社会労働委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/09/10
会議録
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまから開会いたします。 委員の異動について報告いたします。八月十五日、高橋進太郎君が委員を辞任され、その補欠として田中清一君が選任され、八月十九日、徳永正利君が委員を辞任され、その補欠として竹中恒夫君が選任されました。また、九月七日、田中清一君が委員を辞任され、その補欠として川野三暁君が選任されました。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 社会保障制度に関する調査のため、社会保険病院松籟荘の運営に関する件について意見を聴取し、質疑するため、本日の委員会に、社団法人全国社会保険協会連合会理事長曽我梶松君を参考人として出席要求いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 派遣委員の報告に関する件を議題といたします。 先般当委員会が行ないました厚生及び労働行政実施状況調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。 まず、第一班、中国近畿班、鳥取、京都府の御報告を願います。柳岡秋夫君。
○柳岡秋夫君 第一班の報告をいたします。 藤田委員長と私が参加し、八月九日から十三日まで、鳥取県及び京都府における厚生、労働行政の実情、国民健康保険の実施状況、離農問題を含めた労働力の移動状況、労働災害の防止対策、最低賃金の実施状況等を中心として調査してまいりました。 日程は、八月九日の夜、東京を出発し、翌十日昼過ぎ鳥取県米子市に到着、国立米子療養所と県立整肢学園を視察の後、大山国立公園の大山寺地区に到り、諸施設と県下の自然公園整備計画について説明を聞き、ついで県立養老施設の母来寮を視察して三朝町に宿泊、十一日には、鳥取県庁において県当局及び労働基準局長から所管事項の説明を聞いた後、浦冨海岸など、山陰海山岸国立公園の一部を視察して、京都府に向かい、峰山町で丹後織物工業組合幹部から丹後地方の織物業の概況と労働事情について説明等を受け、ついで丹後半島一周道路の一帯を視察して宮津市に宿泊、十二日には、舞鶴市の日本板硝子株式会社の工場を視察した後、京都府庁において府当局、労働基準局長、近畿地方医務局次長から所管事項の説明を聞き、ついで株式会社伊豆蔵福の西陣織物工場を視察して京都市に宿泊、翌十三日に帰京した次第であります。 次に、調査の結果の概要を申し上げます。 まず、国民健康保険の実施状況について申し上げます。 鳥取県における国保の被保険者数は三十二万九千余人で、総人口の約五五%を占めております。その収支状況は、県下保険者の四分の一に当たる十保険者が三十八年度決算見込みにおいて合計約一千万円の赤字を出しているとのことでありまして、被保険者の四七%が年収十五万円以下であること、世帯員七割給付に伴う支出増加、医療費の増高等を考え合わせると楽観を許さない状況であります。事務費に対する国庫負担が実額の半分程度にすぎないこと、また、直営診療所の運営が国保財政を圧迫している実情にかんがみ、事務費国庫負担の大幅増額と直営診療所運営費に対する国の補助が強く要望されていました。京都府における国保の被保険者数は、本年四月末現在七十八万五千余人、そのうち京都市は約半数の三十八万九千余人であります。最近産業構造人口の変化に伴い、被用者保険への加入による被保険者数の減少が著しく、毎月千人ないし千五百人にのぼり、その結果、老齢者病弱者を含む低所得者が国保被保険者に多くなってきているとのことであります。国保の収支状況は、三十八年度決算において八億九千余万円の赤字となっておりますが、これは被保険者数の五〇%を占める京都市国保が九億四千余万円の赤字となっているためであり、その他の市町村関係は、合計四千余万円の黒字であります。事務費に対する国庫負担は、実額の四〇%程度でありまして、被保険者の減少に伴う低所得階層の滞留、医療費の増嵩等にかんがみ、事務費国庫負担の大幅増額が国保の体質改善対策とともに強く要望されていました。 次に、国立公園関係について申し上げます。 大山隠岐国立公園の中心である大山は、中国地方の最高峰でありまして、眺望は広濶雄大、米子市からの有料道路の開通後は入園者が飛躍的に増加しているようであります。山陰海岸国立公園は、昨年指定されたばかりでありますが、海蝕による奇岩や洞窟あるいは砂丘など、変化に富んだ海岸美を備えています。鳥取県当局は県内の人口や資源の豊かでないことにかんがみ、県下の自然公園施設の整備を急ぎ、観光事業の振興に熱心であります。山陰海岸国立公園に隣接する丹後半島地域は、幾多の景勝、古跡に富み、学術上貴重な動植物も多く、東は若狭湾国定公園に連なっております。本地域は、従来交通がきわめて不便でありましたが、京都府の努力によって、一昨年半島一周道路が開通しましたので、今回視察しましたところ、その風光は雄大をきわめ、隣接の国立公園指定地域にまさる海岸美を示しておりました。早急に本地域を山陰海岸国立公園地域に追加指定すべきであります。丹後半島地域の国立公園編入によって、若狭湾から山陰海岸にわたる総合的な自然保護と、その利用開発が実現されるべきであります。 次に、鳥取県で視察しました厚生関係諸施設のうち、国立米子療養所は旧陸軍病院の古い木造建築でありますが、当局はその改造につとめるとともに、診療施設の充実に苦心を払い、また、近年結核患者が減少している反面、肺ガン等の非結核性胸部疾患や一般慢性疾患の受診希望者が増大している実情にかんがみ、恒久建築への改築、医療スタッフの充実、医療器材の整備等を行なって、総合病院として運営されたいとのことでありました。県立整肢学園は、定員百五十名一ぱいの肢体不自由児を収容し、温泉治療浴場を備えた明かるい建物の内で機能障害の治療と学校教育や職業指導を行なっていましたが、収容児の四七%が脳性小児麻痺による障害児で、知能障害を併発している重度の者が多く、その回復はなかなか困難であり、県下には約八十名の児童が待機しているとのことで、重度、重症の障害児を収容する国立の施設の設立が強く要望されていました。母来寮は浅津温泉にあり、温泉施設も完備したりっぱな養老施設でありますが、農村地帯では、いまだ古い観念に支配され、この種の施設に入ることを好まない傾向が強く、また、施設職員、特に女子職員の労苦に比べて待遇がよくないため、その充足に苦しんでいるとのことでありました。 次に、離農問題を含めた労働力の移動状況について申し上げます。 鳥取県は、もともと京阪神地方に対する労働力の供給地でありましたが、企業誘致に伴って、中学校卒業者の県内就職率はわずかではあるが、高くなり、昭和三十七年度の卒業者について県内二八・五%、県外七一・五%でありましたのが、三十八年の卒業者については、県内三四・五%、県外六五・五%になっています。しかし、高等学校卒業者については、県外六〇%、県内四〇%の割合はここ数年変らなく、最近は県外からの求人は、中学卒業者よりも高等学校卒業者に対して多くなってきているとのことであります。また、県外就職者の六割が京阪神地方に就職し、特に女子は京阪神、中京地方の繊維関係産業にその九三%が就職して特色を示しています。最近、経済の高度成長に伴い、県内誘致企業と京阪神工業地帯の企業との間で初任給を中心として労働条件の格差が増大し、そのため、県内誘致企業に労働力の不足を生じ、県の企業誘致政策に支障を来たすという皮肉な現象があらわれていました。 離農状況につきましては、昨年中の県下の離農戸数は四百四十九戸で、その大部分は都市近郊の第二種兼業農家でありますが、八十九戸の専業農家も含まれており、原因別に見ますと、老齢病弱のための耕作不能、自家労力の不足、雇用の困難、兼業機会の増大など、経済成長政策に基づく農村労働力の不足や所得格差の増大によるものが多数であります。また、農業労働力に占める女子の割合が六割をこえ、いわゆる三ちゃん農業の形態を示しており、一部山村地帯では、村をあげて離農する傾向も出始めており、労働力の不足のために特産の二十世紀ナシに病害虫の発生を見たり、和牛の飼育頭数が年々減少する等の事態が発生しておりました。京都府は、労働力の移動に関しては需要地の立場にあり、農業労働者が府外に多数流失する傾向はなく、むしろ府内部において第一次産業から第二次、第三次産業に移行する傾向が強いとのことでありました。新規学卒者の就職状況は、八割が府内に、二割が府外、主として阪神方面に就職していますが、他府県からの流入も多いとのことであります。しかしながら、府下における求人の充足率はきわめて低く、本年春の中学卒業者で二九%、高等学校卒業者で二五%でありまして、特に中小企業においてその充足に苦しんでいる模様でありました。 離農につきましては、奥丹地方の山間僻地で最近数年間に十六部落、八十四世帯が集団離村しておりました、が、高度経済成長政策のひずみが漸次このような山間僻地に波及するきざしであり、その是正対策が緊要と認められます。 次に、労働災害の防止対策について申し上げます。 鳥取県においては、従業員十人未満の零細事業所が八割を占め、その大部分が建設、土石採取、林業等の関係であるのにかんがみ、労働災害防止対策の重点をこれらの業種に置き、現場監督者の安全管理教育の強化につとめた結果、休業八日以上の死傷者発生の年千人率で昭和三十八年は一八・二四となり、前年より一六%低下し、全国平均を下回るに至ったとのことであります。京都府においては逐年増加の傾向をたどった労働災害も、三十六年以後、ようやく減少傾向に転じましたが、死亡事故は昨年において前年に比べて二〇%の増加となりました。これらの災害の多くが建設業または中小企業で発生している実情にかんがみ、安全行政の重点を建設業、中小企業に置いて新産業災害防止五カ年計画に基づき個別監督指導の強化、パトロール監督、集団指導等をあわせ行なうとともに、安全指導員の有効な活動によって災害防止に努力しているとのことであります。 次に、最低賃金の実施状況について申し上げます。 鳥取県は、最低賃金については全国最高の適用率をあげていますが、その内容は平均三百五十円の低額でありますので、今後行政指導によってその引き上げに努力していきたいとのことであります。京都府における最低賃金はすべて業者間協定で、適用事業場数九千百四十八、適用労働者数は十二万二千余人に達し、中小企業関係労働者の四五%に適用されています。今後、既設最低賃金の内容の向上に重点を置き、実効性の薄れている業種から逐次改善をはかる方針とのことであります。 最後に、各地において種々の問題について切実な要望を受けたのでありますが、多岐にわたりますので、時間の都合上、お手元に配付いたしました「鳥取県京都府に於ける要望事項」によって御承知を願います。 以上をもって第一班の報告を終わります。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、紅露みつ君が委員を辞任され、その補欠として徳永正利君が選任されました。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 次に第二班、東北班、青森県及び岩手県の御報告を願います。鹿島俊雄君。
○鹿島俊雄君 第二班の報告をいたします。 当委員会の決定に基づき、鹿島、藤原の二名が八月九日から十三日まで青森、岩手の両県下を視察いたしました。 調査項目は主として国民健康保険の実施状況に関する事項、農漁村における出かせぎ労働者問題に関する事項を中心とし、厚生及び労働行政に関する当面の問題もあわせて調査いたしたのであります。以下、調査項目ごとにその結果の概要を申し上げます。 国民健康保険の実施状況については、青森、岩手の両県における昭和三十八年度国民健康保険事業勘定の決算概要を見ると、青森県の実質収支差し引き額は、昭和三十七年度に比較しますと、赤字保険者が六保険者増加し、十七保険者となり、黒字額が四千八十六万八千円に減少し、昭和三十七年度において約一億三千八百七十一万八千円の黒字額が九千七百八十四万円に減額になっている状況であります。 岩手県の場合は、実質収支差引額の内訳を見ると、赤字保険者は前年度より七保険者増加し、二十一保険者となり、赤字額が五千三百三十五万八千円であり、黒字保険者は七保険者も減少し、四十四保険者となり、黒字額は六千四百三十万七千円と減額になっているのであります。 両県における赤字保険者の増加となっている原因は、昨年九月から実施された診療報酬の地域差撤廃、同年十月から行なわれた世帯主七割給付等による療養給付費の増高等の影響によるものと思われるのでありますが、この決算状況によって最近における国保保険者の財政悪化を端的に物語っているといえるのであります。 青森県における国保の現況で特に問題点について申し上げますと、普通地方交付税の単位費用積算基礎の改正についてであります。すなわち、青森県においては、昭和三十五年一月国民健康保険課を設置し、現在課長ほか十八人の配置となっているにもかかわらず、現行の社会福祉費の国民健康保険費は、係単位十一人の配置職員を基準として地方交付税を算定し、財源の裏づけをしているが、これは実状に沿わず、不合理であり、配置職員の増員をはかり、課を単位とした積算に改められたいというのであります。 岩手県については、御承知のとおり、わが国で最初に国保の全県皆保険を達成した歴史を有するところであって、今日に至っても国保の内容については見るべきものがあるのであります。特に給付の状況について注目すべき点は、いずれの都道府県においてもいまだ実施を見ていない乳児の十割給付という画期的な施策を昭和三十九年四月一日から一市を除く全保険者が実施したことであります。これというのも、従来、岩手県は乳児死亡率の全国統計では一番高率を示していたので、乳児死亡率低下への対策の一環として実施したところでありますが、その効果は、十割給付を実施した本年四月から六月までの前年度との対比で乳児死亡率は約三割の減少を示し、短期間だけを見ても著しい影響があるということが推測されるのであります。なお、医師国保及び歯科国保の世帯主と西根町の七十歳以上、沢内村の六十歳以上の老齢者についても十割給付を実施している点は特筆すべきものであります。 青森、岩手両県で共通している問題点及び要望事項は、国民健康保険全被保険者の七割給付を早急に実現するため、給付改善四カ年計画を二カ年程度短縮実施するとともに、保険者財政の悪化に対処して、国庫負担対象事務費の大幅引き上げ、国民健康保険事業の僻地直営診療施設運営費及び僻地被保険者の通院費に対する大幅な国庫補助等について強い要望がありました。 次に、農漁村における出かせぎ労働者の問題に関する事項について、まず、青森県における出かせぎの動向は、昭和二十九年二万余名をピークに、昭和三十三年まで漸減を示していたが、昭和三十四年から増加が目立ち、昭和三十七年に至って三万台を突破し、昭和三十八年は三万六千余名に膨張しているのであります。これを産業別に見ると、昭和二十九年当時は漁水産業への就労が圧倒的に多かったのが、その後沿岸漁業の不振で減少傾向を示し、ついで北海道開発事業が盛んになるに従ってこの層が建設業を中心とした産業に転換し、一部水産加工業への就労増加も目立ってきたのであります。就労先は北海道が圧倒的でそのほとんどを占め、オリンピック工事を中心とした関係方面への就労は一〇%にも満たない状況で、この傾向は東北他県の出かせぎ労働者の場合とは全く様相を異にしているのであります。 岩手県における動向は、出かせぎする農家は昭和三十五年二月の調査では、総農家戸数に対し六・一%であったのが、昭和三十八年二月の調査では一〇・三%となり、三カ年間に戸数では六七%、出かせぎ農家率で六九%も増加をしているのであります。また、農村漁家就業動向調査によれば、出かせぎ労働者は三十七年二万三千百人、三十八年には二万三千二百人と、増加の傾向にあるのであります。産業別に見ると、従来、県中南部は船大工、冬季の農閑期を利用した酒造業等の技術を持った比較的有利な出かせぎ、県北は北洋関係、土建業等の単純労務者に近い形での出かせぎが中心でありましたが、最近は県下全般にわたって、東京、北海道への単純労働者としての出かせぎがその大半を占めているのが実情であります。 以上のごとく、青森、岩手の両県における出かせぎ労働者の急増の要因は、一言に言えば経済的な理由といえるのでありますが、これを分析してみると、産業経済の発展、成長に伴う労働需要の増大、地方産業経済基盤の弱さ、農林水産業等における経営改善に伴う余剰労働力、低所得者の多いこと、消費水準の向上に伴う所得の増収をはかるため、労働移動の活発化等であります。 両県における出かせぎの問題点と影響について申し上げますと、まず、労働上の問題では、求人、求職の経路で職業安定所の窓口を通じているのは、青森県の調査では約八〇%であり、職業指導並びに職業紹介活動について公共職業安定所の機能強化を痛感するのであります。出かせぎ労働者の賃金不払い状況を見ますと、青森県においては、昭和三十九年七月三十一日現在の調査によると、出かせぎ先二十都道府県の賃金不払い件数は百二十五、そのうち未解決件数百四を占め、そのおもなる都道府県の件数は、東京三十二、北海道二十四、神奈川十五、埼玉六の順となっております。岩手県では、昨年一カ年間の調査によると、出かせぎ先が関東以西地域の十二府県における賃金不払い件数は八十二、未解決の件数は三十九となっており、そのおもなる府県は、東京十四、千葉七、神奈川六、静岡五、埼玉三というところが最も多い地域であります。なお、両県ともに、その業種別を見ると、いずれも土建業であるという点が注目されるのであります。 また、出かせぎ労働者の雇用条件、職場環境、福利厚生施設は、常用労働者のそれに比し劣悪の状態であります。たとえば出かせぎ労働者が最も多いといわれる建設業においては、ほとんどが飯場生活のため、人間的情操教育に欠如を来たし、退職金制度がなく、漁業出かせぎ者の場合には船員法の適用を受けない漁船に乗り組む場合が多く、それだけに社会保障制度も完備されていない面が多く出かせぎ者は一般に短期間のうちに最大の収入を望むことから労働過重になり、心身の疲労がはなはだしいため、健康を害する等、幾多の問題をかかえている状況であります。特に、若年層は、就労場所として僻地が多いため、社会教育面の恩恵に浴することなく、休業期間中は多額の失業保険金で享楽する傾向が一部にあることは勤労意欲の減退を招くおそれがあるのであります。したがって、出がせぎ者の失業保険受給者の勤労意欲向上策と就職促進による対策が講ぜられなくてはならないと思われるのであります。社会的な問題では、長期にわたって妻子を残して出かせぎすることは、人間の生活として不自然であり、種々の家庭的な問題を引き起こしやすいのであります。出かせぎ者の留守家族は女性化、老齢化の傾向を強めつつあり、労働及び生活内容に不安を持つ者が少なくなく、労働過重から健康を害するものもあり、また、送金途絶も一部に見受けられることから困窮化が予想されるのであります。いわゆる三ちゃん農業といわれるところでは、青森、岩手両県とも、母子保健センター、常設保育所の増設を要望されているのであります。 教育上の問題としては、主婦の、農作業に追われ、子供の教育にまで手が回りかねる実情や、帰宅しても父親のいない子供が精神的にそこなわれる実害は教育上にも大きな問題があるのであります。 以上の出かせぎ労働者の状況にかんがみまして、その対策としては、少なくとも長期間にわたる出かせぎが経済の中心となるような地域については、地域的な問題として処理することなく、国としても地域的格差是正の面から積極的な何らかの対策を講ずる必要があると思われるのであります。 最後に、厚生及び労働行政に関する当面の問題及び要望事項について申し上げますと、青森県においては、十和田国立公園を視察したのであるが、本公園は、東西十一キロから十三キロ、南北三十五キロに及ぶ広大な地域を占めているが、その道路、休養施設については、いまだ不備なところも多く、十和田国立公園の整備費は、昭和三十九年度わずかに三千万という少額の配分であるということで、国立公園施設整備費の大幅な増額が要望されるのであります。 岩手県においては、まず、国立花巻療養所を視察したのでありますが、御承知のとおり、結核から精神の療養所に転換するのではないかとかねてから問題になっていた老朽の結核療養所であります。現在当療養所の中に鉄筋の精神病棟が五十床、数千万円をかけてすでに建築中であり、これとは別に、目下木造の第三病棟がモルタル型に改築を進めている状況で、この第三病棟に対する本年度予算の内示額はわずかに五百六十万円で、当初予定していた改築全部の三分の二にすぎず、不足額二百万円の要求が出されていたところであります。この予算要求については、その後了解がついたようでありまするが、結核病棟を廃止して精神病棟に切りかえることについては絶対に行なわないよう強い要望がありました。 結核対策は、今日ではややもすれば等閑視されておる実情にあり、当療養所は約四万五千坪の広い敷地に対し、建坪二千七百坪で、十二分の空地もありますので、アフターケア施設の併設をぜひとも考えるべきではないかと思われるのであります。当療養所は基準看護を実施しているために、重症患者の場合には付添婦をつけられない規定になっているが、他の公立病院等においては、かかる場合でも付添婦は認められるようでありますので、この点は是正されたいと患者側より切実なる要望がありました。 次いで、肢体不自由児施設都南学園及び精薄児施設みたけ学園を視察いたしたのでありますが、この種の児童福祉施設としては整備充実をし、水準の高いものでありました。しかしながら、両県とも、重度精薄児施設を東北地区にも国立で設置し、直接国の責任で運営されたいという要望がありました。 その他、要望事項につきましては、別冊のとおりお手元に配付いたしましたので、御高覧をお願いいたします。 以上、概要の報告を終わります。
○委員長(藤田藤太郎君) ありがとうございました。 ただいまの報告に対し、御質疑のある方もあろうかと存じますが、都合により、いずれ日を改めて行なうことにいたし、本日は報告聴取のみにとどめておきます。 なお、お手元に配付いたしました第一班鳥取県、京都府、第二班青森県、岩手県における要望事項は、これを会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○柳岡秋夫君 先般、八月二十三日でございますが、千葉県の習志野において発生しましたコレラ問題につきまして、現在までのところ、二名の患者のみでこれをとどめて、他に伝染するおそれがない、こういうことで、非常に不幸中の幸いであると思います。地元の関係者、さらに厚生省当局の御苦労、御活躍につきまして、まず感謝を申し上げたいと存じます。しかし、その感染経路、あるいは感染源というものがまだわからないままに防疫の終結宣言をしたというようなことで、やはりまだ地元の市民は何か不安のままに毎日を過ごしているという実情でございます。また、今回この第二次感染というようなことで、よもやああいう習志野にそういうコレラが起きるとは思わない、予想しなかった、こういうことで、非常に防疫態勢その他に当初非常に混乱があったようでございます。今後オリンピックを目前にして、さらに国際交流が相当活発化してくるわけでございますけれども、こういう中で、予期せざるところにいつこういう事態が発生するかということもわからないわけでございまして、私どもとしては、今回のこの習志野に起きた経験を十分今後に生かして、万全の対策を立てていかなければならない、こういうふうに考えております。 そこで、そういう観点から二、三の問題について問題を提起して、厚生省当局の善処を要望しておきたいと思うのですが、まず、第一点は、二十三日に患者が病院に入ってから、厚生省がコレラであるということを決定したのが二十五日の午後四時半である、こういうことでございまして、非常にその二日間というような期間が問題になるかと思うのです。この軽症患者、あるいは健康保菌者の早期発見というような態勢がはたして十分であるのかどうかということです。私どもが今回の経験によりますと、患者は習志野病院に入る前に二、三カ所普通の開業医に行っているようでございます。しかし、その開業医もわからないで、習志野病院に重体のまま持ち込まれて、そして習志野病院では、コレラの疑いがあるというような一部の危惧はあっても、しかし、診断書は急性腸炎ですか、そういう診断書をもって千葉大に解剖に持っていっている、こういうことでございまして、お医者さんなり、その他のコレラに対する知識と申しますか、経験と申しますか、そういうものが非常に不足をしているのではないかという気持ちを抱かせるわけです。もちろん今度のような第二次感染のコレラ発生が昭和二十一年以来十八年ぶりというようなことで、たまにしか起きないということですから、おそらく文献によるコレラの症状の知識、そういうことしかおそらくなかなか経験としては得られないと思うのです。したがって、無理もないことであろうと思いますが、しかし、そうかといって、あのように、いつどこで発生するかわからない非常に危険な伝染病でございますから、私は、当然これに対する厚生省としての十分な日常の訓練、あるいは指導というものが必要ではないか、こういうふうに思うのですけれども、そういう点、厚生省としてどういうふうにいままでやってこられたか、お伺いをしたいと思うのです。
○説明員(若松栄一君) 患者が二十三日に発病いたしまして、二十五日に診断決定をしたということは少しおそきにすぎないかというお話でございましたが、何ぶんにも、これは国内の初発患者でございますので、きわめて慎重を要する。もしも万一診断に誤りがあるということになりますと、民衆の不安、あるいは損害等が無用に大きくなりますので、その点も考慮いたしまして、私どものコレラ防疫対策要領には、国内初発の場合は、必ず予防衛生研究所において菌の決定を行ない、第二次発生以降は、それぞれ地方の研究所において決定してよろしいという方式を立てておりまして、そのために、今回のものも、当然予防衛生研究所の診定を待つという手はずをとりましたので、その間に時間数にして数時間おくれはあったかもしれませんが、決して今度のこの診定が非常におくれた、特にそのために防疫処置に支障を来たしたというようなことはないと存じております。特にこの場合、患者がすでに下痢をしておりましたので、その点、病毒蔓延等についてはあまり危惧はなかったということを申し上げてよろしいかと思います。 なお、習志野病院において診断がおくれたのではないかという点でございますが、これも初発患者でございまして、習志野地区で初発するというようなことは、通常予想しないところでございますので、医師も診断には非常に迷ったということは確かでございます。したがって、すでに御承知かと思いますけれども、習志野地区が日本でも有数な破傷風の多発地区でございます。そのために収容当日にすでにけいれんがあったということから破傷風の疑いもあり、また、下痢その他もありますので、急性の砒素中毒ということも疑い、同時に、コレラも疑いという、あらゆる疑いを持ち、かつ、コレラに必要な手を尽くしたということで、国立病院の診療方針に大きな間違いがあったということはなかろうかと存じております。コレラであるにかかわらず、急性腸炎という診断名をつけたということは、これはコレラ菌の決定ができない以上、コレラという診断ができませんので、さしあたり、すでに患者が死亡いたしましたので、急性腸炎という診断名がついたことはやむを得なかろうと思っております。事後にコレラ菌の決定がありましたので、当然その後において訂正するということになろうかと思います。 なお、医師に対する啓蒙指導、あるいは日常の指導という点につきましては、一昨年の台湾のコレラ事件、昨年の韓国のコレラ事件等にかんがみまして、昨年は「コレラの診断及び治療」というパンフレットをつくりまして、現在アメリカの海軍等が東南アジア地域の流行地域において経験いたしました資料、診断、治療の経験を集約いたしまして、これをパンフレットにし、全国の内科、小児科の医師に徹底するようにということで、昨年全国的にパンフレットをつくて末端の医師にまで手配をいたしたわけでございまして、当時末端の非常にいなかのほうの医師からも、今回の措置は適切であったという連絡を数次いただいたこともございます。本年度はそれを繰り返して行なえばまだよかったわけでございますが、少しくどいかと思いまして繰り返さずにおりましたが、しかし、今回の経験にかんがみまして、やはりこれは繰り返すべきだということで、実は発生後におきまして、もう一度あらためて全国の衛生部から、医師会を通じて、あらためて同じプリントをしてもう一回配付し、啓蒙指導するように手配をいたし、同時に、関係医師会方面についても十分注意を喚起し、特に初発の発見及び適切な治療によって、万一国内にコレラの侵入が起こったとしても、最少限度にこれを食いとめ、かつ、犠牲者を出さない、死亡者を出さないということを特に強調して指導してまいっております。
○柳岡秋夫君 コレラはきわめて危険な伝染病ですから、これを慎重に扱って、そうして予研が最終決定をするということは私も了解はできるんですが、しかし、早期にこれを発見して、早期に防疫態勢をつくるということが私はやはり必要じゃないかと思うんですよ。国が決定をしなければ、あとはお医者さんが、これはコレラではなかろうかという疑いを持っても、コレラの疑いがあるということが言えないというような、そういう何か形式張ったと申しますか、あまり狭い見解を持っておったんでは、私は非常に大きな問題を残すような気がするんです。今回の場合でも、いわゆる脱水症状が出たのは二十三日の夜出ているんです。習志野病院のお医者は、これはコレラの疑いがあるかもしれないというふうに考えておったようです。しかし、県の衛生部、あるいは研究所、あるいはいま言った最終的な予研の決定がなければ、これはみだりに言外に出せない、こういうことで大学病院に解剖にも持っていっているわけです。これがもしそういう医師自体がある程度の幅をもってコレラの疑いがあるということであれば、私は、千葉大のほうにその患者を移動するとか、あるいは一緒に看護にきていた両親なり身内の者がそのまま実家のほうに帰る、こういうようなことはなされなくて、もっと早い時期に隔離もでき、あるいは万全の措置がとれたのではないか、こういうふうに思うのです。したがって、そういう面に対して、私は、今度の場合、あまりにも予研の決定というものを重点に置き過ぎて、早期の防疫態勢、患者発生当初の措置が若干手抜かりがあったのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○説明員(若松栄一君) 何ぶん初発のことでございますので、決して万全であったとは申せないことは御指摘のとおりと思います。しかし、下痢症状、あるいは脱水症状だけで早期にコレラということは決して言えないわけでございまして、脱水症状を起こし、下痢、嘔吐を起こす疾患は他にもたくさんございます。コレラの騒ぎにおきましても、たとえば千葉市におきましても、コレラ疑似の脱水の強い患者がいる、あるいは四国にもこういう脱水の強いコレラの疑いのある患者が出た、あるいは韓国から帰還の途中の船にコレラ容疑の症状があるというように、いろいろ出てまいります。それは下痢、嘔吐があり、脱水症状が相当強く出てくる疾患はコレラだけではなしに、まだほかにたくさんあるわけでございます。一番多いのは、このごろよくいわれます腸炎ビブリオによる中毒症状、あるいはブドウ球菌による中毒、あるいはサルモネラによるものというようなものが症状的にはきわめて近い症状を示すことは多々ございます。そういう意味で、初発症状の場合で、コレラ症状ということだけで強い容疑を持つことは、これはかなり危険でございます。そういう意味で私ども容疑を持つ段階は、やはり細菌学的にある程度容疑が出てきた段階で初めてコレラ容疑を確立する。そういう意味で、今回の場合も、実は二十四日のお昼ごろには大体県のほうから疑いが出てまいりました、決定は四時半ごろでございましたけれども、疑いを持ったのはすでにお昼ごろでございます。したがって、そのときから現実的に防疫措置は開始いたしております。たとえば習志野市には、すでに県から飛んで説明に行きましたのは午後二時でございまして、決定をやります二時間半前でございます。そのように菌の検出の上に相当の疑いが出てくれば、そのときは現実には防疫活動を開始いたすということで進めてまいりました。
○柳岡秋夫君 非常に単なる容疑のみでは、それが真性なり、疑いのあるものというようなことは言えないということはわかるのですが、しかし、今度のような場合を考えてみますと、患者が死亡して、千葉大に持っていって解剖する場合にも、コレラの疑いがあるかどうかということをお医者さんは言えないということになりますと、これは非常に問題があるような私は気がする。もちろん、千葉大におきましては、いわゆる病理学のほうで解剖しておりますから、あらゆる菌を検出してやった結果、コレラ菌もあるようだということらしいのですが、ただ、それを表に出せないということで、厚生省のほうで、いわゆる予研で発表したのでほっとしたということを千葉大では言っているわけです。こういうことで非常に人心に不安感を与えるという面から非常に慎重に扱ったということはわかりますけれども、やはりもっとそういう疑いのある場合には、医師個人で表現ができなければ、直ちに権威者かその現場におもむくとか、あるいは培養施設を常に備えておいて早急に菌の検出ができる、そういう態勢をやはり私はもっと日ごろから常に準備をしておかなければいけないのではないか、そういう点が今度たまたま予期せざるところに発生したということで非常におくれたということでございますけれども、やはり今後の問題としては、そういう培養施設なり、あるいはそういう患者が出た場合は、これは単に検便だけ衛生研究所に持っていって、衛生研究所が自動車で東京に持ってくるというのではなく、現地でそれが直ちにできる、こういうことが私は早期の防疫態勢をつくる上にいいのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点いかがですか。
○説明員(若松栄一君) 御指摘のとおり、菌の決定についてはできるだけ短時間でやる、こういう原則については常時からそのように指導しております。ただ、繰り返しますように、初発の決定だけは一応予研でやる。ただ、疑わしい場合は、遠方の場合には予研に運びますのに時間がかかりますので、そのような場合にはむしろ予研から専門家が現地に飛ぶという方法も講じております。千葉までは近かったために予研まで持って来てもらったということであります。先年の韓国のコレラ騒ぎのときの場合には、必要に応じては予研から飛ぶ、あるいは比較的経験の豊かな検疫所の検査官が飛ぶということで、機動的にやっているつもりでございます。なお、今後の態勢といたしましては、やはり新たに通知をいたしまして、各都道府県、あるいは衛生研究所で十分平常時から検査能力の整備、あるいは訓練、あるいは場合によってはこの再教育等も実施して、遺憾のないようにということをあらためて指導、強調している次第であります。
○柳岡秋夫君 予研の福見先生おいででございますが、予研の先生として御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
○説明員(福見秀雄君) 福見でございます。私が伺った限りでは、お医者さんが、今度の患者はコレラらしいということを考えて、それから検便材料を取ったという限りでは全然おくれておらないと思います。たとえば患者の検便をいたしまして、これをまず最初に増菌培地という、菌をふやす培地に入れるのですが、それを現場で入れて、それを衛生研究所に運ぶのには、普通は、夏でありますから、ふ卵器の中に入れているのとそう変わらない、その期間は衛生研究所の中でやっても外でやっても同じ休む時間があるわけです。それを衛生研究所に持って来て、それをふ卵器に入れて培養するのですが、それはある時間置かなければ菌がどうしてもふえてこないということであります。そういう菌がふえるという時間を考慮に入れますと、衛生研究所まで運ばないで現地でやるということは少しも時間のプラスにはならない。だから、いまの態勢で私は菌の検出を早くするという面ではおくれていないというふうに、そういうふうに考えております。
○柳岡秋夫君 そうすると、この菌がはっきりしないうちはコレラの疑いがあるというようなことも、現場で立ち会ったお医者さんなりあるいは県の防疫官なりがそれを承知しながら、それに対して何にも言えないということはどうなんですか。
○説明員(福見秀雄君) これは私どものほうの学者的見解ですと、どうにも言えないということではなくて、菌があやしいということになれば、これは一応コレラの疑いがある患者ということで措置ができるわけでありますが、最後の決定としては、コレラの疑いがあるということは決定できますから、その点は別に決定まで何も言えないということでなくて、決定までの時間は、それが決定されるかもしれないということになりますから、さしつかえないかと思います。
○柳岡秋夫君 わかりました。次の問題として、コレラの発生時における防疫態勢、これは防疫態勢としては、大きく分けましては、一つは国外からのいわゆる水ぎわ作戦による検疫所の強化、これが一つあると思います。もう一つは、実戦段階における活動が一つあると思います。今度の場合、まず実戦活動の中における態勢というものを反省してみたいと思いますが、厚生省は、昭和三十七年ですか、「コレラ防疫対策実施について」という、局長名によって各都道府県知事、あるいは保健所ですか、それぞれに地方自治体の首長に流しているようでございますけれども、これは三十七年に流されておりながら、今回の習志野の場合を見ますと、さっぱりこの要領が完全に実施をされないうらみがあったように思うんです。それだけに市民の不安も非常に大きく、また、混乱もしたわけでございます。特にいま申されましたその医師の措置、あるいは予研で決定されるまでの間の各市町村なり保健所の措置、こういうものがこの通達では非常によく指導されておると思うのですけれども、ところが、現実には予研の決定がない間は何ら手が打たれてないということなんですね。二十三日に患者が発生して二十五日の予研の決定があるまで、習志野市当局は何にも知らない、したがって、何もやっておらない、こういうことでございます。したがって、この中で特に問題になりますのは、一つは医師の各機関に対する連絡通報ですね、これが非常に今度の場合不十分だったというふうに思います。それは習志野病院の医師が診断をして、それで保健所には通知をし、県の衛生研究所にも通知をしているのですけれども、肝心の習志野市長に対しては通知をしておらない。で、この予防法によりますと、当然これは市町村長を通じて、あるいは並行して通知をするようになっていると思うんです。これが今回の場合には、医師から保健所なり県の衛生研究所、そうして予研にいって、今度逆に予研から県にきて、県から保健所にきているわけです。それから市町村にきている。これはやはり私は防疫態勢の面から欠陥が出たんじゃないかと思うんですが、この点についてはどうなんですか。
○説明員(若松栄一君) 連絡通報等の道筋はそのように県——保健所——市町村、また、逆に市町村が最初に情報をキャッチした場合には、市町村が保健所——県——国という段階にくるのは当然でございますが、今度の場合、市町村、特に習志野市に対する連絡がおくれたのではないかという点が一番問題かと存じますが、この点は先ほど申しまたように、菌のほうで容疑が非常に強くなった午後から県のほうで態勢を固めまして、そうして二時ごろには習志野市に態勢をしくようにという連絡をいたしておりますので、二時間程度確かに開いておりますけれども、それほど大きな開きではなかったかと思います。この点は、しかし、今後もあることでございますから、できるだけ連絡というものは、ことにこういう急性伝染病が一番緊要でございますので、今後とも十分注意をいたしたいと思います。
○柳岡秋夫君 この予研の決定がなされる二時間ほど前に、船橋市の保健所から喜春旅館というところに係官が、県の係官も一緒にまいりまして、どうもコレラの疑いがあるということで連絡に来たそうです、それと市のほうにですね。ところが、そういう連絡があっただけで、何らの防疫措置というものはとられなかったわけです。旅館の出入りは自由であったし、あるいはその直後に市の衛生課から、し尿のくみ取りに来ると、こういう状態ですね。そういうところを考えてみますと、非常に機関同士の連絡、命令系統の組織立った一貫性というものが欠けているような気がするわけです。お医者さんのほうは医務局につながり、保健所のほうは公衆衛生局のほうにつながるんですか、そういう縦割りの関係もあろうかと思いますけれども、非常に各機関の連絡が不十分であった。そのための態勢のおくれというものが私は今度出たんじゃないかと思うんです。ね。したがって、そういう面を私は今後の問題として、やはり十分一本の命令系統と申しますか、組織的な防疫対策本部の確立、これが私は必要じゃないかと思うんですね。今度の場合、対策本部をつくるための対策に最初の二日間は千葉県の場合追われているわけです。これでは非常に緊急性のあるこういう伝染病対策としては問題があると思うのです。ですから、先ほど申し上げました日常の訓練なり知識の指導、こういうものと同時に、この対策本部のあり方について、私は、この際、十分今度の経験を生かしてはっきりしたものをやっぱりつくってやらなければならぬと思うのです。しかも、今度の場合、もう一つの問題点としては、隔離病床、病棟の問題があるんです。二十五日に飯田さんという方が保菌者ということがわかりまして、習志野市では救急車に乗っけて、習志野病院には病棟がございませんから、市川の国府台病院に持って行った。ところが、市川の国府台病院では市川市長の許可がなければ入れられないということで、あの市川の国府台病院で放置されておったんですね。こういうことは私は問題があると思うのです。 もう一つは、二十八日ですか、二十九日ですか、千葉市でコレラらしいものが出たということがあった。これも千葉市から市川の国府台病院に持っていくわけでありますが、持っていく前に、どこに隔離するかということで二、三時間これも拒否をされて迷っておるわけですね。こういうことは、私は、いわゆるさっき申しました一貫した組織立った防疫態勢というものが日ごろできておらないからこういうことになるのじゃないかというように思うのです。そういう点を今後どういうように厚生省としてやっていこうとするのか、まず、その点をお伺いしておきたいと思います。
○説明員(若松栄一君) 当初のすべり出しで対策本部の設置が非常におくれて、対策本部の設置のために二日ぐらいかかったという御指摘でございますが、当初、今回の場合は対策本部を県に置いた、ところが、事態がなかなか容易でないということで、急遽船橋保健所に移したということのために、若干その間対策本部の機能が円滑にいかなかったという点は確かに御指摘のとおりであったかと存じます。そういう点を考慮いたしまして、できるだけ対策本部を急速にやるというたてまえで、実は私どもといたしましても、直ちに本省から三名の係官を応援させまして対策本部の強化につとめたわけでございますが、今後とも、十分そのような点については反省をし、指導してまいりたいと思います。 なお、隔離病床の問題でございますが、コレラの場合は、先ほど申しましたように、非常に勝負が早くて、治療がうまくいきませんと死亡者が出る、できるだけ死亡者が出ないような態勢をしきたい、そのためには確実な治療ができるようなところに隔離したい、こういう観点から、対策要綱の中におきましても、コレラに関しては既設の伝染病隔離病床ならどこでもいいということでなしに、ある程度施設の整ったところを指定して、そこに入れるように指導しております。と言いますのは、先ほど申しましたような米海軍方式によりますと、発病のその当日にすでに数千ccあるいは二万cc近い輸液をしなければならぬようなことが起こってまいります。そういうことはお粗末な隔離所等では不可能でございます。そういう点を考慮いたしまして、できるだけ設備の整った、治療の完全に行なわれるような隔離病院、あるいは隔離病棟を指定するというたてまえにしております。したがって、今度の場合も、あの千葉県の北西地区におきましては市川の病院を指定してございました。したがって、習志野、あるいは船橋の病院でなしに、市川まで運んだわけでございます。ところが、運転手が道を迷いまして非常に手間取ったということもございました。門前で二時間待たした。門前で二時間待たしたということはどうも誤解のようでございます。多少待ったかもしれませんが、二時間待たしたということは誤解のようでございます。私ども調査いたしましたが、そのように心得ております。そういう意味で今度の点、確かに問題があったようでございますので、今後も一そうそれらの点を注意させたいと思います。
○柳岡秋夫君 まあおくれたことについてどっちがほんとうか知りませんが、習志野市長の言うことは、これは習志野の係員も一緒に乗っていっているんですからね。乗って向こうへいったら、市川市長の許可がなければ入れられないということで二時間も待たされたということを言っているんですから、これは事実だろうと思いますね。これは別の問題といたしましても、いまのように指定された病院があれば、私は、その指定された病院は直ちに収容できるような指導というものをしてもらうと同時に、隔離病棟は市町村なり府県当局で設置をするということになっておりますね。これがやはりまだ十分でないわけですね。これに対しても、私は、いまの地方自治体の財政では非常に困難の向きもあろうかと思いますので、国としても、やはりこういう隔離病院の設置についてもっと積極的な施策をひとつ講じてもらいたい、こういうふうに思います。 それから、もう一つは、伝染病予防法という法律が、明治三十年ですか、四月に公布になって現在に至っているわけですね。したがって、私は、非常に内容的にも現実にそぐわない面が多々あるんじゃないか、こういうふうに思うのです。もちろんその後何回か部分的には改正されておりますけれども、コレラとか、あるいはペストというような外来性伝染病ですね、これについて他のチフスなり赤痢と同じような扱いをしておるということが、私は、何か今度の経験からして問題が出てくるような気がするのです。と申しますのは、今度の習志野に起きた荒山さんにしても飯田さんにしても、あるいは日大の寮に入っている三十何人かの人にしても、すべて県外の人なんですね。千葉県人じゃないのです。全部県外の人なんです。しかも、外来性であるということになれば、これは地域的に私は局限して、ここが汚染地区だということで、そこだけの対策では十分でないと思うのですね。やはり近隣の府県は当然あるいは全国的な対策も私はときにはとらなくちゃならぬ場合もあるんじゃないか、そうしますと、こういう外来性の伝染病についての対策のいわゆる組織としては、私は、単に市町村なり府県当局にこれを責任を負わす、いわゆる主力の行動隊はもちろん前衛として活動することは当然その地域の地方自治体なりやるわけでございますけれども、命令系統なり、総合的な対策の指導というものは、私は、やはり国の当局、厚生省がやっていかないと万全の態勢にはならないんじゃないかというように思うのですね。今度の場合なんか見ましても、厚生省は単に協力、応援をする、こういう立場だろうと思うのです、法的には。したがって、コレラとかペストのような非常に危険度の高い、全国民に不安を与えるような伝染病の予防対策としては問題があるんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
○説明員(若松栄一君) 現在の伝染病予防法におきましては、防疫作業の実施責任者は都道都県知事並びに市町村長になっております。国が直接事業を行なうというたてまえにはなっておりません。しかし、当然ただいまおっしゃいましたような広域にわたる伝染病の発生、あるいは防疫作業につきましては、それらの市町村、あるいは県単独にまかしておくわけにはいきませんので、これについては、そのような場合には必ず厚生省自体が対策本部という名前のあるなしにかかわらず、しかし、現実的に指揮班をつくりまして都道府県の防疫作業に対する指示を行ない、あるいは都道府県間の調整を行なっていることは事実でございます。ただ、法的な権限というものは明記されてないということだけで、実質は確保されておるつもりでございます。なお、そのような場合に、都道府県の単独な作業では十分行ない得ないというような場合には、厚生大臣は各県から防疫専門の職員を派遣して応援するということもできるわけでございまして、そのために各県に防疫委託職員を配置して、常時その訓練をしておるわけでございます。通常の場合、もう少し大きくなりますと、各県から応援隊が出ておるわけでございます。ことしの新潟の災害とか、あるいは山陰の災害等においては、近隣の各県から防疫職員を派遣いたしまして応援をさしているわけでございます。そういう意味では、厚生省は全国的な規模で指揮をしているつもりでございます。
○柳岡秋夫君 そういう実質的に厚生省がやっておるということであれば、私は、この際、伝染病予防法の現実にマッチをした抜本的な改正というものを検討してもいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、特に先ほど申し上げましたように、知識にしても、あるいは経験にしても不十分な保健所なり市町村が非常に危険度の高い伝染病の対策に主力になっているということでは非常に問題があるわけでございまして、こういう点、ひとつ大臣としてはどういう御見解をお持ちでございますか。
○国務大臣(神田博君) いまの柳岡さんのお尋ねの御趣旨は、私も十分納得と申しましょうか、同感の点がかなりございます。従来からも厚生省の内部におきまして課題になっている問題でございまして、実は、この病気の発生する前日も省議がございまして、伝染病予防法もだいぶ古くなっておるからというような話も出ておったような事情もございますので、十分ひとつ検討してみたい、こういうふうに考えております。
○柳岡秋夫君 次の問題をちょっとお聞きしたいのですが、感染源がわからない、感染経路がわからない、こういうことでございますが、この終結宣言をしたあとの厚生省として、この感染源の追及、感染経路の追及についてどういう対策をとられておりますか、お伺いします。
○説明員(若松栄一君) 遺憾ながら、感染源を突きとめることができずに終わりましたけれども、私どもとして、いわゆる今度のコレラの終結宣言をいたしましたのは、相当広範囲にわたって危険な地区を洗いまして、しかも、どうしても菌が見つからなかったということが第一で、しかも、もしもその際に保菌者等がいるといたしましても、最初の感染機会からすでに十日間を経過しておりまして、通常、保菌者というものは数日間しか菌を排出いたさないのが通例でございますので、万一、荒山、飯田両君が感染いたしました当時に感染がどこかで起こって、それがもし見つからなかったといたしましても、保菌者という状態はいまの段階ではすでにもう消滅しているであろうというコレラ菌に関する常識に基づいて終結宣言をいたしたわけでございまして、そういう意味では国際的な常識にも従っているわけでございますので、まず心配はないと存じております。ただ、不明であるということは、将来ともこういうことが起こる可能性があるわけでございまして、その点は私どもも否定することはできません。したがって、海港検疫の強化であるとか、あるいは密入国の防止であるとか、あるいは国内の初発ケースの早期発見というような点を新たに強化いたして、終結宣言の日、直ちに都道府県知事あてにコレラ防疫態勢の強化を通達いたしまして態勢を固めておるつもりでございます。
○柳岡秋夫君 感染経路、感染源がわからない、感染場所は習志野だ、こういうことで、地元の方々から言わせると、習志野だけが汚名というか、そういうものを着せられた、そういう気持ちと、それから、一般市民の方はまだ不安があると、こういう状態なんですね。したがって、相当学理的に権威のある見解というものを出してもらわないと、やはり地元としては納得できないんじゃないかと思うのです。これは単なる推測でございますけれども、おそらくオリンピックを目前にし、あるいは国際交流が非常に激しい中で、東京や横浜に感染源があったということになると、これは外国の方々に対して恐怖を与える、だから一習志野に全部おっかぶせておけばこれはいいんじゃないかと、こういう推測も、これは地元の方から言わせれば出るのです。だから、もっと学理的に権威のある見解というものをここではっきり出してもらって、そして地元民をひとつ安心させていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、予研の方いかがですか。
○説明員(福見秀雄君) まず、今回の習志野の問題ですけれども、いろいろ調べてみますと、要するに、考え方はずいぶんありますけれども、荒山さんと飯田さんの二人が感染をしたのは片一方から片一方へうつしたのではない。その二人の人がどこか同じ感染源から感染しておるのであるということは、まず非常に大きな確率でほんとうだろうと思う。それじゃ一体どこからこの二人の人が感染したかという問題は、旅館の外ではこの人たちは共同に行動をしておりません。それから、旅館の中で部屋がかなり離れていますし、それから、お互いに全然面識がないので、お互いにはあまり共同行為はない。そうしますと、一つの問題は、旅館の中でだれかがこの菌を持っておって、その人がうつしたのだろうという問題があるのですけれども、学問的な立場からいろいろ検索してみたのですけれども、全然陽性の結果が出ません。だから、そういうたとえば旅館のまかないのだれかが菌を持っておったというような可能性は否定はできませんけれども、全然肯定する資料はないわけです。だから、もう一つの問題は、それでは結局荒山さん及び飯田さんが食った食物ですね、それが問題であろう。そうしますと、結局旅館が外から買ってきた食物の中に入っておった、まあ常識的にはそういう新鮮な魚とか野菜とか、そういうものが問題ですけれども、これもそのあたりの問題を含めた地域の一斎検便、その他ずいぶん調べてみましたけれども、結局わからないということで、両方の可能性が否定できない。けれども、結局結論は出ないという状態です。考えてみますと、習志野事件だけでなくて、一般にコレラというのは、大体菌の感染を受けても発病をしない、そういう人がかなりたくさんある。その中でわずかなパーセントの人がコレラ症状を呈するということですから、結局感染源を追跡する場合には、菌検索というものを土台にして追跡するよりしかたがない。患者を目当てにしてもどっかで消えてしまってだめだということです。それから、もう一つは食物から感染する場合ですけれども、これも食物がどこからどうというと、食べるものがたくさんありますから全部調べられないということでして、いまのところ、日本は本来コレラがないのですけれども、外国からくることは間違いない。しかし、外国から入る場合に、食物で入る場合には、これはもう食物の中の菌を検索するということを全部やることはとても不可能ですから、これもある程度は中へ入ってくることはやむを得ない。それから検疫の立場で外から人間が菌を持っておるのを中へ入れないことができるかどうかという問題ですが、先ほどのように、患者がはっきり症状を出していれば、これは問題ありません。しかし、そういうものがなくて、患者でなくて健康で菌を持っておる者を中へ入れないかどうかということは、これは検便を徹底的にやるよりしかたがないということです。検便を徹底的にやっても、持っている菌の数が少ない場合には出ない可能性がある。それから、これは最近のように航空事情が発達しますと、まだ持っておっても症状が出ないうちに入ってくる可能性もあるということで、学問的な立場から申しまして、結局海港検疫、空港検疫でこの菌が国内に入ることを防ぐということは一〇〇%不可能である。だから、最もいいのは、やはり中に入って見つかった場合に、これを徹底的にたたいてやるということしかない。これまでの外国の流行状況を見ましても、あるいは日本の過去のコレラの流行状況を見ましても、感染経路がわからなくて、こつ然として日本内部に患者が発生したという例が非常に多い。特に最近のエルトール・コレラは侵入経路がわからないということが多いということなんです。コレラはこういうような形で入るからみんな気をつけなければいけないということが、やはり医療関係者、その他防疫関係者が頭においてコレラに対するということしかないのじゃないかというふうに考えております。
○柳岡秋夫君 そういうふうに水ぎわ作戦の問題については最後にお伺いいたしますけれども、いずれにしても、いま福見さんが言われたように、水ぎわ作戦だけでは防ぎ切れない、したがって、国内で発生することがある。その場合の態勢がやはりまだ不十分であるということを先ほど来申し上げて、今後十分ひとつやっていただきたいと思うのですが、いま申し上げましたように、非常に習志野に感染源があったということで、発生以来、習志野の商店はもちろん非常に不振をきわめておるわけです。習志野の住民も、ほとんど習志野の大久保付近では買物をせずに、船橋、市川に行ってしまう、非常に商売が不振なんです。住民も何か割り切れない気持ちでいる。こういうことのために、そのためのひとつはっきりした見解というものは、この際、ぜひ出していただきまして、ひとつ民心の安定をぜひさせていただきたいと思うのです。 それから、立ち入り禁止区域の中における住民の生活補償の問題、これは地方自治体で一応やるようになっておりますけれども、法的にはしっかりしたものではないと思うのです。しかも、十分な補償はできない、まあ労働者で、法定伝染病でございますから、休んでも賃金がカットされないという方もございます。しかし、日雇い労働者なり、あるいは中小企業、零細企業に働く労働者で、そういう取りきめのないところも私はあるのじゃないかと思うのです。したがって、そういうものに対するやはり補償というものは、これはどこでやるかは別として、私は十分考えていかなければならぬ問題だと思うのです。いまのような地方財政の中では十分な補償ができないのですから、これはやはり広域的な伝染病対策ということで、これはやはり国が最終的な責任を持って、地方自治体にこの財政的なしわ寄せを来たさないようなやはり対策というものを考えていただかなければならぬ、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
○説明員(若松栄一君) 住民の方々が商売が不振になったり、あるいは労働ができなくなったというようなことで、たいへん気の毒な立場に立ったということは全く同感でございますが、遺憾ながら、現在の法制のたてまえでは、これに対して失われた所得の補償、あるいは損害に対して補償をするという規定はございませんし、また、世界各国どこでも伝染病発生等の場合に補償の規定を設けているところもないわけでございまして、この点は現実に非常にむずかしい問題でございますので、今後とも、外来伝染病だから補償しろ、あるいは国内常在伝染病は補償しなくていいというようなことにはなかなかなりかねる問題で、まことに申しわけない言い方でございますけれども、災害みたいな性格のもので、現在の段階でどうもいかんともしがたいというふうに存じております。なお、そういうようなことが起こった場合には、市町村、県等が相当な出費を来たしますので、それに対しては、やはり相当な手当てをすべきであるということは、これは当然でございまして、伝染病予防法にかかります金は、通常年度を越えて清算補助というたてまえになっておりますけれども、このような市町村の財政規模に比較してきわめて大きい出費をするというような場合には、当該年度内に補助金を出すとか、あるいは補助金の持ち出し分については特別交付金等をお世話するというようなことで財政的な裏づけをやっておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 その住民個人個人に国が補償するというようなことは私はできないと思うんです。ただ、地方自治体の増大するいわゆる不慮の出費に対して、いま局長が災害のようなものだと、こう言われたのですが、災害には災害特別措置法があるんですから、そういう形のものと、こういう外来性伝染病の対策についての国の手当てというものは、この伝染病予防法の中では不十分だと思うんですよ。したがって、伝染病予防法の抜本的改正の中でそういう点も十分検討をしていただきたいと思うんですね。 それから、もう一つ、最後になりますが、検疫態勢の問題ですが、今度の場合を考えてみますと、海上からの密入国というような線が非常に濃いということも言われておるわけでございますが、特に千葉の検疫所を見てみますと、あそこは最近京葉工業地帯の造成によって非常に多くの船舶が入ります。大体月平均いたしましても五十隻以上ですか、船員にして二千人以上の方が出入りをしているわけですね。それを三人の検疫官でやっているわけです。この活動の状況を見てみますと、日の出から日没までと、こういうことになっておりまして、ほとんど休みもなしに長時間労働をやってるわけですね。したがって、この千葉の検疫所あたりにも、現在東京検疫所の出張所になっておりますが、これは独立の検疫所として設置をして、そして十分な態勢をしく必要があるんじゃないかと思うんですね。現在千葉港には公共埠頭というものもございません。したがって、船が海上で待っておって、そこへ船で行くんですが、その船は厚生省の船じゃないんですね、いわゆる会社の船なんです。それぞれの三井とか出光とか川鉄とか、そういう会社が提供してくれた船に検疫官が乗っていってやっておる、こういう状態でございまして、あの東京湾といいながら、波の高い日が非常に多いんですね。したがって、非常に危険な作業にもなっているわけです。ですから、私は、もっとこの検疫の強化ということを先ほど言われたわけですが、これがまず第一の問題ですから、そのためには千葉検疫所の拡充、船舶の配置、人員の増加ですね、こういう点もひとつ考慮をしていただかなくちゃならぬと、こういうふうに思うんですけれども、この点については局長の所管ですか、ひとつ見解をお聞きしておきます。
○説明員(若松栄一君) ただいまお話のように、千葉港は現在東京検疫所の出張所になっておりますが、出張所というのは、大体現在の段階では年間百ぱいとか二百ぱい程度のところが出張所になっております。現在お話のように、千葉では年間五百程度入るようになりました。この大体二、三年のことでございます。したがって、私どもといたしましても、実績がずいぶん伸びてまいりましたので、この充実をはかるように計画いたしておりまして、来年度あたりは、さしあたり支所という形にまで格上げし、人員もふやし、また、ボートを配置するというようようなことも努力するつもりでおります。
○柳岡秋夫君 最後になりますが、オリンピックを控えまして、こういう事態もいつ発生するかわからないということで、厚生省としても十分な対策を立てておりますが、ワクチンの問題ですね、これは十分余裕をもって準備をされているというふうに思うんですが、今度の場合なんか見てみましても、汚染地域ですね、たとえば大久保なら大久保地域の分として一応予定はされていたんです。ところが、いざコレラだということが発表されますと、そこだけしかワクチンの注射をしておらなかったものですから、汚染地域以外の住民の方も来まして、結局ワクチンが足りなかったと、こういう事態が起きたんですね。したがって、こういうことがやはりないように十分準備をしておいてもらいたい、こういうことを最後に要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(藤田藤太郎君) 私、ちょっと福見さんにひとつ質問をしたいと思うんですが、荒山さんと飯田さんの感染源が別々であると推定されるということをおっしゃった。
○説明員(福見秀雄君) 一緒です。
○委員長(藤田藤太郎君) それならばだいぶ違うのですが、そういうぐあいに聞いたものですから。いずれにいたしましても、私は、この際、専門的に、いま最後に柳岡委員がおっしゃったように、防疫の面の問題もございますが、空気感染しないということなら水ぎわ作戦をやる、人体でもって感染するということ、いまの習志野の食料店がまいったというような状態で国民に不安がある。それから、どこから来たかという問題の追及もあってしかるべきと思います。もう一つは、東南アジアはコレラがよく発生する。最近もフィリッピンには相当数発生していると言う。私は魚だと断定はいたしませんけれども、日本の漁業は世界じゅうの海で漁業をやっている。そこには何の検疫所もない、そのまま市場で売られるということになってくると、これも一つの感染の危険を蔵しているというように感ずるわけです。それから、感染してもからだが丈夫だということで持ちこたえた人、それから、実際に病気になった人というぐあいに出てくるわけです。そこで、あらゆる面を考えてみて、コレラが汚染するのには、これとこれを注意すれば大体七〇%か八〇%は防げるというPRを国民にすることが必要ではないか。問題は、一つ一つ防疫の問題、水ぎわ作戦のこと、食料の検疫ということをやればいいのですけれでも、それもなかなか一ぺんにまいらないと思いますので、国民にこれとこれを最小限度やることによって七、八〇%——大部分コレラ病にかかることが防げるのだ、こういうことを学問的に、それから実際的に、こういうことをこの際明らかにしていただきたい。最後には災害だ、災害だというようなことばになってくるようでは防げないのではないか、私はこう聞いておって思ったのですが、そこらの見解を聞かせてもらいたい。
○説明員(福見秀雄君) 原則的に申しますと、コレラ菌が人間に感染するのは口からであります。口の中にコレラ菌が入る。このコレラ菌はどこから来るかと言いますと、一つは食物であります。食物をコレラ菌がよごす場合は、国外ですでによごれた食物が来るか、あるいは国内でだれかがそれをよごす、だれかというのは人間であります。その場合、その人間が患者であれば医者が発見しますから問題はない。ところが、患者でなく、健康であってコレラ菌を持っている人がよごす場合には、これはちょっと発見のしようがないわけです。しかし、口に入れる場合に、この食物が安全であるかないかということを国民の一人一人が判断するということは、これは不可能な話です。ただ、しかし、口の中に入れる場合に、もしコレラ菌がおっても、コレラ菌を口の中に入れない方法はあります。それはコレラ菌を加熱することによって殺してしまえばいい。必ず全部加熱して、完全に殺して食うということを国民にやれといっても、やはりうまいものは食うから、必ずしもできないというわけで、できるだけコレラ菌はこういうものであるから、これこれはこういうぐあいに調理すれば食物は安全であるということを教えることはいいと思いますけれども、それが必ず実行できるかというと、私は自信がありません。しかし、それ以外には、その食物、あるいは自分のまわりの人がコレラになっているかどうか、しろうとでなくて、くろうとでも、一定の検査をしないで発見するということは不可能ですから、その点ではかなりわれわれは悲観的な意見しか出せないと思います。
○委員長(藤田藤太郎君) ありがとうございました。それでは、本件に関する調査は、本日はこの程度にしておきたいと思います。 —————————————
○委員長(藤田藤太郎君) 次に、社会保険病院松籟荘の経営に関する件を議題にいたします。柳岡秋夫君。
○柳岡秋夫君 お忙しいところ、全社連の理事長さんにおいでいただきまして、ありがとうございます。 まず、一般的な問題として、大臣がおられる間にお聞きをしておきたいのですが、この健康保険の保険施設について、法律でもって一応都道府県に委任をして、さらに都道府県が全社連という全国社会保険連合会ですか、これに委託をして病院経営をやらしておる、こういうことなんですが、これについて、どうしてこういう形をとっておられるのか。それから、もう一つは、まだ社会保険庁というものができないときにこういう方式をとられた、いわゆる厚生省自体としては、監督、あるいは指導の立場にありますから、厚生省自身が直営として病院を経営するということもできませんので、こういう形になったと思うのですが、現在社会保険庁というものができて、それが保険者としてあるわけですから、いわゆる監督と保険者とがはっきりしてきたわけでございますから、当然社会保険庁がこの病院の経営というものをやってもいいのではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、こういう点についてどういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(神田博君) いまの柳岡さんのお尋ねでありますが、理論から言うと直営でやってかまわないわけでございますが、結局予算措置をしておらないものですからできない、こういうことになろうかと思います。まあ厚生省といたしましては、いまのお尋ねのほかではございますが、国立病院の現在ある病院とあわせてひとつ考えていたということで、寄り寄り協議はいたしておりますが、協議を始めた段階でございまして、どういうふうにするかということは、まだ進んでおりません。療養所の問題等も先ほどもございましたが、そういうことを皆合わせまして、国立病院、それから社会保険庁関係の病院の問題、療養所、そういうもののあるべき姿と申しましょうか、将来ひとつ方針を打ち出してみたい、こういうようなことで相談いたしておりますが、ここでまだ御報告申し上げるような段階でないので、この程度でお答えいたしておきます。
○柳岡秋夫君 行政管理庁が去年ですか、十二月に発行した「行政監察月報」というのがございます。その中で、この社会保険行政の運営に関する監察が出されておるわけですね。こういう中では非常に不適当なことが多い、だから、この点についての検討をすみやかにして、その管理、運営等を適切にする必要がある、こういう結論を出しているわけです。したがって、厚生省としても、この点については社会保険庁という一つの保険者もできたわけですから、福祉施設、あるいは保険施設合わせて、私どもとしては、統一した一つの事業団か何かつくりまして、そして責任を持って運営をしていく、こういう方向が望ましいと思うのでありますけれども、そういう点、ひとつ早急に検討していただきたいと思います。
○国務大臣(神田博君) いまの御趣旨のように考えている、先ほどお答え申したとおりでございます。
○柳岡秋夫君 そこで、現在全社連に対して直接厚生省あるいは保険庁がどういうふうな指導監督の権限があるのかという点をひとつお伺いしたい。
○説明員(竹下精紀君) 現在健康保険関係に対しまする病院でございますが、これに対しましての厚生省の指導監督といたしましては、法律のたてまえからいたしまして、第一議的には都道府県知事が権限を受けて委託をしている、こういう関係でございますので、都道府県知事と全社連の委託の契約書が作成されております。この契約書の案文につきましては、厚生省のほうで統一的な指導を都道府県知事に行なっているわけでございます。したがいまして、都道府県知事と全社連との関係につきましては、まず、人事につきましては、主要なる院長、副院長、事務長、こういった方々につきましては全社連から都道府県知事と協議してその承認を受ける、こういうたてまえになっております。それから、施設の整備関係でございますが、こういったものは社会保険の福祉施設として実施いたしておりますので、国のほうで整備計画を立てまして、都道府県、全社連と相談をいたすわけでございまして、その予算は国のほうから支出いたしております。なお、おもな医療機械等についても同様でございます。それから、経理計画、あるいは決算、そういったいわゆる諸報告の類でございますが、これは全社連から都道府県知事に承認を受けるというような形をとっております。もちろん私どものほうにも報告がございます。指導監査の面でございますが、原則として、都道府県知事は、毎年一回健康保険病院を監査するということになっております。それから、私どものほうでは、県のほうがそういうことでございますので、大体三分の一程度を毎年監査をいたすというようなことで全社連との関係、都道府県との関係を調整いたしておるような次第でございます。
○柳岡秋夫君 国有財産と申しますか、施設なんかは国が費用を出してつくっているわけですね。したがって、当然その管理、運営について都道府県知事にまかせるとか、あるいは全社連に全部委託をするとか、こういうことでは私はちょっと問題があるような気がするのですね。国の費用でやっているわけですから、当然厚生省としても、もっと積極的な経営なり運営について監督指導の立場をとっても私はいいのではないか、こういうふうに思うのですが、これはさっきの私申しあげました問題ともからんでくると思いますけれども、そういう点も、ひとつできることはいまからでも十分やっていただきたいというふうに思います。 そこで、この保険病院の目的及び任務というものを見てみますと、その一つの中に保険医療機関に対して模範的診療を垂範すること、こういう一つの目的、任務というものがあるわけですね。こういう中で、現在全社連経営の病院は幾つあって、この目的、任務に沿った運営がなされているのかどうか、そういう点、ひとつ理事長さんのほうからお聞きしたい。
○参考人(曽我梶松君) ただいま厚生省のほうから委託をされまして都道府県知事との間に委託契約を結んで全社連が直接経営に当たっている施設は、病院、診療所を合わせて六十六施設でございます。これらの病院は、ただいま御指摘のように、保険診療について適正な保険診療を行なう、そうして保険の診療に当たっている人たちに模範的な診療の実際を示すということを目的にしておるのであります。そこで、私どもは、平素から各病院の診療につきましては、どういうものがどういうふうに適正な保険診療を行なうかということを第一の目標として指導をしておるわけでありますが、しかしながら、御承知のように、現在の医療費の増高、あるいは物価騰貴等によりまして、ある程度やはり企業的な性質を持っておりますので、その企業的な経営と、示された目的に反しないというふうなところへ重点を置いて経営の指導に当たっておるわけであります。以上のような方法で指導をしておりますが、立地条件その他によりまして、あるいは非常に経営が順調にいっているところもあります。あるいは、また、多少赤字を生じて経営の困難なところもありますが、それらは全社連のほうででき得る限り調整をいたしまして、経営の苦しいところには資金を供与するとか、あるいはその他いろいろ援助の方法を講じまして、でき得る限り適正な保険診療のできるようなふうに指導をしておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 全社連経営の病院で、特に結核療養所ですね、そういうところがだんだん減らされて、総合病院的なものになっていくという傾向が非常に現在あるように思うのですけれども、現在専門の結核病院としてはどこでありますか。
○参考人(曽我梶松君) ただいま専門に結核療養だけをやっておりますのは松籟荘と、それから仙台にあります迎光園、それから枚方にあります星ケ岡病院、それから宮崎にあります江南病院、大体そこがほとんど専門に結核療養をやっております。
○柳岡秋夫君 最近結核が非常に減少したというようなことを厚生省は言って、結核療養所を減らす傾向があると思うのですね。ところが、統計的に見ますと、結核感染患者というものは減っておらない。しかも、入院をして治療をする患者がまだまだ多いのだ、こういうことは厚生省が出しておる白書の中でも言っておるわけですね。ところが、独立採算というたてまえから、回転率の悪い患者を長く置くということは採算に合わない、こういうことでどんどん一般病棟に切りかえていく傾向が、全社連経営の病院だけじゃなくて、全般的な国立病院の中にもそういう傾向があると思うのです。これは非常に私は遺憾なことであり、厚生省としても、もっといわゆる一般病院の模範的な診療をしていくという立場にあるわけですから、そういうことのないように、私はぜひ、今後一般の医療問題の中でさらに論議をしていく問題ですけれども、全社連としてもそういうことを頭に置いて、そうしてこの結核患者に対する適正な診療というものを果たしていただきたい、こういうように思います。 そこで、いまいろいろと理事長さんのほうで経営する病院の指導、あるいは経営について適切な施策を行なっておると、こういうことを申されておるわけでございますが、松籟荘の中で現在起きている問題についてひとつお伺いをして、早急に解決をはかっていただきたい、こういうふうに思うのですが、その一つは、太田さんというお医者さんが、この八月ですか、いわゆる解任をされているわけですね。これについて、いままで私も松籟荘の病院について何回かこの委員会でも取り上げまして、その経営についてただしてまいったわけでございますけれども、この免職をした理由についてまずお伺いをしたいと思うのです。
○参考人(曽我梶松君) お答え申し上げます。ことしの三月でございますが、松籟荘におきましては、御承知のように、非常に広い場に病棟が広がっている。その当時、空床が大体四十床近くあったと思います。これはきわめて診療上不便でもありますし、また、非常にロスが多いということ。もう一つは、これは全国的の状態でありますが、看護婦が不足いたしまして、その看護婦不足対策といたしまして、松籟荘では病棟の集中管理というような方法を計画したのであります。そうして、これを医局のほうへはかりましたところ、これに対して太田医師は終始反対の立場を固執されたのであります。他の医局の方々は、これはもうどうしても患者に対する診療の上からも、また、看護婦の看護態勢からも、集中管理をやったほうが適当であるというようなことで、両者の間に意見の扞格が起きたので、それが次第に激しくなって、なかなか収拾がつかないような状況になっておったのでありますが、たまたまこれは隣りの国立療養所等にも何か関係があるとかで、この病棟の集中管理は結核施設の縮小につながるのだというような誤伝がなされまして、労働組合、あるいは患者の一部が、この太田さんの御意見に同調をして、相当紛糾が激しくなってきて、ついにすわり込みをするとか、あるいは暴行容疑の事件が起きるというような不祥な状況になったので、そこで、やむを得ず病院のほうといたしましては、一応この病棟の集中管理という、看護婦対策として打ち出した方法を一応撤回をいたしまして、そうして紛糾の収拾に当たったのでありますが、なかなか終息いたしませんばかりでなく、この太田医師の意見に対して反対をいたしております医局の六人のお医者さんが連袂辞職をするような状態に立ち至ったのであります。その当時、六名の常勤のお医者さんが連袂辞職をされますと、あとは太田さんと、それから院長、副院長、それから外科医という四人の常勤を残すばかりとなるわけで、この状況では、きわめてこの病院の使命達成の上にも、また、患者の治療上にも差しつかえがありますので、病院はもとよりでありますが、全社連といたしましても、さっそく関係の大学へまいりまして、ぜひ至急辞職をされた医師の方々の復職を再三にわたって懇請をしたのであります。ところが、これらの方々は、太田さんの平素の勤務状況とかその他について非常に不満を持っておりますので、太田さんのおる限りはもう帰らない、復職をしないということで、どうしてもがえんじてくれませんので、全社連といたしましても病院といたしましても、一応その復職をあきらめまして、それではかわりの常勤の医師を補充してもらいたいということを大学のほうへ懇請したのでありますが、これも同じような理由でその目的を達しないので、そこで、私どもといたしましては、やむを得ず、関東付近の全社連傘下の病院の院長を集めまして、そうしてこの応援態勢を至急とりたいということで、ここから医師を派遣したいという考えを持ったのでありますが、御承知のように、ただいまはもうどの病院も医師はかなり不足しておるのでありまして、なかなか病院から常勤の医師を派遣するということも困難であります。また、松籟荘の問題が、広くその風聞が各病院に伝わっておるために、どの病院からも常勤として行ってくれる人がいない、そういうような状況でありますが、しかしながら、患者の診療に一日も事を欠いてはいけないというので、やむを得ず応急の措置といたしましてパートの医者を数人派遣をいたしまして、そうして診療に当たっておるような状況になっておるのであります。ただいま申し上げましたように、この医局を早く再建しないと患者も非常に不安を持ちますし、また、診療の上にも差しつかえます。病院経営といたしましても非常に困りますので、そこで、引き続いて各方面に常勤の医者を求めておりますが、なかなかこの紛争が終息しないとその目的を達し得ないような状況であるのであります。関係大学等へお願いして、復職もしくは新たなかわりの医師を派遣してもらうというような方法をとりましたり、あるいは他の病院に働きかけてその補充をしようといたしましても、太田さんの平素の意見なり、あるいは行動なり勤務状況なりから、太田さんがおっては行こうというような人が得られませんので、そこで、病院といたしましては、まず、太田さんに転出をしてもらう、松籟荘から他の方面へ転出をしてもらうということを決心をいたしまして、そうして太田さんにその旨をお願いをすることにしたのであります。太田さんは、二十六年は私どものほうの社会保険病院になるその前から、国立の時代からすでに引き続いて勤務をしておられまして、すでに勤務歴も十四年になっております。現に松籟荘の副院長をしておられます有賀先生と同期でもございますので、その勤務歴や、いろいろの関係から考えましても、もはや病院の管理職としてつとめていただくということが適当であると考えまして、ちょうど全社連傘下の診療所の所長の地位がありましたので、そこへ転出をしていただくように病院長から五回、六回にわたって事理を尽くして懇請をしたのでありますが、太田さんはどうしても御承知にならぬ、招否されたのであります。全社連の病院の就業規則といたしまして、職員が他へ転出をしますときは本人の同意を得ることになっております。御同意がないので、転出ということが不可能になりましたので、このほうはあきらめました。しかしながら、太田さんがおりましては、ただいま申し上げたようなぐあいに、医局の再建ということが非常に困難であります。医局の再建が困難であるということになりますれば、御承知のように、患者が非常に不安、動揺いたしますし、また、病院といたしましても正常な運営ができないというような状況になりますので、あなたがほかへ転出をしていただかないと、どうしても行かないということになりますと、病院の今後の運営上、やむを得ずここを辞職をしてもらわなければならぬ、やめていただかなければならないが、もう一度再考をしてほしいということをさらに事前にお話をして再考を願ったのでありますが、これもついに拒否をされました。そこで、病院の今後の運営上、やむを得ず私どもとしては解雇する、こういう措置をとったのであります。要するに、太田さんにつきましては、解雇ということを私ども最初から考えたのでなくして、もはや勤務歴から申しましても、現在の松籟荘の事情から申しましても、転出をしていただくのが最もいいのじゃないか、こう考えて、これをもう数回お願いをしたのでありますが、どうしても聞いていただけない、御同意が得られないので、転出ということをあきらめなければならない。松籟荘におっていただくと、今後松籟荘の再建に最も必要な医局の再建ということができない、こういう関係から、やむを得ず解雇という措置をとったのであります。
○柳岡秋夫君 いま理事長がいわれたのですけれども、いまいわれたことばの中で考えてみますと、一つは、患者さんと医師の信頼というものが、私は、患者の治療の上に非常に大きな一つの問題があると思いますね。ところが、いままでの松籟荘のお医者さんの配置なり、あるいは人員なりを見てみますと、ほとんどお医者さんが定着していないのですね、何回かかわっている。したがって、患者さんの容態をつまびらかに知って、そうして治療に当たっていくということ、診療をしていくということができないわけですね、そういう問題が一つあります。それから、院長にしても事務長にしても、非常にはっきりした態度なりを持っていない、病気で休むとかなんとかして、いまは代理が行っていると思いますけれども、そういう形で、いわゆる経営主体側のそういう欠陥というものが私は一つあろうかと思います。それから、労務管理のみずからの——これはちょっとことばがきついかもしれませんけれども、みずからの無能を太田医師を解雇するということによって解決をしていこうということが私はあるのではないかと思うのですよ。病院が病棟を集中管理方式にしていくのだということ、もちろんこれは一つの方法としてとられるかと思いますけれども、その際でも、十分患者さんなり、あるいは労働組合と話し合って、そうして了解を得ていく、そういう努力が私は経営者としてなきゃならぬと思うのです。ところが、地労委から命令書が出ているように、団体交渉の拒否、この問題も含めて、一時金の問題にしても拒否をしているわけですね。地労委のほうでは、命令書として、団体交渉を拒否することはいかぬ、団体交渉をしなさいということをいわれているのですね。そういうことで労働組合に対する対策が、いままで経営者として当然やるべきことをやらないでおって、その積み上げが、ここにきてどうしてももうどうにもならないので、太田さんを解雇するということによって新たな方法をとっていこう、こういうことで私はきているような気がしてならない。太田さんは私もよくじっこんの間柄だから知っておりますけれども、決して患者さんにきらわれるような方ではないし、あなたもいわれたように、十何年かつとめられた優秀なお医者さんですね、しかも、お医者さんの不足な現時点でこういう方を解雇するということがはたして妥当なのかどうか、私はちょっと納得がいかないのです。やはりそういう太田さんというような優秀なお医者さんを含めてのやはり今後の松籟荘の経営の方針を、もっと解雇ということでなくして考えていけないものかどうか、いま理事長がいわれたように、太田さんがいなくなれば、あとはすべて円満にいくのだと、こういうことでございますけれども、しかし、現状の中で、私はそれは甘い見方ではないかと思うのです。また、それだけの誠意も全社連は見せておらないと思うのです。すでに八月の十九、二十日ごろですか、免職されておるわけですね。しからば、そのあとの医局の態勢というものはどうなっているかというと、依然としてパート・タイマーでしょう。しかも、十分なお医者さんの数ではないわけです。もしほんとうに全社連が、太田さんがいなくなればあとの医局が確立をされるというならば、それと引きかえに、当然常勤のお医者さんの十一人、十二人ぱっとそろえて、そうして患者に不安を与えない、こういう態勢をとらなければ、私は、労働組合の患者さんは納得できないと思うのです。それをやらないで、太田さんが病院に入ろうとすると、全社連から派遣した十人くらいの人がピケを張って阻止する。太田さんが診断をして薬局にカルテを回すと、太田さんはここのお医者さんでないから薬を出すのはけしからん、こういうことのみにいま追われておって、肝心な医師の対策なり看護婦の対策なり、そういうことがとられていないというところに私は問題があると思うのです。したがって、この際、私は、いま言われたように、経営上やむを得ないから解雇するということはどうしても納得できないし、いわゆる労務管理の不手ぎわがこういうことを引き起こしたのだということを考えて、その上に立っての対策というものをこの際立て直していく必要があるんではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
○参考人(曽我梶松君) これは柳岡さん御承知のことと思いますが、松籟荘は早くから労働組合ができまして、労働運動には相当ベテランがそろっているのであります。ことに太田さんはそのほうの特になんでありますが、それだけに、松籟荘における労働組合は相当特色のある活動をやっておるわけです。私どものほうに委託がえになります前から特別の労働協約というものがありまして、いろいろ給与についても、他の六十五の社会保障病院と違いまして、相当給与の面などにも、収支とか採算とかを度外視された労働協約ができておるのでございます。したがって、すでに昨年の初めまでにも、あの松籟荘においては二千万円に及ぶ赤字を持って、非常に経営が苦しい状況であります。であるにもかかわらず、さらにこの二年もさかのぼって給与調整というようなことで、さらに数千万円の負担をしなければならなくなったというふうな話を病院当局といたしておるのでございまして、病院の経営というものは非常に苦しい状況になっておるのでございます。そこで、これを何とか立て直さなくては、独立採算制をとっておる病院としては、もはや継続をしていくのが非常に苦しい状況になっておったので、そこで委員長もかわり、あるいは事務長もかわって、これらの経営を立て直すという方面に努力をしていくことについて、いろいろ労働組合の協力を願って団交をしておったのでありますが、ただいま御指摘の一時金につきましての団交拒否というような問題につきましては、お話のとおり、地労委の裁定においても、団交を継続せよという裁定が下ったわけでありますが、これは実は年度末の一時金の支給日というものが、全社連のほうの全体の施設では日がきまっておるのであります。年末を控えて一時金が必要であるというような時期に、ちゃんとその支給を全体を一様にするということになっておりますので、組合員のほうの方々は、これはその点についての承知をしておられて、おそくなってもいいというお考えはあるでしょうけれども、非組合員等については、やはり年末は一時金が必要なんで、そこでいつまでもその一時金の団交が続いて決定をしないということは、非組合員その他の人々については困りますので、この団交を打ち切って、そうしてこの支給日に支給をした、こういうような特殊の事情があるのでありまして、この点は一般の団交を拒否したということでなくして、一時金についての団交を打ち切りましたのはそういう特殊の事情があったわけであります。ただいまお話のありました、労務管理についての無能というようなお話もございましたのでありますが、ただいま申し上げましたように、特殊の病院のまあ特色ある労働運動をやっておるというような関係から、あるいは六十五の施設で実施をしております就業規則も、松籟荘ではいまだに守られておりません。したがって、就業時間につきましても、他の六十五施設においては、原則といたしまして四十四時間であるのにかかわらず、松籟荘では四十一時間というような関係もありまして、経営はますます困難になっていくばかりでありますので、何とかこれを立て直したいと、こういう考えから協力を求めて、いろいろ就業規則の制定であるとか、その他の規則の制定等についても協力を求めておるのでありますが、これらについては全社連の一方的な制定であるから、これに従う必要はないと、あるいは、また、病院の経営が苦しいとか赤字であるとかいうようなことは、これは経営者の責任であるから、労働者としてはそういう責任は全然負わない、要求すべきものは要求するのだ、こういうような主張を平素からしておったのでありますので、こういう状況でありますというと、なかなか病院の経営を正常化するということはむずかしい状況にありますので、それを私どもとしては正常に立て直したいということで、平素労働組合のほうといろいろ折衝をしておるのであります。松籟荘のほうだけでは、なかなか以上のような状況で、もはや解決の状況が相当困難になっておりますので、中央のほうへ引き取りまして、中央で労連のほうと話し合って、そうして松籟荘の立て直しを計画しよう、話し合おうというので、ことしの初めから三回にわたっていろいろ松籟荘の立て直しについても労連と話し合ったのでありますが、これらにつきましても、太田さんの意見は、赤字経営とか、あるいはそういう就業規則とかいうのは全く全社連の一方的な押しつけであり、あるいは、赤字は全社連の責任であるから、われわれの知ったことじゃないというような態度が改めていただけないので、ますますこの松籟荘の経営というのは苦しい状況になってきておるのであります。 以上のような状況でありますが、そこへもってきて六名の常勤のお医者さんが全部辞職をして、そうした復職をしてもらえないということになりますというと、医局の再建ということはほとんど望めない、ほとんど壊滅状態であるというようなことで、患者もだんだん退所いたしましたり減ってきまして、ただいまは公称ベッド五百五十の半分にも足らないような状況で、ますます苦しい状況になっておるのでありますが、この状況を立て直しますのには、どうしても医局を一日も早く立て直しをしなければならぬというので、私どもそのほうへ全力を注いでおるのであります。その立て直しをいたしますについては、外部のほうと折衝いたしましても、太田さんがおられては行き手はないというような状況で、すぐにもかわりをよこしていただきたいというので、太田さんがお引きになりますと、すぐかわりの常勤のお医者さんを一人よこしていただいて診療に従事しておるのであります。現在の患者数から申しますと、常勤のお医者さんは少ないのでありますが、患者数に比べてのお医者さんの数や看護婦の数は決して足らないという状況ではないのであります。しかし、もとの五百五十というものに対しては非常に不足をいたしますので、これらは、私は、この紛争が解決いたしますれば診療に差しつかえない、十分安心して診療ができるような医局を再建し得る見通しは持っておるのでありますが、しかしながら、八月二十一日に太田さんの解雇を通告いたしましてから後、太田さんとしても、おれはまだここの職員だというので、病院のほうへ始終来られておるような模様でありますが、しかし、私どものほうとしては、一応もう解雇をしたわけでありますから、職員でない人の診療は拒否をしなければならぬ、これはもう病院長といたしまして、診療機関の長といたしまして、当然の措置としてとっておるのであります。 それから、いまの太田さんに対しては、なるほど長い間あそこに勤務をしていただいておったのでありまして、患者の信頼も相当厚いものがあります。しかしながら、これは特殊の太田さんが受け持っておられる病棟のある部分のお方々の何でありまして、太田さんに対するほとんど信仰にも近いような信頼を持っておられるようでありますが、これらの人も、最初は新たに来られた土屋先生の診療を拒否するとか、あるいは診療、回診の時間にはおられないとかいうふうな状況もありました。現在では、もう旭光寮にいたしましても、あるいは赤城寮にいたしましても榛名寮にしても、ほとんど大部分の患者さんがその事情を了解して診療を受けるというような状況になっております。 それから、また、太田さんの処方についてのお話もございましたが、これらも、土屋先生が一応診療して、現在の状況から見て、太田先生の診断に基づく処方と同じような薬でいいと認めたものにつきましては、太田さんの処方に基づいた薬と同様のものを支給するというように話をして了解をさして、次第に新しいお医者さんの診療に信頼をするという状況になっておりますので、太田先生をいま医者不足の場合に解雇するということは、これは私どもとしても残念に思いますが、しかし、今後の医局再建のためには、これはやはりやむを得ず太田先生にやめていただかないと、あとの再建のために、より多くの医者を得るためにこれは必要な措置としてとったわけであります。
○柳岡秋夫君 労働者が労働組合を組織して、そしてみずからの生活と権利を守っていく、これは法で認められた、憲法に規定された当然の権利なんです。その労働組合が経営者と団体交渉し、あるいは、時には実力行使もかまいません。で、これは決して太田さんが個人で独裁的にこういうことをやっているのではないのです。これは私からいまさら申し上げるまでもなく、労働組合ほど民主的なところはないといわれておるのですね。みんなの意見を出し合って、みんなできめて、みんなでそれを実行していくというのが労働組合の組織の原則であり、また、日本の現在の労働組合のあり方だろうと思うのです。そういう中で太田さんが矢面に立つというのは、これた太田さんがあるときは委員長であったし、また、現在も健保労連の委員長という立場にあるからこれはそういうことになると思うのですよ。それを、その矢面に立った太田さんを首を切るということは、これはいわゆる労働組合そのものに対する私は弾圧と申しますか、いわゆる不当な支配介入だ、いわゆる労働法第七条ですか、にきめられておる不当労働行為に私は当たるのではないかと、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
○参考人(曽我梶松君) 私どもといたしましては、太田さんが労連の委員長としてのとられた行動、これに対しての理由で太田さんの解雇とか、あるいは配置転換ということは全然考えておりません。お話のとおり、労働組合は最も民主的な運営をすべき機関であり、また、されておると思います。これらと話し合いをして健全な病院の運営をするということについては、私どもは決してやぶさかでないのであります。団交もそのためにやるのなら、もういつでも、何回でもやるように指導もし、また、私ども自身としてもやっていくつもりであります。しかしながら、病院も一種の事業であり、経営を必要とするのでありますれば、この経営上から考えて、経営のために非常にためにならない、あるいは経営を阻害するというような点になりますと、これは病院全体から考えて、やむを得ずこの人の解雇というようなことにならざるを得ぬのであります。今回の理由も、先ほどから申し上げましたように、医局の再建ということ、松籟荘の再建ということが直接最も重要なことであり、ここに常勤の医師を得るということが喫緊の急務であります以上、そのために太田先生の御退陣を願う、こういうことをやむを得ずとった次第であります。これは太田さんが委員長であるとか、あるいは労働組合のリーダーであるという点は毛頭私どもは考えてやった筋ではないのでありまして、この点はひとつ御了承を願いたいと思います。
○柳岡秋夫君 先ほどから経営のためと、こういうのですが、この松籟荘が何千万かの赤字だということは、私は、組合が特殊な組合だから赤字になるということではないと思うんですよ。もっと基本的に、この結核患者を収容している専門病院としての宿命的な採算の問題があると思うんです。それが一つ。それから、患者さんを、五百のベッドの中で二百五、六十しか置いてないということは、回転率の悪い患者さんをあまり入れると、かえって赤字がふえるということで、先般申し上げたように、なかなか患者を、入りたいという人があっても入れないと、こういうことがやはり一つのまた原因であろうと思うんです。それから、先ほどの話ですと、労働者が協力をしない、働かないから赤字が出ると、こういうこともちょっと耳にしたのですが、これも私はおかしいと思うんですよ。これはちゃんと就業規則なり、あるいは就業規則にかわる労働協約というものが労使の団交できめられて、そのとおりに、私もちょいちょい松籟荘に行きますけれども、みんな一生懸命にやっている。ですから、この赤字になる原因というものは、私は、労働組合にあるという言い方、そういう感じを与え、印象を与えるような言い方は、私はちょっと納得ができないのです。やはり経営参加ということで労働組合が経営に参加しておるなら、この経営に対して労働組合も責任を持つことがあるかもしれませんけれども、現在経営の責任はあくまでも経営者にある、全社連にあると思うのですよ。労働組合にはないわけです。労働者は、みずからの生活と権利を守るために要求もし、そして、たまにはストライキもやっている、これは当然のことです。そのことをもって労働組合はけしからぬということでは、私たちはこの首切りの理由というものがどうしても納得がいかない。これは理事長さんは、経営上やむを得ず、労働組合の幹部だから首を切ったのではないと、こう言われますけれども、しかし、いままでのお話を聞いておりますと、みずからの責任をこの解雇ということに転嫁をして、そしてやっていく、そういう感じを私は受けざるを得ないのです。ですから、何とか——時間がないのであまり多くは申しませんが、この際、私は、この解決のためには、やはり太田さんの解雇を取り消して、そして、もっと病院の経営について真剣に労働組合と話し合いをして、そういう誠意のある協力をする態勢ができるような積極的な方針を全社連としてはとっていくことが必要ではないかと思うのです。労働組合だって、これは何も自分の利己的な要求のみ掲げて、それをあくまでも貫くまでとことんまでやるのだ、病院なんかどうなってもいいのだ、あるいは患者がどうなってもいいのだという、こういう気持ちは私はないと思う。やはり患者さんをいかにして早くよくしてなおして、そうして患者さんのめんどうをみていくかというところに労働組合の人も常に考えていると思うのですよ。ですから、全社連のほうも、患者さんを安心させるためには一体どうしたらいいか。患者さんを安心させるいうことは、労働組合も同じ考えを持っているわけですね。患者さんを早く安心させたいという、全社連のほうも、方法は違うけれども、いま医局の確立をはかって患者さんに安心をさせたい、患者さんの安心を早く確立をしたいということは、一つの目的は同じなのですから、その目的に向かって、まるきりけんかをしたままの態勢でやっていくのではなくて、もっと歩み寄った形でその患者さんの安心を確立する方策というものが、この際、何かないものか、私はあるような気がするんですよ。その点、もっと労働組合の誠意のある協力の要請を、私は、この際、ぜひしていただきたいと思うのですが。
○参考人(曽我梶松君) 先ほどから私お答え申し上げました中で、ただいま柳岡さんの御指摘になりましたように、労働組合にその責任を転嫁するようなふうにお感じになられました点があったようでございますが、その点は、もしそういうふうにお感じになりましたら、決してそういうことでなくして、もう少し具体的に申し上げますと、たとえば、私のほうで給与規程というものがあります。基本給与は全体六十六の病院に共通した給与規程というものがある。ところが、松籟荘のほうにおきましては、これは全社連の一方的に制定したものだから、こんなもの従う必要ない、だから院長との間に話をすればいいというような考え方で、給与規程も守られないで、そうしてこれと違った給与の体系をやっていくというようなことになって、企業採算を度外視しても、要求するものは要求するというような点もございまして、相当経営が苦しくなってきた、支出が多くなって経営が苦しくなっているんだと、こう申し上げているのでありまして、その点、もしそういうふうにお感じになりましたら、これは私のほうは訂正して、そういう意味ではないんだということを申し上げておきたいと思うのです。 ただいま御指摘になりました、早く松籟荘を立て直すためにはどうしたらいいかと、こういう点については、私どもも一日も早く患者が安心して療養ができるようにする、結局再建するということにあるんだと、こう考えて、そのほうにできるだけ努力しておるのでありますが、これらについて、今後いかにして医局を再建するか、あるいは松籟荘を再建していくかというような点につきましては、労働組合と十分に話し合っていくつもりであります。
○柳岡秋夫君 給与が給与規程どおり守られていないと、こう言いますけれども、労働組合と院長なら院長の間で労働協約ができて、そのとおりやりますということになれば、協約が就業規則より優先するんですから、あたりまえなことなんです。そのことをもって赤字になったから組合けしからぬと、こういう論理の立て方は、私はきっと直してもらわなくちゃならぬと思うのです。で、時間がないので、最終的に全社連のほうに、こまかいことをここでお答えできないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、太田さんの解雇ということによる解決策でなくて、もっと別な解決策を検討する余地があるかどうか、この点だけひとつ簡明にお答え願いたいに思います。
○参考人(曽我梶松君) ただいまの御質問にお答えいたします。太田医師の解雇を撤回して、そうしてそれを撤回した状況において再建を検討するという考えはありません。太田さんの解雇を撤回するという考えはありません。 しかしながら、今後早急に太田医師の解雇後における紛争の終結、それから松籟荘の再建についてば、労働組合と十分に話し合ってやっていくつもりでございます。
○柳岡秋夫君 そう言われるとまた言いたくなるのですが、私は、まあ松籟荘も何回か行ってますけれども、全社連が自信をもって、太田さんを解雇すれば、あと万事うまくいくんだとよく言われておりますが、しかし、私の見るところでは決してそのようにはならない。かえって紛争を長引かせて、そうしてますます経営が困難になっていくというふうにしか受け取れないのですよ。 私は、それよりも、太田さんの解雇をこの際再検討して、そして、さらに労働組合とももっと協力して経営ができる方策を全社連として考えていく、そういうことのほうが私は松籟荘の再建のためには早道である。こういうふうに思っておりますので、ひとつそういう立場から、もう一度全社連として考え直してやっていただきたいということを強く要望しておきたい。
○林塩君 お話を聞いておりまして感じること卒直に申し上げたいと思いますが、病院の経営がうまくいかないということは、医療費問題もございます。いろんな問題がからんでくる問題、日本の医療政策の問題もございます。それで、そういうことも加味して、ただ松籟荘だけの問題で経営がうまくいかないというふうにお考えになって、どういういきさつか存じませんが、そういうことは全般的にお考えになるほうがいいのではないかと思います。 それから、ただ医局の方の問題だけでなくて、ただ医師だけが病院をどうかしているというような考え方は、ぜひ経営者としてお持ちいただかないようにお願いしたいと思います。患者を守って療養させているのは、医療労働者、ことに看護婦の問題というものは大きな問題でございます。ともすれば医師は経営者であって、そして、その他の者はそういうことに関係ないんだ、ただ労働をやっている労働問題だけをやっているというお考えがありますために、ときどき病院で、病院経営者が医師ばかりを非常に重要視なさいますために紛争が起こっておるということでございます。病院は医師だけがしているのでもございません。それから、また、それだけでなるものでもございません。患者さん自体の実態を見てみますと、やはりたまたま経営の関係やら、労働者のそういう将来がうまくいきますために労働組合というものが結成されて、そして運営がうまくいくためにしておるのでございますが、それはただ表面だけのそういうことでございまして、いわゆる生産の場におきますところの経営、労使関係ではないと思うのでございます。ですから、医療関係の労働者としては、医療をよくするための一つの形として出てくるのが病院の中の労働組合であろうと、私はそう考えますが、そうとしますと、経営者のほうで何かそういうことで階級をつけまして、医師だけ守ればいいんだ、医師だけ守っておれば、医師をたくさん入れておけばそれで病院経営が成り立つのだという考え方があるようでございまして、私はそういう意味で、経営々々とおっしゃいますものにつきまして、医療全般の中をもう一度考えまして、そしてお考えになる必要があります。単に松籟荘だけの問題ではないと思います。起こってくる問題は。もう少し松籟荘だけにしぼられないでお考えになっていただきたい、この際、医師だけが診療している、医師だけが経営をやっているという考えを改めませんと問題解決にならないのではないかということをひとつ申し上げたいと思います。
○参考人(曽我梶松君) ただいまのお話は、私どももさように存じております。看護態勢、あるいは医務局の関係全部がチーム・ワークとして非常に大切なことでありまして、決してお医者さんだけをどうというふうに考えておりませんのでございますが、現在の松籟荘の問題として最近起こりました事態として、常勤十名の医局のうちで、六人の方が連袂辞職をされたというごく最近の事例でありましたため、柳岡さんにお答えいたしましたのは、その医局を再建することが非常にいまの喫緊の急務であると、こう考えておると申し上げたのでございまして、私どもの全体の病院、診療所等の点につきましては、ただいまお説のとおり、看護態勢なり、あるいは医務局態勢なりも十分に尊重して、これらのチーム・ワークのもとに経営をしていく、こういうふうに考えております。
○委員長(藤田藤太郎君) 本件に対する審議は、本日はこの程度にしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤田藤太郎君) それでは休憩いたします。 午後一時十一分休憩 ————・———— 午後二時九分開会
○委員長(藤田藤太郎君) それではただいまから再開をいたします。 労働政務次官からごあいさつの発言がございますので、これを許します。
○説明員(始関伊平君) たいへんごあいさつがおくれまして恐縮に存じます。 私は、去る七月の下旬に労働政務次官に就任いたしました始関伊平でございます。元来、浅学非才でございます上に、労働省の仕事には不なれでございますが、今後、全力を尽くしまして任務の達成に遺憾なきを期してまいりたい所存でございます。 当委員会の委員各位の御協力と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。
○委員長(藤田藤太郎君) 労働問題に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。 公務員給与に関する件をまず議題といたします。
○柳岡秋夫君 人事院勧告が八月の十二日に出されましてからもう一ヵ月近くになるわけでございますが、現在、百六十万の公務員は、あの人事院勧告の中でさえ四月末現在で八・五%の民間労働者との格差がある、こういうことが言われているように、非常に現在の社会の中で低賃金で苦しい生活をしいられているわけです。したがって、一日も早くこの人事院勧告がどういうふうに実施をされるのかということが、その公務員労働者の待ちわびているところでございますけれども、これについて、まず増原長官にお聞きをしたいのですが、先月の人事院勧告が出されてから直後に、内閣委員会におきましてこの問題が論議をされ、そうしてその際に、まだ人事院勧告が出されたばかりで現在検討中である、こういうようなことが言われております。したがって、この一ヵ月近くになるこの中で、その検討の結果どういう結論が出ておるのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) 人事院勧告が出まして以来、他の委員会でも御答弁を申し上げたこともあるわけでございまするが、直ちに、私の立場は給与担当国務大臣として、事務当局は総理府の公務員室長以下の補佐を得まして検討をいたし、なお続けておる状態でございます。そうして、おおむね申し上げられますることは、人事院勧告の尊重をするということでございます。これは内容及び実施時期とも人事院勧告を尊重をしていくことがよろしいと考えておるわけでございます。したがいまして、実施時期を含めて人事院勧告が実施されまするように給与担当国務大臣としては努力をいたしたい、さように考えておる段階でございます。
○柳岡秋夫君 一ヵ月近くなる中で検討されて尊重をすると、こういうことだそうでございますが、その尊重をするということが、これはいま初めて聞くことばではなくして、少なくとも過去四回にわたるこの問題の処理にあたっても、あるいは機会あるごとに総理大臣以下各担当大臣の言われてきたことばであると思います。したがって私はそういう尊重をするというようなことばでは、きょうは納得できないところでございまして、これが一ヵ月間の検討の中で、もっと前進ある具体的なひとつお答えをいただきたい、こういうふうに考えております。いかがでございますか。
○国務大臣(増原恵吉君) 御承知のように、この問題を結論を出しますることは、最終的には閣議にはかって決定をいたすのでございます。私一人で決定をすることのできる問題ではございません。その段階といたしまして、一応、給与担当国務大臣のほかに、労働大臣、大蔵大臣、自治大臣、総務長官、官房長官の六人でよく協議検討をいたしまして、その検討に基づいて案をつくり、これを閣議にかけて決定をいたしたいということを閣議の席上ではかって、その方法をきめたわけでございます。なるべく早くこの六人委員会を開きたいと思いまして、先月中にもそのことを考えたわけでございまするが、ちょうど総務長官が沖繩のほうへ参る要務がありましたために、本月一日を予定をして六人委員会を開きたいという内定をいたしたのでございましたが、IMF関係その他差し迫る要務のために、大蔵大臣がしばらくこれを延ばしてもらいたいという要請がありまして、実はまだ六人委員会を開会できない状態でございます。労働大臣がジュネーブのほうへ出張をいたしておりまするので、現在のところ労働大臣の帰朝を待ちまして、なるべくすみやかに六人委員会を開きまして、一度で相談が終わらない場合もあると考えておりまするが、その場合は続いて六人委員会を開きまして、なるべく早く六人委員会としての結論を出し、これを閣議にはかって決定をいたしたい、こういうことでまだ結論を得るに至っておらないのが実情でございます。
○柳岡秋夫君 人事院勧告が出された直後、報道機関は九月の、大体、政府の決定は八日か九日ごろになるだろう、こういうことを言われておった。さらにその後若干延びて、九月の中旬ごろになるかもしれぬ、ところが最近になって九月の下旬だ、こうだんだん延びてきているのですね。IMFですか、これの総会とか、あるいはILOに労働大臣が出ていく、こういう問題は前からわかっていることです。したがって、当然、あの当時、九月の初めころ政府としての態度を決定するということが官房長官かだれかの発言の中にあったと思うのですが、そういうことであれば、この一ヵ月近くなった現在では、おそらく担当大臣として、この問題に対する担当大臣としての検討もすでに終わって、そうしてそれぞれ相談をする資料等もでき、大臣としての明快な意見も、もうすでに固まってきたところではないか、こういうふうに私はいままでの経過からして考えられるわけでございますが、全然、いわゆる直接の責任大臣としてこの問題に対するそういう結論というものがまだないわけですか。
○国務大臣(増原恵吉君) 給与担当国務大臣といたしましては、申し上げましたとおり、当初からも申し上げておりましたが、現在の段階においては、人事院勧告を尊重をし、実施時期をも含めてこれを尊重をする、したがってそのための努力をするという考えでおります。しかし、そのことは申し上げたように、給与担当国務大臣一人で決定をすることのできるものではございませんので、六人委員会にはかり、閣議の決定を経なければならない、こういうことになるわけでございます。
○柳岡秋夫君 百六十万公務員の生活がどうなるかということを、直接にそれら公務員の利益を保護する担当の大臣として、これは当然、六人委員会なりで話し合われるにしても、積極的に大臣がその中でどう発言をされるか、そのことは私は非常に人事院勧告の実施について影響が大きいと思うのですね。したがって、ほかの大臣は、まあ労働大臣にはあとでお聞きしますけれども、それぞれ要務のために行かれておって十分な検討の資料もまだ見ていないということであれば、それなりに理解できるのですけれども、大臣としてはもうすでに一カ月の間、それぞれの担当者に命じてこの勧告をどういうふうに取り扱うかということは検討してきたわけですから、もうすでにそれぞれの結論というものは固まってきたと、こういうふうに私は思うのでございますけれども、いまの尊重をするということばでは、先ほど申し上げましたように、いままでと何ら前進をしておらない、こういうふうに思えます。過去何回か尊重すると言っても、実際は十月の実施ということが現実の姿になってきておるわけですから、したがって、具体的に長官として現在言えないのか言えるのか、その辺はっきりしてもらいたい。
○国務大臣(増原恵吉君) 私の本日御答弁申し上げることのできるのは、先ほどから繰り返しておりまするように給与担当国務大臣としては人事院勧告を尊重する、実施時期を含めて。したがって、その方向で努力をするという考えでおるということでございます。申し上げるまでもありませんが、私は人事院勧告の国家公務員についての担当でございます。これをとめまする場合には、申すまでもなく地方公務員等もおおむねこれに準ずるという決定をおそらくしなければならぬものと思うのであります。これは自治大臣の責任において考えてもらわなければならないことでございます。財源の問題は私がこれを決定をする職能でないわけでございます。大蔵大臣が財源を提供をしてくれるという責任を持つわけでございます。労働大臣は労働大臣として、一般民間給与との関係その他を考えてもらうということになりましょう。官房長官、総務長官、事務的にはこの問題は総理府に属するわけでございます。そういうそれぞれの立場で意見を持ち寄って決定をしなければならぬ問題でございます。給与担当国務大臣としては、繰り返して申し上げまするが、実施時期を含めて人事院勧告を尊重する、その方向で努力をいたすということでございます。
○柳岡秋夫君 重ねて確認をしておきたいのですが、尊重をするということは、いわゆる実施時期については五月一日、それから金額についても七・九%アップ。これについてそのとおりやっていくと、そういうために努力していく、こういうことでございますか。
○国務大臣(増原恵吉君) そのとおりでございます。
○柳岡秋夫君 労働大臣がおられませんが、労働省として、この全般的な賃金、労働者の賃金、あるいは社会の生活水準、その他いろいろ判断をして今回の人事院勧告についてどのように検討をされており、また労働省としての御見解かできておるか、どうかその辺をひとつ。
○説明員(始関伊平君) 公務員の給与につきましては、民間における給与水準と比べまして、これに下らざると申しますか、均衡のとれた賃金であるべきであるというのがたてまえであると存じております。しかして、どの水準をもって民間との給与とつり合いがとれておるかということにつきましては大体、人事院の見解によるというのが現在のたてまえであると存じております。なお、労働省にはいろいろとその方面に関係のある資料もございますので、その方面からの資料なり見解なりが必要でございますれば、労政局長から申し上げたいと存じますが。したがいまして、私どもといたしましても、この人事院勧告の趣旨が政府全体として尊重せられた形において、すみやかに実現せられることを期待し、また、そのために努力をいたしたい、これが労働省の立場でございます。
○柳岡秋夫君 人事院総裁にお伺いしますが、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、勧告が出されてからすでに一ヵ月近くなるわけです。この間、政府としては、いま大臣の言われたように、検討はしているようでございますが、いまだにその結論が出ない。しかも、それぞれの関係から今月下旬ごろに閣議の決定になる、まあこういうことで、人事院として勧告をした中におきましても、八・五%の民間との格差がすでに四月にある、それなのにこの九月になってもまだそういう格差の中で生活をしなければならない百六十万の公務員の立場を考えますときに、私も非常に遺憾に思うのですけれども、人事院総裁として、この政府の、まあ私どもから言わせれば誠意のない現在の態度について、どういうふうにお考えになっているか。
○説明員(佐藤達夫君) 率直に私どもの希望を申し上げさせていただけるならば、八月十二日に勧告をいたしたのでありますが、すぐ間髪を入れずに臨時国会を召集していただいて、そこでひとつ給与法を上げていただくというのが私どものほんとうの理想でございます。しかし、これはまあいろいろ御都合はございましょうから、そうわがままなことは申し上げられないかもしれませんけれども、そのくらいの意気込みで、少なくとも方針は早くきめていただきたい。私どもはその日その日どうなることかと、手に汗握って見守っているわけでございます。ぜひひとつなるべく早い段階に結論を示していただき、公務員諸君もしかり、私ども人事院もしかり、早く安心をさせていただきたい、こういう気持ちでおります。
○柳岡秋夫君 この人事院勧告が出されましてから、人事院として、今度の勧告の中にもありますように、相当容易ならざる一つの決意を持って今回勧告を出されたということも、この前文でうかがえるわけでございますが、そういう中でこの一カ月間、政府に対してどういう働きかけをなされておりますか。
○説明員(佐藤達夫君) 一口に申し上げれば、できるだけのあらゆる努力をやっておりますということになります。一つ一つ何月何日にだれに会ってということを申し上げるのにむしろ手間取るぐらいに、実際は私はできるだけのことをやっておるつもりであります。まあ典型的なことを一つ申し上げさせていただきますと、例年この勧告は、まあ政府に対する場合においては、総理大臣の手元にもちろん出しておりますけれども、総裁自身が直接総理にお目にかかって、そして勧告をお渡しし、かつその趣旨を詳しく御説明する機会は実はなかったのであります。ことしは、いまお示しのようなこともありますし、いろいろ切実なわれわれとしては立場に立っておりますからして、ぜひひとつ時間をさいてお会いいただきたいということで、二十分以上、ほんとうにひざを交えて要望申し上げたのであります。そのほか、ここに給与担当の大臣もおられますから、いまなら大臣も証明してくださるわけであります。その他関係のあらゆる大臣に対しては御要望を申し上げ、お願いを申し上げ、なおその努力は今日続けている次第でございます。
○柳岡秋夫君 そういうふうに人事院にしても、あるいは公務員にしても、生活を守るという立場から非常に強いいま政府に対する要請が出ているわけですね。これに対して政府は、IMFとか、あるいはILOに行かなくちゃならぬとか、そういう形で労働者の生活を無視をしているということは私は許せないことじゃないかと思うのです。少なくともいま人事院総裁が言われたように、直ちに臨時国会を開くような気がまえを持って、この人事院勧告に対する態度をきめるということが私は使用者としての国の、いわゆる政府の責任であろう、こういうふうに思うんですが、その点、長官はどういうふうにお考えになって、この九月末まで延ばそうとしておるのか、公務員の実際の生活をどういうふうにお考えになっておられるか、この辺をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(増原恵吉君) 政府としても特にわけもなく決定を延ばそうという意思は全然持っておりません。申し上げたような事情で、まだ、ただいままで決定に至っておりませんが、現在の状態においても、たとえば労働大臣のいない六人委員会が五人委員会になるわけですが、そういうところで協議をすることを私は適当と考えませんので、少々おくれましても労働大臣の帰ってまいりましたところで六人委員会を開くことが私は適当であると考えまするので、留守中に急いで取り運ぶということはむしろ適当でないというふうに考えております。しかし、労働大臣が帰ってまいりますれば、できるだけ早く事を運ぶというふうにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 私の言いたいのは、労働大臣が日本を離れたのは九月の四、五日でしょう。それから臼井長官が沖繩に若干行かれましたけれども、八月の十二日に出されて、この八月一ぱいはまだIMF総会も始まっていない、そういう段階ですから、私は政府にほんとうに誠意があれば、その期間に六人委員会が開かれてしかるべきじゃなかったかと思うんですが、それが一回も開かれないというところに私は政府の人事院勧告に対する、公務員の生活に対する誠意が欠けている、こういうことを言いたいわけなんです。なぜ八月中に六人委員会というものが開かれなかったのか、もう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) たいへんそういうところは事務的なことを申し上げるようで恐縮ですが、出まして、いきなりきめるという態勢にはなかなか政府としてもなりがたかったのでございます。もとより若干の日時をかけて、それぞれの立場において関係の大臣なり長官なりで検討をもちろんするわけでございます。その間に総務長官が沖繩に出張をするということになり、そこで一日、六人委員会開催という段取りをきめておりましたが、大蔵大臣の都合で一日を延ばしてもらいたいということになって、引き続き労働大臣がジュネーブに出張をしたということで、たいへん残念でございまするが、いままで六人委員会が開けていないという事情でございます。申し上げたように、ここでわざわざ日を延ばすという必要は政府としても考えておりません。しかし、いろいろの検討その他が熟さないうちに、急いでこれを取りきめることがいい結果を必ずもたらすとは私考えませんので、ただ決定の日時を急ぐという考え方を私もとっておらないのでございます。いい結果を得たいというのが給与担当国務大臣としてのいまの考え方でございます。しかし、ただ日をおくらせばいいというわけでもちろんありませんから、労働大臣が帰ってまいりますれば、取り急ぎ六人委員会を開き、早く望ましい結論をひとつ出したい、こういうふうに考えるわけでございます。
○柳岡秋夫君 私はいまさら、ことしこの人事院勧告が出たからさらに検討してというようなことはもう要らないじゃないかと思うのですよ。毎年々々、政府は人事院勧告を尊重します、こういうふうにはっきり言っているのですから、その尊重するということばをそのまま具体化してやればいいじゃないですか。それをやらないというところにこの人事院勧告の私は性格と申しますか、拘束力の点について疑問を持たざるを得ないのですね。人事院勧告がどういうものであるかということについて、私からいまさら申し上げるまでもないと思います。これは公務員法の規定をされて、公務員労働者が労働三権を奪われて、その代償として人事院が公務員の生活を守り、いわば利益を保護していく、そういうための一つとしてその給与の勧告がなされておるわけです。したがって、当然、私はこれは法律上明らかになっておりませんけれども、相当な拘束力を私は持って政府に措置をなさしめる、そういうものでなければならない、こういうふうに思うのですね。たとえば公共企業体労働者、あるいは公労法上一応そういう協定が結ばれますれば、その協定あるいは仲裁裁定というものは労使双方を拘束する、こういうことははっきりされておるわけです。同じ政府関係機関に働く労働者が、一方ではそういう法的な違いを持っており、両者にそういう違いがあるということは、私は現実問題としてちょっとおかしいと思う。少なくとも公共企業体労働者がそういう形になっておれば、この勧告もそういう意味合いにおいて政府がこれに対処していく、こういうやはり誠意のある態度がなければ私はいかぬのではないか、こういうふうに思うのですが、公労法上の労働者と国家公務員労働者とに、こういう差を与えておるということは、一体どういうところにあるのか、理由は一体どういうところにあるのか、それをまず明らかにしていただきたいと思う。これは労働省ですか、どちらでもけっこうです。
○説明員(佐藤達夫君) ごもっともな御指摘だと思います。私どももかねがねそういう点を念頭に置いて考えてはおったわけでありますが、ただこの公労法の場合における公労委の仲裁裁定と人事院の勧告との法的の扱い方の違いといたしまして、私どもの気づきますことは、確かにお話のように公労委の仲裁裁定は政府及びその他の当事者を拘束することになっております。ところが人事院の給与勧告についてはそのことが明文が出ておらない、これが第一点だと思います。これはしかし、先ほどお触れになりましたように、この国家公務員法の本質、精神あるいは人事院の使命ということから申しまして、法律的に拘束力は政府に対してはないかもしれません。実質的には当然これはそのまま尊重されるべきものだという要請そのものが、この国家公務員法の趣旨の中に私は当然あらわれていると思うのであります。したがって、法の形式においては違いがありますけれども、本質においてはたいして違いがない。そこで第二段として、これは多少法律的なお話になって恐縮ですけれども、公労委の仲裁裁定よりも人事院の勧告のほうが強くなっているのは、これは人事院の場合には国会に対して直接御勧告申し上げることが許されているわけであります。もちろん政府に対しても勧告はいたしますけれども、私のほうとしては、まあ最高機関である国会に対する御勧告の権能を認められたということは非常に大きな——勧告権を尊重していただいた大きな一つのあらわれであると思います。したがいまして、そういう意味を勘案して、この公労法の場合と国家公務員法の場合と比べてみますというと大差はないというふうに考えます。公労委の場合におきましても、予算上資金上支出不能の場合は国会のごやっかいになる。これは第二段としてごやっかいになるわけであります。公務員法の場合は、内閣にも勧告いたしますが、あわせて直接国会に対して御勧告申し上げることになっております。いずれにせよ、最後は国会によって的確に結論をお示しいただいて、そこでけりをつけられる。国会は法律案の修正権はもちろん、予算の増額修正権もお持ちなんです。政府原案のいかんにかかわらず、国会がおきめになるところによって本ぎまりになるわけであります。この、国会に直接勧告申し上げるというところを見ましても、われわれは、国家公務員法が人事院の勧告に対し重大な意義を認めておるものと考えます。その意味で今日もここへまかり出まして、いろいろまた諸先生にその辺のところをいろいろお願いしたいと思っているわけであります。
○柳岡秋夫君 いま人事院総裁が言われたように、法的には、いわゆる文章上にははっきりした違いはあるのだけれども、しかし実質的には変わりはないと思う、こういうことだと思うんですね。したがって、政府としてはそういう立場からすれば、当然、公労法上の仲裁裁定なり、あるいはその他の協定と同じように、これはすでに公共企業体労働者に対しては裁定の実施なんかもすでに五年くらい前からやっているわけですから、したがって、そういう立場をこの際はっきり打ち出すということが私は必要ではないかと思うんですね。ところが、公労法上の労働者は団結権、団体交渉権は一応認められておる。しかし、公務員の場合は団結権すら満足なものではないわけです。いわんや団交権あるいはストライキ権というものはすべて規制されているわけでございますから、こういう公労法上の労働者より以上の大きな制約を受けている労働者のいわゆる利益の保護という立場に立てば、私はこの公労法の適用労働者に対する以上の政府のやはり誠意ある対処のしかたというものを早く打ち出さなければいかぬ、こういうふうに思うんです。この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(増原恵吉君) 人事院の勧告を尊重すべきものと考えることは、繰り返して申し上げておるとおりでございます。したがいまして、給与担当国務大臣として勧告実施時期を含めてこれを尊重をしてまいる、そのために努力をするということを繰り返して申し上げておるわけでございます。しかし、この事柄で、ここで直ちにさように決定をいたしますという職責上の分担を持っておらぬわけでございます。これはしかし、政府といたしましては尊重のたてまえでおることは総理も申し上げておることでございますが、そのとおり実施をいたしますと言い切れないものを持っておることもこれは事実でございまして、これはまず六人委員会で協議をし、閣議の決定を経なければ最後の決定を申し上げるわけには残念ながらまいらぬわけでございます。しかし、給与担当国務大臣としてはあくまでも勧告を尊重していく、その実現に努力をいたしますということを繰り返して申し上げておきたいと思います。
○柳岡秋夫君 政府がそういうことばどおり、いわゆる人事院勧告を尊重するということ、そのものずばりであれば、私どもこうやって国会の委員会なりその他でただす必要はないわけです。ところが、新聞なりあるいはその他の耳にするところによると、財源が非常にことしは窮屈である、したがって、せいぜい繰り上げても一ヵ月くらいだと、こういうようなことを私ども聞くから、どうしても、いま長官がいかに尊重すると言われてもなかなか信用できない点があるわけです。それで、この勧告についていま言った財源との関係ですね、私は勧告自体の内容についてはもうすでに内閣委員会あるいはその他でやられておりますので、内容については質問をいいたすつもりはございません。ただ財源の問題について、財源がことしは非常に窮屈であるからできないんだという、こういうことばについて大臣としてはどういう御見解をお持ちですか。
○国務大臣(増原恵吉君) 財源が窮屈であるという意味合いの認識を私も持っておりますけれども、その点についての具体的な話し合いが肝心でございます、検討と話し合いが。これは六人委員会を開きまして、その点を進めていくつもりでございます。 現在のところその点について所見を申し述べることはまだ困難でございます。
○柳岡秋夫君 財源の問題から国政全般を考えて、この人事院勧告にも対処していかなければならないのだということを前に言われておるわけでございますけれども、私は百六十何万という大きな数にのぼる公務員の生活が、そういう何か抽象的なことばで生活が抑圧されてはならない、こういうふうに思います。もちろん人事院として、お聞きしたいのは、人事院が勧告を出す場合には、これはどういうことかわかりませんけれども、そういういわゆる公務員の給与のあり方というものについても十分検討した上でこの勧告が出されていると私は思うのです。公務員給与は一体どうあるべきか、これはいろいろな要素があると思います。そういうあらゆる要素を勘案した上での勧告が出されたと思います。その点そうであれば、政府としては国政全般の立場から財源がどうのこうのということは、私はそういうことは言うべきものではない、人事院勧告自体がそういういろいろな要素を勘案しての勧告であれば、当然そのまま受け入れてもいいんじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、人事院総裁は、勧告を出す際に、そういう政府がいま言われたようなことを含めまして、勧告の内容をきめる際に、先ほど申しましたように国民全体の立場に立って勧告案ができたと私は考えるわけですが、その点はいかがですか。
○説明員(佐藤達夫君) 根本の趣旨においては私どものとっております態度はいまおっしゃるとおりだと思います。ただ、私どもとしては、公務員としてどれだけの給与を得れば公務員らしい生活ができるかということに、その一点に集中して理想的な給与をつくり上げるということが一番私は望ましいことと思います。ところが、まあこれは現在の国家公務員法のたてまえは、現在のやはり日本の置かれておる経済事情その他に立脚してのものだと思いますが、民間給与との比較というようなことを一つの大きな柱に置いておるわけです。したがいまして、私どもとしてはいろいろ理想はあるわけでありますけれども、現実には御承知のように、従来、四月現在で民間の給与とそれから公務員給与とを調べまして、それを総合比較した結果出た格差を、公務員給与で足りなければ埋めるというたてまえでやってきているわけであります。そういう意味では官民給与の格差というものに一応めどを置かざるを得ない立場にあるわけです。したがいまして、まだこれではほんとうは足りないんじゃないかという御批判は出得るのであります。しかし、現在のたてまえとして、これはこれで筋が立っておるということで、私としては従来どおり官民の格差を埋めるという立場でやっておるわけで、言いかえれば、ぎりぎりのところを御勧告申し上げておるということに尽きるわけです。その意味でひとつお取り扱いをいただきたいというのが私どもの願望であります。
○柳岡秋夫君 今度の勧告がそういう形でなされているということは当然だと思いますが、ただ官民の格差に重点を置いて、いわゆる実際の生計費等が従来の立場に置かれているような感じをこの勧告で受けるのですが、この点はどうしてこういうふうになったんですか。
○説明員(佐藤達夫君) これはしばしば御指摘をいただく問題でございますが、まあ詳しいことを申し上げるまでもないと思いますけれども、私どもの根本の考え方は、やはりただいま申しました民間の給与というものが一番の直接の手がかりとして適当である、理屈を言えば、その民間の給与の中にはおのずから物価も織り込まれておるであろうし、あるいは生計費も織り込まれておるであろうというようなことで、直接の手がかりとしては民間の給与をとらえてやる。しかしながら生活費——標準生計費というものも全然無視はできませんから、したがいまして、その高校卒の初任給——十八歳の人の初任給をきめる場合におきましては、裏づけの一つのささえとして独身男子の標準生計費というものを別に算出いたしまして、それと比べてそれを下回るようであってはならないということのささえにそれを使いました。したがいまして、今回の勧告もそのささえによって少し上に上がっておるというような面がございます。
○柳岡秋夫君 非常に苦労をされて出された勧告でございますが、私どもから言わせれば、この勧告もまだ不十分であり、また不満であると言わざるを得ないのですけれども、そういう不満なものでさえ政府がこれを勧告どおり実施しないというところに私は非常に問題があると思うのです。大臣の都合もございまして時間もないようでございますが、ひとつ、先ほど言われましたような、いわゆる尊重するということは、実施期日を含めてあの勧告どおりやるんだ、こういうことでやるということを、私は先ほど確認をしたのですが、もう一度そういう点をはっきりお答え願って、そうしてまたそのために、ひとつ大臣としては自分のポストを投げ打っても百六十万公務員の生活を守るんだという気概を持ってこの六人委員会なり、あるいは閣議の中に出るようにひとつ私は強く要求しておきたいと思います。
○国務大臣(増原恵吉君) 繰り返して恐縮ですが、給与担当国務大臣としては、人事院の勧告を実施時期を含めて尊重をいたしたいと思います。したがって、その方向で努力をいたします。財源については、当面、大蔵大臣に強く要求をするという立場で折衝をいたすつもりでございます。
○柳岡秋夫君 労働省も、大臣がおりませんけれども、ひとつ次官のほうから大臣のほうに強くそういう点を強調していただいて増原大臣は、何か頼みは石田労働大臣だけだと、こういうようなことを言っておるようでございます。したがって、石田労働大臣が相当な力を持っておるようでございますし、また、公労協のいわゆる仲裁裁定の完全実施も前の石田労働大臣時代に先べんを開いたわけでございますから、ひとつこの際、国家公務員の問題につきましても、石田労働大臣がひとつ六人委員会の中におきましても、いまの増原大臣の言われましたようなこととあわせまして、強力に主張すれば私は実現するものと確信をいたしますので、次官のほうから大臣のほうに強くひとつ伝えておいていただきたい、こういうふうに思います。
○説明員(始関伊平君) 労働省の立場はすでに御承知のとおりでございますし、石田大臣といたしましても、公務員給与の問題には非常な心配をいたしております。心配しながらジュネーブのほうに出かけたわけでございまして、きょうの増原長官の発言の趣旨、また柳岡委員の御要望の線は大臣に十分に伝えまして、極力善処をしてもらうように私からも申し上げることにいたしたいと思います。
○柳岡秋夫君 人事院総裁のほうにもひとつお願いをしておきたいのですが、私ども国会におきましてもこの問題につきましては政府当局に強く訴えかけをしていきたいと思いますが、勧告を出された当事者として、これが完全実施を強くさらにやっていただきたい、そうして人事院としての権威をひとつ確保していただきたい、こういうふうに思います。
○説明員(佐藤達夫君) お話を承るまでもなく、その覚悟で大いにやっております。また今後もやるつもりでございます。国会のほうもひとつよろしくお願いを申し上げます。
○委員長(藤田藤太郎君) 本件に対する本日の審議はこの程度にしたいと思いますが、よろしゅうございますか。——それでがきょうの本件の質疑は、本日はこの程度で終わります。 本日は、ほかに問題がなければ、これで散会をいたしたいと思います。 午後二時五十五分散会