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46回国会参議院1964/03/23

予算委員会 第17号

発言数
384
登壇者
30
会派数
4
開催日
1964/03/23

会議録

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和三十九年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、引き続き質疑を行ないます。  本日は最初牛田君及び山本君お二人の前回における残余の質疑を行なうことにいたします。それではまず牛田寛君。

牛田寛公明会

○牛田寛君 前回、農林大臣にお伺いすべきところを経済企画庁長官からお答えをいただいたわけですが、所得倍増計画でもあるいは農業基本法におきましても、農業の生産性を高め、所得を向上させるためには、平均耕地面積二・五ヘクタールの自立経営農家を百万戸つくる、これを目標でやるということでやってきたわけです。ところが現状では、とうていその目標に到達し得ないことは、これは事実の問題でございます。現在でもこの方向に向かってお進めになるのかどうか、この点をお伺いしたわけでございますが、宮澤長官からは、兼業農家が、所得倍増計画を立てたときの考えよりも、実情においては減っておらない。この点についてはもう一度考え直す必要があるという意味のお答えがあったと私承知しておりますが、農林大臣は、この点についてどう考えるか。構造改善の行き方でございますが、いわゆる自立営農家を育成するということ、言いかえますと、兼業農家は順次移動させていくという方向へ向かわれるということが、一つ大筋になっているように思うのです。ですが、現段階では、兼業農家も減らないという面が強く出ているので、兼業農家も含めた一つの構造改善の行き方を考える必要がありはしないか。その点についてのお考えを伺いたいわけでございます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 所得倍増計画にもありますように、また日本の農業形態から申し上げましても、自立経営農家を育成するということは、基本的の方向として当然とるべき方向だと思います。ただし、いまお話がありましたように、それが目標どおりにいっていないことも事実でございます。そうしてまた、一方においては兼業農家が相当ふえておる、これも事実でございます。そこで、兼業農家を整理して自立経営農家を進めていくのかと、こういうお尋ねでございますが、兼業農家がいずれかに決定するといいますか、農業外に出るか、あるいは農業に戻るか、こういうことの決定に左右されると思いますけれども、構造改善を、兼業農家をも含めてやるかやらぬかということにつきまして、次のように私は考えております。もちろん、自立経営農家を中心として構造改善をその方向に持っていくという方針はそのとおりでございますが、同時に、兼業農家を兼業農家として、また耕地を手放しにくい、あるいはまた農家として戻りたいという意図を持っておるものがあるわけでございます。こういうものに対しましては、やはり共同化といいますか、自立経営と同じような目的といいますか、方向に、これは共同化できると思います。共同によって、やはり自立経営農家的な方向に持っていける、一人だけでは自立経営はできませんが、共同によって自立経営が成り立っていく、こういう面があると思います。でありますので、私は期待といたしましては、兼業農家のうちで、ほんとうに他産業における就業の安定ができまするならば、そのほうで生活をしていくという向にいけば、反面、自立農家のほうの経営ということがありますが、これは強制をする問題ではありません。でありますので、兼業農家と兼ねて構造改善をするといたしますならば、自立農家は自立農家で育成の方針を進め、また共同化によって自立経営と同じような目的の方向へ進めていく、こういうものを進めて構造改善をやっていく、これが適当な方法である、こら考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 構造改善事業は、大体機械化という方向をたどっているわけでありますが、機械化の恩恵をとうてい受けがたい山村地域で、特に米作以外の作物が見込みがないというような地域、こういうものについて、単に第二次計画のワク内に入れるのだということの、それだけの考え方では解決できない体質的な問題が残る、そういう地域に対して、構造改善対策としては、どのように扱われていくおつもりですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 構造改善は機械化というだけではございませんので、御承知のように体質改善でございますから、その基盤である土地の整備、こういうことも大きなファクターとして考えておるわけでございます。ところが、いまお話のように、山村でございますが、米作地帯でないところの山村、非常に耕地の少ない、あるいは山林を国有林等に依存しておるというような所におきまして、平地の米作地帯あるいは耕地のわりあい多いところと同じような形で構造改善をしていくということは、なかなかでき得ないことであると考えます。山村地帯につきましては、山村としての構造改善も考えて進めたいと思いますが、まあ国有林の問題等もそれに関連いたしまして、たとえば構造改善における畜産面の草地造成という面もございます。あるいはまた、山村の人々が、国有林その他との関係におきまして、林道等によって利益を受ける面も相当ありますので、林道の開発、改善というようなことによりまして雇用の機会等も多くしていく、そういうようなことで、実は山村の問題は特に研究しなくちゃならぬと思いまして、御承知のように予算面におきましても調査費等を設けまして、山村は山村として特別にまた対策を進めていきたいと、こう考えておるわけでございます。

牛田寛公明会

○牛田寛君 いわばこの農業不適地といったような非常に構造改善のめんどうな場所がある、現在、たとえば新潟県の川西町のごときは、一部の部落等では挙家離村が起こっている、それに類したことがあちらこちらにだいぶあるようであります。そういうところの対策として、いわゆるもう農業の構造改善の前向きの方向の対象にはならないというような場合、そういう場合には、どうしても離村の形が多く行なわれていくのじゃないか、そういう場合に、やはり職業紹介であるとか職業訓練であるとか、あるいははそれらの住宅の確保であるとか、あるいは離村に際しての土地建物の買却、それに対しての援助のための離農資金というようなものも考える必要が新たに出てくるのではないかと思いますが、それに対するお考え、用意があるかどうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 一般問題といたしましても、雇用の機会を与えるということで、職業の訓練とか、その他あっせん等につきましても、労働省と連絡をとっております。特に今までのような山村におきましては考える必要があると思います。それから離農に対する資金の問題でございますが、これは石炭山等の問題につきましては、そういう制度ができてきております。しかし、いま山村の一家離農につきまして、離農資金というものをどういうふうにするかということにつきましては、現在そういう制度あるいは予算等を持っておりません。持っておりませんが、全般的な問題として検討すべき問題だとは存じております。が、資金の融通等につきましては、これは公庫資金その他によりまして融通の面はいたしていきたいと、こう考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 構造改善事業によりまして、各地域で果樹とか蔬菜あるいは牛乳、鶏卵等、そういうような作物が非常に急増しておる。そういう状況でございますけれども、たとえばミカンについてみますと、三十七年度の構造改善促進対策の実施地域の中で、地域数のうち二一・八%を占めているのがミカンです。静岡県の岡部町の例を見てみますと、三輪地区では目標年度として四十七年度までに三倍の生産目標を計画する。あるいは牛乳は地域の数の中で四六%、鶏卵は二〇%というような、いずれもそういうものが大部分を占めておりまして、五年から七年の間で三倍から五倍、あるいは場所によってはそれ以上八倍あるいはそれ以上というような計画が見られる。このように各種の作物が急増してまいりました場合に、地域的な需給計画の見通しをどういうふうに立てられておるか、この需給計画の見通しが、もし実情に合いませんと、そこから価格の不安定が起ってまいりまして、せっかくの農業の構造改善が御破算になるおそれがある。それに対する需給計画の見通しなり、それを立てる御用意があるかどうか、それをお伺いしたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 成長部門である果樹等が、場所によりまして非常に進んできておるという御指摘、そのとおりでございます。それに対しまして地域的に需給計画が立つかということでございますが、これはやはり地域性もある程度考えなくてはなりませんが、全国的に需給の計画性というものは持たなければならぬと思います。その全国的な需給計画の中に、ある程度の地域性も含まれる。こういうことが必要だと存じます。そういう面におきましては、計画経済的なものではございませんけれども、そういう見通し、予想を持ちつつ主産地形成というようなことを督励をいたしておりますし、また将来におきましては、そういうものができた結果におきましても、出荷その他につきましても、一つの地域といいますか、全国的に見ましても需給の調整を流通対策としてしていかなくちゃならぬ。そういうことも考えていきたいと思います。

牛田寛公明会

○牛田寛君 この構造改善事業の実施地域の認定のやり方を拝見しますと、あるいは私の理解が間違っておるかもしれませんが、地域別に、その地域の計画として妥当であるかどうかが中心になって認定が行なわれていると思うのです。それが全国的に積み上がりまして、ミカンならミカンあるいは牛乳、あるいは鶏卵の増産等が行なわれるわけです。そうしますと、もちろん大臣がただいまおっしゃいましたように、全国的な需給計画が当然立ってなければならない。と同時に、やはり広域的な需給計画、それににらみ合わした流通対策等も当然考えられなければならない。そういう地図ができ上がっていかなければならぬ。もしそれが不完全でありますと、そこに価格の不安定が起こる。そういう点で具体的なものを現在お持ちであるかどうか。また、もしなければ、いつごろまでに大体そのめどをおつげになるおつもりか、それをお伺いしたいわけです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) たいへんこまかくできた一つの、何といいますか、計画書というものはできておりません。大まかなものでございます。しかし、できるだけこれを深く掘り下げたものにして調整の基礎にしていきたい、そういうふうに考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 これは構造改善事業の上では重要な問題の一つだと思いますので、できるだけ早く見通しを、体制を立てていただくように要望しておきます。  それから、将来は各作物ともやはり供給のほうが多くなっていく。現状ではかなり値段が高いわけでありますが、将来は当然これは安くなっていくわけであります。現在の計画がどういうふうになっていくか、詳細は検討してみなければわかりませんが、生産費がどの程度切り下げられていくか、そういう各実施地域で具体的な見通しを立てて、その検討に対して認定を行なっておられるかどうか。生産費がどの程度切り下げられる見通しを具体的に検討しておいでになるか、その点についてお伺いいたします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 生産性の向上でございますが、増産による生産性の向上と、経費の節約による生産性の向上と、二つの面があろうと思いますが、構造改善事業を指定する際に、どれくらいの生産性が上がってくるかということは、それぞれの地区については大体の計算はいたしますけれども、総体的にどれくらい構造改善によって生産性が向上するかということにつきまして、なかなか計算がむずかしいので、そういう計算を総体的にはただいま持っておりません。ただ、いまの価格の問題でございますが、相当増産になって、したがって供給面がふえて価格が下がるんじゃないかというお話でございます。これはものによっていろいろあろうと思います。たとえば需要等につきましても、高級野菜等の需要が相当ふえておるという面もございまするし、あるいは牛乳等につきましても、伸び方はそれほどでもございませんけれども、今後相当伸びる可能性もございます。要するに価格の問題は、生産者に対しては生産の意欲を損わないようにしなくちゃなりませんと同時に、やはり需要供給によって決定される面も相当ございます。そういう面で、構造改善によって供給が非常にふえるから価格は下がるのじゃないか——一面、そういうものもあろうと思いますけれども、そういうことだけで結論づけるのは少し早いのじゃないかと、こう考えます。あらゆる方面から価格の安定ということをはかっていきたい、こう考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 私が申し上げましたのは、価格政策の面では、供給がふえれば値段は下がるわけであります。そのことはいいと思うのですが、同時に、今度は生産費が下がる。その生産費を下げる場合に、生産費を下げるだけの基盤をつくっていかなくてはならない。ですから、これは生産資材の面の、あるいは生産性の向上の面の、そういう一つの見通しの上からやはり力を入れていく点がいろいろとあると思う。そういう面での見通しをお伺いしたわけなのであります。その点は、やはり総合的に十分手落ちのないようにひとつお願いしたいと思います。  で、この点についてひとつ現在問題になっておりますのが畜産における飼料えさの問題であります。この畜産が構造改善事業の中でも重要な役割りを持っていることはだれでも認めているところでございます。現在えさが非常に高いということが問題になっております。畜産の生産費の中で飼料代が大部分であります。これはもちろん乳牛の場合、あるいは豚、鶏ではたいへん違いますが、鶏などはほとんどまあ生産費がえさ代と言っても言い過ぎではないくらいの性質のものであります。そのえさ代が非常に高くなっている。二割上がればもうもうけが飛んでしまうというのが実情ではないかと思います。現在そのようにえさが高くなっているということについての原因を、どう認識されておるか、また、そのえさの値段を安くするために、一体これからどういう方向に努力をなさるおつもりか、その点についてまずお伺いしたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) お話のとおり畜産におきましてのえさの占めるウエートが非常に多いし、また価格の点におきましても割合が非常に多いのが畜産の伸び悩みの一つの原因だと思います。でありますので、乳牛あるいは肉用牛等は、元来が草を食べるものでございますので、自給飼料——予算等にも設けてありますように、草地の造成等に力を入れて、自給飼料の面を拡大していきたい。あるいは濃厚飼料等につきましても、国外に依存しているといいますか、輸入面が非常に多い現状でございます。でございますので、こういう濃厚飼料の点につきましても、国内におきまして適当にこれが増産されるような指導を進めていきたいと、こう考えております。それから外国から輸入する飼料、これが濃厚飼料として大部分でございます。これの値上がりということが非常に強い場合におきましては、いまお話のように、畜産にまあ非常に大きく障害となって影響してくるわけでございます。でございますので、この価格面等につきましても十分考慮をしていかなくちゃならないと、こう考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 ただいまお話のありました濃厚飼料の中で、トウモロコシあるいはコウリャン等、アメリカの飼料の原料の輸入の増加が非常に目立っている。この点についてどう考えるか。将来もこの方向を推し進められる考えかどうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) トウモロコシ等は、日本で生産する場合に非常に割り高になっております。でありますので、トウモロコシ等は外国の輸入ということに、ある程度といいますか、いま相当程度になっておりますが、たよらなければならない現状になっております。しかし、その他の麦、大麦あるいはふすまに対する小麦、こういうものにつきましては、国内におきまして相当えさ用に増産を進めていく、こういうような方針で進めたいと考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 トウモロコシ、コウリャンは、現在、輸入飼料の六割を占めていると統計に出ておりますが、トウモロコシでなければ濃厚飼料の原料にならないのかどうか、かわりになるものがないか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) トウモロコシでなければならないということじゃございませんけれども、トウモロコシが非常にえさとしての栄養価値といいますか、そういうものがありますので、トウモロコシ、コウリャン等にたよっている面が多いのでございます。

牛田寛公明会

○牛田寛君 そうすると、現状においてはどうしてもトウモロコシに多くを依存しなければならない。そういうお考えでありましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 依存しなければならぬということでございませんが、トウモロコシでやっていくということが、畜産農家にとっても、価格との関連もございますが、飼育上非常に結果がよろしいということでございます。  それからトウモロコシのことで話が出ましたが、実は東南アジア等その他タイ国等におけるトウモロコシの増産、こういうことにも協力いたしまして、そういう方面からの輸入というようなことも将来考えられるのじゃないかというような進め方もいたしておりますことを、御質問にありませんでしたが、ちょっと申し添えておきます。

牛田寛公明会

○牛田寛君 いまアメリカから入ってくるトウモロコシの値段が急に高くなりました。その影響を受けて、それでだいぶん問題になっている。ことしの政府の飼料需給安定法による需給計画を拝見いたしますと、トウモロコシ及びコウリャンですね、この取り扱いは、ことしからはワクをはずしている、このようになっておりますが、これはどういうわけでありましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) トウモロコシは政府の輸入計画ではございませんで、民間で、自動承認制で輸入しておる、こういう関係なものですから、はずしてありますが、計画といいますか、この政府の計画の中に入ってありませんが、全体としてはこれも考えておるわけであります。

牛田寛公明会

○牛田寛君 ただいまお話のようにトウモロコシが濃厚飼料の非常に大きな部分を占めておる。しかも、なかなかそれにかわる飼料の原料がない。しかもその価格が非常に不安定、いわゆる外国の穀物事情によって非常に値段が左右される。しかも最近は非常に値段も高くなっている。そういう飼料の需給なり飼料の価格の不安定の最も大きな原因の一つになっているトウモロコシが、この需給計画の中からはずされておって、それで政府が飼料需給安定法による安定の操作が一体できるものかどうか、私どもは非常に疑問に思うわけであります。むしろそういうふうな飼料需給の不安定の原因になるようなものこそ、政府でお取り扱いになるべきじゃないかと思うのですが、農林大臣はいかがですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) トウモロコシ等の値上がりの原因は、世界的に見て、昨年共産圏のほうの小麦が非常に減産でございました。そういう関係で、小麦の買い入れがカナダ、あるいはアメリカ等から多かった。したがってその船賃が上がった、こういうような原因でございます。そういうようなことは別といたしましても、いまの飼料需給安定法は、扱いといたしまして、国が輸入する食糧の需要供給関係を取り扱っている法律になっておりますので、勢い民間の輸入等の供給あるいは需要というようなことが入っておらないのでございます。でございますけれども、お話のように需給関係は政府の扱うものばかりでなく、全体として、これは考えていく必要があろうと思います。現在の法律ではそういう取り扱いがしてありませんけれども、これは全体として考えていくべきものだと、かように考えております。

牛田寛公明会

○牛田寛君 そういたしますと、トウモロコシを扱わないのは、いわゆるトウモロコシが自由化となった、それが原因と考えてよろしゅうございましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 自由化というよりも、政府で輸入を扱っておらぬ。飼料需給安定法は、政府で輸入したものだけの関係なものですから、法律上は適用になっておらぬ、こういうことでございますので、自由化の問題とは別個です。

牛田寛公明会

○牛田寛君 それでは、将来トウモロコシを政府で輸入して飼料の価格安定に資するか、あるいは需給安定法そのものを改正して、飼料の安定のために、もう少し一段と進んだ措置をおとりになるか、何らかの方法をおとりにならなければ、せっかく構造改善で畜産振興をやりましても、えさの面から崩壊してくるだろうと思う。その点について、将来農林大臣はどういう方向に飼料政策をお進めになるおつもりか、そのお考えを承りたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) トウモロコシも政府で輸入する。そうして飼料需給安定法の中に入れるかということにつきましては、なお慎重に検討しなければ、結論はとても出し切れないと思います。しかし、えさ全体としての需要供給、こういうものを考えて、この線から構造改善その他につきましてもやっていくということは当然やらなければならぬ問題と思いますので、それはやっていきたい。いま申し上げても差しつかえない問題でございます。

牛田寛公明会

○牛田寛君 日本飼料協会というのがございます。これは飼料の輸入業者、配合飼料メーカー等が中心になってつくられているようでございますが、この協会が、大体その運営費の六五%をアメリカの飼料穀物協会の援助を受けている、こういうわけで、これがアメリカのトウモロコシ、コウリャンの輸入の急増の原因になっている。このためにアメリカの穀物の価格変動の影響を受けて、結局困るのは日本の畜産農家ではないか、そのように考えますが、その点はいかがでございますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 飼料会社の内容等につきましては、私も詳しくは承知しておりません。しかし、どういうこれが国内の飼料の価格に影響してくるかということ等につきましては、なお検討してみたいと思いますが、いまのところ、私その内容につきましてよく承知しておりませんので、なお検討いたします。

牛田寛公明会

○牛田寛君 ただいま大臣が、よく内容については御存じないというお話でございますが、日本飼料協会がアメリカ飼料穀物協会と協定を結びましたときには、畜産局長がその席においでになった。サインの席上にはおいでになっておるわけです、協定のサインの席上。ですから、農林大臣がそれについておわかりにならないということは、私ども非常に不思議に思われる。もう少しその内容について、ひとつはっきりしていただきたいと思うのであります。  で、その事業計画書を見てみますというと、トウモロコシ、マイロ等の輸入とにらみ合わして、添加剤の需給見込みの検討をやるという項目がございます。三十八年度の事業計画。で、添加剤の需給見込みの検討でございますから、問題はないようでございますけれども、添加剤の需給見込みの検討をやるためには、トウモロコシ、マイロの輸入の量がはっきりしなければならない。ところが、トウモロコシ、マイロの輸入をやり、そのトウモロコシ、マイロを使うのは、すべて協会を構成している飼料のメーカーであり、飼料の輸入業者である。そういたしますと、そこでやはり民貿として、民貿のワク内に入っておるトウモロコシとかは、そういう人たちの話し合いの場で輸入量がきめられ、値段がきめられる、こういうことになれば、考え方によっては独禁法違反の疑いも出てまいります。で、そういうことで飼料高になり、農民が苦しむばかりでなくて、構造改善事業そのものが、基礎が崩壊することになっては、これは問題だと思うのであります。その点について、いかがお考えですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) お話しの点でありますのも、十分そういう関連を調整していきたいと思います。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 質問時間が切れましたので、しかるべく御簡潔に。

牛田寛公明会

○牛田寛君 では最後に。ただいまトウモロコシで問題になったわけでありますが、トウモロコシはたん白質よりもむしろでん粉質が多いと理解しております。ですから、トウモロコシにかわる適当なものはないとおっしゃいますけれども、前にも問題になりましたイモ等も原料になるということも考えられるわけであります。現在このイモ等を原料にした配合飼料、そのほうの研究もあるようであります。その方面の開拓に対してやはり努力をしていく必要があるのではないか。それに対する大臣のお考えを承りたい。特に、構造改善事業がここまで進んでまいりまして、非常に主要な部分を占める畜産という問題を一つ取り上げましても、そのように、その畜産の基盤になる飼料政策が明確でない。先ほど申し上げました需給計画の問題についても、あるいは流通対策の問題についても、その有機的な関連というものが非常に欠けているように思います。これがこのままいきますと、せっかくの構造改善事業のプランが、全部、ただ青写真だけに終わってしまう。結局、その被害をこうむるのは農家である、こういうことになるわけであります。その点について、ひとつ十分なる対策をお願いしたいと思うわけであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 飼料としてイモを取り上げるべきではないか。そのとおりでございまして、先ほども申し上げましたように、麦、あるいは小麦、それからイモ等も、飼料としての取り扱いといいますか、増産、そういうものを進めております。それから飼料政策、あるいは飼料を中心として、畜産関係等におきましての有機的な連絡が不十分だろう。確かに十分だとは申し上げられない現状でございます。成長産業といたしまして急速に伸びてきましたが、その間において連絡等が万全だとは私も考えておりません。最近に非常に成長してきた部門でございますので、これは特に力を入れて、いまの総合性、それからえさの問題等も、実は肥料よりもえさのほうに支払う金のほうが農家として全体的にいって多いような現状でございます。そういうことでございますので、飼料の問題等につきましても、これは非常に問題も含んでありまするし、解決しなければならぬ問題がたくさんあります。でありますので、一そうこの畜産方面には総合的に力を入れて、努力して、遺憾のないようなふうに持って行きたいと深く考えておる次第でございます。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 牛田君の質疑は終了いたしました。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 委員の変更がございました。藤原道子君、大森創造君、高山恒雄君が辞任され、矢山有作君、米田勲君、曾祢益君が選任されました。   —————————————

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 次に、山本杉君。

山本杉自由民主党

○山本杉君 厚生大臣に伺いたいと思います。国民医療のねらいは医療費の軽減ということと、万人がよい医療を受けられるということでございますが、それには医者が絶対に必要なんですが、それなのに、なぜ政府は医者の養成を私立学校に依存しておくのでございましょうか。まずそのことを伺います。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 医者の養成が私立学校に依存する部分が相当ある、こういうことでありますが、これはある点は伝統と申しますか、従来からのしきたりでそういうことが出てきておる。これをどうするかという問題は、なかなかこれは大きな問題ですが、文部省あるいは厚生省と相談しなければなりませんが、これをいま大きく変えよう、こういうふうな考え方は持っておりません。ただ、国立の学校、公立の学校等に定員を、昨年度また明年度増加する、こういうふうな方向をとっております。内容は現在三千百人ぐらいの卒業を全体でしておりますが、三十八年度に二百二十名、定員の増加をいたし、また、三十九年度で百六十人か増加する、国立関係で。さような措置をとっております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いまのお話は、私立学校に依存するのをやめる気はないというふうに伺いました。今日、医者になりますのは大体において自家資本なんでございます。それで、私立の場合はほとんど家庭の資本で、国家補助というものは全然ないのですが、どれだけ金がかかるとお思いでございますか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 国立では一万何千円という授業料、ところが私立では大体年十五万円ぐらい。また入るときにも格段の相違がありまして、十万、二十万円の入学金と、また学校によっては施設資のお手伝いと申しますか、二十万、三十万と納めるところがありまして、国立と私立では養成費が、金がかかるのは格段の相違がある。これにつきましてはいろいろ考え方がありますが、私どもも今後は、やっぱり私立そのものも大きな役割りを果たしておりまするので、その学生のかかる経費を多少でも軽減させるというような方法で文部省にも考えてもらわねばならぬと、こういうふうに思っております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 ただいま大臣は官立と私立の経費の違いをおっしゃってくださいましたが、医者になりますにはどれだけの年限というものがかかるか、大臣御存じだと思いますが。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) いま医者になりますには大学課程で六年——教養が二年、専門が四年——一年のインターンと、七年かかる。しかもそれからすぐに開業というわけにまいりません。多くの方々がまだ数年、実際の修練を積むと、こういうことになりまするし、一応開業するにも四、五百万円ぐらい要るんじゃないかと、こういうふうに思っております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いま大臣がおっしゃっていただきましたように、たいへんな年限がかかります。それからまた本人の努力もたいへんなことでございます。またその上にインターンという一年間の期間があって、これに対してはその不合理がいまたいへん論議されておりますから触れませんけれども、そのあとで国家試験、それからおっしゃったように免許をもらっても開業ができない、医局生活というものを何年かやらなければならない。こういうようなたいへん長い年月と犠牲を払わなきゃならない医学課程というものに対して、厚生大臣はこれでいいとお考えでございましょうか、もう一度伺いたい。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) これはとにかくほかの学問と違いまして、人の健康、生命を預かる、こういうことで、慎重の上にも慎重を期さなきゃならぬと、こういうことでまあいまのような七年もの課程が必要となっておりますが、インターンそのものの一年をどうするかというふうな問題もいま検討をしていただいておりまするので、文部省等でもいろいろ考えておりますが、この年限を縮小するというようなことはなかなか困難ではないかと、こういうふうに思います。それにつけましても、費用がたくさんかかる、したがって、なかなか医師になることがいろいろ困難な事情にある、この事情を何らかの方法でもって軽減するというふうなことは考えるべきことであろうと思いますが、年限等につきましては、いまのところこれを短縮するというようなことは考えておりません。

山本杉自由民主党

○山本杉君 さっき厚生大臣は、開業するにまた数百万資本がかかるとおっしゃった。現在の日本の医療制度では、半分が開業医に依存しているかっこうでございますが、その開業医は、診療費のこまかい点まで統制経済の中で押えられて、そしてその統制というものが、ほかの社会では常識からいってもほんとうに不当だと思うような締め方で、これはまあ厚生大臣も認めていらっしゃると思います。しかも診療費の支払いというものは、三カ月後でなければないんです。で、毎日の生活はどういう状態かといいますと、これは全く自由経済の中で営まれているんです。官吏や公吏はちゃんとした保障がございますが、医者にはございません。また、開業医の生計というもの一——経営は家族労働といいましょうか、家内の方が手伝うことによってまかなわれ、そしてその時間も無制限に長い。こういう中で、国家として、国民医療にどうしても必要な医者を優遇する方法というもの、それは医学課程の年限は縮められないとおっしゃるのは当然でございますけれども、この医者を優遇する方法について何かお考えはございませんでしょうか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) これはまあ医療制度のあり方というふうな根本的な問題につながる問題でありまして、いまの制度でこのままよいかと、ことに四年前から国民皆保険というものが実施されたために医療制度が非常に変わってきておる、すなわち相当程度公的な性格を帯びてきておると、こういうことでありまして、医療制度全体が、従来の日本で行なわれてきたような開業医の制度あるいは病院の制度、こういうものが従来のまま、ただ引き継がれているだけでありまして、今日のように皆保険で、ほとんどの医療が保険を通じて行なわれる、こういうことになった場合、これは何か考え方がないかというふうな時期に私は来ているのであろう。外国等におきましても、もう医療の制度というものの一つの形がありまするし、そういうことで、いまの性格が変わってきたということからいたしまして、これは何も統制経済ということではございませんで、皆保険の結果、医療が保険を通じてのみ行なわれる結果になると、医療制度そのものは従来のままである、こういうことで、まあじきにどうこうということではありませんが、やはりあり方を再検討する必要があるのではないか、こういうふうに思います。むろん医業はいま自由業と申しておりますが、今日では営利業とはこれは申されない、しかし生活をささえるものでなくちゃならない、こういうものでありまするので、適当な方法、いまの医療点数等によってこれをやはり適正化していかなければならない、こういうふうに思っております。しかし、この医療そのものや医師そのものも、非常にこれは十人十色でございまして、必ずしも平均的なところがない、こういうふうな状態であります。しかも自由業のために、医者そのものの数は私はそう足りないとは思いませんが、非常に偏在もしている。しかも、それでは医者のないところへ行けば業務が成り立つかというと、またそういうところでは成り立たない。こういう問題がありますので、私は医療の形態と同時に、医療費のあり方、あるいは医療費と言わぬで医師に対する報酬と申しますか、そういうあり方についても、これからは少しでもその公的な要素を加味して考えてゆく必要がありはせぬかと、こういうふうに思っております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 公的な要素を加味して考えてゆく必要がありはしないかとおっしゃるわけでございますが、医者に対して、ただいまのところでは、税金は幾らか押えてあるということ以外には、何も優遇されている面がないわけで、もう少し開業に資本がかからないとか、あるいは生活が楽になるとか、あるいはほかの国のような程度に医者の生活程度を高めていただくとか、何かそこに方法がありそうに思うのですが、厚生大臣、その将来に対して、どういうふうにお考えでございましょうか、もう一度伺います。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) これはまあ多少の考え方があっても、これを述べるということはなかなか大きな問題でありますので、私から、いまわれわれが何を考えているかということは申し上げにくい段階でありますが、このままの姿ではなるまい、すなわち皆保険に応じた何かの方法が考えられるべきだろうというふうに思っております。公的な要素と申しますのは、たとえば僻地等に対しては、お医者さんを配置したくても行かれない、またこれを強要する方法もない、こういうことでありまして、いまでは私はたとえば非常な僻村、漁村等に対しては、やはり国で手当と申しますか、報酬と申しますか、ある程度援助するような方法も考えなければ、医師の偏在を防げないというふうなことに考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 厚生大臣のそれじゃ御意見は、公的なとおっしゃる以上は、医療国営的な考えなんでございますか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) そういう考えは全然持っておりません。医業というものが自由業であると、こういうたてまえはそのまま続けるべきである、かように考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは次に伺いたいのは、厚生大臣のおっしゃるいわゆる実態調査なんでございますけれども、実態調査をやらなければ事がきまらないとおっしゃるその事について、ちょっと伺います。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 実はもう御承知のように、この医療費というものが、項目なり点数なりが非常に複雑になっておりまするし、また医術の進歩もある、また医薬品の進歩もあるということで、点数なり、あるいは事項というものが相当いまの実態に沿わなくなっている。したがって、これらのものを、全体としてひとつ適正化をできるだけ早い機会にいたしたい、こういうふうに思いますが、そういう方面と同時に、医業というものが、これは経営とか、あるいは医業のあり方とか、施設とか、いろいろの面でやはり実際を調べなければ、いまの医療費がはたして適正であるかどうかわからない。たとえば、その他の料金値上げにつきましても、必ず実態調査と申しますか、実情の調査をして、その上で料金の適正なあり方というものがきまっていく。こういうふうに思いますので、医業につきましても、私どもはやはり実態調査をして、どういうところにいまの医療費の点数なりあるいは項目なりの適正でないものがあるかということをやはり調査をし、研究をする必要がある、こういうふうに思うのでありまして、これは何も医業のほうの立場に立ち入って干渉するとか、あるいはまた家計調査のようなことをするとか、そういうようなことでありませんで、医業そのものがどう経営され、どういう方面においてその欠陥があり、あるいは足りないところがあるか、こういうことも調べてみたい。また薬の使い方等につきましても、いろいろいま問題がありまして、たとえば医療費が最近非常に大きくふえている内容については、医薬品の使用が非常にふえているとか、こういうふうな実情もありまするので、これらのこともひとつ調べて、客観的資料を得た上でひとつ適正化をはかりたい、こういうふうに考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 大体いまのお話でわかったような気もするのですけれども、どうも現在の診療担当をしております医者というのは、さっきも申しましたとおり、きびしい統制を受けております。しかし、その中で体面を保っていきたい、また医学の進歩におくれたくない、そういうような意味合いから、仕事や生活の裏面に相当に、実態調査をされてもそれに報告できないような隠れた実態があるというようなことも考えないわけにはいかない。  それで、まあたとえば医療の現実の状態の中で取り上げられることでございますけれども、保険基金の人が来て、なるほどこれじゃ御無理でしょう、審査というのは書面審査なんだからつじつまの合うように書いたらよいでしょうというふうに、生きる道をそれから教えられるというような医者もある現状でございます。また、検査は認められるのだからといって、一人の病人に二十種類も四十種類も検査をするという実例がございますが、こういうことを見ますと、これは医療というものが、国民医療が邪道に一おちいりつつある事実ではないかと思うのです。それで、厚生大臣がおっしゃるように、実態調査をしてそれをつかみたいとおっしゃいますけれども、今度のなされ方ではたしてその実態がつかめるかどうか、私は非常に疑わしいと思うのでございますけれども、もう一度そこのところをおっしゃっていただきたい。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 実態調査は、厚生省が一方的に独断的にやろうという考えは持ちません。したがって、これは医師会等の協力がなければできないと、こういうふうに考えているので、調査の方法等についてもこれは実質的に御相談をして、そうしてやっていきたい、こういうふうに思っておりまするので、これが天下り的であるとか、あるいは強制的であるとか、そういうことでなくて、そうして十分話し合いの上で方法なり内容なりをきめてまいりたいということで、いまお話を進めている段階でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは、次に伺いたいのでございますが、それは、ほかのお役所では、自分に関係のある団体というものは育成をしよう、そうして働きやすいようにして国家の役に立てようというふうな気がまえが見えるのでございますが、どうも厚生省と医師会とはいままで対立関係でございました。そういうわけをひとつ伺いたいのです。どういうわけで厚生省と医師会が対立しなければならないか。医師会の態度が悪い悪いとおっしゃられる面もずいぶんございますけれども、私は医者は本来けんかを好むものだとは思わないんです。やはりそこにどうしても医療費を是正していただきたいとか、いろいろな問題がからんでくるからだと思うんですが、厚生大臣は、厚生大臣の地位におつきになりまして、厚生省当局に全く反省の余地がないというものではないんじゃないかなあとお考えになった節もあろうかと思いますが、どうかそういう面についてひとつおっしゃっていただきたい。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 医師会というものは、これは厚生大臣の許可した公益社団法人でありまして、公益を目的とし、またかねて相互の親睦をはかる、こういうふうなたてまえであるべきでありまして、私はよく存じませんが、世間ではややともすれば医師会が政治的に走り過ぎる、こういうふうな非難もあるのでございまして、こういうことの非難の当たらないように私は医師会が適正に運営されることがぜひ必要である、こういうふうに思いまするし、厚生省もまたいたずらに、低姿勢と申しまするか、卑屈な態度をとらないで、そうして自分の関係の公益団体である、こういうふうな指導もすべきだ、こういうふうに思いますが、まあややともすれば、力の権衡と申しまするか、世間で何やかや言われるような事態のあったことを私は遺憾とするものでありまして、お互いに本来の立場に立ち返ってそれぞれの運営をすれば、話し合いの上で協調してこれらの面も円満にきめられるものと、こういうふうに考えておるのでありまして、私どもはあくまで、あるいは実力行使とか、あるいは政治的の圧力とか、そういうことを避けて、そうしてこれはお互いに医療そのものについては共通の目的を持っておるのでありますから、共通の目的に向かって協調すべきものである、そうすれば私はうまくいく、こういうふうに考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 じゃ、もう一度伺わせていただきますが、医療問題が現在の段階まできて、たいへんなんでございますが、これから医療費の是正であるとか、医療制度の改善というものに向かいまして、医師はますます団結をしていかなければならない段階だと思うんです。それなのに、何か医師の団結を分裂させようとかいうような動きがあるんじゃないかということを心配して、言っている人がございますけれども、私どもはそういうひが目なのかなあと思ってこれを見てみるんですけれども、どうもそういうふうなことが考えられる。そこでギブ・アンド・テークということが政治の賢明な様態でございますならば、けんかを助長させるというようなことは全くプラスにはならないんですから、そこでひとつ厚生省として医師会をうまいぐあいに育ててやろうというお気持ちに立ってやっていただけぬものでございましょうか。もう一ぺんその点、厚生大臣に念を押してお伺いしておきます。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 医師会の選挙等もいま行なわれておりますが、これが内部問題につきましてはわれわれの関知するところでありません。むろん、医師全体がまとまって、そうして医療の向上、公益の増進、こういうことにおつとめになるのが私はその役目であると思うのでありまして、そんなことを言ってはどうかと思いますが、従来われわれが指導するなんと申せば、非常にまたしかられたような部面もあったのでございますが、私どもはたてまえからいたしまして、医師会が本来あるべき姿に厚生省としても指導申し上げると申すか、また協調すると申しますか、そういうあり方でいくべきである。したがって、医師会がまとまって、そうして全体の意向が反映できるような運営、組織を私どもは希望いたしておるのであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは、少しこまかいことを伺いたいんですが、医療金融公庫のことでございますが、ことしはだいぶ多くなりまして、その数字について伺うことも要らないと思いますが、この医療金融公庫の貸し付け金でベッドがどのくらいできるとお考えでございましょうか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 医療金融公庫は、御案内のように、開業医の医療施設に対するお手伝いをする、こういうことで発足したものでありまして、現在まで貸し付けの残高が二百数十億あり、また来年度では百三十五億が予定されておりますが、これらの内容につきましては局長からひとつお答え申し上げます。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫は、創立以来昨年の十二月までに、新築資金百三億円の貸し付け決定によりまして、医療施設等の不足している地区に二百三十四施設が新設されました。増改築百七十六億円の決定によりまして、三千六十施設が増改築をいたされているわけでございます。また、病院の病床は、新設または増床によりまして、病床の不足している地区に計五万八千八百七十五床が増加をされているわけでございます。  なお、三十九年度におきましては、百四十五億の貸し付け計画を持っておりまして、約二万床程度の病院の新増設と約四百六十施設程度の診療所の増加が可能である、かように考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは、伺いますけれども、その病床増に対して医者と看護婦がどのくらい必要になるとお考えでございますか。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) 医療施設調査によりますと、三十七年の十二月末現在、医師数は十万五千でございます。で、この対比でいきますと、これはおおむね西欧諸国並みだと考えられているわけであります。で、医師の充足のためには、三十八年度以降におきましても入学定員の増加がなされておりまして、三十九年度にもやはり増加があるように承っているわけでございます。したがいまして、かようなことを考えますと、ただいま申し上げました増床に伴う医師というものはほぼ充足する、かように考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 看護婦はどのくらい不足しますか。三十七年度じゃなくて三十八年度もおっしゃってください。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) 看護婦の不足でございますが、大体、病院で一万四千から一万六千程度の看護従事者が不足する、かように考えております。これにつきましては、当委員会でも厚生大臣からお答え申し上げましたように、所要の充足の措置をとり、また将来ともこの措置を増強いたしたい、かように考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いまの御説明の看護婦の不足数は、現在すでに不足しているという数でございましょう。私が伺っておりますのは、その医療金融公庫並びに——これは言いませんでしたが、公的ベッドもまた六百ぐらいふえるような話、これに対して看護婦がどのくらい足りなくなるのか。三十九年度のことを伺っているのです。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) 医療金融公庫の二万床増設に伴って幾らそれが不足するかというふうなお尋ねかと思いますが、これはいまの程度でいきますと、養成施設の増ということもございます。それから、いろいろな諸施策の充実ということもございますので、約一万四千名から一万六千名という私の御答弁申し上げました数字とあまり大差はないと思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 何べんも伺って恐縮ですが、現在一万四千名から一万六千名くらい足りない。それに増ということがあって、どれだけ足りなくなるかと私は聞いているのです。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) 三十七年度からの不足の総数を申し上げますと、三十七年度は約一万四千二百名程度の不足であったと考えます。それから、三十八年度につきましては一万六千八百名、三十九年度につきましては一万七千三百名程度の不足である、こういうふうに考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 厚生省は、昭和四十年ごろまでにはこの看護婦の不足を解消するということを言われておるのでございますけれども、いまのようなお話で、三十七年度が一万四千名、三十九度になると一万七千名くらいになりますが、どうやって解決するつもりですか。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) お答え申し上げます。第一は、施設の増ということでございます。それによりまして看護婦、准看護婦の養成を画期的に行ないたい、こういうふうなことでございます。これが何と申しましても中心でございます。それから、現在看護婦の免許を持っておりましても、就業をしておられない方がたくさんございます。これにつきましては、パートタイムというふうな方法をも考えまして、これを第一線の看護業務に充足をいたす、こういうふうなこともございます。それから第三点には、このような養成計画というものは、やはり机上のプランであってはならないわけでございます。したがいまして、施設に対する設備費の補助金あるいは看護婦生徒に対する貸与金の増額、このようなこともまた大事であるかと思います。それから、その次には、やはり何と申しましても、看護婦そのものに対する魅力というものを持たせるということが、これは大切かと思います。このような魅力というものは、一つはPRということもございましょうし、また看護婦自体の待遇の改善、かようなことも大切であろうかと思います。以上のような施策を総合いたしまして推進をいたしまして、でき得る限り近い機会におきまして看護婦不足を解消したい、かように考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 私どもが、これは自分かってな計算でございますが、三十九年度になりますと二万五千人くらい足りなくなるのじゃないかというような気がしているのです。それで、いま病棟を閉鎖しておるところもだいぶございますが、その理由のほとんどが看護人の不足ということなんで、こういう状態が続きますと、病院はつくったけれども開店休業におちいるということはずいぶん見のがせないことになってくると思います。そこで、いまの御説明ですけれども、看護婦の養成が大事な点だとおっしゃったのですが、いまこの看護婦の養成ということは、どういうふうな学校がどのくらいあってどうであるということを、もう少し具体的に説明していただきたいと思います。

大崎康厚生省医務局次長

○政府委員(大崎康君) お答え申し上げます。看護要員学校、養成所の総数は、施設数にいたしまして八百七十四施設でございます。これは三十八年四月一日現在のものでございます。その中に看護婦養成所の三年課程の施設が百九十一カ所、二年課程の施設が五十一カ所、准看護婦養成施設が五百七十カ所でございます。それから、これらの総定員は三年課程のもの一万六千三百四名、二年課程のもの二千三百三十八名、准看護婦養成所が総定員三万四千百七十九名でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いまのような御説明でございますが、魅力を持たせなければならぬ、それにはPRが大事だ、それからまた、パートタイムで免状を持った者が何人出せるかということを詳しくは伺わないのですが、それも伺いたいのですが、とにかく看護婦の養成ということが病院の付帯事業になっている現状でございます。それで、病院としては、もう非常にその少ない医療収入の中から地方に人を派遣して募集をするとか、それからずいぶんいろいろな苦労をして、それでもなおかつ足りないので病棟を閉鎖するというようなことになるんだと思いますが、まあ国家としてこんなに看護婦が必要であるということがはっきりわかっていながら、これをどうして国家の手で養成をなさろうとなさらないのか。いま准看の養成所が五百七十一あるということ、それから本看のほうは百九十幾つでございましたか、そういうふうで、准看を出ただけでは本看になかなかなれない。これは中学卒業ですから意識が低くて、ただ募集されてきただけで、看護婦になる気がないということで、まことに看護婦が足りない。それに対して国家的養成のお考えはございませんか。その点を厚生大臣に伺いたい。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 看護婦の養成につきましては、どちらかといえば、まあ政府が多少の手ぬかりをしておったと、こう言わざるを得ません。お話のように、この養成施設がほとんどすべての病院の付帯事業になって、その病院の経費でまかなわれておる。これも私はあるべき姿ではない。すなわち、看護婦養成の運営費等についても政府が相当のお手伝いをする、ようやくそういう考え方をまとめまして、ことしは実現をしなかったのでありますが、来年度からはぜひそういうことをやらなければならぬ。  それから、先ほどから施設の補助と申しておりますが、これも年額わずかに一億何千万円というわずかなものでございますが、これは看護婦に対する貸費の制度を設けておりますが、これも全体の看護婦については、金にして四千数百万円、わずかに一割にすぎない、こういうことで、看護婦養成に対する政府の措置というものはきわめて足りなかったと、こういうようなことをずいぶん認識を持ちましたので、次の機会にはこれらを大幅に改定をいたしまして、看護婦の養成について政府もほんとうに力を入れるのだと、こういうふうな態勢を整えたいと思います。  また、いまは病院の付属でございますが、文部大臣にも、ひとつ国である程度看護婦学校等をつくってやってほしいと、現在神奈川県にはそういうようなものができたと、こういうことでありますが、この面で国家養成する、こういうことについてもひとつ文部省の措置をお願いをし、ある程度大臣の了解を得ておる、こういうことでございまして、この問題につきましては、次の機会には相当大幅な改善をぜひしなければならぬということを考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 次に、母子衛生関係で伺いたいのでございますが、新生児訪問指導ということを厚生省はやっていらっしゃるのですが、これに対する三十九年度の予算と人員について御説明を願います。

黒木利克厚生省児童局長

○政府委員(黒木利克君) 三十九年度の新生児の訪問指導の関係でございますが、予算は一千四百四十万二千円、対象人員は四十三万三千人、一回当たりの単価が、七十円が八十五円に引き上げとなりました。

山本杉自由民主党

○山本杉君 その足代というものは何を基準にしてお出しになっているのですか。また、その人員というものはどこから割り出されたのか、お伺いします。

黒木利克厚生省児童局長

○政府委員(黒木利克君) これは御承知のように、助産婦に対する実費弁償的なものでございますが、この制度が昭和三十六年度から実施になりまして、その実績等で、従来の保健衛生の関係の助産婦の訪問指導の単価等を参考にして出したものでございます。単価はそのとおりですが、人員につきましては、三十六年度から実施をいたしておりまして、大体四十五、六万人というものをやっておるのでありますが、三十七年度に少し人員をふやしてみたのでありますが、結局対象をふやすよりも、むしろ重点的に指導の内容を厚くする。そうして、むしろ予防措置に重点を置くというようなことから、来年度は訪問指導費のほうは件数等を減らしまして、むしろ未熟児の養育委託費をふやしたり、あるいは妊娠中毒症の対策費をふやしましたり、あるいは、あらためて新しく登録管理を始めたりしまして、そちらのほう、つまり予防的な措置に重点を置いた次第でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 今日、施設分べんの数が多くなっていることは厚生大臣も御承知だろうと思います。都会では八〇%を上回ると聞いております。また、全国的に見ると五〇%くらいで、施設は非常に忙しいものですから、産婦は一週間足らずで、あるいは一週間で退院させられる。その新生児の保育ということは、未経験な母親一人ではとてもできない。赤ん坊を連れて外出するということも、今日の状態では不可能でございます。そこで、母親がたいへんな不安におちいるような状態になる。そこで、テレビやラジオや婦人雑誌が盛んに指導をして、たいへんこまごまとした指導をしているように見えるのでございますが、これは専門家に言わせますと、指導していないのも同然であって、むしろ混乱を与えて、見当違いの育児過剰であるとか、あるいは保護過剰が心ある人から指摘されているわけでございます。行き届いたところでは、この訪問指導ということが始まって、一カ月に三回も回るところもあると聞いておりますが、大体一ヵ月一回程度の訪問指導について、厚生大臣はこれでいいとお考えでございましょうか。その点についてお伺いいたします。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) ただいまのお話のように、いろいろの指導と申しますか、その指導書と申しますか、関係のものが出まして、むしろ混乱をしている、こういうふうな状態であることはそのとおりでございまして、厚生省としましても、これらの問題については非常に心配をし、もっと統一的と申しますか、たよりになるような指導書をつくるなり、あるいは指導するなりしたい、こういうことでございまして、福祉事務所にも来年から家庭児童相談室と申しますか、そういうようなものができて、そうして専門の人を置いてやるというようなことも予算ができておりますし、これらの方々がしっかりしたひとつ考えを持って指導に当たる。そこで指導するばかりでなく、相談にも応ずる、また、そのための講習とか、あるいは指導の要領とかいうものを厚生省でつくって、そうしてしっかりした考え方を持ってもらう、こういうふうにいたしたいと思っております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 私も小児科医の経験がございますが、そのおかあさんにほんとうに適切な指導の方法を与えますまでには、相当の時間がかかるということは経験上わかっているのでございますが、今日の病院の外来は混雑していて、とてもそんなことはできない。こういうような状態の中で、私たちは、今日の厚生行政の中で、この育児指導に当たるべき医者も保健婦もいないというのが実際の状態だと思います。これに対して、厚生省が、いま大臣がおっしゃったように、家庭分べんが少なくなって産婆の手があいたから、このお産婆さんを指導員に回したのだというようなことで、厚生大臣おっしゃったような、お産婆さんに指導要領というものでしばらくの時間講習をしたからといって、これを指導員にしていらっしゃるということば、分べん介助というということを主としてやられたお産婆さんにとってはたいへん迷惑なことだと思うのです。それで、この大事な人づくりの時期がこんなことで見過ごされていいか。これに対してもう一度伺いたいと思います。

黒木利克厚生省児童局長

○政府委員(黒木利克君) お説のとおり、育児の指導は専門的な内容にわたりますので、町村部におきましては、御承知のとおり、母子健康センターというものを現在二百七十七所つくっておりますが、これを普及いたしまして、ここの専門家が育児に当たる。それから、大臣がただいま申されました家庭児童相談室にも非常勤の職員を二人お願いをいたしますが、その一人は小児科等の経験のある先生にお願いするというようなことで、専門家を起用してまいりたいと考えておる次第でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いま局長から説明のございました、母子健康センターというものを全国で二百七十七カ所も設けてやっているとおっしゃる。これはたいへん評判がよくて、喜ばれている施設であるということは私もよく知っているのでございますけれども、この連合会の責任者たちの集まった会合での話を聞いておりますと、その結論は、今日のように産婆が不足したのでは、このよい施設も数年ならずして開店休業におちいるだろうということなんです。このように産婆がないということが事実であるのです。それなのにお産婆さんというものが適切に使われていないということが一つ。  それから、もう一つ私は申し上げたいのですが、分べん施設についてでございます。ポリオであるとか、あるいは精薄児の問題はたいへんここで質問が出ますけれども、出産という問題はないがしろにされていて、質問が出てこない。今日、大都会の東京でさえも、施設の名がありさえすれば、そこで現代医学が要求しているようなお産ができるというふうな錯覚におちいってしまって、しかし、その施設には、設備の点、人員の点、特に非常の救急処置対策というようなものは十分だとは思えない。それで、私は、その施設の中に正規の助産婦さんをりっぱに活用することを考えていただいて、そうして乳幼児の保健指導などに使わないように、それから、また、母子健康センターも自画自賛していらっしゃいますけれども、これがほんとうによいものであれば、将来性のあるようにはからっていただきたい、こういうことを考えるわけでございます。これにはお答えはいただきません。  次に、私は、児童局長が今度は家庭局長におなりになったのだろうと思いますが、厚生省が家庭局をおつくりになったような気持で、私は、ひとつ機構というものについてもう少し真剣に考えていただきたい。それは、いまも申し上げた新生児の訪問指導とか、あるいは正規の分べんとか、そういうようなものが医務局で扱われているということは、はなはだ矛盾だと思うのです。こういうことに対して厚生大臣は育成局といったようなものをおつくりになって、新しい生命の育成をそっちのほうで扱うというふうなお考えにはなっていただけませんか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) いまの問題は各省にまたがる問題でありまして、たとえば青少年局を設けるとか、いろいろ話がありますが、私ども、ようやく実は厚生省としまして、昨年から児童の健全育成、こういうふうなことを厚生省の仕事に入れる、そういうことにいたしまして、健全育成関係の課を持って、ようやくいまその仕事を担当する、こういうことにしておりますが、まだ局までは考えておりませんが、児童局の中でひとつ健全育成という問題を大きく取り上げて、これからもその仕事にだんだん重点を置いていく、こういうふうな考え方でいまいたしております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 その児童育成の面でございますが、今度は家庭相談員というのをお置きになる、その相談員の養成の問題になりますけれども、教育的な意味を持った高い程度のものでなければ意味がないと私は思うのです。それについてどういうふうなお考えでいらっしゃいますか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) これはお話のように、相当に専門的な教養を持たなければならぬということで、大学でもって、たとえば児童福祉、社会福祉、あるいは心理学、教育学等のことを修めた方に当たっていただく、こういうことで、いまこのための特別の養成というようなことは考えておりませんが、これらの方々をひとつ講習とか、あるいは指導とか、そういうことをしていくということで、基礎的に大学でそういう学問をした方にひとつなっていただくというような考え方をいたしております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは念を押して伺いますが、文部省のほうの社会教育委員というものは、社会教育指導主事というものは大学を出た人がなっておりますが、これとのからみ合いで、厚生省の家庭相談員も、大学を出た者に特別な講習をしてその任に当たらせるというお考えでございますか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 大体そういう考えでやっております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 企画庁長官に伺いたいのでございますが、今度企画庁に生活局というものをおつくりになると伺っておりますが、その構想と内容についてお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は一年半ほど前から実はございましたのですが、役所の機構を大きくするということは、納税者の負担がそれだけかかるということでございますので、どちらかといえば消極的な気持ちで昭和三十八年度は見送ったわけでございます。その後、諸般の情勢を考えまして、このたび別途に法律の改正案の御審議をお願いいたしているわけでございます。で、私ども基本的に考えておりますのは、経済の成長に従いまして、貨幣的な意味での国民所得というものは、かなり順調に大幅に伸びてきたと思いますが、その反面、それが真に国民生活の福祉であるかどうか、貨幣的な所得、あるいは消費水準が上がるということが必ずしも幸福というものにつながらないという、これは広範の問題が出てきているわけでございます。したがって、国民生活局の設置をお認め願うことになりましたら、第一に、基本的には国民の福祉というものはどういうふうにすれば向上し得るものであるか、まあできれば福祉というものを指数で表現することはできないだろうか、それは新しい試みでございますから、そう簡単に完全なものはできるとは思いませんけれども、しかし、福祉度というものを何か統計的にとらえることはできないだろうか、そういう研究を基礎にいたしまして、福祉度が高まるためには国民経済のもろもろの資源をどういうふうに配分をしたらいいかという、そういうことをやってみたいと思っているわけでございます。私どもの役所は企画官庁でございますから、具体的に実施をいたしますのは、これは各省にお願いをしなければなりませんけれども、そういう観点から、国民経済の資源の適正な使い方というものを考えてみたい、それが一番大切な仕事だと思っております。  次には、消費者としての国民の立場から、いかに消費者が賢い消費者として行動し得るかというようないろいろな問題、たとえば品質でありますとか、量目でありますとか、あるいは誇大宣伝の防止でありますとか、いろいろな問題があると思いますが、いわゆる消費者行政というものを家庭なり家計なりにつながったような形でやっていきたい。  それから、もう一つは、多少具体的になりますけれども、消費者の立場から、消費者物価の安定というものをどういうふうに考えていくか、ほぼこういった仕事をいたしてみたい。できるだけ最小限の規模と人員で能率的にやってみたいと考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いまその消費が高まって日本国民の福祉度を高めるというような方向へということをおっしゃったのでございますが、私は、その消費者物価というものと社会保障というものとの関連ですが、それについてどういうふうにお考えでございますか、ひとつ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 福祉度と申しましたのは、広い意味で、貨幣的な形でばかりでなく、生活の向上そのものがすなわち幸福であるという、そういうはかり方を研究したいと考えておるわけでありますが、社会福祉は、したがってそういう福祉を実現いたしますために国としてどういう施策を講じ得るか、どういう施策が講じられなければならないか、そういう広い意味では、そういう一環として考えなければならぬものだと思うわけであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それではもう一つ伺いたいのは、消費者行政以外の、国民生活全般にわたってどういうふうな構想でいらっしゃるのか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国民生活全体についてどういう構想を持つかというお尋ねは、非常に広範なお尋ねだと思いますが、少なくも、いままでいわゆる公害でありますとか、あるいはストレスでありますとか、また、現実に貧困でありますとか、そういったようなものをはかる尺度といたしまして貨幣的な表現しかなかったわけでございますが、これでは貨幣的な貧困ははかれますが、生活の内容そのものははかれないわけでありますから、それを何かの形で、長年かかると思いますけれども、ある程度ものさしを考えてみまして、そのものさしではかって、国民全体の幸福にならないような施策というものはやはり考え直していかなければならない。積極的に国民の不幸になる施策というものは、これはあり得るわけがございませんけれども、しかし、経済が高度に発展いたしますと、結果として、かなり多数の人に不幸を招くような結果になることはあり得るわけでございますから、そういうことがないような尺度なり、経済資源の配分なり、基本的な——企画官庁でございますから、実施をいたすわけではございません。そういう基本的なものの考え方というものを、少し抽象的でなく、具体的に立ててみたい、こういうことを考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 私ども一般国民として考えております国民生活局というものと、いま御説明にあずかりました企画庁の国民生活局というものの間にはみぞがあると思うのです。私たちは、農政局に農村の生活改善課というものができましてもう十五年、農村で相当な効果をあげて、国民生活のその面での成長というものに大きな力を尽くしていただいたことをよく知っておりますが、その都会版というようなものができるほうがいいのじゃないかと考えるのですが、これに対して長官はどう考えますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の意味はよくわかるわけでございますが、私どもは、一般に生活のパターンというものまで考えてきめようという考えは、これはむろんございません。のみならず、具体的な与えられた——たとえば農村でありますとか、都市の勤労者でありますとか、あるいは生活保護世帯でありますとか、いろいろな具体的な与えられた生活のあり方というものの指導は、これは現実に実施される官庁でお考えいただくべきものであって、私どもがそこまでいたすことは行き過ぎではないか、むしろ国民経済全体としてどういう考え方をしたらば一般的により幸福な生活というものが可能であるか、そういう基本の考え方を定める、それを御協議をして、御賛同のもとに、それを具体的な生活指導の面でやっていただく、こういうふうに考えておるわけであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 企画庁が企画官庁であって手足を持たない官庁であるからと、こうおっしゃることはよくわかるのでございますけれども、どうも国民生活局が福祉度を上げるという点から、下水道であるとか、あるいはし尿処理であるとか、あるいは住宅問題まで手をお伸ばしになるというようなところまで伺っておりますが、そういうふうな面で実際に仕事をなさるときに、厚生省との調整をどうなさるのか、また、文部省の婦人教育課あたりでやっております社会教育の面をどういうふうに調整していかれるのか、そういう問題を最後にひとつお聞きいたします。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) やはり私どもが国民経済というものを考えますときに、二つの面から考えているわけでございます。一つは、所得倍増計画といったような時間の系列におきまして国民経済がどうなるかということ。もう一つは、全国総合開発計画といいますような、平面の系列において国全体の分布という姿でこれを考えているわけでございます。その両者は当然に一致するはずのものでございますが、しかし、そのいずれの場合にも、なお表現される表現は、やはり貨幣的なものになってまいっておりますわけで、そのことが経済の成長に伴なって、現実に国民に必ずしも福祉をもたらしていないということになってきているわけでありますから、そこへもう一つ、国民の福祉という観念を、新しいものさしを入れて、それらの二つの計画をそういう尺度からも判断してみたらどうだろうかというふうなことを考えております。したがって、そういうことが可能になりますと、ただいま御指摘になりました、し尿処理でありますとか、下水道でありますとか、そういったものの公共投資がいかにあるべきかということが答えとして出てくるはずであります。そういう作業について各省加わっていただいて、その上でまた具体的に実施していただく場合には関係各省になると思います。私どもには具体的な実施の面まで申す力もございませんし、また、そういたすべきでありませんで、基本的なキープランができましたならば、それを厚生省なり建設省なり文部省なりで、そういう考え方のもとに施策をしていただく、権限でつまらない摩擦が生じないように十分配慮をしてやってまいるつもりであります。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 山本君の質疑は終了いたしました。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 次に、赤松常子君。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 さっそくでございますけれども、私質問の通告の順を変更いたしまして、法務大臣が公的な会合の御都合がおありになって、たいへん急ぐようでございますから、まず法務大臣に一、二簡単にお尋ね申し上げます。  それは、もうすでに御承知のように、売春関係の更生女子のアフターケアの施設といたしまして、婦人補導院が東京、大阪、福岡に施設がございますことは御承知のとおりでございます。本年二月のその収容者の数を調べてみますと、この数カ所の婦人補導院で百十二名でございます。定員は二百七十三名となっておりまして、その半分にも満たない。もちろん私は罪人の増加、多く罪人ができることを決して望んでいるものじゃございません。私も以前法務の委員をいたしておりましたときに、こういう問題についていろいろ警察庁の方にお尋ねしたことがございます。そうしますと、警官の手が足りないから、一々そこまでついていくわけにはいかぬ、取り調べのために時間を取られて困るという、こういうお答えでございました。やはり最近の町の実情は、潜在、顕在さまざま、悲しいながら、われわれの仲間の人がそういう仕事についている姿が漸増していると思います。にもかかわらず、こういう刑務所、補導院に入っている人々の数が、こういうふうに定員に満たないで減っているという事実、このギャップ、これをどういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか、お尋ねいたします。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いまのお尋ねは補導院のお尋ねでございますが、それにつきましては、問題が問題でございまして、ああいう問題がまだまだ一般世間に深刻に考えなきゃならぬというのは、文化国家としてまさに恥ずかしいことだと思います。その取り締まりその他には十分に努力をいたしておるつもりでございますが、収容施設等につきましては予算の制約もございまするし、まだ施設の規模、収容力のほかに、一人当たりの収容平均期間等にもいろいろ問題がございますが、漸次予算を充実いたしまして、その点におきましても不足のないように努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。現状が十分とは思っておりませんが、だんだんに充足してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 もうこの売春防止法ができましてから数年たっておりまして、非常に社会の批判と申しましょうか、あまり評判がよくない。婦人の側からは拍手をいただいた法律でありましたけれども、ほんとうに私ども社会の浄化を願うこういう立場の者は、もっともっと取り締まり当局に熱意を持ってもらいたい、こういうことも常に要望しているのでございますが、私、法務委員をいたしておりましたのは一昨年でございましたが、そのときからすでにこういうことを警察当局がおっしゃっていたのです。警官の方が足りない、予算が足りない。その後どういうふうに増加のために御努力をなさったでしょうか、簡単でよろしゅうございます。どうも熱意が足りないということを私強く感じておりますから、どれくらい警官の数がふえたのか。この売春防止法の実効を上げるためにどういう御努力をなさったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いま仰せのように、いろいろの面から不十分だと考えてはおるのでありますが、しかし、この問題は、申し上げるまでもございませんが、一般の社会の徳育水準が高まりまして、婦女子の正しい意味の貞操観念とか、また、生活問題もからむ、また、そういうふうな全般の施設がきわめて大事だと思います。同時に、いまの補導院でありますとか、その保護観察等の取り締まり面におきましての法務関係の努力は、もちろんその一環として大切でございますが、ただただ厳重に取り締まるというばかりで済むわけにもまいらぬ面がございます。しかし、ただいまは御承知のように、間接的な行為自体の取り締まりはいたしませんが、管理売春、あるいは勧誘とか場所の提供とかあっせんとか、そういうむしろ社会的に申しまして問題の起こるもとのほうに力を注ぎましていきたい。  なお、補導院その他につきましては、私個人の感情としましては、もう少し病理的な方面に力を尽くしていきたい。ただいまのところでは、ただ入れて道義的に感化があればそれでいいということでございますが、同時に、多少精神面とまではいきませんでも、変質的な者等が非常に多いのであります。精神薄弱、そういうふうに、もう少し科学的にこの問題を考えていきたい。いまでもいろいろ投薬とか電気衝撃療法とか、いろいろやっておりますが、そういう方面がもう少し病理的、科学的方面が足りないんじゃないか、そういう方面と道義的方面をあわせて進んでいかなければならない。そういう方面の施設もだんだんにひとつ充実してまいりたい、こう思っておる次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 同感でございます。アフターケアの施設をもっともっとふやしてまいりたい、よき指導員をつくってまいりたい、社会全体の道義的方面のレベルを上げていく、こういう問題のために、きょう文部大臣は要求いたしませんでしたけれども、純潔教育の費用など、予算が非常に少ない。そういう根本的なところにもっと行政指導が必要だと考えております。で、今秋はオリンピックが開催されます。国際的な祭典です。多くの国際的な交流も行なわれますが、東京の都市ほど世界の大都市で不健全な野方図な享楽的な遊び場の数が多いところはないということで、国際的に悪評を私どもは聞いております。これは東京という都市だけではないのです。日本の中小都市にだんだんそういう弊害が浸透しておりますことは御承知のとおりと思います。ある外人が、観光客は日本に行くと特殊な遊び場があるからということで、それが魅力で行く。実に私ども恥ずかしいということも言われておりますが、いろいろこれは風俗営業法の問題その他の問題に関連しまして、ほかの省の監督下、管轄下にある問題でございますが、特にこういう売春関係の面に対しまして、法務当局の対策、日本の恥ずかしいところを見せたくないという、そういう面の御考慮、対策をもう御準備していらっしゃいましょうか、あれば伺いたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) この秋にオリンピックが開催されるにつきましては、これは単に直接問題ばかりでございません。いまお説のように、この日本というものが正当に世界各国国民に理解せられ、誤解されないように、これはきわめて重大でございまして、むしろそういう間接の方面に非常な重点を置かなければならぬと考えるわけでございますが、その一環として、いまお示しの問題が非常に重大な点だと思います。日本がいろいろ進んだとか何とか申しながら、来てみると後進国、未開発国と同じだというような批評をとるようでは、ことにその問題につきまして不評をとるようでは、まことに恥ずかしい話でございます。その点につきましても、ほんとうに道義的に進歩した国であるという印象をはっきり持って帰ってもらいたい。しかし、それには心配しなくていいかというと、ずいぶん心配な面がたくさんあるのでございます。ただ、いままで申し上げましたようないろんな恒久的の面は、いまとしてはまあ時期的にもうあまり間に合いません。それで、一番大事な点は取り締まりの点だと思いますが、これにつきましては、まあ最近トルコぶろの問題などが出ておりますが、厚生省、あるいは警察におかれましても、十分にその点を考えて、こういうものが許してあるという非難がないようにするべく十分に注意し、処置されることだと私ども信じております。そのほか、大体警察取り締まりということは非常に大事だと思いますから、警察当局におきましても十分に考えておられるように私も聞いておりまして、それがなお検察当局の問題になるような場合には、われわれも十分に協力してまいりたいと思います。  また、ただ一点逆の心配もしておりまして、あまり取り締まりが行き過ぎまして、来ました外国人のプライバシーをあまり侵すようになりましても、また逆の問題が起こると思うのでありまして、そういう点につきましても注意してまいりたい。そこで、非常に困難性がございますが、両方の点から十分に注意してまいりたい、かように考えている次第であります。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 最後にお願いいたします。さっそくに警察庁あたりと御相談なさいまして、具体的な対策なり、あるいはその取り締まり方法なり、あなたさまの言われた外人のプライバシーを侵してはいかぬという、そういうかなり両面の問題があると思うのですが、よほど慎重に対策をぜひお立て下さいまして、われわれに、この国会を通じてお示しいただきたい、これをお約束いただきたいと思います。どうぞ。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) 検察当局といたしましては、法務の関係といたしましては警察等で問題になりましたものを、どう処置をするかということでございます。この処置につきましては、一方非常に厳重にいたしますと同時に、多数の外国人、それも言葉もいろいろ違った各国の人が見えるわけでございます。そこで、取り調べ等につきまして、また不測の行き違いなどが起こりますと、たいへんにこれがまた、いろいろな意味で、いろいろな角度から誤解を生む原因にもなると思います。そういう点につきましても、特に配慮をいたしていくように、内部では十分指示しております。  それからまた、警察等の取り締まりもやはり同じような意味で、緩厳両方と申しますか、むずかしいと思いますが、その点につきましては、警察当局のほうにおきまして、いろいろ考えておられると思うのでございまして、そのお答えは警察当局にお譲りいたしたいと思う次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 どうぞ法務大臣お引き取りいただいてけっこうです。  次に、売春関係の更生女子の問題で関連がございますから、厚生大臣にお尋ね申し上げたいと思います。  いまお聞きのとおり、アフター・ケアの問題の中で、いろいろ施設がございますが、このコロニーの問題は、実は三十七年度に、すでに水田大蔵大臣時代に予算を六千万円取りまして、日本で初めての更生女子の収容施設を作る計画ができておったわけでございます。悲しいことでございますけれども、こういう仕事に行かれておるわれわれの仲間の方の七〇%の人は、少し知能の低い人でございます。それをそのまま放置して、ただ引っぱって、たまたま引っぱって刑務所に入れる、補導院に入れる、刑期が満ちたから外に出す。こういうことでは、出たり入ったり同じことを繰り返すにすぎません。その間に、社会に大きな害毒を流す結果になるのでありまして、そういう方々は、どうしても生涯を国が見てあげるという、そういうコロニーの建設は、この問題を扱ってみて非常に重要なことだと審議会全体が声をそろえたわけでして、その陳情が効を奏しまして、いま申しましたように六千万円の予算で千葉県の館山市に三万坪の国有地を払い下げまして、そうして工事にかかろうとしたところが、政府の国庫負担は六千万円のうちの六分の一しかお出しになりませんでした。千百三十万円にしかすぎませんでした。あとの金は、大衆募金に委ねよう、こういう条件であったのです。当時、そういうことに対する反対の意見も申した次第でございますけれども、この機会に、こういうことをとりあげなければ百年河清を待つ思いがするということで、不満足ながらこの条件を取り入れて出発いたしました。ところがその後一向に進捗いたしません。そうしてやっと本年の初めの計算によりますと大衆募金は、たった五百万円にしかすぎないのでございます。こういう状態で、まだたたずんでおる状態でございます。私どもは、こういう日本の初めての精薄更生女子の容収施設のでき上がることでなければ、売春防止法を作った、そのほんとうの結論を生むわけにいかない。いつまでも種がまかれて、ほったらかされている、こういうことでは非常に不満足でございます。どうぞ厚生省で、この後のコロニー建設に対する、あるいは予算の裏づけを、どういうふうにお考えになっているのか、また、その工事はいつ着工なさるのか、見通しと、それから厚生省の決意をお伺いしたいと存じます。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) ただいまのお話のように、昭和三十七年度に予算が一応成立したのでありますが、その後、土地の取得が非常にめんどうであったということで、三十八年度に繰り越されておるのでございますが、昨年の末に建設予定地として、お話のように、館山市の国有地の払い下げがきまったということで建設を始めておるのでございますが、整地等が非常にいろいろ困難がありまして、だいぶおくれております。しかし、いまの見通しでは、大体ことしの七月ごろまでにはでき上がると、こういうふうな見通しを立てております。  金の内容でありますが、六千万円あるのに国は千百万しか出さなかったということでありますが、工事費もいろいろ相談いたしまして、国の補助金のほかに、競輪の益金から二千万円、法人が自己資金で一千万円、社会事業振興会から二千万円を借り入れる、こういうことで、大体めどがつきまして進められておると、こういうことに相なっております。なお、いまお話しのように、婦人保護施設というものは全国的に設けられておりますが、これらの収容人員は二千四百名、こういうことになっておりまして、大体、去年の五月までに入っておるものは千三百二十三人と、こういう数字が出ております。しかし、お話しのように、そのうちの三五%は、大体精薄の傾向のあるものである、こういうことでございます。コロニーの問題は、最初申し上げましたように、そういうふうな予定で、われわれも推進をはかっております。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 たいへん私明るい見通しを伺って、どうぞそれがそのまま進捗するように御監督、御指導下さいませ。  最後に、ちょっとお伺いしたいのでございますが、その施設の青写真、これももうできておるのでございましょうか、いかがでございましょうか。

牛丸義留厚生省社会局長

○政府委員(牛丸義留君) 私からお答え申し上げます。青写真はできております。すでに工事に着工中でございまして、建坪は六百五十坪の平家建てで、ただいま建設にとりかかっておるわけでございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 その青写真をお作りになるときに、婦人団体に意見を何かお聞きになりましたでしょうか。

牛丸義留厚生省社会局長

○政府委員(牛丸義留君) 設計については、いろいろと関係者の間で相談をしてきめておるようでございまして、団体の意見を聞いたか、私ただいまは存じませんが、十分連絡をとってやっておったと思います。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 私、いつも考えるのでございますが、そういう場合に、官庁だけで独走なさらないように、いままで関係しておる諸団体の意見、要望というものを全部取り入れて設計なさっていただきたい。いつも私ども不満でございます。でき上がって見て、こんなところが不便である、こんなところが足りない、こういうことをよく感ずる次第でございますが、いかがでございましょうか。

牛丸義留厚生省社会局長

○政府委員(牛丸義留君) 諸団体の代表を集めまして準備委員会を作って、そこで十分御意見を拝聴した上で設計して、現在、実施中でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 よくわかりました。どうぞ今後、そういうふうにしていただきたいと思います。厚生大臣は、この問題はこれでよろしゅうございます。ぜひその完成の早いことを祈っておる次第です。  次に、大平外務大臣にお尋ねいたします。本年のこの国会の最初の施政方針演説で、池田総理は、非常に力強く高度福祉国家の建設をお述べになりました。私どももちろん賛成です。その一点については賛成です。しかし、その高度福祉国家の内容、あるいはそれに到達するまでの手段、方法、これは政党それぞれの立場がございますから相違もあるのは当然でございます。どうぞ私は、そういう高度福祉国家の完成を早く達成して、日本の国民が、それぞれに持てる能力を十分に発揮して、そして経済的にも心配のない、人間性を高めて、お互いが信頼し合って生活していけるような、そういう姿が早くでき上がることを祈ってやみません。ところが、私その施政方針を伺いまして、私どもちょっと、もの足りない感じを抱いた次第です。それは幾ら高度の福祉国家が実現いたしましても、いまこの原子力時代を迎えたいま、やがて宇宙世紀も始まろうという現在、地球のいよいよ狭くなったことを感じます。そういう時代に私ども、ただ福祉国家の姿だけに満足しているわけにまいりません。原子力時代、偶発戦争も予想されます。どういう場合に人類絶滅の悲劇がやってくるかもわからない。もちろん部分的核協定ができましたから、米ソの歩み寄りもうかがわれますから、少しは明るい見通しも見えるわけではございますけれども、しかし、今日の世界平和の姿は、安心した絶対ゆるがない基礎の上に立てられた平和ではないと思うのです。武力の均衡の上に危うく保たれた平和にすぎません。そういういまの不安、恐怖を日本国民も、世界人類も胸に抱いていると思うのです。こういう不安、恐怖を取り除くその要望にこたえる次の世界平和の姿を政府は一体、どういうところに求めようとしておいでになるのか、これについてお尋ねしたいと思っております。まあここで、わが党の綱領の中にも、法治による世界平和の樹立、一つの世界国家の建設、これをわが党の綱領の中にも、うたっておりまして、そういう次の世界平和の構想を池田総理の御演説の中にお伺いしたがった、これが私ども、少し不満でございますが、政府のそういう点に対する構想、青写真をお示し願いたいと存じます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 世界平和、言うところの恒久平和実現に向かっての構想でございますが、いま御指摘のように、世界の単一国家ないしは世界連邦を提唱される方々もございます。ただ、世界連邦運動というのは、各国にもございまするし、わが国にも、これに加盟されておる方々もございまするが、私どもの見るところ、どういう構成原理で、この世界連邦なるものを推進していくのか、この運動をやられている方々自身の中にも、いろいろの考え方があるようでございますが、大きく分けまして国連を通じて世界連邦にいくのか、それとも端的に世界連邦実現への道を考えていくのか、そういう点につきましても、まだ御意見が定まっていないように承知いたしております。  私どもといたしましては、ただいまの国連、それは平和維持機構として、いまなお不十分でございまするし、その機能は満足すべきものではございませんけれども、しかし、人類が生み出したこの国連機構というものを強化充実してまいりまして、それが平和維持機構としての機能をますます果たすことができるように、これを盛り立ててまいるということが一番建設的であり、かつ実際的ではないかと考えております。今日の国連は、その要請に十分こたえているとは思いませんけれども、しかし、今日国連が、かりになかった場合を考えてみますと、いま、今日の世界の、先生が指摘された恐怖、不信というものはりつ然たるものがあると思うのでございます。不完全なものでございますけれども、これより、より完全なものにするように、これを盛り立てていくということを基本の方針として進んでまいっておる次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 外相の言われました国連中心主義には、私ももちろん賛成です。いまの国連の機構組織が、原子力時代を迎えて、十分それに対処し得る能力を持っていないこともよく存じております。不備であるから、すぐ軍備に結びつくという考え方は、私はうしろ向きの考え方だと思って反対いたしております。しかし、その不備なる国連の織組を強化補充することを私どもも考えて、これをりっぱな、一つの世界連邦の土台に仕上げていきたい、こういう念願を持っておりますが、そのためにいまの国連の組織機能の不備な点、政府はどういうふうにお考えでいらっしゃいましょうか。それに対する、その研究、調査をなさいまして、それを強化する方向に、どの程度お進みでいらっしゃいましょうか、お聞かせ願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国連の加盟国が百十三になるということは、まあ、最近異常な国連の膨張でございまして、したがいまして、国連が発足した当時から、このようにたくさんの加盟国をかかえて、今日ただいまの組織機構でいいかと申しますと、いろいろ問題が御指摘のように出てまいっております。御承知の安保理事会も、新しく加盟された国々の意見を十分反映する状態にありませんし、経済社会理事会も、そうでございまして、国連といたしましては、すでに御承知のように、この安保理事会の定数をふやす問題と、それから経済社会理事会の定数をふやす問題が、すでに決議として取り上げられておるわけでございます。私どもその推進に、わが国も加盟国として当たっておる次第でございます。  それから、その他平和維持機構の実力としての国連軍の問題でございますが、これは大国間の意見が合いませんので、国連軍を創設するまでには、まだ参っていないことは御承知のとおりでございます。ただ、コンゴ、スエズ、最近のキプロス等には、ケース・バイ・ケースで国連の慫慂によりまして、軍隊を派遣するということが部分的には行なわれておりますけれども、まだ、大国間の意見が一致するまでには、創設するというところまでかたまっていない状況でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 私、こういう大きな問題に対する調査機関のあれですね、設置を、日本の政府部内にお持ちになっていただきたいと思うのです。もう御承知でもいらっしゃいましょうけれども、イギリスでは、平和維持の審議機関というものをすでに設けておりますし、アメリカでも軍縮のために、その方向に向かうために、いろいろ政府部内に機関を新しく設けております。こういうことに対して、私せんだって、ちょっとお伺いしたことでございますけれども、参議院の前議員でいらっしゃいました山田節男先生が、世界連邦の協議会の常任理事会があって御出席なさいましたその帰りに、イギリスにお寄りになってヒューム首相にお会いになった、国会でお会いになったときに、イギリスのヒューム首相も、将来の構想を世界連邦の姿に求めた強い発言をなさっていらっしゃいます。イギリスでもすでに、こういうふうな出発を政府の機関に設けてやっている。私は外務省の中で、あるいは総理府直属でもよろしゅうございますが、こういう世界の平和に対する問題と取り組む調査研究、その後の結果で、一つの構想、青写真をお持ちになるべきではないか。こういう点に関してどうお考えでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私のほうといたしまして、たとえば軍縮問題等につきましては、これは準備の期間を経過いたしましておくれておりますが、政府部内の機能を動員いたしまして、じみちな軍縮問題の勉強を始めなければならぬというので、それは始めでおる段階でございます。いま御指摘のように、平和維持機構としての大きな課題に対して政府で調査審議会を持つというところまで、まだ実は政府部内で論議いたしたことはございませんが、せっかくお話もございますので、鋭意検討さしていただきたいと思います。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 このことをどうぞ強く要求いたしておきます。  その次には、国連憲章の改正問題につきまして、ひとつお尋ねしたいと思います。これはもう御承知でもいらっしゃいましょうが、最初、国連ができたときに、五大国に拒否権を与えたということに対するAA諸国並びに中小新興国が非常に不平不満を訴えまして、それを押えるために、十年の経験を経たら国連憲章の改正をいたしましょう、議題にのぼせましょう。その議題にのぼせるときには拒否権を使ってはならないということが、憲章の百九条3項に規定してございます。ちょうど一九五五年が朝鮮戦争があったりして冷戦のさなかであったので、これが見送られたのです。来年、一九六五年、これは二十年目に当たる年でございまして、その間に御承知でもいらっしゃいましょうけれども二度も延期、これが三回続きました。最近は一年の延期が二回続いてじんぜん、きょうに至っております。幸いなことに、ことしの七月は加盟全員の協議会が開かれます。その全員協議会にこの国連憲章の改正が自動的に議題にのぼせ得るということが、憲章に明記してあります。それに対して日本はどういう態度でもってお臨みになろうとするのか。やがて九月に開かれる国連総会に、これがどういう形かで上程されますが、そういう際の日本代表の態度、これはどういうふうに御検討でしょうか。準備していらっしゃいましょうか、伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 憲章の再審査には、いま御指摘の百九条の規定に従いまして、憲章再審査の全体会議を開くということが、第十回総会できまりましておるわけでございます。その後、国際情勢が全体会議を開いてみなで結論を出すというように、いまフェーバラブルの状態でございませんでしたので、御指摘のように、まだ結論が出ずにおるわけでございまするが、第二十回総会にその準備委員会からの草案を全体会議に報告する。こういうことまできまっておるわけでございます。問題は、そういう全体会議を開いて実のある審議をし、結論を出し得るような国際環境になるかならぬかということのほうが、前提条件として吟味に値いするのじゃないかと思うのであります。今日遺憾ながら、まだそういう状態にまで機が熟しておるとは、私ども判断いたしておりません。世界各国の、いま御指摘の問題に対する感触をうかがいましても、おおむねわが国と大同小異の考え方のように承っております。事務総長からの照会に対して各国の反応を見てみましても、まだそういう段階のように承っておるわけでございます。日本政府としては、そのこと自体は、御指摘のように望ましいことでございまするし、そういうことが円滑に開かれて、実のある結論を出し得るような環境整備に努力いたしたいと思いますが、遺憾ながらいまの段階は、速急にそういう段階にまでまいれない状態にあるという状況でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 でも、一九五七年の国連総会には当時政府代表でいらっしゃいました藤山愛一郎氏が、この国連憲章の改正に強力にプッシュする発言をしていらっしゃいますね。その次の代表であります松平康東国連政府代表も、この憲章改正に強い日本の態度を表明していらっしゃいます。続いて小坂政府代表も、そういう立場に立って日本の態度を強く述べられておりますが、こういう表舞台だけで強くおっしゃるだけで、国内ではいま大臣のおっしゃるように、どうも各国がその気にならないからというようなことで、全然ノータッチのような印象を私は受けたのでありますが、そういうちぐはぐな態度でよろしいのでございましょうか。政府代表が何回も国連総会でこういう立場の表明をしておいでになるならば、それにこたえて、国内でもそういう準備をなさるべきではないでございましょうか。いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のわが国の代表が主張いたしましたのは、経済社会理事会、安保理事会等の定数の拡大という点を終始主張いたしておるわけでございます。憲章改正の問題につきましては、すでに取り上げられて準備委員会が設けられて、それが第二十回総会に報告するということになっておりますので、いま先生の御指摘されたのは、前段で御指摘された機構拡充の問題についてわが国の代表が主張されたことではないかと私は思います。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 政府の入手していらっしゃる資料と私どもが調べました資料とちょっと食い違っておるようでございますが、いずれこのことは、あとから外務委員会などで詳しく調べることにいたしましょう。違いは違いとして、どらちが正しかったか申し述べたいと存じます。  最後に私は、もう時間がございませんから……。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 関連。いまの応酬を伺っておりまして一点伺いたいのですけれども、日本政府としては、国連憲章の改正問題については、この前のいわゆる改正の時期にも一定のお考えをお持ちだったと思うのです。いま赤松先生がおっしゃったように、二回目に回ってくる二十年目の改正時期は、この前と比べると、少なくとも米ソの冷戦に大きな曲がりかどに来ている。したがってこの憲章改正には、当然にいわゆる大国の拒否権に妨げられて、なかなか理想的な案が通らない憂いがございますが、今回は相当この点については、やや明るい見通しが立つのではないか、むろん将来わかりませんけれども、そういう多少楽観的な気持ちで日本としての理想案を出したらどうかというのが、赤松委員のお考えじゃないかと思うのです。たとえて言うならば、単に安保理事会の議席をふやして非常任理事国をもっとふやせというような、これも悪いことではございませんが、それよりももっと根本的に、一体常任理事国と非常任理事国の違いはこの際やめる、あるいはそこまでいかなくても、拒否権はもうやめる、あるいは拒否権の乱用だけはやめさせる。たとえば新規加盟の場合に、拒否権があるために、国連の普遍性がさらにもっと大きくならなきゃならぬのに、新規加盟のときには拒否権をふるうという例があるもので、新規加盟が妨げられた例がある。そういう点をやめるとか、あるいは国際警察軍をうんとしっかりつくるとか、そういう基本的な、あるいは旧敵国に対する条項がございますが、こういうものはむろんもう必要もないことであるし、そういうものはやめるといったような根本的な国連の普遍性を強め、国連における平等性、大国小国の間の平等性をなるべく強めて、あるいは国連における国連の世界の平和安全に対する機能をさらに充実する、こういうような理想的な案をもって、日本がこれを推進してもらいたい。核兵器の禁止もむろんそうであります。そういうようなことを言っておられると思うので、これは決して政府のほうもそういう理想案を持っておらないわけじゃないと思うのです。もう少しその点を、外国に対する日本の大きなやはり発言の機会ですから、もっと正確な、積極的な前向きな御答弁を聞きたいわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは仰せのとおりでございまして、国連機能の強化のためには、あらゆることを惜しんではならないと思います。憲章再審査の問題についての御質問でございましたので、それは第十回総会において決議されて準備委員会が検討を続けておるという段階である、そして全体会議が開かれるということは、好転した国際情勢のもとでないと、実り豊かな結論が期待できないのではないかという見通しを申し上げておったわけでして、そこに憲章の再審査自体について、わが国といたしまして、いま御指摘のように、究明すべき点を究明し、主張すべきものを主張する用意をなすべきは、私は当然だと考えております。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 簡単に、地域連邦の一つの姿であるEECの結成、誕生、その発展に対して、どういう御感想をお持ちでいらっしゃいましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) EECはいろいろ側面を持っておりまして、ただいままでのところ関税同盟として相当な実績をあげてまいりまして、これから共通の通商政策、共通の農業政策、あるいは通貨、その他いろいろ共同市場としての共通の政策の作案、実施に移りつつある段階でございます。非常にむずかしいと言われておった農業問題につきましても、去年の暮れある程度の妥協がついたようでございまして、この経済共同市場としてのEECは、実質的に相当の仕事をなし遂げたし、またなし遂げつつあるということでございます。もう一つは、政治的な側面でございまするが、これはそれ自体一つの政治的な結合に間違いはないのでございまするが、ただいま政治統合の問題は、イギリスの加盟問題が起こりました当時から、若干停滞はいたしておりましたけれども、再びEEC内部で取り上げられて議論されておるようでございます。単一の主権を越えたものにするのか、主権を前提にした集まりにするのか、そういった点の論議が進んでおるようでございまするが、まだ帰一した点は承知いたしておりません。わが国とEECとの関係は非常に密になりまして、去年も他の地域に比べましてぐんと貿易が伸びております。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 たいへん肯定的な御感想を伺って安心いたしました。もう御承知でございますように、アフリカにも連邦組織の芽が生まれておりますし、中南米にもそういう傾向があります。そういう一つの地方的な傾向のそれを踏まえてもう一つ次の段階に、世界連邦の姿に世界の平和の機構がもっていかれるように念願しておりますので、どうぞ政府部内においても、先ほどおっしゃったように、内部に異論があるというような御感想、この前も、衆議院の予算委員会で、川崎委員の御質問にお答えになっていらっしゃいましたけれども、そうでなくて、大体民間の方向も世界連邦の方向に傾きつつございます、かたまりつつございますから、どうぞ政府としても、そういう方向に自信を持ってお進み願いたいと思います。  最後に、私、この九月の国連総会には、ぜひAA諸国の先頭に立って、日本こそが、この憲章改正の火ぶたを切って、勇気を持っていただき、その行動と態度をぜひおとりいただきたい。そのために、準備を誤りなくなすっていただいて御出席願いたいことを要望いたしておきます。  もう一つ、最後に一言。いまキプロスに平和維持軍が派遣されておりますが、すでに憲章にもこの国際警察隊の常設ということをうたわれておるんです。このことについて、どういうお考えを持っていらっしゃいましょうか、これを推し進めるべきかどうでございましょうか。日本の態度は、政府の態度はいかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国連事務局のほうから慫慂がございまして、いま政府部内で検討いたしております。私といたしましては、日本としても応分の寄与をなすべきであるという考え方に立ちまして、関係省との間にいま折衝をいたしておる段階です。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 ありがとうございました。  次に、厚生大臣にちょっとお尋ねいたします。厚生年金保険法の改正が取り上げられましたことは、勤労大衆、たいへん期待をいたしておりますけれども、これが取り上げられるまでのいきさつ、結論から申し上げますと、労働者側の、掛け金をする人の側の意見が十分取り入れられなくて、無視された形になっているやに聞いております。たいへん私残念です。そのいきさつについて、ちょっと省側の態度をお聞かせいただきたいのでございます。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) この問題は、労務者、使用者、両方に大きな関係がありまするので、私どもも社会保障制度審議会、あるいは社会保険審議会、こういうところでもっていろいろな御相談を申し上げて御意見を承っておるのであります。なかなか問題の性質上、意見が一致するということは、きわめて困難な事項が相当あります。したがいまして、私どもはまあILO百二号条約の関係、あるいはほんとうに内容のある所得保障をする、こういうたえまえからして、とにかく年金は一万円までひとつ持っていきたい、こういうことが大前提として、それに合うようにいろいろなことを構想をしたのでありまして、意見のまとまらないことにつきましても、まあ政府としては結論を出さなければならぬ部面もあって一応の構想をもとめまして、いままた社会保険審議会で御審議願っておる一方、社会保障制度審議会にもこれを諮問をいたしておる、こういう状態でございまして、できるだけ意見が一致することが好ましい、望ましいことでありますが、問題の性質上、できない問題もある。できない問題は、私ども政府、あるいは第三者としても考えをまとめなければならぬ、こういうふうに思っております。いま現に社会保険審議会に部会を設けまして御審議を願っておりまして、私どもは、何とかこの二十四、五日、あるいは月末までには、ひとつお答え願いたい、こういうように考えておるのでございます。何分にも非常に大きな問題でありまするので、私どもも慎重を期しておる。また前々、昨年以来いろいろ御相談申し上げておりますが、一方から、まだ相談のしかたが足りない、こういうふうな御意見もありますが、できるだけそういうふうにしてまいりたい、かように考えております。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 できるだけ話し合いをしたいというお気持、私、どうぞそれを持ち続けて話し合いのいいモデルをつくっていただきたいと思います。それで三者三様、さまざまな意見のあることは当然ですけれども、どうぞ独走なさらないようにお願いいたします。  それから、いまおっしゃいましたように、今国会に本改正案が提出されますのでございましょうか、いかがでございましょうか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) 私どもとしましては、御承知のように、三十九年度が、この年金の再計算の時期でもありますし、四十年の五月から、ぜひ実施したい、かように考えて、私どもとしては、この国会に提案をしたいということで、いろいろの措置を進めておる次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 改正の問題点は約二十に近いほど、問題点があげられております。きょう私、ここでひとつ厚生大臣の御意見を伺いたいことは、この妻の座の確立、これについて御所見を承りたいと思うのでございます。つまり被用者の妻になった場合、これは国民年金が任意加入でございまして、前の職場に、その若い女子が働いていた時代にかけた勤続年数も通算されることにはなっております。ところが、職場をやめたとたんに妻になりました場合には、御承知のように国民年金も非常に安い、それからその前の厚生年金も魅力がございません。そういうことから、えてして、どうもかける側の人が関心を持っていない。関心が薄い。こういうことは、それはお前のほうが悪いから、そうおっしゃられればそれまでですが、そういう場合も、指導というものが、まだ不徹底である、こういうことも、私はあとから申し上げたいと思うのでございますけれども、その妻の座になった場合に、単に月に四百円の加給金、それから遺族年金も半額というように、非常に妻の地位というものが、家庭内における主婦の座というものが、まだ古い夫の従属物というような感覚で処理されておる。私は口や文字で、いろいろ男女同格を言うよりも、こういう政府が行政なさる場合に、人間として妻の座、主婦の座の尊厳を認めていただいて、せめて支給金が夫と同額になるような御努力をこそ、お願いしたいのでございまして、幸い改正のチャンスがございますから、前時代的な考えをお捨てになって近代的な男女同格のその姿を、こういうところにまで明示していただくような御努力を願いたい。つまり妻の家事労働に対する、その価値の評価あるいは人間生活、家庭生活における妻の協力というもの、その価値というものが、もっと認められなくちゃならない。先進国では、そういう点が、相当もう充実しているように見ておりますが、どうぞ、この改正のチャンスに、こういう不合理な点の改正に努力をお願いしたい。妻の座の確立について、どういうふうにお考えでいらっしゃいましょうか。

小林武治自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林武治君) いまの点は、まあいろいろ改善したいと、一応の案を持っておりますけれども、内容は局長から、いま御説明申し上げます。

山本正淑厚生省年金局長

○政府委員(山本正淑君) ただいまの御質問の妻の座の年金制度上の取り扱いという問題は、非常にむずかしい問題でございまして、現在おっしゃるとおり、厚生年金におきましては、いわゆる個人原則でなしに、世帯単位というものの考え方でございまして、国民年金におきましては、御承知のとおり妻も夫も個人単位に年金を算定をする、また掛金の率も、それによって保険料を支払っておる、こういう形になっておりまして、今後被用者年金におきまして、この妻を独自の扱いにするか、あるいはやはり従来どおりの世帯単位でものを考えていくかということが基本問題でございまして、特に、いまお話がございました点、現在は、年金におきましては、遺族年金の場合、あるいは夫の年金に対する加給金、こういった扱いになっておりまして、現在問題が出ておりますのは、被用者年金においても妻独自の年金を考えるべきじゃないかといったような考え方が出ておりますし、また、特に女子の被保険者につきましては、その他いろいろな問題が出ておるわけでありますが、こういった問題は、厚生年金だけで解決できないものもあります。被用者年金、こういう制度を通じての問題でございますし、かつまた国民年金で、現在、被用者の妻が任意加入できる制度になっております。この任意加入の制度をどうするかという問題も、大きな問題であります。将来の方向としましては、積極的な方向で考えていく、ただ、一度に問題を解決することは非常に困難じゃないか、かような状況にあるというふうに理解をいたしております。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 ではこの妻の座の確立については、相当省内で議論をしておいでになるのですね。どうぞ、これが明るい結論を得ますように努力を願いたいと思います。もう時間ですか、それではもう三十秒で、これを終わることにいたします。  次に、簡単にお尋ねいたしますが、若い女子労働者を擁しております日本の特別な産業機構でございますが、そういう人々の平均勤続年数は三・九年でございますから、三年ちょっとでございます。こういう人々が、多く厚生年金の保険料をかけておいでになりますけれども、もちろんこれは年金の性格上、かけたものを全部もらおうとは思いません。それで便法といたしまして、脱退手当金制度がつくられております。これは満五年でないともらえない。しかもその時期は二十年、三十年後の六十歳にならないともらえない、こういう気の遠くなるようなお話でございます。ぜひ私ども、四十一年度に、この脱退手当金の制度も打ち切られますが、少しこれを延ばして、暫定的に五年くらいの延期をお願いしたい、そしてこういう、かけ捨てになるということは言い過ぎでしょうけれども、こういう零細な給料から差し引かれて保険料を納めた人々に対して、しかも、いま申しますように三年ちょっとの人々に対して、ほとんどがその還元をされるという機会がございません。ですから、五年を三年にしていただくか、あるいは期限をもう五年延ばしていただくか、こういうことに対して、いま御審議の最中であれば、あたたかい思いやりをこういう人々に与えてやっていただけないでしょうか。ちょっとお伺いいたしたいと思います。

山本正淑厚生省年金局長

○政府委員(山本正淑君) ただいまの問題でございますが、女子の被保険者の脱退一時金の扱いの問題だと思いますが、さっき申しましたように、被用者年金の制度の中におきまして、女子被保険者あるいは妻の座というものを積極的にどう考えていくかということによりまして、脱退一時金の問題というものは、おおむね解消する性質のものかと存じます。現在のところ、御指摘のように暫定的な脱退一時金が四十一年で期限がきれるという問題がありまして、それまでの間におきまして、先ほど御指摘のありましたような諸問題を積極的に考えていきたい。その場合、結論が出なかったらどうするかといった場合には、さらに各方面の意見も聞きまして、どうするかの扱いをいたしたいと、かように存じておる次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 郵政大臣に、済みませんですが、要約してお尋ねいたします。それは全国の特定局、一万四千局ございますが、そこに、いまなお女子の二十四時間勤務制が残存している。この問題に対して、私、政府の監督のもとにあるその職場に、まだこういう古い女子の過酷な労働をしいる形態が残っているということに対して、非常に私不満なんです。せめて交代制をしくとか、特に、いろいろ私、資料を持っておりますが、述べる時間がなくて残念ですが、非常に勤務手当が少ない。そういう問題に対しまして、この二十四時間通続の勤務制を、何とか解消していただきたい。それに対してのお考えを伺いたいと思います。

古池信三自由民主党郵政大臣

○国務大臣(古池信三君) お答え申し上げます。御説のように、現在、全国各地の特定郵便局に、女子の従事員が相当数働いておられます。特に、電話の交換に従事しておられまする方々は、どうしても、やむを得ず、夜間の勤務ということがあるわけでございますが、これは、理想からいえば、好ましいことではないと思いますけれども、一応は、労働基準法でも例外として認められておる仕事でございます。  そこで、今後は、おいおいに、電話事業そのものが自動化してまいりまするから、そうなりますれば、交換業務も、婦人の手を借りる必要がなくなると、こういうことになってまいりますが、それまでの間は、当分、婦人の交換業務というものは、やはり、深夜でもやっていただくということになっております。電話の交換以外の問題では、ほとんど女子が深夜業につくということはないのですが、ただ、これもきわめてまれな例外ですけれども、ごくいなかに行きますと、電信を電話で送るということがあります。まあ一晩に一通あるかないかというくらいな事務量ですけれども、そういう際には、電話の交換に従事される女子が、その電信を電話で扱うということもやっております。これもきわめて量としては微微たるものでございます。今後はそういうふうな電信等については、できるだけ男子に振りかえをしていく、こういう方針で今日進んでおるような次第でございます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 どうぞ、政府の監督下にあるこの職場に、こういう恥ずかしい状態のないように、早く御処置を願いたいと思いますし、また、お願い申したいことは、産前産後の問題でも、非常に私どもにきているのです。これは労働基準法の改正にまたなくてはいけないと思うのでございますが、そういう諸問題もあるということを申し上げて、どうぞ御配慮願いたいと思います。どうもありがとうございました。

古池信三自由民主党郵政大臣

○国務大臣(古池信三君) ただいまの産前産後の問題は、労働基準法で規定されておりますることは、当然、私の省としてはやっておりまするし、しかも、産前産後おのおの六週間につきましては、いずれも有給の休暇を与えるということにしておりますので、まず、いまとしては、できる限りの処置をしておる、こういうふうに御了承いただきたいと存じます。

赤松常子民主社会党

○赤松常子君 ちょっと大臣のおっしゃることと、私どもの調査している実情と違います。これいずれ分科会でお尋ねいたしましょう、そういたしましょう。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 赤松君の質疑は終了いたしました。  午後一時半から再開することにいたします。休憩いたします。    午後一時三分休憩   —————・—————    午後一時四十五分開会   〔理事斎藤昇君委員長席に着く〕

斎藤昇自由民主党

○理事(斎藤昇君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。安田敏雄君。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 先般、抜き打ち的に引き上げられました公定歩合の問題について大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  大蔵大臣は、衆参両院の予算委員会におきましてもしばしば総理とともに、公定歩合の引き上げについては、国際収支はたいして心配にならぬ、こういうようなことで、赤字については悲観も楽観もしてないというような問題までつけまして、公定歩合の引き上げをしなかった。あくまでも弾力的な運営によって、何というのですか、窓口規制であるとか、預金準備率の引き上げによって金融の運営をやっていくんだと、こういう答弁をしばしばされておったんですが、先般の引き上げについては、日銀との間において相当打ち合わせをした。こういうことでございますが、そういう点についての経過について、いま一度、ひとつ御説明願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 公定歩合の引き上げをやらないというようなことは、私は申し上げたことはないのでございます。大体、公定歩合の引き上げをやるかやらないかという質問をしていただくことは、非常に私にとっては迷惑なわけでございます。御承知のとおり、公定歩合につきましては、日銀の政策委員会が決定をしまして大蔵大臣に届け出るということになっておるわけであります。公定歩合の議論を幾らされても、私といたしましては公定歩合の引き上げは行ないませんという答弁をする以外にはない事項でございますので、でありますから、いままで公定歩合というものに対して私が引き上げないと言っておったのに引き上げたというようにはお取りいただかないようにお願いしたいと思います。  それから金融調節の問題につきましては、すでにもう財政演説でも申し上げましたように、十二月に預金準備率の引き上げを行ない、一月には窓口規制を行なっておるのでございます。法律の上では公定歩合の引き上げは日銀が自主的にやれるようになっておりますし、準備率の引き上げ及び窓口規制については大蔵大臣の認可事項になっているわけであります。でありますから、認可事項になっておる前段二つの金融調節措置をやっておるのでございますし、しかも財政演説で申し上げたとおり、機を見て臨機応変な処置をとるつもりでございますと、こういうことを申し上げておるわけでございまして、公定歩合の引き上げも前二段のように金融調節手段の一つであるというふうに御理解いただきたいと思います。また公定歩合につきましては、日銀当局から大蔵省にも話がございまして、私のほうでは日銀の自主性を尊重いたしておりますので、とやかく申し上げるというようなことは考えておりませんけれども、事の重大さに日銀当局から事前にお話がございました。それで政府当局でも十分諸般の情勢を検討しました結果、日銀の申し入れを了としたわけでございます。でありますので、いままで総理も私も申し上げておった、国際収支の不安があるとは思わないというような考え方は、いままでもそういうつもりでおるわけでございます。三月末の外貨準備高は、政府見通しでは十七億六千四百万ドルという見通しでございました。私も、政府が当初企図いたしましたその数字、もしくは十八億ドルに近い外貨準備の状態で越年するであろうということをお答えしてありますが、まあいまの状況から見ますと、大体ゴールド・トランシュを除きまして十八億ドルをこす程度で三月の期末外貨準備が発表される予想であります。ゴールド・トランシュの一億八千万ドルを入れれば十九億八千万ドルないし二十億ドルという外貨準備があるわけでありますので、私がかつてから申し上げておるように、外貨準備や国際収支にそう極端な不安視をする必要はないという考えはいまも変わっておらないわけでございます。しかし、公定歩合の引き上げにつきましては、当時談話でも申し上げたとおり、八条国に移行して国際通貨となった円の価値を維持、確保することが一つ。国際収支の長期安定をはかることが第二。第三は、国内の正常な経済発展に資したいということでありますので、この間の事情は御了解いただきたいと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ、その理由はよくわかるわけですがね。ただ、それまでに再三金融界のほうから公定歩合の引き上げの要請があったわけですね。まあそのことは各報道関係、そのいろいろの情勢の中からうかがえるわけなんです。したがって、当時日銀との間における国際収支の見通しだとか、あるいは国内経済情勢、特に物価の問題、こういうものを含めて政府との間に見解の開きがあったのではないかというように私どもはとっているわけです。そういうような中からいって、少なくとも日銀の自主性で公定歩合を引き上げたという、そういうような問題は、これは当然そうでありましょうけれども——したがって、そういうような措置をとる。特に景気調節の問題といたしまして、公定歩合は半年とか一年の期間を区切って行なうことでございますが、そういう点からいきまして、やはりその食い違いが情勢の検討にあった。それでいままで上げてこなかったということ、そういうような点で、どういう点に意見の食い違いが過去にあったのか。それから、上げるには上げるなりの意見の一致があったはずなんです。そういう点について御説明願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) まあ新聞その他雑誌等を見ますと、日銀と大蔵当局の間に意見の違いがあるというふうにとられる記事も散見したわけでございますが、私は大蔵省と日銀の間には毎月毎月定時の会見をやっております。意思の疎通は十分はかっておるわけでございます。ことに事務次官が出席をしておる定時の会談でありますので、私はこの間に意見の相違があったとは考えておらないわけであります。日銀当局からは、今回の公定歩合の引き上げの時期の前に——もっと時間的にはっきり申し上げると、三月の半ば以前に、公定歩合を引き上げたほうがいいと思いますがどうですか、というような意思の表明は一回もないことを明らかにいたしておきます。それから、国際収支の見通しにつきましても、私は事務次官その他銀行局長から事情を聴取いたしておりますが、日銀と大蔵当局との間に意見の相違があったというような報告は受けておらないわけであります。でありますから、公定歩合の引き上げが行なわれる前段において、日銀当局と大蔵省の意見が違ったということは私は感じておらぬわけであります。ただ、新聞やその他の専門家が、日銀は上げたいのだけれども、大蔵大臣が押えているんだというようなことを書かれて、どうも心外でありますので、日銀はほんとうに上げたかったら申し込んでくればいいんだ、こういうことさえも銀行局長にも言っておるのですが、そういう申し出は今回の引き上げに関して初めてあったわけでありまして、直接日銀当局の意向を聞いたことはありません。まあ新聞等によりますと、日銀も上げたいのかなあというような気持ちもちゃんとありますから、上げたいなら上げたいでもって相談すればいいじゃないですかと、こういうことさえも言ったのですが、黙して語らずということでありますから、私はその現状において、日銀当局と私たちの間に意思の疎通を欠いたり、意見の相違があったとは考えておらぬわけであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ、私は、そのいきさつでなくて、なぜ上げなければならないかという、この国際収支の改善の問題、あるいは国内における生産等の問題、こういうものが、上がる前においては多少食い違いがあったのじゃないかと思うわけでございます。というのは、この経済企画庁で出しております「物価の具体的な安定策」についてという中にも、その方針を見てまいりますと、金利政策などは弾力的に運営するようにするというような、きわめてなにで、具体的には窓口規制の問題と、それから預金準備率の引き上げの問題、こういう問題が具体的にはうたってありますけれども、まあ公定歩合を上げるのだというような、においがちょっとないわけなんですね、政府の方針としては。したがって、そういうことならば、当然そのままでも国際収支というものはやはり順調に——この前の大蔵大臣の答弁を聞いておりますというと、まあそう均衡がとれているのだ。こういうようなことを言われたのです。ところが今度の引き上げは、国際収支の改善をしていくのだというところに、問題の焦点がしぼられているわけです。したがって、そういうことに意見の一致を見るまでのいわば考え方を——なぜ意見が一致したかということを聞きたい。ただ、日銀の当局とあなたのほうにおいて、いろいろ上げる時期がどうだったとか、そういう政治的な交渉でなくて、何かもう少しそういう点について御説明願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 公定歩合という問題に対しては、日本人は御承知のとおり非常に高くこれを感じております。しかし、大蔵当局から考えますと、私は準備率の引き上げ、窓口規制、それから公定歩合の引き上げ、引き下げ、それから輸入担保率の調節、こういう問題は結局金融調節の一つの手段でありまして、どれに優劣をつけるというふうには考えておらないわけであります。しかし、まあ長い歴史から見まして、公定歩合というものは国民に対する一つのシグナルである。赤になり、黄色になり、青になると、こういう長い伝統がありますので、諸外国で考えておるように、公定歩合が簡単なことには考えられておらないという事実は了解いたします。が、しかし、新しい立場から考えて、公定歩合も、窓口規制や預金準備率と同じように、金融調節機能の手段の一つであるということは、ひとつこれから考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えます。  それから、今度、公定歩合の引き上げ及び輸入担保率の引き上げ等がはかられるわけでございますが、これに対しましては、いままでのような考え方よりも、八条国に移行する前提といたしまして、円が国際交換可能通貨になったわけでありますので、そういう歴史的な一瞬間に対する国民の自覚もそうでありますし、また、政府自体も、身を引き締めて、国民各位の理解と協力を求めるという時期に至っておりますので、国際的な立場から見た円価値の維持、確保ということが第一であります。第二は、確かに十二月から一月にかけて、金融調整の手段が行なわれてまいりましたけれども、当初予期したよりも輸入も減らないし、また生産も高いというような考え方から、長期安定を期さなければならないということでございます。第三には、先ほども申し上げたとおり、国内的にも生産が非常に高い水準にありますので、この席からいつでも申し上げておりますとおり、三十九年度は実質九・七%、鉱工業生産は七%になるように諸般の施策は行ないますと、こう申し上げておるわけでございます。また、そうすることによって、物価は年度間を通じて年率三%アップに押えたいという意味からも、公定歩合の引き上げを含めた金融調整を行なったわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 その後大蔵大臣が、公定歩合の引き上げによって、短期決戦というようなことで国際収支は均衡するのだ、あるいは国内の経済調整をしていくのだというような旨の発言をしているわけでございますが、きょうの新聞を見ますというと、経企庁長官のほうは、今回の公定歩合引き上げによって、大体四十三年度ぐらいに国際収支が均衝するだろうというようなことを言っているわけです。そうすると、あなたの言ってることと、経企庁長官の言っていることとは、少し印象としては食い違いがあるわけです。こういう点については、どういう統一見解を持っておるか、お伺いをいたしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 国際収支の均衡ということに対しては、国民一体の問題としてたいへん重要な問題であることは、言うを待つまでもないわけでございます。しばしば国会における御審議の状況におきましても、国際収支はいつ均衡するのか、特に経常収支をいつ均衡させるかという問題は、御議論があったところでございます。どんなにおそくとも四十五年ぐらいまでには経常収支の均衡をはからなければならないということは、私も理解をいたしております。政府事務当局関係においても、いま鋭意国際収支改善の対策をはかっておるわけでありますが、四十五年までには何とかできるだろう。しかし四十五年といわず、これから施策がよろしければ、四十三年、四十二年にも経常収支がバランスがとれるかもしらんというようなことで、段階的に目標を置き、まして、幾つか試算をいたしておることは事実でございます。まあ経済企画庁長官がどういう立場で述べられたかわかりませんけれども、国際収支の安定策を機宜に応じてきめこまかくとっていけば、四十三年を待たずして経常収支のバランスがとれるようになるかもわかりません。また、そうなることは望ましいことでございます。しかし、経済企画庁長官がどういう意味でそういうことを言われたかわかりませんけれども、それと、私たちが短かい時間で国際収支の安定をはかるというような考え方、また、こういう金融引き締め式な事態が一年も二年も続くのだというような考えでない私の考え方と、相違をするものではないわけであります。私は、公定歩合の二厘引き上げという場合に、日銀当局でも一厘でもいいかなというような話も出ました。これはまあ大蔵大臣は一厘しかのまぬかもしらんというようなことを考えていた人もあったようでありますが、私は日銀の申し出どおり二厘引き上げということを了承したわけでありますが、その過程において長く続けなくとも、二厘も引き上げて、同時に輸入担保率の引き上げを行なえば、国際収支の状況に対する不安も、私は相当短かい時間に除けるのじゃないかという考え方に立ったことは事実でありまして、これを一年も二年も続けようというような考え方を持っておりません。きょうの日経の第一面にも、一年間引き締めを続ける、こういうことを書いてございますが、こんなことを言ったこともございませんし、私自身そのような考え方を持っておりません。金融調節機能は弾力的に行なうべきでありまして、初めから一年間もいまのままで——二厘引き上げたままでいくということは、計画経済の中ではあるかもしれませんが、そのような硬直的な考え方を持っているわけではないのであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 時間等の関係もありまして、まだ農林関係もありますから、大体この辺にしておきますけれども、とにもかくにも、公定歩合の引き上げが抜き打ち的に行なわれたということにつきましては、特に地方のほうにおいては、非常に政府の金融政策については不信を抱かざるを得ない、こういう状況があります。まあまあ、それでも上がるのは一厘ぐらいかなと、こう思っていたところが、画期的な、五年ぶりで抜き打ち的に二厘上げたということは、相当大きな影響があると思うのでございますが、ただいまその答弁の中に、まあ成長率を七%に押さえていけば、物価がまあ三%ぐらいしか上がらないだろう、そのぐらいに押さえていくのだ。こういうような見通しを持っているようでございますが、そうしますと、この種の政府の経済見通しの中には、物価の上昇が四・二%、そうしますと上昇は相当鈍化していく、こういうふうに見られるわけです。いま大蔵大臣、三%しか上がらぬ、そういう見通しだということを言ったわけですね、年間を通じて。そうしますと、ことし四・三%、はたしてそこで押さえられるかどうかという問題もありますが、この点について、もう少し詳しくお聞きしたい。   〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 年度間を通じて年率三%のアップに押えたいということを申し上げたわけでありまして、対三十八年度比は四・二%であります。三十九年度は年度間を通じては年率三%アップになるわけであります。でありますから、政府が発表しました国際収支の安定をはかりながら年度間を通じ年率三%、対前年度比四・二%の限度で押えるためにはどうしてもこういう名目九・三%、実質七%程度に押えなければならない、こういうことを明らかにいたしておるわけであります。こういう目標に近い実際の効果をあげてまいりたいという考え方でございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そこで、今度の引き上げによって一番しわ寄せを受けるのが中小企業や労働者だと、こう言われているわけです。実は私はこの間、総括質問のときにお尋ねしようと思ったのですけれども、まだ春闘の相場がきまらないわけです。したがって、春闘の相場がきまるというと、これはなかなかたいへんなことだから、したがって、公定歩合引き上げによって各企業の状態を一時的に鎮静さしてそういう中で大幅に賃金を認めていかない、こういうような形で出そう、こういうような気持ちが全然なかったのかどうですか、この点を伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) これは政府が春闘等もありますから、公定歩合を上げたらどうかと言ったのじゃないのです。日銀から持ち込まれたものに対して諸般の情勢を十分勘案もしながら、よろしゅうございましょう、こう申し上げたわけでありまして、日銀が少なくとも春闘相場を抑えるために公定歩合を引き上げたというふうには考えておらないわけでありまして、少なくとも純然たる経済的な問題として金融調節機能を弾力的に行なったというふうにおとりいただくように望みたいと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 いずれにいたしましても、この物価の高騰が急激に抑制できるというものでもない。そういう判断からいたしますと、当然、物価高に苦しむ労働者の春闘の賃金要求に対して大きなブレーキになることは明らかなのです。したがって、そういうような何から考えまして、きょうの新聞にも何か大蔵大臣が七%くらいに賃金の上昇率を押えていくのだというような談話を発表したとかいいますが、その点についてお伺いしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) そういう事実は全くありません。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そこで今度の公定歩合の引き上げによって、政府関係におきましても、必ずこれから一番しわ寄せを食うのは中小企業だと、こういうようなことで税その他についての猶予であるとか、あるいは減免等の緩和策を早急にしたわけです。そういう観点からいきますと、やはり中小企業に一番しわ寄せがいくのだ、こういうことについてはどういうふうに考えておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 公定歩合引き上げの直接の影響は中小企業ではなく大企業でございます。御承知のとおり、日銀から借り入れておる都市銀行の資金は押えられるわけでございます。また、標準金利でいま借りておる都市銀行からの借り入れ先、すなわち大企業が資金的に大きな制約を受けるわけでありますから、中小企業にしわが寄るわけではないわけであります。しかし、実は理屈はそうであっても、利率を締められれば中小企業に対して下請代金の支払いが延びたり、手形のサイトが延びたり、間接的には中小企業に影響があるということは事実であります。でありますから、中小企業に対してこの金融引き締めの影響が中小企業にできるだけ影響のないように各般の施策を行なおうということを考えておるわけであります。結論的には少なくとも日銀から資金を借りておらない金融機関及び金融機関から借り入れを行なっておる企業にはしわは寄らないというのが原則でございます。しかし、締められる資金も大企業のほうから中小企業に流れるように、その行くえに対しても相当強い関心も持ち、行政指導も行なっておりますから、中小企業に対してはできるだけ影響のないように各般の施策を行ないたい。こう考えます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 高度経済成長政策がとられてから、大企業にはかなり有利な方向において設備投資がされてきたわけですよ。それはかなり大型に進められてまいりまして、ここで公定歩合が引き上げられましても、さらに本年度予算等から見ましても、財政投融資の関係が非常に伸びておる。二〇%くらい伸びておる。それから、まあ予算も一七%大型予算になっておるわけでありますから、私どもの一つの考え方からいきますと、こういう財政投融資や予算の運用によって、特に、公共事業費の運用によって、大企業は比較的恵まれておるわけです。しかし、中小企業の場合は、そうはいかないわけなのですね。そういう財政的な措置に恵まれる度合いというものはきわめて少ない。現実の問題として少ないわけです。そういう立場からいきましても、中小企業に及ぼす影響というものは、これは非常に深刻なものがあるわけなのですよ。そういう意味で、単に中小企業に対しまして、税の問題だけをいかにも政府が中小企業に力を入れているのだというぐあいで、とりあえず、翌日、ああいうこれこそ抜き打ち的なのですが、発表した。もう少し拙速主義でなくて、もっとじっくり腰を据えて、もっと具体的な策を講ずべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういう点について、通産大臣は、それ以外にどういう考え方をお持ちですか、お聞きしたいと思います。対策です。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 大蔵省のほうでは、税の延納を認めるというような措置を講じておられるようであります。通産省としましては、やはり買いオペの弾力的な運用、それから、政府系の三金融機関の四−六月、一−四の貸し出し規模の拡大、それから、実質金利の引き下げをはかるために行なうべき歩積み・両建ての自粛、それから、いつも予算がきまってから実行に移します場合に相当期間がかかるのでありますが、三十九年度の一般会計の財政投融資計画等の実施にあたって、特に中小企業関係はなるべく早く実行に移す、予算の施行を行なう、こういうこと。また、商中の金利の引き下げあるいは保険公庫の融資基金の配分の問題、手形割引保証制度の実施、こういうものもなるべく早く実行に移したい、こう考えております。それからもう一つは、何といっても、官公需の確保につきまして、中小企業が有利な立場に立てるように、何らかの懇談会をつくるあるいは連絡会議をつくるというようなことを、いま各省と連絡をいたしております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 いま、通産大臣から、買いオペによって地方の金融機関の資金量を増大していくというようなお話もあったのだが、公定歩合の引き上げ前は、むしろ四−六月ごろに対しまして、売りオペによって金融機関の資金量を増加していく、こういう方針だったわけです。それを今度は、買いオペによって資金量をふやしていくということになると、ちょっと百八十度転換したのだ、金融政策が転換したのだ、こういうふうに思われる点もあるわけです。その点はどうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 中小企業に対しましては御承知のとおり、昭和三十八年の第四四半期に対しては、三十六年に次ぐ中小三機関に対する資金量の投入等を行なっておるわけでございます。しかもいま通産大臣が述べましたとおり、四月に対しましては財政資金で二百億の買いオペレーションを行ない、同時に、四月に返済期の来るものも百五十億これが期間延長をしようというような処置をとっておるわけでございます。日本銀行は御承知のとおり、四月は散超期でありますので、二千億の売りオペレーションをやろうということで、いま決定はいたしておりますけれども、これらの問題は三、四月の状況を十分見ながら弾力的な考え方をいたしておるわけでございまして、この公定歩合引き上げというようなことが中小企業に影響があると、また、それだけではなく、公定歩合の引き上げいかんにかかわらず中小企業の実態が救済を必要とするということであれば、売りオペレーションの二千億を予定いたしておりますものに対しても十分検討をしなければならないだろうというふうに考えます。  ただお間違いのないようにしていただきたいのは、財政資金で行なう四月の買いオペレーションの二百億円は中小企業向けのものでございますし、日銀が新聞に発表等しております四月の二千億の売りオペレーションというのは、これは都市銀行が非常に大きいということでございまして、これは一般的な売りオペレーションであって、中小企業向けの売りオペレーションというような狭義のものではないことは御承知のとおりでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そこで、やはりその歩積み・両建ての問題も後ほど触れますけれども、この下請け企業に対する先般来から問題になっております手形の支払いの問題です。特にこの引き上げによって、これも相当深刻化することは明らかなんです。したがって、この支払い期間の二カ月を規定しておっても、ざる法でございますから守れない。指導や勧告では守れない。したがって、これに対するところの現金化をでき得るものでなければならないというような、何かその意味を明確にする、そういうことが非常にまあ大切だろうと思いますが、通産大臣の考え方をひとつ聞きたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のように、これは現金化されなければ支払いをしていただいたということにならない。そこで、大体手形の、現金で払うか手形で払うかということであります。六十日以内で現金で払うか手形で払うか。現金で払った場合はこれは問題ありませんが、手形で払った場合、その手形が非常に長期なものでありますというと割引をしてもらえない。割引をしてもらえないということであれば支払いをしてもらったということにはならないのだ、こういう考え方でいっております。まあそれをどの程度の手形であれば割引がされるかということになると、これはまあなかなかそこの信用状態等にもよりますが、少なくとも百五十日以上の手形を出しておるようであればこれは一応赤信号である。そういうようなものを出しておる企業、親企業については、こういう全部調査をする、あるいはまた、下請企業のほうも調査する。そうして順次この手形の期限を短くするように行政指導をしていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 その商業手形が結局二カ月をこえるような場合は、これはまあ末端では非常に困るのです、実際上ですね。で、九十日だとかあるいは二百十日とかという長い台風手形みたいなものは困るわけですよ。ですから二カ月なら二カ月ぴしゃっと切っちゃって、二カ月以上の手形はいけないということを、定めちゃって、もしそれが二カ月以上たって現金化されぬ場合は、親会社に対しまして少なくとも日歩三銭とか四銭、こういうような延滞利子を親会社が引き受けるのだと、こういうことにでもしていかないと、この問題の処置はつかないと思うわけです。具体的に。そのほかにもつといい案があるかしれませんが、そういう点についてはいかがでございますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) そういうような割引もされないというようなものであれば、これはやはり延滞利息の問題が当然出てくると思うのであります。そういうふうに指導をいたしてまいりたいと思います。ただ普通の場合考えてみますと九十日くらい、あるいは百二十日くらいのものはたいていはもう割引されております、実際問題として。これはもう百五十日以上になるというとかなりむずかしくなっておることは事実でございます。それでも振り出しをしておる会社の手形の信用性、それからまた、下請業者が取引をしておる銀行との関係等によって割引をしてくれる場合もありますが、なかなか困難になってくる。そこでわれわれはこの百五十日というものを一応めどにいたしまして、そして百五十日以上のものを出しておるような親会社は、ひとつ大いに場合によっては立ち入り検査までやろう。そうして事実いまあなたの仰せになっているように、それが割引されてもおらないというようなことであれば、遅延利息も払うように指導をしていきたい、こういうような措置を考えておるわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 実際問題として百五十日なんというと、大体一年に二回しか現金化を見れない。しかし、地方において下請業をやっている人は、現実には毎月々々労働賃金を払っていかなければならない。しかもその手当をもらったって、歩積み・両建てでずいぶん金利の幅を縮小するわけです。ですから親企業と下請企業の関係において手形を発行する場合には、親企業は二カ月以上の手形を出してはいかぬ、そういう規制を厳然としなければ何か対策にならない。指導ではだめなんです。そういう点をもう一度お願いいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 手形の期限を六十日以内にするということになりますと、おそらくそれは手形法の改正というような問題になりましょうが、しかし、手形というものの性質からいって、これの期限を六十日に切れるか、九十日で切れるかというような問題は、かなり法制上むずかしい問題を含んでおるだろうと思うのであります。もちろん実効をあげるという意味からいえば、あなたのおっしゃるとおりにすればそれが一番実効があがるわけでありますが、なかなかこれは手形法の改正などというものは言うべくして行なわれない。そうしてわれわれはさしあたりいま言いましたような措置をとりまして、あなたがお考えになっておられるような問題をできるだけ緩和をしていく。しかし、それでもどうしてもうまくいかないということになれば、これは下請代金等支払遅延防止法の改正とかあるいは手形法の改正、そういう問題に移っていかなければならないだろうと考えておるわけであります。ただいまここでそういうような行政措置ですべてを解決することができませんが、非常にきついやり方をいたしまして法制を改正したというようなことになると、いまの日本の企業は、かなり信用膨張をいたしております、信用によって仕事をしておる、いままで百五十日以上、あるいは百二十日、百五十日、二百十日、二百七十日というような手形を出しておったのが一挙に六十日までつづめるというようなことをすることは、非常に下請代金支払いという意味では効果的であるかもしれませんが、しかし、経済全体の運行をなめらかに処置をしていくという面から見ると、かなり問題がそこにあろうかと思うのであります。そこで私たちは一応百五十日ということで順次、百二十日、九十日というように短縮をするような措置をとってまいりたい、かように考えておるわけであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 戦前のころは手形というのは、大体一カ月か二カ月だった。特に戦後になって国の予算の中に財政投融資というような問題の形のものが出てきてからというもの、これは企業、商売が複雑化しておりますから、多少長くなることはやむを得ぬが、百五十日というような手形が出てきたのはつい二、三年前からです。本来ならば百五十日なんという信用の問題はあり得ない、商取引の中には。ですからこれはできるだけ戦前のやっぱり正常化の二カ月へ引き戻していくという努力をぜひしていく。そうしてそういう検討を法制的にも諸般の事情を考えてやっていくという熱意をやはり通産省当局は持つべきである。こういうふうに考えるわけです。よろしく検討をお願いいたします。  それからもう一つの問題といたしましては、公取の指導を幾ら強化いたしましても、なかなか中央の機関だけではこれらの問題はうまくいかない。したがって、都道府県にやはり下請業者の代表であるとかあるいは学識経験者とか、行政庁のほうからも入ったりして何か下請の取引の適正化を審議する委員会というような、そういうようなものを設置するという、そういう前向きの形を考えておらないのですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 公取だけではいけないというわけでございますが、いま公取と通産省の中小企業庁とが連絡をとりまして、そうして親企業約二千数百に対してどういうような手形を出しておるか報告をさせ、それからまた、下請のほうからも報告をとるというようなことをいま実行に移しております。しかし、それであらわれてきた、いま先ほども申し上げた百五十日以上というようなものについては、場合によっては立ち入り検査もするというような強力な指導方針をとっていこうと思っておりますが、いま、御質問のあったのは、そういうような公正取引委員会とか、中小企業庁というものだけでは足りないから、各府県に何かそういうものを設けてはどうかというようなお話でありますが、ただいまのところ、それまではやっておりませんけれども、各業者団体、いま考えて、いるのが十幾つございますが、その業者団体については、そういうようなことを申し出ることを認めておりまして、まあこれは順次ふやすことも考えられるわけであります。ただ、やるとすれば、公取委員会の府県における何か支所みたいなものでもつくるか、何かそういうことでないと、窓口を広げるといいましても窓口を広げただけではいけないし、それを実効あらしめるには、何かそこに届け出のあったときにすぐ何かの措置をとるというようなことも必要になってまいるわけでありますから、こういうことについては、今後とも十分研究を続けさしていただきたいと思っております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 実際の場合として、下請の業者は、親会社に対してまあ苦情が言いにくいのですよ。そうすると、すぐ仕事を取り上げるとか、いろいろな措置が出てくるわけです。圧力がかかってくるわけです。ですから、下請業者というものは、ほとんど府県段階に多いわけでございますから、そこで適正な下請代金であるとか、支払い条件だとか、取引基準、こういうようなものを、その委員会なり、審議会なり、府県のそういうものをつくって、そこで自主的の立場からその問題を処理、解決していく、そういうようなことのほうがむしろこの問題を解決するにあたっては、具体的のケースの場合いいではないかというようにも考えられるわけです。御検討する用意があるかどうか、お聞きしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 親企業と下請との関係は、いま仰せになったように、遠慮し合うものですから、実際の効果はなかなか上がらないわけであります。そこで今度は親企業、いままではそういうことをしておらなかった親企業のほうの調査も今度はするということにいたしたわけであります。そうして親企業のほうの調査もするし、下請のほうの調査もする、こういうことによって支払いがうまくいっているかどうかという調査をいま始めた段階でございます。いま、あなたの、そういうようなことをやっていってもなかなか効果が上がらない、もっと下までこれをおろさねばできないということであれば、いまあなたのおっしゃったような問題も加味して研究をさしていただきたいと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 それからもう一つの問題ですが、この数年来、大都市の建設が進んで、いろいろ建設工事があるわけです。そういう中に地方のほうのまあ電気、土木、あるいは水道、こういうようなものに関係する熟練工が東京に集団になって出てきているわけです、大都市に。こういう人たちは、資材を持たないで、ただ労務だけを提供して請負関係を結ぶ、その際に支払われる労働賃金に相当する金が手形で渡されるわけです。手形で渡されて、自分の労働賃金を今度は指定の銀行に持っていきますと、歩積み・両建てをさせられるわけですね、非常に困っているわけです。ですから、労働賃金、材料を含まないところの労働賃金というようなものについては、やはりこれは現金化して親会社が払うべきだ、こういうような規制はできないものでございましょうか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ただいまの御質問の問題は、実は下請代金等支払遅延防止法の関係するところでないので、下請代金といいますと、製造、加工、修理というようなものを対象にいたしておるわけであります。労働賃金の問題はございませんが……。しかし、この問題、何もわれわれだからほうっているというわけじゃございませんので、これは労働省や建設省とも連絡をいたしまして、なるべくこれを現金で支払うように、実は要請をいたし、行政指導はいたしているわけであります。今後ともそれはその措置を強化してまいりたいと考えております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 これは実際、具体的に相当の苦情があるのですよ。一々場所を、そういう人たちのものを私出すのはいやなんですけれども、実際には多いのです。ですから、そういう労働賃金については、手形の発行をしない。こういうことでないといけないと思うのですが、この点については、十分御留意願いたいと思います。  それから歩積み・両建ての問題ですが、実は衆議院の予算委員会において加藤委員の質問に答えて、大蔵大臣は、一回の手形割引に対する歩積み三%、それから総貸出し額に対する両建て・歩積みが総額で一〇%程度はやむを得ない、こうまあ言って答弁しているわけなんですね。ところが、最近の公定歩合引き上げによって急速に歩積み・両建ては解消するのだという総理の意向等もあるわけなんですね。こういう点について全然解消してしまうのかどうか、その点をひとつお聞きしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 歩積み・両建てにつきまして解消したいという考え方と、一〇%程度はやむを得ないという考え方は、これは競合しておらぬのであります。御承知のとおり、歩積み・両建ては、これは商慣習、商習慣でありまして、世界どこへ行ってもあるのであります。でありますが、いわゆる過当、不当とも言われる歩積み・両建てをやってはならないということでございます。まあ、戦後、もう無資本の中から立ち上がったお互いでありますから、貸せるほうもその力がない。借りるほうも力がないということで、歩積み・両建てという、そのある意味においては商習慣として認められている範囲を逸脱しまして、歩積み・両建てというものが非常に過当な状態になっている。特に歩積みをしなければ貸せないというような金融機関が地位を利用して、借り人の意思に反して、歩積み・両建てを要求する。しかも、もう返済をして、相当量、借金は減ったにもかかわらず、また、将来、あなたは借りるのだから、この両建てになっている部分、歩積みになっている部分はくずさないで、そのままに置いたほうがいいというような弊害がだんだん続いて、百万円の貸し出しは、表高は百万円でありますが、百万円になんなんとする両建て預金があるというような弊害がありますので、このような弊害を何とかして早くやめなければいかぬ。そうでないと実質金利が非常に高いものになるわけでございます。百万円の借り入れをしておって、五十万円は歩積みになっている、両建てになっているということになれば、実際は、五十万円分に対しては自分の預金に対して自分で利息を払っているということになりますから、そういう常識を越した歩積み・両建てというものは、早急に排除しなければならないということでございます。また、現状は過当だと言われる歩積みが多いのであります。でありますから、商慣習として認められる正常な状態まで早急にこれを引き下げなければいかぬという考え方をとっているわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 それは実際、政府の中小企業三金融機関においても、末端においてはたとえば商工中金あたりとっているのですよ。歩積み・両建てをしているわけです。政府の財政資金ですね。そういうものをしている。政府のそういう末端の金融機関がやっているのですから、一般の地方の市中銀行あるいは信用金庫等は当然、これは改まりません。したがって、結局、大蔵省でもって三%くらいはやむを得ぬ、とってもいい、そして総額において一〇%程度はしようがない、こういう指令が結局問題になるわけなんですよ。現実に地方の末端の信用金庫なり信用組合へ行きますというと、ちゃんと大蔵省から通達を受けているわけなんです。で、あとは信用の度合いによってその両建てを額をふやしたり、減らしたりしているわけなんです。ですから、そういうような点を十分考慮に入れますときには、やはりこれは完全解消の方向へやはり思い切って踏み切らなければ中小企業対策にはならぬ、こういうように私は感じているわけなんです。将来どうです、基準についてはあくまでも現行基準でやっていくつもりかどうか、解消の方向で、全然解消の方向にいくのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) これは全然解消するということにはならぬと思います。これは商工中金とは、これはまた全然別ないわゆる組合金融でございますから、政府の金だけで貸しているものではなく、その組合からの預金も預かり、また、貸し出しも行なうということでありますから、これは商工組合中央金庫という制度の上の問題でありますので、商工中金が債務者預金を持っておるということをもって、過当なものに対してはもちろん排除しなければならぬですけれども、この商工中金という制度の上からくる特殊性であることは御了解いただきたいと思います。  それから政府が考えております商工中金を除く二機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫等の直接貸し出しにつきましては歩積み・両建てを要求するということは絶対にございません。いわゆる民間金融機関が、窓口業務、委託業務になっておる金融機関が、中小企業金融公庫や国民金融公庫からの貸し出しの分に対しても歩積み・両建てを要求するということは非常にいけないことでありますので、去年通産大臣の通達を出しまして、さようなことをしたものに対しては、業務の停止を命ずる、いわゆる窓口業務の取り消しを行なう、こういう強い態度をとっておるわけでございます。歩積み・両建てというものが全然中小企業に対しては全部なしにしなければいかぬということはなかなかむずかしい問題でございます。これはあなたがいまお認めになったとおり、信用の問題がございます。全然信用力のない者にも歩積み・両建ても絶対にいかぬということは、なかなか言い得ないのでありまして、信用が出てくれば一千万円の資本金で百万円も借り入れができるというような非常に特殊な例さえも日本にはあるわけでございますから、だんだんと信用を維持していくということ、それから歩積みに対しては、百万円に対して三〇%というのは三万円であります。二万円か三万円程度の歩積みをだんだんと十年、十五年やっていくことによって自己資金が非常にふえるという面もあるわけでありますから、私は世間が容認する歩積みというものまで排除してゼロにしなければならぬということにはならないと思います。  もう一つは債務者預金、両建ての問題でありますが、これは銀行というのが特殊な状態にあるわけでございます。まあこれは政府機関のようにして、その受け入れば郵便局でやる、そして預かった金は財政投融資でもって使う、こういうことになれば歩積み・両建てはなくなるでわけであります。ところが、銀行というのは、法律に基・ついて預金業務と貸し出し業務を両方やるわけでありますから、でありますから、その債務者預金というのはあるわけであります。しかも、その一億の金を借りても、いますぐ一ぺんに一億直ちに使うわけではないわけであります。一億の借り入れを行なって三カ月に支払うということになれば、二カ月日には三分の二残るわけであります。残ったものは自分で現金にしておけないから、同じ銀行に頂けておく、でありますから、債務者預金というものも全然なくはできないわけであります。でありますから、問題は、借り主の、その借りる人の意思に反して歩積み・両建てを要求するということがいけないことであります、過当であり不当であるということでありますので、こういうことはひとつ排除しなければ中小企業の実質金利負担が軽減されないということで、いま歩積み・両建ての解消の方向に向かって努力をいたしておるわけでございます。でありますから、歩積み・両建てが全くなくなるということは、言い得ても実際の商習慣としてはそうはならないわけでありますから、不当な、過当とも言われる歩積み・両建てを排除するという方針で政府は進めておるわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 実際の場合ですね、たとえば百万円借りる場合に、貸し出しして借りる場合に、歩積みを取って、手形割引期間の歩積みを取って、その上に四十万なり五十万の両建てをさせるわけなんです。そうすると、事業に必要な百万の金を借りても、実際には五十万円か七十万円以下しか役をしないわけですね、それなら最初からそういうことをやめて、五十万に対する利息と、まあ歩積みぐらいならやむを得ぬけれども、そういう方向へ行かないと正常化じゃないわけなんですね。そういう点についてそこまで政府といたしましては努力していくかどうか。いま私は具体的な例を申し上げたのですけれども、そういう点をひとつお聞きしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) そこまで検討しております。これを捕捉して正常なものにするにはどういうことが一番いいか、非常に捕捉しがたいものであります。これは銀行からは百万円の金を借りるときに、実際あなたがいま言われたとおり五十万円ぐらい歩積み・両建てをしなければいかぬということになりますと、相当高いものになるのですが、銀行に対する借り主は非常に弱いので、それを荒げたことを言えば次に取引をしませんよということを言いますから、実際問題としては捕捉しがたいのであります。実際投書なんかあって、その人に聞いてみると、いや私は任意に自分の自由意思において両建てをしている、こういうことを言うのでございますから、これを実際に捕捉して歩積み・両建ての弊害をなくすということのたった一つの手は、債務者預金に見合う金額の利息は、非常に低い利息でなければいかぬ。もちろん百万円借りておって、五十万円は金融機関に預金がある場合には、預金の利子が五分でありますから、五分で貸せろと、こう言えば、銀行は経営できませんから、五分というわけにいかないにしても、少なくとも企業の保持割り当てというものは一体何パーセントかということがきまるわけでありますから、そういう意味で、いま大蔵省が通達をしておりますものは、日歩一銭六厘だと思います、六厘か七厘。両建てになっておるその部分に対する貸し出し金利は一銭六、七厘でやるべし、こういう通達を出しているわけであります。これは昭和十何年から、もう非常に古く出したと思いますが、でありますから、百万円表高借りておって、五十万円預金のある人は、五十万円に対しては一銭何厘の低い金利でもって借りることができる。当座借り越をしたと同じような状態で借りる、あとの五十万円に対して正規な金利で借りるということになれば、歩積み・両建ての過当性を免かれるわけであります。そういう意味で、少なくとも両建てになっている部面に対して高い利息、標準金利以上を取ってはならぬという指導は強くいたしているわけであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 戦前は手形等におきましては、これは各銀行が競って、ぜひおれのところであなたの手形を割り引かせてくれ、こういうように銀行よりこちらがお客さんだ商売するのだから、お客さんだから、いまでもお客さんには相違ないけれども、むしろ銀行が低かった。ところが最近は数年来見ておりますと、歩積み・両建てのほかに、中には地方の金融機関の長やあるいは幹部級が関係している生命保険会社がある。そうすると、金を貸すことによって、このほうの生命保険会社に契約してくれとかなんとか言って入るわけですね。たいてい一、二カ月、長くて三カ月くらい掛金をしてみな解約してしまうわけです。そういうような圧力を非常にかけられる。中には盆、暮れにはおつき合いしなければならぬというような問題が出てくるわけです。そういうことをしますと、これは非常に金利が高くなってしまって、むしろ個人のやみ金融の日歩四銭ないし五銭くらいで借りても、そのほうがあとくされがなくて安い、実際問題とすると、ですから、やみ金融が絶えないわけですね。日歩四銭ぐらいのやみ金融が絶えないというところに、私は問題があると思うわけですよ。ですから、そういうやみ金融を一面から消していくということをするためには、やっぱりもっと抜本的な対策を金融上考えていかなければいかぬ、こういうように思うわけでございますけれども、大蔵大臣、やみ金融をなくしていく方向において正常化を考えているかどうかということをお聞きしたいのであります。   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 浜の真砂と何とやらで、まあやみ金融というのは世界中にあるわけです。これはなくしたいということは、もう当然であります。ほんとうに正常な金融になれば、やみ金融というものはなくなるかというと、やみ金融はなかなかなくならない。なくならないのですが、少なくともやみ金融によってやるような生計を立っている人は、やみ金融を使ってもいいと思いますが、少なくとも正常な営業をしている人は、必要な金は金融機関から正規な金融をやるようにすることが一番の問題でございます。でありますから、少なくとも税金を納めるのにさえやみ金融を使わなければならぬというような事態は絶対避けなければならぬということでございます。戦前はあなたが言われたとおり、公定歩合も日歩一銭ということがございました。一銭を切ったことがある。今度公定歩合を一厘引き上げると二銭になるわけですから、まあ一銭八厘から二銭というと、ちょうどいまの半分だ。そのときには、世界的にも不景気でございまして、日本においても昭和の初年は不景気であります。不景気でありますと、仕事をしても合わないということで、なかなか景気の浮揚力がなかった時代には、確かにそのような事態もございましたが、戦後は、金利より——私どもは金利問題で非常に努力しているにもかかわらず、金利よりも金の量が必要だ、こういう風潮があるわけです。そのくらい日本の経済成長率はたくましいわけでございます。あまりにもたくまし過ぎるので、公定歩合二厘の引き上げということもあるわけでございますが、いずれにしましても、われわれはいま実質金利の問題に取り組んでいるわけでございますが、資金需要が非常に多いということが一つの原因でございまして、その意味では、資本蓄積と貯蓄増強という意味では、皆さんにいろいろなことを言われながらも、税制上とかいろいろなことをやっているわけであります。やはり貸せる金がなければ貸せられないわけでありますから、結局需要と供給のバランスがとれないものですから、借り主は非常に多いが金はないということで、いろいろ理屈をつけて、歩積みをやらせる、両建てをやらせる、こういうことになるわけでございまして、正常な金融をはかるためには、やはり資金源を十分確保するために、あらゆる手段、施策を行なわなければならぬということと、もう一つは、やはり企業に対して、きのうまでは月給をもらっておった人が、今度は仕事覚えると、月給では幾らやっても合わないからというので、直ちに友だちが二、三人でもって百万円の会社をつくって、翌日には千万円の手形を振り出してしまう。こういうことでは、金融の正常化や正常な企業の発展もできないわけでありますので、金融の正常化とあわせて日本のやはり経済の正常な発展というものも大いに企図しながら、目的を達成していかなければならぬというふうに考えます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 金融機関の歩積み、両建ての制度を厳重に取り締まる、こういうことで、大蔵省と日銀で構成する特別査察班に中小企業庁も参加したい、こういう通産大臣は意向を明らかにしているわけです。そのような行為の中から、将来地方の金融機関で信用金庫、地方銀行、信用組合、こういうようなところで、実際政府の期待に沿うような、正常化の実績の方向へ運営しているという金融機関があったならば、やはりそれだけ資金量には困るわけなんですよ。そういうような優秀な金融機関については、特別の資金量を考慮してやる、こういうような問題は考えられているかどうか、お聞きしいたと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 今度の公定歩合の引上げの直後、日銀総裁を招致いたしまして、中小企業対策に対して随時適切な配慮をされるようにということを要請し、日銀総裁はこれを応諾しているわけでございます。同時に、銀行局長通達を出して、中小企業の金融に対しては十分な配慮を行なうようにということをいたしております。あわせて日銀と大蔵省と合同銀行検査班といいますか、いずれにしても歩積み・両建て等の排除のために随時銀行監査を行なうという方針を決定いたしてございます。あなたはそれより一歩先に、今度は歩積み・両建て等はやらないで、いい金融機関があったらどうするかということの御発言でございましたが、当然そう考えております。それはひとつ財政資金等をもって行なう買オペレーション等に対しましては、不良金融機関に対してはやらない、こういうことを考えているわけであります。だからいいものに対して——悪いものにはやらないということですから、結局いいものにはよけいやるということになるわけでございまして、こういうところまで知恵を出しております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ答弁がありましたから、最後に、この公定歩合が引き上げられる前に、中小企業金融公庫の政府の三機関の長が、北野さん、それから石田さんと船山さんですか、この人が、それぞれ三月危機は四−六月ごろにずれる、こういうことを言っているわけです。その後公定歩合が上がったわけですね。ところが、急速に政府が考えたのが税の緩和問題だけです。そういうようなことで、この四−六月ごろにずれるだろうという、そういう見通しが今回の引き上げによって、引き締めによってどういうふうになっていくのか、こういう点、ひとつ通産大臣にお聞きしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 大体倒産のいままでの経緯を見てみますと、一月が百九十八件、二百八十二億円、二月が二百三十八件、三百五十一億円、三月が第一週が五十六件で八十三億、第二週が五十八件で七十二億というような状況でありまして、三月も、大体まあ二月よりはいささかふえるのではないかという形でありますが、それほどいわゆる異常なふえ方ということにはならないかと思っております。ただこの見通しは、いまあなたが御質問になった見通しは、これは三月初めごろの見通しであったと思うのでありますが、いままでの倒産件数等を見てみますと、一月までに大体繊維関係、暖冬異変による繊維関係の倒産が非常に多かった、一月まで。それから二月、三月になりましては、機械工業の下請関係が相当多いようでございます。これに今度の公定歩合の引き上げがどういう影響を与えてくるかということになるわけでありますが、われわれといたしましては、まあ三月というのが、大体いつも中小企業の会計年度というのは大体一年に一回と、こう見ておりますけれども、三月が多うございます。したがって、三月に大体何とかなれば、四、五、六というような時期にはそれほど、ほかに理由がなければ、特別の理由がなければ、私はこうしたものは増加しないと見ているわけでありますが、ところが今度は公定歩合の引き上げという特殊事情が出てきた、こういうことでございます。この点から考えてみて、いわゆる金融が逼迫して、またそういうことが起きるのではないかということでございますが、大体十二月ごろから中小企業関係の倒産が非常に問題になって、中小企業でも、よほど企業者も注意をいたしておりますので、まあこれは私はやってみなければわかりませんが、それほど倒産件数がふえ、いわゆる不払い——払いができない金額がふえるというふうには私は見ておらないわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ見通しでございますから、非常にむずかしいかもしれませんけれども、どうも税の緩和措置だとか、金融的には二百億の買いオペだとかいうような程度だけでは、もっと私は深刻化するのではないか、そういうふうに考えておるわけです。したがって、まあ倒産はないほうがいいわけでありますから、抜本的なやはり早急な対策を具体的に打ち出すということが賢明ではないかと、こういうふうに考えておりますが、まあ場所を改めて、またそれらの問題につきましてはお伺いすることがあると思いますが、抜本的なひとつ対策を要望いたしまして、以上で質問を終わります。ちょっとその点だけ。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) お説のとおり倒産件数を少なくするということは、これはもうわれわれとしても大いに努力をいたさなければなりません。したがって、今後も適時適切に、なるべく早目に対策をいろいろ立てて、そうしてそういうことのないように努力いたしたいと存じます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ自由化が本格的にことしから進みますというと、農林水産物の自由化率は、これもまあ急速に進んでいくだろうと思うわけです。現在自由化された農林水産物の品目と非自由化された品目とは大体どのくらいになっていますか。おわかりでしたら、お伺いしたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 自由化品目が九五、それからまだ残っておるのが七十六品目ございます。前のはパーセントでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そこで自由化が本格化いたしますと、日本の農業は縮小するではないかという考え方があるわけです。過ぐる経済審議会の国民所得倍増計画の中間検討といいますか、それを見ますというと、最悪の場合は牛乳も牛肉も五割くらいになってしまう。値段が下がってしまう。そして値段が下がれば生産量が急速に減少して、大体牛肉では三二から四二%くらいに下がる、牛乳が六二%から六七%くらいまで下がってくる、こういうような中間検討の答申があるわけでございますけれども、しかも、農林水産物全体といたしましては、三十六年度を基準年度にいたしまして、まあこれは完全自由化されますというと二千五百億円から四千七百億円程度の生産量が減少してしまう、こういうようなことを発表しておるわけです。これについて、この検討について農林大臣どういうようなお考えを持っておりますか、考え方をひとつお聞きしたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 裸のままで自由化するという場合に、諸外国の農産物と日本の農産物の価格を比較した結果がいまのように出ております。すなわち関税は現行どおりと、あるいは国内の価格政策その他の行政措置は全く考えない。あるいは現在の輸入価格水準をもって自由化後の国内価格水準とした場合の比較、そういうことになりますと、いま御指摘のあったようなことになります。でありますので、まっ裸のままで何らの対策も講じないということになれば、日本の農業に対して重大な影響を持つと思います。でありますので、対策としては再々申し上げておりまするように、関税率の調整あるいは財政的な措置及び農業政策全体として、日本の農業政策の生産性の向上をはかってコスト低減をはかるという、こういう対策を講じていかなければならない、こう考えております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 経済審議会では、しかもその上に農業人口が減少して、現在の八割程度になってしまう、こういうことを言っておるわけです。そういうようなことになると、この経済見通しをですね、企画庁長官来ておりませんが、ことし、大体将来自由化するというと、経済審議会では日本の農業は縮小するという結論を出している。そこでこの経済見通しを見ますというと、農林水産全体としてはおおむね五%上昇するのだ、生産性が上昇するのだ、こういうことを、生産の伸びを言っているわけですが、経済審議会の見通しと、それからこの経済企画庁の見通しでは片っ方はふえていく、片っ方は減っていくのだということになると、食い違いがあるわけですね。自由化をめぐって。この点について庭山参事官ですか、どういう考え方を持っていますか。長官来ておりませんから。

庭山慶一郎経済企画庁調整局参事官

○説明員(庭山慶一郎君) お答えいたします。この自由化を完全に行ないますと、いまおっしゃいますような数字になることは私どものほうでも計算いたしておりますが、来年の経済見通しに関しましては、これは三十九年度の一年間の問題でございますので、三十八年度の実績を基礎といたしまして、従来の傾向などを勘案いたしまして、こういう数字を出したわけでございます。この五%と申しますのは、去年は農産物の不作その他特殊な原因がございましたので、そういう関係がございますので、三十九年度の伸びが比較的多く出ておるという特殊事情がございますことを申し添えさしていただきます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 農林大臣は、まあ経済企画庁でも農業は縮小するというような試算をしているらしいのですよ。ところが、農林大臣は、いま裸のままで、まる腰で輸入していくというとたいへんだということを言っているわけです。しかし、日本の高度経済成長政策をしようとするならば、これは当然の勢い工業生産物の輸出を増大するという面からいうと、工業生産物を外国に輸出するわけです。外国へ工業生産物を輸出すれば、それだけの市場を獲得しなければならないわけですよ。しかも、片面貿易でございますから、結局アメリカだとか東南アジアということになりますと、そこへ日本の工業生産物が行きますというと、勢い農産物の輸入を見返りとしてしいられてくるということは明らかなんです。現在選択的拡大対象の、畜産であるとか、あるいは果樹、たとえば脱脂粉乳、バター、チーズ、干しブドウ、こういうような果樹類が入ってきている。特にきょうあたりから、どっかあそこら辺でアメリカのジュースの展示会もやっているわけですね。そういうように選択的拡大の対象となる農産物が多量に、もう自由化されるとされないにかかわらず、国内に入ってきているわけです。大手を振って入ってきているわけです。そういうことが非常に日本の現実の農業を圧迫しているという姿が歴然と出ているわけです。ですから、輸出を増大していくためには、農産物は必然的に受け入れなければならぬという、こういうことは出てくるわけです。これについて農林大臣のひとつ考え方を聞きたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 輸出を拡大するために農産物を輸入しなくちゃならないのではないかということも一つでございますけれども、また日本の農業が相当伸びてきておる、農産物の輸入はしなくても済むというようなことがあれば、またほかの資材等を輸入するという面が出てきますから、一がいに、工業生産物を輸出するためには農産物の輸入を認めなければならぬ、こういう結論は私は出ないと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 これは見解の相違ですけれども、日本の国から農産物を向こうに向かって、よその国に向かって輸出するということより、輸入することが多いのですよ。必然的に多くなる。それでなければ、アメリカの市場も承知しないでしょう。そこに日本農業の問題点があるわけで、経済審議会では、完全に自由化がされたときには、生産が最高四千七百億ぐらいに減っていくのだという、そういう見通しを出しているわけです。そこに食い違いがあるわけです。しかも、まあわれわれも気がつかなかったのだけれども、農業基本法を見ても、日本の国民食糧は日本の農業によってまかなうことを基本とするのだという条文が一つもないのです、これにはね。珍しいですよ。西欧諸国では、どこの農業基本法を見ても、西ドイツあたりでも、みた国民食糧は西ドイツの農業でまかなうということが基本になっているのです。日本のはないわけです。これから見ても、将来は食糧は輸入していくのだ、またそうしないと高度経済成長政策の労働力というものは農村から集めることができない、そういう問題とからみ合いまして、自由化いたしまするというと、私は農業に対して重大な影響が出てくる、こういう点を一応農林大臣の考え方といたしまして、まあ農産物を輸入しなくてもいいのだということにはいかないだろうと思いますけれども、もう一度この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 自由化の影響があるということは申し上げておるとおりでございます。反面におきまして、また日本は食糧の自給といいますか、そういうことは全然農業基本法にも書いてないのだから、どんどん農産物の輸入というのはふえていくのではないか、こういうことでございますけれども、食糧の自給ということは、もう既定の事実といいますか、当然自給度を増していくということは考えなければならぬ問題でございますから、特に農業基本法には私は掲げてなかったと思います。しかし、第三条でございますが、「土地及び水の農業上の有効利用及び開発並びに農業技術の向上によって農業の生産性の向上及び農業総生産の増大を図ること。」、こういうようなことを書いてあります。これはとりもなおさず、選択的拡大とか、いろいろの面で問題がございますけれども、農産物全体としての生産を見ていく、こういうことでございますから、自給的な方針を捨てたということではございません。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあそれでは例を脱脂粉乳の問題にあげていきたいと思いますが、今年は、昨年脱脂粉乳は学校給食、飼料用その他で六万七千七百五十トン輸入しております。今年は、八万三千トンないし五千トンぐらい輸入するらしいのでございますが、この脱脂粉乳が、大部分が学校給食に使われております。文部大臣おりませんから、そのほうの質問は省きますけれども。そこで、この脱脂粉乳が実際には入ってくるために、乳製品がだぶついているのだという、そういうことによって、少なくとも生産者との間において、メーカーとの間において、乳価の二円の切り下げの問題をめぐって争いがあるわけですね。理由はみんな乳製品がだぶついているからというわけです。しかも、牛乳の全生産量の千三百五十万石から見ますると、大体その四割ぐらいの脱脂粉乳を輸入しておるわけです。ですから、この脱脂粉乳がそういうメーカーの利益のために使われておる口実になっている。こういう点は私は十分考えなければならないと思いますけれども、この点についてひとつ聞きたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 本年度の脱脂粉乳の輸入割合は、御指摘のような数字になっておりますけれども、一般用の脱脂粉乳はずっと減っているはずです。給食用のは減っておりません。しかし、これが牛乳、乳価等の引き下げの口実になっているといろいろ言うでしょう。しかし、私はこれは口実にならぬと思うのです。いま乳価の問題でも調停いたしておりますけれども、輸入のほうでは採算がとれないということを言っております。私どものほうといたしましては、去年の十一月ごろから消費を増大するために、畜産事業団等によるバターの買い上げ等をいたしたり、またいろいろ対策を講じているのでございますが、脱脂粉乳、これが引き下げの原因になっておるというふうには私見ておりません。しかし、学校給食面からいいますならば、これはずっと減らしていきたいと思います。ことしはそういうふうになっておりますが、逐年私はできるだけ減らして、生牛乳にかえていきたい。方針としては生牛乳を中心とした学校給食、こういうことに方針を切りかえていく、こういう方針で臨んでおるわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 文部大臣来ましたから、そこでちょっと文部大臣にお伺いをしたいのですが、昨年の脱脂粉乳の輸入した量が、何か二万四千トン倉庫に眠っておって使わないで、約金額として十億円、とうとう大蔵省のほうに返さなければならぬという事実があるのだそうでございますけれども、その間の事情をひとつ御説明願いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) ミルク給食は、小学校、中学校を通じまして全面的に行ないたいと考えまして、計画を進めたわけでございます。昨年度中におきましては一〇〇%これを実施するというところまでいきかねたわけでございます。その関係で余りを生じましたようなわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 余ったおもな理由はどういうところにあるのですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) いろいろな理由が考えられ、あるのでございますが、一つには経費負担の関係でまだ取り上げかねるというところも若干ございますし、あるいはまた完全給食にしたいという関係で、それまで採用を控えるというふうな気分のところもございますし、あるいはまたミルク給食につきましていろいろな宣伝も行なわれたわけでございます。そういう関係から採用にちゅうちょしたというふうなところもあったかと思うのであります。だんだん理解を進めまして、完全に実施するようにいたしたいものと考えておる次第であります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 いま説明なさった点等が確かに余った理由の一つにはなるかと思いますが、昨年、これは調査機関がわからないのですが、岡山県その他七県において調査しましたところ、約中学校六十校、小学校百十三校ですか、三万四千人について調査をしたところが、うまいというのが一六%、普通だというのが四九%、まずいのが三四%というようになっておるわけです。これはどこでも確かに評判が悪いことは事実ですよ、末端に行ってみれば。何と理由をつけても、これはうまくないというのが、これはもう生徒に実際に聞けばわかることです。そういうのが原因になって、十億円の金がつかい切れなかったという有力な根拠になりはしないかと思うのですが、その点はどうですか、いま説明がなかったのですけれども。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 脱脂粉乳がまずいというふうなことを言われておる関係も確かにございます。私、言い落としておりましたけれども、そういう点もあろうかと思うのであります。しかし、はたして言われるほどまずいのかどうかということになりますれば、これはいろいろ意見もあろうかと思うのであります。やはり飲ませ方につきましては、相当工夫をすることによって、そんなまずいものじゃないということも言えるだろうかと、私は思うのであります。同時に、まあ私は何と申しましても、脱脂粉乳というものに変なものがまじっているとかなんとか妙な宣伝がかなり行なわれましたことが相当こたえたように思うのであります。そういう点はだんだん理解も進みましょうし、また、いわゆるまずいという問題につきましては、いろいろまた工夫することによりましては、かなり味をよくすることができると思う。そういうふうな点につきましても、地方の人たちの研究、努力を待ちたいと思うのでございまして、現に行なっております脱脂粉乳のいわゆる給食につきましては、相当そういう意味におきましては改善せられた点もあると私は思うのであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 加工して乳業メーカーのように、コーヒー牛乳をつくったり、フルーツ牛乳に利用されたらそれはうまくいくかもしれませんけれども、それでは栄養価がないわけです。そこで大蔵大臣、こういうような十億円も予算を余すというようなことについての、あなたのほうの査定ですね、これはずいぶん三割ぐらいきっと残ったんじゃないですか。二万四千トンですからね。そういうずさんな大蔵省当局の査定をどういうように思いますかな。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 脱脂粉乳を三十八年から初めてやったわけでありまして、これは学童の体位向上ということを目標にしてやったわけでございます。私も約四十億のうち十億が消化されなかったということは悲しいことだと思っております。まあ、私たちもあまり西洋料理なんか好きじゃありませんから、なかなか新しいものに対しては飛びつかないということはよくわかりますけれども、体位向上とか食生活の改善とかということに対しては、非常にいいことでありますから、私はいま文部大臣が述べられたように、いろいろ誤解もあったでありましょうし、いろいろなことがあったけれども、まあ良薬は口に苦し、薬は苦いものさえも飲まなければならぬわけでありますから、そういう意味からいっても、私はやはり学童給食をやり、粉乳をなるべく義務教育に全部やろうという新しい施策に対しては、この粉乳が十億程度残ったということであきらめないで、今年度は生乳の十万石という新しい制度もやったわけでありますし、これが体位向上にもなり、また酪農の振興にもなり——それじゃ一ぺんに生乳にすればいいじゃないかといっても、需要供給の問題からそう一ぺんにはならないわけでありますから、やはり長い目で一歩一歩かかる新政策は進めていくべきだという考えでございます。非常に財政豊かならざるときにもかかわらず、十億も残したことはまさにもったいないという考えでございますが、当時としては文部省でこれをこなせるということでありましたので、そのまま認めたわけでございます。しかし、これはいいことでございますから、こういうことから生乳の四十万石も生まれ、酪農振興にもなり、やがて近い将来には生牛乳は全部飲ませられるようなもととなったとしたならば、その過程における一つの犠牲だろうというふうに考えていただきたいと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ、その理由はどうであれ、現実の問題として十億残っていたということは、確かに各地方の意見を聞きますというと、子供が確かにうまくないということなんですよ。これが多いと思うのです。そこで、しかもこの脱粉の輸入については検査権がアメリカのほうにあって、日本には検査権がないわけですね。ですから、相当不適格品というものも出てくるわけです。この不適格品等の処分をめぐって、これらが乳業メーカーへ流れて、それがフルーツ牛乳になったりコーヒー牛乳になったりして化けてくる。そういうのが現実には日本の酪農を圧迫していることは事実なんです。いつでも乳業メーカーと二円の乳価闘争をめぐるときには、だぶついているからそれだから上げられないのだ、こういうことを理由にとっているわけですよ。ですから、そういう予算で余るようなものをたくさん輸入するよりも、さらにもっと前向きに酪農問題を真剣に取り上ぐべきではないかということを私は申し上げているわけであって、そういうことによって乳価の切り下げが防止できる一環にもなる。防止できる一環となると考えているのですが、農林大臣、基本的な考え方どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 基本的な考え方は同感でございます。ただ、急激にそれができないというようないろいろな財政の問題がございますから、そういう点はいろいろ考えているわけでございます。基本的には同感です。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 これは脱粉ばかりでなくて、バターも同様ですよ。チーズも半製品のナチュラル・チーズをとっていろいろいま加工しておりますよ。こういうのが過去ジャージー種を日本へ仕入れても、ほとんどジャージー地帯はもう全滅ですよ。ですから、そういうアメリカのあるいはオーストラリアの、デンマークの、こういうようなバターを日本の半値ぐらい、時間がありませんからこまかい値段の点は言いませんけれども、そういうものが輸入されてきているわけです。ですから、幾ら酪農振興、近代化と言っても、そういう酪農製品がどんどんはいることによって、結局、日本の酪農関係は、選択的拡大の対象だといって政府が奨励しておりますけれども、現実には値段が下がって、生産量が減っていくという、こういう現実に直面せざるを得ない。このことは実際としてあらわれているわけですね。だから、経済審議会がああいう日本の農業は自由化によって縮小していくのだという、そういう見通しを出しているわけですね。ここら辺のところは十分考えてやらないといけない。これは乳製品をそういうアメリカの余剰農産物ほかそういうものを輸入してやっていかなければ日本の経済成長ができないのだということになるのかどうか、そこら辺のところは農林大臣どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) ナチュラル・チーズは、ずっと前といいますか、数年前に自由化いたしたままになっているものですから、いまのような御意見があろうかと思います。これからの自由化の問題といたしましては、再三申し上げておりますように、米とか麦とか、あるいは酪農製品、でん粉、これはほんとうに慎重にというよりも、自由化は当分すべきものじゃない、こういうふうな方針でおるわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 答弁がよく納得できないのですが、も一つやっぱり果樹産業を振興するのだといって相当増反計画を立てております。そういう中で一昨年の二十七年の四月に酒税法が改正せられまして、それから干しブドウがはいってくる。で、干しブドウによってブドウ酒がつくれるのだということでもって酒税法が改正せられました。それと相前後いたしましてアメリカをはじめイラン等の干しブドウの輸入が飛躍的に増加してきた。数字は時間がないから申し上げません、そのことはおわかりでしょうから。そこで、そういうようなことが国内産業へ直ちに影響いたしまして、山形をはじめ岡山、大阪、山梨、全国のせっかく増反しているブドウ業者に生活権の問題として大きな打撃を与えているわけですよ。こういうような問題につきましては、どうも私どもは政治的に干しブドウの前提を考えてそして酒税法を改正したのだと、こういうように受け取れる面もあるわけですが、この問題をめぐって、干しブドウの輸入を阻止するか、あるいは関税を引き上げていくか、あるいはもっと適切な措置を講じていくかという問題の中で酒税法の改正問題があるわけですが、その酒税法の再改正というような問題については大蔵大臣は考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 干しブドウの輸入に対しては、農林省と十分意見の調整を行なっておるそうでございます。  それから酒税法の改正は考えておらないということでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 農林大臣、しからば大蔵大臣は酒税法の改正は考えておらぬということになりますと、これら国内農産物に影響のある問題の一つとして干しブドウをあげたわけでございますが、これらに対しての行政的な措置といいますか、とにかく農林省では選択的拡大の対象産物といたしましてこれらを含めて奨励しているわけなんです。それがたまたま外国産の農産物、干しブドウを輸入することによって非常に打撃を受けているわけですね。ですから、農業基本法の十三条にありますように、一体どういう措置を大蔵省と相談してとっていくのかどうか、そういう点はひとつ考え方を明らかにしてもらわないと、これが非常に増反に影響してくるわけですね。お考えを聞きたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほどの発言に対して訂正をします。酒税法の改正等につきましては、農林省といま相談中でございますと、こういうことでございます。酒税法の改正をしないということを申し上げましたが、それは誤りでございます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 干しブドウを醸造川に使っているという例がありましたが、それはたいへんな量ではないように私どもの調査には出ています。でありますので、それほどの影響だとは思いませんが、これから相当輸入されたという場合に、これが醸造用に回されるということになれば、これまた影響があろうということは考えられます。そういうことでございますので、いま大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、農林省といたしましても大蔵省と行政的にどういうふうにやっていったらいいかと指導及びその他、目下協議中といいますか、検討中でございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 政府の対策はいつでも現実的な打撃が出たあとでないと対策しないわけなんですね、たいてい見ておりますと。そこで、現実には試作品としてもうすでに大阪の寿屋で三百四十八トン試作をやっているわけですよ。ことしあたりはブドウ糖のかわりに多量にこれを使っていこうと、こういうような動きがあるわけですね。そうしますと、そのことによって、日本の生ブドウのほうは値段が高ければおれのほうは買わぬ、もっと安くしなければならぬという問題は、昨秋からもう起きておるわけですよ。したがって、これから対策を検討なんということではどうも納得がいかないので、早急にこれらの問題に対する対策を考えていただきたいということを要請しておくわけでございます。農林大臣……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 私のほうの調査では、何も言いわけするわけじゃございませんけれども、いままでではそれほどじゃございません、先ほど申しましたように。しかし、これからの影響を考えますから、次善といいますか、対策を講じなくちゃならぬ。その対策につきましても、大蔵当局とずっと長く相談をいたしておりますので、早急にその結論を出したいという段階で検討を続けているわけでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 最後に一つ、もう時間がきたようでございますから。  まあ全体として輸出をふやさなければならぬということで輸出市場を拡大すれば、必ず自由化の中で日本の置かれた立場の中では見返り物資として農産物を輸入をしていかなければならぬ。これはもう宿命的なものだろうと思うのですよ。したがって、従来の考え方でなくて、もっと抜本的なこの際農業政策に対するところの自由化に対処しての対策を考えていかなければならぬ時期にきておる。そういう観点からいたしまして、これら国内農産物と競合する輸入農産物の対策につきましては、すみやかな、日本農業に影響を与えないような対策を要望しておく次第であります。  以上でございます。

平島敏夫自由民主党

○理事(平島敏夫君) 安田君の質疑は終了いたしました。   —————————————

平島敏夫自由民主党

○理事(平島敏夫君) 次は亀田得治君。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私は日韓会談の重要な問題点についてお尋ねいたしたいと思います。  最初に外務大臣にお尋ねいたしますが、韓国の金鍾泌氏はどういう資格で来日されておるのか、明らかにしてほしい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 民主共和党の議長という資格でお見えになっておると思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 たとえば朴大統領の関係とか、あるいは国会の議決とか、そういったようなものとは関係が今回はないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 関係がないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 先ほど何か議長とおっしゃったのはどういう意味でしょうか。国会の議長としてという意味ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 党の役職だそうです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうすると、目的はこれは何でしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは御本人に聞かなければわかりませんけれども、私がけさお口にかかりましたのは、表敬訪問をしたいという申し出がありまして、それを受けて、交渉の実体の問題でなくて、たまたま交渉の進展について話題が及びましたが、そういう話を中心にお話をいたしました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあお話ししたことは後ほどまた聞きますが、だから、来られた目的というのはどういうことなんでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは御本人に聞いていただかなければわかりませんけれども、日本政府に関する限りでは、私に表敬訪問をしたいということでけさお目にかかったということです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃ確かめますが、外交交渉などをする権限は金鍾泌氏は持っておりませんね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交交渉をされる立場ではないと思いますし、また、私もそのように心得ております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 けさ外務大臣が金氏とお会いになりまして数々の重要なお話があったようですが、その一つとして、四月の上旬をめどにして大平外務大臣と韓国の丁外務部長官の会談に持ち込んで、これはジュネーブからの帰りになるんでしょうが、その会談に持ち込んで、そこでひとつ妥結をさせたい、こういうふうにお二人でお話し合いをされたようですが、どうでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 丁外務部長官が四月の初めにジュネーブから帰る途次東京に立ち寄った場合に私がお目にかかるという約束はいたしております。で、その際日韓交渉がどういう進みぐあいになっておるかまだ予想がつきかねますが、私どもとしては、交渉全体が進捗することを希望いたしておるわけでございます。そういう機会がございますれば、そういう機会においてもできるだけ努力いたしてみたいと思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 四月上旬に両外務大臣の会談を開いてそこで結論をつけるようにしたい、お会いするという約束まではいまのお答えでされたようですが、その中身として、目標をそういうところに置いてひとつやろう、こういうお話し合いをされたんでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 農相会談は農相会談で御促進いただくし、正式会談のほう、その他の問題につきましても討議を促進するというようにありたいのだということでございまするから、私のほうもそのように心得ておるということでございます。それが四月の初めまでどういう成り行きになりますか、今度おいでになったときには、そのときまでの成り行きをレビューいたしたいと考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いまのお答えによりますと、農相会談あるいは全体会議等についてもお話が触れておると思うのですね。四月上旬の丁外務部長官との会談の目的についてはどうもお答えでは多少不明確ですが、しかし、いま外務大臣が言われたようなことは、実質的にはこれは外交交渉じゃないでしょうか。せんだって金鍾泌氏が大野副総裁を訪れましていろんなお話をしたことは新聞にも出ております。しかし、大野さんの場合とあなたの場合は立場がたいへん違うと思うのです。あなたは正規の外交の責任者なんです。その責任者の方といま言われたような話をされるということは、いま金氏が置かれて、おる立場からみるならば、実質的にこれは外交交渉を進めておると、こういうことになるじゃありませんか。ならぬと言えますか。そこを聞きたいわけです。   〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は外交交渉するつもりありませんし、先方もそういうつもりはないようでございます。儀礼訪問以上に出るつもりはないようでございます。せっかくお目にかかりましたから、日韓会談の進みぐあいというものが話題になったというにすぎません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 儀礼訪問をされてたまたまそういうお話が出たということではないわけなんです。世間はだれもそういうふうには見ておりません。たとえば、香港で丁外務部長官と金鍾泌氏が会ってきております。その際に、丁長官は、漁業問題等で行き詰まってしまっておる、ひとつあなたが出かけて、いって打開してくれなければだめだ、こういう趣旨のことを香港で伝えておるじゃありませんか。金氏はそのことを了承してそうしてやってきた、こう新聞は書いておる。まあ新聞の書いておることをそう証拠にするわけじゃありませんが、しかし、いまの客観情勢から見たら、それは十分あり得ることなんです。したがって、そういう記事があれば、われわれも信用するのがあたりまえです。そういう意図を持って来ておるのであれば、いや病気見舞いだとか儀礼訪問だとかいいましても、実質は外交交渉をやっているじゃないか、そう思うわけです。そういう判断は間違いでしょうか。外務大臣は前から日韓交渉は正規のルートを通じてやる、こう何回も言っております。そのいままでの約束とこれは違うじゃないですか、こういうやり方は。だれでもこれは疑惑を持つ点だと思います。どうなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 金氏と韓国側の代表団の間がどういう関係にありますかは、私どもが関知したことではないのでございます。私が責任を持って遂行いたしておりまする日韓会談は、漁業問題につきましては農相会談、その他の問題につきましては正式会談という場を通じてやっておるわけでございまして。その場面を踏みはずすようなことは私はいたさないつもりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ同じところであまりやりとりしてもいけませんので……。  それから池田総理は明日か明後日金鍾泌氏とお会いになる予定でしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たぶんお目にかかるようになると思っております。これは普通儀礼訪問はできるだけ時間の許す限りお目にかかるようにいたしております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 せんぜって衆議院の本会議で松本七郎君の質問に答えて、会わないと言っておりましたね。それが二、三日するともう変わるんでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) あのときにそういう予定が立っていなかったことを申したんだろうと思いますけれども、私も時間まで確認いたしておりませんが、たぶん表敬を受けると思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 本会議で党の代表者が質問したことに対して答えるのに、そのとき二、三日先の見通しがない、そんなことはないじゃないですか。こんなことは食言ですよ。重要な日韓問題で、公の資格か個人の資格か、これは問題がある。いずれにしても、そういう問題で来るとだれでもがそう見ておるし、金氏自身もそういう発言をしておるじゃありませんか。本会議で会わないと言い、そのときはそういう時間の予定がなかったからと。総理大臣の言明というものはそんな軽く考えていいものでしょうか。これは外交交渉じゃなしに単なる個人としてのものだというのであれば、外務大臣だけが会えば十分でしょう、いまの段階ではむしろ。そういう疑惑を避けるためにも会わぬのが私は筋じゃないかと思います。正規の外交交渉権を持って来ているならそれはいいでしょう。そうじゃない。かたがた本会議におけるお答えもあることだし、会わないほうが私は筋だと思うんですが、どうでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国会における発言は慎重にやらなければならぬと心得ます。したがって、まだ会うようにきまっていないときには会う予定がないと申し上げるのは私は正当だと思います。あいまいなことを申し上げるべきじゃないと思います。  それから儀礼訪問というのは、亀田さんも御承知のとおり、総理も私もできるだけ時間の許す限りは、政治家であろうと、実業家であろうと、あるいは報道関係の方であろうと、できるだけお目にかかることにいたしておるわけでございまして、そういうことは時間のある限りつとるのが私どもの任務だと思っております。外交交渉をやるという意味じゃございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 正規のルートで交渉を進める、これはあなたが何回もいままで言うてきておることなんです。農林大臣もそうおっしゃってきておる。ところが、ややもすると、たとえば請求権の問題等の経過を見ても、一夜にしてがらっと違ったものが出てくるわけですね。そういうことがはなはだ不明朗なんです。金鍾泌氏は皆さんたちに一通り会って、韓国に帰る前にもう一度大野副総裁に会うんだと、こういうふうなどうもスケジュールのようにも感ずるわけなんです。そういたしますと、農相会談なりいろんな各専門部局でやられておる問題というものがうやむやに政治的に処理をされる、こういう危険性が多分にあるわけです。だから、そういう疑惑を受けるようなことはおやめになったほうがいいんじゃないか。それほど金氏が皆さんに会ってそうしていろんな話を直接したいんなら、正々堂々とその資格を持って来たらいい。この重要問題について、そんな資格も何も不明確な人たちにわが国の代表者がのこのこ会ったりする、これは私は不見識だと思う。再考をひとつ求めておきます。  次に、外務大臣は前から日韓会談を進めるにあたっても北鮮のオーソリティというものは頭に置いてそうして進めておる、こういうお話でありました。しかし、これは最終段階にくると、ただ頭に置いておる程度では処理のつかない問題にぶつかると思う。妥結をすれば何らかの文書をつくらなきゃなりません。そういう場合に、オーソリティが北鮮にあることをあなたが頭に置いてやっておりましても、はたして韓国政府がそのことを了承できると考えておるのかどうか、それをお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、最終段階が参りまして実体問題というものが片づきますと、北鮮のオーソリティの問題というものに関連して基本問題が討議されることになると思います。私どもはいままで国会で申し上げておるのは、日本国としての交渉態度について御質問がございましたので、日本としてはこういう心がまえで交渉に当たっておりますということをお答え申し上げておるわけです。その場面になりまして韓国側が御承知になるかならぬか、それはまだわかりません。やってみなければわからぬ問題だと思うのです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 韓国は現状ではどういう立場をとっておるか、御存じですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ煮詰めた議論にはその点はなっておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 韓国は、朝鮮半島全体がわが領土だと、これはいつもはっきり言い切っておる。これはどうなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) したがいまして、基本関係について討議が行なわれる場面の問題になると思っております。私どもといたしましては、従来国会で答弁しておるような態度で交渉においても臨んでおりまするし、その場合もそういう方針で臨むつもりでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これははなはだむずかしい問題でして、どちらかが態度を変えないと、ちょうど専管水域みたいなもので、なかなか調和のとれにくい問題ですね。わが領土の中にほかの政権のオーソリティを認める、そんなことが韓国においてあり得ますか。あり得るとあなたは考えているのでしょうか。それがあるというんなら、あなたは北鮮のオーソリティを認めておるのだから、調和のしっこがないじゃないですか。どうなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 基本関係を論議する場合に、そういった韓国の支配の及んでいない地域の問題は、問題として討議されると思います。そのときての問題でございまして、今日まで煮詰めた議論をただいままだ展開していないわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 せんだって李ラインは三十八度線以北においては残ると、こういうお答えがあったようですが、そうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、韓国の支配している範囲内で交渉を進めておりますので、北鮮のほうに残るかどうかということには全然触れておりません。私のほうは、韓国の領域内において李承晩ラインというものを撤回すべきだと、こういうことで話を続けております。それ以外の点におきましては、私のほうで口出しすべきものではないと思いまして、その点については解れておりません。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 農林大臣がお答えいたしましたとおり、韓国の支配の及んでおる地域の問題を討議いたしておるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 だから、韓国の支配の及んでおるところは三十八度線、それ以下の李ラインは変更になるでしょう。その以北はどうなるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その以北の問題につきましては、私どもは白紙の状態であるということをたびたび申し上げておるわけです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 白紙というのは、一体どういう状態になるのですか。なくなるということですか、現状ということですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 韓国の支配の及んでおる領域に関連した問題を討議いたしておりまして、このことは可能でございますし、そのような問題として交渉を進めておるということを申し上げておるわけでございます。それから御推察をいただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いや、推察ではやはりわからないわけです。非常にはっきりしている問題なんですから。現在李ラインが全部にあるわけですね。それで皆さんは三十八度線以南のことを考えておる、こういうことなんです。そうすると、上のほうは、その説明からいくと残るような感じがするわけなんです。そこで、どういうふうにお考えになっておるのか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その問題は、日本としては白紙の状態でおるということを申し上げておるわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 関連して。実は、あす私が一般質問の最後でお伺いしょうと思っていたのですが、たまたま白紙問題が出て、従来ずっと当委員会におきましても答弁された中に、北朝鮮、三十八度線以北については白紙の状態ということをもって表現されているわけです。ところが、この白紙の状態というのは、よく検討してみますと、われわれいろいろ検討いたしました結果、これはなかなか聞き捨てならない表現です。白紙の状態ということは、文字どおり何も書いてない紙なんですから、この白紙の定義ということについてかなり意味深長なものがあるとわれわれは理解しておる。白紙ということは、今後の問題の提起、外交の折衝等において一つの方向性を持っているのかいないのかという点について、つまり三十八度線以南について今度の交渉を進め、かつ時期到来すれば調印をし、国会に批准案として出すことになるようであります。しからば、北朝鮮についてはどうなるのか。ただ白紙というだけでは、そうですかといって従来聞きのがしてまいりましたけれども、どうも聞きのがせないような気がいたすのであります。たとえば、批准国会は、韓国と日本の場合は戦術上ずらしていって、同じ条約条文であっても、これが基本条約が結ばれるかどうかもはっきりいたしておりませんけれども、わがほうと韓国側の議会における答弁ではかなり食い違った答弁になるだろう。また、そのような性質のものだ。北朝鮮を含む含まないの解釈問題にしても、どちらでも解釈できるようにするという意味がこの白紙論には含まれているというようなかなり根の深いもののように思われますので、関連してひとつこの際白紙ということに対する具体的なものがあろうと思いますので、御答弁をいただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 基本関係について日韓両国で話を詰めて、ある種の大綱について合意を見ておるのであれば、私はこの場で御答弁を申し上げますけれども、まだそういう段階に至っていない状態でございます。日本側といたしましては、韓国の支配の及ぶ領域の問題として日韓交渉を進めておるということでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 白紙の問題ですよ、重点は。外務大臣、白紙ということについて御答弁がない。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) したがって、韓国の支配の及んでいない領域については白紙の状態たらざるを得ないわけです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 どういう状態をいうのか、白紙という状態の意味は。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 関連して。この前も白紙ということを言われたのですけれども、白紙というのは、試験の答案だったら、これは零点なんですよ。大臣の答弁でも、白紙でございますと言うのじゃ、国民に対する説明にならないし、やはり質的には答弁としてはこれは零点だと思うんです。何回言われても、これじゃ納得するわけにいかないと思うのです。ただそういう言い方じゃなくて、三十八度線以北についてはどうなるかということは具体的な問題なんですから、李承晩ラインというものをここで撤廃するということについて合意をした場合には、李承晩ラインというのは韓国の李承晩がいた時分に設定されたものである以上は、全朝鮮について主権を主張する韓国の代表と李承晩ラインの撤廃についての合意が成立した次元において、以南も以北もともに自動的に解消する、こういうふうに解釈をしてよろしいのかどうか、そういうふうに解釈できないで以北のその問題については依然として残るということになるのかどうか、どっちなのかということについて外務大臣に明確にお答えを願いたいと思うのであります。そのくらいのことは私は言えるのじゃないかと思うのでありますから、お願いしたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 李承晩ラインの問題でございますので、私から初めに御答弁を申し上げたいと思います。李承晩ラインというものは、私のほうで全然認めていない線でございます。認めていない線でございますが、今度漁業で交渉を進めて漁業条約ができるとすれば、これは当然なくなるべきものであります。初めから認めておりません。でありますから、李承晩ラインに関係いたしましては、いまの韓国の支配する一千八度線以南の線において漁業条約を結び、これは撤回させる、こういう方針で進めておるわけです。北のほうは、認めてない線でございますから、三十八度以北は、これはどういうふうにされるかは向こう側の意思だろうと思います。私のほうでやめろとかやめないとかいっても……。初めから私のほうでは認めていない線でございます。でございますから、漁業条約を結ぶ韓国側との関係におきまする方面におきましては、李承晩ラインを撤回させる、こういうことは当然でありまするし、そうでなければならぬと思います。北のほうにつきましては、私のほうの認めてない線でございます。向こうでかってにつくっている線でございますが、これに対して干渉をすることもできませんし、条約上範囲外というふうに考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 白紙というのは、これはずいぶん問題を残しておりますよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日韓交渉の目的というのは、初めに帰って恐縮でございますが、日韓間の懸案を解決して、そして国交の正常化を目的といたしているわけでございます。韓国の支配の及ぶ範囲の問題を片ずけるというたてまえをとっているにすぎないわけでございますし、それ以上のことは日韓交渉の目的ではないわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 農林大臣が言うように、初めから認めておらぬものなら、いわんや韓国が直接支配しておる南のほうですらなくなるのに、その直接支配の及んでおらぬところが残るなんというようなことはあり得ないです。残らないというのなら、これは解消ですが、白紙だとか、わけのわからないことを言わないで、解消と、こうどうして言えないのですか。北のほうは関係がないことはないですよ。もし、そんなものがあるというのならば、日本の公海の自由がそれだけ束縛されるおそれがあるわけでしょう。非常に利害関係があるわけですよ。だから、農林大臣がおっしゃるような考えなら、はっきり、当然こんな北のほうの李承晩ラインなんか、これはふつ飛んでしまう理屈のものじゃないですか。白紙なんという、そんな不明確なものじゃなしに、もう一ぺん……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 北のほうまで含めて私のほうでは認めておりませんから、公海の中にそういう線をおいているということは、これはまことに不法であり、不合理だと思います。ただ、向こうでかってにやられたものに対しまして私のほうで口出しをするということはできませんから、私のほうでは認めてない、こういう原則で進めておるということを先ほどから申し上げているわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ともかく、何か韓国に特別に遠慮したような説明、発言はおかしいですね。  それから次に、統一問題について、若干重要な二、三点お聞きいたします。この……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 委員長ちょっと関連。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 羽生君。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 日韓交渉の場で、たとえば請求権問題及び法的地位の問題、それから漁業問題、それから文化財の問題、それぞれみな重要な問題でありますが、それよりも、いま亀田委員の質問した基本的な対北鮮との関係というものは、より重要な問題だと思うんです。それは何か全然触れられておらないようですが、さまつと言っちゃいかぬけれども、その他の問題はこまかく交渉して、そして最後にこの問題がそう簡単に処理がつくのですか。その点、まずどうなんですか。そういうことについての比重というものをどういう程度にお考えになっておるのか。それは、何か表現のしかたで簡単に片づくような性質のものかどうか、その基本的な——まだ触れておるとかおらぬとかという問題じゃありません。触れた場合には、その比重としてどういう性質を持つのか。その程度のお考えは漏らしていただいても差しつかえないのじゃないか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たいへん大切な問題であると心得ております、現実にどういうことになりますか、あらゆる場合の予想はつきませんが、基本関係につきましては十分討議する必要は認めておりますが、まだ煮詰まったところまではいっていないという状況です。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 こういうことは、もっと最初からしっかり固めなきゃいかぬ問題です。最後は、そういうことをうやむやにしようという腹じゃないかと思うのですが、これはまた、いずれその場で大いにやりたいと思いますが、統一問題ですね。せんだっての外務大臣の中間報告でも、統一を希望しているようなことを言われた。いままで南北朝鮮の統一のためにどんな努力をされたのか、これをお聞きしたい。統一をお認めになるあの態度はけっこうだと思う。しかし、それは口先だけじゃだめなんです。どういう努力をされたのか、お聞きしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は、朝鮮民族の第一義的な問題と存ずるわけでございます。私どもより、何よりも朝鮮民族が真剣に考えられている問題だと思います。私どもといたしましては、統一を希望いたしているという以上の立場にはないと思います。ただ、国連で朝鮮復興委員会ができておりまして、そこで討議が行なわれているわけでございまして、私どもは、国連方式によって統一が行なわれることを希望しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いや、日本として積極的な行動をとるべきじゃないか、そこを申し上げているわけなんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本として積極的な行動をとるべきじゃないと思います。これは朝鮮民族の問題でございまして、みずからの第一義的な問題でございまして、日本が拡張的な態度をとるべきじゃないと私は思います。私どもといたしましては、統一を希望していると申し上げるのが精一ぱいだと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そんなことはないですよ。希望するだけでいい、限度はそこだ、というふうにとれるわけですが、それはとんでもない話ですよ。それは、日朝間の従来の経緯等から考えたら、この朝鮮民族の悲劇に対して、隣国として何とかできることなら何でもしていきたい、これが私はほんとうの態度じゃないかと思うのですよ。あなたがそういう行動をとるとらぬは別として、そういう努力をすることは間違いですか。何か、そういう努力をすることが行き過ぎのようなことをいま言われますが、おかしいじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先方から希望がありますれば、いかようなことでも隣国として協力すべきだと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 国連で、従来、日本はこの問題について、どういう態度をとってこられたわけでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国連の朝鮮復興委員会で、終始この問題が討議されているわけでございます。御承知のように、北鮮も招待を受けているわけでございますが、北鮮のほうは行かないという状況で、私どもといたしましては、国連でせっかく設けられているこの委員会が成果をあげて、統一実現に向かうように、これまでも協力してまいりましたし、今後も協力してまいりたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 国連では、ただ、アメリカのこの問題に対する提案に日本が従っているだけじゃありませんか。同じ問題が、十何回、毎回の国連でやられているわけですね。しかし、その毎回の国連の会議などを伝え聞きますと、少しずつやはり変わってきているわけですね。もう少しアメリカが柔軟な態度をとるべきだ、北朝鮮も参加できやすいような態度をとるべきだ、こういったような意見というものは、だんだんやはり多くなってきているわけですね。ともかく、この国連の場でこの問題を討議するにしても、そこへ韓国も北もちゃんと頭をそろえられるこの努力が、まず必要じゃないか。それを、従来の行きがかりにとらわれて、いや侵略がどうだとかなんとか、そんなことを言っておっちゃだめじゃないか、こういう意見がずいぶんふえているわけでしょう。日本政府としては、そういう立場に立って、もっと打つべき手があるのではないか、同じ国連でやるにいたしましても、アメリカだけの提案、意向に従っておらないで。そこを聞いておるわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 朝鮮復興委員会が、長い討議を通じまして国連方式を推進してきておるわけでございます。年々歳々両当時者の出席を求めてきておるわけでございまして、私どもといたしましては、北鮮が国連の権威を認めて、そして参加されることを希望しておりますけれども、遺憾ながら、まだそこまでいっていないということでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは、北鮮は北鮮としての、やはり言い分があるわけなんですよ。北鮮も統一を望み、これははっきりそういう声明をしておりますわね。韓国の場合はむしろ消極的でしょう、その点では。私たちが見る限りでは。しかし、いずれにいたしましても、形式の上ではその統一は是認されておる。手段だけなんですね、問題は。残っておるのは。だから、そういう性格の問題ですから、隣国の日本がもっといろんな打つべき手というものを考えるべきなんです。ちっともそういうことをしてない。もう一つは、そういう国連の場以外においてやるべきことがないかということなんです。たとえば、日本政府のほうで、韓国並びに北鮮に対して大胆に働きかけてみる、これも一つの手じゃありませんか。どうなんです、そういうことは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは、せっかくの御提案ですが、そういうことはできません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 理由はどういう……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 朝鮮におきまして唯一の合法政権として韓国との国交を承認し、それとの国交正常化をはかっておる日本といたしまして、別の当事者と日本政府として関連を持つということは、私どもにはできません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 政府という立場を、じゃ、多少ぼやかした形でも私はよかろうと思う。何とか話をまとめようというのであれば。たとえば、ジュネーブ会議にいたしましても、ちゃんと北鮮も韓国も出席してやってるわけですがね。不調には終わっておりますが。やはり、そういう紛争を何とかまとめようということであれば、あまり形式だけにとらわれていたんでは私は前進せぬと思うんですね。日本政府として、正面切ってやれない場合、ほかに打つ手はありませんか。ほんとに南北朝鮮が一つになってもらうことがアジアの平和のためにもいいことだということを考えておるのであれば、やる手は幾らでもあるでしょう。そう思うのです、私は。ないでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は、先ほども申し上げましたように、韓国の中におきましても、統一問題というのは、与党も野党も問題として取り上げて真剣に討議いたしておるわけでございます。第一義的な朝鮮民族の問題であるということを私も忘れてはならぬと思うのでございます。そしてそういう第一義的に統一を考えておる、真剣な考慮をされておる、自分たちの問題として考慮されておる方々から、日本が理解しているような、隣国として協力を求めてきた場合には、考慮いたしたいと思うのでございますが、いまの段階は、南におきましても、北におきましても、それぞれそういった問題が討議の対象になっておる、国連でも討議されておるという段階でございまして、わが国が積極的にそういうことを提案をするという段階では私はないと思うのです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 両方から、統一問題について、日本のほうでもできる範囲の心配をしてくれと言われれば、やってもいいという意味のことをおっしゃったわけですが、間違いありませんね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府としては、韓国側からそれに対する応分の協力を求められるというようなお話があれば考慮いたしたいと思いますが、しかし、まだ話はございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 北のほうは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 北のほうは、政府として関係を持つ立場にないことは先ほど申し上げたとおりです。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 あなたは、両方からとさっきおっしゃった。腹の中には、頭の中には、両方あるんですよ。それを何か、開き直ると、一つだけだと、そういうところにこの問題の矛盾があるわけです。  もう一点、NEATO問題について一点だけ聞いておきます。それは、外務大臣のせんだっての報告を見ますると、決して自分たちはそういう日韓会談で軍事的な問題を扱うつもりはない、NEATOなどということは考えてやせぬ、こういうことを言われております。しかし、私たちが心配しておるのは、そういう形式を言っているのではない。形式を。現に米韓条約があるわけですし、日米安保条約があるわけなんです。朝鮮において武力衝突があれば、当然米韓条約は発動するわけです。その際には、当然在日米軍というものが動くわけです。在日米軍が動けば、当然安保条約の問題に関連してくるわけです。安保条約の第五条によって、在日米軍の基地が攻撃された場合にも、日本は日本に対する攻撃とみなして自衛権発動をする、とこういっているわけでしょう。だから、直接日本と韓国の間に軍事同盟条約がなくても、実質的には同じことになるわけです。実質的には。だから、そういう関係が、こういう日韓会談というものが妥結をすれば、さらに前進するのではないか、だれでもこれは常識的に心配することですよ。軍事関係ではそういう三角関係がありましても、しかし一般国交は回復しておらぬということになれば、軍事的な問題が起きても消極的になるのはあたりまえです。人情です、これは。しかし、その国交正常化まできちっとできたということになれば、軍事条項が発動した場合に、それが積極的に前向きに動き出すということは当然考えられることでしょう。そういうことをあなた否定いたしますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私が中間報告で申し上げたのは、わが国といたしましては、安保条約のワクをこえて、軍事的な役割りを果たすというようなことはやらない、また、そういうことは憲法上できないのだと、こういうことを申し上げたわけでございます。  それから、NEATO云々の問題がございましたけれども、アメリカもそう思ってないし、韓国もそういうことを公式にも非公式にも言ったことはありませんし、私どもといたしましては全然問題にしていないのでございますが、あなたの言う人情的な軍事論というようなものは、私はちょっと理解いたしかねます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そんな理解できないようでは困ります。  防衛庁長官に聞きます。アメリカの第五空軍並びに第七艦隊、これと韓国軍並びに日本の自衛隊との関係、どういうふうになっておりますか。説明してください。

福田篤泰自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(福田篤泰君) 御質問の第五空軍の問題でありますが、これは、亀田委員よく御存じのとおり、府中に司令部がございます。日本におきましては板付、横田、三沢に基地があります。なお、韓国には第三百十四師団、第七艦隊の点につきましてはプロビデンスの旗艦が司令部でございます。基地としては釜山、それから日本側では横須賀、佐世保、主としてフィリピンのスピッツ湾、こういうような各地を基地といたしておる現状でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは、外務大臣も当然そんなことは知っていることだし、世間だってみんな、まあ具体的な名前までは知らぬでも、大体考えておるわけなんです。極東の米軍と韓国、日本の自衛隊、台湾、沖繩、こういったようなものは、きちっと全部一体になって配備されているわけなんです。形式を言っているわけじゃない。これはまたいずれ追及する機会もあろうと思いますから、きょうはこの程度にしておきます。  次に、多少各部門の問題になるわけですが、いままで日韓会談をやりまして、漁業、あるいは法的地位、あるいは文化財の関係、いろいろやっておられるわけですが、その問の経過ですね、並びにどの点で問題の処理が煮詰まらないか、そういう点について各担当大臣からまず御説明を願って、そのあとその中の重要な点についてお尋ねをしたいと思います。農林大臣のほうからお願いします。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 私のほうでは、朝鮮と日本の間の海域におきまして魚類の持続的保存といいますか、そういう問題を中心として話し合いをしておるのでございますが、それにつきましては共同規制区域というような区域をある程度認めなくちゃならないんじゃないか。しかし、それを認めるのには、その手前に専管水域というものが、これはジュネーブの一九五八年あるいは六〇年の会議等において決定した問題がございますので、専管区域というものを設けるべきじゃないか、その専管区域を設けるといたしまするならば、それをはかる基線をどういうふうにするか、すなわち国際条約等につきましては、主として低潮線による、ところが傷がたくさんあるとかあるいは地形が入り組んでいるとかいうところでは、その島と島あるいはみさきとみさきなどを結んだ直線基線ではかって、それを基点として専管水域というものを設けるべきじゃないか、例外もある、こういうことになっています。  そこで、まず基線の面から申し上げますというと、私のほうは低潮線を主張いたしました。韓国側としては、韓国の西側、南側、これが非常に島が多くて、大陸といいますか、本島のほうの線も屈曲が非常に激しいものですから、これは直線基線でやっていきたい、こういうことでございますので、これは例外として、私のほうでも、韓国の西及び南、これは直線基線を基点として専管区域をはかっていくということもやむを得ないということは相なって、そこまでやる話し合いができております。ところが、最初に専管区域を韓国が四十海里——その線から四十海里ということでございます。これは国際条約あるいは国際慣例上反しております。最大限二十海里以上には認めることができない、こういうことで、十二海里ということにつきましては、大体話し合いができておる。ただ基線の点におきまして一致しない点が二、三カ所ございます。  その基線から専管区域をはかりまして、それから共同規制区域——これは四十海里以内でございますが、そういう規制区域を設ける。そこにおいてどれくらい日本と韓国で年間漁獲をすれば、漁獲の持続的維持保存、あるいは再生産といいますか一という問題を検討していく。その点につきまして、向こう側は、漁獲量できめよう、こういうことでございますが、あの区域だけでの漁獲量というものは、これは統計上にも出ておりません。で、これは船で、隻数でひとつきめようと、その隻数できめる場合に、日本といたしましては、日本の現在の隻数をあまり下らない程度にしていこうじゃないか、それに見合った韓国側の隻数というものを出してくれ、韓国側からいえば、韓国側の現状に沿うたような線で日本のほうを減らしたらどうか、こういう話でございますから、それは違う、日本としては出血が非常に多いので、そういう面から見ましても、日本の現状、実績に近いもので向こうがそろえていくべきじゃないか、それが共同規制の第二として考えておる問題でございます。  第三の問題としては、向こうの漁業が非常に劣勢でございますので、日本と同じように隻数等をきめたとしても、それに均衡のとれたような向こうの漁業が伸びていくのには数年を要する。そういう関係から、日本の漁業協力の金をほしい。その金につきましては、これは私ども、民間で出す金であるから、政府間の話というふうにはまいりません。民間でどれぐらい出すかということは、そのときにならなければわかりませんが、しかし民間としていままでほかの国あるいはその他において出しておった例というものはないわけじゃございませんから、そういう例ならお話をいたしましょう、そういう点で交渉を進めております。  でございますから、繰り返して申し上げますと、第一点は専管区域をはかる基線、そのもとの線におきまして、食い違いがまだあってまとまりません。第二点といたしましては、共同規制をするという、共同規制の隻数等において話し合いができておりません。第三に、漁業の協力という問題につきまして、これは民間べースでの話であるということは向こうでもわかったようでございますが、それにつきましても、額等がどれぐらいになるのか、こういうことを言っておりますので、そういう点につきましては、いまこちらから民間の問題であるから明示する時期ではない、こういうことです。この三つの点であります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一つずつ先に片づけていきますから……。  専管水域ですね、この中で一番もめておるのが済州島の関係の基線をどうするかという点であることは、いろいろ承っておるわけですが、それに対して赤城試案というものが出されたようですが、これは一体どういうことになるのですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 交渉の過程でございますので、まだはっきりしたことは申し上げられませんが、私は国際慣例に従った線によってきめていくべきものだ。その線の基点のはかり方等におきまして少しく考えてもいい面がございますけれども、原則といたしましては国際慣例に従った、すなわち、一方島の多いようなところは直線基線、島のないところは低潮線、そういうのではかっていくべきであり、その基線の引き方等についていろいろあるのでございますけれども、いま話の最中でございますので、そのこまかい点はひとつ答弁を遠慮さしてもらいたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 話し中であることはわかりますが、ただまあ新聞等に出ておるので、しかも疑問を感ずる点だけをお聞きするわけです。赤城試案によりますと、済州島と本土間というものが直線基線の中に入ってしまうわけですね。従来の日本側の主張からいうならば、当然低潮線から十二海里はかりますと本土と済州島というものが離れるわけですね。それは離さなくてもいいことをこの赤城試案がどうも認めておるような感じがするわけですね。これは私はこの一九五八年の条約の原則にはなはだしくもとる案だと思うのです。その点どうでしょう。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) この間ある新聞にそういうふうに出て、済州島を含めて直線基線を引いたのがまあ俗にいう赤城試案のように図解まで出ておりましたが、それとは違うのです。私はあくまで国際条約等に基づいた線の引き方をしていくという基本は変えないで進めておるわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうすると、済州島と朝鮮半島の本土間というものは分離されるわけですね、公海によって。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 原則としては分離されるわけでございますけれども、専管水域として分離されない面がほとんどというような線も出てくるわけであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 一部つながっておるわけですか、どういうことになるのですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 一部よりも、ほとんどつながるというような形も考えられるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 低潮線からはかってそういうふうにどうしてなるのでしょう。ちょっと地図でもあれば教えてください。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申しましたように、韓国の南のほうは、これは低潮線でははかれないのです、島が非常に多うございまして。ですから、これは直線基線によらなくちゃならない。それから済州島のほうは、これは島があまりございませんから低潮線でしていく、そういうはかり方があり得るわけであります。御検討願います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは、朝鮮半島の沿岸の南部、そこに直線基線ができることは、これはわかります、島が多いですから。しかし、それをやったところで済州島と十二海里、十二海里でこれがくっつくというのがちょっと理解できない。理解できるようにひとつ教えてください。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) それは図面  でおはかり願うと御理解ができるようなこともあるのでございますので、そういう点御検討願いたいと申し上げたのは、そういう意味でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それは結局は、直線基線の引き方というものを相当原則から、もとったような引き方をしなきゃ、お説のようなことに私はどうしてもならぬと思うのですね。まあこの程度にこれはいたしておきます。もし変な基線が引かれたら、これはもう赤城さん、いままで筋を通してやると言うておったのが、これがうそだったということになるわけですから、そういうことにならぬようにひとつきちんとお願いしておきたいと思うのです。まあ政治会談なんていうのが出てくると、ややもするとそういうことになるわけです。やあ金さんが来た、何が来た、そういうことのために来ておるのじゃないですか。適当に、大野伴睦さんと会うて、まん中で割っておけというような、そういう話がだいぶ出ておるのじゃないですか、きょうあたり。どうです、きょう農林大臣も午前中お会いになったようですが……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 金さんとは全然そういう話は出ておりません。また外においても別に政治的——的ですね、そういう考えでなく、やはり筋の通った話で進めておる、こういう現状でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これも新聞によりますと、ともかく日本側は現在の漁場ですね、まき網などの、済州島の周辺の、そういうものさえ確保されればいい、それも三分の二程度、そう書かれておるわけです。それさえ確保されたら線の引き方は多少原則からはずれてもいいというふうに農林大臣が考えてやっているのじゃなかろうかというような感じを受けるわけなんです。それはどうなんです。間違いでしたら、間遠いと……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 私は、魚族の資源を保存していく、あるいは再生産していくというのは、専管水域だとか、そういう中へ入れるべきでなくて、両方の共同水域、共制規制区域内で、そうして両方の国が相談し合って、あるいは委員会等もつくる場合もございますし、ソ連との関係とかございますから、筋は筋、それから漁場だけ確保できれば筋は通さぬでもいいじゃないか、こういう考えを持っておりません。考え方としては、共同規制区域内において漁場というものは両方の国に公平に実施可能な面において分配すべきものである、その資源は。で、再生産をはかるべきである、こういうふうに考えておりますから、漁場だけ確保できれば線の引き方は相当曲げちまってもいいという考え方では進めておらないのであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これもいろいろの新聞に出るわけですが、漁場を三分の二確保できればいい、なぜ赤城さんは現在確保しておる漁場全部と言わないのかと、ちょっと私たち不思議に見ているわけですが、その点はどうなんですか。漁場の確保という……。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) これは、漁場というものが固定したものではございません、あの海域は。しかし、大体四カ所、四漁場といいますか、四漁場あるわけであります。この四漁場は、日本で確保すべきものでもなければ、韓国で確保すべきものでもない。共同の水域としておいて、そこにおいて、その漁場における分配をどれくらいにしたらいいか、すなわち隻数等によってきめていく、こういうたてまえで進めておるのでございますから、日本で確保するという考えを持っておりません。まして、韓国で確保するということも、これは間違っております。両方で共同水域内において、それについて隻数等を基準として、そこの魚族をどれくらい漁獲して分配するか、こういう考え方でございますので、私はいまその方針で進めておるわけでございますから、日本で確保する、韓国で確保するということでなくて、両方共通の場においてきめていくべきものだ、こういうふうに考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうすると、もう一度聞きますが、隻数によって現在の日本の漁獲量を確保する、こういう理解ですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 四漁場というものは、両方共通の規制区域内にもってくべきものだ、そうしてその分配につきましては、日本の実績というものを、主としてといいますか、実績に見合ったものをやはり韓国側も保有してもらって、そして分配していく、こういうふうな考え方でございます。ただ、実績全体そのままということにいくかいかぬか、その点はまだ交渉中でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 交渉の進め方といたしましては、共同規制水域と漁業協力の問題、これを先に片づける、専管水域は一体どういうふうな扱いになるわけでしょう。たとえば竹島問題のように、若干扱うべき問題があとへ残るような形ででも解決をしていくというふうな腹であるのか、ともかくまあ共同規制水域と漁業協力のほうは早く片づくからやるが、しかし、専管水域のほうもきちんとするのだ、問題はあとへ残さぬのだという考えなのか、そこら辺も聞きたいわけです。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 共同規制の問題も、あるいは漁業協力の問題も、前提として専管水域の問題がきまらぬと、そっちまで入らないわけでございます。あるいは、その前提としての専管水域の基線の引き方、こういうことがきまらぬと先へ進めないわけでございます。話の途中におきましては、まだ規制の隻数の問題、あるいは漁業協力の問題等も話をしていますが、これは全部一緒でなければきまらぬ問題でございます。むしろ順序といたしましては、専管水域というものがきまらなければ、その先の共同水域がきまらぬということでございます。きめるときには全体としてきめていく、こう考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いろいろな報道で、切り離して何か処理するようなことも書かれるものですから、おかしいなと思ってお聞きしたわけですが、結局、まあ三つ一緒に片づける、こういうふうに理解いたしておきます。  それから次に法務大臣にお尋ねいたします。  例の在日朝鮮人の法的地位の問題ですね、これがどういうふうに大体話の内容が煮詰まっておるか、永住権の問題等、重要な点だけをひとつ明らかにしてほしい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) お答えを申し上げます。  一番重要な点と申しますか、在日朝鮮人に特別に永住権を認めるという問題ですが、認めます場合に、じゃ、どういう範囲の在日朝鮮人に永住権を認めるか、それから次には、その永住権の内容いかんということでございます。大体終戦以前から多数の朝鮮の人が日本人として日本にずっとおりましたわけです。それが、平和条約の効力によりまして、自分の意思によらないで国籍を失って外国人となったという立場でございますから、長年日本に住みなれて生活の根拠を日本に持ち、また、言語、風俗その他、日本に非常に同化した度合いの強い人も多いわけでございますから、したがって、特別に永住を認める、それは普通の外国人に永住資格を認める条件より緩和と申しますか、寛大と申しますか、そういう条件で認める、普通は、外国人に対しまして永住権を認めます場合には、独立の生計を営む者、技術を持っている者、あるいは、そういう資産を持っておるというような条件でございますが、こういうことはこの際に言わないで、寛大に認めていこう、こういうふうな、いろいろそういう緩和条件を考えておる次第でございます。  それから、それじゃ、どういう範囲の在留朝鮮人にそれを認めるかと申しますと、これは大体終戦までに日本に来た人、それからその子孫がございます、子供——だんだんに孫の代にもなるかもしれませんが、現在では大部分子供でございますが、それまでも認めていこう、親子一体でございますから、そこまで認めていこう、大体の考え方はそうでございます。  それでもう一つ内容で重大な点は、外国人が日本におります場合に、日本の利益に非常に反する場合には、これを退去せしめ得る、これは法律上の規定がございますが、それにつきましてもよほど緩和をいたしまして、犯罪の場合でも、有期刑にいたしますれば、その年限も長くして認める、また、先ほど申し上げました貧困とか、そういう条件では退去を命じない、こういうふうな退去条件も緩和いたすような次第でございます。それから手続の問題は、いま協議中でございます。  いま申し上げましたような点は、よほど煮詰まっておりますが、まだ多少は交渉の余地があるものもあると思いますが、手続につきましては、講和条約が発効しまして一定の年数の間に、本人の申請によって、これを決する、しかし、この在留外国人の国籍はどこに属するかということは、国際慣例によりまして、当該国がきめるわけでございますから、韓国人だということを韓国側で認めた者で、そうして本人が、いまの永住権を韓国人として認めてもらいたいという申請のあった場合に、これを審査いたしまして、条件に当てはまれば認める、こういう考え方でございまして、その期間は、あまり短くても——多数の人で、いろいろその実態を周知する必要がございますから、相当の期間を認めなければならぬのじゃないかというふうに考えて、これも大体話がだいぶ煮詰まっておるようでございます。  それから永住権を与えられました場合の国内処遇の問題でございますが、これは、一般に外国人が永住権を認められた場合、これはむしろ一般外国人には例外でございますが、その場合と同じ権利を持つことはもちろんでございますが、それ以上に、従来の沿革的事情などを考えまして、あるいは生活保護、この適用でありますとか、それから教育上は義務教育、小学校、中学校に日本人と同じように入学を認めるとか、現在もすでに事実やっております、そういう特典と申しますか、これはやはり永住権の内容と申しますか、形はどうなるか、まだ問題があるといたしましても、事実上は、そういうふうに認めてきておる、かような考え方でございます。大体何びとに永住権を与えるか、永住権の内容はどうであるか、それに伴う強制退去はどういうふうに寛大に扱われるであろうか、こういうような点が主たる点であろうと思うのでございます。大体かような点でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 こまかい点は、またいずれお聞きする機会があろうと思いますが、一つ重要な点は、韓国が認め、そうしてまた本人も韓国籍に入りたい、こういう方は、簡単に問題が処理できるでしょう。ところが、自分は北鮮の国籍をとりたいのだ、こういう人についての扱いは一体どうなるのか。これはちゃんと、外人登録法なりからいいましても、国籍というものを明確にしなければいかぬわけですね。本人が、おれは北鮮なんだ、そう言ってこられる場合に、それをちゃんと認める扱いをするのかどうか。そこを明らかにしてほしいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いまお話しのように、本人が、韓国人だ、韓国もそれを承認しておる場合には、これはもう問題がないのでございます。そうでない場合には、いまの国際法の立場で申しますと、その国籍は日本側がきめるわけにまいりません。そうかといって、いますぐに北鮮側は、北鮮と本人が言っただけでもはっきりいたしません、その国がそうだと思わなければしようがないのでございますが、現在のところは、そこは方法がございませんから、それは外国人であるということだけが確定するわけでございまして、それで今度の法的地位の解決が、日韓交渉によってきまりました場合には、それはきまらないというその人の立場は外国人であるということはいまもきまっておりますが、日韓交渉の結果によっては、その人の、いずれの国籍に属するかということは、日本側の扱いとしてはきまらないと、かようになる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうすると、国籍のない外国人と、こういうことになるわけでしょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) ちょっとおかしな感じでございますが、国籍不明の外国人である……。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 朝鮮人であることは、これは明確であって、で、そのうちの一部が韓国籍に入れば、あとは北鮮の人ということは、これははっきりしているじゃないですかね。これは日本政府が、こういう問題についても北鮮と交渉をしないからはっきりしないだけでね、ともかく人間の問題を扱うのに、一方的にきめてかかる。本人はそう言うておるのに、それを確かめてもやならいでね、本国のほうに。そういうことはどうも筋が通らぬと思うわけですがね。そんな、国籍のはっきりしない外国人というような妙な扱いをすることは、見ようによっちゃこれは一種の差別扱いになるわけでしてね、それはもっときちんとしたくふうというものはないわけでしょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) それは、お話しのように、ちょっと妙なことでございます。しかし日本としては、差別扱いでも何でもない。北鮮人でなくても、そういう場合には、国籍不明の外国人として、これはユニバーサルに、そういうふうな扱いになるわけでございまして、決して差別待遇でも何でもございません。また、いま申し上げましたように、日韓交渉が成立しました後に、何年間か、いまの申請をするという期間内に申請をしなかった者は、すべて北鮮人かどうかということも、こちらできめるのは行き過ぎだと思うのでございまして、それは申請の手続がおくれたり、ちょっと気がつかなかった、また、無関心で届けない人もございます。こちらから北鮮人だときめてかかるのも、少し、むしろこっちが出過ぎておるのじゃないか、そういう問題は、いずれ将来は解決さるべき問題でございましょうが、いまの時点におきましては、そういう現象が生ずるのもやむを得ない、かような次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは外務大臣にお尋ねしますが、ともかくまあ南北二つあり、北のオーソリティーまで認めながら、実際はこう認めている扱いをせぬから、こういう人間の扱いの問題のときに、妙なかっこうが出てくるわけなんです。だから、実際に認めておるのであれば、国籍をきめる目的のためだけであれば、少なくともその点に問題をしぼって、そうして北朝鮮政府と折衝をするということは、十分考えられる筋じゃないかと思うのですね、どうなんでしょうか。どうしても政府の正式機関でできない場合には、たとえば、それが一番適当かどうかはわかりませんが、赤十字に努力してもらうとか、何かやり方がもう少しあるように思うのですが、どうでしょうか。やって少しも差しつかえないと思う。そんな国籍を、まあ大部分の者ははっきりしているのに、それがはっきりさせられぬというようなことは、これは何といったってそれ自身が人権侵害です。それはあなた、国籍不明の外国人なんていうのは、ほんとうにそれはあちこちを渡り歩いて、どこで生まれたかわからぬとか、これはほんとうにそういう人はありますよ。そういう場合のことであって、いま問題になっているのは、そういう人じゃないんですから、そういう不明朗なことを残すべきじゃないと思うのですが、解決の道は、私がいま申し上げたように、問題を限定してやればできるんじゃないかと思うわけですが、どうでしょうか、外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど御答弁申し上げましたように、政府として北鮮の当局と交渉を持つ立場にございませんので、たいへん遺憾でございますが、ただいま法務大臣から御答弁申し上げましたような、やむを得ない事態に——まあやむを得ないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ時間もありませんからなんですが、やむを得ないというようなことでは、ちょっと済まない問題ですよ。自分の、あなた、肩書きを当然持てる人が、それがつけられないというわけですから……。  それじゃ、法務大臣にお聞きしますが、どういう扱いに国籍がなりましょうとも、日本国内における差別待遇ということはありませんか、決して。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いまの日韓会談が、交渉が成立しました後に、いまの韓国人として登録すると申しますか、まあ登録ということばが当たるかどうか知りませんけれども、そういうことが済みますまでは、やはり現在のように——現在は、昭和二十七年の法律によりまして、普通の外国人に対する法令は適用しないで——そのまま適用しないで、永住を認めておりました。それから先ほど申し上げましたような生活保護であるとか、義務教育の学校に入学するとか——同じく無償で、認めておるわけでございます。それでいまの、何年になりますか、五年になりますかの登録期間、これもやはり、その間もずっと北鮮か南鮮か、そんなことは区別なく、韓国が区別していくわけでございます。それが何年か先になりますか、済みますころに、いわゆる未登録の在日朝鮮人というのが残るわけでございましょう。それは韓国籍がほしいけれども、登録手続しなかった人もございましょうし、北鮮国籍を称する人も——希望する人もあるわけでございます。そういう人に対する処遇というものは、その際に考えられるのでございますが、それまでも、私は、いまの国内における待遇というものは、現在と同じようなものが続くということが大体考えられる線ではないかと思うのでございます。つまり差別がない、こういう点でございまして、一般外国人よりは優遇される、こういうことが、現状のようなことが続くと、かように一応考えられております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 関連して。この日韓会談の結果、結局政府の考え方の中には、台湾、膨湖島をコントロールしている国民政府との日華条約的なものをつくり上げようという考え方があるようですが、国籍の問題で、かつて台湾の人々が、日本籍であった人たち、それが日本にずいぶん住んでおったと思いますが、日本籍になっておるか、あるいは国民政府のほうへ登録しているか、また、国民政府には反対だという中国人もあると思いますが、その中国人関係の国籍の所属といいますか、そういうふうなものは、いままでどういうふうな分布なり処理になっているか。法務大臣から一応参考のために承っておきたい。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いまの中国人の場合は、いま私よく存じませんから、政府委員からお答えを申し上げます。  それで、いまの在日朝鮮人の問題は、全く国籍を強要するという考えは全然ないわけでございます。いまの本人及び本国の考えに大体よるという、一般の国際法のたてまえによる次第でございます。  いまの先例と申しますかは、政府委員からお答えをいたさせます。

富田正典法務省入国管理局次長

○政府委員(富田正典君) お答えいたします。  台湾籍であるとか、中共籍ということは、区別いたしませず、中国人ということで処理いたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それは中国人という形で処理していると言うが、その台湾とか中国とかいう区別をしないで、そういう処理方式を持っているとすると、朝鮮の問題も、韓国とか北鮮とか区別しないで、朝鮮人という形で処理する方式もあるんでしょうか。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) いまの日韓交渉では、そういうふうになっておりませんので、先ほど申し上げましたような方針でいく方向で話し合いをいたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは、各民族の個人の意思決定というものは、古い主権論の場合だけでなぐ、非常にむずかしいと思います。中国の問題のときには、中国人として処理し、朝鮮の問題の場合においては、日韓会談の成り行きから、それとは違う形で処理しようという、政府の見解がここに二つに分かれてきているわけですが、御承知のように、十九世紀以来問題になった、イギリスの内閣のいつでも命取りになったアイルランド問題のような問題が、アイレ、——アイルランド共和国が独立する前後におけるあのテロリズムの頻発というものは、御存じであると思いますが、民族感情というものを刺激したときは、意外なるできごとが起こるということを、政府は、イギリスのような国における苦い経験をもって見なければならない。これは一つの——当然法務大臣は、アイルランド問題というのが、いかにイギリスの政治の苦悩というものを表現していたかという記録を御存じかと思いますが、あの北におけるアイルランドの所属の問題、アイレの英国からの独立の問題、アイルランドの民族感情の問題、これはイギリスの近代史上におけるテロリズムの頻発として、最も私は深刻な問題だったと思うのです。そういう意味で、中国の問題に対しては、中国人としてこういうふうに処理する、朝鮮の問題に対しては、朝鮮人として処理しないという、その論理的な根拠というものは、いまの日韓会談の進行の経緯からいって別だと言うが、どういう理論的根拠の上に立ちますか、それを承りたい。

小川清四郎法務省入国管理局長

○政府委員(小川清四郎君) 私から御答弁さしていただきます。  朝鮮の問題と中国の問題につきまして、ただいま御質疑がございましたのでございますが、われわれの考えといたしましては、韓国との間にこの協定ができました後におきまして、直ちに中国とも交渉をいたさなければならないというふうに予定をいたしているわけでございます。したがいまして、登録上の問題といたしましては、ただいま政府委員から——富田次長から御説明いたしましたように、中国については一本でございますが、朝鮮人につきましては、ある事情がございまして、韓国と朝鮮というふうな使い分けが行なわれておりますけれども、実態的には、同様の扱いであるという意味で御答弁申し上げたのでございます。しかしながら、やはり朝鮮との関係と、中国との関係というものは、ただ理論的に割り切るわけにはまいりませんので、やはり長い間の両国間の歴史的な関係というふうなものから積み上げてまいっている次第でございますので、日本と韓国ないしは朝鮮との関係につきましても、ただいまの段階では、そう御答弁を申し上げるよりほかないのではないかというふうに、事務当局としては考えている次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは、そういう政治論ではなくて、条約がつくられていくというようなのは、新しい国際法のルールがそこにできるわけですから、日本が国際的な法規の中において、台湾なり中国の問題は一つだ、朝鮮の問題は二つだ、しかも、論理的な説明が、歴史的な因縁と言いますけれども、台湾が日本に帰属したのは、日清戦争の後におけるという古い歴史を持っております。朝鮮の合併というものは、それよりおくれております。それにもかかわらず、朝鮮の場合においては、二つにするのだ、あるいは中国人という形において台湾を含んでいるが、中国の問題は一つだ、そこに何ら一般の人を納得するだけの国際法のルールにおける理論的根拠がないと思うんです。どんぶり勘定のような理屈では、あとでもって私は問題が起きると思います。アイルランドの問題におきましても、ポーランドの問題に対しても——ポーランドの問題では、ロシアやドイツやオーストリアが、いかに手をやいたかという苦い経験を知っている。アイルランドの問題なんかは、イギリスの近世史においては、最近のアメリカのキューバ問題より深刻だったじゃないですか。そういう民族感情というものを無視して、自分だけで納得するような、独善的な条約をつくり上げるというようなことになると、あとで私はほぞをかむことがあると思うんです。思いつき論理によって、国際法の上におけるところの一大汚点をつくり上げるというようなことは許されない、法の世界においては。中国においてはこうだ、韓国においてはこうだというようなまちまちな、ちぐはぐな論理によってされてきたときには、あとで国際信義の上において、日本の信用というものがかちとれないと思うんです。私はやはり、法務大臣なり外務大臣から、明確にこの問題に対しては、私は筋の通った御意見を承りたいと思います。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) この問題は、日本側から申しまして、差別をしようというわけじゃないのでございます。いま申し上げましたように、かりにいずれの国民と決定いたしませんでも、内容は同じような待遇をしたいという考え方をしている。日本側からは何も差別をいたしておりませんが、日韓交渉となりますと、相手方の言うこともできるものはきかなければならないということでございまして、それで両方分けるということは日本が好んでやったことではないので、現状が分かれておるということが一つの原因だろうと思います。それで御意見は御意見として十分に拝聴いたしますが、私もよく存じませんが、第二次大戦後の各国の領土の移転による在留民の国籍のことにいたしましても、必ずしも一様ではないと思うのでございます。日本人が北鮮人だからどうする、韓国人だからどうすると差別待遇をいたしますと、これは問題ですが、いまさような考えは持っておりませんわけですから、この日本の措置によって、誤解は別でございますが、すなおに考えていただければ、外国側におきましても、そう不満の原因はないのじゃないか、むしろこの際、いろいろむずかしい問題がありますときに、日本の措置が、あるいは一国であるか二国であるか、そういう問題をしいて日本から傾けるように出るのもどうかと考える次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これはきわめて重要な問題です。現状は分かれておるからといって、現状は中国においても一つの中国といいながら、一つの中華人民共和国と、台湾国をコントロールしているところの国民政府と分かれているじゃないですか。朝鮮の場合に韓国と北鮮と二つが分かれているじゃありませんか。これが妥当な現状認識だと思うのです。アイルランド問題だけでなくて、イギリスのような政治的に慎重性を持つ国においても、インドとパキスタンの分割の後におけるところのあのトラブルというのを御存じないのですか。いまだにそれが尾を引いているじゃないですか。それが戦争となり、それがテロとなり、国内におけるところの紛争のガンとなっているのじゃないですか。相手側があるからというけれども、相手側が二つに分かれて、おのおの中国においては一つであるといい、朝鮮においても一つという意見がありながらも、現実に二つに分かれているのが現状です。その中において、一つの民族がどれだけ苦悩し、苦悶しているか、そのことをわからずに、ただ相手側との交渉という、韓国側との一方的交渉のべースの上にばかり乗って、政府が——これは外交交渉というものは双務的です、韓国がそう主張したとしても、日本が朝鮮民族の全体の非願をどう生かすかという配慮なしに、韓国側の言うことだけを聞いて、そういう決断を下すというような一方的断定というものは、条約なら条約によって差別はないというけれども、やはりそこの法的制約を受けなければならない民族にとっては、大きな問題が起きると私は思うのです。いまから予告しておきます。それが起きないという確信の上に立って、法と権力だけで問題が片づけられるというふうに法務大臣は思っているかもしれないが、これは外務大臣の領域ですが、外務大臣、法務大臣だけにまかせないで、この外交交渉においていかに重要性であるか、それによっていかなるものが、将来において誘発するかという危機もあるから、深刻な問題でありますから、外務大臣から御答弁を願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 法務大臣から御答弁がございましたが、私どもといたしましては、政治的にも社会的にも禍根が生じないように、慎重に処置しなければならんと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはともかく再検討をしてもらわないと、たいへんな問題に発展していくと私は思います。  これに関連するわけですが、今後の本国との交通、これも平等におやりになりますか、韓国並びに北鮮との交通。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) 韓国とは、日韓交渉ができる前から相互にこれは認めております。普通にやっております。北鮮のほうはなかなかそうはいかない。何も国交がございませんし、いろいろまた両国間の日常の関係等がありまして、韓国と同じようにいくことはちょっとむずかしいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはどうしてむずかしいのですか。日常の交通を私言っているのですよ、いろいろな、親戚の病気があったり、そういうこと。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) その点につきましては、いわゆる人道上の問題としていわれている点は、北鮮側から人道上の問題として世間に伝わっておりますが、われわれの話し合っている点は、これはたいへん間違いの事実があるわけであります。それはまあ黙認いたしまして、ほんとうに日本に長く生計の根拠を持っておりまして、いわゆる普通の言葉で申しますと善良な人、これが北鮮に親兄弟と申しますか、非常に近い関係の人があって、いろいろ病気が、危篤であるから見舞いに行きたいとか、そういう行きたいのは、これは問題ないのです。国際法的に申しまして、日本から外国人が出たいというときに出るのは、これは原則として問題ございません。問題は、また日本に帰ってくるという問題、一時的帰国という問題、これが問題になる点でございます。この問題は、そういう人道的なような場合には、これを認めてよろしい点が一つある。それからもう一つは、そのことによって日本の利益を害しないようにする。これが肝要な点でございます。ところが、行きまして、帰ったらどうかという点につきましては、相当いまの現状では疑問がございます。帰った場合に、害がはたしてあるかないか。これはないと断定する資料が少ないものですから、なかなかいまのところでは、そういうぐあいにきめるのに非常なむずかしい点がある次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そういう人道的な問題について、政治的な憶測というものをからますこと自身、私は人権侵害であると思うのです。それじゃ、そういう憶測をからまして、それが実際にそういう危険性があるということを立証できますか。しかし、現実的には人道的な問題が起きている。だからそういうことはあまり筋が通らぬ。それよりも大臣、そういう実際に人道的な問題があれば、往復してもらうことを筋としてはお認めになるような、いまお答えがあったわけですね。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) 違います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いや、そうでしょう。筋としては認めるが、しかしさらに政治的な立場等から見て有害ということがあるかもしらぬので、なかなか認めにくいかもしらぬ。しかし、その部分は、私はそれは人権侵害であるといっているわけです。最初の人道的な点は一応お認めになっているわけなんです。そこで、お聞きしたいのですけれども、そういう場合に、国籍がはっきりせんわけですね。ほんとうにこれは人道的だから、じゃあ往復認めましょうということになっても、国籍がはっきりせんわけです。そういう点でまた支障が起きてくる。結局は制限されるということになるじゃないですか、国籍のない外国人であるから、国籍もないのにどこにいくのだというようなことになりまして、結局は、ほんとうに人道的な理由があっても、それすら押えられる。その点どうなんです。

賀屋興宣自由民主党法務大臣

○国務大臣(賀屋興宣君) ちょっと言葉で誤解が出るといけませんから、私は筋としてもよろしいとは言わない。筋は二つあるのです。積極的にそれは同意したがいいという面と、そればかりじゃいかぬ、それが日本の利益にどうかという、二面を考えなければならんわけでございます。その初めの一面は、一応はそういう場合には認められる。次の一面のほうが、そうでないと断定するわけにはいかない。それはお話のように、裁判で訴えて証明するというような問題じゃない。いろいろな事態から推しましてどうも疑いが起きる。これは行政措置ですから、にわかに同意するわけにいかぬ、こういう次第でございます。  それから国籍云々の点は、無国籍じゃない、国籍不明なんです。だからその場合には、おそらく帰るところは北鮮と、そういういまお話のような例では指定がございましょう、それはそれでよろしいわけなんです。別にそれだからということで、出国また日本に帰ることを認めないという次第ではないのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ問題が多少質疑のやりとりのことばのあやのようなところがありますが、一応大臣の考え方は聞いておきます。  それから最後に、文部大臣にお聞きしますが、文化財の返還問題ですね。これがいろいろ交渉の爼上にものぼっているようですが、その状況等をまずお聞きしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) この文化財の問題につきましては、すでに御承知と存じますが、韓国側は、日韓会談の開始以来、一九〇五年以降、すなわち統監府設置以来だと思いますが、わが国にもたらされました韓国文化財の多くを不当不正の手段によって入手されたものであるとして、その返還を要求いたしておるのであります。同時にまた、国民感情として文化財が非常に大きな意義を持っておる、文化財は、その出土国において保存、研究するのが今日の世界の趨勢である、あるいは朝鮮動乱によって韓国にあった文化財の多くが、多くの被害を受けた事情等を強調して、今日まできておられるのであります。これに対しまして、私どものほうとしましては、韓国側の指摘するこれらの文化財は、いずれも買い入れたとかあるいは寄付による等、正当な手続を経て入手したものであり、韓国側に返還すべき国際法上の義務もないのでありますから、これを返還するという理由はないと思うのであります。これらは学術研究上あるいは技術研究上貴重なものでありますから、韓国側の要求に従い返還することはできないという態度をとって、今日までやってまいった次第であります。すなわち、この問題につきましては、基本的に向こうさんのほうは反還請求ということを言っておられる、私どものほうは返還する義務はない、このように言って、今日まできておるわけでございます。ただ、今日までの過程におきましては、返還義務があるとかないとかというふうな議論はしばらく別にいたしまして、一体言われるような文化財が今日日本に事実あるのかないのか、そういうふうな事実問題についでは、文部省の専門家を二、三会議の席にも出しまして、いろいろ話し合いをしたという事実はございますけれども、返還するのかしないのか、この問題につきましては、まだ煮詰まってはおらない状態でございます。なお、今後の交渉に待つ問題と考えております。  で、私どもとしましては、このような返還請求ということは筋違いじゃなかろうかと思っておるわけでございますが、考え方を変えまして、両国の国交正常化に際しまして、文化協力の一環として若干のものを贈与するというふうなことは、それは考える余地があろうかと思うのでございます。われわれとしましては、国有の文化財のうちから適当なものを選択いたしまして、そうして韓国に、国交正常化の際に、将来の文化協力というようなことを考えまして贈与するということについては考慮し得る問題ではないか、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、まだ基本的な問題について話は煮詰まっておらないというのが現在の状況でありまして、今後の交渉に待つ問題だと考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この韓国からの要求というのは、具体的な目録として出ておるわけですか、新聞等には若干何点というようなことが書いてあったわけですが、その点どうです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 韓国のほうからある程度のものを示しておられるようでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、私どもはもともと返還義務があるとは考えておらないので、こちらから考えて適当なものがあれば、これは贈与するということならば考えてよろしいということでございますから、そのように御承知を願いたいと存じます。また、その品目等につきましては、いわば話し合いの途中でございますので、発表することはちょっと差し控えさせていただきたい。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。公然とか、公然であるかあるいはひそかにか知りませんが、三、四年前に、文化財の一部を韓国に返還しておるはずであります。それはどうなっておりますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 私どものほうからは返還したつもりはございません。いわば譲渡したというつもりでございます。これは、たしか昭和三十三年でありましたか、ちょうど在韓日本人漁夫の抑留問題というようなことがかなり困難な、また緊急な問題として論議せられておった当時のことでございますが、韓国のほうから、いわば、いま申し上げましたように、前々から文化財の返還ということを強く要求しておったところであります。それにこたえるということではございませんけれども、そのような困難ないろいろな問題がありまする際に、日本側といたしましては、若干のものを送りまして、そうして両者の間のスムースな関係ができればけっこうであると、こういうふうなつもりで、当時百数点であったと思いますが、標本用のものといたしまして韓国に無償で譲渡した、こういうことがあるわけでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その点数などはどういうふうになっているのですか、中身、おもなもの……。新聞にはちょくちょく出るわけですが、あのまま信じていいのかどうか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 向こうで今日までいっておられますのが約千点ぐらいあろうかと思うのであります。この品目等については、しばらく申し上げることはお許しを願いたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 この返還の請求権があるかないか、返す義務があるかないかということは別にして、一般的な問題としてお聞きするわけですが、そういうこの文化財が、それが生まれた場所に置く、保存するという精神ですね。これは私は非常に考えなきゃならぬ問題を含んでおるように思うのですが、私、先年大英博物館にちょっと行ったときにも、そういう話を聞きましたがね。エジプト等からも要求がある、しかし筋としては、結局はなかなか断わり切れぬのじゃないか、話している人はそういうようなことを言っておりましたが、これは私は当然なことではないかと思うのですがね、実際は。その民族がつくった文化の遺産でしょう。これは自分のところに置いておきたいというのは、これはあたりまえじゃないでしょうか、相手の立場に立って考えれば。だから、私はこういう問題こそはもっとざっくばらんに広い人類的な立場に立ってやっぱり検討すべきだと思います。いや、それは朝鮮で日本が統治しているときに、ちゃんと合法的に発掘したのだ、金もかけているのだ、あるいはまた民間から買ってきたのだ、取ってきたものじゃないそれは法律的なことはそうなるかもしれません、一応はね。しかし、じゃあ買ったというが、一体買った金は朝鮮のどこでもうけたのだというようなまた話にも、そうなれば向こう側としても発展してくるわけですよ。だから合法的に発掘したというのは、しかし、ひとの国を合併しておいて、それで合法的に適当に法律をつくっておいて発掘したといったって、それは一体合法的かというような話にもなるわけでありまして、そういうようなこまかい区々たる論議じゃなしに、ほんとうにこの文化財というものを人類的な立場に立ってやはり検討すべきじゃないかという感じを持って私はこれは見ておるのです。したがって、そういう一つの国の利害打算というようなことにとらわれ過ぎてはいけない問題であるというふうにこれは思います。したがって、同じことは私は北鮮関係にもあるのじゃないかと思うわけでして、その根本的なそういう立場というものを、文部大臣、どういうふうにお考えになっておるか聞きたいのが一つ。それからしたがってまた、北朝鮮からそういう問題等が起きてきた場合に、同じような気持で対処できるかどうか、私はこれはもう政治的な問題じゃないですから、当然そうあるべきだと思う。しかし、どうもきょうの質疑をずっと振り返ってみても、やはり北朝鮮に対して政治的以外の関係でもとらわれておるところがある。それはやはりよくないと思うのですね。その二点を文部大臣のざっくばらんな気持をお聞かせを願いたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 文化財の問題について、韓国民が非常な何と申しますか、関心を持ち、こういう機会に取り戻したいという気持もわからぬわけじゃありません。ただしかし、この問題を私は決して権利義務という問題に拘泥しておるわけでも何でもないのであります。そういうようなたてまえでもって日本が持って帰ったものは、不正な手段で持って帰ったのだ、不当な手段で持ってきたのだから返せ、こういうふうな話はちょっと納得しかねる。したがって、そのほうの筋道の議論には私としては承服しがたいものがあるわけです。  問題は、今後の日韓問題の関係というふうに大きく考えましたときに、いずれ文化協定というようなことも考えられるのではないかと思いますし、大いに文化協力をやっていかなくちゃならない。その観点に立って、この問題については日本として善処したい、こういうような気持があるわけでございます。そのようにひとつ御了承願いたいと思うのであります。  また、その文化財がどこにあったかというようなことも、確かに問題となる問題であろうと思います。南鮮あるいは北鮮という問題が困難な問題として今日われわれに課せられておるのであります。こういうふうな事柄につきましては、この交渉全体において、すでにお話のありましたように、北鮮のことを頭に入れて交渉にも当たっておるはずでございます。私どもいまのような問題を考える場合に、当然そういうふうなことにつきましても、十分考慮いたしました上で、最後の結論を下さなくちゃならぬ、このように考えておる次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 最後にもう一つ。私は日韓会談には反対している立場ですから、早く妥結して返すものは返せというようなことを言っておるわけじゃないわけでして、こういう文化的な問題は、日韓会談とか、こんなことがあろうがなかろうが、もっと高い立場で実は考えなければうそなんですよ、ほんとうは。それを言っておるわけなんです。誤解のないようにひとつ。  北鮮のほうにつきましても、同じようにこういう問題は考えるような意味のことをおっしゃっているから、この点だけは、まあ了承しておきます。  まあ大体この程度で……。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 亀田君の質疑は終了いたしました。   —————————————

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 委員の変更がございます。  佐藤尚武君が辞任され、奥むめお君が選任されました。  本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十四分散会

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