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46回国会参議院1964/03/09

予算委員会 第10号

発言数
301
登壇者
30
会派数
3
開催日
1964/03/09

会議録

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和三十九年度一般会計予算、昭和三十九年度特別会計予算、昭和三十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  この際おはかりいたします。戸叶武君から、本日の同君の質疑に日銀総裁の出席を求められております。参考人として山際日銀総裁の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 天田勝正君。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 私は、同僚各位がいままで触れない点について質問いたしたいと存じます。  まず、沖繩、小笠原における人権問題であります。いささか旧聞に属するのでありますが、一九五五年九月四日、沖繩におきまして由美子ちゃん事件なるものが起きました。これは嘉手納村の第十三通信隊、ヤマジ海岸におきまして、わずか六歳の少女に米兵が暴行を加え、殺害の上、死体遺棄をした事件であります。このことがきっかけとなりまして沖繩における反米、本土復帰の運動が猛然と起こったのであります。そして実はこれが、反米運動が猛烈になりましたために、やがて軍政から民政に切りかわったのであります。私は六一年に渡米に際しまして、国務省においてかつて対日理事会の議長でありましたシーボルドに会いましてこの問題について抗議をいたしましたが、結局けんか別れになりました。こうした非人道的な問題が起こったのに、当時私が国務省において抗議をした際にも、日本政府からは何らこの問題について抗議がなされなかった事実を知り、まことに驚いたのであります。まず総理はこうした事実があったことを御存じであるかどうか、この際承っておきたいと存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 少女暴行事件につきましては、その後聞いております。したがって、この問題についてはアメリカ政府も裁判に付し、一人は死刑、一人は無期懲役になったと聞いております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 実は、いま古いこの問題を持ち出しますのは、その後こうした事態が一向に改まりません。特に沖繩における米軍の給料日は一日、十五日でありますが、それを含む二、三日というものがもう荒れ日ということになり、慣行化しておるのであります。これらを逮捕しようとしましても、たちまち基地に逃げ込めば何のとがめもない。そうしてようやく逮捕して交番で尋問すれば、交番は襲撃されて奪還される。かりに捕えたとしても調べた上、これはMPに引き渡すだけ、それがますますもって増長さしておるのであります。私はこの機会に、わずかこの一年間に起きました凶悪事件だけをここに例をひきたいと思います。  一九六三年二月二十八日、那覇市の泉崎橋一号線横断歩道におきまして中学二年の男子が米軍トラックによってひき殺されました。しかしこれは無罪であります。はなはだ奇怪しごくといわなければなりません。同じく六三年九月、バーの女を殺害の上暴行――屍姦であります――鬼畜の行ないでございます。これも、加害者は二十一歳のマリーン兵でありましたけれども、ただ本国に送還して放免したにすぎないのであります。また同様九月におきましては那覇市の一号線において六十歳の老人が乗用車に轢殺されました。これも何の補償措置もないのであります。こうしたことからだんだん増長いたしまして、昨年の暮れのクリスマスイブには遂に凶悪事件の夜という、こういう三十件に及ぶ凶悪事件がアメリカ兵によって引き起こされたのは、政府も御存じであろうと存じます。こうした事態が起きておるのでありますから、かりに施政権がアメリカにあるからものが言えないというのではなくして、人道、人権の問題であるならば、かりにアフリカのすみにおいて人種差別の問題が起これば、どこの国でも抗議をするということが自由であります。そういう観点に立つならば、わが政府は潜在主権のある沖繩住民のこうした人権、人道の問題について、もっと積極的に非難をし、あるいは国連の場において国際世論に訴える手段をとるべきであろうと存じますが、これらの事実を御存じであるか。また私がいま指摘したような非難、あるいは国際世論に訴えることをなされたかどうか、伺いたいと存じます。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 沖繩における米軍の行動に対しまして、沖繩住民の生命財産を害するようなことがあってはなりませんので、そういう事態が起こりますつど、政府としてはアメリカに注意を喚起し、再びそういうことを起こさないよう、十分の注意を、あるいは努力をなさるよう、こちらは申し入れておるのであります。この問題を国際連合でどうこうということよりも、私はやはり日米間においてこういう問題につきまして処理することが適当と思います。詳しくは総務長官からお答えいたします。

野田武夫自由民主党総理府総務長官

○政府委員(野田武夫君) ただいまおあげになりました事例は承知いたしております。さきにお示しになりました昨年の二月の中学生の事件につきましては軍事裁判で無罪になりました。そこで日本政府といたしましては、こういう重大な事件を――もちろん軍事裁判でございまして、アメリカの軍事法廷でやられたことでございますから、かれこれそれらに対して干渉がましいことはできませんが、非常に遺憾の意を表しまして、まずアメリカに対して、その軍事裁判の記録を見せてもらいたいという要求をまず第一にいたしました。ところが、やはり軍法会議というものの記録は、ひとり沖繩だけではなくて、アメリカの軍事法律によって外部に出せないということでございまして、その記録は結局当方に示してもらえなかった。そこで第二段といたしまして、外務省を通じまして、この事件の始末方について非常にわれわれとしては遺憾の点が多いのであるから、今後こういう事件が起こらないように配慮してもらいたい。それから第二は、やはり軍法会議といえども、やはりこういう被害事件については関係者一同も十分その法廷の審理の内容を知りたいのであるから、今後被害者の関係者を傍聴させるとか、また琉球政府のものをそこに立ち会わせるとかということを、今後ひとつ配慮してもらいたい。それからさらに、軍法会議の結審は無罪であっても、現実において轢殺されたのであるから、これに対するいわゆる損害賠償を出してもらいたい、こういう要求を外務省を通じてアメリカ政府に通告いたしました。その結果、御存じと思いますが、損害賠償だけは向こうで支払ったのでございますが、第二のいまお示しになりましたバーの女給の問題につきましては、まだ軍法会議の結審をしておりません。これらに関して、まことに私どもといたしましても、これらの事件が起こることは遺憾にたえないと思いまして、そのつどいま総理からも申し上げましたとおり、いろいろな方法によって米側のいわゆる考慮を求めております。御承知のとおり、アメリカにおきましても、大統領の行政命令におきまして、沖繩住民のいわゆる人権はあくまでも守るという方針で、アメリカもやっております関係上、これらにつきまして、私どもは今後もできるだけこれらのことがないように、また十分米当局に配慮してもらうように、私どもといたしましては、そのつど、またいろんな機会にそういう意思を申し出ておるのでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 私がいまあげた例の、しまいの二つには触れませんでしたけれども、多少の抗議をやってみたところで、それからさらに老人も轢殺されておりますし、それからクリスマスイブには、先にあげたように、こういう三十件もの凶悪犯が起きておる。政府が少しぐらい抗議したっても一向実効はあがっていないという事実がある。大体悪名の高い戦時中の日本兵でありましても、平和で進駐したところでは決して暴行などしておらない。平時の状態においてこういう事態が次々起こるというに至っては――しかも芸人の轢殺だってまだ補償は何もしていませんよ。私は全部調べておる。そういうようにばかにされて、黙っておるということは、日本国民としてはできないはずであります。この問題も答えていただきたいし、さらに労働賃金に至りましては、アメリカ、フィリピン、日本の内地人、沖繩人、こういう厳然たる序列があって、これははっきり人種差別であります。しかも日本人はドイツ人とともに勤勉なることは世界でも有名であります。その労働価値が落ちるはずがありません。しかるに、こういう序列をつけられて、これをしも黙っておるということは、私は、政府の立場であるからとか、野党であるから抗議をするというのではなくして、一緒に心配すべきだと思いますけれども、この労働賃金の問題等については、総務長官、どうそれじゃ対処されましたか。

野田武夫自由民主党総理府総務長官

○政府委員(野田武夫君) 労働賃金が各国、いまお示しになったフィリピンなんかと違うということでございましたが、現在実情は違っておりません。すなわち同一な仕事で同一な時間で働く者は同じ賃金を出すという原則でございます。ただこういう場合はございます。たとえばアメリカの本土から来ている労働者、またフィリピンから来ている者の中に多少の違いがあるということは、沖繩の住民が働く場合とアメリカから呼んで働かしている場合は、いわゆる普通で申します在外勤務ということになっておりまして、これに対して多少の在外勤務の関係の賃金が加わっている、こういう事情はございます。それからもう一つ違う点がございますのは、同じ沖繩人でありましても、英語がわかる人、つまりアメリカのことばがわかる人、これは普通の者よりもことばの上において大体一〇%ぐらいよけいに賃金を払っておる、こういういろんな内容的に規制はございますが、一応賃金の全体から申しますと、基本的な賃金はその差をつけてないというのが実情でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 それは少し調べが足りないんです。それははっきり差がついております。もっとお調べになって、こういう問題についても是正するように抗議してもらいたいと思うんです。  次は小笠原についてでありますが、小笠原は講和条約の関係からすれば沖繩と同様な地位であるはずであります。ただ違いは終戦時に小笠原の住民がそこにいなかったということです。しかし、ここは何といっても楽土でありまして、そして、おらなかったのは住民の意思ではございません。戦争中日本の戦略からして、無理やり内地へ引き揚げさした。そうして終戦を迎えたわけでありますが、その後いつの間にやらアメリカはアーリャン系及びその混血系だけは帰島をさせておるのであります。当時の国籍はアーリャン系であろうと何であろうと全部日本国籍であります。しかるに、そういうふうな処置をとっておる。日本におります旧小笠原の住民はこの楽土へ帰りたいと熱望いたしておるのは政府も御存じでありましょう。これも人種によって帰す帰さないというきめ方をするのは、はっきり人種差別であります。この問題については政府は、どう有効な非難あるいは話し合いをなされましたか。

野田武夫自由民主党総理府総務長官

○政府委員(野田武夫君) 御承知のとおり、小笠原は終戦前に、内地に避難するという形で、大体千四百世帯こちらに引き揚げてまいりました。その後旧島民が非常に帰島したいという希望を持っておられますので、政府といたしましてはアメリカに対して、旧島民のいわゆる帰島についてぜひ実現してもらいたいという希望をしばしば申しました結果、いまお話のとおり、一応欧米系の島人は帰ってよろしいというので、三十何世帯というものが帰島いたしました。政府といたしましては全島民の帰島を促進いたしたいというので、しばしば折衝いたしておりましたが、なかなかこの点は、いわゆる安全保障上の理由によりまして、まだその実現を見ておりません。しかし何とかして、これはひとつ帰島を実現したいと思いまして、この本土におきまして小笠原帰島の連盟の組織をもちまして、その後機会あるごとにこれをアメリカに通達しておりますが、今日はお話のとおりまだ全部の帰島を見ることができないのは、政府といたしましても非常に遺憾に思っております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これはアメリカ国務省筋でも、すでに戦略の変更から、小笠原を軍事基地にしておく必要はないという観点に立っておると聞きます。四、五年前にはこの観点から上院でも視察をされたけれども、使っておらないものですから、飛行場には、ああいう暖地のために直径一メーターぐらいの木がはえておった。これを大急ぎで切って、使っているかのごとく上院に見せたという事実もあるのであります。機会はまさに私はこのときだと思うんです。これは質問じゃありませんから、政府において大いにこの問題についても解決に努力されたいと思うわけです。  次に同和問題について伺います。他国の人種差別を非難するのは簡単であります。しかし、わが国のごとく、人種も言語も、風俗、習慣、目の色も、顔の色もみんな同じで、そこに差別問題があるというのは、まことにはずかしいことであります。同和対策につきましては、ここ五年間に政府も三・五倍に予算は増しました。これはやらないよりけっこうであります。しかし、いまだもし金銭で解決する部分が残っておるというならば、三・五倍に伸びたといっても、その絶対額はわずかであります。でありまするから、十倍増も二十倍増もして、金銭によって解決できる部分はさっそくに解決する、こうすべきだと思いますが、この考えについてはいかがでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、いまだに同和問題が論議されるということはまことに遺憾なことでございます。問題は、やはり経済的また社会的環境の整備、こういうことが必要でありますので、われわれは精神的に差別をしないと同時に、社会的、経済的の差のなくなるように、いろんな施策を今後ともやっていきたいと考えております。     ―――――――――――――

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) ただいま委員の変更がございました。山高しげり君、吉武恵市君、増原恵吉君、横山フク君、佐藤芳男君が辞任され、林塩君、小山邦太郎君、吉江勝保君、井上清一君、山本杉君が選任されました。     ―――――――――――――

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 総理府には同和対策審議会が設置されております。これがいま三つの部会に分けられて、諮問案が審議されていると聞いております。もうすでに結論に到達した、こういう話でありますけれども、しかし、総会を開かなければならないのに、政府側の各省事務次官クラスの委員が十名でありますが、おる、これらの人たちが一向出席が悪いためにどうも総会が開かれない、こういうふうに伝えられておるのであります。もしそうだとすればはなはだ遺憾なことでありますが、これらの実情についてお話し願いたいと存じます。

野田武夫自由民主党総理府総務長官

○政府委員(野田武夫君) 同和対策の審議会はちょうどことしが四年目になります。その間総会は二十数回開いております。また部会も、それ以上にいろいろ各部会とも熱心に勉強をしておりますが、いまお話の十九名の委員のうち、十名が大体各省の次官でございますが、もちろん毎回出席はしておりませんのは、これは政府の都合というよりも、実は打ち明けて申しますが、ざっくばらんに申しますと、各審議会が四十幾つ、相当にありますので、各省次官が大体審議会の委員になっているのが多いのでありまして、なかなか毎回出るということは、これは原則的には出るのがほんとうでございますが、なかなか出にくい場合がございまして、局長その他がかわって出席いたしております。私も一度審議会の様子を見たいと思いまして参りましたが、そのときは数人の次官は出ておられたようでございまして、非常に欠席が多いというおしかりは、実は決してまあこれは言いわけのようでございますが、怠慢で出ないというのではなくて、ほかのいろんな会合にも引っぱりだこみたいに、次官というものは各種の会合に出ることになっておるものでございますから、そのときの都合で出にくい点も相当あったということは事実でございます。しかし、審議会そのものは熱心な討議を続けておられまして、大体この八月にはいわゆる最終の答申を出すことができるということを事務局でも明言しております。そこで政府といたしましては、当然同和対策に対して基本的な解決の答申が出るというふうに期待をいたしておりますから、その答申に基づいて、われわれはこれを尊重し、またお話のとおり、この人権問題といたしましても、社会問題といたしましても、また、経済問題といたしましても、この同和対策はこのままわれわれはいわゆる成り行きにまかすというような態度でなくて、積極的に解決に当たらねばならぬという熱意を持っておりまして、この八月の答申を非常に期待しておる段階でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 いま総務長官もお認めになったように、もうすでに答申決定の寸前でありますが、幾ら忙しくてもそうした大切の時期でありますから、政府側委員におかれては大いにひとつ叱咤激励しておいてもらいたいと思います。  次に労働大臣に伺います。駐留軍の労務者の問題でありますが、これは米戦略の変更からアメリカの新予算年度までにはおそらくまた大量の解雇があるはずであります。そこで簡単に伺いますが、これらの労務者は、すでに戦後十九年間経過いたしましたために、私の調べでは、平均年齢が四十四歳に相なっております。中高年齢層の再就職はまことに困難であります。そこで、これはどうしても炭鉱離職者と同様な処置を講じなければならないと存じます。  もう一つは、労働大臣の管轄ではありませんけれども、特別給付金、これをいまはまことにスズメの涙程度でありますけれども、聞くところによりますと、今般電通等においてもかなり多額の特別給付金を考えておると聞きます。他がそうであるならば、これも戦後の至上命令として駐留軍の労務者になったのでありますから、その処遇についても当然他と同様に考えるべきだと思いますが、この駐留軍離職者の今後の措置についてはどう考えておられますか承っておきたいと存じます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 防衛施設庁の調査によりますると、在日米軍の配置転換等に伴いまして発生いたしまする駐留軍関係従業員の人員削減数は、すでに三月までに今年度内八百名発生いたしております。この後六月までにこれを含めまして六千名程度に相なるものと見込まれております。このような情勢でございまするので、人員整理にあたりましては、配置転換等によりまして、離職者の出ますのをできるだけ最小限度にとどめますよう努力いたしますとともに、離職者に対しましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして離職者対策協議会というものを中心に、関係機関が協力をいたしながら職業紹介、職業指導訓練、また自立助成等、諸般の措置を実施いたしております。なかんずく、お話のごとく、これら離職者の中に中高年齢者が多い現状にかんがみまして、職場適応訓練その他離職者の再就職を促進いたしまするための各種の援護措置を優先的に集中して実施いたすようにいたしております。おおむね炭鉱離職者に準じた措置をとりつつある次第でございます。  なお、特別給付金につきましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして防衛施設庁から所定の額が支給されておることは御承知のとおりでございますが、その増額につきましては、目下米当局との間に防衛施設庁において折衝中だそうでございます。これにつきましては、労働省におきましても関係者の陳情を聞いておりますので、できるだけ協力いたしたいと考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 次は、内航海運の問題につきまして、運輸大臣、経済企画庁長官、大蔵大臣に逐次聞いてまいりたいと存じます。  まず運輸大臣に伺いますが、戦時中海上輸送の必要から、大型船舶につきましては、軍の中央部におきまして徴用いたしました。ところが、ごく小さい船舶につきましては――ほとんど一隻一船主といったような小型でありますが、ところが、これがパーセントとトン数におきまして非常に多いのであります。こういうものについては、暁部隊なんというものができまして、これの出先機関がかって気ままに徴用いたしました。そうして戦争に負けますと、その出先機関はたいてい書類を焼いてしまいまして、そうして復員してしまった、こういう経緯のために親子で運航しながら船は沈められた。精神的な面でありますけれども、靖国神社にも祭られない、こういうような始末で放置されたのであります。でありまするから、実は今日の内航船問題の遠因は実にここにある。大型船については、なるほど船舶保険が米軍の命令で打ち切られたといっても、その後利子補給であるとか、金融であるとか、いろいろその手心を加えて行政措置もされてきた、法律も制定された。しかるに、小さな船舶、陸上で言うならば、零細企業、小企業のこういうほうの部類については、記録もさだかでありませんために、船舶保険を打ち切られてそうして何にもほかの措置もとられない、かようなことでありますが、まず運輸大臣は、こうした事実を御承知でありますかどうですか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) さような事実を私も聞いて非常に心配をいたしまして、内航海運が物資輸送の面において重要な地位を占めておる事情にかんがみて、昨年私は省内に内航対策懇談会というものを設けまして、そういうようないろいろな問題についてお知恵を拝借して、いいものはどしどしやっていこうという体制のもとに目下審議を進めております。その遠因は天田さんが御指摘のとおり、非常に零細企業が多いのと、過当競争が激しいので、その面から何とかしたいというようなことについても答申を得次第に順次前向きの姿勢で解決すべく努力をいたしております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これは内航海運の懇談会はありますけれども、それは懇談会であってたいした権限があるものではありません。そこで、運輸大臣としては、その懇談会とは別に、あなた自身が内航海運の危機と原因、そうしてこれをどうしたらいいかということについてはいかがお考えでありますか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま申しましたように、過当競争が多いのと、それから過当競争を抑制すべく努力いたすと同時に、船を鋼船化したり、あるいは大型化したり、その他原因だと考えられるようなことについて私はでき得る限りの施策をいたしております。今国会に法律の改正も提案いたしておりますし、あるいは金融の面につきましてもでき得る限りの配慮をいたすつもりでやっております。あるいは自動化その他についても適切な措置を講ずべく努力をいたしております。さっき申しました内航海運懇談会は法律上の権限はないが、各専門家を入れまして、非常にいい御意見が出てまいりまして、着々それを実行に移すべく努力いたしております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 これは別のことばでありますけれども、運輸大臣お認めになったのだと思いますが、いずれにせよ、これは長期かつ抜本的な対策を立てなければならぬと思います。そうだとすれば、どうも外航船舶と大きなところへばかり目を向けないで、こうした小型船舶の問題についても審議会等を設ける、こういうことが必要だと思いますけれども、しかし一方、海運造船合理化審議会、こういうものがあるのでありますから、これに扱わせ、かつはまた、扱わせてみたところで零細船主の意見がこれに反映しなければ何の価値もありません。そこで、この構成については、小型船主代表をどんどん入れるという形をとらなければならないと思いますけれども、もし海運造船合理化審議会を改組するという考えがあれば、しからばこうした零細船主の代表を何人くらい入れるつもりでありますか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) その場合には三人くらい入れたいと考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 内航船舶、これは実は物資の輸送量においては他のあらゆる機関よりも多いのである、これは驚くべき事実でありまして、たとえば三十七年の例をあげますと、鉄道は五百七十二億トンキロで、自動車は三百二十四億トンキロ、ところが、多くは百トンくらいのものが中心でありますけれども、こういう親子で運航するようなものの運んでおるものは六百六十八億トンキロ、こういう状態で、しかも重量物といわれます石炭、コークス、銑鉄、鋼材、セメント、砂利、石材、肥料、木材、鉱石類、石油類、こういう大量物資のうちでは、鉄道のほうがよけい運んでいるのは肥料と木材だけであります。他は、四面環海のわが国でありますから、このほとんど小型船舶に依存をしておる。しかもそれが今日、運輸大臣もお認めになっておるように、もう償却もできないという状態に立ち至っております。もしこういう状態が続いて壊滅するということになれば、わが国の経済発展はこの物資輸送の面からくずれてくると思うのでありますが、これにつきまして経済企画庁長官はどうお考えでありましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま仰せになりましたように、内航海運によるところの貨物輸送の量は、世の中の注目を比較的浴びていないわりに非常に多いわけであります。三十七年におあげになりました数字、割合で申しますと、内航海運によるものは四二・七%、国鉄が三六%、トラックが二〇・七%、こういう趨勢は国内の国鉄による輸送状況が現状のようでございますので、三十八年、三十九年推定いたしますと、内航船舶による国内貨物輸送の比重がさらに上がっていっておるように推定をいたします。国鉄の比重がやや下がりまして、トラックはやや上がりぎみ、こういう状況であります。そこで、従来からいわゆる鋼船化、鋼造船にするということで特定船舶整備公団あるいは北海道東北開発公庫等々で融資をいたしております。ことに最近はスクラップ・アンド・ビルドもいたしております。何といっても一つの問題は、そういう企業が零細であるという問題でございますが、弔う一つの問題は、港湾のほうの受け入れの施設、そこに問題があるのではないか。所得倍増計画ではやはり当時からそんなようなことを言っておりまして、稼働施設の能力増加に対して固定施設の建設整備が均衡を保っていないということを指摘しておりますが、現在でもそういう問題があるように思います。そこで問題の処理としましては、小型船舶が国内の輸送貨物にになうシェアが、先刻申しましたように四割三分にも四分にもなるわけでございますから、鋼船化を片方で急ぐとともに、他方でいわゆる港湾のほうの整備を進めていかなければならない。これが当面の問題ではないかというふうに考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 時間がありませんから先を急ぎますが、すでに経済企画庁長官はこの事態を御存じであります。とにかく、海上輸送のほうが陸送よりも本来的に経費が安い。たとえばアラビアから石油を横浜まで持ってくる。それをトラックで水戸へ運べばこれは費用が同額であります。こういうふうに海上輸送というものが非常に安い。ところが、日本の内航海運におきましては、鉄道と比べれば割り高である。これはコストそれ自体が問題ではなくて、鉄道のほうに政策的な運賃があるからであります。しかし、国の経済を考える場合には実態経費と合わせた輸送体系、こういうものをつくるべきだと思うのです。それならば、国内輸送については長距離は小型海運、中距離は鉄道、短距離はトラック、こういう体系にすべきだと存じますが、経済企画庁長官、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 所得倍増計画では、それらのもののコスト形成が自然に行なわれて、しかも利用者が自由に選択のできるような状況を整えるべきである、環境を整備すべきであるということが書いてございます。ただいまのような問題は、地域にもよることであろうと思います。何ぶんにも港湾の施設というものがいまのような状態では、にわかにそういう仕分けができますかどうか、問題はあると思います。しかし、小型船舶による海上運送ということについてもう少し関心を持って施策をしなければならないということは、仰せのとおりだと考えます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 すでに港湾の設備というものが内航船向きにはまるでできていないということを御存じでありますから、この点については触れません。  運輸大臣に伺いますが、この石炭専用船などをつくって、これは炭鉱の関係から必要でありましょう。しかし、全体の内航海運をやはり自動化、専用船化しなければならないと思います。石炭を例にとれば、いまわが国にはこれに向くような五年以内の就航のものが五万トンもあるのでありますから、そこでこれを改造するにはハッチと煙突の位置を変えるくらいのところで済みます。そうすれば、二千万円くらいの改装費があればできるはずであります。それをしないでどんどん別のものをつくっていくというのは、国の経済上まことに私は損失だと思っています。この点について運輸大臣はどうお考えでしょうか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 全く同感でございまして、私どもといたしましては通産省と協議いたしまして、そういう施設が重複にならないように努力いたしておるつもりでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 この問題の最後に大蔵大臣にお伺いいたします。  それは税法上の問題と金融の問題についてであります。この船舶に対して固定資産税をかけるということは、私は主要海運国にはないのではないかと思っております。ところが、わが国ではこれに税金をかけ、かつまた、外航船舶には、その船価の六分の一について税金をかけるということが、内航船舶はこれほど困っているのに、その二分の一にかける。つまり税金の率は三倍でございます。もっとも、これには特別トン税という別のものが外航船舶にはかかりますが、しかし、これはトン税が上がるから、今度は固定資産税のほうはやめる、こういうことに今度措置されるわけでございます。そうすると、依然として内航海運のほうが不利な立場にある。燃料費は、外航船舶や漁船と違って関税がかかる、こういうわけでございます。そういうことで、登録税にしても、私は、これは手数料登録のようにすれば登録の実はあがるんじゃないかと思っておりますけれども、一体そういうふうな不利を是正する考えがあるのかないのか。  それから金融の問題については、先にも上げましたように、石炭専用船についてはこれは無利子金融が行なわれております。内航海運のほうは、その金融は八・七%であります。八分七厘。それをせめてこういう困難な場合には、私は開銀並みくらいにする必要があるんじゃないかと思いますが、これについてのお考えはいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税制上の問題、まず第一点申し上げますと、外航船舶と内航船舶との間に非常に大きな差があるということは、御指摘のとおりでございます。しかし、この外航船舶につきましては、国際競争力の問題が一つございます。世界各国でもっていろいろな税制上の措置をやっておりますので、これに対応して国際競争力をつけながら国際収支に大きく寄与せしむるには、どうしても外国並みにしなければならないという観点からでございます。内航の船舶に対してもっと税制上考えるべきだという考え方はございます。しかし、これはちょうど陸上の輸送機関とのバランスの問題等がありまして、内航船舶が使う燃料その他に対しても特別の税制をすべしという御助力がございますけれども、他の陸上機関が使うものとのバランス等でなかなか踏み切れないというのが現状でございます。しかし、これからの所得倍増計画の残余の五カ年計画を考えますときに、先ほどからあなたが申されたとおり、鉄道とそれから自動車輸送と内航船舶によるものを十分検討しながら、バランス論だけではなく、新しい視野に立って、将来の内航船舶をどうすべきかという問題は、新しい立場から相当検討してまいらなければならない問題だというふうに考えておるわけでございます。  それから、内航船舶の建造その他につきましては、特定船舶公団及び開発銀行の地方資金、なお北東公庫、中小企業金融公庫等から融資することになっているわけでございます。この金利が非常に高い。現在八分七厘程度でございますが、これらの問題も他の業種に対する貸し出し金利とのバランス上そうなっておるわけでございますが、かかる問題も、先ほど申し上げたような原則的な問題と合わせて前向きで検討すべきだというふうに考えております。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 ようやく農林大臣の顔が見えて、少し質問を調節しておったらたいへん時間がなくなりました。では農林大臣に伺います。総理に対する質問もあったのでありますが、時間がないからその点はやめます。  とにかく農業施策を革新的にやるというお話でありましたが、ところが問題は農林予算であります。その農林予算といいましても、食管会計の問題を含めて大きくなったなどと言われても、これは迷惑であります。もともと米は生産費所得補償、こういう観点からはじき出されたもので、それが高くなって、しかし、それを政府のほうで安く、こういうのでありますから、純粋な農業対策ではなくして、むしろ消費者対策と言っていいものであります。そこで、この分を除いて総予算との関係を比較してみますというと、私、十二年間を調べてみました。そうしたところが、三十八年も三十九年も、ともに総予算の七・二%であります。このことは、十二年間のうちの三十七年を除けば一番下にある。予算の面では、十二年間を見ましても、下から二番目だ、こういうような状態で一体革新的な政策などは行なえるはずがないと思いますけれども、いかがでありますか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 過去十二年間のうちでは、食糧管理特別会計に繰り入れたものを控除しますと、率からいいますと三番目になっておるようでございますが……

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 下から二番目ですよ。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 下からです。私は、食管会計というものに繰り入れるものは、いまのお話のように、当然繰り入れるのだから、これを除けば特別計算をするのがあたりまえだ、こういうことになりますけれども、私はそうは考えないわけであります。消費者対策といいますけれども、価格支持対策の中で一番大きな対策でございますから、米を主としてやっておるので、私はこれをいま農業政策でないというふうに見て計算するのはどうかと思います。しかし、私どもできることならばこれを除いて、ほかのほうに多くの漸進的な予算を獲得したいということは私も考えておるわけであります。そういうわけで、全体としては三三%の伸びでございますが、食管のやつを除けば一七%の伸び方でございます。一般の予算、各省の予算が一四%でございますから、一七%の伸びというものはほかと比べれば伸びておると思います。先ほど申し上げましたように、それ以外の予算というものを私ども希望してずいぶん予算のことでは骨を折ったわけでございますが、たとえば農業基盤整備費、前年度六百五十五億が七百七十二億、構造改善対策費は前年度七十九億が百三十六億、農林畜水産物の流通改善関係経費も前年度二十五億が三十四億と、大幅に増額いたしております。ことに農林漁業金融につきましては、農林漁金融公庫のワクの八百七十億が千七十億、金利、貸し付け条件の改善等をはかって、三分五厘の低利資金の率が四十数%で、平均すれば大体五分になっておる。あるいは近代化資金の融資ワクが五百二十億から六百億、無利子の農業改良資金の貸し付けワクも、前年度の十八億から四十五億円と、相当革新的の芽は出ておると思います。しかし、農業そのものは、御承知のとおり、一年度で工業面みたいに飛躍的に革新的なものを打ち出すといってもなかなかそれは打ち出し得ないような性格を持っておりますので、そういう意味におきましては、あるいは御期待のような革新的ということにはならぬと思いますけれども、革新的の芽は相当含くめていけるつもりで予算を編成、御審議を願っておる次第でございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 この問題は論戦すれば長くなりますから、別の機会に譲ります。  それでは、いま革新的とおっしゃったけれども、その革新的の政策の一つに、今度小売り段階における流通改善というのが新しい芽が出てまいりました。これはきのう奥さんも触れておられましたが、問題は、これは要するに、補助金と、それから出資をして、東京へ小売り市場をつくる、こういうのです。よって、うちと場所とを提供して小売り商をここへ入れよう、こういうのです。このことは、家と場所を提供して食料品を売らせるというのですから、どっちかといえが零細企業対策、八百屋対策、こういう筋のものである。それを農林省の予算で計上してくる、これが新芽だというほうに入るようであります。しかし、そういう場所や何か提供したからといって、農民のほうから見たならば、それで生産費を償う値段で買ってもらえるという保障はどこにもない。おまけに、消費者のほうで必ず安く売ってもらえるという保障はどこにもありません。たぶん安く売るだろうというにすぎない。こういうことならば、むしろそれでも農民対策だというならば、これは風が吹いておけ屋がもうかるという回りくどい議論になる。そういうことでなくして、私は国有民営のモデル市場でもつくって、それで農業従事者あるいはその団体が、それぞれのワクへ行って自由にものを売れることができる、こういうことにすべきだと思いますけれども、この点についてはいかがですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) いまの機構からいいまするというと、自由経済でございますので、価格の決定というものは、市場を経由するということに相なることは当然だと思います。しかし、いまのお話のように、生産者から消費者へ直結する、こういう形で流通経費が省かれるわけでございますから、姿としては確かにいい姿だと思います。で、そういうことではございますけれども、やはり中央市場といいますか、市場を通すということでございますので、市場の問題等につきまして相当改革を加えてきておるという別の方面もございます。それから同時に、調査費を置きまして、いまのお話のように、いま生産に対しましては生産対策をする、消費については消費対策をする、その中間であるところの市場というものがやはり不可欠の問題でございますので、そういう市場をどういうふうに持っていくかということで、現在の市場の改革等を手をつけておりますけれども、別個に食料関係の市場を一カ所に置いて、そうして食料のコンビナート的なものも、食料生産、食料関係の事業のコンビナート的なものを設けて、そうして生産、消費を簡素化し、価格の問題も、中間経費といいますか――を少なくできるようなことでやっていこうという調査費等を設けております。いまのスーパー・マーケットの問題は、やはり農業といたしましては、また私どもの管轄といたしましては、生産対策を当然講じなければなりませんが、九千何百万の日本の人々の食料をまかなっていく、こういう責任もありますので、消費者対策として、スーパー・マーケットを二十カ所都内に設けることにいたしました。お話の生産対策につきましては、生産対策として講じておるような面がございます。いまの消費者対策でございますが、生産者対策に何もならぬじゃないかということでございますけれども、これは市場を通じ、やはり生産者にもこれは影響といいますか、いい影響があると思います。というのは、御承知のように、生産者から見ると、自分でつくったものが消費者の手に渡るときには相当高い金で渡っているのに、自分が手離すときには非常に安いじゃないか、こういう不満足な状況になっておるわけでございますが、こういうスーパー・マーケット等を通じて消費者に売られるものが、生産者の手離したものとそう違いがないのだ――ある程度は違いますけれども――そう違いがないのだというような、これは生産者にとっても、好ましいことだと思います。そういう意味におきまして、いまの消費体系を相当よくしていくという意味におきましての意義は、私はこのスーパー・マーケットにも相当ある、こういうふうに考えておるわけでございますが、お話の生産者対策は生産者対策として、別個にまたいろいろこまかくやっておる点もございますので、そういう点はそういう点として御了承願いたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 関連。いまの食料コンビナートの問題でありますけれども、ちょっとおしまいのほうがはっきりわかりませんでしたが、要するに、その構想というのは、具体的にどういうものであって、規模がどういうものであって、どこが監督をして、それから流通機構をどういうふうにするかといったようなことですね、それがある程度明確になっておりましたならば、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 調査費を計上しておりますので、具体的に申し上げる段階ではございませんけれども、市場なら市場を、一カ所に大きな市場を集めていく。小さい市場もございますが、東京の構想で申しますならば、土地が高いものですから、埋め立て地あたりがいいのではないか。埋め立て地あたりに市場を、野菜、青果物から魚、それから全部集めていくというような考え方、それからもう一つは、小麦などが、輸入小麦等がございますが、これを一々船から揚げて運送する運賃が相当かかりますが、すぐにバラのままでサイロといいますか、そこへ入れられるような形で、小麦なら小麦をそこへ入れる。そうすると、それに関連する製粉工場というようなものなどもその近辺に置くというようなことにして、船の船賃あるいはいろいろな経費等が節約されるということになれば、小麦粉というようなものも合理化されたある程度の価格で売れるということになれば、パンとかその他の食料などの価格等にもいい影響があるのではないかと思います。こういうことで、総合的に、市場の関係からあるいは食料に関係あるところの工業等を一つに集めていって、そうして経費を安くしていくというような考え方はどうであろうか。これは東京も考えますが、その他の都市等におきましてもそういうものを設けていこう、こういう一つの構想でございますけれども、いま冒頭申し上げましたように、調査費を設けて調査をするという段階でございますので、具体的にはまだ申し上げる段階ではございません。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 天田君、持ち時間が満ぱいになりましたので、簡潔にお願いいたします。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 委員長から注意がありましたから、一ぺんに申し上げます。  農林大臣にもう一つありますし、自治大臣に質問がありますから、続いて言います。農林大臣に伺いますが、この農業基本法十六条の関係であります。これは農地及び農業経営細分化を防止するために政府が適切なる措置を講ずるということでございます。法文は朗読いたしません。ところが、これに関しては、いまだ何らの措置を講じておりません。そこで今後どういう措置を講じられようとするのでありますか、この点を伺っておきたいと存じます。  続いて、自治大臣に伺いますが、固定資産再評価の問題であります。これは、政府案でも農地のほうは増税にならないように措置すると何回も言われましたから信用いたします。けれども、農家といえども、家屋やらあるいは宅地、こういうものはあなた方のほうの計画でもどうしても増税になります。ところが、農家の宅地というのは一体作業場であって、一般の、広い庭を持って散歩をしたりながめて楽しんだりするというものでないことは、あなたもいなかで育ったから御存じのとおりであります。ところが、このほうは増税になるんですよ。そうすると、一方においては所得格差をいかに縮めるかというのでそれぞれ努力されておりましても、この面からくずれてしまうじゃないか、私はそう思います。この点はどう一体処置されるつもりであるのか。それから、もう一つの問題は、あなたがよく評価を変えても税率を調整すれば決して増税にならないような措置ができるんだ――今度は三年間の暫定措置だそうでありますから、それもひとつ信用いたします。私がここで指摘したいのは、税率調整によってはとても解決できない事態にいまだって来ているんだ。やがて三年間の暫定期間を、越えれば必ずそうなる。それは、日本の土地が一律に増加しておるのでありますれば税率調整ができますところが、すぐそこの赤坂あたりでも坪百六十二万円なんというキャバレーができました。そういう土地を今度は使って商売をする人はよろしいでありましょう。しかし、先祖伝来そこに三十坪くらいの宅地を持ってつとめに出ておる、こういうことになると、評価変えというのは結局においては時価に直していくということでありますから、それがたちまち五千万円くらいになってしまう。ですから、税率調整で十分の一、二十一の一くらいに税率を下げてみたところで、とてもこれは土地に対する固定資産税だけでも納められない、こういうことになるのです。それじゃ、十分の一、二十分の一に全国一律に下げたらどういうことになるかというと、村政や町政は全部放棄しなければならぬということになる。いま現在でも、御案内のとおり、寒村、僻村のところでは、部落々々に村を捨てるという事態が起き、すでにいろいろな雑誌に書かれております。そういうところは売れもしないのだから、まことに宅地なんかの値段は安くなっておる。しかし、先祖伝来のものですから、持っておる。そこには住まっていない。しかし、宅地になっておるから税金は取られる。これは時間を使って大いに論戦したいところでありますが、とにかくそういう事態である。あなたは、こういう事態は奈良県で起きておりますから、隣で御存じだと思う。そういう二つの――都会は暴騰し、農村によっては村を逃げる、こういう事態が起きたときに、固定資産税をとても税率調整などではできない。何をしたらいいかというならば、私は一つの考え方は、これは面積で免税点を設けるとか何か考えなければならぬと思うのであります。その詳しいことは時間がありませんし、しかられておりますからやめますけれども、そういうことなんです。こういう問題について自治大臣はどうお考えでございましょうか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 相続による場合に、農地の分割問題をどういうふうに考え、どういうふうに処理しているかというお尋ねでございますが、相続による分割状態を調べてみましたが、一昨年農林省が委託した調査結果によりますと、一般的には、相続によって農地の細分化が進んでおるという事実は、それほどないようでございます。これは、事実上話し合いでやっている面が多いので、細分化が進んでおるというのは、それではなくて、生前贈与の場合に農地が分割されると、こういう事実のほうが多いのでございます。こういう事態に対しまして三十九年度から、税制面におきまして贈与税の特例を設けまして、一括生前贈与に誘導するよう措置することといたしております。しかし、相続そのものによって農地が細分化するという傾向もないとは言えませんので、それについては、当面は自作農維持資金の活用をはかっていきたい、こう考えております。  なお、相続税につきましては、三十九年度から遺産全体にかかる基礎控除額、これがいままで二百万円でございましたが、二百五十万円に引き上げました。そのほか、法定相続人一人につき五十万円の基礎控除もありますので、たとえば、妻と子供三人の場合には、二百万円に二百五十万円ですから、四百五十万円が基礎控除されるということになります。したがいまして、ほかに大きな資産でもありまするというと、相続税が課税になりますけれども、大体のいまの農家においては、特に一子相続につきましては、相続税の特例措置を設けることの必要はないくらいになっておるというのが実態でございます。でありますが、今年度農林省が、農地相続による農業経営細分化調査をまだ実施しておりますので、近くその結果がまとまる予定でございます。この調査結果を考慮いたしまして、必要がありますならば諸般の措置を講じたい、こう考えております。

早川崇自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(早川崇君) 固定資産の再評価に伴う固定資産税の増税ということが、農家その他に、非常に影響があるのじゃないかという御質問でございますが、農地につきましては、申し上げましたように、全然上げませんし、家屋及び償却資産も、前年度より上がりません。問題は宅地でございまするが、これは最高二割までにおさめる。これは三年ごとの再評価の時期には、大体その程度は宅地なんかは従来とも上がっておるわけでありまして、これらの実績に徴しまして、二割までにおさめる。したがって、全体といたしましては、自治省の試算では、三十九年度も例年の一割増、大体この程度は、評価の年度変えのときに、いつも自然増収その他で上がっている金額にすぎませんので、大きい税率の激変は、これによって押えておるということはおわかり願えると思うのであります。なお、三年後、新しい評価変えのときには、いろいろ御指摘がありましたように、税率だけをわれわれは下げて、どうこうと言っておるのではないのでありまして、そのほか課税標準の特例をどうするか、あるいは、いま御指摘のような面積あるいは用途、いろいろ各方面から検討して、固定資産税の税制度のあり方をどうするか、非常にむずかしい問題でございまするので、税制調査会に次の年度まで十分御検討いただきまして、特に税の激変が起こらないような措置も講じながら、妥当な税制制度に持っていきたい、こういうことで御検討願っておるのが現在の段階でございます。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 天田君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 委員の変更を御報告いたします。  岩間正男君、北條雋八君が辞任され、須藤五郎君、中尾辰義君が選任されました。     ―――――――――――――

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 次に戸叶武君。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 池田内閣は、現在非常に困難な立場に立たされております。これはひとり池田さん個人の問題でなく、開放経済体制に突入する前の日本の置かれている地位の苦悩を象徴するものかもしれません。池田内閣の寿命も、もうよいところ長くても一年というところでしょうか。あるいはもっと短命な場合もあるかと思いますが、池田さんは、この期間に、一国の総理大臣としてぜひともこれだけはやり抜いていかなければならないと心ひそかに念じている面もあると思いますので、この機会に池田さんの悲願を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、この期間という考えを持っておりません。日々全力を尽くして国政に当たっておるのであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 現在池田内閣が当面している困難というものは、自民党内部からも足を引っぱられて動きがとれない。私は前に弁慶の立ち往生と言いましたら、そのとおりだという声がかかって、間もなく漫画にもなるでありましょうが、そのような状態で動きがとれない。しかも、新聞にも、ILO八十七号の批准については政府は当初積極的な熱意を示したが、倉石修正案を社会党のほうで了承しても、自民党の内部からの突き上げで紛糾して動きがとれなくなった、何もできないというのじゃ総裁選挙に臨めないから、せめて日韓会談でも無理してやっていこうかというところに、いま池田内閣が来ているのじゃないかとまで取りざたされておりますが、総裁選挙まではそのような状態ですか。特にILO調査団に日本に乗り込まれてくると、日本の労働者の低賃金なり、労働条件の劣悪さなり、商品のダンピングなりというものが国際的に問題になっているときでありまして、国際的な信用の上からも、政府の威信からも困るようなことがあるのじゃな、かと思いますが池田さんはどういう御見解ですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げたとおり、私は国政のためなら全力を尽くします。問題の日韓問題、ILO問題も、私はできるだけ早い機会にこれを解決したいと考えます。外国の日本に対する考え方は、お話の点と逆と私は考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 ソウルからの報道によると、日韓会談は、大平・金会談による黙契、大野・金ルートに密約ありということが韓国内部で伝えられているようですが、そういう不明朗な形でもって、不安定な韓国の現在の政権と日韓会談を妥結しても、あと半年、一年ののちに水泡に帰するようなこともないとは限らないと思います。そういう場合において政府はいかような責任をとりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、御質問に対して答えることは差し控えたいと思います。前提が違っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日韓会談は、総理大臣がわれわれの質問に対して答えられないほど何か暗い霧の中に包まれているという印象きりしか国民は与えられないと思います。  中国問題でございますが、中国問題も、池田内閣は、非常に前向きの姿勢を示していたかと思うと、この間外務省における統一見解というものを見ると、全く動きがとれない、不動金縛りの状態で、何かにのろわれているような立ち姿になっておるのでありますが、こういう自主性のない態度で世界の動向を見きわめてからというようなことで国連総会に臨むような場合に、日本がその場で醜態を演ずるというようなおそれはないか。これは、私は総理大臣と外務大臣にお聞きしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自主的判断で適正な外交をやっております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交は公明に推進し、公正に処理すべきものと心得ております。国連におきまする行動も、いま総理からお示しがございましたように、私どもは名誉ある国連のメンバーといたしまして終始公正な建設的な態度で対処してまいりましたし、今後もその決意で当たりたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 憲法調査会の報告、答申があったときの政府の取り扱いでありますが、憲法調査会の会長は、内閣及び内閣を通じて国会に報告するというふうに言われておりますが、総理大臣としてはどういう手続をとるつもりでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 内閣、国会に報告がありますれば、報告を見ましてそうして検討いたしたいと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 憲法調査会の高柳会長は、最終報告、すなわち憲法を改正するほうがいいかあるいは改正する必要がないかの問題については、調査会には賛成、反対があるから、これを一本にして報告することはできないと言っております。矢部副会長も同様の見解ですか。

矢部貞治憲法調査会副会長

○説明員(矢部貞治君) 全く同様の見解でございまして、改正論、非改正論ともに論拠を重視して報告をまとめたいと思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 高柳先生なり矢部先年は、良心的な学者として、ずいぶんあの改憲論者に取り囲まれてくだらない議論を聞きながら苦しんでいると思いますが、それだけでなく、このごろは改憲論者と結ぶところの右翼暴力田が、河野君の屋敷を焼き払ったような暴力団がいまだに横行しておりますし、そういうものが絶えず高柳会長なんかも脅かしておるのでありまして、自宅への行き帰りでも相当な護衛がついているということでありますが、この報告書を出す段階にもう一騒ぎやるのじゃないかと思いますが、治安当局はこれに対して万全の措置を講じているかどうか。

早川崇自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(早川崇君) 暴力団並びに左右を問わず政治的な目的を暴力によって脅迫その他やろうというものについては、万全の態勢をとって取り締まり、また、情報の収集をやっておる次第でございまして、御安心願いたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは、高柳先生のある門下生が涙を浮かべて私のところへ訴えてきております。学者諸公は、政治家と違うから、事を荒立てないと思うのですが、目に見えざるこういうふうな脅迫の中に、学者がいかに良心を守るといえども、憲法調査会の正しい報告が必ずしもつくり上げられるとは私たちは想像できないのであります。しかも、池田さんは、報告が、答申があるならば、適当な機関を設けるなり、あるいは議運段階でもって話し合って慎重な態度でこれを処理しようというようなことをこの前亀田さんのときにも答弁したようですが、その具体的な内容はいかなることですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 答申、報告がありましたら、その報告によりまして内閣におきましてどういうふうな方法でこれを検討していくかということを考えたいと思います。いまこういう方法でというはっきりした案はまだございません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 改憲論者の言動というものは、良識に合っているところの学問的発言ということよりも、明治憲法の亡霊にとらわれて、そのことだけが脳裏にしみ込んでおって、そのことでなければ生活が営めないような古ぼけた一つの学者諸公における横談縦議でありまして、私は世界でもってほんとうにもの笑いになると思います。ナンセンスだと思います。しかも、現行憲法に対してさまざまな誹謗を行なって、結局は押しつけ憲法などと論じておりますが、明治憲法の成立の過程を見ましても、これはその前におけるイギリス流の会議中心の制度を実現しようとする大隈、福沢、小野梓先生らの進歩派と、プロシャ流の憲法を日本に押しつけようとする伊藤博文らの守旧派と、この対立が明治十四年に激化してあの政治的なクーデターとなり、そうしてあの憲法というものは全くプロシャ流の憲法としてつくられたものであり、明治十五年五月十六日伊藤博文はドイツに行ってビスマルクと会談し、ベルリン大学のグナイスト、ウィーン大学のスタインというような一番保守的な反動的な学者に教えを受け、憲法草案の作成には、井上毅とか伊東巳代治、金子堅太郎らだけではなく、ドイツ人のロイスレル、イギリス人のリゴット、フランス人のボアソナード、及びグナイスト教授の高弟のモッセ、その他ルードルフ、クレメツキ等が参加しております。  これは、どこの国の憲法でも、その国の自主性によって憲法がつくられたといっても、アメリカ憲法の中にはフランス革命の思想というものがジェファーソンを中心としてずっと入っております。また、イギリス憲法だって、大陸のアングロサクソンの生活風習というものが憲法の中に織りこまれておりますし、これはいろいろ誹謗すれば際限ないと思いますが、矢部先生は、どういう形でつくられた憲法が一番純粋だと言われるのですか。明治憲法と比較して、いまの憲法のどこが悪いのですか。これは私たちはあらためて学者にお聞きしたいと思います。

矢部貞治憲法調査会副会長

○説明員(矢部貞治君) 私は、日本国憲法のどこが悪いというふうには考えておりません。成り立ちには遺憾な点もあったと思いますけれども、しかし、私はいわゆる押しつけというふうなことを強調することに賛成いたしておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 学者的な良心は、高柳先生にしても、矢部先生にしても、ただ古い国家権力に従属して憲法を解釈してその日暮らしをやってきた古ぼけた学者と違って、視野が広く、一つの見識をもって国家学なり政治学をきわめているから、その見識に到達していると思いますが、悲しいかな、いま憲法調査会にたむろしているところの大部分の人たちというものは、その教養と見識を欠いている。そこに私たちは今日の憲法改正の横談縦議の危険性があると思うのであります。しかも、池田さんがかつて私に答弁したように、憲法改正の提案権は内閣にもある。憲法七十二条と九十六条から結論を下したと言い、それを林法制局長官が御用学者的な裏づけをやっておりますが、幾ら研究してみてもそんなことは現行憲法に私は理解できないので、林さん、頭のいいところでもう一度今度解釈してみてください。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) 憲法九十六条にいまの憲法の改正手続に関する規定があるわけでございます。これは、御承知のとおりに国会、衆参両院の総議員の三分の二以上の多数で議決したものを国民に向かって発議して、そうして国民投票によって多数を得た場合にその憲法改正が成立する、そういうことが書いてある。この場合における憲法改正の手続につきましては、国会における議決とそれから国民投票と、この二つの手続があるわけであります。国会における憲法改正の案の議決については三分の二の多数が要る。衆参両院のそれぞれ三分の二の多数が要る。これは憲法九十六条に明記してございます。  ただ、その場合の国会における憲法改正の議案をだれが出すかということにつきましては、直接の規定は九十六条にはないわけでありますが、これについては結局憲法の他の規定あるいは一般的な憲法の背後を流れる考え方、これによって解釈するほかないと思うわけでございます。これは戸叶委員も御承知だと思いますが、およそこれに関して学説は三つあるわけでございまして、つまり、現在の憲法の解釈、七十二条に内閣総理大臣が内閣を代表して予算その他の議案を国会に出すという規定がございます。この場合のその他の議案として法律案が含まれるという考え方は、普通いまの内閣が議院内閣制をとっていることからそういう考え方がすぐ出てくるわけです。これは現在の憲法学者の大部分はそういう考え方をとっております。それに基づいて、法律案も出せるし、憲法改正の議案についても議院内閣制度のもとにおいて内閣が当然出せるのだという考えが一つ。それからもう一つは、いまの憲法からいって法律案については内閣に提案権なしという考え方、これは御承知のような佐々木博士あたりのお考えでございますが、そういう考え方から、法律案についての提案権もないから憲法改正の議案の提案権もないのだという考え方。それからその中間に、法律案についての提案権はあるけれども、憲法改正の議案についての提案権がない。およそこの三つの考え方がございます。そのどれが私たちとしてとるべきかということについては、第一の考え方が正しいのではないかと、少なくとも私はそう思っております。これは、大体御承知のように、いまの憲法学者でも代表的な憲法学者の多くはそういう考え方をとっておられます。これはやはり憲法における議院内閣制、アメリカ流のいわゆる大統領制でない、議院内閣制をとっていることから、内閣は国会における特に衆議院における多数党によって組織されている。したがいまして、内閣は提案権を持つと言っても、これは法律案にしろ憲法改正の議案にしろ、それほど別に英国流に考えて問題はないのではないか、そういう考え方からきている。その根拠としては七十二条をあげるわけでございます。九十六条自身は、これは私たちの解釈あるいは憲法学者の多くの解釈では、国会における議決の多数、三分の二の多数だということと、それを国会が議決した上で国民に向かって発議する、そして国民投票を経る、こういうことだけしか規定しておらない。その以前における議案の発案手続については何も規定しておらない。これは一般原則について考えるべきである、かように考えるわけでございます。文理から申しましても、実は国会が発議しということばは、いわゆる国会という国家機関が発議という言葉につながるわけです。これがいわゆる国会における国会議員が議案を提案しというふうにすぐは読めないと私は思います。  国会において国会議員がいかなる手続によって発案するか、これは、現在、御承知のように、国会法にも直接の規定はございません。現在の読み方で言えば、普通の議案と同じように扱っているとしか考えられない。そうすれば、別に三分の二の多数によって発案するというようなことはないわけでありまして、だれでも一定の賛成があれば出せるという建前をいま国会法はとっているとしか考えられません。あるいは国会においては将来憲法改正の議案の発案手続については別の規定ができるかもわかりませんけれども、現在においてはないわけであります。とすれば、現在は議案の一つとして考えるほかない。とすれば、これは国会においても別に三分の二の多数によって発案するというようなことは書いてないわけです。そうすると憲法九十六条の読み方としては、これを国会が発議しというのは、国会に対して国会議員が発案することを意味するとはどうも考えられない。こういうのが私たちの考え方でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 きようの林さんの答弁は、詭弁学派としては実に典型的な明快なやはり答弁だと思います。しかし、憲法改正の問題で落ち込む穴は、日本が議院内閣制をとっているからといって、日本の憲法とイギリスの憲法とは違うということの認識点に政治学者なり何なりが入ってないところに古い憲法学者の引きずり込まれる落し穴があると思うのです。日本の憲法は成文法でありまして、憲法改正の条項というものを九十六条に設けてそして明記しておるのであります。憲法改正の発議の問題がどこにもないようなことを言っておりますけれども、九十六条に、いまあなたが認めたと思いますが、「国会が、これを発議し、」ということが明確にあるじゃありませんか。近代的なファクショナリズムの政治学を国家学を追究するならば、少なくとも国会なり内閣なりというものはファンクションが違う、機能が違うということを明確に認識してかからなければならないと思います。国会から選ばれて内閣は構成されているのだが、国会から選ばれたのだから国会のやることはおれもやっていいということでは、内閣が立法機関の域を侵すことになって三権分立による相互牽制の意義というものがなくなるじゃありませんか。イギリスにおいては、長い間の伝統から積み重ねられた慣習によって道義的なルールが行なわれているから、モンテスキューが美化してみたような三権分立でなくても、それを貫くものがあの伝統の中につちかわれているのでありますが、日本は、成文法において明確にこれを規定しているのです。このところ以外に憲法改正のところはないのであります。こういう点を、まあ御用学者の一つの悲しい習性として狡知な論理を展開しておりますけれども、憲法というのは国の基本法です。国の基本法の憲法と一般法律案とを同一視するという考え方はもってのほかであります。しかも、国家性格においてイギリスはモナーキーな国家です。日本は人民が主権者です。国民が主権者です。このことを銘記してもらいたいと思う。そういう国家性格なり政治形態なり運営の方式なり、また憲法の持っているところの表現方式なり異なるところをごっちゃにして、議院内閣制だから、イギリスでもやっているから、日本でもやれる。イギリスはもう憲法改正を必要とするような問題は、すべて幾多の革命を通じて直してきているのです。枝葉末節の問題だから、内閣でいろいろな形において処理できるのです。イギリス的な伝統と違って、いまの日本の憲法改正論は、比べてみれば、反革命の陰謀なんです。これに対して内閣がき然とした態度をとらないときに、国会がこれを監視していかなければならない立場にあるのです。少なくとも憲法をやたらに内閣あたりでいじられた日には、安心して国会議員もつとまらない。国会の権威もじゅうりんされる。そういう問題について池田さんは相当心配していると思うのですが、ただ属僚の言うことだけを聞いてこの問題を軽々に取り扱ってはいかぬと思いますが、あなたは憲法改正に対してはかなり慎重派ですが、信念と理論のない慎重派では困りますから、一個の信念を吐露してもらいたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) たびたび答えているように、憲法上、内閣は憲法改正につきましての発案権がございます。そして、これは国会にもあります。しこうして、それが国会において三分の二以上の両院の議決があった場合に国民投票の発議権は国会のみ、これに変わりございません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 関連。先ほど矢部さんがお答えになった中で、調査会の報告をする際に憲法改正賛成、反対というのは、論拠だけを示しておるとおっしゃった。この前、私の質問にもそういうふうにお答えになりまして、私はこれは非常に筋の通った立場だというふうに考えておりますが、そこで、そういうことが憲法調査会の中で筋として立てられてきておる背景ですね、これを私、お聞きしたいのでありますが、その問題点は、つまり端的に言って、現在の憲法調査会というものは、憲法の改正反対という立場からいたしますと、片寄っておる。あの調査会の構成というものが世論とはマッチしておらないと、こういうところがやはり土台となって、良心的な学者を中心にそのような主張というものがなされてきておるように感ずるわけなんです。  そこで、矢部さんにお聞きしたいのは、この憲法改正反対に関する世論の動向ですね、これをどういうふうにごらんになっておるか。  もう一つは、調査会自身としても、公聴会を相当数おやりになったわけですが、この調査会を通じてあらわれた動向というものは、どういうものか、もちろんこの調査会自身も賛成、反対についての数を数えるというたてまえはおとりにならなかったようでありますが、しかしながら、おのずからそこに一つの動向というものはやはり見られるのではないか。そういう点についてのまあ計算しておらなければ感じでもけっこうでありますが、私が聞きたいのは、そういう公聴会なり世論というものと、調査会の構成、あるいはその中でいろいろ出ておる議論というものは、どうもこうしづくりマッチしておらない、こういうことを強く感じておるわけでして、そういうことも根拠になって、ああいう答申の方式というものが出ておるというふうに思うわけでして、その辺のところを少し突っ込んで御説明を願いたいと思います。

矢部貞治憲法調査会副会長

○説明員(矢部貞治君) いまお話しのとおり、公聴会あるいは世論の動向というものが、必ずしも憲法調査会内部の議論と一致しておらないということも、確かに一つの点でございます。これは調査会の構成そのものが社会党の不参加などによりまして、片寄ったものになっておるということからくるところも多いと思います。世論調査は、これは内閣で実施しているもの、新聞社で実施しているものを調べましても、弔うかなり慎重論のほうが強いということは心得ております。それから公聴会は、これは世論調査とは違いますので、ごく限られた人が出てきて意見を述べておられますから、これは世論調査と混同することは誤解を起こすと思うのでございますが、ただ、公聴会におきまして、最初のころと終わりのころとはずいぶん違っております。最初のころは、やはり相当、昔のような天皇制を復活せよとか、やはり九条は改むべきだというふうな議論が活発でございましたが、だんだんやっているうちに、やはり天皇は現在のような姿が一番いいのではないかという考え方がかなり強くなってまいっております。第九条につきましては、ほぼ五分々々という印象を受けております。ただ、出て来られる各界の人によって違うのでございまして、労働界、婦人界、あるいは言論界、それから青年界というようなところから出られた公述人は、全部とは申しませんが、おおむね憲法改正に反対でございます。しかし、経営界とか中小企業界とか農業界とか、あるいは法曹界、こういうところから出られた方は相当改正論が多いのであります。したがいまして、大体五分々々というような印象を得ておりますが、私どもは限られた人数の中で改正論が多数とか、あるいは少数とかいうふうなことには意味がないと、こういうふうに考えましたので、公聴会の報告にも数のことを計数的にあげるというような態度はとっておりません。やはり改正論にしても非改正論にしても、どういう論拠でそれがなされておるか、こういうことを重視しておるわけでございます。  で、憲法調査会は、一般の調査会とは異なっておりまして、政府の諮問に応じて一本にしぼった答申を出すと、こういうのではなくして、憲法調査会法第二条に基づきまして、日本国憲法を検討し、関係諸問題を調査審議し、その結果を報告すると、こういうことを文字どおりに解釈いたしまして運営してまいっております。発足早々から多数決でもって意見を一本にしぼるということはやらないと、その態度をずっと一貫してきておるのでありまして、したがって、調査会自体が憲法を改正すべきであるとか、すべきでないとか、そういう答申をするのではないのでございまして、各委員の意見を論拠を重視しながら報告していきたい、多数、少数というようなことにはたいして意味があるとは思いませんということを申し上げたのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 もう一度。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 簡単でございますか。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 ええ。それでは簡単にもう一度。  総理にお尋ねいたします。それはただいま矢部さんからも御説明があったわけですが、調査会の中の動向と公聴会なりあるいは世論の動向というものは相当背馳しておる。しかも、その背馳しておる一つの理由は、憲法調査会の中で、自民党の議員の方々が中心になっていろんな改憲論というものを出しておるわけです。十七名の方が連名で書類を出したり、あるいはせんだっては二十九名の方が連名で押しつけ論を出したり、いろんなことをしておるわけですが、そういう自民党の方々が中心になってやっておられる一種の団体的な行動ですね、そういうものは、公聴会並びに世論調査などとは必ずしもマッチしておらない、こういう事実自身は総理もお認めになるかどうか、それらを基礎にしてどうこうするということを聞くわけじゃないわけでして、現実に起きておるそういう事実の背馳ですね、こういう点は総理としてもいろいろ観察されておると思いますが、どういうふうにその点をごらんになっておられるか、お聞きしておきたいわけです。これは意見じゃない、事実についての認識ですから、お答え願えると思う。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 調査会やあるいは公聴会等のいろんな事実は知っております。事実を知っているということだけにとどめたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 その事実というのは、どういうふうに、私が少し具体的に対比して申し上げたわけですが、そういうふうに事実を認識しておられるという意味でしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 意見の発表の事実を知っているだけで、それの数とか、それに対しての判断は、私はいま申し述べたくございません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 池田さんは憲法改正の発議が内閣にも国会にもあるということを断言し、それから発案と発議は異なるというようなことも言っておりましたが、そのけじめをはっきり示してもらいたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) ただいま説明したとおりでございます。私は過去何回も申し上げております。法律案と同じように、内閣並びに国会には発案権があります。しかし、いまの九十六条に規定してあるのは、三分の二以上で両院が可決した場合、国民投票への発議は、内閣はもちろん持っていないのは当然であります。これは憲法の定めるとおり、国会議員のほうにあることは九十六条の示すとおりでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは異なった意見を押し問答していても仕方がありませんが、やはり池田さんは上杉憲法あたりでたたき込まれた明治憲法の七十三条が頭に入っていて、その観念でもって律しているのじゃないかと思うのです。明治憲法におけるところの解釈を、林さん、憲法改正に対する解釈を――その区別を言うと池田さんも幾らかわかってくると思いますから、現行憲法と明治憲法の比較をやってみてください。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) お答えいたします。明治憲法の条文は、これは戸叶先生もよく御存じかと思いますが、要するに勅命をもって帝国議会に改正案を付議することになっております。したがいまして、あの明治憲法においては、もちろん帝国議会の議員が議案を出すことは認められないで、すべて勅命をもって出すということでございます。そういう点といまの憲法とはもちろん違うわけでございまして、いまの憲法では、国会がその憲法改正の議決をするについて、だれがその議案を国会に出すかということについては、直接に規定しておらないと私どもは解釈いたしております。それで、これは国会議員が持たれることは、これは当然のことでございます。しかし、内閣が持つかどうかについての議論はありますけれども、これはやはり憲法七十二条等を考え、議院内閣制をとっておる日本の憲法からいって、内閣が出すことを否定する根拠はない、出し得ることを否定する根拠はないと私ども考えております。旧憲法が勅命一本でいっているのとはもちろん違うわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して……。よろしいですか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) 私の言いました七十二条は、現行憲法の七十二条を言ったわけでございます。内閣総理大臣が内閣を代表して予算その他の議案を国会に提出する、これが一つの根拠で、議院内閣制ということはその背景の根拠でございますが、議院内閣制と、憲法上の根拠を持ってくれば、七十二条に予算その他の議案の提出権がある、この「議案」の中に、法律案も入れば憲法改正の議案も入る、かように考えていいのじゃないかと考えたわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私は、改正の発案権の所在についてでなしに――それは触れません。問題は、答申をする場合に、たとえば結論を出して答申するのでなしに、改正、反対、それぞれ並記して出した場合ですね。その場合に、憲法調査会すら長い時間をかけて討議をして、結論が出ないので、そういう並記方式で出すわけですが、いよいよ調査会が二つ並記して出された場合に、政府としては、総理大臣が簡単にどっちがいいとして結論をつけて、閣議にはかってというようなことじゃない、やはり長い検討の期間を要すると思いますが、それはいかがでございますか。簡単に一人で御判断になって、閣議にちょっと相談をするという式のものじゃない。非常にこれは慎重を要する、討議期間は相当かかると思いますけれども、その辺いかがでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) もちろん法律案なんかとは違いまして、三分の二以上の議決を要することでもございますし、議決がありましても国民投票によらなければならぬ問題でございますから、そうしてまた、憲法自体の性質上から申しましても、よほど慎重に検討しなければならぬと思います。したがいまして、わが党といたしましては、適当な機会に議会においてもそういう調査機関を設けようという考えを持っております。また、内閣におきましても、報告がありましたときには、十分の検討を加えるつもりでいま考えて売るのであります。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 ちょっと関連。  憲法改正の手続について政府の見解は、総理なり、法制局長官が言われましたが、矢部副会長にこれはちょっと参考までに聞いておきたいのですが、いわゆる憲法の改正の手続については、内閣の発案権は九十六条ではなくして、七十二条だ、こう言われておりますが、矢部副会長は、やはりその法源は、手続の法源は、七十二条かあるいはどういうところにそれを求めておられるか、ちょっと御参考までに。

矢部貞治憲法調査会副会長

○説明員(矢部貞治君) 私は別段内閣の御用をつとめるつもりはございませんけれども、この問題に関する解釈につきまして、先ほどから総理大臣や、法制局長官が言っておられる見解が妥当だと思っております。それは、九十六条のいわゆる発議というのは、これは国会が可決した改正案を国民投票にかけるときの行為だと解釈しておるのでありまして、その国会で審議する原案をどこが出すかということは積極的に規定してない。もし憲法に、憲法改正案だけは内閣には発案権がない、こういうふうな規定がございますなら、これはもう問題はないのでありますが、そういう規定がないので、そこで、憲法の立っておる、原則に基づいて判断するよりほかはない。それはつまり議院内閣制ということだと思うのでございまして、そこで、原案というものは国会と内閣にある。そうして七十二条に規定してある「議案」の中に、憲法改正案というものも含まれる、まあこういうふうに解釈するのです。これは国会が唯一の立法機関だと規定されておりますけれども、しかし、国会に法律案を出すことを独占させるという意味でないことは、これは七十二条に、内閣も出せるということが認められておる。これはやはり私としては議院内閣制度から出てくる当然の事態だと思うのでございまして、そのことはやはり憲法の改正案にも当てはまる、こう  いうふうに解釈するのが妥当だと、こう思っております。

山本伊三郎日本社会党

○山本伊三郎君 大体矢部副会長の見解は一応わかりましたが、しかし、九十六条が特に憲法改正を規定しておるということから考えると、憲法七十二条の「議案」というものが、法律案というものには私は憲法は含まれない、まあこういう解釈で今日まできたのでございますが、当時私は――今日まで聞いておりますが、そういう解釈に変わったのはごく最近であって、もうあの憲法が制定された当時は、すべてそういう学者の説であったと思うのですが、この点私も非常に、矢部副会長の意見としては聞いておきますが、若干私は問題があると思うのですが、これはもう答弁は要りません。もうおそらく私がこう言ったからといって変える人じゃないと思いますから、要りません。それだけ私は言っておきます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは高柳先生でも、やはり矢部先生でも、りっぱな教養人ですが、明治は遠くなりにけりで、やはり一つのイギリス的な古典的教養によって包まれていると思うのです。で、やはりイギリス憲法の解釈が、現行憲法の中にまで、やはり私は議院内閣制というのだからというところに引っかかっているのだと思いますが、日本の憲法はイギリス憲法なんかよりはずっと進歩的な憲法でありまして、これは成文法です。しかも、一般法律と混同してはいけないのは、憲法は国の基本法です。それだから、この成文法において、九十六条に明記して、憲法改正のところを書いていることが、この憲法の一つの特徴でございます。この憲法の前文がわからないというような憲法学者が日本にいるが、あれは頭の悪い人です。古い憲法学者は、わかりやすい幼稚な表現をもってすれば、それが簡潔でさえあれば憲法だと思っている。あれは舌が長過ぎると言っている。舌足らずなのは古い憲法です。あれは言い尽くしているのです。まあ私はマッカーサーの憲法顧問で来たノースウエスタン大学のコール・グローブ教授なり、デューイ教授なり、あるいは大山郁夫教授、ハロルド・ラスキ教授から大きな影響力を受けている方でありまして、私はいつもあれは大山郁夫先生の考え方があの中に一番流れていると思うほど、その文脈というものが、りっぱなものだと思うのです。いま質問の中に出ましたように、憲法学者はかわってきたのです。いま具体的例をあげますれば、憲法改正の先頭に立ったところの改進党ですか、憲法をつくってそのまま解釈したり、これをかえようとした芦田さんなんかの、あの段階でも、改進党の憲法調査会が、昭和二十九年十一月十日に発表した改進党憲法調査会報告書でも、現行の改正手続は厳重に過ぎるから、これを改正してから憲法改正を行なわなければならない、現行憲法の改正は、国会の発議により、九十六条の手続によって行なわれなければならない、と率直に書いております。また、自民党の昭和二十九年十一月五日につくった日本国憲法改正法案要綱説明書の中にも、憲法改正は、両院の三分の二の多数決と国会投票と、二つを必要とするというのは、外国にも例のない厳重な規定で、憲法改正を困難にしていると概嘆しながら、憲法改正の具体的手続を二段階に分け、形式的には現行九十六条を第一段階として、そのものを改めて国民投票を廃し、第二段階として、内容の全面的改正を行なうといい、さらに、国民に白紙委任を求める方法をとらなければならないと、戦術戦略まで書いております。こういう意図をもって、ゆがんだ憲法改正に対する解釈が今日出てきているのが現状です。私はそこで林さんに、この日本国憲法の前文の骨子は、どういうところに重点があるかということを、林さん、説明願いたいと思います。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) これはお読み下さればわかることでございますが、要するに、日本のいわゆる大東亜戦争の経験、それから、いわゆるアメリカでリンカーンのゲッティスバーグ演説に書いてある「人民の、人民による、人民のための政治」、この原則、それから国政というものは人民が信託したものであるということ、それから将来における日本の平和維持のあり方、そういうことが書いてございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この中の力点は、政府というものに対して相当きびしいものがあるのです。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」、いまのような、池田内閣のような間違いを起こされちゃ困るので、憲法前文でもって、それはならぬということをいうております。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、」「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」、どうぞ池田さん、憲法の前文を三回ぐらいひとつ読んで下さい。  次に、池田さんに質問します。憲法公布の日の勅語、これは林さんに解釈してもらっちゃ困るから、昭和二十一年十一月三日、日本国憲法公布記念式典において賜わった勅語を、おそれ多いことですが、池田さん、ひとつ御拝読願います。これがひとつのこの憲法をささえる――明治憲法の方式によって憲法は出されたのですから、天皇が責任を持ってるのです。いまの天皇とは違うのです、この瞬間からかわったのですから。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 御質問なら答えますが、勅語を読めとおっしゃるのは、いかがなことでございましょうか。私は、こういうことを読んでもおりますし、また、憲法の前文も読んでおります。ここであなたが私にその勅語を読めとおっしゃることは、いかがなものかと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 池田さんは偉いから私が読みましょう。人民の志を曲げる者は不届きなやつなんです。「本日、日本国憲法を公布せしめた。  この憲法は、帝国憲法を全面的に改正したものであって、国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によって確定されたのである。即ち、日本国民は、みずから進んで戦争を放棄し、全世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平和が実現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、」――常に基本的人権を尊重し、です。「民主主義に基いて国政を運営することを、ここに、明らかに定めたのである。」この明治憲法の七十三条の形式で、天皇の責任においてなされたのです。しかも、天皇みずからが、国民の総意によって確定したものであるということを明確に述べているのを、これをひっくり返そうという不届きな者が出たならば、これは、国家の基本法に対する挑戦じゃないですか。反革命行動じゃありませんか。この憲法は容易なことで改正ができないように、戦争の悲劇の中から、灰じんの中から、再び戦争はしない、政府が間違いを起こすようなことがあるならば、主権は人民にあるから、人民の責任において、これを阻止しなければならぬということが、そくそくとして前文に書かれておるし、それから、天皇のこの勅語の中にもあらわれているのです。憲法調査会においては、この憲法の前文並びにこの勅語について、どのような研究がなされておりますか、矢部先生にお尋ねします。

矢部貞治憲法調査会副会長

○説明員(矢部貞治君) 憲法調査会でも、もとより、この公布記念式典における勅語、それから憲法典の上諭につげられております勅語、それから前文、こういうものは十分に研究いたしておるわけでございまして、現に実施中の憲法を尊重しなければならないということは、これはもう、勅語があるなしにかかわらず、当然なことだと考えております。ただそれと、いろいろの理由によって、立法論として改正を考えるということとは、全然別の問題である。それは決して矛盾することでない。もし、憲法が一たび成立したら絶対に変えてならないということでありますならば、憲法自体の中に改正条項が含まれているということが、おかしいということになるのであります。ただ十分、改正というようなことは慎重にも慎重をもって取り扱わなければなりませんけれども、しかし、改正論を説くということが、勅語の趣旨に反する、こういうことだというふうに私は考えておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それだからこそ、九十六条に明文化したのじゃないのですか。ここ以外のところで改正できないようにしているのです。最高法規だと、あとでもって最後に締めているじゃないですか。日本の現行憲法のでき方というものは、政府の意図や不遇の徒、やからによって反革命的憲法改正をさせないような防壁はちゃんと張られている、憲法改正が絶対にできないというのじゃない、これは矢部先生に聞くのはなんですから、池田さん、憲法改正なんかされるという場合には、たいへんなことが起きますよ。おそらく私は、天皇だって、みずから退位を決意されるかもしれません。そうですよ。宣戦を布告した、あの戦争の悲劇を再び繰り返すまいという形において、太平の基をつくろうという悲願でこの憲法をつくっているのです。からだをささげているのです。なまやさしい、権力関係の移動によって憲法改正を企図するなどということは、もってのほかですが、池田さんは、慎重としても、哲学のない慎重ですが、哲学がなくてもしかたがないから、ひとつ答えてください。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 憲法を改正しようというのは、不退なやからだというようなおことばですが、そうとは思いません。いま矢部先生のおっしゃったとおりに、旧憲法のように千古不磨の大典だとは、われわれは考えておりません。憲法も考えていないから、改正を述べておるのであります。そうしてまた、政府が、国民から離れての政府のほうの考え方で、国民の意向も何も考えずに、かってに政府がやるというふうにお考えになるのは、少しどうかと思います。われわれは、十分国民の世論を聞きながら、世論に訴え、世論の動向に従って行動するのが、いまの民主主義のもとにおける政府のあり方であります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 比較憲法学者のレーヴェンシタイン教授が、政治過程の行き詰まりを打開するため憲法改正が不可避となった場合には、改正に対する可能な限り広範な合意を得るようにつとめ、頭数と政治勢力によって、あなどりがたい少数派の反対を強行すると、憲法感情を破壊すると言っております。池田さんも、このことは考えておると思いますが、そこで、憲法問題から、一応時間がありませんし、日銀総裁が来ておるので、次の問題に移ります。  日銀総裁に質問する前に、大蔵大臣に質問いたします。  日本共同証券の買い出動に関連し、去る三月三日の田中蔵相の新聞記者との談話は、いかなる意図によって行なわれたのか、これを承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。  三月三日は閣議の日でございまして、閣議が十時までかかったと思います。それから、参議院の食堂で記者会見をやる例になっておるわけでありますが、予算委員会定刻開会でありまして、記者会見も、ほとんど五、六分程度の非常に短い時間で記者会見をやったわけであります。この機会に明らかにいたしておきますが、時事新聞の記者の質問に答えて、新聞記事になった発言があったわけであります。これは、ちょうど前日、同社の払い込みが終わりまして、五十億に資本金がなったけれども、一体いつ買い出動をやるのか、というような意味の質問だったと思います。私は、事務当局から、もういつでも買えるような状態になりました、という報告を受けた直後でありますので、増資も完了した、買い出動できる態勢は全く整った、こういうふうに答えたわけであります。きょうから、というような新聞の記事になった私の発言は、こういうことだと思います。じゃ、いつから買えるのですか、きょうからでも買える、こういうオウム返しにお答えをしたと思います。それから、その第二の質問として、同社は資本金わずか五十億であり、また、同日までに協調融資がきまりましたものは、わずか百億であって、合わせて合計百五十億しかないのでありますが、百五十億程度で一体どうなるのですかと、こういうような質問でありましたので、百五十億というのは第一の段階であって、私は、共同証券ができましたときには、千億程度の用意をしなければならないというような関係者の話も聞いておりますので、百五十億にこだわることはなく、必要があれば幾らでも協調融資ができると、この趣旨の答弁をしたと思います。その記者会見の結果、新聞記事になったわけでありますが、市場操作をしようとか、また、共同証券の買い出動を同日やるということを流布したわけでもありませんし、ただ記者の質問に答えて、非常に短い時間でありましたので、オウム返しに、以上申し上げたような発言をしたと記憶いたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日本共同証券が買い出しに出たのは六日で、あの日は三日で、昔だと桜田門外で井伊直弼が殺された日ですが、まあ田中さんは生きておったが、証券界には敏感にあれが反映して、ダウ平均が二十四円六十六銭上がりました。今度は六日の日に、日本共同証券が買い出動しても、そのあとですから、わずか八円六十九銭高になったのにすぎません。やっぱり大蔵大臣の発言というものは、こうも株界には敏感に響くものかと感心するのですが、私は、これによって与えたショックというものは相当大きなものだと思います。で、この問題をめぐって思い出すことは、イギリスでは、大蔵大臣の発言というものはきわめて慎重をきわめます。特に株界との結びつきというものを警戒されておりまして、公定歩合の問題でも何でも、事前に大蔵大臣から漏れたというようなことになると、直ちに大蔵大臣は罷免される。みずから辞職しなけりゃならない慣習ができております。今のことを聞くと、田中さんばかりに罪があるとは思えませんし、あれですけれども、やはりこれは一つの大きなショックを与えたという現実は無視できないのですけれども、この収拾策を池田さんはどういうふうに考えておりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 大蔵大臣は、証券取引法によりまして、公益または投資者の保護のためには、必要な措置をとる権限、権能を持っておりすす。そういうような関係から、いろいろ聞かれる場合に、共同証券のできたことを言ったんでございましょう。また、英国では、お話のように、大蔵大臣がどうこう、公定歩合でどうこう言ったときには、罷免されるということがありながらも、日本では、大蔵大臣に公定歩合の問題、どうだどうだと、こうやっております。そうして、英蘭銀行の総裁なんかは、新聞記者会見を定時におやりになるようなことはございませんが、日本では、一週間に一ぺんずつか二へん、日本銀行総裁に新聞記者が聞くと、これは国柄でございますから、いい悪いの問題じゃなしに。だから私は、やはり聞かれればある程度のことを、そういうものを一切言えないのだと――公定歩合のことは実際言っていないと思いますが、共同証券ができたことについてのいろいろな質問のときに言うと、買うとか買わぬとかというのじゃなく、たてまえの話をしたぐらいのことは差しつかえないのじゃないかと思います。ただそれを、発表のしかたで、三月三日にやったといっても、それがいつやったのか、その後になったと思います。こういうことは、やっぱりお互いの良識で判断すべきものであると思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは、今回のことは情状酌量、無罪放免というわけですか。それは私は、これがあとで慣習になると、ちょいちょいこういうことが起きたときに、これは株界と組んで大蔵大臣が金もうけができてしようがないということになってしまやしないかと思うのです。これはどっちがどうこうというのじゃないのですけれども、こういうことは、やはり何らかの形で謹慎の意を表するか何かくらいの――ほかのほうにはずいぶんきつい。不渡りをすると今度はふん縛っちゃうなんていうことを、元気のいいことを田中大将、田中大将じゃない、大蔵大臣はやっておりますが、人にはきびしいが、自分のことじゃずいぶんルーズだということでは、今後の金融政策が取り締まれないと思いますが、みずからはどのように自戒するつもりですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 共同証券は、御承知のとおり、証券取引法の一般の会社ではありますけれども、できました事情、また、設立が完成をした現在の状況等を高度な立場で判断をしますと、あのような少なくとも記事になるようなことを言わないほうがいいということは、私みずからも考えております。また、そういう意味できょうの発言も惹起したわけでありますので、まあこれから公定歩合やまた株式市場に、自分の意思に反しても影響のあるような発言は、国会その他を問わず言わないように心がけておるわけであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 田中さんが放言しなくなっちゃ、世の中がおもしろくなくなるが、いまだに株式界で食い下がっているのは、あなたが池田さんのことを思ってでしょうが、ケネディ・ショックで、ダウ千六百円から千三百円台に下がったときに、千四百五十円台が正しいあり方だとかなんとかと放言したことを、いまさらして、まあ田中さんが大蔵大臣をやっている間に、何とかそれにしてもらえるだろうと心待ちに待っていることが、株界のたよりにちらちら出ておりますが、あれはどういうことについて発言されたのか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 財政記者クラブというのが大蔵省にございますが、私は絶えず記者諸君のことばを聞いたり、またいい発言があればそれを施策の参考にいたしておりますので、定時記者会見以外に、しょっちゅう時間があれば行ったり来たりしてもらったりして、広い意見を聞いておるわけであります。あの当時は株価の変動がありまして、定時記者会見というようなときではなかったと思いますが、まあこんなときは買えるのですかね、一体大臣買いますか、こういう問いにひっかかったといえばひっかかったのでありましょうが、買えるね、わしは大蔵大臣だから在職中はあれだが、買えない値段ではない、一体どのくらいがいいと思いますか、千四、五百円ぐらいがどうだか、こういうことを言った。いまでしたら言わないが、まだそのころは大蔵大臣になったばかりでありまして、ひとつその間の事情は御理解いただきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 池田さんからもだいぶ寛大なお許しが出たし、田中さんもその明るい性格は捨てないほうがいいと思いますので、池田さんのお許しが出たから、それじゃさっそく公定歩合引き上げの問題に対して質問いたします。イギリスとは違って日本はかなりオープンにできることになっておりますから、イギリスが二月の二十七日に四%から五%に引き上げたことは、ベルギー、フランス、オランダ、スエーデンが公定歩合引き上げをしたその次に次ぐものでありまして、アメリカのウォール街では短資流出を懸念しておるという。アメリカ政府は、海外軍事支出の削減、利子平衡税の実施でこれに対抗はいたしておりますが、あるいは公定歩合の引き上げをするかともいわれておりますが、日本ではこれに対していかに対処しようとされておられますか、日銀総裁から承りたいと思います。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) 日本銀行の金融調節のためにする各般の施策につきましては、一にかかってそのときにおける経済情勢の推移並びにこれに対する判断によって事を行なうわけであります。今後の情勢いかんによりましては、いかなる方策をもってこれに当たりますか、そのときそのときに応じて適宜な方法をとり、法律によって許された、日本銀行に与えられた施策においてこれをやっていくということ以外に、今日の段階においてあらかじめ申し上げることはできないかと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それは昨年七月のアメリカの利子平衡税のときのケネディ・ショックよりはじみではありますが、私は影響するところが大きいんじゃないかと思うのですが、大蔵大臣はどのようにお考えですか、どうぞ前の明るいあけっぱなしでお願いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) イギリスが公定歩合を引き上げましたことに対して、直接日本の影響はどうか、こういうことでございますが、私は現在の段階において直接影響するところは非常に少ないというふうに考えております。それはユーロ・ダラーの問題でございますが、確かに公定歩合を引き上げることによってイギリスにも短資が流れていくということはございますが、しかし日本に対するユーロ・ダラーの流れそのものも正常でありますし、公定歩合の引き上げによって大きな影響があるというふうには現在考えておらないわけでございます。  また、第二の問題としては、イギリス市場でポンド建債の発行を現在までいたしておりませんので、その意味では外債の発行が利子平衡税のように非常に影響を受けるというふうには考えられないわけであります。しかし、これを契機にして、アメリカも公定歩合を引き上げるとか、いろいろな問題が広範に起きてくるということになれば、日本の金融政策に対しても影響なしと断ずるわけにはいかないわけでありまして、国際金融状況を十分見ながら事態に即応した施策を適宜とってまいりたいという考えでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日銀総裁が時間の制約を受けているようですから、日銀総裁にお尋ねします。シカゴ大学のM・フリードマン博士は、昨年の四月段階における日銀の通貨発行高は三四・二%一年間に膨張している、物価の値上がりの現象面よりも通貨膨張というほうが日本のインフレを促進させている一つの原因であるというふうに指摘をしておりました。ところが、また本年一月二十九日に、日銀の佐々木副総裁は、東商の金融部会で、日銀の貸し出し増加は三十七年の一兆七千億円が三十八年には三兆円にふくれ上がっていると報告しております。金融インフレといいますか、信用インフレといいますか、日銀のになっている使命というのは重いと思いますが、こういう形で健全な金融政策と言えるでしょうか、ひとつ日銀総裁から承りたい。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) ただいま御指摘のとおり、フリードマン博士はそのような発言をされておりますことは、私も承知いたしております。わが国におきましては、銀行券の発行自体は、いわば事後的、もしくは結果的と申しまするか、その必要が生じたときに、それに必要な通貨が自動的に出ていくという結果になりまするので、もとはと申しますると通貨――この場合においては日本銀行券を意味しますが、その発行の増加よりも、依然として信用の膨張がその前提になってくると思うわけであります。いわゆる預金通貨と申しまするか、銀行貸し出しなり銀行の信用の膨張を基礎にした手形、小切手類による通貨の膨張が、やがて結果として銀行券の発行ということで決済されていくという事態になりますので、その前提となるべき金融機関の信用の膨張という点について大いに注目しなければならぬということは、御指摘のとおりだと私も考えます。そこで、昨年の暮れ以来とっておりまする金融引き締め方策も、この銀行の信用膨張をいかに適宜な程度に押えるかということに主眼を置きまして、あるいは預金準備率の引き上げを行なうとか、あるいは貸し出し規制額を設けるとか、あるいは貸し出しの限度額を操作するとか、いろいろな方法において、その点をまず中心に、力点を置きまして施策を講じておる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 佐々木副総裁が、やはり同じ席上で、三十八年の金融情勢を数字の上から見て法人預金の増加が飛び抜けて大きい、これは貸し出し増三兆円が全部産業資金として使われたとすると、ちょっと不可解なことだと、一つの問題を投げつけておりますが、それは何を意味しますか。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) ただいまお話のございました点は、三十六年以来の金融引き締めの解除されました直後におきましては――金融引き締めの際には、やはりその手形を極度に詰めまして、いろいろな資金需要に応ずるものでありまするから、企業といたしましては、手元の預金準備が少なくなっておるわけでございまして、これを回復しようという要求が一方にございます反面において、金融機関側にも、私は、昨年の実績におきましては、金融がやや緩和されてまいりました勢いに乗じまして、やや競争的に貸し出しを競ったという点がないでもないと思うのでございまして、この結果といたしまして、現在引き締め態勢でありまして、貸し出しのほうを規制はいたしておりまするけれども、何と申しまするか、企業の持っております預金自体、いわゆる企業の流動性が高いのでございまして、そのために引き締め効果もやはり時間を要しなければなかなか浸透しにくいという事情になっておるわけでございます。これがその間の事情を物語っておると思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 企業の流動性の高いのは、池田さんが高度経済成長政策を強引に推し進めている点からきているかと思いますが、これは池田さんに聞かないで、またあなたにお聞きします。設備資金の貸し出しが、三十八年は三十七年よりも四割もふえております。この点、設備投資の行き過ぎを抑制するはずであった政府が、実際問題としては抑制ができなかったことを物語るのですが、金融当局は、いかような形においてこれに協力し、並びに実績をおさめましたか。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) ただいま御指摘の点に関しましては、いろいろ理由があろうかと思います。その一つは、金融引き締め時におきまして、設備投資金を制約いたしまする結果、いわゆる短期の資金でもって設備投資を実行して、金融がやや緩和されますると、それをあるべき姿の長期の資金に振りかえる。つまり、運転資金の形において融資されてまいりましたものの、その本来が設備投資でありますならば、それが許される時期において設備投資に振りかえるという点において、設備投資が目立ったという点が一つあると思います。いま一つは、昨年の実績におきましては、大企業方面における設備投資は相当鎮静をしておったと考えております。これに反しまして、中小企業方面における合理化、体質改善、その他いわゆる開放体制を控えての設備投資需要は相当ございましたので、金融機関もその健全なるものに対しては貸し出しをしていった結果、御指摘のとおり、三十八年において設備投資の形をとりまする資金の放出が相当額にのぼったものと、かように理解いたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 山際日銀総裁は温厚な方ですが、ときどきやはり少しは放言するのですが、公定歩合を一厘や二厘上げても企業の強気な態度は改められないと言っておりますが、それは何を意味しますか。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) 私もあるいはそれは放言であったかもしれません。私はその機能は非常に重要だと考えます。その機能は、単に一厘、二厘という実体自身よりも、そのこと自身の示す心理的影響が非常に大きいという意味において重要視しているのでございます。たとえば、他のいろいろな諸物価の高騰等に比較いたしますると、金利負担の一、二厘がどの程度の割合に及ぶかという点については、いろいろ計算は出ましょうけれども、そうでなしに、むしろ重要なのは、その心理的な影響であろうと思うのでございます。その意味においては、決してこれはもう軽視すべからざることは、当時も私は重々言っているのでございまするが、あるいはただいま大蔵大臣が言われたようなやりとりのことばのあやにおいてさような発言があったかと思いまするが、これは絶対に私の真意を全部正確に伝えているものではございません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 とにかく、予算規模が、当初三十八年度比一〇%増程度で押えようとしたのが、一四・二%に伸び、特別会計に回したものを加えると一五%もふえている。財政投融資計画は前年度当初額よりも上回って二〇・八%とふくらんでいる。こういうふうに、金融引き締めということだけ言ってながら、政府は膨張予算を組み、財政投融資においてふくらましておくのだから、日銀だけに締めろ締めろといっても締まらぬというのも、ひとつも放言ではない、この悲しき訴えだと思うのですが。そこで、いまの日銀の悲しき姿はどこからきているかというと、やはり私は日本銀行法からきているのじゃないかと思うのです。これは山際さんがつくったのだという説もありますが、山際さんがつくったのですか。この日本銀行法はいつつくられたのです。このような形の銀行の考え方では、今後の開放経済体制の中に入っていくのには、金融が重点となっていくのですから、心細いのですが、山際さん、これを変える考えはありませんか。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) ただいまの法律の成立の経過につきましては、私が昭和十七年当時大蔵省の銀行局長をしておりまして、もっぱら立案の衝に当たりました。そのときに、国会で御審議を仰ぎまして、成文化されたものでございます。自今、状態は全く一変いたしておりますので、かねて、これに関する根本的、全面的な改正の必要があるということは、私自身も考えております。で、政府におかれましても、数年前、金融制度調査会にその点を付議せられまして、相当長い期間かかっていろいろの御意見が検討せられたのでありますが、ついに結論を得ざるままに今日に及んでいるということでございます。私といたしましては、何ぶんにも戦時に際して立法せられたものでありますしいたしますので、なるべく早い機会に全面的に御検討願いまして、この時代にふさわしい日本銀行法に改正されますことは、心から望んでおる点でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 先ほどから日銀総裁と問答していても、やはりたよりないと思ったのは、この日本銀行法のどこをさがしても、通貨価値の安定をはかるということは書いてないのです。国家に従属すること、政府に従属することばかりしか書いてないのです。第一条「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」、第二条「日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ」、第三条「日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依リ通貨及金融ニ関スル国ノ事務ヲ取扱フモノトス」、これじゃ、戦争中の日本銀行の頭で開放経済体制の金融をやっていくのは無理ですから、即刻これは変えてもらいたいと思います。日銀の自主性、中立性と言われても、非常に私は疑義があります。いまのような日銀の政策委員会のあり方でも、何でも、マンネリです。やはり私は、今後はウエートが非常にかかってくるのですから、いままでのような形で、日銀は大蔵省が監督しているというけれども、大蔵大臣の監督というのはたよりない面があるし、日銀の自主性があるといっても、政府の圧力の前に全くいじけているし、これはこの日本銀行法を読めば、なるほどいじけているのは無理がないと思いますが、これはやはり率直に私は日本銀行法は変えなくちゃならぬと思います。戦時中の、昭和十七年の東条内閣の末期ですか、あのころの考え方でもって世界経済の波濤の中に対処することはできないと思うのですが、いつごろまでに変えますか。やはり小田原評定ではだめだと思います。四月一日から開放体制に入るのだと田中大蔵大臣は力んでいるのですから、桜の花が咲かないうちに変えることはできないのですか。

山際正道日本銀行総裁

○参考人(山際正道君) 私といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、心からなるべくすみやかに改正せられんことを望んでおりますが、しかし、その案件自体は、ひとつ政府のほうにでもお尋ねをいただいたらしかるべきかと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 日本銀行法の改正が必要であるということは、もうお説のとおりであります。私も、いまから三、四年前に、自由民主党の政務調査会長として、新潟発言ということを――その主目的は、日銀法は時代の要請に応じて改正せらるべきだ、こういうことを申して、たいへん放言だと言われて攻撃を受けたわけでございます。しかし、私は、いま日銀総裁の御発言があったように、新しい時代に対処して日銀法も改正の時期に至っておるということは、そのとおり考えております。ただ、非常に影響するところが大きいのでありますし、ごく慎重を要しなければならない問題でありますので、あらゆる識者の意見を聞きながら、そのような方向で進めてまいりたいと思います。いままで、あまりにも重大であるということで、いろいろな案、舟山試案等が出ておりながら、成案を得なかったというのは、非常に問題が重要であるということに対して、幾らかおじけがついておったということも言えると思います。国会でこのような時期にこのような発言があり、日銀総裁もみずから意向をはっきりせられたので、政府としましても、そのような状態を前提としながら検討を進めてまいりましたので、できるだけ早い機会に成案を得たいと、かように考えます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 予算審議のあり方について、池田さんと田中さんにお聞きいたします。  第一に、今日の国会で行なっている予算審議というものには問題点があると思うのです。すでに長期的な経済見通しを設定し、長期的な計画――三年なり、五年なり、十年なりの計画経済が組まれ、その上に立って予算なり、財政投融資なり、金融政策の論議がなされなければならなくなったと思うのであります。そういう意味におきまして、いままでのこの予算審議の方式でなく、もっと幅を広くしていかなければならないと思いますが、池田さんはどのようなお考えをお持ちですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 予算審議でございますか。――御質問の点がはっきりしません。予算審議でございますか、予算編成に至る過程でございますか。――予算審議につきましては、国会において十分論議せられ、予算委員会におきましても、予算だけでなしに、外交から全般にわたって、広く、まあよその国に例のないほど広く審議されております。非常にけっこうなことだと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 これは、全部賛成されましたから、今度は長期経済見通しを設定して、これを国会に出すこと、それからやはり経済計画を立ててそれを国会に出すこと、そうして範囲も広げて、あるときにはやはりいまの公団、公社まで野放しであってはいけない。それから日銀の問題に対してもいろいろメスを入れていくというふうな、審議の対象を拡大していきたいと思います。  ところで、この九月段階ぐらいに、政府は予算大綱というものを示しますが、あのときに、やはり政府与党だけでなく、野党第一党及びその他の会派に対しましても、おのおのやはり予算大綱というものを示して、政府は与党の考え方を中心にしてつくりあげるにしても、やはり広く意見を聞いて、国の予算の方向を決定づけるという慣習をつくっていったらどうかと思いますが、池田さんはどうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 超党派外交がむずかしいと同じように、予算につきましても、なかなかむずかしいのではないかと思います。昔、外交問題でも、そう百八十度違っていない、大体の基本方針が似ておったいわゆる与野党の間におきましては、予算内示というのを、もうほぼ予算ができ上がって、説明の程度やったという例はございます。予算編成をするにあたりまして、大綱をつくるときに各党が相談しても、なかなかまとまりにくいのではないかと思います。かえって紛議を起こすことになりはしないかと、ただいまのところは考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 池田さんが気にしている予算編成の問題について次にお尋ねいたします。  やはり、予算編成をめぐる内閣と国会、特に内閣と与党の関係というものが、今日やはり私はけじめがくずれていると思うのです。予算編成は、憲法において内閣の仕事であることが明記されております。しかるに、予算の大臣折衝には、与党の政調会長、副会長が正式に立ち会い、最後に残された重要法案の討議は、大蔵大臣と与党の自民党の四役の間で行なわれる。この実情をもってするならば、予算案は大蔵大臣と党の実力者によってきめられ、閣議は、その結果を追認するのみにすぎない。予算編成権は内閣にあるはずでありますが、こういう与党の侵害に対しては――ある意味においては、予算編成権の侵害とならないかどうか。そこいらのけじめはむずかしいと思いますが、池田さんにお尋ねします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今の政党政治、内閣制度のもとにおきましては、あのやり方は、私は適切なやり方と考えております。予算案をつくって、国会で自由に修正するということそれ自体は悪いことではございません。いままでは、そういうことよりも、出す前に与党の意向を十分聞いておこうという態度できておるので、これが必ずしもよくない、国会でみなやってしまったらいいじゃないかという議論もございますが、私は、年来のこのやり方でけっこうだと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 予算編成は、やはり与党としては、予算編成の方針を、政策大綱を内閣に示すことは必要でありますが、個々の要求というものは、所管大臣を通じて節度ある折衝を行なうべきであって、内閣の中へ入ってしまって、そこでやるのじゃ、どこまでが内閣か、どこまでが実力者の世界か、やくざの世界と同じく、なわ張りがわからなくなってしまうと思います。私はやはり、議院内閣制といっても、内閣と一つの政党、内閣と国会、そういうもののけじめが、ファンクションがはっきりしなければ、なかなか――田中さんなんかも人がいいから、ずるずるにいまのようなかっこうをつくり上げられてしまったんだと思いますが、節度がなくなってしまっては、ものはくずれるもといだと思うのですが、これでよいと田中さん考えておられますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 政党政治であり、議院内閣制の現状をながめます場合に、予算編成の過程において与党との間に意思の疎通をはかり、誤りたきを期すということは、私はどなたが内閣をとられても、当然そうあるべきだと考えておるのであります。しかし、いまのお説の中で、憲法で規定する内閣の予算編成権を侵すものではないかという問題が非常に重要だと思いますが、この件に対して申し上げますと、形式的だけでなく、私も政務調査会長として予算編成に立ち会いましたけれども、この与党の三役のうち一人が立ち会うということは、予算編成の過程においていろいろな折衝をするというのではなく、大臣折衝に際して各省大臣に提示をしておる党の予算が盛られておるかどうかというようなことを監視するというような意味で立ち会いをいたしておるのでありまして、大臣折衝との間に党が深く介入をし、予算編成権を侵すというような状態はないことを明らかにいたしておきます。  なお、最終的には閣議で決定をいたし、国会に提出をいたしておるのでありますから、現在の予算編成の状況が与党の力によって予算編成権を侵されるというようなことは全然ないという考えでありますし、新しい行き方として、政党政治の実態に徴して合理的な予算の組み方だと考えておるわけであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 このごろ、選挙が悪くなりまして、おれは何々建設大臣の子分だ、この道路はおれが敷いてやる、というような形の旗を立てたり自動車を回したり、金をばらまいたり、金を吸い上げたり、そういう形のものが横行しておるのは、そういうけじめがはっきりしなくなっちまったからです。この間行なわれた選挙は、日本始まって以来、神武以来の一番悪い選挙ですよ。池田内閣をもって嚆矢とするというのです。だから、白昼大臣の屋敷が焼かれるなんというようなことは、大化の改新のときの蘇我入鹿のとき以来あまりないのです。こういう不祥事が起きるということは、世の中に不気味なものがすでに底流として流れているからだと思う。これは、まつりごとの根本から姿勢が正しくなくなってきているからだと思うわけです。  そこで私は、特に内閣の数字のいじり方でありますが、この経済見通しはいつも狂っていることは多くの人がいろいろ指摘しておりますから、いまさらこれは言いませんが、予算を組む際に、大蔵省では本年度の成長率を出して、それに従って税収見積もりを立て、予算を組むことになっております。したがって、あまり成長率を低く押えると、税収見積もりが減って予算がつくれなくなる。そこで、いつも経済企画庁と大蔵省の見解が対立する。今回も、池田首相が大蔵省側の要請によって実質成長率七%、名目九・七%と少しく引き上げたとのことがありますが、このことも事実でありますか。こういう人為的な政治的な配慮によって、それによって税収見積もりを増加させるようなことを導き出しておるのでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税収見積もりを左右するために来年度の経済成長率をいじくったということは全然ございません。ただ、申し上げられるとすれば、いままでの経済見通しは、前年度の実績に徴しまして、来年度はかくあるであろうという見通しを立てておったわけでございます。しかし、今年度は開放経済に対処するのでありますから、一つには国際収支の安定をはかり、第二には物価の抑制をはかろうという一つの政策目的がございますので、今年度の成長率の高さから推して、施策のよろしきを得て三十九年度の経済見通しはかくありたい、このように考えたということが、しいていえば、昨年までの見通しよりもより政策効果を十分考えて成長率を算定したというわけであります。  なお、経済企画庁及び大蔵省との間に数字の違いがあったのは、これは、各省間いつでも、ものがまとまるまでは、その立場においで議論をすることでございまして、最終的に総理のお話も承り、閣議で決定をしますときには、両省間の意見の相違はなくなったわけでありまして、過程における議論であるということを御了解願いたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 本委員会で、国際収支の問題はあまり心配にならぬということを池田さんも田中さんも力説しておりますが、きょうの新聞を見ても、二月末の外貨準備高は前月末より五千四百万ドル減って十八億百ドルとなった。外貨準備が一カ月に五千万ドル以上も減ったのは、三十六年十月に原材料輸入が増加したため一億四千万ドルも減って以来のことである。大きなやはり私は変動が起きていると思うのです。日本の経済復興は、ヨーロッパがマーシャルプランでもって復興したのと違って、朝鮮事変をめぐる特需八億ドルもあったという時代に復興したんですが、とにかく、貿易のアンバランスを特需でカバーできた時代というものがだんだん過ぎ去って、いまでは、特需は三億ドルも割るような状態になっておるように思いますが、この数年来は、外資導入によって貿易のアンバランスというものを一応カバーしてきましたけれども、利子平衡税によるケネディ・ショックなり、またイギリスにおける公定歩合の引き上げなり、なかなか外のほうからむずかしい状態が生まれてきたと思うのであります。外貨準備対策として、田中さんは、IMFから三億五千万ドルの借り入れを予約したと言っておりますが、これによって、逆に国際的に不信用な状態を抱かせるような憂いはないか。日本はもう金借りに来たと言われるような心配はないかどうか、承りたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) IMFからは、スタンドバイ取りきめとして、いつでも借りられるものとして三億五百万ドルの数字があるわけでありますが、これを、いついかなる方法によって、どれだけ借りるということをきめておるわけではありませんが、出先をして作業をさしておるということは事実でございます。このスタンドバイ取りきめをもしやるといたしましても、またゴールド・トランシュ一億八千万ドル以上を外貨準備に入れるということをいたしましても、国際収支が不安でどうにもならないから入れるという考え方ではないのであります。御承知のとおり、昨年の九月から、IMFの総会を契機にして、国際流動性問題等を各国が論じ、これからは、困ってどうにもならないからスタンドバイをするというようなことではなく、もっとIMFの金をお互いが利用することによって、お互いの通貨価値の安定をはかり、また、国際流動性の問題を確保しよう、こういう考え方に変わっておるのでありまして、スタンドバイの問題に対しましては、こちらよりもIMF当局が、できるだけ使ってくれるようにという意思表示をしておるわけであります。しかも、四月一日から八条国に移行するというときでありますので、外貨準備を厚くすることによって――国際収支の問題に対し、どうも神経質になり過ぎておるという一面もあるわけであります。そういう面に対して、外貨準備を厚くすることによって不安を除かなければならぬし、また当然、新しく八条国移行という重大なときでありますので、かかる細心の配慮は必要である。これによって、日本が八条国移行と同時に、スタンドバイの申し込みをしたから、日本の景気は悪いのか、日本の国際収支は悪いのかというような問題が外国から批判を受けるというようなことは全く考えておりません。どうして一体――なかなか三・五%の成長率を四%に上げられない、また、イギリスなどは三十億ドルのスタンドバイをかつてやりましたけれども、なかなかうまくいかぬというときに、日本は毎年減税をしながら、どうして一〇%に近い成長率を持つんだろうということが認識されておる現在、三億ドル程度のスタンドバイを、もしかりにやったとしても、日本の景気や日本の成長率に不安を持つというようなことは絶対にないということを明らかにしておきたいと思うのであります。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 戸叶君、持ち時間が来ましたので、しかるべく御用意を願います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それでは最後に、簡単に二点ほどお尋ねします。  結局、貿易のアメリカとの不均衡々まず直してもらいたいことと、東西貿易の拡大も必要でありますが、それと同時に、日本において貿易を伸ばすのには、中国やソ連にもやっているような延べ払い方式を後進国にだけ適用するだけではなく、やはり国内においても、延べ払い方式というものを相当確立しなければ、日本が技術を導入して高度の機械をつくっても、その市場が安定せず、また海外にこれを逆輸出することもできないと思うのですが、国産機械の製造業者に対して、外国からの輸入延べ払いに対抗して、この延べ払い条件に基づく販売を行なうような体制が昨年四月から実施されておりますが、昨年よりことしはもっと資金を多くそこに注いで、これを活発にさせようという意向のようですけれども、一般の要請の五〇%くらいがいま応じられないような状態になっておりますけれども、これをどういうように拡大していくかということを大蔵大臣なり通産大臣は考えてもらいたいことと、もう一つは、ガソリン税の問題で、目的税としてのガソリン税を農民にかけるのは間違いだという形で、衆議院の予算委員会段階でもって、すでに四十年度からなくするような発言がなされておるようでありますが、問題は、いまの日本のガソリンのあり方でありますが、外国資本の圧力のもとに、実際は、このメーカーと消費者の間に入って、中小石油製造販売業者というものが非常に苦しんでいると思うのです。しかも、徴税を負担しているのは、事実上中小企業の石油製造販売業者であるが、いいところは、ほとんどメーカーのほうに吸い取られるような仕組みになっております。過当競争の激しい中でもって、ずいぶん私は困難を来たしておると思うのでありますが、これはやはり、この農民を救ってやるのと同じように、いまの中小販売業者がメーカーと消費者の間に入って、しかも徴税におけるところの実質的な役割を果たしているので、これに対するところの免税、減税措置なり、あるいは融資の方法なりをしてやらないと、やはり倒産者が続出してくるんじゃないかと思いますが、この問題に対して、大蔵大臣にお尋ねをいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 第一の財政金融の問題につきましては、お説のとおり、政府も意を用いておるわけであります。金融がつかないというために、外国から同じ機械を買うということがあるわけでありますから、日本の技術も非常に高くなっておりますし、十分国産品でまかなえるというような事態に対しましては、外国から借りるならば何年払いでいいのだというようなことに、国内産業自体がそうならないように、国内製品で十分まかなえるように金融措置は考えてまいりたい、かように考えます。  第二の中小販売の人たちでございますが、景気の非常にいいときはメーカーそのものが税金を負担した。しかし、今日の段階では、だんだんとスタンド、その他に対して、中小の販売業者に税そのものも負担をせしむるというような状態にあることは私も承知をいたしております。しかし、これに免税の制度をとれとか一なかなか税制上はむずかしいのでありまして、かかる問題に対しては、中小企業も同じ状態にあるわけでありますから、金融その他で救済をしていくということが最も正しいと、かように考えております。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 戸叶君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩し、二時半から再開いたします。    午後一時三十分休憩      ―――――・―――――    午後二時五十一分開会

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 再開いたします。  引き続き、質疑を行ないます。米田勲君。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、前置きを抜きにして単刀直入に総理大臣にお尋ねをいたします。  政府は、直接侵略、間接侵略に対して、日本を防衛する自衛戦力の保有は違憲でないと現在まで主張してきておるのですが、この場合の直接侵略とは、他国の軍事的攻撃を意味するのかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 他国が武力をもって日本を攻撃することを言っておるのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは、自衛戦力というふうに限定をして合憲を主張しておるのであるから、いかなる戦力を保有しても合憲だとは言っておらぬと、この点はいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いかなる戦力とは言っておりません。自衛に必要な最小限度の力であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そうしますと、政府の考えは、いかなる戦力をも保有できる、合憲だと言っておらない限り、直接侵略を阻止するための武力行使や戦闘行動は、自衛のためであるというワクがかかっておるのであるから、そこに展開される戦闘は、その使用される武器、戦闘行為の範囲には、おのずから一定の条件と限界が要求されると思うが、その点はいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 自衛のためでございますから、一定の限界は、それは当然でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 再度お尋ねをしておきますが、使用される武器、兵器、戦闘行動の範囲について限界と条件があるか、こういうことです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように、自衛のためでございますから、他国を脅威するというふうな武器はいけないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 他国を脅威するという問題をいまお答えになっておりますが、私は、使用される武器と同時に、戦闘行動の範囲に限界があるかということもあわせて聞いておるのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先ほども申し上げたように、おのずから限界があるのは当然でございます。それだから大陸間弾道弾というのは私は持たない、核兵器も持たない、こう言っているのもそれからくることでございます。それから他国が武力をもってわが国を攻撃したときでございますから、攻撃がありそうだからという想像のもとに、海外派兵なんという、自衛隊が外へ出て戦闘することもよくないと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは具体的に、限定される戦闘行動の範囲を政府はどう考えておりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、自衛のためでございますから、範囲は国内に原則的には限るべきであります。外へ出て行くべきものではございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は平面的に一応説明してもらいたい、行動範囲の限界を。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) いわゆる急迫不正なる侵害に対して、自衛のための措置をとるということでございますから、おのずからそこに限界があることは明らかでございます。それで、ただ、その範囲につきまして、いわゆる領空、領海、領土というものに限定されるかどうかということになりますと、これは必ずしも私は、そういう領土というのは大体領海三海里を普通日本ではとっておりますが、そういう三海里の範囲に限定されるものではないと思います。やはり武力攻撃を排除するのに必要な限界、それに密接に隣接する水域あるいは空域については、おのずから多少のそこに何といいますか、ズレはあると思います。しかしたとえば他国に先制的な攻撃を加えるとか、単に他国の根拠地をたたいたほうが便利であるというようなことでやることはできないと、かように考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は政府が合憲を主張する限り、この行動範囲には領土、領空、領海に限るという限定を考慮しているのかと思ったら、そうではない。もっと範囲が広いように見えるが、もう少し明確に行動の限界を国民の前に明らかにしてもらいたい。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) ただいまの点は、実は安保条約の改定のときにもだいぶ議論がございまして、政府も答弁いたしております。要するに、日本の国土に対する攻撃というものが現実にあった、いわゆる武力攻撃があった場合に対して、これに対抗するということでございます。したがいまして、大体原則は領土、領空、領海の範囲でございますが、そこから一歩も、そこの一歩外では何もできないか、これはやはりその戦闘行動等と密接に関連している範囲においては、若干公海、公空に及ぶということは、これは普通の常識から当然だと思います。現にたとえば、これはいわゆる自衛行動ではございませんけれども、たとえば、海上保安庁等が密輸船の取り締まりなんかやるのも、必ずしも領空、領海だけに限られておるのではありません。多少その範囲をこえても、原則的に、たとえば密輸船を追っかけていくようなことはあると考えられております。若干の範囲においては、そういうような点もございます。必ずしも厳格にそれに限られるというのではなくて、それに密接にくっついているような地域、あるいは水域においてのものは、これは認められると、かように考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 領土、領空、領海に若干の幅を持たせるというなら、その幅は、私はここで論ずることは政策上の問題だとか、戦術上の問題を論じておるのでなくて、法理論上、憲法の上に立って論じてもらいたいということを要求します。したがって、領土、領海、領空に、行動範囲にさらに若干の幅があるということでは納得ができないので、その点を明確にしてもらいたい。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) これは結局具体的な武力攻撃の態様によって、実はきまってくることでございまして、その武力攻撃がかりに領海の外からどんどん、御承知のようにたとえばいまの軍艦であれば三海里程度以上の射程はみな持っております。その射程外から、たとえば公海の上から盛んに砲撃してきたという場合に、それに対して対抗できないというものではないと思います。そういうような意味において、やはり戦闘行動の態様、武力攻撃の態様によってそういうものを排除するに必要な限度において公空、公海に及ぶことは、これは私は当然のことだと思います。しかし、それは自衛権の行使ということによって基礎づけられる範囲に限られることも当然のことでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 現在の世界の兵器の進歩の状態から考えて、私はいまのようなあいまいな答弁であれば、領土、領空、領海に若干の幅がある程度では事はおさまらぬと思う。大陸間弾道弾のあるこの世の中に、それをもって日本が攻撃されるという場合に、その発信基地をたたく、自衛のためにたたくということも起こり得る、いまのような主張は。そういうことを考えておるのかどうか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) ただいまの点に関しましては、これは御承知と思いますが、昭和三十一年のときに、鳩山内閣のときにおいて、船田国務大臣が鳩山内閣の意見を代表して一応の答弁をしておられます。それから、岸内閣の当時においても答弁がございます。この間、亀田委員の御質問に対して防衛庁長官が答えられたところと全く同じことでございますが、要するに、そのときのものは、たとえば、大陸間弾道弾というようなものによって攻撃を受けて日本が自滅するというような場合に、他に手段がない、座して死を待つということは憲法の趣旨ではあるまい。そういう場合において、場合によってはその発信基地をたたくことも自衛権の範囲として考えられる場合があると、こういうことを答弁いたしております。それと同じことは、やっぱり理論的には言えることだと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いまの答弁は総理も同感であるかどうか、同様の見解であるかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いま法制局長官が申しておりますように、前からそういうことを政府として答弁いたしております。私もそういうふうに考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いまの政府の見解では、私は非常にこの行動範囲がルーズになっておる。いまの世界の兵器の進歩の状態から見ると、これは全世界至るところが日本の攻撃基地になり得る。そうなると、それを攻撃しなければ自衛ができないという場合に、それに対して行動に出るということになると、これは無制限な行動がとられるという法理論的解釈が成り立つが、それを政府はたてまえとしておるのか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) これは何回も申し上げておりますが、要するに、武力攻撃を日本が受けたあとの問題でございます。つまり、いわゆる武力攻撃のおそれがあるから先制攻撃をするというような問題は自衛権の範囲とは考えておりません。したがいまして、武力攻撃を受けた、何らかの基地から武力攻撃を受けた場合に、日本を防衛する方法が、他に方法がないというような事態になったときに、ただ手をこまねいて自滅を待つかということになった場合に、それは自衛権の本質として必ずしもそうは考えられまいというのが、自衛権の本質としての議論でございます。実際問題としてそういうことがあるかないか、これは別問題でございますが、理論的には自衛権の本質というものはそういうものであろうということを言っておるわけでございまして、要するに、まず前提に、他国からのそういう侵略行為があるということが前提であることはお考え願いたいと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は納得ができない。日本の憲法の現存していないところでそういう議論をするならわかる。しかし、憲法が現存しておる。政府もまた、自衛のための武力行動というものはいわゆる合憲だという見解に立っておる。したがって、戦闘の行動には限界がなければならぬ。限界があるような話をしておるかと思うと、敵の発信基地をたたかなければ日本を防衛できないということになれば、それをやることも法理論上正しいと、こういうことになれば、それはどんな戦争手段でも、自衛ということが理屈づけられるならやれる、戦闘行動はどこででもとれる、どこへ向かってもとれるということと同じことになるのではないか、きわめて危険な思想である。お答えを願います。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) いまおっしゃったことは、いささか私は飛躍があると思います。そういうことではないわけでございまして、自衛のために厳格に必要な最小限度のものが自衛権の行使として許されるということだと思います。もちろん、憲法は全体としてこれは解釈しなければならないわけでございまして、もちろん、憲法九条でいわゆる国際紛争を解決する手段としての戦争あるいは武力の行使、武力の威嚇を放棄しておることは明らかでございまして、一方において、しかし、自衛権がある、独立国家としての自衛権を持つということも、これは憲法が否定していないということも、これはだれでもがそういうふうに考えております。同時にまた、憲法十三条は、国民の幸福追求の権利、あるいは生命身体、自由の保護ということは国政の上で最大の尊重を必要とするということでございます。他国からそういう武力攻撃を受け、直接侵略を受けるということは、国民の幸福が破壊され、あるいは生命身体が脅かされること、最も典型的な場合じゃないかと思います。そういう場合にそれを守ることは、やっぱり国家の責務だと思います。そういう意味において、自衛のため必要な限度において、祖国が滅亡することを防ぐという手段をとることは、これは独立国家としての当然の権利であり、責務であると、かように考えます。その範囲のことは憲法でも否定しておらない。これは法理論としても認められる。しかし、それは非常に厳格な論理である、かように考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 直接侵略を受けて、それに対応して、自衛のために戦闘行動かすることは、国際紛争であるかないか、それをお尋ねします。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) その他国から攻撃を受けて、それに対していわゆる自衛行動をとるということは、これは国際紛争を解決する手段としての行動ではない、かように考えます。国際紛争を解決する手段として、たとえばA国とB国との間に国際紛争が起こって、それを話し合いだけでは解決できないからということで、自分の国に有利なように武力行動に訴えて、他国をそれによって圧伏して、自分の意見を通す、これが国際紛争を解決する手段としての戦争だと思います。そういうことは許されない、こういうことだと思います。他国から、いわれなく侵略を受けて、それに対してそれを防衛するということは、国際紛争を解決する手段としての武力行動ではないと考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いまの国際紛争の概念はきわめて納得ができない。私は、いま答えたような問題も、国際紛争ではあろうけれども、私は両国が戦争状態になることもこれは国際紛争だと言えると思うんだが、どうですか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) 一国が他国に対して侵略をしかけた、それに対して他国が防衛するための行動をとっておる、これも横から見れば、あるいは広い意味の国際紛争かもわかりません。しかし、国際紛争を解決する手段として武力行動に訴えるということではございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そこに起こっておる事象が国際紛争だと規定するなら、その国際紛争に対して日本は自衛のためとは言いながら武力を行使するという事態は、当然そこで確認すべきではないですか、いままでの答弁からいって。いかがですか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) 他国から武力攻撃をしかけられた、あるいは直接侵略をしかけられた、これに対して特に自国を守るということは、国際紛争を解決する手段ではないということを申し上げておるわけでございます。国際紛争を解決する手段として行動をとるということではない。したがって、これは憲法九条一項で言っております国際紛争を解決する手段としての戦争あるいは武力の行使、武力による威嚇ということで、これは禁止されておりますが、そういうことには入らない。他国から、たとえばなぐられた。なぐられた場合に、自分の身を守るということは国際紛争を解決する手段ではない。しかし、そのために、そこでいろいろ武力行動が行なわれておるという状態を客観的に考えれば、これは一種の戦争状態になるので、武力行使の状態であります。そういうものを広い意味でいえば、国際紛争がそこに起こったということになるでございましょう。しかし、それは国際紛争を解決する手段としてある行動に出たというものではないと思うわけでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは総理にお尋ねいたします。私たちはあなた方と憲法第九条に対する解釈の仕方がまるっきり違います。お尋ねしたいことは、いまのような話をお伺いして、ますます問題になるのは、一体それでは、憲法第九条は制限禁止をしておる条項だとわれわれは解釈しておるのだが、何を一体憲法第九条は制限禁止をしておるか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いま法制局長官が答えたとおりに、国際紛争解決のために武力をもって威嚇し、または武力を用いることを禁止しておるのであります。したがいまして、いまあなたが例を設けられたように、他国から非常な武力を受けて、国民が塗炭の苦しみ――生命が失われつつあるときに黙っておるのがいまの憲法だと解釈することは、われわれはできないのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は先ほどから問題にしておるのは、自衛戦力の発動に対しての行動の限界を厳密に規定をしたいと考えたわけです、少なくとも政府の立場に立つ場合でも。だから聞いておる。それでは、もう一つお伺いしますが、攻撃こそ最善の防御手段だと兵法は言っておるが、その考え方を持っておるのかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) そういう考え方は持っておりません。それは初めから言っておるじゃございませんか。自衛の範囲内においての武力でございます。手段的に威嚇してやったほうが守りがいいというふうなことはしない、してはいかぬと憲法に規定してあります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 実際の問題としては、いまのような政府のルーズな解釈では国民はきわめて不安であります。時間がありませんので、次の質問をいたします。  総理にお尋ねをしなすが、日本の安全と平和を守るために安保条約を結んでいるんだ、自衛隊を持っているんだと、こう言うが、この軍事同盟と自衛隊があれば他国は絶対に日本を侵略することはないと確信しておるかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 他国がどうこうということをとやこう言いませんが、われわれはこの体制で日本の安全が確保できると考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、そういうばく然としたことではなく、もっと責任のあることを聞きたい。軍事同盟と自衛隊の現在の装備があれば日本は他国の侵略を絶対に受けない、そのことの責任を政府は持つ、こう国民に約束できるか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 他国が日本を攻撃するかしないかは他国のこと、われわれは、そういう体制をとっておれば、いわゆる備えあれば憂いなしと、この考え方でいっておるのであります。したがいまして、十一、二年前の安保条約を結び、平和条約のときに、いつ日本は戦乱のちまたとなるかもわからぬとある政党は言っておりました。歴史はどうでございます、ないでしょう。これをもってお答えといたします。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは、もう一歩違った角度から。軍事同盟と自衛隊があれば、たとえ他国の侵略、直接攻撃があっても、日本の国民の生命、財産は責任を持って守りますと政府は国民に約束するか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) われわれはそういうことを、事をかまえて、あってもどうこうということは言いません。そういうことはないことを考えておるのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 これは政府として多くの国民の反対を押し切って軍事同盟を結び、自衛隊を強化しておる限り、そのことが約束できないはずはない。国民の生命、財産は、他国の侵略攻撃にあっても、この備えあれば責任を持って守り切れます、こういう答弁をすべきである。いかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) われわれはそのために軍事同盟、安保条約を結んで日本の安全を期しておるのであります。それだから、守りますと約束するよりも、そういう体制で進んでいかなければならぬと国民に訴え、国民のいろいろ協力を得ているのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そうすると、現在の防衛の条件でも、なお他国の侵略はあり得ると、こういう判断をしているかどうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 備えあれば憂いなしという気持ちでやっております。他国がどんな暴力をするかは、私らの考える筋合いのものじゃない。そういうことを起こさないように、準備しているということであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは、次に、政府は、自衛隊が核兵器を保有する問題について、これは条件がやはりついています。法理論上の解釈で、防御用の核兵器を保有することは法理論上違憲でない、こう言ってきている。なぜ防御用の核兵器と限定して言わなければならないのだか、その理由をお聞きします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) われわれは自衛権があるだけでございます。他を武力をもって威嚇しあるいは武力を用いることは禁止しておりますので、自衛のためのものならば理論上はできる、しかし実際には持たない、こういうことでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総理に申し上げますが、ここの場で論議をすることは、政策上の論議よりも大事なことは、法理論上どう解釈しているかということであれます。政策はあすにでも変えられる。だから、ここの争いはあくまでも法理論上の争いでなくちゃならぬ。防御用の核兵器を保有することは違憲でない、こういう政府の態度は、その逆をいえば、攻撃用の核兵器を保有しては違憲だと、こういうことを肯定していることでありますか。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) この点も何回か過去においてお答えいたしたことでございますが、要するに、憲法九条の解釈として、自衛のために必要な限度の実力を持つことは違憲ではない、かように考えているのであります。その場合の実力の限界、程度、これはまあ原則としては総合的に判断すべきものでございまして、個々の兵器、武器等を取り上げて判断すべきものではございません。原則はですね。そこで核兵器の問題になりますが、したがって、核兵器というものも、今後いろいろこれは進歩発達していく段階でございまして、これは将来のことを考えれば、非常に小型あるいは力の弱いようなものも開発される可能性もあるわけでございます。したがいまして、いわゆる核兵器だというだけの理由で、すぐそれが憲法上自衛のため必要な限度の実力を越えるというものではあるまいというのが、従来の政府の考え方であります。つまり、核兵器であるがゆえに、核兵器といういわゆる核エネルギーを破壊用または殺傷用に使うということだけをもって、それが憲法違反になるというものじゃなかろう、結局その自衛のために必要な限度の実力として持ち得る限界に入るかどうかということだけがこのめどになるわけであろう、こう考えているわけであります。その場合に、いまの核兵器の状況を見ますと、たとえば、これも御答弁したことでありますが、原水爆とか大陸間誘導弾というごときは、これは自衛のために必要な最小限度の実力とはとうてい考えられない、これは個々のそういう兵器をとってみても、これを自衛のため必要最小限度の武器と考えることはできない、したがって、そういうものは完全にいまの憲法のワクからは大いにはみ出しているものだ、かような意味でお答えしているのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いまの御答弁は長々とやっているが、私は一言聞きたい。政府の見解は、攻撃用の核兵器を保有することは違憲かと、違憲だという判断だなと、こう聞いている。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) これは先ほどから法律論として言えとおっしゃるわけでございますから、法律的な考え方を申し上げるわけでございます。要するに、いわゆる自衛隊の持ち得る範囲の力というものは、原則は、これは総合的に見るべきものであって、個々の武器とか兵器というもの、あるいは部隊の数とかいうものだけを取り上げて言うべきものではないと思います。総合的な判断で言うべきものだと思います。しかし、いまの核兵器の問題になりました場合に、さっき例をあげましたように、いわゆる大型の攻撃的な核兵器、まあ例をあげれば原水爆とか大陸間弾道弾、すなわちICBMとかIRBM、そういうようなものは、それ自身自衛権の、自衛のために必要な限度として持ち得る実力の範囲にはこれは入らないのじゃないか。   〔委員長退席、理事斎藤昇君着席〕 個々の兵器をとらえてみても、これは当然そういうものとして持つようなものではないのじゃないか。そういうような意味で、たとえば長距離爆撃機のごときもそのカテゴリーだと思います。つまり、核兵器という点だけでなくて、いま言ったような総合的な判断から申しまして、そういうものは憲法で持ち得る力の限界を越えるものだ、かように考えているのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 委員長、答えておらぬのだよ、遠回りで。端的に答えさしてください。

斎藤昇自由民主党

○理事(斎藤昇君) 米田君、質問してください。

米田勲日本社会党

○米田勲君 大体、政府側が言いだしたのは、防御用の核兵器を保有しても法理論上違憲じゃない、こう言いだしたのは政府なんだ。だから、逆に、そういうからには、攻撃用の核兵器を保有するということは違憲だとはっきり考えているのだなと、こう聞いている。それを答えなさいよ。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) 政府が法律的な言い回しで申し上げますことは、いま言ったように簡単に言ったわけではなくて、いわゆる抽象的に一般理論として応用し得る範囲内でこれは言っているわけであります。先ほど申しましたように、いわゆる核兵器なるがゆえに直ちに、どんなものであっても、それが違憲になるというものではなかろう、これはまず第一の前提でございます。つまり、核兵器――核エネルギーというものを殺傷用あるいは物の破壊用に使う、戦闘においてですね。国内の平和的な意味の破壊用はこれは違いますが、戦闘的な目的として、殺傷用あるいは破壊用に核エネルギーを使った武器を使うということそれ自身だけで、直ちに憲法違反となるというものではあるまい。それはもう少し端的にいえば、防御的なものは憲法違反じゃないということばになってくるわけでございますが、抽象的に申せば、さっき私が言ったような表現になります。  したがって、それをさらに、しからばその限界を越えるものとしてはどういうものがあるかということで、その例示として、たとえば原水爆とかあるいは大陸間弾道弾、そういうものはそれ自身一つをとってみても、自衛のために必要なる行動をとるための必要最小限度のものとは言えないのじゃないか。したがって、そういう限界をはみ出すものはこれは攻撃用の核兵器といってもいいかもわかりませんが、つまり、そういう大型の、他国を――自国がたとえば侵略された場合に、自国を守るときに使うような性質を持たないもの、そういうものはこれはやはり憲法のワクをはみ出すものである、かように考えておるわけでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 ちょっと、議事進行。まあことばの内容で、将来問題を残しますからね。質問者である米田委員は、あなたが例示されたようなIRBMであるとか、あるいは大陸間長距離弾道弾、あるいは大陸間の電爆撃機というものを例示されて、そういうものを現行悪法第九条の限界を越えるものだ。これも、状況にもよるし、それから相手を攻撃する様態にもよるといったような意味のことが介在しての御答弁ですから、非常にすっきりしないわけです。いま例示されたような大陸間弾道弾その他爆撃機といったような、これらは現行憲法第九条に違憲なりとはっきり言えるのかどうかという点がポイントなんです。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) それはどうも御答弁をいたしたつもりでございますが、そういう私の例示したようなものは憲法第九条のワクをはみ出すと、要するにこれは私は条件をつけたつもりはございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまの答弁は、核兵器が一体大型、小型でもって攻撃用と防御用に分けられているものか、あるいは用途でもって攻撃用と防御用に分けられるのか、あるいはその中間の説明によると、兵器というものはこれは総合的に判断をするものであるということで、兵器には攻撃用とか防御用とかいうものはないかのようにも聞き取れるわけです。ところが、三月三日の防衛庁長官の答弁によりますと、自衛隊でいま持っているのはアジャックスであって、ハーキュリーズのほうがはるかに性能がすぐれているが、問題は核弾頭をつけ得るというところに微妙な問題がある。第三次防衛にはハーキュリーズを採用するかしないか、検討の段階に入っておりませんという答弁がありました。このアジャックスとかハーキュリーズというものがはたしてしからば攻撃用の兵器かあるいは防衛用と限定されるのか、核兵器を、核弾頭をつけ得るというところに微妙な問題があると、こういうふうに言っているのでありますけれども、一体核兵器なるものの定義は、先ほど申し上げましたように、答弁によると、大型、小型、あるいは用途等によって攻撃用と防御用に分けられるかのような言い回しをされておりますけれども、そのような分け方がはたして妥当であるのかどうか、またそういう分け方をすることが軍事的に可能なのかどうか、これらの点について防衛庁長官からも専門の立場で御説明願いたい。

福田篤泰自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(福田篤泰君) 先般の答弁に関連いたしまして、いまお尋ねの点をお答えいたします。  ナイキ・アジャックスを使うかあるいはハーキュリーズを使うかという点に関する問題でありますが、防御用あるいは攻撃用兵器の区別はきわめて困難でございますが、いわゆる論ぜられるところの目的ということも大きな条件でありますが、同町にまた、他国に攻撃的脅威を与えるということも一つの要素ではないかと考えているわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、先般お答えいたしましたとおり、性能においては非常にすぐれておって、法理論的には許される自衛権の範囲内という規定があっても、政府としては核弾頭を用いないということを政策的に、法理論と分けましてお答えいたした次第でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、この核兵器保有の問題について、政府が、防御用だとか攻撃用だとかといって、実際の問題としてはきわめて分けづらいのに、あえて法理論上だと称して、防御用の核兵器を保有できるという考え方を固執しておる理由がわからない。なぜ固執するのか。大体、核兵器というものそのものの威力は、防御用のために使っても、自国民を殺傷することは間違いない。それほど危険な兵器を、自衛のために防御用であれば持てると、なぜその法理論を固執するのか、その真意をお伺いしたい。

林修三内閣法制局長官

○政府委員(林修三君) これは過去において何回も御質問がございまして、私としては、法理論としてはそう言わざるを得ない、そう考えて、政策論を抜きにして、法理論としてはそうお答えしているわけでございます。  つまり、核兵器の定義でございますが、これは御承知かと思いますが、過去において国会に文書として防衛庁から提出したことがございます。核爆発あるいは核融合のエネルギーを戦闘用として人の殺傷あるいは物の破壊に使うような武器、兵器、これを核兵器という、というようにお答えをしておるわけでございます。これは大体において一般的な通念的な概念だと思います。そういう概念から考えますと、これは現在でもそうでございますけれども、だんだん小型の核兵器も開発されておるわけです。小型といいますのは、単に型が小さいだけでなくて、いわゆる性能も必ずしもそう大きくないというものが、だんだん開発されていった場合に、いわゆる核エネルギーを使うというだけの理由で違憲になるか、ならないかということは、どうも私としては理論としては言えないんじゃないかと思います。これは純粋の理論上の問題でございます。要するに、憲法第九条で保持が禁止されているのは、自衛のために必要な最小限度を越える戦力、こういうものが保持が禁止されているという解釈をいたしております。そういう解釈からいえば、いわゆる個々の兵器が核エネルギーを使うというだけの一点だけでそれを判断するというのは、どうも理論的でないんじゃないか。で、非常にいわゆる破壊力が大きくて、あるいはその飛しょう力が長くて、いわゆる自国の防衛というために当然その性能上使い得ないもの、そういうものは当然に私は憲法からはみ出した、つまり持てないものだと思いますが、しかし、その核エネルギーを使うということだけでどうだと言われれば、私は法理的には、これは政策的な考え方のよしあしは別として、法理的にはそれだけでメルクマールするということは理論が通らない、かように考えておるわけでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いまの答弁を聞いておると、やがては日本も核兵器を使う場合があり得る、こういうふうに政府は考えておる。だからその法理論に固執するのだと、こう解釈してよろしいかどうか。  さらに、総理には、今後核兵器を一切保有しないということを国民に約束できないかどうか、もう一度お聞きします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 将来日本が実際に使うことがあるからというんで、そういうことを言っておるのではありません。純然たる憲法上の法理論として言って一おるのであります。私は、たびたび申しておりますとおり、日本は核兵器々持たないということははっきり言っておるのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは、次の機会に譲ることにして、石炭問題に移ります。  石炭産業の合理化の急激なテンポは、石炭の需給、炭鉱離職者、疲弊する産炭地の自治体、こういうような山積する重要課題の解決を迫られて、政府も有沢調査団の答申を基礎に各省庁の所管を通じて今日まで施策を講じてきたわけです。しかし、石炭産業をめぐる諸問題は根本的にはまだ解決を見ておらない。そこで、私は通産、労働、自治、農林、建設、運輸、大蔵、文教の各省大臣と、佐藤、宮澤両国務大臣から、次の三点について御説明と御見解を伺いたい。  第一は、今日まで進めてきた施策と投入した予算、それによって具体的にどのような成果をあげたか、また、欠陥や問題点をどう把握しておるか、第二は、三十九年度予算に盛られた施策は、三十八年度の継続か、もしくはその反省と検討の上に立てられたものだと思うが、施策の重点はどこに置かれておるのか、第三は、四十年度以降は、どんな問題や施策を特に検討の対象とするか、この三点にわたった各省大臣からお伺いいたしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 石炭対策の方向は、昭和三十七年の十一月に閣議決定をいたしました石炭対策大綱によって確立をせられて一おるのでございます。三十七年以降三十八年、三十九年、四十年度以降も、この閣議決定の石炭対策大綱の線に沿って施策を進めてまいるのであります。  それから、これを、金額全部言わなければいかぬですか、大ざっぱに。

米田勲日本社会党

○米田勲君 大蔵大臣からはこれを前もってもらっているから、ごく、説明はあなただけは簡単でよろしいです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お手元にあらかじめ御提出してございますので、簡単に申し上げます。三十九年度予算を通じましての石炭対策につきましては、積極的な措置を講じました。特に重点を置きましたのは、石炭鉱業の近代化のための石炭鉱業合理化事業団に対する出資、非能率炭鉱の整理のための補助、産炭地域の振興事業団に対する出資、離職者の援護対策等でございます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 御案内のように、政府は、有沢調査団の報告に基づきまして石炭のスクラップ・アンド・ビルドの計画を進めておる段階でございます。そうして、その石炭鉱業におきましては、年間、いわゆる石炭の標準カロリー量におきまして五千五百万トンの石炭を今後も毎年産炭する、こういうような基本方針に基づきまして、そうして順次スクラップ・アンド・ビルドをやっていく。そのスクラップ・アンド・ビルドをやっていくにつきましては、ここにいろいろの問題が起きるわけでありますが、まず人員の問題、山をどうしていくか、それから人員を、労務者対策をどうするか、労務者がそれによって失業を、離職をするような場合には、これに対してどういう措置をとるか、あるいはまた、スクラップされましたために、産炭地が疲弊をするというような場合においては、産炭地振興においてどういうような措置をとるか、またスクラップ・アンド・ビルドした後におきます鉱害問題をどういうふうに処理するか等々、いろいろの問題がここにあるわけであります。これらを総合的に処理をいたしていくというのが基本の方針でございまして、そうして終局的には、石炭産業というものが非常に高能率で、しかもそこに従事しておられる労務者の人たちがりっぱな生活ができるようにその産業を育てていく、こういう目的をもってこれを遂行していく、こういうわけであります。  そこで、いま御質問のことでございいますが、どういうような予算内容でどういうような措置をとってきたかということになれば、これはむしろ政府委員から答弁さしたほうがいいと思いますが、概略的に述べよとおっしゃれば、いま私が御説明をさせていただきたいと思います。  まず、石炭対策では、需要確保の対策が必要であります。これはもちろん需要確保といいますことは、産炭五千五百万トンやるのでありますから、それに見合う需要というものが必要であります。こういう点から言いますれば、たとえば電力会社が主として石炭を使用するわけで、エネルギー源として使用いたしております石炭火力というものでありますが、これに対する対策をどうしていくかということがまずございます。したがって、これについては、今度は電源開発をして、火力発電をやらせるというような措置を今年度からとることにいたしました。それから近代化、合理化をしていくという対策でありますが、これについてはスクラップ・アンド・ビルドの精神に基づきまして、どういうふうにこれを機械化し、あるいはまた合理化をするか、そうして高能率の炭鉱にするか、こういう意味においていろいろの行政指導もございますが、金融その他の面において大いに努力をいたしております。  それから保安確保対策、これがまた非常に大事でございます。保安の確保対策は、これはもう特にこの間の三井三池のああいろ炭鉱等の事件も起きまして、ただいまこれに対する対策については、労働省ともよく連絡をとりながらその対策の万全を期したい、場合によっては、法案の改正も行ないたいというわけで、いま法律の改正等についても研究をいたしております。基本問題調査会という小委員会をつくりまして、そこでいま対策を検討しておると、こういうわけでございます。  それから炭鉱の離職者対策につきましては、これは御案内のように労働関係、また資金の経理対策、こういうもの、あるいはまた産炭地の振興対策、こういうことがございます。産炭地問題につきましては、すでに委員会等を通じまして、審議会等を通じまして具体的な計画をつくって、そうしてそれの実行にいま移っておる段階でございます。なお、鉱害対策がございまして、これについても、御案内のように無資力の炭鉱が非常にふえてまいりましたから、これについてやはり鉱害を早く処理していかなければならない、こういうわけで、漸次いまその処理を進めておりますが、ところが最近問題になっておりますのは、無資力にはなっておらないけれども、資力が非常に薄い炭鉱では、鉱害を処理する能力がないというような場合がある。これらの問題をどう処理するかということについて、いまわれわれは具体的に研究を進めておる段階であります――等々、先ほど申し上げましたような総合エネルギー政策から考えまして、私たち通産省としては、建設省、自治省あるいは労働省その他関係省等、あなたがおあげになったような各方面、各省庁と連絡をとりながら、先ほど申し上げましたようなスクラップ・アンド・ビルドの精神に基づいて高能率の炭鉱、そうしてそこに多くのやはり労務者が喜んで働けるような職場をつくるということを最終の目的としながら、その政策を進めておる、こういうわけでございます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 昭和三十七年度以降合理化による炭鉱離職者に対しまして地域別に再就職計画を策定し、その実行を期しまするとともに、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正いたしまして、新しく炭鉱離職者求職手帳制度を設け、広域職業紹介、定職訓練の拡充強化をはかるとともに、移転就職者用宿舎の大量建設によりまして、再就職を一そう促進いたしてまいりました。このような措置によりまして、三十七年度三十八年度両年度、三十八年度は昨年の十一月末まででございますが、この期間に公共職業安定所の紹介によって再就職いたしました離職者は、約三万一千人でございます。しかし、なお三十八年十一月末現在滞留しておりまする離職者は、二万三千人程度ありまして、その多くが高年齢者であって、その再就職は必ずしも容易でないのでございます。このために、三十九年度におきましても、従来からの諸対策をさらに充実強化して、これら離職者の再就職の促進をはかる方針であります。  炭鉱離職者対策関係予算も、三十八年度九十三億八千万円から、三十九年度百四十一億円に増額提案いたしております。  三十九年度における主要な対策といたしましては、移転就職者用宿舎七千一尺三十八年度は三千戸でございました。これの建設、再就職奨励金制度の新設などを行なうことといたしており、これら諸対策の推進により、滞留離職者の早期就職に全力をあげてまいる所存でございます。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 農林省でやっている仕事等につきまして申し上げます。  第一は、産炭地域として政令で定められております市町村でありましてこれまでに農業構造改善事業の計画地域として指定を受けたものは、三十六年度二十九、三十七年度十六、三十八年度二十三となっておりますが、これらのうち、三十七年度は十一、三十八年度十二はすでに事業に着手しております。そのほか、先駆的役割を持つパイロット地区の指定を受けて三十七年度から事業を実施中のものが、四市町村であります。これの事業はおおむね三カ年計画をもって実施されるのでありますが、これに対する国の助成措置といたしましては、三十七年度事業実施地域につきましては約五億二千万円、三十八年度事業実施地域につきましては約五億三千万円、パイロット地区につきましては約一億五千万円の国庫補助金をそれぞれ、概算でございますが、定めてあります。  第二に、産炭地域を受益地に含むところの土地改良事業関係の投資額を、国営、県営事業について申し上げますと、三十八年度は、事業費で約七十六億円となっております。  それから、第三に、農地の鉱害復旧事業でございますが、これは三十八年度は約十七億円の事業を行ないました。三十九年度におきましては約十八億円の事業を予定いたしております。  第四に、政府の方針にのっとりまして、農林省及び関係機関に炭鉱の離職者を極力採用することとしておりますが、三十八年度は、国有林野事業に十八名を採用したほか、農林省全体で三十七名を採用しております。  なお、四十年度以降につきましては、いままで行なってきた方向をさらに強化していきたい、こういう方針でございます。

早川崇自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(早川崇君) 産炭地域振興臨時措置法六条によって指定された市町村は、現在百十市町村でございますが、三十七年度決算の結果によりますと、そのうちで十三市町村が赤字になっておりまして、産炭地域の市町村の一二%に当たっております。したがって、赤字が一二%ほど出てきたというのは、経済力の低下による分と、生活保護費、失対事業費、その他いろいろな負担が出てまいったからでございます。自治省といたしましては、そういった関係上、これらの市町村に対しまして、三十八年度普通交付税におきましては三十七年度百五億でございましたが、三十八年度は約百三十二億に増額いたしております。また特別交付税といたしまして、こういった特殊な経費に充当するために、十四億円を三十七年度特別交付税をそれだけのために余分に配当をいたしているわけでございます。また、経済力をつけるための産業整備事業に対しましては、三十八年度これまた別個に地域開発事業関係分といたしまして、約十二億円の起債事業をいたす予定にいたしているわけでありまして、三十九年度におきましても、その市町村からの具体的申請を待ちまして、所要の資金確保に充てたいと考えている次第でございます。

河野一郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(河野一郎君) 建設省関係を申し上げます。  建設省といたしましては、昭和三十八年度におきまして、道路事業約百四十二億、街路区画整理事業二十九億、河川関係事業五十五億こう割り当てまして、もっぱら産炭地振興の各種の施策をいたしておりますが、さらに引き続きまして、三十九年度につきましては、道路百六十九億、街路区画整理三十五億、河川関係六十七億ということになっておりますが、これらはまだいま具体的にどこの個所をどうやるかということは、いま最終的な割り当ては具体的なものはできておりません。おおむね二割増ぐらいの予算をもって、前年度に比しまして、やってまいりたいということにいたしております。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省といたしましては、地元の要望も十分しんしゃくいたしまして、三十八年度におきましては、児童生徒の就学を確保することを主眼といたしまして、次のような措置を講じたのであります。まず準要保護児童生徒に対して、就学奨励費の国庫補助を増額配分いたしました。すなわち教科書、学用品、修学旅行費の給与につきましては二億四千三百万円、また学校給食費の給与につきましては一億三千万円、それから通学費、医療費等の給与につきましては三千百万円、合計いたしまして四億四百万円の予算を計上いたしました。この国庫補助の増額に伴いまして、地元市町村の負担が増大しますので、それに対しましては特別交付税の裏づけを強化いたしたのであります。  次に、学校給食、特に完全給食の普及を奨励いたしまして、施設設備の国庫補助を優先的に増額配分いたしました。このほか産炭地に対しましては、特に応急給食として、パンとミルクのみの学校給食の道を開き、準要保護児童生徒の給食費につきましては、国が補助することにより給食普及を強化いたしたのでございます。三十九年度におきましては、引き続きこれらの施策を推進することといたしまして、単価の改定を中心に国庫補助予算の増額につとめましたほか、青少年の不良化、非行化対策といたしまして生徒指導の強化をはかる予算措置を講じたのでございます。すなわち、就学奨励費の補助といたしまして三十八億八千万円、たま学校給食施設設備の補助といたしまして五億四千六百万円、生徒指導対策費といたしまして千六百万円でございますが、この生徒指導対策費は、予算の総額でございます。この配分に際しましては、引き続き産炭地について十分配慮する方針でございます。  四十年度以降につきましては、本年改めて北海道、福岡、その他関係府県につきまして十分現地の事情を調査いたしまして、この調査の結果を検討した上に、さらに適切な施策を講じたいと考えております。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 運輸省関係の御説明を申し上げます。  鉄道関係といたしましては、産炭地域における鉄道の整備をはかるため、新線の建設関係、路線の電化、複線化につとめ、同時に、石炭の輸送コストを低減することをはかるため、昭和三十六年の国鉄運賃の改定に際しましては、七月一日以降三カ年にわたって、石炭運賃の値上げ額の二分の一に相当する金額について、無利息でその延納を認めることといたす処置をしております。また、石炭の車両につきましては、三十六年度以降、千五百両の増備をはかっております。さらに、炭鉱離職者の受け入れにつきましては、三十八年度二千三百名程度を国鉄において採用する予定にしております。また、自動車の運転免許を持てる者に対しましてはタクシーの免許を与える等、離職者の優遇措置について考慮いたしてやっております。  それから、石炭の専用船の建造につきましては、昭和三十七年度石炭鉱業合理化事業団資金と資金運用部資金を投入いたしまして、特定船舶整備公団との共有方式によりまして実施しておって、三十七年度に三隻、三十八年度に九隻建造を行なう予定でおります。  それから、次に、三十九年度以降においても、鉄道の整備については、三十八年十一月に行なわれた産炭地域振興審議会の答申の趣旨に従いまして新設される日本鉄道建設公団の活用等によりまして一そうその整備につとめて、三カ年計画をもって実施される老朽鋼船及び運炭機帆船の代替建設対策の一環としてこれを推進する考えであります。三十九年度においては、約二万総トンの石炭専用船を建造する予定であり、また、出炭構造の変化に伴い、不用となる運炭機帆船については、これを解撤して石炭専用船等の代替建造を行ない、その救済をはかる方針であります。さらに、炭鉱離職者の受け入れについては、さきに申しましたように順次やってまいりたいと考えております。

佐藤榮作自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(佐藤榮作君) 科学技術庁といたしましても、石炭の輸送につきまして、あるいは液体輸送をいろいろ研究したり、さらに、また、コークスをつくる場合の原料炭の粘結炭の混合割合を考える、こういういろいろな調査もいたしております。  また、北海道開発庁といたしましては、開発計画によりまする石炭の鉱床の調査、さらに、また、石炭化学の各研究などいたしまして石炭産業の育成強化をはかる、こういうことをいたしておりますが、具体的な問題といたしまして、私のほうでは、北海道開発庁で輸送を円滑にすることが炭価を安くする、こういう意味で道路あるいは港湾等につきまして先行投資をいたしているわけであります。その金額は、先ほど建設大臣は全国的なものをお話になったようですが、北海道だけについて見ますと、道路関係で三十八年度七十七億七千万円、三十九年度は九十四億円程度を見込んでおります。港湾関係では三十八年度が九億七千万円、三十九年度は十二億程度でございます。それから、こういう離職者が相当出ますので、この離職者もなるべく採用するということで公共事業のほうも離職者対策に協力をいたしております。また、三十九年度の予算に、美唄に建設機械のオペレーター、これを養成する産業開発青年隊、その支所をつくるようにいたしております。また、資金の面では北海道東北開発公庫、これがその融資におきましても、この産業の育成強化という点に十分注意をいたしておるつもりであります。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 三十七年度の一次エネルギー供給源の中で、石炭が三三・八%、石油が四〇%でございます。ここ数年、大体石炭の消費割合が一ポイントないし二ポイントずつ毎年減ってきまして、それが石油のほうにふえていっておる。ちょうど三十六年に両方が同額で、その点で交差をいたしております。これはもちろん石炭の絶対量が減ったということではなくて、エネルギー全体の消費量がふえたということでございます。そこで、倍増計画の四十五年では、そういう趨勢をたどりまして石炭が二八・七、石油が四九・六ぐらい、そういう割合になるわけでございますが、たまたまそのときの石炭の精炭が生産量で五千五百万トンというふうに倍増計画では考えております。したがって、一昨年の石炭対策大綱で考えております大筋も、たまたま倍増計画の考えに軌を一にしておるということでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 関係の各省庁からそれぞれお聞きをしましたが、再質問の内容になるかもしれませんが、次のことをお尋ねします。  石炭産業の現状は、三十七年の十月に有沢調査団が答申をした当時の見通しとだいぶ変わってきておるように思うわけです。いまも経企長官の話が若干ありましたが、通産大臣はどういうお考えになっておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 三十七年十月に有沢調査団が出されました答申案の線に沿って施策を進めてきておるのでありますが、実際問題といたしましては、スクラップ・アンド・ビルドの計画は、大体においてその線に沿っておりますけれども、人員の問題で非常に相違を来たす。大体今年度末あたりの人員は予定よりは約二万人前後減っておるようでございまして、すでに十二万七千名前後と承知をいたしております。これは、一つは山のスクラップ・アンド・ビルドの計画が一部早く進められた面もありますが、その多くの原因は、石炭産業というものに対してあまり魅力を感じないということと、ほかの産業のほうがより優位な職場を提供するというような事情もございまして、自発的に山を去っていく労務者の人が多かった、やめる人が多かった、また、ほかの別の理由でやめる人が多かったことがおもな原因と承知をいたしておるところでございます。それから、五千五百万トンの出炭規模ということでやってまいったのでございますが、実際問題としては、ことしは配置転換といいますか、労務者がやめられます、やめるというと、やはりそれをその山で補充、あるいは、また、労務者の配置転換をしなければいけません。そういうこともかなり影響を来たしておる。また、三池炭鉱の爆発が一つ大きな原因にもなりまして、ことしの出炭は大体五千二百万トン前後になったと思います。来年は、これはまあ五千四百万トン前後の出炭までもっていきたいと思っておりますが、まだこれははっきりいたしませんけれども、そこまでもっていけるかどうか、まだ疑問でございます。ただし、政府といたしましては、五千五百万トンの出炭規模は最後まで確保していく、また、それに対する政府としてのいろいろの援助といいますか、政府の資金その他の問題については、極力努力をするという方針でやっておるのでありますが、先ほど申し上げましたような事情等、いろいろの事情もございまして、出炭規模はいささか当初の予定よりはおくれておる、こういう段階であると思います。なお、産炭地振興の問題、あるいは、また、この鉱害対策等々につきましては、大体その線に沿ってやっておるのでありますが、しかし、先ほども申し上げましたように、鉱害問題等々は、これはまだまだわれわれとしても考えなければならない面があるのではないかと、かように考えておるところであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いま人員の問題が出ましたが、どうも最近の石炭産業の各会社とも、今後なお相当の人員の削減を計画しておるわけです。そういうことと、北海道などの各大手の山にいっても、平均年齢が四十歳から四十二歳になろうとしておるわけなんです。こういう状態であって、今後この石炭産業の労働者の確保という問題について政府はどういう見通しに立っておるのか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 石炭産業に従事されます労務者の数のことでございますが、われわれの承知しておるところでは、各山とも、これからはそれほどいままでのようないわゆる離職問題は起きないであろうという見通しを、実は山でみんなそれぞれ意見を聞いておりまして、あなたのおっしゃったように、もう少し整理をしようというような考えはないように承っております。そして、われわれとしても、今後だんだん――いまが一番この悪い時期といいますか、石炭の労務者の何といいますか、ビルドする山においても、なかなか人員の減ったときでございまして、これ以上、まだスクラップするのが残っておりますから、全然減らないとは申し上げませんけれども、これ以上いわゆるビルド山において人が減ることはない、むしろビルド山においては、いまあなたのおっしゃったような四十歳とか四十一歳とかいうように、だんだん年齢が低下しておりますので、今度はもっと若い優秀な労務者を何とかして雇い入れねばならないというわけ合いで、学校その他のいわゆる教育施設の面にも力を入れながら、いわゆる就労、就職者といいますか、労務者の新しい導入について努力をいたしておる段階であると承知をいたしております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 通産大臣の認識は実際とだいぶ違うのではないかと思うのです。どうも石炭の各会社の最近の計画は、ビルド山でなお人員の相当削減の結論を出しておる。私は、そういう人員削減を出しながら、月間の出炭量は一人当たり四七・ミトン、こういう計画を立てておる。こういう問題について、一つは労務者の問題と、一つは保安や労働強化の問題が非常に問題になるのじゃないか、この点はいかがですか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 私の承知いたしておりますところでは、現段階においては、能力は一人当たり三十一トン前後であると思っております。将来はやはり三十八トンから九トンまで、平均でございますが、これを伸ばしたい、こういうのが有沢調査団の基本的な考え方になっております。山によりましては六十トン、あるいは場合によっては七十トンまで伸ばそうというような山ももちろんございますが、平均はそういうことにいたしておるわけでありまして、そこまで能率が上がってくれば石炭産業はりっぱに自立がいまの価格でもできるというわれわれは見通しを持っておるわけであります。もちろんそういうふうにしていきますためには機械を導入いたしましたり、また、保安の面においてそういうような施設を十分入れていくというようなこともございますから、そういういわゆる近代化した石炭産業、合理化した石炭産業という意味では、今後もまだまだ機械の導入等が行なわれると思いますけれども、人員においては、大体十二万人前後というものはどうしても確保していかなければ五千五百万トンの出炭は困難ではなかろうか、こういう見地に立っておるわけでありまして、私は、いまの段階においてはあなたの仰せになったようなことにはならないと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 通産大臣にお尋ねしますが、基準炭価を維持するための対策と見通しはどうですか。将来の値くずれの心配はないと確信しておりますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 基準炭価を維持をいたしませんというと、また石炭産業に大きな影響があるのでありますが、基準炭価を維持する方法はどこに問題があるかといいますと、競合しておる燃料でありますところの油の問題があると思います。これがもっと将来安く入るということが起きるかどうか、こういうことが一つの問題になります。もう一つは、需要がないのに供給をむやみにふやしたという場合にその問題が起こると考えております。その二つの面を一つずつ申し上げてみますと、いまのところ、油は確かに若干安くはなっておりますが、われわれとしては、いまの油の市況というものは少し異常であると考えております。あまりにも過当な競争をいたしておりますために、非常に安い値段で売っておる、そういう事情がございますが、それはしかしながら、そうではあっても、いまそれほどまでに炭価には影響しておると思いません。しかし、私としては、これ以上に油の単価が下がるということは、安定した油を供給するという意味から言いますと、安いだけではいけないのでございますから、エネルギーでありますから、安定した供給ということからいえば好ましいことではないと考えておるわけであります。そして、また、そういう意味で石油の価格の政策を見てまいりたいと思っておるのでありまして、その点はあまり影響はないつもりであります。  一方、需給の関係でございますが、供給のほうが需要より大きく上回るということになりますというと、値くずれというものはどうしても起こりがちでございます。これは国営ではありません。民間の会社がやっておるのでありますが、しかし、その場合においても、一番値くずれを起こす根源はどこかといえば、一番大きな需要者である電力会社が石炭をどの程度の値段で買っておるかということが一番大きな問題であると思うのであります。そこで、そういう面をよく監督ができますように、石炭に関係するいわゆる電力に供給するところの生産会社というものをつくりまして、どのくらいの値で買っておるかということをウオッチできるようにしてございますから、この面から私たちはある程度指導ができる。現に、また、電力会社というものが石炭や油をどのくらいの値段で買ったらいまの電力料金が維持できるか、また、それで一応の配当ができるかというたてまえでわれわれのほうにちゃんと報告をいたしておるのでありますから、それ以下に買うというようなことであれば、これはわれわれとしても、利益を国民に還元するか、あるいは、また、電力料金の値下げというようなやり方、そういうことにするか、あるいは、また、石炭をそのままの値段で買ったらいいかというようなものの考え方ができるわけでありますから、そう安くするはずがないと思います。すなわち、需要の一番大もとである電力がそういう態度をとるということでございますれば、少なくともそれほど大きく石炭の値くずれは起きないと、かように私は考えております。ただ、冬が非常にあたたかい、使うつもりでおったけれども、少ししかたかなくてもいいというような場合が起きたりいたしますと、すなわち、時期によって値段に幾分の高低はあるでありましょう。これは私は認めなければならないと思いますが、大体において現在の価格を維持できるものと考えておるところであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、石炭産業そのものに対するてこ入れを、あるいは需給の関係、流通の機構の改革、そういった問題や産炭地振興の問題には相当政府も力を入れたが、肝心かなめのことをやはり手ぬかりしているんじゃないか。それは現在働いている炭鉱の労働者の問題であります。山へ行ってごらんなさい。どの労働者も、みんないかにして早くいいところを見つけて山を逃げ出すかということだけを考えている。そして、こういう声がもうどの山にもあります。合理化があって人員が減らされた、炭鉱は合理化された、しかし、われわれの労働条件や待遇はちっともよくならぬ、いつも生命の不安があり、福利厚生の施設もさっぱり見るべきものがない、これではとってもかなわぬというのが労働者の共通した考えなんです。だから、政府は、いままでやってきた施策を強力に進めると同時に、この石炭産業の労働者の問題を根本的に考え直して私はてこ入れする必要がある。先ほども私は言いましたように、四十二歳に平均年齢がなっている。というのは、だれも行かないんですよ。斜陽産業だ、いつ首切られるかわからぬ、いつ爆発が起こるかわからぬ、それを一生の仕事として若い者が行くはずがない、ですから、ここは政府は徹底した現在の石炭産業労働者に対するてこ入れをして、石炭産業に喜んで若い者が行けるような、そういう情勢をつくる必要がある。こう思うのであります。労働大臣と通産大臣の御決意を伺いたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) ごもっともな御意見でございますが、その点につきましては先ほども申し上げたところでございますが、四十二年度を目して石炭産業が高能率、高賃金のいわゆるりっぱな産業として立っていけるような方針、その基本線にのっとっていま合理化をやり、スクラップ・アンド・ビルドの計画を進めておるのであります。その間におけるいまはそのちょうど中途にございますので、しかも、石炭産業自体が非常な赤字に苦んでおるような事態にありますので、なかなかそこまで手が回りかねておるというのが実情でありますが、私は、いまが一番悪いときであって、これから順次いわゆる能率化された産業としてりっぱな、また、高賃金を払い得る産業として生まれかわるといいますか、出直せるものである、また、出直せるようにわれわれは努力をいたします。こういう気持ちでございます。したがって、ただいまのところでは、いまあなたのおっしゃったとおりでありまして、山々でも、相当去年じゅうはそういうような意味での離職の方が多かったと思いますが、いまは少し落ちついてきた、去年よりは落ちついてきた。年末よりは落ちついてきたと思っておりますが、しかし、なおまだあなたのおっしゃるような気持ちが底流してあることはいなめないと思います。しかし、今日が一番石炭産業としては苦しいときでありますが、この苦しいときをひとつみんなで協力していただいて切り抜けてもらって、りっぱな産業として立ち行くようになってもらいたい、また、それにわれわれとしては協力いたしたい、こういう考えで施策を進めておるわけでございます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 石炭業の合理化に伴いまして、石炭産業がいわゆる高能率、高賃金の体制を整備するに伴いまして、労働条件も逐次改善され、若年労働者に対する吸引力も大きくなり、また、労働者の定着性も増してくるものと考えておるのであります。これにつきましては、労働省といたしましても、この際、労働条件の面につきましては、労働基準の維持について格段の監督をいたしてまいりたいと存じております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 最後に、締めくくりに総理にこの問題でお尋ねします。  先ほどからお聞きのように、この石炭問題をめぐる諸問題は、施策が各省庁にみんな分割して行なわれておるわけです。したがって、これらを総合的に進めるためには、よほど各省庁の連絡提携が緊密でなければならぬ。こういうことのために特段に力を入れてやってくれるか、決意をお聞きしたい。それから、いまお聞きのように、石炭問題はまだ未解決な問題が相当あるし、手をゆるめることはできない状態にあるので、今後どういう決意でこの石炭産業をめぐる諸問題に対処しようとしておるか、簡単に総理の御見解と決意をお伺いしたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 石炭問題は、昭和二十年、三十年ごろからたびたび問題が起こりまして、石炭問題が起こったときにその対策をやりよるとまた石炭がよくなってくるというのを二回ほど繰り返しました。しかし、今回、すなわち二年あまり前からのこの問題は、一時的の問題でなしに、いわゆるエネルギー革命の結果であります。したがって、いままでのような規模ではいかないというので、昭和三十七年に有沢調査団の非常な御努力によりまして答申が出て、私は大体において軌道に乗ってきた。ただ、軌道に乗ってまいりましたが、予定よりも早い面もあるし、おくれておる面もある。だから、今後もやはり関係閣僚十分審議を尽くしていかなければならない。そこで、一番の問題は、先ほど来問題になっておりますスクラップ・アンド・ビルドと同時に、この人員の問題とこれからの石炭鉱業のあり方、いまの若い人が来ないというような特殊な事例が出てまいりました。こういう点で、私は、今後石炭鉱業のあり方ということにもっとやはり広い視野で取り組まなければならぬと考えておるのであります。私は、有沢調査団のあの報告の結果、まあまあというところで進んでおりますが、油断はならぬと考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 次は国鉄の問題についてお尋ねをします。  経営計画の重点を見ますと、事故防止、安全確保を打ち出しておりますが、実際に計画の内容とその予算の関係を見ると、どうもこれでは安全確保に万全が期せられるのかどうかという疑問が持たれるのですが、総裁は、安全確保問題について、現在の施策を予算的自信を持って進められるのかどうか、見解をお尋ねします。

石田礼助日本国有鉄道総裁

○説明員(石田礼助君) お答えいたします。  国鉄の輸送安全確保の問題でありまするが、私はこれを二つに分けて考える必要があると思います。これは国鉄の輸送の安全確保というのは、ちょうど火事のようなもので、まず第一に火元をつくらぬということが第一の問題であります。第二に、火事が起こったじぶんに、それが拡大しないようにするということが第二の問題であります。そこで、この第二の問題の火事の拡大でありまするが、これは毎度申しておりまするように、要するに過密ダイヤということなんであります。この問題は、しかし解決は実にむずかしい。御承知のとおり、国鉄は戦争によってだいぶ鉄道をぶちこわされた。ところが、その後マッカーサー司令部の方針というものは、国鉄は斜陽産業であるというようなことで、あまり鉄道というものに対して関心を払ってくれなかった。その結果、これにわれわれが希望するような予算をくれなかった。それがために、終戦後三十二年に第一次五カ年計画が立ってまいりましたが、ろくに修繕をするでもなく、いわんや輸送力の増強というものに対しては一向に力を入れてくれない。一方に、経済の発展というもので輸送の需要というものを非常に増加してきておる、こういうようなことで今日のような過密ダイヤになり、そうしてスピード化になった次第であります。この解決は、これは実にむずかしい問題であります。ことしわれわれが要求いたしました予算に比べて、約五百億ばかり削られたのでありまするが、かりにこれが満足にわれわれの要求が通りましたところで、この過密ダイヤというものはそう簡単に解決できない。七、八年の年月をもってして、そうして約二兆五千億から三兆円ぐらいの予算をもってしなければ、これは解決つくものじゃない。  そこで、国鉄としては、これをどうするかというと、まず火元をつくらないことに全力を尽くす、こういう考え方からいたしまして、まず自動信号機の完備、それからその次は自動警報機、自動停止機、それからさらに、故障の重要な要素をなしておる踏切を、これをひとつ三十九年及び四十年の三月までには完備して、少なくとも複線のところに対しては、踏切のごときは大部分をひとつ三十九年にりっぱな警報装置をつくって、それによって事故を防いでいきたい。それから、何といっても、そういうようなことをいたしましたところで、結局はやっぱり人の問題、従業員、この従業員の問題、職員の問題につきましては、できるだけの指導訓練をやる、厳重な考査をするということに力を尽くすと同時に、ひとつ質のいい人間を国鉄に入れて、これに十分の教育訓練をして、そうして問題の起こらないようにするというようなことで、まず火元をつくらないようにするにはどうしたらいいのかということに全力を尽くしてやっておる次第でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総裁にお伺いします。  国鉄の当局は、事故の多発原因の一つが職員の訓練方法に問題があるとして、最近聞くところによると、サプライズ・テストなる不意打ちテストを行なうことにきめたそうです。これはとっさの場合に急ブレーキをかけられるように、予測なしに信号を青から赤に切りかえる、機械の一部を故意に取りはずしておいて、点検の際にそれが発見できるかどうか、そういうことを訓練するそうです。一体、私は、いまの過密ダイヤで、徹底した超過労働で、精神的にも肉体的にも疲労しておる職員にこういうテストをやれば、それで事故防止の大きな対策の一つになるように考えているところに、ぼくは国鉄当局の幹部の頭の悪さがあるんじゃないかと思いますが、総裁もこれがいいきめ手の一つだと思っているんですか。

石田礼助日本国有鉄道総裁

○説明員(石田礼助君) このサプライズ・テストの問題でありまするが、このような訓練というものは、確かにこれは非常なきつい訓練であります。けれども、いま国鉄が行なっている立場からいえば、これはひとつ国鉄の職員に忍んでやっぱりこのテストをひとつ受けてもらわなければならぬ。その一番いい例が、米田さん御承知かしらぬが、国鉄の管理局のうちで一番事故の少ないのは、しかも非常な過密ダイヤのもとにやっておって事故の少ないのはどこかというと、大阪管理局で、これはどうしてそういうことが大阪管理局であるかというと、非常な訓練をやっておる。もちろんその中にはサプライズ・テストというのがあるのであります。実は、鶴見事故、それからそのほか起こった事故から考えまして、国鉄というのは何とかしてこの事故をひとつ絶滅しなきゃいかぬというところで、各局長を呼んでいろいろ聞いてみたところが、やはり、はなはだこれは国鉄職員に対してはお気の毒なんだが、しばらくの間目をつぶってこのテストを受けてくれということで、大阪を手本としてサプライズ・テストをやる。これはあなたのおっしゃるとおり、私は決して好んでやるものじゃない。しかし、まことにやるを得ざらないのでありまして、これは国鉄職員としてはこの際ひとつ目をつぶって国鉄のために尽くしてもらわなければならぬ、輸送の安全を保ってもらわなければいかぬということにして、はなはだ気の毒でありまするが、忍んでやっておる次第であります。決してそれは私の本意ではないのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総裁の意気込みはいいんですが、あなた、そういうふうに過酷に人を徹底的に追い込んでいけば事故が少なくなるように思っておるところに、私はやはり政策の重点が違うんじゃないか。先ほどあなたは、大阪のほうの事故が少ないのは訓練のためだと言っておりますが、国鉄の輸送は、三割は東京で、一割は大阪ですよ。少ないんですよ。過密ダイヤになっているのは東京周辺なんです。そのことが事故の少ない多いの原因のおもなるものなんです。私は、いまのような訓練をやるより、ごらんなさい、あなた、国鉄職員の宿舎へ行ってみなさい、うちへ。公務員の住宅のうちで一番悪いのは国鉄の宿舎です。狭いこと、悪いこと天下一品です。夜勤をして夜寝ないで帰ってきて、休もうったって、狭くて、子供たちが遊んでいれば、ちっとも安眠できない。国鉄の宿舎が悪いことは全く言語道断と言いたい。私はやはり、人をよく安息させ、生活に安定をさせる、そういうものが基本になっていかなければ、ただやたらに訓練をしておったって国鉄の事故は防止できるとは思っていない。どうですか、その点。

石田礼助日本国有鉄道総裁

○説明員(石田礼助君) これは全く御同感であります。これに対しては一言弁解の辞なし。それでも、国鉄としてはやりたくてもできない。どうしてできないのかといえば、国鉄は御承知のとおり独立採算でやっておるのでありまして、そうして実際二万キロのうちでもって七割五分というものはこれは赤字の線、二割五分だけがプラスの線、しかも、運賃にしてもこれは議会がきめるのですが、国会がきめるのだが、物価というものは約四〇〇に近いのにかかわらず、国鉄の旅客運賃なんというものは、一五九である。また、国会の議決によりまして、通勤、通学のごときに対しては、法律では五割ということにきめてあるのに、通勤は八割三分、通学は九割二分というような非常な高率の割引をしなければならぬ。そこに非常に国鉄としては苦しいところがある。ことしあたりは、三十八年度においては多少のプラスになりまするが、三十九年度になりましては、私はパーパーです、余裕がない。そこで、ただいま仰せられた、お出しになった宿舎の問題これは全く同感なんです。これはぜひとも解決しなきゃいかぬというようなところで、だんだんと案をつくっておりまして、幸いにして国鉄が財政上の余裕ができましたら、このひとつ優遇の方法というものは私は考えにゃいかぬということに考えておるのでありまして、決してこれを無視しておるのじゃないということを御了承願いたいと存じます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 運輸大臣にお尋ねしますが、いま総裁は、どうにもならぬと、処置なしだと言っておりますが、運輸大臣はこのことを解決する意思はないのですか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(綾部健太郎君) 私も就任以来、信頼するいまの国鉄の幹部が非常に苦心をしておることについて心を痛めておるのでございますが、財政の都合上どうしてもなかなかできないのです。そこで、私はこの間の予算が通ったときに、政府へひとつ厳重に、政府の方針として、池田内閣の方針として、国鉄はいかにあるべきかということにつきまして、基本的な調査をするために、内閣に組織の調査会をひとつこしらえていただいて、一番ガンであるところの国鉄の企業性、公共性等等につきまして、成案を得次第、ひとつこの問題に取り組んで、ほんとうに、私も、国鉄の四十八万の従業員の生活の苦しいのには、全く何と申しますか、頭が下がるような気がするんです。そのことについて、その結果を待ちまして、強力に財政の許す限りにやってみたいと、かように考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総理と大蔵大臣でなくても、総理に、一括して答えてもらえばいいが、いま総裁も、処置なし、向こうも悩ましいと言っているわけだ。これはやはり、総理が思い切った措置を考えてくれて、大蔵大臣が、それに協力してくれなければ、これは解決つかぬ。いまに余裕が出てきたらなんて、総裁は悲しいことを考えておるようだが、総理、これを早急に解決する決意はありませんか。特に、この調査会を設けて云々というのが、運輸大臣の構想にもあるんですが、こういう問題についてどうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、従来、国鉄予算を大蔵大臣とし、あるいは総理大臣として見ました。三十六年、三十二年――二十九年のときは、政調会長でございましたが、鉄道運賃を上げるというと、いつでも非常な非難を受けるわけです。よほどの決意がないとできない。それから三十二年は大蔵大臣のとき、また三十六年、総理大臣として、万難を排してやったんです。しかし非常な反対を受けました。そして三十二年の五カ年計画をやりましても、常に賃金の引き上げ、ベースアップで、それが工事にあまり予定どおりに回らずにしまった。これは、ほんとうにむずかしい問題であるのであります。  だから、いま国鉄総裁、あるいは運輸大臣に、私も同感であります。やらなければなりません。しかし、国会におきましても、あなた方もひとつ、十分お考え願いたいと思います。私としてはやってやりたいと思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 関連。総裁にちょっとお伺いします。いま米田さんから、質問がありましたサプライズ・テストの問題でありますが、これはまあ忍んでやってもらうという意味のことをおっしゃいましたが、東鉄と比べて、大阪のほうが事故が少なかったといっても、大阪のほうに責任事故がないということではなかろう。東鉄の事故として、鶴見事故であるとか、三河島事故であるとか、大ぜいの人間が死ぬような事故が、たまたま東京に引き続いて起こったということであって、しからば、この鶴見事故なりあるいは三河島事故のようなことが、サプライズ・テストによって防止でき得るものであったかどうかということであります。この点、はたしてこういう訓練をやってさえおれば、いかなる過密ダイヤのもとにあっても、あのような大事故に発展する可能性なしと、このように断定する自信がおありなのかどうか。サプライズ・テストが、単なる気休めのものであるのかどうか。その点について、総裁の率直な御意見を承りたいと思います。

石田礼助日本国有鉄道総裁

○説明員(石田礼助君) サプライズ・テストをやれば事故がないということは、これは言えぬ。事故は、いろいろの原因から起こってくる。相当の部分というものは、踏切事故なんです。そのほか信号装置の不完全ということで、サプライズ・テストをやるということが、すべての問題を解決するかぎりではないのでありますが、しかしそのくらいまでに訓練を厳重にすることによって、事故の発生を少なくすることができる。こういうことは私は言えると思うんです。たとえば、大阪のごときは、全国の輸送人キロの上から一割を占めておる。けれども、ほかのいなかの管理局あたりに比べても、事故の数は、非常に少ない、この輸送キロから見まして。そういう点で、やはりまず、これは、いろいろの要素が集まって事故をなすのでありますが、サプライズ・テストということも、一つの大きなその解決の道じゃないか、こういうことでやっておるのであります。  それから、続いて、さっきの米田さんの御質問に対して、私は申しおくれたのでありますが、国鉄の、一体、人件費というものが、三十九年度のこの予算から申しますと、予定額としては約三千九十二億かかる、これは動力費だとか修繕費、業務費の中に三百億、それを入れまして三千九十二億、これは、全収入の約五割であります。これは、あにそれ国鉄のみならんや、世界の鉄道すべてそうなんです。鉄道というものは、要するに人件費にだいぶ食われちゃう。それで私どもは、ひとつ考えにやならぬことは、何か余裕があったら、職員の給与というものを上げたい、優遇したいというふうに考えております。それには、収入をふやすということと、経費の節約ということ、この二つだと思うのでありまするが、いまの状態では、これはなかなかむずかしい。結局、これから七、八年かかって輸送力というものをうんとふやして、実際のキロをふやして、そうして収入をふやすということにいくよりほか方法はないのです。それが、過密ダイヤの解消であり、また職員を優待する一つの解決方法じゃないか、こういうふうに考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 時間もありませんので、次のほうに移らしていただきます。  中小企業白書や政策予算を見ますと、政府の意図する中小企業の近代化というのは、中小企業の不利な環境を根本的に取り除くというのではなくて、大企業の技術革新を容易にするために、中小企業の受け入れ態勢を整える、こういう程度のものでないのかと疑問を持つのであります。その証拠には、設備近代化資金の融資対象は、主として大企業の系列につながる優良企業に限られておるような傾向が強い。系列外の弱小企業は、ほとんど無視されてしまっておるのであります。一方、大企業側も、自己の生産体制の確立、販路の開拓に直接必要な限りでは、中小企業の編成がえに力を注いでおるけれども、中小企業の下請的利用を、基本的に決して改めようとはしておらぬのであります。つまり中小企業は、あくまで従属的な取引関係において要求する技術や品質、市場を体系的、組織的に確保しようとしておるのであります。  これでは、いかに総理が、中小企業の近代化を唱えても、とても中小企業経営の自立は望みがたい、こういうことになるのであります。不況になると、すぐ資金援助は打ち切られる、下請の代金は支払いストップ、これでは中小企業は、倒産する道しかなくなってくるわけでありますが、この点、政府は、この白書にあらわれていることから見ても、どうも大きな手落ちがあるのではないか、私の指摘した角度に対しては、どういう見解を持っておるのか、お伺いをいたしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(福田一君) 中小企業の問題について、ただいまお話があったのは、特に下請関係の問題を中心に御質問があったと伺っておるのでありますが、実は、これはわれわれとしても、非常に関心を持っておるところでありまして、この一カ月半、二カ月くらい前から、その間の事情をいろいろ調べてみました。特に、この下請代金の支払い問題でありますけれども、いろいろ調べてみますというと、いわゆる大企業といわれるようなところは、下請代金の支払いは、順調にやっております。ただ、問題は、その中間の企業になるものが、案外、これに対する分が非常におくれておったりいたしまして、そういう意味で、実はわれわれとしても、順次これを是正していくような方法をとっておるわけでありまして、いわゆる大企業と称せられるようなところのほうは、案外、これは代金支払い遅延防止法をよく守っております。  が、いまあなたの仰せになったような、これを要するに、いまの政府の施策では、中小企業は救われないではないか、こういうところに重点を置いて御質問であったと思うのでありますが、御案内のように、中小企業というものは、白書でもいろいろ申し上げておきましたけれども、非常に多種多様でございます。大きく考えましても、いわゆる親企業とつながっておる中小企業、それからまた、そういうことのかい中小企業、いわゆる独立してやっておる中小企業、親企業と関係ない――これがございます。それからまた、そういうものに対しても輸出に関係あるもの、国内だけの問題のものもあります。それからまた、販売業というものも、大きいものと小さいもの、デパートとか小売とかいうようなことでありますが、これにもいろいろ種類がございまして、それぞれみな体質が違っております。また、対策も変えていかたければなりません。そこでわれわれはまず、その実態を把握するということが、一番大事であるというので、一生懸命その面に努力をいたしておりますが、いずれにしても、その実態をわかっておる面については、順次この生産性を向上させる、いわゆるいままで大企業と中小企業とでは、生産性がうんと違っておりますから、これを是正する、そして近代化をさせるというような施策を順次強力に、今後やってまいりたい、こう思っておるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 通産大臣の話のとおりだと、うまくいくはずなんであるが、総理にお尋ねをいたします。総理は、私の本会議における代表質問の際に、中小企業の三月危機は、自信を持って乗り切ります、こう言い切っておるのです。  ところが、一月の倒産状況は、負債一千万円以上のもので百九十八件、負債総額は二百八十二億円、二月になると同じく負債一千万円以上のものについて見ると、二百三十八件、負債総額は三百五十一億円となっておる。これは件数、金額ともに戦後最高のものであります。どうも私は、三月危機は乗り切れると豪語した総理の言葉は疑わしい。総理の施策には何か手落ちであったのではないか。もしあったとすれば、こういう状態を予想して、三月、四月、五月、六月をどうして乗り切るのか、あるいは中小企業の倒産は相当起こってもまあしかたがないと、こう考えておるのか、ぜひこの点を明確にしていただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 経済規模が非常に大きくなっておりますし、何か一昨年以来、ある程度設備の拡張をやり過ぎた――金属関係でつくり過ぎたところもあります。また繊維関係では、暖冬異変そのたのためもあります。しかし、少ないに越したことはございません。われわれは、それができるだけ大きくならないように、数が少なくおさまるように、いま金融その他で、財政面からも、いろいろ考えておるところであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総理は融資のワクを広げたり、近代化の資金を予算で組めば、中小企業のこういう倒産の傾向は解決つくものだと思っているのですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) そういうことをやり、お互いに業界において助け合うことによって、これを縮小し得ると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 時間がありませんので、納得できませんが、次に移ります。人事院総裁来ておられますか。  政府は、ILO八十七号条約の批准にからませて、国家公務員法の改正などを提案しております。これは公務員制度の重大な変革を意味するものでありまして、われわれは大いに疑義を持っておるのであります。そこで次の四項にわたって、人事院総裁に見解を承りたいのであります。  質問の第一は、人事院の設置せられるまでは、国家公務員の任免、分限、懲戒、給与、勤務条件等の諸問題は、どういう形で取り扱われておったのか、その当時の事情をお聞きしたい。  第二は、人事院の所管事項というのは何であるのか、また、今日まで人事院が果たしてきた役割をどう評価しておられるか。  第三は、政府の提案されているこの法案が、もし成立をみた場合には、人事院の所管事項は、具体的にどう変わるのか。その変化は、人事院の所管してきた事項のそれぞれにわたって、どのような影響を与えると考えるか。  第四番目は、この法案がもし成立するとすれば、国家公務員の人事行政の公正の確保や、身分保障等が侵されるおそれが十分にあるのであります。そうなれば団交権のない公務員の立場を、公正中立に守る第三者機関がなくなるのでありますから、当然新たに国家公務員法を改正して、これに団交権、罷業権を付与することが妥当だと考えるのでありますが、総裁の見解をお尋ねいたします。

佐藤達夫人事院総裁

○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。第一のお尋ねは、昭和二十二年の最初の国家公務員法成立当時の事情ということであったと思います。このころは、御承知のとおりに労働三法の適用がございまして、団交権を与えられておりました。ただし団交権については、今日の公労法のような整った制度はございませんでしたけれども、団交権が認められておりました。それから非現業の職員については、争議権は認められておりません。その他の点につきましては、人事院には規則制定権が認められておりました。それから給与その他の勧告につきましては、割合いに弱い形になっておりまして、およそ人事行政に関して意見を総理大臣に申し出るというような法制上のたてまえになっておりました、ただ、それに基づきまして、実際上勧告に類することをやったことはございません。大体、そういうたてまえでできておったと申し上げてよろしいと思います。  それから、その次に今度は、今日の現在の国家公務員法における中立機関としての人事院の役割ということでございますが、これは公務員法にも列挙してございますように、まず職階制度の問題、それから試験及び任免の関係、給与関係、それから分限の関係、服務の関係、懲戒の関係、能率及び研修、それから苦情処理、公平審査などの点に権限が認められております。それらにつきまして諸般の方針、基準、手続、規則及び計画の整備、調整、総合及び指示、さらに、これらに加えまして立法その他、必要な措置についての勧告権を与えられております。この中で重要なのは、給与の勧告権でございます。これらの幅広い権限は、すべて公務員の人事の公正を確保するためというねらいで、中立機関としての人事院にお与えいただいているものと、われわれは信じているわけであります。これに関しましての役割の問題でございますが、われわれとしては、力は及びませんけれども、この公務員法の趣旨にのっとりまして、できるだけその精神に沿うべく、そのねらいとするところを実現すべく、今日まで努力をしてきているわけでございます。  それから、この改正法案が成立した場合に、どうなるかということでございますが、これはただいま幅広い権限を、現在、これだけ持っているということを申し上げましたけれども、もう向こうにいくのは、どういう権限かと申し上げるより、人事院に、今度の改正の結果残る権限は何かを申し上げるほうが、早手回しだと思います。要するに公務員試験関係、それから公平審査、それから措置要求等の関係、それから職員団体の登録の関係、それに給与の勧告権、これだけが人事院に残される。先ほど申し上げましたものの中の他の権限は、ほとんど全部内閣の総理府の人事局に移るというところに、私どもは非常に大きな疑問と懸念を持っておるというわけでございます。  それからあと、その変化は、どのような影響を及ぼすか、これは、いま申し上げたところで、人事行政の公正の意義という点から申しますと、そのために、いまの制度ができているわけでございますから、それに大きなひびが入ると申しますか、大きな変化がくるのではないかということにおそれを持っておるというわけであります。  それから最後に、かような改正の結果、団交権の回復とか、あるいは罷業権の回復というようなことが当然問題になってくるんじゃないかというお尋ねでございますが、これはなかなかデリケートなむずかしい問題でございます。私どもはここで御了承いただきたいのは、ILO関係の公務員法改正の部分、これは別でありますけれども、それ以外の問題につきましては、実は現行公務員法を擁護する立場に私どもはおるわけです。したがいまして、またこの公務員法は、先ほど申し上げましたように、擁護するに値する筋の通ったものだというふうに考えておりますので、むしろその完全の実施のほうに全力を尽くしてまいるべく、たとえば給与の勧告権にいたしましても、ある程度もう尊重していただいておりますが、もう一息というところまで、これは何とか法律の理想どおり持っていきたいということに努力をしておるわけであります。正直のところ、団交権をどうこう、罷業権をどうこうというところまでは思いを及ぼすまだ余裕がございません。これも率直に申し上げておきたいと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 ただいま人事院総裁が、その見解を述べられましたが、総理にお尋ねをいたします。人事院総裁の見解に対して、改正案を提案している総理の見解をお聞かせいただきたい。特にこの中で、公務員の分限等に関する、懲戒、任免等に関する身分上の問題について、第三者機関がなくなることになるが、それではたして人事行政の公正が期せられると考えておるかどうか、その点は特にお答えいただきたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、人事院は中立機関としての使命を果していただき、公務員の実際面あるいは管理面につきましては、政府でこれを行なうことが適当と考えて法案を出しておる次第であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 大いに異議がありますが、時間の関係で次に移らしていただきます。  先ほど天田委員の質問に対して、労働大臣は、駐留軍労働者の対策について、おおむね炭鉱離職者と同様な施策を行なうと言ったが、これは炭鉱離職者に対策を施したそれと同じように駐留軍労務者に対して施策をとるということを言明されたものかどうか、再質問をいたします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 私は現在の駐留軍離職者に対する措置と、炭鉱離職者に対する措置を比較いたしまして、おおむね同様のものであるという趣旨で申し上げたのでございます。具体的に申し上げますると、駐留軍離職者に対する援護措置といたしましては、移転資金、これは炭鉱離職者と同様であります。それから訓練関係の諸手当、特別訓練を含めまして、これも炭鉱離職者と同様の措置がすでにとられつつあります。それから住宅の貸与、これも同じでございます。それから就職促進指導につきましても、同じ措置が制度としてございます。それから違いまする点は、石炭離職者のみに雇用奨励金という制度が特に設けられておるのであります。これは石炭離職者を雇い入れる使用者に対しまして補助をするというのでございますが、しかし現在駐留軍離職者に行なわれます措置といたしまして、職場適応訓練措置というものがございます。これは職場へつけまして、そして相当期間訓練中という意味で訓練手当を本人に給付し、また使用者に対して委託費を支給する、これは名前は違っておりますが、ほとんど同様の措置でございます。大体同じような措置がとられておる、こういう趣旨で申し上げたわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 次に、港湾労働者の近代化の問題ですが、御承知のように、この港湾労働者は現在非常識な状態に置かれているわけです。労働の条件にしても、雇用の条件にしても、あるいはまた労働時間の問題にしても、労働災害のきわめて多い状態にしても、非近代的な状態に置かれておるわけでありますが、今度港湾労働等対策審議会から答申が出されまして、この答申に基づく実施について、内容がいろいろ具体的にあげられておりますが、総理、運輸、労働の各大臣からそれぞれ所信を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 先般の港湾労働者に関する審議会の答申を、会長その他役員より受けまして、まだ十分読んでおりませんが、御苦労になって適正な答申が出ておることを承りまして、今後これによりまして政府として検討を加えていきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 労働省といたしましても、特に審議会長から詳細な御説明とともに、総理大臣あての答申の写しをちょうだいいたしております。ただいま検討を加えつつございまするが、関係官庁と十分に協議をいたしまして、できるだけ答申の趣旨に沿うてすみやかに実施いたしますように努力いたしたいと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 運輸大臣がいないから、それでは総理に伺います。  この港湾労働者の近代化の問題は、それ自体だけを進めたんでは片輪しか動かない、港湾運送事業の近代化とあわせて進めるべき必要があるのです。これは運輸大臣の所管ですが、総理大臣にこのことを並行して力を入れてやってもらえるかどうか、その点をお尋ねします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) これは先般会長並びに役員の方がおいでになりましたときもそういうお話がございました。これはやはり港湾労働という特殊の労働条件、労働環境でございますから、そういう関係の産業と一緒に考えなければならぬことは当然でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 港湾労働等対策審議会は、本年の三月末日で解散されるわけです。ところが、この審議会にかわる機関として、答申の中に、中央港湾調整会議を早急につくるべきであると答申しておりますが、総理はこの答申を尊重して設置する考えでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 港湾労働者問題の審議会におきましては、いろいろ議論がありまして、なかなか帰一するのにむずかしかったそうでございますが、各委員の方々の熱心なあれで、ほとんど全会一致と承っております。そういう問題の内容になる調査会の問題、委員会設置の問題等は十分尊重して考えたいと思いますが、まだ何ぶんにもいま関係各省で検討中でございますので、私ここではっきりした結論は出ませんが、審議会の答申はできるだけ尊重していきたいと考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 重ねて、答申の内容については十分尊重して今後政府においてやっていただきたい。  次に、北海道開発庁長官――政務次官ですか、かわって答えられますか。北海道の産業、文化、教育、社会施設、あるいは港湾、漁港等の状況、道路、橋梁、河川全般を見まして、私は北海道に住んでおる一人でありますが、本州の各県に比べて非常に後進性を持っておると認識をしておるのですが、開発政務次官のお考えを伺いたい。

井川伊平自由民主党北海道開発政務次官

○政府委員(井川伊平君) お説のように、北海道のただいまあげられました諸項目は、内地に比べまして大体におきましておくれておりますことは御説のとおりでございます。せいぜいその問題を内地並みに引き上げていきたい、ここに北海道開発計画の根本がある次第であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総理に一言申し上げたい。北海道に政府の出先機関がありますが、それに転任を命ぜられるとみんな島流しだといわれておる。本人は何とか一花咲かせて早く本省に帰りたい、だからちっとも落ち着かないで、何とか月立つようなことをしたい、それも長期政策ではない、そういう一般的な傾向が各省の出先機関にびまんしております。この問題を徹底的に解決してもらわぬと北海道の道民としてきわめて迷惑な面がたくさん出てくるのでありますが、総理はどう考えておられますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私自身北海道で三年近く役人をしておって、私自身がそういう考えは持っておりません。また私の知人で行く人は、特に北海道はいいところと、自分もそう思っている。みんな北海道の生活はよかったと私には言ってきております。私はそういうことはないと考えております。  それから北海道の後進性と申しましても、どこと比較するかという問題であります。私は三十年あまり前におりましたが、そのころと、函館はあまりあれでありますが、札幌その他の市に至りますると、札幌や釧路は東北なんかより後進性とは言えないほどの状態でございます。道路の問題でも、根釧地帯のほうの道路は東北の道路より非常にいいところもございます。一体にそれは開発がおくれたんでございますが、ものによっては非常に進んでいるところもあるのでございます。しかし、北海道内の調整ということも考えなければなりません。全体といたしまして、北海道が直ちに非常に後進性ということも考えられないし、北海道へ行く人たちがいやだということ、それは私は北海道を知らざる者の言うことで、行って生活したらいいところと言うと私は思うのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 総理のこういう考え方が北海道の道民を今日まで苦しめてきておる。ぜひ北海道の出先機関の人たちには、総理のいまの気持と同じようなことで頑張ってもらえるようにしてもらわなくちゃならない。  そこでもう一つ総理にお尋ねしますが、北海道が後進地域性を持っておるということを強調して、まず第一次産業の振興にもう一段とてこ入れをしなければならぬというそういう主張をすることは、現在の政府の経済成長政策にマッチしないから、そういうことはだめなんだと、こういう考え方が非常に強く主張される向きがあります。この考えはいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は北海道の農業が一番先進国の農業に近寄りやすい、そう考えております。所得倍増の点に至りましても、北海道の開発ということは第一次産業では最も嘱目すべき地域だと考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 今度の北海道開発の計画では、第一次産業のてこ入れが非常に不十分だと思いますが、総理はどうお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は具体的内容は存じておりませんが、北海道の開発は所得倍増計画の上に非常に大切なことだと思います。食糧増産その他におきましても、いままでのように、内地のいわゆる徳川時代のあの小さい経営規模のように制約がないのであります。わりあいにやりいいのじゃないかと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 開発政務次官にお尋ねいたしますが、今度の北海道の開発計画には、いま総理にお尋ねしたんですが、どうも北海道の第一次産業に対するてこ入れのしかたが北海道の実情から見て足らないのじゃないかと思うのですが、開発庁ではどう考えていますか。

井川伊平自由民主党北海道開発政務次官

○政府委員(井川伊平君) 御説のように、北海道は何と申しましても第一次産業に現在のところは重点を置いていかなければならない次第でございまして、   〔理事斎藤昇君退席、委員長着席〕 農業方面で申しますと、畑作農業に重点を置いていく、また草地の開発につきまして、公共事業としてこの問題に重点を置いて進めていく、あるいは漁業の関係におきましては、大型漁礁、これも公共事業として投入する、これらは、いずれも一次産業に相当重点を置かねばならぬという考え方から進められておる次第でありまして、仰せのように、第一次産業については北海道としては相当重大な努力をしなければならないと存じておる次第であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 次は文教問題について文部大臣にお尋ねします。  政府は僻地教育の重要性をどのように認識し、今日までどういう施策に力を入れて進めてきたか、そうして僻地教育の現状はどうなっているか、概括的に文部大臣の認識をお尋ねします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 教育の機会均等ということを考えます場合に、僻地における教育を充実し、振興しなければならないということは申すまでもないことでございます。われわれといたしましては、この僻地教育の充実振興につきまして今日までも努力してまいりましたし、今後もまたその努力を継続しなければならないと考えておる次第でございます。どういうことをやっておるかというお尋ねでございますが、米田議員が最もよく御承知のことだと思いますが、御承知のように、僻地教育振興法という法律も制定せられまして、その法律に従いましていろいろな助成計画等も実行いたしておるわけでありますが、同時に、またこの法律に規定せられてはおらない事項につきましても、法律の精神にのっとりまして、漸次充実をしてまいる、かような状況でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 教職員の配置基準を改善することがたびたび行なわれたが、文部大臣は政令二百二号をなぜ廃止しないのか、小規模学校に対してこういう劣悪な条件に押しつけている政令をいつまでもなぜ廃止しないのか、見解を承りたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 小規模学校におきます教職員の定数の問題でございます。これにつきましても漸次改善を加えてまいりまして、ことに先般の定数法の改正、こういうふうな措置によりまして、小規模学校に対する定数も漸次充実してまいっておると思うのであります。これらの従来の施策の運用によりまして今日政令を改正する必要はなかろう、かように私どもは考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 大蔵大臣にちょっと認識を深めるためにお伺いします。いまの政令二百二号というのは小規模学校、五学級以下の小さい学校では学級数に対する担任を、学級数の員数以外の教員を配置しないんです。三学級であれば三人、ただし、この政令は三校について一人だけは学級担任外の教員を配置する、こういう政令をようやく去年二校に一人というふうに改善はいたしましたが、これを撤廃してもらわないと、北海道のように五割からの小規模学校をかかえたところではどうにもならないのであります。どうも聞くところによると、大蔵省がガンでこのことを解決つけてくれないというのですが、どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) お話につきましては、いま文部大臣が述べましたとおり、文部大臣とよく相談をしましてやりたいと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣にお尋ねしますが、どうも文部省のやっておる行政の傾向を見ますと、養護教諭を置く問題にしても、事務職員を置く問題にしても、司書教諭を置く問題にしても、全部学級数の多い学校から順次置いてきておる。このやり方は明治時代のやり方で間違いではないか、たとえば養護教諭について言うなら、小規模学校というのはいなかの学校、僻陬地の学校、無医村、無医部落、そういうところにこそこの養護教諭を置いて、子供の健康管理、衛生指導をやる、そういうことが大事なのであります。それをそういうところには置かないで、三十学級、二十五学級、二十学級という多級学校の都会の学校にばかり置く、こういう考え方を根本的に考え直す必要がないかという主張でありますが、御意見はいかがでありますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の定数法の改正に伴いまして、養護教諭等の数もふやすことにいたしております。従来あるいはそういうきらいもあったかと存じますが、この点につきましては、私どもといたしましても十分検討をいたしたいと存じます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 これは総理にも大蔵大臣にも文部大臣にも聞いてもらいたいのですが、この小規模学校教員というのは免許状を持たない学科を教えておる、免許状を持たないで。ただし、臨時免許状という専門でない、ごまかしの免許状で。ですから車でいえば無免許運転と同じなんです。北海道は学力テストをやると成績が悪い。五割の小規模学校がある。無免許運転者の教師がたくさんおる。これを根本的に解決つけてもらわなくちゃならない。臨時免許状をやって、一年ずつ免許状以外の学科を教えておる。このことをいつまでもじんぜんとしてこのままにしておく考えかどうか、見解を承りたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 全体的に申し上げまして、臨時免許状を持っておる教職員の数はかなり減ってまいりました。ただ、その減り方が若干僻地の小規模学校のほうが少ないようでございますけれども、相当減ってまいったことは事実であります。われわれといたしましても漸次これが解消につとめたいと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣にお尋ねしますが、最近全国的に小中学校の統廃合の問題が進んでおるわけです。ところがこの間、開拓地のおかあさん方が東京に集まって、皆さんのところにも行かれたと思うが、陳情に来ました。統廃合をすると、ものすごく通学距離が延びて、開拓地などの子供は積雪中の冬季期間は通えない。これではどうにもなりませんということなんだが、どういう行政指導をやっておるか。それからまた統合した場合の通学距離の延びる問題についても、一体、子供の犠牲、親の犠牲で事を済まそうとしておるのか。どうも行政指導上疑義がありますのでお尋ねします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 学校の統廃合に伴いまして通学距離が延長しておる。これに関連いたしまして通学上子供が困っておる、これは事実であろうと思うのであります。この解消のためにわれわれといたしましても努力いたしてまいっておる次第であります。この問題につきまして、文部省が今日まで講じております施策につきましては、皆さんもよく御承知のことでございますが、市町村がその通学に関してバスとかボートとかいうような交通機関を設置する場合には、これに対しまして助成をいたしておる。また交通機関を利用して児童生徒が通学しておる場合には、経済的に恵まれない家庭の児童生徒に対しましては、市町村を通じまして国が助成をいたしております。特にまた、年間を通じて積雪等のために寄宿舎を設置するような場合におきましては、その設置につきまして補助を行ないますほかに、経済的に恵まれない家庭の寄宿児童生徒につきましては、寄宿舎居住費を免除することにいたしまして、これに対しても若干の補助をいたしております。さらにまた、これは明年度からの問題でございますが、私どもといたしましては、年間を通じまして中学校の通年制の寄宿舎を設置する場合には、明年度からは寄宿生徒の全員に対しまして寄宿舎居住費の免除を行ない、この経費について国が二分の一の助成をする。以上のような措置によることができないという事情があります場合には、冬季分校の開設を進めまして、それに必要な経費については国庫負担金、特別交付税等によりまして所要の財源措置を講じておるようなわけでありまして、市町村の当局におきましても、このような施設を活用していただきまして通学あるいは勉学の便宜を与えるようにしてもらいたいと思うのであります。なお、決して十分とも存じておりません。漸次予算等の充実をはかってまいりたい考えであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 この僻地教育の問題は、ずいぶんやらなければならない条件の整備がたくさんあるのですが、そのうちの一つとして困ることは教師の確保の問題であります。どうして優秀な教師をこの僻地の学校に求めるかということは難中の難ですが、現在僻地手当というものが支給されておりますが、これは省令でこの基準点数というものが機械的にきめられているわけであります。ところが基準点数の算出のしかたが、まず私に言わせると大正時代的でありまして、今日のような文化、経済がどんどん進んでいく世の中に、依然として基準点数の算出のしかただけは大正時代的である。結論的に言うならば、なるべく僻地手当を与えないようにするために努力をしておる基準点数の算出のしかたである。これを根本的に解決をずる必要がある、こういうふうに私はまず一つ考えるわけです。さらに僻地に働く教職員については、まあ教職員をやっておる間、僻地手当制度というものを設けて、その人の基本給以外に付加してやるという待遇の措置を講ずる、こういうやり方、それから僻地の教員は三年ぐらいやっていると全然ぼけてしまう、外へ出ないので。研修のための旅費がないわけです。ですから、私は僻地教育の振興を考えるならば、ここに特別の研修のための旅費を僻陬地手当に重点的に落としてやる必要がないか。これらの施策によって研修のこともあるいは人材をそこに吸収することも、総合的に進められるのじゃないか、こういう考えを持っておりますが、総理大臣のお考えいかがですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) いろいろ問題があると思いますが、先般来の大蔵大臣、文部大臣の答弁がありますように今後十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣どうです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 僻地に優秀な教員を確保するということは、われわれの念願でございますが、なかなかむずかしい問題であるということは、いまさら言うまでもないのであります。そのために、いま僻地教員の処遇に関しましてあるいは職員住宅でありますとか、そのほかの道を講じておりますけれども、なかなか思うようにまいらぬ、と同時に、僻地手当というふうなものを出しておりますこの僻地手当の額につきましては、必ずしも実情にそぐわないものとも私ども思いませんけれども、なお改善の必要があるかもしれません。いろいろ教員の処遇の方法等につきましては、さらに私どもも検討いたしたいと考えておりますし、同時にまた、僻地の基準こういうような問題につきましてもだんだんと時世も変わってまいっておるわけでありますので、私どもといたしましては実情に沿うように今後とも検討を重ねたいと、かように存じております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 次に、私は入学試験制度の問題について、先般も代表質問で触れたのですが、文部大臣の答弁は、そのときはどうも親もよく考えてもらわなくちゃならぬという軽い程度で逃げられてしまったのです。ところが今日はそういう軽いことばで逃げれるような実態ではないわけです。政府は、一体このことを本気で考えておるのかどうか疑問があるわけです。優勝劣敗は世の常であって、とにかく上級学校の進学に激烈な競争のあるのはあたりまえだ、だから入学選抜は現在のような状態でもいいのだ、こういうふうに考えておられるのじゃないかと思いますが、文部大臣いかがですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 決しておろそかにしているつもりはないのであります。現在入学試験という問題は、われわれの最も悩みの深い問題であるということは、これはもう明らかなことであります。軽く逃げておるとか、そういうふうな心持ちは毛頭ございません。私どももよい方法があれば十分これを採用したいと思うのでありますが、なかなか思うような名案というものが浮かんでこない、そこに私どもの悩みがあるわけであります。われわれとしましては、選抜の方法等につきましては、改善できるものはどしどし改善してまいりたい、こういう意欲を持っていろいろ検討をいたしておるところであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 現在の入学試験制度というのは、ただ一回のテストによってその勝敗がかけられる、こういうところに問題があるんじゃないか。ですから、いまごらんなさい。塾教育、家庭教師あるいは予備校が全国にはんらんしておるわけです。こういうところの教育は、これは私は学校教育を破壊するやり方をしておる、こう思うのですが、どうですか、この点は。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 私も、いまお述べになりましたような現在の事情というものは、決して喜ぶべき事態ではないと思うのであります。したがって入学につきましては、御承知のようにできるだけその生徒児童の能力あるいは特性に応じた学校を選んでもらうことが第一の要件である、そういう方面の指導も十分にやってもらいたいと思いますし、入学試験の問題に関しましても、在学中に学校で学んだことで十分間に合う程度の入学試験問題を出してもらいたい。無理な試験問題を出して、外で勉強しなければならぬというふうなことでは困るのでありまして、学校で学んだことをまじめにやっておれば、それで入学試験はパスする、こういうような問題の出し方をしてもらいたい、このような指導もいたしておるわけでございます。いまの事態につきましては、私どもまことに残念に思っております。学校におきましても、その意味におきまして生徒あるいは父兄に対する指導を十分にやっていただきたいと思いますし、先ほど、軽く逃げたとおっしゃいましたが、私は、やはり家庭の側におきましても、子供の将来ということを考えましたときに、この入学試験問題については十分考え直していただきたい点が多々あるように思うのでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は文部大臣の答弁を聞いていると、文部大臣はお子さんがないんじゃないかと思っている。あなたの言っておるようななまやさしいことで、ものが解決するなら、こんな試験地獄はできないのですよ。そんななまやさしいことを言っておるから解決つかない。現状をどう認識しているのですか。この状態は絶対だめだ、日本の教育のために。何とかしなければならぬということを真剣に考えれば、策は出てくる。大体一回のテストで一生の方向がきまる。しかも社会はどうですか。有名校から出てきたものを喜んで迎える傾向にあるでしょう。あなたの言うようなことを言っておっても、親なんかそんなことに耳をかしませんよ。あなただって子供がおったらそうするでしょう。だから私がふだんから主張しておるように、学校で平素学んでおる成績そのままで入学の選抜が行なわれるようにすべきだ、一堂に集めて一回試験を課して、その結果が選抜するようなやり方は、どうしても試験地獄といういまの日本のこういう情勢を生み出すのだと常に主張しておるのですよ。なぜそこに手をつけられないのですか、勇断をもって。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題は家庭においても考えてもらわなければなりませんし、また同時に、社会においても考えてもらわなければならぬ。学歴尊重というような点につきましても考え直してもらいたい点がございますし、また有名校だけから採用すればそれで安心だというような安易な考え方も捨てていただきたい、どこまでも実力を尊重してやっていただきたい。こういうふうに、学校とか家庭とか、あるいは社会すべてにおいて今日の入学試験のあの状況というものを緩和し、また、解消するために協力していただきたいと思うのであります。学校における成績の内申だけで入学さしていいかどうか、この点については、なお検討の余地があろうと思うのであります。学校の内申だけで入学試験をなしに済ますというふうに踏み切るのには、もっともっと検討しなければならない点があろうかと思うのであります。十分私どもとしましては、この問題につきましては真剣に心配をしておるということだけは、ひとつお認めを願いたいと思うのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は人間の欲望について理解しておらない。人間の欲望は、あなたの言っておるようなことをしておったのでは、この試験地獄は解決つかないのだ。試験地獄が解決つかないばかりでなく、学校教育が破壊されていく。ですから私は次善の策であっても、平生学校で一生懸命に学んでおれば、その実力でもってそのまま入れるという、そういう仕組みが必要だということを強調するのですよ。それはそれでいいかどうかわからぬ、今後まあ十分に慎重に考えましょう、心配しているのだ、そんなことであなたこの問題は解決つきますか、何年研究すればわかりそうですが、お伺いします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) この入学試験の問題につきましては、最初に申しましたように、名案があればいつでも私は採用するつもりでおる。確信の持てる案さえあれば採用するに決してやぶさかではございませんけれども、まだそういうものができないということを私は申し上げておるわけであります。米田さんに名案があれば、私承りたいと思うのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは時間がありませんので、最後に、高級公務員の民間営利会社への天下り人事の問題について総理の見解をただしたい。三日の閣議だかで各大臣から、転出には各省にアンバランスがあるので、これをなくすべきだとか、プール制にしてあんばいしたらどうかとか、適材適所だからそんなプール制は困難だと、そういう話題が出たそうであります。私はこの発言は、高級公務員の営利会社への天下りが当然だと考えている閣僚の人たちの気持ちを端的にあらわしているのではないかと思う。人事院の報告では、本省の課長、課長補佐クラスで、あるいは地方出先機関の部長クラス以上で昨年民間の営利会社へ出た者は百六十一名であります。前年に比べて六%増、そのほとんどが重役のポストについておる。たとえば陸運局の部長がタクシー会社の社長、国税局や財務局から商事会社や銀行の幹部、開発局の部長が土建会社の重役、食糧庁の事務所長が油脂会社の取締役、こういった転出ぶりであります。問題なのは、このように役人時代に直接関係を持った企業への転出がその大部分だというところにあるわけです。役人が在職中に特定の民間会社と特殊な関係を結びながら行政を行ない、その報酬として退職後重役のポストが与えられる、また行政の監督権や許認可権にものを言わせて民間企業に対して役員の受け入れ態勢を強要したりしておるという話もあります。国家公務員は法律があって一応拘束をされておるのですが、この法律自体は抜け穴があるわけです。そこで、私は時間がきてしまいましたので、現在この国家公務員は離職後二年間は離職前の五年間在職した国の機関と密接な関係のある営利会社につくことができないというこの法の定めの中の、人事院の承認を受けた場合には適用しないというこういう抜け穴をなくして、もっと天下り人事を規制する決意はないか、そういう方策を立てる気はないか、こうお尋ねをいたします。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私はいろいろの経験をもっておりますが、あなたがおっしゃるほど在官時代に特殊の関係があったとかなんとかいう例は、私はほとんどないと思います。おおむね適所適材で動いておると思います。したがいまして、いまはそういう特別の関係があると思われるような場合におきましては、すなわち在職当時の職務関係で関係のあった会社へは、人事院に相談して判断をしてもらっておるわけであります。ただいまそういうことをやめて、天下りというのじゃなしに、横すべりというか、あるいは上へ上がるというか、私は天下りということばはどうかと思うのでございます。やはり人材を適所適材に使っていく、そうしてまた若い人を上へ上げていくということは、そう特に私はいま弊害があるとは考えておりません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 どうも総理大臣のいまの答弁を聞いていると、この世上さわがしい問題になっている役人の営利会社への転出ですね、その問題を軽視しておるように聞こえるのですね。私は転出すること自体はいいというのですよ。そのこと自体が悪いとは言わぬ。しかし、その行き先がすべて役人時代に関係のあるそういうところにどんどん流れ込んでいっておるというのが実情でしょう。そうすると、そこに役人時代の勤務状態の中に問題があるんじゃないかという疑惑が起こってくるわけですよ。その点があるので、国民はこういうひんぱんな天下り人事はどうもよろしくない、こういう批判をしておるのですよ。その批判を、いまのような総理大臣のように、大いにやってよろしいといったような答弁では納得ができません。やはりこれは規制すべきであります。どうですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 税務官吏が非常に出ていく場合がありまして、昔こういうことにつきましては、われわれは極力これを引きとめたという事例はございます。それから役所におりましても、特別の地位におって、たとえば銀行局長が民間の銀行にすぐ出るというふうなことは、私は、これは人事院の承認を得なければいかぬと思いますが、大蔵省なるがゆえに公団に行ってはいかぬというふうなことは、私はいかがなものかと思います。いまのところ、私は目にあまるようなものはないと考えております。その点は各省においてよほど注意してやっておられると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 もう時間がきたという通告を受けましたので、これ以上心臓強くやるのはどうかと思いますから、これで質問を中断させていただきます。

太田正孝自由民主党

○委員長(太田正孝君) 米田君の質疑は終了いたしました。  今日はこの程度にいたしまして、明日午前十時より開会いたします。    午後五時三十一分散会

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