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46回国会衆議院1964/02/26

予算委員会第二分科会 第8号

発言数
132
登壇者
14
会派数
4
開催日
1964/02/26

会議録

相川勝六自由民主党

○相川主査 これより会議を開きます。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめることになっておりますので、格段の御協力を願います。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく、簡潔に行なわれますよう、特に御注意申し上げます。  昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。  質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 まず、最低賃金法施行状態についてお聞かせ願いたいと思います。  この前、私は、予算の総括質問の際に、ILO条約との関連において、条約の批准ができるかどうかという点についてお伺いしたわけですが、その際に、現行法ではかっては条約批准ができると考えておったけれども、その後いろいろ調査をしてみると、条約批准ができるような状態にない、こういう答弁であったと思いますが、一体どこの点が条約批准ができない問題点になっているか、これをお聞かせ願たいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 条約の中で、最低賃金を設定いたします際に、関係労働者及び使用者の意見を聞くという制度がございます。それが当該最低賃金の決定に関係のある労働者及び使用者の意見という関係におきまして、現在の業者間協定方式による制度におきまして、この点が条約の条文とどういう関係にあるかという点について問題がございます。この点につきましては、前前から政府側で御答弁申し上げておりますように、ILO事務当局に連絡をいたしまして、いわゆる条約の有権解釈を聞きますと同時に、この点についての問題点をさらに一そう明らかにして、今後に対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 法案、すなわち、最低賃金審議の際には、最低賃金決定制度の実施に関する勧告については、若干本法案と抵触する点について疑義があるけれども、少なくとも条約については疑義はございません、勧告は必ずしも国内法が完全に一致する必要はございませんので、条約については十分批准ができると思います、こういうことで大臣は答弁になったわけですが、これは、私は、国会に対する政府の答弁がこういうあいまいでは困ると思うのです。速記録を見られると十分わかると思いますが、そういうことがはっきりと答弁されている。条約は国内法とは抵触しない、しかし、勧告については抵触する点もあるけれども、勧告は拘束するものでない、こういう答弁があった。そこで、一体どうして、法案を出して、それをあれだけはっきり答弁しておるにかかわらず、こういうような不手ぎわになったのか、この経過をお知らせ願いたいと思う。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 労働省といたしましては、最賃決定の方式がいろいろございますけれども、その申請者が、業者間協定あるいは労働協約その他のものでございますして、それを最低賃金として決定いたします場合には、最低賃金審議会で決定いたすわけでございます。決定いたしました場合には、もはや業者間協定ではなくして、最低賃金法に基づく最低賃金として効力を持つわけでございます。その間におきます労使の参与という形が、審議会の三者構成で足りるものではなかろうか、こういうような判断を一応持ったわけでございます。そして当該最低賃金に関係のある使用者及び労働者をそのつど参与させるというような体制につきましては、恒久的な制度として考えます場合にいろいろ問題がある。外国の例を見ましても、特定の審議機関あるいは賃金委員会などで処理しておりますので、その審議会が三者構成であれば差しつかえないのではなかろうか、こういう判断をとっておったのでございます。また、その参与のしかたが、日本文では参与と訳しておりますけれども、アソシェート・ウイズということばが、いわゆる日本語の参与であるかどうかといったような点につきましても、最低賃金法制定当時におきましては、この点についてそう疑念は持っておらなかったのでございますけれども、いろいろ問題が提起されるにつれまして、このことばの解釈などにつきまして明確を期したいという観点から、ILOに対しまして有権解釈を求めて、その過程におきまして、この点が必ずしも明確でないというような状態が漸次明確になってきた、こういうことであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 どうも私は不見識だと思いますね。しかも、これは参議院のほうからその三者構成についての修正案が出されておるわけですよ。ですから、その修正案で今度はいけるんだ。最初は政府は原案でいけるんだと、こう言ったのです。要するに、原案で批准ができるのだ、ところが、参議院のほうから、いわば自民党のほうから修正案が出された。そうして今度は大丈夫だと、こう言う。それが有権解釈をいまごろ求めるということ、あるいは法律ができてから求める、こういう点は、私は、むしろ政府全体として、ILO条約の認識がきわめて不足しているんじゃないか、こういうように思います。しかし、過去のことを言いましてもどうにもなりませんが、大臣、その有権解釈といいましても、もう大体結論はきまっているでしょう。ですから、それに沿うて最低賃金をお直しになって批准されたらどうですか。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 この解釈の関係につきましては、ただいま申しました関係のある使用者及び労働者、それから参与ということばのみならず、国内法令に定める方法及び程度においてという部分があるのでございます。したがいまして、参与させるにいたしましても、国内法令でどのように定めるかという定め方につきまして、その範囲、方法等につきましても問題があるわけであります。したがいまして、不見識かどうかという観点とは別に、法律的に見まして、こういった点についてのILO当局の考え方を明確にしたいという態度をとるのが、正しい態度ではなかろうかというふうに謙虚に考えまして、かようにILO事務当局にいろいろ問い合わせをしておるような次第でございます。ただ、今後の問題につきまして、一応過去にとらわれることなくどうするかという点につきましては、いろいろお考えもあろうかと思います。経過につきましては、一応その点を補足させていただきます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 あなた方は、有権解釈を求める、どういう手続で、具体的にどういう文書で、どこに出して、その解釈を願っているのですか。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 この点につきましては、御承知のように、労働省からレーバー・アタッシェがジュネーブに常駐いたしておりますので、レーバー・アタッシェを通じまして、ILO事務当局と折衝しておるような次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 それで有権解釈になるわけですが、事務当局がいいと言ったら有権解釈になるのですか。それで、百五号条約の解釈のような場合に、条約勧告の適用に関する専用家会議がその細部について決定をするとか、何らかILOに対してそういう正式な機関として有権解釈を仰がなければならぬのじゃないですか。少なくともこの最低賃金法が国会に提案されたときも、あなたのほうは打診をしておるはずですよ。ILOのだれかに話をしておるはずですよ。大体よかろうというので、はっきりした答弁を国会でしておるわけですよ。レーバー・アタッシェもいるだろう。それをこそこそいって、事務当局に何年かかってそういう有権解釈を求めておるのですか。だれが有権解釈をするのですか。有権解釈というのは、そういうものがあるわけですか。どういう機関でするのですか。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 私がただいま申し上げましたのは、実態的な面を申し上げたわけでございます。御承知のように、私が申し上げます有権解釈というもの、手続あるいは解釈を求める機関がだれであるかというような点につきまして、厳格に申しますならば、この条約の解釈は外務省がやるわけでございます。したがって、外務省が条約を所管いたしておりますので、外務省からどういう手続をとったかというようなお尋ねでございますならば、そういった点については明確な手続をとっておりません。実質的に判断を求める、こういうことでございます。ただ、ILOのその担当機関、責任ある機関が見解を披瀝をするという意味において、一つの公の力があるという意味において、有権ということばを私はいま申し上げたわけでございますが、いわゆる有権という意味でございますが、巖密な解釈を求める機関、手続等につきましてどうということになりましたならば、そのことばは多少修正せざるを得ないだろうと思うわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 結局レーバー・アタッシェが事務当局に問い合わせしているでしょう。しかし、それも問題になったときに権威あるものではないでしょう。事務当局のだれだれさんがこういう解釈をしましたというのが、非常に条約適用専門家会議等で問題になったときには、別にある人がそういうことを言ったからといって、それが権威づけられるものではないでしょう。何か問い合わせしている、有権解釈を求める手続をしているような、それからオーケーがくればできるような話をしているが、そういうことは全然していないでしょう。どうですかという程度でしょうが、これだけ大きい問題になっているのに、国会をそういうことでごまかして言っちゃいけませんよ。

辻英雄労働基準監督官(労働基準局賃金部長)

○辻政府委員 ただいま局長が申し上げましたものをもう少しこまかく申し上げますと、外務省を通じまして、レーバー・アタッシェに文書を出して、これこれこういうことについて事務局の見解を聞くように、かようにしてあるわけでございます。先生おっしゃいました本来の有権解釈は、専門家会議で各条約ごとにときどき検討するということが行なわれておりまして、その文書の内容には、ただいまここで問題になっておりますような点は必ずしも明確にされておらないわけでございます。同時に、従来のILOの慣行として、公文書で法律解釈を質疑して答えるという慣行はないわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたように、口頭で向こうの専門家の意見を聞いているということが事実でございます。詳しく申し上げますと、以上のとおりであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 ですから、条約の批准前には有権解釈の適用がないのですよ。八十七号条約というのは、理事会に結社の自由委員会という特別委員会があり、さらにILOそのものに実情調査調停委員会がありますから、そのほかに有権解釈の出しようがないのですよ。ですから、まず批准をしてみて、批准をしたら、条約適用委員会のほうから各国のものを集めてしポートが出るわけですから、それが出れば、日本の法律を直すということになります。ですから、あなたのほうで事実をごまかして、時日を遷延するために、何か問い合わせしておれば済むというようなものではないでしょう。はっきり日本政府としてはこう思うのだといってぽんと条約を批准して、そうして条約適用委員会で意見があれば、それを聞いて直す、こういうことが妥当ではないですか。何か問い合わせしている、有権解釈を願っている――怠慢ですよ。この速記録を持ってくれば、ILOは事務当局が怠慢だ。これはそういうふうな仕組みになっていないのですよ。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 多賀谷先生は、ILOにつきましては非常にお詳しい権威者でございます。いま御指摘の点、先生のおことばのような問い合わせになっているようであります。そこで、われわれといたしましてはを期する意味におきまして、問い合わせをいたしているということでございますけれども、ただ、問題の処理につきましては、現在の最低賃金制度をどのように運用していくかという問題とも関連いたしまして、御承知のように、最低賃金審議会から今後の最低賃金制度のあり方についての答申を得ました次第もありまして、現在業種の選定、賃金額の目安の決定につきまして作業を急いでおるような次第でございます。それによりまして、業者間協定方式のみならず、他のいわゆる職権決定方式などがいま少し活発に展開されましたならば、条約批准の舞台も形成されてくるのではなかろうかというふう限りで引き上げられておるというのが、従来の経過でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 私は、この原案はだれがつくられたかわかりませんけれども、中央最低賃金審議会のほうで答申をなさっておる。その答申には、まあまあ初期の段階においては現行の最低賃金もある役割りを果たした、こういうように書いてありますけれども、私は率直に言いますと、これはむしろ役割りを果たさなかったと思うのです。それはなぜかというと、私は当時それを指摘しておったわけですけれども、業者間協定ができようとする機運ですね。あの当時若い労働力が不足しだした、こういう状態の中で、むしろ網をかぶせた。そうしていわば業者がお互いの貨金をアップすることを防ぐための防波堤となった、こういう状況があったと思うのです。それは当時でも指摘したわけです。実際問題として、一番最初にミカンかん詰めの最低賃金ができたときには高かったようですけれども、それを実行したところが、その賃金ではほとんど若い者は来なかった、中年の婦人しか入ってこなかったということで、最初からこれは失敗しているのですよ。ですから、結局業者間協定というのは、求人の役判りはしたかもしれない。最低賃金がありますからというので、役割りはしたかもしれない。職業安定所の窓口の労働雇用条件の一つにはなったかもしれないけれども、賃金水準をほんとうに上げたかどうかということは、現状の、ことに若年労働者の初任給を見れば、いかに最低賃金が低いかということがわかる。実際の現実に支払っている初任給の状態から見れば、業者閥協定のほうがおくれておるということがわかると思うのです。ですから、ここ数年間における日本経済の高度成長に見合う状態ではなかった。これが別な状態で、非常に不況であったというならば、あるいは業者門協定というのは、むしろ賃金水準を下げる状態を防ぐ役割りをしたかもしれませんが、日本の経済というのは、そういう状態にないわけですから、これは残念ながら、この業者間協定を含む最低賃金法をつくったところに、この数年間日本の賃金が上がるということを阻止した原因があったと思う。いまごろ最低賃金をつくるならば、むしろ何もなかったほうがりっぱなものができると思う。この法律があるために、大臣いろいろ考えられておっても、苦労される。いま何もなくて白紙の状態のときに、この最低賃金をつくろうとすれば、私はりっぱなものができると思う。ことに若年労働者は足りないわけですからね、需要が非常になにしておるから。ですから、私は、むしろ、最低賃金法が残念ながら日本の賃金水準を上げるのに役立たなかった、こういうふうに考えるのですが、大臣の御所見を伺います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私は、最低賃金法が、賃金水準をむしろ据え置くような消極的な役目をしたのではないかとは必ずしも考えませんが、しかし、これがあったために、非常に賃金水準を引き上げるに役立ったといって自慢するほどのことはなかろうと思います。なるほどそのときどきの統計によりますと、最低賃金の協定ができたことによって、関係労働者の若干についてはある程度の賃金の引き上げが行なわれておるという統計もありますが、しかし、これはこの制度がなくとも、労働事情等によって当然起こるべきものが起こったという解釈もできるわけでありまして、賃金水準について現行法がどれだけの役割りを果たしたかということにつきましては、そう力を入れて力説するほどのことはないと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 大臣は率直にお話になったようです。私も大体同じだろうと思います。とにかく業者間協定に基づいて、最低賃金が百八十円から百九十円というのが昭和三十五年に締結されて、まだ今日まで改定されてないという状態です。これはあなたからもらった統計ですから間違いない。それから三十五年以前に締結をされても、まだ改正が行なわれていないというのもある。要するに、最低賃金法が動いてないということは事実ですね。何かそのときの経済に即応するように動いてないということが言われるのではないか、こういうふうに思います。そこで、大臣も業者間協定についてはかなり疑問を持っておるようですが、日本としては、こういう最低賃金法、しかも業者間協定を含むようなこの国内法が、ILOの二十六号条約に適応しておるかどうかということを問い合わすことすら、これだけの高度成長を遂げておる日本ではちょっと恥ずかしいですよ。そうして造船あるいは鉄鋼、合成繊維についてなにを争うような状態に、まだ業者間協定というような最低賃金法があるということを外国に知らすのは、むしろ恥ずかしい。ですから、これは早く踏み切られたらどうですか。私は方法は幾らでもあると思う。こういう方法は早くなくされて――それも段階的と言っておりましても、当然実情調査調停委員会が日本に来る。日本に来て、ただ結社の自由についてだけ調査をする――それは役目はそうでしょうが、日本の賃金水準というものは当然問題になりますよ。それは権限外といえば権限外ですが、調べもできます。やはり事実調べますよ。それから労働組合で、せっかく来ておるから、こういうことになっております、こう言いますよ。それが報告書に載るか載らないかは別です。それから、日本はこういう最低賃金法があります、こういうことになると、私はみっともないと思う。とにかくこんな簡単なこと――簡単と言えば、業界のほうはだいぶ問題があるかもしれませんが、やはり早く指導的立場に立って改められたらいいのじゃないか、こういうように思います。大臣は総評幹部に会われたときに、この業者間協定は非常に不備だと言われたということを聞いておりますが、時代が変わっているのだから、これをなくして、そして別の形で、業者の意向も十分くめるような方式にしておやりになったらどうですか。少なくとも早く業者間協定という形をなくされたらどうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私も、将来の目標としてそういう方向で進むべきだと思いますし、また、その将来というのは、できるだけ近い将来であるべきだと思っておりますが、何ぶんにも日本の特殊事情を基礎にしてでき上がった現行法でございますので、いまこの席におきまして、このように改正するということをまだはっきり申し上げる段階ではございません。方向としては、その方向にできるだけ努力いたしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 日本が低賃金でないということをやはり政府として外国に知らせたいというならば、業者間協定というような、世界に例がないものを、日本の特殊事情といっても、これは許されないと思うのです。これは早く改められて、低賃金は低賃金で、水準を上げるためには私はいろいろ方法があると思います。業者の意向を聞くためには方法があるし、第一、業者が締結しなければなかなかむずかしいのですから、これはいろいろあるだろう。それから時代が変わってきて、とにかく若い労働力が余って農村の二、三男対策で困っておるという時代ではないのでしょう。農村の二、三男対策で、仕事がなくて困ったということを言われておった時代から、実はこの最低賃金審議会のほうで審議をして調査をした。そのうちに、若年労働力が足りなくなったという機運に、この最低賃金法を出したのですから、事情が非常に変わっておるのです。私はすみやかにこの改正をしてもらいたい。これはもう一度御答弁を願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 改正したいということは、私もその方向に進むべきだと思っております。しかし、政府としてはっきり改正の方針を打ち出すということに相なりますと、その前にいろいろ政府部内の相談もございますし、また関係の審議会その他の機関もございます。そういった方面と十分事前の打ち合わせも必要でございますので、この席で改正をするということを申し上げることはできませんけれども、できるだけそういう方向にすみやかになりますよう努力はいたしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 次に、私は、不正常な雇用条件といいますか、そういうことについて、一、二お尋ねいたしたいと思います。  まず、作業に非常に波動性のある職種としての港湾労働者、従来からこれは非常に問題になっておりまして、衆議院の社会労働委員会でも、港湾に対する小委員会もできたこともございました。そして与野党一緒で、この港湾労働についていろいろ検討をした時期もあったわけですが、一番問題の点は、波動性の多いことに対する、いわばあぶれる日をどうするかというのが、一番大きな問題であります。当時は労働力の確保にはあまり困らなかった時代ですから、なかなか法律に踏み切るまで業者のほうの認識がなかった、こういう状態でありました。しかし、最近は労務事情が非常に変わっておりますから、私は、むしろ早く政府として雇用安定の方向に踏み切られたらいいのじゃないか、こういう不正常な就業状態というのはよくない、こういうように思うわけです。そこで、問題は、不就労手当の問題になるわけです。これについて政府はどういうようにお考えであるか、また、方向としてどういうように対処されるつもりであるか、お聞かせ願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 港湾労働におきまする問題は、船の出入りがそのときどきに波がございます。したがって、港湾労働においては、需要がどうしてもコンスタントにまいりません。その関係上、必要な労働力を維持しておいた場合には、ときとしていわゆるあぶれが出るわけであります。このあぶれの間の賃金をどういうふうな方法で考えていくかという間第であると思うのでございますが、政府といたしましては、近来港湾労働の供給不足というものによって港湾の正常な機能が妨げられるおそれがございますので、数年前から港湾労働等対策審議会を内閣に設け、この問題も含めまして、いろいろ港湾の、また港湾労働の問題の審議検討をお願いいたしておるのであります。いま御指摘の間第は、この審議会におきましても、最も重要な問題として御研究中でございます。政府といたしましては、その研究の結果につきましては、十分これを尊重し、そしてこれをできるだけ実現に移しまして、港湾の機能の回復、または港湾労働の保護育成につとめるようにいたしたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 どうも政府は、委員会をつくって、そしてゆっくりゆっくり審議をさしている、こういう形じゃないかと思います。これはもう答申が出るのじゃないですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 三月一ぱいに答申を得て、この審議会はそれで解消する予定であります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 そうすると、不就労手当の問題はどうなりますか。大体方向はわかるでしょう。委員会といったって、あなたのほうで大体原案をつくってやっているのですから……。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 これは総理府の機関で、私どももいろいろ意見を申し述べておりますが、御指摘のようなあぶれ手当の必要性につきましても、委員会において十分御認識いただいていると思います。ただ、いわゆるあぶれ手当という形になるのか、あるいはもう少し積極的な形で手当制度を答申されるのか、その辺は最終の総会の場で結論が出ないと、私から何とも申し上げられる段階ではございません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 こういう、いわば不正常な労働関係というのは、早く政府は解消される必要があると思うのです。実際の取り扱いとしては、現行法ではどういうようになさっておりますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先般名古廃港で問題がございまして、名古屋港中心といたしまして、港湾荷役取り扱い業者と関係労働者の間で、自発的なあぶれ手当制度を設けて、名古屋港における港湾荷役に必要な労働関係を調整したいという話がありまして、私どもといたしましても、一般的なあぶれ手当制度の一つのモデルといたしまして、その帰趨を注目いたしておったのでありますが、遺憾ながら途中で話がさたやみになったと承っております。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 現在の制度では、御承知のように、日雇いの失業保険制度しかございませんので、制度的にはこれで不十分ながらやっております。しかし、答申では、先ほどから申し上げておりますように、積極的な生活安定のための手当制度を答申されると思いますから、その線に沿って善処したいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 この日雇いといいましても、実態はいろいろある。いろいろあるの、だけれども、たとえばAという人がイという事業場とロという事業場、まあ大体この程度しか行かない、こういう連中がおる。この二つないし三つて大体それは固定をしておる、こういう者もおるわけですよ。ですから、登録制の問題であるとか、いろいろ常用化についての問題があるわけですが、港湾の問題も、これは国際的な問題ですから、私は早く善処をしてもらいたい。そういたしますと、答申が出ると、すぐあなたのほうでは意見を聞いて法制化されますか。これはやはり法律が要るでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 緊急な問題でございますから、その内容を精査の上、すみやかに処置するようにいたしたいと思います。ただ、今国会で立法措置がはたして講じ得るかどうか、予算の関係等もございまするので、はっきりした時期は申し上げかねますが、いやしくも答申が出ました以上は、これを尊重いたしまして、その内容の実現には急速にはからうようにいたします。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 そういたしますと、答申が出れば、この国会に間に合うかどうかわからないけれども、要するに、事務的に最も早い機会に法案を提出する、こういうように考えてよろしゅうございますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 さよう御了承いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 次に、ちょっと港湾労働者とは実態は違うわけですが、私もお聞きしてそういう労務のあることはかねがね知っておりましたけれども、その雇用条件があまりに変則であるので驚いたわけですが、例の国有林野の労働者です。これはいろいろあるわけですけれども、そのうち常用作業員というのが三万五千人くらいいる。これは大体六カ月ないし九カ月働いて、そうして失業保険給付に見合う退職金をもらうという制度になっておる。この点がわれわれなかなか理解に苦しむのですが、そこで、本人は失業保険金をかけておるわけです。失業保険金をかけて、その失業保険金に見合う、失業保険金と同じ退職手当をもらう、こういう仕組みになっておるのです。ところがへその退職手当は、これは全額国有林野の会計から出るのです。そうすると、労働省は、ちょっと言えませんけれども、まるまる得ということになるのですが、これはどうなんですか。

細野禎二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○細野説明員 制度のつながりの過程におきまして、六カ月二十二日以上雇用されて、その次の期間に雇用が継続するという場合には、退職手当の手当が出るわけでございます。その期間に満たない失業保険の受給資格が、各月十一日以上六カ月でございます。そういう差のある場合には、いわゆるマル政の資格を満たさずに、失業保険の受給資格を満たした場合には、失業保険が出るということになるわけでございます。それから先生のおっしゃいましたように、それに至るまで、いわゆるマル政の受給資格に至るまでは失業保険の掛け金をかけていただいておるということでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 これは、実に労働者の側からいっても、失業保険金を納めておいて、実は退職手当をもらう。ですから、この労働者は、実際は三十年、四十年表彰されるそうです。大臣表彰から、営林局長から、営林署長からの表彰があるそうです。何べんも表彰されるけれども、退職金は実際は入らぬ。それは毎年失業保険に肩がわりするわけですね。それから厚生年金もかけておるそうです。厚生年金をかけておるけれども、その厚生年金は二十年の月数なければいかぬわけですから。ところが、これは四十年つとめないと厚生年金の受給資格はないという労働者になっておる。それから健康保険が切れたから、今度国民健康保険に切りかえるわけです。一度ずつ健康保険になったり、国民健康保険になったり、しかもこれは政府の常用公務員じゃありませんけれども、要するに政府が使っておるのですよ。私は、こんな形態が許されるかと思うのです。これは国有林野は六カ月働かして、三カ月分の退職金を払っているという形になる。林野会計からいっても、実にむだなことをやらしておる。大蔵省がよう容認しておるものだと思えば、省のほうは、法律がありますから、国家公務員等退職手当法がありますから、法律にのっとって払っておる。実に役所というのは安易だと思うのですよ。これが民間会社だったらたいへんですよ。九カ月働いて三カ月分退職金を払う、あるいは六カ月働いて三カ月分退職金を払うということはありませんよ。そんなところは、政府だからこういうことをやらしておる。民間会社だったら、そういう場合には仕事を見つけますよ。林野業は冬山はなかなかむずかしいといっても、いろいろな仕事を見つけると思う。それを政府だからおやりになっていない。三万五千そういう人々がおるというのですから、それだけでも十億以上の金ですよ。そういうずさんなことが平気で行なわれておるというところに問題がある。しかし、労働大臣にお尋ねするのですから、こういう雇用関係というのは、労働省のほうからも十分監視をして――労働条件としても、大臣表彰を受けるけれども、一銭も退職金がないというようなばかげたことはないですよ。実質上退職金一はもらっていない。そうして来年は必ず来てくれよ、来年来ますということで来るわけですから、何年行くけれども、表彰はするが、退職金はやらない。最近若い人はそういうところに行きませんから、自然にほっておいても、労働力が集まらないから、やがて方策は講ずるだろうけれども、しかし、それだけでは役所としては済まない。公務員にしてこういうことがあるのですから、これはひとつ労働大臣として善処を願いたい。何か方法を考えて――これは休業手当を出しても同じなんです。率直にいって、三カ月の退職金も、三カ月の休業手当を出しても同じですからね。六〇%出している。これをどういうふうにお考えですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 お話、まことにごもっともでございます。十分に実情を調べまして、林野庁あたりにも、的にどう考えておられますか、われわれの考えも述べ、よく協議をいたしました上、善処いたしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 例の身体障害者雇用法の状況についてお知らせ願いたいのですが、一体法律が制定をされるときにお約束なさいました行政機関一・五%、これは非現業、それから現業で一・四、公庫、公団、特殊法人一・三、これは現業、それから事務的事業所で一・五、民間事業所で現場が一・一、が一・三%、それから重度障害者、あんま、これは七〇%、こういうことを三十九年三月三十一日までにやることになっております。これはそのとおり進んでおりますかどうか。それからもう一つ、私たちもうかつだったのですが、政府が法案を提出するときの現時点における身体障害者、たとえば国の場合の比率と、いわゆるここで言われている一・五とは、ちょっと違うのですね、最初出発するときの比率と。比率からいえば、かなり上がっているようだけれども、その当時はそういった比率ではなかったのじゃないかと思うのです。その点もお聞かせ願いたい。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 身体障害者の雇用率の問題は法定されておりますが、官公庁の場合には一・五と一・四、民間の場合は一・一と一・三、これが原則になっております。この達成率は、雇用率はこの三月末までに達成するということになっておりますが、現状は、遺憾ながら、目標雇用率を完全に達成するような状態にはなっておらないわけでございます。現状は、官公庁につきましては、一・四と一・三と両方くるめまして現在のところの雇用率は一・三三でございます。目標からしますと、若干下回っております。民間の場合は、大部分が一・一%の適用を受けるわけでございますが、これに対しまして現在の雇用率は〇・八四でございまして、これも若干下回っております。その他の点につきましては、重度障害の雇用率等につきましては七〇%は達成いたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 私は、いま比較的経済が伸びているときに、この程度の目標を達しないというのは非常に残念だと思うのです。とにかくよその国はこんな比率じゃないのです。御存じのように、身体障害者の雇用法がイギリスにもあり、イタリアにもあり、ドイツにもあるけれども、それは四%とか五%とか、ほとんどこういう比率でしょう。日本はわずかに一・五%というのができないのですからね。ですから、こういう点政府みずからやることができないというところに、日本の労働政策というのは問題があるのですよ。国家が使う労働者について、いま言った林野業の状態でもそうですけれども、政府みずから労働政策、労務管理面において模範にならなければならない。それがこういう状態である。外国の事例を見てごらんなさい。イギリスでも、イタリアでも、ドイツでも、フランスでも、みんな日本のようにこんな一・何%なんという比率じゃないでしょう。それは、向こうは第一には、同じ傷病者でも戦争で被害を受けた傷病者からやりましたから、法律が戦争中にできた法律もあるし、非常に進んだ状態になっておりますけれども、しかし、私は、現在日本でこの程度の施策ができないというのは、非常に残念に思うわけです。なぜできないのか。労働省が幾ら太鼓をたたいても各省は知らぬ顔しているのか、あるいは各公社はおれのところで手一ぱいだ、こう言うのか。公社によっては割合に協力しているところもある。しかし、それは大体自分のところの従業員ですね。自分のところの従業員が負傷したという場合ですね。ですから、よそから身体障害者を雇うということはなかなかしない。これはどこに欠陥があるのか。今後どうされるつもりであるのか。私はもっと目標をぐっと上げてもらいたいと思ったのだけれども、残念ながらまだ目標に達しないというのは、いつまでに達するのか、お知らせ願いたい。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 目標雇用率を達成できない理由といたしまして、若干言いわけになりますが、分母になります雇用労働者の数が三年前に予想した以上に非常に伸びておる。これが一つ雇用率が達成できなかった大きな事情でございます。三年間の従業員の伸び率を見ますと、一九・九%、これに対して身体障害者の雇用者の伸び率は二一・五%でございますから、まあ雇用の伸びよりは、身体障害者の雇用の伸びが上回っておるということは言えるのではないかと思います。官公庁の場合には試験制度をとっておりますので、この点が身体障害者の採用に大きな障害になっておるという特殊な事情もございます。これは言いわけでございますが、今後法定されたいまの雇用率を達成するにあたりましては、身体障害者雇用促進法に基づきまして相当強力な勧奨指導をしなければ、容易にはこの雇用率は達成できないと思います。したがいまして、官公庁に対しましても民間に対しましても、計画の変更作成、こういうことについて相当強力な行政指導をいたしまして、本年三月までには達成できませんでしたが、来年度の目標に現行の雇用率の達成をするように、一段と努力してまいりたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷分科員 これは昭和三十九年の三月三十一日ということがはっきり言われておったわけですから、それができないということは非常に残念に思うのであります。時間もございませんから、これでやめますけれども、この程度は当然行なうべきものである。それからあなたのほうは言いわけがましいと言われますけれども、理論的にいえば、ちょっと逆でしょう。理論的にいえば、雇用が伸びておる。ですから、身体障害者をこの際使ってもらうというのが理論的でしょう。もしも雇用が全然伸びないというんなら、受け入れる余地がないから、身体障害者は雇えない、こういうことは言えるけれども、雇用が伸びているんですから、それは分母が伸びておっても、雇用全体が伸びておるんだから、当然身体障害者を入れる余裕があるわけですよ。ですから、幾ら分母が伸びても、分母が伸びたからというのは理由にならない。御承知のように、分母が伸びるような経済情勢であれば、身体障害音をよけい入れる、こういうのが当然じゃないか。義務をかなり強力に課してもいい、こういう経済状態である、こういうことが言えるのではないか、こういうように言えると思うのであります。これでやめますけれども、同じ労働者でも、こういうみじめな労働者、底辺に置かれている労働者、あるいは不正常な雇用関係にある労働者については、特に私は、政府はこのめんどうを見てもらいたいと思うんですよ。こういう人たちは声が大きくないですからね。総評という組織がこの問題を取り上げてストライキをするという状態でもないし……。ですから、非常に不正常な状態にある者は、私は政府でやる以外にはないと思うんですよ。政府があっせんしてやってもらいたい。このことをお願いしておきます。

相川勝六自由民主党

○相川主査 谷口善太郎君。――谷口君に申し上げますが、大体三十分程度にお願いします。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 労働大臣にお伺いしたいと思いますが、時間が三十分ですから、私も端的に申し上げますが、大臣もひとつ端的に簡単にお話し願いたいと思います。  ILO八十七号条約の批准のことについてでありますが、労働者の結社の自由、団結権の擁護という問題は、日本の憲法にも労働基本権の問題としてはっきり保障しておりますので、この条約を批准するということにつきましては、日本の側では何の障害もないと私ども思っておるわけであります。ところが関係国内法の整備という点で、政府・自民党の中に意見の調整がつかないので、もたもたしているのだというふうに聞いておりますが、一体政府はこの条約をどういう考えから、あるいはどういう目的で批准しようとしていられるのか、その点をまず最初に伺いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 八十七号条約批准は、労働者の基本的権利でありまする団結権の問題でございまするので、すでに憲法においてもこれを保障しておるような次第でございますから、政府もできるだけすみやかに批准すべきものである、かように考えておるのであります。しこうしてこれを批准するにあたりましては、民間の労働組合につきましては何どきにでも批准ができるような状態にすでに法体系が整備されておりますが、国家公務員並びに地方公務員、それから公共企業体の職員、これらにつきましては国内法の改正を要する点がございまして、この改正を急いですみやかに批准したい、こういう考えでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 そうしますと政府のお考えでは、いま国会にお出しになっている関係法案の改正をやった上で条約を批准すれば、日本における労働者の団結権あるいは結社の自由というものがかなり確実に保障できる、こういうお考えなんですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 少なくとも八十七号条約の要求しておる点は充足されると考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 労働基本権としての団結権あるいは結社の自由の問題は、少なくとも次の点が確立されていなければならぬと私ども考えております。つまり組合組織に関する労働者の自由と自主権の保障です。それから組織強制力の保障です。あるいは承認です。それから団体行動に対して干渉しないという保障です。それから団体行動の主体に対して立法的な制限を加えないという保障です。それから団体行動に対する刑事免責及び民事免責、これがやはり保障されなければなりません。それから団結権の侵害に対して救済を認めるという点だと思います。これらにつきまして、私は八十七号条約の最低の具体的な点だと思うのですが、大臣のお考えいかがですか。

三治重信労働事務官(労政局長)

○三治政府委員 いまおあげになりましたものはそれぞれ関連はあると思いますけれども、直接八十七号条約そのものでそこまでこまかく規定はされておらないわけでございます。ことに刑事、民事関係、それから団結権の侵害に対する救済の問題、こういう問題につきまして、まあ相互不介入の原則、それぞれに関連のあることではありますけれども、それぞれ独立してきちんと規定してあるというふうには考えておりません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 いまの問題につきまして、もちろん論議を重ねていって、政府の所信が間違いである点をはっきりさせる必要があると思うのでありますが、少なくとも団結権もしくは結社の自由と、いまの点が確立されませんと何にもなりません。条約そのものの条文の中に一々そういうことは触れていないにしましても、原則としてそうだと私どもは考えます。ところが政府が今度国会にお出しになっている改正案というものを見てみますと、これは公労法の四条三項、地公労法の五条三項、この点の訂正、これだけを条約の取りきめの矛盾点として解決しようということでありまして、それ以外のものはすべて日本の憲法にも反しますし、いま申しましたILO八十七号条約のシステムにも反する、抵触するものだと私どもは考えているわけであります。むしろこういう反動的な立法をするということにつきまして、私どもは絶対反対でありますし、現在反対運動が起こっているのはそこにあると思うのでありますが、しかしきょうは法案審議の場所でないのでありますから、きょうはこの問題に触れません。いずれあらためて触れる機会があると思います。  きょうは次の点を伺いたい。それは現行国内法の中で、さっき大臣おっしゃいましたが、特に公務員、地方公務員、公労協の諸君、こういう人たちを規制しております現行国内法その他、もう少し広げていえば一般の労働法の中にもありますが、これは現行国内法の中にすでに、単に四条三項、五条三項だけでなく、ILO八十七号条約に抵触する条項がたくさんございます。それについて私は政府に対する所いは削除をやりませんと、八十七号条約を批准しましても、これは国際的に日本政府は欺瞞を行なうことになると私どもは考える。一点一点について聞きます。第一――第一といってもこれは序列はございませんが、現行国公法及び公労法等の職員は職員団体を結成せず、あるいは加入せず、加入しないことができる。加入することができるということと加入しないことができるということと逆な面の規定があります。これはオープン・ショップ制の強制でありまして、団結権の保障とはならぬと私どもは思うのです。削除すべきだと思うのですが、どうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 団結権の保障というのは、いわゆる結社の自由でございます。結社の自由ということは、結社に加入することの自由で及び加入せざることの自由があって、初めて成り立つものだと思います。したがって私どもそれが団結権の保障の趣旨に反するとは思っておりません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 加入しないこともできるというようなことを法律に規定しておりますから、加入することも自由だが、しないことも自由だからといって、組合破壊をやっているのが事実です。しかしそのことを言っていると時間がたちますから次に移ります。  第二点、国公法及び公労法の管理職員または使用者の利益代表の規定は、いずれも非組合員の範囲の問題です。これは組合の自主的判断にまかせないで、人事院規則や公労委の告示で一方的にきめることは、条約に抵触すると私は思うので、削除すべきだと思う。  ついでに国公法の今度の改正の問題にちょっと触れておきますけれども、組合員の範囲を職員のほか免職後一年以内などに制限しておるのも、団結権の侵害になると私どもは思うのです。こういう点についてのお考えを伺いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 管理職員及び機密事務に従下する職員を組合員の資格から除外いたしておりますことは、組合は労使双方干渉しないということがあって初めて結社の自由が全うされるものでございまして、これらの職員が一般の職員組合に加入いたしますことは、そういう意味で干渉を導き入れるおそれがございますから、したがってこの点をはっきりいたしたわけでございまして、労働組合法におきましても、すでに類似の規定がありますことは御承知のとおりであります。  それから一年の問題でございますが、あの関係の条項というものは、これは団結権の実体そのものには関係のないことでございまして、単に職員団体の登録の要件にいたしてあるにすぎないわけでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 管理職だ管理職だといって、これも職場の中でどんどん職制体制をつくって、第二組合をつくる根拠にしたり、労働組合の団結権を侵得しておるのは群実あるのです。  次にいきます。第三点。監獄職員や地方消防職員の団結を禁止しておるのも、これは条約違反だと思うのですが、どうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これらはすでに条約において除外いたしておる職員でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 大臣、条約をお読みになったほうがよろしい。警察もしくは軍隊は除外になっております。監獄職員や地方消防職員の除外は規定いたしておりません。  第四点。国公法、地公法、特に地公法の登録制の問題、いま大臣触れられましたが、登録制の問題も条約に抵触すると私ども思います。非登録団体が法人格の収得を拒否されたり、連合体の結成が制限されておる、連合体の団交が否認される、こういうことがつまり条約違反の点であると私どもは思う。だから日教組やあるいは自治労が中央の大臣と中央交渉によって交渉できるとか、あるいはお目にかかれるとかなんとかいうことは問題にならぬ。団体交渉を認めるという根拠を国公法、地公法の規定に求めておる以上、登録制を含めて国公法、地公法のこれらの規定は、当然削除されなければならぬと私どもは思うのです。労働組合法の俗一格審査制度もこれに関連して、この原則から見まして、再検討を要する問題だと私どもは思うのです。こういう点についてはどうでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 登録制につきましては、いろいろ問題もあることでございますが、政府といたしましては、この登録制は、いわゆる交渉権を制限するものとは考えておりません。したがって職員団体の交渉能力につきましては、登録の有無に関係なく、職員団体である以上ひとしくこれを認めるものでございます。しからばあの規定はなぜできておるかという点でございますが、登録したる職員団体につきましては、登録という手続を通じまして、関係者局においてその職員団体の内容、実体等を明らかに把握いたしておりますので、したがってそれは職員団体たることは明白であるというふうに言わなければなりません。したがってこれに対しては当局としても、団体交渉においては積極的に相手とするという趣旨をあらわしたものでございまして、登録なき職員団体の交渉能力を否認するという趣旨ではございません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 これも大臣、そうおっしゃるけれども、路銀団体でないものが入った連合体は、それ自体認められてない、団体交渉もしないという事実があって、実はそうやっておる。  先に進みます。第五点。地公法、公労法、地公労法では、労働協約、つまり仲裁裁定の効力が制限されております。公務員法による人事院の勧告も、常に政府において完全に実施されない、そういう条件下にあります。結社の自由委員会の第五十四次、第五十八次の報告では、強制仲裁機関の下した裁定の条項の順守を妨げるような適用は改めろと言っております。仲裁裁定や勧告を無視するような、そういう余地のない法規定を改正する必要があると思います。この点につきましてどうでしょう。  それから労調法の第三十五条の二の緊急調整制度あるいは電気、石炭に対する例のスト規制、この場合、代償措置がないのです。こういう点もやはり改正すべきであると思うのですが、いかがでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 将来の問題として検討いたしたいと思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 なお、第三者機関のことでありますが、この第三者機関の公平性について結社の自由委員会は、労使の利害が公平に反映されていない、公益委員は公平な人々で確保しろということを指摘しております。この点でも、政府または使用者の側の事実上の権力的介入を許しておる現行法は、やはり改正すべきだと思いますが、いかがですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私どもは、公益委員の構成は公平に行なわれておると考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 次に、管理運営事項と称して、または長門での経営権と称しまして、使用者側が労働者の労働条件の改善に不可分の関係のある諸事項についての団交や団体行動を拒否できる現在の法規定も、削除しなければならぬ。団結権を保障するということが、労働者の労働条件の改善、平和と社会進歩に欠くことのできない条件であると条約の前文が書いておりまする以上、そうしてこれを認めて批准する以上、交渉内容や交渉事項によって使用者や関係者が一方的に交渉を拒否したり、制限したりすることのできる現行法規は、これは条約に抵触いたします。こういう点についてはいかがでしょう。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 もっぱら管理運営に関する事項またはもっぱら経営に関する事項が、団体交渉の対象となり得ないことは当然でございます。しかし管理運営に関する事項また経営に関連する事項でございましても、それが事実上労働者の労働条件に関係ある場合においては、当然論議される機会もあるべきだと思うのでございまして、これを使用者が一方的に拒否するというような場合におきましては、当然そのこと自体が不当労働行為というものとなって、第三者機関の公正なる仲裁裁定に服すべきものだというのが、現行法のたてまえだと思っております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口分科員 純然たる経営権だとか純然たる管理運営というような問題であって、労働舌の労働条件に関係のない、そういうものはあり得ると思う。それに対して何も入っていく責任はありませんし、またそういう気はないわけです。しかし管理運営事項と称して、実際上労働慣行を破壊したり、あるいは交渉の範囲から除いたりするやり方を、現行法は許しておるわけです。現行法によってそういうことがなされているという問題があるのであります。私どもはこういう点を拾いあげていきますと、現在実行されておるいわゆる現行法の中で、ILO八十七号条約に全く根本的に抵触する、そういう問題がたくさんある。単に四条三項、五条三項だけじゃない。こういう点の改正を抜きにして、そうして国内法の整備と称する――私どものことばで言えば改悪案でありますが、そういうものを出していらっしゃる。この問題は先ほど申しましたように後にやりますけれども、現行法にすでに八十七号条約に反する、抵触する部分があり、団結権、結社の自由を保障するためには当然排除しなければならないようなものがある。しかしいま一々聞きますと、皆さん次から次へといろいろな理屈を言っていらっしゃるし、これはもう時間がないから、残念ですが、事実をもってそれをやるのはやめます。やめますが、それを改正しないで、しかも国内法整備と称して、だれが見ても憲法に反するようなことをやってきているわけです。それだけじゃないです。繰り返しますが、実際にいま行なわれている労働運動の中でも、政府もしくは経営者側の弾圧とか干渉というもの、つまり団結権を破壊し、結社の自由を全く束縛してしまうことを実際にやっていられる。これも時間がないから私申しませんが、ちょっと言いますと、こういうことをやっています。たとえば国鉄新潟における公然たる不当労働行為のやり方、それから国家公務員、地方公務員、公労協の関係の労働者あるいは教員等の職場での団体交渉に対する制限、抑圧、これは時間がないから残念ですが、いつかはこれらの事実を全部あげます。それから労働慣行の一方的破棄、これはたとえば国鉄の田町の事件なんというのは、その尤たるものです。労働慣行のあるものを一方的に職務命令でもってお湯に入れない。おかしいじゃないかと言ったら、刑事犯として逮捕して裸でくくって行った。そういうことが行なわれている。それからまた団体交渉の制限、職場活動の弾圧、ことに労務管理制のファッショ的整備というものがこのごろ目に余るようです。これは国税庁の関係で言いますと、四人に一人の職制ができている。職員四人に一人ですよ。そういう職制配置をやっておる。これでもって労働組合の団結の自由や結社の自由やあるいは労働運動についての弾圧の機関になっている。それから大阪の職業安定所では、刑法とか刑事訴訟法というものを勉強させておる。それから警察の呼び方も勉強させておる。団交で組合をどうして抑圧するかということを職員に勉強させておる。こういうことは政府にしましても、資本家にしましても、もっと広く言えば自民党なんかこの立場に立って、いわゆる労働要綱なんか出しておる。あるいは裁判官なんかの最近のやり方というのは、実にけしからぬという問題がたくさんあります。こういうことはILO八十七号条約からいったら、許されぬことだと思う。それを事実やっておるわけです。政府の新しいいわゆる改正案なるものは、この事実を法的に合法化しようという意図を持っておる。そういうやり方をやっているのでありますが、私どもはこれを許すことはできない。話に聞きますと、倉石修正案というのがありまして、政府の改正案を何か若干手直ししようということのようであります。あんなものが何の役に立ちますか。労働大臣はこの前、政府あるいは自民党内で民主的に意見の調整をやるために、いまやっておるのだということを社会労働委員会でおっしゃった。民主的に――あのとき少しことばがおかしいと思った。民主的どころか、自民党内の素心会あるいは治安グループというのは何ですか。あれは反共ですね。反動で――――――――――連中だ。この連中が集まってやっておることは、民主的に考えておるのだということになりません。私はもうやめますが、この問題につきましては、いずれ徹底的に根本的にやります。やりますが、八十七号条約に対するこういう考え方は、大臣、根本的に改めて、日本の現行法から抵触するところは全部とって、ほんとうに憲法が規定しております団結する権利、結社の自由、これを保証するような法律をつくるべきだと思う。労働者の団結権とか、結社の自由というような労働県本権の問題は、法律に規定してあるからではなくて、労働者が長い戦いの後に勝ち取ったのです。私なんかそれを一生やった。第一次世界戦争後のあの日本資本主義発展の中で、労働運動をやり、労働組合をつくったりすると、これは犯罪だということではね飛ばされる。ストライキをやろうじゃないかと言うと、扇動罪でひっくくられて、何べんも刑務所に行きました。われわれは、労働者が生きていく上には、資本家と対等にやる上には、団結してストライキをやる以外にないということで、刑務所に行きながらやってきた。この中で戦い取った。この戦い取った基本的権利を、日本の憲法は法律的に確認した。これが破壊されようとしている。結社の自由、団結権を擁護するという名目で破壊しようとしておるのが、いまの自民党政府のやり方です。われわれはこういうことを許すことはできない。われわれも許しませんし、大衆も許さない。だから総評はストライキでも組んで戦うということを言っている。一緒にやります。大臣、私はあなたは進歩的な人だと前から思っている。ここらをやはりよく考えませんと笑われます。ILO問題については、世界じゅうが日本政府の動きを見ておる。調査団が来たらよく見てもらいなさい。日本はこんなことをやっておるとおっしゃい。恥ずかしいですよ。あなた方が恥をかくのはかまわぬが、労働者はこういうことは許しません。だからそういう点をひとつはっきりさせてもらいたい。また新たなときに別な場所でお目にかかります。きょうは詳しくは申しません。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 谷口委員のいろいろな問題についての御意見を私、拝聴いたしました。いろいろな点で基本的に谷口委員と私とは意見が異なっておる点があるのではないかと思います。いずれ他の機会にお話しいたすこともあるかと思いますから、その節にあらためて申し上げたいと思います。今日は一応御意見を拝聴いたします。

相川勝六自由民主党

○相川主査 谷口君に申し上げます。谷口君の発言中、もし不穏当な言辞がありますれば、速記録を取り調べの上、善処いたします。  松井誠君。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 私はきわめて具体的な、一見ささやかなようでありますけれども、しかしやはり大事だと思われる問題一点だけについて、お尋ねをいたしたいと思います。それは失業保険金の受領については、いま各地でずいぶん不便を感じておる問題なんです。御承知のように、最近いわゆる出かせぎというのが非常に多くなっております。そしてその出かせぎというのは、もうほとんど農村や漁村、いわゆる僻地からの出かせぎが非常に多いわけです。仕事ができなくてくにへ帰って、失業の認定を受けて保険金をもらいにいく、これは当然の結果ですけれども、ずいぶん遠いところへ行かなければならぬ。そのことのために、一応法律上の問題として一週間に二回というところを一週間に一回でいい。あるいは二週間に一回でいいという例外の措置は設けられておりますけれども、しかしそれでも不便だという僻地に住んでおる人がずいぶんおると思います。そういう人たちの共通の要望というのは、たとえば一カ町村に五十名、百名おれば、三カ町村合わせれば二、三百名という数字になる。そういう人たちが失業の認定を受けに、わざわざ何百円という交通費を使い、へたをすれば旅館に泊まらなければならぬということまでして職業安定所へ行かなくてもいいように、何とか現地まで出向いてきてもらえまいかという要望があるわけです。この辺の実情についてはおわかりだと思いますけれども、そういう実情について認識を持っておられるかどうか、念のために最初にお伺いいたしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 そのことは十分に承知をいたしております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 ことしはおかげで雪が少なかったために、長い間外で働けた。しかしそれにしても、ほんとうに働けない十二月や一月や二月には、どうしても帰ってこなければならぬという人たちが多いわけです。それで県のほうに、これは何か巡回相談ということばを使っておるようですけれども、出張をして認定するという形で、出張してきてもらいたいということを言いますと、きまって定員が足りないという。具体的に新潟県の場合でも、同じ問題がここ数年来蒸し返されておる。たった一人でいいわけです。ところがこの失業保険という問題は、季節的に繁閑の度合いが激しい。忙しいときには全県的に忙しい。ひまなときにはずいぶんひまになるという特殊な地方の仕事もあって、失業保険の一得込むときはとうてい人手が足りない。これについて労働省ではいままでどういう配慮をされてきたか、お伺いをいたしたいと思います。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 季節的に業務の繁閑がございますので、私どもとしましてはこの季節的な業務の繁閑に対処いたしまして、臨時の賃金職員という制度を設けまして、これでもっていまの失業保険金の支給事務に支障がないようにという配慮をいたしております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 それは国費で支弁する臨時職員ですか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 さようでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 そういうものが全国におよそどれくらいという数字はお持ちでございましょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 予算上延べ一万でございます。来年、三十九年度におきましては、これを倍にいたしまして二万になります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 延べ二万というのは、ちょっと具体的な実数をつかみづらいのですけれども、臨時といいますと何カ月くらい、実人員、延べでなしに、それはどのくらいになりますか。

細野禎二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○細野説明員 原則的に十二月から五月の間、各所の実情によりまして大体四カ月程度を使っておると申しますか、お願いしておりますという状況でございます。実数でございますが、ただいまちょっとその実数を待ち合わしておりません。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 実数がわからないと私もちょっと見当がつかないのですけれども、大体延べ二万といううちで、この出かせぎというものが多い東北地方から北陸にかけては、ずいぶん要求があるのですけれども、大体それをまかない得る数字でございますか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 実数換算はちょっとあれですが、延べで二百人くらいに換算されると思います。しかし臨時の貸金職員で、いま繁閑に全面的に対処するということではなくて、安定所には、正規の職員が全部で一万四千五百三十六人第一線におりますので、これが根っこになって、それにいまの臨時的な賃金職員で、ピーク時の業務を処理していこう、こういう体制でございますので、いまの延べ二万人だけで全部をこなすという考え方ではないわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 二百人といいますと、県当りどれくらいになるかわかりませんけれども、それで非常に激しいピーク町の業務が支障なく行なわれるかどうかということになると、私は疑問があると思います。ただ職業安定所にすわっていて、認定を受けにくる人に支給をするというだけならば、それでいいかもしれませんけれども、もっと根本的な問題として、出張して支払いをするという需要をまかなうとすれば、これはきわめて少ない数字じゃないかと思います。どうですか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 失業保険の仕事は現金を扱いますので、いま臨時の賃金職員に全部をまかせるというわけにはいかないのでございます。したがいまして正規の定員職員でもって、いまの巡回方式等のやり方で保険の認定、保険金の支給という本来のサービス業務をやるわけですが、これは必ずしも十分な人員が確保されておるということは言いにくいのでございますが、現在の与えられた定員予算の中で、できるだけ僻地の受給者の御要望に応じた巡相方式、あるいは出頭回数の減少というような制度を活用して、サービスにつとめてまいりたい、かように考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 地元の要求が非常に強いために、どうしてもこの職安の職員ではまかなえないということのために、苦肉の策として児が自分で臨時の職員を雇う、あるいはもっとさらに、地元の市町村の負担において人を雇って、そして事務をさばく、そういう形で自治体にしわ寄せがくる。それでどうにか切り抜けておる。住民の要求というものに、そういう形でこたえるといういびつな姿というものが出てくるわけです。これもずいぶんあると思うのですけれども、その辺の実情は御存じですか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 御指摘のような事例も若干ございまして、私どもとしましては、国の事務でございますので、国の責任において一切をまかなうという原則を貫いてまいりたい、かように思いまして、まずい事例については具体的に増員措置その他の措置を講じまして、是正をしてまいっております。ただ職業安定法によりましても、市町村は保険を含めた安定業務について協力をするという法律上のたてまえになっておりますので、市町村に対しましても、ある程度保険の認定あるいは支給事務の取り次ぎ的な仕事をお願いしている。これは正規にお願いをしておるというところは、全国で町村の数におきまして九十八カ町村、それから被保険者、受給者の数におきまして一万八千七百名ほど支給をしておる実績がございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 いまの連絡事務その他をお願いをするというのは、これはたとえば市町村役場の一室を使うとか、あるいはそこで事実上役湯の吏員にいろいろ連絡事務その他に当たらせるということならば話はわかるのですけれども、具体的にその事務の補助のために特別に市町村なり県なりが、みずからの職員を雇うということになると、これはいま局長の言われた協力義務の範囲を私は逸脱するのではないかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 その辺が非常にむずかしいのでございますが、あくまで市町村の協力義務というものは、職安行政全般に及ぶものではございませんので、私どもとしましては逸脱しないように指導をしてまいっております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 そういう法律のたてまえからいって不適当だと思われるような形をとってさえも、しのがなければならぬという実情、そこまで問題は深刻だということだと思うのです。具体的に私は一つ申し上げたいと思いますけれども、私の住んでおる佐渡という島、ですから当然僻地です。その僻地で三カ町村の冬季における失業保険の受給資格者というのが、これは県からの資料によりましても約三百人、一カ町村約百人あって、そのためにいま二週間に一ぺんということなんですけれども、二週間に一度職業安定所まで出ていくということになると、バス代の往復が一人について四百五十円から七百円かかる、そういう実情にある。ですから、巡回相談という形にしてもらいたいという要望がずいぶん前からあったわけです。とうとう定員不足という壁を破ることができなくて、今度は地元の町村あるいは県のどちらかが、自分の臨時職員をそのために雇ってこれを切り抜けようという、そういう形にならざるを得ないというところまできておる。これは一つの例ですけれども、こういう問題は出かせぎの多い地帯にはずいぶんあるだろうと思う。そしてそれは金の面でも労力の面でもずいぶんロスになっておる。ただそれが季節的に繁閑の度合いが非常に激しいために、問題がいろいろあると思いますけれども、ここまで窮屈に追い詰めなくても、何かひとつ、言うならば出かせぎ地帯全体の問題で、しかもここ当分は続くと見なければならぬ問題、この問題について、こそくなそういう形でなしに、何かもう少し抜本的なといいますか、解決の方策というものはないでしょうか。私は、自分に案があって申し上げるのではありません。何かそういうことを労働省にやいやい言いますと、あんまりそんなことを言うと、大蔵省のほうで、だんだん失業保険というものは、失業者の数は減ってくるのだから、むしろ減らすのだということでおどかされるという話を聞くのです。現実を知らぬのもはなはだしいものだと思うが、何か名案はございませんか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 なかなかむずかしい問題で、現在のような季節稼働式な労働者が非常にふえますと、こういった問題が随所に起きてくるわけでございます。したがいましていまやっているような巡相とか、あるいは出頭回数の減少とか、あるいは市町村の協力だとか、これだけではまかない切れない事態が出てくるのではないかというようなことは、われわれも実は心配しているわけでございますが、いま先生が御指摘のような、こういった問題に対処する抜本策いかんというふうな点につきましては、これはわれわれ内部でも目下寄り寄り検討をしておるのでございます。  しかし、もともと季節労務者について、一定の期間働く意思があるのがどうか、この辺を現行の保険制度でどう考えればいいのか、もし一定の期間働く意思がなくて、毎年そういった季節的な出かせぎ形態を踏襲していくとすれば、本来、いまの失業保険制度ではなじまない制度ではないか、こういう根本問題がございまして、さりとていますぐ四十万人になんなんとするこういった被保険者の受給者の状態からいたしまして、これを初めから予定された失業だから、現行の失業保険制度ではアウトだというようなことも言い切れませんので、その辺は抜本策を講ずるにいたしましても、非常に問題があるところではないかと思います。これはこれなりの日本独特の雇用形態でもございますので、何らか根本的な対策も検討しなければならぬのではないかというふうな時期にはきておりますが、いまここでわれわれの腹案を示すような段階にはないことを御承知おきを願いたいと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)分科員 出かせぎ、いわゆる季節労務という形は、これは冬季間楽をして遊ぼうという形から出るのではなくして、農業にしても、漁業にしても、もう兼業でなくてはやっていけないというところに追い込められた、そういう人たちの一つの山道のわけです。ですから予定された失業といえば言えないこともないでしょうけれども、したがって本来の厳格な意味で言えば、あるいは仰せのように失業保険になじまないということも、理屈としてはある。しかしまだ日本の現実がそのようである限り、まさかこれをそこからはずすというわけにはいかない。それこそいまの高度成長政策なり、日本の産業構造なりにかかわる問題でありますから、それはそれとして長期の問題ですけれども、この問題に限定をして、いま言われたように数十万その中でほんとうに僻地に住んでおって、そのために、受給するためには膨大なエネルギーを使っておるという人たちのためには、やはり別途考えてしかるべきじゃないか。それが定員というきわめて技術的な問題に縛られるという形で、問題がこれほど紛糾をし、混乱をするということは、問題の重大性にかんがみて、私はどうもあまりいい行政措置だとは思えない。その辺ひとつ大臣にもお願いをしておきたいのですけれども、いま言ったような実情、そしてそういうところへ追い込まれておる僻地の人たちの実情というものを考えて、臨時の賃金職員というびほう的な間に合わせのものではなくて、あるいは地方自治体にしわ寄せをするという形で解決をするのではなくて、国自体が責任を持って解決をするということについて、基本的な検討によってこれを解決するという心がまえを、ぜひお願いをいたしたいと思います。  以上を最後に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ただいまの松井分科員のお取り上げになりました問題は、なかなかむずかしい問題だと思います。もともと季節労働について失業保険を適用すべきかどうか、根本的に言えばそこにも問題があると思うのでありますが、しかし現実に通用させることになり、また別に適用いたしておるのでございますから、受給名の便宜をはかることは、保険者たる政府として当然のことであると思います。ことに先ほど局長も申し上げましたごとく、出かせぎ帰国中の受給者というものは、一般の失業者のようにいい口があればすぐにそちらへ行こうというような性質であるかどうか、その点にもいろいろ問題がございます。そうなりますと、こういう特殊な範疇に属する受給者の方々を、一般の受給者と同様の手続で保険金のほうを支払っていくということについても、基本的に問題があるのではないかと思いますので、これらの点についても十分検討いたしますと同時に、目標としては、現実に受給者があります以上、できるだけその便宜をはかるという趣旨で改善の方途を考えてまいりたいと思います。

相川勝六自由民主党

○相川主査 吉川兼光君。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 時間もないようでありますから、主として失対事業に関してお尋ねをしたいと思います。  実は昨年の六月、民社党から文書をもちまして、失対法改正時に際しまして十カ条にわたる質問書を政府に差し出し、その実施段階における政府の態度をお尋ねしたわけでございますが、政府のほうからも、七月になりましてから池田総理大臣の名前をもちまして、十カ条それぞれについて文書をもって回答を寄せられておるのでございます。それを全部読んでおりますと時間がかかりますので、その御回答の中の第五項の後段にこういうおことばがあるので、ちょっとここで読んでみます。「本法では、できるだけ賃金としての通常の性格を貫ぬくよう配慮するため、現行の低率賃金の原則を改め、今後はできるだけ就労者の能力にふさわしい事業運営を行なうとともに、賃金は失対事業において実際に実施している作業ごとにその作業内にふさわしい通常の賞金を支給できるよう規定したのである。労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものであり、このような原則の上に立って定められる民間の類似の賃金を考慮して決定される失対事業の賃金についても、その点が十分反映されることとなるものと考える。」このおことばは労働大臣ももちろん御承認の上のことかどうか、伺っておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これは十分に承知いたしております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 そこで、法改正された新法の趣旨は、失対事業の内容を労働政策的なものと、社会保障的なものとに分けまして、前者は労働対価としての賃金を、さらにまた後者は生活安定がはかれる処置を与えることであったと思うのでございますが、それに間違いはないでしょうね。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 そのとおりでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 時間の関係であまりこまかいことはお尋ねしておれませんが、労力費等の失対事業費、それに高率補助、さらに訓練費などの内容の数字を、政府委員でよいから伺っておきたいと思います。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 予算上の労力費単価は五百一円九十銭、それから高率補助はことしが四億でございましたが、来年度予算におきましては五億に予定しております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 訓練費はどうですか。

松永正男労働事務官(職業訓練局長)

○松永(正)政府委員 職業訓練手当につきましては、訓練を二十五日受けました場合に、月額にいたしまして二万三千三百円受けるという予算になっております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 そこで問題になりまするのは、五百一円九十銭の予算単価でございますが、こんな額ではたしていま私が大臣にお尋ね申し上げたようないわゆる労働政策的な面と、それから生活の安定をはかる処置という、この両面に対応する処置がとれる金額とお考えになるかどうか。すなわち、一カ月に二十二日の稼働としまして月額一万一千円何がしに当たるわけでありますが、今日生活保護法さえ保護基準が一三%アップし、その基準額が一万六千七百円になるわけでありまするが、この生活保護の二万六千七百円にも及ばないような賃金のきめ方をもってして、いま大臣がお答えの生活安定をはかれるような処置に充当するだけの額であるかどうかということ、これはひとつ大臣からお聞かせ願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 予算上の労力費の単価は、ただいま申し上げましたるごとく五百一円九十銭となっておりますが、昨年来新法によって設けました失業対策事業賃金審議会の中間答申によってこの金額、予算単価を決定したわけでございます。この単価の詳細につきましては政府委員から申し上げさせていただきます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 単価の詳細はもうよろしゅうございますが、二十二日の稼働二万一千何がししかならないところの生活保護基準よりも少ないような金額をもってして、いわゆる人としての生活をささえる金額に足りるかどうかということを聞いているわけです。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 生活保護の保護基準との比較は、これはなかなかむずかしい問題でございますが、御承知のようにわれわれのほうの失対賃金の考え方は、新法にきめられておりますように、民間の類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して定める、こうなっております。生活保護のほうは世帯を単位として生活費を算定をいたしまして保護基準をきめておりますので、この世帯単位の保護基準と失対の賃金とを直接に比較するということは非常に困難ではないか、直接には比較はできないのではないか。私どもの実態調査の結果によりますと、三十七年の十一月現在でございますが、失対就労者の六大都市における世帯収入、これは四人世帯を想定いたしておりますが、これによりますと収入総額は月額で二万六千八百二十四円という実績が出ております。この当時の六大都市における生活保護基準額は二万二千二百十三円でございますので、もしかりに世帯比較ということで議論いたしまするならば、この実態調査の数字で比較さるべきではないか。まあこれはもともと比較ができにくい両方の制度になっておりますので、直接比較されるとそこに多少誤解が出るのではないか、かように考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 六大都市で二万六千円、これは高いほうをとっておるように思いますが、ほかに全国調査のようなものがあるでしょう。全国調査ではもう少し額は少ないと思いますが、わかっておりましょうか。――答弁はあとでもよろしゅうございます。  そこで私が申し上げたいのは、なるほどそれは失対賃金と生活保護費の比較は、ちょっと無理な面もありましょう。しかしながら私が冒頭にお尋ね申し上げましたように、失対者の労働条件は人間としての生活を行なえるようなものでなければならぬということが、総理大臣の名前によるわが党に対する回答の中にあるのでございますから、なるほどいま局長のお話で聞いておりますと、失対の賃金は個人に対する支給であり、生活保護費のほうは一世帯に対するものではあります。しかし賃金といいます以上は、生活を行なえるものでなければなりません。なるほど失対事業に就労しながら生活保護をもらっておる家庭が相当多いですが、生活保護過程にはたくさんの者が働けない。特に失対事業には一つの世帯から二人は働けないことになっていますから、失対就労者の所得が生活の根拠にならなければならぬ。つまり一家をささえる収入でなければならぬ、私はそう思うのでありますが、その点についてこの五百一円九十銭というのは非常に額が少ないと思いますが、まあこれは見解の相違ですからこの辺でいいでしょう。  そこで先刻訓練手当の話を伺いましたのですが、ただいま訓練局長のお話を伺いますと、二十五日の訓練で一万三千三百円ですか、そうすると、訓練を受けなくて、実際に労働しておる者はこの予算単価で計算しますと一万一千幾らで、訓練を受けておる者よりも収入が少ないということになるわけですが、これはどういうことなんでしょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 これは日額からさらに就労日数をかけ合わせていろいろ考えなければならぬのですが、二十二日稼働だとしますと、いまの一万一千何がしになるわけですが、訓練のほうはこれはまるまる三十日の生活手当という考え方ではじき出しておる関係で、若干の差が出てきておるわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 これは三十日でなく、二十五日じゃないですか。

中田定士労働事務官(職業訓練局管理課長)

○中田説明員 訓練手当につきましては、いわゆる訓練受講日数で計算いたしますと、一日五百三十円でございます。それから実際の支給方法につきましては、基本額とそれから技能習得費用と、この二つに分けて支給をいたしておるわけであります。基本額につきましては三百六十円を暦日で支給するこういう考え方であります。そこでそれは生活費の一部に充当していただくという考え方であります。それから技能習得費用のほうは、訓練を受けられました日にちに応じまして、二十五百受講されますれば、従前は七十円でございましたが、三十九年度から百円にこれを引き上げまして、二十五日支給いたす、こういうことになります。当初訓練不当制度ができましたときに、訓練受講日数に応じて支給するという考え方がございまして、暦日支給の考え方はなかったわけでありますが、途中におきまして改善をいたしまして、そのようにいたしておるわけであります。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 そこで、新法によります賃金のあり方でありまするが、これは労使の力関係できめるという一般賃金の原則が適用されることになろうかと思うのでありまするが、この場合、どうしても労使の関係において労賃を不当に買いたたかれることも予想されるわけでございますが、この場合、当然労働者保証の立場から、最低賃金の決定が必要になってくるのではないでしょうか。現に失対問題調査研究会の答申を見ましても、例の中卒初任給あるいは業者協定のごとき最低賃金主義ではなく、失対労働者には中高年齢層が相当多いのであるから、それにふさわしい最低賃金制を設ける必要があるということが述べられておりましたが、このような最低賃金制を実施するお考えが国のほうにあるかどうか。ありとすれば、少なくともその金額は私は一万二千円を下ってはならないと思いますが、この点について大臣の御見解を承りたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 最低賃金制につきまして審議会の答申が言及いたしておりまするが、これは失対事業の賃金について最低賃金を定めろということでなく、全般的な問題として中間年齢層を頭に置いた最低賃金制度をつくり上げるべきだ、こういう趣旨であったかと存じます。これにつきましては、最低賃金制の運用の問題として、労働省といたしましても、ただいま別途に検討中でございますが、金額につきましては、まだ具体的な数字を定める段階になっておりません。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 時間の関係で質問はどんどん進めていきたいと思いますが、大臣の最初の御答弁にございましたように、失対事業賃金審議会でございますが、あれは十二月の下旬に中間的な意見を出しておりますね。一、二、三項目にわたっておるようであります。その内容の詳細については、後ほど時間があればお尋ねいたしますが、大体審議会からの正式な答申はいつごろのお見込みでございましょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 正式な賃金額表の作成に必要な審議会の答申は、三月末というふうに理解しております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 そこで審議会の構成でございますが、五人の委員の方たちは、それぞれ経験、学識ともにりっぱな人ばかりのようでありますが、ここで賃金を御審議になります場合、技術的、専門的に諮問するという文字が、諮問の場合にあったように思いますが、専門的のほうは、この五人の方たちは全く専門家中の専門家で、りっぱと思いますが、技術という点になると、このお顔ぶれを拝見いたしまして、どうも技術的な人とは思われないのです。そうした場合にこの技術的な御考慮を審議会で払います場合には、当然労働省関係の調査した数字というようなものを作業の上にお使いになることになるのじゃないかと思うのでございます。そうすると、そのことによって審議会の中に労働省の御意向がかなり強く反映することになって、労働者の意見を聞くことよりは、むしろ労働省の資料によるウエートが相当重くなるのではないかと思いますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでございましょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 数字的な資料は労働省の資料が中心になりますが、これは必ずしも私どもの職安局で作成した数字的な資料ではなくて、うちの統計調査部等が調査をいたしました公正な資料に基づいて審議会で御判断をいただく、こういうたてまえにしております。  もう一つ、労使の意見を聞くという問題ですが、これは随時労使の意見を先生方が直接審議会として聴取しておりますので、今後におきましても必要のつどそういった意見聴取をしながら、最終的な結論を出されるものだと考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 そこで私が考えて調査の上で問題になることがあると思いますのは、労働基準局を通じて全国的に調査をなさるのは八月ですか、それを資料にして十二月に予算単価をきめる材料になるようですが、そうしておいて、その十二月にきめた予算単価は翌年の四月一日から実施する、そうして翌々年の三月末までそれを適用するということになると思います。もしそうであるとすれば、調査の時期からしますと、最初に実施に移すのが七カ月目からで、さらにそれが翌々年の三月三十一日までといいますと、何と十九カ月後まで同一の賃金が適用されるということになるわけでございます。これはまことに非現実的であり、かつまた不合理でもある、こう思うのです。公務員の給与ベースなどは御存じのように、あれは六カ月くらいの間をおいてなされていると思うのです。そうしますと、まず公務員並みの六カ月くらいのことはやむを得ないですが、十九カ月もの間同じような資料で賃金がくぎづけされておるということは、これは非現実的もはなはだしいと私は考えます。もし私の考えにあやまちがないといたしまするならば、その中間においていわゆる客観情勢とか、あるいは主体的な条件とか、そういうことを勘案して労働省において適当に修正して、補正予算のような形をもって、現実に近い賃金を払うというように改めるというようなことはできないものでしょうか。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 毎年八月現在で屋外労働者の職種別賃金調査を行ないまして、この調査結果に季節変動修正を加えまして、したがいまして、われわれとしては、一番新しいデータに基づいて次の年の賃金を決定する、しかもそれは季節変動修正を加えておる、こういうことで、公務員の人事院がなしまする調査よりももっと新しいデータによって、翌年の賃金をきめるデータにしておるという点は、御了解いただきたいと思うわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 その季節変動修正というものの時間的な性格をちょっと……。

住栄作労働事務官(職業安定局失業対策部長)

○住政府委員 いま局長から申し上げましたように、調査は八月の一月の調査でございます。それを年間にならすために、毎月勤労統計調査がございますが、その毎月勤労統計調査は、毎月の建設業の賃金をとっておりますので、その傾向を過去五カ年間の数値をとりまして、それで年間の賃金を推定する、こういう方法で季節修正を行なっておるわけであります。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 今度予算単価の上昇した分の四十三円九十銭を、どのように格づけして賃金の配分をしようとするのでありますか、これを聞いておきたいと思うのです。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 この予算単価がきめられておりますが、このワクの中で、賃金審議会としましては、具体的に地域別に作業の内容に応じて、賃金額表というものをつくるに必要な審議会の意見を三月末までに出すということになっておりますので、その答申を受けまして私どもは、作業の内容に応じて、しかも地域別に賃金日額表――日額になるか時間給になるか、そこはまだ問題がございますが、賃金額表を定めてまいりたい、かように考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 審議会の正式答申は、いまおっしゃる時期、三月の末までに出るようでございますが、それまでの中間的な意見書というのを見ますと、あの第二項に、例の高齢就労者のことについて触れておったようでございますね。これは政府のお出しになったものの御決定を見ないと詳しい質問はできないわけですが、この高齢者の賃金にいたしましても、やはり物価の上昇率や生活保護費の引き上げ等に見合うものでなければならず、局長によると生活保護費との比較は無理ということになるかもしれませんが、私は必ずしも無理とばかりは思わないので申し上げますが、当然相当の賃上げを行なわなければならないことになると思います。さらに大事なことは、同時に経済労働に従うもの、つまり一般就労事業の賃金、これは就業効果の上昇あるいは新法の趣旨から申しましても、民間賃金ベースで支給すべきであると私は思いますが、先刻も触れましたように、この両面を勘案した賃金の格づけをするには、この四十三円九十銭というものはあまりにも低過ぎるように思うのです。そこで、これは大事なことでありまするから、大臣にぜひはっきりしたことをお伺いしておきたいのですが、この四十三円九十銭の賃上げではどうにもならないというような事態は当然起こってくる、これは私はもう目の前に見えておると思っております。したがって、もとより失対事業賃金審議会の御答申があってという、そのプロセスを経てからのことではありますけれども、その審議会の答申いかんによっては、補正予算をお組みになってでも、五百一円九十銭というものには必ずしも拘泥しない、適当な普遍妥当的な賃金支払いを行なうような処置をする用意がおありかどうか、この点について大臣のはっきりした御答弁をお聞きしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私どもは、失対事業の運営にあたりましては、新しい失対法に基づきまして、法の趣旨に従ってこれを運営していくべきものである、かように考えておるわけでございます。その結果、予算等につきまして何らかの措置が必要であるということになりますと、これはやむを得ないと思います。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 大臣の答えでやむを得ないということは、私がいま質問申し上げました予想される事態が起きたような場合には、やむを得ぬながらもその用意があるというふうに私は解釈しておきたいと思います。もうこれについては御答弁は要りません。  そこでもう一つお伺いしたいのは、北海道の冬季加算でございますが、これは全体の賃金から二円でしたか差し引くことによりまして、十一月から四月まで一日四十銭を支給することにしておるようでございます。ところが生活保護費のほうの関連を見ますと、冬季加算金のほかに現在ですら燃料代といたしまして一人一日六十五円十銭を、また二人ないし三人の御家庭には八十三円七十銭、四人以上の家庭になりますと九十三円が支給されており、しかも生活保護費は御存じのように新たに十三%のアップになっておりまするから、さらにいま申し上げました額も多少ふえるのではないかと思うのでございます。そういうものと見合わせてみますと、一日四十銭は少額に過ぎるし、しかも全般の中から二円ずつ差し引くなどということは、あまりにもこそくに過ぎるように私は思うのです。これはどうなんですか。もう少しはっきりとした対策をお持ちになっておられるかどうか、また当然対策を持つべきではないかと思いますが、いかがですか。  さらにこれに関連することでありますが、生活保護費でありますとか、あるいは公務員の寒冷地手当などといいますものは、いずれも北海道以外の東北地域とか北陸地域等の各地にも行なわれておるわけでございますが、失対事業についても、いま申し上げました東北、北陸地域の失対就労者にも、これを北海道と同じように実施する必要をお認めになられるかどうか、あわせてお聞きしたい。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 北海道の冬季加算分の二円というのは、差し引いたのではなくて、本来四百九十九円九十銭という一般の賃金の予算単価の上に、二円を加えたものでございます。この北海道の冬季加算をどうするかという点につきましても、現在賃金審議会で検討中でございますので、この審議会の結論を待って善処したいと考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 その問題もう少し突っ込んで聞きたいのですけれども、このくらいにしておきましょう。  もう一つは失対事業適格者といいますか、それに対する期末手当の制度化です。これは私はもう法律できめていいのではないかと思うのであります。政府はこれはまだ臨時の賃金というふうな観念で取り扱っておるようでありますけれども、賃金の原則論からいえば、これは臨時という範疇に入るかもしれませんけれども、現在事実上はこれは引き続き支払われておるのでありますから、この際これを制度化するお考えはないものかどうか伺っておきたいと思います。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 今回の失対法の改正によりまして、一応夏季、年末の一時金手当につきましては制度化されておるわけでございます。ただ審議会の先生方の御意見としましては、この期末手当制度は民間労務者の実情等から見て、理論的には納得できないというふうな意見もございます。しかし現在国がやっております期末手当制度については一応制度化されておるものとして、われわれは了解をしておるわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 次は退職金でございますが、これは労働者の中からかねて強い要求が出ておることは御存じのことと思います。労働省におかれましては、今回中小企業退職手当法の一部改正をして、建築業界に働いております日雇い労働者に退職手当を支給しようとしているようでありますが、これらとの関連をお考えになる立場から、退職金に対する基本的な方針を打ち出してよいのではないかと思いますが、この点いかがでしょう。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 失業対策専業の性格からいいまして、退職金制度をつくるという考え方はございませんが、失対事業から民間の正常雇用へ復帰する場合、あるいは自家営業を行なう場合には、就職支度金として、本年度は二万円でございましたが、来年度はそれを三万円程度に引き上げまして、就職支度金制度でもって対処してまいりたいということを考えております。

相川勝六自由民主党

○相川主査 吉川君に申し上げますが、もう時間は超過しましたから、この辺でどうですか。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)分科員 ではあと二つぐらいにしましょう。いまの支度金の話でございますが、なるほど二万円が三万円になりました。さらにまた貸し付け金などもあるようでございますが、いずれもどうも私に言わせますとちゃちであります。特に自営業などの資金貸し付け金のごときは最高二十万円というのですが、大体は十五万円程度で済ませておるのでありますが、そういう中途はんぱな金で新転出はなかなかできないのではないかと思うのであります。これはぜひもう少し増額するように考えていただきたい。これは答弁はいいことにしておきましょう。  最後に申し上げたいのは、いままで私がごくかいつまんでお尋ね申し上げましたこと等を通じて考えてみましても、前々国会でこの失対法の改正というものがあれほどの大騒ぎをやって強行されたような、いわば政府のきわめて大きな政策の一つでなければならないのに、三十九年度の予算にあらわれました面を見てみますと、従来とたいして変わりはないのです。これでは何のためにあれほどの大騒ぎをやって強行に改正を行なったか、わけがわからないと言いたいのです。私どもはもちろんあのときには反対の態度をとったのでございますが、政府としては改正した新法によりまして、失対就労者に対しいろいろな新しい道を講じようという大抱負をお持ちになったはずであるにもかかわりませず、新法初年度の三十九年度の予算に出ておるものには、ほとんど新味らしきものはない。二万円を三万円にしたとかなんとかいうようなことでしかありません。いま大臣御自身も、五百一円何がしの予算単価も、審議会の答申等があって、それを無視するを余儀なくする事態になればやむを得ないという、改革を肯定するような御答弁をなさっておるのでございますが、これは非常に大きな御発言と私は解釈いたします。われわれの党からは先日失対賃金引き上げに関する申し入れ書をつくり、労働大臣のところに直接申し入れを行なっておるわけでございますが、その申し入れ書の中には七百五十円という全国平均賃金の数字を明示いたした上で、予算単価の是正方を申し入れたわけでございます。率直にいって、この数字のとおりになるかどうか、これは予算関係等にもかなり問題があるかもしれませんが、私の質問の趣旨の序するところを十分におくみ取りの上、御理解をいただきまして、どうか新法らしき労働者に親切な対策を実施の面において講じていただきたいということを御希望申し上げまして、私の一質問を終わります。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 いろいろ賃金につきましてお述べ下さいました点は、賃金審議会の各位にも十分お伝えいたします。

相川勝六自由民主党

○相川主査 これにて労働省所管に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、外務省所管、文部省所管、厚生省所管及び労働省所管に対する質疑は、全部終了いたしました。     ―――――――――――――

相川勝六自由民主党

○相川主査 この際おはかりいたします。  昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、外務省所管、文部省所得、厚生省所管及び労働省所管に対する討倫採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

相川勝六自由民主党

○相川主査 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  分科員各位の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後一時四十九分散会

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