 そこでまたもう一つ別の観点から伺いたいのですが、傷病手当金あるいは出産とか、育児に関する手当金、埋葬料というものを健保の場合と同じような条件で義務づけてほしいというふうな意向も持っておるところが多いわけでございますが、これに対してのお考えを承りたい。
○国務大臣(小林武治君) これはまあすぐどうこうということを申し上げられませんが、十分検討いたしたいと、かように考えます。
○二宮文造君 次に、国民年金のことですけれども、これもまたその給付がこれはまあ先の問題になってくると思いますけれども、給付が非常に格差があるわけです。いま厚生年金のいわゆる一万円給付といいますか、そういう問題非常に論議されている際でございますが、この厚生年金と国民年金との格差というものについて、大臣はどのようなお考えを持っておられますか。
○国務大臣(小林武治君) 厚生年金はちょうど三十九年が再計算の時期になっておると、五年ごとにいたすことになっておりますが、その時期になっておりますので、それを機会といたしまして、この際大幅に国際基準等も考えて大幅に引き上げたいと、すなわち一万円年金を実現せしめたいと、かように考えて、追ってまた御審議を願うつもりでおりますが、国民年金につきましても、当然格差の是正ということで考えなければなりませんが、国民年金につきましては、昭和四十一年に再計算の時期がきますので、その際を目途といたしまして、厚生年金との権衡等も考えて適当な増額をいたしたいと、かように考えております。
○二宮文造君 先ほどからいろいろお話をしておりますうちに出てまいりました問題ですけれども、社会保険の相互間においていろいろな格差がございます。その格差の是正につきまして政府のほうでもいろいろと考えておられるようですが、伝えられるところによりますと、この健保とかあるいは共済とかいうものを職域保険、あるいは国保を地域保険と、こういう二つのものに大きく分けて、それぞれの財政をプールをさせて総合調整をしようというふうな考え方のもとに進めていると聞いておるのでございますが、この点について大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) いまの国民の医療保険は、お話しのように、地域の保険と職域の保険と、こういうふうに分かれておりまして、その中でも相当な格差がある。理想的に申せば社会保障、これらはもう国民全体が同じだけの保障を受けられるように一本にするのが私は理想の姿である。しかし、これらがいろいろの事情で、そのときどきの事情によってここに出てきたということで、現に相当な格差があるので、これを一度に是正するということはきわめて困難であります。一方、これは保険料負担にしましても、御承知のように、職域保険では使用者も被用者も負担する。ところが、地域保険ではただ被保険者だけが負担しなければならぬ、こういうふうな非常な大きな差異がありまして、これが近い将来統合するというようなことはなかなか困難な事情があります。しかし理想は、そういう理想を持たなければならぬと思います。さしむきの問題としましては、被用者保険としましては、共済なり健保なりはやはり使用者とそれから被保険者と両方でもって保険料を負担し、この中にもある程度の格差がある、これを財政プール等によってある程度格差をなくす。それからもう一つの問題は、よく言われるのでありますが、共済組合にしても健康保険にしましても、退職をすると、これはもうすぐに国民健康保険に入らなければならぬ、こういう問題がありまして、非常にまあ毎年退職される多くの方々は大きな不平を持っております。自分は長い問掛け金を出し、あとに相当の財産を残しておるのに、もう関係がなくなると、こういうふうな不平を私はきわめて切実に聞いておるのでありますが、こういう方々とかあるいは保険事故の大きいもの等につきましては、再保険と申せばなにでありますが、これらの財政資金をプールしてこういう方々をひとつ対象にするような考え方ができないものか。こういうことで、まずもって被用者全体をそういうふうな連合するような基金を設けられないかというふうな考え方を持っておるのであります。
○二宮文造君 次に、運輸大臣にお尋ねしたいのですが、本州と四国を結びます鉄道橋あるいは道路橋という問題について、これまでいろいろな経緯がございました。関係の地域の住民もたいへんな関心を寄せている問題でございますが、運輸大臣にお尋ねしたいことは、まず第一は、連絡橋架橋のために現在国が調査をされているルートは何本ありますか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 本土と四国のルートは二つございます。御承知のように、明石−淡路−鳴門、それから宇野−高松、この二線が鉄道敷設法の別表による本土と四国の連絡ルートでございます。そのほか、御承知のように青函のルートもいま調査をしております。
○二宮文造君 私いまお尋ねしたのは、国のと申したのでございまして、たしか建設省のほうで今治−尾道間のルートにつきましてボーリングをされたと聞いておるのですが、それはどうでしょうか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 建設省がさようなことをやっているか私存じませんが、やっているのではないかと思います。
○二宮文造君 そうしますと、国鉄のほうで調査されておるのが明石−鳴門、宇野−高松である、こう了解していいわけですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) さようでございます。
○二宮文造君 連絡橋の架橋の話が出ましたときに問題になったのは、四国の後進性をなくするということ、それから発端した問題でございますが、そこで、国鉄は昭和三十六年に明石−鳴門、宇野−高松を調査線——いわゆる国鉄の調査線と格上げして今日まで来たわけですが、その発端は、国鉄の輸送力の増大ということから始まったと聞いております。しかし、最近では、いやそうじゃないのだ、自動車も含めて総合輸送力を考慮するのだ、こういうふうに言われておりますが、その点どちらに重点をかけておられますか、承りたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん輸送力の増強、並びに地方格差の是正に、どうしても本土と四国を結ぶ線の必要性を感じまして、昭和三十六年から調査をいたしております。
○二宮文造君 じゃあ、そこで個々にお伺いしたいのですが、当初、明石と淡路島の岩屋の間は、鉄道を架設する場合の考え方としては、あるいは海峡の航海の頻繁性とか、あるいは潮流の関係とか、あるいは相互の距離が短かいからこれはひとつこの間の隧道でいこうというような考え方を持っておられたようでございますが、現在もその考え方は続いておりますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 御承知のように、あの間は狭いものですから、船の航行その他についてもちろん考えております。もちろん潮流——橋台を置くために、さなきだにひどいところですから、さらにひどくするおそれがないかというようなこと、それから橋脚をするのに地質の調査等々を、建設省それから運輸省共同の調査をして、国家的に経済的にやる方法はどういうことかということにつきまして、相互に基礎的な調査を両省共同で調査しておる段階でございます。
○二宮文造君 先ほどは、建設省のことは知らないとおっしゃったのですが、今度は共同で調査しているというようなお話になってきたのですが、それはそれ、別として、明石−鳴門の問題について、これは考えられるとすれば、三つあるのです。道路と鉄道の併用と、それから鉄道単独、それから道路単独と、現在調査されている基本的な考え方は、それらの三つのものを平均的に考えておられるのですか。それともどれか一つのものに重点を置いて、もうすでに調査は相当やったわけですから、ネックが出てきていると思いますが、じゃあ、これでいこうというふうな方向になっておられますか。それとも、三本が並行的に、三つの種類が考えられておりますか、その点について伺いたい。
○国務大臣(綾部健太郎君) いずれにいたしましても、三者を併存するのがいいか、それとも鉄道と道路と一緒のものにするのがいいか等、いろいろ、いずれにすることが国家的に経済的にいいかということについて共同の調査をしておるのでございます。私がただいま建設省のことで知らないと申し上げたのは、尾道−今治のルートについて、あなたが建設省で調査しているというがどうかということを聞かれたので、それについては私は関知しておらないということを申し上げたのであります。御了承願います。
○二宮文造君 その点了解しましたが、じゃあ、高松−宇野のルートにつきましても、同じような考え方で調査されていると、こう了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん、調査の結果、両用をやるほうがいいということになれば、そうなるかもしれませんが、国鉄といたしましてやっているのは、宇野−高松間は国鉄だけということで調査をいたしております。
○二宮文造君 もう一度お尋ねいたしますが、宇野−高松のルートにつきましては鉄道だけというお考えで調査を進めておられますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 隊道の案も考えて調査の段階でございまして、いずれにせよ、いずれが経済的にいくかということについて研究しておるのでございます。しこうして、道路と鉄道をどうするかというと、橋梁を大きくして、道路と鉄道と併用するほうが経済的であるならば、そういうふうにやりたいということについていま研究いたしておるのであります。
○二宮文造君 そのような架橋の技術的な調査ですね。それが完了する一応の目安があると思うのですが、技術的な問題を完了するのを、いつごろとめどを置いておられるのですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) これはなかなか、いつごろということは、なるべく早くやり上げて、本土と四国の輸送が非常に行き詰まっておりますから、鉄道輸送が行き詰まっておりますから、なるべく早くと言っておりますが、何年という見通しはなかなかつけかねますが、ただいま申しましたように、なるべく早くやって、このネックを取りたいと、かように考えております。
○二宮文造君 じゃ、先ほどのあの宇野−高松のルートのことについてちょっとお伺いしたいんですが、これは、調査線の範囲というものをお伺いしておきたいと思うのです。現在調査線の中に入っているのは、宇野−直島−女木島−高松の一本と、それから宇野−大槌−小槌−高松の一本と、この二本を調査されていると聞いておるのですが、地元のほうでは、さらに、今度は児島−坂出というものも、地元では非常に架橋の予定地としては有利なところであるというふうな考えで、予定地として考慮している段階に入っておりますが、この点についてはどうですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 鉄道敷設法の別表によるものは、ただいま私が申し上げたように、宇野−高松でございますが、さらに工費の点において坂出−宇野というものが非常に有利であるということを世上伝えられておりますので、今度新建設公団ができましてやるときの参考に、あるいは調査するようなことになるかもわかりませんが、鉄道建設公団は、御承知のように、つい二十三日に発足したような状態でございますので、新幹部の方針によりまして、いろいろこれから調査する、いろいろ研究することと思います。
○二宮文造君 そうしますと、その地元から、さらに……いま宇野−坂出とおっしゃったことは、児島−坂出と私了解するのですが。
○国務大臣(綾部健太郎君) 訂正、訂正。
○二宮文造君 地元から、児島−坂出のルートについて、先の二本と並行した同じウエートで調査を進めてもらいたいと、同じ資格に格上げをしてもらいたいというふうな要望が出てまいりましたときには、運輸大臣としてはそれを考慮される、取り上げる方向に持っていくというふうに了解してよろしいですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) それは鉄道敷設法の別表の改正になりますので、私はここでやると申しましても、別表の改正がはたして直ちにすぐできるかできないか。それによりまして変わってくると思いますが、そういうことを含めまして、新鉄道建設公団は、慎重にあらゆる角度から研究するはずになっております。
○二宮文造君 さらに、またもう一本の、尾道−今治についても、地元のほうではすでに推進協議会なんかをつくっているわけです。そこで大臣が、これは先ほど知らぬと言われたので、そのことについてはどうも避けますが、このように、本土と四国の連絡橋については、住民が非常に関心を持っております。で、それは当然だと思うのですけれども、ある県ではもうすでに技術調査をやっております。あるいは経済調査にまで手がけております。何年間にわたって、すでにそのために七千万円の予算措置を講じてここまで来ております。これを関係の各団体に広げていきますと、非常に関心を持っておりますだけに、それらにつかった金は数億円にもなる、あるいは、計算のしようによっては、数十億円にもなるのではないか。本来は国がやる仕事について、地元がこういうふうなために経費を使っていくということは、むだとは申しませんけれども、ちょっと方向が誤っているのではないかと、これがまた関心を持っているだけに、大きな政治問題にもなってまいりまして、陳情政治というものも起こってまいりますし、非常にまずいことになるのではないかと思うのですが、そこで、これを最終的にどこにルートをきめる、あるいはいつからするというふうなことを決定する場所ですね、しかも、それは公平にやっていただきたいし、むしろ、いま熱くなっている県だとか市町村に静観しなさいというふうな方針が、国のほうからはっきり示されて私は当然じゃないかと思うのです。でなければ、ますます火に油を注ぐようなことになって、経費の浪費というものが行なわれると思うのですが、それには、まず国の方針がはっきりしなければ、地元は静観できません。したがって、そういうものを決定するのはどこなのか、また、その時期はいつにするんだ、橋はどういうものをかけるのだということを審議する場所をどこに予定されておりますか、これを伺いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいまあなたがお示しなようなことを決定するために、運輸省といたしましては、各種の調査をやっておるのです。また地方住民がそういうような関心を持つほど、四国と本土の連絡というものが、まあ地方住民は、もちろん日本経済の上からも非常に大事なことであるということを証明すると私は思っております。そこで、道路について建設省がやる分野、鉄道がやるもの、併用するのがいいか、それからどういうことをやるのがいいかというようなこと、基礎的な調査を、あらゆる、潮流調査、地質の調査、あるいは工事施工の調査等々を、いま調査をしているというのが現状でございます。それがきまりまして、この線が最も経済的にいいし、技術的にも可能であるということをきめるための調査を、いまやっているのが現状でございます。
○二宮文造君 しかし、国がそういうふうに方針をあいまいにしておきますと、私が先ほど指摘したような問題が次々に起こってまいりまして、火に油を注ぐような形になる。私はそれを心配するわけです。ですから、方針を確定する機関というもの、それをどうするかと、こうきめるのだから静観しなさいと言うほうが、私は当然じゃないかと思うのですが、くどいようですけれども、その点についてもう一度伺いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) いまお示しのような点について調査をいたしておるのでございまして、その調査の結果を待たなければ、ここがいい、ここが経済的であるということは、ちょっとただいまのところでは申しかねるので、しばらく調査の結果をお待ち願いたいとか、かように申し上げるほかはないと思います。
○二宮文造君 調査をしているのはどこですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 主として運輸省、それから道路その他併用することがいいというようなことについては、建設省と共同調査をいたしております。
○二宮文造君 その問題については、私が先ほど指摘しましたような問題について、今後適正な御判断を願って、地域の住民をことさら刺激をしないような方策を講じていただきたい。お願いしておきます。 次いで、関連して四国の循環鉄道のことについて伺いたいのですが、徳島県の牟岐から高知の野根に至る阿佐東線と、それから高知の後免から田野に至る阿佐西線が、昭和三十六年十二月に着工認可になっているが、地元で花火を上げて大いに期待しているのですけれども、一向に進捗しておりません。この進捗の状況について伺いたいのと、あわせて高知県の窪川−江川崎間の窪江線ですか、これは従来は電源開発会社のダムの問題がございまして延びておりまして、それがダムをしないということになりましたので、工事阻害の要因はなくなったと思います。これらの着手の状況と、それから昨年一部営業開始しましたけれども、窪川−中村間の新線建設の問題はどういう見通しを持っておられるか、お伺いしたいと思うわけです。
○国務大臣(綾部健太郎君) 阿佐東線につきましては牟岐−野根間、阿佐西線につきましては安芸−田野間につきまして、ともに測量調査を行ない、路盤工事着手の段階になっております。残る区間につきましても早い機会に着手いたしたいと考えております。 それから江川崎−窪川間、いわゆる窪江線ですが、これの未開業区域につきましては、江川崎−半家間は路盤工事中、また、川奥−大正間はダム建設の関係で工事を一応中断しておりましたが、近く着工する予定であります。 中村線、すなわち窪川−中村の未開業区間につきましては、佐賀−早崎間の測量調査を実施しており、近く路盤工事に着手する予定であります。残区間につきましては、早い機会に着手いたしたいと考えております。竣工の見込みにつきましては、もう少しやってみないとわかりかねる次第であります。
○二宮文造君 それらの新線について、ちょっと聞いたことですけれども、膨大な資金を必要とする。そこで、一応ここで既定計画を打ち切って、そうして四十年度から新たに四十年度を初年度とする第三次国鉄の増強計画というものをつくろう。幸い鉄道建設公団もできたのだから、それにまかせて、既定の新線計画は全然御破算にしよう、こういうふうなお話があったようにも聞いておるのですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 新線建設にあたりまして、とかく政治路線であるとか等々の非難がありますので、新鉄道建設公団は慎重にその点を考慮いたしまして、皆さんが納得のいくようにやっていきたいということが昨日新総裁が来て私に言った抱負であります。 金の面につきましては、三十九年度は百三十五億ということであります。それで発足いたしまして、あとは政府出資、それから財界からの借り入れ金、あるいは国鉄の出資等々によりまして、大体十カ年間にいままで着工線になっておる部分につきましては漸次やっていきたい、かように考えております。
○二宮文造君 それでは、その既定の新線計画は、大体十カ年かかるけれども、そのまま遂行していくというふうに了解してよろしいですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま申しましたように、新鉄道建設公団におきましては、運輸審議会その他とよく検討いたしまして、そのようになるか、あるいは一部改定してやるか、そういうことにつきましては新鉄道建設公団のこれからの問題であると考えております。
○二宮文造君 やはり非常に気になる問題ですが、建設省のことですから私触れまいと思ったのですが、大臣の御答弁に非常に私納得できないところがありますので、念のためにもう一度ただしておきたいことは、先般建設大臣が大阪で鳴門−明石については道路でもって四十一年に着工をする、こういうふうに見解を発表したと、これは新聞の報道でございます。その点について、ともに調査をされてまいりました運輸大臣にそういうお話があったかどうか、また、了解をされたかどうかということを最後にお伺いいたしておきたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私にはまだ建設大臣から直接話はございません。しかし、さっき申しましたように、これは鉄道がやるにせよ、建設省がやるにせよ、国としてたいへんな金のかかることでございますから、私は調査が完了するまで、何十年にできるとかなんとかいうようなことは、私はこれをそのまま受け取りにくいように感じております。
○二宮文造君 それでは、次に文部大臣にお伺いいたしますが、けさほども税外負担のことで非常に質問がございました。私も同じような観点になってくると思うのですが、市町村のいわゆる義務教育の施設整備事業というものにつきまして、これは国と地方の間でいろいろと負担区分がございまして、あるいは二分の一とか三分の一とかいう規定が設けられているようでありますけれども、現実には市町村にその施設整備のために相当の超過負担がある。これはこぼしております。それがまた市町村の財政逼迫を来たしている大きな原因にもなっておりますが、それらが全部補助単価の問題とか、あるいは坪数の問題とか、あるいは鉄筋にするか木造にするかという割合の比率の問題、そういうものからきていると聞いておりますが、昭和三十八年度でその申請の坪数とそれから承認されました補助対象になった坪数、それから単価の相違、そういうものについてまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 小中学校の施設整備におきまして、お話しの市町村の超過負担の問題でございますが、これは、補助金算定の基礎となる施設基準、予算における単価、及び鉄筋鉄骨づくりの割合と、現実に実施しております事業量のズレ等によって生じているのであります。三十八年度の申請の状況を例にとりますと、国の予算坪数に対しまして、市町村の建築計画坪数は一・七倍となっているのでございます。それの詳細につきましては、数字に関することでもございますので、政府委員からお答えさせたいと存じます。
○政府委員(杉江清君) 三十八年度におきまして、公立学校の建築実施坪数は七十六万三千二百七十坪でございまして、実際の予算上国の負担の対象といたしました坪数は四十四万六千三百三十一坪でございます。 それから単価につきましては、鉄筋コンクリートの実績単価は坪当たり七万五千円になっておりまして、予算単価を九%上回っておりますが、ただこれには特殊工事費が含まれておりますので、それを除きますと、その単価は七万一千円となりまして、予算単価との開きは約五%でございます。 以上でございます。
○二宮文造君 詳細はまたあとで資料でも見せていただきたいと思いますが、こういうふうに市町村が施設整備のために超過負担をしなければならないということになりますと、市町村の財政力に支配されるということが非常に強くなってまいります。したがって、問題になっております僻地の学校なんかは、とうていその施設の整備もおくれてしまう。これに対しまして、市町村の財政力を加味してこれを今後承認を与えていく大きな基準にされていくかどうか、それらについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 超過負担の問題につきましては、ただいまあらましの御説明をいたしたわけであります。従来の取り扱いが必ずしも適当とは存じませんので、三十九年度の御審議をいただいております予算におきましては、かなりその点については改善を加えたつもりでございます。しかし、まだわれわれも決して十分満足するだけのところには至っておりませんけれども、従来に比べますと、だいぶ状態はよくなってくるのではないか、かように考えておる次第でございます。 この問題と関連いたしまして、僻地のことについてのお尋ねのことでございます。僻地の小中学校の建築そのものにつきましては、義務教育諸学校施設費国庫負担法の規定に基づいて措置いたしまするほか、へき地教育振興法によりまして、僻地集会室の整備、あるいはまた予算措置によりまして僻地の宿舎の整備、こういう問題につきましても予算を計上いたしておるわけでございますから、この問題につきましては、予算の増額について今後さらに努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
○二宮文造君 けさほども税外負担のことで質問がございました。私の聞いたところでも、高校の場合に、これはつい最近のできごとでございますが、高校の施設の整備のために、あるところでは五百円、あるところでは八百円、一人当たり人頭割りに在校生に割り当てております。また、残額を学校区の人たちに割り当てております。これが三十九年度から規制されると言われておりましても、それは法の上でありまして、やはり税外負担というものは大きなウエートを占めて今後も残ってくるのじゃないかと思うのです。 また、小中学校の場合を見ましても、学校施設あるいは学校経営費という問題が住民の負担にかわります。PTAの会費などの八〇%が需要費だとか、施設費だとか、教育補助費だとか、あるいは教員事業奨励費というような名目で出されております。 この点につきまして、非常に好ましくないと思うわけでございますが、大臣の見解はいかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 結論から申し上げますれば、私も好ましい状態とは考えておりません。 高等学校の生徒急増対策につきましては、国がその全体計画を策定いたしまして、所要の財源につきましては、国庫補助金、地方債、地方交付税という項目で措置を考えてきたところでございます。しかもなおお話のような事例がなきにしもあらずということは、むしろ遺憾なことであると存じておる次第であります。われわれといたしましては、そういうことの将来絶滅を期しまして努力をいたしたいと存じます。 なおまた、小学校等につきましても、お話のような事例が今日なおあるわけでございます。もともと公立学校の経費につきましては、設置者がこれを負担するということがたてまえであります。しかしながら、どうも従来からのしきたりと申しますか、あるいは父兄の教育に対する熱意と申しましょうか、学校経費の一部をPTA等の力によりまして負担をいたしておる事情が存在いたしておりますことはいなむことができないと思います。国といたしましては、住民の負担を緩和いたしまするために、ここ数年来、義務教育の諸学校の教材とか、あるいは設備費等にかかわる補助金・負担金の増額をはかりまして、また、地方交付税等に、つきましても、市町村分の小中学校費の増額、学校教育費の増額、または法律による住民への負担転嫁の禁止等の措置を講じてまいっておるのであります。いまだにしかし父兄の教育費の負担の緩和ということが依然として強くわれわれが努力しなければならない事態であるということは、私どもほんとうに残念でございますけれども、認めざるを得ない。できるだけまた努力を続けまして、そういう点についての不合理を是正してまいりたいと考えております。
○二宮文造君 その点につきまして、すでに御案内だと思いますが、東京の都議会、あるいは全国の主要な市議会でPTAの会費等の負担の軽減あるいは禁止の決議をやっております。そのことにつきまして、文部省としてはその趣旨を生かして、また、大臣がいま言われたような御意向をも生かして、行政指導をやっていくということは当然だろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまお答え申し上げたとおりの心持ちでございますが、本来公費をもって負担すべきものについてこれが父兄の負担になっているというようなことはなるべく少なくいたしたい、かように考えて、われわれといたしましても努力したいと考えております。
○二宮文造君 大臣のその答弁なんですが、そういう措置につきましては、文部省も、昭和二十五年あるいは六年の二回にわたって、教育費、学校経費にかかる住民の負担の軽減あるいは解消という次官通達と局長通達を出されておりますが、現在まで一向に改善されておりません。ただいま大臣の言われた意向を強く反映させるために、その是正方をあらためて地方団体に対して通達をして抑制措置をはかるというお考えがありますかどうか、承りたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねになりました関係のことにつきましては、ただ単に従来二回の通達ということだけでなしに、地方の予算編成期等に際しましては毎年実は注意を喚起いたしているところでございます。経費負担の内容の分析も必要かと存じますが、一般的に申し上げますと、先ほど来申し上げたとおりでありまして、われわれとしてはこのようなことについては任意はどこまでも喚起してまいりたいと存じます。
○二宮文造君 終わりです。
○委員長(太田正孝君) 二宮君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(太田正孝君) 長らくお待たせいたしました。申しわけありません。質疑を続けます。藤田進君。
○藤田進君 本日をもって、予定としては一般質問の最後でございますが、その質問に入るにあたりまして、本日一国の大使であるライシャワー氏が殺害をされようとしたという事件はまことに遺憾であり、私どもこの報が伝わりまするや、自分自身が胸にあいくちを刺し込まれたような気がいたしました。いな、これはおそらく日本の国民全体が大きなショックを受けているだろうと思うのであります。人の生命に軽重はないけれども、しかし、あまりにも国際的にも大きなこれは問題を起こすであろう。ましてやアメリカにおいては、現在、日系米人あるいは多くの同胞が在住し、また、各国のそれぞれの民族がいるアメリカの国内における状態を予想するときに、私ども思い半ばに過ぐるものがあるのであります。同胞たちがどういう気持ちで、また、国際的にどういう反響を持つか。すでにアメリカにおいてはケネディ大統領が銃殺されるというその直後、こうしてわが国においてこういう事態が起きる。やがてオリンピックという大きな国際祭典が開かれようとしているときに、各国の日本に対する評価がどういう影響を持つだろうか。私どもは、すでに御承知のように、現役の党首浅沼委員長が刺殺されました。二千数百名の日比谷の原頭で刺し殺されたのであります。しかもその行くえは、犯人山口は当局の手落ちで自殺をするといううやむやのうちに終わっている。続いては河上委員長が刺され、岸総理が刺され、先般の選挙の劈頭、池田総理が刺されようとしておる。まことに吉展ちゃん事件をはじめ、国内の治安というものがどうなっておるのか、まことに心配の限りであります。 そこで、まず最初に、国家公安委員長から事実関係について詳しく御報告を承りたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) 先ほど委員会でお答えいたしましたことと重複する点もございますが、その後の状況も加えまして御報告を申し上げたいと思います。 犯人は、先ほど申し上げましたとおり、沼津の塩谷功和、日本人でございます。家族は父親が電気器具商をやっております。母と兄弟三人でございます。本人は家事手伝いをいたしておるのでございまして、前科の経歴はございません。学歴は沼津市の第四中学校を卒業いたしまして、三十七年から少し精神異常のきみがありまして、昭和三十七年五月七日から五月十六日まで沼津市郊外の沼津精神病院に精神分裂——精神病で入院したことがございます。本日午前六時五十分ごろから、パンと石ころをふろしきに包みまして上京すると言って家を出ました。母親が心配いたしまして、非常に放浪癖があるというので、鉄道公安官というものに連絡をいたしまして、鉄道公安官は車掌にも連絡いたしまして、新橋の公安官その他、汽車をいろいろ調べたようでございますが、本人は見つかりませんでした。自供によりますと、新橋に着きまして虎ノ門まで来て、アメリカ大使館に着いたのであります。それから内部の様子を見ようとしてへいの外から石を投げた。へいを乗り越えたときに大使館には落とし穴があるのじゃないかというので石を投げたそうであります。それからしばらくして大使館に入りまして、大使官邸のほうに直行いたしまして、ドアをあけたところに警備員も立っておりましたし、それから大使が出てくるというので、女の大使館の人も待っておったような状況でございますが、そこで、大使が出てこられまして、ナイフで右ももを刺したと、それから飛び出してあやまったそうであります。 動機につきましては、いろいろ言っておりまするが、特に強調している点は、非常に近眼で目が見えにくい。そのために、社会で冷たくされあるいは就職もできないというようなことは、アメリカのせいであるということも言い、とにかく騒ぎを起こしたならば、世の中が同情するのじゃないかというようなことも自供しているわけでありまして、その動機それ自体が、少しわれわれから見ますと、理解しにくい点もあるわけでございます。 それから負傷の状況でございますが、右大腿部を出血されまして、同病院医師執刀のもとに手術が行なわれたということでございます。生命には異常はないという報告を受けておりまするが、その後の報告は受けておりません。 それから外国使臣に対する警護につきましては、外国大公使、特にアメリカの場合は、内部は御承知のように、警察官は入れません。外に特に交番をアメリカ大使館には設けまして、通常の警備をいたしておるわけであります。なぜなれば、特にアメリカ大使館に多数押しかけるとか、治安情勢上の情報が全然ございませんでした。 本人は右翼とか左翼とか、その他政治団体に登録されておりません、いわゆる政治的な背景というものを持たないあれでありまするから、突発的な事件と考えていいのではなかろうかと思っておるわけでございます。ただいままで知りました経過でございます。
○藤田進君 相手が精神薄弱児であり、突発事故であり、さして責任はないような、言外の意味が非常に重く私には響いたわけであります。これは、事が重大だと私は思うのです。ことに、いまの事実関係の一端を聞いても、すでにけさの六時に、あの犯行を犯すべく準備行動をし、かつ、これを携えて上京する、母親が心配して連絡をしたと、かなりもう六時辺から事態は始まってきておる。突発キャッチしにくかったということとは、かなり事情は違うと思う。この点はいかがです。そして、今後さらに、どういうこれが捜査なり対策についてお考えか。なかんずく、これらのような重要な犯罪行為になりますと、当然検察指揮を仰ぐなりといった間髪を入れず、背後関係その他も洗わなければ、過去の事例に徴してうやむやになってしまう。これらの今後の方策について承りたい。
○国務大臣(早川崇君) 事実関係は警察当局からお答えいたさせますが、御承知のように、右翼とか、左翼とか、共産党とかあるいは政党関係の人でありません。家族からそういった石ころとパンを包んで出た、放浪癖があるというので公安官に連絡した。公安官は公安官だけに連絡したということでございまして、警察当局として政治的なそういった危害行為というところまでキャッチできなかったということはまことに遺憾でありまするが、事情からいいますと、そういう経過になっておるわけであります。今後背後関係どうこうという、現在調べておりまするが、政治的な背後関係とか計画性とかあるいはそういうものは、いまのところは出ておりません。
○政府委員(江口俊男君) 事実関係につきましては、ただいま国家公安委員長から御答弁になりましたとおりのことを私たちとしても現在まで承知しておるだけで、それ以上詳しいことはございません。警衛警護の関係につきまして、外国使臣のみならず、最近の風潮に照らしまして、警察としてもいままでの体制以上に強化をせにゃならぬということで、国の内外を問わず、危険な状態にある場合におきましては、十分気をつけてやってまいっておるつもりでございましたが、こういうふうに現実に事件が起きましたということにつきましては、まことに私たちとしても遺憾に存じております。ただ今回の事件につきましては、たとえば警らを欠略したとか、あるいは相当時間その辺を俳回しておったにもかかわらずこれを発見できなかった、あるいは阻止し得なかったというようなことは、いまからよく調べてみませんというとどの辺に欠陥があったかということを明言するわけにはいかない、こう考えております。 それから被疑者本人の精神分裂症という問題につきましては、ひとり今回の事件を起こした者のみならず、私たちはまあ警護警衛の対象としては一番むずかしい盲点になっているわけであります。右、左を問わず、ある種の団体にきちっと入っておって、そういう行動に出るおそれがあるという者につきましては、十分の警戒をしておりますけれども、そういうふうに突発的に出てくる精神病者というのは、私たちの聞く限りにおきましても三十万人に近いということでございまして、こういうものを将来警察対象として常時警戒をするというような体制をどういうふうにしてやっていくかということにつきましては、非常な苦慮をいたしておる次第でございます。今度の少年につきましては、全く事件が起こりますまでは警察対象となっていなかったのでございまして、実は本人の自供どおり沼津市にそういう人間がおるかどうかということさえも私のほうからすぐ連絡をしましたけれども、平常キャッチをしていなかったと見えまして、すぐ即答がこなかったというような状態から考えましても、何とかしてそういう精神病者というものを治安の対象に考えるという方向に将来は備えていかなければいけない、こういうふうに考えております。
○藤田進君 こういう事態が起きれば、再び起こらないようにとか、いま言われたように、責任回避論を強調される。責任はないのですか。それじゃ精神薄弱青年がこういうふうに三十万人もいるので、それは把握しにくいのでやむを得ない、むろん今後もあり得るだろうと、そう聞こえてしまう、それでいいんですか。しかも、石ころやパンを用意して、汽車をただで乗ったのかどうか知らないけれども、母親が連絡して、公安委員会のほうに出して——今日韓国から御承知のように、日韓会談の交渉関係者もきている、あるいは中華人民共和国等からも見本市等できている、その他御承知のように、重要な、警察当局としても関心を持たざるを得ない時期にきていると思う。公安委員会が当該警察を通してでも、今日の通信網その他から見れば、間髪を入れず、この静岡県沼津市あたりからは東京に連絡はつくはずなんです。しかも、精神薄弱児でのがれようとするけれども、そう簡単に私は言いきれないと思う。凶器を持っていた、そしていま言われた事実の中からも、へいを乗り越えて飛び込めば、そこに落し穴があるかもしらん、それを事前に探査するために、石ころを投げこんで、そうでないことを確かめて乗り越えている、これは知能犯じゃありませんか。あほうだから、これはどうにもならない、そんな簡単なものじゃないと思う。責任を感じませんか、公安委員長。
○国務大臣(早川崇君) 一つ間違いがございますから。おかあさまが公安委員会に連絡したのではございません。鉄道公安官に連絡したわけでございます。 それから犯罪について一切の責任は、大きくいえば警察にあることはもちろんでございまするが、問題は通常の警備をやって、なおこういう事件が起こったかという問題は、慎重に考える必要があるわけでございまして、現在まで調べましたところは、先ほど経過で申し上げましたような、通常の警備を越える一つの事件だったように、私は経過を聞きながら、判定をいたしておるわけでございますけれども、なお、真実をもう少し追及をいたしまして、警察のほうに手落ちがあるとか、あるいは通常の警備をしていなかったとか、そういうことがありましたら、これは別個に責任というものを考えてまいりたいと思っております。
○藤田進君 鉄道公安官であれば、もっと手近かなところに連絡をしているわけでしょう。鉄道公安官の処理はどういうふうに——東京新橋に降りたと称するが、その間の公安官の処置について聞きたい。
○政府委員(江口俊男君) 鉄道公安官に母親が届け出ましたのは、八時ごろだと聞いておりますが、すでに本人は電車に乗ったと想像されまするので、その電車に向けて電車の車掌及び横浜の公安官室及び東京の公安官室、汽車のほう、列車のほうの関係には、公安官から連絡があったようでございます。しかし、それに基づいて探したのですけれども、見当たらなかったということでございます。
○藤田進君 運輸大臣、報告を受けておれば、その内容を公安官関係について報告していただきたい。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私はいま詳細はまだ報告を受けておりません。
○藤田進君 公安官の措置として、いまお聞きのとおり、どこに行ったかわからない、そんなものじゃないと思う。もういまこうやっている間に次の事件が起きているかもしれない。公安官の任務なり、そういう場合における措置なりというものは当然、日常訓練なり教育というものがなされている、職務規程もある。この点について、この事件と関連してどうすべきであったか、所見を伺いたい。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私ただいま報告をこの場で警察庁、自治省から聞きましたので、公安官の関係につきましてはよく調査いたしまして、この時点におきましてどういう何があるかということがなかなか察知することは私はむずかしいと考えておりますが、いまだ、ごらんのようにここに、ずっと委員会におりまして、詳細な報告は受けておりませんから、よく報告を受けましてからお答えいたします。
○藤田進君 まことに遺憾なことです。いまここで私どもと同時に聞いたのが初めてだ、問題の発端、届け出た母親が公安官に緊急に手配した、受けた公安官の措置というものは、こういう事態になっていながら、運輸大臣自身がいまここで聞く——事務当局自体も問題がある。こういうことだから事件が多発するのです。いつまでたってもおさまらない、連鎖反応が起きる、盲点をつかれるのです。 外務大臣に伺いますが、外交上の措置としてどのように考えられるか。私は重大な問題だと思う。すでに緊急閣議も開かれているであろうと思った。案外に閣僚それぞれは、会議に入る前の状況を見ても、まことにたんたんたる、愉快そのものであります。どうですか、そんなことで。外務大臣は見舞いにも行かれたそうですが、それらの状況を含めて外交上の措置、対策についてお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 事件がございましたのが本日午後零時八分でございました。私は零時四十分に病院に見舞いに行きました。同時に武内大使へ訓令をいたしまして、国務省のほうに深甚なる遺憾の意を表明いたしまして、先ほど、ワシントン時間の十一時半に訓令どおり措置を済ましたという報告を受けました。 それから、総理大臣から大統領に、私から国務長官に対しまして深甚な電報を発出することにいたしまして、もう間もなく発出になると思います。
○藤田進君 見舞いに行った詳細な状況はどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私がまいりましたときは、ちょうど手術にかかったばかりでございまして、麻酔下にあられまして、御本人にもお目にかかれませんでしたが、ガーディナー公使の報告によりますと、経過はただいまのところ良好だということでございました。私が本委員会にまいる直前に報告を聞きましたところ、手術の結果はきわめて良好でございまして、数週間で全治の見込みということでございました。
○藤田進君 たまたま外務委員会には今国会に外交関係に関するウィーン条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件、外交特権等に関する条約批准案件が出されております。いままで外務大臣の調査でこういった例が国内、国外を含めてどういうものがあったでしょうか。私の聞き及ぶところでは、どうもこういったような例が乏しいように思う。大使館に押しかけて、若干の器物を破壊したとかということは、東南アジアその他で若干聞きますけれども、従来の事例なり、あるいはこれに対する国際間の事情なりといったものをまずお伺いします。
○国務大臣(大平正芳君) わが国におきましては、この種の事件は初めてでございます。
○藤田進君 国際的なことは。
○国務大臣(大平正芳君) その他の国際的に外国使臣に対する傷害事件という点につきましては、ただいま外務省で取り調べさせておる最中でございます。
○藤田進君 外務大臣として一本の電報等で済ませよう、何とか了解を得よう、こういう考えですか。今後発展する事態があるのかないのか。どのように、さらに電報一本だけでなしに対処しようとするのか。本事件に関連してその方法を今後どのように、ということをお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 藤田委員が冒頭で御指摘になりましたように、わが国の国際信義の立場から見ましても、きわめて深刻な事件でございます。私どもといたしましては、あらん限りの外交儀礼上のいろいろ措置を講じますことは当然でございます。内政に外交に一段と注意と努力を傾けまして、この種の事件の再発ということのないように格別の努力をいたす決意でおるわけでございます。
○藤田進君 電報もすでに発せられたという時刻のようですが、 これを受け、この事件の善後処理として予想される事態についてお伺いをいたします。アメリカ側において、その程度で円満に事がおさまるという、いま御答弁のとおりで、今後の対策は厳重にということでおさまると思われていますか。私はこういった一国の大使が殺害されようとした、不幸中の幸いで命は取りとめるということになったわけですけれども、内閣全体の問題として私は緊急に協議をされることが国際儀礼から見ても、また事件の再発を防ぐ意味においても、諸般の広範な緊急な協議がなされてしかるべきじゃなかったろうかと思うのです。それほどの事件ではないというふうに簡単に考え、かつ第一問のアメリカ側もそれで十分理解すると、こうお考えでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 事件のただいままで判明いたしました事実関係は、警察当局から御報告がありましたとおりでございまして、ただいま詳細の点は取り調べ中と伺っております。事件の全貌が掌握できまして、その段階であなたが御指摘のように、この事件につきまして政府といたしまして措置すべきことに遺憾のないように十分の協議を遂げて、遺漏なきを期したいと考えております。
○藤田進君 法的地位等についてお伺いいたしますが、外務大臣は、本国会に提案され外務委員会に付託されておるいま申し上げたウィーン条約、これらの関連から、なるほど身分、財産の治外法権というものはあるけれども、これは当該国日本がこの際もすべてを責任をもって治安上、財産上の保護をしなければならぬ義務があるように思う。 関連して自治大臣にもお伺いいたしますが、たとえば国会においても、国会の中における、構内における警察権は議長にある、けれども事前に警察当局とは協議をして、いつの場合でも議長は警察活動の遺憾のないように事前に話を詰めているのであります。こういった外交使臣、大公使館についても、そういったことが当然あるべきじゃないかと思う。条約批准というときでもありますし、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(早川崇君) 御承知のように、在日公館の内部の警備はその当該大使館にあるわけであります。しかし、アメリカ大使館につきましては、特にその前に駐在を設けまして、いつでも御要請がありましたならば、中へ入るようになっておるわけでありまして、今回の事件はそういう御要請を受けない間に犯行が行なわれた。しかも、外部から大使館に乱入するとかあるいは政治的にアメリカにどうするとかいうような情報というのは全然ないような状況において、ああいう事件が起こったわけであります。いつでも警察に御要望がありましたならば、大使館内に入れるということは、これはもう当然のことでありまして、それに応ずる態勢はいつでもとっておる次第であります。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま公安委員長からお話がありましたように、外交使臣、外交官に対する安全につきましては、御審議いただいておる条約におきましても適当な措置をとらなければならぬということになっております。 それから治外法権を持っておる大使館構内の警備につきましては、先方に権限があるわけでございまして、先方からの要請があれば、日本政府としても適当に考え、協力しなければならぬと思いまするが、その点は国会と同様だと思います。
○藤田進君 公安委員長に聞きますが、ホテル・オークラの側から壁を乗り越えて入った、これは間違いありませんね。この壁は簡単に飛び越えられる状況ではない。しかも、あの壁は直線、非常に見通しのきくところです。ホテル・オークラの入り口辺から勾配が変わってくる。やや行けば入り口がある、右側に、鉄の格子がある。そこに警備員がいる。かどに立っておれば当然わかるところだし、しかも、一挙に飛び越えることができない。これはおそらく三メートル以上あるんじゃありませんか。そういう状況で、しかも母親が公安官に伝達をしておるということであるのだから、その情報が途中立ち消えしたということになっておるけれども、これは運輸大臣のほうは事務当局を督励して、さっそくここへ答弁ができるように、公安官の情報伝達の状況、どこで消えたか、措置についてひとつ調べていただきたい。当然これは言わなくてもやっていただけると思ったら、そこへ黙ってすわってござる。けしからぬです。そこで、そういう状況なのだから、構内に、要請がなくて入れなかったということは、何らこれは口実にはならない。外部から入ってくる。大使館の中でわいたのじゃないのだ、これは。そうでしょう。いかにも構内に入れなかったとか、突発なんだとか、状況から判断して、そのようなことは考えられない。現地の壁の高さなり、どういう方法で大使館邸内に侵入したか、もっとつぶさにお伺いしたい。
○加瀬完君 関連。
○委員長(太田正孝君) ちょっと待ってください、まだ答弁がありますから。
○加瀬完君 一緒に答えてもらいたい質問です。
○委員長(太田正孝君) 答弁してからのほうがよろしゅうございましょう。
○国務大臣(早川崇君) 警察当局からお答えいたします。
○藤田進君 公安委員長知らないの。ぼくらでさえ知っている。そのくらいの注意力がなかったら、公安委員長なんて……、ぼくらは警察力はないけれども……。
○国務大臣(早川崇君) 藤田さん御指摘のように、だからといって、責任回避するわけじゃありませんが、大使館のホテル・オークラ側は非常にへいが低うございまして、とても三メートルはないわけであります。特別の情報がありませんものですから、通常の状態でおったわけであります。その間に、へいを乗り越えたということが事実と報告を受けております。
○藤田進君 それは警察があとを継いでもらっていい。通常の状態の警備といったって、事前にあなたのところへ、いまから刺しに行くからひとつ通常でないような警備をしてくれ、そんなばかはいませんよ。おかしいじゃないですか、そんな答弁は。通常の状態だったから……。空襲警報が始まったかといえば、そんなことでもない。広島の原爆のときは、空襲警報が解除になってやられた。戦争でさえそんなものです。ましてや通常の状態の警備でいたので責任がないようなことを言われるが、事前に予告してやるというのは、まあよほどのそれは犯罪です。それに対処するのが、警察の責任じゃないですか。もっと現地の事情を詳しく——どういうふうによじのぼったのかどうか、通行人もあったろうから。
○政府委員(江口俊男君) お答えいたします。 何ぶん被疑者自身、犯人自身が、先ほど来申し上げておるように、精神分裂といいますか、精神薄弱者といいますか——とされているので、支離滅裂なことを言っておりまするから、本人の自供によれば、あのへいを乗り越えていったということでございまして、まあ現在の段階におきましては、そういうふうに御報告申し上げるしかないわけであります。 それから通常の状態と申しますと、あすこは、ほかの大公使館にはございませんけれども、アメリカ大使館に限りまして、正門のところに派出所がございます。九人の勤務でございまするから、常時おりまするのは、三交代ですから、三人。で、一人が休憩して、一人が立番、一人が警らをする。警らというのは、御承知のように、ぐるぐる回るわけであります。したがいまして、いまから調べていかなければわかりませんけれども、相当時間、犯人がその辺を徘徊しておったということであると、常識的にもこれを怪しまないというのがおかしくなるわけでございまするが、いまのところ、警ら中それを発見しておりませんので、その間どこにどうおって、そしてへいを乗り越える直前にそこに来て、乗り越えたということに仮定しますれば、おっしゃるように、そのへいの端のほうから見渡してない時間もございまするので、先ほどのような答弁になるわけでございます。情勢判断によることでございまするが、外側における警戒は、当然こちらのほうの責任でございまするから、向こうの要請がなくても、そういうこと自体が察知されるような場合には、もちろん人数も増して警戒をするのでございますけれども、今回の場合は、そういうことをこちらが察知するというか、考えられるような何らの原因がなかったものですから、平常のとおりやっていた。平常のとおりやったことが、結果においては、平常でなかったということになるのでございまして、その点の考え方が甘いんじゃないかどうかということについては、御批判の点があろうと思いまするが、 〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕 とにかく通常でない人間の行動というものについて、非常な悩みがあるということを、先ほどから申し上げたわけでございまして、全然責任を感じてないとかどうとかという問題じゃございません。
○加瀬完君 関連。周囲の警備責任は、明らかに公安委員会にあるわけですね。しかも、派出所を中心に警ら体制をもとっておったわけです。相手が精神薄弱者であろうが、精神病患者であろうが、警らが完全にできておれば、効果を発揮しておれば、事前に発見し得た情況なんですね。しかも、この警らの目的というのが、そういったような不法侵入あるいは不当な行為というものに対して、早期の発見あるいは警備のための警らでしょう。警らが目的を達してないということは、明らかにこれは、警備責任が警察としては果たせておらなかったということになるのです。責任をあたかも犯人にかぶせているような御答弁ですけれども、そうではない。どういう警らをしておったのですか、どういう警備状況であったためにこういう事件が起こったのか、その警備状況をはっきりさせなければ、責任がないという答弁にはならぬのです。はっきりしてください、ここを。
○政府委員(後藤田正晴君) お答えを申し上げます。 先ほど長官から申し上げましたように、九名制度の交番でございます。それで三交代ですから、三名のうち一名があの周囲をば回っておる、こういうことでございます。そこで、お説のように、回っておる警察官が発見できなかったということは、これは私も、結果的に警察に責任がある、それは私はそう考えております。ただ、実際問題として、先ほどからるる御説明がございましたように、特別なアメリカ大使館に対する、あるいはアメリカ大使に対する危険な情報というものがなかったわけでございます。したがって、常時の勤務態勢、つまり九名による警備態勢、こういうことであったわけでありますが、そのことがこういう結果になったといえば、その点は私、いま申し上げるように、責任があったと思います。しかしこれを、それじゃ、すきのないようにすればどういうことになるかということになろうかと思いまするけれども、あの大使館の現状から見まして、これを常時回る警察官が絶えず死角を生じないように回る、こういうことになりますと、これは非常な警察官の数が常時要る、こういうことになろうかと存じます。したがって、そういうようなことができればいいと思いますけれども、私は、実際問題としては、それは無理ではなかろうか、こういうふうに思います。したがって、結果としてああいう事件が起きたことは、まことに遺憾と思っておりますけれども、警ら中に特に警らを欠略したといったようなことのない限り、私はやむを得なかったのではないか、こういうふうに現在の段階では判断しております。 なお、こういう点については、勤務の実感、それについて十分調査をしてみたい、こういうように考えております。
○加瀬完君 やむを得なかったということにならぬでしょう。犯罪が行なわれておるのです。警らが目的を達しないで犯罪が行なわれておれば、当然責任は、直接的に考えても、公案委員会にあるわけです。したがって、国家公安委員長の先ほどからの答弁をここで御訂正をいただきたい。相手は外国の関係でもあるわけですから、はっきりとやはり警備責任十二分に果たされておらなかったという遺憾の意を表すべきです。精神薄弱かなんかだから、精神病だから、発見に困難であったということは、それはこの場合の答弁として、はなはだ穏当ではありません。御訂正をいただきます。
○国務大臣(早川崇君) 警察は、単にアメリカ大使のみならず、練馬の通り魔の殺人につきましても、一切、人命が傷つけられ、あるいは人権が侵害されるという問題につきまして、責任はあるわけであります。ただ、私の申し上げたいのは、これは実際上、一切の犯罪に責任を負うという、いわゆる行政上の責任を負うということと、広義の責任を負うということとを区別しなければなりません。そういう意味におきまして、ただいま局長が言いましたのは、こういう特殊なケースにおいて、しかも、通常のテロとか、政治的な情報もない精神異常者の犯罪の場合に、警らしておるという——規則によって三名が交代でやっているというこの警らの責任をさぼっておったとか、そういう事実がわかりましたならば、私は、当然責任をとらさなければならぬと思うわけであります。しかしながら、通常の勤務によって警らしておると、その死角に侵入したという場合におきましては、大きい意味の責任は、むろん治安全体は警察の責任でありまするから、ありますけれども、直接的な職務上の責任ということになりますと、また別個の問題になってくるわけだと、こういう意味でお答え申したと私は信ずるのであります。
○藤田進君 責任はあるが、その責任は果たし得ないと、何らの情報、手がかりもなかった、事実上そういう場合には通常の警備であるから、いかんともしがたいという答弁だ、要約すれば。じゃ、今後も予告のない犯罪、犯行である以上、いたし方ない、そういう当然の帰結になる。どうするのですか、これから。
○国務大臣(早川崇君) 広義の責任はあります。具体的な責任の場合には、通常世論が、これは当然情報があるのに警備を厚くしなかったとか、この前の吉展ちゃん事件のように、二、三分おくれたために取り逃がしたとか、これは社会の常識で、これはもう警察の当然の責任だという場合と、これは大きくは責任だけれども、全体としてはこれは人間の能力として無理であるというような場合とあると思うわけであります。そういう意味におきまして、今回のケースというものがどういうものであるかということは、事件の真相をもう少しきわめて、手落ちがどこにあったかどうかというようなことをもとに判断すべきものだと思いまするし、また同時に、国民の常識というものが、これは警察の明らかな手落ちだと判断される場合もありますし、これはやむを得ぬじゃないかという判断をされる場合もある、こういう意味でございます。大きい全体の責任は、治安全体につきましては警察が責任を持っておるわけでありますから、これはそういう意味では責任を持っておることはもちろんであります。
○藤田進君 私は、そんなことを聞いておるのじゃない。では、先ほどの質問に答えていただきたい。通常の場合、通常の警備に入っていて、情報も何もないのだ、だからやむを得ないのだ、それならば、これからも同様だ、予告のない犯行については、いかんともしがたい、そういう帰結になるが、それでいいのかと言っておる。おそらく外務大臣、国務大臣としては一蓮托生で責任があるでしょう。しかし、しばしばこういうことがもうすでにあるわけですからね、これは外務大臣としても言いたいことがあるだろうと思う。もうあの日比谷の大衆の前で刺し殺された浅沼委員長、次には国会の中で、面会所において河上委員長が刺され、岸総理が刺され、池田総理が刺されようとした、たび重なるじゃありませんか。吉展ちゃん事件だけじゃない、狭山事件でもそうです。向こうが手紙をよこした、じゃ車で来るだろうというようなことで待機しておられた。まんまと逃げたじゃありませんか。殺されていたじゃありませんか。そういう状況がここ非常に重なってきている。国際的にも非常に反響が大きい、これは。である以上、もっと犯罪検挙主義というよりも犯罪予防に重点を注いでやらなきゃならない、その対策を何も示されていないから、私はどうするのかと聞いている。
○国務大臣(早川崇君) われわれは、そういったテロとか、あれにつきましては、全力を尽くして警備、刑事両面におきまして努力をいたしておるわけであります。そういう関係で、大使館内という、いわば治外法権のところで起こりました、入った入らぬの問題につきましては、いま御議論のとおりでありますが、まことに遺憾で、警察の手が伸びなかった、単に外国在外公館のみならず、全国民の生命、財産、特に放流テロ等につきましては、警察あげて努力いたし、私は、そういう意味では最近かなりの成果があがっておると考えております。
○藤田進君 成果はあがっていないんだ、結論的に。しかも、東京のどまん中でアメリカ大使が刺されて、運よく命に別条がなければそれはけっこうですけれども、しかし、これはたいへんなことです。このまま従来と同様な警備体制でいかれるのですか、これはアメリカ大使館だけじゃないんです。非常に出入りが大きい各国の大公使館もある。連鎖反応を持つ可能性もある。その今後の警備体制というものをお伺いしておるわけです。 〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕
○国務大臣(早川崇君) これを機会に在外公館につきましては、従来大使館外のことにつきましては、分厚い警備をやっておるわけでございます。ただ、今回の事実のような特別な事件が起こりましたので、管内におきましても常時連絡を密にするとか、また、こちらからお願いする問題も検討いたしまして、治外法権の警察のはいれない管内、管外を問わず、在外公館の方々の生命、身体、権利の擁護につきましては、格段の措置をあらためて検討し、今後こういう事態の起こらないように最善の努力を尽くしたいと思っております。
○藤田進君 生命財産の保護について責任を問われ、今後の対策を聞かれたときに、これじゃ済まないと思う、いまの御答弁では。具体的に将来検討すると、そんなゆうちょうな問題じゃないと思う。今後の、特に生命の保障というのはどうしますか、重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(早川崇君) 警察官が権限を行使できないところで事件が今回は起こったわけであります。そこへ侵入するということを阻止できなかった面におきまして、先ほど申しましたように、警らがいまの通常の状態のもとでいいかどうか、三人ありまして一時間ごと交代でいいかという面につきましては、大いに私は反省すべき点があろうかと思います。治外法権以外の一般の国内における在外公館の人たちの安全につきましては、従来とも万全の措置を講じておりまして、事件が起こっておらないわけであります。しかし、これを機会に、さらに警備を充実いたしまして、いやしくも再びこういう事態が起こらないように、格段の対策をあらためて検討したいと、こう申しておるのでございます。
○藤田進君 この事件に直接の責任をとって、最大の責任をとる方法として、どういうものを考えていますか。たとえば、その職を辞してあやまるということもございましょう。従来ややもするとそういった事件が軽んじられ、責任論があいまいにされ、その進退がまことにうやむやになって、そういうことが再び三たび、今日まで警察関係では大きな失態を演じてきている。これらに徴して、この際、最終責任のある公安委員長としてはどういう態度をとりますか。
○国務大臣(早川崇君) この事件の——公案委員会というのは、御承知のように、直接の事件捜査、直接の事件の問題には関係を持たないわけであります。管理の面における責任者であることは、法律の示すとおりであります。したがって、この事件のケースが、社会的常識からいって、直接にこれは警察の手落ちであるとか、これはもう万やむを得ないものであって、大きい責任はあるが、具体的な点では、これは社会通念上、何といいますか、やむを得ないというような場合もあるわけです。真実が明らかになっておりませんから、治安当局の責任云々ということは、これは慎重に考えなければならない問題であろうかと、かように思っております。
○藤田進君 国民並びに国会に対する治安上の最高責任者というものは、それじゃだれなんですか。
○国務大臣(早川崇君) 具体的な事件の手落ちにつきましては、それは警察庁自身にあるわけであります。国家公安委員会は管理、監督という立場にございまして、行政委員会という面における責任を負うと、こういう法律の仕組みになっておるわけであります。
○戸叶武君 関連。政府当局の答弁を聞いていると、普通ありふれた犯罪に対する答弁と同じような感覚でものを言っておるのでありますが、藤田さんの質問においても、その大きな含みというのは、今後、このアメリカにおける——アメリカ合衆国を代表するライシャワー氏が日本で傷ついた場合に日本政府がこれにどう対拠したかというこの記録が、今後、日本を代表する大使なりあるいは日本の象徴たるべきお方なんかでも、外国に旅行されたときに、もしもそういう不祥な問題が起きたようなときに、これにならって外国は対拠することになると思うのであります。やはり、ロシアの皇太子がかつて来られたときの大津事件があったとき、それとは今度の場合は若干違いますが、あのときにおける日本政府の私は態度の中には、いろいろの面があったと思います。日本の自主権を守る裁判等における能度もあったし、いろいろありますが、あの問題とこの問題は違いますけれども、今度の問題に対するいまの政府の全体の答弁を通じての軽々しさというものは、今後、私は、日本の使臣なり外国へ旅行する人、あるいは外国におって問題が起きたときに、外国側がそれに対して、日本はこの程度だからといって軽くいなされるような場合があったらたいへんであると思いますが、外務大臣としてはそういうことを十分考慮をしておられると思いますけれども、やはり私は慎重な答弁を求める次第であります。
○国務大臣(大平正芳君) 私どもがいまの時点までにとりました措置は、とりあえずの措置でございます。事件の全貌が明らかになりまして、その事実を掌握した上で慎重に対処いたしたいと思います。
○藤田進君 責任論が、警察当局にあるので、国家公安委員長にはないと、議会における答弁として、私はそれは妥当でないと思う。現在の組織法等から見て、公安委員長自身が責任を持たなきゃならぬ。したがって、議会等に対する関係があり、国家公安委員長は国務大臣が兼務するということになったのじゃありませんか。法の歴史的事情から見ても、これほど大きな問題について、下僚の責任で自分に責任がないかのような御答弁は、これは適当でない。対アメリカに対する態度としても、適当でない。議会における責任は、内閣総理大臣であり、国務大臣であり、担当の国家公安委員長であるはずだ。国家公安委会の法が変わって、国務大臣がこれを兼務するという大きな理由の一つになっていた。あなたは責任感じませんか。そうしてもう一つは、検察指揮を仰ぐ気持はないのかどうか。
○国務大臣(早川崇君) 国家公安委員会は、管理監督上の責任はむろんあるわけであります。私の申しましたのは、具体的な事件で過失があったとか、ないとかというものは、警察当局自身の責任であるという意味で、決して責任をのがれているものじゃありません。
○藤田進君 議会に対する最高責任はだれですかと聞いているのです。この事案で、抽象的に聞いているのじゃないのです。わかりませんか。国務大臣が公安委員長にしたのは何ですか。——大臣がみずから答えるべきですよ。
○政府委員(江口俊男君) もちろん、国家公安委長は政治的な意味合いにおいて責任を感じられるということはあると思いまするけれども、具体的な事件に関して、公安委員長自身が、たとえば警備を薄くせいとか、節約せいとかということをおっしゃったなら別でございますが、法律的な責任というものは各具体の事件にはないとわれわれも考えております。
○藤田進君 行政出任は、こういうこの事件固有の問題を論じているわけです。公安委員長にはないというのですか。
○政府委員(江口俊男君) 法律的な責任は、今回の事件について、公安委員長にはないと私は考えております。
○加瀬完君 関連。警察法が改正されまして、結局消費の最終責任は内閣総理大臣にあるわけであるから、その総理大臣の意を受けた者が国家公安委員会に出ておらないことは不当である、こういう説明のもとに、国家公安委員長が国務大臣をもって充てると改正されたわけです。最終の行政責任というのは国家公安委員会が持つわけです。したがって、内閣を代理して、こういう国会並びにこういう政治的な問題についての責任は、当然国家公安委員長が持たなきゃならないことに法のたてまえがなっているわけじゃありませんか。個々の問題は、それはいろいろ責任者が、直接責任者がありましょう。いま個々の問題を藤田委員は論じているわけじゃない。若干説明を加えるなら、三人の一時間交代の警らでは侵入を防ぐことは不可能であった、したがって警らしておった警察官自身には責任はないんではなかろうかと、これはわかる。それならば、そういう事件が起こったわけです。それを予防し得なかったという、警ら三名という配置をして、それをしかも外国関係でありながら、三名でこと足りると判断した責任は一体どうなるか。これは最終的には国家公安委会が、当然、そういう不十分な警らを十分なものとして認定して今日まできた責任というものを政治的には負わなければおかしいじゃないですか。それでも責任がないと言いますか。
○国務大臣(早川崇君) 実際の犯罪について、大きくは国家公安委員会なり地方の公安委員会に政治的には責任があると思うわけでございます。しかし、いま長官が申しましたのは、そういう政治的責任という意味ではなくて、法律上具体的な事案について手落ちがあったとかなかったとかいう問題にまで公安委員会は責任を負うものではない、こういうことだと私は信じております。
○藤田進君 警察人事権を持ち、そして議会に対する予算その他についても、内閣としての提案権を持ち、いまのたてまえとして、国会に対して警察庁長官が直接責任を持つなんて、そういう仕組みにはなっていない。国家の統治形態というものをもっと研究してもらいたい。同時に、徹底的に事態を究明すべきです。先ほどから答弁かないけれども、検察指揮を仰ぎ、そうして徹底的な究明をするのかどうか、御答弁がないわけです。それから現地の事情について、そんなに簡単に言う、精神分裂症だというような状態であるとすれば、なおさらのことです。ホテルオークラの相向かいにあるアメリカ大使館のへいというものを乗り越えるのは、そう容易なことじゃない。私は三メーター以上あろうと思う。こういう事実についてあわせてお伺いしたい。
○政府委員(江口俊男君) ホテルオークラ側のへいから本人が飛び越えた、こう自供いたしておる個所につきましては、へいの高さは一・九メーターあります。犯人自身は十九才、知能は低くても、からだ自身は、私は見ておりませんけれども、一番元気な盛りでありますから、二メーター弱であれば、多少困難であっても飛び越えるということは可能だと思います。 検察官の指揮を仰ぐかどうかという事柄でございますが、これは目下赤坂署におきまして鋭意取り調べ中でございますから、その必要があるかないかという判断をしませんというと、ここで、指揮を仰ぐとか、あるいは絶対仰がないとかいう答弁はできないと思います。
○藤田進君 こういう問題は、背後関係その他についてある場合はなおさらのことです。間髪を入れず手を入れていかなければならないはずです。高度な捜索能力を持たなければならないはずです。こういう態度が事故を連発している。法務大臣の所見はいかがですか。
○国務大臣(賀屋興宣君) 今回の事件は、まことに遺憾しごくでございます。警察当局におきましても、検察のほうに事件を移すべきものは移されることになっていると考えます。その場合には、裁判の管轄権は、国際慣例によりまして、大使館の区域を除外するような特別の条約もございません。当然日本側にあるものだ、かように考えておる次第でございます。
○藤田進君 一メーター九〇あるというけれども、あすこは手がかりはないのです、あの壁は白く塗ってあるけれども。そして相向かいと、おそらく道路は八メーター前後でしょう。オリンピックの選手でもなかなか飛び越えにくいですよ、これは。どういう方法で越えたか、その事実関係を明らかにしていただきたい。
○政府委員(後藤田正晴君) お答え申し上げます。 先ほど来のお答えは、現在までの犯人の供述に基づいた事実関係を御説明申し上げたわけでございます。警察としましては、この事実関係に基づいてその裏づけの結果、供述が違っておるということもございましょうし、それらは徹底してこれから調べたい、こう考えております。
○藤田進君 飛び越えたと称するのであれば、現場の保存も要るだろうし、もうすでに、どういう方法で飛び越えたか、飛び越え得るか、得なかったかということは、特に午前中私が発言して、調査して答弁するようにという注文をしていたわけです。これからその自白に基づいて裏づけ捜査をやるということですか。すでに現場を保存しながら、その足あとなり指紋なりということがなければならぬでしょう。わかっているはずだ。
○政府委員(後藤田正晴君) お答え申し上げます。おっしゃるように、さような点を現在やっておるわけでございます。ただ、昼過ぎの事件でございまして、いまともかく調べ官が直接調べておる段階です。それを同時に並行しながら現場にも当たっておる、こういう実情でございまするので、本日のこの私どものお答えは、いずれにせよ、本人が規正まで述べておるということを前提にして申し上げておるわけであります。御質問のようなことは、もちろん並行して調べておりますが、現在まで私どものところにはさような結果をもらっていないのでございます。
○藤田進君 これはまことに遺憾です。事前に探知することが容易であったかなかったかというポイントにもなる、この問題は。いきなり、三十センチ、四十センチのところを越えたとかいうならば、瞬間に越え得るでしょう。素手で簡単に越えることができない状況にあると思う。とすれば、かなりの時間がかかっておる。徘回しておるに違いない。そういう事実関係が、こまかいことは別としても、どういう地点で乗り越えたというし、それには器物を使ったか、はしごを使ったか、なわを使ったか、どういう状況であったか、このことは発見する事前の時間的問題と直接つながる問題です。ですから、いまわかっておる範囲で——わかっておるはずなんです。答えていただきたい。
○政府委員(後藤田正晴君) 事実関係判明次第にお答えを申し上げます。
○藤田進君 まだわかっていないの、全然。じゃ、至急に連絡をとっていただきたい。 それから運輸大臣、いかがでしょうか、先ほどの鉄道公安官の措置。
○国務大臣(綾部健太郎君) 鉄監局長をして詳細説明いたさせます、調書をとっておりますので。
○政府委員(廣瀬眞一君) 鉄道職員の連絡を、受けましてからの捜査の模様を御報告いたしますと、本日の八時ごろ、塩谷の母親のヒミが、沼津の鉄道公安室へ参りまして、本人の人相、ふうてい等、申し出がございました。かねてから放浪癖がある。ふろしき包みを持って六時五十三分発の電車に乗ったらしいから、至急保護してくれという申し出がございまして、沼津の鉄道公安室では、直ちに横浜の公安室と、それから東京の公安室、それに途中駅を介しまして、列車の車掌に捜索方を依頼いたしました。途中、列車の車掌から沼津の公安室に連絡がございまして、車内が込んでおって発見はできない、それからなお、横浜の公安室から連絡がございまして、この列車が横浜に八時五十三分に着きまして、八時五十五分に発車——二分の停車でございます。この間に一応発見につとめたが発見できなかったという連絡が横浜の公安室から沼津の公安室へ連絡を受けた。東京着が九時二十七分でございますが、東京の公安室でも発見ができなかったというのが連絡のてんまつでございます。
○藤田進君 警察ルートへ乗せたのか乗せないのか。また連絡しなかったとすれば、その理由。
○政府委員(廣瀬眞一君) 詳しいことはわかりませんが、ただいままでの調べでは、警察ルートには連絡はしておらなかったようでございます。理由は、推定になりますが、通常の家出人の保護というような観点で捜査をしておったようでございます。
○藤田進君 放浪性があり、かつ石とパンを持っていったというような事情、あるいは病院に入っていたというような事情、狂暴性とかといったようなことがあればこそ、母親は心配して、何か事件をしでかすかもしれないという心配があればこそ、鉄道公安官にかけつけたと私は推定する。そういう場合に、さがしてみたがいなかったと、そんな無責任なことで済むのですか。従来の平素の業務執行についての指示なり、あるいは規定なりといったものに徴してもそれでよいのですか。手落ちはありませんか。
○政府委員(廣瀬眞一君) 詳細はただいま取り調べておりますが、私が現在まで受けました報告では、ただいま申し上げたようなことで、警察には連絡をしていなかったと、これは私はきわめて遺憾であるというふうに存じております。もちろん、警察と緊密な連絡をとるのは当然だと存じますが、この場合は連絡をしておらなかったように——ただいまのところでは連絡をしておらなかったようでございます。
○藤田進君 ただいまのところ連絡していないといって、いまから連絡したって、それは意味ないですよ。そんなゆうちょうなものじゃない。ことばじりじゃないけれども、そういうことが問題なんです。これは手落ちがあったのでしょう。運輸大臣どうです。
○国務大臣(綾部健太郎君) 警察官と連絡すべきことをしなかったとするならば、手落ちがあったと思います。
○藤田進君 外務大臣にお伺いいたしますが、有史以来、こういう事件は初めてだという御答弁であります。しかし、かなり問題は、各国にも、また当該国アメリカに対しても影響を持つと思います。国際的にその信用の失墜その他まことに遺憾ですが、今後の見通しとして、アメリカ本国からどういう日本国に対して措置なりあるいは今後の対策なり要請があるか、予想しながら対処されなきゃならぬと思います。お見舞いに行かれ、あるいは電報を打たれたのが現段階でございましょうが、これについては、もっと責任ある措置、責任ある今後の対策ということはきわめて重大だと思うので、このことは、出入りも非常に激しい、そうしてフランスからはまた間もなく日本にお見えになる、諸外国の重要な人たちが日本に来ている、これが、左であろうと右であろうと、こういう事態を懸念して来られるということは非常に問題がある。また、オリンピックを控えて、こういう事態というものはまことに国辱です。国の恥であります。このような印象や悪い影響を払拭する意味においても、国際的に打つべき手が当然あると思う。どのように対処されようとするのか、状況判断も含めてお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、事件の全貌の判明と相まちまして、政府としてとるべき措置を慎重に考えなければならぬと思います。同時に、仰せのように、外国との往来がしげくなりましたし、オリンピックを控えておる段階でもございまして、この事件の影響するところ非常に甚大だという御指摘は仰せのとおりでございます。したがって、政府が今後この事件を契機にしてとります措置につきまして、諸外国に十分の信頼と理解を得られるように努力をいたして、こういう事件の影響を最小限度に食いとめなければならぬと存じております。
○藤田進君 まず、国内の緊急な措置として、善後措置として、関係大臣は緊急に閣議を要請されて、これは単に国家公安委員長のみならず、運輸大臣にも関係を持ってきた、外務大臣は当該の外交折衝に当たられる所管大臣である、あるいは法務は全体の国内の検察についての問題がございましょう、今後の裁判権をめぐるその措置もございましょう、ということで、あるべきだと思う。そのようなことで、国際的に影響も大きいし、緊急の閣議を持つということであれば、われわれは、その間国会の審議については十分考慮する用意があるのであります。今後、その措置をとられる心がまえはございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 政府部内にはそういう御意見もございましたが、事件全体をいま調査中でございますので、これが判明の上処置すべきだと判断いたしておるわけでございます。
○藤田進君 ちょっと、いまほかの話があって、最後が聞こえなかったわけですが、事件を現在究明中であるから、その事態が明らかにならなければ閣議等で相談する必要もないとおっしゃるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 閣議におはかりして御意見を求める場合に、事件の全貌がほぼわかっておる状態においてお願いするほうが至当だろうと考えております。
○安田敏雄君 関連。 公安委員長、先ほどあなたは大きな責任がある、こういうことをおっしゃったんですけれども、今度の事件が、まあ非常に国際的に反響が多くてきわめて重大です。したがって、だれかが責任をとらなければならぬぞということも考えられるわけですが、その際、その責任を負って赤坂の警察署長がもし将来辞表を出すというような場合に、一体あなたはどういうような態度に出るのか、あるいはまた、警察署長にこの責任を負わして、将来依願退職というような名目でもってやめさせていくのか、あるいは左遷等の転勤を迫っていくのか、もしそういうことが起きたときには、あなたはどういうようなその責任をとるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(早川崇君) この事件の真相がわかり、所管内でいわゆる手落ちがあるということが判明いたしましたならば、むろん信賞必罰でいかなければなりません。この事件の真相は、まだ調査中でございます。その結果を待ちまして、国家公安委員会として考えたいと思っておる。わけでございます。
○加瀬完君 関連 この事件は、犯意がどこにあったとか、あるいは犯行の経緯がどうであったとか、そういう問題ではないと思うのです。結論として、外国の代表に傷を負わせたというこの責任を、国家としてどう一体陳謝をし、あるいは責任を明らかにするかという問題だと思う。外務大臣のお話を聞いておりますと、事件の調査をいたしまして対処するということでございますけれども、国内の問題ならそういうこともあり得ましょう。しかし、原因、経過のいかんにかかわらず、結果について政府として責任を明らかにする、あるいは国家として陳謝をする、こういう実をこの際早急に打ち出さなければ問題の解決にはならないと思うのです。責任は、担当の警察官の警備がよかったとか悪かったとかということではない。傷害を与えてしまったという事実についてどう一体対処するかということを考えるべきだ。藤田委員の御指摘のように、早急に政府として責任を明らかにし、陳謝の実を示すべきことが緊要だと思うのでありますけれども、どうもさっきの御答弁はふに落ちませんので、もう一回伺います。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように重大な事件であるだけに、この問題の国内的な処理もまた大事でございます。対外関係の処理も大事であるばかりでなく、国内的にどう処理するかも、対外的に影響するところが大きい問題でございます。したがいまして、問題の性質上、事件の全貌をできるだけつかみました上で、先ほど御答弁申し上げましたように、政府として慎重に対処していきたいと思います。
○藤田進君 まあ、ライシャワー大使は入院中で、数週間ということですから、相当な私は傷害事件だろうと思う。いろいろ方法はあるでしょうが、事態がさらに克明に判明してからということのようですが、そういうこともさることながら、この際、アメリカに外務大臣は直接急遽参られて、事情を説明し、今後の保証を取りつけて、理解を求めるというお気持ちがありますか、ありませんか。
○国務大臣(大平正芳君) いま御答弁申し上げましたとおりの、私、心境でおるわけでございまして、私の渡米云云の問題につきましては、ただいまのところ、まだ考慮いたしておりません。
○藤田進君 伝えられるところによると——公安委員長にお伺いいたしますが、あるいは事務当局でもよろしゅうございます。十五センチのそり身の飛び出しナイフであるということでありまして、また、答弁もそのように聞いたわけであります。二宮君の質疑に答えられておったわけです。この入手経路、時期、こういった凶器について——石ころではなかったと思います。詳しく聞いておきたい。
○政府委員(後藤田正晴君) 現在までの調べでは、自分のうちから持ち出した切り出しナイフと、そのように申しております。
○藤田進君 不明確ですが、従来、少年というと、十九才前後をねらって、いろいろ犯行を使嗾する、実行せしめる、ということが浅沼委員長の場合も起きていた。この事件について背後関係があるんじゃないかと伝えられております。そうだとすれば、検察指揮も仰ぎ、高度な捜査陣を持って、しかも間髪を入れず、これが徹底的な捜査をしなければならぬと思う。それが、いまだ検察指揮の要請もしないで、背後関係も何もない、もう半気違いだといったような先入主が非常に強いように思う。重ねて私は、背後関係についての、現在まで、これはもういの一番、そういった核心に触れられなければならないわけです。お尋ねしておきます。
○政府委員(後藤田正晴君) 現在のところでは、先ほど来お答えいたしておるとおりでございますが、私どもとしては、この種の事件について背後関係云々ということは非常に重要視しております。したがって、そういう面については徹底した追及をいたしたい。ただ、現在までのところは、先ほど来お答えいたしておるとおりでございます。 なお、検察庁との関係につきましては、これはもちろん緊密な連絡をとってやっておりますが、警察から当然検察庁に送致せられるはずでございますが、送致の前後とも両者緊密な連絡の上で捜査の万全を期していきたいと、こういうふうに考えております。
○藤田進君 過去にも事例があるように、収監しているときに、勾留しているときに自殺をしたりといったようなことで捜査が困難になる、あるいはアメリカの場合はオズワルドがさらに射殺されるとか、案外軽視できない問題だと思う。背後関係があればあるほど。これについてどういう措置をとっているのか。再び失敗を繰り返すことのないように私は希望するとともに、どういう警戒なり、保護をされようとしているのか、お伺いしておきます。
○政府委員(後藤田正晴君) 犯人の留置期間中における事故は、当然私どもとしては考えておかなければならぬ問題と思っております。したがいまして、警視庁としては、そういう点について万全の措置をとっておると思いますが、さらに藤田委員の御意見を十分警視庁に伝えておきたい、こういうふうに考えます。
○藤田進君 国家公安委員長にお伺いしますが、こういう事件が起きたということを契機に、大使館の内部において、緊急の場合には、犯人逮捕なり、あるいは予防措置なりということについて事前の協議を——あるいはこれは外交交渉になるかもしれませんが、ととのえておかれる必要があるのじゃないだろうか。国会の場合にはそういうふうになっておると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(早川崇君) 大使館内に入る事件が二つ起こりまして、前には周鴻慶の事件、今回の事件と、続いております。大使館内の警備は、御承知のように、その国が責任をもってやっておるわけでございますが、この問題につきましては、事件が重なりまして、不祥事件が起こったわけでありますから、治外法権でございますけれども、日本の警察としてそういう中の治安につきましても御協力し得る面があれば、いつでもする心組みをしておるわけであります。いま具体的にどういうふうにしたらいいかということは、まだ考えておりませんけれども、要は、館の内外を問わず、在外公館の人たちの人権、生命、財産の安全が守られていくということ、高い立場から、日本の警察として、在外公館に対して、この機会に御相談をしてみたいと思っております。 —————————————
○委員長(太田正孝君) 委員の変更がございました。 曽祢益者、赤松常子君、牛田寛君、二宮文造君が辞任され、高山恒雄君、基政七君、浅井亨君、鬼木勝利君が選任されました。 —————————————
○委員長(太田正孝君) この際、先般の理事会におきまして分科会の取り扱いについて協議いたしましたので、その内容について御報告いたします。 分科会の数は四個とし、その所管事項、各分科会の担当委員数、各会派への割り当てにつきましては、御手元にお配りしてあります刷りもののとおりといたしました。 また、分科担当委員の指名と、その辞任の許可及び補欠の指名につきましては、先例により、委員長に一任すること。 参考人の出席要求を決定したときは、その取り扱いを委員長に一任すること。 以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田正孝君) 御異議ないと認めます。 六時半から再開いたすこととし、暫時休憩いたします。 午後五時五十分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕