大蔵委員会 第31号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/05/12
会議録
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 この際、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○天田勝正君 時間の限られた大蔵大臣に対する質問ですから、関連したことでありますが、簡単に聞いて、そうして大蔵大臣の対策を伺いたいと思います。 まず、当委員会で先般お聞きいたしましたが、わが国が海外において漁獲に従事しておりまする船員の人数は、常時八千名と記憶いたしておりますが、間違いありませんね、船員局長。
○政府委員(亀山信郎君) 私どもの調査では、時によって出入りはございますけれども、八千人をこえておるやに承知いたしております。
○天田勝正君 大臣、質問ですから簡単にしますが、「やに」ということではなく、それなら幾人というふうに親切に言ってください。 急ぎます。同時に、どこが何人と。おおよそ基地が、たぶん私の記憶では四カ所あると思っておりますが、いかがですか。
○政府委員(亀山信郎君) 海外基地といたしましては、米領サモア、それからカナリア群馬、これはうラスパルマス、それからニューヘブリデス諸島、マラヤ方面、大体仰せのとおり四カ所でございます。
○天田勝正君 わが国の日常食ぜんにのぼっておりまする高級魚は、ほとんどアフリカ海域でとれておるはずであります。これは水産庁に聞くほうが当然でありますが、運輸省のほうでも、そのわが国が獲得しております金額といいますか、そういうものはわかっていますか。
○政府委員(亀山信郎君) 金額は承知しておりません。
○天田勝正君 それじゃ、先へ急ぎましょう。 私、資料で持っておったのですが、いまそれも途中でありますから失礼しますが、とにかく日常われわれの食ぜんにのぼっておりますタイ、イカ、タコ、そういうものはシーズンオフに特に食ぜんにのぼるものは、大部分そうした海外の漁獲基地からとっておるのが当然のように今日はなっております。そこで、その中にはもちろんわが国に送るもの、現地でさばいて外貨を獲得するもの、こういうふうになっております。 しかるところ、その海外で働いておる船員の身分でございますが、これは一向現地にも十分な娯楽施設等を設置されぬ、その十分な行き届いた労働条件が確保されない一番の理由というものは、税制関係においては大蔵省、それから労働関係においては、通常国内においては労働省が労働条件等を所管するんでありますが、これが運輸省ということになっておる。 同時に、直接漁獲の問題について指導監督をするのがこれが水産庁、こういうふうに三本立てになっておりますがゆえに、なかなかきめのこまかい施策がされておらないというのが現状であります。そういうことから、かねて私は大蔵大臣に聞きたいと思っておったのでありますが、たとえば税金の問題にしましても、通常の給与というものは毎月毎月で送金されますから換算されますが、船員は主として歩合金というものによってその収入を補う、こういう形になっております。それは一年三カ月くらいずつ海外におるのでありますから、そういう結果、どうしても暦年では二年にわたる収入になり、帰ってきたときにこれが清算される。したがって、どうしても二年に分けるのでなく、その帰ってきた日の属する月に一時にその二年——本来二年分であるけれども一年に取得と、こういうことになります。そういうことから、どうしても特別な措置がとられない、こういううらみがあるのでありますが、いま急に聞きましても、大蔵大臣も答えにくいと思いますが、そういうことについて、ひとつこまかい検討を今後していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 船員等は、実際問題としては、半年ごととか一年ごとで給与とか賞与を一括して受ける場合があるということは理解できます。しかし、課税の方法といたしましては、毎月給与を受けておる人と同等の取り扱いをいたしておるわけであります。これは一括して受けたといたしましても、就業規則とか、それから給与規程とかによりまして、その期間に受けたものとして二年分一回にもらっても、前期一年間でもらうものがどれだけ、あとの一年間でもらうものがどれだけというように計算をいたしまして課税をいたしているわけでありますから、通常の給与所得者と同等の取り扱いをいたしておるわけであります。
○天田勝正君 水産庁長官が来ましたから、大蔵大臣に質問する前提をひとつ聞いておきます。それは、いま海外の漁獲基地が四カ所ありますが、その一番多くわが国の漁船員が駐在しているのはアフリカだと私は記憶いたします。しかし、いずれにいたしましても、この海外基地によって漁獲する量は金額にして幾らなのか、量にして幾らなのか、それから海外においてそのまま処分して外貨を獲得しているのは幾らなのか、それをお答え願いたい。
○政府委員(庄野五一郎君) 海外漁業につきましては、大体の概念といたしまして、いま御質問になりましたように、海外基地——海外におきまする漁港を基地といたしましてのいわゆる海外基地操業、こういうものと、それから内地基地操業というものとございますが、いま御質問のように、アフリカのカナリア島のラスパルマス、これはいわゆる海外基地を、ラスパルマスを基地として海外操業をやっておるわけでございますが、そこには、これは大西洋側でございますが、カツオ、マグロ、それから遠洋トロールといったものが中心になっております。それで、このラスパルマスにつきましては、ただいまのところ、三十四年ごろから、これはつい最近のことでございますが、出ておりますが、大体、ただいま行っております分につきましては、隻数にいたしまして七十二隻程度が行っている、こういう数字がございます。 それで、操業海域は全域でございますが、全体で、漁獲量が二万五千トン程度あげております。生産金額にいたしまして百十九億円といったようなものをラスパルマスにおいてあげております。そこで、大体ほとんどが内地に持ち帰る、こういう形で、そこは生産の仕込み基地といったような関係でございますが、船員はそこを基地として操業いたしますので、そこにいろいろ上陸するというようなことで、その基地におきます労働の問題というものが問題になっております。 全体のものとしては、一応表にまとめてから資料として提出いたしたいと思います。
○天田勝正君 船員局長、ところが、これらの漁船の実態は、運輸省において労務官が調べることになっておりますけれども、一ぺんも調べたことありませんね。
○政府委員(亀山信郎君) 労務官がラスパルマスの現地に出向いて労務監査を行なった例はございませんが、一昨年、船員局の労働基準課長がラスパルマスの現地に出張いたしまして、現地の状況の調査はいたしました。
○天田勝正君 大臣、お聞きのとおりであります。ほかの基地もさようでありますが、船に乗って、ただの一回も、運輸省におきましては労務問題について調査をした事実はございません。これは私も全部海員組合等で調べた結果であります。さような状態で、どうしても現地における娯楽施設、そういうようなものは一切ゼロ、こういう状況で、特にラスパルマスのことが問題になっておりますけれども、これは各国の漁船員のうちで日本が常に一番圧倒的に多いのでありまして、どんな少ないときでも六百名を下ったことはないという状況にあります。さらにまた、はなはだしいときは二年くらいであったのでありますが、そのうち海員組合に属している者は、それはあまりに非人間的であるということから、経営者と協議をいたしまして、一年三カ月をこえてはならないということにいたしました。しかし、加盟しておらない漁船員の諸君は、さらに従前どおり二年あるいはそれ以上になるというような状態が繰り返されております。 そこが私が大蔵大臣にこれからお願いするところでありますが、ラスパルマス一カ所だけでありましても、いまおそらく、失礼な言い分ですけれども、課税等の関係で漁獲量は多少、私は業者は少なく言っておるのじゃないか。それでさえも、ここだけで百十億だということは明らかであります。そしてこれは日本の食生活の上からいっても、もしこれがなければ非常に、食生活の変革のみならず、外貨を出して外国から買わなければならない。それが助かっておるという事実からいたしますれば、もっとこの方面に大蔵当局としても関心を示されてしかるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) お話の中で三つ問題があるわけですが、一つは船員の問題、もう一つは漁獲をしておる業者の問題、それからもう一つは、その業者がいろいろな、いま金融とかその他に対してもっと特別な処置ができないかということを言われているのだと思いますけれども……。
○天田勝正君 金融のことは申し上げていません。
○国務大臣(田中角榮君) 具体的にお願いいたします。
○天田勝正君 それはですね、いまラスパルマスにおきましては、向こうの施設として海員会館というものが建てられまして、そのうちの一部をばわが国の業者とそのそうした漁船員の団体、これが金を出し合いまして一部を確保いたしておりまして、そこでまあどうやら少し高級の船員等は行って休むことができるという状態になっております。ところが、高級船員ということを私が言うのは、どうもやはりそこは諸外国の海員がすべて集まるものですから、それでも一般の、建物自体が海員会館といいましても、言うなれば業者とかそうした各国のトップクラスの人が集まる。言うならばりっぱなホテルのようになっている。そこで、漁船等に乗っている者は何か気おされて、そういうところは実際上は利用できない。そこで、ラスパルマスのように常時六百人もいるようなところは、日本独自のものをやはりつくる必要があって、そうした場合にもちろん漁船員の団体も自分たちはただで国におぶさるというつもりはさらさらないのである。いま現在も自分たちが出し合って業者とともにやっているのでありますから、そこでそういう場合に、いままで例がないことでありますけれども、企業者にも金を出させ、従業員の団体にも金を出させ、また国も補助をするということを考えるべきではなかろうか、こう私としては具体的に思うわけであります。いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) いま御指摘を受けただけでございまして、まだそういう問題を水産庁から農林大臣を通じて話も来ておりません。来れば、またその時点で考えるわけでございますが、これはもとより、やるという場合も、共済または福利施設のような状態で、業者が主となってこれを行なう、それに対して国が何らかの援助をするということと、もう一つは、外国における基地でございますから、漁業という立場から、漁労基地として国も応分の措置をするのかという問題が二つ出ておるわけでありまして、いま初めて伺っただけでございまして、そういう実情も私もよく承知しておりませんので、まだ具体的になっておりませんので、農林省当局の意向が固まったら、私のほうでも検討いたしたいということでございます。
○天田勝正君 きょうは特別に、私の都合で各位の御了承を得て一番先に質問さしてもらったので、実は水産庁長官御存じないかもしれないけれども、私はこの資料を、私は自分の持っているものを持ってきておりませんけれども、あなたのほうからも正確な資料を出しておいてもらいたいと言っておったのですが、それも集まらないような状態ですし、いまの大蔵大臣の答弁を聞きますと、さっぱり大蔵大臣のところへいっていない。私は当然いっているものなりとして質問しているわけです。それじゃ、むしろ水産庁なり、運輸省なりのほうが怠慢でありまして、そういうことじゃ困るのです。ですから、さっそくひとつそういうことを調べて、省同士の相談にのせてもらいたい。ずいぶんこの問題たくさんあります。税金の問題も具体的にあるし、労務の問題もあるし、いまようやく資料届いたのですが、そういうような状況で、これ以上この問題を質問してもしようがないと思います。大臣も時間限られていますから、一応私はきょうはこれでやめておきます。委員長、ありがとうございました。
○成瀬幡治君 具体的に、大臣ですね、私は一時間ほどでございまして、五点お尋ねしたいと思って用意はしておりますが、そこまでいけるかどうか心配しております。押し問答するのもいかがかと思いますが、まず第一に伺いたい点は、金融引き締めの問題についてでございます。 これで今度は三度目の公定歩合の引き締めと申しますか、金利引き上げがあって、いわゆる金融引き締めが行なわれたわけでございますが、約二カ月経過しております。大蔵省は、新聞を通しますと、財務局長会議、あるいは日銀は支店長会議、通産省は通産局長会議、それぞれどのくらい効果があがってきたか、あるいは摩擦はどのくらい出てきたかというようなことを検討をしておるようでございますが、お尋ねしたいその第一は、金融引き締めがねらっておる効果と申しますか、理想図、どういうような形に、たとえば卸売り物価はどうなる、あるいは生産はどうなってくる、あるいは通貨はどうなってくる、あるいは輸入、輸出というようなものはどういうふうになってくるかというようなことを、何かの理想図を持って引き締めをやっておみえになると思う。そこで、輸入面がある程度押えられればいいじゃないかということがあるかもしれませんが、私たちが新聞等を通じいろいろなお話を聞いているときには、二十九年あるいは三十二年の赤字と今回の赤字は、赤字の出てきた原因が違うのじゃないか。そこで、赤字の出てきたものは何というふうにこれで把握しておみえになるのか。それから、特に輸入面においては、開放体制に入りましたために、完成品であるとか消費物資が多く輸入されておるようなふうで、思惑輸入なんかとは違っておる。すなわち、輸入構造面の変化があるという点を考えてみると、なかなかそう簡単に貿易収支のバランスがとれるということは困難じゃないか、こういう見通しを持っております。それから、もう一つは、設備過剰投資をやりまして、経営分岐点も上がっておる、あるいは労働需要から見ても非常に困難になっているらしい。したがって、引き締めがねらっておる効果というものを達成するのは容易なことじゃないじゃないかという見通しを持っております。 そういう中で引き締めが行なわれましたために、むしろその効果よりも摩擦面のほうが先に出てきちゃって、その摩擦はどこに来たかというと、あげて中小企業にしわ寄せられてきておる。これもあなたのほうの資料というのじゃなくて、新聞等に出た資料でございますけれども、資金需要というものが中小企業で非常にたくさんふえてきておる。手形割引で相銀で前年比で四二・一%増、あるいは信用金庫で五〇%増、あるいは企業門の信用が十二兆から十三兆くらいあるのじゃないかといわれておる。現金が手形になってくるし、手形が長期化されてくる。したがって、一つつまずけば、同じように走っておる企業は、黒字といってもいいと思いますけれども、黒字であっても資金のやりくりがつかないために倒産が出てくる。倒産件数がどんどんふえておるというようなところから見て、とにかくあげてしわ寄せが中小企業に来ておる。しかも、山場はあるいは六月といわれておりますけれども、一体中小企業の人たちにこの金融引き締めがもたらす摩擦をなくすることが非常に大切なことだと思うのですが、政府のほうにおいてもそういうものに対して具体的な処置はどういうふうに考えておられるか。 それから、もう一つは、まあオリンピックも来ることだし、ほどほどのところで引き締めもゆるめるのじゃないかというようなうわさも出ております。あるいは七−九には大体貿易収支もとんとんになってくるから、引き締めをその時期にははずしてもいいじゃないかというような議論もあるわけですが、一体引き締めをゆるめると申しますか、をはずされるおおよそのめどというものは、いわゆる貿易収支が赤字でなくてとんとんになったらやるのか、経常収支がバランスがとれてくるのを待っていくのか、その辺のところはどんなふうに考えておみえになるか。 その三つについて……。
○国務大臣(田中角榮君) 金融引き締めと言われますが、昭和三十六年の状態から二厘引き下げたものを、大体三十六年の状態に戻した、こういうことでございます。 今度の貿易、国際収支の状態は、過去のものと違って、別な構造上の問題もあるのじゃないかということでございますが、確かにそういう面がございます。まあ輸出、輸入が非常に大きくなるということに付随して、当然起こってくる港湾経費とか、その他の経常の赤字が大きくなっていくというものがございましたので、これらの問題解決のためには、邦船を建造したり、またこの邦船の積み取り比率を上げるためにどうするかとか、また港湾使用料等の引き上げをやったり、いろいろな方法をいまとっておるわけでございます。こういうものは一朝一夕に片づく問題ではないわけでございますが、いずれにいたしましても、経常収支のバランスをとるためには各般の施策をとらなければならぬということを考えておるわけでございます。 それから、もう一つは、去年の非常に大幅な貿易上の赤字というのは、麦が不作であったとか、また砂糖が国際的に非常に高くなったり、いろいろなものがございましたが、十一月、十二月に十億ドルに近い輸入がふえたというような特殊な状態もございました。われわれが考えておったよりも、生産水準も非常に高く、まあ二月、三月あたりの状態を考えますと、一三%から一五%も名目伸びておるというような状態であって、いままで九〇%、八〇%、七七、八%というような低い在庫率まで落ちておりながら、どんどんと生産が上がったために、輸入が非常にふえた。また、貿易自由化によって消費物資がたいへん入りまして、例をあげますと、バナナだけでも六、七千万ドルも入ったというようないろんな問題が重なって、三十八年度の経常収支は大幅な赤字になったわけでございます。これらの中には当然自動的に解決されるものもございますが、先ほども申し上げたように、構造上の問題としてこれから、長期間かかってバランスをとらなければならないものもあることは御承知のとおりでございます。 四月に入ってからの状態を見ますと、在庫率が八割を割っておるというような状態であるにもかかわらず、自由化になったと、いつでも必要なものが入れられるということで、買いだめをする必要がなくなったということで、大体輸入も鎮静状況になっております。四月の状況は、国際収支は改善のきざしを見せておるわけでございます。きのう発表いたしました五月の第一旬、九日までの信用状収支も、御承知のとおり、五千万ドルの黒字というような状態に、まあ相当よくなっておるということは事実でございます。 しかし、この国際収支の問題は、前に申し上げましたが、戦前の貿易収支というもの、いわゆる貿易外の収支はどうかということを考えてみましたら、運賃などはみな輸入に入っておって、実際計算してみると相当な赤字だったと、こういうこともありますので、この経常収支の改善という問題は、ただ端的にこれを改善するのだというのではなく、構造上の問題にひとつじっくりと、取り組んで、思い切った施策を行なわなければならないということで、いま中期経済見通しを諮問いたしておりますとともに、四十三年か四十四年ぐらいをめどに経常収支のバランスをとるためのいま施策を行なっておるわけでございます。 それから、第二点の問題に、引き締め過程において中小企業に非常にしわが寄ってはならぬ。これは確かにそのとおり考えております。そういう意味で十一月、十二月ごろから、御承知のとおり、声を大にして下請代金支払遅延等防止法を場合によっては改正しようということまで決定をしながら、通産大臣名でこれらの問題に対しては強く行政指導を行なっております。でありますから、系列産業の統計もきっとお持ちになっておると思いますが、現在までになっておっても、まだ系列にある中小企業に対しては支払いが大体平均で十日ないし十五日くらい延びておるというだけでありまして、過去の引き締め状態とは相当違う金融状態、また下請代金の支払い状態であるということも御承知だと思います。 それから、金融機関に対しましては、二つ三つやっております。一つは、黒字倒産をしないようにということを十分ひとつ配慮をしてもらいたいという日銀及び銀行局長の通達も出しておるわけでございます。同時に、歩積み・両建てという問題に対して非常に強く行政指導をやりました結果、一時三年とか五年とかかかると言っておりましたものが、特に公正取引委員会で特殊指定をするという問題もあったのでございますが、そういう意味で非常に積極的になりまして、各金融機関とも頭取通達などを出して、いま歩積み・両建ての改善をやっております。そういう意味で、相当中小企業には裨益をいたしておるわけでございます。 第三点目は、御承知のとおり、昭和三十九年の中小企業三公庫の資金量を大幅に増したということもさることながら、三十八年度の下期に対して緊急融資を行なうようにワクを大幅に増すと同時に、財政資金による買いオペレーションを五百五十億行なったわけであります。同時に、四月の売りオペレーションの期日を延長したのが百五十億ございます。でありますから、合わせて七百億、それに中小三公庫に対して融資ワクを大幅にふやしたということを入れますと、三十二年、三十六年の、過去における最大の中小企業対策を行なっておるわけであります。でありますから、私は四月一ぱいの中小企業の状態は非常にこまかく見ておりますが、比較的に、過去において引き締めをしてから一カ月ないし二カ月たった状態よりも、中小企業の金繰りというものに対しては比較的よくいっておるということが言い得るわけでございます。しかし、まあだんだんこれからきいてくるということは考えられますので、中小企業の五、六月、六、七月というものに対しては、各財務局をしてこまかく検討しながら黒字倒産等を起こさないように、十分な配慮をいたしておるわけでございます。 第三点は……。
○成瀬幡治君 いつ解除するのですか。
○国務大臣(田中角榮君) いつ解除するということは、なかなかむずかしいわけであります。いつ公定歩合を上げるかという御質問に対してお答えできないと同時に、いつ解除するということはお答えできないわけでございますが、国際金利に比べて非常に高いのでございますから、できるだけ低い金利が国際競争力を培養するために必要である、この原則は変わらないわけでございますので、できるだけ早く解除するような態勢こそ望ましい。しかし、これはどうしても、年率九%のいま経済成長率を考えておるのでございますから、国際収支の安定、物価の安定、正常な経済発展、こういうことを前提にいたしておりますので、国民各位が私たちが想定する、また私たちが希望すをような状態をおつくりくだされば、できるだけ早くということになりますし、まだまだこれは相当やらなければいかぬということになれば、当分続くということにもなるわけでございまして、これは状態を見ながら慎重に考えておるという状態でございます。
○成瀬幡治君 大臣、中小企業のことについて、金を持っておるとおっしゃいましたけれども、実際は倒産がふえておることは、あなたのほうにも報告が来ておるから、私が言わなくてもいいと思うのです。手形の割引が前年比大体四二%から五〇%の需要がふえておるということも、これも資料に出ておることだから、私がとやかく言う必要はないと思う。ことほどさように中小企業は困っておるわけなんです。ということは、メーカーがたとえば卸、小売りに製品を押しつけるというようなこともある。それから、在庫はメーカーじゃなくて、いわゆる卸、小売りのところに、流通過程の中における在庫品がふえておる。それの資金繰りに困っている。だから、いまは設備資金だ何だというのじゃないのです。運転資金に非常に困っているのです。そういうことについて、もう少し、たとえば商工中金に対してはこうやるのだ、あるいは中小企業金融公庫に対してはこうするのだという具体的な私は答えをしていただいて、中小企業の人たちはそう心配せぬでもいい、おれのほうも本気でめんどうを見ているぞというところを示していただきたい。ただ抽象的にくだくだ——くだくだと言ってはたいへん失礼でありますけれども、おっしゃっただけでは、われわれとしても納得するわけにはいかぬ。 それから、第二点として申し上げたい点は、引き締めは何をねらっているのか、理想とは何だ。ということは、逆にいえば、引き締め解除の時期にもなってくる。あなたは公定歩合の引き上げの時期と同じだとおっしゃっているが、山際さんは経常収支のバランスがとれた時期だと言っている。巷間伝うるところでは、オリンピックもあることだから何とかしなければならないとか、あるいは七−九月になれば、時期的にもいろいろなことがあって、バランスがとれるからということを言っている。だから、何がどうなったらこれは考えるべきときだということぐらいは、おっしゃっていただいてもいいと思う。
○国務大臣(田中角榮君) 中小企業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、三十九年の第一四十期、前年対比二九%も資金量を増しているわけでございます。なおこの上に、先ほどからるる申し上げておりますとおり、くだくだ申し上げておるのでなく、るる御説明申し上げているわけでございますが、中小企業向けの金融に対しては十分配慮してもらいたいということで、下請代金の支払い遅延防止の問題や、それから歩積み・両建てという問題と、積極的に取り組んでおるのでございます。三〇%、五〇%出しても資金需要があるのだ、こういうことを前提にして金融政策はできないわけでございまして、政府が考えているのは、年率九%の経済成長を考えているわけでございます。同時に、三十八年度の実績見込みでも、名目一三%も伸びるものと考えられます。ですから、一挙に金融の正常化ができるわけでありませんから、十分ケース・バイ・ケースでもって、窓口で十分検討して、少なくとも倒産になるような企業に貸しておったのだから、その銀行はどうしても今度は引き揚げざるを得ないというときには、十分責任を感じなければなりませんので、これは連鎖倒産でございますということで済む問題でない。金融機関別で、なぜこの企業と取引停止をせざるを得なかったかということを、一つずつ報告できるような状態でひとつ検討してもらいたいという非常に手きびしい通達も出しておるのでございますから、私はそういう意味で、中小企業に対しては、政府は過去の何回かの引き締め体制よりも本格的に取り組んでおる、こういう誠意は、くだくだしくなんて言わないで、ひとつお認めいただきたい。 それから、山際日銀総裁が経常収支のバランスがとれる時期と言われたという御発言でございましたが、経常収支がバランスをするということになると、なかなかたいへんな時期でございます。先ほど申し上げましたとおり、うまくいっても四十三年ということ、これも相当の財政資金を投入したり、税利措置をしたり、国民の協力を得たりして、四十三年までにできるかもしれないということがいま想定される。私は当委員会では、大体四十四、五年ということは、どうしたって最後の線として考えなければならないでしょうと申し上げているわけですから、四十三年までこの状態を続けるということではないと思います。これはやはり輸入も落ちついてくる、それから生産の状態がノーマルな状態になるということであれば、私はいまのような公定歩合を引き上げたままで何カ月でも何年でもいかなければならぬという考え方は持っておりません。ただ、四月の一日に八条国に移行したのでございますから、国民自体もひとつ自覚をしていただいて、ほんとうに国際競争にたえるという心がまえも必要でありますので、そういう状態を十分見ながら、まだ弾力的にものを考えていくということでございまして、これは少なくとも十月のオリンピックが終わったら、今度は不景気が来るだろうから、これをひとつ、なんていう考え方は全然持っておりません。
○木村禧八郎君 関連して、簡単に質問いたします。大蔵大臣の御答弁ですと、いまの金融引き締め、特にその中心になっております公定歩合の引き上げですね、これは非常に短期的に考えているようですけれども、前に私は大蔵大臣とちょっと論争みたいにいたしましたが、所得倍増政策では国際的な水準まで金利を引き下げていくんだと、そうして高度成長の政策の段階で引き下げ政策をやったわけです。ところが、その後また金利を上げざるを得なくなってきた。この金利の引き上げ、つまり低金利政策を転換さしたということは、これは私はそんな短期的な変更ではないと見ておるんです。大蔵大臣は非常に短期的に考えておるようですけれども。昭和三十年から三十六年ごろまでのあの設備投資を中心とするいわゆる高度成長の段階と、昭和三十六年以後の経済情勢の変化の間には、重要な客観的な条件の変化があるわけですよ。たとえば若年労働者の不足の問題から初任給を上げざるを得なくなってきているとか、あるいは米価の問題でも、低賃金の基礎になった問題に非常にいろいろ、また雇用関係を通じて変化が来ていますし、それから開放経済体制に入ると、貿易の管理とか為替管理、そういう管理体制もこれも対外取引関係が変化している。いわゆる開放経済体制ですね、自由化体制に入る。アメリカの日本に対する援助等も変わってきておりますし、それから金融——信用インフレといいますかの結果として物価も上がったり、国際収支の赤字もかなり恒常化している。しかも、構造的な赤字というものも、さっき大蔵大臣言いしたように、貿易の量が多くなればなるほど港湾費とかその他の経常収支、貿易外の収支の赤字が大きくなってきているという、そういう情勢の変化もあるわけですよ。もちろん、そのほかに諸外国の経済情勢の変化あるいは南北問題と、いろいろございますけれども、そういう変化もまたあるわけですけれども、昭和三十年から三十六年ごろの経済の情勢とその後の情勢は非常に変わっておるんです。 で、あの当時低金利政策を所得倍増計画で打ち出して、それで国際的な金利水準まで金利を引き下げていくという方針を打ち出したんですが、それがまあ転換されたと。で、その転換された金利政策というものは、そう短期的にまた前のように低金利の状態に返ることは非常に困難ではないかと、こう私は見ている。まあ山際日銀総裁が、経常収支の均衡がとれたころ、それを大体メルクマールにして、そして金融引き締めを緩和すると、こういう談話を発表していると思いますが、いずれにしても、そう短期に金融引き締めなり、それからいまの金利の転換政策がまたもとに戻るということを考えるのは、これは私は非常に困難ではないかと思うんです。そういう長期的な観点に立ってのお考えを伺いたいんです。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、金利の問題に対して、そう短期的にやりますとも言っておりませんし、長期的にやりますということも言っておらぬわけです。機に応じて臨機応変にやりますと、こうお答えしておるわけです。これはひとつ……。 あなたの言うことはよく理解できます。現実問題として理解できますが、ただ、低金利ということをやらないでいいのかということではないわけであります。これはいまあなたも申されたとおり、若年労働力は非常に不足になった。また、定期的に賃金も上げなきゃいかぬ。しかも、国際水準まで上げなきゃいかぬ。でありますから、相当数の企業が生産性でこの賃金の上昇を消化できないというような状態もあるわけでございます。同時に、国際競争場裏でもって自由化の波を押し切って生きていかなきゃならぬと。こういう状態を前提にしますと、せめて金利負担ぐらい少なくしなければ、外国並みにしなければ、国際競争力も一体つくわけはないじゃないかということも事実であります。でありますが、賃金も上がり、生産性を上回るような状態であっても、また、金利を上げてもなお十何%も経済成長をするという日本の特殊性ということがあります。でありますから、普通からいえば、開放経済に向かって——まあ、昔などは御承知のとおりに、日銀は当時の金で二千万円、三千万円というこういうような金を横浜正金銀行に出して、それもほとんどただのような金で、国際競争場裏でもって、あらゆる角度から輸出振興に努力しなければ国際競争ができなかったという戦前の状態です。戦後は、金利を引き上げてもまだまだ生産が押えられない。そう申し上げると、池田内閣が大いに設備投資をさしたから、フル稼働するためにやるんだろうという御議論になるかと思いますが、いずれにしましても、金利を下げなければならない状態におりながら、金利を引き上げなければならないというこの矛盾した状態が、政治の上では非常にむずかしいわけであります。でありますから、金利というものは、上げたら上げっぱなし、下げたら下げっぱなしというのじゃなく、やはり弾力的に、機に応じて調節機能を発揮するという考え方に立っているわけでありまして、所得倍増計画にあります国際金利へのさや寄せという大きな命題は不変なものでありますが、日本の経済の実態、国際収支の状態、物価の状態等を勘案しまして、金利政策は弾力的に行なうという立場をとっているわけであります。
○木村禧八郎君 関連ですから、簡単に……。それで、私が非常に心配するのは、きょうの新聞で拝見したのですが、池田総理が経済研究センターですか、あそこであいさつされていますね。あのあいさつの中心が、やはり賃金問題に焦点を合わしているのですよね。それで、大蔵大臣、言われたように、いまのこの資本の意図としては——資本の意図というと、何ですか、ちょっと大蔵大臣は抵抗を感じるかもしれませんがね。日本の経済のもとでは経済といったっていま資本主義の経済ですからね、そのもとでは金利を下げたいのです、国際競争力をつけるのに。ところが、客観的な情勢は、資金の需給関係によって金利がきまっていくのですから、主観的意図でこれをきめるわけにはいかぬわけです。ところが、金利は上がらざるを得ない。海外競争力をつけるにはどうしたらいいか。だんだんせんじ詰めていくというと、ヨーロッパ先進諸国みたいな所得政策は、情勢が違うからとれない。いまのところはとれない。だけれども、生産性を上回る賃金については、これをそうしてもらっては困るということを言っているわけでしょう。生産性以上に賃金が上がっては困る。だから、賃金問題にどうも海外競争力をつけるための一番の政策の重点を置いていくというような考え方になるとですね、これは私は非常に危険で、いまの賃金問題だけじゃない、さっきお話ししたように、私は昭和三十六年以後は、昭和三十年から三十六年までの経済と非常に変わってきている、そこへ着目して、全体的な日本の経済の再編成なり転換なりの時期に来ていると考えなければならない。そうしますと、この賃金だけについて、そこにしわを寄せて、この矛盾を解決していく行き方について、非常に私、危険を感ずるのです。もっと私は基本的に、前から言っているのですが、企業家の姿勢をもう変えなければいけないのじゃないか。 金融だってそうですよ、いままでオーバー・ローン、オーバー・ローンできているでしょう。これは政府に責任があるのです。高度成長が何か続くような印象を与えた政策をやってきている。そこに中小企業の倒産といっても、これは政府は放漫経営に原因があるのだあるのだということを言ってきておりますけれども、しかし、放漫経営も、設備拡張が行き過ぎたということがこれはやはり一番大きな原因だったと思うのです。これは政府の責任もあるし、もちろん企業にも責任あるのですけれども、そういう全体的な視野に立って検討しなければならぬ。 われわれから言わせれば、社会党は前から、いままでの所得倍増政策ではこうなるのだ、だから、社会党の言うような長期政策に基づいてやらなければいかぬということを言っておる。その中で一番大切なことは、設備投資の計画化ですよ。これが非常にいままで無計画であったということが一番基本じゃないか。それをどうして調整するかということが一番重要な問題だと思うのですが、これは関連質問ですから、あまり長く質問いたしませんが、そういう一番肝心な、かなめなところですよ。どういうふうに今後の変わった経済情勢に対処していくか。それは、一番肝心なところはどういうふうに押えていくか。賃金問題だけにあまり焦点を合わせるということは、これはわれわれは非常に問題だと思うのです。賃金問題自体にもいろいろ、単純に、生産性を上回った賃金はいけないとか、いいとか、そう単純には私は言い切れないと思うのですが、その点いかがです。
○国務大臣(田中角榮君) 賃金問題を全然別にして考えるわけにはまいりませんが、しかし、賃金問題だけだということも断じられないと思います。しかし、私は、社会党の所得倍増計画と、こう言われましたが、社会党の所得倍増計画ということになると、やはりまず賃金を先にということになると思います、立場上。私どもは国民政党でございますから、とにかく生産性を上げておれば、少なくともそれでカバーできるということが違うわけでございますが、しかし、私はすなおな考え方をして、戦後のこの混乱の中でヨーロッパ水準を目標にしながら相当大幅に賃金を上げてきて、ある企業においては生産性を上回る賃金を長期間上げてきても、何とかずっときた、何とか前進体制を続けてきたということは、やはり戦後の日本人の意志と、やはり自由経済がこれを消化したということは認めなければならぬと思うのです。同時に、そういうプラス面があったと同時に、無制限なともいわれるような設備投資に道を求めた。これはただ政府が押え切れなかったのではなくて、若年労働力が不足であるために早く機械化しなければならぬ、コンベア式の機械システムに変えなければならぬというようないわゆる要請、企業上の要請がそういうようなことになったのであります。 私は、やはり開放経済、国際競争力という大きな命題が前にあるのですから、この目標を達成するために、国民の協力も得ると同時に、政府も勇気ある施策を行なうということで、今度の特定産業の振興法なども御審議をいただいておるわけでございます。そういう意味で、いままでのものは功罪——少なくとも少しやり過ぎたなあということは木村さん言われるとおりのこともありますが、それあるがゆえに国際競争力もでき、輸出もでき、皆さんが言う賃金も大幅にアップをすることができたわけでございますので、やはりすなおに考えますれば、功のほうが相当多いと、こういうことでございます。でありますから、これからひとつひずみを直して堂々たる体制をつくりたいということを、いま考えておるわけでございます。
○成瀬幡治君 大臣から歩積み・両建ての問題がちょっと出たのですが、何か調査されておられるようですが、そのよってくる根本原因と申しますか、そういうものは何だというふうに把握しておみえになっておるかということを、まずお尋ねしたい。 それから、銀行は、どう言ったって、もうけておることは確かなんです。町の目抜き通りに行っても、大体銀行がいいところを押えておる。一体、銀行はどのくらいの収益率というものが適正であるというふうにお考えになっておるか。何かたくさんもうけておるから、労働者の賃金を上げてはいかぬということは大臣がおっしゃった。しかし、銀行がもうけ過ぎておるという点は非常に遺憾と思うが、それは一体どのくらいの収益率があったら妥当であるか。もちろん、健全でなければならぬ、いろいろな理由がありますから、そういうような点とからみ合わして、どのくらいが適正であるとお考えになっておるか。 それから、先ほどちょっと出たオーバー・ローンの問題ですが、一体預貸率はどのくらいが適正であるというふうに行政指導というものをされておるのか。高度経済成長政策で、金は幾らでも借りなさい、幾らでもめんどうを見てやるから、もうけたら返しなさいというやり方が、今日の私は問題を惹起しておるところの一つの原因にもなっておるから、そういうものについてはどういうふうにお考えになっておるのか。あるいは銀行が過当競争をやっておると言っちゃいけないが、私は歩積み・両建てなんかも、これはそもそも預金の量が銀行の大きさの順序をきめておるというようなことがその一つの原因になっているとも考えるのですが、こういうことについてどういうふうにお考えになっておるか。 それから、立ったついでと言っちゃおかしいですが、全部一ぺんにお尋ねしておくわけですが、二十七年に長銀をつくるときに、そのときには、長期資金は不動産銀行と一緒にやるのだ、商業銀行のほうで短期資金をめんどう見てもらうと、こう言っておきながら、このごろではまた長銀と不動産銀行の合併はどうだなんということが出ておるが、これはどういうふうに考えておられるのか。この辺のところ、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 歩積み・両建てという問題をまず第一番目に申し上げますが、歩積み・両建てというのは、これは銀行という業務上どこの国にもあることでございます。現在の日本の歩積み・両建てというものは、これは拘束性を持っておって、相当借り主の意思に反した歩積み・両建てを強要する、こういうところに問題があるわけです。そこに不当、過当という問題が出てきておるわけでございます。でありますが、一体なぜこのようになったかという理由、これはいま初めての御質問でございますが、ここがポイントであります。なぜ歩積み・両建てというものは不当、過当といわれるかということであります。 これはやはり、歩積み・何建てをとられてもいいから、ひとつ金を貸してください、いわゆる金利よりも資金量というものを非常に強く要求をしておるということが一つございます。もう一つは、戦後無資力になったということでありまして、中小企業その他は古い金融機関との取引がなかった。なかったものが、あらためてばっと窓口で新しい口座をつくる。新しい口座をつくるということになると、どうしても担保も徴求すると同時に、歩積み・両建てをお願いします。もう一つ、第三点は何かというと、これは戦後、中小企業に対しては担保徴求をしないで信用貸しの限度を設けろ、これは時代の要請で、社会政策でやむを得ないことだ、そういうことから、担保徴求をしないということになると、どうしても歴史もない、担保徴求もしない新しい取引だ、こういうことになれば、歩積み・両建てをよけいやる。こういうようなものが主の原因であります。もう一つは、やはり銀行の過当競争であります、はっきり申し上げて。これは、支店長というものは金を貸すのではなくして集める窓口だ、こういうところに過当競争——金をたくさん集めた者でなければ出世ができない、こういうところでございます。銀行というのは、うまいところに貸した者が出世すればいいのですが、集めた者が出世する、率直に申し上げますと。こういうのがいまの歩積み・両建てというものが非常に過当、不当といわれるようになったわけですから、この原因を探求をしながら一つ一つ解決をするということで過当競争を取り締まる。それから、担保徴求というようなことに対しては限度がありますから、担保徴求をしないものに対しては、提供する担保もないのだから庶民金融として歩積み・両建てを少なくしなさい、こういうことでだんだんと一つずつ解決の道に向かっておるわけでございます。 それから、第二点の、銀行は一体どのくらいもうければいいのか、こういうことでございますが、これは経常支出と経常収入のバランスは大体七八%というように抑えておるわけでございます。これがいいか悪いかは、金融機関の内容としていま銀行局で十分検討を絶えずいたしておるわけでございます。 預貸率の問題は、大体八〇%、こういう基準を持っておりますが、なかなかそういうわけにいかぬというところでございます。 それから、長・興銀の問題でございますが、長銀、興銀、それから不動産銀行、三つございます。三つございますが、この三つを合併したらどうかという議論は、先ほど木村さんが言われたとおり、無制限の設備投資をやったじゃないか——戦前は案外統制がきいたわけでございます。戦前は、御承知のとおり、興銀という特殊銀行がございまして、興銀が、各銀行が設備投資の調整をぴたりやりましたから、うまくいったということは歴史的に明らかでございます。戦後は事業量も非常に大きくなり、視野が大きくなったということもありまして、長銀、興銀、それから不動産銀行が、この企業には興銀さんがお扱いになるならば、長銀さんは、では別なものをやりましょうと、こういうことが事実のようでございます。これは不動産銀行や長銀や興銀が全部集まって協調融資をするということになれば、戦前のように、私はもう少し設備投資等に対しても調整ができたのだろうと思います。そういうところにも問題があります。 同じような銀行が三つも四つもあって一体いいのかというようなことで、設備投資の行き過ぎ、これに対して調整権が発動されなかったというところに、ほんとうの興・長銀の合併論というものが存在するわけでございます。しかし、私は、現在、興・長銀を合併しなければならぬと私が言っても、なかなかできるものじゃありませんし、こういうものはひとつ、何回も声を出しているうちに、興・長銀が合併したほうがいいなと、こういう気になれば、民主的に盛り上がりを持っているということでありまして、私のほうから一律画一的にやろうという考え方はいま持っていないわけであります。しかし、同じようなものが幾つもあるために、かえって過当競争、設備投資をあおったということがもしありとせば、これはやはり考えなければならぬだろう、こういう理屈を私は前提としていろいろなことを考えてはおりますが、まだ実行にいっているということはありません。 もう一つ、最後にちょっと申し上げますが、歩積み・両建て問題を、戦前のようにほんとうに正常な商慣習としての歩積み・両建てを全都、それ以上やってはならぬと、こうした場合、一体いまの日本にある金融機関は全部配当できるか、いままでのようにもうかり過ぎるような営業ができ得るかどうかと、こういう問題に逢着するわけでございます。私は、そういう意味で、開放経済になりますから、歩積み・両建てで月給を払っておるようなことがもしありとせばたいへんなことでございますから、そのときは合併なさっても一向差しつかえございませんと、こう申し上げたわけでございまして、こういう問題はやはり十分検討を必要とする問題だと思います。
○成瀬幡治君 時間がございませんから、次にお尋ねしたいと思いますけれども、御案内のとおり、日銀法というのは戦中にできた日銀なんですね。それで、大臣、端的にお尋ねしておきたい点は、一体日銀の性格は、産業の育成に中心があるのか、いわゆる貨幣価値に中心があるとお考えになっておるかどうか。これは日銀法の改正にからむ問題ですが、その点が一つ。 それから、次にお尋ねしたい点は、銀行法で貸し付け限度額ですね、一つの銀行が財閥銀行に引きずられて、このごろ、たとえば、名前を言ってはいけないかもしれませんけれども、財閥銀行ではない、誕生した銀行が最近はだんだんと財閥銀行に引きずられて、あるいは巻き込まれていって、中小企業等のめんどうが見切れなくなってきている。そこで、銀行法の改正というのは、私は非常に大事なことだと思うのです。最高貸し付け限度額をどうするということをやはりきめるべきであるという考え方、したがって、日銀法の改正という、銀行法の改正というものは必要じゃないだろうか、こういうふうに考えております。 それから、臨時金利調整法ですが、これは金融機関の自主性にまかしておけばいいじゃないか、改正してもいいじゃないかと、こういうふうに考えますが、こういう問題についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 日銀は、申すまでもなく、中央銀行でございますから、金を貸すよりも通貨価値の安定を第一義にしなければならないということは言うをまたないわけでございます。 日銀法の改正も、八条国移行前にやるべきであるということは、理論的にまさに正しい議論でございますが、御承知のとおり、もう三年間も金融制度調査会で検討しまして、どうしてもまとまらないものが一点ございます。大蔵省に答申されてからまた二、三年たっておるわけでございますが、私が少しばたばたとやろうという姿勢を出して少し国民の反響を見ましたら、こういうものこそもっと時間をかくべきだというような議論もございますので、また慎重になったわけでございますが、これはしかし慎重というものは、いつまでも慎重ということはいいのではなくて、時代のテンポが非常に速いのですから、ある時期にはよろしい、私は日銀法の改正というものはやるべきだ、こういう考え方でございます。 銀行法が明治二十七年でございますし、歩積み・両建て、不当、過当というべきものさえも、現行銀行法というものは制限できないのか、大臣命令は出せないのか、こういう議論がずっと両院にございます。以下銀行法というものが改正が必要であるということは、日銀法の改正が必要であると同じわけでございます。これは戦時中の銀行法でございますから、私はいまの銀行法のほうが読み方によっては大蔵大臣がいろいろなことをやるには都合がいいとは思いますが、新しい憲法の理念に沿って改正をするとすれば、やはり改正の時期であろうというふうには考えます。特に公取が特殊指定をほんとうにするというような事態があれば、私は少なくとも銀行法の改正を行なって明文を入れる時期だろうということを個人的には考えて、銀行当局にいま検討を命じているわけでございます。 臨時金利調整法、こんなものはまあ時代の遺物だとお考えになりますが、まあ残っているのがこれ一つでございます。一つでございますから、あっさりやめてしまえという議論もございますが、私はやはり最高金利を大蔵大臣が規制をする権限は必要であるという考えでございます。これがいま金利が上がりまして、最高金利をもうぴったりになってしまって、これが取れれば自由になるというのではなく、もう現在の調整金利というものが、この制限よりも低いところできめられている。その最高限との間には相当幅がある。やはり法律で検察庁法も十四条の指揮権発動の権限がありますから、やはり金利というものに対して下げなければならない状態にありながら、これをはずして上がる。私先ほど申し上げたとおり、歩積み両建てというものを非常に強く押てしまって、経営が苦しくなり、資金需要が非常に多いということになりまして、この臨時金利調整法がないと、突破して非常に高い金利が起こり得る、こういう考え方から考えますと、どうしてもいま直ちにこれを撤廃するということは時期でないという観点に立っているわけでございます。
○成瀬幡治君 時間があまりございませんから。銀行法の改正の問題については、いま大蔵部内で検討中なんですか、それが一つ。 それから、もう一つは、町の金融ですね。前のときに制限されておりますが、こういうことについてはどういうふうにお考えになっておりますか。いわゆる町の金融と称する人たちの取り扱いと申しましょうか、取り締まりと申しましょうか、指導と申しましょうか、こういうことについてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) これもたいへんな話でございます。これは金融機関がいかに正常化されても、町の金融機関というものはどこにも存在するわけでございます。昔のカラス金ですか、いろいろなものがあるわけでございます。しかし、私は、この町の金融も、これは歴史的に存在するのでありますから、これを無視するわけにはいかない。昔のように、魚屋さんは朝三時に出かけるときに一割の金を借りて、十時には一割つけて返すというものさえあったのでございますから、これを全部規制をするわけにはいきませんが、ただ、一つの問題として検討をお願いしたいのは、いま最高金利三十銭、日歩三十銭はいかにも高い、世の中の金利というものは、大体どんな場合でも、法律で規制される場合、三十銭というようなものの存在を一体認めていいのかという考え方に、私、大蔵省へ入りましてから、これはせめて十五銭かまたは二十銭にならないかということも考えてみたのですが、この問題なかなか歴史があるのでございまして、何年もたつうちに、日本の法治国に存在する金利を最高二十銭にするか、これはやはり検討を必要とするという、こうは発言してございますが、これはまだ大いに改正をするというところまではいっておらないわけでございますが、こういうせっかくの御発言でございましたから、また引き続いて検討いたします。
○成瀬幡治君 公営の質屋の金利との関係もあって、なかなか容易なことでないと思いますけれども、常識的にいって、五十銭を三十銭に下げたって、これでいいと……。三十銭に下げてからしばらくたつわけですから、ぜひ私は検討をしていただきたいと思います。 次にお尋ねしたい点は、その資本収支の面からいってもなかなか容易ではないと思うのです、たとえばアメリカの行き方を見ましても。そこで、この長期資金を優遇するということですね。外資です。長期資金の優遇。外資、いわゆる外国資本の資金ですね、長期資本を優遇するとか、あるいは非居住者のお金を長くここにとどまっておくようにするために、二重金利制度というようなことを諸外国はやっておるようですが、開放体制として必要であるという意見がちょいちょい出ておるわけですが、そういうことについてどういうふうにお考えになっておるか。また、やろうとしておられるのか。 それから、それと関連して、少なくとも開放体制に入ったわけですが、外国為替法の七条の一項に、「本邦通貨の基準外国為替相場は、すべての取引を通じ単一とし、内閣の承認を得て、大蔵大臣が定める」、そして米国通貨一ドルにつき邦貨三百六十円ときめられておるわけですが、問題は、日本が独立国家になっておるときに、こういうことはどうも属領と言ってはたいへん悪いかもしれませんけれども、そういうようにも受け取られると思います。したがって、まあ池田総理大臣等は日本は非常に大国になったのだと言っておるが、こういうことについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 外資において二重金利ということでございますが、外資も、国内の円資金においても二重金利をとる考えはございません。これは外資というよりも国際金利のほうが安いのですから、私のほうがその外国金利にさや寄せをしなければならぬということを考えておるくらい外資は安いのでありますから、高い金利をつける必要はないわけです。日本の外債を出すときには、国際金融市場の状況を見まして、その市場における金利をもととして出せばいいのでありまして、これはもう一定の高い金利をつけるということはないわけでありまして、私は二重金利をつける必要はない、こう考えられるわけです。 ところが、別の円資金になっておるもの、これが逃避しないように別な金利をつければいいんじゃないかという議論がありますが、これは低開発国などでもって外国資本の逃避を押えるということに対してはいろいろなことをやっておる例はあります。しかし、これは先ほど言ったとおり、やはりこれも国内金利が高いのでありますから、これは日本の銀行に預けておっても、また日本で投資しておっても、これは自国へ持ち帰るよりもやはり率がいい、こういうことでありますので、二重金利をとる必要はないわけであります。 それから、もう一つは、三百六十円レートというものを、一ドルは三百六十円だ、こう言わないで、日本円を基準にしてと、こういうことですが、これは大体西ドイツだとかフランスは、ドルでもって自国通貨を日本と同じくやっております。イギリスは、御承知のとおり、イギリス通貨は二・何ドルだとか言っておりますが、これはたいしたことじゃないと思うのです。これは一ドルが三百六十円だということよりも、一円は何ドルか、こういうことでありますから、計算すればすぐわかるわけです。これは戦前よくそういうことございました。いろいろなことがございますけれども、たいしてこれは国威に関するほどのことではない。三百六十円は一ドル。戦前は確かに一ドルは二円であると、こう言わないで、二円対一ドル、こういうことでしたが、いまそういうことにしますと、一円は何ドルかというと〇・〇〇幾ら、こういうことになりますから、国民としても非常にやりにくい。これは御説があれば検討しますけれども、そうたいした問題はないんじゃないか、こう考えます。
○成瀬幡治君 最後に、五分ですから、私が話して五分ではなく、大臣の分も入れて五分ですから。税制調査会に対して、中山会長が、御案内のとおり、租税負担率は二〇%、あるいは所得税の減税をやるべきだ、こう言われたら、池田総理が企業減税をやらなければいかぬといって、特に何か注意を与えるようにというようなことが新聞に報ぜられておりましたが、これはほんとうか、といえば、あなたはないとおっしゃるかもしれないが、それからまた、税制調査会にせっかくいろいろなことをやっておみえになるのに、こういうところであまり議論するのもおかしいかもしれませんが、ああいう池田総理の発言があったとすれば、非常に不穏当だと私は思いますが、大臣はどういうふうにお考えになっておるのですか、そこをひとつ。 それから、中堅階層の所得税が重いというのは常識だと思うのです。そこで、企業減税か所得減税かという議論はございますが、所得税の中において中堅階層の所得税の負担が重いと、こういうことについては大臣はどういうふうにお考えか。いや、そうではないのだというふうにお考えなのか。したがって、所得減税をやるとするなら、中堅階層の所得減税というものは今度優先的に考えなければならぬというふうに考えておりますが、こういう点についてはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) まずあとのほうから答えますが、中堅階層の所得税が重いと。これは理論的にいいますと、まあまあということだと、こういうことも言い得るわけでありますが、まあ実際問題として、西欧諸国その他と比べて日本の所得税が一体軽いかというと、軽くはない。やはり軽くないということになれば、まあ重いと、こういうことになるわけであります。でありますから、こういうものに対してはやはりだんだんと減税をしていかなければならぬということは間違いないことでございます。しかも、今度、いままでの所得税の減税の中で少し中だるみ式になっておるこの中堅、一番生活費がかかるこういう皆さんに対して減税の焦点を当てるべきだという考え方は、私も理解できます。私もそういうところに、いままで最低限を上げるとか上のほうだけをということもさることでありますが、やはり実際中堅であって、しかも一番人生において出費がある、また高率な投資ができるという状態を無視してはならない。やはりそこに焦点を当てるべきであるという考えは私も持っておりまして、今度税制調査会でも検討をいただいておるわけであります。 それから、池田総理が発言をされたということが不穏当だと。不穏当ではないと思うのです。これは税制調査会に対して総理大臣が諮問をしておるのでございます。その中に企業課税についてもこうやっておるんでございますから、総理がどこでしゃべろうとも、不穏当なことは絶対にないわけでございます。しかも、総理は御承知のとおり池田内閣、歴年所得税減税をやってきておるわけでございますので、これはそういうことでいやしくも中山調査会長以下がこれに対して圧力を感ずるか、圧力を感ずるような方々ではございません。御承知のとおりでございます。私もこの問題の真実は衆議院の大蔵委員会で申し上げましたが、これからいよいよ税制調査会も活動を開始されるわけですが、まあ来年度の経済見通しも立たないという現状で開始されるのだが、四月一日から開放経済にもなっておるんだし、所得税、企業減税というものが、これは全く相反するものではないのだ。日本の企業がよくなれば輸出も伸びるし、輸出が伸びれば外貨もふえるし、そうすれば日本人がよくなるし、これは全く同一のものでございますから、企業減税についても君勉強したまえ、言われるまでもなく大いに勉強しておりますと申し上げたわけでありまして、これは調査会を何とかしょうというような考えなどは全然ないわけでございます。
○大竹平八郎君 時間もございませんから、一、二点ごく簡単に伺いたい。 最近における各銀行の銀行券の管理の問題なんですが、御承知のとおり、昨年の秋ごろから本年の四月——四月以降はないようでありますが、ひんぴんとして紙幣の盗難事件というやつが起こってわるわけでありますが、一番おひざ元の日銀で百万円、それから三井銀行の練馬支店で一千万、富士銀行兵庫支店で七百六十万円、それから北陸銀行の本店で千七百万、協和銀行の兵庫支店で九百万、しかもこの北陸銀行の本店の盗難と協和銀行兵庫支店の九百万の盗難が皮肉にも同じ日に起きておる。こういうことで、その後犯人があがったということもわれわれは全然聞いていないのですが、こうひんぱんにこういう事件が相次いで、しかも新聞等を通じて見ますと、外からの盗難の気配というものはない。これはどうしても内にそういう問題があるのじゃないかというように観測されておるわけなんですが、何かこの銀行券の管理というような問題につきまして、大蔵省はどういう処置をとられておられるか。それからさらに、こういう頻発せる問題に対応するために、新しい措置としてどういうことをおとりになろうとしておるのか、その点をまずお聞きしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 金融機関の現金管理につきましては、昨年の十一月及び今度の事件がございました四月三十日に、こまかい通達を出しておるわけでございます。通達だけではなく、今度は銀行局から人をやりまして、一体何でこういうことが起こったのか。いやしくも金融機関というものが、ただ金が盗まれたというのではなく、国民に対する影響というものは非常に大きい。金融機関がこれからの現金管理をするために必要な措置をとるためにも、現地に参りまして十分関係者の意見を聞いたりただしたり、また管理の体制を調査いたしたりしまして、その結果四月の末に通達を出したわけでございます。各銀行も、非常な不名誉なことでございますので、今度は現金管理をしっかりやりますということを言っておりますので、推移を見ておるわけでございます。 特に、北陸銀行の千七百万円といえば、ボストンバッグ一つございますから、これを目に見えないようにして持ち出すということは常識的に考えられないということでございます。特に行内にあって、そのようなものが全部犯人無検挙であるということになると、まあこれは真実は行外から入ったかもしれませんが、もし行員であって、そのまままた行内におるということになると、これはもう国民の不信はぬぐい切れないものでございますので、特にその立場上、銀行という特殊な金融機関という重要性にかんがみまして、以後かかることのないように厳重な処置をいたしておるわけで、あります。
○大竹平八郎君 これは、まあその捜査関係はあなたのほうの関係じゃありませんが、何か、しかし、これだけの大事件が頻発をしておることでもあるし、また捜査当局としても、国民の信用の手前、もう鋭意捜査を続けておると思うのですが、この点について何か中間的な報告でもおありになったら、ひとつそれをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(田中角榮君) 捜査が未完でございますので、申し上げられる状態にはないわけでございますが、銀行の内部でも、また捜査当局も、相当真剣にやっておるわけでありますので、調査の完結を待って、御報告ができればいたします。
○大竹平八郎君 そうすると、全然目星がついていないという形でしょうか。多少なりとも疑惑の線上にのぼっておるものが、この幾つかのうちの一つでもいいんですが、そういうものがあるのか。全く五里霧中というか、もう全然いままでそういう線が出ていない、全く出ていないということに解釈していいでしょうか。何かあるか、そういう点についてひとつ。
○国務大臣(田中角榮君) 何か新聞などにいろんなことが書いてございますけれども、何ぶんにも慎重に捜査をいたしておりますし、人権にも関係する問題でありますので、いま申し上げられる段階ではございません。ひとつ御了承いただきたいと思います。私も、この問題に対して少し聞こうということで、いろいろ聞いてみたわけでございますが、何ぶんにも絶対だいじょうぶであるという金庫から盗み出すというだけに、なかなかむずかしいということを承っております。
○大竹平八郎君 それは、何か多少なりともあれがついたら、大臣でなくてもいいから、銀行局長からでもお聞きしたい。 それから、もう一つお伺いしたいのですが、輸出金融の問題ですが、御承知のとおり開放経済になって、いま日本としての絶対至上命令は輸出だ。それから、各国の国民一人当たりの輸出の割合を見ましても、米国はこれは別ですが、百十六ドル、英国は二百七ドル、イタリアも九十三・七ドル、日本はわずかに五十一・八ドルというような貧弱な数字が出ておるわけであって、そういう点からいって、まだまだ輸出の余力というものはやり方によってはあるのではないか。それでは、これはどうしたらいいかということになると、結局金融と税制、こういう問題に帰着すると思うのです。そのやり方はいろいろとあると思う。たとえば輸出の見込み生産の優遇の問題であるとか、あるいは貿易手形の融資を窓口規制の別ワクにする問題であるとか、さらに関税の問題であるとか、あるいは外国商品のダンピングに対して対応する問題であるとか、いろいろあると思うのでございますが、ひとつ、ことに輸出控除がなくなって非常に困っている段階において、しかも絶対至上命令だ、こういう点からいって、金融と税制、関税、この処置以外にはないと思うのですが、大臣の輸出構想をひとつ伺いたい。
○国務大臣(田中角榮君) 輸出は日本としては最重要な事項でございますので、御指摘のとおり金融、税制——税制は特に地方税も含めました税制、関税政策、こういうことになるわけでございまして、金融等に対しましては、できるだけのことをやっておりまして、現在各国に比べて遜色があるということにはなっておらないわけでございます。金融問題につきましては、もう可能な限りやろうという考え方でございます。でありますから、今度引き締め体制にございましても、輸出金融というものに対してはワク外にしてございますし、また輸出入銀行の資金につきましても、必要があれば随時資金運用部の資金を繰り入れましてやっておるわけでございますので、これからも、制度上の問題もさることながら、金融原資の問題、金利の問題、そういう問題もあわせて、輸出に裨益をいたしたいというふうに考えているわけでございます。少なくとも金融面から輸出の制約になってはいかぬという考え方でおるわけでございます。税制面につきましては、御承知のとおりガットの問題等もございますが、港湾経費等の問題等にあわせて、地方税の減免ということも考えているわけでございますし、将来ともかかる面に対しては十分対処してまいりたいという考え方でございます。
○栗原祐幸君 一つ二つ大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思いますが、その一つは、例の金融引き締めで、中小企業の人たちが地方の銀行あるいは信用金庫ではもう借りられないということから、農業協同組合にいろいろ借り入れをしているわけです。しかも、農業協同組合の金融の場合は、いわゆる歩積み・両建てというような貸し付けをしないわけです。そこで、農業協同組合に非常に殺到しておる。こういう事態を、大蔵大臣としてどういうふうにお考えになっているか、御所見を承りたいと思うのであります。
○国務大臣(田中角榮君) 私はその御発言は初めて伺いましたが、そうあろうと思います。これは事実は理解できます。ただ、農業協同組は員外貸し付けになるわけでございますので、いろいろな問題がそこで惹起するわけでございます。組合員の名前を借りてやるとか、それに対して中取り利息を払うとかということで、結局は歩積み・両建てをやっているのと同じことにきっとなると思いますが、少なくとも農業協同組合の金が系統金融として農民に流れないで、中小企業やその他の、他の企業に大多数が流れるということになれば、まあ相当な問題だと思いますので、そのような実情があるとすれば、それは十分調査をしまして——まあ私たちは三十九年の第一四半期に対して二九%前年対比伸ばしておりますし、なお売りオペレーションの百五十億も時期をすらしておりますし、五百五十億の買いオペをやっておりますし、普通から見ると資金は確かに前回、前々回の引き締めよりも相当中小企業向けに見ておるという考え方に立っておるわけでございますが、まあそういう実情があるとすれば、実情を調査いたしてみたいと思います。
○栗原祐幸君 これは農協法上の問題が員外貸し付けとしてあるわけですが、私はむしろ、農協法上の問題としてというよりも、農業協同組合に中小企業の方々がそういう借り入れを非常に要望しておる、現にそういう傾向が非常に顕著になってきておるという事実を大蔵当局は御認識をいただかないと、これはいかぬと思うんです。そういう意味合いで申し上げたのです。 それから、いま一つお尋ねいたしたいことは、金融が引き締めになりますと、やはり非常にコール・レートというものが高くなる。そのコールのほうへやはり農業金融から相当流れているんです。このこと自体も系統内部でいろいろ問題になっていますが、むしろ大蔵省といたしましても農林当局ともよく話しをして解決すべき問題じゃないかと、この点について大蔵大臣の御所見を承りたい。
○国務大臣(田中角榮君) 系統金融機関からコールに流れておるという問題は、絶えず問題になっておるわけでございます。特に農中には二つ問題があります。これはコールに流しているということと、関連産業ということで大企業に相当多数の金が流れておって、実際問題としては農業系統金融の役を果たしておるかどうかという問題が絶えず議論されておるわけでございます。これはまあ、ただ、政府が金を出して金利負担を政府がやればいいんだと、こういうことを言う方もございますが、これは制度の問題もあるわけでございます。これは農協を通じて県信連、中央会を通じて農協ということで、その途中で全部利息を取っている、人間もたくさんいる、こういうことでございまして、自分の金に自分で利息を取って、そうして自分でもって高い金利を払っている、こういうところにこれは制度上の問題もある。これは問題のあることはよくわかっておりながら、なかなか解決できない問題であります。 こういうものは農林金融の専門家である方々にもう少しやっていただければ、私のほうでも大いにやりたいと、こう思っているのですけれども、私が言いたしますと、大蔵省は金を出したくないのだろうと、大蔵省が金を出せば片づくのだということで、なかなかうまくいかぬわけであります。しかし、農業系統金融がほとんど農業以外のものに出る、しかも農村が困っているとか、場合によればあなたがさっき言ったようにして法律も改正になって、中小企業には一つのワクをつくるということになれば、中小企業や農民が困っているときに、他の金融機関から借り得る人たちがそれを借りているとか、またコールに流れる——これはもう経理の問題ではない、制度の問題、制式の問題になるわけでありまして、これはひとつ、農林省とも絶えず話し合いをしておりますが、なかなか解決がつかぬという問題でありますので、また検討してみたいと思います。
○栗原祐幸君 コールのほうへ県信連の金なりあるいは農協の金が集中的に行く、そのこと自体がけしからぬとただ言い切れない面があると思います。なぜ行くかという問題があると思います。私は、この問題については、系統金融として反省すべき点もあるが、同時に、日本の金融全体の中で、農林省なり大蔵省も、こういうことをしなくても済むようなやはり施策というものが必要じゃないか。そういう意味合いで、きょうは時間もございませんので、問題点だけ指摘をいたしまして、御研究いただきたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 租税及び金融等に関する調査についての質疑は、今日のところこの程度にとどめます。 約一時間休憩いたしまして、午後一時二十分から再開をいたします。 暫時休憩いたします。 午後零時十五分休憩 ————・———— 午後一時五十三分開会
○委員長(新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案は、去る四月二十八日衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられました。 本案の提案理由の説明はすでに聴取しておりますので、これより補足説明を聴取いたします。鈴木為替局長事務代理。
○政府委員(鈴木秀雄君) 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、すでに政務次官から説明申し上げておりますが、ここに関連いたしまして、国際開発協会が資金の追加を行なうことが必要となりました事情及び今回の増資に参加することによるわが国に対する影響等につき、私から簡単に補足説明をさせていただきます。 まず、増資が必要となりました事情について申し上げます。 御承知のように、開発途上にあります低開発国の開発援助の問題は、近年国際社会における最大の問題として取り上げられてまいっておりますが、これら諸国の国際収支は、先進工業国のそれとは比較にならぬほど悪い状態が続いている実情でございます。したがいまして、これら諸国が経済開発を進めていくためには、寛大な条件で融資を受けることがどうしても必要となっているのが現状でございまして、国際開発協会の行なう融資に対する需要は、協会創立当初の予想を大きく上回っております。 すなわち、同協会は、昭和四十年六月末までに加盟国から当初出資の全額払い込みを受けることになっておりますが、この結果、協会が受領する交換可能通貨の額は七億七千五百万ドルでございます。これに対しまして、昭和三十五年十一月の活動開始以来昨年十二月三十一日までの約三年間に協会が締結いたしました貸し付け契約の総額は五億七千七百万ドルにのぼっておりまして、また、このほかに、パキスタンに対します債権国会議において協会よりパキスタンに対して融資する旨すでにきめられておりまして、まだ実際に貸し付け契約が結ばれていないものの額が、昨年十二月三十一日現在九千三百万ドルございますので、これを貸し付け約定額に加算いたしますと、協会が今後新規の貸し付けに回し得る交換可能通貨の額は一億五百ドルにすぎないのであります。 この額は、昨年中にアフリカ諸国を中心とする多数の国が協会に加盟いたしまして、加盟国の総数が九十二カ国に及んでいること、並びに、協会に融資の申請が提出されております開発計画案件の数から見て、遠からず全額貸し付け約定されることは確実でございます。 以上申し上げましたように、協会の行なう融資に対する低開発諸国の需要と協会保有資金の現状よりして、協会資金の追加がぜひとも必要となってまいったのがこの増資を必要とする背景でございます。 次に、今回の増資かわが国に対していかなる影響を及ぼすかという点につきまして、簡単に説明させていただきたいと存じます。 国際開発協会の行ないます貸し付けは、通常の商業ベースに乗りがたい案件についての非常に低利で、かつ、長期の貸し付けでございます。この融資により、道路、交通、かんがい、上下水道、電力等、社会の基礎的資本の充実が期待されておりまして、この基礎の上に立ってこそ、低開発国の工業、商業等の発展が可能となるわけでございます。かように、協会の行なう貸し付けは先進工業国と低開発国の貿易の拡大発展に資するものでありまして、これによりわが国の低開発国に対する輸出の増進をも期待できるものでございます。 特に、協会の融資約定実績を地域的に見ました場合に、総融資約定額の約七割に当たる三億九千二百万ドルがインド及びパキスタンに対して貸し出されておるのでありまして、かかる融資資金がこれら諸国の開発計画に必要な資材を輸入するために使用されることを考えますと、今回の増資は、わが国のこれら諸国に対する輸出の増進にも大きく貢献するものと思われるのであります。この点は、低開発国が協会から借り入れた資金を用いてわが国から物資を輸入した額が、昨年十月末現在協会の総融資実行額の五・六%になっていることによってすでに明瞭にあらわれております。 以上御説明いたしましたように、協会の融資がわが国の輸出の伸長に資するものであることのほか、最近、国際通貨基金の八条国に移行いたし、また経済協力開発機構にも加盟して、名実ともに先進国の一員となりましたわが国に対しては、こうした国際機関を通ずる低開発国援助について応分の協力を行なうことが当然期待されているのでありまして、また、かかる期待にこたえて増資に参加することが、とりもなおさず、国際経済社会の場におけるわが国の発言力を一そう強めることになるものと考えておる次第でございます。 最後に、今回の増資の内容に関する説明を若干補足いたしますと、増資の総額は七億五千万ドルでございます。これを新しく参加しますベルギー、ルクセンブルグを加えた協会のいわゆる第一部国十七カ国で分担することとされております。払い込みは昭和四十年以降三年間に均等分割払いで行なうのでありますが、全額を現金にかわる国庫債券で行なうことが認められております。 以上、簡単でございますが、補足説明を終わらせていただきます。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で補足説明は終わりましたので、これより本案の質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○成瀬幡治君 いわゆる通称第二世銀といわれているわけですけれども、よく機構がわかりませんですが、本部はどこにある、それからここの総裁というのですか、あるいは理事といいましょうか、そういうような人はどういうかっこうで選出されると申しましょうか、任命されておりましょうか。
○政府委員(鈴木秀雄君) いま成瀬先生のおっしゃいましたように、通称日本で第二世銀と言っておりますが、英語ではIDAという通称で呼ばれております。本部はワシントンにございます。これは世銀の姉妹機関でございまして、その機構といたしましては、総務会、理事会、総裁、またそれに付属する職員というものがあるわけでございますが、総務会というのは各国の代表たる総務から構成されておるわけであります。日本の場合には大蔵大臣が総務になっておるわけであります。これはまあ世銀と同じような、世銀の総務である大蔵大臣と同じような資格で、最高の決定機関である。その下におりますのが理事会でございますが、これは大体世界銀行の理事がほとんど兼務しているというのが、実際上は兼務しているというかっこうになっております。それから、総裁は、現在は世界銀行の総裁でございますウッズという人が、アメリカ人でございますが、これも兼務をしております。それから、職員も、特にIDAとして特別な職員を持っておりませんで、世銀の人が実際上の仕事は全部やる、こういうことになっております。世界銀行の人が全部やっております。
○成瀬幡治君 そうすると、ぼくは建物がどういうふうになっているかよくわかりませんが、同じ建物の中で看板が二枚かかっている。それで、たまさか貸し付けるところが違うとか、条件が違うとかというようなことで、総裁が一緒だとか、あるいは理事会、あるいは総務会等、みんな同じ人だというなら、二枚鑑札みたいなものですか。そういう形になっているわけですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 要するに、こういうことなんでございます。世界銀行というものは、大体の資金ソースが、世銀債というものを出しまして民間から借ります。その担保に各国の出資がなっているようなかっこうになっております。したがいまして、その民間から借りる以上、貸す金もある程度金利を取らなければならない。全然貸し付け対象のいろいろな計画というものが外貨を生まない、あるいは外貨の返済能力がないというような場合には、貸せないわけでございます。というのは、最後の資金ソースというものが民間であるから。ところが、このIDAのほうは、出資という形態をとっておりまして、まあ各国の金利のかからない金でもって低開発国に融資するということをやっておるわけです。したがいまして、まあ同じ建物の中に入っておりまして、何といいますか、二つの金の出どころが違うということでございまして、実際は、ですから、ある一つの貸し付け対象工事がありますときに、これが全く商業ベースに乗らないというような場合ならIDAから貸す、そうでない場合には世銀から貸すというようなことをやっておりまして、若干日本の経済協力基金と輸銀というような関係、これはもっとも日本の場合は全く総裁その他の役員は違いますが、職員は同じ審査部を兼務してやっているというようなことで、ちょっと似ているところがあるかと思います。
○成瀬幡治君 いや、私が聞きたいのは、総裁も同じなんでしょう。それから総務会、理事ですね、それからそこに働く人たち、みんな同じなんですから、行ったことはないけれども、同じ建物の中だろうと思う。あなたがおっしゃるように、原資はそれはなるほど違うかもしれません。違うけれども、やっていることはみんな同じことをやっておって、ただ、こちらのほうは第二世銀ですよ、こちらのほうが世銀ですよといって、貸す金が、あるいはその条件が違うという、ただそれだけの違いですかと、こう言ったわけです。だから、どう言ったらいいか、同じ人たちが、ただ金の出どころと、それから貸し付け条件が違うというだけの違いなんですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 非常におわかりにくいかと思うのでございますが、要するに、協定としては二つの協定があるわけでございます。国際復興開発銀行の協定と国際開発協会の協定とございまして、それをただ運営する人がたまたま同じであるほうが諸事便利だということで運営していますし、あるいは経費がかからないとか、審査も非常に楽だということで、たまたまそれを同じ人が運営している、こういうことになっているわけです。
○成瀬幡治君 それから、総裁ですね、あるいは議決するとき、これは出資額とかそういうようなことに関係なしに、多数決できめていくものか、いわゆる議決する場合ですね。総裁はどうやって選ぶのか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 投票権は、国連のように一国一票ということではございません。世界銀行と同じように、出資金に応じて投票権が与えられておるわけでございます。それから、総裁を選ぶ権限は理事会が持っているわけでございます。理事会は各国の要するに代表権、先ほど申し上げました出資金に応ずるものを理事会としてはヴォートを持っているわけでございます。ですから、結局多数決といいますか、その出資を基礎といたしました投票権に基づいて理事会が行使する理事会の決定ということによって、総裁が選ばれるわけでございます。
○成瀬幡治君 これは先ほどのあなたの補足説明をお聞きしておってわかったことですが、いわゆる世銀と、いわゆる第二世銀というものは、使命が非常に違うような気がするのですが、一番違う点は、出資がどうこうというのでなくて、貸し付け対象で一番違う条件は、何と何が違うのですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) まず第一番は期間でございます。その償還期間でございます。期限でございます。世銀のほうは、当該プロジェクトの耐用年数に応じまして、三十年以内ということになっております。それから、IDA、第二世銀のほうは、十年据え置き後、次の十年間に毎年元本の一%ずつ、残りの三十年間に毎年元本の三%ずつを返済して、五十年ということになっております。 それから、もう一つの大きな点は金利でございますが、第二世銀のほうは、一応金利としては、取らない、無利子でございまして、ただ、管理費用として、その借り入れを受けました国から、年四分の三%、〇・七五%のサービス・チャージというものを徴求しております。世界銀行のほうは、そういった管理費用も含めまして、現任の貸し付け金利は五・五%でございます。 ですから、期限の点及び金利の点、これが一番多く違うわけですが、最後にひとつ返済通貨の問題でございまして、世銀のほうは、原則としてその貸し出しをした通貨をもって返すというのが一応の原則でございます。それから、IDAのほうは、IDAの指定する交換可能通貨ということで、必ずしも貸した通貨でなくてもよろしい。交換可能通貨であればよろしいということになっております。
○成瀬幡治君 先ほど補足説明で、九十二カ国加盟をしておるわけですね。うち、出資をしておるところと、それから貸し付けを受けておるところと、分かれるわけでしょう。一体、出資をするほうの国はどのぐらいあるか、それから現に貸し付けを受けておる国は何カ国ぐらいあるか。
○政府委員(鈴木秀雄君) IDAの特色といたしまして、いま成瀬先生が仰せられましたように、一部国と二部国というのが分かれております。一部国というのは、いわば先進国グループでございまして、これは十六カ国でございます。もちろん日本はその一員でございます。それから、第二部のほうが、これは七十六カ国でございます。それで、一応、協定上、第一部の国というのは金を借りるということができないことになっております。それで、第二部の国も出資は全然していないわけじゃないわけなんで、この前十億ドル——当初の出資額は十億ドルでございますが、このときには、第一部の国が七億四千二百七十二万でございます。それから、第二部のほうが二億三千六百九十三万という程度の金額をしております。ただ、その払い込みが違いまして、第一部の国というのは全部が交換可能通貨でなけりゃいけない。それから、第二部の国のほうは、ただ一〇%だけ交換可能通貨、あるいは金でもよろしいんですが、あとのものはその国の要するに自国通貨でいい。これは交換可能でない、結局使えない金なんでございますが、そういったことで一応形式を整える、こういうことになっております。
○成瀬幡治君 まあ、あなたにこういうことを聞いちゃ悪いかもしれませんが、いま国連に加盟しておる国はどれだけあるか。それから、もう一つは、通常東陣営に属しておるということをいわれるわけですが、そういうのは、これは全然関係があるのかないのか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 国連加盟国は百十三カ国でございます。それで、東陣営というものでございますが、まあ巨頭でありますたとえばソ連とか中共というのは、もちろん入っておりません。で、共産圏という広い意味で申しますれば、ユーゴスラビア等が入っておりますが、そのほかには、最近までキューバが入っておりましたが、これは世界銀行を脱退いたしましたので、現在はキューバも入っていないわけでございます。
○成瀬幡治君 キューバは脱退したからといっても、私はあとから変わったと思うんだが、意味が違うと思うんですが、ユーゴだけですか、大体東陣営で。
○政府委員(鈴木秀雄君) さようでございます。
○成瀬幡治君 日本も、私は、まあ身分相応と申しますか、案外熱心なほうと申しますか、普通のおつき合いを実はされておるものと思うわけですが、こういうことをやられることによって、日本は何か、貿易と申しますか、そういうようなことについて、具体的な何かうま味というものがある、と言っちゃおかしいわけですけれども、実際はそういうことがあるだろうと思うんですよ。それはどんなふうなものでしょうか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 先ほど補足説明でもちょっと触れましたですが、低開発国がIDAから金を借りますと、当然その借りた金でもって何かを買うというわけでございます。したがいまして、その金で日本からどの程度の輸出、向こうから見れば輸入でございますが、それが起こったかということが、日本の直接の、そういう狭い意味の利益ということになるわけです。もう少し広い意味では、低開発国が開発してくれて民度が上がれば、それだけ一般の輸出とか何かも広まると、こういう問題もございますが、それは別といたしまして、直接狭く限定いたしまして、IDAの資金で日本がどのぐらい輸出したかということでございますが、これは昨年の十月末現在で五百二十二万ドルでございます。これはパーセンテージで申しますと、その当時のIDAの融資実行額の五・六%に当たっております。したがいまして、まあ日本が五%程度の出資をしておるということは、結局最終的には日本の輸出をしておるということにもなろうかということになります。できるならば、私どもは、こういったものでよその国が出資した分でも日本が輸出できるというようなふうになれば、ますますこういった多角的な経済協力というものの日本に対する利益というものが上がってくるのではないかというふうに考えております。今後はそういったほうで極力努力したい。大体こういったものは国際入札に付せられるものが多いわけです、特定の工事に融資しますときに。ですから、そういう場合には、国際入札に打ち勝てば、日本がますますそういった条件で出せるということになるわけでございます。
○成瀬幡治君 これは、あなたのほうの説明というものを私はいただいておりますので、調査室でいろいろお調べになった資料に基づいてお尋ねするわけですが、いわゆる第二世銀の融資額が、インドが一番多くて全体の五四%を占め、続いてパキスタンの一六%となっておる。それから、業種別に見ると、交通運輸部門が四五%、農林部門が二三%となっておる。こういう資料をいただいておるわけですが、これは大体間違いのない資料だと思うのです。これはもちろんあなたのほうからの資料かもしれもせんが、どうしてこんなにインドに半分も金が集まったのか。ちょっと不公平にも考えられるわけですよね。たとえば七十六カ国の国が第二部として融資を受けられる国になっておる。その中でここにばかり集中し過ぎておるように思うわけですが、これは何か特別の事情というものがあるのでしょうか。
○政府委員(鈴木秀雄君) インド、パキスタンに集中しておるということは確かに事実でございます。これはIDAが発足してからまだ三年程度なんでございますが、低開発国というもので、なかなかプロジェクトの——プロジェクトといいますか、融資対象になります開発計画を持っていない国が非常に多い。たまたまインド、パキスタンというのが五カ年計画等強力に推進しておりまして、一方において各国の集まっておりますコンソーシアム、債権者国会議といっておりますが、そういったものをやっておりまして、それだけ適当な開発計画があった、融資対象があったということが一つの事実ではないかと思います。 それから、もう一つは、アフリカ等はその後に参加しておりまして、まだそれほどこの機関ともなじみが少ないということもあろうかと思います。それから、もう一つは、何と申しましても、インドとパキスタンというのは国民の一人当たりの所得というものは非常に低い。一応相当政治的には強力な国でございますが、まだ経済的には国民所得としては非常に低い。そういったようなことを勘案されてこういった経過になっておるというふうに聞いております。
○成瀬幡治君 こういうこと、インド、パキスタンというのは五四%、一六%ですね、パーセントでいうと。そうすると、半分よりも多いのがインドに集まっておる。ただ単に一つの開発プランをインドは持っておったと、それに続いてパキスタンがあったからこうなったんだという……。もっと何か特別な理由というものはないんですか。ほんとにここに集中しちゃったといっていい、集中し過ぎておるといっていいわけですけれども、何か私は意味がありそうな気がするわけですけれども……。
○政府委員(鈴木秀雄君) 特別に公式にそういった意味というものは私どもも何も聞いておりませんが、おそらく、一方においてインドとパキスタンというものについて相当多くの援助をしなきゃならない。その際に先進国としてはどうせ——まあこのIDAというものが従来非常に最初の間は若干不活発であった時代もあるわけでございますが、そういったときにこういういい計画を持っているものならば、もしこういった機関から金を出せばバイラテラルな、要するに二国間でもってやる援助というものを若干そういう機関に肩がわりできる、こういう考え方からそちらのほうに若干ウエートが置かれたのではないかというふうに想像するわけでございますが、しかし、そういったことは何ら公式の議事録とか理事会の説明に載っているわけではございません。
○成瀬幡治君 ちょっと話が前後してえらい恐縮なんですが、日本のお方が世銀あるいは第二世銀に行って事務をしておみえになるとか、あるいは理事会ですか、理事として常時ワシントンにおみえになるんですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 現在、理事としては、大蔵省に前に勤務されておりました、現在も大蔵省の参与でございますが、鈴木源吾という人が世界銀行の理事と同時にIDAの理事を兼ねておるわけでございます。この鈴木理事は、単に日本のみならず、タイ、ビルマ、セイロン、ネパールと、この五カ国を代表して理事として入っているわけでございます。それから、世銀の職員でございますが、これには現在はたしか私のよく知っておりますのは一人でございますが、ほかにあるいは一人ぐらいいるかもしれません。それ以外に、先ほど申し上げました世銀の鈴木理事の理事代理ということで、もし鈴木理事がどこかへ出張するとかそういった場合に、その理事会へ出席する理事代理というのに、大蔵省から、尾崎英二という前に専門調査官をしておりまして、最近向こうへ行きましたのが、勤務しております。
○成瀬幡治君 それから、これもちょっとあなたのほうの資料じゃないので、間違っているかもしれませんけれども、第二部国と、こう書いた加盟国の一覧表をずっと見ますと、インドネシアがないように思うのです。まだほかにこまかく当たっていないのでわかりませんけれども、インドネシアは入っておりますか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 入っております。
○成瀬幡治君 入っておりますか。それから、台湾、それからいわゆる南鮮と言っちゃいかぬでしょうけれども、南鮮は入っていますか。
○政府委員(鈴木秀雄君) ちょっと、インドネシアの点はチェックしております。世銀には入っていることは確実なんでございますが。それから、台湾というのは、もちろん中国ということで入っているのでございます。中国は台湾ということで、中国が入っているわけでございます。インドネシアは、当初入る予定であったそうでありますが、実際には入らなかったそうであります。
○成瀬幡治君 理由はわかりませんか。
○政府委員(鈴木秀雄君) その状況については詳しく存じませんが、若干こういったような融資方針に対して不満を持っているというようなことも聞いております。結局入らなかった。それから、インドネシアは、世界銀行からも現在あまり金を借りられない国なんでございます。そういった関係もあろうかと思います。
○成瀬幡治君 それはどういう理由ですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) それは、一つは、おそらくいろいろな国の、たとえばオランダなんかのものを接収したというようなことが解決していない。そうすると、ある国とほかの加盟国との間に投資紛争が起こっていて、その解決がうまくいっていないという場合には、若干そういったものを停止してしまう場合があるように聞いております。
○成瀬幡治君 日本は今度追加出資を行なうわけですが、これはいつまでにやるわけですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 昭和四十年度以降三カ年にわたって、均等分割して行なうことになっているわけです。要するに、四千百二十五万ドルを三分の一ずつ出すわけでございますが、そのときには現金を出す必要はないわけでございまして、現金にかわりまして通貨代用国庫債券というものを——日本銀行がこのIDAの寄託所になっております、政府の名前でそういった国庫債券という国債みたいなものを日本銀行に預けておくというかっこうで行なえるわけでございまして、必要があると、それを向こうの要求によりまして現金化する、こういうことになろうかと思います。
○成瀬幡治君 いや、私がお尋ねしておきたい点は、たとえば今年度は何月何日までに払い込まなければならないと、こういうことがきめられているのじゃないかと思うわけですが、その日にちはいつかと、こういうわけです。
○政府委員(鈴木秀雄君) この追加出資は、先ほど申しましたように、今年度は払い込みの義務を発生しないわけでございまして、前にすでに御承認を得ました当初出資の今年度分というのを、十一月八日に払い込むことになっております。
○成瀬幡治君 そうすると、今度のこの法律改正に基づいて追加出資のことをきめますね。そうしますと、それは四十年の幾日に払えばいいと、こういうことになるのですか、第一側の払い込みを。
○政府委員(鈴木秀雄君) そのとおりでございます。
○成瀬幡治君 それは四十年のいつまでにやればいいのですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) やはり十一月八日です。
○成瀬幡治君 そうすると、これはよくわからないのですが、この法律案は、通って効力が発生するのは、四十年の十一月八日までに間に合えばいいという法律なんですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) そうではございませんで、この前要するに総務会として有効投票ができて、要するにこの決議自身は可決されているわけでございますけれども、各国が国内措置をとって、最終的にその義務を負担するということは、これは予算措置を——予算といいますか、債務負担行為みたいなものでございますから、国会の御承認を得まして、そうして国会の御承認を得たから日本は最終的に賛成であるということを六月三十日までに通告いたしまして、各国がそういった国内措置を全部終わりますと、そこで正式にほんとうにこの決議が有効になる、こういうことになるわけでございます。
○成瀬幡治君 そうすると、ことしの六月三十日までにワシントンならワシントンの第二世銀の本部に通達をする。そうすると、そこの総務会か何か開いて、そうして各国に割り当てた出資額が消化されているかどうかということの返事が来る、そういう仕組みになっておって、まあ来ないところもあるかもしれませんが、まあ大体来るだろう、そういう仕組みになっているわけですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 大体そのようになっているわけでございまして、先ほど申しました三月一日に至りまして——この三月一日でございますが、総務の総投票権数の三分の二以上の投票はすでに行なわれているわけでございます。しかし、それは内部機構としての、要するに何といいますか、一つの株主総会みたいなものの議決でございまして、はたしてその金を現実に払い込むか込まないかというのは各国の国内手続を要するわけでございます。予算の議決を要する国もあろうかと思いますが、日本の場合は、こういった法律でもって将来の国庫負担行為をきめるというかっこうで、御承認を得れば、そういうかっこうで最終的な投票を——投票といいますか、引き受けを六月三十日までにやる。それが大体十二カ国以上六億ドル以上の国が総計で ございまして、それが全部引き受けをすると、そこに有効にIDAの増資が成立するということでございます。
○成瀬幡治君 私は、見通しとして、南の北に対しての相当な要望というものは今後も盛んになってくる。それから、もう一つは、低開発国が成長してくることは非常に歓迎すべきことで、今後も相当な資金需要というものがますますふえるという大体見通しに立って差しつかえないと思うのです。まあ長期計画を立てられて、そうして四十三年なら四十三年までの間に七億五千万ドルが必要なんだ、それだけを予定しているのだ。これが途中、まあできてから、これが発足してすでに三年ですか、もうすでに追加出資をしなくちゃならない。追加出資をしたけれども、まだ足らぬじゃないかという、こういうことが大体繰り返されてくるのじゃないか。三年たたぬうちにまた追加要請が来るのじゃないかということも想像をされると思うのですが、そういうことは今度は十分織り込み済みで、融資約定額が五、六億ドルあれば十分だというようなことを検討されて大体結論を出されたものであるかどうかというようなことは、あなたのほうに対して鈴木理事やあるいは第二世銀のほうから何らかのそういうこまかい御連絡等があるわけですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 当初はもっと実は大きい数字を出して第二世銀自体としては呼びかけていたわけでございます。まあこれはもちろん非公式段階でございますから、いまとなっては別にその数字を出すこともないわけでございますが、もっと倍とか三倍というようなものを、しかも五年くらいのやつをコミットをとろうというようなことであったわけでございますが、なかなか各国ともそうこういうものにたくさんつき合えない。予算上の制約もございましょう。で、結局妥協の産物として、七億五千万ドルという数字ができたわけでございます。 ごらんになっておわかりになりますように、やはり前の出資比率から、たとえばオランダとかイギリスとかいうのは逆に落ちているわけでございます。それに対して、西ドイツ、イタリア、日本、カナダといったような国は前の出資比率よりは上がっている。こういうようなことで、そこいらの調整も非常に困難であったわけでございますけれども、何とかしてこういった七億五千万ドル、三年間ということを妥協を得たわけでございまして、今後の点については、おそらく、先ほど先生のおっしゃいました南北問題とからんで、こういった要求というのは相当多いかと思います。ただ、そういう場合にこういう多角的な機構を通じてやるのがいいのか、あるいは二カ国間の経済協力というようなかっこうでやるのがいいのか、そこいら辺は今後も検討しなければならないわけで、そこは実はまだはりきりとこの七億五千万ドルでIDAの三年間の融資が十分できるという見通しを私どもは持っておるわけではございませんが、しかし、一応事務的な説明ではそれでも十分できるということで、今回の決議案は提案されておるわけでございます。
○野々山一三君 今度の改正で、出資金の全額を国債によって代用出資することができるというようにするわけですがね、積極的な理由というのは何かあるんですか、国債にしたほうがいい、国債で出したほうがいいという。
○政府委員(鈴木秀雄君) 前の規定でも、その一部を国債にできると。それで、現実にはたしか相当大部分を国債にしておったわけでございます。で、このIDAの融資のやり方を見ますと、まずそういった出資がなければ金を貸すことができないわけですから、貸し出しの約束すらできないわけですね。ですから、一つの融資申請が出ますと、それを審査して、それの貸し出しをIDAの理事会で決議して、総裁が相手に通知してやる。その段階に金の目当てがなければ、こういったものは、あとで借金することもできない機関でございますから、その時点において十分余を持っていなければならないわけです。しかし、それは必ずしもキャッシュである必要はない。実際に、たとえば道路工事とかダムの工事をするときに、金の要る時点というのはずっとおくれてきて、一回融資承諾をして三年なり五年にわたってやられる、その段階においてその現金を引き出せばいいわけですから、最初の段階においては国債で取っておくことで、向こうとしては十分である。しかし、そういうものすらもらっていないとなったら、いざとなったら出す金がなくなってしまうわけですから、出資国から何かの借金証文のようなものを取っておかないと、いざ現金償還をするというときに、それを現金にするのだということで、無条件に引き出せるという利点があるわけです。
○野々山一三君 ことばのあやだと思うんだけれども、その金は日本が引き受けますというような意味の証文ではないんでしょう。結局正式に出資金として出すわけでしょう。あなたの使われたことばのあやだと思うんだけれども、借金証文みたいなものでも取っておかなければ、その仕事が進まないので、国債でもいいんだと、こういう説明だと、前後くっつかないんで。もう少し……。
○政府委員(鈴木秀雄君) ことばが足りなかったかと思いますが、要するに、融資を承諾いたします段階には現金は要らないわけでございます、向こうは。しかし、そうかといって、裏づけのない融資承諾をするわけにいかない。それで、IDAの規則によりまして、こういった分割の出資をさせるということになっております。しかし、その際にほんとうの現金でもって出資をさせる必要というのは、向こうの資金繰りからいって、ないわけすで。したがいまして、その段階においては一種の交付公債でございますが、代用証券というものを出すということで、その後実際の資金繰りが必要になったときには、その代用証券——これは無期限、無利息のものでございまして、それを現金化して、そうしてそういうものをもし日本からの輸出に充てられるならば、その現金を日本の業者に払う、こういうかっこうになるわけでございます。
○野々山一三君 そうすると、この出資というのは、その代用国庫債券で納付をするというか、約束事を取りきめるということであって、納付をするという、実際現金を出資金として納付するとか、あるいは債券でまかない得たものを納付するとかいう性質ではないわけですね。
○政府委員(鈴木秀雄君) そのとおりでございまして、出資の段階におきましては、要するに紙一枚のものを日本銀行の寄託所に預ける。交付公債のようなもので、それをあとで分割して現金償還をしていく。したがいまして、もし来年の予算のことを考えますと、一応国債を出す権限さえ与えていただくならば、必ずしも現金の予算は要らないということになるわけでございます。
○野々山一三君 国債を発行して、それによって取得した金でというか、あるいはその証文をもって出資金にかえるのじゃないですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) 証文をもって出資金にかえるわけでございます。ですから、国債を発行して金をもらうわけじゃなくて、ただ証文だけを渡すということでございます。
○野々山一三君 そういうことになったのも、ぼくはよくわからぬので教えてもらいたいのだが、そういうのと、いわゆる通常いう国債を発行してというその国債と、どういう違いがあるのですか。よくわからぬので教えてもらいたい。
○政府委員(鈴木秀雄君) これは交付公庫というものは大体そういったものではないかと思います。引き揚げ者にお払いいたしました交付公債、これもただ将来これを、金を上げますという紙を上げるわけでございます。ですから国債を発行して、普通のたとえば、短期証券とか、戦前の国債のような場合でしたら、引き受け機関がありまして、それを現金をいただいて国債を見返りに渡すということでございますが、交付公債ということで一方的に紙といいますか、債券のみをお渡しするということで、引き揚げ者国庫債券とか遺族国庫債券とかいったものと法律的性遺は私どもは似たものだと、こういうふうに考えます。
○野々山一三君 そうすると、これはIDAの定款か何かに、そういうものでも、約束された一定期間内に納付されればそれでいいということにきめられているのですか。そこのところは非常にわかりにくいのですが……。
○政府委員(鈴木秀雄君) そのとおりでございます。そういうふうな規定になっております。
○野々山一三君 先ほど成瀬先生が質問されておった中で、世銀と第二世銀とは異種だけれども一体のものだというような説明が、運営体としては一体のものだということですけれども、実際に適用されるのは、簡単に言えば、これによりますと、少部分なものでも弾力的な融資ができて、しかも低開発に融資できる国が規定されておる。それが世銀と第二世銀との性格の違いをそこできめておるだけであって、したがって、相手国の仕事の性質によって世銀と第二世銀から出ていく金の性質が変わってくるのだ、用途も違ってくるのだ、こういうふうにいったら、その点は区別できるわけですか。
○政府委員(鈴木秀雄君) そのとおりでございます。
○野々山一三君 これはちょっと話がよそへそれるのですけれども、世界銀行の融資している、融資を受けているものの内容などを見てみますと、非常なこまかい、鉛筆一本から伝票一冊に至るまでの計算書を世銀に出さなければならない、報告書を出さなければならないというようなことのために、二、三百億借りていることのために、簡単にいえば、たとえば国鉄の新幹線みたいなものは、三千九百億をこえる金額の中でわずかに二百七十八億円、米貨で八千万ドルを貸りているだけで、そのために非常に膨大な報告事務、精算事務、管理事務というものがあって、非常なやっかいなものになっているのだといわれている。膨大な要員をそれにつぎ込んでやっているわけですね。これはよその金を借りるということになれば、勢いそういうことはついて回るのですけれども、そのことのために、この国鉄の新幹線なんかでも実は非常な将来に対する経営上、経理上、それから運営上に非常に大きな障害があるとして心配されているわけです。今度のこれは、日本のそれの場合には直接的に借りて使うというような場合じゃないわけですね。ないのだからいいようなものですけれども、そういうような、うわさにのぼっているような管理なり手続が、やはりこの第二世銀の場合にでも同じような筋でやられているのですか。そこらをひとつ……。
○政府委員(鈴木秀雄君) 国際機関でございますから、どの国にはどういう書類を徴求しないなんという小回りがないという点がございまして、ことに世界銀行の融資している国というのは相当多くの国があるわけでございます。ですから、日本の場合こういった書類は要らないということになりますと、理事会で、何でそんなことを、おまえの国、日本の国だけ要らないのだというようなことも言えないというような事情がございまして、若干手続上うるさい面はあろうかと思いますが、しかし、これは先ほど先生もおっしゃいましたように、金を借りる必要上ある程度やむを得ないことかと思います。IDAのほうにつきましても、もちろん条件自身は世銀に比べますと非常に緩和された条件でございます。ことに世銀の場合には、資金ソースが民間ソースで、世銀債といういわば世銀の国債のようなものを発行して、その金を出しているという関係からも、相当管理をやかましてしませんと、その世銀債の償還自身もうまくいかないというようなこともございましてやっているわけでございますが、IDAのほうにつきましては、そういった関係はそれほど考慮しなくてもいいということで、それからおそらくこのIDAの融資対象というものは、国がやっているような——いわゆる私企業とか公共企業体のようなものは非常に少なくて、国それ自身がやっているようなものが多いのではないかというようなことで、私のばく然とした感じでは、世銀のように非常にコマーシャルないろんな要求はしていないのではないか、こういうふうに考えております。
○野々山一三君 世銀と比較すると、相当返済期間が長いわけです。で、世銀の場合ですと、たとえば設計から始まって完成及び将来の営業に対してまで詳細な指示を与えている。そうして管理しているようですね。それによれば、時には借りた側の意思だけではやり得ないような相当きびしい制肘が加えられている。実は借りたほうでも、わずかな——わずかなというのは悪いけれども、何千億に対する百億何がしという金を借りたことのために、その借りてやる仕事全体に非常な制肘が加えられているわけですね。それは少し、私はそこまで及ぶのは余分なことじゃないかという気持ちがするわけです。というのは、その金の使いどころというものの管理というだけではなくて、その金が及んでいるところについては全体に非常な制肘を加えているという傾向があるわけですね。で、今度のこれは、借りた相手国に対してそういうようなところにまで及んでの指示、監督というようなものがなされるようなぐあいになっているのかどうかということ……。
○政府委員(鈴木秀雄君) もちろん、後進国のことでございますから、全然その金をやって、あなたの言うとおりおやりなさいと言ったときに、かえって後進国のためになるかどうかという点もございまして、ある程度のやはり向こうから計画を出させて、そういう技術的な、別にこうでなければ貸さないというよりも、技術的にこういうふうにしたほうがいいんではないかというようなアドバイスを与える。これは世界銀行の事務局にはそういった相当優秀な技術屋がおるわけでございまして、そういう観点から、こういうふうにしたほうがいいんじゃないかというような点はアドバイスはあるかと思いますが、しかし、それほど主権を阻害するようなやかましいようなことは、言っているというふうには聞いておりませんです。
○野々山一三君 いままでの、設立以来日本の金も相当入っているわけですけれども、それは先ほどのあなたの説明によれば、間接的に貿易市場の市場開発とか、あるいは貿易への影響といいますか、効果があらわれているという説明でありますけれども、まあこれはぼくの考え方が、目的があってそれに金を貸し付ける、増資をして、資金を見つけて金を貸し付けるということであれば、勢い相手国へどういうふうにそれが伸びていったかということがわかるはずじゃないかと。日本もそれを当然理事国として承知しているはずじゃないかと。その及んだ影響、効果というものがどういうぐあいになっているのかということをまとめたようなものはございませんか、ごく概観的でもけっこうですけれども。
○政府委員(鈴木秀雄君) まだ発足以来三年でございますし、償還期限が五十年というような長い間の経済効果をねらった投資をやっているわけでございますので、したがいまして、すぐこれがどういった効果をあらわしたかということに対して具体的な数字等は、その国の経済発展とか何かにあらわれているかということを御質問なさいますと、私どもはっきりしたデータはないわけでございますが、しかし、方向として、やはりインド、パキスタンなどというものについては、もしこのIDAが相当援助しなければ、債権者国会議などにおける日本の分担も逆にふえてまいる可能性もあるわけでございます。ですから、こういうチャンネルを通して出すか、相対でもって出すかというような二者選択の問題でございまして、私どもは負担額としてはそう別にふえているものとは考えておりませんし、またこういったたことによって、確かにインド、パキスタン等は経済発展の緒についたというような感じを持っているわけでございます。
○野々山一三君 一体、その融資状況の概括表を見てみると、交通、運輸関係と農林、水道ということで相当額が充てられていますけれども、実際にたとえばどういうようなものに充てられておるかということを少し聞きたいのですけれども、たとえばインドで、御案内のように鉄鉱石を日本が買い上げるために鉄道敷設をして、それに金を与え、技術援助を与え、そして大きな仕事をやりかけていたところが、一時これが相当金をつぎ込んでもちょっと途中挫折したという事件がありますね。そのインド、インドというのは先ほど来ずっと出ているのですが、この第二世銀の金が、インドのその先ほど申し上げた鉄鉱石開発のために相当長距離にわたる鉄道開発をやってとんざしたというような事案に、これらの金が及んでいるのかどうか。これは三年前ですね。その鉄道の技術者が相当現地へ乗り込んで長期にわたってやったのですけれども、なかなかうまくいかない、相当金は寝ころんでしまったというたいへんな事例が起こっておるわけですね。これも一般的にはぼくらが承知している限りでは、この低開発援助という一環の仕事の中にそれが織り込まれて金が流れ込む、金が投資されているというふうに承知しているわけですけれどもね。
○政府委員(鈴木秀雄君) 私もいま手元に詳しいプロジェクトの表を持っておりませんもので、よくわかりませんが、いま先生のおっしゃいましたのにはIDAは入っていないのではないかというふうに記憶しておりますけれども、むしろアメリカの、IDAの前のDLFでございますか、あれが少しですか相当ですか、その金額は覚えておりませんが、若干入ったというふうには記憶しておりますが、二千万ドルくらいではなかったかと思いますが、IDA自身の金は入っていないのではないかと思います。
○野々山一三君 入っていないと言われればそれまでですけれども、その場合も相当の技術者も行き、実際の仕事も相当進め、しかもそれがほとんど使用にたえない、開発は中途で終わってしまって金が寝てしまっておるという一例をもって見ますと、私は、先ほど世界銀行からたとえば国鉄の場合に借り受けたその金というものと比較してみますと、相当何といいますか、必要以上だと思われるような干渉をし管理を行なって、しかもその金の及んでいる以外の部分にまでその制財が及んでいるというような感じがしておる。片一方の場合には少しゆるやかだというようですけれども、そのゆるやかなのが、先ほどインドの場合に指摘したように及んでいなければけっこうですけれども、やはり相当具体的に関心の的になった案件ですね。そういうふうに寝ころんでしまうということがありとすれば、この後進国開発援助という仕事のために行なうものとはいえ、あるいはその立地条件がその国の条件がおくれているからうまくいかないという条件が、かりにそういう要素があるとしても、なお相当の関心を持って見なければならないものではないか。これはあなたにお伺いしても無理なことかもしれませんが、この種のものについて、ある程度時期を定めて国会などに報告をされるべきものではないか。出資だけは認めよう、あとはかって気ままにやれというようなものでは、どうもいま申し上げたような事例から見ても、常識的にふに落ちない、納得しがたい点が出てくるわけですね。そういうようなものについて、一体当局としてはどういうお考えをお持ちであるか。先行き長いことなんで、いまはまだ根本的な方針がないと言われればそれまでかもしれないが、お考えがおありでしたら、ひとつ聞かしてください。
○政府委員(鈴木秀雄君) 私どもの多角的なこういった国際援助、国際協力、経済協力の機関に対します態度といたしましては、やはりその金が有効にその国の国力なり経済力を強めるということに重点を置かるべきものだということで、理事会等の席においていろいろな案件がかかります際に、現地の鈴木理事より、こういった案件がかかるけれども何か東京として言うことがあるかというような照会がございますときに、もし必要があればそういったことについていろいろなコメントを述べるとかいうようなことをしております。それから、やはりこういったもので援助を受けました金というものが、できるだけ日本のものが輸出されあるいは日本の手によってなし遂げられるということが日本としては望ましいということでございますから、極力そういった、どういったものにIDAで融資をするであろうというようなことも調査いたしまして、必要の向きにはそういった情報も御連絡している、こういったことをやっているわけでございます。 したがいまして、今後の方針といたしましても、やはりこういった国民の税金といいますか、そういったもので出資されている機構でございますから、確かに仰せのとおり、絶えずその行動については、われわれとして意見を述べる、その機構として理事というものを派遣しておるわけでございまして、十分そういったことがやり得る体制にはあるというふうに考えています。
○野々山一三君 いままでの融資実績を業種別に見ると、運輸部門が四五%、農林部門が二三%というようになっているようでありますが、なお、融資条件では、低開発地域に限ることと、開発上の優先度が高くかつ特定の事業計画のもの、市場調達不能でかつ世銀融資の対象とならないもの、この三つが貸し付けの大きなポイントになっているが、いままでにどういう国に、どういう仕事のために、どういうくらいな額が、こういう大ざっぱなことは先ほどの数字でわかりますけれども、具体的にどういう仕事に、どういう国へどのくらいの額が流れて、いまどういう進捗状態になっておるのか、今度の増資分がどういうものでということを、いま少し具体的にひとつ示してもらいたいと思うのですけれども。
○政府委員(鈴木秀雄君) その各国のどういった開発計画に対してどの程度の金が出されたかということにつきましては、もちろんそのつど私どものほうに通報が参るわけでございます。しかし、それは相当膨大なことになると思うわけでございますが、インドの場合等におきまして、どういったものについて出したのであるかということでございましたらば、後刻調査いたしまして表にでもしてお出ししたい、全部の国について、全部のプロジェクトを出すと……。
○野々山一三君 代表的な国の代表的な事業とか、全部こまかくといっても切りがないので、できるだけわかるようにしてもらえるもので一ぺん説明をしてもらいたい。
○政府委員(鈴木秀雄君) それでは、後刻そういった表を提出さしていただきます。
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、速記始めてください。 本案に対する質疑は、本日のところこの程度にとどめておきます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後三時十一分散会