外務委員会 第10号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1964/03/19
会議録
○委員長(黒川武雄君) それでは、これから外務委員会を開会いたします。 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。これより質疑に入ります。加藤君。
○加藤シヅエ君 本問題と少しそれるかもしれませんけれども、原子力研究所の争議とか役員人事問題とかがたびたび新聞紙上に出ておりまするけれども、その問題についての経過を、いまどういうふうになっておりますか、その辺の御説明をちょっと聞かしていただきたいと思います。
○説明員(梅沢邦臣君) おくれて参りましてまことに申しわけありません。原子力局長がただいま別の委員会に出ておりますので、私がかわってお答え申し上げます。 今般の原子力研究所の問題は去年の十月、JPDRの問題から引き起こりまして、それから大体年末までの間、特別の争議協定というものを結びまして、一応JPDRの米国からの日本への引き継ぎがなされたわけでございます。しかし、その間は——労働協定はその間ということで結ばれておりまして、その後全部の各論につきましての労働協定、これを結ぶということで、この三月の中旬に一応それが結ばれました。したがって、現在炉が一応順調に動かせるという形になりましたが、その間、経営その他の問題でもいろいろございまして、御承知のとおり、理事二名が先般御辞職になられました。それから理事長が一応辞表を出されたというふうに聞いておりますが、その後理事長が受け持って改善に努めておる次第でございます。
○加藤シヅエ君 もう少しくわしいその争議の理由、労働契約がどういうふうになっているかというような、そういうようなことをもう少し説明していただきたい。
○説明員(梅沢邦臣君) 十一月のときにGEのほうからもんちゃくが起こりましたときには、一応、ああいう労働関係の不安——ムードの不安でございますが、そういう関係ではまともに安全に動かせないかもしれないということで、急にストップをはかったわけでありますが、そのときの問題で起こりましたのは、結局、炉のストをやりますときに二十四時間前にできるだけ通告をしてくれということは前々から一応通常的に守られておりましたが、去年の半ばにそれが三十分前の通告というのが一件ございました。したがって、そういうことがGEに対して非常に不安を与えたのではないか。それで、現在、労働協定、先ほど申し上げました内容のおもなるものは、その二十四時間以内にストの通告をしてもらいたいということと、もう一つは、外の人を使う、いわばスキャッブ条項と申しますか、外の人間に運転させる問題、それからもう一つは、保安要員の確保、その三つの問題でこの間一応片づけたわけでございます。そのほかに、いわゆる超過勤務の問題、それから、いわゆる五班三交代といいますか、交代制の問題、これについてはそれぞれの協定が今年度一ぱい結ばれております。
○加藤シヅエ君 事前二十四時間前に通告をしないと何か危険があるとか、非常に設備その他に何か損害がかかるとか、それはどういうような理由で二十四時間ということなんですか。
○説明員(梅沢邦臣君) 一応炉を安全に動かします場合に、安定した、いわゆる臨界温度というところまで下げますのに、JPDRの場合ですと、二十四時間くらい、大体二十四時間のところまでいきますと、大体そこまで下がって、安全な状態で、あとは少数の保安要員で安全を保っていける。ただ、途中で、バーン・アップしておりましてちょうどその途中でストをかけられますと、そこまでちょっと温度を下げるのに、下げて安定なところまで持っていくのに非常に問題があるのじゃないか。したがって、こういう状況で絶対安全な炉を動かしていくという安全性という角度から考えますと、できるだけ二十四時間前に言っていただいたほうがいいという考え方でございます。
○加藤シヅエ君 それで、その二十四時間ということは、どういうふうに結末をつけたのですか。
○説明員(梅沢邦臣君) 今度の協定で二十四時間前に通告をするということに経営者と両方で結んでおります。
○加藤シヅエ君 それでは、理事の方が辞任をなさるというというのは、その責任問題というのは、どういうふうになってきたのでございますか。
○説明員(梅沢邦臣君) 私、実はあまりまあ人の問題で詳しくちょっと申し上げにくいのでございますけれども、結局、千六百人ぐらいの研究所が大きくなりまして、そうして、いままでのやり方としますと、日本がまあ相当おくれをとってから原子力を始めたわけでございます。その間には、なるべく研究実験用の炉をつくって、今後の独自の日本の研究を進める体制を整えるということで、非常に増強に三百五十億もいままでかけておりますが、それに力をかけてまいったわけでございます。したがって、人間の採り方その他においても相当苦労はしておりましたが、その間で、中の組織その他にはある程度自然発生的な組織をつくってしまった。あるいは中のいわゆる使命感といいますか、そういう使命感を下のほうから上のほうから全部がお持ちになって、それでスマートに動かす、こういう形に必ずしもなっていなかった、こういう考え方を経営者のほうもお持ちになったと思います。したがいまして、お二人の方が辞任されたというふうに私たちは解釈しております。これが局長おいでになればよくわかるのですが、ちょっときょう一応原子力委員会が、小委員会に原子力研究をめぐる諸問題ということを中曽根委員から資料を出せと言われておりまして、それできょうそれは出してございますが、それの中の内容から見ますと、そういう解釈になると思います。
○井上清一君 濃縮ウランとプルトニウムにつきまして、これまで購入する限度がきまっておったわけです。日本で一体どのくらいそういうものができるのかということと、これまで輸入、購入いたしました濃縮ウランなりプルトニウムの配分、どこへどのくらい行っているかという点について、概略伺いたいと思います。
○説明員(梅沢邦臣君) プルトニウムでございますか。
○井上清一君 プルトニウムとウランと両方。
○説明員(梅沢邦臣君) いま、三十八年度末までの予想で計算したのでございますが、それで見ますと、購入で一番大きく行なっておりますのが、先ほど申しましたJPDRの燃料、これが金額でいきますと約三・三億円、四・六トンそれが購入になっております。ウラン二三五で換算しておりますが、このウラン二三五で換算いたしますと、百二十キログラムでございます。
○井上清一君 百二十キログラムでございますか。そんなに多いのですか。単位が違うのじゃないか。
○説明員(梅沢邦臣君) 申しわけありません。七条のワク外で入れておりますのがウランの二三五として三百四十・三キログラム、これは全量でございます。それから純粋のプルトニウムとして百八十グラム、それからウランの二三三が四グラムでございます。それから天然ウランが一万一千百四十九キログラムになります。ただこれは英国の分が入っております。
○井上清一君 そうしますと、つまり第五条に基づくものと今度の現行協定の第七条に基づくもの、燃料として入手するものとの割合はどういうことになっておりますか。
○説明員(兼松武君) 御説明いたします。第五条では、研究用といたしまして、現在の協定にございますように、ウラン二三五について百グラム、ウラン二三三について十グラム、それからプルトニウムについて合計二百六十グラムになっております。それから、第七条におきましては、いろいろな原子炉の燃料供給のために、それに関連して必要な実験のために、ウランの燃料をその中に含まれるU二三五の数量につきまして、七条の場合は二千七百八キログラムまで入手し得ることになっておるわけでございます。 —————————————
○委員長(黒川武雄君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 当面の国際情勢について質疑を行ないたいと存じますが、大臣の出席は十一時四十五分まででございますから、質疑の時間は、先刻の理事会で協議の結果、答弁を含め、岡田委員二十五分、野坂委員十五分、曽祢委員十五分といたします。それでは順次御発言を願います。岡田委員。
○岡田宗司君 当面の日韓交渉の問題についてお伺いいたします。 農相会談が行なわれておりましたが、この農相会談でも、いままでのところ意見がまとまらないようにいわれております。赤城農相も新聞記者会見におきまして、両国の間の意見の相違がきわめて大きくてまとまることが困難であるという意味のことを言われておりますが、まずお伺いしたいのは、その農相会談において意見の相違がある、つまり専管水域の基線の引き方あるいはその他の問題について、大きな意見の食い逢いがあると思うのでございますけれども、その意見の食い違いがどういう点にあるか。すでに農相は意見の違いがあるということを言われておるんですから、これは意見の違いのあることははっきりしておるんですが、その意見の違いのある点をわれわれにお示し願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 専管水域の設定は、わがほうといたしましてもこれを認める立場でおりますが、その基線の引き方は、国際的な慣行を尊重してやりたいという態度で臨んでおるわけでございます。問題は、朝鮮海域の地理的条件につきまして、そういった基本的な考え方をどう具体化していくかということが問題でございまして、ただいままでのところ、双方の見解には相当の開きがあるというように承知いたしております。
○岡田宗司君 農相会談が行なわれておりまして、意見の開きがある。どういう点に意見の開きがあるかということは、これは外務大臣にも報告されておると思うのです。いま意見の開きについての具体的な点をお伺いしておるんですが、お答えにならないが、この専管水域のきめ方についての両国側の案というものは、地図にいたしまして、図面にいたしまして朝日新聞並びに朝日ジャーナル等にも発表されておるんでありますが、この朝日ジャーナルにあります専管水域のきめ方を見まするというと、まず済州島付近の水域のきめ方に非常に大きな相違がある。それは事実でございますか。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの段階で私から申し上げられますことは、済州島周辺における基線の引き方という点について相当の開きがあるということだけでございます。
○岡田宗司君 済州島付近の基線の引き方において意見の違いがあるということは、これは日本の漁業にとって重大な問題だと思う。たとえば済州島の北東側と北西側がことごとく、韓国側の案では、韓国の専管水域に入っております。こういたしますというと、日本の漁業というものは、この地方から完全に締め出されることになるのでありますが、これは日本側として認められないことは当然だと思うのでありますが、これらについて何か韓国側のほうで譲歩する可能性が見えておるんですか、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 漁業の専門家会談が長きにわたって開かれてまいりまして、真剣な討議が行なわれたのでございますが、昨年の夏ごろまでに、双方の大筋の理解としては、漁業問題の解決というものは国際慣行を尊重してやろうという点が一点、それから双方の漁業者が最大限の生産性を長きにわたって確保できるようなことで考えようという点が第二点、第三点といたしまして、漁業の実態、これまでの操業の実態というものをお互いに尊重しようじゃないかというような、大筋の理解におきましては大きな開きは私はなくなっておると思うのでございます。したがって、問題は、先ほど私が申し上げましたように、朝鮮海域の具体的な地理的な条件、そしていま岡田さんが言われたあの地域における漁業の実態というものにつきまして、そういった理解をどのように具体化するかという問題でございまして、先方におきましても、日本漁業のこれまでの操業の実態というものにつきましては考慮を払っておられると申し上げて差しつかえないと思います。
○岡田宗司君 どうも答弁がはっきりいたしませんから、さらに具体的にお答え願いたいと思うのでありますけれども、韓国が済州島付近を大きく基線の内に含めると同時に、なお韓国側の案によるB2区域あるいはB1区域というものがありますが、これは非常に対馬に接近しておるわけです。もし韓国側がこの案を固執するといたしまするならば、対馬周辺の日本の零細漁船の漁業というものは実際上できなくなってしまうおそれがあるのですが、これらの点について、政府は韓国側に対してどういう態度をもってお臨みになっておるのか。
○国務大臣(大平正芳君) 私どもといたしましては、国際慣行を尊重し、漁業の実態を尊重いたしまして双方の合意に達したいというように努力いたしておるわけでございます。ようやく交渉の現段階は、御指摘のように、具体的に海面に線を引いてみるという段階に来ておるわけでございまして、いろいろのくふうを両会談の当事者の間でいま始められたわけでございまして、私どもとしていま申し上げられることは、鋭意交渉を御促進いただきまして、円満に国際慣行が尊重され、漁業の実態が尊重されるようなぐあいに問題が解決されるように期待をいたしておるわけでございます。交渉は、そういう基本的な問題につきまして具体的な折衝が始まったばかりの段階でございます。
○岡田宗司君 いま具体的な折衝が始まったばかりということになると、いままでの専門家会談というものは何もしていなかったということなんですか。本来なら専門家会談でこういう具体的な問題を煮詰めて、その上で政治的な農相会談というようなものが行なわるべきであったにかかわりませず、全然専門家会談で煮詰まらないのに、これから農相会談でもって具体的なこういうこまかい問題まで一々やるというようなことは、どうも私どもにはふに落ちない。しかも、この会談における両案を見ますというと、農相自身も認められているようになかなかまとまらないということだと思う。私どもはこういうようなやり方に第一疑問を持つのでありますが、それはそれといたしまして、たとえば共同水域に日本が出す漁船の数の問題にいたしましても、あるいは漁獲量の問題にいたしましても、さらに大きな開きもあるようでありますし、韓国側の求めている漁業協力資金につきましても、韓国側は一億一千万ドル、しかもこれは日本の政府の借款のような形で出せということを言っておるようでありますけれども、日本側はこれに反対しておる。これらもなかなかまとまりにくい問題だと思うのでありますが、この問題にいたしましても、日本側は前に大平・金会談で、政府が三億ドル、二億ドル——五億ドル出すことにし、それから民間借款で一億ドル出すことにし、さらに別に一億一千万ドル要求される。こうすると、またほかの問題でまた金を出せというようなことを言ってくることも考えられるので、私どもとしては、どうもこういう交渉に臨んで、日本側が、韓国側の出すあまり理屈の通らないものに譲歩するのじゃないかという気がするのですが、この漁業協力資金の問題につきまして、日本側は一体どういう原則的な態度で臨まれるのか。それからまた、韓国側の一億一千万ドルに対して、日本側は三千万ドルと伝えられているけれども、あるいは足して二で割る式でいこうというお考えなのか、その辺のところをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(大平正芳君) 政府がコミットいたしまする経済協力は、無償三億ドル相当額、有償二億ドル相当額と、期限も条件も金額も政府が責任を持って考える経済協力はそれだけでございます。したがって、漁業協力ということにつきまして、日韓間に漁業技術水準に大きな格差がある。したがって、先方から日本側がこの技術水準の向上に協力の姿勢を示してくれればという希望がございますので、私ども民間借款ということを通じてでございますれば、韓国側の要請にこたえて検討してみたいということで、いま検討をいたしている最中でございます。
○岡田宗司君 そういたしますと、政府の供与する借款としては与えない、こういう原則は確立しておるわけですね。そうすると、今度民間ベース借款ということになりますが、それは、さきに金鍾泌氏に約束された一億ドルの内で支払われるのか、それとも外で支払われるつもりなのか。私どもは、さらに一億一千万ドル外で払われるということになりますというと、これは非常に大きな額にもなりますし、たとえそれが圧縮されても、そういう形でどんどん民間借款の形でそういうものを与えていくということは、これはいまの日本の経済にとりましても非常に大きな負担にもなることで、また理屈も通らない話でありますが、その点は、内で与える意向なのか、外で与える意向なのか、その点はどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 内とか外とかいうことではなくて、私申し上げておりますのは、こうなんです。政府が責任を持っておる有償、無償の経済協力というのは三億プラス二億ドル、五億ドルということでございます。で、岡田さんがいま御指摘の一億ドル以上とかいうのは、民間信用の形で、つまり五億ドルの外に、日韓の間で、民間信用の形で相当額期待ができますねとおっしゃるから、それは期待できましょうと申し上げたわけでございまして、そのいうところの一億ドル以上というのは、何年間にとかいう条件がどうだとかいうことは一つも言うてないわけでございまして、相当額期待ができるということを言われておるものと了解しております。したがって、その外であるとか内であるとかいう意味でなくて、政府がコミットする経済協力の外——ほかは民間の信用供与であると、それで民間信用供与の線で漁業協力は考えてまいりたいというように考えておるわけです。
○岡田宗司君 で、日本側はどのくらいこの協力資金として認めるというお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) その民間信用供与となりますと、岡田さんも御承知のとおり、先方のたとえば漁業経営者と、日本でたとえば漁船のメーカーとの間の相談で成約でできるわけでございますから、それが幾らになるかということは、政府で金額をきめるのは、本来論理的な矛盾なんですね。そこで、ただ、まあどのぐらい期待できるだろうかということでございます。つまり、どのぐらい予想されるかということ。そして、先方が希望いたしておりますのは、民間信用供与というものはそういうものだけれども、政府がそれを促進するようにまあ道義的な立場で心配をするというようにしてくれないかということを希望しておると、私は思うのでございます。これはインドネシアその他の賠償に伴う経済協力におきましてもそういう文句がうたわれて、政府としては民間の信用供与の形における経済協力というものをファシリテートするという文句を使ってありますが、これは政府がコミットするという意味でなくて、そういうことを促進するのに政府もひとつ心配いたしましょうという道義的なことをうたってあるわけでございます。したがって、厳格に幾らということを政府がコミットするわけにはまいりませんし、まあコミットいたしましても、そのとおり成約ができるかできないか、これは民間の成約状況を見ないとわかりませんのでございます。したがって、政府が責任を持ってこういう条件でこういう期限でこれだけの金額は責任を持ちます、という意味においては申し上げかねるわけでございます。ただ、大体先方のプロジェクトの状況を見、日本の輸出金融の状況を見、メーカーの状況を見まして、この程度ぐらいは可能じゃなかろうかという見当をつけて、そうして、そういうことを容易にするように政府も御援助いたしましょうという道義的なお約束、そういうことはいたして差しつかえなかろう、そういった意味における金額はどのように考えていいものかという点につきましては、目下せっかく検討をいたしているという段階で、きめているわけじゃございません。
○岡田宗司君 そうすると、日本政府は、漁業協力のための資金については、政府借款という形では与えない、ただ民間同士で話し合ってまとまるように協力する、こういうことですね。この点にもずいぶん開きがあると思うのですが、まあ、それはそれといたしまして、次に共同水域への日本の漁船が入る数、あるいは漁獲量というものについて、この農相会談で話が煮詰まりまして、何らかの一致点が見出されたのでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) まだ折衝中でございまして、一致点が見出されたという報告には接しておりません。
○岡田宗司君 そうすると、この点も一致点が見出されない、こういうことでございますね。そうすると、専管水域の問題も、共同水域に関する問題も、また漁業協力資金の問題も、いずれも意見の一致に達してないのが現段階である、こういうことに承知してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) そのとおりでございます。
○岡田宗司君 それでは、実はきのう十八日で農相会談は終わるはずになっておりました。これが今日午後まで延ばされた。その間に丁一権韓国外務部長官が来られまして、何か最後の案——最終案を持って来られたということが伝えられておったのですが、本日の会談は続けられて何か新しく展開することが予想されるのでしょうか。その点外務大臣としてはどういう御判断を持っておられるか。
○国務大臣(大平正芳君) 先方の申し出によりまして、きのうの会談がきょうに延期になったということを伺っておりまして、きょうの会談にどういう御提案があるのか、それは私は存じません。
○岡田宗司君 もしきょうの会談でまとまらないとするというと、この農相会談は打ち切られる。打ち切られた後に、この韓国との交渉はいかなる形で続いてゆくことになるのか、あるいは打ち切られたまま、またいつか新しく始められることになるのか。その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) きょうの会談で、次の会談はどうするかという御相談があるものと思います。
○岡田宗司君 まあ次の会談はどうあろうと、おそらく私はきょうの午後、これだけの大きな違いが一挙に解決されるものでもないと思うわけです。したがって、何らか別の形の会談をとるかあるいは打ち切られるか、いずれかだと思うわけでありますけれども、いまの外務大臣のお答えはそれといたしまして、私どもこの交渉を見ておりまして、一つ重大な点がこの交渉の問題になってない、こう考えている。それは何かというと、李ラインの問題であります。韓国側は前々から李ラインを撤廃するということを言っておりません。そうして、あるいは国防ラインというものに、名前はそういうふうに変えまして続けていこうということが盛んに言われている。日本側は前々から李ラインを撤廃することを要求してまいりました。それで私どもは、この専管水域の問題と共同水域の問題が解決したら一体李ラインは撤廃されるということを前提としてお話をしておるのか、もしそうでないとすれば、やはり李ライン撤廃ということをまず話をして、そのあとで交渉に入るべきだと思うのですが、農相会談でこの問題が何ら触れられておらぬことを非常に不思議に思う。この李ラインの問題について、韓国側は依然として李ラインは平和ラインという名前で残す、あるいは国防ラインということにして残すか、これをやはり強く主張しておるのかどうか。それからまた、日本側としてはこれの撤廃を要求しておるのかどうか。これは農相会談でどういうふうに取り扱われるかお伺いしたいと思う。
○国務大臣(大平正芳君) 専管水域をどうするか、共同規制水域をどうするかといえば、新しい漁業協定をつくりまして、漁業の安全操業を保障し、そこの海域の資源を保存する措置を講じていく。そういう協定によって日韓の間の漁業の規制をやる。それ以外のもので規制をするというのであれば、そういうことをやる必要がないわけでございますから、李ラインの問題をなぜ岡田さんがそうやかましくおっしゃるのか、私は理解に苦しむわけであります。だてに交渉をやっておるわけではないのでありますから、漁業協定をつくろうとしてやっておるのでございます。私どもそのような努力を双方がやっておるという事実は、当然それから推して——ただいままで排他的に、広い公海に排他的な権力を行使されておった李ラインというようなものを撤廃することを前提にしないで、どうしてこんな交渉をやる意味があるのでございましょうか。私はそういう議論をされるのが少しおかしいと思う。
○岡田宗司君 もし韓国側が、この交渉をやって、専管水域なり共同規制水域なりをきめるということによって李ラインを廃止するということを了解しておるのであれば、私こういう質問を申し上げません。けれども、韓国側では、国防ラインとして残すということを言っておるのであります。だから私どもは、また日本側は韓国側の交渉技術にひっかかって、きめたのはいいけれども、今度国防ラインの宣言が行なわれて、あそこにとにかく線が引かれて、それがまたいつかは生かされて、日本の漁船が韓国近くのほうに行くのにいろいろ障害が起こるというようなことも将来起こり得ると考えるので、お伺いを申し上げている。はたして韓国側のほうで、この専管水域なり共同水域をきめたあとに、季ラインを撤廃するということをすでに承知しておるのかどうか、その点もう一ぺん重ねてお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 李ラインの撤廃を考えていなければ、どうして漁業協定の交渉に入れるでございましょうか。当然なことじゃございませんでしょうか。
○佐多忠隆君 関連。この問題について外務大臣あるいはこの間本会議で農林大臣も、非常にさりげなく、この問題は解決をしているということを前提にして議論をお進めになっているようですが、非常にこの点が、いま岡田委員も言うように、問題じゃないかと思うのです。と申し上げますのは、今度たびたび向こう側は李ラインのあとには国防ラインを設定をするということを繰り返し言っておるのみならず、ついこの間の政治会談の冒頭のあいさつにおいて、元長官は、韓国は海洋上にも国防上の特殊性を考慮に入れる必要があるので、ということを非常に明瞭に言っておるのですね。これは韓国側が国防ラインを存置をするという意図を持っている、意図しているということを言外に——言外じゃなくて、むしろことばどおりに明言をしている以外の何ものでもないと思うのです。こういうことを言っておるにかかわらず、外務大臣なり農林大臣は、さりげなく、こういう問題を解決済みのようにお考えになっているところにわれわれの非常に不可解とする点があるのですが、これをどうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、佐多さんの議論は全然不可解なんです。一応韓国が国防ラインを置くとか置かぬとかいうようなことは、私どもは関知していないことなんです。これは韓国の問題でございます。私どもが関知いたしておりますのは、いままでのように李ラインという一定の公海に排他的な権力を行使されて日本の漁船が拿捕されるとか、そこで安全操業ができないというようなこと、そういうことをやめるために漁業協定という合理的なものをいま考えておるわけでございます。それから、漁業以外に公海で排他的な権力を行使されて日本の国民がそれで迷惑をこうむるというようなことは、絶対許せません。でございまするから、私どもといたしましては、韓国政府がどのような措置をとられるか存じませんけれども、わが国に関する限り、定まった協定に応じて漁業が行なわれ、国際法に基づいて公海の自由が確保されたらよろしいのじゃございませんでしょうか。韓国と第三国の間にどういうことがあるかまでは、私は心配する必要はないと思います。
○岡田宗司君 そこでもう一つお伺いしたいのですが、さきに金鍾泌氏とあなたがお話しになって五億ドルを供与するということがまとまった際に、漁業問題については韓国側が譲歩するというような約束があったのかどうか。その際に、李ラインというものは撤廃するということの約束があったのかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 漁業問題は漁業問題として、請求権の問題は請求権の問題として、全力をあげて交渉に当たっておるわけでございます。一方はこうだから一方はこうというような性質のものでは私はないと思います。合理的な内容のもので納得のいく内容のものにしたい、すべての個々の懸案について全力をあげて交渉に当たっておるわけでございます。それから、李ラインの今後の問題のことは、先ほど私が御答弁したとおりでございます。
○岡田宗司君 そうすると、いまの漁業交渉で専管水域か共同規制水域をきめるということは、李ライン撤廃が前提である、そうしてまた、大平外務大臣は国防ラインのごときものは認めない、こういうお立場ですね。
○国務大臣(大平正芳君) 日韓両国の間にはきまった協定に基づいて共同の規制が考えられるという、きまった協定に基づく規制以外の規制は何らないということでございますから、それから推してもう当然考えられることでございます。
○岡田宗司君 ただ、私どもは、もし韓国が一方的に国防ラインなるものをもとの李ラインの線に宣言をして、そうしてそこを軍事的に哨戒をするというようなことになって、それが将来日本の漁業に対しても何らかの障害を起こすようになるという可能性があると思うのです。そういたしますと、韓国がたとえ日本向けでないと言いながらも、一方的に国防ラインの宣言などをされるというと、これは日本にとりましても非常に不安なことになるのであります。この国防ラインは、おそらく韓国は日本に向けたものではないと言うけれども、しかし、対島のすぐ鼻先を通ることでもありますし、これは日本に関係のない問題ではございません。したがって、国防ラインのごときものを設ける。李ラインの上に、もとの李ラインの線に国防ラインのごときものを設けるということを、私どもは断じて認めるわけにはいかないんですが、一方的宣言であってもそういうものを認めないという態度を外務大臣はおとりになるかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 日本の国民がそれによって影響を受けるというようなことは、全然考えておりません。
○岡田宗司君 韓国が日本の領土の鼻先に国防ラインを設けて、そしてしかも、この公海の上に常住不断に国防ラインのようなものを置かれて、日本が影響を受けないなどということは、私はないと思う。そういうような考え方は、私は非常に甘いと思います。で、やはり国防ラインなるものは、たとえ韓国が一方的に宣言しようと何しようと認めないという私は外相の態度をお伺いしたいのです。その点はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 日韓に関する限り、それは認めません。
○岡田宗司君 そういたしますと、この国防ラインは、一般的なものであっても、やはり国防ラインである以上、日本との関係もあるわけですから、したがって、全般的に国防ラインなるものを認められない、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国政府がどう考えているか存じませんけれども、日韓の間におきましては、正規の協定を通じた以外の規制はないわけでございますから、その他のことは私は関知いたしません。
○岡田宗司君 それじゃ、まあ押し問答になりますから、この辺でこれをやめまして、最後に一点だけお伺いいたします。 それは、金鍾泌氏が明日来るように、すでに韓国代表部から外務省に連絡があったということが伝えられておる。で、六日間潜在されるそうでありますけれども、再び大平・金会談が行なわれる、あるいは金鍾泌氏が首相と会われて、いまデッド・ロックに乗り上げておる日韓会談に何らかの働きをするのではないかと思うのですが、すでに外務大臣は金鍾泌氏と会談をすることをお約束されておるかどうか。私どもは、どうもいままでの日韓会談の進め方から見まして、この際また別な形の会談が持たれるということはあまりよろしくないというふうに思うのですけれども、この金鍾泌氏との会談はすでに約束されておりますかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 先方から連絡がありまして、金鍾泌氏は来日されるそうです。その際私に表敬訪問をいたしたいという申し出はございました。私は、金鍾泌氏と交渉するつもりはありません。
○岡田宗司君 交渉ということはないわけですね。
○国務大臣(大平正芳君) ありません。
○委員長(黒川武雄君) 野坂君。
○野坂参三君 私は、三月五日にすべての新聞に外務省からの中国問題に対する統一見解を国会答弁資料の形で発表された。この問題だけについて若干お聞きしたいと思うのです。 この文書の内容については、この委員会でも岡田委員その他からお聞きされたと思いますけれども、私のお聞きしたいのは、この文書がどういう経過で、どういう目的で発表されたのか。また、この文書の性格といっていいか権限、あるいは責任はだれが負うのか。こういう問題についてお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の文書は、外務省が発表したものではございません。私どもが国会で答弁に当たる場合の問題点を整理した答弁資料にすぎないものでございます。
○野坂参三君 しかし、これをこうして新聞にも発表され、しかも、これは新聞社がつけたのかどうか知りませんけれども、政府側の統一見解として発表されているわけです。それから、内容を見ましても、この中国の問題が提起された直後における政府側の答弁は、その後だんだん変わってきております。いわゆる後退してきていると思いますが、その後退した見解をずっとそのまま持たれて、外務大臣なんかの答弁も大体この資料と同じような見解が述べられております。そうしますと、このようなものを外務省が発表しないというと、どこが発表したことになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 外務省としては発表いたしておりませんし、統一見解というものでもございません。答弁の資料として外務省が整理いたしたものにすぎません。
○野坂参三君 それじゃ、答弁の、たとえば、外務大臣その他がこの問題について答弁される場合には、これをやはり土台として答弁されるのですか。あるいは別に外務大臣自身の考えを御発表なされるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) ただいままで国会で答弁したものを整理いたしまして、整理すればそういうものになるというにすぎないものでございます。
○野坂参三君 で、これの作成にあたっては外務大臣は全然関知されなかったのですか。御存じもなかったのですか。
○国務大臣(大平正芳君) 当然、私が答弁いたしましたことを整理いたしてみるとこういうようになるということでございます。私が関与しないでできるわけはないわけでございます。答弁の資料として整理したものにすぎないわけです。
○野坂参三君 私はなぜ問題にするかというと、これを発表されたのを見ると、一般には、やはりこれは政府側の統一見解だとこういうふうに考えられておる。そういうふうな印象を与えるような発表のしかただと思うのです。これは当然われわれ議員もこれを統一された見解だ、また一般国民もこれが統一された見解だと考えるし、国外においても、これが一つのそうした性格のものとして理解されることと思うのです。こういうものを一体外務省は無責任にどんどん発表していいかどうか。これに対して外務大臣は何ら責任をお持ちにならないのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、冒頭に申し上げましたように、外務省としては発表いたした覚えはないわけでございます。
○野坂参三君 そうすると、どこから漏れて発表したのですか。そうしますと、去年はさらに重大じゃないかと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 日本はプレスの自由が確保されておりまして、新聞各社がそういう取材をいたしたことと思うのでございまして、そういう民主体制になっておるわけでございます。私どもは発表いたした覚えはないということだけは御承知願いたいと思います。
○野坂参三君 そうすると、これについては、外務大臣としては、この発表されたあとで、外務省の中で、一体だれがどういう経路でどういうふうにして流したか、どこから漏れたかということについて調査されたのですか、どうですか。実際に、われわれは悩まされる、誤られると思うのです。国民自身は、こんなものをどんどん発表されて、外務大臣は全然知らない、しかし名前は外務省の発表文書だ、こういうことになっているといったら、これは将来どうなるか。責任はどういうふうにおとりになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 責任のとりようがないのでございます、こっちが発表したものでないのでございますから。また、新聞社の一々の取材まで干渉する立場ではございません。
○野坂参三君 しかし、どっかから出たはずですね、こういうものが。しかし、外務省の中から、新聞社その他のほうに流されるということになれば、われわれ自身一体何が政府の見解なのかどうかわからなくなる。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、政府の見解であると申し上げたものを御信頼いただくようにお願いいたしたいと思います。
○野坂参三君 それから、それでは結局、私はやはりここでも私個人だけではないと思うのです。みな同じ気持ちだと思いますけれども、こういうものを外務省の名前によって発表されるものは、その場合には外務大臣が責任を持って発表していただきたい。世間はそうとりますから。こういうことを申し上げたいと思うのです。 もう一つこの問題に関連してお聞きしたいのは、昨日決算委員会で同僚の鈴木市藏君が総理大臣にこの問題について質問したとき、総理大臣はこういうふうな答えをされております。こういう意見が発表されたけれども、総理大臣は知らぬ、こういうふうに言われていますが、内閣の考え方は私の言うのが基本です。それを受けて各省大臣が言う。事務当局が言う。それは政府の一部の考えである。だから、外務大臣のここで発表される意見も、外務省の、つまり政府における一つの事務当局のこれは意見にすぎないのだ。政府の考え方は私の答弁が政府の考え方である。外務省が発表したかどうか私は知りません。ここを見ますと、総理大臣の見解だけが政府の見解であって、外務大臣その他の述べられる見解は一部のものの見解にすぎない、こういう意味のことを言われている。それからその次には、総理は、私の中共問題に対する考え方と外務大臣の考え方は同一でございますが、しかしニュアンスが違っております。そうしますと、総理大臣と外務大臣との間にはニュアンスの、これは内容ですけれども、若干の食い違いもあり得る。そうしますと、ここでも問題になるのは、一体政府のほんとうの意味の統一見解というのは何が統一見解なのか。総理大臣のあの口から出ることばだけが統一見解なのか、外務大臣がここでお話しになることはこれは一部のものの見解にすぎない、こう理解していいかどうかという問題が出てくると思うのです。これについてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 問題は、中国問題を頭に置かれての野坂さんの御質問だと思うのでございますが、中国問題というのは、政府がきまった方針を持ちましておるわけでございまして、フランスの中共承認がございましても、その基本の政策は変えていないことはあなたの御承知のとおりでございます。国会でたまたまフランスの中共承認のいろいろ御質問がございまして、それに対して政府側でお答えしなければなりませんので、いろいろお答えいたしましたが、これは将来の問題でございまするし、したがって、まだ現実のイッシュウとして外交案件になっていない問題でございます。したがって、政府が統一見解をまとめるというような材料もなければ、そういう時期でもないわけでございます。そういうことをまず前提として御理解をいただきたいと思います。 それから、そういう将来の事態に対する仮定の御質問に対しての答え方に、総理と私の間に、顔が違うように表現のニュアンスがいろいろ違うと思います。そういうことはあり得ることだと思うのでございます。しかし、基本の考え方に、総理と私と狂いはないと私は思っております。
○野坂参三君 もう時間がありませんので、これでやめますが、最後に一言ちょっと繰り返して聞きますけれども、そうすると、政府側のこの問題についての確定的な統一見解というものは、何かいま発表されないということになれば、一体いつ発表されるのか。いままでのずっとこの委員会での政府側の答弁を聞きましても、いろいろな点で変わってきております。一体どこがほんとうのものなのかつかめないのが実情じゃないかと思うのです。これについて御意見を……。
○国務大臣(大平正芳君) さしあたって現実の問題といたしましては、第十九回国連総会が開かれるまでには、国連対策というものは政府としてきめなきゃいかぬと思います。しかし、まだその材料は整っていないという現状でございます。政府の統一見解などというものをまだ論議する材料もございません。そういう時期ではないという意味は、そういうことでございます。
○委員長(黒川武雄君) 曽祢君。
○曾祢益君 いま岡田委員との質疑応答の中で外務大臣が述べておられた、漁業交渉にあたっての大体の了解といいますか、原則的な了解が大体あったように伺ったわけですが、これをもう一ぺん正確におっしゃっていただきたい。私の伺ったところでは、大体これは三つあった。一つは、漁業専管区域等をきめるにあたっては国際法と国際慣行を尊重する。これが第一で、第二には、漁業の規制にあたっては、これは当然のことであるけれども、共同の立場で最大限度の生産性を長く持続するということを原則として共同規制をする。第三が、この点もさらに正確な字句でお答え願いたいと思うのですけれども、要するに、従来の漁業の現在までの実態といいますか、実績ということばをおつかいになったけれども、実態は尊重していく。 大体こういう三つの原則的な——原則とは言っておられませんけれども、こういうことはきまっている。それを現実にどう適用していくかということについてのいろいろの折衝のさなかだと、こういうふうに伺ったと思うのです。しかし、大体そういう原則、私の了解するような原則があるとすれば、多くの点において、わが国民が心配しておるような点、すなわち、専管区域以外についてはもう公海は自由だということが原則として確立されるわけなんで、季ラインが撤廃される、国防ラインというようなものも同様に日本に対しては適用がないということは明瞭になると思うのです。ただ問題は、実際上直線の基線を引く場合に、どの点にどういうふうに引くかというところにからんで、向こうは非常に大きな過大な要求を出して、済州島まで基線の中に引いてしまえというようなことを言っているようですけれども、いわばこの点も、国際慣行をほんとうに尊重するということになるならば、そんな遠いところの公海の中にあるような大きな島までいわゆる直線基線の中に入れるなんていうことは、これは国際慣行の尊重どころか、全くそれに反することなんですから、大体そういうような原則がきまっておるとすれば、目下非常に煮詰まりつつあるやに伝えられている漁業交渉における日本側の立場というものは、相当明確になっておるのではないか。こういうふうに思うのです。そういう意味で、いまお答えの点をもう少しふえんして御説明していただきたい。なおもし、そういう原則的な約束というようなものがあるならば、その点を明確に字句等も明らかにしていただきたいと、こう考える。
○国務大臣(大平正芳君) 去年の夏ごろまでに到達した理解というものは、当時の外務部長官の金溶植氏が私をたずねてお話をいたしたあとで共同声明が出ておりまして、そのときに、いま曽祢委員が御指摘になりましたような、漁業問題解決の場合には国際慣行を尊重する、漁業資源の最大限の生産性の確保をしたい、それから、共同規制の場合には公平にやるとか、あるいは漁業操業の実態は尊重しようというような大まかな理解を共同声明に出してございますので、私はそれを申し上げたわけでございます。で、そういう理解を現実にどのようにあの海域に適用してまいるかということが漁業交渉の課題だと思うのでございます。それで、わがほうといたしましては、専管水域は基線から十二海里だということ、その他コンクリートな提案をいたして、そして先方の考慮を求めておるというのがいまのわがほうの立場でございます。それで、したがって問題は、あの海域にいろいろな——あの海域においてどのような基線の引き方をするのか、国際慣行に合致するかという点の議論をやっておるところでございますが、先ほど岡田さんにも御報告申し上げましたように、いまのところ、相当開きがあるという現状でございます。
○曾祢益君 いまそこに事務当局でもお持ちかと思うのですけれども、共同声明ございませんか。あったら、相当重要な点に触れてきていると思うので、ひとつ読み上げていただきたいと思うのです。もしなければ、あとでけっこうです。——持ってないですか。外務省の公表ぐらい持って来るべきです。これは資料をあとで出していただきたいと思います。共同声明、むろん、しかしどう見たってそれ以上詳しいことを書いてあるはずがないと思うんですが、共同声明以外に、議事録にとどめるという程度にもせよ、それらに触れた漁業に関する話し合いの基本に触れた了解というようなものが何かあるでしょうか。それとも、それももう全くレコードとしては、文書としてはないのですか。その点もあわせてお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) そういう文書にしたものはございません。ただ、何をやっておったのだという岡田さんのさっきのおしかりもございましたけれども、何回もやりまして、お互いに私は相当理解は進んだと思います。また、そうしなければ意味がございませんから……。
○曾祢益君 まあ岡田君とちょっと立場が違うんで、こっちは交渉促進で、(笑声)そのかわりしっかり内容はやってくれということなんです。あげ足取りをやっているわけじゃない。(「おれだってあげ足取りをやっているわけじゃないよ」と呼ぶ者あり)いずれにせよ、そういう基本的了解もあったようですし、しばしば申し上げることですが、十二海里はもうこれは当然と思いますが、十二海里以上専管区域を譲る理由はないけれども、基線の引き方でも、あまり常識をはずれた無理な、ことに済州島や西側における韓国の主張は、これは日本国民が納得しないと思いますし、漁業ばかりでなくて、航行等にも関係してくる重大な問題ですから、そういう点は、それこそ国際法と慣行を尊重したやはり本線の引き方というものはおのずからのラインがあると思う。あまり常識をはずれた、むちゃくちゃに専管区域を広げようという行き方には、とうてい日本国民はついていけない。こういう点を十分にがんばっていただきたいことと、それから、それとのうらはらですけれども、岡田君の発言どおりに、確かに国民の中には心配がある。理屈のつけようは別として、やはり漁業のラインだけで、漁業の問題だけで協定ができてしまって、別の国防上の云々というようなことで、実際上航行なり漁業なりに軍事上の理由から妨害してくるというようなことがもし残るとすれば、これは何のためのせっかくの協定か、非常に紛争を残す結果になりますから、そういうことのないように、向こうさんのメンツもあることでしょうから、李承晩ラインの死守というようなことを野党が突き上げているやに聞いている韓国の事情を考えると、協定の文言等についても、非常にそこら辺の政治的考慮も要るけれども、かといって、また紛争の種を残すようなあれでは意味ありませんから、李承晩ラインを撤廃する、国防ラインを撤廃するということを文章で書くことまでは、主張することはやるとしても、あなたがいま言っておられるように、漁業上の理由であろうが、軍事上の理由であろうが、一切の航行や漁獲その他全体に対して韓国側が一方的の権限を行使することは公海上絶対にないのだということも、締めくくりはやはり協定の中ではっきりとしていただくことは、日本の漁業界の人は特に望んでいると思うのです。特に、言うまでもないことでありまするが、従来の交渉の過程で、これも日本側が兄貴分だから多少甘かったように感ぜられるのは、向こうがたとえば一番重要な点として望んでおった請求権の問題については、とにかく実質的に先に向こうに相当な満足を与える解決をして、まあ、こっちとしては一番実質的に日本としての取り分とも言うべき李ライン撤廃、漁業の自由という、このほうがあと回しになっているところから、特に日本国民全体、特に漁業関係者は非常に大きな関心をこの漁業問題の要求貫徹に持っておられることは、これは当然だと思うのです。そういう意味におきまして、国防ライン等の問題についても、そういう悔いを残さぬようなはっきりした協定をつくっていただきたい、これを私どもは要求しているわけです。この点についてのあなたのお考え、決意を伺っておきたいと思うわけです。
○国務大臣(大平正芳君) いま曽祢委員から御注意がありました点、私も一々ごもっともに思います。そういう点十分慎重に配慮いたしまして、交渉に当たりたいと思います。 なお、念のために申し上げておきますが、すべての案件は一括しての解決になるわけでございまして、どの案件が先に解決してどの案件があと回しになるという性質のものではございませんで、手順といたしまして、片づくものから一応の素掘りをつくっているわけでございまして、解決は同時に一括して解決するという基本方針で置いておりますことは、御承知のとおりでございます。
○曾祢益君 まあ、簡単に言うならば、向こうがどういうていさいをおつくりになるかは別として、実質的な意味で、公海における漁業及び航行の自由の原則は貫く、そういう意味では、李承晩ラインあるいは国防ラインといわれたこの問題が、この漁業に関する話し合い並びに全体の日韓の国交調整、協定、条約ができたときには、これはきれいに解決する、こういうふうに解釈しているわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
○委員長(黒川武雄君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。 午前十一時五十分散会