予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1964/02/17
会議録
○相川主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が、不肖でございますが、主査をつとめることになりましたので、皆さま方の御協力をよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、昭和三十九年度一般会計予算中外務省、文部省、厚生省及び労働省所管並びに昭和三十九年度特別会計予算中文部省、厚生省及び労働省所管につきまして審査を行なうことになっております。 審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じます。あらかじめ御了承を願います。 それでは、昭和三十九年度一般会計予算中外務省、文部省、厚生省及び労働省所管並びに昭和三十九年度特別会計予算中文部省、厚生省及び労働省所管を議題といたします。 これより順次説明を求めます。 まず、文部省所管について説明を求めます。灘尾文部大臣。
○灘尾国務大臣 昭和三十九年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、昭和三十九年度文部省所管の一般会計予算額は、三千九百一億九百一万二千円、新設予定の国立学校特別会計の予算額は、千三百九十四億五千九百三十七万六千円でありまして、両者を加えた文部省所管予算額の純計は、四千百五十億五千四百二万九千円となっております。この純計額を前年度当初の対応予算額に比較いたしますと、六百四十三億円余の増額でありまして、この増加率は、一八・三%となっております。 以下、昭和三十九年度予算案において、特に重点として取り上げた施策について御説明申し上げます。 まず第一は、初等中等教育の改善充実でありますが、この点につきましては、公立義務教育諸学校における学級規模の適正化、教職員定数に関する算定標準の改善及び学校施設の整備を推進することを重点といたしましたほか、小学校第一学年から第五学年までの児童に対する教科書を無償給与するために必要な経費を計上いたしております。すなわち、義務教育費国庫負担金につきましては、学級規模の適正化をはかるため、昭和三十九年度においては学級編制の基準を、小・中学校いずれも四十九人とし、また教職員の定数増をはかるほか、充て指導主事の増員、給与改訂の実施、諸手当、旅費及び教材費の増額等を行なうこととし、総額二千四十六億円余を計上いたしております。 次に、公立文教施設につきましては、引き続きその整備を推進することとし、小・中学校校舎の整備、危険校舎の改築、屋内運動場の整備、学校統合に伴う校舎等の整備、工業高等学校の一般校舎の整備を行なうほか、新たに小学校屋内運動場及び町等学校寄宿舎の整備等を行なうため公立文教施設整備費百八十億円を計上いたしました。 また、本年度においては、小・中学校校舎の施設基準の改定を行ない、これまでの児童、生徒一人当たりの基準坪数を一学級当たりの基準坪数に改めることとしたほか、実情を勘案して、国庫負担対象の割合を八〇%に引き上げ、建築費単価及び構造比率の改定等を行なうことといたしました。 次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、これに関する法律の成立に伴いまして、国・公・私立学校を通じ、小学校及び特殊教育諸学校の小学部の第一学年から第五学年までの児童に全教科書を国の負担において無償給与することとしたのであります。 なお、教育内容の面につきましては、前年度に引き続き小学校及び中学校における道徳教育の充実強化をはかるために必要な経費、各種教育研究団体助成のための経費等を計上したほか、中学校における生徒指導の強化、幼稚園教育振興等に必要な経費を増額計上いたしております。 第二は、科学技術教育及び学術研究の振興であります。 科学技術に関する教育研究の拡充強化をはかることは、現下の急務であり、かねて努力を続けているところでありますが、昭和三十九年度予算案におきましてもさらに力を注ぐこととし、初等中等教育、大学教育等、各面にわたって所要経費を増額計上いたしております。 まず、初等中等教育の分野につきましては、中央産業教育審議会の答申の趣旨に従い、産業教育関係の施設設備の改善充実をはかるため補助金を大幅に増額し、また、高等学校における農業教育の近代化促進にも配意し、所要経費を増額するとともに、新たに自営者養成のための農業高等学校の寄宿舎、実習施設等を拡充整備するため必要な経費を計上したのであります。 科学技術者の養成については、昭和三十八年度をもって二万人の養成計画を一応終了したわけでありますが、昭和三十九年度におきましても引め続き理工系学生の増募を行なうため大学及び何等専門学校の充実整備をはかることとしております。すなわち国立関係におきましては、二学部の創設、十三学科の増設、二十学科の拡充改組、十二の工業高等専門学校の新設を行なうこととし、計二千二百五十五人の理工系学生の増募を行なうことといたしております。また、公立大学、私立大学に対しましても、理工系学部学科を整備する等のための経費を増額いたしたのであります。 学術研究につきましては、重要基礎研究の促進をはかるため、科学研究費交付金等の増額を行ない、また国際的な学術研究の協力体制を推進するため、日米科学協力研究事業に必要な経費を増額計上するとともに、南極地域観測事業を再開するために必要な準備費の計上を行なっております。 第三は、国立学校の運営及び拡充整備に必要な経費であります。 国立学校の拡充整備を促進し、その円滑な運営をはかり、かつ、国立学校に関する政府の経理を明確にするため、国立学校特別会計を設置し、従来一般会計に計上しておりました国立学校運営費、国立文教施設整備費等の経費を新たに特別会計として経理することといたしました。この国立学校特別会計の予算額は、千三百九十四億五千九百三十七万六千円でありまして、その歳入予定額の内訳は、一般会計からの繰り入れ千百四十五億円余、借入金十億円、附属病院等収入百七十四億円余、授業料及び入学検定料三十一億円余、学校財産処分収入十五億円、並びに雑収入十八億円余でありまして、歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千百二十億円余、施設整備費二百七十三億円余、その他であります。 すなわち、国立学校運営費は、前年度に比較いたしますと百七十二億円余の大幅な増額となっておりますが、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等基準的諸経費の増額をはかりましたほか、公立三医科大守の国立移管を含む七学部の創設、理工系の学生増募を中心とする学科の新設拡充、国立図書館短期大学及び工業高等専門学校十二校の創設、新制大学における大学院修士課程の拡充等のほか、原子炉工学研究所、アジア・アフリカ言語文化研究所及び宇宙航空研究所の創設を行なうことといたしております。 次に、施設整備費につきましては、財政投融資資金及び不用財産の処分収入を財源の一部に含めまして、予算額の大幅な増額をはかり、施設整備の促進をはかることとしたのでありますが、なお後年度分について、三十億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。 第四は、教育の機会均等の確保と人材の開発であります。 優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して、国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため昭和三十九年度予算案におきましては、大学院奨学生の増員並びに教育特別奨学生制度の新設を行なう等育英奨学制度の拡充をはかることとし、さらに日本育英会の奨学金返還業務を推進することとして、合計八十五億円余を計上いたしております。 次に、要保護・準要保護児童生徒対策及び僻地教育、特殊教育等恵まれない事情にある児童、生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育の機会均等の趣旨にのっとり、従来からも特に留意してまいったのでありますが、本年度におきましても、一段とその充実をはかることといたしております。 すなわち、要保護・準要保護児童生徒対策につきましては、補助単価の改定をはかり、僻地教育の振興につきましては、引き続きスクールバス・ボート等について補助を行なうとともに、教員住宅建設の補助戸数の増加を行なうほか、新たに公立中学校寄宿舎運営費並びに視聴覚教育設備についても補助を行なうことといたしました。また特殊教育につきましては、養護学校及び特殊学級の普及並びに就学奨励費の拡充等について、所要経費を増額いたしますとともに、盲学校・ろう学校弱視難聴教育設備及び盲学校リハビリテーション課程設備について補助を行なうに必要な経費を新たに計上いたしております。 第五は、勤労青少年教育、社会教育及び体育の振興普及であります。 国家社会の発展は健全な青少年の育成にまつところ多大であり、働きながら学ぶ青少年の教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を払うべきところであります。昭和三十九年度予算案におきましては、引き続き定時制高等学校の設備の整備、定時制及び通信教育手当の支給、通信教育用学習書の給与等に必要な経費を計上いたしましたほか、夜間定時制高等学校につきましては、夜食費補助金及び運動場照明施設整備費補助金を増額計上いたしております。また前年度に引き続き青年学級、社会通信教育等の振興に必要な経費を計上いたしております。 次に、社会教育は、国民の教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともに、きわめて重要なものであります。このため、成人教育、婦人教育及び社会教育関係団体の助成等につきまして、所要経費を計上いたしましたほか、特に家庭教育を重視し、新たに家庭教育学級開設に対する助成費を計上するとともに、国立青年の家の増設、公民館、博物館等の施設・設備の整備について所要経費を増額計上いたしております。 次に、体育は、心身ともに健全な国民の育成をはかる上にきわめて重要な意義を持つものであります。また、明年度はオリンピック東京大会開催の年にあたり、その意義を高めるためにも、実施に遺憾なきを期することは、きわめて重要であります。 まず、オリンピック東京大会の実施につきましては、必要な施設の建設、整備並びにその実施に一段と力を注ぐことといたしました。すなわち、国立競技場の整備、屋内総合競技場の建設、日本武道館の建設、朝霞射撃場の整備並びにオリンピック組織委員会の運営・競技技術の向上等のため関係予算の大幅な増額を行なっております。 また、国民一般に対する体育の普及奨励をはかるため、水泳プールの整備に必要な経費を大幅に増額いたしますとともに、その他の体育施設の整備並びにスポーツ活動の指導者養成、スポーツテストの実施、スポーツ団体助成等に必要な経費を増額計上いたしたのであります。 また、学校給食につきましては、小麦粉についての従来の補助を継続いたすため、食糧管理特別会計へ十六億円余の繰り入れを行なうとともに、ミルク給食につきましては、生乳の大幅な使用増加を前提として所要の補助金を計上いたしましたほか、学校給食施設設備整備費補助金の増額をはかるとともに、共同調理場に栄養職員を設置するための補助金を新たに計上いたしております。 第六は、私立学校教育の振興助成であります。 学校教育における私立学校の重要性については、あらためて申すまでもないところでありますが、昭和三十九年度予算案におきましても、私立学校教育の振興助成のため必要な経費を計上いたしております。そのおもなものといたしましては、私立学校振興会に対してさらに十五億円を出資いたしますとともに、財政投融資として四十億円の融資を行なうことといたしましたほか、私立大学理科特別助成費に十六億円余、私立大学研究設備助成費については、補助率を引き上げることとして九億円余を計上し、科学技術教育振興の趣旨にも沿うことといたしたのであります。 次に、文化財保存事業につきましては、保存修理及び防災施設の整備等につとめるとともに、平城富跡の一部の買い上げ及び発掘調査を引き続き実施し、国立劇場の建設を進め、新たに重要無形文化財保持者に対する助成を行なう等の措置を講じております。 以上のほか、国費外国人留学生の増員及びその給与の改善等国際文化の交流を進め、新たに、ユネスコ関係団体に対する助成を行ない、また文化功労者年金の引き上げを行なう等所要経費の増額計上をはかったのであります。なお、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、前年度と同様、別途総理府所管として増額計上いたしております。 以上、文部省所管予算案につきましてその概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、十分御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。 —————————————
○相川主査 次に、外務省所管について説明を求めます。大平外務大臣。
○大平国務大臣 外務省所管の昭和三十九年度予算について大要を御説明いたします。 予算総額は二百十億九千四百九十八万三千円で、これを主要経費別に区分いたしますと、科学技術振興費六千七百十七万四千円、遺族及び留守家族等援護費八百万円、貿易振興及び経済協力費三十六億三千二百五十四万七千円、その他の事項経費百七十三億八千七百二十六万二千円であります。また組織別に大別いたしますと、外務本省百億七千七百八万六千円、移住あっせん所二千七十万二千円、在外公館百九億九千七百十九万五千円であります。 ただいまその内容について御説明いたします。 第一、外務本省一般行政に必要な経費二十一億二千五十万五千円でありますが、これは外務省設置法に定める本省内部部局及び付属機関である外務省研修所、外務省大阪連絡事務所において所掌する一般事務を処理するため必要な職員千五百六十一名の人件費及び事務費等であります。 第二に、外交運営の充実に必要な経費六億七千万円でありますが、これは諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また、各種の条約、協定を締結する必要がありますが、これらの交渉をわが国に右利に展開させるため本省において必要な工作費であります。 第三のアジア諸国に関する外交政策の樹立及び賠償実施業務の処理等に必要な経費二千二百三十九万三千円は、アジア諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整並びに賠償の円滑かつ統一的な実施をはかるため必要な経費であります。 第四の米州諸国に関する外交政策の樹立に必費な経費三千七十九万六千円は、米州諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整等を行なうため必要な経費と社団法人ラテン・アメリカ協会補助金二千三百八十万六千円であります。 第五の欧州、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費千七百十八万九千円は、欧洲、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整等を行なうため必要な経費と社団法人アメリカ協会補助金四百万円、財団法人中東調査会補助金百八十万円であります。 第六の国際経済情勢の調査及び通商交渉の準備等に必要な経費三千百五十九万二千円は、国際経済に関する基礎的資料を拡範かつ組織的に収集し、これに基づいて国際経済を的確に把握するための調査、及び通商交渉を行なう際の準備等に必要な経費であります。 第七の条約締結及び条約集編集等に必要な経費二千三十二万三千円は、国際条約の締結、加入に関する事務処理並びに条約集等編集、条約典型の作成、条約、国際法及び先例法規の調査研究等のため必要な事務費であります。 第八の国際協力に必要な経費二億七千二百八十三万四千円は、国際連合冬機関との連絡、その活動の調査研究等に必要な経費及び諸種の国際会議にわが国の代表を派遣し、また、本邦で国際会議を開催するため必要な経費並びに国連関係団体補助金二千七百七十六万六千円であります。 第九の情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費七億千八百三十九万千円は、国際情勢に関する国内啓発、海外に対する本邦事情の啓発及び文化交流事業等を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な経費、並びに財団法人国際学友会補助金九千七十六万千円、財団法人国際文化振興会補助金一億千七百九十万三千円、財団法人国際教育情報センター補助金八百四十三万四千円、及び啓発宣伝事業委託費一億四千四百四十七万千円であります。前年度に比し一億三千四百万四千円の増加は、啓発宣伝費及び国際学友会補助金、国際文化振興会補助金並びに啓発宣伝事業委託費等の増加によるものであります。 第十の海外渡航関係事務処理に必要な経費四千百三十七万六千円は、旅券法に基づき、旅券の発給等海外渡航事務に必要な経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための経費千七百四十一万千円であります。 第十一の海外経済技術協力に必要な経費十七億七千五十三万四千円は、海外との経済技術協力に関する企画立案及びその実施の総合調整を行なうに必要な経費と、コロンボ計画等に基づく技術者の受け入れ、派遣及び各種技術センターの設立等技術協力の実施に必要な委託費十三億七千三百四十五万五千円、及び海外技術協力事業団出資金一億円、同交付金二億六千七百六十二万四千円等であります。前年度に比し二億三千六百五十七万九千円の増加は、海外技術協力実施委託費及び海外技術協力事業団交付金の増加等によるものであります。 第十二の国際分担金等の支払いに必要な経費十二億五千二十二万二千円は、わが国が加盟している国際連合その他各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。 第十三の国際原子力機関分担金等の支払いに必要な経費六千七百十七万四千円は、わが国が加盟している国際原子力機関に支払うための必要な分担金及び拠出金であります。 第十四の貿易振興及び経済協力関係国際分担金等の支払いに必要な経費十五億八千十四万千円は、わが国が加盟している貿易振興及び経済協力関係各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。前年度に比し五億七千五十四万二千円の増加は、経済協力開発機構分担金等の増加によるものであります。 第十五の移住振興に必要な経費十四億五千四百六十三万千円は、移住政策の企画立案及び中南米諸国等に移住する者四千名を送出するため必要な事務費及び移住者渡航費貸し付け金二億七千八百四十六万千円、移住者支度費補助金一千五百五十万九千円、及び海外移住事業団交付金十億六千三百三十三万六千円等であります。 第十六の旧外地関係事務処理に必要な経費九十八万五千円は、朝鮮、台湾、樺太及び関東州等旧外地官署所属職員の給与、恩給等に関する事務を処理するため必要な経費であります。 第十七の旧外地官署引き揚げ職員等の給与支給に必要な経費八百万円は、三十九年度中の旧外地官署所属の未引き揚げ職員の留守家族及び引き揚げ職員に対し支給する俸給その他の諸給与に必要な経費であります。 次に、移住あっせん所について申し上げます。 第一に、移住あっせん所業務処理に必要な経費二千七十万二千円は、外務省の付属機関である神戸及び横浜移住あっせん所の事務を処理する職員五十名の人件費と、移住者送出の万全を期するため、本邦出発前に健康診断、教養及び渡航あっせん等の業務を行なうため必要な経費であります。 なお、昭和三十九年十月一日以降は、本移住あっせん所の業務を海外移住事業団に引き継ぐ予定でありますので、本年度要求額は、昭和三十九年四月一日から昭和三十九年九月三十日までの六カ月分を予定したものであります。 次に、在外公館について申し上げます。 第一の在外公館事務運営等に必要な経費九十一億二千九百五十一万三千円は、既設公館百七館二代表部九百二十九名と、三十九年度新設予定の在ルーマニア大使館、在ジェッセルトン、在マナオス、在イスタンブル各領事館、在デュッセルドルフ総領事館分館、経済協力開発機構日本政府代表部設置のため新たに必要となった職員二十二名並びに既設公館の職員の増加三十四名計九百八十五名の人件費及び事務費等であります。 第二の外交運営の充実に必要な経費七億八千万円は、諸外国との外交交渉をわが国に有利に展開するため在外公館において必要な工作費であります。 第三の輸入制限対策等に必要な経費二億五千二十八万円は、諸外国におけるわが国商品の輸入制限運動等に対処して啓蒙宣伝運動を実施する等のため必要な経費であります。 第四の対外宣伝及び国際文化事業実施に必要な経費一億八千九百九十六万六千円は、わが国と諸外国との親善に寄与するため、わが国の政治、経済及び文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するとともに、国際文化交流を行なうため必要な経費であります。 第五の在外公館営繕に必要な経費六億四千七百四十三万六千円は、在フランス大使館及び経済協力開発機構日本政府代表部合同事務所新営、在インドネシア大使館事務所新営、在ビルマ大使館事務所新営、在インド大使館事務所増築、在ブラジリア連絡事務所道路排水、その他公邸、事務所の諸工事に必要な経費と、在タイ大使館事務所用土地購入費並びに在外公館の事務所、館長公邸用建物の補修費等であります。 以上がただいま上程されております外務省所管昭和三十九年度予算の大要であります。慎重御審議の上御賛成のほどをお願い申し上げます。 —————————————
○相川主査 次に、厚生省所管について説明を求めます。小林厚生大臣。
○小林国務大臣 昭和三十九年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について、御説明申し上げます。 厚生行政につきましては、日ごろ各位の御協力をいただき、逐年予算の増額を見、厚生行政の進展がはかられつつありますことはまことに喜ばしいことでありまして、この際あらためて厚く御礼を申し上げたいと存じます。 さて、昭和三十九年度厚生省所管一般会計予算における総額は三千九百八十九億七千六百三十二万六千円でありまして、これを補正第二号後の昭和三十八年度予算三千三百三十三億四千二百四十五万七千円に比較いたしますと六百五十六億三千三百八十六万九千円の増加と相なり、前年度予算に対し一九・七%の増加率を示しており、また、前年度当初予算に対しましては二〇・四%の増加と相なっております。なお、国家予算総額に対する厚生省予算の比率は、一二・三%と相なっております。 以下、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。 まず第一は、生活保護費関係の経費であります。 生活扶助費につきましては、その基準額を一三%引き上げることといたしており、また、教育扶助、出産扶助及び葬祭扶助につきましてもそれぞれ基準の引き上げを行なっております。 このほか、保護施設職員の待遇改善を行なうなど、生活保護費として総額九百十七億九千八百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し百九十六億一千六百余万円の増額となっております。 第二は、社会福祉費関係の経費であります。 まず、児童保護費でありますが、収容施設等の飲食物費、日常諸費を改善するほか、保育所及び収容施設職員の待遇の改善をはかるとともに、職員の増員を行ない、また、新たに生活指導訓練費を計上いたしております。 また、新たに家庭児童相談室の運営費について補助を行なうとともに、母子衛生対策並びに身体障害児、結核児童及び重症心身障害児の療育対策に必要な経費をそれぞれ増額するなど、児童保護費として二百十三億七千五百余万円を計上いたしております。 次に、重度精神薄弱児対策でありますが、重度の精神薄弱児を養育する世帯に対し、新たに扶養手当を支給する制度を創設することとし、初年度として四カ月分に必要な経費一億六千五百余万円を計上いたしております。 また、保護施設、児童福祉施設等各種社会福祉施設の整備に必要な経費として二十五億四千万円を計上いたしております。 このほか、身体障害者保護費、精神薄弱者援護費、老人福祉費、世帯更生資金、母子福祉資金及び児童扶養手当の経費をそれぞれ増額するなど、社会福祉費として総額三百七十二億一千五百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し六十四億四千三百余万円の増額となっております。 第三は、社会保険費関係の経費であります。 まず、国民健康保険助成費についてでありますが、世帯主に対する七割給付の完全実施に引き続き、昭和三十九年度以降四カ年計画をもちまして家族全員に対する七割給付の実現を期することとし、その引き上げた部分について四分の三相当額を国庫より助成することといたしております。このため初年度分として四十年一月実施に必要な経費十一億二千余万円を計上いたしております。 また、新たに僻地往診料特別補助金として一億円を計上するなど、国民健康保険助成費として八百四十四億四千二百余万円を計上いたしております。 次に、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計へ繰り入れに必要な経費として百五十三億一千百余万円を計上するなど社会保険費として総額一千九億九百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し二百十億二千三百余万円の増額となっております。 第四は、国民年金費関係の経費であります。 まず、拠出制国民年金につきましては、国庫負担金として百四十四億五千七百余万円を計上し、また福祉年金につきましては、新たに障害の範囲を結核性疾患及び精神障害にまで拡大し、公的年金併給の限度額を引き上げ、また、扶養義務者の所得制限緩和をはかるなど、福祉年金給付費として四百十五億八千二百余万円を計上し、国民年金国庫負担金として総額六百二十七億一千八百余万円を国民年金特別会計へ繰り入れております。 第五は、保健衛生対策費関係の経費であります。 まず、結核及び精神衛生対策でありますが、結核予防法及び精神衛生法に基づく命令入院の措置をさらに強力に推進するなど、結核医療費として二百六十二億九千七百余万円、精神衛生費として百三十四億一千四百余万円、計三百九十七億一千二百余万円を計上しており、前年度予算に比し六十億三千百余万円の増額となっております。 このほか、保健所運営費、法定伝染病予防費等の保健衛生諸費として六十四億九千七百余万円、原爆障害対策費として十三億一千百余万円、らい予防対策費として一億七千八百余万円、また国立療養所に必要な経費として二百六十八億七千七百余万円をそれぞれ計上するなど、保健衛生対策費として総額七百八十五億円余を計上いたしており、前年度予算に比し百二億九千八百余万円の増額となっております。 第六は、遺族及び留守家族等援護費であります。 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護費でありますが、新たに、公務傷病範囲の拡大、特例年金の支給要件の緩和、年齢制限の撤廃に伴う減額年金の廃止等を行なうものとし、必要な経費九十六億五千余万円を計上いたしております。 戦傷病者特別援護費については、新たに、再発患者に対し療養の給付を行なうほか、援護の不均衝是正をはかるなど、これに必要な経費六億九千七百余万円を計上し、また、留守家族等援護費として一億五千百万円余を計上するなど、遺族及び留守家族等援護費として総額百三億五千百余万円を計上いたしております。 第七は、環境衛生対策費であります。 明るい生活環境を実現するため特に環境衛生施設の整備をさらに強力に推進することとし、し尿処理施設等の清掃施設整備費補助金については前年度予算の約二倍に当たる四十二億六千六百万円、下水道終末処理施設整備費補助金については約四割増の二十四億四千六百万円を計上いたした次第であります。 また、簡易水道等施設費補助金として十九億八千八百余万円を計上するなど、環境衛生対策費として総額八十七億四百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し三十億六千四百余万円の増額となっております。 以上、昭和三十九年度厚生省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げたのであります。 次に、昭和三十九年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。 まず第一は、厚生保険特別会計についてでありますが、一般会計より百四十五億五百六十八万三千円の繰り入れを見込みまして、各勘定の歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。 第二は、国民年金特別会計についてでありますが、一般会計より六百二十七億一千八百三十六万九千円の繰り入れを見込み、福祉年金勘定について内容の改善をはかるなど、所要の歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。 第三は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、八億六百十八万五千円の一般会計よりの繰り入れを行ない、歳入百六十三億一千七百十一万九千円、歳出百二十七億三千六百三十万一千円を計上いたしております。 第四は、国立病院特別会計についてでありますが、一般会計より三十二億一千二百十二万四千円の繰り入れを見込みまして、歳入歳出とも二百六十一億七千七百九十七万七千円を計上いたしております。 最後に、あへん特別会計についてでありますが、歳入歳出とも四億八千八百八万三千円を計上いたしております。 以上、昭和三十九年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。 —————————————
○相川主査 次に、労働省所管について説明を求めます。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 昭和三十九年度一般会計及び特別会計の予算案中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申し上げます。 労働省所管一般会計の歳出は八百二十一億四千二百二十万二千円でありまして、これを前年度予算額七百三十三億五千五百九万八千円に比較いたしますと、八十七億八千七百十万四千円の増加となっております。 次に、そのおもなる内容について概略御説明いたします。 その一は、近代的労働市場の育成と労働力流動化の促進に必要な経費であります。 経済の拡大発展に伴いまして、労働力の需要は増大し、若年労働者や技能労働者を中心とする労働力の不足が顕著となっております。反面、産業構造の変化等の事情により中高年齢の離職者が引き続いて多数発生しており、地域間、産業間、年齢間の労働力需給の不均衡は、種々解決を要する問題を惹起いたしております。 かかる情勢に対処し、昭和三十九年度におきましては、地域別産業別に雇用計画を策定いたしますとともに、全国的な労働力の流動化をはかるため、広域職業紹介業務の処理体制を改善し、需給調整機能を能率的に発揮できるよう労働市場センターを設置し、近代的通信網と電子計算機システムによって全国労働市場の状況を迅速的確に把握し、求人、求職の結合を一そう促進することにいたしております。 あわせて、移転労働者用住宅の大量建設及び雇用促進融資の拡大等の措置を強化し、労働力の流動化を一そう促進し、その需給関係の不均衡の是正と労働力の有効適切な活用をはかってまいることとし、これらに必要な経費として百十七億一千百七十二万三千円の予算を計上し、さらに財政投融資計画に雇用促進融資として六十億円を計上いたしております。 その二は、失業対策の推進に必要な経費であります。 失業対策につきましては、昭和三十八年度において制度の改正を行ない、鋭意その推進につとめておるのでありますが、産業構造の転換等による中高年齢離職者等に対しましては、その再就職の困難な事情にかんがみ、就職指導、転職訓練の実施など再就職促進措置を一そう充実強化し、労働力流動化の促進措置と相まって中高年齢失業者の再就職を強力に推進いたしたいと存じます。また、失業対策事業就労者に対しましては、就職支度金の貸し付けなど雇用奨励制度の改善をはかる等、一般雇用への復帰を一そう促進し、あわせて失業対策事業について、その事業費単価の改善などを行なうこととし、これに必要な経費と失業保険国庫負担金に必要な経費とを合わせまして五百九十九億六千四百九十六万六千円を計上いたしております。 その三は、炭鉱離職者対策に必要な経費であります。 石炭産業の合理化の進展等に伴い発生する炭鉱離職者に対しましては、引き続き就職促進指導、転職訓練を強力に実施するとともに、住宅の確保及び移住資金、雇用奨励金の支給などの援護対策を充実強化するほか、新たに再就職奨励金制度を設け、広域職業紹介の強化と相まって早期就職を促進いたしたい考えであります。 また、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、就労者の再就職の状況にかんがみ引き続いて事業を実施してまいることとし、これらに必要な経費として六十六億六千四百四十四万二千円を計上いたしております。 その四は、技能労働者の育成と技能水準の向上に必要な経費であります。 技術革新に伴う生産技術の進歩、企業の体質改善などの進展につれて、技術者、技能労働者の不足は今後ますます増大する傾向にあります。 かかる事態に対処するため、学校における技術教育の振興対策と相まって公共職業訓練施設の新設拡充、訓練内容の充実、並びに事業内職業訓練の助成強化をはかるとともに、就職の困難な中高年齢失業者に対する職業訓練を拡大強化するなど、職業訓練行政を強力に推進して技能労働者の養成確保につとめ、さらにわが国の技能水準を一そう向上させるため、全国的な技能コンクールの実施と国際技能オリンピックへの参加に対して援助助成を行なうとともに、技能検定と技能コンクールとの連携調整を行なうことによって、技能検定の大幅な拡大とその円滑な実施をはかることとし、これらに必要な経費として七十億二千八十一万二千円を計上いたしております。 その五は、中小企業労働対策の推進に必要な経費であります。 経済の成長発展を背景に、中小企業の労働条件等は逐次改善されつつありますが、中小企業の経営基盤強化のための諸施策と相まって労務管理の近代化、労使関係の合理化をはかるとともに、最低賃金制の実效ある拡充、労働時間の漸進的短縮、労働環境の改善、労働災害の防止、労働福祉の増進、卒業内職業訓練の推進、従業員五人未満の企業の失業保険への加入促進など積極的な諸施策を総合的に推進いたしたいと存じます。特に中小企業退職金共済制度につきましては、中小企業退職金共済審議会の答申の趣旨にのっとり、適用範囲の拡大、掛金月額の最高額の引き上げなどの改善を行なうとともに、新たに資金の還元融資及び建設業における期間を定めて雇用される者に対する退職金共済制度を創設することとし、これらに必要な経費として六億四千八百五十九万二千円を計上いたしております。 なお、中小企業退職金共済法の一部改正に関する法律案を本国会に提案いたしております。 その六は、近代的労働条件の促進に必要な経費であります。 労働条件の近代化を一そう強力に推進するとともに、最低賃金の実効ある実施、賃金制度改善の援助をはかるほか、技術革新、地域経済の開発等の進展に伴い産業災害が増加し、多大な経済的損失と多数の人命損傷をもたらしている実情にかんがみまして、新産業災害防止五カ年計画を強力に推進し、特に安全に関する監督指導、検査検定の実施、労働環境の整備改善、援助、巡回診断の実施、安全及び労働衛生の研究等の施策を推進してまいったのでありますが、今後これらの対策を一そう充実強化し、全力をあげて、労働災害の防止につとめることとし、その一環として、かつ、これらの諸施策を実効あらしめるために、事業主の行なうべき労働災害防止活動の体制の整備とこれに対する積極的な指導、助成を行なうこととし、これらに必要な経費として七億三千五百十九万八千円を計上いたしております。 なお、労働災害防止に関する法律案を重ねて本国会に提案いたしております。 その七は、合理的労使関係の樹立に必要な経費であります。 国民経済の繁栄と民主主義の発展のため、自由にして民主的な労働運動の発展と正常な労使関係の確立をはかるとともに、労使双方が相互信頼を基調とした自由な話し合いを通じて問題の合理的解決をはかる体制をさらに助長し、あわせて、労働相談、労働教育等の指導啓蒙に意を用いるとともに、労働紛争儀の予防とその円満な解決につとめることとし、これらに必要な経費として五億百九十四万八千円を計上いたしております。 その八は、婦人、年少労働者等対策の推進に必要な経費であります。 婦人及び年少労働者、身体障害者等の特性を配慮の上、その保護及び福祉の増進をはかるため、婦人労働力の有効活用に関する調査研究を行なうほか、内職相談施設の拡充、家事サービス職業訓練の実施等中高年齢婦人労働者の職業対策を推進するとともに、働く婦人の家、勤労青少年ホームの増設、年少労働者福祉員制度の充実をはかり、特に年少労働者のための産業人事相談制度の普及につとめ、あわせて、勤労者家庭生活の合理化、婦人の地位向上のための啓蒙活動を一そう強力に推進することとし、これらに必要な経費と、新たに、脊髄損傷者に対し、更生作業施設を主体とする特殊施設を設置することとし、これらに必要な経費とを合わせまして三億六千二百九十五万三千円を計上いたしております。 以上のほか、じん肺等長期傷病者補償費負担金等に要する経費及び国際労働行政の充実強化、行政運営の刷新改善、一般行政事務に必要な経費を計上いたしておるのであります。 次に、労働者災害補償保険特別会計につきまして御説明いたします。 この会計の歳入、歳出は、ともに九百三十二億六千百一万一千円でありまして、歳入のうち保険料収入は五百九十億五百万円、じん肺等長期傷病者補償費園庭負担金受入は十一億三千二十万八千円といたしております。 また、歳出のうちのおもなるものは、保険金四百六十三億三千百万円、保険施設費八億八千九百八十七万円、労働福祉事業団出資金二十五億五千九万五千円、業務取扱費等五十七億六百九十三万一千円でありまして、保険施設費のうちには産業災害防止対策費が含まれており、また、労働福祉事業団出資金は、労災病院等の施設の整備充実及び脊髄損傷者特殊更生作業施設の新設等に必要な経費であります。 最後に、失業保険特別会計について御説明いたします。 この会計の歳入、歳出は、ともに一千二百六億九千八百五十五万四千円でありまして、歳入のうち保険料収入は八百七十二億五千九百万円、失業保険園庭負担金受入は二百三十四億七千三百万円といたしております。 また、歳出のうちのおもなるものは、保険給付費九百二十三億五千七百万円、保険施設費二十九億一千四百九十一万七千円、雇用促進事業団出資金百二十一億六千六百八十四万二千円、業務取扱費等五十八億二千七百六十九万六千円でありまして、雇用促進事業団出資金は、総合職業訓練所の施設の拡充及び移転労働者用住宅等の建設に必要な経費であります。 以上、昭和三十九年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのであります。 何とぞ本予算の成立につきまして格段の御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○相川主査 以上をもちまして全所管についての説明は終わりました。 午後は一時より再開し、厚生省所管について質疑を行なうこととし、これにて休憩いたします。 午前十一時六分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○相川主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより各所管について順次質疑を行なうこととなっておりますが、この際、分科員の皆さま方に申し上げます。 議事進行の円滑をはかるため、質疑を行なわれる方は、あらかじめ政府委員等を要求の上、主査に御通告を願います。質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となったお方は三十分程度にとどめていただきたいと存じます。 なお、質疑者が多数あることと思われますので、各位におかれましては開会時間を厳守するよう、特に御協力をお願い申し上げます。 それでは、昭和三十九年度一般会計予算及び昭和三十九年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。滝井義高君。
○滝井分科員 厚生省予算の二、三の点についてお聞かせを願いたいと思いますが、文部省関係の方いらっしゃっていますか。それから、主計局は来ていますか。それから、あとで専売局と科学技術庁、それから気象庁に伺いたい。 第一にお尋ねをいたしたいのは、すでに予算委員会の一般質問でもあるいは社会労働委員会でも問題になりましたインターンの問題です。新聞その他を見ると、予算委員会というのはどうも低調である、二十数人が立っていろいろ質問をしたけれども、何ら見るべき言質がとれていないというようなことを書いておるわけです。そこで、総括質問なり一般質問でとれなかったものを、今度はきめこまかくこの分科会でとっていかなければならぬことになるわけです。それがとれなければ、今度はさらに、分科会が終わった後に、一般質問なり総括質問があるでしょうから、それで仕上げをしていく、こういうことになるだろうと思います。したがって、きょうの新聞等を見てみますと、善処いたし努力をいたしますというのが厚生大臣の一番得意な答弁である。大蔵大臣は、前向きに努力をいたしますと、こう「前向き」をつけるのが特徴である。しかしその内容は何もない、こういうのが出ておるわけです。そこで、ここでは、努力いたします、善処いたしますではなくて、きちっとひとつ、こうやりますということで言っていただきたいと思うのです。 まず、いままでいろいろインターンが問題になりましたけれども、なかなか具体的に出てこないのです。そこで、将来の問題については、これはまあ今度何か委員会ができたようでありますからそこにおまかせするとして、当面、昭和三十九年度をどうするかという問題があると思うのです。やはりいいことは直ちに実行するということが政治の要諦だと思います。そこで、私としては、すぐ実行できる問題点について質問しなければならぬと思うのです。 まず、このインターン問題の所管は、主務責任の省は、一体厚生省なのか文部省なのかということです。これは一体どっちでしょうか。
○大崎政府委員 厚生省でございます。
○滝井分科員 そうしますと、文部省はどういう限度において関係ありますか。全然関係がないのですか。
○大崎政府委員 インターンの所管は厚生省でございますけれども、インターンの制度は、医学教育と密接な関係に立っているわけであります。医学教育についての所管は文部省でございます。
○滝井分科員 そうすると、インターンというものは医学教育の一環であるということになると、文部省が主管のような感じもするのですが、いま厚生省が主管である、こうおっしゃったのですけれども、文部省は来ていますか——医学教育に関する限りは文部省である。それならば厚生省というのは、どういうところに責任があるのですか。
○大崎政府委員 医師国家試験の受験資格は、医学教育を終わりまして、実地修練一年を修了した者に対して与えられることになっておるわけであります。したがいまして、実地修練の制度につきましては厚生省の所管であります。
○滝井分科員 実地修練というのはやはり医学教育の一環でしょう。
○大崎政府委員 医学教育は文部省で四年やっておるわけであります。実地修練制度というものは、医学教育と一環をなしまして医師国家試験の受験資格になっているわけでございます。
○滝井分科員 そうすると、医学教育とは関係がないわけですか。一環というのは医学教育のうちに入るのじゃないですか。どうもそこらあたりがはっきりしないのですが……。
○大崎政府委員 実地修練制度そのものは医学教育ではございませんので、厚生省の所管でございます。
○滝井分科員 そうしますと、文部省は全然関係がない、こういって差しつかえないですか。
○大崎政府委員 私がただいま申し上げたような意味におきまして、文部省とは関係ございません。
○滝井分科員 そうしますと、文部省のほうは来ないですから、あとで尋ねるとして、戦後十数年の間、こういう制度がずっとできておりますが、その閥厚生省はこのインターンの制度については具体的にいろいろ手を打っていないわけなんです。成り行きにまかせるといっては語弊がありますけれども、いわゆる前向きの形でこの制度を有効適切に利用ができていなかったという感じもするわけです。そこであなた方としては、これからこの制度を具体的に、恒久的には医学教育の一環として、しかもこれは医学教育とは別個の立場で一体どうしようとするのか、その具体案がなければ、こういう方法で具体案をつくりますというその構想があれば、まずそれを聞かしてもらいたいと思うのです。あなたのほうで政治的に指南力をもってこうするという方法があればそれをしてもらいたいし、それがなければ、こういう方法で恒久的なものを立てたいと思いますという、いまはこういう二つの道しかないと思うのです。そこで恒久的な面をまず先に御説明願いたい。
○小林国務大臣 この問題にときどき厚生省が手をつけたことがあるが何も具体的にできなかった、こういうことは事実でございまして、三十九年度予算要求の際にも、御案内のように厚生省の案としては、宿舎を心配する、またインターンを受け入れる施設に対する相当な助成をする、こういうふうなこと、またインターン自身に対してはこの際経費の貸与をする、こういう三つの案を持って大蔵省に折衝したということも一つの事実でありますが、結局において符合は国立病院に百人分、また受け入れ施設に対する助成金は五百万円が二千何百万円になった、貸与そのものは育英資金のほうに従来のとおり一応まかせたままになっている、こういうふうな中途はんぱな案ができた。したがって三十九年度としては、いま予算が成立した範囲においてやる、こういうことで、この案ではきわめて不十分である。しかして今後恒久的にどういうふうにするか、こういうことにつきましては、インターン制度そのものをやめてしまったらいいじゃないか、あるいはインターン制度を置いて、そしてその内容を充実したらいいじゃないか、こういうふうな二つの意見がありますが、これらの根本的な問題については、最近お願いをした厚生省と文部省と医学教育あるいは医療担当、こういう方々にお集まりを願って、真剣に制度全体を検討していただいて、その結論を待って恒久的な手段を講ずる、その手段は、少なくとも昭和四十年度の予算の編成に間に合うようにやりたい、こういうことで、もし存続するとすれば、身分、待遇をどうするか、受け入れ関係をどうするか、こういう問題をきめなければならぬ。こういうことで、私が善処するとかいうのは、その結論を待って具体的に昭和四十年度の予算の編成までに結論を出す、こういうことではっきり申し上げておるのでございまして、さしむきの措置としては不十分な三十九年度の予算に盛られたことをやる、そして根本的なことは次の年度に間に合うように実際的に措置する決心である、覚悟である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
○滝井分科員 そうしますと、恒久的なことは、すなわちインターン制度を存続するかそれともやめるかという意見がある、存続するとすれば根本的な検討をした結論によって四十年度の予算に間に合うように措置をする、こういうことです。そうしますと問題は、今度は三十九年度、今年になってくる。今年は予算の成立をした範囲で措置をする、こういうことです。まだ予算が成立していないのだから、この問題は前進の可能性があるわけです。国会というのは予算の修正権もありますし、悪いものならば、池田さんが言うように、内政問題はいつでも変えるにやぶさかでない、こうおっしゃっているわけですから。 そこでまず、いまのインターン生というものがインターンの指定をされた病院に行ったときに、一体どういう姿で修練をやっておるのか、その姿をひとつ簡単に述べてもらいたいと思います。
○大崎政府委員 厚生省におきましては、実地修練に関する基準というものを設けまして、これによりまして各実地修練施設に対する指導をやっているわけでございます。その内容は、指導医のもとに診療に関する実地修練を行なう、あるいは保健所における実地修練につきましては、保健所の事業を通じまして公衆衛生の実地に触れさせる、こういうことでございます。
○滝井分科員 そうしますと、それぞれ指定を受けた病院に行って指導医のもとに診療に従事をして実地修練を受けるし、保健所の公衆衛生その他の実地の修練を受ける、こういうことですね。御案内のとおり保健所の医師の充足率というものは、これはいなかに行きますと二割七、八分ですかね、いまはどうでしょう、全国平均七割そこそこじゃないですか。そうしますと、いま保健所では、こういう実地修練を指導できる体制というものは、特別の保健所以外にはないですね。政令市か何かの特別な大きな保健所はともかくとして、そのほかの中小の都市にある保健所にはそういう姿がない。それから指定を受けた病院の問題です。いま大体姿を専門家がこういうふうに分けていますね。インターンを受け入れる施設の指導体制の状態を見ると、大体三つに分けられる。一つはあらかじめ教育方針を定めてスケジュールを立てて、そして実地修練教育を病院業務の一環として有機的に取り入れて、そうして患者の取り扱い、夜間の救急患者の取り扱いというようなものをやらせながら各科の診療業務に成熟をさせるという形でやっておるのが一つ。それからいま一つは、この実地修練化、インターン生を非常にありがた迷惑、やっかい者、じゃま者というのですか、悪いことばで、そういうように考えてたいして相手にしないというところですね。これは大学病院にそういうところがあるらしいのです。こういう形、それからいま一つは、この実地修練生を教育するというよりか、むしろ人手の足りない病院の手伝いに使う、こういう形態のもの、これは地方病院にそういう形態かありますね。こういう形ですよ。こういう形ではなはだしいところは何ら指導医もなく、インターンの諸君が宿直のかわりをやる。これはインターンですから宿直をやるのはほんとうです。しかしそれは指導医がついてのことです。こういう三つの形態があるのです。そこで問題は、今年やはり少なくともインターンの体制を残していくというのがいまの大臣の御説明のとおり方針なのですから、そうしますと今年においてまずここらの指導体制というものは確立できるはずです。少なくとも二十四、五歳の青年が、その青春期の大脳の非常に弾力性に富んでいる一年をテレンバレンと過ごすことは許されぬと思うのです。これは人物経済の上からいっても非常にもったいない話だと思うのです。やはりこの一年というものは偉大なる発展をするか大きな前進をするかの私は分かれ目にあると思うのです。そういう意味で私は何ぞ来年を待たんや。まだ予備費が三百億ある、その予算もまだ成立もしておらぬ。だからいま厚生省は予算を取るべきだと思うのです。そのためには一体どうするかというと、結局病院業務の一環として有機的にインターンの修練の体制というものを私は取り入れなければならぬと思うのです。これをあなた方が本格的にやろうとするならば、さいぜんの非常に不本意ながらもことし千万ちょっとですか、施設損料と謝礼合わせて——謝礼が千万で、施設損料が千八十五万、こういうことではとてもできるものじゃないわけです。だからしたがってこの三千人の青年諸君の偉大なる人生を決定するかどうかというためには、たった二千万そこそこでは足らぬと思うのです。あなた方が五億要求したならば——これほど大きな問題になってきたのですから、少なくともその五億だけはこの際いただかなければいかぬと思うのです。まずひとつ指導体制の確立を一体やるのかやらぬのかということです。いままでどおり制度があるのだから、予算も負けたから、取り得なかったのだからこのままでいきますということになるのかどうかということです。当然あやまちを改むるにはばかってはならぬのですから、この際あなた方は率直にいって、これは少なかったといえば隣に大蔵省が来ておりますから、大臣が取らなかったことをここで船後さんに要求してやらせる。船後さんにも良心があるのだし、これは予算委員会ですから。大臣は五億一千四百万円というのは要求したけれども、取り得なかった。これを何とかしなければならぬけれども、ことしはどうも、こう言っておれば、そこはあきらめが早いです。私も医者ですから、医者はそう早くさじを投げたらたいへんです。やはり最後の最後までがんばらなければいかぬのですけれども、どうですか、事務当局ではこれで自信を持ってやれますか。
○大崎政府委員 インターンの病院に関する厚生大臣の指定につきましては、実は昨年度は三百六十六カ所でございました。しかしながらその中には先生のいま御指摘になったような点もございまして、昨年七月医師試験審議会から出されました実地修練制度の改善方策に関する意見書の意見も取り入れまして、指定インターン病院の厳選化をはかっているわけでございます。三十九年度は二百六十九カ所に厳選をいたしておるわけでございます。御案内のいま予算案に盛られた内容をもちまして十分本年度につきましては遺憾なきを期し得る、かように考えております。
○滝井分科員 まあ五億一千四百万要求して二千百万ちょっとしか金が取れなかったから、この際また五億下さいというわけにはこんりんざい、舌切りスズメじゃないけれども、舌が切れても覆えませんというようなあなた方の立場だと思うのです。だから今度は国民の立場でわれわれ議員が言っておるわけですよ。だからあなたはその段階ではだいじょうぶこれでやれますということなら、ものは実績主義になるのですから、また来年も二千万になっちまうのです。恒久的に存続するとしてもそうはいかぬと思うのです。やはりこれはお互いに国会で、分科会ですからざっくばらんにひざ突き合わせてやるのがほんとうなんですね。私は当面これは謝礼千万、いいですか、いま小学校の生徒の家庭教師をやったって月に一万や一万五千円出さなければやってくれぬですよ。ところが全国の三千人の前途春秋に富む青年の医学教育の一環としてインターンをやろうというのに、謝礼をたった一千万で優秀な先生が身を入れて教えてくれるかということです。とてもたいへんです。そういうことはできない。やはりこういう良心の叫びをこういうところでは言ってもらわなければいかぬと思うのですよ。まずこれは一つ横に置いておきます、良心の叫びはあとで聞きますから。そうしますと、今度はことし行くインターン生はどうするのですか。やはりいまあなたはアルバイトのことなんかおっしゃらなかったけれども、やはりアルバイトをやらして親のすねをずっとかじらせていくのですか。これでは医学部長会議が昨年結論を出したように、現在のままのインターンでは弊害が多くてこれはやめたほうがいいということを言っておるわけでしょう。それならば、少なくとも三十九年度存続していくというならば、これは改めなければいかぬわけです。どこにその根本的な原因があるか。それはもう医学の裏街道を歩くやり方、アルバイトに走って安易な診療をするやり方、こういう悪い面ばかりが多く、大事な青年のこの一生を左右する一年間に身につけられてしまって、そうしてそういう空気が濃厚に出てきて、ほんとうにここで医学を研さんするという態度にだんだん欠けてくるということを言っておるでしょう。それならばこの一年でもやっぱり改めなければいかぬと思うのです。アルバイトをしないように指導体制を確立して、少なくとも最低の生活ができる姿でインターン教育ができ、インターンの修練ができるという形を私はとらなければならぬと思うのです。そのためには生活費を、これはまあ教育助成の意味でやはり出さなければいかぬと思うのです。こういうことは、これは何も恒久的な制度でも何でもない。とりあえずことしも出す。来年度はいま大臣も言われたように四十年度の予算編成でやるのです。だから私はここで二つの点をはっきりしてもらいたいと思うのです。少なくともそれぞれの指定をされた二百六十九カ所の病院における指導体制を確立して、病院業務の一環として入れていく、そのためには二千万そこそこの金では足らぬから、これを一体どの程度ふやしていくかということです。 それからインターン生の最低限の生活の補給金を出してやる。これは本人に直接出せないですから、当然これは病院に対する助成費の一環として出す、こういう形になると思うのです。 この二点だけは、きょうははっきり言明してもらわなければならぬと思うのです。恒久的なことは来年でよろしいのです。そうしますと、最低一人月に一万円出す。二万円と言いたいところだけれども、なかなかそうもいかぬでしょう。一万円とすると、三千人ちょっとですから、三億五、六千万円の金があったらいいのです。そうして指導体制確立のために四、五千万円、まあ四億くらいの金を別に追加してもらう。そういう形にすれば、五億一千四百万円程度要求したけれども、新しく四億もらえば四億二千万円くらいになりますから、これは何とかやっていけるのです。このくらいのものはここで言明できなければ、いずれまた大蔵委員会で大蔵大臣を呼んでやりますが、どうですか船後さん、日本の医学の前進をはかるためにも、大蔵省としてはこのくらいのことは大臣と相談をして——きょう答弁かできなければ、あさってもう一ぺん厚生がありますから、そのときでもけっこうですが、どうですか。
○船後説明員 インターン制度につきましては、種々の問題点があることは、先生御指摘のとおりでございます。三十九年度予算におきましても、厚生省からお話しのとおり、約五億程度の予算要求があったわけであります。しかし、このインターン制度につきましては、各方面から御指摘もございますとおり、制度そのもののあり方、あるいは実地修練のやり方、あるいは国家試験のやり方、種々の問題がからんでおるようでございますが、三十九年度予算におきましては、そういった制度の問題は十分解決するに至らないという状況でございましたので、ただいま御審議願っております予算案のとおり、昨年度約五百万足らずの経費でございましたけれども、インターンを受け入れる各施設におけるいろいろな講師の謝金あるいは施設の謝金というような意味合いで約二千万円を計上いたしておるわけでございます。 この金額が少ないというおしかりでございますけれども、国立大学の病院におりますいわゆる無給副手に対するいろいろな庁費とのバランスもございまして、財政当局といたしましては、妥当な金額ではないか、かように考えている次第でございます。
○滝井分科員 船後さんも御存じのとおり、もはやこれはこのままでおいておってはいかぬというのが結論です。いまの状態では弊害が大きいという結論が出ておるにもかかわらず、今年またいまのままでいくというのですからね。それはなるほど四百九十一万七千円の三十八年度予算が二千百八十七万九千円と千六百九十六万二千円増加したことは、これは田中大蔵大臣の前向きかもしらぬけれども、しかしこれでは帯に短かしたすきに長しで、どうにもならぬということです。ですからこれを何らかの形で、当面ことしはそのままでいくとするならば、何とかしなければいかぬ。この一年間がむずかしい——少なくとも池田さんが人つくりを言われるならば、このくらいの金は、予備費が三百億円あるのだから、出してもいい。この金はむだにならないという立場です。どうですか大臣、私はいま四億一、二千万円と言ったのですが、これは当然いただく意思があるわけでしょう。
○小林国務大臣 これは、私がいま申したように、謝礼にしてもあるいは手当の問題にしても、きわめて遺憾な状態にいまある。しかし、手当の問題などは、国が負担すべきものか受け入れ側で出すべきものか、こういう問題もまだあるわけでありまして——あるいはそれに対する補助という問題があるかもしれませんが、手当についてはそういう問題がある。その病院のいろいろな仕事に寄与してもらっておるということから、相当部分かあるいは全部を施設が出すべきものか、あるいは国が出すべきものか、これも議論の分かれるところでありまして、これをいまいずれにするかということをきめることはできません。 予備費のお話もありますが、こういう問題についてさような扱いをするということはきわめて異例なことでありまして、ことしそういうことをぜひやるつもりかと言われると、なかなか困難だ、こう申し上げるほかない。しかし私どもは、行政的な指導としまして、やはり生活問題も考えれば、ある程度、どこがそれを負担するか別にして手当も出さなければなるまい、こういうふうに私は考えます。したがって、ことしは国の予算がなければ施設で何とか——現に相当のものを出しておるのが通例でありますから、そういうことを行政的に進める、こういうようなこともできると思うのです。 それから、国としては、国立病院等についてはまた大蔵省と相談して何がしかの調整ができるか、こういうふうに思っております。 謝礼の問題については、いまのようなもので十分だとは私は思いません。もし存続するとすれば、来年度等において相当増加して、インターンにふさわしいような実地修練をさしてもらわなければならぬ。そのためには、やはり国が施設に対してある程度の補助とかそういうことをしなければならぬ。いまの二千万円程度では当然足りないと私は思っております。しかし、それでは予算措置としてことしほかの何かの方法でやるかというと、そういうような異例な措置は、私は、この際非常に困難であると言わざるを得ません。したがって、手当等の問題については、行政指導としてわれわれも何かやれるのじゃないか、あるいは国立病院についても何かやれるのじゃないか、こういうことを考えますが、いわゆる実地指導に対する謝礼あるいは報酬、お礼、こういうものに対する補助という問題は、ことしはきわめて困難であろうと考えております。
○滝井分科員 そうしますと、要約いたしますと、ある程度インターンの生活を保障するために幾ぶんのことはやりたい。しかし、それは指定をされた病院、すなわち施設が出すか、国が出すか、なかなか問題のあるところだが、とにかく何らかの形で出すようにいたしたい、国立病院についても大蔵省と相談して何とかしたい。大臣、これは一歩前進したです。しかし、謝礼その他施設の損料等についてはどうもなかなか困難である。この困難もひとつ乗り切ってもらいたいと思うのです。一山、二山、三山くらいはやはり越えなければいかぬと思うのです。 そこで、文部省は今度インターンを相当病院に受け入れることになるのですが、これは大学病院は謝礼を出すのでしょうね。
○村山説明員 文部省関係の大学病院では、国、公、私立大学を通じて従来インターンの約過半数、千六、七百名を引き受けております。これに対しましては特に謝礼というものは出しておりません。ただ、大学在学中に日本育英会の育英資金の貸与を受けておった者がおるわけであります。この者が当該大学へインターンに入った場合には、大学で受けておった育英資金の継続というような形で同じく日本育英会からインターンに対して育英資金の貸与をいたしております。これ以外に特に手当というものは、財源措置もございませんし、従来も出しておりませんし、これからも出すことは困難かと思います。
○滝井分科員 そうしますと、同じ内閣の中で、国立病院は何とかいたしたい、こういうことになってきた。そうすると、インターンのいく大学の病院はどうして出せないかということです。だから、指定病院ということで指定を受けたからにはインターンの修練の場として、国立病院であろうと普通の病院であろうと変わりはないわけでしょう、船後さんどうですか。こういうところに内閣の不統一が出てきた。これは問題が小さいようであるけれども、一事が万事である。当然これも厚生省が出さなければならぬ、いいですか、インターンの主管省である厚生省がそういう方針を出せば、文部省もそれに従わなければならぬ、これは当然です。さいぜん無給の医局員のことも出ました。問題はやはりここにもあるのです。二、三日前の予算委員会の一般質問でも山中吾郎君が言っておった。いまや医科に入るのにばく大な金が要る、そうしてしかもインターンは親のすねをかじってアルバイトしなければならぬ、こういうことでは医学教育に優秀な人間が集まらない、こういうことを言っておった。実際に東京大学その他を見ても、最低の入学点数というのはずっと下がってきているでしょう、おそらく最近は志願者もずっと減っているでしょう。人間の生命を扱うのに優秀な人間——昔は医学部といったらほんとうに秀才の集まりだった。いまも秀才は少し来るかもしれないけれども、総体的に見ると幾ぶん工学部あたりのほうがいいというので、秀才は工学部のほうへ行く。ことしあたりはさらに上まで行こうというので、大学院その他研究の方向に残って外へ行かないということで、高級技術者が不足してうんと困っている。やはり私はそういう六年も七年も無給で働かしてやるという制度はいかぬと思うのです。これはいずれ国立学校の特別会計のときにまた質問しますけれども、一体大学病院は何人の医者に給料を払っていますか。千人なら千人おるとすると何人くらい給料を払って、あとは全部ただ働きというか、ただ働きの数は一体どのくらいになっていますか。
○村山説明員 まず前段でございますが、インターンに対します待遇につきましては現在大学病院と国立、私立病院、それから大学病院の中でも設置者の別によりまして異なっております。今後も特段の予算措置をしません限り国立大学病院では手当を出すということは困難かと思います。従来とも違っておりました状態を継続せざるを得ないということになろうかと思います。 次に、第二点の国立大学病院における医者の数及び給与を支払っておる者の数でございますが、これは現在正確な資料を持っておりませんので、正確なことは申し上げかねますが、大体国立大学病院約二十一を通じまして医師の数はおそらく一万名程度おるのじゃないかと思います。そのうちでおそらく七千人程度が給与を支払っておらない者、それから主千名程度が有給ではなかろうかと思います。もっともその七千名の無給職員につきましては、これを全部職員といってよろしいかどうかについてはかなり疑問がございます。たとえば一週間に一日程度来る者、どこかの国立病院ないし民間病院につとめておりまして、一日だけ研修的意味で大学病院に来る者もございます。はなはだしきは一週間に一日よりもっと頻度が浅い者もございます。こういうものを延べ数合計いたしますと相当数になりますが、その中で給与を支払うべき者、すなわち常勤の者と同程度の勤務をしておる者という観点からとえらえますと、その数はずっと少なくなるのじゃないかと思います。その数は実は極端に申しますと時々刻々変動いたしておりまして、なかなか捕捉しがたくなっております。昨年来大蔵省から若干の調査費の予算措置をしていただきまして、こういう無給職員の実態調査をやっております。だんだん実態が明らかになってまいっておりますので、この実態に即しまして職員として大学病院のために勤務に服すべき者につきましてはこれを有給の職員とする。それから本人の研修のために来ておる者は研究生あるいは専攻生あるいは大学院学生、その他しかるべき学生としての身分に切りかえて、職員とその研修員との間に線を引きまして、職員的な者が無給で勤務に従事しておるといったようなことを、だんだんと整理いたしたいと思っておりますが、まだはかばかしくまいっておりませんのは遺憾でございます。今後とも努力いたしたいと思っております。
○小林国務大臣 インターンに何か経済的の待遇をするほうがよい。これは主管省の厚生省が考えておるのであります。まだ政府としての意見はまとまっておらない、こういうことを申し添えておきます。
○滝井分科員 厚生省がそう考えておるので、まずこの際隘路を排除しておかなければならぬと思って先を進めるわけですから、ひとつ小林厚生大臣もそのつもりでお聞きを願いたいと思います。 そうしますと、いま船後さんお聞きのように、ことしの国立学校特別会計で病院収入は百七十四億、百七十四億をかせごうというのに、これを一万人の医師が中心になって一生懸命にやっておるわけですね。そうするとその三千人ぐらいが有給で、七千人ぐらいは無給だ、しかし無給にもいろいろ種類がありますと言うけれども、あったにしてもこれはやはりりっぱに来てやっているのが三千人くらい、半分はおるんですよ。そうすると、こういう不合理な形で百七十四億の金があげられてきておるわけです。これは百七十四億あげたってまだ私立のほうが多いんだから、国立大学病院の経営は二割以上の赤字です。そうすると、これは赤字でも教育の一環として、主管省がそういう気持ちであるならば、文部省もその気持ちにならなければいかぬ。あなたのところも無責任じゃない。責任があるんですよ、重要な医学教育の一環ですから。ただ、一環だけれども、実地修練は国家の主管省である厚生省が片棒をかついでおる。片棒をかついでおるというよりも、七年のうちの一年をかついでおる、だから七分の一をかつぐ、こういうことだ。だから、むしろあなたのほうが主管的にやらなければいかぬわけだ。この無給医局員制度、いわゆる大学病院の内部におけるこういう前時代的な封建的な姿というものを直さなければならぬ。少なくともそういう近代の学問をする場の姿になっていない。だから、私は前の大学課長のときに、ここで二度ばかりやったのです。そうして、やはり改善をする、そういうことだったわけですね。しかし大蔵省のほうは、そういった助手とか副手とかいうのは有給の者はいいが無給の者はやみだ、私のほうは知らぬ、こう言っておった。そういう極端な言い方を、当時の主計官はしたのです。何だ、やみとは何だと私だいぶ言ったんですがね。したがってこのインターンの問題はもう少し積極的になって指導態勢をやり、生活保障をしなければ、あまりにも文部省は無責任である。しかも大学病院はいままでやっておらぬから知らぬというわけにいかないので、やはり一生懸命やるべきだと思う。船後さんどうですか。当然他の指定病院は出しているんですよ。施設が出している。そうすると、国立病院も出さなければ来ないですよ。ことしインターンの諸君は国立病院に行かないと言っている。しかも国立病院の全部がインターンの指定をしているでしょう。ところがみな行かない。行かないと一体国立病院にどういう影響を与えますか。来なくても何も影響ないですか。
○大崎政府委員 国立病院の運営につきましては、さしたる影響はないのであります。
○滝井分科員 運営についてさしたる影響はないそうですが、とにかく国立病院にインターンの修練生が行かぬということは、これはやはり国立病院の権威としてもたいへんなことですよ。国家不信じゃないですか。それはいわば池田内閣の医療行政に対する不信じゃないですか。そういうことじゃいかぬと思う。ですから、やはり何らかの打開の道を講じなければいかぬ。特に文部省の所管の病院関係でも病院については監督権があるわけですからね。そういうインターンについては監督権があるわけですから、やはり出せるようにしなければいかぬ、どうですか船後さん、いま私もこれはある程度は妥協してもいいと思うのです。国が出すか施設が出すかということはとにかくとして、とにかく何らかの形で前進をはかりたいと大臣は言明したわけです。もう善処とか前向きでなかった、きわめて具体的に主管省としてはやりたいとおっしゃっている。これはあなたのほうでそうなれば文部省の大学病院関係にも金をつけるという形にしなければ不平等ですよ、国の政策として。だから当然これはあなたのほうでも、血管省でそういう形であるならば、当然国のほうでもつけるようにしなければ——これはあなたか答弁できなければ、ちょっと大臣にでもここに来ていただいて、大蔵省はきょうやっていないわけですからちょっと来てもらいたい。
○船後説明員 インターン期間中の生活の問題でございますが、これにつきましては種々の考え方があろうかと存じます。厚生省は三十九年度の御要求で貸費制度という御要求があったわけでありますが、これは先ほど説明ございましたとおり、現在育英会のほうでそのような制度があるわけでございます。私どもといたしましてはインターンに対して貸費制度をやっていくならば、これはやはり両方でやるのはいかがかと存じまして、育英会のほうで制度を担当していただきたいと考えている次第でございます。 なおインターンに、やはりこれは見習いといえども、その病院の経営に貢献しておるという観点から見れば何らかの手当を支給するという議論もあるわけでありますが、これを国が支給するということにつきまして、私どもインターン制度をとっております諸外国の例を聞いておりますけれども、寡聞にして国がインターンの手当を支給しておるという例は聞いていないのでございます。これを施設が支給するということになりますれば、国立病院あるいは大学病院、それぞれ施設自体といたしましてこの手当の支給が問題になり、同時に予算措置が問題になるわけであります。三十九年度は厚生省の御要求が貸費制度の具体化という方向でございまして、この手当の問題がなかったのでございますけれども、しかし各病院、ことに国立病院の特別会計につきましてはそれぞれ謝金も計上いたしておるわけでありますから、それの実行問題としてあるいは先ほど厚生省から御発言のように、インターンに何がしかの手当を支給するということでございますれば私どもも検討いたしたいと存じますけれども、ただ国立大学の分につきましては、いま承知をいたしておりませんので何とも申し上げられないのでございますけれども、インターンのほかに無給の医局員が多数存在いたしておりまして、それの実態も明らかでないという現状でございますので、インターンと他の無給の職員とかれこれ差をつけるということもかなりこれはむずかしい、こういうことを思います。この問題は厚生省、文部省のほうで御検討ありますれば、われわれのほうで検討いたしたいと存じます。
○滝井分科員 インターンのほうは義務的なんですね。それから無給のほうは義務ではないのです。だから、この議論は第二段階で私はまたやりたいと思うのです。 そこで、義務的なインターンについては、これは国家試験を受けるためにはどうしてもこの義務を経なければ試験を受けられないのです、義務的に課しておるのですから。だからしたがって、まず主務官庁がそういう方向であるならば、大蔵省も検討にやぶさかでないと船後さん言ってくれたのだから、無給のことはきょうは言うと問題がこんがらかりますからしばらくあとにおいて、まず大臣いまお聞きのとおり、厚生省もその意思であれば大蔵省も検討されると、こうおっしゃったから、これはぜひひとつ検討してもらいたいと思う。その検討の過程で当然問題になるのは国立大学の付属病院の修練生の問題をどうするか、当然これは義務なんですから無給の医局員とは違うわけです、これもやらなければならぬ。医師試験のこの意見書をごらんになってもいろいろ方法はあるのです。三つくらいの方法はあるけれども、やはりこれは生活費を手当として支給することが最も効果的であるという結論なんでしょう。いわばそれが一番いいのだと書いてあります。だから、この意見書に忠実であろうとするならばどうしてもやはり出してもらわなければならないですよ。そんなものは国がひっくり返るわけでもないのですから、長い目で見ていくと、これで日本の医学が進展し、国民医療が進展するならば安いものですよ。あまりけちなことを言わずにぜひひとつ船後さんのほうも大臣と相談をして出していただくようにお願いいたしたいと思うのです。 あと損料その他の問題がございますが、これは困難だと言っているからしばらく目をつぶって、一つだけぜひいまの精神で前進をさしていただく、文部省のほうも、村山さんしっかり灘尾文部大臣に伝えて、主務官庁もそうならば大蔵省も考慮すると言っているのだから、国立大学の病院だけは例外にならないようにぜひ御努力をお願いしますが、だいじょうぶでしょうね。
○村山説明員 三十九年度予算におきましてはそのようにはっきりした財源措置はいたしておりませんですが、もし政府全体として国の機関におけるインターンにつきまして何らかの措置をとるということになれば、大蔵省におかれまして移流用あるいはその他の措置が講ぜられるかと思います。そういう事態になりますれば、もちろん文部省といたしましても歩調をそろえてやるものと考えております。
○滝井分科員 ぜひひとつ歩調をそろえていただきたいと思います。
○船後説明員 私から補足さしていただきますが、三十九年度予算の中では、各月にわたりまして理解しております姿で成立いたしますれば、ただいま申し上げたように当初予算におきましてはインターンに手当を出すということは考えておらぬわけでございます。ただ問題は、私文部省の所管か存じませんが、厚生所管の国立病院におきましては全体といたしましても謝金という費目があるわけでございます。実行問題といたしましてその中でできるという範囲のものならばわれわれといたしましても検討するにやぶさかでないという意味でございます。これはどこまでも施設自体といたしましての病院という立場でございまして、いわゆる国庫のじゃないという意味でございます。
○滝井分科員 謝金というのは千万円というのですか、それでは話にならぬわけで、少なくとも私の言うのは一万円ぐらいはやらなければいかぬから三億五、六千万円くらいの金は要りますよ。それを前提にして考えてもらわなければならぬ、こういうことなんです。だから移流用その他で三億五、六千万円の形で出てくれば私どもそれで妥協しましょう。実は国庫が出せということであったけれども、皆さんのメンツもあるだろうから三億五、六千万円の金を何らかの形でいいからどこからか移流用してくれ、それならば目をつぶります、それならばいいでしょう。もし検討して可能ならばやってもらう。
○小林国務大臣 私は、ことしとりあえずの問題としてまず国として補助する、そういうようなことはできない、また施設が負担すべきか、国が負担すべきかということもいろいろこれから検討してもらわなければならぬ、とりあえずの問題としては施設者にある程度のことがしてもらいたい、こういうふうな行政的な指導あるいは勧告をしたらどうかというだけでございます。 それから、国立病院の問題は、国立病院の会計がありますから、これは病院の会計の中で何かできるかどうかということを大蔵省と御相談する、こういうことが施設者としての話である、こういうふうに御了解願っておきます。
○滝井分科員 それでけっこうです。その場合に大臣のほうの国立病院はいいけれども、文部省の大学病院があるわけです。したがって、それについてもいまのように十分移流用の頭をしてもらう、謝金というのは一千万円のワクの中ではないということを私は理解しておきますから、ひとつ船後さんも十分そこらあたりは弾力性を持って善処してもらいたい、こういうことです。私の言う善処してということは実行に移すということですからね。
○小林国務大臣 いまの滝井委員の一千万円というのは、国から施設に対する謝礼であるから全然別のものでありますから……。
○滝井分科員 ではそういう確認をしてもらっておりますから、船後さんが謝礼のワク内、こう言っていらっしゃるから……。
○小林国務大臣 国立病院の会計の中の謝金、とこういうことですから。
○滝井分科員 はい、わかりました。そういうようにひとつ幅を広く振幅を大きく弾力的にやってもらいたい。会計検査の違反にならぬ限度でお願いしておきます。前向きのほんとうの実行ができることでしょう。 次は肺ガンとたばこの問題です。時間がないから少し急ぎます。 一月の十一日に、かねてアメリカ政府の厚生教育省の公衆衛生局というのか公衆衛生院というのか、二つの呼び方があるようですが、公衆衛生院か公衆衛生局かよくわからぬのですが、公衆衛生院の委嘱によって、喫煙の人体に及ぼす影響を過去一年二カ月にわたって十人の科学者に委嘱をして、諮問委員会をつくって検討してもらっておったのが、結論が出たわけですね。一体この報告書の学問的な評価というものを、厚生省はどう考えておるのかということなんです。御存じのように巻きたばこが肺ガンの非常に大きな誘因となる。それからこの巻きたばこの愛用者というものは禁煙をしておる人に比べて、心臓病や血管などの病気の死亡率が高い。それから喉頭ガンの大きな原因である。それから長期の喫煙、大量の喫煙というのが、肺ガンを非常に増加させる。それからたばこを吸えば慢性気管支炎なり肺気腫なり、肺や気管支の慢性の病気に、大気汚染よりずっと罹病率が高くなるというようなことを、大ざっぱにまとめておるわけですね。そこでこのアメリカの発表というものは、学問的に評価をしたら一体価値のあるものなのかないものかということなんです。これを一体厚生省はどうお考えになっておるのか、まずお教えを願いたいと思います。
○松下説明員 アメリカの公衆衛生局の報告に対しましては、非常に医学的、専門的な問題でございますので、慎重を期する立場から、一月の二十七日に日本の専門の医学者九人の方のお集まりをいただきまして、この報告書の信憑性、あるいは日本においてこの報告書をどういうふうに受け入れるべきかというような点につきまして、御討議を願ったのでございますが、いろいろ御議論ありましたのですけれども、大体皆様方の一致した意見といたしまして、この報告は相当慎重な考慮を払い、公正が期せられておりまして、委員の選任あるいは資料の収集等につきましても、かなり学問的に高く評価される内容のものでありまして、少なくともこれに使用されておりますアメリカ、イギリス、カナダ、そういった三カ国のその機関におけるデータに関する結果といたしましては、この内容は相当信憑性の高いものである、そういうふうな御判断でございます。ただわが国におきましては、同時に、この調査の内容は、主としていま申し上げました三カ国における調査が内容になっております点、それから日本におきましては肺ガンの発生率と申しますか、死亡率がアメリカの約四分の一、イギリスの約十分の一というような相違がございます点、それから病理学的に見まして、アメリカ等では扁平上皮ガンが多いのに対して、日本におきましてはむしろ腺ガンが多いというような相違がございます点、そういったような点から、日本でこのデータをそのまま全く同じように受け入れることは、まだ十分な検討をしなければならないであろう。ただ一方から見て、日本の肺ガンの死亡率というものが、ここ十五年間で男子で五・八倍、女子で五倍というように、非常に増加いたしてきております。そういった点から見まして、今後の日本におきましても同様な傾向があらわれてくるということが、相当高い可能性を持って考えられることであるので、今後の行政に移す場合には、こういった点を参考にして、やはり国民に対して十分な衛生教育を行なう必要があるのではないか、大体そのようなふうな御意見であり、厚生省といたしましても、そのような態度でこの報告書を考えている次第でございます。
○滝井分科員 そうしますと厚生省としましては、学問的にはこの報告を非常に高く評価をしている。しかしただ日本に当てはめた場合においては、幾分やはり問題があるだろう。しかし最近十五年間におけるガン、特に肺ガンの発生が男で五・八倍、女で五倍、こういう高い状態になっているということになると、学問的に相当高く評価をしてよろしい、ということになると、これは検討する必要が出てくると思う。ただ問題は、たばこというものが日本の財政収入に非常に大きな影響を与えているということです。ここにまた一つ相当勇気を持って学者が検討しないと、問題が起こってくる。それは御存じのとおり。 昨日の朝日の夕刊に、タイム誌の記事が出ておったのを御存じだと思います。相当アメリカでは恐慌を起こしてきたわけです。まず第一に、大量の禁煙、大量の減産となる可能性が出てきている。そうしてそのことは、たばこ製造業者、多数の栽培農民、それから小売り店、こういうのに重大な影響を及ぼすわけです。それと同時に包装用のセロファンをつくっている、それから包み紙の商売、新聞、雑誌、テレビの広告、これはマスコミに重大な影響を与えるわけです。それだけによほどこれは専売公社総裁の阪田さんも、公衆衛生を担当されるあなたなり厚生大臣、あるいは大蔵大臣も、これは相当腹をきめなければならぬ問題になってくる可能性がある。最後に、昨日の朝日の夕刊等は、これはもうしばらくしたらまたおそらくたばこの売り上げはもとに返るだろう、数カ月後には売り上げはもとに返るだろうと財務省は見ている、こういう記事も出ているけれども、やはりこういう問題が出たら、国民に科学的な指針というものを与えることが、これは科学をもって立つ厚生省の任務だと私は思うのです。そういう意味で、あるいはお隣の阪田さんのほう、あるいは大蔵省には気の毒な点もあるかもしれないけれども、これはやはり日本民族の将来を考えて、きちっとやる必要がある。いま厚生省は麻薬とかヒロポンについては非常に熱を入れられるわけです。しかしニコチンの中毒その他については、これがわりあいに軽いために放置しているわけでしょう。やはりこういう問題についても、私は率直に言って、やる必要があると思うのです。 それでことし専売納付金が千五百六十一億ですか、相当なものですよ。これはたばこの本数でいくと、千六百五十四億本ですから。そうしてたばこ事業収入が四千二百六十四億七千六百万円、昨年よりちょっと減っているが、これは地方税の関係で減っているので、とにかく四千億をこえる売り上げがあり、しかも千五百六十一億円の納付金をやるわけですから、相当なものなんです。そうするとあなたのほうとしては、いまの九人の学者を集めて意見を聞いたその結果に基づいて、日本では国家的な見地からいって一体どうするつもりですか。日本としては最近ガンがふえておることは確実で、まず死因の第一は脳溢血、その次は新生物でいわゆるガン、三番目が心臓病です。そうすると、脳溢血だって血管の破裂ですよ。心臓の病気もこれは血管に関連があるわけでしょう。そうするとガンが同じだ。たばこをのめば心臓その他の病気にも関係が出てくると書いているのですから。そうしますと、これを国家的見地からやはり私は検討する必要があると思うのです。国の財政に関係があるからといって、あるいは新聞、テレビ、ラジオ等の広告に関係があるからといって、まさかあなた方がこれをほおかぶりすることは、私は許されぬと思うのです。だから厚生省は、学問的に非常に高く評価した。過去十五年間においては、日本の肺ガンが五倍から六倍になろうとしているという事態に立ったときに、こういう発表が出たときに、何もせぬということはないと思う。一体厚生省としては今年度の予算で、いかなる処置をとってこれをやろうとするのか、どういう方針でこれに対処しようとするのか。
○松下説明員 この問題に対しまして、厚生省のとるべき態度として考えておりますのは、三点でございます。第一点が、特に報告書にも言われておりますし、専門家の方からも一致した御意見がございました長期多量の喫煙が特に有害であるという点でございます。長期というのは、特に若年時からの喫煙が、長期的に見て非常に害を及ぼす可能性が多いということでございます。幸い日本には未成年者喫煙禁止法が制定されておりますので、まずさしあたって二十七日に、これは青少年の健全育成、児童福祉という問題とも関連いたしておりますので、児童局のほうとも御相談いたしまして、未成年者喫煙の防止につきまして十分な指導を行なうような通牒を出しております。 それから第二が成人の喫煙につきまして、特に長期多量の喫煙が害があるということ、これは成人につきましては、いま御指摘の麻薬あるいは覚せい剤等の非常に急性あるいは急激なる障害を及ぼすような、しかも法をもって禁止されておりますものと違いますので、たばこの嗜好品というような性格から考えまして、またこの報告書の中にも、たばこの精神的な利点というものは認めなければならないというようなことも覆われております。そういう点を考慮いたしまして、今後こういった多量あるいは長期にわたる喫煙あるいはたばこの吸い方、たばこの種類等によりまして、害が生ずるおそれがあるということを、国民に十分衛生教育をしなければならない。そういう意味におきまして公衆衛生局長名をもちまして、各都道府県知事、指定地の市長にあてまして、こういったたばこの健康に及ぼす害につきまして、いままでの経緯、それから今後の衛生教育の方針等について十分な指導をいたしますように、詳細な資料をつけての通知をいたしております。 それから第三点といたしましては、いま申し上げましたように日本の肺ガンの実情が、これらの報告書にあらわれております諸外国と相当異なっておる点もございます。そういった点から見まして、なおたばこと肺ガンの関係、それから肺ガンはもちろんたばこだけが原因になるのではございませんので、その会議でも専門家から御指摘がありましたように、いろいろな原因が考えられるわけでございます。そういった問題につきまして今後十分な研究調査を必要とするという点につきましても、先生方の御意見も一致いたしておりますので——もっともこれは御案内のように、今度初めて始まったことでもございませんし、すでに二年前イギリスでもこういった結果が発表されておることでございます。厚生省といたしましてもそういった調査につきましては、すでに三十七年度に厚生科学研究費によりまして専門家に委託して、こういった調査も行なったのでございますが、いま申し上げましたように諸外国に比べて肺ガンの発生率も少ないというようなことで、なお十分なデータを得るに至っておりませんので、今後そういった他の諸要因も含めまして、肺ガンに関する調査研究を行ないたい、そういうことで今後進めていく。その三点の方針を立てて、厚生省として実施に移しておる次第でございます。
○滝井分科員 未成年者喫煙禁止法等で、若年のときからたばこを吸うとそれが肺ガンのもとになるから、そのほうを何とかできるだけ抑制するようにする。それから成人の大量長期の喫煙というのは悪いから、衛生教育その他でやる。肺ガンの研究は厚生科学の研究費を三十七年からやっているので、専門家で何とかやりたい。それだけのことでは、これはあまりにもちゃちなやり方だと思うのです。ガンというものは三つの死因の第三位に入っているのだから、そうするともう少しガンに対する総合的な研究をやることが必要になるのじゃないでしょうか。脳溢血、ガン、心臓病という成人病というものが非常に重要なものになって、特にガンが重要だ。日本の予算を見ても、総合的な研究をやるところがないのです。 科学技術庁にお尋ねしたいのですが、科学技術庁のほうは佐藤実力大国を迎えて、科学技術の振興を非常に、御熱心にやろうとしておるわけですが、一体科学技術庁としては、ガンに対して何か総合的な研究をやるおつもりがあるのかどうか。
○芥川政府委員 ガンの問題が重要なことにつきましては、科学技術庁といたしましては、重要総合研究というものを確定いたしまして、各省庁の試験研究の促進をはかっておるわけであります。重要総合研究と申しますのは、対ガン科学技術、このほかにたとえば台風等による災害に対する防災科学技術、宇宙科学技術、電子技術その他がございます。これらの重要総合研究につきましては、見積もり方針調整などの事務を通じて、その総合的推進をはかってまいることといたしております。なおガンにつきましては、すでにやりましたことといたしましては、科学技術庁が、各省庁の試験研究機関の行ないまする試験研究を特別に促進いたしまするために、特別研究促進調整費というのを持っておりまして、三十八年度におきましては、そのうちから対ガン科学技術の促進につきまして三千七百万を支出いたします総合研究体制を組みまして、ただいま研究中でございます。なお特別研究促進調整費と申しますのは、これは予算編成期におきまして予見されざる事態につきまして、特別に研究促進をするための必要の経費でございます。三十九年度におきまして四億に増額されまして、その要求を国会にただいまいたしておるところでございます。したがいましてそのうちから各省庁がまず第一段階で、そして各省庁におきまして総合研究体制を組んだもののうち、重要研究と認めたものに対してこれを支出している、そういうことでございます。
○滝井分科員 そうしますと三十八年度予算で、対ガン科学技術の研究のために三千七百万円お組みになった。それで三十九年度は四億で、まだガンのためにどのくらい使うかということは、各省庁のいわゆる予算の要求というか、研究項目というか、そういうものが出てこなければ、これは配分のしようがないからわからない、こういうことなんですね。そうしますと、これは一体こういうようなガンの問題が出たときには、各省庁でばらばらっとこうやるというわけにはいかぬと思うのです。やはりこれはどこかが総合的に握ってやらなければいかぬと思うのです。ちょうどいまの特別研究促進のための調整費を科学技術庁が握っておるように、どこか研究の主体の推進力、まとめ役がなければならぬと思うのです。これは一体どこがやることになるのか。科学技術庁がやるのか、厚生省がやるのですか。
○松下説明員 先ほどの調査研究につきまして、たばこと肺ガンの関係の調査だけを主にして申し上げましたので、たいへん御説明が足りなかったかと思うのでございますが、ガン全体につきましては、これは特に胃ガンが日本のガンの過半を占めておる関係もございまして、ガン全体としては御指摘のように死亡順位の第二位というようなことで、非常に調査研究が焦眉の急になっておりますが、その機関といたしましては、国立のがんセンター、これに治療部門と研究部門とを総合的に設けまして、ガン関係の研究につきましてもこのがんセンターが総括をいたしまして、それが中心となって調査研究を行なう体制をとっております。なおガンの問題につきましては、地方庁も非常に関心を持っておられまして、現在すでに各都道府県のがんセンターあるいは成人病センターというような形のものが、計画中のものを含めて約十カ所でございます。こういったものにつきましても、やはり厚生省から助成をいたしまして、その研究促進をはかっております。
○滝井分科員 ガンを全体としておやりになるのはがんセンターでやることはわかりますが、今度の問題に関連をして予算を取って、少なくとも肺ガンを中心として、たばこと肺ガンの関係、——あとでまた私いろいろ言いますが、たとえば大気汚染と肺ガンの関係だってあるわけです。それを胃ガンが多いから、胃ガンの研究をずいぶんやっているのです。ところが肺ガンは少なかったから、いままではあまりやっていないわけです。そういう胃ガンほどの総合的なものをやっていないわけでしょう。そうしますとこういう問題が出たから、日本でもやる必要があるのじゃないか。あるとすればどこで予算を取ってどこがやるのか。幸いにいま三十九年度においては、特別研究促進のための四億の調整費というものがきまっていないならば、それを厚生省なら厚生省がおもらいになって、体制をおつくりになる、こういうことになさったらどうかということが、私の言いたいところなんです。きまっていないのですからね。そうしますとそういうことの基礎と臨床の研究なり、同時に統計的な疫学的な研究をやっていく、こういう体制をおつくりにならなければいけないのです。それは厚生省なら厚生省、文部省なら文部省が推進力になっていかないと、そういうものができてこないわけでしょう。それをいまのような厚生科学研究所というものに、滝井義高なら滝井義高というものに、二十万か三十万かやるというようなちゃちなことではだめですよということが、私の言いたいところなんです。それはおやりになるのでしょうね。まさかこのまま千五百億の財源があるから、厚生省がこんなことを言ったら、大蔵省や専売局ににらまれてたいへんだから、ほおかぶりというわけにはいかないと思うのです。これはやはりやってもらわなければならぬ。 やると同時に、たとえばアメリカあたりでは、今度はそれに対抗して最近製造業者がどうしておるかというと、かみそりの刃やあるいはかん詰めのフルーツポンチをたばこにくっつけて売りに出たわけです。売るほうは売るほうでまた頭を働かせますよ。それから三重フィルターをつけて、それから御婦人用の宝石入りの小型パイプまで売り出す、こういうものがどんどん売れておる。代議士の仲間でも、いままで六十本のんでおったが、あれが出たから四十本にしようという者が、われわれの仲間におりますよ。そういう心理的に微妙な影響を与えておるのですから、厚生省は厚生省として医学的な専門的な立場があるし、専売局もいまから尋ねるが、専売局は専売局としての、これは売らんかなの立場なんです。しかし売るからには、有害だと出たからには、害にならぬようにして売らなければならぬという問題が出てくると思うのです。専売局はそういう研究というものは、ある程度厚生省に依存しなければならぬと思う。成果というものは両々相待って、その害がなくなることになるわけでしょう。だからあなたのほうで、そういうことの主体的な研究成果というものを上げてもらわなければならぬ。上げるためには体制をつくらなければならぬ。そのためにはどうしますかということを私は言っておる。これが出てからもうだいぶになりますから、学者を集めて意見を聞いて、日本のガンは腺ガンが多い、上皮ガンは少ないのだということで、そのままほおかぶりをしていくには、あまりに問題がありはしないかということを私は言っておるわけです。何か研究体制をやるわけでしょうね。
○松下説明員 研究体制の問題は、先ほど厚生省の方針として申し上げました第三番目の点でございまして、いま申し上げましたがんセンター、これは所管が医務局でございますので、医務局のほうとも連絡いたしまして、がんセンターの専門家にも加わっていただきまして、どのような形でこの調査を行なうべきであるか、そういった問題を現在詰めて検討している段階でございます。もちろん御指摘のようにこれだけ世の中の関心を引いたことでもあり、またアメリカと日本との事情が相当違うということも明らかになっておる段階でございますので、いろいろな意味で将来のガン対策の一環として、こういう問題の検討は行なわなければならないし、行なうつもりでございますが、ただ先ほども何度も数字をあげて申しましたように、日本での肺ガンの死亡率はアメリカの四分の一、イギリスの十分の一という状況でございまして、しかも一方で成人男子の喫煙率は七八%をこえておるという状況でございます。したがって医学的に有意な調査を行ないますためには、アメリカで今度の報告書に見られますように、相当多量の喫煙男子のグループ、それに対して大体ほかの状況が似通っておって全く喫煙をしない、喫煙の経験のないグループ、そういうものを対照にとりまして、相当長期的に観察を行ないませんと、有意な結果が出ない。肺ガンの発生率が少ないということと、それから全く喫煙をしない人口がきわめて少ないということと、その両方の関係のために、日本ではその対照群をとるということが特に技術的に非常に困難な面がありまして、それをどの程度までとれば正確な結論を出し得るかというようなことが、疫学的、統計学的に相当困難な問題がございます。そういった点も含めまして、今後いかなる調査研究を行なうのが最も適当であるかということを、現在検討しておる段階でございます。その結論を得ました上で、できるだけそれに近いような形で、がんセンター、あるいは科学技術庁とも協力いたしまして、総合的な調査を行なわなければならないであろうと考えております。
○滝井分科員 あなたも専門家だから御存じだと思いますが、こういう病気というものは一夜にして起こるものではないわけです。五年、十年、十五年と、長い期間をかけて、ガンというものは起こってくるわけでしょう。したがってすでに過去十五年間において肺ガンが五倍に増加をしたということは、これは衛生思想が普及をして、早く医師に見てもらう、あるいは診断技術が進歩したということによって、増加をしておる部分も相当あると思うのです。しかしそれだけではないと思うのです。そうしますとこういう成人病で、しかも三役に入っておるのですからね。これはやはり何らかの形で私は出す必要があると思うのです。こういうところが日本の厚生省が指南力がないといわれるところなんです。こういう問題が出たら、いち早くきちっとした学問的な立場でやるだけの体制を、科学を基礎にする省なんですから、それをやらなければならぬと思うのです。そういうことだから技術官がばかにされるのです。あなたは技術官かどうか知らないけれども、法科出身の皆さんは次官になって、あなた方技術官出身者はいつまでも下働きでやらなければならぬでしょう。こういうことなんです。こういう精神で、科学的な考えで第一線を指導する者はやらなければならぬ。そのためには研究体制をすぐにさっとつくっていく、そうして阪田さんのほうに申し込むところは申し込む、こういうことにやらなければならぬと思うのです。 そうしますと阪田さんのほうにお尋ねしたいのですが、こういう状態で学問的に非常に高く評価をしておるということになりますと、専売公社としても当然たばこを売るばかりが能じゃないと思うのです。やはりそれに対して対策を講じなければならぬと思うのです。日本では上皮ガンがないのだからというわけにはいかぬと思う。もうすでに日本でも、さいぜん私が言うように、パイプを買ってこなければいかぬ、フィルターのたばこにしなければいかぬ。あなたのほうの杉技術調査部長が、新聞で見たのですが、フィルターたばこをふやすと幾分防げるのじゃないかというようなことを談話で言っているようなのをちょっと読んだことがあるのです。一体この事態に対して、専売公社としてはどうするのか。たとえばアメリカの記事を見てみますと、すでに病院等ではたばこの自動販売機というものをもうやめてもらおう、同時にたばこを福祉施設の団体やら施設に寄付をしてもらうのはもうお断わりだ、アメリカ人はなかなか気が早いからそういうことになるのかもしれないけれども、そういうことになってきているわけです。私はこういうことは、まさか麻薬やらヒロポンで国の財源をつくろうとは思わない。あるいは競馬、競輪だってずいぶんこのごろ反省が起こってきているわけです。悪いと言われたからには、たばこで一国の財源をつくるというけちな心は起こしてはならぬと思うのです。一体専売局としてはこういう事態になって、これに対する対策を何も講ぜずに、オリンピックがきたからといって、オリンピックたばこをどんどん売ってもいいということにはならないと思うのです。これは人道上の問題ですから、何らかの対策をお考えにならなければならぬと思うのですが、専売局としてのとるべき方途というのですか、何かおありになればひとつここで鮮明にしていただきたいと思います。
○阪田説明員 たばこと肺ガンの関係の問題につきましては、これは専売公社としても非常に重要な問題でございまして、かなり前から、昭和三十六年度あたりから研究費も支出いたしまして、各方面、大学、研究所その他の権威者の方に御研究を願っておるわけであります。この研究はまだ引き続き明年度以降もやっていきたいと考えております。ただいま国としてあるいは厚生省その他の関係の研究対象の問題につきまして、いろいろお話がございましたが、そういう方面の研究の進展と相まちまして、私どものほうも実態の究明の進むに従いまして、公社としての対策も立ててまいりたいと思っております。ただ現状といたしましては、これも御承知のように今回の報告は、従来のいろいろの研究をまとめたような形であると思いますが、従来の研究もそうでありますが、たばこと肺ガンの関係につきまして、主として統計的な方法で調査をいたしておるわけでありまして、病理学的にたばこと肺ガンの因果関係を究明した、わかったということにはなっておらないわけであります。したがいまして専売公社といたしましても、そういう関係の研究が進み、輪郭がはっきりしてまいりますれば、具体的な対策が立てられるわけでございますが、現段階におきましては、ここまでのはっきりしたこれが対策であるといったような対策が、製品面で出すことはかなりむずかしい、こういう状況にあると思います。しかしこれからこの研究は進めますし、またそれに応じて製品面の改善、肺ガンの危険のないたばこをつくる、こういった面の研究も並行して進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。それで現在公社の立場といたしましては、ただいま専売益金の点等も御指摘がございましたが、専売益金をあげる、あるいは地方にたばこ消費税等を納付いたしておりますが、そういった財政的な目的の専売制度でありますが、同時にたばこをのまれる方、消費者に対しましてたばこを供給してサービスをする、こういう面を持っておるわけでありますので、現状といたしましては、そういった消費者の方々にたばこを供給する、こういう使命は依然として続けなければならないわけであります。ただ現状といたしまして、かように各方面でも問題となっており、またこれから研究を進めよう、こういう体制でありますので、公社の販売、宣伝といいますか、そういった方面の方針といたしましては、先ほど厚生省のほうからもお話がありましたように、未成年者の喫煙、こういったようなものを防止するという方面には、これは公社の力だけではなかなかむずかしいと思いますが、しかし公社としてもそういう気持ちで、小売り店の指導あるいは広告、宣伝等にあたりまして御協力申し上げる、そういう方向、あるいは現在たばこを吸っておられる方、またそういう方が現在のいろいろな学説、報告、その他の状況を十分に判断をされました上で、引き続き吸っていかれるという方には、たばこを供給しなければなりませんが、こういう際に新規にたばこの喫煙をすすめるといいますか、需要者層を開拓する、ことに若年層等をねらってたばこの売れ行きを広めていく、こういったような式の宣伝活動あるいは販売方式、これは控えるといったような方針で現状としては進んでいきたい、かように考えておるわけであります。
○滝井分科員 そういたしますと、三十六年度に研究費を支出をしたというのですが、どの程度の研究費をお出しになっておるのか。またこの事態になりましてから、あなたのほうの事業の一つとしても、やはりガン研究のための経費を相半厚生省なりあるいはガン研究所なり大学なりに出して、そうして総合的な研究の片棒をになうぐらいの方針が必要じゃないかと私は思うわけです。三十六年度幾らくらいお出しになったのですか。それからことしはもうこういう事態でお出しにならぬつもりなのですか。
○阪田説明員 公社のガンの研究の関係は、もっぱら大学あるいはガン研究所とその他の研究所等に委託しまして、そこで権威ある先生方に調査していただく、こういう形をとっておりますが、三十六年度は始めました年でありまして予算は百三十万でございます。本年度はこれが四百万円、それから三十九年度は七百万円を要求しております。この金額につきましては、いろいろ多い少ないという御議論があると思いますが、私どもといたしましては、いままで研究をお願いしております先生方にも御相談いたしまして、当面やる研究のためにはこれだけの予算が必要である、こういうことも十分御相談しまして、明年度の金額等も算定いたしておるわけであります。さらに進んで、厚生省あたりに公社から資金を出して、大々的に研究をやったらどうかというお話でありますが、この問題につきましては、国として研究をされます経費というものは、これはやはり国の、といいますれば一般会計の予算からお出しになるのが筋合いだと思います。私どもは専売事業を経営いたしまして、納付金その他の形で財政には寄与いたします。その財政の中からお出しになることがものごとの筋合いだと考えますので、私のほうで出しております研究費としては、これは公社の事業に関係ありということで支出できる範囲のものに限るべきである、こういうものであろうと思います。ただ委託研究費の問題でありますが、こういった方面でこういう研究を進めれば、この方面がなお解明されるといったような研究方法、やり方というものが出てまいりますれば、そういう方面には私どもといたしましても積極的にさらに予算を投入していくということにはやぶさかなものではございません。現状といたしましては、先生方にお伺いいたしましてもその程度の資金でやる程度しか、他に要するに研究の方法がない、こういうことになっているわけでございます。
○滝井分科員 もう二、三問ありますが、そうしますと七百万円を個々の大学のガンの研究家にお出しになって委託研究していくということでは、ガンの研究の総合性の見地に立つと、なかなかやりにくいところがあると思うのです。そこでこれは厚生大臣にお願いするわけですが、いまのように専売公社は専売公社の道を行く、文部省は文部省の研究の道を行くということでは、こういうものはなかなか総合的にいかないと思うのです。したがってアメリカのああいう報告が出たからには、まず日本としては一体どうしたらいいのだということで、学者を総合的に集めて、その上で研究の方法なりをおきめになってやる、そうしてその金の集めぐあいは、専売公社の七百万円はひとつこの部門の研究に当ててもらえぬかというふうに、専売公社と厚生大臣が相談する、あるいは科学技術庁のほうにも相談する、こういうふうにしてすべての研究の成果というものが、一貫した形のものになっていないといかぬのじゃないかと私は思うのです。そういう意味で私はいままで日本では、そういう研究の総合性に非常に欠けていると思うわけです。たとえば三池の一酸化炭素の中旬が起こっておっても、かつてはああいうことを経験したことがあるにもかかわらず、総合的にやられていないから、過去にあったという経験だけで、経験の成果が学問的に生かされていないのです。私はこういう問題でも、それぞれの官庁が横の連絡をとって、研究者のチームワークを緊密にしてやることが必要だと思うのですが、大臣、いま専売公社に七百万円のお金を出していただいておるわけですから、こういうものも研究の一環の中に入れていただいて——これは総合研究の一環であれば、専売公社のひもがついておってもかまわぬと思うのです。何かこういう問題について総合的におやりになる意思がおありになるのかどうか。
○小林国務大臣 ただいまのお話は非常にごもっともだと存じます。あの報告書につきましても、厚生省としてはさっそく専門家に委嘱して、一応の検討をしてもらったあの打ち合わせ会もまだ存続しておりますので、これらをひとつ拡大をして、どういう体制をとるべきか検討してもらって、御趣旨のような体制を整えていきたい、こういうふうに考えます。
○滝井分科員 次に、ちょっとそれに関連して児童局長に——最近における日本の喫煙層というものは、若年層に広がっているのじゃないかという感じがするわけです。——児童局長はいないのですか。それならこれは公衆衛生局でもかまわぬのですが、若年層に喫煙者が相当広がっておるのじゃないですか。
○松下説明員 たいへん申しわけございませんが、私どもも的確な資料をいまここに持っておりませんので、ただ警察庁等から聞いた範囲のばく然たる記憶でございますけれども、戦前に比べまして最近は若干未成年者の中に喫煙者が多くなっているのじゃないかというような話は聞かされております。いまのところその程度しかお答えの資料がないのでございます。
○滝井分科員 児童局長がいませんからこの質問はやめにします。おそらく広がっておると思うのです。そうしますと、これはやはり相当問題だと思うのです。若年層、これは公衆衛生の問題で、同時に社会教育の問題にも転化していかなければならぬことになるわけです。若年層に広がるということになれば、若年層の対策その他を、今度はたばこを売るところにとってもらわなければならぬということになるわけでしょう。たとえばヒロポンにしても、これは全部証明がなければだめだということにしてしまいましたでしょう。ヒロポンはすぐにあらわれる、片一方は徐々にあらわれるからといって、人体にとっては区別はないわけです。こういう点は衛生を担当されている人がシビアーな態度をとっていかないと、ローマは一日にしてならずで、ほんとうに人間が健康にして文化的な生活をやろうとしていくためには、こういう有害なものを萌芽のうちからつんでいくということが大事だと思う。 そこでそれと関連して、このガンと関係をする諸問題について、どういう態度をとろうとしておるかということです。幸いに肺ガンの問題が出てきましたから——時間がありませんから簡単に要約しますが、たとえばいま農薬の問題があります。その農薬は御存じのとおり砒素が入っています。あるいは水銀、燐が入っているでしょう。そうするとこれが直接肺臓ガンでなくても、ガンに非常に関係が出てくるわけです。DDTをまいたために、われわれが子供のときにお盆になるとたくさん赤いトンボが飛びましたが、もういなくなってしまったでしょう。だれかが「沈黙の春」という本を書いていますね。春になったら食うこん虫がいなくなって、鳥がさえずらなくなる。われわれが子供のときに小川でとっておったドジョウとかなんとかも、小川にはいないです。こういう状態というものは、農薬が関係してきておるわけです。しかもその農薬というものは、われわれが食う食物に全部ついてきておるわけでしょう。こういう問題だってやはり公衆衛生当局に相当研究してもらわなければならぬじゃないかと思う。ガンに関係が出てくるわけです。あるいは抗生物質です。最近はみな鮮度を保つために抗生物質、アクロマイシンとかサイタリンみたいなものをつけるでしょう。こういう問題だってガンに関係はないとはいえぬと思うのです。それからいま一つは死の灰です。放射性降下物です。日本はアメリカとソビエトとの核実験の暗い谷間で、一番灰の降ることが多いところでしょう。こういうものだってほこりとの関係が出てきているわけです。 それからもう一つは、最近における薬の乱用です。これだってずいぶん問題があると思うのです。特にホルモン製剤です。若いうちからたばこをのんで悪いように、若いうちからホルモンの注射その他の内服剤をどんどんのんでいくという薬の乱用、これだってずいぶんガンに関係がある。最近は、ある人が酒を飲むたびにグロンサンを飲んでおった。いよいよ肝臓が破裂してしまって医者に行くと、きく薬がなくてどうにもならなかったという例がある。笑っておる人がありますから、厚生省の役人もそうしておるのかもしれぬけれども……。それから着色の食物です。たとえば梅干しなんかも赤い色素をつけておるでしょう。これだってああいう色素類というものがガンに作用するでしょう。 それからコンクリート道路のほこり——アスファルトの中には発ガン物質があるのでしょう。それから中性洗剤です。いま中性洗剤を非常に使って、そのあわは消えないでしょう。もういまは多摩川だって何だって、みんな中性洗剤が流されているでしょう。あるいは東京の地下水の中にもずいぶん中性洗剤が流れておる。こういうものだってガンに関係がないとは言えない。それから一つはスモッグです。このスモッグの問題について、皆さん御存じのとおり、燃料形態が石炭から重油に変わってきたでしょう。そうして最近は新しい工業都市の四日市あたりでも、四日市ぜんそくというものが起こってきたでしょう。あるいは横浜ぜんそく。北九州だって北九州ぜんそくがある。そういう形でたくさんのものが出てきたわけでしょう。 だからこういうものを、一体総合的ないまのような自然環境というものをそのままに、たばこだけじゃなくて、しておいていいのかということです。私はもう少し公衆衛生当局なり厚生省がふんどしを締め直して、これらの諸問題について的確にやる必要がある。たとえばあのビキニの実験の行なわれたときに、魚河岸に行ってガイガー計算機で一生懸命やっておった厚生省の諸君は、いまちっともやらなくなってしまったでしょう。それならばあの当時といまとで、ストロンチウムなりセシウムが魚に減っておるかというと、減っていないでしょう。そういう点はいたずらに大衆に恐怖感を与えず、もう少し指導性を持ってやるということが大事だと思うのです。そういう点の総合的な研究の推進体制というものを、公衆衛当生局は行政とともに学問的なものをつくって、国の政策の中に入れていくことが必要なんです。そういう点がないから、社会資本の充実がおくれてくるのです。あるいは煙突の集じん装置がおくれてくる。工場ができる。そしてそこでは人間がやせ細って滅びなければならない。東京に三代もいてごらんなさい。おしりも何もこんなになってしまって、やせ細って、子供を産めなくなりますよ。そして新しくいなかから元気のいいのが出てきて、東京を征服してしまうということになってしまうのです。だから、そういう点では人類の墓場になってきているのですから、もう少し考えなければならぬ。こういうたばこのような問題が出てきてガンと結びつけられたときに、私はやるべき絶好の機会だと思うのです。そのときに予算を取って研究体制を確立することが、一番いいことじゃないかと思うのです。 時間も非常にたちましたからやめますけれども、そういう点に対する大臣の態度と、それからいま一つ気象庁がいらっしゃっておりますから、いまスモッグの問題をちょっと言いましたけれども、気象庁としては一体どういうことをおやりになろうとしておるのか。何か聞くところによると、そういう予算まで削られてしまったということを聞いておりますが、率直にひとつここで気象庁の考え方を述べていただきたいと思うのです。と申しますのは、人間の健康というものは天気に非常に左右されるわけです。太陽のないところに生命はないわけなんです。そういう意味で、私はぜひひとつあなたのほうのスモッグに対する考え方等をあわせて述べていただきたいと思うのです。
○日下部説明員 スモッグの問題につきましては、来年度の予算要求をいたしましたが、うまく参りませんでしたが、ばい煙規制法にきめられている範囲で、要するに気象庁が担当する部分といたしましては、煙あるいはそういう浮遊物質が停滞する場の環境を正確に観測をし、そしてその状況の変化を通報することによって、ばい煙の規制を有効ならしめるという立場に立ちまして、これからもっと観測を充実させてまいりたいと考えております。 しかし、このスモッグの問題につきましては、大体その現象の起こります規模が、一つの都市、一つの町という中のまた特定な場所によって、非常にこまかい変動のある問題でございますので、この問題は、在来の観測あるいは予報というような、いままで気象庁が行なっていた程度の観測網では、今後非常に問題が大きくなった場合に、十分な観測あるいは予報ができるかどうかという点については、まだ今後研究の必要が大いにあると考えており、これからのこの方面の発展に対応して、少なくともその煙が滞留し、あるいは停滞し、害を起こすという状況が起こっているか、あるいは続くかというようなことに対して、的確に現状を申し上げられるような体制を整備してまいりたいと考えております。
○小林国務大臣 ただいまの滝井さんの御意見は、私は非常にわれわれの今後の参考になる御意見と思い、これらの問題は当然お話のような究明すべき問題と思いますので、私も厚生省の係の者にはよく申し伝えまして、さような体制を整えていきたい、かように考えております。
○相川主査 小林進君。
○小林分科員 予算に関連いたしまして、皆保険の問題でお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、わが日本に皆保険制度がしかれたのは何年でございますか。
○小山政府委員 皆保険が実施されましたのは昭和三十六年からでございます。方針としてきまりましたのが昭和三十三年度からだったと思います。
○小林分科員 大臣にお尋ねしておりますので、なるべく大臣から御答弁を願いたいと思います。 皆保険が実施をせられたのが昭和三十六年という御答弁でございまするが、私はその皆保険というものの定義をお聞かせ願いたいと思うのであります。皆保険というのは、国民全部が保険税を、あるいは保険料を支払うというのが皆保険の意味なのか、国民の全部が医者にかかれるという制度をさしていうのか、その点をひとつつまびらかにお聞かせ願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 これはつまびらかに申し上げるまでもなく、国民全部が医療の恩典に浴せる、保険によって医療が受けられる、こういうのが皆保険の制度であります。
○小林分科員 国民全部が医療の恩典とおっしゃいましたが、私は恩典ということになると、問題が少しこんがらがってくるのではないかと思うのであります。恩典とか、慈恵とか、恵みをたれるとかいうのは、これが皆保険のほんとうの真の意味なのかどうか。ことばじりではありませんが、いま一度ここら辺、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 恩典ということばはやめます。保険で医療が受けられるようにする、こういうことです。
○小林分科員 国民全部が医療が受けられるのが皆保険である、こういう定義のしかたでございまするが、そういたしますると、先ほどの御答弁で、三十六年からわが日本には皆保険が実施をせられた。三十六年から国民の全部が医者にかかれる制度ができ上がった、こういうことになるかと思いまするが、現実に三十六年から日本国民は間違いなく全部医者にかかれるような制度ができ上がっておりますか。もう一度お聞かせを願いたいと思います。
○小林国務大臣 たてまえをそういうふうにした。事実上受けられない部分がまだ相当あります。あるいは医者がおらぬとか、あるいは離れ島であるとか僻村であるとか、それが全部受けられるようにしたい。たてまえは受けられるようになっておるが、事実上受けられない部分がまだ相当あると思っておるので、これを受けられるようにするのが保険行政である、こういうふうに思っております。
○小林分科員 それでは、わが日本は現在はまだ皆保険ではない、こう申し上げていいわけですね。大臣の御答弁によりますと、実際に全部が医者にかかれるような制度にするために医療行政があるのだ、現在ではまだ医者にかかれないところがあるとおっしゃるのでありますが、そうすると、わが日本はまだ皆保険は実施せられていない、こう断じていいわけですね。
○小林国務大臣 なかなかむずかしいことをおっしゃいますが、たてまえはそうなっておる。しかし、事実上受けられない者があるであろう、こういうことであります。
○小林分科員 事実上受けられないところがあるならば、わが日本は皆保険じゃないじゃありませんか。皆保険でないはずでしょう。どうでございますか。
○小林国務大臣 制度として皆保険になっておる、こういうことです。
○小林分科員 ことばじりをとらえるのでなくて、ぼくはここにごまかしの医療行政があると思うのです。実際は、三十六年からわが日本においては医療皆保険制度になった。だれでもが医者にかかれるのだというふうな、そういうキャッチフレーズを流しておきながら、その実際の面においては、まだ医者にかかれない部分が、厚生大臣みずから白状せられたごとくたくさんあるのであります。ここにぼくは、非常に問題が存していると思う。いまも言われたように、わが日本には、離島とおっしゃいましたが、無医地区があります。無医村があります。保険料だけは、保険税だけはとられているけれども、医者にはかかれない。深夜で、都会のまん中にいて最も交通便利な町の中に住んでいても、医者にかかれない、こういうところがありますね。それから皆保険だなどと言いながらも、一部負担金などという制度があって、金がなくて医者にかかれない人もたくさんおられます。こういう状況でございまするが、厚生大臣、一体わが日本で、いま医者にかかれない方がたくさんあるとおっしゃったが、どれくらい医者にかかれない方がいらっしゃるか、具体的にひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 これはいろいろ程度の問題でありまして、具体的にどうこうと——かかろうと思っても、あるいはそのとき医者がいなかったとか、あるいは遠いから行かなかったとか、こういうことで、いろいろ程度の問題がありまして、何人の者が医者にかかれないかというふうな、客観的にはっきりした数字は出ません。しかし、われわれ保険行政としましては、そういう者のないようにするということが、保険行政の非常に大きな目標である、こういうふうに考えております。見方によっては十分でないということでありまするが、毎年その方面の改善をしてきておる、こういうことであります。
○小林分科員 大臣は医者にかからないのは程度の問題とおっしゃいましたが、それではいま少し具体的に掘り下げて、現在のわが日本には、無医地区と称して、厚生省みずからが、ここには医者がいなくてかかれませんと白状いたしておる地区があるはずでありますが、それが一体現在どの程度になっておりますか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○小林国務大臣 無医地区は判明しておりますから、また事務当局からお答えいたしますが、それを解消するために、あるいは巡回診療班を設けるとか、あるいは患者輸送車を設けるとか、船を設けるとか、あるいは場合によったらヘリコプターまで利用しよう、こういうふうなことは、そういう僻地の方も皆保険によって医療の受けられるようないろいろのくふうをいま講じておる、こういうことでありまして、診療班等も相当にいま巡回をいたしておりますので、医者にかかれないということは、ある程度、程度の問題で、絶対にかかれないというふうな者はだんだんに少なくなっておる、こういうことであります。
○大崎政府委員 厚生省の医務局において、僻地の計画は、第一次計画といたしまして二百三十七カ所を解消いたしましたが、三十八年に至りまして、さらに第二次計画目標といたしまして、百九十四の個所を僻地であると考えております。これが計画を達成するために、四十二年に至るまで年次計画を立てておりまして、三十八年、それから三十九年の両年度におきまして、七十八の解消をはかっている次第でございます。
○小林分科員 まず、そのあなたの数字を、悪いが、私は信用できませんから、そのあなたの数字をお聞きする前に、ひとつ無医地区と称するものの定義をお聞かせ願いたいと思います。無医地区とは何ぞや、お聞かせを願いたいのであります。
○大崎政府委員 無医地区と申します概念は、御指摘のように、非常にむずかしい概念でございます。私どもが無医地区と考えております地区は、その中心的な場所から半径にいたしまして約四キロメートル以内に三百人以上が居住している地区でありまして、医師のない地区というのを一応の定義といたしておるわけであります。その定義の中で、そこに医療機関が設置せられればその経常が可能と考えられる地区がございます。その次には、そこに医療機関を設置しなくても、近隣の医療施設をそのまま利用できる、こういうものもございます。それから、人口、面積あるいは地勢、交通事情等の関係から、医療機関が設けられましても、その医療経営が事実上困難である地区というものがございます。その最後の地区を私どもは僻地対策の対象としている地区というふうに考えているわけでございます。
○小林分科員 いまあなたは、昨年度は二百何ぼの無医地区を解消し、今年度は百何ぼの解消をするということを言われたが、その解消するという地区は、いまあなたが言われた無医地区の定義に基づいて、その範疇に属するものの二百あるいは百有余を解消すると言っておられる。けれども、一体無医地区の定義は何ですか。あなたはむずかしいと言われたけれども、ちっともむずかしくない。半径四キロだ。昔のことばで言えば、四キロというのは一里です。一里の半径をぐるっと回したその範囲の中に、三百人以上人が住んでいるけれども、医者はいないという地区を無医地区と称する、こういう定義だとあなたは言うのでしょう。しかも、その半径をぐるっと回した四方の中で、三百人以上いるが、まあ何とか応急的に他の地区へ行って医者にかかれる地区を第一種と称するというのでしょう。そうでしょう。その半径の中で、三百人以上いるけれども、とうてい他の地区へ行って医者にもかかれないし、医療機関を設置しても商売にもならない、どうにもならぬというのを第二種というのでしょう。そうじゃないですか。違うかね。第三種というのは、この地区の中で医療機関を設置すれば、どうやら経営が成り立つらしいという地区、それをいわゆる第三種という。一里四方ぐるっと回した中で、医療機関を設ければ何とか商売になる、そこの地区を中心に解消するように努力しているとあなたはいまおっしゃった。そうでしょう。この第三種の地区を中心にして、医者にかかれぬ人がなくなるように努力するとおっしゃった。第一種、第二種は何にもかまわないという主張じゃないですか。医療機関を設けても商売にならぬようなところ、一里四方に——半径が一里だから、直径にすれば二里だ。二里四方ぐるっと回したその中に医者の一人もいなくて、商売にはならぬものは、がまんしておいてめんどう見ない、そういう説明でしょう。一体そういう無医地区の定義というものは、だれがつくったのです。あれの場でおつくりになったのでございますか。どういう規定でそういう無医地区の定義をおつくりになったか、科学的根拠をお示し願いたい。
○大崎政府委員 先生からいまお話しがございましたように、厚生省におきまして、僻地医療対策というのを樹立いたしまして、それに対しまして国から助成の措置をとる、こういう場合に、僻地が何であるかということを説明する必要があるわけでございます。いま先生のお話にもございましたが、第一種から第三種に分けておりまして、その第二種につきまして、私のほうで国庫の補助をもって助成すべき僻地と考えているわけでございます。
○小林分科員 国庫の補助をもらう対象の関係で、あなた方は都合のいいように無医地区をおつくりになったのだが、ここでお聞きしますけれども、半径が四キロ四方の中で三百人以下の場合は一体どうなる。三百人まで住んでいない場合は、これは無医地区という名称さえもつけられないということになってくる。こういう地区は日本全国にありませんか。
○大崎政府委員 人口三百人未満の地区は当然あるわけでございます。それにつきましては、やはりこれも国で助成の措置を講ずることになっておりまして、これにつきましては、巡回診療車に対する助成を考慮しているわけでございます。
○小林分科員 あなたはいま巡回診療車ということをおっしゃいましたけれども、多年医療行政を論じているうちに、無医地区の解消解消ということで、ことばだけ表面に出してきて、いわゆる三百人以下のこの地区は無医地区というような名称さえつけない。人間的な待遇を与えないので、動物並みだ。サルやキツネのように扱ってきたというのが、今日までの厚生省の医療行政じゃありませんか。間違っておりますか。同じ日本人と生まれても、三百人以上住んでいても、医療機関を設置して商売にならないようなところは、これはいわゆる無医地区という範疇の対象にはしない。その三百人以下のただいまのようなところは、人間並みの扱いはしないで、サルやキツネ並みに扱っている。うたかたのごとく生まれてうたかたのごとく死んでいく、こういう残酷な医療行政をやっておる。私の言うことは間違っておりますか。それで一体国民の皆保険ということばが使われますか。どうですか。ひとつお聞きかせ願いたい。これは次長なんかいいです。大臣です。
○小林国務大臣 先ほどから申したように、そういうところがあることは非常に残念であるから、そういうものを解消することを目標として逐年努力しておる。いまお話しのようなものも当然考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
○小林分科員 そこで、私はいたずらにあなた方の厚生行政を弾劾しようというのではないのだけれども、われわれが知らないでおれば、皆保険だ、皆保険だと言って、日本人であればどんな山の奥にいてもちゃんと医者にかかれるような制度ができ上がっており、実際の行政が動いているように世人をごまかしている。そのごまかしがいかにも残念だから、そういうことではなりませんぞということを私は皆さんに申し上げた。ただ、ここで言いたいことは、そういうような形になっているのだから、いまは無医村などという定義、根拠というものは何もない、国家の補助金をもらう、そういう金をもらいやすくするために、便宜的にこういう制度を設けたというならば、この無医村あるいは無医地区という定義をここで改めて、いやしくも一里四方、いまどきならいかに交通便利とは言いながら、山の中に入れば、二里の直径なんかたいへんです。二里の直径の中に医者が一人もいないということはたいへんなことである。けれども、その直径——半径の四キロはよいとして、その中に住んでいる者が三百人以上なんということは言わないで、三百人以下でも、一人でも、これは全部無医地区である、こういうように定義を改めてもらうことができないかどうか。どうですか。世間をごまかしやすい無医地区の定義をここで改めてもらうわけにはいかぬか、これを申し上げている。
○大崎政府委員 無医地区につきましては、いま先生からお話があったとおりでございますが、それ以外の地区につきましても、特別僻地と私どもは呼んでおりますが、三百人未満のものにつきましても、巡回診療車あるいは巡回診療船というものを整備するような努力をいたしておるわけであります。その二つの地区につきましては、どういうふうな名称をつけるかということがございますが、これにつきましては、なお検討をしてみたいと思います。
○小林分科員 無医地区の問題について、これをどう解消するかということに対するあなた方の熱意に対しては、非常に疑問を持っております。それから、いまおっしゃった巡回診療車とか巡回診療船などでこの問題が解決するとも考えておりません。けれども、その具体的解決方法については、あとでまた御質問申し上げることにいたしますが、ともかく、皆保険という名のもとに、こういうふうに医者にも何にもかかれない、保険税だけはきちっきちっととられながら、何も医者にかかれない、こういうごまかしの地区が、日本国じゅうの地域の中にあるということだけは明らかになった。これはあなた方が肯定されましたから、次に移ります。 いま皆保険の名のもとで、今度はそういう僻地ではなくて、東京のまん中でも医者にかかれない地区があるのです。世界第一の人口稠密にして、世界にないものはないといわれるこの日本の東京のまん中で、医者にかかれない地区がある。大臣御存じか。なぞではありませんが、御存じでありましたらお聞かせ願いたい。
○小林国務大臣 よく存じません。
○小林分科員 これは大臣が御存じにならないというのはごもっともです。何も大臣の責任を責めるのではございませんけれども、保険局長、御存じですか。
○小山政府委員 存じません。
○小林分科員 あなたは厚生省で二十五年もめしを食っていて、特に保険行政を担当しておられながら、東京の中で医者にかかれない地区があるなどという——それは特定の地区ではありません。けれども、深夜医者の門をたたいて、医者が起きてくれますか。深夜急病だからといって、現在医者にお願いして来てくれますか。お聞かせを願いたいのであります。あなた方はそういうような事実を御存じになりませんか。
○大崎政府委員 医師法上、医師は求めがあればその求めに応ぜざるを得ない義務を持っているわけでございます。医師のほうで何らかの事故があればこれは別でございますが、事故のない場合にはその招きに応ずるというふうに考えております。
○小林分科員 私は医師法の解釈を聞いているのではございません。あなた方も医療行政を担当していられるならば、毎日の新聞くらいはごらんになっていると思うのでありますけれども、いま新聞にそういう例示が幾つも出ているではありませんか。深夜に医者を頼んだけれども、医者に来てもらうことができなくて、これこれで死んだ、これこれで命をなくした、こういう例が載っているではありませんか。あなた御存じありませんか。では、そういう事例に対してどういうような処置を一体おとりになったのか、お聞かせを願いたいのであります。
○大崎政府委員 そのような事例が間々あるというふうな新聞紙上の報道があるわけでございますが、それにつきましては、医道の倫理を確立するということが大事でございますので、その点、私ども、衛生部長会議等におきまして常々指導しているところであります。また、そのような事例が相当多数起こる場合には、いわゆる救急医療の範疇に属するものがあると考えます。それで、救急医療につきましては、さきの消防法の改正に伴いまして、所要の省令をただいま準備中でございます。それに従いまして対策を講ずる所存でございます。
○小林分科員 それは救急医療で、あるいは自動車にひかれたとか、あるいはその他の交通事故にやられたとか、こういう問題は、あなたの後半の答弁でよろしいでしょうけれども、急に腹痛だ、あるいはかぜが高じたとか、あるいは子供が疫痢にかかった、あるいは子供が急に容体が変わったとか、そういうような問題に対して、一体これは何ですか。あなたのおっしゃる救急法の発動によって間に合うのですか。私の言うのは、前者のそういうような形でお医者さんが間に合えば当然助かった病気も、深夜の発病なるがゆえに、あるいは病気の変化なるがゆえに、間に合わないで死んだというのです。そういう例が幾つもあるじゃないですか。あなたは、それは何かその医師会の医務部長会議か何かで訓示をしたという。訓示を聞いているのじゃない。そういうのが新聞紙上にあらわれたというのをあなたが見られた。知っておられるならば、医療を担当する厚生省として、そういう生きた現実をどんなぐあいに実態を調査してこられたかということを私はお聞きしております。そういう事実の場における調査、実態の調査をいままでおやりになったかどうかということをお聞きしておるわけです。おやりになりましたか。深夜には医者がいないというこの現実の、いまの医療の実態調査をされたことがありますか。これを私はお聞きしているのであります。
○大崎政府委員 総体的に実態調査をやったことはございません。なお、そのケースごとにつきましては、いろいろ各都道府県において調査をいたしておるわけでございます。 なお、先ほど救急医療につきまして若干お話を申し上げましたが、家庭内の事故につきましても、救急医療の範疇に属するわけでございまして、消防署その他の関係機関と連絡をとりまして、これらの事故のことにつきましても、適正な医療が受けられるよう努力したいと思います。
○小林分科員 いろいろの記事がありますが、具体的な一番いい例を、あなたの啓蒙をするために、厚生官僚の蒙を開く意味において、具体的な例をひとつここで読み上げます。「夜の無医都市」「東京のある病院の医長さんから、つぎのような手紙をもらった。夜の東京は無医村化しつつある。ある夜、家族の一人が突然発病する。近くの医院に連れ込むと、門を堅く閉ざして起きないことがある。こうして病人は夜の東京をさまようことになる。なぜ夜間の診療に応じないのか。いそがしすぎる医療奉仕に疲れ切っているとも思えるし、採算が合わないからともいえる。」云々、こういう記事が載っているんです。これはここにおられる古川君は、ぼくが電話をかけると夜でも医者が来ると言う。それは国会議員だなどというボス化した権力を振り回して電話をするから来るのです。これは、ぼくが電話をかけるから医者が来るなどという、これがいかに実情を知らないかということなんです。こういう議員がいるから嘆かわしい。(発言する者あり)一般の普通の人が、これはいま確かに病院へ行ったところで、門を閉ざしてかかれない。こうして事実上の無医地区の形ができておるのでございますが、こういう事実は御存じになっておりますか。この実情を御調査になっておりますか。
○大崎政府委員 先生御指摘の事例につきまして、実は承知いたしておりませんでしたけれども、私が先ほど申し上げておりますように、救急の場合につきましては、救急の指定医療機関等の指定も、これから行なう準備万端進めておるところでございます。なお、その根底には、やはり医道と申しますか、医の倫理と申しますか、そういうふうなものもございましょう。私ども戒心をいたしまして、そのようなことがないように今後とも十分指導してまいりたい、かように存じます。
○小林分科員 実にいまの答弁なんかは実情に即しておりません。医の倫理とは何です。医の倫理でこの深夜の無医地区の問題が解消されるなどと思ったら、実情に即せざる実に笑止の答弁と言わなければならない。これは池田さんの道徳論と同じだ。これは池田内閣の人つくりと同じです。みずからの ━━━━━━━━━━━━━ 人つくり、国づくりを言うがごときは、私をして言わしむれば同じだ。(発言する者あり)いま私の言わんとすることは、なぜ一体夜の医者が出てくれないかということは、先ほども言っておるでしょう。第一番には忙しい。まるで神風ドクターなどといわれて、昼間は寸分のすきもないようにともかく走り回らなければ医者の経営ができないじゃないですか。夜は疲れておりますよ。これが一つの理由だ。第二番目の理由は、これはいま一番問題になっております低医療政策ですよ。医療費が安いということが原因なんです。これを言いましょう。健康保険の点数表の甲表でいきます。甲表でいえば、夜間の診療は昼間の診療の二十一円増しですよ。夜なんか戸をたたいて起こして、診療所だって、昼間の診療のわずかに二十一円増しで熱意を持って商売ができますか。なお、午後の十時から翌朝の六時までの深夜診療、ま夜中の診療は、わずかに二百二十円五十銭増し、これは夜中に病院を起こしたら、お医者一人では間に合わない。看護婦も起こせ、薬剤師も起こせ、それ電気もつけた、火もつけた、あらゆる騒動をして、それで診療は、深夜の作業の割り増し金がわずかに二百二十円五十銭ですよ。病人は数百円のタクシーに乗って病院にかけつけてきたところで、そこでお医者さんに払う料金はわずかに五十円から百五十円、堂々と病院に乗り込んできても、再診療云々を言うわけじゃないけれども、ただで診療して、一銭も払わないで患者は帰っていくという場合もしばしば想定せられる。そういうような情勢ですから、一体医は仁なり、医は倫理なりといったところで、夜中に医者が快く起きられるものかどうか。問題はここにあるのじゃないですか。原因はここにあるのじゃないですか。このあなたたちの低医療政策が、結局われわれ被保険者をして、十時過ぎに病気になったり、十時過ぎに容態が変わったり、十時過ぎにわれわれが苦しむときに、どこの医者にいったところで医者にかかれないという事態が起きてくる結果になっているのじゃないですか。大臣、どうでございましょうね。私の判断は間違っておりましょうか。
○小林国務大臣 お話のようなこともございましょう。ですから、われわれも、医療費をきめてから相当な期間もたっておるし、適正化いたしたい。いまのようなアンバランスの問題が方々にある。しかし、それをやるためには、ある程度客観資料を集めまして、実態調査等もして、なるべく早い機会に適正化したい。お話のようなこともし随所にあって、何とか直さなければならぬものがある、こういうふうに考えております。
○小林分科員 大臣がこういう実態が随所にあるということをお認めになりましたから、私はこれ以上追及しませんけれども、現在中央医療協等でいろいろの議論がかわされております。その問題は、時間もありませんからここで私は申し上げない。上げないが、おそらく現地において実際に脈をとって病人をなおしております医者の心情、ことに病気に苦しんで、いまここで助けてもらいたいという被保険者の切実なる心情、一般大衆の心情、そういったものをみんなこれは無視している。厚生省も無視している。あるいは医療担当者もこういう実態を無視している。そしてあの中で議論して、何らこうした問題を地について解決するという意欲があらわれていないのは、これは実に残念しごくです。一つ申し上げますけれども、夜になって、深夜になって医者にかかれないで苦しんでいる者が一体どれだけあるかという実態調査を、いいですか、次長、この資料を早急に出していただきたいと思う。さもなければ医療問題の解決にはなりませんから、それをひとつお願いをいたしておきます。 次に、皆保険という名のもとに医者にかかれない第三の欠点としては、いわゆる公立の診療所、特に農村等におきましては相当診療所があります。ところが、実際においては医者がいない、看護婦がいないということです。これは無医村の中には入っていない。無医地区の中には入っていない。あなた方の帳簿上にはちゃんと医者にかかれるような形になっているけれども、その実は建物だけであって、実際の経営はストップをしているという状態のものがかなりあるはずでございます。一体国立の診療所や、国立の直営の病院、いわゆる直診と称しておるもの等が、どれだけの数字になって、そしてどれだけ機能を発揮しているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○小山政府委員 国民健康保険の直営の診療機関としましては、診療所が二千三百六、病院が五百五十三、合わせて二千八百五十九ございます。このうち、病院につきましては、先生がいまおっしゃったような観点から見ますと、これはおおむね従来の機能を継続するというふうに判断して大過ないと思います。問題は、先生おっしゃるとおり、診療所の二千三百六の中に、最近診療所勤務の医者が、開業等のために都市等に移って、いなくなっているというようなものが若干出てまいっているわけでございます。私は手元に数字を持っておりませんので、あまり断定的なことは申し上げかねますが、おそらくこのうち一割強は、いまのところそういった状態に置かれておって、後任のお医者さんを一生懸命にさがしておる、こういう状態だと思います。
○小林分科員 いまおっしゃった二千三百六の直診の中で、一割強だけが医者がなくてさがし中だというのでありますが、一割強という数字はちょっと低目の数字じゃないかと思うのであります。強とか弱とかということでなく、いま少し具体的にお示し願いたい。
○小山政府委員 きょうは手元に数字を持っておりませんので、後ほど数字を提出いたします。
○小林分科員 私どもの調査なんですが、直営の診療所というものは、全国で大体四千くらいあるものと私どもは推定しております。その中で曲がりなりにもやっているのは三千、二割五分くらいは機能を停止しておる、こう思っておるのでありますが、あなたのお話では二千三百六、これはどういう数字の間違いですか。
○小山政府委員 数字については、私が申し上げておりますのは、三十七年の三月三十一日現在の私どもの手元の数字でございますから、一番確かだと思います。これ以外に直営診療所と称するものがあるはずはございませんので、数字はこれをもとにしていただきたいと思います。問題は、先生おっしゃるように、このうち、一体どの程度のものが、最近医者がいなくなって、事実上診療ができない状態であるか。この点は、先ほど申し上げましたように、帰ってから数字を調べまして提出いたしたいと思います。
○小林分科員 その一割強とおっしゃるのも、常時の医者でなく、定期的に一週間に一回とか二回とか三回とか通ってくるものも、いわゆる医者がいるというふうな勘定の中に入れた数字じゃないかと思うのでございますけれども、そういうほうも加えて正確な報告をしていただきたいと思うのであります。 一体そういうわけで、私どもの計算では、二割五分くらいは空空寂寂、形だけで、医者も看護婦もいないような状態で投げ出されておるというような数字ができておるわけであります。若干間違いはあるといたしましても、そういうような状態に対して、一体厚生省はいまどういう処置をおとりになっておるか。三十九年度の予算を見ても、私どもは、画期的な予算の裏づけというものは残念ながら見ることはできない。どういう処置をおとりになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○小山政府委員 問題は、直営診療所関係だけにしぼってのお尋ねでなく、おそらく全体についてのお尋ねになると思いますけれども、これは先生常に言っておられますように、われわれとして一番悩んでおる問題の一つなのでございます。一般的には日本は必ずしも医者は少ないとはいわれていない。むしろ、欧米に比べてやや少ないけれども、総数としてはこれくらいあればいいということになっておりまして、私どもも実はそういうふうに聞かされておるのであります。ところが、現象面のほうから見ますと、われわれの直営診療所はもちろんのこと、どうも農村地方には医者が十分おらないだけでなく、非常に少ない。また、私どもの関係の深い保健所も医者がいないので、みんな軒並み弱っておるわけであります。そうしてみると、医者の総体の数そのものについてある程度検討してもらわぬと、この問題はなかなか根本的には片づかぬのじゃないか、こういうような条件がありそうな気はいたしますけれども、しかし、これはいずれにしてもそういうことで検討いたしたとしても、それから回答が出てまいりまして、実施にかかって効果をあらわすというのはだいぶ先になるわけであります。したがって、現在ありまするお医者さんを何とかうまく全体的に活用のできるように働いていただくということが前提になるわけでありますが、そうかといって、このお医者さんの問題については人為的な配置統制というようなことは、これは行なうべきではないのでありまして、そこいらに非常な悩みがありまして、それぞれもよりの大学なり、あるいは大きい病院をたよりまして、そこに頼みにいって、何とかお医者さんのくめんをしてもらう。こういうことで個別的、具体的に現在解決をする、こういう方法で努力している状況でございます。
○小林分科員 一体直営診療所の任務というのは何ですか、任務は。
○小山政府委員 直営の診療所の任務は発生的に見ますと、二つあったようであります。一つは医療機関がないところに医療機関をつくりながら、医療保険が実際に効果をあらわすような条件をつくっていくということが一つでございます。それからもう一つは、比較的適正でしかも価格の安い充実した医療が行なえるようにしていく、こういう考え方があったようであります。しかし、これは発生的の目的でございまして、その後の状態としましては、あとのほうは国民全部が医療保険の網の目の中に入るようになりました関係上、特に考える必要がないというようなことからいたしまして、現在ではもっぱら前段のほうが目的というようなことで実施をしているわけでございます。
○小林分科員 いまも言われたように、医療機関のないところに国民皆保険の原則に従って、あまねく医療の均てんに浴させるという、そういう目的でつくったのでありまするから、そもそもこの医療機関を設けたときには最初から独立採算制だとか、これでひとつ黒字にしておくなどという考えは私はなかったものと判断してよろしいと思いますが、いかがでございましょうか。
○小山政府委員 できれば独立採算制が望ましいということはおそらく設置主体としては考えるでありましょうけれども、しかし、それが目的じゃないのでございますから、究極的な形でいえば、先生おっしゃるとおりだと思います。
○小林分科員 あなたの言われるとおりだ。それは黒字にこしたことはないが、黒字になれば、そういうところにやはり開業医もいるだろうし、ちゃんといまの自由診療で商売になる。お医者さんはそこに住みつくわけだ。商売にならぬから、お医者さんがいない。いなくて不便だからこそ直営診療所を設けて、皆保険の目的を達しようというのですから、でき上がったときから、最初から、おそらくいわゆる公的、公益を主にした、いわゆる利益を考えない設備でなければいけない。だからそんなのは経営が成り立たなかったことは初めからなのでありまするから、それに対しては、特別に国が補助なり、めんどうを見るのがあたり前でございましょう。どういうめんどうを、一体予算的に見ておいでになるのでありますか。それをお聞かせ願いたいのであります。
○小山政府委員 設置をいたしますときに、設置費で三分の一を補助しておりますること、これは一般に知られていることでございます。それからそれ以外の施策といたしましては、実際に診療所を開設をして、医療保険をやってみた場合におきまして、その地域がちょうど先ほど先生と大崎次長との間で、いろいろお話がありましたような、ああいった条件、あるいはそれに準ずる地域でありまする場合に、どうも経営がうまくいかない。そのために赤字が非常に大きくなってきているというような場合におきましては、特別調整交付金のほうにおきまして、赤字をある程度補てんをする、そういうことをいたしまして、そういう地域の診療所が何とか経営が続けていけるようなぐあいにやっております。
○小林分科員 あなたのおっしゃる調整費というのは、例の一割の調整金でしょう、調整金の分配でございましょう。一体その新設に対して三分の一の補助金をおやりになったり、わずか交付金の中からの調整金で埋めておるということはわかりましたが、一体機械、器具の購入だとか、あるいは建物の修理だとか、あるいは赤字解消のために特別のめんどうを見るとか、そういうようなことに対して、一体厚生省は具体的な策をお持ちになっておるのかどうか、特にいま一番困っているのは、先ほども言われたように医者です、看護婦です。町村長はこの医者と看護婦を見つけるのに大騒ぎをして走り回って苦労をいたしておりますけれども、こういう問題に対して具体的に一体厚生省はどういう御援助をなさっておるのか、そういう点を具体的にお聞かせを願いたいと思うのであります。
○小山政府委員 先ほど申し上げました設備費の補助というのは、やや雑に申し上げましたが、当然のことといたしまして先生おっしゃったように、できましたものの更新、それから新しい機械、器具を買い入れる場合の援助、それからさらに地方によりましては巡回のための診療車の買い入れ等の補助、これを全部含めてやっておるのでございます。ただ残念なことには先生おっしゃったように、何しろ総額が二億円というやや淋しいふところでございますので、思うにまかせずということがございますが、やっておりますことは、そういうことを特に最近は比較的農村の条件の悪い地域に集中をして実施をしております。 それから、医師、看護婦の確保につきましては、これもいまのところあまり目ぼしい対策を講ずることができないでいるわけでごまいまして、主として直営の診療所系統につきましては、先ほど申し上げましたように、もよりの大学なり、あるいは病院にそれぞれの町村長が交渉いたしまして、そこから何とか人を派遣してもらうというようなことで処理をしておるわけでございます。なお新たにつくるというような場合には、事務局が大規模にやっておりますあの公立病院等に本拠を置きまして、そこから医師を派遣してもらうというようなことで解決をしてもらっておるところがあるわけであります。そういうところはしいて直営診療所というかっこうをとらないで、その派遣医師によってその地域の医療をやってもらう、こういうことにしております。
○小林分科員 時間もありません。質問はたくさん用意しておりますのに時間がありませんから、結局かけ足でいくより以外にはないのですが、大臣、いま申し上げましたように、単なる無医地区ばかりではなくて、農村の地帯で、現実は無医地区ではなくて、診療所があるという形になっておりながら、実際は医者がいなくて、ここで医者にもかかれない農村地帯が、いま言うように診療所があるという名目のもとに、小山さんの報告だけでも一割強、一割強というのは一割九分までいくんです。二割近くまでいくのが一割強なんです。ぼくらの調査の結果では二割五分までいくんです。そうしてこういうことのままに医者にかかれない人たちがみな投げ出されている。この現実なんです。これを大臣としては考えてもらわなければならぬ。私はそれを言いたい。しかもこの問題を解決するために、町村長はみずからの力で診療所を建てたり、ない町村財政の中から無理に金を出しておる。そうしてお医者探しに方々、日本全国を——日本全国というのはこれはオーバーではないのですよ。町村長は日本全国を回っているのですよ。町村長にすれば、あの村長が腕があるかないかは、自分の診療所に医者を持ってくるか持ってこないかによって判断される。自分のこの名誉と地位を保つために医者やあい、医者やあいと言って日本じゅうを探して歩いているというのが今日の医療行政の実態なんですよ。これをひとつあなたから真剣に考えて、どこか——この前も社労で聞いたときに、いや、医療行政は天下太平だなどというあなたは無責任な答弁をされておりましたが、これはこの質問とあの質問と違うと言いながら、こういうような実情にあるということを厚生大臣としてはやはり真剣に考えてもらわなくちゃならぬと私は思う。 そこで私は言いたい。こういう無医地区だとか、あるいは開業医がいても商売にならないような地区ですよ。そういう地区は直診と開業医との調整をして、そこにはひとつ特別の会計を設けて——これは具体的な私の案ですが、特別会計を設けて、そういう地区には特別の補助金を設けて、どんどんどんどん直診の診療所を建てて、少なくとも僻地にいてもちゃんと自分の医者ですよ。貧乏だとか金持ちはいいですけれども、一つしかない命ですから、その命だけは山の中でも東京のまん中でも安心して暮らせるというぎりぎりの線だけはひとつ厚生省でやってもらえないかどうか、これを私はお願いしたいのであります。この特別処置であります。特別の予算措置をお願いできないものかどうか。先ほどの船をつくります、いわゆる自動車でやりますと言われても、診療所の自動車が通るところなんて知れたものだ。そういうような、なまっちろい解決の仕方でなしに、予算の面、機構の面、構成の面において徹底的に、しかも緊急措置としてやってもらえないものかどうかお尋ねいたします。
○小林国務大臣 お話のようなことがありますが、とにかく私ども厚生省もいろいろ考えておりますが、非常にむずかしい問題だ。ことに医者が自由職業であり、あるいは弁護士がそうであるように都市に偏在、こういう問題があり、たとえば僻地に対して教育手出を出す、住宅手当を出す、いろいろなことをやりましても、それでもなお非常に困難な問題である。これはいいお考えがあれば、われわれも十分これを承るにやぶさかでない、こういうことで努力はいたしておるが、いまの医者の自由職業であるという特質からも、非常にむずかしい問題を含んでおるということだけはひとつおわかりいただけると思いまするし、いろいろの具体的の御注意があれば十分承って実現に努力したい、かように考えます。
○小林分科員 私は非常に具体的な案を出したつもりでありまするけれども、大臣はまだおのみ込みにならぬようでありますので、これはあとでもひとつ小山さんからよく大臣に申し上げて、私の話を納得できるようにお話してくださいよ。いいですか。 あなたも御存じのように、この国保法が改正になる三十四年以前には、直診というものはあまり赤字になりませんでしたね。あるいは直診は十割診療をやっても赤字にならぬところがあった。けれども三十四年に国民健康保険法が改正になった。直診もやはり医療単価というものは開業医と同じようにしなければならないというふうに改められた。そういうのは直診と開業医と相ぶつかるところですよ。接触点にそういう問題が出てくる。それから先の開業医が行っても商売にならないというところが山ほどある。そこら辺が全部無医地区で置いてあるのだから、そういうところを、開業医と直診と相摩擦をしない、開業医じゃとても商売としては成り立たない地区を、いわゆる医師会なら医師会とか、あなたたちが少しずつ調整をしながら、それから先の地区はいわゆる国が責任をもって多分に補助金を出す。補助金をつくるための特別会計をつくればいいですよ。特別会計でもってどんどん金を出す。そうしてそこでいわゆる直覚でも国営でも県営でもよろしい、何でもいい、公立の診療所をつくって——少なくとも命ですよ、貧富を言っているのじゃない。人間の命は地球よりも重いと言われる、一つしかない命なんだから、その命だけは日本人である限りは都会のまん中でもどんな山の奥でも平等に扱ってもらえるというその社会保障だ。その医療制度だけはひとつここで確立してもらえないか。めんどうだ、めんどうだと、いま大臣も言われたが、小林大臣は初めてだけれども、歴代大臣からみんなそれを聞いてきた。数代の大臣、変わった大臣、いやあごもっとも、めんどうでございます。聞いているわれわれは耳にタコができているのです。いまや、そういうふうなめんどうでございますなどという答弁でごまかしている時代ではないと言うのだ。それを私は申し上げているのでありますから、この問題はひとつ真剣に考えてください。時間があれば、私はもっと具体的に聞くのだが、ないからやめます。 次に、項目的に申し上げますが、健保や国保の格差の問題は、ここでは言いません。国保と健保の格差などという問題の前に、健保の間の格差をひとつ直してもらえないか、国保の同じ府県、同じ町村、隣り合っている町村の中にも、この保険診療の差というものは実に大きな差がありますよ。富裕なる町村と富裕ならざる町村があるじゃありませんか。そういう問題をこの際考慮してもらえないかどうか、それが一つ。 第二番目は、地方税と国税との関係についてお尋ねしたい。 地方税と国税と三十七年度の——時間がありませんから、私のほうでひとつ資料を提供しながら答弁を求めまするけれども、三十七年度の国民健康保険税の一世帯の平均が四千五百七十五円、この世帯の九割以上は年収四十万円以下、そのうち一世帯年収十五万円以下の者が五〇%以上含まれておる。その諸君が保険税と称して四千五百七十五円をとられている。しかもその中には全く所得のない世帯、一銭も所得のない世帯が平均して一千七百十四円とられております。これは苛斂誅求ではございませんか。過酷な保険税であるとお考えになりませんかどうか。地方税、住民税に比較して、いわば悪税であると私は思いますが、いかがでございますか。
○小山政府委員 先生がいまおあげになりました数字、若干私どもとの間に違いがありますが、おおむねおっしゃるとおりだろうと思います。ただ、それについて最後に、結論として重税ではないかというお話、これはそういうふうな声もありまして、昭和三十八年度におきまして御承知のとおり総額で約四十二億をこえる減税を行なったわけでございます。私どもの判断といたしましては、三十八年度の状態においてはまずこれで重税とは言えないと思います。国民健康保険は、何といっても税という形はとっておりますけれども、いわば医療費の一部の見返りのものでございます。そうである以上は、やはり普通の市町村民税と全く同じに考えるというわけにはいかぬところがあると思います。その意味におきまして、今後賦課方法等においてさらにおっしゃいました考え方で調整をする余地は、これは十分あり得ると思いますが、総体としてこれは非常に苛斂誅求だというふうに言うことは、どうも減税後の状態においては当たらぬような気がいたします。
○相川主査 小林君に申し上げます。なるべく結論をお急ぎ下さい。
○小林分科員 私はもう時間がありませんから、それ以上あなたと議論するつもりはありませんが、同時に保険税の問題で一部減免の問題に触れたかったのです。それで減免の問題も含んで申し上げますが、これは岩手県岩手郡雫石町とかいう診療所の実例であります。これを十割給付にいたしました。一日百人の診療者があった。それを今度は、いまあなた方がおやりになっている五割給付だ、保険税が持っていけないから、窓口払い五割にしたら診療者が一日四十人に減ってしまった。ずっと四十人。これは言いかえれば重税だ。無収入の人までも、千七百円から四千円ばかりの保険税を取られる。人生における一番低階層の方々が、食うものも食わないで保険税を取られていて、そしてまた病気になると窓口へ持っていかれる。それで医者にかかれない。窓口払いをなくしたら百人医者にかかった、窓口払いを取ったら四十人に減ったということは、六十人の病人が皆保険からおっぽり出された、医者にかかれないでいる人が百人のうち六十人いるという一つの具体的な——極端な言い方かもしれませんけれども、そういう形容が成り立つ形ができ上がっている。だから、わが日本のあなた方のおっしゃる皆保険というものは、貴いかえれば一番収入の低い、年収十五万円にも満たないような人々からこういう重い税金を取っている。しかもその人たちは何にも医者にかかれない。病気になったときには医者にかかれない。それを特例でただにしてやると言ったら、初めて彼らが出した血と涙のような保険の税金が生きてみんな医者にかかるけれども、また窓口払いで三割も五割も取ると言ったら、六十人の人たちは医者にかかれなくなる、四十人しか医者にかかれなくなる、こういう数字があらわれているのでありますから、何といってもわが日本の保険行政の皆保険という名は偽りだ。全部が偽りだ。やはり貧乏人は医者にかかれない、貧乏人は保険税を取り上げられて医者にかかれない、そういう偽りの皆保険制度が行なわれているということを私は申し上げたい。ところが、それを是正する形の保険行政が、残念ながら三十九年度の国家予算の中に何もあらわれていないということだ。当然増だけです。あなたは七割給付を言いたいのだろう。私も時間がないから言わないが、今度は向こうの社労の舞台でやりましょう。きょうは分科会だから言いませんが、そういうものは全くごまかしだ。 それで、ぼくは時間がないから言いますが、次に一世帯の納める保険税の平均を教えてもらいたい。いま国民保険税は申し上げた。いわゆる政府管掌保険の世帯——世帯ということばが通用するかどうか知りませんが、国民健康保険税の加入者の一年間の平均のお金、組合管掌保険の世帯主の一年間の平均、国家共済保険の平均の保険税、それから日雇い健康保険の平均の保険税と平均所得に対する各種保険税の割合、各種の保険の中で収入に比較してどの階層が一番高い保険税を納めているかというのを、きょうは時間がありませんから、必ず資料にして出していただきたいと思います。
○相川主査 もう時間がありません。
○小林分科員 時間がきましたから、注文だけにしてやめておきます。 第四番目にお尋ねしたいのは、病院の統廃合に関する問題です。民間病院、国立病院を問わず、幾つの病院をへっつぶして幾つの病院を残して、その病院の内容をどう変化させるのか。これは、国立病院ならあなた方の所管ですから、すぐできるでしょう。民間病院についても、厚生行政の一環としてどこで病院がへっつぶされているか。これは全部あなた方の低医療政策に原因している。みんな病院行政の間違いが病院をつぶしていく。ですから、その資料をいただきたい。 第五番目は、四、五日前に新聞でずいぶんはたかれました整肢療護園の看護婦さんの一斉退職の問題であります。これは尾崎さん、あなたの管轄ではないかもしれないけれども、民間病院だってみんな一貫して看護婦不足の問題はいろいろ言ってくるじゃありませんか、人ごとじゃありません。よく覚えておきなさい。人ごとじゃないですよ。小児麻痺だとか身体不自由児とか、ああいう気の毒な子供のめんどうを見る整肢療護園の看護婦さんが、大挙して四十一人中十人もやめるという事態が出てきた。あの問題の原因が那辺にあるか、それを含めた看護婦行政のあり方を教えてもらわなければいけないと私は思います。看護婦不足の問題、よろしゅうございますか、そういう問題を詳しくお尋ねいたしたいと思うのでありますが、私は結論として申し上げたい。 大臣、いまも申し上げましたように、病院の側は、いま病院経営に困って病院をだんだんつぶしております。お医者さんは、そんなわけで夜の夜中なんか、どんなに病人が来てもなかなか診療なんかするわけにはいかない、こういう状態であります。そして看護婦さんは看護婦さんで、とても、こういうような低賃金や過重な労働の中でわれわれはやっておるわけにはいかないといって、看護婦さんの資格者は四十何方もいらっしゃるそうでありますけれども、現実に動いておるのは十七万ですか、それもどんどんやめていってしまう、だんだんやめていかれる、こういう情勢の中で——これはみんないま起こった問題ではない。数年前から波を打ってきておる問題であります。これが全部しわ寄せせられて、われわれ被保険者のところに押し寄せてきておるわけでございます。そのほか、看護婦さんだけではありません。医療機関に携わっておりますところのその他の技術屋や職員の方々も、もう全部低賃金や過重労働や、現在の厚生省が行なっておるこういう厚生行政の中ではわれわれは働いておるわけにはいかないといって、まさに不安動揺の中に投げ込まれておるという状況でございますが、これらの原因はおしなべて一体どこにあるのか、どこに一体原因があると大臣はお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○小林国務大臣 原因を一つ、二つ単純に述べることは困難な問題でございまして、いろいろのものがからみ合っていまのような事態を呈しておる、こういうふうに考えております。
○小林分科員 いろいろな原因がからみ合っておるというのでありますが、私は色話をしておるのじゃありません。そのいろいろの中に何と何が入るのか、それをお示し願いたいと言っておるのでありますから、いま一回御答弁願いたいと思います。
○小林国務大臣 これは若年労働力が一般的に不足しておる、あるいは待遇の問題あるいは制度の問題、いろいろの問題がからみ合っておる、こういうことであります。
○小林分科員 私、率直に申し上げますが、やはり政府の低医療政策にあると私は思う。あげて政府の責任である。若年ではありません。機構の問題ではありません。いま少しく人間の命を大事にするという政府自体の姿勢が正しくいって——道路をつくるのも大切でしょう、あるいは橋をつくるのも大切でしょう、何をやるのも大切だけれども、最優先的に、人間の命だけは貧富にかかわらず大切にするのが一番重大問題だから、それを重点に置こうという政府の姿勢が正しくなれば、問題はすべて解決するのであります。安い金で人を雇い、安い金で医者を雇い、安い金で診療させて、政府が責任を持って出す金までもなるべく少なくして、収入のない者からまでもその金をふんだくって、金のかからない医療制度をやろうという人間の生命を軽視する政府の施策が、こういうような大きな矛盾を生んでおるのです。私はそう考える。大臣、間違っておりましょうか。
○小林国務大臣 それはもういろいろの考え方があるので、あなたの考え方もあるでしょう。承っておきます。
○小林分科員 時間がありませんし、あまり催促されますから、これはやめるわけにはいかないけれども、きょうの第二分科会における医療問題に対する私の質問は一応これで打ち切りまして、後段はまた社会労働委員会に移しましょう。そこでひとつ、きょうの続きを質問さしていただきますとともに、また、きょう申し上げました資料もあわせてその席上にちょうだいをいたしたいと思います。これで終わります。
○相川主査 先ほどの小林君の発言中、もし不穏当な言辞がありますれば、後刻速記録を取り調べの上、主査において善処いたしたいと思いますので、さよう御了承を願います。 中村重光君。 中村君に申し上げまするが、持ち時間は三十分を原則としておりますることを申し添えておきます。まことに恐縮ですが、なるべくこの範囲でひとつ御協力を願います。
○中村(重)分科員 たいへん残念な時間の制限で不満ですが、申し合わせの原則をひとつできるだけ尊重して発言したいと思います。時間の制約がありますので、意見を申し述べることを省略して、問題点をそのままずばり質問をしますから、大尉もひとつ適切な、責任ある御答弁を願いたいと思います。 問題の原爆訟訴で東京地裁が判決を出したわけですが、原爆の投下は国際法違反である、賠償請求権は、平和条約によって権利を放棄しているんだから、これは違反ではない、まあ、こういうことですけれども、問題は、裁判長があとで意見として言っていることが、これは重要であります。原爆投下は違法との画期的な判決が出されたことに対して、裁判長は、財政上不可能でないのに、被爆者に対する国の救済は不十分である、政治の貧困を嘆かずにはおられない、こうつけ加えておるわけであります。これに対して官房長官が談話を発表するといったようなことで、政府の考え方がここに出ておるようでありますけれども、この裁判長がつけ加えた意見によっても明らかなように、国の財政は貧困ではない。ところが、現在の法律の中においては、医療というものは十分に行なわれないんだ、こういうことを指摘しておるわけですが、こういう東京地裁の判決に対して、三十九年度の予算の中においては、いままで強く被爆者から求められ、また国会においても強く要求された問題に対して、小林厚生大臣は前向きの施策を行なうであろうと期待しておった。ところが、全然何もやってない。まことにこれは重大な問題であると考えるのでありますが、どうして小林大臣はもっと積極的な取り組みをしなかったか。また、この東京地裁の判決に対して、どのような感想をあなたは持っておられるのか、まずその点に対してお答えを願いたい。
○小林国務大臣 これは、裁判官の御意見は御意見としてわれわれも承知しておるのでありまするが、原爆の問題につきましては、御案内のように、原爆による医療、このものは御承知のように幾度か範囲も広め、あるいは所得制限等も除いて、そして大体行き届くように医療関係はすべて国費でまかなう、こういうふうな方法をとってきたのでありまするが、一般生活関係の援護、こういう問題につきましては、いろいろの御要望もあるのでありますが、これは戦災を受けた他のもろもろの事例にも照らして、これらとの関係もあるからして、援護という問題をすぐに取り上げていってしかるべきかどうかということには、いろいろの議論があるのでありまして、いまのところ、具体的な結論を出して措置する、そういうことになっておらぬ状態でございます。
○中村(重)分科員 援護の問題に対していろいろな議論がある。それではその議論をひとつ聞かしてもらいましょう。
○小林国務大臣 これはもう前々から申し上げてありますが、いわゆる戦争の被害というものは、たとえば家を焼かれたとか、あるいは戦争で死亡したとか、戦災でどうなった、こういうふうないろいろな問題がありまして、これらとの関係もありまして、生活援護、こういうふうな方面については、他の関連もあるからして一がいに原爆の被害者の援護ということについて結論が出せない、こういうことがいわれておるのであります。
○中村(重)分科員 いろいろな議論もあるでしょう。ところが、厚生大臣はどういう考え方を持っているのですか。被爆者の援護に対しては、あなたはすべきだと思っているのですか、あるいはあなた自身はその必要がないとお考えになっておられるのか、まずその点を伺いましょう。
○小林国務大臣 私も、他のいろいろな事項との権衡、こういうものも考えてやるべきもので、これだけを取り出していまどうこうということはいかがかと、かように考えております。
○中村(重)分科員 あなたはさきの委員会における答弁において、この援護法の問題に対して、調査会等を設けて実態を調査するという非常に前向きの答弁をしておられる。ところが、今度はこれが生かされていない。これはどういうわけなんですか。
○小林国務大臣 そういうことを考えていろいろ相談をしたが、まだ相談がまとまっておらぬと、こういうことです。
○中村(重)分科員 そこで、続いてお尋ねをしますが、医療法の問題に対して、特別被爆者の取り扱い、これはあなたが先ほどお答えのとおり二キロから三キロになった。ところが、なかなかキロ数で制限をするのは実際の実情にそぐわないという面があるわけです。だからしてこれは撤廃することが好ましいということが、被爆者の中からも強く主張されてきたし、また、国会においても強くそれが要求されてきた。ところが、全然今度はこれが問題にされていない。これを全被爆者に拡大するということに対しては、考慮を払われなかったのか。その点をひとつ伺ってみましょう。
○松下説明員 恐縮でございますが、一応私から三十九年度どういうふうに変わったかということを御説明申し上げたいと思います。 ただいまの御意見のように、従来、直接市内で被爆いたしました者、それから被爆直後に市内へ立ち入りました者のうちで三キロ以内の者だけが、特別被爆者になれる道が開かれておったわけでございまするが、それで、一般被爆者のうちに含まれておりました者のうちで、被害にあって、死体処理とかあるいは物品の片づけ等のために第二次の放射能を受けて健康に障害を及ぼした者、それから市内に立ち入りました者あるいは死体処理に当った者等の、当時胎児でありましたために胎内において放射線の影響を受けました者、そういった君につきまして、従来特別被爆者になる道が開かれてなかったのでございますが、三十九年度からはこれを改めまして、一般被爆者のうちでも——御承知のように、特別被爆者と一般被爆者の区別は、特別被爆者のほうが、放射能に起因いたしまして健康障害を起こしやすいという状態のために、原爆症以外の医療につきましても国費で医療を受ける道を開くということがその差でございます。したがいまして、いま申し上げました一般被爆者のうちでも、特に医学的に見て放射能に起因すると認められるような健康障害が七つ定められております。そういった障害に該当いたします者については、被爆者のいずれにつきましても、いま申し上げました胎児あるいは死体処理に当たった者等につきましても特別被爆者になる道を開きまして、そういった者のうちで放射能に基づく健康障害が認められたものについては、すべて特別被爆者として一般の医療が受けられるようなふうに三十九年度からはいたす予定で、現在作業を進めておるわけであります。
○中村(重)分科員 ただいまのあなたのお答えは、それは前向きの施策じゃないです。ミスだった。私は救護に当たった。一つの責任者として当たった。だからそのときの実情をよく承知しておりますが、あの原爆直後に、ともかく累々たる死体、それからいままさに生命を引き取ろうとするような実に悲惨な状態、そこへ消防団であるとかあるいはいろいろな人たちが入って救護に当たった。これは第二次放射能におかされる条件というものはあるわけです。それを特別被爆者として認定をしていなかった、その範囲に入れてなかったということはミスなんだ。胎児だって当然ですよ。だから、そういうことでもって前向きの施策を三十九年度にやったんだとお考えになるならば、あなた方の熱意不足か認識不足かそのことを指摘しなければならない。私が言っているのはそういうことではなしに、ともかくすべての被爆者を特別被爆者として取り扱いができるように、三キロの制限を撤廃をする、それをやるべきだ。それに対しては何も御考慮をお払いにならなかったのか、そのことをお尋ねしている。またやる意思はないのか、どうなんです。
○小林国務大臣 私もうかつで距離を撤廃する、こういうようなことにつきましては十分のお話を承っておらなかった、こういうことで、この問題を特に私が検討を指示したということはありません。いまあなたからそういうことがあったのだ、こういうことを聞きましたので、これからまたそういうことも検討しなければならぬと思いますが、予算編成時において私はうかつで気がついておらなかった、こういうことを申し上げざるを得ません。
○中村(重)分科員 なるほど小林厚生大臣は、おそらく大臣として原爆の問題をお聞きになるのは、いままで何回もあってないと思う。しかし少なくとも池田内閣の、これは姿勢の問題であるし、責任の問題です。三十八年度の予算委員会におきましても強く指摘をしておりますし、その後被爆者の団体あるいは原水協、いろいろな人たちが大臣にもこのことを切々として訴え、要求をしてきたのだと私は思う。ところが、いまのあなたの答弁は、私は率直な答弁、まあ熱意がある答弁であるというふうに受け取りたいのですが、それでは大臣は、この三キロの制限を撤廃して、全被爆者に特別被爆者としての取り扱いをやりたい、そういう考え方で取り組む意思があるのかどうか、その点を伺ってみましょう。
○小林国務大臣 これは私も関係者から陳情を受けましたが、主として援護の問題に私は注意をしておった。したがって、距離問題については私は認識を持たなかった、こういうことはいまはっきり申し上げておきます。一応距離問題につきましても、学者その他の意見を聞いてこういう結論が出たことと思うのでありまして、これはそういう御要望があれば、またいろいろな向きに相談して、何らかの考え方をまとめなければならぬ、こういうふうに考えております。
○中村(重)分科員 いろいろな向きに相談をして——だれに相談をするのかわかりませんけれども、大臣自身が、責任ある立場においてこの問題をどうするかということを決定して、そうして内閣においてもこれを承認させるという態度でなければならぬと思う。ともかく私は、厚生省は実に原爆の被爆者に対しては冷淡だと思う。この前、予算要求の問題に対して局長とも会いました。その際に、この被爆者援護法の問題に対しては、局長はどういう答弁を私どもにしたか覚えておられるか。これは私どもの所管じゃありませんとあなたはお答えになった、総理府です。なるほど、そういう手続をするのは総理府かもしれません。しかし、被爆者に対する医療の問題、あるいは援護の問題、このことについて最も責任を痛感して前向きの施策をやるということは、あなた方のほうでなければならない。あなた方のその考え方の上に立って、それぞれの所管において事務的な処理をしていくわけです。非常な不満を実は感じておったわけであります。だから局長も、これらの点に対してはもっと真剣にひとつ取り組む、少なくとも援護法の制定に踏み切るために十分な資料を整えて、積極的に大臣に対してそういう要求をしていくという態度でなければならぬと私は思う。 なお、医療の問題に対して所得制限ですね、医療保障の所得制限、これは撤廃をする、こういうことが確定的であるかのように伝えられた。私どもが厚生省に十二月の予算要求で参りました際も、局長は、その点はだいじょうぶだ、こういうようにお答えになった。それは全く確信を持っておった。ところが、この所得制限というものは、どうしたことか大蔵省との予算要求の中において削られてしまった。成功していない。これはどういうわけでしょうか。まずその点について、おそらく最終的までこの問題についてはもんだのじゃないかと思うのでありますが、経緯をひとつ伺っておきたい、それから見通しを伺っておきたいと思います。
○松下説明員 医療手当の所得制限の問題につきまして以前に申し上げましたのは、確定的だと申しますよりも、私どもといたしましては、予算折衝の段階においては、いまおっしゃいましたように最後までこれは望みを捨てずに、要求としてがんばってまいりたいという趣旨で申し上げたかと存じておりますが、いま御指摘のように、最終的な予算の形といたしましては、先ほど申し上げました特別被爆者の範囲の拡大、それから医療手当の所得制限の撤廃、それからもう一つ原爆医療の場合の通院手当、そういったものを含めまして要求したわけでございますが、最終の段階でこれは認められなかったわけでございます。ただ、この所得制限の撤廃は、御承知のことと思いますが、三十八年度におきましても、従来無所得に近い者だけが給付を受けておりましたものを、大体年収四十二万円くらいまで引き上げられてきておりまして、制度の初めからいたしますと大体倍くらいのところまで、制度の初めは二十二万円くらいでございます、上がってきております。なお、減税等の関係もございまして、所得税の総額で押えておりますために、三十九年度におきましても、三十八年度におけるほど大幅の引き上げではありませんが、ある程度の上昇と申しますか、ある程度所得制限の上限が引き上げられる形になってきております。そういったようなこともございまして、いろいろ大蔵省と相談いたしました結果、被爆者の関係の方々からも特別被爆者の範囲を拡大するという御熱意が最も強いように伺っておりましたし、数といたしましても、原爆医療を受けて医療手当を受けておられる方よりも、特別被爆者として、活動しながら、しかも一般の医療を受けなければならないという方々を広げることが非常に焦眉の急という感じもございまして、また財政当局といたしましても、この所得制限を全く撤廃するということは、いろいろとほかの制度に対する影響等もございまして非常に困難であるという話もございまして、最終的な話し合いの結果、このような形に落ちついたわけでございます。
○中村(重)分科員 時間の関係があるので、突っ込んでまたお尋ねしたいのですけれども、残念ながらできないのですが、私はここで問題点をあげてお尋ねしますから、これにお答え願いたい。 これは援護法の制定の中で私どもの要求しておることですが、具体的な項目としては、生活困窮の被爆者に特別生活保護手当を支給する意思があるかないか、原爆障害者に障害年金を支給する意思があるかないか、原爆死没者の遺族に対して弔慰金、年金を支給する意思があるかないか、原爆被爆者に身体障害者並みの鉄道料金割引制度を実施する意志があるかないか、原爆被爆老人に老人ホームを設置する意志があるかないか、それから医療に関係する問題ですが、原爆療養者のための温泉療養を認むる意志があるかないか、医療手当の支給条件を緩和して大幅な増額をはかる急患があるかないか、これに率直にお答え願いたい。
○小林国務大臣 いろいろの御要望でございますが、これを一々、いまどうするこうするということは、お答えいたしにくいと存じますが、私、責任を持って検討をして、またしかるべきときにお答えいたします。
○中村(重)分科員 あなたは、自民党の中で、これはもうおそらく閣議も承認しておると思うのですが、いわゆる旧地主の農地補償——最近農地報償というふうに名前を変えたのですが、それに対して前向きの施策とお考えですか、うしろ向きの施策とお考えですか。あなたはそれに賛成をしておられますか。
○小林国務大臣 私は、いまこの問題について関与いたしておりませんし、意見も述べておりません。
○中村(重)分科員 私が指摘したいのは、そういううしろ向きの施策に対しては、政府も自民党もえらい熱意をもって取り組むのですけれども、こういう非常に重要な問題、一日も早く実施しなければならないという制度に対しては、非常に冷淡であるということです。厚生大臣は責任ある立場に立って、これらの問題に対しては真剣に取り組んでいく、被爆者の信頼を高めていくという——裁判長が指摘したように、いまの政治の貧困、これを直していくという改正でなければならぬと思う。いま一度、援護法の問題に対する考え方を明らかにしていただきたい。 あなたは、さきの委員会における答弁で、援護法の制定について調査委員会等をつくって取り組んでみたいということを言われたことは、少なくともあなたの頭の中では、何とかしなければならないのだ、もっと具体的にはそういうことをやらなければならぬ、委員会等をつくってやりたい、こういうことであったのだろうと思う。それが生かされていないのですから、もう一度明快なあなたのお答えを聞かしていただきたい。
○小林国務大臣 この前の予算委員会と思いますが、調査会をつくるかどうかという問題も含めてひとつ検討いたしたい。私ども検討を一応いたしたところが、他のいろいろの戦災関係のこともあって、なかなか、いまこれだけを取り出して、そうして会を設けてどうこうということは適当でないというふうなことが、一応われわれの相談の結果出たわけでありまして、私も、いま申したようなことで、この中でいろいろやりたい、こういうことはむろんあります。しかし、この問題は、援護法がなければできないというふうな問題でもないと思いまするし、これらの項目はひとつよく相談をして、その上でまた考えたい、こういうふうに思います。私一人だけの考えではなかなかいきません。やはりしかるべき方々と政府部内においても相談をしなければならない、こういうことでございます。
○中村(重)分科員 そうした援護法の制定調査委員会をつくるといった問題は、まず先に省内で話し合いをするのでしょう。あなたの話し合いをしたというのは、省内でやったのですかどうですか。
○小林国務大臣 むろん省内でいろいろ相談しております。
○中村(重)分科員 省内で話し合いしたのだったら、先ほど私が申し上げましたように、十二月二十何日であったかと思いますが、援護法の問題に対して私どもが考え方を局長に聞いたら、われ関せずえんという態度であったというのです。いまあなたは、いろいろの人と話し合いをやったが、まだ時期尚早であるという意味合いの答弁であったのでありますが、そういうことならば、私どもが援護法制定に対してなぜにやらなかったかと聞いたことに対して、事務当局は、それなり誠意のある答弁があってしかるべきだと私は思う。ところが、実際そうでなかった。いまあなたはそういうお答えをなさるのだけれども、ほんとうに真剣に討議したのかどうか疑わしいのですが、その経緯はどうですか。
○小林国務大臣 省内でいろいろ相談をした、こういう事実ははっきり申し上げておきます。
○中村(重)分科員 この問題に対しては、いまの答弁ではまことに不満であります。しかし、あと社会労働委員会、あるいはこのことに対しましては党としてもいろいろと準備等もいたしておりますますので、その際また突っ込んでお尋ねをしてみたいと思います。 いま一つ環境衛生法の取り扱いに対してお尋ねをします。 御承知のとおりに、環営法は二回改正になっておりますが、この法律はいわゆるざる法であるといわれておる。これではいけない、保護立法にしなければならないというようなことから、前向きでもって改正がなされたわけです。ところが、その後その改正がどのように生かされておるのか、具体的に取り組んだ経緯についてお伺いをいたしたい。
○小林国務大臣 まああの法律は、こういうことをするという一つの宣言と申しますか、政府の決意と申しますか、それを表明した法律でありますが、私ども、あの法律ができたということをもとにしまして三十九年度の予算も編成をした。したがって、われわれが目標としておるし尿処理施設等は、相当大幅な予算の増額をしてもらえた、こういうふうに思っております。あの法律は今後なお三カ年も続く問題でありますので、これをもとにしてできるだけ整備をしていきたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)分科員 大臣のいまの抽象的な答弁でなくて、過去二回法律改正をやったのは、国会としてはこれは改正をしなければならない、実情にそぐわないから改正をやったのです。その改正を尊重して、当然施策が行なわれなければならないのです。大臣のいまのような御答弁では、これは何のためにわれわれが改正をしたのかさっぱりわからない。具体的に取り組んだ経緯についてお答えを願いたい。
○小林国務大臣 いま改正とおっしゃいますが、前回二回提案して流れた、それで前の特別国会で初めて成立した、こういうことと思います。
○中村(重)分科員 それは大臣の勘違いです。私が言っているのは環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律ですから、間違いないのだったらお答え願いたい。
○舘林政府委員 ただいま大臣から仰せになられました内容は環境衛生施設の五ヵ年計画に基づく分でございまして、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に関しましては、中村先生仰せのとおり、過去二回ほど改正が行なわれております、第一回は昭和三十六年十一月でございまして、改正の要点は、組合の事業といたしまして福利厚生事業、共済事業などを追加いたしております。第二点といたしましては、出資組合の規定を少し直しております。第三といたしましては、員外者、いわゆるアウトサイダーに対します勧告の規定を第五十六条の二として……。
○中村(重)分科員 具体的にはわかっているから、具体的には要りません。改正に基づいてあなた方がおやりになったこと……。
○舘林政府委員 第二次改正は昭和三十七年九月、適正化規程の要件として、あの衛生措置阻害の事実のほかに当該営業の健全な経営が阻害される場合、また知事に対する勧告及び規制の発動の要件といたしましても、経営の維持にはなはだしい支障を生ずる場合を加えております。このような改正に基づきまして、ただいままで行なわれましたことを申しますと、理容等におきましては年金の制度を設けております。また、各種組合が火災保険などを共同でやっております。また、知事の勧告が、ただいままで一回出された事例がございます。
○中村(重)分科員 これはいまあなたがお答えになったように、問題は経営の維持、衛生の阻害、これによって知事が、適正化審議会の意見を問うことなく勧告ができる規制命令、勧告といったようなことについて複雑な手続をとっておったのでは、問題の経営の維持とか衛生の阻害というようなことに対して実態に沿うことができない、こういうことであった。いまあなたが、理容、美容という例をお出しになりましたが、理容、美容の例を取り上げても、農協が施設をやるとかその他いろいろな厚生施設をやるとか、非常に業者が多くて過当競争で苦しんでおる。その上に、そういう施設によってさらに深刻な状態に追い込まれてきた。その結果は、いわゆる経営の維持が保てない、衛生上の阻害が行なわれておるという現実に照らして、国会としては改正をやった。だから、あなたのほうでは、直ちにその改正の趣旨に沿って行政指導も行なわなければならないし、周知徹底をはかって、その改正の趣旨を生かしていくということが当然の義務なんです。ところが、いまあなたは、一県だけ知事の勧告が行なわれた。それは私も、新聞の切り抜きをもって知っております。そういう程度で、いまこの問題の改正の趣旨が生かされているとお考えになっていらっしゃるか、その点どうです。
○舘林政府委員 いま先生のお話もございました勧告と規制命令関係の発動を要請する事態は、そのほかにもいままであったことがございます。そのような機会に、国会で改正されました条件をもとにいたしまして、勧告ないし発動がなされることになるわけでございます。そのような場合には、いままで、その事態に立ち至る直前におおむね話し合いが行なわれまして、現実に勧告ないし規制命令の発動が行なわれないで今日まできておったわけであります。ただ、福岡県の分は今日まだ係属いたしておりますが、大体全体的にはそういう傾向を示しておるわけであります。
○中村(重)分科員 全くなまぬるいです。あなたのほうでは、何か通達を一本出せばそれで事成れり、そういう態度だ。もっと責任を持って取り組んでもらわなければどうにもならない。また出先の県はどうか。出先の都道府県にしてみても、あっちこっちと気がねをする。したがって、弱いものだけがしわ寄せされて、問題の経営は完全に維持できない、衛生上阻害される、そういう実情にある。あなたのほうで通達をお出しになったならば、それがどう実施されておるかという実際を、もっと把握するというような取り組みがなければだめなんです。いまからでもおそくはないでしょう。ともかく実情を調査されて、適切にこういう法律が運営されるようにやってもらいたい。法律だけつくったならば何でもできるんだという、そういう法律万能の思想をあなた方のほうで持っておるというような、そういうように疑われるような態度であってはだめだということを私は指摘したいのです。大臣はどのように指導していかれるのか、ひとつ大臣の御決意のほどを伺っておきたい。
○小林国務大臣 私も環営法を検討しましたが、非常にむずかしい法律でありまして、場合によると、ざる法といわれるのもやむを得ぬというようなものも認めております。福岡県の問題につきましては、私はひとつ規制命令というようなことを真剣に考えてほしい、こういうことを事務当局にも申していろいろ検討をいたしておるのでありますが、実態調査と申しますか、十分な客観的資料が整わないということで、われわれの期待するような十分な結果がまだ出ておらない。これはお話のように私自身も非常に遺憾に思っておるのでありまして、何かこれをもう少し適正に運用する方法はないかということを私も考えておりますし、事務当局にも続いて私は催促を申すといいますか、督励をいたしておる、いまこういう事態でございます。
○中村(重)分科員 解釈について一つ伺ってみたい。この農業協同組合等において、理容等の厚生施設というようなのをつくっておりますね。ところが、員外利用という解釈がまちまちなんです。農協は組合員を対象とする。ところが、厚生省が解釈として正式にお出しになったのか、あるいは各都道府県において、まちまちに解釈を適正化審議会において出しているのかわからないのですけれども、農協の厚生施設の対象となるものは、これは職員だけであって組合員ではない、組合員は員外利用である、こういう解釈を出している。その解釈はどうなんですか、厚生省としての正式な解釈を聞かしていた、たきたい。
○舘林政府委員 組合員の利用は、解釈上は員外者の利用という解釈になっております。
○中村(重)分科員 そうすると、組合員は員外者利用ということですね。そうすると厚生施設の対象となる者は職員だけである、こういうことになりますね。
○舘林政府委員 一応そういう解釈になります。
○中村(重)分科員 わかりました。農協のほうではそういう解釈をとっておりません。農林省もそのように伺っております。厚生省のほうに農林省としての解釈を申し入れるやに公式に私は聞いたことがあるのでありますが、農林省と同じような解釈であるかどうか。
○舘林政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、あるいは係のほうに参っておるかと思いますが、私ども承知いたしておりませんので、十分検討いたしてみたいと思います。
○中村(重)分科員 あまり申し上げたくなかったのですけれども、そういう解釈について係のほうへ農林省から来ているかもしれぬ、こういうことですが、ともかく大きな問題になって法律改正なんというものもできたのですから、あなたのほうでも、そういうことについては完全に見解が統一されておらなければならぬと思うのです。厚生省は厚生省、農林省は農林省というようにばらばらではだめだと思いますから、もっと責任を持ってこれらのことに対する見解をひとつ統一してもらいたい。無用な混乱を引き起こすということになってまいります。もっと国会において決議したこと対しては、尊重するという姿勢をひとつ強く要求しておきたいと思います。 まだ結核療養者の問題等、いろいろお尋ねしたいことばかりでございますけれども、残念ですが、時間の関係がありますので、いずれ適当な機会にお尋ねすることにいたします。
○相川主査 吉川兼光君。
○吉川(兼)分科員 いろいろとお伺いしたいことがあるわけでございますが、もう時間もあまりないということですし、大臣もお疲れでしょうから、問題を一つにしぼり公害問題だけにつきましてお尋ねをいたします。どうか簡潔に、かつ親切に御答弁をお願いしたいと思います。 公害問題が、いまや日本の国民の健康生活の上において、またマスコミ等の面におきましても緊急な問題として日程にのぼってきたと思いますが、厚生大臣におかれましては、公害とは何ぞやといいますか、つまり公害の定義について、こういうものが公害だ、こういう状態が公害だという御認識をまずお伺いしたいと思います。
○小林国務大臣 公害は、具体的にあげないと抽象的ではあれですが、要するに、一定の事項が国民生活に害を及ぼす、こういうことになりますが、いま具体的に問題になっているのは、要するにばい煙の問題、またばい煙に含まれるガスの問題、騒音の問題あるいは水の汚濁の問題、こういうふうなものが具体的な問題としていま提起されておる。あるいはまた、自動車から出る音、あるいは自動車の排気ガス、要するに空気または水を汚濁せしめるということと同時に、騒音等によって生活に非常な障害を来たす、こういうようなことが具体的には言われておることでございます。
○吉川(兼)分科員 大体大臣の御答弁なさいましたことは重要な公害でありまするが、「等」というおことばがありましたから、これは「等」のことばの中に入っているのかもしれませんが、たとえば天然ガスとか地下水などのくみ上げによります地盤沈下というものが、かなり前から新潟県でも問題になっておりますし、最近は尼崎市において大問題となっておるのであります。あるいは悪臭の発散、さらに騒音の中でもまだほかにもいろいろの騒音があるのでありますが、まあ大体のところ、いまの御答弁でよろしいでしょう。 そこで、この公害によります被害は、いまや一般的な問題にさえなってきておるように、私は思うのでございますが、この公害によります国民生活への大きな被害、特に都市生活者の保健に関する環境衛生上の立場から見ました公害に対する対策をどういうふうにお考えになっておるか、これは具体的にお伺いしたいと思います。
○小林国務大臣 ただいまの天然ガスあるいは水のくみ上げなどによる地盤沈下、これはだいぶ前から問題が起きて、新潟等におきましてもくみ上げの制限、あるいは都市においても水のくみ上げ、こういうことが制限されておりまして、だいぶこの問題は、いまのところ部分的には鎮静してきた問題もある、こういうふうに思いますが、その他の問題は、いわゆる生産増強の結果、工場その他が非常な激増を来たした、こういうことのために煙と水と音、こういうふうなものがいま問題になってきておりまして、ばい煙の問題につきましてはばい煙の排出の防止に関する法律、水の問題につきましては公共用水域の水質の保全に関する法律、工場の排水の規制に関する法律、この三つの法律か一応公害を防止するための法律として出てきておるのでありますが、私どもは、行政として公害防止の問題がいま一番おくれておる問題である。すなわち、急激に工場の発達等によってこの問題が非常に世間の視聴を浴びるようになってきた、こういうふうに思うのでありまして、これらの法律もできてはおるが、まだ十分機能を果たしておらない、すなわち行政上からは一番おくれて、これから注意を払わなければならぬ問題だと私は思っておるのでございます。ばい煙の問題にしましても、いまこれの規制をしておるところは、ただ京浜、あるいは阪神、北九州、この三つしか規制しておらぬ。また水の保全につきましても、あるいは江戸川とか石狩川とか、四本だけの河川が指定されておる。そのほかの河川につきましても、これを急速に指定をしなければならぬ河川が非常に多い。こういうことでありまして、要するに、これは生産と生活、こういうふうな問題になってきて、たとえば石炭鉱山における保安と生産、ちょうどこれと同じような問題が公害と生産ということに起きておるのでありまして、公害を防止する法律をきびしくすれば生産が採算に合わない、こういうふうに非常にむずかしい問題も含んでおるのでありますが、しかし、何としても生活を守る、人体を保護する、こういうたてまえからいけば、これらの法律をもっときびしく、あるいはこの範囲を広める、こういうことによって公害を除かなければならぬ、わけてもこれから新産業都市の指定等が行なわれるのでありまして、どうしても日本においては経済開発と社会開発というものが相伴っておらない、これからは社会開発、すなわち公害等の問題が並行して生産と考えられなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、さしむきばい煙規制法等につきましても千葉県あるいは四日市、あるいは名古屋等にもできるだけ早い機会にばい煙防止法の指定をしたい、こういうふうに考えております。河川につきましても、いま候補を選びましてこれの法律の適用をしたい、かように考えておるのであります。
○吉川(兼)分科員 いまのお話を伺っておりますると、公害対策に力を入れ過ぎると、その程度によっては生産を阻害する場合もあるというふうなお話でございまして、私もむろん公害対策というものは生産の面と見合わしていかなければならないとは思いまするが、これはことばじりをとらえるわけではありませんけれども、いまのような御答弁ではちょっと私の考えておる点からいうと不十分と思います。公害の主たる原因でありまするところの産業、つまり企業の経営主である事業者にも公害の発生者としての責務があるわけでありますが、しかしそれでは事業者だけにその公害の防止あるいは対策処置をまかせていこうということになりますと、これは設備その他に巨額の資金をかけることになったのでは、生産に影響する事態が考えられます。そこに初めて公害行政というものが必要になってくるわけであります。国なりあるいは地方の公共団体なりが事業者とともどもにその責任を分かつところにいわゆる公害対策行政なるものが存在し、それによって公害地域における国民の保健は公害から十分に防げなければならない。一面において、産業は大事でありますことは言うまでもありませんが、そのために民生が、特に国民の健康があと回しにされてよろしいという理屈はないのであります。公害問題についての資料を調べておりますと、だんだんさかのぼってまいり、明治の維新ころまでさかのぼらなければならぬと思うのでありますが、その当時における日本の産業行政のあり方が常に産業優先主義をとって、そのために国民大衆の被害、迷惑というものは常に無視されているのであります。それが今日の公害問題にまで発展してきておると私は思うのでございまして、その根は深いのであります。ただいまの河川の話なども、河川の周辺の工場などでこのごろその汚水を処理しようとすると、設備に何億というばく大な金がかかるのであります。ある工場のごときは四億五千万円をかけて汚水処理施設を行なったけれども、被害者が要求する面からみて、満足な状態ではなく、満足な状態にまでするにはなお十三億の資金を要すると当局に訴えている事実を私は知っています。その計算が正しいものかどうかは私にはわかっていませんが、ともかく大きな課題であることは間違いありません。三十九年度の予算の中に、厚生省としては、新たに公害対策課とかを設置するように出ておるようでありますが、三十九年度の予算の編成の面において、あるいは予算の構想の中において公害問題を大臣はどういうふうに考えてどういうことをやろうとしておるのか、ここで聞いておきたいと思います。
○小林国務大臣 それはただいま私が申し上げましたようにこの行政が非常におくれておる、それで私ども厚生省としては生活を守る、あるいは人体を保護する、こういうふうな被害者の立場の行政を主としてやっておる、そうして一方通産省なりには加害者の立場においての行政がある、こういうことでばい煙規制法におきましても厚生省と通産省が共同所管としてこの法律の実施をしておる、こういうことでお話のようにむろんこれは政府も自治体も公害防止のためには、工場の責任だけにさせるわけにはいかない、あるいは適当な融資もしろ、あるいは場合によったら補助もしろ、こういう問題も起きてきておりまするが、またそれも必要である、こういうふうに思います。ただ、いまおくれておるということは、この公害がどういうふうに人体に影響を及ぼすかという調査もまだ不十分でありまして、私どもことし、もう年度内から四日市等につきましても、空気の汚染度、東京におきましても空気の汚染度を調べておりまするが、これが空気の汚染度と人体あるいは呼吸器との関係等につきましても、ことしは徹底的に調べて、そうして汚染度の許容量、こういうものをひとつ早く出したい、こういうことになっております。東京都におきましては一応この程度のものでなければ煙を出してはいけない、こういうふうな規定もありまするが、これらがまだ結果的に人体との関係等も的確な調査ができておらない、こういうことで、私ども厚生省には公害課というものはつくりましたが、主としていまの状態の公害が人体あるいはその他生活にどういう悪影響を及ぼしているか、こういうことを急いで調べて、そうしてこれらの許容量をきめて、それに応ずるようにひとつ産業行政をやってもらいたい、こういうふうな考え方をいたしております。
○吉川(兼)分科員 公害課の新設は三十九年度からつくろうとするのですね。大臣はすでにつくったとおっしゃるが、まだできておるわけじゃないですね。ともかくおつくりになって、公害の汚染度その他を調べる、これはよくわかりまするが、公害課ができたから、あるいはそのためちょっぴり予算がとれたからといって、ただ単に一つの課を新設したくらいのことではどうにもならないほど、対象である公害問題は大きいものになっているのであります。従来も公害に対する政府の施策といたしましては、環境衛生課ですか、環境衛生局の中に公害を扱う課がすでにあるわけでありますから、いま大臣から公害問題にたいへん御熱心なようなお話をいろいろ伺ったのですが、それにしてはわずかに一課を新設したにすぎず、どうも私には何か御答弁がそらぞらしいようにしか聞こえないのであります。そこでこの際伺いたいのは、いまや全国的にいろいろの公害が起こっておるわけでありまするが、最近の公害の事例について、四日市でもよろしいしあるいは川崎市でも、東京も晴海地帯などは川崎以上の大気汚染といわれておりますが、それら公害の起こっておりまする最近の事例で厚生省において把握されておられる公害の事実とその対策実施の状況について、あげられるだけここであげてみていただきたい。これは大臣でなくてもよろしいです。
○舘林政府委員 公害のわが国におきます事例で、最も問題になっておりますものは、しばしばいわれます四日市の事例でございます。四日市に対しましては昨年来、特別委員会を厚生、通産両大臣が任命いたしまして現地調査をいたし、目下その調査の途中にあるわけでございまして、その調査の内容におきまして人体と公害の関係等も問題となっておるわけであります。その調査委員会が三つの分科会に分かれておりますが、ただいまいろいろの調査を行なっておる途中でございます。その間四日市におきましては、各種の呼吸器病患者等が公害に関係のあるというような関連を十分調査をしております。もちろんこのような公害と疾病との関連は、非常に慎重な関係を要しますので、早急に決定的な結論が出るわけではございませんが、従来からしばしばいわれておりまするようなぜんそくとの関係というようなものも、漸次判明してくると思います。それから尼崎市におきましてもばい煙と人体の影響に関する調査が行なわれておりますし、宇部におきましても相当詳細なばい煙と人体との関係の調査が行なわれ、先般それに関しまする特別の学会が開かれまして、私も出席いたしたわけでございます。また西宮市で厚生省の公衆衛生院が調査をいたしております。これはまだ結論は出ておりませんが、ばい煙とかぜとの相関関係があるというようにいわれておるわけでございます。なお、大阪府においてはかなり前から大気汚染の関係の調査が行なわれておりまして、特に自動車の排気ガスによります交通巡査の肉体的変化、ことに血液中の一酸化炭素の溶存量というようなものが相当具体的に調査されておりまして、かなり一酸化炭素の含有量が多い、一般警察官よりは二倍ほどの含有量を持っておるというような結果もあらわれております。なお来年度は特に大阪の大気汚染と人体との関係、ただいま大臣も仰せられましたように、特に四日市に重点を置いて調査をいたしたい、かように考えておる次第でございます。札幌市におきましては、北海道大学が非常に公害問題に熱心でございまして、学術的に家庭ばい煙の調査をいたしております。札幌市のばい煙の降下量は日本一でございまして、世界的に見ても最高でございます。これは主として家庭で石炭を燃料とするために起こるものでございますが、それと人体との関係を特に熱心に北海道大学が調査をいたしておるというようなものがございます。
○吉川(兼)分科員 公害の発生については、政府の対策を見ておりますると、常に後手後手というふうにしか私どもには受け取れないのでございます。私が前段にも申し上げましたように、最近マスコミその他でもたいへん取り上げているのでありまして、江東付近にも、御存じと思いまするが、大きな振動地域というのがありまして、たいへんな騒ぎを起こしておる事実を新聞でも報じておるのであります。いま大臣のお話を承っておりますと、厚生省は被害者の立場であるといわれますが、それはたいへんけっこうでございます。しかし、ほんとうに被害者の立場といたしますならば、大いに被害防衛及び被害者援護に向かってお力を尽くしてもらわなければなりませんが、どうも厚生省がいままでやっておりまするところを見ますると、被害者側というところには行っていない。まあ適当なことばでないかもしれませんが、公害はむしろ一種の天災のものであるかのごとく、野放しにした面が少なくないのでございます。公害は断じて風水害その他のような天災ではないのであります。たまたまその地域に住んでおる者、たまたまその仕事に携わっておる者だけが、この被害を甘受しなければならないということは、私は新憲法の上においては絶対にあり得ないことだと思います。政府のやり方は、たとえば公害を発生する要因は政府みずからにはない。これは主として企業、つまり会社とかまたは私人にあるのであって、ただいまのお話の札幌の例のようなもので、いわば法的には私法関係に属するものであり、政府として公害の事実が起こった場合に、加害者と被害者との間に立って、被害の回復とか、賠償とかいうようなことの仲介の労でもとればよいくらいに考えておるのではないか。私にはそういうふうに思われるのでありますが、公害自体は当然に政府の責任において処理されなければならない問題であると思います。言うまでもありませんが、憲法第二十五条の、国民に健康にして文化的な生活を保障する責任者であり、担当者はほかならぬ政府だからであります。したがって厚生省は被害者の代表だというようなことばだけでは足りない。政府の当然の責務として、国民の健康並びに疾病を公害から完全に防衛する施策が早く確立されなければならないと思います。これは厚生大臣の所管ではないようだが、たとえば、気象台などでは三十九年度の新規事業として大気汚染状況の調査費の予算を請求していたのに、大蔵省からこれを全額削られたという事実があるのであります。これらの点などを御考慮に入れられて、大臣は単なる被害者の代表などいう美しいことばにあぐらをかかず、もっと積極的な、これは政府の重大な責任であるというような御認識を持たれて、真剣にこの問題と取り組んでもらわねばならないが、この際確たる御所見を伺っておきたいと思うのであります。
○小林国務大臣 これはことばが公害である、すなわち公の害だということでありますからして、政府の責任として関与すべき問題だ、こういうふうに思います。お話のとおりでありまして、対策としましては、率直に申して吉川委員のお話のとおり後手後手で、一番おくれているのがこの問題である。 最近も新産業都市建設促進法という法律が出ましたが、この新産業都市は経済開発を主としてやるが、しかしいまのように社会開発が伴わなければ、これからの新産業都市にはならないというたてまえから、あの法律の所管大臣から厚生大臣を除いているということは、政府みずからが認識を欠いている結果であるということを申して、この中にも厚生省を加えて、そうして都市の開発をする場合には必ず厚生省の意見を取り入れて、そうして公害を未然に防止するような方策をとるべきだということを、私は政府の中でも申し、経済企画庁にもそういう注意を申し上げております。これから公害ということばのようにこれを処理すべきだ、こういうふうに考えておりまして、私どもは、むろん通産省とこれは政府の中で共同して一緒になってやらなければならぬ問題でありますが、生活を守る、こういう立場からして十分な主張をしなければならぬ、かように考えております。
○吉川(兼)分科員 ただいまの大臣の御答弁、たいへんけっこうだと思います。疑いを差しはさむわけではありませんが、どうか御答弁に相違することのないよう念を押しておきます。そこであわせてこの際伺っておきたいし、また御考慮をしていただきたいと思いますことは、ただいまの産業都市指定の際の大臣の御配慮の中にも伺われますように、公害の大半のものは、これはいわゆる産業の高度成長ということから出てくるわけでございます。日本の産業、すなわち企業は、これは資本主義に深く根をおろしておるのであります。資本主義企業といいますものは、いかなる場合でも利潤の追求を第一義とするものでございまして、利潤があがらなければ企業の存在の基礎がなくなるということは、言うまでもないのであります。したがって、そういうような見地に立って仕事をしております企業家は決して少なくないのであります。ところが今日におきましては、いかなる企業であっても企業自体が社会的な存在でありまして、したがってその社会的な責任というものは免れ得ないものであるわけでございます。したがってみずからの企業から公害を発生させないようにという責任、社会的な義務というものが、当然今日の企業には伴っておらなければならない、こう思うのであります。 これは私はむしろ法の規制以前のものであろうと思うのでございます。ところが、さきに申しましたような利潤追求は資本主義企業のたてまえである、しかもその企業を日本の社会のただいまありますような姿で拡大してまいりますと、公害はひたすら拡大の一途をたどるわけでありますが、企業を中心としたこの二つの矛盾した、相反する事実を調和させるのが行政の役割と思うのでございますが、これにつきまして、私は三十九年度の厚生省の予算を鳥瞰いたしまして、前にも触れましたように単に公害一課の設定くらいでははなはだ心もとない、力が弱過ぎる、足りな過ぎる、こういうふうに思うのであります。大臣のただいまのお話を伺っておりますと、それを橋頭堡としてさらに大きな手をお打ちになるもののように察せられますが、ぜひ、公害対策は急速に大きくしてもらわなければなりません。率直なところ小林大臣がいつまで、厚生大臣をやっておられるかわからぬことでありますから、せっかくこの問題がここで日程にのぼったのでございますから、一般的、統一的な方針として、公害行政というものはどういうものでなければならぬのか。という小林大臣のこの問題に対する御抱負を伺いたいのが一つ、さらに大臣はいま現存の法律を三つほどあげましたが、これはいずれもわれわれから申しますると、ざる法であり、きわめて不徹底な法律でございます。したがって、これをもっと一般的に強力に進めるためには、もっと強い法律の設定が必要であろうと思うのであります。それらのこと等を加味されまして、大臣が最初言いました、いわゆる生産を上げれば公害がひどくなる、公害をむやみに押えれば角をためて牛を殺すというか、産業にも相当なマイナスが出てくる、このかね合いはなかなかむずかしいのでありますが、しかし二者択一ということになりますると、私どもはやはり国民の健康を第一に考えてもらわなければならぬ。しかしながら公害対策をやるあまりに、いたずらに悪い影響を産業に及ぼすことは、これは考えなければならない。そこに私が先刻申し上げましたように、政府の助成であるとか、金融であるとか、税制上の処置であるとか、いろいろなものが必要でございましょう。これはまた膨大な予算を伴うものと思うのでありますが、それらのことを含めまして、一般的な、統一的な方針といいますか、これは大臣の一つの政見として伺ってもよろしいのでありますが、お考えのほどをこの際お聞かせいただきたい。
○小林国務大臣 これはお話のとおり、生産と生活との調和をどこに求めるかということは大事な問題でありますが、しかし何としても人間の生活、あるいは人体、こういうものは大事に考えなければならぬ、したがって私どもは、空気なり水なりの汚染度の率を変えれば、その変えたものに従って工場の公害防止の設備をしなければならぬ、こういうことになるのでありまして、私どもはとりあえずの問題としては、いまのような法律の許容しておる汚染度が人体に対してどうか、これをひとつ早くにまとめまして、必要によって汚染の許容度をきびしくする、こういう措置をとれば当然工場等は相当の設備改善をしなければならぬ、こういう問題が出てきまして、設備改善につきましてはむろん政府としても融資とか補助とかいろいろの方法を考えて、生活と生産の調整というものを考えなければならぬと思っております。また川の問題にしましても、実は隅田川が非常に濁っておる、これは民間ではいかにもしょうがありません。これは政府の手でもって利根川からある程度水を入れて川を浄化するというようなことも考えておりますし、これらの問題は政府として相当に関与しなければならぬし、また費用も出さなければならぬ。たとえば九州の水俣病の際などは、政府が治療の責任もある程度負った、あるいは会社が設備の改善をするについて相当の融資もした、こういう事実もありますので、これらの問題については政府は単に生産家のあるいは工場等の責任だ、こういうことは言うておれない。したがってわれわれがきびしくすればするほど、工場の改装というふうな問題が起きてきますが、これらについても政府がしかるべき手を打たなければならぬ、こういうふうに考えております。
○吉川(兼)分科員 ただいま隅田川の話が出ましたが、私どもの調査では隅田川の沿岸だけで千七百からの工場があるのであります。そこから流出する汚水が隅田川をまっ黒にし悪臭の流れとしています。その対策にはいろいろの計画があるように伺っておりまするけどれも、いま実施しようとしておりまする利根川から水を流すというのでも実施して目的を達するまでには大体二年はかかるだろうといわれております。これは私の調査が不十分であれば教えていただきたいのでありますが、そういうことも必要ではありますが、同時に、やはり千七百からの工場の汚水をそのまま隅田川に流し込んだのでは上からどんなきれいな水を流しても決して浄化はできません。経済企画庁などの調査を見てみますると、何か大きな下水処理施設でもこしらえて、江戸川べりの工場から排水する汚水はもちろん、いま問題になっておりまする大阪、名古屋、福岡などの各都市における河川の汚濁はいづれも下水法による下水施設で処置をつけるほかはないという調査報告もあるのであります。こうなるとこれは当然厚生省の所管になってくるかと思いますが、これらの点等について大臣はどういうことを考えておるか、あるいはすでに厚生省の中に、下水法によってこの都市河川の汚濁をよくするというような計画はあるのかないのか、それをお答え願いたい。
○小林国務大臣 これは下水に汚水を流すというのが原則的であるべきで、下水に流れたものは終末処理場の装備によって浄化する、こういうことで原則として下水によって汚水を引き受ける、こういうふうにすべきで、東京都等においてもその方針で大体進んでおる。ただ、いままでのところはなはだ遺憾ながら、下水ができても水を流さない、こういう工場が間々あるのでありまして、要するに下水の強制使用、こういう問題が起きてきておるのであります。ただ、長い間、とにかく従来水はただ流しておった。ところが下水に入れると下水料を取られる、こういうことでいまだにまだ徹底した措置が行なわれていませんが、できた下水でもまだ利用されておらぬ部分があるというふうな始末であるのでございます。将来の問題としては、下水に汚水を受けて、そうして終末処理場でこれを浄化するということが河川としては当然やるべきことであります。その計画を東京都等においても実施に移しつつある、こういうことでございます。
○吉川(兼)分科員 そこで厚生省では三十九年度の予算の中で公害についてどういう予算を組んでおるか、つまり、公害対策施策の内容をお聞きしておきたい。これは局長のお答えでいいですから——そのあとで大臣からお答えをわずらわしたい。それは大臣が先刻来お話の中に出てきました三つばかりのざる法律、ざる法の理由は、求めがあればここで説明を申し上げてもよろしいのでありますが、もはや、そういうざる法ではどうにもならないところまで事態は立ち至ったので、この際、ひとつ公害防止基本法というか、公害対策基本法というか、基本的な公害行政を法で規定する御意思はないものかどうか、これをひとつ大臣から伺いたい。大臣、局長どちらがお先でもよろしい。
○小林国務大臣 公害関係の私どもの来年度の予算は、公害課をつくるということと同時に、まずもってその公害と人体との関係をぜひ調査したい、それから空気の汚染度を調査したいというので、本年度うちでも、四日市等には約二千数百万円かけまして汚染度調査の自動機械を買って据えつける、こういうことをいたしておりますし、来年度においては、公害と人体との関係を専門的に調査するための調査自動車と申しますか、これも二千数百万円で購入施設いたしまして、四日市と大阪とでこれの調査をいたしたい、こういうことで、ことしはまずもって人体と公害との関係をひとつ究明したい、これをもとにして通産省等に対してしかるべき勧告をすると申しますか、協議する、そういうことにいたしたいと思っております。 それから、いまのような法律がありますが、これはある程度ざる法だと私どももそれを認めざるを得ない。かような時節になれば、ある程度やはり公害防止の総合的な法律等をつくる必要があろうと考えておりますが、この国会にはそれをいま出すというふうな準備はいたしておりません。
○舘林政府委員 ただいま大臣から大体のお話がございましたので、補足する必要のないところでございますが、なお、一、二こまかい点を申しますと、ばい煙の排出の規制をするための地域指定の準備のための調査費といたしまして百四十万円ほど、それから現在特定の有害物質といたしまして三種類が指定されておるのでございますが、その法律に基づいてさらにほかの有害物質を指定する必要があるかどうかの、特定有害物質調査費といたしまして、これも百四十五万円ほど予定いたしております。それからただいま大臣からお話のございました特別の公害調査のための自動車を装備いたしまして、それに調査班を乗せて、特に人体影響の調査をするための予算が二千二百三十四万円ほど予定いたしております。このほか、地方衛生研究所におきます公害調査のための設備を強化するために、二千三百万円の補助金をもって三分の一の補助をいたしたい、さように予定いたしております。
○吉川(兼)分科員 ただいまのお話を伺いましても、大臣のかなりはっきりしたお考えにもかかわらず、あまりに予算が少ないので、驚いておるわけでありますが、いまの日本では自動車の排気ガス問題も、ようやく大阪で問題になり、取り上げられているのでありますけれども、御参考までに申しますれば、私は一九五五年にアメリカに参りましたときに、ロスアンゼルスのスモッグの状況を見て驚き、これは早晩わが国にも起る問題と考え、さっそく日本に帰ってきて某週刊誌上にこれを書いたことがあるのでありますが、それは十年前のことになります。外国におきましては、自動車から出る排気ガスの被害はとくに取り上げて、対策がいろいろ講ぜられているのであります。これは公害とは直接関係のないことでありますが、さきごろから某新聞に載っておりますマッカーサーの回想記によると、日本は一等国だとか文化圏とか言いながら、マッカーサーが日本にきたときには、たいへんな伝染病の巣くつであったということを、一々数字をあげて麗々しく書いておりますが、それからもう二十年になんなんとしておりますのに、伝染病こそマッカーサーの駐日した時代ほどではないようでありますけれども、この公害問題につきましては、まことに寒心にたえないものがあるのでありまして、大臣の御答弁では、政府から基本法をこの国会に提出することは考えておらぬと言われますが、まだ国会の期限も相当あることであるから、大いに閣内において関係大臣とも十分に公害問題について御協議を重ねられて、いまからでもおそくないから、大臣の大きなヒットとして法定をお考えになられてはどんなものか、私はこのことをここに強調して、公害から国民の健康を救うということに対して小林大臣の御努力を切望して、質疑を打ち切ることにいたします。
○相川主査 本日の質疑はこの程度にとどめます。 明十八日は午前十時より開会して、午前は文部省、午後は外務省所管についてそれぞれ質疑を行なうことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十四分散会