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46回国会参議院1964/06/02

法務委員会 第28号

発言数
65
登壇者
10
会派数
2
開催日
1964/06/02

会議録

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。植木君。

植木光教自由民主党

○植木光教君 暴力犯罪の取り締まりのために今度の改正案が出されているわけですが、刑法の改正によらないで、暴力行為等処罰に関する法律の一部改正という形で行なおうとする理由はどういうことですか。また、今回の改正案を含めて、暴力法に規定されている暴力犯罪は、改正刑法準備草案ではどのように取り扱われているか。また、同草案の立法化作業の進行状況をこの機会にあわせてお聞きいたしたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 御質問は三点に分かれているようでございます。  まず第一点の、今回の改正を刑法によらなかった理由でございますが、今回の改正のおもなる部分は、これは本来刑法で改正すべき事項であろうと思うのでございます。それを暴力行為等処罰に関する法律の改正によりました理由は、今回の改正を必要の最小限度にとどめてまいりたいということが一つの理由でございます。それから本来この暴力行為等処罰に関する法律は、大正十五年にできましたときは、すなわち町の暴力を防止するためにつくられた法律であったようでございます。そういたしますると、今回の暴力対策も主として町の暴力を取り締まろうという趣旨のものでございますので、この部分の改正をいたしますのが——本来この法律が存します限りは、この法律の改正によるのが最も適当であろう、こういうことにまあ事務当局としましては考えた次第でございます。なお、そのほか、暴力団を対象とするということで独立の特別な法律をつくるということももちろん立案過程におきまして考慮いたしたのでございますが、何と申しましても、刑法的な規定を間違いなく正確に運用をいたしますためには、既存の法律概念、既存の判例、こういうものを基礎にして、それらの解釈の上に立って新しい法律が運用されるということが、これはおのずから制約を受けていることでございまして、こういう形でやりますことが刑法的な規定の適正な運用を期する上においては必要でございます。で、新しい法律をつくりますと、そういう既存の学説、判例というものを十分に活用することができません。一方、これに反しまして、暴力行為処罰法は、すでに四十年の歴史を持っておりますので、この種の判例、学説というものは確立しておるのでございまして、そういう点をフルに活用いたしますためには、やはり既存の法律の一部改正で行くのが最も適切であろう、かように考えた次第でございます。  次に、第二点でございますが、暴力行為処罰法の中の第三条は請託罪と言われておるのでございますが、一種の幇助、教唆犯、こういったようなものの実体の規定でございます。この規定を除きますその他の罪のおもなものは、それぞれ法定刑を若干引き上げまして準備草案の中に取り入れられておるのでございます。まず、第一条第一項に定めております罪のうちで、加重暴行、加重脅迫の点は、準備草案の第二百七十八条、第三百二十一条に取り入れられております。また、第一条第二項に定める罪のうちで、常習暴力、常習脅迫の点は、準備草案におきましては、第二百七十七条、第三百二十条に取り入れられております。第二条所定の面会強要の点は、草案の第三百二十二条に取り入れられております。なお、草案の第二百七十八条には多衆の障害罪を規定しておりますし、草案の第二百七十七条には、このたびの改正案にありますと同じ常習傷害が新たに規定されておるのでございます。暴力行為事犯につきましては、先ほど申しましたように、これは本来刑法的な規定でございまして、刑法そのものであるわけでございますので、この罰則の規定の整備強化をはかりますことは、刑法改正の眼目の一つともなっておる次第でございまして、刑法の全面改正の際にこれを取り入れまして、暴力行為処罰法は解消していくという作業がなされるはずでございます。ただ、銃砲刀剣類による傷害という罪につきましては、準備草案の中にはこういう規定はございませんのでございますが、草案におきましては、傷害の結果が重大であるかどうかという点に着目をいたしまして、重大な結果の発生した場合には重い刑をもって処断するという立場をとっておるのでございまして、草案の第二百七十四条におきましては、いわゆる重傷害の規定を設けておるのでございますが、今回の改正は、この重傷害という点ではなくて、手段の兇悪なもの、これに着目をいたしまして刑を加重するというそういう立案をいたしたのでございます。このような立案形式は外国にもその例はたくさんあるのでございまして、今後この法律が成立した暁におきましては、準備草案で手段に着目した刑の加重規定というものを当然法制審議会において検討をしていただくことに相なろうかと考えておる次第でございます。  第三点の刑法改正作業の点でございますが、これは去る昭和三十八年五月二十日に法制審議会の総会で大臣から全面改正についての諮問が発せられまして、自来審議のために刑事法特別部会というものが設けられまして、さらにその特別部分は五つの小委員会に分かれて、ただいま鋭意審議を重ねておるところでございます。小委員会におきましては、今日まで大体各委員会とも十回以上会議を開いておりまして、まずおおむね順調に進行しておるものと考えております。しかし、刑法は国の基本法典でございますので、この全面改正をいたしますためには、総則、各則にわたりまして慎重に検討を要する多くの問題がございますし、今後全面的な成案を得ますまでには、少なくとも三年以上かかるのではないかというふうに考えておるのでございます。法制審議会の答申を得まして後に、さらに国会の御審議をわずらわすということになりましても、その改正案が成立をいたしまするまでには、どうしても数年は少なくとも考えなければならぬ、かような状況にあるように推察される次第でございます。  以上、三点をお答え申し上げました。

植木光教自由民主党

○植木光教君 この間の委員会でお伺いいたしましたように、今度の改正は暴力団そのものを取り締まるような立法形態でないことや、現行法の運用にあたって乱用や行き過ぎがあったというようなこと等を理由として、この改正案は、大衆運動や労働運動を弾圧することを目的としている、少なくともそのおそれがあるという根強い反対論が行なわれているということは御承知のとおりであります。  そこで、お伺いいたしたいのでありますが、大正十五年に現行法が成立しましてから、この法律が小作争議であるとか労働運動そのものに適用された事実があったのかどうか、また、本法案に反対する者はもちろんのこと、今回の改正を全面的に支持しておりますほとんどすべての報道機関の論説においても、かつては小作争議や労働運動に適用されたと解説しておりますが、その事実の有無についてお伺いをいたしたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) この法律が成立の暁においては、少なくとも現行法が乱用されておるので、さらにこの新しい法律もまた乱用されるのではないかというような御心配からそういう説をなされる方がありますことは、私もよく承知しておりますし、さらにまた、この改正案が労働運動、大衆運動等を弾圧する目的があるのではないかというようなことを言われる方があるのでございまして、この点、私ははなはだ遺憾に存じておるのでございます。つまり、乱用という点から申しますと、現行法も私は乱用した事実はないというふうに考えておるのでございます。それからまた、大衆労働運動に乱用して適用されるおそれがあるというような御議論も、これは私は全く杞憂に属する御議論であろうというふうに考えておるのでございます。  まず、乱用、行き過ぎの点でございますが、いまおことばにありましたように、労働運動、大衆運動に適用されたという新聞の論調などにも一部そういうことばが使われており、これは用語の問題もあろうかと思いますが、労働運動、大衆運動に適用してそれを弾圧したという法律かどうかということは、法律自体をごらんになればわかるのでございまして、これは暴力行為が構成要件になっておるのであって、暴力行為でない労働運動や大衆運動に適用する余地がないことは、刑法の規定を見ればわかることでございまして、これがなぜ労働運動、大衆運動にも適用した、適用したと、こういうふうに言われるのかと申しますと、この法律が大正十五年にできまして、その後間もなく、当時ほうはいとして起こりました農民運動の暴力行為に適用された。こういうことから、ずっと戦前この種の法律がそのような労働運動、大衆運動の行き過ぎた暴力行為に適用を見たということから、そのように労働運動に適用したというようなことばをお使いになっておるのじゃないかと思うのでございますが、これは労働運動そのものに適用したのじゃなくて、労働運動の際に派生をいたしました暴力行為、その暴力行為が暴力行為処罰法の構成要件を充足いたしました場合に適用を見たのでございまして、それは戦後においても年間約三百程度の事件が労働運動や大衆運動にも適用を見ているのと何ら選ぶところはないのでございます。そういう意味から申しまして、これが労働運動そのものに適用したのじゃなくて、労働運動、大衆運動の際に派生いたしました越軌行為とも言うべき暴力行為に適用があったということの意味でございまして、そういう意味において、正確に使いますならば、労働運動そのものに適用したという論は、やや趣旨をとり違えておるか、あるいは用語の使い方が正確でないということになろうかと思うのでございます。  なお、この法律がよく乱用されるというのでございますけれども、私はこの四十年間の運用の実績を見まして、乱用されたという証拠はないと思うのでございます。いまのようなことを乱用だとおっしゃれば、これは格別でございますが、いまのような点で私は乱用はないと思います。現在も乱用しているとは思いません。したがいまして、乱用があったという具体的な事実は、私は正確にここで御説明申し上げることはできません。判例も大審院以来、最高裁の大法廷の判決に至るまで、ほとんど一貫しまして、健全な労働運動等を抑制弾圧するために暴力行為等処罰法を用いることはもちろん許されないが、労働運動だとか団体交渉だとかいえば何でもかでも合法的なものであるというわけにはいかないのであって、それらの行為にはおのずから適法、不適法の区別があり、限界が存するのである。いやしくも適法性の限界を越えて行なわれた暴力行為に対してまでも法の保護を認めることはできない、そこに本法を適用されることあるべきは当然であるという論旨でございます。こういう形でこの法律は適用されておるのでございまして、いささかもそのために乱用、行き過ぎというようなことはないと確信をいたしております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 現行法も、乱用の事実はない、小作争議や労働運動そのものに適用されたことはない、ただ、それに伴って派生した越軌行為であるとか、不法な暴力行為に適用されたということでありますが、それら越軌不法行為に適用をした実情、ことに戦後の実情について具体的に御説明を願いたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 戦後につきましては、たとえばこの数年間にわたる本法の適用状況に関する資料をお手元にも差し上げてあるはずでございますが、これをごらんいただきますとおわかりになるとおり、本法の違反によって検察庁が受理しました人員の中で、労働運動、大衆運動等の事件でこの法律の適用をみた人員の占める割合でございますが、これは先ほどもちょっと触れましたが、年間平均いたしますと、この種の違反事件の中の二、三%にとどまるのでございます。一方、暴力団の構成員のこの種の事件の検挙人員は全体の約半数、五〇%弱でありまして、この適用状況から見ましても非常にその間に差異があることがはっきりわかるのでございます。特に、私どもの調査したところによりますと、労働運動等に適用を見ましたのは、現行法の第一条第一項に関するものでございまして、現行法の第一条の第二項、つまり改正案の第一条ノ三というこの常習の規定は、ほとんど適用がなかったと思います。現に私どもも調査した限りでは一件もございません。また、これは法律の規定はございませんけれども、類型的に見まして、銃砲または刀剣類を用いてする傷害でございますが、こういう傷害事件の中から、こういうものを用いてやった傷害事件というものに労働運動、大衆運動の関係者が引っかかった事例があるかどうかという点も調べてみましたが、私どもの調査した限りでは、右翼の暴力団の介入した事件ではございましたが、革新陣営の関与した事件では一件も見当たらなかったのでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 警察庁長官にお伺いしますが、いまの法務省の説明にもありましたように、新たに設けられる第一条ノ二や第一条ノ三、これらは大衆運動や労働運動の弾圧を目的としたものではない、大衆運動、労働運動そのものに適用することは絶対にないという御説明でありましたが、警察庁の立場でもそのことが明言できるかどうか、重要であるので、重ねて長官から、お伺いしたい。

江口俊男警察庁長官

○政府委員(江口俊男君) 私たちも全くそのように考えております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 第一条ノ二に、「銃砲又ハ刀剣類」とありますが、この「銃砲又ハ刀剣類」とはどういう内容をさすのであるか、お聞きいたしたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 第一条ノ二の「銃砲又ハ刀剣類」とございますのは、銃砲刀剣類等所持取締法の第二条に同じ用語が使ってございます。これと内容は同じであるというふうに私どもは解釈をいたしております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 そういたしますと、大衆運動や労働運動でしばしば用いられる竹やりであるとか、プラカードの柄であるとか、組合旗等は、銃砲刀剣類の類の中に入れて解釈するということはないか、また、この場合「類」とは何をさすのであるかということをお伺いしたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) ただいま御質問のございました大衆運動、労働運動等においてしばしば用いられる竹やりとかプラカードの柄とかいったようなたぐいのものでございますが、こういうものは銃砲刀剣類の中には、はっきり申し上げますが、入りません。  銃砲刀剣類とは、銃砲刀剣類等所持取締法第二条に規定してございますように、「銃砲」というのは、「金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃」をいうのでございます。それから「刀剣類」と申しますのは、「刃渡十五センチメートル以上の刀、剣、やり及びなぎなた並びにあいくち及び四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ」をいうのでございまして、ただいまプラカードの柄とかなんとか申したものはこういうものの中に入らないのでございます。  それで、なお、「類」という意味の説明をしろということでございますが、類というのは、文字どおり刀剣類とありますその刀剣のたぐいでございまして、刀剣とは何ぞやということにつきましては、判例もございますように、実質的にも形式的にも刀剣の実体を備えたものでなければならぬということになっております。そこで、たとえば指揮刀のようなものは、刀の形はしておりますが、中があかがねでできておるようなものは刀の中に入らないというわけでございまして、刀といい、剣といって、いかにも明白のように見えますけれども、実質が刀剣でなければならぬという意味においてその刀剣類という説明をいたしておるわけでございます。それからなお、刀剣類とありまして、法律には、いま申したように、やり、なぎなた、あいくち、飛出しナイフまでも入っております。したがって、ここで形式論理的に申しますならば、刀剣の類という類は、やり、なぎなた、飛出しナイフ、あいくちというように見てもよろしいのでございますが、実質は、最高裁の判例等にも示されておりますように、たとえば昭和三十一年の四月十日の第三小法廷の判決を見ますると、「「刀」「匕首」「剣」「やり」「なぎなた」とは、社会通念上右のそれぞれの類型にあてはまる形態、実質をそなえる刃物を指称するものと解すべきである。」と、こういうふうに申しておりまして、社会通念上その類型にはまる形態、これが類を示しておるのでございます。したがって、こういう類型からはずれておりますようなものは、幾ら広く解釈をいたしてまいりましても、プラカードの柄や旗、さおなどに広がっていく性質のものでないことは、この判例と解釈との両面から見てはっきりいたしておりますので、そういうのは入らないということを私は明言することができると思うのでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 第一条ノ三に、「常習トシテ」暴行や脅迫や器物損壊や傷害「ノ罪ヲ犯シタル者」云々と規定をされているわけでありますが、大衆運動、労働運動などで先ほどお話がありましたような越軌不法行為、暴力行為を行なった者に対してもこの第一条ノ三が適用されるかどうか、常習性の認定の方法についてお伺いをいたしたいと思います。また、具体的に何年以内に本条所定の暴行や脅迫などの暴力行為の前科が何犯あればこの適用を受けるのかということについてもお伺いをいたしたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 常習性の問題でございますが、これは説明いたしますとなかなかむずかしいと思うのでございますけれども、もうすでに日本の刑法には古くから常習賭博という罪がございますし、現にこの暴力行為処罰法の一条二項におきましても四十年来常習暴行という罪がありますし、そのほか常習累犯窃盗とか、改正になりましたが改正前の常習麻薬売買、こういったような常習という概念が日本の刑法には古くからございますので、幾多の判例が出ておりますし、学説も出ておりまして、その点の概念は私ども法律家の立場から申しますときわめて明白であるというふうに申し上げることができると思うのでございますが、これをわかりやすく申し上げますと、ある罪を繰り返し繰り返し行なうという習癖、そういう習癖を持っておる人がその習癖のあらわれとしてある暴力犯罪を犯した。その場合に、その暴力犯罪が常習として行なわれた暴力犯罪である、こういうふうに見るのでございます。そこで、繰り返し繰り返し行なう習癖を有しておるかどうかを認定するには、前科前歴というものも参考になりましょうし、そのときに犯した犯罪が、前科前歴はありませんが、何十回にもわたって同じようなことを繰り返し繰り返し行なったという具体的にその行為の形から習癖があるというふうに認められることもありましょうし、そういうものは社会通念によっていま申したように習癖と認められるかどうか。習癖というのは、その人が持っておる癖でございますので、癖と認められるかどうかということは前科だけで認めるのじゃございません。したがいまして、ある罪を犯す以前に五年以内に何回も同じような前科があるということだけでもって常習性というものを認定するのではございませんで、主観、客観の両面から、いま申したような癖があるのだということが認定できるかどうかということできまるわけでございます。  そこで、ひるがえって、それを前提といたしまして、それじゃ労働運動等の活動家が、あちらで暴行の前科がある、また、どこかの争議でまた同じようなことをやったといって前科を重ねたような場合に、こういう活動家が習癖があるというふうに認められるかどうかということなんでございますが、これはその活動家は労働争議を指導するというような意味においていろいろな労働争議に顔を出すということはあるかもしれませんが、暴力行為をする習癖があるのだというふうに認められるかどうかということは、これは社会通念できめなければならぬ。私は、いろいろなところに顔を出すのは、活動家として党の組織として、あるいは労働運動、組合の命令によってあちこち顔を出すのであって、たくさん出るのは、そういう命令によってやるのであって、習癖によってあっちこっち顔を出すのだとは思わないのでございます。そういう意味から申しますと、私は、活動家にすぐ常習性ありというふうに認定するということは社会常識に反するのではないかという見方をしております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 さらにお聞きいたしますが、改正によって今度刑の下限が引き上げられる。その結果、権利保釈からはずされるということになるわけでありますが、労働争議等の関係者が長期にわたって身柄を拘束されて争議が事実上続行不可能になる、あるいはまた精神的に威嚇を受けて労働争議等の大衆運動が弱体化するおそれがあるというような議論もあります。かようなおそれはないかどうか、お伺いいたしたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 今回の改正点は、銃砲刀剣類を用いる傷害と、それから暴力行為の中で常習として傷害の罪を犯す、その二つが短期が一年以上ということに下限が引き上げられることになるのでございます。その短期が一年以上になりますことの結果といたしまして当然の反射的効果でございますが、短期一年以上に当たる罪を犯したものについては権利保釈ということから除外されまして、裁判官の裁量によって保釈するかどうかをきめるということになる法律の仕組みになっておりますので、その限りにおきましては権利保釈から除外されるということになるのでございますが、先ほど来申し上げますように、労働運動、大衆運動等を指導されます活動家の方々が、実際の例においても銃砲刀剣類を用いた傷害というものはいままで一件もなかったのでございます。それからまた、常習性については、ただいま申し上げたとおりでございます。この二つの改正法律に触れる場合というものは、私は常識上考えられないのでございます。考えられないとすれば、そういう罪に当たる罪だけがこの権利保釈から除外されるのでございますから、権利保釈というそういう除外されるような結果がこの改正によって起こってくるとは思われないのでございます。したがって、先ほどおことばにございましたが、権利保釈から除外されるがために大衆運動が公権力の威圧を受けてやりにくくなるといったような議論は、私は、先から先へと次々と議論を広めていったお話でございまして、とうてい現実的なお話ではないというふうに思っておるのでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 提出された資料によりますと、暴力事犯で使用されている兇器というのは、銃砲刀剣類よりもそれ以外の刃物類による場合が非常に多い。しかるに、改正案で使用兇器の範囲を銃砲刀剣類と限定したのはなぜであるかということをお伺いしますとともに、この改正案で暴力団等の取り締まりが十分にできるかどうかということについて警察庁長官にお伺いをいたしたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 前段の分につきまして私からお答えを申し上げたいと思います。  仰せのように、暴力団の兇器を使っての暴力行為が非常に多いのでございますが、その中で銃砲刀剣類以外の兇器を使って、いわゆるあいくち類似のような刃物、危険な刃物でございますが、そういうものを使ってやる犯罪もかなり多いのでございます。それにもかかわらず、銃砲刀剣類というふうに非常な危険度の高い武器に相当するようなものに限定をいたしましたことはなぜかという点でございますが、このような限定をいたしましても、こういう銃砲刀剣類を用いてやる傷害事件というものが年間七百件ないし千件ぐらいあるということが統計の上から推定できるのでございまして、これはもうまかり間違えばすぐに殺人に通ずるので、傷害としては非常に類型の犯罪だと思うのでございます。今回の改正は、このような犯罪を犯すのは暴力団の団員の人たちによってなされる場合が多いのでございますが、こういう人たちに相当重い刑をもって処断する必要があるというところに改正のねらいを持っておりますので、刑を重くしていくためには凶器一般を広く取り入れますことは適当でございませんので、殺人にも通ずるようなきわめて危険度の高い銃砲刀剣類を用いての傷害だけに限定をいたしまして一年以上という短期のしぼりをかけたので、これらの武器に当たらない凶器を用いての傷害は刑法の二百四条の一般例に戻りまして処断するほかない、こういうことになるわけでございます。

江口俊男警察庁長官

○政府委員(江口俊男君) お答えいたします。  暴力団対策としてこの法律ができたならば万全を期し得るかどうかという御質問でございますが、万全ということを言い切るのはいかがかと思いまするけれども、非常に役立つ、われわれも心から一日も早くできることを希望しているということは申し上げたいと思います。  御参考まででございまするが、本年の警察の目標というのは、まず暴力の絶滅ということと交通事故の半減ということに置きまして、この暴力の絶滅のために暴力取締対策要綱というものを正月につくりまして下部に流しておりまするが、その第一は、私たち自身の体制を強めていくという取り締まりの強化ということでございまするけれども、第二といたしましては、その裏づけとなる法制の整備、法律の整備ということを強く要望いたしておりまして、その法制の整備の中でも第一番目に取り上げて渇望しているのがこの法律でございます。ただいま御指摘になりました銃砲刀剣類でいろいろなことをやるという暴力団ももちろん多いのですが、同時に、私たちの一番希望するのは、常習的な暴力行為者について罰が重くなるということに着眼いたしますというと非常な効果があるのじゃないかと、こう考えます。ちなみに、私どもの把握いたしておりまするいわゆる組織的な暴力行為者の数は、大体十六、七万人と踏んでおりまするが、その中で、先ほど竹内局長から前科だけでは必ずしも常習にならぬというお話がございました。そのとおりでございましょうけれども、まず前科を持つという者が約八割いるのでございまするから、そういうもの全部が全部常習者ということにはもちろんなりませんでしょうけれども、大部分がそういう習癖を持っているということになるのでございまして、こういう者が今後同様の行為をいたしました場合には一年以上の刑に処せられるという罰がございますというと、非常に制裁にもなり、また取り締まりの励みにもなるという意味合いにおきまして、私たちとしてはこの法律に非常に期待をかけているというのがほんとうの気持ちでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 暴力事犯を排除して国民の自由と人権を守るためには、刑事司法の関係者が特に強い決意をもって臨んでいただかなければならぬと思うのでありますが、同時に、国民の理解と協力を必要とすることは申すまでもないところでございます。従来、ともすれば暴力行為を憎んでその絶滅を熱望しながらも、犯人の逮捕であるとか検束であるとか裁判に対して国民はとかく傍観者的な立場に閉じこもりがちな態度をとってきている。こういう点について、警察並びに法務省の方々にお伺いしたいのであります。  そこで、一つには、いわゆるお礼参りであるとかいやがらせなどによる後難をおそれて非協力的な態度をとることが非常に多いと思われる。最近数年間の暴力関係事犯の保釈請求棄却率がわかっているならばお聞きしたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) まず法務省といたしまして、ただいまの御質問にお答えを申し上げたいと思うのでございます。私の承知しております限りでは、暴力事犯に対する国民の関心は非常に深いと思うのでございまして、これを憎む気持ちも非常に私は強いと思うのでございますが、仰せのように、具体的な事件が起こって、国民のある人たちが被害者になった場合に、どこまで捜査機関等に協力をされるかということになりますと、ただいま御指摘のありましたように、いささか消極的な面もないではないということは、私も遺憾ながら認めざるを得ないと思うのでございます。それはなぜであるかという点につきましては、これもおことばにございましたが、やはり暴力団がこわい、後難をおそれるということが私は一つの強い現実であると思うのでございます。幾ら警察が保護の手を差し伸べると申しましても、この保護は十分に行き届かない。そうだとすれば、やはりさわらぬ神にたたりなしで、自分さえ忍んで置けばいいということから、一そう暴力団を増長させる結果になっているのではないかということを私は憂えるものでございます。その点につきまして、われわれもまさにそういう国民の声なき声と申しますか、そういう心理——サイコロジーをやはりつかんで、それに十分な保護の手を差し伸べる必要があるということから、昭和三十三年の法改正の際には、お礼参りに関する罰則、特にお礼参りをする者については、権利保釈からはずす、あるいは公判審理の場合にお礼参りをするおそれのある場合には被告の面前でなく証言をすることができる道を開く等の訴訟手続上の保護規定を設けたのでございます。これだけの法律を改正をしたり、あるいはそういう関係者のもし現実に傷害を受けたり危険にさらされたりした場合の補償規定のようなものを設けましてあらゆる手を尽くしておりますけれども、なお被害者の不安というものは一掃し去るものではございませんので、その身辺の保護、犯人の拘束をできるだけ長くしていくといったようなことはわれわれの手で可能なる限り手を尽くしていきたいという考え方を私どもとしては運用の面で尽くしてまいっておるのでございます。  なお、警察御当局からその点に関する御説明を賜わることにいたしまして、最後に御質問のございましたそれでは保釈はどういうふうに、どんどんしていくのであろうかという御疑問でございますが、最近の実情、世論調査などを見ましても、暴力団が身柄を拘束されて入ったかと思うとすぐ出てきてしまうというところに非常な不安を感じておるようでございます。裁判所もつとにその点には気づかれまして、保釈について法律上どうしても権利保釈ということになればお金を積みさえすればすぐ出さなければならぬ、そういうような点を考慮しつつあるようには見受けられるのでございますが、現実の状況を見ますると、なお国民としては安心のいきにくいというような実績になっておるように思うのでございます。私どものほうで調査をいたしましたところでは、たとえば昭和三十二年から三十六年までの五カ年間の平均でございますけれども、殺人のような罪で約二六%、傷害で約三九%、逮捕監禁で約七二%、脅迫が四二%、恐喝が約三五%が保釈が許されておるようでございます。したがいまして、殺人のようなものでも二六%許されて出てしまうという状況であります。  それから特に昭和三十八年二月六日現在で全国の地方裁判所に公判係属中の傷害事件の被告につきまして特別に調査をしてみたのでございますが、それによりますと、起訴当時に勾留されておった被告人が千三百四人ありましたのが、そのうち五〇%を占める六百五十二人が保釈になっていることがわかりました。その中で銃砲刀剣類などのようなああいう武器を用いた傷害の被告人が何人いるだろうかということを調べてみますと、その中で百二十人がそういうものに該当していることがわかりました。その百二十人はもちろん起訴当時には勾留されておったものでございますが、これが四二%保釈になっておるのでございます。それからこれは常習傷害で起訴されておるのじゃございませんが、常習傷害に当たると思われる被告人が、起訴当時に勾留中の四百四十六人のうちで、百八十二人が保釈になっている、これが約四〇%、こういう状況でございまして、裁判の一審の判決があるまでにどんどん保釈になっておりますことは、いまのような状況でおわかりいただけるかと思うのでございます。

江口俊男警察庁長官

○政府委員(江口俊男君) ただいま法務省からお答えになりましたように、暴力にあった被害者が取り締まりに協力してくれるかどうかという点でございますが、私たちも今度の取締対策要綱の中で一つの重点として取り上げておりますのが、そういうの場合被害者ないしは民間の協力関係という点でございます。なぜ協力を得ないかということの原因は、ただいまのお話にもありましたように、後難をおそれるというのが一つと、それからもう一つは、これが表ざたになってはやはり自分のほうも困るところがあるというような原因がもう一つあろうかと思いまするが、あとのほうは別として、前のほうは、やはり責任はそれを取り締まったわれわれの側にあるのでございまして、絶対あとは迷惑をかけないという体制を何とかしてとっていきたいということで、現在は警視庁をはじめ、全国におきましてそういう取り締まりをやりましたあとの警戒ということに特段の力を入れております。従来でございますというと、暴力団等を取り締まりました場合に、その被害者なり証人なりにつきましては、できるだけ注意はするということにはいたしておりましたが、まあ重点的に警らをして一々模様を見にいくというような程度でございましたが、現在におきましては、特別なこれはあとあぶないぞと思われるようなものにつきましては、その保護責任者を警察の中に設けて終始その人について保護をするというようなことや、あるいは機械力を借りるといいますか、特別な申し込みがあれば、そういう人の家には非常ベル等をこちらのほうから一時的に備えつけて、家の中からでもいつでも連絡がとれるというようなふうにするとか、いろいろなことを考えて実施をいたしておる面もございます。  そういう風潮でございまするから、私たちの努力もそのほうに向けておりまするが、また、一般が暴力を憎むという気運も幸いだんだん旺盛になってまいりまして、最近の東京都内等の実情を聞きますというと、従来よりは、被害のことを聞き出すとか、あるいはその後の取り調べ等につきましても非常に協力を得やすくなっておるというのが実情のようでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 いままでは暴力行為者の保釈率が非常に高いということがわかったわけでありますが、今回の改正では、権利保釈のワクからはずすとか、あるいは重刑を科するというようなことで、保釈であるとか早期釈放によるお礼参りはある程度少なくなるのじゃないかということも考えられると思うのでありますが、まあいずれにしても善良な市民の協力がなくては暴力の絶滅は期しがたい。そこで、被害者の申告であるとか、あるいは参考人、証人としての協力というようなことをもっと十分に求めるために、裁判であるとか検察の制度であるとか運営上さらに検討する点がないかどうか。さらにまた、犯罪の検挙に協力援助した市民に対する報賞制度、とりわけその協力によって生命であるとか身体だとか財産等に損害をこうむった者の補償制度というものを合理化するとか、あるいは参考人や証人として捜査機関や裁判機関へ呼び出されるということによる煩累であるとか負担を軽減するというようなことについて特別の施策が必要ではないかと思うのでありますが、そういう点について、法務省、警察庁のほうからお伺いをいたしたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおり、証人、関係者、特に被害者の方々に、検察、裁判、捜査を含めまして、これに協力をしていくことが結局は正しい裁判に貢献をすることになるのでありまして、こういう人たちに安心して協力していただけるような体制、これはいろいろな角度から、不十分ではございますけれども、いままでいろいろ手を尽くしてやってまいっておるのでございます。まず、先ほどもちょっと触れたのでございますが、裁判の実質においてお礼参りのおそれのある者につきましては、権利保釈になる法定刑の罪でありましても、権利保釈からはずして取り扱うという改正をいたしましたほかに、裁判の際に被告人の面前では十分証人としての意見を証言できないというおそれのある場合には、被告人を退廷させて証言をすることのできる道を開いた、こういう法律制度上の手当をいたしておりますほかに、いま仰せになりましたような市民の生命、身体、財産に、この事件のために、証人になったために、参考人になったために損害を受けたというような者についての補償制度を考えまして、これは警察のほうからおことばがあるかと思いますが、警察の段階におきましては、警察官に協力した者についての災害給付につきまして昭和二十七年からそういう制度ができております。それから検察、裁判の段階につきましては、証人等の被害についての給付に関する法律がこれは昭和三十三年に制定せられまして、これの道が開かれておるのでございますが、もちろんこの給付額は十分ではございませんけれども、意のあるところはこの制度によってもある程度実現できておるのでございます。  それからなお、これはまあはなはだ当然なことを申し上げるようで恐縮でございますが、従来検察庁に参考人としておいでを願ったような方に対して日当らしいものを差し上げていないといったようなこともあったのでございますが、これも予算化いたしまして、たしか三十九年度におきましては金額はたしか二千五百十八万円程度でございましたか、そういう旅費、日当を支給する予算もいただいておりまして、逐年これは増額をしていただいてまいっております。こういったようなことでできるだけのことはいたしておりますが、もちろんこれでいいというような十分なものではないと思います。

江口俊男警察庁長官

○政府委員(江口俊男君) 警察に協力をすることをこばむ原因の一つは、先ほど来申し上げたように、あとがこわいということでございまするが、もう一つは、一ぺん証人として出るとそのあとも何べんも引っぱり出されるというわずらわしさという二つあるらしいのでございまするが、第一点についてほ、先ほど申し上げたとおりでございます。  第二点につきましては、まあそれは時と場合によりまするけれども、従来のちょっと来てくれと、そして実情を話してくれというようなやり方のほかに、やはりこちらから進んで行って、向こうの都合を聞いて、わずらわしくない形で証言を得る、真相をつかむということに捜査の方法を切りかえていくというのが一つの方法であろうということで、そういうことをも実施いたしております。また、御出頭願った場合におきましては、それ相応——相応と申しましてはなんですが、幾ばくかのそれに相当する旅費に当たるものを差し上げているというような事例もございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 政府では、昭和三十六年の二月に暴力犯罪防止対策要綱をきめ、本年一月には暴力取締対策要綱を閣議で決定をいたしておりますが、先日もお聞きいたしましたように、一向に暴力犯罪がその後も減少をしておらない。そこで、関係の各省庁はこの閣議決定に基づいて一体どのような施策を講じてきたかということを、法務省、警察庁、文部省、あるいは厚生省、総理府の中背協、それぞれからお伺いをいたしたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) 昭和三十六年二月に閣議決定をもって暴力犯罪防止対策要綱がきめられました。それに基づいて、その示されておる内容に従って各省庁でその主管事項について運用面、立法面等においてそれぞれ尽くしてまいるということになったのでございますが、法務省について申し上げますと、まず検察関係におきましては、暴力犯罪取り締まりの徹底を期する意味におきまして、検察長官会同、刑事担当検事会同等におきましてこの問題を協議検討を重ねてまいっております。特にこの要綱の中で示されておりますように、量刑の軽いという点の御指摘に対しまして、まず運用面でできるだけのことをしていくという意味において、検察官の裁判所に対する求刑でございますが、この引き上げの申し合わせをいたしておるのでございまして、この申し合わせによって全国各庁とも一斉にこの量刑の引き上げを実施してまいったのでございます。また、関係機関との協力を密接にいたしまして、特に警察庁とは密接に御協力を得まして、暴力団の実態に関するいろいろな資料整備につとめてまいったのでございます。それによりまして暴力団の実態が明るみになってまいりますと共に、法の不備という点についての要綱で指摘されておる点の改正の一環としてこの暴力行為処罰法の改正も出されるに至ったのでございます。  なお、運用の面におきましては、組織暴力事件を専門に担当する係検事を設けまして、暴力団の組織の解明、特に裁判所に刑を重く要求します場合にはその行為者の悪性の立証、特に常習暴力犯等の保釈の防止等につきましてあらゆる努力を払ってまいりました。また、この前も申し上げましたように、青少年犯罪を防止してまいりますためには、その背後にあります組織暴力というものについてやはり目を向けていかなければなりませんので、そういう面の強化、精神障害者の問題、麻薬、売春関係の事犯等、徹底的な取り締まりを実行してまいったのでございます。しかしながら、取り締まりをいたしてまいりましても、十分その効果が御期待に沿い得ない状況にありますことはまことに遺憾に存じておるのでございます。  このほか、法務省担当といたしましては、矯正関係におきまして暴力犯罪者の矯正処遇に格段の意を用いておりまして、受刑者の分散移送、分類処遇というような点を実施して、できるだけこれを適正に処分し、改善に資するようにつとめてまいっております。特に生活訓練、職業補導等の充実を通じまして、暴力犯罪関係者の収容者の更生につとめてまいってきておるのでございます。  なお、保護関係におきましても、保護観察を強化いたしまして、再犯防止、更生を積極的にはかってまいっておるのでございます。中には暴力団が組織ぐるみ足を洗って正業に戻ったという事例も報告されておるのでございまして、ある程度の効果をあげてまいっておりますことは、これは申し上げてはばからない実績になっておると思います。

江口俊男警察庁長官

○政府委員(江口俊男君) 警察としてやりましたことは、ただいま法務省でお話しになりましたこととほとんど重複するのでございまして、私たちは第一線の力を増すという意味で刑事警察の強化をはかったことが一つと、それから不良な環境を除去するという意味で、風俗営業等に対する取り締まりを強化したということが一つと、それからもう一つは、青少年の不良化防止のために、学校あるいは職域等との連絡を密にして、そういう面に警察力の重点を指向したというようなことを特に申し上げることができようかと考えます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 議事進行。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) ちょっと待ってください。

中村順造日本社会党

○中村順造君 答弁の前に議事進行。

齋藤正文部省社会教育局長

○政府委員(齋藤正君) 文部省といたしましては、この要綱に基づきまして、学校教育の面におきましては、小中高等学校の教育課程を三十六年度から改正いたしました際に、特に社会科、道徳及び特別教育活動等の内容で順法精神の徹底をはかることに意を用いまして、これに基づきまして、教師用の指導書でありますとか、手引書の作成、あるいは現職教育等を通じて趣旨の徹底をはかってまいりました。  また、社会教育の面におきましては、昭和三十六年に社会教育審議会におきまして「市民性の向上」という一つの参考資料を出しました。その中に、権利と義務、あるいは順法、あるいは公衆道徳というような点を強調いたしまして、これを各団体の研究の場、あるいは青年学級、婦人学級、成人学級等のいろいろな学習の場に利用していただいておるのであります。  それから暴力、あるいは暴力に至らないまでもいろいろ秩序を破壊するような青少年の行為というものを見ますと、幼児からの家庭のしつけ、あるいは自己制御の態度を養うというようなことが関係がありますことは専門家によって指摘されることでありますので、特に家庭教育というものに意を用いるように、本年度からは家庭教育学級の開設、それに必要な資料の刊行等をいたしておるわけでございます。  それから青少年の規律あるいは協同あるいは奉仕というような健全な活動を通じまして、将来にわたって暴力等の犯罪、非行の起こらないようにいたしますために、それに役立たせますために、地方の「青年の家」の拡充を助成いたしますとともに、国立の「青年の家」を逐年増加してまいっておるようなわけでございます。また、要綱にございます裁判に関係するもの等につきましては、文部省で実施しております優良映画の選定等に当たっては十分に慎重に対処いたしますような措置をとっております。  また、直接ではございませんけれども、体育というような問題は、これはその本質上、ルールを守って、そして責任、協力、公正の態度を涵養し、また青少年のエネルギーを健全な方向に発展させることに役立つことでありますので、体育施設の増強でありますとか、あるいは広く一般の青少年のスポーツ、野外活動等の増加、拡充をはかりますための処置を講じておるような次第であります。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 中村君、議事進行ですか。

中村順造日本社会党

○中村順造君 きょうは大臣はどうして来ないんですか。委員長、これは自民党の質問ですから、自民党のほうではそれは必要ないと認められても、われわれとしては、やはり質問の過程で関連質問が出てぐるかもしれない。また、それがないにしても、これだけの重要な案件を審議しておるときに、要求があるからどうとかいうことで出席しない。どういう経過になっておるんですか。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 大臣は内閣委員会にいま御出席中だそうであります、法務省設置法の関係で。それで、もしそれがあきますれば、私のほうから要求いたします。それで、関連事項といまおっしゃいますが、もしあなた方が御予定になっておって、関連質問をやろうとおぼしめすならば、あらかじめその旨を前もって理事に……。

中村順造日本社会党

○中村順造君 それはおかしいじゃないですか。関連質問があらかじめどうして予測できますか。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 関連質問というのは、私の言うことがことばが足らぬかと思いますが、これは大体暴力行為処罰法の問題は、あらかじめ概念的に全部これはわかっているわけですから、関連質問をするということは……。

中村順造日本社会党

○中村順造君 それはおかしいよ、あなたの言われるのは。あらかじめ概念的にわかっておっても、質疑の過程でどういうものが出るかわからないわけです。それは、われわれの質問するときにはあらかじめわかる、どういう内容を質問するか。しかし、相手が質問するのに概念的にどうしてわかるか。しかし、関連質問はいいが、とにかく大臣が、たとえ内閣委員委員会で法務省設置法が衆議院にかかっている。それなら、内閣委員会か、法務委員会のこの案件か、どちらが大事かということになるでしょう。向こうは向こうで、法務省設置法なら、案外向こうは、情が許すならば、次官なり政府委員で済むかもしれません。いやしくもこの法務委員会で暴力処罰法が出ておるのに大臣が出てこないのは、質問の矢表に立つ当面の責任者じゃないですか。しかも提案者じゃないですか。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) よく御意思はわかりました。できるだけこれから御出席を願うように注意するということを申し上げておきます。

中村順造日本社会党

○中村順造君 それなら、私はきょうはそういうことで自民党の質問だから了承しますが、今後はぜひ大臣は必ずこの法案を審議するときには出席させてください。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 御趣旨に沿うよう努力いたします。これでよろしゅうございますか。

中村順造日本社会党

○中村順造君 はあ。

植木光教自由民主党

○植木光教君 さっきの質問に対して厚生省と総理府の答弁を……。

久万楽也厚生省薬務局麻薬参事官

○説明員(久万楽也君) 先ほど法務省のお話がありましたように、私たちのほうも、麻薬事犯の関連としまして、厚生省としては麻薬事犯と麻薬中毒者の撲滅に力を入れております。

西田剛中央青少年問題協議会事務局長

○政府委員(西田剛君) 総理府の中青協のほうでは、第一に暴力排除の国民運動の展開という点で、私のほうが主唱いたしまして、全国の青少年保護育成運動というのを年間を通じて行なっておりますが、その運動目標に、この三十六年からは毎年青少年非行の防止という対策を取り上げまして、各省とも十分連絡いたしまして、それぞれの年度における重点目標をきめまして、たとえば刃物を持たない運動を推進するとか、あるいは地域においての社交的な場所に出入りをするとか、非行と直接つながる飲酒とか喫煙とかというようなことを徹底してやめてもらう運動とか、そういうようなものを具体的に定めまして、国民運動として展開をいたしております。幸い、ほとんどの市町村に中青協というものができておりまして、それらの地域における各省関係の関係者が一緒になりまして運動を実践的に展開するという制度ができておりますので、そこでこの問題を重点的に取り上げていただくようにいたしておる点が第一点でございます。  それから第二点は、青少年はどうも集団をつくりやすいというもともとの性格もありますし、ある意味ではテレビその他の影響もありまして、多少世の中が青少年に甘いような感触で臨む気風もありますので、ぱちんと子供に接してくれる面につき合いやすいというような性格もありますので、私どもは、できるだけ子供たちが健全な仲間づくりをするようにというようなことを積極的に進めております。具体的には、文部省が学校を通じて、あるいは社会教育を通じて、そういうような体制を強化していただいているわけでございますが、また一方、一昨年の警察その他の調べによりますと、青少年非行の多くが集団的な結びつきを持っている、そうしてその中にはいわゆる暴力的な団体とのつながりなどもあるというようなことで、そうした面での集団対策要綱というものを関係の各省と御相談いたしまして、そうした体制を整えるということにいたしました。特に、新宿その他都市の盛り場で昼間から学校や工場をさぼって喫茶店その他でうろちょろしているというような者、刃物を持って歩いておるという者を街頭補導するというような面が非常に弱いのではないかということで、そうしたところに補導センターというものを設けまして、警察、法務、厚生、文部の関係者が共同して補導するような体制を推し進めていく必要があるということで、ことしから全国九十七カ所にそういう補導の拠点を、各省の関係官が現場で補導する拠点を設けるというような事業を展開いたしております。  いま一つは、各省でやりにくい点で総合的な犯罪防止対策ということで、この要綱にも載っておりますいわゆるマスコミ対策でございますが、マスコミがいろいろな点でテレビその他映画等におきましても、暴力的な気風を助長する面がないとも限らないのでございまして、かような点がこの対策要綱でも大きく取り上げられておりますので、三十六年以降、各業界ごとに二年間それぞれ懇談をし、協力をお願いしてまいりました。しかし、なかなかはかばかしい進展が見られませんでしたので、昨年は大規模に八十人ばかりの方々、しかもマスコミ界の第一級の方々のお集まりを願って、長官その他から青少年の問題について特にお願いをいたしまして、十数回にわたり部会を開きまして懇談いたしました結果、それぞれの部会におきまして、従来は、まあそれぞれの営業の事情その他を申し述べまして、どちらかというと弁解的な発言でもの別れになることが多かったのでありますけれども、昨年の懇談会では各業界の方々も積極的に自主規制でこれに協力してくださるということになりまして、その後の経過を見ますると、たとえば映倫におきましては、映倫の審査委員にもっと民間の意見が十分反映するように、民間有識者を倍にふやすとか、それから広告などが非常に問題があるということで、新たに広告審査委員会を設けるとかというようなことで、懇談会の趣旨に沿うような活動をいたしておりますし、また、出版界等は、御案内のように、悪書追放ということで、婦人団体等の要請もありますし、業者自体の改善も着着と進んでいるような状況で、最近では婦人団体等がそれぞれ地域をきめて書店等を毎月見回ってもらう、そうして悪い本があったら業者のほうに注意をするというような運動も、四国、九州あるいは栃木その他活発に行なわれて、相当の成果があがっているというふうに思っております。  簡単でございますが……。(「議事進行」と呼ぶ者あり)

植木光教自由民主党

○植木光教君 いま関係各省庁が閣議決定に基づいていろいろ暴力追放の対策を講じてきておるということでありましたが、法務政務次官に最後にお伺いしたいと思いますが、それらの施策の実効をあげるためには、関係各省庁が緊密な連絡をとり合いながら計画的統一的に総合施策を講じていかなければならないと思うのでありますが、現在十分な配慮がなされているのかどうか、その点についてお伺いをいたしまして、私の本日の質問は終わることにいたします。

天埜良吉自由民主党法務政務次官

○政府委員(天埜良吉君) お話しのとおり、各省庁緊密な連絡をとらなければ実効があがらないことは、仰せのとおりでございます。法務省といたしましては、常に連絡をとっておりまして、たとえば警察庁と連絡をとるとかいうようなふうにして実効をあげるべく努力をいたしております。

中村順造日本社会党

○中村順造君 議事進行。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 中村君。

中村順造日本社会党

○中村順造君 いま麻薬参事官が発言をされたわけですが、あれは説明員でしょう。政府委員じゃないでしょう。説明員が説明するときには、一体どこのだれのかわりか、委員長はやはりはかられなければいかんと思うんですよ。でたらめじゃないですか、委員会の運営が。そのためにきちっと政府委員というものが認められるわけです、国会の冒頭に。だれかわからぬ者が出て、かってにその委員会で発言されるということを委員長が許されるということはおかしいじゃないですか。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) いろいろな会議で見ますと、いままでは慣例によって説明されておったらしいのです。しかし、これからは、あなたの申し出がございますので、できるだけ皆さんにおはかりをして……。

中村順造日本社会党

○中村順造君 できるだけじゃないですよ。きちっときまっておるんですから、法律で。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) それでは、了解を求めてやります。

中村順造日本社会党

○中村順造君 これは今後もあることですから、案件の内容のいかんにかかわらず、ちゃんと国会においてきまっておることですからね。政府委員がどうしても出られない、それなら、どういう事情で出られないから、何の何兵衛をかわりに説明させるということを委員長が皆さんにはかって、皆さんの了解を求めなければ、かってにどこの人かわからない人が発言をされては困る。しかも、権威のある法務委員会ですよ。できるだけでなしに、きちっとしてください。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) わかりました。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) それじゃ速記を起としてください。

後藤義隆自由民主党

○後藤義隆君 ちょっと関連して。これは刑事局長にお聞きいたしますが、一条ノ三の関係ですが、先ほど植木委員からお聞きしたのですが、それに関連して、「常習トシテ刑法第二百四条、」云々と、こうありますが、二百四条の傷害の罪は、前条の、第一条ノ二を受けて銃砲または刀剣類を用いて人を傷害したる場合ということを受けておるわけですか、それとも、全然それには関係なしに、兇器は何をもって傷害してもかまわない、これに入るという意味ですか、そこはどんな関係ですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) これは別条でございますので、その別条にしてあります意味からいたしまして、それからまた、条文を明らかに二百四条と掲げてございますので、これは前条とは関係なく、二百四条の傷害の罪の常習犯、こういうふうに私どもは理解しております。

後藤義隆自由民主党

○後藤義隆君 それから「常習」ということでありますが、これに「常習」というのがありますが、暴行の常習者がたまたま今度は暴行でなしに脅迫の罪を犯したという場合にはこの中に入りますか。常習者の中に入りますか、入りませんか。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) これは法律の解釈といたしましては判例がございまして、この暴行という行為は、この条文に関する限りでは、暴行、脅迫、器物損壊、今度新たに傷害が加わりましたから、四つの罪になるわけでございます。この四つの罪を包括した暴力行為というものを考えておりまして、そういう習癖を持っておる者が、その習癖のあらわれとして暴行をした、こういうことになりますと、それは、その暴行は、常習暴行罪、こういうことになるわけでございます。したがって、この常習を認定します材料として、前科だけが唯一の材料でないことは先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、もし脅迫というような前科が習癖——暴行行為の習癖になっておる一つのあらわれとしてすでに前科があるということでございますと、今回の暴行をそれによって認めることができる、かように考えておるわけですが、その四つの罪はそれ以上のものではない、四つの罪の範囲内でそれは暴行行為として認めるんだ、これが従来の解釈の態度でございまして、私どももその解釈に従って理解をしていきたいと思っております。

後藤義隆自由民主党

○後藤義隆君 それから一条ノ二に「鉄砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル」場合に未遂を罰することに、第二項で未遂を処罰することになっておりますが、一条ノ三のいわゆる傷害の中にはこの未遂が入っておりますか。未遂でなしに既遂の場合のみを言うのですか、一条ノ三の傷害を重く罰する場合には。

竹内壽平法務省刑事局長

○政府委員(竹内壽平君) これは先ほどお答え申し上げましたように、二百四条の罪でございまして、暴力行為処罰法の一条ノ二の一項、二項の罪ではございませんので、未遂は入っていない、かように考えております。

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

中山福藏自由民主党

○委員長(中山福藏君) 速記を始めて。  本案の質疑は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時五十三分散会    ————・————

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