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46回国会参議院1964/02/11

外務委員会 第2号

発言数
109
登壇者
12
会派数
4
開催日
1964/02/11

会議録

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、先ほどの理事会の決定につきまして御報告申し上げます。  従来、当委員会の定例日は、原則といたしまして毎週火曜日と木曜日の二回となっておりましたが、今期国会におきましても、毎週火・木の二回を原則とし、必要に応じましては、御協議の上、他の曜日にも開会することといたしました。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、本日の議事の予定でございますが、沖繩派遣に関します件の経過報告、理事の辞任及び補欠互選に関する件、当面の国際情勢に関する件につきまして、大平外務大臣の所信聴取、昭和三十九年度外務省関係予算及び今国会の提出予定法案及び条約の概要につきまして説明を聴取いたしたいと思います。それから、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取することになっております。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、理事の辞任につきましておはかりいたします。  岡田宗司君から、文書をもちまして、都合によりまして理事を辞任したい旨の申し出がございましたので、これを許可いたしますことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。つきましては、直ちにその補欠の互選を行ないたいと思うのでございますが、互選は投票の方法によりませんで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 御異議ないと認めます。それでは理事に加藤シヅエ委員を御指名申し上げます。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) それでは、この際沖繩への委員派遣問題につきまして御報告いたします。昨年十二月二十日の委員会におきまして、議決に基づきまして、理事会におきまして協議を行ないました結果、一月の自然休会中に委員四名よりなる調査団を沖繩に派遣することに決定いたしました。議院運営委員会理事会の内諾を得て手続を進めてまいりました。ところが、一月七日に至りまして、外務省を通じまして、三月以降の適当な機会に高等弁務官が招待することとしたい旨の米側の意向が伝達されてまいりました。この意向に従いまして、理事会といたしましては、自主当な渡航により調査団を派遣するため、さらに努力を続けることに意見の一致を見たのでございますが、その前提といたしまして、国会閉会中、特に三月中における委員派遣につきましては、議院運営委員会の内諾を得ることができませんでしたので、時期及び予算等の諸条件を考慮し、再度協議いたしました結果、まことに遺憾ではありますが、将来適当な時期に調査団を派遣する意思のあることを留保し、今回の調査計画は中止することに意見が一致いたしまして、その旨米側に回答いたしました次第でございます。  以上、本件の経過の概要を報告申し上げ、各位の御了承をお願いする次第でございます。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) まず、昭和三十九年度外務省関係予算及び今国会に提出を予定されております外務省関係の法律案と条約について説明を聴取いたします。高野官房長。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 昭和三十九年度外務省関係予算及び本国会に提出予定の法律案及び条約案について御説明申し上げたいと思います。  予算案につきましては、お手元にお配り申し上げました資料に従いまして、大綱を御説明申し上げたいと思います。  第一ページ、「積極的外交推進のための外交機能の強化」、「(1) 外交要員の育成と充実」、これは大体人に関する経費でございまして、「イ」の「在外公館及び本省定員の増強並びに現業要員の確保」、本年度は定員が、その備考にございますように、本省におきまして二十三名、それから在外公館におきまして三十四名、これは六ヵ月、本年の十月からの予定でございます。これだけ増強されまして、それに伴う予算が本省関係千四百万、在外関係が一億三千六百万となっている次第でございます。次に、「ロ」は、現地補助員の待遇改善——ベースアップ関係の費用でございます。「ハ」は、外務省職員が赴任し、または帰国する関係の旅費でございます。それから「ニ」は、外務省研修所に関する経費でございます。  次に、「(2)」の「外交施設の改善」、「イ、本省庁舎の増築」、これは現在の本庁舎が手狭になりましたので、あのわきにもう一つ建物を建てたいというので、昨年度は調査費として五百万円ついておりましたが、ことしは整地関係その他の経費といたしまして、八千万。しかし、これは予算としては建設省予算に計上いたしてございます。次は「ロ」でございますが、これは在外公館におきまする公邸、事務所ないしはそれに関する土地の購入と相なっておる次第でございます。  次のページに参りまして、「外交通信機能の画期的向上」、これは文書課、電信課の近代化、機械化に関する費用でございまして、本年度は三億七百万円。昨年度よりも一億八千万円ふえておる次第でございます。  次に、「在外公館の新設及び昇格」。新しく設置いたしますものといたしまして、ルーマニアに大使館を、現在兼摂されておりますが、ここに大使館を置きたい。それからブラジルのマナオスに領事館、これはアマゾンの中流にございますが、移民関保の領事館。ジェッセルトン、これは北ボルネオに領事館を置く。イスタンブル、これはトルコのイスタンブルに領事館を置く。次にドイツのデュッセルドルフに総領事館の分館を置く。計五館、新しく新設いたしたいと考えておる次第でございます。及び、そこの「備考」にございますが、パリのOECD代表部も新設いたします。  次に「在外公館の昇格」といたしまして、ナイロビの総領事館を、今度はケニアが独立いたしましたので、これを大使館に昇格し、ハンガリー公使館を大使館に昇格する。それからブルガリアは兼摂公館でございますが、これもルーマニア、ハンガリーと調子を合わせまして、大使館に昇格いたしたいと考えております。  次に、「情報調査活動の強化並びに協議及び交流外交活発化に対応する態勢の確保」、これは交際費及び報償費でございまして、交際費は五千八百万ふえまして本年度は五億六千八百万、それから報償費が五千万ふえまして十四億五千万となっておる次第でございます。あとは外国旅費でございます。  それから、3の「経済外交の強化及び充実」、これは(1)、今度はOECDに加入と同時にパリに代表部を置きたい、それに関する経費でございます。  「イ」は経済局関係の経費でございまして、「輸入制限対策の充実」、現在、輸入制限対策のために、アメリカ、カナダ、豪州、イギリス、ハンブルグ、パリに事務所を置いておりますが、来年度はミラノに六ヵ月間この事務所を置きたい。千五百万の増となっておる次第でございます。  それからあとは、一番最後に、「使節団及び調査団の派遣」の費用、これは例年の、経済使節団を派遣しておる費用でございます。昨年度と同額になっておる次第でございます。  次の四ページに参りまして、(3)の「官民協力体制の確立」、これは、各地におきまして在外公館と現地の業者との経済貿易会議を開く、そのための本省と在外の旅費になっておる次第でございます。  それから、4の「海外経済技術協力に必要な経費」、これは、その「(1)海外技術協力事業の拡充」、「イ」、コロンボ計画に関する経費で、これは研修員の受け入れ費、専門家の派遣費。「研修員受入」は三億八千七百万、それから「専門家派遣費」三億三千四百万。昨年度より六千九百万及び千五百万の増となっておる次第でございます。  それから「ロ」の「海外技術協力センター事業」、これは既設が十三ヵ所でございますが、来年度はインドに農業センター及びタイに道路建設訓練センターを、それぞれ五千万の予算で開設したいということでございます。  それからメコン調査、投資前調査、これは昨年と同様です。それから「機材供与実施委託費」、これは五千万新規計上いたしておりまして、これはコロンボ計画におきますと、物が人に伴いませんと送れませんでして、人に伴わなくても物が相手国の経済協力のために送れるという経費でございます。それから「海外協力奉仕隊調査費」、これは千五百万円要求しております。  次のページに行きまして、「海外技術協力事業団の整備強化」、この一億の「出資金の増加」は、中央センターの建設のための土地買収費でございます。それから「交付金」でございます。  次に5の「外交基盤としての広報文化活動態勢の画期的強化拡大」、これは情報文化局の経費でございまして、「(1)対内、対外広報活動の積極的推進」、それの「情報啓発活動の拡充費」、これが本年度は六千万ふえまして四億二千百万となっており、その内訳は、「啓発宣伝事業委託費」、それから「対外報道情報宣伝事業費」、それから「視聴覚啓発活動強化費」、これはいろいろ映画を作成して在外に送る経費、それから、次に「対外宣伝及び国際文化事業実施」、「啓発宣伝費」五千七百万、それから「広報文化センター費」、これは在外公館に文化センターを置きます。その費用が五千三百万、昨年度よりも二千二百万の増でございます。それから、インフォメーション・ブレティンの刊行費三千五百万、「特別広報活動費」四千三百万、これも一昨年度同様。  次に、「国際文化交流事業の強化」、KBS——国際文化振興会の強化でございまして、昨年度より事務費並びに事業費として千七百万の増。それから「ロ」の「留学生受入態勢の拡充整備」、「国際学友会補助金」が昨年よりも四千万増、これは国際学友会学生を入れるための京都寮を新築いたしたいという経費としては四千万増加になっております。あとは例年の事務費でございます。  次に七ページに参りまして、「移住事業の拡充と海外移住事業団の強化」、「移住事業の拡充」——都道府県への補助金、本年度は二千二百万、昨年より二百万都道府県への補助金がふえております。  それから、「イ」の「事業団地方支部の新設」、これは新しく四十六の都道府県に事業団の支部を新設いたしまして、これに対する交付金として一億五千六百万計上いたしております。  それから、移住あっせん所を事業団へ移管する経費として、六ヵ月分、二千二百万予定いたしております。それから、「事業団出資金の増額」といたしまして、本年度は十二億、産投会計から六億、資金運用部資金から六億、合計十二億投資いたすことになっております。  7の「国際協力費及び国際分担金等」、これは国際協力といたしまして「国際会議参加費」及び「国連関係団体補助金」でございます。あとは「国際分担金等」、これはいろいろの国連関係その他の国際関係に関する分担金でございます。  それから八ページにまいりまして、「外務本省」、これは大体事務質的なもの。1が俸給、2が一般の事務費、あと、各局の事務費といたしまして、アジア局、アメリカ局、欧亜局、経済局、条約局、それから移住局というふうになっておる次第でございます。それから移住振興費として、これは事業団に対する経費として十二億計上いたしております。  次に九ページに参りまして、「既設在外公館職員の給与」、それから「在外公館の事務運営費」、合計百九十一億二千八百四十八万一千、昨年はそれでございますが、本年は二百十億九千四百九十八万三千、昨年度より約十九億の増になっております。  その下の欄は、先ほど申し上げました外務省関係の経費でございます。建設省並びに産投会計でございます。  以上が、三十九年度の大体の予算でございます。  次に、外務省関係の法律案を御説明申し上げます。お手元の資料でございまして、外務省関係の法律案三件でございます。予算関係二件外一件、初めは外務省設置法の一部を改正する法律案、これは、(1)アジア局の現在の賠償部を廃止いたしまして、経済協力局に統合いたしたいと考えております。次に、(2)情報文化局に文化事業部を設置いたしたい。それから、移住あっせん所を廃止いたしまして、移住事業団に移すという点。それから、(4)の在外公館として経済協力開発機構日本政府代表部を、先ほど御説明申し上げましたOECD加盟とともに、パリに置きたい。それから(5)が「機構改正及び増強による定員の改正」でございまして、特別職三名、一般職二十六名、計二十九名の定員の改正というのが、外務省設置法の一部を改正する法律案の内容でございます。   次に、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これは先ほど申し上げましたように、ケニアに大使館、ボンに総領事館、ジェッセルトン、マナオス及びイスタンブルに領事館、デュッセルドルフに総領事館分館をそれぞれ設置する。それから、ルーマニア公使館、ハンガリー公使館、ブルガリア公使館をそれぞれ大使館に昇格いたしたい。それから、マラヤ連邦のマレイシアヘの国名変更に伴ないまして、所要の改正をいたしたい。それから(4)といたしまして、「経済協力開発機構日本政府代表部並びに上記新設及び昇格の公館に勤務する職員の在勤俸の額を定める。」というのが第二の法律案でございます。  以上が、予算関係法律案でございます。  第三に、海外移住法案。海外移住改築の理念を宣明し、海外移住に関する国及び地方公共団体の施策の大綱を定め、移住あっせん人及び移住者運送船について規制する。」、これは現在起草中でございまして、できるだけ早く国会に提出したいと考えております。  以上で、外務省関係の法律案三件の説明を終わります。あと条約につきましては、条約局の須之部次長より御説明申し上げます。(「簡単でいい」と呼ぶ者あり)

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) 今国会に提出を予定いたしました条約案は二十一件で、このうちILO八十七号条約及び経済協力開発機構条約の二件は、すでに提出済みでございます。今後提出いたしますものは十九件の予定で、その概要は、お手元にお配りした資料のとおりでございます。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 何か御質問ございませんか。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 予算の中で純然たる人件費は何%くらいになるのかな、予算の中で俸給、手当。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 今ちょっと計算していますから、ちょっとお待ちください。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その前に、先ほど御説明の中にあった報償費というのは何ですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 報償費は、外と内と両方ございますが、内におきましては、大体招待外交に関する経費がおもでございます。外におきましては、まあ一般外交運営のためにいろいろ交際費以外のもの、それからやはりいろいろ調査をいたす場合、その他のいろいろな経費に使っているわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、招待外交なんか交際費じゃないのですか。それは報償費ですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 交際費は、東京におきましてはいろいろ各国の外交国を呼んだりいたします。招待外交は非常に予期しない相当の方が来られる、相当人数も多いということで、交際費だけではどうしてもまかない切れないという点がございます。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 その招待外交なんでございますけれども、こちらからお招きをするというのは、招待外交ですからお招きをするという形をとりますが、お招きをしなくて向こうから来たいという希望があれば、お招きをするという形になるのですか。それとも、いつでもこっちから、ぜひおいでくださいというふうに積極的に出ていくということになるのですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 大体向こうが日本へ来たいという希望を持っている場合が多うございます。しかし、向こうの一流のジャーナリストとか一流の学者で、何となく日本へ来たいという、直接には表明されなくても、そういう意図が看取される場合には、こちらからぜひ来てくれと言う場合もございますが、大体は向こうから来たい。それから、こちらから大臣が行かれます場合は、向こうに呼ばれますので、かわりにまた今度ひとつ来てくれ、そう言う場合もございます。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 元首がおいでになった場合とか、あるいは総理大臣とか外務大臣とか、そのランクによって何かこちらの御接待の基準というものができておりますか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 大体、元首の場合には国賓ということで、一番の御接待を申し上げるわけであります。それ以外に、政府の賓客ないしは外務省の賓客、まあランクをつけると言うとおかしいのでありますが、そういうようなアイデアで一応御接待を申し上げております。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 ユニセフ協力の問題についてお伺いをしたいのですが、日本はユニセフの問題で毎年予算に計上して、そうして分担金を払っていると承知しておりますが、そのユニセフに対する分担金の額は幾らであったか。それから、この予算面ではどの項目に入っているのか、そういうことをひとつ伺いたい。  それからもう一つ、国際連合のユニセフ部長から日本政府に対して、分担金の増額を、数年越しですか、何年前から分担金の増額を申し入れてきているのですけれども、日本のほうではまだそういう運びになっていないようです。現に去年あたりもずいぶん向こうから公文が来たりしていたようですが、これに対して外務省はどういうふうにお扱いになっているか、その辺の事情を……。ということは、日本自体でも、終戦直後利根川のはんらんのときであるとか、あるいは最近においては伊勢湾台風のときであるとか、ユニセフから救恤品をずいぶん巨額にわたってもらっておったと記憶いたしますが、その総額は何千万ドルにものぼっているだろうと思うのです。そういう関係があるとすれば、なおさら日本のユニセフに対する協力を強化しなければならぬはずのものだと私たちには思われるのですが、そういう点に関しまして外務省の見解をひとつ御説明願えばありがたいと思います。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) ユニセフに関しまする経費は、先ほど御説明申し上げました七ページの「国際分担金等」という中に入っておる次第でございます。七ページの下から一番目でございます。その経費は、本年度は七千六十三万二千円になっておりまして、ドルにいたしまして十九万六千二百ドル、前年度は六千七百三万二千円で、これを、ドルに換算いたしますと、十八万六千二百万ドル、昨年度よりもちょうど一万ドルふえたわけであります。それで、外務省といたしましても、各種国際分担金がございますので、大蔵省に対してもできるだけ応分の国際的な寄与をするために努力はいたしておりますが、いろいろの分担金がございますので、なかなか思うように参りませんが、外務省といたしましても、逐次この国際的な分担金につきましては増額に努力いたしたいと考えております。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 そうすると、去年が六千七百万ドルでございますか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) それは円でございまして、ドルにいたしますと、昨年度が十八万六千二百ドル。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 それで、ことしは。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) ことしは十九万六千二百ドル、ちょうど一万ドルの増加になっております。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 わかりました。  このユニセフの問題は、これは人道問題であって、南方諸国にはずいぶん悲惨な境遇にある子供たちがたくさんおるわけでありますから、それに対して国際連合は救援の手を伸べておるわけで、日本では最近経済の成長率が非常に高く上がってきている。それにかかわらず、人道問題に対しての協力は、諸外国に比べると、先進国に比べると、まだまだかなり程度が低いように思われますので、これは外務省としても、今官房長から御説明がありましたが、大蔵省に対して十分の理解を求められるように、ひとつ御努力をお願いしたいと思います。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 努力いたしたいと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 一つ、条約の中で小さいやつですが、自家用車の一時輸入の通関手続を簡単にするというやつですが、自家用車の輸入そのものをいわゆる自由化するという問題とちょうど時期が重なり合っているので、ヨーロッパの国々あたりではこういう習慣が前から確立しておったのですが、日本ではそういう習慣が比較的新しいことで、たいへんだというような誤解なりうわさがだいぶあるようですが、実際は、これどうなんですか。保証金みたいなものを実際積み立てておるから、万一そのまま一時輸入された自家用車が居すわって、日本に長くいるような場合、ちゃんと保証金が取れる、関税上のあれは犯されない、こういうようなはっきりしたあれがあると思うのですが、その点どうなんですか。こまかいんですけれども、伺っておきたいと思います。

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) ただいま御質問の点でございますが、従来は、自家用車を持ち込みます場合に、保証金をそれぞれの御本人が積んでおったわけでございます。それによって、持ち込んだ自動車が再び持ち出されるというような保証にしておったわけであります。今度この条約に入りますと、ヨーロッパ等で行なわれております主としてカルネ等の方式でございますが、要するに、それぞれの国の保証団体が、もし実施されない場合には、関税をかわって払うという形になりまして、自動車を持ち込む個人々々の直接の負担でない——つまり最終的にはなるわけでございますが——一応はその団体が保証した形で通関を認めるという形で、御本人の便宜になるわけでございます。その場合に、おそらくいま御指摘の点は、自家用車を持ち込むのにつれて国内で横流しがふえやしないかという点かと思うのでございますが、その点はある程度は、要するに、観光客の便宜をはかる点と、そのような横流しの弊害を防ぐ点とのバランスの問題でございますが、ある程度は腹をきめて踏み切ったわけでございますが、同時に、一般自動車の外車の輸入が自由化されるということになりますれば、逆に国内における横流しの利益もなくなるわけでございまして、その意味で、この条約にいま入りましても、おっしゃいましたような弊害はまずないのではないかという見通しで、入っている次第でございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そうすると、免許証のほうも大体外国のやつを相互に承認する。それから、何と言うか、トリプティック・アンテルナショナルというものに、一種の団体保険みたいなものに各国が入っている。その団体保険を認めて個人々々は保証金を積み立てない、それでやっていくわけですか。

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) 御指摘のとおりでございまして、免許証のほうは、条約から申しますと、この道路交通条約のほうでございます。  それから、いまおっしゃいましたトリプティック・ディプティックあるいはカルネ等の団体保証の方式に関するものが、この一時輸入通関条約に規定されております。

草葉隆圓自由民主党

○草葉隆圓君 免許証は、まだ日本は入ってないのですね。近く入る見込みですか。

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) この道路交通条約に入りました結果、外国との加盟国の免許証は相互に認め合うという形になるわけであります。それに伴いまして国内法の改正が行なわれる予定でございます。

草葉隆圓自由民主党

○草葉隆圓君 たいへんそのために不便を感じているのです、日本は免許証が認められないために。これは何か特別に支障のないところから早くやるような方法を進める見込みがあるかどうか。

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) これを実施しますためには、国内のいろいろな、例の交通サイン等の統一等の点も必要があったわけだと思いますが、そのほうも大体整備されてまいりまして、今度のこの条約の御水認を得まして、同時に国内法の御承認を得ますれば、秋のオリンピックまでにはそのように持っていきたいという見通しでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 結局、オリンピックまでにそういったような懸案のあれを解決しよう——政府のほうでは免許証のほうも、それから旅行者の自動車の一時輸入も国際並みにしよう、時期的にはオリンピックまでにやりたいと、こういうわけですか。

須之部量三外務省条約局外務参事官

○説明員(須之部量三君) そのとおりでございます。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 先ほどの森先生からの御質問に対しまして、お答え申し上げます。  人件費は総予算の、外務省予算の何%ぐらいに当たるかという御質問でございました。人件費は本省関係が十三億百万円、在外公館関係が六十四億七千四百万円、合計が七十七億八千四百万円。外務省の総予算が二百十億円でございまして、したがいまして、大体三六・九%になっている次第であります。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 この予算の中でちょっと伺いたいのであまりますけれども、六ページの「国際文化交流事業の強化」の中の「留学生受入態勢の拡充整備」という中で、増額になっているのは「国際学友会京都寮新設」だけが増額で、ほかは何も増額はなさってないのですね。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 国際学友会の京都寮だけがおもな経費で、あとはちょっと。大体京都寮だけがおもなものであります。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 この問題は、文部省と何かいろいろ錯綜して留学生の受け入れの問題をなさっているのじゃないですか。外務省の予算の中では、どういうことだけが外務省の予算になるのですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 文部省とは協力してやっていますが、この国際学友会は、主として向こうから自費で来る方を世話する。文部省関係は政府が呼んだりする場合にお世話する。その間に密接な連絡をとってやるわけであります。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 もう一つ、ケニアの大使館昇格、いままでの領事館の建物をそのままお使いになるのですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) とりあえずは、いままでの領事館の事務所並びに公邸をそのまま使っていくわけであります。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 この平和部隊ですがね、ことしはまだ調査段階ですか、これによると。どういう計画を持っていらっしゃるのですか。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 本年度は、大体どこの国にどのくらい、どういう性質の平和部隊を送ったらいいかというための調査として千五百万計上して、実質的な青年奉仕隊は来年度からになるかと存じます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 それで派遣先や何かはこれはきまってないのですか、派遣先は、調査中の。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 大体、未開発国と申しますか、低開発国と申しますか、そういう国にやりたい。国としてどういうところがいいかということは、現在検討中でございまして、まだはっきりはきまっておりません。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 これは、やるとすれば低開発国の定義いかんによっては非常に広くなるわけですがね。大体のところで、やはりアジアを主にするとかなんとかという目安がおありなのかどうか。それから、現地の事情もけっこうだけれども、国内的なあれを、大体において募集をどうするのか、どういう層から募集するとか、その訓練をどうするとか、大体のあれにおいて、いろいろ技術の方面を主にするとか、やはり文化、教育みたいなものを主にするとか、何かアメリカのシュライバーにあれするわけではないけれども、何らかの指導理念とかあれがあっておやりであろうと思うのだけれども、何かそういうもの、どうなんですか、構想。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) お説のとおり、大体東南アジアがおもな対象となるかと存じます。  それから、内容におきましては、技術指導並びに、技術指導が大きな……そのほか文化と申しますか、ことばあたりも、日本語あたりも入るかもわかりません。それからこの指導理念と申しますか、これは総理府の青年局とも密接な関係をとりまして、相手国の生活向上、文化の向上という面を重点といたしまして今後これをやっていきたい。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 通り一ぺんの答弁としてはそれでいいと思うのですけれども、結局、アメリカあたりの構想は、海外援助もむろん大いにあるけれども、やはり国内的な、青年に夢を与える一つの方向づけをするというか、そういう開拓精神を作興するというか、そういう面が非常に大きいと思うのですね。何か総理府の青年局というのはどんなえらいのか知らぬけれども、あまり事務的な取り扱いをしているのじゃ根本的な精神が抜けているのじゃないかという感じがするのです。その点は一体、これは外務省ばかりでなくて、政府、内閣の問題とも思うのですが、アメリカがやっているからこっちもまねして予算を取ったというようなレベルでなくて、ほんとうに真剣に、取っ組んでおられると思うのだけれども、そういう問題を審議する場所は一体どこなんですか、政府の。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) これは外務省、総理府、文部省等と連絡いたしまして、寄り寄り協議中でございます。御趣旨、御意見の点は、十分織り込んで今後ともやっていきたいと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 きょうの新聞でちょっと出ていたのですが、これはローカル版だから、あるいは中央版に出ていないかもしれないが、移民船がお客さまがないからとてもかなわんから、せっかく移民船をつくったけれども、それを貨物船に改装しなければいかぬ、こういうような記事が、私ば神奈川県だから、神奈川県版に出ておったのです。これは一体海外移住事業団のときから、今度こういう事業法の法律が出て、基本法みたいなもので、これからの移住問題をどう考えるかという基本的なアイデアといいますか、指導理念がはっきり法律の形で出てくる。そういう場合に、いま一方においては、平和部隊みたいな構想がある。他方においては、非常にまだまだいささか古くさい過去の……、土地が足りないから日本の子供、日本の青年等を、あるいは農業労務者等、農業従事者を南米にやっていこうという古い観念から、ごちゃごちゃしていると思うのですね。そういう場合に、技術協力がある、平和部隊もある、移住事業団もある、そういうようなものを一体もう少し総合的に考えて、日本としての海外の経済、文化活同はどうあるべきかという点も、もっと基本的に考える時期が来ているのではないか。移住船がお客さんがなくて困っているということは、そういうものを物語っているのではないか。だから、この際平和部隊までお考えになるならば、やっぱりもう一っぺん……、移住事業全部やめろ、こう言っているのじゃなくて、呼び寄せとかいろいろやってやらなければいかぬこともあるでしょうが、日本のとうとい労働力を向こうに永住させることばかり考えるのは、少し古いのではないか。ほんとうに喜ばれるのは、むしろ短期に若い人たちあたりも行って、アメリカがやっているように、ほんとうに無私の、奉仕の精神でやることが、一番これからの日本の青年にも夢を与えるとともに、日本のあるべきいい意味の海外経済援助の協力の仕方じゃないかとすら思うのですが、そういう点をもう少し話し合っておやりになったらどうかと思うのですが、これは大臣に伺うのが適当かもしれませんが、大臣が見えるまでの、時間つぶしばかりでなく、ほんとうに重要な問題と思うから、ひとつ官房長から伺っておきたい。

高野藤吉外務大臣官房長

○政府委員(高野藤吉君) 御趣旨の点は、もっともでございます。拝聴いたしておきます。大いに検討いたします。  前の移民船につきましては、移住局長がおりますから、移住局長から御答弁申し上げます。

白幡友敬外務省移住局長

○政府委員(白幡友敬君) ただいまお話しの移住船の問題は、ただいまお話しのようなことが若干起きております。御承知と存じますが、一昨年、昨年とだいぶ移住者の数は減ってきております。しかし、私どもは必ずしも恒久的な現象であると思っておりません。いろいろ人為的な理由もあるように思われますので、今後いわゆる移住事業の体制というものが固まってまいりますと、数としては漸次伸びていくのではないかと思います。ただただいま先生のお話しのように、移住というものが従来のような古い、農民を——特に農村の過剰人口を移住させるというような考え方は、お説のとおり全く古い考え方でございます。私ども現在これをいわゆる経済協力、技術協力という形で総合的に結びつけまして、今後の移住というものを考えていかなければならないと思って、ただいまその勉強を開始いたしている次第であります。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の御説明を願います。大平外務大臣。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  まず、本法律案第一条におきましては、公使館より大使館への昇格三館、総領事館より大使館への昇格一館、総領事館の新設一館、領事館の新設三館及び総領事館分館の新設一館を規定いたしますとともに、マレイシアの成立及びローデシア・ニアサランド連邦の解体に伴いまして国名等に所要の改正をいたしております。  公使館より大使館への昇格の三館は、共産圏にあります在ハンガリー、在ルーマニア及び在ブルガリアの名公使館であります。  これら三館につきましては、わが国がこれらの三国と国交を回復した当時、自由諸国は、すべてこれらの国に公使館を設置していたため、わが国といたしましても、これら自由諸国との均衡を考慮し、かつ相互の連絡及び情情報交換を円滑に行なうため公使館を設置した次第でありますが、最近に至り、中立国はもとより、自由諸国も次第に公使館を大使館に昇格する傾向にあり、かつ、わが国とこれら三国との交流も次第に深まり、貿易量も増大の傾向を示しているなどの事情にかんがみまして、これらの三館を大使館に昇格するものであります。  次に、総領事館の大使館への昇格一館につきましては、昨年十二月十二日、英国の植民地及び保護領でありましたケニアが独立いたしましたので、同国の首都たるナイロビにある総領事館を大使館に昇格するものであります。  総領事館一館及び領事館二館の新設につきましては、ボンに総領事館、マナオス、ジェッセルトン及びイスタンブルに、それぞれ領事館を設置することにいたしております。  ボンに総領事館を設置いたします理由は、現在、在ドイツ大使館をして領事事務に関し広範囲の地域を管轄せしめておりますが、逐年の事務量の増加に伴い、本来の外交事務の遂行にも支障を来たす現状にかんがみ、兼館の総領事館を設置し、独立して領事事務を処理し得る体制を整える必要があるからであります。  次に、領事館の設置でありますが、マナオスは、ブラジル国のアマゾン奥地の中心地でりまして、現在マナオス市を中心として約二千人の在留邦人が入植し、主として農業を営んでおりますが、同地は在ベレーン日本国総領事館から二千四百キロの遠距離にある関係上、在留邦人の権益の保護、援助、指導等に関して円滑な処理が困難でありますので、今後の入植地の拡大、邦人の増加等を考慮いたし、マナオスに領事館を設置することといたしております。  ジェッセルトン領事館の設置につきましては、昨年九月十六日マレイシア国の成立により、旧英領北ボルネオは、同国の一州となりサバー州と改称されましたが、近年、特にこの地域を中心とするわが国との貿易額は急激に伸びつつあり、また、今後この地域の鉱物資源開発を中心としてわが国との経済技術協力関係も急速に密接化することが予想されます。しかるところ、現在同地域はシンガポール総領事館の管轄下にありまして、遠距離かつ交通不便なため、迅速な事務処理が困難であり、かつまた民間からも同地域に領事館を早期開設するよう強い要望が出ておりますので、サバー州の行政の中心地ジェッセルトンに領事館を設置するものであります。  イスタンブルは、トルコの唯一最大の貿易港で同国商業の中心地であり、邦人商社もほとんど同地に事務所を設置しております。また、中近東有数の観光都市で、イスタンブルを訪れる邦人数も急激に増加し、領事事務も急増している現状でありますが、わが大使館は四百六十キロ遠方の首都たるアンカラにあるため、これの処理は実際上非常に困難となっております。  以上の理由並びにイスタンブルには大正時代わが大使館事務所として購入した国有の建物も現存し、これを直ちに領事館として活用し得る状況にあることなどの点にかんがみ、同地に領事館を設置するものであります。  総領事館分館一館の新設につきましては、デュッセルドルフに総領事館分館を設置することといたしております。  デュッセルドルフは、ドイツ産業の中心地で、ドイツ産業全体を左右する地位を占めております。したがって、わが国の代表的な商社、銀行等は、いずれも同地に支店もしくは駐在員を配置しており、現在その数は約五十社に達しております。また、在留邦人数も五百人に及んでおりますが、現在領事事務を処理するためには、ボンの大使館まで行かねばならず、このため日独双方の関係者は早急にデュッセルドルフにこれらの領事事務を処理する公館の設置を要望しております。かかる現状に対処し、かつまた今後の日独貿易の一そうの伸展をはかるため、同地に総領事館分館を設置するものであります。  次にマレイシアの成立及びローデシア・ニアサランド連邦の解体によりまして、関係公館の国名及び地名にそれぞれ所要の改正を加えることといたしております。  次に、本法律案第二条におきましては、以上の在外公館の新設及び昇格に伴うこれらの在外公館及び別途提案いたしております外務省設置法の改正により設置することとなります経済協力開発機構日本政府代表部に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めております。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 本案につきましては後日質疑を行なうことといたしまして、本日はこの程度にとどめます。   —————————————

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題として、当面の国際情勢について質疑を行ないたいと存じます。外務大臣が十二時二十分ごろまで時間がございますので、いま質問をなさる予定になっておりますのは、羽生委員、森委員、曽祢委員でございます。皆さんの御質問が十分に済みますように、お互いに心して御質問していただきたいと思います。では羽生委員。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 さきのフランスと中国との国交打開が大きな波紋を呼んでいたわけですが、今度また国府が、結局フランスとは断交するという処置をとったようでありますので、このことの影響は相当大きいと思いますが、けさの外務省の見解では、まあ格別急に世界構外に変化があるとは思えないと、こう一応の見解を示しておるようでありますけれども、まあいますぐ急に変化はないにしても、やはり大きな問題であることは事実だろうと思います。そこで、最初にこの問題について、外務当局としてはどうお考えになっておるのか、どういう判断をされておるのか、その辺からひとつお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) フランスの北京政府との外交関係を設定するということが、一月二十七日に発表されまして、このことが、羽生委員の御指摘のように、相当大きな波紋を呼んでおりますことは、私どもも率直に認めるものでありますが、まず第一に私どもが正視しておりましたのは、国民政府当局が、フランスの今度とりました措置に対して、どういう反応を示すかということでございました。最初、一月二十七日当初発表されてからは、自重をされておった様でございましたが、今朝断絶を決意されたということでございます。これは、国民政府が従来主張いたしておりますように、二つの中国というものは認めがたいということ、そういう基本的な国是に対しては強い決意を持って当たるのだという決意を表明されたものと思うのでございます。ただ、これまでに明らかになったことは、フランスと北京政府が外交関係を樹立するのだということと、国府が今朝、外交関係をパリと断つということが明らかになっただけでございまして、私どもといたしましては、フランスと同明関係にあってまだ中共を承認していない国々——NATO諸国、それからフランスと特別な因縁のありましたブラザビル諸国等がどのような措置に出るか、また、そのような措置に対して、国府がどう出るか、そういった点、まだ想像の域を出ないわけでございますから、今後のそういった動きを注視しておく必要があろうと思っておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう措置があったからといって、わが国のただいまとっておる態度を変えるというようなことは考えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 国府がああいう態度をとったからといって、すぐ日本が急に態度を変えることがあるとは思えませんが、それにしても、中国問題の処理なしには、アジアまた世界の平和はないと言われるほどの重要な比重を中国問題が占めておるのでありますから、特にその問題の解決方針としては、北京政権の意図はとにかく、多くの国の中に、二つの中国論という形で解決を求めようとする意思があったことは間違いないと思います。ところが、実際上はその根拠がくずれたのでありますから、当面どうということはないといっても、静観をしておって片づく問題でもないし、また、従来の日本政府のとってきた国際情勢待ちも、まことに芸のない話で、やはり何らかの腹固めをする時期がだんだん近づいておるのではないかと思います。特にそういう意味で、日本としてもそうですし、アメリカのアジア政策、特に対中国政策というものは根本的に変更を必要とするのじゃないか。そういう時期がだんだん近づいておると思います。そこで私がきょうお尋ねしたいことは、フランスのドゴールの提案というものが、単に中国との旧交再開ということだけでなしに、そのことが実はアジア問題処理の重要な条件であるというところに、一つの重点を置いておることを重視したいと思うのです。だから、そのドゴールの考え方が、フランスの栄光回復という国家的な意図に重点を置いておるのかどうか。そのことは別としても、やはり一つは、この中国問題の解決なしにアジアの平和はないという考えから、たとえ実現が早急に可能であるかどうかは別としても、中立化案、ベトナムの中立化案等を出してきておるということは、一つの見識であると思います。それが成功するかどうかとか、いいか悪いかとかいう評価は、私はいたしません。しかし、一つの見識であろうと思う。だから、どう考えてみても、やはり中国問題の解決なしにアジア問題の解決はないということは、これは事実だろうと思います。したがって、日本としても十分検討の価値ある問題ではないかと思います。アメリカのジョンソン大統領は、北ベトナムを含める中立化案なら考慮に値するようなことを言っておるようでありますけれども、もちろんこれも明白ではありませんが、いずれにしてもこれは一つの見識であろうと思います。で、私としては、日本がいつも——いつもと言うよりも、日本が最もアジアの中の重要な地位を占めておるのにもかかわらず、遠いフランスのドゴールにアジア政策のイニシアチブをとられておるなんということは、まことに情けない話であると考えるのですが、日本が国民政府と特別の関係にあるという事実、それから野党のわれわれと違って困難な立場にあるという事実は認めますが、それはそれとして、やはり日本としても、このドゴールの構想等と関連をして、日本独自のやはりアジア政策を持つ必要があるのじゃないかと思う。そういう意味で、フランスのこのドゴール提案である中国承認問題につながるアジア問題の処理の構想なんかについて、外務省はどういう評価をされておるのか、お考えがあれば承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 一月二十七日に北京政府とフランスが外交関係を樹立するということを声明すると同時に、国府とは断交するということをフランスが言わなかったわけでございます。したがって、あの当時のフランス政府の意図というものを解釈いたしますと、私が衆議院の予算委員会で、このように解釈されると御報告申し上げたのでございますが、一つの中国、一つの台湾ということを想定されておるのではないかと思うておるという意味のことを申し上げたのでございまするが、これは間もなく、北京政府がフランスに北京政府の意図を伝えられて、本日また国府がフランスと断交するという措置によって、そのピクチュアは破れたと思うのでございます。一つの中国、一つの台湾という方式において解決を意図しておるのではなかろうかと想像されたあの案も、あえなくついえたという感を深くするのでございます。しかしながら、ドゴール大統領が言われているように、事実関係と法律関係は依然として一致していないこともまた事実でございます。すなわち、戦後出てまいりましたこういう事態を、どういうフォーミュラで解決するかということにつきまして、ただいままでのところ、何ら建設的な提案が行なわれていないということであろうと思うのでございます。羽生先生の言われるように、わが国として重大な関心があるばかりでなく、重大な関係があるわけでございますから、何かわが国がもっとポジティブなことを考えたらいいんじゃないかという御注文でございまして、お気持ちは私はよくわかります。わかりますが、問題は非常に、しかく非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、この問題は戦後に起こりました事態に、どういう国際的なルールをつくり出すかという大事業でございまして、したがって、手軽に頭の中で考えてどうこうできるという性格のものではないと思うのでございまして、したがって、まことに芸がないというおしかりでございますけれども、いまからの事態を注視さしてもらうということと合わせて、しかしこれが非常に重大な問題であることは、これは隠れもない事実でございまするから、私どもといたしましては、先ほどあなたが言及された国府との関係というものがどうあるべきかという問題につきまして、これは国府との関係の正常化ということを日本政府として十分考えなければいかぬ、一つの問題であろうと思うのでございます。それから同時に、われわれはアメリカと同盟関係にございまするし、好むと好まざるにかかわらず、アメリカのアジア政策というようなものにつきましても十分勉強しておく必要があると思うのでございまして、私どもは重大な問題であるだけに、こういう問題につきましては、国府、ワシントン、その他われわれが外交関係を結んでいる国々とできるだけクロースな接触を持ちまして、こういう問題について精力的に勉強してまいるということが、いまの私の頭にあることでございまして、それ以上のものはいまのところまだないのでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もちろん私どもとしても、そんな手軽な処理方式がすぐ可能だとは考えているわけじゃない。いかに困難だかということを十分承知の上でお尋ねをしているのでありますが、そこで国府との関係ですが、蒋介石総統の恩義のことがしばしば言われております。私は、それは恩義は恩義で感謝していいと思います。それはそれでいいが、それと事実問題を冷静に判断する理性、混同しないということが、いま要求されている一番重要な問題ではないかと思います。だから、感謝は感謝でいい。それはそれとして、しかし、冷厳たる事実は事実として、事実問題として判断をする。その基礎に立たない限り、それは安直な解決がいますぐあるとは思いませんが、しかし、さりとて長い時間をかけても、結局二つの中国は認めないという重要問題の基礎がくずれたのですから、そう簡単な解決が可能であるとは思わない。そういう意味で、感謝は感謝としてしつつも、だれかの言っておったように、フリクションみたいなことにいつまでも何かこだわっているのでなしに、事実は事実として十分判断する基礎をもう日本が固めなきゃいかぬのじゃないか。そういう意味では、こんなことをまだ言うのは早過ぎるかもしれぬけれども、やはり中国と台湾との平和的な話し合い、中にはそれは国共合作という表現をつかっている人もあるが、そういうことを考えて、日本としても何らかの方途を真剣に考慮すべき時期に来ていると判断しておりますが、やはりいつまでたっても国際情勢待ちですか。それは特に政府部内におけるいろいろな動きもあるでしょうから——政府ではない、自民党党内ですね、これはよく私らも事情はわかりますが、しかし、日本の将来という大局的な判断に立てば、ときには党内事情を克服してでもやらなければならぬ時期があるのではないかと思いますので、この点もう一度お尋ねしておきます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、日本と国府との間は、不幸な誤解と申しますか、理解の不足と申しますか、そういう事情でまずくなっておるということは率直に認めます。ただ、私どもといたしましては、中国本土との貿易関係を正常化してまいる問題にいたしましても、あるいは問題の周鴻慶事件の処理にいたしましても、やはり日本の国民の常識と日本の法令の建前も尊重しながら、日本の政治家でございますから、われわれの分別でいたしたつもりでございまして、それに対して国府側の評価は、必ずしも私どものようには御理解いただいていないということは、遺憾ながら認めざるを得ないと思うのでございます。そこで、私が言う国交の、正常化というのは、お互いが話し合って、日本と国府との関係はどのようにあるのがノーマルなものであるかということを発見することだろうと思うのでございます。きょうの対仏断交の御発表をされた外交部の声明というようなものも、非常に国府の決意が出ておりますが、われわれの砕けた理解を両方に取り戻すということは、容易ならぬ仕事だと思いますが、しかし、といって、このままでいいということはないと思うわけでございまして、非常に困難な仕事でございますけれども、まずそういう正常化というものを何とかつくり上げていくように努力しなければならぬのじゃないかと思っておるわけでございます。まず、糸口はそんなところにあるのではなかろうかというような感じと了承いたしております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 他の方の御発言もあるようでありますから、簡潔にあと一つだけお伺いしておきますが、国連における中国の重要事項指定問題ですが、そのことの継続性については衆議院でこの間質疑にあったようでありますけれども、この解釈は別として、日本政府としてはどういう心がまえで臨まれんとするのか、これが一点。  それからもう一つは、池田総理も国連総会へ出ていくようなこともあるのかどうか、この点だけ最後にお尋ねしておきたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 解釈論といたしましては、政府の一応政策がどうあろうかは別にいたしまして、現状の解釈、慣行の解釈といたしましては、私がこの間申し上げたように考えるより仕方がないと思っておるわけでございます。  で、次の御指摘の国連対策でございますが、これはいまから、先ほど申しましたように、次の国連総会がまずいつ開かれるかという問題、それまでの間にこの中国問題を中心にいたしましてどういう事態が生起してくるかということ等、まだ未知の問題がたくさんあるわけでございまして、私ども、まだ国連対策と銘打ったものをいま申し上げるというのは少し時期尚早じゃないかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと途中ですが、国連対策というのじゃなしに、重要事項指定問題を日本が共同提案国になっておるのですが、それについてどういういまお考えを持っておるかということの解釈の問題じゃなしに……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 中国代表権の問題は重要事項であるという実態判断、これは私ども変えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それから、池田さんがおいでになるようなことがあるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは総理に聞いてみなければわかりませんが……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 外務省としてそういうことを検討しておるかということを伺っておるのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外務省は、まだ国連対策というようなものを具体的に検討する段階に入っておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 関連して。  ただいま大平外務大臣が国府との関係を正常化するということがいま重要な問題だと言われております。おそらく吉田前首相が今月の末に台湾に行かれるようなことになっておるのはそれと関連があることだと思うのです。私どもは、いまたとえビニロン・プラントの問題あるいは周鴻慶事件があったあと、日本と台湾の関係がまずくなっておっても何も吉田前首相に台湾に行ってもらう必要があるかどうかということに非常に疑問を持っておるのです。詳しいことは私から申し上げないでも、私どもがなぜそれに賛成しないかということは、もうおわかりになるだろうと思うのでありますけれども、とにかく今日、国府がフランスと断交をいたしました。国府としては、国府の立場に立つ一つの中国論を貫くつもりでございましょう。しかしながら、これは世界の情勢、アジアの情勢から見ますならば、国府はいよいよ孤立化していくことであります。たとえいかにアメリカが突っかい棒を出しておりましょうとも、大慶のくずるるのを一本の柱が容易にささえることができるものじゃございません。いわんや、日本のわきのほうから出しておる突っかい棒の小柱のごときは折れてしまうのは明瞭だろうと思うのであります。私はそういう点で、いま特別になぜ吉田さんを派遣しなければならないか。もちろん個人の資格と言われるでしょうけれども、しかし、池田さんの親書を携えて行かれる以上、単にひなたぼっこに行かれるわけでもない。保養に行かれるわけでもない。やはり日本と国府との関係を改めてここで新しく発足させよう、こういうことの橋渡しをされるための話し合いに行かれると思うのであります。どうしてそういう必要があるか。またその際に、単にそういう大局的な話だけでなくて、向こうのほうからもいろいろ話を持ち出してくるかもしれません。そうして、たとえば中国との関係についていま日本政府がとっておる態度、これに対して批判が出てくるかもしれない。あるいはまたビニロン・プラントの中国への、長期延べ払いによる輸出をやめろという、あるいは将来そういうことをさせるなというような問題、あるいはまた中国と日本との貿易の増大についての反対、こういうものが出てくるかもしれない。こういうものを、吉田さんが参りましたときに持ち出される。そうして、それが再び私ども日本と国府との間の外交問題となってきてごちゃごちゃするのでは、まことにばかげたことだと思うのです。いま私は古田さんを派遣することは当を得ていない、そういうふうに考えます。おそらく国府とすれば、まあ漸次孤立化していくというような事態からいたしまして、何も日本のほうからそういう態度で臨まぬでも、これは大平さんの言われるような打開は、多少時間がかかってもできるのじゃないか。なぜ大平外務大臣が吉田さんの派遣に対しまして承諾をしたか。そうして、また、それを積極的に進めるお気持ちになっておられるのか、その点をはっきりお聞かせを願いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 国府と日本との間の正当化の問題は、政府の問題でございます。吉田茂先生の訪台というのは、そういうことと関係ございません。吉田先生の訪台の御意思は、前々から持たれておったように拝聴いたしておるわけでございまして、たまたま近く都合がつくから行ってみようと言われておるわけでございまして、国府と日本との間にある問題という、ような問題にお触れになるというようなことは、吉田先生の御見識に対して私はいかがなものかと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 吉田さんは日本政府と国府の関係の問題に触れないと言われておる。しかし、池川総理大臣の親書を持って行かれるということは、きまっておるのであります。その親書の内容というものを外務省が検討しないということは、あり得ないことだと思います。そうすれば、あなたのほうと全然関係がないとは言えない。あるいはまた、吉田さんと御一緒に外務省の局長なり何なりも行かれるのじゃないか、そういうことも私どもは予想しておるのでありますけれども、そうなると、いよいよ古田さんの訪台は政府と関係なしとは言えないのじゃないですか。その点はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは、一つの外交というのは、岡田先生も御承知のとおり、人の往来があった場合に、敬意を表するということはこれはあり得ることで、またあっていいことなんでございます。これは何も秘密の手紙を書いてこっそりお願いするというものでなくて、これは池田総理の親書でございますから、策案の上は天下に発表してやっていただく。ちっとも私は差しつかえないと思います。吉田先生であろうとだれであろうと、そういう幸便がありましたならば、敬意を表するということはあっていいことだと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすると、敬意を表するというだけにとどまるのですか。つまり、まあビニロン・プランの事件、あるいは周鴻慶事件で国府の顔をつぶしたから、この際フランスとの関係でめちゃめちゃになってお気の毒だから、ひとつ国府の顔を立ててやろう、こういうことで行かれる。それをあなたのほうも、そういう機会だからけっこうなことである、こういうことで御賛成になって吉田さんの派遣を承認され、そしてそれがひいては日本と国府との関係がもう一度よくなるように、そう希望されておるわけですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 吉田先生の派遣を承認するとかという、そういうような横柄な気持はないのでございます。訪台の御意思があられるということ、それは政府としてもけっこうなことでございますと、こう申し上げておるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 コンニャク問答ですから、これでやめます。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 森委員。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 時間がだいぶないようだから、これは、大問題を短かく質問するというのは非常にむずかしいのですよ。一字一句からんでいったって、一時間半ぐらいやれば幾らか大平さんのずるい答弁もほんとうのことがわかると思うのだが、ないからやり合いができないのは、残念ですが、大体、大平さんはわかったようなこと、言っているけれども、さっぱり見通しがなっていないと思うんです。それは、たとえばフランスと中共との関係について、前々から接触があったというようなことを言っておられるが、また施政方針演説でも、「世論の動向」と言って、人の言うことばかり気にして、耳を立てているのはずなんだけれども、私は古い新聞を読んだところ、一月三日の中国新聞に、あなたと松本氏、宮沢長官の座談会があった。まあ、われわれはわれわれの筋で中国とは接触しているが、代表権問題までは行くまい、おそらく経済、文化の交流程度であろうということを大臣は言っておるのですね。こういうふうな、一月三日ですから、二十七日といいますと、ついさっきなんだが、大臣だからあえてうそを言ったのか、反響が大きいから………。その辺のことをまず一発聞いてみたいと思うのですがね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) フランス外務省に接触をしておった段階では、フランス外務省としては、いま森先生が御指摘されたように、通商代表部設置というところが限度じゃないかという見解を漏らしておられたことは事実でございます。ただ、しかし、私ども用心深く、ドゴールさんという人は自分一人で御判断される人だから、やっぱりクェスチョン・マークは残るということを、あらゆる場合に用心深く断わってはおきましたつもりです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は、どうもその後の発言によっても的確につかんでいないと思うことは、たとえば、先ほど大臣が今度の国民政府の対仏断交を、一つの中国、一つの台湾というその構想があえなくついえた、こういう御答弁があったのですね。フランスの腹をそういうふうに予算委員会で早くも判断したような御説明は、私は間違っているのじゃないか、やはり向こうの言うとおり、一つの中国、それを日本のぐあいのいいように——ぐあいがいいか悪いかは御答弁があると思うが、アメリカのぐあいがいいように、一つの中国、一つの台湾というふうに、自分のほうに好きに解釈したというのは、これは私は外交としてはたいへんな間違いだと思うのですね。やっぱり、いやでも何でも直視しなければならぬことが外交だと思うのです、こっちのほうも。それが、一つの台湾も、政府関係機関を置いて何らかの関係を、残すから二つだというような新聞と解説記事とか、あるいは日本人の好きな法律論、こういうことを政府みずからやることは、政治的な判断じゃないと思うのですね。やはりフランスが一つの中国である、こういう態度らしい、しかし、台湾には政府機関がどうも残るようだ、それが承認関係とどういうことになるのかは、しばらく事態を見なければならぬと、こう答弁するのがほんとうだと思うのですよ。その点どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) あの当時、愛知議員の質問でございましたが、そのように解釈をされるのではないかと申し上げたわけです。私の解釈が甘かったという御指摘につきまして、そういうフランスの意図はそうでなかったではないか、それからまた、そういうことを、行うことは外交的じゃないじゃないかという御指摘、森先生の御注意、そのまま私も拝聴いたしておきます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 御注意を言ったんじゃない。悪ければ交代すればいいのだから、われわれと政権を交代すればいいのだから。それでは情勢判断を間違う。どうも大臣も国会で法律論が好きで、残ったらまた承認するのだとか、どうもこまかいことですけれども、今やっているのは政治ですからね。で、やはり私は、一つの中国、そういうことで押してきた。それじゃなぜ台湾にフランスが領事館を置いているか、これはやはり、そこは政治も生きものということばが一番当てはまるかと思うのだがちょっと速記をとめてください。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一つの中国、一つの台湾でいこうとするようなアメリカの気持ちが国民政府をして対仏断交を押えたというようなことが、従来広く常識的になっておったのですが、大臣はどう判断しますか。二つの中国にしたほうがいい、簡単なことばで言えば。そういう建前から、台湾が断交するんだというように言っておったんだと…。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) それは国府とアメリカとの関係でございますので、私から申し上げるのはいかがかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ずばり申し上げますが、だいぶ政府の国会答弁が、今国会から受ける感じでは台湾とは友好関係を持続したいということを言いながら——これは言わざるを得ない、現実に外交関係があるから——心すでに台湾を離れているという感じを私は受けるのです、腹の底は。そのことは、総理大臣の演説でもおわかりのように、世界の大勢が中共の北京政府が中国の正統な代表だということになるならば、われわれもそちらのほうに決断をしなければならないときが来る。こういうことを言われた台湾としては、一体どういう気持になるか。吉田さんが親善使節に行っていろいろやるかもしれないけれども、これだけ繰り返しこれだけ冷たくなり、しかも、はっきりと大に従って中国代表権問題に対処していくんだから、これは一体中国はどう受け取るかということをまず一点お伺いしたい。友好関係、友好関係と言いながら、台湾から見てはなはだ愉快に聞き取れるかどうか。これを何と説明していくか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私から申し上げられることは、数次の誤解からぎこちなくなっておりました両国の間の感情——日本と国府との感情というものは、最近の時点で、私どもの判断といたしましては、漸次好転しつつあるというように感じております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それは大臣に無理に返事させるのは気の毒だけれども、そこで大臣の、過去の、ずっと大臣になられてからの中国問題に対する御答弁、あるいは今国会のあれを見ても、何といってもわれわれは、先輩が中国と結んでくれた条約、実はおもしろくなかったのだが、先輩が結んでくれた条約の義理もあり、それから終戦のときのあの恩義もあるので振り捨てるにも振り捨てられない。何かこの二つを振り捨てる道があれば、たとえ北京政府——中共——を承認してもいいんだという意味が十分くみ取れる御答弁があるのです。一体この点をどういうふうに説明するのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 森先生はたいへん心理学者みたいにいろいろ御想像されますのでございますけれども、私ども、公に申し上げた線に沿いまして、誠心誠意やっておるわけでございまして、別に心理留保を幅広く持って、こすからく立ち回るなんという芸当は私にはできません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ、池田総理が、大勢に従って中共を正統な政府と認める、すなわち世界の大勢がそうなったならばというのは、大臣も同様ですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは国連外交ということを中心としてやっておる日本といたしまして、国連において堂々と中共政権が加盟を認められるといったような事態になれば、日本としては重大な決意をしなければならないというような趣旨のことを言われたことを、私はすなおに解釈いたしております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 恩義があるから縁が切れないのだ。そうすると、私なんか、あのくらい強いことばで、人に恩義を受けていてとても裏切ることはできないというならば、ただの一国になっても最後まで国民政府と心中するというのか。だいぶ浪花節——義理人情の好きな自民党だから、日本人的だから、いや義理人情があるから捨てられない、しかし、大勢が認めてしまったのなら、もう国民政府は国連から出て行ってしまうのだから、そのときは何ともいたし方ないが、それまでは一人でもというのがあなたの義理人情じゃないのですか。義理人情は現実の前にはやはり勝てないわけですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私ども、国民政府側でそういうことをおっしゃろうとおっしゃるまいと、私どもとしては、歴史的な事実としてそういう事実を頭に置いて、また、わが国としてはそういう忘恩の徒になるべきじゃないと思っております。ただ、恩義に報いる方法というものは、やはり正当なものでなければならぬのじゃないかというように思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 たいへんに進歩したような——御答弁が一歩前に進んだわけですが、そこでもう一つだけで終わります。  一つは、台湾というもの、世界の大勢は、どうもことしの国連総会はむずかしいかもしらぬが、来年度の国連総会には私は北京政府が国連で正統な代表国として認められるだろうという見通しを立てておるわけです。大臣もその辺だろうと思うのですが、そうなった場合の台湾というものに対する態度は一体どうなるか。一体、台湾は中国の主権内に入れてしまうのか。いや、台湾は別だからそれは台湾住民の投票によるんだ。自治権、民族——あそこの八百万、一千万の民族の自決にまかせるんだ。そうすると、台湾というものに対してどう考えますか。これが認められれば、台湾というものは当然代表者に帰属さるべきものか、あるいはアメリカの言うように、いかなることがあろうとも、すなわち代表権を北京政府がとっても、台湾というものは共産主義者の圧政のもとには解放しない、これがアメリカの態度ですが、日本の場合はどういうお考えを持っておるか。これは現実にどうするかというのではなくて、台湾というものの存在、地位、これについて伺っているわけです。私は、時間がないから、端的に言えば、台湾というものはどこでもない、あれは中国に返したんだというのが世界の定説であるから、好むと好まざるとにかかわらず、これは中国、すなわち新しく入ったものの中に含まるべきものだ、あるいは一つの台湾共和国をつくるとかなんとかいうことは、どこにも了解は世界の常識としてないんじゃないか、こう思うんです。台湾というものは一体どうなるのか。北京政府が正統権をとった場合に、あれは別個なんだ、日本は中国に返したんでありますから。おわかりになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日本はサンフランシスコ条約で権利、権原を放棄したというところまででございまして、それがどこに帰属するかは、やはり連合国の問題と思います、条約論としては。ただ、政治論として、台湾の問題をどう考えるかということにつきましては、これは私どもといたしましては、森先生が言われたとおりに、ことしの国連、それからその次の国連対策、そういったものを編み出す材料を手元に十分持っていない段階でございますので、それに言及することは慎しまなきゃいかぬと思います。それが一つと、それから、台湾の問題というのは、まず第一に台湾の問題でございまして、日本政府がこの段階でとやかく言うべき性質のものではなかろうと思います。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) それでは、曽祢委員お願いいたします。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 私どもから見ると、フランスが一つの中国問題の現実的な解決の方向を示唆したと思うんです。そういう意味で、一つの中国一つの台湾というフォーミュラについてもいろんな解釈があり得るのですけれども、それが非常に、いわば二つの中国か、一つの中国かというデッド・ロックを打開する一つの方向として世界が大いに注目したと思うのです。おそらく政府も、いろいろのことばでは言っておりまするが、総理大臣の施政方針演説、外務大臣の施政方針演説等でも、ことばは若干違うかもしらぬけれども、七億の民が厳として存在している中共の存在は無視できぬ。しかし、やり方としては、台湾関係もあるから、国連の中でうまくやってもらおう、それまで待つんだというような基本方向を出したところへ持っていって、フランスが典型的な方向の探索をやってくれて、非常にみんなが注目していた。しかし、その場合、一番心配されたのは、国民政府がもういわばすてばち的なデスペレートな気持で一つの方向をつみ取ってしまうんじゃないか。そうなると、また再び、いやもう絶対に中共オンリーだという、一つの中国、そういう北京ロビーも日本におりますし、それからもう一つは、自民党の中にも、何でもかんでも台湾だ、何でもかんでも蒋介石だという、そういういわば悪く言えばフォーモサ・ロビー——台湾ロビーといいますか、そういう議論が強くなってきているのじゃないかと思うのです。これは非常に憂うべきことだと思うのです。私は何もことばじりをとらえるわけでないけれども、フランスのやろうとしたフォーミュラはいわばついえたということを外務大臣が言われましたけれども、これは私は見方の問題で、フランスがどうあれ、それに国府がどう対応した措置をとろうと、この問題はまだ尾を引いているのであって、むしろ逆に言うならば、台湾がああいう態度をとればとるほど、考えられる次の国連総会等において、台湾を無条件に追い出してしまえ、あまり台湾が無理なことを言うと、中共と台湾と無条件にかえてしまえ、いわばそれこそ一つの中共だけ、一つの中共、すなわち台湾の代表権を中共にやるだけで、あとの台湾の特定的処理についても、台湾があの調子ではしようがないというようなかっこうになって、はたして日本でいいのかどうか。フランスのフォーミュラがついえたという問題でなくて、そういうような展開が予想されるときに、日本の自主的な立場からいって、大陸の中国を認めるのはこれは私は当然であるし、一つの中国に違いない。しかし、台湾というものを、単に恩や義理だけでなくて、一体日本は日本の立場から見てこれを無条件にあれしていいのか。それとも、いきなりそれでは住民の自由投票ができるのかというと、いまのところは自由投票なんかできる状態ではございませんね。してみると、そういう意味において今度の台湾のやった措置は非常に遺憾だ、おそらく多くの多数の日本人、心ある人は遺憾だと思っていると思うのです。したがって、この際特に伺っておきたいのは、私自身は、またこういうこともあろうからというので吉田長老が出かけることになっておった——のかどうか知りませんよ。私は吉田長老が行くとすれば、むしろ国連総会等の非常な場面の前に、いまあわてて行かなくても、かえっていまあわてて行けば、何か周鴻慶事件の謝罪使のようにとられてみたり、あるいは日本がこれから中共問題について相当弾力的な態度をとらなければならない場合に、向こうに何とか言って言質をとられる心配がありはせんかというので、相当私はいま行くのは時期がいいかどうかについて懐疑的である。しかし、いまや国府がこういう措置をとるということになれば、これは一体国府に対して、日本も国府の長い将来から考えて、国府に対して大局をひとつ十分に説く。そして国府とフランスとの関係はこれはしばらくおき、これから起こり得る国連等における問題などについて少し長い目で見た話をしてくるというのなら、これは私は必ずしも意義なしとしない。初めは私は少し早過ぎるかと思っておりましたけれども、そういう意味で、まあ政府としては直接には関与しない形とは思いますけれども、さっきの同僚委員に対する答弁からいうと、いかにも吉田さんのことは政府の知ったことじゃないというような形式的な答弁ですけれども、私はそれはそういうことではいけないのじゃないか。言明できる範囲とできない点はあると思いますけれども、むしろ私はこういう際にこそ、吉田さんに限らずりっぱな大使が日本の大使におられるわけなんで、日本の大使等を通じて、一体そういうことでうまくいくのか。やはり国連対策、自由陣営のいろいろな意見の調整ということを考えて、われわれは国府があまりに感情に走った行動をとればとるほど、これは中共の言う一つの中国、すなわち大陸中国のみならず、台湾も当然中共が無条件に領有するのだという、そういう意味の一つの中国論にかえって油を注ぐことになるので、そういうことになってはまずいというようなことを十分に私は説得すべきではないか、こう思うのですが、外務大臣のお考えを伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 非常に問題がむずかしい重大な問題であるということと、同時に、国府の置かれた今日の環境を考えますると、本日国府のとりました措置というのも理解できないことではないと思いますけれども、しかし、冷静に国連対策その他将来のことを考えて国府が自重されるほうが望ましいのじゃないかという御意見、よく私どもも理解できるところでございます。ただ私は、先ほども各先生方に申し上げましたように、国連対策というものをしっかり踏まえてやるにつきましては、まだ十分今の時期において確信を持っていろいろ申し上げられる材料も持っていない段階でございますので、この段階で言及はできませんけれども、いま曽祢委員が御指摘されたような感じ方、これは十分私どもも拝聴いたしますし、同時に、私どもよく理解できるところでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 ゆっくりやりたいのですけれども、時間がないようですから、もう一点だけを伺いますが、これも同僚委員と外務大臣との質疑応答に出てきた点ですけれども、やはり私は、台湾と日本との関係を律する法律、条約を無視してもいいという議論は成り立たない。皆さんそれは十分考慮に入れてやっておられるだろうと思うから言うのですが、つまり、台湾の帰属というものが条約上どうなっておるかということですね。なるほど、平和条約では日本が放棄した。ところが、台湾との条約では、これは御承知のように、放棄したことを承認するという、さりげない形で、単に、文理的解釈からいえば、台湾、澎湖島が、この条約をサインした国民政府といいますか、台湾に帰属するとは書いてないわけですね。そういうような経緯もあって、この辺の法律関係は相当はっきり踏まえておかなければいけないのじゃないか。私はよく言うのですけれども、この日華平和条約のはしりになった古田さんが、当時のダレス国務長官に出した二十六年十二月二十四日の、いわゆるクリスマス・プレゼントは、非常に重大なドキュメントで、そのドキュメントは、非常に私はやはりりっぱな基本政策を持っておる。基本的には、やはり中国と全面的な国交の回復を目的としておる大原則である。それに行く一つのプロセスとして、現に国連に議席を持っておる台湾政府とそのような関係を発展さしていくのだ。そこに限定的承認というような思想がはっきりしておる。しかも、この条約の適用範囲は、現に国民政府が支配するところに限るという——限るということばはつかってないけれども、こういうことだ。そしてまた、第三項では、ところで、国連主義を誓っている日本としては国連にそむいて——そのときは、ちょうど、朝鮮戦争をやっているさなかですからね中共とは条約を結びませんと、最後の項で、ダレスにいわば義理を果たしたけれども、第一項の精神、第二項の精神は、やはりこれはりっぱな精神であると思う。ところが、その後台湾との平和条約をつくってしまうと、やはり台湾に、情にほだされて、かなり台湾即国民政府即中国であるがごとき条項もあるし、同時に、制限的国交条約にも見られるような、へんてこなものができちゃう。その後、最近の自民党政府の態度を聞いていると、台湾との条約がある、台湾との関係があるから一切大陸との関係は経済オンリーだ、政経分離だ。これは私は自分からつくった条約に不忠実な姿であり、私はこのやり方は非常に慎重なやり方でなければいけないので、フランスのまねをして、いきなり北京と外交使節を交換するというのは、できもせぬし、そういうやり方はすべきでない。私は政府のように、無為無策と言っちゃ悪いけれども、ただ国連で待っているだけでは国民も承知しないし、世界もあきれるだろう。国連の場で日本の中国政策を軌道に乗せるというか、大陸政策、中共政策等についても、台湾を十分に考慮した台湾政策を、イニシアチブをとってやれということを言っているのですけれども、その前提となるものとして、平和条約の精神、この条約のことを忘れて、何でもかんでも、国民政府にまあおこられればあやまる、何かむずからればあやすというだけではいけない。そこにシビアーなものと、やはりそれを貫く一つのステーツマンシップというものがなくちゃいけない、こう思うのです。そういう意味で、吉田さんに注文をつけるのは場所が違うかもしれぬけれども、吉田さんに限らず、政府の国民政府に対する態度でも、やはりわれわれ日本としては、むろん国民政府にやはり義理ばかりでなくて条約もあるので、それは貫いて、しかし同時に、この基本精神というものは、大陸の問題については、条約上も、露骨に言えば、フリー・ハンドがあるのだ、ぼくに言わせれば。日台条約を血祭りに上げてからでなければ北京と話ができないというような、北京に行かれたような話も国内にありますけれども、それは論外です。それは、条約的に言っても、 ほんとうのことを言えばおかしいと思う。ただ、政治的に言えば、それがいいか。だから、自由陣営の世論、世界の世論の動向を見きわめてそうしておさめていくのが、私はそれが政治だと、外交政策だと思う。ただそこに、言いにくいかもしれないけれども、時期も方法もあろうから、政府が何もしないのじゃないかと、フランスがああすると半分飛びついてみて、フランスのほうにちょっと国民政府がかんしゃく玉を破裂すると、これはもうついえた、そうすると、あとは何もできないから、しばらくの間台湾政府の頭をなでて、国連総会における外交については、いわば拱手傍観だというふうに世間や国民がとることは、私は適当でない、こう思うのです。そのいまの条約の問題については、外務大臣の明確な御方針をお伺いしたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、中国問題という、まあわが国にとりましてたいへん重大な問題であることに間違いはございませんし、これに対してどのように対処していくかということそれ自体が、またたいへんな問題であることも間違いございません。ただ、先ほど申し上げましたように、この国府との正常な関係というものをまずどうして築き上げるかということがさしあたっての手がかじゃなかろうかという趣旨のことを、羽生さんにも先ほどお答えいたしたわけでございます。私どもといたしましては、国民政府がとやかく文句をおっしゃっているからそうするとかなんとかいうことでなくて、あるべき姿はどういう姿であるかということを発見してまいるということが大切な任務だと思っているわけでございまして、いま曽祢委員が御指摘された条約の問題、吉田書簡の精神、これはいまあなたが御指摘された御趣旨、よく私どもも理解いたしておるつもりでございます。したがいまして、国府と日本との間の正常化という問題をどのように組み立てていくかということを縣命にやってみたい、こう思っておるところです。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 もう一点、一言だけ。  大臣も、中共は必ずしも何かというとすぐ交戦的だとか思わないで、非常に現実的だとかいう評価もしておられるようですし、吉田書簡の第三項に、中共とは条約を結ばない、これはまあそこに二つの条件があるわけですね。一つは一番決定的な条件は、現に朝鮮戦争で国連と戦っているのだからということ。第二はつけ足しみたいなもので、少し共産党をおそれ過ぎた議論でおかしいと思うけれども、共産党が日本の内部を撹乱しそうだからということですが、フランスの今度の措置がいいか悪いかは別として、世界の大局からこのような、いまやだれが何と言おうが、まだ朝鮮戦争の恨みで、中共がそういう意味で国連からアウト・ローとして——無法者として扱われているのだというフィクションの上に立っておる人はない。したがって、この第三の条件は、それこそ国連総会で中国の代表権は中共にありというような方向にきまれば、これは自然解決だというわけです。そういうラインで、やはりわれわれは条約があるから何もできないのだというような考え方でなく、少なくとも政府としては、もう少し歯切れのいい態度で国府との関係は十分に考慮して親善関係をやっていかなければならぬ。だがしかし、大陸七億の中共が、それでいい悪い、いやだと言えばそれは別ですよ。中共だって国連に入りたいことは間違いないのであって、だからこそ、フランスと中共が、ああいう形における相互承認については、事前の条件、すなわち台湾問題、事後の条件、すなわち国連における代表権の問題を条件としてはつけないという形でやったわけですからね。中共のほうだって、まあプリンシプルは強いけれども、現実の外交における弾力性というものが決してないわけではないのですから、そういう意味で条約があるから何もできないのだということでなくて、条約を尊重しながら、中国政策に対してもっと前向きに、多くの国民が納得するような方向で大陸中国との問題に取っ組んでいく、こういうようなひとつ方向ぐらいは閣議できめてもらいたい。いつまでたっても待ってください、待って下さいでは、国民のほうもあきれ返ってしまうから、よろしくお願いいたします。

佐藤尚武第二院クラブ

○佐藤尚武君 緊急動議を提出したいのでありますが、簡単に申し上げます。本日はこの重要な問題につきまして、限られた時間内に、主として社会党委員諸君以下の意見が開陳されたわけでありますが、社会党の委員諸君だけの意見が述べられたということに相なりましては、一般の誤解を招くおそれがあると私は思います。でありますから、この次の機会をもう一度こしらえていただきまして、大臣の出席をわずらわして、そして与党側の意見も拝聴いたしたいと思いますし、また、小会派の意見も   (「賛成」と呼ぶ者あり)開陳するという機会も得たいと思うのであります。いまの曽祢委員の意見のごときは非常に傾聴すべき御意見だと思うので、それをもう少し時間をかけて十分にデベロップしていただいたらどうかということを考えさせられるので、委員長の御一考をお願いいたします。

黒川武雄自由民主党

○委員長(黒川武雄君) けっこうな御意見でございます。そのようにいたしたいと思います。  それでは、本日はこの程度にとどめまして、散会をいたします。   午後零時三十七分散会    ————・————

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