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46回国会参議院1964/05/26

文教委員会 第29号

発言数
61
登壇者
5
会派数
2
開催日
1964/05/26

会議録

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  国立教育会館法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 研修の責任者は任命権者であり、研修の当事者は教育関係者であるわけですね。すると、何を研究をさせるか、あるいは何を研究したいかということは、それぞれ教育委員会なり教育関係者自身がつまびらかなはずだということになりますね。教育会館にしても、これらの意向を明らかにいたしませんければ、効率のある研修というものを進めることができないわけです。どういう方法で地域や個人の研修要望というものを察知をいたしますか、この点をまず。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 教育会館がみずから行なう研修会等の業務につきましては、できる限りおっしゃるように教育界等の希望するような研修会を実施することが望ましいわけでございます。したがいまして、そういった場合におきましては、教育界の意向を反映させるという意味合いにおきまして、評議員等の中には教育界の関係者も若干名これに加わる、あるいはまたその他の学識経験者などの参加を願いまして、できる限り広くこの教育界等の意向を参酌をして運営されることが望ましいわけでありますが、具体的事項につきましては、やはり教育委員会その他の教育機関の意向も十分くんで運営されることになろうかと思うのであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この教育会館で行なう講習会、研究集会等は、文部省の代行でもなく、特に管理職だけを対象にするものでもない、こういう点が前の御説明の中で確認されたと思いますが、そのとおりに受け取ってよろしゅうございますか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) その点につきましては前回も申し上げましたように、教育会館として行ないます事業はあくまでサービス的な事業でございます。したがいまして、文部省の代行とか、そういう趣旨のものではなく、自主的にこれは行なうものでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 したがいまして、一般の教職員というものが対象になるわけでございますが、それらの研修の要望というものを聞くためには、評議員等の選定で考慮をするという御説明がございましたが、その評議員の問題でございますが、どういう基準で行なうことになりますか。「教育会館の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者」ということがありますが、これはどういうことですか。それから、先ほどの御説明の、現場の先生方からもとるということでございますが、それは、教育会館の業務の適正な運営をするためには現場の教職員の意見というものが必要だと、こういう御認定だと思いますが、その比率関係などはどのように大体御構想をお持ちでございますか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 評議員につきましては、第十九条に、御指摘のように、「教育会館の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、」と、こう書いてございますので、そういうこの目的なり事業の運営につきまして、十分な知識経験等を持っておられる方々に評議員になっていただきたいと思っておりますが、その大体の考え方といたしましては、もちろん教育関係の小学校、中学校、高等学校等の教職員の関係者の方々から、何名かの評議員をお願いするということも考えております。また、都道府県や市町村等の教育委員会等の関係の方々から、りっぱな評議員をお願いするということも考えておるわけでございます。そのほか学識経験者、あるいは特に教育関係の学識経験者、あるいは言論、文化関係の学識経験者というような、できる限り各方面の有識者にこれに加わっていただきたいと考えておりますが、別に何名というようにはまだ考えていないわけでございます。二十名の中で、そういう分野から評議員にできるだけりっぱな方々を御選考いただきたい、かように考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 各方面とおっしゃることは、結局、一方的に評議員等を片寄らせないと了解してよろしゅうございますね。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) そのとおりでございまして、学校教育あるいは社会教育関係もございますので、それらの各分野を含めて、学校教育、社会教育、あるいは文化関係、あるいは言論関係といったような、そういう広い意味から選考されるべきものだと考えておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 文部大臣からの御説明もございましたように、二十条でございますか、施設を利用し、あるいは施設を提供するということが主目的だということでございますれば、その施設を利用し、資質の向上のために学習する側の一般職員の意見というものが、やはり運営の上では取り上げられてこなければ効果があがらないということになるわけですね。そこで、小学校、中学校、高等学校というお話がございましたが、それは小学校の代表として校長さん方、高等学校を代表して高等学校の校長会の代表といったような形ではなくて、そういったような方々も入るかもしれませんけれども、実際、一般の、これを一番利用する必要があり、また利用しなければならない一般職員の代表というものが評議員の中には組み入れられると考えてよろしゅうございますね。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 職員の代表ということでございますが、具体的にはこれは非常にいろいろな考え方があると思います。私どもとしては、できる限りそういう小学校、中学校、高等学校等の教育関係の意見が聞けるという意味合いにおきまして、そういう関係者からもこの評議員を選任したいという考えでございます。まだ具体的にどういう人、どういう代表を入れるというようなことは考えていないわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、先ほど伺ったように、これは管理職のみを対象にして講習や施設を利用させるわけではないわけですから、講習を受けたり、施設を利用したりする大部分というものは、一般の管理職以外の教職員に限れば多いわけですから、そういう意味合いで、管理職ではない教職員の代表も評議員の構成の中には当然、入れると解釈してよろしゅうございますね。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) それは管理職から選ぶか、管理職でない者から選ぶかということは具体的な問題になりますけれども、広く私どもは適任者の中から文部大臣に選任していただくということを考えております。管理職の者を絶対に否定するという考えでもないわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 管理職からとってはならないということではないのです。管理職からとることもあり得ましょうが、教育会館を利用する大部分のものは一般の教職員関係が多いですから、その一般の教職員関係の意見がスムーズに表現されるような評議員会でなければ効果はないわけですから、そこで、一般の職員の代表というものは当然評議員の中にも入り得るものだと解してよろしいであろう、一方的に職員だけをとるといっているんではない、職員の意見が反映できるような構成をお考えになっておるかどうかということなんです。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 広く教育界の意見が聞けるような構成を考えたいと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 的確に言ってくださいよ。一般の教職員の代表という者がいなければ、これは広く意見を聞くことにはならないでしょう。だから、お入れになるならお入れになる、お入れにならないということであれば、私たちは広く意見が聞かれるとは思いませんから、これはまた出直しから始めなければならない。そういうことは率直に言っていただいてけっこうです。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 教職員の代表という考え方ではないわけでございまして、これはこの前も申し上げたわけでございますが、あくまでも個々の個人で評議員に適当な方がいらっしゃるかどうかということが選考の基準になるわけでございます。そういう考え方で適当な人がいらっしゃれば、これは当然参加し得るものだと考えます。そういう観点から私どもは評議員会の構成を考えておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは前例もあるわけですね。共済組合の運営委員会等は現場の代表というものを入れておるわけです。したがいまして、何も現場の職員だけで評議員会をつくらなければいけないと私は言っておるわけではない。しかし、一番使う現場の代表が評議員会に出ないということは、教育会館そのものの効果もあがらないことになる。そこで共済組合の運営委員会の例もあるわけですから、これらに準じた適当な措置が講じられてしかるべきではないか、こういう意味です。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 評議員だけでこの問題は論じられる問題ではないと思います。評議員の数は御承知のように二十名ということになっておりますから、その中で私はできるだけ各方面の関係の方の御意見が反映するように持ってまいりたい。したがって、現場の職員の事情もよくわかっているような人ももちろん選考の範囲に入れて差しつかえない、できるだけ関係の多くの人たちの考え方がこの評議員会を通じて反映するようにはいたしたいと考えております。これは入れるか入れないかという式の御質問になりますとお答えしにくいのであります。心持ちといたしては、いま申し上げたとおりであります。なお、この教育会館の運営に当たりましては、評議員二十人だけでいいのだというふうなものではないと思います。あくまでも教職員にとって教職員のためになるような施設としてこれが運営せられなければならぬと思います。したがいまして、評議員という形だけでなくて、この会の運営については常に関係者の向きの要望、希望というふうなものを考えつつやってまいるという心がまえでいかなければ遊離したものになってしまう、やはり教職員の方々にわれわれの会館だという、こういう心持ちになってもらうことが大事だと思いますので、そういう心持ちで運営してもらいたいと思っております。具体的な評議員の人選につきましては、何の代表ということでは選考できないと思いますけれども、現場の人たちの気持ちは十分反映せられるようなことにおいて、私ども選考上注意してまいりたいと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いろいろ各方面の意見、特にいま文部大臣が御指摘になりましたような、現場の教職員が自分たちの教育会館だという認識で教育会館のいろいろの事業に参画をするということでなければならないと、そのとおりだと思います。それならば、正式に教育会館の業務が計画され、認定される第一段階は評議員会でございますから、この評議員会は、そういう意味合いで現場の要望というものが述べられ、そういう機関に何人かの者を代表として迎える、この態勢というものはぜひこれはお約束をしていただかなければならないものだと私は思うわけです。それは、何も特定の団体の代表だけで評議員会を構成しろということを言っておるわけではございませんで、先ほども指摘いたしましたように、共済組合の運営委員会のようなものを準じて、各方面からそれぞれの代表を評議員会の中に入れるという原則というものをお認めいただきたいと思うわけです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 共済組合の場合とは場合が違うだろうと私は思うのでありますが、そういうことだと思います。この役員のうち、評議員の構成につきましては、現場の方々の気持ちなり、あるいは状況なりというものについて十分認識を持った人にも入ってもらわなければならぬ、このように考える次第でございます。この程度で御了承いただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この教育会館では講習や研究集会が主催されるわけであります。文部省の場合は文部省設置法によりまして、その権限の行使は法律に従ってなさなければならないと規定されておりまするから、もちろん、たとえば教育基本法の八条、九条、十条というものは破ろうたって文部省としては破るわけにはいかない、こういう法律の保障がございます。それが教育会館の場合はそういう保障というのは何もない、これは教育会館において行なわれる講習や研修というものが、政治的な中立あるいは宗教的中立というものを確実に守らなければならないという保障がございますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) この教育会館は、申すまでもなく国立の教育会館でございます。その国立の教育会館が事業をやってまいります上において、憲法あるいは教育基本法に沿わないような運営というものはあり得べからざるものと私は思うのであります。そういう意味合いにおきまして、また、文部大臣は監督権を持っておるわけでございます。この教育会館が、基本法であるとか、そういったふうなものの趣旨に反するようなもし運営が行なわれるとすれば、その監督権者としまして適当な処置をとってまいらなければなりません。さような心配はひとつないようにお願いいたしたい。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 教育会館法では十三条に役員の解任が規定されております。その二項に職務上の義務違反が規定されておりますが、この義務違反の内容というものは、教育会館法では明瞭になっておりません。あるいは役員たるに適しないと認めるときはやはり解任ができることになっております。そこで、いま文部大臣の御説明をそんたくいたしますと、政治的中立や宗教的中立等、教育基本法や学校教育法等できめられておりますような、当然守らなければならない場合は、これは役員たるに適しない、あるいは義務違反が行なわれたとして解任または処罰をされるものだと考えてよろしゅうございますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 国立教育会館というものを設けまして、教員の資質の向上をはかっていこうというこの趣旨に反する行動をやる、反する考え方を持っております人というふうな場合には、これは教育会館の役員たるにふさわしくない人であります。そのときにはその事態に応じまして適当な処置をとってまいらなければならないと思います。解任をする事態であれば解任をするにやぶさかではありません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、政治的中立、宗教的中立を侵した場合は当然役員たるに適しない、あるいは義務違反をしたものと御認定をなさって、それぞれの処分をなさると解してよろしゅうございますね。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 政治的中立とか、あるいは、宗教的云々ということばは教育基本法にあることばでございます。教育基本法に反するようなことをいたしております場合には、これは適当な人といえないわけでございます。それに応じた処置をとってまいりたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それならば、そういうことが行なわれないだろうということではなくて、そういうことはしようとしてもできないという規定を、教育会館法にも明瞭に、義務違反の内容なら内容に加えておくべきではないですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨はよくわかりますが、そのようなことはあらためて規定するまでもないと、かように私は思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうであるならば、政治的中立を侵したか侵さないかといったようなことは非常に抽象的な議論になります。ただいま文部大臣が監督権を持っておりますけれども、文部大臣個人の考え方で可という場合もあれば不可という場合も出てまいります。これでは、時によって可であったり、時によって不可であったりしては、これは監督の基準というものが非常に不明瞭になってくるわけであります。思想教育はいたしませんと言っておりますけれども、思想教育をしてはならないという規定も加わっておらないことは、一番、教育会館における心配が、教師に対して特別に何か教育をするのではないかという疑念でございますので、そういう点もないということを、当然これは何よりも先に規定の中に位置づけられなければ私はおかしいと思うのです。あるいはこれは会館の運営規定、あるいは文部省の省令等で、文部大臣が監督をする基準というものを制定しようというお考えがございますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) これから御賛成を得てこの法律が成立いたしまして、国立教育会館というものが出発をする。その国立教育会館、これが出発すれば国立教育会館の役員によってこれが運営されるわけで、その役員の諸君のやることがおかしい、不適当であるという場合には、これは文部大臣が何か言わなければならぬということになってくるわけであります。いまの教育基本法あるいは憲法、こういう基本になります国の制度とこの趣旨というものは、当然、国立教育会館において行なう教員の資質向上ということをはかります場合に前提となるものであります。私はその意味におきまして、あらためて規定を設けるまでもないということを申し上げましたが、監督の基準をどうするとかいうような問題は今後の状況によって考えればいいことであります。私はそれほど文部省と国立教育会館というものとが——国立でございます。遠い関係にあるものとは考えないわけでございます。始終、会館の運営状況というものは見守ってまいりたいと思うのであります。必要に応じまして大臣としての処置をとっていけばよろしいのじゃないか、このように現在は考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 文部省の文教行政ですら教育基本法や学校教育法等でいろいろきめられておることで、文部省としてはそれを越えて行ない得ない条件というものをきびしく制定をされておるわけであります。ましてや第三者の特殊法人の動きというものは、文部省のようにこれは法律的にのみ運営されるとは限りません。そうなってくれば、文部省にはめられたワクよりもさらにきびしい、教育基本法等の精神というものは初めから教育会館そのものの運営の中にはめ込んでおかなければおかしいと思うのです。文部省自身が十二分に監督するというようなその監督規定というものを文部省の省令か何かで明らかにしてもらいたい。そうでないならば、教育会館の運営規則そのものをもっと法律で——法律の内容に盛れなかったとすれば運営の基準というものを明らかにしてもらわなくては心配の種は断ち切れないと思うのです。何にも基準がございませんでは、先ほども申し上げましたが、灘尾さんが文部大臣のときはまあ心配がない、ああお答えをしておるのだからと思いましても、文部大臣がおかわりになっても、灘尾さんと同じような方針で、同じような基準で監督ができるという保障はどこにもないわけです。それでは法律的に非常にたよりない。もっとその辺を、教育の政治的中立性は侵しません、あるいはここで持殊な教師の思想教育などはいたしませんということは、どこかでチェックされなければならない問題だと思うわけです。この点は局長、どうですか。何かいま御相談しておるようですけれども、そういう腹案がおありなんですか、これはきびしくしていただかなければ、やすやすとはどうも見過ごせませんよ。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、この法人自体としては文部大臣の監督下にある法人でございますので、その業務に不適正な運営が行なわれるということであれば、文部大臣が自分の監督権を通じてこれを是正していくというやり方が一番本来の筋であろうと考えております。御心配の点はよく私ども了解いたしておりますが、そもそもこの教育基本法そのものは、一々これを引用するまでもなく、先ほど大臣がおっしゃったとおりに、教育関係におきましてはこれは根本の法規としてこの趣旨が適用されるものと考えておるわけでございます。したがって、一々この教育委員会等あるいはその他の教育機関におきましてもこれを引用いたしておりませんが、これは当然のことだという観点であろうと解釈をいたしております。したがいまして、教育会館自体が業務をみずからやる場合には、もちろんこれは自主的にやるわけでございますが、この自主的にやる場合におきましても、当然にこの教育基本法の精神にのっとってこれが運営されるということは申すまでもなく当然のことでございます。もしこれにはずれるということがあれば、先ほど申し上げましたように、文部大臣の監督によってこれを是正していく、こういう方法は、一般の教育委員会などの教育機関がもし間違った運営を行なった場合に矯正措置があるのと同じことではないかと、こういうように考えておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、こう了解してよろしゅうございますね。政治的中立性や宗教的中立性を侵すような行事が教育会館で行なわれたり、あるいは特定の思想教育を教職員関係にしたりするようなことはあり得ない。もしあったとすれば、それは文部大臣においてそれぞれの関係者に対して十二分な監督権の行使をするものだ、そう解してよろしゅうございますね。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) そのとおりだと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 次に、この教育会館は唯一の国の教育研修の場になるわけでございますから、ここで繰り返される教養講座が、かつての国民精神研究所のように、国体の明徴でありますとか、あるいは皇国史観でありますとか、あるいは道徳教育における徳目主義といったようなものを掲げてそう何度も講習をいたしておりますと、教育界に一つの教育会館方式というものが生まれてくるおそれがあります。そういう教育会館方式、教育会館の教育の考え方といったようなものも、ここでつくり出す目的は全然ないと解してよろしゅうございますね。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) そのとおりに運営されるべきものだと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 しかし、この保障はこの教育会館法の中にも、あるいはどこにも現状においてはないわけですね。ただ、文部省の良心的監督というものを期待する以外にはないわけですね。これらはやはり運営規定なり何なりで目的をはっきりと定むべきじゃないですかね。あるいは運営基準として幾つかの条件というものを定むべきじゃないですか。そういう御考慮はございませんか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) そういうことにならないように、評議員会等において十分やはり運営の方針については官庁の諮問に応じて御相談しながらいくというのがこの方式でございます。したがいまして、私どもはそういう御指摘のありますような非常識な運営ということはあり得ないと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ならないようにするためには、法律できちんと規定をすべきです。法律で規定が現状においては手おくれだというならば、政令なり規則なりでやはり定むべきじゃありませんか。それを運営の基準も定めないで、評議員に勝手なことを言わせ勝手なことを相談してもいいようなことをさせておいて良識に待つといったって、それは法制定の手続としてははなはだ不備じゃないですか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 御指摘の点はよくわかるのでございますが、教育会館は毎年度の予算なり事業計画というものをつくりまして、それに基づいて文部大臣の認可を受けて事業を行なうわけでございます。したがって、毎年毎年実施をいたします事業については、十分、文部大臣がその辺は監督をいたしまして実行するわけでございますから、もしさようなおそれがあるとすれば、十分、文部大臣からその点を注意をして遺憾のないようにやるというのがたてまえでございます。そのいった意味での監督は十分できるような仕組みになっております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これからでも文部省令なり教育会館の運営規定なりで幾らでもつくれるじゃありませんか。種々問題になっておるような点は、万遺漏がないためにはそういう省令なり規則なりできちんと制定をすべきです。それは制定がしてあれば、どんな評議員に変化があろうとも、あるいは文部省の監督側の方たちがどうかわろうとも、一応の基準というものはあるわけですから、これは正常な運行というものも期待できますよ。それは国民に対する一つの義務だと思う。将来そういう点で十分お考えになるお気持はありませんか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、これは教育会館自体が運営の方針としてはきめる事柄でございますので、もしそういった方針等について何か定款等に掲げておきたいということであれば、これはまた別の問題でございますが、定款に基本的な考え方というものを書く場合も絶無ではございません。そういう点は十分今後注意をしてまいりたいと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私はいま教育会館の代表に聞いているんじゃない。教育会館というものができて、これをここでいま何か財団法人みたいなものができて、それが国立に移管するとか何とかいう問題ではない。文部省が国立教育会館というものをつくって、それを特殊法人にして出発させようとしているわけです。そうであるならば、監督権は文部大臣にあるんだから、文部省自身だって監督の基準というものは明確にすべきだ。あるいは監督の基準に違反しないように、みずから運営規定をこれは会館につくらせる義務がある。将来この点は研究をして、少なくも事態の経過によって監督の方針や内容が変わるということのないようにしていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨はよくわかるわけでございますが、ただ、私どもとしましては、先ほど来お尋ねになりましたような事柄については、あらためて規定を設ける必要のないことだ、当然のことだというふうに思っておるわけであります。したがって、それに基づいての何か基準をつくるとか、規則をつくるとかというふうなことはいま考えておるわけじゃございません。国立教育会館の運営の実態というものに対して常に注意を怠らずに、われわれがいわば監督の立場で見守っておれば大体よろしいのじゃないかと思うのであります。ただ、非常に熱心に言っていらっしゃいます。決してその御趣旨がどうとかこうとかというわけじゃございません。御心配の点はわかるわけでございます。そういうことでありますならば、いまのような問題につきましては、今後十分、文部省といたしましても御趣旨のあるところを頭に置いて考えてまいりたいと思います。ここで基準をつくりましょうとか、省令を出しましょうというところまで申し上げるのは、私はいまのところ必要ないと、こんなふうに考えておりますけれども、御趣旨の点はよくわかりますので、さらにまた今後の検討問題として検討させていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 さらに一点伺いたいのは、施設設備を提供するということが教育会館の第一の目的であるとすれば、施設設備の重点が視聴覚教育とか、語学講座ということ以上に、いまこれは政府の人づくり政策の上でも指摘されておりますように、技術教育の問題、科学教育の問題、こういう点の教育ということにもっとサービス精神を発揮すべきだと思うわけです。将来は科学教育、技術教育、こういった方面のサービス機関としての設備が充実されるものだと考えてよろしゅうございますか。

福田繁文部省初等中等教育局長

○政府委員(福田繁君) 私どももできる限り御趣旨のような設備を充実したいと考えております。しかし、これは会館が発足いたしまして十分検討してもらいたいと考えておるわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 くどいようですけれども、教育会館での講習会は、政府の人づくり政策による徳性の涵養とか、愛国心情の養成といったいわゆる精神面の人づくりのため、これが養成の任にかなうような教師をつくることではない、これは一応了解をいたしました。しかし、考え方にはどうも精神主義が強過ぎる。金がかからなくて、精神面の強調だけで資質の向上というものを狭いワクで考えておりますけれども、これは御存じのように、もう西欧各国のいわゆる教育改革の方向を見たって、精神面なんかを取り上げて問題にしている国なんかどこにもありませんよ。具体的にどうすれば技術革新とか、あるいは科学改造とか、こういった面での人づくりができるかということでしょう。第一に、技術的なものとか、科学的なものとかという施設の提供というものを考えなければなりませんと思うのに、会館のそういった予算というものははなはだ貧弱です。将来考えるではなくて、視聴覚教育などは、何もある程度教育会館を持たなくたって研究ができる。しかし、どうしても数学の先生、理科の先生というのは、高等学校どころじゃない、中学校だって底をついている。ですから、ますますこういう教育は低下しますよ。したがって、これらに対するサービスというものや養成というものが一番現状の日本では必要だと思うのです。それらがこの教育会館でうんとクローズ.アップされてサービスをされるという期待がなければ、どうもあまりに精神主義過ぎて心配なんです。これは大臣、将来どうお考えになりますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) どうも精神精神ということをおっしゃるのでございますが、私はいかなる場合にも、この精神の問題は忘れるわけにはいかぬと思います。文部省が研修をやる場合におきましても、だれがやる場合におきましても、精神面のことは常に考えなければならぬ問題だと思いますけれども、しかし、そのためにこの国立教育会館をつくる、こういうふうに御理解を願わないようにしなければいかぬと思っております。私どもはそのために、いわゆる精神教育だけをやるために国立教育会館をつくると、そういうつもりでは毛頭ございませんので、また、国立教育会館だけに精神教育の面を担当させようと、そんな考えは毛頭ございません。いかなる場合にも教師の資質の向上をはかるという場合には、技術の面もございますけれども、やはり人間的にりっぱな人になってもらわなきゃならぬという意味合いにおきましても、いかなる研修の場におきましてもそういうことは頭になければならぬ、こういうふうに考えますけれども、特別にこの教育会館によって特別な精神教育でもやろうというふうにはひとつおとり願わないようにお願いしたいと思うのです。それから、ただいまの御意見でございますが、私たいへんごもっともな御意見だと思うわけでございます。われわれとしましても、国立教育会館でいろいろな、特に教育技術に関するような問題につきまして設備を整えて、そして内容のあるものをやっていくということは非常にけっこうなことだと思うのであります。率直に申し上げますというと、そこまでは当分いけるかどうかという問題がむしろあるんじゃないか。教育会館が今後一つのこういう特殊の法人といたしまして運営をしてまいります上に、どの程度の財政上の力があるかというふうな問題もあるかと思います。私どもとしましても、もちろん教育会館のそういう意味における援助という問題につきましては十分考えてまいらなければならぬと思いますけれども、年間を通じまして、どの程度、教育会館独自の一体講習会とか研修会というものができるかというふうな問題も、今後の実際問題としての推移というものを見ながら考えていかなければならぬと思うのでありまして、まだ当分はそうたいしたことは教育会館では独自のものとしてはなかなかできにくいのじゃなかろうかというふうな心配すらいたしておるわけであります。実際発足してみまして、政府その他のいわゆる第一号の仕事がどの程度あるか、また教育会館独自で施設を活用する余地がどの程度あるかどうかというところもにらみ合わせて考えていかなければならぬと思うのでありまして、御趣旨につきましては異存はございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これで質問を終わりますが、何も、教育というのは一つの精神活動ですから、精神がゼロでいいということじゃない。しかし、精神面の強調などということをいま教育改革の面で取り上げている例というのは少なくて、もっと具体的な教育諸条件の整備でございますとか、あるいは教育の長期計画の面でありますとか、そういったように、人材養成計画といっても、日本のように予算もなければ、あるいは財政の裏づけも少なくて、ある程度安上がりな精神主義で片づけようという傾向は非常になくなってきているんじゃないか。特に技術訓練とか、科学訓練とかいうものではずいぶん金をかけている。ですから、そういう方向に教育会館も予算の幅をふとらしていただきたいということなんでありまして、これはぜひ各国の教育改革の情勢というものについても文部省も御検討をいただきたいと思うわけです。大体この程度です。

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は討論中にお述べを願います。

吉江勝保自由民主党

○吉江勝保君 私はこの際、本法案に対しまして修正の動議を提出いたしたいと存じます。  修正案文を先に朗読いたします。   国立教育会館法案の一部を次のように修正する。   第二十条第一項第二号を次のように改める。   二 その設置する研修施設を利用して、前号に掲げる者の資質の向上のため必要な業務を行なうこと。  以上でございます。  本法案の審議にあたりまして、この第二十条第一項第二号につきまして熱心な質疑答弁がかわされてまいったのでありますが、その間、自社両党の間におきまして協議をいたしまして、この第二号の修正につきまして、ただいま朗読いたしましたような修正案文に合意に達しましたので、ここに便宜私から提案をいたしまして、御賛同を賜わりたいと思います。

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、これより国立教育会館法案について採決に入ります。  まず、討論中にありました吉江君提出の修正案を問題に供します。  吉江君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 多数と認めます。よって、吉江君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、おはかりいたします。先ほど理事各位の御協議で決定いたしました附帯決議案を便宜私より提案いたします。  まず、案文を朗読いたします。    国立教育会館法案に対する附帯決議(案)   国立教育会館の行なう研究集会、講習会等は、民主的な運営を図り、教育基本法の精神にのとって、教育関係者の研修を援助するように努めなければならない。  ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 全会一致と認めます。よって、ただいまの附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。  文部大臣より発言を求められましたので、これを許します。灘尾文部大臣。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府といたしましては、国立教育会館法並びに附帯決議の趣旨に沿って国立教育会館が運営されますよう、十分注意を払う所存でございます。

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野文門自由民主党

○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午前十一時五十八分散会    ————・————

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