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46回国会衆議院1964/02/20

予算委員会第二分科会 第4号

発言数
248
登壇者
24
会派数
2
開催日
1964/02/20

会議録

相川勝六自由民主党

○相川主査 これより会議を開きます。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員になられた方は三十分程度にとどめることとなっております。本日は特に質疑通告者が多数でありますので、特段の御協力を願います。  なお、政府当局にも申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく、簡潔に行なわれますよう、特に御注意申し上げておきます。  昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、文部省所管を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。田原春次君。

田原春次日本社会党

○田原分科員 私は次の二点を中心に質問したい。第一点は、海外における日本語教育普及に対する文部省の指導方針、第二点は国内の中学、高校、大学、専門学校における海外移住に関する教育の復活の問題であります。  第一から申し上げますと、文部省は海外における日本語普及に関して、何か施策を現在持っておるか、本年度の予算に計上しておるか、まずこれを伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。

天城勲文部事務官(調査局長)

○天城政府委員 ただいま御質問の海外の日本語教育の普及ということにつきましては、対象によって問題が違うと思いますが、一つは、海外における日本人の在住者の子弟の教育という問題と、それから現地の国民が日本に関する関心が非常に深いということから、日本語教育に関心を持っておる、その日本語教育の問題と、それからもう一つは、これは特殊な地域になるかと思いますが、日本の移住者の多い地域におけるいわゆる二世、三世の教育の問題と、大きく分けて三種類あると思うのです。  第一点の、日本の在外勤務者の子弟に対する教育、これは単に日本語教育というよりも、一時的な滞在者で本来日本の学校で教育を受けておる者の一時的な教育でございまして、日本語に限らず、日本の教育全般をどうするかという問題だと思うのです。これにつきましては、最近日本の海外在勤者が非常にふえてまいりましたのと、特定地域にかなり集まってきておるという関係がございますので、現地の在外公館、在留邦人からある程度まとまった日本の教育を実施したいという希望が出てまいっております。これにつきましては、その当該国の国内法上のいろいろな立場がございますから、簡単に日本の学校をつくるというわけにはまいりませんで、それぞれの国の事情により、ある場合には日本語講習会というようなものを設けたり、いろいろな便法を講じておりますけれども、一昨年からタイ国のバンコクにおいては、大使館が主催して日本語講習会という形式でございますが、実質的には幼稚園から小学校六年まで、最近は中学校一年までの日本の子弟のための学校を設置いたしまして、文部省のあっせんによりまして現職の教官をこれに派遣いたしております。明年度からはこの制度を東南アジアにおいてはビルマとインドに拡充をする予定で、予算措置を外務省と文部省でいたしております。そのほかドイツとかアメリカあたりでもこの話が出ておりますけれども、まだ具体化いたしておりませんが、現地の在留邦人の努力によって、先ほど申したような、変則ではございますけれども、補修教育の形の日本語の教育をいたしております。  それから第二番目の、現地の日本に対する関心が非常に高まったことに関連する日本語教育に関しましては、日本語教師の派遣の要請がただいま出ております。これにつきましては、いまのところ東南アジア関係が主でございますけれども、私のほうは外務省と協力いたしまして、コロンボ・プランにのっとりまして、日本語教師を派遣いたしております。現在東南アジアで大体九人ほど出ておりまして、これもまた受け入れる国の事情によっていろいろ違いまして、正規の学校の中で日本語科を設けて教育しておるところもありますし、別個の日本語学校をつくっておるところもございます。  第三番目は、北米及び南米が一番多いのでございますけれども、在留邦人の二世、三世の教育問題でございます。これも在留邦人が中心になって日本語教育をやっておりますが、そこへの教師の派遣は現在のところコロンボ・プランというような形ではできないのと、それから国内のいろいろな事情がございますので、なるだけ現地の人で日本語教育を進めなければならぬ。その後、日本語教師の再教育を日本でやってくれないかという話がずいぶん出ておりますのと、もう一つは、教材、教科書について研究を進めていただきたいという話が出ておりまして、これらの点につきましては、私たち本年度予算化はいたしておりませんけれども、内外の情勢を考えてもう一つ、日本に来ております留学生の問題も実はあるわけでございまして、そういうものを含めまして外国人に対する日本語教育の方法の問題、教科書の問題、教材の整備等につきまして、いわば日本語教育センターのようなものを設置して、研究と教材の整備あるいは日本語教師の養成をはかる必要があるのではないかという考え方で目下関係者と相談いたしているところでございます。  概略以上でございます。

田原春次日本社会党

○田原分科員 これはちっとも予算の措置ではない。研究しておるということだけです。  いまおあげの第二の点はあと回しにして、第一の問題、在外勤務者の子弟教育の問題、新聞社の特派員とか外交官、それから長期にわたる各官庁からの派遣者、会社、工場等の駐在員として一番困っておるのは、向こうでいまあなたが言った補習教育的なことをやっておって、後日日本に帰った場合、年齢相当の学級に入れるかどうか、入って日本の学校にずっとついていけるかどうかということが私は心配なんです。私塾的にやっていることはたくさん知っております。西ドイツのジュッセルドルフでもやっておりますが、ひとしく心配しておるのはそれなんです。したがいまして、結局親だけ在勤して家族と別れて、家族は日本に置かなければならないということは、やはり予算と——予算が主でありますが、文部省でしっかりした方針を立てて小学校、中学校、高等学校と同程度の実力をつけるような在外子弟の教育機関を支援していかなければならぬ。もちろんロンドン、パリ、至るところにありますが、欧州で二、三カ所、それからそのほかで適当なところが必要だ。いまのあなたのほうのバンコックその他もいいでしょう。私が実際に心配して、これはいかぬと思ったのは、僻地に大公使で在勤している人の子弟を、日本にも置けない、また、僻地にも置けないから、セネガルからウイーンの外国人のお役人の寮に入れておいて、夏休み、冬休みに親たちが会いに行く。ドイツ語やフランス語はわかるけれども、後日父親が日本に帰った場合には高等学校の一年とか中学校の三年に入ってもちっとも追いついていけないわけです。みすみす在外勤務者の子弟がそういう文部省側の不熱心というか、不徹底な投げやりのために自分の子弟の教育を犠牲にするようなことになると思うのです。だから、理想をいえば日本の特定大学、高等学校、中学校くらいは指定されまして、在外勤務者の子弟が日本に帰った場合、その学校で日本語の研修もやって、多少日本語はわからぬでも年齢相当の学校に編入する、そうして、補習を続けることで将来日本の大学を受験しても十分合格できるだけの力をつけてやらなければならぬ。これには、いまあなたの言われるようなことではいかぬと思うのです。したがって、日本語教育センターを東京につくられるならば、その予算的措置を講じ、実際に開設してやる。教授も派遣し、あるいは必要ならば教師用の施設も在留邦人やその他でつくる。それから、そこで中途で郷里に帰った者には、その年齢相当の学級に入れてやって、大学まで終わるようにしてやらなければならぬ。それが全然できていない。しかるにアメリカは目黒にアメリカン・スクールもあります。パリにもあります。ブラジルにもあります。それからレバノンにも、中近東ではすばらしいハイスクールからグラマースクールまで持っている。だからこれは文部省がやる以外にないし、文部省もいまおっしゃったような非常に冷淡な態度では困ると思うのです。至急方針をきめて、今度の予算に間に合わなければ次年度から方針を立てていかなければいけない。そういう在外勤務者の子弟の日本語教育の問題について、政策ですからこれは大臣のお考えを聞いておきたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 ごもっともなお話でございますが、外務省ともよく相談いたしまして積極的に検討いたしたいと思います。

田原春次日本社会党

○田原分科員 次に第三点です。在外の二世、三世は、国籍からいえばその国の国民でありますが、血統からいいますと日本の子弟だ。その国におけるりっぱな市民としてやっていくには、その国のことばのほかにどうしても日本語を必要とするわけなんです。それは日本の文化を伝えるという意味もあり、それから卒業後その国の会社に入っても、顔は日本人の顔をしておりますから、日本との貿易、技術提携その他について、どうしても先方がこれを希望するわけです。しかるに大戦勃発とともに北米、南米の日本人の学校は全部閉鎖され、今日まで閉鎖のされっぱなしなんです。もちろん国によっては初等教育においては、外国語を教えるところがあります。また国によっては、そうは言っておっても、へんぴな土地にはその国の学校がなくて、教育の機関に恵まれないところがあります。たとえば、パラグァイのフラム村とチャベス村というのは、いまから二十数年前に日本人が行って原始林を開いて村をつくった。ところがパラグァイ政府はそこまで教育機関を設置するだけの力がない。それから子供が大きくなるとお役所に使えますから、どんどんその仕事を手伝わせておるけれど、いま二十二、三歳になっておる二世は無学文盲、スポークン・ジャパニーズはやるが日本字はわからない。ようやく二十年にして親たちも経済上の力もできたので、これじゃたいへんだというので、二世、三世、四世等に対してはささやかな規模の日本の学校をつくっておる。あるところでは校舎敷地を日本人がつくって、その国の政府に寄付し、その国の、パラグァイならスペイン語、ブラジルの奥地ならポルトガル語ですが、その国の政府からその国の教師を一名講師として出し、そのほかに日本語のできる先生を補助のようにして時間外教授をやって、ようやく貧弱ながら教育をしておるのです。その中が優秀な二世は非常にいい成績をあげまして、ブラジルでは医科大学、法科大学等を優秀な成績で卒業し、法科大学を出た人は、連邦の上院議員、日本の参議院議員に匹敵するところに一名と、それから日本の衆議院議員に匹敵するのがサンパウロ州で三名、パラナ州で一名出ておる。それから市長、市会議員に至っては私が知っておるのでも三百七、八十名選挙で当選しておる。しかし残念ながら日本語は話すことはできるが読み書きができない。したがいまして、日本語の海外普及というものは、これは日本側で考えて、適当な教科書とそれから教師を交代で派遣する、必要があれば集団地に対しては、日本語学校と言わずに、学校教育に使えるようなものをその国に建設して寄付して、日本語の教育をさせるというふうにしっかり根をおろしていかなければならない。一面中華人民共和国は、サンフランシスコやニューヨークに学校を持っていて、もうすでに四世、五世、六世の時代になっておりますけれども、漢字を教えておる。そして誇らかに自分の国の中国語をしゃべっております。残念ながら日本人の子弟は話すことだけで、おはよう、こんにちは、だけで、それ以上はできない。これは終戦後の特殊の状況から日本語教育が打ち切られて、そのままになっておるからです。ちっとも復活する努力がされてない。いまあなたのおっしゃったことは一部はわかるけれども、はなはだ力が弱いので、次年度に間に会わなければ、その次の年度で予算と人員とを十分準備するように、そのためには外務省のどの局かに、在外日本語普及課というものをつくるか、あるいは特例の委員会をつくるように進めていってもらいたいと思うのです。灘尾大臣のこれに対する所見を伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 現地の実情をつまびらかにいたしませんので、的確なお答えができないのですが、お話の御趣旨はよくわかります。われわれとしましては関係の外務省等と相談をいたしまして、考えてみたいと思っております。

田原春次日本社会党

○田原分科員 文部省にセンターができることと併行して、いわば仮の名を在外日本語教育協会とでもいうようなものを独立してつくるか、あるいはそれに似たような協会みたいなものがあればその中に入るようにして、民間とそれから在外邦人と日本政府との強力なものをつくっていきたいと希望しております。  次は、第二点の海外移住教育に関する点です。戦前は盛岡高等農林、宇都宮高等農林、三重高等農林、岐阜高等農林、宮崎高等農林、鹿児島高等農林学校等には拓殖科というものが特設されておりまして、中興高級技術者としての素養を修め、そして東南アジアから中近東、それから中米、南米に移住さしております。現在四十四、五歳から五十五、六歳ぐらいまで、老年の者はアルゼンチンの石川さん等八十歳、盛岡高等農林の第一回卒業生であります。これらが行きまして、その国の開発技術等に寄与するとともに、日本人として非常に尊敬され、みずからも非常によい生活をしております。しかるに敗戦後マッカーサー司令部から海外移住教育まかりならぬと一発やられたまま、文部省は腰を抜かしまして、これらの高等専門学校における拓殖科教育を廃止するとともに、そのままになっております。一方、海外移住熱を助長するという意味におきまして、外務省と大蔵省にはそれぞれの機関ができております。たとえば海外経済協力基金という制度が大蔵省を中心として百五十数億の金を用意しております。それから外務省のほうには海外移住事業団というものが発足いたしまして、政府機関として海外移住を助長しておる。しかるに実際はなかなか行き手が少ない。少ない原因はいろいろあります。それはきょうは時間がないから申し上げませんが、私は中学校、高等学校及び上級専門学校における海外移住に対する教育が足らないと思う。やってないということなんです。わずかに私立大学で、東京農業大学、日本大学農獣医学部、明治大学農学部、拓殖大学等に海外移住に関する科がありまして続けております。また、これらの学校の卒業生は、たとえばブラジルのアマゾンの奥地等に行って非常にいい成績をおさめ、地元民にも信頼され、財もつくり、りっぱにやっておる者もあります。ひとり国費をもってする教育にはそれがない。つぶされたままになっておる。この辺で適用な東京以外の地方大学に拓殖科あるいは南米科のごときものをつくられる、そういう御意思があるか。御計画がなければやってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。これが第一点。  第二点は、中学校と高等学校ですでにこの教育をやってもらいたい。私は海外移住専門家みたいになってしまっておりますが、これは旧制の中学の一年のときに、南米旅行から帰った人の話を学校で聞いて以来、それが頭にこびりついて、ずっと勉強もし、またみずからも南米だけでも八回も行っておるわけです。今日、中学校、高等学校にそれがない。ごくわずかな費用で、これは農林省じゃないかと思うけれども、全国の農業高等学校に一県一校ぐらいに資料ぐらいは出しておるようですが、それじゃ足りません。ですから、初等、中等教育の課程において、日本民族は海外に発展ができる、また至るところに先輩が行っておって信用を得ておる、国内で志を得ない者は海外に行くべしという具体的な教育をやってもらいたい。この点についての福田局長の計画があればこれを聞きたいし、なければ、来年度以後においてやれるかどうか、大臣からもあわせて答弁を得ておきたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、現在の中学校、学校におきまして、海外移住に関するそういう方面の教育が以前に比べまして非常に欠けておりますことは私ども認めております。いまの中学校、学校の段階におきまして、あるいは社会科を通じまして、あるいはまた中学校におきましては、選択教科でありますが、英語等の語学の時間等におきまして海外の事情等はかなり取り上げております。また高等学校におきましては、御指摘のありました農業あるいはまた商業課程等におきましては、当然にそういう方面の教育もだんだんと取り入れてまいりたいと考えております。現在の段階におきましては、御指摘のように非常に不十分だということは私ども認めております。今後十分検討いたしたいと思います。

田原春次日本社会党

○田原分科員 全然違う問題を大臣にこの際承っておきたいと思います。それは最近における国立大学入学試験でのさまざまな悲劇であります。私の身近な者も、東京大学を受けたいために四年間毎年それを受けて落第して、ついに志を得ないでどこの大学にも行っていない者もあります。そこで、国費で大学をつくることもよろしいし、秀才を集めることもよろしいが、そこだけにしか大学がないと思い、その大学にあこがれ、三年も四年も落第しながらその大学だけを受けるということは、青年のエネルギーや希望に対して私は非常におもしろくない傾向だと思う。方法として、これは法律でなく、予算でなく、政策上文部大臣だけでやれるのは、国立大学に限り高等学校を卒業した年だけ入学試験が受けられるようにする、落第したら翌年は受けられない、どういう事情があろうとももう受けられぬことにすれば、受験生という暗い生活をしなくても済むし、たいへん親たちの負担も軽くなるし、また心機一転いたしまして地方の大学や私学、あるいは学業をやめて実業界につくということもできる。いまのように東大なら東大を五年も受けていい、そんなことはやめてもらいたい。こういうやり方は、やり方によってはできると思うのですが、何らかそういう方法を考えてもらいたい。そうすれば若い秀才だけが国立大学には入る、その他の者は自分の力の限度を感じて私学その他の方面に転換することができるのではないか。そういう政策はどうでしょうか、灘尾さんお考えになっては。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 受験資格をそういう形で制限するということになりますと、なかなか議論のある問題だろうと思います。ただわれわれとしましても、ある特定の学校にみな集中するということは、いろいろ問題を起しておるわけでありますので、学生の特性、能力等に応じましてその行き先を指導していくということはきわめて必要なことではないかと考えております。そういう意味で今日学生の進路指導というようなことをやり、学校を選ぶにつきましても、本人の力に応じたところをなるべく選ばせるように指導いたしておるわけであります。今後もそれを続けてまいりたいと思います。

田原春次日本社会党

○田原分科員 それをひとつ実現してもらいたいということを希望しておきまして、私の質問を終わります。

相川勝六自由民主党

○相川主査 帆足計君。  帆足君に申し上げますが、三十分程度に……。

帆足計日本社会党

○帆足分科員 承知しました。  国鉄総裁に来ていただいておりますから、文部大臣のお許しを得まして、これはオリンピックと関係のあることでありますから、先に御質問いたします。  私は外務委員をいたしておりますが、重要な予算の、審議にあたりまして、文部関係の皆さまに御要望申し上げる機会を得ましたことを光栄に思っております。議員というものは、ただ大臣に質問する質問係ではありませんから、大臣の意見も承りますが、われわれの要望も、国民を代表して申し上げまして参考にしていただくし、よいことは取り入れて実行に移していただきたい。したがいまして、私はいわゆる質問ということばを好まないのでありまして、問いただし要望する、こういうことでありますから、そのような意味で御承知を願いたいと思います。  文部大臣の御訓話などは、ときどき新聞、ラジオ等で拝承しておりますが、桃李もの言わねど下おのずから道をなすということばがありますように、お説教よりも、私は今日の世相の最悪のものはインフレだと思います。昔は銀行家は通貨の安定を確保するために命を捨てたものであって、私が最初経団連に就職しましたときには、井上準之助氏はそのために倒れ、濱口さんはなくなり、團琢磨氏も犠牲になり、最も尊敬しておる高橋是清翁もついに倒れました。いだれも通貨の安定を守ろうとして時世の犠牲になったわけです。通貨の安定なくして何の人心の安定ぞや。その上交通地獄、住宅地獄、試験地獄、こういう環境のもとで子供の心が安定するということはないと思います。申し上げたいことは多いのですが、はしょりまして、まず第一にオリンピックの対策といたしましてあまり見苦しくないようにいたしたいと思っております。そのためにまずお尋ねいたしたいのです。  国鉄総裁が民間からお出になりまして、私は総裁の誠実、明敏、果断、そして実行力のあるお人柄をよく存じておって、かねて敬服しております。最近脱線、衝突等の事故が頻発しておりますことは、これは経営者側にも責任がありますが、従業員側にも責任があります。積弊のつのるところこのようになりまして、就任早々の総裁のみの責任ではありません。どうか気をくさらさずに、そのために来ていただいたのですから、これを軌道に乗せていただくように大先輩・いわゆる老骨にむち打って、まことに恐縮ですが一段の御指導、御努力を国民の一員としてお願いする次第です。オリンピックに関連する問題を逐次申し上げますが、国鉄関係のことでは事小さなことのようですが、やはり大切なことですから。私は諸外国を旅行いたしまして、その国の文化水準は大体アンモニアのにおいではかることにしています。アンモニアのにおいが。ぷんとくれば、いかにえらそうなことを言ってもその国の民度は低い。残念ながらモスクワも相当建築は進んでおりますけれども、アンモニアの尺度はあまり低いほうじゃありません。したがいましてトイレット、洗面所等の清潔は一国民族の礼儀、礼節と文化水準を象徴するものであろうと思います。ある家庭に行って、その家庭が整っておるかどうかは、玄関のげたの並べぐあいとお便所にいけばわかる。奥さんの心がけはおしんこの味でわかるとも言われております。私は列車に乗りまして、洗面所のきたないことにいつも驚いております。はなはだしきに至っては顔を洗うところにたんつばをはいているのが多いのです。デンマークなどに行きますと、前のお客はきれいに洗ってあとの人が使えるようにして、そしてみんな部量を出る。一体文部大臣はそういう教育をなさっておられないのじゃなかろうか。これはあとで文部大臣のときに申し上げます。中国に参りますと、中国国鉄従業員は人民服務という精神に燃えておりまして、その点はソ連の鉄道に比べて——ソ連の悪口を言うわけじゃありません。しかし中国の鉄道は貧しくて建物は悪いけれども、その人民服務サービス精神の豊かなこと驚くべきであります。先日中国から国鉄ミッションが来るといわれまして、旅券の予約をするというから旅券課に電話をかけて、この人たちをこさせたらいい、そして日本の労働組合の諸君や経営者の諸君が逆に学べばどれくらいいいかわからない、なぜこさせないのだ、こう言ったくらいです。日本の鉄道は技術は優秀ですけれども、サービスの精神においていささか欠くるところがあると思います。便所のきたないこと、それから洗面所のきたないこと、あれではとてもやりきれません。それから駅の便所も大同小異で、近ごろ水洗になったところがふえてまいりまして、私は大体便所をずっと歩いてまいりました。ただし婦人の便所だけはちょっとのぞくことを控えましたけれども、男子の便所におきまして最近は千駄ケ谷、市ケ谷、信濃町等は多少よくなっておりますけれども、郊外の便所に至っては言語道断です。素盞鳴尊の時代ならば「くそへここだくの罪」に問われはしないかというほどです。神州清潔の国であるべきはずのものが、これほど不潔な状況とはどういうことですか。自分の家庭の中は美しくする。しかし町はきたない。こういう精神は、一体文部大臣が要請した精神ではなかろうと思いますけれども、口でどんなに言おうともわれわれの共同の責任です。オリンピックのときだけに表面をつくろうというのではありませんけれども、見るに見かねますから、国鉄総裁も毎朝公衆トイレに行きなさいとは申しません。しかし一年に二回くらいは公衆便所でどうぞ用を足してください。各駅長は一週間に一度は自分の駅の公衆便所で用を足してください。助役は毎日公衆便所で用を足してください。そうすればわかると思う。さらにひどいのは一般の公衆便所です。たとえば市ケ谷駅前の公衆便所は、これは厚生省担当でしょうけれども、きたない上にかぎがかかっておりません。しかたがありませんから婦人を連れて私便所を見ました。婦人便所ですら内側にかぎがかかってない。かぎがかかってないところで大小を済ますということは、これは容易ならざる精神的打撃です。非常な警戒心を必要とします。こういう不要な精神緊張をわれわれに与えないでください。それがやはり国鉄の事故などに通じている共通の問題の一つです。私は従業員、経営者両方とも反省すべきことであろうと思います。最も敬愛し、そして実行力のある総裁だから、こういう小さなことであるにもかかわらずお忙しいのに来ていただいて恐縮です。しかし私どもが今日誠実なる国鉄総裁に実はどれほど期待しておるかという気持ちを聞いていただきたいこと、そしてオリンピックに対して小さなことに至るまで準備をしてもらいたいこと。私が財界におりましたときに、財界いろはがるたというのをつくったことがあります。平生釟三郎氏は私に、正しく強く働く者は幸いなりということばを書いてくれました。これが私の入社第一日のことばです。郷男爵は私に、心こまかに肝太く、私はその心こまかにということばにほんとうに胸を打たれました。松永安左衛門氏は、まかぬ極ははえぬ、この言葉の意味するものの深さはいまいよいよ痛感しております。文部大臣、よくお考えください。それから朝のラッシュの風景をときどき見ますが、私は自動車通勤です。無産政党でありながら私は財界出身の人間ですから、貧乏なために社会党に入ったのではありません。このような残酷物語なからしめるために、どうせ政治家になるなら貧しい者の上に立って、富士山の上にアイスクリームを持っていくというようなのはむだなことですから、谷間の暗い世界を少しでも明るくしたい、せめて残酷物話だけはなくしたい、こう思って社会党に入った一人です。しかし、ときどき実情を見るためにラッシュのときに乗ります。見るに見かねる風景です。さらにサラリーマンは協力も必要ですが会社の仕事がありまして時差通勤の限界があります。学校の場合には、直接の生産活動でありませんから、まだ多少融通もききはしないか。したがって、文部省においては時差通学に対してもっと積極的に協力していただきたい。国鉄の総裁とその点意気を合わせていただきたい、こう思います。この点についても御答弁を願いたい。  時間が限られておりまして、あと質問したいことがたくさんありますから、また国鉄総裁はいま他の委員会に出るのでお急ぎでありますから、要点だけ申し上げましてお気持ちのほどを伺いまして、さらに文部大臣のお気持ちのほどをその次に伺いたいと思います。

石田礼助日本国有鉄道総裁

○石田説明員 便所の問題についてお答えいたします。  御承知のとおり国鉄は藤島君という強烈なトイレット博士がおるのですから、彼を引っぱってきて話をさせるのがよろしいが、大体国鉄の便所というものは進駐軍が参ってから非常にきれいになった。ところが最近における状態というものはいま帆足さんお話しのように決して満足すべき状態じゃない。これに対しては国鉄としては普通の便所に対しては一日三回ずつ清掃をやらしておるのでございますが、一番ひどいのは水洗便所だ。これは実に言語道断なんです。国鉄の東京周域の駅には、大体において水洗便所を備えております。備えておるところには清掃をよくするということと、換気装置を整備するということ、さらにオリンピックも近づいておりますので、まず約九千万円を投じて清掃をやるということになっておりますが、いかにも使用者というものがエチケットを知らぬ。よほど清掃をしばしばやらぬと使用にたえないような状態になっておる。詳しいことはこの二冊の雑誌に書いてありますが、これをここで読むということは実にきたならしいので私は読みませんが、一番いい例は、最近品川でりっぱな水洗便所をつくった。ところがもう一日か二日たつと全然使えなくなってしまった。まず第一に紙をとられてしまう。その結果、新聞紙や雑誌を押し込むとか、もう言語道断なんです。これは帆足さん、あとでお読みいただくように御参考に差しあげます。とにかく国鉄としてはオリンピックも近いのでありますから、できるだけひとつ御要望に沿いたいと存じております。これは私の考えですが、どうも日本人というものは水洗便所というものになれておらないのです。そこでオリンピックに関する限りは、日本人には日本人の便所、水洗便所をつくる場合には有料水洗便所ということにしてやるということが目的を達成する一つのいい方法ではないか、こういうことに考えております。これは御参考までに申し上げておきます。  それから、さらに通勤通学の問題でありますが、私が国鉄総裁に就任してから一番関心を払ったのは、通勤通学のラッシッのときの問題であります。皆さんが新宿の駅へ朝、——あそこはピークが八時三十分から八時四十五分でありますが、あの間に行ってごらんになってもわかるのですが、これは実に危険な状態です。大きな事故が必ずあのラッシュのときに起こる、私はこういうことでいろいろ考えました結果、たとえば中央線なんかは二分間隔で走っておる。とにかく二分間隔で駅から出すというようなことが根本なんです。そこで問題はどこで起こるかといえばホームで起こる。プラットホームに必要以上の人間を入れない、それによって列車というものがちゃんと時間どおりに発車することができる。こういうことからいたしまして、私は乗客も必ず支持するだろうとは思いましたが、とにかく駅長が毎朝あのピーク時には運転指令台の上に立ってプラットホームにおける状態を見て、それを出札口に通知して、そこでシャットアウトする、これはお客さんに対してはまことに相済まぬ、サービスの点からいけば実に済まぬですが、安全第一のためにはもうそんなことは言っておられないということで、三つか四つの駅でそれをやりました結果、非常に成績がよろしいということで、最近におきましては中央線はむろん、京浜東北線、常磐線、房総線すべてそれをやっております結果、まず山手線なんかきちんと二分おきに出る。中央線も最近は二分おきになっておる。そのために出札口で毎朝シャットアウトされる人は約一万八千人。その状態は今後一体改善されるか、私は改善されぬと思う。何となれば国鉄は予算の関係でもって、中央線のごときあるいは京浜東北線のごとき、その数をふやすことができない。それで時差にしたところで、二分というものがせいぜいで、それ以上短縮することはできぬ。どうするか、これが問題なんです。いまのところ幸いに乗客は何らのお小言も申されませんが、これから先は、乗客はふえる、しかも輸送力はふえぬということになると、シャットアウトされる回数はふえ、そうして時間が長くなり人数もふえてくる。そこにおいて必ず国鉄に対する非難が出てくる、こういうことから考えまして、最近は先手を打って国鉄の状態はこういうわけで輸送力はふえぬ、お客さんはふえる、シャットアウトされる回数というものはふえて時間も長くなる、どうぞひとつこの事情をよく御了承下さい、こういうことを出してありまするが、いままでのところはまず何らの事故もなく、汽車も大体においてきちんと二分間隔で走っておるという状態になっております。これは結局時差通勤ということを会社がやっておりまして、それによって約三十万の人間がピーク町をはずれて出勤されておりまするが、これは学生にもひとつこういうことをやってもらいたいということで、帆足さんがさっきおっしゃられたように、文部省がひとつ何とか学校を説得して時差通学にするというようなことに御協力願えばはなはだしあわせだと思う次第であります。

帆足計日本社会党

○帆足分科員 それではあとの質問がありますから簡潔に申し上げます。  いまの水洗便所については使い方を知りません人が多いのです。私が中学三年のときに、英語の先生がアメリカに行って、水洗便所を間違えてあそこで顔を洗ったと話をしました。あれはわずか三十年前の物語です。定時流水法を使うことも一つの方法です。しかし断水、水圧等の問題もあります。それから駅長が一週間に一ぺんは必ず自分の駅の公衆便所で用を足してもらいたい。これは指令をしてください。私が駅長だったら毎朝自分で見て自分で掃きます。それから落書きは自分で消します。そのペンキ代くらい何ほどのことはありません。近ごろはタイルが多くなっておりますから少し改善されつつあります。洗面所をきれいにすることは、これは駅の係の人、係でなくても助役が自分でやってもいいと思うのです。中国ではそうしているのです。あまりきたないときは駅長が自分で洗面所を洗っております。この人民服務の精神を徹底さしていただきたい。  それから温度の調節ができておりません。この前幾つかの汽車に乗りましたが、カバンの中の卵がひよこにかえってしまいますよ。われわは八月十五日前は爬虫類でありましたから、冷血動物でありましたから別でありますけれども、民主革命が行なわれて人類になりました。体温の調節はきわめて必要ですから——日本人の服装に合う温度はたぶん二十度ちょっと欠けるくらいがいいと私は思っておりますが、御研究下さい。寒暖計があるのに温度の調節ができておりませんので、乗客は汗びっしょりで、そうしてかぜを引いてしまいます。温度調節能力がないくらいアジア的なずぼらな民族です。したがってこれも注意を促していただきたい。  時間はあと十三分しかありません。文部大臣は責任をもって国鉄総裁と協力していまの問題も御研究下さいますか。——うなづいたようでございますから、研究下さいますということに了承しまして、お忙しいでしょうから、国鉄のほうはお引き取りいただいてけっこうです。  引き続いて申し上げます。委員長の御注意がありますから、時間を守るためにお許しを願います。  それから、オリンピックにつきまして私が心配しておりますのは、まずオリンピックは健康にして、それによってスポーツが普及し、世界的及び日本国民が一そう健康な生きがいを感ずる、そういう機会ではないか。民族の祝典とも言われ、諸民族の友好の祝典とも言われ、健康な祭りとも言われております。しかしいろいろ弊害が伴うおそれがあります。まず日本におけるバーやカフェー、キャバレーの退廃、われわれも時にはその退廃を楽しんでおりますけれども、しかし過度の退廃はよくないと思うのです。値段の表示をしているはずですけれども、値段の表示がほとんどありません。暴力バーのほかに、ちょっと洋酒でも注文すればめちゃくちゃな値段だ。一体厚生省は何をしてござる。どういう安月給取りでもときにはおやじとけんかをしたり誕生日のお祝いがあったりしてつい迷い込む。一ぱいが二はいとなり、二はいが六ぱいとなる。その値段たるや、驚くべきものです。レクリエーションというものは大事なもので、バーに行って悪いはずはありません。バーに行って緊張がほぐれるならばそれもいいでしょう。しかし、アイヌ的、古代的、封建的略奪が行なわれている状況、こういうバーはちょっと世界でまれです。ギリシャに行きましたが、ギリシャにやはり暴利バーというのがありまして、ギリシャの品位を非常に低めております。その状況を私はいずれ随筆に書きますが、厚生省の諸君の取り締まりは、サービス料及び洋酒、すべての値段を値段表示制度にしてもらいたい。すし屋でもそうです。三つすしを食って千二百円とられたことがあります。そんなすし屋に行かないほうがよかろうというかもしれませんが、勘定書きもらうまではわからぬから、つい入っちゃったわけです。かと思うと、十円ずしというのがあって、案外おいしいすしを食わせるところがあります。私は、こういうすし屋の中で清潔なところには文化勲章をやり、大蔵省はそれこそ低利資金を融資すべきである。清潔なサービスのいい食堂一つあることだけでも、どれほど国民の品位を高め、健康を高めるでしょう。一体厚生省は何をしてござる。私、聞いてみると、値段は表示制になっているというけれども、なってはおりません。蒲郡の旅館に一泊いたしたことがあります。私はつつましやかに晩酌一本飲んだ。そして六時から寝ました。翌日一万二千円宿料を取られました。表示してないのです。常識で三、四千円だと思いましたら、一万二千円取られました。蒲郡の名誉のためにその旅館の名前は言いません。一体厚生省の取り締まりはどうなっておるか。これがオリンピックとなると、このときとばかりに、ギリシャの裏町と同じようなことが起こったならば、日本の敷島の大和の国は、山水は美しいが人の心はけがれておるということになれば、私はこれはいけないと思います。日本は貿易の国ですから、したがって、厚生省に厳重なる警告を発します。二カ月後にこういうことが行なわれるならば、担当官はやめてもらいたい。やめなければ、私はやめさすまでここで大きな声を出して迫ります。  それから、通訳がきまるでしょうが、私はやはり通訳の値段もある基準を示す必要があると思います。それからポン引き、売笑婦等の取り締まりも考えてもらいたい。売笑婦が東京に殺到するような事態の起こらぬように、もうぼつぼつ準備を整えておく時期であろうと思います。イタリヤその他の例も御承知でしょう。そのときにどういうことしたか。深く申しません。  公園については、もうちょっと手おくれです。日本の公園は、公園というよりも、やぶとか、どぶとかいったほうがいい。井之頭はついにやぶとなりました。私のうちの近所ですが、残念です。これはまたあらためて質問申し上げます。噴水の出る公園ではないけれども、せめて新宿御苑に案内して目前を糊塗していただかなければならぬと思います。小石川植物園もいいでしょう。すなわち、旅館、バー、すし屋等々においては価格表示制をしいて、そして暴利をむさぼらないように。平時でもそうですが、オリンピックのときは一そう自粛するように適切なる取り締まり処置をしていただきたい。通訳のごときもそうです。  それから、文部省の方にお願いしたいのですが、奨学資金の問題です。最近回収率もよくなって、だんだん育英会の御努力によって好転しつつあります。しかし、後進に道を開くために、やはり借りた金は返す。ただし、病気の方、失業者、家族が非常に多い人、困窮者、そういう人は、特別免除願いを出せばそのような措置をとる。相当の給料を取っている人は、回収の方式等も進歩して、この分科会でも前にたびたび指摘されまして、われわれ満足しておりますが、一段と御協力を願いたい。しかし、これは運転資金で消える予算ではありませんから、大蔵省はもう少し奮発して育英資金のファンドをふやしていただきたい。  それから、インターン及び医局員のことがきのう分科会で問題になりましたが、インターンは、実習教育であると同時に、実際は勤労しているのです。したがいまして、インターンの補助金というものは一般の奨学資金とちょっと異なる概念が入っておりますから、御研究願いたい。食事も保障されていない。住宅も保障されていない。そして激しい仕事です。病人相手で伝染病の危険性もあります。こういう誠実な医者の卵たちに対して、普通の奨学金のほかに、それは病院が負担すべきであるか、厚生省が負担すべきであるか、育英資金で出すべきであるかわからぬが、それを取り戻すのは苛酷だと思います。したがって、インターン制度は、大学課程を取るために医局員になっておるので、これはいますぐでなくて、二、三カ月かかってけっこうですから、ひとつ文部大臣もよくお考えになって、情義兼ね備わる特別の対策をお願いします。修士と同じ奨学金をやったらそれでよいではないかということではないでしよう。それから、修士課程、博士課程の方は、大学はいわば本科二年ですから、どうしても修士を希望する向学の青年がふえる傾向があります。私は、これはやむを得ずよいことだと思うのです。われわれの大学は三年でしたけれども、いまはやはり何といっても本科二年ですから、もう一年勉強したい。したがいまして、この予算について大蔵省はもう少し考えていただきたい。文部省に協力してもらいたいと思います。学生健康保険のことはひとつ至急取り上げていただきたい。病気になった学生の世話もできなくして何の先生ぞや、何の学長ぞやと私は思います。ましてや、付属病院のついている学校も多い。国立病院を使うこともできます。したがいまして、学生の健康保険、学生の予防医学、学生の健康指導にもっと力をそそいでいただきたい。私はフットボールの選手でしたけれども、突然咳血止しました痛ましい青年時代を自分の経験からいって、切に、文部大臣にお願いします。これは至急研究を始めていただきたい。もう時間があと二分ですから、各項目について御答弁をいただいて、不満な点があったら二分間だけ申し上げまして、主査の御注意に従いたい、こう思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 いろいろ適切な御注意をいただきまして、非常にありがたく、厚くお礼申し上げたいと思います。  いろいろ注意要項がございましたがオリンピックを契機といたしまして、日本国民の生活上のよい習慣をやはりつけていくようにいたしたいものと思っております。学校教育面におきましても、社会教育の面におきましても十分注意してまいりたいと存じます。  また、交通関係で学生の時差通学でありますが、これも今日まで文部省と国鉄等と相談をいたしまして、ある程度実行をいたしておりますが、先ほどのお話もございましたので、なおひとつ十分検討さしていただきたいと思います。  それから、オリンピックのときの料飲業者等の不適正なお客さんの取り扱い、あるいは価格表示制度の励行というような問題は、われわれといたしましても、オリンピック関係の者としまして、関係方面と十分相談をいたしまして、さようなことの起こらないように努力いたしたいと存じます。通訳の料金についても同様でございます。奨学資金の問題につきましては、今日までも資金の増額については留意してまいりましたが、今後ともにひとつ努力いたしたいと思います。  なおまたインターン生の問題につきましては、最近大きく問題になっております。厚生省を中心といたしまして協力して、十分これの取り扱いについて検討をいたしたいと存じております。  修士課程の問題、それから学生健康保険の問題、いずれも私どもとしましても、検討をいたしまして、修士の諸君の処遇問題、あるいはまた学生の健康の問題について、さらに充実した施設が行なわれるように、関係者ともよく相談をしてまいりたいと思います。

帆足計日本社会党

○帆足分科員 誠意ある御答弁をいただいて満足ですが、もう一つだけ確かめておきたいと思います。  売笑婦の問題は、外国人にも適用すると思いますが、ある役人さんに聞きますと、外国人に適用するだろうか、たぶん適用するだろうと思いますと言うのです。思いますというのでは、この前申しましたように、われ思う、ゆえにわれありというにすぎませんから、思いますでなくて、これを適用する。したがってこの対策を考えてもらいたい。  それから沖繩の子供たち、日本に留学する子供たちと、沖繩の大学に対する援助、これももっと深く研究していただきたい。  それから外務省の海外駐在員及び貿易商など、国のために外で働いている人の子弟が、日本に帰りましたときに語学の力がおくれているのです。こういう在外子弟の留学で、日本へ帰ってきて苦労している子供たちに対しては、私は高校入学等について、多少の手かげん等が必要だと思います。これも御研究願いたい。  そこで、ただいま確認しました問題は、学生の健康保険について、至急研究し結論を出していただきたい。インターン学生は、実習教育と労働を兼ねておりますから、単なる奨学資金と異なる範疇にして、厚生省と相談してもらいたい。修士の数がふえるのはよい傾向であって、やむない傾向であるから、この予算は今後もっと深く考えてもらいたい。時差通勤の問題は、学生にとっても国鉄にとっても重要ですから、もっと積極的態度で協力してもらいたい。沖繩の子供たちのことを考えてもらいたい。在外子弟の日本留学については、もう少し特例を設けていただきたい。公衆便所及び駅の便所等について、ひとつ徹底的にもう少しいい政策を——さっそくあしたは市ケ谷駅前の便所で用を足してみてください、外からごろつきがのぞきますから。バー、すし屋、旅館等々の表示制度を徹底的に実行していただきたい。実行するかどうか。しなかったら直ちに委員会で私また皆さんに相談します。それから売笑婦の問題は——恋愛問題は干渉しません。しかし純粋の売笑問題は、外国人にも適用して、日本を売笑国と思われないようにしてもらいたい。売笑婦問題、バーの表示問題、在外子弟の問題、沖繩について特別考慮をする問題、インターンには労働と実習教育と二つの面がある問題、それを確認願った上で、研究してくださるかどうか、それぞれ明確な御答弁をいただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 文部省に関する事項につきましては、もちろんお尋ねの御趣旨について十分検討いたしたいと思います。なお他の省の関係につきましてはそれぞれお伝えいたします。それからインターンの問題につきましては、今回はインターン制度の根本について厚生省も御検討になるように伺っておりますので、厚生省とよく相談して協力いたしまして、この制度について十分検討したいと思っております。お話の趣旨につきましてはこの際あわせて検討することにいたします。

舘林宣夫厚生技官(環境衛生局長)

○舘林政府委員 先ほどバーあるいは旅館等の価格表示等の問題がございましたが、現在厚生省におきましては、バーは食品衛生法の関係の対象施設であり、旅館は旅館業法の対象施設であります。これらの法律はいずれも衛生法規でございまして、衛生上有害なことのないような配慮のために設けられておるのでありますから、お尋ねのような暴利を防ぐというか、価格上の問題を防ぐには、この法律をもってしてはなかなかむずかしい点がございまして、お尋ねのような社会風俗上まことによくない事例もございます。これらに対しましては指導の強化でまいりたい。したがってオリンピック等におきましては、価格表示のあります施設に対して、都あたりが特に、秀、優というような表示を行なって、そういう悪い施設にまいらないような指導をいたしたいと思っております。

帆足計日本社会党

○帆足分科員 例外なしにしてもらいたい。例外でぽんとやるわけです。

松永勇総理府事務官(内閣総理大臣官房審議室長)

○松永(勇)政府委員 私のほうでオリンピック関係の対策連絡協議会を開いております。本日警察庁のほうからお見えになっておりませんので、私たちが連絡協議会の席上を通じましていろいろ打ち合わせをしております関係から知り得た範囲でお伝えいたします。  売春防止法は外人に対しても当然適用になる。ただ、売春防止法の中で適用条項が具体的に起こるケースが少なかろうというようなことを申しておった事例はございます。法律自体としては適用になるのが当然であると思います。  それから先ほど来、バーその他の暴利取り締まりというか、客に接する場合に暴利をふっかけるというような問題につきましては、御承知のように国民全体をあげてオリンピック国民運動連絡協議会というものができておりまして、約百八十団体が参加しておりまして、国民運動としてのオリンピックを迎えて、商業道徳、公衆道徳あるいは国土美化というようなことについては、いま全力をあげてこれの推進をはかるということでいたしておりますので、御参考までに申し上げておきます。

帆足計日本社会党

○帆足分科員 時間がまいりましたから失礼いたしますが、私は限られた時間で大きな声でせき込んで言いましたが、平素はおとなしい人間ですから、初めてお目にかかった皆さんに誤解のないように願います。  それからバー取り締まり等の問題は、単にオリンッピクだけのていさいを整えるというのではなくて、平素の心がけのあらわれとしてこの際やってもらいたい。オリンピックのときだけ表面をつくろって、おしろいをつけて出るというようなさもしいことで申し上げたことでないことも、誤解のないようにお願いいたします。これで終わります。

相川勝六自由民主党

○相川主査 辻原弘市君。  辻原君に申し上げますが、質問時間問は三十分以内にお願いいたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 主査から時間の点をやかやしく言われましたので、できるだけまとめて、少しこまかい問題について骨だけお伺いして、骨だけお答え願いたいと思います。  最初に、数日前の新聞に、教育委員会制度の問題について、大臣がその改革を示唆したいということが報道せられておりましたが、現行教育委員会制度は、思い起こしてみますと、昭和三十一年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案というもので出まして、当時われわれが真剣にその設置規模あるいはその性格、権限、こういうものについて議論いたしたものであります。現行の地方教育委員会制度が完全なものであるということは、おそらく今日何人も考えていないであろうと思います。したがって、その改正につきましては相当各方面から反響を呼んでおると同時に、われわれもこれについて関心を持っておるわけでありますが、一体大臣は今日の教育委員会制度の中で特に欠点と考えられるもの、ないしはその上に立ってどういうような方向でこれを改善していったらいいかということについて、何らかの構想があれば、この際お聞かせを願いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 実はこの間の新聞の報道を見まして、私も驚いたようなわけでございますが、先日教育委員会制度十五周年記念ということで、全国の都道府県教育委員の会がございましたその席上に参りまして、私は文部大臣としてごあいさつをしたわけでございます。その中にいろいろなことを申し上げたわけでございますが、ちょうど制度創設以来十五周年、また制度が改革せられてからも数年たっておることでございますが、この教育委員会制度につきましていろいろな議論があるいは意見があることは、いまさら申し上げるまでもない。中央においても地方においてもあるわけでございますが、私はただそういう時期でもありますので、教育委員会制度についても、地方の教育行政を能率的、民主的に進めていく上において、お互いに検討する時期ではなかろうかというふうな程度のことを実は申し上げたつもりで、何も具体的に教育委員制度をこう改正する、ああ改正するという意図を持って申し上げたわけではないのであります。われわれとしましては中央の文部省としまして、また集まられた方々は地方の教育委員会のメンバーでございますが、それぞれの立場において教育委員会制度、これは平素から考えなくちゃならない問題でございますけれども、あいさつとして改善をすべき時期が来ているのではなかろうかというような心持ちで申し上げたのでありますが、意外に大きな報道になりまして、実は私もびっくりしましたようなわけでございますが、現在こういう方向でこういうふうにしたいというふうな案を持っての話ではございません。いろいろ意見なり議論もあることでございますから、常にわれわれとしましては教育委員会制度の運営の全きを期するということは、当然われわれとして考えなければならぬ問題でございますので、ちょうどこういう機会でありますのでそのようなあいさつをいたしましたようなわけでございます。さように御了承いただきたいと思います。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 議論はいたしません。ただせっかく口火を切られて、相当な反響を呼んでいるということ自体については、これはやはり各界が相当な関心を持っているという証拠だろうと私は思う。したがってどういう方向に改善をするかということは、必ずしも大臣と私も一致しないのでありましょうし、またそれぞれの当事者の意見も一致しないであろうと思いますが、とにかく改善を加えていかなければならぬということだけは間違いないと思います。こういう機会に何らかの方向によって、前向きの姿勢で改善を加えていくということに踏み切られてはどうか。いまの大臣のお話でありますと、単に儀礼的なあいさつで申したのだということでありますけれども、あいさつにしては少し問題の焦点を私はうがち過ぎていると思う。だからこの機会に踏み切られてはどうかと思うのですが、そういう手続をお考えになる余地がありますかどうか、その点をお伺いいたしたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 いま具体的にどうしよう、こうしようというふうなことの考えはいたしておりませんが、教育委員会制度そのものにつきましては、その運営等の問題についていろいろ意見もあることでございますので、私としましては十分検討は重ねてまいりたいと存じます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 それでは次の問題に移ります。入学試験制度の問題について、大臣に改善を加えられるお考えがないかということを私は伺いたいと思います。ちょうどたまたまいま各種の入学受験の時期にかかっておるわけでありますが、私は毎年この問題について、何かほんとうに衆知を集めて、もっと改善をする必要があるのじゃないかということを、常にこの二月、三月の時期に考えるのであります。特に最近非常に重視しなければならぬ問題というのは、よく大学の入学率等をながめて、地方と中央においては非常な格差ができているのじゃないか。それが父兄の声になって、そうしてそれぞれの学校の先生に、どうもあんた方の力は足りないのだ、いなかの学校は劣るのだ、そういうことで地方と中央との格差ということについても、この受験の問題から問題が引き出されてきている。同時に一流校、二流校、三流校というようなランクも、この入学試験制度の問題が非常に災いしておる。そういうことを考えますと、大学から始まり中学に至るまで、いまやっておる主として受験技術という面に走り過ぎたこの入学試験制度というものに、もう少し真剣に取り組む必要があるのじゃないか。ざっくばらんに言えば、最近は実際、私は大学の問題については一応おくとしましても、中学校段階の国立、私立、公立を問わず、ほとんど大学や高等学校と同じようなシステムに基づくこの学科試験という、この入学試験制度というものが、必ずしも人材養成の面から考えて利点となる点は少ないのじゃないか。むしろ将来の人材養成について考えてみた場合に、いろいろな欠点をはらむのじゃないか、こういうことしかいわゆる選抜方法がないのかということに、非常に疑問を感ずるわけであります。その証拠に都会においては、異常なまでのいわゆる受験技術を教え込む塾の発達、そうしてそろそろ受験期に入れば、学校教育と受験そのものについてはほとんど脈絡がない、関連がない。言いかえてみれば、学校では教育基本法に基づき、学校教育法に基づく、いわゆる昔のことばで言うと、当時の新教育方式というものが漸次積み重ねられてきておる。ところが入学試験となれば、これは一時代はるかにうしろへ後退して、昔よりもよりきびしいいわゆる学科試験が課せられている。こういうことを少なくとも義務教育の段階から行なうということが適当であろうか。だれが考えても私はそうは思わないと思うのです。何かこういう点についての改善策というものを、私も知恵は持ち合わせませんけれども、本格的に文部省あたりで各界の意見を聞いて改善をする、そういう時期じゃないか。そうでなければただ受験の技術のうまい者だけが、いわゆる学校に進学のできる。もっといえば受験技術に非常に便利にできておる都会の子供だけが、いわゆるコンベヤーに乗ることができる。それが社会的ないろいろな格差を生ずる一つの原因にもなる。こういう教育の方向がはたして正しいのか。これにもし疑問をお持ちになるならば、なぜもっと真剣にこうした問題の解決に当たらないのか、私は重要な問題であると思うので、この機会に大臣にもおざなりではなくて、ひとつ真剣に取り組む、また何かの具体策を検討されておるならば、それについてひとつ御発表願いたい、こう思うのです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 この入学試験の問題は、ほんとうに頭の痛い問題でございます。現在の入学試験の状況は、決してわれわれも望ましい状況とは考えておりません。むしろ非常に憂慮すべき状態とも考えておる次第でございます。さてどういうふうにしたらよかろうかというところに、なかなか名案が出てこない。この点が私どもの悩みでございます。辻原さんもなかなか具体的にはむずかしいということをおっしゃいましたが、われわれもその嘆きをいたしておるのでありますが、もっといい方法が何かないものかということを始終考えるわけでございます。御承知の能力開発研究所の仕事等も、このほうでいろいろ検討してもらっておりますが、そういうふうな検討の結果が、もし従来の状況よりも学生の力を知る上においてよろしいということになれば、これも今後の入学試験制度の中に、そういう要素を加えて考えてみる価値があるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいますぐに的確にどうというふうなうまい手が出てこないので、実は非常に悩んでおるわけでございます。名案があったら教えていただきたいというふうな気持ちがするくらいでございます。またただ単に入学試験だけの技術の問題でなしに、まあ実際学校の教育がそういう受験技術というふうなことで追われてしまっておるということは、まことに悲しむべき現象であると私は思います。そういうことだけでなしに、あるいは学校の格差是正と申しますか、必ずしも東京だけの大学へ行かなくても、地方の大学で十分にやっていけるというふうに、地方の大学の充実をはかっていくということも、私は必要なことではないかと考えます。さらにまた学校を選ぶにつきましては、これも辻原さんよく御承知のことでありますが、学生の特性なり、能力に応じまして学校の選択を適当に指導していく、こういうようなことも今日まで努力していることではありますが、一そうこれも徹底していかなければならぬと思うのであります。実際のいわゆる学科試験というふうなことで妙な勉強をし、しかも苦しい競争が行なわれておるということは、何とかして是正したいと思うのでありますけれども、的確な方法をまだ見出し得ないので、その点は悩んでおるような状況でございます。各方面の御意見は十分承りたいと思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 これは一つの提案でありますが、別に目新しい話ではありませんけれども、ともかくみんないろいろな意見を持っておると思うのです。親たる者はたいていみな現実の問題にぶつかっている。また学校の先生は学校の先生で、こういう問題のたびに悩まされている。だから私は、こうした世論としては、何とかしてもらいたいというのが集約された一つの大きな声であろうと思うので、この機会に何か各界の意見を聞いて、少しでも前進をするというような、そういう一つの諮問機関でもつくって検討してはどうか。学問的な立場から研究する人もありましょうし、またいろいろな教育学的な見地からやる人もありましょうし、特に私が重視しますのは、小中学校の発達段階の過程において、ほんとうの子供の体力から見て、これは考えなければならぬ。そういう一つのオーバーな受験勉強というものが、将来どういう悪影響を来たすかということを考えたら、たいへんなものだ。特に子供の社会というものが、受験に非常に限定されておる。そして本来の子供らしい奔放さを失っていく気風というものを、特にそういう子供がまた社会の指導的な立場に立つ、こういうことを考えてみたならば、私は民主教育とか、あるいは非常に自由に考え、自由に研さんをしていくいまの教育の方向から、完全にはずれていくと思う。しかもその子供たちが、一応俗に言えば優秀な子供であるということを考えたならば、この受験技術のために将来教育の成果というものは、人間育成の上からかなり減殺をしていくのじゃないか。だから何か衆知を集めるような、そういう方法をこの際大臣にもお考えをいただければ、世論が非常に歓迎するだろうと思いますが、そういう意味で何かそういうみんながもの申すというような機会をおつくりになったらどうか。これはいかがでございましょう。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 この問題につきましては、これまでもずいぶんいろいろな機関において検討していただいた問題だと思うのですけれども、せっかくのお話でありますから、私も前向きに検討させていただきます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 次に、私は私学の問題について一つだけ伺っておきたいと思うのです。それは先進諸国の私学を見ますと、アメリカにおいても、イギリスにおきましても、民間の協力というものが非常に大きい。ところが日本の私学の場合には、そうはいわれておりますけれども、在外民間が私学に対して求めざる協力をしておるということは、諸外国に比較して非常に少ないと思うのです。その一つの障害というものが何にあるかというと、最近の経済状態の中で税というものが、これは何といっても大きな問題だと思う。そこで、この寄付行為をした場合に、その寄付行為をした金が少なくとも税法上減税になるということであれば、一つの障害は取り除かれる。これはいままでもずいぶん議論も大蔵委員会等でもされてきた問題です。ところが一向に進展していない。現在少なくとも私学に対する寄付行為で免税になっている点は、私の知るところでは、たしか土地、建物について特に大蔵大臣の認可を得た場合、一定の条件に従って免税措置をするというものだけしかないと思うのです。ところが、現実に私学経営その他において必要なことは、常にそういう新たに学校を拡張するとか、新たに学校を建てるという場合ではなくて、経常的な運営について、あるいは研究に対して、随時一般の寄付等が得られれば、いま問題になっている授業料値上げ等の問題も、比較的世論の立場としては私学の側を強く押えていくことができるが、現在の考え方としては、融資はやるけれども、直接私学については国費でもってまかなうという観念は、現在のところそこまではきておらない。そうなりますと、勢いやはり民間の協力、そういう意味で私は道さえ通ずれば、相当その点についての協力はあると思う。したがってこの際、単に土地建物の取得、いわゆる新規増設ということばかりでなくて、そういう経常寄付に対する国としての免税方法、こういうものをもう一歩進めてはどうか、こういう気がするわけで、これは文部省の所管でありませんけれども、その点については私は他日大蔵大臣にも伺いたいと思うが、文部大臣として積極的にこれを講じられる方法を、私学振興の大きな対策として考えられてはどうか。何か腹案がありますか、この点をひとつ伺っておきたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私学振興、私学助成というふうな見地からいたしまして、ただいまお話の税の問題を適切に解決することが非常に有意義であるということは、私もそう思います。できるだけその方向に向かって努力いたします。現在の状態よりも、もっと私学のために寄付を集めることを容易ならしめるといいますか、そういう方向で努力はしてみたいと思っております。今日までも文部省の当局としましては、大蔵省関係においていろいろ努力をしてまいったわけでありますが、現状はひとつ政府委員のほうから御説明を申し上げることにいたします。私としましては、この問題に相当関心を持っておるということを一応申し上げておきたいと思います。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 税の減免の現状について補足説明をさせていただきます。  ただいま御質問の中で優遇措置としてはいわゆる指定寄付金制度だけではないかというようなおことばがあったように思いますが、そのほかにも現在不十分ではございますけれども行なわれております。その一つは法人税におきましては、損金算入の限度を一般の限度と同額の特別ワクの制度を設けて、その範囲は損金算入されるという制度があります。それから所得税、個人が寄付した場合におきまして一定額の、現在は二〇%までを税額控除する。こういう制度があります。本国会において、税法改正におきましてこの限度が少し引き上げられる措置が講ぜられると思います。そのほか相続税とか登録税、地方税また固定資産税、不動産取得税等の非課税措置も、不十分でありますけれども行なわれております。こういう現状でございますが、今後これらの減免措置の拡大についても、私どもとしては努力しなければならぬと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 私の申し上げました趣旨は、少なくとも個人が寄付行為をしたことによって、課税が何がしも発生しないという制度をつくらなければ、いまのような微々たるものではこれは前進しない。現状がそうなんです。しかも大蔵大臣の認可等の手続がなかなかややこしくて、実際問題としては存外効果が上がっていないわけです。われわれもずいぶんそういう篤志家の相談を具体的に受けるのです。受けた場合に、そこまでのわずらわしいことをしてまで寄付をするのですから、そんなわずらわしいことをしてまでは、こういうことになりがちなんです。これはむしろどんどん奨励すべきなんですから、それに対して何らかの制約が加わったのでは、これは積極策にはなりません。若干の免税措置があることは私も存じておりますけれども、しかしそれがどうしても不十分である。もっとむしろそういうことに対して国が報償すべき性格のものだ。それに対して若干の課税を軽減するという程度では、なかなか進展をいたしません。それならば他に使おうというようなことになりかねないわけです。その点ひとつ十分お考えをいただいて、すっきりした一つのものにしていただきたいということを希望しておきます。  それから次にもう一つ文化財について、これも私は文化財保護の行政上、昔から考えているのですが、一つのネックを——十年それを見てまいりましたけれども、案外それについてはあまり御熱心にやっておられない。それはどういうことかというと、文化財保護委員会が、いろいろな文化財についてそれぞれ論議がありますが、これを指定する。ところが指定をされた側からいうと、これは公共物ならよろしい。ところが個人財産等を指定された場合には、たとえばそれが不動産等の庭園あるいは住宅、こういうものの場合ももちろん、また骨とう品その他いろいろなものがあるだろうと思うのですが、それについてはむしろ指定されたことによって、いろいろな半義務的なものがかかる。年に一回はその保存の程度について見せてもらいたい。あるいは棄損、破損等に対して十分な措置もしてもらいたい。あるいは自由かってにそれを譲渡しないようにしていただきたい。いろいろな制約が加わる。ところが、さてそれだけ制約を加えられているのに、一体それに対してどれほどの補償的措置がとられておるかというと、寡聞にしてほとんど何らの措置がとられていないと言っていいでしょう。一国の文化というものは、過去における文化財の保存状況によってわかるとすらいわれて、諸外国等におきましてはかなり至れり尽くせりのことをやっておると思うのです。日本においても近年非常に文化というものについて、力を入れてやっておるわけですね。それから最も卑近な例を言えば、最近のように非常に骨とう品のいろいろな市場価値というものが上がってきたときに、そういう制約を加えられるということは、かえってわずらわしいというので、むしろこれは積極的に文化財の指定を受けてやるというような機運が薄れるように私は思うのです。だから少なくともそういう場合には、何らかの補償的措置をとるべきではなかろうか、そうして個人に対して積極的にこの文化財保護の方向に参加をさせていくべきではないかということを考えるのですが、何か具体策がありますか。それともそういうことは必要ないとお考えでしょうか。この点についてひとつお考えを承りたい。

平間修文部事務官(文化財保護委員会事務次長)

○平間説明員 文化財保存の見地から種々の制限が加えられておることは、確かに御存じのとおりでございます。現在私たちとしてそれに、報償的という意味ではなくて、とっておる措置としましては、これも御承知のとおり修理の場合の補助金、これは種類によって違いますけれども、ほぼ五〇%から八〇%ぐらいまでの補助金を出しております。それから防災費に対する補助金、これも五〇%ないし六〇%の補助、こういうような措置をとりまして、修理の場合、それからたとえば防災といいましても、収蔵庫を建てるような場合を含めまして、そういった措置をとっておる。それから美術工芸品については、博物館等に出品された場合は、出品給与金というようなものも差し上げております。それから個人としてどうしてもそういうものを持ち切れないというような場合は、国及び地方公共団体において買い上げる場合に対する補助金、こういうものも差し上げておるわけです。  以上、そういう保存と活用の見地から、現在とられておるおもな点はそういう点でございますけれども、おっしゃる点は、あるいは個人が持っておるものに対しては、管理費というようなものが必要ではないかというような趣旨にも感ぜられるのでございますけれども、そういう国有文化財については、国がみずから管理することですから、これは当然でございますが、個人の場合の普通の管理費というものは、現在国としては補助金としては出ておりません。将来こういう方面については考えるべきものがあると思いますが、目下のところ、種類によっても違いますので、たとえば美術工芸品等について管理費を出すということは、ちょっと考えられないと思いますが、不動産等のものについて将来管理費というものを、どの程度どんなふうに出したらいいかということについては、これは研究する余地があると思いますが、大体現在とっている措置はそういうことでございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 個人の美術工芸品等については、いろいろな問題があるだろうと思うのですけれども、不動産の場合、実際問題として、よくあると思いますが、指定されることを拒む。いやがる。指定されるものを持っている。たとえば立ち木等の場合、これを売却する。ところがそれに対して一たん指定をされれば、そこは動かすことができないといったような点に問題が出てくると思います。だから可能な限りそういった運営費等についても、何らかの補償、報償の方法を講じて、むしろ喜んで指定を受けるという立場をつくっていくべきではないか、このことをひとつ御研究願いたい。  それから次に、学校給食について一、二点伺っておきたいと思います。これは農林委員会、文教委員会でもかなり議論をされているところであろうと思いますが、大筋を申し上げますと、私は学校給食というものについては、教育的価値、保健上の価値、社会集団的価値というものを非常に高く評価をしている一人です。その意味においてなぜ日本で脱脂粉乳を使わなければならぬかということについて、その当時から非常に疑問を持っておりました。最近この問題について問題が出てから非常にやかましくなった。しかし本来私は日本の酪農振興の立場から、当然これと結合した学校給食があってしかるべきだということを、いまから十年前に主張したことを記憶しております。そうしてその後、たしか松村文部大臣、河野農林大臣のときであったと思いますが、一度試験的にやってみようじゃないかというので、集約酪農地帯で結合してやったことがございました。当時私不勉強で、その成果について十分検討を加えることができませんでしたが、私は一般的にいって集約酪農地帯だけではなく、最近特に農業の多角経営という面から、どんどん従来の酪農地帯以外でも乳牛を飼うことが奨励されておりますから、そうなりますと、学校はどこでも所在をしているわけでありますから、その地方で何か組織的な方法さえ考えれば、市乳を学校給食に供するということはできると思うのです。ただ問題は、脱脂粉乳の場合には補助金がわずかであっていい。いわゆる単価が安い。市乳の場合にはどう考えてみても脱脂粉乳よりは経費が倍あるいは三倍かかる。こういうきらいがあるといっても、保健に対するあるいは国家的な酪農振興の立場に立てば、私はその程度の経費は惜しむべきではなかろう。こういう考えで実は、脱脂粉乳の問題が出たから牛乳に切りかえよという議論の以前に、私はこの結合ということを考えたわけであります。すでに国会におきましても、牛乳による学校給食法というものを制定したいという強い希望があります。したがってこういう世論の出た際に、この問題についてもひとつ何らかの結論を出すべきではないか。もちろん脱脂粉乳を漸減していって市乳に切りかえるということも必要だが、よく文部省のみならず、各省でやっているようなモデル地帯、こういうものをこういう機会にこそ、やり方として必要ではなかろうか。給食についてはモデル校というのをやっておりますが、そのモデル校というのは給食設備、施設がいいから、あるいは非常によくやっているからということではなくて、こういう一つの酪農とそれから学校給食というものが一体化されて行なわれる、こういったモデル地区をつくるべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、それについてひとつお考えを承りたい。これが給食の一つの問題であります。  それからもう一つは、集団給食の中で人数が多くて、しかもその中における栄養管理、食管理を最もしなければならないというのは、私は学校給食だろうと思うのです。これが第一義だと思うのです。その学校給食で栄養管理をしなければならぬのに、法律上ある栄養士については、いまだにこれを置かれていない。これでは十分な成果があがるわけはないので、私は学校給食というのは、学校内部の給食のみではなく、このことによって、過去の実績をおそらく文部省でもそういう分析をされておると思いますが、社会的にいかほど貢献したかということは、これは目に見えないが大きなものがある。最近の子供たちのいわゆる食生活の傾向は、これは申し上げるまでもないでしよう。われわれの幼時における傾向とはまるきり違ってきている。社会の食生活の改善が加えられている一つの大きな力というのは、学校給食にある。昔はいなかであれば、つけものとか麦めしで済ませておけ。いまはどんないなかに行きましても、そういうことを考えるお母さんはなくなった。やはり子供が学校でそういうものを食べてきた。そういうことについて何らかの示唆を受けて、そうしてまた子供の栄養ということについては一応の頭を持ってきているのが、最近の社会だと思うのです。そうなりますと、学校給食に栄養士を置くということは、その地域における一つの保健管理、こういうことにもなる。かって学校の保健婦が奥地山村に参りますと、その村のいわゆる無医村の解消の一つの役割を果たしておったということすら、実際問題としてあるわけです。だから栄養士については、私は学校給食だけになにするという観念ではなくて、少なくともそういう地方の栄養保健指導管理、こういうことにも大きく役立つという、もっと大局的な立場から、この際置くということが必要ではなかろうか。そういう点について、私は十分厚生省等との意見調整もして、一歩進めるべきではないか、こう思いますが、その点について前進をさせるお考えがありますかどうか、これをひとつお考え願いたい。  それからもう一つ、それに付随して、従来からやかましくいわれておりまするが、給食婦の身分確立というものを、それにあわせておやりを願いたい。最近のようにいわゆる求人不足、人が足りなくなってきて、やがて学校給食にも私は穴のあく時期がくると思います。だんだん人手が不足をしてまいりましてそういうときにいまの状況では、まずまっ先に学校給食はごめんこうむろうというなにがきたときがたいへんなんです。だからそういうことにならぬように、現在のような非常に不安定な身分状況ではなくて、もっといわゆる学校給食の側に立つもよし、あるいはそうでなくて、一般地方公務員の側に立つもそれはよろしいと思いますけれども、いずれにいたしましても現在の状況では身分が非常に不安定です。したがってよりベターなのは、せっかく学校給食法があるのですから、だから栄養士に準拠して、いわゆる学校給食の保健衛生、栄養指導に携わる、またその業務に携わる者は、一つの身分の中に包括して入れて、その中で解決することが一番望ましいと思います。ともかくこれに手をつけざれば、今後学校給食の一段の進展というものは、私は非常に少ないように思う。効果がやや減じていくような、そういう気がいたします。これについて時間がございませんから、要点だけひとつお答えを願いたい。

前田充明文部事務官(体育局長)

○前田(充)政府委員 第一点のなま牛乳の問題でございますが、なま牛乳については従来余剰牛乳という立場でございました。しかし来年度につきましては、一応計画的に四十万石を取り入れまして、学校給食でやっていこうということになったのでございますが、お話のようにモデル地区についてもう確定的でいくかという問題でございますが私はもちろんそういうふうになることは、将来としては望ましいのでございますが、現状といたしましては、ことし初めて年間通して計画的にやろうということでございます。従来からいいまして、この計画的にやるということは、牛乳では相当困難があったわけでございます。今年初めてこれをやるわけでございます。この実績によってそういうふうに恒久的な制度にまで持っていくことは、それから検討してはいかがかというふうに考えております。いずれにいたしましても今年度は四十万石は、計画的にやるという予定で計画いたしております。  それから集団給食という問題の中で、学校給食は最も典型的なものでございますので、栄養管理という点を特に気をつけて、栄養士を置いてりっぱにやっていくというやり方、これはもちろん私ども従来とも考えておったことでございますが、来年三十九年度計画いたしております考え方は、共同調理場が新しく二百一カ所できるわけでございますが、その共同調理場に学校栄養士を置いてやっていこう、こういう考え方で進めております。考え方については全く同感でございますので、今後ともそれを拡充いたしたい、かように考えております。  なお給食婦の関係の問題でございますが、給食婦の身分は現在は交付税で地方公務員ということになっておるわけでございますが、その辺、現在において身分が非常に不安定な者というのは二、三%程度、幾分あるかと思うのでございますが、現状では大体安定しつつある現状でございますので、将来人手が足りなくなればもちろん、給食婦を雇うことが困難になるということが起きれば、非常にたいへんな問題でございますので、それについても私どもとしては極力御趣旨に沿いまして努力いたしたい、かように考えております。

相川勝六自由民主党

○相川主査 もう時間がきましたから、これでいいでしょう。

辻原弘市日本社会党

○辻原分科員 主査から時間の催促を受けておりますから、あとの問題につきましては別の機会にでもいたしたいと思いますが、一点だけ。いまの給食の問題について、二点になりますが、お許しを願いたいと思います。  最初の、四十万石を確保せられることは、私は一歩前進であることは認めております。私が申し上げるのは、単に全体的な需給ということだけを頭に置いて、悪口を言えば乳業資本のいわゆる生産需給、これを調整するような役割を学校給食が果たすのでは意味がない。そうではなくて、農業は最近協業化して進んでいっているわけですから、農村の状態は昔と違う。そうすると酪農組合とか、いろいろなものがたくさん出てきているわけです。その生産と学校給食の消費が直結するという形で、昔より非常に楽になった。このことに着目してもらいたい。それがうまくいくところは、モデル地区を全国に広げていけば、普通の状態ではなくて、生産が非常に少ない場合には学校給食の利用を減らして、それを若干他でもって補っていく、そうするとその地方における酪農の調整にもなるのです。時間がありませんから詳しく申し上げませんが、そういう意味のことを申し上げておるわけであります。だから、全国的な調整に頭を置いたのでは、問題は非常にむずかしくなる。だから、隗より始めよということでそういう一つのモデルケースを取り上げてやってみてはどうか。私はこれは大いに振興の余地があると考えております。  それから僻地の問題でありますが、これもひとつ、失礼ではございますけれども、皆さんに観念を改めていただきたい。というのは、僻地教育の振興ということは、口先では幾らでも言われている。ところが在外僻地に対する振興の認識が、私はわかってはいないように思う。というのは、これも町村合併という事態がありまして、最近の人口の移動という動態が大きく影響している。だから極端な例をとれば、五つあった分校がなくなるとか、小学校を廃止しなければならぬという状況が今日出てきているわけであります。しかも都会地における最近の消費生活というものは非常なものがある。こういうアンバランスが、たとえば教員充足にしても非常に深刻な状況に追い込んでおる。そういうような状況をとらまえて考えたときに、在来の僻地教育振興で足りるかどうかということ、これは真剣に私は考えてもらわなければならない。町間がありませんから、詳しくは申し上げませんが、幸い今年度の予算を見ますると、いわゆる僻地なるものの基準についての再検討を加える調査を、文部省も積極的にやられるということであります。来年度は振興法に基づく従来の省令指定が、改定を加えられるという時期であります。したがって私はあえて申し上げるのでありますが、この時期は少なくとも過去四年前の時期とは、全く状態が違っておる。新たな事態を踏まえて、かりに従来の方式において舌足らずの点があっても、それをただのんべんだらりと続けていくという考え方ではなくて、抜本的にひとつ考慮すべきじゃないか。たとえば、現在法律に基づく一級から五級までの指定、こういうことについて、一定率による手当を出しております。その手当も非常にけっこうでありますが、しかしながら今日八百円出すから、一千円出すからといって、それでは私はあえて僻地へ参りましょうという——これはまことに残念な話でありますけれども、人間の気持ちとして、気分的に八百円よけいくれるから私はあんな僻地でしんぼうしましょうということは、いわゆる聖先生です。普通の人間ではない。その程度でぼかされていたのでは、私は僻地へ行きたいという場合は別といたしまして、何かそういう施策によって奨励策をとろうという場合には、たいした力にもならないということを申し上げたい。そこでかりにそういう方面において抜本策を講じて、僻地における教員充足、教育振興をはかろうとするならば、私はたとえば僻地における勤務年数に加算制度を設けるべきだ。加算制度、それはいろいろな方法があると思うのです。これは異例ではありません。昔は戦地における兵隊は、戦地加算で一年が二年、あるいは三年に加算される。僻地の勤務は実際いまの社会状態から考えて、そのくらいの値打ちがあると思うのです。そうすれば、若い時代に苦労して、年が寄ってくる時分には、十分その報いが国家的にあるということになる。だから、あくまでも属人性に基づくそういう一つの加算制度、ないしはこれは方法を変えれば特別昇給制度、いま何か勤務評定に基づく特別昇給制度などということが議論されておりますけれども、そんなことは人間の知恵ではなかなかできません。それより特別昇給制度をとられるならば、こういう一つの、いわゆる教育的には不毛の地、文化的には不毛の地を開拓しようとする、そういった教職員の待遇措置として活用すべきではないか、私はこう考えるのです。だから、幸い基準の改定を検討され、新しい方法をとられるならば、そういった抜本策をひとつ講じてもらいたい。あるいは通学道路等の問題につきましても、文部省だけではなく、建設、農林、その他奥地林道との関係も考慮して、むしろ私は僻地振興の立場というものは、そういう面に着目をしていただいて、ひとつ明年の改定期には抜本策を文部省から御提示をいただきたいということを要望いたします。時間がございませんから、私の質問は終わり、いまの点についてのみ御見解を承りたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいま示唆に富んだ御意見をいただいたわけでありますが、私どもとしても僻地教育を振興する観点から、教員の待遇問題は不可分の問題として検討いたしたいと思っております。先ほどお触れになりましたような昇給制度なども、これは一つの考え方であろうと思います。また三十四年に僻地の指定基準が制定されまして、当時はいろいろ苦労して制定したわけでありますけれども、今日の実情から見ますと、その実態がはたして適切に運行されているかどうかというような問題もございますので、今年度以降において十分検討してみたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 僻地の問題につきましては、私も特に留意いたしておるつもりでございます。またいろいろ御意見等もお聞かせ願いたいと思うのでありますが、十分ひとつ検討させていただきます。

相川勝六自由民主党

○相川主査 田口誠治君。  田口君に申し上げますが、三十分以内に御質問はとどめておいてください。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 それでは議事進行に協力する意味で、端的に申し上げて、端的にお答えを願いたいと思います。  いま辻原先生からも僻地振興教育の問題について若干触れられましたが、初中局長さんが昼から参議院のほうへお出かけになるようでございますので、そのためにも先にやりたいと思います。今年は予算の内容を見ますと、僻地学校の寄宿舎運営費補助として五千五百五十五万九千円という予算を組んでいただいてあり、特に通年制に対して一人当たり一年に四万四千二百十二円という年額の予算が組まれて、そしてこれに二分の一の補助をするというようになっておるわけです。  そこで、私は若干ここで御質問申し上げたいと思いますのは、一年に四万四千二百十二円というこの算定基準をどうしてお出しになったか、これは実際とだいぶ相違があるわけですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 四万四千円を算出いたしました考え方といたしましては、大体月四千円というような考え方で十一カ月分を組んだわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 それは予算の面から出しただけで、実情調査の上に立ってどれだけ要るからというような点から、この金額を出されたのではないですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 従来盲ろう学校の寄宿舎の補助、あるいは準要保護児童生徒につきまして食費その他を補助いたします際に、大体予算の積算の基礎がございますので、それ並みに今回の場合も月四千円というような考え方で組んだわけでございます。したがって、実情云々というお話がございますが、従来の例から申しますと、大体月四千円でまかない得るというような考え方に立っておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 それは食費だけですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 食費のほかに日用の雑品費を含めております。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 寄宿舎をつくった場合には、それを世話する人も地方自治体のほうではかかえなくてはなりませんし、いずれにしても一人当たりどれだけ要るかということを積算して、そういうものも包含してやはり金額を出さなければならないと思うのですが、これは食費と何ですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 日用の洗面道具その他の日用雑品を含んでおります。ただいまのような寄宿舎の舎監あるいは寮母というような種類の職員の経費は含んでおりません。これは別でございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 先ほど辻原先生のほうからも、町村合併によって寄宿舎に入る生徒が非常に多くなったというような内容のことを申されておりましたが、全くそのとおりでございます。それでこれは都市周辺の文化生活をややしておるところでなくして、ほんとうに山間僻地の最低の生活をしておるところの、月一人子供を学校へ宿泊させておくには、どれだけかかるかという点は、これは請願書において岐阜県の徳山中学の関係を出してあるわけでございまするが、これは一カ月五千円負担をしなければならない、こういうことになるわけです。だから私は、洗面道具とかいろいろなものが入ったといたしましても、大体これは食費にウエートが置かれておると思いまするが、一年に四万四千二百十二円ということになりますると、一月に三千百円ということになるのですが、こういう基準に基づいて二分の一の補助ということになりますると——二分の一は補助するという聞こえはいいけれども、実際的には父兄の負担というものは非常に多いわけなんで、最近税外負担の軽減ということが各地で叫ばれておりますので、特に子供の教育の問題、特に山間僻地の、ただいま質問申し上げておりまするような、寄宿舎に入って勉強しなければならない人たちには、国のほうは相当の補助を出してもらわなければ、貧乏人は出せないということになるのです。義務教育であれば中学までは出さなくてはなりませんし、そうかといって金がなければ出せないということになりまするから、こういうような点をやはり勘案をしてもらわなくてはなりませんので、私はどうしても一月に三千百八十一円でまかなえるのだというこのことが不思議でなりませんし、もしできるということなら、積算基礎の内容を御発表をしていただきたいと思うのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 食費につきまして三千百円というお話でございますが、予算といたしましては四千円ということになっております。そのほかに宿舎の維持、運営費等につきましては、それについての補助もございますので、そういった面から子供の負担が特に多くなるというような具体的なことがございますれば、これはまた具体的なケースに応じて考えなければならぬと思います。私ども、いままでやりました寄宿舎居住の補助につきましては、大体いままでが四千円程度でまかない得ておるようでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 いま数字の面でちょっと私の質問と相違があるようでございまするけれども、私は、一年じゅう宿舎に生活をしておる人、一人当たりの算定基準が年額四万四千二百十二円ということでございますから、これを十二で割りますると三千百八十一円、こういうことになるわけですが、違いますか。四千円ですか。それは間違いありませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 最初に申し上げましたように、これは十一カ月分であります。休みのときは入っておりませんから、一月分は計上していないわけです。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 その相違の点はわかりました。  そこで、いずれにいたしましても、四千円近いものの二分の一を補助金として交付していただきましても、ただいま申しましたように町村の合併によって、相当数の子供たちが年じゅう宿舎に入って生活をし、勉強をしておるという人が多いわけなんで、それが山間僻地で五千円事実かかるわけです。これは山も何もありません。五千円かかるということなんです。だから四千円という基準で出してもらっては、二分の一の補助金を出してもらってても困るわけなんです。したがって私は、こういう点を来年度はもう少し検討していただいて、そして実際に要る金額を基礎に、二分の一なら二分の一の補助金を出す、こういうように来年度の予算要求のときにはひとつ変えてもらいたい、この点を強く要望しておきます。  それから文部省の初等教育課の調べによりますと、ただいま申しました二分の一の補助を受ける対象人員というのが、全国で二千四百名ということでございますが、これはあまりにも少ないと思うのです。したがって、この二千四百名というのは、どういうような階層の人か、貧困な人とか、あるいは距離とか、いろいろあると思いまするが、何といっても二千四百名はあまりにも少な過ぎると思う。二万四千名と間違っておっても私は少ないと思いまするのに、二千四百名というのはあまりにも少ないと思いまするが、これは数字が違っておるなら違っておるというようにお答えいただいてもけっこうです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 現在通年制でやっております者の現状から考えますと——もちろんこの予算の二千人余りの人数でございますが、現在瀞宿舎へ収容しております全部に対してやるという考え方ではございませんので、これは大体その数に近いと思いまするけれども、試験的に今年度初めてこういう通年制の寄宿舎に収容してやろうという、試験的の意味でございます。将来の問題としては、これをだんだん広げていくということも考えられるわけでございます。予算としては、約二千人予算の中に計上をしてあるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 二千四百名という点は気持ちはわかりましたが、さて二千四百名というのをどういう基準で出すのか、これもちょっとわかったのですが、それについても具体的に御説明をお願いします。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 これは各県のいろいろな事情もありますし、私どもとしては各県の実情を十分お伺いして、その上できめたいと思います。したがってこまかい数字に関しましては、現在のところ持ち合わせておりません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 それではいまの四万四千二百十二円というものを基礎に置いて、二分の一の補助をするということは、二千四百名に対してであるが、それをだれにするかということは、これから県を通じて市町村役場へ調査を出して、それを集約してきめるということなんですか。四月に間に合いますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 寄宿舎を建設し、これを運営するということにつきましては、やはり特定の学校を考えるわけでございます。どこの学校をとるかということにつきましては、これは県の教育委員会と十分協議をいたしてきめたいと思います。したがってこの寄宿舎にどういう子供を収容するかということは、やはりこれは各県のいろいろな事情がございますから、実情に適するような者を収容していきたい、こういうことでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 県の教育委員会とよく相談してきめるということですが、これは各市町村の役場に申請を出せということになると、ずいぶん出てくると思うのです。教育委員会のほうでも、相当手にあます面があろうと思うのです。そういう中で文部省と交渉をいたして決定をいたしましても、各県で幾らも対象にならないわけです。たとえば私が先ほど申しましたように、村から請願書も出ておりますような、岐阜県ではほんとうに山奥で、どうかといえば国会議員でもそういう地域は選挙のときでも入ったことのない、国会議員の顔は見たことのないというような地域の、岐阜県の徳山村の中学あたりは、大体そういうのに該当できるかどうか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 まだ県の教育委員会から具体的なお話をいただいておりませんが、出てまいりますれば十分検討してみたいと思います。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 それでは、これ以上この質問を進めても答弁が進みませんので終わりますが、岐阜県にはそういうような地域が相当ございますので、教育委員会と十分に相談をしていただいて、そして村の父兄の人たちの要望にこたえるような取り上げ方をしてもらいたいのと、この金額ではあまりにも少な過ぎる、総予算が少な過ぎるということなんです。実際にそういう補助制度を設けた場合には、あまりにも金額が少な過ぎると思うので、来年度はもっと予算を要求して、この方面に力を入れていただきたいと思います。  それでは質問を次へ移します。次は、数年間いろいろと各県から運動が続けられ、ようやく昭和三十九年度から岐阜、兵庫、山口の県立医大が国立に移管されるということがきまったわけでございます。そこで私ども、これには相当案があるように聞いておるわけなんです。そしてその条件の内容も、ちょっと過酷な条件のようにも考えられますので、この席上で明確にしていただきたいと思います。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 三つの県立大学の国立移管につきましては、三十九年度の予算で日の目を見たわけでございますが、この移管の条件はどうなっているかというお尋ねでございます。この点につきましては、予算の決定前に三県の知事と個別的話し合いをいたしまして、三大学に共通する一般的な条件をきめております。しかし個々具体的な条件につきましては、ただいま協議会をつくりまして、その協議会で三県それぞれの代表者、たとえば知事なり県会議長あるいは大学長等も合わせまして、検討を進めておる次第でございます。一般的な条件といたしましては、これはいろいろございますがおもなものを申しますと、たとえば施設設備につきまましては、従来から文部省がつくっております基準がございますので、その基準に達するよう整備等をして移管してもらいたい、そういうようなことも一つでございます。なお、大学の財産の中で従来紛争があったり、また紛争のおそれのあるようなものは移管のときまでに解決をしてもらいたい、今後は、御承知のように大学移管は、年次計画をもって三十九年度以降四カ年にわたって移管をするわけでございますが、その最終までの間におけるいろいろな現状変更等については文部省に協議をしてもらいたいというような一般的な条件をきめております。個々具体的な条件につきましては、先ほど申しましたように、時間をかけて折衝をするつもりでございますが、私どもとしては、先ほどおことばにもございましたが、無理のない程度で条件を取りきめたいと思っております。ただし、移管の際でございますので、無理のない範囲でできるだけひとつ地元に御協力を願おう、過酷なことはしないつもりでございますが、そういった気持ちで相談をいたしておるわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 国立大学に移行する場合には、設置基準というものがございまして、それに足りないものがあれば当然県に要求をしてそれを満たしてもらうということは、これは私理論的に文句のないところです。それで私は、設置基準の内容を全部書き取って読んで暗唱しておりますが、今度示されたいろいろな要求は、この基準をずいぶん上回ったものが出ておるように私は受け取っておる。したがって、この設置基準までのものを要求されておるというなれば私は何ごとも言うことはございませんけれども、そうでありません。しかし、そうでありませんといっても、これは直接あなたのほうから聞いたのでなくして、新聞等で報道されたものによって認識しておる範囲内でございますので、それでお聞きをするわけなんです。これは本来なれば三県のものを順次お聞きするのが妥当でございますけれども、時間の関係もございますので、私の県の岐阜県の場合、これをひとつお聞きをいたしたいと思うのです。  新聞等で報道されておりますのは、とにかく現在の県庁舎を全部明け渡せ、それからあの南の周辺の民家を買収して道路の整備等を行なえ、このことは、あの周辺を買収して、あの辺一帯を岐阜国立大学の医学部の敷地にするのだということで、一般の市道とか県道とかいうものがその中に入っておってはいかぬのだそうです。そういうことであるかどうか。それからその他の整理費として二十億円の負担をせよ、こういうことを県当局のほうへ条件として出されておるようでございますし、なお私がお聞きをしたいのは、二十億円の負担をせよということは、二番目に申し上げました周辺の民家の買収等をするためにいろいろお金がかかるから、そういうようなもの一切を見積もり、また現在の看護婦さんの住んでおるところの宿舎も非常に悪いから、こういうところも建築し直さなくてはならない、こういうようなものを全部見積もって、合計した金額が二十億円になるのだから、そういう費用を岐阜が持て、こういうことなんですか。まず、その三つの条件は条件として出されておるかどうかということと、それからあと二十億円の関係、民家買収の関係、これも分けてひとつ御答弁を願いたい。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 条件としては、先ほど大学局長から御説明申し上げておるように、共通的に文部省の基準に達する程度の整備をしていただきたい、こういうことを抽象的に申し上げているわけでございます。そこで、それでは文部省の考える基準まで達するということは具体的にどのような問題があり、どのような改善が必要かということについて、その一般的な条件をお示しする際に、またその後において私どもの考え方をある程度申し上げております。ただし、そういうことはその基本の原則に即して今後具体的に協議会で審議され、そこで結論が得られる、こういうことにいたしておりますが、ただそこでの審議にあたって、現在事務的にはこういう点を問題にしております、こういう点が改善される必要があるのではないかと考えております、こういう意味においていろいろなことを申し上げております。  まずその第一点といたしまして県庁舎の問題でございますが、県庁舎が最近移転されるということもあり、そしてそれを医学部にという話も一部にはあるようなことも私ども承っておりますので、もしあの県庁舎が医学部に移され、これが活用されるとすればここに出すのだ、そういうことを申し上げる根本の理由は岐阜大学の医学部につきましては特に敷地が狭いのであります。一般に、医学部においては大体三万坪程度の土地があるのでありますが、岐阜においては六千坪ぐらいだったと私は思います。だからこういうことでは将来国立大学の医学部としての基礎が不十分である、その発展が期せられない、こういうことを考えますと、やはりどうしてももう少し土地をふやすくふうをしていただかないといけない。現在の土地だけでもし国立大学に一般に要請されます施設整備をしようとしても非常な無理がいきます。そこでいろいろな方法を考えていたのであります。その一つとして、いまのような県庁舎の移転の問題があるから、その際ひとつそれをお考え願えないか、またそれと関連いたしまして、前の道路とそれから一部の民家が含まれているかと思いますが、その整備がやはり必要である。そうしないと、あれがまとまった土地として十分な整備ができない。そういう点をひとつお考えいただけないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。そのほか事務的にいろいろな点を申し上げておりますが、基本的には今後それらのいろいろな考え方を協議会において十分御審議いただく。そこには第三者の学識経験者も入れてございますので、そういう方々の意見も聞きながら客観的に国立大学の医学部としてどのようなことを最小限整備すべきかということを十分御検討していただき、なおそれと並行いたしまして、県の財政負担の問題もあわせて十分御相談してできるだけのことをしていただくようにお願いするということで今後御相談してまいりたい、かように考えているわけでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 二十億の使い道は……。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 二十億円というようなことをはっきりと条件とするというようなことは申し上げておりません。いろいろ計算のしかたによって違います。そういう数字もひとつ条件として提示するということはいたしておりません。ただ事務的にある程度こういういうふうな計算をすればこうなるということを申し上げたかもしれませんけれども、私どもがはっきりとそれを条件とするというようなことは申し上げておりません。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 こうすればこうなるということは、結局大学が国立に移管する一つの基準をつくらなければならないので、その基準にマッチさせるためには、たとえば医療機械器具を購入しなければならない、近代的なものを買わなければならない、それはいろいろあろうと思いますが、結局移行するところの基準に合わせるために二十億円が必要であるかどうかということなのです。これは岐阜県は問題になっておるから、こまかいことを聞いておるのだから、そのまま答えていただけばよろしいです。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 いまの金の問題の計算のしかたについては、たとえば県庁舎をこちらへ移管していただくというようなことを考えました場合に、その評価をどうするかというような問題がすぐに関連してまいります。  私は、その二十億円ということを、何かはっきりした形で申し上げたということは承知しておりませんし、大学局長もそのように承知しておるようであります。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 持ち時間の要求ができましたので私も協力したいと思います。そこで残りの問題は私の委員会へ設置法の改正が出ていますので、そのときにまた皆さんに来ていただいていろいろ聞きたいと思います。  ただ一つだけここで御答弁をしていただかなければならないことがございますが、それはどういうことかと申しますれば、国立に移管した場合に地方公務員が国家公務員になる。そこで現在事務局のほうでそろばんをはじいてみますと三千円から五千円、古い人は七千円くらいベースダウンになる、こういうことなんですが、まあ職員として一番身にこたえることは給料の下がるということなんです、収入の下がるということなんです。したがってこういう点については、これはどこの学校が国立に移管されてもこういうようなことを忍ばなければならないのか、そうしてまたこういうことをやらなくてもいいのかどうなのか。私はできれば現在の待遇そのままで地方公務員を国家公務員にかえてもらうような方法をとっていただかなければならないと思いますので、待遇の面についてはどうなりますか。実際において、かけひきのないところをひとつ……。

安達健二文部事務官(大臣官房人事課長)

○安達説明員 従来公立大学の国立への移管につきまして、医学部の関係二つとその他七つの学部の移管が行なわれたわけでありますが、これらのすべての場合を通じまして地方公務員を辞職して国家公務員に採用する、こういう形式をとっておるわけでございます。したがいまして国家公務員になった場合には、国家公務員としての再計算をするという考え方に立つわけでございます。そうして特に地方公務員等からそのまま国家公務員になる場合につきましては、人事院細則の九−八−二の十四条という規定がございまして、一般の場合でございますと、経験年数、すなわち一般の地方公務員等の場合で新しく採用になった場合におきましては、たとえば十八カ月を十二カ月とみなして、つまり三分の一だけ経験年数を差し引いて昇給させていくというような計算方法をとっておるわけでございますけれども、こういうような場合につきましては十四条に特例かありまして、国家公務員部内の職員の他の職員との均衡を考慮して人事院と協議して俸給を決定する、こういう方式をとるわけでございます。したがいまして、その場合には地方公務員としての経験年数をそのまま国家公務員としての経験年数に見る、こういうようなしかたで再計算をしているわけでありまして、そういう特例が設けられておるわけであります。ところが国家公務員の給与水準と地方公務員の給与水準との間で違いが生ずることがございます。一般的に申しますと、規定といたしましては国家公務員の基準によるわけでございますけれども、水準等におきまして若干地方公務員のほうがいいという場合があるわけでございます。そうなりますと、同じ経験年数の計算方法を用いましても、国家公務員になる場合に従来のいい分だけが下がるということもあり得る、こういう結果を生ずるわけでございます。このことは考え方といたしましては、現にたとえば国立の岐阜大学にいる職員と同じ経歴の人が公立大学にいたといたしまして、その人が現在の給与そのままで切りかえられますと、地方公務員であった者のほうが得をする、こういうことになりますと、部内の国家公務員相互の間の均衡を害するというようなことで、現在の同じ経歴の人と同じところまでは上げられるけれども、それ以上は少し困難だ、こういうのが従来から踏襲してきました方針でございまして、また一般に通ずる原則でもあるわけでございます。そこで岐阜大学の場合に、事務局のほうで計算されましたいま御指摘のような数につきましては、これは計算の方法等につきましてもなお十分検討する余地があろうかと思います。たとえば、係長の人をこちらのほうで係員として計算してあるというようなこともあったように聞いておるわけでございますので、これはもう一度こちらのほうでどういう地位に来られるかということを勘案しまして、それによりまして現在の国家公務員との均衡がとれるように措置をする、こういうことでございます。そういう場合に、地方公務員のほうの給与水準がいい場合には下がることもあり得る、こういうようなことでございます。

田口誠治日本社会党

○田口(誠)分科員 これで要望して終わります。いずれにいたしましても、地方公務員を国家公務員に直す場合に、待遇の面は号級その他でいろいろむずかしい面はございましょうが、これをきちょうめんにやってもらうと三千円なり五千円なり七千円なりダウンするということになりますので、これはやはり耐えられぬと思う。原則は原則としてあろうと思いますけれども、ちょうど本庁で係の人が県庁に行くと係長になる、係長が行けば課長になるというようなことで、そういう計算で国家公務員と地方公務員との関係を給与の面でいろいろひねくってもらいますると、やはりただいまのような大きなダウンになるわけでございまするので——この点は実際に非常にむずかしい面はあろうと思います。私も内閣委員会で給与の面を扱っておりますから、むずかしい面はあろうと思いますけれども、いなかの町におって五千円も七千円も収入が下がるということはなかなか耐えられるものじゃございませんので、原則は原則としてあろうと思いまするけれども、処理のしかたによって、そろばんの出し方によっては、そんな大きな開きをつくるということはせずにできる方法もあろうと思います。こういうことについて一案を私は持っておりまするけれども、きょうは時間もございませんので、また次の機会に詳しく私のほうからもお願いを申し上げ、また文部省からもただいま申し上げましたような考え方の上に立ってひとつ案をつくっていただき、県を指導していただきたい、こういうようにお願いをして質問を終わりたいと思います。

相川勝六自由民主党

○相川主査 午前の会議はこの程度にとどめます。午後一時三十分より再開して文部省所管に対する質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議

相川勝六自由民主党

○相川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、文部省所管に対する質議を続行いたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 文部大臣に二、三のことをお伺いしておきたいと思いますけれども、北海道の教職員の配置基準の問題について少しお伺いをしたいのですが、私の承知している限りでは、全国の水準から見ると、北海道の配置基準というのは相当悪いというように記憶しておるのですが、こういう点について伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 そのお答えは政府委員からさせたいと思います。

岩間英太郎文部事務官(初等中等教育局財務課長)

○岩間説明員 三十八年度までは御指摘のように、北海道はほかの県に比べまして、教員の採用等が困難だというような事情もございまして、ほかの県よりは悪くなっております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 実数の上ではどういうふうになっておりますか。

岩間英太郎文部事務官(初等中等教育局財務課長)

○岩間説明員 本年度の状況は、いま手元に資料がございませんが、来年度におきましては、標準法の改正等によりまして、小学校が約千名、中学校が約四百名、それを増加しなければならないというふうな状態になっております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 その何名というのは何学校当たりということですか。

岩間英太郎文部事務官(初等中等教育局財務課長)

○岩間説明員 北海道の配置基準につきましては、手元に資料がございませんで、はっきり申し上げられませんけれども、今度の標準法の改正によりまして、小学校で千名、中学校で四百名の増加を要する程度の配置でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 これは大臣もいまお聞きでおわかりのとおり、北海道の場合非常に悪いわけですね。ですからこの間予算委員会の一般質問の中で、産炭地問題で社会党の中村委員の質問に答えて、産炭地の実情の中では、大体その県の中でやりくりをするならば増員をしなくてもいいだろう、そういう話をしておられるわけですが、北海道はやりくりする以前の数がないわけですよ。そうすると産炭地問題になってくるとますます足りないわけです。そういう北海道の特殊事情ということをお認めになるのかどうか、そこの点を伺いたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 北海道につきましては、いま政府委員からお答えいたしましたとおりに、相当今後は増員せられることになるわけでございますので、大体定数の範囲内で特殊の事情のある地域に対しましては、その考慮も払い得るものと一応私ども考えておるわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 というのは増員をしなければならないでしょう。だからその道内のやりくりで解決ができないでしょう。増員しない限り解決ができないでしょう。そういうことですね。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 今度は相当増員することになるわけでありますから、その増員せられた定数の中でいろいろ考慮する余地はあるであろう、このように私は考えておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それは産炭地の問題は特殊問題として考えないという意味でそういう御答弁になったのですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 その管内の地域の状況によりまして、特に必要がある個所に対しましては特殊の配置もできるのではないか、こういうふうな意味で申し上げているわけであります。産炭地について特別の考慮を払う必要がある、これも地域の事情によるだろうと思うのであります。そういうことで都道府県の教育委員会で考慮する余地はある、このように私は考えておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 もう一点伺っておきたいのは、産炭地の問題が重大な問題になっているのは御存じのとおりだと思います。この産炭地の問題を特殊的に考える必要があるのではないかという論拠についてはあとで私はお話しをしたい。文部省の今日の方針としては、産炭地の教育の問題を特殊な問題として考えておられるのかどうか。これは北海道ばかりじゃないですよ。九州の場合もその他の場合でもある。こういう問題を特別な問題として御考慮になっておられるのかどうか、そこの点を伺いたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 産炭地の特殊な事情にかんがみまして文部省でなしますいろいろな措置について、産炭地に対しては特別の考慮を払って今日までやってまいっておると思うのであります。詳細は政府委員からお答えいたさせます。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 従来産炭地の学校の児童生徒等につきましては非常に生活環境が悪く、要保護児童がふえるとか、いろいろ教育問題があるわけであります。また非行青少年の問題も最近いろいろいわれております。そういう対策として、私どもといたしましては、たとえば給食についてもできる限りの配慮をするとか、あるいは準要保護児童、要保護児童等の就学奨励についてもできる限り実情に応ずるような運用をしていく、そういうような措置をとってまいりました。  なお、教員の定数等につきましても、青少年の不良化に伴いましてその指導強化という意味で、産炭地等につきましては教員定数も若干そういう専任の先生を置いてもよろしいというような方向でやってまいったわけであります。しかしながら、まだ不十分な点は多々あると思います。今後も改善、充実をはかっていきたいと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 たとえば教職員の定員の問題について特別な事情を考慮してということなんですが、それはいつどこに対してどういうようにやっているのか、もう少し具体的に伺いたい。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 特に福岡県などでは従来から特殊な学校につきまして定数を若干オーバーしても教員の充実をはかっていくというようなやり方で、いま申したようないわゆる青少年の指導に当たり得るような先生の充実をはかるという趣旨から、定数を若干一般の学校よりもよけい配置しているというような実情でございます。そういうものはもちろん国庫負担の対象にもいたしているわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それは福岡の場合、教育委員会と知事との間で話ができて、児童の場合四十五人ということを本省がお認めになった、こういうことですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 そういうことではなくて、それは新しい問題でございます。従来一般の小中学校につきまして生徒指導を強化するという意味から、若干教員の配置を他の学校よりもよけい見るというような措置をとってきておるわけでございます。今後の問題としては、また都道府県等で教育委員会がその事情に応じていろいろ具体的な計画をしようとしているわけでございますから、それらについて私どもとしては十分検討してまいりたいと思って  おります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 だから、いままでのは具体的にどれくらいの数字をどうしたのですか。そんなのをどれくらいしているかあまりわからないのだけれども……

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私が県の教育委員会から伺いましたのは、三十人ないし四十人ぐらい産炭地の学校には充実しておるということを聞いております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 福岡の場合は一応わかりました。北海道はどうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 北海道の場合は聞いておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 北海道はやってないということですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 定数についてはそういう措置は教育委員会としてはやってないようでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 そこで私伺っておきたいのは、あなたのいまの御答弁を伺うと、産炭地の問題については、福岡は地元の地方自治体が自主的にやっておるのであって、北海道の場合はそれをやってない、こういうお話、そうすると、文部省としてはそういうことについて特別な指導はしてないということになるわけですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 もちろん教職員の定数等につきましては県の教育委員会なり道の教育委員会から私どものほうに御相談があるわけでございます。許される範囲におきましてそういう措置を従来もとってまいりましたし、今後も生徒指導の強化という点につきましてはできる限りワク内でこれを充実していくような考え方でやってまいりたい、こう考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 問題は、これはむしろ大臣に伺いたい点なんで、いま局長の答えたように、文部省が自主的な形で産炭地に対する特別な対策を講じておらない、自治体のほうでそういう要求があったならばそれを考慮するという程度のことなんですね。ところが産炭地の問題というものは、御承知のように政府の方針で炭鉱の合理化が進められておる。御承知のとおりに石炭の閣僚審議会までできて、国の大方針として方針ができたわけです。そういう方針に基づいて——文部省は具体的な方針を地方の自治体に対して直接命令する権限のないことはわかっておるけれども、特に教育委員会同士の関係とかそういうことはわかっておりますが、何らかの指導をやるのが私は文部省の仕事だと思います。こういう点いままでやってないということが明らかになってきたのですが、こういう点については大臣どのようにお考えになっておりますか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 お示しになりました産炭地の状況等につきまして、これはやはりその地方の実情に即して配慮してもらわなければならない問題だと思うのであります。われわれとしましては その意味におきまして地方の特別な配慮というものに対しまして極力協力をし、また援助する、そういう心がまえでおるというのが今日までの文部省の態度でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 ということは、産炭地の教育の問題について特別な方針を文部省としておきめになるということはいま考えておならい、こういうことですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 特に方針として具体的にかれこれ指図するということはいままでいたしておらないと思います。そういうふうな地域に対しては文部省も地方に協力してっていこう、こういう態度を示しておるわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 どうも文部省は特別に方針をお出しになるようなお考えがない、産炭地が非常に苦しい状態になっておるのに対して教育の問題、教育行政としては特別の方針がない。もう一つは、先ほどから現地の実情に応じてというような話はいろいろ出ておりますが、それでは局長に伺います。文部省はこの産炭地の教育問題について実態調査しておりますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 全般に詳しい調査はいたしておりませんが、それぞれの時点で教育委員会からかなり詳細な資料をいただいたところもございますし、そういう資料に基づいて私どもとしては対策を考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 文部省自身はおやりになってないですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 最近特に産炭地だけをしぼって調査をいたしたことはございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 これは重大な問題だと思うのです。大臣にこれは伺っておきたいのですが、自治省の関係なんかは産炭地の教育問題で実態調査をやっているんですよ。御本尊の文部省のほうが産炭地の教育の実態調査をやっておられない。これでは文部省は一体何を考えているのか。ほかの役所が実態調査をやっているのに、御本尊のほうがやっていないのじゃこれは恥ずかしくて話しにならぬじゃないですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私の申し上げようが悪かったかもしれませんが、先ほど私が申し上げましたように、要保護、準要保護児童等につきましては、就学奨励との関係もありますので、これらにつきましては十分文部省としては毎年調査いたしております。しかしながら、最近いろいろ言われておりますような産炭地問題について特に私どもとして新しく調査をしたことはないということを申し上げたわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それは産炭地の問題としてやったのじゃないのでしょう。要保護調査をやっただけなんでしょう。それは私が言っているのと違いますよ。私は、自治省ではそれをやっていると言うのです。あなたのほうは教育の問題だから、それは要保護者の調査をやるでしょう。それは従来やっている。産炭地の問題がこのような特殊な事情になってきた場合には、これは教育行政を担当するあなた方のほうが、ほかの役所がやる前に教育の面からやるのがあたりまえじゃないかと思いますが、大臣、その点どうですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 従来の文部省の調査につきましては、ただいま局長がお答えしたところでありますが、御質問の御趣旨はよくわかります。十分ひとつ考慮してまいりたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 私も国会に出てからずいぶん長くなりますので、考慮ということばが何を意味するかというのはよくわかっているんですよ。よく考慮してとおっしゃてもなかなか実行に移されることのないということも私はよく知っておるんですよ。やっぱりそういうことはやりたいと思うとか、そういうあれをなさらないと、もう少しずばりと言っていろいろな色をつけて、(「味をつけて」と呼ぶ者あり)せっかく前予算委員長もああ言ってくれておりますから、もっとずばりお話しになったほうがいいと思いますので、もう一度お伺いいたします。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 従来の調査の実情をよく調べまして、不十分な点があるとするならば、さらに調査をすることは私はちっともやぶさかではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 そういう点を特殊な問題として御調査になるというように私は希望もいたしておきますし、あなたの御答弁はそういう意味だと私は解釈をいたしておきます。あえて私は質問をしません。そういうふうに解釈をいたしておきます。  そこで、産炭地の問題について文部省は全然熱意がないんですよ。大臣は大所高所に立っていろいろ考える人ですから、そこまでわからない場合もあるでしょうから、あえて私は責めませんけれども、担当部局においても熱意がないんです、はっきり申し上げますと。もう少し熱意を持ってもらうために、先ほどから何度か、文部省は特別な方針をお持ちじゃないんですかと私は聞いておる。熱意のない証拠は具体的にあとで申し上げていいのですがね。産炭地問題というのがこれほど国家的な問題になり、社会問題としても重大な問題となっているのですから、もう少し産炭地の教育問題について積極的な施策をひとつ出していただくように希望したいと思うのですが、この点はどうですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御希望の御趣旨は十分了解いたしました。そのつもりで検討させていただきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それでは具体的に言いますが、産炭地の教育について当然ここで問題になってまいりますのは、定員の問題に関連して特別交付税の問題が出てくるわけです。この特別交付税の問題についても文部省は全然無関心で何らやってくれていないんです。こういう点でもいかに産炭地の教育問題について文部省が熱意を持っていないかという明らかな事例が一つある。たとえば、この間産炭地関係の教員の代表団が東京へ出てまいりまして、黒金官房長官あるいは自治省の当局と会っていろいろ話をしております。これは当然当面の特別交付税の問題について黒金官房長官にもお願いをしておる。そこで官房長官は——私、立ち会っておるから現実に知っておるのですが、予算を伴う法律では困るが、しかしこういう窮状については何とかしなければならない。そこでとりあえず三十八年度の特別交付税で前向きの姿勢になるように考えたい、こういうことまで言っているわけです。ところが、また同町に自治省の財政局長に会見をいたしましたときに、産炭地教育については特別交付税の要請は考えてはいる。しかしこの点については文部省から何ら話が出ておらない、こう言っておる。文部省がほんとうに考えるならば、こういう問題について特別交付税の問題を考慮することについて、やはり文部省は教育の御本家ですから、ほかの役所にそう言われることのないように積極的におやりになることが必要なんじゃありませんか、どうですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 特別交付税を必要とする事態であれば、もちろん自治省とも相談いたしましてその努力をすること、これは当然のことだと私は思うのでございまして、各地方からのいろいろ具体的な要請を受けて、それによって考えてまいりたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それではいままでやっていないのは事実なんですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 産炭地の特別交付税につきましては、従来からも毎年自治省と話し合って進めております。かって福岡県等につきましても相当額の特別交付税を自治省とも相談してやってもらったこともあります。今年度につきましてはいろいろ自治省のほうでも検討されておると思いますが、私どもとしてもまだ県の教育委員会その他との十分な話が済んでおりませんので、そういう点から自治省のほうとも連絡はいたしておりますけれども、いまお述べになりましたようなことではなくして、まだ決定していないということだと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 というのはことしもおやりになるということなんですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 それはこれからの検討の問題でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 これから検討して、三十八年度過ぎてから三十八年の分を交渉するのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 これから検討してまだ十分間に合うと私は思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それでは三十八年度の中に繰り入れられるわけですか、そういうことで交渉される場合には当然そういう交渉をされるわけですね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私どもとしては、三十八年の問題もございますが、三十九年の問題も県のほうから相当要請を受けておりますので、そういう点について全般的に考えていくということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 三十九年度もやってもらわなければならないですよ。三十八年度はあなた知っておるように間もなくでしょう。その三十八年のほうはどうするのですかと私は聞いておるのです。  いままではそれぞれの年次についてやったのに、三十八年度のそれをやっておらないというのは何か特別の事情があるかどうか、おやりになったらいいじゃないか、どうしておやりにならないのですか。何か特別におもしろくないことでもあってやりたくないのですか。こういうことはやったらいいじゃないですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 私どもは、別にそういう趣旨ではございませんが、県の教育委員会から具体的に三十八年度について要請を受けていないのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 前年度までは受けておったのに、ことしになって受けていないのはどういうわけですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 前年度までの準要保護児童あるいは要保護児童等に対する就学奨励の裏打ちの費用は、十分相談を受けましてこれは措置したつもりであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 ことしこれほど問題になっておるのですから、あなた御存じでしょう。文部省にもずいぶん行っておるでしょう。教育委員会からこなくても、そういう問題があるということはあなたおわかりでしょう。その点どうですか、それもおわかりにならなかったのですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 教育委員会から私どものほうにはお話はございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 それでは知らないというわけですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 自治省等からも話を聞いておりますし、また陳情等もございますので、そういう話は聞いております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 大臣、よく聞いてください、こういうことなんですよ。文部行政で少しでも予算がとれるならいいじゃないですか。教育委員会が来ようが来まいが、たとえば教育委員会から来なければ、この実情はどうだといって教育委員会に問い合わしたっていいじゃないですか。そういうこともやらないで、何も言ってこないからやっていないんだ、こう言っているじゃないですか。私はこれじゃいわゆる文部行政というのはうまくいかないと思いますよ。こういう点、どうなんですか。大臣にひとつその政治方針として伺っておきたいですね。こういうことでいいんですか、一体。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 地方の実情をよく調べまして、これに応じて施策を講じてまいるということ、これは当然われわれ心得なければならぬことだと思います。いまのお尋ねの問題につきましては、いろいろ陳情、要望等は受けておりますが、肝心の地方の教育委員会等からやはり当然必要であれば要請があってしかるべきだと思いますが、まだそういうものが出ておらないということを局長が言っておるわけであります。われわれとしましても、計画を立て、数字をつくる上から申しましても、そういうふうな地方の調査に基づいての数字がなければ進めようがないということでございますが、あるいは、私どもの態度が、岡田さんからごらんになりまして、まことに消極的だというようなおしかりじゃないかと思いますが、その点は十分今後心がけてまいりたいと思います。取り扱いの問題といたしましてはやはり地方の責任ある当局から必要な資料をそろえて要求をしてもらいたいものだというふうに思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)分科員 これはしかし大臣、自治体からもうどんどんきているんですよ。文部省のほうにそういう話がなければ——それは教育委員会から言ってくることを待たないでも、産炭地の教育の問題といったら限られているんですから、北海道、福岡、山口とそれから常磐なんですから、それはどうなったんだと聞くくらい熱意があったっていいんじゃないですか。役所というのは、局長は役人ですから、まああまりやっかいな仕事をしないでともかく日にちがたっていればいいのかもしれないけれども、そういう点をひとつ思い切ってやったらどうなんですか。そこら辺、問い合わせることもやっちゃいけないのですか、大臣。その点は一体どうなんです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 いや、問い合わせをすることをやっちゃいけないなんといったことは全然ないわけで、事情を明らかにするということについては、われわれとしてもつとめなければならぬことだと思いますが、そういう意味におきましては十分今後気をつけて、ほかの諸君にも積極的に熱意を持ってやってもらうようにいたしたいものと私もさように考えます。いままでも、もちろんその点につきましては連絡をとりつつ進んでまいっておると思うのでありますが、不十分な点があるようでございましたら、私は気をつけます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)分科員 それでは、お気をつけになるのも非常にけっこうですがね、大臣、やはりとりあえず四つか五つの県の委員会に問い合わせればわかるんですから、これは至急あれしてください。特に自治省のほうでは、文部省から何も言ってきておりません、こう言っているんですよ。それを事実いってきているんですよ。さっきあなたは交渉していないと言うから、それは事実だということになるのですよ。去年まではやりましたと言っているんですよ。ことしはまだやっていないと言っているんですよ。それは三十九年度のことはやるつもりでいるようですよ。いま差し迫った問題についていま考えてないんでしょう。これはもう数日以内の問題ですから、大急ぎで大臣、ここでひとつ局長に厳命してくださいな。それの必要な資料は各県の委員会のほうに早急にこちらからイニシアチブをとって問い合わせて、それに基づいて自治省のほうでは考慮を払うと言っているんですから、それならば文部省もそれについてぜひひとつ考慮を払うというなら考慮をしてもらいたいとお話しになったほうがいいんじゃありませんか。文教行政の予算がふえるんですからね。それがいやだということはないんじゃありませんか。どうなんですか。この点、ひとつあまりいこじにならないで、いいことはどんどん思い切っておやりになったほうがいいと思うんですが、この点もう一度大臣に伺っておきたいのですね。こういう点だけは、私が社会党であなたが自民党で、そう意見の食い違ったたいへんな問題ではないと思いますよ。これはむしろ一緒にやったほうがいい問題ですよ。こういう問題こそ思い切ってこの際大胆の権限においてやれ、そして、そういう中において今度は特交が出るときにはひとつあれしろというくらいのことをここで明確に御答弁いただきたいですね。そうしないと、どうもこれは話になりませんわ。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 別に党が違うとか、えこじになるとかいう気持ちは全然ございません。大事なことでありますから、お互いに協力してよくすることについては何ら異存のないところであります。ただいまの問題につきましては、事情を取り調べまして、必要があれば地方とも連絡いたしまして何らかの処置をとってまいりたいと考えます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)分科員 ちょっと大臣、なかなか政治家だ。ことばがあまりわかったようなわからないようなことばなので、私もう一度伺います。一つは、その実情について、関係県に実情を至急問い合わせる、これをおやりになるかどうか。第二は自治省のほうでは特交で考えるといっているのですが、文部省からまだ何もいってきていませんよ、こういうのですから、それならばせめて具体的な数字がなくとも、考えるというなら考えてみたいくらいのことを言ったっていいと思いますよ。そういうことをお話しになるお考えがあるかどうか、この二つです。これはひとつはっきり言明しておいてください。それくらいのことはそう私も大きな声を張り上げて騒ぎまくるまでのことではないですよ。もうわかり切ったことですよ。そんなことさえ、もしおやりにならないということになると、文部省は一体何をやっているんだと言いたくなるわけですよ。その点ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思うのです。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 地方の意向、地方の状況等について、文部省としても一応聞き合わしてみます。それから自治省がどういう考え方をいたしておりますのか、あなたにお答えがあったのだから間違いないと思いますけれども、自治省と地方との関係がいままでどういうふうになっておるか、そういう点についても一応事情をよく聞いてみたいと思っております。もちろん私といたしましては、必要なものに対しましては特別交付税を配付するという処置について異存があるわけではございません。実情に即してもちろん努力することは当然なことだと思っておりますから、そのようにひとつ御了承願いたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)分科員 その点、自治省と特別交付税を特別にあれするということについては御異存がないという基本方針ですから、ぜひひとつそういう点、早急に手を打っていただきたいと思います。  そこで、石炭局長が見えていますから、これは話の前のほうで伺いたかったのだけれども、本論に入っちゃったものですからあれですけれども、御承知のように石炭の合理化に基づいて整備がされて、産炭地に非常に影響があった。そこで子供たちの問題というのがたいへん大きな問題になってきているわけですね。ところがその子供たちの問題について特別な措置というものが、いままで何ら行なわれておらないわけです。法律的にももちろん行なわれておりません。こういう点は、石炭調査団がこの前答申をいたしましたときには、あらかじめ予見されておったことです。ですから答申の中にもはっきりこう書いてあるのです。「このような産炭地域の現状は、単に地域的な経済社会問題に止まらず、わが国全体の経済上、社会上の均衡ある発展確保の重大な障害となりつつある。」ということまでいっているのです。   〔主査退席、古川主査代理着席〕 ところが通産省の関係でおやりになったそれに対する処置というものは、産炭地振興法とかその他二、三の法律がありますけれども、教育問題に関するような措置というものが、当然法律上にも必要になってきていると思うのです。そういう点では、この石炭の合理化に基づくところの方針が政府の方針としてきめられて、それに基づいて再三の閣議が行なわれたその経過から考えて、そうしてまた石炭閣僚の関係会議というものまでできているという中でこの教育上の問題についてはどういうようにお考えになっておられるか。主たる担当局であるあなたのほうの御見解をまず伺っておきたいと思います。

新井眞一通商産業事務官(石炭局長)

○新井政府委員 ただいまお話のございましたように、石炭合理化のあとの処理問題といたしまして、疲弊した産炭地を何とか振興していかなければならぬということはお話のとおりでございます。事業団をつくって一年半ばかりいろいろやっておるわけでありますが、通産省の考え方としましては、これも御承知だと思いますけれども、何とか石炭にかわる鉱工業を誘致して、そうして地元の経済のバックアップをはかっていこうということで一生懸命やっておるわけであります。しかし確かにおっしゃいますとおりいままでの炭鉱というものが、これは普通の工業と違いまして、いろいろ自治団体的な仕事、水道とかいろいろなことをやっておりますので、あといろいろな問題が出てまいっておりますことは先生のおっしゃるとおりであります。特に最近教職員の方々がお見えになりまして、学校の問題が非常に問題になっておるわけであります。私どもも石炭合理化による影響を深く考えておりますので、関係のほうとよく打ち合わせをいたしまして、何とか先生のおっしゃるような方向に進めていきたい、このように考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 これは大臣に伺っておきますが、あらためて私が教育基本法を取り出してあれこれ言うまでもなく、産炭地の問題というのは、先ほどから再三申し上げているように、そしてあなたもよくおわかりのように、国の政策の結果としてあらわれてきた問題なんですね。そのことのために貧困な状態が生まれて、そして教育基本法の三条、四条に基づくような教育の機会均等が与えられないわけですよ。そうなってまいりますと、この産炭地の問題については、特別な恒久的な措置といってもなかなか国の方針としてできないことでもありましょうし、そうして産炭地が解決すると同時にこれもまた解決する問題でありますから、臨時的な措置としても、教育面について特別な立法措置を考えて、こうい 国の政策の結果あらわれたこういう人たち、子供たちに対する措置を講ずるのが、私は国の方針として当然だと思います。そういう法的な措置をお考えになるおつもりがあるかどうか、そこのところをひとつ伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 率直にお答え申し上げますが、ただいま産炭地の教育問題について特別な立法措置をしようというような準備は持っておりません。われわれとしましては実情に応じて行政措置でこういうようなものをやっていこう、こういうことで今日までもやってきておるわけであります。立法措置を講ずるかどうかという問題につきましては、これはひとつ研究さしていただきたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 私は立法措置が必要になってきていると思う。と申しますのは、先ほど通産省のほうでもお話しのように、企業誘致とかそういう問題にまで立法措置によってやるということになっておりますが、御承知のように企業誘致をしようと思っても、実態からいってなかなかできないわけです。ところが、子供たちは工場がくるまで待ってなんかくれないですよ、毎日毎日の問題ですから。これは大臣にぜひ耳に入れておきたいことがあるんですが、最近炭鉱のそういう離職者の地帯は非常に暗い状態で、かぎっ子ということばがはやっているんです。これは何かというと、おとうさんもおかあさんも朝から働きに出る。そうでなければ食べられないんです。子供たちが学校から帰ってきたときにはおとうさん、おかあさんがいない。子供にかぎを渡す。学校に行くときかぎを持っていって、帰ってきてから自分でかぎをあけてうちに入るんです。ところがそういうような子供の場合には親の監督、指導というものができないから、そこで非行の問題が起こってくるのは当然なんです。しかも親のほうとしては、いま申し上げたとおり、そしてあなたもよくおわかりのとおり、そうしなくちゃ食えないんですから、そういう子供たちに対して、学校にやりたいけれどもお金がないから行けないという子供もたくさん出てきているんですよ。こういう問題について特別な措置を考えていくことは、やっぱり国の政治として当然なことだと思うのです。ところがこれは行政の措置だけではやれない。限度があるわけなんです。たとえば先ほどからあなたのお話もありましたように、教員の定数の問題なんかにしても、やはり臨時の措置として、その県に部分的にまかせるというよりも、国の方針として、この地域においては、たとえば北海道の美唄なら美唄あるいは福岡県の田川なら田川、こういうところはこういう地域ですから、特別に教育上も措置をとらなければならないのですということを、法律上にも明文化して、その上でやるほうが、やはり教育行政としては思い切ったことができる。またその段階にきていると私は思うのですよ。そういう意味でぜひこれは考えてみるというお話だったのですが、社会党のほうで産炭地教育振興法という法律をいま準備しております。その趣旨も、いま申し上げたような趣旨で、文部行政をこういう形でこの地域における教育を思い切ってやってもらう。そういう意味でやろうとしているのですから、文部省の当局としても議員のほうの立法だけにまかせないで、あなたのほうも思い切って立法措置の必要があるのではないかという点で、ぜひとも御研究を願いたいと思います。この点もう一度伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 実情についての認識があるいは不足の点があるかもしれません。十分事情を調べまして、必要があればわれわれのほうといたしましても今後検討することは当然のことでございますので、十分ひとつ研究させていただきたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 だから初めにも局長に言うのです。実態調査もやっていないからそういうことになるのです。実態調査がやってあればわかるのです。あなたはそう答えません。教育委員会のほうにまかせておるからいけないので、あなたが直接調べたらいいのです。役所には金があるのですからね。それを調べないでいるから、大臣が実情を聞いてからなんということになるのです。文部省でそういう実態調査をやっていれば、大臣もはっきり方針が出ると思うのです。こういう点は特に希望をいたしておきます。  そこで先ほど局長のほうでお答えになった点で、一、二伺いますが、福岡に三十人ふやしたと言いましたね。あれはカウンセラーの問題ですね。違いますか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 カウンセラーの役目をする教員だと承知しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 北海道はさっきの御答弁のように、カウンセラーの措置がないのです。これは北海道の場合もつくったほうがいいんじゃありませんか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 そういう特殊な学校についてつくることは適当だと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 そういう特殊というのは産炭地だと思うのですがね。産炭地の問題なんだから……。北海道においても、そういう特殊な場合にカウンセラーを置いたほうがいいという文部省の方針だといま私は承りました。  そこで最初に、あなたがお見えになる前に、北海道の実情について一、二伺っておったのですが、北海道の場合教員だけではないのですよ。職員のほうも足りないのです。こういう点についても、産炭地なんかでは職員の問題が非常に問題になるわけです。こういう点もぜひ大臣としてもお考えを願っておきたいと思います。局長の御意見を伺っておきたいと思います。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 北海道は小規模学校が非常に多いような実態でありますから、いろいろな点で教員の充実、あるいは職員の充実というところまでいきにくい事情があることは私ども承知いたしております。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 ちょっと、カウンセラーの場合、そういう関係のというお話がいま局長からあったのですが、そういう関係というのは北海道の場合産炭地という意味でしょう。ちょっとそこら辺があいまいでは困るのですがね。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 北海道で考えれば産炭地だと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 その答弁は、北海道の人が考えれば産炭地になるというのですか。北海道の場合に適用すれば産炭地になるだろう、こうこう意味ですか。北海道に適用した場合には、地にカウンセラーを置く、そういう意味ですか。   〔古川主査代理退席、主査着席〕

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 カウンセラーを置く場合は、北海道で考えますと産炭地などの学校が適切であろう。その他の県におきましては産炭地に限らずいろいろな学校がございますから……。そういうことを申し上げたのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 わかりました。  もう一点だけで終わります。これはおそらく大臣も御存じだろうと思いますが、教員組合の関係のほうからも非常に強く希望があるし、実態として、先ほどお話をしている産炭地の子供たちが学校に通いたくてもお金がない。そうすると、いわゆる産炭地の教科書とか教材その他の国庫補助の問題ですね。もう一つは、自治体がいま非常に窮迫しているわけですよ。そういう場合教材費について出したくても出せないという実情が出てきているのです。こういうことについて、やはり全額負担にしてでも出すように何か特別な措置を講ずるべきだと思うのです。だからこれは振興法の問題にもなるのですが、振興法の問題でなくても特別な行政措置としておやりになられるのだというならば、こういうことの必要性は大臣おわかりになるだろうと思うのですが、こういう問題についてどういうふうになっているか。教材費に対する国庫負担の問題あるいは子供たちの教科書、その他いろいろありますね。そういう問題について国が特例な財政上の負担を考えるとか、これは福岡ばかりでなく北海道でも新たな問題になっておりますので、ここら辺について率直な御意見を承っておきたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 産炭地の児童が一般的に貧困な状態にあるということは、これはもうそのとおりだろうと思います。貧困児童に対する教材費の問題等につきましては、岡田さん御承知だと思いますけれども、国の助成の道も開かれておるわけであります。問題は地元が負担できるかできないかというふうな問題になってくると思うのであります。そういうような問題につきましては、これまでもやっておるところでありますが、先ほど来お話のありました特別交付税等の措置によりまして地方の財源を充足する、この話は種々実は自治省ともいたしておりまして、その協力も受けておるところでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 だから特別交付税が必要なんですよ。だからさっき言っているような交渉をやっているのですよ。いま三十八年度の終わりが迫っているのにやってない。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 やっています。

岡田春夫日本社会党

○岡田分科員 やっているのならそれでいいのですけれども、大臣、自治体はやりたくてもやれないという事態がきているのです。国の補助の程度ではやれない、ほしいのだけれども……。だから最もひどいところには、産炭地のこの地域全体について全額国庫負担を考えるとか、こういう措置までひとつお考えをいただきたいということなんです。その点もう一度承りたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 従来の措置はいま申し上げたとおりであります。国庫補助率の引き上げ、あるいはお話しのように全額負担にする、こういう問題につきましてはひとつ研究させていただきます。

相川勝六自由民主党

○相川主査 二宮武夫君。二宮武夫君に申し上げますが、質疑時間は三十分程度に願います。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 時間が三十分に制限されておりますので、できるだけ簡明に質問いたしますから、答弁のほうもそのつもりでひとつお願い申し上げたいと思います。  まず第一に、今年度初めて文部大臣が文教委員会で文教行政に対する所信の表明をされましたことは、私どもとしては画期的な非常にいいことだというように考えております。ただ残念ながらわれわれが期待したほどの内容がないということが残念なところでございまして、地方行政の大臣などは、数枚にわたって各方面の問題を取り上げて、一年間の方針を表明されたのに対して、文部大臣はただ一枚だけの所信表明、枚数によっていろいろ言うわけではございませんけれども、内容を検討いたしてみますと、やはり何だかものさびしい感じがいたします。そこでその後において、たとえば日教組と会わない問題であるとか、あるいは市町村教委の組織を変えたいために法律の整備をしようというような問題とか、あるいは短大の恒久化の問題等、重要な問題が新聞紙上で大臣の言明として発表される、こういう状況になっておるわけでございますが、私がお聞きいたしたいことは、前の荒木さんとは違いまして、灘尾文部大臣は行った先々であまり放言をされぬように、思いつきばったりのことは文教に関する限り国民全部が非常に関心を持っている問題でございますので、ちょっとしたことが非常に大きな影響を与えるような問題になろうかと思いますから、行った先々で思いつきばったりのことを言わないような方向で、ひとつ施政方針演説のワク内において今後の行動をとっていただきたい、このように考えておるわけでございます。この点は御要望申し上げておきます。今後はそういう方向でぜひお願い申し上げたいと思います。  時間もございませんし、数名の先輩議員が質問いたしましたので、あるいはダブる問題があろうかと思いますので、私は初めに項目だけを申し上げます。この項目ですでにもう答弁が終わった問題は当然チェックして答弁を省略してけっこうでございますから、そのような意味でお聞き願いたいと思います。  第一は幼稚園教育、特に幼稚園の先生方の給与の問題を一体どのように今後考えるか、この問題が一つ。これは交付税と関係がございますので、内容については後ほど質問いたします。  第二は特殊教育、特殊学級あるいは特殊学校、養護学級あるいは養護学校というような教育に対していかような態度をとっておられるか、これを第二の問題としてお聞きいたしたい。  第三は教員の構成などから、免許状を持っておらない者が、他の学科の教育をやっている、こういう小規模学校が非常にたくさんあるわけでございまして、これは明らかに違反でございます。この免許状の問題についてお尋ねいたしたい。  それから教科書の無償配付の問題でございますが、これについてはどのような今後の見通しであるかという点、これは相当当初において強い要求があったわけでございますけれども、大臣同士話し合いをした結果相当削減されておりますので、この問題を一つ。  いま一つは、国立教育会館の問題でございますが、これについてお尋ねをいたしたい。  その次は育英制度の問題でございますけれども、育英制度についてはすでに予算案で安嶋課長から説明がございましたから、その内容についてお尋ねをいたします。  次の問題は農業関係で、自営者養成の農業高校について今後拡充いたしたいということでございますけれども、昨日からたいへん女性の問題に触れますが、嫁さんに来手がないという農村の問題について、これを一体どのように考えておるのか。自営者養成農業高校の拡充の構想についてひとつお尋ねいたしたい。  少し項目が多いですから、ダブった部分はチェックしてください。  その次は在外研究派遣人員の問題でございますけれども、この問題をひとつお尋ねいたします。  その次には青年学級、これは社会教育でございますけれども、青年学級あるいは家庭学級という新規の予算が出ております。家庭学級の問題あるいは成人教育の成人学級の問題、こういうような社会教育全般についての問題をひとつ。  次には、同じく社会教育で、公民館の運営であるとかあるいは第三青年の家という問題が新しく出ておりますが、これについての内容をお尋ねいたしたい。  次は、体育問題でございますけれども、スポーツ振興法に基づくところのいわゆる体育施設に対する国庫補助の問題が今年度から相当芽を出しておるようでございますが、これらについての問題をひとつお尋ねをいたしたい。同時に、オリンピックの問題でございますが、これはけさ触れたそうでございますが、これの運営費十二億という問題の内容について検討をしてみたいと思います。  その次は、学校給食について、なま乳の四十万石、定時制のものも含めまして四十万石でございますが、これの今後の構想でございますね。現在出ている予算案を足場にいたしまして、今後の構想をひとつお尋ねをいたしたい。  次に、僻地教育の問題、これを一体どのようにお考えになっておるかという問題でお尋ねいたしたい。  もう一つは、数多くて相すみませんが、文化財保護についての考え方をお尋ねいたしたい、このように思うわけです。いま申しました問題で再度繰り返しますが、一回答弁をした問題については、それは答弁済みであるということでチェックしてよろしゅうございます。  そこで、初中局長にまずお尋ねいたしますが、幼稚園の教員の給与の問題でございます。この給与の問題はなかなかむずかしいのでございまして、あるいは小学校である程度教育をやりまして、一応恩給に達したというようなものを幼稚園の先生方に持っていくというような、こういうことも実態としてはあるわけでございます。そこで、幼稚園の教員の給与の実態、これを一体どのように把握されているかをまず第一点にお伺いしたい。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 手元にごく最近の資料がございませんで恐縮でございますが、少し古い資料をここで申し上げますと、幼稚園の場合は国立、公立、私立、とございまして、特に私立が非常に多いような関係から申しましても、私立の給与は一般の公立と比較しましてかなり低いような事情になっております。したがって、小学校の場合と幼稚園の場合を比較しますと、昭和三十四年度の資料を手元に持っておりますが、それで比較してみましても、国、公、私立平均いたしまして、幼稚園の場合は教諭が一万三千円、助教諭が七千円、それから小学校の場合は、教諭が二万一千五百円というような比較で、非常に低いようなわけであります。特に公立だけをとってみましても、教諭は二万四千四百円に対しまして、小学校は二万一千五百円というように、かなりの格差がございます。これは現在の時点におきましても大体同様と考えられます。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 そこでお尋ねいたしますが、これは財源を地方に配賦をいたします際に、交付税で都道府県並びに市町村のその他の教育費、図書館の運営であるとか、公角館の運営であるとか、あるいは幼稚園の経費として配賦をされることになるわけでございます。そこで、このその他の教育費というもののワクを上げていただきたい。この教員の問題の実態をお知りになっていないということは、私はたいへん遺憾でございますけれども、むずかしい問題でしょうが、これをひとつ十分調査していただきたい。このその他の教育費というのを三十七年で見ますというと、公民館、図書館等の運営を見ましても、都道府庁が一人当たり八十九円、それから市町村の場合は百九十一円六十六銭、こういう状況になっておるわけです。第一にこの単位費用の問題を自治省あるいは大蔵省と折衝いたします際に——幼稚園教育、初期における人格形成の非常に大事な教育でございますが、このような給与の実態ではなかなかいい先生が集まらないのです。幾ら七カ年計画をつくってみましても、人がいない。教育は人なりです。施設であり人である。したがって、自治省で考えておる単位資用の算定の場合に、相当強く要望しないというと、まことに微細なものであって、それが出てまいりました際に、地方では非常に困った状況に追い込まれることになると思うのでございます。このたび本年度の地方財政計画が出ましたが、一体自治大臣あるいは大蔵大臣と文部大臣は、このその他の教育費というような問題をあまり眼中に置かないで算定されておるのじゃないかという心配もある。というのは、初中局長の言うように、幼稚園の先生方の給与の単価平均というものがわからないという状況では、これは要求しようにもしようがない。だから、こういう問題については私は相当強く要望する必要があると思う。どうしてもその他の教育費の財源確保をしなければ、上げようと思っても上げられない。どうですか、いままでの経過でこういう問題について折衝いたしておるのでございますか、その状況をひとつ……。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 御指摘になりました点はまことにごもっともな問題だと思いますが、私どもとしても、その他の教育費の中でなく、幼稚園として独立の項目を起こして、そこで幼稚園の経費について十分な積算をしてもらいたいという要望は、ここ二、三年くらい前から強力にやっておるわけです。しかしながら、自治省としてもいろいろな観点から、幼稚園の給与等につきまして、現在までのところ独立の項目としてあげるまでに至らなかったわけでございます。今年の交付税につきましても、私どもは自治省に対して、今後幼稚園の振興をはかり、これを推進していくという立場から見れば、当然にもうその他の教育費から抜き出して別に立てるべきじゃないかという要望をいたしたわけでございます。これも今年は残念ながら実現いたしませんでした。しかしながら、自治省もまるで認識がないということではなく、幼稚園の給与の段階を見て十分検討しようということを言うておりますので、今後私どもとしてはいままでのことはいままでのことといたしまして、できるだけすみやかにそういうことの実現をはかりたいと考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 保育所の関係の厚生省とそれから幼稚園の関係の文部省と、その間にいろいろ複雑な問題があろうかと思うのでございますけれども、いま初中局長の言われたように、新しい一つのワクを立てて幼稚園だけの経費を十分につくってもらわなければ、待遇改善という問題ができません。それがためには、幼稚園の給与の実態というものを早く調査して、その実態の調査の上に立って、そういう要求を強力にしていただきたいと思います。時間がございませんので、これはあまり深くは申し上げません。  次は免許状の問題でございます。小規模学校に参りますと、家庭科の免許状を持っておる者がたとえば数学を教えておる。これは交通違反と同じ違反をしておるわけです。あるいは国語の先生が保健、社会を教えておる、こういう問題が間々あるわけでありますが、その点は御存じですね。これは一体どうするのです。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 小学校は学級担任でございますから別でございますが、中学校においては御指摘のような事態がございます。これもなかなか一挙に教員を増加してやるということもできませんので、今回の標準法の改定にあたりましては、それらのいままでの事情を十分検討いたしまして、とにかく現在の段階におきまして二教科以上は少なくとも担任をしないというような原則を一応立てまして、そして定数の算定その他をいたしまして、改正法は通過したわけでございますが、今後は、いままで三教科あるいは場合によってはそれ以上の場合もあったかもわかりませんが、だんだんそういう事態を解消していきたいという考えでございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 教科書の無償法案につきましては、当初官房長の説明では、五十二億ですか、相当大幅な要求を大蔵省にやっておったようでございますけれども、これは最後的に大臣同士の話になって、本年度はやむを得ず一年から五年までということに限られたようでございますが、これに対する今後の構想、いつになったら完成するのか、地方自治団体が心配しているのは、やはり大蔵省の主張する地方自治団体が半分見るべきであるというような財源の負担区分の問題について心配をしておるわけなのですが、その問題を含めて御説明をいただきたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 来年度は小学校五年生までという予算をお願いいたしておるわけでありまして、私どもとしましては、なるべく早くと存じておりますが、少なくともさらにあと二年ぐらいのうちには全部及ぼすようにいたしたい、このように考えておる次第であります。  なお、地方自治団体の負担の問題につきましては、いろいろ議論がございますけれども、文部省としましては従来の方針を遂行してまいりたい、このように考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 要望いたしておきます。地方自治団体は財政的に非常に苦しいのです。これは中央と地方との相互信頼というものが財政問題については足りないと思うのです。問題は地方で何とかなるだろうという考え方があるように思うのです。したがって今後とも地方の団体に財源の負担をさせないような方向で強力に進んでいただきたい。  それから、特殊教育の問題でございますけれども、これにつきましては、もうあまり私の意見を述べる必要がないと思いますから、お考えを述べていただきたい。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 養護学校その他特殊教育の学級についてのお尋ねでございますが、私どもとしては現在の養護学校等非常に不足いたしております。したがって養護学校の中でも肢体不自由児、精薄等いろいろございますけれども、一定の年次計画をもちまして、できる限りすみやかに養護学校の設置については都道府県まで設置義務を課していきたいというような方針で進めておるわけでございます。  それから、特殊学級につきましても、最近の小中学校の実態を考えますと、どうしても特殊学級を設けて教育するというのが適当であるという観点から、今年から毎年大体一千学級程度を新しく増設していくといういわゆる五カ年計画をつくりまして、五カ年のうちに約五千学級の増設をはかっていくということを計画しているわけでございます。そういう計画を進めましても、まだ実態から申しますと、足りない点も多々あると思いますが、しかしながら現在の段階においては一応教員養成その他とにらみ合わせまして、十分可能な範囲でそういう計画を進めていくというように考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 次に、国立教育会館の問題でございますが、前年度七百九十六万円の予算が決定をいたしております。本年度三千万円の予算がいま提出をされて審議中でございますが、いまやっておる工事というのは、この昨年度の七百九十六万円のワク内でやっておるのですか。相当規模の大きい工事だというように、外見だけで、内部に入ってみなければわかりませんけれども、そう思うのです。あれは、三千万円はもう通ったものという考え方で、そのものも含めて工事は継続事業的な性格でやっているのか、どうですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 三十九年度予算に掲げられております三千万は教育会館が特殊法人になりました場合の運営費の補助でございます。会館の建設費ではございません。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 それでは運営費三千万といたしますと、建設費は七百九十六万円で終わりですか。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 建設費につきましては、二年継続でございまして、約六億円の工費を計上いたしまして建設を進めております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 この運営につきましては相当問題がある。世間でもいろいろうわさをされておる問題でございますけれども、いわゆる教職員組合の神田の教育会館に対抗して国立教育会館をつくっているのだ、したがってあの会館はもう教職員組合という組織には使わせないというようなことも一部流布されている状況であります。しかしこれは国民の税金でつくった国立の特殊法人である教育会館でございますから、それを閉め出すということは私はできぬだろうと思うのです。この運営の構想についてお尋ねいたします。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいまもちょっと申し上げましたように、国立教育会館につきましては、国で財産を出資いたしまして、特殊法人を設けて、その特殊法人によって今後運営していくというやり方をとるわけでございます。そういう趣旨から現存国立教育会館法案なるものを御審議願おうとしているわけでございます。したがってそれができますと、四月から一般の特殊法人と同じように必要な役員を置きまして、その役員によって会館が運営されるわけでございます。  もちろんこの会館の設置されます趣旨は、現在の教育界等に盛り上がっております教育研修といったような事業を行ないまして、教職員の資質を高めるということが設置の目的でございますから、その目的にかなう事業でございますれば、一般にもできるだけこれを利用していただくというのが趣旨でございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 これも、時間がありませんから、要望しておきます。世間では内藤ホテルという俗称が通っているようなわけでございます。したがってそういう世間の間違った考え方に対しましては、実際の運営においてそういう誤解が起こらないように明快に進めてもらいたいと思うのです。  その次に、自営者養成の農業高校拡充の二億一千八百四十三万九千円でございますが、この問題で私ども地方におって一番感じますことは、農村は若い人が外に出ていくという問題と、農村に嫁さんの来手がない。これはおそらく自営者養成の農業高校をつくるという問題でございますから、そういう意味で三分の一を補助する予算をつくっておるわけでございましょうけれども、構想として男女の問題、言いかえますと、ここで十分修練を受けた女性が農村に入って本腰に若い力と結合して農村の振興をはかる、こういう問題を考えませんと、農業同校を出た者がどんどん他の都市に出ていっているという状況でございますので、いかに政府が声を大きくして自営者農民の養成をするための高校をつくるんだといいましても、それから先は個人の自由でございますので、なかなか思うようにいきません。そこでそういう指導態勢といいますか、農村には嫁の来手がないという実態に立っての指導態勢を十分文部大臣に考えていただかなければならぬと思うのですが、どうですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 今回文部省が計画いたしまして、自党者養成を目的とする農業高校の設置ということを進めることにいたしたのであります。この高校には女性も含めて教育してまいりたい、このように考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 これも要望いたしておきます。構成については非常に強く行政指導をいたしませんと、そういうところに入る女性は少なくなってくる、これが実態ですよ。非常に苦しい問題でございますから、ひとつ十分に指導をしていただきたいと思います。  その次に、時間が足りませんから、問題を少し飛ばしますけれども、青年学級。昨年私が質問いたしましたら、青年学級というのは実は大きな期待をしておったけれども、実際問題としてあまり振興しない、しかし大かた昨年並みにはやってみようと思って予算をつくったんだというのが、昨年度における青年学級に対する文部省の考え方でございました。ところが今度はなかなか意欲が出ているように思うのですけれども、八百万増の一億四千万円ほどの予算が計上されて、四千七百四十五学級をこれによってまかなおうという考え方でございますが、実際の問題としては、地方においては指導者がおらない。運営の問題で非常に悩みを持っている問題でございます。しかし昨年の意欲から見ますと、本年の意欲はやや上向きになっているような状況でございますので、その後の指導の実態、それから今後の指導の構想、こういうものについてひとつ社会教育局長にお願いします。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 青年学級の実数としてここ数年漸減いたしましたけれども、その状況は、底をついて、むしろ指導のしかたによっては内容が充実してきたものと私どもは判断しておるのでございます。指導の方針としましては、農村部にありましては、数よりはその内容の充実、それから未開拓の地であります都市部においては商店学級の学級の増設ということを考えております。それから、その中に入っております青年学級より大型に出ました、予算も多く配分いたします勤労青年学校につきましては、これは数をふやしてまいりたいと思っております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 指導者の問題は……。

齋藤正文部事務官(社会教育局長)

○齋藤(正)政府委員 指導者につきましては、県の段階におきまして青年学級を育成する協議会を編成いたしまして、そこで指導者の資質、プログラムの作成等に対する研究を十分にし、県内の農村を指導いたしますとともに、勤労青年学校その他につきましては、文部省として随時指導者を集めてその資質の向上をはかってまいりたいと存じます。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 議員立法でできましたスポーツ振興法という法律がございますけれども、本年からはぼつぼつプールの建設その他に対する国庫補助の問題が予算面に出ておるようでございますが、これは第四章の中にはっきり国の助成として考えられておる問題でございます。いままでは全くあってなきがごとき法律であったというように私は考えておりますけれども、これももう現実の問題は省略してよろしゅうございますから、これから後スポーツ振興法に基づくいろいろの社会体育施設、これらの問題についてどういうような年次計画を持っておるのか。ただ行き当たりばったりで一つ、二つつくってみるというような行き方では困る。たとえばプールにいたしましても、これは一カ所大体百二十万円の補助程度にしかならない。いろいろ問題があると思いますけれども、どのようなスポーツ振興法の裏づけとしての財源、それに対する今後の構想というものについてお考えになっておるかを、ひとつ承りたいと思います。

前田充明文部事務官(体育局長)

○前田(充)政府委員 お話のとおり、スポーツ振興法によりましてプール、体育館、運動場、運動場照明施設等について、三十九年度約五億二千万円ばかり要求しておるわけでございますが、昨年度三億程度、二億ばかりふえたわけでございますけれども、私どもとしては、プールにつきましては少なくとも全国の全部の学校の子供が泳げるように将来いたしたいという考え方で進んでおります。したがいましてこれを年次計画ではっきりと打ち出すべきであるという考え方もありまして、一応は考えてまいりましたが、来年度予算ですぐ五カ年で満配にするというようなことにはまいっておりませんが、しかし今後はただいま申しましたように、子供は必ず泳げるという方向に向かって努力いたしたい、かように考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 年次計画というのは持っているのですか。たとえばプールについてはどういう個所にどれくらいをつくって、そしてここまでいけば完成である、こういうような一つの年次計画というものを持っているのですか。スポーツ振興に対する、そういう施設に対する年次計画は……。

前田充明文部事務官(体育局長)

○前田(充)政府委員 一応私どもとしては持っておりますが、三十九年度予算で必ずしもまだ満たすというところまでまいっておりませんので、今後漸増しなければならないということでございますが、私どもの希望といたしましては、できれば五年程度で何とかいたしたいという気持ちは持っておりますが、現在ではまだ無理な状況でございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 年次計画をお持ちでございましたら、後ほど私のほうに見せていただきたいと思います。  それから、時間が来ましたので簡単にやります。学校給食に関しまして栄養士をどの程度置いているかという問題でございます。私はある十万都市について調査をいたしておりますけれども、大体二一%程度しか栄養士がおらない状況でございます。学校給食をやってまいります場合に、栄養士というものを置かなければなかなか実際の効果が上がらないのじゃないかという心配を持つわけでありますが、全国的な栄養士の設置状況、これを具体的にお尋ねいたします。

前田充明文部事務官(体育局長)

○前田(充)政府委員 栄養士設置状況は、予算といたしましては来年度二百一人要求しておりまして、これが共同調理場分として一応本年度初めて認められることになったわけでございますが、従来町村におきましてすでに置かれておりますのは、市町村教育委員会に置かれておりますのは九百八十名、学校に勤務いたしておりますのは千七百七十二名ございます。漸次これはふやすようにいたしたい、かように考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 パーセンテージは。

前田充明文部事務官(体育局長)

○前田(充)政府委員 一校当たりにいたしますと、現在では約十校に一人というようなことになっております。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 学校給食に関しましては、文教委員会でなお質問をするところの余裕がございますので、なま乳の問題そのほかいろいろの問題がございますけれども、良心的に時間を守りまして、最後に一つだけ、僻地教育の問題についてお尋ねいたしますが、僻地の問題についてはいろいろ問題がございます。したがってこれは他の委員がおそらく触れてきたであろうと思うのでございますが、一つ尋ねてみたいのは、辺地起債というのを昨年度十億つくっておる、本年度は十五億でございます。これは五十億のワクです。ただ、しかしこれをつくる場合に、もし必要がありましたらこのワクは増してもよろしいというのが辺地起債の問題でございます。ただし、これは学校だけではなくて、公共施設に対する起債でございますが、私のお尋ねしたいのは、その中で学校に関する起債というのは一体どの程度とれておるかという問題、これは非常に地方からの要望の多い問題で、金を借りるのですからあまりほめたことではございませんけれども、そういうものでもしなければ辺地におけるあるいはスクール・バスであるとかスクール・ボートであるとか、あるいは発電そのほかの問題ができないという状況でございますが、昨年の十億というワクの中で、教育に必要な辺地起債というのはどのくらい確保されておるか、これをお尋ねします。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 御指摘のように、スクール・バス、ボート、それから発電施設というものについて、具体的に幾ら起債があったかということでございますが調べまして御返事いたします。

二宮武夫日本社会党

○二宮分科員 五十三分までですから、いろいろお聞きしたいことはございますが、なお文教委員会で質問することにいたしまして私はこれで終わります。

相川勝六自由民主党

○相川主査 佐藤君に御要望いたしますが、三十分程度にお願いいたします。佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 文部大臣に私学の問題について質問したいと思うのですが、いわゆる日本の教育の四分の三は私学が受け持っていることになっておりますけれども、灘尾さんは何度も文部大臣をやっておられますから、私学に対してどうい方針を持っておられますか、まず伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 現在の日本の教育の上で私学が果たしております役割はすこぶる大きいと思います。文部省といたしましてはこの私学の健全な発達また私学教育の振興につきまして十分努力してまいりたいと存じます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 努力してまいりたいといっても、予算の措置から考えますと、御承知のようにいま官公立に対しては千二百億くらいの予算をとっておりますが、私学に対してはその十分の一にも足らぬような現状で、一体これでほんとうに文部省は私学に対して力を入れているかどうか疑問に思うのですが、どういうわけでそういう形になっておるのか伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私学の助成につきましては文部省としましては年々努力してまいったつもりでございまして、明年度の予算におきましてもごらんいただきますとおりに、私学に対する出資金あるいは私学に対する投融資、あるいは特定の目的のためにする補助金あるいは税法の関係の措置というふうにやってまいっております。本年度に比べて明年度は相当進んだかと思うのであります。ただ私学に対する助成につきましてはいまさら私が申し上げる必要もありはせんけれども、いろいろな制約もございますし、やり方をどうしたらいいかというふうな点についてもかなり検討すべき問題があろうと思います。私は私学の現状ないしは今後における私学の役割というものを考えましたとき、従来の方式による助成をさらに進めてまいる必要があることはもちろんであります。それ以外になお突っ込んで検討する必要があるのじゃなかろうかというので、いまこれを問題にいたしておるところであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 御承知のようにイギリスとかアメリカ、その他のヨーロッパの国々でも私学に対して非常に国が補助しておるということは御存じだと思うのであります。イギリスのごときは御承知のように七割五分からの補助がありまして、そして補助はすれども干渉はせずという美風でイギリスは長い間伝統的な教育をやっておりますが、どうも日本では文部省の役人の方や、大蔵省の役人に大体国立大学出の秀才が多いので、私学のことはわからない。大体が私学なんというのは頭の悪いやつばかりで自分たちは頭がいいのだからというような、こういう特権意識があるのじゃないか。灘尾さんも帝国大学を出られたのでありますけれども、そういうひがみはないと思いますけれども、どうもそういうようなきらいがなきにしもあらずです。御承知のように現在官公立の大学の学生が二十万、私学は六十万からの人間があるわけであります。しかしその間において補助金あるいは国からの財源をどういうふうにしているかというと、全く本末転倒しておるような感じであります。私たちはいまの新しい憲法では国民として当然教育を受ける権利があるので、やはり公平にやられるべきじゃないか、少なくとも私学というのは国の重要な将来の国民、青年を教育する点において国がめんどうを見れぬものを私学がめんどうを見ておる、こういう考え方でやらなければ、私は私学の振興をやろうと思ってもなかなかむずかしいと思うのでありますが、そういう点について灘尾文部大臣はどんな考えを持っておられるのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私学と政府との関係といいますか、これは従来御承知のように私学についてはその独自な自由な立場における発展を遂げていく、こういう関係から政府としまして私学の経営等について立ち入った干渉をするとか監督するということは全然しないで今日までまいった次第であります。そういうような形で今日まで進んできたのでありますが、いまの私学の状況ないしはこれに入学する人たちの状況というものを考えましたときに、このままで従来どおりの姿で進めていくのはいかがであろうかというのが私の問題といたしておるところであります。むしろ私学によって教育を受けようとする国民の立場に立ってその負担の問題を考えてしかるべきじゃなかろうかというような角度から、実は検討してみたいと思っておる次第であります。いままでの方式については格別議論はないところと思いますので、これを進めていくということはもちろんでありますけれども、もう少し突っ込んでこの問題についてただいま申し上げましたような角度からひとつ検討して、結論を得たいものと思っておる次第であります。この問題の解決には相当な問題が伴うものと予想もせられるわけでありますが、ひとつ取り組んでみたい、このような気持ちでおるわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 最近、池田さんから人つくりの問題がやかましくなり、また科学教育というのがなかなかやかましくなっておりますが、この科学教育をやる場合において、何といっても国の財源であるということはなかなか困難だけれども、これが私学であればそういう経費の面についてもいろいろな点で安易にいくように考えられます、そういう点について、最近科学振興のために高等学校などを新設して文部省もいろいろ苦労されているようでありますが、こういう問題はむしろ私は私学にまかせて、そして国が補助を出したほうがよほど有効にいくんじゃないかということを考えておりますが、その点はどういうようにお考えでありますか、大臣に伺いたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 国の限られた財源のワクの中で国立学校をふやしていくということはかなり困難を伴う問題であります。そういう意味におきましては私学の協力にまつところが非常に大きい、このように私も思うのであります。そのためには、それに対する助成をさらに厚くしていくということにつきましても、われわれの大いに努力すべきところである、かように考えておる次第であります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 きのう私は大蔵委員会でも大蔵大臣に質問したのでありますが、いま私学の困っておるのは何といっても教員の養成、教員の待遇の改善その他学校設備の充実等のためにいろいろと苦労しておるのですが、今度は御承知のとおり私学振興会でもあるいは補助金についても前よりはだいぶよくなったということは事実でありますが、一体国立大学などに寄付する場合には無税で、それから私立の大学、これも特定の場合は無税になっておりますけれども、そういう場合に無税でないというような矛盾した考えがあると思うのであります。私は文部省のほうにはそういう理解があると思うのでありますが、大蔵省が頑強に抵抗しておるから寄付金の免税というようなことが非常にむずかしいように聞いております。しかし何といっても学校の問題は文部省に責任があるのでありまして、やはり私は文部省というのはそういう点ではもっと強い意思を持って私学の振興のために働いていただかなければならぬと思いますが、その点は一体どういうように考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 税関係の問題につきましては、文部省としては年来努力いたしておるところであります。なかなか取るほうの立場もいろいろあるので容易に進めることができないのを残念に思っております。しかし私学の財政ということを考えましたときに、やはりこの寄付金を容易ならしめる道を講ずるという意味におきまして、文部省としてはさらに勢力を継続してまいるつもりでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 そういうことについては事務当局から大蔵省に折衝された人があろうと思うのですが、そういういきさつについて御存じの方ございませんか。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 学校法人に対する税の減免措置のおもなるものは法人税、所得税だと思います。法人税の点につきましては、損金算入の額が、一般寄付金に対する額のほかに、この学校法人についてはそれと同額だけの特別ワクをつくりまして、損金算入の幅を広げておるのであります。そのほかに、今度は指定寄付金の制度がありまして、校地校舎の整備等のためには、その募金について大蔵大臣の指定を受けますと、これについては全額が損金算入になる、こういう制度があるわけです。で、まずこの法人税につきましては特別ワクをさらに拡大すること、それから指定寄付金についてはそのワクを校地校舎に限らずにその他の経費にも及ぼしてもらいたい、こういう要望を文部省として出しておるのでありますけれども、まだ実現を見るに至っておりません。  それから次に所得税関係といたしましては、個人が学校法人に対して寄付した場合には所得の三%から一〇%に相当する金額から二割を税額控除する、こういう制度があるのであります。これについてはいわゆる三%から一〇%まで、一〇%という頭打ちの制度がありますが、このワクを広げてもらいたい。それから税額控除が二割になっておるが、これをもっと上げてもらいたい。こういう要望をしてまいりましたが、この点については今国会において税法改正によってこのワクが引き上げられる予定でございます。この一〇%が二〇%になり、それから二〇%が三〇%になりますという点においてかなりな改善を見ることになります。  その他、相続財産の寄付等についての免税も実現しております。その他についての免税措置がありますけれども、大きなものは以上の点であります。私ども決して十分ではないと思いますが、年々漸次改善されておるということは言えると思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 管理局長の説明は聞いたのですが、一体文部省はどれくらいの熱意をもっていま私学の財源についてお考えになっておりますか。その点をひとつ、現状を考えて、このままでいいのか悪いのかということも御判断を願いたいと思うのですが、どういう御意見ですか。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 先ほど大臣からも御説明がありましたように、現在の助成措置は、具体的にはまず第一に、私立学校振興会の貸し付け資金の増額、これは本年度は政府出資金十二億、財政投融資が二十億であったのでありますが、明年度予算においてはこれが政府出資金十五億、財政投融資が倍増いたしまして四十億になったわけでございます。私どもはまずこの貸し付け資金の増額は思い切ってやるべきだ、これは補助金でなくて貸し付けなん、だから、少なくとも貸し付つける額は相当思い切ってやるべきだということで、要求も百数十億の要求をしたのであります。それに比べて四十億円、わずかでありまして、私どもの期待から離れるのでありますが、今後とも貸し付け資金の増額、特に財政投融資の増額は私ども大いに努力したいと考えております。ことに四十年度以降、私学においてもまた急増対策のための施設整備、これは緊急な課題になることでありますから、やはりこの活用資金の増額によって対処すべきものだと考えております。  次に、私立大学理科特別助成補助金、これは三十八年度は十五億でありましたが、明年度は十七億にふえております。この伸びがそれほど著しくなかったということについては、実は科学技術者養成計画が一応三十八年度で終わるというようなこともあって、今年度はそれほど伸びませんでしたが、それにしても二億ばかりの増加を見ております。この補助金は、今後の新しい科学技術者養成計画ないし大学生急増対策として、今後大いに伸ばすべきだと考えております。  次に、私立大学研究設備助成補助金、これはごくわずかしかふえておりません。明年度予算は九億円でございますが、ただこの経費については補助率が二分の一が三分の二に引き上げられている。これは非常に大きな意味を持つと思います。今後のこの経費の伸びを考えますならば、この補助率の引き上げはきわめて大きな意義を持っていると思っております。この経費もまた学術の振興という緊急の課題に私立が協力する、私学もそれを負担する、こういう意味において今後伸ばすべき経費だと考えております。そのほかただいまお話のありましたような税の減免措置、これはもっと大幅にやるべきものだと考え、今後努力いたしたいと考えます。  ただこの際事務的な立場におきましても付言いたしたいのは、私学団体からの御要望としては、こういったいままでの助成のしかたのほかに、経営費、人件費に対する助成の要望がかなり強くなっておりますことは御存じのとおりでございます。ただこれについては、先ほど大臣からお話のありましたような私学の自主性、独自性、また現在の私学法のたてまえ等からいって、かなり私学の性格、私学の存在の意味というような非常に基本的なことまで考えていかないといけない根本的な問題を含んでいると思いますので、大臣のおっしゃられたように、基本的には国民的な立場に立ってこの問題を検討するということでございますが、そういう過程についての十分な検討を進めてまいりたいと考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 私学振興会に貸し金を与えてやるという議論は賛成でありますけれども、御承知のように教育事業は営利事業ではございませんから、借りた金は返さなければならない、その財源を一体どこから求めるかということに問題があるわけです。おそらく最近大学の授業料値上げという問題が起きてくる。これはいまの私学の現状を見れば、どこにも財源がなければやはり学生の月謝を上げるよりしようがないだろう、国立の大学の授業料と私立の大学の授業料というのは、雲泥の差があるということは御存じだと思います。なるほど振興会の貸与金はふえたということも知っておりますけれども、それは御承知のように返さなければならぬ金でございます。国でただくれるわけではないのでございます。そういうような場合にどういうふうに対処するか、月謝値上げ反対運動というのが学生からほうはいとして起きた場合にはどういう処置をされるか、またその方法を国としてはどういう対策を講ずるのか、そのことを一ぺん伺っておきたいと思います。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 現在私学財政を見ましたときに、実は現在の経常費の支出は経常的収入で一応まかなえるのであります。それは現在すでに授業料、入学金が高いということは確かに言えます。ただ年々これが引き上げられていく大きな要因は、施設設備の整備でありますとか、経常的な経費をもって臨時的な経費をまかなっていく、そこに非常に大きな学生の負担の増加の原因があるわけでございます。今後検討すべき問題でございますけれども、やはりそういった臨時的経費が経常的経費を圧迫しないような方途を講ずること、それはいままでの方法で可能だと思います。それは、端的に言えば、いままでの方法による政府の助成を増額すること、まず貸し付け資金を増額することも、これは臨時的経費に資するものでありますし、これは確かに返さなければならぬものでありますけれども、しかし非常に利率が安く、しかも十五年というような長期低利の金でございます。これは大幅にふやせばその償還は非常に楽になります。ところが現在私学の必要とする資金は振興会の貸し付けでまかなっているのはごく一部でございます。大部分は市中の高利短期の金を借りている。これが私学財政を非常に圧迫しているわけです。債務償還費としては三十七年度において七十九億円になっております。これも大部分は市中からの借り入れ資金の利子及び償還ということであります。こういう情勢を考えまして、まずやるべきことは、いままでの助成の方法を思い切ってふやす、ことに貸し付け資金を増額する。そのことがひいて経常費の圧迫を少なくし、この授業料、入学金その他の経費の高騰を抑制することになります。ただ、国立と比較して絶対的にその差は残ると思うのでございます。根本的に国立と同じくらいにするということになりますと、これはいま言ったような方法ではもはや不可能であり、より根本的な対策が必要になると思いますけれども、そこまでいきますと、やはり私学制度の根本に触れる問題をじっくり考えて、はっきりした態度を打ち出す必要があろうと思います。その点の研究も進めると同時に、いままでのような財政の実態から臨時費が経常費を圧迫するようなことのないよう、とりあえずは力を注いでやるべきではないか、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 管理局長のいろいろ説明を受けましたけれども、いまの私学というものは、御承知のようにいまあなたが言われるように、そういう市中の高利の金を借りるというのは好きで借りておるわけではない、足らぬから借りておるわけです。何も株を買うとか投資するために借りたものではない。そこは文部省がもっと考えをいたさなければならない点だと考えますが、たとえば一つの私立の医大を見ましても、御承知のように人員が大きなところでわずか八十人、少ないところでは四十人から二十五人くらいのところがあります。昔は病院で経営されておったのですが、病院は御承知のようにああいう国民保険のような関係で病院の経営もむずかしい。だからどうやって処理していくかというところにいろいろ問題があろうと思う。おそらく御承知だと思う。そういう点を考えれば、いまの私学が七十九億からの債務を負っておるということも、何も好んで債務を負っておるのではなくて、そういうふうにいろいろな点で借金を背負わざるを得ないような状態に追い込んでおる。これは文部省だけの責任ではありません。現実は大蔵省にもいろいろ文句を言っておるのでありますけれども、やはりこういう現実は文部省は悪くとらぬで、率直に認めて、大蔵省へ予算の要求をするなり何なりの処置を講じていただきたいと思うのであります。  それから御承知のようにいまの私学の経営の方法は、三分の一は月謝、三分の一は先輩や何かの寄附でありますが、これもいま言うように免税の隘路のためになかなか集まらぬ。あとの三分の一が足らないというのが一般の大学の現状でありますが、結局はその財源を得るためには月謝の値上げをやるとか、あるいは不当な入学金をとるというような問題に直面して、おそらくいま入学試験がまっ盛りでありますけれども、そういう弊害がいろいろなところにあらわれてくるであろうということは、これは御存じだと思うのであります。少なくともそういう点でいまの私学に対する考え方をよほど考えて、いままでのような考え方でなくて、やはりこの際抜本的に考えなければ、近くこれは高校急増対策に次いでは、文部省の大学急増対策という問題が起きてくる、四十一年から四十三、四年に出てきますが、この根本的な改革が起きない前に、ほうはいとしていろいろな問題が起こると思うのですが、そんな点についてはどのように考えておられますか、管理局長に伺いたい。

杉江清文部事務官(管理局長)

○杉江政府委員 大学生急増対策として私学が非常に大きなウエイトを占まます、そういう意味におきまして大学生急増対策の一環としての私学助成はやはり大幅にやる必要がある、どうしてもやらなければならぬ、こういうふうに考えております。その際に具体的にどういう方法をとるかということでありますけれども、これは私の見解でございますが、いまの急増対策それ自体も、従来のやり方をいたしましても、これは国立だけでも非常に大きな額に上りますし、それに私学を含めた対策をいままでの方向でやりましてもばく大な財政資金を必要といたします。そういう意味からして、この際その上にまた経営費、人件費までの補助金を、この時期に直ちに実現するということは財政的にかなり大きな金額になり、時期として非常にむずかしい時期ではないか、私としてはやはり当面の急増対策としては、いままでの線を飛躍的に増強する、こういう方法が当面考えらるべきではないかというふうに、これは私の事務的な、個人的な見解でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 時間がありませんから灘尾文部大臣に伺いたいと思うのでありますが、いまは四分の三の学生を私学が収容して、文部省では一課長にこれをまかしておるわけでございます。私は、いま管理局長が言われましたように、難問山積、また近い将来に大問題になると思うのでありますが、こういうような私学振興のためには私学振興局でもつくって、そして抜本的に解決する御意思があるかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私学振興の問題が非常な重要性を帯びてきたということは、同じような認識を持っておるつもりであります。そのために文部省の機構をどうするかということになりますと、まだ具体的には考えておりませんが、必要に応じましてはその措置もとってまいらなければならぬかと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 最後に、大体灘尾さんは頭はいいけれども、帝国大学を出られたので、非常に冷酷だと思う。やはり、やるのならば、もう長い間、文部大臣をやっておられますし——文部省の予算からすれば、ほとんど大部分が義務教育の費用なので、文部省の活躍する、予算を使うという分野は非常に少ないことも私はよく存じておりますが、少なくとも現在の時代において、教育問題は非常にやかましくなってきておる現実において、ただ予算がない——事務当局のほうはおそらく切歯扼腕しておられるだろうと思いますが、この私学の問題については、自分たちが直接あれをしないからというような第三者的な立場でなくて、やはり国立に対する熱意と同じような熱意をもって、全国で四十万からの私学の学生がおるわけでありますから、もっとあたたかい気持ちでこの問題に取り組んでいただきたい。特に灘尾文部大臣は、この問題についてはおざなりな答弁ではなくて、ほんとうに私学の対策を考えてやるということが、私は人つくりの問題に大きな貢献をすると思っておりますが、その点はどういうふうにお考えになっておられますか、最後にお伺いたしいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私学に対して冷酷であるというおことばだけはお取り消しを願いたいと思います。私はそういうふうなつもりで私学の問題を考えておりません。最初に申しましたように、私学助成、私学振興の問題については、この辺でひとつ思い切って考えなくちゃならぬ時期ではないだろうかということを申し上げたのであります。ただ問題はしかく簡単ではないと思う。やり方によりましてはなかなか意見も帰一しないというような問題でございますから、真剣に取り組みましていろいろな方面の意向も総合しまして、正しい結論を得たいと思っております。決して、私が官学を出たから私学に対して冷淡だ、こういうふうな心持ちでごらんいただくことは私は迷惑千万だと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)分科員 それでは最後になりますが、そういうふうに冷酷だと言われぬようにお願いいたします。

相川勝六自由民主党

○相川主査 角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 本日は、文部大臣に、文教政策上の基本的な考え方の問題から出発をいたしまして、若干現地における具体的な問題に対する文部省のお考え等もただしたいというふうに思っております。  まず第一にお伺いをいたしたいのでありますが、灘尾文部大臣はこれで文部大臣に就任されますのはたしか三度目だというふうに承知をいたしております。それだけ文教政策については、党内のベテランとして今日非常に重要な教育政策の刷新問題に取り組もうということで熱意をもってやっておられると思うのでありますが、この機会に、文教政策の基本をどこに置いて進めていかれるのか、これは私は文教政策の基本は当然憲法に基本を置きながら教育基本法、それに基づく教育諸立法に基づいて今日やっておられるというふうに確信をいたすわけであります。しかし前任者の荒木文部大臣当時から、ややもすれば、教育の中立性という一つの大きな文教政策上竪持しなければならぬ立場というものが、何か文教政策をやるにあたって最高責任者としての態度に、率直にいって問題があったのではないかと思います。  そもそも政党政治のもとにありましても、文部大臣という職責はやはり事教育に対する最高責任者の立場にありまするから、もちろん政府与党の一つの文教政策というものもありましょうけれども、あくまでも教育の基本というものについての文部大臣としての立場を堅持しながら誤りのない文教政策を推進する、こういうことが当然のことだというふうに考えるのでありますが、この際三度目の就任をされるにあたりまして、従来からの文教政策の推移、今後の教育問題に対する重要な問題を処理するにあたっての文部大臣の基本的な考え方というものをまずお伺いをいたしたいと思うのであります。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 お尋ねの中にもございましたが、文教行政といたしましては、もとより憲法並びに教育基本法の趣旨にのっとって教育の行政を推し進めなければならない、かような心組みでおるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 きょうはこの問題について深く論争しようとは思いませんが、この前予算の一般質問の際にわざわざ文部大臣の御出席を願ったのでありますが、あのときにもおわびしましたように、時間の関係上たいへん重要な教育問題に触れる時間がなくて失礼をいたしましたが、あの機会にお尋ねをいたしたいと思っておりましたのは、問題として取り上げました農林水産業の今後の発展の上における農林水産教育の問題について、ぜひ文部大臣のお考えを承りたいというふうに考えたわけでございます。おそらく本分科会においてもこの問題は他の委員によって取り上げられたでしょうし、また同時にいろいろな機会に取り上げられておるというふうに判断をいたします。  言うまでもなく、今日の農林水産業の現状というものは、特に次代の農村を背負わなければならぬ後継者の確保という非常に困難をきわめておるわけであります。これはもちろん教育問題だけで片づくのではなくて、若い世代の諸君が情熱をもって農村漁村に定着できる、そういう農政の整備ということが当然必要でございますけれども、しかし同時に農林水産教育というものを今日の時点において抜本的に刷新する熱意というものが必要な段階にきているのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。かつて農業基本法を数年前に議論をいたしました際に、私は当時各国の農業基本法というものに目を通す機会がございましたが、それぞれイギリスにせよあるいはイタリアにせよ、西ドイツにせよあるいはスイスその他各国の農業基本法をひもときましたときに、特にイギリスの農業基本法では農産物の価格政策ということに非常に重点が置かれておるに関心を引かれましたし、またイタリアの場合は、ああいう山間部の多い長ぐつ半島でありますから、特に山間部における特殊開発という面について留意をしておる点が注目を引いたのでありますが、教育の立場から申しますと、スイスの農業基本法というのが、学校教育の面においても、あるいは社会教育の面においても、国が積極的に責任体制をもって近代的な大産業のできる体制を農業基本法の中で明示しておるということに非常に関心を寄せたのであります。そういう点から見まして、今日の日本における農業教育の現状、あるいは林業、漁業等の教育の現状を見てまいりますと、私もかつては農業教育を受けた一人でありますけれども、はなはだもって寒心にたえない状態だと思います。私はここで、高校、あるいは水産学校、あるいは大学の農学部を卒業した諸君が、卒業してからどこにどういうふうに行ったかという問題について深く触れるつもりはございません。しかし農林水産関係の高等学校教育を受けた者が相当数他のところへ行っておるという現状は、これはもう御判断のとおりであると思います。そういう点については、やはりスイスの農業基本法に学びながら、この際農業あるいは林業、水産業等の教育について、文部大臣として、今日開放経済下において困難な問題をかかえようとしておる弱い基盤の農林水産業の振興のてことしての教育の果たす役割り、こういうものをどういうふうにお考えになっておられるか。もちろん予算的に見ますと、後継者の教育充実のための若干の芽は出ておりますけれども、これをもって期待に沿うことができるかどうかということになると、これは率直にいってきわめて不十分だと思うのであります。その点の御所信を承りたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 農村の後継者を確保するということが非常に重要な問題であるにもかかわらず、それがなかなかむずかしい状況にあるということは、私も角屋さんと同じような認識を持っておるわけでございます。この問題につきましては、やはり農村生活あるいは農業生活というものに対して魅力あるいは希望を持つ状態でなければならぬと思うのです。その意味におきまして、現在推進いたしております農業基本法の精神によるいわゆる農村の近代化、こういうことが特に重要と私は思うのであります。これをなし遂げますために、農政方面において大いな努力をする必要があると同時に、ひとり農政問題だけでなくて、農村生活全体を明るく豊かにするような各般の施設についても、関係各省それぞれ協力して考えていかなければならぬ問題だろうと思うのであります。その間におきまして、学校教育に関係を持ちます立場といたしましては、今後の農村をいかにして維持していくか、いかにして発展さしていくかというふうなことについての心持ちといいますか、そういう精神を涵養する必要があり、また農村を近代化することによって農村というものは明るい見通しがあるのだ、こういうふうな点についても十分な理解と認識を与えることにつとめますと同時に、学校それ自体の内容について改善を加えていかなければならぬと思うのであります。文部省の行政は、まことに残念でありますけれども、小学校から大学に至りますまでどの断面をとらえて見ましても、これで十分だというふうなところはおそらくないと思います。特にこの農村問題につきましては、われわれといたしましてもさらに努力して、学校の内容を改善いたしまして、いわゆる体質改善をはかり、農村の近代化をになうに必要な資質を身につけた者をつくり上げていくということを考えてまいらなければならぬと思うわけであります。予算面におきましても、不十分ながら農業高校の体質改善、近代化のための措置を漸次講じておるわけであります。  なおまた、これは個所数が少ないことでありますので、あまり大きなことは言えないのでありますが、一つの試みといたしまして、明年度からは、自営者養成を目的とする機関として近代化せられた農業を経営するための実習の要素を多分に備えた農業高校の整備をはかっていこうというので、若干の予算も計上せられておるようなわけでございます。もちろん現状は私は決して万全であるとは存じませんけれども、今後の農村をになっていくという心がまえ、またそれを運営していくに必要な特殊の資質を身につけた者を養成するために一そうの努力をしなければならぬと心得ております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 政府の農業基本法の考え方からいけば、自立農家というものを一つの大きな柱にして協業の助長をはかるのだ、こう言っているわけでありますが、今日の日本農業の現状から見てそうたやすくそういう道が選ばれるのかどうか、あるいはそういう方向が将来の日本農業の国際的競争から見てそのまま受けとめていいのかどうかという問題は別といたしまして、いずれにしても農村に優秀な若い世代の諸君がとどまって日本農業を推進するという立場でなければ、これから非常に困難な開放経済の中で農業を推進していくことはできないということは明瞭であります。したがってたとえば農業高校なら農業高校に入学するときから誇りを持って農村の後継者になるべき者をあらかじめ予定をする。そうしてそういう者に対しては入学試験の際に若干の成績その他の点についても配慮をする。そうして教育期間中においては、やはりそれぞれの地域の農業条件というものがあるわけですから、必ずしも今日国際的あるいは国内的に到達しておる水準を教えるというだけでは実地に合わないのであって、理論と実学との調和、もちろんこれには地域の大学あるいは試験場、こういうものまで協力しながら、自立者の確保という問題についてもっと具体的にもっと積極的な姿勢で取っ組む。しかもそういう諸君に対して誇りを持たせてやると同時に、国がそういう人々に対してその教育費負担を軽減するということまで考えて、そうしてそういう者の中で優秀な者、さらに大学等に進学する者についても積極的に推進する方途を講ずる。私はここで農業教育だけを取り上げたのですけれども、やはり教育政策としてもこれから伸びていかなければならぬ、そういう教育面について国際水準に到達するように、あるいはそれを凌駕するようにという努力はしなければなりませんが、他面において、ややもすればおくれやすい産業における優秀な者の確保については、やはりそれ以上の積極さがなければならぬと思う。なぜかならば、工場は多くの場合資本家が設備を持ちそこで働くという立場になりますけれども、農業の場合は、協業もありますけれども、自前でやっていかなければならぬという姿が今日多いのであります。それであるだけに、その学校における教育のあり方、そうして社会に出ましてからの——私かつて満州におりましたけれども、一たん学校を出ましてからでも、その同じ学校で、ある年限がたったならば二部教育あるいは三部教育ということでもって、その地域のほんとうの農業の指導者として立っていけるような社会教育というものについても十分配慮していく。こういう系統的な農業に対する教育体制というものが真剣に考えられていいのではないか。そうすれば、農業あるいは漁業に入っていく者は、何かしら普通教育を受けるよりも一段低いものだということではなしに、入るときから誇りを持たして、そうして農村に帰ってからも誇りを持ち、指導的な立場で自信を持って農業をやっていく。これは言うべくしてなかなか困難な問題でありますけれども、しかしそういう教育政策上の姿勢というものがもっと出ていいのじゃないか。予算書をいろいろひもどいてみたのですけれども、芽は出ておるように思いますけれども、農業教育とか、あるいは林業、漁業教育をどうするかという総合的な立場から見ました場合は、きわめて不十分ではないか。これでは池田さんの言うところの所得倍増計画の第二ラウンドにおける、中小企業や農業をこれから大いに重視していくのだという方向にも合致しないのじゃないか、率直に言ってこういう感じがするのでありますけれどもも、いかがですか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 非常に示唆に富んだ御意見を伺ったのでありますが、高等学校に入るときから農業に従事するという目的を持ち、意欲を持った子供を農業学校に入れることも大いに考えなければなりません。文部省としましても生徒の進路を指導いたします場合に、農業学校を志願する者については、やはり将来農業に従事するという心がまえを持っておる人を入れることに努力してまいらなければならぬと思います。  現在の予算についての御批判でありますが、私も決して十分とは思っておりません。これでもかなり努力をしたつもりでございますけれども、これでもって足れりという心持ちをいたしておりません。ただいまの御示唆等も十分参考にいたしまして、今後さらに努力をしたいと思っております。  なおまた、先ほどから学校教育のことを申し上げましたが、社会教育の面におきましても、やはり同じような気持ちをもって文部省が努力しなければならぬ点が多々ある、このようにも思っておりますので、一そう努力いたしたいと思っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 次に問題を変えまして、育英制度の問題に入りたいと思います。  これは御承知のとおり、本年度も文部省のほうから、育英の貸し付け金のために八十億三千六百三万二千円、返還金からの充当分が二十七億五千四百六十万九千円でございまして、百七億九千六十四万一千円を三十九年度の貸し付け資金として、それぞれ優秀な学生、または生徒で経済的な理由により就学困難な者に対し、学費の一部を貸し付ける、こういう精神に基づいて、従来から実施をいたしておるわけでございまして、これはもう私が申し上げるまでもございません。そして今日までに、すでに創立以来、育英制度の対象になりました学生は、三十八年度の資料によりますと百二十三万人、貸与した奨学金総額が五百六十五億、すでに七十八万人の奨学生出身者が、社会の各分野で活動しておる、こういうふうな資料をいただいておるわけですが、この際文部大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、この日本の教育政策としての育英制度の位置づけを、どういう評価の観点に立って考えておられるか、つまり私は教育の問題は、日本であろうとどこであろうと、やはり次代のその国を背負う優秀な人材を、でき得べくんば公共の責任において育てていく。おのおのの生徒、学生にしてみれば、それぞれ自分の親元に貧富の差はございます。しかし貧富の差があるがゆえに、教育の機会均等、あるいはその人の能力を最大限伸ばすことが阻害をされるということであってはならないと思います。これはやはりいかなる階層、いかなる暮らしの人々の状態にありましても、生態にありましても、国の宝としてそれぞれの持っておる能力を最大限に伸ばす、その時点で学校教育が十二分なる役割りを果たさなければならぬ、これがやはり教育の一つの基本的な考え方であろうと私思います。私はそう思いまするけれども、育英会制度がになっておる今日の性格は、いま運営しているような形のものでいいのか、あるいは三たび文部大臣を経験されてきた灘尾さんとしては、この方向をさらにどういうふうに前進をさしていくというお考えがあるのか、こういう基本的な問題についてお伺いをいたしたい。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 優秀な人材に教育の機会を与えるということはきわめて必要なことであろうと思います。教育の機会均等ということは、教育行政の上から申しまして大きな目標の一つであります。すぐれた素質を持っておる人たちがそれぞれ教育を受けて、その能力を伸ばすことができるようにという趣旨のもとに、育英制度は運営してまいらなければならぬと思っております。現状必ずしもその範囲において、あるいはまたその援助の程度について、決して十分とは思いませんけれども、心持ちといたしましては、すぐれた素質を持っておる人たちの素質を十分伸ばすことができるようにという趣旨をもって、育英制度はやってまいりたいと思うのであります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 少し前に育英金の返還問題というものがいろいろ新聞紙上に出た時期がございます。それと同時に、奨学金返還の免除なるケースについて、徐々に改善が行なわれてきておるわけでありますが、私の希望からいうならば、経済的な悪条件の中で教育を受けるというそういう人々が、育英会の今日の時点では対象になっておるわけですから、返還第一主義ではなくて、もっと子供を国の責任で育てるんだという精神のほうにウエートを置いて、返還の場合の免除規定からいきましても、大体教育の道に一定の期間携わっていくというふうな者に中心を置いて、免除規定があるようでございますけれども、もう少し幅を広げ、そして返還の問題については、ある程度の返還を社会人となってから要請するということは考えてよかろうと思いますけれども、そういう問題に力点があるのではなくて、なるべく人材を養成するというところに力点を置いたほうに育英制度の改正というものが考えられないものかどうか。今後の運営の問題についてさらにお伺いいたしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御趣旨に別に異存はないわけでありますが、ただ返還の問題につきましては、やはりこの人生を過ごしていく上におきまして、借りたものは返すという気持ちだけははっきり持っておっていただきたいと思っております。苛酷なことをする、無理なことをするということは考えなければなりませんが、やはりそれぞれの人の誇りとして、借りた金は返していくというような気持ちでもって進んでまいりたいと思っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 私は民間の育英制度の対象で教育を受けた一人でありますから、こういう問題は特に関心を持つわけであります。私が受けた育英会の関係の仲間で、国会にも数人出てきておる人がございます。おそらく日本育英会の対象になった人々で、社会人として各方面でりっぱに活動しておられる方々が相当あるだろうと思います。そのゆえにこそ、こういう制度の果たしてきた役割りというものは、社会的に見ても、また国家的な立場から見ても、きわめて大きいだろうと思うわけですが、ただこの際さらにひとつお伺いをいたしたいのは、特に日本の大学あたりの生態を見てまいりますと、これは最近の学費その他いろんな諸負担の関係上、父兄がそれを十分まかなえないという問題もあろうと思いますけれども、学業が本業なのか、アルバイトが本業なのかわからぬという状態が相当数あるだろうと私は思います。と同時に、たとえば大都市の場合におきます下宿あるいは野宿、こういうふうないろんな条件がどうなっておるかという問題も十分教育の問題として考えていかなければならぬ。最近、青少年の非行問題というようなことがいろいろいわれますけれども、これは単に大学ばかりではありませんが、やはり教育施設、教育内容と同時に、教育の環境を整備するという立場から見ました場合に、特に大都市に集中傾向にあります学生の社会環境における受け入れ態勢というものも、教育政策として、あるいは教育効果の面から見て、十分考えていく必要がある。ことに今日、学費の一部負担でありまするから、相当に経済的な悪条件の中で育英制度の対象になり、教育を受ける人々が特に住宅を得るのに非常に悪条件な地域では、育英会が中心になってそういう学生会館をつくる、それに対して国が補助するという形式がいいのか。あるいは予算を見てまいりますと、これはどの程度のことをやっておるのか知りませんが、財団法人学徒援護会が学生会館等の建設をやる場合の建設費の一部補助と出ておりますが、これはどの程度のことをやっておられるのか十分知りませんけれども、やはりそういうところまで積極的に目を向けて、単に学校の校舎、諸施設という問題だけじゃなしに、その学生が学校外に出て、勉強しまた生活をしておるその場についても、一方では教育費の負担軽減ということを考えながら、一方ではやはり環境の整備ということを配慮しながら、そういうきめこまかい形をとっていく、そういう方面については、大上段に振りかぶるという教育政策という意味からいくと、ややもすれば軽視されがちだと思いますけれども、私は重要なことだというふうに思うのです。やはり今後の教育問題としてそういうきめこまかいところまで政府が必要な経費についての補助等も十分考えながら前向きに対処していく、こういう必要があるのじゃないか。私ども東京におりまして、地方から大学を受けて合格した方がさっそく言うてくるのは、家を適当なところがあったらさがしてくれという問題にぶつかってくる。それでは各県がそういう東京都に出てきておる者に対してきちんとしたものを建てておるかというと、なかなかそうはいかない。あるいは何か財団法人的なもので、そういった学生会館のようなものを建てておるかというと、そうはいかない。種々さまざまな姿で四苦八苦しながらそういう場所をさがしている。しかも場合によると非常に高い経費を払って住まわなければならぬ。それが学業が主かアルバイトが主かという一つの要因になっておる。そういう点については少なくとも学校の施設の整備、教育内容ということだけに目を奪われずに、そういう問題までが文部省の教育政策の範疇だという立場で前向きに考えてもらいたいと思います。今日の現状は、私十分知りませんけれども、おそらくお粗末なものだと思いますが、そういう点についての今後のお考えはいかがでしょうか。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 私はきわめてごもっともな御意見だと拝聴いたしたのであります。今日の学生の状況を考えます場合に、もっと学生生活らしい雰囲気あるいは環境のもとに学業を修めていくことができるようにということは、ほんとうにわれわれ考えなければならぬ問題だと思うのであります。今日までもいろいろやってはまいっておると思いますけれども、かれこれ言いわけがましいことを申し上げるよりは、率直にまだ十分に手が延びていないと申し上げたほうがいいと私は思います。しかしこれを教育の範囲内の問題として考えなければならぬということは、私もそのように考えるのであります。おそまきながら、しかし着実に努力を続けていきたいと思います。まだまだ大学全体をとらえてみましても幾多の欠陥があるわけでございまして、容易にそこまで手が延びておらないというのが現状でございますが、お気持ちは私も全く同感でございます。そのつもりで勉強していきたいと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 時間の関係もありますので、現地に起こっている具体的な問題を若干取り上げながら文部省並びに自治省のこの種の問題に対する考えを承りたいと思います。おそらく本分科会で他の同僚委員からもこの種の問題は取り上げられていると思いますが、私の地元での公立の高等学校の寄附金問題ということで、新学期を迎えようとする今日の受験期において父兄の立場から真剣に問題が提起されているのであります。地元の問題でありますから、学校の名前を一々あげますと、文部省ではすぐ県の教育委員会あるいは地元の教育委員会、こういうところにおしかりの立場で目を向けられては私としてもたいへん恐縮でありますが、そういうことはないのだろうと思いますけれども、一例を申し上げますと、私の地元の商工高校の場合に、高校急増対策として、従来商工高校であったものを分離いたしまして、商業高校を新設をしたというケースがございます。その場合に第一期工事の普通教室が完成をいたしましたが、地元負担額が四千二百万円。第二期工事として特別教室をやる、工事中でございますけれども、地元負担額が二千六百万円。これについて地元市として三千二十五万円の負担がすでに決定をしている。ところが例の地財法の一部改正という問題の関連もありまして、関係町村に寄附金の割り当てをいたしたわけでありますけれども、関係町村としては地財法の一部改正の趣旨もあり、負担をしないとい決議をいたしておるわけであります。そういう関係で第一期工事のうち千九百五十万円については市中銀行から借り入れをして支払いをやった。また土地買収についてもPTA負担等についてそれぞれ相当程度の負担がさらに加重されてきているというふうな、具体的数字をいろいろ取り上げることは省略いたしますけれども、地財法の一部改正に伴う問題がからみまして、この取り扱いが非常に問題に相なっておるわけであります。もちろん地財法の一部改正の場合、大蔵省や自治省のたてまえとしては、これは県立の高校については県が十分やり得るように財政措置等についても考えるから、町村等においてはそれは負担をしなくともよろしいんだという表向きの説明はされておるだろうと思いますが、現実に入ってみると、県財政の状況から見てなかなかそうはいかない。かといって、地元の伊勢市の場合はともかくとしても、関係町村に割り当てられておる額等の問題はとてもじゃないけれども消化できない。伊勢市を中心にした周辺の市町村で、高校急増に伴う諸経費の負担分が、たとえば伊勢市の場合でいえば七千二百五十六万円という寄付金の額になる。その他の市町村は大体数百万円程度の金額がそれぞれ割り当てられて、伊勢市を中心とした学校七校についての地元負担金が一億三百三十六万九千円というふうな額にのぼっておる。そうすると、関係市町村で負担しないという決議して、やっていくということになると、さてその取り扱いを最終的にどうするかという問題が出てきておるわけであります。そこで今日さらに出てきておりますのは、そういう関係等もあって、新学期を迎えようとする受験期に、ある学校の場合でいえば、入学金を従来五千円であったのを一万円に増額する、さらに施設費として一万二千円徴収しようという計画を持つ、これは一年分、そのほかに二万円の通帳を貸してもらいたい。さしあたってそういう学校に入ろうとする場合には、父兄は四万二千円からのお金を準備しなければならぬ。せっかく、高等学校は今日のように、かつての中学校よりももっと普及してきておるという段階の中で、もう中学校程度ではとてもじゃないけれども、社会に入っも十分他の者に伍していけないだろう、父兄としては非常に苦しいけれども、高等学校ぐらいは上げてやりたい、こういう立場から見ますと、さてその学校に入ろうとしたけれども、さしあたって四万二千円の金を準備しなければならない。とてもそれはできないということが、関係父兄の非常に真剣な問題になってきておるわけであります。これらの問題をひとつ文部省の立場において、それから自治省の立場において解明していただきたい、こういうふうに思うわけであります。まず文部大臣のほうから……。

相川勝六自由民主党

○相川主査 角屋さん、だいぶ時間が過ぎましたからひとつ……。

福田繁文部事務官(初等中等教育局長)

○福田政府委員 ただいま御指摘になりました具体的な事例を私は存じませんけれども、一般的に申しますと、すでに工事の契約等をいたしまして寄付金がきまっておるというようなものについては、今後地財法の改正に伴います寄付金の禁止には該当しない場合があると思います。しかしこの四月から地財法の改正を行ないまして、高等学校の建設等に必要な資金について、地元負担をかけてはならないという改正が行なわれましたので、したがってその趣旨から申しまして、三十九年度の高校急増対策として、建設費等は起債、交付税、あるいは商業にはありませんが、工業等については一部補助金を加えまして、急増対策に必要な資金ワクはつくったわけでございます。したがって建設事業については当然に、三十九年度分としては起債なり交付税のワクの中で、各府県がおやりになるのが適当だと思います。またそういうような具体的な問題について、いろいろこの起債が足りないとか、あるいは交付税のままでもらった分でどうだというような財政上の問題でございますれば、自治省としても十分相談に応じて、個々の件として相談に応じながらやるという態勢をとっておられるようでございますから、十分ひとつ御相談を願って、遺憾のないようにしていただきたいと思っております。  それからあとにお述べになりました入学金値上げの問題でございますが、これはやはり土地、建物の建設というような、建設事業に関連する入学金の値上げでございますが、これは好ましいものではないと思います。したがって父兄などが一部学校の備品等について寄付をされるというようなことと違って、高等学校の建設について寄付を入学金の形で取るということは、私どもは好ましいことではないと思う。そういうことはやめていただきたいと思っております。したがってそういう面についての財源措置というものは、十分その設置者である県が負担すべきものだと考えますので、そういった点についてもあわせて、もし財源措置に不足があれば、自治省と十分相談を願いたい、こう思っております。

岡田純夫自治事務官(財政局財政課長)

○岡田説明員 高校負担金の問題につきましては、御指摘のように三十九年度から完全に地元負担を禁止する。建設につきましては従来の経験にかんがみますと、市町村で非常に財政的に赤字になったようなケースの多くのものが、県に対する負担金に原因が出ているというふうな事例が非常に多かったように考えます。特に国と地方団体、あるいは地方団体相互の間におけるところのけじめをはっきりさせるということが、それぞれの将来にかけての財源措置、必要なものに対しては完全にやっていくための態度を明らかにするゆえんである、こう考えて立てたのが財政法の改正なのであります。考え方といたしましてはそのようなことでございますが、財源措置につきましては、閣議決定の線によるところの急増対策については、起債、交付税、それぞれをもちまして、一応一〇〇%措置いたしておるつもりでございます。なおそれ以外に、地方財政計画全体といたしましても、三十九年度の財政計画では、全体では約二〇%の伸びでございますが、単独事業では四割近く伸ばしておりますというようなことで、もちろんそれに対応するところの税収も見ております。また交付税等も考えております。交付税などにおきましても、ある程度事業費につきまして相当の額を措置いたすというようなことで、そういうふうな問題も頭に置きまして、できる限りの措置はいたしておるつもりでございます。趣旨は先ほど申し上げましたようなことであります。  なお入学金の問題につきましては、いま文部省から言われましたようなことで、私ども全く同感でございますが、自治体のことでありますので、自治体内部においてもちろん使用料条例という姿をもって、十分論議を尽くして判断してもらいたいというふうに考えます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋分科員 予定の時間の関係もありますので終わりたいと思いますが、最後に文部大臣にお伺いをいたしたいのであります。  一応こういう財政上の問題というのは、私ども第一線におる立場からしますと、特に教育上の諸施設の問題については、常に小学校といわず、中学校といわず、高等学校といわず、父兄負担の問題にぶつかる。現に私のところでも小学校の講堂の父兄負担の問題で、これは非常に重要な教育上の問題である。しかし現実にそうはならないのだからやむを得ないということで、快く応分の寄付はいたしましたけれども、しかし教育の問題というのは、そういう問題が起こるときに、やはり教育本来の姿が父兄から、あるいは児童生徒から失われていく危険性が多い。同じ私のほうで、たとえば金が予定どおり入らないということで、生徒が大体入れるまでにちゃんと請負のほうでは学校をつくったのだけれども、金をくれないから生徒の入居を拒否するという問題が若干期間起こりました。これは教育に与える影響は決していいことではございません。常にそういう学校の諸施設に対する父兄負担あるいは財政の措置が、きめこまかく県なり市町村でなされていないという問題があって、目が届かなくて、それが教育に非常に悪影響を及ぼすということがしばしばございます。したがいましていまの問題はさらに深く触れるつもりはございませんけれども、法改正をやるのならば、あるいはやったならば、必ずそれによって第一線に混乱や支障が起こらないというところまでの、きめこまかい見届けを十分してもらいたいと思います。教育の立場から、ひとつ最後に文部大臣からこういう問題に対するお考えをお伺いしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党文部大臣

○灘尾国務大臣 御趣旨はまことにそのとおりだと私は存じます。本来公費でもって負担すべきものが、父兄のほうに転嫁せられるというふうなことは極力避けてまいりたい、今日までもその方向で努力をいたしてきたつもりでございますけれども、なおそういう事象が決してないとは私は申しません。ますますこれが緩和軽減につとめてまいりたいと存じます。願わくは公費負担とすべきものを、みだりに父兄に転嫁することのないようにという、その方向でもって私どもも努力し、また財政当局の協力を得たい、さように思っております。

相川勝六自由民主党

○相川主査 本日の質疑はこの程度にとどめます。  文部省所管に対する質疑は、来たる二十二日続行することといたします。  次会は明二十一日、労働省所管に対する質疑に入ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会

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