P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
46回国会衆議院1964/02/18

予算委員会第三分科会 第2号

発言数
145
登壇者
10
会派数
2
開催日
1964/02/18

会議録

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 これより会議を開きます。  主査が所用のため若干おくれますので、その指名により暫時私が主査の職務を行ないます。  昭和三十九年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを許します。  加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私は、この際、特に与党の委員の皆さんの御協力を得まして、二、三経済企画庁を中心に質問をしてみたいと思います。  第一番にお尋ねしたいことは、このたび経済企画庁の中に国民生活局というものが設置される旨を先日承ったわけでございまするが、一体国民生活局というのは何をどうするところでございましょうか。その点もう少し詳しく御説明願いたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 国民生活局を設置いたしたいと考えておりますのは、経済の質的な改善に加えまして、一般的な国の経済のもろもろの資源を国民の福祉の向上に役立ちますように適正に配分をするという問題が一つ、それから、消費者の保護という問題について各方面からの施策が要望されておりますので、そういう観点からの国民生活行政といったようなものをいたしたいという目的が一つ、それらの目的のために国民生活局を置いていただきたい、こういうお願いを国会にお願い申し上げておるわけでありますが、それとともに、一般的に国民生活の安定向上、日常生活の改善、あるいは物価についての基本的な経済政策の立案、総合調整などもここでいたしたいというふうに考えておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 第一番が消費者を保護する、また、その消費者をめぐるところの環境を整備する、あわせて今日問題と相なっておりまする物価の安定をはかる、こういうようにいま承ったわけでございますが、これは時宜を得たものとして私どもも歓迎したいと存じますが、むしろおそきに失しておると思われるわけでございますが、一体これはいつ発足なさる御予定でございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは、国会に対しましては総理府設置法等の一部改正案として提案をいたしておるわけでございます。国会で可決せられましたならば、できるだけ早い機会にと考えておりますが、私どもとしては、明年度の当初から、できるものならばやってまいりたいというふうに希望いたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 国会の審議を終えなければ新しい局が設置されないということは私にもわかるのでございますが、その局長さんにNHKの考査室次長の江上フジさんが決定されたと先日報道されておるようでありますけれども、一体これはほんとうでございますか、それともうわさでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 国会で設置法の一部改正案を可決していただきませんと設置をすることができないわけでございますので、ただいま公の席でどういう人事を考えておるということは申し上げるべきではないだろうと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 だからお尋ねしているのです。国会にでも発表できない、そういうもの、しかもこの人事は当然閣議決定の必要があると存ずるわけでございます。そこで私は官房長をいま呼んでおるのだが、来ない。閣議決定が必要であると私は思います。その審議ないしは決定を経ておられるのでございますか、おられぬのでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 もとより閣議決定を経ておりません。私の考えといたしましては、国民生活局を置くということは、在来、国会の御審議を承っておりましても、まずしかるべきことであるというお考えが多いように承知をいたしておるわけでございます。したがって、私どもとしては、もちろん政府として最善と信ずる提案をいたしておるわけでございますから、それが可決になるということを前提にいたしまして、それに対するいろいろな準備をいたしておりますことは事実でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは、新聞に発表になりましたことはうそであるとおっしゃるのでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 少しもさようには申しておりません。いろいろな準備をいたしておりますことは事実でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私は、江上フジさんという方はあなたの御存じの物価問題懇談会のメンバーでいらっしゃるとは存じているわけであります。それ以外には知らないにもかかわらず、生活局の局長さんという新聞辞令が各紙に全部報道されている。これはまさか本人がそうおっしゃったのではございませんでしょう。必ずや長官ないしはそれにまつわる方々がそのように発表されなければ、幾ら無冠の帝王であるといわれる記者諸君だって、かってに捏造するとは考えられない。発表になったに違いない。だからこそああいう記事になったわけなんだ。一体これはどういうことなんでございましょう。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 私がいろいろ準備をいたしております過程におきまして、そういうことが報道機関に知れたようでございます。そこで、私にそれについての質問が記者会見でございましたので、私は、それに対して別段否定をいたさなかったわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 政府は常に、審議に必要な資料ないしは質問をしますと、きわどいところになりますと、それは秘密である秘密である、こう言って逃げているくせがあります。ところが、事人事になりますと、予算の審議も経なければ閣議の決定も経ていない、そういう人事をわれわれ議員にも無断で次から次へと発表するくせがあるようでございます。事実そのとおりになればけっこうでございます。しかし、そうならない例が経済企画庁につい最近あったはずであります。ついせんだって、それも重要な人事を某大臣が閣議を経ずにかってにしゃべってしまった。ついにそれは実らなかった。あれはつけたりで発表なさったことかもしれないけれども、片一方は閣議にかけられなかった人事が実ってしまった、既成の事実をつくってしまったということがあるのでございます。こういうことは、片や国会軽視であり、片や人事の先べんをつけておいて既成事実をつくるということになってくるわけなので、そうなってまいりますと、人心をしてうまざらしめんことを要するというあの精神が没却されるのみならず、適材適所という一番人事に肝心な問題までが、既成事実をつくればそれで事が運んでいくという、この既成事実に害されるおそれがあると思うのです。私は何も江上さんという人がいいとか悪いとかいうことを言っておるのではございません、全然知らないお方なんですから。まあ頭のシャープな長官がこれぞと認めた恋人であれば、これはいいに違いないでしょう。しかし、事人事である以上は、発表の時期と手続、方法というものを十分注意されたいと思うのでございます。長官の御所見を承りたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは、この人事につきまして質問をされました報道機関の方も、それに対して否定をいたしませんでした私のほうも、当然設置法の改正案が国会で可決された場合にはという前提をもって話をいたしておったわけでございます。したがって、私どもの力でそういう前提が必ず下火になるということはとうてい申しがたいことでございますから、それは当然の前提として、国会で可決された場合にはということがあるわけでございます。次に、しかし、そういう前提に立ちますと、この人事は国会の承認事項ではございませんので、行政府の判断でなし狩る、こういうことであろうと考えます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それがたび重なるから私は申し上げるわけなんです。今回一回じゃございません。ついせんだって、おたくには重要人事の中にそういう問題が起きているはずなんだ。予算も定まらぬうちに工事の落札者が先に決定したということになると、これは完全に違反行為に相なると存ずるのでございます。したがって、ひとつぜひこの点は御留意願いたいと思うわけでございます。  次に、あなたの庁の専門でございます物価について二、三お尋ねしたいと存じます。  小売り物価が三年も四年も連続して八%ないしはそれ以上上がりっぱなしである、連続上がりっぱなしであるというこの事実は、これは洋の東西を問わず、歴史の古今を問わず、戦時以外にはない奇妙な現象でございます。一体この原因はどこにあると把握していらっしゃるのでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは、非常に広範なお尋ねでございますので、完全にお答えできるかどうかわかりませんけれども、やはり、基本的には、わが国の経済に構造的な変化が起こりつつあって、しかもその変化を十分に何人も予見し得なかったために、——何人もと申します意味は、政府もそうでございますし、生産者も消費者もすべてを含めてという意味でございますが、何人も予見し得ませんでしたために、片方において需給の不均衡というものが起こった、他方において、労働の価値というものが非常に高く評価されるようになりまして、従来場合によってはただに近かったような労働も、対価を払わなければ得られないようになってきた、それは、所得の面から言えば所得の格差是正ということでございますけれども、価格の面から言えば労働価値の上昇ということでございますが、それらのことが、しかも経済の成長に伴ってかなり短い期間の間に急速に起こった、そのことがまた、それに対応する体制がにわかにこれに即応し得なかった、抽象的にはまずそのようにお答えすべきかと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 なかなかあなたは言い回しがうまいのですが、ほんとうは、これは、池田内閣の経済政策の失敗というよりも経済政策の手落ちなんですね。高度成長政策、所得倍増政策なるものが急激に行なわれて、一カ所へ莫大な投資が行なわれるということは、これは戦争経済と一緒なんです。その際に、消費者を守るということ、消費者の生活のめんどうを見るということ、このことが怠られていた。その結果は消費者物価を上げた。これは、だれがどのように理屈をこねてみたって、帰するところはみなそうである。ただ、政府側の方ないしは政府に味方をなさる方々が発言なさると、そうでないとおっしゃるだけの話なんです。  そこで、私は、幸いなことに経済企画庁さんもこのたびは生活局を設けてそれを守ろうとしていらっしゃる。その行為、そのアイデアについては私は敬意を払うものでございます。しかし、どうでしょうか。ことしあなたは物価上昇を四・二%に押えると言うてみえますけれども、十二月から一月、二月にかけて、もうはや上がりぎみでございます。一体はたして予定どおりことしは四・二%に押えられますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 まず昭和三十八年度のほうから説明をさせていただきたいと思いますが、先般決定いたしました「経済見通しと経済運営の基本的態度」におきましては、昭和三十八年度の前年度に対する消費者物価の上がりを七・二と見ておるわけでございます。その次の年を四・二と見ておるわけでございます。これはあと二カ月足らずでございますが、この七・二というものが三十八年度対三十七年度の上昇分でございますが、七・二が実現するためには、三十九年の三月と三十八年の三月と対比いたしまして五・四%の一年間の値上がりがございましたときに、年度平均で七・二になるわけでございます。そこで、その五・四%にいまわれわれはどの程度の距離にあるかと申しますと、大体十二月あるいは一月、いまごろの現在でほぼ三%のところに来ております。したがって、あと二月、三月で、余裕ということばは妙なことばでございますけれども、二・四、二カ月でいきまして五・四になるわけでございますが、いま見ておりますと、そういうことにはなりませんで、おそらくはこの五・四という数字は、四%台、ひょっといたしますと四%を割ることがあるかもしれないと思いますが、四%台でとどまることがほぼ間違いなかろう、よほど突発的なことが二月なり三月なりにございません限り、そういうふうに考えられます。と申しますことは、この一年間を通じて消費者物価は四%何がしの上昇であったということになるわけでございます。これは、三十八年度のことをただいま申し上げました。  そこで、三十九年度に向かってそれがどういうふうに展開するかということは、いろいろ不確定要因があり過ぎるわけではございますけれども、この問題についての認識が国民の間にも政府の間にもかなり高まっておりますし、私どもも公共料金の引き上げ停止等各般の処置を行なっておりますので、三十八年度に年間で四%余りで済むものならば、三十九年度にそれよりやや低いところで押えられましても、私はあまりこれは無理な希望図を描いておるというふうには思いませんので、三十九年度、年度間を通じて四・二%という目標を立てておりますことは、ひどく非現実的なものではない。政策努力と国民の理解とが相まちますならば、到達可能な目標ではないかというふうに現状から判断をいたしておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この生活物資の値上がりのうちで最も激しいものは生鮮食料だと存じまするが、幸い農林省の経済局長さんが来ていらっしゃるようでございますので、生鮮食料の近ごろの上がりぐあいをちょっと御説明願いたい。呼んでおいたんですが、来ておられませんか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それでは、私どもの政府委員から御説明させます。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 まず生鮮食料品のうちで野菜でございますが、これは、三十五年度から見まして野菜の現存の指数は、三十八年十二月は一二〇・九という指数になっておりますが、これを対三十八年三月、去年の年度比で比べますと、六三・七というところまで現状において下がってまいっております。これは、暖冬のおかげその他天候に非常に恵まれましたような条件がございましたことは事実でございますが、生鮮食料品対策その他の点の効果も相当のものであろうと思います。それから、対十二月に比べますと、三十七年の十二月から三十八年の三月にかけまして上がっておりますために、三十七年の十二月に比べて三十八年の十二月が九七・五というところに下がってまいっております。  それから、次に生鮮魚介類でございますが、これは指数で申しますと一四九・六という指数を示しておりますが、これは、対三十八年の三月との間で比べますと、一〇四・二と上がりまして、四・二%のアップの数字が出ております。それから、対前年同月に比べますと、一二〇・一ということで、二割の上がりになっております。すなわち、野菜が非常に大きく下がっておりますが、生鮮魚介類のところがむしろ上がっているところの代表といった結果が出てまいっております。  それから、若干似たものでございますが、くだもので申し上げてみますと、三十八年の十二月の指数は一三八・二でございますが、これも、いまのように対三十八年三月の比べで申しますと、八七・七というところまで下がってきております。大体野菜と同じ歩調で、それほどひどくはございませんが、下がってまいっております。それから、さらに三十七年の十二月と同じように比べてみますと、これも九九・七ということでございまして、十二月対十二月でも若干下がっている。  生鮮魚介類のほうは上がっておりまして、くだものや野菜のほうは下がっている、こういった状況でこの十二月の指数が出てまいっております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 あなたはいま、去年の十二月とおととしの十二月、その前の十二月、こう比較をとっていらっしゃるようです。そのとおりです。そうすれば安くなったという答えが出ます。安くなったじゃない。もう農村では捨てているんですから、安くなったどころの騒ぎじゃない。農村の出し値を比較したら、そんなものはことしはゼロなんです。にもかかわらず、消費者物価のところへまいりますると、去年の半分とか、あるいは六割とか七割とかいう答えが出てくるわけです。ここに問題があるということを言いたい。と同時に、オール食糧というよりも、野菜、あなたの例をとられた生鮮魚介類、これ等を去年一年と今年度一年と比較してみてください。どうなっているか。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 いまの三品目につきまして一月から十二月分で比較してみるという観点でよろしゅうございますか。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでけっこうです。ついでに、鮮魚、野菜、穀類も入れてください。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 ちょっと、いまここに資料はございますが、統計の整理をしてから正確なところをお答えいたしたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それじゃ、あとでよろしゅうございます。  問題はこういうことなんです。豊作である、にもかかわらず消費者物価指数は上がっている。卸値は下がったにもかかわらず、小売値は上がっている。しかも、その卸というよりも、農家の供出するところの値段はぐんと下がっているのです。高島さんは頭がいいからおわかりでしょうが、一例を申し上げまするとこうなんです。ホウレンソウというものの値段を御存じですか。ホウレンソウをお百姓さんのところで出荷されるときの値段は、一わで、安いときは十銭、高いときで五十銭ですよ。高値でもって一体どれだけかというと、ピース一個買うのに八十ぱ持って行かなければならぬのですよ。ピース一個買うのに八十ぱ。八十ぽというと、ちょっと持てませんよ。それだけ出さないとこれが買えないというのですから。もう大根のごときは言うに及ばず。ところが、東京へ来て関東だきで大根を食べると、どえらく取られます。輪切りにしたものがピース一個より高い。したがって、農村は豊作貧乏。ところが、都会の人は、野菜が高くなった高くなった、こう言う。これは一体どこに原因があって、どこにあやまちがあって、どうすればこれを直すことができるのでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 最初に冒頭にお尋ねになりましたこととそのことは非常に関係すると思うわけなんです。(加藤(清)分科員「そうなんです、あそこに中心を置いてお尋ねしますから」と呼ぶ)つまり、私は、そういう現象はある程度までは直し得るし、ある程度からは直し得ないというふうに考えるわけでございます。直し得る程度を考えますと、まず産地で生産せられましてからそれが最終消費者の手に入りますまでの間の流通に関する機構、あるいは輸送に関する施策、梱包などについてのくふう、あるいは仕入れの方法、その他にかなり改善の余地があるであろうということが一つ申せると思います。しかし、他方で、その間に人間の手が介在するということは、これを徹底的に排除をすることはできませんので、その人件費の上がりというものはどうしても消費者として負担せざるを得ないであろうと思われます。それから、もう一つ、それとは別に、生産者側の事情を考えてみますと、やはり、生産がその量と質との面で需要にうまく対応し得るようなそういう施策というものが別途に必要になるであろう、こういうふうに考えるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 農家のほうの対策については、これは別な方に承らなければならぬと思いまするが、流通機構のあやまちから、生産者の供出値段は安過ぎるが消費者の買う小売りは高過ぎるという声、これはもう長年にわたって唱えられてきたことであるし、それはまた事実でございます。したがって、河野農林大臣のときには市場その他の視察等々も行なわれたわけでございまするが、今日では、需給があって政策がない、市場はあるけれども倉庫がない、貯蔵庫がない、ここに問題があると思うのでございます。そこで、経済企画庁としては、国民を物価から守る、そのためにその局を特設するとおっしゃるならば、まずここらあたりに手をつけてもらわなければなりません。しかし、市場に手をつけようとすると、視察だけは行なわれるけれども、その機構、その組織、その利潤は一向にいままで直されたためしがございません、どんな大臣がなられても。それだから、この間九州では、御存じのとおり、労働者そこのけのお百姓さんのストが行なわれていることは、ラジオ、テレビでよく御存じのはずです。このことは、他の地区においても、まだ発生していないだけであって、発生しようとするところの芽ばえは、およそ野菜をつくっている農村ならば全部あるのでございます。私の郷里にもある。もう大阪市場には出さないと言っている。なぜ出さないのか。出したら、運賃、梱包、荷物諸掛かりで逆にお足しがいくと、こう言うのです。売る材料を出して、ついでに農協から金もつけてやらなければならぬ、まるで嫁入りの荷物と一緒だ、こう言うのです。それでは出し手がないのはあたりまえです。これは必然的な出荷ストなんです。この点について、担当大臣である長官にこの対策を承りたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 詳しくは農林大臣からお答えがあるほうがよろしいのではないかと思いますが、消費者という立場から見ておりまして感じておることを申し上げますと、まず生産そのものの問題は別に考えよう、私もそれはよろしいと思いますが、そういたしておきまして、そうしますと、生産側にその次に起こってくる問題は、貯蔵の問題と包装の問題と輸送の問題であろうと思うわけでございます。  貯蔵の問題については、たとえばタマネギについてはある程度それが可能になっております。それから、バレイショについても一部は可能になっております。けれども、その他のものについては、大体貯蔵というものが現在の段階では、他の加工食品に姿を変えない限りは、可能になっておらないわけでございます。それはなぜかと申せば、やはりそれだけの貯蔵施設をつくるということに非常に大きな金がかかるということであろうと思います。金がかかります一つの大きな原因は、やはり土地代が高いということになるのではないかというふうに思います。なかんずく、消費地に貯蔵庫をつくるということになれば、問題なくそういうことがあるであろうと考えます。  それから、次に梱包の問題でございますが、やはり大量に輸送ができて大量に荷受けができるという状態が出現いたしますと、コンテナーなどでまとめて、個々に包装をせずに輸送をするということが可能になると思います。それは、一部スーパーマーケットなどが相当大量の荷受けをするということで、一部可能になりつつあるように見受けるわけでございます。  それから、輸送の問題になりますと、これは疑いもなく道路の問題でございますから、これは国が当然考えなければならない施策であって、この点は、都市に人口が集中をしてきた過去何年かの過程において、そういうものを輸送する道路を十分につくらなかったという意味で、国の施策に至らざるところがあったというふうに考えるわけでございます。  そこまでが生産から流通市場に入りますまでの過程だと考えるわけでございます。  さて、市場に入りますと、一つは、荷受け機関が相当たくさんあって、一物一価という法則が守られていない。場合によっては高く仕切りました仕切り値にほかの荷受け機関がみんなそろえて仕切るというようなことすら行なわれております。また、仲買い人も小売り人もいかにも多過ぎるということもあるというふうに考えます。最終の小売りの段階になりますと、これは、品物が品物であるだけに、その間の損耗度等を計算いたしまして、市場の値よりは相当高い値段で小売りが売らなければ、いわゆる八百屋さんでありますが、これがペイしない、こういう現状になっておるわけであります。  そこで、市場の問題について考えられますことは、やはり荷受け人を統合するとか、仲買い人を整理するとかということが一つと、それから、小売り人、八百屋さんの問題は一番デリケートな問題でございますけれども、これは、労務その他の観点から申しましても、また他方で、持っておる土地そのものは少くとも相当高く評価し得るという点から考えましても、やはり共同仕入れであるとか、あるいは小売り店の集合体であるストアみたようなものに変化をしていく、こういうことになるのが趨勢でありますし、また、国としてもそれを助けていく必要があるんじゃないか。他方で、国自身としては、総合小売り市場を設けますとかいったような施策をすでにいたし、また、三十九年度にも相当いたすわけでございます。  まあ、それらの生産から消費までの全部の段階について、ただいま申し上げましたような問題があるわけでございます。しかしながら、そこまでは国なりあるいは個々の経済の主体がなし得る範囲でございまして、その後の、つまり労働の価値が上がったためにそれが産地の価格に付加される、付加される部分は年とともに高くなるであろうということについては、労働の価値が上がるということについては、これは避けがたい部分であろう、こういうふうに思うわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 流通機構のあやまちから、生産者は安く、消費者は高いものを買わされなければならない。その対策としては、流通機構において数が多過ぎる、したがってそれをある程度整理する、こう承ったのですけれども、それでは、その生鮮食料の市場、いわゆる青物市場、これの員数を減らすとか、あるいは数を減らすとか、その問屋の数、小売りの数をほんとうに減らされる用意があるのですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは非常に具体的な問題になりますので、農林当局から別の機会にでもお尋ねいただきたいと思いますが、私どもの承知しております限りでは、まず、荷受け機関というものはできるだけ数が少ないほうが一般論としてよろしいのではないか。すでに新しくできました大阪の東部市場でございますか、ここらでは荷受け機関をかなり制限をして、しぼったようでございます。そこで、同じような問題が東京の築地にも神田にも実はあるわけでございまして、過般荷受け手数料を御承知のように昨年下げましたが、これなども、どちらかと言えば荷受け機関の統合のほうへ持っていきたいという気持ちが少なくとも私にはあるわけでございます。それから、仲買いの整理については、農林省がかなり具体的に数字を示して市場に整理を要望しておりますことは、御承知かと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 経済企画庁としては、荷受け機関、問屋、つまり仲買い人、それから小売り等の利潤、マージンはどの程度が妥当であるとお考えでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは非常にお答えしにくい問題でございます。荷受けについては比較的お答えがしやすうございます。昨年下げましたあれだけのものは、少なくとも下げましても荷受け機関は赤字にはなっていないようでございますから、ここら辺のところまでは確かにこれでよかったのではないか、整理統合が進みましたら、さらに私はもう一ポイントくらいは下げ得る余地があるのではないかというふうに考えます。仲買い人につきましては、これは整理統合がどのくらい進むかということにもっぱらかかるのではないか。今後まだ下げ得る余地はありそうに思います。小売りにつきましては、はっきり申し上げる自信がございません。と申しますのは、経営形態が非常に零細でございますし、市場から引き取って最終的に夕方売り切りますまでの間の損耗率というものが品物の性質上非常に高うございますから、かなりのマージンを見てやらなければならない。これがもう少し大きな店に統合と申しますか発展していきますまでの間においては、かなりマージンを見てやらなければ、八百屋というものは経営できないということは事実のように思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 いずれにいたしましても、一わのホウレンソウも、消費者の手に渡るときには、これが二十五、六倍から三十倍の値になっておるわけなんです。百歩譲って、卵にしてもそうでしょうが。一個元値がせいぜい五、六円なんです。これがソバ屋へ行って一個いただきますと、この衆議院の食堂でさえも、これは二十円からしている。優にこれは五、六倍なんです。あれは加工賃は要らないはずなんです、生卵ですからね。全然要らないはずなんです。でもそうなっている。台湾バナナ、キューババナナ、これは一円八十銭から二円五、六十銭なんです、一本換算をすると。ところが、自由化された今日といえどもなお一本三十円です。これも十倍余になっている。十倍から二十倍。これじゃ、幾らなんでも、いわゆる流通機構、中間搾取機関と申しましょうか、これがあまりにももうけ過ぎであると言われたって、やむを得ないじゃないか。ぜひひとつ、おたくの経済企画庁でこれにほんとうにメスを入れて、国民生活を守るという本来の経済企画庁のその精神に立脚して取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  農林省の経済局長さんが見えたようでございますから、お尋ねいたしまするが、去年の一年の食糧の値段と今年度の食糧の値段とを比較して、どの程度値上がりしているか、そこで御発表願いたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 ことしになりましてからの値段と、昨年一年の平均の値段の比較はどうかというお尋ねでございますが、ことしの分につきまして、まだ分析をいたしておりません。はっきりしたことは申し上げられませんが、野菜につきましては、大体昨年の平均よりやや下がっていると存じます。消費者価格につきましては……

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私がお尋ねしているのは三十七年と三十八年でございます。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 年度での計算の資料を持ってまいっておりませんが、食糧全般でございますか。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 ええ。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 食糧品全般でございますと、三十七年から三十八年にかけてたしか平均しまして五、六%の値上がりではなかったかと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それじゃ、調整局長、そこでもう調査できましたか。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 経済局長のお答えは大体の勘でおっしゃっておると思います。御質問の趣旨については、私は、十二月と十二月、あるいは三月と十二月というトレンドのカーブで申し上げまして、野菜やくだものは下がっておる。それから、年対年の比較でここに速報がございますので言いますと、前年のベースで、食糧では大体九・四%アップということでございます。これは、何と言いますか、われわれの計算上の俗にげたばきと申しますか、去年のうちにずっと上がってまいっておりますので、去年の値上がりがそこに響いてきておりまして、年度と年度を比べると上がってきておるということでございます。大体先ほど申しました内訳に即して魚介と野菜で申しますと、魚介のほうは一六%アップ、それから野菜のほうも年年の比較によりますと一〇・四%アップという形になります。これは、いま申し上げましたようなカーブが非常にゆれております関係上、こういう数字になっております。だから、月対月の比較では野菜は下がっておりますけれども、年度と年度でとりますと、去年のアップが、いわゆるげたばきと申しておりますが、それが響いてくる、こういうことでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 全食糧で九・四%、生鮮、野菜が一〇・四%、鮮魚のほうは一九・六%と発表になったんではないですか。いまあなたは一六%とおっしゃったが、前には一九・六%と発表なさったわけです。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 手元にありますのは一六・八になっております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それはいずれでもいいでしょう。すでにおたくのほうからそう発表されておるはずなんです。私はこの数字は当たらずといえども遠からずだと思っております。その安くなったというのは、この正月前後から暖冬異変のおかげで野菜が非常に豊作になったことと、去年こんなに高くなったから今年はもうかるであろうというので、そこに生産を集中させたこと、その両方のしわがここに寄って、もう出荷にいや気がさしたというのがきのうきょうの実情であろうと存じます。  そこで、せっかく経済局長が来ていらっしゃいますのでお尋ねいたしますが、今年こんなに野菜出荷の値段が安過ぎますと、いや気がさして、来年はべらぼうな値になるのではないかと思われます。これをコンスタントにつくらせて、三百六十五日といえなくても、ある程度価格を時期的にも安定させるということが最も肝要だと存じます。そのためには、目下、日本の野菜物の流通市場では、市場はあるけれども貯蔵がないということが一つのネックだと存じます。そこで、穀類を放出したあとの倉庫の利用、差しあたってせめてそれをお考えになったことはないでしょうか。冷凍をさせる、あるいは加工をさせる、そうして、その出荷も小売り値も安定させる方途をお考えになったことがあるでしょうか。ありましたら、そこで御発表願いたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局長)

○松岡(亮)政府委員 先ほど企画庁長官からお話がありましたように、野菜、くだものの貯蔵は技術的に非常に困難でございます。もっとも、一部については、たとえばタマネギでありますとか、ジャガイモも、これについては従来から貯蔵方法をとられ、またその普及をやってまいっておるわけでございます。また、リンゴにつきましても、昨年あたりから新しい貯蔵方法の普及を始めております。一般の倉庫で貯蔵するということは、これは貯蔵という形ではなかなか無理なようでございます。流通の過程で一時保管するという程度のことしか考えられないと思います。加工のほうにつきましては、これは最近だいぶ技術的にも発達してまいりまして、いろいろな形で加工して出荷する、あるいは出荷後におきまして大きな加工工業で加工されて、いろいろな形の製品で出回るということが盛んになってまいっております。これらの方法につきましては、いろいろな金融の面とか、そういう面でそれを一そう振興するようになっておる次第であります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 次に進みまして、長官にお尋ねしますが、管理価格というのはどういうものでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 一般のカルテルと申しますか、独占の形態としていろいろな形態があると思うわけでございますが、完全に独占の場合、モノポリの場合には、これは完全な管理価格になるわけでございます。それから、寡占のうちでも、生産者が二つしかない、デュオポリと言われます場合には、両者の間には非常に共同行為が行なわれやすい、管理価格が生まれやすい。それから、二つ以上の、オリゴポリと言いますか、寡占という場合にも、やはりそういう共同行為が行なわれやすい。いずれにいたしましても、単数または複数の生産者の単独または共同の意思によって、需要のいかん、生産費のいかんにかかわらず価格が一定のところに据え置かれる、またそれが可能であるといったような状態の結果生まれた価格が一般に管理価格と言われているものではないかと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 すでに本件は田中委員の一般質問で系統的にあなたがお答えになっていらっしゃるのですが、実は私にはわからない。管理価格というものは、政府が管理をし、政府がこれを決定していくものかと思っていたら、民間が管理する、そういうものを管理価格と言うようでございますね。そう解釈してよろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは、政府がそれを可能にしておる場合もあると思います。政府が可能にしておる場合もございますけれども、一般には、管理された価格、価格そのものが何人かの手によって管理されておる、こういう意味だと私は解しております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この問題はいずれ他の委員にバトンを渡すといたしまして、次にもう一つの問題がございますが、公共料金といいますか、この範疇をひとつお示し願いたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これは、定義をいろいろにいたそうと試みたわけでございますが、結局私どもとしては明確な定義を下し得なかったわけでございます。御説明をいたしますと、国あるいは公共企業体、公団などが経営主体であるものの価格、国鉄の運賃でありますとか郵便料金でありますとかNHKの受信料でありますとか、これが一つの分類に属すると思います。それから、地方の公共団体が経営主体であるもの、これは地方の電車でありますとか自動車とかいったものでございます。第三に、民間の企業が経営の主体であるもの、それは、たとえばガスの料金でございますとか、あるいは一般のバスでありますとか、そういったようなもの、あるいは飛行機の中にも民営のものがございます。大体それらのものが公共料金と言われる範囲であろうというふうに考えておりますけれども、法律的に定義されたことばではございませんために、私どもも定義を試みましたけれども、結局厳密な定義を下し得ずに現在おるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 定義が決定していない、範疇がしっかりしていない、その結果、通産、自治、大蔵、経企、運輸等がそれぞれ独自な見解を発表される。その結果は、公共料金は上げないとこう国会で答弁しておきながら、次々と上がる。上がったときの言いぐさがよろしい。あれは公共料金とは違う、こう言う、あの大臣はそう言うたけれどもおれらはそう思わない、こういう意見なんです。この際そういう言いのがれや隠れみのにこの公共料金ということばが使われては、国民は迷惑しごくでございます。したがって、見解の統一と同時に、各省の関係各閣僚はこの範疇を一致させていただきたいと思う。それをつかさどるのがあなたのところだと思うのですから、ここではっきりと公共料金の範囲、範疇を決定していただきたいと思うのであります。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 そこで、私はいま問題の半分までしかお答えいたしませんでしたので、公共料金の定義がそのように結局極限のところではむずかしいということになりましたために、閣議できめましたことは、公共料金及びその他の政府の規制し得る価格ということで押えたわけでございます。なお、その場合に、もうくどくは申し上げませんが、中小企業等に関係が多いもので倒産のおそれがある、あるいは技術的な種類のものでそれが物価にほとんど影響がないと考えられるもの、それは、たとえば最近認めました例では鉱業権の設定の手数料といったようなものでございますが、そういうようなものについては閣僚懇談会を開いて例外を認める、しかし、それ以外のものは、いわゆる公共料金並びに政府が規制し得る価格は一年間停止をする、こういうことで、現実の運営の問題といたしましては、公共料金の定義をきちんとなし得なかったということは、別段障害になっておりません。そのためにざるになるといったようなことは、今日まで起こっておりませんし、また、起こすつもりもございません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 管理価格とかあるいは公共料金というものが、上げないという声の下から上がっていく、それが他のものに連鎖反応を起こして値上げムードをつくるというのが、過去の値上がりの一つの経過の実態なんです。そこで、その業態なり何なりが運動した業種や選挙資金を出したその業種の料金だけは上げる、これが公共料金である、こう解釈する向きが国民の中に蔓延してきておる。その次にまた、公共料金とは何ぞやと言ったら、国会の開会中は上げない、しかし、国会が終わるといつの間にやら音もなくさみだれのごとく上がっていく、これが公共料金である、こう解釈する向きもあるようでございます。そこで、私は、それでは国民をごまかすもはなはだしいと思う。だから、物価対策の具体案というものが閣議で決定づけされたはずでありますから、それを承りたい。なお、その際に、公共料金は一体何と何で、それは一年間ほんとうにストップするかせないか、これをはっきり答えていただきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 結論はこういうことでございます。結局、政府が認めなければ動かし得ないというものはみな一年間動かさない。例外は先ほど申しましたようにございますけれども、そういうことでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは、お尋ねします。米の生産者価格はどうなさる。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは、こういうことでございます。直接消費者物価に関係のございますのは米の消費者価格でございますから、米の消費者価格は本年一年間動かすことはいたしません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 消費者価格は絶対に上げないのですね。たとえ生産者価格、供出価格が上がったとしても上げないということですね。これは、一般が上がっているから、バルク・ライン方式、パリティ方式で上がるおそれは十分ある。そこで、消費者価格は絶対に上げないとおっしゃるのですね。もう一度念を押して聞きます。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 この点は、農林大臣も国会に対してそういう答弁をいたしておられます。したがって、それが政府の態度であると御了解願ってけっこうでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 政府の態度は、米の消費者価格は上げない、こういうことですね。  それでは、次に、医療費はどうなるのでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 医療費そのものが公共料金あるいは政府が完全に規制し得る価格であるかどうかということについては、多少の問題はあろうと思いますが、ただいまの国会で御審議を願っております予算等々からごらんいただきましても、政府として医療費の値上げというものはこの際考えておらない、考えるだけの予算的措置を持っていないということは御承知のとおりだと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 いつも政府は圧力団体の言うことはよくお聞きあそばされる。それも国会が終わってからの話でございますが、国会が終わってからということは、社会党が攻撃する手足を奪われたときにおいて上げる、こういうことが行なわれているわけなんです。それでは、医療費も上げないとおっしゃるのか、ここをはっきりしてもらいたい。  同時に、あなたに直接関係のございます水道料金はいかに。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 医療費につきましては、たとえば農林大臣が消費者米価について言明されましたような同じ言明を厚生大臣が国会に対してなされましたかなされませんか、私つまびらかにいたしておりません。厚生大臣の立場は、これは中央医療協議会の答申がなければ政府としては問題を考えることも可能でない、そういう立場であろうと思います。したがって、この問題は当面の問題にはなっておらないということを、内輪に答弁を申し上げるといたしましてお答えをいたしておくべきかと思うわけであります。  水道料金につきましては、地方公共団体が規制権を持っておるわけでございますから、各地方団体に対してそういうことをしないようにということを政府から強く要請をしておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 医療費を上げるか上げないかということについて確たるお答えがないところを見ると、これはまたさみだれ戦術で上がるかもしれぬと解釈すべきですか。それとも、ウエートは上がらないというほうに重いのでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 ただいまかなり、事態を正確にやや内輪に見積ってお答えいたしましたので、それによって御了承いただくしかないと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 経済企画庁の長官が国民生活局をおつくりになる、そうして消費者をコストの面からも守る、値段の面からも守る、同時に、いわゆる管理価格ないしは公共料金、つまり政府の権限の及ぶ価格については上げないところではっきり明示されることが、あなたのおっしゃる四・二%に押えるという基礎になるわけです。口で四・二%に押えると言っておきながら、なお政府の権限の及ぶ範囲のコストもどんどんお上げになれば、これはもはやその日からあなたはうそを言っているということになるわけなんです。そこで、少なくとも今国会中に、厳たる態度で、企画庁としてはすべての公共料金、管理価格は上げないのだ、こういう態度を見せていただきたい。これが本日の私の質問の趣旨でございます。  もう時間がございませんので、最後に私は物価構造について申し上げて、政府の反省を求めたいと思います。それは、ほかでもございませんけれども、ほとんどの物価について比較検討は過去と現在に行なわれたわけです。ところが、私は、現在この日この時期において場所によって違うという問題、これはローカルカラーのなせるわざではなくして、人為的な操作のゆえに売る相手によって違うということを指摘しなければならない。たとえば、ここにあります電気料金、これが九電力について違うことはやむを得ないとして、同じ一つの電力会社が、家庭用電灯については一キロワットについて二十円前後に売る、中小企業については七円前後に売る、深夜の電気は五、六円に売る、大企業に対しては三円六十銭に売る、なお政府のお声がかりの大企業に対しては一円六十銭で売る、これが実態なんです。私はここでほんとうは議論をしたかったのですが、時間がありません。これは事実です。これについて一体どう考えるか。あなたの行なっていらっしゃる水道料金がそうです。あなたは上げないとおっしゃる。たとえば、ついせんだってできた愛知川水の水道料金の設定のしかたは御存じでありましょうか。幾らになっておりますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 電力料金についてお尋ねがございました。大局的に見て、私はやはりそういう問題が幾らかあるという感じはいたしております。いたしておりますが、それは基本的に説明をするつもりで説明すれば、原価主義になっておるわけでありまして、深夜の電力は安いとか、あるいは小口、家庭の電灯用の電力はそれだけコストが高いとか、またロスが多いとか、きちんと説明があるわけであります。ただ、その間のバランスが適当であるか、あるいは、大口になりますと特定割引をいたす、その割引の度合いが適当であるかどうか、問題はないわけではないと私は率直に思いますが、しかし、これは原価主義で説明をされておるというのが現状だと思います。  愛知用水のことは、実は寡聞にして存じません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 私企業が行なっておるものが大企業に安く国民に高いということは、人件費その他大口、小口等々、いろいろな雑費、諸掛かり等で、わからないことはございません。ところが、政府みずからがそのように設定していらっしゃる。私企業のあやまちをあえておかしていらっしゃる。たとえば愛知用水の水道料金がそうなんです。どうなっておるか。東海製鉄がこれを使いますと四円でございます。第二期工事を行なって高くなっても五円六十銭どまりでございます。工業用水法によってちゃんときまっておる。ところが、その水を囲いの一歩外で牛乳屋さん、たばこ屋さんが使いますと、これは一体幾らになるか。何と四十五、六円であります。十二、三倍になっておるのでございます。そういう設定のしかたが今日国民の憤激を買っておるというわけです。政府がおきめになるこのきめ方はいけないのだと、愛知用水公団法を設定するときに私は再三言うたわけですが、これは多勢に無勢でどうにもならなかった問題です。それが、今日、受益地を返納する、要らないのだ、井戸を掘ったほうがよろしい、簡易水道のほうがほるかに安いのだ、こういう声が出ているもとでございます。この予算を見ますと、今後あなたのところで次から次へと多目的ダムで行なわれるようでございます。そういう際にもやはりこの轍でいかれるのか、それとも別な態度でいかれるのか、やがてすぐに豊川用水が問題になりまするからお尋ねするわけであります。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 加藤君、時間が過ぎているようですから……。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 これらはいずれも私の所管でございませんので、したがって、十分な知識も持ち合わせておりません。ただ、一般論として、政府がよしと思っていたしましたことの中で、どうも社会正義にあまりぴちっと合っていないじゃないかというようなことは間々ございます。実際にございますれば、それは直していかなければならない問題だと思っております。ただ、いまの二つの特定の問題につきましては、自分の所管でございませんし、知識も持ち合わせておりませんので、よく調べさせていただきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 最後にもう一つの物価構造がある。いまは、内地において、現時点において、同じ場所において、買う相手が大きいと安く、買う相手が小さいと高いという問題を申し上げました。もう一つございます。これがほんとうは一番の問題なのです。それは何か。内地の人には高く売って、外国の人には安く売るという問題でございます。つまり、内地の卸売り価格は高く、FOBは安く売られているという問題でございます。このことがやがて内地高を呼ぶのみならず、レーバーダンピング、ソシアルダンピングのそしりを受けて海外において日本品を拒否される原因をつくり、開放経済というて、ガット、IMFその他で一人前になったといいながら、なお三十五条の援用、例外措置をとられて、互恵平等の恩恵を受けないという原因になっているわけです。これもどれくらい認識していらっしゃるか聞きたかったのですが、時間がないからこちらからしゃべってしまいます。たとえて申し上げますと、一番よく御存じなのは農林省経済局長ですが、硫安一かます十貫目として換算いたしますと、これは内地の農協へは八百円前後で売られておる。ところが、台湾へつけて、朝鮮へつけて、インドへつけて、これはときに七百円台、六百円台、ひどいときは五百円台。双眼鏡に例をとりますと、——これは双眼鏡よりはカメラ、ミシンのほうがおもしろいですね。同じ五万円前後のもので、大体二割から三割値が安くなっておるのでございます。それから、テレビにいたしましても、双眼鏡、ミシンその他一切がそうなんです。ウォッチがそうなんです。一体、国際価格で売られます場合は、これが二千円前後なんです。安いときにはウォッチ一個はFOB千五百円なのです。ところが、内地の卸値は三千円から四千円しているわけです。そのおかげで、時計メーカーの会社は、どれだけ増資しても、何べん権利落ちをしても、ほとんど株価は下がらない、こういう現象を来たしている。内地高の輸出安ということは、やがて、難儀をして輸出して薄口銭よりは、楽をして厚口銭の内地に売ったほうがよろしいということで、輸出意欲を内地に向けて、減退させているということを知らなければならぬ。こういう物価構造が何がゆえにできて、どこにネックがあって、いずれの日に直すかという問題、これが私は経済企画庁の責任であると思うのです。これについての御所見をお願いします。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 そういう非難はしばしば、——しばしばと申しては言い過ぎかもしれませんが、間々外国から聞くわけでございます。これは、事実そういうことが証明されますと、当然に国際的なダンピングになるわけでありまして、したがって、アンチダンピング・アクトの発動がなされてもやむを得ないといったような状況になると思います。これは、やはり輸出組合等を通じていわゆる秩序ある輸出、オーダリー・マーケッティングということをやっていかなければならない問題でございますから、どうしてもこれは直していかなければならないと思います。また、外国からの非難もかなりあって、改善されつつあるようには思います。  硫安につきましては多少問題が異なっておるのではないかと思いますのは、やはり輸出数量が相当にあるということで、硫安の生産価格が下がってきたということも事実であります。しかし、それでも輸出をするとなれば、外国との競争ということがありまして、昨今は多少事情が違うようでありますけれども、かなり無理な価格で輸出をした。どちらかと言えば、内地の価格が不当に高いのではなくて、輸出した価格が非常に無理なものであったということであろうと思います。昨今はかなり変わってきたように思いますが、いずれにしても、そういう二重価格というものは経済行為としても好ましくありませんし、外国から当然受けるべき非難を受けることでございますから、改めていかなければならないと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 これでおしまいにします。  国内における大企業、中小企業の二重構造と、内地物価、輸出物価に対する二重価格、価格の二重構造、これが今日の経済の一つのネックであると私は思うのでございます。内地で千円前後のワイシャツが、運賃を使ってアメリカへ行ってワン・ダラーで売られるというこのふしぎな奇妙きてれつな現象。幾ら暖冬異変で安いからといったって、せびろ上下であれば、デパートでは値を割っても当然五、六千円から一万円。ところが、アメリカへ行ったら、これがテン・ダラーである。これはアメリカで製造されたものではありません。日本でできたものです。これがはるばる運賃を加え保険料を支払っていってテン・ダラーで売られておる。どこに原因があるのか、だれが悪いのか、克明に調査していくと、それそこに政府の施策の誤りと足らざるところがあるという結論が出てくるのでありますけれども、時間がございませんので、私は結論だけを申し上げます。政府の施策の至らなさは、いたずらに製造面の二重構造と価格面の二重構造を来たし、これは外国からもきらわれ、自由経済で一人前になった、仲間入りしたといいながら、待遇は差別待遇を受けなければならぬというこの問題について、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。そのことが、やがて日本国民から、外国人には安う売って内地人には高う売る、安くなるものを安くしないのだ、日本人に売ってもうけて、そして外国人には安う売る、一体どこの大臣だ、月給はどこからもらっていらっしゃる、こういう非難を除去することにもなると思うわけでございます。経済企画庁長官の奮起を促し、新しくできる生活局の局長さんの検討をお願いしまして、質問を終わります。

仮谷忠男自由民主党

○仮谷主査代理 次に、井手以誠君に質疑を許します。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 本日は、宮澤さんに貿易外収支についての具体的な計画を承りたいと思います。それだけです。   〔仮谷主査代理退席、松浦主査着席〕  経営収支の均衡をはかるのが経済安定のめどであることは、もう常識になっております。また、経営収支の均衡をはかるところに経済成長率を合わせなくてはならぬことも、これは常識になっております。したがって、問題になっておる貿易外収支をいかにして均衡されるかということについて、先般予算委員会や大蔵、商工委員会でも論議されておりますが、私はもっと具体的に、いつそれが均衡するのか、させるのかを承りたいのであります。まず二十六年度から、貿易外収支の赤字だけでけっこうですが、通産省のほうから年次別にお示ししていただきたい。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 貿易外収支の赤字は、三十六年度の実績から手元にございますが、三十六年度一億三千九百万ドル、三十七年度二億二千五百万ドル、それから三十八年度、これは推計で経済見通しに入れた数字でございますが、四億一千万ドル、それから三十九年度の経済見通しでございますが、これは五億五千万ドル、こういうことになっております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 三十八年度の四億一千万ドルは、最近輸入が激増してまいりましたので、これでだいじょうぶでしょうか。総括質問でございませんので、最近の輸入激増から考えて不安を持たれておりますが、どういう見通しですか。

高島節男総理府事務官(経済企画庁調整局長)

○高島政府委員 貿易外収支自体の数字といたしまして、いろいろな項目がございますので、われわれしさいな検討を、最近の情勢とつなぎ合わせてはいたしておりませんが、各省での御意見を考え、特需の減りぐあい等を見まして、大体この見当で貿易外としてはおさまるのではないかと思っております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 今後の貿易の見通しですが、大体年率どのくらいずつ貿易は増大していく見込みですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは一二%とか一三%とかいうことを考えておるわけでございます。これは輸出でございますが、ただ、いつまでそういうことが可能であるかというお尋ねについては、これはあまり長い先のことを申し上げることは私にもできないと思います。わが国の世界貿易におけるシェア、及び国民総生産のうちで輸出の占めます比率から見まして、まだここ何年かはその程度には伸び得るというふうに私は感じております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 貿易外収支が毎年一億ドルから一億五千万ドル、ずっと赤字がふえてまいっております。三十九年度には六十四万トンの計画造船が行なわれるようであります。六十四万トン造船が行なわれても、貿易が一〇%以上ふえてまいりますと、赤字は依然としてふえていくではないか、六十四万トンそこそこの造船で、その程度の船腹の拡充においては赤字はさらに増大していく。これに対してどういう見通しでございますか、経済企画庁では。さらに七億、八億、十億ということになりはせぬかと思いますが、今後の見通しを承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 その問題を一番私ども心配をしておりますし、また、政府全体としてここらあたりで早急に根本的に考え直さなければならない問題でございます。井手委員のおっしゃいましたように、昭和四十二年度までに竣工ベースで二百六十万トンの船をつくりますために、これはタンカーと鉱石キャリア等々の大型だけでございますけれども、そのためには、六十四万トンくらいのものは毎年つくっていかなければならない。それでも、四十二年になって一体どういう姿になるか、これは積み取り比率の問題もございますけれども、いま普通に考え得る程度に積み取り比率が上がってまいりましたのでは、四十二年度になりましてそれだけの船が竣工いたしましても、現在程度の赤字幅はおそらく避けられないであろうと思われますし、積み取り比率いかんでは、これがふえることもあり得る。非常に何か基本的な対策を考えなければならない緊要な問題だと思います。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 海運局、見えておりますね。積み取り比率はいま幾らですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 輸出が、三十七年度の実績でございますけれども五二%、輸入は四六%程度でございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 この程度の積み取り比率が、若干上回るといたしましても、希望的な数字はこの際避けねばなりません。この程度の積み取り比率で六十四万トンずつ船腹がふえた場合に、輸出が一割程度、一〇%伸びる。あなたは一二%から一三%とおっしゃいましたが、一〇%から一二%程度ふえた場合に、四十二年度における貿易外の赤字は幾ら見込んでありますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 その計算をいたしておりません。理論的にできるはずではないかとおっしゃるかもしれませんが、積み取り比率をできるだけ上げていきたい。また、ある程度上げ得るだろうということもございまして、きちっとした計数を持っておりません。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 海運局はいかがでございますか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 実は所得倍増計画に基づく見通しというものがあったわけでございますけれども、最近の経済成長に基づきまして、これを修正する必要が出てきたわけでございます。昨年暮れに鉄鉱と石油の輸入につきましていろいろ資料をとりまして、われわれのところで試算いたしました。その結果、倍増計画の数字を多少改めましたものによって計算いたしたものによりますと、昭和四十二年度に、もし海運収支が現状どおり四億二千八百万ドル、これはIMF方式でございますけれども、この程度の赤字で推移するということを前提に考えました場合には、トン数といたしましては三百十一万トンの不足でございます。この三年間大体七十八万トンのベースで建造していかなければならぬということになろうかと思います。そこで、一応計画造船としては来年度六十四万トン考えておりますけれども、それ以外にさらに自己資金船というものもございますので、来年度程度の規模で参りますれば、大体におきまして昭和四十二年度における積み取り比率、それから海運収支の関係も現状の程度でいくのではないかというふうにわれわれは考えております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 現状の積み取り比率で今後毎年計画造船を六十四万トン、そのほかに自己建造があるのを加えて毎年計画造船を七十八万トンずつやっていけば、四十二年度には海運の赤字はなくなるというわけですか。いまのままに残るというわけですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 計画造船と自己資金と合わせまして七十八万トン程度を三カ年間つくってまいりますれば、大体海運収支の関係では横ばいでいけるということでございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 横ばいであるということは、三十九年度五億五千万ドルの赤字、それが依然として続くというわけですね。そうでしょう。結論だけおっしゃってください。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 われわれの考え方は、本年度の海運収支の赤字見通し四億二千八百万ドルの状態が続くというふうに考えております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 四十二年度に海運収支の赤字をなくして均衡させるには、幾らずつつくったらいいのかと聞いておるのです。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 四十二年度に海運の運賃収支をゼロにするということで想定いたしまして船腹量を計算いたしますと、不足量が五百七十二万トン程度ということで、この三年間に百九十万トン、年間百九十万トンずつつくっていかなければならぬという数字になります。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 それが大事なんです。企画庁長官もそれを御心配になっておると思います。年間百九十万トン、三カ年間に五百七十二万トンの造船を、船腹拡充をやった場合の資金は幾ら要りますか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 所要資金はこの五百七十二万トンに相当するものとしては約三千七百億程度でございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 それに対する政府の助成、いわゆる開銀融資は幾らですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 財政資金につきましては、現在定期船につきましては開発銀行から七割の融資、それからOECD加盟に伴います海運対策といたしましては、八割の融資を行なっておるわけでございます。今後できてくるものは大部分が石油の大型タンカーの専用船でございます。したがいまして、融資の比率は大体八割、現状の融資条件で参りますと八割ということになりますので、財政資金としては大体三年間に三千億程度というふうに計算いたしております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 わが国の造船能力は年間どのくらいですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 建造能力といたしましては、明確に何万トンということを申し上げるのは私の担当ではございませんけれども、問題がある。と申しますのは、最近非常に船型が大型化してまいりまして、十万トンの船をつくる場合もございますし、あるいは五万トンの船をつくる場合もございますので、そう一がいに何百万トンというふうにはっきりしたことは申し上げられないというのが現状ではないかと思います。ただ来年度の問題について見ますれば、輸出船はすでに二百六十万トン程度の受注をいたしております。それから計画造船では六十四万トンを予定いたしております。さらに六、七十万トンの建造余力があるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 そうしますと、六、七十万トンの余力があるとすれば、四十二年度に赤字を解消するための百九十万トン造船は見込みがあるのですかないのですか、それは輸出船を押えるのですかどうですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 来年度の問題といたしましては、国内船の建造の余力というものは大体百三十万トン程度、その中で計画造船が六十四万トンというような状況でございますけれども、再来年度以降の問題になりますと、現在輸出船で受注の決定いたしておるものは六十万トン程度かと思いますけれども、比較的小さい数字でございますので、国内船の建造余力は十分あり得るというふうにわれわれは考えております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 大蔵省にお伺いいたします。  輸出船に対する最近の融資額は幾らになっておりますか。三十七年度、三十八年度の数字、三十九年度の見込み……。

新保実生大蔵事務官(銀行局特別金融課長)

○新保説明員 輸出船舶に対する輸銀の貸し出しの実績を申しますと、三十六年度は四百二十二億円、三十七年度は五百四億円、三十八年度、これは見込みでございますが、七百三十七億円程度でございます。なお来年度、三十九年度の問題でございますが、船舶に対する貸し出し見込みといたしましては八百六十億円を見込んでおります。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 これはどこに聞いたらいいか、海運局長ですか、最近輸出船ブームといわれておりますが、造船会社は輸出船をつくったほうが得なんですか、国内船をつくったほうが有利なんですか。それはどこに原因があるのですか。

若狭得治運輸事務官(海運局長)

○若狭政府委員 いずれが得、損ということはにわかに断定しがたいと思いますけれども、国内船の場合は、財政資金で全部直ちに支払うわけでございます。外国船の場合は、すべて延べ払いで現在行なわれているという状態でございます。それから具体的な船価その他について多少の差等があるというような問題もございますけれども、採算の問題として考えれば、どちらが有利ということはにわかに断定しがたい。ただ金融条件その他から見ますと、国内船のほうが有利ではないかとわれわれは見ておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 最近輸出船ブームといわれるように、三十九年度は輸出船は二百六十万トンの受注がある。ここらで大体資金関係その他の資料もそろったと思うのですが、政府は、この造船能力はある、造船会社は外国船の受注にやっきになっておる。外国はまた将来の海運競争に備えて船価の安い日本に盛んに注文を発しておる。その結果が、日本は貿易外収支、特に海運収支が、造船ブームのために首を締められるような結果になってまいっております。どうしてこの大事な貿易外収支を均衡させるか、ここで私は決断が必要であると考えるのであります。輸入をうんと押えるか、貿易外収支の均衡を断じてはかるというのか、二つに一つしか道はございませんが、貿易については、開放経済に向かいますと、そう簡単なものじゃございません。少なくとも経常収支の均衡をはかるためには、貿易外の収支の均衡をはかることが絶対であると思います。その点に対して企画庁長官はどういう決意をお持ちになっておるのか。単なる横ばいではいけないと思う。先般総理も、四年、五年ではとても貿易外収支の均衡はむずかしかろうとおっしゃっておる。むずかしいだけで済ませるものではないのです。この際、ひとつ経企長官の具体的な構想を承っておきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 井手委員の仰せられましたことは、私全く同じように考え、憂いを同じくいたしております。そこで、今年あたりの姿を見ますと、輸出船をたくさん造船会社がとり過ぎたために、船台がなくて国内船ができないという状況ではないようであります。造船会社に言わせれば、世界各国造船船台はあいておりますので、輸出船は、わが国がとらなければ必ずどこかがとっていく、そういう意味で輸出船をやっておるのであって、国内船さえあれば自分たちは喜んでいたしますということで、輸出船をとり過ぎたために船台がなくて国内船ができないという状況では、少なくともないようであります。そういたしますと、問題は、それならば国内船をもっとつくればいいではないかということになるわけであります。それは、政府はそのために財政資金を惜しんではおりません。また、融資比率もかなり高いものであるというふうに考えるわけであります。そういたしますと、つまるところは、結局船をつくる側において十分に船をつくらない、つくり得ないということになっておるわけで、それは金の問題でないとすれば、これは海運の統合整備に一年かかったというような問題にまつわることもございますけれども、やはりそれだけの積み荷を確保し得るかどうかということに帰着すると私は思うわけでございます。そのことは、つまり積み取り比率が上がるということにも通じるわけですが、現実に積み荷を産業界あるいは商社が邦船に出すか出さないかということになりますと、こちら側にはまたこちら側の事情があって、少なくとも安いほうがいい。それから、いま現実に船がないではないかといったような議論に発展をしていっておるわけで、何とかしてわが国の荷主の方が邦船を使う気になり、そしてそれがそのために経済的な損失をこうむらないようなことを考えなければならない。これについては、実は私的にはいろいろ考えました。考えましたが、IMFの規定にぶつかったりなんかいたしまして、なかなかうまいことが出てまいりません。しかし、この辺で政府がもう一度産業界、つまり荷主のほうに呼びかけまして、何とかして邦船を使っていく、積み荷契約をしてやる、それによってオーナーが船をつくっていく、つくり得るというようにしていかなければならない。私は、問題の基本のところはそこではないのだろうか、専門でございませんから、多少考え違いがあるかもしれませんが、そういうふうに見ております。そういうことを政府として進めていかなければならぬじゃなかろうかと思っております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 企画庁長官のお考えは少し甘いというか、弱過ぎるというか、もちろん海運界には体質改善もあるでしょう、さらに荷主の関係もあるでしょう。けれども、単に船をつくる側の自発的な決意と申しますか、造船の熱意にまつということでは、私はこの大半な貿易外収支の均衡をはかるという当面の絶対の要請にこたえることはできないと考えます。四十二年度までにはどうしても貿易外収支の均衡をはかるという重大な問題のためには、やはり一カ年に幾ら造船をする、どうして体質改善をはかり、積み荷の比率の向上をはかるか、そういったやはり具体的な計画を持ってやらなくてはならぬと思うのです。きょうは何も総括質問のようなけわしい空気じゃございません、相談です。計画してもなかなか狂う所得倍増計画のように——しかし、貿易外収支の均衡をはかるためにはこうするんだということを、やはりはっきりこの際示していただくことが必要ではないか。いまの状態では、六十四万トン程度の造船ではますます赤字は増大するばかりです。どう計算したってそうなるのです。そうであるならば、三十九年度はいたしかたないといたしましても、あるいは政府の特別の構想で造船をやるとか、あるいは四十二年度には必ず船腹は千五百万トンですか、あとどうしても五百七十二万トン必要であると海運局は言っております。どうしてこの造船をやるかというやはり計画が必要ではないのか。いま海運界の集約をやっておる、体質改善をやる、そして荷主の奮起を求めるという程度では追っつかないのです。船が足らぬならどうして船をつくるか、どうして積み荷の比率を向上させていくかという具体的な方針が私は絶対に必要であると考えます。私は、きょうはそれだけの質問に参りました。具体的にひとつお聞かせいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 あまり具体的なことを私から御答弁申し上げることはいかがかと思います。思いますけれども、考え方としてはいろいろあると思います。しかし、いずれも具体化がむずかしいので、いままで私がいろいろ考えましたことを申してみよとおっしゃったというようなつもりで申してみますけれども、たとえば邦船を使いました場合に、それが外船を使いました場合に比べて何か採算上、経理上、荷主に対して利益を与えるといったようなことは一つの考え方だと思いますが、どうもこれがやはりIMFその他の問題にぶつかりまして、簡単にはまいりません。それからまた、たとえばわが国の建造船価は安いのでございますから、その船が荷物をとりました場合に、フレートが外国に対して、それ自身が物理的に高いということは本来なさそうなはずであります。財政資金も八割も見ておりますから、十分競争できる船ができそうに思います。そうであれば、荷主も荷物を出すわけでございますけれども、実際は船会社が過去のいろいろな赤字を背負っております。これは補償打ち切り以来の問題をかかえておりますために、その船だけでは採算がかりに取れましても、その他の背負っておるものと一緒に、管理部門なども含めましていたします結果、外国船と対等に競争ができないということもあるのではないか、それならば、新しくできた船といままでの経理とを何とかして別に考えることはできないだろうかといったようなことも考えました。しかし、これも簡単にはまいらないことで、それならばだれかが別の人格で船を持って、それを貸してやったらどうかといったようなことも考えてみたわけでございます。しかし、いずれもなかなかこれという腹を固めるに政府全体としては至っておりません。また、本来私が自分できめるべきことではないのでございますから、そういったようないろいろなことを、この際関係大臣みなでもう一ぺん根本から考え直しませんと、井手委員のおっしゃいますように、四十二年になりましても赤字の幅は縮まらない、ふえる公算のほうが多いかもしれないということでございます。政府部内で真剣にもう一度この際あらためて問題を考えなければならないのではないか、こういうふうに考えております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 政府部内で真剣に考えたいとおっしゃいますが、貿易外収支均衡のための関係閣僚会談で本開いてやろうという構想ですか。あなたのお考えはどういうことですか。ただ閣議のときに話し合う、これは重大だから何とかしなくちゃならぬという程度のものでは私は追っつかぬと思うのです。将来の見通しで、見通しは間違うことがあっても、大体これならばよかろうという推定がつくはずですが、この貿易外収支についてはもうはっきりしているのですから、貿易外収支と経営収支が均衡しなければ、日本の経済は安定しないのですから、これにはやはりめどをつけなければならぬと思う。何とか効果のあるようなあなたの構想をいま少しお聞かせいただきたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 従来から関係の経済閣僚懇談会の席上で、外貨の節約及び外貨の積極的な取得については、経済企画庁が中心になって施策を考えるということになってきておるわけでございます。この問題も、そのうちで一番大きな問題になっておりますわけですが、昨年は、実は海運会社の集約が年末までにできるということで、この基盤の上に立たなければ何事も可能でないといったようなことから、具体的な結論がついに得られないままになったわけでございます。率直のところ、そういう経緯でございます。ただ、その間にはっきりわかっておりますことは、財政当局はこの問題については決して金を惜しまないという立場がはっきりいたしております。  それからただいまの状況で申せば、海運の集約が一応完結したということもはっきりいたしております。そこで、主管の大臣は当然運輸大臣でございますが、私どももいろいろ知恵を持ち寄って、これだけ環境ができ上がった、海運の集約が一たんほぼ完了をし、船台には余裕がある、財政当局は資金的な面では、これはただいま予算の御審議中ではありますけれども、金を惜しむものではない、それだけの条件が整いましたので、やはり、ここでもう一ぺんこの問題をもとから考え直さなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 もとから考え直すとおっしゃるのは、四十二年度には少なくとも貿易外収支が均衡するような革新的と申しますか、根本的な対策を立てられるというお考えですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 根本的な対策を確かに考えなければならないと思います。その結果、四十二年度に海運の赤字がなくなるかというお尋ねであれば、それはそうでございますと申し上げるほどの自信は必ずしも私にはございません。ただ、傾向としては、赤字が漸次減っていくということにならなければならないと思います。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 海運当局では、年間百九十万トンの造船が必要であると申しております。それは、積み取り比率その他の関係で、あるいは十万トンあるいは二十万トン程度の違いが出てくると思います。しかし、現在の倍以上の造船をしなければならぬ、ここでは三倍になりますけれども、少なくとも倍以上の造船をしなければなりませんが、それをやらせねばならぬという決意でございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 海運業者、オーナーが少なくともつくりたいということであれば、つくりたいだけつくらせる、それだけの条件を整えてやった上で、そのために国は援助を惜しまない、そういう立場でなければならないと思います。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 私がお伺いしているのは、海運当局の一応の推定は出ておりますから、それに近い、百九十万トンでなくても、現在の六十数万トンの少なくとも倍以上の造船をして、均衡をはかるというお考えでございますかと聞いておるんですよ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 それは非常にデリケートな御質問だと思います。私自身が責任者ではございませんから、そこをそのとおりとお答えいたしにくいのですが、少なくともそれだけの確かな需要があれば、それを応援してやるだけの体制を政府はとらなければならない。百歩進んで政府自身がそれに手を出すつもりかといったような御含意であれば、それは、私自身がお答えできる問題ではないように思うわけでございます。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 もう時間がまいりましたので、そうくどくどとは申し上げませんが、そうなまぬるい問題でございませんから、少なくともやはり一応の計画を立てる、積み取り比率というものを幾らにした場合には幾らの造船が必要であるか、積み取り比率を向上するのには荷主の関係が出てくるでしょう、それを考慮に入れて、積み取り比率を幾らにした場合には幾らの造船が必要である、年間少なくとも百五十万トンくらいの造船が必要でありましょう、必要であるとするならば、海運会社が注文しない場合には、政府が別の構想で船をつくらせる、あるいは貸す、いまのような状態では、よその国がどんどん船をつくる、日本の輸出入銀行が金を貸して、延べ払いをして、外国船をどんどんつくって渡す、そうして一番大半な国内船には、輸入の場合は四〇何%しか積み荷がない、それではますます苦しくなる、ばかりですから、この際やはり英断をもってやっていただきたい。  最後にあなたの決意を伺いたい。この重大な貿易外収支、経営収支の均衡のためにもう一回決意をお聞かせいただきたい。ただ努力をいたしますぐらいでは、この大事な問題についてなまぬるいですよ。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 私なりにはいろいろ考えております。また、井手分科員が示唆をなさっておられるのではないかという点についても、わからないわけではございません。ただ、私が責任者でないために、正面から言うことができないのが残念でございますが、少なくとも問題は御指摘になったとおりでございますから、私も閣僚の一人といたしまして、この問題をあらためて根本から取り上げるということはぜひやりたいと思っております。

井手以誠日本社会党

○井手分科員 もう一点だけ念を押しておきたい。四十二年度には貿易外収支、この貿易外収支にはいろいろありますが、その中心をなす海運収支の均衡をはかることを絶対的と申しますか、大体それに近い目標になされますか。少なくともその目標にしなくてはたらぬと私は思っておりますが、四十二年度には貿易外収支が均衡するように、政府は根本的対策を関係閣僚会議で検討していくということでございますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 そういう目標に進みたいとは思いますけれども、現実的にそれが達成し得る目標になり得るかどうかということには問題があるだろうと思います。したがって、むしろそう申し上げるよりは、四十二年度の姿で放置しておけばかくかくであるから、少なくともこれから先毎年海運の赤字というものが縮まっていく方向で施策を考えるべきじゃないか、これが現実的には努力次第によっては可能な目標ではないか、こう考えます。

松浦周太郎自由民主党

○松浦主査 これにて井手以誠君の質疑は終わりました。  次は川俣清音君。簡潔に願います。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 時間も十二時を過ぎておりますので、きょうは簡潔に終わって、次の機会に残りを質疑することの御了承を得た上で質疑を進めてまいりたいと存じます。  そういう意味で、ひとつ簡潔にお尋ねいたしますが、いま農林省が農業基本法に基づいて構造改善事業を進めておりますけれども、この障害となっておりますのが土地価格の高騰だと思うわけでございます。農業の基盤、生産の基盤であります土地の価格の高騰が一番大きな障害となっておることは、もうこれは説明を要しないと思うのです。土地価格の高騰がまた物価の高騰を誘発する大きな要因でもあると思います。ことに生鮮食料品のうちの野菜等の値上がりは、土地の価格の値上がりが非常に影響するものでございますので、この土地価格の上昇というものが土地の高度利用と申しますか、利用度の高い宅地に変えていくということで、農業と他産業との間の競争がさらに土地価格を高騰さしておるわけなんです。  そこであなたにお尋ねいたしたい。いまも実は法務省に行って聞いてきたのですが、土地価格を上げる要因は幾らもありますが、特に刺激を与えておるのが旧地主の補償の問題ではないかと思うわけです。そこで、これは宮澤さんに聞くのは少し無理かと思いますが、あなたのおとうさんやおじいさんのことを考えますと、まんざら知識がないわけではないと思いますのでお尋ねしたいのです。法務省の見解だと、いまでも法令用語の統一の熱意があるそうでございます。これは昭和二十九年の十一月十六日かに、法制局から閣議決定をもって法令用語の統一を行なうというえらい改革をいたしたわけであります。旧地主補償について補償はしないけれども、報償ぐらいしてはどうだという発言を総理大臣が行なっておられますが、この報償ということは、この用語例によりますと奨励と読みかえることになる。旧地主を奨励するというのはどういうことになるのか。いまの若い人だったら、国語審議会の用語の統一もありましょうし、そういう感覚で見ておる。いまの時代の人は旧地主を奨励しなければならないというのは、自作農創設が進行しておったときには理解できましたけれども、すでに何年もたって判例もあるときに、いまさら旧地主を奨励しなければならないと読みかえるということはナンセンスではないか。さっぱり何の意味かわからない。私、四、五日前に高校の生徒にいろいろ聞いてみましたが、やはり高校の生徒などは、報償というのは奨励と最近は理解している。また説明によりますと、個人の役務に対する報酬を報償という法令用語になっている、そう解釈を統一している。さらに、報償の償は償と奨と二つある。いずれも用語統一をして、今後は奨励とする、こう理解するように訓練されておるのであります。その訓練されておる中に、旧地主を奨励するということは、何としても世間に理解できないのではないか。そういうことも言える。それからもう一つは、土地の価格が高くなることの要因をなす。奨励をするというのは、物価を引き下げる奨励でなくて、上げる奨励をするというふうに理解されることになると、企画庁として重大な問題ではないか、こういうことであえて宮澤さんにお尋ねするわけです。一方は物価を引き下げる、一方は物価を上げる要因になる奨励をするのだ、これでは意味がわからないし、経済生活に大きな不安を起こすことになる、こう思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 十分にお答え申し上げる用意がございませんが、閣僚の一人として私なりに理解いたしておりますことは、旧地主の協力があって農地改革ということが可能になり、今日の日本ができた。そういう協力に対しては、また協力をした人の中には、その結果として相当困窮しておる人もあるわけでございましょうから、それに対してはそれなりに国としても何かの報いをする、あるいは、償というのは償いという意味かどうか存じませんが、何かそういう報いることがなければならない、そういったような意味であろうと私は理解いたしております。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 企画庁長官、いままでの法律用語の例を見ますと、償う意味の報償は、一般に役務の提供や施設の利用などに対して受けた利益に対する代償、これが用語解釈です。したがって用いられた例は比較的少ないが、旧憲法に「報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ収納金」という用語があるそうでございます。一般法律用語としてはあまり使われていないのを画期的にお使いになったのかもしれませんが、画期的に使っても、一般の国民に理解できないような用語ではごまかしだというふうにも理解されるでありましょうし、不適当だと思うのです。閣議決定で附語を統一しようという通達まで各省にしておる。そういう閣議決定をしておりながら、それと別な閣議決定をしたということになると思う。おそらく用語を統一しよう、あるいはこう理解しようということで通達をしておるわけです。閣議決定をしておる。それと、いま申し上げたような奨励になるような用語をあえて使ったということは、自己矛盾じゃないでしょうか。しかも、これは、経済的に影響がなければ別ですよ。経済的に物価を引き上げる要因になるような用語をあえてお使いになるという意味が理解できないのでございます。しかし、これは宮澤さんを責めてもどうにもならないのですが、最近の用語が近代国民生活から誤解を受けるような用語をあえてお使いになるのはいかがなものかと思う。これは経済企画庁としては違うんだ、自分の領分ではないのだ、おそらくそう言うだろうと思うので、いま質屋さんに見解を聞いてきたわけですが、やはり不適当な用語であった。何らかの形をとらなければならないので、ああいうような用語を使ったというのなら、やはりもっと具体的なことのほうがよかったのじゃないかと思う。ですから、一方においては、あなたが熱心に物価を引き下げるために努力をしておられますね。これは、私はいいと思います。一方においては、物価が上がるのが放任されておるのじゃないかという感じがいたすのであります。特に、土地価格を抑制するということは非常に困難でございます。それではもっと指摘しましょう。  会計検査院が国有財産に対する決算の報告訴の中に、特に林野に関して、林野の貸し付け料が安過ぎる、最近の土地価格の上昇を無視した価格で貸し付けるというのは不当だ、こういうのです。会計検査院は、物価が、土地価格が上がったから、そう言うのでしょうけれども、上がることを積極的に認めようとする態度をとっておるわけですね。ところが、一方農業構造改善からいうと、国有林野のようなところを採草地にするようなために利用する、あるいは牧野の改良をしようというような意図がおもに農業構造改善事業にあらわれておる。従来も放牧として使われておる、あるいは部落内の植林として使うとかいうようなことに国有林を借りて使用しておる。これを安過ぎるということで、けつをたたいて貸し付け料を上げておるわけです。警告をしておるわけです。この警告の中には、適切なものも確かにあります。ある鉱山会社に、大正何年かに貸した、そのままでおるのはけしからぬ。使用の目的が、他産業のために高度に利用するのに、森林と同じように貸しておるのはけしからぬと、こういうことであるならば、それは非常に理解ができないわけじゃないです。一般の多くの例は、ここに私は資料を持ってきておりますが、国有林野で貸しておるのは、ほとんど農民に貸しておるのが面積的には大きいわけでございます。それを総体的に最近の土地の売買価格から見て、当然上がっておるのに安く貸しておる、こういう指摘をしておるわけですね。一方、自治省などからいうと、国有林野は台帳は昔のままになっておる。あれは取得時の価格が載っておるものですから、そのままになっておる。確かに安い評価である。これを評価がえしなければならないということになってくる。そうすると、逆に国有地の所在町村に対する交付金というものがございますね。これなどを据え置いておる理由は、なるべくあまり物価を上げることを刺激したくないので、できるだけ一定の期間を待って、あまり物価の変動に支配されないように、ある年数を限って、五年とか十年に改正をしようという態度をとっておられる。その態度と全く違ったことをやられるわけですね。これに対して経済企画庁はどんなお考えですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 会計検査院の指摘事項でございますか、批難事項でございますか、どういうお立場でなされたか存じません。おそらく適正な公正な価格でないということを言っておられるものだと思いますが、そのことは、不正な価格であるとも私は違うように思うわけでございます。それで、国民の林野でございますから、何もそれによって、国が広くそれを貸し付けることによって、やはり利益を得なくてもいいのではないかと思う。まあ管理費ぐらいはまかなっていかなければならぬのかと思いますが、どうもどちらかというと、私も実態をよく存じませんけれども、そういうものをえらい高く貸し付けなければならないということはむしろ反対のように考えるわけでございます。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 この検査報告の中に、もう少し具体的に言うと、「貸付料算出の基礎となる土地価格の評定にあたり、現地の状況を考慮しないで」、また「近傍類似地の売買実例価格、固定資産税課税標準価格等を十分に調査しなかったりしたなどのため、土地の評定価格が著しく低価となって」おる。土地評価が安過ぎるという。土地というものはもう少し商いものだという認定をとるということです。そうすると、現状のものの流通からいって、価格が上がっているんだ、それを是認しようという態度です。現実に上がっておることは確かです。それを抑制しないで是認しようという態度をとっておるということです。あなたのほうは、少なくとも抑制しようという態度をとっておる。一方は、現実に上がったのだからそのまま容認しようという態度をとっておる。これは、上げないのはけしからぬという態度です。そこで、物価抑制ということは非常にむずかしい中においても、会計検査院は独立ですから、あなたのほうで制約するわけにはいかないでしょうけれども、しかし、日本の大きな経済に関係があるからこそ、会計検査院が指摘をしなければならぬ義務を負っているわけですから、いかに内閣と独立しておるといいながら、国の大綱に合うような検査をするということが目的でなければならぬと思う。いや、どこを向いていようと、政府がどう言ってもいいんだ、かってだという意味の独立ではないと思う。やはり国民経済のために、国民生活のために会計検査院というものがあると思う。それを逆行するようなことを批難する。上げなければならぬという意味はわかりますよ。たとえば、いま申し上げたように、宅地に使っていながら山林といって使っているのは不当だ、こういう指摘ならよくわかりますが、これは、土地の評価が著しく低価になっておる。なぜ低価というのかといえば、よそが上げておるのに、よそが上がったのを無視したのが低価だという指摘になっておる。農業構造改善を進めていくのに、これからの農地たり得るものは山林原野が非常に大きい。それが高いほうがいいんだということになると、農業構造改善なんか全くこれはナンセンスなものになると思う。そういう意味で、企画庁としてもこれは無関心でおられないじゃないか。そこで、あなたに指摘して見解をお聞きしたい、こういうことなんです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 伺っておりますと、おそらく会計検査院では、周辺の土地が上がっておるしするから、国も世間並みにしたらどうだという御指摘なんであろうと思いますが、しかし、政府のほうも、公共料金の一年間ストップというような、世間では通用しにくいことをお願いしておるわけでございますから、どうもそんなところだけ世間並みにしなければならぬということはいかがなものでございましょうか。不正なら改めなければなりませんが、行政の裁量の中で上げることは、私どもとしては安いに越したことはないという感じを持っております。会計検査院のお立場はわからないわけではございませんし、それを批評するつもりはございませんが、行政としてそのくらいの裁量があっても悪いことではないのではなかろうかという感じでございます。具体的な事案をよく存じませんので、その程度にしかお答えできません。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 ここで指摘してある事例は、もっともな事例が多いのです。京都の営林署の、京都市内に観光日本株式会社が昭和二十三年に借りて、そのときの価格をそのままにして貸し付けておるのは不当だ。しかも、それはゴルフ用に使われているから、これは不当だということです。これなら問題はないです。しかし、総体として勧告しておるものは、土地価格が安過ぎるという批評が基本になっておるから、こういうゴルフに山林原野を使って安く貸すのは不当だ。これは、私どもは、そういうことで物価を引き上げるような要因にはならない、こう思います。あるいは三菱鉱業に昭和六年に貸して、九万七千円で貸しておった。これは付近の価格の高騰から見るというと、五十九万円でなければならないという、こういうのは、これは問題があると思います。こういう三菱鉱業がそこへ行くことによって、この会社があることによって地価を引き上げているのだと思いますから、なくなればもとの値段になるかもしれませんけれども、いまの時点においては、他の地価と比べて安過ぎるという判定をしているわけです。現時点はそうでしょう。この会社がなければ、そんなに地価が値上がりしないかもわからぬです。それを会計検査院は、ほかが上がったから上げろということは、あまりにも世の中の時流に押し流されておるのではないか。こういう指摘は、私は悪いと考えて言うんじゃないですよ。こういう特にあげておるような例は、まず不当だ、確かに不当だ。むしろ安いほうが不当だと思うくらいですけれども、総対的に言って、最近土地の売買価格が非常に上がっておるのだから上げなければならぬという基本的な考え方については、企画庁も無関心でおってはならぬじゃないか。この指摘事項一つ一つが悪いと言うんじゃないですよ。それを指摘しておるんじゃないが、こういうりっぱな例をあげておりますから、このあげられた例はむしろ適切であるというふうに理解します。ただ、芦屋の学校法人の芦屋学園というのが、短期大学だそうですが、三十五年の四月に学校法人に貸し付けたらしいのです。こういうものは、私はその学校に利用して——土地価格というものは、やはり利用度に応じて決定をするべきものだと思う。収益といいますか、学校などは利益する団体でもないので、学校法人として利益団体でないというふうに認めておる。その敷地が安過ぎるなんて、学校ができれば、付近の土地が上がるのは当然ですよ。ですから、安過ぎるだろうということはありますよ。学校ができて土地が高くなったのだから、学校は高い地代で払わなければならないところが、学校のおかげであるいは土地が上がってきたかもしれない。それをお前の責任だというような考え方は、私は会計検査院が指摘することは非常にけっこうだと思うのですよ、そうでないと、行政府が少し怠慢になりますから、その意味においては賛成なんですけれども、あまりにも経済観念というものがなさ過ぎる。近代感覚がなさ過ぎる。近代化なんといっても、会計検査院も少し近代化しなければならぬというような感じさえ持つ。こういう意味では、私は、要は土地価格というものはできるだけ押えていかなければ、農業構造改善などというものは進められない。その大きな障害となるものですから、無関心ではない、とこういうことなんです。指摘事項そのものを非難しようというのではないわけですから、どうも企画庁は大いに関心を持たなければならないということで、御答弁願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 国有財産の払い下げ、あるいは賃貸につきましては、その当該目的が何であるかによってかなり差等を設けておるように聞いております。まあこれを買いますもの、あるいは借りますものが営利を目的としておるものであるとか、あるいは先刻御指摘のように、多少奢侈にわたるというようなものについては考慮を加える必要はないと思いますけれども、教育でありますとか、ことさらに農業改善でありますとか、それもその地域にもよることかと思いますが、そういうものにつきましては、一種の公目的でございますから、できるだけそれに沿うような、便宜をはかるようなやり方ですべきものではないだろうか、一般的に会計検査院が、昭和九年とか十三年とかいうときに比べて今日の地価ははるかに違っておるぞといわれることは、そのとおりでございますし、目的が営利その他であれば、それに従っていくべきかと思いますが、そうでないものは、やはり国有財産そのものの貸し付けなり譲渡なりの目的によって差等を設けております。そういう精神で運用をしていっていいのじゃなかろうかと感じます。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 これは大臣、個人の感じだけではだめ。それを行政の上にどうあらわしていただけるかということなんで、それは無関心ではあり得ない。指摘しているのは、今後の経済政策の上に大きな問題だということを指摘をいたしまして、何らかの形でこれは注意を喚起しなければならぬ。しかし、独立機関である会計検査院に干渉することは、法制上非常に困難だと思います。しかし、国民経済全体をになっておられます企画庁としては無関心ではあり得ないと思う。そういう意味で、ひとつ何らかの対策を講じられる必要があるのではないか、それを講じられますかどうかということが質問の要点でございますから……。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 昨日も何かの機会にそれについての御指摘があったようでございますから、よく当該関係のところとも、実情を調べまして、これに対する考え方をきめてまいりたいと思います。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 次にお尋ねしたい点は、肥料の問題と、それから東北開発の問題と二つあるわけですけれども、東北開発の問題について、直接の官庁である企画庁の御意見を聞きたい、こう思うのです。これは、宮澤さんには非公式に私どもの見解を申し上げておるのでございますが、あらためてきょうは公式に委員会を通じて見解を承りたいと思うのですが、東北振興につきましては、昭和十一年、内務省に東北振興の東北開発局をつくりまして、おくれた東北の振興のために、当時は振興ということばを使った。今流にいうと格差解消、産業の拡大のために、資源の豊富な残された資源を持っておる東北を日本経済全体の上からも、また地方農民の低い生活水準を高めようという大きな意欲を持って内閣に東北局をつくって振興対策を講じたのが、この東北開発に対する政府の過去の実績でございます。それにかわるに東北開発三法ができまして、さらにそれを継承したわけでございますが、その継承の中の一つに東北開発株式会社がございます。これは、かつては東北民の資力にも依存をいたしまして、あるいは農協あるいは公共団体等にも応分の株を持たしまして出発したのでございますが、最近ではほとんど政府の所有株でございまして、政府出資の特殊会社という形をとっておるわけであります。しかしながら、だれが株主になろうと、使命は変わりはないと思います。あるいはむしろ政府がみずから出資をするということは、その重要性を認識されて出資されておるもの、こう私は理解するのです。そこで、残念なことでございますが、経営のまずさもありましょうが、東北開発会社は赤字を出しておるということで、世の批判を受けておることはまことに残念でございます。しかし、政府の指導がよろしくなかったための赤字というものも非常に大きいと思うのです。それをちょっと申し上げたいと思うのです。たとえば、会津のハードボードをつくるときに、これは農林省に相談があった。農林省は、あの付近の濶葉樹を利用するということで非常にけっこうだけれども、将来の見通しからいって、材木の見通しが非常に悪いからどうであろうかというような意見を加えて、たしか農林省からそういう意見が出ているはずです。いま私その資料を調べているのですが、ちょっと見つかりませんが……。それから当時の通産省からは、最近ハードボードの競争が非常に激しくなってきた、そこで、従来と同じような規格のものであれば通産省は賛成できないということで、わざわざ日本流でない規格、日本流ですと三、六といいますか、三尺に六尺、日本の建物に合わせた規格なんですが、外国の規格だと四、九ですか、四尺の九尺、そういう規格のものでなければ許可しない、そういう条件をつけて許可しました。したがって、いまはだんだん外国規格になってきているでしょうが、当時としては売れにくいものをつくるならば許可する、こういう条件なんです。それならば、売れにくいものなら赤字が出ることは当然なんですよ。そういう条件をつけてきた。あるいはセメント工場もそうです。当時、従来の方式でいくならば民間産業と競争するおそれがある、民間企業は非常におそれまして、政府の出資のもとに行なわれる企業であれば、コストが安くなるであろう、そういうのでつくられたのでは七メント業界は破綻だということで、非常なやかましい規制を加えたわけです。国内にあるような規格の施設ではいかぬ、ドイツから特許権を買ってくるような施設でなければ許可しない、こういうために、わざわざ外国の特許権を買ってきて設備をしたのですから、なれない施設である。しかも、ドイツ人の指導をかなり長い間やりました。そのほかに特許権料も払わなければならない、手かせ足かせを課してやらしておいて、赤字だという。私は、このとき赤字になるおそれがあると言ったら、通産省は何と言ったか。これが今後のセメント業界に大きな寄与をするのであるから必要なんだ、こういうのですね。セメント業界の指導の役割りをさせようというのです。指導の役割りだというと、これは採算に合うようなことでなく、今後のセメント業界に対する指導的役割りを果たすんだからということなんです。採算は無視してやれということなんですね。当時の通産省の意見書がまだ残っております。ごらんになってください。私、それも意味があると思いますよ。政府出資でやるのだから、将来のセメント業界の近代化をはかるために必要だということはわからぬわけじゃない。それならば、採算というものは度外視して、各メーカーの指導的役割りをする、そうならば、やってみよう、得するかどうかひとつ試験をしてみようということですから、これは犠牲を払わせられた、犠牲を払わしておいて、いや赤字だという。これは、世間がいうならもっともだと思いますよ。赤字を出してはいけないというのは、これはもっともだと思います。したがって、当時は民間投資を期待していましたから、配当についての保証を政府がした。採算が合わないであろう、そこで、利益配当は困難であろう、利益配当五分以下の場合は政府が五分まで保証しようというやり方をしておる。ある程度犠牲をしいておることでもあるわけです。そのかわり政府が保証しようということであった。これを、企画庁の案のようでございますが、いま赤字だから、再建案が立たない限りにおいては仕事をするな、こういうておる。それもわかりますが、いままでの指導が赤字を出すような指導をしておいて、赤字は会社の責任だといって、会社にのみ責任を負わせるということは私は不当じゃないか、こういうふうに感ずるわけなんです。そこで、これは非難しても生き返ってきません。私が企画庁長官に進言したいのは、今後は比較的赤字の出ない、地方開発に役立つようなことをしてはどうか。それとしては、公共性の商いもので、たとえば東北にはいまで水資源が豊富であります。魚菜等が非常に豊富で、わりあいに低廉である。それから、輸送が非常に困難なために、消費地に行って非常な価格の高騰を招いておる、これは安価に運ぶということが必要である。それに、経済力の弱いところには、国鉄の性格からしまして、なかなか貨車回りが悪くなるということは当然なことなんです。国民経済全体にも寄与する東北資源の開発及び一般国民の消費者に対する方策から申しまして、こういう点について民有貨車と申しますか、特殊会社の貨車をもって東北の物資を運ぶ。東北の物資を運ぶといっても、貨車ですから、必ずし本東北ばかりに来ないですが、比較的優先されるということで輸送が緩和されるであろう、こういう。私の住みました秋田県では、県有貨車をやっておる。それで秋田県のほうでは豊富な安い物資を消費地に運んで、ともどもに寄与しておる。消費地に対する原料の供給、それから生産地に対する価格の保持、この両面に非常に役立っておる。それでいながら、これは赤字にはならない。そういうようなことで、これは計算上赤字にはならない。民間企業と競争するなんといったって——お互いに国鉄の企業と協力する体制、しかも物価の面からいっても、物資の流通からいっても、それにも寄与しようという一石三鳥のことをおやりになったらどうですか。このぐらいはっきりした計算が立つものはない。民間企業と競争するわけではない。これも、新規事業だからだめだという否定をされたそうでありますが、企画庁のお考えがどの辺にあるのか非常に理解に苦しむので、この際御答弁願います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 東北開発会社が今日の事態を招きましたことにつきましては、監督の諸官庁もやはり無責任ではあり得ない。私どもも当然その責任の一端をになわなければならないものというふうに考えております。何ぶんにも事態は非常に深刻でございまして、ただいま川俣委員が仰せられましたように、たとえば貨車をつくってそれを貸してやるといったようなことは、確かに東北のためにもなりますし、その他にもいい影響があることでございますから、逆ざやになりませんようでしたら、やってみていいことではないかと私は考えております。検討に値することだというふうに考えておるわけでございますが、何ぶんにも三十九年度、お聞き及びかと思いますが、伊藤総裁以下全員辞表を出されまして、何とかして伊藤さんにはお残りいただいて、再建していただくつもりではおりますが、国としても、再建資金を出した累積の赤字が三十二億にもなり、毎年十億の赤字が出るという事態でございますから、とにかくこの出血の状態だけを、一応改善の目安を立てなければならぬと思うわけでございます。したがって、その間には事業の中で放棄しなければならないものもあると思いますし、また投資先も切り離さなければならないという点もあろうと思います。また職員、工員の相当多数の人々に転職してもらわなければならないということも当然予想されます。したがって、相当の決意を持って私どもも財政的援助をいたすつもりでございます。これが完成いたしますまでは新規事業は一切いたさないといったようなことを申すつもりはございません。本来営利会社ではないのでございますから、決してもうけなければならぬということはございません。ただ、現在のように日に三百万円も赤字が出るということは何とかしなければなりません。一応そういう再建のめどが傾向として、趨勢として立ちましたならば、有意義な新規事業は会社本来の目的に戻って、それもひどく金のかかることは別でございますが、そうでないものはやってまいりたい。川俣委員の御指摘になりましたような貨車などというのも、一つの検討に大いに値するいいものではないかというふうに考えております。せんだって、私的にそういうことについての示唆をいただきましたので、役所に帰りまして、事務当局にも実は内々研究いたしてもらっております。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 時間がございませんので、もう一点だけ。

松浦周太郎自由民主党

○松浦主査 簡単に願います。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 肥料等の問題については、後刻に譲りたいと存じますが、もう一言だけで東北開発の問題は終わりたいと思います。  企画庁御存じのように、セメントの材料である石灰石というのは、世界的にも非常に日本は埋蔵量が多いと言われておったのでございますが、それを背景にして日本のセメント工業が非常な発達を遂げておることは、私が申し上げるまでもないことであります。ところが、最近単にセメント業界ばかりではございませんが、原石が不足なためにセメント業界が非常な危機を招いておるということが言われておりまして、各メーカーも原石の確保に狂奔しておるようでございます。ところが、東北開発株式会社は幸いにして恵まれた原石を持っておりまして、今後は非常に有望であると私は理解をするのでございます。従来東北セメントの欠陥は、場所的に、これはいろいろな政争もあったでありましょうが、輸送の悪いところに工場をつくっておったという欠陥が、かなり採算上に不利であったということはいなめないと思います。ところが、今日のように原石が不足してくるというと、原石の確保のために輸送費をかけてまいりますというと、むしろ製品の輸送よりも原石の輸送の負担が非常に高まってまいる情勢にあると思います。そういうとき非常に有望である、こういうふうに私どもは理解をいたします。これは、私が理解しているわけではない、皆さんに御検討願いたいことですが、それをどうも金貸し的な考え方で、確かに政府融資でありますから、国民の血税を含んでおりますから、たやすく融資をすべきものではないことはもちろんでございます。経済企画庁は、日本の経済全体をにらんでおるところでございますから、日本の工業の発展の上からいっても、セメント業は今後社会資本の投資の上にも役割をなしております。鉄道といたしましても道路といたしましても、今後ますますセメントの需要は高まってくるときに、民間が原石不足のために悲鳴をあげている。これこそ国策会社が国民経済の面に寄与する機会を得たのだと私は思うのです。それを、そういう理解の上に立たないで、従来民間企業と競争しておって赤字が出たことだけでもって、ただ再建をしなければならないという考え方を持つことは、どうも企画庁のような将来を比較検討する立場にあるところは、通産省のような現実の行政をどうするかというような見解とおのずから違った見解を持っておらるるはずだ、私はそう理解をするのであります。企画庁を買いかぶるななんて言われれば別ですけれども、私は、少なくとも現業官庁と違う点は、将来の見通しについて——現業官庁といえども見通しを持たなければならぬことはもちろんと思うのですけれども、より高い視野に立っておられる、こう思う。そういう中に東北開発会社を持っておるのでありますから、もう少し視野の高い立場で監督をし助成をしていかなければならぬと思います。これは、私ども究極の質問なのでありますが、時間がありませんので、事例をあげないで簡単に申し上げましたが、御見解を賜わりたい。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 先ほど切り捨てなければならないものがあるのではないかと申し上げましたのは、わが国の現在の産業構造から見てもしようがない、たとえば亜炭のようなものはそういうことじゃないかと思うわけでございますが、セメント事業は、東北開発のこれからの再建をになう一番中心の事業にたると思います。ハードボードでありますか、これはもう少し検討いたさなければならぬと思いますが、セメントは、実にこれは再建の一番有力なにない手になると思いますので、入り用な有意義な金は惜しまずに使っていきたいと思います。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 もう一点だけですが、これからがほんとうの国策会社としての使命を果たせるところにきているというふうに私は理解をいたします。今日まで犠牲を払ったのが、これから生きるときになってきている。もちろん、その間の融資も必要でありましょう、出資も必要でありましょうけれども、事業としてはこれからという時代に入ってくる。しかし、もう一つ指摘したいのは、この赤字の中に、それは通産省の責任といいますか、企画庁の責任というものがあるんですよ。それは、御承知のように、あの場合、あの当時はほとんどが重油に変えられてきた。そのときに、国策会社であるからコークスを使えということを強要されたんですね。あの施設の途中に、ほとんど当時の会社は重油に切りかえておった。それは、石炭政策の上から強要されたんですね。それも私はあながちいけない、悪いと言うんじゃないですよ。当時の情勢からいえば、やむを得なかったと思います。そういう国策会社であるから、みずから率先して重油への切りかえを阻止させられた。あのときに重油に切りかえていたならば、赤字はもっと少なかったかもしれない。いまごろ大きな利益をあげておったかもしれない。そういう、国策会社だから国策の犠牲になれということで犠牲にさせられた赤字が非常に大きいということなんですよ。当時の資料をお調べになればわかります。ほとんど重油に切りかえていっておる。東北会社だけが旧式な、旧式でもないでしょうけれども、コークスで熱量を出すという方法をとらされたのであります。これは、他の産業政策の上に率先犠牲になった。これが、セメント工場の近代化がおくれておった一つの要因でもあるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、これからが国策会社としての使命を果たせる、原石の確保をしておるという点が。これはたいへんな役割りを果たすものだと思う。この役割りは、もしも原石が不足になったときには非常に大きく評価されることになると思う。ですから、赤字を問題にされるのはいいですよ、それをいままであまりに等閑にし過ぎたそしりがあるんですからいいですが、そのために、大きな発展の要素を持っておるし、確かに国策会社という大きな役割りをこれから発揮できるときだという理解をもって、ひとつ御指導を願わなければならぬのではないか、これが東北開発株式会社のために……。

松浦周太郎自由民主党

○松浦主査 川俣さん、議運で一時から休憩して長官を待っておりますから……。

川俣清音日本社会党

○川俣分科員 それではこれだけにしておきます、もうそれ以上のことは申し上げぬでも、宮澤さんにはよくおわかりのことだと思いますから。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○宮澤国務大臣 実は伊藤総裁からも、私的には、過去において役所の指導と会社の経営との分界がときとしてはっきりしていないことがあると率直に伺っております。したがって、今度総裁に対しては、実質上の問題として、人事もおまかせいたします、経営もひとつ存分にやっていただきたい。再建の基本をはずれていただいては困りますけれども、その範囲では、できるだけフリーハンドをふるってくださるようにということを私から特に申し上げてございます。そういう心がまえで私どもも会社と協力してまいりたいと思っております。

松浦周太郎自由民主党

○松浦主査 本日はこの程度にとどめ、次会は明十九日午前十時から開会し、農林省に対する質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗