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46回国会参議院1964/03/12

外務委員会 第8号

発言数
178
登壇者
9
会派数
4
開催日
1964/03/12

会議録

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は、国際情勢等に関する調査を議題とし、当面の国際情勢について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。  なお、外務大臣は、外交問題の用件のため、十時三十分から十一時四十分まで約一時間退席されますので、その点お含みおき願いたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一番初めに、大平外務大臣に申し上げたいのは、この委員会で例の中国との国交正常化の問題について、あなたは、さような表現は用いたことがありませんと杉原委員に答えたんですね。そこで当時おかしいなと思って、私も速記録を大至急委員会に取り寄せたのだが、次のページにあるのを見落としちゃったのですよ。それでつい言いそびれたのだが、これは外務大臣、中共が国連で祝福をされて国連に加盟したときは国交正常化をやるのは当然だ、そういうことを言ったということについて、杉原委員がそういう表現を用いられたかどうか、これに対して大臣は、「国交正常化ということばを私はつかっておりません。」、そして、それは質問者がつかったことばである、こういうことを言い、最後に、「国交正常化云々ということを私は申し上げていないのです。」、これはちゃんと速記録を見ますと……。二月の十二日には衆議院の外務委員会で、これは穂積君の質問に対して、中国が国連で代表権回復のときには国交正常化をはかるのかということについて大臣は、「基本の考え方は、いまあなたが御理解いただいたような、国連において正当なメンバーとして祝福されるというような事態になれば、国交の正常化を考えなければならぬのは当然のことじゃないかということです。」  これを言ってないと、ここで言ってるんですね。おそらく大臣はあとでしまったと気がついたろうと思う。気がつかなかったらおかしいし、それから、うしろのほうには外務省の役人もずらっとたくさんそろってて、大臣、言っておりますよと、これは当然注意すべきものだ。しかも私は、そういうことを言ってないと言って間違っておったならば、早い機会に外務委員会にみずから機会をつかんで釈明をすべきが国務大臣として大切な責任じゃないかと思う。この点についての釈明を求めたいんです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘になりました外務委員会の私の答弁につきまして、穂積委員の御質疑の中に、国交正常化ということばがあったことは、私記憶にあったわけです。で、そのように御理解いただいてけっこうでございますと答えたことは、私記憶いたしておったわけです。したがって、私は杉原委員に対しまして、御質疑される方がそういうことばを使ったのだと思います、ということを答えたわけでございますが、私その後速記録を調べてみまして、森委員がいま御指摘になりましたように、後段で私がそれをコンファームしている発言がございますから、それであなたが御指摘のとおり私が申し上げたことに間違いございません。杉原委員に私が答えたことは不十分でございました。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この答弁は、私は、国交正常化を言ったことは失敗したな、少し言い過ぎたな、という感じを大臣は持っておられたと思うんです。ということは、質問者の杉原委員の聞きたいところは、これは重大問題だと、国連加盟をすればすぐ国交正常化というのは、自民党の政策に反するというのでしょう。あるいは杉原さん個人の御意見かもしらぬが、これは重大だという、そういう側の人の御質問であったので、大臣はこれに迎合したんじゃないかと思うんですが、どうですか。迎合するために、この表現を使わないというふうに頭が向いて、こんなぐあいな答弁になったと思うんですがね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういうつもりはないのでございまして、この前に森委員にもお答え申し上げましたとおり、国会において答弁いたしました片言隻句に対して、私は全面的に責任を持つものでございます。したがって、御質問される方に迎合して私が答えるというようなことはいたさないつもりでございます。そのときの状況では、私の記憶で自分のほうから申し上げたつもりはないということを申し上げたのは、私の記憶の不十分なところでございました。あとから速記録を調べましたら、後段のほうで私がはっきりそれをコンファームいたしておりますので、その当時の私の御答弁は不正確でございました。森委員が指摘されたとおり、そして私が外務委員会で御答弁申し上げたとおり、私の答弁に間違いはございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは大きな問題ですから、やはり委員会では、何回もその後開かれておるのですから、すみやかにやるのが当然でありまするから、御注意を願いたいと思う。  そこで、その内容について、このことばのとおり同じでありますか、違いますか、現在の心境は。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 変わっておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、外務省は、私よく事情知らぬのだが、中国問題に対する統一見解というのが五日の新聞に発表になっているのですね。これは大臣の、政府の統一見解ではないというような説明がどこかの委員会であったようですが、これは少なくとも外務省で一応まとめて、大臣が閣僚の心がまえといいますか、そういうものをつくったものじゃないですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、答弁の資料として外務省でまとめたものでございます。ただ、統一見解云々という表現は大げさ過ぎるのでございまして、まだ中国問題というものについての、中国の加盟という問題が、日本の閣議にかけて御審議いただく段階になっておりません。しかしながら、国会で御質問がございますから、私どもといたしましては、こういう受け答えの仕方をしようと、まあ、こういう答弁資料を整理したまでのものでございます。したがって、統一見解という表現は、私どもとして迷惑と考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、あれは何か違うところがありますか。統一見解では迷惑ならば、これだというのが。もう非常に政府の答弁というのは、そのときそのとき場当たりが目立つのですね。これは筋が通ってない。それだからわれわれとしては、いつかの機会に、筋のある統一見解を聞きたいのですが、まとめてお出しになったらいかがですか。それは日韓交渉では専管水域の基線――もとになる線というようなことをよく言っておりますね。だから、あなたの外交方針の基線というのを出さなければ、これは非常に論議ができないのですね、動いちゃうのですから基線が。潮が満ちたときの線になってみたり、引いたときの線になってみたりわからないから、 お出しになってみたらどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いまの段階は、私の国会における答弁という段階でございまして、閣議で中共対策を御審議いただくというつもりは、私はまだありませんから、正直に私としての見解を、国会の御質問があるままにお答えを申し上げていることで、必要でかつ十分じゃないかと思っております。政府の統一見解となりますと、ちゃんと閣議にかけて政府の見解というものをきめなければいけませんが、政府の見解をお願いするにいたしましては、まだ閣議に持ち出す材料がいま整っていないわけでありますから、そういうことはまだいたしておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは外務省でつくったのでしょう。大平さんが主宰する外務省が、いろいろな質問に対する政府の答弁を――政府の意図することが十分伝わっておらないというので、整とんをして、そうして大臣に見せて、各大臣に配り、質問が出たらこの趣旨で答えてよろしいと、こういうことで大臣がこの発表には責任を持てるのでしょう、発表の内容については。そうしないと、この国会審議ができないのですね。これは外務省でつくったのだから、大臣がこの内容はそのとおりと、少なくとも形式的に閣議の了承を得ないまでも、大臣として、この内容はそのとおりなんでしょう、お考えは。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それはそのとおりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、もう後退とか前進なんてものじゃない。被害妄想狂だ。被害妄想狂の作文みたいものですね。いままでないことをうんと付け加えて、私はこれを読んで頭が痛くなっちまうくらい、これは条約の文章みたいなものですよ。大平さんの頭とすれば、大平さんは長谷川君の質問に、中国はこわくない、軍事的にも経済的にもこわくない。そうしたら、今度、忘れたというような顔をして、思想攻勢が一-政経分離はいいけれども、経済交渉をやっていくと、そのルートを通じて思想撹乱が来ることは十分警戒する、こんなことは大臣の頭にはなかったはずだ。こんなのがちょろりとくっついてくる。それからまたもう一つは、いままでは、国連に、あなたの大好きな祝福された状態で入ったら正常化する。別なことばで言えば、あなたの政府の方針は、たとえ話で言いますと、自分の飼っている鶏を自分で絞めるのはいやだ。鶏の肉は食べたいけれども、自分の手で絞めるのはいやだから、人が絞めたら、よその力-表数が多くて国連に入ったら食べましょう。こういうふうに私は理解しておったのですね。ところが、今度はそうじゃない。かりに入ったって、そう簡単にはいかないよ。池田総理の答弁によれば、友好国がいやだと言うような状況では困る、友好国の意思に反するような場合には承認しない、こういうことを予算委員会で言っている。これは新たな事実が加わってくるのですね。  時間がないから、あと五分間だから、さらに進めれば、鹿島さんの質問かな、中共承認には前提がある、日華基本条約を認める、日米安保条約を認めるのだ、内政不干渉だとかいろいろ御託を並べておりましたが、これについて総理は、大体同感である-大体なんということばはつかうものじゃないですよ、国務大臣はね。そういうことばをつかっていろいろな条件が加わってくるのですね。この点いかがですか。「思想攻撃」が加わったり、祝福されて入ったって、すぐにはいかない、友好国の意思も聞かなければならぬ、それからまた、前提条件がある、一体どこがほんとうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 事柄の論議が、国会の論議という、やりとりという形で展開されておりますので、御質疑に応じてのお答えになりまするので、全部、何と申しますか、完結した形で申し上げられない場合があり得ることは、森さんも御理解いただけるものと思うのであります。たとえば、脅威の問題にいたしましても、長谷川さんの御質問は、軍事的、経済的に脅威を感ずるかというような御質問でありました。だから、それに対して私は答えたわけでございます。その思想的云々の問題の御質問はなかったわけであります。そこに混迷は私はないと思います。  それから、国連加盟の場合の国交正常化について考慮しよう、考えるということを申し上げているわけなんであります。それは当然のことであると考えて申し上げているわけでございます。したがって、その場合にいろいろな日本の国益を踏まえて、諸般の状況を考えていくのは当然のことだと思っているわけでございます。したがって、私どもは、国連の加盟が実現すれば直ちに国交正常化をする、そういうことは申し上げていないわけでありまして、国交正常化を考えるということを申し上げているわけでございまして、その間に私は矛盾はないと考えているわけであります。  第三点の、予算委員会における鹿島委員と総理とのやりとりでございますが、これは前段と後段の御質問があったようでございまして、それを含めて大体同感だという趣旨のことを総理が簡単に答えられていると思うのでございまして、前提条件として鹿島委員が述べられたことに対するお答えも含めて、大体において同感だというお答えが出ているわけでございまして、まあ、御指摘のように、前提条件も含めた答えになっていることは、あのやりとりのかっこうから、そのように理解されるのは当然だと思いますが、私はあの場合、前段、後段の鹿島委員の御質問の調子そのものに対しましては、自分としては大体同感だというような感じ方であの答弁を聞きましたが、しかし、それはいずれにいたしましても第二段で私の申し上げましたように、国交正常化を考えるという場合に考慮すべき問題点であることは事実だと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その前提としてこれこれを認めさせる、それは当然だ、こういう総理の答弁は、国会答弁資料をつくったあなたの立場から見て、これは同感でありますか、同じでありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国交正常化を考える場合に、鹿島委員が御指摘になったような問題も、問題点としてあるという感じをいたしております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その前提条件としてなぜこう二、三度聞くかというと、隣にいる羽生委員が、その発言はたいへん重要な発言である、こういう注意を喚起した。どっちが大臣だかわからないわけですよ。これに対してひとつ大臣からお答えを願いたい。前提条件というのは取り消すのか、取り消さないのか、そういう前提条件を国交正常化にあたっては言うつもりか、言わないつもりか、どっちなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国交正常化を考える場合に検討すべき問題だというように私は感じます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それは羽生さんが言ったことばですよ、そういう答弁はないと。検討するというくらいに言うならばともかくも、前提条件とするかのごとき――考えるというのはおかしいじゃないかと、重大な問題だと、こう注意を喚起したんですよ。野党が教えているんですよ。だから、私の端的に聞きたいのは、もう時間もないから、一体前提条件とするのか、しないのか、日華条約、日米安保条約、こういうものは認めるのは当然でございませんでしょうかと池田さんは言っておる。当然でございますと言うんだから、国交正常化にあたって考慮する場合には、これらの条件は入れるのか、入れないのか、それだけを伺います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいま申し上げておりますように、国交正常化を考える場合に、御指摘されたような問題は問題点として検討しなければなりませんと、そう私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ前提条件ではないんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) その問題はいま現実に問題になっているわけじゃございませんので、いまあなたと私と議論いたしましても、これは観念論になるわけでございまして、考え方の筋といたしましては、先ほど申しましたように、国連加盟という事態になれば国交正常化を考える。で、国交正常化を考える場合には、いま御指摘のような問題は問題点になるだろうという以上に、私はいまの段階で答えられないと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それは前提条件ではないということを了解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 前提条件云々は、いまの段階で、議論する段階じゃいまはないと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それは鹿島さんの御質問にも、総理の答弁にも、「前提条件として」というやりとりがあるんですよ。だから、取り消すなら取り消す、いや取り消さないというならしない、どっちかでけっこうです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは問題点であるという感じ方を私はいたしておりますと答えたわけです。総理の答弁との関連につきましては、もう一度私のほうで検討してみます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 総理と会って意向を聞いてから、またしかるべき機会にこの点をはっきりする、こういうことですな。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 途中でございますが、大臣が外交用件のため退席されますので、本件の質疑は、後刻続行することといたします。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次の議題に移ります。  去る三月三日に提案理由の説明を聴取いたしました、部分的核実験停止条約外二件について補足説明を聴取いたします。  まず、大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  御説明を願います。藤崎審議官。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 核兵器実験問題の最近における発展は、米英ソ三国が一九六二年三月十四日からジュネーブにおいて開始した交渉に端を発しておりまして、一九六三年四月末から米英両国の首脳とフルシチョフ首相との間に行なわれた書簡の交換を契機として、同年七月十五日からモスクワにおいて米英ソ三国会談が行なわれ、その結果、同年八月五日、モスクワにおいて、この条約が、三国代表によって署名された次第であります。  次いで、この条約は、同年八月八日以後他のすべての国による署名のため、それぞれ、ワシントン、ロンドン及びモスクワにおいて開放され、米英ソ三国を含む百九カ国が、これに署名し、わが国も、八月十四日、米英ソ三国の首都において署名を行なった次第であります。この条約は、第三条3の規定に従い、原締約国たる米英ソの三国が批准書を寄託した後に効力を生ずることになっており、この要件が昨年十月十日に満たされたので、同日発効した次第であります。現在までに寄託国の政府から通知を受けたところによりますと、この条約の批准書または加入書を寄託した国の数は、ワシントンにおいては、十七カ国、ロンドンにおいては、二十九カ国、モスクワにおいては、二十二カ国であります。  次に、この条約の内容の概略を御説明いたします。この条約は、前文において明らかなように、国際連合の目的に従って厳重な国際管理のもとにおける全面的な完全軍縮に関する合意をできる限りすみやかに達成し、これにより軍備競争を終止させるとともに、あらゆる種類の兵器の生産及び実験を促す誘因を除去することを念願しつつ、今後全面的な核兵器実験禁止を実現するための交渉を継続し、人類を放射能による汚染から保護せんとの決意及び希望のもとに作成されたものであります。  第一条1の規定によれば、各締約国は、その管轄の及び場所または一時的にせよその管理のもとにある場所において、すべての環境における核兵器実験及び他の核爆発等を禁止すること、防止すること及び実施しないことを約束しております。この場合、爆発が現実に生ずる環境が大気圏内外であると水中であるとを問わないわけであります。ただ、例外がありまして、この条約は、一定の条件のもとにおける地下の核爆発を禁止してはいないのであります。すなわち、地下爆発の結果放射能性物質が爆発が行なわれる国の領域外に出ないという条件が満たされる場合には、そのような地下爆発は、この条約では許容されるのであります。  次に、第一条2では、すべての場所においての爆発を実施させ、奨励し、またはいかなる態様においてもこれに参加することを差し控える義務を規定しております。  かくて、各締約国は、いかなる場所においても核実験等を行なわない義務、他国が行なう実験等を援助したりしない義務、さらに、自国の管轄または管理のもとにある場所においては、これらの実験等を禁止しまたは防止する義務を負うことになるのであります。  第二は、この条約の改正規定であり、改正案の承認のためには、米英ソ三国を含む全締約国の過半数による賛成が必要であり、次いで、米英ソ三国の批准書を含む全締約国の過半数の批准書が寄託されたときに、この条約の改正は、すべての締約国について効力を生ずると規定しております。  第三条におきましては、この条約の署名、批准及び加入並びに発効について規定しておりまして、署名は、この条約が発効するまではすべての国に開放され、批准書及び加入書は、原締約国たる米英ソ三国の政府に寄託することとなっております。また、この条約は、すべての原締約国による批准書の寄託により発効し、その後に批准書または加入書を寄託する国については、その寄託の日に当該国について発効することになっております。  第四条は、この条約の有効期間は無期限であると定めており、また、この条約の対象である事項につきまして非常の事態が生じ、これにより、自国の至高の利益が害されていると締約国自身が判断する場合には、三カ月の事前通告をもってこの条約から脱退することができると定めております。  この条約の内容は、ただいま御説明いたしたとおりでありますが、この条約には多少の問題点もないわけではないのであります。たとえば、わが国は、従来からも、核兵器実験の全面的禁止について広く世界に対して訴えてきたわけでありますが、今回成立しました条約では、前にも申し上げましたように、一定の地下実験を許容しており、したがって、従来から核実験の全面的禁止を主張してきているわが国の立場上、必ずしも満足なものとは申せないのであります。  しかしながら、この条約が、将来における全面的な核実験禁止を達成するための貴重な足がかりになるという意味における積極的な意義を有することも、また、事実であります。今回の条約の成立は、昨年十月十七日に国際連合で採択された核兵器を宇宙軌道に乗せることを禁止する決議などの例に見られるように、国際連合の場において、さらに、広く世界的な場において、関係諸国が今回の条約の成立に示した妥協的精神をもってこの条約を補足する措置が講ぜられていく契機となっていると見られるのであります。  また、この条約には、その背景に核拡散防止の思想があるということも言えると思います。この条約は、核拡散防止を直接には何ら定めてはおりませんが、締約国に関する限り、地下以外での実験は、もはや行なうことができず、また、締約国、非締約国を問わず他国の援助を得て新たに核兵器を開発して核保有国になることがむずかしくなったという意味において核拡散防止に寄与すると考えられるわけでございます。  なお、この条約につきましては、新たに核保有国となってきたフランス、いずれは核保有国になるであろうといわれている中共、さらに、アルバニア、カンボディア、北ヴェトナム、北鮮、キューバ等が参加を拒否しているものと見られますが、今回の条約を一そう世界的なものにするためには、これら諸国の参加が真に望ましいと考える次第であります。  このように問題が将来に残されている条約ではありますが、この条約は、将来における全面的な核兵器実験禁止の実現に向かう第一歩としての積極的な意義を持つものであり、わが国は、先ほど御説明申し上げましたように、昨年の八月十四日にこの条約に署名を行なったのであります。もっとも、わが国がこの条約に参加することは、すべての核兵器実験に反対するわが国の従来の主張の変更を意味するものではなく、政府といたしましては、今後も従来の主張に沿って努力を続けていく決意であります。  このような状況のもとで、わが国が国会の御承認を得てこの条約を批准することは、わが国の核兵器実験禁止に対する熱意を国際連合の場においても、また、広く世界の一般世論にも印象づけ、かつ、全面的な核兵器実験に対するわが国の一貫した主張を押し進める上に、きわめて有意義であると考える次第であります。なお、この条約は、去る第四十四回臨時国会におきまして審議未了となったものであります。  以上が、大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵実験を禁止する条約の締結について承認を求めるの件の補足説明でございます。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、外交関係に関するウィーン条約及び関係議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  御説明を願います。藤崎審議官。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 外交関係に関するウィーン条約及び関係議地帯の成立に至った経緯、その内容及びわが国がその当事国となることの意義につきまして、概略を御説明申し上げたいと存じます。  従来大公使館の設置、大公使の派遣等のいわゆる外交関係、並びにこれらの常駐外交官の任務遂行の便宜のために与えられるいわゆる外交特権免除については、歴史的に発達してきた国際慣行と礼譲によって律せられており、統一的な成文の基準がなく、慣行や学説にも、ときとして相異なるものがあった次第でございます。  この条約は、一口で申しますならば、これらの外交関係及び外交特権免除に関する従来の国際慣習を法典化した多数国間条約でございまして、国連の国際法委員会が数年にわたって従来の慣行、学説を審議検討の上条約案を作成し、国連主催による昭和三十六年のウィーン国際会議において採択されたものであります。  国際連合は、国際法の漸進的発達及び法典化をその任務の一つとしておりまして、その目的のために、昭和二十二年以来国際法の専門家二十五名よりなる国際法委員会というものを設置しているわけでございます。この委員会は、国連総会の要請に従いまして、昭和三十二年及び三十三年の二年にわたってこの問題を取り上げ、条約草案を作成して、これを国連総会に報告いたしました。国連総会は、この草案をもとに、外交関係及び外交特権免除に関する条約を採択するための国際会議を開催することとし、昭和三十六年三月にわが国ほか八十一カ国の代表が参加してオーストリアのウィーンで国際会議を開催し、ここでこの条約及び議定沓が採択されたのでございます。  この条約及び議定書はいずれも昭和三十七年三月三十一日まで署名のために開放されておりまして、その期間中に、条約については、わが国を含む六十三カ国が署名を行ない、議定書については、わが国を含む三十一カ国が署名を行ないました。  この条約は、二十二カ国が批准書または加入書を国連事務総長に寄託することによって効力を生ずることになっておりますが、昨年十二月四日現在すでに二十カ国が右の寄託を了しており、さらにアメリカ、ドイツ、ソ連等の諸国も国内手続を進めている趣でございますので、この条約は、間もなく発効する見通しでございます。のほうも、昨年十二月四日現在すでに七カ国が批准書または加入書の寄託を了しておりますので、その規定に従い、条約の発効とともに、議定書業事国間で効力を生ずることになります。  以上、この条約及び関係議定書の成立に至る経緯及び発効の見通しについて、御説明申し上げましたが、次にその内容につきまして、主要点を御説明いたしたいと存じます。  この条約は、本文五十三カ条並びに前文及び末文から成っておりますが、大別して、「外交関係に関する準則」と「外交官に対して与えられる特権免除」の二つに分けることができます。  第一条から第十九条においては、外交関係について規定しております。第二条で、外交関係の開設及び常駐使節団の設置が両国の合意によるべきことを定め、相手国政府との交渉、相手国の政治、経済、文化等諸事情の観察、報告、自国民の保護等使節団の任務の主要なものを第三条で規定し、第四条から第六条において、使節団の長について、アグレマン、兼任、国籍等について具体的に定めております。  第七条以降で、外交官その他使節団の職員の任命、数、ペルソナ・ノン・グラータの制度、着任、離任について、次いで、使節団の長の階級、席次、接受、代理の制度についても数条にわたって詳細な規定をおいております。第二十条から第二十五条においては、公館における国旗、国章の使用、公館の不可侵、公館の課税免除、文書の不可侵等大公使館が接受国において享受する種々の特権、免除について定めているわけであります。  第二十五条以降は、かかる使節団の外交官その他の職員が任国及び第三国において享有する博権免除について詳細な規定を置いております。主要なものとしては、裁判権の免除、租税、関税の免除、身体、文書、財産の不可侵、旅行の自由及び通信の自由等があり、また、このような特権免除享有の始期及び終期についても定めております。他方、かかる特権免除享有に伴なう外交官の責務として、任国の内政に介入しないこと、交渉は任国の外務省と行なうべきこと、公館を外交目的以外に使用しないこと等についても規定されております。  また、外交使節団の任務に関連して、第三国の果たすことがある役割り、たとえば特定の場合における利益保護についても、第四十五条及び第四十六条で規定しております、  以上が、外交関係及び外交特権免除についての準則を成文化したこの条約の骨子でございますが、他方、議定書は、この条約の解釈または適用から生ずるあらゆる紛争を、国際司法裁判所による解決その他の平和的解決手続に付すべきことを定めたものでございまして、本文十カ条並びに前文及び末文から成っております。  以上、条約及び議定書につきまして内容を概略説明申し上げましたが、先に述べましたごとく、この条約は従来国際慣行と礼儀によって規律されてきた外交関係及び外交特権免除に関する基準に成文の根拠を与えるものでございまして、この条約の成立によりまして、諸国間の外交関係の処理が一そう円滑化することが期待されるわけであります。なお、このことは、特権免除について、それらが与えられるのは外交官自身の個人的利益のためにではなく、国を代表する外交使節団の任務の遂行に資するためであることをうたっている条約の前文からも明らかに看取されるところでございます。  次に、わが国がこの条約の当事国となることの意義について申し上げます。  御承知のごとく、第二次大戦後、非常に数多くの国家が新らしく成立し、国際社会における国家間の交流はきわめて広範なものとなっているのみならず、政治、経済、交通、文化の各方面にわたって、国際関係がますます緊密なものとなっております。  わが国も、この条約の当事国となることによって、国際法の法典化という国連の事業に寄与するとともに、この法典化が目的としたもの、すなわち諸国間の外交関係の処理が明確な成文の基準に従って行なわれ得るようになるという見地からは、わが国と諸外国との外交関係の一そう円滑な処理、わが国の外交官が任国においてこの条約が規定する待遇の明文による保障を得てその任務を一そう能率的に遂行することができることになる等、きわめて大きな意義を有するものと考えます。なお、わが国は国際法順守のたてまえから、従来とも、この条約が今回成文化したような準則に従って諸国との外交関係を処理し、また、外国の駐H外交官にもそのような待遇を与えてまいっております。  以上が、この条約及び関係議定書の成立経緯及び内容並びにわが国がこの条約を締結することの意義でございます。      ―――――・―――――

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、関税協力理事会を設立する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。御説明を願います。宗大蔵関税調査官。

宗知武大蔵省関税局関税調査官

○説明員(宗知武君) ただいまより関税協力理事会を設立する条約につきまして、補足説明さしていただきます。  この関税協力理事会を設立する条約に関しましては、さきに提案理由の説明において申し上げましたとおり、関税の賦課、それから通関手続等の関税制度に高度の調和及び統一、それから関税行政技術の改善、こういうものを国際的な協力体制によって行なうための国際機関といたしまして、関税協力理事会を設立するための条約でございます。この関税協力審議会の母体といたしましては、第二次大戦後ブラッセルにおきまして欧州経済協力委員会の一部の構成国によって設立されました欧州関税同盟研究団がございます。この欧州関税同盟研究団と申しますのは、関税同盟成立の可能性を検討するために設立されたのでございまして、関税同盟に関する経済問題及び関税技術上の問題を研究いたしておりました機関でございます。その後、経済問題に関しましては、欧州経済協力機構の活動分野と重複する面が多くなってまいりましたために、その研究を中止し、関税同盟研究団といたしましては、もっぱら関税技術上の問題の研究に専念することになったわけでございます。ちょうどその間、おりから世界貿易が拡大され、並びに商品あるいは貿易形態が非常に多様化してまいりました。したがいまして、かかる税関における貿易貨物の取り扱いはますます複雑化する傾向になってまいりました。それで各国の関税制度を世界的規模によって統一し、かつその簡素化をはかり、貿易拡大の一助とするという国際的な動きが漸次活発になってまいりました結果、一九五〇年十二月に至りまして、関税同盟研究団の加盟国が三つの条約を作成いたしました。それは関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約、それから税関における物品の評価に関する条約、それとともにこの関税協力理事会を設立する条約、この三つの条約を採択するに至りました。なお、この三つの条約の間には、関税協力理事会を設立する条約に加盟しなければ、ほかの品目表あるいは評価の条約には加盟できない、こういう関係になっております。この関税協力理事会を設立する条約は、翌々一九五二年十二月に効力を生じまして、ただいま三十三カ国、オーストラリア、オーストリー、その他EEC諸国、EFTA諸国、ハイチ、インドネシア、パキスタン等、三十三カ国がその加盟政府でございます。なお、そのほかに、たとえばアルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、日本、アメリカなどの十二カ国、及び国際連合、ガットあるいはOECD、国際商工会議所等の政府間あるいは非政府間の国際機関が、理事会または関係委員会の会合にオブザーバーとして招聘されております。この理事会の下部機構といたしましては、常設技術委員会、それから品目表委員会、評価委員会及び財政委員会の四つの委員会及び事務総局がございます。これらの理事会及び各委員会は、熱心に二ないし四回会合いたしておりまして、関係事項を審議、採択いたしております。現在までの理事会の業績のうち主要なものを列挙いたしてみますと、まず、関税率表における備品分類を統一するための活動がございます。これは、内容的には、理事会が欧州、関税同盟研究団から継承しました。いわゆるブラッセル関税分類品目表、簡単にBTNと申しておりますが、この分類品目表をより一そう合理的なものに改訂した。さらに、各国の税表分類上の取り扱いを統一するために、全三巻から成ります解説書を作成しております。このブラッセル関税分類品目表は、現在五十八カ国がこの体系を採用しております。きわめて科学的な分類体系によっておりまして、税関における物品の税表分類業務を容易にし、かつ、多数の主要国が同一の関税分類体系を持つことによりまして、貿易業者の利便あるいはまた関税交渉の進捗等を助けている点が非常に大でございます。  また解説書は、この品目分類に従いまして、具体的に商品の税表分類を行なう上の方針を詳細に定めております。それと同時に、この解説書は、現在国際連合によって採用されております国際標準貿易分類表、これの分類の指針にもなっております。わが国といたしましては、昭和三十六年の税表の一般改正に際しまして、このブラッセル関税分類品目表の体系をすでに採用いたしております。  それから第二番目といたしましては、税関における物品の評価の方法を統一するための活動がございます。これも理事会が欧州関税同盟研究団から継承いたしました価格定義に従いまして、税関における物品の評価方法の統一とその合理化をはかってまいりましたが、このため特に価格定義の解説書を作成いたしております。この解説書は、価格定義を課税価格の決定に実際に応用する際の詳細な解説を内容といたしておるものでございます。で、各国の評価方法を統一する上で非常にこれは役に立っているものでございます。現在この価格定義は十八カ国によって採用されております。  それから第三点といたしましては、税関手続を簡素化するための諸条約の作成がございます。理事会は、特定の物品の輸入に際しまして税関の手続を簡素化するために、現在五つの条約を作成しております。それは商売見本についてのECSカルネに関する関税条約、それからまた、梱包材料の一時輸入に関する関税条約、それから、展覧会、見本市等の催しものにおいて展示又は使用される物品の輸入を容易にするための関税条約、それから職業用具の一時輸入に関する関税条約、それから、商品の一時輸入についてのATAカルネに関する関税条約、これら五つの条約を作成いたしまして、関係品目の輸入について税関手続を極力簡素化する、こういう方向をとっております。これらの条約は、いずれも関係国に対し加盟を慫慂いたしております。  それから第四点といたしまして、関税行政についての国際協力を行なっております。これは、理事会は、各国の関税制度の情報交換による関税行政の改善、あるいは密輸防止対策等で各国税関の相互協力体制の樹立につとめております。また、国連その他の政府間及び非政府間国際機関との密接な連携によりまして、貿易発展のための関税技術の改善をはかっております。なおそのほか、この一環といたしまして、現在低開発国の関税行政改善のための援助、例を申し上げますと、国連の要請に基づきまして、ウルグァイの関税表改正を援助するための指導官として、この理事会から専門官を派遣している、こういうような事例がございます。こういうことによりまして、現在この関税協力理事会は活動しておるわけでございますが、日本がこの条約に対し加入が実現いたしました暁には、わが国といたしましては、理事会の構成国として理事会の運営に参画し、関税行政の能率化、統一化等の面で国際的役割りを演じ、ひいてはわが国の貿易の発展に貢献することが大である、こういうふうに考えております。  簡単でございますが、補足説明を終わらせていただきます。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 以上で説明は終了いたしました。ただいまの三件の質疑は、後日に譲ることといたします。  十一時四十分まで休憩をいたします。    午前十一時十三分休憩      ―――――・―――――    午前十一時五十分開会

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  国際情勢等に関する調査を議題とし、先刻の質疑を続行いたします。  なお、大臣の出席は午後一時まででございますが、御質疑の希望が四名ほどありますので、答弁を含めお一人二十分程度にお願いいたします。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 さっきの、去る五日のいわゆる外務省の統一見解、すなわち、大臣のおっしゃるように、あれが外務省の方針であり、外務大臣も、これを認める方針だというので伺いますけれども、政府は盛んに、中共代表権問題について発言するときに、これは重要問題だから国連では重要項指定方式でいっているのだと、こういうことを今日まで言ってきておった。そして、このいわゆる外務省見解にもそれが入っておるわけですが、一つもやっていないですね。これは重要事項で十分審議をしなければいかんと言いながら、何もやってない。やっていたら伺いたいことが一つ。  それから、どうも、ただ中共の代表権決議案を葬り去るだけの、いわゆる三分の二の票数集めのための重要事項という規則を採用しただけであって、垂要問題だから一生懸命やるからと言って何もしていない。たぶん、第五回の国連総会あたりのときにこういう問題の研究をやったことがあると思うのだけれども、それも立ち消えになってしまったが、これほど慎重審議をしなければならぬと言いながら、政府は何をやっておったのですか。おったとすれば、いつ、どういうことをやったかを、ひとつ伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 中国の代表権問題は重要問題であるという実体認識は、今日全然変わっておりません。  それから、国連においてのことでございますが、今日まで、代表権問題に対する国際世論というものが、客観的な表決が示すような状態に、いまあるということもまた事実でございまして、この問題の実質的な討議をやる段階に、まだ国連として至っていないというように私どもは考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国連としてやっていないじゃなくて、国連加盟国である日本、この方式がよろしいという立場をとる日本が、この見解にもあるように、十分な実質的な審議を加えて、また次の段には、あらゆる角度から十分討議してというのだから、日本が提案をして審議をするという措置はとったのですか、そういうことは聞いていないのですが。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただ、そういう機が熟してないということでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 きわめて、言うことと行動が一致しない。できないことは口にしない。男子は一ぺん口にしたら実行するというのが、これは男らしいということなんですね。ただ三分の二で決議案を葬り去ってしまえば、あとはまた次の機会というのでは、政府の外交のやり方はまことに足らないといいますか、なってないとさえ私らには感じられるのです。これをどういうふうに実際に討議する形式あるいは方法というものがおありなら、伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、これが重要問題であるという認識は依然として持っておるわけでございます。次の国連総会に対してどういう態度で臨むかということにつきましては、たびたび申し上げておりますように、各般の情勢をいま検討中でございまして、まだ国連対策を政府として打ち立てるまでにはまいっておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 こまかい対策ではなくて、重要事項だから論議するのだ、単なる決議案で中共代表権の決議案を葬り去るだけでなくて、重要なら重要だということをやる――具体的に審議する御意思がありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国連の日程にのぼってまいりますれば、当然のことと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうも日程にのってくれればとか、世界の大勢が中共を承認するようになるならばという、自分というものが全然なくて、人の顔ばっかり見ているのはどうも情けない外交だと思うのです。ところで、いままで総理、外務大臣その他、公の場所で責任ある人の発言を全部一木にまとめてみると、中国の代表権承認、中共の承認ということ  国民政府にかわっての承認ですよ――中共承認ということは国連総会で認められたあと、それまでは何も行動をしない、それ以前の承認ということはあり得ない。かりに国連で議席を円満に獲得しても、日本の中共承認はそのあとでやる。しかも、そのあとで友好国、ことにアメリカの意見などを聞き、他国の意見も聞いて、その上で判断する、こういうふうに、非常に大後退といいますか、そういうところに固まったように見えるが、さように了解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 事柄は重要な問題でございまするし、日本の国にとりましてきわめて慎重に取り扱わなければならぬ問題であると思います。そういうことでございますので、ただいまの段階におきまして、こういう将来の問題についていろいろ論議をかわすこと自体が、私どもとしていかがなことかと思うのでございまするけれども、したがって政府のほうでは、この問題につきまして各種の材料を整えまして政府の統一見解をきめるというようなことは、いたしておりません。ただ、たまたま国会が開会されておりまして、各種の委員会におきましていろいろな御質問がございますので、私どもが、これは慎重にやらなければならぬという立場からいろいろ申し上げたことを整理したのが、先般の答弁資料なるものでございます。これをどのようにおとりになりますか、どのように評価されますか、それは私はわかりませんけれども、正直なところ、いまの段階では、政府の統一見解というようなものを打ち出すというような、そういう段階ではないということでございまして、将来の問題であり、それにはまだ未確定の要素がたくさんある問題でございまして、確たる見通しを立てると申しても、これは無理な段階でございます。精一ぱい政府が御答弁申し上げるとすれば、そういう程度のものでございます。こういうのが正直なところでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は、外務省の統一見解なるものがどうしてできたかということを伺っているのじゃなくて、次の国連総会まで、進んで中共承認にしない、国連で正当な議席を持つに至っても、すぐ国交正常化には踏み切らない、正常化は考慮するが、踏み切らない、あるいはその他友好国の意見を聞いてから最後の態度を決定するというのは、これは私がつくりごとで言っているのじゃなくて、国会における責任ある総理、外務大臣の御答弁をずっとつなぎ合わせますと、そういう結論になる。この点だけをひとつ、簡単です、御同感でありますでけっこうです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そのようにおとりいただいて一向差しつかえございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そういうことに決定して御同感というのは、私も同じことばを繰り返してもめんどうだし、速記録もないし、御同感というのは、私の言ったことと全く同じ、こういうふうに解釈をいたします。一佐多さんの御質問がありますが、時間がありますので、もう一問だけ、うっちゃっておけない問題はこの間衆議院でもだいぶ中国、台湾の領土の帰属の問題が長い時間にわたって論議されておりましたが、この点について日本側は、台湾政府というのを観念的に中国と見て、しかし政治が行なわれていない。ところが、向こうは逆に、四五年十二月二十五日から台湾はふたたび中国の主権のもとに帰って、中国の一部台湾省として統治をしておる。たいへん日本側と食い違いが大きいと思うのです。これは国民政府外交部の台湾の法的地位について池田さんがあやふやなことを言うので、違いますよ、こう言った。このことはまた別に見れば、中国で代表権が北京だと決定すれば国民政府は黙って譲るということも想像される重要なことばだと思うのです。この点をどう解釈されるか。それだけ伺って私は終わります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 衆議院で論議されましたのは、日華平和条約で台湾の領土権をどう見るか、台湾・澎湖島の領土権をどう政府は解釈しておるかという御質問でございます。私どもといたしましては、サンフランシスコ条約でこれは領土権を放棄したという立場に立っております。したがって、どこに放棄したということはうたっていない。したがって、日華平和条約におきましても、領土権を設定したという文句はつかっていないわけでございます。そういう条約上の解釈というものを申し上げたわけであります。国民政府がどのように解釈されておるか、どのように主張されておるかという問題じゃなくて、日本政府はこの条約をどう解釈しておるかという御質問でございますから、そのようにお答えしたまででございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 いまの台湾の帰属の問題ですが、御承知のとおり、北京のほうではいわば一つの中国、したがって台湾が別に存在するということはあり得ないのだということを言っているのですが、北京はどういうものを根拠にしてそういう議論をしているとお考えになっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは北京政府にお聞きいただきたいと思います。日本政府の見解といたしましては、日本政府は権利、権原を放棄したという立場にある、そうして帰属は未決定であるという見解を述べておるわけです。それ以上、他国がどういう根拠において主張されているかということまで、私はお答えする責任はないと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 北京のことは非常におきらいなようですから、北京のことはそれじゃこれ以上お聞きしませんが、それなら、非常にお好きな台湾のほうはどういうふうな主張をし、どういう根拠でどういう主張をしているというふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それも台湾政府の問題、国民政府の問題でございまして、先ほど申しましたように、私の立場は森さんにお答えいたしましたとおりでございます。他国の主張に対しまして、その根拠を尋ねてそれをコメントすることは、私は差し控えたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃ、大臣としてはごたごた答弁するのはやめるとおっしゃるならば、事務当局でよろしいが、そういうものは非常によくお調べになっているはずですから、事務当局はこれをどういうふうに読み取っておられるか、御答弁願います。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 大臣からお答えしましたとおりに、台湾澎湖島は、日本が放棄したわけでございまして、これの帰属問題について何ら発言権がないわけでございます。帰属の問題について、それ以上にとやこう申し上げるべき立場にないと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 私の聞いているのは、台湾はどういうふうな主張をしているか、どういう根拠であるか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 新聞に報道されている以上のことは、何ら存じておりません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 どういうふうに報道されているか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 手元に新聞記事を持っておりませんので、正確に申し上げられないのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 私は希望しておきますが、事務当局は、そういう問題についてはちゃんと資料なり何なりをお持ちの上で、そういう問題に対しては答弁できるようにここに来ておられるのだと思うが、どうも事務当局がそういう御返事では、われわれ納得しかねるのです。そういう準備は十分におありのはずだし、そういう資料はちゃんと持ってきておられるはずでしょう。最近、特に吉田さんをやり、さらには毛利さんもやり、そして非常に友好関係を促進をしておられるという状況ですから、それは十分におありのはずだと思う。それでいいのですか、外務省の答弁は。大臣、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもは放棄した立場にあって、その帰属についてとやかく申し上げる立場にないという以上に出ないのでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃ私のほうから申し上げますが、これは新聞にも出ておりますように、台湾は中国の一省であるという特別声明をしている。その声明は、「中華民国に関する限り、台湾が一九四五年中国に返還されて以来、その法的地位に関するいかなる問題も存在しない。中国は一九四一年十二月九日、日本に宣戦布告して以来、第一次日中戦争のあと台湾と澎湖島を日本に割譲した下関条約を含め日本とのいっさいの条約を破棄した。」と、そうして、「一九五二年四月二十八日の日華平和条約第四条は二九四一年十二月九日前に日本国と中国との間で締結されたすべての条約、協約及び協定は、戦争の結果として無効となったことが承認される。」と規定されている。  また台湾の中国への返還は一九四三年十二月一日のカイロ宣言に明記されており、さらに日本が一九四五年九月二日の降伏文書で受けいれた同年七月二十五日のポツダム宣言で再確認されている。日本は日華平和条約第二条に基づき、台湾、澎湖諸島に対するすべての権利、権原および請求権を放棄している。一方中国は、一九四五年十月二十五日に台湾にたいする主権を再び確立し、それ以来台湾を中華民国の一省として統治している。」と、非常にはっきりした声明を出しておるのですね。これらの根拠を考慮に入れて、なおかつ大臣は、台湾の帰属はわからないのだ、未決定だと、こうおっしゃいますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 条約の解釈問題といたしましては、たびたび政府が申し上げておりますように、権利、権原を放棄したのでありまして、台湾、澎湖島をどこに放棄するというこは、実定条約に何も書いてないわけでございますから、私どもといたしまして、それ以上のことを申し上げることはできない立場にあるわけでございます。いまお読み上げになりましたのは、国民政府の御見解と承りますけれども、それに対して私どもがとやかく申し上げるのは、外交上のマナーとしておかしいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうしたら、その点に関する限りは、日本政府は台湾と見解が全く違うのだということなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本政府の立場は、放棄して帰属は未決定であるというところでとまっておるわけでございます。これをどのようにこれから展開してまいるかということは、しいて言えば、これは連合国の問題でございまして、私にお尋ねになるのは、やや筋違いかと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは連合国の問題である先に、向こうの問題としては、すでにいま読み上げたようなカイロ宣言以来の過程できまっているのだと、こういうふうに台湾は考えているわけですね。さらには、北京のほうも、この問題に関する限りは、同じような根拠で考えていると思うのです。そうなれば、そういういまの日華平和条約以外の一切の条約その他は、日本は全然認めないのだと、ただ日華平和条約一つだけを認めるのだと、こういう御意見ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは認める、認めぬでなくて、日本と国民政府との間に結んだ条約が、厳としてあるわけでございます。この条約の解釈といたしましては、この条約で私どもは、中華民国政府が台湾と澎湖島に領土権を持っておるという前提に立ってこの条約を結んだものでないということを申し上げているわけでございます。あなたのいま指摘された問題は、しいて言えば、連合国と、そう主張される北京政府あるいは国民政府との間の問題でございまして、私どもにはかかわりのない問題でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ただ、台湾のほうでは、台湾は中華民国の一省であるというふうに規定をしているのですね。ところが、あなた方は、台湾の帰属はわからないのだと、こう言われる。そうすると、帰属のわからない、これは政権か何かわからないものと条約を結んだ、こういうことになるのですか。領土も持っていない、帰属もはっきりしていない、その立場にあるものと日華平和条約が結ばれた、こういうことになるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国民政府が台湾、澎湖島を支配しておるという現実に立って結んだ条約と承知しております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その現実の状態に立って結んでおられますならば、大陸中国のほうも、現実の事態として厳として存在をしているということがあなた方の御主張ですから、同じように、大陸中国との関係も国交は正常化されるわけじゃないですか、同じ態度をとられるのなら。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日華平和条約は、そういう現実の支配というものを前提にして結んだ条約であると承知いたしております。しかし、もう佐多さんに申し上げるまでもなく、北京政府も、国民政府も、それぞれ、中国は一つであるという主張を持たれておるわけでございます。わが国といたしましては、中華民国政府というものとそういう形において外交関係を持っておるわけでございます。同時に、北京政府を承認するというようなことはできません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いまの問題に関連して。  ただいま、大平外務大臣は台湾の帰属の問題について、日本はこれは放棄したのだと、それ以上のことはここで言えないのだと、こういうお話でございますけれども、先ほど、中華民国政府は、台湾と膨湖島に領土権を持っておる、こう言われたのですね。領土権を持っているということは、台湾政府の主権が、中華民国政府の主権が、台湾と膨湖島にあるということじゃないのですか。事実を私はお伺いしているのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) よくお聞き取り願わなければいかぬのは、私は領土権があると申し上げていないわけです。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いや、いま……

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そうじやご、さいません。速記をよくお調べいただきたい。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 じゃ、そのことばの問題は別として、中華民国政府が台湾と膨湖島に主権を持っているか持っていないか、その点のお答えを願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 中華民国政府が台湾と澎湖島を支配しておるという前提に立って結ばれた条約であると承知しております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 台湾と膨湖島を支配しているということは、主権があるということじゃないのですか。主権がないのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 現実に台湾と膨湖島を支配しておるという前提に立って結ばれた条約でございまして、領土権というようなものの前提に立って結ばれた条約ではない、こう承知しております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすると、領土権を持っていない隣家というものですね。これはおかしな話ですね。国家というものはあなた、領土を持ち、領土に対して主権を確立しているのが国家でしょう。そうすると、あなたの言によると、台湾政府というものは、領土権は持っているけれども、主権は持っていない。主権のない国家というのがあるんですか。その点どうでしょう。台湾政府、つまり中華民国政府は、主権なき国家、こういうことでしょうか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 台湾、膨湖周の最終帰属につきましては、先ほどから申し上げておりますように、条約上米決定でございますが、中華民国国民政府は、戦争中からの連合国間のアレィンジメントによりまして、これに施政を行なっておるわけでございます。また事実、歴史的な事実の問題といたしまして、御指摘がありましたように、カイロ宣言というものもあり、また、日本もポツダム宣言でこれを受諾しておりまして、そして、これが中華民国に返還されるべきものと予想されておるということも事実でございます。それでは中華民国の施政は台湾、膨湖島だけかというと、そうではないので、金門、馬祖というような中華民国の領土、固有の一部分にも現在国民政府の有効な統治が及んでおるわけであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それでは審議官に聞きますが、有効だと、統治が及んでおることを認めておって、そして台湾政府がなおそこに主権があるということがどうして言えないのですか。主権がない、こういうことなのですか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 主権を持つということは、領有の関係を生じます。領有ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、日本政府としてはサンフランシスコ平和条約に基準を置くわけでございまして、幾ら戦時中の協定、連合国間の協定で将来の約束は取りかわされておりましても、領土の帰属というのは平和条約できまるものだ。それで、平和条約では日本が放棄しただけである。つまり、領有、所属が未決定であるということからして、法的には現状を認識しておるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そういたしますと、金門、馬祖は皆から――日中戦争以前から中国の領土、そうすると、台湾政府の固有の領土というのは金門、馬祖だけで、そして台湾と膨湖島は日本が放棄した。領有しているけれども、そこにはまだ主権が確立されているということは認められておらぬ。そうするというと、いまの台湾政府は、つまり中華民国政府は、台湾も自分のはっきりした領土として認められておるものではないし、また膨湖周も領土として認められておるものではない、こういうことになるのですね、あなたの言からいえば。そうすると、その中華民国政府というのは、金門、馬祖を固有の領土とし、他は施政権は持っておる、しかし、それ以上のものは持っておらぬ、こういうふうに日本政府は解釈しておる、こういうことでございますか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 固有の領土としては、従来の中華民国の大陸も、法的には中華民国の一部として見られておるわけでございます。そのうちで現実に施政権が及んでおるのが金門、馬祖である、ということでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすると、台湾と膨湖島というものは施政権は持っているけれども、これは丘だ認められていない、非合法もしくは国際的に認められていない領土を台湾政府は保有しているのだ、こういうことですか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 先ほど申し上げましたように、国民政府――中華民国国民政府があそこで施政を行なうということは、非合法でも何でもなく、戦時中からずっと認められておるわけでございます。一方的にやっていることでは全然ないのでございます。ただ、申し上げているのは、領土の最終的帰属が未決定の状態にあるということでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすると、あなた方はいま中華民国政府と外交関係を持っているけれども、その中華民国政府の事実施政権が及び、主権も及んでいるのは、その主権も持ち、施政権も持っているのは、金門、馬祖だけであって、台湾と澎湖島は、実際施政権は持っているけれども、何というのですか、主権はないのだ、まだその主権は日本としては認めていないのだ、こういうことなんですね。つまり、台湾と澎湖島の主権を日本が認めていない、その政府と日本は国交関係を持っている、こういうことなんでございますか。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 国民政府は、中華民国を正統政府として認めているわけでございまして、中華民国の領域というのは、従来固有の領域は大陸にも及んでいるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ところが、日華平和条約を締結したときには、ちゃんと吉田さんも当時の岡崎外務大臣も、その中華民国政府の主権といいますか、あるいは施政権というか、統治権というか、その及ぶ範囲は大陸までということでなくて、ちゃんと台湾と澎湖島とそのほかの島嶼というふうに限定して認めているのですよ。これは速記録を見れば明らかなんで、あなたの言うようなことを言っておらぬのです。どうですか。たいへんなことですよ。それは大臣にお聞きする。

藤崎万里外務大臣官房審議官

○説明員(藤崎万里君) 私の答弁に対する御質問でありますから、まず、私に答えさしていただきますけれども、日華平和条約では、領有権の問題には触れていないのでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 平和条約では触れていないけれども、あのときの議会の審議においては、もう繰り返し繰り返し私どもが質問いたしまして、そうして、その領有権は台湾と澎湖島と若干の島嶼に及んでいるだけだということを、はっきり言っているのです。大陸に及んでいるなんということは言っていない。しかも、その際に台湾を放棄した、澎湖島も放棄した、それに主権がないのだということになれば、あなた方は、金円、馬祖だけ主権を持っていて、あとは日本が認めていないところを領有している、こういうことになるわけで、どうも私ども納得できないので、その点について大平外務大臣、どうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は、従来日本政府は領土権というものについて言及したことがないと確信をいたします。事実支配が、施政が及んでいるという前提に立って、日華平和条約はできているのだと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それじゃ、中華民国政府は、台湾にもそれから澎湖島にも、施政権なりあるいは領有権なりは持っているけれども、主権はないのだ、こういうことでございますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 支配は及んでいる、しかし領有権、領土権というようなものは……私ども旧華平和条約はそういう前提に立ってできたものではない。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃ、その問題はまたあとでやりますが、吉田さんをこの間台湾におやりになりましたね。この吉田さんの台湾に行かれた資格、どういう資格で行かれたか。それからどういう目的で行かれたか。その成果はどうであったのか。その点を御報告願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 吉田茂先生個人の御資格で行かれた、そうして、国民政府と日本との間の友好関係の回復、増進ということに多大の成果をおさめていただいたと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 個人としての資格で行かれたのでしょうが、それには政治的な目的があったろうし、しかも、政府の同意と承認を得たものでもあったろうと思うのですが、その結果の成果はどういうふうにお考えになるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政府が派遣いたしたミッションではございません。ただ、私が本委員会でも申し上げておりますとおり、吉田先生が訪台されるということは、政府としてもけっこうなことであると思っておりました。その成果といたしましては、先ほど申しましたように、国民政府と日本政府との間の友好関係の増進に大いに役立った、そう私は考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そのあとでさらに毛利政務次官をおやりになっている。それはどういう任務を持って行かれたのか。それから、それに引き続いて大平さん自身が出かけていかれるということを、すでに吉田さんを通じて、あるいはそれ以前からも、あるいは毛利氏からも、そういう約束をしているということが伝えられますが、それは事実はどうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 毛利政務次官は、現地事情の視察と在外大使館との事務連絡のために派遣いたしたものでございます。私の問題は、たびたび申し上げておりますように、国民政府と日本との間の国交を改善してまいりますのは私の責任でございますので、この国交改善につきましていろいろ考えておるわけでございますが、私の訪台という問題も含めて目下検討いたしておるわけでございます。いつ参るというふうにきまったわけじゃございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、行かれることもまだ約束はできてないということになるのですか。私たちの聞いているところは、行かれることはすでに約束をして、行かれる時期がいつかということが問題だということです。その時期をいつと考えておられるのか。いまは国会開会中だし、それからいろいろな外交使節団も来る。したがって、少なくとも国会中は行けないんだというふうにお考えになっておるのか。その時期の点をもう少し明確にしていただきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 時期を見て私の訪台を考慮するということは、先方にも申してございます。そういう問題も含めていろいろ検討いたしておるという段階です。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その時期はいつと、いま検討しておられるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) どういう時期がいいかという問題につきましても、あわせて検討いたしたいと思っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それからもう一つは、国民政府に対して借款供与をするという問題をお考えになっているのかどうか。国府に対するそういういまのクレジットというか、延べ払いというか、そういうものはどの程度あるのか、そこいらの事情はどうなっておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいままで日華間の経済協力は相当実績をあげてきております。数字のほどは後刻差し上げたいと思います、いま手元にございませんので。その後、日華経済協力関係の案件が思うように進捗していないことも事実でございます。将来これをどうするかの問題につきましては、私ども、国府との間の経済協力は前向きに進めてまいる用意があるわけでございます。ただ、具体的にどういうプロジェクトについてどういう形のものにするかというところまでは、話が、そういう案件が出てまいっておりませんので、いまの段階で申し上げられますことは、いいプロジェクトがございますならば、私どもとしては前向きに考慮したいというふうに考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 おとといですかの参議院の予算委員会で大臣は、今後の低開発国援助はすべて商業ベースで行なって、韓国で考えておるような、政治ベースの長期低利の援助はもう今後新しくは絶対やらないんだという御答弁をなさっております。そうすると、そのことは、国府にも当てはまるというふうに了解しておいていいですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 韓国は、いま日韓交渉の一環といたして有償、無償の経済協力を考えておるわけでございます。これは長期にわたり低利のものでございます。こういう種類のものは、私どもとしては、もう韓国だけでかんべんしてもらいたいと考えております。その他の地域につきましては、ただいまインドにしても、パキスタンにしても、インドネシアその他にいたしましても、大体輸銀ベースの話で事実ワークいたしておりますし、世界の各国の経済協力がどのように動いてまいりますか、金利の水準、条件というようなものが将来世界的にどうなってまいりますかは逆睹できませんから、日本だけがこの水準でがんばるんだと言っても、そういう固定した考え方はございませんけれども、輸銀ベースの考え方で大体まかない得るのではないか、また、そうしたいものだと私は思っています。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 この問題についてもう少し詳しく聞きたいんですけれども、時間がありませんから、ただ一つだけ、いまの御答弁から見て、国民政府に対しても政治ベースの借款は絶対にやらないんだ、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございますね。そういうふうに解釈しておきますよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政治ベースの借款というのはどういう内容のものか、御質疑の内容が私はわかりませんが、いままで国府関係は比較的資本の効率が高くて、経済協力は非常に順調にいった地域と私は承知いたしております。したがって、非常に長期で非常に低利でなければという、そういう資金を供与しなければ成り立たないというような条件ではないと私は承知しておりますが、現実に先方からもその話はいまありませんし、いまのところ、何ともお話がありませんのに、やらぬのだという答えをすることはいかがかと思うわけでございますが、考え方といたしましては、韓国のような、いわゆる長期低利の、政府がコミットした特別な政治的な借款というようなものは、できるならば、もう韓国だけにとどめたいという考えでおります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 韓国の問題を言われるときには、それは韓国に限ります、絶対にやりませんと言っても、今度は台湾のこと、国府のことを言うと、そこのところがぼけて実に遺憾だと思うんですけれども、この問題はとにかく今後は絶対にやらないんだということを、参議院の予算委員会で言明をしておられますから、そういうふうに了解をして、あともう一点、よく問題になっている例のビニロン・プラントの問題ですが、中共のほうへお出しになることは、これはかまわないんですね。お出しになる考えだ、こういうふうに考えておいてよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもといたしましては、中共との間に貿易をやっておるわけでございまして、普通の貿易につきましては、別段問題はございません。延べ払い輸出ということになりますと、御案内のとおり若干の問題が対国府関係におきましてあることはよく承知いたしております。私どもといたしましては、日本と国府との間ではすべて理解に基づいて問題を処理しなきゃなりませんので、よく双方の見解を調整いたしまして、もんちゃくのないようにやっていきたいと思っておるわけでございます。具体的なこれからのプラント輸出の問題につきましては、諸般のことも考えてまいらなきゃならぬことは事実でございますが、まだ具体的な、案件が出てきておりませんので、許否の問題というようなことを国会で申し上げるという段階ではまだございません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 案件が出ていないんじゃなくて、民間の、財界のほうでは、政府の態度がどうもあいまいできまらないから出せないんだという事務の運び方だと私たちは了解をしている。したがって、ここではっきりしていただきたいのは、すでに去年もビニロン・プラントの輸出をやったんだから、ことしも引き続きそれはやれるんだと、ただワクその他は問題がありましょうけれども、やれるんだ、やるべきだというふうに考えるのが至当だと思うんですが、その点はどうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) やれないとは申し上げないのでございまして、やることについては慎重にやりたい、こういうことでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃ、やられるということで了承をしておきます。  それからもう一点。東南アジア、南ベトナムの問題ですが、非常に騒がしい問題になっておりますが、この点についてアメリカは、特に南ベトナムについて軍事方式といいますか、軍事力をもって押えるという方式をとっている。ところが、フランス――ドゴールはそうでなくって、そういう問題は軍事方式では絶対に解決できないんだから、むしろ政治方式で、経済方式で問題を解決をすることがより現実的なんだという考えを持っておると思うんです。その考えは、アメリカ内においてもその両方の議論がいま盛んに戦わされていると思いますが、わが国としても、この問題に対して独自的な、どういう方針でどういう態度でいったらいいというふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) わが国といたしましては、インドシナ半島の事態が平和で安定してくれることを望むという以外に言い方がないわけでございます。で、このフランスとアメリカの指向している政策の方向が、何か違った感じを受けることはあなたが御指摘のとおりでございます。ただ、これはフランスといたしましても、直ちにそういう政策をやれ、またやれるということを主張されておるようでもございませんし、米仏の間にもお話し合いが始まっておるようでございます。現実に即してわが国といたしましては、インドシナの状態が安定に向かうように、ひたすらこいねがっておるということでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それならば、日本の方針としては、軍事方式でなしに、政治的な、経済的な方式で安定を求めることが望ましいというお考えだというふうに了解をされますか。それを前提にして、それでは、もし南ベトナムで何か問題が起きたときに、日本の自衛隊がそれにかり出されるということは、もちろん絶対にないのみならず、日本の中にいるアメリカ軍が移動その他をする場合には、必ず事前協議をする。そういうことはお考えになっておりますか。それなしには絶対に出さないんだ……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 軍事とか政治とかいいましても、そんなに截然と分けて考えられる事態では私はないと思います。軍事的な安定がなければ政治的な安定もないという状態であることは、現実の事態であろうと思います。ただ、米仏両国とも、これは軍事問題でもあり同時に政治問題であることも、十分御承知の上で、やられていることと思います。日本政府は、経済的方法においてやれとかいうたいそれたことを申し上げるつもりはありません。こいねがわくは、安定に向かってもらいたいということを希求するだけでございます。ただ、安保条約との関係におきましての問題は、現に在日米軍との関連が出てきておりませんし、出てきた場合の状況を見て判断すべきものと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日韓会談が、きのうは漁業会談が行なわれているし、きょうですか、本会議が、第六次会談ですか、行なわれるというようなことになってきたと思うんですが、したがって、この際に社会党としては、いままでのいきさつ、今後の方針等について中間報告をさるべきだということを強く要望しているんですが、国会のほうでは、それはやるべきだ、やっていいというふうに考えているけれども、内閣のほうで、特に外務省のほうで、あなたがそれをやるべきでないというふうに主張しておられるんだということが伝えられているんですが、それは実にけしからぬ態度だと思うのですが、あなたは中間報告に対してはどういうふうなお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私どもといたしましては、せっかく交渉中でございますので、静かな交渉をさしていただきたい。中間報告というようなことに対しては、私はごかんべんいただきたいという気持ちです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それば国民とともにやる外交と違うと思うんですけれども、この点は意見になりますから、一応私はこれで。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 いま佐多君が触れられた日韓問題ですが、われわれ新聞等に伝えるところしか知りませんけれども、双方とも、大体いま行なわれました両農林大臣の漁業に関する交渉、また、これと並行して久方ぶりで開かれる公式会談、これでまず漁業関係の議案を解決し、あわせてすべての懸案を解決して、一挙に成否のめどをつけよう、場合によったら、韓国側からは民主共和党の金鍾泌議長も日本にやってきて政治折衝もやろう、こういうようなかまえであるやに聞いているのであります。私どももかねて、日韓会談は促進すべきである、日韓調整はやるべきであると、こういう態度で、しかし同時に、内政環境をよく見て、韓国の民主化の前においてやることについては慎重でなければならぬ、こう吉ってまいりましたが、交渉の機会というものは機が熟した感があると思います。したがって、この際すべての懸案を一括筋の通った解決をはかりながら、なおかつ、この段階においては妥結のためになし得る限りの努力をすべきだと思うのです。これに関する基本的な政府の所信、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 前々から私どもといたしましては、多年にわたる懸案でございますので、でき得れば早く解決させていただきたいという気持ちで交渉を続けてまいったわけでございまするが、遺憾ながら、専門家ベースの話し合いがなかなか進捗を見ませんでした。私どもの態度といたしましては、煮詰めるべき問題は専門家ベースで煮詰めて、それでどうしても煮詰まらないという問題を、より高級の会談で消化してまいるという方針で臨んできたわけでございまするが、先ほど申しましたように、専門家会談というものが一向に進捗を見ないというのが遺憾ながら実情でございました。しかし、これは現実にいろいろな話し合いをして理解が深まったことは事実でございます。ただいままで続けてまいりました専門家会談が無意味であったとは思いません。双方の理解に稗益するところは多かったと思うのでございます。先方から、局面を変えて、より高級の会談においてという御提案がございました。私どもといたしましても、まあそういう時期に来たのではないかという判断に立ちまして、それに同意をいたしまして、去る十日から農林大臣会談で漁業問題を御討議いただくということにいたしまして、本日から、ただいままで二年間予備交渉という形で行なわれておりましたものをもとに返しまして、本会談に進む。そして漁業問題以外のもろもろの懸案につきまして討議を進めるという段取りにさせていただいたわけでございます。曾弥委員が御指摘されますように、前々から私どもといたしましては、早ければ早いほどいいという立場で進めてまいりましたのでございまするが、交渉にはやはり天の時と申しますか、機が動いてこないとならぬわけでございますが、ただいまの段階は、先方も従来に見られない熱意を持ってこられたようでございますので、できることならば、この段階で問題の処理をやりたいものといま願っております。いま始まったばかりでございまして、私といたしましては、そうありたいと念願いたしておりますが、実際問題といたしまして、そのようにまいりますかどうか、この成り行きをもう少し見させていただかないと、まだめどが立たないという実情でございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そこで、いま久しぶりでこの交渉が山場に来たわけですから、ここ数日あるいは数週間の間が-交渉のいかんについては、その後にやはり適当な時期に国民の前に経過を明らかにしていただく必要、これは当然あろうと思うのですが、これから非常にデリケートな交渉に入ると思うので、こまかいことはあまり伺いません。しかし、この際にやはり日本側の正しい主張というものを主張していただかなければならないと思うので、以下重要な点について若干私の意見を申し上げまして政府のお考えを伺いたい。  まず、漁業問題ですが、わかり切っているようでありますけれども、いわゆる漁業専管区域というものについては、やはり国際的にいまやいれられている低潮線から十二海里という、これを限度とする。それ以上の譲歩ということは、ただ単に韓国に対してのみならず、やるべきでない。この専管区域のあれは、最大十二海里ということにし、それから基線の引き方についても、国際的に認められているような、ごく至近に、非常にそばに高等がある場合には、これを含めていわゆる基線の場合に考えるけれども、まるきり離れた大きな島まで加えたような基線の引き方というようなことは、これは認められない。原則として、やはり国際的の通念に従った基線の引き方をすべきである。以上の二点は非常に重要な点だと思うので、この点はやはり筋を通してもらいたいと思うのですが、お考えを伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、専管水域の設定、その基線の引き方につきましては、いまお話がありましたように、国際的に認められた慣行を踏まえた上で、第三国が見てもおかしくないというものでなければならぬというたてまえで進めてまいりたいと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 いま一つは、これに関連いたしまして、いわゆる李承晩ラインというものをこれ以外の地域に設置されるのか、あるいはそういうことはないにしても、日本側の平穏にやってきた漁業の実績が非常に侵害されるような、一方的の日本の制限じゃなくて、両方で協力して共同規制をするということは、公海においてあり得るのだけれども、その場合においても、日本側の漁業の実績尊重、このことも、に対する漁業協力とあわせて当然のことだと思うのですが、その点に対するお考えを伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) あの海域の資源の状況は、つぶさにまだきまって……行き届いた調査がございませんが、われわれといたしましては、は保存しなければいかぬし、日韓双方の漁民が長期にわたって安定した操業が保障され、そして利益が享受できるという状態を保障しなければ漁業交渉は意味がないと思います。諸般の事情は赤城農林大臣がよく精通されておりますので、赤城さんを御信頼申し上げて、私どもは交渉に期待をかけておるわけでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 漁業問題が解決できるようになると、非常に他の残った懸案もかなり明るい見通しが得られるとは思いますけれども、しかし、なかなか残された懸案それ自身の内容もむずかしい問題がございます。そこで特に私は二点だけ御質問したいのは、一つは朝鮮の人々の日本における処遇の問題、いわゆる法的地位の問題、これは存外あまりいままで政治的に問題にされておりませんが、これは非常にわが国の治安の関係にもなりますし、葬常に大きな問題だと思うのですが、この問題について、大体従来朝鮮を日本が領有した過去の特別な経緯から考えましても、単なる外国人扱いはできない。したがって、たとえば対日平和条約の効力発生まで、あるいはこれは政治的の問題ですから、もう少しその時点は最近に近い時点をとっても、ある時点までにわが国に平穏に住んでおった善良な朝鮮の人々は、その後永住権を認められる。外国人としては認められないですね。なおかつ、日本における公の政治的な権原は外国人には、えられませんけれども、あるいは福祉問題、あるいは初等国民教育問題等については、やや内国人並みの待遇を与えられていることは、私はこれは当然だと思う。そういう意味で、いままでほとんど地位が不安定なものを安定して、一方において永住権をはっきり与え、しかも、その子々孫々までどこで与えるかということは非常に問題ですが、これをきっちりする。同時に、逆に不法に日本に入国した者、あるいは永住権は一応与えられても、犯罪を犯した者等については、これは国外退去を求めるのは当然である。そういうふうな治安の秩序というものを明らかにし、日本にいる少なくとも七十万以上の朝鮮人社会というものの大部分の人は、平穏に住んでいます。これと日本人社会との関係を合理的に規制するということは、非常に重要な問題だと思います。そういう意味で、やはりこれも筋の立った、しかも過去のことを考えた、人情ある解決をして、現在、いま北鮮の人々が日本からまだ大量送還も終わっていないのに、自由な往来を認めろという要求を出しております。一面において無理からぬ点を認めつつも、なおかつ、そういう法律的なステータスが、いわゆる北鮮籍を名のる人々にもできておらないそういう事態は、非常に私は早くきちんと直していかなきゃいかぬと思う。そういう意味で、法的地位の確立、確定という問題について相当精力的にやってこれを解決してもらいたい、こういうふうに思うんですが、外務大臣のお考えを伺います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、終戦前から日本でお住まいになり、講和条約発効とともに御自分の意思によらずして国籍を失なわれた。これは外国人になるわけでございまするが、そういう特殊な事情を考えまして、一般の外国人と違った処遇を考えなきゃならぬという考え方に立ちまして、私どもも話し合いを進めておるわけでございます。それから、入管令で申しますと強制退去の条件というようなものがちゃんとうたわれてございますけれども、これもこういう特殊な事情を考慮して、今度の交渉で実態に即した考え方をしてまいらにゃいかぬと考えております。いずれにいたしましても、地位が不安定のままになっておるという状態は、早く解消、確立して差し上げないといかぬと思っております。問題は、その処遇の問題と永住権を与える範囲の問題があるわけでございまして、先方は子々孫々にという御希望を持たれておるようでございまするが、そうもまいりませんので、どのあたりで線を引くかという微妙な折衝をずっと続けてきておるわけでございまして、仰せのように、早く合理的地位を安定さしてやる。確立してあげるということが何よりも大事なことである。私どもといたしましては、よく実態を踏まえた上で、いまお示しのような精神で処理いたしたいと考えています。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 竹島問題についてはなかなか先方も非常にこだわっておりますが、わが国も当然にこれはこだわる領土問題ですけれども、少なくとも日本としては、この際、最終的には国際司法裁判所の判定によって決するというぐらいな線でしょうね。これを、解決のいわゆる方向をきめずに、このままたな上げしない。合理的な解決の方法だけはきめておく。若干それに回り道があっても、そういう点は私は当然に貫くべきであるし、貫き得ると、こう考えますが、念のためにお考えを承りたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは参議院の予算委員会でも御質問を受けた問題でございまして、ただいまのところ、御承知のように、わが国といたしましては、こういう一つの領土紛争でございますので、国際司法裁判所の公正な判決を待つということが一番フェアであり、公正であると考えておりますが、先方はまだそれに応諾の意思表示はしてきておりません。第三国に調停を頼む。それが不調に終わった場合、国際司法裁判所に提訴するかしないかあらためて協議しようというのが、ただいままでのところ先方側が私どもに伝えてきているところでございます。したがって、並行線のままになっているわけです。したがって、いま曾祢委員のおっしゃったとおり、私どもも、この竹島問題というものは未解決のままほおかぶりして国交正常化を急ぐというようなことはいたすつもりはございません。こういう問題は、やはり決着をつけなければいかぬ。決着のつけ方でございますが、わがほうの希望どおり解決すれば、一番すんなりするわけでございますが、しかし、若干迂回の方法を考えなければならぬ場合があるかもしれない。いずれにしろ、決着をつける。そして解決の方法については、ちゃんと合意をして置かないといけないということで当たるつもりでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 もう一点だけお伺いします。  そこでいろいろな懸案が内容的にだんだん解決されていき、最後に、全体を包む一つの共同宣言なり、あるいは国交条約というものが、これがやはり筋骨としてできなければいかぬわけですが、韓国の金議長のお話によると、基本条約のほうがいいということを言われたそうです。その点の形式は私は二の次であって、これは基本条約でも共同宣言でもいいと思います。一番デリケートな問題は、言うまでもなく、韓国側としては自分の主張もこの中に持ち込んで、要するに、韓国が全朝鮮を支配する政権であるという主張を、条約文の中でもはっきり書く、あるいは日本側に認めさせたい、この気持ちがあると思います。そういうことはわがほうとしては当然にやるべきではない。そこら辺のことは、非常に熱っぽい話になっても、やはり日本として三十八度線以北における事実上の政権の存在を無視したような、現実と離れた問題を条約というものによって法的に認めることは、これは日本のためにならない。こういうことを、基本条約なりあるいは共同宣言なりの場合に、むろんこれは貫いていかなければならぬと思うのです。  もう一つは、基本条約ばかりでなくて、大平さんと金鍾泌氏との間で妥結のできたいわゆる請求権問題についても、その内容のよしあしはここでは論議しませんが、いわゆる三億ドル、一億ドルといわれるこの問題についても、最後の文書の書き方一つ、これが重大な問題になることは御承知のとおりでありまして、もしこの文書の中で、請求権の解決の方法として、三億ドル、二億ドル云々を支払うということを書けば、これは完全に、日本が認めていけないそういう不当な請求権をこの条約によって公認したことになるのであって、その場合には、政府も認めておられるように、北鮮側のクレームという問題からいっても、非常に重大な事態になろう。したがって、そういうことはできない。したがって、この場合に、まあ政府のほうではそれぞれお考えはあるのでしょうけれども、大平さんの従来言っておられたような、経済の無償援助、有償援助をやる。その結果、双方の請求権問題がここで処理される、そういったような締めくくり方は、これは非常に重大な条約のたてまえの問題となると思うのですが、その共同宣言なり基本条約における南北朝鮮の問題といいますか、韓国の支配の地域、何といいますか、三十八度線以南の韓国との関係であるという、この出し方、それから、いま申し上げた請求権の解決と五億ドルの問題とのその関連の表明のしかたというものは、わがほうの正しい主張を貫くようにしていただきたいと思うのですが、その点に関する外務大臣のお考えを伺って私の質問を終わります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まあ、条約か共同宣言かの問題というのは、いま御指摘のような問題の討議を終えまして、そして出そろった材料を見まして、どういう皮袋に盛るかということの段階で慎重に考えてみたいと思っております。それから、表現の問題等も、御指摘のとおり、ただいままでもいろいろ議論をしてきておるところでございまして、私どもといたしましては、あとに問題を残さないような形において解決いたしたい、せっかく努力いたしたいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 関連して。日韓問題については社会党の稲葉君が明日緊急質問をやりますので、詳しいことは私お聞きいたしませんが、一、二点ちょっといまの曾称君の質問に関連してお伺いしたい。  一つは、金鍾泌氏が二十日ごろ日本へ来る、こういうことになっております。で、金鍾泌氏がソウルを出発する前に新聞記者会見をやっております。その新聞記者会見において、「私は、国府、南ベトナムには大統領特使の資格で訪れるが、訪日の場合は特別の資格は持たない。」、こうはっきり言っております。しかしながら、「日本を訪れるのは十九日か二十日ころで、ちょうど農相会談が終り、木会談が進行しているはずだから、その成行きをみて、必要とあれば、側面から責任のある人達に会って話合ってみたい。」、こう雷っておる。ある新聞には、両方の意見が合わなかった場合には調停を試みたいという報道をしておるものも見たのでありますけれども、まあ、いずれにいたしましても、金鍾泌氏が来るということになるわけですが、すでに外務大臣なりあるいはまた総理大臣なりは、金鍾泌氏に会うということに対して承諾を与えられておるのかどうか、それをまずお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私なり総理なりに会いたいという申し出を受けておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 大統領特使ではなく、これまた個人の資格でおいでになるようですけれども、その際に、一方においては本会談が進んでおる。まあこういう方が来られた場合に、総理なりあなたなりは、申し込みがあれば会われる、こういうことでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 申し込みがあるかないかわからぬのでございまして、もしあった場合には、検討してみたいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それから第二点は、この金鍾泌氏がこの新聞記者会見でこう言っておるのですね。「韓国の管轄権も、国連は韓国をただ一つの合法政府と認めているし、韓国も北朝鮮を「失地」と思っているのだから、当然朝鮮半島全般に及ぶものと主張する。」、こういうふうに言っておるのです。ところが、いままで日韓会談が起こりましてから、首相なり外務大臣なりの会談というものは、韓国政府の管轄権といいますか、統治権というものは、三十八度以南であるというふうに言われておりました。まあ、韓国側は依然として全朝鮮に及ぶものと主張するらしいし、また、金鍾泌氏もそれを主張するということを言っておられますが、日本政府は、この韓国政府の統治権というか、あるいは主権というか、あるいは管轄権というか、それは三十八度以南に限られるもの、そういうふうに、いままでの解釈をそのままおとりになるつもりであるかどうか、その点をお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 新聞の報道に対して日本政府が見解を述べるのはいささか見識を欠いていると思います。正式会談が開かれておるわけでございますので、韓国の主張なるものがそこに出てくると思います。それが出てきた場合に、日本政府としてそれに対して討議をする順序になるのだろうと思います。したがって、いま岡田さんがおっしゃったように、その新聞記者会見を契機にして私が意見を述べるというのも、いささか不見識な話だと思うのでございまして、いずれ韓国の御意見は正式会談において出てくると思いますから、そのときにまた処理いたし、討議をすべき問題だと思います。それで、いままで私どもは国会で答弁いたしてきたことを変えるつもりはありません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ただいまの問題ですが、私は、金鍾泌氏がそう言ったからそれに答えよという意味で言っているのじゃない。従来の首相なりあるいは外務大臣が国会等でなされた答弁、すなわち、韓国政府の統治権というか、主権というか、管轄権は、三十八度以南に限られておるのだというたてまえはくずされないかどうか、それだけをお伺いしたいので、それに対してイエスかノーか、お答え願えればいいのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 朝鮮半島の北に一つの政権があるということを頭に置いてやっておるということは、しょっちゅう申し上げているわけで、そのとおりの考え方でございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それじゃ、韓国の管轄権は三十八度以北には及んでおらない、こういうことでございますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 支配の及ぶ領域を問題としておりますことは、もうたびたび申し上げておるとおりです。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 速記始めて。野坂君。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 いま日韓会談の問題でいろいろ質問したい点がありますけれども、ただ一つの問題だけについてお聞きしたい。  それは、日韓会談及び日朝問題に対するわれわれ日本国民及び政府の基本的態度といったらいいかと思いますけれども、こういう問題だけについてお聞きしたいと思います。この点については、昨年の通常国会でも私は総理に対して質問しました。つまり、終戦までの三十六年間、日本は帝国主義的支配を朝鮮に及ぼしている。ここで何をやったかということについて、もう皆さんよく御承知のとおりだと思うのです。言語道断のことをやっておったと思うのです。さらに、たとえば関東大震災におきましても、在日朝鮮人がずいぶんひどい扱いを受け、また惨殺もされております。それから第二次世界大戦のときには、三百万人に近いと言われておりますが、朝鮮から労務者を日本に拉致して奴隷労働に近い扱いをしておったと思います。まあ、いわば、われわれ日本人民として、まことにすまぬことをやってきておると思います。こういう問題について政府としてはどういう考えを持っておられるか。この点について総理に質問しましたが、総理は言を左右に託してお答えにならなかった。いよいよこの日韓会談が最終段階に来たとも言われておりますので、外務大臣には、総理よりももっとものわかりがいいと聞いておりますから、ひとつ率直に、どういう反省をされて、その立場からその会談に臨んでおられるかということをお聞きしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 不幸な戦争がありまして、みじめな敗戦を受け、そして、われわれ日本国民は、不退転の決意で民主主義の体制を選択し、そして、平和愛好国として再び世界にその信を問うという決意をいたしたわけであります。私どもといたしましては、この新しい日本の進路に沿いまして、隣国との間に平等互恵の立場において懸案を解決いたしまして、自来、長きにわたりまして、双方が安定と繁栄を確保できるようにいたしたいということを念じつつ、交渉に当たっておる次第でございます。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 外相のほうでは、過去のあの事件に対してはまことに日本人民としてすまないことをした、こういう考えを持っておられますか。この点が、実は朝鮮人民の間には、日本政府が、あるいは日本の支配者層においては、過去のこの問題についてほおかむりをしている。これが非常に不満の根底にあると思うのです。この点について、外相にもう一度その点はっきりお答え願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本国民全体が大いなる反省の上に立って、新しい進路を選択、決意した。そして、これは戦後の日本の行き方で、単なることばでなくて、日本の国民の行動で御理解いただくようにいたさなければならぬと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 さて、私たちの望むのは、ことばの上でなしに、行動の上で示してもらわなければならぬと思っております。さて、その行動といったらどういう行動かといえば、韓国の、あるいは北朝鮮の、全朝鮮の人民が一番願っていること。また、日本人民も同様に願っていると思いますが、南北の統一だと思うのです。この統一に、日本政府としても、日本人民としても努力することが、私は根本的に反省の実をあげる道ではないかと思うのです。ところが、今日やっている政府のやり方を見ますと、ほとんど南北朝鮮の統一の問題については発言をされてないし、考えようともしていない。何かこちらが質問しますと、国連国連と逃げられている。しかし、内部には、たとえばここに一つ材料がありますけれども、古いものではございません。今年の一月十六日の「京郷新聞」、これは合法的に存在しているものです。このりっぱな新聞がこういうふうな論説を掲げております。「今日の南朝鮮における危機とかあるいは経済的混乱、飢饉、こうしたもの、すべての根源が国土の両断からくる悲運である。これを根本的に解決する唯一の方案は、統一を実現する以外にないのだ。それにもかかわらず、朴大統領や政府は、統一問題に対していかなる具体的な方案、提示をもなく、このままでは何の将来の希望と夢があろうか」、こういうふうに痛烈に政府側を批判しております。われわれも同じ気持ちだと思うのです。日本がかりに両断されておったら一体どうするだろうか。この統一の問題について、政府は何らの手を打とうともされていないし、考えようともされていない。この点について外相の御意見をお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 南北朝鮮が統一するということは、政府は心から念願していることでございます。これをどう実現してまいるかということは、朝鮮半島の方々の問題でございます。その点は私は野坂さんと見解を異にしており、日本政府が統一を阻害するとかというようなことは、いわれなき誹謗でございまして、非常に迷惑に感じております。統一をどうするかということは朝鮮の方々がきめるべき問題でございまして、私どもはそれを尊重しなければならぬと思います。われわれがやっておりますことは、懸案を処理いたしまして、お互いの間に互恵の利益を享受するような環境をつくろうじゃないかと言っておるわけでございまして、決して統一を阻害するものでもないわけでございまして、むしろそういう関係ができますことは、将来の統一に対しましてプラスにこそなれ、私はマイナスになるなんて、ちっとも考えていないわけでございます。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 それじゃもう一度お聞きしますけれども、むろん統一の問題は朝鮮人民自身の問題ではありますけれども、過去におけるこのような、いわゆる帝国主義の犯罪行為を行なった、これに対する反省として、日本政府あるいは人民として、統一をじゃましない、積極的に援助すると、こういう手を打つべきではないか、これが私の言いたいことなんです。ところが、いま政府のやっておられます日韓会談、この方針に基づきますと、南北分離をこれは永久あるいは固定化する道ですが、アメリカの軍隊をそのまま駐とんさせる方法だと思うのです。これでは統一しようといったってできないのじゃないですか。御存じのように、十二年前から北朝鮮政府は、南朝鮮に対しても、また世界に対しても、統一をいろいろな形で呼びかけ、また具体的案を出しております。ところが、日韓会談がかりに締結されてみれば、結局南北統一というものはもうできない。将来できにくい。こういう事態が起こり、明らかに日韓会談自体が妨害していると言っていいと思うのです。これについて外相、どう考えておりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 全然見解を異にいたします。私は、統一の問題は朝鮮の民族の問題だと思うのでございまして、日本がとやかくおせっかいすべき問題じゃないと思います。そういうことをやると誤解を受けると思います。そういう内政干渉を私はすべきではないと思います。私どもといたしましては、南北朝鮮が統一することを心から願っておる。そして、これにつきましては、すでに国連におきましても、御承知のように、朝鮮復興委員会ができまして、毎年討議いたしておることでございまして、そして、統一に至る道程につきましても論議が行なわれておるわけでございまして、国連を尊重するわが国といたしましては、そういう方式で北朝鮮の方々も参加すれば、これは難なくできる道じゃないかと思うのでございますが、私どもはそう感じますけれども、しかし、この問題はあくまでも第一義的に厳粛な朝鮮民族の問題だと思うのでございます。日本政府がじゃまをするとか、日本政府が統一を促進するとかというようなことは、これは非常に誤解を生むもとでございます。私ども心から希望しておると申し上げることが精一ぱいのところじゃありませんか。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 いや、希望じゃなくて、いま日韓会談自身が妥結させられれば、これが統一を阻害することだと、こういうふうに言っておるのです。外相何か逃げられております。日韓会談自身がいわゆる韓国政府自身だけを認めて、北朝鮮とはそのまま無関係の状態を続ける、こういうことなんですから、だから、分裂を固定化するのが日韓会談だ、だから、これをおやめなさいと私たち言っておる。真に統一を願うならば、日韓会談はやるべきじゃないですよ、いま。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これはまた私と見解を異にすると思います。韓国との間に懸案を解決しておいて、韓国が支配する領土との間の問題を片づけておけば、それだけ統一した場合に荷が軽くなるじゃありませんか。何も私どもは、今度のわれわれが進めておる会談が統一を阻害するなんていうことを全然考えて一おりませんし、そのようになると思いません。これは何か、そういう角度から日韓会談を誹誇されるということは、全然私ども迷惑を感じておるわけでありまして、そういう根拠がどこから出てくるのか、私には、頭が悪いのかしらぬけれども、理解できません。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 じゃ、逆に聞きますけれども、それじゃ北朝鮮との今後の接触や、あれとの国交の回復――国交回復と言うと誤解のあることばですけれども、あそことの国交、こういう考えについてはどういうことを考えておられますか、どういう見通しでおられますか。かりに南朝鮮との間の問題が片づいても、その他の問題はまだ残っておる。いま、かりに外相の意見によれば、統一を願っておるというようなことを言っておられます。そうすれば、それについてどういう具体的な手をお打ちになるつもりかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 目下のところ白紙でございます。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 いま外相のほうで国連云々と申されましたけれども、御存じのように、この問題は朝鮮の国内問題です。戦後処理の問題で、国連が干渉すべき性格のものではないということが一つ。もう一つは、御存じのように、国連軍というものがいま南朝鮮におります。これと北・朝鮮と対峙している形です。形式上は、国連軍と、国連と北朝鮮とは対峙している。戦争状態と言ってもいい。この国連の決議で、たとえば統一した選挙を、やるとかどうとかいうことは問題外だと思います。これについてどういうふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それについて判定を下すのは朝鮮民族だと思うのです。朝鮮民族の第一義的な厳粛な課題だと思うのでございます。日本政府にどうと言われましても、朝鮮民族が決意することでございますから、私どもは統一を願っておるということです。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 それで、先ほど申されましたように、この統一の問題は国連で解決すべきものだと言われたのに対する私の反駁なんです。国連にこういう権限がないということです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国連にそういう統一復興委員会かできて、そこで討議をされておるようです。それに対してどのような措置をされるかは、これは朝鮮の方々の問題なんでございます。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 日本政府としては、どういう態度をとっていますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本政府としては、国連でそういう委員会ができて、討議が促進されることを私どもは希望いたしております。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 それでは、たとえば、昨年ですけれども、北朝鮮政府側から、日韓会談に関連して、日本はいまいわゆる韓国政府だけと交渉しておるが、北朝鮮政府も加えた三者会談をやったらどうか、こういう一つの第二義的ですが、基本的な提案じゃありませんけれども、提案があったと思います。こういうものを政府としては将来受けて立つというような気持ちがあるかどうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま日本と韓国との間の問題について苦心をいたしておるところでございます。三者会談ができる状況にいまあるかどうかということは、もうお考えになればすぐわかると思うのでございます。そういう実現の可能性がないことをお申し出になるということが、どうも私には了解できかねるのでございます。私どもは、韓国の現に支配している地域との間にある懸案を一つ処理していこうという、きわめてハンブルな措置をいまやっているわけなんでございます。そのことは統一を阻害するものではないという立場に立っていることを御承知願いたいと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 真に統一を願っておられるならば、このような初歩的な会談でも私やってもいいと思う。なぜこれをこだわっておやりにならないかというところに問題がありはしないかと思います。そこに、私が申しますように、この日韓会談自身は南北の分断をそのまま固定化すものだということの根拠があるのです。そのように政府としても考えを向けるべきではないかとうことについて、もう一度お聞きしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 第一義的には私は朝鮮民族の問題だと申し上げているわけです。南北の問題だと思うのです。それをどのように取り上げていくかは、韓国の政府は韓国の政府として考えることだと思うのでございます。私どもは、いまわが国が承認いたしております韓国との間の国交正常化の問題をわれわれの仕事としてやっておるということでございます。いまの状況におきまして三者会談ができる状況にあるかないかは、ちょっと考えれば私はすぐ了解がつくと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 問題は韓国内部の問題ではありますけれども、いま言った提案は、日本政府にも向けられた提案だと思うのです。したがって、日本政府としては、これについていま条件があるかないか、これは別の問題として、こういうものに応ずるような意図があるかどうかということをお聞きしているわけです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 全然そういう意図はありません。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 それでは最後にお聞きしたいけれども、この日韓会談が始まってから韓国の内部の情勢、いろいろこれは政府側にも見方ありましょうけれども、一般に報ぜられているところによれば、日韓会談に対する反対が相生大きな規模において起こっているのであります。たとえば、御存じのように、全野党- 南朝鮮の全野党が日韓会談に反対して対日屈辱外交反対全国民闘争委員会というようなものを三月九日につくっております。それから、たとえば南朝鮮議会の議員が日本に来るという場合でも、御存じのように、全野党がこれをボイコットしております。いまの朴政権というのは、御存じのように、この間の選挙によりますとわずか三三%しか代表していないのです、投票では。野党のほうが六六%以上こしております。つまり、大多数の国民が日韓会談に反対しております。それから、たとえば韓国日報の世論調査を見ましても、日韓会談に反対する者が八一%あるのです。政府ではこの世論調査に対して、日韓の正常化についての世論調査の統計を持ち出されますけれども、日朝の正常化ということは、だれでもみな要望しておると思います。これが高い率を示すのはあたりまえだと思います。いま具体的には日韓会談自身に対して八一%の者が反対しているのです。国会議員の野党の全部が反対している。このように国民の大きな反対があります。日本でも、やはり社会党やわれわれ、その他労働組合等々においても、これはわれわれとしては、日本人民としては許すことのできない会談だ、こういうふうな態度をとっております。御存じのように、日本におけるいわゆる韓国居留民の間にも、この会談に反対する相当強い動きがあります。このようないわば四面楚歌の状態にあると思うのです。こういうふうな状態にあって、韓国人民の大多数の反対するような会談を何のためにいま急いで妥結しなければならないか。もし、これがかりに妥結されたあと、結局恨みを将来に長く残すことになると思います。不幸をさらに深めるだけじゃないか、妥結した場合においては、いま反対の立場に立っておる人が、日本政府、日本人民恨をむことになると思うのです。こういう点について、政府はどういうふうにお考えになっているか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日韓の国交を正常化するというのは、私は日本人多数の希望だと思います。反対する人はもちろんあります。また、韓国におきましても反対をしておる方々があることは承知いたしております。民主主義体制をとっておる以上、賛成、反対があることは、私は当然だと思うのでございます。しかし、それをどのように処理するかは、韓国政府の問題でございます。私どもは韓国政府との間に交渉を続けておるわけでございまして、今日のような不自然な状態でこの問題をいつまでも置いておくべきじゃないという判断に立ちまして、そして、それが国民多くの希望するところであるという判断に立ちまして、交渉をやるべきであるという決意で当たっておる次第です。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 ちょっともう一度、御答弁聞くとわかりにくいのですけれども、こうした反対の運動が南朝鮮にもあるし、北朝鮮はむろんのこと、日本国内における韓国人自身の間にさえ、こうした反対がある。これを日本政府でなぜ押し切ってやらなければならないか。韓国政府の問題を聞いているのではないのです。日本政府として過去を真に反省するならば、この会談をそんなに急いで妥結さすべきではない、こういうふうになぜお考えにならないか、こういうことを聞いておるのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま、懸案をそのままの状態において、国交正常化ができていないという状態を正常化すべきであるという意見は、国民の多数の希望するところであるとわれわれは判断いたしておるわけであります。もちろん反対する人もありますけれども、あるけれども、多数がそう希望しておる。したがって、多数の意思を実行に移すのは、われわれの当然の責任でございまして、むしろあなた方の言われるように、懈怠するとおかしいと思います。

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 だから、私たちとしては、統一したあとにおいてこの会談を始めたらよろしい、統一された朝鮮と国交の回復をはかるべきが順当であり、これが自然の道である。いま明らかに不自然な道を政府はとっておられると思います。この点について、私は最後に、政府がもう一度反省されることを希望して、私の質問を終わります。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 大臣に対する質疑は、これで終了いたしました。  次回は、三月十七日午前十時から開会いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後一時四十三分散会      ―――――・―――――

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