大蔵委員会 第39号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1964/06/16
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 租税及び金融等に関する調査のうち金融に関する件を議題といたします。 本日は、特に最近問題となっております歩積み・両建てにつきまして、大蔵省当局から説明を聞いた上、質疑を行ないたいと存じます。高橋銀行局長から御説明を願います。高橋銀行局長。
○政府委員(高橋俊英君) 歩積み・両建て問題は非常に長いこと問題になっておりましたが、先般、衆議院のほうの大蔵委員会の金融及び証券の小委員会でこの問題を何回かにわたりまして取り上げられまして、最後的に、大蔵省が今後どういう態度でこれを規制しようとするのか、その案を出すようにということでございましたので、お手元にお配りしました表でないほうの部分でございますが、これを提出いたしまして、この方針及び自粛基準案等につきまして、銀行と打ち合わせの上、できるだけ早い機会にこれを実施に移すということにいたしております。 まず、四月に特別検査を実施いたしまして、その表がお手元に参っておりますが、この表で簡単に成績を申し上げますと、これは都市銀行は十二行、いわゆる全部でございます。地方銀行の中から九行選び、相互銀行八行、信用金庫十金庫、全部では三十九の金融機関を検査いたしたわけでございます。 検査のやり方など、この(注)のほうにも書いてございますが、その結果を見てみますと、A、B、Cと書いてあります左側のCの欄でございます。預掛け金、つまりまあ融資額に対する預金の割合でございます。債務者の、この場合は債務者預金の数字がございます。それから、その中で自粛の対象になる分がどれだけあったか、 これがD。そのDが債務者預金に対する比率が幾らであるかというのがE、それから融資額に対する比率はFの欄にございます。このFが都市銀行で九・九%、地方銀行で一〇・七%、相互銀行で十二・七%、信用金庫では一八・九%、こういう数字になっております。 これをちょうどほぼ一年前に行ないました特別検査の場合の成績と比べてみますと、相互銀行においてかなり変化が出ておる。つまり改善されておる。その他につきましては、あまりたいした差がないという結果が出てまいったわけでございます。その数字を一年前の数字、これは前に当委員会にも検査結果を御提出しておりますが、その数字をいま申しますと、都市銀行で一〇・一、地方銀行九・六、相互銀行二二・五、信用金庫一八・五という数字でございます。でありますから、相互銀行が二二・五から一二・七に、まあかなりの改善されたような姿になっておりますほかは、大差ないということになりまして、一年間何をしておったのかということで、たいへんおしかりを受けたのでございます。 そこで、いままでのようなやり方でやっておったのでは非常に自粛の成果があがらないじゃないかということで、必要とあらば特殊指定もやるべきじゃないかという御意見もございまして、私どもとしては、できるだけ特殊指定というふうな事態は避けて、あくまで銀行行政の問題としてこの始末をつけていきたい、そう思いましたものですから、従来のやり方に対して反省を加えまして、ここにお出ししてありますように、歩積み・両建ての整理方針案とありますが、これをまとめたわけでございます。 御説明を簡単にいたしたいと思います。 この整理方針につきまして、まず一つは、銀行からの報告を非常に厳重にとる。これは本店でまとめてやるのではなくて、各支店別に、本店を含めまして支店別に報告書を年二回徴求する。その報告書はいま様式等をつくっておりますが、近いうちに様式を定めて出すつもりでございます。 それから次に、報告書に基づきまして、これは報告書が正しいものとは限りませんが、あとに出ておりますように、検査等を行ないまして、報告書に間違いがあればそれを是正させるわけですが、一応前提ということになりますと、報告書をまず一応基準にとりまして、自粛対象預金の貸し出しに対する比率をおおむね一年で銀行の場合には解消させる、とりあえず初めの半年間に半減させるということにいたしたいと思います。おおむねと申しますのは、銀行の中にもいろいろなものがございまして、一兆二、三千億円にもなる銀行等もあれば、それの百分の一くらいの資金量のところもございます。非常に銀行間の力の格差が違います。したがいまして、大体平均的な銀行はこの基準でやる、相互銀行にも劣るようなはなはだ力のない地方銀行につきましては多少余裕を与えてやる、というふうな考えでございます。 それから、検査でございますが、定例検査をやります場合には、必ず報告書の内容について、それが正しいかどうか、どのくらいの内輪になっておるかというようなことを検査をいたしたい。必要な是正を行なう。都市銀行は非常に周期が長いものですから、適宜特別検査によってその穴を埋めて是正をはかるということにいたしたい。 それからなお、特にこの半年間で半減という目標が確保できるかどうか、そういうところが非常に問題なんでございますが、これは十一月現在で大体年末あるいは一月の初めまでに報告が参りますから、その結果を見まして、一月以降におきましてできるだけ広範囲にわたって特別検査をやる。申告ではちょうど半減しているということになりましても、実際にそうなっているかどうか、検査をやって確かめるという趣旨でございます。 それから、もう一つは、基準の問題でございます。自粛基準というのはすでに各協会で、金融機関の協会でつくられたものもあるわけでございますが、今度はこれを指導の基準にいたしたい。ついては、その内容につきましても少し変えたところがございます。 まず、現行の自粛基準のうちで、非常に表現上簡単であったり、要するに明確でないという部分がございます。そういうものをなるべくわかりやすくつくるということが第一点でございます。 それから、自粛対象の預金はどうするかという、どう始末をつけるかということにつきましては、従来もそうでございますか、まず相殺をさせる、それから、そうでなければ拘束の解除をする、金利措置をする、という三つの方法があるわけでございますが、相殺はもう、これは帳簿上金額は両方とも落ちるわけでございますから、問題はないといたしまして、拘束を解除したということをただ口頭で言っただけでは、何のことかわからない場合がございます。債務者にとっても、電話で拘束を解除しましたと言われても、ほんとうに引き出していいものやらどうやらわからぬということがございます。そこで、今度の場合には、いろいろな点で書面を使っておりますが、書面でその旨を通知をしなさいということになるわけです。金利措置をとった場合には、どういう笠利措置をとったかということを書面で通知する、こういうことを義務づけようと思います。 それから、金利措置の問題は、あとで自粛基準の中に入ってくるのでございますが、便宜ここで御説明申し上げますと、手形の割引の場合には、従来は三厘約定金利よりも下げるということになっておりましたが、約定金利が全然動かないものでありますればわかりやすいのですけれども、そもそもこういうものはそのときどきの金利の変化に応じて動く性質のものでございますので、わからない場合は、とにかく一銭八厘よりは高くはしない、それから約定金利というものははっきりしておれば動くこともあるでしょうけれども、それより四厘低い線を出す、そのいずれか低いほうであるというふうにいたしたいわけでございます。それから、都市銀行の場合は、こういう基準の金利よりもさらに一厘低い金利を適用する。これは、都市銀行と地方銀行一般と比べてみると、だいぶ力においても差があるわけでございまして、こういったことは、金利上の措置を考えます場合に、相互銀行、信用金庫ということになりますと、やはりその銀行一般に適用しておるものよりも二厘高い金利を適用するということにしているわけでございまして、その逆をいきまして、都市銀行の場合には一厘ダウンになっている。一厘引き下げること。こういうふうにいたしまして、つまり、あまりうまみがないということにする、両建てをやっておっても。収益のためにとるということは、この自粛部分についてはなくするというのがねらいでございます。 次は、その実効を確保する意味におきまして、責任を明確にする。銀行にはこの歩積み・両建てを整理するための担当役員をきめさせまして、その役員が責任者となってやる。そうしてその自粛の結果を見まして、それが結果がよろしくない、不良だという場合には、最高責任者、つまり頭取でございますが、それを含めた関係者、つまりだれがほんとうの責任者であるかはその場合場合によってきまるわけでございますが、本店の指令が非常に厳格に出ておるにかかわらず、支店長がサボっているという場合には、支店長の責任を追及するわけでございます。 行政上の処分として、制裁としてどのようなことがあるかという問題でございますが、私ども、ごくすんなり見た場合には、責任者は、責任のあるこの担当の役員はむろんでございますが、あるいは場合により頭取も呼んでその責任を大いに追及する。つまり、呼んでしかるということになる。これだけでも銀行、特に大銀行等にとりましては、その行内において非常に高い地位を占めておられる者が行政当局から直接文句を言われるというようなことは、たいへんな屈辱だというふうな感じでございまして、前に特例を私ども廃止いたしましたときに、やはり二、三そういう例がございまして、銀行にとってはこれはたいへんな不名誉であるということでございますから、その程度でもかなりのきき目はあるというふうに私どもは考えております。なお、場合によりましては、あまり成績が悪過ぎるという場合には、支店設置等の行政措置におきましても、差別待遇をせざるを得ないというふうなこともございます。 それから、四番目といたしまして、銀行は毎年債務者に拘束性預金があるかないか、その内訳を通知する。あるものはある、これのこの部分は拘束性であり、この部分は拘束性がない自由預金であるということを、債務者に通知するというふうにいたしまして、その写しを保存させて、検査の場合などもこれで非常に実態を明確にするということをねらっております。だから、銀行から拘束でないという通知を受けたら、自由に払い出しても文句は言えない。そのために不利な、特に債務者に不利となるようなあとの扱いをしないようにということを強く申し合わせさせるつもりでございます。 相互銀行とか信用金庫につきましては、先ほど金利の点などについて差があるということを申しましたが、概して、おおむねこの本案と大差ないような指導をやりたいと思っております。 今度の場合には、次にありますように、銀行の過当な歩積み・両建ての自粛基準案というのがございますが、これは現在もすでに銀行と話し合いをやっておりまして、大体、これを銀行はほとんど全面的にのむというふうなところへほとんど話がついております。これは従来銀行が自粛を、全くこれは形の上でも自主的にきめたものだというふうになっております。大蔵省の内面指導はもちろんあったわけでありますが、今度の場合には、こちらから行政指導の基準として、各協会に対し、それぞれこのような基準を自主的にきめて各その下部構成員に趣旨徹底させろというふうな通達を行なうわけでございまして、単純な自主的な取りきめではございません。行政指導に基づく自主的な自粛基準である、こういうふうなことになるわけでございます。 ここに書いてあります内容は、従前とさほどに実質的に違っているわけではございませんが、違う点などを少し申し上げてみたいと思います。 この1にあります自粛の対象となる歩積み・両建て預金というものは、拘束性預金のうちでこういうものなんだという点は、内容的には従来のものと変わっておりません。(1)番から(6)番までございますが、(6)の点が従来(6)と(7)に分かれておりました。実質的に手形割引と商業手形見返りの貸し付けというのはあまり変わりございませんので、これを一緒にまとめただけでございます。従前どおりということでございます。 その次の2は、いままでの自粛基準にはそれぞれの部分にいろいろな除外例が書いてありましたが、これに取りまとめて、自粛の対象とならない拘束性預金というのは、次のように三つの種類がある。この点が従来少しあいまいな表現等がございましたが、あれは非常に簡単でわからないということであったのを、依然として抽象的ではあるとはいいますけれども、しかし、かなりその考え方、見る場合の基準をここに並べたわけでございます。 (1)は、これは自発的に債務者が拘束性、形はたとえば定期預金であるというふうな拘束性ではありましても、はっきりこれは債務者の希望で置いてあるのだということが具体的に証明される場合は除外される。 (2)は、債務者の側から見まして、いままで銀行の債権保全というふうな考えも入っておりましたが、そうではなくて、債務者の手元流動性、支払い手形等をどれだけ出しているかというふうな経理の状態、あるいはその経営の状態が非常にいいか悪いかという、そういうことから判断いたしまして、当該債務者が、企業が当然に持っておってしかるべき預金の水準というものがあるはずである。つまり一般的にいうと、いま日本では非常に余分な預金を置いていると思います。その中に自発的なものもありますが、また拘束されたために非常に多い預金を保有せしめておるという場合がある。それをいろいろなこういった経理の面、経営の状態から見て過当ではないか、それだけの預金は必要としないではないかという場合には、その余分なものは自粛対象になる。適正な預金水準をこえないものだ、業容、成績全体から判断して適正であると思われるものは除かれる、こういう解釈を下しております。 (3)は、その借り入れ金等に対しまして、預金の額が非常に小さくて、固めてある程度まとまったところで返済に充てるというふうな場合には、経過的にやむを得ないものは、これは除かれる、こういうふうにしておるわけであります。 それから、3の自粛の措置でございますが、これは先ほどお話しいたしまして、先ほどの整理方針の中にすでに入れておきましたので、重ねて申し上げることはないのでございますが、「1の(1)に該当する預金については、必ず相殺を行なう。」と申しますのは、貸し付けと同時にその一部は拘束性預金をさせると、こういうものは初めから貸してないのであって、一番性質のよくないもの、そういうものは、たとえば五百万円貸し付けて、二百万円預けさして、実質は三百万円しか貸してないわけでございますが、そういう二百万の部分については必ず相殺をしなさいということを言っておるわけでございます。 それから、金利措置をとるというのがこの整理の方法として許されるわけでございますが、預金の満期日が来たというふうな場合に、債務者のほうで希望するならば、必ず相殺とかあるいは拘束の解除をやらなければいかぬ。まあむしろ逆に言ったほうがよろしいので、金利措置をとったままで、その預金は見せかけのためもあるでしょう。信用その他を保持するために継続して置いておきたいということを債務者が言った場合は、これは金利措置を続けてよろしいのですが、そうでなければ相殺をするか、拘束の解除をするか、いずれかをやっていくべきである、こういう趣旨でございます。 金利措置につきましては、先ほど割引に際して従来と少し違うと申しましたが、この預金担保の貸し付けについては従来と変わりありません。ありませんが、都市銀行の場合には、やはり一厘だけは低くしなければいかぬということになります。それがこの金利措置のところに書いてあるわけでございます。 それから、この預金担保の貸し付けについて、まず原則は書いてあるのですが、見返り預金あるいは見合い預金と称するものにつきましても、それに対応する貸し出しについては、担保預金の場合と同じような金利の措置をとらなければならないということでございます。 なお、従来も五番目に、5に書いてあります——以上はいずれも自粛措置の対象となる歩積み・両建ての分でございますが、自粛の対象にならない担保預金あるいは、見返り預金については、やはり金利は上に書いてある方法と同じように引き下げをしなければならぬということでございます。 それから、注といたしまして、拘束性預金というのは、担保預金、見返り預金、見合い預金というふうに分かれるというふうな定義をここで下しております。で、見合い預金というのは、担保預金ではない。担保という手続もとっていないし、見返りのように預金証書等を銀行側が預かっておる、印鑑を含めて預かっておるというふうな措置をとっておらないものであるが、銀行で実質的に預金を拘束しておるものだと。その場合に、要求払い預金でちょっと見ただけでは拘束性がないように見えても、その預金の受け払いの実績から判断すると明らかにこれは過当であるというふうに見られるものは見合い預金とするぞと。この字句の点は多少、実際に通達を出します場合等に少し変わりますが、趣旨はこのとおりでございます。何ら趣旨においては変えておりません。 そのほか、「即時両建て」とか「過当な歩積み預金等」というふうなことがございまして、従来とそう変わっておりませんが、一番最後の「過当な歩積み預金等」の中で、「過当なもの」とは「歩積み預金については商慣習上是認される限度をこえるもの」、それから「根担保預金等については、不渡り発生の危険を担保するために必要な最低限度をこえるもの」だと。「この限度は、手形の内容等に応じて異なることは当然であるが、通例は、割引極度額の一〇%」、そうして非常に手形の内容等がよろしい、十分に危険が分散されておるという場合には一〇%くらいで、それから悪くなるに従って上がって、まあ三〇%ぐらいまでが一応の基準になるのだ、ということを言っておりますが、しかし三〇%をこえれば必ず過当だというふうになるわけではございません。一つの中堅企業といいますか、倒産した例もございますが、その下請等でありまして非常に依存度が高過ぎる、割引手形があまりに片寄っておるというような場合、そういう場合には、もしその会社が倒産などが起こりますと、非常にリスクが大きく、あらためて非常な借り入れ申請をするいとまもなく本人自身が不渡りを出す危険がある。そういう場合には大体店長の権限で拘束解除をできることが通例でございますので、預金があればそれで解除をしていきます。そして不渡りを出さないようにするということもございますので、一がいに一〇%ないし三〇%がいいのだとは言いませんが、大部分の場合にはそうだろうというふうなことで明らかにここでした次第でございます。 大体以上が、これからの整理方針と、それから各銀行協会、相互銀行協会、信用金庫協会等において自粛の基準をこれから若干手直しをするわけでございますが、その基準を示すものでございました。こういうことで今後半年間で、もちろん金利措置も含めますが、原則的には相殺等を多くやらせまして、半減させる。おおむね一年でさせる。ただし、信用金庫、相互銀行の場合には、従来の実績等から見まして、大体二年ぐらいで解消することを考えなければあまりにも無理であるというふうに思われますので、銀行はおおむね一年、相互銀行、信用金庫はおおむね二年というような目途で、しかし、相互銀行、信用金庫におきましても一年間でおおむね半減というふうな中間的な目標を定めさせまして整理させたいという考えでございます。以上で私の説明を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で説明を終わりましたので、これに対する質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○成瀬幡治君 この国会で特に歩積み・両建ての問題が取り上げられて、衆議院等ではおっしゃるような小委員会もできた。それから大蔵省もやる気になったというわけですが、何もこれは今年度始まっただけじゃなしに、去年もおととしも、ずっといままであったことだと思うのですよ。そういう経過と申しますか、あったことなんですが、そういうときには、局長はもちろん検査部長もおられますから、いままではどういうようなことをしておみえになって、今回こうやらなければならなくなったということになるわけですが、事前にこういうようなことがなぜ防げなかったものであろうかという点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。それをお答えいただくときに、ついでに、どうしていつごろからこういう歩積み・両建ての問題が起こりだしたか、その経過をあわせて説明してくれませんか。
○政府委員(高橋俊英君) この歩積み・両建ての問題というのは、実は非常に古くから問題にされておりまして、最初に大蔵省が規制しようと思いましたのは二十六年の三月なんであります。言ってみれば十三年前から問題になっているわけであります。昭和二十六年と申しますと、まあ大体皆さんも御承知のように占領中でございますが、戦後のインフレで、銀行のみならずすべての金融機関がだいぶ大きな打撃を受けまして、ようやく経済が安定するに従いまして一応体をなしてきた、そういう段階から歩積み・両建てが問題になったわけです。 これはすでに金利問題とからんでいるわけです。臨金法で金利の規制をやっておった。ところが、それに対して銀行が、一つはやはり実質金利の問題としてでもあり、それが目的でもありますが、一つは業容を大きく見せるということ、これはいままでも銀行は非常に熱心なのでありますが、預金の量を競争する。預金の量が大きいほうが成績がいいように見えるわけです。その二つのことがからみ合っておりまして、こういう問題がこのころから生じまして、その同じ年に七月に第二次の規制をやるとか、翌年の三月にまた第三次の規制をやるとか、そういうことを何回か繰り返してまいったわけでございまして、たびたび、銀行局長通達がもう十何回も出ていながら、まるで無視されているじゃないかというおしかりを受けるわけでございます。 やはりこういうところに私は金利政策の非常にむずかしさがあると思うのでございまして、臨金法でいえば、望ましい金利水準の最高限を規定するわけでございます。ところが、実際にはそれでは銀行の経営が成り立たぬという事情もあったと思います。それを非常に厳格な意味で守りますと、非常に苦しい。ですから、そこに金利政策で若干無理があったのじゃないかとも私どもは思うわけでございますが、両建てでカバーして実質金利を高くしている。ところが、表面金利のほうは、それにもかかわらず、年を追って表面金利は下がってきたわけでございます。やはり昭和二十六年当時に比べれば、毎年少しずつは、長期的に見ると金利水準というのは上がったり下がったりしながら、なおかつ下げられてきた。相互銀行の例をとりますと、七、八年前でしたら、三銭、平均金利が三銭ぐらいに優になっておったのです。ところが、現在で見ますと、二銭四厘何毛、二銭五厘にもならない金利が平均金利になっているわけです。実際の約定金利の平均をとりますと、二銭四厘台にしかなっていない。ところが、コストからいいますと、相互銀行がそれでは二銭四厘で引き合うのかといいますと、そうはならないのであります。かなり実質的な資金コストも高い。両建てで、両建てをたくさんとることによって実質金利が高くなる。それでまあ経営が十分成り立つというふうなことになる。だから、表面金利のほうの引き下げにどちらかといえば重点が置かれたわけでございます。 両建てのほうは特に最近悪くなったというのではなくて、もう長い間両建ての割合というのは一向変わらない。表面金利が下がった分だけは確かに実質金利も下がってまいったわけでございます。ですから、今後もほうっておいても、長い目で見れば実質金利は下がると思いますが、なお、いま、両建てというふうなものを激しくやりますと、ほんとうの金利が幾らであるのかわからないということになりまして、借りるほうにとっても、あるいはだまされたような感じを持つ人もあるでしょう。しかし、長い間の商慣習にもすでになっておりますから、現在、長年、何年も銀行取引をやっている債務者としては、これをさほど問題にしない。しかし、たとえば新たに貸し出しを受けるというふうな場合、退職金でアパートを建築するというふうな方が銀行に借り入れを申し込んだ場合、自分の必要とする額よりもよけいに借りさせられて差額を預けさせられたというケースが出てきて、これは非常におかしいじゃないかというふうなことが強く言われる。こういう問題があろうと思います。 まあ外国の銀行は、外国などでもある程度債務者から預金をとるのが普通になっている。貸す場合に二割ぐらいの両建てはアメリカだってとるのですよというふうなことを言っておりますが、しかし、日本のはその程度ではないので、もっと高いですから、これはどうも非常に行き過ぎじゃないか。 これを是正するということにいかなる効果が、実質的な利益があるのかどうか、それは問題でございますが、やはり幾ら表面金利を上げろといっても、なかなか上げにくい実情だそうであります。表面金利はあまり上げられない。そうしてこの両建てを滅らせば、やはり中小企業等に対して実質金利が低下する結果になるのじゃないか。 それと、銀行の経営態度、頭金競争について過当な競争をやっておりますが、この点だけはいまでも、われわれ非常にこれ以外の面でも是正を要する点が多分にあると思いますが、とにかく両建てを多くとるということは、債務者預金であれ何であれ、預金が多くあったほうが非常によく見えるということで、競争が激しい。 こういうことがからんで、今日までのところ、本気になって是正しようという気にならなかったということだと思います。 銀行としても、国会等で問題にされたことは知っておりましても、痛切に感じない。できるだけ引き延ばしていくうちに何とかなるのではないかというふうに、甘く見ておったけれども、そうはまいらぬ。どうしても言うことを聞かなければ特殊指定をやる。しかも、その実施は大蔵省がやるということになっては、銀行としてはあまりに不名誉であるということで、今度の場合を見ますと、各銀行とも、従来とはかなり態度が違いまして、どうしてもこれを解決しなければならないという機運が非常に強く出ておりますから、私どもきめた半年間で半減か一年間でおおむね解消するということについても、十分やるというような気がまえを持っております。 これがいままでの経過と今日における銀行等のこの問題に対する態度でございます。
○成瀬幡治君 局長、いままで十何回か出たと、こうおっしゃるのですが、そうした場合、いままで、自粛の基準というようなものはもちろんつくられたのは今回が初めてだと思うのですが、しばしば通達指導等をなされても、それが効果があがらなかったというのは、どこに原因があるのですか。
○政府委員(高橋俊英君) やはり趣旨が末端まで徹底しないということだったのです。その徹底しないのはなぜかと申しますと、なるほど一年前に銀行協会が一番先に自粛基準をきめました。その自粛基準というものは、従来のものに比べればはるかに進んだものでございまして、それまでのいろいろなものを見ますと、やや中途はんぱなものになっております。私どもが検査部長をしておりましたときに、両建てというのはいかぬと言ったのは、そのときの基準でいいますと、貸し出しの日の四日前か四日あとか、それ以内に両建てを行なったものはいかぬぞと、こういうふうな指導基準があったわけでございます。ですから、そうすると、そんなものはどうにでもなるわけでございます。日にちをちょっとずらせば両建てでなくなってしまう。そんなことで非常になまくらな基準でございまして、実際に両建てにひっかかるものが非常に少ない。ところが、債務者側のほうに言わせれば、そんな日にちなど、四日前であろうがあとであろうが、そんなことは関係ないので、一月前から出してあったものを梗塞される場合もあるし、あとで預けなさいと言われる場合もあるでしょう。抜け穴は幾らでもあったと思います。 今度はそういう抜け穴はなくなっております。四日というか、インスタントに預金さしたものは即時両建てということで規制しております。そのほかにもこういうものがあるぞということで例証しておりますから、抜け穴はない。 ただし、趣旨が徹底しないというのは、相互銀行の場合ですと、私どものほうの調べでは、定期預金の構成割合が多いものですから、債務者の定期預金の構成割合を減らしなさい。ほんとうの債務者でない人の預金をふやして、債務者の預金を減らしなさい。そうすれば構成割合が下がるはずであります。その下げる目標を別個にきめさした。それを相互銀行は非常にすなおに受け入れて現在やっているわけです。この自粛措置以外にもそういう措置をとってきているわけです。だから、そのせいもあるかと思いますが、結果から見ますと、相互銀行はかなり改善されている。しかし銀行は、銀行の本部自体がまともにこれを整理しようという意欲がうかがえない。末端に行けば、まあ適当にやっておけという気持ちでやってきたのが欠陥だと思いますが、信用金庫の場合は数が非常に多いことが原因になっている。五百三十もございまして、ずいぶんこまかいのもございます。そういうところに対して協会が号令をかけても、末端にまで滲透するに至らなかったという、こういうことでございます。 今度は、少なくとも銀行についてはいままでの態度よりは進んでおりますから、この目標に対してもこれはやると言っておりますから、一年もすればいままでとは相当違った結果が出るのではないかと期待しております。
○木村禧八郎君 どうも、いまの御説明では十分に納得できないんですがね。その趣旨が徹底していないとか、そういう具体的な面にも問題がないわけではないと思いますがね。もう少し実体的に御説明願えないですかね。というのは、金利というのは普通、いまの自由資本主義の経済のもとでは、大体資金の需給関係によってきまるわけでしょう。ですから、デマンドがあれば需要があれば金利は上がるわけですよ。 そこで、この歩積み・両建てが問題になるのは、大企業ではないと思うんですね。大体、中小企業あるいは零細企業ですね。ですから、一番基本的には、そういうほうに対する、そういう方面の資金の需要は非常に大きいんですね。多いんだけれども、それに対する供給が十分でない。そこに問題があって、ですから、早い話が、弱みにつけ込むという点もあるんじゃないか。苦しいから、やみ金利よりはまだいいだろう、そういわれて、中小企業、零細企業のほうも、非常に高いことは知りつつも、やみ金利よりもまだいいからというので、十分に長期低利の金が借りられないが、背に腹はかえられないというので、歩積み・両建てにがまんせざるを得ない、そういう面も一つあるんじゃないですかね。 だから、私は、こういう指導をされて、それがあなたの言うように、一年の間に、大蔵当局が示されたような基準まで実効をあげるかどうか、これは非常に注目すべきことだと思う。もしこれが半年、一年で半減しあるいは解消をされるということになれば、これは非常に今度は資金のそういう需給関係の面にも変化が出てこなければならないと思います。そういう変化がなくて、ただ指導だけで私はそういう効果は収め得られないのじゃないかと思うんです。 そこで、その点について御答弁願いたいと同時に、半年に半減とか、一年に大体解消するということは、われわれいただいたこの表ですね、この表の中でFですね、都市銀行では九・九%、地方銀行では一〇・七、相互銀行一二・七、信用金庫が一八・九、この比率を半減ないし解消する、こういう意味でございますか、どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) あとのお尋ねの点はそのとおりでございます。相互銀行、信用金庫は、先ほど申しましたように、一年というのは非常に無理な点がある。相互銀行は、大きいところと小さいところと非常に違う。信用金庫の場合、千億のところから、二、三億の信用金庫までありまして、差があまりにもひどいものですから、一年というのはとても無理で、二年間でやるということでございます。 それから、前の点でございますが、私は木村さんのお説に、実体的に申しますれば、全く同感と申し上げるほかないので、資金需要が非常に強い。つまり、金利の水準というのはどうやってきまるかといいますと、やはり各企業の利潤率が一つの制約であろうと思います。借りてやった、追加した投資によって何ら実質的な利潤を生まなければ、そういう金利は計算されないので、やはり幾らか手元にうまみが残るというところであろうと思います。 しかし、この日本の企業の利潤率が、いままでの高い成長のもとでは、やはり伸び率は全体としては高いわけでございます。利潤率が比較的高かったという点がある。これは業種によって非常に差があると思いますが、どちらかと申せば、非常にまともな下請企業という場合には利潤率はあまり高くない。そうでなくて、極端なものであれば、水商売のようなものは、当たれば非常に利潤率が高い。年利十割でももうけがあるというふうなことで、高利貸しから借りても引き合うという場合もあるでしょう。しかし、そういう特異なものを含めましても、全体としての水準というものはおのずから、利潤率を基準としたところの資金の需給関係が金利水準を決定してくるんだと思いますから、そういうわけで、そういう点から見ますと、中小企業等において高利をいとわず借りるということ、この現象は急速にはなくならない。いま急に、金融引き締めやっているせいもありますが、むしろ需要は強まってきておるという状態でございます。そういう経済の実勢から申せば、こういう実質金利の引き下げの結果となるような措置がはたしてうまくいくものかという御疑念は当然にあると思います。 ただ、この割合でございますが、ここにある一〇%前後の数字というふうなものは、債務者から言わせればまだまだ非常に不満な数字であると思います。私どもが検査の結果とらえたのは、言ってみればはっきり黒だということが言えるものだけでございます。非常に具体的なケースに当たりますと、銀行の言い分と、それから債務者は調べておりません、私のほうは。債務者を調査する権限はございませんが、おそらく債務者と対決させれば、ずいぶん開きがあるだろうと思います。公正取引委員会がアンケート調査を行ないましたが、その結果の数字は、これよりだいぶ高い拘束性預金があるというふうに思っています。ただ、私どもは実証するということになりますと非常に困難で、検査の能力の限界から申しますと、まあこの程度のものは少なくとも黒である。ですから、全体から見るとまだ一部にすぎないけれども、この程度のものは全面的に解消をはかったらどうであろうということにいたしたわけでございまして、この程度でありますと、そう大きな利下げになることはない。まあ銀行によってこの割合はだいぶ違いますから、金融機関によってはもっともっと高い比率の自粛対象預金もございますから、一がいには申せませんが、存立をあやうくするほどのものじゃないじゃないか、銀行が今後もっと合理化等につとめれば十分に耐え得る程度のものでないか、というふうに判断しております。 しかし、金利が安くなれば、むしろ金に対する需要はふえるというのが経済の原則であろうと思いますので、これをやることによってそういう事態の解決にはならない。やはり中小企業に限らず全体としての資金需要が変化してこなければ、供給というのはおのずから所得によってきまっておるわけですから、非常に過当な需要というようなことがございますが、それの緩和をはかるということは経済政策全体の問題としてやっていかなきゃならぬのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、こういう金融機関のこの措置は、むしろそれに対しては、何といいますか、経済の実勢から申しますと、むしろ逆行するような結果にもなりかねません。 しかし、いやしくも国の免許を受けている金融機関が、高利貸しとははるかに違うとはいいましても、実質高い金利を取っておるという状態、これはあまり好ましいことだとは申せません。やはりおのずから企業の利潤で十分まかなえる程度の金利を取って、それでやっていくようにしなきゃいかぬ。あとは融資の際の選別の問題ではないか。非常に高い金利で借りたいという人があるから、そういう人に優先して貸すという態度をとっておったのでは、これはますます解消できませんが、そうではなくて、やはりいい企業、必要な企業を選んで貸すというふうな融資の選別を行なっていきますならば、一面においてはそういう実質的な金利の引き下げが行なわれてもしかるべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
○木村禧八郎君 それは、利潤率によって資金の需要というものが規制されるということは、それはそうだと思いますが、中小企業、零細企業のほうは、その利潤率を確保する場合に、金利が高いとどこへしわが寄るかということが問題なんです、われわれとしては。これは結局そこに働く労働者にどうしてもしわが寄っていくと思うのです、そういう不当な金利の。ですから、私はどうしてもこういう措置も必要ですし、しなければならぬと思うのです。それと同時に、資金面の、資金の供給面の対策というものが裏づけにならなければ、私は対策としては万全でないと思う。ですから、大企業のほうで設備投資の意欲が依然として強いということがいわれておりますけれども、全体の資金計画ですね、ことに大企業のほうに資金が十分に供給される、それで中小企業、零細企業の資金の供給量は少ない、そういうことが一つのやはり大きい原因になって、そして中小企業のほうは資金の需要としては非常にある、それをある程度の利潤を確保できるから、その利潤を確保できるのは、歩積み・両建てでかなり高い金利を払いながらそれができるというのは、結局労働条件を切り下げるという形においてそういうことが可能になってくると思うのですね。その点がわれわれとしては非常に問題があるわけですよ。 ですから、資金供給面についてもっと積極的な方針を出さないと、これだけでは十分ではない。特にこれをもっともっと下げた場合、私が何回も言うのですが、今度金融機関がそういう零細企業、中小企業に貸さないということになったら、そういう人たちはやみ金利にいくよりしょうがないのですよ、やみ金利に。そうすると、今度逆効果が生ずるおそれもある。ですから、これと同時に、やはり資金の供給面のことを私はもっと積極的に考えなければならないのではないか、こういう気がするのです。そっちのほうは十分に手を打たないで、ただこれだけやるということでは、経済原則からいってどうも私は、何というか、納得がいかないのですがね。 それから、公取の調査から見てまだ非常に不十分だということを言われましたが、やはり債務者の意見もこれはほんとうは聞くべきだと思うのですがね。これは銀行のほうの経理ということに非常に重点を置いてそういう自粛方針というものを出したと思うのでありますが、そういう点についてどうお考えになりますか。
○政府委員(高橋俊英君) 中小企業に対する資金の供給ですね、供給総量というものは、大企業を含めた総量というものにはおのずから一定の限界がある、その中での配分として中小企業向けの資金量が少なくとも減らないようにということ、これは私どもが別途に行政指導やっておるわけでございます。この点につきましては、前々から言われたことでございまして、両建て・歩積みがあるから、つまり銀行にとって中小企業に貸し出すというのは非常に妙味があるのだ。その妙味を減らせば貸し出しそのものもやらなくなるのではないかという心配ですね。両建て・歩積み、あまりやかましくいうと、中小企業貸し出しは妙味が減ってしまうから、したがって、貸し出しはやらなくなるおそれがある。これは銀行の場合だと思うのです。というのは、相互銀行以下のものについては、大企業貸し出しというのは非常にやかましく制限しているのです。これは原則としてはできない。ほとんど中小企業相手に貸さなければいかぬということにしておる。 銀行の場合に貸し出しのシェアが大企業のほうにもつと片寄っていくのではないかという御心配、これはたびたび指摘されたことでもありますが、私どもとしては、銀行協会に対して非常に強く通達でこれははっきり出しております。今度の引き締めに際しまして、中小企業にしわ寄せをするとまずい。やはり大企業の設備投資その他を押えていくということが景気の調整に有効なんだということで、そういう趣旨は相当行き届いていると私どもは考えております。連月、中小企業向け貸し出しのシェアがふえますが、ほんのわずかずつ低下する傾向は避けられないです。しかし、これは統計ではっきり立証はできませんが、つまり、五千万円以下の企業となっております中小企業が、六十万円でも七千万円でも、ほんのちょっと増資をすれば、その辺の中小企業が大企業に移行するという傾向は、従来も非常に明白にございまして、これは法人統計などでもやはり出ております。上位の企業の数が、どんどんふえていくという傾向は、毎年あるわけでございますから、大体その実質を見て、それに応ずる程度の変化はやむを得ないが、中小企業向けあるいは零細向けの貸し出しが減るようなことは絶対ないようにということで、口頭でも十分話しておりまして、銀行側も、都市銀行に例をとりましても、中小企業を締め出すというようなことは、実際は、中小企業は預金の面ではだいぶ自発的な預金があるのでございまして、預金源でございましてね、だから、これを全部虐待するということは、決して銀行自体の預金が伸びるゆえんではないということを、やはりかなり知っております。 というのは、前に何回か引き締めをやりましたときに、中小企業を相当締め出す、それが地方銀行以下相互銀行等に行くわけでございますが、そのお得意さんが戻ってこないという場合があるわけでございます。一ぺん冷遇された経験があると、引き締めのときになると都市銀行は非常に薄情であると。だから、まさかのときには非常に困るから、お得意先としては、必ずしもあんな名前だけのいいところと取引するんじゃないということを悟って、逃げてしまったという例もあります。こういうことで、非常に中小企業は大事であるということは、相当各銀行とも私は知っていると思います。彼らの口吻等からしましても、そういうことが十分わかるわけでございます。 今後におきましても、私は、そういう指導は続けますし、彼らも相当自覚しているのじゃないかと思います。あながち、この措置をとったから中小企業を締め出すというような、あるいはシェアを減らすというような結果には、まずならないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
○成瀬幡治君 先ほど、木村委員のほうからお話がありましたが、お聞きしておりますと、通達はしばしば出されたと。しかし、今度の自粛規制は、銀行協会のほうでおやりになったもののほうがきつくて、通達はちっとはやってみたのだけれども、どうも今度は実にりっぱな自粛規制を銀行のほうがおつくりになったというような感じに受け取るわけですよ、あなたの答弁を聞きますと。実際そういうものですか。
○政府委員(高橋俊英君) 昨年の自粛基準は、銀行が自主的に協会できめたものでございます。しかし、そうはいいましても、大蔵省が関係しなかったのじゃないのでして、担当課長あたりが基準の作成にあたっては相当実質的には参画しております。そして、大蔵省と打ち合わせして、これでいいんじゃないかということになってから、全体にはかってそれを自主決定したということでございまして、今度の場合は、そういう自主的なあれだけじゃいかぬから、行政指導の方針としてこれを取り上げていくと。通達をもって、このような自粛基準をつくれということにするわけでございます。 その内容につきましても、あいまいな表現で、債務者にどうも不利である、銀行の都合のいい解釈が下されるおそれのある部分は、それを書きかえております。債務者の側から見て、当然営業上あるいは自分の信用を保持するために必要な預金というのがあるわけでございます。この程度の月の商いであれば、この程度の預金があってしかるべきだという、そういう判断でそういうところにポイントを置いてやりなさい。銀行が貸し出しを回収するときに便利なようなものをつくるんじゃないんだというふうな点で、債務者の側から見て、幾ぶん銀行がいままでよりは有利な解釈が下されるようなところを変えておるわけでございまして、依然として抽象的でございますから、具体的なケースに当たって争いが生ずることは免れません。これはやむを得ないことだと思います。業容によって全く違うわけでございますから、一律に何割までがいいんだとか、月商の幾らが必要であるということはきめられないのです。その業種によっても違いますし、手形の振り出しのぐあいなんかによって非常に違うわけでございますから、抽象的であるのはやむを得ないといたしまして、考え方は、債務者に対して不利にならないようなところを足してやる、その部分を一部改正いたしまして、これを行政指導の基準にいたします。 ついては、各銀行に直接通達するのじゃなくて、それぞれの協会で自主的に取り上げて構成員に徹底させなさい。活動として、やはり銀行自身がその気になって解決しなければ、こういうものはなかなか直らないと思うのです。ですから、そういう自主的な基準という形が残るのは行政指導の方針でもあるぞというふうに見解を改めたわけでございます。
○成瀬幡治君 私は高橋さん、そういうことじゃなくて、どうもお聞きしていると、いままで実効等があがらなかったということについては、いろいろな意見もあなた方から説明もございましたよ。しかし、銀行局当局もあんまり力を入れて本気でどうも指導をしなかったように受け取れますと、こういうことなんです。 そこで、今回こういうような措置をおやりになったと。しかも、そういう自主規制というようなことは、こま承れば、いや、実はおれのほうも内面指導等をし、表面に立っても指導してこういうものをつくってきたのだ、こういうふうには受け取れますが、そういうような御説明にもなりますが、いままであまり熱心じゃなかったのじゃないかということは、これは事実のようですが、どうでしょう。
○政府委員(高橋俊英君) そう申されてもやむを得ないと思います。というのは、なるべく、これを銀行に対して内面指導をやりまして、銀行自体が取り上げてきめていくという方式ですね、これをこの一年間やろうと思ってきたわけです。ところが、思うように動いてくれないということですね。こちらがもう少し強く前進させようと思っても、向こうはできるだけうしろへ下がって、従来のやり方とそう変化しないようにというふうな考え方に立っておりましたから、だから、今度は、それではだめなんで、自主的なということだけじゃいかぬから、こちらからこれでやりなさいというふうにぶっつけるという点が違ってきたわけです。つまり、行政指導のやり方が非常に銀行を立てたようなやり方でやってきたが、思うように動いてくれないから、今度頭から引っぱっていくというような方式に変えましたということでございます。
○成瀬幡治君 十三年間しんぼうして、隠忍自重でおやりになったが、どうにもいかなかったから、今度こういうふうにやったと。それはいいでしょう。しかし、一体拘束預金は総額どのくらいあるとあなたのほうはつかんでおられるか。公取はどのくらいあるとつかんでおるか、何億ということになっておりますか。
○木村禧八郎君 ついでに、公取の自粛対象預掛け金の融資額に対する比率ですね、これを公取はどういうふうにこの比率を見ていますか。もしおわかりだったら、それをちょっとついでにおっしゃってみてください。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をつけて。
○政府委員(高橋俊英君) 拘束性預金と申しましたが、私どものほうでは、拘束性預金というものと、その中での自粛対象預金というものは、はっきりわけておるわけです。いまのお尋ねは自粛対象と考えてよろしいですね。
○成瀬幡治君 拘束性預金と称するものはどのくらいですか。
○政府委員(高橋俊英君) 拘束性預金と称するものは、中小企業の場合、大企業はこれはほとんど調査していないわけです。調べたのが、支店で扱うのが大体中小企業が多いわけですが、そのうちの中小企業をとらまえてみますと、銀行の場合ですと、私どものほうの調べによりますと、都市銀行の場合でも拘束性の預金の総額、預金の割合は融資に対して三五%ぐらいになります。これはしかし中小企業でございますから、中小企業向け貸し出しに対して大体そのくらいの割合を掛けたものとなりますから、はっきりした、いまぴったりとした数字を持ち合わせませんが……。
○成瀬幡治君 私は、調査していなければいいです、パーセントだけで。
○政府委員(高橋俊英君) 大体預金全体、都市銀行でいいますと、預金全体の一割くらいがそれに当たるわけでございます。七兆あれば七千億ということになります。さらに、大企業分がやはりあるわけです。ゼロじゃない。ただ、大企業は調査しておりませんが、中小企業の三五%の拘束性預金に比べればはるかに低いんじゃないかと思います。それはおそらくは、三五とすれば、片方は一割くらいのものじゃないかと思います。非常な大きな企業も含めますから、これは一割ということは、資金全体のおおむね七%ぐらいになりますか、やはりこれも七千億ぐらいになるでしょう。だから、都市銀行だけでも一兆四千億ぐらい概算で拘束性の預金があることになりはしないかと思います。その上に、都市銀行と地方銀行の分を比べれば、地方銀行のほうは中小の比率が都市に比べて高いわけでありますから、率としてはいまの申し上げた数字を若干上回る数字を考えていただきたいと思います。大体、都市銀行ですと、全体の二割程度が拘束性預金とみなすべきものじゃないかと思います。地方銀行ですと、それは三五ないし四〇近いものになりはせぬか、三五くらい考えていればいいんじゃないかと思います。 それから、もう一つお尋ねがございましたが、公取のほうの調査でございますが、これの最新版、新しいほうの数字を申し上げますと、ここで言っております拘束性預金というものは、私のほうでいま申しました拘束性預金に対応するわけです。自粛対象というわけじゃございません。都市銀行が借り入れ金に対する預金の割合は三九・九%でございます。地方銀行が三二%、相互銀行が三六・六%、信用金庫三七・一%。こうして見ますと、回答数がたしか二千何百のうちから六百前後、非常に数としてはそう大きくないのです。でありますから、ここにありますように、ちょっと奇異な感じを受けるのは、都市銀行のほうが高くて、地方銀行が一番低いというような数字になっておりますが、やはりこれは債務者の選び方が問題になると思います。回答を寄せました債務者の数がそれほど多くありませんので、イレギュラーの数が出てきておる。実態を見ると、金融機関のいかんにかかわらず、拘束性預金としてはそう大差がないということが出ているんじゃないかと思います。
○木村禧八郎君 公取のは、比率はあれですか、融資額に対する拘束性預金ですか、自粛対象預金じゃないですね。
○政府委員(高橋俊英君) 調査の目的が必ずしも一致しておりませんので、私どもの調査のほうと比べてみますと、いわゆる拘束性預金というものを全部ひっくるめていると、これが公取の調査だと考えていいのじゃないかと思うのです。つまり、こういう高い比率になっておりますが、いわゆる定期性の預金であるとかなんとか、債務者の側でこれは拘束されているのですよということを申し立てた、預金担保にしておれば、その担保預金をみんな計算しておるわけですが、私のほうの拘束というのも大体それに近いのです。拘束性預金というものは近いのですが、いわゆる自粛対象と大蔵省が言っておるのは、その中の一部であるということでございまして、もし公取の言った数字全体が自粛対象だということになると、私は相当ほんとうの姿と変わったものになると。と申しますのは、たとえば四割という数字は、債務者預金の全体が大体五割なんですね、そのうちの四割がもし拘束されているとしまして、こいつを全部取っ払ってしまったら、預金が今度は少な過ぎちゃって商売にならぬ。債務者の側から、自発的にもっとおりてくるというふうな結果になるだろうと思うのです。ですから、これは絶体に数字が自粛対象にはなり得ないものだ。この形は拘束性預金であるが、それは債務者がその中に好んでそういう形をとっているものも含まれているのだと見るべきじゃないかと思う。
○成瀬幡治君 まあ一つは、銀行が実質的な金利をかせぐために歩積み・両建てをやっているのだということはわかるわけですが、これと関連して、たとえば銀行がこのごろりっぱなビルをお建てになるわけです。分相応といえばそれまでですが、りっぱなものをお建てになっている。こういう新築なり、あるいは改築ということ等、これらの点についていままで規制がされておると思うわけですが、これはどんなふうに御指導になっていますか。
○政府委員(高橋俊英君) それは、銀行の場合は営業用の不動産が大半でございますので、不動産の保有比率を、自己資本の四割が一応の限界であると。それを越えておるものは、計画を立ててそこまで減らしていくようにせいというふうな指導を行なっております。ですから、一つ一つの建物についても、これは全く関係ないわけじゃありません。ことに本店建築の場合などは、これは非常に中身についても詳しく伺って、行き過ぎのないようにはしておるわけでございますが、ただ、これから本店などを建築しますと、やはり現在の人員とかその他機構を前提に考えるわけにいかぬ。やはり五年先、十年先ぐらいまで考えなきゃならぬ。そうすると、いまの基準を一時的には越える場合が出てくる。どうしても非常に大きな建物を建てますと、そういう場合にはほかでうんと改善しまして、つまりあまり建物に金をかけないようにして、何年間かでこれは必ず四〇%の基準内に押えるということを条件にして許可をする、そういう指導を行なっております。
○成瀬幡治君 なぜ私はこういうことを尋ねるかと申しますと、確かに、しわがどういうところに寄ってくるかという問題については、先ほど木村委員が指摘されたわけですが、銀行があまりにももうけ過ぎるというのもいかがと思うのです。したがって、そういうものを制限をしていくには、たとえば厚生施設にそれじゃどれだけ回しておるか、あるいは店舗にはどのくらいのものをやっておるかというような、当然私は指導がなされていいと思うのです。少なくとも公共性が非常に高いものなんですから、そういうところがもうけたのだから、おれのところはりっぱな店舗をつくればいいのだ、いい場所にすわればいいのだという、そういうこともわからぬことではないですけれども、そういうものに対しても、私のほうの面から見れば、ある程度私たちはしんぼうをしてもらってしかるべきだと思う。そういう面について相当大胆な指導というものがなされなければ、やっぱりもうけるほうに走ってしまうのですから、そういうものに対する指導の何と申しますか、基本的な考え方が、いまちょっとお聞きしますと、不動産取得の四〇%だというようなことだけで十分なのかどうか。
○政府委員(高橋俊英君) そういう点は、従来、これは戦後かなりこまかい点まで、銀行行政というものは干渉しておったのです。それが、銀行も一人前になってきたから、あまりにもこまかいことを、役員の給与に一々口を出すというふうなところまでいくのはどうかということで、いわゆる自由化の線が打ち出されたわけですね。ですから、大まかな規制でいくのだと。不動産は、こまかく一々干渉するのじゃなくて、自己資本の四割ということであれば、自己資本の六割はほかに回るわけですから、その程度が問題なんで、従来はたしか五割でやってきたものを、二年くらい前に四割に引き下げたわけです。四割が基準なんです。その範囲でやる限りは、あまりこまかいことに大蔵省は口を出さぬと。銀行の経営から見れば、その比率を守ることが大事なんで、ある程度その中で御自由におやりなさい、こういう方向でいまは進んでおるわけです。 御意見のような、こまかく、厚生施設にはこれだけさけとか、店舗はこれくらいにとどめろとかというようなことを言うのがいいという御説もございますが、銀行局はいまのところ、そういう態度ではなくて、もうちょっと大まかに……。ただ、そのかわり全体の線を規制していこうという方針をとっておるわけでございます。
○成瀬幡治君 いや、私が先ほど少し述べたように、私の考え方は、歩積み・両建てというものを解消していく面においては、しわはどういうところに出るかというと、やはり中小企業に対する資金面にしわが出てくるだろう。しかし、片一方には、銀行があまりにももうけ過ぎる。これが結局歩積み・両建てをやはり強要することが一つの大きな理由になっているということは、あなたも最初言われたわけですね。それだから、それを解消するためには、やはりそういう面も必要ではなかろうか。そっちのほうはかってたるべしということになれば、やはり歩積み・両建てというものは解消ができないのじゃないか。それはなるほど減っていくかもしれぬ。アメリカも二〇%だったから、二〇%までは妥当だ、適正なんだというような考え方があって、まあ紳士的にひとつやってくださいというようなことで、これが根本的な解決になりましょうかね。
○政府委員(高橋俊英君) 経営の合理化という点は、銀行が非常にもうけている際でも、それは進めていかなければならぬのだという姿勢は、これはとっておるわけです。ただ、歩積み・両建てとそういう不動産取得と直接結びつくかといいますと、その逆ではないか。つまり歩積み・両建てをやれば、それは歩積み・両建てがやれるのは、結局、銀行のほうが強い立場にある。借りるほうは、相当高い金利であると知っても、資金需要が強いし、競争が激しいですから、心ならずもそれに応じるという、その資金需要が強い結果として、実質的な高金利水準が維持されている限り、銀行はもうかる。ですから、これも考え方でございますが、銀行のもうかるという面、これは全部が全部もうけているというわけじゃないですが、ただ、有力な銀行は相当な収益をあげておるのじゃないか。だから、その結果として、不動産に非常に金をかけたりする、過当なサービス競争をする、こういう結果になりがちなんですね。原因と結果は、私は逆だと思います。歩積み・両建ては、経済原則で一応起こりがちである。その結果は、そこでもうかってしまう。もうかってしまうから、変なところに金を使ったりする。 現在でも、私のほうは、預金の吸収面における——一般預金ですが、過剰サービスという問題を取り上げまして、そういうものを自粛するようにと言っているわけです。これは金がかかるわけですね。ある程度、お客さんに余分なサービスをする。ごく平たくいいますと、夏になると、金魚を置いて、御自由におすくいくださいというふうなサービスまでしておる。ものによっては非常にいいものもあるのですけれども、一般に変な競争をされちゃ困るというようなこともあるわけで、それはやはり自粛してくれと言っているわけです。もうかった結果が、不動産などによけいな金をかけることになりがちだから、これを規制してくれと言っているのでございますが、これは、自己資本の高によって不動産比率を押えていくということでいくべきじゃないか、そういうふうに考えております。
○成瀬幡治君 あなたのほうからいただいた表に、「歩積み・両建て預金特別検査結果」という資料があるわけですが、先ほど木村委員も少し触れられましたが、Fの項目をゼロにするということなんですね、ねらいは。それを一年または半年後にゼロにする、こういうことなんですね。
○政府委員(高橋俊英君) そのとおりでございます。ただし、経過的な意味におきましては、やはり金利措置というのもこの中に含まれるのですね。つまり、預金利子と貸し出し利率とがほとんど差がないというようなところまで下げれば、この場合は経過的によかろう。だから、そういう措置をとったものも、解消をした数字の中に入れてやる、こう言っているわけです。その相殺をほんとうに全部やってしまうというふうに強制をするということは、一年ではやはり無理である。金利措置をやるということも、一つの解消の手段ではないか。金利措置をやれば、一応解消したものとみなす、こういう意味を含めまして、おおむね一年間で解消するということを申し上げているわけです。
○成瀬幡治君 それはあなたのほうで、ここで一銭六厘ですか、百万円超の場合一銭六厘以下、その中で一厘下がっておれば、それでいいというわけですか。差は。
○政府委員(高橋俊英君) 普通の銀行の場合は、百万円超の場合で申しますと一銭六厘、それから一年定期の場合ですと一銭七厘になるわけです。都市銀行の場合は、それより一厘ダウンだといいますから、普通の定期ですと一銭五厘、一年定期ですと一銭六厘。ですから、一銭六厘であれば、都市銀行の場合にはほとんど差がないわけです。厳格にいえばありますが、預金の取り扱いでございますから、多少の経費はかかるわけでございますが、利ざやをかせぐというほどの利ざやはないということになります。
○成瀬幡治君 その数字はですね、ちょっと(注)を読んでみますと、一店舗当たり五十名程度を抽出して検査された数字なんですね。そうして今後、年二回ですか、報告されるのは。そうすると、これは何月と何月に報告されるか知りませんが、その報告によってこの数字がまた違ってくる、そういうことはあり得るわけですね。ですから、今度は金利措置をしたものとせなかったものとの区分をおそらくしてきますから、金利措置をせずにおるものがゼロになるように大体努力されるわけでしょう。どうしても銀行間ではできないところもあるかもしれぬと思うのです、ある特定なところは。そういうようなところについては、やはり二年か三年待たざるを得ないと思う。そういうようなところには、何か特別な措置をされてやられるということになると、その銀行の中身があまりよくないというような今度はレッテルを張られることになると思いますが、そういう点についてはどういう配慮をしながら、しかも、報告が出た以上は報告を公表されなければならぬと思うのですが、どういうふうに今後の取り扱いをお考えになっておりますか。
○政府委員(高橋俊英君) お説のように、上位のほうは問題ないのです。つまり、中位以上の銀行でしたら、これは一年で解消すると。その下位の銀行、収益その他から見ても非常に無理があるというところは、実は銀行協会でやるべきことでございますが、私のほうでも、この程度ものであったら一年半であるとか、これはもう二年だというふうに指導基準をきめてやろうと思います。その銀行にとっては確かに不名誉なようでございますが、その程度の差があるということは、一般人も知っているわけでございまして、都市銀行の支店があるところには、たいてい本店もございますが、それを比べてみれば、大衆としては、どうせこれは相当程度の差があるということは承知している。もっとも、私どものほうは、その銀行の名を公表するつもりはございません。ですから、時一年たってみて、会のほうでこちらが一年では無理だと思っておったところが、まあ解消はできていない、しかし計画どおりにいっているということであれば、これはあえて責めなくてもいいのではないか。その場合、名前を外に出す、銀行名を出して結果を発表するということはしないつもりでございます。
○成瀬幡治君 私は、銀行の特別検査というのですか、定例検査というのですか、そういうものがどういうふうに行なわれているか、実は知らないわけですが、私はこれを読んでみてちょっと感じたことは、都市銀行あたりでは三年間に一ぺんとか、四年に一ぺんとかいうふうに受け取れる。だから、周期が長いので、長いから中間に定期検査を行なう。一体、銀行の定例検査というものはどういうふうにして行なわれるのですか。
○政府委員(高橋俊英君) 一般的な例を申しますと、地方銀行以下は大体二年に一回の割合で定例検査が行なわれますが、実際にはそれより若干周期が短いと思います。と申しますのは、成績のよくないところには、要注意銀行である場合には、毎年行っている例もございます。ですから、定例検査の間にさらに検査を差しはさんでおります。それから、都市銀行は四年に一ぺんぐらいです。せいぜい四年に一回ぐらいしか定例検査がございません。ただし、銀行は全部でございますが、相互銀行などにおきましても、日本銀行と取引の認められたところ、これは銀行は全部でございますが、取引を認められたところは日本銀行の考査局から考査に参ります。それが大蔵省の検査の中間に大体はさまるように計画されております。ですから、普通の地方銀行などですと、毎年一回は必ず検査なり、あるいは考査を受けることになっているわけでございます。
○成瀬幡治君 ちょっと歩積み・両建てとは問題が少し離れますが、手形割引についてちょっとお尋ねをしておきたいのですが、融手が盛んに出ていましょう、最近。この融手の取り扱いについて何か行政指導をやっておいでになるのかどうなのか。あるいは融手と普通の手形とは全然違うわけですか。そういうものが検査の対象の項目にのぼっておるか、のぼっていないのか。
○政府委員(高橋俊英君) 融通手形は、これは銀行の方に聞きましても、これは融手であるなというふうにわかる場合もあるわけですが、原則としては見かけ上はわからぬものでございます。融通手形であるか実績を伴った手形であるかという区分は、困難な場合が多いようであります。それで、取り締まるといいましても、そのこと自体はどうもわれわれの所管とも言いがたいし、まあ法律をもって規制するとしても、きわめて私は困難であろうと思います。 せいぜい問題となりますのは、ずっと以前に大蔵大臣が言われたのですが、不渡り手形を出した者はいままでは銀行取引を停止するというふうな制裁手段しかない。ところが、よく繊維関係の問屋街で見受ける現象は、同じような人間がまた直ちに別会社をつくって銀行取引をしている。ですから、そういう制裁があってもほんとうの意味じゃ制裁にならない場合だってある。別の会社をつくってしまえばまたできるじゃないかというようなこともございます。制裁がもの足りないから、不渡りを平気で出す連中があとを断たないじゃないかと。 アメリカあたりでは、これは小切手が大部分で、手形はあまりそう使わないんです。ですから、小切手に対する制裁が多い、法律に。日本では手形の使い方が非常に多いものですから、これに対する法的制裁があってしかるべきじゃないかということで、法務省のほうに検討はお願いしてあるんですが、非常に問題がございまして、今日までのところこの御返事はございません。むずかしいのだということでございます。小切手の場合ですと、向こうのアメリカの法律でも、手元に預金残高がないのを承知で振り出したというのは明らかに故意なんですね。つまり、故意か過失かという問題がありますが、やはり小切手の場合だと、あとからでもこれは故意で、金がないのを承知で小切手を出したということで、刑務所にぶち込むということもあえて支障がないということになるんです。手形の場合ですと、二カ月後、三カ月後の支払いでございますから、そのときに予定量入金があれば払えた、その入金がないから払えないという場合に、一体有罪にしていいかどうかとい5、そういう非常にむずかしいものですから、未必の故意ということはあるでしょうけれども、非常に犯罪構成要件において無理な点がありはせぬか。だから、そういうふうな問題になってくるわけでありまして、私どもは、まず少なくとも悪質なものには何か法的な制裁があっていいんじゃないかと思いますが、たいへん法制上は取り扱いがむずかしい問題であるというふうに聞いております。
○成瀬幡治君 そうすると、これは融手が普通の商取引の手形であるかということについては、全然何といいますか、調査対象になっていないのだというふうに承るわけなんですが、私は相当、あなたはわからないと言われるけれども、銀行では手形割引をするときに、これはどうだとかいうことは、ちょっと一言聞けばすぐわかることなんです。感じとしても、実際わかってくることなんです。ですから、そういう融手というものは、これは歓迎すべきもので、お互い同志が助け合い、やりくりをやっていくわけだから、かまわぬと、こういえばそれまでですけれども、今日の倒産等の例から見て、連鎖倒産なんかは融手が一番大きな原因になっているわけですよ。ですから、融手の問題についても、何も知らぬ顔をしているというのじゃなくて、大蔵当局としては一ぺんは検討をされてしかるべき問題ではないだろうか。しかし、これをぴしゃっととめちまったらたいへんなことになってくるから、そこら辺のさじかげんは非常にむずかしいと思うけれども、何らかの検討をされてしかるべきときになってきているんじゃないか。あるいは検討をされたのだけれども、実は結論がまだあまりはっきり出ていないから、何もやっていないと、こう答弁になったのか、その辺のことはよくわかりませんが、その辺はどんなふうにお考えになっていますか。デリケートな問題のように考えますが。
○政府委員(高橋俊英君) 行政指導の問題としては、融手とわかっているものを割り引いたりしてやることが好ましくないということは言えると思うんですが、いまお話しの融手を場合によったら禁止するような、そういう措置が考えられないかということになりますと、だれが取り締まりをするのかということでございますね。非常にひんぱんにものすごい枚数になる手形でございますね。実際に銀行に持ってこなければ何もあまり変わりないと思うんですが、銀行がそれを普通の手形とまぜて取り扱っているものですから、これを識別するということは、いま成瀬さんはわかっているはずだといいますが、必ずしもそうでないんですね。わかっている場合もあるし、わからない場合もある。 ただ、情勢が非常に悪化しているということはわかっている場合がある。それはいままでの取引では、それが非常に冬物なら冬物で損をした、業績が悪いから、そこから出てくる手形はかなりあやしいものが多いということは、そういう場合はあると思うんです。しかし、実際の場合に、銀行員が相当の注意力を働かしても、融手とそうでないものとを識別する義務を負わされたということになると、これはたいへんなことになりはせぬか。なかなか動かなくなってしまうということがございますので、確かにその倒産をした会社が、融手を乱用しておったから結局倒産したのではないかというお説は、結果的には全くそのとおりであります。おそらく倒産した会社で融手を使っていない会社のほうが少ないのじゃないかと思うのですが、そういう現象はまことにおっしゃるとおりでございますが、銀行に識別の責任を負わしめるということになると、これはたいへんなことだろうと思うのですね。だれが取り締まるにいたしましても、事前にそれを明確に、これは融手であるときめつける手段としては、ちょっといい手段は発見されないような感じがいたすのですが、そういう意味で私は、むずかしい問題である、どういう方法で取り上げるにしてもむずかしい問題だ、というふうに申し上げたわけであります。
○成瀬幡治君 私はちょっと公職選挙法のほうに行ってまいりますから、また帰ってきます。
○佐野廣君 さっきお聞きしていますと、二十六年から十三年だね、その間歩積み・両建てというものが起こってきて、歴史的過程で、いま木村先生の御質問でわかりましたが、これでもいまのところ、ことに中小企業とかいろいろなものがこれについて困っておるということで、その弊害はわかりますが、必ずしもものというものは、悪法もまた法なので、この制度というものが生まれるのには生まれる理由があると思う。いろいろのものに書いてあったり、すでに多少私ども承知しておりますが、十三年間、私もその間にちょっと大蔵省のほうに関係したこともありますから、切実な問題として弊害があることは聞いたことがあるけれども、そう取り上げられて一刀両断的な話は聞かなかった。ことしになってにわかにそういう発言が出たのだが、まあある時期にそういうメスを入れなければならないことはわかりますが、これもよって来たるところがあるのであって、長所とか利益とか、こういうふうなものを、あなた方は弊害というような御説明があったが、どういうふうに認識しておられますか、簡単明瞭にひとつ。
○政府委員(高橋俊英君) 長所ということになりますと、私、非常にむずかしいので、お答えしにくいのですが、せいぜい申しますれば、債務者が取引上たとえば不渡り手形になった、つまり不渡り手形を受け取った結果になった。そのために自分が資金繰りに非常に困るという場合、いわゆる拘束性預金がありますと、新たな貸し出しを起こすのはめんどうだから預金を解除する。一時的に使用させることは、大体は支店長の権限になっておる。ですから、急場の非常事態において、預金があったからつまずかずに済んだという実例は私はあると思います。銀行側もそれは申しております、歩積み・両建てのですね。もっとも歩積みなどというものはそういうための歩積みなので、不渡り手形が発生したときに即時に役立つのは、やはり預金の形で持っていたらいい。そうではなくて、ただ借りるだけで預金がなければ、あらためて借り入れの申請をしなければならない。それは支店長権限でない場合がかなり多い。本店まで行って審査を受けなければならない。その間に自分が不渡りを出してしまうということがあります。こういうふうになりますから、預金を多分に持っているということは、弾力性を持つということにはなる。それが非常な不自然な形であるという点が問題になっておるのだと思います。
○佐野廣君 そうすると、この歩積み・両建てというのは、支店長の配慮というふうなことから、もと出発したものですか。
○政府委員(高橋俊英君) むろんそれだけではございませんが、支店に対する預金の割り当てが相当激しいのですね。本店の考え方としても、たとえ債務者からの預金であっても中身は問わない、とにかく預金のノルマを達成するようにというようなきびしい督励が行なわれますから、自然に債務者にたかると申しますか、債務者に預金をさせるという風習が牢固として築かれてしまったということになるわけです。一般の預金、純粋の預金を集めるということであればいいのだけれども、債務者預金であってもいいのだということになりますから、支店長が部下を督励して、したがって、部下が今度は債務者に言って、月末だけでも預けてくださいということはいまでもやっているわけです。そういうふうな動きがありますので、支店長がかってにやった問題では決してないと思いますが、まあしかし、本店が預金の増加目標などをきめ、これを割り当てる際に、そういうこともちゃんと織り込んでやっているのではないかと思いまして、本店に責任があると言ったほうがいいと思います。
○佐野廣君 それで、今度政府方針は、まあ報告書をつくらせるとか、いろいろな方策が今度講ぜられるわけですかね。これが何かいま御説明を聞いておると、私どもは、それは債務者の金借りるほうの立場、これの十分利益を擁護してあげなくちゃいけないというたてまえ、これは十分了承しますがね。何だか十三年もほうってあったと言っては少し過言だけれども、ここであまり一年とか二年とかでこれを整理していくというふうな方法は、強過ぎる方策が講ぜられるではないかという立場——まあ金融論なんかじゃなくて、常識的といっていいか知らぬが、非常に強く感ずる。十三年もほうってあって、それが一年か二年でどんぴしゃりこれを整理していこうというふうな強い方策を講ぜねばならなくなった現段階というものは、これはどういういきさつなんですか。
○政府委員(高橋俊英君) どうも私どもがやり方がまずかったということになるのかしれませんが、国会方面で、今度の国会を通じまして、これは私はもう何回となくこの問題でおしかりを受けている。つまり、自粛をやるといって、少しも成績あがらぬ、借りたほうからいえば何ら改善の成果があがっていないということで、特殊指定という問題をかなり言われているわけです、公正取引で。 この取引が、銀行が強い立場で、弱い債務者をまあいじめておるといいますか、不公正な取引でやっているものだという法律解釈ですね。私どもはそういうふうに、まあそこまで言わなくても、この問題は長年の慣行みたいになっておりまして、法律上の不公正取引だという観点からだけでなしに、やはり実質金利の問題が中心であるのと、預金の過当競争というものがからんでいる、やっぱり金融情勢の問題ではないかということでお答えしてきたのですけれども、なかなか御了承得られません。そしてすぐにでも特殊指定をやるべきであるという意見も、衆議院の中の大蔵委員会の一部など、大蔵委員会だけではございません、ほかでも特殊指定でやるべきであるという意見がかなり強く述べられた。そういう事態を避けるためには、ある程度大幅に改革するということの必要に迫られた。 ですから、確かに御指摘のように、長年そういう状態が続いて、ここへ来てにわかに一年で解消するというのは、少しドラスティックに過ぎやせぬかというお話もごもっともでございますが、幸い銀行側もこういう方針及び新しい自粛基準を全面的に了承したと言っておられる。ですから、相手が非常にいやだと言うなら無理があるわけですが、やりましょうと、こう言っているわけですから、それでそういうことをやりましょうと言うからには、それほど実行不可能な案ではない。ですから、大多数の銀行については一年で解消します。まああらかたの相互銀行、信用銀行は二年間で解消する。どこかで区切りをつけませんと、いつまでたってもだらだらと問題が長引くばかりで、やるという機運が生じたときにこれをやらせてしまったほうがいいだろうと私は考えたわけです。
○佐野廣君 それで、やるという機運になられたのはいいのですが、たとえばこれは小さな数字ですけれども、去年とことしとで相互銀行なんかはよくなったというか、地方銀行なんかはわずかの数字でも、あまり実があがらぬばかりか、逆に行っていますね。そういうふうなこと等を見ても、ほんとうに心底からこれをやるという気になっているのか。国会方面でも取り上げられたし、銀行局の馬橋さん、だいぶ強いから、この辺でひとつぜひおりておこうというふうな気分のものですかね。何となく、表現は少し強過ぎるが、銀行の統制強化というような、私どもが見て、気分がするが、それはだいじょうぶですか。
○政府委員(高橋俊英君) いまお話しの後段のほうの御意見であると申し上げてよいかと思います。国会でこれだけ何回も取り上げられ、銀行の上部クラスも大蔵委員会の小委員会に呼ばれまして、どうして改善されないのか、少しも改善していないじゃないかということでおしかりを受けたわけですし、大蔵省の銀行局もだいぶ強腰のようである。そういうことからいって、この際銀行としてもこのこにおこたえしたほうが将来のためにいいだろう。社会問題にまでされちゃって、新聞記事なんかにされれば、どうせ三面記事ものですから、むしろ銀行が横暴であるとか、評判が悪い。銀行天皇説とか、非常に銀行だけがどんなに不況でも金をもうけているし、非常に風当たりが強くなっているという情勢をよく考えまして、まあこの際は大勢に順応してやったほうがいいというような気になったと私は思います。
○佐野廣君 それで、いま言った、長い間にこういうふうな金融の措置が、正常かもしらぬ、あるいは弊害かもしらぬが、行なわれておって、いま二年間、あるいは半年でどうとかいうふうなことになって、これはやっぱり、さっきもどなたからかお話があったように、資金量の問題とか、あるいは銀行が貸し出しの引き締めをやるとか、そういうふうなことについての懸念というものは全然ないのでしょうか。 ということは、いま申し上げたように、銀行なり金融機関がほんとうにそういうような弊害を認めて、正常な姿でやろうというほんとうにそういう気持ちになっていないと、いまのような弊害がどこかににじみ出るんじゃないか。ことにいまあなたの御説明の中で、公取のアンケートと、それからあなた方の調べられたものと、数字的には相当差があるでしょう。そういうことから考えると、あなた方があまり強くげんこつを振り上げると、これを血の出るような姿ででももっていかなければ始末のつかぬようなことが出てきやせぬかと思う。あるいはここで罰則規定というものがないので自粛の方法でもっていかれるのだから、私はそのほうはいいと思うが、あまり急激なせっかちなやり方じゃないかと思う。弊害は除去しなければならぬということは一〇〇%私は認めますが、こういうふうな点についてのあなた方の見通しといいますか、どういうふうに思われているでしょうか。
○政府委員(高橋俊英君) これはまあこれから半年とか一年とかいう点で、それだけ見ますと非常に急激なようですが、この問題が公取の特殊指定にも該当するのだというふうな、そういうふうに取り上げられましてからは、すでに一年以上たっているわけです。一年以上たってみて、自粛基準に従ってやっておらぬじゃないかという点ですね、これは銀行としても文句を言えないわけです。ですから、一年前、去年から整理にかかっているはずなんです。それをやっていないから、今後一年間で全部解消するということになるわけでして、いままでのいきさつから見れば、唐突として一年間で全体を解消するというわけではありません。つまり、私ども当初からいえば、二年間で解消することになるわけですね。ですから、銀行もその点についてはやむを得ないとと考える理由はあるのじゃないか。 その結果、中小企業に対して金を貸さないとか、貸したがらないとかというふうなことにはならないように、私どももしていこう。銀行側としても、少なくともそういうことをしないということを約束しておるわけです。こういう措置をとったからといって、この割合をごらんになればわかりますように、公取の調査では拘束性預金は四割近くもあるし、こちらの自粛を求めているのは一割くらいのものなんですからね。だから、全面的に債務者預金を大幅に減らせということを言っているのではない。この程度のものであれば、まだまだ私は大企業の拘束性預金よりは中小企業の拘束性預金のほうがずっと多く残ると思うのです。比べてみれば。だから、中小企業金融というものは実質金利としても高いし、預金の量からいっても大企業とは違う。大企業の場合ですと、自分でかってに預ける割合はかなり高いのですが、拘束というのはそう多くとれない、銀行があまり強く出られない関係で。だから、引き締めが始まりますと、いつの間にか大企業の預金がふえるどころか逆に減ってくるということだってあり得るわけなんです。やはり拘束しておいたほうが安全ですから、拘束性預金の多いほうをそう虐待はできない状態にある。つまり妙味は残っておるということでございますね。預金の量の面からいいましても、金利の面からいっても、中小企業金融をやはりそうむげに減らす気持ちにはなれない、これが実態である。先ほどもそういうような意味で御説明申し上げたわけであります。
○佐野廣君 それで、とにかく中小企業の金融に対する配慮は十分お考えいただいておるでしょうし、また考えていただかなければいけないと思うのですが、同時に、自由主義経済のもとですから、お互いに銀行側のほうともよく話し合って、無理のない線で効果をあげるような方法を講じていただきたい、こう思います。
○野々山一三君 いまの問題に関連するのですがね、これは多少ものの見方にかかってくるのかもしらぬけれども、実情は佐野さんの心配するような点が相当あるのですね。銀行側は、世間がうるさいし、議会もうるさいから、これは早く適当に受けて立ったほうがいい、こういうことになっているのは表の話なんです。 実際は、二、三の実例を申し上げてあとのことを聞きたいのだけれども、先般も五、六十の中小企業の諸君に会って、一日こういう問題を勉強し合おうということで、みんなやっていましたが、結論として彼らが言うのは、いまの状態において、いまの金融情勢のもとにおいて、あまりうるさいことを言ってもらうと、実は銀行ににらみつけられてしまって、とてもかないません、こういうのが率直な意見です。なぜかというと、銀行側としては、うるさいものだから、実際の審査段階で最終的にはできるだけいろいろなけちをつける。そうしてその最後に、あなた、それでよろしいですねと、言わせてしまって金を貸す、こういうことですね。その結果は相当大幅なものが押えられる、こういう結果になっていく。私が集めた五、六十のうちの七、八〇%は、口をそろえてそういうことを言う。これが一つ。 第二の点は、無記名で申告すればいいんではないか、こういうやり方をしているのですが、これは全部裏を回って調べる体制ができている。したがって、ものを言ったところは次には必ずにらまれるから、これはとても言えたものじゃありませんよ。とても著しくて、やみに手を出すよりはということになる。 それから、第三の事例は、これはごく一週間ぐらい前ですが、私が一生懸命にあなたに文句を言ったあれをめぐっての調査の問題です。いろいろな団体の事情を——この問題ではありませんよ。その調査を始めて、たとえば月曜日なら月曜日までに資料を出しますと言ったけれども、全部口をつぐんで、頼むからあのことについては触れないでください。一斉に団体が口を封じたということば、佐野さんが一番最初に心配されたように、騒げばやらなければならぬ。やらなければならぬけれども、やり方を考える、知恵を出す、こういうことに向いておって、その結果が非常な大きな中小企業にしわが寄ってくる。 そこで、伺いたいのだけれども、これによると、合意に達したやつはしようがないということになっておるわけですね。それがいまみたいな事例がどんどん起こっておるために、債務者との間に話し合いがついたものなら、それはいいということが一つあると、これほど問題になっただけに悪知恵が出てきて、結果的には非常にびしびしと締められる対象の中小企業というものが出てきている。やみ金融に走るという例が起こる。ですから、私は、ここの最後のところに出ておる、おまえのところは拘束性預金があります、あるいはありませんという関係を通知をするというのだけれども、これはなるほど文面の上では、これはひとつ納得できそうな気がする。しかし、これだけ問題になった結果として、先ほど私が指摘をしたような事例をもって見ますと、中途はんぱなことをやると非常に片寄った変なものになってしまう。 そこで、かつて大蔵大臣が、率でかりにやったとしても、年次的に計画を立てて率で押えるというようなことを衆議院だかで言ったことがありますが、ある程度、言い出した以上はきびしく具体的に処置をしなければ、これが希望があるとかないとかにかかわらず、きびしく具体的に処置を講じない限り、いま言ったような目に見えない圧迫の結果、非常なしわが寄ってしまうという懸念があるのです。そういう点について、事実認識の問題も、これはひとつあなたと見方が違うのかもしれぬけれども、事実認識の問題とこの処置、これだけでは言い出した以上は少し足りないじゃないかという、もっと具体的な手立てをしないとかえっていびつなものになってしまいはしないかという気がする、現に起こっておる。そういう点についての考え方を聞きたいのですが。
○政府委員(高橋俊英君) 心配をしますと、いろいろなまだ、どんな措置を講じても、うんと知恵を働かせれば抜け穴というものはあるわけです。だから、私は、こういうことが大体こういう線に沿って行なわれるかどうかは、銀行協会の方々が本気になって、やはり社会的な要請にこたえなければいかぬのだという気になるかならぬかだと思うのですね。ですから、私はこういうことは、実はここには書いてないのですが、債務者の定期預金ですね、これは定期預金でなくったって実は拘束性があるのですけれども、定期性預金、その割合、それから債務者預金の全体、総額ですね、こういうものに変化が生じてこなければおかしいと思う、金利措置をとりますと。ですから、金利措置をとったものは明白ですから、これは量が減らなくてもいいわけです。しかし、それはとったかとらないかは、今後は非常にはっきりするようになっています。検査の際にごまかしがきかないようになっているという点が一つございます。 それから、相殺をしたというなら、これだけのテンポで、これだけの速さで解除していく場合に、金利措置をとらなかった分は相殺しなければならぬ、あるいは拘束解除しなければならぬ。拘束解除ということは、実際に実質的な貸し増しなんです。いままでは使わせないわけですから、使わせない金を解除するということは、貸し増しをしていいという意思表示なんです。あまりないそうです、これは。実をいうと、銀行の方に聞きましても、拘束解除の措置をとるというのは、むしろ例外であろう。つまり、相殺か金利措置をとることが大部分じゃないかという話です。そうすると、相殺をしたという額がどれだけあるかということを調べるわけですが、そうすればこれは預金の総量、少なくとも債務者預金の量が影響するわけです。その比率が下がってくるということがある。そういうことをやはり個々の銀行について指導するということをあわせて行なうつもりです。 ですから、債務者預金が伸び悩んだというふうな現象が出てこなければいかぬはずだと。相殺をしたといいながら、実際はごまかして債務者から自発的に預金をたくさんとっておれば、これは減らないわけです。いまたとえば五〇%か五一%くらいの割合になっていますが、この割合は全体の預金の中に占める割合として見れば減ってこなければいかぬわけです。ですから、相互銀行ではそれをやっているのです。いままでも二年間にこれだけ減らすのだという目標をつくって、これは自主的にやっています。銀行の場合には、個別指導でいく、特に定期性預金などですね。やはり流動性預金ですと、なかなか拘束しにくい。自発的だといったものについて拘束しにくい。ところが、定期預金を自発的預金ということが問題になるから、この割合を漸減させるような方策を別途講じさせる。ですから、抜け穴としてはかなり防げるのじゃないか。 ですから、気持ちとしてはそういう気持ちになってもらわなければいけないが、相互銀行の中には、預金総量が減ってもかまわないからやれと、そういうところは確かに出ております。預金の伸びは極度に悪くなっております。しかし、この両建てのほうは大幅に改善されている、こういう実例もあるわけです。 そういうわけで、疑ってかかれば切りがないですが、できるだけ別な面からも抜け穴を防ぐようにして、実際の効果があがるようにしたいと考えております。
○野々山一三君 理屈でやり合ってもしようがないですが、実際問題として、先般、鹿児島地方について、佐野さんも一緒でしたけれども、経済団体の動勢を調べてみました。それによると、むちゃくちゃにやみの金融や金融機関がふえているのが実情です。しかも、それが非常にもうけておる。たいへんなことだということなんですけれどもね。 そこで、なるほど正規の金融機関である相互銀行なり何なりというものを、あなたの言うように、定期性のもので押えていけば効果があがるという理屈はわかるのです。表を見ればそれだけのことだと思う。私もそれでわかるはずだと思う。しかし、最近の市中銀行、特にやみ金融などに移動している実情、あるいはそういう金融機関が伸びて数がふえている実情というものを、一体どういうふうにとらえておられるかということによって見てみなければ、もう一つ足りないのじゃないか。 それから、もう一つは、自発的なというものですね、これがほんとうの自発的なものなのかどうなのかということが非常に根本的な問題だと私は思う。これを正確にやはり調べるということでなければ、本質的な対策というものは出てこないのじゃないかと思うのです。 そこで、後者のほうは、これはなかなかそうは言ってみましても、いまのままですぐ調べられるという状態では私はないだろうと思います。あなたのほうで出るのは、いわゆる所定の報告に基づいて調べるよりしようがないと思いますけれども、前者のほうの最近におけるやみ金融機関なり市中金融機関の伸びというもの、それに依存をしていく度合いがふえてきたという実情、そういうものを一体どういうふうにとらえておられるのか、そこを一ぺんお示しを願いたい。この数年の間というものを統計をとってみればわかると思う。これは地方機関を回ると必ずそういう問題が出るだけに、ここに本質的な金融上の大きな問題点があるというふうに思うのですよ。抽象的な話ですけれども、数字を持っておられると思うのです。数字に基づいてお答えをいただきたい。
○政府委員(高橋俊英君) 市中の金融業者、これは数はある程度わかっておりましても、それがほんとうに運用しておる資金量というものは把握されておらない。三千億とか五千億とかいいますが、これは自分自身の資金を貸し付けるというのが本則でありまして、それはいいんですが、これはどんな場合でも、これは存在せしめないというわけにいかないと思うのです。問題は、おそらくいまおっしゃられたのは鹿児島地方の、私もそういううわさは聞いておりますが、町の業者が金を集めるのですね。つまり、法律に禁止されている、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というのがございまして、金をいかなる手段でも不特定の人から集めてはいかぬことになっておるのに、実際は、裏をくぐってそれが行なわれているのではないか、そういう点なんです。 これは実例として私のところにもたまには回ってくるのです。警察等から、これはこの法律の違反になるのかならぬのかというふうな問い合わせがありますが、私どもはできるだけ、手段が非常に巧妙でありましても、この法律に違反するものとして取り締まってもらいたいというふうにお答えしておるわけです。実際問題として、手形を一定の金額にして、そうしてそれを手形の形でもって金を集めているという例があるのです。おそらく鹿児島地方で言われているのはそういうものではないかと思うのです。実は、これを取り締まるほうは警察ということになっておりまして、その傾向がかなり蔓延しておるということでございますれば、警察当局に特にこの問題についてきびしく調査をし、また違反があれば摘発をしていただくというふうにしていただかなければならぬと思っております。財務局などではどうしてもこの辺まで手が伸びないのです。やはり警察の協力がなければほんとうの粛正ができないのではないかと思いますが、かつて、非常にそういうことがひどかったのでありますが、この法律ができましてしばらく新聞だねにはなっていないのです。ですから、私どもも実態把握はきわめて困難で、うわさは聞いておりますが、金額がどの程度のものが集められて使われているのか、遺憾ながら私ども把握しておりません。 そういう要請もございますから、一ぺんわれわれのほうで、さらに財務局等を使いまして、できるだけ、まあうわさの程度でなしに、その手段、集めている金額、どういう対象から集めているかというふうな点も、調査もさせてみたいと思っております。その結果に基づいて、場合によって警察に強力なる取り締まりをお願いしなければならぬのではないかと思っております。
○木村禧八郎君 関連。ちょっと関連して伺いますが、どうも局長さんの御答弁は、経済的な実体的な御答弁になっていないのですね。野々山さんの御質問は、やみ金融に走る程度が非常に多くなっているではないか、その実態について計数的に答弁を求めているわけですが、それが実際的に逆に中小業者を——歩積み・両建ての取り締まりはけっこうです。しかし、そういう結果、逆に中小業者を苦しめる逆効果をもたらす面があるのではないかということを心配しているわけです。 その方面に対する手当てというものを考えないで、ただこれだけを押していけばいいということになりますと、たとえばそれでは具体的に伺いますが、これだけ都市銀行なり、地方銀行、相互銀行、信用金庫等が、今度の整理方針によって両建て・歩積みの自粛をしなければならぬ比率が、さっき示されたように、これをゼロにしていく。これをゼロにしていけば、これは経理面にどれくらい影響があるのですか。そうすれば、当然いままでよりも経理面にマイナスが出てくるわけですよ。それをカバーするために、たとえば金融引き締めでコールが上がれば、コールが高くなれば、地方銀行はコールに回したほうが得だということになって、いままで以上に中小企業、零細企業には回さない。いろいろな理屈をつけて回さない。そうなれば、どうしたってやみ金融にいかざるを得なくなるじゃないか。そういう場合には、どうしたって、これはそういう場合にやみ金融にいかないように、何とか手当てをしなければ、そっちの手当てを考えていかなければ——たとえば信用保証協会をもっと活用するとか、何か資金の量の面で手当てをしておかないで、これだけどんどん追い詰めていくと、逆にむしろ中小業者、零細業者を苦しめるという逆効果が出てくるのではないかということを質問していると思うのですよ。 ぼくも前からその点を何回も質問しているのですが、その点には何ら触れていないのです。それは、経済の原則からいって、そうなるじゃないかというのです。どうしたって、いままでうんともうけているのです、両建て・歩積みで。ところが、今度それが整理されれば、それだけ経理面でマイナスになるから、どこかでカバーするようになるのではないか。それはコールに行くとか、その他選別的に融資をして有利なほうに回すということになるのは、これは経済原則からいって、当然そうなるじゃないか。だから、それに見合った対策というものを用意しないで、これだけぱっと出してくると——やらなければならぬけれども、そっちのほうの手当てをしないでやったら、むしろ逆効果を生ずる面がある。その手当てのほうを考えているか。 それから、野々山さんが言われた、自発的と言ったけれども、これをいままでの力関係からいって、どうしても自発的にというふうにさせられてしまうじゃないかということを質問しているのですけれども、これに合った御答弁が一つもないわけですよ。そういう実体的な御答弁を願いたい。経済的な御答弁ですよ。この法律的な、そういう取り締まり云々ということではなく、もっとこういうふうに取り締まればそれはできないようになっているとか、そういう法律規定の実質の効果とか、そういうことじゃなく、もう少し経済的な実態に即した御答弁を伺わないと、われわれはかえって逆効果を奨励するようなことになると、これははなはだ遺憾ですから、そういう点についてお答えをいただきたい。
○政府委員(高橋俊英君) 都市銀行については、中小企業融資のシェアを減らさないようにという指導を強く行なっているということを申し上げたのです。いまのお話ですと、今度は中小企業専門金融機関などでも、コールのほうが現状でも高いわけです。ですから、そっちのほうに多く資金を流して、中小企業分が減るじゃないかというお話、これは私どもコールの放出額を毎月調べております。そうして先ほどお答えしませんでしたが、いままでのところでは、相互銀行全体、それから信用金庫——いままで信用金庫はわりに多いのです。コールの放出額がもともと多いのですが、これを調べまして、資金総量に占めるコールの割合を見ますと、現状まででは下がってきております。ですから、言ってみれば貸し出しのほうではむしろ上がってきているようなかっこうになりまして、余裕金のコール放出額は多少ふえましても、率としては低下しているというような状態ですから、あえて心配の状態は起こっていない。いままで引き締めがあってコールがそんなに高くなりましても、コール放出額がふえて、そのために中小企業の金融が減る現象はないということは申し上げていいのじゃないか。今後もそういう現象が——コールにやたらに放出していくというようなことはしないように、われわれかねがね実は指導しているわけでありまして、御心配のようなことはないと思います。いままではそういう状態ですし、今後もそういう傾向が起きないように指導をしてまいりたいと思っております。 なお、自発的といっても、実態は銀行の無言の圧力で自発的にしたようなかっこうにさせられているではないかという意味のお尋ねです。これは直接お答えいたしませんでしたけれども、そこまでやる可能性はないとは申しません。必ずそういうことはあると思います。ですから、そういうことでいまでは自発的でない拘束性であった、それが自発的に変わった。形は変わっていないということであれば、債務者の定期預金の割合も下がってこない。そのようなことのないように、たとえば一般定期性預金全体の中に占める債務者の定期預金の割合を、今後一年間に幾らかの割合で減らすようにという指導を別途に行ないつつある。ですから、自発的な姿を装うということは、これは整理の考え方には全く反するので、そういうことはやめてもらいたいということは強く申しますが、さりとて絶無を期することはできません。また別の面から、これを抑制していかぬでも、整理をなるべくやらざるを得ないようにしむけていく必要があるのじゃないか。 しかし、銀行に対して、これら実は個々の問題につきましても、疑ぐっていけば、どうしても抜け穴というものはあるわけで、全くそれがないようにということは、どのようにやりましても基準としてはできかねる。ですから、弁解がましくなりますが、別の手段が必ず債務者の預金が構成割合としては減っていくような措置を考えております。これでまあいろいろな手を使って実質的に改善されるように持っていくように努力するつもりでおります。その点御了承願いたいと思います。
○野々山一三君 絶滅を期せといってもそれは無理だというお話は、私もわからぬことはないし、その限度というものをどの辺に見るかということによっても、なるほどそうきっぱりと論じられるわけにはまいらぬ。問題は、私は実例的な意味から申し上げますならば、比較的大手の大口の拘束性預金というものはこの処置によって消えていくだろう。したがって、総体としては不適正のものが少なくなるであろうというあなたの見方は、よくわかるのでありますけれども、結局は零細というところは一体どうなるかということから見てみますと、上は少なくなったけれども下がひどくなったという結果がいま起こりつつある状態なんです。したがって、ここが問題なんです。 何千万とか何百万とかいう多く借りる連中は、それはこれだけうるさくなれば、がたがた言うなら、別で取引しますということになる場合だってある。ところが小さな百万か二百万単位ぐらいの連中というものは、そうは言ってみたって、なかなかうまくいかないというのが実情だから、苦しまぎれにやはり、承知しましたということになる。この点を的確に見るならば、私はたとえばこういう処置の中に、あなたのほうの先ほどの説明の中にも、債務者に対する検査はしておらぬというお話、調査はしておらぬというお話でありますが、債務者に対する実情調査というものをこれにひとつ加えていかなければならぬ。それが非常に大きく効果を持つ。あなた方の調査というものが、検査というものの対象が、債務者が実際どうなっているかということを前向きで取り上げていくというような姿勢——文句があっらひとつ苦情処理機関に言ってください、無記名で申告してください、これだけでは、それは先ほども言ったように解決しない。前向きで乗り出すということによって一つの手当てができる。その資金量のことやなんかは別としてですよ。一応ただ検査なら検査というものから見て、あるいは調査なら調査というようなものだけを見て言うならば、そういう処置をとる必要はあるのではないか。そういうことによって間接的な効果を、この零細の人が泣き寝入りをして、自由預金だなんということになっておるものを防ぐということに大きく役立つのではないか、一つの考え方ですけれども、というようなぐあいに、いまのあなたのお答えでは、できるだけ問題が起こらぬように善処いたしたいと思うからおまかせください、こういうお話ですけれども、たとえばいま言っているようなことででも、そういうふうに具体的に処置をされる考え方はないのですか。ありとすれば、もっと具体的にお答えをいただきたいと思います。これだけでは、どうもやはり結果的な弊害を防ぐ策にはなっていないのではないかという意味から、さらにその点をお伺いしたいと思います。
○説明員(牧野誠一君) ただいまの野々山先生のお話の点で、債務者を調べろというお話の点ですが、実はこれは大蔵省でやっております銀行の検査でございますが、これは債務者を保護するというのが最大の目的でやっておることでございます。しかし、債務者は直接は調べない。金融機関に当たって、金融機関の中にある債務者に関する資料は、これは拝見いたします。債務者は直接調べないというたてまえでずっとやっております。それからまた、現在の検査の組織なり、人員なり、機構なり、そういうようなものからいいまして、この問題だけではございませんし、いろいろ一般貸し付けの問題、一般の預金の問題、そういうような問題がたくさんございますので、債務者を調べるというようなそういう膨大な綿密な機構にはとてもなっておりませんので、これはちょっと将来もなかなかできかねるだろうと思います。公取のほうは、債務者のほうから今回の問題についてお調べになっておるということでございますが、私どものほうは、金融機関を調べるということで今後もやっていくより方法はないだろうというふうに思っています。
○野々山一三君 これは手段の問題ですから、議論になるかもしれませんけれども、一体片方からずっと押えていって、これで事ができますという考え方で、将来もやることができませんということでいったら、あなた、では、弊害が起こらないと保証しますか。先ほど佐野先生も言われ、皆さんも言われるように、起こる弊害というものを、中小企業、零細企業に及ぼす結果的弊害というものが絶対ないのだということが保証できますか。できないとすれば、やはり何らかの方法手段を考える。いまの陣容でもやれないはずはない。 たとえば、先ほどのやみ金融機関の問題だって、こんなものは鹿児島の例だけではないのです。どこだってそんな話は聞くわけです。ちょっと前向きで調べるところ、財務局が活動をしかけるところでは、具体的な数字までこの前は発表していますね。どこどこの地域、どこどこの郡、どこどこの市、どこどこにはどのくらいのものがあるという、発表できる数字まで持っているところだってある。何も全員の債務者に当たってしさいに検討をしろというところまでいかないにしても、とにかく前向きにそれを防ぐような手段を講ぜずして、一体この事態、起こる弊害、起こりつつある弊害というものを取り除くことができるか。そういうことについては、ただできませんということだけでは、これはどうにもなりませんよ。それなら別にまた機会をあらためて、別な方法でこれは議会としても問題にしなければならぬというふうに思いますがね。 それから、債務者保護。あんたえらい債務者保護ということを力んでいるけれども、一体銀行、金融機関だけを調べることがすぐ債務者保護ですか。一体それに対する認識だって、認識論だって大問題ですよ。そんな考え方はひとつ根本的に改めなければなりませんよ。
○説明員(牧野誠一君) ただいま私申し上げたのは、私がそう考えているとかいうようなことではないのでございまして、法律の制度自体が金融機関を検査するということでできておりますし、それから預金者保護というたてまえでできております。それで、預金者の保護を金融機関だけ調べてできるかというお話でございますけれども、しかし、これは金融機関の経理内容、それから預金の内容、あるいは貸し付けの内容、そういうものを調べてできるだけのことをやって、従来も預金者保護というようなたてまえはかなり貫かれているのではないかといふうに思っております。 それからまた、いまの両建て預金のこういうような規制をやったとき考えられる弊害をそれで防げるかどうかという問題については、これはちょっと、それが債務者のほうまで調べることが唯一の方法であるかどうか、これはいろいろ考え方があるかと思います。
○野々山一三君 検査の対象にすれば領金者保護だというが、これは一体だれの保護ですか。これはだれの保護のためにこういう処置を講ずるのか、歩積み・両建てを抑制するとか規制するというのはだれの保護のためにやるのですか。これは明らかに債務者を保護するたてまえからこういうことをやっているんでしょう、いま。それを問題をたがえて、君は、理屈で、ことばで逃げるような態度というのは一体何だ。もう一回初めから全部これを、何という趣旨だか、一ぺんこれを答え直してみなさい。
○政府委員(高橋俊英君) いま検査部長が申しましたのは、いまの銀行法による検査の主たる目的は、つまり銀行の資産の健全性を保つことによって、健全性を維持させることによって、預金者一般に不測の損害をかけないことが第一のねらいになっております。それはそのことにおいて変わりはないんですが、この歩積み・両建ての問題になりますと、結局これは中小企業を中心として債務者が銀行に過当な負担を、過重な負担をしょわされておりはせぬか、そういう観点から取り上げられた問題でございますので、この問題に関する限りは、これは債務者の——まあ保護といっては何ですが、債務者の擁護といいますか、というような観点でつくられたものでございます。そういう方針でこれはつくられております。 それで、いまお尋ねの、実際に銀行がこれをすなおに受け入れてくれればいいけれども、実はその裏でこれを免れるようなことをしたり、かえって中小企業者が金を借りにくくしてしまったりするような懸念はないかというお尋ねでございますが、私はその点、先ほどからもるる申し上げておりますが、銀行などと私どもが話をした感じにおきまして、これは疑えば切りがないんですが、今度の場合は非常に心がまえが違ってきておる。ほんとうに自分でやろうじゃないかというような気になっておりますので、これの幹部たちがどのように支店長以下を指導するかが問題だと思うんです。ですから、私は、今後この検査をやることになっておりますが、途中でも私はやりたいと思っております。つまり、来年の一月以降になっておりますが、五月、十一月で銀行からとるわけです。五月末現在とそれから十一月末現在で報告をとります。それで、その半年の間に——半年といいましても、現在すでに入っておるわけでございます。現在すでに六月でございますから、それを十一月までに半減させるということを一方覚悟しながら、しかも一方、そういう悪い弊害があるかないかということは、支店を見ていればわかるんです、ある程度は。というのは、支店に対してどのような指導を本部からやっておるか、そういうことを十分見るわけです。それを聞いた上で、それから個々のケースにおいても、これは私はどこかに文章にたしか入れたんですが、こういういろんな措置をとったからといってあとで不利な扱いをしちゃいかぬ。つまり、こういう貸し付けに当たって両建てが減るということによって貸し出しのほうも実はワクを減らしてしまった、そういうことをやったんでは何にもなりませんから、その個々のケースにつきましても、そういう点は検査で明らかにしたいと思います。つまり、相当、件数は多くなくていいですから、突っ込んだ検査をするように指導をしたい。 なお、いまの段階で申せば、私は、とにかくこの半年間の推移を見た上で、さらに対策を考えるという必要があるんじゃないか。半年間の間に確かに半減するでしょう。私は今回はするだろうと思うんです。でしょうが、そのために副作用が起こるかどうか。つまり、私は、中小金融機関が貸し出しをしないとすれば、その金はどこかへ行くわけです。両建ての部分が相殺されても、ネットの資金量には何も関係ないんですね。純粋の資金量というものは何も関係ないので、帳簿の上で相殺されるだけですから。もともと貸してない金が両建てすることになっている。これが消えることによってネットの資金に変わりはない。したがって、コールに出す量とかいうものは別にふえるも減るもないわけです。貸し出しが同じように行なわれている限り、コールの量というものは少なくも割合において変化するものじゃない、こういう観点で見ておりますから、マクロ的には少なくともそう言えるのではないか。コールその他のつまり貸し出しに向かわない資金量というものはふえたかどうかということは、毎月チェックできるわけです。その点はマクロ的にいって決して弊害がないように指導できるということを私は申し上げたい。個々のケースにおいて多少選別が変わってくるということはあり得るかもしれませんが、全体としての変化というものは容易に把握できるわけです。貸し出しを非常に落としたか、落とさないかは毎月わかる。そういう点からいって、私は弊害ないということを申し上げていいと思う。 ただ、具体的なケースについて、この問題について自発的であるというふうな擬装が行なわれる。これは非常に債務者にとっても不愉快なことだと思う。われわれ検査するほうからいっても、非常に取り扱いに困るわけです。ただ、自発的な預金が定期的な預金の中に相当あるということも事実でございます。それはなぜかと申しますと、あからさまには言えませんが、簿外預金というものがかなりある。つまり、企業が税務署に知られては困るような種類の預金があるということ、これは定期性預金で別個に扱っております。しかも、これを見合いにしてまた借りているという例はざらにございます。こういうふうに形はいかにも拘束のような形ではあるけれども、ほんとうは債務者が好んで置いているというものですね、これを否定することはできません。ですから、どうしてもこういうものをきめるときに、自発的だということが具体的に証明されるものはこれは自粛の対象にしないということは、書かざるを得ないのです。これを除いちゃったら、形だけで拘束しているものはみないかぬのだということになってしまいますから、これは書かざるを得ない。それを擬装することを、そういうふうな指導を銀行がしないように、ほんとうに正直にこの問題と取り組まなければいかぬということを、支店長以下に徹底するように私どもは頭取その他を指導して行政する。私どもはそのほうを行政指導、その結果がはたしてそういうふうに指導が行なわれているかどうか、これを検査によって明らかにしたいと考えているわけでございまして、御心配のようなことはできるだけなくするように努力いたしますから、御了承いただきたいと思います。
○野々山一三君 これは私も自主的なものについて全部いかぬのだということを、消してしまえというようなことを言っているわけではない。検査部長は、こういう方法も一つの方法だと言ったら、一体何だ、それが唯一最大の方法ではありませんなんという、そういうたばくれた答弁をしているから、私はとことんまでそれなら伺いますよということを言うのだ。私が言っているのは、つまるところは、弊害をなくするようにしなさいよ、現在すでに弊害は起こりつつあるので、それをなくするような意味で指導もあるでしょうし、検査ということばの中にも、広い意味で、それを運用することによって事実を的確に把握することができて、そうしてより弊害を取り除いていけるようにすべきじゃないか、こういう意味合いにおいて言っているわけです。ことばじりでやりとりしているわけではないのです。 その次に、問題を変えてひとつ伺いたいのだけれども、支店の増設だとか、あるいは銀行の検査というものに対して、一体どういうふうに考えられているのかということについて、一、二伺いたい。 たとえば、支店の問題なんかについては、最近極度に具体的にあらわれている一例がある。それは私が承知している三つの銀行についてだけでも、こういう事例がある。おまえのとこは、たとえば労働組合の組合員の範囲が通例言うところの組合員の範囲を越えているので、それを直さない限りその認可は与えない、こういうふうに銀行当局が言っているので、組合がさような処置を講じてくれなければ困る、それがないならばかつての協定は全部御破算にするというような言い方が、ことばとしてやりとりされている。一体そういうようなものも非常に大きな認可なりなんなりの基準になっているものか。ほかにもたくさんあるでしょうがね、あなた方の一般的な考えを聞きたい。これは連鎖的に非常に幾つかのところへ及んでいる傾向がある。その問題についてひとつ考え方というか、基準かなんかあるのかもしれないが、ぼくは知らないから、教えてもらいたい。
○政府委員(高橋俊英君) 銀行の支店の認可にあたりましては、もちろん、これは銀行がどこを希望するかということの申し出を受け付けまして、しばしばねらうところが重なりまして、重複いたします。何々駅の西側なら西側というところ、そこに幾つもの銀行が同時に申請をする。これをえり分けするわけです。そういうことのために、実際上は、支店はやはり銀行局において選別しなければいかぬわけです。 その際の基準ですが、一般的に申しまして、この銀行は認めないというふうな場合は、経理内容が悪いわけです、一つは。一つは、こちらのいろいろな重要な指示事項に対してそれを守らない。たとえば相互銀行の例でいえばはっきりしているんですが、法十条違反というのがあります。大口貸し出しをやっている、法律違反をやっているというふうな場合、それを直してくるか、あるいは最近時点において完全に直す、訂正される見込みが立たない限り、認可は認めないという方針なんです。それから、業績の悪い場合、経常収支率がよくない。そして決算承認に指定されているという場合、経理内容が非常に薄弱である、ですから、支店を出して業容の拡大を行なっても、必ずしも内容的によくならぬ、こう認められる場合には、抑えます。 いまお尋ねの労働組合がどうのこうの、そういうことを認可の基準にしているということはございません。経営者がその場合成績が不良である、労働問題とは別途の問題としても、そういうところでとにかくごたごたしていて、ごたごたしたために経常収支率が非常に悪化している、こういうことがあれば、それとは別個の観点でそれは認めないということがございます。それと今度は経営者が、労働組合などといろいろ話し合いする際に、こっちの理由とこっちの理由にすりかえたりという場合がなきにしもあらずです。私はそういう実例を知りませんけれども、具体的なその事例をよく研究してみなければわかりませんが、経営者と労働組合との話し合いそのものはこちらとは直接の関係はないのです。経営者に対しては、あくまでも、業績が悪ければだめだ、法律違反などをしてはだめだ。それから、こちらから重要な指示事項があっても、不良貸し出しが非常に多いわけです。不良貸し出しを分類資産と私ども呼んでおりますが、これが非常にほかと比べて多いという場合には、それを相当程度改善してこなければ認めない、こういうことはございます。それから、二店認めるところを一店にする、こういうふうな数を制限したりするということはございますが、直接組合関係のことを、われわれ内規でございますけれども、内輪の認可の基準としてそういうことを書いている例も、話している例もないわけでございます。ただ、成績にそれが反映してくる場合があると思います。非常にごたごたが多ければ成績の悪くなってくることもあります。不良貸し出しが多くなってくることもある。そういう別の観点から規制していくことはございます。ただ労働組合との交渉がどうだこうだというだけで支店の認可をどうこうするという事実は、私どもはないわけでございます。そういうことがしばしば違った面で利用される場合があるわけでございます。それは私どもの指導がそうなっているのじゃないのです。かってにそんなようなことがやりとりしているうちに出てくるのじゃないかと想像するのですが。
○野々山一三君 まさかあなたも公のこういう席上で、そういうことがあったら認可しませんなんということは、職業柄口が切れても言える立場じゃないことは私もわかっておって、なおかつ問題にしている。ほんとうの意味でしらばっくれたことを言われるなら、事例を持ってきてものを言わなければならぬ。証人に引っぱってきてもいい。これは明らかにそういう事例があって、現に資金量だって預金比率だって漸次上昇して、相当の実績をあげているけれども、ネックになるものが一つある。それは事例をもってすれば、組合員の範囲がどうこうということのために許していない。しかも、そういうことを公然と交渉の席上で言っているのです。あなたのほうが言っているから、こういうことで言っている事例がある。私は、支店を認めろとか認めないとかいうことでいま問題にしているのじゃない。つまり、その種のものについても非常にこまかく干渉されているということが問題だということを実はいま問題にしている。 この間もちょっと質問をしたのですけれども、あなた一通りお答えになったのですが、たとえば検査をする調査官が、講評の中には必ず——私が知り得る限りの証拠を持ってきてもいいけれども、四つ五つ調べると、講評の中には必ず労働問題というものを入れている。そうして、労働協約の内容に及んでまで意見を言う、口ばしをいれているという事例が相当ある。私は、検査部長がそういうことは一切今後やりませんと言えば、それでもうそのことは終わりにしておきます。しらばっくれた話をされるなら、正式な証拠をもって、これはというように……。 銀行局のやり方というものは、ある面については非常に干渉する、ある面においては全く不公正なと見られるようなことをおやりになる。それがあなた方の一つの仕事だといえばそうかもしれませんけれども、事及ぶべからざる部分にまで及ぶということによって、ここに弊害というものが起こる。これは検査部長、根本的な問題ですから、あなたの基本的な考え方を伺っておきたい。
○説明員(牧野誠一君) ただいまのお話の、労働問題関係のことでございますが、私どもの検査の担当官が金融機関に検査に行きます場合に、労働問題そのものに触れるということはしないようにということで指導しております。いまのような、お話のようなふうに思われます事例があるといたしますれば、私ども今後気をつけるようにいたしたいと思っております。 ただ、金融機関の経理内容とかあるいは営業の内容とか、人事管理の内容、金融機関自体の問題としては、こちらはいろいろ注意すべきことは注意するということにいたしていることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、労働問題についてとやかく言うということは、いままでもさせないつもりでおりましたけれども、今後そういうことのないようにいたしたいというふうに思っております。
○成瀬幡治君 いまの関連してですが、野々山君の質問に対して、労働組合のあり方が支店の認可するしないに関係ありますか。直接でもいいし、間接でもいい。
○政府委員(高橋俊英君) 少なくとも直接は関係ございません。
○成瀬幡治君 間接はどうです。
○政府委員(高橋俊英君) ただ、間接と申しますのは、経営がそのためにがたがたするというふうなことになった場合に、非常に紛争が絶え間がない実例があるわけです。非常にその問題についてごたごたが長く続いて、ために預金の伸びがきわめて不振になる、そうして経営の経常収支が急激に悪くなってきた、こういう場合には、それはその現象をとらえて、私どもは支店を認可すべきじゃない、つまり内部のコントロールがうまくいっていないという場合には、内部が非常に無秩序であるというようなふうに見受けられる場合は、いたずらに支店をふやすよりは、まず自分の家の中をうまくおさめるように、そのほうに力を注ぐべきではないかという観点から、いたずらな膨張を押えるということはあります。何もそれは組合関係だけではございませんで、経営者の中にいろいろな内紛があってうまくいかないという場合には、支店を認可しないという例もあります。現にそれはございます。
○成瀬幡治君 私は、労使の対立の問題から、あなたのほうが経営というか、支店の新設に対していろいろなチェックをすることが、ひいてどういうふうに経営陣が出てくるかというと、組合の弾圧に向かうのです、結果的に。そういうことがあるのです。そういうことについてはどういうふうにお考えですか。組合の弾圧になるわけです、それを使われると。
○政府委員(高橋俊英君) 私は経営がうまくいかなくなる原因にはいろいろあると思いますので、必ずしも労働組合の問題だけが経営不振の原因じゃないと思うのであります。だから、これは先ほど検査部長が言いましたように、検査の際には、経営がうまくいっているかどうか、組織的にうまく運営されているかどうかという点は講評の種にするわけであります。銀行の組織的運営ということをこの数年来非常に重視しております。つまり、経営の組織的運営。人による運営という時代は過ぎたのじゃないか。だから、独裁的な運営なんかにおちいらないように、できるだけ近代的な組織を整備して、そして全体の成績がよくなるようにという配慮を強く求めております。それがしばしば実際問題としては、対組合関係がうまくいかないから、組織はできても、円滑に動いていないというふうなところもあるでしょう。私はそれはあり得ることと思います。そういう問題について突っ込んで私のほうは注意する必要はない。経営者に向かって言うことなんですから、経営者がしっかりしてくれなければ困る。しかし、経営者はいろいろございまして、責任を他に転嫁するといえば変ですけれども、自分が当然やるべきことを、何か検査官のほうから組合問題を言われたみたいに、そういう例が、実は野々山さんに指摘されて、全くないと私言いませんが、原則はそういうふうにやっていない。たいていの場合には、人事管理そのものがうまくいっていないぞということは言います。いや、人事管理がうまくないと指摘されたけれども、それは協約がこういうふうになっているから、何年間たっても転勤させられない、転勤させたいのだけれども、本人がうんと言わなければ絶対に転勤させられない、これは困るのだという話を私は聞いております。 実際問題として、銀行には私どもある程度転勤ということも必要である。というのは、しばしば汚職、費消事件など起こったり、預金者から信用されたのをいいことにして金を使い込んでしまったという事例は、同じポストに非常に長くおるとそういうことは起こり得る。同じ土地におって、しかも同じ仕事を五年も十年もやっておるというと、極端な例になりますと、ついそういうことをやりがちである。しかし、ある程度適当な期間に転勤する、職場が変わるということになると、これは非常にやりにくいことになるわけであります。そういう不正事件なども起こらないことになるということから、人事という問題についても相当配慮すべきであるというふうな注意は与えることはございます。それを取り上げる際に、組合との交渉の際に、検査でもこんなことを言われたなんということを言う人がいるのです。私どもは直接、協約そのものを直せとか、不都合であるということを言ったわけじゃないので、どうしてこんなに長いこと人事が停滞しているのか、動かないのかというふうな点は指摘することがございます。その点、指摘によって経営者の使い方——受け取り方というよりは、むしろ使い方だと思うのでありますが、へたに検査の講評などを使われると、こちらが直接労働問題に強く介する発言をしたようになりますが、その事例はあまり多くはないと思います。検査官によって、ついその辺まで口をすべらす人もいたという事実は認めますが、そのことはその後も注意しておりまして、そういう行き過ぎが生じないように検査官には注意を与えております。
○成瀬幡治君 結果的にはどうあろうとも、労使の間で協約ができて、そしていいぐあいにいっておるわけなんであります。ところが、たまさか支店の増設ができた。そこに行って因縁をつけて、これはいかぬじゃないかといって、労使の慣行を、労働協約で人事の異動についてどうこうということで、労働協約で成立しているものについて、これはけしからぬということになってしまっておるのです、結果的には。不当労働行為もはなはだしいですよ。それは直接介入じゃないかもしれないけれども、実際は間接じゃなくて面接に介入しておるわけなんです。ですから、それはあなた注意すると言うが、注意するというだけでなくて、それが結果にもあらわれなければいかぬですよ。配慮したということが結果にもあられるように、ただことばで上っつらだけでなく、十分そういう点について、私もこまかいことは知らないですよ、こまかいことは知らぬ。どこがどうだ、どこがどうだということば若干は知っておりますが、あまりこまかいことは知らない。しかし、結果的には完全に大蔵省が介入をしてやっているという、そういうことになるのですから、これはそういう問題についてはひとつ、あなたがここで十分注意すると言うならば、そういうことが結果的にあらわれるように配慮してください。
○政府委員(高橋俊英君) まあ労働問題について私どもは介入する気持ちはないのでございますが、ただ、組織的運営であるとか人事管理というものは検査の項目に入っているわけでございます。ですから、人事管理がうまくいっているか、いっていないかという点について、うまくいっていない場合にはやはり、あなたの銀行は人事管理の面でははなはだ不十分なものがあるというふうな講評をすることは、どうしても避けられない場合がある、うまくいっていないとこちらが認めた場合には。それが経営者のほうに言わせた場合には、それは全く協約がそうなっちゃっていて、転勤もほとんど自発的なあれがなくてできないのですという抗弁を聞かされることもある。しかし、その協約を直せと言っているわけじゃない。話し合いをして、協約は協約として、人事管理そのものがうまくいかないような結果になった場合、それはやはり銀行のためにはならないのですから、(「頭取がやめるべきだ、そういう勧告をすべきだ」と呼ぶ者あり) だから、労働協約というのはお互いにうまくやろうとしてつくったものです。その結果が銀行の経営にもむしろ悪い影響があるというなら、それは運営がまずいじゃないかということです。経営者の態度がよくない。要するに、組合員と十分に話し合っていい方向へ協力してもらう、そういうやり方がまずいということにはなるのでしょう。つまり、経営者にそれだけの腕がないということになる。私はそういう点を指摘いたしたいと思います。 人事管理については一切触れてならぬというでのは困ります。その限界はむろん心得てやりますが、これは主として経営者に向かって言っていることばである。協約を盾にとって、うまくいかないのはあたりまえだというような顔をされちゃ困るわけです。協約はどんなものでありましても、皆が銀行をよくするという気持ちがあれば、おのずから適正な人事管理が行なわれるものと考えております。その限界において検査の際の注意事項として取り上げるつもりでございます、行き過ぎが起こらないように。 結果的にとおっしゃいますが、結果的にということで、経営者がすべて責任を協約だけに押しつけるというような、そういうかってな考えだから、そうなるのじゃないかと思うのです。協約は協約としても、実際の運営というものは銀行のためにプラスになるようなよい運営ができるはずだと思います。そういう話し合いをすればいいわけでありまして、それができないというのは経営者に腕がないということになるのじゃないか。そういう点を私は経営者に向かって指摘しておかなければならないと思います。
○野々山一三君 関連して、ことばのあやみたいなものだけれども、何か転勤とか人事管理だけの話みたいにあなたは理解しておられますが、組合活動に及ぶすべての部分についてとまでは言わないとしても、組合活動の部分に関する、労働協約でもなんでも、こういうところまで指摘をして問題にしているわけですから、そこはひとつ。えらい人事管理だけの問題みたいにことばで逃げてしまうようなことにならないようにしておいてもらいたいと思いますよ。 それから、第二の点は、経営上問題があるというふうにあなた指摘をされているわけですが、限定してものを言っておられるわけですが、たとえば資金量にしても、銀行の実績にしても、相当期間の間ながめてみても、そう別段指摘されなければならないほど悪いんじゃなくて、むしろ上昇していても、現に一つだけ、たとえば労使間の紛争の問題点である組合活動なら組合活動の部分が解決をしていないということの事実をもってして、一年有余にわたって支店を認めていないという事例があるんです。そういうような労務管理の問題だけに触れて私は言ったけれども、成瀬さんの言われるように、間接的な干渉が直接的な干渉になるようなことはやっていないつもりだと言われても、事実の問題として、支店などの増設をやかましく言っても認めていないし、認めていないことのゆえをもって、またさらにそれが労働組合に対する経営者の干渉という、そういうものになっている事例があるわけですからね。重ねて申し上げておきますよ。労務管理だけでなく、検査態度のみならず監督行政という観点、運営行政という観点からしても、必要以上の干渉をしておるということは、これは改めてもらわなければならぬという意味で私は問題にしたわけです。そういう点は重ねて申し上げておきますから、ひとつ責任ある処置を講じてもらいたいと思うわけです。
○成瀬幡治君 いままで人事管理の面でいろいろと勧告をされるようですが、一体転勤とか退職とか、そういうことについて具体的な氏名をあげて、いまあなたのことばを聞いておりますと、なるたけ転勤をしたほうがいい、長くおるといろいろなことができるからと、こう言うんですが、具体的にそういうことまでおやりになりますか。
○政府委員(高橋俊英君) これは実は検査というものはある程度連続性があるわけです。検査に参ります、たとえば二年に一ぺんということを先ほどお答え申し上げましたが、そうすると、そのときに検査官に選ばれる人は、必ずしも前回の人と同じではないんですが、前回の調査の結果がございますから、その記録を読んでいくわけです。ですから、この銀行には従来どんな問題点があったかということを大体知った上で参るわけでございます。ですから、いまの人事の問題なんかにつきましても、概して以前にそういう事実が指摘されているという場合、特にその銀行について——すべての銀行をみんな同じように検査するわけじゃないので、ポイントを大体置くわけです。ですから、この銀行にはこういうふうな点において過去に問題があったという、その点は一応復習するわけです。そうすると、人事管理上これは非常にうまくない点があるということがわかっておる、そういう場合にはその後どうなっていますかという点をつくわけです。非常に何か転勤が少ないとかということが前回まであった、その後どうなっているか。そういう点ですから、いつもそういうことをどの銀行についてもやるわけじゃございませんが、問題になっている場合には、当然にその結果はどうなっているかということを尋ねるわけなんです。調べるわけなんです。 で、だれがどこに何年というようなことば、具体的なモデル・ケースとして聞くことがあります。具体的にどこどこの支店の例で現在の職についてから何年経過しておるかというふうなリストを、一つの店について出してくださいというふうなサンプル調査をすることがございます。そういったものを見た上で、実績が前に注意された点がうまくいっているのか、あるいは依然として改まっていないかということを検査するわけでございます。全員についてやる場合もありますが、小さなところですと全員についてやりますが、大きなところでしたらサンプル調査で片づける、実績を調べる。ですから、どの銀行でもそういうふうな退職時までの年数云々、そんなことまで調べておりませんが、しかし、年齢構成、学歴構成、その他、人事面についてはある程度調べております。
○成瀬幡治君 ぼくは、その土地になじんで、うんと信用のあり、親しまれる人は、預金を集められるというような成績が上がり、地方の実情等がよくわかって、うんと成績を上げる人もあると思う、長くおるために。ここに銀行経営を実際にやっておられる経験者もおられるが、われわれ一がいに言えないと思う。常識的に考えてみても長くおることがいい悪いと、あっさりそう言うのではなくて、私はその人により、その土地の事情等によって差があると思う。それをあなたのほうは初めから、長くおるほうがいかぬという立場に立って指導等をされるというようなことについてはどうかと思うし、また、具体的にこの人は問題を前に起こしておる、それなのにまだその支店におる、だからこれは早くかえよという具体的な指導ということになると、なかなか相当微に入り細に入った実は指導をされておるなあというようなことも受け取れるわけです。ですから、そういうようなことについては経営権の侵害になることで、いわゆるそれがはたして預金者を保護するという私は立場にならぬのではないかと思っている。そういうことは意見なんですが。 そこで、たとえば銀行で問題を起こしたことがありますね、預金を紛失したとか。そうしたことに対して、どうしたらいいという具体的な勧告をされていますか。たとえば責任者は報告をしないじゃないか、隠しておって一年もたってから、前の事件が盗難だったというようなことは、これこそ預金者の金なんですよ。逆にいえば、銀行そのものの損失になるかもしれませんけれども、こんなものについてはどのくらいの処分をしたらいいという勧告をされるんですか。どうも微に入り細に入り具体的に行政指導をしているようだから、参考にひとつ承っておきたい。
○政府委員(高橋俊英君) 初めに、人事管理なんかの点についてどの程度かというお尋ねで、検査の対象にする場合があって、その場合はこうだということを申し上げた。しかし、具体的な特定の人をあげてどうこうということはございません。そうじゃないんです。それが一人の検査官も年にかなりの数、まあ少なくとも六行ないし八行ぐらいは検査に行くわけです、一人の検査官が。ですから、かなりの検査回数を重ねております。そうしてその業績その他一般について比較をする。業績不振である場合にどこに原因があるのかというような点から、問題にする場合があると思う。だから、成績が非常によくて順調にいっているときに、その人事管理が悪いなんということを申したことはないんです。これはやっぱり成績の悪いことの原因がどこにあるかというふうなこと、その成績の中には新聞にこそ出ませんが、やはり使い込み事件がだいぶあるんです。ですから、こういうところに使い込み事件がある、過去何年間にどのくらい発生をしている、その原因は何か、こういうふうな点から調べるわけでありまして、順調にいっておるところについては、人事管理が悪いなんということは申さないことにしております。 いまの盗難その他で責任はどの程度になるかということですが、私どものほうから銀行側に、あれはどの程度処分せいということは言っておりません。ただ、ほかのところで適宜適当なる、私どものほうから見て適当なる処置を行なっているのに、その銀行が全然やらないとすれば、あなたのところは何らこの問題について責任を追及していませんね、よそではやっておりますよ、それは無責任だ。実は監督責任ということになるんでしょうが、そういう点から、よそではこの程度の処置が行なわれておりますよ、あなたのところは何にもしないんですかというふうな程度の指導はするわけですが、どの人間はどの程度の減俸処分にせいなんということは申さないことにしております。
○成瀬幡治君 最後に、木村委員も最初に指摘されたのですが、歩積み・両建ての問題に対して、やはり資金の供給面ということが大きな問題だと思うのですが、そこで、たとえば設備投資を鉄鋼関係はどのくらいやったらいいか、自動車関係はどのくらいにするかという点について、これは通産省ですか、あるいは企画庁が中心になっておやりになるのですか、その場合は当然大蔵省も参画しておいでになるのではないですか。まあ参画をしておいでになるかどうか。そういうような場合に、生保、損保の資金も私は実は大きな資金量だと思うわけです。当然そういうようなことまで勘案して、ああいうものはつくられておるのかですね、どういうのか。これは銀行局のほうではおれのほうの関係ではないとおっしゃるかもしれませんが、もし関係なら、ひとつお答え願いたい。関係じゃないということなら、これはいいわけですが……。
○政府委員(高橋俊英君) 通産省でその所管の対象の年間の設備投資の調整を行なっております、産業資金部会というところで。銀行局は全然直接には関係しておりません。銀行の代表は入っておるわけです。 あのときの資金供給量ですね、投資額が出まして、それをいかにして調達するかという内訳がございまして、その中に銀行からの貸し出しというやつがあるわけです。それを一体幾らにするかというふうなことにつきましては、十分な連絡がございます。実情を申し上げれば、銀行からも連絡がございますし、場合によっては通産省からもこの程度の資金が期待できるかということは話ではございます。私どもとしては、それに対して意見を申し述べることはやっております。しかし、表向き資金部会に参画はいたしておりません。どのような討議がその中で行なわれているかというようなことは関知しておりません。確かにいまおっしゃる生保、信託等の資金が関係あるのですが、大蔵省としては、銀行局は何も関係しておりませんです。
○木村禧八郎君 時間がたちましたから、簡単に三つ伺います。 大蔵省の歩積み・両建ての整理方針ですね、これを完全に遂行した場合、さっきちょっと申しましたが、経理面にどの程度の影響があると見ているのですか。
○政府委員(高橋俊英君) 私どもは、ここに書いております検査ですね、対象が限られておりまして、このまま全部に引き延ばしするわけにもいきませんが、ある仮定を置いて全体の自粛対象預金を推計いたしまして、収益に及ぼす影響を考えてみますと、まあ平均的な場合ですと、経常純益というのは五%ぐらい減るという計算でございます。銀行によりまして……
○木村禧八郎君 経常純益ですね。
○政府委員(高橋俊英君) 銀行の経常純益です。これは出ております。発表されておりますが、経常純益の平均的には五%ぐらい減るという計算になるわけです。ただし、これは銀行と申しましても非常に差がございますから、自粛対象預金の割合が平均よりもだいぶ高いところがあるはずでございます。そういうところは、完全にこれを実施いたしますと、八%とかというふうな数字も出てくるかと思います。平均でいえば五%ぐらいで、都市銀行なんかは大体みんな変わりはない、そう大差ないと思いますが、銀行でも大きさがいろいろまちまちでございますので、まあ多く考えれば八%ぐらいの減益になる可能性を持っております。
○木村禧八郎君 この検査対象の金融機関だけでなく、これは全体に及ぼすわけですね。そうですね。ちょっとお答えをいただきたいのですが、全体に適用するわけでしょうね。
○政府委員(高橋俊英君) ここに出ている表だけではございませんで、全体に引き延ばした場合であります。
○木村禧八郎君 そうしますと、この平均五%経常純益が減るものと推定されるということは、これだけ減って金融機関の経理には何ら心配はない、そうお考えですか。
○政府委員(高橋俊英君) 銀行の場合で申しますれば、大多数の銀行については心配はないと申し上げてよろしいかと思いますが、中に経常収支率が現状でもかなり悪いところがございまして、そういう銀行ですと、これは問題が残るわけです。そういう銀行は決して両建て率が少ないわけではなくて、むしろ多いくらいだと思います。それをそのまま厳格に追い詰めてやらせますと、さらに経常収支率が悪化する。しかし、まあ経常純益全体の五%ないし八%程度ぐらいでございますれば、それではやっていけなくなるというふうな割合ではないように思います。経常純益が現在赤字のところはないわけでして、利益が出ておるわけですから、その経常純益の計上額が五%ないし八%ぐらい影響を受けるという程度であれば、非常に困るというほどの状態にならないと思います。
○木村禧八郎君 全体として非常に困る程度にはならぬというが、しかし、これはかなり困る状態になるのじゃないですか、いまのお話ですと。ですから、この程度の利益が減ってもまだ余裕があるのだ。それだから、こういうことをやらせるのでしょう。そうなんですかどうかということなんです。
○政府委員(高橋俊英君) 全体を平均して見れば、十分な余裕があると申してよろしいと思います。それは、金融機関はもうけ過ぎているのではないかといわれているくらいですから、それは経常純益なるものが全体として見れば余裕があると思います。だから、これだけ減ってもいいのだ、しかし例外もあります、ということを申し上げておるわけです。
○木村禧八郎君 それでわかりました。そうしますと、この程度利益が減っても余裕があるということは、これまで非常に過当な利益を得ていたということなんです。これが証明されたわけですね。証明されるわけですよ。もうけ過ぎているということは、それだけ利益が減ってもなお余裕があるということを示しているということは、いままで過当な利益を与えておったということですよ。これは非常な問題だと思いますね。五%程度、これだけ利益が減っても余裕があるということは、いかに銀行が歩積み・両建てによって過当に——不当にとは言いませんが、過当にですよ、あるいは不当かもしれません。そういうことがそれでわかりました。それでそれはいいですね。
○政府委員(高橋俊英君) いま一言述べさせていただきたいのですが、銀行が非常にもうけているということになって、これは五%ぐらい減ってもだいじょうぶだということをおっしゃるのですが、戦前の状態と比べますと、預金の総量に対する内部留保の割合はずっと低いのです。非常にもうけているように見えますが、これは昭和五年ですからパニックのあとですが、その当時で、預金に対して、これは株主勘定ですね、それと株主勘定に対して貸し倒れ等諸準備金を足したものですね、これはまあ一種の自己資金ですね、自己資金のあれを見ますと、戦前は特別手厚く考えたのでしょうけれども、二四%にもなっているわけです。それが現在は、二十八年九月末現在でとっておりますが、六%でして、この割合はどちらかというと、ずっともうこれは昭和三十三年ごろから六・七というような数字で、それが少しずつ変化しまして六・〇〇というふうに若干低下しております。ですから、内部留保といいますか、株主勘定と貸し倒れ準備金を足したものは、割合としてはどんどんふえてきているという姿ではなくて、少しずつではあるけれども下がってきているような状態で、六%という数字は決して十分ではない。私どもの指導基準は一〇%以上です。この割合を一〇%以上に持っていくようにという指導はしているのですが、平均をとると六%にしかなっていない。ですから、非常に余裕があるというふうに、もうけ過ぎているというふうに言うのもどうかという感じもいたしますので、一言、弁護するわけじゃないのですが、事実を申し上げます。
○木村禧八郎君 それは増資をした関係もあるでしょう。ですから、資産が多くなっているから、パーセンテージは低いかもしれませんが、金額からいえば……。
○政府委員(高橋俊英君) 増資をした額もすべて含め、社内留保も含め、それから貸し倒れ準備金も加えまして、それを分子にして預金で割った数字でございます。戦前には二四%もあった。現在は六%しかない。だから、現在は決して十分な数字にはなっておりません、こういうことを申し上げておきます。
○木村禧八郎君 それでは、預金がものすごくふえておるのだから、割る預金が非常にふえておるのですから、パーセンテージだけではこれはなかなか正確なあれにならぬと思う。まあそれはいいですよ。 それで、次にもう一つ、金利政策をやるとき、さっきちょっとお話があったのですが、両建て・歩積み等で、いわゆる実質金利というものがわからぬでしょう。ですから、何を基準にするのか。まあ指導的金利というのは、銀行の貸し出し金利ですね、一番資金のボリュームの大きいものの需給関係によってきまる金利が、これは支配的な指導金利だと思うのですが、それを今度両建て・歩積みと、こうなると、一体そのどこを金利政策を行なう場合に基準にとるわけなんですか。表面金利だけでは、これは実質金利になりませんね。ですから、それをどこに基準を求めて金利政策をやるのか。その金利の基準のきめ方いかんによって、今度資金の需給調整というものも変わってくるわけですね。量的ないろいろな調整も変わってくる。ちょっと参考にこの機会に伺っておきたいのです。この金利は何を基準として金利政策をやるのか、ひいて資金の需給調整をやるのか、その点伺っておきたい。
○政府委員(高橋俊英君) たいへんむずかしい問題でして、これを議論しているだけでもかなり時間がかかると思いますが、私は学者ではなくて実際家ですから、その立場で申し上げますと、たとえば二銭という公定歩合、これがかなりまあ長いことその程度の時期が続いておった。それを一銭八厘に下げ、さらに一銭六厘という金利も一時的には実現したわけです。これは私どもとしてはやや行き過ぎがあったように思います。そのせいか、おそらく金融緩和というふうに受け取られまして、またもや行き過ぎが生じた。そして今度一銭八厘という公定歩合ができた。その公定歩合と市中のいわゆる標準金利とは一致さしているわけです。標準金利の適用を受けるものは、言うまでもなくこれは一流の大企業でございます。でございまして、いまは一銭八厘がそういうもののいわゆる最低歩合にはなっている。最低歩合というのは変なんで、一銭八厘以下であればよろしいのですが、実情は、大体スライドいたしまして、表面金利一銭八厘というのが大企業向け貸し出しの標準金利である。しかし、これは言ってみれば所定の割引歩合でございまして、貸し出しということになりますと、担保貸し付けになればそれより二厘高い二銭という金利が適用されます。 その辺の大企業につきましては、これは実態はわかりませんが、それらの預けている債務者預金の割合はかなり高いと認められます、実際に都市銀行の数字を見ますと。大企業でありましても、預金額がかなり高いのでございまして、実際の債務者預金の割合を貸し出しに対してとりますと、大企業も中小企業もあまり変わらないというふうな構成になっております。しかし、もともとそれは自分の手元流動性を高めようとする部分が非常に大きいのでありまして、拘束されているものの割合のほうが、少ない。少ないが、実態としてはある。ですから、一銭八厘をまともに適用を受けているところは、九電力などございますが、この電力会社の貸し出しと預金を調べたことがございますが、これは借り入れがふえているのですが、預金は関係なく動いているというようなことがございまして、限界分とってみると、全く両建て・歩積みがないようなことになりますから、一銭八厘ということになれば、それはまともに適用を受けている。しかし、そうでない中流ぐらいになりますと、一割五分とか、場合によりまして二割ぐらいの金はだまって置いていくというふうなことがございますので、実質金利としてみれば若干高い。ですから、かりに一銭八厘の適用を受けておりましても、それが実態は一銭九厘ないし二銭になるということがいまの実態だと思います。 そしてなお、並み手の歩合ですが、並み手の歩合はいま自主申し合わせで二銭二厘以下ということになっておりますが、この辺になりますと、並み手として扱われる程度のものになりますと、必ずといっていいほど両建て部分を含んでおりますから、これを計算すると、おそらくそれよりは三厘ぐらい高いという例がざらにあるのではないか。つまり、二銭二厘と称するけれども、実態は二銭五厘くらいになっている。 それから、金利というものが、指導的な金利としてはその辺までがきめられて、一年以上のものについては金利の制限もございません。ですが、表面は相互銀行の場合におきましても平均が二銭四厘台でございますから、いかにもまあ大企業との格差が縮まっているように見えますが、この辺になると両建ての割合が非常に高いために、おそらく債務者側に言わせれば優に三銭をこえているという事例が多いと思います。 そこで、金利の点につきましては、私は金利格差という点がわれわれの考えなければならぬ問題でございますが、外国の事例など詳しくはわかりませんが、調べてみますと、一番優遇された金利の適用を受けているもの、特に向こうに多い消費者金利、実質金利を比べてみますと、二倍半、あるいはそれ以上開いているというのが実態のようであります。そうしますと、まあ一銭八厘に対しまして、二倍といたしましても三銭六厘になるわけですが、それ以上高い金利もまあ相手によってはあり得るというふうになりまして、金利格差として二倍半というのは私はちょっと多過ぎるように思いますが、二倍程度の格差というのはむしろ適正なものとして受け取っていかなきゃならぬというふうに考えておりますが、もちろん、これには期限の点もございまして、非常に短い二カ月の手形を割り引く場合と、実際には手形の形をとりながら二年、三年というふうな長期の返済が約束されているというものもございますから、一概に比較できませんが、まあ同じ短期のものを比べましても、二倍程度の格差というものは実質上はあるのが普通ではないかというふうに考えております。
○木村禧八郎君 そうしますと、この金利の国際水準にまでさや寄せしていく、まあ引き下げていくという、そういう場合、大体いままでは二倍くらいの外国との金利格差でしょう。それはそのままとして、ずっと考えて、それ以上になるものを二倍のところまでの格差にまで縮めるということを言うのですか。国際水準にまで金利を下げていくという、それは具体的にどういうことなんですか。いままでよくいわれているのですが、この際ちょっと聞いておきたい。
○政府委員(高橋俊英君) 国際水準と申しますが、これは国によってちょっとした格差がございまして、同じ先進国をとりましても、アメリカは比較的安いほうに入ると思うのです。それに対しまして、西独の場合は、特に長期金利などを見ますと、日本に比べて安いことは安いのですけれども、二倍半なんていう差はないのです。向こうでも大体長期金利でしたら、債券利回りとしても六分ぐらいで、日本で七分三厘程度のものが西独では六分前後であるというふうな水準でございますから、下げ幅として西独水準あたりを一応の目標としますれば、これから先半減するというようなものではなくて、まあ二、三割方高いかなという感じだと思います。 これは金利は、木村さんよく御存じのように、その年その国の成長率なんかに非常に関係があるわけでございまして、非常な先進国で、アメリカ、イギリスのように、最大の成長を示した年でもせいぜい五、六%、平均をとれば四%ないし五%ぐらいの成長しかないという国は、私は金利水準は当然低いと思います。日本の国のように、それに成長率からいくと倍近い成長率を示している国では、金利もどうしても高くならざるを得ないという傾向が一般的に言えるのじゃないか。つまり、それだけ伸びる意欲も強いし、資金需要も強いわけでございます。アメリカあたりでは、設備投資をするのに、借金をして設備投資をするという考えはない。戦前の日本もそういうタイプでございました。戦前は比較的成長も高くなく、それだからそう高くはなかったわけであります。そういうときには、金融はいわゆる正常化されまして、資金余剰が全体的に生ずるというような場合もございます。日本では常に余剰はなくて、いつも不足という状態が続いておりますので、こういう状態が続く限りは、なかなかに六分というような西独の長期金利の水準に近づくこともかなり困難を感じますが、しかし、長期的に見て、一銭八厘、一応はかなり下がってきた水準ではないか。これをさらに、たとえば一銭六厘というふうなところまで下げて、しかもそれに安定させるということができれば、かなり接近したということができるのじゃないか。 私が先ほど金利格差と申しましたのは、同じ日本国内における企業の規模、信用力による差は、最低歩合に対して高いものの企業は倍あるいはそれ以上の金利を支払わされることがありますが、そのような現象は日本だけでもないようである、金利の格差は二倍半ぐらいあるように私どもは見受けておりますと、こういうことを申し上げた次第であります。
○木村禧八郎君 大体わかりました。日本の場合、金利水準だけでなく、資金の借り入れの量というものも非常に問題ですよ。だから、この量が多くなるから、金利が少し安くても利息の額は非常に大きくなるという問題もあるのです。これは議論ですからやめます。 最後に、両建て・歩積みの弊害をなくす、全然なくすことは困難かもしれませんが、それを救済する一つの方法として、やはり信用保証協会をもっと活用したらどうかと思うのです。いまよりも思い切って、もっとこれを活用することは考えないかどうか。この点は、私は実際問題としてもすぐできることじゃないかと思うのです。非常に業者なんかでもそれを、いまのままではなかなか実際問題として飛びつけられない、資金の量にも限界がある、それから危険負担の分担等におきましても問題があるので、もっと積極的に活用することを考えていないか。
○政府委員(高橋俊英君) これは銀行側からもそういう意見がございます。中小企業を円滑にやる上において、信用保証協会の活用、その範囲をもっと広げるということが必要であるという要望もございます。私どもも同様にそれを実現したいと思っておりますが、保証協会は、御承知のように信用保険公庫の資金充実という問題と直接の関連がございます。言ってみれば予算措置を伴うわけでございます。来年度の予算の問題として取り上げるほかないと思うのですが、いまからこれを補正予算というわけにまいりませんので、今年度というよりも、来年度の予算措置に関連いたしまして、十分私どもその方向に向かって努力はいたしたいと考えております。
○木村禧八郎君 これで終わりますが、やはり思い切った拡大措置を考えていただきたいと思うのです。だから、もう少し雄大な構想をもって来年度もそのための施策を十分にやるように私は要望しておきます。
○成瀬幡治君 あなたのほうの歩積み・両建て預金の整理方針案という資料をいただきましたが、この中の三番目に、「責任の明確化と制裁の実施」、第一項の責任者の担当役員を定めるということはわかります。それから、二つ目には「最高責任者を含めた関係者に対する責任の追求」、この中身は具体的にわかりかねます。それから、「その他必要な行政上の制裁を行なう。」、何か新聞等では支店の増設に対しては認めないといわれているわけですが、この具体的な説明を承りたい。
○政府委員(高橋俊英君) その点は実は、こういう案を衆議院の小委員会に出す場合に、どういう一体執行の手段があるか、責任をとる具体的な方法を出せというお話がございました。しかし、あまりいまから、こうやればこういう手段をとるというようなことを並べておかないほうがいいのではないかということになりまして、その点はおまかせいただくというふうになったわけですが、あまりえげつないようなことを言うようになるので、この歩積み両建ての整理をやらぬのと支店を認めないというのは直接どういう関係があるのだ、こういうことになります。私どもは、いや、歩積み・両建ての問題は一面預金量の誇示という問題がある。デモンストレーションだ。そういうこともからんで、それをやっていれば今度は実質的な資金確保のもとになる支店がもらえないということになれば、要するに預金量の競争の問題ですから、因果関係はないとは言えないのだ。これは全く無縁なことを言うわけではないのですが、やはり聞きますと、江戸のかたきを長崎で討つという形になりますが、そういうことがいいか悪いか。このときにあたって、当該銀行が預金店舗に非常にこだわるという場合に、ちょっと削るというだけでもたいへん効果があります。しかし、預金の店舗を全然申請してこないところがあるのです。都市銀行はございません。銀行によって全然希望がないというのがあるのです。こういうところにはやりようがないわけです。 その場合には、これは頭取その他、情状に従いまして、一番軽い場合には当該役員、常務クラスを呼んで厳重注意を与え、その次になりますと、頭取においで願って、どうしてこういうことになったのかというようなことをきびしく追及いたすようにしますと、たいへん不名誉なことに思うようですが、やはりそれが一番常套手段じゃないかと私どもは思っておりますが、なお、そのほかにもないとは申せません。あまり、しかしいろいろ言いますと、非常に意地の悪いことを大蔵省は考えておるというふうに言われるのも行政指導上好ましくございませんから、正面から頭取その他の方に、十分に責任を考えてもらいたい、やめろというのは一番ひどい例ですが、そこまでは言わないにしましても、まあしかるというふうなことになるのだろうと思います。
○木村禧八郎君 その場合に一番いい方法は、私の考えですが、特殊指定を考慮することもあるべしぐらいにやっておいたら一番きくのじゃないですか、どうですか。
○政府委員(高橋俊英君) これは全体の問題としてはあるのです。ただ、ここにあるのは個々の銀行の問題として言ったわけですが、全体としては、銀行などの中心とした自粛の成績が悪い場合、半年たっても半減しないというふうな場合には、特殊指定をするぞというそういう決議が行なわれるのだそうです。特殊指定も一方でどんどん準備を進めて、すぐにはできないにしても、半年ぐらいすればできるのじゃないか。そのときにまで銀行の成績がよくなかったら、特殊指定もあえて辞さないという話し合いになっているようです。私のほうから、大蔵省のほうから特殊指定をするぞと言うのは、ちょっとはなはだおかしなことで、私どもは論理的にいいますと、特殊指定の対象になるというのは疑問はあると思いますが、しかし、必ずしも皆さんそうおっしゃらないで、不公正な取引だと言えるのだ、特殊指定の対象にもなり得るという方が多いのでございまして、大体そんな看板が初めからかかって、全体としては、そういうにおいがはっきり出るようになると思います。
○成瀬幡治君 ぼくはよくわからないのですが、特殊指定をするということになりますと、準備が相当要る要るといわれているのですが、これは公取関係に聞かなければいけないのでしょうが、実際はどのくらい準備が要るのですか。
○政府委員(高橋俊英君) どうも私はこのほうのことをやっておりませんから、何ですが、推測して申しますと、私どものほうの行政指導の基準あるいは自粛の基準であれば、いまでも幾らかけても抽象的なところがあるわけですね。ところが、特殊指定をして、依然としてこういう抽象的なものであっていいのかどうか。もっとわかりやすいものでなければ、——法律違反ということになるのですね。法律違反としてその後の処置がとられる。そういうものであるのに、主観的な表現で客観的な基準がないということでいいのかどうかという問題点が、一つ重大な点があるのですね。 たとえば、私どもも入れた手形割引の際の歩積みの累積限度は一割から三割くらいまでがまあまあ適当であろうと言ったけれども、一応の基準を言っただけで、これを変えたら絶対に違反だと言っているわけではない。しかし、特殊指定ということになれば、一般指定では足らない分を特殊指定するわけです。現在でも一般指定というのがあるのです。公正取引委員会としてはあるが、それは足らないから、具体的には法律に触れるという意味で出すのなら、できるだけ判断する人によって違わないような基準があってしかるべきじゃないかという点ですね、その点について踏み切りがつかないのじゃないかと思うのです。非常に抽象的なものであって、解釈のしようでどうにもなるというようなことでは、法律違反であるかないかというきめ手にはできないのじゃないか。一般指定ですと、これは非常に抽象的な表現で、これはすべて網羅しておりますからいいですが、この問題を取り上げて特殊指定にするということになりますと、やはり多少その客観的な基準が明確に規定されなければおかしいのではないか。そうすると、その基準はどの程度にこまかく言っていいものか、たいへんむずかしいものじゃないかと思いますね、判断として。 また、特殊指定、いままでの特殊指定された十幾つかの業種ですね、これはすべてその当該業界からのむしろ申請、特殊指定をしてもらいたいということでやったわけです。今度はしてもらいたいというあれがないのに、一方的にやるというのは初めてのケースだと思いますが、それだけに非常に慎重にならざるを得ない。いままででも、公取委員長の御答弁を聞いた場合、申し上げますと、あと何カ月と言わない、半年だと言ってみたり一年と言ってみたりしていますが、今度の場合の御答弁は、少なくとも何カ月かかかるというようなお話ですが、大体まあ半年くらいをめどに方式を考えるということのようでございます。これ、すべて私の憶測で申しましたので、私が御答弁するのははなはだ不向きな御質問だと思いますが、推測を申し上げました。
○成瀬幡治君 あなたのほうは半年ないし一年をめどとしておる。しかし、ある銀行によっては、これは何年か先にもなるだろう、そういう考え方で、しかし、そのことはもう公取とは十分了解ができておることと思うわけです。そうでなければ、公取は公取独自の判断として、歩積み・両建ての問題はこれじゃとても解消できないのだから、特殊指定をしてやるということは十分あり得ることだと思います。しかし、その前にはあなたとの間に十分意思の疎通があるわけです。ですから、こういうような問題を今度出されたということは、特殊指定には持っていかないと、その前に事前に措置するのだ、このように公取と十分了解の上に立ってやられたものと了承していいわけですね。
○政府委員(高橋俊英君) まあ公取との打ち合わせもそうですが、大体小委員会にも、われわれのほうだけでなしに、公取も同様に呼ばれて、そこでこういう話をしているわけです。それで、国会の御意思というのもこの問題に関する限りは強い影響を持つわけでございます。その辺が最終的には衆議院のほうでも煮詰まっておらない。その決議案文というのは、私はまだきまっていない、見ていないのですが、大体の考え方はいまの成瀬さんのお話のように、これで半年たったら半減して、大部分の銀行は一年間でその一〇%ぐらいのものはなくしてしまうということで実現できそうであれば、まあまあ特殊指定までせぬでいいのじゃなかろうか。成績が、実は銀行がいかにもやりそうなことを言っておるが、結果を見たらやはりそれをやっておらぬということであれば、今度は特殊指定を辞さない、こんなような半年間の推移を見た上でという配慮があるのではないかと、私は推測するわけであります。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。 本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回の委員会は明後十八日午前十時から開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十三分散会